1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月十二日(水曜日)
午前十時四十二分開議
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議事日程 第十二号
昭和三十三年三月十二日
午前十時開議
第一 国会法第三十九条但書の規
定による議決に関する件(売春
対策審議会委員)
第二 電波法の一部を改正する法
律案中修正に関する件
第三 郵便為替法の一部を改正す
る法律案中修正に関する件
第四 昭和三十二年度一般会計予
算補正(第2号)(委員長報告)
第五 昭和三十二年度特別会計予
算補正(特第4号)(委員長報
告)
第六 通商に関する日本国とイン
ドとの間の協定の締結について
承認を求めるの件(委員長報告)
第七 奄美群島復興特別措置法の
一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)(委員長報告)
第八 開拓融資保証法の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議
院送付) (委員長報告)
第九 開拓者資金融通法の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付) (委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/0
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001・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
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002・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
この際、お諮りいたします。鮎川義介君から、海外旅行のため十四日間請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/2
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003・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/3
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004・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) この際、お諮りいたします。本月二十四日から、スイスのジュネーヴにおいて開催される列国議会同盟一九五八年度春季会議に、本院から宮澤喜一君、加藤シヅエ君を派遣いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/4
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005・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/5
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006・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第一、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(売春対策審議会委員)を議題といたします。
内閣から、衆議院議員神近市子君、島村一郎君、世耕弘一君、中山マサ君、山下春江君、吉田賢一君、本院議員大川光三君、佐野廣君、藤原道子君、宮城タマヨ君を売春対策審議会委員に任命することについて本院の議決を求めて参りました。これらの諸君が同委員につくことに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/6
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007・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。
よって本件は、全会一致をもって、これらの諸君が売春対策審議会委員につくことができると議決されました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/7
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008・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第二、電波法の一部を改正する法律案中修正に関する件
日程第三、郵便為替法の一部を改正する法律案中修正に関する件
以上、両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/8
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009・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
去る七日、内閣から、国会法第五十九条の規定により、両案の修正につき本院の承認を求めて参りました。両案の修正を承諾することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/9
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010・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
よっていずれも承諾することに決しました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/10
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011・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第四、昭和三十二年度一般会計予算補正(第2号)
日程第五、昭和三十二年度特別会計予算補正(特第4号)
以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/11
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012・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。予算委員長泉山三六君。
〔泉山三六君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/12
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013・泉山三六
○泉山三六君 ただいま議題となりました昭和三十二年度一般会計予算補正(第2号)及び昭和三十二年度特別会計予算補正(特第4号)の予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、補正二案の内容について申し上げます。昭和三十二年度一般会計予算補正(第2号)は、食糧管理特別会計の昭和三十一年度の損失を補てんするため、一般会計から繰り入れる経費約百六十億円、及び食糧管理特別会計の経理を改善するため、同特別会計に資金を設置することに伴い、一般会計から繰り入れる経費百五十億円を中心としたものでありましてこのほか、駐留軍の大幅撤退に伴い、整理される駐留軍労務者への特別給付金、また、「北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約」の締結に伴い、イルカ漁業者の他漁業への転換のための助成費、並びに歳入において法人税の増収を三百億円計上したことに伴う地方交付税交付金七十八億円等でありますが、これらを加えました一般会計予算補正の総額は、歳入歳出とも合計三百九十四億二千六百万円と相なっております。
また、昭和三十二年度特別会計予算補正(特第4号)は、地方交付税交付金の追加に関連する交付税及び譲与税配付金特別会計の歳入歳出予算の補正であります。
これらの補正二案は、去る一月三十一日国会に提出せられ、二月十九日、本院に送付されたものでありますが、委員会におきましては、二月六日に一萬田大蔵大臣から提案理由の説明を聴取し、三月四日から昭和三十三年度予算と一括して、六日間にわたって、岸内閣総理大臣並びに関係各大臣に対し質疑を行いました。以下、これらの質疑のうち補正予算に直接関連する若干の事項について、簡単に御報告申し上げます。
すなわち、食糧管理特別会計に資金として繰り入れられる百五十億円の積算の基礎はどうであるか。昭和三十二年度、昭和三十三年度に予想される赤字は、この資金の中から落されることになっているが、実質が赤字補てんであるとするならば、前国会において昭和三十一年度赤字が問題となった際、決算確定後措置する方が妥当であると言われた池田前蔵相の説明と今回の措置とは、実体的に相反するものと解してよいのか。また、今年度の米価も、とうてい予算米価一万二百円ではまかなえそうもない情勢にあるが、この資金繰り入れ後の背後には、これ以上の赤字を出しても、財政当局としてめんどうは見られないという意味が含まれているのではないか等の質疑がありましたが、これに対しましては、政府側から、今回提案している資金の繰り入れについての積算の基礎は、しいてこれを言えば、三十三年度末に予想される約百四十億円の赤字も一つのめどになっているが、今回の繰り入れの目的は、運転資金の補強であり、赤字補てんではない。経理の扱いとして、結果的に決算確定後赤字が出れば、この中から落すことになるのであるから、明年度の適正米価の決定を制約するものではないという答弁がなされました。
また、駐留軍労務者に対する特別給付金は、その金額は見舞金程度のものであり、一般公務員の整理退職の場合等に比すれば、過少に失する。今回の離職者は、岸・アイゼンハワー声明に伴うものであるという点にかんがみまして、その金額及び支給範囲についてさらに考慮を加える考えはないか。また、同様の事由から離職する国連軍関係労務者や特需労務者にも、特別給付金を払う意思はないかという質疑がありましたが、これに対しましては、政府側から、駐留軍労務者の離職に際しては、駐留軍と調達庁との間に締結された労務基本契約に基いて一定額の退職金を支払うことになっており、その額は、一般公務員に比し、決して低いものではない。昭和三十二年度の補正予算及び三十三年度予算に計上した特別給付金は、これらの退職金とは別個のものであり、慰労の趣旨で特に予算に計上したものである。国連軍関係者は、年限も短かい者が多いし、離職の事由も異なるので、この給付金該当者とはしないという答弁がなされました。
また、イルカ漁業者の他漁業者の転換助成費の五億円には、政治的配慮が加えられていると言われているが、果して実績に基いて精査したものであるか。なお、余った場合には流用を認めるのかどうか。また、オットセイに関する条約に基いて米国及びソ連から六年間に受け取るべき十五億円は、オットセイ漁業者に国際条約を完全に守らせるための補償と承知しているが、しからば、その必要経費を差し引いた残りは、オットセイ漁業者に交付すべきではないか等の質疑がありましたが、これに対しましては、政府側から、イルカ漁業者の転換助成費の五億円は、岩手県等四県下のイルカ漁業者の転廃業を助成するための経費で、船の数で言えば百七十一そうであるが、廃業及び船の改造並びに新船建造の三方面から精査した結果であり、流用の必要は起らぬと思う。また、米ソ両国から入る十五億円は、オットセイをとらないための補償であるが、オットセイをとる者は、大体イルカ漁業者であるので、今回イルカ漁業者に補助及び補償をすることにより、この条約を完全に守らせる目的は達成されるものと思うという答弁がなされました。
このほか、委員会における質疑は広範にわたりましたが、その詳細は、会議録によって御承知を願いたいと存じます。
かくて、補正予算に関する質疑は、一昨十日をもって終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して戸叶委員が反対、自由民主党を代表して伊能委員が賛成、緑風会を代表して森委員が賛成の旨、それぞれ意見を述べられました。討論を終局し、採決の結果、予算委員会に付託されました昭和三十二年度一般会計予算補正(第2号)及び昭和三十二年度特別会計予算補正(特第4号)は、多数をもって、原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
右、御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/13
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014・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 両案に対し討論の通告がございます。順次、発言を許します。戸叶武君。
〔戸叶武君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/14
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015・戸叶武
○戸叶武君 私は、日本社会党を代表し、政府提出の昭和三十二年度一般会計予算補正(第2号)並びに昭和三十二年度特別会計予算補正(特第4号)に対して反対の意向を明らかにせんとするものであります。
政府提出の今回の補正予算案は、一般会計予算補正において歳入歳出とも三百九十四億二千六百万円の追加となっております。歳出の大部分を占めるのは、食糧管理費でありまして、昭和三十一年度の食糧管理特別会計の損失を補てんする一般会計から繰り入れる百六十億三千七百四万円と、同特別会計の経理運営の改善をはかり、この会計の損益を調整するため、同特別会計に資金を新設するに伴い、その財源として一般会計から繰り入れる百五十億円とで、その合計三百十億三千七百四万円に上ります。その次の地方交付税交付金は、本年度法人税の自然増収額三百億円と見込まれ、これに伴う地万交付税交付金七十八億円が追加されております。駐留軍の撤退に伴う駐留軍労務者の離職者に対する特別給付金は、わずか八千八百九十六万円、また、従来イルカ漁業に従事しながらオットセイの捕獲を行なっていた漁業者を、オットセイ捕獲を禁止する国際的取りきめを完全に実施するため、これら漁業者を正常な漁業に転換させるための助成費五億円が計上されております。歳入の財源としては、三十二年度の租税収入の自然増収を見込んで、法人税三百億円、相続税十四億二千六百万円、関税八十億円が充てられております。
特別会計補正は、地方交付金に関するもので、法人税三百億円の増収に伴う交付率二六%の予算が計上されております。
問題の中心は食管特別会計で、三十一年度の決算に基く赤字補てん百六十億円は当然のことでありますが、新たに法律を設けて、一般会計から食管会計に群五十億円繰り入れたことに対しては、論理の明確性を欠いております。一萬田大蔵大臣は、食管特別会計に新たに設置された調整勘定の資金に百五十億円を繰り入れたのは、運転資金としての調整資金で、三十二年度の決算に予想せられる欠損九十六億円が確定すれば、この資金から落すと説明しております。しかるに、昨年、三十二年度予算案を審議した際には、当時の池田大蔵大臣は、食管会計の赤字処理は、決算確定後に行うべきであると強硬に主張し、三十年度分の三十四億円の赤字を三十一年度一般会計予算の第二次補正で埋めたが、三十一年度分と三十二年度分の赤字見込み額は処理しなかったのであります。
第一次岸内閣と第二次岸内閣とは、その政治性格が異なっておらないのにもかかわらず、このようにわずか一年の間に、前の大蔵大臣とあとの大蔵大臣とは、全く反対の方法で財政処理を行う、この事実に対して、政府は何らの矛盾をも感じておらないのでありましょうか。一萬田大蔵大臣は、これは財政法第二十九条第一項に基く追加予算であり、建前としては決算で補てんし整理すべきであるが、そうすると、その間に運転資金が非常に枯渇するので、それを円滑にさせるため、一般会計から資金を繰り入れたのだと説明しておりますが、財政法上の疑問点については、何ら権威する回答をいたしておらないのであります。今回提出の予算案は、歳入において決算以前の未確定財源を先食いしているのでありましてこのような財源の先食いは、少くとも政府の経済の見通しが正確なりとの確定が与えられた場合にのみ、特別の措置として許さるべきものであります。しかるに、三十三年度予算編成に対する岸内閣の態度たるや、このような措置をとる資格はないのであります。政府は、昨年予算編成の基本方針を定め、投資及び消費を通じて内需をきびしく抑制し、輸出の伸長を期することを主眼として、国の財政が景気を刺激する要因とすることを、極力回避する方針を定めたはずであります。それなのにもかかわらず、予算編成の最高責任者たる岸首相みずからが、その後この基本方針を踏みにじっておるのであります。この結果、政府の予算案提出が一月末におくれ、国会の審議期間を侵害するに至ったのであります。そして政府が国会に提出した予算案の実体は、当初、政府が公約したものとは異なり、大企業並びに圧力団体に対しては膨張、勤労国民に対しては緊縮の両岸予算案であります。この補正予算案もその流れをくみ、主に温かく下に冷い二面的な性格を持っております。そして岸内閣の経済閣僚は、いずれも経済の見通しについて信頼するに足る見解を持っておりません。このような不安定な経済の見通しの上に立てられた予算案であるだけに、食管会計の補正のごときは、やがて米価、麦価の決定に悪影響を及ぼさないとも限らないのであります。
次に、歳出の駐留軍労務者に対する特別給付金についてでありますが、これがわずかに八千八百九十六万円で、あまりにも少な過ぎるのであります。政府は、整理される人員を三十二年度は二万七千人、三十三年度はその半分くらいと、合計四万数千人を推定しております。しかも、その恩恵に浴するものは一万六千人にすぎず、給付金は一万円、六千円、三千円の三段階に分けられ、一万円を受け取ることのできる十年以上の勤続者は、わずか千八百七人にすぎません。同じ駐留軍労務者でありながら、多数の者がこの恩恵にあずからないのであります。そうしてまた、駐留軍の直接雇用者である家政婦あるいは連合軍に雇用せられた労務者は、何らの措置が講ぜられておりません。この駐留軍労務者の離職たるや、全く日米行政協定の運用上の犠牲であり、日米両国の首脳者たる岸、アイク会談による取りきめに基因する失業者なのであります。この国策の犠牲者の失業問題に対し、政府が涙金だけで片づけようとする冷淡な態度を、私たちは黙視することができません、最近の世論は、宗谷が南極に樺太犬十五匹を残した仕打ちに対してすら、激しい憤りを持っております。わが党は一人当り五万円の醵金を主張しておりますが、政府も、長年にわたって忍びがたきを耐えてきた駐留軍労務者諸君に対して今までの冷酷な態度を改めて、手厚くこれをねぎろうべきであります。
本予算案において私たちが特に警戒しなければならないのは、歳入の面で、三十二年度租税収入の自然増加を見込んで先食いしておる点であります。これにより、三十四年度に繰り越される剰余金の受け入れ額が、それだけ減額されることになるので、国民は前途に不安を抱かざるを得ません。また、政府の経済の見通しは、過去半年間の実績を見てもわかりまするように、誤算の連続でありますから、租税の自然増収を当てにした財源については、今後楽観を許しがたいものがあります。
このように、本案は財政上幾多の疑義を含み、不合理と矛盾に満ちております。私たちは、この補正予算案は、予算編成の上から見て将来に悪例を残すものとして、これに反対し、政府に対し、本案を撤回して、再編成の上、再提出されることを要望いたします。
以上をもって社会党の立場を明らかにし、私の反対討論を終る次第であります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/15
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016・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 佐藤清一郎君。
〔佐藤清一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/16
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017・佐藤清一郎
○佐藤清一郎君 私は自由民主党を代表いたしましてただいま議題となりました昭和三十二年度一般会計予算補正(第2号)及び特別会計予算補正(特第4号)の政府原案に賛成の意見を申し述べたいと存じます。
今回の予算補正の内容につきましては、さきに政府から説明されました通り、三十二年度の予算作成後に生じた事由に基いて、必要避けることのできない所要の予算を追加するものでありまして 一般会計から食糧管理特別会計の繰り入れのための食糧管理費の計上を中心として、さしあたり早急に措置すべき事項に関するもの合計三百九十四億二千六百万円であります。
右の歳出をまかなう財源といたしまして、法人税三百億円、相続税十四億余万円及び関税八十億円、合計三百九十四億二千六百万円の自然増収を充てることとしております。まず、食糧管理費三百十億三千七百万円でありますが、そのうち昭和三十一年度の食糧管理特別会計の決算確定に伴い、その損失を補てんするために一般会計から繰り入れる額が百六十億三千七百万円であり、また、同特別会計の経理運営の改善をはかるため資金を設置することに伴い一般会計から繰り入れる額が百五十億円となっております。前者は、食糧管理特別会計溝、附則第二項に基き、決算上の損失を一般会計より繰り入れるもので、特に問題はございませんが、後者は、別途、政府から提出されております食糧管理特別会計における資金の設置及びこれに充てるための一般会計からする繰入金に関する法律の第三条に基く画期的な措置と申すべきものであります。すなわち、昨年消費者米価を改定いたします際、かねて懸案でありました食糧管理特別会計の経理を明確化し、その健全化をはかることが急務とされたのでありましたが、この点を十分検討した結果、第一には、経理を明確化するため、従来のいわゆるどんぶり勘定をやめて勘定区分を設けること、第二には、損失見合いで食糧証券を発行して泳いで行くことは、建前として適当でないので、新たにこの会計に運転資金を設けるべきであるとの結論に達し、そのうち、年度の中途においても、できることは可及的すみやかに実施するとの趣旨から、資金の設置をまず三十二年度予算補正で措置することといたしたものであります。これは食糧管理制度の健全化のため、まことに妥当な措置でありまして全幅の賛意を表するものでありますが、食糧管理特別会計については、一般からとかくの批判があるのでありまするから、政府はこれが運営に関しましては、十分なる監督指導を切に要望する次第であります。
また、漁業整理転換資金五億円は、「北太平洋のオットセイの保存に関する暫定条約」の規定を完全に実施するため、従来の猟銃をもってイルカ漁業に従事する漁業者を円滑に整理し、他の漁業に転換するよう助成するため必要な経費でありまして、きわめて適切な措置であります。ただ、これが実施につきましては、相当の遺憾ないような処置が講ぜられることが望ましいのであります。
次に、地方交付税交付金の追加七十八億円は、法人税三百億円の増収に伴い、その二六%に当る金額の増加でありまして、地方財政の健全合理化に資するところ少くないものと期待されるわけであります。従いまして、私らは全幅の賛意を表する次第でございます。
次に、駐留軍労務者に対する特別給付金八千八百余万円は、昨年六月の岸総理及びアイゼンハワー大統領共同声明以来、合衆国軍の本国への引き揚げ等により、大量の人員整理を余儀なくされておるこれら労務者諸君に対し、退職金のほかに、その労をねぎろうため、特に給付しようとするものでありまして、当然とするところであります。
以上申し述べました通り、今回の予算補正は、きわめて時宜にかなった適切妥当な内容のものでありまして、私は、ここに全面的に賛意を表し、討論を終るものでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/17
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018・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 森八三一君。
〔森八三一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/18
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019・森八三一
○森八三一君 私は、ただいま議題となっておりまする昭和三十二年度一般会計予算補正(第2号)並びに同特別会計予算補正(特第4号)に対しまして、緑風会の議員総会の決定に基きまして、原案に賛成の討論を行うものであります。
本補正予算は、昭和三十二年度租税の自然増収中、法人税三百億、相続税十四億二千六百万円、関税八十億円、合計三百九十四億二千六百万円を財源として、一般会計の歳出に追加計上いたしますともに、その中から三百十億三千七百四万円を食糧管理特別会計に繰り入れんとするものであります。食糧管理特別会計が、ただ単に米麦のような主要食糧の管理に必要な経理を行うばかりでなくて、農産物や飼料などの価格安定や、需給調節のために必要な経理をも行なって参りました。そういうような関係からして、従来いわゆるどんぶり勘定として、とかくの議論があったのでありますが、今般、これら多岐にわたりまする経理を各別に区分して、その収支の明確化をはかったということは、きわめて適切な措置でありまして、賛意を表するものであります。
一般会計から繰り入れまする三百十余億円中、百六十億余は、三十一年度の確定欠損の充足ということでありますので、これは当然のことであり、別段問題はありません。しかし、残額の百五十億は、調整資金として、同会計の健全化に資するためのものであるということでありますが、政府の説明によりますれば、同会計三十二年度の欠損見込額九十余億円、三十三年度の欠損見込額四十余億円等をその積算の基礎にいたしているのでありまして、同会計に欠損が生じました場合には、その確定を待って本資金から落すというのであります。同会計の健全化のためにけっこうなことでありますが、従来欠損確定を待たなければ赤字処理はいたさないとされてきました政府の方針とは、形式的にはともかく、実質的には矛盾があると思うのであります。私はこの措置が悪いと申すのではありませんが、いたずらに前言にこだわり過ぎて、こじつけ的な説明をするような態度は、改むべきであると思うのであります。さらにまた、前述のような積算の基礎からいたしまして、昭和三十三米穀年度におきまする生産者並びに消費者の米価が、予算の関係からいたしまして、抜きさしならぬものになって、生産に悪影響を与えたり、消費生活に累を及ぼすことのないよう、米価審議会の意見、答申を十二分に尊重して対処されますことを、強く希望するものであります。
最後に、駐留軍離職者やイルカ漁業従事者に対し、特別の措置が講ぜられましたことは、適切なものでありまして、多とするところであります。由来、この種事案の処理は、見舞金や助成金の支給が、その本来のものでないことは申すまでもありません。関係者に対し、いかにして安住の地を与えるか、その生業を付与するかにあると思うのであります。政府は、従来ともこの点に意を用いられてきておるとは存じますが、特に細心の注意と温かい情熱をもって、関係者の希望に報い、本来の趣旨を達成せられますように切望いたしまして、私の討論を結ぶものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/19
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020・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は、終局したものと認めます。
これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/20
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021・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。(拍手)
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/21
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022・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第六、通商に関する日本国とインドとの間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外務委員長寺本広作君。
〔寺本広作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/22
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023・寺本廣作
○寺本広作君 ただいま議題となりました通商に関する日本国とインドとの間の協定の締結について承認を求めるの件について、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
戦後、目印間の通商関係は、両国間の平和条約の規定に基き、暫定的に規律されて参りましたが、この暫定措置は、一昨年をもって失効しましたので、両国政府は、自来、本協定の締結につき交渉を継続中のところ、インド側の担当者が、円借款問題とも関連し、来日しましたのを機会に、最終的交渉を行なった結果、本年二月四日、本協定及び付属議定書の署名が行われるに至ったのであります。
この協定は、関税及びこれに関連する事項並びに輸出入等についての最恵国待遇のほか、入国、滞在、事業活動、船舶に対する原則的な最恵国待遇をもあわせて規定した広範な通商協定であり、また戦後、わが国が東南アジア諸国との間に結ぶ最初の通商協定でもありますので、単にインドとの通商航海関係の緊密化に役立つものでなく、今後、わが国と他の東南アジア諸国との間の通商航海に関する協定の締結をいたします上に、非常に役立つことが期待されるとの政府の説明でありました。
審議の過程におきましては、本協定の規定に基き、わが国民がインドにおいて行い得る事業活動及び職業活動の範囲、わが国が適用を除外されることになっている英連邦内特恵関税及びインド国境貿易の現状、インドにおける国家金業の問題、鉄鉱石開発事業の見通し、日印両国間における旧財産権の処理状況等について質問が行われ、また、この協定の調印と時を同じゅうして成立した百八十億円の日印円借款の問題につきましても、その内容、使途、使用条件、インドの第二次五カ年計画と円借款の関係、円借款と東南アジア開発基金との関係、円借款と各種経済協力との関係、日本輸出入銀行が従来行なっておった一般貿易金融と円借款との関係、アメリカに借款を求めつつあるわが国が、東南アジアに借款を与えることについての政府の考え方、及び同じくこれについての米側の反響などの諸点に関して、熱心な質疑が行われましたが、その詳細は、会議録に譲ることにいたします。
委員会は、昨十一日、質疑を終え、採決を行いましたところ、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
右、御報告を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/23
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024・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。
本件を問題に供します。委員長報告の通り本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/24
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025・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。
よって本件は、全会一致をもって承認することに決しました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/25
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026・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第七、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長小林武治君。
〔小林武治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/26
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027・小林武治
○小林武治君 ただいま議題となりました奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案について委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
本法案は、奄美群島復興計画に基く事業の実施状況にかんがみ、復興計画の実施期間を、現行法の五ヵ年から十ヵ年に延長するとともに、法の有効期限を昭和四十一年三月三十一日までに改め、奄美群島における災害復旧事業について、国の負担率を高めることができる旨の特例を設け、その他復興実施計画の変更手続等について、規定の整備をはかること等を主たる内容とするものであります。
地方行政委員会におきましては、二月二十日、郡国務大臣より提案理由の説明を聞いた後、主として復興計画の問題について、政府側との間に質疑応当を重ね、熱心かつ慎重に審査を行いましたが、その詳細につきましては、会議録により御承知を願います。
三月七日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、小柳委員は自由民主党を代表して、「本法案に賛成」の旨を述べられ、なお、次の付帯決議案を提出されました。小柳君提出の付帯決議案は、
奄美群島の改訂復興計画案をみるに、単に従来の復興計画の引延しにすぎず、根本的な問題の解決されていないことは甚だ遺憾である。政府は本法の施行に際し、左の諸点に留意して本群島の復興に努力すべきである。
一、本群島の改訂復興計画の実施に当っては、年次頭初より十分なる計画の予算化に留意し、関係各省庁の緊密なる協力により、予定年度内に計画の達成を図るべきこ と。
二、予算の実施については、効率的運用に留意し、国に工事を委託して事業の進捗を図る等適切なる方途を講ずること。
三、本群島の特殊性にかんがみ、産業資金の円滑なる融通を図るため、特別の金融対策を樹立する等積極的なる開発措置を講ずること。
右決議する。というのであります。
加瀬委員は日本社会党を代表して、「本法案に賛成する」旨を述べられ、「なおこの際、復興計画の各種対策における具体性の欠除、産業振興のための関係各省庁の協力体制の強化等について住民の世論を聞いて早急改善が行われることを当局に強く希望する」と述べられました。
かくて討論を終結し、採決の結果、本法案は、全会一致をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
次いで、小柳君提出の付帯決議案は、全会一致をもって、これを委員会の決議とすることに決定した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/27
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028・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/28
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029・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/29
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030・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第八、開拓融資保証法の一部を改正する法律案
日程第九、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、策議院送付)
以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/30
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031・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長重政庸徳君。
〔重政庸徳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/31
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032・重政庸徳
○重政庸徳君 ただいま議題になりました開拓融資関係の二つの法律案について、農林水産委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。
まず、開拓融資保証法の一部を改正する法律案でありまして、開拓者が肥料や飼料等を購入するために必要な短期営農資金の融通を円滑にするため、昭和二十八年七月、開拓融資保証法が施行され、開拓融資保証協会が債務を保証する制度を設け、政府は、今日までに中央保証協会に対して二億八千万円を出資しているのでありますが、昭和三十三毎度において、さらに三千万円を追加出資して三億一千万円に増額し、その保証ワクを拡大して融資の促進に資することとしようとするものであります。
次は、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案についてでありまして、政府は、昭和二十一年度から開拓者資金融通法によって、開拓者またはその団体に対して、いろいろな資金を融通してきているのでありますが、これらの資金のうち、既入植者に対し貸し付ける中期営農資金の償還期間は、現在八カ年以内と定められておりますのを、昨年制定されました開拓営農振興臨時措置法の適用を受ける開拓営農の不振な開拓営農振興組合またはその組合員に貸し付ける場合には、十二カ年以内に延長しようとするものであります。
これらの二つの法律案は、いずれも開拓融資を対象として相関連するものでありますから、委員会におきましては、一括して審査を行うこととし、まず農林当局から提案の理由並びに開拓及び開拓営農等に関する諸般の事項について補足的説明を聞き、続いて質疑に入り、国の開拓政策及びこれが当否並びにその改善強化、開拓政策の推進と行政機構のあり方、開拓者資金融通特別会計予算の編成方法、特に償還金の見積り方法の当否、振興計画の承認状況とその計画内容並びにこれが当否、新しい計画による新規入植者の営農状況及び既入植者の営農の振興対策、特に振興計画の樹立さえ困難な不振開拓者に対する特製措置、新営農類型の当否及びこれが実施計画と実行性、開拓営農指導の改善拡充、開拓者負債の状況、開拓融資の促進とその手続の簡素化及び償還条件の緩和、開拓者に対する自作農維持創設資金の疎通のための特別措置、離農農家の対策、今回の措置による償還期限を十二年以内と定めた根拠及び昭和三十二年度に貸し付けた資金の償還期限八年との関係及びその調整、据置期限とその当否、償還期限の延長と資金源との関係、来年から実施が予定されている土地利用調査研究事業と開拓との関係等が問題になり、当局の方針が究明され、その善処が求められたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることを御了承願いたいのであります。
かくして質疑を終り、討論に入り、別に発言もなく、続いて採決の結果、両法律案とも、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
右、御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/32
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033・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/33
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034・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。
次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十七分散会
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○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
一、議員派遣の件
一、日程第一 国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件
(売春対策審議会委員)
一、日程第二 電波法の一部を改正する法律案中修正に関する件
一、日程第二 郵便為替法の一部を
改正する法律案中修正に関する件
一、日程第四 昭和三十二年度一般会計予算補正(第2号)
一、日程第五 昭和三十二年度特別会計予算補正(特第4号)
一、日程第六 通商に関する日本国とインドとの間の協定の締結について承認を求めるの件
一、日程第七 奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案
一、日程第八 開拓融資保証法の一部を改正する法律案
一、日程第九 開拓者資金融通法の一部を改正する法律案発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102815254X01319580312/34
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