1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月十七日(火曜日)
午前十一時十八分開議
出席委員
委員長 堀川 恭平君
理事 佐藤虎次郎君 理事 瀬戸山三男君
理事 二階堂 進君 理事 南 好雄君
理事 上林與市郎君 理事 中島 巖君
理事 三鍋 義三君
井原 岸高君 島村 一郎君
砂原 格君 橋本 正之君
林 唯義君 村瀬 宣親君
石川 次夫君 東海林 稔君
山中日露史君
出席政府委員
建設政務次官 徳安 實藏君
建設事務官
(計画局長) 美馬 郁夫君
建 設 技 官
(道路局長) 佐藤 寛政君
委員外の出席者
専 門 員 山口 乾治君
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二月十六日
道路整備五箇年計画実施に伴う地方負担割合に
関する請願(羽田武嗣郎君紹介)(第一四四七
号)
道路整備五箇年計画及びその財源に関する請願
(丹羽兵助君紹介)(第一五〇六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
日本道路公団法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一四〇号)
建設省関係重要施策(昭和三十四年度建設省関
係予算)に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/0
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001・堀川恭平
○堀川委員長 これより会議を開きます。
去る二月九日付託になりました内閣提出、日本道路公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず提案理由の説明を聴取いたします。徳安政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/1
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002・徳安實藏
○徳安政府委員 ただいま議題となりました日本道路公団法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
日本道路公団の資本金は、公団の設立の際における旧特定道路整備事業特別会計の資産の価額から負債の金額を差し引いた額とする旨定められているのでございますが、公団の事業の拡大に伴いまして、事業運営の合理化をはかりますために増資できる道を開く必要が生じて参りました。
また、高速自動車国道の建設に要する資金を調達いたしますために、外貨資金を借り入れる必要があるのでございますが、国際復興開発銀行から外資を借り入れるに当りましては、債権者としての同銀行の地位の保護その他につきまして規定を整備する必要があると認められます。
以上がこの法律案を提案いたした理由でございます。以下本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、公団は、必要があるときは、建設大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができることとし、この場合には、政府は、公団に出資することができることにいたしました。
第二に、国際復興開発銀行が公団に資金の貸付をした場合には、同銀行は、道路債券の債権者と同様に一般の先取特権に次ぐ優先弁済権を有することといたしました。
第三に、公団は、国際復興開発銀行と締結する外貨資金の借り入れ契約に基いて同銀行に道路債券を引き渡す必要があるときは、その発行事務を外国の銀行または信託会社に委託することができることといたしました。
第四に、公団が国際復興開発銀行に引き渡した道路債券を外国投資家が譲り受けた場合における外国向けの元利金の支払い及びその受領について、外資に関する法律の特例措置を定めることといたしました。
以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/2
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003・堀川恭平
○堀川委員長 次に、建設省関係重要施策に関する件につきまして調査を進めます。前会に引き続き建設省関係予算について質疑を行います。石川委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/3
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004・石川次夫
○石川委員 計画局の関係で若干御質問いたします。この前大臣が出られまして、大体私の質問したいことの大半は、山中吾郎委員から質問をいたしておりますので、残余の部分について若干質問したいと思います。
最初に、現在の都市の形成率は非常に高くなりまして、すでに市街地形成面積というものは九億二千万坪で、今後だんだんそれがふえていく、しかしこれに対しまして、区画整理の済んでいるものは、わずかに二億七千万坪しかないというふうなことで、非常に立ちおくれておる。それからこの前山中吾郎委員から質問がありましたように、街路の予算が大部分を占めておりまして、非常に立ちおくれておる。下水道、それから緑地の関係などは非常な立ちおくれであります。ところがこの都市建設というものは、やはり日本の総合開発の中核にならなければいかぬというふうな意味においては、計画局の予算というものは、非常に立ちおくれておるのじゃないか。とても総合開発の中核になるにふさわしいような予算を伴っておらないということについては、非常に残念に考えるわけなんです。これは、一つの要望事項として申し上げておくわけでございますけれども、都市計画関係の予算について、特に総合調査、あるいは下水道、緑地の形成というふうなものについて、格段の御尽力をお願いしたいということを最初に申し上げておきたいと思います。
それからこの下水道の関係ですが、私、ちょうど資料を忘れてきましたので、正確な数字は忘れましたけれども、下水道の五カ年計画に対しまして、ことしの予算が、国費わずかに十四億、五カ年計画による予算というものは千三百億ですから、これは、文字通り百年河清を待つというふうな形の予算になっておる。この立ちおくれにつきましても、この前大臣から、来年度から思い切った予算の組めるように努力をするというふうな答弁がありましたので、あえてそれ以上御質問をしたいとは思いませんけれども、この下水道に関連して、一つのことについて一つ計画局当局の御意見を伺いたい。それは、農地局の理学博士の山本さんというと非常に地質学の権威だそうでありますけれども、汚水の処理につきまして一つの見解を発表されております。それは、三、四百メートルの地下層には、大体利用できるところの地下用水の層がある、それからさらにずっと下って下の方には工業に活用できる天然ガスの層がある、その中間層に対して下水をつぎ込んで汚水を処理するというふうな一つの方式が提案されておるわけであります。ところが、もしこれができるとなれば、日本だけでなくて、世界の人々に対して非常に大きな福音になる。一つには汚水の処理がそれによって完全に処理できるということが一つの利点、一つには、地盤沈下という問題があらかじめそれによって抑制されるであろう。さらには、もっとうまくいけば、場合によってはそれによって地下用水の源泉にもなる、こういうふうな一石三鳥の利点が考えられる。しかし、これは私たちのようなしろうとが考えても非常に話がうま過ぎる。大体現在ですらも、地下水の汚染ということが非常に問題とされておるときに、このようなうまい話が成り立つかどうかということについて、一応疑念を持たざるを得ないわけです。しかしながら、いやしくも地質学の権威者の提案事項でもあるので、これについて、やはり相当積極的に検討を加える必要があるのではなかろうか。従って、これは計画局だけの問題ではないと思うのでございますけれども、これについて、積極的に実地検査といいますか、調査を進めるということを現実に今度の予算案の中で盛られておるかどうか、この点をまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/4
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005・美馬郁夫
○美馬政府委員 ただいま御質問がありました、汚水処理の問題の方法でございますが、私どもも下水行政を扱っておる建前から、いろいろこの処理の問題については苦労いたしておるのでございますが、ただいまお話しになりました点については、私どもまだ事実をよく存じておりません。至急調べまして、その方法、やり方、効果等について検討してみたいと思っております。従って、この予算につきましても、そういう意味の調査費は計上いたしておりません。ただこの前予算の事項別に御説明をいたしましたが、現在全国で相当数の河川が、この汚水のためによごれておりますので、そういう河川を選びまして、全国的にモデル的なケースといたしまして、いろいろ河川の水の汚濁関係の調査は、調査費として計上いたしておりますが、ただいまお話がありましたような意味の調査費は、計上いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/5
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006・石川次夫
○石川委員 調査しておらないとすれば、申し上げても仕方がないのでありますが、これは、この関係では相当大きな問題になっておるようなんです。しかし話が非常にうま過ぎて、これはほんとうに完成すれば、大げさにいえば、ノーベル賞ものじゃないかと思われるくらいのことになるわけですが、ちょっとまゆつばものではないかというような感じもいたしますけれども、事実これができれば、大へんなことになる。ぜひこれは研究してもらいたいと思うし、いやしくも非常に責任ある立場の人が言っておられることなので、このことについて、やはり積極的に研究調査をすることが必要だろうと思う。一笑に付すというわけにはいかないのではないかと考えるので、積極的に検討を進めてもらいたい。その結果について、あらためてまた御答弁をいただきたいということを申し上げます。
それからこの前に、皇居開放論に関連いたしまして、大臣の御意見であったかと思いますが、山中吾郎氏の方からも、象徴以上であってもならないし、象徴以下であってもならない、皇室の立場というものはそういうものだということについて、御意見を聞いたわけです。ところが私は、現在の皇居の、特に東京都について考えるわけなんですけれども、皇居の大きさというのは、大体二里くらいの関係があって、いわば東京のどまん中に、一つのロータリーができているという感じになっている。ところで、この前も計画局長の答弁にもありましたように、東京都の緑地の占める面積の比率、あるいは道路の占める面積の比率というふうなものは、世界の先進国の各大きな都市に比べまして、非常に低い、非常な立ちおくれになっているということは、今さら私の方から申し上げるまでもないと思うし、下水道の普及率にいたしましても、これは、ほとんど野蛮国にひとしいような恥かしい普及率しか示しておらないということになっている。そしてこの前の山中吾郎委員の話では、皇居を開放して、緑地の方を民衆に開放しろというような意見を述べておったので、そういうことまでの質問を私はいたしたいとは思っていない。ただ問題は、大きなロータリーのような形になっているために、この一秒間に三千も通っているという丸の内付近の交通量の輻湊、それからさらに今後どんどん今までのような比率で増大していきますと、これを処置し切れないだろうということは、だれでも懸念をしているわけであります。もちろん高速道路公団というものができて、これを処理するといたしましても、とても十分でないということが言えるわけです。国民の象徴としての皇室に全然手をつけたくないという気持も、非常に強く残っておるかもしれませんので、私は、開放論まで話を進めないまでも、とにかく輻湊する自動車の交通の隘路を打開する一つの方便として、ぜひとも皇居の中に道路を通すという程度のことだけは、考えなければならぬ時期に来ているのではないかと思う。と申しますことは、最近皇室も民主化されて、民間から皇太子妃を選ばれたということで、非常に歓迎されておりますけれども、その民主化を百尺竿頭一歩を進めるというところまでいかないまでも、とにかくせっかく歓迎されている皇室の民主化が、交通の輻湊から非常な隘路になっているということで、さらに大きな批判を受けるような情勢がこれからだんだん濃くなっていくのではないか。従って、東京の緑地の占める面積の比率が低いから、緑地をふやせというところまでは飛躍しないまでも、少くとも皇居の中へ道路を通し、交通の緩和をするということだけは、最小限度考えなければいかぬと思うのです。その点について、大臣の見解を伺いたかったのですが、政務次官が来ていらっしゃるので、政務次官から伺いたい。この前の答弁では審議会の結論に待たなければ、個人の見解を発表すべき段階でないというふうなお話がありましたけれども、それは、緑地化までも含めてのいわば開放に対しての見解だと思うのですが、交通の隘路打開ということに関しては、常識で考えても積極的に考えなければならぬ時期に来ているのではないか。これは、決して皇室の象徴という意味の地位を汚すのではなくて、むしろ象徴としてのあこがれの的を保つという意味からも、そうすべきだというふうに考えられるので、その点についての御見解を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/6
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007・徳安實藏
○徳安政府委員 皇居に対します私どもの考え方はさきに大臣が御答弁申し上げた通りでございます。何しろ重要な問題でございますので、軽々に御答弁できがたい点もございますが、ただいまのお説等につきましては、十三分に御意見として拝聴いたしまして、こうした問題解決のために、慎重な態度決定の指標にさしていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/7
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008・石川次夫
○石川委員 社会党の立場でそういうふうに言ったということではなく、これは、大体国民の世論と考えて間違いないと思うのです。そう大幅に、遷都をしろとか緑地を開放しろということを言わなくても、交通の隘路で、非常な障害になっているという批判だけは、だれしも考えていることなんです。この点については、やはり積極的に考えるべき段階だと思うので、ぜひその点は御考慮願いたいというふうに考えます。
それからあと一つ、これは、あるいは営繕局の関係になるのかとも考えられますけれども、実は営繕局長の御説明によりますと、国会議事堂を中心として、将来三百億くらいの予算を擁して、十年間、それ以上をかけて、この辺を飛躍的に開発し、高層建築をずっと並べるのだという御計画、これは、新聞でもちょっと拝見したわけですが、その詳細な計画は、まだ最後決定されておらないと思いますが、詳細な計画をまだ承知しておらないので、いずれ機会を見て、そういう構想についての御説明を願いたいと思うのですが、その場合に、この国会議事堂の周囲にありますアメリカのキャンプであるパレス・ハイツ、それからチャペル・センター、これをどういうふうにお考えになっておられるか、現在の段階でどうなっているかを一応御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/8
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009・美馬郁夫
○美馬政府委員 ただいまお話がありました、アメリカ軍が接収しておりましたパレス・ハイツの跡でございますが、これは、先般返還になりまして、ただいまの予定では、国立劇場をその跡に建てるというふうな予定で諸般の準備を進めております。
それからもう一点のチャペル・センターでございますが、これは、現在まだ解除されておりませんが、先般私ども計画局の予算の中で御説明いたしました霞ケ関公園というのを、この議事堂を中心として二万坪ばかりの国営公園を計画しておりますが、接収が解除された暁におきましては、この公園の一部として経営いたしていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/9
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010・石川次夫
○石川委員 実は終戦後十年たちまして、現在では、盛んにもはや戦後ではないということをいわれております。われわれも、あらゆる点にそういう徴候を見るのでありますけれども、実は日本の政治の中核である国会議事堂を中心として開発をすることは、非常にけっこうなことであります。しかしこの目の前にあるチャペル・センターというもの、これは、終戦後の状態といたしましてはやむを得なかったと思うのでございますけれども、いかにもまざまざと戦後だということを思わせるような現象が議事堂のまん前にあるというふうなことは、いかにも情ないような感じがするわけです。これは、別にアメリカ軍に対する反抗心や何かから言うのではなくて、どう考えても国民の気持といたしましてはここにアメリカ軍の軍事基地のキャンプがあるというふうなことについては、納得のいかない気持を持っている。これは、向うにもその趣旨を話せば、十二分に納得いくし、了解が得られるというふうにわれわれは考えるわけです。私の申し上げたいのは、ぜひともこれは超党派的に接収を解除してもらって、霞ケ関公園という一つの計画もあることですから、積極的に、一日も早くあそこを公園に着工できるような交渉を、すぐにでも進めてもらいたいというふうに考えるわけですが、その点について、一つ政務次官の御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/10
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011・徳安實藏
○徳安政府委員 御趣旨の通りに努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/11
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012・石川次夫
○石川委員 まだ積極的に交渉は始めておらないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/12
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013・徳安實藏
○徳安政府委員 事務当局において折衝はいたしているそうでございますけれども、まだ解除の見込みは、いつということははっきりしていないそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/13
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014・石川次夫
○石川委員 これは、事務当局だけということではなくて、一つ内閣といたしましても——だれも来た人が異様に感ずることは、事実なんですよ。いろいろそばでそういう話も聞くので、これは、今の時期になれば、そういう交渉をしても、向うも別に異様な突拍子もない申し出だとは思わない。こちらの計画を話をして、適当なかえ地を見つけることを考えれば—いかに何でも、国会議事堂のまん前にあるというふうなことは、日本にとっても、極端に言えば、恥辱だというふうに思われるということは、向うも納得ができると思う。そういう点について、今まで批判が出なかったことは不可解だ、そういう意見を持っている人がかなりある。そういう点も考慮に入れられて、ぜひチャペル・センターを一日も早く解放されるように、折衝を進めていただくように御配慮願いたい。
それから計画局だけの問題ではなくて、これは道路局の問題もあるし、あるいは営繕局の問題、いろいろな方面に関連がある土地、用地の取得の問題であります。最近だんだん用地の取得が、住宅などの問題につきましても、むずかしい事情になっていることは御説明するまでもない。これは、だんだん土地の価格が上ってくる、その価格のきめ方が非常にむずかしい、それからだんだん用地が上って、土地を手放さないという人が地方にもだんだんふえてきておるというようなことで、非常に困難な情勢になってきているわけなんですが、これについて、この困難な情勢になってくればくるほど、それに対応するところの施策を作り上げなければならぬというふうに思うのですが、それに対する特別な施策というものを、今年度においてお考えになっているかどうかということをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/14
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015・美馬郁夫
○美馬政府委員 用地問題でございますが、これは、私ども一計画局だけの問題ではありませんが、私ども非常に関連するところが多いのでございまして、そういう立場からお答えいたしたいと思います。この用地の取得の問題でございますが、これは、私どもいろいろ見ておりますと、まず根本問題で、この用地取得難が出てきますのは、いろいろ河川なり道路なり、その他の公共事業をやっておりますが、この事業主体自体が、計画の樹立に当りまして、最初からがっちりした適正な計画をすみやかに立てる必要があるのではないか、こういうことが根本問題でございまして、私ども土地収用法を所管する部局から、いろいろこの問題を検討しておるのでありますが、いろいろ自分らでやってみて、ぎりぎり詰まった場合に収用法の問題に持ち込んでくるというふうな場合が多いのでありまして、計画を年度当初においてすみやかに適正に進めていくというふうな点が、いささか欠けておるのではないかというふうな点も強く感ずるのであります。
この用地取得の問題につきましては、今申し上げましたように、各事業者がいろいろ任意買収の立場で手続を進めて参りますが、そのためにいたずらに長期の期間を要しまして、どん詰まりになって初めて法の手段に訴えるというふうな場合も多いのでありまして、こういう点は、事業自体のやり方を相当適正にやれば、ある程度の効果は上ってくるのではないかというふうな感じがいたすのであります。なお現在用地の問題で一番基本になっておりますのは、用地補償の値段の問題でございまして、この値段の問題は、これはなかなか現実にはむずかしい問題でありますが、私どもこの用地補償の基準をどういうふうにすればいいかというふうに、この用地補償の基準というものを検討して、できれば、これは政府としてきめていったらどうかということで、目下いろいろ検討をいたしております。
なおたとえば、現在の予算制度から申しましても、用地の取得は、単年度を原則にしておりますが、これは、事柄の性質上、あるいはもう少し後年度に及ぶような用地を買収するような制度はできないものであろうか。これは、予算制度全般とも関連しておりますが、そういう点も非常に問題になってくるのではないか。いろいろ実際行政のやり方で改善する点はございますが、しかし、最後には法律的な問題も出てくるかと思います。これにつきましては、現在土地収用法というのがありまして、この運用は、いろいろ私ども法の趣旨にかんがみまして、厳正的確にやるようにいたしておりますが、しかしながら、こういうふうに土地問題が非常に起っておりますので、この問題につきましても、一つ根本的に検討しなければならぬ時期になっておるのではないか。特に来年度予定いたしております首都高速道路建設等に関連いたしまして、相当立ちのき等の問題等も出て参りますので、この点にかんがみまして、特にこの市街地の用地取得対策といたしましては、適切な手段を考えていかなければならないのではないかというふうなことを、ただいま検討いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/15
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016・石川次夫
○石川委員 これは常に困難な問題なんで、思いつきでどうこう申し上げても、なかなか容易でないということはよくわかります。都市計画の関係以外で、道路の、地方の方の関係で考えるのですが、残地補償なんかは、こまかい計算をされて規定をされております。そういう法令に基いて一応納得させるというようにできておりますけれども、ただ問題は、土地の買収価格以外に、たとえば三町歩の土地を持っている人が一反歩の土地がなくなる場合と、五反歩しか土地がなくて一反歩なくなるという場合とでは、非常にその人の受ける打撃は違うけれども、やはり一率の価格でもって買収をするというふうなことが、相当買収の場合の障害になっておるという点が非常に多いわけなんであります。これは、残地補償のように簡単にはいきませんけれども、一応の買収価格というもののほかに、そういう生活程度——これは、ほんとうに完璧に土地の買収というものを円滑にやろうとすれば、社会機構というものが直り、あるいは社会保障というものが完璧だということが前提でなければ不可能だ。よけいなことを申し上げるようですが、たとえば、北京の前の三十メートルの道路が百メートルに強引に二年間くらいのうちに作り上げられてしまったというような点も、そういった裏づけがあって初めてできたことで、日本においては、いきなりそうしたことはなかなか困難だと思いますけれども、土地の価格は、ある程度明確にしていって、あまり動かさないという今のようなお考え方も必要であると同時に、買収価格以外のそういった社会的な生活の保障みたいなものを別個に考えていく必要があるのではないか。私も思いつきで、いい知恵はないのですけれども、そういう点も含めて考えていく。しかもそういうふうな保障の前提でもできれば、相当強硬に土地を売らないでがんばるというような人たち、あるいは生活に非常に困っておるということで、土地を売らないで執拗にしがみついているというような人たちに対しても、ある程度納得させる、あるいは強硬手段ということは語弊がありますけれども、調停あっせんというものを通じて、土地収用までいかなくても、ある程度できるという可能性等も開けてくるのではないかというふうに考えますので、その点について一つお考えを願いたいということと同時に、先ほどちょっと御答弁にありましたように、どうしても土地買収を単年度制でもってやるということは、とても不可能ではないかという段階にきておると思います。どうしてもプール制にする。プール制にしても、ほかの方に新規に土地買収をするということになれば、事業認定の必要ということも出て参りますから、なかなか簡単には参らぬでしょうけれども、しかし単年度制という制度を打破いたしまして、プール制度のような考え方でもってこの買収の予算というものに弾力性を持たせることについては、当局としても考えておられるでしょうが、相当これは、今の制度とは変って参るので、政務次官は、この点についてどうお考えになっておりますか、そういうことを絶対に断行する必要があると思いますけれども、それについての御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/16
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017・徳安實藏
○徳安政府委員 用地買収につきましては、各地でいろいろな困難が伴っておりまして、ただいまお話しのように、同じ一反のものをとられましても、その人の従来持っております土地の量その他にかんがみまして、影響が非常に差異があることも、私もよくわかるのであります。ただそういう場合に、一方の方を上げますと、一方の方に非常に影響を与えますような関係から、事情はわかっておりましても、手心が加えられないような現状でありますが、ある程度の幅のある折衝をすることにつきましては、十分民意をいれて交渉するようには指導しておるつもりでございますけれども、やはりちょっとでも高くしますと、非常に次の段階に影響を及ぼすような関係がありまして、実際の問題としては、非常にむずかしい段階のように考えております。しかし営業の保障その他につきましては、実情に即するように指導しておるつもりでございますから、今後もそうした方針で指導いたしたいと考えておるのであります。
さらにこの用地買収につきまして、単年度契約ということにつきましては、こういう工合に工事量も大きくなりますと、その年に買ったものをその年に工事を完了するということに非常に困難が伴いますので、政府におきましても、ただいまなるべく後年度のものも買い得るような処置を講ずべく、慎重に研究しておりますので、不日そうした制度に切りかえられるようになろうかと思っております。慎重に研究いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/17
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018・石川次夫
○石川委員 計画局の関係は、大体私の質問はこれで終りですが、私が先ほど申し上げた土地買収の問題につきましては、残地補償のような一つのこまかい規定を作って、きちんときめて、買収価格と別に、非常に生活が困るという人については特別な措置を講ずるという一つの規格をきめれば、だれでも納得をさせて、別な補償を与えるという方法はないものかということを私は考えておるわけです。この買収価格自体を上げるということになりますと、その次の買収価格がまた上るというふうなことで非常な困難が出てくる。しかし現在でも、ある程度の幅を持たしておるということも、私もわかっておる。しかし、その程度のことではなかなか打開できない面があるという意味で、ぜひとも——ぜひともといっても非常に困難なので、一がいには言えませんけれども、そういう点についてでき得るか、でき得ないかということの検討を加えて、何とかそういう方向に持っていくような努力を進めてもらいたいということをお願いしたいわけです。そのほかにもありますが、計画局以外のことになりますので、私の質問は、これで一応打ち切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/18
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019・堀川恭平
○堀川委員長 それでは、本日はこの程度にいたしまして、明日は午前十時から開会いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104149X00819590217/19
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