1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年七月七日(月曜日)
午前十時二十七分開会
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委員氏名
大蔵委員
委員長 前田 久吉君
理事 木内 四郎君
理事 西川甚五郎君
理事 栗山 良夫君
理事 平林 剛君
理事 天坊 裕彦君
青木 一男君
岡崎 真一君
塩見 俊二君
迫水 久常君
田中 茂穂君
土田國太郎君
仲原 善一君
廣瀬 久忠君
前田佳都男君
宮澤 喜一君
山本 米治君
荒木正三郎君
大矢 正君
戸叶 武君
野溝 勝君
河野 謙三君
杉山 昌作君
八木 幸吉君
岩間 正男君
商工委員
委員長 田畑 金光君
理事 青柳 秀夫君
理事 小幡 治和君
理事 阿部 竹松君
理事 大竹平八郎君
大谷 贇雄君
小沢久太郎君
古池 信三君
小西 英雄君
西川弥平次君
高橋進太郎君
高橋 衛君
吉田 萬次君
天田 勝正君
島 清君
相馬 助治君
椿 繁夫君
藤田 進君
加藤 正人君
豊田 雅孝君
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出席者は左の通り。
大蔵委員
委員長 前田 久吉君
理事
木内 四郎君
西川甚五郎君
栗山 良夫君
平林 剛君
委員
迫水 久常君
塩見 俊二君
土田國太郎君
仲原 善一君
廣瀬 久忠君
前田佳都男君
宮澤 喜一君
山本 米治君
荒木正三郎君
大矢 正君
河野 謙三君
杉山 昌作君
八木 幸吉君
岩間 正男君
商工委員
委員長 田畑 金光君
理事
小幡 治和君
大竹平八郎君
委員
大谷 贇雄君
古池 信三君
小西 英雄君
高橋進太郎君
吉田 萬次君
相馬 助治君
椿 繁夫君
加藤 正人君
国務大臣
外 務 大 臣 藤山愛一郎君
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
政府委員
大蔵省主計局長 石原 周夫君
大蔵省理財局長 正示啓次郎君
大蔵省為替局長 酒井 俊彦君
通商産業省通商
局長 松尾泰一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
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本日の会議に付した案件
○経済基盤強化のための資金及び特別
の法人の基金に関する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
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〔大蔵委員長前田久吉君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/0
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001・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ただいまから大蔵、商工連合審査会を開きます。
先例によりまして私が連合審査会の委員長の職を勤めさせていただきます。
経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案を議題といたします。
大蔵委員会においては提案理由の趣旨説明を聴取しておりますが、審査の便宜のため重ねてその趣旨説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/1
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002・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま議題となりました経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案について、提案の理由を御説明申し上げます。
昭和三十一年度の一般会計の決算上の新規剰余金は、一千一億円の多額に上り、これから国債償還等の法定財源に充当される額を控除いたしました残額は四百三十六億三千万円になっております。
他面、本年度におけるわが国経済の運営の基本的な態度として、財政が国内経済に過度の刺激を与えることを避け、輸出の伸長に対してあらゆる努力を傾注することが要請されていることは申すまでもありません。この観点から前国会におきまして成立をみました本年度予算におきましても、右の剰余金を直ちに一般の歳出財源に充てることなく、しかも、今後におけるわが国の経済基盤の強化に資することを目的として、この剰余金に相当する額のうち二百二十一億三千万円をもって一般会計に所属する資金として経済基盤強化資金を設け、将来におけるわが国の経済基盤の強化に必要な経費の財源の一部を確保することといたしますとともに、二百十五億円を農林漁業金融公庫外四法人に対して、それぞれその特別の基金に充てるため出資をすることを予定しているのであります。
政府は、この予算の執行をはかるため、右の資金の設置及び基金への出資並びにこれらの資金及び基金の適正な管理、運用に関する所、要の法的措置を講ずることとして、ここにこの法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の概要について申し上げます。
まず第一に、経済基盤強化資金について申し上げますと、先に申し上げましたとおり、将来におけるわが国の経済基盤強化のために必要な経費の一部に充てるために、政府は、本年度において一般会計から二百二十一億三千万円を支出し、一般会計に所属する資金として経済基盤強化資金を設けることといたしております。この資金は、将来における道路の整備、港湾の整備、科学技術の振興、異常災害の復旧又は産業投資特別会計への繰り入れに要する経費の財源に充てる場合に限り、予算の定めるところに従って使用できることといたしております。
なお、この資金は、使用されるまでは資金運用部に預託することとし、預託によって生じました利子は資金に編入することといたしております。
第二に、先に申し上げました五法人の基金について申し上げます。
政府は、本年度において、一般会計から、農林漁業金融公庫に対し六十五億円、中小企業信用保険公庫に対し同じく六十五億円、日米輸出入銀行に対し五十億円、日本貿易振興会に対し二十億円、日本労働協会に対し十五億円を、それぞれ出資することといたしております。
この出資を受けた金額は、農林漁業金融公庫におきましては、国の補助の対象とならない農地の改良及び造成にかかる事業に対する貸付についての利子の軽減に充てる財源を得させるための非補助小団地等土地改良事業助成基金に充てさせることとし、中小企業信用保険公地におきましては、同公庫の保険事業の損益計算上損失を生じた場合において、その損失を埋めるための保険準備基金に充てさせるごととし、日本輸出入銀行におきましては、東南アジア開発協力のための国際的機構に対する出資及び当該機構が設置されるまでの間において、将来当該機構の出資に振りかえることができる性質の国際的協力による投資の財源に充てるための東南アジア開発協力基金に充てさせることとし、また、日本貿易振興会及び日本労働協会におきましては、それぞれその事業の運営に必要な経費をまかなう財源を得るための基金に充てさせることといたしております。
これら五つの基金に属する現金は、日本輸出入銀行が東南アジア開発協力のための出資及び投資に運用する場合の金額と、五法人が年度内の資金繰りのために繰りかえ使用中の金額を除くほか、これを資金運用部に預託して管理しなければならないこととし、また、これらの五つの基金は、農林漁業金融公庫が、その運用益から基金に組み入れた額を限度として貸付利子の軽減のために使用する場合と、中小企業信用保険公庫が保険事業の損失補てんに充てる場合のほかは、これを取りくずすことができないことといたしますとともに、その他各基金の適正な経理を行うため必要な規定を設けることといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由及びその概要であります。
何とぞ、御審議の上すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/2
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003・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、補足説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/3
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004・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案につきまして、補足説明を申し上げます。
昭和三十一年度の一般会計の決算上の剰余金は、一千一億円の多額に上ったのでございまして、これは、最近数年度におきまして新規に発生をいたしました剰余金が、大体三百億円から四百億円、歳入歳出に対しまするパーセンテージからいたしますると、三ないし四%程度であったのでございまするが、三十十年度におきまする一千一億円という金額は、大体九%程度に達する、こういうような異常な好況に基因をいたします剰余金が出たわけでございます。
新規剰余金の使途につきましては、御承知のように、財政法以下の法令によりまして処理方法が定められておるわけでございまするが、一千一億円のうち、財政法によりまして国債の償還に充てられまする額が四百三十六億円、交付税の精算分の引当分が百十八億円、道路整備特別会計に引き当てまする整備費の財源が十一億円、合計五百六十五億円というものが法定財源に充当せられまするので、差し引き四百三十六億三千万円、これが一般会計の経費の一般財源に相なるわけであります。ところで、昭和三十三年度におきまする経済運営の基本的態度に基きまして、前国会におきまして成立をみました本年度予算におきましては、この剰余金をそのまま直ちに一般の歳出財源に充てませんで、今後におきまするわが国の経済基盤の強化に資する目的のために二百二十一億三千万円をもちまして、一般会計に所属する経済基盤強化資金を設け、また二百十五億円をもちまして、五つの特別法人に対しまする出資を予定しておるわけであります。政府といたしましては、この予算の執行をはかりまするために法律案を提出いたしたわけであります。
まず、経済基盤強化資金について申し上げますると、この資金は、将来におきまするわが国の経済基盤の強化に必要な経費に充てる財源の一部を確保するために設けるものでございまして、財政法第四十四条に基きまして設定をいたされたものであります。この資金は、一般会計に所属をいたしまする資金でございまして、大蔵大臣がこれを管理いたします。昭和三十三年度におきまして、一般会計歳出予算から二百二十一億三千万円を繰り入れまして設定をいたします。この資金の使途につきましては、将来における道路の整備、港湾の整備、科学技術の振興、異常災害の復旧または産業投資特別会計への繰り入れということに相なっておりまして、使用をいたしまする場合には、あらためて歳入に繰り入れまして、歳出予算に計上いたしまして使用いたす筋合いに相なるわけでございます。
次に、残額の二百十五億円でございますが、これは五つの特別の法人に出資をいたすことに相なります。
第一に、農林漁業金融公庫におきましては、非補助小団地等土地改良事業助成基金というものを作りまして、これに充てさせるわけであります。この基金を、資金運用部へ預入をいたしまして、得られました利子をもちまして、特定の土地改良事業——現在補助の対象になっておりません土地改良事業に充当いたしまして、貸付金の利子を軽減をいたすという目的に使用いたすわけであります。現在の貸出利率が五分であります、それを三分五厘に軽減をいたしたいという考えであります。
次に、中小企業信用保険公庫に対する六十五億円の出資でございますが、この公庫の設置につきましては、さきに、前国会におきまして、法律案を提案をいたしまして御審議を願い成立をみたわけでありますが、従来の中小企業信用保険特別会計、これの行なっておりました保険事業及び融資事業を承継いたします。今回の出資は、同公庫の保険準備基金に充てられるものでありまして、損失が生じました場合にはこれを取りくずすことができまするが、全額資金運用部に預託をいたしまして、その実収入をもちまして同公庫の利率の引き下げ等に用いることに相なるわけであります。
次に、日本輸出入銀行に五十億円を出資いたしまして、東南アジア開発協力基金に充てることにいたしております。東南アジア開発基金がとりあえず資金運用部に預託をいたしまするが、将来は東南アジア開発基金のための国際機構への出資に充て、またその機構ができまする場合におきまして必要がございますれば、当該機構ができました場合において出資に振りかえることができるような性質の国際的協力による投資に運用せられることに相なるわけであります。本基金の運用事務は、本来の日本輸出入銀行の業務と若干性格が異なりまするので、特別の勘定を設けて整理をいたすということに相なっております。この基金の実行につきましては、内閣におきましてその方針を決定いたしまして、その決定に基いて大蔵大臣が日本輸出入銀行に指示して運用せしめるということに相なるわけであります。
次に、日本貿易振興会に対しまする二十億円の出資でございまするが、同会は従来財団法人海外貿易振興会が行なれておりました業務を引き続き行うものでございまして、輸出振興に寄与いたしまする特殊の法人下あります。前国会におきましてすでに御審議を願い、成立を見まして日本貿易振興会法に基きまして設立をせられるものであります。本出資の二十億円は資金運用部に預託をされまして、その利子収入によりまして、本会の事業運営のために必要な経費の財源に充てるということに相なっておりまして、本基金はこれを取りくずすことができないということになっております。
最後に、日本労働協会に対しまする出資十五億円でございまするが、本協会はわが国の労働問題の研究を行いまして、広く労使並びに国民一般に労働問題に関しまする理解と良識をつちかうことを目的といたしまする特殊法人でございまして、前国会におきまして別途御審議を願い成立をいたしました日本労働協会法によりまして新たに設立をされたものであります。本協会の基金も同じく資金運用部に預託をせられまして、その利子収入をもちまして協会の運営の経費の財源に充てるということに相なるわけであります。
以上申し上げましたように、五つの特別法人に対しまする出資は、いずれもその出資金につきまして資金運用部に預託をいたしまして、わが国経済に刺激を与えないように配慮せられております。かつ同時に将来わが国の経済基盤の強化に資するということを考えまして運用をいたすことに相なるわけであります。
以上簡単でございまするが、本法案の御説明をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/4
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005・前田久吉
○委員長(前田久吉君) これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。商工委員長田畑金吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/5
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006・田畑金光
○田畑金光君 商工委員会では、先の国会に日本貿易振興会法案及び中小企業信用保険公庫法案を審議いたしましたが、この二つの法案は、ただいま議題となっております法律案と密接な関係があるわけでございます。その他この法案に盛られておりまする経済基盤の強化の問題といい、あるいは東南アジア開発協力の問題といい、すべて商工委員会といたしまして強い関心を持って調査を進めてきた問題でございます。そこで本日は連合審査をお願いしたわけでございまして、私はまず本法律案の問題点について二、三お尋ねをしたいと考えるわけでございます。すでに衆議院の関係委員会におきましても、また参議院の当大蔵委員会等におきまして、しばしば質問をされ政府の答弁がなされておるわけでございますが、新聞等を見まして、まだ明確になされていない点について、私は特にお尋ねしたいと考えるわけでございます。
ただいま大蔵大臣の提案理由の説明がございましたが、その中にもございましたように、要するにこの法律案を提出いたしました当時の情勢は、国際収支の予想外の赤字という問題を中心としまして、財政の面から経済を不当に刺激してはならない、こういう観点のもとでこの法律案を出されておるわけでございます。ところがその後の国際収支の推移を見ますならば、昨年の十月以来黒字に転じまして、当初政府は一億五千万ドル前後の黒字を予定しておりましたが、今日は二億五千万ドル前後の黒字が予想される国際収支の好転を見ておるわけでございます。しかし国際収支の実態内容は、輸出の積極的な拡大というよりも、むしろ輸入の縮小によってバランスがはかられておる、いわゆる縮小均衡の状況にあるわけでございまして、しかも四月以降五、六月ともに輸出の信用状は二億ドルを割っておるという状況でございまして、アメリカ経済の不況が予想外に深刻であるとか、あるいはまた日本の最もいいお得意である東南アジアのドル不足の問題であるとか、あるいは中共との貿易途絶の様相等を考えたときに、輸出振興と申しましても、すでに一つの限界がきておる、こういう状況にあろうと考えております。
さらにまた国内的に見ましても、政府の説明によりますならば、生産の調整も若干時期がずれて、個々の商品によっても区別が出ているが、七月からないし九月のころには生産調整が大よそなるだろうという説明があるわけでございます。最後の調整を見ましても——なるほどだんだんと調整がなされておることもわれわれは数字の上で知るわけでございまして、また物価の動きを見てみましても、卸売物価等については若干下ってきておる傾向がありますし、いわば横ばい状況にあろうと考えております。ところが政府のいろんな説明等を見ましても、有効需要というものは、投資の面から見ても、あるいは財政の面から見ても、輸出の面から見ても、ことしは三千億ないし三千五百億の増加しか期待されていない、こういうような状況にあるわけで、いわば現在の景気というものがなべ底を横ばいしておるという状態にあるというわけでございますが、ことにこういう状況になって参りますと、経済の自動的な調整によってこの不況を切り抜けるということは、これは不可能であろうとわれわれは見るわけでございます。従いまして不況克服のためには、やはり政府の施策というものが必要になってくるわけでございまして、こういう立場から見ましたときに、政府の態度にもそれぞれニュアンスが出て変ってきておるわけでございまして、この国会の開かれた当初においては、政府の説明は、前国会の答弁とほとんど変りがなかったわけでございますが、だんだん国会が中ごろから終りに近づくに従いまして、政府の答弁等にもニュアンスが出てきておるわけでございます。
そこで私は具体的にお尋ねいたしますが、補正予算を提出するという問題、これは当然この不況克服をどう解決するかという具体的な問題だと考えますが、補正予算を提出されて、もちろん次の臨時国会において、聞くところによると、九月中ごろ臨時国会を準備しておられると承わりますが、この臨時国会において、政府は補正予算を提出されて、具体的な不況克服策を進められるのかどうか、この点を最初に承わりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/6
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007・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 次に開会を予定されておる臨時国会において補正予算を出すかどうかというお話でございますが、次に臨時国会を開かなければならないということ、これは通常国会前に臨時国会を開かなければならぬということは、今の情勢からその通りになるものと、かように考えております。これは申すまでもなく、政府自身の意向と申しますよりも、ただいま当面しております国会内の情勢から申しまして、成規の手続による臨特国会の召集の要求があれば、必ず開かなければならない、こういうことになるわけでございます。その点を実は申し上げるのでございますが、そういうことが第一段に前提としてあるわけであります。今日までのところ、政府自身は九月に開くということが新聞に伝えられておりますが、まだ政府部内でさような相談をいたしたことはございません。しかし必ず通常国会前に臨時国会が開かれるであろう、こういうことは今日想像をつけておるのであります。開かれる臨時国会においてどういう議案を提案していくか、いろいろな見方があると思いますが、政府といたしまして考えなければならないことは、通常国会の直後に参議院の選挙が行われる、そういうことを考えますと、院の選挙に対しましても、参議院における審議の円滑な運営という点を考えますれば、通常国会における負担はできるだけ軽くするということが望ましいのじゃないか。予定される臨時国会におきましては、そういう意味で、いろいろな法案等も提案することを研究したらどうだ、これがただいま政府部内においての意見でございます。
そこでただいまお尋ねになりますところの補正予算を出すか出さないか、こういう問題につきましては、もちろん政府部内でさような点についての審議をいたしたことはございません。ただ今日までのところ、国会の審議を通じまして、ただいま当面している経済情勢、これについては今しばらく情勢の推移を見きわめて、しかる上で要すれば——必要であるならば、さような点を考えるにやぶさかでないという説明を繰り返して参っておるのでございます。これが実情でございます。ただいま申すような「要すれば」ということは一体どういうことかという点について少し敷衍して説明させていただきたいと思いますが、私どもの当面しておる経済についての見方は、ただいまの前半の御意見のうちにもありましたように、昨年来の異常経済に対する対策、これは漸次その効果を収めてきており、大体において——大体においてです、私どもは異常経済に対する対策としてとりましたもの、さらにまたそれに引き続いて編成をいたしました三十三年度予算編成のときに一応想定いたしました経済の状態と非常な隔たりのない状況で今日まで推移をいたしておると思います。しかし、ただいまの御意見のうちにもありましたように、私どもが考えましたのと幾分か程度の差のあるものも、そういう状態もできておる。それはただいま御指摘になりましたように、調整が少しはおくれておるのじゃないか、あるいは世界経済の不況はなかなか深刻ではないか、こういうような点がやや私どもの感じたものとは相違があるかと思うのであります。そこで大体日本経済そのものは横ばいの状況にはなっておりますが、まだ年度が始まりまして二、三ヵ月のことでございますし、この経過はもうしばらく推移を見なければ、私どもがいかなる措置をとるかということを今否決しかねる、今しばらく推移を見たい、こういう立場でおりますので、ただいま予定されます臨時国会に対して必ず補正予算を出すとか、必ず出さない、かようなことを申し上げる段階ではないというのでございまして、今しばらく情勢の推移を見まして、その結果によりまして、要すれば——必要があるならば、補正予算を組むことについても決してやぶさかでない、かような意見を申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/7
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008・田畑金光
○田畑金光君 大臣の御説明は、従来の答弁から変りないようでございますが、率直に伺いますならば、政府は不況対策をどう考えておられるのか、要するに不況対策と申しましても、今の日本経済構造から申しましても、やはり財政金融政策というものがまず先に出なければならぬと考えるわけでございます。すなわち一般会計の財政措置あるいはまた財政投融資によってどう、不況を解決するか、こういう問題と、もう一つは金融問題——金融政策から来る経済の喚起、こういう問題になろうかと考えますが、大臣の答弁によりますならば、もうしばらく情勢を見てから補正予算を出すか出さないかということは考えたい、こういうような御答弁でございますが、しかし私たちは新聞で承知した限りでございますが、かつて川島自民党幹事長も、九月には補正予算を出すということを明確に言っておられまするし、また昨日福田自民党の政調会長の高崎における談話を見ますならば、不況解決策をすみやかに提案をする、こういうようなことも申しておりまして、昨日の福田政調会長のいわる不況解決策というものは、要するに具体的には補正予算を通じ、一般の財政政策を通じ、あるいは金融政策によって処理をすることだと考えるわけでございまして、そういう工合に見て参りますると、当然これは政府といたしましては不況克服というものは準備をなされ、また近く具体的な成案を得られるものと考えておりまするが、この点について御所見を承わりたいと考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/8
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009・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま川島幹事長あるいは福田政調会長の意見として新聞に報道されたところの問題についてお尋ねがあったと思います。同時にこれは政党政治として党の三役のかような発言は必ず政府にも考えがあるんだろう、こういうお尋ねだと思うのでございますが、川島幹事長の発言につきましては、臨時国会の召集の期日も九月であると明確に言い、同時に補正予算というものも出す、かように新聞が伝えておりますので、まことに重大な発言だと考え、大蔵委員会におきましても特に重大な発言だとして取り上げられ、私も川島幹事長に対してどういうような所見であったか、その当時の経過を詳細に承わったのであります。一言にして申しますならば、新聞からいろいろ問い詰められた結果、ああいうような話になったというようなことでございます。もちろん心組みがあって問い詰められたということではないのでありまして、少し説明が冗漫に流れるおそれがございますが、岸総理の外遊の問題をめぐり、外遊するということが出ておるのだが、外遊の時期いかんによっては臨時国会開催のなかなか時期がつかめないのじゃないか。言いかえますならば、外遊が十月か十一月であるならば、もう臨時国会を開くというならば総理のいる時というと九月以外にないのじゃないかということで、九月になるだろうというような話になったようでありますし、九月になったらそれではどういうものを出すかというようなことでいろいろ問い詰められて、ただいま問題になっておる補正予算というような話になったそうであります。私が真意を確めてみますと、まことに説明にもならないような説明をしておられますので、御披露いたしますとかえって皆様方からおしかりを受けるかわからない。そのときの補正予算として予定されるものは何だと伺いますと、大体台風の時期等ももう近く来るので、そういうことを考えると、異常災害に対する予算なども組まなければならないかと思って実は話をしたようであります。これなどは私ここで御説明をいたしますのに、まことに意に満たない状況でございます。問題は、おそらく記者会見においていろいろ問い詰められた結果がただいまのような新聞の記事になったんだろうと思うのでございます。この点は御了承をいただきたいと思います。福田君の昨日——今朝記事になっております事案につきましては、私自身まだお話を福田君から何にも聞いておりません。また私の方からも福田君に対してただいま尋ねるほどの実は重大問題でもないような気がして、私は参っておるのでございます。ただ先ほど申しましたように、事態の推移をしばらく見ると申しましても、その間に何にもしないというわけではございません。経済の動向につきましては、絶えず政府といたしましては、責任をもって注意して参らなければならないのでございます。かような意味で、過去におきましても繭糸価の価格の維持ができないと、かように考えますれば、生糸や繭価の維持のために特別な措置を講ずるとか、あるいは今日乳価安定のためにいろいろの問題をひっさげて党内においても対策を練っておる次第でございます。いわゆる一般的不況対策といたしましてのものは、ただいま対策を講ずる段階だとは思いませんが、生きておる経済の面におきまして、時々出て参ります現象に対しましては、それぞれ対策を立てて参ること、これはもちろんあり得ることだと思います。福田君の申しておりますのもさような意味のものも多分にあるだろうと思いまするし、さらにまた臨時国会等を想定いたしまして、当面しておる経済の分析等が一そう進んで参る、そういうような事態になりまして、私どもも事態についての考え方を明確にいたすようになれば、これは別に補正予算を組まない、こう実はがんばるべき筋のものだとは思わないのであります。問題はかような点を含めて、先ほど冒頭に申しましたように、要すればそういうことも考えることにやぶさかでないということを申し上げておるものと私は理解いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/9
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010・田畑金光
○田畑金光君 大臣の答弁は少し質問者の聞かんとすることに対して、はずれているようであり、また冗長であると私は思うので、政府の考えておることを率直に答弁願いたいと思うわけです。
川島幹事長の答弁が、たまたま外遊に伴って問い詰められた答弁であった、そういうようなことは形式過ぎる問題だと思います。ただ私がこういう委員会で、幹事長の談話あるいは与党の政調会長の談話を取り上げて質問をするのは、まさにその談話の中に当然今日の経済情勢の推移からして、政府がとるべき方策が出ておる、また国民もそれを期待しておる、こういう観点に立つがゆえに、こういう談話をわれわれは取り上げておるわけでございます。大臣のせっかくの答弁でございますが、昨日のこの福田政調会長の談話等を見ましても、九月の臨時国会には最低賃金法案あるいは国民健康保険法案、汚水対策の法律案を出そう、これは関係大臣がすでに本国会の関係委員会等におきましてあるいは本会議等におきまして明確に答弁されておる。次の臨時国会に出すと約束されておる法律案であるわけです。同じようにこの談話の中には不景気対策の法律案等についても提案する、こういうことに明確に言い切っておるわけでございます。大臣は、経済は動くものであるから、生きものであるから、それに応じて処置をとっていきたい、しかしそれは具体的には法律案の形であるいは補正予算の形でその方策をとるのか、あるいは指導——行政指導措置の範囲内で景気対策をやっていくのか、こういう問題であろうと考えるわけです。今の日本のこの経済の動き——不況問題というものは、もはや予算上の措置によって、何らかの手を打たなければならない段階に来ておるのだというのが私は国民一般の見方ではなかろうかと考えるわけです。ことに本日の朝日新聞の社説を読みますと、「不況対策をどう考えるか」、こういうような標題のもとに述べられておりますが、要するに問題は不況対策の手順と方法がどう進められるべきか、こういうことに帰一しているわけで、今の日本の経済を見たとき、何らかこれは不況の対策を打たねばならないということは、この社説自身も認めているわけで、これを私は今の経済に対する国民一般の見方であり、不況対策に対し政府が適切な措置をとる、これは国民の要望であると考えるわけでございます。そういう意味におきまして大蔵大臣といたしましては、もっと率直に、もう七月です。九月というとあと一、二カ月前後です。明確にこの際、私は不況解決策について大蔵大臣として、あるいは政府としてどういう方針をとろうとするのか、この際、述べていただきたいと考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/10
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011・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来申し上げましたように、今日の経済に対する見方は、ただいまの御意見とは私どもやや違っておるのでございまして、先ほど来から繰り返し御説明申し上げておりますように、今日直ちに補正予算を組むというような考え方は持っておりません。いましばらく経済の推移を見た上で、要すれば補正予算を組む、そういう考え方で終始いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/11
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012・田畑金光
○田畑金光君 この間の選挙で与党は——自民党は、あるいは政府と申した方が適当でございましょうが、七百億の減税と、それから国民年金制度の確立を約束いたしております。それでまた今国会を通じ、総理以下関係大臣は来年度の予算の中にはこれを実現したい、実行したい、こういうことを申されておるわけでございます。しかし、七百億の減税をやり、国民年金制度を創設するためには、相当余裕財源が必要であろうと考えておるわけです。すなわち、政府は来年便の税収入の自然増というものに大きな期待を寄せているものと考えるわけです。今のように経済が不況のままに横ばいいたして参りました節、果して政府の期待するような税収の自然増というものが出てくるのかどうか。こういう問題に私は当然ぶつかって、こようと考えるわけです。一体政府は来年度どの程度税の自然増を予定しているのか。今申し上げた政府の公約と関連いたしまして、この点一つ大蔵大臣の見通しについて承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/12
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013・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 選挙を通じまして、公約しておる事項につきましては、政府といたしましては、あらゆる努力を払ってこれの実現を期するという考え方に変りはございません。いろいろ問題があろうと思います。財源の面におきましても、昨年来の不況でございますので、なお、財源を十分精査しなければならないものがあろうと思います。しかし、公約事項を実施するという場合におきましては、自然増収ももちろんその財源の一つでございましょうし、公約優先に考えて参りますけれども、既定経費を削減することがありましても、公約事項はぜひとも実現したい、こういう考え方でただいま取り組んでおる次第でございます。そこで一応自然増収がどうなるかという問題でございますが、国民所得が六%ふえるという想定のもとに、いろいろの自然増収の額等も言われて参っております。最近の情勢等で国民所得がどういうような趨勢をたどるか、この点は数字としてなお検討をいたさなければならないと思います。先ほども申しましたように、年度が始まりましてまだ二、三カ月のことでございますので、今後の経過等も十分見なければならない。ただ一般的に言われておりますことは、在来とはなかなか事かわり、世界経済もなかなか深刻な状況に当面しておるから、なかなか計画通り進まないのじゃないか、こういうような点があろうかと思います。ただいま申し上げ得ることは、そういう意味で数字についてはもう少し精査を必要とするのじゃないか、ただ公約事項に取り組む政府の気持といたしましては、先ほど申しますように、国民の期待しておる公約事項の実現にはあらゆる努力をささげて、そうしてこれが実現を期して参りたい、この考え方に変りはないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/13
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014・田畑金光
○田畑金光君 大蔵大臣の答弁としては、公約はぜひとも実行したいという精神論ではお答えにならぬと思うのです。やはり具体的な数字に即して実行できるかどうかという問題になろうと考えるわけです。本年度の政府の財政経済の基本というものは、輸出入関係を見ましても、たとえば輸出は三十一億五千万ドル、輸入は三十二億四千万ドル、この輸出入関係の上に立って日本の経済の成長率を六・五%平均伸ばしていきたい、こういう考え方のもとに立っておるわけでございますが、すでに輸出に関しましても、二十八億ないし二十八億九千万ドル前後であろう、こういうことに言われておるわけでございます。そうなって参りますと、当然国民所得も、あるいは経済の成長率というものも、政府の当初立てた基準よりはずっと下回るだろうということをわれわれは予測するわけでございまして、そこで一体こういう経済の推移の中で、政府は果して減税と社会保障というものを両立せしめ得るかどうかということは非常な関心があるわけです。今の御答弁によりますと、税の自然増もさることながら、既定経費の節減ということを言われましたが、既定経費の節減などと言われましても、毎年々々繰り返しておるわけで、補助金の節減についても、当初は相当額一つ削るのだというけれども、さて予算がようよう国会に提案される段階になって参りますと、いつもそれは竜頭蛇尾に終っておるわけです。これはとても期待できません。義務的な、当然ふやさねばならぬ予算措置が必要でございましょう。その上にさらに七百億の減税と、国民年金をやっていくためには、経済の動きというものが相当これは伸びていかねばならぬと、こう考えるわけです。経済が伸びる、国民の所得がふえる、そういう状況の中に初めて私は減税もできるだろうし、年金制度の確立もできると、こう考えておるわけで、そういう観点から、一体ただ一つ大事なことは、税の自然増というものが、唯一皆さん方の寄りどころと考えますので、自然増については、どの程度の数字を考えておるのかということと、もう一つは私のお尋ねすることは、皆さん方の公約を実現するためにも、やはり経済の現在の不況の動きに対しては何らかのてこ入れ、下期には経済の上昇ということについて積極的な施策をとることが必要だと考えるが、この点はどうだろうか、これをお尋ねしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/14
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015・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 公約事項の実現については、納得のいくような説明をしてくれないかという、こういう点が第一段のようにお伺いいたしたのでございますが、先ほどは自然増収についてのお話でございましたが、新しい政策を行います場合に、まず考えられますものは、自然増収であるとか、あるいは剰余金であるとか、さらに既定経費であるとか、こういうものをアイテムとして財政の規模をきめて参る。これは当然でございますが、そういうような点についてまだ構想が実はまとまっておりません。構想がまとまっておらないために、私ども政府の決意のほどを実は御披露いたしたのであります。この点はもう少し時期が推移して参りまして、来年度予算の編成についての大綱ができるとか、あるいは財源等についての見通しが十分できるとかいうことになれば、もちろんお話しを申し上げなければならないことでございますが、ただいまの段階では、いかにもその年度が始ったばかりでありますので、少し早い。政府といたしましても少しまだ時間をかしていただきたいという気がいたしておるのであります。
問題はその意味では時期的にはわかるが、当面しておる経済状態について、見通しがよほど政府はあまいのじゃないのか、あまいからそんなことを言っているのだ、こういうおしかりのようにお話しを聞きとったのでございます。私ども当面しておる経済の推移についで、手離し楽観の考え方ではもちろんございません。だからこそ、先ほど来申すように、しばらく経済の推移を見たい、もう少しその情勢によりましては、補正を要すれば補正を組むことにやぶさかでないと私は申しておる。手離しで楽観いたしておるわけではございません。しかし一面楽観はいたしませんが、同時に一部で言われるような、非常な焦眉の急というか、火がついたと、こういうような悲観的な見方も実はいたしておらないのであります、この点でどうも先ほどからお尋ねになりましても、あるいはお尋ねの点にぴったり合った答えができておらないというおしかりではないかと思うのであります。問題は、ただいま申したように、出面しておる経済の情勢については、もう少し推移を見ていかなければならない問題があると思うのであります。と申しますのは、国内における調整のズレということを申しております。今日までの需給調整は、主として生産制限というか、操短というか、そういう方向で行われて、おりますが、本来経済は成長し、またそれを拡大していくということが私どもの狙いであるのには間違いはないのであります。こういう意味から、この需給調整の面においての考え方は、今の状態で満足すべきことではない、これはもちろんでございます。しかしながら、急激なこの需給の状況を変えるという、そういうことを変えることが果して経済を健全な上昇の方向に持っていくのに幸いするかしないか、いつに見方はそこにかかっておるのでございます。私どもの見るところでは、今日ようやく異常経済状態から脱したばかりなんで、暫くこれには静養の期間を与えるべきじゃないか、そういう十分の力を蓄えたその際にこれを成長さしていく、そういう政策をとるべきではないが、ただいま応急的な注射その他の方法は避けるべきだ、こういう実は考え方を持っておるのであります。この点では決して楽観をいたしておるわけではございません。同時にまた悲観をしておるわけでもない。また経済のあり方を縮小の方向へ持っていくような考え方はもちろん持っておらない。政調会長やその他の経済閣僚の談話にいたしましても、ポイントとして、ニュアンスとして出て参りますのが、実はこの点にかかっておるのじゃないか、経済を拡大さしたいという気持、その意味の発言がありますと、直ちに何らかの財政措置をとるのじゃないのか、こういうようなお尋ねのようにお見受けするのでございますが、これは問題は時期的な問題なんで、その時期的な問題といたしましては、ただいま直ちにとるような考え方はないし、もう少し情勢の推移を見たい、かように先ほど来申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/15
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016・田畑金光
○田畑金光君 景気の立て直しには内需の喚起をはかることとともに、輸出の振興という問題になるわけでございますが、ことにこれまた福川政調会長の言をかりるわけでございまして、景気立て直しに米国の協力を求めるために、十一月に予定されておる岸総理の中南米訪問に先立ち、九月ごろ閣僚の訪米を考えておる、こういうような談話等がございますが、おそらく私はそのようなことになるだろうと見ておりますが、この点について、特にこれは大蔵大臣等がその主要責任者であるわけで、どのように考えておられるか承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/16
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017・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) きょうは外務大臣も出席しておられますが、外務大臣も外遊の記事が盛んに出ておることだと思いますが、私自身にはただいま訪米等の予定のものは持っておりません。で、ただいま政調会長がどういうことを申しておるか、これは新聞で知る程度でございますが、内閣といたしましては、ただいま閣僚の外国行きの話なぞまだ具体的に伺っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/17
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018・田畑金光
○田畑金光君 外務大臣にお尋ねいたしますが、昨日の新聞でありましたか、私は中共貿易に関して佐藤大蔵大臣の答弁を読みまして、政府の考え方というものを一応理解いたしたわけでございますが、この際、外務大臣にお尋ねしたいと思います。それは、私たち見ておりますと、中共貿易に対しましては、政府の中でも意見が分れてわるように見受けるわけでございます。ことに高碕、三木両大臣は、中共貿易については積極的に進めるべしという見解のようでありまするし、ところが池田あるいは佐藤両大臣は、どちらかというと、消極的な立場に立っているように見受けるわけでございます。ことに池田国務大臣は元来そうでございますが、対中共貿易を云々するよりも東南アジア貿易を大いに進めるべきだ、こういう見解に立っておられるようでございます。ところが私本日新聞を読みますと、これは朝日新聞でございますが、最近中共が東南アジアの中国人に日本商品のボイコットを呼びかけておる、これは非常に私は重大な問題だと考えるわけです。政府のこれまでのこの問題に関する立場というものは、今申し上げたようにいろいろ異なっておりますが、高碕通産大臣は、日中貿易が停止することによって困るのは、中共でなくむしろ日本である、こういうことを言われております。事実本年度は一億ドルを予定した対中共貿易が、今のままに推移するならば、ほとんど期待ができない、こういう状況にあるわけでございます。ところが岸あるいは藤山外交においては、対中共貿易については静観をするという態度であるし、元来藤山外務大臣は財界人から出られた外務大臣といたしまして、しかも経済外交を積極的に主張される立場として、われわれはもっと弾力性ある態度を期待しておりましたが、最近はどうも岸さんと同じように消極的になってきた、岸さんの型にだんだんはまりつつある、これはまことに遺憾なことでございまして、一体対中共貿易について外務大臣としてはどういう考え方でおられるのか、あるいは今申し上げたように日本商品ボイコットという問題等が一体現地に現れてくるのかどうか、この点について承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/18
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019・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいまお話がございましたが、政府の部内で対中共貿易についてそう大きな違いがあろうとは私は存じておりません。私は現在中共貿易が、日本の三十一億、千万ドルの輸出の当面の問題からいたしましても、また日本がアジアに位しております立場からいたしまして、基本的に考えてみまして中共との貿易をすることが必要と考えております。従いまして、これをいかに誤解と感情上のそごのないようにもっていくかということが具体的な施策でなければならぬと思うのであります。従いまして、先般来いろいろ両国の関係におきまして、誤解やあるいは感情上の刺激が多かったと思うのでありまして、でありますから、そういうものを若干さましていくということが、可能ならば、必要でないかと、こう考えるのでありまして、そのこと自体が中共との関係を一日も早く正常化していきます上において一番適当な早い方法ではないかと、こう思うのであります。でありますから、私もまた、総理の申しております静観という意味も、決して中共との貿易を拒否する意味における静観をいたしておるわけではなくして、できるだけそういう正常化を進める上においては、現在の段階において、しばらくあまりいろいろ相互に刺激し合うような言動をし、またはそれらの方策をとることは適当でないという意味において静観をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/19
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020・田畑金光
○田畑金光君 具体的に先ほど私お尋ねいたしましたが、東南アジアの中国人に対して日本商品のボイコット、こういう問題が現実に起きておるのかどうか、これは非常に大きな政治的な問題でもございますが、ただ経済的に見ますならば、特に東南アジアにおける華僑の経済的な実力というものは、これはわれわれは正当に評価しなければならぬと考えておるわけです。こういうようなことになって参りますと、政府部内に東南アジア貿易重視論がありますけれども、またそういう面から東南アジア貿易も大きな政治的な制約が加えられてくる、これもわれわれは予測しなければならぬと考えておるわけであります。要するに問題は、対中共貿易あるいは対中共関係をどうするかということが問題になってくるわけであります。この点について具体的に承わりたいと存ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/20
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021・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 新聞紙上にありましたように、中共が何か華僑に呼びかけまして、日本商品のボイコットをするというような記事があったことは私も承知いたしておるわけでありますが、しかし少くも今日まで直接そういう動きがあったことではないのであります。が、しかし今後そうした動きが両国の誤解の上に立って起って参りますことは好もしいことでないのであります。やはり一日も早く誤解でありますとか、感情上の高ぶりというような問題については、相互に十分理解し合って解消をして参りますことが、この問題のやはり一番大きな当面の対策だと存じております。
なお、東南アジアの貿易におきまして、これは各国といろいろ競争をしていく、中共も最近いろいろな商品を積極的に東南アジアに出しておりますことは、私どもも承知いたしております。ただこれは中共であるからということでなしに、日本の商品というものは、やはり輸出が伸びて参りますと、東南アジアにおきましても、各方面で競争をしていかなければならないのでありまして、やはりそれに対しては日本商品をよくしていく、安くしていく、そうしてまた日本の商品の輸出の方法等を、やはり過当競争に陥って、そうして輸入側の迷惑になるような売り方をしないというような方法で対抗して、そうして長年にわたる日本の輸出貿易の基盤を逐次拡大して参らなければいかぬのでありまして、これは中共の商品に対しましょうとも、あるいは西独あたりの商品に対しましょうとも、同じような競争が東南アジアで起ることは当然だと思います。従って政府としても、それらに対して十分市場調査もいたして、そうして適当な商品の販路を見つけ、またはその土地々々の生活の状態に合うような商品を出すというような諸般の工夫もして参らなければならぬと思います。そういうことで貿易全体に対して対処していくことが必要なことだと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/21
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022・田畑金光
○田畑金光君 外務大臣にお尋ねいたします。東南アジア開発協力基金の問題でございますが、この基金は「東南アジア開発協力のための国際的機構に対する出資及び当該機構が設置されるまでの間において、将来当該機構の出資に振り替えることができる性質の国際的協力による投資の財源に充てる」、こういう工合になっておりますが、一体こういうような国際的機構というものはどういう構想のものであるのか、またそれはどの程度成熟しておるのか、あるいは成熟していないのか、これについてもっと具体的に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/22
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023・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 東南アジア開発基金につきましては、御承知のように、岸総理が東南アジア及びアメリカを回られましたときに、それぞれこの提唱をされたわけであります。その後、これらの考え方を実現していく方途を考えておったわけでありまして、それぞれ東南アジア各国に対しまして、これらの基金の構想に対する意見等も求め、またそれらの考え方を入れて、われわれも構想を作っていきたい、また相当実際的に運用いたしますためには、巨額の資金等も必要とされる面もたくさんございますので、従って西欧陣営等にもこれらの問題について、アメリカでありますとか、ドイツでありますとか、相当そういう資金的な余裕をもっております国の意見等も参考に聞くように私どもは連絡を努めて参っております。むろん、この構想が初めスタートいたしましたとき、いろいろ誤解もございましたし、何か日本が、日本だけがこういうような機関を独占して、そうして再び戦時中のような何か経済的な支配力を確立する目的に使うのではないかというような誤解もあったようでありますが、その後だんだんそれらの点についての誤解は解消してきていると思います。そうしてわれわれとしては、やはり東南アジアの各国を含む一つの共同的な機関を作りまして、その運営等につきましても、それぞれ同じような立場でもって、理事会等において発言できるような形を考えておるのでありまして、そういう問題については誤解も解けつつあるのではないかと存じております。しかしながら、何といたしましても、これらの構想というものは、一つの大きな構想であり、いろいろな国に関係をして参りますから、必ずしも所期した通り、急速に進んではおりません。しかしこの考え方につきましては、大体だれでもが、何かこういうような国際的な機関を通じて、東南アジアに資金を供給することは、東南アジアの平和、民生の安定の上からも、あるいはそれぞれ独立国の経済建設の完成の上からも必要であろうという考え方にはなっておるのでありまして、従ってわれわれとしては、そういうことを考えながら、できるだけ終局に、こういう構想ができますように努力をして今日もおるわけであります。むろん日本がそれだけの大きなことを提唱いたしておるのでありますから、若干でも、とにかく日本も財政上の余裕がないにしても、わずかでも、年々こういうものを出資する場合に出資金に振り当てるようなものを、わずかでも出していくという実際の動きを示して参ることが、やはりこれはただ単に空想的なものでなくて、日本もほんとうにこういうことが実現可能のように、できるだけ努力しておるのだということを示して参ることが必要なのでありまして、従ってこういう構想を今回の五条件の経済基盤の強化資金の中に、アジア開発に対する基金を留保していただいたのであります。従ってそういう問題が出て参りますれば、その出資に充てていきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/23
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024・田畑金光
○田畑金光君 御答弁を聞いておりますと、答弁が長いときは大てい内容は何もないのです。今の答弁を聞いておりましても、先ほどの大蔵大臣の答弁を聞いておりましても、答弁が長ければ長いほど実は内容は何もない、こういうことなんです。それで、私は具体的にお尋ねしますが、こういう大事な法律を通して、そうして東南アジア開発協力基金として五十億をとられておりますが、その大臣の御説明あるように、考え方とかねらいは妥当であり、また適当であるかもしれませんが、しかし現実にこれは効いていない、動ける態勢になっていないということに問題があろうと思うのです。岸総理の第一次東南アジア訪問の際、この構想は唱えられましたが、そのときは主としてアメリカの資本と日本の技術を提携して東南アジアの開発に乗り出したい、こういう構想が中心であったわけでございますが、ところが肝心のアメリカはどうかというと、何らこれに、呼びかけに対して積極的な具体的な動きはないわけです。東南アジアの諸国を見ましても、ネール総理の来日等の中から、インドのネールはこの問題に相当理解を深めたということはわれわれは聞いておりますが、該当するアジア諸国で、これに対して具体的な反応があることをわれわれは聞いていない。そうしますと、この法律を通し、予算をとったら、一体この基金五十億というものはどうなるのか、どうするのか、また大臣の説明によりますと、一生懸命にこういう理念のもとに努力をしておるというお話でございますが、一体それがほんとうに動き出すのはいつなのか、その辺について具体的に一つ明確にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/24
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025・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま申し上げました通りの考え方、しかも必ずしも、これが実現可能であるならば、非常に大きな構想でなくとも、小さな構想からでも出発していって、そうしてそれをだんだんにふくらませて参ることも必要なことだと思います。従いまして、われわれとしては小さな形ででもあるいは内容等につきましても非常に大きな問題じゃなくても、直接技術協力の面があの最初の構想の中にあるわけでありまして、そういう問題にも動かし得るならば、そういう形から出発するのも一つの方法でありまして、そういう点について東南アジアの各国の方々と御相談をしておるわけであります。御相談をしておりますから、いついかなる時期ということは必ずしもここで申し上げるわけに参りませんけれども、そういう意味において、できるだけそういうものができるように努力をしていくということを申し上げたいと思います。
なお、この五十億円の問題につきましては、かりにそういうものが若干延びて参っても、もしその間に何か将来そういう基金ができたときに投資し得る、あるいは基金を働かせるための必要な問題であって、将来マルティラテラルの援助的な中に入れ得るものであれば、そういうような問題にも若干使ってみたい、それがまた母体になる関係もございます。しかしそういうときには、補正予算等でもってあらためて御審議を願うごとになろうと思いますが、両面から努力をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/25
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026・田畑金光
○田畑金光君 御答弁を聞いておりますと、この法律は、少くとも東南アジア開発協力産金というものは、当分これは必要ないという結論になろうと私は考えるわけでございますが、今の御答弁を承わりますと、技術協力とか技術援助ということを考えておられるようです。しかしコロンボ・プランにわが国は参加しておるわけでございます。コロンボ・プランは一九五〇年七月にできて、わが国も一九五四年これに援助協力国として参加しておりますが、このコロンボ・プランに対するわが国の協力を見ますと、アメリカはもちろん比較になりませんが、豪州とかニュージーランド、カナダ、こういう援助協力国に比較いたしましても、著しく額において、協力内容においても、低いわけでございます。むしろ私は東南アジアの特に後進地域の開発を具体的に進めていくためには、むしろいつの目に具体化するかわからぬようなひとりよがりの、と申したら語弊があるかもしれませんが、そういうような構想でいくよりも、むしろコロンボ・プラン等を通じ具体的に協力を進めていく、今コロンボ・プランにわが国は技術援助しか協力しておりませんが、たとえば五十億の基金があるならば、むしろこの際、資本援助に、そこまで一歩前進せしめますならば、具体的に私は日本の東南アジア諸国との提携というものが生まれてくるとこう考えておるわけで、私は一体東南アジア開発協力基金構想とコロンボ・プランというものは、どういう関係にあるのか。第二は、むしろこの際、コロンボ・プランの技術協力というものを一歩進めて、資本協力、資本援助、こういうようなところまでいくことが現実的ではなかろうか、実際的ではなかろうか、こう考えておりますが、この点について大臣の所信を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/26
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027・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 外務大臣は正午にアルゼンチン大使と約束がありますので、外務大臣に対する質疑を先にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/27
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028・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) コロンボ・プランに対して、もっと協力したらいいじゃないかということは、私も非常に同感でありまして、できるだけコロンボ・プラン等の活用していく、日本の立場からしていきますことは必要だと思います。従いまして今後ともコロンボ・プランを通じての協力滑動というものもできるだけやっていきたいと考えております。がしかし、東南アジアの実情から申しますと、各方面とも相当経済建設その他の計画を持っております。そうしてしかも現在の東南アジアの民生の安定なり、あるいは独立を確保するための経済建設のいろいろな五カ年計画でありますとか、三カ年計画でありますとか、そうしたものの推進の上に相当な資金を要し、またそういう面から技術的な援助が必要であることも多いのでありまして、まあいわばいろいろな角度から、そうした基盤ができまして、そうしてそれらのものが落ちなく、と申してはおかしい言葉であるかもしれませんが、いろいろな角度から援助ができることが、私、望ましいことであるとこう考えております。従いまして、日本も東南アジア開発のこの構想をやはり何らかの形で目指して参りますことは、われわれの努めてやらなければならぬことであります。またそうしたことについて、東南アジアの各国の方々もマルティラテラルの、バイラテラルの問題でなくて、マルティラテラルのこうした機関があれば、非常に有効だということは、みな考えておるわけでありますから、そういう意味において、これを推進して参ることは必要なことだと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/28
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029・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 通告がありますので、相馬助治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/29
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030・相馬助治
○相馬助治君 ただいま委員長から十二時までしか外務大臣が出席できないことを初めて承わったわけで、私どもは前もって質問を通告いたしておりまして、外務大臣にそれぞれ質問を予定しておりました。しかしその事情が外交に関する、外国使臣に関する問題であるというので、これはやむを得ないと思います。私は五点ほど質問を用意していたのでありますが、同僚の質問もあると思うので、ただ一点だけ外務大臣にお尋ねをしておきたいと思います。かつて岸首相が東南アジアを歴訪いたしましてのちにアメリカを訪問して、東南アジア開発の構想を明らかにいたしました。アメリカから金を出させて日本が技術等を輸出して東南アジアを開発していくという岸総理の構想は、まことに時宜を得たものであり、正しいものであると私たちは今もって考えております。従って与野党の立場を離れて、この成功を期待する向きが多いことは、外務大臣も御承知の通りであります。これらに見合って、今度のこの法案におきましても、五十億の基金を支出したのでありまするが、まことにこれは少くて心細いものではありますけれども、一体この五十億というものの政治的な意味が何なのか、またさしあたり何をどのような計画に基いて五十億が支出されるのかということをお尋ねしておきたいことが一点であります。
そうしてかつ次にお聞きしたいことは、外務大臣が近くアメリカを訪問するということもうわさされております。そういう場合には当然かつての岸構想を生かすべく、外務大臣としてもその所管の立場からアメリカにおいてこの問題について話し合いが持たれると思います。差しつかえございませんでしたらば、この際、アメリカ訪問の際における東南アジア開発についての話し合いの基調をなす構想等について、本委員会を通じて御披露願いたい。事は外交問題であり、デリケートな問題をあらかじめここで発表すべきではないという考え方もあるかとも思いまするけれども、私どもは岸構想なるものが何らかの形においてりっぱにその役目を果すためには、どうしてもアメリカの援助なしにはなし得ないというこのことを考えるのです。しかしそれがどのような形で援助されるかということは問題といたしましても、とにかくアメリカの熱意というものがやはり問題であると思うのであります。従いまして、アメリカ訪問の意図あるやいなや、ありとすれば、その際における東南アジア開発についての話し合いの基調をなす構想について承わりたい、これが私の質問であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/30
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031・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) お尋ねの第一点は、五十億の基金は少な過ぎるのじゃないかということであります。私どもも日本が何らかの形でこういうものを提唱して参りますためには、相当な金額を出資すべきが当然であります。しかし今財政等の事情もございまして、とにかく日本がこういうものを提唱した以上、若干でも出資して、そうして真剣に進めていくという意味におきまして、財政事情等も勘案して一応五十億ほど本年度にはお願いをいたしたわけでございます。
それから第二点の、アメリカに行ってこの問題を話すかということでございますが、私は今回できればなるべく早い機会にアメリカに参りまして、日米間のいろいろな懸案の基本的な問題について話をいたしてみたいと考えております。が、その一番の問題は、やはり政治問題もございますし、経済問題もありますが、基本的な話し合いをすることが非常に必要だと思うのでありまして、それにはやはり極東あるいは東南アジアの平和と安全ということは、経済問題を抜きにして私は考えられないのじゃないかと、いかに軍事的な力だけがあっても、極東の安全と平和というものは、やはり東南アジア各国の民生がそれぞれ高く上っていきまして、生活安定が続くということが、極東の平和を確保する東南アジアの平和を確保する一番のもとだと思うのであります。従ってそういう観点からいたしまして、東南アジアの民生をどうして向上していくか、あるいは経済建設をどうやっていくかということは、これは基本的な日本の立場からいたしましても、当然話し合いをして意見を交換してみたいという問題の一つであります。アメリカにおきましても、御承知のように、東南アジアの経済援助という問題については、過去の経緯を見ましても、エリック・ジョンストンが、ほぼ岸総理と同じようなアイディアを数年前に出しております。また最近では第二世界銀行というようなものを上院議員のモンロニー氏が提唱いたしておるわけでございまして、これはいわゆる世界銀行の今の機能では、必ずしも東南アジアの経済に寄与する意味において満足でない。従ってそういうような第二世界銀行みたいなものを作ってみたらどうだろうというような考えを、上院は決議案として通過させておるわけであります。そういうような情勢とにらみ合せ、かつアメリカにそういう反対的な議論があることもむろん必然であります。しかし気運といたしましては、やはり何か東南アジアの経済というような問題について、もっと持っている国が力をかさなければならぬのではないかということは、最近の情勢だと思うのでありまして、たとえばイギリスのマクミラン首相がアイゼンハワー大統領を訪ねられたときも、何かそういう問題について触れられておるように考えられます。従って、今お話のように、私が参りますれば、基本的にそういう問題を話し合いますと同時に、何かそういうことを振興させるためには、アメリカがどういうふうに、現在の段階を考えておるかということを突き詰めて聞いて参りますこと、また意見の交換をして参りますことが非常に必要なことだと思うのでございます。そういう意味において、もしワシントンに行く時期がありましたならば、そうした話し合いを十分して参りたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/31
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032・相馬助治
○相馬助治君 外務大臣がアメリカ訪問の際に、基本的なこれらの東南アジア開発の問題を取扱われるという見解を承りまして、それは大いに期待したいと思います。しかし問題は、東南アジア経済開発の経済的な問題は、きわめて、具体的な問題でございますから、どうかそういう意味合いにおきまして、突っ込んだ具体的な、そして実のある、一つ、収穫と申しますか、解決と申しますか、そういうことを大いに期待したいと思うのです。どうかここの委員会を通じての一片の答弁に終らせないように、格段外務大臣の一つ決意をこの際固めておいていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/32
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033・大竹平八郎
○大竹平八郎君 時間がないようでありますから、私は用意した質問を省略しまして、ごく端的に三点だけまとめてお伺いいたしたいのでありますが、第一は、私、実はこの間所用がありまして台湾に行ったのでありますが、現地に行ってみますと、貿易の実態というものはつかみやすいものなのでありますが、今一番問題になっておりますのが、例の後進国に対する延べ払いの問題なんであります。一万田前大蔵大臣は延べ払いの問題等について、非常な緩和策をとるというようにも聞いておりますが、実際に当ってみますと、なかなかスムースにはいっておらないようなのでありまして、私は具体的な一つの例としてあげたいのは、台湾が今度二千四百万ドルの資金をもちまして、日本に造船を注文をしようという、こういうことになっておるのであります。大体一万トン級が七はい、それからあとはその他が八はい。しかしこれに対しましては、イタリアその他がたくさんあせって参りまして、いかなる延べ払いの条件にも応じようと、こういうようなことを言って非常な猛運動をやっておるのであります。台湾の招商局自身といたしましては、日本のこの造船の技術がいかによいかということは、従来たびたび注文しておりますので、その実績をよく知っておるのであります。しかしながら、問題はそういうように、政府当局が三十一億五千万ドルを遂行するのだといかに申しておりましても、実際の問題になると、なかなか通産省と大蔵省が対立をして、そして、ことにオープン・アカウントの問題に対しては、大蔵省が非常に辛いというようなことを聞いておるのでありまして、これではあなた方が幾ら叫びましても、三十一億五千万ドルなどという輸出目標は決して達成をされないのでありますので、この点につきまして、経済外交の基本の問題でありますので、あなたにお伺いをいたし、あとで時間があれば大蔵大臣に伺いたいと思います。
それからいま一つは、オープン・アカウントの問題でありますが、現在幾つやっておるか知りませんが、約二十ヵ国ぐらいオープン・アカウントの国があると思うのであります。しかしながら、最近聞くところによりますというと、このオープン・アカウントを廃止をするというような声が政府部内にあるということを聞いておるのであります。今度の台湾の片道八千五百万ドル、この貿易を遂行するに当りまして一番大きな問題になったのは、これなのであります。前年度は御承知の通り輸出入とも九千二百六十万ドルで決定したわけであります。ところが遂行率は輸出の方が八七%、八千万上でありますが、それから輸入の方が七千三百四十五万ドル、これが七九・三%、従ってここに数字の上から言いますというと、日本が貸し越しがある、こういう格好になります。そういう過去の実績というものがきわめてこれは、良好にいっておるのでありますが、こういう一つの例をとりまして、直ちに清算勘定というものを廃止をするというようなことは、私どもが政治的に大きく貿易というものを考えるときには、あまりに事務的過ぎると思うのでありますが、これに対する一つ大臣のお考え。最後にいま一つ、私は貿易のことに輸出の配置転換、それからことに輸入であります。輸入に重点をおいた配置転換という問題をこの際考えるべきではないかと思うのであります。と申しますのは、輸出において非常にアメリカに大きな依存を持っております。ただいまアメリカからは御承知の莫大な輸入をいたしておるのであります。こういう点に際しまして、東南アジア諸国等におきまして、アメリカでできるようなものがかりにありましても、多少の値段はがまんいたしまして、東南アジア等から買ってやるということになりますればこれはもう経済開発基金をやると同じようなことでありますので、こういう点について貿易の配置転換、こういうようなことを今年度こそ考えるべきことが私は至当ではないかとかように考えておりますが、時間がございませんので、この三点だけを一つお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/33
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034・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 各国が輸出競争を相当激甚にやっております。従いまして各国がそれぞれ支払い方法等についていろいろ延べ払いの形式を採用し、できるだけ有利にそうしたものによって貿易の伸張をはかろうとやっておりますことは現実の事実であります。従いましてむろん各国と貿易を盛んにいたしますために、何らかの形でもって現地側の要望するような延べ払いの方式、あるいは各国と競争し得るような延べ払いの方式ができますことは、貿易伸張に非常に必要なことだと思いますが、ただしかし、これは日本の財政と見合って参りませんければならぬ問題でありまして、向うが要求し、あるいは競争国がいろいろこれから無制限にそうしたものをやりますということは、日本の財政事情に適応しないことだと思うのであります。従ってそれらのものとにらみ合いながら、できる限りにおいて機動的にそういう方法を部分的に採用して、そうして貿易上の競争を有利にやることは必要なことだと、外務省として考えておるわけであります。ただ申し上げましたように、国内財政事情を無視してやるわけに参りませんので、そういう点については十分われわれも考えて参らなければならぬと思います。
またオープン・アカウントの問題が出花六万国に減少いたしておるのでありまして、これは国際基金等の意見も、オープン・アカウントは原則であるという意見になっております。また過去の実績から見まして、オープン・アカウントが焦げついてしまうような状況もありますので、財政的に見ますれば、そうしたものが好ましいことではないことは当然だと思います。でありますから、そういうような弊害のない方法ができますれば、当然若干そういうことを加味して参らなければならぬと思うのでありまして、通産大臣としては、かりにオープン・アカウント形式をやりましても、通産行政の上で何か焦げつきを作らないような方法を考究しておられるようにも伺っておりますが、そうでなくて、無制限にオープン・アカウントを許しますこと自体は、必ずしも私も適当だとは考えておらぬのであります。
なお、輸入品の配置転換でありますが、これは私は民間におりましたときから、また外務省の仕事をやってみまして、つくづくそう思うのでありまして、各国と、ことに東南アジアは御承知のように、おもに第一次産業の国であります。従って、東南アジアの中でもどの国からたとえば原料品を買うかということは、その国と日本との貿易のバランスを考えて、若干やはり配置転換を農林行政なり何なりの上に考慮していただくということは、私は非常に必要なことじゃないかと思うのでありまして、そういう意味において、国内行政を撹乱しない限りにおいて御考慮を願いたいように、外務省の立場からは申し上げておるわけなのであります。で、その他工業用原料品にいたしましても、お話のように配置転換——輸入仕入れ先の配置転換をやりますことが貿易を増進するということは、これは明らかなのでありまして、むろんそれには、従来使いなれておりました原料が変るものでありますから、通産行政の上で、国内的に設備なりあるいは技術的訓練なりというものも必要であろうと思います。しかしそういう問題について急速に、あるいは非常に機動的に、すぐ参らないにしても、日本としてやはりそういう点を御考慮願えれば非常に幸いだと思うのでありまして、私どもは、東南アジアもしくは中近東の貿易を扱ってみまして、輸入仕入れ先の配置転換というものを相当に考慮していただくことが必要だという意見は、絶えず通産御当局に申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/34
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035・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 外務大臣は時間の関係がありますから、簡単にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/35
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036・椿繁夫
○椿繁夫君 今度の国会の四日間の延長は、外務委員会と大蔵委員会から要請があって四日間の延長になったのでありますが、きょう外務委員会が開かれておりますれば、そちらの方でお尋ねしたいと思っていたんですけれども、その開会がございませんので、お急ぎの外務大臣にお尋ねをしてまことに恐縮なんでありますけれども、一、二点ちょっとお尋ねをしたいと思います。
この中国との関係でありますが、私ども政府や与党の皆さんと違って、もう少し今回の貿易途絶の問題を、深刻な原因のあるものと考えまして、実はこの発展を憂慮いたしておったのであります。長崎の国旗事件でありますとか、あるいは四次協定の承認の問題等だけではなくて、こういう問題から東南アジアにおける華僑を通じての日貨排斥の問題が起りはしないか。いま一つは、これまで賠償の問題について、一言も中華人民共和国の方からは意思表示がなかったように思いますが、今日の関係がもっとも、と持続され、悪化いたしますというと、そういうことにまで発展してくるのではなかろうかというようなことを、実は真剣に心配をいたしておったのであります。ところが、その心配が不幸にして、今朝伝えるところによりますというと、東南アジアにおける日貨排斥の問題が協議されておる。なるほど大臣御答弁のように、まだその影響が出ておるとは思いません。けれども、この東南アにおける中国の影響を受けて動く華僑の経済的実権というふうなものを考えてみますと、その影響はまことに大きいものが将来出てくるやに思われるのであります。しかるに、先ほど同僚の質疑に対して外務大臣の御発言は、何かこうあまり心配のない、通り一ぺんの御答弁のように伺いました。まことに遺憾に存ずる次第であります。そこで私は、新華社電が伝えておりますように、たとえばわが国が日台間の反共軍事同盟の結成について一歩踏み入れておるのではないかというような誤解があるようでありますが、大臣は、そういうことはない、将来も考えていないとあるいは、言われるかもしれませんけれども、この台湾の放送等を通じて、そういうことが深刻に中国側を刺激しておることを考えます際に、こういう機会を通じて外務大臣から、極東の安全と平和という問題に対して、わが国の方針を明らかにされることが中国側の誤解を解く——誤解だと言われるのですから、誤解を解く非常にいい機会の一つではなかろうか。具体的にはそういうふうなことを感じます。
それから、政治と経済とは別であるということをしばしば言われるのでありますが、この日米安全保障条約におきまして、何と言いましても、相手国として中国なりソ連なりを規定しておりますことは、これはいなめません。これに対抗して中ソ友好同盟条約というふうなものが結ばれておりまして、これが日中間の関係の上にも絶えず暗い影として大きく力を作用しております。で、今度外務大臣の渡米の最も近い機会に、やはり日中間の問題等を考えて、日米安保条約の改正の問題などについてお話し合いをされるお考えがあるかどうか、こういうふうなことを持ち出しますことが、私は当面しておる日中間の非常に感情的な問題を緩和する重大なかぎになるように考えられますので、外務大臣のお考えを聞きたいのであります。
先ほど田畑君の御質問に対して、誤解を解くために、具体的なことを一つ一つ打っていかなけりゃならぬというお話がございましたが、日中間の当面の問題を緩和する具体的な問題は、一体どういうことを政府はお考えになって努力をされておるのか、こういう点につきまして、三点ばかりお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/36
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037・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 何か日本と台湾なり、あるいは韓国なりとの間に反共同盟、あるいは軍事的な同盟を作るというようなことがあるかというお尋ねでありますけれども、これはもり総理がたびたび議会において言明されております通り、全然そういう考えはございませんし、現在そういう動きも一つもございません。はっきりしております。(椿繁夫君「将来は」と述ぶ)将来も当然ないことと思っております。
それから安保条約の問題を、アメリカに行ったときに何か話さないかという、これがいろいろな意味での影響を与えるだろうというお話だと思います。私が今回参りますのは、選挙を通じまして、岸内閣が安定して仕事をいたします以上、日米関係を十分基本的に考えていくことが必要だと思います。それには先ほど申し上げましたように、まず具体的な問題を取り上げます前に、両国の置かれております環境なり、立場なり、あるいはその後のそれぞれの国の事情の進展なり、そうした問題について、両方が十分基本的に意見の交換を率直にするということが一番必要だと思います。その上に立って、初めて個々の具体的な問題を取り上げて、解決の方途ができていくと思うのであります。そういう意味において、私はまずアメリカとそういう基本的な認識について、十分お互いに率直に話し合いをしてみたいという考えであります。でありますから、今回参りますことが、何か特定の題目の交渉もしくは解決に行くというよりも、そういう交渉解決の前提をなすべき認識というものの違いなり、あるいは同じかどうか、そういう問題についてまず話してみたい、こういう立場で行くつもりでおります。
それから第三の御質問は、先ほど何か私が具体的な問題をつかまえて、一つずつ解決していくのだというようにお答えしたというお話でありますけれども、私は先ほどそういうふうにお答えしたつもりはないのでありまして、私は今後日中関係を正常化していくために、一日も早くそうしたことをするためには、現在いろいろな誤解もあれば、感情上のそごもある、従ってそれをまず一応、お互いに若干の時間的余裕をかけて、そうして感情の高ぶりのあるものならさまし、誤解のあるものならその誤解を解いていくようにした方がいいのではないか、いろいろ物を申しますことが、それからそれへとまた誤解を生むということになりますと、誤解が重なって参りますし、あるいは感情がそれ以上高ぶっていきますと、せっかく話し合いをしていこうと、あるいは民間で協定を進めていこうというようなことが、非常におくれてくるのではないか、むしろ早いためには、そうしたあまりいろいろな意見を言わない方がいいのではないかという意味において、私は静観ということを申しておるわけでありまして、そういう立場から、実は先ほどお答えしたのも、具体的にこういう方法をとるということを申し上げなかったように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/37
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038・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 外務大臣に対する質疑はこれをもって終了しました。外務大臣は御退席になってけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/38
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039・相馬助治
○相馬助治君 この際、大蔵大臣にお尋ねしたいと思うのですが、現在議題となっておりまするこの法案は、前にも一、二例はありますけれども、最近の国会では珍しいところの多性格、多目的の法律だと思うのです。そこで、私どもがこの法案を見まして、このようないろいろの目的を持った法人の基金を、この一本の法律で規定するということが、いかなる政治的理由によるのかということが大きな疑問なのでございます。なぜそういう疑問を持つかと申しますれば、たとえば信用保険公庫が今後欠損続きで、全くその基金を食ってしまった、こういうような例があったといたしますると、直ちにこの法律の全般のスタイルに影響をいたしてくるわけであります。そこでこういう多目的の法律、多目的の法人の基金をなぜこの一本の法律で規定しなければならなかったのかということを尋ねたいのが一点であります。
同時に、関連しておりますからお尋ねしたいことは、この法律は二つの大きな内容を持っております。すなわち経済基盤強化のための資金に関する問題と、特別の法人の基金に関する問題、この二つの全く違った性格が一つの法律に盛られておるわけでございます。で、あとの法人の基金に関する分は、その利子収入をもって充てていくのでございますから、当分動かないといたしましても、前段の経済基盤強化資金は、一体これだけのお金を使えば、もうこの法律は用をなさなくなってくるのかどうか。それとも経済基盤強化資金なるものを、現内閣は恒久的なものと予想されて、今後起きるであろうところの税の自然増であるとか、先ほど大蔵大臣が説明された既定経費の節減であるとか、こういうことのために生じるところの剰余金を、いつでもこの法律の中に繰り入れて、そうしてこの法律を今後とも強力に作用させていくという決意があるのかどうか。この点について、まず大臣の見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/39
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040・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 相馬委員にお答えをいたします。全く、お尋ねのように基本的な考え方を御了承いただかないと、法律の建前、まことにわかりにくいものがあるようございます。今回この種のことをいたしましたことは、御承知のように三十三年度予算編成に当りまして、いわゆる四百三十六億三千万円をたな上げするといいますか、そういう効果を実はねらったのでございます。従いまして、この中にあります基金あるいは資金と申しましても、一応たな上げするという目的、これは実は共通でございます。同時にまたこの運用に当りましても、同一の形のもとにこの運営を続けていく、こういう便宜の面から、一緒にした一本の法律を作っておるのでございます。
問題は、かような予算編成の際に生じました資金を特にたな上げするということ、これ自体については、経済の情勢とも勘案して、政府が特に工夫いたした措置でございます。かような措置が恒久的なものとして考えられるかどうかということでございますが、これは今回とりましたのは、もちろんかくすることが最も当面の経済情勢にふさわしい、かような結論からとりました措置でございます。今日、かような措置を恒久的な制度にする、こういう考え方はもちろんないと思います。問題は、今後経済情勢の必要から、この種のものが非常に効果があると考えますれば、さようなものを考えることももちろん理論的には可能だと思います。理論的に可能だということを実は申し上げたいのであります。
なお、資金と基金、この二つに分けていることについて、言葉の面からいろいろ誤解も受けるかと思いますが、その基本的な問題は、冒頭に申しましたような、目的が同一であるという点からスタートいたしておるのでございますので、この目的に沿う意味で基金と資金に分けております。この基金をさらに増加していくという考え方をただいま持っているわけのものではございません。従って、この法律ができまして、一応たな上げ資金ができ、また経済基盤強化の資金ができるといたしますれば、資金の面においては、さらにこれを取りくずす場合には別の法律を必要とする、補正予算を必要とするということは、これはもう申し上げるまでもないことでございます。問題は、三十三年度予算編成に坐りまして、財源の一部をたな上げしたい、その目的のためにかような法律を作っておるのでございます。この点御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/40
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041・相馬助治
○相馬助治君 きわめて率直な答弁なので、おっしゃっていることはよくわかりますが、それであるからこそ、私は実は大きな問題だと思うのです。と申しまするのは、この法案が、こうして今度の特別国会で議論されなければならないというのは、いわば政府の私は不手ぎわだと思うのです。使うべき予算に関する法律案は、さきの国会で成立をしておる。ところが、この法律が通らないように、法律はできておるけれども、資金を支出することができなくていいまだ開店することができないというような、たとえば日本貿易振興会というようなもののあることも御存じの通りです。しかも、その間に総選挙がはさまっておるのです。これは政治的に見て重大な責任があると思うのです。別な面から見れば、どうせ解散をやって総選挙をやっても、岸内閣が続くのであるから差しつかえないと、こういうふうに言うかしらないが、それは可能性の問題で、自民党が選挙で敗れて岸内閣がかわることだってあり得るわけだったのであります。そういう総選挙というものを中にはさんでこの法律が議論されているということ自体に、私は、今申したようなやむを得ない事情はよくわかりまするけれども、やはり政治的責任はあると思うのであります。今後、こういうふうな多目的の法律を一本で出して、いわば毒も薬も一緒にして、社会党の方でのみたいお金とのみたくない金とを込みにして出して、いやいやながらものませようというこの手口は、まさに今後とってならないことだと思うのであります。当時あなたは大蔵大臣でなかったけれども、その政治的責任は明らかに一つお考えになっておくことの方が、これは相互に今後の日本の経済の進展のためによかろうと思うので、この点を私ははっきり申し上げておきます。実は、あなたがそういうふうなすっきりした正直な答弁をするとは予想していなかったので、何か適当な理堀をこねると思いましたが、やむを得ずこういうことになったのだということだから、これ以上は追及をいたしません。しかし、次の問題は追及をしなければならない。経済基盤強化のための資金は、恒久的なものでなくて暫定的なものである。これは、この法案の成立の経過から見て、よい悪いは別として、よく理解をいたします。しかし、これは何らかの形で、この種のものを別法案なり何なりで政府は見ていかなければならないということは明瞭だと思う。必要なものに対しては、経済基盤強化のために金を出さざるを得ないのだと思うのです。あとの特別の法人の基金に関する点については、これは大蔵大臣がどのように理解しようと、恒久的な内容を持った法律だと思う。おわかりいただけないでしょうか。というのは、この特別の法人の基金に関する法律の分だけは、ずっと残っていくと思うのです。ところが、前の方の金がなくなってしまえば、経済基盤強化のための資金というところを取って、そして特別の法人の基金に関する法律案としなければ、タイトルと内容とが別なものができてくると思うのであります。従いまして、今後この点について、法律上、大蔵当局としてはどのように考えられるのかを一点尋ねておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/41
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042・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 技術的な点でございまするので、私からお答えを申し上げます。
お尋ねになりましたように、経済基盤の強化の資金につきましては、将来必要が生じ、また、支障がないということになりまして、この資金を使用いたすことに相なりますると、これはこの資金が使い尽されるということが予想されるわけです。使い尽されますると、この経済基盤の強化資金の方は、そういうことで使い切ることに相なる。基金の方は、ただいまお示しのように、この法律によりましてでき上りまして基金が恒久的に残りまするから、従いまして、資金の使い尽されました暁におきましては、基金だけが残るという形に相なるわけでございます。それは、そういうような状態に相なったということでありまするので、その際に特別な法律措置を必要とするというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/42
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043・相馬助治
○相馬助治君 私どもは、法人の基金の分は、恒久的なものであるとしてこの問題を理解しているわけでございます。それなればこそ、前の国会において、日本貿易振興会法とか、あるいは中小企業信用保険法の設立、そういうものに賛意を表して、その立法に協力をして参ったわけでございます。そこでお尋ねしたいのは、法改正は行わないとしても、この日本貿易振興会法であるとか、その他、これに類するこの法律の精神からみますというと、これだけの基金では十分だとは思えないのであります。従いまして、これらの生まれて参りました法律に対して、今後基金をどれだけか増す意図があるかどうか。それは、この際考えていないとおっしゃるのか。この一点だけを最後に大蔵大臣から承わりておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/43
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044・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 将来増すことがあるかということでございますが、もちろんそういう事柄は当時の状況といいますか、団体の活動状況ともよくにらみ合せなければなりませんし、同時にまた財政状態ともにらみ合せてきめなければならない。かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/44
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045・大竹平八郎
○大竹平八郎君 一、二点大臣にお伺いいたしたいのでありますが、第一の点は、今度もうすでに、前国会で通過をいたしました日本貿易振興会に対する本法案の二十億円というこの基金の繰り入れでありますが、御承知の通り、この日本貿易振興会の前身でございますジェトロでございますが、このジェトロは実際使っておりまする金というものは、例のバナナ、パイ・カン、すじこ、時計というような、いわゆる過剰利益によって上げたもの、これを特定物資の法案がまだ制定せられる以前に、この差益金をジェトロに取り扱わせているという、非常な特権的な処置をいわゆる閣議の了解事項でもってやられてきておるのであります。これは私の計算があるいは間違いかもしれませんけれども、バナナだけでも三、四年にいたしまして、約二十一億円くらいのものをジェトロが獲得をしたわけであります。もっともこれは全部自分の方で使っておるわけではございません。国庫にも寄付をいたしております。それからあるいは機械振興とか貿易振興に対する諸団体に対しましても寄付をいたしております。しかし、その寄付の仕方を私どもは要求資料によって見まするというと、大がい八千万円とか五千万円とか一千万円とかいうように、何だか八百屋のざるからつかんでやっておるというふうに、むろん伏線はないと思いますけれども、そういう使い方をやってきておるので、資金面の上からいたしまするならば、この日本貿易振興会の前身であるジェトロというものは相当豊富に使っておると思う。従いまして、この二十億円の今度の繰り入れがほんとうに使えるものは一億二千万円、そういう意味において、私は金額としては大した問題にはならぬと思うのであります。しかるにかかわらず、最近政府のこの貿易振興というような問題を拝聴いたしまするというと、必ずこの日本貿易振興会の活動というものに大きな期待をかけておるように思うのでありますが、私どもはむしろそういうことよりも、お尋ねをいたしたいのは、この特定物資が、昭和三十三年度におきまして、大体二十億円計上せられておるのであります。これは先ほど申し上げました、そういったこの余剰利益の物資から吸い上げた差益金によってこしらえられたこの二十億円でございます。こういうのを、むしろこれは、私どもは大蔵省あたりが、この資金を、何もあえて日本貿易振興会というようなものにこだわらないで、民間には歴史的に貿易振興のためにずいぶん尽し、また現にやっているものがたくさんあるのでありますが、そういう面に私は大幅にこれをやられるというようなことが、かえって貿易の振興に役立つのではないか、かように考えるのでありますが、この点を一つお伺いをいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/45
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046・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今の大竹さんのお話は、輸出振興、あるいは貿易振興のために民間にも種々の団体があるから、そういうものに対して資金を援助、あるいは補助、あるいは奨励というような意味で出したらどうか、こういうお尋ねでございますが、大へん今実情についての詳しいお話しがございましたが、実は、私十分存じ上げない実情についての御意見でございまして、これは、もう少し私自身研究しないと、直ちに結論が出て参らないのでございます。で、政府並びに私どもの考え方といたしましては、ただいま日本貿易振興会を作って、そうしてこれに基金を提供し、これを中心に本格的に貿易振興をはかっていく、こういう考え方をいたしておりますが、ただいま御指摘になりましたように、いろいろ民間にも団体が多いことでございますし、弊害を伴わないことでありますならば、——この弊害と申しますのは、いわゆる補助育成という制度にも関連のあることでございますが、また、巷間で心配されるような弊害を生じないようなことでありますならば、もう少し範囲を拡大することも、研究問題として預らしていただきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/46
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047・大竹平八郎
○大竹平八郎君 いま一点。これは先ほど外務大臣にお尋ねいたしたのでありますが、私どもは商工委員会で常に通商問題の論議をいたしておるときにいつも問題になる、先ほど申し上げました延べ払いと、それから清算勘定の問題なんでありますが、先ほど私、ちょっと指摘をいたしました造船計画の問題のごときは、すでに御承知の通り、もう船台も来年あたりはあくのであります。で、この延べ払いの条件を、これは他国並みでいいんです、まあ、ことに今、私は詳しく申し上げませんが、イタリアよりもっと日本の方が強くて、なお取れるのでありますから、そういう努力を払われるならば、相当、輸出景気でその大宗になりました造船景気というものはある程度続くのであります。これは、私は具体的な例をあげたのでありますが、そういう意味におきまして、一番問題になりますのは大蔵省の態度なんでありますが、この際ぜひ一つ、大臣にその延べ払いの問題について伺っておきたい。それからいま一つ申し上げました、清算勘定の問題についてお伺いいたしたい。以上、二つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/47
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048・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど外務大臣からも御指摘がございましたが、各国ともただいま輸出競争、こういう面で相手国に対しましていろいろ緩和した条件を提供しておることは御承知の通りであります。私どもにおきましても、延べ払い方式、これも相当広範囲に採用いたしております。同時にまた、これの取扱い等は弊害を生じないように、日本輸銀、これを中心にし、役所といたしましては通産、大蔵両当局でございますが、あまり権限的な問題についてもこだわらないようにということで、ただいま実際の指導をいたしております。そこで、先ほど来お話しになりました船につきましても、もちろん延べ払いの対象になる事業でございます。従いまして、この点では、具体的にかような点は進め得ることではないかと思います。どうか、大へん実情について詳しく、また深い因縁を持っていらっしゃる大竹さんのように伺っておりますので、どうか一そうお力をかしていただきたいと思います。
それからもう一つ、清算勘定の問題でございますが、清算勘定の問題は先ほどのお話しで少し誤解があったのではないかと思いますのは、ただいま清算勘定を——オープン・アカウントいたしております国は六カ国でございます。韓国、台湾、ギリシャ、トルコ、エジプト、ブラジル、この六カ国だけになっております。その他のオープン・アカウントをいたしておりました国々は、それぞれ今までの機会にこれをやめまして、新しい協定に入っております。オーブン・アカウントを全面的に廃止するとか、停止するという考え方で交渉はいたしておりません。しかし、議論といたしましては、もうこれは正常の貿易形態でないから好ましくないということは、先ほど外務大臣も言われておる通りであります。しかし、このことは過去引き続いてやっておりますだけに、特別な事態がない限り、そう簡単に整理するというわけにはいかないものだと思います。今回の輸出振興、増進という意味において、清算勘定をもっとふやしたらという話もあるいは出て参るかもしれませんが、私どもといたしましては、これは拡大の方向にあらずして、むしろ整理の方向にあるのだ、かように御理解をいただきたい、かように思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/48
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049・田畑金光
○田畑金光君 私は最後に一つ伺いたいわけでございますが、経済閣僚会議というのがございますが、先月の二十六日に会議を持ちまして、七月の五、六日前後に予定しておったのが、国会の関係もあるので、国会の済んだあとというわけで、七月の十一日ごろが予定されておるようでございますが、この経済閣僚会議というものの性格とか、機能、運営というものについて、どういう方針でこの内閣は臨まれていくのか、これを一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/49
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050・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 経済閣僚会議と申しますのは、この内閣で特に設けたものでなくて、代々の内閣が考えておったものでございます。やっていたものでございます。で、閣僚が、定例の閣議もございますが、それ以外に、たとえば経済問題だけについては専門の閣僚というか、関係閣僚で会議を持ったり、あるいは労働問題についてはもっと現業官庁を主体にしての会議を持ったり、それぞれの会議があるのでございます。ただ特別のものでないことだけを御了承いただきたいと思います。
岸内閣ができまして、経済閣僚会議に、さらに党の政調会長、あるいは総務会長を入れるとか、あるいは党と内閣との連絡の意味を持たすといようなことも考えております。これはそのとき、その必要があればそういうことをやるのでございまして、新しい構想云々というものでないことだけ御了承いただきたいと思います。
そこで、先ほど来この委員会でもいろいろ議論になっておりますが、現在の経済に対しまして、これを政府並びに与党といたしましては、貿易振興を中心にして対処したい、こういう考え方をいたしておりますので、輸出増進の一つ対案を練ろう、その意味では関係各省で事務的にも一つ案を作ってみてくれということを、もうすでに下命しておるのであります。最初予定いたしましたところでは、先週の土曜日にさような会議を開いて、輸出増進の方策を協議しようじゃないか、ということを炎は申していたのでございますが、御承知のように、国会も延期になりましたし、その後引き続き私が関西財界の方にごあいさつに回る、こういう予定でございますので、ただいまのところ、この経済閣僚の懇談会というか、輸出振興に対しての協議は十一日の午後ということに実は予定をいたしております。どうかこの点は、ただいま申すように、これが特にこの一内閣で変った会合だと、こういうことの誤解のないようにお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/50
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051・田畑金光
○田畑金光君 誤解をするとか、しないとかいう問題でなくして、また前内閣から経済閣僚会議というものが持たれていたことも承知いたしておりますが、今大臣の御答弁の中にもありましたように、当面は輸出振興に関して内閣、与党の意見の調整一致を見出したい、こういうことでございまして、おそらく輸出振興のみならず、これは経済政策一般について、この内閣、あるいは内閣と党の方針をきめる重要な機関になろうかと考えますが、それゆえにこそわれわれは経済閣僚会議の今後の通常というものに非常な注目を寄せておるわけでございます。と申しますのは、私が冒頭に質問いたしましたように、与党の重要な地位にある人方の意見と、あるいは閣内における関係大臣の意見とが、まま食い違っておるわけでございます。あるいはまた、先ほど来問題になっておりまする貿易の問題にいたしましても、清算勘定方式をこれから続けるのか、あるいはまた現金決済方式でいくのかという問題についても、経済閣僚相互の間に、意見のやはり食い違いがあるわけです。また対中共貿易についても、積極論と消極論がありますし、あるいはまた、今の日本の経済の見通しについても、それぞれ意見の食い違いがあるわけです。こういう重要な日本の一つの経済の不況という時期になって参りますと、これは財界のみならず国民一般が、どういう政府は経済政策をとるのか、不況対策を進めていくのかということは、国民の大きな関心であるわけです。ところが肝心の内閣においても意見の一致をみない、政府、与党の間に食い違いがある、こういうことでは、今後の重要なる一つの経済のある意味においては転換期に立とうとしている今日、迷惑をするのは国民であろうと、こう考えるわけです。従ってわれわれは、すみやかに現内閣が経済閣僚会議等を通じ、経済政策全般について、一つの方針、明確な指示がなさるべきだと考えるわけです。そういうことを私は期待して、経済閣僚会議とはどういう機能を考えておられるのか、こう質問したわけでございまして、これは私の希望になりますが、同時にまた大蔵大臣の見解も、この際承っておきたいと考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/51
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052・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 大へん御心配をいただいているようで、ありがたく思いますが、先ほど来外務大臣も申しますように、政府部内におきまして、経済についての見方は、非常な変化はございません。相違はございません。また対策等につきましても、別に非常に食い違いがあるとは私考えておらないのであります。しかし、ただいま御指摘になりましたように、内閣、政府、同時に与党、こういうところで、もしも食い違いがありますならば、御指摘の通り、国民を迷わすことになりますので、大事な際でございますので、十分国民から信頼を得る、また内閣といたしましても、一致協力したものを作り上げる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/52
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053・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 他に御質疑ございませんか。……御質疑ないようでありますから、大蔵・商工連合審査会は、終了いたすことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/53
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054・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 御異議ないと認めます。よって連合審査会はこれにて終了することに決します。
これにて散会いたします。
午後零時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914618X00119580707/54
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