1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年七月四日(金曜日)
午後二時三十二分開会
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委員の異動
本日委員大沢雄一君辞任につき、その
補欠として田中茂穂君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 前田 久吉君
理事
木内 四郎君
西川甚五郎君
栗山 良夫君
平林 剛君
委員
青木 一男君
岡崎 真一君
木暮武太夫君
迫水 久常君
塩見 俊二君
土田國太郎君
宮澤 喜一君
廣瀬 久忠君
前田佳都男君
大矢 正君
野溝 勝君
杉山 昌作君
衆議院議員
平岡忠次郎君
政府委員
大蔵省主計局長 石原 周夫君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
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本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案
(衆議院送付、予備審査)
○昭和三十三年の夏季の賞与に対する
所得税の臨時特例に関する法律案
(衆議院送付、予備審査)
○経済基盤強化のための資金及び特別
の法人の基金に関する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00719580704/0
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001・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ただいまから委員会を開きます。
まず、委員の変更について報告いたします。
本日付をもって大沢雄一君が辞任され、その補欠として田中茂穂君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00719580704/1
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002・前田久吉
○委員長(前田久吉君) これより所得税法の一部を改正する法律案及び昭和三十三年の夏季の賞与に対する所得税の臨時特例に関する法律案の両案について提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00719580704/2
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003・平岡忠次郎
○衆議院議員(平岡忠次郎君) ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
深夜の十時から早朝の五時まで、官庁、民間産業を問わす業務の必要に応じて働く夜間勤務労働者の夜間労働に対して支給される金額は平均して僅少であり、実費支弁的な内容をもっているにかかわらず、一般給与と同様の税率が適用されております。夜間勤務の特質は今さらいうまでもありませんが、肉体的、精神的な疲労のおびただしいものがありまして、人間として不規則な生活を重ねる結果、恢復し得ない疲労が残り、平均年令についてまで影響があることは統計にも明かであります。
従ってこれらの者について、税制上からも措置すべきであるとの意見は数年前からございまして、すでに日直料、宿直料として支給されているものにつきましては、二十九年一月一日以降課税しない旨を、国税庁長官から通達が発せられております。しかるに、実際に働いている労働者の夜勤手当等について同時に考慮できなかったことは、大蔵省として当時調査中として時間の関係上からとはいえ、不均衡きわまるものがあるといわなければなりません。関係者の痛嘆しているところでございます。
夜間勤務者の種別、階層、金額など調査してみましても、まことに気の毒であり、収入する夜間手当等は、夜間勤務者が屋食するシナそば二杯分に該当するくらいのものであります。この際実費支弁の意味において、非課税とする立法措置を講ずる必要があると存じます。労働基準法におきましては、夜勤手当は最低百分の二十五としておりますが、率によって恩恵が区々にわたるのを避けるために、この特例の限度率は基準法通りの百分の二十五といたしております。
またこれが適用されるのは、警察官、看護婦、交通労働者、その他民間産業にあって溶鉱炉を守って働く夜間勤務者などでありまして、そう大きな金額にならないものと推定いたします。このくらいの金は、政府において十分措置し得ると考える次第であります。
今日税制の特例は、各方面にわたり行われておりますが、これらはほとんどが大企業、大口所得者に対するものでありまして、日本産業の基礎となっております労働者に対する思慮は、ほとんどど皆無であります。何とぞ御審議の上、深夜黙々として産業復興、公共、治安、病人の看護、交通安全に携わっております男女労働者諸君に対し、深甚の考慮を払われまして、すみやかに可決されんことをお願いする次第であります。
次に昭和三十三年の夏季の賞与に対する所得税の臨時特例に関する法律案につきまして、その趣旨と内容についてご説明申し上げます。
わが国の家庭生活の習慣は、夏季におきましては各種経費のかさむ事情にあります。これを考慮され夏季手当が支給されておりますが、いろいろの事情から十分な金額が支給されておりません。他方従来勤労者の税負担が重いという声はちまたに満ちあふれ、その軽減の必要があることは今さら申すまでもありません。
そのため、全日本の給与所得者は声を大にしまして夏季手当の実質的向上を叫び続けて参りました。そでに今日まで数回にわたってこの種法案が提案されて参りましたが、種々の事情によりまして今日まで保留されて参りました。従って今回は、各方面の期待はきわめて強いものでございまして、各位にこの点について深甚なる考慮をわずらわしたく提案するものでございます。
この法律の目的は、夏季賞与のうち、五千円までは免税にして、これらの人々の生活を幾らかでも潤したいというものでございます。この法律により推算される減収額は、おおむね六十億円程度と存じます。この程度の措置は、政府において何らかの措置を講じ得られるものと存じます。
以上がこの法律案を提出いたしました理由でございます。何とぞ慎重審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00719580704/3
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004・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案についての補足説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00719580704/4
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005・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案につきまして補足説明を申し上げます。
昭和三十一年度の一般会計の決算上の新規純剰余金は一千一億円という額に上ったわけでございます。これは三十一年度におきまする異常な好況に起因するものでございます。最近におきまする数年度の新規の純剰余金の実績を見ますと、大体三百億円ないし四百億円台であります。従いまして、その歳入歳出予算規模に対します割合から見ますると、大体三ないし四%であったのに対しまして、昭和三十一年度におきましては、九%という高い割合に相なっているわけでございます。新規の純剰余金につきましては、法令によりまして処理方法が定められているわけでありまするが、この一千一億についてみますと、交付税の精算分の式当分が百十八億、それから道路整備費の式当分が十一億円、財政法によりまして、公債の償還に当てます分が四百三十六億円、合計いたしまして五百六十億円、これがいわゆる法定財源に充当されることになりますので、残額の四百三十六億三千万円、これが一般財源といたしまして、昭和三十三年度の一般経費に使用し得るということに相なるわけであります。
ところで、昭和三十三年度におきまするわが国の経済運営の基本的態度といたしましては、財政がわが国内経済に過度の刺激を与えることを避けまし一て、輸出の伸長にあらゆる努力を傾けるということが要請をせらているわけであります。従いまして、前国会におきまして成立を見ました本年度予算におきましても、剰余金をそのまま直ちに一般の歳出財源に充当いたしませんで、今後におきまするわが国の経済基盤の強化に資する目的をもちまして、二百二十一億三千万円、この金額をもちまして、一般会計に所属する経済基盤強化資金という新しい資金を設け、また、二百十五億円をもって五つの法人に対する出資を予定しているわけであります。政府は、この予算の執行をはかりまするためにこの法律案を提出いたした次第であります。
以下、経済基盤強化資金並びに五つの法人に対しまする出費、五つの基金につきまして、御説明を申し上げます。
まず、経済基盤強化資金でございまするが、この資金は、将来におきするわが国の経済基盤の強化に必要な経費に充てまする財源の一部を確保するために設けるものでありまして、財政法第四十四条の規定に基づきまして設置をいたす資金であります。この資金は、一般会計に所属いたしまして、大蔵大臣が管理することといたしておりまするが、昭和三十三年度におきまして、一般会計歳出了算から二百二十一億三千万円、この金額を繰り入れまして設定をいたすわけであります。この資金の使途につきましては、将来におきまする道路の幣備、港湾の整備、科学技術の振興、異常災害の復旧、または産業投資特別会計への繰り入れに要する経費に充てることにいたしまして、具体的に使用いたしまする場合には、あらためまして歳入に繰り入れ歳出予算に計上いたしてから使用いたすということに相なるわけであります。なお、この資金は、使用いたされるまでは資金運用部に預託いたしまして、預託によって、生じました利子は資金に編入をいたします。資金の受け払いは歳入歳出外という経理に相なりまするので、その増減の計算書につきましては、一般会計の歳入歳出の決算に添付をいたしまして国会に提出することに相なるわけであります。
次に、残額の二百十五億円は、先ほど申し上げましたように、これを五つの特別の法人に出資をいたします。第一が、農林漁業金融公庫に対しまして六十五億円、第二が、中小企業信用保険公庫に対しまして同じく六十五億円、第三に、日本輸出入銀行に対しまして五十億円、第四に、日本貿易振興会に対しまして二十億円、第五に、日本労働協会に対しまして十五億円をそれぞれ出資を予定いたしておるわけであります。
その出資を受けました金額をどう使うかということを以下申し上げます。
第一が、農林漁業金融公庫におきましては、国の補助の対象となりません農地の改良及び造成にかかる事業に対する貸付に対する貸付につきましての利子を軽減いたします。その利子を軽減いたしまするための財源を得させまするために、非補助小団地等土地改良事業助成基金というものを農林漁業金融公庫内に設置をいたしまして、その基金といたしますわけであります。すなわち、この基金を資金運用部に預託いたしまして、その利子をもちまして特定の土地改良事業に対しまする貸付金の利子軽減に充てるわけであります。利子軽減の率につきましては、現在五分に相なっておりますものを三分五厘まで引き下げようということを考えているわけであります。なお、利子収入が利子軽減額より多いときの剰余は、これを基金に編入いたしまして、後日その編入額を限度といたしまして基金から取りくずして利子軽減のために再び使用することができることといたしておりますが、六十五億円の元金につきましては、これを使用することができないという建前にいたしております。
次に、中小企業信用保険公庫に対しまして、同じく六十五億円を出資いたすのでありまするが、同公庫の設置につきましては、すでに前国会におきまして法律を御審議を願いまして成立を見たわけでございまするが、従来の国がやっておりました中小企業信用保険特別会計、この特別会計が行なっておりました保険事業及び融資事業を承継いたして行うわけであります。今回の出資金は、同公庫の保険準備基金に充てられるものでありまして、損失が生じました場合には取りくずすことができますが、全額資金運用部に預託するとになっておりまして、これによりまする利子収入は、同公庫の料率の引き下げ等に充てられることに相なるわけであります。
次に、日本輸出入銀行に五十億円を出資いたしまして東南アジア開発協力基金に充当いたすわけであります。東南アジア開発協力基金は、とりあえずは資金運用部に預託をいたしまして運用されますが、将来は東南アジア開発協力のための国際的機構への出資に充てられるものでありまして、当該機構ができるまでの間においても必要がございますれば、当該機構ができた場合におきましてこれへの出資に振り替えることができる性質の国際的協力による投資に運用されることに相なっておるわけであります。本基金の運用の事務は本来の日本輸出入銀行の業務と若干性格が典なりまするために、特別の勘定を作りまして整理をいたします。出資及び投資に運用いたします場合におきましては、内閣におきまして基本方針を決定し、その決定に基きまして大蔵大臣が日本輸出入銀行に指示して運用せしめるということにいたしております。これらの手続の際、経済情勢全般をにらみまして、この基金の設置目的を十分勘案をして運用するということは申すまでもございません。
次に、日本貿易振興会に対しまして二十億円を出資をいたしまして同会の基金に充てることにいたしております。同会は、従来財団法人海外貿易振興会が行なっておりました業務を行うものでございまして、輸出振興の業務をいたしまする特殊法人であります。前国会におきまして、すでに御審議を願いまして成立を見ました日本貿易振興会法に基きまして設立せられるものであります。本出資の二十億円は、資金運用部へ預託せられまして、その利子収入は本会の事業運営のために必要な経費の財源として使用されるものでありまして、本基金はこれを取りくずすことができないということに相なっておるわけであります。
最後に、日本労働協会に対しまする出資十五億円でございまするが、これは、同協会の基金に充てられるものであります。本協会は、わが国の労働問題の研究を行い、広く労働者及び使用者並びに国民一般の労働問題に関しまする理解と良識をつちかうことを目的とします特別法人でございまして、同じく前国会におきまして御審議をお願いいたしまして成立を見ました日本労働協会法によりまして新たに設立をせられるものであります。本協会の基金は、同じく資金運用部に預託をせられまして、その利子収入をもちまして同協会の事業の運営の経費の財源に充てることに相なりまするわけでありまして、本基金もまた取りくずすことが禁止させられております。
以上申し上げました五つの特別法人に対しまする出資につきましては、いずれも資金運用部に預託をせられまして、当面わが国経済に刺激を与えないように配慮をせられておりまするが、かつ同時に、わが国経済基盤の強化に資するように運用せられることに相なっておるわけであります。
最後に、御参考までに、経済基盤強化並びに五つの特別法人の基金が資金運用部の預託によりましてどの程度の利子収入が上がるかという数字をちょと申し上げておきます。九カ月の計算に相なっておりまするが、農林漁業金融公庫におきまする非補助小団地等土地改良事業助成基金は二億九千三百万円であります。中小企業信用保険公庫が二億八千三百万円、日本輸出入銀行の東南アジア開発協力基金が一億三千万円、日本貿易振興会基金が九千万円、日本労働協会基金が六千六百万円に相なるわけであります。
以上をもちまして、簡単でございまするが、法案の補足説明を申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00719580704/5
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006・宮澤喜一
○宮澤喜一君 議事進行について。ただいま所得税法の一部改正についての提案理由と経済基盤強化の法律の補足説明があったわけでありますが、これらの法案について、きょうは国会の最終日でありますので、質疑を有する向きについてはどういうふうにお取り扱いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00719580704/6
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007・前田久吉
○委員長(前田久吉君) この質疑は後刻に譲りたいと思いますが、ここで質疑を行いたいと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00719580704/7
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008・平林剛
○平林剛君 今回の特別国会は、本日をもって会期が終ることになっておるわけであります。重要な法律案として経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案が提出をされまして、きょうじゅうにもし終了しなければ審議未了ということに相なる。しかるに、ただいまこまかい説明はありましたが、政府側の出席がございません。関係大臣は一人として出席なさっておらない。これはまさしく政府が今開期中にこの法律案を成立させるという御意思をなくしてしまったか、させる意思がないかという判断をせざるを得ない。私ども質問をいたしたくとも、これでは質問ができません。委員長は関係大臣の出席を求めるか、あるいは質問は後刻に譲るか、どちらかに一つ処理をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00719580704/8
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009・宮澤喜一
○宮澤喜一君 後刻といいましても、かりにきょうが最終日でありますから、私どもとしては請願もおそらくやっていただかなければならぬと思いますが、そういたしますと、私はたまたま質疑を持っておりませんが、これらの法案、ことに経済基盤については、なお質疑を持っておられる方があるだろうと思いますので、そこで後日というわけには参りませんから、後刻に質疑をしていただくとしまして、そのための政府の関係者を委員会にお呼びを願っておけば、そうすると質疑を継続することができるし、また、そうしなければならないのじゃないかということを考えているのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00719580704/9
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010・大矢正
○大矢正君 今まであらゆる機会に承わっておりますと、経済基盤強化基金というのは特に今度の特別国会では最も重要な法案だということは与党も政府も盛んに言っておることであります。だから、与党も政府も、それほど重要な法案であれば、最後の最後まで真剣に、しかも具体的に精力的に、審議をする気持であろう、こう思うのですが、そこでこの請願の審査に入ったらどうかというような宮澤さんの御意見はありますけれども、それほど今度の特別国会では重大な法案なんですから、むしろ請願の審査よりは(「そういう意味じゃない」と呼ぶ者あり)この法案の、審議の方が、これは優先しなければならぬと思います。まだ九時間あるのですから十二時までに。ですから、今このまま、とにかく経済基盤の質問当然あるのですから質問に入って、そうして、会期の十二時ぎりぎりになって請願の問題をどうするかというなら話はわかるけれども、今質疑を後刻に譲って、請願をさきに審議するということは筋が通らないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00719580704/10
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011・木内四郎
○木内四郎君 速記をとめてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00719580704/11
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012・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00719580704/12
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013・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 速記をつけて下さい。
暫時休憩いたします。
午後三時三分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00719580704/13
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