1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月十九日(木曜日)
午後一時二十五分開議
出席委員
委員長 櫻内 義雄君
理事 岩本 信行君 理事 宇都宮徳馬君
理事 床次 徳二君 理事 戸叶 里子君
理事 松本 七郎君
菊池 義郎君 北澤 直吉君
小林 絹治君 椎熊 三郎君
千葉 三郎君 野田 武夫君
福家 俊一君 森下 國雄君
帆足 計君
出席政府委員
法制局参事官
(第一部長) 亀岡 康夫君
外務政務次官 竹内 俊吉君
外務事務官
(大臣官房長) 内田 藤雄君
委員外の出席者
外務審議官 小田部謙一君
外務事務官
(経済局次長) 高野 藤吉君
外務参事官 藤崎 萬里君
大 蔵 技 官
(主税局税関部
関税考査管理
官) 柴崎 芳博君
専 門 員 佐藤 敏人君
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本日の会議に付した案件
外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七八号)
関税及び貿易に関する一般協定の新第三表(ブ
ラジルの譲許表)の作成のための交渉に関する
議定書の締結について承認を求めるの件(条約
第六号)
日本国とカンボディアとの間の経済及び技術協
力協定の締結について承認を求めるの件(条約
第七号)
日本国とユーゴースラヴィア連邦人民共和国と
の間の通商航海条約の締結について承認を求め
るの件(条約第八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/0
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001・櫻内義雄
○櫻内委員長 これより会議を開きます。外務省設置法の一部を改正する法律案、関税及び貿易に関する一般協定の新第三表(ブラジルの譲許表)の作成のための交渉に関する議定書の締結について承認を求めるの件、日本国とカンボディアとの間の経済及び技術協力協定の締結について承認を求めるの件、日本国とユーゴースラヴィア連邦人民共和国との間の通商航海条約の締結について承認を求めるの件、及び所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とデンマーク王国との間の条約の締結について承認を求めるの件の各件を一括議題とし、質疑を行います。戸叶里子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/1
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002・戸叶里子
○戸叶委員 ガットの三十五条の適用をするために、日本もいろいろと貿易上において損をするような場合が多いわけでございますけれども、この適用を排除するための根本的な政策として、何か今の日本政府はお持ちでございましょうか、この点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/2
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003・高野藤吉
○高野説明員 日本がガット加入のときに三十五条を援用している国は、イギリス、フランス初め十四ヵ国ございます。一九五五年に加入いたしましたが、その後インド及びブラジルとは交渉の結果、この援用を撤回したわけでございますが、まだ十四ヵ国と申しますのは、ガーナとマラヤがその後独立しまして加入いたしましたが、イギリス連邦の関係上、イギリスの政策に従いまして、まだ三十五条援用を撤回いたしておりませんので、十四ヵ国でございます。わが方といたしましても、外務省といたしましてこの撤回のためにいろいろ相手国と公式、非公式に話を続け、ことに向う側は日本の商品が、いろいろ不正、不当な競争などをして急激にふえることをおそれておりますので、政府といたしましても相手側の心配ができるだけないように、国内的にも措置をいたし、また相手の誤解の面もございますから、その点も時宜に触れて交渉いたしまして、できるだけ早くこのガット援用の撤回を逐次なくしていくように努力いたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/3
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004・戸叶里子
○戸叶委員 今の御答弁でございますけれども、イギリスとの間ではだいぶ長い間、この援用の撤回のために話し合いをされていると思いますし、ことにイギリスに関係のある国々との三十五条の適用ということが、長い間問題になっておるようでございますけれども、今までの話し合いのような形で、近いうちにこの援用の撤回ができるというような見通しがおありになるのでしょうか、ないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/4
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005・高野藤吉
○高野説明員 なかなかむずかしい問題でありまして、いろいろやっておりますが、これは現在通商航海条約も……。これはちょっと速記をやめていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/5
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006・櫻内義雄
○櫻内委員長 ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/6
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007・櫻内義雄
○櫻内委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/7
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008・高野藤吉
○高野説明員 このように何らかの関係におきましてガットを撤回できますれば、その他の国も、英連邦内の国もだんだんこれを撤回していくのじゃないかと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/8
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009・戸叶里子
○戸叶委員 今のような形で御努力をされているわけでございますけれども、イギリス以外に、やはり同じように、ガット三十五条の援用を撤回するために非常にむずかしい国はどこでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/9
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010・高野藤吉
○高野説明員 フランス、オーストリアがおもな国だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/10
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011・戸叶里子
○戸叶委員 フランス、オーストリアとも、今のイギリスと同じような形で、撤回を考えておられるのでしょうか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/11
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012・高野藤吉
○高野説明員 オーストリアにつきましては、先ごろ向うの総理が来られまして、その件につきましても懇談いたしまして、綿製品の規制等につきまして、いろいろ相互に話し合いができれば、だんだんそういうような機運に向っていくのじゃないかと思っております。それからフランスとも、そういう形でできるだけ撤回をしていきたいと思っております。それからその以外に、オーストラリア、ニュージランドにつきましては、オーストラリアにつきましては一昨年の七月、ニュージーランドは昨年の九月、わが方と通商協定ができまして、今後大体三年のうちに、この問題について好意的に考慮しようという話し合いもできておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/12
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013・戸叶里子
○戸叶委員 欧州共同市場というようなものができまして、そこでの税金の特典、何といいますか、免税の特典といいますか、そういった形のものがはかられているのじゃないかと思うのですけれども、そうなってきますと、日本の品物の締め出しというふうなことが考えられやしないかと思いますが、これに対して、日本は何らかの処置を考えておられるがどうが、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/13
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014・高野藤吉
○高野説明員 この点につきましては、ガットを通じて、いろいろ日本の希望も申し出ておりますし、またこの点につきましては関税交渉をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/14
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015・戸叶里子
○戸叶委員 関税交渉をするというのも一つの手でしょうけれども、欧州共同市場というものによって——しかもガットの援用が撤回されていない国というものもそこに入っているわけですけれども、そうなってきますと、二重に日本が不利になるようなことがありはしないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/15
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016・高野藤吉
○高野説明員 御懸念の点は、確かにわれわれも心配しているわけでございますが、それを、できるだけガットの改善及び相互的な話し合いによって解除していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/16
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017・戸叶里子
○戸叶委員 今のような御答弁では、大体解除したいというような希望だということで、大して私ども望みが持てないように思うのですけれども、これ以上質問しても同じことだと思いますから、私はやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/17
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018・櫻内義雄
○櫻内委員長 松本七郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/18
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019・松本七郎
○松本(七)委員 ブラジルとの間の通商関係がだいぶむずかしい事態に直面しておるということを聞いておるのですが、特に清算取引を現金方式に改める問題を中心に、最近の事情を少し御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/19
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020・高野藤吉
○高野説明員 昨年、ブラジルとは清算協定を廃止いたしまして、現金べースの貿易取りきめをやりましたのですが、その後の事情によりまして、ブラジルからの買付物資が、一つは向うの国内状況及び出回りの状況によりまして、こちらが買うものは、今のところあまり大量に買い得るものは少いので、ちょっとブラジルに進出している企業について不便を感じている次第でございますから、今、通産、大蔵、外務といろいろ相談いたしまして、できるだけ向うから至急物を買う、ある程度割高でも買うという努力をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/20
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021・松本七郎
○松本(七)委員 この行き詰まりの打開策はほかに何かないのですか。ただできるだけ無理して物を買うというだけで、ほかに手はないものかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/21
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022・高野藤吉
○高野説明員 一つはクレジットを考えられるわけでございます。これは主として大蔵関係になるわけでございますが、これによってある程度資金繰りをするというのが一つの方法かと存じますので、各省ともこの面も現在協議中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/22
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023・松本七郎
○松本(七)委員 せっかくブラジルがガット三十五条の適用を撤回しようと言うし、ガットの譲許表を設定してみても、今日のような事態になったのではその効果がないだろうと思うのです。やはり貿易の拡大の役に立つような方策というものが並行して、もっと積極的にやらなければ、せっかくの三十五条撤回も無意味だろうと思うのですが、もう少し積極的な対策というものを至急打ち立てられる意向はないものかどうか。
それからブラジルとの輸出入額及び品目と、特に焦げつきのおそれはないのかという点を少し具体的に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/23
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024・竹内俊吉
○竹内(俊)政府委員 ブラジルとの通商問題から、今お述べになったような事態が起きておりますので、中南米公館長会議におきましてもこの問題が重要な問題として、まる一日かけて討議されたわけであります。今事務当局がお答えいたしました通り、この問題を処理するために関係各省とただいま相談中であります。原則としては、オープン・アカウントを廃止するという行き方は私は妥当なものだと思いますけれども、当面の貿易の問題について考えてみるというと、多少の無理があったのではないかということを今痛感いたしておるわけであります。そういう考え方に立って、この問題の処理については、あるいは借款供与がいいのか、今お話のあったような、ブラジルからなるたけ多く物を買うという方針で通産省とも打ち合せて、どういう具体的方策を立てるかという点について、今せっかく協議中でございます。
あとの数字のことは事務当局からお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/24
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025・高野藤吉
○高野説明員 補足的に御説明申し上げますと、焦げつきの心配はないかという御質問でございましたが、短期的に見ますればそういう心配があるかも存じませんが、長い目で見ますと、ブラジルは非常にポテンシャリティが多いところでございますし、こちらは綿花とかいろいろ買うものがございますので、御質問のような心配は長期的にはない。かたがたあそこには四十万の邦人も行っておりますので、企業進出も南米で一番でございますから、今後貿易関係、経済関係はますます密接になってくるというような有望なところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/25
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026・松本七郎
○松本(七)委員 先ほど、できるだけたくさん買うということを言われたのですが、焦げつきの問題も短期にはそういう心配があっても長期的にはその心配はない、そうすると長期の買付計画というようなものは立てられているのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/26
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027・高野藤吉
○高野説明員 現在のところ通産省及び業界におきまして、長い五年ないし十年というような具体的な買付計画というものはございませんが、しかし長い目で見て先行き物が買える、また買うべきだというような感じは私ども持っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/27
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028・松本七郎
○松本(七)委員 先行きは物が買えるという保証、根拠はどういうところから出てくるのですか。現状から考えまして、こういう事態になって、先の見通しが何もいいものはないので、それがこういう事態になったからこそ無理してでもできるだけよけい買わなければならぬという事態に直面しているわけです。それが先になれば今の事態ぶ何によって緩和されるのか、その具体的な根拠というものがなければ、ただ年を経ればよくなるでは、さっぱり説明にはならないと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/28
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029・高野藤吉
○高野説明員 ごもっともな御質問でございますが、現在ブラジルはインフレぎみでございまして、物価がある程度割高になっておりますが、これが国内の経済開発が進めばだんだん経済車場が安定いたしますし、かたがた国内開発が進めば鉄鉱石あたりも買えるようになるし、そのほか原綿、砂糖もコンスタントに出るようになるんじゃないかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/29
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030・松本七郎
○松本(七)委員 その開発計画というのはどういうふうになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/30
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031・高野藤吉
○高野説明員 現在五ヵ年計画は来年六十年で大体完成いたしまして、順調に進んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/31
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032・松本七郎
○松本(七)委員 その五ヵ年計画の資金は、ブラジルの国内資本と外国資金と比率はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/32
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033・高野藤吉
○高野説明員 大体半々ぐらいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/33
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034・松本七郎
○松本(七)委員 それは借款ですか、それから外国はどこが主力になっているでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/34
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035・高野藤吉
○高野説明員 借款で、主として英国と米国でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/35
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036・松本七郎
○松本(七)委員 このブラジルの問題は私はそうそう簡単にはいかないと思うのです。業界でも非常に先を心配してあせっているようですが、よほど積極的な手がたい対策を立てなければなかなか事態は困難じゃないかと思うのですが、これをやっていると切りがないから先に進みますが、この説明書によりますと、ブラジルは日本に対して十四品目を譲許しているわけですが、日本は同国にわずか二品目、品目数から見ますとまことに不均衡のように見られるのですが、ブラジルにはこれに対して難色はなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/36
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037・高野藤吉
○高野説明員 今回はもちろんブラジルと交渉の結果、お互いに満足した結果、向うは十四品目を譲許し、わが方はブラジルに対しては二品目でございますが、しかし金額からいえばブラジルからの輸入額は両方で百九十八万ドルになっております。それから向うはわが方からの輸入額は二百六十三ドルになって、大体見合うようで、品目数においてはちょっと違いますが、金額においては大体とんとんになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/37
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038・松本七郎
○松本(七)委員 ブラジル側ではこの点は難色はなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/38
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039・高野藤吉
○高野説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/39
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040・松本七郎
○松本(七)委員 従量税方式と従価税方式ということがいわれておるのですが、この両方のそれぞれの利害得失はどういうところでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/40
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041・柴崎芳博
○柴崎説明員 私からお答えをいたします。従量税方式でいきますと、商品の数量によって課税いたしますから、一々税関におきまして課税価格を決定するような手数が省けるということでございます。それから一番大きな点は、従量税方式でいきますと、インフレのように通貨の価値の変動のあった場合には、ほとんどそれが担税力が低くなってしまう。それを従価税方式でいきますと、価格に応じた一定の税率を確保できるという点が一番大きな点でございます。それからもう一つは、さっき申しました課税上の技術の点、しかしながらおのずからそこには品目によりまして従量税方式と従価税方式が限定されます。商品が大量貨物であまり品質の差のないものにつきまして、たとえば穀類のように品質に大差のないものにつきましては従量税方式がとれますけれども、たとえば万年筆のごとく安い万年筆もあれば高い万年筆もある、そういうものを一本幾らというような価格でもって課税いたしますと、非常にアンバランスを生ずるということになると思います。それが大体おもな点でございますが、それによりまして業者の方の側から見ますと、従量税方式によりますと価格の変動がどうあろうとも一定の税額を払うことになりますから、従って業者は税金が幾らであるかということをいつも採算の中に入れることができる、そうして国内において需要が逼迫して輸入いたしたいというようなときには外国でも品物が不足になりますから高くなる、その場合に従量税方式でいきますと、いつもその場合は買いやすくなるというようなことがおもな特徴であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/41
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042・松本七郎
○松本(七)委員 日系のブラジルにある会社が、多くのものが開店休業の状態で、海運業なんかには非常に悪影響をしておるという、すでに積荷が減少して出血配船まで行われておるというようなことだそうですが、当面これをどうやって打開するかということについては、先ほどの買付を多くするというようなこと以外に、日系の会社についての直接の援助方策というか、保護政策というか、そういうものは別に考えられておらないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/42
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043・小田部謙一
○小田部説明員 その点は日系の商社の中にも今すぐ困るものもなく、あるいはほかのものを作ったりあるいは現地の材料で間に合わしておるものもございますが、とにかくなるたけ早くしなければならないということでございます。ところがこの日系の商社のみに関しまして、何らかの方策をとるといたしまして、たとえばドルを日系の商社に特にこちらから送金いたしまして、その金で日本から材料品を買うとか、その他の方法をブラジル側と交渉してやってみましたのですけれども、今までのところはそのどの方法もブラジル側の為替管理法とかなんとかにひっかかってだめでございまして、特別に日系の商社のみにやるという方策が今のところほとんど困難なのでございます。そこで今まで高野次長の申されましたように、これを全般的問題と扱いまして、通商貿易一般の問題といたしましてやるという方式をとらざるを得ないわけでございます。向うにはAGIOという制度がございまして、日本から受け取った額を競売するわけでごいざます。これがある程度にとどまらないうちは競売を開始しないという制度になっておる、そういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/43
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044・松本七郎
○松本(七)委員 救済のための特別の貸付はできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/44
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045・小田部謙一
○小田部説明員 貸付すると申しましても、一応ドルなりポンドなりをその会社に貸し付けまして、それで日本から材料を仕入れるという形式をとらなければいけないわけなんでございます。ところが、日本が貸し付けました金は、そのAGIOの中に繰り入れないという為替管理法の組織になっておりまして、そのために、牛場経済局長も南米の公館長会議に行かれたとき、その方法を試みられたのであります。それでも向うの為替管理法上だめで、向うとしては一般の貿易をふやして、その中で一般的なAGIO、つまり対日為替の競売制度の更改をやりたいという主張をとっておるのでありますが、今のところむずかしいのではないか、そう思われている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/45
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046・松本七郎
○松本(七)委員 これは日本に対するばかりでなく、外国には全部そういうやり方でしょうか。最近特に日本に対して不信感が強くなっているということなんですが、日本に対してのみそういう厳格な態度をとっておるのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/46
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047・高野藤吉
○高野説明員 対日AGIOというのは、日本だけに関する制度でございまして、ほかに対してはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/47
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048・松本七郎
○松本(七)委員 この砂糖の買付問題とか、あるいは船舶の建造の問題等が相当不信をブラジルに植え付けているんじゃないか、もう少しブラジルに対してこういう不信感を払拭するような誠意を持った対策を政府も考えないと、このまま放置しておくと、将来はだんだん中南米一般に対して不信感が強くなるんじゃないかということを非常に心配しているわけなんです。この点、将来の見通しはどうでしょうか。こういう対策をもってすれば、必ずこの不信感は取り除けるという確信はおありですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/48
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049・高野藤吉
○高野説明員 現在問題になっておりますのはブラジルだけでございますが、去年協定ができまして、これの運営が日本ばかりになっていることは、先ほども申し上げましたように、ブラジルの国内の経済的な事情によりまして、ちょっと中断という格好になっております。この急場をしのげば、今後はうまくやっていける。それからほかの国には不信感、そういうものはございませんので、この数ヵ月のうちに問題が解決すれば、今後はそういう問題が再び繰り返されることはない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/49
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050・松本七郎
○松本(七)委員 ガットそのものは至急あれしていいと思うのですけれども、ブラジルの関係ばかりではなしに、すべての経済関係でそういったブラジルと同じような事態を起すおそれのあるような国はたくさんあると思うのです。今後特に国際競争の激しくなってくる、しかも欧州の通貨の交換性が回復すると、これによってまた競争が激化するというような事態になれば、よほどしっかりした対策をとっていかなければ立ちおくれるだろうと思うのです。そういう意味で、今度の設置法のことにも関係してくるのですが、対外経済協力ということについてもう少し積極的な方策を打ち出さなければ、ただ機構だけ変えたんでは、これはとても追っつかないと思うのです。この前から経済協力については、一体どういう懸念と総合的な対策があるかということを御質問しているわけです。これは直接の担当者は、今のところ設置法に関する限りは内田さんだろうと思うのですが、政務次官なり内田さんから、そういう方々の国々から買っておる不信感が増大しようとしておる、こういう事態に対処して、どういう内容のある対策を打ち出そうとされておるのか、もう少し説明していたたきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/50
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051・内田藤雄
○内田政府委員 確かに私どももただいま松本委員のおっしゃいましたような懸念を持っております。たまたま昨日あたりから開いております公館長会議に来ておる人のいろいろな話を聞きましても、やはり中共あたりの経済進出というものに対抗するために、もう少し日本が相手の立場、ことに外貨が非常に不足しているとか、あるいは売るべきものが非常に限られている国々を相手にしなければならぬわけでありますので、そういうものを相手にする場合に、ただ今までのような貿易方式だけで諸外国との競争に太刀打ちできるかということは、確かにわれわれも問題だと思っております。ただ、先ほどそれと経済協力の機構の問題をお結びつけになりましたが、われわれも、今度の経済協力の予算の内容というものは、われわれの理想としているところから申せば非常に貧弱なものであるというふうに考えておりますし、機構そのものも定員増はわずか四名というようなことでございまして、現在あります外務省の人員等を使ってやりますから、本格的な立場から見ますと、いかにも一時しのぎのような格好になっておるということをわれわれ自身も認めざるを得ないのでございます。しかし、今度の予算の内容等と勘案いたしますと、差しあたり大規模な経済協力を設置するほどの中身もまだございませんし、とりあえずは、はなはだ貧弱ではございますが、一応機構を変えまして、現在外務省の各局でやっておりますものを統合いたしまして、また、窓口を一本化することによって、関係の、たとえば通産省とか大蔵省あるいは建設省との連絡にも便宜な措置をいたしまして、そこからまずスタートとして、細々ではございますが発足したいという程度の考え方でいる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/51
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052・松本七郎
○松本(七)委員 次は、カンボジアの問題ですが、キリロム高原の都市建設が経済協力の一環として計画されたということですが、この計画はその後どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/52
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053・竹内俊吉
○竹内(俊)政府委員 ただいまお尋ねの件は、カンボジアの方からこの計画を変更して——放棄したと申しますか、変更してきて今御審議を願っているものに変えたという事情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/53
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054・松本七郎
○松本(七)委員 そうすると、このキリロムの建設計画そのものをやめたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/54
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055・竹内俊吉
○竹内(俊)政府委員 向うから、この関連においてはやめますということで申し入れがあったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/55
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056・松本七郎
○松本(七)委員 一時五万人の移民ということをしきりに言われて、外務省からも調査団が派遣されたりしておったのですが、相当具体的に話が進められたように私どもは聞いておったのですが、その後どうなっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/56
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057・小田部謙一
○小田部説明員 私は、移民の方を直接やっておりませんけれども、その話が一時ありましたけれども、東南アジアの移民関係とその他の中南米なんかの移民というようなものをいろいろ考えまして、つまり、どれだけの人間を出すのにどれだけのコストがかかるというようなことと、それから、こういう中に一緒に立って働くといろいろな問題も起りやすいというようなことがございまして、その計画は今のところ一時見送られております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/57
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058・松本七郎
○松本(七)委員 そうすると、カンボジアは、受け入れ態勢その他から結局適当でないという結論ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/58
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059・小田部謙一
○小田部説明員 今のところは一応出ない、そう考えました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/59
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060・松本七郎
○松本(七)委員 カンボジアはどういうふうに受け取っておるのですか。あの当時カンボジア側は非常に積極的で、期待しておったのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/60
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061・小田部謙一
○小田部説明員 その問題は、前に御質問のありましたキリロム都市建設計画のときとほとんど同時に起った問題でございますが、その後向う側でもこの問題をドロップいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/61
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062・戸叶里子
○戸叶委員 関連して。この前カンボジアの移民の問題が出ましたときは、カンボジア政府の方で主として望んでいるのは日本の方の農業技術を持った若い人が来て、なるべくなら向うの方にずっと住みついてもらいたいというような希望を持っての移民であったということを当時の移住局長が説明されたことを私は覚えておるわけでございます。そこで、今この協定に盛られております農業技術の援助というようなものはどういう形においてなされるかを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/62
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063・小田部謙一
○小田部説明員 実はその問題に関しましては、一九五六年にキリロム市の都市計画は一応将来に残して、さしあたって、日本の援助をカンポジアの農業装備の改善、なかんずく農耕機具の普及に向けたい旨を回答して参りましたもので、と申しますのは、最初の経済協力の問題が起りましてから、先方の方ではいろいろ政局も変りまして、向うの方の意思決定がおくれたわけでございます。それで、現在のところはカンポジアの方とは、一応この協定ができましたら、農業技術のどういうふうなセンターをそこに設置するかということを相談することになっておりますが、私たちの方の計画では、プノンぺン本所及び地区模範農場を四ヵ所設ける、それからその中にはカンポジアの農業に対する調査、農業改良のための技術指導、農業技術者の養成、農機具使用に関する技術指導及び試験研究、診療者による巡回医療というようなことを一応考えております。しかし、これは本協定自体を、議会の御承認を得ましたならば、現在細目協定を交渉中でございますが、その細目協定をやりましたあとで、カンポジア側と詳細に、どこにどういうふうな計画でやるかということを打ち合せすることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/63
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064・戸叶里子
○戸叶委員 そうしますと、前にカンポジアが望んでおりましたような役務による援助というよりも、むしろ機械なり施設なりを作って、それに付随した人を送るというふうな程度であって、技術を持った人を相当送るというふうな前のカンポジアの要求というものは、変ってきたわけでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/64
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065・小田部謙一
○小田部説明員 今までカンポジア側からきておりますことは、もちろん相当のこれの専門家を送って先方を指導しなければなりませんけれども、移民がおもであるということでなくて、むしろ日本式の機械とか日本式の種とか、そういうようなものを向うに教えてもらいたいというふうな考え方でカンポジア側はおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/65
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066・松本七郎
○松本(七)委員 カンポジアは最近中国との関係はどういうふうになっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/66
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067・小田部謙一
○小田部説明員 カンポジアは中共も承認しております。ですから、中共からカンポジア側に相当の経済援助が来ております。たとえば、一九五六年に八百万ポンドを無償提供することになりまして、それに基きまして繊維製品、セメント、金属製品などを中共からカンポジア側に出しております。カンポジアは御承知の通り政治的には中立政策をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/67
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068・松本七郎
○松本(七)委員 プラントの輸出はどうでしょう。カンポジア側から言えば輸入ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/68
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069・小田部謙一
○小田部説明員 今までのところの情報では、別に中共からプラント物の輸出が行っておるというような情報を受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/69
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070・松本七郎
○松本(七)委員 借款は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/70
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071・小田部謙一
○小田部説明員 一九五六年に八百万ポンドを無償提供するということになっております。当方で知っておるのは、今のところそれだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/71
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072・松本七郎
○松本(七)委員 この協定は直接方式がとられておって、民間の当事者が直接契約を結んでやることになっているわけですが、政府の指導というか、何か介入する余地は全然ないのでしょうか。政府の指導はどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/72
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073・小田部謙一
○小田部説明員 この協定は、ほかの賠償協定、それからラオスに対する経済協力協定と同じように、直接方式でありまして、政府は、カンボジアの当局では計画省が当るそうでございますが、計画省と日本人の業者とが作ってきましたものを、それが果してこの協定及び細目協定によりまするものに合っているかどうかということを認定いたしまして、そうしてそれに基いて認証して金を支払うということになっておりまして、その間政府が介入する余地は、一番最初にカンボジア側と、それではどういうふうな農業センターを作るか、どういうセンダーを作るか、もし金が余ったならば、どういうふうなものをカンボジア側が望むか、そういうようなことを協議するということで大体とどまっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/73
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074・松本七郎
○松本(七)委員 農業技術センターには巡回診療班が含まれているのですが、カンボジアとしては、そういうものよりむしろ病院を希望したというような事情はありませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/74
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075・小田部謙一
○小田部説明員 今カンボジア側の病院は、フランスの経済援助でプノンペン市に病院建設をしております。そしてカンボジア側といたしましては、今の需要から言いますと、病院建設よりむしろ専門家が足りないというようなことがおもな理由だと思います。それで、この交渉になりましてからは、向うの要望で診療者ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/75
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076・櫻内義雄
○櫻内委員長 前回の松本委員の御質疑に政府側から答弁のため発言を求めておりますので、これを許します。藤崎参事官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/76
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077・藤崎萬里
○藤崎説明員 外国人が兵役を志願した場合に、国際法上どういう取扱いになるか、また日本及びユーゴそれぞれの国内法上どういう取扱いになるかという御趣旨であったと存じますが、第一に、国際法上はこの問題について何も規律したものはございません。と申しますのは、国際協定でそういう規定を置いたものがなく、また慣習法としても原則として確立したところがないという意味でございます。
次に、日本の場合は兵役はないわけでございますが、自衛隊員、警察官その他一般に官吏について、特に日本国籍を必要とする旨の国内法の明文の規定はございません。しかしこれは、官吏であるには原則として日本国籍を所要とすることは当然のことであるから、明文を設けてなかったのである、そういうふうに法理上解釈されておりまして、取扱いもさようになっております。
第三に、ユーゴの国内法につきましては、在京ユーゴ大使館に照会いたしましたけれども、どうもはっきりわからないということでございます。私どもが想像するには、一般にフランスのような例外はございますけれども、各国とも外国人を軍隊に採用しているどころはあまりないのじゃないかと思いますので、おそらくはユーゴもさようではないかと想像いたします。そういうことで御了承をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/77
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078・亀岡康夫
○亀岡政府委員 お尋ねの問題は、日本人が外国の軍隊の募集に応ずることができるかどうか、こういうお尋ねでございますが、日本人が個人といたしまして外国の軍隊の募集に応ずるということにつきましては、政策といたしていろいろ適当であるかどうかという問題はあるとは存じますが、憲法上の問題といたしましては、国民が個人として外国軍隊に加わる、募集に応ずるということは、何ら憲法の関知するところではない。すなわち、憲法の規定するところではない。何となれば、憲法九条は、日本国が国として陸海空軍その他の戦力を保持することができない。こう規定してございますので、国民が外国の軍隊に応ずるかどうかということは関係がない。こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/78
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079・松本七郎
○松本(七)委員 日本の国民が外国の軍隊に入れる。政策上は別として、法的には何ら規制はないという解釈が明らかになったわけですが、先ほど、外国人を自分の国の軍隊に受け入れる例はないと言われたのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/79
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080・藤崎萬里
○藤崎説明員 私の言い方が悪かったかもしれませんが、フランスのような顕著な例もあるけれども、一般にはそういうことはやらないんじゃなかろうかという想像をしていると申し上げたのでございまして、アングロサクソン系の国ではどうなっているか。私はおそらくは外人部隊というものはないように思いますけれども、はっきり証拠を出せとおっしゃると、申し上げられないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/80
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081・松本七郎
○松本(七)委員 日本の憲法でいえば、今の答弁のように日本は戦力を持てないけれども、外国の軍隊に入ることは、個人としては自由だという解釈ですね。それで国の法律で、フランスはもちろん外人部隊というものを公けにあれしているわけですが、外国の法律でも外人を兵隊に入れることを禁止しているところがあるかということが一つ。積極的に禁止しているところがあるか。というのは、さっき日本の例として、官吏なり、あるいは自衛隊員、あるいは将来軍隊ができれば軍隊の兵隊も、日本国籍を持った人で構成されるのだから、外国人はできないのだ、こういう解釈をされるわけでしょう。それと同じように、外国でも国内法でそういう解釈ができる法律がありはしないか。たとえば一切の官吏なり軍人は、その国の国籍を持った人でなければいかぬという建前をとっていれば、それは日本人だって受け入れられなくなるのだから、幾ら日本人が個人としては入れるという建前をこっち側がとっても、向うが受け入れなければ意味がない。そこのところを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/81
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082・藤崎萬里
○藤崎説明員 御質問の趣旨はよくわかっておるのでございますが、日本の例でも申し上げましたように、法令に何ら明文の規定がなくても、そういう建前になっておるという場合もあるわけでございまして、諸外国でも、法令上、別に外国人は兵隊に採用してはいけないという明文の規定がなくても、そういうことはしないということも想像できるわけでございます。私が最初に申し上げましたのは、今おっしゃいましたように、大体各国とも顕著な例外を除いて、外国人が兵役に入ることは認めていないのじゃなかろうかと申しておるわけであります。その結果、かりに日本の憲法上、日本人が外国の軍隊に志願して入ることが自由になっているといっても、向うでは編入できないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/82
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083・松本七郎
○松本(七)委員 その顕著な例としてフランスだけですか、外国人を軍隊なんかに入れるのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/83
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084・藤崎萬里
○藤崎説明員 私が承知しておるだけでは、その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/84
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085・戸叶里子
○戸叶委員 関連質問。よその国の人を採用してはいけないというふうなことがなくても、大体採用しないというふうなことでございましたけれども、私、もし記憶が間違っていたらば訂正していただきたいと思いますが、三年くらい前に、アメリカに季節移民というのがあったのです。その場合に、この季節移民でいく人に対しましては、もしも向うのいわれた条件に服しない場合には、軍隊に入ってもらうのだというような条件があったというようなことを、私は季節移民のある逃げた人から聞いたわけでございますけれども、そういうことは間違いでしょうか、どうでしょうか、この際明確にしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/85
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086・藤崎萬里
○藤崎説明員 私も、私の知っている限りで申し上げておるわけでございまして、今の御質問の点もよく調べなくちゃいけませんけれども、法律上は免除されるということが明文でなくても、実際上はされないということがあるわけでございまして、今同僚から聞いたところでは、アメリカあたりもドラフトはされる建前になっておるけれども、実際上はされないのだというふうな事情だそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/86
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087・戸叶里子
○戸叶委員 そうすると、大事な問題ですから伺っておきたいのですが、たとえば今みたいな場合、季節移民なんかの場合で、もしも自分たちの出した条件に従わないときには、アメリカの軍隊に参加してもらうのだというような契約書か何かに署名をさせられるというようなことは、一体可能なものなんでしょうか。そういうことをしてもいいものでしょうか。私はその当時そのことを聞いて、これは大きな問題じゃなかろうかと思っていた疑念が今出てきたものですから、ちょっと確かめておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/87
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088・藤崎萬里
○藤崎説明員 その点はもう少し文書なり何なり調べまして明確なお答えをいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/88
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089・戸叶里子
○戸叶委員 調べておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/89
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090・松本七郎
○松本(七)委員 法制局に伺いたいのですが、その日本人は個人として外国の軍隊に入ることは、憲法上は許されておるのだということになりますと、これは政策の問題は別として、たとえばアメリカ軍が日本人の志願兵を募集する政策をとったとする。それは在日米軍でも何でもいい。その行動する範囲もまたそこで問題になるでしょうが、そういう場合に、日本人が個人としてこれに参加することは憲法上は許されておるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/90
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091・亀岡康夫
○亀岡政府委員 先ほどもお答え申しました通り、憲法上の問題といたしましては、米国軍隊に参加するということは関知しない、すなわち規定がないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/91
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092・松本七郎
○松本(七)委員 可能だということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/92
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093・亀岡康夫
○亀岡政府委員 そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/93
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094・櫻内義雄
○櫻内委員長 この際お諮りいたします。外務省設置法の一部を改正する法律案について質疑を終了するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/94
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095・櫻内義雄
○櫻内委員長 御異議なければ、これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
本案については、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
外務省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/95
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096・櫻内義雄
○櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって本案は可決すべきものと決しました。
関税及び貿易に関する一般協定、カンボディアとの協力協定、ユーゴースラヴィアとの通商航海条約の三件については質疑を終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/96
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097・櫻内義雄
○櫻内委員長 御異議なければこれにて三件に対する質疑は終了いたしました。
以上三件については、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。
三件はいずれもこれを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/97
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098・櫻内義雄
○櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって本件は承認するに決しました。
なお、ただいま議決いたしました四件に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/98
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099・櫻内義雄
○櫻内委員長 御異議なければさよう取り計らいます。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時二十分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103103968X01519590319/99
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