1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十三年七月五日(土曜日)
午前十時三十五分開会
—————————————
委員の異動
本日委員野坂参三君辞任につき、その
補欠として岩間正男君を議長において
指名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 前田 久吉君
理事
木内 四郎君
西川甚五郎君
栗山 良夫君
平林 剛君
委員
岡崎 真一君
木暮武太夫君
迫水 久常君
塩見 俊二君
田中 茂穂君
土田國太郎君
宮澤 喜一君
廣瀬 久忠君
山本 米治君
荒木正三郎君
大矢 正君
野溝 勝君
杉山 昌作君
岩間 正男君
国務大臣
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
政府委員
大蔵省主計局長 石原 周夫君
大蔵省理財局長 正示啓次郎君
大蔵省為替局長 酒井 俊彦君
農林省農地局長 安田善一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
—————————————
本日の会議に付した案件
○経済基盤強化のための資金及び特別
の法人の基金に関する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○外国為替資金特別会計法の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/0
-
001・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ただいまから委員会を開きます。
経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案
外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案を一括議題として、これより両案の審議を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/1
-
002・栗山良夫
○栗山良夫君 私は質疑に入る前に、委員長にお願いをいたしておきたいことがあります。それは前回の委員会におきまして、私はことしの秋予定をせられておる臨時国会に自民党が岸内閣をしてどういう工合に対策を講じておられるのか、その点につきまして三木国務大臣と大蔵大臣とにおいで願いまして、ある程度の質疑を経て事情を明らかにしたのであります。そのときの事情は、両大臣の大体言葉をいろいろとつなぎ合せてみまして、私個人としては非常に了承し得ないものがありますが、しかしそれは見解の相違として、政府側はそういうお考えであるということで了承をいたしたのであります。ところがすでに今国会における重要法案の一つである文教委員会関係の法案は、中間報告を求めるというまことに異例の措置をもって強行可決せられました。そしてしかもわれわれといたしましては、その後の会期の延長ということは必要ないのではないかということで、正常な審議をきのうまで続けて参りました大蔵委員の一員として力説したのでありますが、とにもかくにも四日間会期は延長になりました。そしてこの特別国会の見通しというものがほぼ明らかについてしまった。そういう事態になりまして、けさ新聞紙が一せいに報道いたしましたことは一体何でありますか。これを見まするというと、岸内閣は来たるべき臨時国会を重要視し、そして通常国会とのかね合せにおいて、通常国会の前哨国会のような心がまえをもって、岸内閣の長期安定政策というものを臨時国会にそろえて提案をしてくる、中には景気振興の政策、不況克服の政策も織り込むなどであるというような、どこまでが真相であるかわかりませんが、とにもかくにも各新聞紙が一せいにトップの記事をもって報道したのであります。そのことはあまりにもわれわれ大蔵関係の法案を審議しておる議員といたしましては、われわれの態度に対して軽く内閣が扱っているという印象を深くせざるを得ないのであります。従いまして、きょうは私は求めませんが、月曜日の本大蔵委員会におきましては、ぜひとも責任者である岸総理大臣の出席を求めまして、そうして自由党の総裁である岸信介氏、岸内閣の総理大臣である岸信介氏にそのほんとうの気持というものをはっきり私はこの大蔵委員会を通じて明らかにせられたい、こういうことを強く要望いたしたいと思うわけであります。それで委員長はそういう手続をおとりをいただけるかどうかという点を明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/2
-
003・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/3
-
004・栗山良夫
○栗山良夫君 その善処という意味は、岸総理大臣を必ず責任をもって出席せしめるとこういう意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/4
-
005・大矢正
○大矢正君 これは御存じのように、今の日本の経済をどのようにしててこ入れするかという問題は、現在審議中の経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案とは密接不可分な私は関係にあると思う。従ってそういう立場から考えて見れば、この際、どんなことがあっても、岸総理に出席をしていただいて、明らかに日本の経済をこれからどう進めていくかということを明確にしてもらわなければ、私はこの法案の審議についてどうもおかしいような気がするわけです。従って委員長の方から単に善処するというようなことだけでは、どうも法案審議を促進することができないのじゃないかと、私はこう思うのです。少くともこの法律は日本の経済、日本の経済基盤というものをどうするかという上に立った法律なんですから、それが政府の方針に違いが生ずるとすれば、明らかにこれはこの際表明してもらわなければならない。そうすれば当然この法律の内容も変えなければならぬ場合もあり得るのでありますからして、確たる責任ある答弁をまずしてもらわなければなりませんから、ぜひ一つこれは善処するとかしないとかというのでなくて、確実に月曜日には岸総理をこの会議に出して所信を表明させるということをお約束していただきたいと、私はこう思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/5
-
006・前田久吉
○委員長(前田久吉君) じゃそういう趣旨で交渉をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/6
-
007・平林剛
○平林剛君 今の栗山委員の要求は、委員長がその責任において交渉することも当然の措置でありますが、大蔵大臣は一体、やはり積極的にこれは最高責任者から出席をしてその説明をするというお約束をする義務が私はあると思う。前回のお答えと栗山委員が指摘をしたこのこととはかなり違っておる、少くとも政府の態度に積極的な意思が見えるように思いますから、あなたも一つこの機会に、それでは政府の考えを明らかにするから、総理も出席するように努力するということを、あなたからも一つ約束をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/7
-
008・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん委員会でおきめになることですから、政府側からとやかく申し上げる筋のものではないのでございます。これはもう委員会の問題だと思います。ただ大蔵委員会で、大蔵大臣も出席いたしておるにもかかわらず、大蔵大臣に対して何らの質問もなさらないうちに、総理大臣を呼べと、こう言われることは、私は大へん心外に思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/8
-
009・大矢正
○大矢正君 これは私はこの際、大蔵大臣がそういう言葉をはかれるとすれば、この際やはり一言申し述べなければならぬと思うのでありますが、そうすると、前回の委員会において、栗山委員を初めとして、平林委員、その他から、日本の経済をこれからどういうようにするのだという当面の見通しを質問したことに対して、大蔵大臣はこれはもう現状維持である、そうして自然の成り行きに経済の伸びを任せる以外に、今のところ特段てこ入れして景気を刺激するということは一切行わないのだ、こういうことを再三あなたは表明しておるのであります。ところがさっきも平林委員の言った通りに、現実的には政府の方針が変りつつあるということは、これは重大な問題ですよ。重大問題ですよ。大蔵大臣がそういうことを表明されない段階でありますれば、われわれは大蔵大臣とこの大蔵委員会において日本経済のこれからの見通しや対策について論議をする気持はありますけれども、大蔵大臣は絶対それはやらぬとこうおっしゃっておるのです。ところがやらぬとおっしゃっておるにもかかわらず、現実的には、もう新聞のあの報道が絶対嘘なんだ、自由民主党それから政府、両方ともそういう考えは一切ないと、こういうことならばこれはまた別問題であるけれども、新聞にあのように大々的に発表される限りにおいては、相当自由民主党の中においても政府の中においても、私はこの問題については検討されていると思うのでありますから、そういう段階で申し上げているのであって、決してわれわれは大蔵大臣を相手にせぬという立場でなくて、大蔵大臣の趣旨と自由民主党や政府の全体的な意向は今日変りつつあるのではないかという立場から、この際、最終的な岸総理の表明を願わなければ、この法律の審議に入っていけないと、こう言っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/9
-
010・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はこうして出席いたしております。今新聞記事がどういうことであるか、新聞記事は絶対なものだとして大蔵大臣の考え方もお聞きにならないで、いきなり総理大臣を求められることについては、私はまことに遺憾に思うということを実は申し上げたのであります。もちろん新聞記事が出ておるのでありますが、新聞記事の当否であるとか、これが正しいとか間違っておるとかいう議論はだれもいたしておるわけではございません。しかしながら、こうしております以上、政府の意向というものは、大蔵大臣ももちろん知っておるのでございます。その大蔵大臣の意向をまずお聞きになるのが本筋じゃないか、こういうことを私率直に感じましたので申し上げました。だからそれはもう総理を呼ばれることは委員会の問題ですから、委員会でおきめになることはけっこうでございますと申しておる、しかしながら私自身はこうして政府の閣僚の一員として出席しておる、新聞記事を一つの前提として、はっきりしたものとしておきめになりまして、そうしてこれについて聞くのだとおっしゃることについて、私もこうして顔を出している以上、一言ぐらい、どういう経過かぐらいのことをお聞きになってもしかるべきじゃないか、こういう意味で実は申しあげたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/10
-
011・栗山良夫
○栗山良夫君 これは私の発言に関係することでありますから一言……。大蔵大臣のただいまの言葉は大へん口が過ぎていると思うのであります。僕は本日の委員会で大蔵大臣に質問しないというようなことは私自身、またわれわれ社会党の委員も一人も申しておりません。ただ問題は、あなたは今心外だとおっしゃったが、心外でなくて信頼の問題なんであります。なぜかと言えば、あなた並びに三木国務大臣に対しては前々回の委員会で前後五瞬間にわたってわれわれがただしたいことを、るるあなたよりお答えいただいた、私はさっき冒頭に申し上げて発言した通りに、われわれと意見は違う、見解は違うが、それを岸内閣の有力な経済閣僚三人がおっしゃっていることですから、まあそのまま受け取っておきましょう、こういうことでおわかれしている。ところがそのおわかれした後、特別国会は会期延長になってあと四日間続くのです。その間あなたの所信が急に変るなどということは私は考えません。あなたにお聞きすることはもう大体私はそれで済んでいるが、八日までは続くのです。ところが一方、けさの新聞に報道されたようなことをいきなり取り上げることはけしからぬというような御発言でありますが、私はさようには考えない。たとえばそれが特定の新聞に載っただけなら、私は申し上げて問題にいたしません。少くともけさの新聞をごらんになれば、東京において発行されている一流紙においてはほとんど全部がトップの記事でこれを扱っている、そういうような雰囲気に、きのう何時からか知りませんが、そういう状態に岸内閣の動き、自民党の動きが非常にゆれたことだけは、われわれはどうしても信用せざるを得ない。従ってそういうゆれた根源は一体だれかと言えば、自民党の総裁である岸信介氏、岸内閣の総理大臣である岸総理大臣、この最高責任者に出席を求めて、どうしてもお聞きをしなければならぬ、しかもお聞きするのには、本日というような無理を申し上げてはいない、来週月曜日はまだ会期中ですから、月曜日にぜひ一つ衆総理大臣の出席を要求して、そこでその所信をお伺いしたい、こういうことを申し上げているのでありまして、大蔵大臣から文句をつけられる筋合いのものではありません。どうしてそういうことを申されるのですか、それは心外です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/11
-
012・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 岸総理の出席を求められることは、これは委員会でおきめになることでございますので、これは先ほど冒頭に申し上げた通りであります。しかしそれほど御心配でありますれば、私も昨日の閣議には出席いたしておりますし、経過は十分知っておりますので、一言ぐらい、佐藤もあそこに出ているのだから模様を聞いてやろうというようなことくらいのことはお考えになってもしかるべきじゃないか、その閣僚である人間、しかも閣議の模様を知っている人間を抜きにして、いきなり総理を呼んでやることは、大蔵委員会としては私自身まことに心外に思わざるを得ない、これはもちろんお話しのように、皆さまの委員会でおきめになることですから、私がとやかく申し上げる筋ではない、ただ今平林委員から、大蔵大臣はそれに責任を持ったらどうかというお話でございますし、大蔵大臣の所見はどうだという御意見が出たので実は申し上げたのですが、問題は私にお尋ねがあれば、昨日の閣議の模様などを詳細にお話ししていいことなんであります。私はそれを申し上げないとは言っておらない、記事から出ておりますニュアンスは幾分相違もいたしておりますから、そういう点について詳細にお話しいたしますならば、これはあんがい岸総理の出席は氷解を願えるかもしれません。あるいはどうしてもその話をして聞いてみたけれども、正そう出席の必要があるとお感じになるか、これは皆さま方の方の御意見できまることであります。そういうことなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/12
-
013・大矢正
○大矢正君 ただいま大蔵大臣から表明がございましたけれども、私は考えてみて、わずか二、三日のズレで、大蔵大臣の先般の委員会における言明と今日の情勢が変るとすれば、これはその直接衝に当った大蔵大臣が私どもの前で、政府の方針が変ったなどということは、なかなか言いづらいのじゃないかと思います。(「武士の情なんだよ」と呼ぶ者あり)だからむしろこの際、あなたに二、三日前のあなたの発言はこうじゃなかったかという立場において表明を、質問するということは、これは平林委員の言葉じゃないけれども、武士の情で、この際、私は総理に出てもらった方がいいんじゃないかと、こう思って先ほど来申し上げているのでありまして、もし責任をもって大蔵大臣が、かりに、二、三日前の委員会において、この委員会で述べられたことと違ったことでも思い切ってこの際述べるという度量と気持をもって、ここで発言をされるというくらいの気持ならば、私はお聞きしてもよろしい。それは何も岸総理大臣を呼ばないという前提じゃありませんよ。これは総理大臣と大蔵大臣が幾ら兄弟であっても、考え方は違うところもあるのですから、私は大蔵大臣からきょうここで御答弁をいただいたら岸総理は要らないということじゃなくて、先ほど来非常に閣議の内容を発表したいというような積極的な意思がおありのようでありますから、それなら聞かないわけにも参りませんから、聞いてもけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/13
-
014・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) お尋ねがございましたので、一応閣議の経過を御報告いたします。これはただいまお話がございましたように、総理の出席を求めることとは、これは別でございます。総理の出席については、これは委員会でおきめになる……。
昨日、閣議におきまして、かねて申し上げておりますように、臨時国会の開催も考えられる。この臨時国会の開催は政府自身の積極的な意図と申しますよりも、もうすでに社会党側の強い要望のあることも伺っております。そういう事柄が一つの問題になり、もう会期もこの特別国会もなくなった。次の段階についての準備その心がまえとしての発言が総理からあったことは事実であります。で、ことに、この話を御披露していいかどうかと思いますが、御承知のように、来年は参議院の改選の時期になっております。そういたしますと、参議院の方々の審議の都合等も考えまして、やはりできるだけ通常国会における期間についての、何と言いますか、予算編成の時期と言いますか、御審議をお願いいたします時期等についても、特に考慮を払わなきゃならないのだ。岸内閣自身といたしましては、すでに御承知の通り、総選挙が済んで初めて迎える通常国会でございますが、その通常国会において参議院選挙を控えておる。その会期の間に十分の審議を終らす。こういう意味においては前広の準備を必要とする。この前広の準備を必要とする立場から考えてみると、ぜひとも次に控える臨時国会において重要法案もその一部を提案し得るように準備をはかってくれ、これは岸総理の心からの要望でございます。私ども考えましてこの点はしごくもっともなことだと思う。これはこの当委員会で問題になっておりました経済の問題についての云々の議論ではございません。国政一般につきまして通常国会と臨時国会との関連等を考えると、臨時国会に相当の重みをかける運営をするのがしかるべきじゃないか。ちょうどこれから特別国会は終了する。そこで暑さではある、一息抜くというようなことは、政府としては困るということでございます。なお、臨時国会の召集等について、新聞では一部すでに九月にやるとかいうような記事を、一部で報道いたしております。これは総理の外遊という問題と結びつけて、外遊が十月以後であるならば臨時国会を開く時期が九月ではないかという想像も多分にあったと思います。まだこの臨時国会を開催する時期等については十分のまだ見通しが立っておらない。この点を特に皆様方に申し上げて、新聞に書いてあるその記事全部が無根であるとか、間違いであるとか、かようなことは申しません。これは当然臨時国会は開かなければならない状況に追い込まれることは、今日からもう予想が立っている。それに対して今日からそれに準備をすることは、前回の選挙における公約事項等、相当広範にわたっての公約事項がございますが、これらを通常国会の期間中に審議を終らすというためには、相当な事前の準備を必要とする。これは必ずおわかりがいただけるのではないかと思います。その点を昨日の閣議の後に、官房長官がお話しをした、それが今日の記事になっているということでございまして、今までの方針について変更するとかどうという問題ではもちろんございませんし、どこまでも通常国会と臨時国会とに対する政府、ことに衆議院の総選挙後の岸新内閣の態度として、また来年必ず行われる参議院の選挙というものに対応する対策としての心がまえの発表でございます。この点を御披露いたしまして御了解をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/14
-
015・荒木正三郎
○荒木正三郎君 先ほど栗山委員から月曜日の大蔵委員会に総理大臣の出席の要求があったのです。それに対して委員長は善処いたしますというお話しがあった。しかし善処というだけでは、あるいは月曜日に総理大臣の出席ができないだろうという場合もあるわけです。そうすると、栗山委員の質問の内容は相当重要な問題でありますので、委員会の運営も、そのときになって総理大臣は出席できないということになれば、またもんちゃくが起りますから、善処するというだけではなしに、もう少しはっきりした形で、これをきめておいていただけば、何も大蔵大臣とのやりとりは必要ないと思うのです。ですからこの委員会で月曜日のこの法案の審議に当って、あの栗山委員の要請のある通り総理大臣の出席を求める、こういう決定があれば、それは私はそれでいいと思います。ただ交渉する、善処するだけではうまくいかない場合があると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/15
-
016・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ちょっと速記とめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/16
-
017・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 速記をつけて。
それでは、大蔵委員会として政府側に要求することに決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/17
-
018・栗山良夫
○栗山良夫君 その出席が可能であるかないかということを緊急にわれわれに知らしていただきたい。向うと交渉されて。そうしないと、われわれの方も議事の運営に重大な影響がある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/18
-
019・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 承知いたしました。質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/19
-
020・野溝勝
○野溝勝君 ただいまの総理大臣の本委員会に出席を要求するということにつきましては、先ほど各委員から申し上げた通りでございます。特に、会期ももうわずかで、重要法案でありますし、特に日本経済の進路を決定すべき法律案でございますから、総理大臣には一つ速急に委員長から要求していただきたい。なおその回答は、本日中に要求すると同時に回答してもらいたい、かように思っております。
それから、私はこの際三、三お伺いするのでございますが、先般われわれの同僚からいろいろと日本の財政金融について御質問がございました。その際、大臣の御答弁の中で、特に輸出振興の問題が高く評価されておるようでございますが、輸出振興といいましても、きょうの新聞にもありますように、なかなか容易でないのでございまして、特にアメリカにおきましては、海外の買付をも制限するという上院の決定でございます。さらに、関税の引き上げ等が行われておる情勢でございます。さらに、東南アジア方面におきましては、なかなかそれだけの市場のゆとりもなければ、また、現在の取引のやり方によっては、なかなか伸びる傾向もありません。かような中にあって、一体輸出振興をどういうふうにやっていこうとするのでございますか。もう一度私はこの際、具体的に大臣の御所見を聞いておきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/20
-
021・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今野溝委員のお尋ねのように、なかなか輸出振興は容易なことではないと思います。前提条件になります点は、各国とも経済的な情勢必ずしも楽ではございません。その意味におきまして、自国の経済を立てるという意味においての輸入制限をする。この輸入制限こそは、輸出を進めようという方向から見ますと、これは大へん障壁になる問題でございます。また、各国ともそういう輸入制限をすると同時に、自国の物の輸出を増進する意味の競争をいたしておりますので、いろいろ相手国に対して条件を緩和する、支払条件なり、その他価格等において、いろいろ条件を緩和しており、いわゆる輸出競争は激甚でございます。そういう情勢下において、わが国の輸出を伸ばしていくということだから、なかなか容易なことではないと思います。政府も輸出振興に特に重点に置いておりますだけに、経済閣僚の懇談会を持ち、その対策を十分一つ審議しようという今段階でございます。本日に予定されましたこの懇談会も、国会等の関係で次に延びまして、今のところでは十一日に予定いたしております。ただいま関係各省において案をいろいろ研究しておるところだと思います。そこで、具体的にどういうことを考えるかというお尋ねでございますが、いろいろのことが言われるだろうと思います。もちろん、困難な状況下において、これがきめ手だというものはまだ私どもも見つからないのです。きめ手と申し上げ得るものはなかなか見つかりません。しかし、各方面からあらゆるものを工夫し、総合的に進めていくということ、それによって国際収支の状況をよくしていくということを考えなければならないだろうと思います。
そこで、輸出振興の焦点というか、相手国を一体どういう方向に持っていくかという問題がまず第一に考えられる。後進国に対する輸出は比較的条件がいいと考えられますので、東南アジアを初め、中南米等、それらに対する貿易、これは積極的に取り上げられる一つの方法であろうと思います。あるいはまた、その他片道貿易というか、これの輸入と輸出とのバランスがとれるような方法、これは外交的に工夫していくということ、これも一つの方法だと思います。さらにまた、輸出競争で脅迫に考えられております方法は、過日も貿易決済の方法としていろいろの御質疑を伺って参ったのでございますが、その点から、一部考えられますのがいわゆる延べ払い方式である、あるいは円クレジットの設定の問題である、あるいは今日行なっております、六ヵ国の範囲ではございますが、オープン・アカウントをいかに処理していくか、こういう問題があるのであります。さらにまた、円クレジットやあるいは延べ払い方式の場合におきましても、相手国の経済開発に資し、同時に国際親善を増進していくということ、貿易振興の場合において、いわゆる基本的なものとして考えていかなければならない条件のあることは申すまでもないところでありまして、円クレジットの設定なり、あるいは延べ払い方式にいたしましても、これが焦げつき額になる、言いかえますならば、両国間に紛争を起すような貿易の形はとりたくない、これは当然のことだと思うのであります。あるいはまた、国内の問題といたしましても、輸出金融について格段の措置をとる必要があるかどうか、あるいはまた、輸出をいたします場合においての産業形態についてどういうような指導をすべきか、これも一つの方法だと思います。一面公取の制度のあることも念頭に置き、しかも業者相互間の過当競争を防止するような措置、これも一つの工夫のポイントであろうと思うのであります。その他、いろいろ工夫しなければ、輸出はなかなか、思う通りというか、計画通りには進みかねる、まことに困難なものだと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/21
-
022・野溝勝
○野溝勝君 ただいまの大臣の御答弁は、大体大蔵省の見解だと思います。しかしその見解は、大体正しいと思っておりますにかかわらず、どうして欄内の意見はまちまちなんでございますか。と申すのは、三木経企長官あるいは高碕通産大臣、これらの諸君の見解は、非常に輸出振興を過大評価しておると思います。大蔵省におきましては、三十一億五千万ドルの計画が、二十八億何千万ドルぐらいしか達する見込みはない、かように発表されておるのです。その見込みのないものを、輸出振興が予定通りいくかのごとく、あらゆる委員会において、その目標のために努力するということを言われておりますが、努力するということは、前年来のことでございまして、もうすでに一萬田君が大蔵大臣に就任した当初から、さようなことを言われておる。年度内における結果がさような結論を出したにかかわらず、依然として、誤謬の方針を高碕君なり、あるいは三木君なりがあらゆる委員会においてさような所見を発表しておるということは、ただいまの大蔵大臣の所見とはまことに一致しないのでございます。かような点から見て質問をするのでございまして、今、大臣は、率直に努力しておるが、なかなか容易でない、さような通りだと思います。東南アジアと言いましても、幾ら延べ払い方式、あるいは円資金のクレジット設定をするにいたしましても、現在の日本の円資金に限界があり、また国際的な信頼というのは、御承知の通りであるし、さらに、延べ払いするといたしましても、インドネシアその他等々の賠償問題から見てもドルの裏づけがなければ限界が来ておるわけです。さように簡単にできるものではないと思います。こういう情勢の中にあって、今の日本の財政計画は、あまりにむちゃではないか、かように考えております。
なお、これに関連して申し上げますが、かような情勢の中にあって、唯一の好転材料は日中の貿易により、少しは日本の経済に潤いをきたすという、この事実を数字的につかんでおりながら、これすらもなし得ないという、やり得ないという、今の政府のやり方に対して、不満であり、心外にたえないのでございます。大臣は、この際、いかなる所見を持っておるか、この点についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/22
-
023・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 前段について、大蔵大臣あるいは企画庁長官、通産大臣、これらの間に基本的に考えが相違しておるのではないかということでございますが、私の見るところでは、今、野溝さんが言われるように、非常な楽観的な意見を、通産大臣や、三木企画庁長官がしておるとは思いません。この意味では、皆同じ考え方をいたしております。困難な問題には相違ないが、どうしてもその目標達成のためにあらゆる努力をしよう、これが今日の段階であるのでございまして、経済閣僚懇談会を開き、輸出振興の対策を協議しようと申しますのは、そういう意味でございます。この点で、経済閣僚の間に、意見が食い違っておるように、もしお考えになりましたら、一つこれは御了承いただきたいと思います。
問題は、こういうようにむずかしい際に、日中貿易についてどう考えるかという御意見だと、ただいま拝聴いたしたのでございますが、この問題となっております日中貿易、これにつきましては、政府の態度というものは、実は、どの委員会でも繰り返し申し上げておりますように、非常に態度ははっきりしておると言っても差しつかえないかと思います。これを私自身、私の個人的な——国会において、また委員会においてですからその個人的ということは、あまり意味がないかと思いますが、私は、日中貿易について、実は、こういう見方をいたしております。日中貿易が、今日までいわゆる民間貿易協定という形で進めてこられて、第一次から第四次協定までとにかく進んできた。で、いわゆる民間貿易としては、過去においてりっぱな実績をあげてきていたのです。で、今日も国際関係が通常状況でないといいますか、今置かれているような日中の国際間の情勢下にあることは、いい悪いは別といたしまして、これはもう現実の状態でございますが、こういう状勢下においての貿易、これは従前同様民間貿易以外の形を——もうこれ以外の形はないのだと実は考えておる。民間貿易の形から考えてみますならば、やはり民間の方々も貿易を進めることについては非常な意気込みを持っておられるに違いない。しかし不幸にいたしまして、第四次民間貿易協定以来、民間貿易協定のレベルが、いわゆる政府間のレベルに持ち上ってきておる。これはやはり貿易を進めたいという考え方から申しますならば、真に日中貿易を増進するという観点に立ちますならば、在来の民間におけるレベルにおいて、この話を進めていく方法が生れてくるのではないか。両国とも貿易を続けていき、これを増大していくということに非常な熱意を示すならば、やはり民間のレベルにおいて話を進めていくならば、これは可能なのじゃないか。本来の日中貿易のある姿にやはり返していく、これがこの日中貿易を増進していく最大のものではないだろうか、こういうような感じを実は強くいたしておるのであります。私は政府かただいまそういう意味をも含めて、いわゆる事態の推移について双方の立場を十分理解していきたいのだ、かように申しておることが、私自身には理解ができるような気がいたしております。ただいま静観という言葉で表現はいたしておりますが、これが静観という考え方でなしに、今日まで円満にいき、率いにしてその数量も逐次増加して参ってきた日中貿易の姿でございますので、これを発展的な過程の状態において考え直すことが、この日中貿易の取扱い方として、最も望ましいものではないかというような感じを実はいたしておりますので、付け加えて御披露させていただきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/23
-
024・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ただいま委員の変更がありましたので、御報告いたします。
本日付をもって野坂参三君が辞任され、その補欠として岩間正男君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/24
-
025・野溝勝
○野溝勝君 ただいま一部の所見が、大臣の所見がございましたが、私としてはさような考え、私としてはさような気持であるというようなことでは、まことに権威のない話でございまして、有力閣僚として、特に日本の財政経済の担当をしている大臣が、貿易問題に対して非常な重要な位置を占めている中共貿易に対し、さような考え方では、私ははなはだ困ると思うのでございます。
そこで、この際お聞きをするのでありますが、ただ静観をするということでなくて、財政金融の関係から、特に日本経済の基盤を強化しようという法律案を出された大臣といたしましては、少しでも日本経済の基盤の強化ということに対しては、御努力と熱意を持たれておると思うのですが、この点は大臣は当然なことと思いますけれども、一つはっきり御所見を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/25
-
026・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 大へん大事な時期でございますので、また大蔵大臣といたしましての責任は、ただいま御指摘の点にあると思います。私も今まで経験のない場所に赴任をいたしましたが、私も重大な決意をもってただいまのむずかしい問題と取り組んでいく決意でございます。どうかよろしく御協力のほどお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/26
-
027・野溝勝
○野溝勝君 当然さような決意をもっておられると思うのでございますが、そこでしからば、この中共貿易は、国交が回復しておらない日中との間に、国交の回復したソビエトよりは一そう友好的に今日まで行われておったと思うのであります。さらに日本の経済に益するところがあったと思うのです。先ほど大臣の御所見の中にもありました通り、民間団体は、あげてこの貿易の復活を要求しております。さらに日本経済にも益するところがあったと思うのでございますが、これに対し、大臣はいかように感じておるか、その点の御所見を一つお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/27
-
028・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 民間団体の力によりまして、日中間の交通、文化交流、あるいは貿易が進められてきた。これは今日まで民間団体の熱意の結果だ、これはもう申すまでもないことでございます。同時にまた政府自身もこの民間団体のかような行動に対しましては、協力と支援を惜しまないという態度できている、これまた御了承を願いたいところだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/28
-
029・野溝勝
○野溝勝君 関連しておりますから、為替局長に一つ御所見をお伺いしておきたいのです。参考に聞いておきたいのですが、先般大蔵省の見解といたしまして、海外買付けの問題、金融の問題、あるいは互恵通商改正の問題、アメリカの。それらの問題についての動きから見て、日本経済が容易でない、特に貿易は容易でないという見解が大蔵省の見解として発表されておりました。先ほど大臣の考え方と一致しておると思うのであります。これに対し、さらに今日まで入った資料、ニュース等を見て、一そう経済事情はどういうことになっておるかということ、さらにもう一つ、つけ加えて参考に申し上げておくのですが、先般国連における第二部の経済発表がございました。それを見ても、アメリカ経済は容易でない、当分景気回復困難という発表でございます。今後当分見込みのないという見解が発表されております。さらにエコノミスト誌においても同様な見解が発表されております。日本政府の為替局長、特にその方面を担当されておられるあなたからアメリカ経済の動向情勢等、この際、参考に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/29
-
030・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 今後の輸出が容易でないという点につきましては、ただいま大臣からるるお答えがございました。私もその通りだと思うのでございます。アメリカ経済の将来をどう見るかという点につきまして、これは実はアメリカの国内でもまだ意見が分れております。中には、最近鉄鋼生産の操短率が回復したとか、あるいは自動車生産が多少持ち直したとか、消費が減っていないとかいうことで、割合に早く回復するのではないかという意見も一部にございます。同時に今野溝先生がおっしゃったように、これは予想よりは多少沈滞が続くという見解もございます。われわれとしては、まあ多少、当初予定しておりましたよりも、アメリカ景気の回復はあるいはずれるかもしれない。しかしながら、これは米国内においてさえ、そういう意見が分れておりますので、いま少しく情勢を見ませんと、いつごろ上向くかということは、私自身といたしましてもはっきりいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/30
-
031・野溝勝
○野溝勝君 まことに失礼な言い分でございますが、為替局長の御見解としては非常に物足りないのでございます。特に日本経済が今日アメリカ経済の動向によって左右されるという情勢でございます。アメリカ一辺倒的な経済政策をとっている今の日本政府の方針でございます。さような中にあって、アメリカの動きを、完全にというまでいかなくとも、相当把握しておらなければ、この日本経済の見通しも立たぬじゃないですか。特にエコノミストによりますと、今後八年間というものは輸入の分の一〇%分だけ多く、それを何といいますか、支払っていかなければ、日本経済は立て直らぬだろう、こういうことも言っております。そういうような点具体的に、よその国の評論でさえも、新聞雑誌でさえもさようなことを言っておる際に、日本の政府特に大蔵当局が、もっと私は具体的につかんでもらわぬと、それは完全とはいきませんが、具体的につかんでいただきませんと、私どもといたしましては、それに対する一つの方針というものが立ちません。こういう点について、あなたはもう少し大臣に遠慮することなく、この際、あなたの考えておる所見を一つ発表を願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/31
-
032・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 世界経済全体の問題でございますが、これは現在ある程度沈滞しておることは事実でございます。それからまた日本の対米貿易の割合が非常に多いということも事実でございます。しかしながら国際経済情勢というものは常に流動的なものでございまして、現在をもってこれから一年間はアメリカは沈滞する、その余波を受けて各国ともいかぬ、そういうことをはっきりここで断定することは無理ではないか、やっぱり慎重にいろいろな指数を見守りながら、適宜に作業を進めていくというのがとるべき策ではないかと思うのでございます。大臣に遠慮することなくというお話でございますが、別に遠慮はいたしておりませんで、私の見解を申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/32
-
033・野溝勝
○野溝勝君 酒井為替局長の御所見に対しましては、いずれまた時期をあらためて具体的に質疑するといたしまして、大臣にお承わりしたいのは、先般衆議院の予算委員会で、石村委員に通産大臣が貿易上の問題について、かように答えておるわけです。石村君か世界貿易の縮小の今日、どうして輸出振興ができるか、こういう質問に対して通産大臣は、これはまとめた御所見です、政府の計画では、三十三年度の国際収支の黒字を一億五千万ドルと予想しておるが、一部には三億ドルの黒字説もある、私は大体一億五千万ドル程度の黒字で相当思い切った政策の転換を考える。第一は黒字のワクの中で東南アジア諸国にクレジットの設定を行うこと、第二はプラント輸出について長期の延べ払いを考える、その場合現在輸出入銀行の頭金二五%、支払期限五年を二〇%で七年くらいにしたい。その他ビルマ等東南アジア諸国の賠償の促進など、経済協力を考える。努力いかんでは三十一億五千万ドルの輸出も不可能でない、かような見解が披瀝されておるわけであります。この点今後の対策についての考えについては、先ほどの大蔵大臣の御所見と似たところもございます。しかし必ずしも貿易の計画の遂行は容易でないというあなたの展望に対して、国際情勢からみて私は佐藤大蔵大臣の所見の方が正しいと思っておるんですが、まあ高碕君が強気の意見を吐いておるのは、あなたの意見と食い違っているじゃないですか。ただ努力目標というならわかるのでございますが、これは努力目標じゃないとすると、あなたと高碕君との間においては意志の疎通を欠いていると思うが、どうか。その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/33
-
034・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 通産大臣とまだ話はいたしておりません。おそらく十一日になりましたらいろいろの要望が出て参るだろうと思います。
この際一つ貿易の金額につきまして説明を加えさしていただきたいと思います。それはどういうことかと申しますと、今、物価の値下りが相当響いておること、これはやはり念頭に置いていただきたいということでございます。輸出の面におきまして、数量的には、ただいま金額が減っておるように数量が減っておるわけではございません。数量的にはやや伸びておるという形でございます。ただ国際物価が相当の値下りをしておる、その八%であるとか、あるいは人によりましては一割近いとか、かようなことを申しておりますが、このやはり値下りというものが、この貿易目標の金額、三十一億五千万ドルという金額で表示しておるものに影響をしておる、この点は一つ御了承願いたいと思います。いわゆる目標額を決定いたしましたときと今日とは価格が相違しておる。これだけは見逃せない一つの要素でございますので、ぜひとも御了承おき願いたいと思うのでございます。
なお、ただいま言われております延べ払い方式であるとかあるいは円クレジットの問題等、これを貿易の黒字の範囲において片づけるという、これは大蔵当局といたしましては、なかなか重大な問題でございますから、そう簡単に了承のできる問題ではございません。黒字は御承知のように上半期におきましては順調に黒字がふえておりまして、大体上半期一億五千万ドル、これをあるいはオーバーするのじゃないか、こういう言い方をする方もあるのでございます。しかし、六月なぞは、やや数字的には下降しておるという状況でございますので、貿易の収支じりは、これはよほど気をつけなきゃならない。これがまた黒字が非常に減って、昨年のような状況になれば、これは大へん心配すべき状況でございますが、経済自身から申しまして、経済が発展する場合には輸入もまた相当ふえていくとかいうことでありますならば、経済の発展にも寄与することでございますから、ただその黒字の数字だけ、貿易じりだけで経済を批判するわけにはいかない。またせっかくできました黒字というもの、これは同時に、まあどういう形で外国に出ていくにいたしましても、この黒字であることは、必ず日本経済を成長さす上に役立つ条件である。これは間違いのないことで、そういう意味において、この黒字がふえること、これは望ましいことだし、同時にその黒字の範囲内においてどういうような政策をとっていくか、これは今言われるような方法も通産省的には主張されるかわかりませんが、大蔵省的には直ちにそれに賛成するという結論ではない。これまた事前に申しあげておきますから御了承おき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/34
-
035・野溝勝
○野溝勝君 あなたと高碕君との閣議における論争みたいな御答弁でございますね。私の質問に対して煙幕を張るおつもりで答えたのじゃないかと思いますけれども、黒字のみが必ずしも日本の貿易の振興ということにはならぬというが、しかし数字はすべての常識でございます。佐藤さんこれは常識ですよ。赤字ばかり出ているものを計画ないし案として承認するわけにはいきません。われわれも無軌道的に何も黒字をよろしいというものではない。一応よりどころとして数字の上に割り切っていこうということは、理論構成の中心でございます。特に大蔵省当局におきましては、数字に特に重点を置かれている当局でございます。私もだからといって数字のみに固定しようという考えは持っておりませんから、ただいまの大臣の答弁に対してはそのままあなたに御返上申しておきます。
続いてお聞きいたしたいのは、大臣の御答弁はまじめに答えておられるようでございますが、その御答弁の中に、今の内閣の方針と非常に矛盾は感じませんか。たとえば、具体的に言うならば、通産大臣の経済政策、たとえば産業を通しての経済政策だと思いますが、大蔵大臣との間に矛盾があると思うのでございますが、さように感じませんか。技術上について少し調整しなければならない点があるとお感じでございますか。さような点を一つお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/35
-
036・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいままで具体的問題としてあまり折衝したことがございません。従いまして特に矛盾というか、あるいは衝突といいますか、そういうものをあまり感じておらないのでございます。で、私は、通産大臣もちろん通産省の責任者といたしまして、日本国の経済の発展、これに非常な熱意を示しておられると思いますし、また私自身は大蔵大臣としてその責任を果していきたいということで、いろいろ勉強もしておる最中でございます。必要がございますれば、十分話し合えば、必ず解決はするものだと、かように思っております。ただ問題は、非常に大蔵省といたしましてはいかにも慎重である、また通産省としては非常に積極的だというような感じの相違はあろうかと思います。あろうかとは思いますが、具体的な問題の処理に当りまして、ただいままで特に調整を必要とするということは感じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/36
-
037・野溝勝
○野溝勝君 私はあげ足をとるわけではないのですけれども、この点は大臣に率直に考えていただきたいと思います。と申すのは、今までわれわれが審議しておるのは、日本の経済基盤強化資金に関する法律案に対して審議をしておるのでございます。かような審議の中身は、国際経済だろうと国内経済だろうと、有機的なつながりを持っておると思うのです。そこで国際経済に対する考え方、それは必ずしも私は大臣と通産大臣と一致しておるような見解が今日まで出ておらぬのでございます。ニュアンスは少し違うかもしらぬといいますけれども、実際ニュアンスどころではないのでございます。先ほど予算委員会における答弁だけを読みあげても、あなたの答弁との間には考え方が違っておるのです。向うは輸出振興を軽く見ております。あなたはなかなか容易でないと見ております。そういう違いは今後の施策の上に現われてくるのです。そこであなたがまだ会ったこともなければ、相談したこともないというのは、私はさようなことはうそだと思うのです。それは佐藤大臣に似合わない御答弁だ。あなたほど慎重を期する人が打ち合せをしないことはないと思うのです。また打ち合せしてないというならば実にだらしのない内閣です。それは失笑すべき内閣です。今日の財政窮乏の際における内閣とは言えないと思います。必ず打ち合せしてあると思うのですが、大臣はまだ打ち合せしていないと言うんですが、こういうような情勢の中で、今後貿易上においても大臣が心配しておるような事態でございます。さらに中共貿易におきましては、河野一郎君がいかなる見識ですか、見解か知りませんけれども、先般島根県に参りまして、中共貿易に対する見解を発表しております。通産大臣の貿易的見解、大蔵大臣の貿易的見解、さらに河野一郎君の貿易的見解、実に三者とも統一した意思発表ではないと思うのでございます。こういうような動きのある際に、思想統一というよりは、むしろ政策統一といいますか、意思統一というものをやっておかなければ、われわれ野党の者があなた方から政府の見解を聞く場合に錯覚を起すばかりでなく業界も迷惑でございます。大蔵大臣は至急今後、貿易問題はもちろんでございますが、日本の経済基盤総体についてじっくり打ち合せるということを考えておりませんか。この際お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/37
-
038・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、別にこれは毒薬的な、言葉じりをとっての御意見ではないと思いますし、また私の申し上げるのもそういう意味ではないからどうか誤解のないようにお願いいたしたいと思いますが、問題は、御指摘になりましたような当面しておる経済問題、これはひとり政治の面ばかりでなく、国民全般に及ぶ重大な問題でございますし、また政治の基調といたしましては、国民から信頼を得るということ、これが一番大事である。これはもう申すまでもないところでございます。内閣の一部において経済閣僚の間に意見の相違があるといたしますれば、それはただいま申し上げるような意味合いにおいて、重大なことだと思います。しかし私は先ほど来申し上げますように、感じの面においての幾分か表現の相違等はあるかと思いますが、本町的には相違はないというように理解いたしておるのでございます。この点におきましては、御心配のような問題は、私どもといたしましては、御心配のような点があるとは実は思っておらないのでございます。ただ今日この国の経済の安定を期し、同時にこれを成長さすという意味においても重点を置くべきものは輸出振興ではないかということを、内閣といたしまして一致した考え方でおるのでございます。この意味から輸出振興についての対策を経済閣僚において協議していく。そうして結論を得てこれを強力に推進していこうと、この心がまえで実はいるのでございます。今日までその会議を開くことがおくれておりますが、これは関係省事務当局にも命じ、いろいろ事務当局から数字その他のデータをいただきまして、そうしてただいま申す経済閣僚の間で結論を出していきたい。かように実は考えておるのであります。
もちろん、輸出振興が経済を安定さし、増進さしていく上の一つの有力な方法であること、これはもう間違いのないことだと思いますが、そういう場合に、輸出振興をするという場合には、当然相手国の実情についても、いわゆる世界経済のあり方についても、また国内の生産状況、需給状況等についても、十分の検討をした上で、その統一した基礎の上において輸出振興の政策がとられていく。こういうように御理解をいただいて差しつかえないことではないかと思うのでございます。
先ほど来、いろいろのお話が出ておりまして、高崎通産大臣が積極的にプラント輸出であるとか、あるいは延べ払い方式であるとかというようなものについて、具体的な対案を持っておるというような、非常に積極的な輸出振興のお話をしておられるような御披露であったと思いますが、これなども大蔵省自身が頭から実は反対しておるわけではございません。大蔵省自身といたしまして、そういう事柄が確かに有力なる手段であること、これは認めるが、同時にまた延べ払い方式や円クレジット等が持つ危険な要素についての警戒を怠らないようにいたさないと、ひとりいわゆる数字の上に、帳づらにおいては数字はふえたが、なかなか現金化ができない。いわゆる焦げつきになると。そうしてそのことが逆に関係国の間の外交上にも悪影響を及ぼすと。本来から申しまするならば、経済開発なり親善外交を推進し、同時に自国の経済の発展を期していく、この目的の面から見まして支障を来たす、こういうようなことのないように、そこはやはり大蔵省的に十分警戒すべきだということを実は申し上げておるのでございまして、基本的な考え方で衝突しておるとか、意見が食い違っておるとか、こういうことのないこと、これは一つ御了承いただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/38
-
039・野溝勝
○野溝勝君 大臣の御答弁の中でまだお聞きしたいこともたくさんありますが、あと二、三にしぼってお伺いして、それで一まず打ち切っておきたいと思うのですが、先ほどの御所見の中に、それからただいまの御所見の中で、現内閣が輸出振興を第一に考えておる、重大に考えておるという御発言がございました。そこで、この国会が終れば、この輸出振興に対する具体的な相談をし合いたいと思うという御意見でございます。先ほどの御所見の中に、特に日中貿易に対しまして、今静観の態度をとるが、それは手をつけないという意味ではない、民間業者の意見を聞き、尊重して、この具体策を練ると、こういう御所見でございました。そこで、その輸出振興に対する具体的な内閣法における閣議をやるときに、先ほど大臣の御所見の中に、静観に対する考え方、それを一歩発展せしめて、民間業者の意思に沿って具体的な案を立てたい、こういう御意思でございましたが、あなた個人輸出振興に対する見解を持っておるわけだと思うのです。いわば日中貿易に対して民間業者とどういうことをしようとするのか。どういうことを一体させようとするのか。どういうふうにしてまたはもらいたいと思うのか。その希望を一つこの際お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/39
-
040・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) まあ日中貿易についてどういう処置をとるかというお尋ねかと思いますが、問題は、政府でありますものが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/40
-
041・野溝勝
○野溝勝君 たとえば、為替決済の問題なども含めて一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/41
-
042・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) まあ在来のこの民間貿易が行われておりました際に、比較的、第四次貿易協定を作ります前の、第三次協定までは順調に発展をいたしたものだと思います。そういう意味で、この決済方法等も、不便ながらもある程度行われてきた。第四次協定におきましては、この不便さを解消さすというか、そういう意味で一つの決済方法も具体的に取りきめができておる。この第四次協定にできております決済方法などは、これは好ましい方法ではないかと私は思います。これは日本においては東京銀行、それから北京においては中央銀行、こういうことでこの決済方法が第四次協定では具体的になっております。これなどは非常に望ましい形だろうと思います。で、問題は政府静観という立場でありますだけに、政府自身が積極的な意見を述べることは、むしろ政府の態度といたしましてはそれこそまあ慎しむべきじゃないか。しかし、政府はどこまでも協力、支援するというその気持において変りのないこと、これは十分中国においても理解していただきたい、こういうふうに私ども思っておるのであります。
貿易を進めるという問題になりまして、先ほど輸出競争の激甚さをいろいろ御披露いたしました。今日は非常に複雑な状況下において、輸出競争は激甚さを増している。いわゆる自由主義陣営相互の間における競争もなかなか激甚でございますが、さらにそれに対しまして、いわゆる共産圏側の輸出競争もなかなか激甚でございますから、輸出競争の激甚さの様相は複雑なものになっておる。先ほど来申し上げますように、わが国の輸出を振興さすと、こういうような立場にあります際に、日中間の貿易が停止の状況にある、これはまことに私どもとしても残念に思っておるところであります。そういう意味においては、民間の方々の活動に対して理解と協力を惜しむものではない。これを重ねて申し上げて、ただこの際に、政府自身はどうするかといわれることは、建前の問題と申すよりも実体的な問題といたしまして、こういう機会には発言を慎しむべきことじゃないかと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/42
-
043・野溝勝
○野溝勝君 時間がありませんので、継続審議にして、後日に質問を譲るのでございますが、ただいま大臣の御答弁の中に、現在貿易が不調に終っておることは遺憾である、非常に残念である、という御所見がありましたが、その御所見を額面通りに受け取りたいのでございます、はなはだおかしい言い分でございますが、額面通りに受け取ってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/43
-
044・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) お話しの通り間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/44
-
045・野溝勝
○野溝勝君 してみると、先ほど来、大臣も日中貿易の必要性を強調し、特に民間業者にこたえるの所見を述べられておったのでございますが、私は今の日本経済の基盤を強化するにおきましても重要な一つの要素でございます。全部とは申しません。重要な要素でございますから、国会終了後における閣議におきましては、一日も早くこの貿易協定の復活を極力希望して、私はあなたにお願いしておきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/45
-
046・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来申し上げたことで、私どもの基本的な考え方は御了承をいただいたと思いますが、同時に、野溝さんのお話しになる日中貿易についての非常に熱意のある御意見、十分拝聴いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/46
-
047・野溝勝
○野溝勝君 最後に一つお伺いしておきたいのは、先ほど大臣のお話しの中に、今日までの第三次貿易協定までやってきた決済方式は、問題もなくて順調に進んできたという御所見がございました。私もさように感じておる。しかるに、河野君の松江における記者会見の所見は、日中貿易は純然たる経済上の問題だ。中共が国連に加盟していない現状なのに、これを政治と混同しているところに解決できない原因があった。そこで、私は今後の日中貿易はすべて現金決済とし、バーター制をやめるように提案する。まことに大蔵大臣の発言のようなことを言っているのでございますが、かような見解に対して大臣はいかように考えておりますか。一つこの際、大臣の所見とは少しく違いがあると思いますが、あらためてお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/47
-
048・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 松江における河野総務会長の発言、新聞記事の報道、これは実は私も総務会長としてずいぶんはっきりしたことを言っておられる。こういう感じを持ちまして、河野総務会長に伺ってみたのですが、どうもそれほどはっきりしたものでもないように言葉をにごしておられる。問題は、一党の総務会長でございますから、影響するところも多大のものがあろうと思います。ただ、私どもは自民党を主体としての岸内閣とは申せ、政府と与党との関係にありますので、政府自身が与党総務会長の発言について全責任を持つ。こういうわけのものでないことは御了承をいただきたいと思います。と申しますのは、その都度現金決済というこの表現自身が、貿易の実体として私にはどうもピンときておらない。そういう点は河野氏としても何かおそらく言い分があるのじゃないか。まあ河野君から聞いたところも、そういう点について少し言葉をにごされておるのでございます。この点は、政府の所見は、この国会を通じて、総理並びに外務大臣、通産大臣、かく申す大蔵大臣等が申し上げておる、これで政府の態度もはっきりしておる、これを一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/48
-
049・野溝勝
○野溝勝君 これは希望ですから、お答えは要りません、今、民間の貿易業者が頭痛鉢巻で大きな悩みの種になっておる際に、党の実力者といわれておる河野君が、かような発表をするに至っては、業界の混乱迷惑は一通りじゃない。また反響も大きい。自民党の責任者でないというようなことで、また、さような具体的なものではないというようなことで片づけるには、あまりにも問題が大き過ぎると思うのでございます。事いやしくも外交、経済に、金融に関係することであり、ことに他国の感情に関係するようなことに対しましては、軽率だと思うのでございまして、かような点については、岸内閣における十分なる粛正をされないと、国民に迷惑と不快を与えるのでございます。岸総理に進言をしてもらいたいと思うのでございます。ただいま十二時をもって一応本日は終るということでございますので、以上をもって私の質問を遠慮します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/49
-
050・栗山良夫
○栗山良夫君 ただいまの野溝委員の質問に対して、大蔵大臣が答えられました中共貿易関係の点については、私は、大体、大蔵大臣のお考えは了承いたしますが、ただ、私も、日中貿易促進議員連盟ができてから、ずっと理事をいたしておりまして、民間——あなたのおっしゃるように民間を主力とした日中貿易促進の、及ばずながら協力をしてきた一人であります。そういう意味で、あなたがおっしゃること自体は、至極ごもっともだと思います。ところが、その民間が主力になって日中貿易促進のためにだんだんと拡大していかれることが望ましい、これに政府は協力していくのだ、こういうお話しでありますが、しからば、ただいま、全面的に禁止の状態に陥っている最大の原因はどこかというと、長年にわたって日中議連、あるいは民間の貿易団体が努力をして、ここまで積み重ねて拡張をしてきたものを、一挙に全面禁止までて持っていきました最大原因は、政府の責任にある。要するに政府が水を掛けたと私どもは申しても過言ではない。それは国旗問題であり、また愛知元官房長官の談話であります。従いまして、こういうものを、水を掛けられたのでありますが、これをもう一度掛ける前の状態にどうしてお戻しになるか、この点が一番問題の点であります。過日、私は、川島幹事長にも、代表者の諸君と一緒に行って会いまして、大体、日中議連を解散をしたいということを党の六役役議でおきめになったということであるが、けしからぬではないか。内閣の方針は、静観主義であり、しばらく触れるのを待とうと、こういう主義であるのに、四次協定をやってきた責任団体の一つである日中議連を、ここでまだ仕事が終らないのに解散をしてしまうなどということは、相手国に対しましても信義をはなはだ失する問題でありますとともに、これは静観態度をはるかに越えるものではないか、こういうことを強く私どもは意見を述べて反省を求めたのであります。これは、自民党の川島幹事長に求めたのであります。ただいまの大蔵大臣のお考えを、そのまま地で今後発展させていこうと思えば、少くとも自民党なり、当時の岸内閣が、日中貿易の発展途上において水を掛けて、全面禁止させられた。この現実の前に立って、水を掛ける前の状態にどうして戻すかということが一番重要な施策でなければならぬと思います。これについて、どういう工合にお考えになっておられるか、これを一言お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/50
-
051・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 大へんむずかしい問題、といいますか、これは関係の方々の御協力によって初めて実はできる事柄ではないかと思います。もともと私は、先ほど来申すように、いわゆる民間貿易協定なんだから、政府としては支援と協力というものを——第三者ではもちろんございませんが、やや当面の相手方ではないはずなんであります。で、今回の問題が非常に紛糾したことは、私は政府を出す機会が少し早く来過ぎたのではないか、そういう意味において問題が紛糾を生じたのではないか。で、民間の方々にもお願いをしたいことは、やはり民間貿易の姿という形で問題を処理していただく、これが最も望ましい形ではなかろうか、もしそういう方法がとられるならば、今回のような問題なしに片づけ得たのではないか、こういうことを実は感ずるのであります。そういう意味におきまして、政府自身が——もちろん政府が日本国民と別個の存在ではあり得ないのでございますから、十分三団体をはじめ、民間の貿易推進に非常に熱意のある方々に対して理解ある処置をとって参らなければならないことは、これは当然と言わなければなりませんが、同時にこういう問題を通じて、政府を表面に出さざるを得ないような状態は、なるべく時期的に勘案を願うべきではなかったろうか——これはあとからの問題であり、今さら申しましてもまことに残念だと思います。で、今日政府が申し上げておりますのは、両国のある姿というものに対して、双方で十分の理解を与えてくれるならば、この問題が解決するだろうということを申しております。問題は一にこの点にかかるのじゃないか、そういうような意味合いにおきまして、政府自身はもちろん、それをじゃまをする——阻害するような措置をとるべきではない、ただいま非常に言行を慎しんでおるのが今日の状況ではないか、かように私は理解いたしておるのであります。従いまして議連の問題等につきまして、与党の六役会議でそういう意見を決定したと申しまして、議連が直ちに解消されるものでも実はないでございましょうし、これにつきましては、問題は国会内の問題でございますから、政府自身としても、そういう意味で積極的な態度も表明しておらないということだと思うのでございます。で、私ども並びに政府といたしましては、おそらくこの民間の方々の貿易振興につきまして在来からとって参りました態度に変りのないこと、これだけはぜひとも御了承をいただきたいことでございます。重ねて申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/51
-
052・大矢正
○大矢正君 議事進行についてちょっと御相談をいたしたいと思いますので、ちょっと速記をとめていただきたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/52
-
053・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/53
-
054・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 速記を始めて。
では本日はこれにて散会いたします。明後日は午前十時から商工委員会との連合審査会を開きます。
午後零時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00819580705/54
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。