1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年七月八日(火曜日)
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議事日程 第十二号
昭和三十三年七月八日
午後一時開議
第一 お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
第二 昭和三十年度一般会計歳入歳出決算
昭和三十年度特別会計歳入歳出決算
昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書
昭和三十年度政府関係機関決算書
第三 昭和三十年度国有財産増減及び現在額総計算書
第四 昭和三十年度国有財産無償貸付状況総計算書
第五 議院運営委員長の国立国会図書館法第十一条第二項による審査の結果報告
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〔請願日程は本号末尾に掲載〕
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○本日の会議に付した案件
本院議員として在職二十五年に達しておられた前議員前田房之助君に対し、院議をもってその功労を表彰することとし、表彰文及びその取扱方はこれを議長に一任するの件(議長発議)
運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件
災害等による農業窮状打開に関する決議案(川島正次郎君外七名提出)
日程第一 お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(参議院送付)
日程第二 昭和三十年度一般会計歳入歳出決算
昭和三十年度特別会計歳入歳出決算
昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書
昭和三十年度政府関係機関決算書
日程第三 昭和三十年度国有財産増減及び現在額総計算書
日程第四 昭和三十年度国有財産無償貸付状況総計算書
日程第五 議院運営委員長の国立国会図書館法第十一条第二項による審査の結果報告
請願日程 水質汚濁防止法制定促進等に関する請願外二百十三請願
亜炭鉱業に対する電気ガス税撤廃に関する請願外十五請願
内閣委員会外十五常任委員会並びに海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会、公職選挙法改正に関する調査特別委員会、科学技術振興対策特別委員会及び国土総合開発特別委員会における閉会中審査の件(議長発議)
午後六時十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/0
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001・星島二郎
○議長(星島二郎君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/1
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002・星島二郎
○議長(星島二郎君) お諮りいたします。前議員前田房之助君は、本年四月すでに本院議員として在職二十五年に達しておられました。よって、この際、先例により、院議をもってその功労を表彰することとし、表彰文及びその取扱い方は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/2
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003・星島二郎
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/3
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004・星島二郎
○議長(星島二郎君) 内閣から、運輸審議会委員に青盛忠雄君及び青柳一郎君を任命したいので、運輸省設置法第九条第一項の規定により本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出の通り同意を与えるに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/4
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005・星島二郎
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/5
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006・松澤雄藏
○松澤雄藏君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、川島正次郎君外七名提出、災害等による農業窮状打開に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/6
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007・星島二郎
○議長(星島二郎君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/7
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008・星島二郎
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認膨ます、よって、日程は追加せられました。
災害等による農業窮状打開に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。松浦周太郎君。
〔松浦周太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/8
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009・松浦周太郎
○松浦周太郎君 私は、ただいま上程せられました自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる災害等による農業窮状打開に関する決議案について、その趣旨弁明を行い、満場の諸君の御賛同を得たいと存ずるものであります。
まず、本案の内容を朗読いたします。
災害等による農業窮状打開に関する決議案
本院は、本年の異常なる気象現象による凍霜害、雨害、干害、塩害及び水害等の災害により、わが国農業が甚大なる被害をこうむり、さらにまた、昨今の需給関係の悪化から、繭糸、牛乳及びその他の農産物価格が安定を欠き、そのためわが国農業経営に重大なる支障を生じつつある事態にかんがみ、政府がすみやかに災害対策と農業経営安定のため、万全の措置を講ずべきものと認める。
右決議する。
以上の通りであります。
わが国経済の復興は、戦後、農村に残されていた食糧の供給力を手がかりといたしまして計画されましたが、国民を餓死から救い、産業労働力を確保するために、食糧は極度の抑制価格により供出を強制されたにもかかわらず、農村はよくこの犠牲に耐えて参ったのであります。かくて十余年、国民の勤勉と努力により、経済はようやく復興の段階を経て、新たなる発展の時期を迎えたのであります。農業もまた、数次の大災害の試練を経て、北海道を除き、三十年、三十一年、三十二年と、三年続きの豊作に恵まれ、農業技術の向上等に助けられて、今日においては、もはや七千万石をもって平年作とするほどに、生産力は見るべき躍進を遂げたのであります。それとともに、農家の実質所得もまた相当のテンポをもって伸びて参りましたが、他面におきましては、一般経済の高い成長率と対比して、農業と他産業間の不均等な発展の様相が、ようやく世人の目を引くことと相なり、農業の劣勢が深く憂慮されるに至っておるのであります。実に総人口の四割三分を占める農業人口の所得が国民総所得の中における割合が、わずかに一割五分に満たない状態であるというのが、統計の示す偽わりのない実態であります。
このような事態に対処して、わが党内閣は、昭和三十三年度農林関係予算において積極的な農業諸政策を掲げ、これをまさに展開しようとしたやさき、二つの面において少からざる障害を生じつつあることが、本日ここに本決議案を上程してその対策につき政府の重大なる決意を促そうとするに至った理由であります。すなわち、その一は、自然現象の異常によるところの激甚なる農業災害の発生であります。その二は、農産物の異常な需給関係に基因するところの農産物価格低落の傾向であります。
御承知のごとく、今年冬期は、かなりの暖冬でありましたが、降霜、降雪、低温の異常気象が相次いで発生し、麦類、果樹等に対しまして甚大な被害をもたらしたのみならず、五月以降、異常渇水により、随所に水稲の植付不能あるいは植付済み水稲の枯死を招き、また、一方では、四月上旬の九州、四国方面における連続降雨は、これまた、農産物、なかんずく麦類に雨害、湿害を生じ、根腐れに加えて赤カビ、赤サビの大発生となったのであります。しかのみならず、利根川の下流地帯におきましては、水稲に対して、かなりの塩害を引き起し、また数日前には、広島、島根の山寄りの地帯において豪雨による水害の発生を見ておるような状況であります。これらの打ち続く災害によりまして、農作物の損害は優に四百億円をこえるものと推定されるのでありますが、災害地域における農家の苦しみは想像に余りあるものがあり、心からなる同情を禁じ得ないのであります。
これら災害に対しまして金融、補助、助成、農業共済、農業土木、食糧管理等の適時適切なる一連の応急対策を通じ、被害農家に救済の手が差し延べられておるのではありますが、本年初頭以来の被害は特に激甚であるのにかんがみ、災害の予防措置について政府は遺憾なきを期するとともに、さらに現行の災害救済の諸制度を検討、拡充し、要すれば、災害基金制度等、災害に対する抜本的な恒久制度の樹立を検討すべきであると存ずるものであります。
次に、私は、農産物価格安定と、これに関連して、農家所得の確保に関する対策について申し述べたいのであります。
農産物価格は、強く国際経済の影響を受け、国内対策のみをもってしては十分に対処し得ないことはもちろんでありますが、今日の状態は、遺憾ながら、種々の欠陥を持っておるのであります。この特別国会におきましても、過般来重大な問題となっておりまする蚕糸対策において、また酪農問題において、政府の施策は必ずしも完璧とは称しがたいのであります。幸いにいたしまして、蚕糸対策におきましては、先般の措置により、市価はようやく安定し、十九万円の線に回復することができたのでありまするが、繭価をめぐる掛目協定、農協による乾繭共同保管の円滑なる実施、あるいは夏秋蚕以降におけるところの生産制限の問題等、今後解決すべき問題が山積しておるのであります。政府は、この際、生糸の海外輸出に対して一段の努力を講ずべきであることはもちろんでありますが、同時に、養蚕農家の繭収入の確保のため、現行市価安定制度の根本的な検討を遂げ、既往の轍を繰り返さないようにされたいのでございます。
国民食生活の改善とともに、畜産の振興の趨勢に即応して、政府は、急速な乳牛の増殖、導入政策を掲げ、著しい増産を達成しつつあるのでありますが、しかしながら、昨年の秋以来、牛乳の供給と需要は明らかに均衡を失い、原料乳価切り下げの動きが現われ、酪農民に対して異常なる不安、動揺を与えておるのであります。従いまして政府は、この際、市乳消費者価格の引き下げ、共同集団飲用の増進あるいは乳製品の滞貨買い上げの措置を講じ、牛乳生産者価格の切り下げを防止すると同時に、牛乳の学校給食助成費増額の方途を講ずべきものであると考えるのであります。
次に、米麦価格についてであります。米麦の価格の決定をめぐって盛んな論議がある現状にかんがみまして、生産費を償う価格の形成に一そうの努力を傾倒すると同時に、価格算定方式に関しましても、この際、それぞれ生産費及び所得補償方式とパリティ方式との長所を取り入れ、新しい観点に立って思い切った改善を講ずべきものであると信ずるものであります。また、カンショ、バレイショ、大豆、菜種等、いわゆる農産物価格安定法の対象物資の価格決定の時期が迫っておるのであります。これらの農産物の需給関係もまた漸次供給過剰の様相を深めているのでありますが、政府は、食糧管理政策が農業政策の重要な一環であることについて認識を深め、農産物価格安定維持政策の強化に一段の努力を払われんことを要望するものであります。
私は、最後に、政府に対して重要なる提案をいたしたい。すなわち、農業政策に与えられた課題は、一つには、国民に対する食糧の供給力を最大限に拡大し、日本経済に落ちつきと自信とを与えることであり、二つには、農業と他産業との所得の開きが次第に拡大しつつある現状に対処し、かつ、日本列島が南北に長く、あらゆる農業災害が発生し、地域ごとに営農の条件が異なっている事実に着眼し、立地条件に応じた営農の方式を改善し、かつ、農業経営の収支の均衡を保持し、安定し農家を作り出すための農業政策の基本方針を規定する、いわば農業基本法の制定についてすみやかに検討に着手せられたいということであります。農業、農村が、ゆるぎなき国民生活のいしずえである事実にかんがみ、政府は、思いを新たにして、新農業政策の確立に邁進せられんことを願って本案に対する趣旨の弁明を終ることといたします。
皆さんの御賛成をお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/9
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010・星島二郎
○議長(星島二郎君) 討論の通告があります。これを許します。芳賀貢君。
〔芳賀貢君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/10
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011・芳賀貢
○芳賀貢君 ただいま議題となりました災害等による農業窮状打開に関する決議案に対し、私は、自由民主党、日本社会党を代表して、賛成の討論を行わんとするものでございます。(拍手)
わが国の農業は、本年の春以来「凍霜害・雪害、雨害、早害、塩害、水害等の災害により、農業経営上に甚大な被害をこうむり、さらにまた、昨今の深劾なる経済不況の影響から、繭糸、牛乳その他農産物価格の暴落により、すなわち、自然災害による農業生産力の低下と、経済不況による農業所得の軽減との両面からの圧迫を受け、農業危機に直面しておるというのが、今日の実態であります。
まず第一に、農業災害につきましては、三月以降の凍霜害、雪害による被害面積は百二十六万七千町歩に達し、被害金額が三百二億円に及んでおり、また、長雨の害については、被害面積九十二万一千町歩、被害金額百億円となり、これを合せて被害延べ面積において二百十八万八千町歩、被害延べ金額四百二億円の巨額に達しておるのであります。しかも、農作物の被害中、麦類については、凍霜、雪害による被害量四百五十万石、雨害による被害量百九十丸万石、合せて六百五十万石の大減収を示し、これが本年度麦価に対し減収加算を付すべきであるとの重要なる根拠をなしておるのであります。
さらに、昭和年代最大といわれる旱魃による被害地域は全国三十七都府県に及び、そのうちで、水田につきましては、植付不能、用水不足、植付後枯死せるもの等の被害面積は二十三万三千町歩に達し、このうち、応急対策事業の不能面積が七万三千町歩と推定されておる現状より見ても、いかに今次の大旱魃による被害が甚大であるかを理解することができると同時に、これら打ち続く災害によって農民のこうむった経済的、精神的打撃の深刻さについては想像に余るものがあるのであります。
しかるに、以上の災害について、政府が今日まで行なってきた対策の内容を見ますと、はなはだ消極的であり、責任と熱意に欠くるところが非常に多いのであります。まず、被害調査については、これを担当する農林省統計調査部の人員と機動力と経費の不足から調査の迅速と的確を期することができず、従って、統調の報告を基礎にして立てられる政府の災害対策が常に時期おくれとなり、そのつど非難の的となっていることは、御承知の通りであります。(拍手)いまだに、政府は、根本的な改善の実を、この点についてもあげていないのであります。全国四十九ヵ所の統計調査事務所と、九百十ヵ所の出張所を持ちながら、調査の機動力ともいうべきジープがわずか二十三台、オートバイが全国で二百三十三台というこの貧弱な現状をもっていたしましては、農林水産業全般にまたがる各種調査はもちろん、打ち続く災害の実態調査に対応でき得るかいなかを、私はこの機会に指摘いたしまして、政府の善処を促すものであります。(拍手)
次に、災害対策については、政府は、霜雪害対策実施要綱を閣議決定いたしまして所要の措置を講じておるというのでありますが、その内容は、あくまでも天災融資法による四十五億円の金融措置を中心としたものであってこれは、明らかに補助金を打ち切り、融資に切りかえるという、政府の安上り農政の方針によるものであり、被害農家が切実に要求する肥料、農薬、種子等の全額助成につきましても、霜雪害対策実施基準なる次官通達を発し、関係都府県知事に災害対策の責任を転嫁して、これを実施基準のふるいにかけて、名目だけの補助金支出で糊塗せんとするがごとき態度は、本決議案の趣旨に照らしても全く容認することができない点であります。政府は、従来の消極的な災害対策をこの際根本より改め、当面の早害対策を初め、雨害、塩害、水害対策等についても、被害農家を窮状から救い、再生産を可能ならしめる、真に実のある対策を実施すべきであります。さらにまた、毎年のごとく襲来する台風による風水害や、あるいは反復して冷害に脅かされるいわゆる災害常襲地帯に対する恒久対策についても万全を期すべきであります。
次に、被害農家に対する共済金の支払い制度につきましても、現行の農業災害補償制度の根本的改正を行い、対象作物の範囲を拡大し、共済金の国の負担分を大幅に引き上げ、不可抗力の災害による農業経営上の損害については国家補償の建物を明らかにして従来、災害の跡始末がすべて融資にしわ寄せされて、それが今日農家負債の累増となり、窮状を招いておる実情にかんがみ、すみやかに欠陥を是正すべきであります。
以上、私は、農業災害の実態と根本的対策について簡単に述べたのでありますが、第二に、経済不況に基く農業危機について触れたいと思います。
経済不況に対して最も抵抗の弱いのは、原始産業である農業であります。不況時には、鋏状価格差の激化によって、農産物価が低落の方向に追いやられるのでありますが、すでにこの傾向は春以来の繭糸価格の暴落となって現われ、これが応急対策の一環として繭糸価格安定臨時措置法案が成立を見たわけでありますが、これとても春蚕対策が中心であり、今後、夏秋蚕対策、さらには蚕糸業の恒久対策については、ほど遠いものであり、速急に具体的施策の用意が必要とされておるのであります。
次に、牛乳価格の暴落による酪農危機の打開につきましては、現在、政府は全く無為無策の状態であり、全国酪農民の不安と動揺は日ごとに増大し、政府に対し緊急の措置を強く要求しておるのであります。
元来、乳価は夏になると引き上るのが通例でありますが、本年は、異例にも、七月一日を期して乳業会社が一方的に乳価引き下げを行い、農民が応じなければ受け入れ拒否の挙にさえも出ようとしておるのであります。畑地農業の振興の基盤である酪農が、ようやく軌道に乗って、牛乳の生産が上昇をたどっておるのでありますが、生産面にのみ重点を置いた政府の施策が、消費及び流通面の拡大対策を今日まで放任したために、年間九百万石程度の牛乳生産量ですでに過剰傾向となり、需給のアンバランスを理由に乳価の引き下げが行われてかかる不安と混乱を惹起したのであります。政府は、この際、すみやかに緊急対策、恒久対策を確立して、乳業会社に対しても反省と協力を促し、生産者乳価の維持安定をはかり、当面の酪農不安を一掃すべきであります。
それには、まず消費の拡大に重点を置き、具体的方策としては、第一に、学校給食における牛乳並びに乳製品の年度間の消費目標を、現在の二十万石から五十万石以上に改め、これに伴う学校給食助成費の増額をはかり、学校給食の恒久化を実行すべきであり、第二に、学校、工場、事業場等における集団飲用を促進するため、冷却施設に対する助成及び冷蔵庫購入についての物品税の免税措置等を講ずべきであり、第三に、市販の飲用牛乳については、価格構成に検討を加え、中間経費の圧縮と流通機構の改善をはかり、生産者乳価の維持と消費者価格の引き下げを実現し、牛乳消費の増進を促すべきであり、第四に、昨年十月に大カン練乳の砂糖消費税の免税措置が廃止されて以来、大勇ン練乳の生産及び消費が著しく減退しておる事実にかんがみ、これが免税措置の復活をはかるべきであり、第五に、最近、輸入乳製品の数量が年間二万五千トンをこえるに至り、これを牛乳に換算すると百八十万石の多量に及ぶので、わが国農業保護の立場からも、外貨節約の見地からも、この際輸入計画の変更を行い、輸入の抑制をはかり、過剰生産の苦況にある国内乳製品の消費増大を促進すべきであり、第六に、販売飼料の価格引下げについても検討を加え、牛乳生産費の合理化をはかるべきであります。以上の具体的施策が最も望まれているのであります。
さらに、恒久対策等については、国民食生活の改善とあわせて需給の安定をはかり、牛乳、乳製品の価格維持制度の実現、酪農振興法の根本的改正を行い、今後酪農振興に一段の進展を期すべきであります。
最後に、その他の農産物についても、米及び麦類については、食糧管理法によって、イモ類、澱粉及び大豆等は、農産物価格安定法によって、制度上、一応の最低価格の支持が行われておるとはいえ、この制度さえも、たとえば、政府の米価審議会軽視の態度より見ても、決して満足すべき運営とは認めがたいので、政府は、かかる消極的態度を率直に改め、米麦を初め農産物については、生産費及び所得補償方式に基く価格支持制度の確立をすみやかにはかるべきであります。
今日のわが国農業の現状が、いかに危機をはらみ、全国の農民に不安と動揺を与えているかは、去る六月十七日の全国養蚕農民大会、二十三日の米麦価要求全国農民大会、二十六日の全国酪農民大会等の経過と運動によっても明らかに実証されるのであります。
昨年、農林省は、赤城前農林大臣のもとで、農林白書を発表して、わが国農業の現状に五つの赤信号を掲げたのであります。すなわち、第一に、農業所得の低いこと、第二に、食糧供給力が低いこと、第三に、国際競争力が弱いこと、第四に、農業の兼業化が進行していること、第五に、農業就業構造が劣弱化していることの五点であります。政府みずからが分析し、肯定したわが国農業の危険信号に加え、本年の異常の災害と、経済不況による農業危機の増大は、農民空活の不安定を助長し、さらには、政治に対する不満と不信に爆発する様相を多分に包蔵しているのであります。
政府は、この際、本決議案の趣旨を尊重し、行政あって農政なしとさえも非難されている農政の後退と貧困に思いをいたし、その責任においてわが国農業の危機を打開し、農業生産力の向上と農民生活の安定を確保し、農業の振興発展のために万全を期すべきであることを指摘して、私の賛成討論を終るものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/11
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012・星島二郎
○議長(星島二郎君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/12
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013・星島二郎
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
この際、農林大臣から発言を求められております。これを許します。農林大臣三浦一雄君。
〔国務大臣三浦一雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/13
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014・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) ただいま本院において御決議になりました災害等による農業窮状打開に関する決議につきましては、政府といたしましても、従来より、災害対策及び農産物価格安定措置につきまして、時宜に応じた各般の施策を講じておる次第でありますが、さらに所期の目的を達するよう施策の万全を期し、御決議の趣旨に沿うよう一段と努力をいたして参る所存でございます。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/14
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015・星島二郎
○議長(星島二郎君) 日程第一、お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。逓信委員長淺香忠雄君。
〔淺香忠雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/15
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016・淺香忠雄
○淺香忠雄君 ただいま議題となりましたお年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律案に関し、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
この法律案は、前国会において審議未了となり、あらためて去る六月二十三日内閣より参議院に提出、同三十日同院において可決の上、本院に送付されたものでありますが、その趣旨とするところは、現行法は、戦後社会情勢が十分安定しておらなかった昭和二十四年当時、試行的に制定されたものであって、今日の実情から見れば、制度的にも、手続的にも、相当不備の点を生じましたので、本案によって必要なる改正をはかろうとするものであります。
本改正案のおもなる内容を申し述べますと、第一は、郵便はがき等に付された寄付金を配分する対象範囲の拡張でありまして、すなわち、現行法によれば、この寄付金は社会福祉の増進を目的とする事業を行う団体に対してのみ配分されることになっておりますが、寄付金額も増加し、各方面からの要望もありますので、風水害、震災等の非常災害の救助、ガン、結核、小児麻痺等特殊な疾病の研究、治療及び原爆被災者に対する治療、援助を行う団体に対しても寄附金の配分ができるように改めようとすることであります。
第二は、寄付金つき郵便はがき等の発行に当っては、郵政大臣は、あらかじめ寄付金を受ける団体を指定し、その団体の名称、寄付目的、発行数、寄付金の額等を告示し、寄付金の配分額は、配分を受ける団体の事業を所管する大臣と協議し、かつ、郵政審議会に諮って決定の上公示する等の手続を整備したことであります。
第三は、郵便募金管理会という特殊法人を設立し、これに郵政大臣の任命する理事長、理事及び監事を置いて、寄付金の出納、保管及び配分金の使途の監査等の職務を行わしめ、寄付金の処理を明確にしたことであります。
第四は、郵政大臣は、寄付金の配分を受ける団体の事業を所管する大臣と協議し、かつ、郵政審議会に諮って、当該団体の守るべき準則を定め、管理会に対して郵政大臣が必要な監督を行うことと相待って、寄付金の使途の適正化をはかったことであります。
なお、この法律案は、公布の日から起算して三ヵ月を越えない範囲内で、政令で定める日から施行することとなっております。
以上がこの法律案の概要でございますが、逓信委員会におきましては、本案の付託を受けまして以来、数次にわたる会議を開いて、まず提案理由の説明を聴取し、政府との間に質疑応答を重ねて慎重審議を行なったのでありますが、その詳細は会議録に譲ります。かくして委員会は、七月三日に至り質疑を終了し、引き続き討論に入り、自由民主党を代表して進藤一馬君、日本社会党を代表して森本靖君は、いずれも本案に賛成の意見を述べられ、次いで採決の結果、全会一致をもって本法律案を可決いたした次第であります。
これをもって御報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/16
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017・星島二郎
○議長(星島二郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/17
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018・星島二郎
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/18
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019・松澤雄藏
○松澤雄藏君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際参議院送付、国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/19
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020・星島二郎
○議長(星島二郎君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/20
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021・星島二郎
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長早川崇君。
〔早川崇君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/21
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022・早川崇
○早川崇君 ただいま議題となりました、国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件につき、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、まず、第一に、皇居の参観者が近時激増しているにかかわらず、これら参観者が休憩待機するところがない状態にありますので、皇室用財産である吹上覆馬場の一部を内桜田門内に移築し、参観人休憩所としようとするものであり、第二に、皇居内の外庭東門から大道通りの道路を舗装しようとするものであり、第三に、現在の東宮仮御所は非常に手狭なものであり、皇太子殿下の諸外国の外交団、国内名士等との御交際に不便を感じているところであるので、新たに東宮御所の新営をはかろうとするものであります。
本件に要する経費は、移築工事が約八百十三万円、路面舗装工事が五百万円、東宮御所新築工事が二億一千五百万円であります。
本案は、参議院先議で、去る七月四日参議院本会議を通過し、同日本院に送付されました。
本委員会においては、慎重審議の後、本日質疑を終了し、討論の申し出がないので、直ちに採決に入りましたところ、全会一致をもって本案は原案の通り可決いたしました。
次いで、本案に対して、山下春江委員より、「政府は、この議決に基く東京都港区赤坂一番大宮御所にかかわる財産の取得に際しては、大宮御所の現状にかんがみ、その庭園の整備について配慮すべきである。」との附帯決議を付する動議が提出されました。右附帯決議は全会一致をもって可決されましたが、これにつき、特に政府より、本決議に基いて来年度においてこれが予算化に十分努力するとの発言がありました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/22
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023・星島二郎
○議長(星島二郎君) 採決いたします。本件は、委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/23
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024・星島二郎
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告の通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/24
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025・星島二郎
○議長(星島二郎君) 日程第二、昭和三十年度一般会計歳入歳出決算、昭和三十年度特別会計歳入歳出決算、昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和三十年度政府関係機関決算書、日程第三、昭和三十年度国有財産増減及び現在額総計算書、日程第四、昭和三十年度国有財産無償貸付状況総計算書、右各件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。決算委員会理事山本猛夫君。
〔山本猛夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/25
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026・山本猛夫
○山本猛夫君 ただいま議題となりました昭和三十年度一般会計歳入歳出決算外五件につきまして、決算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず第一に、昭和三十年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算、同国税収納金整理資金受払計算書及び同政府関係機関決算書について申し上げます。
本決算は、三十一年十二月二十五日、第二十六回国会に内閣より提出せられ、即日決算委員会に付託せられまして、去る二日審査を終了したのでありますが、本決算の概略について御説明いたしますと、一般会計の決算額は、歳入におきまして一兆一千二百六十三億余万円、歳出では一兆百八十一億余万円、差引一千八十二億余万円の剰余を生じております。この剰余金のうち、百二十一億余万円を賠償等特殊債務処理特別会計の昭和三十一年度歳入に繰り入れ、残額の九百五十億余万円が昭和三十一年度の歳入に繰り入れ済みとなっております。
以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入においては、予算額一兆百三十三億余万円、これに対し一千百三十億余万円の増加となり、歳出においては、予算額一兆百三十三億余万円に対し、四十八億余万円の増加となっております。また、歳出予算額に前年度からの繰越額六百五十四億余万円を合せた予算現額は一兆七百八十七億余万円であり、そのうち、支出済み額が一兆百八十一億余万円、翌年度への繰越額が三百七十八億余万円、不用額が二百二十七億余万円となっております。
特別会計は、その数が三十五でありましてこれら各特別会計の歳入決算総額は一兆八千七百九十八億余万円、歳出決算総額は一兆七千二百六十五億余万円であります。
国税収納金整理資金につきましては、この資金への収納済み額は八千百六十二億余万円、この資金からの支払い命令済み額及び歳入への組み入れ額は八千百六十二億余万円となっております。
政府関係機関は、その数が九つでありまして、収入決算総額は八千七百七十九億余万円、支出決算総額は七千四百七十八億余万円となっております。
以上が昭和三十年度決算の概要であります。
次に、検査の結果について、会計検査院長の説明によりますれば、経理上不当と認めた事項及び是正させた事項として検査報告に記載されております件数は二千百八十五件に上っております。この不当経理の態様別の概算金額は、不正行為による被害金額が一億九千七百万円、法令または予算に違反して経理したもの、これが六千四百万円、検収不良などのため過渡となっておるものが五千三百万円、保険金の支払いが適切を欠いたもの、または保険料の徴収不足を是正させたものが二十三億六千百万円、補助金で交付額が適正を欠いているため返納または減額を必要といたしますものが七億二千六百万円、災害復旧事業に対する早期検査の結果、主務省において査定額を減額し、ひいて補助金の減額を必要といたしますものが五億一千八百万円、租税収入などで徴収決定が漏れていたり、その決定出額が正当額をこえていたものが五億三百万円、工事請負代金、物件購入代金などが高価に過ぎたり、または物件売り渡し代金などで低額に過ぎたと認めたものの差額分が四億一千万円、不適格品または不急不要の物件の購入など、経費が効率的に使用されることなく、いわゆる死に金を使ったと認められるもの十五億六千万円、その他が二億一千七百万円で、その総額は六十六億一千三百万円に上っております。
決算委員会は、第二十六回国会の昭和三十二年二月七日、政府より決算の概要を、また会計検査院より決算検査報告に関する概要を聴取した後、第二十七回国会、第二十八回国会及び第二十九回国会にわたり、関係当局の説明を求めつつ、会計検査院の批難事項を中心に慎重な審議を重ねて参ったのであります。
防衛庁につきましては、不要な搬送電話端局装置の購入、不急な車両及び通信器等の購入、不適格な航空機部品及びガソリンの購入、その他購入価格の不適正なるもの等の物資調達における不当事項や、滑走路等の工事の施行に当り、その処置または設計の不適切な不当事項が依然として頻発しておるのであります。防衛庁に対して、さらに一そう在庫統制の確立、検収制度の厳正な運用、予定価格の積算体制の充実強化並びに関係各機関相互の連絡を密にするとともに、その責任の所在を明確にする措置を講じ、いやしくも予算消化に急なあまり、予算の適正な執行について逸脱することのないように、厳に慎しむべきものであるとの意見の表明がなされたのであります。
農林省につきましては、同省の補助金及び農業共済保険金の帳簿外保有や、目的外使用等の不当事項が、なお多数発生しております。中でも、関係者間での不適正な分配や、飲食費等に使用しておるものもある実情でありますので、農林省に対し、これらの諸制度本来の目的を達成するため、さらに指導監督に万全を期すべきであるとの意見があったのであります。
日本国有鉄道につきましては、予定価格の積算過大や、業者の選定が不適切なために、工事の施行及び物資の調達に当り不経済となったもの、あるいは土地建物等の使用料及び売り渡し価格が低きに過ぎるもの等の不当事項が多数に上っております。特に、これら不当事項の中には、いわゆる国鉄の部外団体的な会社も相当含まれておる実情でありまして、その原因には、予定価格の積算、検収制度の不備等数々ありますが、国鉄と部外団体との密接な関係から必然的に生ずるもので、国鉄に対しましては、さらに一そうこれら部外団体の再検討を行い、契約が特定大口業者に集中しないよう、指名、資格基準等も改善すべきであり、また、財産の管理処分についても格段の考慮を払うべきであるとの意見の表明があったのであります。
犯罪その他の虚構の事実による不当経理につきましては、各省等を通じて発生しておりまして、その総計は六十一件で、約二億六千万円に達しております。これらは綱紀紊乱の最もはなはだしいものでありまして、毎年度の決算審査を通じまして、政府関係当局に対して強く警告を発して参っておりますが、収賄、詐欺等の犯罪もその跡を断たない現状であります。これに対し、政府は責任の所在を明確にし、その追及を厳正にする等の抜本的措置を講ずべきである等、各委員から真摯な意見の開陳が行われたのでありますが、その詳細につきましては速記録について御了承願いたいと思います。
本委員会は、去る二日、本件に関する審査を終了いたし、委員長から、昭和三十年度決算のうち、会計検査院の指摘事項中二千百六十九件、そのほか、農林省において、水産庁所属船舶用燃料油の購入に関するもの等三件を含め、総計二千百七十二件については、これを不当と認める、それ以外の事項については異議がないとの議決案の趣旨説明があった後、直ちに採決に入りましたところ、全会一致をもって議決案の通り議決すべきものと決した次第であります。
次に、昭和三十年度国有財産増減及び現在額総計算書、同年度国有財産無償貸付状況総計算書につきまして御報告申し上げます。
本件は、いずれも、昭和三十二年二月一日、第二十六回国会に政府より提出せられ、即日決算委員会に付託になりましたが、当委員会は、同年二月七日、政府よりその概要を、また、会計検査院より同じく検査の概要を聴取いたした後、審議に入ったのであります。
まず、昭和三十年度国有財産増減及び現在額総計算書について御説明申し上げます。
昭和三十年度中に増加いたしました国有財産は、行政財産、普通財産を合せて五千五百九十二億六千七百余万円であり、また、同じく減少いたしました国有財産は総額六百四十三億一千七百余万円でありまして、差額は四千九百四十九億四千九百余万円の増加となっております。これを前年度末現在額一兆四千三百三億五千六百余万円に加算いたしますと一兆九千二百五十三億五百余万円となり、これが昭和三十年度末現在の国有財産の総額であります。
次に、昭和三十年度国有財産無償貸付状況総計算書について御説明申し上げます。
国有財産法第二十二条並びに同条を準用する第十九条及び第二十六条の規定により地方公共団体等に無償で貸し付けておる国有財産の本年度中に増加いたしました総額は五十億二百余万円であり、また、減少いたしました総額は八千八百余万円でありますので、差額四十九億一千三百余万円の純増加となっております。これを前年度末現在額二億余万円に加算いたしますと五十一億一千四百余万円となり、これが昭和三十年度末現在において無償貸付をいたしております国有財産の総額であります。
以上が右二件の大要であります。
国有財産増減及び現在額総計算書は国有財産台帳を基礎といたしまして作成せられたものでありますが、その台帳の整備は、はなはだ不十分でありまして従来、しばしば会計検査院より指摘せられ、また、当委員会においても、注意を喚起して参ったところでありますから、右計算書にも幾多の欠陥を含み、正確なものとは認めがたい実情にあります。しかしながら、政府においても、これに思いをいたし、昭和三十二年度より三ヵ年計画をもって国有財産の実態調査に着手し、逐次台帳の整備を実施している旨の説明がありましたので、当委員会は、政府の言明を一応信頼いたし、右計算書を了承することにいたした次第であります。
なお、審議の詳細につきましては速記録において御承知願いたいと存じます。
当委員会は、本月二日、質疑を打ち切りまして、討論を省略して採決いたしました結果、右計算書二件をいずれも是認すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/26
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027・星島二郎
○議長(星島二郎君) これより採決に入ります。
まず、日程第二の各件を一括して採決いたします。各件は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/27
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028・星島二郎
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって各件は委員長報告の通り決しました。
次に、日程第三及び第四の両件を一括して採決いたします。両件の委員長の報告はいずれも是認すべきものと決したものであります。両件は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/28
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029・星島二郎
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって両件は委員長報告の通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/29
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030・星島二郎
○議長(星島二郎君) 日程第五、議院運営委員長の国立国会図書館法第十一条第二項による審査の結果報告を求めます。議院運営委員会理事松澤雄藏君。
〔松澤雄藏君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/30
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031・松澤雄藏
○松澤雄藏君 国立国会図書館法第十一条第二項の規定による議院運営委員会における審査の結果を簡単に御報告申し上げます。
まず第一点は国会奉仕業務についてでありますが、この業務は、近年、質的にも量的にも向上して参りまして、昨年度の調査件数は二千六百八十二件にも達しております。
第二点は、昨年の秋にインド・太平洋地域の出版物国際交換及び書誌に関するセミナーを主催し、二十一ヵ国からの参加を得て、文化交流に尽したのであります。
第三点は本建築工事の進捗状況についてでありますが、昨年度は、書庫棟の第一期鉄骨工事全部を完成し、事務棟の一部予定工事を終了しました。
以上申し述べました通り、国立国会図書館の業務は漸次改善されて参っておりますので、この上とも議員各位の御協力をお願いいたしまして、報告を終る次第であります。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/31
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032・松澤雄藏
○松澤雄藏君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、請願旧程二百十四件とともに、本日委員会の審査を終了した亜炭鉱業に対する電気ガス税撤廃に関する請願外十五件を追加して、一括議題となし、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/32
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033・星島二郎
○議長(星島二郎君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/33
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034・星島二郎
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。
水質汚濁防止法制定促進等に関する請願外二百二十九請願を一括して議題といたします。
〔報告書は会議録追録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/34
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035・星島二郎
○議長(星島二郎君) 各請願は委員長の報告を省略して採択するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/35
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036・星島二郎
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/36
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037・星島二郎
○議長(星島二郎君) お諮りいたします。内閣委員会外十五常任委員会並びに海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会、公職選挙法改正に関する調査特別委員会、科学技術振興対策特別委員会及び国土総合開発特別委員会から、ただいま朗読いたしまする各案件につき閉会中審査いたしたいとの申し出があります。参事をして案件を朗読いたさせます。
〔参事朗読〕
内閣委員会
一、行政機構並びにその運営に関する件
二、恩給及び法制一般に関する件
三、国の防衛に関する件
四、公務員の制度及び給与に関する件
地方行政委員会
一、地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案(中井徳次郎君外十名提出、衆法第四号)
二、地方自治に関する件
三、地方財政に関する件
四、警察に関する件
五、消防に関する件
法務委員会
一、裁判所の司法行政に関する件
二、法務行政及び検察行政に関する件
三、国内治安及び人権擁護に関する件
四、最高裁判所の機構改革(上訴制度を含む)に関する件
五、外国人の出入国に関する件
六、交通犯罪に関する件
七、青少年犯罪に関する件
八、売春防止法の施行に関する件
外務委員会
一、国際情勢に関する件
二、国交回復に関する件
三、国際経済に関する件
大蔵委員会
一、所得税法の一部を改正する法律案(佐藤觀次郎君外十三名提出、衆法第七号)
二、税制に関する件
三、金融に関する件
四、外国為替に関する件
五、国有財産に関する件
六、専売事業に関する件
七、印刷事業に関する件
八、造幣事業に関する件
九、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する件
文教委員会
一、国立及び公立の義務教育諸学校の児童及び生徒の災害補償に関する法律案(山崎始男君外三名提出、衆法第一号)
二、学校教育に関する件
三、社会教育に関する件
四、教育制度に関する件
五、学術及び宗教に関する件
六、文化財保護に関する件
社会労働委員会
一、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案(勝間田清一君外十四名提出、衆法第一一号)
二、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案(勝間田清一君外十四名提出、衆法第一二号)
三、国民健康保険法の一部を改正する法律案(滝井義高君外十三名提出、衆法第一三号)
四、失業保険金の給付日数に関する臨時措置法案(多賀谷真稔君外十三名提出、衆法第一五号)
五、社会保障制度、医療、公衆衛生、婦人・児童福祉及び人口問題に関する件
六、労使闘係、労働基準及び失業対策に関する件
農林水産委員会
一、食糧及び肥料に関する件
二、畜産及び蚕糸に関する件
三、農地及び林野に関する件
四、漁港、漁船及び漁業制度に関する件
五、公海漁業、沿岸及び内水面漁業に関する件
六、農林業団体及び水産業団体に関する件
七、農業災害及び漁業災害に関する件
八、農林水産金融に関する件
商工委員会
一、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案(田中武夫君外十三名提出、衆法第一六号)
二、日本経済の総合的基本施策に関する件
三、電気及びガスに関する件
四、鉱業、鉄鋼業、繊維工業、化学工業、機械工業その他一般鉱工業及び時計に関する件
五、通商に関する件
六、中小企業に関する件
七、私的独占禁止及び公正取引に関する件
運輸委員会
一、陸運、海運及び空運に関する件
二、観光に関する件
三、気象に関する件
逓傭委員会
一、郵政事業に関する件
二、郵政監察に関する件
三、電気通信に関する件
四、電波監理及び放送に関する件
建設委員会
一、国土計画に関する件
二、都市計画に関する件
三、道路に関する件
四、河川に関する件
五、住宅に関する件
予算委員会
一、予算の実施状況に関する件
決算委員会
一、昭和三十一年度一般会計歳入歳出決算
昭和三十一年度特別会計歳入歳出決算
昭和三十一年度国税収納金整理資金受払計算書
昭和三十一年度政府関係機関決算書
二、昭和三十一年度国有財産増減及び現在額総計算書
三、昭和三十一年度国有財産無償貸付状況総計算書
四、歳入歳出の実況に関する件
五、国有財産に関する件
六、政府関係機関の収支に関する件
議院運営委員会
一、国会法等改正に関する件
二、議長よりの諮問事項
三、その他議院運営委員会の所管に属する事項
懲罰委員会
一、懲罰制度に関する件
海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会
一、海外同胞引揚及び遺家族援護に関する件
公職選挙法改正に関する調査特別委員会
一、公職選挙法改正に関する件
科学技術振興対策特別委員会
一、科学技術振興対策に関する件
国土総合開発特別委員会
一、国土総合開発に関する件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/37
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038・星島二郎
○議長(星島二郎君) 各委員会において、ただいまの案件につき閉会中審査するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/38
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039・星島二郎
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/39
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040・星島二郎
○議長(星島二郎君) 諸君、第二十九回国会は、本日をもって終了いたします。
今国会は、去る六月十日に召集せられ、会期は延長を含めて二十九日間でありましたが、当初、役員の選挙、内閣総理大臣の指名を行い、十七日から実質的審議に入り、もっぱら当面の緊急施策について慎重なる審議が行われたのであります。諸君は、総選挙後の特別会にふさわしい清新の意気と熱意をもって連日よくその職務に精励せられました結果、経済基盤強化資金法案等の重要案件を議了して、今国会の使命を十分に果し得ましたことは、まことに御同慶にたえません。(拍手)ここに、諸君の御協力と御労苦に対して深く感謝の意を表する次第であります。
国事多端の際、邦家のため、ますます諸君の御自愛と御健闘を祈ってやみません。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/40
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041・星島二郎
○議長(星島二郎君) これにて散会いたします。
午後七時二十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102905254X01419580708/41
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