1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年七月一日(火曜日)
午前十時五十分開会
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出席者は左の通り。
委員長 重政 庸徳君
理事
藤野 繁雄君
堀本 宜実君
東 隆君
北村 暢君
梶原 茂嘉君
委員
秋山俊一郎君
雨森 常夫君
関根 久藏君
田中 啓一君
田中 茂穂君
堀 末治君
大河原一次君
清澤 俊英君
島村 軍次君
千田 正君
北條 篤八君
国務大臣
農 林 大 臣 三浦 一雄君
政府委員
農林政務次官 高橋 衞君
農林大臣官房長 齋藤 誠君
農林省振興局長 永野 正二君
農林省蚕糸局長 須賀 賢二君
水産庁長官 奥原日出男君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
説明員
農林省農林経済
局長 渡部 伍良君
農林省畜産局長 谷垣 專一君
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本日の会議に付した案件
○繭糸価格の安定に関する臨時措置法
案(内閣提出、衆議院送付)
○農林水産政策に関する調査の件
(農林水産基本政策に関する件)
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001・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
繭糸価格の安定に関する臨時措置法案を議題にいたします。この法律案は、去る六月二十五日の本会議の議題となり、農林大臣から趣旨の説明がなされたのでありますが、去る六月二十七日衆議院において政府原案通り可決され、当院に送付、即日当委員会に付託されました。
本日は、まず、あらためて提案理由の説明を求めることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/1
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002・高橋衛
○政府委員(高橋衞君) 繭糸価格の安定に関する臨時措置法案について、趣旨の説明を申し上げます。
政府は、昨年末以来の生糸の需給事情の悪化に対処いたしますために、つとに三十三生糸年度においても、生糸及び繭の最低価格は、従前の水準を堅持する方針を明らかにいたしまして、これを実現するために必要な施策を逐次講じて参ったのであります。すなわち、本年三月には、内外市場の生糸価格に対する不安を解消いたしますために、例年より早く、生糸の最高、最低価格及び繭の最低価格を従前通りこれを据え置くことを決定したのであります。
さらに、本年はじめ以来、生糸の政府買い入れが急速に増加して参りました事態に備えまして、前国会において、糸価安定特別会計の借入金を四十億円増額するために必要な法律の改正を行い、糸価安定資金の総額を百六億円に増額して、糸価の安定をはかって参ったのでありますが、最近の生糸の需給事情は、内外の経済情勢と、昨年の夏秋蚕の豊作に引き続き、本年春蚕の作柄が良好であったことなどが重なりまして、生糸の供給が著しく増加する事態となって参りましたので、四月、五月においても引き続き相当量の生糸の政府買い入れを行なったのであります。
以上の推移にかんがみまして、政府はこの際、本年産繭及び生糸の価格の安定をはかるために必要な施策を、さらに充実することにいたしました。
その措置の大要を申し上げますと、その第一は、本年の春繭につきまして、余剰の生糸を市場からたな上げして糸価の維持をはかりますために、新たに百億円の資金で生糸を買い応ずる体制を整えることであります。
次に、繭の生産者団体が、繭価の維持をはかるために、乾繭共同保管を行う場合は、将来その繭を最低繭価見合いの価格で政府で引き取ることを約束し、これに必要なる資金として五十億円を予定することといたしました。特に、今回の施策に当りましては、糸価の維持を行うとともに、農家の繭収入の確保をはかることが、きわめて緊要な問題でありますので、生糸の買い入れについてもこの点に十分留意し、なお、生糸の買い入れ及び繭の共同保管に必要なる資金については、適時円滑に供給せられるよう措置をいたしたいと存じます。
第二に、本年の夏秋蚕については、当面の生糸の異例の需給事情にかんがみまして、繭の生産の面からこれを調整して、需給の均衡をはかることが必要であると考えられますので、繭価の維持のために、生産者団体において、本年夏秋蚕については自主的に二割を目標として生産の抑制をはかるよう指導して参りたいと思います。
以上の施策と並行して、蚕糸業の安定に必要なる恒久対策を策定することにつきましては、すみやかにこれを取り進める所存でありますが、特に、生糸の需要の喚起については、一段と積極的な施策を講じたいと考えるのでありまして、生糸の新規の用途並びに販路の開拓をはかりますために、業界に対して企業努力の促進を強く要請するとともに、政府において必要なる施策を講ずるつもりであります。
以上申し上げました昭和三十三年産の繭及び生糸に関する価格安定の措置は、本生糸年度の繭及び生糸の異例の需給事情による臨時の措置でありますから、本日提案いたしました繭糸価格の安定に関する臨時措置法案により、これを実施して参りたいと思います。
以下、本法律案の内容の概略について申し上げます。本法律案の内容の第一は、日本輸出生糸保管株式会社が、農林大臣の定めるところに従い、生糸及び共同保管の繭を買い入れ保管する等の事業を営むことができることとしたことであります。日本輸出生糸保管株式会社は、繭糸価格安定法に基いて設立されている特別会社でありまして、今回の臨時措置による生糸及び繭のたな上げ及びこれに伴う業務を行う機関として適当なものであると考えたのであります。なお、会社の買い入れ及び売り渡しの価格について、その基準を定めるために必要な規定を設けております。
その第二は、会社が買い入れた生糸及び繭で、所定の時期を経過してなお保管しているものは、政府がこれを買い入れることとするために、必要な規定を設けるとともに、その買い入れについての債務負担の限度を明らかにする規定を置いたのであります。
以上が、繭糸価格の安定に関する臨時措置法案を提出した理由及び法案の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/2
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003・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) ただいまからこの法律案の質疑に入ります。
御質疑の向きは御質疑を願います。
なお、補足説明の必要があれば、この際、簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/3
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004・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) それでは法案の組み立て方につきまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。
ただいま御審議をいただいております法律は、繭糸価格の安定に関する臨時措置法という建前になっておりまして、これは本年六月一日から来年五月末までの三十三生糸年度の繭及び生糸の価格安定を対象にいたしまして組み立てておるわけでございます。
それで、この法律の骨子は、第二条では、日本輸出生糸保管株式会社による生糸及び乾繭の買い入れ等に関する規定を置いたわけでございまして、日本輸出生糸保管株式会社は、前国会で繭糸価格安定法の改正をいたしまして、政府出資を入れまして、特別会社に改組をいたしたわけでございます。その当時の構想といたしましては、当時新たに追加いたしました九条の二の規定によりまして、輸出適格生糸を六ヵ月間の売り戻し条件付で買い入れるということを、本来の業務として改組いたしたのでございます。今回は、この一年間この会社に臨時に、従来政府で直接買い入れをいたしておりました対象の生糸を取り扱わせることにいたしたいと考えて、それに必要なる新たなる機能の付与をいたすために、第二条の規定を設けたのでございます。なお本来この改正は、生糸を扱う建前でございますが、今回の場合は、乾繭共同保管によりまする繭も取り扱うことにいたしたいと考えるのでありまして、それに関する規定もこの条項の中に入れたわけでございます。
それから第三条は、会社が買い入れます場合の価格に関する規定でございますが、これは生糸につきましては安定法第二条の最低価格、すなわち現在におきましては十九万円でございます。それから共同保管の乾繭につきましては、安定法にきめてありまする最低繭価をもとにいたしまして、それを会社が買い入れますまでの間の金利、保管料を積算いたしましたもので買い入れるわけでございます。
それから第四条は、会社による生糸及び乾繭の売り渡しでございまして、今回のやり方は、会社で買い入れまして、それを来年五月三十一日までの間におきまして会社が売り渡しをいたしました残りを、政府で引き受けるという建前になっております。従いまして、会社がこの一年間の間に買い入れました生糸あるいは繭を売り渡す場合が想定をされておるわけでございますが、その場合の価格は時価による考え方になっております。ただ、時価によるわけでございますが、安定法の最低価格を実質的にこわすようなことがありますと、この今回の制度の建前と相反しまするので、時価にはよりますが、ただし書をおきまして、生糸にありましては繭糸価格安定法の第二条の最低価格、乾繭にあっては繭の最低繭価、これ以外には下ってはならない。逆に申しますと、生糸の最低価格、繭の最低繭価、それ以上の価格で売却ができます場合には、売却することができるような仕組みにいたしてあるわけであります。従来の繭糸価格安定法で政府が直接やっております場合は、十九万円で買い入れまして、二十三万円の最高価格になった場合でなければ、原則として売却ができません。ただ例外として残されておりますのは、政府手持ちの糸が上値押さえに必要な数量をこえるほど多量になってきた場合には、生産費を下回らない価格で売り渡すことができるという規定がありますが、原則的には、政府で持っております糸は、二十三万円の最高価格の場合に売り渡すということになっておるわけであります。今回の場合は臨時の措置でございまして、非常に需給関係が異例の状態になって参りました事態に即応いたしまして、たな上げをいたすものでございますから、その糸は、最低糸価以上の価格で売却するチャンスがあります場合は、売却ができるようにいたしたい、かように考えております。
それから第五条以下は、会社が買い入れました糸を将来政府において肩がわりをするわけでございます。その規定が第五条以下にございます。これは政府が、会社が持ちました糸を一定の期日以後において買い入れる、来年の五月三十一日を経過してなお保管しておりますものを、会社の申し出によって買い入れるわけであります。いわゆるこの一年間臨時措置によりまして会社によって買い入れ、または、先ほど申し上げましたような趣旨によって、売却をいたしますチャンスがあります場合は売却をいたす。それがその状態で来年の五月三十一日まで参りまして、その時点において会社が持っておりますものを政府においてこれを引き受ける、こういう考え方でございます。その場合の引き受け価格は、すべて会社が買い入れました価格にその間の保管に要する経費を加算いたしましたコストによるわけでございます。
それから第五条の第三項で、政府が将来会社から引き受けます場合の金額の限度を規定いたしているわけであります。五条の三項の一号で、会社から政府が生糸を引き受けます場合の金額の限度が百億円、それから共同保管の繭を会社が引き取りますと、それを繭のままで、あるいは生糸に加工いたしまして政府に引き渡す場合の金額の限度は五十億円ということで、生糸と共同保管を分けまして、百億円、五十億円のそれぞれここに金額の限度を置いたわけでございます。これは、今回の措置が、輸出保管会社が市中金融によりまする民間資金の融資を受けまして、この一年間業務を営みまして、明年度糸価安定特別会計で予算上の措置をいたしまして、この生糸を最終的に引き受ける建前になっております。従いましてその場合の市場負担の限度を、あらかじめ規定しておく必要が財政法との関係においてありますので、ここにこの百億円、五十億円の規定を置いたわけでございます。
それから第六条は、明年、保管会社から政府が生糸を引き取りました場合、その生糸の処分に関する規定でございます。これはここに、政府はこの生糸を「繭糸価格安定法によらないで売り渡し、貯蔵し、又は加工することができる。」という規定がございますが、これは今回たな上げいたしますのは、すでに政府におきましても、本年五月末までの買い入れによりまして五万俵に近い生糸を保有いたしておりまするし、今回の買い入れは、本年度の異常なる需給関係に基きましてたな上げをされますものでありますので、政府に肩がわりをいたしました以後におきましても、従来の繭糸価格安定法によりまして処分をいたします場合と処分の方法を異にする考え方をいたしておるわけであります。「繭糸価格安定法によらないで」といっておりますのは、先ほど申し上げましたように、現在の安定法の規定によりますと、政府の保有しております生糸は、二十三万円の最高価格になりました場合に売却をいたします場合と、また、一定数量を超えます場合におきましては、生産費を下らない価格で売却をすることができる。この二つの場合に限定をされているわけでございます。今回買い上げます生糸は、将来政府が処分をいたします場合におきましても、最低価格を下回らない価格で処分ができるようにいたしたいと考えておるのでございます。その意味におきまして、この規定を置いております。
それから第七条は補助金の交付の規定でございますが、これは原則として、会社は買い入れましたのに必要経費を加算した価格で政府に引き渡すことになりますので、損失は原則として出ない建前になっておりますが、先ほど申し上げました第四条の規定で、会社が最低価格を若干上回るような価格で処分をいたしました場合は、買い入れ価格と売り渡し価格との間の差損を生ずるような事態も考えられますので、そういう場合に備えまして、そういう事由によって発生いたしました損失につきましては、事後におきまして、予算の範囲内において、補助金の形でこれを埋め合わすことを考えているわけでございます。
第八条は経過措置でありまして、これは五月末で、政府資金の関係から、政府直接買い入れは停止をいたしたのでございます。それに伴いまして、六月一日から保管会社による今回の趣旨の買い入れを事実上解除いたしたのでございます。この法律が施行されます間におきまして保管会社が買い入れましたのは、この法律で買い入れましたものと同一な扱いをして参りたいと考えておるわけでございます。
第九条は、繭糸価安定特別会計は、資金の関係で直接買い入れができません。繭糸価格安定法の第二条におきましては、予算の範囲内において申し込みに応じて買い入れるという規定になっておりますので、現行法のままでありますと、その二条をそのままにしておきますと、政府直接買い入れもでき得るような疑義を生じますので、その疑義を除きますために、念のために、第九条の規定を設けたわけでございます。
なお付則は、将来政府が生糸を買い入れます場合の会計の帰属について規定をいたしたわけでございます。将来この保管会社で買い入れました糸を、政府で肩がわりいたします場合、その場合の会計の所属は、糸価安定特別会計の所属といたすという書き方にいたしておるわけでございます。
法律の組み立て方は、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/4
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005・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/5
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006・東隆
○東隆君 この法案は、私は、いろいろなむづかしい問題があると思うのですが、実質的な生産制限のやり方、これはどういうふうな方法でおやりになるのか、お聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/6
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007・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 夏秋蚕の生産制限につきましては、かねて今年度の需給計画等を基礎にいたしまして、生産者団体と種々協議をいたして参ったわけでございます。お手元に、ことしの需給関係につきまして、私どもが一応想定いたしておりますものがございますので、それをもとにして御説明申し上げたいと思いますが、三十三生糸年度の需給見込みというものでございます。これは繭需給の方から考えまして、ことしの春蚕は千五百五十万貫程度に予想されておるわけであります。これは御承知のように、ことしは凍霜害がほとんどなかったのでございまして、長野の一部、九州の一部等に若干ございましたが、大勢に影響するほどのものではなかったのでございます。それに、この上蔟期等の天候は非常によろしゅうございましたので、戦後まれに見る今年の春繭は増産になっている。大体千五百万から千五百五十万貫ぐらいのところに実収が出て参るのではないかと考えております。
それから夏秋蚕繭は、去年の生産実績が千七百五十二万貫でございますが、ここに千四百万貫となっておりますのは、去年の実績に対しまして、二割程度の生産を抑制をいたしてもらいましたことを前提にいたしまして、千四百万貫と想定をいたしたわけでございます。これは前年度の千七百五十二万貫に対しまして、その二割減として千四百万貫という想定になっております。それに、今年はこの四月、五月に、生糸の方の生産制限をやりました関係で、三十二年産の繭の持越しが例年より多うございます。その例年より多い繭の持越し量を五十万貫と見まして、それを合せましたものがことしの繭の生産総量として、三千万貫になる。それを糸に換算いたしますと、これがまず三十一万俵となります。一方、需要の方は、輸出が六万俵、これは月平均五千俵に見ております。前年度が六万四千俵でございました。前年度よりやや減じて輸出が六万俵、それから国内引渡しと申しますのは、これは純内需として国内で消費されますものと、輸出用絹織物の原料として、国内で加工されまして、織物として外国に輸出をされますその両者を含んでおるわけであります。これが前年度に二十二万二千俵であったのでありますが、これを約一割減と見まして二十万俵と押えました。この内訳は、輸出絹織物の方はその後もかなり引き合いがありますので、輸出絹織物については大体前年並み、主として純内需において需要の減を見込んでおるわけであります。そういたしますと、需要の合計が二十六万俵になるわけでございます。差引過剰分が五万俵ということに相なって参ります。それで、一応五万俵の生糸のたな上げをするという想定で進んで参ったわけであります。このような需給推算に立ちまして、夏秋蚕繭につきまして、これが前年ベースと同じようなベースで生産をされて参りますと、それだけでなお三万俵以上の生糸が余剰になって参る計算になりますので、どうしてもことしの場合は、政府において買い入れワクを大幅に増大いたしますことと並行いたしまして、特に夏秋蚕については品質も春繭等に比べますとかなり悪いような条件もありますので、夏秋蚕の方で生産の調整をしてもらいたいということを、生産者団体に対して強く呼びかけておったわけであります。生産者団体の方では、政府において相当の資金裏づけをいたしまして、三十三年度の繭、生糸の価格安定をはかるということと並行いたしまして、夏秋蚕について生産調整に対する態勢をとるということを、団体側の意思決定として、いろいろ所要の手順を踏みまして、きめていただいたわけであります。それで、現在実施いたしておりますやり方は、全養連の方で府県別の夏秋蚕の生産目標数量をきめまして、それを府県、さらに府県から郡、市町村の段階におろしまして、夏秋蚕の掃き立て数量の目安を農家にまで浸透させるようにやっておるわけでございます。ことしの場合、夏秋蚕につきまして二割程度の生産調整をいたしますことが、繭、生糸の価格を支持いたしますために、どうしても必要であるという趣旨の徹底をやってもらいまして、各農家に対しまして、掃き立て数量の目安を指導するようにいたしております。一方、五月の終りになりましてこういう措置をとらざるを得ないような客観情勢になって参りました。ちょうど夏秋蚕用の種繭を、種を作る時期に当面をいたしておったわけでございます。種は、御承知のようにこれは三月ごろから生産にかかるわけでございまして、ことしの種を作り始めましたときは、このような情勢になるということを予想いたしませんで、大体通常の計画で種屋さんとしても生産の着手にかかったわけであります。それが五月の初めから六月にかけて急激に変って参りましたので、夏秋蚕を二割減らすということになりました関係上、種の方の生産をやはり二割押えてもらうことに種業界の協力を求めたわけでございます。その結果、現実に種繭ができておりますので、このできております種繭をそのままにいたしておきますと、余剰の種がいろいろな形において農家にまで流れまして、いろいろまた農家にも不測の迷惑をかけるというようなことも考えられましたので、余剰の種繭は、これを処分をいたすことにいたしたわけでございます。これは、やはり全養連が生産調整を行いまする仕事に付帯してやる仕事といたしまして、全養連の方で現在やってもらっておるわけでございますが、各蚕種製造家別に余剰の種繭を精算をいたしまして、その余剰の種繭を全養連が買い上げることにいたしまして、その買い上げました余剰の種繭は、これは糸繭としていわゆる座繰り等で引く格の悪い繭でございまして、種繭は御承知のように種を取りますために、糸の方は歩どまりの悪い、糸繭としては品質の悪いものとしてでき上っておるわけでございます。これを糸繭として処分をいたします。そういたしますと、種繭の生産コストに比べまして、糸繭として処分をいたしました場合、その間の価格差が約千九百円ばかり一貫目について出て参ります。この分は、補助金として目下手当を進めておるわけでございます。これは現実に各蚕種製造業者が余剰繭として醵出をいたしましたものを全部締め上げまして、その実績が出て参りました段階で、補助金支出の手続をとるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/7
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008・東隆
○東隆君 今のお話になった経過はわかるのですけれども、農家の場合における生産意欲といいますか、そういうものは、価格の安定をされればされるほど、生産意欲が強くなると思うのですが、形はですね。その場合に、制限をされた何といいますか、種ですね、これが配給の問題でも全然問題が起りませんか。農家において分配するとき、二割減で分配をするのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/8
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009・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 先ほど申し上げましたように、今回の減産計画によりまして各農協別でございますが、農協別に、掃き立て計画を立てたわけでございます。それによって種が流れておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/9
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010・東隆
○東隆君 それで、この養蚕農家は納得するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/10
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011・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 今回の、特に今年の場合は、全く異常な需給関係でありまするので、そういう態勢に、農家に協力を求めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/11
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012・清澤俊英
○清澤俊英君 この間の養蚕業者の大会では、養連の幹部が制限を提案したところが、これは圧倒的な力ではね返してしまっておるのです、否決になって。あんな情勢の中で、満足に行くのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/12
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013・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 過般の養蚕者大会では、お話がありましたような事態になったのでございますが、その後、全養連では引き続き全国会長会議さらに引き続いて臨時総会を開きまして、当初の方針通り二割減に進めていくという態勢を、会としてはあらためて決定して、その態勢で今進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/13
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014・清澤俊英
○清澤俊英君 ところが、そういう強権的な処置を両者で提案してやるようにやっても、これはうまくいかないのだから、おそらくはやみ種が散布せられて、かえってこれから先の蚕糸業を混乱させるのではないか、やみが。こういうことを盛んに心配しておったのですが、その点、そういう危惧はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/14
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015・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) これは種屋の方に対しましても、再三にわたりまして、今回の場合は糸価安定制度というものを維持していきますために、どうしても協力してもらわなければならぬ。協力を要請し、向う側もその態勢になっております。
それから昨日関東付近の蚕糸課長が集まりまして、最近の情報も交換いたしたのでありますが末端へは、順次今回の措置について浸透させなければなりませんし、一、二の府県を除きましては、その態勢にしてもらうような情勢が、順次でき上りつつあるように私どもは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/15
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016・清澤俊英
○清澤俊英君 その場合、非常な大量の生産をやっている所ならば、そういうような納得もするかもしれないのですけれども、非常な零細な養蚕業者のやっている所で、果してそれがいくであろうかということ、わずかの余剰労働で養蚕をやっている場所で、たとえ一割でも二割でも減らされるということは、これは農家の現金収入の上に、家計上の上に非常な問題を残しておる。従って、これは容易ならぬ私は問題だと思うのです。それで、やはりやるとすれば、できるという目安はついておりますか。これはあまりに強権じゃないかと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/16
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017・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) これはもちろん戦時中に考えましたような作付統制というような考え方ではもちろんないのでございまして、今回のような特別な需給事情にある場合に、あくまでもその方針で趣旨の徹底をはかりまして、農家の方の協力を求めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/17
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018・清澤俊英
○清澤俊英君 その際、減産分に対しては千九百円というやつを農家に補償してくれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/18
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019・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) これは繭価千四百円というものを維持するための一つの裏づけ措置として考えておるところでございまして、政府の買い入れと相伴いまして、農家の側にも協力を求めて、ことしの繭、生糸の価格維持をはかろうとしてやっておるわけでございまして、従いまして、今回の減産分に対しまして、直接補償をとるということはこれは考えておりません。ただ、こういうような事態になって参りますと、いろいろ農家といたしましても新しい事態に即応いたしまして、営農の設計を変えるというようなことも考えられるわけでございます。今後、桑園の整理等を考え、あるいは他に営農転換をするというような場合におきましては、これに対しまして必要な方法を講ずるということを考えております。これは六月三日の閣議決定の中にもその趣旨のことが織り込んであるのでございます。現実には、十一月以降の問題になろうと考えますので、これはあわせてそれらの措置も十分進めて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/19
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020・清澤俊英
○清澤俊英君 どうもそこのところが明瞭を欠いておりますね。ということは、今までの御説明によると、前提が本年一年間の異常生産状態である、一年間の生産制限をやるのだ。こういうことと、何かそのあとですぐ今の答弁のように、これは五月四日ですかの閣議決定だと思いますが、局長みずからが説明せられて、五月四日の分、それの一番最後には、制限したる桑園に対して云々と、こういう言葉があった。そうすると、これは結局すると、桑園の整理はせんけりゃならぬということになると、恒久的なものだと見ておられるのじゃないかと思うのです。だから、前提が非常にあやふやじゃないかと思うのです。本年一年間二割だけ一つ減産しろということと、将来もそれを継続してやらなきやならぬということでは、これは前提が非常なおかしなものができ上ってくる。その点はどうなんですか。ふらついているのじゃないかと思うのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/20
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021・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) もちろん現在の段階におきましては、まだ来年度の養蚕計画はどのように持っていくかというような計画は、全然これは考えておりません。ことしの夏秋蚕の対策として、ただいままでのところ措置をとっておるわけでございます。ただ、本年度以降におきまして、従来考えておるような生産計画をそのまま持って臨むとたいしましても、基本的な方法といたしましては、やはり生糸、繭の両面を通じまして、どうしても生産の合理化になりますように推し進めて参らなければならない。それには、やはり能率の低い——能率の低いと申しますのは、単に十貫目しか取れない桑園が能率が低いというような考え方ではございません。いわゆる。それぞれの農家の経営の立場から見まして、低能率と考えられるような桑園という考え方でございます——そういうようなものは、他の作物転換をするなり、あるいは、一応休閑の状態に置きまするなりいたしまして、能率の高い桑園に集約的に持っていくということは、どうしても必要であると考えるわけであります。従いまして、本年度の繭の生産計画がいかように今後策定されるにいたしましても、桑園の能率化、いわゆる集約化ということは、並行して考えなければなりません。その線で、私どもでは、今後必要な指導措置は考えて参らなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/21
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022・清澤俊英
○清澤俊英君 とにかく、いわゆる瘠地養蚕だと言われる地区にしてみましても、一番その地区としては能率の高い、経済的に間に合うものを作っている、こう思うんです。しからば、そういうものを、蚕糸業全体の上から見れば、そういう所で作るのはどうも不利益であるから、お前ら、消えてなくしちまえ、こう言うことと同じことだと思うんです。そういうやり方でいいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/22
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023・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 瘠悪地の桑園が低能率であるから、それは全体の立場からそういうものは切り捨てるというような考え方は、毛頭いたしておりません。これは、現在の養蚕業の立地関係というものは、私の申し上げるまでもなく、大体養蚕が現在の営農条件の中におきましても、定着すべき筋合いになっておりますような所に主として残っておるわけでございまして、そういう状態にありまする桑園を、ただいまお話しにありますような機械的な基準で整理をしていきたいというようなことは、毛頭考えておりません。ただ、現在の桑園全体の中で、桑園の能率を集約的にして参りますような考え方で整理をしていくというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/23
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024・清澤俊英
○清澤俊英君 そういう所を、大体、局長はどう指導していこうと考えていられるか。
で、御存じないかもしれぬけれども、実際、十貫や十五貫を一年に取っているような人ほど、二割制限だけで泣いていますよ。おかみさんたちは、農家の婦人連は泣いていますよ。これだけ減らされたら、おれはどうするんだと、泣くほど切ながっているというのに……。だから、お前のところは工合が悪いんだから消えてしまえ、何か別なものに転換しろといって、何にすればいいんですか。もっと親切な指導をしていただかなかったら、長い間作っている養蚕家として、どこへ消えていくんだ。非常に無理な重労働をやって養蚕を続けてきた、そういう所ほど山間僻地であって困るんだから、そういう所にマッチして、そういうものに対するもうちょっと明確な基本方針を立てて御指導していただくことが先じゃないかと思うんだ。私はそうじゃないかと思う。ただ機械的に、そういう場所は、まあお話を聞いておれば、そういう割の合わぬ所は消えてなくなれと言うことと同じお話をしておられる。一体、変ったものを作れって、何を作るんです。一番今これがいいと思うから作っている。ほかに何かあるんですか、そういう場所で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/24
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025・高橋衛
○政府委員(高橋衞君) ただいまの溝澤さんの御意見、まことにごもっともでございますが、実は、蚕糸局長から御説明申し上げました通り、今年度の春蚕が非常な豊作でございまして、統計によりますると、三十一年度の繭の生産実績は二千八百八十万貫、三十二年度が三千百八十万貫でございます。この、ただいま御説明申し上げましたのが、夏秋蚕については二割操短ということになっておりますけれども——見込みに対して——総額が二千九百五十万貫でございまして、実際上、夏秋蚕、春蚕を合せれば、それほど大きな減産にもなっていないわけでございます。しかしながら、それだからといって、その制限そのものが軽視さるべき問題でないことは御承知の通りでございます。ただ政府といたしましては、何分にも今年の異常増産と、それから需要の減退と、そういうふうな臨時的な事態に対処するために、とりあえず今年だけはこれでもって一つ全部協力をお願い申し上げて、そうして来年度以降の恒久対策については、根本的に検討していきたい、こういうふうに考えておる次第でございますので、その点、御了承題います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/25
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026・清澤俊英
○清澤俊英君 それで大体わかりましたが、とにかく本年の分は本年一年として考えておって、来年の分はまた別にあらためて考える、それはわかりますが、そこでお伺いしたいことは、養蚕が年々豊作を続ける、こういうことですね、これはただ天候だけで考えておられるのかどうかということです。おそらく、終戦後一時壊滅した養蚕業が、だんだん糸価安定等によって繭価も相当価格に安定せられているために、技術的に旧に復しつつあることが、いわゆる豊作に導いているんじゃないか。この技術は、私はまだ上ると思う、まだぐんぐんと上っていくんじゃないかと思います、ということは、私は非常に養蚕業というものについて、見解の狭い地区におりますので、国全体のことはわかりませんが、われわれの地方を対象に申し上げますと、終戦後は八貫か七貫だったと思うんですが、最近は十一貫となり、それが十二、三貫となり今年は十四貫に引き上げられた、非常な勢いで旧に復する、旧に復するといたしますれば、戦前十七貫までいったんですから、まだ四、五貫の増産が見込まれる、これは単なる豊作ではないと思う。ちょうど最近言われる年々歳々の米の豊作が、天候を無視して冷害の中に豊作が行われてみたり、あるいは今年のような早害のもとに豊作を続けるかもしれないということは、とにかく文句を言いしなに、一つの米価というものが安定価格を維持しているために、非常な農民の努力というもの、土地の解放とともに努力をしている、従って、農薬等の散布使用等に対しましては、もう画期的な使用状態をもって研究の度も違っている、こういうことが、私は豊作に導いているもとだと思うんです。そうしますと、豊作だから、今年だけの豊作だという考え方であったとしましたら、また問題が生じてくる、これらの点を加味して、どう一体お考えになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/26
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027・高橋衛
○政府委員(高橋衞君) 先ほど来蚕糸局長からも説御明申し上げました通り、今年度の糸価並びに繭の価格については、十九万円並びに千四百円という価格を維持いたしまして、そうして農家の収入を確保したいという趣旨で、この臨時的な措置を御提案申し上げておる次第でございます。ところで清澤先生も御承知の通り、どうしてもこういうふうなものは需要、供給の関係で、生産が非常に増しますと、自然、価格が下ってくるという事態を生ずるのは当然でございます。従って、たとえば中小企業等におきましても、先には中小企業安定法というものを作り、その後、中小企業団体法にいたしまして、要するに生産の共同の制限によって、数量の制限によって、お互いの共倒れを防ごうという措置を、あの法律で講ずるようにいたしておるのでありますが、農業につきましては、もちろんそういうふうなことは非常に困難な問題でございますけれども、そういう精神からいたしまして、確かに今年度限りの問題としては、そういうふうに農民の皆さん、生産者の皆さん方の協力を得て、繭価の維持をすることの方が、農家の収入を維持する上に必要である、そのことが絶対必要であるという見地から、さような処置をとったのであります。
しかしながら、恒久的な対策としては、ただいま御指摘のあったような問題が多く伏在いたしておりますので、その点については、今後十分に検討いたしまして、ことに消極的な制限とか何とかというような方面を考えるよりも、むしろ需要の関係をどうしたらいいか、また、新しい用途を何とかして発見する方法はないかという、そういうような方向にもっぱら努力を注いでいきたい、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/27
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028・清澤俊英
○清澤俊英君 あまりくどくなりますから、恒久の問題は一応これで打ち切りまして、いずれ休会中にでも委員会を開いていただいて、相当突っ込んだ質問をさせていただきたい、こう思いますので、その点はやめます。
そこで、ただいま次官が言われる通り、本年の対策が繭価の安定と糸価の安定を期して、そうして農家に損害をかけたくない、こういう御趣旨で出されておりますことに間違いはないのでありますので、従ってお伺いしたいことは、六月の二十四日の閣議決定を見ましても、このたびの百五十億の処暑は、ただいまの御説明によりましても、本年の春蚕についての臨時措置である、こう解釈している。従って、そのあとの分に対します夏秋蚕の安定ができない場合には、こちらにも書いてあります通り、「特に、今回の施策に当りましては、糸価の維持を行うとともに、農家の繭収入の確保をはかることがきわめて緊要な問題でありますので、生糸の買い入れについても、この点に十分留意し、なお生糸の買い入れ並びに繭の共同保管に必要なる資金については、適時円滑に供給せられるよう措置をいたしたいと存じます。」こう言われておるのです。まことにけっこうなことでありますが、この閣議決定を見ますと、「夏秋蚕の繭及び生糸については、二割の減産によって需給を調整するほか、生糸の需要の喚起等適切な措置を講じて価格の安定を図る。」と、こう書いてある。そして「すみやかに蚕糸業の安定を図るための恒久対策を策定する。」、こうあって、資金の問題が一つも出ていない。新聞を見ますと、無制限買い入れという見出しで出ておりまして、それが非常にきいて、今生糸値段は、一律に十六万円台に下りましたのが十八万円台に上っているものと、こう思いますが、非常に引き返した。安定糸価に近づきつつある、こういうことが考えられますが、この閣議決定と御説明との間の違いです。従って、「いたしたいと存じます。」ということは、先般も私は、本会議で農林大臣にお伺いしたのでありますが、耳が悪いからよく聞き得なかったので、いま一度お伺いしますが、これは農林大臣並びに農林省がそういう措置をしたいと考えておると、こう解釈していいのか。あるいは閣議決定等によってこういう措置をするのだ、だから心配は要らない、こういうことになるのですか。この点をはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/28
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029・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 閣議決定にうたってありまするのは、本年の春繭を中心といたしまして、百億と五十億の資金によりまして、生糸と繭の価格維持をはかることが中心になってうたわれているわけでございます。それで、資金の適時円滑なる供給をはかるといいまする趣旨も、今回の場合は、先ほど申し上げましたように、直接政府資金によって買い入れるのではありません。日本輸出生糸保管株式会社をして一時買い入れをさせまして、それを将来政府で引き取るという形になります。
従いまして、生糸の買い入れ及び繭の共同保管のためには、生糸の買い入れのためには保管会社に対する資金の供給、それから繭の共同保管のためにはこれに必要なる資金を農協に供給する、現実に共同保管をやります農協に供給するということが必要でございます。この両方の金融につきまして、適時必要なるものが流れていまきすように措置いたしますということをうたっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/29
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030・清澤俊英
○清澤俊英君 そうすると、一応ここにきめられました百五十億というものは、買い入れの資金としてきめられているのですか、保管会社が余した分を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/30
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031・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) とりあえずは保管会社が買いまする資金の手当として、これは現実に保管会社に農林中金なり一般市中銀行から融資の形で供給されるわけであります。
それからそれを最後に明年度政府が引き取ります場合は、政府の糸価安定特別会計に必要な予算というものを計上いたしまして、これを引き取るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/31
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032・清澤俊英
○清澤俊英君 いま一度くどいようですが、そこが大事ですから、くどいようですが、保管会社の買い入れを資金並びに乾繭共同保管資金は、無制限に貸し出しをする、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/32
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033・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 最後に政府が肩がわりをいたします際の限度が、この法律にきめてありまして、現実に保管会社が買い入れます場合におきましても、やはり最後に政府で引き受けてもらいます限度内でございませんと、融資その他を確実に受けることは困難でございますから、やはり保管会社が買い受けます数量も、最後に政府が引き受けます数量を見合ったその限度内で行われることに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/33
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034・清澤俊英
○清澤俊英君 それじゃ結局同じじゃありませんか。同じことを言うておられる、最後にいって百五十億で押えられるということになれば。どんな機関から金が流れるとか流れぬとかいっても、これは問題にならない、同じことじゃないですか。百五十億は百五十億に違いないけれども、それが問題であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/34
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035・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 現実に保管会社が扱いまする業務の総額も、政府資金で最後に政府が買い取りますものと見合った範囲内で行うことができるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/35
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036・清澤俊英
○清澤俊英君 そうしますと、夏秋蚕に対しての分で、不足した分に対しては、「適時円滑に供給せられるよう措置いたしたいと存じます。」ということは、ただ思っているだけであって、やらないということですね。あなたの表現ならば、そういうことに帰着しますが、やるのかやらぬのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/36
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037・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 今回の措置は、春繭に対しまして百五十億円の手当をいたす、春繭を中心といたしまして百五十億の手当をいたす。夏秋蚕につきましては、生産抑制を期待いたしますことによって、全体の需給が均衡するという建前をとっているわけでございます。従って、具体的に申し上げますと、この際生糸五万俵、共同保管のたな上げ二百五十万貫ということで、糸価の維持をここで固めますと、あとは夏秋蚕段階では、生産抑制の効果も上りまして、それによって本年度を通じての糸価維持ができるという考え方に立っているわけでございます。従いまして、現段階におきましては、夏秋蚕について特別の資金を別に用意をするというような考え方はいたしておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/37
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038・清澤俊英
○清澤俊英君 そうすると、次官どうですか、これは大臣に聞かなければ……。なぜにこの「適時円滑に供給せられるよう措置をいたしたいと存じます。」なんということを言うのです。かえって言わぬ方がましなんであります。まぎらわしいことをなぜ言われるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/38
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039・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) これは、この提案理由書でも、ごらんをいただきます通り、今回の措置を、春繭と夏秋蚕とに分けて考えております。ただいま清澤先生からお話があります点は、春繭対策について申し述べておりますところにそのことが書いてあります。夏秋蚕のところは、問題が別になっておるわけでございます。適時円滑に生糸の買い入れ、繭の共同管理に必要な資金が出るようにということは、今回手当いたしました百五十億円が適時円滑に流れるようにいたしたいということをうたっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/39
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040・清澤俊英
○清澤俊英君 同じことを繰り返しているんだな、同じことを。提案の説明よくわかりますよ。このものが——手当は春繭ということは、はっきり言うておられるが、なお不安の点が夏秋蚕に残されておりますので、二割制限等をやられるが、なお夏秋蚕が円滑に操作ができないで、生糸が値下りしたり、農家に繭価の保証ができないというような場合ができたならば、その時は、適時円滑に資金を供給せられるよう措置いたしたいと存じています。こう言うておられる。こういうことを言いしなにだから局長の言う説明を聞いていると、今様での分は春蚕だけで、夏秋蚕は心配ないと、こういうことですか。それじゃこんなものは要らないじゃないか。こういうことを言うのです。こういう説明は要らないじゃないか、こういうことを私は聞いておる。要るのか要らぬのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/40
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041・高橋衛
○政府委員(高橋衞君) ただいまの清澤さんの御指摘の点でございますが、提案理由の説明では、第一の点は、もっぱら春蚕についての御説明を申し上げておるのでございます。従って、百五十億円の資金の手当によって、その措置をしたいということを申し上げておるのでございますが、百五十億円は、先ほど局長が申し上げました通り、政府の予算としては計上しておるものじゃございません。後年度において政府がこの金額までを保証していきたいという趣旨の金額でございますが、今年度の問題といたしましては、たとえば農中であるとかその他市中金融機関等から、この金を適時に円滑に供給する、そしてその間において値くずれのないようにしたいという趣旨を、この後段に書いてあるのでございまして、夏秋蚕の問題についてこのことを言っておるのじゃないのでございます。これは、あるいはお読みになりました際に、あるいは第二の点と御混同があったのじゃないかと思います。夏秋蚕につきましては、第二の点においてちょっと説明を申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/41
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042・清澤俊英
○清澤俊英君 そうすると、問題になるのが、夏秋蚕が問題になるということです。問題になった場合はどうしてもらえる、こう言っておる。春蚕はわかります、大わかりだ。百五十億円でも足りない場合には、なお適時の措置をしてやられるのだったら、なおさらけっこうですが、今度夏秋蚕の場合に、ただ二割減産と言っても、さっき言うたように農民の意向もあるが、実質上の技術改良等によって増産を見た場合には、あるいは二割減産しなければならないかもしれないという想定も立つのです。そういう場合において、大体そこへきて夏秋蚕の場合にはどうしてもらえるのだ。こういうことなんで、春蚕だけ手当しても、夏秋蚕というものは手当ができなかったらどうなる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/42
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043・高橋衛
○政府委員(高橋衞君) 政府といたしましては、春蚕に対して百五十億円の手当をいたしまして、これだけをたな上げにする——生糸五万俵、繭二百五十万貫でございますが、これだけのたな上げをするということと、夏秋蚕について生産者各位の御協力によりまして二割の減産をするということができれば、少くとも今年度内においては、この価格の維持ができるという見通上のもとに、この提案を申し上げておる次第でございます。従って、政府といたしましては、どこまでも生産者各位の、夏秋蚕の生産の制限について御協力をお願い申し上げ、そうして政府が企図しておるところの繭価の維持というもの、農家収入の確保ということを、ぜひ実現いたしたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/43
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044・千田正
○千田正君 今の清澤委員の質問に関連しますが、今の次官の御答弁によりますというと、春蚕に対しましては百五十億の資金の手当をやる。これは政府が買い上げして保管しておくと。夏秋蚕に対しては、そうした春蚕に対する手当をしておるから、自然的にあるいはマーケットの値上りその他によって、夏秋蚕の場合においては十分に、政府が買い上げなくても、需要供給の関係において処理できるのではないか。なおかつそれでも予定のようにいかなかったという場合においては、あらためて何らかの処置を講ずる、こういう観点に立ってのお答えですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/44
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045・高橋衛
○政府委員(高橋衞君) 先ほど来説明申し上げております通り、今年の繭の生産、つまり供給並びに需要双方の面に、非常な異常と見られる事態が起りましたために、やむを得ず臨時的にこういうふうな措置をとる次第でございまして、政府のただいまの段階にお仕る見解といたしましては、春蚕に対して百五十億の資金の手当をする。夏秋蚕に対しては生産者各位の御協力によって何とか二割の生産制限をする。そのことによって、繭値の維持をやっていけるという見通しのもとに立っておる次第でございますが、何分にも繊維業界全般の問題としては、世界経済に残される面もございまするし、将来どういうふうな方向へ行くかということについては、なお検討を要する点はあろうかと存じます。しかしながら、千田先生も御承知の通り、各繊維ともコストを割って、日本の繊維全体のみならず、国際的に繊維の価格が下回っている実情でもございます。こういう状態が、果して今後ずっと永続するかどうかというようなことも検討を要する点でございますので、それらの点、全部総合的に彼比検討いたしまして、そうして恒久対策は別途に考えたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/45
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046・千田正
○千田正君 もう一点だけ。国際価格は御承知の通りこの二、三日前に日本の糸価安定策が決定したということのために、ニューヨークの生糸市場が伸びかかったのが一応取引きを中止しておるというのがニューヨークの市場の状況のようです。たとえば十九万台では買い進めない。十八万台を標準として一応のニューヨーク市場は買いどめであるというような状況です。そういう国際市場とにらみ合せまして、きのう私は予算委員会で質問したところが、国内のいわゆる内需に向けて相当多量にはける自信があるという御答弁であったのですが、内需政策に対して、果してそういう自信があるかどうか。これはどうなんですか。そういうものと、国際問題と国内の内需とを勘案しなければ、実際の糸価安定というものの対策はできないと私は思うのですが、そういう自信はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/46
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047・高橋衛
○政府委員(高橋衞君) まあ昨日の答弁私は承知いたしておりませんので、どういうことを御答弁申し上げたのか、その内容をよくわかりませんが、国際価格の面も、今まで相当国内の市場が値くずれをしておったのを反映しておって、相当価格の引き下げを期待しておった矢先に、安定されたというふうな関係から、そういうふうな事態を生じたのではないかというふうな見解も成り立ち得るわけでございまして、その点は、もう少し時日の経過を見なければ、必ずしもはっきりいたさないと私ども考えておる次第でございます。のみならず、アメリカの全体の消費から見ますると、生糸は〇・一%の程度のわずかの量でございます。しかも、きわめて特殊な繊維であり、なおこれに対するところの嗜好も相当残っておるようでございますので、必ずしも価格の関係じゃないのじゃないか。何かこれは需要を喚起する方法がありはしないかというようなことも、もっぱら検討いたしておる次第でございますので、それらの点も、十分今後の推移を見ました上で、恒久対策として検討いたしたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/47
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048・千田正
○千田正君 最後にもう一点。それで、今、きのうの論争をここで繰り返す必要もございませんから、重点的に見ますというと、輸出先のニューヨークの市場はそういう状況である。そこで、何もアメリカだけが輸出先じゃないのだ、ほかに販路を見つけるということと、国内においては糸じゃなく、織物に転化して内需向けを増加することによって、糸価安定を試みたい、こういう御答弁でした。しかし、われわれとしましては、非常にこれはむずかしい問題じゃないか。国際問題というものによって、もちろん糸価がある程度動揺してくるのはさまっておりますが、国内において内需向けに相当の量を供出して、それによって織物に転化して、それを輸出に向けていくという第二段がまえにいくのだから、まあどうやら夏秋蚕に対する問題の解決の見通しがつくのだ、こういうお答えでした。これは相当私は慎重に考えなければ、将来の糸価安定というものに対する根本策に及ぼすところの影響は大きいと思いまして、政府のまとまった基本政策の重点を聞かしてもらいたいと思うのですが、きょう、それができなくてもけっこうですが、そういうような御答弁でありましたならば、いささか私もちょっと慎重を期す必要があるのじゃないかと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/48
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049・清澤俊英
○清澤俊英君 今度、方向を変えましてお伺いしますが、先般お伺いしましたとき、保管設備は全国で二百万貫分の保管倉庫がある、こういうことと、乾繭能力は全国で六十万貫の乾繭能力があると再確認してようございますか。それで差しつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/49
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050・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 農協が持っておりますもの、それから営業製糸が持っておりますもの、その他一括して私の方で取り調べましたものがございますので、資料として差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/50
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051・清澤俊英
○清澤俊英君 これは営業製糸の方は要りません。農協の共管乾繭をやる場合の能力をお伺いしたいと思います。それに、これはもうお伺いしないでも、全国的に見ますと、共同保管設備は、乾繭設備はほとんど失われている。従って、大体、今、繭の取引は従来の方式によりまして、そして繭価協定並びに団交等によって数量の決定が行われてきておると思うのです。これは行われておると思うのです。聞きますと、先般の本会議の質問の中で、小山邦太郎さんの御質問は、長野県においては繭価は、協定において千四百円が協定できて非常に喜んでおる、こういう御説明がありました。自他の方面におきましては、大体の数量もあまり確定しておりません。だが、大体は繭を委託的に持ってくるならば、これは引き受けるであろう、こういう形を出しておる。だがしかし、繭価の協定に対しましては、実勢繭価を堅持してなかなかまとまっていない。実勢繭価というのは、糸の相場等とにらみ合せてという建前をとっている。なかなか千四百円というものの繭価を承認する建前にいっておりませんです。一千四百円八千二百五十掛ですかは、なかなか承認していないことが今のところ確認できます。先般は春繭の出回り期に対して、藤野さんの話を聞けば、大体これは取引は済んでしまった。玉繭の価格で取引が済んでしまっておるのである。こういうふうに、実際の養蚕農家の繭価保証というものが、現実においてくずれておるということ、同時に、それがきまっておらない。大体概算払いでやっておる。八百円から千円ぐらいの概算払いをやるくらいのことで、一応の協定ができている。そういう場合に、果して農民の、農林省が言われるような千四百円の繭価の保証は、どこでどういう方法でつけられるのか、と申しますことは、聞きますと、製糸家が千四百円で買ったという証明を付して買い上げを申請した場合にのみ買われるとかいう条件がついておるやに聞いておるのですが、これは閣議決定か何かの際の、新聞、放送にはそういうようなことを言うてあるが、こういう場合が想定せられますと、私は非常なそこに危険性があるのじゃないかと思う。ということは、輸出商組合が現に十六万円を主張して、農林省に請願を出しておる。繭価を、標準価格を、糸価を十九万円にしてもらいたい、そうすれば需要が増大するのだから、そういう標準価格をとってもらいたいという要請がある。それから新聞などの伝えるところによれば、国内需要者でありまする各機業地の全国協同組合等が中心になって、そうして十九万円ぐらいにしてもらえなければ、当分糸は使わないというような強硬な決議をしておるようなことも、新聞で見ておる。また製糸家自身も、繭が千二百円、糸価十六万円で大体生産が合うのだから、十六万円にしたという考え方を持っておる。そういうものを総合した場合に、繭は預かりました、概算払いはいたしましたということで、繭は千二百円、糸価十六万円でどんどん売っていって、政府の方の御厄介にならぬでよろしい、こういうものがかりにでき上った場合には、どういう処置をとられるのが、実質上の農民の繭価の保証はできないが、繭価保証はどこでどうしてとられるつもりか、そこを明確にしていただきたい、そういう結果になりゃしないかと思う。政府の考え方と違ったところへぐんぐんものが走ってしまうかもしれない。そういう想定をすることは無理なのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/51
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052・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 乾繭設備から先に申し上げますが、農協が持っておりますものは、乾繭施設にして二百十台、それから別に部屋全体が乾繭の装置になっておりますもの、室で計算いたしますと、五十一室ございます。これで一昼夜の乾繭能力四十六万貫程度の乾繭能力のものを、農協が持っておりますことになっております。なお、これは若干調査の時日が古うございますので、現実に稼動いたしまする能力と申しますか、実用的な能力につきましては、多少これより低く見る必要があるのじゃないかと思います。
それから、ただいまお尋ねのありましたことしの現実の繭の流れと、それの取引の実情、それらを総合いたしまして、農家に最低繭価は保証されるかという問題でありますが、これは、ただいまお話がありましたように、大体ことしの繭は、一部まだ東北地方の出回りが残っておりますものを除きまして、大体二百六十万貫程度が共同保管に持ち込まれまして、あとの残りは、製糸業者の内渡し金を取って引き渡されたような取引の実態になっております。従いまして、これに対しまして、今後、最低繭価見合いの繭代金が支払われるようになりますことは、繭の従来の取引慣行からいきますと、これから行われまする繭価協定によってきまって参るわけでございます。今回は糸価が非常に変動がないような関係もありまして、それらの点につきまして、政府としても相当の裏づけ対策を持ちませんと、千四百円で協定をされるということは、必ずしも円滑にいかないということが、当然考えられたわけでございます。それで、今回の五万俵買い入れを行いますることを裏づけといたしまして、先般来製糸業界とも種々協議を続けて参ったのでありますが、最近になりまして、大体製糸業界の方の態勢もまとまって参りました。団交によって農協から繭を収納いたしましたものにつきましては、その全量について千四百円の繭代を支払うということに、業界全体の意見もとりまとめるような態勢に今進んでおるわけでございます。近々会議を持ちまして、そういうふうな方向に確定的にきめてもらいたい、今なお私どもの方でもいろいろ話し合いを続けておるわけでございます。その態勢と即応いたしまして、今後保管会社が生糸を買い入れます場合の条件といたしまして、農協から団交に基いて繭を買い入れる契約をいたしました。その繭については最低繭価を下回らない繭代金を支払うということが一つ。それから現に製糸は生産制限をやっております。その生産制限の計画を確実にやってもらう、この二つの条件を守ることを約束をしていただきまして、その約束をしていただいた製糸から買い入れるということにいたしたいと思うのでございます。しかも、それは業界全体が大体そういう意見にまとまりつつありますので、全部の製糸についてそういう態勢をとっていくものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/52
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053・清澤俊英
○清澤俊英君 いつでも考えている、そういくだろうと言われるけれども、その言われる口の下からすでにくずれているから、それで心配になる。それからもっとはっきりした条件が出れば、私はそういうものはどうせそうなるんだから、そううまくいくだろうと思うけれども、そこの大事なところへいくと、夏秋蚕の場合でもそうなんです。二割制限で何とかなるであろう、あるいは繭の買い入れにしても、一部団交の場合はこういうものに固まりつつあるものもあるが、そうでもないものもあるような話になると、そこに、私は何が何やらわからない。こういう一つの不安状態がすべての業界に出てきて、あるいは早目に繭代金がほしいために投げ売りする養蚕家も出てくるであろうし、また、無理な糸を売り出して相場をくずすようなものも出てくるであろうし、そういうことで、実際の目的に達すべきものがくずれてくるんじゃないか。だから、どこまでも政府が、夏秋蚕も心配いらないんだ、あるいは買い入れの点も、これこれの線で心配いらないんだということをはっきりしていれば、金を使わぬでも、私はあるいはそういう線に入ってくると思うんだけれども、大事なところへいくと、ぐらぐらしてしまって、何が何だかさっぱりわかりません。私は、夏秋蚕がどうなるんだかということは、今の御説明じゃとうてい安心するわけにいかないし、農民に大丈夫かということを、帰って聞かれても、返事もできません。また、今の場合、一時預けで製糸家に対し、団交は実際できていない、委託的な形で概算払いしてもらって、繭価協定もできてないで実勢価格協定をやると言われておるので、政府の保証繭価はどうなるのだろうかと、こう農民に聞かれた場合——それは政府が中に入って、製糸家と養蚕連との話し合いがうまくつくようにお骨折りはいただいておるのですが、つくかつかないかわからない。こんなことになったら、何が何だかわからない。それがわかるのですか。何が何だかわかるのですか。わからぬで、ものがうまくいくのですか。その点はっきりお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/53
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054・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 団交によって収納いたしておりまする繭について、最低繭価見合いの価格を支払いますことにつきましては、目下業界——具体的に申し上げますと製糸業界でありますが、製糸業界で全製糸業者をそのような線にまとめるべく極力やっております。これは目下の予定では、四日前後に製糸としても会合を持ちまして、正式に決定いたす段取りに進められておるわけでございます。私は、今はそういう段階にありまするので、確定的なことを申し上げることを差し控えておるのであります。そういう手順で、政府当局としても極力そういうふうに実際なりますようにやっておるのでございますから、今日の段階では、先ほど申し上げましたような程度の説明で一つ御了解願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/54
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055・清澤俊英
○清澤俊英君 いま一つ聞きますが、ということは、これはもう局長申し上げぬでもよくおわかりだと思うが、なま繭を持った農民が製糸会社へ、団交が整わぬから取って下さいと、取ってくれるなら一応取ってもらうという状態であります。実際四十五万貫くらいの乾繭設備では、春繭生産予定千五百万貫に対して、現在乾繭保管やるもの二百六十万と言われたくらいのもので、ほんのわずかです。あとは乾繭共管をやっておるものがないので、あとの大部分は製糸家の所へ持っていって何とか預ってくれと、これよりないのです、実態は。そうして数量のきまらぬまま、また、繭価協定のきまらぬものをずっと持ち込まれてしまって、何かそこにはっきりしたものが出ないで、それがうまくいくと考えておられるかどうか。これは次官もよく農林大臣と話して、これは私は大臣から御回答を願いたいと思うが、これでくどく質問することはやめます。次回に、もっと整理して、いま少しお尋ねをしたいと思いますので、今はやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/55
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056・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 先ほどの補足説明に、私ちょっと補足してもらいたいのですが、しばしば異例な需給事情——異常な事態という抽象的な言葉が繰り返されているわけなんです。今回のこの異例と言われる実体ですね、これをもう少し分析をして、一体どこが異例なのか。また最近の価格の趨勢等とも関連して、その異例の実体をもう少し分析して説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/56
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057・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 異例と申し上げておりますのは、これは繭供給の面と生糸の需要の面と、両方からきておるわけでございますが、繭供給の面から見ますると、去年の夏秋蚕の豊作と、本年春繭の増産によりまして、この両者をあわせました生産高は三千三百万貫程度になります。これは前年同期に比べまして二百六十万貫多いのでございまするし、繭供給の面において前年同期よりも糸にして約二万六千俵分程度のものがふえてきております。それから需要の面から見ますると、本年一月以来の輸出と国内引き渡しを合せました需要高は、九万三千俵程度になっておりまして、これは前年同期に比べまして二万六千俵減っております。供給面で二万六千俵ふえ、需要面で二万六千俵の減退というようなことに相なっておりまして、この両者が相重なりまして、本年一月以降、四万俵程度の政府の買い入れがあったというような事態になっておるわけでございます。生産の方は、これは天候の関係また技術水準その他からいろいろきておるわけでございますが、特に消費の方におきまして、われわれが全く予想をいたさなかったような事態が出て参った。去年の十二月頃に本年の生糸の需要見込み等を立てました場合、このような事態が発生するということを予想した者は一人もなかったわけであります。かりに輸出なりの、ある程度の変化は考えられるといたしましても、このような著しい需要減退ということは予想しておらなかったのであります。一般繊維の状況の回復も非常に長引いております。内外景気の状況もなかなか好転のきざしを見せません。特にこういう生糸のような性質の商品は、そういう影響を受ける度合いも非常に強いわけでありまして、このような異例の事態を引き起したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/57
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058・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 生産が若干ふえたということは、これはもうそれとして、需要が減ったことですね、減ったことについての見通しは、何といいますか、予想外であったと、こういうお話でありますが、その需要減退の、近い将来における見通しですね、これはどういうふうに見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/58
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059・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 特にアメリカ市場等について見ますと、今年一月の当初におきまする生糸の在庫と、五月末の時点における生糸の在庫を比較してみますると、約半分近いところまで減っております。これらから見ますると、やはりアメリカ市場としましては、毎月ある程度の数量の実際の生糸の消費はありながら、価格の先行き不安等を非常に懸念いたしまして、現物の買付なり輸入なりを手控えたというような傾向が強く見られるわけであります。そのような点から考えますと、いろいろ販売努力等もさらに一段と続けることによりまして、価格安定について強い線が出て参りますれば、相当の需要回復はあり得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/59
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060・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 あとでまたお伺いするのですけれども、去年の春以来の世界的な一つの不況といいますか、こういう事態で消費が減るということは、これは常識的に考えられるわけであります。ところで、一般物価というものが、御承知のようにずっと下ってきている。ことに繊維関係の価格というものが相当低落しつつあることは御承知の通りであります。そういう場合に、今の十九万円の線ですね、十九万円の線というものは、そういう需要の変化に関係がないというふうに見ていられるのか、やはり価格というものが相当の関連があるのだというふうに見ておられるのか、その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/60
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061・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) この点は非常にむずかしい問題でございまして、業界専門家等の観測をもっていたしましても、価格が需要の実勢に対してどんな影響をいたしているかということの判断は、必ずしも一致をいたしておりません。相当われわれの内部でも議論のあるところでございます。しかしながら、この種支持価格制度をとっておりますものにつきましては、支持価格に対する考え方、いわゆる現在の十九万円の支持価格というものを、他繊維の状況その他から見て、どのように考えるかということは、非常にむずかしい問題であります。支持価格をとっておりまする場合には、できる限り、よほど特殊の事情がありません限りは、支持価格の線というものは、これを維持すべき筋合いのものであると私どもは考えまして、このような既定の方針によって進んでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/61
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062・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 もちろん支持価格制度ですから、多少の変化があっても、これを堅持していくというのは当然の話です。しかし、繰り返して言われるように、異常な実態だという前提において考えれば、やはり価格の点についても何らの検討があってしかるべきじゃないか、これは常識的な考え方ですが、そういう感じがするのでありますが、これは、また後ほどお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/62
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063・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) ここでしばらく休憩して、午後一時半から再開いたします。
午後零時二十七分休憩
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午後一時五十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/63
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064・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 委員会を再開いたします。
農林水産基本政策の件を議題にいたします。この件について、過般当委員会において述べられました農林大臣の所信に対して、残余の質疑を続けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/64
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065・東隆
○東隆君 農林大臣に数項、一つお伺いをいたしたいと思います。
第一番目、これは大へん皮肉なようなことを申し上げるようでありますが、実は、この参議院の農林水産委員会には、通常国会、それからその他の国会に、主務大臣の出席が非常に少いのであります。河野農林大臣の時から始まって、例の日ソ漁業交渉の問題がありまして、昨年は東京で会談をやりました。そうして農林大臣は農林大臣で、それから水産庁長官もほとんどそちらの方に出席されて、そしてこの委員会には出席がなかった。それから第二十八通常国会においても、御承知のように赤城農林大臣はモスクワに行かれて、そして二十八国会の終末においでになっただけでありまして、そんなような関係で、農林水産委員会における審議は、責任者がいつもいないわけで、その中でもって審議を進めておると、こう言っても差しつかえないような状態が、今後これはずっと繰り返されるのじゃないかと思う。通常国会のたびに、ちょうど日ソの漁業交渉を中心にしての問題が起きてくる、日ソの漁業交渉を中心にしてやっておるのは、これは大企業でありまして、どちらかというと、大資本によるところの企業的な漁業、これが中心なんであります。それに血道をあげておやりになっておるために、農林水産関係全般の問題が大きな影響を受けておる、こういうのがこれが今までの姿でありますが、私は、今後の問題を考えあわせて、日ソ漁業交渉の担当の大臣をお作りになるか、あるいは別途な機構をこしらえるかしなければ、これはもう何ともいたしがたいのじゃないか。他に用件がある、こういうので常に御出席がない。こういうような形が出てこられると、これはやはり国会における審議を、私はまじめにやっておる姿ではないと思う。政府自身も私はそういうようなことをするのは、これは間違いじゃないか、こういうふうにも考える。そこで、率直に一つその点をお認めになるならば、大臣は、どういうふうな形でもって今後お臨みになるか、その点を一つ明らかに最初にしていただきたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/65
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066・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 今、東委員からの今までのいろいろな経緯について、詳しくお述べになったのでございますが、事情をお聞きしますと、まことに遺憾なことでございまして、われわれ農林当局といたしましても、まことに反省いたさなければならぬことだと思うのであります。しかしながら、どうも今御提唱になりました日ソ交渉関係の担当大臣の設定であるとか、あるいはまたこれに類するようなことは、また急速な取り運びもなかなかいたしかねると思いますが、水産業等の重要な問題につきましては、従前のいろいろな経緯がありますけれども、こちらといたしましても誠心誠意皆さんの御要請にこたえて、そうしてこの議場を通じて、そうしていろいろ御審議を尽していただくように、最善を尽したいと思いますから、その点、御了承賜わりたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/66
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067・東隆
○東隆君 その点は、私は誠意をもってお臨み下さればいいと思うのでありますが、今までの結果として、特に一つ申し上げますが、北海道周辺の例の機船底びき網の禁止区域の拡大の問題、これはもう戦後以来非常に大きな問題になってきている問題であります。そうして相当資源の枯渇もしている、こういうような情勢が出ているわけでありますが、これも実は担当の大臣がおいでになりませんので、そうして水産庁長官は、いろいろな関係でもって言を左右にされまして、そうしてついに第二十八国会中にはきめることができなかった、そうして今日に至っているわけでありますが、これは七月の中ごろまでにはきめるのだと、こういうようなお話も伺っているのでありますが、どうもなかなかその様子もないようでありますから、この際、一つ水産庁長官ここにおられますからお打ち合せの上、一つはっきりとお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/67
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068・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 率直に申し上げまして、北海道の機船底びきの整備問題のありますということは私も聞いておりますが、具体的なことにつきましては、まだ十分に勉強もしておりませんから、一応、従来の経緯等を、水産庁の長官から申し上げさせまして、そうしてだんだん取り進めをお願いしたいと、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/68
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069・奥原日出男
○政府委員(奥原日出男君) 北海道の底びきの禁止区域の拡大の問題に関しましては、昨年道議会で議決いたしました拡大案もわれわれは十分承知をいたしております。しかし問題は、底びきの行くべき漁場を見いだすということを一方においてやらなければならないのでございまして、そういう意味におきまして、目下北千島及び西カムチャッカの沖合の底びき漁場の試験操業を鋭意やっておる、そういう状況にあるのであります。しかし、そういう今の段階にございましても、現段階において当然禁止区域の拡大をはかることによりまして、底びきと沿岸との間の操業上の相剋摩擦というものを調整する必要は、それは確にあると存ずるのであります。この七、八月の禁漁期の間に、ぜひともそういう問題に関しまして調整をはかって参りたい、かように考えておるのでございます。従いまして、この間に解決いたしまするためには、少くとも七月に入りますれば道庁あるいは現地の沿岸漁業者及び底びき漁業者との間の会談を始める必要があるのではないかと、かように考えておるのでありまして、そういうような意味合いにおきまして、目下われわれの手元におきまして原案を鋭意研究を取り進めておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/69
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070・東隆
○東隆君 水産庁長官の今のお話は、この前から一歩も実は進んでおりませんで、非常に残念に思います。これは、底びき業者と沿岸の者と話し合いをしてきまる筋合いのものではない。底びき業者の方は、禁止区域の拡大に反対をされておるのだし、沿岸の者は拡大をせい、こういって要求しておるのですから、それを妥協点なんかを力の相違でもってきめられたりされると、これは非常に残念なことになろうと思います。そこで、これは水産庁自身が、断をもってこれに臨まなけりゃならぬ問題だ。しかも、今禁止区域の拡大を主張いたしております線は、これは戦前における線でありまして、決して無茶なものを要求しておるのではない。そういう点を、この際水産庁は十分に考えて、そして断を下さにゃならぬ問題は、一つ強力に水産庁長官をバック・アップしないと、今のようなお話は、また今後も再燃をされて参りまするから、その点を一つ強力に推し進めていただきたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/70
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071・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) これは、申すまでもございませんけれども、利害が非常に輻輳するし、場合によっては血の雨も流すというような重大な問題でもございます。しかし、両者間に妥協せいといってほうり出したのでは、これは話のできにくいこともよくわかります。しかし、双方の利害を十分に検討し、そしてその間にやはり中正妥当な案を出して、それに導かなければならぬことと思うのでございまして、その努力は懸命にしなければならぬと、こう考えます。従いまして、ある程度の双方の歩み寄りと申しますか、それらの線には対策も必要でございましょうし、今水産庁の長官も申し上げました通り、新漁場等を、求めて、その方面に救済する、同時に、その間に帰結点を求めたいと、こういうことでございますので、一つの合理的な、困難であってもとの程度ならばやむを得ないというふうな一つの線を打ち出しまして、そして関係者の協力のもとに、強力にこれを遂行し得るような段階に取り進めたいと思いまして、当局に対します鞭撻は、私も責任をもって進めたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/71
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072・東隆
○東隆君 その次は、根室、千島近海の安全操業の問題ですが、これが一つも目鼻がついておりません。そこで、どういうふうにお進めになるか、これを一つお話しを願いたい。それからあわせてもう一つは、オホーツク海のサケ、マスの漁業その他でございますが、北海道の漁民は、基地独航船によって操業をやらしてもらいたいという非常に強い要望をいたしておりましたが、これが例の日ソの漁業交渉の関係で、オホーツク海はシャット・アウトされた、そういう形になってしまったのです。しかも、調査を一つもしないで、そして、あそこから今後何カ年間かオホーツク海の沿岸の漁民が漁撈ができない、サケ、マスの漁撈ができない、こういう形になってしまっておるわけで、従って、これは非常に大きな問題でありますから、それに対するところの何らかの形によって、オホーツク海における基地独航をやる連中に仕事のできるような方法を考えるべきでないか、こういうことも考えられる。これがやはり沿岸を基地にしてやっておる漁業家の死活の問題になってくる。それで、政府がお考えになっておるのは、大資本家によるところの企業漁業、それの利益ばかりを考えた形でもってきまって参ったわけでありますから、沿岸の漁民にどういうことをおやりになるのか、その点を一つお聞きをしておきたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/72
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073・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 安全操業の問題でございますが、御承知の通り、安全操業につきましては、まず、歯舞、色丹のあの近接している所の零細漁民のために、とにかく領海がどうあろうと、そういうふうなことよりも、まず生業を安定する、生業ができるようにということから、ソ連側に安全操業に関する申し入れを当方からして、昨年八月、向うからも一つの申し入れが外務省を通じてあって、それはいろいろ相談しよう、こういうことになっておったそうでございますが、その後、これが停頓し、同時に、前大臣がおいでになった際にも、これの問題の帰結点が求められなかったのでございまして、その後の経緯等につきましては、なお私もつまびらかにいたしておりませんが、こちらとしましては、歯舞、色丹、あの近海の者にとりましては、生業上非常に重大な問題でございますから、この問題の促進を申し入れておるのでございますが、今日なお困難な事情にありますことを御了承願いたいと思います。
それからなお、オホーツク海の基地の漁業の問題でございますが、これは水産庁長官から説明をいたさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/73
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074・奥原日出男
○政府委員(奥原日出男君) オホーツク海におきましては、御承知のように海岸に建網を設けまして、それによってサケ、マスの漁獲の漁業をいたしておりまする関係から、あの海岸沖合いにおきまする船によりますサケ、マスの漁獲ということは、やっていなかった次第でございます。そこで、昨年から北海道を基地にする漁船の出漁によって、サケ、マスの漁獲をやりたい、こういう声が出て参っておったのでございますが、今年御承知のように、日ソ漁業交渉の舞台におきましてソ連側は非常に強くオホーツク海におきまするサケ、マスの漁業の停止を求めて参ったのでございます。そして日本側としては、いろいろ論議を重ねましたが、結局、御承知のごとく、今年は、一船団六千五百トンの公海におきます漁獲を認めまするが、明年以降はオホーツク減の公海におきますサケ、マスの漁業を停止する、こういうことに相なっておる次第でございます。従いまして、サケ、マスに関しましては、オホーツク海のいわゆる基地独航という要請については、残念ながら、ここ当分の間は、これを具体化する余地がない、こういう次第に相なっておるのでございます。しかし、われわれといたしましては、浅海増殖その他のいろいろな面におきまして、これらの漁業上後進地帯の振興ということについては、できる限りの手を加えて参りたい、かように考えておる次第であります。しかし、今年度水産庁に新しく計上いたしました沿岸漁業振興対策事業というものに関しましても、根室周辺等を一つの重点地域として考慮をいたして参りたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/74
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075・東隆
○東隆君 私は、風聞と申しますか、高碕さんがお帰りになって、そして赤城農林大臣が訓令を仰いで、そうしてオホーツク海の十一万トンがきまったようですが、その場合に、赤城農林大臣あるいは顧問団の間の話し合い等の中には、オホーツク海の締め出しというようなことについては断じてやらぬ。こういうような話が続いておった、こういうふうに聞いておったわけですが、これは風聞としておきますけれども、そういうような情勢であって、国に訓令を仰いだことによって、突如としてあの形がきまってきた、こういうふうに私どもは承知をしております。従って、大きな犠牲が、実はあのために、オホーツク海沿岸の漁民に、非常に大きな犠牲が負わされてきておるわけです。こういうふうに私は考えるわけです。従って、国は相当な考え方でもって、あのオホーツク海におけるところの漁業の振興のために、基地を中心にした、沿岸を中心にした漁民のために、何らかの手を打つべき筋合いのものがあるのじゃないか、こういうふうに考えますが、これはどうですか。私は風聞と言っておりますけれども、これは、あの間における交渉の経過等がむずかしいからそう申すのですけれども、私は、国が、あのオホーツク海の沿岸に住んでおる漁民に対して、大きく手を打たなければならぬ筋合いのものがあると、こういうふうに考えますが、どうですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/75
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076・奥原日出男
○政府委員(奥原日出男君) 交渉の経過に関しまするお話を申し上げれば非常に長くなりますので、かいつまんで一言だけ申し上げておきますれば、オホーツク海のサケ、マスの漁業の停止ということは、これはいかようなる表現を用うるにしろ、明年度以降絶対に避けることはできないという交渉の見通しの上に立ちまして、日本側といたしましては漁獲量の増額の要求を持ち出した次第でございます。その結果は、御承知のように十一万トンという数字が承認された次第であります。しかしながら、これはあくまでもオホーツク海の漁業停止と何らそこには交換条件に相なっておるものはないのでありまして、その点は、御了解いただきたいと存ずるのであります。
そこで、ただいまお話が出ました点に関しましては、いわゆる基地独航の問題は、これは現在オホーツクの漁民が行なっておるものを交渉の結果によってやめることになったのではないのでありまして、かねてからオホーツクの漁民が出たいというふうな希望を持っておりましたものが、母船を含めました公海における漁業の停止によって、その希望がかなえられなくなったということであるのであります。しかし、そうといたしましても、一方におきまして、われわれといたしましては、いわゆる安全操業の問題が解決しないということによって、根室周辺の漁民の窮迫しておる実情もございまするし、これらの地帯に関しましては、水産増殖、あるいは沿岸漁業振興対策、その他いろいろな面におきましてこれらの地帯が手厚く扱われねばならぬ立地にあるということについては、十分な認識をもって善処をいたして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/76
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077・東隆
○東隆君 今の問題は、オホーツク海の海域における漁掛はしないということに、これはきまってしまったのですから、いたしかたございませんが、その半面において、オホーツク海沿岸の漁民に、新しく何らかの権利を与えて、そうしてやる必要があるのではないですか。それをやらなければ、これはオホーツク海に臨んでおるがゆえに、非常に大きな損失をしておる。ところが、そのために利益をあげたのは、大きな企業家のみが利益をあげている。そういう問題があるのです。従って、沿岸漁民に対するものはもぎ取るだけであって、そうして何も与えない。そういうような形は、これは国としては非常に間違ったやり方ではないかと、こう考えるのですが、もし、今お話しになった通りだとしても、そういう根拠はあるのではないか、こういうことなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/77
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078・奥原日出男
○政府委員(奥原日出男君) 私は、今回の日ソ交渉の結果によって、オホーツクの漁民から積極的に何かもぎ取ったというふうには、われわれは考えておらないのであります。しかし、どちらにいたしましても、北海道の凶漁地帯の一つであることには、これは間違いないのでございまして、そういう意味におきまして、不振漁業地帯の対策をわれわれとして、目下、今年度の予算の配分におきましてもいろいろ考究し、取り進めておるのでございますが、その際におきましては、これらの地帯を相当重点的に考慮したい、こういう考えでございます。それ以上、私は特にこの際、もぎ取ったもののみの見合いにおいて、積極的な何らかの権利を与えるというような考え方は、私はどうもとりかねる、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/78
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079・東隆
○東隆君 その問題はその程度にしまして、その次は金融関係の問題、農村金融関係の問題ですが、これは大臣十分承知のように、相当混乱をしておるわけであります。農林中金のあり方にしても、それから農林中金の基礎法である法律も非常に古い法律で、条文をごらんになれば、農商務大臣が出てきたり、いろいろな問題がある。相当これは直さなければならないような筋合いのものがあろうと思います。それから第二十八国会における農林漁業金融公庫の改正のやり方等を考えてみましても、もっと手を打つべき筋合いのものがあったろうと思います。それで、端的に私はお伺いしますが、第二十八国会において結晶ブドウ糖に対する工場に、農林漁業金融公庫から金融をすることができるように、法律の改正をいたしたのであります。私はやはり協同組合系統でもって結晶ブドウ糖の製造をやるのがこれは順当なものだ、こういう考え方のもとに、あの法律の改正に対してあまり賛成ができなかった。そこで、現在においても、私はやはり結晶ブドウ糖に対する価格の安定ということを政府がお考えになり、措置を講ずれば、協同組合系統でもって結晶ブドウ糖の製造ができる、こういうふうに考えておるわけであります。で、大臣は、依然としてやはりあめ屋さんであるとか、その他の人たちが設備をやめて、そうして新たに結晶ブドウ糖の製造をやる、こういうようなものに対して、やはり農林漁業金融公庫から融資をするのがいい、こういうふうにお考えですか。それとも甘澱、あるいは馬澱を生産して、それを取り扱っておるところの協同組合系統でもって結晶ブドう糖の工場を持つのがいいか、どっちか、どういうようなお考えか、その点を一つお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/79
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080・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 澱粉対策としての結晶ブドウ糖の問題は、非常に重大なる問題だと考えております。これをまた政府部内としましては、奨励して、その工業に移すという態度にはまだ参っておりません。しかしながら、この問題は、協同組合にいたせ、あるいは協同組合系統の会社企業体にいたせ、もしもほんとうにこれが経営的にも技術的にも成立し得るとかりに仮定いたしまして、それが協同組合すなわち関係者の利益を増進する、こういうことでございまするならば、まず私は協同組合を育成して参るのが本筋ではないかと、まあこう考えております。そのときには、系統機関を動員しまして、そちらの方に金融の便を開き、かつ拡大するという方向でなければならぬと思いますが、前提としての、結晶ブドウ糖をどうするかという基本的なものをまだきめかねておりますので、その制約がありますことを前提として今お答えを申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/80
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081・東隆
○東隆君 結晶ブドウ糖の工場のもくろみその他は進んでおるのではないですか、現在。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/81
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082・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/82
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083・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/83
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084・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) ただいま結晶ブドウ糖の問題でございますが、私も詳しい事情は存じないために失礼いたしました。現在規模をいかなるものにするか、主体をどうとるかについて、食糧庁を中心にして検討中なそうでありまして、その大体の検討を終りますれば、協同組合であろうと、あるいは協同組合を中核といたしました主体であろうと、その適宜な結論を得ますならば、その方向に進めていきたい。その場合には、仰せの通り、公庫等の融資を回すという方針のもとに検討を進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/84
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085・東隆
○東隆君 これは今の問題は、実のところ申すと、農林省の方は相当積極的に農業協同組合の方に働きかけなければ、今のままですと、産業資本家によるところの結晶ブドウ糖の工場ができる。これは必至であろうと思う。従って、考え方を相当新たにせねばならぬと思うのですが、農林大臣は、農協を中心にしておやりになるという考え方があるならば、今のような話では、これは問題でないのでありまして、やはり積極的に働きかけて、そしてやらんければ、今の態勢のもとにおいては非常に弱腰ですし、私はできぬと思う。それはずっと以前の、まだ農林大臣が農林省におられた時分に、小麦生産拡充五カ年計画があった。その当時結局全販連は小麦を集めるだけの機関で、そして製粉業者にそれを納めるのが仕事なんです。しかし、ああいうふうな時代に、全販連が関東の一部くらいに製粉工場を持っておったとしたならば、私は非常に大きな働きを戦後においてもしたであろうと、こう考えております。協同組合を単に集荷機関の系統機関みたいな形に仕上げていくのは、私は非常に残念なことだと思います。もし精製をすることができるとするならば、末端のところまで、末端の商品としてまで精製をし得る体制を、農民の系統団体でもってやり得る、それを考えないで、ただ単に集荷機関に協同組合を終らせてしまうというようなことは、大きな間違いだろうと思う。そういう点で、これは非常に国策と関連をする問題であろうと思います。それから海外から輸入する砂糖とこれは見合わさなければならぬ問題であります。国が大きく手を打てば、十分に成り立っていくべき筋合いの産業であろうと思う。それを農業協同組合の系統でやっていくということは、これは農民の力を強くすることにもなるし、私は、当然農林省がそういうような態度をとるべきである、こういう考え方に立っておりますので、その点を一つ十分にお考えを願いたいと思います。
その次に、私は酪農振興を中心にしてお聞きをいたしたいのでありますが、時間がございませんから、一点お聞きをしますが、それは、会社が値下げを通告をすると、こういうような問題がひんぴんと起きておるわけであります。私はこれを金融の面で政府がなし得るじゃないかと、こういう点を一つ今、前の問題に関連をして申し上げるのですが、それは、農林漁業金融公庫から長期の低利の資金を酪農の乳業会社に融資をすると、こういう問題なんであります。これは農林省が各地に集約酪農地帯を建設をしておるわけで、それらの所には、基幹工場——中心になる工場を設定をしなければならぬ条件がついておる。そこでは牛を飼っておる農家が、少くても百五十石ですか、ぐらい処理できるような工場、こういうようなことになって、そのための設備を作るこういうことになっております。で、私はこの建設資金が非常に問題になろうと思っております。フルに動かすことのできない工場をこしらえて、そうしてしかもそれが、営利を目的にする会社がそれをやらなければならぬ、こういうようなことになるのでありますから、そのしわ寄せはどこにいくかというと、やはり酪農家にいってしまう。そこで、そういうような設備資金に関しては、これは国が農林漁業金融公庫から出すのが当然じゃないか、こういう考え方を持つわけであります。これによって少しでも経営を楽にして、コストを下げて、そうして原料乳価を下げるということをさせないような方途を講じなければならぬ。ところが、農林漁業金融公庫の融資のやり方は、これは農漁民に対して融資をする、あるいは農漁民の団体に対して融資をする、こういうようなことになっているために、酪農会社に対しては、北海道のクロバーだけにしかいっておらない、その他のものにはいっておらないのであります。五大乳業会社のうち、明治、森永、これはもちろん産業資本によってできておりますから別といたしまして、協同乳業とか、あるいは雪印乳業とか、こういうようなものの成立の過程その他を考えますと、農民の資本によってできていることは、これは明らかであります。そういうようなものに対して、法律を改正する必要はないかと思うのでありますが、農林省は、それらのものに対して融資をすることによって、酪農振興のために作った各地の集約酪農地帯等における設備、そういうようなものの負担を軽減をし、そうしてできるだけ原料乳価を下げさせないような態勢を急速にとるべきじゃないか、しかも、もし高利のものを使っておるというような場合には、肩がわりをする、こういうようなこともやるべきじゃないか、こう考えますが、その点はどういうふうに……、これは前の国会においてだいぶ話し合いを進めて、農林省の方でお考えになると、こういうことになっておったのでありますが、これについて、一つはっきりお答えを願えれば幸いと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/85
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086・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 御承知の通り公庫からの融資は、まず協同組合の共同施設に集中的にやる、しかも、その共同施設のうち、集乳の施設あるいは処理する施設等がおもなものになっておると思うのでございますが、さらに、今のお話を拡充して考えますと、いわゆる乳業の合理化のために相当の政府資金を注入して、そうしてその合理化をはかって、その面でその経営の弾力を出して、それが乳価に対する一つの値下げ等の要因をなさぬようにしたらどうか、こういうお説でございますが、前段の、従来取り来たっております協同組合を対象にすることも、御承知の通りこれは農民団体の共同施設によって乳価の原価を切り下げていく、生産性を向上するという面に立っているわけでございます。
それからまた、その農民の団体を組織分子としておる雪印だとかクロバーであるとかいうものに対しても、農林中央金庫等の融資が相当に入っていることも御承知の通りであります。さらに一段進めて、その大メーカー等に対しまするこれらの施設にするかどうかは、農林漁業金融公庫をもってするか、他の企業の合理化という面で考えるかは別としまして、考え方としては、まことにお説ごもっともでございますが、現在の公庫の原資等も、各方面の要望がありまするために、これをにわかにさくということも、なかなか容易ならざることだと思うのです。従いまして、これらにつきましても、酪農関係でもすでに二十数億の金も出ておる、こういうことでございますが、協同組合の施設を拡充するということ、同時に、協同組合の方がむしろ母体になっておるものに対して合理化を促進するということにまず力点を置き、そうして逐次その方策を進めるということにつきましては、われわれとしましても努力いたしたいと考えます。ただ、五大メーカーにまでこれを及ぼし得るかどうかは、もう少し検討をしなければならぬと思いますが、ただ基本的には、生産者の団体の生産の過程におきまして、さらにまたそれを処理する過程におきましても、生産費身切り落す、そうして直接乳価を下げないような方向に持っていきたいということにつきましては同感でございまして、なおその面につきまして検討を怠らず、その十全を期して参りたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/86
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087・東隆
○東隆君 今、大臣のお話の中の五大メーカーに、全部、農林漁業金融公庫から出せと言うのではなくて、今クロバー印が出ております、それから雪、協同酪農会社、この二つは、成立の過程その他から見て、農業資本を中心にしてでき上っておるところのものであるから、そこで、これに対しては九〇%農民資本だ、こういうようなむずかしいことを言わないで、その成立の過程その他を考えて融資をされてもいいのではないか、こういう考え方がある、で、明治、森永のような場合には、これは産業資本であることが明らかでありますから、従って、それらは別な商工金融公庫その他から出るようにごあっせんを願えばいいのじゃないか、こういう考え方なんです。それで、五大メーカー全部にとこう言うわけじゃありません。従って、私の今申した点については、経済局長その他は、十分に考えてみましょうと、この程度の返事をされておったわけであります。しかし、やはり責任者である大臣がおられませんから、そういう答弁があったわけでありますが、今、大臣が見えておりますから、はっきりお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/87
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088・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 雪印と協同をあげてございますが、これをいかにして合理化を期待し得るかという方策を考えなければなりませんから、それとあわせて前進するように私も考えてみたい、こう思います。酪農問題の解決のために重要なことでございますから、なお実施するような意味で、検討を重ねていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/88
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089・東隆
○東隆君 酪農振興の関係で、大カン練乳の砂糖の免税、戻税、あれをもう一度お始めになる考え方はございませんか。これは、実は昔、大蔵省と、農林省の方の事務当局において話し合いか何かが行われておって、そうして暫定期間にある程度いろいろなことをするから、それでこれの戻税、免税をする、こういうお話になっておったのが、期限が到来をして中止になった、そうして問題が大きくなって、二カ月延びて、その間に酪農振興のいろいろな計画を立てられた、こんなようなことが昨年続けられたわけであります。で、その結果、酪農振興基金法であるとか、あるいは学校給食であるとか、そういうような問題ができ上って参りました。しかし、そういうものができたにかかわらず、乳価の値下げ等は、夏の最盛期を控えて、やはり大きくなっておる。私は、やはり消費の面に非常に大きく伸ばしていかなければ、これは解決がつかぬと思うのです。大カン練乳は、これはお菓子の方にどんどん使われるあれですが、こいつでもってうまいお菓子をたくさんこしらえて、こいつを使わせる。それから半面、学校給食等においてもなま乳を飲ますとかあるいは場合によってはその大カン練乳の砂糖の入っているものをある程度配給して、うまい味のついたものを学校給食に使うとか、そういうような面もあろうと思うのです。そしてまたバターなんかも、実のところをいうと、どんどんお菓子の方に使えば、マーガリンを使ったのとバターを使ったお菓子とは数段違うのです。従って、国民がバターを使ったお菓子をたくさん食べるようになれば、これは相当に伸びができてくるわけです。半面に、脱脂乳はこれは相当パンなんかに、だんごのようなものに使って、りっぱなパンになる。そんなようなことになって、これは非常にそっちの面でもって広げていかなければならぬ。従って、大カン練乳の砂糖の免税ということは、これは今のようなこの乳価の危機に到来をしておるときに、これを復活させることによって非常に消費の面に明るい面が出てくると思うのです。従って、これは単に昔のその時代を追想するというようなそんな問題じゃなくて、この際、農林省は真剣にこれを考えて、そして、大蔵省と取っ組んで、一つもう一度復活をすべきではないか、こういうふうに考えます。その点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/89
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090・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 先般来当局からも御説明を申し上げておると思いますが、この消費の拡大の面につきましては、集団の消費を増進し、あるいは現在やっております学校給食等を拡大するというように、いろいろの苦心をして進めておるわけでございます。しかしながら、今の大カン練乳の戻し税、戻税でございますが、これは従来までのいきさつとそれから事務当局間のいろんな経過をもちまして、すこぶる至難な状況にはなっておると私は聞いております。しかしながら、酪農の問題というのは非常に重要でございますし、あるいは助成その他の施設を講じましても、国庫で相当に負担をしなければならぬことも考えられます。従いまして、免税をしてこの業界を生かすかあるいは助成等の道を講じてやるか、おのおの最善の道を選ばなければなりません。事務的には非常に困難だとされておりますが、新しくこれを検討しまして、そして私は今お説の通りななにで取り組むような方に進みたいと、こう考えております。直ちに実現するかどうかは、今後の問題でございますが、努力をいたしたいとこう考えております。(「時間、々々」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/90
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091・東隆
○東隆君 一つお急ぎになってやっていただきたいと思うのです。そこで、今の大カン練乳の問題で海外から乳製品を輸入をされておるのですが、これを何とかしてとめる方法はないのですか。何かむずかしい条約でも何でもそんなようなものが存在しておるのですか。これを何とか一つ海外から入ってくる乳製品をとめる必要があるのじゃないか。
それから食肉、これは二万五千トンのものがだいぶ減ったようでありまして、五千トンぐらいに減って、そうして、割当制にされるようでありますが、しかし、これも相当問題があるわけで、これも一つ酪農振興の上から、やはりとめてしまう方法がないか、というのは、牡犢の屠畜の数が非常に減ってきており。それで、あれが一つの大きな影響じゃないか、それで国内でもって生産された肉資源が、私は相当輸入のためにじゃまをされておると思うのですが、この際、ああいうようなものを相当農林省は強く通産省の方に申し入れをするとか、あるいは輸入するときには農林省と十分に話し合いをした上で輸入する。こういうようなこともしなければならぬ筋のものじゃないかと思うのです。酪農振興をやって、そうして、乳製品を盛んにするとか言いながら、乳製品あるいは肉の輸入をしておる。こういうようなことは、はなはだ遺憾な点でありますが、その点を一つ解明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/91
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092・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 乳製品でございますと、学童に給食するための脱脂粉乳をもらっておるわけでございますが、これはなるべく学校給食の方は国内産をもってだんだん拡充しで参って、そうして、これを入れなくてもいいようにしたいという考えでございますが、食肉その他の輸入関係につきましては、一応情勢等を政府委員から説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/92
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093・谷垣專一
○説明員(谷垣專一君) 食肉の輸入問題は、当委員会からも御意見がありまして、現在割当制に移行いたしております。ただいま現在の国内の市況その他を勘案いたしまして、慎重にこれを運んでいきたい、現在まだ輸入は実施されていない、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/93
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094・大河原一次
○大河原一次君 時間がないようでありますから、簡単にお聞き申し上げますが、先般、大臣がなされました所信表明の中に、日本の農林水産業が、わが国国民経済の中において安定的成長の基盤としてきわめて重要なる要素があって、その果すべき役割はきわめて重大であると言われておりますが、この安定成長の基盤ということについて、具体的にはどういうものであるか、一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/94
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095・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 私は、日本農業の実態は、食糧面におきましても、これは何といたしましても基幹的なプロポーションから申しましても重大な意義を持っておる。まだ不幸にして自給自足の域には達しませんけれども、ほとんどその大部分を国内でもってこれを生産する。こういうことでございまして、この消長は、やがて国民経済に非常な大きな影響を及ぼしますことは当然であります。これはまた、ただ単に穀菽類ばかりでなくて、水産にいたしましてもあるいは畜産にいたしましても、もとより当然でございまして、これらの意味をもちまして、国民の食糧の問題あるいは国民経済を運営する上においても、重要な要素を含んでおりますから、そういう意味でこれは安定したものに持っていかなければならない。そうして、どこまでも最善を尽して、そうして生産の拡充と、そうして国民経済に見合った判断を期待しなければならぬ。こういう趣旨で申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/95
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096・大河原一次
○大河原一次君 私の考えておりましたこの安定的成長の基盤という考え方は、私はそういうふうに解釈していなかった。残念ながら。ということは昨年でありますか農林白書が出されましたけれども、その農林白書の中には、今日当面している日本の農業というもの、農政全体をあるいは考えたときに、きわめてこれは今後の問題として重大な問題である。特にその中にはいわゆる都市工業の所得というものと農村の所得というものが、一年ごとに懸隔を大きくしておる。日本経済の全体としては確かに相当な伸びを持っておりますが、その伸びを促進しておるものは、実際いえば工業の面である。従ってむしろ今日の置かれた農村というものは、工業の一方的な発展のいわばしわ寄せがされておるという、しかもこの所得におけるアンバランス、日本経済における不均衡というものがますます大きくなることによって、これは重大な問題になる。不均衡を是正しなければならぬだろうということがいわれておりますが、こういうことを考えましたとき、今大臣のおっしゃいました所信声明の中に言われておる、いわゆる日本の農業というものは、国民経済の中における安定的成長の基盤ということである以上、この不均衡を是正することによって、すなわち農業所得をもっと増大しなければならない。もちろんそのためには農業生産力を充実しなければならないということになるでありましょうが、ここに基本的な目標を置いて、今大きく取り上げられておる不均衡の是正ということはここから始まらなきゃならぬだろうと考えておる。従ってそういう意味においての安定的成長というものは、そういう意味の農家の安定的成長というふうに私は解釈しておったのでありますが、今の大臣の言葉では、農政の中心課題はただ単に食糧増産であるから、従って食糧増産することが全体としての農家経営の発展であり、日本経済の発展であるというふうに端的に表明されたけれども、私の考えた安定的成長の基盤というものは、大臣の答弁としては非常に私は期待しておったのと違ったのでありますが、そういう点はどうでありますかお聞きいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/96
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097・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 私は、ただいまの大河原さんのお述べになりました要素は、過分にありますことは認めます。従いまして日本の農業を伸展させる意味におきまして、ただ単に国民経済という観点ばかりではなく、それがやはりそれを支えておる農家、農山漁村の経済そのものが順調な足どりを持ってバランスのとれたものに成長しなければならない、ということが施策の要点でありますから、もとよりこのことにつきましても十分な配慮をしなければならぬということにつきましては同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/97
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098・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) ちょっと速記やめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/98
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099・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 速記始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/99
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100・清澤俊英
○清澤俊英君 ちょうど都合のいい時間が見つかりましたから渡部さんにお聞きしますが、類似市場という問題は、われわれが中央市場の問題が出るたびに視察に参ります。中央市場の存続と類似市場の問題というのは常に問題になっておる。これを何とかして規制して、一区内の類似市場というものは入ってもらいたい、こういうような空気がありますが、ところがなかなか古い歴史を持った類似市場というものの整理というものは、私は非常に困難だと思うのです。ところがたまたま最近東京におきまして江東市場の配給所を葛飾に作る、その場合に非常な不合理な類似市場ができるというので、先般私と東君と北村君と三人して見に行ってはどうかという勧告を受けまして見に行ってきました。その様相というのは、ここに都が数千万円の補助金を出して、そして江東配給所を作って、そのすぐわきに敷地を買収して類似施設を作ろうという、こういうことが実現したら中央市場というものは全然なくなるのではないかと思われる、これはできないうちに何とか処置する方法はないですか。法律上処置がないからできているんでしょう。これは実際重大問題ではないかと思う。そういうものがどんどんできてきたら中央市場なんて要らなくなる。どうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/100
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101・渡部伍良
○説明員(渡部伍良君) 類似市場の問題は、この前の中央卸売市場の改善のときもいろいろ問題にしていただいたのですが、そのときに中央卸売市場の施設が、その消費地の需要を満足するだけの設備がある、すなわち荷を引いて消費者に分散するだけの施設があれば強力に類似市場を押える、つまり類似市場の存在価値を認めないで済むけれども、現在の既存の都市の中央卸売市場は人口の異常な発展に伴って施設の完備ができていない、人口の異常な発展に伴い、それに相応する施設の整備ができていないから、類似市場を法律をもって制限することは適当でないというので、法律上類似市場を届出制にしている、こういうことでございます。これは中央卸売市場法の根本的な改正に伴いまして、どうしてもその問題をある程度法的に規制することを考えなければならないと思っておりますが、ただいまお話の点は当面の問題でありまして、たとえば大阪の、これは先生と一緒にお供してみたときに、木津川の類似市場なんかも、これは性質が違う複雑なところで、市当局と統制前後の卸売人等との関係がございまして簡単ではございませんが、今御指摘のようなのは、東京都が本来の分場の整備を怠っておるから、それを待ち切れないで何といいますかある一部の有力者が都の政策を無視するような施設を作っている、こういうことでございます。
この点は、私どもは今のとろ法律的に有権的に押えるとかということはできないけれども、当然もしそういうことができるようになるならば、分場の配給所を整備する、規制のない類似市場を認めるということはおかしい、こういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/101
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102・清澤俊英
○清澤俊英君 私は先ほどから言います通り、既設の市場であるとかあるいはその他でも、市場に非常に遠い場所で集荷その他の便宜等で類似市場が自然にできた、こういうもので長い歴史を持ってできているものは、これはすぐ整理するのには骨が折れるでしょうけれども、今たまたま私の言うのは江東市場の配給所を葛飾に作る、これは敷地を買ってこういう建物を今作っている。おそらく二、三千万円や……一億か二億もかかっているだろうと思う、もっとかかっているかもしれない。そういうものを作っている。そのわきにすぐ類似市場の敷地というものを約三百坪くらいのものを求めて作ってある。こんなものは実際いけないというなら、この国会中くらいに何かそごを修正して、すぐ押えるくらいの措置が当然必要ではないかと思うのです。そういうばかげたことをやったら中央市場なんというものは成り立たないのではないか。勝手気ままなことをやって、あるいは権利でも売ってもうけようというようなやくざが幾ら出てくるか、何が出てくるかわからない。しかもその敷地を買っている人間がだれかというと、実際卸売人として他の市場を経営している人間がこういうことをやっている。他の東京の中央市場のどこかの分場を経営している卸売人が資本を出して、そして類似市場を作るというような全く常識をもって判断できないものがある。そこに現存しているのをぼくは見てきた。こういうものに対して、もうこの国会ででもお耳に入っていなかったものなら仕方がないが、監督の責任者の渡部さんが行なって、なぜこの特別国会にそれの法的措置をとって、ちゃんと押えるだけのことをしなしのか、一つ徹底的に究明していただかなければ問題にならぬと思う。どうしてしなかったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/102
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103・渡部伍良
○説明員(渡部伍良君) 御指摘の点は私どもその通りに思います。これは東京都はほかのところと違ってちょっと複雑でありまして、何といいますか分場がたくさんある。その間に分場ごとの卸売人、分場ごとの仲買人、そのような関係が統制会社をばらすときに、いろいろな勢力をミックスしてばらしているから非常に複雑になっておるのであります。従いまして、私の方では、そういう経過がありますから、一刀両断には解決できませんけれども、本筋を通すように東京都等に十分指導していきたいと思います。
ただいま御指摘の他の分場の卸売人が、東京都がせっかく分場を整備しているのに、そのそばに類似市場をこしらえて押えようとしているということは、これは聞きのがせないことであります。その事実につきましては、私もよく調べまして措置いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/103
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104・北村暢
○北村暢君 今の問題に関連しまして、今の類似市場は届出制だからこれを禁止する規定というのは法律的にはないと思うのですが、それはその通りですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/104
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105・渡部伍良
○説明員(渡部伍良君) その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/105
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106・北村暢
○北村暢君 そうしますと、類似市場が中央卸売市場の非常に近い場所で開設されて、それが業務上あるいは市場そのものの目的の面において、非常に思わしくない形が現在起きている。これは現在あるものについてはなかなか簡単にできないとしても、江東の場合は今建設しているのですから、まだできていないのですよ、そのできていないところにもう敷地を買って整地をやっているわけです。これが類似市場であるということははっきりしている。こういうのはまだできないのですから行政指導をして、そういう混乱を起すであろうと思われる類似市場について、行政指導としてこれを差しとめる方法はないのかどうか。これはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/106
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107・渡部伍良
○説明員(渡部伍良君) 今御指摘の具体的な例のようなものは、私どもの方でも適当でないと思います。ですからこれは行政指導をもう少し徹底をして、善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/107
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108・北村暢
○北村暢君 その善処ですが、今言ったように実はそういう地積があるとできてしまうから、実際は地積の全部を中央卸売市場として買いたいのだけれども、予算の関係で全部買えない。それで荒地なんですが隣りが残っている、大部分の荒地は買っているわけなんです、それで予算がないために全部買うことができなかった。それであの千葉街道に面する非常に交通の便利なところに、類似市場の敷地がもう整地されているのです。それでこれは土地が向うの手に入っているわけです。これは今とめるとしてもやはり非常にめんどうな問題が起ると思うのです。ですから、まだ土地のままで建物が建っていないのですから、早く手を打てば、その行政指導で何とかなるのではないかと思うのですが、これはしかも投資者がほかの中央卸売市場の関係者が金を出しているというので、私ども聞いてびっくりしたのだが、そういうばかげたことがある。中央卸売市場は類似市場ができては困るから、これを何とかしてくれと言っているのが声でしょう。それなのにかかわらず中央卸売市場の関係者が行って類似市場をやるということは、これは何としても私どもには理解もできないし、そういう面から言えば農林省の監督の指導行政としてこれを差しとめるということは、不可能じゃないのではないかというような感じもするので、これは緊急に調査をしてやっていただきたい。それからこの大阪のような場合と違いまして、もう中央卸売市場が少いために、地域的にいっても何からいっても、類似市場でも中央卸売市場はぜひ必要だというところから出てきているものではない、もうはっきりしいる。そういう点から言えばあれは早く手を打つ必要がある、こういうふうに思うのです。善処していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/108
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109・渡部伍良
○説明員(渡部伍良君) 御指摘の通りでありまして、私非常に詳しい事情をまだ調べておりませんから。よく調べまして、今の写真で見ると、ちょっと私も非常におかしいと思いますから、東京都を呼びまして善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/109
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110・北村暢
○北村暢君 それは今実際に起っている事象の問題ですがそれからやはり根本的な問題としては、類似市場の問題そのものを今後一体どうするかという問題、これはやはり法的に相当規制をしなければならない。こういうふうに思うのですが、今の答弁では届出制のものを許可制とか何とかという形でやっていかなければ、これは中央卸売市場の、衛生の設備から整理の仕切りの問題、こういうような問題からいたしましても、実際に類似市場そのものの内容をしっかり分析してみますと、やはりこれはもう一つの寄生虫的存在であって、非常に思わしくない形ができているというふうに聞いておるわけであります。絶対にまああれでつぶれないが、しかしこの類似市場を認めておくということは、中央卸売市場ですらなかなか経営がそううまくいかないのに、類似市場でやっていくという形は、必ず農民に対して何といいますか非常な損害を与えていく。それはもう類似市場の者は、数軒ないしは十五、六軒持っていれば、とにかくどこかを食いつぶしていけば一生食いつぶせる、こう言っている。そういうような状況ですから、その食いつぶされるところは次から次と、一緒のところはもちろんやれないわけです、必ず食いつぶしていくということをやっている。そういう農民の犠牲の上において、この類似市場というものが成り立っておる。これはもうはっきりしているようです。ですからそういう点から言えば、もうこの類似市場というものに対しては簡単なことでは私はやっぱりいかないのじゃないか、相当なやはり規制を加える必要がある。これは生産農民からいっても許しがたいものである。こういうふうに考えておるのです。そういうような点については、まあ憲法からいう営業の自由という問題からいけば、なかなかむずかしい問題ではあるのですが、しかしむずかしいからといって、これは放っておけない、いわば一つの社会悪を公然と認めているような形であるというふうに感ずるのです。ですからこれに対する根本的な法改正まで持っていかなければならない。こういうふうに感じておるのですが、ご見解を一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/110
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111・渡部伍良
○説明員(渡部伍良君) 類似市場の形態は相当複雑であります。これはいわゆる軟弱蔬菜で、中央卸売市場まで持っていってそこでせりにかけるのには都合が悪い、こういう品物の性質からくるものが一つあります。それから一つは、近郊の小規模生産者がこれを一々一かご二かご中央卸売市場に、あるいは配給所でありましてもそこまで持っていくのはめんどうだ、そういうところから類似市場ができてきておるのが、まあこれを処置するのがむずかしいという大きな理由と私は考えております。従いまして、その問題をどういうふうに解決するか、都市近郊の共販組織の強化については非常に議論があります。そんなのをなぜ縛らないか、こういうものもあります。しかし一方からいいますと、ある場合には類似市場でもうけさせてもらうけれども、先ほど御指摘がありますように、どかつと取り返されるケースが相当あるわけでありますから、どうしても放置することはできないのでありまして、これは私どもの方でも何といいますか、もっとこまかい調査をやっております。
それからこの類似市場については、既存の卸売市場があるが、——中央卸売市場がまだできていないこれから作ろうとする場合に、既存の野市に似たのがありますが、それをどういうふうに中央卸売市場と調整をとっていくか、こういう問題もあわせて解決せねばいかぬ問題であると思います。そこらの点を十分勘案しまして善処したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/111
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112・北村暢
○北村暢君 共販体制の確立といいますけれども、今の東京都の場合、中央卸売市場に入ってくるもののうち、近郊農家が直接持ってくるものが半分を占めていると、こういっているのですね。それでこの青果にしても遠距離からくるものは、共同出荷その他の点について相当のこともできるのだけれども、近郊からオート三輪で農家がじきじき持ってくるというやつは、共同出荷だの何だのという形はなかなか言うべくしてできない、そういうのが実態なんです。それを無視して市場というものは成り立たない、こういっておるわけです。そういう点から見ますと、その共同出荷で農民がもっと結束して共販体制を確立してやれば、包装その他統制して、統制というより自主的に商品価値をつけて、そうしてやっていくことが望ましいことなんでありますけれども、実際には出ている近郊の野菜等においては、包装その他も全然やらないで持ってきておるものが半分以上はあるわけです。そういう中で、やはりそういう面にだけたよれない形というものは私は確かにあると思う。
それからもう一っは類似市場の地域的な問題ですが、中央卸売市場から何キロ以内ではちょつと困るとか、それから全然、中央卸売市場から相当距離が離れているところ、こういうようなところに類似市場ができるならまだわからないわけじゃないのだが、中央卸売市場のすぐ隣にできるというのは、もう荷のさばきにおいて、道路の使用から、地域的にいって混乱そのものですよ。どうにもこうにもならないという実態です。ああいうものをわざわざやらさして、何とも監督の言い分がないというのは、どつかやはり法に欠点がある。しかもとにかくその類似市場が成り立っためには、中央卸売市場よりも高く仕切りするものが確かにあるからそっちへいくのであって、先ほど局長の言われたように、品物にもよって非常に半端なものとかいうようなものも、もちろんあります。しかしながらその類似市場がやはり中央卸売市場の建値というものをくずしているということは、はっきり言えるのですよ。でありますからそういう点からいくというと、これはやはり正常な形における中央卸売市場の運営というものについて、非常な害をしているということは言い得るのです。ですからそういう点からいえばやはり何らかの規制を加えない限り、正常な中央卸売市場の運営だけを幾ら監督しても監督し切れない。中央卸売市場の方は監督権限に基いて監督はしますけれども、そのすぐ隣に野放図に何ら手のつけられないものがあるということは、同じ形態のものがあるのですから、それはもう行政の混乱だしおかしなことです。ですから一方は非常に中央卸売市場ということでいろいろな規制を加えられる、一方は野放図で何ら規制を加えられない、こういうものが並んであるということについてはどうしても理解ができない。中央卸売市場に対してあれだけの強い規制を加えるとするならば、類似市場に対してもやはり相当な地域的な制限をするとか許可制にするとかしてやらない限り、あまりに差があり過ぎる。中央卸売市場に対する規制と類似市場を野放図にほっておくのとではあまりに差があり過ぎる。そこでやはり問題が起る、こういうふうに感じておるわけです。ですからこれは根本的に将来法の改正にまで持っていかなけりゃならない問題だと思いますが、そういう感じを非常に深くしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/112
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113・渡部伍良
○説明員(渡部伍良君) お話の通りでございます。特に東京都につきましてはそれが非常にはっきり出ているのであります。この法律が通ってから新しく開設せられました博多と小倉を見て参りました。これなんかは、せり場の建物と荷場の建物の間が、とにかく五十間幅でトラックがゆうゆう通れるくらいの施設を作っているわけでございます。そうしますと軟弱蔬菜が入ってきましても軟弱蔬菜の分は分けてそこでやる。この軟弱蔬菜にしても中央卸売市場が扱う場合は扱いやすいわけです。それが狭いとごっちゃになって収拾がつかなくなる。そうするとめんどうになって、近郊の農家はやかましい卸売市場よりも近くの類似市場へいくわけです。どうしても施設の整備が根本になると思いますが、大阪では軟弱蔬菜の売り場を拡張をしまして隣接のところに建物を作っておりましたが、それができましてやっております。それによってまただいぶ変ってきております。東京では現在どの市場も中央の昔からあるやつは狭隘をきわめているわけです。神田にしても築地にしても、築地の周囲ですら類似市場ができているわけです。しかしどうしても根本は施設を完備して、荷さばきができるという施設を整備しなきゃいかぬ。それまでは、類似はいかぬ、それじゃどこへ持っていくのだと、こう言われたときに私ども困るわけです。何といいますか切歯扼腕をしておりますけれども、届出をとりまして行き過ぎを行政指導でやっていく、こういう程度でございます。しかしこれでは根本的な改革にならないのは御指摘の通りでありまして、そういう点は御協力とか御指導を得まして、できるだけすみやかな機会に……、まあ個人的にいいますとなぜ早く許可制にしないかとはいっておりますけれども、そういう矛盾がありますから、御鞭撻をいただきましてできるだけ早い期間にそれを達成したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/113
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114・島村軍次
○島村軍次君 関連して。結局今の問題は各地で起る問題なんで、きめ手がないわけですね、類似市場に対する。いま許可制というお話がありましたが、結局調査々たに日をかりても困るし、地方の事情によってだいぶ違うのだろうと思うのです。そこでまあ市場法を改正し、卸売人については農林大臣の監督権をもってきた。しかしわれわれに言わせれば、これはやはり地方長官にある程度までそういう問題の行政指導の一つワクを作って、同時に地方長官に権限をある程度まで与える。このワク内においてやらせるというようなことを早急にやはり段階的にやられねば、今の情勢では困る困るでいっておったのでは、結局設備の改善もおくれてしまうし、各地に私は例があろうと思うので、お聞きになっていると思うのですが、姫路の例からいえば、これは中央卸売市場を作ったが、類似市場のためになかなか中央卸売市場へ品物が寄らなんだ例があるのです。近ごろは少しは寄るらしいですけれども、これは時期を待つといえばそれまでのものですけれども、少し強力な手を打たれる、きめ手を早く作らなければいかぬのじゃないか。これは希望申し上げておきます。
それからついでに、振興局長が見えておりますから、ちょっと関連ではないのですが一つ。それは例の畜産振興に伴うテンサイの問題ですが、九州及び中国の四、五県の経済部長というか、農林部長が集まっていろいろな決議をして強力にやらしてもらいたい、同時にテンサイ工場に関する問題もあわせてというのですが、そこで私は先ほど結晶ブドウ糖の話がありますのに関連して、まず第一にテンサイに関しては、九州及び中国地方には品種的にもあるいは技術的にも可能かどうかという問題に対しては、早く結論を出してもらいたい、やれないというあれは、まだどうも踏み切りがつかぬということにはどういう点に難点があるかということが一つと、それから北海道のようにはいかぬにしても、生産を増強すれば必ずこれは工場を作らなければならぬ。その場合においては協同組合の農林金融公庫の今の業務方法書の中には、九割以上の農業協同組合の資本でなければいかぬということがある。しかし公庫法の改正等の論議が行われたように、これは少し踏み切って、流通過程の改善のために、だいぶ経済が落ちついてきた際ですから、そういうふうな場合には業務方法書を変えて、そうして全くワク内だけでなくしてもやり得るような体制をこれはぜひ作らなければいかぬのじゃないか。そういう点に対してはいかがですか、まあ渡部局長にも関連がある問題ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/114
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115・永野正二
○政府委員(永野正二君) 西南暖地におきますテンサイの栽培が、水稲早期栽培の裏作という点で非常にいい。これが成立をいたしますとすれば、その方面の農業改善には非常に役立つと思いまして、それに対する試験等もいろいろ行なっておるわけでございます。
ただいまのお尋ねの第一点は、現状において農林省はまだ積極的にこれを推進するという段階になっておらないようであるが、これについて一体どういう技術的な問題点があるのかというお尋ねであったと思います。私どもは、今幾つかの県において、水稲早期栽培のあと作としてのテンサイの栽培試験を行なっておるのでありますが、この試験の項目といたしましては、裏作のまきつけ時期の試験をまずやったのであります。要するに水稲早期栽培ということになりますと、まきつけ時期がある程度八月中旬以降ということに相なりますので、そういうまきつけ時期で栽培した場合に、収量が上るかという試験を昨年いたしたのであります。同様の試験を本年も続けて参りたいと思っておりますが、現在まで出ました結論では、八月の上旬ぐらいまでにまきつけたものでないと、収量並びに糖度の点においてなかなか問題がある。非常に早く八月上旬までに植えたものについては、収量も糖度も北海道にも劣らないような成績も一部出ておる、こういうことであります。そうなりますと、これらの地方のテンサイ栽培を背景にいたしまして製糖工場を作りました場合に、この製糖工場が何カ月の間、何日間の間操業ができるかという点に非常に問題が出てくるわけであります。要するにいろいろなテンサイの品種を使いまして、いろいろなまきつけ時期で栽培をいたすことが可能であるということに相なりませんと、工場がいろいろな掘り取り時期のテンサイを引き続き集荷をする、それによって相当長い間、少くとも北海道におきますように、三カ月以上の操業ができるというようなことにならないわけでございまして、暖地におきましては原料テンサイの貯蔵も非常に困難でございますので、私どもといたしましては、製糖工場が成り立つためにはもう少しテンサイの栽培を、まきつけ時期におきまして。また収獲時期におきまして、幅広く栽培することが技術的に可能にならなければならないとこう思っておるのであります。その意味でいろいろな外国の品種その他品種的な研究をぜひいたしたいと思っておりますが、まだ十分試験研究が成立をいたしておらない事情でございます。従いましてもう少しこの面の研究を進めました上で、製糖工場が成り立つということで、初めて先ほど第二のお尋ねになりました資金的な問題も起るわけでございます。これらにつきましてはそういう研究の成果をもう少し見きわめました上で、関係各局とも御相談いたしたいと思っておるのでございます。大体暖地につきまして北海道と違います点は以上申し上げたような点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/115
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116・島村軍次
○島村軍次君 水稲早期栽培のあと地に適当だということはわかりましたが、もう一つ農林省も農地の開拓と関連をして、傾斜でなくとも、いわゆる総合開発の意味で相当畑地が開墾できるところがある、そういう土地に対しては、必ずしも水稲の早期栽培のあと作でなくてもテンサイの可能な土地が相当ある。そういう問題については私は今難点等の問題も相当あることだと思うんですが、これはなお地方の農事試験場等でも相当研究を進めておるわけです。農林省の御試験もさることながら、地方の試験場等で検討を加えられた問題は十分早く取り入れて、現に中国でああいう決議なんかをした問題については、簡単にそう早くまだ研究中だというようなことでなくして、積極的に一つこの問題に取り組んでもらいたい。まあ私が申し上げるまでもなく、日本の農業の将来に対する昨年度の情勢からいえば、これは甘藍を作っても腐らしたとか、あるいは牛の問題ですけれども、肥育牛をやって一万円も農民は損をしたという実例もたくあるわけです。そういう問題に関連して融資の問題もあわせて、技術にもっと積極的に進んだ新しい考え方というものを取り入れていただかなければならぬと思うのですが、中国の経済部長の連中が集まってやっておる問題はあなたの方にいずれ相談があったと思うんですが、どういうような回答をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/116
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117・永野正二
○政府委員(永野正二君) ただいまお尋ねのように畑作物といたしましても、テンサイを相当面積にわたって栽培をいたしまして、これが相当の生産につながるということでございますれば、テンサイの作物の性質からいいまして非常に農業の改良等に役立つことは御指摘の通りでございます。ただ製糖工場の立地条件ということを考えました場合に、畑作にテンサイを入れます場合にはどうしてもネマトーダその他の病害虫の関係がございまして、連作をすることは非常に危険でございます。従いまして栽培可能地というものは、一工場の原料集荷面積に対しまして、その輪作の年数だけ倍数をかけましたところの適地が必要でございます。従いまして一部今後非常に開拓等が進んで参りますれば別といたしまして、おおむね零細な経営の中国、四国方面に、農林省が現在の方針といたしまして、テンサイを植えることがよろしいというところを思い切って踏み出すことには、いろいろまだ品種的にも栽培方法の点からいっても、また暖地に特に起ることが予想されます病害虫の問題にいたしましても、私どもとしてはもう少し十分な試験研究の裏づけをしてからでないと、ただいまこれを奨励しこれを期待して製糖工場の計画を立てるということについては若干早過ぎるのではないかというような見解を持っておるのでございます。こういう意味で各県でも非常に熱心に試験研究に協力をいただいておりますので、こういう方面の協力を得まして試験研究の推進を当面ははかってゆきたい、こういうふうにお答え申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/117
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118・島村軍次
○島村軍次君 大臣も見えぬようですから、一つ政務次官は大蔵省の御出身でもありますので、農村金融の問題について当面一番難点のあるのは、農産物を集荷してそれを加工してゆく場合に、小規模では採算に合わない、少し設備を改善してこれをやってゆこうという場合には、農林中央金庫と公庫の二つの道があるわけです。ところがこの二つの金融機関は一は御案内の通りの短期融資が主体で、しかも農林中央金庫は大資本には相当出しておりますが小さいものになると、仕事それ自身はいいけれどもなかなか金融ベースに乗らない、こういうようなことでもやもやしてなかなか仕事が伸びていかない、こういう情勢なんです。あなたの一つ御在任中にこの問題に関しては、一つ大蔵省との間で熱心に金融行政、金融施設に対して一つ功績を残すように今から御希望申し上げておきます。
それから同時にもう一つ農林中央金融公庫の金は相当あるわけです。で、次々償還してくるようになりましたから、まあダブついているとは私は申し上げられませんが、貸したいけれどもやはりベースに合わぬというようなことです。これは公庫法制定当時にはあれでよかったんですが、だいぶ経過しまして今ではもう金も十分あるし、それから農林漁業それ自身もだいぶ幼稚園から小学校あるいは中学校へ入るようなたちまで進んできた、そういう場合に、金融公庫の業務方法書というものがどうもあまりワクにはまり過ぎて、今申し上げた九割以上が農業協同組合の資本でなきゃならぬ、こういうふうなことでそれに引っかかるのです。畜産の仕事を一つやってまあ屠場を経営し、冷蔵庫をやろうというような場合に株式会社でないと、協同組合では理屈が多くてどうも相談にも乗らぬ、農林資本が大部分であるけれども、エキスパートのやる株式会社でなければならぬというように、すぐ業務方法書に引っかかる。これは経営状態については審査を要することではありますが、そういう問題についても、まず農林金融は利子の高いということ、高いのではなかなか経営が成り立たないということ、同時に今の農林金融公庫は利用率がいいようでありますが、なかなかやりたいことはあってもとりつくことができないという情勢ですから、これもあわせて金融機関の一環として大いに一つ手腕をこの辺で現わして、これは全般について高橋政務次官の力のあるところを、大蔵省御出身ですから一つ大いに伸ばしていただきたいことを申し上げて、何かこれに対する御意見でもありましたら承わりたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/118
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119・高橋衛
○政府委員(高橋衞君) 農林金融についていろいろ問題がありますことは、私もかねてから承知をいたしておるのでございます。非常に収益率の低い農業の性格から申しまして、安い金利の長期のものを必要とする、しかもそれに集められるところの金は、どうしても一般の金融機関との競争上、一定の預金率を持たなければ吸収ができないというふうな基本的な矛盾もございまするし、またただいまのこまかい具体的な運用の問題になりましても、農林漁業金融公庫におけるところの資金量が非常に豊富であれば、ただいまお話のような業務方法書等ももう少し幅を広げてやっていくという問題もあるでありましょうが、同時にそれが農林漁業金融公庫という機関を通じてやることがいいか、または他の金融機関を通じてやることがいいかという問題も、やはり検討を要する問題だと存じますので、そういうふうな各般の矛盾並びにいろいろな問題につきましては、私もしろうとでございますので、皆さん方の御指導をいただきましてできるだけ勉強をいたしまして、何とか少しでも解決ができていくようなことになれば幸いだと存じておりますので、この上とも御指導をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/119
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120・北村暢
○北村暢君 これに関連して、この前、農林中金の地方支店十幾つですか、これを廃止するという問題ありましたのですね、支店廃止の問題が出てきておるわけです。これは資金コストの上からいって、農林中金が市中銀行と非常にかわりないような形で、農民のためになるのだかならないのだかさっぱりわからぬような状態である、こういうのが一般の批判として出てきておるわけですね。こういう問題と関連して農林金融全体についてのあり方について、そろそろここら辺で検討をしなければならない。こういうことは大体前の国会のときにも出ましてやっているのですが、これについて何か近く農林金融について再検討するというようなことが、次の国会等において出されるのかどうか、一つお伺いしておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/120
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121・高橋衛
○政府委員(高橋衞君) ただいまの問題につきましては、これは農林省に農林漁業金融対策協議会という——これは私的なものでございますけれども、におきまして、農中とか公庫、それから森連、全森連、全漁連等のそれぞれの専門家においでを願いまして、そうして基本的な相互関連の形において、また総合対策として検討をただいま進めております。それらの結果も十分に参酌いたしまして、何とか根本的な対策も今後検討していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/121
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122・北村暢
○北村暢君 検討していきたいということですが、制度金融と系統金融とそれからいろいろな基金制度がある。これらのものが非常にやはり混乱しちゃって、大体農民をどういうふうに指導されているかしらぬですが、実際に金の借り方も知らなければその利用の仕方も知らない、あまり複雑なのでこれは実際そうなんですよ。せっかく制度も基金もありながら、これを利用しようとしても利用できない状態、だからもっと農民に親しめる金融機関にならないとだめだと思うのです。そういう点についてはまだまだ考える必要がある。あまりにも複雑で、これを一つ簡素化してやる必要がある。例をあげればとにかく一つの土地改良をやるにしても、いろいろな手段で融資を受ける方法がある。あるいは何といいますか債務保証というような点からいっても、いろいろな方法があると思います。それが農民にはとても複雑でこなし切れないのが実情でないかと思います。そういう点を農民の立場からの親切な金融制度の改革というものをぜひやってもらう必要があると思うのですがね。
それから、今考慮中だというのですが、これは通常国会あたりにはこういう基本的な金融制度全体についての何らかの改革案というようなものが、出てくるのか出てこないのか、これは検討中々々々じゃいかぬと思いますから、通常国会あたりには出てくるのかどうかを一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/122
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123・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) これは僕も関連して一つ、経済局長がここにおられるから。もう少し農民の末端の実情を調査して私ら地方へ行くとどこでも小言を言われるのだ。で、今まさに土地改良基金という新しい方法が出て、そうして今まで停滞しておったやつを、一つその方面でもあわせて補助して振興していこう、こういう新しい、いい方式が出ておるのだけれども農民は借りぬと、とにかく計算したら損になっても、たとえて言えば三割の補助金の団体事業でも、とにかく補助の方がいい、こういうような傾向にある。その理由はどうかというと、今北村君等が御説明になった通りなんで、全く取扱い方についても農民にぴったり合わぬ取扱いを要求しておる。それからまたその態度にしても、どこへ行っても役人よりまだひどい。実に官僚的の権化だというようなことをどこでも聞くんだ。経済局長は、あそこには先輩がいつもいて、言いにくいかもわからぬけれども、これはまた別で、一つ強くやってもらわねば、新らしい農民に対する制度をせっかく作っても、そういう場合が非常に多い。私は言いとうないけれども、これは徹底的にやってもらわなければ、せっかく作った土地改良基金だってずっと伸びていかぬのだ。どうか一つその点は、そういうことでなしに強くやって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/123
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124・高橋衛
○政府委員(高橋衞君) 先ほど北村委員の御質問にありました対策を、できるだけ通常国会までに結論を得るようにしろというお話でございますが、政府当局におきましても、その目標で勉強いたしております。ただ申し上げておきたいと存じますのは、もちろんその目標で鋭意努力いたして参りますが、金融機関と申しますものは、どうしても非常に長い歴史のあるところの制度でございまして、制度そのものを基本的に変えるという問題になりますと、相当慎重なる態度を必要とするかと思うのでございます。しかしながらただいま委員長が御指摘になりましたり、または先ほど北村委員のお話にありましたような点は、その制度の根本に関する問題もございますが、それよりも実際の運用の仕方、また取扱いの方法、また相互の協力の仕方という点に、相当重点があるようにも存ぜられますので、そういう点については一つ一つでも早速に実行していけるような方途をぜひ実現していく、という建前で努力していきたいと存じますので、この上とも何かと御指導御鞭撻のほどをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/124
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125・渡部伍良
○説明員(渡部伍良君) ただいま政務次官から御説明申し上げましたが、先ほど島村委員からお話がありましたように、農林漁業の現状それからあり方が、戦争前とすつかり変ってきておるところに問題があると思います。それは戦争前には地主階級というものがありまして、農村の中に相当経営としては余裕のある人があった。従って、その余裕のある金を信用組合を組織して余裕のないところへ回す。後って、信用組合の預金金利もほかの金利に比べて安く預ける。そして安く貸すということが可能であったわけであります。ところが農地改革が済みまして自作農ができて、個々の余裕のある農家というものは、最近多少出てきたものがあるかもしれませんけれども、昔ほどの経営による余裕のある農家は比較にならぬほど少いわけであります。そうしますと、金融におきます根本の考え方が、農林漁業金融というものが、預ける方は安く預けてがまんする、ということがなくなってきておるわけであります。預ける方は、一生懸命で経営を切りつめて、余裕が出たものを高く回したい。しかし一方借りる方はどうしても安く借りなければ、農業経営が成り立たない。そこで昔のように、農林漁業者の金を集めて農林漁業者にそのまま還元するというそのままでは、回っていかなくなっておるところに問題があるわけです。これが一方では農林漁業金融であり、改良資金であり、そのほかの制度資金で政府の金をつぎ込んで安い利子で出している。しかし一方系統金融におきましても、ここ数年前までは預金を集めてもこれを長期に回すほどの余裕はない。それから安く貸そうとすれば、どこかから高くかせがなければならないわけですから、かせぐ当てもない。こういうことでありましたが、最近は貯蓄も増強して資金も相当ふえておる。そうすると、どうしてもまた昔のようにこれを還元する余裕ができてくる。そうしますると、今の金利の矛盾にぶつかるわけです。これをどう解決するか、こういう問題が根本の問題であろうと思う。そうしますと、現在のそれぞれの機関がどこでどういう分担をすべきかということを、場合によりますればある制度はどこかへ吸収する。こういう問題も出てくると思いますけれども、そこへ端的に行かずにまず現状を分析しまして、そうしてどこをどう手直ししていくかということを、金融対策協議会で話をしてもらおうと思いまして、ただいまで四、五回開きまして、もっぱら私の方から現状に関する資料を提出しておるわけでありますが、たとえば信連協会の三月の大会では、余裕金ができたから、公庫から共同施設に貸しているのを組合系統にやらせよう、こう言っているのですが、すぐそこで質問が出て、金利を安くしてくれるかというのが下から出てくる、それはできない、そこで決議は無駄になる。こういうことで、各機関がそれぞれの矛盾を相当自覚しておりますけれども、立場がありますからそうはっきり言っていない。それを個々別々に自分に都合のいいことだけを言っておったんでは解決しませんから、皆さんに寄っていただいて共通の場で客観的な資料を見て、どうするかということを検討していただく、こういうのが金融対策協議会でございます。まだ数回ですがそういうことをやりまして、それが現状分析現状の把握ができましたら私どもの対策を進めたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/125
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126・大河原一次
○大河原一次君 大臣が見えましたので、先ほど大臣に御質問申し上げた点について、さらに続いて申し上げたいと思います。大臣も先ほどは、いわゆる日本の農林水産業というものは、わが国国民経済の中において、今後安定的な成長の基礎をなしていかなければならない。そういう中には私の申し上げた今日の都市と農村における不均衡の是正をしなければならない。このことはとりもなおさず、今日大きくクローズ・アップされておる日本経済における内部矛盾としての、あるいはまた過大成長の危険という言葉の中で表現されておる。この問題を解決することが今後の農家の基礎を築き上げることである。こういうふうにも表明されたと思うのであります。そこで私はいろいろあろうと思いますが、このような不均衡の是正をするということが、これは工業といわず、あるいはまた農村といわず、日本国全体の問題だろうと思うのです。このような問題が解決されない限りには、全体の日本の今後の経済の正常なる発展は望めないと思うのであります。そこで私は大臣に、簡単でけっこうでありますが、お願いするのでありますが、不均衡の是正ということに対しては、いろいろ問題があろうと思います。しかしながら、まずどこに重点を置いて、どういう面から不均衡の是正をはかるべきであるか、そういうことを一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/126
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127・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 私のなにをもう一度簡単に申し上げますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/127
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128・大河原一次
○大河原一次君 この不均衡の是正ということが当然にされなければならないということは、さっき大臣から答弁された通りであります。従って、不均衡の是正ということは、基本的にはどういう点を取り上げて不均衡の是正をするのか、抽象的だと思いますが、こういうことを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/128
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129・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) いろいろこれは見方もありましょうけれども、農村の生活水準と都会の生活水準、なかなかこれとてもむずかしい問題を包蔵しておりますけれども、少くともこの間に差異のありますことは、消費生活の実態を見ましてもわかると思います。従いまして、消費生活の面におきましても、農村のなにを改善してそうして生活水準を高めて参りたい、こういうことが第一であります。従いまして、そうしますには農家が低所得であってはいけない。そこで農家の所得を向上するための施策がおのずから出て参らなければならぬ。こう考えるわけでありますから、私は基本的な考え方といたしましても、農業の基本的な施設と同時に、農山漁村の経済の実態を見て、そしてその面について今後取り組んで施策を推進いたしたい、こう考えておるゆえんはこにあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/129
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130・大河原一次
○大河原一次君 どうも私ただいまの大臣の答弁では、十分に納得いかないし、わかりにくいところもあるわけですが、さらに質問申し上げますれば、私は大臣が表明された言葉じりを申し上げておるわけじゃありませんが、大臣は前回においても、日本の農業はその性質上、どうしても基本的には従来の取った各種の政策を一つ一つ積み上げることが大事である、というようなことが言われておると思うのですが、私は今日の当面しておる日本の農業問題を解決するには、単に従来のやってきた施策を一つ一つ積み上げていくごとでは解決のメドは私は考えられません。先ほど問題になりました繭糸価格の安定の問題を取り上げても、あるいは酪農振興の問題を取り上げても、政府が今日まで取って参りまたした各種の施策を単にこれを継続する、積み上げていくということだけでは問題の解決はあり得ないし、大臣が先ほど表明されたように、今日の都市と農村とのいわゆる消費水準の不均衡、これを従来において取ってきた施策を積み上げていくだけでは、今日の問題はますます拡大すると思うのです。単なる施策の積み上げということだけでは、先ほど大臣が述べられた問題の解決にはならないのではなかろうか。もっと思い切った施策が要望されておるのではなかろうかと、私はこう思うわけであります。もちろんよくいうように、農村問題については奇手妙手というものはないといわれておりますが、私は何も奇手妙手を考えてほしいというわけではないが、今日の農村の当面しておる問題を解決するには、もっと思い切ったいろいろな施策があるのではなかろうか。こういうふうに考えられるわけですが、こういう点について、大臣がもっと何か考えられておる点があったら御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/130
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131・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 先ほども、まず農家と他の面との均衡をはかりながら農家経済の水準を高めていくということを申し上げたのですが、そうしますと、おのずから農業経営の実態と、その実際の基礎的な条件と申しますと、その対象になるものは土地であり林野であり、あるいはまた農業経営そのものの所要の各般の施設であります。そうしますと生産力を高める意味におきましても、あるいは当面生産費を低めて所得水準を高めるといいましても、やはり土地改良であるとかあるいは林野の資源の培養であるとか、あるいはこれに伴う諸般の施設そのものがなければ、これは高められるわけではないのであります。従いまして、この方面につきましては従来とてもやっておりますが、これは強化拡大して、そしてこれに対応していきたいというのが、私は表現としてはまずいかも知れませんが、従来の基本的なものは積み上げて参りたい。こういうような表現で申し上げたわけであります。
さらに抜本的な対策はないかとこう申しますが、私たちの方は考え方といたしましては、企業の自由は各自に認めて、そうしてその創意工夫のことを中心にして、それを共同施設等により、あるいは共同化等によってこれを高めて参りたい。こういうことでございますので、私たちはこの基本的な考え方をもって、そして同時にいわゆる時の推移によって出て参ります現象をよくつぶさに把握いたしまして、これを検討して対応の施策を講じていくということが何といいましても最も大切なことであり、これからあまり足を踏みはずさないということも必要だと考えますから、私はそう申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/131
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132・北村暢
○北村暢君 大臣は非常に農政通ですから、私から言わなくてもわかるのだけれども、いろいろ新聞批評なんか見ていても、非常に正直で非常にいい大臣であるけれども、ちょっと感覚が古い、こういうのが批評に出ておる通りです。今の大臣の御答弁を聞いておりましてもそういう感じがする。というのは昨年の白書の中にもはっきりいっておりますように、今おっしゃられておる生産基盤を改善するとか、あるいは生産力を上げるとかいうことは当然考えられることなんですけれども、大河原さんの言っておることは、そういう生産基盤を確立し生産を上げることもいいのだけれども、そこにやはり考えてもらわなければならないのは、相当、大臣も米価審議会等でいじめられておりますように、農民の生活というものを無視したところの政策というものは、どんなに生産が上っても、いかないじゃないか。やはり農民の生活というもの、生産だけ上っても、流通消費の面から非常に抜けた点があったものですから、農林大臣のような感覚で物さえ作ればいいという考え方を持ってきたものだから、今日酪農の問題にしても蚕糸の問題にしても、全部消費面、流通面、こういう面に対する政策における欠点というものが農林省の中にあった、今までの農政の中にあった。こういうことをやはり私は痛切に感じておるわけです。これが今日非常に大きな問題として表われておるわけですね。ですから大臣の所信表明の中で、今申されました生産を上げることはいいのですけれども、それだけではやはり問題は解決しない。もう少し漸新的な、新しい感覚で農政を一つ処理してもらわなければとんだことになりますから、一つ御意見を申し上げて非常に恐縮でございますけれども、申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/132
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133・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) どうも生来鈍重なものですから……まあそれはしばらくおきまして、実は所信表明にも若干私言ってあると思いますが、私は生産基盤、そういうようなものを積み上げて参る。同時に農政の対象となるものは農山漁村民である。従って農家の経済の実態を把握して、それに対する考え方をしなければならぬということは、漏れておりましたらこれはなんでございますが、私は第一に就任早々申し上げたのもそこなんでございます。やはり対象として考えるのは農家であり漁民であり、同時に山村におる人々でございますから、この人たちの生活面というものは非常に大きい。われわれはただ単にものの面、あるいは生産面だけを考えない。これは実はかつての恐慌時代には、農林省はそれを対象にして非常に大きな政策を展開したことも皆さん御承知の通りでございます。従いましてそういう面から考えますと、仰せのごとく、今日では農政の主たるルートは、流通過程における改善ということにくると思います。同時にまた今提唱されておりますところの繭糸価の問題といい、あるいは酪農等の問題もそれに帰するのでございますから、この面につきましては、不敏ではございますけれども懸命に取り組んで参りたい、こういう信念ではございます。ただ皆さんが驚倒するような妙手の出せないものですから、これは皆さんの御協力によって進めて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/133
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134・大河原一次
○大河原一次君 さっき私が申し上げた中に、非常に抽象的であって具体性がなくて、私自身も十分な大臣からの御答弁を求めることができなかったと思うのですけれども、今、大臣が具体的に触れましたので、私さらに重ねて申し上げたいと思うのです。この農林白書の中にも出ておりますが、これは今日の農民の当面しております中に、あの赤信号として出されております農家所得の低さというものが一番取り上げられておる。これとはやはり関連しております。その中には食糧供給力の劣弱さであるとか、あるいはまた昭和二十二年当時はまだ兼業農家は三〇%でありましたか、しがなかったものが今日六五%になっている。兼業農家の進歩といいますか、こういうような一つ一つの問題が出ておるわけですね。こういうような問題について私は聞きたいのです。今日の農業所得の低さというものは、どういうふうにしてこれを直していくか、是正せしめていくかということ。それから今、これは国際経済力においても大きな問題になってくると思うのですが、兼業農家の進んでおるということ、七〇%にもなんなんとしておるこういう問題を、一体うっちゃっておいていいのかどうか。もしうっちゃっておくことがいけないとすれば、こういう兼業農家が進んでおるということが、国際経済力、競争力をおのずと弱める問題でありましょうし、おのずとこれは三つがぐるぐる回って悪循環になっておるわけです。こうした問題を一つ一つ摘出して、この農業所得の低さをどうして是正していくことができるか。兼業農家が進んでいることは、日本全体の経済の中でも非常に困難な問題である、困った問題である。これを是正するにはどうするかという明確な答えを当局から出してもらわなければならぬ。私の質問したいのはこういうことなんです。こういうことについて大臣の御見解をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/134
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135・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 農村におきまする人口の包容の限度でございますが、これは限界にきておる。そこで新しい過剰人口をどうするかという問題は、端的に申し上げますと、いわゆる次三男対策として提唱されております。同時にまた農村に包容されておりますところのいわゆる農家でありましても、質的にだんだん変化して参っております。それがつまり何と申しますか、耕地を持たない兼業農家というものの層が拡大して参る。こういうことが一般的に現象として考えられておると思うのであります。そこで大きくには、やはりこれは日本の全体としての雇用政策の観点から、これらの人々をどっちにもつていくかということが私は重大な問題だと思う。従いまして、経済五カ年計画でこの雇用をねらいつつ、第一次の原始産業ばかりでなく、第二、第三の方面につきましても拡大しつつ、その方面にもっていきたいという考えを持っておるわけであります。私たちは限定してわれわれ農林業につきましても、その間にいたしますことは、やはりその線と同じような考え方で進まなければならない。すなわち現在開拓等によって四十四万町歩程度は開かれたとこう申しますが、なお低位ではありますけれども相当に開拓の余地もある。そうしますとこれは第一に、農村に包蔵されておる低位農家の方面に向けて参るということが必要でありましょうし、これは地区々々によっていろいろ事情は違いましょう。北海道の場合、あるいは東北の場合、さらにまた西南の九州地帯におきましても、おのおの違いましょうけれども、なおわれわれこれは余地を持っているんです。たまたまこの方面は、やはり今は生産の基盤の育成よりも、流通過程におけるいろいろの方が大切じゃないかという御示唆がありましたけれども、私たちはその面に強力にやはり国策を伸ばしていく。そうして土地を与え同時に農家としての安定したものにもっていきたいというのが第一の念願であります。
同時にまた、現在日本の農業は非常に集約的な農業であって、そうして最高度にまで伸びておる面もございましょう。けれども同時にまた、その間になお改善の余地がありはせぬか、こういうことであります。同時にしかし増産いたしましても、蔬菜、果実等に例をとりましても、増産しただけではマーケッティングの関係でこれは行き詰まってしまうということもありますが、その間にありましてもやはり市場の関係をよく見つつ、同時に生産する方面における連絡をとり、その間の、従来も行われておりましたけれども、出荷の調整であるとか、あるいはまた同じ生産しますにつきましても、その間の事情を見るということも必要だと思う。ただ単に値段が高いからというだけでそれに頼っても、翌年はもうまるでみじめなことになるということではいけませんから、生産者の方面において一つの共同体としても努力しなければならない。その面につきましてもなお施策の余地がある。同時にまた技術的に改善を要する問題が多々ありますことは、皆様御了承の通りであります。従いましてこれらを総合的にもっていく。ことに特殊の地帯における特殊性等を十分に見つつ、この問題を取り進めて参りたいというのが私の所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/135
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136・清澤俊英
○清澤俊英君 時間もだいぶ過ぎましたし、農林大臣もそう早くおかわりになることもないと思いますから、きょうはなるべく簡単に要点だけを三点ほどお伺いしたいと思います。いたって簡単に、明瞭に一つ御答弁をお願いしたいと、こう思います。
第一点としましてお伺いしたいのは、三十三年度の予算を組まれまする際に、一つの方針を持って赤城農林大臣は組まれた。しかもその予算は、経済白書に従って、目標としては経済基盤の強化、第二番目には農家経済の安定、第三番目には流通の整備強化、それから第四番目としましてこれの総合計画というものを推し進めていくのである。これが予算に盛られてあるのだ、これは五カ年間の第一年度として盛られてある。ここまで拝承いたしましたが、いろいろ問題になっておりまする通り、第一年度としますならば第一年度の具体的計画をわれわれは知りたい。今、もし、大臣が言われるような抽象的なことを何べんお聞きしましても、これは納得が参らぬのであります。五カ年計画で少くとも事を行われると言われるならば、大体のその計画をいつごろまでに出していただけるか。ことに重要な点は、先ほどから大河原君が問題にしておりまする通り、生産性を工業生産とのバランスにおいて伸ばしていく。片方が非常に高率な成長率を持つておるにかかわらず、農林の関係の生産率は非常に低い。そうして低いがこれを推し進めていくなら、非常なアンバランスが出るが、しかしながら、そういう中で、所得水準を五%で水準線を押えて持っていくのだ、こういう御説明なんです。それをどうするのだと言いましたところ、今問題になっておりまする通り、八十五万人の農家人口を減らして参りますると、現在の計画通りの成長率でいっても、所得水準はそこに達するのだ。現在、次三男対策が問題になっているとき、果して八十五万のこれから先、農家就労人口を減らすという具体案を、第一年度からどうお進めになるか。従って、次三男対策というものは完結しておらなければならない。こういうものを具体的に私どもはお聞きしたいのであります。これは、予算の審議のあの短期間に、非常に農林大臣も忙しかったり、御承知の通り、さっき東君が指摘しました通り、ソ連へ漁業交渉に行っておられたりして、おられませんでしたので、従って、これはあとでゆっくりお伺いするというので、全部保留してあるのであります。従って、こういう問題に対して、農林大臣は、官房長官とともに、いつごろまでに出していただけるか、これをはっきりしていただきたい。計画を数字に現わして、第一年度はこうだ、少くとも五カ年全部のプランができないとしましても、一年度くらいのものはこうやって、ここはこう進めるのだ、ここはこう進めるのだ。あるいは、今も北村君が言われる通り、経済基盤の流通の整備安定というような問題に対しては、少くともどんな考え方でどうきめるのだというくらいのことを、指示していただきたいと思うのです。それはいつごろまでにできるか。そうせいて一カ月か半月で私は出していただきたいというようなむちゃな御請求はいたしませんから、八月なら八月おそくなって九月なら九月でもよろしいから、きちんとしたものがいつ出せるか、これを一つ御明答を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/136
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137・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 今いろいろ御質疑がありましたが、私は、実は今の経緯を聞きまして、放胆にして豪壮なお考えは、まことにどうも驚異に値する。私だと、そんなふうなことはなかなか思い切って出し得たかどうかと思うくらいであります。しかしながら、前大臣がそれだけの御構想で皆様に説明してあるならば、これはどうも私としては引き継いでこれを遂行するのが私の務めでございましょう。それらは今、前からの沿革を聞きましたのでございますから、準備をいたしまして、おそらくは農林省でも素案はあるでございましょう。同時にまた私としては、かりに素案がありましても、そのまま私はお出しすることができるかどうか、当面むしろ検討した上で出さなきゃならぬと思います。それでございますから、もう少しお許しを得まして適当なときに——きょうすぐに出せと言われましてもこれは私としても出しかねます。まあ国勢調査としては、農林委員会等もおやりになることでございましょうから、委員長等とも相談しまして、そうして適期に一つ御審議をいただくように一つお取り計らいを希望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/137
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138・清澤俊英
○清澤俊英君 ごもっともの仰せだと思います。従って当時の農林大臣赤城さんとの質疑応答の中に出て参りましたことを、三浦農林大臣が修正していかれるということならば、なおさらそれは重要性を持つと思います。そういう点がありますなら、今明日とは申しません、先ほども言う通り八月なら八月くらい一ぱい、七月一ぱいくらいに余裕を持たせるということにして、なるべく早い機会に一つ七月、八月くらいには——毎月一回ずつ農林委員会を開く規定になっておりますから、そのときまでには君らが納得するようなものを出してあげましょうくらいの御言明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/138
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139・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) ただ前提として、五カ年計画で推進するということを御言明になったということでございますが、そのことも実はせんさくさしていただかなきゃならぬ。それはただそういう御理解を下さっても、当時果して農林大臣が責任をもってそれだけのことを言明なすったかどうか、一応調べてみないことには、すぐにどうもさようでございますかということもできない。ですからしばらくそれらについては委員長等とよく御相談して、そうして具体的に取り進めていきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/139
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140・清澤俊英
○清澤俊英君 それではこの問題は一つちょっとお預けしますが、最も真剣に一つやっていただきたい。私ども真剣に取り組んでおるつもりであります。
その次にこれは小さい問題ですが午前中、繭価の安定法案につきまして、いろいろ当局とも農林次官を相手にして質疑応答をしました。夏秋蚕の安定という件に対しましてはまことに不安定千万なんです。従いまして、先ほども自民党の蚕糸業に対する大家であります小山邦太郎先生が、その入り口にどっかと腕を組んで、そうして、清澤君、一つ大臣にどうしても夏秋蚕の安定策についてはどういう御検討をするか一つ聞いてくれ。これまで言うておられるような実は状態なんだ。これは全く不安定で何が何だかわからないという状態なんで、農林次官にもよくあなた御相談をして決定して、一つどうするのだ、心配はいらないのだということが御明答ができるかどうか、これも一つお伺いをしたい。今すぐしてくれとは私は申し上げません。明日のこの繭価安定の臨時措置法の審議の際に、これは非常に重要なことでありますので、今すぐ御答弁ができぬならば御答弁を望みませんが、一応慎重に御審議の上で御回答題いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/140
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141・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 明日までという御猶予があるそうですから、相談しましてまたお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/141
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142・清澤俊英
○清澤俊英君 これでやめます。
第三番目には、大体農政と申しますると、生産とかあるいは農業上の行政とかの問題がおもに取り扱われて、農民自身の厚生というような問題に対しては今までどうもおろそかにされておりますが、そこで最近各地におきまして、農民の実態に即した、古くから農民が田植のあと、あるいは収穫のあと等に僅かの金を持って、そうしてからだを休めに行きましたような温泉場等は、全くこれは金持ちやあるいはアベックに占領せられて、ほんとどその利用価値を失っているのです。まことにみじめな状態に置かれておる。従って、こういうものに対する温泉単協というようなものが各地に発達しておる、こういうことを聞いておるのでありますが、あまり発達はしておりませんが四、五カ所あります。非常に、施設などを見ますと昔通りの形で、そうして百五十円か百三十円で農民が休んでこられる。そこにはテレビのしかけもありますれば医療施設もありますし、あるいは図書館も備えてあり、子供のための遊ぶ場所もある。私もこの問、その模範的なものだというので、宮城県の鳴子の温泉に行って参りました。十年ほどの歴史を持っておりますが、現在一年間に十二万人ぐらいの利用者がある。非常に喜んでそれを利用しておる人たちを見て参りました。従って、最近の情勢を見ますと、やれ青年の向上のために青年会館を作るからというので、国が数千万円の補助金を出す、あるいは婦人会館を作るからというて出しておられますが、こういった農民が、まずいものを食べてそうして非常な苦労をして、われわれと同じ年配——私は委員長と同じ年配ですが、(笑声)大体われわれの年配でありますが、並べたら問題になりません。こういう者が行ってほんとうに農閑期にからだを休めるぐらいの施設をする場合、単協の組織が自家資で相当の施設をして三千万か四千万の建物を建てる、こういうことになったら、農林省としてそれに対する五百万や一千万円の補助金を出しても、私は何ら惜しいものじゃないと思いますが、農林大臣、骨折ってそういうことをやっていただく御意思はありますか。今まで農村の問題といったら、作ること、売ること、肥料のことだけで、そういうことばかりしております。そうして、しわくちゃになっちまったからだをもとへ戻すということについては、何ら……、農政からはずされておるのですが、この点を農林大臣はどう考えておられるか。本気にやっていただけるかどうか、一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/142
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143・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 実は、ただいま清澤さんから御提唱になりました問題は、これはもう農村といわず漁村といわず、非常に重大な問題であります。私の郷里あたりでも、もう非常に寒いときに、漁業をやった人たちがある所に参りましてそうしてレクリエーションして、また次の漁期に備えるという慣行もありますし、現にそれが行われております。だんだん国民温泉だとかそういうものが普及して参りましたけれども、しかしながらえてしてどうも文化の程度が高くなったり情勢が変って来ますると、従来のそういうふうな農山漁村の人たちが利用したものが、一歩々々どうも近代的なものに押されてしまいまして、そうして容易に利用のできなくなってくる傾向のありますことも認めざるを得ないのであります。つきましては、かようなことは非常に大切なことでございますが、さて農林省が利用厚生の方をやるということになりますと、これは厚生省あたりとぶつかるのが現実の姿であるわけですね。しかしながら農業協同同組合等がその共同施設として利用厚生の仕事をするということは、現在許されておると思う。その面で今度できまするならば共同してやる、あるいは連合会でございましたならば、何もその県だけでなくてもあるいは東北、あるいは信越というような地区で利用し得る道もあろうかと思います。私はそういう意味では、農山漁村の人々を対象とした一つの考え方としましてできるかどうか、そして、なるべくならばそれを生かすようにしていきたい。もしもまた資金等が動員できまするならば、さような利用厚生をして、そして農山漁村の健康の保持、同時にまた、今日健全な娯楽等がとり行われるようになりますことにつきましては、同情のある措置をもってこれは研究もし実施に移す考えでございますから、さよう御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/143
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144・清澤俊英
○清澤俊英君 所管は大蔵関係なので、非常に関係が深い。えてこういう問題がうまくいきませんのは、大蔵省がすぐめんどうを言われるのですが、この問題は一つ御理解をいただいて、そして現に温泉農協という単協を作りまして、現在の生産農協と手を切って、零細な資金を集めて完全なものを作っているのです。それは、作る過程においては、すぐ一万人の利用者を集めるとかというわけには参りませんから、一応の負担金のような形で、単協を中心に作りましてその単協の中に、かりに十万円とったならば、これの千人の会員数がまとまりましたときは、単協のやつを肩がわりして個人に移す。こういうふうにして、五年か十年で片がついておるのでありますから、全く個人の農民が利用しておるのであります。一つ御研究の上、われわれも近く申請をしたいと思いますので、御協力をぜひお願いしたいとこう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/144
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145・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) 先ほど助成金を出せということもあったのですが、私はすぐ助成金までは飛躍はできませんと思います。これはまあ緩急に応じてやらなければならぬと思います。やっぱり厚生省との関係もございますので、むしろ資金面についての動員は共同施設としては可能でありますから、その面で実効的案として考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/145
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146・清澤俊英
○清澤俊英君 厚生省との関係がありますればなおさらなんです。厚生省が一番農民の健康状態などはよく知っていると思うのです。大体五十くらいになったら大部分役に立たぬようになってくる。そういう者が働かぬのかというと一生懸命働いている。今日問題になっておりまする蚕糸業のわれわれの地方の大部分は、その役に立たぬ人間が盆小づかいを作るために一生懸命になって働いて、それを持って体を休めるために行くのです。それだから一割生産を減ぜられ二割生産を減ぜられてそのおかみさんたちが泣き出す、それが実態なんです。厚生省がぐずぐず言ったら、見てこいと言ってあなた方が引っ張って行って、見せて厚生省に賛成させる御熱意を一つお願いいたします。御答弁要りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/146
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147・三浦一雄
○国務大臣(三浦一雄君) それはよく傾聴しまして努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102915007X00619580701/147
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148・重政庸徳
○委員長(重政庸徳君) 本日はこの程度で散会いたします。
午後四時三十四分散会
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