1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月九日(月曜日)
午前十一時五十分開議
出席委員
委員長代理 理事 大坪 保雄君
理事 大石 武一君 理事 田中 正巳君
理事 八田 貞義君 理事 藤本 捨助君
理事 五島 虎雄君 理事 滝井 義高君
金子 岩三君 齋藤 邦吉君
志賀健次郎君 武知 勇記君
田中 龍夫君 津島 文治君
中村三之丞君 細田 義安君
三池 信君 村上 勇君
伊藤よし子君 大原 亨君
多賀谷真稔君 八木 一男君
出席国務大臣
労 働 大 臣 倉石 忠雄君
出席政府委員
労働政務次官 生田 宏一君
労働事務官
(大臣官房長) 澁谷 直藏君
委員外の出席者
専 門 員 川井 章知君
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三月九日
委員大橋武夫君、川崎秀二君、寺島隆太郎君、
二階堂進君、野澤清人君、山田彌一君及び亘四
郎君辞任につき、その補欠として田中龍夫君、
津島文治君、三池信君、金子岩三君、武知勇記
君、村上勇君及び細田義安君が議長の指名で委
員に選任された。
同日
委員金子岩三君、武知勇記君、田中龍夫君、津
島文治君、細田義安君、三池信君及び村上勇君
辞任につき、その補欠として二階堂進君、野澤
清人君、大橋武夫君、川崎秀二君、亘四郎君、
寺島隆太郎君及び山田彌一君が議長の指名で委
員に選任された。
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三月六日
酒癖矯正院設立等に関する請願(中村高一君紹
介)(第二〇七七号)
同(臼井莊一君紹介)(第二一五五号)
同(菊池義郎君紹介)(第二一八五号)
結核予防費の国庫補助率引上げに関する請願(
小牧次生君紹介)(第二〇九三号)
フイラリア予防措置法制化に関する請願(小牧
次生君紹介)(第二〇九四号)
クリーニング業法の一部改正に関する請願(淺
沼稻吹郎君紹介)(第二〇九五号)
同(石山權作君紹介)(第二〇九六号)
同(神近市子君紹介)(第二〇九七号)
同(小林進君紹介)(第二〇九八号)
同(小牧次生君紹介)(第二〇九九号)
同(河野密君紹介)(第二一〇〇号)
同(田万廣文君紹介)(第二一〇一号)
同(土井直作君紹介)(第二一〇二号)
同(中嶋英夫君紹介)(第二一〇三号)
同(芳賀貢君紹介)(第二一〇四号)
同(原彪君紹介)(第二一〇五号)
同(山口好一君紹介)(第二一〇六号)
同(菊地養之輔君紹介)(第二一七一号)
同(鈴木善幸君紹介)(第二一七二号)
同(園田直君紹介)(第二二〇二号)
国立箱根療養所の戦傷者入所料国庫負担に関す
る請願(植木庚子郎君紹介)(第二一〇七号)
同(岡良一君紹介)(第二一〇八号)
同(田中龍夫君紹介)(第二一〇九号)
同(田口長治郎君紹介)(第二一七三号)
同(藤本捨助君紹介)(第二一七四号)
食肉販売業者の環境衛生同業組合連合会設立認
可促進に関する請願(受田新吉君紹介)(第二
一一〇号)
同(田中武夫君紹介)(第二一一一号)
同(橋本正之君紹介)(第二一一二号)
同(内田常雄君紹介)(第二一七〇号)
同(渡海元三郎君紹介)(第二二〇三号)
保健所の強化に関する請願外一件(笹山茂太郎
君紹介)(第二二三号)
同外二件(鈴木正吾君紹介)(第二一一四号)
同外二件(野原正勝君紹介)(第二一一五号)
同外一件(粟山博君紹介)(第二一一六号)
同外二件(大橋武夫君紹介)(第二一六二号)
同外一件(小金義照君紹介)(第二一六三号)
同外一件(小坂善太郎君紹介)(第二一六四
号)
同外二件(中村幸八君紹介)(第二一六五号)
同外三件(西村直己君紹介)(第二一六六号)
同(野澤清人君紹介)(第二一六七号)
同外三件(橋本正之君紹介)(第三一六八号)
同外三件(濱田正信君紹介)(第二一六九号)
同外一件(綾部健太郎君紹介)(第二一八八
号)
同(今松治郎君紹介)(第二一八九号)
同(岡部得三君紹介)(第二一九〇号)
同外一件(鍛冶良作君紹介)(第二一九一号)
同外二件(加藤精三君紹介)(第二一九二号)
同(園田直君紹介)(第二一九三号)
同(田中正巳君紹介)(第二一九四号)
同外五件(田邉國男君紹介)(第二一九五号)
同外一件(三田村武夫君紹介)(第二一九六
号)
栄養士法の一部改正に関する請願(滝井義高君
紹介)(第二一一七号)
国立伊東、別府保養所の重度戦傷病者の看護料
徴収反対に関する請願(松平忠久君紹介)(第
二一一八号)
同(田口長治郎君紹介)(第二一七五号)
酒癖矯正施設の設立に関する請願(岡崎英城君
紹介)(第二一五六号)
酒害対策事業推進に関する請願(臼井莊一君紹
介)(第二一六一号)
同(菊池義郎君紹介)(第二一八六号)
戦傷病者のための単独法制定に関する請願(藤
本捨助君紹介)(第二一七六号)
同(小坂善太郎君紹介)(第二一九七号)
同(世耕弘一君紹介)(第二一九八号)
同(田中正巳君紹介)(第二一九九号)
療術の禁止解除に関する請願(佐藤洋之助君紹
介)(第二二〇〇号)
同(三田村武夫君紹介)(第二二〇一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
中小企業退職金共済法案(内閣提出第一一六
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/0
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001・大坪保雄
○大坪委員長代理 これより会議を開きます。
中小企業退職金共済法案を議題とし審査を進めます。
質疑に入ります。通告がありますのでこれを許します。五島虎雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/1
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002・五島虎雄
○五島委員 この法律案の審査に入るに当りまして、社会党からはあらゆる方面についてたくさん質問をしていって、そして各面からこの法案についての審議をして、中小企業の方たちの経済基盤の強化、あるいは中小企業の経営の堅実性、そうしてその中に含まれる労働者の賃金体系の上昇ということを私たちは企画しておりますから、その点について各面から質問があると思います。で、私はその中のほんとうに一端になるであろうと思いますけれども、この法案の背景とか、あるいは内容について若干の質問をして、政府の、あるいは労働省の考え方をつまびらかにしておきたいと思います。
まずこの法律案がこの国会で提案されたわけですけれども、この中小企業退職金共済法案というものがこの国会に提案されたところの経済的と申しますか、あるいは社会的といいますか、それらの背景になったものは何か。(「政治的意図だ」と呼ぶ者あり)今言われましたように、政治的意図といえば苦笑いされるかもわかりませんけれども、そういうようなバツクについて質問をしておきたいと思いますが、まずそれらの背景のもとにこの法律案が国会に提出されたんだというようなことについて、われわれはまずそれをはっきり頭の中にたたき込んで、そうして審議に入ることが妥当であろうと思うわけです。従来、両三年来各中小企業では自発的に中小企業の退職金、積立金制度等々がやってこられたわけです。この法案を制定したいという政府の意欲についてはいろいろの理由があると思うのですが、それらの点について明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/2
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003・倉石忠雄
○倉石国務大臣 御審議を願います中小企業退職金共済法につきましては、法の言的に申し上げておることが全部でありまして、中小企業の従業員は、御承知のように大企業の従業員に比べていろいろな面において恵まれない環境に立っておる、このことは否定することのできない事実であります。大産業においてはそれぞれ企業内部において退職金制もございますし、福利施設等も非常に完備しておるのが多くなって参りました。しかし日本の産業構造はその過半数が中小企業だ。そこで第二次岸内閣ができますときにも、総理大臣は特に私に、思いやりのある労政をやろうではないかと言われたのでありますが、この言葉はまことに合蓄のある言葉であると思います。そういうところに立脚いたしまして、政府のとっております労働政策は、ごらんの通り第一には最低賃金制に情熱を傾ける、あるいはまた三十四年度予算において産業災害の防止に非常な力を入れる、また私自身が地方に出張っていって、週給制の奨励、同時にまた働く青少年ホームを建設してあげるとかいうふうな点も最も力を入れておりますことは御承知の通りであります。そういう一環の思想のうちに、私どもは中小企業の従業員についてはなるほど今御指摘のように、企業内部でそれぞれ自主的に退職共済制度のようなものを設けて参ったものがたくさんありますが、こういう機運をうまく総合いたしまして、そして当該企業でいろいろおやりになるよりは、やはり何といっても政府機関が出動いたしまして、そして権威のあるものをここに作って、従業員も安心して将来のことを楽しんでその業務にいそしむことができるようにしてあげる、こういうことが政府の労働政策としては大事なことではないか、こういうようなことを考えたわけです。中小企業について、一方においてその中小企業があるいは最低賃金制を実施し、また本法案に示すような趣旨が実行のできるように、中小企業対策を助成して参ることは当然なことでありますが、それとともにこの退職制度というものに一つしっかりした骨を入れて、そうして中小企業経営者も安心し、同時にまたその従業員も安心して業務に従事することができるように、こういう趣旨で本案を提出いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/3
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004・五島虎雄
○五島委員 そうすると今経済的あるいは社会的、政治的背景は何かということについて、中小企業あるいは零細企業に仕事をしている労働者が、非常に恵まれない環境にあるということはお互いにわかっているわけなんですけれども、恵まれない環境に置かれている、それらの要因は一体何だとお思いになりますか。日本の賃金は最低賃金法の審議のときもずいぶん論議されたわけです。これは通産大臣に聞くのがいいかもしれませんけれども、労働大臣が労働行政の面から、これは恵まれない環境に置かれているということを言われましたので、一体どうしてこの日本の産業機構の中で、中小零細企業に従事するところの従業員が恵まれない環境に置かれているか、それらの要因について簡単に日ごろ考えておられることについて質問しておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/4
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005・倉石忠雄
○倉石国務大臣 先般本委員会において多賀谷さんも申されましたように、たとえば日本の低質金という問題を考えましても、やはり中小企業と大産業との格差ということに問題があるのであります。そういうことを考えますというと、現在のいわゆる中小企業と言われる、しかも日本の過半数を占めておる中小企業というものの産業それ自身の体質にあると私は思うのであります。その体質を改善していくということがやはり今の政治問題としては大きな問題であり、経済上の即題も従って大きいと思うのであります。そこで私ども一般に中小企業と一口に申しますけれども、なかんずく零細な企業、このものはすでに五島さんも御承知のように日本の産業構造それ自体に根本的な原因が伏在いたしておる。しかもこの産業構造の中にある、いわゆる零細企業という面を切り捨ててしまうということは不可能なことで、またそういうことはあり得ざることであります。それならばそれをどういうふうにして盛り立てていくかというところに、わが国の産業構造の大問題がひそんでおると思うのでありますが、私はやはり中小企業について、しかも日本の大部分を占めておる中小企業については特段の措置を一方において構じて、これを維持、助成するということにしなければならない。同時にまた、そこに働いておる労働者諸君のためを考えますることは労働政策の重要な課題でありますからして、そういう面で、私どもは一つ一つ取り上げて、そうしてそういうところに働いておられる人々に対して、どのようにしたならば、今私が申し上げましたような欠陥を内蔵しておる中小企業、ことに零細企業に従事しておる労働者諸君の福利を増進することができるか、こういうことを考えてあげなければならない今日の状態だと思いますので、そういう意味の一環として、私はやはり中小企業の従業員の退職制度というふうなものを確立してあげるということが、きわめて時宜を得た処置である、こういうふうに思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/5
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006・五島虎雄
○五島委員 方向を変えて、これは澁谷官房長から説明していただいてけっこうだと思います。もう両三年来、中小企業の共同退職金積立金制度が自発的に出ました。それはなぜ自発的に行われたか、自発的にそれが発展していったかというようなことについての要因、それからその後の現在までの状況について、述べてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/6
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007・澁谷直藏
○澁谷政府委員 民間で自発的に、中小企業の間におきまして共同積立制度が起って参っておりますのは、御指摘の通りでございますが、その端的な要因となりましたのは、何と申しましても、最近においての中小企業における求人難が一番大きな原因になっておると考えております。私どもこの法案を検討する過程におきましても、それぞれの中小企業、零細企業の代表者の方とも、しばしば懇談する機会を持ったのでございますが、その際、異口同音に言われましたことは、最近においていい人を得たいと思っても、なかなか来ない。大企業の方に行ってしまう。その来ない原因としましては第一に健康保険を初めとする社会保険制度の適用がないということ、それからもう一つは退職金の規定が整備されておらない、この二つを言っておったのでございます。そこで、中小企業の業者としましても、いい人を得るためには、まずこの退職金の規定を整備する必要がある、こういうことから、お互いに共同して積み立てて、そういう形で退職金の制度を作っていきたい、こういう動機から出発したようでございます。現在までにありますものとしましては、全国で百三十三団体、参加しております事業所が七千七百でございます。これに入っております従業員が約四万人、なお現在準備中の団体が約五十前後あるというような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/7
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008・五島虎雄
○五島委員 百三十三団体で、四万人の従業員を包含しているというようなことですが、その軍用の堅実性の点については、どういうような調査ができておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/8
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009・澁谷直藏
○澁谷政府委員 これは自発的に行なっております制度でございますので、その形、それから運用の中身につきましても、それぞれ千差万別と申しますか、統一した型はございませんけれども、大体共通的に申し上げられることは、賃金の三%ないし四%程度のものを毎月積み立てる、それから定額制の場合は、大体二百円ないし三百円の金を一人につき積み立てていく、それで、その積み立ての方法といたしましては、その共同の団体を作りまして、そこで各事業所の事業主の名前で貯金をする、その貯金の通帳を共同団体が保管いたしておるというような形が、一番多い形でございます。それで、ただいま御質問の積立金の安全性と申しまするか、その点につきましては、これはもう申し上げるまでもなく任意団体でございまするし、法人格も持っておらないという事例が相当あるわけでございます。しかも退職金というのは、言うまでもなく十年、二十年という長期にわたる制度でございますので、その長期にわたってかけられる積立金を確実に管理していく、しかも実際に従業員が退職した場合に、確実にその退職金を従業員に手交するという保証の問題について検討いたしますると、きわめて不安定なものが多いのが実情でございます。この点が、私どもが法律による確固とした退職金の制度を確立しなければならないというふうに考えた一つの、要因であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/9
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010・五島虎雄
○五島委員 安全性がなくて、法人格を持っていない、それから将来に向っての保証がないということも言われましたけれども、私がついこの間兵庫県に行きまして、ある事業団体の積立金制度を作っている——これはうどん屋の組合ですが、その人とこの法律案についていろいろ話し合ったのです。それで、今度の法律案が国会を通過したならば、あなたのところの団体は、直ちに中小企業退職金共済事業団に加入されますか、と聞いたわけです。ところが、その運営の責任者は、政府の案は非常にばく然としていてわからない——わからないということは語弊がありますけれども、非常にばく然としている。ところが、自分たちのところでは従業員が店主に向って、自分たちは退職金積み立てをやりたい、やってもらいたいというような意思を示したら、業者はそれに反対できないような規約を作っている。それで、そういう面から、従業員が店主に対して、積立方式をやりたいというようなことを申し出さえすれば、業者はそれを拒否できないで、全部加入しなければならない規約になっている。だから、うどん屋ならうどん屋の自分たちの同業はほとんど全部できた。そうして運営は非常に堅実である。ところが法案の内容を見れば、ばく然たる任意加入の制度をとっている、こういうことはおかしいじゃございませんか。こういうばく然たるところには加入しないで、うちの堅実な運営をやりたい、こういうことを言っておる。百三十三団体の中に、従業員の意向によって作るというようなところが幾つあるか。それからその百三十三団体では、従業員の意向を聞かないで、そうして求人難だから、いい人を吸収するためには、やはりあらゆる社公福祉の増進をはかる、そうしてそれをやめていくというような要因があるから、これをとどめたいというような意向で、自発的に、任意的にこれを作った団体が、百三十三団体のうちにどのくらいあったかというようなことを、参考までに聞いてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/10
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011・澁谷直藏
○澁谷政府委員 百三十三団体のうちで、ただいま五島先生が御指摘になりましたような動機と申しますか、業者のどういう意図によって作られたかという観点からの内訳は、ただいまのところできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/11
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012・五島虎雄
○五島委員 ただいま私が申しました事柄についてもやはり調査しておく必要があるといいますか、われわれは認識しておく必要があろうと思います。なぜこの点について私が一部触れたかというと、今回の法律案の内容を検討してみますと——もうすでに自発的に各団体がやっている中に従業員の意思がこんなにはっきり現われて、これらの積立金制度ができている。従業員の意思があれば企業者あるいは店主の方ではこれについて拒否できないような、いわば労働者の意思を非常に大きく反映して作られているところがある。ところが法案をずっと最初からしまいまで読んでみましても、労働者の意思は全然反映する場所がないということです。ただ加入した金額を減纈する場合は従業員の意思を聞かなければならないということだけが一点、この法律案の全体を流れて一点だけあるわけです。そうすればこの法律案の全体を流れる意思の中には、労働大臣がさいぜん申されましたように、中小企業の労働者は非常に気の毒な立場に置かされている、これは歴史的な、経済的な問題だというようなことを言われたわけですけれども、この法案には何ら意思の反映がない。私たちは最低賃金の審議に当って何といいますか、労働者の意思の反映ぜざる最低賃金法は最低賃金法でないと言ってきました。この退職金に関するところの制度に当って、やはり退職金制度そのものは、共済法という名がついておりますけれども、これは労働条件であろうと思います。ところがこの法の制度に当って非常に綿密に政府は準備をされました。そうして中小企業労働福祉対策懇談会の学識経験者十五人によっていろいろ審議されたのでありますが、その制度に対する基本的態度についてどういうような点が問題になったかという資料を、政府の方から私たちに配付されておりまするけれども、この基本的態度の中に、「国庫補助と掛金の免税措置は、不可欠の前提条件であるという意見が支配的であった。しかしながら、退職金が労働条件である性格を貫くべきこと」という意見もあったというように述べられておるわけです。そうすると、この懇談会の意思を尊重してこの法律案を提案したのだということが提案現出の説明の中にもありました。ところが大体労働条件である退職金共済法の精神そのものは、労働条件であるという性格を貫いておられるのかどうかということが、この法案自体の中から非常に不分明なのです。その点について、退職金というものを社会福祉というばく然たる姿で解釈しつつこの法案が出されたのか、あるいは労働条件の基本精神を貫いてこの法律案が策定されたのかということについて、労働大臣にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/12
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013・倉石忠雄
○倉石国務大臣 もちろん中小零細企業の従業員の労働条件をどのようにしてできるだけよくすることができるかということがねらいの一環であることは申すまでもありません。そこで私どもは本案の策定に当りまして、ただいま御指摘のように、権威ある審議会について意見を求め、いろいろな角度から検討されて答申を得たのでありますが、まず今月はその答申の趣旨に基いて本案の程度のものが最も妥当ではないか、こういうことで提案をいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/13
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014・五島虎雄
○五島委員 どうも妙な、抽象的な言葉ばかり使われますけれども、本案のような程度でやりたいという程度は、何を含んでいるのですか。基本的労働条件の基本精神はばく然となってしまった。それが程度であるというふうに解釈していいのですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/14
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015・倉石忠雄
○倉石国務大臣 御承知のようにこれは退職金でありますから、もちろん広範な意味における労働条件であることには間違いございません。そこで当初、働いておる者にも積立金をさせたらどうだという意見もございましたが、やはり退職金という建前であるから、ことに先ほど来ここでお話しになりましたように、経営者がそこの従業員のために退職金を積み立てていっている、そういう趣旨を取り入れるということに勘案いたしまして、やはり経営者自体が積み立てていくことがよろしい。これはとりもなおさず労働条件であることは間違いありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/15
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016・五島虎雄
○五島委員 そうすると、とりもなおさず労働条件であることについて間違いないと言われますが、労働条件であるということをはっきり貫くならば、労働者の意思が加わらなければならないことが、労働問題として基本的精神を貫いていなければならない。そうすると、さいぜんから申しますように、この法全体を勘案するのに、従業員といいますか、労働者の意思の反映というのは、ただ減額されるときだけ業者、店主から聞くということで、同意しなければ減額ができないということがたった一条頭を出しておるわけです。そうすると、労働条件を制定する場合は労働者の意思が反映しない法律案に全体がなっているわけですけれども、これで大体労働条件の基本的精神を貫いたといえるかどうかということについて、どういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/16
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017・澁谷直藏
○澁谷政府委員 退職金が広い意味での労働条件であることは、ただいま大臣から申し上げた通りでございます。そこで退職金につきましては、その性格論につきましていろいろ議論があることは御承知の通りでございますが、いずれにいたしましても使用者がその責任において自分の従業員のために支払うものであることは間違いないわけでございます。そこでこの退職金という制度をどのような形で設けていくかということにつきましては、いろいろ方法があるわけでございます。現に各大企業あるいはこれに準ずる中企業でいろいろな退職金規定ができておるわけでございますが、それを私どもの方の統計で調べたところによりましても、ちょっと申し上げてみますると、協約によってできておる場合と、協約でなく就業規則等でできておる場合とに分けて考えてみますと、五百人以上の規模の場合は協約によるものが七一%、非協約の場合が二九%、それから百人から四百九十九人の場合は協約が五八%、その他が四二%、三十人から九十九人の場合は協約による場合が三七%、非協約の場合が六三%、こういう状況になっておるわけでございます。規模が大きくなるほど、この数字によってわかりますように、労働組合の力も強いというようなことが反映いたしまして、協約によって退職金規定ができておる場合が多くなっておるわけであります。そこで私どもはこの法案におきまして退職金が労働条件であるということは認めておりますし、従ってこれについて労働者の意思が反映することを拒絶するというような考えは毛頭ございません。この懇談会の審議の経過、それから結論においても明らかでございますように、退職金というものの性格上、あくまでも事業主がその責任において全額負担すべきであるという結論に従ったわけでございます。ただしその掛金の額につきましては、二百円を最低といたしまして千円までの幅があるわけでございます。従ってこの従業員に対して二百円かけるか、あるいは最高の千円までかけるかということは事業主が従業員の側と十分話し合いをして、その上できめていける問題ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/17
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018・五島虎雄
○五島委員 今労働協約あるいは就業規則などで、そのパーセンテージが、作業場が大きければ大きいほど、あるいは経済的基盤が強ければ強いほど労働協約で退職金制度が作られているというようなことが言われたわけですけれども、そうすると、労働基準法では就業規則を作って、そして就業規則は公開する、それから就業規則を作る場合は従業員の代表者の同意を得る。そうすると、これを適用しなければならないのか、あるいは退職金共済法だけは、そんなものは要らないのだというようなことになるのでしょうか、その点について明らかにしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/18
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019・澁谷直藏
○澁谷政府委員 退職金につきましては、これを設けるか設けないかということは契約の要素にはなっておらないわけでございます。従いまして、事業主によっては退職金というものを設けないという方もあろうかと思います。そこは労使の話し今日いできまっていく問題だと考えております。しかし私どもがこの法案を出しましたねらいは、大企業においてはほとんど大部分が充実した退職金規定を持っておる。これに対して中小、零細企業においてはこの制度の恩恵が行き渡っておらない。しかも零細企業、中小企業におきましては、こういった制度を充実していきたいという希望があるわけでございます。そこでこういう制度によってこの要望にこたえることが必要ではないかという考えでこの法案を出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/19
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020・五島虎雄
○五島委員 そうすると、それは港谷官房長の、今後これに加入する前の前提として、従業員の意思を、従業員と話し合いがされるであろうという推定の中に考えられることであって、法の中には従業員の意思を聞かなければならないとか、従業員の意思を盛らなければならないとかいうことはそういうことがなされるであろうという推定の中に従業員の意思が反映されるものであるから、法の中には従業員の意思を反映するというようなことは入れなかったのだということになるわけですが、そういうように理解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/20
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021・澁谷直藏
○澁谷政府委員 御質問の点は、この制度を強制にするかあるいは任意制度にするかという問題と関連のある御議論かと伺ったのでありますが、この点につきましてもこの審議会において種々議論が出た一つの問題点であったわけでございます。結論としましては、大多数の委員の方が、日本の各種社会保険が五人未満の事業所に対しては強制適用をやっておらない、この現状から考えました場合に、この退職金法案を強制適用にすることはやはり無理があるのではないかという考え方から、任意適用制度という意見が支配的であったわけであります。そこで私どももその意見を尊重いたしまして、任意適用制度という建前で法律案を作ったわけでございますが、ただ入るか入らないかは任意でございますけれども、入る以上はその従業員に対して保護の点において欠けることのないように、法案の作成過程におきましてもいろいろな点において十分配慮したつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/21
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022・五島虎雄
○五島委員 ですから、この法律案は任意加入の制度を採用しておられるわけですけれども、人ったらそのいろいろの保護が行われるというようなことを言われるが、入ろうとするその前提について、従業員の意思はどこにも反映することができないのじゃなかろうか、こういうような杞憂をしますから、その点を明らかにしておきたいと思ったわけです。ところがこの法案の名称の示す通り、これは退職金共済法ですから、退職金ということになるわけです。ですから被適用者は退職金を給付されることにおいて利益を付与されるわけですが、退職金ということが労働条件であることに間違いはないと言われるその観点の中から、従来論じられてきたように退職金とは一体何か、あるいは賃金のあと払いであると言い、あるいは業者の労働者に対するところの恩恵的思想であると言い、あるいは社会保障の意味を含めたところの個人的な制度であるというようにいろいろ言われておりますけれども、この退職金共済法に流れる退職金という解釈の基底は一体どこに置かれているわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/22
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023・澁谷直藏
○澁谷政府委員 退職金の性格につきましては、ただいまお話にございましたように種々解釈があるわけでございますが、私どもはこの法律案による退職金は、従来民間において事業主が支払う退職金とはその組み立て方が若干異なってはおりますけれども、基本的な性格としましては民間における退職金と大体同じようなものだと考えております。従ってその性格としましては、解釈論はいろいろございますけれども、賃金のあと払い的な性格と勤労報奨的な性格と、こういった、ものを合せ持ったものではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/23
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024・五島虎雄
○五島委員 それから、中小企業退職金共済法という名称があるわけです。ところが従来われわれの中小企業と大企業の分岐点というものの解釈は、大体事業所において、生産工場とかなんとかいうことについては資本金の立場で解釈される場合がある。それから従業員の保有数、人員別によって区分される別があるわけです。ところがこの法律案は百名と限定されておるわけです。百名以下の事業所に適用するのだ、こういうようなことですが、中小企業というその産業構造上における解釈はどういうところに置かれているか。そうして、たとえば三百人ということを人員上の区分に置かれるならば、それらについての、この百人という対象、百人以下あるいはサービス業において三十人以下というような対象を区別されたことについて説明をお願いしたいと思うわけです。そうすると、中小企業という名称である限りにおいて、中小企業の概念からはみ出してはいけないのじゃなかろうかという疑いが一点出てきますから、ことにこれを質問しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/24
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025・澁谷直藏
○澁谷政府委員 中小企業の定義につきましては御指摘のように従業員の数によって分ける場合と、それから資本金の高によって分ける場合とございますが、資本金額によって区別しておる場合は、大体金融関係の立法に限られておるわけでございます。そこで普通の場合は従業員の数で分けておるわけでございますが、これは御承知のように三百人以下というふうな分け方になっておるわけでございます。そこで、この法案におきまして、こういった従来の中小企業立法の分け方と異なった立て方をしておるわけでございますが、その理由はどうであるかという御質問でございますが、この点につきましても私どもいろいろな角度から検討をいたしたのでございます。先ほどちょっと御説明申し上げましたように、現在退職金規定を持っておる事業場を、この従業員の規模別によって調べてみますると、五百人以上になりますと九六・九%、ほとんど全部のものが退職金制度を持っておるわけでございます。それから百人から四百九十九人になりますると八二・七%のものが退職金制度を持っておる。三十人から九十九人になりますと約半分の五六・四%しか持っておらない、こういうことが数字の上で出てくるわけでございます。そこで私どもとしましては百人から四百九十九人となりますると、その八二・七%でございますから、ほとんどすでに退職金の制度を持っておる、そこにさらにまたこの政府の法案による退職金というものを重複してかける必要性がないのではないかということが一つ。それからもう一つは、この法案におきましては御承知のように退職金に対しまして七年以上、十年以上についてそれぞれ五%、一〇%の国庫補助金を出すことといたしておるわけでございます。そこでその国庫補助金を出すという観点から、三百人という規模の事業場になりますると、わが国におきましては中小とはいいましても相当大きな規模の事業場になるわけであります。そこまで国が国庫の補助金を出すということになりますると、実際問題としてもなかなか困難でございまするし、議論としてもこれはいろいろ出てくる。そういう二つの観点から、百人以下、サービス業につきましては三十人以下というふうなしぼり方にしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/25
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026・五島虎雄
○五島委員 そうすると、その問題を変えて、労働者は団結権があり団体交渉権がある、そして団体行動権がある。ところが労働協約をもって退職金を制定しているところが大企業には非常に多い、あるいは就業規則でできているところが多い。ところがサービス業では、三十名以下では半数であるというようなことを言われたわけですけれども、労働者の団結を進めるにも進められない状況もあろうと思います。それはいろいろの面があろうと思いますが、労働大臣は労働組合の組織の拡大について、今後の問題についてどうお思いになりますか。組織数はやはり従業員の多いところ、あるいは経済基盤の強いところに組織の数が多くて、中小零細といわれるところにはなかなか組織ができない。この点については何か業者なども間違えられて、労働組合というのは非常にこわいものだ、労働組合ができるのは反対だというようなことで、いろいろの要因から、労働組合ができないようにするというような社会情勢があることは、労働大臣も認識されておると思います。ですから、日本労働協会ができたとき、全国ではまだ労働組合の組織ができてないから、それをPRして、労働者の発展に寄与するというようなところで日本労働協会ができたわけですけれども、日本労働協会ができてからその後の組織状態は一体どういうように行われているのか、あるいはどういうようにPRされているのか。しかも小さいところの職場では労働組合の組織ができない。そうして私たちが現実に関係してみますと、何か使用者の方たちが、労働組合はこわいものだというように認識されておる。そういうところは日本労働協会にPRを一任して、労働省はあぐらを組んでおってもいいとお思いになりますか、その点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/26
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027・倉石忠雄
○倉石国務大臣 労働組合というものを結成するということは労働者が自主的になすべきことでありまして、ILOの憲章でも申しておりますように、相互不介入というのが労使関係の原則でございます。従って私どもは、特に組織化を奨励する、あるいはまた組織せざることを奨励するというふうなことは労働省としてはやるべきことではない。ただ労働者というものは、自分の利益のために、やはり組織をすることが自分の利益であるということを考える場合には、これは組織化をされることは非常にけっこうなことでありましょう。私はそういう意味で、やはり日本人全体にもう少し労働問題というものの認識を深めるということが労働協会の大事な仕事だと思うのであります。先般ドイツに行っております炭鉱労務者の手紙が参りました。それを読んでみますると、日本から行っておる人が組合に入りたいということを申し出ましたところが、そんなにあわてて組合に入る必要はない、十分研究をして、そうして組合に入ることが利益だということを自覚したら、どんどん私の方は入れてあげましょうという話があったということでありますが、私はやはり労働組合というものについてはとかくの干渉はすべきではないのであって、労働者及び使用者の不介入の原則というものは、あくまでも守っていく、自主的におまかせをすることがいいのではないか、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/27
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028・五島虎雄
○五島委員 私の質問に対して特に介入という言葉が出たわけですけれども、何か観点が違うような気がするのです。介入というのは、争議をしたり何かするとき、労働省は、組合はどうしたらいいのだとか、業者はこうせいというような場合に介入という言葉が使われるのであって、労働組合法ができ、あるいは労働関係調整法ができ、労働基準法ができ、いわゆる労働三法をもって労働者を保護するというような観念の中に——労働組織化ができるように日常の教育、PRをするのだということが労働省の設置法の中にもあると思うのです。それでその点について一体どうされるのか。介入じゃないのだ、介入の問題とは全然違うのだと僕は思うのです。だから私たちが、労働省は介入してはいかぬのだ、何で労働省自身が介入するのですかということは、往々にして労働省は労働組合のやり方を批判したり、それじゃいかぬのだと言ったり、あるいは経営者に——こういうことはないと言われるかもしれませんけれども、経営者に対して、お前たちはこうした方がいいんだぞなんていって、その手を教えられるようなことがあったように思う。だからそういうような干渉は排除しなければならぬということで、労働組合が労働者の地位と生活を向上し安定するためには労働組織を作って、そうして平和裏に一対一の同等の平等の権利の中から業者と話し合って、労働条件を守っていくことが労働法の精神であるならば、介入しないのだと言ってあぐらをかくと言うと語弊がありますけれども、私たちは知らぬのだ、労働省は知らぬぞということは言えないのじゃなかろうかと思う。ですから、そういう小さいところでも労働組織が拡大していくことが望ましい、そういうように、あるいは労政局を通じ、地方の労政局を通じ、職安局を通じ、あるいは基準局を通じてそういうふうに指導しているのだというような説明が私はあると思ったら、介入の問題で、けんかのときだけ労働大臣が言われるということはちょっとおかしいような気がしますけれども、介入という言葉の用語は、そういう場合に使う用語じゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/28
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029・倉石忠雄
○倉石国務大臣 もちろん労働省というものは、労働省設置法に定められておることを目的にしてやっておることは当然であります。第三条に労働省の任務というのがございます。「労働省は、労働者の福祉と職業の確保とを図り、もって経済の興隆と国民生活の安定とに寄与するために、左に掲げる」……小さくてわかりませんけれども、左に掲げるというのがここに列挙してあります。それは別として、大体労働省設置法の労働省の任務は、今読み上げたようなものでありますが、私は基本的に考えておりますことは、たとえば日本にはなお古い考えの経営者がおりまして、組合をこしらえてやって、そうして組合の事務所に社内の一室を提供して、すべての電話やそういうものも共用させたり、俸給の中から組合費をチェック・オフしてやったり、これは御用組合であります。こういうものは私はあまり望ましいとは思っておりません。自主的にやはり労働者自身が、御自分の生活環境等に照らし合せて、そうしてこれは労働組合を結成することの方がより利益であるという見地に立って組合が組織され、それが自主的に運営されて、健全な労働組合が発達していくということをわれわれは期待いたすことはもちろんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/29
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030・五島虎雄
○五島委員 その組織の問題については不介入だというようなことを言われたわけですが、労働大臣が不介入方針をとられると、たとえば各都道府県に出先が労働省にはある。そうすると労働省設置法の第三条の第一号の中にも啓蒙宣伝というものがある。そうしたら不介入という言葉の中から、どうやって労働省の出先は啓蒙宣伝をするか。私たちは不介入の立場をとってあぐらを組んでおりますから、あなたたちの御随意にまかせますから、何とでもしたらいいんですという啓蒙をされるのですか、どういうことになりますかね。だかう介入とこの三条の一号とはずっとかけ離れておる。そういうような大臣の考え方であるから、使用者というかの方たちは、労働組合のストライキの面だけを、単にそのストライキが、あるいは団体交渉のやり方がいいか悪いかということは別として、労働組合というものはこわいものだというような観念が出てくるのじゃなかろうかと思います。倉石労働大臣がもしもそういうような不介入という考え方であるならば、もう一度労働行政ということについて、私たちは他の面からもよく労働大臣にいろいろ質問をしてみなければならぬ。これは基本的な概念ではなかろうかとも思いますから、さらに明らかにして下さい。何かこの法案とずっとかけ離れたようでありますけれども、私たちは法案の内容に入る前に、これらの問題を理解しておかなければ、この法案の内容そのものに重大な関連があろうと思いますかう、あえて質問をしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/30
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031・倉石忠雄
○倉石国務大臣 このことはやはり労働政策の大事な点であります。この労働組合というものは、やはりどこまでも自主的になさるべきものである。このことは、私どもは経営者側に対しても同様な見地であります。従って私がしばしば申し上げておりますように、民間産業所属の労組のことについては政府は不介入だということを申しておるのは、その通りであります。組合法にも言っておりますように、やはり労働組合は自主的にどこまでも伸びていかれることをわれわれは期待いたしております。こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/31
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032・五島虎雄
○五島委員 ちょっと執拗だと思われるかもしれませんけれども、前提として不介入という言葉は、労働問題については労働省は中立的な態度をとるという言葉が不介入という言葉になって表現すると思いますけれども、労働三法を保護する立場において労働省が設置されたと思う。ですから、歴史的な中では、そうして現実の問題については、経済的な摩擦とかなんとかがあろうと思いますけれども、やはり労働者の生活の安定と向上と、そうしてひいては国民経済の興隆というのをやらなければならぬ労働省の職制上の立場としては、そういうような組織が発展していくことを望まなければならぬと思うのです。しかも私の言うことと、大臣の言われることは少しばかり食い違いがあって——そうして不介入々々々と言われるならば、こちら害われるように、どこからか声があったように、労働省け要らぬじゃないかというような声なんかもあろうと思います。ですから、労働省の大体の職責というか職分というか、それは労働者をいかに保護するかということが起点でなければならぬと思います。労働省が設置されたときだってその精神で、憲法のあの精神の中から労働省が設置されたと思う。そうすると労働保護の問題がある。労働の保護は、労働組合を作って、そうして団結せいという精神なんですかう、それについては、権利を付与するのだという労働法の一般の精神ですかう、それにあえて不介入という言葉を使い、自主的なものだ——なるほど自主的ですよ。労働組合に労働省が入っていって、そうしてお前たちは何をぼやぼやするんだ、早くこういう規約で作ったらどうだというようなことは差し出がましいだろうと思います。それから業者の方に行って、お前たちの労働組合を作うせるからさよう心得よというようなことは、介入の面に属するだろうと思います。しかしただ単に不介入という態度そのものは、労働大臣の言葉としては何だかおかしいじ知ないか、こういうようなことを私は言っておるわけです。ですから、不介入という言葉は、もちろんこの自主的という言葉に対比するのに不介入という言葉をお使いになったのだろうと思いますけれども、PR等々については組織の拡大のためにやるんだということは言えないのですかということを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/32
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033・倉石忠雄
○倉石国務大臣 もちろん政府は、憲法その他労働関係法等にあることについては、われわれがこれを守る、またすべての政策はそれを出発にすることは当然のことであります。私が不介入と申し上げましたことについて若干の誤解があるようでありますが、たとえば労働協会法の審議の過程においてもいろいろ論議されました。私どもとしては、やはり労働表も経営者も、それからさらに一般の国民も、労働問題というものを十分に会得して、そうして相互に、自主的に、これが運営されるように指導していく、これが労働協会法のときにも議論になりました大きな目的であると存じます。それからまた労働者の立場に立って、政治の面においてこれを保護してあげるという点については、あらゆる角度から、たとえば基準法を奨励する、あるいはまたそういう意味から申せば、中小企業退職金制度などというものも、やはり労働者を保護してあげるという立場に立って考えておることでありまして、もちろん労働者のためにわれわれができるだけの保護施策を考えてやるということは、当然なことであります。ただ私が不介入と申しましたのは、先ほどあなたが御指摘になりましたように、組合を早く作っていけ、あるいは経営者に向って、お前のところは組合を作らせるぞという、そういうふうな介入はなすべきではないし、また労使双方においても相手方の人格を尊重して、なるべく不介入であることが望ましいことは当然であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/33
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034・大原亨
○大原委員 関連して労働大臣に二つの点についてお尋ねしますが、労働法ができたこと、あるいは憲法の二十七条と二十八条、それは労働者を集団として、労働者の人権を守っていく、あるいは人格を尊重していくということが、資本主義の発達とともに出てきたのです。だから、その集団としての労働者、労働組合の組織、それと労使間の関係を規制しているのが労働三法です。従って労働者の組織を促進することは、労働組合法にもあるし、労働基準法にもちゃんと第一条に書いてある。この組織については労働省としては、近代的なそういう民主主義の原則に従って促進をしていくという義務があると思うのです。これは職務だと思うのです。ただし、第二の点につきましては、労働組合運動の活動とかその他の個々の問題について、運営の内部に干渉する、そういうことはいけないのです。だから、その建前をはっきりしてやらないと、労働省は何のために作ているのかわからなくなる。その点に対する労働大臣の御見解をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/34
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035・倉石忠雄
○倉石国務大臣 先ほど私が申しましたように、労働組合というものは自主的に立てられ、運営されていくことが望ましい。またそのことは、労働組合法にも指摘している通りでありまして、労働者の結社を作り、あるいは作らざることの自由をどこまでも尊重る、私どもはそういう建前であります。しかし個々の問題について、あらゆる角度から労働者というものについて、働く人々に対して、政治の面において特段のことを考えてやるのは、労働省設置法にもある通りに労働省の責務である、こういうことを否定しているわけではないのであります。しかしながら労働組合というものは、やはりどこまでも自主性を尊重していく、こういうことが望ましい。そこで先ほど来お話のありましたような、組合を作る、作らないということについては労働者が利益になるということであるならば、そういう自覚のもとに立たれるならば、組合を結成されることは非常にけこうなことである、私はそういうことを申しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/35
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036・大原亨
○大原委員 もう一回。ちょと前の労働大臣の答弁とはニュアンスが違うと思うのですが、労働省は政府の機関だから、確かに第三者、公平な国民の利益を代表するという面があるのは、それは当然です。しかしその中の内容というものは、近代的な民主主義の中においては、組織された集団としての労働者を尊重していくという建前を通すことが、これが公平なんですよ。だから、労働組合法や憲法や労働基準法その他調整法で保護されているのです。だから組織ができないと、その中においては、労使関係において不公平なことや不当なことや、いろいろ人権無視が起るのです。そのことを明確にして、労働省は何をなすべきかということを前提にしてやらないと、そうしないと、労働運動の中に介入するということ、何でも指導をしたりするということはいけないのです。それは自主的なんです。組織を作る方針、あるいは組織を助長するという行政指導、こういうものを明確にしてやるべきだ。これはこのあとの退職手当法案について根本的に関係する問題ですけれども、そこを確かめたい。その点についてもう一ぺん御見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/36
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037・倉石忠雄
○倉石国務大臣 憲法二十八条で、御指摘のように、労働者が団結し、団体交渉を行い、団体行動を行う権利はこれを保障する、こうあって、これを受けて労働関係法ができておることは御承知の通りであります。それで労働省として、政府としてなすべきことは、やはり正しい労働運動というものが行われることを指導する、こういうことは当然のことであります。それはもう申し上げるまでもなく、そういうふうなことをわれわれは考え、そういう立場であらゆる角度から指導することは当然であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/37
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038・大原亨
○大原委員 それでは今の点についてはその正しい労働運動を助長する、こういう意味の中には、私は最低の問題として、組織を促進していくようなそういう立法や行政指導がなければいかぬと考えるのですけれども、業者間協定とかこの退職手当法案の中にはそういう点が欠けているところがあるんじゃないか、この点大臣の御見解を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/38
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039・倉石忠雄
○倉石国務大臣 私は、中小企業退職金共済法案の中に、特に隠された目的があるとか、あるいは今あなたの御指摘のような問題がひそんでおる。そういうことは全然考えておりません。従て私どもは、ただ零細企業、中小企業に従事しておられる労働者のためにどのようにしたらできるだけ利益をはかってあげられるかということのつみに本案は専念しておるのでありますから、さように御承知を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/39
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040・大坪保雄
○大坪委員長代理 大原君に申し上げますが、あなたの質問の時間はほかに保留してございますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/40
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041・大原亨
○大原委員 今のに関連して重要だから……。
それでは大臣にお尋ねしますが、今の共済契約というものは、当事者は法律的にどういう関係なんですか。それから労働者はどういう関係があるんですか。つまり、契約の当事者はだれであって、労働者との関係はどうなっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/41
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042・澁谷直藏
○澁谷政府委員 この共済契約は第三者のためにする契約でございまして、使用者が当事者となりまして、その雇っておる従業員を受益者として結ぶ契約が共済契約でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/42
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043・大原亨
○大原委員 それでは労働基準法の第二条におきましては、「労働条件は労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。」「労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。」これはまあ促進するわけだが、第八十九条、就業規則に関連いたしまして、「常時十人以上の労働者を使用する使用者は、左の事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。」という中に、退職手当第三号、第四号があります。それから、作成の手続の第九十条には、「使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。」ときちっと書いてある。退職手当は労働条件であることは労働大臣は認められるだろう。しかもその労働条件についてのそれを実際にやっていく原則についても、法律に規定してあるわけです。就業規則につきましてもあるわけです。組織労働者がない場合でも、就業規則についてはこういう問題がある。それとこの契約との関係はどうなりますか。私はこれは答弁だけ聞いておけばいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/43
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044・澁谷直藏
○澁谷政府委員 就業規則で、この退職金が就業規則の中に入るという場合は、当然この就業規則の制定、改廃につきましては、従業員の意見を聞かなければならないというのは、この基準法第八十九条、第九十条の明記しておる通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/44
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045・五島虎雄
○五島委員 時間がないようですから、午後に質問をまた継続したいと思いますが、今のことで、冒頭に私が申しましたように中小企業に従事するところの労働者の地位の向上、生活の安定というものを労働行政としてはうんと考えなければならないとともに、大企業と中小零細企業——中小零細企業といいましても待に小企業、零細企業の経営の強化というような問題については、通産行政の面と並行的にこれを考えていって、そうして彼ら小企業、零細企業の基盤の強化といいますが——体質の改善と政府は表現しておるわけですが、体質の改善という言葉は何というか基盤の強いものだけを育成して、そうして基盤の弱いものは落してしまうという言葉のニュアンスがあって、わが社会党は体質の改善という言葉について非常に意見を持ているわけですけれども、さいぜんも労働大臣は体質の改善ということを冒頭に出されたわけです。しかし言葉の字句の使用方法が、政府がいかに使われようとも、われわれは小企業あるいは零細企業の基盤の強化、経営の安定ということを考えていかなければならない。しかし労働行政としてはその中に含まれる労働者がどのように生活を安定し、そうして将来の希望を持て仕事ができるかということを考えていかなければならないわけです。しかしこの法律案そのものは何かびっこで進む、この状態というのを私は指摘しておきたいと思うわけです。いろいろ今関連質問に大原委員が言われましたけれども、それらの問題については後刻に譲って——しかもただいま不介入だという言葉がありました。不介入だという言葉があって、労働組織の国語については不介入の立場を労働省はとる、ところが政治的には事のないように育成強化して、正しい労働運動については——正しい労働運動という言葉は、非常に政治的色彩を持ているやに少くとも私には聞えるわけです。そういうようなことでは労働大臣が労働組合の組織の問題、労働者自身の組織のあり方、それを介して労働者の地位の向上と生活の安定というものをどう考えておられるかということが、それはそれなりに疑念がわくわけですが、この時間にはそれをつまびらかにしないで、質問を後刻に譲って内容の方に入っていきたいと思います。これで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/45
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046・大坪保雄
○大坪委員長代理 午後二時まで休憩いたします。
午後一時四分休憩
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午後三時十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/46
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047・大坪保雄
○大坪委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
中小企業退職金共済法案に対する質疑を継続いたします。齋藤邦吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/47
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048・齋藤邦吉
○齋藤委員 私は内閣提出の中小企業退職金共済法案につきまして、若干の御質問を申し上げたいと思う次第でございます。
私が申し上げるまでもなく、中小企業の従業員は大企業に比べまして、ほんとうに労働条件が恵まれてない、そういう状況に置かれておるわけでございます。大企業の労働者の諸君は、春ともなりますと春季闘争ということでいろいろな闘争を組んで、それによって労働条件の改善をはかっておる、こういう実情でございます。もとより法律によって許されておる行為でありますから、私はあえて悪いと申し上げるわけではありませんけれども、たとえば私鉄争議のごときになりますと、試験時期に当りまして、子を持つ親の心を痛めしめるような争議を計画する。これは法律によって許されておることでありますから、私はあえて悪いと申し上げるわけではありませんけれども、そうした中にあって中小企業の労働者の諸君は、営々黙々として働いておりながら、ほんとうに恵まれない労働条件に置かれておると言わなければならないと思うのであります。こうした労働条件を改善するためには、中小企業の経営の基盤を強化するということが、何と申しましても前提の必要な条件でありますことは、申し上げるまでもないところでありまして、これがためには政府としても各般の施策をとっておられるということを承わっております。またそういうふうな意味合いにおいて、労働問題の中心の課題として、中小企業の労働者の福利施設をはかっていく、こういう点に重点を置いて労働政策を講ぜられておるということは私どもまことに敬意を表するところであります。政府はさきに中小企業の労働者のために最低賃金法案というものを提出されまして、すでに衆議院を通過し、近くその成立を見ると思いますけれども、こうしたこともやはり中小企業の労働者の福祉のために必要な施策であると思います。今回提案されましたこの退職金共済法案も、やはりこの中小企業の従業者の福祉のために提案された法律でありまして、わが党内閣としてこうした立法を企てて国会に提出されるということは、中小企業労働者の福祉のために申しましても、私はきわめて敬服し、慶賀にたえない次第であると思うのであります。最低賃金法案、中小企業退職金共済法案等、相次いでわが党内閣が提出した法案というものは、わが党内閣の政府の労働行政の一大進歩を意味するものであると考えまして、その意味から申しまして、まず最初に政府の御努力に対して深く敬意を表するものであります。
そこで私はこの中小企業退職金共済法案につきまして、数点について御質問を申し上げたいと思うのでありますけれども、まず最初にお尋ねを申し上げたいと思いますことは、こうした労働者の福祉に直結したところの労働政策というものは、あくまでも観念的であってはならない、現実的なものとして立法を進めていくことが必要である、こういうふうに私は考えているものであります。そこでこの中小企業退職金共済法案というものを全般的に見ますというと、私は中小企業の労働者のために非常にけっこうなつ法律だと思います。特に問題となっておりますところは、すなわち任意加入でありながら、その退職金について国が補助する。これは非常に進歩した制度、立法であると私は思います。しかしながらその内容を詳細に見ますと、やはりいろいろ問題があります。これは政府もこれを理想案だとお考えになってお出しになられたとは思わないのでありますが、たとえば例を引いて申し上げますれば、その補助金を交付するにいたしましても七年の勤続年数を必要とする、こういうふうな問題もあります。あるいは任意加入の問題につきましても、個人別な任意加入方式あるいは包括加入方式、まあいろいろな方法が考えられるのでありまして、こうした労働者の福祉に直結する法律はあくまでも現実的でなければなりませんために、やはり将来の発展、将来の改善というものを常に頭に入れてこの法律が成立いたしましたあとでも、私は御努力を願いたいと思うのであります。すなわちこの制度ができ上ったときに、中小企業退職金制度についてはこの法律がもう最善のものであるというふうな考え方でなしに、将来ともやはり中小企業労働者の福祉のためには年年歳々福祉向上のために努力を捧げていく、こういうふうなことにして、必要があったら私は毎年法律を改正されたらいいと思うのです。毎年々々法律を改正して、そして真に中小企業の労働者の福祉のためになるように、中小企業労働者が善ぶような制度を作り上げていくという方向で、将来とも考えていくべきではなかろうか、こういうふうに私は考えておるものであります。そういう意味合いにおきまして政務次官にお尋ね申し上げたいと思いますることは、この制度につきまして、やはり現在の段階では私はけっこうだと思いますけれども、将来とも必要があったら毎年改正するというくらいの意気込みで、(「朝令暮改だ」と呼ぶ者あり)朝令暮改というのではない。この制度をよりよくする意味において、常に中小企業労働者の実態を十分調査研究し、そしてよりよき制度を確立していくという熱意がおありになるかどうかということをまず最初にお尋ね申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/48
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049・生田宏一
○生田政府委員 お尋ねのこの法案の具体的内容につきましては将来もっと改善することがあるかどうかというお尋ねでございますが、もともとこの法案を出しますときに大蔵省と折衝いたしました条件は、年限においては七年を待たず五年程度でいいじゃないかということを主張したのでございます。また補助金の率につきましても、もう少し高率の補助をやったらどうかということを折衝したのでございますが、今日の段階におきましては、大蔵当局との間の折衝でこの程度でがまんをいたしたわけでございますが、もう少し改善をすることが必要であるとも思っておりますし、必要性によりましてはお尋ねのような方針でいきたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/49
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050・齋藤邦吉
○齋藤委員 ただいま政務次官から、この制度を続けられていくための非常な御熱意のあります点を承わりまして非常に敬意を表する次第でございます。こういう制度は何と申しましても現実的な要請に応じてできていく制度でもありますし、理想的な制度を作り上げていく——もちろん一年、二年でできるとは思いませんけれども、将来ともそういう気持でこの制度を盛り立てていただくようにお願いを申し上げておきたいと思う次第でございます。
そこで次に総括的な質問を数点申し上げてみたいと思うのでございますが、まず最初に私はお尋ねを申し上げたいことは、これは法律的にはっきりしておることでありますが、中小企業の労働者のみならず、退職金というものは労働基準法によってきめられていくべきものである、これは当然のことだと思いますが、念のためにその点をお尋ね申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/50
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051・澁谷直藏
○澁谷政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/51
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052・齋藤邦吉
○齋藤委員 中小企業のみならず、退職金というものは、労働組合がありますれば団体協約、あるいはまた十人以上の工場、事業場につきましては就業規則で労働者側の意見も聞く、こういう基準法の建前をとっていくべきものであるということでありますが、そこでこの退職金決定のルールというものと中小企業退職金共済制度との関係についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。その退職金決定のルールというものとこの共済制度というものはいかなる関係にあるかということをまずお尋ねいたしまして、その辺から強制加入の方式の問題なり任意加入の問題なり、そういう点について御質問を申し上げたいのであります。
そこでまず最初に、この退職金決定のルールというものは基準法の定むるところ、私もさように思いますが、それとこの退職金共済制度とはいかなる関係にあるか、お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/52
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053・澁谷直藏
○澁谷政府委員 退職金ができる要因と申しますか、原因と申しますか、四つ考えられると思います。第一は、ただいまもお話に出ておりますように、組合と使用者との間の協約によってできるという場合が一つ。第二の場合といたしましては、就業規則によって作られるという場合がある。さらに第三の場合としましては契約によってできるという場合が考えられるのでございます。それからさらに第四の場合としましては、使用者が単独でこういう退職金を設けようということも考えられると思います。以上四つのこういうような方式が考えられるわけでございますが、この退職金共済法案による退職金は、この四つの方式をいずれも否定するわけのものではございません。それぞれの形式によってできる退職金もございますが、こういう法律によりまして事業主が自分の従業員を受益者とする、第三者のためにする契約を結んで、それによってこの退職金を支給する、これはこういう一つの新しい方式を作り出そうとするのがねらいであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/53
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054・齋藤邦吉
○齋藤委員 ただいまのお話によりますと、退職金制度は第三者のためにする契約でありまして、その契約を結ぶ原因は四つの原因が考えられるのだ、従ってその原因のいかんを問わず、この制度によって退職金支払いの確保をはかっていこう、これがこの法律のねらいである、こういうふうに承わったのでありますが、そう理解して差しつかえないわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/54
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055・澁谷直藏
○澁谷政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/55
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056・齋藤邦吉
○齋藤委員 そこで第三者のためにする契約に、いろいろおあげになりました四つの庫因がある。その原因とは別個の問題として、このいずれによるかを問わず、この四つの原因によってできてくる退職金の支払いを安全にし確実にする、こういう制度としてこの制度ができたということであってみますれば、やはり私はこの法律が肺制加入の方式をとらなかったことは非常にけっこうな方法であったと考えております。すなわち強制加入の方式をとりますと、中小企業の労働者はこの法律の定むるところによって退職金が決定せられる、金額も千円未満に押えられるかのごとき誤解を生じ、また誤解ばかりでなく、中小企業の企業者がこれを乱用して、この制度の規定する千円を限度とした退職金というものになるようになっては大へんでありますので、その意味におきまして私は、この政府提案の法案が強制加入の方式を採用しなかったことは非常に賢明な方法であったと考えているものであります。そこでお尋ねいたしたいことは、そういう意味において退職金をこの法律によってすべて決定するのだという誤解、あるいはまた中小企業の経営者がこの法律さえやればいいのだという誤解を生ぜしめることのないように強制加入をとらなかったことは、私は非常に賢明だと思う。そこでこの強制加入の方式をとらなかったことはけっこうでありますが、任意加入の方式につきましては、考えてみればいろいろな方式があると思うのであります。すなわち任意加入の方式というものを考えてみれば、個人別の任意加入の方式も一つで、この法案はこの方式をとっておられたように考えるものであります。そのほかに包括加入というやり方も私はあると思うのでありますが、政府がこの法案を提出せられるに当りまして、個人別任意加入の制度をとり、包括制をなぜとらなかったか、その理由をこの際明らかにしていただきたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/56
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057・澁谷直藏
○澁谷政府委員 強制適用の制度を採用しなかった点につきましては、ただいま先生も御了解でございますが、なぜ任意包括の制度を採用しなかったかという御質問でございますが、御承知のように退職金という制度は、大体その出発点において相当長期の制度であるということが前提になっておるわけでございます。しかるに従業員を見ますると、その中には、女子に多いのでございますが、初めからそう長期に従業することを予定していない短期就職者、それからすでにもう退職に近づいておるというような老齢者が含まれておるわけでございます。任意包括の制度を採用いたしますると、そういった短期就職者または老齢者というような、この長期的な性格を前提とする退職金制度になじまない従業員も当然含まれてくるというような点がございますので、各個人別を対象とする共済契約という方式を採用いたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/57
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058・齋藤邦吉
○齋藤委員 ただいま政府委員からそういったお答えがあったのでありますが、この点やはり将来の問題として私はいろいろ出てくると思います。この法律の何条でありましたか、労働者の差別待遇禁止の条項があります。従って個人別任意加入の方式というものもあるいは現在の段階ではやむを得ないと思いますけれども、労働組合運動もだんだん盛んになってきておることでもありますから、変に勘ぐられますとやはりこの法律の健全なる発達のためには好ましくない面もあるかと思いますので、将来とも十分一つ御研究をお願いいたしたいと思うのでございます。
そこで私はこの法律の立て方についてもう一点お尋ね申し上げたい。こういう任意加入のような社会保障的制度に国が補助金を出す、こういう例はよそにあるでしょうか。私もあまり学がありませんからよくわかりませんけれども、もしありましたら一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/58
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059・澁谷直藏
○澁谷政府委員 これに類似なものといたしましては、私立学校の職員の共済組合、これは強制適用でございますが、退職金に対して補助金を出しておる事例があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/59
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060・齋藤邦吉
○齋藤委員 そういうわけで、任意加入について、私はほんとうを言うと政府が思い切って補助金を出されたというふうに思います。この法律の適用範囲についても後ほどお尋ねいたしますが、特に零細であるからということでお出しになったのでありましょうが、政府としてもこうした零細企業の労働者の労働条件の改善のために補助金まで出されたということは、私は深く敬意を表しておきたいと思います。
ところで、任意加入のこの退職共済制度に国が補助金を出すということでありますならば、この法律に基かないで自主的に任意的にやっておる——協同組合方式でやっておるわけでありましょうが、自主的に民間で退職共済制度をやるものが現在でもありますし、私は将来でもあると思います。そこでそういう制度に対しても補助を出すべきじゃないか、こういう議論になりはせぬだろうかということを考えるものであります。私はこの制度において、任意加入の共済制度に補助金を出す、これはほんとうにわが党内閣の中小企業対策としての一大進歩だと思います。私は非常な敬意を表するものでありますが、法律論的に考えてみますと、この制度に国が補助金を出すならば、民間において将来とも自主的に行う共済制度に対しても補助すべきではないか、こういうような議論が出てきやせぬかと思うのでありますけれども、この点につきましての政務次官のお考えをお聞かせいただきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/60
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061・生田宏一
○生田政府委員 この制度につきましては、特に政府が中小企業の労働者に対する福祉の増進ということに重点を置いた政策でございますので、補助金を出すという方針をきめておりますし、なお中小企業の実態を見ますと、補助金を出さなければこの制度をやっていく能力がございませんので、補助金を出すという方針をきめたわけでございます。しかしこれは任意加入でございまして、あらゆる中小企業の従業員に対しましては任意に加入する門戸を開放してございますので、補助金を支給してもりっぱに理由は立つと思っておりますし、またこれがために、ほかの事業に対しまして同様のものができましたときに、必ずしも補助金を出さなければならぬというふうにも考えておりません。それはもっと広い意味で、弾力性ある考え方でやっていいのじゃないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/61
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062・齋藤邦吉
○齋藤委員 この退職共済制度につきましての退職金決定のルールと退職金制度の問題、それに関連して強制加入あるいは任意加入、そうした加入の問題につきましてお尋ねをいたしたのであります。
次にお尋ねいたしたいことは、この法律の第二条にあります範囲の問題、これで見ますと、サービス業は三十人未満、鉱工業につきましては百人、こういうことになっておるわけでございますが、サービス業については大体従来とも中小企業に関する法令は三十人ということになっておりますから、この点については私はそう大して問題がないと思いますが、鉱工業の百人の問題、これにつきましてはたしか中小企業の団体を作りましたあの法律や、そのほかの中小企業金融公庫といったような法律によりますと、三百人とかいうふうなことになっておりますが、それとは別に、なぜこの法律において、中小企業者の範囲をよその法令と違えて三百人にはしないで百人にしたか、これはおそらく政府側の方の御意見としては、こういう百人以上のところには多く退職共済制度があるからといったふうな意味合いもあるかとも思いますけれども、もしそうならばその実情を一つはっきりとお聞かせいただいて、なぜ百人と限定したかということについて、もう一度お尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/62
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063・澁谷直藏
○澁谷政府委員 昭和三十一年九月の給与構成の実態調査によりまして、わが国における退職金制度の実情を調査いたしたのでございますが、それによりますと、規模五百人以上の事業場におきましては、全体の九六・九%が退職金制度を持っております。それから百人から四百九十九人の規模におきましては八二・七%が退職金規定を持っておる。それから三十人から九十九人の規模におきましては約半数の五六・四%が退職金の規定を持っておる。それから三十人未満につきましては調査いたしておりませんが、これはその他の資料によっての推計でございますが、この退職金を持つ率は、三十人から九十九人よりもはるかに低いというふうに推定されるのでございます。そこで私どもは、先ほども申し上げましたように、退職金を作る作り方といたしましては、協約による方法あるいは就業規則による方法等いろいろあるわけでございまして、ただいまの数字を見ても明らかでございますように、大規模の事業場におきましては、すでに相当完備した退職金の制度を持っておるわけでございます。従ってこういった充実した退職金制度を持っておる事業場に対して、国がことさら手を延ばすという必要はございませんので、そこで自分の単独の力では退職金制度を作り得ないというような実情にあります階層に対して、国が特別の措置を講ずる必要がある、こういうふうになってくるわけでございます。そこでこの中小企業労働福祉対策協議会におきましても、各業界を代表する十五人の委員にお願いしまして、この共済法案の適用対象の規模をどの程度にするか、この点はこの制度の一つの基本的な問題点でございますので、相当掘り下げて検討をいたしたのでございます。その結果、ただいま申し上げましたような百人以上の規模の事業場におきましては、すでに八二・七%、これはほとんどもう大半とも言っていい程度のものが退職金の制度を持っておる。従ってそういうところはこの制度から除外してもいいのではないかということで、百人に限定したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/63
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064・齋藤邦吉
○齋藤委員 その点は今詳細にお答えいただきまして了解をいたしたわけでございます。そこで私は総括的にこの給付についての国庫補助金の問題と、掛金の免税の問題の二点についてまずお尋ねをいたしたいと思います。
給付の補助金についてお尋ねをいたしたいのでございますが、まず最初にこの中小企業、特に百人—三十人と、こういうふうになっております。百人——三十人のこの法律適用の中小企業の労働者の平均勤続年数というものはどういうことになっておるか、これをまずお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/64
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065・澁谷直藏
○澁谷政府委員 昭和二十九年に労働省で実施いたしました個人別賃金調査という統計があるわけでございますが、これによりますと、全産業の規模の平均勤続年数は六・三年でございます。それから規模千人以上におきましては八・五、五百人から九百九十九人におきましては五・三、百人から四百九十九人までが四・五、三十人から九十九人が三・九、十人から二十九人が三・八、従いましてこの法案の対象とする百人未満の平均勤続年数は約四年という統計になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/65
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066・齋藤邦吉
○齋藤委員 そこではなはだここべきて残念なことでありますが、せっかく国が補助金を出される際に、七年、十年と二段がまえで五%、一〇%にされたわけでございますが、この補助金を出すという考え方は、どういう考え方から国が補助金を出すという思想になったのかということなんです。というのは、中小企業の経営者が、なかなか経費もかさむことでもあり、退職金の掛金をするのも大へんだ、だからその金をある程度めんどうを見るというだけの意味で出したものなのか、あるいは退職金制度に国が補助金を出すことによって、こういう中小企業者がいい労働者を長くかかえ、しかもそのいい労働者に長いこと働いていただく、こういう意味も兼ねてこの補助金を出すという考えになられたのか。補助金を出すということは、任意加入について、ほんとうに社会保障的な制度においては、これは初めてだと思います。そういう意味において、国が補助を出すという考え方の基本は、使用者の支払い能力についての考えであるか、あるいは労働政策あるいは雇用政策全般を見て、良質の労働者を長く勤務させたいという意味において補助金を出すということになったのであるか、その辺について一つお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/66
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067・澁谷直藏
○澁谷政府委員 この大企業と中小企業における従業員の定着率の問題でございますが、これを統計によって見ますと、次のような状態になっておるわけでございます。五百人以上の、常用でございますが、これにおきましては離職率が七・三%、百人から四百九十九人においては一三・一%と比較的低いわけでございますが、これに反して、百人以下の事業場になりますと、離職率が相当高くなってきております。すなわち三十人から九十九人におきましては二一%、それから十人から二十九人におきましては二四・六%、五人から九人になりますと三七%、こういう工合に、事業の規模が零細になるほど従業員の離職率が非常に高くなってきておるわけであります。従いましてこの数字から結論として言い得ますことは、中小零細企業におきましては、従業員が安定して働けない、常に不安定な状態において働いておる。これは事業主にとりましてもきわめて不幸なことでございまするし、また他面ここに働く従業員にとっても決して望ましいことではないわけでございます。そこで私どもといたしましては、労働条件を高めて、できるだけ従業員が安定してその事業場で働くというような能勢に持っていくことが望ましい、こういう考え方に立ったわけでございます。そこでこの今回の法案におきまして、七年以上、十年以上の従業員に対して国庫補助を出すという考え方に踏み切りましたのも、実はただいま申し上げましたような点にねらいがあるわけでございまして、ただいま申し上げましたように、昭和二十九年の統計によりますと、平均勤続年数が約四年でございますが、その後若干年月も経過しておりますので、大体最近におきましては、百人以下の事業場におきまして、平均勤続年数が五年くらいになっておるかと思われます。そこで私どもは、この法案の実施によりまして、中小零細企業に働く従事員が、従来よりもさらに落ちついて働き、定着するという要素を勘案いたしまして、七年以上に五%、十年以上に一〇%の国庫補助をつけるというふうにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/67
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068・齋藤邦吉
○齋藤委員 退職給付につきまして国が補助を出すという趣旨は、使用者側の掛金の支払い能力ということより、そういうことは問題じゃないのだ、あくまで中小企業の労働者の労働条件を高めて定着をさせるんだ、そういうことによって中小企業の振興をはかるんだ、こういう趣旨から出たものだ、こういうお答えがあったわけでございます。ところが、実際問題として、百人未満の工場労働者の勤続年数は四・五年、しかしおそらく最近は五年程度になっておるであろう、こういうわけであります。ところが、実際にこの退職金について、国が補助をした退職金をもらえるというのは、七年以上勤続しないと実際はもらえない。従ってこの法律が出たとたんに、平均五年勤続年数というものが七年になれば、これは問題ない。しかしながら、一片の法律によって全国数十万の中小企業の労働者が勤続年数が七年に伸びるとは、これは考えることができない。こういうことからいたしまして、私はこの法律——これは最初に申し上げて、政務次官からお答えいただきましたのでございますが、こういう点について私は、年々歳々この制度をりっぱなものに盛り上げていくために、ほんとに真剣な御努力をお願いしたいということをお願い申し上げた。政務次官は非常な熱意を示されて、必要があればいつでも、毎年でも法律改正なんかはやるのにやぶさかでないというふうな趣旨のお答えがあった。そこで私はこの問題については、原案は原案として、今の段階においてはこの法律でけっこうだと思いますが、将来給付が五年——補助金がかりに七年が五年になった場合においてはその五年の補助金付の退職金の支給が始まりますのは五年先でありますから、一つこの法律が将来成立いたしました場合には、十分この労働者の勤続年数とかあるいは中小企業のいろいろな状況等を慎重に一つ御研究願って、将来ともこういう問題については改善する方向に勇気を持って善処をしていただきたい、こういうふうに……(「この国会でやれ」と呼ぶ者あり)まあ、この国会においては、必ずしも私は固執するものではありません。将来ともこういう制度を年々歳々よくしていくように御努力を願いたいと思うのでありますが、こういう点につきましての政務次官の御所見をお聞かせいただければ、はなはだけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/68
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069・生田宏一
○生田政府委員 補助金を出しましたのは、従業員が、ある程度の年限を勤めたならば退職金がもらえるという、その従業員に対する魅力といいますか、ともかくそういう希望ができるということは、永続してその職にとどまる大きな原因になると思いますので、その効果をねらったものでございますが、しかしこの法律は、実際問題といたしまして、これが中小企業の従業員に対しまして十分な退職金であるという考え方は、もちろん政府としても持っておりません。しかし今まではこういう制度が何もなかったのでございますから、これでも確かに従業員の気持の中には魅力的なものがあって、そして安定するのではないか、こういうように考えておるわけでございますので、この法律が成立しました後も、いろいろな情勢に応じては、制度を改善していくという方向へ持っていきたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/69
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070・齋藤邦吉
○齋藤委員 この制度において政府が補助金を出す、これはほんとに労働政策の一大進歩だと私は思いますから、この意味においてけっこうだと思います。将来ともよく運営の実情を見て、熱意を持って改善に当っていただくようにお願いを申し上げたいと思います。ところで、国の補助金と同時に、これは中小企業の退職共済における掛金についての減免秘、たとえば法人税あるいは事業税、そういう方面について、掛金については免除になると思うのでありますが、条文を見ますと、この法律にはありません。これは別の法人税なりその他の税法で規定されるんだと思いますが、その税法上の根拠、並びにこれが将来三百万人程度の中小企業労働者がこの法律の範囲内に入ってきた場合に、その法人税、事業税等について、どの程度の減免税になるのか、この見通しでありますが、今すぐわかりにくければこの次でもけっこうですが、もしありましたらお尋ねをいたしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/70
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071・澁谷直藏
○澁谷政府委員 ただいま御質問の掛金についてはこれは全額免税、それからこの法律によって出される退職金につきましては、税法上の退職所得とみなして、減免税されるという措置をとることにつきましては、この法案の立案に際しまして大蔵省当局と十分折衝いたしました結果、ことごとく労働省の希望をのんでいただきまして、これは手続といたしましては、それぞれ法人税その他の法律に基く政令またはこれに基く省令で、それぞれの必要な措置をすることになっております。
それからどの程度の減免税になるかというお尋ねでございますが、これは将来どの程度の加入者があるかということで変って参るわけでございますけれども、かりに一つの想定でございますが、初年度末におきまして加入者が十万人、五年度末におきまして八十万人、十年度末におきまして百五十万人、それから平常の年度におきまして三百万人という想定のもとで、掛金を一人当り一カ月三百円、こういう前提のもとで推算いたしますと、国税の免税額は初年度が三千万円、五年度におきまして九億四千万円、十年度におきまして十八億七千万円、平常年度におきましては三十七億八千万円となる予定でございます。これにさらに地方税におきましても、当然これに従いまして減免税の措置が講ぜられますので、この地方税の減免税と合せますると、さらに一割程度の減免税がこれにつけ加わる、こういうことになる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/71
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072・齋藤邦吉
○齋藤委員 だんだんお尋ねいたしておりますと、この制度が、給付についての補助金のほかに、中小企業者の掛金についても、平常年度におきまして国税その他実に四十億近い金額が免税されるということで、この点につきましては、この立案に当りましての御努力に深く敬意を表するものであります。
そこで、もう二つばかりお尋ねをいたしたいのでありますが、一つはこの退職共済制度の運営に当りますために、事業団というものを創設される。この事業団を創設されるという考えになりました根本的な考え方を一つお尋ねいたしたいのであります。と申しますのは、現在いろいろ協同組合方式等で退職共済制度を運営しておるわけでありますが、その協同組合組織ではどういう点がまずいのか、やはりあくまでも共済事業団でやるべきである、こういうふうな考えになったのか、その点が一つ。
それからもう一つは、労働省所管では労働福祉事業団、これは非常に名前のいい事業団をお持ちになっておられる。そこでそういう事業団にやらせないで独自の事業団をお作りになるという根本的なお考え方、すなわち協同組合方式を排し、しかも既存の事業団に行わしめないで独立の事業団をお考えになった根本的な考え方につきましてお聞かせいただければ仕合せだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/72
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073・澁谷直藏
○澁谷政府委員 この法案の立案に際しまして、いわゆる組合方式を採用するか事業団方式を採用するかということは一つの大きな問題であったわけでございまして、この点につきましては対策懇談会におきましてもあるいはまた労働省部内さらに大蔵省を入れての政府部内におきましても、あらゆる角度から慎重に検討をいたしたのでございます。
そこで私どもが事業団方式をなぜ採用したかという点でございますが、組合方式によった場合にどのような欠陥があるかということをまず最初に申し上げた方がおわかりがいいのじゃないかと思います。すなわち組合の方式で参りますると、この長期的な制度である退職金の制度について、膨大な積立金を長期にわたって永続的に管理していくという点について一つの不安があるわけでございます。ちなみに事業協同組合の状況を見ますると、毎年三%ないし四%が解散して消滅していっておるのでございまして、年々三ないし四%が解散して消滅していくというような事業協同組合、こういった組合に数十年にわたる長期的な制度をまかせるということは非常に危険性があるわけでございます。
それからさらに第二点といたしましては、この相当巨額になる積立金を確実に管理していくということが一つの基本的な要件になるわけでございますが、組合方式でやった場合にその点は十分保証できるかという点でございますが、さなきだに金融その他で窮状に立っておりまする中小企業者の組合に、長期にわたって巨額な金を安全に管理させていくということは、これは言うべくして実際問題としてなかなか困難が伴うのでございます。そこで私どもは以上のような困難を排除して、この長期的な制度に見合う積立金の永続性、それから安全に確実に管理する、この二つの基本的な要請にこたえる方式としてはどうしても事業団方式以外にない、こういう結論に立ちましてこの事業団方式を採用いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/73
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074・齋藤邦吉
○齋藤委員 協同組合方式を採用いたしまする場合の長期的な管理の確実、責任性ということから、やはり事業団方式がけっこうだろう、こういうお答えであったわけであります。そこでこの際その点に関連して、事業団の将来の運営の問題として私はここに四十四条という問題を一つお尋ねいたしたいのであります。
この四十四条によりますると、「第二十八条の目的を達成するため、次の業務を行う。」というので一号二号三号とあるわけでございます。「保健、保養又は教養のための施設の経営」というようなことが二号にあるわけでございますが、そこで私のお尋ねしたいことは、こういう事業団ができまして、長期にわたって中小企業者の納める掛金を管理していくということでありまして、あくまでもその管理ということが最大の使命だ、ところがやはりこういう事業団というものができて参りますと、とかくこういう施設の経営に一般的に興味を持ちたがるのです。私はこの事業団がそうなるというのじゃありません。一般的に申しますと、こういう施設の経営に興味を持って、保健ということでありますから病院、こう考えられるかどうか知りませんがそういうことになる。そうしますと、今の日本の三公社五現業その他国の施設、特別会計等を見ますと、こういう附帯施設をみんな書いてあるのです。というと、やはりとかくこれをやりたがる。そうするとこっちにばかり夢中になるというわけじゃないかもしれませんが、多少そっちに気がとられて、本来の使命というものを忘れがちというわけじゃありませんけれども、お留守になってはこれは大へんだ、従ってあくまでも私はこの四十四条のいう福祉施設というものはそう早急におやりになる必要がない、むしろあくまでも、ほんとうに日本における中小企業の新しいいい制度なんですから、この制度をまず育て上げるというところに一切の精力をつぎ込んで、それで事業団はこういう附帯施設の事業にはあまり興味をお持ちにならぬようにしてもらいたいと私は思うのです。そういう意味において、四十四条のこういう業務運営について労働大臣としての将来の指導方針というものがもしここでお聞かせいただければ、私は非常にけっこうだと思うのです。国の全般の特別会計あるいは事業団を見ますと、たとえば病院を見ますと、厚生省の中でも厚生年金病院あり、あるいは健保の病院あり、労働省に労災病院があるということで、近くこうした病院施設の調整のための立法もされるという話も承わっておりますが、やはり調整のための立法措置を必要とする以前に、あまりこういうことに御興味を感じられないで、事業団本来の使命に邁進していただく、全精力を集中していただく、こういうふうにお願いをしたいような感じもするわけでございますが、労働大臣としてのこうした事業の運営の御方針をお聞かせいただければ仕合せだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/74
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075・生田宏一
○生田政府委員 お話の通り、全くこの事業団体の一番の目的は共済事業を完遂するということでございますので、その積立金の管理に万遺漏があってはならないのでございますから、全くお説の通り傍系的な事業には戒心をして、あまり手を出さないという方針がよいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/75
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076・齋藤邦吉
○齋藤委員 ただいままことに適切な指導方針を承わりまして、けっこうだと思うわけでございます。
そこでもう二点だけお尋ねさせていただきたいと思いますが、それは余裕金の問題であります。これはほんとうにお気の毒だといっては恐縮の至りでございますけれども、ほんとうに零細なる企業の経営者がかける掛金、それを積み重ねていく、そういうわけでありまして、この余裕金の運用についてはほんとうに慎重なる態度をとっていただきたい、こういうふうに私は考えるものであります。そこで余裕金の運用につきましての条文の第五十三条を見ますと、労働、通産両大臣の指定する金融機関への預金とか金銭信託あるいは有価証券の取得、こういうふうなことで厳重なるワクがはめられておるわけでありますが、また同時に条文を見ますと、この三項には資金運用部にも一部預け入れる、こういうようなことも書いてある。そこで私のお尋ねいたしたいことは、この余裕金の運用の根本方針というものは、私はこれは中小企業の事業資金として大いに還元融資をして中小企業の振興もはかる、こういうふうにやっていただくことを第一前提にお願いしたい。従って資金運用部に預け入れるということはなるべく最小限度にとめていただきりたい。そこでこれは「政令で定めるところ」と書いてあるわけでございますが、政令でありますから、まだおそらく労働省としてはこの政令の内容は確定はしておらぬと思いますので、一つ将来政令でおきめになるときには、資金運用部へ預ける金というものは最小限度にとめて、中小企業の振興のために、事業振興のために還元融資をしていただく、こういうふうにしていただくことが、私は望ましいと思うのです、その点について、一つ政務次官の御意見をお聞かせいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/76
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077・生田宏一
○生田政府委員 余裕金の預金部資金への預託につきましては、まだ大蔵省との間には何ら具体的な取りきめもしておりませんので、全く齋藤委員の御意見はごもっともと存じますので、そのようにいたしたいと考えてお次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/77
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078・齋藤邦吉
○齋藤委員 だんだん最後になりましたから、もう一点だけでおしまいにいたしますが、この点は、政令の定めるところということでございますから、あくまでもこの預金部資金に預け入れるということは最小限度にとめて、ほんとうに中小企業の零細な資金を集めたものでございますから、そういう方面に最善の御努力を払っていただくようにお願いしたいと思うのでございます。
最後にもう一点お尋ねをいたしたいと思いますことは、この法律を見ますと、審議会というものが一つもないのです。とかく役所のいろいろな法律を見ますと、審議会を——まあ労働省がお好きだというわけではございませんけれども、審議会というのがよくあるわけなんです。たとえばこの中小企業退職金共済法案というものも、将来改正する必要もたくさんあると思うのです。先ほど来申し上げましたように、この法律は理想をねらっておる法律でありますけれども、現段階ではやはりこの程度というところの法律内容で、今がこれが永久の理想的立法であるというわけではありませんことは、政務次官もお答えになられた通りであります。そこでやはりこの中小企業退職金共済法について、将来やはりいろいろ改正をしたりする必要が年々歳々起りてくると思うのです。私は毎年おやりになった方がけっこうだと思うのですが、そこでこの法律運用の大綱について、やはり何らかの審議会というものがあって、たとえば中小企業の経営者あるいは公益の方々あるいは中小企業に働いておられる労働者の御意見もありましょう、そういうふうな御意見を聞きながら、将来の中小企業退職金共済制度というものを確立していく、こういうことが必要ではなかろうかという感じもいたすわけでございます。しかしながら、この点についてはおそらく、労働省のことでございますから、慎重にお考えになられて、この法律を立案するに当りまして、何という名前でありましたか、審議会を作って、各方面の御意見をお聞きになった、臨時中小企業労働福祉対策懇談会ですか、非常にいい名前の懇談会でございますが、こういうふうな懇談会によって、将来とも意見をお聞きになろうというお考えなのか、あるいは将来閣議決定等によて審議会をお作りになていただくかというふうな点、どういうふうにお考えになておられるか。またこれにつきましては一つの考え方があるわけでございます。事業団の中に置いたらどうか、こういう意見も一つあるように私承わっておりますが、これは私はけっこうじゃないと思うのです。私の意見を申し上げては失礼かもしれませんが……。なぜかと申しますと、事業団というものはあらゆる事業を現業的に行う事業団なんですね。その現業を行う事業団にそういうものを置いたのでは、船頭多くしてなかなか動かなくなると思うのです。そういうことを私は申し上げるのではない。この法律全般ですね。すなわち退職共済制度全般の将来の改善のために各方面の御意見を労働大臣がお聞きになる、これは私は必要だと思うのです。それはどういうふうにお聞きになろうと——必要はないとおっしゃるならば別でありますが、そういう点についてのお考えがおありでございましたら、この機会にお聞かせをいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/78
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079・倉石忠雄
○倉石国務大臣 本案の作成に当りまして、そういう点につきましても種々検討をいたしたのでありますが、御承知のようにこの制度は退職金を取り扱うものでありまして、従てその中心になります事業団の仕事というものは、きわめて技術的で型にはまたものであります。従ってこれを運営いたすということは、ほとんど事業団の規定に定められた仕事を地道に実行いたすということでございますから、従って正しく運営されておるかどうかということは、もちろん労働省において監督をいたしますが、なお先ほど来お話のありましたような点につきましては、全国に商工会議所もございますし、あるいは中政連といったようなものもございまして、ことに中小企業について特段の努力をいたしておる面もあると思いますから、そういうものの意見も十分に参考にいたしましてこの運営の万全を期するように政府においてやっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/79
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080・齋藤邦吉
○齋藤委員 大体この中小企業退職金共済法案につきましては、以上数点いろいろな問題点を指摘しながらお尋ねをいたしたわけでございますが、最初に私が申し上げましたように、こういう制度はあくまでも現実的なものでなければなりませんし、あくまでも労働者の福祉と直結して具体的に発達をさしていかなければならぬ、こういうふうに考えておるものでありまして、この提案されております法律案が理想的な案だとはいえない面もあると思いますので、将来ともこの法律が成立いたしました暁におきましては、この法律運用の状況その他を十分見きわめられまして、この制度がさらに一そうよりよき制度になりますように、格段の御心配をいただくことをお願い申し上げまして、私の質問をこれで終えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/80
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081・大坪保雄
○大坪委員長代理 次会は明十日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後四時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104410X01619590309/81
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