1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十三年六月二十七日(金曜日)
午前十一時三分開議
出席委員
委員長 淺香 忠雄君
理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君
理事 武知 勇記君 理事 粟山 博君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 小松信太郎君
理事 森本 靖君
進藤 一馬君 橋本登美三郎君
井手 以誠君 大野 幸一君
金丸 徳重君 原 茂君
小沢 貞孝君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 寺尾 豊君
出席政府委員
郵政政務次官 廣瀬 正雄君
郵政事務官
(監察局長) 荒巻伊勢雄君
委員外の出席者
郵政事務官
(郵政事務次
官) 小野 吉郎君
日本電信電話公
社総裁 梶井 剛君
日本電信電話公
社副総裁 靱 勉君
専 門 員 吉田 弘苗君
—————————————
六月二十五日
委員栗原俊夫君辞任につき、その補欠として栗
林三郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
委員風見章君辞任につき、その補欠として井手
以誠君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣提出第四号)(予)
郵政事業に関する件
郵政監察に関する件
電気通信に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/0
-
001・淺香忠雄
○淺香委員長 これより会議を開きます。
この際委員各位に申し上げます。すなわち、大野幸一君より、前回の委員会における発言中、不穏当な個所があれば会議録を調査の上、委員長において善処されたい旨の申し出がありますので、委員長において適当に処置いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/1
-
002・淺香忠雄
○淺香委員長 次に、郵政省所管事項及び日本電信電話公社事業概況について質疑の通告がありますので、これを許します。金丸徳重君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/2
-
003・金丸徳重
○金丸(徳)委員 私は電信電話施設について総裁にお伺いいたしたいのでありますが、先般の所管事項の御説明の中で、かなり資金が困難であるにもかかわらず、あらゆる方策を講ぜられて、施設の拡充整備に御努力なさっておることにつきましては、つぶさに承わりました。ただその中で、実際問題といたしましては、地方の方においてかなりまだ穴があるといいますか、急いでいただかなければならないような点がたくさんございます。先般来、たとえば農村公衆電話というような非常に画期的な施設をお取り上げになりまして、地方の、特に農山村から非常な喜びをもって迎えられておるのでありますが、しかし、それとても、なかなかテンポがおそい上に、まだ施設されないところにおいては、あたかも旱天に慈雨を望むがごとく鶴首して待っている感がございます。それから局内施設の拡充にいたしましても、あるいはケーブルその他の市外電話施設の状況などにおきましても、地方的に部分的には非常によくなったところもあるのでありますが、全体的におくれておる面が多いと思われるのであります。そこで、たとえば同軸ケーブルでありますとか、あるいはマイクロウエーブというような非常に都会間の、言ってみますれば、東海道超特急、複々線といったような形において都会間の施設が充実整備されることも、これも大切にと思いますけれども、それと同時に、もう少し地方の方に目を向けていただいて、地方の方により大きな経費を投じて、地方の要望にこたえられる御方針をとっていただけないかどうか、あるいはもう少し強めていただけないかどうか、これについて御所信を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/3
-
004・梶井剛
○梶井説明員 ただいまのお尋ねは私どもも全く同感なのでございます。最近、電信電話のサービスが改善されたという声を世間でも聞くのですけれども、私どもとしては決してその通りとは思っておりません。それは大都会その他においては多少よくなり、また大都会間においてはサービスがよくなったという事実はございますけれども、日本全国を見渡しますと、今仰せの通り、地方にはまだまだ施設の不完全なところもあり、また当然やらなければならないことが残されているというふうなところがあるのです。しかし、遺憾ながらこれを全部やるということになりますと、非常な予算が要るのでありまして、勢い予算の制約のもとに、できるだけすみやかにやりたいという心がまえでおりますが、農村方面における施設につきまして私ども考えますことは、農村方面にふさわしい施設をしなければならない。それは単に施設の設計なり何なりの基準を、幹線と同じような基準でやると非常に不経済であります。しかし、そうではなくて、経済的にやれば、もっと多くやれるのじゃなかろうか、つまり経済的施設を新たに工夫しまして、そして農村方面の施設の不備をできるだけ早く改善していこうという考えのもとに、今その研究をいたしております。しかし、先ほどお話のように東海道複々線、こういうお話でありましたが、実は東海道はいわば日本全国の集中するところであります。一方大阪、一方東京、これに東北及び関西方面あるいは九州方面というものが全部東海道に集中してくるものでありますから、これはどうしても複々線というような施設にしなければならぬという状態にあります。せっかく即時通話にいたしましたものを再び待時通話に戻すということは、面目にかけてもわれわれはできないのでありますから、どうしても回線の増設をやっていかなければならぬ。特に東京—大阪間のごときは、即時通話を始める前と現在と比べて呼び数の関係が約六倍に相なっております。そしてなおまた年々ふえております。それからもう一つは、マイクロウエーブをやりまして、これはケーブルなんかが切れたときに対応するというような考えで初めはやったのでありますが、最近におけるテレビの発達のために、東京—大阪間のテレビの中継ルートが六つ要るということになります。現在四千メガで七つできるのでありますが、一つはどうしても予備にとっておかぬと、故障のときに切りかえられぬということで、現在のマイクロウエーブはほとんどテレビに専有されて、大阪—福岡間もさしあたり四つ要る、そして将来は五つまでということになりますから、大阪—福岡間も電話に使えるのはワン・ルートだけというような関係で、どうしても幹線路の方を強化しておかぬと、現在保たれているサービスさえも維持ができないという一つの苦悶がありまして、一方において現在のサービスを維持し、かつまた農村方面の設備を改善していく、こう両方をやらなければならぬような羽目になっておりますから、実は今お話の通りに、はなはだ手おくれの感があった。しかし無電講部落の問題につきましては、あと三年くらいで全部解消したいと一応思っております。現在無電話部落が全国で一万二千ございます。それで本年度で約四千くらいやりますから、三ヵ年で大体解消する。また町村合併の問題も、みな計画をちゃんと立てまして何年間で全部解消する。それから地方の農村の電話の不自由な点は、これは郵政省との関係もありまして、大てい特定郵便局にありますので、郵政省の方で御承諾をいただいて建物を少し拡充していただきませんと、建物が窮屈なために、交換機の増設ができないというような場合が相当ありますので、郵政省の方にお願いして建物を増築していただいて、そのあとに交換機を入れる、そして従来つかなかった電話をふやしていくというような方法によって、郵政省と始終連絡をして計画を進めていっております。かようなわけでありますから、まだ農村方面がはなはだおくれていることはわれわれの方も非常に痛感しておりますので、御趣旨に沿うようにできるだけ早くいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/4
-
005・金丸徳重
○金丸(徳)委員 私も東海道複々線が早過ぎるとかなんとかということではございません。これはやっていただかなければなりませんけれども、農村方面の施設はそうたくさんな金が一度に要るというわけでもありません。そのわずかの部分をちょっとさいてもらいますと、かなりのところまでいけるのではないか。たとえば農村の電話などは、ことし三十億程度になっておると承わっておるのでありますが、さらにもう三十億くらいというようなことができ得ないものかどうか。そのほか地方における施設の拡充問題でも、数十億の金をさいていだだきますと、かなり明るい希望をもって農村に対することができるのではないか、こう思われる。この点繰り返すようでありますが、一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/5
-
006・梶井剛
○梶井説明員 今の無電話部落に対しましては、仰せの通り一応三十億ということになっております。当初の予算要求としましては四十億いたしましたのですが、一応今年度の収入状況がはっきりつかめないうちに全額支出いたしますと、赤字になって始末がつかないということがありますので、四、五、六の収入状況を見まして、第二次にやるという考えでおります。従いまして、第二次におきましては、今の三十億を三十五億にふやすつもりであります。町村合併も三十一億を三十八億にふやすつもりであります。しかし、いきなり数十億増すということになりますと、現在の倍ということになりますので、そうしますと、大都会でも荏原とか荻窪などという住宅地域は、現在やみ値が二十万円というような状態で、ここも何とかしないと申しわけないのでありまして、あっちもこっちもそういう金の要るところがあるものでありますから、来年度予算の編成の際でも、一つ非常に努力をいたしまして、できるだけ農村方面に金が使えるようにしたいと思いますから、どうか皆さん方からも、ぜひさようになりますように御援助をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/6
-
007・金丸徳重
○金丸(徳)委員 それでは、先ほどのお話の中の一万数千という無電話部落は、どういう標準で御計算になっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/7
-
008・梶井剛
○梶井説明員 戸数が百戸以上で、一万二千部落ですけれでも、それでやめるつもりではおりません。だんだん戸数が五十戸、三十戸というところへ将来とも移っていきたい。ですから、まず最初は百戸以上のところを先にやらなくてはというわけであります。今後とも三年で打ち切るわけではなく、五年も六年もかかっても、そういう無電話部落は一切解消したいという考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/8
-
009・金丸徳重
○金丸(徳)委員 それでよくわかりました。一万何千という無電話部落は、とりあえず百戸以上の目標であって、将来はこれを五十、三十、できれば二十くらいの集団部落に持っていきたいという御趣旨のようでございます。ぜひそうしていただきたいと思うのでありますが、しかし、それにつきましては、先ほど言うように、まだ予算が足りないということになろうことも十分想像できるわけであります。
そこで私は問題をちょっと進めるわけでありますが、かつて簡易保険事業が自作農創設資金に貸し出したことがございます。これは数十年前のことであります。それは自作農創設資金に低利に貸し付けて、そしてその地方から加入者をよけいに募集するというような、からみ合った形でやったのでございますが、それと同じ着想で、農村電話の架設費あるいは地方の電話架設費というようなものは、その地方の簡易保険加入者の積立金をもって引き当てるというような考え方がとれないものかどうか。これは郵政御当局の方とも御相談をいただかなければならないわけでありますが、そういたしますれば、地方の理事者といいますか、顔役も大いに簡易保険の募集あるいは維持の方に協力してくれる。そこで金が集まってから、その金をまた電電公社の方に貸し出すなり何なりの方法をもってやって経費をまかなうことができれば、両々相待って持ちつ持たれつつ農村の振興に役立つことができるのではないかと思いますが、お考えいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/9
-
010・梶井剛
○梶井説明員 今のお話の通りにしていただけますと、われわれも非常にありがたいのであります。前郵政大臣の田中さんに、先般予算編成の際に、初めて簡易保険の金を電信電話の拡充に使うということをしていただきました。ここにその端緒が開かれたわけでありますから、今後におきまして今の御趣旨のようなことを郵政省で御配慮いただければ、まことにありがたいことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/10
-
011・金丸徳重
○金丸(徳)委員 郵政省の方のお考えも承わってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/11
-
012・小野吉郎
○小野説明員 ごもっともな御意見でございます。簡易保険の運用の問題といたしましては、いろいろ本質的に考えなければならぬ問題もございます。直結の構想は現在でき上っておりませんが、簡易保険といわず郵便貯金につきましても、たしか佐藤さんが電気通信大臣だったと思いますが、私は貯金局長でおりまして、電電公社のそういった施設拡充のためには相当に御協力を申し上げておったつもりでございます。特に昭和三十三年度予算の編成に当りましては、三十二年度の六十億の融資繰り延べの問題につきましては、全面これを解除し、田中前大臣いろいろ御努力になりまして、その中の大半は簡保の資金をもってまかなえるというようなことになっております。昭和三十三年度は予算そのものにつきましても簡保資金の融資の道を開いておりまして、将来そういった点を考え、また簡保の募集者の伸び等の関係に非常に役立つというようなことであれば、そういうこともあわせ考究いたしまして、善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/12
-
013・金丸徳重
○金丸(徳)委員 今のお答えで大体見当はついたのでありますが、問題は、資金還元の原則をこの辺で明確に打ち出さないと、保険事業も容易でないのではないか。貯金においてもそうだと思います。資金還元の原則を明確に打ち出す一つの方途といたしましても、今いろいろたとえば下水事業、一般的には衛生事業、学校施設その他に使われておるようでありますが、これがあまり明確になっておりません。今度はそれを電電公社の事業とからみ合せて、明確に資金還元の方針を打ち出していただけるお考えがあるかどうか。またそういう場合にいろいろ折衝の向きもあろうと思いますけれども、進められるお考えがあるか、承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/13
-
014・小野吉郎
○小野説明員 ごもっともな御質問だと思います。現在の簡易保険の運用に関する法律の建前では、地方還元を強くうたっております。そういう面から、地方債等に関しましては、かなりそういう面を生かしつつ運用をいたしておりますが、簡保の運用自体のことを考えますと、簡保の経営自体がいろいろ募集の伸び悩み、これは民保との競争、農協、生命等の関係もありますが、積立金の将来の長期計画の上においては、かなり抜本的な考究をいたさなければならない事態にもなっておるように思いまするし、そういう面から申しますと、いわゆる金融債といったような高利に回るものを考えなければならない、こういう相対問題がありますので、そういう面を総合的に検討いたしますが、この電気通信関係の施設拡充のための資金といたしましては、必ずしも簡保との直結の問題のみでなく、郵政省といたしましても、いろいろな面で、郵便貯金のいわゆる資金運用部の資金もございますし、総合的に、予定通りの工程の進捗、あるいはそれ以上に、現在足らない施設の拡充に役立つような資金面の配意はいたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/14
-
015・金丸徳重
○金丸(徳)委員 その点は今非常に急がれる問題のように思われる。片や電気通信施設の経費の面という意味からいいまして、片やまた保険、貯金の伸び悩み、あるいは現業方面の苦労という面から考えましても、非常に急がれる問題と思いますので、一つ早急に御相談を願って、方針あるいは具体的な態度というものを打ち出していただければ非常にありがい。これはお願いのようなことになるわけでありますが、どうかそのように急いでいただきたいと思います。これは両御当局にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/15
-
016・廣瀬正雄
○廣瀬政府委員 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/16
-
017・金丸徳重
○金丸(徳)委員 私の両者に関係することは終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/17
-
018・大野幸一
○大野(幸)委員 それでは、時間があるようですから、一つ調査していただきたいことがあるのですが、何でも岐阜の駅の近くに今空地になっている三千坪ばかりの土地がある、それに郵政省が融資されているという事実があるように承わっておりますが、それを一つ調査していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/18
-
019・淺香忠雄
○淺香委員長 ちょっと何か聞えにくい、わかりにくい点がありますので、もう一ぺん……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/19
-
020・大野幸一
○大野(幸)委員 岐阜駅の近くに青物市場が移転するというので、岐阜市が買収して、しかも五、六年になるのを、まだ移転しないで、そのままで閑地になっておる土地があるのです。それを岐阜市に買い上げられた旧地主が、もし岐阜市が使わないならば、再び払い下げてもらいたいという運動をしておるのです。そこで岐阜市は、郵政省から四千万円とかの融資を受けておるので、この融資の解決のつくまで待ってもらいたいとかいっているわけです。しかし、どちらにしても、青物市場も移転しないし、旧地主も安い値段で買い上げられたということに対して不満を持っておる。どうか郵政省も債権の整理のためにも善処してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/20
-
021・小野吉郎
○小野説明員 今具体的な事例をはっきり承知いたしておりませんから、調べまして御答弁を申し上げますが、おそらく岐阜市といたしましては融資はあると思います。これはいろいろ自治庁で起債の認可をいたしましたものを前提に融資をいたしております。従って、今の土地の交換、売買等の問題に直結した問題ではなくて、岐阜市の何がしかの施設の起債認可に対して融資をいたしておると思いますので、その辺の関係がどのようになっておりますか、調査いたしました上でお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/21
-
022・淺香忠雄
○淺香委員長 このままでちょっとお待ち下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/22
-
023・淺香忠雄
○淺香委員長 この際二十三日予備審査として付託されましたお年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行います。
まず政府当局より提案理由の説明を聴取いたします。郵政大臣寺尾豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/23
-
024・寺尾豊
○寺尾国務大臣 ただいま議題となりましたお年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。
現行の法律は、郵便はがきにお年玉をつけることと、郵便はがきや郵便切手に寄付金をつけることとの二つの内容を持っている法律でありますが、今般改正しようといたしておりますのは寄付金に関する部分でございます。
現行法は、昭和二十四年に制定されたのでございまして、当時は終戦後日浅く、社会情勢は、いまだ十分安定しておらなかったため、寄付金額にいたしましてもそう多くを望み得ない試行的状況のもとに、さしあたり急いで現行法のような内容をもって立法せられたものであります。従いまして、その関係条文もわずかに一ヵ条という簡単なものでありまして、手続的にもかなり不十分なものを残しており、実施後の状況によりまして早晩改正せらるべきものと考えられておったのであります。その後鋭意研究いたし、政府内部の意見調整に努めました結果、本改正案を提出するに至った次第であります。
その改正の要点について申し上げますと、第一は寄付金を配分する対象の範囲を拡張いたそうとするものであります。現行法によりますと、郵便はがき等に付された寄付金は、社会福祉の増進を目的とする事業に対して配分されることになっております。この制度を始めました昭和二十四年度ごろには、寄付金額はせいぜい一億五千万円程度にすぎず、また戦後の社会情勢から見まして、このような規定をしたわけでありますが、この寄付金つきはがき等の消化能力は社会情勢の安定とともに逐年増大し、今日では年間五億を上回る状態であり、本年までの総計は三十五億にも達しております。一方、十年の経過の間に、新しい社会的解決を要請される問題で国民の好意によることがふさわしい分野も拡大し、各方面からの要望もありますので、第一に、風水害、震災等の非常災害の場合の救助、第二に、ガン、結核、小児麻痺等、いまだ治療方法の完全な解決を見ない疾病の学術的研究と治療、第三に、原爆被災者に対する治療その他の援助を行う団体にも寄付金の配分を行うことができるようにいたしたいと考えたのであります。
第二は、寄付金つき郵便はがき等の発行手続を整備いたそうとするものであります。すなわち、はがき等の発行前に国民に寄付目的、発行枚数、寄付金の額及び寄付金の配分を受ける団体の名称を告示しまして、あらかじめ寄付の趣旨を公開しておくことにいたしたいと存じます。また、寄付金の配分を受ける団体の指定及び配分額の決定は、寄付目的の拡張ということに応じ、団体の事業を所管する大臣と協議した後、郵政審議会に諮ってからすることとし、配分額の決定については、その団体ごとに配分額を公示することにいたしたいと存じます。
第三は、郵便募金管理会という特殊法人を設立いたそうとするものであります。この法人は、寄付金の管理及びその使途の適正をはかることを目的としております。その業務は、寄付金の受け入れ、保管、交付及び寄付金の使途の監査等を行います。現行法によりますと、これらの点について責任の所在が不明確でありますので、責任ある団体に寄付金の処理をさせることが適当と考えられるからであります。さらに加えて、従来の寄付金の使途状況から見まして、計画が具体化するまでに半年から一年間の時間を要しているものが大半であり、かたがた今回の改正により災害救助等の未確定要素もありますので、これも責任ある団体に保管させることが寄付金の適正な取扱いをすることにもなると考えられます。
第四は、寄付金の使途の適正をはかるための措置をいたそうとするものであります。寄付金の使途の適正をはかるため、郵政大臣は、寄付金の配分を受ける団体の事業を所管する大臣と協議し、かつ郵政審議会に諮って当該団体の守るべき準則ともいうべき事項を定めることができることとし、あわせて、管理会に対して、郵政大臣が所要の監督をすることができることといたして、必要な規定を設けようとするものであります。
以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。本法案は前国会において御審議を願ったのでありますが、両院の議決の一致を見ず、成立に至らなかったものであり、その重要性にかんがみ、さらに本国会に提案をいたす次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決下さいますようにお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/24
-
025・淺香忠雄
○淺香委員長 これにて提案理由の説明聴取は終りました。本案に対する質疑は次会より行うことといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/25
-
026・淺香忠雄
○淺香委員長 それでは、先ほどの郵政省所管事項及び日本電信電話公社の事業概況について質疑を続行いたします。金丸徳重君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/26
-
027・金丸徳重
○金丸(徳)委員 前回の当委員会において大臣は、その所管事項説明の中において、人事管理、特に労働組合との関係においては、きわめてあたたかい気持をもって、腹を割って話される意思があるんだということを強く御表明になりました。私どもは深くこれに期待を申し上げる次第でありますが、それにつきまして一つこの際ぜひお伺いをしておきたいと思いますことは、去る四月二十八日付で郵政省といたしましてはいまだかつてないほどの大量の処分をなさっておられるのであります。その事件の概要、それから経過というようなものについて、つぶさにお伺いしてかかればよろしいのでありますが、時間もあまりかかることと思いますので、その日に発表せられました大臣談話を基礎といたしまして、私の疑問といたす点をお尋ねいたす次第であります。
その日こういうことが発表せられておりまして、これは大臣もよくお読みになり、また御研究になっておられることと思います。「今回の春季闘争の結果免職を含む大量の処分を行わなければならなくなったことを私は心から悲しむものである。労働運動の歴史なお浅いわが国の現状において、私は多少の行き過ぎや偶発的な非違行為に対しては必ずしも了解するにやぶさかではない。しかし、今回の闘争は、調停、仲裁の進行中、しかも政府が仲裁裁定の確実な実施を明言していたにもかかわらず強行されたものであって、全くの政治闘争と断ぜざるをえない。私は組合の幹部諸君に対してしばしば反省を求め自重を要望したが、残念ながらこれに耳をかすことなく、再三勤務時間内の職場大会を強行し、長時間にわたって職場を室にし業務の運行を著しく阻害して国民各位に大きな迷惑を及ぼすにいたった。ここにおいてやむなく最高指導者たる七名の者にはその責任をとって職を退いてもらい、その他の職員にも厳重な処分によって猛省を促すこととした。職場大会に参加した多数の職員」云々、こうあるのでありますが、この中において「業務の運行を著しく阻害した」また「国民各位に大きな迷惑を及ぼした」というこの事実に対して、具体的に一つ御説明が願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/27
-
028・寺尾豊
○寺尾国務大臣 金丸委員にちょっと御了解を願いたいと思いますが、私はその後就任をいたしましたけれども、これに対する責任はもちろん私に全責任があると思います。しかし、当時のこどは単に私があとで報告を受けた、こういうような実情でありますので、所管の者からその当時の状況を答えさせていただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/28
-
029・荒巻伊勢雄
○荒巻政府委員 全国におきましての郵便の阻害状況につきまして説明申し上げます。三月十三日におきましては拠点局が九十三局、大体時間内に三十分食い込みまして、郵便物の遅延といたしましては、二十分ないし二時間の遅延というようなことになっております。三月二十日の第二波におきましては、拠点局五十七局、時間内食い込みが二時間ということで、郵便物の遅延状況は二時間ないし四時間三十分、また翌日配達というようなものもございます。それから三月二十七日のものにつきましては、拠点局が九十五局でございまして、職場大会の時間といたしましてはやはり二時間程度食いまして、これまた二時間ないし四時間程度の遅延をしておる。こういうような阻害状況がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/29
-
030・金丸徳重
○金丸(徳)委員 それによって郵政省が国民大衆から、利用者側から損害賠償の請求でも受けたというような事実がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/30
-
031・荒巻伊勢雄
○荒巻政府委員 損害賠償ということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/31
-
032・金丸徳重
○金丸(徳)委員 そうすると、この「業務の運行を著しく阻害した」これは時間的にそういうようなことになっておるけれども、実際には事業自体としては損害は生じていない。国民としてはなるほど二時間なり四時間なりの郵便物の遅配を受けた面もあるかもしれないけれども、しかしながら、それは耐えられない損害ではなかったというふうに了解していいのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/32
-
033・荒巻伊勢雄
○荒巻政府委員 郵便法の規定に従いまして、郵便物というものは安全迅速に配達するということが国民に対する国家の義務でございますので、さような意味におきまして相当な国民に対する影響があった、こういうとかうに私ども見ているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/33
-
034・金丸徳重
○金丸(徳)委員 逓送が時間にきちきちとやられるということは望ましいことであって、そうでなければならないと思います。しかしながら実際問題としては、ときどき状況によっては十分、一時間の遅延はあり得るのです。私はいなかの方に住んでおるから、そういう事実をよく見ておるのでありますが、たまたま配達人が急に病気になった、代理者を呼び寄せるために時間かかった、二時間かかったというような場合においては、おくれる場合もあるのです。これは決して好ましいことではないけれども、あるのです。しかしながら、それはがまんし得る、耐えられないことではないというので、許されておったことなんです。まあそれとこれと比較にならぬといえば別ですけれども、そういうことの積み重ね、ただ大量に一時的に起きたということで、大問題として取り扱ったわけでありましょうが、そういうことは間々起ることではないかと思うのですけれども、これはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/34
-
035・荒巻伊勢雄
○荒巻政府委員 法の規定といたしましては、個々の偶発的な事情そのほか客観的にやむを得ないという事情に基きました遅延は、もちろん問題にはならないと存じますが、今回のは何分にも全国的にわたる大きな遅延状況が明確に出ておりますので、この問題としてはそれぞれの手続で処分そのほかの措置が講ぜられた、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/35
-
036・金丸徳重
○金丸(徳)委員 そういうようなことで、少し問題が大きい、それから範囲も広がっておるというようなことでお取り上げになったと思うのでありますが、それはそれといたしまして、この声明によりますと「ここにおいてやむなく最高指導者たる七名の者にはその責任をとって職を退いてもらい、その他の職員にも厳重な処分によって猛省を促すこととした。」と、こうあるのであります。これを私はさっと読んでみますと、「最高指導者たる七名の者にはその責任をとって職を退いてもらう」と切って、「その他の職員には厳重な処分によって猛省を促す」こういっております。七名の者には厳重な処分によって猛省を促すということではなくて、職を退いてもらうという、非常に荒い言葉を使ってあるのですが、何かこれについてお考えがあったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/36
-
037・小野吉郎
○小野説明員 その点につきましては公労法の十七条に明確な規定がございまして、それを受けました十八条に該当する事案であるということで、七名の方には公労法適用による解雇をいたしたわけであります。これはわれわれとして、そういった結果をできるだけ避けることがお互いの仕合せでありまして、結果といたしましては双方にとって非常に不仕合せな結果になったわけでありますが、そういう事態を回避いたしますために何回も会見をいたしまして、労働組合の何がしかをやらなければならぬ立場はわかる、ただ第一線に立って名目のない闘争をやられては、われわれも意図しないこともやらざるを得ない立場になるから、ということはよく申しておりますし、組合側の方もその辺は大臣の気持も十分くんでおられたと思います。ただ立場上、自分たちは郵政大臣には今回言い分はないのだ、仲裁裁定にかかっておる調停中の事案でありますので、大臣に言い分はありません、ただその問題について仲裁機関がどうも不利な結論を出しそうな懸念もあるので、やむなくやらざるを得ない。そういうことはよされた方がいいということは何回もやっておりますが、起きました事態は、不幸にいたしまして公労法十七条が現に禁止いたしております事態が生じましたので、十八条によって解雇いたし、その他の職員に対しましては、公務員法上のいろいろな義務がございます、そういった問題で、それぞれ所定の処分をいたさざるを得ない結果になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/37
-
038・金丸徳重
○金丸(徳)委員 繰り返し申し上げるようでありますが、そうすると、同じ気持で出てきた、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/38
-
039・小野吉郎
○小野説明員 区別はいたしておりません。このような事態によって起きた事柄でありまして、その責任の度合いによって処分のかげんをいたした、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/39
-
040・金丸徳重
○金丸(徳)委員 「責任をとって職を退いてもらう」ということは、昔われわれが使っておったところに諭示免職というものがあった。これは相談づくでやめてもらおうというようなことでやられたのかどうか、そういうことをお伺いしたがったのでありまして、そうじゃなくて、これは厳重に処分するのだ、だから懲戒免職だ、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/40
-
041・小野吉郎
○小野説明員 諭示免職といったことではなく、法律違反の事実があり、そういう違反があれば、これこれの処分をいたすのだとここに明定してございますので、その法の規定しております。通りの処分をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/41
-
042・金丸徳重
○金丸(徳)委員 そうすると、書き分けたのは、たまたま書き分けたのであって、決して気持に一、二があったわけではないのだ、そういうことに了解いたします。そこで「その責任をとって」とありますが、「その責任」というのはどういう内容なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/42
-
043・小野吉郎
○小野説明員 これは先ほど監察局長に御質問に相なりました点に関連があろうかと思いますが、たまたま当該職員が、その者の責めに帰すべからざる事由によりまして、たとえば急に腹痛を起したとか、あるいは病気になって業務に従事することができなかったために、郵便物が何がしかおくれるといった事態は当然生じるわけであります。そのような問題とは違うのでありまして、公労法が現にそういった事態を組合運動といえども許さないと規定しておりますかどによって生じたことでありますので、法の規定する通りの扱いをしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/43
-
044・金丸徳重
○金丸(徳)委員 組合専従者も、仰せられるような責任を常時負って仕事をしておると了解されておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/44
-
045・小野吉郎
○小野説明員 もちろん公労法十七条はその点きわめて明快に規定しております。しかも専従者であろうと、なかるまいと、あおり、そそのかすといった事柄も含まれておりますので、少くともそういった一つの労働運動から生じることではありますが、それが法の禁止しておる行為に該当する、すなわち違法行為でございます。それに対しましては公労法十八条の罰則もございますし、また公務員の立場では公務員法に所定の規定がありまして、そういう適用法規の条件が単一でございませんので、書き分けたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/45
-
046・金丸徳重
○金丸(徳)委員 私はその点を明確にしておきたいのであります。私は法文を持っておりませんから、勉強が足りないと言えば何ですが、どういう規定の第何条か、ここで教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/46
-
047・荒巻伊勢雄
○荒巻政府委員 公労法十七条、十八条を読みます。十七条「職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。又職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。2 「公共企業体等は、作業所閉鎖をしてはならない。」第十八条「前条の規定に違反する行為をした職員は、解雇されるものとする。」発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/47
-
048・金丸徳重
○金丸(徳)委員 それによって教唆、扇動というのに当った、こういうふうなことに了解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/48
-
049・荒巻伊勢雄
○荒巻政府委員 公務員法の規定並びに公労法の規定に違反する、こういうふうに相なっておるわけであります。公務員法につきましては、第八十二条の規定が適用されておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/49
-
050・金丸徳重
○金丸(徳)委員 実はこの席でそういう点を詳しくお聞かせ願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/50
-
051・荒巻伊勢雄
○荒巻政府委員 公務員法第八十二条におきましては、「職員が、左の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。一 この法律又は人事院規則に違反した場合 二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合 三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」とございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/51
-
052・金丸徳重
○金丸(徳)委員 それで適用条文がはっきりしてきました。そこで、この声明書を見ますと、「私は多少の行き過ぎや偶発的な非違行為に対しては必ずしも了解するにやぶさかではない。」こういうことを言われておる。これは非常に大事なところだと思います。まさにそうなければならない。多数の従業員を擁し、複雑な事業を運営しておる場合において、しかも、こうした社会情勢下において、組合運動に多少の行き過ぎ、あるいは発偶的な非違行為の絶無を期することは困難でありますから、それについては了解しよう、甘く見てやろう、こういうお心持なんです。それと、二万何千人の下の方の偶発的とも思われるような行為に対して処分を行われることとは何か矛盾するように思いますが、これは監察局長からでなしに、大臣からお心持を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/52
-
053・寺尾豊
○寺尾国務大臣 その大臣の談話と処分とは、そごしておるではないか、こういう御質問でありますが、私もそのときの実際の状況、あるいはその紛議というものは全く存じておりませんので、そのときの感じとかいうものはなかなか出しにくいのでありますけれども、しかし、一は、公労法第十七条に明記してあります争議行為、あるいは正常なる業務に影響を及ぼすようなことをしてはならぬとかいうようなことに対して、違反をした場合には解雇する。第十八条の解雇というのは、第十七条に違反をしたことによる処分規定でありますから、これを適用せざるを得なかった。あるいは他の本部指令等により違法行為をした諸君に対しては、国家公務員法の第八十二条によって処断をしたというような、法に違反をしたことによる処断だと思います。ただ、私がこの際非常に遺憾に思うことは、昨年九月ごろから再三再四組合の行き過ぎ運動に対し、田中郵政大臣が警告を発した、あるいは各組合員等に対しては書面をもって反省を促した、いわばそのことがあることを非常に心配せられて、いろいろの手を尽して反省ないしは警告をした。にもかかわらず、これが三月十三日あるいは二十日、二十七日の職場の三十分ないし二時間の時間食い込み、こうした職場の違法な集まりをした、あるいはまた中央郵便局あるいは名古屋、大阪等の中郵においての長時間にわたる職場離脱というようなことが計画的に行われたというようなことによって、それぞれやむなく処分をしたということは、私は郵政大臣としては、おそらくそういうことを好んでやったとはもちろん考えませんし、自分の家族であり、あるいは自分の子供であるこういう者が、こうした注意に注意を重ねたにかかわらず、そうした違法行為を犯した。おそらく涙をのんでこの処分をされたということがその談話の中にも現われておるのじゃないか。そういうことを考えますときに、やはり法は法として順法をして、そうしてよき労働慣行も作り、また全逓に対しては、その組合運動の正しい一つの推進に対しては、できるだけこれを助長して、これを認めていく。私が申し上げると、これは大へんおこがましいのでありますけれども、憲法に認められた団結権であるとか、交渉権というものは、労働者各位にとっては非常にとうといものでもありますし、私どももこれはあくまでも尊重して、労働運動の、ほんとうの労使の健全化ということには、全逓の各位も、またわれわれ監督に立つ者といたしましても、相協力し合い、相理解し合って健全な方向に進めなければならぬ、こういうことは私はもう絶対でなかろうかと思う。同時に私どもは、何を好んで自分の家族や自分の部下を処分したいか。しかしこれを犯した者に、もし、あまりにもその処置が寛大過ぎたということになれば、法治国としての今後の順法の気持に対しても影響があるのではないか。まあ泣いてこの処分をしたということであろうと私は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/53
-
054・金丸徳重
○金丸(徳)委員 泣いて馬護を切った、やむなく処分をしたのだ、こう仰せられるのです。そう想像するとあなたはおっしゃるのでありますが、しかし、それと現われた結果とは、あまりに違うのではないか。二万何千人の処分者というものは私はあまりに多過ぎるように思う。ことに七人の最高責任者を厳重に処分した、そうしてその指導なり教唆なりによって動いた末端の方まで切らなければならない馬謖がおったと思いなさるのかどうか。私は馬謖はごくわずかなものであっていいのではないか、こう思うのであります。その点についていかがでございましょうか。私は、大臣が田中大臣であれば、あまりにも気負い立ったあれでありますから、こういうことをお伺いすることを実は御遠慮したいくらいでありますが、しかし大臣がせっかく愛情をもってお互いに結び合おうと仰せられるので、私もそれを期待申し上げておるものですから、ことに苦労人の大臣として、今顧みてこの四月二十八日の処分を冷静にお考えになったときに、少しひどかったのじゃないかという気持をお持ちになられるかどうかを一つお伺いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/54
-
055・寺尾豊
○寺尾国務大臣 金丸委員の御質問のお気持は私は全く同じでございます。ただ、このことによって今後全逓の組合員各位がほんとうに反省をしていただけるということであれば、今後の労使間あるいはこの労働問題というものは、私は非常に明るく展開していくのではないかと思う。いろいろILO等の批准の問題もありますが、私はまず全逓の組合員各位が順法をせられて、その高き使命に徹する、こういうことはどうしても全逓としてやっていかなければならぬことではないかと思う。そういう全逓の真のよき労働慣行を樹立するということに対しては、あらゆる面で私どもは協力し、また労働者各位の福祉の増進あるいは健全な発展ということには、最大限の理解と協力を惜しまないと思っておりますが、この四月二十八日の処分に対しましては、後任大臣といたしましては、これをいかようという批判は申し上げられない、やむを得ないものとして認める以外にはないのではないか、かように考えておりますから、この点は一つぜひ御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/55
-
056・金丸徳重
○金丸(徳)委員 大臣はこの処分について明るい面が持たれるというようなことを言われておりますが、私は処分によって明るくなるというよりも、非常に暗い面を持ってきてしまったのではないかということをおそれるのでございます。実際の地方の現場における組合員の動きを見てみましても、ほんとうに憂慮しておる、暗い面を持ってきておる。ですから大臣が仰せられるように、これによって明るくなるというようなことは、私にはとうてい想像できないのであります。まあ雨降って地固まるということもあります。曇り後晴れということもあるのでありますが、それはあくまでも内輪に処分をしたという事実がみんなの前に現われて、初めて明るい気持を持てるのでございます。重い処分をしてしまって、いいものを投げてしまって、そこから明るい面が起ろうなどということは、私にはとうてい考えられないのであります。大臣は冒頭において、君の考えと同じだ、こう仰せられたのでありますが、同じということがそういうことであるならば、この処分について何とかお考え直しの方法が具体的に考えられないかどうか、御研究なさる意思がおありかどうかを、もう一度承わらせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/56
-
057・寺尾豊
○寺尾国務大臣 私が申し上げたのは、この処分をしたから、あとがよくなるというような意味ではございません。この処分は処分としてもうやむを得ない。これを私が後任大臣として否定したり、批判したりすることはできないから、法の権限としてのこの処分というものは、私としては遺憾であっても認めざるを得ない。しかし、これによって全逓の組合員各位がもし反省をしていただけるなら、将来私どもはこの組合員に対してはあらゆる協力を惜しまない、こうしたことを契機として明るくなるのではないか、こう申し上げたのでありまして、こういう処分をしたことは、郵政大臣としてももちろん、所管の省といたしましても、まことに不幸だ、こういうことを再び繰り返してはならぬ、こういうことは感じますけれども、法に照らして処分をした、このことは私といたしましては認めざるを得ない、こういう気持でおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/57
-
058・淺香忠雄
○淺香委員長 関連質問を許します。上林山榮吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/58
-
059・上林山榮吉
○上林山委員 私はこの問題はできるだけ控え目にしておりたい、そうして野党の諸君の質問の機会を多くしたい、こういう気持で拝聴しておるのでございます。しかしながら、われわれと見解が違う点もあるし、また当局に参考のために承わっておかなければならぬこともあるので、関連質問を申し上げるわけでありますが、まず世間でいわれておるのは、今まで郵政省の管理当局が、ほんとうの意味の一罰百戒であり、その結果がまた従業員諸君によく理解されているならば、それでいいのでありますけれども、一罰百戒の名にとらわれて、あまりにも徴温的な処分をしたために、国民はこれを見て歯がゆく思っていた。これだけ国民に迷惑をかけておりながら、なぜこういうような甘い処分を繰り返し、しかもその結果は、依然として国民に大きな迷惑をかけているじゃないか、こういう声もほうはいとして起っておる。なお一説には、前の田中郵政大臣がやったことが当りまえだ、こういう説もある。また今社会党の諸君や全逓の諸君が言われるように、これは行き過ぎではないか、こういう説もある。だが私がここでお伺いいたしたいのは、私はそのいずれだとも結論はいたしませんが、このストライキに、それこそ幹部の違反を含んだ命令を仕方なく組合員が受けて、争議に参加した、これは私は酌量の余地はあると思いますけれども、法治国は法の不知は許さぬのであります。またそれ相当常識を持った諸君であります。だから、そういうような意味において、どれくらいの人たちが個々の違反を含む命令に従って動いたのであるか。全国的に今まで処分を受けたストライキに参加した諸君は、何人ぐらいであったか、そのうちのストライキによって法を犯した者、いわゆる公労法ないし国家公務員法に違反した諸君、あるいは行政措置によって処分し得る範囲の諸君、これを私は、当局としては、私が聞いたところでは、相当控え目に処分をしておる、こういうようにも聞いておるのでありますが、だから、厳格に処分するとすれば、どのくらいの者を含んでおったのか。私は控え目にこの処分はしておるものと考えております。もちろん比較すればいろいろなことも起りましょう。過去のいわゆるはっきりとしていなかったときに比べれば、あるいは重いかもしれない。しかし、またこれを厳格に考えていきますと、今申し上げるように、人によってはまだ微温的である、控え目の処分である、こういうように見ておる人も多いのです。私は先ほどから言うように、どれが結論であるとは申し上げませんが、そういう見方も国民の中には多数あるのであって、これを全逓の諸君が言うがように、あるいは社会党の方々が言われるようには国民の相当の人は考えておらぬので、私は国会議員という立場からこれを冷静に見ておきたい。こういう立場から、まだほかにも申し上げたいこともありますが、関連でありますので、できるだけ簡潔に申し上げますが、まず私が指摘したその点を御報告願いたい。すぐできなければ、次の機会でもよろしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/59
-
060・荒巻伊勢雄
○荒巻政府委員 正確な数字につきましては、後刻調べまして御報告申し上げたいと存じますが、手元にある資料によりますと、おおむね四万五千人程度の者が参加しておるのではないだろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/60
-
061・上林山榮吉
○上林山委員 この質問は機会をあらためてもう少し詳しく当局に伺いたいこともございますので、他の機会に譲りまして、これで打ち切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/61
-
062・金丸徳重
○金丸(徳)委員 さっき大臣は、反省することがあればということを言われましたが、私が心配するのは、かえって反発する傾向がある、かえって逆の方向に持っていくのではないかという心配を持つものなのです。現場の方でこれほどたくさんの処分を受けたということは、逓信事業が始まって以来初めてのことであります。かなり社会的に大きな問題になった事件もたびたびありました。そういう場合においても、現場の教わってやったとか何とかいう人々については、かなり温情を持って進んでこられておる。こうした多数の人間が一体となって働くべき事業においては、そういう心持が非常に大切だと思う。ところが、今度こうした処分を現場の末端の若い人たちにまで及ぼすことによって、非常な反発心を起してしまう。大臣の御期待通りに反省してくれればよいのでありますが、しかし逆な傾向を持ってくるということを私はおそれるのであります。それに対して十分な御警戒といいますか、一つ気持を改めていただかなければならないと思うのであります。私はこれで終りますけれども、この点もう一度ほんとうのところをお聞かせいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/62
-
063・寺尾豊
○寺尾国務大臣 私といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、全逓信労働組合の各位、特に二万数千名の処罰を受けた者、またこういう処罰を行わなければならなかったわれわれといたしましては、きわめて不幸な事態である。従って、これから一日も早く正常に復して、業務の運行を高度の能率化に持っていかなければならぬ、これは今後の問題としてわれわれの努力しなければならぬ、また心を痛めておるところでありますが、この春季闘争の問題については、過日私の発言に森本委員から御注意をいただきましたけれども、目下代表機関も失って正式の団体交渉等もなされていないというような事情でございますから、こういう問題については、全国大会といったようなところで、いわゆる正規の代表をおきめ願うということも、願わくばやってほしいと考えておる一つでありますし、なお、岸総理や関係の、たとえば労働大臣、法務大臣あるいは党三役等とも、この労働争議の解決については、所管の責任大臣といたしまして、あらゆる面で一日も早くこの問題が正常に返りますように努力をいたしたい、こういうことを考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/63
-
064・森本靖
○森本委員 この前に私が大臣にも御忠告を申し上げたように、今日の政府が一方的に首を切った者が、労働組合においてこれが正規の代表機関であるかどうかについては、過日あなたは予算委員会におけるわが党の楯代議士の質問に対しても、労働大臣においても、この点については明らかにようしておらぬ、これはいまだに労働組合と政府当局との争いだ、裁判ざたになっておる問題なんだ。だから、この問題についてはそう軽々にものを言ってもらいたくない。特に労働組合がそれぞれの大会を控えて、大会において自主的に労働組合がそれぞれの役員を決定しようという段階において、政府当局と労働組合とが裁判になってまだ争っている。これは法的にも、公労法上、労働組合法上、非常に論争のある問題なんです。私も社会労働委員会において、この問題については何回も論争いたしましたけれども、これはいまだに争いが絶えない問題です。この間私が説明いたしましたように、今日の公労法というものは交渉委員と郵政省の代表者とが協約なり何なりを結べるという形になっておる。その交渉委員は、労働組合が推薦をする交渉委員——たまたまその労働組合の幹部が首を切られておるからといって、その労働組合が労働組合としての人格を備えておらぬとは言えない。その労働組合がはっきりと労働組合であるということは、労働省が認定しておる。これは予算委員会の速記録にはっきり載っておる。ただし、それを正規の代表者として認める、認めぬということを、それぞれの当局者が行政措置としてやっておられるわけです。だから、この問題については相当論争の余地が残っておるわけでありますので、その問題は別といたしましても、この問題についてはそう軽々に、しかも各労働組合の大会を控えている前において、その各労働者を刺激するような発言というものは、一応大臣としては十分に心して発言を願いたい、こう私は考えるわけです。大会でも済んだあとにおいての法外、法内組合という論争については、これはおそらく政府当局者と労働組合との間にも論争が起りましょうし、また国会の内部では、それぞれ違った国会の立場における論争も行われると思う。それをあなたがそういうふうにお考えであるということは、私は現在のところ自由であると思う。自由でございますけれども、あえて一般労働大衆の神経をとがらすような発言をこの際しなくとも私はいいだろうと思う。もう全電通にしても、全逓にしても、各労働組合が七月の当初から全国大会を開催することになっておる。これは大臣も御承知の通りに、一昨年の国鉄の全国大会でも、大体スムーズにいきそうなところに持ってきて、副総裁がつまらぬ発言を新聞紙上で行なったものであるから、これがかえって逆に国鉄の労働組合を刺激してしまって、うまくいかなかったということもあるわけです。だから、この問題については、それぞれの労働組合が自主性をもって行なっておる大会を控えて、一つ大臣としてはこういう問題の発言は——特にあなたがどう解釈をしようと、あるいは事務当局がどう解釈しようと、それは勝手であります。勝手でありますけれども、大会を控えて政治的配慮というものを考えて、あえて神経をとがらすような発言は極力差し控えてもらいたい。この前もあなたに私は申し上げましたが、今回も、今までの答弁なかなかよかったのですけれども、最後にそういうことで妙にとがったところがありますので、私はあえてこれを御忠告申し上げておきたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/64
-
065・寺尾豊
○寺尾国務大臣 御忠告はもちろんこれはつつしんで拝聴いたします。ただ私は最近全逓と特別の関係のある責任者に就任をしたということで、私の期待ということで申し上げましたが、御注意によって——今後は一つの注意を尊重するようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/65
-
066・森本靖
○森本委員 上林山委員はおかしいということを言っておるが、私は別におかしいとは思わぬ。要するに大臣が法的の解釈はこう考えておるのだということは、それはそれでけっこうだと思う。それについてはそれぞれの論争もある。ただ私が言っておるのは、こういう大会を控えての政治的配慮を要するような場合に、あえて神経をとがらすような発言をする必要はない。そういう問題については、またその時期がきてそういう論争をすればよい。たとえばこういう席上でエロ話でもしたら笑い話になる。しかし酒を飲みながら話をすれば、またおもしろい話になる。それと同じことなんです。時と場所によってそう言うべきこと、また論争すべき場所とがあると思う。今特に上林山委員にお考えを願いたいのは、そういうふうな一つの大会を控えての時期においては、極力そういう発言は差し控えられて——できれば、これは全逓も郵政省も円満にいくにこしたことはないわけです。われわれは何も事が荒立つことを望んでおるわけではないのですから、そういう点を一つ十分御注意を願いたい。大臣も十分その趣旨は了承するということでありますので、私はこの件はこれで打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/66
-
067・上林山榮吉
○上林山委員 ただいま森本委員から、法外組合であるか、法外組合でないかというような問題がまだ結論に達していないから、そういう時期に、しかも大会を前に控えて当該大臣が刺激するようなことを言ってはいけない。この意見は、森本委員が非常に配慮の上で言われたことだと私も了承しております。しかし、聞く人によっては、大臣が森本委員からああいうふうに言われたから、これから一切そういうことは言いませんということを、公開の席上で約束されること、これは組合対大臣の関係はそれでいいでしょう。しかし国民、あるいはわが党としては、必ずしもその意見には賛成できない人も多いのです。そこで私がお尋ねしたいことは——これにからんで、いろいろなことをこれから申し上げようとは思いません。ただ一言だけ大臣に御注意を喚起しておきたいことは、健全な労働組合運動が行われて、すべてが円満にいくことは、これはあらゆる角度から、あらゆる人々が賛成していることなんで、私もその一人です。しかし考えなければならぬことは、常識からいっても、あるいは法の建前からいっても、法外組合であってはならない。組合はもちろん自主的に役員を選んでもらわなければならないが、いずれにいたしましても、極力法が認めた、いわゆる法外の組合でない組合になってもらうことを当該大臣が期待することが、どうして悪いと言えましょう。むしろこれが原則であって、あるいはもちろん労働組合が協議委員、交渉委員というものを選べば、それで便宜交渉に応じておるところもあるし、行政措置で応じないところもあるわけでありますけれども、原則としては、建前としては、やはり法外組合はこれは変則的である、やはり原則は、組合が自主的に役員を選んでもらわなければならぬけれども、健全な労働慣行、あるいは健全なる労働組合の発展という上からは、ただいまの御注意を大臣は了承して、これからそういう発言はいたしませんということは、できるだけ刺激しないような配慮をするというだけであって、大臣のほんとうの主張は、やはり私が今申し上げたその趣旨を期待しておるのだと思いますが、そういう御期待はお取り消しになっておられるのでございましょうか。私はこの点は今後の労働運動として非常に大事な点であると思うし、今後あなたは、よってたかって全逓と交渉される場合に、それはいろいろな体験をされるでありましょう。中には健全な、まじめな、もののわかった人もありますけれども、中には総評の命令をそれこそ至上命令として、いわゆる思想闘争を行なっているメンバーもいるのですから、そういう場合に私は心してお考えにならなければならないと思いますので、この際言いにくいことでございますけれども、一言だけ御注意を喚起しておきたいと思いますが、何か答弁があれば、その一点だけ承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/67
-
068・寺尾豊
○寺尾国務大臣 これは上林山委員のおっしゃる通りだと私は思います。ただ私が、御注意承わりました、そのようにいたしましょう、ということは、刺激をするような、いやな、そういうかえって悪影響を与えるようなことは一つ差し控えろ、こういうことですから、そういう刺激を与えることは差し控えるということであって、私が期待をしておることは依然として微動もいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/68
-
069・淺香忠雄
○淺香委員長 次会は七月二日水曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこの程度で散会いたします。
午後零時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102904816X00419580627/69
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。