1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月四日(水曜日)
午前十時三十四分開議
出席委員
委員長 長谷川四郎君
理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君
理事 中村 幸八君 理事 南 好雄君
理事 加藤 鐐造君 理事 田中 武夫君
理事 松平 忠久君
新井 京太君 岡本 茂君
菅野和太郎君 中井 一夫君
野田 武夫君 板川 正吾君
今村 等君 内海 清君
勝澤 芳雄君 小林 正美君
鈴木 一君 永井勝次郎君
水谷長三郎君
出席国務大臣
通商産業大臣 高碕達之助君
出席政府委員
厚生事務官
(社会局長) 安田 巖君
通商産業事務官
(大臣官房長) 齋藤 正年君
通商産業事務官
(鉱山局長) 福井 政男君
通商産業事務官
(石炭局長) 樋詰 誠明君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 小室 恒夫君
中小企業庁長官 岩武 照彦君
通商産業事務官
(中小企業庁振
興部長) 川瀬 健治君
委員外の出席者
厚生事務官
(社会局生活課
長) 中村 一成君
通商産業事務官
(中小企業庁指
導部長) 馬場 靖文君
通商産業事務官
(中小企業庁指
導部指導課長) 小林 健夫君
専 門 員 越田 清七君
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一月三十日
中国産生漆輸入に関する請願外二十八件(八田
貞義君紹介)(第七六〇号)
同(中澤茂一君紹介)(第八七四号)
同(原茂君紹介)(第八七五号)
日中貿易再開促進に関する請願(中澤茂一君紹
介)(第八七二号)
同(原茂君紹介)(第八七三号)
輸出工芸展覧会等復活再開に関する請願(田中
伊三次君紹介)(第八九三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
小売商業特別措置法案(内閣提出第二一号)
商業調整法案(水谷長三郎君外二十三名提出、
衆法第一三号)
通商産業の基本施策に関する件
経済総合計画に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/0
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001・長谷川四郎
○長谷川委員長 これより会議を開きます。
通商産業の基本施策に関する件、及び経済総合計画に関する件について、質疑の通告がありりますので、これを許可いたします。鈴木一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/1
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002・鈴木一
○鈴木(一)委員 順を追ってお伺いしたいと思いましたけれども、時間の制約もあるようでございますので、特に重要と思われる点だけお尋ねしまして、大臣から御答弁願いたいと思います。
三十四年度の石油の需給関係というのはどういうふうになっておるのか、概略をお示し願いたいと思います。もちろんこれは長期計画の中の一環だろうと思いますけれども、経済の好況不況というふうなことから、かなり変動があることだと思います。大体どのような見通しを三十四年度にされておるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/2
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003・高碕達之助
○高碕国務大臣 石油の原油の方の使用はだんだん増加して参りまして、三十三年度は一千四百万キロリットルでありましたが、三十四年度につきましては逐次増加してくるわけになります。これはやはり石炭との関係、ほかのエネルギーとの関係があるものですから、これに多少手加減を加えていきたいと存じますが、これに対する詳細な数字は政府委員からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/3
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004・福井政男
○福井政府委員 私から大臣の説明を補足して申し上げます。三十三年度、本年度の需給関係を簡単に申し上げますと、原油では上期に六千四百万バーレルほど輸入いたしております。下期で五千四百万バーレルでございまして、合計一億一千九百万バーレルの輸入を大体する予定になっております。来年度は相当鉱工業生産の伸び等とも関連いたしましてふえていくものと、かように考えておりますが、具体的な数字になりましては、ちょうど目下来年度期の外貨予算の編成とも関連いたしまして、検討中でございますが、経済企画庁で作りました長期計画から見ましても、三十七年度、それから将来の五十年度、こういう長い計画から見まして、すっと伸びていくカーブになっておりますので、当然来年度におきましても石油の消費量はふえていく、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/4
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005・鈴木一
○鈴木(一)委員 その他いろいろお伺いしたいことがありますが、省略いたしまして、その中で国産の原油はどの程度のパーセンテージを占めておりますか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/5
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006・福井政男
○福井政府委員 国産の原油は、御承知のように、非常に数量が目下のところまだ少うございまして、三十五、六万キロリッター程度の年生産でございまして、割合から申しまして二%強といったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/6
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007・鈴木一
○鈴木(一)委員 石油化学の原料というふうな点からすれば、国内産原油の持っている価値は相当なものだと私は思います。石油資源開発会社の五カ年計画によって今日まで、国内原油の増産が行われてきているわけでございますが、たしか五カ年計画があったと思いますけれども、その五ヵ年計画の予定通り生産が進んでいるのかどうか、もし進んでいないとすれば、どこに隘路があるのかどうか、そういう点を一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/7
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008・高碕達之助
○高碕国務大臣 お説のごとく、国産の原油が輸入原油に比較して化学工業原料として非常に優秀であるという点にかんがみまして、その上にやはり国産の原油はできるだけ十分確保する道を講じたい、こういうので、御承知の政府も増進方策を講じてきたのでありますが、現在、先ほど局二長がお答えいたしました通りに、三十五、六万キロリットルで、きわめてわずかでございますが、これを五カ年計画で百万キロリットルに持っていこう、こういう方針でやっておりますが、ただいまのところ予定のごとくにはなかなか進みかねておりまして、月に二千キロリットル程度しかできない、こういう状態であります。これではまことに情ない次第でございまして、昨年海底油田の開発ということに重点を置きまして、これに全力を注いで実行いたしておるわけでありますが、その成績いかんによりまして、ここに一つ転換の期がくるだろうとこう存じておりまするが、できるだけやっておりますが、予定のごとく陸上だけではまだ進みかねるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/8
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009・鈴木一
○鈴木(一)委員 五カ年計画によれば、五カ年の門に二百六十本の試掘をするということになっておると思いますが、昭和三十三年、まだ終りませんけれども、大体の実績は百本くらいしか掘ってないというふうに私は思うのでございます。五カ年計画は来年度もう一年あるわけでございますけれども、予定通り実際これは進捗してないというふうに見るわけであります。これはおそらく原油は資金的な裏づけが不十分であるという点に私はあろうかと思いますけれども、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/9
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010・福井政男
○福井政府委員 こまかい数字になりますので、私から申し上げますと、お話のように全体的に見まして、石油資源の予算につきましては、毎年度国家予算の中に繰り入れてもらいまして、政府出資をお願いいたしておるわけでありまして、足りない部分だけを民間出資にお願いするということであります。従来大体六割強程度政府出資になっております。残余を民間と関係の地方公共団体からお願いいたしておりまして、従いましてなかなか予算が会社の思うように参りませんので、若干のそごはございますが、事業量としましては、きまりました予算の範囲内で政府の認可を受けましてやっておりますが、そう大きいそごもなしにやっております。三十三年度の数字を申し上げますと、試掘の坑数では大体三十四本やる計画でいたしております。三十四年度の予算では目下具体的数字を検討いたしておりますが、試掘の本数は大体六十六本ということで予算を編成いたしたわけでありますが、当初の予算よりも若干変って参りましたので、三十四年度の予算では海洋では五本の井戸を掘ることができるだろう、かように考えます。陸上では三十三本、大体三十三年度と同じ程度の本数ができるものとかように考えております。こまかい数字は目下実行予算を会社の方で検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/10
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011・鈴木一
○鈴木(一)委員 五カ年計画では二百六十本試掘をすることになっておりますけれども、そうすると三十四年度の今申された数字を含めて、どの程度の遂行率なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/11
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012・福井政男
○福井政府委員 三十年度から始めまして、三十三年度まで試掘の坑数としましては百二本ございます。大体四割程度と見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/12
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013・鈴木一
○鈴木(一)委員 そうすると、五カ年計画は財政的な資金的な裏づけがないために完全に遂行できなかったということになりますね。この際あらためて五カ年計画のようなものを編成し直してやっていくのか、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/13
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014・福井政男
○福井政府委員 昨年改訂いたしまして、新しい五カ年計画のもとに現在作業の計画を立てて実施いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/14
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015・鈴木一
○鈴木(一)委員 問題はやはり資金の問題だろうと思うわけでありますが、出るか出ないかわからない仕事でありますから、普通の金融べースには乗らないだろうと思うのです。政府出資以外はどうしても民間から借りなければならぬ。借りる場合は当然債務に対する保証という問題が起ってくるわけでございますが、第二十二国会の衆議院のこの資源開発の会社が発足するときの附帯決議に、一一、石油資源開発株式会社の目的は、石油資源総合開発五カ年計画を実施することにあるはもちろん、可燃性天然ガスの開発も含むものである。よって政府は今後の出資について、万全を期するとともに、債務保証についても、必要に応じ、可急的すみやかに所要の措置を講ずること。」ということになっておりますし、また会社側も計画を遂行するために、どうしてもこういう政府の措置を希望しておるようでございますけれども、今年の予算総則にも細目書のことは載っておりませんし、法的な改正をするのかしないのか、そういう点はっきりしないのっで、ここで明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/15
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016・高碕達之助
○高碕国務大臣 大体の方針は、試掘の場合は政府出資でできるだけやっていく、いよいよ油が出れば民間でも相当出資してもいいと思いますが、ただいま鈴木委員の御指摘のように、実際からいえば金が足りない。思う通りに出ていない。かりに三十四年度は三十五億要るというのが二十億で切ったというようなことで、あと足らぬだけは民間出資を頼もう、こういうことになっておりますが、果して仕事になるかならぬかということで民間はなかなか出資しないというのでありますから、ここで政府として検討いたしますことは、いよいよという場合には、債務に対しては政府は保証しなければ民間は出資しない、また借金ができない、こういうことでありますから、本国会にも債務保証についての法律を提出したいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/16
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017・鈴木一
○鈴木(一)委員 この国会に出されるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/17
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018・高碕達之助
○高碕国務大臣 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/18
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019・鈴木一
○鈴木(一)委員 間違いありませんね。わかりました。
その次にお伺いしたいのでありますが、政府説明にもありますように、今後石油の消費は累増していくだろうと思います。その際日本国内の製油業者のあり方ということが当然問題になるだろうと私は思います。石油会社の資本の構成を見ますと、政府はずいぶん外資を導入されております。これは戦争というふうな大きなギャップがあったために、見方によってはやむを得ない事実であったということにもなろうかと思いますけれども、国力も一応ここまで回復した今日において、あまりにも外資の支配力が強過ぎはしないか、よく岸さんも言われるのでありますが、経済の体質改善というようなことをおっしゃいますけれども、かような体質というものは一体改善する必要がないのかどうか、そういう点を一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/19
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020・高碕達之助
○高碕国務大臣 できるだけ国内の技術なり国内の資本をもって国産の資源を開発するということは必要でございます。特に燃料資源のごとき、これがいろいろの点において海外に依存しておるという点については、いろいろの問題があるのでありますから、できるだけ日本の資本において、日本の統制力において、日本の国の力において採油できるような方針でもって進みたい、こういうことを考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/20
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021・鈴木一
○鈴木(一)委員 このような多量の外資が導入された経過というものは、石油産業の一つの世界的な背景も私はあるだろうと思いますけれども、こういう重要な産業に対して政府がほとんどかまわなかった、財政的な援助もしなかったというところに大きな問題があるだろうと思います。これは鉱山局の方で出しておられる本からとった数字でありますけれども、昭和二十五年から三十年の間に精製業者が設備資金として借りた金額が約七百九十三億ある。このうち政府の財政投資はわずか二%だ。あとは全然放置されておった。二%というものはほとんど何もしなかったということにもなると思うわけでありますが、どうもこういうふうな問題に対しては、政府がわざと関心を示さないのかほったらかしておくのかよくわかりませんけれども、あまりにもひど過ぎた。その間隙を縫うてこれだけ多くの外資が入ってきた。そうして利益の半分は向うに持っていかれる。いわば日本の精製工場は、名前は日本の工場であってもほとんど管理は向うにされて、しかも利益は持っていかれているというふうなことになるだろうと私は思いますね。こういうような実情に対して、大臣にもう一回、今後具体的にどういうふうにしていくのか、御意見があったら伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/21
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022・高碕達之助
○高碕国務大臣 従前日本で生産し得る石油資源というものは、御承知のごとく消費に対してきわめてわずかでありまして、大部分は海外から持ってこなければならぬ、しかもその海外の油田というものは、現在大体英米の大なる資本によってこれを握られてしまっておる。原料を買うということからいえば、どうしてもやむなくその原料を得るためには先方の言うことを聞かなければならぬ、こういう結果になりまして、同時に政府として出資する場合においても、政府出資なんか要らない、自分の方がやろうということになれば、これは多少イージー・ゴーイングの点はあった、こう存じます。こういうような工合に等閑に付しておくことは私はよくないことだと存じておりますから、一方国内において国内の資源を国内の資金なり政府の資金で開発すると同時に、海外の資源につきましてもある程度国内の資本をもってこれを開発するという方針で進んでいきたいと存じておるわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/22
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023・松平忠久
○松平委員 関連して。これは大臣のお話もあったのですが、私は石油会社のみならず、一般の日本の産業と外資との関係を見てみますと、御承知のように戦前において三菱石油が五〇%以上、たしか五一%外資が入っておったと思うのです。ところがそのほかの産業としては、ダンロップが圧倒的に外資が導入されておった。しかし富士電機等は大体三割、ナショナル金銭登録機とかあるいはオーチスエレベーターというような一般の日本の外資導入の仕方というものは、私は五〇%以下が普通であったと思うのです。ところがその中でダンロップやあるいは三菱石油というものが五〇%以上をやっておった。この点は割合にケースが少かった。ところが戦後における石油の方の行き方というものは、今大臣がおっしゃったようなこともありますけれども、私はやはり日本の石油関係業者というか、そういう人たちは、五〇%以上持たした方が都合がいいんだ、こういう考えが非常にあったように思うのです。従ってわれもわれもというような工合になってしまったのではないだろうか。当時占領下にありまして、外資との提携というものをやった方が都合がいいという考え方が資本家の間に非常にあった。政府が押し切られて、以前の日本の外資の取扱い方とは違った方向にきたのではなかろうかと思うのです。従ってこれは大蔵省との関係もあるだろうと思うけれども、外資委員会もそういう意味でできておると思うのですが、やっぱり通産省としては外資を各産業別ぐらいに考えられて、一つの方針というものを立てる必要があるのではなかろうか。ことにそのはなはだしいのは石油なんです。だからそこのところは確かに占領政策、占領過程中におけるいろいろな混乱期というか、そういうものがありまして今のような形になったのでありますけれども、だんだん日本も今日のような状態になってくると、それをやっぱり考えていかれる必要がある。今おっしゃるところによると、国内のというようなことがありますけれども、私は国内の資源を開発してやっていったところで、これは幾らかの足しにはなると思うし、幾らかの押しというか先方に対するバツクとしては利用できるかと思いますけれども、そうではなくて、何か日本のほんとうの考え方によって出光のような行き方を日本がサポートするのも一つの方法です。そういう行き方で考える必要があるのじゃなかろうかと思います。外資全般の問題と関連して一つ通産大臣の今後の研究をお願いしたい、こういうふうに思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/23
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024・高碕達之助
○高碕国務大臣 私は御意見には全く同意でございます。けれども、今日までだれがやってきたかというと、油のごときはもうすでに外国の資本によって独占されてしまって、そのもとを握られておりますが、そのもとをどうしてたたきこわすかということが非常に大事なことでありまして、その点から申しますと、今後インドネシアなり、中近東の油というものが非常にクローズ・アップされましたことと、それからスエズ以東において大きな油の消費地としては日本があるということは非常な強みでありますから、この点は一緒に考えまして、油に関する問題につきましては、今の御所見の方に近づくように持っていきたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/24
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025・鈴木一
○鈴木(一)委員 大臣のそういう答弁で満足しなければならないのかもしれませんけれども、しかしさりとてすべて今国際的なカルテルで握られてしまって、にっちもさっちもいかないところにはまり込んでおるというのが実情であります。しかし実際に検討してみると、同じアメリカ系の会社でもお互いが競争しております。また英国系もそうだと思います。それから英国系とアメリカ系がまた競争しておるのです。いろいろなことでやる気があればその間隙を縫うて私はやれると思うのですが、そういうようなことをやらないで、まるまる向うにおぶさってしまうイージー・ゴーイングなやり方をしたということで、今日石油業界がかくも多量の外資によって支配されなければならないような実情にあるのだろうと私は思うのです。これはただいたずらに尊皇攘夷みたいな公式論を振り回すつもりはないのですけれども、やはり業界としてあるいはまた政府の課題として、この問題は今後慎重にすみやかに進めてもらいたい。もっと日本の完全な傘下に入るように、外資をときによっては駆逐するように、そういう方向に進めてもらいたいと思います。今までの政府の施策は、こういう問題に関しては何もなかった、財政投資の実績からいいましても全然なかった、その結果こういうふうな状態になったというふうにしか思えないのです。どうかよろしくこの点をお願いしたいと思います。
それからこの際ついででございますが、外資ということでありますけれども、どういう形態で入ってきたのか。聞くところによれば、原料を持ってきてそれを出資に振りかえたとか、あるいは向うで余っている機械を持ってきたりあるいは施設を持ってきたりして、それを出資に振りかえたというふうなことも聞いておるわけでありますが、その間の事情を一つできたらこの際お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/25
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026・福井政男
○福井政府委員 外国の石油会社とわが国の石油会社の提携の仕方はいろいろあるわけでございますが、資本的に見ますと、現在提携いたしております石油精製会社は五社でございまして、これはいずれもジョイント・ウェンチャーの形になっておるわけでございまして、出資の割合は東亜燃料工業がスタンダードと提携いたしておりますが、スタンダードの出資が五割五分、五五%になっておる。これは例外でございまして、その他の日本石油精製、それから興亜石油、三菱石油、昭和石油、これらはすべて五割、五〇%の出資の割合になっております。そのほか外国会社との提携の仕方では、御承知の通り一般の技術援助契約でノー・ハウをもらうというような形の提携がございます。これは精製設備の合理化というような面で、非常に大きな役割をなしてきておりまして、今後も資本的な問題としましては、そう外国の資本の援助を受けなければ拡張ができないというような事態はなかろうと思いますが、技術援助の問題につきましては、まだ合理化設備をさらに推進しなければならぬというようなことで、個々のものにつきましてはなお検討して、いいものは取り入れていくものも出てきはしないか、かような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/26
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027・鈴木一
○鈴木(一)委員 局長の答弁で満足しませんけれども、いずれまたの機会にするといたしまして、ただ大臣にこの際お知りおき願いたいと思うのですけれども、現在、これは私の調査ですからあるいは間違っておるかもしれませんが、三十三年六月一日の調査で外資総額が八十億なんです。そうして年間二割五分の配当をずっと続けてきておりますから、四年間でこの元本は回収してしまった。実にこれは外資としては四年間に八十億回収できるわけですから、投資の対象としてはうまい仕事だと思うのです。それからまた、この石油の外資は日本に導入された外資の約五一%に当る。ほとんど外資というと石油に入れられたといってもいいくらいなんです。こういうような事態は、私は決して日本の産業構造の姿から健全な姿だとは思いませんので、先ほども申しましたが、こういうような体質改善についても格段の御努力を願いたいと考えます。
それからもう一つお尋ねしたいと思うのですが、最近政府の援助もうしろにはあったのだろうと思いますが、サウジ・アラビアの石油の開発が問題になっておるわけでありますが、どうも取り扱われておる場所があまりにも高いところで取り扱われておるのか、われわれには新聞でちょいちょい伺う程度のことしかわからないのであります。それで三十二年の六月十一日の閣議で、このときはすでに先方の方と仮契約ができておったわけでありますが、閣議で積極的な援助をする、こういうことが申し合されておるというふうにも聞いておりますし、自民党でもたしか高碕さんが委員長の何か特別部会でこの問題を取り上げて、長期エネルギー対策の一環として積極的に援助すべきであるということを、政府の方に申し入れをされたというふうなことも聞いておるわけであります。その間の事情をできたならば、一つこの際明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/27
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028・高碕達之助
○高碕国務大臣 先ほど鈴木委員の御心配になったごとく、日本の石油というものは将来のエネルギー資源として非常に重要なものであって、今後ますますたくさん入り用だ。特に私どもの計算によりますと、昭和五十年になれば少くとも石炭換算にして石油が一億トン入り用になる、こういう数字が出たのであります。これをどうして確保するかということは、どうしても日本の資本をもって海外の資源を開発する、それに参加するということが必要だ。特に中近東におきまして油の資源というものが戦後いろいろ開発された結果、世界の石油資源の七〇%は中近東にある、こういうことがわかったのでありますが、お話は三十二年の六月だったと思っております。当時閣議におきまして了解してもらったことはひとりアラビアの石油だけでなく、イラン、イラク、あの中近東の油の資源開発については政府は強力にこれを援助するということの閣議了解を得たのであります。その後イランの方はいろいろな関係がありまして、これは着手することができなかったのでありますが、サウジ・アラビアとクエートとの間にあるあの石油の資源につきましては、相当の権利を獲得したものでありますから、ここで昭和三十二年の十二月でありますが、アラビア石油開発会社が創立をいたしまして、それで資本金を百億円、授権資本でございますが、そのうち三十五億円を払い込む民間の会社ができまして、それが事業に着手いたしまして、探鉱にやったわけなんであります。ただいまの結果によりますと、探鉱の結果相当有望であるということがわかりまして、できるだけ早い機会にこれを採油する方向にいこう、こういうようなことで進んでおる次第でありまして、まだ政府では直接援助はいたしておりませんが、いよいよ採油することになりますれば、輸出入銀行を経ましてある程度の融資をしていきたい、こういう考えで進んでおるわけなんです。詳細なことは政府委員よりお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/28
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029・鈴木一
○鈴木(一)委員 仮契約の場合と本契約の場合はかなり内容において違っておるのですね。そういうふうな違った場合でも、政府が援助していくという今の方針に変りがないのかどうか。また援助するということになってくれば、特に輸出入銀行あたりの金まで貸すんだということになってくると、契約内容を検討した上で、はっきりした事業計画、もくろみというものを立てて、その上で一体どの程度の金が要るのか、そういうような具体的な検討をすでにされておるのかどうか。もし援助するということであれば、国の方としてももうすでにされてなければならぬ。そういうような点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/29
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030・高碕達之助
○高碕国務大臣 先ほどお話のありましたごとく、三十二年の六月に、大体根本的にこれを援助するということは閣議了解をしておりますが、実際これを実行に移します場合におきましては、今御指摘のような工合に計画が正しいものであるかいなや、また同時にその契約というものについては相当有利なものであるかどうか、ほかの契約と比較してそういう点も十分検討いたしてからやりたいと思っておりますが、すでにある程度検討いたしておりますから、その詳細のことは政府委員からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/30
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031・福井政男
○福井政府委員 サウジ・アラビアとクエートとの中間の沖合いの海底の開発につきましては、会社の方とサウジ・アラビア並びにクエート両国とおのおの別個に契約をいたしておりまして、現在会社では物理探鉱を実施いたしております。ほとんどそれが完了する段階になっております。それによりまして今後試掘を始める、こういう段階になるわけですが、現在のところでは大体四月ころから試掘を始める、こういう段取りになっております。物理探鉱の結果では、油を持っております構造があるわけでありますが、この油を持っております構造が大体四つほど試探鉱の結果明らかにされておりまして、専門家の鑑定では非常に有望である、こういうふうに観測されております。しかしながら地下のことでございますので、試掘をやりましてほんとうにそれがあるかないかというのが今後の問題になりますが、そういうことで、会社の方で着々と準備を進めておりますが、それに伴いまして資金計画を組んでおりまして、三十四年度におきましては会社の方の経費大体三十数億が開発資金として必要であろう、こういう資金計画を立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/31
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032・鈴木一
○鈴木(一)委員 契約が他のものと比べて有利であるかどうかというふうなことも検討されたと思いますけれども、もちろんこれは相手方の国の国力の回復とかそういうふうな事情も手伝っておると思いますけれども、従来のアメリカあるいはまた英国あたりが契約しているものとはかなり差があるというふうに考えられます。それ以外に、現地で精油もやらなければならない。またタンカーを雇うときも、アラビア石油会社のタンカー以外のものを使う場合には、向うの指定するものを使わなければならないとか、今までにないようなさまざまな条件がついておるわけです。特に問題だと思うのは価格の点でございますけれども、価格はペルシャ湾の価格の公示されておる国際カルテルの価格以下で売ってはいけないということになっておる。そうすると、もしこれが開発されたとしても、石油の量的な確保の点で外貨が要らないという点では、確かに有利だと思いますけれども、同時にまたほかの英国系あるいはアメリカ系の資本を持っている国内の会社が、これに対抗するためにいろいろなダンピングをやってくるというふうなことになっていく、そういうふうな状態になりますと、非常に大きな危険を冒してやって、だめならばとんでもない損になる。また成功してみても、国内の精製業者を日本の資本でがっちり押えていなければ、これまたものを持ってきてもとんでもないことになるというふうな見通しも下されるわけなんです。ですから輸出入銀行まで動員して援助するのはけっこうだと思いますけれども、よほどこれは慎重に、また国内の石油会社のあり方——先ほど申し上げたような改造と申しますか、体質改善と申しますか、そういうものと並行してこれをやっていかなければ、大きなばくちを打って、結局特定の個人が企業欲を満たすだけであって、国家的には大量の外貨を使って、何ら意味はなかったのだということに私はなりかねないと思うのですが、そういう点は大臣どういうふうにお考えになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/32
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033・高碕達之助
○高碕国務大臣 御指摘のごとく、日本としては初めて石油資源の獲得に入ったわけでありますから、相手があることでありまして、おそらく相手の方も従前の英米資本に楽にいくのだから、それよりもむしろ何かある程度の条件がよくなければ、こっちへよこさないことだ、こう思っております。従って第一回としては相当私は犠牲を払っていることだと思います。内容的に申しますればいろいろな点があることでありましょうが、総括的に考えてそう思います。従って今後のやり方等につきましては、あれが最後であるのじゃなくて、かりにアラビアの石油が完成いたしましても、これは十分できて一千万キロリットルでありますか、これだけではいけないわけでございますから、この第一回の試験としてそれをどういうふうに国内に持ってきて、どういうふうに国内の産業と結びつけるかというふうな点につきましては、十分検討を加えて参りたいと思っております。第一回であるから、おそらくは御指摘のようにあまりほかと比較していい条件ではなくて、悪い条件であったろうと私は思っております。これは想像するにかたからずと思っておりますが、今後これによっておいおい第二回、第三回をやっていくためには、これでもってやりたいと思っております。ただ政府として考えておりますことは、油がもし出なかったという場合には、これは大きなばくちになりますから、これはやはりどうしても民間の業者の責任においてやってもらいたい。いよいよ採油ができ、油がとれるということになれば、ある程度政府はこれに出資して援助していきたい、こういう方針で進んでいるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/33
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034・鈴木一
○鈴木(一)委員 とにかくこの計画は、日本としては画期的なものだと思います。いろいろ苦労もあったと思いますし、一応私はこの会社の関係者に対して敬意を表するわけです。しかしこれだけを進めたのではだめなんだ。やはり国内の石油資源の問題、それからまた精油施設の問題、こういう問題全部を総合的に対策を立てられなければ成果が上らないのだ。たとえ成功したとしても成果はあまりないのだ。特定の人たちの事業欲を満たすにすぎないのだということになると思いますから、その点は一つ十分考えてもらいたいと思う。今までの石油に対する政府の施策というものは、ほとんどないにひとしいというふうにしか私思いません。ほったらかして適当に外資の思うように、外資の跳躍にまかせたといっても過言ではないと私は思うのです。だからいい計画ですから一つ総合的な施策を考えて、その上で慎重にやってもらいたい。こういうことであります。一応時間の関係がありますので、石油の方はこのくらいにして石炭のことを若干伺いたいと思います。
現在約一千万トンの在庫、貯炭をかかえて石炭鉱業は非常な深刻な不況に見舞われておるというふうなことでございますが、果してそうであるか。またそうだとすればその原因はどこにあるのか、また対策はどういうふうに立てられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/34
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035・高碕達之助
○高碕国務大臣 石炭が予想より貯炭が多くなりまして、石炭業者の現在の状態は、いわゆる塗炭の苦しみに陥っておるわけでありますが、この原因はどこにあるかと申しますれば、昨年の下半期における豊水のために、一番大きな消費者である電力会社が、石炭の消費が予想よりも非常に減ったということと、もう一つは国内の工業の石炭消費が予想以上に減ってしまった。こういうことで最初政府といたしましては、三十三年度は五千六百万トンという長期計画でありましたが、これを五千三百五十万トンに初めから下げてかかったわけでありますが、五千三百五十万トンでもこれはとても使い切れないというので、だんだん計画を縮小して参りまして、最後には四千九百万トンという数字まで下げたのでありますけれども、なおかっただいま申し上げました二つの理由で、石炭の消費が急速に減った。こういう結果になりまして、これが対応策といたしましては、三十三年度の下半期における海外のエネルギー資源である原油の輸入等につきましても、ある程度の手かげんを加えたのでありますが、それも及ばない。こういう状態であるものでありますから、今後の政策といたしましては、やはり非能率の炭鉱、特に小さな炭鉱につきましてはできるだけ整理を完了して、そういうふうなものは今後休坑してしまうというような方針で進みたい、こういうふうな方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/35
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036・鈴木一
○鈴木(一)委員 大臣のお答えでは豊水のためだといいますか、火力発電の使用する石炭の量が減ったとか、あるいはまた国内の需要が一般的に減退したというようなことでありますけれども、私の観点からすれば炭価が石油よりも高いというところに一番大きな問題があると思うのですね。これは人為的に石炭を使うように現在国の方で規制しておるわけですね。そういう関係だから石炭がある程度使われておりますが、そういったような経済法則を無理に曲げてみても、しょせんこれはいつまで保護できるものでもないだろうと私思うのです。ですからどうやったならば炭価が下るかということが、政府の施策の重点であらなければならないだろう、私はこういうふうに思います。昭和三十年に石炭鉱業合理化臨時措置法、これは時限法でございますけれども、こういう法律ができて、これをとにかく業者の協力を得てまじめに実行しておれば、かなり炭価も下らなければならない、合理化も促進されなければならないということだと私思いますけれども、事実は神武景気とか、そういうものの結果、逆に炭価が上って、この法律が制定されたときは、たしか三十年を基準として三十四年には約二割方原価を下げる、こういうふうな計画を政府は出されておったと思いますけれども、それが一向実行されてないというところに、私大きな問題があると思いますけれども、何がゆえにせっかくこういういい法律があるにもかかわらず、当初の目的が達成されないで、今日大臣が今言われたような塗炭の苦しみか、貯炭の苦しみを味わわなければならないか。一体どういうわけなのか伺いたい。
この法律を見ますと、法律としては完璧なんですね。不況の際は共同行為もあえてできるような——もちろんこれは期限がついておりますけれども、できるし、あるいは生産の制限、それからまた価格のつり上げということも全部とにかくできるようになっているのですね。それから不良炭鉱の買い上げも政府がやれる。何から何まで法律としてはこれほど整ったものは私はないと思う。これが一向実行されないという原因はどこにあるのか、一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/36
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037・高碕達之助
○高碕国務大臣 今の御指摘のごとく、石炭がこういうふうになったということは、その価格が高いということが主要なる原因であるということは統計上はっきりわかっておりまして、現在におきましては、石炭と原油との価格は一カロリー当り東京、横浜におきまして九十八セントになっておる。そうなりますと、石炭も石油も一カロリー当りの原価が同じだということになりますと、油を使った方がメリットからいいますと一割ないし二割得だ、手数はかからぬということで、油がだんだんふえちゃう。これに対抗するためには、やはり石炭の原価を下げなければならない、これは当然のことでございます。それがためには石炭合理化法ができまして、これを完全に実行すべく、いろいろ努力をいたしておる次第でございますが、しかしながら問題は、油の値段が現在安いということは、これは運賃が下ったということにも一つの基準がありまして、この運賃がある程度上ってくれば、また価格が上る時期があるかもしれない、こういうことも考えなければならない。従って現在の価格だけをもって、石炭の将来を律するということは誤まりが起るだろうと思いまして、ある程度政策を加えて高い石炭でも使ってもらわなければならぬ、こういうふうなことで、政府は一方は消費の方に話しておるわけなのであります。同時に、原価を切り下げるためには、何としても一人当りの採炭量をふやしていって、そうして原価を下げなければならぬ。それがために、合理化に要するところの機械設備等についての資金は、十分めんどうを見ておるわけでありますが、現在では一人当りが十四トン半というふうな数字が出ておりますが、これをだんだん合理化して、もっと一人当りの採炭量をふやしていくということになれば、これは当然一割ないし二割価格は下げられると思いますが、そのときに余った過剰人員をどう整理するかということが一番大きな問題でありまして、これをどういうふうに使うかということが大きな問題であります。これを解決せずに、そうしてむやみにこの合理化によって単純に労働者を整理するということはできないわけでありまして、その点に悩みがありまして、第一回に石炭鉱業合理化をやりましたときにおきましても、初めはそれによって起った過剰人員を、ある一方の方に政府は吸収するという政策を立てたのでありますが、そのときは不幸にして——幸か不幸か知りませんが、神武景気のためにもうそんなことはやらない、こういうようなことで中止してしまった、こういうふうな実例もあるわけでありますが、今後これを実行いたすにつきましては、政府といたしましては、この過剰人員をどう整理するかという問題は、ひとり通商産業省の問題でなく、労働省なりあるいは農林省、建設省ともよく連絡をとって、その方針をとっていきたい、こう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/37
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038・鈴木一
○鈴木(一)委員 大臣の御答弁を聞いていると、労働問題のために石炭の合理化が進まないんだ、こういうふうなあれですけれども、ただそればかりではないだろうと私は思います。やはり国としてはっきりした目標を立てておるわけでありますから、その目標に従ってすればいいのであって、そこに労働問題が起ったら、社会保障制度というものをもっと拡張して、そこで救済していくというふうなことが当然行われれば、必ずしもこれはできないことじゃないと私は思うのです。ところがその社会保障制度や何かについては体裁ばかりで、実際やらない。そういうところに問題があるのであって、何か労働者が、炭労が騒ぐから、石炭の合理化ができないのだということは、逆に言うと政府の怠慢である。これだけりっぱな法律を通しておきながら、これを実行できないということは、私は政府の怠慢だろうと思う。大臣もしょっちゅうかわるし、この法律が制定されてから、石炭局長なんかもかわったのは何人かわったか、われわれの記憶にもないくらいですよ。責任を持ってこの法律を実行する、五年間なら五年間の期間があるわけでありますから、その期間はその責任の衝に当る者はかえないで、真剣にこれに取り組ませるのだというような態度が望ましいわけでありますけれども、せっかくなれたと思って次の国会に出ると、また局長の顔もかわっておるし、大臣もかわっておる。こういうふうなことでは私はできないと思う。これは労働組合がうるさいからできないということでは決してないと思うのです。真剣に取り組んでいない。法律を通すときにはここで一生懸命やられるけれども、通ったあとはしょっちゅう責任者がかわってしまって、その法律の精神がさっぱり生かされていないというところに私問題があるだろうと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/38
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039・樋詰誠明
○樋詰政府委員 三十年に法律をお通しいただきましてから三年間、あまり法律の効果が上ってないじゃないかという鈴木先生のお話でございますが、先ほど大臣も申し上げましたように、法律を通していただきました三十年当時の能率は大体十二・九トンであったわけでございます。それが三十一年、三十二年とだんだん上って参りまして、三十二年には十四・六トン、これは途中でストライキ等ございましたので、もしストライキがなかったというふうにいたしますと、十五・二トン、これは三十年でもそうなんでございますが、これは俗にスト補正といっておりますが、スト補正ということでいけば、三十年の十二・九トンが三十二年には十五・五トンと大体一割五分上っている。それから実数にいたしましても大体同程度上っているということで、これはやはりここで法律を通していただきまして、それに基きまして、国家資金の投入というようなことにつきましても、御承知のように三十年から三十二年までは石炭の設備投資が四百八十億程度で非常にふるわなかったわけでございますが、昨年から飛躍的にふえて参りまして、三十三年から三十七年までの五カ年間は、大体年間平均三百二十億程度の投資をやることによって、炭鉱の縦坑開発その他で若返りをやって、長い目での合理化を達成しようということで、今せっかく努力しておるわけであります。三十二年度は約百億の開発銀行資金の融資を受けるということになって、現在実施いたしておりますが、来年度も開発銀行だけで八十億、そのほか中小企業金融公庫等ございますので、できるだけ国家資金をそういう縦坑の開発といったような深部移行に伴う炭鉱の構造合理化というような方にも活用するということによりまして、できるだけ合理化自体の効果を上げるようにいたしていきたい、そういうふうに考えております。またこの法律の中に、新しい坑口を作るときにはいわゆる能率的な坑口というふうになっておりますので、大体新坑につきましても二十七トン程度、従いまして、現在の能率の倍程度の能率が上るという見きわめがついた新坑だけを許可するということでやっております。石炭のような非常に長期にわたって、縦坑一本掘るのも小さなもので五年、大きなものは十年、これは先生御承知の通りでございますが、そういうふうなものもございますので、合理化法の年限もこの前昨年の国会で四十二年までに実は延ばしていただいたということも関連いたしまして、少し長い目でわれわれも一貫した政策のもとに合理化の効果が上るようにやっていきたいというふうに思っておりますので、一つそういうふうな観点から、そのときそのときの景気についていけないという弱さを持っておる産業でありますので、そういう意味で一つ今後とも御鞭撻をいただくようにお願いしたいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/39
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040・鈴木一
○鈴木(一)委員 過剰人員が合理化の阻害になっておるのだというふうなお話もありましたが、一体どの程度の人間が現在就労しており、どの程度の人間が余剰だというふうに推定されておるのか、その点もし数字があったらお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/40
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041・樋詰誠明
○樋詰政府委員 現在の炭鉱の人員は約二十九万人でございます。これは昨年一年間に一万二千人ばかり減りまして、現在二十九万程度になっております。幾らの人員がいいかということは簡単には出てこないわけでございますが、ただ能率との関係をある程度考えていかなければならないということで、この前の合理化計画自体の中では、大体十年間に五万人くらいの人間というものが減るということで、将来の原価等を計算するということになっておりますので、大体五万人くらいの人聞が過剰といえば過剰ということになり得るんじゃないか。ただしこれは先ほど大臣が申し上げましたように、裏づける措置が伴わざるを得ないということになるので、そちらの措置を考え合せて慎重にやっていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/41
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042・鈴木一
○鈴木(一)委員 五万人という数字は、貯炭の需要を長期計画という観点から見た際、なおかつ五万人余るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/42
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043・樋詰誠明
○樋詰政府委員 昭和四十二年に六千九百万トン掘るというようなことを考えまして計算しました際に、大体二十五万人くらいの人間でよかろう。またそのくらいであれば、十分石油とも対抗できる価格になるんじゃないかという数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/43
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044・鈴木一
○鈴木(一)委員 この法律の中には先ほども申し上げましたように、あらゆる統制が業界にできるようになっております。また同時に反対給付としては共同行為もできるような独禁法の除外例まで出ておるわけです。この法律の趣旨に沿うて業界に対する行政措置が完全になされてきたのかどうか、数量の制限にいたしましても、せっかく作っても勝手に業界が統制を乱すものかどうか、そういうふうな点を一つお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/44
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045・樋詰誠明
○樋詰政府委員 御承知のように現在の法律には、独禁法の除外例として数量及び価格についての共同行為の勧告という規定がございます。三十三年度の下期の出炭を二千五百万トン程度に押えざるを得ないという結論に達しましたときに、われわれ一応行政指導として大手並びに中小炭鉱経営者に二千五百万トンというところに生産を押えなければ非常に過剰となるということで、石炭業界自身が苦しむのだから、これはぜひそれに押えるように努力してもらいたいということを申しました際に、それは業界といたしまして大手は一五%、中小は一〇%、昨年の実績に対して生産をカットしますということを、かたく約束して今日まできたわけであります。その後四ヵ月ばかりの実績を見てみますと、大手の方——中小の方も必ずしもその通り行われていない。どうも今のままでは二千五百万でなくて、二千六百万ということになりはしないかという懸念が非常に多くなったわけでございます。そこでわれわれといたしましては、今のようなままで貯炭をどんどんふやしていくということになったんでは、将来の長期計画というもの自体にひびを来たすおそれなしとしない。もし業界が自分らだけでやっていくということであれば、できるだけ自主的にまかせようと思っておりましたが、今の事態では非常に憂慮せざるを得ないような格好になっておりますので、実はわれわれ内部におきましては、内々一番問題になる一般炭について相当数量の制限を法律六十三条に基いて告示をいたしたい、こういうふうに思って現在考えております。これは御承知のように七百かございます炭鉱に、一緒に共同行為をやれと申しましても非常にむずかしゅうございますので、実際問題として、とにかくそういうふうなことで出すつもりだから、一つ業界の方もできるだけ内部態勢をそろえて、告示が出たら今までのようにだらしのないようなことでなしに、一つここで告示通りやるという申し合せをやる下準備をやってくれという行政指導を目下いたしておるということで、準備整い次第出すようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/45
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046・鈴木一
○鈴木(一)委員 そういうふうに法的にも共同行為が認められていながら、自分たちの個々の利益を追求して統制を乱し、結局は全部が苦しまなければならないというふうなことでは非常に困るし、この点については官僚統制といわれても、もっと積極的に行政指導すべきだというふうに私は考えます。それでもなお聞かなかったならば、これはやむを得ないから石油の、特に重油の制限なんかも撤廃して、一応荒波の中にぶち込んで、その上で考え直すということも必要じゃないか。そのくらいの腹があれば私は政府の強力な行政指導もできると思うわけでありますが、どうもあなたたち自体の主体性が確立せず、しょっちゅう局長がかわっておるし、へっぴり腰でこの問題と取り組んで、厄介な話だ、石炭局長が一番ばからしい、そのうちにかわるだろうというようなことでやっておるところに、私は問題がありはしないかと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/46
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047・高碕達之助
○高碕国務大臣 今石炭局長がかわるということを御心配になったのですが、それよりも大臣がしょっちゅうかわるということが大きな問題だと思っております。これは全体の政治のあり方についての大きな批評になりますが、けれども現在通産省に関する限りにおきましては、かりに大臣がかわっても石炭局長がかわっても、その間に石炭の事務をとっておる人たちは同一の人たちがやっておるわけでありますから、これについては正確な数字を得られるわけであります。これをどういうふうに政策的に使うかということはやはり大臣の責任だと思っておりまして、局長の責任でないと思っております。大臣が方針を立てるということにつきましては、今鈴木先生がおっしゃった工合に、それくらいの大きな考えでやるということも必要でありましょうが、しかしそれにはやはり全体を総合的に考えていかなければならないという点から考えまして、その点なまぬるいようでありますけれども、現在われわれのとっております方針が現在の政治としては当然だろうと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/47
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048・鈴木一
○鈴木(一)委員 またの機会に質問しますが、まあしっかりやってもらいたいと思います。
それから電力のことでちょっとお伺いしたいと思いますが、電力の公共性からしまして、電力事業の理想は、豊富にして良質な電力をしかも低廉に供給するということが理想であろうと思いますけれども、現在の日本の電力の業界の実情はそういうふうな理想に近づいておるのか、まだまだ遠いものか、政府の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/48
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049・小室恒夫
○小室政府委員 電力料金は戦前の基準年次に比べますと、平均して百五十倍くらいのところでございますが、一般に物価が三百倍というような、そういう数字的な比較だけから申せば、実は低廉だとも言えないことはございません。ただ国民の所得とかあるいは産業の内容と申しますか、経営内容等が戦前に比べて弱くなっておるというような点から、百五十倍の電力料金でも高く感じられるということはあるかと思います。ただいまのところ非常に高い、国際的に比べても決して非常に高いということはございません。豊富低廉な電力を目標にわれわれとしては行政をやっております。現状はそういったことでございます。
〔委員長退席、中村(幸)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/49
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050・鈴木一
○鈴木(一)委員 戦後の電力業界のあり方にはいろいろ意見もあると思いますけれども、一応電源開発会社ができ、九電力に分割されて、それぞれが創意工夫をこらして電源の開発をし、あるいはまた送電あるいはまた配電の工夫をしたということについては、私、功績は十分認めてもいいというふうに考えるわけであります。しかし電力事業の公共性というふうなことからして、適当な機会にはもう一回これを統合して、そして料金なんかも全国一律のそういう料金で供給できるようなところに持っていくのがほんとうではないかというふうな意見も、ちらちら私聞くわけでございますけれども、業界のあり方について、大臣はどういうふうなお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/50
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051・高碕達之助
○高碕国務大臣 戦後電力会社が九つに分割されまして、そうしてすでに運営して七年経過しておりますが、その間において電源開発会社もああいうふうにできて、非常な大きぐな資金を要し、かつ採算が急にとれないというふうなものは、国家資金でやるというふうな目的で電源開発会社ができたのでございます。そういう点から考えまして、今運営いたしておりますると、御指摘のごとく九つに分割したのが合理的でありたかいなやということは、再検討を要する時期に到着しておると思います。と申しますことは、だんだん格差が多くなる。ある一地方では重力料金の比較的高い消費の方がだんだん伸びてしまってくる、ある地方では電力料金の安い工業用の電力消費が伸びてしまう、こういうふうなことで、そこに格差が起ってくるというようなわけでありますから、これをどうにかしてその格差がないようにやっていこうということで、政府が昨年来とって参りましたいわゆる広域運営ということをやったのでありますが、広域運営の結果はある程度成績を上げまして、今日各電力会社の格差は緩和されつつある、こういう状態でありますから、これがどういうふうになるかということは、よほど重要な問題と存じまして、これを政府といたしまして十分監視して、そうしてできるだけ今のお話のごとく、どの地方においても同じ目的のものは同じくらいの電力料金で供給できるというふうな方針に持っていきたいと存じておりますが、それがどうしても広域運営でいかぬということになれば、さらに再編成でも考えなければならぬかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/51
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052・鈴木一
○鈴木(一)委員 今の答弁で一応満足したわけでございますが、われわれ消費者として電力を買う者の立場からすれば、電力事業のようなものは、ちょうど国鉄のようなあり方の方が理想的じゃないか。一応各支社ごとの独立採算をして、そのかわり料金は全部日本全国どこへ行っても同じだ。そうして各社の採算上のでこぼこがある、それは本社全部でプールしていくというようなあり方が理想的ではないかというふうにも考えております。しかしいきなりそこまでいかなくても——大きなずうたいで経理内容もつかめないような、一人の人間がマネージメントするには、あまりにも膨大過ぎるような施設を作る必要は私はないと思いますけれども、広域運営でそういったようなことと同じような運営ができれば、私はそういうことはいいと思うわけでございますが、なかなか現在の九電力会社の実情を見れば、そういうふうな理想な体系まですぐいけないのではないかというふうな感じもしますので、将来の課題として、できたらわれわれ買う側からすれば、全国どこへ行っても同じなんだというような電力を買えるようにしてもらいたい、こういうふうに希望するわけであります。
それから電気料金制度調査会がございますね。ここで電気料金制度調査会答申というものを出しておるわけであります。これは大臣もお読みであろうと思いますけれども、別にこれを読んで値上げをしろとか、そういうふうなことは一つも書いてないのでございます。原価主義に徹して適正な価格を作るべきだ、こういうことを答申されておるわけでありますが、どうしても原価主義でいけば、おととしの電力料金、北陸あるいは東北の電力会社の電気料金の改正と同じようなことがここから出てくるのではないか。決して改定しようとは書いてありませんけれども、何かそういうふうなにおいがこれを読んでするわけでございますが、ここ当分電気料金の値上げとか、そういうことは政府の方では考えていないのかどうかを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/52
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053・高碕達之助
○高碕国務大臣 あれはいわゆる三割頭打ちということでやっておったわけでありますが、それを一年ずつ延期して参りまして、今まで三年間延期しておるわけであります。そういうふうな状態でありまして、どうしても業者とすれば料金をある程度上げてくれ、こういうことを言っておりまするし、またこれに融資いたしました例の世界銀行等においても、電力料金等についてはさらに考慮しろ、こういうふうなことを言ってきておりますが、しかしこの間の電気料金の制度調査会の報告にもあります通り、原価主義に徹するというふうに、必ずしも電力料金を上げなければということを言っていない。豊水期に対し、電力会社の見通しとして今まであまり軽く見ておった。過去七年間の経験によれば、相当雨が多かったというふうにわれわれ考えておりませんが、しかしながら雨が多くてよほど石炭がセーブできたということの実績もあるようでありますから、そういう点も考慮いたしまして、ただいま広域運営をうまくやっていけば、すぐに電力料金を上げなければならぬというほどに急迫しておるものとは、私どもは必ずしも考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/53
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054・鈴木一
○鈴木(一)委員 それではことしあるいは来年あたりも料金の改定ということはないというふうに考えていいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/54
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055・小室恒夫
○小室政府委員 大臣の御説明をちょっと補足いたします。昨年の十二月十九日に、御指摘の調査会の答申が出て参ったのであります。その答申は、かなり原則的なことを示しておるだけでありまして、これを細目について具体的に検討して中身を最終的にきめる責任は、実は政府の方に負わされておるということになっておりますが、いずれも重要な問題でありますので、今後半年くらいかけ、政府部内はもちろん、外部の意見も十分聞きながらこまかい点を検討して参りたいと考えております。その間は少くとも電力料金の値上げという問題は起らないと思いますが、実は答申の中で取り上げている問題の中で、やはり料金をもう少し上げなければならぬのではないかというふうな方向をさしておる問題、逆に料金を少し下げたらいいのではないか、そっちの方に、そういう傾向の部分、いろいろあるわけであります。たとえば今大臣が申し上げたのは、平水の計算ということについて、毎年毎年の水の出方についての予測の計算でありますが、その計算が今まで少し電力業者に対して甘過ぎはしないかという批評がある。これをもう一ぺん検討せよということが答申の中にある。こういうものは原価の計算からいけば下げる方の要素、それに対して報酬率の問題であるとか、その他いろいろ出ております。あるいは減価償却の改善、これはどちらかというと上がる方の要素であります。総合してどういうふうになるかということについては、今後慎重に数カ月かかって検討した上で、さらにまた各社の実際の経理状況その他を考慮して、電力料金の問題は慎重に検討するということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/55
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056・板川正吾
○板川委員 関連して。今の局長の答弁を聞きますと、今年度はやらぬが来年度は一つというようなにおいもあるようでありますが、電力関係の最近の経理事情等をちょっと見てみますと、工場等の大口消費については賃率が安い。一般家庭の賃率——賃率といいますか、料率といいますかは高い。そうして一時は、料率の低い工場関係の電力需用というのが非常にふえたのですが、最近は家庭電力というのが非常に御承知のような状況で普及をいたしておりまして、最近は電力料金の率の高い家庭電力、この料金の方が非常にふえておる。従って割合経理内容は安いもの、鉄道の場合は定期券がふえ、料率が安い方がふえるということもありますが、電力の方は逆に料率が高い方が非常にふえておる、こういう状況のようであります。ですから、私は早晩電力関係の値上げをする必要はないだろうと思っておる。特に一、二の会社で石炭購入をめぐって汚職なんかもある。これは一、二でありますが、あるいは同様のケースが他にないとは言えないだろうと思います。どうも局長の答弁を見ておったり、あるいは新聞に最近ちょいちょい出るのに、三十四年度は料金値上げをしないが、三十五年度は一つ考えたいということもちらちら報道されておるのを見ております。もう少しはっきり、その来年度のことについて見通しがありましたら説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/56
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057・小室恒夫
○小室政府委員 最近家庭用電燈の消費する電力量の方が伸びが大きくて、産業用の需用の方が不況の影響を受けて停滞しておるということは御指摘の通りであります。ただ電力と電燈との比率を申しますと、昭和三十二年度ははっきりした数字が出ておりますけれども、五百八十五億キロワット・アワーのうちで電燈の合計が九十一億キロワット・アワー、二割になっておりません。一割七分かそのくらいの見当だと思います。電燈の伸びがいいと申しましても、三十三年度の予測で申しますと二割にはなるまいと私は考えております。そういう関係で、それによる経理の改善はないとは申しませんが、非常に大きいというふうには、やはり言えないと思います。
それから三十四年度は電力料金を上げないで三十五年度から上げるとか、そういうことは、あるいは観測記事と申しますか、そういうものはあるいは出ておるか存じませんが、私ども何らそういうことについて公式に触れたことはございません。先ほど申しましたように、今後数カ月、電力料金制度調査会の答申を慎重に検討して、また各社の経理内容というものをしさいに検討した上で、料金値上げについては申請を待ってやることになるのでありますが、そういう具体的な申請が出るかどうかはわかりませんので、その上で対処したいということ以上、具体的には今日のところは申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/57
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058・鈴木一
○鈴木(一)委員 原価主義も私はまことにけっこうだと思いますけれども、やはり一般国民大衆としては、こういうふうな電力のような、一応物価の中でどの程度のウエートを占めておるかは別問題として、気分的にはかなり大きなほかの物価をつり上げる要因になると思うのです。東北でも、電燈料が高くなったというので、パーマ屋さんあたりは五十円あるいは百円も値上げするというような性質を持っておるわけでございますから、値上げというふうなことは極力避けてもらって、それでむしろ現在の体制の中において、なおかつ値上げし得るような要素、たとえば金利のウエートが非常に高いわけですね、原価の中で。そういうものを国の財政投資を多くすることによって下げていくとか、あるいは法人税、事業税、固定資産税というようなものも電力事業の公共性からいたしまして特別配慮をし、もちろんそのために赤字の地方自治体の財政状態にしわ寄せがくるようでは困るわけでありますけれども、別途それは補うことにして、現在の制度の中において下げられるような努力を十分してもらいたい、こういうふうに考えるわけでありますが、その点いかがですか。
〔中村(幸)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/58
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059・高碕達之助
○高碕国務大臣 原則としては現在の電力会社が使用しておる資金に対して金利の負担というものが非常に多いということは、今後ますます新しい方面の開発をすればそれだけ資金の投資額が多くなりますから、低金利の金を回すということが必要だ、そのためには政府は財政投融資におきましても特に電力を優先して、従前通り十全の措置を講じていきたい。また税制におきましても、これはお話のごとく地方の財政に大きな変動を来たさない範囲におきまして、できるだけこれは考慮していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/59
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060・鈴木一
○鈴木(一)委員 どうも大臣なりあるいは政府委員が慎重に考慮するなんと言ったときは、大体値上げの方にきまっているのが従来の例のようでございます。やらないと言わないで、慎重にやると言うときには、大体やる腹でおるのが従来の例でありますから、何ぼ反対しても、国民全体が反対しても結局押し切られていってしまうというふうな形になりますので、どうか値上げは絶対しないように、そうして今言ったようなこの問題あるいはまた技術的にロスを少くするとか、いろいろそういうような工夫をこらすように、格段の努力をお願いしたいと思います。
それから電力の問題でもう一つお伺いしたいと思いますが、公営の事業ですね。総合開発や何かの多目的ダムから各都道府県が発電事業をやっておるわけでありますが、どうも見たところ買手と申しますか、電力会社が一本しかございませんから買いたたかれておる、こういうふうな感じがいたします。片一方では原価主義を主張しておりながら、公営電気を買う場合は原価を割ったような買い方をしておるようなきらいもあるやに聞いております。こういうふうな問題については、やはり都道府県が電気事情をやる場合は、公益性もあると同時に地方財政の財源の一つにしたいというふうな気持もあるわけでございますから、そういう点もかなえられるような価格で買い取らせるように、一つ格段の御指導を願いたい。最初発電設備をする場合は大体どの程度の価格で売るのだということは、一応監督官庁であるところの通産省に相談があるだろう。ところが、その相談は相談であって、実際売る段になってくると、ほんとにひどい価格で買いたたかれてしまうというような感じがいたしますし、そういうふうな実情も私聞いておりますので、そういうことがないように特別一つ、監督官庁の方からの行政的な指導をお願いしたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/60
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061・小室恒夫
○小室政府委員 ただいまお話のように公営の電気は、やはり原価主義でもって計算して料金を取りきめておる。現在通産省が関与しておるわけでありますが、私、個々の、あるいは例外的なことがあるかもしれませんけれども、全体として見ると、割合にまるみのある原価主義で料金をきめておるように思っております。売るというのは、やはり地元の府県の御支持を願わないと、水利権の問題にしても、あるいは開発の問題にしても、あるいは補償の問題にしてもいろいろ解決の困難な問題がたくさんございまして、公営の電気事業に関しては決して原価を割った条件で無理やりに買手が条件をたたくということは、これは一般に全然ない。また、そういう点はないように当然私どもとして考えて参る。また事実そうだから、おそらく最近実は公営をおやりになる府県がますます多くなってきております。ほんとうに九電力が買手独占という立場を利用して過酷な条件を押しつけるようなら、これは成り立たぬわけであります。この点は、私はそういうことはないと思いますが、ただこれは一般的に言ってそうだということを申したのでありまして、何か特別にお気づきの点がございましたら検討はいたしますが、一般論としてはそういうようなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/61
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062・鈴木一
○鈴木(一)委員 そういうふうな指導が徹底してない点が二、三ありますが、これは別な機会にお尋ねしたい、こういうふうに考えております。
あと最後に一つ大臣にお伺いしますが、肥料問題であります。肥料も重要な産業でございまして、最近八幡、富士、あるいは日本鋼管といったような製鉄業者が硫安工業に転換したい、いわゆるコークスから出る廃ガスを使って、そういう方面に進出したいという意向もあるやに聞いておりますし、また石油化学が同様そういうふうな方向をたどろうとしておる。あるいは天然ガスというものも、新しい一つのガス源として登場しておるわけでありますが、こういうふうな新しい方向に対してこれを認められるのか、あらためてここで新しく設備を認可する方針なのか、あるいはそういうふうなものは極力押えていく方針なのか。押えることによってなかなか価格は下らない、現在の高いコストの工場が温存されることにもなるわけでございますが、そういう点に対して大臣はどういうふうなお考えであるか、簡単にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/62
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063・高碕達之助
○高碕国務大臣 肥料工業は戦後低廉なる肥料を潤沢に供給しなければならぬということのために、肥料二法ができまして、そうしてあの法案が制定されましたときに、大体農家が消費する量はトン六十五ドルというのであったのでありますが、それを今日まで五ヵ年間に五十五ドルまで下げて農家に供給するようになってきたのであります。それには相当苦労いたしましたが、やはり数量をふやした。二百万トン台のものを、今日は四百二十万トン近く生産するということになってきておるわけでありまして、そうすると、国内の消費よりもかれこれ四割は輸出をしなければならない、こういうことになってきたのであります。ところで、輸出の方はどうだというと、四十三ドルぐらいでしか輸出ができないというので、相当赤字が出ておるということで、今の肥料業者は相当困っておるわけであります。そこに、今御指摘のごとく、今後肥料原価を安くするためには、固形燃料から変じて液体燃料に持っていかなければならぬということになっておりますから、そこで、石油業者あるいは製鉄所の廃ガスを使うとか、これは国家として当然使っていかなければならぬものだ、こう思っておりますが、それによって現在の肥料業者が倒れてしまうということも、これまた困るわけでありますから、できるだけ現在の肥料業者の設備をリプレースする、改善するということと、この計画を結びつけるというふうなことにいたしまして、たとえば富士製鉄の広畑でできる廃ガスは、これをその付近の肥料業者に供給するというふうに、行政指導をやっていきたいということで、新しいものを今後むやみに許さないという方針をとりたいと思っておりますが、これはやはり憲法の条件によって、そう簡単にできないわけでありますから、仕方なく、現在肥料を作る人たちは、外国の技術を持ってこなければできないわけなんでありまして、その外資法の適用をもちまして、こういう新しいものには、ある程度の従前の業者との連絡をとるということに重点を置いて、そうして新しいものが単独にやるということは、これを抑制していきたい、こういう方針で進みたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/63
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064・鈴木一
○鈴木(一)委員 そういうものと結びつくような立地条件に既存の工場があれば、これは問題ないと思います。ところが、そういう立地条件にはないものはこれは脱落していくのもいたし方ないし、また既存のメーカーが脱落するのもいたし方ないし、また結びつくようなものがなければ、八幡なら八幡に硫安の製造も認めていくのだ、こういうふうな方針を受け取っていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/64
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065・高碕達之助
○高碕国務大臣 それは・ケース・バイ・ケースで考えなければなりませんので、現に相当無理をしておりますけれども、三十キロばかり長いパイプを使って、そうして既存の工場に持っていくというふうなこともやっておりますから、これはケース・バイ・ケースで考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/65
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066・鈴木一
○鈴木(一)委員 ケース・バイ・ケースもけっこうですけれども、原則としては、それでは認めない、こういうことなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/66
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067・高碕達之助
○高碕国務大臣 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/67
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068・板川正吾
○板川委員 この前の質問で一つ残したものですから、大臣にお伺いしたいのでありますが、新聞に伝えられるところによりますと、対米貿易を何とか是正をしたい、こういうことで通産省が非常な努力をしておる、そのためには、アメリカの政治家を通産省の顧問にする、こういうことが報道されております。これは一体事実かどうかということ、それから、もし事実であるならば、どういう方を顧問にされる方針か、また顧問にすることによって、一体どういう効果があるか、そういう点について、一つお見通しをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/68
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069・高碕達之助
○高碕国務大臣 今日アメリカで起っております日本品の排斥運動のおもなるものは、アメリカ政府の方針でもなければ、アメリカの大衆の方針でもなく、アメリカの業者、つまり日本から輸出しますものと同一の品物を作っておる業者が、結束して政治運動として、はなはだしく運動しておるわけであります。これを阻止するということは必ずしもアメリカの政府の方針でもなければ、また大衆の方針でもないわけでありますから、できるだけアメリカの同業者に対する対策ことに国会対策が必要だ、こう存じまして、できればアメリカにおける国会なり業者に対する発言力のある有力なる人を、これは通産省の顧問といいましょうか、日本政府の顧問といいましょうか、あるいは商工会議所の顧問といいますか、そういうような人を一人選びたい。これはすでに元のニューヨーク州知事のデューイのごとき、イタリアなりビルマなりその他の国の顧問として働いておる人ですが、そういう人もあるわけでありますから、これにならって、いい人を選びたいと考えておりますが、アメリカの政情はだいぶ変化してきまして、従前の民主党が今度共和党になるとかいうようなことがありますから、そういうようなことも考えて、一ぺん頼めばそう急にはかえられないということもありますから、いろいろ私は私的には検討しておりますが、政府としての方針はまだ確実にはきめていないわけであります。それが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/69
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070・板川正吾
○板川委員 どこの顧問になるかということはまだわからないわけですね。政府顧問か通産省顧問か、あるいは商工会議所顧問かジェトロの顧問かということはわからない、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/70
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071・高碕達之助
○高碕国務大臣 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/71
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072・板川正吾
○板川委員 デューイという大統領候補になった方ですか、この方がほかでも顧問をしておる、こういうことですか。そういう大物を顧問にしたいということですか。——御承知のようにどうも政治家というやつは業者には弱いのじゃないですか。ですから今大臣が言われたように、日本商品に反対している原因は、政治家も反対をしていない、一般もそれほどじゃない、ただ業者が反対だ、こういうことのようです。日本と同業者が反対だ、その同業者が反対しておるのを政治家を顧問にして、果して日本商品の排斥運動が鎮火できるかどうか、非常に疑問に思っているわけでございますが、そういう有効な方法、たとえばイタリアでやっておるそうでありますが、その結果はどういう効果があったでしょうか。それから顧問料も莫大な顧問料ということになるでありましょうが、その顧問料というのはどういうところで出すことになるのでしょうか。もっとも頼んだ方で出すということになるでありましょうが、ジェトロなどは大して金がありませんから莫大な顧問料も出せないと思いますが、その点どうなりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/72
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073・高碕達之助
○高碕国務大臣 現在アメリカにおいて日本商品に対してやっておりますことは、日本の業者が金を寄せ集めて、そうしてしかるべきアメリカの弁護士を雇って国会対策をやっておるのであります。これは合板は合板、洋食器は洋食器、マグロカン詰はマグロカン詰、各団体がありまして、それで相当の金を集めてその運動をやっております。必ずしも私どもの選ばんとする人が政治家とは限定いたしておりません。できるだけ顔の広い、そうして公正なる意見を吐く人、これがいよいよ大統領がサインしますときに関税問題、割当問題で公聴会を開くわけでありますから、公聴会において、あの人の発言は正しいということをアメリカの大衆が認めてくれる、こういう人を選びたい。イタリアのごとき絹製品の輸出が今日伸びたこと、スイスの時計があれだけアメリカに食い込んだということは、その方面の人の働きが非常に力があったということを私は実際において知っておるわけでありますから、そういう人を選びたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/73
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074・板川正吾
○板川委員 もう一つ。日本政府の顧問という看板を掲げると、かえって向うで公正な意見を言っても、あれは日本の業者の代弁者じゃないか、こういうので、公正な意見でも色めがねで、向うの他の反対方面から見られるおそれがあるのじゃないかと思うのですが、そういう心配はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/74
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075・高碕達之助
○高碕国務大臣 私はやはり御心配の点はあると思っております。むしろ政府の代表ともなると政治的のつながりがあるということで、意見が公正でもかえって公正でないようにとられることもありますが、しかし日本の業者なり、日本の商工会議所を代表しておるということは公然と言っていいと思います。それがつまり公正なんでありますから。ただし日本政府の代表に頼まれたということには、多少私は問題があると思いまして、その点私は非常に考慮しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/75
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076・田中武夫
○田中(武)委員 今の問題に関連してちょっとお伺いしたいと思いますが、この間の新聞によりますと、閣議終了後記者会見を行なって大臣はそういう構想を発表せられた、こういうような新聞だったのです。そうするなら閣議終了後となると、閣議で何らか話をなされたのか、あるいは閣議でも了承になっておるのか。今の御答弁によりますと、まだ固まっていないが、私の個人的な考えとしてそういうことを考えておる、こういうことですが、閣議終了後ということになれば、何かそういうことが閣議でも話し合いになったのじゃないかと思うのですが、そういう点を一つお伺いしたいと思います。
もう一点は、通産省ないし政府顧問ということになれば公けのこととなるのであります。それから日本商工会議所あるいはジェトロといったところの顧問ということなら、これは私的のものではなかろうかと思います。かりに政府または通産省というところの顧問ということになって、外国人をそういう顧問にすることになれば、若干またいろいろな問題もあろうと思います。そういう点についてどっちも考えていないということですが、どちらを主として考えておられるのか。報酬の点ですが、政府または通産省ということになれば国家予算から金を出すことになるのですが、そういう点についてはどの程度のことを考えておるのですか。あるいは今人の名前も出たようでありますが、また話を聞くと、顔の広いというような抽象的な話ですが、具体的にそういう人が意中にあるのかどうか。あるいは新聞によると朝海大使がもう折衝に入っている、こういうことであるようですが、朝海大使がどういうような人に当りをつけているのか、そういう点をもっとはっきりさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/76
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077・高碕達之助
○高碕国務大臣 閣議終了後記者会見ということで、閣議にかけたかという御質問ですが、これは全然そういうことではありません。あのときの新聞記者の会見は、現在アメリカの綿製品が相当行き詰まっておる、何かこれに対する対策はあるか、こういう記者の質問に対しまして、私は、やはり綿製品と限らず、一般の商品についてこういうふうなことを考えたい、こういう私見を言うたわけでございます。かつてこの問題は、昨年の六月私が通商産業大臣となったときに、この方針をとりたいということを政府部内でもよく言い、また朝海大使があちらに参りますときにもそういうことを考えておいてくれ、こういうことを言ったわけでありまして、まだ具体的には進んでおりませんが、私の考えといたしますれば、これはやはり政府の方から頼むのでなくて、もしジェトロか商工会議所から頼むということになれば、ただいままで当ったところから申しますと、頼まれる人もむしろ政府の代表ならごめんをこうむりたい、こう言う人もあるようでありますから、むしろ商工会議所あるいはジェトロから頼むことがいいかと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/77
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078・田中武夫
○田中(武)委員 これは質問じゃないのですが、大体今の答弁でわかりましたが、私といたしましても、大臣の御答弁のように政府または通産省顧問ということは慎重に考える必要があると思うのです。民間団体の方ならば、これは私的ですからいいとしましても、そういうところから貿易に対するアメリカの輸入制限あるいは感情の問題をほぐしていくとか、あるいは顔にものを言わせてそういう業者間の調整をするとか、こういうようなことはけっこうなことだと思うのです。ただ政府または通産省というふうに公的な立場で顧問を委嘱するということは検討を要する、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/78
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079・松平忠久
○松平委員 ちょっと時間がありそうなのでこの際大臣に一言向いたいと思います。
これも新聞に出たことなんですが、きわめて重大だと思うのです。それはウルシの輸入を大臣は初め手紙か何か書いて中共に出すということになっておったが、その後やめにした、こういう発言をしているわけであります。御承知のように現在中共のウルシは一千トン出ておりますが、そのうち八百トンが従来日本にきておったわけであります。日本では年間大体八百トン程度ウルシを使っておりまして、国産は御承知のように二、三十トンしかない。インドに若干あるということで、ほとんど漆器業者というものは今日転業するかどうかという一歩手前にきておりまして、国内の手持ちのウルシは、去年の九月からすでに二百五十トンくらいに低下している実情であったわけであります。そこで大臣もお考えになって、日中間の貿易が全面的に停止になっているけれども、これは人道上の問題もあるというので、何とかしてウルシを中共から入手して漆器業者を救ってやりたいというお気持から、一つ考えてみようということで、ああいう手段でもとろうかというふうにお考えになったのではないかと私は想像していたわけでありますが、その後これはむずかしいというか、ともかくおやめになったということが新聞に出ているわけですが、その間のいきさつをちょっとお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/79
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080・高碕達之助
○高碕国務大臣 私はなはだ迂遠だったのですが、ウルシというものは日本でできて、これはほんとうに日本の特産品であり、原料も日本で供給しておると思っていたのでありますが、昨年それを初めて聞いたわけであります。それでこれは大へんなことだ、ウルシというものは採取してから貯蔵できないということだし、中共の方でも千トン作って八百トン日本に持ってきておった。そうすれば向うも困るだろうしこっちも困る。これは政治問題でなくて有無相通ずる上において両国民のために一番大事なことだから、これを早く解決したいと思いまして、まず私は第一の手段といたしまして、国交が回復してないのだから、第三国貿易でとったらどうか、こういうふうなことを考えまして、第三国を通じてこれをとる方法を講じたのでありますけれども、遺憾ながら——第三国というのははっきり申しますとソ連を通じてこれをとりたい、ソ連貿易は御承知のようにああいうふうに実行しておるわけでありますから、あの中にふやしたいということで交渉したのでありますけれども、やはり政治と貿易とはからんでいるのだから直接話をしろ、しかし日本が非常に困っていることは相手方もよくわかっているから、何か別の方法を講じようじゃないかということを、中に入った人から聞いたものでありますから、ちょうど当時宿谷君が例の見本市の跡始末に行くということでありましたから、これを一つ話してくれないかということを頼み、必要ならば紹介状も書こうじゃないかということも言ったのでありますが、いろいろやると、私が通商産業大臣をしている間に一国の総理に手紙を書くということはどうかと感じまして、これは口でよく頼もう、そういうようなことで頼んだようなわけであります。しかしながらこれは逐次順調に進んでいるようであります。ただ一方といたしまして私どもが考えておりますことは、香港を経由して入っておったのですが、中共以外におきましてはヴェトナムあるいはカンボジアにおいても相当生産されるということで、カンボジアのごときはにわかにこれに対して興味を持ちまして、日本の技術者を送って採取をしたらどうか、こういうことも出ているようでありますから、逐次そういう方面に力を講じていって、現在のウルシ業者が非常に困っている点を緩和したいという方針で進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/80
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081・松平忠久
○松平委員 第三国を通してやることはずいぶん試みておったわけでありますが、いずれも失敗で、ヨーロッパへ出したものをこっちへ持ってくるということがわかったときには、ヨーロッパへ着いたものを中共が押えてしまったという実例もあったわけであります。香港を通じても絶対に来ない。ですからこれはどうしても直接何らかの方法で話し合いをしなくちゃならぬが、今のお話によりますと、順調に進んでおるというのは、宿谷君が向うへ行きまして話をして、向うとの間に順調に進んでいるというのか、あるいは今お話があったヴェトナムとかカンボジアというようなところからというお話だったけれども、そういうことでその方が順調に進んでいるのか、一体どっちが順調に進んでいるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/81
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082・高碕達之助
○高碕国務大臣 ヴェトナム、カンボジアの方は御承知の通りであります。社会党のあなた方の御努力によりまして、おそらくはこの問題は全然政治問題と切り離しても、両国民がほんとうに困っておる問題ならば解決できるだろうと私は信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/82
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083・松平忠久
○松平委員 それはむずかしい問題だと思います。私はやはり政府が態度を決定しなければならぬということに相当関連してくると思うのです。これは予算委員会その他で取り上げられておったから、ここで別に問題にすることは差し控えたいと思うのですが、ほんとうに藤山さんが政府協定ということを言い出した。そこで、ちょっと疑問に思いまして、いろいろ事務当局の連中にも聞いてみたところが、これは本気で言っている、こういうわけであります。きのうの予算委員会でも、総理はそういうことを言われたが、政府間の協定というようなことをかりにやるということを、総理なり外務大臣が言われたということは、これは非常に大きな政治的な転換であろうと思うし、心境の変化であろうと思うんですが、この政府協定というものをやる、やってもいいということに踏み切ったとすれば、これは通商産業大臣にも必ずや相談があったろうと思うのです。あるいは閣議というところまでいかなくても、少くとも外務大臣なり総理もそういうことを考えておるとすれば、あなたにも相談があったと思うのですが、その点の相談はあったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/83
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084・高碕達之助
○高碕国務大臣 私は、もう終始一貫、両国の間においては有無相通ずるということの経済上の原則は、これは一日も早く解決しなければならぬ、この方針でありますから、これはいかなる場合でもそう言っております。ただし、これを実行する上においては、政治問題で先方がからんでくるということになりますと、これは通商産業大臣の力の及ばない点でありまして、その点は外務大臣なり総理大臣が決定されることでありますから、私の方針はあくまで曲げることはできない。特にこのウルシのごとき問題につきましては、これは両国民は、一方は余って困っておる、一方はなくて困っておる、これをやれないというのは当然両国の政治が間違っているんだと思いますから、これは経済的にどうしても提携したい、こういう方針は曲げないつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/84
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085・松平忠久
○松平委員 それを聞いているんじゃないんです。今の政府協定に踏み切るということにしなければならぬじゃないかというような——閣内ではなくて、担当の大臣同士でお話し合いになったのかどうか。あるいはそうではなくて、ただのろしのような工合で上げたのかということを、ちょっと聞きたかったわけです。これはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/85
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086・高碕達之助
○高碕国務大臣 その問題は、私は今ここでお答えする自由を持ちません。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/86
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087・長谷川四郎
○長谷川委員長 小売商業特別措置法案、商業調整法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。内海君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/87
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088・内海清
○内海(清)委員 今日小売商がわが国の経済機構のもとにおきまして、末端流通部門の責任を受け持ち、きわめて重要な役割をになっていることは、すでに御承知の通りであります。政府は戦後から今日まで、これに対しまする保護助成策についてはほとんど何ら見るべきものがなく、保護の手を差し伸べておらないというのが、現状ではないかと思うのであります。従って、今日小売商の実情を見ますと、失業人口の圧迫による過剰化、あるいは零細化の一途をたどっているのでありまして、すでに御承知の通り社会問題として論ぜられつつあることであります。そうしてこれが助成振興策としましては、いろいろの問題があるわけであります。業務分野を調整して、流通機構の整備をはかる問題、あるいは適正な流通秩序の維持の問題、さらに金融上の特別措置を講ずる問題、こういうふうな多くの問題があるのであります。いずれにいたしましても、小売商を含めた中小企業対策を総合一貫的に推進しなければならぬ時期に相なっていると思うのであります。これらに対しましては、すでにわが社会党におきましても、前国会以来いろいろな法律の改正案でありますとか、行政措置の改正案が用意されていることは御承知の通りであります。これらの多くの問題につきましては、今後順次いろいろと解明されていくことと思うのでありますが、この際私は若干のこれらに関しましての点についてお伺いいたしたいと思うのであります。
まず第一にお伺いいたしたいと思いますことは、政府は何ゆえに小売商が最も強く要望しておりますところのメーカー及び問屋の小売面への進出を阻止する方針をとらないのかということであります。このメーカーあるいは問屋の小売面への進出がありますが、小売商業特別措置法案によりますと、その第一条には「小売商業の正常な秩序を阻害する要因を除去し、もって国民経済の健全な発展に寄与する」云々とあるのであります。また本法案は紛争を予想して、あっせん、調停、勧告、これらの措置を規定しているのでありまして、これらの点から考えますと、彼らが正常の秩序を阻害しているということにつきましては、政府みずからがすでに認められているところであります。私は東横百貨店におきまするところの東光ストアを視察し、あるいはまた鐘紡の直売店などを見まして、これらいわゆるスーパー・マーケット方式によるものの進出を、なぜ阻止することができないのだろうか、特に政府案の旧案では単に小売商と他との紛争についてあっせんを行うという規定があったのを具体的に例示に改めて、政府みずからがメーカーあるいは卸問屋の直売の、小売商に与える影響を認めておる、認めておりながら、なぜこの小売商の不満を買ってまで調停、勧告の線にとどまっているのか、この点はなはだ不可解に思うのであります。この点につきまして、特に通産大臣の率直な御意見を承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/88
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089・岩武照彦
○岩武政府委員 お尋ねの点は、メーカーなりあるいは問屋の小売行為の規制の方法の問題だと思います。これは前回も御質問がありましたのでお答えしたのでございますが、こういう小売業の問題は、かなり地域的な問題が多いようであります。その土地々々で特定の業者との間に起る問題が多いようでありますので、やはり地域的に解決するという方法が適当じゃないかと思います。それからまた解決の内容におきましても、いろいろ相互的に話し合いをし、調整して解決するという方法が適当かと思っております。一方的にそういう行為はまかりならぬというふうに法律できめましても、これは実行上むずかしいんじゃないかと思っております。そこで、政府案にございまするが、地方的の問題としましては、都道府県知事会議におきまして、解決のためあっせんまたは調停をする。もちろんお尋ねのように小売業者の営業に関係があるから、紛争が起ったら具体的にケース・バイ・ケースに片づけるという方が適当じゃないかと考える次第であります。なおメーカー、問屋以外のものの小売行為、裏からいいますると、中小小売業者以外のものの小売行為につきましても、こういう問題があればそういう形で片づける。お尋ねのありましたスーパー・マーケットの問題も、これは中小小売業者でない、こういう形で処理をして参る。また場所によりましては、農協あたりの問題が問題になっている地域もあるようでありますから、いろいろ場所によっても違いますので、そういう中小小売業者以外のものとの間の小売上の紛争、こういうものをこれで調停するというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/89
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090・内海清
○内海(清)委員 ただいまのお答えによりまして、地域的ないろいろな問題もある、あるいは科学的な調整も必要だというようなことが基本になっておるようであります。そういうふうなものをそのケース・バイ・ケースにおいて、事を調整していくというのであるが、それに対する政府としての基本的な考え方は一応示しておく必要があるのじゃないか、こう思うのです。ところが今までの処置を見ますというと、どうもそこがはっきりしていないということであります。これらについてのお考えを一つ伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/90
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091・岩武照彦
○岩武政府委員 もちろん小売商の立場を認めて、中小商業者に重大な影響のないように解決して参るというのが基本方針でございます。メーカーあるいは問屋等の特売行為にいたしましても、必ずしもそういうふうな形をとらぬ場合もございましょうし、あるいはやると認めるにしましても、ある程度の範囲でとどめたらいいということもございましょうし、ことに問屋の小売行為のごときはなかなか実際問題としては、非常にむずかしい問題もございますが、またやり方によっては、あるいは問屋側にある程度の相互のいわば、協定という言葉はまずいかもしれませんが、自粛ということで片づける問題じゃないかと思います。そこで基本方針はやはりこの法律の精神と同様でございますが、調停に当りましては、中小商業者の営業、小売活動に重大な影響のないように、小売商業者の立場を主において片づける、これ合はもちろん当然であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/91
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092・内海清
○内海(清)委員 もちろん今お話のようなこの法案の目的に沿うようなことでありましょうけれども、実際問題として今日多くの問題が起きておる。それらに対する政府としての指導の方向というものがはっきりしてないというところに、大きな原因があると思うのです。これらにつきましては、いずれ他の委員から十分なる御質疑があると思います。私は時間の関係もございますから、きょうはとりあえず生協の問題、これらについて少しお尋ね申し上げてみたいと思うのであります。
御承知の通りに、生活協同組合は昭和二十三年の七月に法律第二百号によって生まれたものであります。また他の法律によって国家がその発展、育成を助長してやる義務を負うておるものだと考えるのであります。ところがこれに対しまして、政府は今日までどういうふうな指導育成をしてきたか、また今後どういう措置によってこれが助長策を持っているのか、これらについて一つきょうは特に厚生大臣の出席をお願いしましたが、どうしても出られぬそうであります。局長が出ておられますので、政府としての方針をはっきりと一つここでお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/92
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093・安田巖
○安田(巖)政府委員 消費生活協同組合に対しましては、政府といたしましては特に都市における国民生活の合理化という点で非常に重要な役割を持っておるものだと思うわけであります。積極的な助長策といたしましては、昭和二十八年から消費生活協同組合で行いますところの事業に対する貸付金の制度を設けておるわけであります。これが昨年までは大体一億七千万円くらいでございます。その他の点におきましては、たとえば税法上のいろいろの点で恩典があるというようなことが主たるものだと私どもは考えております。今後もいろいろな点で考慮を払いまして、この運動が伸びていくことを期待いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/93
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094・内海清
○内海(清)委員 今の局長の御答弁は、今日までのことを一通り述べられておることであって、今後いかなる策を持っておるか、これには具体的に触れておらぬと思うのでありますが、もう少しこういうふうなことをやって、これはもっと助長していかなければならないというふうな点が考えられると思うのですけれども、もう少し具体的にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/94
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095・安田巖
○安田(巖)政府委員 消費生活協同組合の発展ということにつきましてはいろいろ問題があるかと思います。ただ農村における農業協同組合と違いまして、都市におきまして協同組合の趣旨をお互いがよく理解をして、そうして地域なり職域の協同組合を作っていくということは、言うことはやさしいのでありますけれども、実際問題といたしましてはなかなかうまく行かない問題もあるわけであります。特に供給事業なんかを行います場合には、御承知のように一般の小売商の方におきましても非常にマージンの少いやり方でおやりになっているような場合もありますから、とにかく協同組合を作りさえすれば何でもうまく行くといったようなものでもないわけでありまして、その辺は国民の考え方が協同組合の趣旨をよくのみ込んでいただいて、お互いがそういった気持の上で結合ができていないと、組合の活動ができないというような点も本質的にあるかと思います。そういう点でいろいろと私どもは努力をいたしておりますが、現在のところは思うように伸びてないというのが現状のようであります。なお将来具体的にどういことをするかということでありますが、こういうことをやればすぐうまく行くというほどの名案もございません。たとえば消費生活協同組合がやります事業に対するところの資金の貸付でございますけれども、これなども現在の制度でありますと、国が半分出しますと県がそれに対しまして半分持ち出しまして、低利で貸し付けるということでございますが、しかし現状では県の方の財政の事情によりまして、それが思うように働いてないというような点もありましょう。最近はだいぶ改善されましたので、そういう点についても将来考えまして、消費生活協同組合の囲っておるところの資金面につきましても、今後いろいろと研究してみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/95
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096・内海清
○内海(清)委員 国民生活の福利厚生面については、主として厚生省がその責めに当っておるということは御承知の通りであります。ところがそういう趣旨によって生まれたこういう法律にしましても、一たん法をきめてやっても、実際のことほどういうふうに今日まで指導が行われたか、ほとんど行われてないと思う。さらに今日のようなこういう小売商との問題になれば、これは通産省との間にいろんな問題があるのだから、今日出てきたものを見ても、果して厚生省がそれに対してどれだけ積極的なこれの育成指導に当り、通産省と今日まで提携してやってきたかという点が伺われぬと思うのです。それはこの趣旨が徹底せぬというけれども、これらにつきましても、これは何らそれを徹底、啓蒙するような措置が講ぜられておらぬのじゃないか、かように思うのであります。これらについてのお考えを一つお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/96
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097・安田巖
○安田(巖)政府委員 お答えいたします。生活協同組合の趣旨につきましての普及宣伝というようなことについて、政府がやっておることが足りないのじゃないかというような御趣旨だと思うのでありますが、私ども決して十分だとは思っていないのでございます。ただいろいろと協同組合の中央の連合会等もございますので、そういうところと私どもは手を組みまして、毎年消費生活協同組合の大会を行いますとか、あるいはその他ポスターを配るとか、そういったことをやっております。やっておりますけれども、先ほど申しましたように、なかなかこの仕事というものは一面におきましてむずかしい点がございますので、ただ話を進めていくだけで、すぐにそれがうまく実際の活動に移るという点につきましては、またいろいろと条件が要るわけであります。現在の段階ではむしろ地域における生活協同組合よりも職域における生活協同組合の方が伸びておるような実情であり、同時にまた成績もいいように私ども感じておるわけであります。しかしもともと消費生活協同組合というものは、職域もありましょうけれども、やはり地域という点に重点を注ぐべきだということも考えられるのでありまして、今後今お話のような点につきましては、十分気をつけて努力をして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/97
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098・内海清
○内海(清)委員 大へんお話は満足がいかぬわけでありますが、それではこういう点をお伺いしてみれば、もう少しはっきりすると思うのであります。生協が過去において失敗した事件がきわめて多い、これはどんな場合に失敗したのかということですね。また生協が今のお話なら、職域においては伸びるが地域においては伸びぬということだが、これはどういう点に原因があるか、これらの点について一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/98
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099・安田巖
○安田(巖)政府委員 これは私最初に申し上げましたように、たとえば農村の協同組合の活動とそれから都市におきますところの地域生協の活動を比べてみますとわかるのではないかと思いますが、農村におきましては、もう地域のつながりが比較的強くて、しかもお互いに同じ仕事をしているという連帯感がある。これはいろいろな点で、自分の生活の上で協同組合というものが大きな役割を持ってくるわけであります。しかし地域の場合におきますと、ただ消費物資を共同で買い入れる供給事業をやるというのが普通の形であります。そういう意味で、ほんとうに自分たちの組合であるということで、ほかの商店で買わなくて自分たちの組合だけで買うという意識というもののつながりが、私はなかなかうまくいっていないのじゃないかと思う。そういう点に私の申したような職域と地域の成績の違いがあるのではないかというふうなことを考えておるわけであります。今まで失敗しましたものを見ましても、そういった意味でつながりが非常に薄弱である。ただ安ければ買う、ほかのもっと安い物があればすぐやめるという程度の共同意識でありますと、ほかにいろいろなことが出て参りますとつぶれるということでございます。それにはやはり人の問題もあるわけでありまして、いい指導者、熱心な従業者というものが非常に必要ではないかと思います。そういった点が過去の失敗におきましては見られるのではないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/99
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100・内海清
○内海(清)委員 今日までいろいろ失敗もし、また伸び悩んでおる、これらにつきましては、今後厚生省として十分指導育成をはかって発展さす責務があると思います。特に地域的な問題などにつきましては、この趣旨を十分に徹底させてこれを指導していかなければならぬ。今日のような野放しの状態ではなかなかそこまでいかぬと思う。
時間もあるようでございますので次に移りたいと思いますが、次は購買会と生協、これとの関連であります。本法案の第二柔ないし第四条におきまして、政府はこの両者に対しましては全く同じ態度でこの取締りの規定を制定しようとしておるのであります。これは申すまでもなく購買会は会社の福利厚生施設として行なっておる事業でありまして、低賃金をカバーし、しかも大部分の購買会というものは、その賃金の一部を再び会社に吸い上げられる仕組みになっておるのであります。しかもその経理も会社全体の経理に関連いたしまして、徴税の直接対象外である。もちろんこの購買会は準拠法もございません。きわめてあいまいもことした存在であると思うのであります。これはすでに御承知の通りである。しかるに一方生協は、先ほど申し上げましたように、消費生活協同組合法によって生まれたばかりではなくて、国家がこれを育成助長して発展せしめるところの義務さえ負うておると思うのであります。従って両者は全く異質のものであると思う。しかるになぜ政府は、この全く異質のものに対して同じ態度をもって臨んでおるか、同じ取締り規定を適用せんとしておるのか。また購買会と生協の小売商に与える影響について数字の上から調べてみましても、小売商全体の年間総売上高は約三兆七千四百億というふうにいわれておる。これに対しまして購買会全体の年間の総売上高はおよそ一千五百億円である。比率にいたしますと四・五%である。これに対して生協の全体の年間の総売上高はおよそ三百億円であって、わずかに〇・九%にすぎぬと思うのであります。こういう状態のものに対してこういうふうな一律的な措置がとられることは全く実情を無視したものではないか。しかも生協法の精神にも反しておるものではないか。常に政府は、政治は実情に即さなければいかぬ、こういうふうに主張しておられるのでありますが、この点から考えれば政府の意図にも反するのじゃないか、こう思うのであります。通産大臣からその理由と見解を承わりたいと思うのであります。また生協に対しては、先ほど来申しますように、これを育成助長し発展せしめなければならぬ責務を負っております厚生省としては、これに対してどう考えるか、明快な御答弁を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/100
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101・高碕達之助
○高碕国務大臣 今の御質問の、購買会の利用がどのくらいになっているか、生協の利用はどのくらいになっているかということの数字については、その通りでございましょうと存じますが、しかしこれは小売商に与える影響はいずれも同じだと思っております。ただ小売商にどの程度に影響を与えるかということは、地方によって違うわけでありますから、これを一律にきめるという場合は、一応小売商に機会を与えるという観点から見まして同じ取扱いをしておりますが、そこで地方の問題になりますから、できるだけ都道府県知事においてこれをかげんしてやっていくということが、これを調停をする根本規則であると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/101
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102・内海清
○内海(清)委員 今の大臣のお答えでは、地方においてそれぞれかげんしてやるということであります。本法案においてはどういうふうにかげんができるのか、ちょっとお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/102
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103・高碕達之助
○高碕国務大臣 これはこの法律が通りますれば、道府県知事はその勧告をし、調停をするということであります。調停ということはこれは一つのエラスティックなものでありまして、調停というところでかげんできると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/103
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104・岩武照彦
○岩武政府委員 大臣の御答弁を補足して申し上げたいと思います。先ほどお話がありましたが、購買会と生協の組織は、御指摘の通り違ったものでございます。ただ購買会は従業員の福利厚生事業として、事業主側が物品販売あるいは施設利用ということでやるので、やはり従業員の福利厚生が第一となっております。員外販売をするのが目的ではないと思います。消費生協の方も組合員の福利厚生のために物品の供給あるいは施設の利用をさせており、やはり組合員のためというのが目的かと思います。ただ法律上一定の条件のもとに員外利用が許可されるようになっております。これにつきましても、やはり無制限に員外利用を許すということではないようであります。厚生省の方もそういう御指導をしていらっしゃいます。従いましてこの小売商の法律で表面上同じように扱っておりますのは、これはいずれの場合も従業員あるいは組合員以外の者に対する物品の供給の場合でございます。この点はさきほど来申し上げましたように、同じように考えて差しつかえないのじゃないかと思っております。
なお御参考までにちょっと申しますが、消費生協の売上高は、われわれが調査しております範囲では、御指摘がございましたが、大体二百三、四十億くらいだと思います。また購買会の数字についても御指摘がございましたが、われわれの方の調べですと、そんな大きな数字にはとうていならないわけでありまして、昭和三十年におきまして二百四十三、三億程度でございます。従いまして大体両方の売上額は同じようになっているわけでございます。ただ小売商全体の数字と比べますのは、これは事柄の性質上妥当でないと存じます。やはりその地域々々の小売商の扱い高、消費生協の売上高、購買会の売上高、こういうふうに見ませんと、問題の影響が違いますので、場所によりましては相当小売商の売上高に比べて、購買会なりあるいは消費生協の売上高が大きいので問題になるということは御承知の通りでありますが、そういうふうに御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/104
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105・安田巖
○安田(巖)政府委員 生活協同組合と購買会は、私どももお話の通り全く性質を異にするものだと考えております。ただ生活協同組合におきましても、実は員外利用というものを禁止いたしておりますので、今回のような措置は生活協同組合法自体において、また生活協同組合を主管いたしております厚生省といたしまして、いろいろと取締りをいたしておるような関係で、こういうことになったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/105
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106・松平忠久
○松平委員 関連して。ただいまの消費生協並びに購買会に対して一律的な態度をもって臨むということに対する大臣の答弁の中で、地域でもって非常に違いはせぬか、確かに地域で非常に違うわけであります。米子市というようなところはいつも例に出されますが、ああいうところの生協活動というものは、生協の人もあれは迷惑で困るというようなことを言っておって、これは引き合いに出されるのは非常に迷惑だということを、われわれ聞いておるのでありますから、従って各地域で非常に違うのはもっともだろうと思うのです。であるからそれらに対しましては紛争解決のために勧告するというようなことで、適当に手かげんをするのだというのが、今大臣の御答弁であったわけであります。それで実は第一次の商業調整法案、すなわちわが党案はそういう精神があったわけであります。しかし政府の今回の案というものは、そういう精神が全然なくなってしまっておる。そしてなお一方的にただ規制するということになっておるのだから、大臣は全くわが党案に賛成をして、政府案に反対をしておるということになるわけであります。大臣がそういうことであるならばこれはまことにけっこうでありますから、私どもただいまの大臣の御答弁を非常に満足とするわけであります。一体どうですか、それは大臣本心で言っておられるのかわからぬが、事務当局と大臣がこの際違ったということはきわめて重大なことである。その点大臣は前言を取り消さないように一つしてほしい。こういうことをお願いする次第であります。答弁は要りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/106
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107・内海清
○内海(清)委員 今局長のお話に、購買会と生協の売り上げの数字が違うということでありますが、これに関しましては、あるいはわれわれの調査の方が間違っておるかどうか、われわれの方もさらに調べますが、詳細な数字を一つ出していただきたい、かように思います。
それからただいまのいろいろのお話で、どうもわれわれのよく納得いかないのは、そういう異質のものに対して同じような扱いをする。ただ同じくどっちも組合員だというが、購買会の方は組合員じゃないのだ。これはいわゆる会社の従業員に対してやっておるものだ。それから生協は生協法による全く組合員だ。これは同じ組合員という言葉では解決できぬと思います。そこらに私どもの申します全く異質のものだということがあるわけです。これに対して一つ十分お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/107
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108・岩武照彦
○岩武政府委員 従業員あるいは組合員に対する関係は、これは非常に異質のものと思います。それはその構成員あるいは従業員に対して物品供給を行うという点の形だけ見れば同じかもしれませんが、やはり組織が違う、かように存じます。ただ外の者に対して物を売るという点においては同じではないかと思っております。なお組織等も員外者、あるいは従業員外に対して物を供給するという目的でやっておるものではありません。従いましてその限りでは員外者に対する販売の場合は、これは購買会も消費生協の方も同じような扱いをしていけるのじゃないかと思います。まあそういうような趣旨で、二条ないし四条は立案されておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/108
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109・内海清
○内海(清)委員 それらの点については、またあとで御質問申し上げますが、どうもそういう準拠法もない任意組合のものと、法の通りやっておるものとに対する政府の態度としては、はなはだどうかと思うのですが、いずれあとでまたお伺いをしたいと思います。次にお伺いしたいと思いますことは、私がいまさら申し上げるまでもなく、小売商と生協、これはともに最も民主的な末端流通部門の担当者であります。この両者が互いに立場を理解しまして、そうしてその立場を尊重し合い、きわめて仲よく円満に調整し得る措置を講ずることが、政府の一般国民消費者に対する重大な責務でもあると考えるのであります。今日わが国におきまして小売業者と生協との間に、もし摩擦があるといたしますならば、これに対しまして今後政府はどういう処置をとるのか。ただ今度の法案にきめられておるようなことで、この処置ができるのかどうか。どういう処置をとられるのか。同時に今後の指導、育成によってこれが根本的な解決をはからんとしておられるのか、こういう点につきまして、一つ大臣の御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/109
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110・岩武照彦
○岩武政府委員 大臣にかわってお答えいたします。これはやはり先ほど来申し上げましたように、具体的な問題になるだろうと思っております。場所場所によりまして購買会あるいは生協——本質的には生協でございますが、活動状況が非常に違いますので、何とか両者の間の調整ができますように一ついたしたいと思っております。御指摘がありました米子の問題なんかにおきましては、両方の間の調整を県当局が中に立って、というふうにして、二、三回も考えておるのでございますが、なかなかうまく話がつかない、あるいは話をつける場が持ち得ないということで、はなはだ残念に思っております。今度こういう法律ができますれば、話し合い、調整の場もできるわけでございますので、両方の主張なり利害の調整もできますので、具体的な営業活動等の調整ができるかと思っております。これは本質といたしましては、先ほど申し上げましたように、あくまで小売商というものの立場を考えた上の調整と思います。消費生協の方も、組合員に対します供給は、これは何らこの法律の関するところではございませんで、これは十分に行なってけっこうだと思いますが、員外者に対する関係の問題が、むしろ調整の対象になりますから、従いまして員外行為につきまして、小売商の立場、小売商に重大な影響のないように調整するということは当然だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/110
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111・内海清
○内海(清)委員 時間の関係があるようでございますから、それではできるだけ簡単に。次にお伺いいたしたいと思いますことは、この生協に関しましては、今日欧州諸国におきましても、生協は非常に普及しておる国々が多いのでございます。たとえて申しますと、英国においては一二%である、スエーデンにおいては一五%、フィンランドにおきましては三三%、デンマークが二三%、こういうふうな非常な普及をいたしておるのであります。ところがわが国ではわずかに〇・九%であるというのであります。ところが、これらの欧州諸国におきましては、生協は大体市価主義と、それから払い戻し制度、こういうものによってやっておるのであります。大した摩擦もなく今日まで発展してきておる。ところがわが国の生協は、先ほどもお話がありましたが、ほとんど廉売主義と不払い戻し制度ということに相なっておるのであります。小売商との間に摩擦があるというならば、おそりらくこういうところに原因があるのじゃないかというふうに考えるのであります。そこで、この際政府において、生協に対しまして消極的な態度を一つ改めて、積極的な振興策を立てる、資金的な裏づけのめんどうを見る、あるいは貸付金のワクを増加する、さらにその貸付条件を現実に即したものにする、こういうふうにしていくならば、わが国におきましても、市価主義に基きますところの払い戻し制度に全面的に移行できるのじゃないかというふうに考えるのであります。そこで初めて小売商との間の摩擦が避け得るのじゃないか、かように考えるのであります。政府は一つ生協の共済責任準備金積み立て制度、これらを確立いたしまして、あるいは生協事業に営利を目的としないところの消費者団体の加入をはかるとか、そういうふうにいたしまして、農協や漁協その他のこの種の組合と同様に、生協に対しまして今日までの実績を率直に認めて、一定の員外利用、われわれの立場から申しますれば二割程度でありますが、この員外利用の承認を実現さすことが根本的な解決策ではないか、これによって消費者にも十分な満足を与えることができるのではないか、こう思うのであります。政府にそういうふうな措置をとるところの決意があるかどうか。もちろん生協は、御承知のように、組合員相互の協同体であることは言うまでもないのであります。組合員以外の者が無原則にこれを利用することは、生協自体の発展にも有害であると思います。組合員が当然受ける利益が減殺される。これらにつきましては若干の問題があるところと思うのであります。従って私はこの程度の員外利用が両者にとって最も適切妥当な線じゃないか、かように考えるのであります。諸外国では、この員外利用に対しまして、法律で原則的に禁止しておる国はないように思うのであります。ところがこの法案におきまする政府の態度は全く実態を認識しておらない、かえって両者の間に水をさすような処置に出ておるのではないか、こう私は思うのであります。これらこつきまして一つ大臣並びに厚生省関係の御意見をお伺いいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/111
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112・安田巖
○安田(巖)政府委員 生活協同組合の制度なり法律の改正のことを、ちょっとお話があったわけでございますが、私どもも、生協の中の共済事業に対する監督規定でありますとか、今お話の責任準備金の規定等につきましては、今度の国会にその改正案を出すように、実は準備をいたしておるわけであります。それから員外利用の点でありますけれども、これは外国等におきますと、六カ月なら六カ月と限って、予備組合員というような意味で、員外利用を許しているような形もございますし、なおまた農業協同組合のように二割を限って員外利用を許しておるような制度もございますけれども、そういう点につきましては今後十分研究してみたいと思います。それから市価主義の点でございますが、実は私どもも外国の例にならって市価主義であるべきことを指導いたしておるわけでございます。御承知のように、日本の現状におきましては、市価主義だけでやるということは、現実問題としてなかなかむずかしいのでございますので、一方におきましてはなるべくそれに近づけて割り戻しの方を多くすると同時に、若干の値引きということくらいはやむを得ないような場合もあるのではないかというように考えておるわけでございます。と申しますのは、御承知のように、外国の消費生活協同組合と比べまして、日本はふるわないという原因はいろいろあるかと思うのでありますが、外国においでになりますとわかりますように、小売店というものが日本ほど多くない。日本はどこに行きましても小売店がらようよたくさんあるわけでございます。同時にまた、営業の時間等におきましても、夜間おそくまで仕事をしているという状況でございまして、その辺が外国の事情とだいぶ違っております。そこで生協なんかが仕事をやります場合でも、そういった非常にたくさんある小売商が家族労働力を使いましていろいろとサービスをしておる、そして小売のマージンというものはなるべく少くして競争するというような状態におきまして、地域の生協を市価主義で育てていくというところにいろいろ問題があるわけでございます。お話の通りに確かに市価主義で培養していくのが原則であり、私もそら思っておりますけれども、そういったような点を考えまして、今後も指導して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/112
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113・岩武照彦
○岩武政府委員 私の方から御答弁することは、大体今厚生省の方から答弁したことと同じでございます。員外利用を肯定いたしますことは、これは中小企業庁の立場といたしましてはごかんべん願いたいと思っております。やっぱり農協その他とは事情も違いますので、全然一人もまかりならぬとまでは申しません。これは山間僻地その他の事情もございましょう。現在厚生省で指導されておるような範囲のことがあれば、これはまたやむを得ませんが、現実は厚生省の御指導よりもだいぶん員外利用がふえておるようであります。それを放任いたしますよらな制度になりますと、これは協同組合の趣旨からもちょっと違うだろうと思いますし、また小売商に対する影響も大きいと想いますので、現在程度のことで、しかも員外利用の制限が確実に行われるような方向にしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/113
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114・内海清
○内海(清)委員 今厚生省の方の御答弁では、大体われわれの考えておりますような線に沿いたいということであると思うのであります。市価主義、あるいは割り戻し制に対しては裏づけが要るわけなんです。そういうふうに厚生省から指導していかなければ、これはとうてい実現はむずかしい問題であると思います。これに対しては一つ早急に、そういうふうな積極的な案を立ててもらいたい。しかしながらこの法案に関しては、現実に今突き当っている問題なんです。これに対して厚生省が通産省との間は、どういうふうな今日まで折衝が行われたか、さらに通産省関係の今の局長の御答弁では、これはどうもならぬというふうなりことなのです。これは私どもとしてもはなはだどうも、言われることがわからない。この厚生省の規制以外に多くのものが行われておるということでありますが、どのくらい員外利用が行われておるか、一つその数字を示してもらいたい。われわれの承知しておるところではさように多くのものはない、かように思う。私も小売商の方の意見も多少聞いてみた。これはもちろん地域によっていろいろな差はあると思うのです。地域においていろいろな差はある、そういうふうなものを全部一律的にやるところに無理がある、こう思うのです。そこらの点について一つ十分なる御意見をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/114
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115・岩武照彦
○岩武政府委員 員外利用を何割やっておるかということを調べるのは非常にむずかしい問題であります。いろいろ調査あるいは推定等の方法もございますが、問題になっておりまするたとえば米子のごときものは、これはむしろ員外利用の方が多いのではないかというふうな地元の意見すらあるようでございます。その他各地で員外利用で問題になっておりますところは、どうも少くとも一割以上、二割、三割の員外利用があるのではないかというふうにいわれております。これは一々員外者と組合員との統計をとったものではないのでございますが、まあその土地々々のいろいろな状況を見ると、そういうふうに考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/115
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116・内海清
○内海(清)委員 時間の関係があるようでございますので、この辺でやめなければいけませんが、ただいまの答弁ではなかなか納得できぬのであります。それらの点についてもう少し資料を出してもらいたいと思います。この員外利用の点につきましては、われわれは保留しておきまして、さらに今後において十分なる質問をいたしたいと思います。はっきりした資料を一つ出してもらいたいと思います。
それでは時間の関係がありますから、きょうは一応これでおきまして、あしたあと続きまして質問いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/116
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117・長谷川四郎
○長谷川委員長 本日はこれにて散会をいたします。
次会は明日午前十時より開会をいたします。
午後一時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X01019590204/117
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