1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月五日(木曜日)
午前十一時三十五分開議
出席委員
委員長 早川 崇君
理事 綱島 正興君 理事 福田 一君
理事 坊 秀男君 理事 石野 久男君
理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君
荒木萬壽夫君 内田 常雄君
奧村又十郎君 鴨田 宗一君
夏堀源三郎君 西村 英一君
古川 丈吉君 毛利 松平君
山下 春江君 山本 勝市君
久保田鶴松君 田万 廣文君
竹谷源太郎君 廣瀬 勝邦君
松尾トシ子君 山下 榮二君
山本 幸一君 横山 利秋君
出席政府委員
大蔵政務次官 山中 貞則君
国税庁長官 北島 武雄君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主税局税制第
二課長) 吉国 二郎君
大蔵事務官
(国税庁直税部
長) 金子 一平君
大蔵事務官
(国税庁調査査
察部長) 竹村 忠一君
専 門 員 抜井 光三君
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二月三日
物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一七号)
は本委員会に付託された。
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二月四日
所得税軽減に関する陳情書
(第二〇二号)
映画の入場税減免に関する陳情書
(第二〇五号)
貸金業及び質屋の金利引下げに関する陳情書
(第二〇八号)
積雪寒冷地帯における所得税の特別控除に関す
る陳情書
(第二一〇号)
国と地方の予算時期調整に関する陳情書
(第二一八号)
石油ストーブの物品税軽減等に関する陳情書
(第二一七号)
高級毛織物に対する物品税新設反対に関する陳
情書
(第二一八号)
同外二件
(
第二八七号)
同外一件
(
第三一〇号)
保険代理店の整理に関する陳情書
(第二一九号)
製塩業整理に伴う退職者の国家補償に関する陳
情書(第二四一
号)
葉たばこの災害補償に関する陳情書
(第二四二号)
元多賀城海軍工廠敷地を旧土地所有者に払下げ
等に関する陳情書
(第二八二号)
揮発油消費税及び軽油引取税引上げ反対に関す
る陳情書
(第二八八号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
六八号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八二号)
災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に
関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出
第四四号)
酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出第六
九号)
揮発油税法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七五号)
地方道路税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七六号)
昭和三十三年産米穀についての所得税の臨時特
例に関する法律案(内閣提出第四五号)
昭和三十三年分の所得税の確定申告書の提出期
限等の特例に関する法律案(内閣提出第八八
号)(予)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/0
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001・早川崇
○早川委員長 これより会議を開きます。
内閣提出にかかわる所得税法の一部を改正する法律案外七税法改正法律案を一括して議題として、質疑に入ります。質疑の通告があります。これを許します。奧村又十郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/1
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002・奧村又十郎
○奧村委員 私は、冒頭質問でありますので、税制、金融などについて、また政府提案の法律案に関連して、非常に広範な質問の要項があるのでありますが、ただいま政務次官がお見えでありますので、まず第一に政務次官にお尋ねします。
政府は税制の根本改正を意図して、この国会中に法律をもって税制調査会の制度を作るということをたびたび聞いておるのでありますが、その税制調査会なるものの目的あるいは構想というものについて、御説明がいただきたい。今までも、いわゆる税制審議会とか、税制調査会とか、たびたび作られてきたが、これと同じようなものであれば、これはどうも屋上屋を架するようなもので、意義が少い。今度政府が根本的な税制改正のための法律に基く制度を作るとするならば、それだけの政府の心がまえがなければならぬ、かように思いますので、この点をお尋ねいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/2
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003・山中貞則
○山中政府委員 今回の法制化いたします委員会の設置は、御指摘の通り、現在懇談会等でやって参りました類似の当面いたしまする税問題等の検討に局限いたしたものとねらいを異にいたしまして、企業課税のあり方等を一方において根本的に検討いたしまするとともに、他面においては、シャウプ税制勧告以来の地方税制等の基本的な団体間の較差等を生じておるいろいろの問題等も、解決されざるまま、こそくな当面の手段によって、今日いろいろの議論をし、こまかい点に及んでの議論をしながら、なお抜本的な解決ができない等の懸案の問題がございまするので、この際中央、地方の税制を日本の経済の規模に合せ、あるいはまた日本の地方財政を含めた財政のあり方等について深く掘り下げまして、抜本的な改正をいたしたい。そのためには、当面どれを取り上げてやるというような、その問題の結論が出れば、開店休業になるというがごとき委員会でなくして、日本の中央、地方の税制体系の根本的な答申が確立できるように、従って期間も一年などという短かいことでなく、あるいは臨時という意味でなく、三年間くらいを法定をいたしまして、びっしり研究して結果を出したということであります。しかし、三年もかかって一体だらだら何をやるのだという御意見等もありますので、そこらはやはり三年ということで、かりに法定をいたしましても、目的等はだらだら流れないような大綱等を示唆いたしまして、その問題に逐次回答を与える等の方法もあわせとっていった方がいいのじゃないかということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/3
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004・奧村又十郎
○奧村委員 現在ある税制懇談会なるものは、法律に基いていなかったし、また大蔵大臣の諮問機関であって、内閣としての大きな意味の諮問機関じゃなかった。今度の政府の意図するところは、国税、地方税を通じての、しか、も根本的な大改正をやろうという非常な意気込みで、しかも三年間程度というような長期にわたっての計画でもって大改正をやろうということでありますから、そのお考えは私は賛成であります。しかし、特に私か一言政府に申し上げておきたいことは、最近毎年政府は、税制の根本改正をやる、税制の改正をやるということを言う。しかし、税制というものは、そんなに毎年なぶりものにして変えるべきものじゃない。それは釈迦に説法で、おわかりの通り。そこで、今度ほんとうに法律に基いて調査会を作っておやりになるなら、これは断固としてりっぱな改正をやって、またこの次もたびたびなぶりものにするように税制を変えるということのないように、抜本塞源的におやりになることをお考え願わなければ、毎年税制改正をやるぞやるぞと言っておられたのでは、納税者においても、また政府においても、その新しい税制になれないうちにまた変ってしまう。たとえば、取引高税を一ぺん実施してあくる年やめるとか、そういうことがまた起るのじゃ困ると思う。その点は政府も十分腹をきめておやりなさるべきであって、これは私の意見として特に聞いておいていただきたいと思います。従って、それほどの政府の腹をきめた大改正をなさるのならば、これは大蔵大臣の諮問機関ではいけないので、少くとも内閣総理大臣の諮問機関である、こういうことにしていかなければならぬと思うのであります。特に大蔵大臣だけでありますと、国税の改正はその答申に基いてできるかもしれぬが、地方税の改正については自治庁との関係がなかなかうまくいかない。従って、税制調査会の答申が出たら、内閣総理大臣が責任を持ってその答申案をできるだけ実現するという腹がまえでなければいかぬと思うのですが、そのような腹がまえを法律にはっきり明定なさる御用意があるのかどうか、承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/4
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005・山中貞則
○山中政府委員 第一点は意見として伝えるということでございましたが、その御意見もっともと思いまして私拝聴いたしたのであります。これは、政府の内部におきましても、あるいはいろいろと改正をいたします過程の折衝におきましても、議論があります問題は、それを逃避と申しますか、一応たな上げを策しますために、この次の税制改正の際にとかいうようなことでいろいろ妥協いたしますので、結局毎年次の年、次の年と税制改正を重ねていくのではないかというような現象も半面ありますので、やはりこの際は、御趣旨にありましたように、抜本的な方針というものを税制において立てていくということを基本にしてやらなければならぬと思います。
また、第二の点の御質問についてでありますが、もちろん、おっしゃる通りに、内閣において設けられます強力なる諮問機関ということになるわけであります。その結果については、当然抜本改正にふさわしい勇断をもってなされなければならぬと思います。ただ、期限が非常に長うございますので、私はもちろんのこと、今の総理、大蔵大臣を初め、その責任者としてあるかどうか、そのときにはわからないわけでありますが、しかし、これは私どもの党としても、また国会としても、当然、税制の改正については、今おっしゃったような基本的な決意を貫いていくためにも、それを前提として委員会が設置されなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/5
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006・奧村又十郎
○奧村委員 なお、政務次官にお尋ねいたしますが、ただいまの御答弁によって、政府は、今回の税制調査会の構想は、非常な決意を持って税制改正をやろうということでお作りになるので、御趣旨は私は非常に賛成であります。それならば、重ねてお尋ねいたしますが、税制改正の案、これは税制調査会自体が作るものか、政府が税制改正の基本的な案を作ってこれを調査会の審議にかけるか、このやり方が二つある。従来は、政府が案を作らずに、懇談会なり臨時税制審議会なりの審議にまかした。その裏面においては、政府は審議の資料など政府の意図するものを出しておりますけれども、しかし、あくまでも表面は審議会の自発的な総意にまかせる、こういうことであります。私は、今度の政府の非常な決意からいたしますならば、今度は、そういうやり方じゃなしに、政府みずから税制の根本改正の案を立案し、これを税制調査会に提出し、そして調査会の審議にゆだねる、こうあるべきであると思います。と申しますのは、調査会の委員は学識経験者その他各界各層の代表者が出るでしょうが、税制全般の専門的研究とか、継続した研究ということをやっておられる人は、ごく微々たるものであります。そういう方々が、失礼ではありますが、間々思いつきの発言をなさっておる。それだけでは根本改正の一貫したものができるわけはない。政府は、五万の税務職員を使って、少くとも国税徴収また地方税徴収の仕事を行い、しかも、国家財政を担当する政府の責任官庁が、いろいろな明細な資料も持っておられるのですから、その資料に基き、しかも税制改正の仕事を常時やっておる主税局などが中心になって、まず税制改正の根本案をお立てになり、これを調査会に提出なさるべきである。また、その根本案が一つではまとまらないというなら、二つなり三つなりお作りになってもいいが、少くとも政府が立案して調査会に提出する、こういう形でなければ一貫した体系的な根本改正はできるものじゃない、かように思うのでありますが、政府はこの点についてはどうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/6
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007・山中貞則
○山中政府委員 これは先ほどもお答え申し上げました中に少し触れたのでありますが、ただいままで行われてきました一つのあり方として、おっしゃいましたように、あなた方で当面の問題について自由に一つ答えを出してほしいというやり方も確かにある。しかし、これが期限で二年ないし三年というような長期のものになりますれば、外見だらだらの調査を続けていくということにもなりかねない。そういう声も一方にある。従って、申されましたように、政府において適時適切な諮問案等を作成して、できますならあるいはポイント等をお示しして、その方向に進めてもらうなり、いずれにしてもこれが次々に成果を生んで参りますように今研究中でありまして、御指摘のような点は十分研究して、その中の運営に盛り込んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/7
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008・奧村又十郎
○奧村委員 大体私の申し上げたことを御了承いただいた模様であります。そこで、それならば、政府は、税制改正をするためにこの調査会を作るのですから、政府みずから税制のどの点をどのように改正しようという、大づかみな目標はお持ちでなければならぬ。それからいたしますと、ただいまの政務次官の御答弁では、まず企業課税のあり方を改正したいということであります。これは私も大賛成です。私に言わすならば、調査会を作ります。そして慎重審議して企業課税を改正するといえば、いかに急いでもこの実施は来年の四月からです。それじゃ、今日のいわゆる企業の体質改善の対策としては、非常に時期的にもおくれる。従って、私は、常々この点については、今度の税制改正に暫定的にでも、ある程度の方向を盛り込まなければならぬということを主張しておったのですが、間に合わなかったことはまことに遺憾であります。しかし、企業課税を一つ根本的に取り上げてやろうという政府の決意が示されたのでありますからけっこうですが、そのほかにどのような改正を意図しておられるか。きょう今すぐ御答弁をいただくのは無理かもしれませんが、しかし、税制関係の諸法案をすでに御提案なさった以上は、これに関連して将来の税制改正の政府としての意図する方向をお示しいただければ、まことにけっこうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/8
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009・山中貞則
○山中政府委員 個別に、どの点をどういう案をもってこの発足するであろう委員会に諮問するつもりだというようなものは、率直に申し上げて省内でまだまとめておりませんが、予算編成の過程、その他の議論におきまして懸上案となっておって、なおかつここには解決できないもの等もありまするし、また、先ほども触れましたが、地方税等におきましても、抜本的な検討、改正を加えるのでなければ、今日の地方税あるいは地方財政の根本問題というものの解決は、こそくなる当面を糊塗する手段ではとうていできないという結論を得ておりますので、それらの問題の広範なものも含めまして、諮問を進めて参るつもりでありますが、なおどういうものをどういう考えを持って進めていくかということについては、目下のところ研究中というふうにしか申し上げられないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/9
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010・奧村又十郎
○奧村委員 それでは、国税庁長官に、主としてことしの予算の中の租税収入見積りに関連して、最近の所得税、法人税などの更正決定等の事情を承わりたいと存ずる次第であります。
まずお尋ねしたい一番の眼目は、昭和三十三年の現在の会計年度における税の収入は、だんだん自然増収が減ってきた。とりわけ法人税の収入が激減しておるので、ことしはどうにか手一ぱいにいくらしいが、昭和三十四年度の予算、税収見積りに、法人税の税収見積り三千三百九十三億は、これは過大ではなかろうか。いわゆる企業のなべ底景気を反映しまして、法人税の昭和三十四年度三千三百九十三億の見積りが果して達成できるかということを、私は、この大蔵委員会で取り上げて、よほど検討しなければならぬと思うのであります。と申しますのは、あまり見積りを多く見ておきますと、どうしても徴収の実施面において苛斂誅求になりやすいから、果してこの見積りが妥当かどうか。これは、ひっくり返していえば、苛斂誅求にならぬかということになってくるわけでありますから、こういう点についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。
そこで、一体どうですか、法人税の見積りの三千三百九十三億、これは主税局が主として立案したのでしょうが、実施面の国税庁長官として、ことしの実績から見て、特に収入見込額が十二月末でも予算の七一%しか入っておらぬのです。この上相当の自然増収を見込んだことしの予算が、無理なく実施面において徴税がきめるか、この見通しを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/10
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011・北島武雄
○北島政府委員 法人税の収入の見積りは私ども非常に苦心したところでございます。と申しますのは、ただいまお話がありましたように、昭和三十三年度、本年度でございますが、本年度三千三百十一億円の予算を見込んでおりますが、これが実行に当りまして、意外に不況の打撃が大きいのでございまして、この三千三百十一億円に対しては、ただいまのところおそらく二百億前後の減収になるのじゃなかろうかと思います。これはいろいろの見方はあります。百五、六十億と見、あるいは二百億をちょっとオーバーするという見方もありますが、とにかく二百億前後の減収になる。そこで三十四年度の見積りに当りましては、その法人税の状況をよく見て慎重に検討したのでありまして、主税局とも諸般の見積り、経済情勢等を検討し、それから税務の執行状況を見まして、昭和三十四年度の見積りについては、この程度であれば大体大丈夫であろう、こういうところで見積りがされたわけでございまして、三十四年度の三千四百億円という数字は、私は達成できるのではなかろうか、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/11
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012・奧村又十郎
○奧村委員 実は、昨年末、主税局の見込みでは、年度末で法人税は昭和三十三年度予算に対してまだ百億くらい増収になるというふうな楽観的な見方——少くともとんとんまでにはいくというようなことを言っておった。そこで、私も安心して、この昭和三十四年度の予算が組める、こう思っておったが、長官のお見込みでは二百億ほど赤字が出る。そうすると、今度はそれを受けて、昭和三十四年度の予算の三千三百九十三億の見積りは過大であると思うが、これは過大でありますとは、長官も言えと言ったって、今ここでおっしゃるわけにも参りません。おそらく水かけ論になると思いますから、むしろもっとこまかいところをお尋ねしてみたい。
この三千三百九十三億の見積りの中の更正決定増差分、最近における更正決定の実績等を勘案して、更正決定増差見込税額三百七十億円と見積っておられるが、これだけ出されるのですか。これは無理にしほり取るような峻厳なことをおやりになれば出るかもしれませんが、大体三十二年度の実績あるいは三十三年度の実績見込み、これは更正決定でどのくらい出ているのですか。それと比較してお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/12
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013・北島武雄
○北島政府委員 まず最初に、去年の暮れに主税局に聞いたら、約百億くらい黒になるのではないか、こういう話があった。お前は法人税が二百億くらい減収になると言うが、こういう食い違いがあるではないかということであろうと思いますが、それはおそらく租税全体についての主税局の説明ではないかと思います。(奧村委員「そんな甘い聞き方はしていません」と呼ぶ)私、その席に出ておりませんから、よくわかりませんが、少くとも昨年の暮れに法人税において増収になるというような見込みは、私ども主税局におきましても、国税庁におきましても、三十三年度におきましては立てておりません。やはり両者の意見も、三十三年度においては法人税は二百億前後、前になるか後になるかはわかりませんが、その程度減収になるのは免れないであろう、こう見ておったのでありますが、おそらく、主税局も、租税収入全体についての見込みのお答えについて、全体として歳入は確保できる、こういう趣旨のお話ではなかったかと私は想像しておるのであります。
それから、来年度の法人税の見積りにつきましては、先ほど申しましたような事情で非常にむずかしいのでございますが、経済情勢も、どうやら、昨年の秋を境にいたしまして、大体上向きになってきておりまして、今年三月までの法人の決算は、おそらく、前期に比べまして、所得において数パーセントの増加があるのではなかろうかと一応見込まれます。これをもととしまして、三十四年度における経済情勢、ことにだんだんピッチを上げて景気が回復するような状況を考えますと、この程度の租税収入、ことに法人税の収入につきましては確保できると私ども考えておるわけでございます。
更正決定についてこれだけ見込んでおるが、お前はびしびし過酷な税金を取るのではないか、こういうお尋ねのように受け取りましたが、私どもは決して無理な更正決定をいたすつもりはございません。よく、減税すると、そのかわりに実行面でもって減収を補うのではないか、こういう御趣旨の御質問が納税者の方からありますが、それは全くの誤解でありまして、私どもといたしましては、税法に即して、経済の実情、納税者の実情に応じて適切に課税をする、こういう方針に変りはないわけでございます。来年度も特に過酷な更正決定をいたしまして法人税の収入を確保する、こういうような気持は毛頭持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/13
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014・奧村又十郎
○奧村委員 経済の見通しを勘案してこのくらい取れるということは、ちゃんと予算書に出ておるのだから、そういう点は予算書を見ておきますから御答弁は要りません。それよりも、私のお尋ねしたのは、予算書の中身をお尋ねした方が議論がはっきりしていい、こういうので申し上げるのですが、更正決定の増差分の三百七十億というのは、これは私は多過ぎると思うので、三百七十億を見込んだ根拠をお尋ねしたい。それには、おととしの実績はどうか、あるいはことしの三月、年度末までの実績見込みはどうか、それと比較してみるのが、私は一番手っとり早いと思うから、その点をお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/14
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015・北島武雄
○北島政府委員 数字につきましては、直税部長または調査査察部長から詳細に御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/15
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016・金子一平
○金子説明員 新年度の更正増差分の計算は、これは一昨年度の実績を基礎にいたしまして、その後の経済の伸びを加味してやっております関係で、結局国民所得なり鉱工業生産の伸びで伸ばしたということになろうかと思います。最近までの実績を申し上げますと、三十三年に、これは四月から十一月まででありますが、約二百五十億ばかりの増差額が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/16
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017・奧村又十郎
○奧村委員 この二百五十億の更正決定は、調査査察で決定した分と、それから調査課所管ないし税務署で更正決定した分との内訳をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/17
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018・金子一平
○金子説明員 調査課の所管分について申しますと約七十八億でございます。それから税務署の所管分が約百六十七億、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/18
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019・奧村又十郎
○奧村委員 そこで、更正決定のやり方につきまして、近ごろ、非常に乱雑なと申しますか、不親切なと申しますか、更正決定にはいろいろ非難があるので、この際お尋ねしておきたいのです。あまり過大な見積りをなさっておると、どうしてもやはりそういうことになりがちになるから、特にお尋ねするのですが、所得税及び法人税関係で、最近の更正決定分の実績、たとえば納税人員に対して、当初の申告に対して何パーセントの更正決定をやったか。あるいは課税所得に対して何パーセントの更正決定をやったか。巷間には八割近くも更正決定をやっておるということを聞くのです。そんなこともあるまいと思いますが、更正決定の最近の実績をお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/19
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020・金子一平
○金子説明員 所得税について申しますと、今のお話のように、六割、七割という更正決定をするという時代が、戦後の昭和二十三、四年にはございました。しかし、最近におきましては非常に少くなっております。納税者の総数の四%足らずが更正決定の数でございます。法人の方につきましては、全法人について申しますと三割前後じゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/20
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021・奧村又十郎
○奧村委員 今のは人員の比率でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/21
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022・金子一平
○金子説明員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/22
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023・奧村又十郎
○奧村委員 所得額あるいは税額の更正決定の実績を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/23
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024・金子一平
○金子説明員 税額の方の数字を、ちょっとただいま手元に持っておりませんので、後ほど先生に御連絡申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/24
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025・奧村又十郎
○奧村委員 今お話しのように、四月から十一月までの実績が二百五十億というのでありますから、それから割り出して比率が出てきておらなければならぬはずですが、それじゃ、また後ほど御答弁をいただきます。今の御答弁によりましても、所得税よりも法人税の更正決定か非常に強い。これはあらゆる面に出ておるように思うのです。たとえば、交際費の損金否認なんというのは軒並みにやっておるので、特に中小企業者じゃ大恐慌を来たしておるのです。そういう点あまり無理の起らぬように、この委員会で少し検討していかなければならぬ。今日は、冒頭質問でありますから、あまりこまかいところまで立ち入る時間はないのでありますが、しかし、交際費の特例規定など法律改正しなければならぬから、なおこの際に特にお聞きをしておきたい。交際費の損金否認によってどのくらいの更正決定をやっておられるか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/25
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026・金子一平
○金子説明員 先生の今の御質問にお答えする資料を、実は税務署統計上とっておりません。金額的にこういうことでこれだけの更正増差の税額が出たという数字は、ちょっと全般的につかみかねる状況でございます。調査課所管の分で、総額で税額が幾ら出るか、あるいは税務署の所管の分で幾らふえたという数字は常時とっておりますが、何分にも仕事が非常に厄介になっておりますので、極力統計を作る手数を省こうというわけで、こまかい数字をとっておりませんので、御承知いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/26
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027・奧村又十郎
○奧村委員 これはごく近々租税特別措置法の改正法律案が政府から提案されるので、そうなれば、当然、その法律改正によってどのくらいの減収を見込むか、増収を見込むかということが、この委員会で審議されるのですから、そういう資料は、あらかじめ御用意を願っておきたいのです。そこで、今の御答弁によると、交際費の損金否認によるところの更正決定の増収額は、国税庁にはその資料はないというような御答弁ですが、これはそうですが。そういうことはなかろうと思う。更正決定としての金額はわからぬ。それじゃせめて、損金否認の更正決定でなしに、自主的な申告も含めた交際費損金否認の増収額総額は幾らか、このくらいはわからなければ審議ができないし、主税局からも資料は出ておる。何か間違いじゃありませんか。その資料は当然出してもらわなければならぬが、ちょっとお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/27
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028・金子一平
○金子説明員 十何万の法人でございますので、一々それを集計したものはございませんが、大体の達観で一つ数字を出せということでございましたら、早急に整えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/28
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029・奧村又十郎
○奧村委員 先般主税局の方での資料を見たところが、最近三カ年のうちに、損金否認での増収額は逐年非常に激増しておるのです。所得の増でもっておととしが七十二億ですか、去年は百四十億ふえておる。そういう資料は主税局の方にあるはずです。それは国税庁から出ておるはずです。後ほど一つ資料を整えておいていただきたいのですが、さて、こういうことの更正決定のやり方が特に中小企業にひど過ぎるという声をわれわれは聞くので、この更正決定のやり方について、これからお尋ねをしておきたいと思うのであります。これは、現に今法人税法の改正案で、政府の更正だけでなしに、納税者からの更正請求という規定を新たにつけようということに関連してのお尋ねでございますから、かなり深くお尋ねをしていきたい。きょうの質疑で終らなければ、また追って次の機会に質疑を続行いたしたいと思います。
そこで、一般的に更正決定をした場合に、納税者に対してその更生決定の根拠となる事情をあまり親切に税務職員が話をしない。特に突っ込んで聞けば、いわゆる所得標準率などでふっかけたというようなことで、非常に不親切な説明でもって更正決定をやっておられる。これはおそらく庁内でも問題になっておることと思うのでありますが、世間でもそういううわさをずいぶん聞くのであります。
〔委員長退席、内田委員長代理着席〕
これは長官としてもぜひ改めていただかなければならぬのですが、これに対してどうお考えになっておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/29
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030・北島武雄
○北島政府委員 更正決定をする場合におきまして、何らの根拠なしにふっかけるということは、私ども税務行政としては非常にマイナスなことでありますので、私どもそういうことは避けるべきであるという根本方針を堅持いたしております。ただ、ただいまお話しの法人でございますと五十数万ありますが、そのうち四割は赤字申告なんでございます。実際にいって法人の四割が赤字ということは、私ども常識としてはあり得ないわけであります。調査に当りまして、やはり実情をつかむために、納税者の方々と相当折衝はあるわけです。その際に、他の納税者の状況等から見て、やはりこの程度はどうもありそうだという場合が相当あるのでありまして、税務署で更正決定する場合におきましても、単にむちゃくちゃにふっかけてやるということじゃないと私は思っております。また何ら根拠なしにむちゃくちゃにやるということは、私ども戒めておるわけであります。
ただ、具体的に、たとえば青色申告者になりますと、ことに法律でもって更正の理由を付記しなければならぬということになっておりますが、その付記の仕方が今まで簡単過ぎたということは、私どもやはり率直に認めなきゃならぬと思っております。それで、更正決定する場合におきましても、できるだけ納税者に納得させる、ことに青色申告者については、法律に従ってできるだけ理由がわかりやすく納得できるように書かなきゃならぬ、こういうように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/30
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031・内田常雄
○内田委員長代理 奧村君に申し上げますが、質疑者が他にございますので、きょうは冒頭でありますから、なるべく簡単にして、次の質疑者に適当の時間に譲りたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/31
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032・奧村又十郎
○奧村委員 委員長の御指示もありますから、それでは、私は、今後当委員会で取り上げ、また当委員会で時間がなければ税の執行に関する小委員会で取り上げる問題点だけを申し上げて、国税庁なり、また大蔵当局で資料等をあらかじめ用意を願っておきたい、こういうことにいたしたいと思います。
それでは、今の更正決定について、これは具体的に取り上げてお伺いいたします。この青色申告によるところの申告者に対しての更正決定は、その青色申告の許可を受けた帳簿等に基いて、具体的に間違っておるということを説明して更正決定をしなきゃ、ならぬということは、これは法律に明定してある。ところが、これをしもしていないということで、納税者から非常なお小言が出て、しかもそれを国税局も税務署も再調査もしない。再審査もしない。遂に納税者か腹を立てて裁判所に訴えて、しかも、その裁判所の審査の結果、大蔵省側のやり方が法律違反であるという判決がおりたということ、これはきょうの日本経済新聞の中小企業欄に出ておる。実は私はこれを見て驚いたです。それは間々大勢の方のことですからあるかもしれません。しかし、少くとも異議か出て再調査を申し出た場合に、それをはねつける。しかも再審査をして局長のところに持っていったら、またはねつける。そうして裁判所に持っていったときに、大蔵省のやったことはまずかったというので、負けた。こういうことを見ると、ほかにもずいぶんあると思われる。私は、これはゆゆしい問題であると思うから、その判決の事情あるいは納税者の事情、あるいは役所側の言い分をよく聞いて、この委員会で取り上げなければならぬから、それらの資料を十分用意して、この次の委員会に臨んでもらいたい。これは一つ委員会で大いにおきゅうを据えたいと思います。
それから、青色申告ですらそういうことをやりますから、白色申告においては実はもっとひどいのがある。これは私最近聞いたことですが、この近くですよ。税務職員が調査に来た。四、五回来たそうですが、この四、五回来たというのは、税務署に対しては四、五回出張した届けがしてある。ところが納税者のところには一ぺんしか来ていない。しかも、一時間ほど来てたばこをふかし、帳簿をほとんど見ていない。法人だから帳簿をちゃんとそろえて出してあるのに、見ない。そうして更正決定をやってきた。尋ねにいきますと、あの帳簿はとてもわからぬから、税務署の見込みでかけたということを言っておる。それでは何のためにあなたは帳簿を要求したのですか。帳簿を備えつける義務を持たせておる。そしてまた調べに来たのです。それを見もせずに見込みでかけた、そういうことが間々ある。これは、私の言わんとするところは、こういうやり方をするということは、税務職員全体に所得調査の能力が低下しておるのではないか。それだから、まあ上から言われた調査はしなければならぬ。帳簿は十分わからぬ。まあいいかげんにふっかけておけというふうなルーズなやり方を、一部の税務職員がやっておるのじゃないか。そういうふうな税務職員の監督、指導を国税庁長官がやっておられるとするならば、これはゆゆしい問題である。これは去年の二月にも長官に懇々と私は申し上げておいたのだが、どうもこれが改まっておりませんから、これは、もっと具体的な例を取り上げて、ちくちく申し上げていきたいと思います。
その他、法人及び個人の所得税、法人税の更正決定のやり方について、法律の実施面においてお尋ねしたいことがありますが、他の委員諸君の質問要求がありますから、私は本日はこれをもって打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/32
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033・内田常雄
○内田委員長代理 ただいま奧村君より御発言の事項に関しましては、委員長において、小委員長とも協議の上、税制並び税の執行に関する小委員会において、政府側の丁重なる答弁を求めることに処理いたしたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
松尾トシ子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/33
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034・松尾トシ子
○松尾委員 きょうの委員会は初日でもありますし、それに委員長のお取扱いも大へん丁重のようですから、少しだけやらせていただきます。(笑声)
すでに当委員会にはずいぶんたくさんの法律案が出ているのですが、その一つ一つは他の日に譲ることにして、きょうは、今回出されて審議されつつあるところの予算に対する一般的なものをちょっと政務次官におもにお尋ねをしたいと思います。
今度の予算というのは、公約の実現とか、あるいは経済基盤の強化、これはもとよりのことでございますけれども、そのほかには、いわゆる健全財政の堅持と通貨並びに国際収支の強調といいますか、こういうものをはかりつつやったと言われておりますけれども、今度見てみると、一般会計はいわゆる健全財政を貫いて、そのかわり経済刺激になるような点は財政投融資によって大へんふやしておる、こういう格好なんです。しかも、加えて民間資金の活用さえも旺盛にするといっておるのですが、これをおきめになったときと、前臨時国会あたりの経済見通しと、だいぶ変っているようですけれども、この変った事情、あるいは今後の見通しについて、一つお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/34
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035・山中貞則
○山中政府委員 今一般会計の健全性の堅持を比較的貫きながら、財政投融資では民開資金の大幅な活用を中心にして相当な増額をしておるが、そこらの感触はどうだという御質問でございます。先ほど北島長官か法人税の問題で述べましたように、政府といたしましての統一的な経済情勢の見通しが、御指摘の昨年の時期に比べまして、ほぼ好調の方向に進みつつあるけれども、なお現在の予算の規模並びにその内容、財政投融資の規模と内容程度の刺激は与えても、一般にいわれているような過熱云々の行き過ぎはないのではなかろうかという一応の判断に立ったのでありますが、これを運用するに当りましては、一般会計はもちろんでありますが、ことに財政投融資の面におきまして、上半期の運用の仕方いかんによりましては、懸念されているような事情が、あるいは下半期の初めごろ、あるいは下半期に入ってからでも生ずるおそれなきにしもあらずでございますので、そこらの点は、大臣を初め、関係者一同、運用に慎重を期して参りたい、こういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/35
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036・松尾トシ子
○松尾委員 お答えによりますと、だいぶ好調になりつつあるといいますが、私の考えでは、五千二百億に上るというような財政投融資の必要があるかどうかと、非常に疑っているんです。また、この財政投融資の使い方ですが、基幹産業に重点的に使ってしまいますと、結局民間の産業もこれに右へならえで相当旺盛になって、あなたの言う下半期に過熱論が招来いたしてこないということも、ちょっと疑わしいと思います。今申しましたように、好調であるならばこのままにしておいて、むしろインフレ要因にもなりはしないかと思われるような大幅な財政投融資を計画する必要はないんではないかと思います。この点一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/36
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037・山中貞則
○山中政府委員 財政投融資の内容については、個々の問題についてまた具体的な御質問等も今後展開されると思いますが、財政投融資の運用に当って、その必要はないのではないか、あるいは刺激を与えないでおいた方がいいんではないかという御議論も、もちろん私は存在し得ると思います。しかし、私どもとして今回の一般会計と財政投融資の規模を採用するに当りましては、大体経済の見通しと、俗称なべ底といわれておりまするものが上向きつつある現状で、これにさらに刺激を与えていい限界、あるいは経済評論家あたりはこの程度が一ぱいのものであろうというような表現等で評しておられるようでありますが、私どもも大体その限界を一応見定めてやったつもりであります。なお、財政投融資の内部資金の重点的活用のあり方については、これまたいろいろ御議論のあるところでありましょう。しかし、今後東南アジア諸国との経済協力が重要なポイントになっておりますので、その面から輸出入銀行や開銀等の融資も大幅にふやし、反面また、それで国内の中小企業が置き去りにされた感じになってはならないという配慮も十分いたしまして、国内の中小企業等の分野におきます増額ももちろんでありますが、四月一日から中小、国民、商工公庫等に対しまして利下げを三厘程度行いまして、中小金融に資する等の配慮もいたしておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/37
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038・松尾トシ子
○松尾委員 お説はわかりますけれども、実際に財政投融資を実施する場合には、大体上半期から出しましても、その効果を上げるのは下半期になっていくのが通例だと思うのです。そうしまして、この出し方が、四月からずっと気をつけて有効に出していただかないと、あなたの言うような下半期の過熱論が成り立たないという結果にはならぬと思うのです。この点も相当に注意を払っておられるかどうか、御意見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/38
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039・山中貞則
○山中政府委員 公共事業等につきましては、昨年繰り上げ使用等いたしまして、一部に第四・四半期における空白状態等に対する心配等もございましたので、予算の運用に当りましては、来年度の予算につきましても、公共事業等は、第一・四半期の、しかも初めの方で空白を生ぜざるようなつなぎ方をいたすよう十分配慮いたしております。災害復旧等も十分そのような配慮をいたしまして、実際においてブランクの生じないように、また何の配慮も行わない機械的な四半期分の配分によりまして、ただいま御指摘になりましたような心配が下半期に生ぜざるよう、運用面の配慮を、繰り上げその他において実際上いたして参るつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/39
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040・松尾トシ子
○松尾委員 これは何と申しましても実行面が一番問題になるのですが、少々ばかりでなく、かなりの刺激予算だということは事実だと思うのです。何かの雑誌でちょっと拝見したのですが、佐藤大蔵大臣が、下期に入ってから非常に過熱するような場合には、経済的にも金融的にもチェックする方法もあるというようなことを申しておりました。さっきお話しのように、基幹産業なんかにどんどんと財政資金が流れていく——どんどんというよりも、むしろ上手に流れていったと仮定しましても、民間産業が旺盛になって民間資金の活用さえも望んでいるときに、自由経済のもとでこれをチェックするというのは、どういう方法があるか。佐藤さんはそう話しておったのですが、一つこの点について大臣にかわって御答弁をいただいたらどうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/40
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041・山中貞則
○山中政府委員 大臣か果して本年の下期まで留任いたしますかどうか、そこらの点が基本的な問題でございましょう。しかしながら、大蔵大臣といたしましては、佐藤さんが引き続きおやりになるにいたしましても、あるいは後任の方が引き継がれるにいたしましても、ただいま申し上げましたような運用の点について十分配慮しなければいけないと思います。しかしながら、そのチェックしていくということは、どういうことを意味しておっしゃっているのか、私にはちょっと……。かりに大臣がおっしゃったとしても、その真意は私自身わからないのであります。あるいは金利を云々するとかなんとかいうことに関連してのお話かと思いますけれども、目下のところ、私どもとしては、自分たちかやりました一般会計予算並びに財政投融資の運用に当って、他の面のチェックということを裏づけに考えて運用しようということは考えておらないのでありますが、その点は、大蔵大臣本人が参られましてから、下半期までの留任の可能性とともに御質問を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/41
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042・松尾トシ子
○松尾委員 政務次官のおっしゃることはよくわかるのです。公定歩合の引き下げという問題も多分そうでしょうけれども、金融制度に対していろいろな準備をしていらっしゃるのではないかと思うのです。結局のところ、準備金制度の法的確立とか、そういったようなことをおそらく想定しておるのだろうと思うのですが、あなたの御答弁によってこの辺でとめておきます。もしできますればあなたの御意見も聞きたいのですけれども、そういうことだろうと、まあ私は推察しております。
もう一つお尋ねしたいのですが、きょうは初めですから簡車にいたします。実はこのごろの政府のとっている経済政策が、非常に女の私なんかから見るとあいまいだと思うのです。世間の一般の経済の流れそのものもネコの目のように変っているし、それからまた、政権をとっている与党内でも、経済政策とか見通しについてはいろいろな意見があって、必ずしも統一してない。そればかりでなく、一般の経済評論家でもいろいろ意見があるのが当然だといえば当然ですけれども、相当あるのです。ところが、年々、その年ごとに予算を作っていく場合の経済の見通しにしても、政策にしても、何か一つのあいまいなところで、しょっちゅうひょろひょろと変っておられる様子なんで、基本的に筋が通っておらぬ。筋金がない。要するに経済政策のいかんによっては国民生活がしょっちゅうゆれるのです。こういう点をこれから大いに肝に銘じてやっていただかなければなりませんし、今度法律が出たので、今審議しておりますけれども、実行面には実に注意深くやってもらわなければならぬと思います。経済政策そのものというのは、政治家が審議の過程にあって自分の成績を上げるとか、そういうものであってはならない。むしろ国民生活の向上というところに重点を置いてやっていただかないと、経済の流れが、外国の流れがこうなったからそっちへ飛んでいく、今度はこうなったというふうですから、神武景気が来たり、神武不景気が来たり、こういう形になってくるのだと思うのです。その場合いつもしわ寄せになるのは弱い国民の生活並びに中小企業だと思うのですが、こういう点も大いに一つ留意していただきたい。ちょっと物価の問題でお尋ねをしたいと思うのです。政務次官は、一部の物価が少々くらい上っても、国民生活には大して影響がないとお思いになるかどうか、その意見を一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/42
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043・山中貞則
○山中政府委員 私はそういうことは考うべきでないと思っております。物価というものは、現在の経済情勢下においては、政府としても、また党としても、基本的に長年物価を押える、政府の規制できるものは押えるという方針をとって参りましたが、昨年からその方針のアンバランスを是正するということで、主として運輸関係において値上げ等が一部なされております。これについては私自身の見解はまた別にございますが、しかし政府としてはあの程度は差しつかえないと思ってやっていることだと思います。しかし、先ほどの前段の経済見通しについてでございますが、昨年非常に神武景気等の言葉で大ゆれをいたしました経験からかんがみまして、ことしの経済の成長見通しにつきましては、事前に十分に経済企画庁を中心官庁といたしまして、五・五%の伸びが不安はないか、あるいは神武景気ならずとも、仁徳景気なんかの騒ぎを起しては困るじゃないかと、党の構想は十分議論をしてやったのであります。しかし、秋には山が紅葉するというほどの正確な経済の見通しは、名企画庁長官世耕弘一大臣でも、これはおそらく困難だろうと思いますので、基本方針は慎重にこれを樹立し、その運用面においては、なるべくゆれが大きくならないように、できるだけ操作をしていくというのが心がけであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/43
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044・松尾トシ子
○松尾委員 何か久しく低物価政策をおっしゃっておりましたけれども、今度は政府は低物価政策はおやめになったのかしら、むしろ、私から見ますと、私鉄運賃の値上げなんかも、かなり政治的に動かす端緒になっているんじゃないか、こういうふうに思われるのです。何か、聞くところによると、他の物価も上げてもらいたいような、上げるような形勢があるということですけれども、これからどういうようなことが発生してくるのでしょうか。たとえば、ラジオの聴取料も上りましたし、それから物品税も上るということですから、こうしたようなことを勘案して、ことしの物価はどのくらいの標準を置くかということを、ついでにお聞きしたいわけであります。
〔内田委員長代理退席、委員長着席)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/44
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045・山中貞則
○山中政府委員 非常にむずかしい御質問だと思いますが、私どもの党が低物価政策を変えるということは今のところ考えておりませんし、政府におきましても、低物価政府は放棄したんだというようなことはもちろんいたしておりません。政治的に考えましても、地方選挙あるいは参議院の半数改選等の直前にありまして、少くとも関係官庁の総合的な判断に立脚するといたしましても、物価を上げること等については、よほどの理由がなければこれは踏み切れるものではないのであります。そこらの点もわれわれは十分考えておるわけでありますけれども、今後私どもが物価についてどういうものを上げるかとか、あるいはどういうものが上りそうかということについては、われわれは今日までの低物価政策の堅持という方針にのっとっていくということしか申し上げられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/45
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046・松尾トシ子
○松尾委員 そうしますと、一部の物価をいじりましても、全般的な物価には大した影響がない、こういうふうに見て差しつかえないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/46
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047・山中貞則
○山中政府委員 影響はないということは言えないと思います。公共あるいは準公共あるいは生活の必需物資、そういうもの等が値上りいたしますれば、個人の家計費にその反応が起るのは当然でございまして、値上げをした以上は国民生活に影響ありと私ども思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/47
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048・松尾トシ子
○松尾委員 今度はちょっとぼやけた質問になるのですけれども、昭和三十四年度の国民生活はどのくらい向上するかということについてお話し願いたい。三十四年度の予算を実施しました結果、相当生産も拡大するし、国民消費も拡大されるというふうにみなされておりますけれども、物価が上ってくる、しかし国民生活の実質は現状維持であるのか、それとももっと上るのか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/48
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049・山中貞則
○山中政府委員 今一部の物価を上げたことによるはね返りが、国民生活が今後上昇するとすれば、その中にどのくらいの分野を占めるか、あるいは国民生活は三十三年度に比べてどの程度のレベルを維持できるのかという御質問でございますが、具体的な数字を私ここに持って参っておりませんので、もし必要ならばこの次の機会に私答弁をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/49
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050・松尾トシ子
○松尾委員 もう一つ、佐藤大蔵大臣の財政演説の中に体質改善ということがしばしばうたわれておりました。この点について詳しいことをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/50
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051・山中貞則
○山中政府委員 体質の改善という表現が、前の経済企画庁長官の三木武夫氏あたりから出まして、その後、その問題について、体質改善とは何かという議論が今日まだなお行われておるわけであります。しかし、日本経済が海外景気の変動等によってゆれが他国に比べて非常に大きい、いわゆる底か浅い、あるいはまた日本経済の構成が非常に脆弱な面を持っておる等のことが指摘されて、これらの体質改善が論議されておることであると私は思っております。それらの体質改善とは何を意味するかということにつきまして、これか体質の改善だという意味の、佐藤大臣がどういう意味で表現をされたかということについては、私は現在のところ答弁の資料を持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/51
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052・松尾トシ子
○松尾委員 これは、おそらく、資本の構成とか、あるいは政府側においても税制、財政の支出、こういう点においても影響が甚大だと思いますので、私も今後少し研究をいたして、足らざるところを政府からも説明を仰ぎたい、こう思っております。
どうもきょうはあまり低調な委員会ですから、この程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/52
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053・内田常雄
○内田委員 資料要求をいたしますが、とりあえず三つの資料をお願いいたしたいのであります。
その一つは、税制改正の大綱という資料が出ておりますが、これはもっぱら国税だけであります。今回の税制改正は地方税とあわせて考える必要がありますので、地方税の改正案の大綱につきまして、自治庁とも御相談の上、国税の方と同様の資料をお願いしたい。
第二は、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案が提出されておりますが、これは経済基盤強化資金の取りくずしの問題を内容といたしておりますので、経済基盤強化資金二百二十一億三千万円及び昨年法人の基金として出資をいたしました二百十五億と合せまして、四百三十六億円の歳出充当の内訳につきまして資料を出していただきたいと思います。
それから、第三は、三十四年度に国税、地方税を通じて減税が行われるのでありますが、政府から出して参っております予算の説明を見ましても、三十四年度は、国民所得に比べまして租税負担の割合は、減税にもかかわらず、かえって上っているという数字が出ております。そこで、昭和二十五年以降の各年度において国民所得と租税収入とのパーセンテージの推移を示した表、これは一部予算の説明に載っておりますが、それと備考欄に各年度における——ずっと減税をやってきておりますので、減税金額並びに主たる減税の内容を示して、これだけ減税をしたから国民所得に対して税収の割合はこう減っているとか、あるいは減税したにもかかわらず、国民所得に対する租税の負担率はかえって上っておる。つまり今年と来年に対するような、そういうような数字を示すに足る資料を、そう複雑なものでもありませんから、お出しを願いたい。それはかなり問題を含みますので、それに対する答弁もあらかじめ御用意を願いたいと思います。
ことに、第二点の経済基盤強化資金につきましては、今回二百二十一億三千万円を取りくずしまして、これを産業投資とか道路、港湾、災害、科学技術の振興などに使いっぱなしにすることになっておりますが、これは、昨年から今年に移りまして経済情勢が違ってきたから、経済基盤強化資金を積んでおく必要がないということで、有効購買力として放出するわけであります。しからば、昨年の予算におきまして、農林漁業金融公庫、あるいは中小企業信用保証公庫などに基金として出資したその分も、これをブロックしておく必要がないので、たとえば中小企業信用保証公庫の基金として政府が出資した六十五億は、中小企業金融公庫をして資金運用部にだけ低金利で預託させておかないで、そういうブロックの方法をとらないで、中小企業金融の円滑化のために、たとえば信用保証協会に貸し出すとか、あるいは商工中金に貸し出すとか、そういう方法をとらないと平仄が合わないと思いますので、その点に関して私は質問の資料としますから、そのことを頭に含んでおいて資料の作成をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/53
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054・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 もう一つ国税局にお願いしたいのですが、地方国税局の協議団本部でいろいろ解決した事例の顕著なものだけでいいですから、その事例を参考にもらいたいと思います。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/54
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055・早川崇
○早川委員長 ただいまの内田委員、佐藤委員よりの資料要求については、政府において適当な機会に提出されんことを望みます。
本日はこの程度にとどめ、次会は明六日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X00619590205/55
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