1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年六月二十六日(木曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 坂田 道太君
理事 稻葉 修君 理事 臼井 莊一君
理事 木村 武雄君 理事 永山 忠則君
理事 原田 憲君 理事 小牧 次生君
理事 櫻井 奎夫君 理事 辻原 弘市君
加藤 精三君 北村徳太郎君
清瀬 一郎君 久野 忠治君
鈴木 正吾君 竹下 登君
谷川 和穗君 徳安 實藏君
平井 義一君 松永 東君
増田甲子七君 八木 徹雄君
山本 勝市君 受田 新吉君
川村 継義君 小松 幹君
西村 力弥君 野口 忠夫君
堀 昌雄君 本島百合子君
山崎 始男君
出席国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
出席政府委員
法制局長官 林 修三君
人事院総裁 淺井 清君
人事院事務官
(給与局長) 瀧本 忠男君
総理府事務官
(大臣官房公務
員調査室長) 増子 正宏君
文部政務次官 高見 三郎君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 内藤誉三郎君
委員外の出席者
文部事務官
(大臣官房総務
参事官) 斎藤 正君
専 門 員 石井 勗君
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六月二十六日
委員福井順一君、原彪君及び松前重義君辞任に
つき、その補欠として久野忠治君、小松幹君及
び川村継義君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員久野忠治君辞任につき、その補欠として福
井順一君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する
法律案(内閣提出第三号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/0
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001・坂田道太
○坂田委員長 これより会議を開きます。
市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。前会に引き続き質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/1
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002・辻原弘市
○辻原委員 資料の点で、これは委員長それから文部省にお尋ねをいたしますが、昨日私の質問の際に資料の要求を三点いたしておきました。これは主として計数にわたる問題なので、できるだけ早く提示を願って、私自身もその資料について検討した上で、その問題点について留保いたしております質疑をいたしたいと思いますから、いつこの資料の提出を願えるか、この点を一つ明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/2
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003・内藤誉三郎
○内藤政府委員 なるべく早く出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/3
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004・辻原弘市
○辻原委員 これはもうたびたび理事会でも言われておりますように、本特別国会の会期も短いし、提出者のあなたの方も非常に急いでおられるようであるし、また与党の方でも委員長から特に審議は尽すからできるだけ早くやってもらいたいという希望もあった。だからわれわれもその線に従って精力的に審議を続けておるわけです。そういたしますると常識的に考えて、そう一週間も二週間もあるわけじゃないのですから、今あなたの言われたように、なるべくすみやかにというのでは私の質問の段取りもできませんから、もしこれが委員長において提出をされるまでこの委員会のなにを留保するとおっしゃるならば、ただいまの御答弁で私は了承いたしますけれども、そうでないならば、委員会の審議に文部省も当然協力しなければいけないのです。その時期を具体的に明示願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/4
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005・坂田道太
○坂田委員長 委員長から申し上げますが、なるだけ早く本委員会に提出を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/5
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006・辻原弘市
○辻原委員 その委員長のなるだけ早くということは、その資料の提出がなされてから、当然その問題について私の質疑を許す、こういう意味を含んでの話ですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/6
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007・坂田道太
○坂田委員長 委員長から申し上げますが、ただいま辻原さんから御提出を要求されました資料は、辻原さんも御承知の通りになかなかむずかしい資料だと思います。しかしながらできる限り文部省としても本委員会の運営に差しつかえないように努力するということでございますので、なるだけ早く、この委員会に間に合うように提出していただきたいということを委員長から要求いたします。
堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/7
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008・堀昌雄
○堀委員 管理職手当の法案につきまして質疑をいたします。
まず最初に、昨日の参議院の本会議におきまして、総理大臣は、「中小校の校長が組合に入るかどうかは各校長の良識にまかす建前であるが、私は校長がその職務を中正に行うためには組合に加入しない方が望ましいと思う。」さらに湯山氏の質問に答えまして、「校長の組合加入問題は良識にまつことはもちろんだが私は私なりの見解をのべた。政府としてはこの問題を法律で規定するかどうかを現在研究している。」こういうふうに総理大臣はお答えになっておりますが、これまでこの委員会におきまして、文部大臣はさようなことは現在考えていないというようにお答えになっておられたのでありますが、すでに政府においては研究をしておるということを総理大臣がお答えになっております。この点につきまして文部大臣の御見解をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/8
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009・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 この問題につきましては、政府部内におきましても、また与党の内部におきましても、さような意見があるということは事実であります。従いまして総理におかれましても総理の御見解を昨日申し述べられたことと思うのでありますが、政府において検討中と申しましたのは、いろいろさような議論もございますので、これをやるかやらないか、その利害得失いかんというふうなことを含めて検討をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/9
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010・堀昌雄
○堀委員 ただいまのお答えによりますと、すでに研究は始められておるというふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/10
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011・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 お話の通りであります。目下検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/11
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012・堀昌雄
○堀委員 今回の管理職手当の問題でございますけれども、私どもはこの管理職手当というものが果してロジカルなものであるかどうかを本委員会において検討さしてもらっているわけであります。私どもの立場といたしましても、校長さんの収入がふえるということで反対しておるわけではないのであります。どうもこの問題の提出のされ方なり、その内容につきまして、いろいろと納得がいかない点がある、こういうことで私どもはいろいろと論議をさせていただいております。そこでこの問題を当初から可であるとか否であるとかいう格好で、主観的な立場に立って論議をするということになりますと、おのおの見解の相違というものがはっきりして参るわけでございますけれども、そういう問題を離れまして、より客観的にこの手当というものはロジカルなものであるかどうかということを科学的に分析して参る、こういう立場で問題を処理して参りたい。なるほど国会におきましては私どもは少数でございますし、自民党の皆さん方は多数でございますから、最終的には多数の皆さんの意見に押し切られるであろうということは予測せられるわけでございます。しかしわれわれがここで論議をいたしますことは、国民が果してこの問題につきましてどういうふうに最終的判断をされるかということが重大な問題であるわけでございます。そのためには、私どもはいろいろと客観的な立場に立ちまして、国民がそういう判断をなさるための資料をこの場に積み上げて参る、この中で国民が判断されるような状態を作って参りたい、こういうふうに考えて、私は論議を進めさしていただくつもりでございますので、どうもあまり政治的な含みのある発言をなさることなく、真実についてお述べをいただきたい。それはいろいろと立場の相違があり、見解の相違があることはけっこうでございますけれども、基本的な立場としてはなるたけ客観的な立場で、お互いに話を進めていただきたい、このように考えます。
まず最初に伺いたいのは、国家公務員の給与に関する解釈についてでございますが、昨日までの様子を拝見いたしておりますと、この問題につきまして、人事院の見解と文部省の見解の間にいろいろと差のあることが感ぜられるわけでございます。そこで人事院の見解と文部省の見解が異なります場合には、国家公務員につきましてはいずれの見解が優先するかという問題につきまして、人事院総裁並びに文部大臣のお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/12
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013・瀧本忠男
○瀧本政府委員 昨日私からいろいろ御説明申し上げましたが、特別調整額は給与法の第十条の二に規定してございますが、それによりますと、「人事院は、管理又は監督の地位にある職員の官職のうち人事院規則で指定するものについて、その特殊性に基き、俸給月額につき適正な特別調整額表を定めることができる。」このようになっておりますので、これが法律の命ずるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/13
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014・堀昌雄
○堀委員 ただいまの御答弁は、全然私が質問をいたしました意味と異なった答弁のようでございます。見解が二つに分れた場合には、人事院の見解が優先するのか、文部省の見解が優先するのかということを伺っておるのでありまして、私は給与法の第十条の二について質問いたしておるわけではございませんので、その点をはっきりお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/14
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015・瀧本忠男
○瀧本政府委員 人事院は給与法に従いまして、特別調整額を支給しておるのでございまして、給与法の十条の二によりますと、特別調整額の支給についての基準額がここに出ておるのであります。これに従ってやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/15
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016・堀昌雄
○堀委員 答弁になっておりません。いずれが優先するかという点について率直に答えていただきたい。私が最初に申し上げましたのは、そのような答弁をいただくつもりでこの議論を進めておるわけではありませんから、どうか一つ最初に申し上げたことが了承されておりましたならば、そういうことをはぐらかすことのないように、問題の核心について率直簡明にお答え願いたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/16
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017・瀧本忠男
○瀧本政府委員 給与法につきましては、この法律の施行は、これは国家公務員の場合でございますが、人事院がこの法律の解釈をいたすことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/17
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018・堀昌雄
○堀委員 ちょっと終りの方が聞えなかったのでございますが、もう一回ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/18
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019・瀧本忠男
○瀧本政府委員 給与法につきましては、国家公務員の一般職給与法につきましては、この法律の命ずるところに従ってやるのでありますが、その解釈は人事院がいたすことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/19
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020・堀昌雄
○堀委員 文部大臣に伺いますが、さようにわれわれは了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/20
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021・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 われわれといたしましても、この法律を所管しておられまする人事院の解釈というものを尊重いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/21
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022・堀昌雄
○堀委員 次に、昨日までのお話の中で、私がこれから論議を進めますにつきまして、確認をさしていただきたい点がございますので、その点についてお願いをいたしたいと思います。
最初に大臣にお伺いいたしたいわけでありますが、二十五日の委員会におきまして、管理職手当と超過勤務手当と関係がない、第一点でございます。第二点は、校長の職務が管理職に相当するものである、やはり二十五日の委員会でございます。第三点は、二十日の委員会で、教頭も校長と同じく管理職と考えておるので、やはり教頭にも校長と同じ率の管理職手当を将来支給したい、こういうふうにお話しになっておるわけでございますが、これは現在もその通りに確認をしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/22
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023・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/23
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024・堀昌雄
○堀委員 次に内藤局長にお伺いいたします。同様に昨日のお話でありますが、地方公務員における管理職手当は、国家公務員における特別調整額と同じものである、こういうふうにお話しになっております。これが第一点。第二点は、任免その他の人事の内申及び具申が管理である、こういうふうにお話しになっております。この二点について確認をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/24
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025・内藤誉三郎
○内藤政府委員 最初の点は御指摘の通りでございます。第二の任免その他具申に関する件は、私は監督と申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/25
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026・堀昌雄
○堀委員 第三点、大学の学長及び学部長の特別調整額が一二%となったのは、職務内容にすでに管理的の部分が支払われているからそうなったのだと思う。こういうふうに昨日お答えになっておりますが、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/26
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027・内藤誉三郎
○内藤政府委員 きのうの答弁の中で、大学の学長、学部長に管理職手当を支給しておりますのは、大学の学長の地位、職責にかんがみて管理職手当を支給したのだ、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/27
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028・堀昌雄
○堀委員 ちょっと昨日のお話の趣きと違うようでございますけれども、特別調整額が一二%になったのは、すでにそのもが払われておるので、二五%払われなかったというふうな御発言であったと私は記憶しておりますが、これは速記を見れば明らかになることでございますが、それではそういう意味はないということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/28
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029・内藤誉三郎
○内藤政府委員 大学の学長、学部長に一二%の率が適当かどうかということになりますと、大学の学長、学部長等については、従来から超勤的な要素がすでに織り込み済みでございますので、率が低率になったものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/29
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030・堀昌雄
○堀委員 次は人事院の給与局長に伺います。昨日のお話で、勤務時間内の分は俸給に含まれているけれども、勤務時間外にわたるものはその計測が困難であるから、一般職に準じて特別調整額をつけるのである、こういうふうに第十条の二についての解釈についてお答えになっております。これについてこの通りに確認してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/30
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031・瀧本忠男
○瀧本政府委員 先ほども申し上げましたように、人事院が特別調整額をつけまするのは、給与法第十条の二によります管理、監督の責にありまする者に、その職務の特殊性に基きまして、人事院がその特別調整額をつける、このようなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/31
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032・堀昌雄
○堀委員 それでは、私はきのう御発言になったのを詳しく自分でメモをしたので間違いないと思っておりますけれども、ちょっと古いことにかえりまして、第十五国会、昭和二十七年十二月十一日の衆議院人事委員会の会議録によりますと、こういうふうになっております。今回特別調整額をつけるということは、何も新しい給与額をこの際付加しようというものではなく、従来超過勤務として出ていた額の範囲内で、そういう名目に振りかえるということであります。特別調整額というのは、そういう本省におきます課長以上の者の職務内容を見ると、時間的に計測して超過勤務手当を支給するという方法が、必ずしも適当でないと考えている次第であります。こういう時間的に計測しがたいものに対して、従来の超過勤務手当制度を廃止して、この特別調整額というものをつけようという趣旨でございます。このように当事の人事院の給与局長が答弁をされておりますことが、会議録にはっきりいたしておりますけれども、それではその当時の見解と現在の見解は異なるということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/32
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033・瀧本忠男
○瀧本政府委員 ただいまお述べになりました点は、特別調整額が創設されまするときに御説明した通りでございます。しかしこの切りかえのときにおきましては、さしあたり超過勤務手当の原資をこれに振りかえたのでございまするけれども、実際問題としまして、超過勤務手当の必要はあるのにもかかわらず原資がつかなかったというような場合もありまして、その後におきまして、われわれの方でこの職務の状況、その特殊性を見まして、必要がありますものには、たとえば研究官職等にはこれを付加しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/33
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034・堀昌雄
○堀委員 そういたしますと、制定の当時と、一般職におきましては勤務状態の内容その他が異なってきたから他の見解に立つということでありますか。あるいは研究職とかあるいは大学の学長その他に対して与えておるものは、この法を制定したときの状態と異なるものに対して与えておるのであるので、すなわち一般職に対する考え方については、この法律が制定をされた当時と同様の考え方に立つものであるけれども、学長であるとか、研究職にある者についてはいささかその解釈を異にする、そういうことであるのか、その点をはっきりお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/34
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035・瀧本忠男
○瀧本政府委員 先ほどから申し上げておりまするように、特別調整額は、給与法第十条の二によってつけられます。私が制定当時に説明をいたしましたことは、制定当時にさしあたり予算がないとできませんから、この予算は現在超過勤務手当がついておるその原資を振りかえる、そういうことで申したのでありまして、その当時におきましても、事実上その超過勤務と申しますか、その時間が不規則で計測できないけれども、相当の特殊性があると考えられてもなおかつ予算がなくて超過勤務が支給されていなかったものは、その際特別調整額が設定されなかったのであります。考え方としては今も昔も変らない次第であります。これは給与法第十条の二の示すところに従いましてやっておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/35
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036・堀昌雄
○堀委員 どうも給与局長のお話につきまして納得しがたい点があります。私が昨日伺ったところにおきましても、一般職の特別調整額につきましては、勤務時間内のものは俸給に含まれておるけれども、勤務時間外にわたるものは、その計測が困難であるから、一般職に準じて特別調整額をつける。一般職に準じてということになっておるところを見ますと、一般職においてはこういう考え方であるというように私は昨日承わった。これを古い資料から出してみましても、あなたの考え方の中には終始一貫変らないものがある。一般職に対しては、この特別調整額というものの性格は、やはり超過勤務手当の変質したものである、こういうふうに私は昨日も確認をしておりましたのにかかわらず、本日に至って御見解が変ってきておるというように私は聞えるわけであります。ではもうちょっと先の点で伺いますけれども、そういたしますと、超過勤務手当等に関する規定の適用除外という一般職の職員の給与に関する法律第十九条の三に、「第十六条、第十七条第二項、第十八条及び前条第一項の規定は、第十条の二第一項に規定する官職にある職員には適用しない。」こういう法律があるわけでありますけれども、これは超過勤務手当以外のものを含んでおりますが、特別調整額が与えられておるものに対しては、超過勤務手当あるいは日宿直手当、休日手当でありますか、こういうふうな形の超過勤務手当、休日給、夜勤手当、宿日直手当、こういうものを与えないんだというふうな法律の規定があるということは、あなたがこれまで御説明になりましたように、超過勤務手当的なものをこの中に含んでおるから与えないということと、これは終始連なっておるものであるというように私どもは了解せざるを得ないのでありますけれども、その点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/36
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037・瀧本忠男
○瀧本政府委員 特別調整額が支給されまするような官職におきましては、その勤務の状態がなかなか画一的にはかりがたい。あるいは手持ちの時間等もございまするし、いろいろ時間が長くなる場合もありまするし、そういう状況に徴しまして、そういう職員に、時間的に計測された時間給的な超過勤務手当を支給するよりも、こういった特別調整額を支給することが適当である、このような観点から、特別調整額を支給いたしまする官職には、今お述べになったような超過勤務手当等が支給されないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/37
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038・堀昌雄
○堀委員 今の御答弁によりまして、ようやく第十五国会における御答弁と内容が同一のところに立ち返ってきた、こういうふうに私は了解をいたします。ここで結論的に申し上げますならば、人事院の特別調整額に対するお考えというものは、時間的な要素という面から一つ問題が見られておる。決してこれは職務内容という面から見られておるのではない。十五国会におきましても、これは職務手当をつけようという趣旨ではございません、こういうふうな御答弁がここでなされておるわけでありますから、人事院としてのものの考え方というものは、時間的な要素というものが一応中心となっておるのである。職務手当という考え方については、これは考えておりませんということを十五国会でおっしゃっておるわけでありますから、そのように考えたい、理解をしたいというふうに私は考えておりますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/38
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039・淺井清
○淺井政府委員 給与局長からだんだんと御答弁申し上げましたが、その十五国会云々の話は沿革上の問題でございまして、給与法の建前といたしましては、あくまでも管理、監督の地位にある者に対してこの手当は支給する、こういう建前になっておるのでございます。その結果として超勤は支給しない、これは結果論でございまして、表面はあくまでも管理、監督の地位にある者に対して出す、こういうことでございますから、大学の学長、学部長についても同じ、高等学校以下についても同様と心得て今回の措置が出たものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/39
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040・堀昌雄
○堀委員 今人事院総裁はあとからおいでになりましたから、私は前段でそういう政治的な発言をしてもらいたくないということを確認してこの問題を始めておりましたのに、遅刻をしておいでになってそういう事実を御存じなくてそういう発言をしていただくのは、まことに私は遺憾であると思うのであります。
そこで私が伺いたいのは、沿革について最初局長は話しておる、こういうふうなお話でございますけれども、では物事を考えます場合に、現在ここの時点で起きております物事が、過去との関連なくして考えられるというような事実があるかどうか、こういうことでございます。すべての物事というものは、始まりがどこにあるかということについてはいろいろ問題があるときもありましょうが、ある始まりがあって、その経過が流れてきて現在の時点に立っておるわけでありますから、ここには必ず前にある問題とうしろにある問題は直接的な関連があるわけであります。あれは昔のことであるからこれは違うということがある場合には、その経過の中にそれが違うということを立証するに足るだけの問題がなければ、これは前に起った問題と現在起っておる問題が同一の解釈をするということになるのは当然でありまして、あなたのお話を聞きますと、沿革の問題というのと法律に書いてある問題とは全然別個である、そういうふうに私は考えられないわけであります。法律というものが、制定をされました当時における実情と著しく異なって参った、こういうことでありますならば、なるほどその解釈その他が変更をされるに足る理由がはっきり事実の中にありますものでございますならば、私どもはそれを了承せざるを得ない場合もあるかと思いますけれども、現在一般職の特別調整額の問題につきましては、当時法律を制定されました昭和二十七年十二月十一日以後今日に至るまで、その勤務の状態なり現実の姿の中で何ら私は変更はないと考えております。変更がないものであるならば、当時この法律を制定した趣旨でありますところのこの考え方というものは今日も一貫してあるはずであって、この一貫した考え方がないともしあなたがおっしゃるのであるならば、その一貫した考え方を否定するに足る事実なり、あるいはその理由をお述べいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/40
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041・淺井清
○淺井政府委員 お言葉ではございますが、法律の条文といたしまして管理、監督の地位にある者に出す、かようになっておりますので、これを曲げて解釈いたすことはできないと思っております。それはこの制度の推移にはいろいろの沿革もございましたでしょうけれども、ただいまのところこれは管理、監督の地位にある者に対してその職務の特殊性に基いて出す、これがいわゆる管理職手当の本体でございます。この本体を無視して議論は立たないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/41
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042・堀昌雄
○堀委員 今おっしゃったように、なるほど法律の条文としては、私もそのように理解をいたしております。法律の条文を今私は聞いておるのじゃなくて、この法律が制定をされた趣旨といいますか、そのいろいろな状態においてなぜこの法律を制定したのかということについて私は伺っておるのです。できた法律について今お尋ねをしておるという格好ではないわけであります。今人事院総裁はできておるこの法律について特殊な勤務であるから出すのだ、それはもう法律に書いてあるところでありますから、私は何らそれを否定するものではございません。そこで、そこまでおっしゃるのなら私は人事院総裁に伺いたいのですが、それならばこの特別調整額というものは職務手当としての性格を持っておるものであるか、この一点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/42
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043・淺井清
○淺井政府委員 お言葉の通り思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/43
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044・堀昌雄
○堀委員 職務手当ということでありますならば、本来の職務に対して支払われております給与とこの職務に対して支払われておる給与の関係はどういうふうになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/44
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045・淺井清
○淺井政府委員 本俸で見ておるものもございますれば、手当で見ることを適切とするものもございますし、これは給与の技術的な問題でございまして、別にそれがむずかしい問題になるまいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/45
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046・堀昌雄
○堀委員 ただいまのお話で、本俸の中で見ておるものもあるということが第一点に入っておる。それから本俸の中で見ないものを技術的に手当として与えることも差しつかえない、こういうふうにお話になったわけであります。そういたしますと、一体どこまでが本俸の中に入っておって、どこからを本俸の外に出したかという基準についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/46
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047・瀧本忠男
○瀧本政府委員 ただいま総裁が申しました通り、大体におきましては本俸で見てあるのでございます。しかし場合によりましては、それを見て足らない場合には相当の手当を補助的に用いましてこの給与をきめておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/47
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048・堀昌雄
○堀委員 今のお答えでは私は了解がしかねるわけであります。給与というものは本来金額に関連をしておる。数字に還元されるものであります。その金額に関連をしておるものについて何となく本俸の中にこのくらいある、何となく本俸以外の分はこのくらいであるから、そこでとりあえず二五%ぐらい手づかみでつかんでおけばいい、こういうふうなことではわれわれはこれはちょっと了承できないのです、ですから、一体本俸の中に何%ぐらい含まれておるというふうに考えておられるか。だからこのようなために本俸以外の分でこれだけあるのだ、こういうような御説明ならばこれは科学的に了承できると思いますけれども、そこのところを一つはっきり、何らかの基準をもとにしておやりになったのかという点について、御説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/48
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049・瀧本忠男
○瀧本政府委員 厳格な意味におきまして職務給ということになりますれば、これは同じ仕事に対しては一つの給与で定まる、このようなことになるはずであります。
〔委員長退席、稻葉委員長代理着席〕
しかしわが国の現状におきましては、やはりそういうことは事態に適応いたしません。一つの仕事をやっておりましても昇給をしていく、このような制度が現在の公務員の給与俸給衣の制度に取り入れられておりまして、従いまして大体において一般職でありますならば、これを八つの段階に分けて考えるのが適当であろう。しかしその中においては俸給の幅というものは広いのであります。従いまして初俸の辺と最高俸の辺をそれぞれとってみますと、相当の金額の違いがございます。そのように大体において職務に応ずるようにきめてありますが、一つの仕事をやっておりましても、長年やっておれば昇給していくという建前になっておりますので、大体そういうことでこの職務責任の大部分が俸給で見られておる。このようにわれわれは解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/49
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050・堀昌雄
○堀委員 そこでただいまのお話ですと、長年たてば給与が上る、職務給が上る。これは常識的に考えてみましても、仕事に熟練をして参られた方が職務内容について多くの仕事をされるであろうということは常識的に理解できますから、数年たっていくうちにおいて職務給がふえていくということは理解できるわけでありますが、その問題とただいま私が御質問しておる問題とはちょっと違うわけなんです。要するに本俸の中に職務給としての部分がはっきりあるのだ。しかし足らない部分があるから、足らない部分を職務手当で技術的に与えるのだ、こういうふうに総裁はお答えになっております。そこで私が申したいことは、これは何らかの基準があって、そういうふうな格好が出てきた。その基準はどこにあるかといいますと、十五国会における、これで読んで見ますとわかるように、もう一回、重なりますが申し上げますけれども、今回特別調整額をつけるということは、何も新しい給与額を、この際付加しようというものではない、とここにあります。よろしゅうございますか、これが第一点。従来超過勤務として出ていた額の範囲内で、とあります。これは計数的に測定が可能な範囲でありますから、そこに問題があると思っておるのです。あなた方がいきなり何となく二五%をここへ積んだということではなくて、その根拠となったものは、ここに書いてありますように、従来超過勤務として出ていた額の範囲内でそういう名目に振りかえることである。ここに科学的な根拠があると私は理解しております。そういうふうな科学的な根拠があるということ、この法術を作った最も基本的なものの考え方の上に立っておる。今人事院の総裁がおっしゃったように、ともかく何となくそこへくっつけたというような経歴は、この問題の発生の状態を調べてみますと、ないのです。非常に科学的に問題が処理されておる。その科学的に問題が処理されておるものが、今日たまたま学校の職員関係の特別調整額という問題にきたときに、学校の先生方には超過勤務というものがないために、あなた方が何とかしてここのつじつまを合せようと努力をされましても、現実がはっきりとこういうふうに証明をしておる。世の中の事態というものは、必ずしもわれわれの思うようには推移しないのであって、現実的なものが積み重なった上に今日があるわけでありますから、これはこじつけようということではなくて、問題をやはりありのままに考えていただきたい、このように考えるわけであります。
そこで重ねてもう一回御質問いたしますと、私が今ここで申し上げておりますところの特別調整額という格好で与えられておるところの職務手当というものは、従来ありましたところの超過勤務としての額の範囲内で与えられたのだという数的な基礎の上に立っておる以上、やはり今日もその考え方というものは、なるほど当時からいろいろ変遷はありましょう。しかし考え方として最初のスタートでとったものはそうなんだということを確認していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/50
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051・淺井清
○淺井政府委員 ただいまお述べになりましたのは、この特別調整額を創設いたしますときのいきさつの問題でございます、予算的ないきさつの問題でございます。今日の法律の部面におきましては、職務と責任において出すものでございますから、このパーセンテージというものは将来あるいは変るかもしれない。それはわからぬと思います。ただいまのところ変える意図は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/51
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052・小松幹
○小松(幹)委員 関連質問。今堀委員から淺井総裁、瀧本政府正委員に質問がありましたが、淺井政府委員も瀧本政府委員も灘尾大臣も当時十五国会の人事委員会の中に入って、私もその当時入っておりました。この給与法をきめる問題のときにみなおられた方で、よもやうそは言われぬと思う。私は速記録を見ながら申し上げたい。瀧本政府委員はこういうように言っております。今回人事院の意見としましては、この特別調整額をつけます範囲ということになりますと、この条文にも書いてありますように、管理監督の地位にある者、そういうものということになっております。この範囲は、現在のところ中央官庁の部長、課長である、こう言った最後に、時間的に計測いたしまして超過勤務手当を支給するという方法も必ずしも適当でないということを考えておりますが、もしかりに時間的に計測をいたしますならば、非常な超過勤務手当を支給しなければならない場合があるから、このいわゆる特別調整額というものをもってきたのだ。あなたは予算だけで言っておるけれども、物の本質として、これは職階給の給与が初めて出たときの問題であります。だから部長、課長という職階給与の上に、さらに監督官庁の責任者に対する給与を二重に加えるという問題になったわけです。だから、そういうように二重に加えるならば、監督の地位にある者は部長なり課長なり、いわゆる職階給与で見たらどうか、その責任は一本にしよう、こういう意見が出たときに、いや、そうじゃないのだ、いわゆる特別調整額というものは、超過勤務の場合、部下職員は超過勤務で見られるけれども、監督の地位の者が超過勤務を一々とるわけにはいかぬから、そこで特別調整額というものを見たので、これは本来の職務給あるいは部長、課長という責任給ではないということをはっきり明示しておる。そうして今になってそれを歴史的過程であるとか、あるいは単に予算からくる問題だというような言いのがれをしておることは、まことに奇怪千万だ。五年、六年の歴史はたっても、同じ法律的な論拠において――淺井総裁においても瀧本政府委員においても、ときが変ればその法律の見解がそっくり変るような見解を言ったのでは、私は承知できない。この委員会において私がこの問題を質問しておるのですから、もう少しはっきりした法律的な弁明をしてもらいたい。今の堀委員の質問に対する釈明はまことに不満であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/52
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053・淺井清
○淺井政府委員 これは何度申し上げましても同じことでありまして、その当時はさようないきさつでなったものと思っております。しかし法律には決して超勤にかわるものとしてこれを支給するということは書いていないのでありまして、これは管理監督の地位に対する職務給として設立されておるのでございまするから、これはどうしても法律の条文によって物事を処理していくより仕方がないものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/53
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054・小松幹
○小松(幹)委員 そのことはともかく一応あとにしまして、管理監督の地位にある者ならば、私はそのときの委員会でも、委員会の速記録にも書いてありますが、いわゆる国家公務員のワク内にあるところの大学の学長とか、あるいは小学校の校長、あるいは中学校、高等学校の校長等も、管理監督の地位にあるのだが、どうしてそのときに管理職手当というものを加えないのか、こう言ったところが、それはいわゆる学校の校長なり、あるいは監督の地位にある学校職員というものは、超過勤務がないから、管理監督の地位だけならば給与で見ればよい。いわゆる学校職員の給与法でこれを見ればよいのであって、今学校職員の給与の問題を言っておるのではない、こう言って、その当時並列的に申し上げたところ、あなたたちは片一方の学校の問題は拒否しておる。その理由は、超過勤だからという理由で拒否しております。今の法律論拠が管理監督という地位の問題だけならば、なぜそのときに、学校の校長も管理監督の地位にあるから一緒につけましょうと言わなかったか。それは学校給与法でといって逃げてこの法律を通過させ、あるいは調整額をつけるときには、学校は超過勤のらち外だ、だから、官庁だけが超過勤があるから、超過勤のための調整額だといって言いのがれをしておりますが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/54
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055・瀧本忠男
○瀧本政府委員 その制定当時に私が御説明申し上げておるのでございまするが、これは給与法十条の二によりまして、管理監督の地位にありまする者にその勤務の特殊性に基いてつける、これが特別調整額をつけます歴史でございまするが、その制定のときにおきましては、予算上の関係もあり、その当時超過勤務手当の原資がありまする官職を対象といたしましてこれはつけたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/55
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056・小松幹
○小松(幹)委員 そうでなくて、私はその当時から予算的なものを言っておるのではないので、法律的に調整額というものが一体どういう給与のワクになるのか、管理監督をする者にはなぜ給与を特別にやらねばならないのかというのが、給与法の基本になる問題だ。そうなれば、それは責任があるから、あるいは管理監督の者の責任というものは重大である、時間的にもまた多くの時間を要するから、それならば課長クラスという、いわゆる職階賃金で見たらよろしい。ところがその職階賃金では見られないものがあると言う。それは何かと言えば、それは超過勤だと言った。だから超過勤を調整額にするんだ。それならば、管理監督の地位にある者は二重取りしておるじゃないか。そういうことを言うならば、管理監督の地位にある者は、監督という立場のもとに、調整額もとり、職務給においていわゆる職階賃金を課長あるいは係長、課長補佐、部長というものはみな取っております。それでは能率的なもの、職務的なものを二重取りしているということになるが、瀧本給与局長、その辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/56
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057・瀧本忠男
○瀧本政府委員 先ほども申し上げましたように、現在の行政職俸給表等におきましては、等級別に俸給の幅が定めてございます。これは相当の幅がございまして、初号の辺と上の方とを比べてみますと、非常に違いがあるのであります。職務給と申しますならば、職務と責任に応ずるということになれば、かような幅があるのはおかしいのでありますが、現在はそういう形になっております。これはやはり現在俸給に生活給的なものを考える必要がありますので、そういう形になっております。従いまして現在の給与法に定めておりまする俸給の等級というものが、完全に職務給的であるとは言い得ないのでございます。先ほど御指摘がございましたように、特別調整額を設定いたしまする当初におきましては、これは超過勤務手当の原資を振りかえたものでございます。従いましてその職務の特殊性ということにつきましては、この時間内の問題よりも、むしろそういう人の勤務が非常に時間的に計測しがたいというような事実に基いたということはございますが、先ほども総裁が言われましたように、職務と責任に基いて考えるということは、大体俸給でやるのであるけれども、その足らざるところは各種手当をもってこれを補う、こういうような意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/57
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058・小松幹
○小松(幹)委員 各種手当をもって補うということは、これは一般職に通ずることで、何も課長とか部長とかいうわけではないと思いますが、今基本的に考えたときに、給与というものは今あなたが言われたように、それぞれの生活給もあるでしょう。ところが課長、部長の生活給が足らないということは言われません。これは課長、部長でなくても、平でも、一般の人でも、生活給は足らないのが実情であります。しかしそのことはさておきまして、生活給に対してそれぞれの課長、部長、係長等の責任ある地位を与えられた者は、給与の体系の中に責任給というものを持っておるわけなんです。そういう建前で職階給というものは作られたはずなんです。それにさらにまた、職務的なものを別個のワクでこしらえるのは、いかなる理由に基くのか、それをはっきり言ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/58
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059・淺井清
○淺井政府委員 それはやはり職務の形態によりまして、一応等級的に本俸で見ますけれども、しからざる部分を各種の手当で補っておるのでございます。これは決して管理職手当だけじゃございません。特殊勤務手当のごときは、非常に数も多うございます。これは手当で支給するのを適当とするか、本俸で見るのを適当とするか、これは技術的な問題だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/59
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060・小松幹
○小松(幹)委員 監督の地位にある者を各種の手当で補う、だから調整額でも補う。そうすると一体どれだけ補えば、管理監督の責任が果せるのか、それを人事院は数的にあげてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/60
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061・淺井清
○淺井政府委員 これは数字の問題でございまして、いろいろの管理監督の地位にある者がございますから、これを一々正確にはかるということは、これは人間ではできないことでございます。それで現在の特別調整額で、大体大ざっぱに数種に分けておりますが、まずこの辺でよろしいかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/61
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062・小松幹
○小松(幹)委員 特別調整額でこの辺でいい給与ならば、なぜ本俸にそういう課長、部長の、いわゆる管理職には、管理職の職階賃金として繰り入れないのか、なぜ二重的にそういうものを見ようとするのか、この辺を言ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/62
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063・淺井清
○淺井政府委員 それはさいぜんお答え申しましたように、ある程度は本俸で見る、手当で支給することを適当とするものは手当で見る。これは決して管理職手当だけではないのであります。ほかにも手当として支給しているものはたくさんございますから、それは給与の技術的な問題であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/63
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064・小松幹
○小松(幹)委員 給与の技術的問題ではないと私は思います。これは管理職にある者に対して職階賃金でもそれだけの含みを持っており、さらに調整額でも、またそれにつけ加えるということは、少いからつけ足すのだという意見ならば、部長や課長でないところの一般の公務員も少いのであります。少いならば、なぜ管理職と同じようにどんどんつけないのか、結局それは超過勤を見ているからではないかというように考えるのでありますが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/64
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065・淺井清
○淺井政府委員 決して超過勤務手当だけではございません。いろいろ手当がございまして、ことに特殊勤務手当のごときは非常に数が多いのでございます。これは一般の課長、部長でない者に支給されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/65
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066・小松幹
○小松(幹)委員 特殊勤務手当と調整額をあなたは一緒にしておられます。特殊勤務は特殊勤務としての一つの要素がある。だからその特殊勤務についたという責任において特殊な給与が出ているわけであります。特別勤務についた課長ならばそれは別ですよ。あるいは部長が特別勤務についたならば、それはその面として見ることもいいでしょうが、一般のいわゆる監督者に調整額を持ってきたというその調整額と特殊勤務手当は同じではないと思う。それをあくまで同じだという性格に立っておりますが、その辺は私には了解できませんけれども、特殊勤務手当と調整額を同じ概念で判断する点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/66
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067・淺井清
○淺井政府委員 これは私の申したことを失礼ながら少しくお取り違えになっているのではないか。手当をほかの者にはつけてはいけないのか、こう仰せられますから、ほかの者にもいろいろな手当はついておりますとお答え申し上げたのであって、特別調整額と特殊勤務手当とは、それは別個なものでございます。これは給与法の法文によっても明らかなことでありますから、決して同一の概念をもっては律しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/67
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068・小松幹
○小松(幹)委員 それでは特別手当をほかの者ももらっているから、管理者も調整額でもらってもいいじゃないかという意見は成り立たぬと思う。私は特殊勤務手当は特殊勤務手当、それは一般の人でも、課長でも、部長でも、特殊勤務につけば特殊勤務手当はもらえばいい。今言っているのは、そういう特殊な勤務ではなくして、管理者一般の者にくれる調整額というものは、給与の概念から言えば責任給ではないのか。責任給ならば職階賃金で見ているではないか、こう言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/68
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069・淺井清
○淺井政府委員 それはさいぜんお答え申しましたように、一応の等級で本俸でも見ますし、それから手当を適当とするものは手当も付するのでありまして、さいぜんの御質問は、管理監督の地位にある者には特別調整額を出すから、ほかの者にも何か出したらいいのではないか、かような御質問のように承わりましたから、お答えしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/69
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070・小松幹
○小松(幹)委員 私はそういう質問をしたのです。職階給与の中である程度は見たが、足りないから調整額を出すのだ、あなたはこうおっしゃるのでしょう。それならば一般の公務員も現在は給与が足りないのです。一般給与では足りないから、別な何か調整額を一般の人にも出したらどうか、こう言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/70
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071・淺井清
○淺井政府委員 それは問題が非常に違ってくると思います。まず第一に、今の公務員の給与が足りないという前提にお立ちになっているのでございます。人事院といたしましては、毎年一回報告をいたしておりますけれども、今年は一般の公務員の給与が足りないのか足りるのか、これはまだ決定になっていない問題でございます。足りないという前提で何か増せということになりますれば、それは本俸をべース・アップするのか、あるいはその他の手当をつけるのかという問題に帰着するのでございまして、これはこの管理職手当の問題とは全く違ったものかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/71
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072・小松幹
○小松(幹)委員 あなた自身が管理職は本俸が足りないから特別調整額をつけるんだ、こう言っているから、管理職ばかりが本俸が足りないんじゃない、一般職も足りないのだと私は言っている。あなたが言うから、管理職だけが足りないんじゃないぞ、こう言っているだけなんです。なぜ管理職だけは職階賃金では足りないのか、こう言っているのです。なぜ管理職だけは足りないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/72
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073・淺井清
○淺井政府委員 ただいまの御質疑は、足りないというお言葉が二様に使われているように思うのです。管理職が足りないと申しておりますのは、ある部分だけを本俸が見てあるから、その足りない部分を手当でつけよう。一般の職員が足りないというのは、生活に足りないという意味でございまして、これはお話が違うと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/73
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074・小松幹
○小松(幹)委員 それならば、管理職が足りないというのは、責任遂行上の賃金が足りない、こういうわけですね、そういうことですか。責任遂行が持てないというわけですね。できないということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/74
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075・淺井清
○淺井政府委員 できないとかできるとかいう問題では、これはないと思うのであります。一応の等級に分かって本俸はきめられてございますけれども、足りない部分を特別調整額をつける、これは大勢の公務員を能率的に働かせます意味において、決して悪いことはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/75
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076・小松幹
○小松(幹)委員 特別調整額を論拠として、ただ当時は超過勤務手当を管理監督者にとるわけにはいかないから、それで特別調整額を見たんだとはっきり言うたんです。今はそれを言わないで、本俸の職階賃金ではどうも足りないから調整額をつけるんだ、こう言っている。いわゆる特別調整額のはっきりした論拠がすでに変じておる。それは時とともに、歴史の変遷とともに、変じていいかもしれないけれども……。それでは聞くが、足りないのならば、一体何ぼあったら責任の完遂ができるのか、人事院で計数的にはじいてあるのかどうか。幾らあったら責任が――今の部長、課長の職階賃金でも足りない、これだけつけなければその職責が持てないという、その数字を出してもらいたい。どこまであれば管理者というものは職責を果せるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/76
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077・淺井清
○淺井政府委員 それはただいま人事院規則できめてある通りでありまして、人事院ではよろしいと一応考えております。しかし個々の職種につきまして、一体幾らあれば足りるのだということを一々きめるということは、これはとうてい人為のよくするところではないと思いますから、これは大体の標準でただいまきめられておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/77
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078・小松幹
○小松(幹)委員 そこでさらに、あなたたちが法律案を提示するときには、あくまでも法律的な論拠をもって何らか言いのがれをして、いわゆる特別調整額というものを見なければならぬ、その見るのには超過勤務手当も一つの要素としてまことしやかに出された。しかし今日はその超過勤務手当というものをもって振り回すわけにはいかなくなったから、特別管理職の者には今の職階賃金では足りないから、何らかその上におまけをつけなければいかぬ、こういう考え方になっておるならば、今の職階給与というものはどうなんです。あなたたちが今出しているところの部長、課長の職階賃金というものは、これは早晩是正する考えを持っておるのか、このままでいいのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/78
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079・淺井清
○淺井政府委員 現在のものは現行のままでよろしいと考えております。将来なおこれは変えるかもしらぬ。それは毎年一回給与の報告をいたしておりますから、足りないと思えばふやすこともありましょう。これは一般的の問題でございますから、決して部長、課長だけの問題ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/79
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080・小松幹
○小松(幹)委員 今あなたは、部長、課長の管理職は足りないから特別調整額をおまけにつけるんだと言うならば、足りないということをあなたが言っている以上は、今度の職階給与というものを考え直さなければならぬのじゃないですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/80
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081・淺井清
○淺井政府委員 その足りないという言葉の問題なんでございますが、足りないと申しますのは、一部分だけを等級で見ておるから、その足りない部分をつける、こういう。ただいまの御質問は生活に足りるとか足りないとかいう問題に変更して御質問があるようでございまして、これは全然問題が違うと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/81
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082・小松幹
○小松(幹)委員 私は生活給を足りないなんて言っておりませんよ。そんなことは言っておりません。ただあなたが課長級あるいは部長級の今の職階賃金の給与では、管理監督の任が果せないから足りないのだ、足りないから別に二重におまけを特別調整額でつけるのだ、こう言っておるから聞いておるのです。生活給の問題を今言っておるわけではない。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/82
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083・淺井清
○淺井政府委員 さようにお尋ねになりますけれども、今管理職手当を全部課長、部長の本俸に入れたといたしますならば、小松さんは御反対になるだろうと思います。これは昇給によって非常にそこだけが上ってしまうものでございます。ですから適正なところで本俸をきめ、その足りない部分を見る、こういうことを言っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/83
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084・小松幹
○小松(幹)委員 私は反対しませんよ。そういう管理職手当をもって不必要な責任を付加されるのならば、給与を一本にして課長や部長をその中に入れたらいいわけです。何も特別に調整額をつけて、おまけをつける必要はない。特に管理職の場合においては、いわゆる給与の二本建みたいな格好になる。だからこの給与の調整額というものは、基本的な線に返って超過勤をすりかえたのだから、どうしても超過勤の範囲内のワクに、当初の昭和二十七年にこれを作ったときの線に返ってものを考えなくては私は拡大解釈になる、こういうふうに考えますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/84
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085・淺井清
○淺井政府委員 管理職手当の本質は、さいぜんお答え申した通りでございます。足りないからただいまの特別調整額を全部本俸に入れますれば、俸給表はきわめて上厚下薄になると思っております。それは決して小松さんの御賛成にならぬところだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/85
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086・小松幹
○小松(幹)委員 特別調整額をこういう格好でつけるいうことは、かえって俸給体系を乱し、しかもそれが監督上の責任を付加されるということならば、私は調整額というものが超過勤務手当のすりかえであるならば一応認めましょう。しかし学校職員等には超過勤はないという論拠で今まできておるのだから、ないところのものを新しくつけるということは、事実以上に監督の責任をわずかな金で付加されるのならば、むしろ本俸に繰り入れる方がましだと思う。その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/86
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087・淺井清
○淺井政府委員 それは意見の相違でございますけれども、これは全部本俸に繰り入れますことは給与政策上いかがかと思います。あまりに上が厚くなるのでありまして、これは小松さんもきっと賛成して下さらぬだろうと思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/87
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088・小松幹
○小松(幹)委員 結果論として、調整額をつければ上が厚くなるでしょう。ただあなた方が二枚舌を使って、二本建で調整額をつける、その上に管理職という一つの特別なおまけをつけるから、かえって少しの給与をもらって責任だけぶっかけられるから、それよりも一本建にして給与に加えた方がいい。私は反対しません。調整額の費用を本俸に繰り入れて、校長なりあるいは教頭なりの賃金を上げるということは賛成です。管理職手当というものも削ってそれにつけ加えることは賛成です。何も反対しませんよ。その辺はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/88
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089・淺井清
○淺井政府委員 しかしそれでは俸給表は非常に上厚下薄になりますし、本俸に入れますればその額で昇給して参ります。上下の差は非常にはなはだしくなりますし、またこの大きな額が恩給の基礎にもなる。いろいろ影響するところがあるのでございますから、そこら辺は給与政策上手当で見るものと本俸で見るものとの間にはおのずから調和点があるように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/89
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090・小松幹
○小松(幹)委員 給与が上っていけばまことに幸いでありまして、これは大へんけっこうなことであります。公務員は喜びますよ。校長や教頭も、調整額なんてつまらぬおまけをつけるよりも、本俸にぶち込んでくれる方が喜びます。反対しません。だからそういうようにやってもらいたい。そう言うと、あなたはまた、恩給に加えるから、予算がないからと言ってすぐ逃げます。結局ずるい手で調整額というものをつけて、しかも恩を売って、より以上の責任をぶっかけようとするところの魂胆以外の何ものでもない。そういうように私は認めます。それはどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/90
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091・淺井清
○淺井政府委員 人事院だけで勝手に特別調整額をこしらえていて何かするように思われますが、これは国会でおきめになりました法律の明文によってきめられておるのでございます。われわれは忠実にこの法律を施行いたしておりまして、それ以外に何ものもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/91
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092・小松幹
○小松(幹)委員 あなたはそこまでおっしゃいましたが、あなたが一官僚として、人事院の忠実な公務員として国会で発言をすると言うならば、そこまで開き直るならば、五、六年前この公務員給与に関する調整額を出したときのそのはっきりした法律的な論拠というものを変えないで、なぜきぜんとして言わないのか。今日いいかげんなことを言わないで、阿諛迎合するようなことを言わないで、そのときは超過勤務を代替したんだ、いわゆる管理職というものは時間的にも特別な時間をとるから、そういう意味で、科学的な要素として、管理職手当というものはそこに大きな論拠を見出すんだ――法律的な論拠は五年前でも今日でも変るものじゃない。なぜそれと同じように繰り返して言わないか。それを、人事院という名によって、そのときはそのときでいいことを言う、今日は今日でいいことを言う、それが私は気に食わぬと言っておるのです。私は一公務員だから、皆さんの責任だと言うならば、それらしくものを言わないか。時の政府なりあるいはそのときの情勢に阿諛迎合するようなことを言うてはいかぬ。ちゃんと国会における委員会の速記録が残っておる。だから私はそれを言っておる。あなたが阿諛迎合するような、そのときそのときで調子のいいようなことを言うから、私はあえて質問に立ったわけです。質問する意思はなかった。ところが何かこの前のところはいいかげんにすべろうとするから――一番よく知っておる私であります。私はこの問題をあなたと瀧本さんに質問した張本人であるから、あえて立った。関連質問として立ったわけです。だから人事院総裁なら人事院総裁らしく、正しくものを言うべきである。私はこのことを申し上げて、関連質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/92
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093・堀昌雄
○堀委員 では、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案提案理由の説明の中で、「改正の第一は、市町村立の小学校、中学校等の教職員に対する管理職手当を都道府県の負担とすることであります。すなわち、国立大学の学長、学部長等につきましては、これらの職員が管理または監督の地位にあることにかんがみ、一般職の職員の給与に関する法律第十条の二の規定により昭和三十一年度から俸給の特別調整額、すなわちいわゆる管理職手当が支給されておるのでありますが、」こういうふうに大臣が御説明になった。そこでちょっと伺いたいのですけれども、この大学の学長と学部長に支給されております特別調整額というものは、同一の考え方のもとに、おのおのに同じものとして支給されているのでありましょうか。偶然に同じものとなったのではなく、同じものを支給するという考え方に基いているのでありましょうか、お答えを願います。これは国家公務員の問題でございますから、人事院の方でお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/93
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094・稻葉修
○稻葉委員長代理 堀君に申し上げますが、質問の趣旨が徹底しないようでしたから、もう一回、おそれ入りますが、おっしゃって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/94
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095・堀昌雄
○堀委員 「国立大学の学長、学部長等につきましては、これらの職員が管理または監督の地位にあることにかんがみ、一般職の職員の給与に関する法律第十条の二の規定により昭和三十一年度から俸給の特別調整額、すなわちいわゆる管理職手当が支給されておるのでありますが、」こういう御説明がされておるわけなんであります。それに関して、この特別調整額というのは、大学の学長、学部長に対して同一の考え方のもとに、おのおのに同じものとして支給されているのでありますか。偶然に同じものとなったのではなくて、同じものを支給するという考え方に基いておるのでありますか。これを伺いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/95
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096・瀧本忠男
○瀧本政府委員 重ねてお聞きしたのでございまするが、あるいは私の理解が不十分かもしれませんが、仰せのごとく国立大学の学長、学部長には、この特別調整額は昭和三十一年からつけております。これは国家公務員のその他の管理、監督の職務にありまする者の職務の特殊性といろいろ考え合せましてつけたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/96
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097・堀昌雄
○堀委員 ですから要するに大学の学長というものと学部長というもの、二つ並べまして、これに特別調整額をつけられたということは、同じ考え方で特別調整額というものをつけたんだ、同じものとして与えたんだということかどうかということを伺っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/97
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098・瀧本忠男
○瀧本政府委員 同様の考え方で与えたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/98
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099・堀昌雄
○堀委員 そこで学校教育法には学部長という規定がないのです。学部長というものの規定はどういうことになっておるのか、ちょっとお伺いしたい。これは文部省の方でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/99
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100・内藤誉三郎
○内藤政府委員 これは国立学校設置法に基いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/100
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101・堀昌雄
○堀委員 私、それを探したのですが、わからないので、ちょっと見せてくれませんか。――ありがとうございました。国立学校設置法施行規則の第三条に「国立大学の各学部の長は、学部長とし、その大学の教授である者をもって充てる。但し、単に一箇の学部を置く大学にあっては、学部長を置かないことができる。」これだけが学部長というものに対する規定なんでございますね。次も続いているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/101
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102・斎藤正
○斎藤説明員 そのほかに教育公務員特例法という法律がございまして、そこの中には学長、学部長と、当然国立大学に学部長を置かれるという前提でその処遇等について規定してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/102
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103・堀昌雄
○堀委員 教育公務員特例法はあとで私触れますが、ここに学部長という言葉で出ておりますことは知っておりますが、私が伺いたいことは、学校教育法の五十八条には「学長は、校務を掌り、所属職員を統督する。」「教授は、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。」職務内容がはっきりしておるわけなんです。ところが学部長につきましては職務内容は何も書いてない。今拝見しましたこの第三条によりましても「国立大学の各学部の長は、学部長とし、」とあるだけで、学部長についての職務内容は一つも書いてないわけです。そうしてその学部長というのは、私は大阪大学の出身者でございますからよくわかっておりますけれども、要するにこれは教授であって、学部長、院長というのは本来は教授なんです。それでこれは学長とはちょっと違う立場にあると思うんです。学長というのは教授ではないんじゃないか。ちょっと法制上調べておりませんが、私の感じておる常識上の判断からしますと、これは教授を離れて学長に専務しておられる、こういうふうに私は理解しておるわけなんです。学長をおやめになってまた教授に返られることはない。学部長は学部長をやめて教授に返る。院長も院長をやめて教授に返る、こういうふうな状態に現実はなっておるわけであります。そこで私が学部長について伺いましたのは、学部長の職務内容といいますか、そういうものの規定は法律上にはないんだというふうに私は理解をいたしておりまして、いろいろ調べてみたけれども、ない。ようやく今お出しいただきましたが、これは学部長というものはこういうふうな格好で置くんだということが書いてあるだけであって、学部長の職務内容を明記したものではない、こういうふうに考えるわけです。
そこでもう一つ伺いたいのは、学長の俸給と学部長の俸給と、それから教授の俸給の間には何らかの差があるのですか。学校職員の場合には校長は一等級だ、教授は二等級だ、大体原則的にそういうふうになっている。そこで学長と学部長と教授の間には、何か給与上そういうふうな差があるのかないのか、全然ないものかどうか、これは人事院の方でお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/103
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104・瀧本忠男
○瀧本政府委員 教育職俸給表の一の一等級が学長に適用されます。それから教授には二等級が適用されます。学部長は教授の俸給表が適用されておりますが、これは事実問題といたしまして大学管理機関のメンバーでございまして、そういう意味におきまして、やはり学部の事務というものが相当過重されるわけでございます。そういう大きい意味におきまして、学長と同様に職務の度合いというものが非常に大きい。その特殊性に基きまして同様に取り扱っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/104
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105・堀昌雄
○堀委員 そこで最初私が伺いました問題にまた返って参るわけでございますが、教育公務員特例法を調べてみますと、「第二章 任免、分限、懲戒及び服務第一節 大学の学長、教員及び部局長(採用及び昇任の方法)第四条 学長及び部局長の採用並びに教員の採用及び昇任は、選考によるものとし、その選考は、大学管理機関が行う。2 前項の選考は、学長については、人格が高潔で、学識がすぐれ、且つ、教育行政に関し識見を有する者について、大学管理機関の定める基準により、学部長については、当該学部の教授会の議に基き、教員及び学部長以外の部局長については、大学管理機関の定める基準により、行わなければならない。」こういう条項が初めにありまして、それからずっと第五条、第六条、第七条、第八条、第九条に至るまで、「大学管理機関」という言葉がいろいろ出てくるわけであります。そこでその「大学管理機関」という言葉が出ておりますから、これは今おっしゃる管理に関する責任のある個所だと思うのでありますが、それが第二十五条に参りますと、「この法律中「大学管理機関」とあるのは、当分の間、次の各号の区別に従って読み替えるものとする。」こういうふうにあるわけです。読みかえたところを、これではわかりませんから私が読みかえて書いてみますと、第四条は学長の採用は選考によるものとし、その選考は、評議員及び部局長で構成する会議が行う。部局長の採用は、選考によるものとし、その選考は、学長が行う。教員の採用及び承認は、選考によるものとし、その選考は教授会の議に基き、学長が行う。こういうふうに読みかえられるようになって参ります。この考え方は、結局第四条から第十二条の間に「大学管理機関」という言葉がいろいろ出ておりますけれども、これらは協議会、評議会、教授会またはその議に基き学長または部局長と読みかえる、こういうふうに法律には明記をされております。そこでこれからみますと、大学における管理監督の立場におられる者は、協議会と評議会と教授会と学長とこれだけの範囲に限られると思う。学部長というものにつきましては、第十条の二に規定されておるような管理及び監督を示すものは、現在の法律のどこを探しても見当らない。そこであなた方の方では、なるほど学長はここのこの状態からみまして、明瞭に管理的な性格を持っておられることは法律から明らかでありますけれども、学部長が第十条の二に該当するところの管理及び監督の職にあるということを認めて、特別調整額を出されたと思うのであります。それを認めた法律的な根拠を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/105
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106・内藤誉三郎
○内藤政府委員 学部長は学部の長でございまして、学部についての監督は当然行なっておるわけであります。ここに御指摘の点は、公務員特例法にいう管理機関の規定を定めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/106
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107・堀昌雄
○堀委員 長ということになりますと、そうするとこれは全部監督なんですね。よろしゅうございますか。法律上長と名前がつけば全部監督だ。そうすると特別調整額は管理監督の立場にある者については出すのだというふうになっておりますね。長と名前がつけば出してもいいのだというふうに理解をしてもよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/107
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108・内藤誉三郎
○内藤政府委員 これはその態様によると思います。ですから長と名のつく者で超勤手当を出しているものもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/108
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109・堀昌雄
○堀委員 長というもので超勤手当を出さない者には特別調整額をつけるのだということにまた返ってくるわけでございますね。そうすると長というものについて超勤手当も出ないのだ、あるいは長は特別調整額も出ないのだという人もあるというわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/109
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110・内藤誉三郎
○内藤政府委員 それは性質によってあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/110
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111・堀昌雄
○堀委員 性質によってあり得るならば、具体的に一つそういうものをちょっとお示しを願いたいと思います。これはちょっと時間がかりますから、私が質問を継続しておる中でお出し下さい。
そこで私が次に申し上げたいことは、大体法律的には長ということにひっかけてきたのは大へん苦しいところだと思うのですが、それはそれとしていいのです。そこでさっき人事院の総裁がお話しになったのは、管理的な職務に見合う部分がこれらの管理職においては給与の中にも入っておるし、その足らないものを残りの手当で見るのだ、こういうことをはっきりおっしゃった。今おっしゃったことですから、皆さん御記憶に新たなところであると思うのですが、学長についてはなるほど私は管理職のようなものだと思っておりますから、本俸の給与の中に当然入っておる、そうして残りの分を、人事院総裁のおっしゃったように特別調整額で見たのだということに理解できる。ところが学部長の俸給というのは今お話しのように二等級、他の教授と何ら異ならないところの俸給しかもらっておらぬ。そういうことになれば、その職務の中には、本来管理職に見合うところの給与は入っておらぬと考えなければならぬ。他の教授と学部長とは同じ給与しかもらっておらぬのだから、一つも入っておらぬ。ところがあなたのおっしゃるように、事実で見ると学部長は管理職的な職務を――法律と事実の問題は分けて考えてもらわなければならぬが、事実においては学部における管理監督の仕事をしておられるかもしれない。私も詳しくは知りませんが、大学に長くおりました者の一人として、そういう事実はあるだろうと思うのであります。そういう事実がありますのに、片や学長に対してはすでにあります管理的な職務の部分については給与の中にも入っておるし、その残りだけを学長については特別調整額で払っておる。学部長については全然そういうものがないのですね。給与の方にはない。要するに特別調整額だけで管理の仕事に見合うものだけを与えておる。その与えておるものだけが偶然に一致したのかどうかと最初に私が伺ったら、偶然に一致したのじゃない、同じものを与えたのだとお答えになっておる。それはおかしいのじゃないか。学部長が管理の職にあって仕事をしておる分については、学長が管理の職について与えられておる中の本俸の残りだけを学部長には与えるのだ、それだけでも学部長は管理職としての仕事は十分いけるのだ、こういうふうに考えておられるかどうかということを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/111
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112・瀧本忠男
○瀧本政府委員 先ほど申し上げましたのは、特別調整額をつけるのはやはり管理監督の地位におられまして、その職務の特殊性に基いてつけるという意味において学長も学部長も同様である、このように申したのであります。ところが御承知のように学長は一等級、学部長は二等級の俸給表を適用されておるという事実はありますけれども、いろいろわれわれの方で職務の内容、職務の過重性等を調べてみますと、大体同程度に処分しているのではなかろうか。これは特別調整額に何パーセントといういろいろな段階を作ってもいいわけでありますけれども、事実問題としてはそういうことはできません。従いまして現在の場合においては甲、乙、丙、丁というような段階によりまして、学長も学部長も一二%程度を支給するのが適当ではなかろうか、こういうことを考えまして、三十一年からおのおの一二%をつけております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/112
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113・堀昌雄
○堀委員 きのう辻原委員の質問にも出ておりましたけれども、学長に一等級が与えられ、教授が二等級であるということは私はやはり学長の職務が教授の職務と異なっておるので、それに見合う分として一等級が与えられておるのだと常識的にならだれでも理解できると思うそういたしますと、一等級と二等級の中の差額というものは、これはそれだけですでに職務内容にこういうものが余分に与えられておる、管理的監督的な立場にある職務内容に対して与えられておる。その上に一二%の手当を与えた。片一方はその分は与えてない。さらに職務内容においても教授としての仕事をこの人たちは精一ぱいやっておるのでありますから、それ以外の仕事をするのであって、学長が本来自分の仕事である管理の仕事をするのとは趣きが違うわけです。常識的に考えますならば、当然学長に与えている特別調整額よりもっとたくさんのものを学部長に与えるという考えでなければおかしいのではないか。同じものを与えておいて、本来の教授の仕事もこの人たちは全部しているのである。その上に管理監督の立場を余分にしているのだから、余分の仕事に対しては一二%、学長は本来が管理するのが職務だ、その職務に携わっている者に対しては等級を上げておいて、なおかつ一二%を与えておる。これは不公平だと思いますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/113
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114・瀧本忠男
○瀧本政府委員 先ほど人事院総裁が申しました通りでございますが、現在の状況におきましては、大体特別調整額を支給いたしまするのに、学長、学部長いずれも一二%程度が適当であるというようにわれわれ判断いたしまして、そのようにつけたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/114
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115・堀昌雄
○堀委員 それでは不公平でないという考え方のもとに立って、これでよいということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/115
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116・瀧本忠男
○瀧本政府委員 公平不公平をどの程度のところで申すかということにもよりますけれども、先ほど私が申し上げましたように、一等級、二等級の等級の幅もございます。従って同じ学長であっても、初号の辺の人とあるいは二等級の上の方の人では給与が違うということもございます。そういういろいろの状況がございますが、大体におきまして学長、学部長おのおの特別調整額をつけまする際には、現在の場合一二%つけるのが適当である。このように判断をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/116
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117・堀昌雄
○堀委員 そこで第十条の二の「管理又は監督」という言葉でございますが、この管理という言葉と、監督という言葉の意味を一つ教えていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/117
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118・瀧本忠男
○瀧本政府委員 これは管理職というようなことに一応なるかと思いますけれども、給与法で言っておりますのは、管理監督ということを言っておるのでありまして、管理監督ということを別に分けて考えておらないのであります。これはものの見ようの二面であろうかと考えております。大体管理監督と申しますならば、人事管理上の問題である。こうようにわれわれは解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/118
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119・堀昌雄
○堀委員 そういたしますと、それはそれとしまして、今度は学校の方に戻って参りますけれども、「校長は、校務を掌り、」これは学長もそうでありますか、この「校務」というのはどういうものの範囲を示しているのかをちょっとお伺いいたしたいと思います。
〔稻葉委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/119
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120・内藤誉三郎
○内藤政府委員 学校におけるもろもろの事務と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/120
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121・堀昌雄
○堀委員 それではお答えいただかなくても、私も大学を出ておりますから、その程度の常識はあるわけであります。その立場に立って質問をさせていただいておりまするのに、そのようなお答えをなさることは、国民を侮辱されているのではないか。私は私個人の発言をしているわけではございません。国民の声として私が発言をいたしておりますことに対して、私が一番最初に申し上げたように、客観的に、まじめにお答えを願いたい。それではあまりにあなた方の態度は国民を侮辱しているものである。これはどうしても許せない。今のお答えについては、何らかの反省の意を示されるかどうか、その点を先に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/121
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122・内藤誉三郎
○内藤政府委員 私は校務というものは、学校における事務一切を言うものだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/122
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123・堀昌雄
○堀委員 学校の中におけるもろもろの事務だということは常識であって、少くとも文部省の局長は、私が伺っていることに対して何を聞いているかということが御理解いただけないで、その程度のことしか答えられないというのであるならば、局長としての能力を考慮せざるを得ない。(「禅問答をしているのじゃない」と呼ぶ者あり)禅問答ではありません。校務という内容を具体的に伺いたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/123
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124・内藤誉三郎
○内藤政府委員 私が申し上げましたのは、たとえば研究所は研究所の所務をつかさどる。学校は学校の事務をつかさどる、こういう意味に申し上げたのでありまして、学校においてはいろいろと事務があると思います。たとえば学校の校舎の管理の問題、あるいは修繕の問題等もあるでしょうし、あるいは所属職員の休暇の問題もあるでしょう。あるいは人事等もあると思います。あるいは教育内容に関するものもあると思います。それ以外に学校におけるいろいろな調査統計等の事務もある。こういう意味で総称して学校の事務と申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/124
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125・堀昌雄
○堀委員 法律には校務という言葉しか書いてない。私は法律をちゃんと調べておる。
そこで文部大臣に伺いたいのでありますけれども、本日一番最初に、教頭も校長と同じく管理職と考えているので、やはり教頭にも校長と同じ管理職手当を将来支給したい、こういうふうにおっしゃっておるわけであります。そこで改正されておりますところの学校教育法施行規則、法律ではございませんが、省令の中に、第二十二条の二「小学校においては、教頭を置くものとする。但し、特別の事情のあるときは、これを置かないことができる。教頭は、教諭を以って、これにあてる。教頭は、校長を助け、校務を整理する。」こういうふうにあるわけですね。そこでこれは今現実に行われておる問題ではございませんけれども、そういうことをしたいんだとおっしゃるものは、この改正された省令によっておやりになりたいということでございましょうか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/125
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126・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 従来の学校には、ただいまお述べになりましたような役割を務めておる者もたくさんあるのでございます。今回その点を法律的に明らかにいたしたわけでございますので、その教頭の職責は、私どもやはりいわゆる管理または監督の任にあるものと考えますので、これにつきましても、管理職手当の問題を今後考究いたしまして、でき得るならばやりたい、そういう気持を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/126
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127・堀昌雄
○堀委員 字句から参りますと、「教頭は、校長を助け、校務を整理する。」とございますから、そういたしますと、管理、監督の部分はこの中のどれに該当するのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/127
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128・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 教頭は、校長の職務を補佐する役割を持つ者と思うのであります。従って校長の職務の補佐役といたしまして、本来の校長の管理または監督の仕事につきまして、教頭がこれを援助する、あるいは補佐するという立場において、やはり管理または監督の仕事をいたしておると考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/128
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129・堀昌雄
○堀委員 では最後に、今の教頭を置かれるということにつきまして、昨日学校教育法第三条によって、この省令というものを置いたんだ、こういうふうにお話がございました。そこでこの第三条というのは、「学校を設置しようとする者は、学校の種類に応じ、監督庁の定める設備、編制その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない。」こういうふうにありまして、これは学校を設置する条件を規定しておると私は思う。これから学校を設置しようとするものはこの基準に従って設置しなければならぬということでありますから、すでに設置されておるものについて、その編制を変更することをこの条項によって行うということは、どうも私は理解できないのです。これが法律的にそのように理解されるものであるかどうかという点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/129
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130・林修三
○林政府委員 ただいまのことでございますが、この第三条は編制その他の設置基準を監督庁が定めるということでございます。監督庁が定めるということは、初めからきめるということだけではなくて、当然その後に変更がある、変更されればそれが設置基準になる、こういうことだと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/130
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131・堀昌雄
○堀委員 そういたしますと、これは裏から返して読むんだということになるのでございますか。こういう法律は表から読めば、今私が申し上げたように、設置しようとするものはこの基準に従って設置しなければならない。裏返して読むならば、逆にその設置しておるものでもこの設置基準に従ってやらなければならない。裏側から見たと同じような解釈になる。法律というものは本来制定された趣旨が常に上から下に読むようになるのじゃないか、しろうとでよくわかりませんが、どうでもやれるような性格になっておるものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/131
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132・林修三
○林政府委員 これは結局学校を設置しておるものにつきましては、この監督庁が定める設置基準に基いてやらなければならないということでございます。従いまして、一たん学校が事実上設置されておる場合でも、設置基準が変れば当然これに従ってそれが拘束される、かように解すべきものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/132
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133・堀昌雄
○堀委員 ただいま設置基準が変ればとおっしゃいましたが、私も初めてでございますからよくわかりませんけれども、要するにもしあなたのおっしゃるように、本来そういうものを規定しておるものであれば、私は当然ここに一項あっていいのじゃないかと思う。これによって拡張解釈するということが私は法律の趣旨ではないだろうと思う。そういう必要があるならここに一項起して、編制その他に関する設置基準というものは監督官庁が常にこれを定めるんだという一項があって、そうしてもう一つ、こういう設置をしようとするときにはこの基準に従わなければならぬのだ、こういうふうな二条でこの問題が処理をされるならば私はそれなりに理解できますが、これは一条になっておって、前段が「学校を設置しようとする者は、」というそういう範囲を限って、何でもいいということは書いてない。この「学校を設置しようとする者は、」というのが前提であって、その前提のものとにあとのいろいろな問題が具体的に書かれておるものだと理解するのですが、その点はどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/133
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134・林修三
○林政府委員 立法技術としては今おっしゃったような書き方もあると思います。しかしこの法律の趣旨を考えますと、学校を設置するものにつきましてのこの設置基準をきめた規定でございまして、このほかに一たん学校を設置した後において、もとの設置基準が変った云々の規定はここには書いてございません。しからば学校教育法の趣旨は、学校につきまして設置基準を変えたいというような、一たん設置された学校について設置基準を変えたいということが起った場合には一切させない趣旨かといえば、これはそういう趣旨では解釈すべきではないと思います。やはり学校設置基準は小学校にせよ、中学校にせよ、高等学校にせよ、当然これは時代の変遷に応じて変るべきものでありまして、変った場合に既設の学校についてはタッチできないんだ、それは立法趣旨としては考えられない。これは学校を設置しておるものにつきましてその設置基準をきめたもの、こう解釈するのが妥当な解釈だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/134
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135・堀昌雄
○堀委員 それは法律の専門家である法制局長官がそうおっしゃるのだからとやかく申しませんが、しかし私どもは法律というものは非常な専門家が見なければわからないのであって、一般の国民が見た場合には、その法律は私が申したような形にしか受け取れないように書かれておる点に問題があろうと思うのです。しかしその解釈につきましては、これは権威である法制局長官のおっしゃることは事実であろうかと思いますが、ここで一応質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/135
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136・稻葉修
○稻葉委員 これにて質疑は終局されんことを望みます。
〔「賛成」「不信任だ、不信任が出てる」と呼び、その他発言する者、臨席する者多く議場騒然〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/136
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137・坂田道太
○坂田委員長 ……。
〔発言する者多く、議場騒然、聴取不能〕
〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/137
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138・臼井莊一
○臼井委員長代理 ちょっと速記をとめておいて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/138
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139・臼井莊一
○臼井委員長代理 それでは速記を始めて。
先刻辻原弘市君外十名より、坂田委員長の不信任動議が提出されましたので、委員長の指名によりまして私が委員長の職務を行います。
これより辻原君外十名提出の、委員長の不信任動議について議事を進めます。まず、提出者の趣旨弁明を求めます。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/139
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140・堀昌雄
○堀委員 本日の委員会におきまして、私が質疑をなお完全に終っておりませんときにかかわらず、質疑打ち切りの動議が提出をされまして、委員長はそれを取り上げようとされたわけであります。私どもは本日の理事会におきまして、私を含めまして十名の質問者をすでに通告いたしておりましたし、私自身につきましては、まじめにこの法案の問題につきまして質疑を行なっておったのでありまして、何ら議事を引き延ばそうとするようなことをはかっておりませんでした、にもかかわらず、第一人目の私がまだ完全に終らないという状態で、当然理事会でも招集されまして、その中で民主的な託し合いによって質疑を打ち切る等の提案がされるのが、私は委員会の正常な運営であろうと考えておるのにもかかわらず、あのような、まだ時間も十二時半を少し過ぎたばかりでありまして、そのような緊急事態が予想されるような状態でなかったのに、あのような取扱いが行われたことに対しまして、委員長がそれを取り上げられたということは、まことに議事運営上において遺憾の点がある、このように私どもは考えまして不信任案を提出した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/140
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141・臼井莊一
○臼井委員長代理 これにて不信任動議の趣旨弁明は終了いたしました。
討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
辻原君外十名提出の、坂田委員長不信任動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/141
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142・臼井莊一
○臼井委員長代理 起立少数。よって、辻原君外十名提出の、委員長不信任動議は否決せられました。坂田委員長の復帰を求めます。(拍手)
〔日井委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/142
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143・坂田道太
○坂田委員長 先刻稻葉修君より質疑終局の動議が提出され、委員長はこれを採決し、可決の旨を宣告したつもりでありますが、議場混乱のために明瞭を欠く点がありましたので、あらためて稲葉君提出の質疑終局の動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/143
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144・坂田道太
○坂田委員長 起立多数。よって動議は可決せられました。これにて質疑は終了いたしました。
ただいま辻原君外三名より本案に対する修正案が提出せられました。まず提案者より本修正案の趣旨説明を求めます。辻原弘市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/144
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145・辻原弘市
○辻原委員 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたしたいと思います。
ただいまから案文を朗読いたします。
市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案に対する修正案
市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第一条の改正規定中「、管理職手当」を削る。
以上が修正の案文であります。
修正をいたしますところの要旨は、今読み上げましたように管理職手当に関する部分を削除しようとするものであります。
その理由の第一点は、校長及び教員の勤務は無定量なため、超過勤務手当を今日支給しておりません。このことは一般行政職の管理職手当とは本質的に異なっているところであります。
第二は、教育水準を向上さすために、すし詰学校の解消初め二部授業、施設、設備及び老朽危険校舎等、教育上早急に解決しなければならない緊要な問題が今日山積をいたしておるのでありまして、まずそのような予算の取扱いといいますものを優先的に先にしなければならぬということは、これは当然であろうかと思うのであります。さらには、教職員の生活水準の向上や、あるいはその他万般の教育費の父兄負担を軽減するための措置こそ、今日文部省及びわれわれ文教行政に携わるものといたしましても、深く意を用い、そうした管理職手当という一部の比較的権力を持つ者にのみ充当しようというような不必要な財源は、あげてこれを万般のその他最も緊要な教育費に回すのが筋であろうというのがわれわれの主張でございます。従いまして、さらに当委員会におきまして種々質疑をいたしましたその中身から考えましても、今直ちにかくのごとく、かなり多額の金を中央地方を通じて負担をせしめ、支給をしなければならないという確固たる理由がきわめて不明瞭であります。
さらにはまた給与制度の問題からいたしましても、戦後今日まで採用されて参りましたところの給与の根本原則、すなわち管理職手当その他各般の手当は、すべて法規にのっとって支給せらるべきものであり、各省々々がその職種に応じて随時手当を実質的に出していこうとするなどの、そういうような給与支給方法というものは、今日の給与体系を乱るものである。このことはわれわれが委員会において強く指摘をいたした点でありまして、従ってこの給与制度上の建前から申しましても、この管理職手当と超過勤務を出されていないところのいわゆる教職員の職種に、直ちに持っていこうとすることは全く大きな誤まりである、かようにわれわれは考えるのであります。
もう一つは、重要な点でありまするが、本来学校の校長というものは、通例言われる管理の職にあるものとは考えられないのであります。すなわち特に地方教育におきましては、高等学校を含め、小中学校の校長は、また校長を含めて教職員は、その管理者は法規に示されております通り教育委員会であります。従って地方教育において管理者と呼び得るものは、この法規に示す権限を持っておるところの教育委員会を置いてほかにはないはずであります。ただ校長は、校務をつかさどるという学校教育法二十八条の趣旨にのっとって、純粋な教育行政とは違ったいわゆる現場における教育を校長は総理する、つかさどるという意味にわれわれはこれを解しなければならぬと思うのであります。その観点に立ちました場合には、若干の教育委員会の権限を委任を受けて事務をつかさどる、そうした職責は校長にはありますけれども、管理監督をするという本来の責任と任務というものは校長にはないと、実態から申し、法規の建前から申してわれわれは考えるのであります。従って、この建前から、われわれはどうしてもこの本来の権限を持たざる、また百歩下って見まして、管理職というのにきわめて深い疑義を持つこの校長に対して、直ちに管理職という名前を付したところの手当を出すことについては、これは制度上の問題としても、われわれは賛成するわけには参らないのであります。
従って、以上申し上げましたような各般の理由を持ちまして、この際われわれは国の行政の体系を乱ることなく、給与の制度上に混乱を及ぼすことなく、せいせいとした姿に戻すためにこの管理職手当を削減いたしまして、ただこの市町村立学校給与負担法の今回の改正案の中には、すでに民間各企業においても支払われておりますところの通勤手当が含まれておりまするので、この通勤手当は、わが社会党といたしましても、かねてその必要を痛感いたし、その支給を強く主張して参ったところでありまするので、この点に関する限りは、与党提出のごとく、われわれもこれは賛成でありまして、従って、この通勤手当のみ残しまして、管理職手当につきましては削除をいたし、これに反対をいたして参りたいという修正案でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/145
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146・坂田道太
○坂田委員長 これにて修正案の趣旨説明は終りました。
修正案に対し質疑の通告がありますので、これを許します。受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/146
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147・受田新吉
○受田委員 修正案に対して質問を試み、あわせてこれに関連して政府の見解をただしたいと思います。
今回政府提案にかかりまする法案の修正案を提出された御趣旨を私承わったのでございまするが、市町村の中小学校の校長に管理職手当を支給するということは、いわば従来そういう制度があったものを増額するとかいうようなものとは違って、中小学校長に新しい手当の創設であるという考え方になると思うのでございまするが、提案者はさようなお考えでこの管理職手当分を削除することを御提案になったのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/147
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148・辻原弘市
○辻原委員 ただいまお尋ねの中心は、管理職手当というものを新設するという建前に対して、そういう前提においてわれわれがこれに反対して削除をするということを提案したのかどうか、こういうお尋ねであったと思います。御承知のように、管理職手当というのは、従来沿革から見て、政府のたびたび答弁をせられておりましたように、超過勤務手当との見合いにおいて、従って率におきましても同率を最高の場合には支給することができるとなっておる。その関連において従来支給をされたものでありまするが、今回この高等学校以下の教職員に対して支給せんとするこの管理職手当は、まさにそういう従来の超勤との関連において支給をしておったということと全然別個な姿において、新たに一つの意図を持って、この手当制度というものを創設したと全くひとしいような提案でありまするがゆえに、先ほど私が趣旨の説明にも申し上げましたように、突如としてそういう形のものが出た場合には、その手当を出そうという意図を除いてみましても、給与制度上また法制組織上の建前から見ましても、これは非常に混乱を来たす問題であるという把握に立って、われわれはこれを削除すべきものと考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/148
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149・受田新吉
○受田委員 提案者の御答弁に関連して政府に見解をただしたいと思います。今回の政府提案による重点的内容は、地方の公立の中小学校長に管理職手当を出すという御趣旨でございます。また通勤手当を出すという御趣旨でございまするが、その根源になる国家公務員であるところの国立学校の高等学校あるいは中小学校の校長に、まだこの管理職手当を出す規定ができていない。この問題は、国の公務員の給与の種類とかあるいは額を基準にして地方公務員のそれを定める法の精神からいっても、これは先後するものではないかと思うのでありまするが、大体予算措置は講じられておると法案には規定されておりまするし、また予算書の中にもそういう金額が出ておるのでございまするが、現にこれに伴うところの人事院規則は公布されておらぬ。人事院規則が公布されておらぬにもかかわらず、この法案がこれに準じて出るということは、これは少し先走った考え方ではないかと思うのです。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/149
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150・内藤誉三郎
○内藤政府委員 国立学校の教職員に対する管理職手当につきましては、先般淺井人事院総裁より、出すということで準備を進めておる、こういうふうにお述べになりました。私どもは人事院の事務当局とも十分打ち合せておりまして、ただ公立学校の教職員の手当につきましては、これから予算を組むのですし、さらに実施の段階がございますので、同時に並行してこの法案を進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/150
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151・受田新吉
○受田委員 人事院の規則というものは、これは予算措置が四月一日からの分が計上されている以上は、すでに公布されていなければならないと思うのです。もし今初中局長の仰せのごとくであるならば……。何を好んで今日まで、これがじんぜん月日を費して引き延ばされておるのか、これはどういう理由でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/151
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152・瀧本忠男
○瀧本政府委員 昨日も人事院総裁から申し上げましたように、人事院といたしましては、特別調整額の問題は教職員の場合のみではございませんので、今回予算が通過いたしまして、そのほか設置法等が変りまして、新しく特別調整額をつけるべき職というものが出て参ったのでございます。また場合によりましては、その格上げをするというものもあるのでございまして、それらとあわせてこれをやるというので、目下準備中でございまして、これができ次第やる。きのう人事院総裁が申し上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/152
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153・受田新吉
○受田委員 そのことは一般的な問題であって、ここに出されているのは教職員に関する分が出ているわけです。従ってこういう法案が出されており、しかも四月一日からこれを施行するということになっておるのならば、予算措置がなされている国家公務員については、当然直ちに国立学校の分については規則を公布すべきじゃないか。何だかそこに文部省との政治的取引がなされておったような印象を国民に与える意味において、非常に不愉快な感じを与えておることを隠すことはできません。この点については何かそうした配慮がされて今日まで延ばされておる。これはあなた方の立場から私はお答え願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/153
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154・瀧本忠男
○瀧本政府委員 先ほども申し上げましたように、人事院といたしましては他意はないのでございます。これは予算が通りましたから、すぐにでもやればよろしいのでありますが、いろいろ準備等がございまして、そのためにおくれておるというだけでありまして、その準備が整い次第これはやる。これは先日人事院総裁が申し上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/154
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155・受田新吉
○受田委員 かりにこの法案が本日衆議院を通り、明日参議院を通ったと仮定します。そうすると、この市町村立の中学校長に対する管理職手当は直ちに支給される法的根拠ができるわけです。そのときに国立学校の方はあと回しにされておるというようなことは、国の公務員の給与の種類、額を基準にして定める地方公務員の立場等を考えたならば、これは全く逆転しておるのであります。国家公務員の方はちゃんとできておって、しかる後に地方公務員の方ができるというのが順序じゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/155
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156・瀧本忠男
○瀧本政府委員 仰せのように、地方公務員の場合は国家公務員の例に準ずるのでございますから、さような順序になろうかと思うのでありますが、人事院としましては別に他意はないのでございまして、これは準備のでき次第やる、さようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/156
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157・受田新吉
○受田委員 これははなはだ人事院の権限を損傷している重大な問題なんです。この法律案が政府与党の諸君があせっておられるように、きようにでも成立するならば、地方公務員の方はすぐ支給される根拠ができる。国家公務員の方はあと回しにされるということになるじゃありませんか、そういう現象が起ることを御承知でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/157
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158・瀧本忠男
○瀧本政府委員 これは国家公務員は四月から予算が通っておるのであります。手続が多少おくれておりますけれども、別にあと回しにされるようなことはないだろう、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/158
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159・受田新吉
○受田委員 予算が通っていることはわれわれよく承知しております。しかしこういう法律ができる以上、その基準になる規定ができていないで、検討中のものを基準にしてこういう法律を出すということに矛盾があるのじゃないかとお尋ねしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/159
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160・瀧本忠男
○瀧本政府委員 昨日も総裁が研究中と申しましたので、ちょっと誤解を生んだかと思いますが、それはあとであらためて総裁が申し上げましたように、ただいま準備中である、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/160
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161・受田新吉
○受田委員 その準備中はおそいです。やるのならば、きょうにでも出しておられなければならぬ。こういう法律を出そうとするときに、基準の規定もできておらぬで、それは検討中、準備中というものを基準にしてこういう法律を出すというのは大きな矛盾である。文部大臣の御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/161
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162・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 昨日来の質疑応答で、私は大体明らかになっておるかと思うのでありますが、人事院におかれましては、国立学校の部分に対しまして今制度を準備いたしておるわけであります。その内容的な面から申しますと、われわれの方と何ら違いはない。同じような建前のもとに、人事院は人事院として準備を進められておるわけであります。この法律案もまさしく地方の高等学校、小学校、中学校の校長に対する管理職手当を支給するための準備上、急いでこの法案を出しておるわけでございます。その間立場は同じことなんであります。かりにこれが出ましても、基本となるべき、基準となるべき人事院の規則ができません限りは、地方に基準がないのであります。従って、地方としては金の出しようがない。この法案は御承知の通りに、その場合における負担関係を明らかにいたしておるわけでございますので、もとはどこまでも人事院規則によって、それを基準として支給するということになっておりますので、格別私はその間にしいて問題にせられるほどのことはなかろうかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/162
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163・受田新吉
○受田委員 国の基準ができるまで、法律は通ってもその施行を待つ、こういうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/163
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164・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 国の基準ができまして、これに基いて地方でそれぞれ条例等でものがきまるのであります。その条例ができました上で支給せられるわけであります。支給せられた上で初めて負担関係ということが出てくるわけであります。そのときのことをこれは規定いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/164
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165・受田新吉
○受田委員 人事院は、国立学校の分だけを先へ抜き出して規則を制定するというような考え方はなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/165
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166・瀧本忠男
○瀧本政府委員 先ほども申し上げておりまするように、人事院といたしましては、特別調整額の問題は教員関係だけではないのでありまして、一般行政職にもあるのでございます。これを別に分けてやるという理由は人事院としてはないわけであります。従いまして、全般の準備が整いましたところでやる。これは多少いろいろのことでおくれておりまするけれども、極力早くやりたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/166
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167・受田新吉
○受田委員 人事院は過去において規則の改正を一年のうちに五回も六回も七回も八回もやっておる。こういうふうに、同じ年度内において、一カ月か二カ月おきにでもやるというほど綿密に規則改正がされておるのに、すでに予算措置がされているものを今日まで引き延ばしたという考え方は、私ははなはだ納得できない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/167
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168・瀧本忠男
○瀧本政府委員 御指摘のように一件、二件のものでありますれば、これは直接やったこともございまするが、また各種のいろんな事情がありまするために、四月から予算が通っておりまして早くやりたいと思いましても、これは準備の都合上、七月になり八月になるということもあるのであります。これはその場合々々によりまして違うのであります。ただいま人事院は準備を進めておりまするので、できるだけ早い機会にこの問題を解決いたしたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/168
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169・受田新吉
○受田委員 私はさらに、今まで質問をしたことになるべく重複を避けた形で、根本的な問題をお尋ねしたいと思いまするが、けさ小松君及び堀君からお尋ねいたしました管理職手当の性格ですか、これは局長さん、あなたの率直な御見解は、二十七年のこの管理職手当制度創設のときに、小松君の質問に対して答えた御返事を私よく覚えておるし、また記録にも残っておるのでございますが、これは明らかに俸給の特別調整額というものは超勤の変形であるということにあなたは御答弁されており、また人事院総裁におきましても、そういう意味で新しい「むしろ高級官吏の超勤額をある一定額に押えてしまうというような意味」でこれを創設したのだ。同時に一つの職務給的なものをそれにつけ加える意味ではないと答弁をしておられるのです。これははっきりした御答弁です。従って超勤の変形であるということになって、新しい職務給的性格が添加されるものではないという意味の御答弁がされておる。そういう意味から考えまして、俸給の特別調整額という、こういう制度を創設したときには、二十七年の国会での御答弁のような御趣旨であったことには間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/169
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170・瀧本忠男
○瀧本政府委員 けさほどからその問題が出ておるのでございまするが、手当創設の当時におきましては、予算の関係もございまして、超過勤務手当の原資をこれに充当いたす、こういう次第に相なっておりまするが、現在特別調整額を取り扱いまするのは給与法第十条の二項によりまして、管理、監督の地位にありまする官職のうち人事院がその職務の特殊性に基きまして指定をいたす、このようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/170
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171・受田新吉
○受田委員 当時私が委員であったときの記録で大へん相済みませんが、これを読みますと、瀧本局長の御答弁の中に「今回特別調整額をつけまするということは、何も新しい給与額をこの際附加しようというものではない」のでございます云々、それがさらに学校の方に及んで、「これは現在学校教職員等に超過勤務手当というものが、事実上あまり多く支給されていないという場合におきましては、これをただちに振り向けるというわけにも参らない」のでございます。こういう御答弁でございます。これはごく大筋の説明でございまするが、この特別調整額そのものが、時間的に計測して超過勤務手当を支給するという方法を別な形で現わしたものであるということが、当時の御見解の中に出ておるわけなんです。従って、今回の法案の提案理由の説明の中にもはっきりとこのことがうたってあります。すなわち俸給の特別調整額、いわゆる管理職手当という意味で国家公務員に出されているので、これに準じて地方公務員である中、小学校校長にも出したいということを提案理由にも書いてある。結局根源は俸給の特別調整額の設定の趣旨を尊重した形になっておるのです。それが時の流れとともにあまりにも急変するような形のこういう手当制度が生まれるということは、給与体系の公平と正確を守ろうとする人事院の立場からも、またそういうものを守っていかなければならない、協力していかなければならない各省の立場からも、私は非常に大きな矛盾であると思う。ことに給与法の第四条は、御承知の通り各職員の俸給というものが、特にその職務の複雑、困難とか、あるいは責任の度合いとかいうものに基くとはっきり書いてあるし、勤務時間あるいは勤務環境その他の勤務条件を考慮するものであるということがはっきり書いてある今日、今突如として十数年間の戦後の給与体系の上で考慮する必要のなかった中、小学校の校長だけにこの手当を創設する形でこれが設けられるということには、良識を持った国民はだれも納得しません。私はその意味で今ここでお尋ねを進めたいのでありまするが、人事院はこの給与法第四条というこの法律の番人として、この法律より逸脱する方向を阻止する努力をなぜしないか、御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/171
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172・瀧本忠男
○瀧本政府委員 これもけさほどから申しておりまするように、俸給というものは大体におきまして職務と責任に応ずる給与法四条の精神によって作られるものでございます。しかしながらけさほども申しましたように、現在この段階は、行政職でありますれば行政職の(一)という俸給表によりますと八段階でございます。その一つの段階の中におきましても給与の幅というものは相当広いのでございます。これはやはり段階が一応その職務と責任に応じておるということではございまするけれども、その一つの等級の中におきましても給与額は相当の開きがございます。それが現実の状況でございます。そういう点とも考え合せまして、やはりこれを補完する方法も考えなければならない、このようなことに相なろうかと思うのであります。現に人事院は制度創設当時におきましては、予算がなかったために特別調整額をつけなかったのでございまするが、その後やはりそういう、たとえば研究官職等におきましても計量するのにはむずかしいけれども、やはり相当の処遇をするのが適当というようなものにつきましては、特別調整額を設置して参っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/172
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173・受田新吉
○受田委員 人事院のお考えはこの法律の番人としてあまりに無責任だと思うのです。大体こういうような根本的な方針を持って人事院は常に公正妥当な線を打ち出さなければならない。それをあなたの方からこういう便宜主義の諸手当、今申されておるようなある程度の特別調整額がいろいろな角度から出されておるのだというような逃避的な御発言があることは、私は大へん残念だと思う。大体予算の都合で出せなかったというようなことを言われるにおいては、人事院は予算上のお差し繰りの上にこれ従うということになる。そうすると、それはとかく反動政府が考えてきた予算局を作るとか、人事局を作るとかして内閣直属のもとにこれを支配する方がよほどいいはずです。私はそういう意味で、今日まで公務員の基本的な立場、常に身分上、給与上の立場が守られてきたその背景に、人事院が厳と控えておったそのことに、非常に大きな期待と喜びを感じておったのでございますが、人事院は今や全く予算上の都合であり――また法律の番人であるべきものが、給与の根本的法規とも言うべき給与法第四条に書かれておる根本原則を適宜、逸脱して、勝手な解釈をするに至っては、人事院の存在価値なし、あっさりこの際人事院を廃止して、内閣の人事局に移した方がもっとすっきりした行政ができるという印象を国民に与えるのじゃないか、こういう意味からも、給与法の第四条という給与の根本原則を守るために、人事院も勇敢に働くべきである。従ってこれを逸脱する方向をあらゆる努力をして阻止すべきであると思うのです。その点において欠くるところはなかったか、御反省の色があるならばお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/173
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174・瀧本忠男
○瀧本政府委員 人事院といたしましては、公務員法第二十八条によりまして、公務員の給与は適正であるかどうかということを毎年国会及び内閣に報告いたすのでございます。で、必要がありますればあわせてその際勧告をやることになっております。その勧告に基きまして、給与水準の変更ということを国会においてお取り上げ願うことになっておるのでありますが、ただ特別調整額その他におきまして、給与法上人事院にまかされておるものがございます。これは予算の範囲において支給しろというようなことが給与法上に明記してあります。特別調整額は二五%の範囲内において人事院が判断いたしまして必要があるものにつける、こういうようなことになるのでありますが、これは国会で御議論願うことなしに、すでに人事院にまかされておる権限でございます。そういう場合、実質上予算を獲得いたします努力をいたしまして、その予算がついたものしかやれない、こういう事情があるわけでありまして、やりたいと思いましても、予算がつかなければやれない、人事院規則を出してみましても、予算がないためにやれないということであれば、一そう混乱を起しますので、そのような次第になっておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/174
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175・受田新吉
○受田委員 また問題が予算に関係いたしましたが、予算をそのとき政府が出しさえすれば、それに伴うて必ず規則を出しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/175
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176・瀧本忠男
○瀧本政府委員 そういうことはめつたにないのでございまして、われわれの方で幾ら予算を要求いたしましても、大部分が満たされるということはないのでございますので、今のような御議論はちょっと実際的問題としてはわれわれ考えがたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/176
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177・受田新吉
○受田委員 教職員の管理職手当は、人事院がこれまで毎年政府に要求しておったものでございますか。七%という額をもって要求したか――まあパーセンテージはどうでもけっこうですが、常に要求しておったものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/177
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178・瀧本忠男
○瀧本政府委員 はっきりした公文書で要求するとかいう前に、いろいろ瀬踏み等も実際あるわけでございますが、現に人事院はこれを一挙にずっと拡充していくことはなかなかむずかしいので、漸を追うてやっておる次第でございます。たとえば昭和二十九年には大学の事務局長に新たにつける、また三十一年には大学の学長、学部長につける、三十二年には研究機関の長につける、順次こうやって参りまして、国立付属学校の校長、こういうものにもつけたいとかねがね思っておったのでございますが、今年そういう要望をいたしましたところが、これは予算としてお取り上げ願った、このような事情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/178
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179・受田新吉
○受田委員 今年御要望されたわけですね。その七%という額で要望されたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/179
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180・瀧本忠男
○瀧本政府委員 これはパーセントのこまかい問題になって参りますとなかなか申し上げがたいのでありますが、われわれといたしましては現在学長、学部長に一二%ついておりますので、これと同額ということはわれわれの現在の判断におきましてはちょっと考えられない。従ってこれはやはり従前ありました区分の甲乙丙丁の丁という程度がよろしいのではなかろうか、さような見当で予算の要求をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/180
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181・受田新吉
○受田委員 この七%という数字をあげられた文部省の根拠はどこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/181
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182・内藤誉三郎
○内藤政府委員 今人事院の給与局長からお答えがございましたように、従来管理職手当につきましては甲が二五%、乙が一八%、丙が一二%、丁が七%、それで学長、学部長の職務の実績、高等学校以下の校長の職務の態様等を勘案いたしまして、また予算の状況とも見合いまして七%にしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/182
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183・受田新吉
○受田委員 そうしますと、予算上の事情が許すことになれば、一二%という国立学校の大学の学長と同じように持っていくのが適正であるとお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/183
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184・内藤誉三郎
○内藤政府委員 私どもとしてはできるだけ少しでも国立の大学の学長及び学部長に近づけたいという気持を持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/184
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185・受田新吉
○受田委員 国立の学校に勤務する職員の中で丙あり丁ありというような形のものはちょっと問題があると思うし、また七%というこの数字は、これは新制度だと思います。この七%という数字などというものが、丁格よりもまた違う新しいものが出たということは、これまた非常な意義があると思うのでありますが、この点もあわせ御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/185
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186・内藤誉三郎
○内藤政府委員 国立大学でも事務局長は現に一八%でございます。学長、学部長が一二%、七%といたしましたのは、先ほど来お話がございました管理職手当の支給区分に甲乙丙丁とあって、丁が七%でございましたので、一応七%にしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/186
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187・受田新吉
○受田委員 丙と丁という分け方をなさったのは予算上の都合ですか、ほかに何か理由があるのではございませんか。この間参議院においては佐藤大蔵大臣は、この問題はこの辺が適当であるという意味の御発言があったようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/187
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188・内藤誉三郎
○内藤政府委員 従来から甲乙丙丁の区分がありましたので、私どもとしてはできるだけ一二%にしたいというので予算要求をいたしましたけれども、学長、学部長等の職務との均衡もございますし、かたがた予算の点もありまして、七%にいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/188
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189・受田新吉
○受田委員 予算の都合で七%というようにいいかげんに引かれることによって、国立大学が優先し、中小学校が冷遇されるというような問題も起るわけです。学校校長であればこれは一貫したものでなければならないし、そうして調整額を設定するならば、十分それらの職務のそれぞれの責任の度合いというものを考えて定めなければならないものを、いいかげんに予算上の措置でこういうものが設けられるということには問題があると思います。しかもあなたがきのう答弁された中に、教職員に三つの等級制がある。一、二、三とある。その一等級の中へも二等級に当るべきもので適当なものを入れることができる、こういうようなことになって、あの等級制度というものはきわめて厳格なものではないのだというような御答弁もあっておるわけです。そういうようなことを考えてみますると、どこかいいかげんな、原則を無視した形のものを至るところであなた方の方が断行しつつあるというような不安を感じてしょうがない。きのう辻原君から資料を要求されたあの数字等もあわせて一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/189
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190・内藤誉三郎
○内藤政府委員 私ども別にいいかげんな資料でやったわけではございませんで、従来からあった甲乙丙丁の丁を適用したわけでございます。それから一等級の話がございましたが、一等級になっておる職員、校長以外の者で一等級になっている者は何人あるかというお尋ねでございましたけれども、国立学校につきましては百五十二人ございます。それから地方の教職員につきましては目下調査中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/190
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191・受田新吉
○受田委員 国立学校は何名でございますか、もう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/191
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192・内藤誉三郎
○内藤政府委員 百五十二名校長にあらざる者が一等級に格付されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/192
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193・受田新吉
○受田委員 国立学校の数字の全体は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/193
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194・内藤誉三郎
○内藤政府委員 それについての教員数は調べますからちょっとお待ち願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/194
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195・受田新吉
○受田委員 それではそれはあとからお伺いすることにして、私はここでぜひ取り上げなければならない問題は、教員に従来超過勤務手当制度がなかったということです。この理由がどこにあったかということを再確認しなければならぬ。あなたは簡単に、管理監督の地位にある者だということで管理職手当を出すのだとあっさり考えられて、文部大臣もそう仰せられておるのですが、しかしながら教職員に今日まで超過勤務手当制度なるもの、俸給の特別調整額の根拠になる手当制度がなくて今日に至っているということを考えたときに、何を好んでここに校長だけに管理職手当を出して一般教職員に超過勤務手当を出さないのかという疑いが起るのです。これを抜きにしてこの問題を論議することは私はできないと思うのでございますが、いかがでございますか文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/195
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196・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 この点につきましてはもうしばしばお答えを申し上げておると思うのであります。私どもといたしましては超過勤務手当とこの管理職手当とは関係はございませんということを申し上げておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/196
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197・受田新吉
○受田委員 そのことは管理監督という立場をもとにした手当であるという意味でそう仰せられておると思うのでございますが、この制度の誘因を考えたときに、他のお役人の場合、一般行政職の場合には明らかに例外なしにその超過勤務手当が出ておる、それがその一部の管理監督の地位にある者に許して変形されて特別調整額になっている、こういう行きがかりがあるのです。その給与制度の行きがかりを捨てて、単に一時的な事象をとらえてこういう手当制度を創設しようというところに今回の問題があるわけです。大臣は道徳教育を盛んに唱えられる人でございまするが、第一線の学校の先生たちというものは、これは校長だけが給与が上ってほかの先生は超過勤務手当も何も上らないというような給与差が開くことについて、非常に心外に思っておりますよ。校長だけが待遇がいかによくなっても、他の者が手当がよくならないということになるならば、PTAの会合に出てこういう仕事をお手伝いしてくれという指示を与えることもできない、あるいは答案の整理をするについてもあまり無理を要求することができないという配慮が起ると思うのです。この際あなたはせっかくこういう制度を設けようとされるならば、あわせて、他の一般行政職にあるような、超過勤務をした場合に、いわゆる時間外勤務に対する正当な報酬を与えるという努力をすべきじゃありませんか。一般職員をいいかげんに扱って校長だけを管理監督といういかにもいばった言葉を出されておりますが、道義の根源である文部大臣がそういうふうに人間に差別観念を植えつけて、そうして待遇差を大いに拡大しようというような考えを文部省自身がお持ちになるところに問題があると思うのですけれども、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/197
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198・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 一般の給与とこの管理職手当とを同じようにお考えになるところに、私は意見の相違が現われてくると思うのであります。教職員の一般の給与の問題につきましては、もちろん文部省といたしましては、十分これに対して注意を払い、できるだけ適正な処遇をして参ることに努力することはこれは当然なことであります。しかしこの管理職手当は、再々申し上げますように、学校の管理または監督の任にある人たちに対して、その地位にかんがみて出そうというのであります。しかも今回初めて出そうというのじゃございません。すでに大学の学長あるいは学部長等には出しておるのであります。その引き続きの一つの考え方として、公立の高等学校以下の学校長にも出し、またこれと関連して地方の学校長にも出そうということでありますので、筋道は別でございますので、どうぞさように御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/198
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199・受田新吉
○受田委員 国立の大学長に出しておる前例があるということになるならば、国立の大学長のうちで東京の大学長は、これは一般の中央官庁の例を見ましても、ほとんど二五%という管理職手当をもらっている。それをなぜ好んで一二%に切り下げたか、御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/199
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200・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 給与の額と申しますか、これを決定いたしまするのについては、予算その他のいろんな関係を考慮に入れて額が決定せられると思うのであります。これは理論上正しいか正しくないかというようなことについてはいろいろ御意見もございましょうけれども、実際資金の問題として制約を受けるということは、これは当然なことでございます。またいろいろ他の事情も勘案いたしまして、これによってまた額が決定されるということもございましょう。私はそういう意味におきまして、今日の一二%というものも、決して絶対のものとは思いません。しかし一応これが適当であろうということできめられたものと承知いたすのであります。今回の七%の問題にいたしましても、決してこれが未来永劫変えられない、絶対のものとは思っておりませんけれども、今日の場合といたしましては、まずこの辺が相当なところであろうということで決定せられたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/200
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201・受田新吉
○受田委員 中央の大学の学長は中央の官庁の最高責任者と同様に二五%にすべきではないかということに対する御答弁がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/201
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202・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 これは御意見として伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/202
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203・受田新吉
○受田委員 御意見でなくて、ここにあなた方の考えられる問題がいいかげんな線で処理されている根源があるわけなんです。中央の官庁の責任者は、管理監督の地位にあるものは二五%という甲額がもらえておる。従って東京の大学の学長はそれに相応したものをもらうべきである。これはもしあなた方の理論をもってして推し進めるならば、そういう考え方になるべきじゃないかと思うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/203
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204・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 ある官職に対しましては二五%であるし、またある官職に対しましては一二%であるということにはそれぞれの事情があると思うのであります。その事情によりまして、一般の官庁の官職に対しましては二五%となり、大学の学部長に対しましては一二%となる、かように私は承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/204
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205・受田新吉
○受田委員 その事情は文部省が御承知されて、大学の学部長におつけになられた事情をはっきり言って下さい。二五%、一八%、事務局長は一八%、また学長は一二%、むしろ学長の方が低いところにあるという根源、これはおわかりだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/205
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206・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 政府委員をして答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/206
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207・内藤誉三郎
○内藤政府委員 大学の事務局長が一八%になりましたのは、これは従来から超勤がございましたので、先ほど来お話のありました超勤的なものが考慮されております。それからもう一つ学長、学部長につきましては、すでに教職員は、学長、学部長を含めて、超勤手当を出さないかわりに、調整号俸を出しております。ですから調整号俸の上にさらに管理監督に伴う管理職手当を支給するのでございますから、その率は若干下るのが適当ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/207
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208・受田新吉
○受田委員 その若干の根拠をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/208
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209・内藤誉三郎
○内藤政府委員 若干と申しますのは、管理職手当が、甲が二五、乙が一八、丙が一二とこういう基準でございますので、一八より下れば一二ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/209
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210・受田新吉
○受田委員 そうしますと、事務局長と学長を御比較になったのですが、ほかの二五%をもらっているものとの比較はされなかったのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/210
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211・内藤誉三郎
○内藤政府委員 これは他の公務員と、また学長、学部長あるいは事務局長その他の公務員との全体の調整をした上できめた額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/211
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212・受田新吉
○受田委員 その全体の調整の根拠をお示し願いたい。これは非常に大事なことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/212
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213・内藤誉三郎
○内藤政府委員 これは私どもとしては、大体これで均衡がとれる、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/213
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214・受田新吉
○受田委員 大学の学長の一等級は行政職の最高俸七万二千円が久しくそのままにとまっている。二十九年一月以後そういう大学の学長の該当者の少数に与えられている、この行政職の最高俸というものが、いつまでもその座にあることを考えたときに、あなたはそれで全体の勘案をしたと御答弁ができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/214
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215・内藤誉三郎
○内藤政府委員 三十一年の当時におきましては、調整がとれておったと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/215
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216・受田新吉
○受田委員 そういう調整の根拠です。三十一年はすでに一般行政職の給与の改善がされておるときであるにもかかわらず、行政職最高俸はそのままに据え置かれたという現象があったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/216
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217・内藤誉三郎
○内藤政府委員 ですから私が先ほど来申し上げておりますように、従来教職員については超勤的な要素は調整号俸として本俸に組み入れておる。これは校長を含めてでございます。その上に管理監督に必要な調整号俸を出すわけでございますので、その率が低いのはある程度やむを得ないのではなかろうか。もちろんその中でこれが一二%が非常に今後不合理だということが判明いたしますれば、これはかえることは努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/217
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218・受田新吉
○受田委員 私はさらに今回の法案に関連して今辻原議員から提出された管理職手当を削除する問題に触れていくわけでございますが、学校の先生という特別の職務というものは、これは灘尾さんが大臣に二度なられておるそのつど力説されておることです。教職員に対する特別のプライドを持つというような意味の御発言がしばしばあった。従って学校の先生に対する待遇というものは、単に勤務時間だけで処遇をするということは、はなはだお気の毒であるというお考えが、良心的なお考えがあるならば、校長だけにこの手当制度を創設しないで、同時に一般教職員にも超過勤務をした場合における手当を当然出すべきである。しかも文部省は資料をお持ちだと思うのでございますが、教員の勤務時間というものを調査した資料があると思うのです。校長の勤務時間と教員の勤務時間というものの資料が出ておると思うのです。その資料を一つお示し願いたいと思うのです。私は教員の勤務時間の方が、むしろ校長の勤務時間よりも長いのではないかという印象を持っておるのでございますが、この点もあわせてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/218
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219・内藤誉三郎
○内藤政府委員 教員の勤務時間が明確に把握できますならば、これは御指指のように超過勤務手当を出すべきであると思う。ところが教員の勤務の実体が明確に捕捉しがたい、たとえば授業時間だけが私どもは勤務時間と考えないのであります。これに必要な予習もあるだろうし、あるいは児童の評価、採点等もあるでしょうし、いろいろ自後の措置があるわけであります。あるいは夏季の休業日あるいは冬季の休業日等の事情もあります。いろいろ実体が捕捉しがたい、こういうような事情から特別調整額を出したわけでございますので、こういう点を考えまして教員の勤務の時間というものは明確に捕捉できない、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/219
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220・受田新吉
○受田委員 その特別調整額を出したことで今片づけておられる。特別調整額を受けておるのはすべての教員で、そのうちで校長だけが特別の手当を今度もらうということになる、そこをあなた方は考えてみなければならぬ。従って校長だけに、管理監督の地位にあるから、しかもそれを教頭におろそうとされたのでありますが、そういう考え方は他の職種の職員に比べて教員の場合は校長と一般教員の待遇は差が開くことになるわけです。大きくなるわけです。これは大臣、おわかりになるわけですね。それは御確認になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/220
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221・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 どうもたびたび申し上げておるように思うのでありますが、今回の管理職手当は、勤務時間という関係から出したものではございません。校長のその職務にかんがみまして出すのでありますから、これと一緒にせられないようにお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/221
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222・受田新吉
○受田委員 大臣にお尋ねしているのは、その教員のうちで、校長と一般教員のもらう本俸、手当を含めた給与上の差が広がるということを御確認になるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/222
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223・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 一般論から申しましてそういうことになりましょう。受け取ります金額、そういう点からいえば、確かに開きを生じてくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/223
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224・受田新吉
○受田委員 この給与の中に、大臣御承知の通り、本俸と諸手当と二つあることはおわかりだと思う。生活をささえていく根源は職務給と生活給を合せた総和である。その総和であるうちで、今度あなたがお出しになられたのは、職務給的な性格を持った手当を教員のうちの校長だけにお出しになろうというわけです。そうしますと、教職員の生活の実態から見て、職務給、能率給、生活給というようなものを総和したその額の上に差等が大きくなるということは、教員の生活の上に一つの開きができて、校長と一般職員との間にみぞができるおそれがあるということも考えなければならない。つまり給与の適正と人事の公平というものが、国家の行政組織を運営する一番大事なことであり、特に教育行政をつかさどる上で一番大事なことだと私は思うのです。先生たちの満足した公平な給与と、そしてその身分上の確保をしてあげるということが、文部行政の要諦だと私は思うのです。その要諦にはずれるおそれはないかということを私は極力おそれておる。大臣、あなたが、他の一般職種に見ることのできない、超勤手当制度のない教職員の中で、管理職手当というものを校長だけに出せば、そこにそうした問題をはらむおそれのあることも十分御検討していただかなければならぬと思うが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/224
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225・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 この管理職手当を除いた給与につきましては、校長も一般の教職員も同じように扱われておるわけでございます。これはいわば、管理、監督の任にあるというその職務にかんがみまして特別に出すものでございます。このために開きを生じましてもやむを得ないことと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/225
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226・受田新吉
○受田委員 あなたはあっさりそうおっしゃられますが、今までそれがなくて済んだのですよ。なくて先生たちに不満があったんですか。校長と一般職員との間において、管理職手当が出ないために不満が爆発したという事例がありましたか。非常に平和な教員社会ができておった。そこでこういう新しい制度を創設されるところに問題がある。私はそれを申し上げておる。今まで出さなくて済んでいたのが間違いだと大臣はお考えなのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/226
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227・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 私は今日の学校長の重要な職務ということを考えます場合に、これに管理職手当を出すことは適当だと考えて、これを提案いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/227
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228・受田新吉
○受田委員 一般教職員に対して超過勤務の手当を同時に本筋としては考えてみたいのだが、予算上の問題としてこれができないのだというお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/228
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229・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 遺憾ながらこの問題はいわゆる超過勤務手当の問題と関連せしめて私は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/229
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230・受田新吉
○受田委員 関連さしておらないが、超過勤務というものを考える段階にきていることは、別の意味でお考えですか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/230
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231・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 目下のところ別に考えてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/231
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232・受田新吉
○受田委員 しからば、さっき局長から御答弁になられた一等級、二等級、三等級の問題からもう一ぺんお尋ねしますが、人事院規則にあるところの一等級の中に校長が入っているわけですが、この原則の中に、さっき二等級から上るものがあるという例を言われましたが、これは原則的には一等級は一等級としての職務給的な性格を持っておるとお考えでございますか。そして二等級から一等級へ上り得る者は例外だとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/232
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233・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 政府委員からお答えを申します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/233
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234・内藤誉三郎
○内藤政府委員 一等級は一等級に相当する者を格づけするわけでありまして、二等級から上ることは例外でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/234
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235・受田新吉
○受田委員 そうしますと、原則的には一等級の中には一等級としての職務給が考えられておるとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/235
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236・内藤誉三郎
○内藤政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/236
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237・受田新吉
○受田委員 そうしますと、責任の度に応じた待遇は、今回の改正措置によって、一、二、三等級によって、それぞれその責任の度に応じた処遇がされておると一応断定できますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/237
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238・内藤誉三郎
○内藤政府委員 それが不十分ですから、特に校長には管理職手当を支給するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/238
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239・受田新吉
○受田委員 そうしますと、二等級が一等級になるという場合は、その職務の度合いはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/239
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240・内藤誉三郎
○内藤政府委員 これは実例で申し上げた方がいいかと思います。一等級は原則として校長でございますが、教員のうちでも、大きな学校の教頭等は校長に準ずるような職務をいたしておりますので、こういうような者については一等級に格づけすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/240
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241・受田新吉
○受田委員 そうしますと、一等級をもらい、かつ管理職手当をもらうということになると、最近において極度に校長は処遇がよくなるという結果になることがおわかりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/241
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242・内藤誉三郎
○内藤政府委員 別に一等級になったから特にいいというわけではなく、管理職手当がつけばそれだけ優遇されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/242
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243・受田新吉
○受田委員 今まで各等級によってそれぞれの責任の度合いに応じて待遇が一本化されていたときと、今日の等級制に分けられたときとでは待遇差ができているわけですね。等級の高いところの者は高い待遇を受けるようになってきた。それがさらに管理職手当を受けることによって、一般職員との間により一層待遇の開きができてくるわけですね。それがあまりにも大きく二段階を踏まれているというところに問題がある。これを軽くお考えになるところに、現実の教育界の実情を無視されるおそれが起っておるのです。一般職員としては、原則としては校長にならなければ一等級になれないのです。その原則としてなれない一等級の人はさらに管理職手当をもらえるということになれば、そこに二段階跳躍の待遇というものが校長だけに行われてくるのです。そこを私は憂えているのです。御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/243
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244・内藤誉三郎
○内藤政府委員 そのお説は、一般公務員の場合に、局長、課長がそれぞれの処遇を受けておりますが、なおそれにもその上に管理職手当が支給されておるのでございますから、そのことと私は同じだろうと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/244
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245・受田新吉
○受田委員 そこに問題が一つあるのは、繰り返し申し上げることになるのですが、一般職員と教職員との間には超勤制度があるなしという問題が一つあるわけなんですから、そこを考慮に入れないでは一般論で解決できないということを御判断願わなければならないのです。いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/245
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246・内藤誉三郎
○内藤政府委員 そういう点を考慮して、管理職手当の支給率は七%の定率になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/246
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247・受田新吉
○受田委員 その問題は、これは非常に論弁ということを申し上げては失礼でございますが、七%という低率でごまかすというのは、これは予算上の問題だとあなたは仰せられたのですよ。従って原則としては一二%でも出したいのだと仰せられておるのですよ。そういうところに問題があるわけです。だからそういう手当を出す以上は、一般の教職員にもあわせて超勤制度というものをしいてあげなければならないという結論になるわけです。これを同時に考えられるという配慮があるならば、われわれとしてもあなた方の意のあるところに対してある程度の了承をせざるを得ない。そういうところを一つ考える。もう一つは、現に教員の中に超勤手当を出しているところがあるわけです。試験の採点をしたりするときに特別に超過勤務手当を出す制度があるわけです。国立学校の先生あるいは都道府県にそういうものがあるわけです。そういう者の超勤はどういうように考えていくべきか、これを御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/247
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248・内藤誉三郎
○内藤政府委員 先ほど来申し上げておりますように、教員の勤務の実態が捕捉しがたい、こういう点からこの問題を調整号俸で解決した。これは原則論でございます。私どもは教職員の給与の改訂には絶えず配慮しておりまして、給与の三本建に当りましては、一号の調整をするとか、あるいは昨年は高学歴者に対しては一号ないし二号の調整をいたしております。ですから全体として――あるいは初任給の場合でも、普通の公務員よりは二号いいわけでございます。こういうふうに全体の給与体系を向上させるように、特に教職員の職務の実態に即応するような待遇改善をはかってきておるわけであります。
そこで今御指摘の点は、特に最後の点の、試験等の超勤はどうかというお尋ねでございますが、特殊な場合、すなわち試験の場合、あるいは論文審査、こういうような場合には、特別な超勤を出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/248
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249・受田新吉
○受田委員 その特別な超過勤務手当というのは、何の規定で出され、また実態はどういう額を出されておるか。国家公務員と地方公務員に分けて御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/249
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250・内藤誉三郎
○内藤政府委員 これは一般の公務員の例によって出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/250
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251・受田新吉
○受田委員 その一般の公務員の例といいますると、一時間につき幾らという割で出しているわけですね。その額がどうなっているか。全体を通じてどういう額を予算上に考えているのか。地方公務員の場合は、どういう指導をされておるのか。そういうことをどんどんやることを指導されておるのかどうかも御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/251
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252・内藤誉三郎
○内藤政府委員 特に国立大学では、非常に入学試験が激甚でございますので、入学試験に伴う繁雑な事務がございますので、そのために、特別に超過勤務手当を支給しておるのでございます。ただ府県の場合には、これは各県のいろいろな御事情がございまして、入学試験のような形で国立学校とはだいぶ御事情が違うと思うのです。各県においてどの程度出しているかということは、私ども今のところ詳細には存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/252
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253・受田新吉
○受田委員 国家公務員に出している超過勤務手当をもう少し前進させて、先ほどあなたが言われたような調整額のほかに、十分管理職手当に見合うべき額を出すという考え方はないのか。また地方公務員に対しても、現に支給されている試験、採点等における特別超過勤務手当を、もう少し前進させるというようなそういう措置を講ずる用意はないのか。これもあわせて御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/253
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254・内藤誉三郎
○内藤政府委員 先ほど来申し上げますように、教員の勤務の実態は複雑であり、非常に多岐でありまして、捕捉が困難でございますので、この教員の勤務実態に即応した給与体系というものが、私どもは理想であると考えております。ですから特別に超過勤務手当ということは、私どもは特殊な場合を除いては考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/254
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255・受田新吉
○受田委員 あなたの先ほどの、教職員に対して最近調整された一、二号俸昇給、あるいは高等学校に対して一号の昇給とか、こういう問題は、これは全体の職員の問題です。ところが今回の措置は、学校長に対するだけの特別措置がされておるわけです。そこにまた問題がある。これが一般の問題として取り上げられるならば、ここであなたにいろいろと御批判を申し上げるすきはないわけでございますが、そうした一般論でなくして、特別な規定を制度化したというところに問題がある。これが教職員の管理職手当、従って私が今申し上げたような、正確に教員の勤務時間の測定ができないからというので、超勤制度は今のところ考えてたいというような考え方は、今大臣が、超過勤務というようなものは考えてあげるのが別の意味からはいいというのと、矛盾してくると思う。そういう意味で超過勤務というような制度を、別の意味で考えてあげて、その間のバランスをとっていく努力を文部省がされない限りにおいては、この第一線の教職員の待遇上の問題は永久に尾を引く。これはどうですか。一つそこへ勇敢に踏み切る勇気を持ってこの法案をお出しになるという、そういう考え方に直す意欲はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/255
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256・内藤誉三郎
○内藤政府委員 お説のような理由から、従来一般の公務員と同じ俸給表を使っておりましたのを、教職員に対しては別個な俸給表を作ったわけですが、これが改善については今後も努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/256
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257・受田新吉
○受田委員 別個の俸給表ということは、これは校長と一般の人を別に考えた俸給表ではないわけです。全部一律に考えた俸給表でございます。従ってそういう待遇向上をするのであれば、これは十何年間黙って教職に当った職員の皆さんに対しては、非常にいいはなむけだと思います。ところが校長だけに対する全く異例の措置をされたというところに問題があるということを、もう一度考えなさらぬかということ。もう一つは、公務員制度調査会が給与上の問題として政府に答申をしておる問題の中に、諸手当の簡素化という問題があるわけです。そういう意味からも今後の給与体系は本俸主義でいって諸手当は全部整理、簡素化するという建前からいうならば、十何年も今日まで済んでいた問題を、寝た子を起すように蒸し返して、管理職手当を出して体系に波紋を投ずるということは、政策の下の下なるものと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/257
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258・内藤誉三郎
○内藤政府委員 何か十何年来沈黙というようなお話がありましたが、管理職制度が施行せられましたのは昭和二十八、九年ごろからでございまして、国立大学につきましては自来私どもは予算要求をし、また人事院当局とも折衝して、ようやく三十一年度に学長、学部長等に支給し、さらに研究所長、病院長というように及ぼしたのであります。今回はそれを高等学校以下に及ぼそうという趣旨でありまして、現在の給与体系の中においてより合理化するのが、私どもの役目だろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/258
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259・受田新吉
○受田委員 教職員の持つ職務のうちに、行政職としての要素がどういう程度にあるものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/259
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260・内藤誉三郎
○内藤政府委員 ですから行政職と申しますか、一等級、二等級、三等級に分れてありまして、校長は原則として一等級です。ですから一等級が主として校長の待遇でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/260
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261・受田新吉
○受田委員 そうしますと、政府が考えておられる、教頭にもこの管理職手当を出したいということになりますと、教頭は原則として各校に一人ずついると思います。級は、そういう原則として各校に一人ずつあるような場合は、校長職、教頭職、教諭職、助教諭職というように、四等級が考えられる。そういう構想をお持ちでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/261
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262・内藤誉三郎
○内藤政府委員 現在教頭は原則として二等級に格づけされております。ですから二等級の中に一般の教員と教頭と二種類あるわけであります。教頭は校長を助けて校務を整理するという重要な職責にありながら、普通の職員と同じでございます。ですからその職務の特殊性にかんがみまして、何らかの優遇をする必要があるのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/262
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263・受田新吉
○受田委員 そうしますると、私がお尋ねしてるのは、その二等級におる教員の中に教頭と一般教員と――校長、教頭、教諭、助教諭というような形で、これを一段階ふやすという考え方が一応構想に浮ぶわけであります。そういうことも考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/263
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264・内藤誉三郎
○内藤政府委員 そういう考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/264
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265・受田新吉
○受田委員 私は教職員の行政的な職務の内容からいって、政府が今意図しておられる教頭職、これを創設して、これに管理職手当を付与しようという問題が、次の問題に乗ってるわけです。そういうことを考えると、教員の等級制を一本ふやすという考え方が浮んでくると思う。そういう危険が多分に出てくると思う。これは今はやっておらぬということを言うけれども、実際にやってくると、そういう方向に行く。それはけさほど人事院総裁が答弁されたうちに、二十七年当時にお約束された俸給の特別調整額ができた当時の超勤の変形という考え方から、管理、監督の地位を浮き彫りした今日に切りかわっておるということを考えても、こういう法律ができるときはいい加減なことを言うて、それから何年かたつと、その当時とは変った意味でものを考えようとされるおそれがある。それは行政官の皆さんが常に誤りを犯した通弊です。そういうことを考えたときに、あなた方は今回この管理職手当を出して、ほくそえんで、やったぞというような喜びを感ぜられる。次の問題として、そうしたせっかく美しい団結をしている教職員の世界に、新しい階級差とみぞを作って、そこに管理監督の地位にある者と一般教職員との間に、はなはだわれわれとしては考えたくない一つのみぞが深まる心配を感じているのです。国家百年の大計の上から、せめて教育職の世界にだけは、あなた方の考えられているような行政職の誤まりを犯したそういう考え方を植え付けることをお避けになることが私は賢明だと思うのです。ここをまことに憂慮にたえないので、せっかく灘尾さんのような公平な文部大臣が出られた機会に、しかも道義の高揚を叫ばれるこういうりっぱな大臣を迎えた機会に、こういうへまな法案をお出しになられて、給与体系を乱り、十年間以上も続いて今日第一線の教職員が十分これに満足して従っているこの給与体系を変更させるようなことをどうか一つおやめ願いたいと思うのですがね。大臣、あなたの御在任中に、国家百年将来の大きな汚点となるべき一つの問題がこの瞬間にはらむおそれをあなたは考えないのか。一つ十分高い立場から御判断を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/265
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266・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 私はこのたびの管理職手当を実施いたしますことは、今日の学校関係の職員に対する給与の制度といたしましては、一つの進歩を示すものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/266
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267・受田新吉
○受田委員 もう質問は終りたいと思うのですが、進歩というのは、どういうところに進歩があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/267
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268・灘尾弘吉
○灘尾国務大臣 われわれといたしましては、これまでにもこういうものをやりたいと考えておりました。これがいよいよ実現する運びになりましたので、進歩と申し上げるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/268
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269・受田新吉
○受田委員 この管理職手当というものが問題になったのは、ごく最近のできごとです。大学の学長、学部長に手当の制度が作られたきには、国立学校及び中小学校の問題は全然考えていたかった。はしなくも昨年の末に、九月に直したばかりの俸給の特別調整額の人事院規則を、この規則ができて二、三カ月したら、もうさっそくこういう改正措置をしなければならないような問題が巻き起っておるのですね。しかも教頭にまでそれを及ぼそうとしておる。こういうことは、他の一般職種と比較して特殊の任務を要請されておる文部省の教員に対する考え方としては、非常な大きな矛盾だと思うのですが、大臣、今辻原議員から提案されたこの管理職手当の削除、この部分を削除しておくということ、これは一般教職員に対する友愛の情をあたため、教育に専心するところの教職員独特の俸給表、独特の待遇に対する一つの裏づけをすることになると思うのでございますが、文部省の十分の反省を促し、この管理職手当部分を削除して、長期にわたってその本俸の中に特別の調整額として考慮され、そして校長、教員の区別なく一本でその体系のできている教職員の給与体系を守るという形に、あなたがお考え直し願うことを要望いたしまして、私の質問を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/269
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270・坂田道太
○坂田委員長 これにて修正案に対する質疑は終了いたしました。
これより市町村立学校職員給与負相法の一部を改正する法律案並びにこれに対する辻原君外三名提出の修正案の両案を一括して討論に付します。討論者小牧次生君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/270
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271・小牧次生
○小牧委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいまわが党から提案をいたしました修正案に賛成をいたし、修正部分を除く政府原案に対しまして反対の討論を行うものであります。
今回政府の方から提案せられました法案の中には、一般の教職員に対する通勤手当の支給が含まれておりますが、これは後ほど触れるといたしまして、まず初めに管理職手当の問題について私の反対の意見を申し上げたいと存じます。
これでもって一番問題となりました点は、給与法上の問題であろうかと考えます。たくさんの委員の方々から昨日来長時間にわたりまして熱心な質問が展開されました。その質問の中心は、今申し上げた通り給与法上の問題であったわけであります。すなわち今回提案せられました管理職手当は、現在の給与法上多くの疑点がある、同時に現在の給与体系、賃金体系をはなはだしく乱るものである、こういうような建前からいろいろと突っ込んだ質問が行われたわけでありますが、これに対する人事院並びに文部省側の御答弁を聞いておりますと、われわれの疑問とする点を十分解明されておらない。同時に人事院と文部省の間には、その考え方に相当な相違があり、不統一があるとわれわれは考えるのであります。
給与の問題点となりましたのは、今もいろいろ質問がありましたが、特別調整額の問題であります。学校の教師の場合、勤務時間が非常に複雑であるために、その測定がきわめて困難である。こういう事情からいたしまして、一般の公務員に比較いたしまして給与上の水準差を設けて、そして超過勤務手当をも含めて、現在の教師の別個な給与法が決定されている。これは先ほど内藤局長からも答弁のあった通りであります。このことからいたしまして、一般公務員の例にならって管理職手当を校長にのみ支給することが果して妥当であるかどうか。今、わが党の受田委員からもこの問題について熱心な質問がありました。もしこれを支給するとするならば、学校の校長と一般の教職員の間に非常に大きな給与の差ができる。そして学校内に無用の対立や不安を起す危険性がある。学校はあくまでも話し合いの場でなければならない。いろいろな問題は話し合いによって解決されていかなければならない場所である。そういうようなところに無用の混乱を起す可能性があり、危険性があるからよろしくない、こういうような意見が展開をされたのでありますが、こういう意味におきまして、現在の給与法の建前をくずすと同時に、無用の混乱を学校の場に引き起す意味において、私どもはどうしても納得できない。
またその次に重要な問題は、大学の学長や学部長の職務の内容と性格が、小学校や中学校の校長とは相当ひどく異なっている、私どもはかように考えております。また一般職の公務員の例にならってやろうとすることは、教育の実情を無視しており、また法律の内容を無視したものであると言わなければならないと考えております。
その理由は、なるほど今回の法律案は、小学校、中学校の校長に手当を出すという財源的な措置としての法律案ではございますが、いわゆる校長が管理職であるからこれに管理職手当を出すという法律上の根拠は何らない。どこを探してみてもない。これは数日来のわが党の委員の方々の質問によっても明らかであります。ただ国立の高等学校校長以下に管理職手当を出せば、当然これに準じて市町村立の小中学校の校長にも管理職手当を出すようになる。ところがその基本になるところの国立の高等学校以下の校長の管理職手当の手続も人事院の規則もまだ改正されておらない。これは人事院の方々の御答弁によって明らかであります。その基礎になる国立関係の校長に手当を出す規則が改正されないで、ただ単に予算が通っておるから、予算措置がなされておるから、後ほどこれを改正して、そうしてこれに準じて市町村立の学校の校長にも管理職手当を出すのだ、こういうような本末転倒した手続が今回この法案の提出にとられておる。こういう点は私どもはどうしても納得できない。また学校教育法の第二十八条にありますところの「校長は、校務を掌り、所属職員を監督する。」これに基いて学校長は管理または監督の地位にある者だからこれに管理職手当を出すのだ、なるほど学校の校長はいろいろ校務をやり、そのために特別な仕事がありまして、学校の一般の教職員とは違った点があります。しかしそれだからといって、学校の校長の監督権というものは一体どういうものか、これは私は非常に問題であろうと思います。すなわちいろいろな問題を事前に指導したり、あるいはまた学校の教員を指揮、命令したり、そういうことは私はできないと思う。私は監督という意味は、そういうふうには解釈いたしておりせん。従って大部分の仕事は、一般の教員と学校の校長とは異らない。そのために学校においては、校長と先生方がいろいろ話し合って、いろいろな問題の処理を進めていっておる。こういうところへ無理やりにこじつけて、しかもまだ人事院規則も改正されておらない今日、無理やりにこじつけて無理な解釈をして、学校の校長は管理者だ、管理職だというふうにきめつけておいて、これに管理職手当を出そう、こういうやり方には、やはり何かはかに考えがあるのではないかというようなことをわれわれはどうしても考えざるを得ないのであります。
また今回の管理職手当の予算を要求されるに当りまして、聞くところによりますと、三十数億円の予算を文部省は要求されたと聞いております。あるいは数字が幾らか違うかもしれませんが、相当額の予算を要求されたと聞いておる。ところが大蔵省との折衝の過程において、なかなかこれがうまくいかないで、管理職手当においては四億四、五千万円、通勤手当においては五億数千万円、こういうような数字になったようでございます。こういうように無理にこじつけて出そうとする。このような予算の要求額というものは相当額に上っておる。ところが、今私どもは文教委員会において、いろいろなわが日本の現在の文教政策上検討すべき問題について論議を重ねておるわけであります。いろいろな今なさなければならないたくさんの問題が山積をいたしております。私がいつも申し上げる通り、わが日本の公立学校の老朽危険校舎の問題、これなども非常に大きな問題であります。年次計画を立てて、早急に老朽危険校舎を解消していかなければならない。また不正常授業に悩めるところが多い。屋内体操場の申請も殺到いたしておるという実情でございます。これは文部大臣もよく御承知の通りであろうと考えております。またそのほか理科教育の振興あるいは僻地教育の振興あるいはまた学校給食の問題、これらの問題を解決するには、なおまだたくさんの予算が必要であります。こういう問題を文教委員は全員一致で急速に解決することに全力をあげ、熱意を傾けなければならぬ段階だと考えておりますが、こういう問題には、今論議されておる問題ほどには熱心なようには、失礼でありますが見受けられない。私どもは党派を越えてこれらの問題については非常に遺憾の意を表しなければならないと考えるわけでありますが、こういう意味において、私どもはほかにまだやらなければならない問題がたくさんあるということを指摘いたしたいのであります。
さらに今日、学校の教職員の給与内容を考えてみましても、これも先ほど来いろいろ問答がありました通り、いまだなお非常に劣悪な条件のもとに放任されております。いろいろな点におきまして学校の教員の昇給昇格の停止、あるいは延伸である。これには地方財政上の問題もあろうかと思いますが、これらの問題のために各地方の県におきましてはいろいろ混乱を引き起しております。こういう問題の解決も、先ほど文部大臣はできるだけ努力すると言っておられますが、果していつこういう問題が円満に解決されるのか、これにはやはり予算措置が必要であります。今日学校の教員の方々は、昇給昇格を停止され、しかもまた昇格を引き延ばされておる。非常に苦しい生活の中で労働基準法に規定するところの労働時間をはるかに上回るところの過重なる労働に黙々として従事しておられる。この実態を私どもは率直に見て、こういう問題にこそ文部大臣あるいは文部省の方々は全力をあげて解決に努力してもらわなければならない。
さらにもう一つ重要なことを申し上げたいのは、先ほど来いろいろ各委員の質問の中にもございましたが、今日勤務評定の問題のために教育界は全国的な混乱のまっただ中に置かれております。今や泥沼の中に入っておると言っても過言ではございますまい。これも私ども文教委員会が取り上げて、そうして少しでも早く事態の円満処理にわれわれは努力しなければならない、こういう重大な問題でありますが、こういう大きな教育界の混乱のまっただ中に、また今回の短期間の特別国会に、強引に今のような法律案を政府が提出されて参った。これも先ほど来私が申し上げる通り、どうしてこういう短かい特別国会にこのような法案を強引に上程されたか、やはりそれには何かほかに考えがあるのではないか、こういうことがどうしてもわれわれの頭から抜け切らない。特にきのうでありましたか、参議院における岸首相の答弁の中にも、学校長を組合員からはずすという問題についてどう考えるかという質問に対しまして、良識に待つとか、あるいは組合に加入しない方が望ましいとか、あるいはそのための法律化も研究中である、こういう答弁をしておられますが、これらの問題と、今議題になっておる管理職手当の問題とは果して別個のものであるかどうか。なるほどこれは別個のものである、こういうふうに言われるでありましょうが、今申し上げた通り、いろいろないきさつを考えてみました場合に、率直に言ってやはりこの問題と別個の問題ではなしに、むしろその裏づけをなすような積極的な意図を持っておるとわれわれは断ぜざるを得ないのであります。人によっては、今回の管理理職手当は、校長が勤務評定の問題のために板ばさみになって非常に苦しんでおる、そのために組合から離脱する、そのための手切金ではないか、これによって組合離脱を踏み切るんだという。特に勤務評定を拒んでおるような校長にこれが与えられると、それを契機として離脱する。そういう意味において私どもはどうしてもその背後における政治的な意図というものを疑わざるを得ない。
いろいろ申し上げたいのでありますが、時間がありませんし、皆さんお疲れのようでございますから、結論を申し上げます。
われわれは、学校の校長さんにどういう意味においても手当を出してはいけないとか、そういうことは考えてはおらない。何らかの意味において、こういうような不合理な、こじつけのようなものでない、堂々たる態度をもって、学校の先生方も同様にもっと研究して、学校内の対立を伴わないような意味における手当を研究すべきである、こう考えております。従って今回政府の出されました法律案は、学校の校長を組合から離脱せしめて、そうしてその組織を分断し、これを弱体化しようとする政治的な意図を持って提案されたものであると私どもは断定せざるを得ません。
こういう意味において、わが党から提案されました修正案――これは管理職手当を除いて、一般の先生方に通勤手当を出して、少しでも現在の苦しい生活の足しにしよう、こういうような意図のものでございますから、私どもはこの修正案にはもろ手をあげて賛成をし、政府の原案に対しましては断固として反対するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/271
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272・坂田道太
○坂田委員長 八木徹雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/272
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273・八木徹雄
○八木(徹)委員 私は自由民主党を代表しまして、ただいま趣旨弁明がありました辻原君外三名の修正案に対しましてはこれに反対し、政府原案に対しまして賛成をいたしたいと思います。
先般来の連日の質疑を通じ、なおまた先ほどの趣旨弁明を通じ、なおまた小牧君の反対討論を通じて看取されるところのものは、社会党の諸君が政府原案に対して反対しようとするところのものは五点に要約されるのではないかと思うのであります。私はその五点についてわが党の所信を申し述べ、これに弁駁を加えたいと思うのであります。
その第一点は、校長が管理職ではないのではないかという認識の問題であります。先ほど辻原君は、学校の管理者は教育委員会である、校長は校務をつかさどるのであって、教育委員会の委任任務のみである、こういうような認識を述べられたのであります。しかしながら学校教育法の二十八条には「校長は、校務を掌り、所属職員を監督する。」という明文がある。この明文をもっていたしましても、校長が管理職であるということははっきりいたしております。
第二点といたしまして、校長及び教員は今超過勤務手当が支給されてない、一般公務員とはここにおいて本質的に違うから、こういうような説をなすのであります。もちろん連日の答弁にありますように、学校の職員につきましては超勤手当は支給されておりません。しかしながらそれらの方々に対しましては、本俸においてそれらの補いをつけておるわけでございまして、そういう意味合いで一般公務員の方々と本質的に違っておるわけであります。そこでそういうような本質的に違っておる公務員と――給与体系上において違っておるのでありますから、これとの区別をする必要はないと思います。われわれは同じく教職員であるところの国立大学の学長、学部長に対する処置と比較対照して、正しいか、正しくないかの認識を持てばいいのではなかろうかと思うのであります。すでに同じように、国立大学における学長、学部長に対しましては、ひとしくこの超勤手当が支給されておりませんけれども、しかし職務の内容上からいたしまして、これらの方々に対して管理職手当を支給いたしておるわけでありますので、それと同一見解の上に立って、小中学校の校長先生に対して出すということは、これは一つもおかしくないと思うのであります。特に甲乙丙丁の四段階に分けまして、それらの超勤手当が本俸の中に含まれておるという観点からいたしまして、校長、教頭に対しましては今回規定が適用されるということは当然の措置であると思うのであります。
第三点といたしましては、これをもちまして給与体系を乱すのではないかという問題であります。私は現行給与というものがりっぱな給与体系だとは決して思っておりません。少くとも生活給を中心にいたしました給与体系であることは皆さん御承知の通りでありまして、今後職務給あるいは能率給という問題がさらに加味されてこなければならない段階がきておると思っております。しかしながらそれは政府によって当然そういうふうな措置が近い将来に行われるべきであると思いますけれども、現行給与体系の中におきましては、これの不備を補うためにいろいろな手当が支給されることはやむを得ないことだと思うのであります。
私はさような観点からいたしまして、学校校長の職務の重大性にかんがみまして、これらの方々に対して管理職手当を出すということは、時宜に適したことだと考えるのであります。
第四点といたしましては、いわゆる文教行政上から考えた場合に、これらの管理職手当を出すということと、その他の文教行政上のもろもろの問題、たとえば指摘されましたように、理科教育、僻地教育の振興の問題であるとか、あるいは学校給食の充実の問題であるとか、あるいはPTA負担の軽減の問題であるとか、あるいは教員定数の問題だとか、いろいろな問題がございます。それらの問題と比較対照することによってこれが不備だとなす論議であります。私は、学校教育というものがさらに充実発展して参りますためには、もちろん教育環境の整備拡充をはかるということは重大であります。しかしながらそれと同時に教育秩序を確立するということもまた大事だと思うのであります。われわれはそれらの物的な、いわゆる施設拡充という問題と、精神的な、秩序の確立という問題との等差をつけるということは困難であろうと思います。われわれは両方ともが充実して、初めてりっぱな教育の進展が期せられると思うのであります。われわれは今後とも、これらの教育行政上の不備な点につきましては、社会党の諸君とともに手を携えてこれが一日も早く実現するように努力をいたさなければならぬと思いますけれども、そうであるからといって、この学校管理職手当というものは不備だという論拠にはならないと思うのであります。
第五点といたしましては、いわゆるこの管理職手当を通じまして勤務評定に関連する政治的意図があるのではないかという点であります。これが社会党の本音ではないかと思うのであります。私たちは、累次の政府答弁にありました通り、これらのことによってあるいは勤務評定を有利に展開しようといったようなけちな考えは持っておりません。われわれは、少くともそういう見解を持つといたしますならば、校長の組合離脱という問題を同時に提案するはずであります。私は校長が組合を離脱することは当然だと思っておりますけれども、それはその人たちの良識にまかすことといたしまして、今後ともそれらを強制しようという意図は毛頭持っていないということをはっきりと申し上げておきたいのであります。
以上五つの点を述べまして、私は政府原案は時宜に適したものであり、辻原君外三省の提案につきましては、これは全く反対のための反対であると断ぜざるを得ないわけでありまして、これに対しては反対をいたしたいと思うのであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/273
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274・坂田道太
○坂田委員長 これにて本案並びに修正案に対する討論は終局いたしました。
これより採決に入ります。まず辻原君外三省提出の修正案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/274
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275・坂田道太
○坂田委員長 起立少数。よって、辻原君外三省提出の修正案は否決せられました。
次に本案について採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/275
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276・坂田道太
○坂田委員長 起立多数。よって市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案は原案の通り可決いたしました。(拍手)
お諮りいたします。委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/276
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277・坂田道太
○坂田委員長 御異議なしと認めます。さように決しました。
この際一言ごあいさつ申し上げます。委員各位には暑さの中終始御熱心に討議を重ねられ、本案の審査に御尽力下さいまして、本日委員会の審査を議了いたしました。ここに委員長として心から感謝申し上げ、連日にわたる御協力に対し厚く御礼を申し上げる次第でございます。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。
午後六時二分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905077X00519580626/277
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