1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月十三日(金曜日)
午前十時四十六分開議
出席委員
委員長 長谷川 四郎君
理事 小川 平二君 理事 中村 幸八君
理事 南 好雄君 理事 松平 忠久君
新井 京太君 岡部 得三君
岡本 茂君 木倉和一郎君
坂田 英一君 始関 伊平君
關谷 勝利君 野田 武夫君
細田 義安君 渡邊 本治君
板川 正吾君 今村 等君
小林 正美君 多賀谷真稔君
中嶋 英夫君 水谷長三郎君
出席政府委員
通商産業政務次
官 中川 俊思君
通商産業事務官
(大臣官房長) 齋藤 正年君
通商産業事務官
(石炭局長) 樋詰 誠明君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁財政局
財政課長) 細郷 道一君
厚 生 技 官
(公衆衛生局環
境衛生部水道課
長) 田辺 弘君
労働事務官
(職業安定局失
業対策部長) 三治 重信君
専 門 員 越田 清七君
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二月十三日
委員木倉和一郎君及び永井勝次郎君辞任につき、
その補欠として増田甲子七君及び多賀谷真稔君
が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員多賀谷真稔君辞任につき、その補欠として
永井勝次郎君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第一七五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/0
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001・長谷川四郎
○長谷川委員長 これより会議を開きます。
小売商業特別措置法案、商業調整法案及び石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案以上三案を一括して議題といたし、審査を進めます。質疑の通告がありますので順次これを許可いたします。多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/1
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002・多賀谷真稔
○多賀谷委員 通産省に対して、主として合理化法案に伴う離職者の対策についてお聞かせ願いたいと思いますが、この離職者は塩業でありますと、今度の法律で、すなわち塩業整備法によりまして、十ヵ年間勤務した者は一年間の給与に相当する退職金がもらえる、これは退職規程がない場合におきましても、またある場合におきましてはその差額を政府は交付金として出す、こういうことになっておるわけであります。ところが炭鉱の合理化法案に伴います離職者につきましては賃金は代位弁済、あるいはまたその他の各省の了解事項によりまして、六ヵ月分の賃金未払いにつきましては代位弁済によって優先して支払いを受けておるようでありますけれども、退職金につきましてはほとんど手元に残らない、こういう状態であります。これに対して一体政府はどういうようにお考えであるか、これをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/2
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003・樋詰誠明
○樋詰政府委員 ただいま御指摘のございました塩業と石炭業とは、本質的に相当の違いがあるのではないかと存ずる次第でございます。御承知のように塩は専売制度のもとに厳重な国家統制によって生産され、収納されているというようなことから、塩業の関係の従業員というものは、これはいわば一種の国家と間接の雇用契約を結んでいるというふうにも、むしろ見るべきではないか、こう思うわけでございます。従いましてその点におきしまて一般の自由企業である炭鉱の労務者の場合と塩業の場合と、政府関係の取扱いが違うことは御了解いただきたいと存ずるのでございます。ただ多賀谷先生の御指摘になりました退職金を賃金六ヵ月分と同じように、一般の債権あるいはその他のある程度先取性のあります、優先権のある債権にさらに先んじて確保してやるということが、労務者にとって一番親切な方法でないかとおっしゃいます御趣旨につきましては、御趣旨はわれわれもまことによくわかるのでございまして、ごもっともなことと存じますが、しかし御承知のようにこの六ヵ月の賃金につきまして、優先的に確保し、また事業団が代位弁済するという現行の法律をきめますとき自体にも、相当の議論がございまして、具体的に申しますと今まで公租公課というようなものも、大体二割から三割の間しか払っておらない、そしてとにかく六ヵ月分の賃金だけは優先させようということをやっておりますのは、民法に一般の債権と違いまして労務者の賃金は先取性があるといったことを規定されているというような精神等も勘案いたしまして、関係各省の間でできるだけ労務者を優遇しようということから、現在の規定を入れたわけでございますが、さらにそれを一歩進めまして、退職によって初めて債権がはっきりするのだといった退職金まで、この際賃金と同じようにほかの債権に先立つ優先権を認めることは、現行の各種法律の建前から相当問題があるのではないかと存ずる次第でございます。ただ、労務者が非常に困窮しているということから、賃金と同じに何らかの形で退職金のめんどうを見てあげたいとおっしゃいます御趣旨はよくわかりますので、さらに関係各省とは十分に、法的にどういうようになるかということを詰めて研究してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/3
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004・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は戦後におきましては、基準法でいう賃金の中には、労働協約とか就業規則によって明確に規定してある退職金については賃金とみなしておるわけです。これは労働基準法の十一条に「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず労働の対償として使用者が労働骨に支払うすべてのものをいう。」このようにきわめて明確に規定をしておりますし、また労働基準法二十三条の「金品の返還」すなわち労働者が死亡したり退職した場合には、請求のあった日から七日以内に労働者の権利に属する債権は支払わなければならないという中にも、きわめて明確に規定をしてあるわけです。ですから、民法ができたのは明治時代でありますし、それ以来その先取特権の規定はあまり改正になっていないのですが、やはり今日において退職金というのは、もうすでに恩恵的なものでなくなってきておるわけで、当然労働条件の中に入ってきておる。しかも規定や協約ではっきり規定してあるのですから、私は賃金として取り扱うことについて、何ら差別をする必要はないではないかと思うのです。しかも退職崎に権利が発生すると言いますけれども、それは条件付の関系だけでありまして、別にそれによって賃金と差をつけていいというわけではない。計算をすれば退職以前においても十分幾らもらえるかということがはっきりしておるわけですから、私はそういったことは理由にならないと思うのです。ただこの法律で一番困るのはだれかといいますと労働者なんです。この法律の一番犠牲になるものば労働者であると考えるわけです。そこで離職金という制度まである現代において、すでに既得権である退職金を一般債権並みに、広告の代金や電力料と同じように扱かわれることは、私はあまりにも労働者の犠牲の上に立って合理化法案が遂行されておる、こう考えざるを得ないわけです。ですから、どうしても私はこの離職金と同じような取扱い、あるいは賃金と同じような取扱いをやっていただきたいと思うのです。なるほど塩業とは若干性質は異なりますけれども、塩業におきましても任意買い上げです。その点はこれも任意買い上げですから同じなんです。ですから塩業の場合はなるほど納めるところが国であるというだけで、私は法律によって規制をするという関係においては同じではないかと考えるわけです。しかも塩業の場合は退職規定がない場合でも、とにかく十年勤続すれば一ヵ年分は払うというのですから、これは全く均衡を失する話ではないか、いわば塩業の方では離職金に当るものです。ですからこういった既得権を侵害するような合理化法案の運営というものはよくないのではないか、こう思うわけですが、これに対してどういうようにお考えであるか、一体どの程度までおやりになるお考えであるか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/4
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005・樋詰誠明
○樋詰政府委員 ただいま塩業はやはり任意申し込みを買い上げるのだというお話でございますが、同時に三十四年度中に大体政府で予定しております過剰と思われる三十万トンまで達しないというときには、残ったものの中から非能率というふうに認定したものについて塩業の免許を取り消すというようなことになっているわけでありますので、間接的にはやはり非能率なものは相当強制されているのではないか、そういうふうに考えるのでございます。
なおいろいろな労働関係法規で賃金の中に退職金を含ませるというのが最近の通例であるというお話でございますが、このあたりの解釈等については、さらによく労働省あるいは関係各省とも相談して、賃金というものの範囲確定ということについては、もう少し研究さしていただきたいと存じます。ただいま御指摘になりましたようないろいろなことがございますので、企業団の方で離職金というものを出すというふうにして、現在一ヵ月分出しているのでございまして、この金額をどの程度までふやし得るかということについては、財源等の関係もございますが、われわれとしては今後買い上げる分等については、地元には思わしい仕事がないから、よそに出かけていくといったような方には今までの離職金のほかにさらに一ヵ月分程度、名目は旅費ということになると思いますが、支給するというようなことにしたらどうかというようなことも考慮いたしまして研究いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/5
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006・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実際問題として、塩業の場合はなるほどある一定の基準まで申し込みのなかった場合は指定するということがあるわけですが、合理化法案でもそういうことは考えられるわけです。ただ合理化法案の方は申し込みが殺到しておりますから、そういう必要がないのでありまして、三百三十万トン、さらに百万トンを追加しても足らないという場合は、私は審議会において指定してもいいと思うのです。それほどの非能率な炭鉱はやっていけるはずがないのです。形式論で退職金が賃金並みに支払われるというのなら、われわれは立法の修正にやぶさかでないのですが、やはり形式論ではないと思うのです。そういった形式論ではなくて、これは政治の問題だと思うのです。なるほど法律にはなかなか困難な点がありましょうけれども、私はこういう臨時立法は政治の問題、政策の問題だと思う。ですから政府がそれをやろうといえばできないことはない、また与野党一緒になってそれをやろうといえば、これは憲法に違反することをやるわけではなく、民法の大原則をえらく曲げてやるわけではないのですから、私はやはり立法によってある程度まではできるのではないか、こういうように考えるわけです。今われわれは法律を作らんとしているのですから、何とか離職者に対しては、既得権の剥奪までやらなくてもいいのではないか、かように思うわけです。そこでこの点について、次官が見えておられますから、次官の御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/6
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007・中川俊思
○中川(俊)政府委員 塩業と違う点については、局長からお答えした通りでございます。私もここに書いたものをもらっておりますが、これを読んでみるとやはり違うように思う。しかしそれはそれとして、今多賀谷さんの言われることも私はりうなずけます。かつて呉において駐留軍の離職者が出ました際に、多賀谷さんもよく御存じの通り、私どももその問題と取っ組んでずいぶんやったことがあります。しかしあの離職手当わずか一人に対して千円か二千円ですらも、実は岸・アイク声明前だから、どうとかこうとかいって、いまだに解決を見ずにおるという実情であることは、多賀谷さんもよく御存じの通りなんです。そういうわけで、できるだけ私どももあなたと同じような趣旨で、この問題の解決をしたいと思っておりますが、しかし今局長からもお答え申し上げました通り、通産省だけでこれを処理するわけには参らない点があるのじゃないか。従って、関係各省とよく協議をいたしまして、できるだけ御意思に沿うように一つ持っていきたいと考えておりますから、技術的にどういうふうにしたらいいかというような点については、一つお考えの点もあるだろうと思いますので、また御協力願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/7
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008・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今次官からお答えがありましたが、本法案はまだ火曜日に質疑が残るそうでありますから、その際までに明確に態度を出していただきたい、こう思います。私たちも立法に携わるものとして、こういった点はやはり法律で解決してやっておかなければ、ただ現地の運営にまかせるといった性質のものではないと思う。ですから、せっかく百万トン買い上げの法律が出て参りまして、すでに施行後約三年間、われわれは実際の運営において、非常な支障を来たしている点が発見されておりますから、そういった点は、この際単に期間を延長するということだけでなくて、直していくことが親初な適切な態度ではないかと思う。そういう意味において今の点を指摘したわけですが、鉱害賠償の積立金といううのは、これは事業団が全部かぶることになっておるわけです。私はこういった方法も対労働者の問題についてはあるんじゃないか、考えられ得るんじゃないかと思うのです。あるいはまた離職金は事業団が支払うことになっておりますが、こういった方法で、また退職金も離職金と含めて行い得る方法があるのではないか、こういうようにも考えられるのでありまして、こういった点を一つ御研究願いたい、かように考えております。
そこで次に、離職金は次の機会に御答弁願うことといたしまして、離職者の家屋あるいは水道、電気、こういった問題について質問いたしたいと思います。
この離職者が現在住まっております家屋は、離職者の手に入ったものもございます。あるいはそのうちに、離職金もあるいは未払い賃金も全部なくいたしまして、そうして現在事業団が持っております家屋にそのまま居すわっておるというような者も非常に多いのでございます。そういたしますと、まず問題になりますのは、電気であります。電気は、これは事業用として電気を送っておりますから、非常な大きなボルトでくるわけでありまして、それが非常な炭鉱はロスのある電力を使っておるので、各家屋に、その全部の電力代を家屋一軒当りに割り当てますと、非常に膨大な電気料金になるわけです。そこで、電力会社に切りかえをしてもらいたい、こういう申請をする。そうして切りかえて、住宅用の電力になりますと非常に安くつくので、その差はかなり大きな金額になります。ましてや離職者というのは失業状態にありますからして、わずかな金額でも非常に重荷になるわけでございます。そこでこの電力を切りかえるということが、これまた困難であります。と申しますのは、その家屋の所有者は事業団であり、正確に法律上で言うならば、その離職者が住んでおるという行為は、これはいわば事業団の好意に甘えておるといいますか、あるいは一方考えれば、権利がなく住んでおるということにもなりかねないのでありまして、実際電力会社としては居住権のない者——居住権がないと言えるかどうかわかりませんが、要するに借家権を持たぬ者にそういう配電設備を切りかえるわけにいかない、
〔委員長退席、中村(幸)委員長代理着席〕
こういうことで、みすみす高い電気代を払うか、さもなくば電気を切る、こういう状態になっておるわけです。ですから、この問題は私は、単に離職者だけの責任でなくて、全般的な国の政策がこういう状態をもたらしたのですから、何らか便法を講じる必要があるのではないか、こういうように考えるわけですが、局長はどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/8
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009・樋詰誠明
○樋詰政府委員 われわれといたしましては、事業団で買収しました炭住は、できるだけ早く買い上げてもらうなり、あるいは明け渡してもらうなりということで処理したい、こういうふうに考えておったわけでございますが、実際問題といたしましては、出ていく当ても何もないということで、非常に困窮した方が住んでおるという例が大へん多いわけでございますけれども、理屈から申しますと、先生御自身がおっしゃったように、これは必ずしも適法な入居者ではない。しかし同時に、これはそういう方に、とにかく行く先もないのに出ていってくれと迫ることは、人道上からもできかねるということで、御承知のように、現在のところ黙認しているというような格好でほうっているわけでございますが、さらにただいま御指摘の高圧線等につきましては、これはそういう非常に人命の危険があったり、あるいは災害防止上、とても高圧線では危いといったような場合には、これはやはりその家の管理者の義務上、事業団においても適当な措置をせざるを得ないのじゃないかということで、どうしても——たとえば入っている方が自分の費用で電力会社との間にいろいろのつけかえというようなことをやっていただくというのであれば、これも人の財産を勝手につけかえたりするというのであれば問題がございましょうが、そういう場合には今までも黙認しているはずでございます。また、それができない、しかもそういう資力もない、といって高圧線で非常に危いといったような場合には、これは私の考えでございますが、その場合には、やはり災害防止上管理者としては何らかの措置をせざるを得ないのじゃないか、そういうふうに考えております。その点さらによく実情を調べまして、事業団にも適切な指導等いたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/9
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010・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は必ずしも黙認されていないのですね。というのは、電力会社の方で配電の切りかえをしないのですよ。それは、借家権がないからということでしないのです。ですから私は、この点はみすみす今までの炭鉱の高圧線による電力を使っておれば、千五、六百円納めなければならぬ。ところがこれが、切りかえますと、わずかの金額で済む。その差額は千円以上になる、こういう場合だってあり得るわけでありまして、これは当然に私は政策で、そういった場合は特殊な場合でありますから、そういう法律関係を言わないで——この電力のロスというのは国家的な損失でもある。そういうことをやってもうかる人は一人もないわけでありまして、電気会社も損をしているし、それから電力そのものも非常なロスになっておるし、それから住んでおる人も非常に困っておるわけでありますから、これは私は電気会社というしかも公益事業でありますから話をして、そうして切りかえを望む者は切りかえさす、こういうことが必要ではないか、かように考えるわけですが、その処置についてどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/10
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011・樋詰誠明
○樋詰政府委員 できるだけただいまの先生の御意見のように実現するということの方向で、一つ事業団を督促したいと思っております。事業団にできるだけ電力会社との間に話をつけさせて、そうして今のような国家的な損失をなくし、あるいは災害を防止する、危くなくするというような方向に切りかえるというようなことでやっていきたい。ただ、そのときに、これは当然のことでございますが、あまりばらばらにあちこちと占拠されることは困るので、そうなる以上は、これはやはり一ヵ所に集結していただくということは、当然労務者の方にもお願いしなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/11
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012・多賀谷真稔
○多賀谷委員 その集結するというようないわば住宅管理の問題、あるいは将来転売の問題を考えてのことについては、労働者の方も私は協力すると思うのです。ですからそういった処置をすみやかにやっていただきたい。ところがこの問題は現地におきましてはかなり長い間紛争をしておるわけです。ですからすみやかな処置をとっていただきたいと思います。
次に、水道があるわけですが、一つ炭鉱を買い上げるとわれわれが思わぬようないろいろな困難な事態にぶつかるわけです。きょう厚生省の方が見えておられませんけれども、大体中小炭鉱における水道というのはほとんどが水道法の規格に合わないのだそうです。そしてただ炭鉱がやっておるということで従来は大目に見ておるんだそうです。ところがこれが一般水道法の適用を受けるということになりますと、滅菌の装置とかいろいろな点で相当莫大な経費がかかる、そこでその経費を持つところがない、こういう状態にあるわけです。たまたまその市町村において一般的な水道をとっておる場合には、その水道を延ばしてもらうということもできるでしょうけれども、そういったもののない地点におきましては非常に困難を来たしておるわけです。これについては一体どういう考えであるのか、これをお聞かせ願いたい。非常に困難であるとは私も考えますけれども、困難であるからといって放置するわけにいかない問題が起っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/12
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013・樋詰誠明
○樋詰政府委員 実は水道問題につきましては、私ども非常に今までも頭を痛めまた現在も苦慮しているわけでございますが、事業団だけの方から申しますと、これはむしろ現在の水道法による簡易水道の基準にも合致しない水道といったようなものは買い上げないという格好でいきたいと思っております。しかし実際問題として、とにかくそれじゃだれもめんどうを見るものがいなくなるというところに一番の問題があると思うのであります。ただ事業団からいいますと、先ほどの家屋と似たような問題でございますが、不法占拠されているといいますか、とにかくあまり正当な居住権なくして住んでおられる方、これは当然炭鉱がなくなったのでございますから、これらの方々が炭住からも出ていかれるということであれば、水道施設そのものも撤去して、そして処分してしまいたい、こう思っておるのに、たまたまどこにも出ていかないで残っておられる、しかもその規格たるや滅菌装置その他もなくて、非常に不完全で衛生上害がある、それこそ直接人道上の問題であるといったようなことが起っておる例があるわけでございますが、われわれの方から申し上げさしていただきますと、地元の市町村あたりで何らかの格好で、とにかくこれは炭鉱の従業員であろうと何であろうと、地元の市町村の市民であり、あるいは村民であることは間違いないので、そういう地方公共団体がそれらの困窮者の生活のめんどうを見ていただくのが一番本筋ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ実際問題として炭鉱がだんだん廃止されることによって、その地元の市町村の財政等が年々困窮していく、それでなかなかそこまでめんどうを見きれないというのが実情のようでございますので、できましたならば厚生省等で、こういう場合には水道の補助金といったようなものをあげることができないかというようなことについても、今までもいろいろ検討してきたわけでありますけれども、まだこれでやれるといったような段階まで話し合いがついておらない点ははなはだ残念でございます。筋としてはやはりその市町村がめんどうを見るという建前のもとに、そういう衛生管理といったような面で、厚生省なりからでもある程度補助金をよけい出していただくといったようなことで解決できることが、われわれとしては非常に望ましい。ただしあまり理屈ばかり言ってもおれませんので、ある程度のことは——事業団としても今までも相当努力はしてきていると思いますが、いつまでも事業団で全都百パーセントのめんどうを見ろといわれましても、若干筋が違うのではないかと思います。その点は関係各省庁と十分連絡をとって、一つ解決していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/13
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014・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは厚生省の方で補助金を出し、さらに残った市町村の負担については起債を許す、こういうことになれば、比較的解決しやすいわけです。これができていないということになりますと、実際問題としては非常に困難である。事業団の方は、簡易水道のそういった水道施設は買わない、買わないだけでは済まないのでして、買わないで放置しておれば、そこにおる居住者というものは水がないという問題が起って、非常にゆゆしき問題です。しかもこの炭鉱付近は井戸を掘っても水が出ない、すなわち鉱害のために水が出ないというところに、これまた非常な問題があるわけです。そこで鉱害という条件と、それから今合理化法によって買い上げて新しい水道施設を作るか、あるいは今までの既設の水道施設を改善するかという問題、さらにまた地方財政が逼迫しておるから、その地方財政の負担を起債で見る、この三つを一緒にしたような案を作ることは、私はできるのではないかと思うのです。そういった水道施設のある炭鉱が、単に従業員だけに水道を利用させておるのではなくて、付近の住民にも必ず利用させておる。それは今申しましたように炭鉱の採掘によって鉱害を起し、水を枯渇させておるのですから、井戸が掘れないという状態になっておる。そこでこの三つの要素を私は一体にして推進をするならば、容易ではないであろうと思いますけれども、できない相談ではないと考えるわけです。これについてどういうようにお考えですか、御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/14
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015・樋詰誠明
○樋詰政府委員 ただいま鉱害関係の水道についてのお話が出ましたが、大体私の承知しておる範囲では、鉱害を起してその復旧のために引いた、そしてその付近の住民のために給水しているというものにつきましては、これは大体今後の維持管理の費用といったようなものについても、十分地元の市町村とも話がついて、大体ほとんど問題がないというふうに承知いたしております。ただ一番問題なのは炭住の専用水道という格好で、炭鉱が自分の労務者に給水しておった、兼ねてその付近の人がそこから水を受けておったというのが、一番問題じゃないかと思います。この炭住専用あるいは一部の一般住民に供給しておったというものが、今問題になるわけでありますが、実はわれわれも従来から厚生省に対して、これを改善するということについて国庫補助をやってくれ、あるいは地方の事業費をまかなうために起債を認めてくれということで、各省にも何回となく話したことがあるのでありますが、残念ながら今までそれが結実しなかった。ただ今後ともわれわれは厚生省なり、あるいは自治庁なりに起債について、あるいは補助金交付についてさらに話を進めるということで、できるだけ早くこの問題、トラブルから抜け出したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/15
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016・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は鉱害だけの問題は、水道につきましては解決しておるわけでありますが、炭鉱の炭住専用と鉱害とくっついておる場合がほとんどですね。炭住専用だけはもう少いのです。ほとんど付近の農家その他に水を送っておるというのが実情です。鉱害復旧による水道の場合は補助金が出ます。その補助金と、それからさらに厚生省がそういった場合の改善費を出し、あるいは新設の場合に出す費用と起債、この三つを合せればできない相談ではない、こういうわけなのです。ですからこういったことも今ごろ研究をするとか推進をすると言われましても、もうすでに二ヵ年以上たっておるのです。二ヵ年以上たってまだできていないのだ。今からできるということはどうも考えられないわけです。これについては私は積極的にやってもらいたいと思うのですが、次官どうですか。今までに解決していないのですよ。しかしこれは解決しなければならない問題です。ですから私はどうしても推進をしてもらいたい、かように考えるわけですが、まだ厚生省を呼んでおりますから、いずれ来て答弁があると思いますけれども、次官の御決意を一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/16
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017・中川俊思
○中川(俊)政府委員 二ヵ年以上も放置しておいてけしからぬじゃないかというお話でございますが、一刻も早くこういう問題は解決しなければならないことは申し上げるまでもないのであります。しかし多賀谷さんも御存じの通り、日本の役所で二ヵ年なんというのは早い方でございまして、ひどいのになると十年も二十年もほうっておくというのが通例ですから、まあ二ヵ年ぐらいのことは一つ御勘弁願って、できるだけ早くやるということで御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/17
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018・多賀谷真稔
○多賀谷委員 名答弁が次官からありましたけれども、残念ながらこれは臨時立法でございますから早くやらなければ間に合わないですから、お急ぎ願いたいと思います。そこで、それは今後研究していただくことにいたしまして、さらに厚生省、自治庁が見えましたら、もう一度お聞かせ願いたいと思います。
次に家屋についてお聞かせ願いたいと思うのですが、今度は離職金のほかに移動資金が一ヵ月出るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/18
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019・樋詰誠明
○樋詰政府委員 その炭鉱の地帯から離れて、よそに職場を求められるという方には、これは必ずしも金額はまだ確定いたしておりませんが、一ヵ月分程度の離職金的な移動旅費と申しますか、帰郷旅費と申しますか、そういう名目で支給したい、こういうふうに考えております。
〔中村(幸)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/19
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020・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうすると、そこにおる人にはやらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/20
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021・樋詰誠明
○樋詰政府委員 今のところは一番問題は、非常にたくさんの失業者が発生して、なかなか地元で思わしい事業も見つからないという方が、新しい活動の天地を求めて、ほかへ行かれるということがむしろ一番望ましいことじゃないか、そういうことから、今の段階においては、とにかく移動する方に旅費を支給する、と申しますのは、御承知の通り財源等にも限度がございますので、大体移動する方には、さらに一ヵ月分程度出すということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/21
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022・多賀谷真稔
○多賀谷委員 移動といいますと、筑豊炭田なら筑豊炭団から出ていくことですか、その家から出ていくことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/22
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023・樋詰誠明
○樋詰政府委員 筑豊炭田から出ていくことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/23
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024・多賀谷真稔
○多賀谷委員 筑豊炭田から出ていくというのはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/24
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025・樋詰誠明
○樋詰政府委員 それは筑豊地区自体にはいろいろ各省にも御尽力願っているわけでございますが、今後のことを考えましてもなかなか十分な雇用の吸収力があるというふうには差しあたり考えられないので、むしろもう少し雇用吸収力のある地帯に散っていただくということが必要じゃないか、特に福岡県等から聞きますと、現在失業している人間の七割近くは福岡県人ではなくて、よその県から来た人だ、そういうふうにも聞いておりますので、できるだけそういう方は、いつまでも福岡県に御迷惑をかけないで、自分の郷里にでも帰っていただけぬかという意味で、先ほど帰郷旅費というふうに申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/25
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026・多賀谷真稔
○多賀谷委員 筑豊炭田というのは、今五万ぐらいな都市でも、明治の初年にはみな二千とか三千の農村であったわけです。ですから筑豊炭田に住む人というのは、ここに渡辺さんもおられますが、私たちもみな元から福岡県人ではない、ほとんどみなそうなんです。大体炭鉱労働者というものは、みな宮崎県や鹿児島県やあるいは四国や中国から雇ってきて、そうしてあそこへ集めた。ところがそれがもう二代も三代もいるのですよ。ですからいまさら郷里へ帰ったって、家の方はもう兄弟が全部継いでおりまして帰るところなんか全然ないのです。それは女工さんか何かで繊維産業のような場合で家に帰郷さすというなら別ですが、筑豊炭田の者をどこかへ追っ払うのに、離職金を出して追っ払うという制度はどうしても私は解せない、家屋を明け渡すというなら少しはわかりますが、筑豊炭田からよそに行くのに移動資金を出すというのはどうも解せないのですが、これは家屋だけのことでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/26
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027・樋詰誠明
○樋詰政府委員 私ども承知しておる範囲では、もちろん二代、三代という前によそから来られたというのではなくて、現在働いておる労務者自体が最近数年の間に相当やって来て、そこで離職しているという方が、相当数あるというふうに承知しているわけでございます。ただわれわれといたしましては、さっき申し上げましたそういう方にはできるだけ郷里に帰っていただくとか、あるいは昨年の二十一号台風で伊豆あたりに相当集団的な労務者の需要があった、大体今まで静岡県あるいは福岡県当局から聞いた話では、とにかく五百人ぐらいの人間は、大体静岡県で相当期間働く仕事があるという話を聞いておりますが、そういうところに、できるだけ早く移っていただく、そういう方には普通の基準によるあるいは職業安定所等から出る移転旅費と申しますか、そういうようなものもあるようでございますが、そのほかに、とにかく事業団としても差し上げるということによって、できるだけ移転を促進するというふうにしたらよいじゃないかというようなことで、できるだけそういう大口の仕事があるようなところに出て行っていただきたいと思っておりますが、どうしても出て行きたくても行く先がないというような方には、炭住を従来よりもできるだけ安く払い下げるというようなことでもして、とにかくいるところもない、行くところもないということでお困りにならぬような格好で解決したいということで、今後炭住の払い下げ等につきましては、出ていただくことをあくまで希望いたしますが、どうしても出ていけないという人に対しては、炭住を従来よりも割安に払い下げるというようなことでもして、とりあえず寝起きする場所に事欠くといったことのないようにやっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/27
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028・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は伊豆の災害等に集団的に職を求めて行く、こういうことは非常にけっこうなことだと思います。あるいはある地点に開拓団として行くというようなこともけっこうだと思う。しかしこれは大きな政策でありまして、単に移動資金をやるというような問題じゃないと思うのです。あるいはそれは別個の政策として移動資金をおやりになるのはいいですが、私は何かそういうひもつきというのは必ずしも好ましい状態ではないのではないかと思います。そこで家屋を明け渡す人には移動資金をやる、こういうことにはっきりしておいた方がよいと思う。これは非常に問題が起ると思うのです。と申しますのは、どこかへ行ってもまた筑豊に舞い戻ってくる、離職しますと一応みなどこかへ行ってしまうのです。そうしてそのうちにすぐ帰ってくるのです。こういうのが実情です。郷里に一応みな帰ってみるのですが、また戻ってくるというのがほとんどの実情です。ですから単に郷里に帰るという者には移動資金をやる、おる者にはやらぬというような政策も必ずしも実情に合わないのではないか、いやしくも移動資金をやる以上は、支給基準をはっきりした方がよいではないか、あるいはどうしてもおられない人には炭住を払い下げてやった方が、更生資金になるのではないか、今移動したくても移動できないという労働者が相当あります。ですから、移動資金ということをお考えになったことは非常にけっこうだと思う。しかし、結局は生活費にみな食われておりますから、むしろ炭住をそのまま払い下げてやった方が、今度は炭住が移動資金になり、更生資金になり得る可能性がある、転換し得る道がある、こういうふうに考えるわけです。移動される人は移動資金、残った人は炭住をそのまま無償で払い下げてやる、こういう政策の方がマッチするんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/28
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029・樋詰誠明
○樋詰政府委員 移動資金を考えましたのは、なるべくほかの地区に出て行っていただきたいということが真のねらいだったわけでございますが、今のお話のように非常に払いにくいというような面もあり、一番具体的にとらえやすいのは、その家を出ていくというのが一番はっきりするというような点もごもっともでございます。実際の運用につきましては、要するに、よそに行くというので、家をとにかく明け渡された方には一応一ヵ月程度の移動資金が出る、出させるというような格好で実際上は運用していきたい、こう思っておりますが、この点もう少し研究さしていただきたい。ただ、御趣旨はよくわかりますので、そういう面でやらしていただきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/29
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030・多賀谷真稔
○多賀谷委員 炭住をそのまま出ていく人は、かなり就職の希望なり見通しがあって出ていくんでしょうから、いいと思います。残った者も、永久に職がないという状態ではないと思いますから、むしろ炭住をそのまま払い下げてやる、無償で払い下げてやるということが、将来の更生資金になり得ると思うのです。ですから、家、あるいは土地を持っておりますと、わずかでありますけれども、立ち上り資金になり得るのじゃないか、金で持っておりますと、そのまま生活費に食い込んで、どうにもならないという状態になる。家ならば、払い下げ価格というのは比較的安いものですから、こういう席でそういう話をするのはどうかと思うのですけれども、必ずその差益が出てくるのです。ですから、その差益は更生資金になり得る状態になる、こういうように思うわけであります。家を出ていく人には移動資金、炭住にどうしてもおらなければならぬ人には、ある炭住の管理をして、一部に集めて、そしてそれを払い下げてやる、こういうことをされたらけっこうではないかと思うのです。もう一度御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/30
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031・樋詰誠明
○樋詰政府委員 無償でそのまま渡すかどうかということは、事業団自体の財政との関係等もございますし、また今まで相当の対価を払って買ったといわれる方もございます。ただ、実際問題としては、今後買う分につきましては、炭鉱から買い上げる際に炭住が非常に処理しにくいものであるといったようなことから、炭住の買い上げ値段自体も下げたい、こう思っております。それに伴いまして、払い下げるという場合も従来よりも大幅に値引きして、とにかく労務者が買おうと思えば買えという程度の金額にまで下げて、とにかく払い下げるという方向で実施したいと思いまして、現在事業団の予算その他の査定等もいたしておるわけでございます。どうしてもあの地方に落ちつきたいという方には、できるだけ安く手に入るようにしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/31
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032・多賀谷真稔
○多賀谷委員 こういった問題は早く片づけてやらなければ、離職いたしましても、どっちにも行けないという状態になると思いますので、なるべく早くそういった処置を願いたいと考えております。
そこで、労働省が見えておられますから、労働省にお伺いいたしたいと思いますが、この前私が要求しておりました資料は、いつごろ出していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/32
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033・三治重信
○三治説明員 昨日も申しましたように、各省それぞれ補助金につきまして検討しております。きのうも各省連絡してみましたのですが、今時期は申し上げられませんが、おそらく早くて四月初旬になるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/33
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034・多賀谷真稔
○多賀谷委員 法案が通過してしまいます。法案を流していいなら別ですけれども、三月三十一日くらいでもう国会はほとんど休会状態になるんですよ。この法案は流すわけにもいかないし、それかといって、あなたの方でやると言われましても、私たちそうですかというわけで法案を通過さすわけにもいかないんです。政府の方で法案を流してもいいというなら、私は四月まで待ちます。五月十日くらいまでは会期はありますから、委員長の方でその間開いていただくならば、またけっこうですけれども、参議院は選挙に入るからおそらくできない。ですから、少くもこの法案が衆議院にかかっている間に出してもらわなければ意味をなさない。国会で法案が通過した後に出してもらったんでは意味がないので、いつ出せるか、法案の審議中に出していただきたいと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/34
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035・三治重信
○三治説明員 今のは、結局各省別に資料をお出ししてあります。それをさらに各事業別くらいまではできるかと思いますが、きのうのお話みたいに、道路の何号線のどこからどこまでどれくらい、それで何人くらいということになりますと、各省とも今各県を呼んでやっていて、それが予算と合わないと、やはり外へは出せないといっているわけです。それで、せめてこの対策はやはり各省とも協力するということで、大体の査定の前にめどをつけて、しかも県の方から計画をあらかじめ先に持ってこさせて、大体アウトラインを見たところで概略の数字を出すのがほんとうなんです。従って、河川が幾らとか、治水が幾らというくらいのことならば、さらにもう少しできるじゃないかと思いますが、そういう具体的なものになってきますと、ちょっと作業上不可能じゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/35
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036・多賀谷真稔
○多賀谷委員 しかしこの法案はやはり予算と一緒についている法案ですから、必ずしも予算と関係ないという点は、なるほど合理化法そのものはありませんけれども、公共事業、失対は当然くっついているわけです。ですから、大体どの程度失業者を吸収できるか、何号線まではいきませんでも、この地区でどのくらいと、こういう程度は出していただかなければどうにもならないわけですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/36
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037・三治重信
○三治説明員 その事業別は、筑豊を含めた北九州は現在は出しておるわけですが、筑豊地区と、その北九州五市の付近というふうな大きな区分ならば、あるいは早く出るかと思いますが、その程度でがまんしていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/37
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038・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それは今わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/38
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039・三治重信
○三治説明員 筑豊地区で、三十三年度で千四百三十三名の予定、三十四年度で千九百五十名、増加人員が五百十七名、この予算が三十三年度では約十八億四千万円でございますが、三十四年度では二十億六千万円、その他の地区で、三十三年度は二十七億ほど、今度三十四年度で五十八億八千万、そうして三十三年度の吸収人員で千八百十二名、三十四年度で二千三日九十一名、プラス五百七十九名であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/39
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040・多賀谷真稔
○多賀谷委員 その他の地区というのは吸収にあまり役に立たないと思うのです。その程度はその他の地区でまた失業者は発生しているのです。ですからよその地区というのはあまり期待できないのじゃないと思う。炭鉱労働者だけを集団的に連れていって、その事業は全部炭鉱労働者の失業者で埋める、こういうようなはっきりしたものがない以上、たとえば小倉とかあるいは博多というのが予定されておりますけれども、博多も小倉も失業者で一ぱいです。また駐留軍があるのですから、ここでも失業者が一ぱいで、今登録を押えられておるというような状態ですから、私はその地区に割り込んでいって、築豊炭田の失業者を使えということはなかなか困難じゃないかと思う。ですからそういったことを計算されても意味がないので、もう少しはっきりと、小倉のこの事業は炭鉱労働者の離職昔を使うのだ、こういうふうに明記してもらいたいと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/40
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041・三治重信
○三治説明員 この点は県の方に大体こういう数字を申し上げて、その実際の具体的な労務者の輸送の問題、あるいは飯場施設の問題、それからそのほかに北九州にも今おっしゃったように駐留軍その他の関係の失業者がいるわけですが、そういうふうなものとの組み合せというものについて、具体的に九州地区についての特別措置を考えて、具体的な問題としてやるよりほかに、手はないのじゃないかというふうにして、県当局の方もそれでやってみようということになっております。その場合における輸送のトラックとかバスの関係、それから収容施設のパイプ住宅の関係の方も、通産と協力して、われわれの方としては県の方がやれる具体的な案ができれば、それに直ちに応じて、特別な措置をするというふうな言質を現地には与えておりす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/41
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042・多賀谷真稔
○多賀谷委員 一つ火曜日までに正確な、あなたの方でできる範囲の資料を出してもらいたい。それについてわれわれは検討していきたいと思います。
そこで先般労働大直がお話しになりました失業対策についてお聞かせ願いたいと思いますが、まず第一に同系の炭鉱間に配置転換を促進する、こういいましても実際はできないのじゃないか。好況の時代にはこれは考え得る。しかし不況の時代にはそれは考えられないのじゃないかと思うのです。これについてどういうお考えですか。これは労働省でも通産省でもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/42
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043・樋詰誠明
○樋詰政府委員 もちろん好況のときのように、片一方で非常な解雇がありながら、片一方で相当なる再雇用があるというふうにはなっておりませんので、数から申しますとこれは非常に微々たるものになるのではないか、こう思っております。しかし実際の問題として統計等を見ますと、現在でも三十二年の後半になりましても毎月相当の解雇、雇い入れというものがございます。しかもよその地域から連れてきて雇い入れるといったようなものも相当あるようでございますので、われわれといたしましてはできるだけよそから持ってくるということでなしに、地元でできるものなら地元の炭鉱の経験者を採用してもらいたい。それからもちろんそれに同系の二つ、三つあるというようなところで、片一方で解雇しながら、片一方ではある程度補充するといったような場合には、やはり自分の系統で整理したという人間の中から、一つ優先的にとってもらいたいということは、これは各炭鉱の経営者に対して強力に推奨していきたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/43
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044・多賀谷真稔
○多賀谷委員 文章はりっぱでありますが、買い上げられる炭鉱というのは、実際問題としては同系を持つような炭鉱は少いのじゃないかと思うのです。ですからこれはあまり意味がない考え方ではないか。書かないよりはいいかもしれませんけれども、しかしこれはあまり意味がない、かように考えるわけです。それから不況下においてまだ募集をしておるというような炭鉱は、これはたいてい賃金未払いですね。今までまだ募集している炭鉱があるのかと行ってみると、はとんど賃金未払いです。そこの労働者は賃金をもらっておる。なぜかというと三ヵ年前の賃金をもらっているのです。そういう状態です。ですから就職しましてもすぐ賃金はもらえないのです。三ヵ月後でなければ順番がこないのです。そうしますと途中でやめて帰ってしまう、こういう例が非常に多いのですね。ですから現在の状態でまだ職業安定所を通じて募集をしておるという炭鉱は、ほとんど賃金未払いか、さもなくば非常に賃金の安いところですから、たいていはそこに行きましても必ず帰ってきておる、こういうのが実情です。だから賃金未払いのところへわざわざ世話をして送り込んでただ働きをして帰すというような愚はないと私は思う。やはりそういう面は職業安定所が実際を調査してやるべきが至当ではないと思うのです。われわれもずいぶん世話をして、あちらこちらの炭鉱にやってみたのですが、すぐにやめて帰っている。それはどうしてかと思うと賃金がもらえません。しかし現実に他の人は食べていっているじゃないかというと、いやあれは三ヵ月前の賃金をもらっておる、こういう状態です。そういう点も一つ十分御調査を願いたいと思う。
それで次に鉱害復旧の問題ですが、私はやはり一番手っとり早いのは鉱害復旧による吸収だと思う。臨時鉱害復旧法案が施行されまして、まだ予定通り十分な進行をしておりません。法律は時限立法でありますけれどもまだ予定通りいっていない。ですからこの際鉱害復旧については大幅に補正予算を組むべきだ。そして労働者を吸収すべきだ、こう考えるのですが、通産次官はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/44
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045・中川俊思
○中川(俊)政府委員 多賀谷さんのおっしゃることもよくわかりますが、一政務次官が簡単に補正予算を組みますということは言えません。しかし御趣旨に沿うように努力はいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/45
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046・多賀谷真稔
○多賀谷委員 少くとも通産省で合理化法案を出すならば失業ということを考えざるを得ない。失業を考える場合には、少くとも通産省のできる範囲で、まず何で失業者の吸収をやるかといえば、それは鉱害ですよ。一番手っとり早い。これは通産省の予算のワク内でやるのですから、よそに頼まないでいい。しかもこれは遠いところにトラックなんかで人間を送るという必要がない。その地元ですでに鉱害がある。現につぶれた炭鉱の労働者に、そこのつぶれた炭鉱の鉱害だけやらしても、半年や一年は吸収できるとおもう。ですからこういった政策ができないというのは、これは通産省の怠慢だと思う。労働省や建設省に御迷惑をかけないでも、通産省自体でできるのです。とにかく失業者を吸収するのに一番いいのは、現在まだ百数十億残っておる筑豊炭田の鉱害をおやりになるのがいい、これを一体局長はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/46
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047・樋詰誠明
○樋詰政府委員 確かに現在の臨鉱法の終期であります三十七年までの間に、あと少くとも臨鉱法制定当時考えておりましたものを約四十億しなければいかぬ。そうしますと五、六、七と三年間に四十億でございますので、今年のような十一億ベースでは、なかなか年度内に処理できないということになります。これはわれわれといたしまして、何とかしてこの年度内に少くとも当初予定しておりました百十億の鉱害というものは予定通り片づけるというふうに、国の補助金等につきましても、今後さらに五割ないし六割くらい増額していただくことによって、期間内に完成するというふうにやりたいと思っておりますし、さらにこれは御承知のように時限法でございますが、鉱業法の性質から言ってわれわれとしてはむしろ恒久法にすべきではないかとも考えておりますので、そういう新しい制度に切りかえるということもあわせ考慮いたしまして、掘れば必ず鉱害が起ってくる、その鉱業権の施行と社会的な跡始末というものの間に、不調和を来たさないように努力していきたい、さしあたりは今後あらゆる機会に、とにかく約束通りの鉱害復旧ができるような、十分な事業を毎年こなせるように、まず国家の方で金を出すということについて、通産省としてはできるだけの努力を払って、大蔵省の方にも働きかけたい、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/47
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048・多賀谷真稔
○多賀谷委員 昨年度から本年度に鉱害費はどのくらい伸びたわけですか。これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/48
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049・樋詰誠明
○樋詰政府委員 事業費といたしまして約一億一千万円、昨年が十億、今年が十一億一千万、それから国の補助といたしまして昨年が五億一千万、今年が五億三千四百万であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/49
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050・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは一般公共事業費の拡大した予算の比例から言いましても、鉱害の方は非常におくれていますね。もっともこれは復活予算でやっとこれくらいになったのです。鉱害の方だけは減っておったのですからね。私はこういった点が政府として全く怠慢ではないかと思うのです。いやしくても合理化法案を出そうというのに、鉱害の費用を減らして査定をする、これは大蔵省が悪いといえばそれきりですが、やはり政府全体としての責任があると思うのです。しかも一般公共事業はかなり膨大な予算が組まれておるのに、鉱害の方はわずかに一〇%しか増額していない。しかも一方においては七千五百人からの失業者を出す、今までの失業者がさらに累増してくる、こういう中においてたった一割くらい増したのでは、私はどうも納得できない。率直に言うならば、三十七年までの臨時鉱害の復旧は、一度に解決しても、さらに仕事がずいぶんあるわけです。今からかなり前に臨鉱法ができて、そのとき予定されたのが百十億ですから、その後日増しに加重されておる鉱害の事業量というものは、相当なものだと思うのです、でありますから、私は一番手っとり早いのは鉱害の復旧であるし、この鉱害の復旧については、当然政府は繰り上げて事業を行なって、あるいは四・四半期なら四・四半期に埋める、こういう方策が必要ではないかと思うのです。このことはすでに昭和三十年度に炭鉱が不況の際にやりました。すなわち四・四半期の予算を全都前に食ってしまったのです。そして補正でうめたのです。そういうふうににすでに経験があるわけです。ですからこのことはぜひ一つおやりになる必要があるのではないかと思うのです。次官が答弁できなければ、私は次の機会に大臣から御答弁願いたいと思いますけれど……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/50
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051・中川俊思
○中川(俊)政府委員 できます。鉱害の問題につきましては、多賀谷さんのおっしゃる通り、逐年うんと予算をとらなければならないことは申し上げるまでもありません。その趣旨に従って通産省は、すでに御承知だと思いますが、大蔵省に対して相当予算を要求したのであります。しかしいろいろな点からまことに御期待に沿うことができなかったわけであります。私が大蔵大臣でありましたら、そのくらいのものは出さなければいけないというように実は私も考えたのでありますけれども、まことにこの点は政府として申しわけないことだと思っております。しかし将来できるだけ予算をたくさん要求し、また獲得いたしまして、一刻も早くその問題の処理に当りたいと考えておりますので御了承願いたい。
なお一つ、政府を組織しております自民党ではございませんが、多賀谷さんのような石炭に非常に豊富な知識経験を持っておられる人、また石炭地区を背景として選出されている方々からも御協力を側面からお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/51
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052・多賀谷真稔
○多賀谷委員 協力をするにやぶさかではございませんけれども、問題はまだいろいろあるわけです。いつでもできるという性格のものでない事業があるわけです。農地の復旧等におきますと、一応田植えから刈り入れまではできない、その後に仕事をやるという状態になるわけですね。そうしますと、仕事をやる時期が失業者を必ずしも見合わないのです。道路であるとか家屋であると問題はないのですが、比較的労働力を吸収する田面の復旧というのは、六月の田植えから十月ごろまでは仕事にならないという面がある。ところがこれは政策いかんによっては解決する。なぜかというと、その一年分の補償を払ってやるという考え方があれば、これはいつでも仕事ができる。一年分の補償を払うことを、経営者の方はちゅうちょするから仕事ができないのですね。ですから工事期の分は一応補償として、いわば補助金の対象にしてやるということになりますと容易に仕事が進捗するのではないか、そういった面も御考慮願いたいと思います。これは局長から御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/52
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053・樋詰誠明
○樋詰政府委員 炭鉱の経営者から農民に補償をして一年耕作を待ってもらう、確かに方法としてはそういう方法があり得ると思いますが、実際問題として非常に困難ではないか、今までのやり方では、農繁期の、いわゆる農業にどうしても土地が要るという時期には、主として公共事業を施行し、大体耕作刈り入れが済んだあとしばらく、そこでいろいろな工事をしても差しつかえがないといったような時期を選んで農地の復旧等をやるという格好で、従来公共事業と鉱害と両方並行してやるというふうにやっておりますので、今後も今の、農民に補償をしてとにかく一年間田植えをやめてくれ、繰り上げて全部やってしまうからという話し合いがつくということであれば、もちろんそういう方法も研究はいたしてみますけれども、今までの実例から申しますと、なかなか簡単には行きかねるのではないかと思いますので、できるだけそういう各事業間の時期の調整ということで、一年中あるときには相当ひまなときがあるし、あるときには吸収しきれないというようなことがないようにやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/53
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054・多賀谷真稔
○多賀谷委員 課長が耳打ちをされたようですけれども、これは全く逆ですよ。公共事業というのは年度の半ばから終りに向いてどんどん仕事がある。われわれ選挙をよくしておりますが、六月ごろトラソクで通りますと、まるっきり道路の修理なんかやっておりませんよ。それが二月ごろから三月ごろにはどこの道もここの道も直しているでしょう。これは公共事業の査定をして事業費を決定していると、全都年度の終りになるのですよ。それはもう常識でしょう。その際に同じように田面も直す、こういうことなんですから、そのスタートの五月とか六月とかは仕事がないのです。まして七月はずっとない、こういう状態です。ですから並行してやっているのではないのですよ。全部同じ時期に集中するのです。公共事業も普通の鉱害の田面復旧も全部同じ。こういうしろうとの話をされてはいけないと思う。実情はそういう実情です。ただ補償金を出すのが惜しいから、そうして田植え時期には、あるいはまた少しでも補償金を減らそうとして植付さすわけです。ですから、全部年度の後半に事業が集中してくる、こういう状態なんですね。ですから、これはやはり補償金の問題を解決してやらなければ、最も吸収率の多い田面の復旧ということはできない、こういうように考えるわけです。ですから、そういうように一つ御努力願いたいと思うのです。
そこで私は、ある炭鉱が閉山をして、そうしてその炭鉱の閉山に伴う鉱害復旧を事業団が肩がわりするわけですから、事業団が持つ鉱害復旧の量もかなりのものであると思います。そこで、その炭鉱の閉山による離職者は、まず一時的にはそこの復旧作業をやらしたらどうかと思うのです。はっきり他に就職する見通しのある人を除いてですね。そうすれば、一番これは簡易な方法ですね。そして今のように請負等はあまりやらさないで、事業団が今度は工事者にやらしたらどうか。事業団が施行者としてやらせれば、家屋の管理もできますし、いろいろな管理もできますし、それからさらに離職金を支払う場合、あるいは移動資金を支払う場合、これも全部うまくいくのじゃないかと思うのですがね。そういった方法はどういうようにお考えですか。先ほどの点とさらに今の点を御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/54
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055・樋詰誠明
○樋詰政府委員 まことにごもっともな御意見だと思いまして、できるだけその趣旨で事業団を——現在すでにそういう方向でやるようにということで指導いたしておりますが、さらにそれが実際に実現できるようにできるだけの努力をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/55
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056・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実はこの種の離職者は、買い上げられる前にかなり賃金未払いがある、あるいは賃金の切り下げがある。ですから、失業保険それ自体が非常に低いんですね。ここに問題があるのです。普通の労働者ですと、失業して大体六ヵ月ないし九ヵ月というものは、失業保険で食っていって、その後にまあ働きにいけばいい、こういう状態ですけれども、これは失業保険をもらいながら働くといえば、失業保険課長がやかましく言って、これは不正支給だということになりますけれども、実際は失業保険をもらいながら、生活保護の適用を受けておる人もある、その差額を。こういう実態ですね。そこで、これを厳密に言いますと、非常に困難な問題がありますけれども、実際失業保険自体が非常に低い、これは賃金が低いからだ、こういう実情にあるわけです。ですから、私は、労働者がまちまちな生活をして、非常に若境の極貧生活に落ちないうちに、早く立ち上れるような準備をしてやる必要がある。それには失業保険なら失業保険が切れたら、すぐそういった仕事につける準備が必要ではないか、こういうように考えるわけです。そこで一つ明確に今の点御答弁願いたい。それから先ほどの点も、もう少しはっきりした御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/56
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057・樋詰誠明
○樋詰政府委員 とにかく先ほどの点から申し上げますが、事業団の買い上げに伴う事業団が肩がわりして責任を持っておる鉱害復旧というものについて、できるだけそこからも離職者を優先的に吸収するようにということにつきましては、御趣旨に沿うような方向で、一つ実現方にできるだけの努力をしたい、こう思っております。
それから、失業保険自体が非常に低いために、保険給付期間中でも働かざるを得ないくらい苦しくなっているというようなことにつきましても、これはわれわれといたしましては、できるだけ法の運用というようなものも寛大に一つ——これはある程度現在でも労働省関係も目をつぶっていただいているのではないか、こう思うのでありますが、われわれの方では、とにかく何らかの格好で、一つそういうような人が働ける場所というものがあり得るならば、そっちの方に吸収するということに努力していきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/57
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058・多賀谷真稔
○多賀谷委員 先ほどの年間を通じて田面の復旧をやる方法ですね、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/58
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059・樋詰誠明
○樋詰政府委員 これにつきましてはどうもはなはだ不勉強で、だいぶ実態の認識そのものも少し間違っているようでございますので、帰りまして至急実情を調べますが、そういうような格好で、それが年間を通じて最もスムーズな復旧工事が施行され、また農地の効用回復もそれによって一年でも早められるということが非常に望ましいことと思います。ただ、そのときの補償のやり方とか、どの程度のことを一体農民側で要求しているのかといったようなことがむずかしいので、今までできなかったのじゃないかと思いますが、大体どのような話し合いに従来なっているのか。これはきっと今までも現実には若干話が出て、結局価額の点で折り合わなかったのじゃないかと思いますが、その点至急調べました上で、この次に一つ御答弁申し土けたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/59
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060・多賀谷真稔
○多賀谷委員 労働省にお尋ねいたしますが、雇用吸収のために輸送施設または飯場施設の確保をやる、こういうことですね。これはもう合理化法案が出ましたときに、前の西田労働大臣は、移動住宅という話をされて、移動住宅を作るのだ、こういうお話をされたのですが、そういう構想がありますか、またこの点は具体的にはどういうことかを考えられておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/60
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061・三治重信
○三治説明員 最近組立式のパイプ住宅ができまして、これを具体的に業者の方が、安定所の紹介する人間をまとめて、一棟大体二十五人なんですが、二十五人単位の事業をやるとか、めどをつけて、そうして安定所側が今度は労務者に対してそれを募集して、そのめどがつき次第、具体的にそれを手をつけるという方法でやる。この点につきましては、九州は昨年から、これは私の方と地元のことに特失臨就労対策事業をやる業者との話し合いで、非常に輸送費がかかってかなわないということで、それについて、飯場の経費が請負金額の中に入ってているというけれども、現実の問題として、やはり相当の人間についての飯場というのは、組立住宅なんか寝具、炊事道具等を含む計算になっているものの請負金額ということになりますと、業者の競争が激しいから非常に無理だということから、そういうことを研究してみようということで、業者の方からもわれわれの方に試案が出てきているわけてあります。それでわれわれの方として、やはりこの問題についてずいぶん研究した結果、移動式の住宅ならば、これはその販売する業者の方が現地で組み立ててくれるし、それから移動する場合においても、その組み立てを援助してくれるというふうな販売形式をとっているようですので、そういうふうな格好で——ただ、これはわれわれの方が補助金を出したらすぐ移動式住宅ができるというわけではない。現地の方の具体的なその工事の個所の吸収する人員というものと、それからそれを管理する態勢が整わないとできないわけであります。これについてはわれわれの方はできるだけ補助金を出し、それから通産省の方も、石炭の炭鉱閉鎖による離職者についての収容ならば、この事業団の方でもそれについてのパイプ住宅の援助をしてもいいという申し出もありますので、これはパイプ住宅で二十五人収容して七十五万円くらいなもの、ただ、これは現実に住宅だけで、あと寝具とか炊事施設なんか要るわけであります。そういうことで、これは具体的に九州福岡地府で昨年から一番研究しているので、われわれの方は、今年でも少しやってみたらどうかということを言っていたのですけれども、これは今せっかく研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/61
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062・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これは請負業者が持つのですか、それとも労働省なら労働省が持つ、あるいは県が持ってそのパイプ住宅を移動さすのですか。このパイプ住宅というのは、請負業者が持つのですか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/62
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063・三治重信
○三治説明員 今の構想は、県が持って無料で貸与する、あるいは若干の使用料をとるという格好になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/63
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064・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この請負業者というのは、いわば、どこから労働者を連れてきてもいいのですからね。ですから、請負業者の代金の中に入れるというのは、やはりおかしいですね。請負業者というのは、働きに来てからの話ですからね。来るまでの費用を持てというのは、やはり請負業者としては、それを捻出するためには、どこか不正な工事をしなければならぬということになると思う。ですから私は、こういった失業者については、供給側の方に、やはり施設を持って、そうしてそこに送り込むまでは責任を持ってやるということの態勢ができない以上は、いかに公共事業には何%失業者を使えといいましても、無理があるのではないかと思う。ですから、この点をはっきり県が持つ、その補助金は国が出す、そして使用料をとるなんということをしないで、それは当然県が供給してやらなければならぬ、こう考えるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/64
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065・三治重信
○三治説明員 御趣旨の線で今研究して、具体的にわれわれの方はそういう態勢でおりますから、県が現地でその管理のやり方、それからその供給等についての契約の仕方というもの、それからそういう請負の実際の問題としては、請負契約の済んだ後になるわけですが、それは全体としての業者の話し合い——だれがどの事業を請け負っても、その事業を請け負った場合には、こういうことをするという打ち合せを、全体としての協定をやっておかなければいけない。それを今進めているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/65
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066・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういった準備を十分完成をして、そうして確立してからやってもらいたいと思うのです。そうしないと、この公共事業につきましては、就労の人員の吸収率というのがきまっておるでしょう。実際守られておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/66
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067・三治重信
○三治説明員 一般的には守られていないので、こういうふうなことに対する対策として、各省にも協力願って、どれだけの具体的な人員を吸収するか、その計画を出してもらう、それを現地の方で吸収するように、ここ両年来やっているわけであります。こういうふうにしないと、やはりその法律の趣旨が実際には動かされてこない。ただ、そういった地域に対しては、非常に協力していただいて、この線に近づきつつあるというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/67
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068・多賀谷真稔
○多賀谷委員 一つそれを推進してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/68
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069・長谷川四郎
○長谷川委員長 多賀谷君にちょっと申しげ上ますが、厚生省から水道課長さん、自治庁から財政課長さんが来ていますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/69
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070・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そこで厚生省にお尋ねいたしたいのですが、先ほど実は合理化法案に伴う買い上げの場合の住宅の水道の管理の問題が出ておったわけですが、御存じのように、炭鉱の炭住専用の水道というのは、あなたの方の水道法の規格に合わないのが非常に多いわけですね。そこで、法律も改正されましたし、実際問題として買い上げられた水道というのを改善するためには、かなりの額の費用が要るわけです。この改善費についてどういう考え方を持たれているか、政府としてどの程度補助金をそれに出されるつもりであるか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/70
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071・田辺弘
○田辺説明員 ただいまお話ございました買い上げ炭鉱で経営しておりました水道の処置の問題でございますが、仰せになりましたように、こういった水道はとかく施設が不完全でございまして、水道法の改正基準に反するものが多いわけでございます。こういった水道は、ただいま市町村の経営に切りかえられたものもございますし、大部分は水道利用者組合であるとか、あるいは生活協同組合であるとか、生活擁護組合、そういった従来使用しておった方々が組合を作りまして経営されておるのが、ただいまの実態の大部分でございますが、こういった施設が、炭坑もなくなり、しっかりした経営が従って困難になって参る、このまま続けておりますと、衛生的にいろいろ心配な点があるわけでございまして、これを何とか衛生的に安心ができる水道にしなければならないということにつきましては、申し上げるまでもないわけでありますが、しかしこれを十分な改良をいたしますには、相当な経費が要るわけでございまして、その経費をこういった組合で負担するというふうなことは、実情に浴わないわけでございまして、何とか事業団の方でそういった施設の改良まで、一つ心配をするということができないかどうかということで、通産省の係の方々ともただいま御相談を申し上げて検討をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/71
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072・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも検討する検討するということで、検討するというのはやらないのかというようにわれわれが疑うくらい実際行われていない。検討するということは実際行われていない。それで法律が改正されるのですから、これは当然議員として質問しなければいけないし、不備な点は改正しなければいかぬ。それまでにはっきり態度をきめておいてもらわなければ、法律が通過するときでもさらに検討するということでは、われわれは立法者として責任を全うすることができないと思う。一体厚生省はどういうつもりであるか、これをお聞かせ願いたいと思う。今から検討するというので逃げられたのでは、これは時限立法ですから法律がなくなってしまう。ですから一体どういう態度で臨まれるのか、幾ら補助金を出すのか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/72
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073・田辺弘
○田辺説明員 とにかく現在のままでは衛生的に心配がございますことは、ただいま申し上げた通りでございまして、その財源措置につきまして、無理のない実行のできる方法を一つ進めて参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/73
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074・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この問題について自治庁どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/74
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075・細郷道一
○細郷説明員 水道の移管の問題は、実は私伺っておりませんものですから、財源措置について今考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/75
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076・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういうことであるから、政務次官のお話によると二年くらい役所が研究しておるのはまだ早い方だとおっしゃるが、全くそれでは法律が通過した後までかかりますよ。もう昭和三十年に法律が通過しているのですからね。その後この問題がずっと起っておる。それを今まだ検討中であるということではわれわれは承服できない。一体いつまでに結論を出すのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/76
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077・樋詰誠明
○樋詰政府委員 厚生省との関係におきましては、先ほど厚生省の方からも御説明がございましたように、これを国庫補助という格好でやれないかということを、われわれの方からもお願いいたしまして、厚生省の方に御検針願っておるわけでございますが、それでどこまで国庫補助ができるかということが大体見通しがついたところで、地方負担分というものについては、とても今の地方自治体の実力からいって、なかなか自分自身で負担することがむずかしいので、これは起債という順序になるのではないか、こう考えるのでありますが、まだただいままでのところ、厚生省との間に、国庫補助でやってもらえるかどうかということ自体についてまだ話がついておりませんので、まず至急こちらの方の話を固めまして、そしてその不足分は起債で地方団体にやっていただくというふうに持っていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/77
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078・多賀谷真稔
○多賀谷委員 従来の市町村の行う簡易水道、その他の国庫補助はどのくらいですか。それと起債はどの程度ですか。これは厚生省並びに自治庁からお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/78
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079・田辺弘
○田辺説明員 ただいま国が水道に関しまして補助を出しておりますのは、簡易水道の新設のみでございます。簡易水道と申しますのは、計画給水人口が五千人以下百人以上の範囲の小規模の水道の新設につきまして四分の一の補助をいたしまして、その残りの七割程度が起債を認められておる現状でございます。そのほか補助を出しておりますのは、災害復旧に対しまして、風水害、地震その他の災害を受けました場合、二分の一の補助を出しております。なお、石炭採掘に伴います鉱害を受けました地帯の生水の枯渇対策として作られます水道につきましては、ただいまのところでは四分の一補助を出しまして、残りは地元の加害炭鉱の負担、こういうことで、ただいま進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/79
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080・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、いわば災害復旧のための水道の整備の場合は、二分の一の補助が出るというのですから、私はこれは少くとも二分の一の補助を出してもいいのじゃないかと思うのです。これは市町村としては、いわば災害と同じですよ、財政が逼迫するでしょう。炭鉱を買い上げるのですから、少くとも鉱産税という最も大きな財源を失う。一市町村で一つの炭鉱がなくなるというのは大へんですよ。これは全く財源の過半数を持っていかれてしまう。まず第一には鉱産税がなくなる。その次には固定資産税がなくなる。市町村財政の最も大きなものを持っていかれるでしょう。これはいろいろ問題もあり、県もとりますけれども、地方でいえば、電気ガス税もなくなる。それから住民税が、今までは均等割以上に払っておったのがなくなる。住民税のうちの法人税もなくなりますよ。それから住民税も均等割ですから免除しなければならぬという状態になる。支出はどうかといいますと、失業対策費を出さなければならぬ。生活保護費を出さなければならぬ。そうしてこれは県の問題ですけれども、だんだんだんだん環境が悪くなって、犯罪なんかが起る。そうすると、ものすごい出費になるんですね。ですから、こういったことは、市町村につきましては災害と同じですから、少くとも二分の一の国庫補助は出してしかるべきじゃないか、こう考えるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/80
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081・田辺弘
○田辺説明員 ちょっと即答申し上げる用意がございませんが、ただいまの石炭買い上げの地区に対するこの問題が、一般の自然災害とみなし得るかどうか、一つよく検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/81
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082・中川俊思
○中川(俊)政府委員 よけいのことですけれども、広義に解釈すれば災害ということも言えるだろうと私は思うのですが、一般通念としてそういうのを災害と言い得るかどうかということです。しかしそれは、今御説明のように、町村にとっては、固定資産税であるとか、鉱産税であるとか、いろいろな面で、財政上非常な支障を来たすから、確かに広義に解釈すれば災害ということを言って言えないことはないでしょうけれども、そういうものには従来政府として出していないと私は思う。従って、今あなたが、おっしゃるような観点に立つということになれば、これはやはり当初の財政計画というものを練り直さなければならぬということであって、とうてい昭和三十四年度には間に合わないだろうと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/82
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083・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次官はえらい同情あるような話ですが、最後には間に合わないという話です。私はやはり災害と同程度のものだということを言っておる。災害であるということを言っているんじゃないのです。ですから、災害と同じように考えていいんじゃないか、こういうことを申し上げておるわけです。ところが、災害については災害立法が必要である、こうおっしゃるならば、私は、与党の方の諸君が賛成してくれるなら、いつでもこの法律の改正案を出します。それに伴う水道については国庫補助金を二分の一にする、こうすればわけないんです。立法を今やっているのですから、次官がその気持であるならば、修正案を出して、廃山に伴う水道の新設あるいは改善については二分の一を出す——私はやはり市町村にとって災害と同じように考えていいじゃないかと思う。災害は一時的でありますけれども、これは恒久的です。恒久的にその炭坑はもう発掘しない。それだけの人口が減るんです。それだけの収入はなくなる。これは市町村にとりましては災害以上です。鉱物資源が枯渇する、そうしてその鉱物資源はその後出てこないのです。そういう考え方をすれば、むしろこれは永久災害です。ですから、そのくらいに取り扱ってもいいじゃないか、こう考えるんですが、これは自治庁はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/83
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084・細郷道一
○細郷説明員 今回の石炭合理化に関連して、地方団体の財政面に及ぼす影響は、ただいま多賀谷委員のおっしゃった通りだろうと思います。それだけに、私ども地方財政を預かる者としては、この仕事の重要性もさることながら、同時に、財政的なつじつまもできるだけ合うように処置して参りたい、こういうことを常に思っておるわけであります。そういう点も関係各省の方にいろいろお願いをしておる次第でありますが、お話のありました水道の問題につきましては、具体的の問題について私どもいまだ伺っていないのでありますけれども、おそらくは今お話のありましたように、この事業の性質にかんがみ、できるだけ国として何か援助の道はないだろうかということを、関係の向きにおいて御研究になるだろうと思います。そうした場合におきましても、なお水道施設自体についての財源ということになって参りますと、一般論としては地方債ということが考えられるわけであります。ただ、その場合に、地方債といたしましては、やはりその事業自体が収益性があるのかどうか、ペイするのかどうか、いわゆる水道料金を取ることによって、その借金が返せるかどうかという程度の経理が、やはり検討されなければいけない、同時に、また、そのことはこの程度の規模のものでなければいけないということもございましょうし、また今回のような引き継ぎを受けますような場合でありますれば、すぐ収益性を発揮できるような施設の状態にあるのかどうか、こういったようなことも考慮に入れてみなければいけないんじゃないだろうかというふうに、一般論として考えておるのであります。そういうことになって参りますと、個々具体の問題としてこれを処理していかなければならないというふうに考えるわけであります。なお、市町村の場合におきましては、やはり市町村の地域内全体の住民ということを絶えず考えに置いておるわけでございますので、かりにその施設が非常に局部的であったりすると、市町村がそのまますぐに引き継ぐのがいいかどうか、将来市町村内の全住民にも及ぼすという計画のもとに引き継ぐ方がいいのかどうか、そういったような一般行政上の問題もあるのではないだろうかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/84
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085・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は細郷課長はよく御存じないかもしれませんけれども、炭鉱専用の水道というのは、付近の農家あるいは住民の井戸が、ほとんど枯渇するために給水もしているのです。と申しますのは、鉱害で井戸が枯渇しますから、給水もしておる。はなはだしきは学校にも給水している、こういうような問題があるわけです。ですからそれは単に炭住の居住者だけでなくて、広く及ぼし得るものである。また別個にすでに市町村が水道を持っておれば、これは鉛管を伸ばしていけばいいのですから、割合に簡単ではないかと思うんですが、そういった場合に、私はやはり一般住民の福祉になるというふうに考えられますし、また福祉にならないものをあえて市町村がやるということは、あるいは困難性があろうかと思う。そこで問題は国庫補助金であり、起債であると思う。ですからまた考え方によりますと鉱害復旧の面もあるのですから、事業団も若干出し、あるいはまた厚生省の方からも補助金が来、さらにまた起債もできるということになれば、水道の施設というのは改善されるのではないかと思うんです。このま放置しておきますと、伝染柄なんかが出た場合は、これは大へんなことになる。一体だれが責任を持っていいかわからないという問題が起る。それで今までは炭鉱がやっておったんだから、炭鉱の責任だと言われますけれども、今度は、いやこれは生活擁護組合の責任だと言いましても、これは始まらぬ話で、それを指摘されたからといってどうにもならない。やはりこれは国が何らかの形で見てやる必要があるのではないかと思うんです。ですから今まで施設が完備しておらない。だめなら別の方から給水方法があるでしょう。しかしそれが改善されるまでは、改善費については、新設ではありませんけれども新設とみなして取り扱い、さらにそれは災害とみなして取り扱うという方法が必要ではないかと思う。あなたの方で災害というのは困難であるという話でありますならば、われわれは立法論としてそれは考えてもいい、かように考えておりますが、その点も一つ大臣から答弁を承わりたいと思います。そこで次に答弁を残しております。
大体以上が離職者に対する細部の問題であったわけですが、時間がもう十二時半になっておりますので、本日はこれで終ります。次会には一つ各大臣に来ていただいて、簡単でありますから、責任ある御答弁を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/85
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086・長谷川四郎
○長谷川委員長 本日はこれにて散会いたします。
次会は来たる十七日火曜日午前十時より開会し、新潟地区地盤沈下の問題について参考人より意見を聴取することになっております。
午後零時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104461X02919590313/86
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