1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年七月七日(月曜日)
午後二時十九分開会
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委員の異動
本日委員木暮武太夫君、前田佳都男
君、江田三郎君及び鮎川義介君辞任に
つき、その補欠として仲原善一君、松
野孝一君、戸叶武君及び八木幸吉君を
議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 前田 久吉君
理事
木内 四郎君
西川甚五郎君
栗山 良夫君
平林 剛君
委員
青木 一男君
岡崎 真一君
迫水 久常君
塩見 俊二君
田中 茂穂君
土田國太郎君
仲原 善一君
廣瀬 久忠君
松野 孝一君
宮澤 喜一君
山本 米治君
荒木正三郎君
大矢 正君
戸叶 武君
野溝 勝君
河野 謙三君
杉山 昌作君
八木 幸吉君
岩間 正男君
国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
外 務 大 臣 藤山愛一郎君
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
通商産業大臣 高碕達之助君
政府委員
法制局長官 林 修三君
大蔵省主計局長 石原 周夫君
大蔵省理財局長 正示啓次郎君
大蔵省銀行局長 石田 正君
大蔵省為替局長 酒井 俊彦君
農林省農地局長 安田善一郎君
通商産業省通商
局長 松尾泰一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
参考人
農林漁業金融公
庫総裁 山添 利作君
農林中央金庫理
事長 楠見 義男君
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本日の会議に付した案件
○経済基盤強化のための資金及び特別
の法人の基金に関する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○外国為替資金特別会計法の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○参考人の出席要求に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/0
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001・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ただいまから委員会を開きます。
まず、委員の変更について報告いたします。
本日付をもって鮎川義介君、木暮武太夫君及び前田佳都男君が辞任せられ、八木幸吉君、仲原善一君及び松野孝一君がそれぞれ委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/1
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002・前田久吉
○委員長(前田久吉君) これより経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案を一括議題として、これより両案の質疑を行います。
なお、総理は、大よそ二時間御出席の予定でありますので、あらかじめ御承知願います。では、栗山君から御質疑願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/2
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003・栗山良夫
○栗山良夫君 私はこの際、岸総理大臣に、特別国会が終了いたしました後における政策の遂行並びに国会の運営につきまして、御所見を承わりたいと思うのであります。それは、自由民主党の総裁としての立場及び内閣の首班としての立場、両方からそれぞれお伺いをいたしたいと思うのであります。なぜ私がそういう工合にお願いをするかと申しまするというと、今特別国会におきまして、われわれは当委員会において、いわゆる経済基盤強化法案の審議を熱心に進めて参りました。そして、内閣の方といたしましては、佐藤大蔵大臣、三木国務大臣並びに藤山外務大臣その他から、それぞれの御所信を承わったのであります。しかし、巷間伝えられるところによりますと、岸内閣の内部においても、この経済基盤強化法案に直接関係のありまする日本の将来の経済の動向につきまして、若干の意見の食い違いがあるやに聞いておるのであります。さらに、国会の運営とか、経済の進め方につきまして、自由民主党と岸内閣との間にも相当な見解の隔たりがあるやにわれわれは仄聞をいたすのであります。しかし御案内の通り、当委員会といたしましては、自由民主党の幹部であられる川島幹事長にいたしましても、あるいは福田政調会長にいたしましても、この席へおいでを願って、そして御所信を伺うということはできないことであります。従って何といたしましても、この際は自由民主党の総裁であるあなたに、また内閣の首班であるあなたに、総合せられて御所信を承わりたい、こういうことに相なったのでありまするから、さようなお気持で御答弁を願いたいと思うのであります。
そこで、さっそくでございますが、最初にお伺いいたしたいことは、この特別国会が終りましてから、ただいま国内に流れておりまするいろいろな情報を総合いたしまするというと、岸総理大臣が臨時国会を通常国会の前に召集をされまして、そして過日の衆議院選挙において国民に公約をせられましたところの、いわゆる選挙公約というものを実行する上において、臨時国会を通常国会と一体的なものと考え、そして政策の遂行、国会の運営に当りたい、こういう御所存のように承わっておるのであります。しかも、このことは七月四日の閣議にお諮りになり、それぞれ行政庁に対しましては、その準備方について御指令に相なっておるということも承わっておるのでありまするが、さようなことが事実でありますかどうか、これを承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/3
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004・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 臨時国会の問題につきましては、いろいろな観点から、大体九月の中旬以降、われわれは臨時国会を召集したいという考えでおります。御承知の通り、この特別国会は総選挙を済ませまして、首班指名があり、新しい内閣を組織するというふうなことを中心といたしまして、すでにこの前の国会において審議未了になっておる予算関係等の特別の関係を持っておる案件等の御審議を願って参ったのでありますが、さらに来年の通常国会を考えてみまするというと、御承知の通り来年は参議院の半数の改選がございます。地方選挙もございます。こういうような関係を考えてみまするというと、なかなか通常国会において、ずっと会期全体を通じて御審議を願うということは、趣旨はまさにそうでありますけれども、事実上それにはいろいろな困難を伴うのが従来の例でございます。こういうことを考えてみるというと、やはり、われわれとしては、公約をいたしました公約事項のうち、三十四年度の予算等に関係のあるものは、これは三十四年度の総予算に編成をして公約を実施しなければなりませんけれども、そういうものに関係なくして、一日も早く公約を実施したいものもございますし、また通常国会がそういう見通しであることも考え、かたがたそういう意味におきまして、臨時国会を九月の中ば以降において開きたい、こういう意向を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/4
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005・栗山良夫
○栗山良夫君 そういたしますると、ただいま御予定になっておりまする臨時国会の会期というものは、大よそ幾日くらいを予定されますか。このことが一つ。
それから第二には、今まで臨時国会の召集に当りましては、私ども野党が悪法の条章に定めるところによりまして、成規の手続を得て召集の要求をいたしましても、なかなかすみやかな召集はせられなかったのであります。ところが、ただいまの御所信を伺いまするというと、ほぼ御意思のほどは承知をすることかできるのでありまするが、従って、かりに今回は、野党側から成規な手続を得て臨時国会の召集をお願いするようなことがなくても、自民党とし、岸内閣といたしましては、自発的に臨時国会を召集せられる、こういう工合に承知をしてよろしいのでございますか、この点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/5
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006・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 大体そういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/6
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007・栗山良夫
○栗山良夫君 会期は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/7
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008・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 会期は、正確にどのくらいということは、いろいろ御審議願う案件等を見定めた上で、われわれとしてもきめなければならぬと思いますが、相当の今申し上げましたようなことを意図いたしておりますので、非常な短期ではとうていそれはできることじゃございませんから、相当の期間を私ども考えるわけでございますけれども、今それが一カ月であるか五十日であるかというようなことは、案件等とも見定めた上で一つきめたい、十分な御審議の期間を置いて、少くとも召集すべきものであると、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/8
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009・栗山良夫
○栗山良夫君 新聞等を通じて流されております情報によりますと、大よそ四十日間くらい、こういう工合にわれわれは承知をいたしておるのでありますが、大体その程度、上下狂いはありましても、大した狂いはないと、こういう工合に考えてよろしいかどうか、それを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/9
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010・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 今申し上げましたように、正確にはまた申し上げる段階に至っておりませんけれども、かりに九月中ごろに開会ができますならば、十月一ぱいを少くとも臨時国会にあてたい、こういうような希望でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/10
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011・栗山良夫
○栗山良夫君 そこで、おそらく政府が自発的に臨時国会を召集せられるということは、終戦後の国会では初めてであろうと思います。まさにある意味におきましては異例なことであります。それほどまでに例のない臨時国会の召集を政府みずからが行われるということにつきましては、臨時国会に予定をせられております重要な施策というものがあろうかと思うのであります。岸総理大臣といたしましては、それほどまでに重要視しておられまする臨時国会、さらに続いて来たる通常国会、これに対しましては、いかなる構想でただいまお進めになろうとしておられるか、これを承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/11
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012・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 過般の、わが党といたしましては、総選挙におきまして、国民に公約をいたしましたことを先ほども申し上げましたように、できるだけ早くこれを実現したいという考えでおります。この公約実施を中心に臨時国会及び通常国会というようなものを通じて考えて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/12
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013・栗山良夫
○栗山良夫君 例年でありますというと、大体秋口になりますれば、通常国会に臨まれるところの政府の態度あるいはまた予算案の大綱、こういうものが国民に示されるのが今までのならわしであります。ところが、ただいまのお話を承わっておりますると、もうすでに通常国会の仕事が臨時国会から始められていく、こういうことに承わるのでありまするが、従いまして、あなたといたしましては、臨時国会、通常国会を一体的に考えて、一貫性を持たせて国会の運営をせられるということでありまするならば、選挙の公約を中心といたしました自民党の政策の展開、並びにこれの裏打ちとなりまする予算案の構想、こういうものにつきましては、いつごろまでにおまとめになって、国民の前に発表せられるのか、これは構想であります。構想を御発表になるか、基本方針を御発表になるか、これを承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/13
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014・岸信介
○国務大臣(岸信介君) これは、私は先ほど申しましたような意味において、臨時国会を召集いたしますというと、当然臨時国会におきましては、三十四年度の総予算の、少くとも岸内閣とし、自民党として相当かたまったところの構想というものを、臨時国会を通じては明らかにしなければならぬと思います。一部は臨時国会において御審議を願う案件等に現われるものもありましょうけれども、主要なるものは、言うまでもなく三十四年度の総予算になるわけでありますから、これは臨時国会の開会をいたしますということになりますというと、国会を通じて国民の前に明らかにしなければならない、こういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/14
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015・栗山良夫
○栗山良夫君 それは、今のお話を承わっておれば断然になさることだと思います。臨時国会におきまして、岸総理大臣としては、国会を通じて施政の方針を明らかにせられるということは断然であります。当然でありましょうが、その施政の方針を明らかにせられる前の、いわゆる基本的な方針として、方針を定めていろいろな作業をお進めになって、その結論を臨時国会において御発表になると思うのであります。従って、これは毎年おやりになることでありまするから、決して私は無理なお尋ねをいたしておるとは思いませんが、岸内閣として、臨時国会並びにその次に続く通常国会に臨まれる基本的な方針、予算の大綱、大綱と申せばあまりにもこまかくなるといたしますれば、予算の方針でもけっこうでございます。そういうものをもう少し早く御発表に、おそらくこれはなると思うのでありますが、このためにはすでに先ほどお認めになりましたように、各行政庁を通じて作業にもお入りになる御予定のようでありまするから、そういうものをおまとめになって前もって御発表になる、臨時国会前に御発表になるのはいつごろになる御予定であるか、これを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/15
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016・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 特別国会が終了いたしましたならは、七月及び八月を通じて党及び政府関係の面におきましては、臨時国会を大体今申しましたような、九月の中旬ないし下旬に近いときに召集すると、そうしてその臨時国会は先ほど言ったような構想のもとに開かれると、それまでに十分に準備を進めるように勉強いたしたいと思っております。従いまして、その結果としていろいろのものが出ますれば、できるだけ国民の前に早く明らかにすることも適当でありましょうが、私としては、総合したところのものは、今言っているように臨時国会を通じて国民の前に明らかにしたいというのか私の考えでございます。それまでに、従来の例によりますというと、九月の初旬ないし中旬には、予算編成の方針といいますか、そういうものを閣議で決定して、それによって予算編成の方針をきめ、暮れに予算の大綱をきめて、そして最後の予算案をきめて、一月の再開に提出するというのが例でございます。ちょうどこれから七月、八月を通じてそういう一切の作業なり準備をするということになりますというと、大体九月の中旬ということは、臨時国会——私が開会の予定をしている前後にそういうものができ上ると、こう考えますと、まとめたものを国会を通じて明らかにすることが一番有効であり、また一番政府としてもまとまったものになるのじゃないか、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/16
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017・栗山良夫
○栗山良夫君 大体のところは、率直にお答えをいただきましたからよく了承をいたしましたが、そこで問題は、もうあと二カ月先に迫っておりまする臨時国会に対しまして、特に岸総理としてはどういうような施策を提案せられようとしておるか。先ほどのお話によりますと、選挙公約のうちで、昭和三十四年度の予算措置を講じなくてもよさそうな問題について臨時国会に提案をしたい、こういう工合におっしゃっております。それでわれわれが得ておる情報によりましても、二、三の法案等がすでに用意せられるように示されておることも私は承知いたしております。一体どういうようなものをこの臨時国会において処理せられようとしておりますか。これを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/17
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018・岸信介
○国務大臣(岸信介君) まだ何と何と何をかけるというふうに、具体的にはきめておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、一般的に申しますというと、通常国会の見通しがそういうなにでありますから、通常国会に提案しただけでは御審議を了することが困難であるというように考えられるものを、なるべく臨時国会から御審議を願うというふうなことも考えなければならぬと思います。それから従来とも、二十八国会に提案をいたして審議未了になっておりますもののうち、わが内閣の政策として実現をしたいと考えておるようなものもございますし、それからさらに、先ほど申し上げましたように、選挙公約として申し上げたことのうち、予算を伴わずにやれるものがあれば、なるべくこれを早くやる、こういうことを考えておるわけであります。御承知の通り、いろいろ日本のなにを見ますると、夏季においては予期しない災害等もある例もございますし、その他、いろいろ今日から開会までの間相当の時日もございますから、その間にいろいろ起ってくるところの事象に対応するような問題がありとしますならば、そういう問題ももちろん御審議をお願いするようになるだろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/18
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019・栗山良夫
○栗山良夫君 一部の新聞に報ぜられておるところによりますと、自民党の党側から流れた情報として、たとえば最低賃金法案、国民健康保険法案、汚水対策法案、あるいは栄典法案、こういうものを提出する予定だというようなことが報道せられておりますが、大体間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/19
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020・岸信介
○国務大臣(岸信介君) いろいろ党及び政府で、先ほど申し上げましたように、準備をし、研究をしろということを私は命じておりますが、具体的に今おあげになりましたようなものを結論として今度出すというまでの、まだ私は党及び政府関係方面から結論的には聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/20
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021・栗山良夫
○栗山良夫君 私がお伺いいたしておりますのは、いつの国会でも、二百に近い法案かたくさん提出をせられるわけでありまするから、従って、大小さまざまなそういう法案を全部ここでお示しをいただきたいと申しておるのではありません。いつの国会でも、そのたくさんの法案の中で、特に政府が重要法案と考え、またわれわれ野党が重要法案と考えまする法律というものは、おそらく十指程度でありましょう。従って、そういう程度のものを、今あなたは頭の中で構想をお持ちになっていないわけはないと思うのです。あれだけ選挙を一生懸命おやりになり、みずから東奔西走して自民党を勝利に導いたというあの大選挙をおやりになっておるのでありまするから、この選挙をおやりになったときには、国民にそういう重要な法案を頭に描きながらお約束になったことは、これは当然なことだと思うのです。従いまして、もう少し親切に今の点はお答えを願いたいと、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/21
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022・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 先ほど私大へん何でありましたが、抽象的に申し上げたのでありますが、それは、第一は、選挙を通じて国民に公約したことの問題であるとか、あるいはすでに二十八国会等において御審議を願って審議未了になっておる法案のうち重要なものであるとか、さらにいろいろ各省で研究をし、どうしてもこの次の通常国会に提案をしようと考えておるものであって、審議の時日からいって臨時国会から御審議を願った方がいいと思われるようなものとかいうようなものを、至急に各省及び党においても研究して、これの結論を出すようにということを実は私は命じておるわけであります。このことによって、各省においても研究をいたしておるわけであります。今おあげになりました国民健康保険法とか、あるいは最低賃金法というものは、この前の国会に提案をいたしました、岸内閣としては重要なぜひ実現したい何でございます。しかし、すでにある程度の御審議を願って、御審議の過程においていろいろの議論も出ております。ですから、政府としては、さらに出そうとすれば、それらの御議論等も十分一つ参照して、さらに万全を尽して提案をすべきものであると思います。この前出したから一応そのまま出そうとかいうような、無責任に考えるべきでないと思います。そういうようなことから申しまして、この特別国会のあとは、今申しました関係方面で十分一つ勉強さして、結論を得たいというのが私の現在の何でございます。従いまして、今栗山委員のおあげになりましたようなことは、いずれも重要なもののようでございますが、それぞれ、もし提案するとするならば、準備も要りますし、また研究も従来の研究につけ加えてすべきものが私はあるように思います。それらを十分一つ研究を現在の段階においてはしてみたいと、こういうつもりで、実は具体的にどうだということをまだ申し上げる段階ではないと、こう御返事を申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/22
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023・栗山良夫
○栗山良夫君 まあ研究をするとおっしゃるわけでありますから、これ以上は申し上げませんが、もう一度重ねてお伺いをいたしておきます。自民党の選挙公約の中で、昭和三十四年度の通常国会に提出をせられるものと、それから臨時国会に提出をせられるものと、二色があるということが明らかになりました。そこで、臨時国会に提出をせられるものは、予算措置は全然考えられないようなものばかりでありますか、あるいは予算措置を必要とするものも含まれておりますか、この点を伺っておきたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/23
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024・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ただいま委員の変更がありました。江田三郎君が辞任され、その補欠として戸叶武君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/24
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025・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 先ほどもお答え申し上げましたように、公約の大きなもので相当な予算措置を伴うものにつきましては、私は三十四年度の予算編成の際にこれを考えていくことが適当であると思います。しかし、そういう予算を伴わないものであるとか、あるいは本年の余裕財源等で補正予算等の措置によってでき得るようなものもあるかもしれません。全然予算を伴うものは一切やらぬという何を考えておるわけではございません。そういうことは、これから十分に一つ検討してみたいと、 こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/25
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026・栗山良夫
○栗山良夫君 そういたしますると、臨時国会には何がしかの昭和三十三年度の予算の補正をお考えになっておると、こういう工合に了承してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/26
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027・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 今、補正予算を必ずやるということをお約束するというようなつもりで申し上げておるわけではございません。十分そういうものがあるかもしれないということを申し上げておるので、全然臨時国会には予算を伴うものは一切出しませんとか、補正を一切しませんとかいうことを申し上げるのではなくして、そういうもので適当なものがあるかもしれない。これは今後の研究に待って結論を出したいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/27
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028・栗山良夫
○栗山良夫君 ただいまの質問、私はちょっと言葉が足りなかったのでありまするが、内閣総理大臣としての立場でなくて、自民党の総裁という立場でお答えを願いたいと思うのであります。なぜならば、すでに政府側の御所信は、直接の御担当であられる佐藤大蔵大臣からよく承わりました。この問題については、よく承わったわけであります。三木国務大臣からも承わりました。ところが、われわれが非常に奇異に感じておりますことは、あなたが率いておられる自民党の川島幹事長は、七月の一日に院内で記者会見をせられまして、臨時国会には補正予算を提出するということを明らかにせられております。そうして、そのことは正式に決定をしたと、まあこれは新聞が書いておるわけでありますから、よくわかりませんが、とにかくそう書かれております。それから福田政調会長は、七月の六日に前橋へ行かれまして、九月の臨時国会には、最低賃金法案、国民健康保険法案、汚水対策、景気対策の法案などを提出する、こういうふうに言われておるのであります。少くとも自民党のそれぞれの部署にあられる党の責任幹部が、こういうことを新聞に発表せられておるわけであります。従って、これは根も葉もないことではないと思うのであります。従って、自民党の総裁といたしましては、今のように、補正予算を組むと、景気対策を臨時国会に出すのだと、こう言われておるのでありまするから、これについては、やはり今の御答弁では私は少し足りないのではないか。もし、過日佐藤大蔵大臣が言われたように、さような発表は自分はあずかり知らぬことである、川島幹事長にちょっとよく聞いてくる、こういうことでございまして、われわれは了承したのでありますが、自民党の総裁は、そういうわけには参りません。従って、岸総裁は、もし知らぬということであれば、これくらい重要な問題、国民が関心を持っておる問題について、これは党内不一致であります。従って、今のお言葉ではちょっと足りないと思いますから、重ねてお尋ねいたすわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/28
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029・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 実は、まだ党といたしましても結論は出しておらない状況でございます。政調会長や、党内に、いろんな研究の途上におきまして議論があることは、これは栗山君御想像できるように、あると思います。ただ、政調会長とか幹事長の記者会見や、新聞の記事等で、そういうことが非常に権威ある、権威、つけられておるとか、結論が出ておるように印象づけられていることは、私としては遺憾だと思います。私は、決して補正予算を一切出さないとか、あるいは必ず出すと申しましても、これは、補正予算を出すということを私ども責任を持って言う場合においては、何の事項にどれだけの金を出すという大体の見当をつけずに、ただ補正予算を出すとか出さないとか言うことは、意味をなさないことでございますから、十分に検討をし、そして結論を出すというのが現在の段階でございます。間違いなくそういうなにでありまして、その途上におきまして、いろいろ党内において議論のあることは、これは私も承知いたしておりますが、党としては、これは結論を出しておるわけではございませんで、今は、先ほど申し上げましたように、研究のなにでありまして、そうして党としては、結論を出しました場合におきましては、これは予算の問題に関連するということになりますと、十分政府とも打ち合せた上で最後の結論を出したい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/29
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030・栗山良夫
○栗山良夫君 私ども社会党では、少くとも委員長なり書記長なりが政策等を発表いたしまする場合は、これは、党は責任を持ちます。そういう慣習になっておるわけであります。党の機関の決定を得て発表いたしておるわけであります。今のお話を聞きますというと、自民党の方のお家の風習といたしましては、福田政調会長が新聞記者会見を通じて発表になり、川島幹事長が発表になるということは、福田政調会長個人、川島幹事長個人、そういう資格で重要な政策を取り扱われることもあり得る、こういうことなのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/30
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031・岸信介
○国務大臣(岸信介君) これは、どの政党におきましても、正式に党議を決定するには、それぞれの機関がございまして、幹事長、政調会長といえども、一個人でもって党の方針をきめるようにはなっておりません。ただ私は、決して新聞記事云々で責任をのがれようとは思いませんけれども、ただ、幹事長なりあるいは政調会長がこうしたいと思うとか、自分としてはこうしたいと思っておるというようなことを言うことは、言いがちだと思うのであります。その場合に、それが政調会長であり幹事長であるというと、自民党はこういう方針だというふうに伝えられることも、これも今お話のように、単純な党員の一人ということじゃなしに、そういう地位にありますから、そういうなにがあると思います。しかし、私としては、そういう党の最後の決定は、それぞれの機関に諮って、そして党の政策なり党の方針というものを決定することになっておりますから、決して個人がどうだとかいうことでなしに、党としての方針はそういうふうに考えていかなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/31
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032・栗山良夫
○栗山良夫君 よくわかりましたが、もう一度重ねて伺っておきますが、それならば、福田さんも川島さんも、とにかく先ほども申し上げましたように、ただいまの自民党の機関の責任ある有力な地位についておられるわけであります。その方が、今あなたがおっしゃいますように、個人の希望的な意見を付して発表をすることであったのではないか、こういうことでありますが、かりに、そういう意見を、福田さんなり川島さんがお持ちになっておる、こういうことであれば、将来、先ほどあなたがお約束をせられたように、党内で大いに研究をして、臨時国会に備えるのだ、こうおっしゃいましたが、その研究の過程において両氏の意見というものがだんだんと成長をいたしまして、自民党の意見として決定をし得る公算というものは非常に強いわけであります。そういう工合にわれわれは常識として理解をいたします。しかも、そうして成長してきたものにつきましては、岸自由党総裁としては、おそらく同調をせられるでしょう。もし同調せられぬということになれば、今はっきり岸総理の御所信というものか伺えると思うのですが、こちらはいかが相なったものでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/32
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033・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 先ほど来お答え申し上げましておるように、現在は研究の途上で、私は研究を党及びなにに命じておりますから、その途上でございまして、私自身として今必ず補正予算を出すとか出さないとか、何と何は必ず出すとかさないとかいう結論を今日申し上げるまでに研究が行っておらない。これは党及びなにに真剣に研究さしておるという段階であると御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/33
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034・栗山良夫
○栗山良夫君 次に移りますが、この臨時国会に臨まれる問題と同時に、ただいまわれわれがここで審議をいたしておりまする経済基盤強化のための法案にも直接関係のあることでございますが、あなたは、過日の衆議院総選挙前と選挙後とにおきましては、政治を運営していかれる上において、根本的な態度の違いと申しますか、物の考え方の違いと申しますか、そういうものが政治的にはなければならぬと思うのであります。先ほどもあなたは、選挙を終っておるのであるから、新たな構想で行くんである、三十三年度に提出した法案を継続審議にしたところで、それをそのまま受けて臨時国会に出すようなことではなくて、大いに研究するのだ、こういうことをおっしゃった。私はその通りだと思うのでございます。従って、新しい選挙の公約もあり、その公約によって岸内閣というものがこのたびできたのでありますから、そういう観点から、通常国会と今度の国会との間には明確なる一線をやっぱり心の中でお引きになって、そうして政局の処理に当っておられる、こうわれわれは理解しておるわけでありますが、さようなお考えはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/34
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035・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 栗山委員の御質問でありますが、ちょっと私十分に御質問の御趣旨を理解し得ないように思うのでありますか、もし私の答弁がそういう意味において御趣旨に合っていなかったら、さらに御質問を願いたいと思います。
私自身、首班として政局を担当し、全責任を持って自由民主党の総裁として政治に当るという心がまえなり、決意なり、自分の考え方というものについては、根本的には変更ございません。ただ、具体的の政策につきましては、いろいろ政策は変転する国際の情勢や、国内の情勢に対応して処理しなければならない。また、新政策を立てていかなければならぬものがたくさんございますから、そういうことは私としては十分考えております。また、特に今申し上げますように、選挙において国民に公約をいたしましたわが党の公約の実現ということは、これは選挙後においては特にわれわれが重視しなければならぬことであって、これをできるだけ早く具体化し、実現しなければいかぬというために努力をし、また実現しようと試みているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/35
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036・栗山良夫
○栗山良夫君 大体それでよろしゅうございます。(笑声)
そこで問題になるのは、昨年、神武景気のあとに国際収支のバランスがくずれまして、当時の岸総理はだいぶろうばいをせられたかどうか知りませんが、その対策に苦慮せられたようでありました。そうして、その結果が今春開かれた通常国会に予算案となり、あるいは法案となって提出をせられたわけであります。いわゆる縮小均衡であり、引き締め政策である。こういうようにおやりになって参ったわけでありますが、今日においては、昨年昭和三十三年度の予算案を構想をせられ、その編成をせられた当時と経済情勢が相当に激しく変っておると私どもは認識をいたしておりますが、総理大臣はさようにお考えになっておるかどうか。この点伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/36
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037・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 経済界の情勢は、言うまでもなくいろいろと変化をいたして参っておることは事実でございます。ただその変化が非常に、今お言葉にもありましたように、非常に大きな変化があったと見るか、そうでないように見るかです。これは見方はいろいろあろうと思います。私自身としては、大体昨年の総合緊急対策をとって昭和三十三年度の予算を組みましたときにおきましては、この緊急対策に伴うところのいろいろと経済全般にわたる整理、調整、それは将来に向っての堅実な発展、成長の基礎としてそういうものを作る必要があると、従っていたずらに景気を刺激するような方策は厳に戒めてとらないという、そうして経済界の整理が一段落するならば、それを基盤に安定した成長率のもとに日本の経済を拡大していごうと、こういう考えで編成をし、また今日まで至っておるわけであります。そうしてそういう意味において昨年来の経済界の変化を見まするというと、多少私どもが予想したよりもいろいろなことがずれて、おくれた傾向はございますけれども、大体私どもが予想しておった経路をとっての変化がずっと行われてきておると一こういうふうに見ておりまして、非常な大きな大変動がその間にあったというふうには実は見ておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/37
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038・栗山良夫
○栗山良夫君 いや私が申し上げるのは、昨年度はとにかく国際収支のバランスがくずれてしまった、このままでは日本経済は危機に入る、こういう意味での意識的な財政経済政策というものをおとりになったと思うのであります。ところが今日の段階においては、国際収支のバランスはもう回復いたしました、そうして、どなたに聞いてもこの黒字基調というものは大体安定をしたと、こういう工合におっしゃっておるのでありまして、その意味では通常国会のときの御所論、それからその効果はあったでありましょう。あって今日のような状態になったのでありますが、その効果を上げて、今日の状態になったときの経済情勢とは相当な開きがある、こういう工合に私は見ておる。あなた方はこう発展しておる段階をもって、そう大した変化がないとおっしゃいますが、去年の秋と今日とを比べて見ましたならば、相当な変化がある。こういう工合に私どもは見るのでありますが、これはわれわれの見方が間違っているのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/38
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039・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 国際収支面に現われた事実は、今栗山委員のお話のように、昨年のわれわれが総合緊急対策をとりましたちょうど九月の終り——秋の初めごろの状況と、今日の状況と、国際収支が非常に改善されたという事実は確かにございます。ただその国際的なそういう収支が悪化した原因がどこにあったかということを掘り下げて見、また回復しておるところの事実がどういうことに基いているかということを検討してみますると、私は今後の日本の健全な基盤の上に日本経済の正常なる成長、発展を考える上から申しますというと、私どもが最初ああいう政策をとるに至ったことが、ただ表面的に国際収支が赤字になったから、それが黒字にさえなればそれでいいんだというふうに簡単に実は考えてああいう政策をとったわけではございません。そういうところまで掘り下げて考えてみまするというと、私どものこの経済界の見方というものは、昨年よりもいろいろなことが改善されて、非常に状況が変っておると、こういうふうに即断することは適当ではなかろう、こういうふうに思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/39
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040・栗山良夫
○栗山良夫君 しかし、そうおっしゃいますけれども、去年二回にわたって行われました公定歩合の引き上げはすでに修正をせられて、過日二厘の引き下げが行われました。それから、景気に対する刺激政策はとらぬとおっしゃいますが、しかしながら、現実にあなたは昭和三十四年度の予算編成におきましては、七百億の減税を行なって、そうして国民負担の軽減をはかるとおっしゃいました。しかしこれは、私がここでしろうと談義をいたすまでもなく、国民のふところにそれだけ戻るわけでありますから、それだけが有効需要となって活動をする部面が相当あるということは認めなければなりません。そういう意味において一種の刺激政策であるということは、三木国務大臣もこの間はっきりと認められたのであります。公定歩合の引き下げと七百億の減税というものは、これは景気の刺激政策になりますと、こういうふうにはっきりおっしゃったのであります。そういう意味におきましては、絶対に刺激政策をとらぬという命題のもとにおやりになった三十三年度の通常国会の態度と、それから通常国会の終ってからおとりになっておりまする今の政策とが、これほど違っておるということを見ましても、経済のやはり動きというものは相当に変ってきておる、こういう工合に考えてよろしいわけではございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/40
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041・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 先ほど申し上げましたように、私どもはこの昨年の緊急対策をとりますときに、ただいたずらに緊縮であるとか、あるいはこの国際収支の黒字を形式的に回復すればそれでいいというようなことを考えたわけでもありませんし、常に経済そのものが堅実なる基礎の上に日本の経済というものを成長させていかなければならない、拡大していかなければならないということは、これは私だれが考えましても結論的に間違いないと思います。ただその拡大や成長というものが果して正常な、健全な基礎の上に、正常なる何として見るか、あるいは一時の投資ブームというようなものに刺激されて、本来ある望ましい姿よりも過度の成長というものを一時的にやるか、これがまあ景気に対するいろいろな見方なり施策の問題だろうと思うのであります。で、昨年のああいう事態が過度の投資ブームを中心としての……そうなりますというと、経済界各般の思惑というようなものも非常に活発に行われるようになりまして、ああいう事態が起きたことに対して、経済界を鎮静させて、そうして健全なる歩みでもって成長させていこうということを考えておるわけでありますから、決して緊縮といえども何といいますか、縮小均衡を望んで、縮小均衡の方向に経済を持っていくということは考えるべきことじゃないということは、言うを待たぬと思うのであります。一時的にそういう現象が現われるかもしれませんけれども、それはまた決して不当な拡大がノーマルなものでないと同じように、一時的といえども縮小均衡のような姿になるということも、私は日本経済からいって望ましい正常な姿ではないと思います。こういうことから、経済のこの政策をとる場合におきましては、基調として緊縮をいたしましても、そんなら一切何ものでも、多少でも景気なり需要がふえるような政策は一切とらずにやるかといったら、私はそういう考えのものではないと思います。ただ、一昨年から昨年の初めにかけてのような経済界の気分や、また過去においてわれわれが経験したところの一つの景気刺激の気分というものを、財界や政府がとるべきでないということは、これは去年の私どもの心持であり、それに基いてやってきたのが今日までの政策でありまして、幸いに大部分が予定通り回復してきたとかいうような、あるいは金融事情もよほど正常化してきたというふうになれば、あるいは公定歩合の引き下げということも考えなければならないでしょう。それからあるいは企業の整備やあるいは生産制限というようなものがある程度行われて、そうして健全な基礎になったとみれは、それを拡大するようなことも考えていかなければなりますまい。あるいは在席が非常にふえるということになれば、一時のように非常に多くなって、それが市場を圧迫するという場合においては、在庫を減らしてこれを整理していかなければならないけれども、それかある程度に達すれば、正常の状況として、それからは堅実な基礎におけるところの成長を考えていかなければならないというふうに、非常に経済の問題は、私が申し上げるまでもなく考えていかなければならないと思うのです。ただ、人々によっていろいろ違いますのは、現在の段階を、それならもうそういう緊縮政策の効果は完全に上ったので、一つ政策を転換しろというような意見もいろいろの人の間には一部にあるように思います。しかし、私の考えでは、今の現状はちょうど私どもが昨年来考えてき、そうして経済界また国民全体の協力を得てとってきたところの政策が、大体において方向としてはその線に乗ってきておるけれども、一部はわれわれが予想したよりも時期的にずれて、おくれておるものもあるという現状であろうと思うのです。そういう際に、経済政策の基本を転換するというような考え方は、私はまだ早きに失するものであって、むしろいろいろなそれに伴うところの悪影響が予想されますが、根本的にいって、決してわれわれが縮小均衡をねらい、縮小均衡をもってこれよしとするというようなことを考えておるわけでないということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/41
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042・栗山良夫
○栗山良夫君 そこで私は、さらにこの法案の審議のために必要な問題については、御所管であられる大蔵大臣、高碕通産大臣、あるいは藤山外務大臣に後刻おいでを願うことになっておりますから、お尋ねをするといたしまして、今の問題について二点重ねて伺っておきます。
それは、昭和三十四年の通常国会に七百億の減税を行うということは、これは今あなたがおっしゃったように、経済の縮小は別に考えておるわけではない、こういうことをおっしゃいましたが、その裏返しで七百億の減税をやって、これで国民所得の増加をはかり、経済の拡大をやろうというお考えと私は考えますから、そういう大きな構想をもっておいでになるときでありまするので、従って、われわれとしては、この経済基盤の強化のための資金等は、この秋開かれる臨時国会において当然取りくずしをして、ただいま不況に悩んでおる経済界の振興のために使うべきではないか、こういうことを力説して参っておるのでありまするが、まだ明確にそういうことを伺っていないのであります。御答弁をいただいておりませんが、総理大臣としては、この資金は絶対に、臨時国会中においては取りくずしをするようなことは絶対にない、こういう工合にはっきり御答弁をいただくことができますか。あるいはまた、臨時国会中に事情によっては取りくずすことがあり得る、こういう工合に御答弁になりますか、いずれでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/42
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043・岸信介
○国務大臣(岸信介君) この経済基盤強化の資金につきまして、特にたな上げいたしている二百数十億のものというものは、その趣旨の説明に申し上げておりますように、将来経済界の事情か変って、経済的措置を講ずることが必要であると見たときにおいては、補正予算を組んで、そうして使うのだ、それから基金の力の問題は、それぞれのひもつきにおいて使用するのだということを、分けて申し上げておるようであります。その通りの趣旨のものでございます。それが必ず塩町国会には来るとか、あるいは臨時国会はどんなことがあってもそれはやらないとかというようなことは言うべきじゃなしに、本来の趣旨で作られておるその何で検討をし、将来の推移を見て判断をすべき問題であろう、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/43
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044・栗山良夫
○栗山良夫君 私は、一年も二年も先のことをお伺いするなら大へん無理だと思いますが、もうあと二カ月先に迫っておる臨時国会において、二百十五億ばかりの強化資金を取りくずすか取りくずさないか、これくらいのことは、いかにあなたが御答弁にそつがないとは言え、そういう意味のそつのなさでなくて、イエスかノーかでそつのないところを示してもらいたい。絶対に取りくずしをしないのか、するのか、することがあり得るのか、今の場合だったら、両方あります、このくらいそつのない答弁はないわけであります。そつがないということは、逆にそつがあるわけであります。今のお話では。従って、どちらかはっきり一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/44
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045・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 先ほど来しばしば私お答え申し上げておる。実は正直に申しまして、研究の道程でございますから、これにイエスかノーかを、ほかのただ幹事長か何かの何のように無責任に言うわけに実は行きませんので、お許しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/45
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046・栗山良夫
○栗山良夫君 これは幹事長はやっぱり格が一つ下なわけですな。(笑声)言わぬとおっしゃるものを無理に言っていただくわけに参りませんが、そこで第二の問題として、午前中田畑商工委員長が佐藤大蔵大臣に質問をいたしましたときに、佐藤大蔵大臣は、私の聞く力がなかったせいかしりませんが、非常に奇妙な答弁をせられたので、これについてもう一度、佐藤大蔵大臣にも、また岸総理大臣にもお尋ねをいたしたいと思います。田畑商工委員長は、七百億の減税をやるとおっしゃるか、最近の不況が相当に蔓延をしてきているので、国民所得の伸びはとまっておる。従って七百億の減税というものは、一千億の自然増収ということが前提になって構想せられている。もし自然増収がなかったときには一体どうするのだ、こういう質問でありました。そういたしますと、佐藤大蔵大臣は、一千億自然増収があるかないかということは、これはまだ計数を整理していないのでよくわからぬ、しかしながら選挙の公約は公約であるからして、精神的には誠心誠意実行をすると、こうおっしゃったのであります。そういたしまするというと、経済の動向とは無関係に選挙の公約というものは実行をするということであります。これでは、あなたがたが長い間唱えておられましたように、経済情勢にマッチしながら日本経済の正常な発展を進めていくという基本方針とは、およそ縁遠いものになるわけであります。従って、もし自然増収一千億が望まれなくなったときには、七百億の減税にあきらめられますか。あるいはこれを半減せられますか。あるいは相当な幅で減少せられますか。もしそういう事態になったときでも、何らかの財源をもって七百億の公約だけは実行せられますか。この点は重要なことでありまするから、御両所に、御兄弟でありますから、件よく御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/46
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047・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 午前中の私の答弁について疑問があるということで、ただいま重ねてのお尋ねでございます。公約小唄を実施いたします場合に、財源として考えますものが、前年度の剰余金もございますし、また来年度の自然増収もございますし、また既定経費が削減可能かどうか、こういう三つのものが大きな財源として考えるものでございます。そこで、前年度の剰余金はすでに、まだ確定ではございませんが、六百億ちょっと上回る数字が大体固まりつつございます。そこで来年度の自然増収がどのくらいになるかということ、この見通しは先ほど来議論になっております、当面しておる経済の状況から見まして、あるいは国民経済の伸びという点で、幾分か数字に変化を来たすかはわかりません。ただいまその点でどういうような見通しかということは、これは申し上げかねるということを申しておるのでございます。ある程度の自然増収のあることは、これはもちろんでございます。私は、財源的に非常な不足を来たすとか、窮屈な思いをしなくても、大体公約事項の線は守れるのではないか、かように考えております。しかし、ただ、ただいまのところ気持の上のものでありまして、数字を正確にただいま申し上げるわけにいかない。いましばらく模様を見さしていただきたい、かように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/47
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048・栗山良夫
○栗山良夫君 それから先ほど、経済の成長のためには努力をしていきたいということを総理はおっしゃいましたが、このことは、やはり私がお聞きしました限りにおいては、どの閣僚も大体一致いたしております。で、問題は、経済の成長をさしていく上について、自民党とし、岸内閣として今まで強く打ち出されておりましたのは、輸出振興政策、これを強く取り上げておいでになります。従って、ただいまのような貿易界の実情、また相手国の実情等を考えまするというと、口でいかに貿易振興を叫びましても、なかなか貿易を伸張させることは困難ではないか、現に三十一億五千万ドルの輸出目標が、ぐっと三億五千万ドルくらい下っておりますことは、あなたも御承知の通りであります。そこでどういう特効薬的な手をお打ちになるかということが、私どもの非常な関心事であります。しかし、遺憾ながらわれわれが今日まで耳にしておりますのは、貿易手形の優遇措置であるとか、あるいは貿易金融の若干の緩和であるとか、そういうような、いわば貿易に関する手続的なことで貿易の振興があたかもできるやのごときことをおっしゃっておるのでありますが、さようなことでよろしいものでありましょうか、まだほかに手がけなければならぬ重要な問題があるのであります。遺憾ながら、この点に関するというと、明確な答弁をいただいていないのでありますが、いかがなものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/48
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049・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 貿易の振興が日本経済に課せられておる最大の課題でございまして、しかもいろいろな事情が、これを容易ならしめるような環境にないということも、今栗山委員お話の通りでございます。私どもこの三十三年度が始まりましてから二、三カ月の推移も見まして、今後の対策につきましては、特に強力に行なっていかなければいかぬという考えのもとに、いろいろの施策を実は立てて参りたいと思います。具体的にどういうことが考えられるかという問題につきましては、国内の問題、国内でやらなければならぬ問題、それから国際的にやらなければならない問題、また特殊の国との間に考えていかなければならない問題、いろいろな問題が私はあると思います。
国内の問題から申しますというと、今おあげになりましたように、輸出金融に関する手形の優遇や、あるいはその他金融の緩和ということも必要でありましょうし、また生産部面に、日本のなには御承知の通り中小企業の輸出が非常に多いわけでありますから、これらのものの過当競争や、あるいは外国商社等によるところの買いたたき、あるいは日本商社もそういうなにがありましょう。そういうことが、過当に競争してかえって市場を害しているような実情も御承知の通り少くないと思います。これらのものに対する対策を講ずることは必要でありますし、また国際的に見ますというと、この国々との間に貿易協定等がまだ十分にできておらない主要国もございます。現に昨年夏結ばれまして、効力を発生しました豪州との関係は、貿易協定ができましてから、豪州との貿易が非常に順調に伸びてきておるような傾向にございます。これらを考えてみましても、やはり経済外交でそれぞれの国々との間に協定——もしくはその協定がうまくないものは修正していくというふうな工合に考えていかなければならぬ。また一般に、日本商品に対する宣伝啓蒙といいますか、いわゆる宣伝活動が、市場拡張のやり方がまだ十分でない点が非常に多いと思います。これらの点をどういうふうに強化していくかという具体的な問題も考えていかなければならぬ、また国々との関係から申しますというと、たとえばアメリカにおけるこの輸出入のアンバランスに対して、日本商品をどういうふうに出していくか、これを拡張していくかということは、アメリカとの間にさらに一そうあれを考える必要があるし、また購買力がないといいますか、支払い能力のない地域、東南アジアその他の地域において、円クレジットやあるいは延べ払いとかいうような方式によって、これらとの間の貿易を伸張していくというような問題も考えなければならぬと思います。
要するに、あらゆる面からの政策を総合して、輸出の振興についてのなにを画期的に私は強化したい、かように考えておるわけで、今御審議を願っておる中にもありますいわゆるジェトロの問題なんかも、大いにジェトロの活動によって、アメリカ市場の状況を改善していきたいという意図を持っている一つの現われでありますが、あらゆる面からそうやっていきたい、こういう考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/49
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050・栗山良夫
○栗山良夫君 私のお尋ねしておるのは、貿易振興について今おっしゃったようなことも有益なことでありまして、やらなければならぬことは当然だと思いますが、私が見る目におきましては、アメリカにおいても、あるいは最近問題になっておる中共貿易にいたしましても、あるいは東南アジアの貿易にいたしましても、まあ全体的な不況という問題ももちろんありますが、このほかに、やはり輸出を非常に困難ならしめておるところの、各国それぞれ違いはありますが、背景というものがあるわけです。その背景というものに手をつけて、強力なる経済外交をもってこれを切り開いていかなければ、とうてい問題にならぬのではないか、そういうことについて、熱意ある御所信というものは、どなたからも承われない、ありきたりの御答弁しか承われない。ここに私は、口に輸出振興を唱えても、なかなかそういうお考えでは、ほんとうの意味の輸出振興というものは実を結ばないのではないか、こういうことを心配しておるのであります。一、二の例をあげますと、アメリカにいたしましても、大体昨年の通関実績でいきますと、対米輸出は五億九千万ドル余、輸入は十六億一千万ドル余であります。従って日本は、輸入超過約一倍くらいになっております。これほどまでに対米貿易につきましては、日本は尽しておるにかかわらず、アメリカの最近の動きはどうかと申しますると、ことしの四月ごろまではアメリカの関税委員会を動かしまして、関税の引き上げ等によって日本商品のボイコットをやるというような動きがずっと続いて参りましたが、最近になりますというと、個々の商品に向って、個別に日本の商品をボイコットするような法案を作り上げて、そして日本の商品を締め出そうと、こういう動きが顕著になっております。たとえばマグロのカン詰なんかにすれば、今まで一二・五%の税金でありましたのを、一挙に三五%に上げるとか、合板でありますと、昨年の実績は、アメリカの全消費量の六〇%まで出ましたものを、法律によって一五%に押える、こういうような非常に極端なことを、今やろうとしておるのであります。従って、こういうようなアメリカの態度が続く限りは、今あなたがおっしゃったようなことは、いかに努力をしていきましたところで、対米輸出貿易というものは、伸張しないのです。従ってこの点は、強力なる日本の外交と経済力を使りて、アメリカの豪を開いて、そして輸出の伸張に努力願うと、そういうことに対する熱意というものは、一向に皆さんからお聞きすることはできません。
それから中共貿易にしてもそうであります。たとえば、中共貿易については、過日の四次協定のごたごたがありました以後、政府は静観態度をとり、そして相互の誤解を解くとおっしゃる。しかし誤解とは一体どういうことか、誤解を生じたことは残念だとおっしゃいますが、中共側から言わせれば、あなた岸総理大臣の反動性がよくない。またあなたが軍国主義を復活するような動きをするから好ましくない。従ってそういうものを、現実にあなたが身をもって、そうでないんだということを実証される以外に道はないのであります。静観方針では、決してこれは誤解は解けないのであります。従っていかなる態度をもって、積極的に誤解を解こうとするのか、これを私は伺いたいと思うのであります。たとえば、けさの新聞を見て驚いたのでありますが、アメリカの韓国に駐留するデッカー米第八軍兼国連軍司令官は、「米軍の韓国駐留は今後十年間にわたるだろう。」、「韓国でもし局部的な戦争が再発し、米軍がこれに引き込まれるような場合には米軍は原子戦を行うかもしれない。」、こう発表したというのであります。もしこういうようなことが事実であるとすれば、行政協定と安全保障条約によって縛られておる日本といたしましては、あなたがいかに国会でどういう答弁をされようとも、日本あるいは沖繩が原子基地になって、そして中共なり北朝鮮の攻撃のバックグラウンドになる。こういうおそれも、中共が持つことは、これは当然かと思うのであります。従ってあなたとされましては、午前中もどなたかの質問にございましたが、とにかく中共を敵視しないんだと、そういうことを明確に、これは具体的な態度をもって積極的に誤解を解くと、こういうことでなければならぬと思います。静観態度は絶対にいけない。南方の華僑が北京へ集まりまして、そして南方における日本の商品のボイコット運動をやろうということを決定したということを新聞は報じておりますが、これは容易ならぬことであります。従って、ほんとうに貿易の振興をやろうとお思いになりまするならば、相手の国々が考えておりまするいろいろな問題について、一段と高い視野から、積極的なやはり処理を推進せられるということが必要ではないかと思います。この点について、非常に岸内閣は欠くるところがあると私は極言しなければならない気持であるのでございます。この点について明確な御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/50
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051・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 私が先ほど、貿易振興について、国々の事情に対応する方策をとらなければいけない、また経済外交を大いに推進したい、またあらゆる機能を総合的にやりたいということを申し上げましたことは、それぞれの国々の事情からみまして、その必要を痛感するのであります。アメリカに対して、アメリカの私はアンバランスを是正する、特に最近起っておりますいろいろな日本商品に対する制限や、あるいは関税の引き上げというような問題に関しましても、それぞれの事情を十分に調査して、これに対する対策も政府としてはとってきております。一、二例を申し上げますというと、すでに一昨年来ありました日本の繊維製品に対する制限措置等、もしくはこれが輸入禁止をするとかいうような動きに対しまして、十分に向うの業者とも話し合いをして、そうしてこれが日本側においての自制措置によって、その後この繊維の輸出が順調にいっている事情であるとか、あるいはこの春、日本から出るところのこれは食卓の食器金物に対する税金をかけるというような問題に関しましても、いろいろ向うと話し合って、この措置をやめるかわりに、日本側としても、輸出を一つの秩序化していくというふうな措置をとることによって、これか市場を確保していく。
また、一体日本のそういうふうな問題が起ってくる場合において、アメリカ側の事情を見まするというと、アメリカ側の日本商品の輸入によって非常な急激な影響をこうむるところの数社、もしくははなはだしいに至っては一社等が、国会に運動して、ああいうなにをやっているような実情もあるのでありまして、これらの事情に対しては、十分に議会側にも事情を了解のいくように説明もし、もしくはそれらの意見、協力を求めるような方法をとらなければならない。また同時にアメリカとの関係においては、非常にたくさんの輸入をしているのですから、たとえば一つは強力な石油関係の輸入業者であるとかいうような人々は、むしろそういうことをして、日米の間をそこなうことは、先生たちの実際上のこれは経営の上からいい、また経済的事情からいっても望ましくないというような関係で、そういう人々のアメリカにおける協力も得るというような点における従来の日本の活動というものは、十分でなかった点があると思うのであります。
なお根本的にいえば、言うまでもなく、日米の根本的な友好関係や、理解の上に立っているところの協力関係というものが、そういうことによって、非常に国民的な感情の上からいって妨げられるという大きな政治的な理由等についても、これは実は御承知の通り、ワシントン政府は、その点については、従来そういう問題に関しては、相当日本に対して好意ある、理解のある態度をとっております。ただ州の関係であるとか、いろいろ国会関係等におけるところの、日本の理解を求める、協力を求める努力が十分でなかったように思うのです。そういうふうな点において十分に努力をして、そうして日本品のアメリカにおける市場におけるところの不当なる圧迫を受けないようにして、そうして日本の輸出を伸ばしていくということに関して、お説の通りさらに一そうの協力なり、活動を必要とすると思うのであります。
それから中共との問題に関しましては、実はいろいろ御議論がございます。私が今日の状況においては静観するということを申し、誤解だということを申しているのは、私自身が中共に対して、かつて敵意を持ったこともなければ、これに対して非友好的な考えを持ったこともないのであります。日本の政府の一貫した考え方というものを十分に理解してもらって、そうして両国の発展のために、貿易の関係であるとか、文化の関係であるとか、その他の関係において、私は友好関係が保っていかれるということを、ほんとうに心から願っているわけであります。しかし、われわれのいろいろ接しますところの情報その他によりますというと、中共側の状況というものも、いろいろ変化もあるようであります。しかし現在の状況においては、私は決して静観して、自然に解決するのを待つなんという消極的な意味ではございませんけれども、今日の状況において、私に対する誤解、岸内閣に対する誤解というものを積極的に解く方法は、それじゃどういう方法があるのだと申しますと、私自身が決してそれを、今非難されているような敵意を持つとか、非友好的な考えを毛頭持つものではないという考え方で一貫してきているわけでありますから、今日のところでは、私は静観をしているということが、問題を解決するのに、理解を深める上から言うと、いい方法である。むしろなまじっかいろいろなことをすることは、かえって私は今日の段階においては、両国の私どもが期待しておるような友好関係を回復する面からも望ましくないというのが私の考えでございまして、決して消極的、ただ何もしないのだ、それが静観だという意味ではないことを御了承願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/51
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052・栗山良夫
○栗山良夫君 私は対米貿易の振興については、一つ希望を申し上げておきます。
それは、昨年九月下旬であったと思いますが、ニューヨークヘ藤山外相が行かれましたときに、日米協会、ロックフェラー氏の主催で歓迎会がありまして、私もその席上へたまたま列したのでありますが、そのときに藤山外相は、われわれが聞いておる限りにおいては、非常にりっぱな演説をされました。簡単に一言で申しまするというと、要するにアメリカは輸入をしてもアメリカの経済力に対してこたえないような品物で、しかも日本の中小商工業者には死命を制するような重要な輸出物、これについて現在のようなアメリカの日本商品排撃のような運動が続く限りは、日米関係の将来に暗い影を深めていくことになる。従って、アメリカの識者の皆さん方はよくこの点を理解して善処せられたい、こういう意味の演説でありました。そういう非常にまじめな演説でありましたが、演説を終ったときの拍手はぱらぱらとしか出ませんでした。これがそのときの空気を私は示しておると思います。ニューヨークにおける銀行団その他有力者がたくさん来ておられましたが、そういうことでありまして、しかし、そこであえてそういう正直な演説をしたというので評判はよかったようであります。ナショナル・バンクの支配人の前に私はおりましたが、盛んにそう言っておりました。
しかし、やはり岸内閣としては、決意をきめて堂々とやっぱりアメリカに当るということでなければならぬと思います。この点はあまり如才ない方法はよくないと思うのであります。よろしく強い態度で臨んでもらいたいということであります。われわれはアメリカにはそう借りばかりではありません。相当な貸しがあるはずであります。従ってよくその点を理解されて、強い態度で臨んでもらいたい。
それから中共の問題につきましては、静観することが何より誤解を解く方法であるとおっしゃいましたが、私はそうではなくて、岸総理大臣御自身が、御自身が行かれなければ、岸総理大臣の特使を北京に派遣して、そうしてみずから積極的に誤解を解くくらいの私は熱意がなければならぬと思いますが、そういうことについては、やはり全然考えはございませんか。
私は、アメリカに最近藤山外相が行かれるということでありますが、アメリカとの親善を深める意味においては、そういう積極的な熱意をお示しになっておりますが、それも私は自民党の立場、岸内閣の立場からいえば、無意味であるとは申しません。しかし、一方今非常に国民が期待しておる第四次日中貿易協定も御破算になり、鉄鋼協定も御破算になる。そうして、私が申し上げますと御信用なさらないかもしれませんが、事中共貿易に関する限りは、自民党なり、あるいは岸内閣のやり方について、日本国民の間においても相当の批判が出ております。従ってそういうことを率直に御理解になって、岸内閣の御自身、あるいは代表者を派遣して、そうして向うの責任者と会談の上、積極的に誤解を解く、こういうようなことをされることが、この際は一番いいのではないか。国民感情から申しましても、アメリカとの貿易はだんだん減ってくる。台湾と天びんにかけて中共の貿易がなくなってくるということでは、これはなかなか済まない問題があります。その点をよくお含みの上、御答弁を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/52
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053・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 御意見は御意見として承わりますが、私自身は先ほどお答え申し上げましたように、現在今御提案になったようなことを行う考えは持っておりませんし、またそれは適当でないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/53
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054・平林剛
○平林剛君 私は総州大臣がこの委員会においでになった趣旨に基いて、二、三お尋ねをいたしたいと思うのであります。
一つは、先ほど、栗山委員の質問に対して、九月の中旬ごろ臨時国会を召集したい、会期の点についても、あるいはその議会に提案をなさる大体の構想についてもお話がございました。そこで、先ほど来無責任な幹事長がいたり、どうも総理の、あるいは総裁としての統制以外の発言を自由になさっているので、私は総理大臣に対して疑問を持つのではありませんけれども、きょうあなたがそういう希望を持っておるというお話は、これは総裁としての所信であるか、それとも総理大臣として、閣議において各閣僚にもその構想をお話しになり、関係各閣僚もその方針を大体了承して、それぞれ臨時国会に提出する法案の準備を進めているのであるか、どちらであるかということをはっきりしておいていただきたいのであります。多分私は、この委員会におきまして、単に総裁個人の御意見、所信というよりは、やはり閣議においても大体あなたの統制のもとに今後の政策、方針が進められるものと信ずるのでありますけれども、念のためにその点を明らかにしておいていただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/54
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055・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 先ほど私が申し上げました、臨時国会を大体こういうような時期に開きたいということを申し上げましたことは、私一個の考えであると同時に、これは内閣にも、閣僚にもそういう意味において準備を命じておりますし、また党も大体そういう考えのもとに、すべての準備を進めておると、先ほど栗山委員にお答え申し上げた通りでありまして、単純に私がここで思いつきを申し上げておるわけではございませんで、党並びに内閣ともにその方針で準備を進めておる、かように御理解をいただいてよいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/55
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056・平林剛
○平林剛君 ただいまの御発言で、これは閣議においても総理の方針が述べられて、関係閣僚もこれを了承の上諸般の準備を進めておる、こう理解をいたしました。
佐藤大蔵大臣、またあとで、今までのあなたの発言と少し違っておりますから、——その問題については別に追及はいたしませんけれども、あなたは今まで大蔵委員会においては、臨時国会を開催する話はあまりまだ聞いたこともなければ、正式にそういう話もないということで、たまたまお二人おいでになるところで、その食い違いがはっきりしたわけです。しかし、これは小さな問題でありますから、それ以上申し上げようと思いません。
それで次にお尋ねをいたしますが、先ほどの栗山委員の質問に、あなたは臨時国会では施政方針のようなものを述べる——これは特別国会におきましても、本来は総選挙があったあとの第二次岸内閣として当然選挙後の情勢に対応して、政府の方針を明らかにすべきであったのであります。しかし、これは遺憾ながら所信の表明程度で済まされましたが、次に行われる臨時国会においては、当然施政方針も行われることは私は当りまえのことだから、その答弁も胸に落ちたわけであります。
ただその際に、あなたが同時にこの臨時国会では、三十四年度の予算の編成方針の構想を明らかにしなければならないと思うと、こうお答えになりましたことは、きわめて重大だと思います。なぜかと言えば、三十三年度の予算を立ててからわずか半年の間、九月の中旬以降ということでありますから、まだ三十三年度の予算が編成されてから半年の間に、次の予算の編成方針の構想を明らかにしなければならないというのは、まあ異例のことであります。かなり早目に来年度の予算編成方針を明らかにするということをお示しになったものと思います。しかし、この理由について、総理大臣はただ来年は参議院の選挙もあるごとだから、早目に十分に審議をするためにこういう仕事をし、準備をするのだ、こういうお話があったのであります。しかし私は一国の総理大臣として、これはなかなか受けとりがたいのであります。参議院の選挙が来年あるから、それで早目にこの予算の編成方針を明らかにする、あるいはその他の法律の準備も早目にしてやるということは、あらかじめ来年の参議院の逆挙の体制を十分とるためだ、こういう誤解にとられがちである。岸総理大臣が自由民主党の総裁として、社会党に対決をするために十分の期間をとるということは、まことに積極的な考えがあって、けっこうでありますけれども、私はそれだけに理解をすることは、総理の発言として適当ではない。そこでこのように早目に三十四年度の予算の編成方針の構想を明らかにしなければならぬということは、それ相当の理由がなければならぬ、これは私ども今日まで当面の経済情勢を分析して参りまして、どうしてもこの次の手を打たなければならぬということを力説してきておったのであります。あたかもそれにこたえるかのごとき方針と準備であると理解をする方が、筋は通るものだと私は理解をするものであります。そこで、先ほどお話がございましたように、ただ台風がくるからその準備もしなければならぬとか、あるいは参議院の選挙があるから、早目にそういう予算の編成方針の構想を明らかにしなければならぬ、それだけの理由でお考えになっているのか。それとも私は今までのいろいろ審議の過程から見ましても、当然ここでは経済政策についての重大な変化、あるいは重大でなくても、当初お考えになっていた経済情勢と若干見通しが狂ったのでありますから、それを手直しするための政策が提案される、こういう理解をする方が筋が通るのじゃないか、こう思うのでありまして、もう一つその点を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/56
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057・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 私がお答え申し上げましたことが、何か参議院の選挙と本質的な関係があるように御理解のようでありますが、そういう意味で私申し上げたのではなかったのであります。予算の方針につきましては、御承知の通り大体従来の例を申しますと、各省から大蔵省への要求を出しますのが八月末までに出すということになっております。すなわち、もう年度が新たになりますというと、私も役人をしておったのでありますが、すぐ翌年の予算のいろいろな事項の研究にかかるというような状況でございまして、八月末に出すわけでございます。そこで昨年は予算編成方針については九月の中ごろだったかと思いますが、昨年は決定してこれを発表いたしております。従って三十四年度の予算編成方針を、臨時国会が先ほど言ったような時期に開かれるとすると、大体そのときにこの国会を通じて明らかにするつもりだということを申し上げましたことは、非常に異例だということでは実はないのでございます。ただ臨時国会をなぜ開くのだという問題に関連いたしましては、先ほど来栗山委員にお答え申し上げましたように、その一つの理由といたしまして、参議院の選挙か来年行われる、選挙対策という意味じゃございませんで、実際上のわれわれの経験から見まして、選挙があります前日まででも御審議を願うというようなことは、実際上不可能である、たしかあれは任期がきますのは五月の初めじゃないかと思います。そうしますというと、いわゆる三月一ぱいで来年度の総予算が成立しなければならぬところでありますが、その辺がもう山で、せいぜい山で、実際上、国会対策上できないのが実情でございます。そういうことをなお押し切って御審議を願うというふうなことを要求すること自体が、実際の人情に反しておるという実情をも考えまして、そうなれば大事な問題であって、その御審議の便宜の上からいっても、臨時国会で御審議を願うことが適当だと思うものは出すということを申し上げたわけであります。
予算編成の方針につきましては、今申し上げましたような立場から考えまして、なお私はちょっと余談になるかもしれませんか、従来予算編成のやり方に見ますというと、各省が出しますのか八月末ですから、純事務的なものが出されまして、それを合計しますというと、膨大な二兆以上にもなる非常識のような数字が実は出るのが従来の例であります。従って、それを査定するということも、ずいぶんこれは大なたを振った査定が行われ、その間における考え方からいうと、ずいぶんむだがあると思う。そうじゃなくて、予算編成方針というものに基いて、相当各省とも責任を持って大蔵省に要求し、大蔵省としてもそういう見地からこれを査定していくというふうなことが行われることが、予算編成の事務的に考えましても適当であり、また政党内閣の本質からいいましても、政党の重要政策等をこれに盛り込むことは、これは当然のことでございますから、そういうことを考えて、予算編成方針だけは、相当臨時国会前後にはもう決定して明らかにするつもりだということを申し上げたわけでございますから、そう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/57
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058・平林剛
○平林剛君 ただいまの二つの説明は、私はそれに対して特段の異存があるわけではないのです。あなたのお話のように、実際上の問題として十分考えられるし、特に後段のお話のごときはそういうやり方が望ましいので、私どもそれに異存を申し上げているのではありません。ただ今日の経済情勢については、今日まで各委員会を通じて論争して参りましたけれども、どっちみち何らかの手を打たなければならぬのじゃないか、社会党の立場からいえば不況対策だが、自由民主党政府の従来の主張からいえば経済の正常化であろうと思う。とにかく今日の不況のままで置いておくわけにいかないから、何か手を打たなければならぬのじゃないか、たまたまそこに臨時国会の召集が社会党の要求のないうちから早目に打ち出された。すなわち今日までの経済論争における社会党側の主張を暗々のうちに認めて、今のような二つの正当な理由もあることだから、ここで早目に予算の編成方針の構想を明らかにして、経済政策上失敗のないようにしたらどうだろう、悪い言葉でいうと、ここらに逃げ道を作っておくと都合がよい、こういうことでやられたのではないかということを、私は指摘をいたしたのであります。そこでそういうことではないというならば、引き続いてお尋ねをいたしますけれども、本年度の予算編成の方針を見ますと、ことしの経済目標は、政府は国際収支においては約一億五千万ドルの受け取り超過の確保を期する、これが一つである。第二には、実質的に三%程度の経済成長の実現をはかる。第三には、このために輸出目標を、三十一億五千万ドルにする、これがことしの経済目標として政府がしばしば御説明になってきたところであります。ところがこの構想は、きょうはこの問題についてこまかくあなたと資料に基いて議論する時間がございませんけれども、大まかにいって、われわれはこの構想はすでにくずれてしまっているという判断を持っているのであります。さればこそ、最近の政府の諸般の準備の中に、今までよりはさらによりをかけて輸出振興政策をやり直しをしなければならぬ、こういう段階が、すでに当初の構想がくずれたことを私は示しておるものだと思う。同時に、今度の臨時国会に、政府が選挙のときに公約をしたいろいろな法律を準備をする、こういうことでありますと、先ほど栗山委員が指摘しましたように、これらの公約の中には、政府の経済的な目標が達成せられない限り、やすやすと提案をすることが困難なものがあります。国民年金制度にしても、あるいは減税にいたしましても、従来政府が予想しておったような経済の伸張力がないというと、約束した通りの政策を実行に移すことは困難である。そうすると、それをやるためにはどうしても現在の経済情勢については、なるべく拡大する方向に持っていかなければならぬ、少くとも当初予算を組んだ程度の拡大の方向に持っていかなければならない。これも現在私どもの分析したところによると、どうも経済の拡大かない限り、自民党の選挙公約の法律茶は出せまい。ところが出すというのだから、その前提として何か経済の政策に転換をするようなものがなければ、どうもあなたの説明が首尾一貫してこないのではないか。あなたの頭では首尾一貫しておるかもしれませんが、私にはどうも首尾一貫していないように思われるわけであります。そこで、もしそうだとするならば、今度の臨時国会はどうしても補正予算を組むか、あるいは何かの財政措置をとるか、そういうものをとらなければいけないように思う。ところがそれをお尋ねすると、どうもそのお考えははっきりしていない。私は自分の想定で、政府をもし担当するならば、今日の経済情勢においては、臨時国会には当然財政措置をとるか、あるいは何らかの措置をとるかということが必要だと考えるのでありますけれども、総理大臣は臨時国会ではまだそのはっきりした見通し、そういうことをとるということを今日の段階では言明なさることができませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/58
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059・岸信介
○国務大臣(岸信介君) この点に関しましては、社会党のお考えによれば、すでにこの特別国会に相当な補正予算を出せという強い御要望がありましたような、経済の情勢に対する御判断の上に立っておられるのでありますが、私どもは実はそれをお断りしてきておるということについては、根本的に経済の立場、経済の情勢というものに対する判断が違っておるわけだと思うのであります。しかし、先ほど栗山委員に申し上げました通り、私は日本経済の将来に堅実な基礎における正常なる安定した成長を常にはかっていかなければならないという見地に立っております。それをやるために、昨年来こうした緊急総合対策というものをとったわけでありますから、この緊急総合対策が永久的な一つの自民党としての考え方でないことは言うを待たないのであります。しかし、それを今私が申し上げましたような健全な基盤の上に安定した成長を、日本経済の成長をはかっていくというためには、私どもはなお今回の特別国会におきましても、御要求があったような補正予算を組むことは適当でないという見地から、これをお断りをしてきておるわけであります。今後臨時国会の場合に補正予算を出すか出さないか、組むか組まないかという問題に関しましては、先ほど栗山委員に私がお答えを申し上げましたようなことでありまして、決して私どもはある考えを持って、それにこだわってどうする、社会会党がこういう主張をされるから、それにこだわってどうするというような点は一切考えませんで、日本経済の、先ほど申しましたような健全な安定した成長ということ、健全な基礎ができておるか、できてないかという見方を十分に検討しまして、これに対処したい、こういう気持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/59
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060・平林剛
○平林剛君 私は、政府が今一貫してとられておる輸出第一主義という見通しがどういう傾向をたどりますか、専門家ではありませんけれども、大体今日までの政府の説明を聞いたり、いろいろの情報を集めたりいたしますと、輸出第一主義も相手国があることですし、国際情勢の変化につきましても、現在の段階ではなかなかそう政府が考えているように行きはしないのじゃないか、しろうとでありましても、その程度の観測は立てておるわけであります。そうすると、予算編成方針にありましたような政府の考え方というのは、ここで打開をすることは困難である。そこで従って国内の需要強化、あるいは現在の不況の長期化に伴う手は当然打たなければならないのではないかという考えを持つものであります。しかしこの点については、これ以上追及はいたしませんけれども、ただ私は総理大臣に一言だけ申し上げておきたいのであります。それは議会中心主義という考え方からいきまして、私が社会党の議員でありましても、これは社会党の立場で主張する場合もありますか、国民の声を代表して、現在の経済情勢から見て、新しい手を打つことが必要だという声でもあるわけであります。ところがこの議会内にいろいろ各方面から、あの手この手で政府にお尋ねいたしましても、頑強に私どもの主張を認めず、多少あいまいなところはあるけれども、多少におわせているようなところはあるけれども、どうも相変らずの説明に終始しておる。ところか議会が終ると、たちまちにして君子豹変をして、新しい経済政策の転換、今日まで議会を通じて社会党が主張していたような手を打つといたしましたならば、私は、打つことを希呈しているわけでありますから、打つといたしましたならば、まことに議会を軽視するような傾向になりはしないか、先ほど大へん総理大臣として、私は御高見を拝聴したわけであります。予算の編成というものはなるべく早目にやって、十二月のぎりぎりになってごたごたするようなことでなく、なるべく早くそういう準備をしてまとめる方がよろしい、それはもう確かにそういうことが望ましいのであります。そういう望ましい、大へんりっぱな御意見を持ちながら、議会の論争を通じてはあいまいな態度で逃げ切って、これがそつのない総理大臣であり、国会もこれで乗り切ったということにして、議会が終ると、次の新しい政策を今度は君子豹変してぶつ、こういうことは私は議会軽視というような風潮にもなりかねないのじゃないか。従って今日まで、私どもいろいろな角度から議論をしたのでありますから、もし国会が終って一週間か十日、あるいは半月の間に新たな転換をするとするなら、やはりこの議会を通じてある程度お示しになるという態度が必要ではないか、こう思うのでありまして、まあ私は将来の見通しはどうなるか、それはわかりませんけれども、あなたがいやしくも、のちに議会を軽視したというそしりを受けないようにするためには、まあこの機会に何か言うことがあったら言っといてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/60
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061・岸信介
○国務大臣(岸信介君) お話の通り、私は決して、先ほど一言申し上げましたように、反対党であるからどうだとか、自分の党で立場上どうだというような考えをすべきものじゃないと、十分町党の意見でありましても、われわれはごもっともだと思うことについては、それを受け入れて実行するように考えていくということが、国のためにまさにそうなきゃならない。それからそういうような考え方をなるべく国会を通じて明らかにしろという、すべきものだというお考えは、私もそう思います。従って国会が済んで、国会ではとにかくある議論に対して、あなた方の立場からごらんになるというと、頑強に反対したにかかわらず、国会が済んだからいわゆる君子豹変したというようなことは、私は国会政治の、民主政治の上からいってとるべきものじゃない、現在私は国会が済んで一週間や十日やあるいは半月というようなごく短い期間に、私どもここで申し上げているような意見を変えるようなことは、私は毛頭そんなことは考えておりません。それは、あるいはそれならば、いかに将来のことであろうとも、そういう目先にすでに変えなければならぬようなことであるならば、お説ごもっともでありますと言って、ここでかぶとを脱ぎ、そうしてお考えを取り入れてやることか政治を私は民主的に運営する方向だと思います。そうですから、今私が申し上げている一般のこの経済の見通しというようなものにつきましては、これは私どもがこの特別国会を通じて現在こういう考えを持っておるということを率直に申し上げているわけでありまして、その経済の見方につきましては、私が申し上げるまでもなく、財界人その他一般国民のうちにもいろいろ見方があることは御承知の通りであります。一方何かこの場合に景気対世をとって、そうして補正予算でも組まなきゃいかぬという声も、私は国民のうちに一部あることは承知いたしております。しかし、同時に今そういうことをやるべきじゃない、現在の状況はそういうことをやったら、また過去の何を繰り返す、去年のなにを繰り返すばかりだという議論もございます。われわれはその間に立って、実際の経済情勢というものを冷静にあらゆる面から検討して、政府としてはこういう道をとるべきだということを申し上げておるわけでございまして、決して、先ほどお話のように、ここで申し上げていることを一週間か十日で豹変するというようなことは、実は考えておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/61
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062・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ちょっと申し上げます。総理は四時半にぜひ御用事があるようでありますので、それまでに質問を終らせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/62
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063・大矢正
○大矢正君 最初の約束が二時間の時間の制限を受けましたので、私はごく簡単に、それじゃ二点だけ総理に質問をいたしたいと存じます。もちろん私は、総理と日本の経済政策について議論をしようという気はいささかもありません。ただ、総理の考え方、そしてこれから行う政策の中心や方向が変った場合には非常に遺憾だと存じますので、この際、念のために承わってみたいとうのでありますが、その第一は、午前中の大蔵商工連合委員会において大蔵大臣からお答えになったのでありますが、十一日には経済閣僚懇談会を開いて、当面する経済政策か、あるいはそうではなくて、将来に対する計画的な経済政策かわかりませんが、論議をするというような話がございました。しかし大蔵大臣はつけ加えて、それは今に始まったことではなくて、いつもそういう会議は持たれているのだというようなことが言われましたけれども、最近の新聞その他を見られて総理も御存じのように、おそらく最も近い機会に経済閣僚懇談会が開かれて、何らか当面する日本の経済政策について検討されるのではないかということが書かれております。私はおそらく、こういう新聞紙上に発表される内容のものは、それは一つには、政府の部内にやはり何らかの意見の対立なり、新しい意見なりがあって、今の日本の経済政策を多少なりとも変更をするというようなにおいがあるのではないかという場合が一つと、それからいま一つは、国民それ自身の気持の中に、何とかして一刻も早く政府は経済政策の基本を改めるなりして、現在の不況を克服してもらえないだろうかという、こういう希望を新聞が率直に受けとめて、今の政府の動きとあわせて、新聞にこういう内容を書き立てているということも考えられるわけでありまするか、そのいずれの場合かは別といたしましても、近くこの経済閣僚懇談会が開かれるというのでありまするからして、一体この経済閣僚懇談会では何が論議されるのかということを、この際念ために承わってみたい。大蔵大臣の言明では、何かしら臨時国会に対する対策のようなことが中心になるような話でありますけれども、そんな将来の話でありますれば、何も今急いでやることはないと思います。それからまた私は、国会の開会の期日をはずして、ことさらに経済閣僚懇談会を持たれるというところに何らか意図があるやにも、これは感じられるのでありまして、こういう点について明確に国民の前に、政府はどういう考え方と気持を持って経済閣僚懇談会を開くのかという、態度の御表明をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/63
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064・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 経済閣僚懇談会は時々実は開かれておるわけでありますが、特に私自身が、この経済閣僚懇談会に向って一つのテーマを与えて、次の懇談会の場合においては、それを具体的に論議してもらいたいということを言っておる。それは輸出振興に関する具体策について、一つ経済閣僚懇談会の意見をとりまとめてもらいたいということを申しております。そのために、関係省におきましては、それぞれ輸出振興対策につきまして研究をしておるようでありまして、私はその結論を一日も早く知りたいと思って催促をしておるのでありますが、準備ができませんために、そういう私、まだ十一日ということは、はっきり聞いておりませんので、いつになりますか、十一日は、それは別に国会のなにを避けたわけではございませんけれども、なかなか国会中は各大臣それぞれの委員会があり、そのために、そういう懇談会を持つ時間がないのかとも思いますけれども、それよりも今申しました、私の聞いておる範囲では、その輸出振興に関する具体策についての関係各省の準備がなかなかひまどるというようなことを聞きましたので、それを急いでやれということを実は二度はかり催促をしておるという状況でございます。それ以外に別に、今御質問のように、特に国会の開会中を避けたとか、あるいは特別に何か経済全般に関する方針を再検討するための懇談会を開くという意味ではございませんで、輸出振興に関する具体策についての懇談会でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/64
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065・大矢正
○大矢正君 現在の政府のいわば経済政策の基調というものは、輸出の増進を通じて需要の増大をはかり、そうして、そのことを通じて過剰生産の現在の生産調整を行い、さらに経済の安定へ持ち込んでいくという、この基本的な考え方は、これは変らないのだという、いわば総理の表明がございましたけれども、現実的には、正常化という名のもとに、公定歩合の二厘引き下げが行われましたけれども、ひるがえって考えてみれば、私はこの公定歩合の二厘引き下げそれ自身も、明らかに国内の需要を刺激をする一つの要因になっておると思いますけれども、この点は、政府とわれわれの見解の相違がありまして、今日までの大蔵大臣との話し合いでは、意見は一致いたしませんが、それはそれといたしましても、こういう公定歩合を通じて、多少なりとも国内の需要を刺激するというようなことに関係をしたような、あるいはそれと類似したような行為や政策というものが、そうすると、経済閣僚懇談会では論議の対象にならない、こういうように解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/65
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066・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 先ほど私が申し上げましたように、現在私が特に急いで経済閣僚懇談会を開いてもらいたいと言っておることは、輸出振興の問題を中心に一つ具体策を早く立てて、これを強力に推進するようにしたい、こういう考えに出ておるわけでありまして、一般経済の全面に関する問題や、国内消費を増大せしめる方策いかんというようなことを論議するために、実は経済閣僚懇談会を早急に開くように私は要求しておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/66
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067・大矢正
○大矢正君 それじゃ、第二点といたしまして、訪米に関係する問題をこの際承わりておきたいと思うのでありますが、総理が十一月に訪米をしたいということが発表されておりますが、これは総理が行われる限りにおきましては、当面する国民の要求、要望を打ち込んで、アメリカと話し合いをする、もちろん、その中には、安保条約や行政協定その他もありまするし、経済問題もあると思いますし、また、外交政策全般に関する問題もあると思うのでありますが、それ以前に、できる限り閣僚を訪米させたいというようなことが、新聞その他で発表になっておりますけれども、午前中の質疑の中で藤山外務大臣は、外交政策の問題その他に答えて、私はおそらく特に安保条約や行政協定に関係をしていたと思いますが、外務大臣は訪米したいというような意思表示をされておりますけれども、聞くところによると、訪米するのは総理や外務大臣ばかりでなくて、それ以外にも閣僚が訪米をする予定と計画があるやに流されておるのでありますか、それ以外にも特に日本の経済のこれからの見通しや対策等に関係をして、閣僚が訪米をするような考えや意図がないかどうか、もしあるといたしますれば、その具体的の内容、それから持ち込んでいこうとする考え方をこの際発表願えないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/67
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068・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 新聞でいろいろな記事が出ておりますが、今内閣として訪米を、大体そういうことをきめまして、アメリカの方の都合等を聞き合わしておるのは藤山外務大臣だけでございます。そのほかにはございません。私の訪米云々のことが新聞に出ておりますことは、出ておったことがありますが、こういうことを私、もしくは政府の方で決定して、そういう意図を持っておるというようなことは発表したことはございませんで、私自身の考えとしては、先ほど来申しておるところの臨時国会に私は全力をあげて、そうして重要なる公約やその他必要なる方策について、臨時国会を中心に内政上の問題を解決することが、私に課せられた一番大きな仕事である。その臨時国会の期間等につきましても、まだ具体的に何日にするというような事柄がはっきりしているわけではございませんで、私の頭では、今のところ私自身にとっては、臨時国会を中心に内政上の問題を解決するということが私の問題でありまして、従来ただ東南アジアを訪問した際に、中南米にも移民の関係、その他従来から招聘もありますので、できれば日にちができたならば、中南米を一ぺんたずねて、そうして邦人の移民を慰問し、それらの国々との友好関係を深めていきたいという希望は持っております。それをいつの時期にするかというようなことは、実は私まだ具体的に考えておるのではございません。アメリカ訪問のことも従って私自身としては具体的に考えておるわけではございません。今のところ藤山外務大臣が国連の総会に参りますので、それと関連してワシントン政府と話し合いをするということは具体的に考えておりますが、それ以外のことは一切まだ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/68
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069・八木幸吉
○八木幸吉君 総理にお伺いいたします。
私の伺いたいのは共産圏の経済攻勢に対する自由陣営の結束といったような意味合いのことであります。
先ほどから日中貿易の問題が非常に論議の中心になっておりますが、中共相手の貿易もさることながら、私は中共を初め共産圏の東南アジアその他に対する経済的の攻勢というものは、わが国の輸出市場、もっと大きく言えば、自由陣営の結束の上において相当大きな意義を持っているのではないかと、かように実は考えておるわけであります。従ってそれに対する対策が必要であると思うのでありますが、今承わっておりますと、総理はまだ訪米のことはきめておらないというふうなお話なんですが、藤山外務大臣は今朝のお話ではアメリカへ行かれる。そこで総理から特にこの機会に、私は総理が直接おいでになるということが非常に望ましいと、こう考えておりますけれども、おいでになりましたときに、たとえば大統領の特別基金や、開発借款基金あるいはまた国際通貨基金とか、世界銀行の貸し出しの残りといったようなものを、アメリカがこれを放出するということを日本から積極的に話し込むのがいいんじゃないか、世界の不況を回復するためにアメリカがただ自分の国のためだけではなしに、世界全体のためにもっと積極的に努力する必要がある。この間マクミランとアイクとが会談しましたのも、単に軍事的の相互共存だけでなしに、経済的の相互共存をやるということが、やがては自由陣営のために必要だという非常に悔い見地で会談が行われていると思うのです。そこで日本とアメリカとの関係におきましても、外務大臣がおいでになる。あるいは進んで総理みずからおいでになって、こういったような高い意味での協力をして、そうして米国の対日輸入制限問題を解決するのみならず、積極的にこの外貨借款を求めて、これを裏づけとして後進諸国にあるいは延べ払い輸出を認めるとか、あるいは円クレジットを設定するとかいったようなことに、重点的に日本を通じてアメリカの資本をこういう高い意味で使うという点を一つ努力をしていただきたいと考えますが、この構想について総理はいかようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/69
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070・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 最近共産諸国、ソ連、中共等のこの経済的施策が相当活発にいわゆる後進国に対して行われているという事実は相当顕著なものがございます。ことに東南アジア諸地域における中共製品が非常にたくさん出ていて、日本製品の販路に非常な支障がある、あるいは東南アジア諸国に対して非常に有利な借款がソ連等から与えられているというような事実がございます。と同時に、ドル資金の偏在というものも、非常にアメリカ及び西独等に偏在をしておって、自由主義全体のなにについては、資金が、外資が非常に足りないという状況であります。従ってこの地域の民生を高めたり、あるいは経済を安定する意味合いから言っても、非常に外国の商品を買いたいけれども、支払い能力がないというようなことのために、この世界的不況が強まっているという状況も現在あると思います。これに対する対策としてアメリカがいろいろな意味で、積極的にこれらの事態を解決するための努力をすべきであり、またさすべきであるということは、私は現在の国際情勢から言うと、正しい見解であろうと思います。それに対して、日本としても、積極的に努力をしていくということは、後進地域の開発、それの民生の向上やあるいは経済基盤の確立による購買力の増加は、日本経済自身も輸出増進等のことを行なっていくのに都合のいいことである。いずれにしても、世界的不況をある程度打開する道になる。これは、ぜひ考えていきたいことであり、アメリカと特にそういう点について十分に一つ話し合うことは私は必要である、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/70
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071・八木幸吉
○八木幸吉君 中共が措款を後進国に与えるということについて、これは政治的の非常な意図があるための政治借款であるというふうな考え方があります。もう一つ中共の輸出は工業を建設をするために外貨が非常に不足しているんだ、であるから何でもかんでも値段を安く売って外貨を獲得するためにやっているのだという二つの見方がありますが、総理はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/71
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072・岸信介
○国務大臣(岸信介君) なかなか共産国における実情につきましては、われわれもできるだけ正確なるこの事態の認識をつかむために努力はいたしておりますけれども、十分な情報や、正確な事情等にわかりかねる点が少くないのであります。今日の状況で中共の商品が非常に多量に東南アジアの方面に出ておる、また相当な有利な条件で延べ払いや、あるいはクレジット等の設定が行われておるというようなことが、今おあげになりましたいずれの理由であるか、またそのほかにあるいは現にそういう安く売れるだけの工業力が中共にはでき上りつつあるのであって、従ってコストを決して割っているものではないというふうな議論もございますが、それらのことについては、まだ私どもこうだという確信を持って判断を下すだけの正確なる資料や実情をつかみ得ないことは非常に残念に思いますけれども、まだそういう論断を下し得ないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/72
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073・八木幸吉
○八木幸吉君 独禁法の改正を指示なされたということが新聞に出ておりますが、輸出カルテル等を輸出振興の見地から必要であるといったような意味があると思いますが、どういうふうなお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/73
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074・岸信介
○国務大臣(岸信介君) これは、実は昨年の暮に中山伊知郎君を委員長とした独禁法の改正についての研究調査をさせまして、その答申が出ております。それを中心に、当局に研究させておりますが、実はこの輸出増進の振興の上から言いますというと、輸出業者あるいは輸出に関連する生産業者等が、過当な競争をしてかえって値段を切りくずし、そのために市場が荒される、輸出が阻害されておるという実情がございますので、一種のカルテルもしくはそういうふうな形のものを輸出については考える必要があるということは、これは私どもも考えており、また財界その他におきましてもそういう意見はあるのであります。しかし同時に、それが内地商品なり——輸出商品と申しましても、やはりあるものは輸出だけに限るわけにもいきませんし、輸出商品の値段ができますというと、やっぱり内地商品の値段はある程度なにしてくるし、輸出商品が下るという内地商品もやっぱり下ると、生糸なんかの例もそうですが、そういうような関連もございますから、そういう一方においては中小企業やあるいは一般大衆の消費部面に及ぼす影響を考えなければならない問題がございまして、今慎重に研究さしておりまして、結論としてはまだ申し上げる段階にございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/74
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075・八木幸吉
○八木幸吉君 お急ぎのようでありますから、自余の問題は外相、蔵相に伺うとして、最後にもう一点だけ伺いたい。それはほかでもございませんが、先般ハンガリーの元首相のナジの処刑の問題が非常に世界の与論を刺激いたしまして、ソ連の実態を見せつけられたように実は考えるのであります。この問題について総理はどのような御感想を持っていらっしゃいますか、この機会に承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/75
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076・岸信介
○国務大臣(岸信介君) ハンガリーのナジ首相の処刑は、自由を愛する国々の人々の間に相当な衝動を与えたものだと思います。詳しいその事情はもちろん私どもにはわからぬところがございますけれども、しかしハンガリーの昨年来行われたところの、ソ連及び共産圏の間に行われました強圧手段というものは、われわれ自由主義の立場を堅持し、民主主義の立場を堅持している人々から言うと、非常に理解に苦しむところが多いのであります。私は今まで新聞等に報ぜられておるような事情からいたしますというと、ナジ首相のああした処刑、しかもその裁判が公開されずして行われたというふうな裁判手続き等を考えてみますというと、やはり今のわれわれが望んでおる自由、文化という面から見ると、はなはだ遺憾なことである、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/76
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077・八木幸吉
○八木幸吉君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/77
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078・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 総理に時間が来ておりますので、簡単に一つお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/78
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079・岩間正男
○岩間正男君 時間がないようですから、簡単に二、三の点をお伺いいたします。
第一に、これは午前中の委員会でも問題になったのですが、けさほどの朝日新聞を見ますというと、中国では東南アジアにおけるその中国の華僑の商社に命じて日本商品のボイコットをやるべきだというようなことが非常に問題になっている。これについて一体首相はどういうふうに考えられるか、まずこの点からお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/79
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080・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 私は中共に対して敵意を持っているものでもなければ、非友好的な考えも持っていない、心からこの貿易の関係を増進し、あるいは文化の交流等を進めていきたいということを念願しているものであります。こういう立場から考えますというと、私は中共が最近とってきておるところの態度というものに関しては、非常に私の考え方からいうと、私は遺憾にたえない。ということは、たとえば、どういう事情があろうとも、貿易のすでに契約がされておったところのものを、履行するばかりになっているものを、いかなる理由があろうとも一方的に破棄する、あるいはとにかく日本の商品のボイコットを中共の勢力下にある華僑に命令をするとかいうことこそ、私は非友好的な措置であり、これは非常に遺憾なことである。私自身この中共に対して——何か中共が私を批判するような一つの意図を持っておるならば、あるいはそれに対抗してこっちも何か考えるというようなこともありますけれども、私自身はそういうことは毛頭考えておらないし、日本がそういうことをだれも考えていないというときに、そういう措置がとられるということは、はなはだ私は遺憾なことであると、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/80
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081・岩間正男
○岩間正男君 そういうことを考えているかいないかというようなことがもう、一つの大きな問題です。しかし、今までどういうことをされたかということが問題だと思います。すでに第四次協定は結ばれたのです。しかし、これは実施しない、条件を満たさないので実施しない、こういうようなことが言われておるわけですが、しかしあれには条件があったわけです。国旗掲揚の問題は一つの大きな——少くともあの中では一つの大きな問題になっておったと思う。このような前提的な条件が果されない、しかも誠心誠意果されないで、あのような、これは愛知談話というような形で、非常に不信の形が出たと思う。これに対して全くあなた自身の考え、こういうものは、主観的には今申し述べられたようなことが言われておりますけれども、しかし実際現われたその姿は、国旗問題というものをほんとうにこれは理解していなかったのじゃないか、こういうふうに考えられるわけですから、ただいまのような野放しのお話では、私はなかなかあなたの誠意も通じないだろうと、こういうふうに考えております。この点の論議は別としまして、私はなぜ東南アジアの問題につきまして特にただしたい点があるかと申しますと、大体このような商品のボイコットという形で出てきているこの問題は、非常に深い問題があると思うのです。しかも最近の中国と東南アジアの結びつきというものは、非常に私はこれは年々緊密になっていっておるのじゃないか。これはあなたも昨年夏向うを旅行されておるから、少くとも現状は詳しく見てこられたと思うのです。この点はどうですか、戦争前の中国の態勢と、それから中国が新しい国を建てて、さらに経済発展のために現在五カ年計画を遂行し、さらにそれを推進しておる、こういう態勢の中で、しかも平和共存の政策をとっておる、あるいは平等互恵の立場から貿易を全面的に展開しておる、こういう中での経済的な結びつきというものは、これは日本人が考えているよりも、もっと深いところのつながりが今日できているのではないか、こういうふうに私は考えられるのでありますが、ことに東南アジアを旅行されたあなたの立場から、どういうふうにこれを観察してこられておるか、この点明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/81
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082・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 南方の華僑と中国との関係は、これは歴史的に見ましても非常に深い関係にあり、また経済的の面から申しましても非常に重要な意義を持っておることは、岩間委員の御指摘の通りであります。御承知のように、この中国側が、いわゆる中共政府と、そうして国民政府と、二つになっておりますので、南方の華僑の中にも、おのおのが支持する政権として意見が分れておるようでございます。その両方の割合がどうなっているか、どういうふうな勢力になっているかというようなことについては、いろいろな見方があるようでありますけれども、しかし私は、この華僑と中国との関係というものは、歴史的に見、経済的に見て、非常に密接な、重要な関係があると、こういう考えを持っております。ただ、今岩間委員の御指摘のように、最近において特別に中国との間に密接な関係ができたというようには、私実は考えておらないのでありますが、従来からあるところの関係というものが、そういうふうに二つに意見が分れておっても、依然として強いものがあると、こういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/82
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083・岩間正男
○岩間正男君 五年ほど前だと思いますが、周恩来総理が東南アジアの各国を訪問して、ここで平和共存の問題、五原則を中心としましていろいろ話し合いをした。その結果、この経済問題も非常にやはり問題になって、その後緊密に結ばれていると思うのです。従って、首相は、この東証アジアを回られて、しかも東南アジア諸国と中国との間には貿易協定ができておるだろうと思う。日本と事情が違っておるのだろうと思う。東南アジアの諸国の中で大部分の国が、ほとんど政府間の協定ができている。こういう点から言いますると、日本と中国との現在の立場よりも、もっと緊密な結びつきができているのじゃないかと、こういうふうに思われるのでありますが、この点はいかがですか、現実はどうですか。それから、何カ国ぐらい現状において政府協定がはっきり結ばれ、しかも貿易の進行状態はどういうふうになっておるか、こういう点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/83
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084・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 東南アジアの国々の中にも、いわゆる中共政府を正当なる中国政府としてこれを承認し、これとの間に国交を正常化して、貿易協定その他あらゆる国際協定を結んでおる国もございますし、逆に国民政府だけを正当政府として、これとの間に特別の何を結んでおる国もございます。こういう何でありまして、中共政府と何カ国結んでおって、どういうふうな貿易になっておるかということは、私ちょっと今ここに数字的な何は持っておりませんけれども、しかし、これは中国の、いわゆる中華民国政府に対して、本土の方の中共政府のいろいろな施設なり建設が進むにつれまして、その経済力が伸びるにつれて、これらの国々との協定なり、その協定の実行がだんだん内容的に増加していっていることは、これは事実だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/84
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085・岩間正男
○岩間正男君 今お話のように、経済の結びつきは年々密接になっているだろうと思う。アジア、アフリカ地域において政府協定を結んでいる国がもう十カ国になんなんとしておる。こういう中で、実質的には取引の額も、たとえば五十二年度に比べると、五十七年度、五カ年後には大体六〇%も東南アジア、アフリカ地域ではふえておる。こういうふうに、数字的にも、大ざっぱではありますけれども、大体つかんでおるわけです。こういう関係を見ますと、最近の中国経済の発展の動向というものは、非常にこれは飛躍的な段階に達しておるのではないか。そういう点で特にお伺いしたいのでありますが、世界の経済並びに、特にアジアでありますが、アジアの経済の中における中国の地位というものは、これは過去の中国とはまるで違ったものになっているのではないか、アジアでは中国を無視して経済問題を論ずることはできないというような段階に来ているのではないか、こういうことを私は感ずるのでありますが、こういう点で吉相はどういうふうに中国を評価されるか。国力とか何とかいうような形でいろいろ言われておりますけれども、経済の面から考えまして、アジアにおける中国の経済の地位は現在どのような形になつているのか、これは、今後のアジアの貿易を論ずる、経済外交を論ずる、東南アジアの経済外交を論ずる、この面では私は非常に基本的な問題になってくると思う。この点の認識が不明瞭である限りは、私は依然として日本の経済外交は混迷を続けるだろう、こういう感じを深くするのです。そういう点から考えて、一体どういうふうにあなたはつかんでおられるか。世界の経済もでありますが、アジア、アフリカ、こういう地域における中国の経済の位置というものは一体どういうふうにお考えになっておるか、この点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/85
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086・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 従来の中共の経済の状況を見まするというと、ソ連及び共産圏に依存している割合が非常に大きかったと思います。だんだん自由圏に対する貿易関係等も年々、多少の変動はありますけれども、伸びてくる傾向であることは、これは見のがしてはならぬと思います。これはまあいろいろな意味におきまして、中国のこの経済的地位をどういうふうに評価するかという御質問でありますが、まあ日本の立場から申しますというと、従来の貿易関係を増進していくという意味におきまして、われわれは、第四次協定も、民間で行われた鉄鋼協定等が円満に履行されることを望んでおったのでありますけれども、ああいうことで中絶していることは、非常に遺憾でございます。しかしまた、現在の実情から申しますというと、中共そのものが持っている外貨の量というものが非常にまだ十分でないというような事情や、また従って一種のバーター的な関係になるのでありますが、われわれが鉄鋼の協定を履行するような場合において、中国側からわれわれが輸入すべき物資等につきましても、まだ建設の途上にありますために、十分われわれが要望するような、またほしいと思うようなものがなくて、日本としては、他からも輸入ができ、また日本内地の状況から申して多くのものを輸入する必要が比較的薄いところの米というようなものに対して、向う側の輸出のかかっている度合いが強いというようなことから見まするというと、今日の状況において、直ちに中国との貿易を非常に大きく期待するということは、私は現実の問題としては無理だと、しかし、中国がだんだん建設が行われ、将来発展していくにつれて、これがだんだん重要性を増してくると、冷静に見て、中国を評価するのに、私はそういう立場で評価いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/86
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087・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 岩間君簡単にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/87
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088・岩間正男
○岩間正男君 中国が現在の経済の規模が何倍かになって、隆々としてから考えるということでは問題にならないと思う。従って今の静観という問題も、非常にこれは民族的な重大な問題だと私は考えている。それはまあ論議になりますから、時間の少いときやめますけれども、私は実は先ほどお伺いしたのは、そういうことじゃなかったのです。つまりアジアにおけるこの中国の経済的地位はどうなっているか、少くともこれは最近新しい国を立ててからどういうような変化が起っているか、この点について具体的にあなたはつかんでおられるのかどうかということについて、私は質問を申し上げたのです。これについてお答えがなかったと思う。まあ大体見ましても、これは最近の様子でありますけれども、もう貿易額から見ましても、日本の貿易をはるかに突破しているのじゃないか、これが実情じゃないか、五七年の対外貿易を五二年度ぐらいに比べますというと、約六〇%ふえております。そうして、その総額は大体推定でありますが、これは四十四億ドルというような格好になっている、しかもこの取引の相手国を見ますというと、これは五二年度が大体五十五カ国でありましたけれども、現在では、五七年度では八十二カ国にこれは伸びておる、ことにもうその中で西欧側はこの貿易額から見ましても六倍に伸びておる、こういうようなわれわれは数字を手にしておるのであります。こういう点から見ますというと、アジアにおける中国の経済的地位というものは今日すでに現在の位置におきましても、これは大へんなもう事態になっているのじゃないか。私はなぜこのことを一体首相にお伺いしているかといいますると、実はこの問題と東南アジアのこの開発、しかも今審議の対象になっておりますこの経済基盤強化資金法案、こういうものとの関係から考えましても、私は政府の方針をここで再検討してもらわなければならぬのじゃないか、といいますのは、大体中国との貿易はだめになった、静観状態で、打ち切りになった、従ってどうしても東南アジア、東南アジアというので、東南アジアがまるでこれはとっておきのような言い方でもって、東南アジアの方に目を向けております。しかしその東南アジアはどうか、中国との一体結び付きはどうなっておるのか、先ほど申しましたように、これはかって戦争前なんかとは比べものにならないほど、東南アジアと中国との経済交流は深まってきておる、年年々々これは切っても切れないほど深まってきておる、しかも政府協定で、はっきり政府が責任をもって貿易協定を結んでおる国、そうして、これはほとんど主要な国が今日中国と結んでおる、そういう態勢の中で、日本政府がとって参りました中国との貿易をあのような国旗問題なんかというようなことで実際はふいにしてしまった、こういうやり方につきましては、中国とより深い関係を持っておるところの東南アジアあるいはアフリカの地域におきましては、当然やはり日本に対する悪感情か今後深まるのじゃないか、私は東南アジア開発などといっても、これは簡単にいかない、非常にやはり日本政府のやり方に対して今後疑惑が深まり、そうしてあなたたちの考えていられる構想はすでにうまくいっていないのであります。現に今度の資金を見ましても、これは一体どういうふうにして、いつ、どこに一体この資金を投入するかという構想さえなしに、実は五十億のこれは資金をたな上げにして置く、たな上げにして、それの投下先を何とか今から見つけるというような格好なんです。こんなことでは私は東南アジア開発が、今行き詰った日本の貿易、ことに三十一万五千ドルの貿易の遂行が全くこれは困難たということが、ほとんどもう確定的になった今日の段階で、これを打開するために、東南アジア、東南アジアというふうに目を向けさせようとしておりますけれども、事実はアジアの経済を大きく支配するような立場をとりつつある中国との関係を抜きにして、東南アジアそのものの開発は、私は非常にこれは困難じゃないか、不可能じゃないか、こういうことを私は感ずるのです。そういう点から、どうしてもやはりこの平和共存の上に立ち、それから平等互恵の立場に立って、貿易を進めてきておる、経済外交を推進してきておるこの中国の立場というものは、現在アジアの諸国に大きく受け入れられておる、それで基本的にここで友好が深まり、その結び付きがますます固くなっていくのじゃないか、そういう点から私は今岸内閣のとられている政策では、東南アジア開発そのものについても、うまくいかないのじゃないか、私はいかないという感じを持つものであります。この点について私は事を分けて話をしているわけですから、この点についてあなたの感じだけでなくて、私の申し上げたいろいろな理由とも関連してお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/88
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089・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 中共の経済建設が進むにつれまして、その経済力、またこれに関連して諸国との関係がより緊密に、より高度化されていくという傾向は、これを私は否定するものじゃもちろんございません。また最近急激に伸びつつあるこの中共の製品の東南アジア市場におけるところの状況を見ますというと、先ほども八木委員の御質問がございましたが、その原因がどこにあるかということは、いろいろな憶測があり、いろいろな想像もできますが、相当自由主義国の自由貿易の立場から見ますと、相当に考え得られないような値段や方法が講ぜられていることも、これは事実でございます。しかしそういうことを抜きにして、いずれにしても、東南アジアというものの経済開発がされ、そうして経済基盤が確立していき、そこの民生が向上するということは、その民族にとって繁栄もしくはその福祉のために必要であるばかりでなく、それができることによって、購買力もでき、日本商品の販路というものも拡大されるわけでありまして、そこで日本としては従来もいろいろバイ・プロジェクトでいろいろな開発計画や経済、産業の振興に関して、あるいはプラント輸出、あるいは賠償協定の履行、あるいはまた最近におきましては、インドに対する円クレジットの設定とか、あるいは具体的な開発事業の協力というような方法によりまして、日本のこの経済力が一面においては伸びていき、一面においてはその国の経済発展に協力していくという状況を進めていくのが私はいいと、こう考えておるわけでありまして、今岩間委員は中国とこれらの国々との関係が深まるにつれて、日本に対する悪感情、もしくは日本の品物やあるいは日本の経済協力に対して、これらの国々がすなおに受け入れないのじゃないかという御懸念を述べられましたが、私の見るところによるというと、少くとも私か訪問した国々において、その首脳部やその他有力な人々と話し合い、その後におけるところの話し合いの進め方を見ますと、そういう岩間委員の御懸念のようなことは私はないと思います。それよりもむしろ日本がもう少し各方面において積極的にこれらの国々の経済開発について協力する、単に技術だけでなしに、できれば日本のものによって、あるいは日本の商品だけでなしに、この資金の面において、われわれが十分協力するというところの場面は、私たくさんあると思う。これをもう少し積極化していくことが、これらの国々との友好を深めていく、のみならず、根本的にはそれらの国々の経済力を強化し、繁栄をもたらす道である、私はいわゆる共存共栄であり、お互いが平和共存あるいは互恵平等の見地で、これらの国々との何を進めるということは十分できると、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/89
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090・前田久吉
○委員長(前田久吉君) これにて岸内閣総理天臣に対する質疑は終りました。総理大臣御退席下さい。
引き続き関係大臣にそれぞれ質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/90
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091・野溝勝
○野溝勝君 私はこまかいことのようでありますが、特に経済基盤強化に関する農林資金の関係におきましてお伺いしたいと思います。事務当局の方は御招致願えましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/91
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092・前田久吉
○委員長(前田久吉君) この際お諮りいたします。農林中央金庫理事長楠見義男君、農林漁業金融公庫総裁山添利作君の両人を参考人として本委員会に出席を求めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/92
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093・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/93
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094・野溝勝
○野溝勝君 政府委員の農地局長、経済局長お見えになっておらないようでございますが、それでは参考人の方からお伺いしてもよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/94
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095・前田久吉
○委員長(前田久吉君) けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/95
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096・野溝勝
○野溝勝君 それでは参考人の御両所にお伺いしたいと思います。
ただいま議題になっておりまするこの資金特別法人に関する件でございますが、今回農林漁業の金庫に六十五億の予算が計上されておるわけでございます。これは主に非補助小団地に対する土地改良の事業助成基金ということに規定されております。しかるに、現在土地改良の振興度合というものが非常に不明確であるとともに、土地改良の事業もはかばかしくいかないということが伝えられております。これについて、今日までの経緯のあらまし、概略を一つ、この際、山添総裁からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/96
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097・山添利作
○参考人(山添利作君) 公庫が融資をしております土地改良事業のあらましでございますか。公庫の融資対象といたしましては、土地改良事業は最も重視しておるものでございます。毎年、最近におきましては百十数億の経費を計上いたしております。公庫が融資をしております土地改良非業を種類別に分けますと、一つは県営事業もしくは補助事業に対して地元負担がございます。これは、御承知のように、およそ五割以上地元で負担するわけであります。これは地元で一時に負掛はできません。従って、その地元負担に属しまする費用に対しまして、公庫はその八判を限度として融資をいたしておるわけであります。もう一つの種類は、補助を受けない団体営の事業でございまして、これに対して、総事業費の八割以内を公庫は融資いたしております。第三点は、これは、災害のございました時分に、災害復旧に関する経費の融通をいたしております。どういう割合になっておるかと申しますと、これは補助を伴います土地改良事業に対する融資の割合の方が多うございます。これがおよそ七十億見当、あるいはそれ以上になると思います。非補助の土地改良事業に対しまする融資は大体四十五億程度、こういうことになっておるのでありまして、件数にいたしますると、これは相当の件数になりますが、そういう概況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/97
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098・野溝勝
○野溝勝君 農林漁業金融金庫法にも示してありますごとく、目的というのがあるのです。この目的には、農林中央金庫その他一般の金融機関が融資すること困難なものに対して融資することを目的とする、こう規定されておるわけです。しかし、大体その業務範囲を見ますると、中央農林金庫の融資範囲と大体似通っておるのでございますが、この点に対して、おもに違っておる点というのが、これは明らかにされておらないのですが、たとえば、具体的に言えば、この規定されておる業務範囲、そのうち特にどういう方面に多く今日まで融資されておるか、それを山添君からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/98
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099・山添利作
○参考人(山添利作君) これは、法律の上におきまして、一般の金融機関が融通を困難とする事業に対して融資するものでございますが、これは、結局、利率及び期間でございますね。たとえば、共同施設一つとりますれば、抽象的に申しますれば、これは系統金融でもよろしいということがございます。しかし、その事業の性質によりまして、長期を要する、また、御承知のように、公庫の金利は安うございまして、平均しまして六分ぐらいでございますが、そういうことになっておるので、おのずからそこに観念的な問題といたしましてはいろいろあるかもしれませんが、現実に分れておるわけでございます。そこでおもなる公庫の特徴はどういうところにあるかと申しますと、一つは公共事業でございます。これは土地改良、それから造林、林道、水産方面につきましては漁港でございます。このような公共事業は、先ほど申しますように、土地改良には非補助等もございます。造林につきましては、非補助の造林、林道等もございまするのであります。いずれも長期かつ低利でなければ仕事が成り立たない、こういう性格のものでございます。第二の公庫の融資いたしまする特徴のものは、これは同じ農民と申しましても、通常の農家よりも以下の経済力のもの、具体的に申しますると、典型的なものといたしましては、自作農創設維持資金のごときもの、あるいはまた、開拓者に対する施設資金でございます。あるいは三十三年度から始まりまする北海道の農家に対する特別の融資、こういうものかございます。第二のカテゴリーといたしましては、いわゆる共同施設と称しているものでありまして、これは農業協同組合等におきまして、種類は限定しておりませんが、いろいろな共同施設をいたしております。そのおもなものを上げてみますると、農業倉庫でありまするとか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/99
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100・野溝勝
○野溝勝君 こまかいことは資料にして提出して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/100
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101・山添利作
○参考人(山添利作君) あるいは農協病院であるとか、そういうふうに長期低利を要するものを主として対象にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/101
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102・野溝勝
○野溝勝君 こまかく聞いておりますると、なかなか時間もありませんし、会期も非常に迫っておるところでございますし、所管それぞれの大臣も出席されておるようでありますから、かいつまんで要点だけ聞いておきます。あとで一つ委員長の了解を得て資料を御提出願いたい。ただいまの点で、どういう違っておる点に多く資金を出しておるかという点、そして特にそのうち一億以上の資金を融資をしておる団体なり、あるいはそれぞれの名前を、一つこの際あとで委員会へ資料として御報告願いたい。それは理事長承知して下さい。
そこで十八条の中に、業務範囲の中に、農業といたしまして、「畜産業及び養蚕業を含む」ということになっておるのでありますが、今経済基盤強化をやろうというときに、あらゆる産業の経済的内容の充実をはからなければならぬわけですが、特にこのうちお聞きをしておきたいのは、目下酪農業が非常な不振で、この問題でこれに対する資金あっせん等々に対しましては、農林中金の方でやられておるのですか、あるいは農林漁業公庫の方でやられておるのですか。また両方がやっておるのでございますか。もしやっておるとしたならば、どこに連絡を取り、どういうふうな扱い方をしておりますか、この際聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/102
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103・山添利作
○参考人(山添利作君) 農林漁業金融公庫といたしましては、農業協同組合の共同施設としていたします部方については、公庫から融資をいたしておるわけでございます。また協同組合でございませんでも、協同組合が九割以上の出資を持っておる株式会社、すなわち北海道のクロバーというようなものに対しましては、農林漁業金融公庫から融通をいたしております。それ以外の一般の業者に対する融資は、公布は法律上できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/103
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104・野溝勝
○野溝勝君 そうすると、具体的にお伺いするのでございますが、ここで酪農でありますならば、協同乳業であるとか、雪印バター、クロバーであるとかいう団体に出資をしておるのでありますが、それはどの方面で担当しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/104
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105・楠見義男
○参考人(楠見義男君) 今お述べになりました会社に対する融資につきましては、あるいはまた資本参加と申しますか、株式の取得につきましては、農林中央金庫におきまして、関連産業に対する融資、あるいは株式の取得、こういうことで私の方がいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/105
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106・野溝勝
○野溝勝君 目下御承知のごとく、農村におきましては、牛乳の値下りで、農村経済は異常戦線ありでございます。経済基盤強化の問題を論議するに当りましても、この点が解決されなければ、経済基盤の強化などできろものじゃないと思うのです。そういう点で、はなはだ皆さんはお忙しいのでありますが、出席をお願いして、地味な質問でございますが、お伺いするわけでございます。そこで今楠見さんからのお答えによりますというと、あなたの方で資金をあっせんしておるというのですが、大体この資金は農林中金法第十五条にありますごとく、余裕金の運用という面で、短期貸付は、あなたの方でできるのでございますが、長期の貸付になるというと、これは主務大臣の認可が要るわけでございますね。さようでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/106
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107・楠見義男
○参考人(楠見義男君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/107
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108・野溝勝
○野溝勝君 してみると、聞くところによると、農村から集めたこの資金が農民にこれが利用されておるはかりでなくて、農民以外の業者すなわち産業資本家に利用されておることが相当多いということを聞いておるのでございます。しかしその内容をよく調べてみると、なかなかうまくできておる。確かに合法的にできておりますから、あなたの答弁は、いわばそれは農民本位のごとく説明されるでしょうが、具体的に申すと、協同乳業などは、あれはいかにも農民のためにやっておるところの酪農組織のようですけれども、大体名古屋精糖が、これがバックになってやっておるのでございます。そういう内容、いわば農民以外の業者が主導権を持ってるようなところへ融資をして、それで農民の発展になるでしょうか。この点一つあなたからお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/108
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109・楠見義男
○参考人(楠見義男君) 農林中金で関連産業に対しまする融資について、いろいろの見方があるわけでございますが、私どもは、たとえばアルコール工場にいたしましても、あるいは今お述べになりました酪農工場にいたしましても、結局生産農民の生廃したものが円滑に処理できるということが一番望ましい、またねらいどころでございまして、決して無縁のものではな上に、そういう関連産業を育成することが、結局生産農民の販売の上においても非常に利便をすると、こういうことで、全く無関係というふうには考えておらないわけでございます。従って、そういう観点から、一般的にも、できるだけ関連産業の育成をいたしたい、こういう考えでございます。ただいまお述べになりました協同乳業の問題でございますが、協同乳業につきましては、お述べになりましたように、名古屋精糖が関与しておることは事実でございます。しかし、現在の株式を見ましても、その過半数は農民が持っておる。野溝さんは長野県でございますからよく御存じだと思いますが、長野県の経済連あるいは農協というようなものも相当持っておりまして、農林中央金庫の分を含めまして過半数、半数以上を農民が持っている、こういうような状況でございまして、目的はあくまで冒頭に申し上げましたように、酪農農民の利便ということを常に念頭に置いて考慮しておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/109
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110・野溝勝
○野溝勝君 そこで楠見さん、この問題が起っておるのですよ、今言う通り、酪農農民のためになっておるということであるならば、現実に乳価の値下げの問題に対して、飼料の高いのに農民は非常な不満を持っておる。現に政府自身におきましても、この酪農対策をどうするかということで、対策を練っておるわけでしょう。しからば、協乳は口を開けば農民のためにというが、巨大なるメーカーなどとは別にですよ、いわば名のごとく協同乳業らしく、なぜ一体農民の気持に応えないかということなのです。そこに問題があるのです。この点に対して楠見さんはどういうふうにお考えになっておりますか。この点はむしろ、経済局長はきょう来ませんければ、農林省の政府当局からでも聞きたいと思うのでございますが、とにかく楠見さんの御所見を聞いておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/110
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111・楠見義男
○参考人(楠見義男君) 協同乳業に対しましては、あるいは雪印に対しましてもクロバーに対しましても、私どもの金融いたした面から見る考え方は全く同様でございます。今日の酪農の非常に不況と申しますか、不振の状況において、他の営利を目的とした酪農会社とそこに少しでも違うところがなければ、おっしゃるようにその意味がないわけでございますから、その点については十分留意をいたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/111
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112・野溝勝
○野溝勝君 この数字が誤まっておりますならば、あとで一つ正しい数字を本委員会に出していただきたいと思うのですが、長期、短期、合せまして、協同乳業には十七億二千万円、これが三月の調べでございますから、間違っておりましたならば、先ほど申した通りお願いいたします。クロバーの方が十二億七千二百万円、雪印が十六億七千二百万円、関西酪農が云々、こういうことになっております。この数字は大体間違いないと思っておりますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/112
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113・楠見義男
○参考人(楠見義男君) 正確な数字、私ただいま記憶いたしておりませんが、大体、今、お述べになりました数字は間違いないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/113
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114・野溝勝
○野溝勝君 そこで楠見さんにお伺いしておくのでございますが、先ほど松本の協同乳業のお話がございましたが、その協同乳業には農協との間に三つの理由があるのでございます。そのうち、私は第三の点が農民的でないと思うのでございます。というのは、第三は、会社の経営は——農民との約束ですよ。農民との約束の条件ですが、そのうち第三の点だけ申し上げてみたいと思います。会社の経営はその道の専門家にまかし、農協側は、酪農の根本に触れる大綱及び会社の目的の大方針を決定するようにする。大方針を決定するようにする、というのであって、具体的には専門家にまかすということになっておる。専門家は百姓じゃないと思うのです。ことに販売というものは、すべて名古屋精糖が実権を持つことになっております。販売権に対しては意見を述べられないようになっております。そういう事情にあるのでございますから、私は農協の諸君の理事者と農民の間には、そこに意見の食い違いがあるのでございます。なぜこういう点をよく調べないで、農林中金あたりは融資するのかということになっております。こういう点に対し、あなたは今後これに対する矛盾を感じ、あるいは何とかしたいという気持があって、政府当局と折衝し、農民のためになるように何とか善処しようという気持があるかどうか。この点お承わりしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/114
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115・楠見義男
○参考人(楠見義男君) 協同乳業は、御案内のように、総合農協というものを基盤にいたしまして、それとの結びつきによって、酪農経営をやっていこう。他の経営会社のように、特殊酪農というようなものを対象とせずに、総合農協を対象にしたというところに一つの大きな意味があります。と同時に、農協との結びつきが、そのことによりまして、たとえば飼料等を、経済連を通じて総合農協に流していく。こういうようなところに、非常に意味があるように私は考えております。
そこで、ただいまお述べになりました専門家云々の問題でありますが、工場経営というようなものを、直接生産農民の中から選ぶということは、なかなかこれはむずかしいことでありまして、従って、できるだけ工場経営というようなものを専門家にするとか、あるいは酪農関係で一番むずかしい問題は、今日特にそうでありますが、販売関係であります。従って、その販売先がしっかりした会社であるならば、あるいは販売先であるならば、これまた生産者を基盤にした工場といたしましては、できるだけ生産の面に力を注ぎ、販売の面はもち屋はもち屋でそれにまかしていくということがうまくいきますれば、私はそれが一番いいのではないか。ただ、その間にいろいろの問題がございますれば、その点を是正することに努めていくことが一番適当ではないかと、このように私は実は考えておるわけでありますが、今、申しました通り、その実態について改善すべきところがございますれば、十分留意して参りたい。かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/115
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116・河野謙三
○河野謙三君 関連して一言。
先輩の楠見さんにははなはだ言いにくいのでありますけれども、私は今の協同乳業の問題は、あなたが理事長に就任される前の問題を引き継いで、今、この処理に苦慮しておられると思うのです。そこで、私は、名古屋精糖に対してじゃなくて、協同乳業に対してこういう認識を持っておりますが、伺いますと、協同乳業の年間の取引高は五十億円にならん。しかるに年間の取引高をこえるところの借入金を持っているのが協同乳業。その借入金の大口は農林中金であり、勧銀であるということを聞いております。隣りに高碕大臣なり、藤山大臣がおられる。産業界のことに非常に詳しいのでありますが、こういう不健全な年間の取引をこえるところの借入金を持っておる会社はないですよ。原価計算をするまでもなく、マイナス勘定にきまっておるのでありますから、農民の経済のために中金の資金をもって寄与するということは、一つの大目的でありますけれども、一面、金融機関として、金融の安全性をはかるということも、これまたより以上のあなたの私は任務だと思う。そういう点からいくと、金融の安全性という点からいえば、これは困るのですよ。いかにして整理するかということが問題で、あなたが非常に苦慮されておるのじゃないかと私は思う。こういう協同乳業に対する認識は間違っておりますか。安全性には少しも欠けるところはない。もっぱらこれに資金を融通することによって、今後積極的に協同乳業を育てることによって、農民の経済に寄与する、これが中金の現在の理事長としての自分の基本的の考え方である、こう思うか。それとも、それは行き過ぎである、安全性を取り戻すという点において、あなたの今のお考えがあるのか、これを私は伺いたい。
同時に私はついでに関連質問にもう一つ伺いますが、土地改良がなぜ進まぬ、と、こういうことを野溝さんがお伺いになったようでありますけれども、土地改良が進まない大きな原因は、あまり世の論議にならないところにあると思う。私は土地改良に関係のある役人、たとえば県によっては農政部といい、農務部という、こういう各県の担当の役人の中に、人件費でまかなわれておるものが半分くらいおる。あとの、土地改良、災害復旧等に従事する役人が、消耗品と申しますか、物件費でまかなわれておる。いわゆる臨時雇いの役人が半分くらいある。従ってこれらの物件費でまかなわれておる、人間扱いされておらないところの役人は、災害が起ることによって自分たちは食い延ばしをしておるわけなんです。だからこれから暴風雨が起るでしょう。橋が落っこった。土手がこわれるということが起る。役人はすぐ飛んできますよ。これら物件費でまかなわれておるところの役人の災害復旧の現地調査とういものは、坊主の病気見舞と同じなんです。(笑声)お見舞には行くけれども、いつ命を引き取るか。お布施はどのくらいもらえるか、ということを見に行っているようなものなんです。従って、こういう連中は災害が起ることを望んでおるのであって、また起った災害は、なるべく食い延ばさなければいかぬということが地方の実情です。従って、ここに大蔵大臣もおられますけれども、土地改良を早く、災害復旧を急ぐためには、これらの物件費でまかなわれておるところの、人間扱いにされておらないところの役人を、早く人間扱いにしたところの人件費でまかなうように予算の切りかえをやるか、要らない役人を早く首切るか、どっちかしなければ……。これは急いでいないのですよ。土地改良を急ぐことでなくて、ゆっくり食い延ばすことによって、自分たちが職場につながれておる。これは皆さん笑っておられるけれども、各県のあれを見てごらんなさい。みんなそうなんです。こういう点について、一体、役所は抜本的に人の扱い方について考えを及ぼさなければ、私は、他にいろいろ事情がありますけれども、大体土地改良、災害復旧というものは所期の目的を達して、早くやれない、こう思う。この点二つについて関連してお尋ねするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/116
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117・楠見義男
○参考人(楠見義男君) 金融機関でございますから、具体的の個々の案件につきまして、いろいろ申し上げることはできるだけ慎重にさしていただきたいと考えております。
一般論として、できるだけこれは、会社に限りません、組合もそうでありますが、できるだけ固定設備は自己資本でまかなっていくことが健全であるということには、これは私どももそのように考えております。ただ今の、具体的の問題になって参りますと、急激に伸びましたために、その間、他の業者と違いまして、あるいは戦前からの古い設備を持っておるというようなところと違いまして、ごく最近に急激に伸び、従ってそれに伴う固定設備を作るごとについて、借入金等でふえたということは、これはいなめない事実だと考えております。従って、先ほど野溝さんにお答え申し上げました通り、いろいろ改善すべき点は、私どもとしてもできるだけの努力をして参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/117
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118・野溝勝
○野溝勝君 もうあと一点だけ一つお伺いして打ち切りたいと思う。さような点があれは考慮してやるとか善処するということでなくて、もう大体わかっておるわけなんです。名古屋精糖の問題は、これはもう前からの問題でした。しかしこれはクロバーにしても雪印にしてもあまり虫がよ過ぎると思うのですよ。農民の金をあぐらをかいて安く六分ぐらい利用しておるのですよ。原料は農民が持っていくのです。そうして金は長期の金は利用できる、こういう莫大な金を農民の名で利用しておいて、いざというときには牛乳でも消費者に安く売るかというと、そうでもない、農民から乳価を高く買うかというとそうでもない、このときは巨大メーカーと共同戦線を張る、こんなばかなことはあるもんじゃない。一体もうかるのは、ここにも藤山さんが御承知のように、大体販売加工になってからもうかるのですよ。実業家に聞いてごらんなさい。だからちゃんと集めて、今度は加工販売をなし得ることに規定されてる名古屋精糖がもうかるのであって、これが農協同様出資しておるからといって、莫大な融資をして、農民にほかの産業資本のメーカーと同じように乳価の引き下げをやるということが承知ならぬというのです。それならそれで、よしお前たちは値下げするならば、この際農民におれはこたえるぞという気持で努力されるならばわかるのですが、こういう点についてはもう十分あなたは苦労人であるから、そして政治家もやられておるし、よくわかっておるわけなんです。でありますから、この点も十分配慮してもらいたいという希望を述べて、私の質問は打ち切りたいと思います。
最後に一つ藤山さんがおいでになっておるからお聞きするのですが、経済基盤強化に関する基金に関してでございますが、この中でジェトロ基金というのがあります。この解釈は、海外市場調査会用と解釈しておりますが、さようでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/118
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119・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) ジェトロの主管庁は隣の高碕通産大臣の方なんでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/119
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120・野溝勝
○野溝勝君 解釈はどうなんですか。あなた海外関係大臣だから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/120
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121・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) ジェトロは貿易の市場調査その他をやる機関でありまして、今回これを拡大強化していく、そして輸出貿易にできるだけ有益な働きをしていくという意味において基金を積むということは、適当なことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/121
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122・野溝勝
○野溝勝君 これはお答え要りません。先ほども本委員会において日本経済の分析がそれぞれ行われておるわけです。大臣との質疑応答の中で国際情勢の分析が非常に重大な問題になってきておる。一国経済ではやっていけない日本でございます。資源といい、領土といい全く弱小の日本でございます。アメリカ経済に依存してもやっていけない、あらゆる国に依存してもなかなかやっていけない容易ならざる事態となっておるこのときに海外の経済的な動向というものに対する資料なり材料なりを敏速にタッチして臨機の措置をとるのが必要であるのに、その点に関して事務当局などにお伺いいたしましたが、アメリカではそういう説もあります、ロンドンではそういうことを言われております、またこういう説もありますというだけです。もろもろの説はあるが、日本の経済を発展せしめ、強化せしめるにはどうしたらいいかという点に対しては、意志統一がないことを痛感した。私は内閣が有力なる資料に基き一つの方針を打ち出さなければならぬと思うのです。それには私は海外調査なり資料の収集ということは絶対必要なんでございますが、この点については私は賛成いたしますが、資料を集めても、政府が今日のごとき態度をとっておられるならば、仏作って魂入らずで、不満を抱く結果になります。でありますから、この際このジェトロ基金に対しましては十分この精神を生かすように一つ留意を願いたい。かように申し上げて私はこれで質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/122
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123・河野謙三
○河野謙三君 私に答弁がないのですが。私は先ほど土地改良の進まない原因は、そこに従事する従事員の予算の組み方に問題があると、こう申しましたが、これは私はお尋ねして、返事がなければ私は演説しただけなんです。農林当局から、それはそうなっておる、それはなはだ遺憾だと言うのか、それとも、いやそうなっていないというのか、それでなければ楠見さんなり、山添さんが、われわれは第三者としてもその点についてはかねがねそういうふうに思っておるとか何とかいう御答弁がなければ、私は演説をやったのじゃないのですから、それを一つはっきり返事してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/123
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124・安田善一郎
○政府委員(安田善一郎君) 河野先生の御質問の第二点についてお答えを申し上げます。
先生のおっしゃいまする通り府県庁の耕地課を構成いたしておりまする職員の人件費の負担のあり方、人員の配置等、土地改良あるいは代行の干拓、開拓の事業あるいは災害復旧の事業がそのために引き延ばされるのじゃないか。この点はどうだということでございますが、率直に申し上げまして、その弊が全くないわけではないと思います。特に性格上現在もそういうふうにやっておると思いまして、今後改善検討を要すると思います。と申しますのは、国の工事を府県が代行いたします場合でも、府県営の事業をいたします場合でも、これは府県の職員がやるわけでございまして、現在その職員の人件費は雑件とおっしゃいましたが、半分はかり県費でございます。あとは代行工事の代行の費用を国から渡されるのと、補助事業につきましては、補助事業の補助金の中で地方事務費という費用の、事業費の事業費並みの国の負担を補助しておるわけでございます。これが、機動性をもちまして事業量に応じまして職員の能力が配置される量としては、比例的でいい点もあるかと思いますが、御指摘の点は全くないとも思わないと、思いません。(笑声)そこで将来この中央政府の予算、地方財政の負担との関係とか、人員の配置を適切にする等につきまして改善するように努力したいと思います。なお現実に弊害が起きました点は、これを厳重に監督するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/124
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125・河野謙三
○河野謙三君 今農地局長が現場の事情の御説明があった通りであるとするならば、大蔵大臣としてもこれは一つ御再考願わなければならぬ問題だと思いますが、ここで私は具体的に御答弁を得ようとは思いませんけれども、十分将来その点については考慮してみたい、研究してみたいという程度の御答弁はここでいただきたいと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/125
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126・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま言われる通り将来少し研究してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/126
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127・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 山添、楠見両参考人の方は大へん御苦労でございました。御退席になられてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/127
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128・平林剛
○平林剛君 私は外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案について関係大臣にお答え願いたいと思います。
この法律案の審議は実はきょうが初めてであります。多少事務的なことに関してのお尋ねもあるかもしれませんが、あらかじめ御了承を願っておきたいと思います。最初は、この法律案は第二十八国会に提出をされまして、その国会においては審議未了のままで今日まで推移いたしておるわけであります。そこで、その結果、当面の不都合が何か起っておるかどうか、法律案自体は、外為資金の損失の処理がそのままになっているだけでありますけれども、その結果、資金の運用あるいはその他私の承知しないことに不都合が起きておるかどうか、これを初め明らかにしておいていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/128
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129・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) ただいまのお話は若干法律技術的な問題でございますから、私からお答え申し上げます。
実は御承知のように、前国会におきましてインドネシアとの間に、いわゆる焦げつき債権を放棄する協定が結ばれました。これが四月十五日に発効いたしております。従いまして実は外為資金といたしましては、バランスシートの上ではインドネシアに対する債権、これが実はなくなっておる。従って本来ならその見合いの資金を減少すべきでありまして、その法律案が今回提出しました法律案と内容におきましては同じ法律案を提出いたしましたのでありますが、これが審議未了になりましたために、今回またこの法案を提出いたしたわけであります。しこうして現在どうしておるかと申しますと、インドネシアに対する債権の焦げつき分を放棄いたしました相当分を未整理勘定に立てておりますまま、整理ができていないという格好をとっております。
それからこれを今のまま放っておくと非常な不都合が生ずるかどうかということでございますが、これはすでに確定したバランスシートの借り方の資産がなくなっておるにかかわらず、貸し方の資金が減っていないというので、そこに非常にアンバランスが出ております。それをやはり是正することか特別会計としては正しい行き方だと思います。なおしかしながら、これによって資金が不足するかと申しますと、これは外為資金には影響はないのでありまして、従来からインドネシアに対する約一億七千七百万ドルのいわゆる債権は焦げついておりまして固定しておりましたので、その見合いの資金がすでに固定して回転いたしておりません。従って今後外為会計におきまして、外貨の売買操作をいたします場合に、この資金が消えたからといって新たな資金を要するわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/129
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130・平林剛
○平林剛君 ただいまのことは大体わかりましたが、次に順序としてお尋ねをいたします。
インドネシア共和国に対する債権をなぜ放棄したか、あるいはこの債権を棒引きすることによるインドネシア共和国との賠償の関係、あるいは今後の賠償問題に与える影響、これらは別に機会をみまして関係閣僚にお尋ねいたすことにいたしまして、このいわゆる焦げつき債権の処理をなぜ外国為替資金の損失として整理をする方式で提案するに至ったか、その理由をお聞きしたいのであります。私がお尋ねしているのは事務的なことを聞いているのではないのです。今日までの質疑によりますと、かような提案をした、かような方法で処理をすることと同時に、一般会計における支出として処理すること等、いろいろ方法があったように聞いておるのであります。従って私がお尋ねするのは、外国為替資金特別会計法は、初め今回この改正がない場合は、このような処理を予想して作られていたわけではないわけで、この規定がなかったわけであります。すなおな解釈からいきますと、一般会計における支出として処理する方が筋であったように思うのであります。ところが政府はこのような改正法案を御提出になった。そこで私はなぜこういう方法をおとりになったのだろうか。事務的に外国為替資金の損失で整理することもできる、これが適当だという御判断で提案をしたという、そういう事務的なことを聞いているのじゃないのです。どうかその点を間違えず大蔵大臣からお答えを願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/130
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131・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 大へんお尋ねが、しろうとの大臣が説明しにくい話でございます。これは御承知のように、一般会計で処理するよりも、ただいま提案しているような方法で処理するのか適当だという、これは技術的な問題で処理されているのであります。なお、為替局長から説明さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/131
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132・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) お話のありましたように、インドネシアの債権のいわゆる棒引きでございます。が、これは当然一般会計から補てんすべきであるという議論には私ども必ずしもならぬと思います。と申しますのは、外国為替資金がそもそも特別会計法の第三条によりまして、これは一般会計からの繰入金をもって成立しておるものでございます。すなわち、一般会計に源を持ちまして、便宜区分整理をされておる特別会計であるということであります。従ってその債権の一部が国際協定によって処理されました場合に、ここに当然一般会計からの繰入金をもって成立しておる資金でございますから、このように資金を減額する法律を出すことによりまして処理することは、これは決しておかしな考え方ではなく、これで法律上は筋が通っておるというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/132
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133・平林剛
○平林剛君 そういう考え方もしようと思えばできないことはない、私はそう思います。しかしさらに一歩を進めると、今回のようなインドネシアの焦げつき債権の処理をこの特別会計法による損失というように解釈することが妥当であるかどうか、こういうことにも発展をしてくると思うのです。私はそんな事務的なことを聞いておるのじゃありません。一般会計においてこれに相当するものを掲げて、国民の前に明白に処理する方がよかったのではないか、それか当然の措置ではなかったかということを、政治的に大蔵大臣にお尋ねをいたしておるわけであります。なぜかといえば、今年の予算編成当時、政府の考え方からいたしますと、経済の情勢がなかなかむずかしい、そういう段階において、なるべく国内経済にも刺激的なことはとらぬ、消費も押えるとかというような政策方針をおとりになっていたわけです。賠償問題についても、一般会計の方で明らかにいたして参りますと、国民自体もこの気持が徹底して、日本の経済の容易ならざることをさとる、こういうことをおとりになれば、間接的ではありますけれども、政府の方針に合っていたではないか、不要な補助金を整理せよという声もそのとき出て参りまして、政府の予算編成方針にも合致することになったではないか、あるいは軍人恩給の増額等、圧力団体に政府が屈するような措置もとらないで済んだのではないかと、いろいろ考えるわけであります。そこで本来は一般会計で処理する方法をとられる方が本筋ではなかったかというお尋ねをいたしたわけであります。まあ大臣お答えがあったら一つそういう意味でお尋ねしているわけでありますから、あなたのお考えを聞きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/133
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134・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど申し上げた通りです。一般会計から関連して処理するのも一つの方法であり、ただいま申しますように放棄したものでありますので、その放棄という観点に立って跡始末をするというのも一つの方法であります。私どもは前国会におきまして、これの処理方法がついていなくて当時相当あわてたように考えますが、もっともありのままに放棄したものでありますから、そのままこれを処理していく、こういうことで、ただいまの法律による処理方法、かように決定いたしたのであります。この方が事態に対しましても、そのまま正直な措置ではないかと実は考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/134
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135・平林剛
○平林剛君 その考えが妥当であるかどうかということは、私は若干見解を異にする者でありますが、一応政府の説明としてお聞きいたしておきます。インドネシアの焦げつき債権を生じた理由、これについても疑問がありますが、これもあと回しにいたします。
そこでもっと問題をわかりやすくするためにお尋ねをいたしますが、焦げつき債権を外国為替資金の損失として減額整理するということは、あたかも事務的な処理のように聞えますが、結局これは政府の輸出政策の失敗を国民の負担として肩がわりさせたことになると私はそう思うのであります。念のために事務当局から、その数字を明らかにしてもらいたいのでありますが、一億七千六百九十一万三千九百五十八ドルは国民一人当りにすると幾らの損害を与えたことになりますか。あなたは一つそこで計算をして国民にこれだけの損害を与えた、という数字を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/135
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136・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 一億七千六百九十一万三千ドルは邦貨に換算をいたしまして六百三十六億八千九百万円、九千万人ということで割ってみますと六百五十円ぐらいに当ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/136
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137・平林剛
○平林剛君 国民一人当りにして六百五十円の損失を与えたということは大へん重大なことでありまして、単に事務的な法律案として私どもこれを審議することは正しい態度ではないと思うのであります。そこでインドネシアの焦げつき債権発生の理由について少しこまかいことをお尋ねをいたします。今までの御説明によりますと、昭和二十七年八月七日インドネシアとの間に支払い取りきめと、その付属文書が締結をされて、占領期間中の旧オープン勘定による貿易から発生した債権の処理と、その後における両国間の決済方式が定められたが、インドネシアが一部を除いて支払いを履行しなかったため、累積債権を生ずるに至った、これが今までの政府の説明であります。しかし先般提出をされました資料を読みますと、昭和二十八年以降も例年増加しているわけですね。せっかくこのような支払い取りきめと付属文書が締結をされて、両国間の決済方式が定められたのに、例年この数字が累積をして、最後に一億七千六百九十一万ドルとなった。これは何としても私ども理解ができないのであります。何ゆえにこのように累積をされて参ったのであるか、これは通産大臣、外務大臣御二人に関係がございますから、御二人から一つ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/137
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138・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 取引関係を厳重にやっておりますれば、インドネシアのオープン・アカウント勘定につきましては、スイングの範囲内においてとめるべきものだと思われるのであります。何しろ相手国はああいうふうな相手国であるし、またこれに輸出する物資等につきましても、多くは各種の雑貨類でありまして、それは契約が締結され、それからそれを生産し、受け渡す時期等がいろいろまちまちになっておりました結果、そういうふうな焦げつき勘定が起ったのだろうと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/138
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139・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) オープン・アカントい過程においてLC等が相手国から組まれる場合のいきさつから申しますと、なかなかこれを取り締ることが、スイング以内に収めることが困難であることは申すまでもないのであります。そういう意味において十分な注意が必要であろうと存じ、オープン・アカウントそのものに対してやはり若干の疑問があるように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/139
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140・平林剛
○平林剛君 だいぶ時間が経過して、質問が長いので御出席の大臣はお疲れのことと思いますが、もう少し元気を出して大きな声で答弁していただきたいと思います。よく聞こえないのです。次に、今のことに関連をしてお尋ねをいたします。昭和二十七年八月七日インドネシア共和国との間に締結した支払い取りきめと、その付属文書の内容は一体どういうものであるか、この点がどうも私今までの会議録を見ましても、はっきりいたしませんでしたから、この際、その内容を御披露願いたい。その支払いの取りきめと付属文書——大体想像はできますけれども、その内容を知っている者にとっては、当時のインドネシアとの支払い能力はなかなか困難な事情があるということが想定されたのじゃないか、こういうふうに思うのであります。そこで第三の質問は、しかるに先般提出をされた資料によりますと、昭和二十八年には二千六百八十五万九千ドルふえておる。昭和二十九年になりますと、一億六百五十二万五千ドルとこの年も増加している。インドネシアとの間の支払い能力がどうも悪いのじゃないかということで取りきめをしてあったにもかかわらず、このようにふえておるわけであります。そうしてその内容を同じく提出された資料から見ますと、今通産大臣のお答えがあったように、雑貨類ということだけでなく、織物とか、あるいは繊維製品がその年の輸出増加の大半を占めておるわけであります。これは当時何か事情があったと思いますけれども、私も古いことであるからよくわからない。どういう事情で特に織物、繊維製品が大幅に輸出品として増加して行ったのかどうか、その事情を一つお聞かせ願いたい。この三つをそれぞれの大臣からお答えを願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/140
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141・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 協定の内容については、政府委員から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/141
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142・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) ただいま御質問のありました協定は、先般の国会で承認を得ました協定でございましょうか。実は今手元にその協定の文書を持っておりませんので、すぐ取り害せますからしばらくお待ちを願います。
二十七年の古い協定につきましては、ここに持っております。内容を申し上げますと、非常に長い規定になっておりますので概要を申し上げます。昭和二十七年の七月一日に発効いたしました協定でございますが、これは実は支払協定に貿易協定がくっついております。それでこれは貿易協定の方は輸出と輸入が初めから協定に差額がございます。つまり日本側の輸出は五千五百万ドル、輸入が四千万ドル、一応千五百万ドルの差がございます。で、そういう差があるものといたしまして、これをどういうふうに処理するかということでございますが、非常に込み入っておりますけれども、まず日本側の輸入が計画にありまする四千万ドルに達しません場合には、その四千万ドルと現実に輸入いたしました額との差額を翌年度のもので決済をするということがまず第一でございます。それから次に、日本側の残高が二千万ドルに、こちらの出超が二千万ドルになりますまでは、そのうち千五百万ドルはスイッチで、インドネシアがスイッチいたしまして、ドルで輸入をする、それで消す。それからなおかつ残余が出て参りますが、それは年次決済の日以後四十五日内に米ドルによってそれぞれ決済をする。それからこの輸出の方が、輸出バランスの方が二千万ドルをこえました場合、これは特別勘定第一というのに振りかえまして、二年以内に、毎半年ごとにこれを両国合意の通貨によって決済をする、そういう規定が内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/142
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143・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) ただいま御指摘のごとく、インドネシアとのあの焦げつきになりましたものは、私先ほど雑貨といっておりましたが、雑貨、陶器、そのほか繊維製品がありますが、これは必ずしもこちらが言ったんでなくて、先方の買い付けによってきめられたもので、特にこれをこちらからどうこうと言ったわけじゃありませんで、先方の希望によりましてきまったものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/143
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144・平林剛
○平林剛君 まあ先方の希望で織物や繊維製品がその年の輸出品の大半を占めて輸出をされたということはわかりますけれども、いま政府当局から説明をされた、支払い取りきめができたということは、一つにはインドネシアの債権支払い能力がどうも危い、そういう事情のもとに相談がされて、取りきめができたものと私は想定をしたわけであります。そういう想定ができたのではないのか。しかるに先方の希望はあったかもしれないけれども、なぜその輸出を認められたのか、何か事情があったのではありませんかという質問なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/144
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145・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 当時のこまかい数字の問題でございますから私からお答えいたしますが、二十七年に締結いたしましたオープン協定によりまして、実は第一年目は規定の通りわが方の出超が決済をされたわけであります。ところが第一年度と申しますか、一九五三年、すなわち昭和二十八年の末までは決済が行われて参りました。ところがその後インドネシアにおきまして非常に外貨不足を生じました。このために日本からオープン勘定を通じまして非常に日本の物資を買ったわけです。その第二年度中だけで一億ドルをこえるようなわが方の出超を記録したわけであります。そこでわれわれは協定に従いまして、これについての年次決済を要求したのでありますが、インドネシアはそのような、これに反しましてこの決済に同意をしなかった、そこでこれ以上債権がふえては困るというので、わが方で自衛手段をとりまして、昭和二十九年七月に当方の輸出調整をいたしまして、輸出輸入のバランスをさせるという方法をとってきました。その結果、協定第三の昭和三十年の七月末の一億七千七百万ドルのものをピークといたしまして漸次しりは減ってきたわけであります。で、結局昭和三十二年の六月にお互いにオープンを廃止するということをきめまして、ところがオープンをやめるということをきめますと、同時に、六月に実は輸出が相当殺到した。それからまたさっき申し上げました輸出調整をいたしますために輸出権制度をとったのであります。この輸出権がまだ残っておりまして、これらの処理もどうしてもしなくちゃいかぬ、中小企業その他やむを得ざるものがございまして、二度にわたって、たしか四百万と四百八十万であったと思いますが、協定廃止後もこの輸出を認めたわけであります。そこで結局昨年の末に完全にオープンを締めていましたけれどもその金額が一億七千六百九十一万四千ドル、こういう結果になったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/145
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146・平林剛
○平林剛君 私は事務的に古い話をお尋ねしているような感じにとれるかもしれませんが、一つの疑問を持ってお尋ねをしておるのです。ただいまのようなインドネシアの債権の支払い能力に疑問を感じて、一つの取りきめをしながら、その後においても例年増加しておる、ただいまの御説明でありますと、中間においてもいろいろ努力をされて減少をしたと、たしかに先般提出の資料ではそれが見られますけれども、最後の経過期間において締めてみると、こうなったなんという話は私はどうも受け取りかたいのです。最後の経過期間の年になりましても、なお二千七百六十七万五千ドルというかけ込み輸出が行われておるわけです。私はこういうところに今回の債権を棒引きすることは何か釈然としないものがありまして、政府はこの二千七百六十七万五千ドルのかけ込み輸出については、中小企業の品物であるという説明をしておりますが、具体的にはどういう品物ですか。
それからまた疑問になりますことは、このような処理をしながら最後のときにかけ込みである中小企業のものである、とにかく二千七百六十七万五千ドルが結局国民の負担に倍加されてきておるわけでありますから容易なこっちゃないです。こういう措置を認めたのは、これはだれが認めたのか。内閣が、閣議においてこういうことをやれと、こういうふうに認めたのか。それとも今のお話のように締めてみたらそういう結論になっていましたと、こういうことなのか、私はその点が疑問でならないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/146
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147・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) お話のように経過期間において残高がふえております。これは先ほど私の申し上げようが悪かったかもしれませんが、六月末にオープンがなくなるということになりまして、そのときに六月中に信用状のついたものは、これは信用状がついておりますので認めるということをいたしたわけであります。そこで締め切ったのでありますけれども、さっき申し上げましたように、輸出調整のための輸出権というものが非常に残っております。これをどう処理するかということで、いろいろ通産省で御苦労なさいまして、全部は認めておりません。ある程度ほんのわずかこれを整理して、しかし、 中には陶磁器メーカーでございますとか、綿糸布の中小のメーカーでございますとか、あるいは輸出商であるとか、そういうものの真にやむを得ないものは、これはどうもやはりこういう処分をするときに制約ができて、せっかく物質があとから届いたというにもかかわらず、これを取り消すということは、非常に業界の混乱にもなりますし、また相当多数の中小企業者も含んでおりますので、ある程度認めるということで二回にわたって、たしか八百六十万ドルというものが六月以降経過期間におきまして出てきたというふうに承知いたしております。なお、その間の商品がどうして出たかというようなことにつきましては、通産省の方からお答えいただいた方が適当であるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/147
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148・平林剛
○平林剛君 どこできめたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/148
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149・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) この処置は大蔵省と外務省と通産省で相談をいたしまして、もちろん経済関係の閣僚には御報告した上でこういう措置をきめたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/149
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150・平林剛
○平林剛君 今後の政府の輸出振興政策によっていろいろな措置がとられるわけでありますが、このようなことが今のように安易に行われていくということになりますというと、これからの政府の政策によっては相当国民が迷惑を受ける。ただいまの説明によりますというと、関係閣僚がそれぞれ御相談なさって、最後にもこんな措置を認めたと、こう言われるのでありますが、まことに軽率ではなかったか。こういう事例を残しておいて、今後輸出振興のためにこれこれのことをやりたい、こう言われましても、安心して皆さんにおまかせをするというわけにはいかない、こういうことになりまして、今後の政府の政策にも相当ひびがくるものだ、こう思われるのであります。いわんやただいまのようなかけ込み輸出をしたということは、業界の混乱を心配をされたというけれども、言葉をかえて言えば、業界をもうけさせるために国民が損をした、こういうことにもなるわけでありまして、ポイントの置き方が皆様の方では違っているのではないか、こういう感じを持つのであります。
なお、いろいろお尋ねいたしますが、ちょっとあなたにこの間提出された資料でわからないことがありますから、聞きます。「インドネシヤ焦付債権発生の推移」という資料があります。あなた、持っていますか。それから「対インドネシヤ主要商品別輸出入額」、これもありますね。この二つを見比べて、私の質問に答えてもらいたいのであります。この「主要商品別輸出入額」、これの五二年七月から五一、年六月までの合計は六千四十二万七千ドルになります。しかるに「インドネシヤ焦付債権発生の推移」の表を見ますと、「受取」という欄はこれは輸出と見てよいわけですね。この五二年七月から五三年六月までの数字は六千九百三十五万九千ドルとなっております。この差はたぶんこの提出された資料による商品、すなわち織物、繊維灘品、金属及び金属製品あるいは機械、これ以外の品物が輸出をされておるから、この数字の違いがあった、こう理解できるのでありますが、そう読んでさしつかえないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/150
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151・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) おっしゃる通りに、この二枚品の「主要商品別輸出入額」は、主要品だけを掲げてございますので、従って、この合計いたしました数字は、いわゆる雑品とでも申しますか、いろいろなものがそこにある。それで差額が出てくるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/151
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152・平林剛
○平林剛君 それでは同じくその「対インドネシヤ主要商品別輸出入額」の輸入の方をちょっと見て下さい。輸入の総合計は、穀類食糧及び類似原料、石油、油脂、蝋その他書かれまして、総合計は四千六百八十六万九千ドルになっております。五二年七月から五三年六月まで。そうですね。ところが「インドネシヤ焦付債券発生の推移」の同じ比較対照すべき欄で見ますと、これは四千二百五十万ドルになっておる。先ほど御説明のように、輸出の数字が食い違っておるのは、それはその他にも主要でない輸出品目があったということで理解できますが、輸入の力にこの数字があるというのは、どうも理解ができないのであります。ほかにも輸入してあったやつがつけ落してあるのかどうか、こういうことになるのでありまして、私はこれから審議を進めていこうと思ったが、どうもこういう矛盾した資料を見せてもらうと、その間の事情がよくわからなくなってしまったので、これはどういうわけか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/152
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153・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 手元に詳しい表を持っておりませんが、これはおそらく記帳上の違いがあると思います。日銀の為替統計ともう一つオープン勘定、インドネシアと日本両方に勘定を持っておりますから、その勘定での調整時のその間の差が若干あるということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/153
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154・平林剛
○平林剛君 これは五三年七月から五四年六月までの数字でも同じことがあるのです。五三年七月から五四年六月の輸入の合計は同じ主要品別に計算をいたしまして四千二百七十七万五千ドルである。ところが債権発生の推移を見ますと、これは三千八百五十七万三千ドル、ここでも数字が約四百万ドル違う。つけ落しにしてはずいぶん大きな数字になる。ここを、正確なところを説明してもらいたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/154
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155・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) これは資料の根拠が違いまして、主要品目別の方は日銀の為替統計でございます。と申しますのは、日銀が日本の商社が輸出いたしましたときに、その輸出に伴う受取手形を為替銀行に入れて参りましたものを集計したものであります。ところが、この第一表の、オープン勘定の収支じりと申しますものは、これは日本の物資が輸出されまして、そうして向うに、インドネシアに輸入されて、それから中央銀行の帳簿に記帳をされるということになりますので、日本の輸出の際の為替の受取額、日銀がやっておりますものと、オープン勘定に整理をして記帳いたしますものとの間に、そういうズレが出てくるのがこの主要な原因でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/155
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156・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 通産大臣と外務大臣に、なるたけ早くお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/156
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157・平林剛
○平林剛君 あなたはそんな説明をしておるけれども、これは五四年七月から五五年六月の数字も、五五年七月から五六年六月の数字も、みんな私が今指摘したような数字があるのです。ただいまこまかいことをいろいろお話になったけれども、理屈が通ってこない。なぜかというと、私がこの資料の提出を求めたのは、債権累積額が一目瞭然にわかるような資料を出してもらいたい。債権の累積額の状況は、一方の資料によって、結論としては一億七千六百九十一万四千ドルになっておるのに、こっちの方は、ちっとも説明がついていない。あっちへやったりこっちへやったりではわからぬです。実際問題として、債権の累積額がこうなりたというものを求めているのに、こういう不満足な資料ではだれだってわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/157
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158・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) ただいま申し上げましたように、債権の累積額はオープン勘定、これは先方の中央銀行に帳簿がございます。それに記帳され、それを日本銀行が確認したものがこれになります。ところが、第二の主要商品の輸出入につきましては、これは日本銀行が普通の何と申しますか、日本から商社が輸出いたしますと、その手形をすぐ為替銀行に持って行きまして、かわり金をもらうわけであります。そのかわり金をもらって、輸出手形を買い取ったその段階でこれは集計したものか、日本銀行の為替統計あります。従って、それから船積みをして、インドネシアに送られて、税関手続を経て、そして向うで為替手続が終って、インドネシアの中央銀行に記帳されるまでの間に相当の時期がございますので、こういう差ができてきたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/158
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159・平林剛
○平林剛君 それではこれでいいと、こういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/159
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160・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) これはこれとして、両方とも正しい数字でございます。ただ、いきなり主要商品輸出入額と債権の累積額、この二つの表が直接に結びつくということではなくて、先ほど申し上げましたように、日本側の輸出の際に受け取りになった為替の額と、それから債権の方は、中央銀行に債権債務として記帳された日の額というところで、差が出ているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/160
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161・大矢正
○大矢正君 私は、法律の内容の質問ではなくて、きょうの議事の進行の仕方について提案をしたいと思うのでありますが、けさは早朝から連合審査をやり、精力的に、もうすでに六時二十五分まで質疑を行なって参りましたが、まあ普通でありますれば、委員会を何時までやるかということは、これは常識でありまして、まあ五時までで終るのが、私は通例だと思うのでありますが、会期も多少迫ってきましたから、六時半までこうやっておるのでありますが、何分にも、朝からぶっ通し質問をしているのでありまして、そういう点で、われわれも頭の方もだいぶ疲れておりますから、まだ会期もあす一日たっぷりあることでありますので、この辺で一つ委員会を散会していただいて、明日は頭を冷やして、また精力的にやるように、(「賛成」「反対」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)委員長に動議として提出いたします。(「賛成」「反対」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/161
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162・木内四郎
○木内四郎君 議事進行。私はただいまの大矢委員の散会の動議に反対いたしますとともに、ただいま審議中の二法案に対する質疑を打ち切って、直ちに討論、採決に入られんことの動議を提出いたします。(「賛成」「反対」「まだ質問中だ」「おかしいじゃないか」「打ち合せておいて直ちに散会の動議を出す手はない、質問は全然始めたばかりで質疑打ち切りはおかしい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/162
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163・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 暫次休憩いたしまして、理事会を開きます。
午後六時二十七分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102914629X00919580707/163
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