1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年十二月十七日(水曜日)委員長の指
名で、次の通り小委員及び小委員長を選任した。
税制並びに税の執行に関する小委員
足立 篤郎君 内田 常雄君
押谷 富三君 鴨田 宗一君
夏堀源三郎君 濱田 幸雄君
古川 丈吉君 細田 義安君
毛利 松平君 山村庄之助君
山本 勝市君 春日 一幸君
久保田鶴松君 竹谷源太郎君
松尾トシ子君 横山 利秋君
税制並びに税の執行に関する小委員長
山本 勝市君
金融及び証券に関する小委員
足立 篤郎君 荒木萬壽夫君
内田 常雄君 奧村又十郎君
鴨田 宗一君 小山 長規君
田中 角榮君 竹下 登君
福田 一君 古川 丈吉君
福永 一臣君 細田 義安君
毛利 松平君 春日 一幸君
竹谷源太郎君 平岡忠次郎君
廣瀬 勝邦君 松尾トシ子君
山花 秀雄君 横山 利秋君
金融及び証券に関する小委員長
奧村又十郎君
国有財産に関する小委員
押谷 富三君 進藤 一馬君
南條 徳男君 西村 英一君
早川 崇君 藤枝 泉介君
坊 秀男君 山本 勝市君
佐藤觀次郎君 田万 廣文君
山下 榮二君 山本 幸一君
横路 節雄君
国有財産に関する小委員長
押谷 富三君
専売事業に関する小委員
奧村又十郎君 綱島 正興君
進藤 一馬君 西村 英一君
濱田 幸雄君 福田 一君
福永 一臣君 山下 春江君
石野 久男君 田万 廣文君
廣瀬 勝邦君 山花 秀雄君
専売事業に関する小委員長
山下 春江君
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昭和三十三年十二月十七日(水曜日)
午前十一時一分開議
出席委員
委員長 早川 崇君
理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君
理事 福田 一君 理事 坊 秀男君
理事 石野 久男君 理事 佐藤觀次郎君
理事 平岡忠次郎君
荒木萬壽夫君 奧村又十郎君
押谷 富三君 鴨田 宗一君
進藤 一馬君 夏堀源三郎君
西村 英一君 濱田 幸雄君
古川 丈吉君 細田 義安君
毛利 松平君 山下 春江君
山村庄之助君 山本 勝市君
石村 英雄君 春日 一幸君
田万 廣文君 竹谷源太郎君
廣瀬 勝邦君 山下 榮二君
山花 秀雄君 横山 利秋君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
出席政府委員
大蔵政務次官 山中 貞則君
大蔵事務官
(理財局長) 正示啓次郎君
委員外の出席者
議 員 佐藤觀次郎君
大蔵事務官
(大臣官房日本
専売公社監理
官) 村上孝太郎君
大蔵事務官
(主計局法規課
長) 小熊 孝次君
日本専売公社総
裁 松隈 秀雄君
日本専売公社理
事
(販売部長) 冠木 四郎君
日本専売公社塩
脳部長 小林 章君
専 門 員 抜井 光三君
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十二月十七日
委員石村英雄君辞任につき、その補欠として久
保田鶴松君が議長の指名で委員に選任された。
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十二月十六日
所得税法の一部を改正する法律案(佐藤觀次郎
君外十三名提出、衆法第六号)は本委員会に付
託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第七号)
産業投資特別会計の貸付の財源に充てるための
外貨債の発行に関する法律案(内閣提出第八
号)
所得税法の一部を改正する法律案(佐藤觀次郎
君外十三名提出、衆法第六号)
専売事業に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/0
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001・早川崇
○早川委員長 これより会議を開きます。
賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対して質疑があればこれを許します。御質疑はございませんか。——御質疑がございませんので、これにて本案に対する質疑は終了いたします。
これより討論に入りたいと存じますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/1
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002・早川崇
○早川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
これより採決に入ります。本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/2
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003・早川崇
○早川委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/3
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004・早川崇
○早川委員長 産業投資特別会計の貸付の財源に充てるための外貨債の発行に関する法律案を議題といたします。
質疑があれば、この際これを許します。——横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/4
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005・横山利秋
○横山委員 先般の委員会におきまして、あらまし質疑を終えてはおりますが、いよいよ法案を上げるに先たちまして、さらに念のために大蔵大臣に伺っておきたい点が二、三ございます。
その第一点。先般の問題の焦点でありました点は、アメリカにおける景気上昇の度合い、それから、公定歩合の引き上げの状況からいって、今日アメリカにおいて外債を募集することが、世界銀行の利率等からの関係を考慮いたしますときに、果して、外債を募集するにしても、適当であり妥当であろうかということが残されておりました。その場合、大蔵大臣の答弁といたしましては、法律案は通してもらうけれども、もしも、これをアメリカへ持っていった場合において、利息が高いようであるならば、外債は必ずしも募集しない、こういうお話があったわけであります。その後池田元大蔵大臣がアメリカに行かれ、また一萬田前大蔵大臣がアメリカへ行かれ、その間の事情が新聞に若干載っておるのでありますが、今日現在の状況として、外債をアメリカで募集する条件について、大蔵大臣はどういうふうにお考えであるか、伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/5
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006・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 前国会におきまして、委員会を通じてお答えをいたしました考え方に、今日も変りはございません。今日皆様の御審議を終えて本案が成立することになりましたら、しかる上で交渉を持つつもりでございます。まだただいままでのところ積極的に具体的な交渉を持っておりません。しこうして、アメリカにおける景気の状況等は、非常に急激な変動はないものだと予測いたしております。特に年が明けまして一月、二月というような月は、アメリカの金融市場も比較的閑散な時期でありまして、こういう際に具体的な交渉に入ることができるといたしますれば、当方にとりましても、有利なもとにおいて話を進め得るのではないか。この点は、池田元大蔵大臣かアメリカに参りまして各方面を打診したところも同様でございます。従いまして、何とぞ、皆様方のお力によりまして、すみやかに本法律案の成立を願いまして、そして私どもが具体的に折衝し得るような段階に一つ御協力を願いたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/6
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007・横山利秋
○横山委員 非常に抽象的なお話でございますが、少くとも世界銀行の金利が五分七厘五毛、最近六分になるようでありますが、この際に、アメリカにおいて募集いたします外債が不利であるならば募集しないというあなたの先般の表現は、アメリカの経済事情がどういう事情にあり、どの程度でこれが実現できるかという見通しをもお持ちになっておるのではないかと思うのであります。いささかその具体的な点について説明をしていただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/7
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008・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 前国会に本委員会を通じて申し上げましたように、金利が当方にとりまして非常に不利であるという場合におきましては、これの具体化は差し控える、こういう考え方に変りがない。この点は今日重ねてお答えをいたしておきます。また、世界銀行の金利自身が最近変ったのではないか、こういうお話でございますが、ただいままでのところ、世銀の金利自身の引き上げは行われておりません。これは将来の問題といたしまして引き上げがあるのではないか、こういうような心配を一部でいたしておりますが、ただいままでのところそういうものはございません。この点ははっきり申し上げることができるのでございます。
なおまた、この年末までに、アメリカ市場におきまして第三国が外債を募集しておる実例等もございます。オーストラリアの外債も発行いたしておりますが、これなども一つの材料と——これはもちろん日本とオーストラリアとの経済力の相違等がございますから、そういう点で、私どもが交渉する場合に、直ちにこれを採用すると申すわけではございませんが、そういうことも最も近い先例として考え得るのではないか、かように考えておる次第でございます。このオーストラリアの外債発行の条件などは、ただいま私どもは詳しいものをつかみ得ない、こういう状況にございます。しかし、私どもが今つかんでおるところでは、比較的有利な条件下において結ばれておるのではないか、かように考えます。この資料などは日本の外債発行の場合に私どもが取り上げ得る参考材料だ、実はかように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/8
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009・横山利秋
○横山委員 もう一、二点でございます。
この外債についての経済政策上の矛盾点は、次のように私どもは主張いたしたのでありますが、そのときに大臣がおられませんでした。これは、円資金調達のための外資導入に非常に警戒をなさっていた政府が今外債を募集する、こういうことの矛盾、第二番目には、国内で円資金を出しておる経済開発は消極的でありながら、外資を導入して行う経済開発は積極的であるという矛盾、第三番目は、自己資金である外資はどんどんためながら、外国からの借款に血道を上げることの矛盾、第四番目は、不況対策は国内政策としてとらないのに、外資を借りて経済成長率を高めるということの矛盾、これらの矛盾については、今日まで政府側から十分な解明がなかったのであります。今明年度の予算編成期に差しかかっておりますから、これからの問題として、外資導入という一つの経済政策の太い筋道を通すについて、明年度の予算の過程でこれらの矛盾を解消なさるというのであるならば、これはある程度筋道が通るのでありますが、大臣としてこれら今あげました矛盾を明年度の予算編成の過程で解決をなさっていくつもりであろうかどうか、これをお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/9
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010・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 経済政策の基本の問題につきましていろいろ誤解があるのではないかと思います。私どもは、外資あるいは円、こういうようなもので別に区別をいたしておるつもりはございません。国内の産業開発のために、あらゆる方面からの資金調達を計画して参っております。同時に、経済の向上発展のために、各方面から、内外とも資金の調達をはかっておりますが、同時に、流通円価の維持といいますか、安定といいますか、これについては絶えず留意いたしておるのでございます。この観点に立ちまして、その資金の使い方にもおのずから区別がある。この点は御了承いただきたいと思うのでございます。
外資導入について、今回外債発行、かような形式をとりますが、前国会におきましてもしばしば御説明いたしましたように、すでに世銀その他から国内に導入されておるドル資金というものも相当多額に上っておるのでございまして、この三千万ドルの外貨債発行ということで、初めて外資が入ってくる、こういう状況なものでないこと、これは一つ御了承いただきたいと思うのであります。同時にまた、世銀その他のところからいわゆる電力債その他のものが入っておりますが、いわゆる基幹産業に対する融資の道は、ただいま世銀等、まあ特殊の国際金融機関からその資金を得る方法がございます。その他の産業の面等におきましては、特許権その他の名目のもとにおいて相当の援助を受けておる。これらの点も一つ念頭に置かれまして、産業の向上発展のために、政府といたしましては、円資金なりあるいはドル資金なり、そのいずれにいたしましても、これを経済発展のために協力できるような態勢に持ち込むという考え方、これはもちろん従前と変りのないこと、これをこの機会に重ねて申し上げる次第でございます。
同時に、先ほど注意の点として申し上げましたように、通貨自身の価格の安定ということには特段の留意を払っていくんだ、そういう意味で、予算編成等におきましても、おのずからこの面からの制約を受けていく。今まで申し上げておりますように、一般会計予算としてはどこまでも均衡予算をとっていく、同時にまた、財政資金等におきましては、産業開発の面におきまして十分考慮のできる点は考慮していく、こういうようないわゆる財政と金融との一体的な弾力的な運用によって、経済の需要にこたえていく、財政投融資計画を立てていく、まあこういう考え方を持っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/10
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011・横山利秋
○横山委員 アメリカ経済との関連を、私どもとしては、すみやかに円滑に、できれば円滑に断ち切って——断ち切るというのは語弊がありますが、今日の負担を軽減することが必要であると私考えておるのであります。今外債をアメリカで募集することによってアメリカ経済に負う一つの借金は、それはそれ、これはこれということでは済まないと思うのであります。今日アメリカとの交渉の問題の中に防衛分担金の削減の問題がございます。それから第二番目に、先般来私が強く心配いたしておるのでございますが、イロァ資金、ガリオア資金の返済の問題もアメリカからはやいやいと言われている問題であります。かてて加えて、本来ならばこれは世銀から借りたかった金であることは、御存じの通りであろうと思います。これらの関連の問題が、この外債を募集することによって、アメリカ経済におんぶをすることによって、今言いました第一の防衛分担金の交渉に影響はないか、またどういう交渉を行なっておるか、イロア資金、ガリオア資金の返済について公約をしあるいは何かの取引をされるということはないか、この点はどうなっておるか、今後の世銀に対する借款の、すでに新聞にも出ておるのでありますが、東海道線を初めその他の問題について話をかけられておるようでありますが、これらに対する影響はないか、この交渉はどうなっておるか等、これに直接間接に関連をいたします諸問題についての御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/11
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012・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 結論から先に申し上げますと、防衛分担金の交渉とかあるいは特別援助物資の跡始末であるとか、その二つには関係はございません。今後の問題といたしまして、防衛分担金の問題は防衛分担金の問題として、アメリカと交渉を進めていく考え方でございますし、また特別援助物資に対する跡始末の問題は、前国会において大蔵委員会を通じてお答えをいたしましたように、わが国の賠償問題等の見通しがついた後にその問題にとりかかるということでございまして、この問題の交渉はしばらく時期を延ばしておるという段階でございます。また、第三の国鉄新幹線の建設等における外債等につきましては、これは、外債にするかどうか、どういう方法にするかは別といたしまして、外国資金の援助を受ける必要があるのではないかという考え方から、今回その方面の関係の人たちがアメリカから参りましたときに、十分国鉄当局とも話し合いをさせ、同時に、実際にその調査に乗り出さして、深い理解を持って帰っておるような次第でございます。この問題は、基本的には、新幹線を取り上げるという問題なり、またこれをいかに実施していくかという問題とももちろん関係のあることでございます。そういう場合に、内外の資金をいかなる方法で調達していくかということでございますが、ただいままでのところは、この外貨債の発行が悪影響をもたらすというようなことにはもちろんならないと思います。むしろ、私どもの交渉次第によりましては、おそらくこの鉄道建設ということが決定され、その資金を確保する、こういう場合に、好影響をもたらすような方向でこの話は進めるべきではないか、実はかように考えて、ただいま取り組んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/12
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013・早川崇
○早川委員長 竹谷源太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/13
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014・竹谷源太郎
○竹谷委員 ただいま議題になっておりまする法律案は、第一条によって、ドル表示の公債を政府が発行する権限を認める、あるいは第三条で、アメリカ合衆国ドル表示の借入金をする権限を政府に与える、こういう法律案のようでありまするが、これは、ドル表示のものであれば、募集の地域はどこでもよろしいか、北アメリカ合衆国だけであるか、あるいは欧州でもいいか、カナダでもいいか、ソビエトでもいいか、それをお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/14
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015・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 竹谷委員にお答えいたします。
過去、アメリカで募集されておるドル資金の外債が、アメリカ市場で消化されないで、欧州市場で消化されたという話をしばしば聞くのでありますが、今回の金額はきわめて——きわめてとは申しませんが、少額でございますし、この程度はアメリカ市場でこれを消化する、こういうような話し合いで今日まで参っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/15
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016・竹谷源太郎
○竹谷委員 大蔵大臣の答弁の裏は、そうしますと、ドル表示の金であればどこで応募してもらってもよろしい。たとえばソビエトなり中国が応募してもよろしい。法律の条文上はそういう建前かどうか、それをお聞きいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/16
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017・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 法律的な論議はただいま言われるようなことになるかと思いますが、実際に世話しております幹事銀行等から見ますと、現実にはアメリカ市場で消化される、かように御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/17
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018・竹谷源太郎
○竹谷委員 まあ法律上では、どこで募集しても、どこが応募してもいい、こういうことになるが、現実には、今回はアメリカの応募に待つ、こういう趣旨であることはわかりました。まあいろいろ今後こうして借りるようにするためのこれは第一段階の措置であろうと思うのですが、外債を発行する、それによって別に政治的にどうのこうのということはないと思うのでありますが、だんだん金額が多くなり、いろいろな関係が出てきますと、これは非常に政治的な意味を持ってくる。商業的に外国から日本の必要な開発資金等を調達する場合、金利が安くて相手がよければ、どこから借りてもいいのじゃないか。たとえば西ドイツは六十億ドルもの外貨を持っておる、あるいはソビエトはもっと有利な低金利でもよろしい、こういうような場合には、商業的に有利な方から、何ら将来政治的な意味を持たせないで、一国だけに片寄った特別な経済的な依存関係を持たせない意味からも、諸外国から純経済的に募集することがいいと思うのです。これはどう考えるか。将来、西ドイツなりスイスなりソビエトなり、こういうところから借りる意思があるのか、今後も続けてアメリカだけでしか募集しないというお考えであるかどうか、承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/18
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019・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 理屈の問題もさることですけれども、こういうものは、やはり片一方から貸してくれるということが十分であり、こちらからも借りる。そうしてそれが相対として考えられるという自然的な問題としてきまるものでございますので、ただいまいろいろの具体的な場合を例示なすって、この場合どうするか、こうするかというお尋ねでございますが、自然的にきまるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/19
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020・竹谷源太郎
○竹谷委員 この間西ドイツのエアハルトが来て貸してもいいと言った。ソビエトも、もっと安い、年に一分くらいで貸してくれる、こういう場合にも政府は拒否するか。アメリカからだけしか借りない意向であるかどうか。商業的にやったらどうですか、政治的にばかりきめないで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/20
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021・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 ただいま結論として、別にこれは政治的にきめておるわけでございません。これはむしろ経済的コマーシャル・べースできめておるのでございまして、その点は御意見の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/21
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022・早川崇
○早川委員長 石村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/22
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023・石村英雄
○石村委員 先ほどから横山君の質問もあり、また前臨時国会でも相当この問題は論議されたと思いますから、私は最後の機会に念を押す意味で簡単にお尋ねいたしますが、この三千万ドルの外債を発行するという趣旨は、結局の第一目的というものは、円資金を必要とするという意味であるのか、それとも日本の外貨準備のためを一つは考えておるのか、どちらに重点を置いてこの外債の募集に乗り出しておるのか、この点をお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/23
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024・正示啓次郎
○正示政府委員 この点はたびたび大臣からもお答えを申し上げましたと存じますが、外貨準備を蓄積することも、もとより外貨債の当然の効果として期待をいたしております。さらに国内におきまして必要な電源開発の資金というものにも当るわけでありまして、まさに一石二鳥をねらっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/24
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025・石村英雄
○石村委員 もちろん外債ですから、外貨準備にもかわってくるということはわかるわけなんですが、ただこの外債を三千万ドル発行しようという第一目的ですね。これは並列的なものではなしに、やっぱり第一目的があるのじゃないかと思う。今日、日本の外貨準備の点からいけば、それほど三千万ドルが重要であるとは考えられない。従ってどちらかにやはり重点がある。将来の問題を考えておるのかもしれませんが、現在この法律をどうしても通してくれ、こう大蔵大臣は先ほども懇願せられたわけですが、それほど重大なものなら、第一目的というものがはっきりしておるのじゃないか。また、円資金と申しますか、世銀が電源開発関係を一部削除した。そのためにやむを得ず円資金を目的としてこれは借らざるを得ないのだということかどうか。どちらか重点があると思う。その点をお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/25
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026・正示啓次郎
○正示政府委員 お話の二つの機能につきまして、どちらが第一義的であるかというお尋ねでございますが、この点は私は客観的な情勢によっておのずから変ってくることが考えられると思うのであります。非常にこの外貨準備が枯渇しておるようなときにおきましては、もとより外貨準備ということに非常なウエートがかかると存じます。今日の事態のもとにおきましては、国際収支は非常に堅調な足取りをたどっておりますので、むしろ、今石村委員の御指摘のように、当面必要な国内における円資金という面がウエートが強くなっておるのじゃないか、こういうお考え方かと存じますが、これらは、いわば客観的な情勢によりまして、おのずからそのウエートの置き方というものが変ってくるのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/26
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027・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 今の話では不十分でございまして、お尋ねの点、あるいは少しぼけておるかと思いますが、この外債を発行いたしたいという三千万ドルは、かねてから、電源開発所要資金といたしまして、世銀に対して約四千万ドル近いものを予定いたしておったのでございます。この世銀からの融資というものにかわる意味において、この三千万ドルを発行しようということでございます。この点は、当初この外債法案を出しました際に、世銀からの融資計画というものをよくお話しいたしましたので、今回のこの外債発行についての必要性はおわかりがいただけておるのではないかと思います。従いまして、当時も申し上げましたように、外債の発行が非常にむずかしいような場合といいますか、これが不可能であるというような場合におきましては、従前通りに、世銀からの融資のワクそのものについては変りがないような処置をとるということは、実は申し上げて参ったのでございます。従いまして、この外債をこれたけ発行いたしますと、結局この範囲だけ世銀のワクが広がるということでございます。これがいわゆるドル資金がほしいのか、円資金がほしいのか、こういうことになって、今のお尋ねのような議論になるのだと思いますが、事情は、その当初の外債というか、外国からの資金を確保する。その計画の一部としてこのものを取り上げた。同時にそれが円資金として国内で使われる。こういうものであることは御了承がいただけるのではないか、かように思います。つけ加えて申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/27
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028・石村英雄
○石村委員 大体、大蔵大臣の御説明で一応の考え方はわかりましたが、そういたしますと、今回は三千万ドルですが、これが将来政府としてはさらに五千万ドルとかなんとかというようなことを考えておるわけではない、こう理解していいのですか。それとも、事情——事情といえば、将来いろいろのわけのわからぬことがあるのでしょうが、どんどん外債を募集していこうという含みがあるのかどうか。どうも正示局長の説明だと、そういう含みがあるようにとられるのですが、その点をもう一度はっきりさしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/28
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029・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 ただいま石村委員がみずから自問自答しておられるような考え方でいいのだろうと思います。いわゆる将来の問題は将来として考えるんだろう、今回は三千万ドルだろう、こういう冒頭のお考え通りでけっこうなのでございます。ただ、気持の上から申しまして、将来どんどん外債を発行するという、こういうような気持はもちろんでございませんし、どんどん発した場合に、そういうものがどんどん引き受けられるとも実は考えられない。そういう点はおのずから日本の持つ経済力というものを勘案して決定さるべきものでございますから、今外債の発行が成功したからといって、将来これでせきを切って日本の負債がどんどんふえるのじゃないかというそういう御心配はなさらなくてもけっこうじゃないか。また私どももさようなことを考える筋ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/29
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030・石村英雄
○石村委員 円資金問題についてはまだいろいろ論議したい点もあるのですが、限られた時間ですから、それは後日に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/30
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031・早川崇
○早川委員長 これにて質疑は終りました。
続いて討論に入ります。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/31
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032・横山利秋
○横山委員 簡単に、要点にわたって、私は社会党を代表して反対討論を申し述べたいと思うのであります。
少くとも、一般的な経済事情の段階におきましては、外債を発行すべき理由がある点は三点だといわれておるのであります。一つは、国内資金が不足する中で、経済成長率の向上を必要とする場合であります。一つは、外貨が逼迫する中で、外国での物資が必要であり、買い入れをする場合であろうと思われます。第三番目は、資金の余った国で金利が安いからという場合であり、非常に長い期間、長期に借りかえが可能であるとか、そういういい条件がある場合に外債を募集するのが、一般的理論であります。しかし、今回は、どう考えましても、そのいずれにも該当しない。要すれば、くどくどと大蔵委員会で私どもが政府側にその意向をただしましたところ、とにかく、今少額ではあるけれども、長らくやらなかった外債を募集するという実績を一つ作っておいて、そういう実績を作った上において今後本格的なことをやりたい。その地ならしのためにやっておきたいのだ。これが政府側の言う私どもに対する一番説得力のある理由でございました。しかし、それであるならば、今日どうしても外債を募集しなければならぬという理由は生まれてこないのであります。それかあらぬか、この外債に対する政府側の態度というものは、二転、三転、著しいものがございました。たとえば、昨年のことでございましたか、一萬田さんとブラック総裁との会見があった場合に、拒否された。これはもうあかぬということになった。その次に、本年の春でありましたか、ラァースト・ボストンと一萬田さんとの間に協議があって、また復活した。今年の六月に、IMFの渡辺理事を通じ、いろいろな理由をあげて、とてもこれはあかぬぞという話があって、またあかなんだ。今度は世銀へ行って、そうして佐藤さんが世銀からの借款に非常に努力をされた結果、世銀はお前の方で一つ自分の力を出してみろ、こういう話が——新聞に伝えるところでございますから、それはどうおっしゃるか知りませんけれども、私は一般的に信じられておる理由を言っておるのでありますが、それによって世銀に断わられた結果、この外債というものがにわかに登場して参りました。そう一般にいわれておるのであります。二転、この三転の理由については、いろいろと政府側からのお話もございますが、それには私どもが信頼し得る理由というものが足らないのであります。その二転、三転をいたしました中において、しかも、今日政府側の態度としていわれておりますのは、アメリカで外債を募集する、けれども、もしアメリカの経済事情が悪かったならば、外債はあえて募集しない、これが政府側の態度であります。この最終的態度というものは、今言いました二転、三転の事情を裏書きしているように私どもには考えられてならないのであります。
そこで、しからばこのアメリカにおける経済事情はどうであろうか。これは、もう、本委員会の質疑応答の中で明らかになりましたように、また大臣がみずから確かめられたように、アメリカの経済事情は、金融が少し逼迫をして参りまして、すでに数ヵ月前から公定歩合の引き上げが行われ、世銀における利子に接近をし、場合によってはそれが六分を割るかもしれない、実質金利は六分を割るかもしれぬといわれておるような事情であります。そうであるといたしましたならば、さらに今日外債をあえて募集しなければならぬという積極的な理由はなくなって参ります。
私は、先ほどあなたに、外債を募集する立場と、今日までの政府側の経済政策との矛盾を、数点をあげて申しました。重ねて申しますけれども、円資金の調達のための外資導入に非常な警戒をされてきた政府が、外資導入を断固として推し進める法案を通せという経済政策との内外の矛盾が第一番であります。第二番目に、国内で円資金を出して行う経済開発は、今日まできわめて消極的でありましたのにかかわりませず、外資を借りて行う経済開発は積極的にするという矛盾は、おおうべくもないのであります。また自己資金である外資はぐんぐんためながら、本年度は四億ドルだとか五億ドルだとかいう数字がもう出ておりますのにかかわりませず、外国からの借金になぜ今血道を上げなければならないのか、なぜ自己資金である外貨を使っていかないのか、そういう矛盾をこれはおおうことができません。それから、もう一つの理由は、不況対策をしないと言っていらっしゃる。また不況でないと言っていらっしゃる。けれども、これはかりに水かけ論だといたしましても、本年春以来の経済の低迷、横ばい、あるいは一部産業における危機というものは、何とおっしゃいましょうとも、これは現実の事態であります。そういう経済政策に対してはきわめて消極的で、閣内における意見の対立も伝えられておるのでありますけれども、そういう国内政策における状況と、外貨を借りて経済成長率の向上をはかるという立場というものの矛盾は、一体どういうふうになるのでごさいましょうか。
私は、今この法案が上るに際し、ちょうど側面で明年度の予算編成が行われておるのでありますから、この明年度の予算編成というものが、今申し上げましたような諸般の事情、諸般の矛盾というものを埋めるものであるかどうかについて質問をいたしたのでありますが、編成過程であるからでありましょうか、政府側の大臣の答弁はきわめて不十分な状況であります。また、翻って考えて参りますると、今日日本が外国に対して支払うべきいろいろな負債というものは、戦前の外貨債、世銀からの借款、賠償、経済協力あるいはイロア資金、ガリオア資金等を含めますならば、相当多額なものであります。さらに、その他今日確定をいたしておりませんイロア資金やその他の賠償を含めますときには、なかなか今日の日本の経済事情のもとにおいて容易ならざるものと思われるわけであります。しかるにもかかわらず、今どうしても必要とも思われない、積極的な理由があるとも思われない外債に対しまして、いろいろ二転、三転した結果、場合によっては、これは面子の問題とも私は思われるのでありますけれども、そういうお立場については、少しここでお考え直しをなさる必要があるのではないか、こう考えられてならないのであります。日本の経済というものがこれから一体どういうふうになるのであろうか。この外債が、一たん産んだ子供がどんどん成長いたしますということは、各国の外債の歴史的事情からいって、これは大きくなることはあっても小さくなることはありません。従って、今日、たったとおっしゃるかもしれませんが、この百億内外の外債というものが日本の今後の経済歴史の中で大きな障害となるということを、私はきわめて危険に存ずるのであります。もちろんそれは百パーセント危険であるということを断言はいたしませんが、経済歴史の中で、最初は小さかったこの外債が、ひいては内債となり、赤字公債と発展をし、そして大きな障害を与えるであろうということを、今日の状況において予言をしなければならぬと痛感をするものであります。
以上いろいろと申し上げましたけれども、従って、このような事情のもとに外債を発行することについて、私は日本社会党を代表いたしまして強く反対をいたします。私の討論は以上をもって終る次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/32
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033・早川崇
○早川委員長 これにて討論は終結いたしました。
続いて採決に入ります。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/33
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034・早川崇
○早川委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
なお、この際お諮りいたします。ただいま可決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成並びに提出等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/34
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035・早川崇
○早川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/35
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036・早川崇
○早川委員長 次に、昨十六日付託されました佐藤觀次郎君外十三名提出、所得税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
提出者より提案理由の説明を聴取することといたします。佐藤觀次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/36
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037・佐藤觀次郎
○佐藤觀次郎君 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
深夜の十時から早朝の五時まで、官庁、民間産業を問わず、業務の必要に応じて働く夜間勤務労働者の夜間労働に対して支給される金額は平均して僅少であり、実費支弁的な内容を持っているにかかわらず、一般給与と同様の税率が適用されております。夜間勤務の特質は今さら言うまでもありませんが、肉体的、精神的な疲労のおびただしいものがありまして、人間として不規則な生活を重ねる結果、回復し得ない疲労が残り、平均年令についてまで影響あることは統計にも明らかであります。従って、これらの者について、税制上からも措置すべきであるとの意見は数年前からございまして、すでに日直料、宿直料として支給されているものにつきましては、二十九年一月一日以降課税しない旨を、国税庁長官から通達が発せられております。しかるに、実際に働いている労働者の夜勤手当等について同時に考慮ができなかったことは、大蔵省として当時調査中として、時間の関係上からとはいえ、不均衡きわまるものがあるといわなければなりません。関係者の痛嘆しているところでございます。
夜間勤務者の種別、階層、金額など調査してみましても、まことに気の毒であり、収入する夜勤手当等は、夜間勤務者が夜食するシナそば二はい分に該当するくらいのものであります。この際、実費支弁の意味において、非課税とする立法措置を講ずる必要があると存じます。労働基準法におきましては、夜勤手当は最低百分の二五としておりますが、率によって恩恵が区々にわたるのを避けるために、この特例の限度率は基準法通りの百分の二五といたしております。また、これが適用されるのは、警察官、看護婦、交通労働者、その他民間産業にあって溶鉱炉を守って働く夜間勤務者などでありまして、そう大きな金額にならないものと推定をいたします。このくらいの金は、政府において十分措置し得ると考える次第であります。
今日税制の特例は、各方面にわたり行われておりますが、それらはほとんどが大企業、大口所得者に対するものでありまして、日本産業の基礎となっております労働者に対する思慮は、ほとんど皆無であります。何とぞ、御審議の上、深夜黙々として産業復興、公共、治安、病人の看護、交通安全に携わっております男女労働者諸君に対し深甚の考慮を払われまして、すみやかに可決されんことをお願いする次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/37
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038・早川崇
○早川委員長 これにて提案理由の説明は終りました。本案に対する質疑は次会に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/38
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039・早川崇
○早川委員長 次に、専売事業に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますのでこれを許します。石村英雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/39
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040・石村英雄
○石村委員 昨日から塩田整理問題についていろいろ伺っておるのでありますが、どうも、総裁あるいは大蔵大臣の御答弁を見ましても、われわれの納得のいかないことが非常に多いのであります。大体、日本の過剰塩の問題は、何もきのうきょうに始まった問題でなく、この委員会では昨年から大問題になって、相当論議されてきた問題であるわけであります。ところが、きのうも、錦海湾の塩田問題が出ましても、これに対して総裁や大蔵大臣ははっきりした御返事をなさっていらっしゃいませんし、また、聞くところによりますと、大分県の豊後高田というところでも、この夏もしきりにこのことは私は問題にいたしましたが、依然として流下式に転換が継続工事でやられている。過剰塩で何とかしなければならぬというときに、新しくどんどんそういう流下式の転換たとか、あるいはまだ潮どめも終っていないというところを依然として継続させるということは、常識から考えると、どうも納得いかないわけであります。何とかして塩田を整理しなければならぬという事態に立ち至っておるとするならば、たとい許可は以前に行われておりましても、早晩廃止をさせなければならぬということを考えますと、まだ完成していないところをやめさせる、流下式の許可は取っているが、まだ着手していないのなら、それを中止させるという、そういう措置が当然とられていいじゃないか。それを、以前許可しているからといってそのままどんどんやらせておる。そしてあとでこれを整理するということになれば、公社としても、国としても、きわめてむだな施設を知りながらやらせる、こういうことになる。従って、こういうことが現実の問題になっているときには、まだ未完成のもの、着手していないもの、こういうものは、とにかく過去の見通しの誤まりという責任問題は別といたしまして、とりあえず中止させるということが常識的な処置ではないかと思う。これを一向おやりにならぬのはどういうわけか、われわれ納得いかないわけですが、この点まず総裁はどのように御理解になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/40
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041・松隈秀雄
○松隈説明員 ただいま御質問になりましたことにつきましては、この前の大蔵委員会におきましても御同様な質問がございまして、お答えを申し上げたのでありますが、製塩事業は許可事業でありまして、製塩設備の許可をいたして、許可を受けた者が製塩事業の施設を行います場合に、生産過剰であるというような見通しから、許可をした工事を取り消すというわけにはいきません。それからまた、停止を命ずるというようなことが話し合いでできれば、それは別ですけれども、業者として株主関係、あるいは資本関係、金融機関の関係等があって、なかなか一たん始めた工事の中止は困難だと思います。従いまして、そういう中止を命ずるというようなことになれば、補償等の問題も解決のめどを立てなければ、民業に干渉、圧迫を与える、こういうことになるわけでありますので、公社として法律の建前からそのことは非常に実行が困難であるということを説明申し上げたので、御了承願っておるかと思うのであります。きょう重ねて御質問がございましたが、大体この前お答え申し上げたと同様の趣旨でございます。
それから、塩業審議会におきまして塩業の根本対策を立てるという場合におきましては、既設の塩田製塩、機械製塩はもちろんでありますが、現に起工中のものあるいは未稼働のものというようなものを含めまして、塩業の根本対策を樹立し、塩業の合理化をはかるのにはどういう整備を行なったらいいかというその段階においては、もちろん未着手のもの、あるいは起工中のものを含めての整理を審議しておりますので、これらについても既設のものをあわせて審議の結果の答申がいただける、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/41
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042・石村英雄
○石村委員 そういう御答弁は前から聞いておるが、それが理解できないから重ねて聞くわけなんです。なるほど、着手途中のものをストップさせる、それに対しては補償しなければならぬということは当然でございます。しかし、それができ上ってもやはりそれをやめさせなければならぬから、今度の塩田整理という問題が起るわけであります。そうするとすれば、まだ途中でやめさせた方が補償額が少くて済むわけだ。国家的にもその方が有益なわけなんです。役にも立たぬものをどんどん作らして、そうしてやめさせて補償する、こんなばかげたことはないわけです。だから、それを法律的にはどうもしようがないといって、いつも答弁されることが、常識的にわれわれは理解できないと言っておる。それは許可したのだからしようがないといえば、法律的にはそうでありましょうが、行政的に話し合いがつかないのか。やれないのか。そこが不審でならない。これは大蔵大臣どのようにお考えになっておるか。一たん許可したから、先に行ってやめさせなければならぬということがわかっていながらも、それをどんどん継続工事を進めさせる。結局むだなものを作る。国民経済からいっても大へんなむだなことだと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/42
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043・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 先ほど来松隈総裁からるるお話がございましたし、また昨日の当委員会におきましても私からもお答えいたしました。どうもそれが納得いかぬから重ねて聞くんだ、こういうことでございますが、当時申し上げましたことは、こういういわゆる未着手のものだとかあるいは着工中のものを除外するとかしないとかいうようなことまでも含めて審議会が答申をする、せっかく今審議会にかけておる最中だ、こういうことを実は申し上げておるのでございます。法律的には、先ほど来申しますように既得権者であるということはもうはっきりしている。あるいはそういうものをどういうような扱いをするかということは審議会が結論を出してくる、その結論を待った上で大蔵省なり専売公社なりは処置をきめる、こういうことを実は申し上げておるのであります。この審議会が答申を出さない前に理論的な意見の交換をすること、これは審議会に対してあるいは有力な参考資料を提供することになってけっこうかとも思いますが、われわれ管理者側の者といたしましては、せっかく諮問している最中でございますから、やはりその答申を待って、その結論を見て、しかる上で処置をとる、こういうことを申し上げておるのでございます。どうかこの点御了承いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/43
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044・石村英雄
○石村委員 やはり了承できないわけなんです。(笑声)審議会々々々と言われるのですが、すべてを審議会に押しつけられるわけですが、審議会というものは総裁の諮問機関にすぎない。これに相談しなければ何もできないというような法律的ななにはないわけなんです。一たん許可したものを取り消すことは簡単にはできないということはわかりますが、少くとも、公社として、あるいは政府として、日本の塩業の現状から考えても、将来の対策というものの考えがある程度はあるはずたと思う。それがあれば、審議会の結論を待たなければならぬということなしに、一応今までの入浜式を流下式にさらに変えるということは、それは場所のいろいろな問題があるかもしれませんが、少くとも行政的に判断して、行政的な話し合いなり何なりが行われてしかるべきだと思うのです。諮問機関のなにがなければ何もできません、そんな総裁というものは、これはまるでロボット、でくの坊で、無理に松隈さんがおいでにならなくても、だれがいたっていいわけです。審議会にかけてはその結論でやっていけば、それで責任が済む。そんなばかなことはない。法律的にどうしても審議会にかけてやらなければ何もできないという制度なら、これはやむを得ませんが、それでは松隈さんなんかにわざわざすわってもらう必要はない。どこの赤ん坊を据えておいたっていい。これはどうも合点がいかない。松隈さんはそんな人ではないと思うのです。不思議でならないのです。理解できない。大蔵大臣が重ねて御答弁なさっても理解できない。どうかもっとわかりいいように答弁をして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/44
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045・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 その審議会が行政をするものではないことは、これは御指摘の通りでございます。しかし、常識的なものから申しまして、一たん話をしておるその途中において別な口で考えていくことは、これはあまり好ましい方法だとは思いません。従いまして、審議会にかかっておるし、何もかも答申に待つのだというような無責任な話をしておるのではございません。この審議会にかけること自身も、これはもうすでに話し合いの上でそういうことをいたしておるのでございますから、せっかく審議会にかかって、ただいま審議さしておる間だから、お待ちを願いたい。御了承がいかぬとおっしゃいますが、ぜひとも御了承を願いたい。このように思います。
同時にまた、実情として、ただいま監理官からも伺ったのでございますが、ちょうど昨年の暮れのことだそうですが、公社と塩業者との間で、既認可のもので未着手のものの工事をいかにするかということを相談いたしました際に、昨年の暮れの公社と塩業者間の話し合いでは、既認可のもので未着手のものについては工事を継続さす、こういう申し合せができていたのだそうでございます。この点は一つの事実としてつけ加えて御報告をいたしておきます。
いろいろ法律的な議論もあることだと思いますが、公社自身も、製塩状況が非常に伸びておる今日におきまして——今日突然整理だというような方向にきたわけではないし、過去におきましてもいろいろ工夫して参ってきておる。従いまして、新規の免許などはやっておらないし、また既認可のもので工事が未完成のものを一方的にどんどん進めさせるという処置もとらず、塩業者とも話し合いをして、比較的業者と公社間においては事前の連絡もあったやに伺っておるのでございます。これらの点もあわせてお話をいたしておきますから、御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/45
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046・石村英雄
○石村委員 そういう申し合せが行われたかもしれませんが、しかし、そのことがやはり問題たと思うのです。今度これをやめさせれば補償しなければならぬ。今までの途中のをやめさせないでどんどん完成させれば、その補償額は大きくなるわけなんです。これは松隈さんのポケット・マネーで補償するのなら別にどうということはないのですが、結局国民の金で補償するわけです。ですから、当事者としては、日本の国内塩が現在の形ではこのままでは多くなって困る、早晩整理しなければならぬということが一応はっきりした事態においては、やはりそのことを考えておやりにならなければならぬので、一たん許可したのだからもうしょうがない、どんとんやって先で今度たくさん金を払って補償してやればそれでいいのだというのでは、これはあまりに国民に対して無責任な態度だといわざるを得ないでしょう。やはりあなた方の考えじゃそういうことになるわけなんですか。これは私も不思議ですが、業者も非常に不思議に思っている。それを、松隈さんや大蔵大臣の考え方じゃ、不思議でない、当りまえのやり方だ、こう御判断なさっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/46
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047・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 問題は、事情の変化ということが非常に大きい材料だと思います。おそらく、昨日も当委員会で申し上げましたように、今日既認可のもので工事途中にあるもの、これは、おそらく長い期間たっていろいろ計画され、当時における近代的な施設として計画が進められた。そういう意味でこれが認可を受けて参っておると思います。従いまして、昨日来申し上げますように、製塩の近代化をはかるという観点に立っても、いろいろの考え方をしていかなければならない。ただ在来の製塩業者それたけを在来の方法だけで守れ、こうまで石村さんが言っておられるとは思いません。そういうものも新しいものになればいいじゃないか、こういう御議論だろうと思いますが、経営規模その他のこともありましょうし、立地条件その他のこともございましょうから、近代的な設備に変えるということが望ましいといたしましても、必ずしも在来のものが直ちに変り得る、こういうことにはおそらくなかなかなり得ないたろうと思います。まして錦海湾の問題が論議になっておりますが、新たに埋立計画が実施されたとか、いろいろ土地の利用等を長い間かかって研究された結果、その計画が了承されたということになっておると思います。ただ、先ほども申し上げましたように、専売公社だけが単独な処置をとりまして一方的にやるとか、こういうものじゃなくて、最近のような情勢になってくると、製塩業者との間に公社自身もしばしば協議を重ねて来、実情についての正しい認識を持つ、こういうことで、製塩事業の今後のあり方と取り組んでおるのでございます。そういう面においてもなおかつ専売公社だけの独断専行ではいろいろ不十分だろうというので、かねてからある審議会にも諮って、各方面の意見を徴してりっぱな対策を立てたいというのが、ただいまの現状でございます。従いまして、石村さんの言っておられることを私頭から否定したり無視したりする考え方ではございませんが、ただいま申し上げるように、ただ既得権者であり、工事が途中なんだ、だから、整理をするにしても、これならば計画中だから比較的楽じゃないか、こういうような気持だけで処理はなかなかできないのじゃないかということを、実は昨日来申し上げておる次第でございます。そういう点御指摘になったようなことをもやはり条件の一つとして、この審議会は十分考えていく、そうして業界全体のあり方等についての構想をまとめていく、これが審議会の答申として出てくるのだと思います。もしもそういう点についての答申が不十分でありますれば、おそらく、専売公社は専売公社の立場において、また私どもは大蔵省の立場において、業界のあり方についての基本的な構想をまとめていく、こういう考え方でおる、この点をつけ加えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/47
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048・石村英雄
○石村委員 ちょっと途中でお尋ねいたしますが、審議会に付議されたのはいつですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/48
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049・松隈秀雄
○松隈説明員 本年の七月であります。
なお、先ほどの私の説明が不十分でありましたから、補足いたしておきます。公社限りで進行中のものをストップできないというふうに申し上げたのでありますが、塩が生産過剰になって参りまして、根本対策を立てることの必要が生じましたので、塩業者との話し合いの結果、昨年の暮れに一応の申し合せ事項ができております。これによりますと、国内塩業の合理化の促進及び経営基盤の強化のために、この際全国の製塩施設の整理、合理計画を作る、こういうことになっております。そうして、整理をするのはどういうものであるかと申しますと、まず第一に整理を希望するもの、それから明らかに非能率企業と認められるものという基準ができておるわけであります。従って、塩田を整理いたします場合におきましては、希望者が第一順位でありまするが、非能率企業であるかどうかということの判定をするわけであります。これは、既設塩田に限らず、すでに許可され、現に工事中のものを含めまして、果してその塩田企業が能率的であるか非能率的であるかということを判断してきめるのであって、単に既設であるか進行中であるかということでは判断しない、こういう申し合せになっております。そこで、この能率、非能率を判断する場合において、公社だけの判断にするよりは、せっかく塩業審議会というものがあるからして、この意見も聞いて案を立てた方がよろしいというので、昨年十二月、塩業者との申し合せの趣旨の具体的実現をはかります一つの方法として、塩業審議会の意見を聞いて、その答申を参酌してから具体化したい、こういうことで進んでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/49
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050・早川崇
○早川委員長 石村君、まことに恐縮ですが、大臣も予定がございますので、もし残っておりましたら、あと一問くらいにして、明日も塩田に対するあれを予定いたしておりますから、本日はこの程度でいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/50
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051・石村英雄
○石村委員 それでは、本日はこれで一応打ち切っておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/51
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052・早川崇
○早川委員長 それでは、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。専売事業に関する件について、明十八日午前十時三十分より、山口県塩業組合連合会会長時政鉄之助君、生島塩業株式会社専務理事南原正種君及び日本塩業労働組合連合会会長小山武次君、以上三名の諸君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/52
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053・早川崇
○早川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
明日は午前十時三十分より委員会を開催することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後零時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00219581217/53
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