1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十四年二月十七日(火曜日)
午前十一時十九分開議
出席委員
委員長 鈴木 善幸君
理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君
理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君
理事 吉田 重延君 理事 門司 亮君
相川 勝六君 天野 光晴君
飯塚 定輔君 加藤 精三君
田中 榮一君 津島 文治君
富田 健治君 野原 正勝君
保岡 武久君 山崎 巖君
太田 一夫君 加賀田 進君
北條 秀一君 矢尾喜三郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 青木 正君
出席政府委員
自治政務次官 黒金 泰美君
総理府事務官
(自治庁行政局
長) 藤井 貞夫君
総理府事務官
(自治庁財政局
長) 奧野 誠亮君
総理府事務官
(自治庁税務局
長) 金丸 三郎君
—————————————
二月十六日
委員松永東君辞任につき、その補欠として南條
徳男君が議長の指名で委員に選任された。
同月十七日
委員南條徳男君辞任につき、その補欠として保
岡武久君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
二月十四日
公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一四九号)
同月十六日
地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第一五三号)
同日
市町村職員共済組合法の一部改正に関する請願
(古井喜實君紹介)(第一四二六号)
同(橋本正之君紹介)(第一五二六号)
地方財政の確立に関する請願(羽田武嗣郎君紹
介)(第一四二七号)
農地法による地方公共団体の経費負担の改正に
関する請願(池田清志君紹介)(第一四七一号
)
同(中馬辰猪君紹介)(第一五二五号)
木曽岬村の愛知県編入に関する請願(江崎真澄
君紹介)(第一五二三号)
同(佐藤觀次郎君紹介)(第一五二四号)
国有資産等所在市町村交付金の増額に関する請
願(中馬辰猪君紹介)(第一五六六号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案
(内閣提出第六四号)(参議院送付)
公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一四九号)
地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第一五三号)
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第七三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/0
-
001・鈴木善幸
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
去る十三日、本付託になりました市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。国務大臣青木正君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/1
-
002・青木正
○青木国務大臣 ただいま議題となりました市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案の提案の理由とその要旨を御説明申し上げます。
現行の市町村職員共済組合法においては、市町村職員共済組合の、いわゆる付加給付及び短期給付に要する費用についての市町村の負担金に関する特例が昭和三十四年十二月三十一日まで認められているのでありますが、この法律案は、これらの特例が認められる期間を、昭和三十五年十二月三十一日まで延長しようとするものであります。
市町村職員共済組合の発足の際、健康保険組合の権利義務を承継した組合は、昭和三十四年十二月三十一日までの間は、当該健康保険組合が行なっていた付加給付を引き続いて行うことができることとされており、また、健康保険組合を組織していた市町村で職員である被保険者の負担する保険料より多額の保険料を負担していたものについては、昭和三十四年十二月三十一日までの間は、引き続き、組合の短期給付に要する費用は、市町村と職員との折半負担の建前にかかわらず、市町村において組合員より多額の負担をすることができることとされていたのでありますが、いずれもその特例期間を一年間延長し、昭和三十五年十二月三十一日まで、これを認めようとするものであります。
市町村職員共済組合に付加給付を認めるべきかどうか、また、短期給付に要する費用について市町村の負担金と職員の掛金との負担割合をどのように定めるべきかは、種々議論のあるところでありますが、地方公務員を通ずる統一的な共済制度について検討が進められている折でもありますので、この際は、これらの特例期間を一年間延長することにいたしたのであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/2
-
003・鈴木善幸
○鈴木委員長 次に、去る十四日付託になりました公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。国務大臣青木正君。
—————————————
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/3
-
004・青木正
○青木国務大臣 ただいま議題となりました公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
公営企業金融公庫は、地方公共団体の経営いたします水道事業、交通事業、病院事業等の公営企業の健全な運営に資するため、公営企業にかかる地方債につき低利かつ安定した資金を融通する目的をもって昭和三十二年六月に設立されたのでありますが、その後同公庫はきわめて順調な経営を行い、設立所期の目的を果しつつあるのであります。しかして今後地方公共団体の公営企業を円滑に推進して参りますためには、公営企業金融公庫の運営を一そう充実していく必要があるのでありまして、この意味において、同公庫の経営の健全化をはかるため、今回産業投資特別会計から五億円増資し、現在の資本金十億円を十五億円に改めることといたしたいのであります。また公庫の業務が設立当初に比較して拡充されて参りましたことに伴い、同公庫の理事長を他の金融公庫におけると同様総裁に改めることといたしたいのであります。
これが、この法律案の提案の理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/4
-
005・鈴木善幸
○鈴木委員長 次に、地方税法等の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。国務大臣青木正君。
—————————————
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/5
-
006・青木正
○青木国務大臣 地方税法等の一部を改正する法律案についてその提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
地方税制につきましては、御承知の通り、昭和二十五年独立税主義の徹底、地方自主財源の増強等の基本方針のもとに大改正が行われ、その後数次にわたる改正によりまして、一応我が国の実情に沿うように整備がはかられて参り、また、国民の租税負担の現状にかんがみ、その負担の軽減、合理化が行われて参つたのであります。しかしながら、なおできる限り国民負担の軽減をはかることは国民の強い要望でありますので、さらに低額所得者の税負担の軽減を中心とする税制の軽減合理化を行うことといたし、今回の改正を行うことといたした次第であります。
改正の方針といたしますところは、第一は、別途国税の減税と相待ち平年度七百億円の減税を行うことを目途として、零細負担の排除と負担の均衡化を重点として地方税の減税を行うことでありまして、個人の事業税につきまして基礎控除額を引き上げ、法人の事業税につきまして軽減税率の引き下げとその適用限度額の引き上げを行い、固定資産税につきまして制限税率を引き下げ、その減収額の補てん方法を定めるとともに、免税点の引き上げを行うことといたしております。なお、このほか所得税の減税に対応する住民税の減税を昭和三十五年度以降実施することといたし、明年そのための所要の改正をいたす所存であります。方針の第二は、道路整備計画の推進に伴い、道路財源の充実をはかることでありまして、軽油引取税の税率を引き上げることにいたしております。以下その内容の概略を御説明申し上げます。
第一は、事業税に関する事項であります。その一は個人の事業税についてであります。個人の事業税の基礎控除額は現行十二万円でありますが、中小企業者の税負担の軽減をはかるため、これを年二十万円に引き上げることにいたしました。この改正によりまして年所得二十万円以下の者は非課税となるのでありますが、その数は七十七万五千人、現在の全納税義務者の四三%に及んでおります。また、年所得二十万円をこえる事業者についても年四千八百円の減税となるのであります。これによる減税額は、初年度六十五億円平年度七十一億円に上ります。その二は、法人の事業税についてであります。中小法人の負担を軽減するため、一般法人の事業税の標準税率を、現行の所得年五十万円以下八%を七%に、現行の所得年五十万円をこえ年百万円以下一〇%を八%に引き下げるほか、さらに軽減税率の適用範囲を広げて所得年百万円をこえ年二百万円までの部分を、従来の一二%から一〇%に引き下げることとし、また、これに応じまして特別法人の事業税についても、所得年五十万円以下の標準税率を七%に引き下げることといたしました。これらにより初年度二十億円、平年度三十億円の減税となるのであります。
第二は、固定資産税に関する事項であります。その一は、制限税率の引き下げ及びその減収額の補てん措置であります。現行の固定資産税の税率は、標準税率が一・四%、制限税率が二・五%でありますが、現に少からぬ市町村が二・一%をこえる高率で課税を行なっております。これらの一部の市町村の住民負担を軽減するため、この際制限税率を二・五%から二・一%に引き下げることといたしました。これによって生ずる関係市町村の減収額は六億円に達する見込みでありますが、これらの市町村はいずれも財源がきわめて菲薄ありますので、これによって生ずる減収額は、さしあたり、昭和三十四年度においては起債をもって補てんし、その元利償還金は国庫から補給することとし、そのため地方財政法の一部に所要の改正を加えることといたしました。なお、右の地方債は、国が資金運用部資金をもって全額を引き受けるものとし、その利率及び償還年限等の細目については別途政令でこれを定めることとしております。その二は、免税点の引き上げについてであります。固定資産税の免税点は、現在土地及び家屋一万円、償却資産が十万円でありますが、このうち土地及び家屋の免税点は、昭和二十五年度本税創設以来据え置かれており、他方この間において土地、家屋の評価はおおむね二倍程度上昇いたしておりますので、零細負担の排除の趣旨から、この際免税点を土地二万円、家屋三万円に引き上げるとともに、償却資産の免税点についてもこれと並行して現行の十万円を十五万円に引き上げようとするものであります。これによる減収額は、約十億円であります。
第三は、軽油引取税に関する事項であります。道路整備事業を充実させる
ことの緊要なることは申すまでもない
ことでありますが、特に昭和三十四年度以降は道路整備五カ年計画が強力に施されることとなりましたので、そ
の財源を受益者に求める趣旨から別途国税の揮発油税の税率が引き上げられることに照応いたしまして、軽油引取税におきましてもその税率を一キロリットルにつき従来の八千円を一万二千円に引き上げることといたしました。この改正による増収額は、初年度四十一億円、平年度四十六億円の見込みであります。
以上申し上げました諸事項のほか、なお次のような点について規定の整備をはかつております。その一は、国税の法人税におきまして更正の請求の制度が創設されることに伴い、法人の事業税につきましても同じ制度を創設することにいたしまして、納税者が計算の錯誤等により過額の事業税額を納付した場合においては、地方団体の長に減額更正の措置をとるべきことを請求することができることといたしました。その二は、計量法による法定計量単位が本年から実施されることとなつたことに伴いまして、それぞれ規定の整備をはかりました。
なお、所得税の減税に対応する住民税の減税につきまして御説明申し上げます。別途所得税におきまして、扶養控除の引き上げ及び最低税率の適用範囲の最高限度額の引き上げにより初年度三百八十億円、平年度四百二十億円の減税が行われることとなっておりますが、住民税所得割についてもこれに照応して減税を行うこととし、これがため所得割のうち所得税額を課税標準とするものにあつては、税率の調整を行わないこととし、また課税総所得金額または課税総所得金額から所得税額を控除した額を課税標準とするものにあつては、準拠税率に所要の改正を加えることといたしたいと存じます。もっともこの所得税の減税に伴う住民税の減税は昭和三十五年度以降の問題でありますので、右の改正は明年度においてこれを行いたいと存ずる次第であります。これらによる減税額は、昭和三十五年度において百四億円、平年度において百十八億円であります。
以上の改正によりまして、普通地方税では総額昭和三十四年度百一億円、平年度二百三十五億円の減税となり、また別途入場税法の一部改正によりまして昭和三十四年度十九億円、平年度二十三億円の地方譲与税の減収となるのでありますが、他方、軽油引取税の増収、国税の改正による地方税の増収等がありまして、自然増収と合せて結局、地方譲与税及び目的税を通計いたしますと、昭和三十四年度地方税収入見込額は五千七百四十六億円となり、昭和三十三年度当初見込み額に比し、三百十九億円の増加となるのであります。
以上が、地方税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/6
-
007・鈴木善幸
○鈴木委員長 これより奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。
質疑の通告がありますので順次これを許します。保岡武久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/7
-
008・保岡武久
○保岡委員 奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案が上程せられました機会に、二、三お尋ねを申し上げておきます。
奄美群島の復帰以来すでに満五カ年を経過いたしましたが、その間奄美群島復興特別措置法に基く群島復興計画の実施によりまして、着々復興が進捗いたしておりますることは、まことに喜びにたえないところでございます。しかしながら、昨年第二十八回国会におきまして法律が改正せられ、従来の復興五カ年計画が十カ年に延長せられ、復興事業も総体合計いたしまして百八十二億余になり、本年は第六年目に入るわけでありまするが、過去五カ年間で計画の実施に移されたのは、金額にいたしまして九十億五千万円で、そのうち国費が五十四億余であります。本年度は青木、愛知両大臣を初め政府の非常な御努力によりまして、十三億という従来に比し多額の国費の支弁が予定されておりますることは、復興計画推進の上から非常に心強い次第でありまするが、なお国費も今後の予定額が二十六億六千余万円でありまするので、本年度から五カ年で復興計画を完了するには、群島民の努力はもちろんでありまするが、国会の御推進と、また政府の強力かつ熟心なる施策がなければ、とうてい所期の目的を達成して、本土の住民並みの生活水準まで群島の住民の生活を高めていくことはできないのでありまするが、この点に関しまして、まず政府が今後どういう所信で復興計画を進めていかれるか、承わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/8
-
009・青木正
○青木国務大臣 奄美の復興につきましては、島民の皆さん方の非常な御努力によりまして、着々進捗いたしておるわけであります。これに対応する国の施策がなまぬるいではないかというような御批判も私ども受けておるのでありますが、何といたしましても、復興計画を当初立てまして今日までの経過に見まするときに、当初国が考えていたよりも、必ずしもその速度でいかなかったという点が確かにあると思うのであります。その原因がどこにあるか、いろいろ財政の関係等もあるかと思うのでありますが、一面におきましては、奄美の実情に沿うように従来のやり方に再検討を加える必要があるのじゃないか、こういうような観点からいたしまして、昭和三十四年度におきましては、特に公共土木事業等につきまして、従来もつぱら地元の処置におんぶして事業の進捗をはかつておつたのでありますが、必ずしもそれが所期の進捗度をもって工事が進まなかったというようなこともありましたので、御承知のように、今回は特に港湾につきまして国の直轄事業として進捗をはかるというような措置も講ずることといたしたのであります。また、何といたしましても、奄美の復興につきましては、奄美の土地柄から申しまして、農業関係に重点を置かなければならぬと考えられますので、特に三十四年度以降におきましては、その点に重点を置きまして、たとえば土地を、土壌状態をよくするための堆肥の増産運動を展開するとか、あるいはまた畜産業をもう少し大幅に取り入れるとか、こういうようなこと。そうしてまたこれと並行いたしまして、中小企業関係について資金の融通に特段の配慮をしなければならぬというようなことから、今回提案いたしましたふうに、資金面について新しい考え方を打ち出したのであります。五カ年計画が十カ年計画に延びたこと、その面におきましては、まことに私ども、せつかく計画したのが途中で年度を延ばすことを遺憾に存ずるのでありますが、しかし、できない計画を無理にやるよりは、やはり着実に所期の目的を達成するためには実行できるような案として、そうしてまた現実に効果が上るような措置をしなければならぬということで、五カ年計画を十カ年計画に変更し、そうしてまたその計画の内容につきましても、奄美の実情に即するような方法でこれを推進して参りたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/9
-
010・保岡武久
○保岡委員 ただいま大臣から非常な御熱意のある御答弁をいただきまして幸いだと考えております。過去の経過からいたしまして、この計画を完遂するということはよほどの問題だと思うのでございますが、奄美群島といたしましては、せつかく復帰いたしまして、政府が強力なる復興計画を立ててそれを実施しておられますので、この際こそ真に群島の将来の繁栄をもたらして、日本全体に寄与することのできる素地を作るということにつきまして、非常に大きな期待を持って現実の諸問題と取つ組んでおるわけでございますので、ぜひとも今後この問題が完全に実施されますように、特段と政府の毎年々々の御努力を積み上げていただきたいということを強く御要望いたす次第であります。
なお第二に、今大臣からお話があったのでございますが、奄美大島の復興ということは、道路ができたり、港ができたり、あるいは学校が建つたりというような、物的な、施設的なものがどんどん復興していくことも、非常に大きな復興の姿ではありますけれども、やはり本質的なものは経済的な復興ということにならなければならないと思うのでございますが、群島民の経済力は、御承知のように、今全国に比しましておそらく半分くらいではないだろうか、かように思うのでございます。従来公共施設の復興に重点を置かれて参りましたことも、現地の実情からやむを得ないのでございますが、群島民といたしましては、復興が進むにもかかわらず、相変らず貧乏であるということにつきまして、農山漁村、中小企業等の分野におきましては、自分たちの繁栄策というものが復興計画の中に十分に樹立されていないということについて、相当な不満があったわけでございます。特にこれらの零細な住民の経済力を高揚するための金融施策が、従来非常に不徹底であったのでございますが、このことは、すでに昭和二十九年五月の第十九国会におきまして、この地方行政委員会におきまして、奄美群島復興特別措置法が可決されました際にも、附帯決議として、第五項に「現地の特殊事情に即し、一般産業の復興に関する融資についても別段の考慮をすること。」ということになっておりましたところの、この特殊事情というのがなかなか認められずに、多くの住民が不自由をかこつておつたわけであります。また前年来、いわゆる金融べースに乗らない零細な住民の経済活動に活を入れるための特別の金融制度の確立の要望が、群島内できわめて強く唱道されて、その結果と申しますか、昨年の第二十八国会における法律改正の際、再び、特別の金融対策を講ずる等の積極的な措置をなすようにという、本委員会における附帯決議が通過をいたしておるわけでございます。ここにおきまして、政府も万難を排して、本年度一億の国費を出資せられまして、今回法律を改正して、中小規模の事業者に対して小口の事業資金の貸付業務を行う金融制度を創設せられようとしておられますことは、群島民年来の意向にこたえたものでありまして、まことに欣快にたえないところであります。しかしながら、一億の国の出資のほかに十分な資金がないのでありまして、この資金の需要というものは、いろいろな資料によりますと、少くとも五億ないし七、八億といわれておるのでございまして、この程度の融資がなければ十分ではないのであります。これを運用していく上におきまして、相当運用資金の不足を来たすことは、目に見えているわけでございますので、来年度以降におきましては、資金の増加についてできるだけの配慮をいたしていかなければならぬ、かように考えますが、この点につきまして、政府の今後の御努力いかんということについてのお考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/10
-
011・青木正
○青木国務大臣 お話しのように、奄美の資金需要の問題につきましては、私どもといたしましても、いろいろ審議会の御意見等もありまして、総額五億円程度というような考えを持ちまして、三十四年度は少くとも二億円という考え方で予算折衝に当つて参つたのであります。しかしながら、全体の財政の問題もありますし、またもう一つには最初の試みでもありますので、今回は一億円ということにいたしたのであります。しかし、もともと資金需要の状況から見まして、この程度では私ども不十分と考えておりますので、来年度さらにこういう点に向つて力を尽して参りたい、かように考えておる次第であります。
なお、この機会に一言、私ども奄美の土地の方々からいろいろお話を伺つて、私自身の抱いた気持を申し上げますと、なるほど資金需要の問題、これに対する融資の特別の配慮は、最も必要のこことと思うのでありますが、同時に、お話のありましたように、何と申しましても島民の経済力を高めるという問題が、私は基本的な問題ではないかと思うのであります。そのことなくして、単に資金の融通という方面だけを考えましても、これは単なる一時的な手段にしかすぎなくなりますので、基本的には、やはり経済力を高めるという点に重点を置かなければならぬ。その経済力を高めることと相待って、また経済力を高めるための資金というふうに、両々相待って考えていかなければならぬ問題と考えておりますので、私どもは、お話しの資金の問題につきまして、さらに一そうの努力をいたすとともに、島民の経済力の一そうの充実という点に重点を置いて参りたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/11
-
012・保岡武久
○保岡委員 ただいまの資金の今後の増資等の問題につきましても、御懇切なお答えをいただきまして、非常に感謝にたえません。
今度の法律の改正に基きまして、奄美大島群島の特殊の事情にかんがみ、港湾工事を行うことが技術的にきわめて困難であり、かつ国みずからが工事を行うことが適当であると認められる港湾につきまして、国が直轄で港湾工事を行うことができることになりましたことは、大洋のまつただ中に散在しております奄美群島の港湾の円滑な建設に資するところが非常に大きいと考えまして、喜んでおるわけでありますが、この法律の改正によって、直ちにこれに該当する港湾は、群島の一番最南端の与論島の茶花港だと考えておりますが、この点につきまして政府はいかに考えておられますか、お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/12
-
013・青木正
○青木国務大臣 お話のように奄美群島は幾つかの島から成り立っておりますので、何といたしましても船舶によって連絡をとるほかありませんし、また島全体として、内地から遠く離れておりますので、港湾の整備ということが最も大きな問題と私ども考えておるのであります。しかしながら、御指摘もありましたように、従来の経験にかんがみますのに、港湾の工事を予定通り進捗させるためには、国として相当の力を入れなければ困難ではないか。御承知のように非常に風の多いところでありますので、従来の経験に徴しますと、せつかく工事を始めて、途中で風のためにこれがだめになるというようなことを年々歳々繰り返しておりますので、今回は国の直轄でもって工事を施行して、急速に港湾の整備をはかりたい。今回予定しておりますのは、御指摘のように与論島の茶花港一港を国の直轄として取り上げて参りたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/13
-
014・保岡武久
○保岡委員 先ほどもちょっと触れた問題でございまするが、奄美群島の復興ということは、経済復興が根本でなければならない、住民の生活程度が高まつてこなければいかぬ。少くとも本土並みの程度に持ち込んでいかなければならないということは当然のことでございます。農業か奄美大島における基幹的産業でありますが、その農業のうち、特にサトウキビを作つている農家がほとんどといってもいいくらいでございます。従ってサトウキビから作りますところの黒糖というものが、大島における大きな換金作物になっており、島民の経済を潤しているわけであります。この砂糖につきまして、従来砂糖消費税によりまして百斤四百円という税金が課せられておりました。これは大島の農民からいたしますならば、キビを作つて、しかもまた自分の力でごく簡単な製糖業をやつてそれを売り出す。その砂糖に一たる百斤四百円の税金がかかっているということは、非常な重荷でございまして、もう何十年の間、この税金の軽減の問題について声が出ておつたのでございますが、なかなか砂糖消費税というものは簡単に改正できなかった。ところが、このたび御承知のように北海道のテンサイ糖を保護育成するという意味合いにおきまして、政府は精製糖の税金を、一斤二十八円を十二円六十銭に下げ、そのかわりに輸入砂糖につきまして、八円八十銭から二十六円二十一銭と、相当増額いたしまして、北海道のビートの保護育成に当ることになつた。その機会に、奄美群島の黒糖についても検討を加えていただいたわけであります。その結果、今砂糖消費税法として政府から提案されておるものを見ますと、従来の百斤四百円が三百円に下つておる。その他容器の制限撤廃とか、いろいろ制度の変更があったのでございますが、私どもは、少くとも農産物にちょっとした加工をしたくらいの砂糖でございますから、こういう際に全部取りはずしてもらうことが群島の経済の発展のためにも必要じゃないかということで、いろいろ主張しておったのでございますが、四分の一の減税という結果になつたのでございます。これが今度の経緯でございまするが、自治庁といたされましては、奄美群島復興特別法によりまして、大島の復興という全般的な問題を担当しておられるわけでございますので、群島民の経済力に大きな影響のある国の制度の改廃等につきましては、当然関心を持たれ、あるいは関与さるべきであろうと思うのでございまするが、群島民の希望をこの際強く反映していただきまして、この際、砂糖の税金の軽減ということをもっと徹底していただくというようなことについてのお考えはないだろうか。自治庁にこういうことを申し上げることは、あるいは筋違いかもしらぬのでありますけれども、先ほど申し上げましたように、法律をもって復興進行の途上にある群島に関する問題、しかもこれが主産品でありまする産業についての課税の問題でもありますので、お伺いをいたす次第でございます。御所見を承わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/14
-
015・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 奄美群島におきます農民の換金の対象といたしまして、黒糖生産というのが非常に重要な意義を持っておりますことは御指摘の通りでございます。私どもといたしましても、奄美群島の復興関係の統括司宰に当つておりまする役所といたしまして、当然個別的の各省に所管のある仕事でございますけれども、全体的な立場から見まして、これらの点につきましても関心を持っておりまして、かねがね黒糖の生産にとつて非常に隘路と思われまする種々の難点については、研究もいたしておりましたし、またその角度から主管の各省に対しまして、いろいろの意見の具陳もして参っておつたのであります。今回御承知のように、いろいろ黒糖生産をめぐりまする税制改正の問題が取り上げられておりまして、本国会でも御審議に相なる運びに立ち至ってきておるのでありますが、今回の税制改正の方向によりまして、黒糖生産にとつて、従来よりもある程度有利な面が出て参つたことは事実ではないかと思います。たとえば、たる容器の廃止によりまして、包装の改善なりあるいはコストの低減が可能になりますとか、あるいは、ただいまもお述べになりましたように、税率引き下げによりまして、一斤当り四円から三円に引き下げになつた問題、さらに相対的に黒糖生産に有利になりました条件といたしまして、再製糖の税負担の引き上げ、これによりまして競合砂糖が値上りになりますことによって、相対的な有利性が確保されるというようなことも出て参っておりますけれども、全般的に申しまして、黒糖の生産者価格は、一斤当り四十五円程度でないかというふうにいわれておりますが、今回の一連の措置によりまして、大体六円二十銭程度の生産費コストの軽減になるのではないか、それだけ黒糖生産に有利な面が出てきておるんじゃないかというふうに考えておるのであります。しかしながら、われわれ自体といたしましても、今回の措置をもって満足すべきものであるとは決して考えておりません。しかしながら、従来の主張が、各方面でいろいろ論議されました結果一歩前進をしてきたということについては、われわれとしましても喜んでおるのでありますが、今後これらの方向はさらに強く推し進める見通しのもとに、これらの施策についてさらに関係各省と推進方について折衝を加えて参りたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/15
-
016・保岡武久
○保岡委員 今お答えがございまして、自治庁としても相当御努力のあとを承わつたわけであります。奄美大島の砂糖問題は今後どうしても分蜜糖に持っていかなければ、黒糖というものは、現在の日本の文化の度合いから、あるいはまた経済の変動からいたしまして、需要は毎年ますます減退するばかりであります。従って今後サトウキビを耕作しておりまする農家の収入をふやすためには、サトウキビは二倍にも三倍にも今後増産してもらわなければならないのでありますが、それはほとんど大部分を分蜜糖に持っていくということにならなければ、大島の農業の発展ということは期し得られないわけです。が、そうなりますと、黒糖というものは、もうすでにある程度限定され、しかも黒糖というのは、御承知のようにきわめて簡易な作業によりまして製造するということでありまするので、農作物とほとんど同一だと考えてもいいくらいであります。そういう意味におきまして、かりに国際条約の束縛を受けまして、免税——税金を全然かけないということができないにしても、もっと軽減いたしまして、大島の農民の負担を軽減していただくということが、政府全体として当然お考えになってしかるべきだというふうにわれわれは思っておりまするので、今後一そう自治庁としては、総括的に復興問題を処理しておらるる立場から御推進を願いたいと思います。
なお次に、奄美群島の復興という問題を全般的にながめてみますと、県なり、市町村なり、あるいはその他の団体が、ある程度の自己負担を持って事業を進めているわけでございますが、その自己負担というものがだんだん累加いたしまして、これが少くとも各自の財政等に圧力を加えていくということがようやくに出て参っておるようであります。奄美群島の経済力全般が相当に向上いたして参りまするならば、その経済力の向上に見合つて、たとえば今まで融資していただいたものに対する償還という問題も、おのずから可能になって参ることをどうしてもわれわれは期待いたし、またそういうように努力いたして参らなければならぬのでございますけれども、結局負債の方が多くなってくる。その負債からさらにまた重圧を受けてくるというような問題が今後起つてこないとは限らないというふうに予想されるのでございまするが、そういう事態に立ち至りました際に、これを何とかやはり国の力で救済してもらわなければならぬという問題も起つてくる。特に市町村の財政というものは、御承知のようにきわめて貧弱、零細であります。市町村の負債等がだんだん累加いたしまして、市町村財政に非常に大きな影響を与えてくるような事態に立ち至つた際の政府のこれに対する何らかの救済方法についてお考えがあるか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/16
-
017・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 奄美の各地方団体の財政力というものが、きわめて脆弱であり非薄であるということは御指摘の通りでございまして、そういう点がございまするので、諸般の事情を考慮いたしまして、特に特別措置法の制定をお願いをいたしまして、これによって復興事業を推進するに当りましても、あるいは国が全額負担、あるいは補助率について他の一般の内地の地方団体に対するものよりも率を引き上げておるというような、各種の特別措置を講じておりまするのは、今のような事態に即応して適切なる事業の推進をはかりたいというところに出ておることは申すまでもないのであります。ただ何がしかの財政負担というものはやはり地元においてやつていただくということが、全体としての群島民経済の自立的な復興というものの側面を推進するというような面からいいましても適当なことであると思います。ただそれが将来大へん累加して参りまして、何とも収拾がつかないというような事態になりませんように、われわれといたしましてはいろいろやり方について努力をして参りたいと考えております。経済力自体も、群島民の個々の経済力がだんだんと増して参りますれば、これに即応いたしまして地方財政にもそれぞれ好影響を及ぼしてくるわけでありまして、税収の増加その他になって現われて参ることを期待をいたしておるのであります。しかしながら、そういうような措置を反面において講じつつも、将来地方財政というものがにっちもさつちもいかないというような状況にかりに立ち至るというようなことがございましたならば、そういうようなことにならない前において、いろいろな情勢を総合的に判断いたしまして、なお措置をとる必要があれば考えて参らなければならぬ時期がくるのではないかと思っておりますが、ただいまのところでは、われわれといたしましては、特別措置法において有利な措置を講じて参っておることでもございますので、この方向においてさらに群島民経済の振興をはかり、それに伴つて地方財政自体も何とか十分切り抜けていくような態勢に相なりますように、指導の徹底をしたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/17
-
018・保岡武久
○保岡委員 奄美群島の第二の都会とされておりました瀬戸内町古仁屋が暮れの十二月二十八日の大火でほとんど全滅の悲運を招いたわけでございますが、この不幸な事件の発生に際しまして、政府並びに国民の絶大なる御同情と御救助をいただきまして、町民はもとより群島民一同が非常に感激いたしておるわけであります。そして政府並びに地元県の適切な御処理によりまして、復興も着々と進んでおりますが、もとより貧弱な町村で、町役場初め公共施設がほとんど全焼いたしております痛手は、立ち上りに大きな重荷となっておるわけでございます。政府におかれましては、特別交付金の特別な御配慮などで、この不幸な町の復興を一そう援助していただきたいと、かようにすべてが念願いたしておりますが、これについてのお考えをこの際承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/18
-
019・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 古仁屋の火災対策といたしましては、離島のことでございまして、かなり困難な点もございましたが、幸いにいたしまして各方面の積極的な御協力をいただきまして、相当程度の対策が講じ得られたのではないかというふうに考えております。その後の、応急対策以外の対策といたしましても、災害応急の仮設住宅につきましても全部完成いたしておりますし、さらに災害公営住宅につきましても、それぞれ製図設計を済ましておるというような状況でございます。その他学校関係あるいは各種の立ち上り資金の手当というようなことにつきましても、万般の準備を進めておるような次第でございますし、それと併行いたしまして、どうしてもあの土地につきましては、根本的な区画整理事業を実施いたしませんと、また将来あのような悲惨な結果を招くということにも相なりますので、この際区画整理事業を抜本的にやつてみたいということで、この点につきましても、すでに事業計画につきましては大体の設計を終りまして、本年度からすでに予備費の支出等を求めまして、この事業に着手をいたしておるような次第でございます。なお、当該関係の町でございまする瀬戸内町自体におかれましても、いろいろ復旧その他の対策につきましては万全の措置を講じて努力をいたしておられるようでありますが、何分にも、いろいろ財政需要が急激にふくらんでおるというような点もございまして、財政が貧弱なところでございますので、とうてい独力でこれを切り抜けることは不可能ではないかと考えられるのであります。それらの点につきましては、できるだけ財政負担を少くいたしまして、町自体が復興に全力をあげてやり得るように、政府といたしましても万全の措置を講じて援助措置を今後とも強力に推進して参りたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/19
-
020・保岡武久
○保岡委員 奄美群島の復興の諸問題につきまして、政府から非常な熱意のある御答弁をいただきまして満足に存じます。どうぞ復興の法律ができました当初、すなわち復帰の当初のような熱烈なる全国民並びに国会、政府の御同情なり、今後の施策についても、あの当時の御熱意なりに劣らないお気持で、今後ともいろいろと御協力をいただきまするようにお願いいたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/20
-
021・鈴木善幸
○鈴木委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/21
-
022・門司亮
○門司委員 私はおそくなって参りまして、関係の深い保岡さんからどういう御質問があつてどういう答弁があったかよくわかりませんので、あるいは重複するかもしれませんが、その点一つ御了承願いたいと思います。
最初に聞いておきたいと思いますることは、この法律案の内容で、港湾の施設に関しまする特別の取扱いをしますることができることになっておりますが、これは今度の国会に提案されております特定港湾施設工事特別会計法案並びに特定港湾施設整備特別措置法案、この二つの法律案とどういう関係を持っておりますか、お尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/22
-
023・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 今度の改正案は、現在いわゆる重要港湾として指定をされておりまする名瀬の港だけについて直轄工事をやるということになっておりましたものを、範囲を広げまして、これを具体的には与論の茶花にも拡充をいたしたい。いわゆる工事施行の面についての方法論でございまして、今御指摘になりました法律案とは直接には関係がないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/23
-
024・門司亮
○門司委員 そういたしますと、この法案だけではかなり不備なものがありはしないかと考えられるのであります。政府が今出しております今申しました二つの法案は、日本の重要港湾におけるバースの設定を主目的とした法律案でありまして、もちろんこの奄美群島のものを特別のものとして加えれば、法案の内容から見れば加えられないことはないかもしれない。しかし現在の港湾法の規定からくる考え方としてはどうであろうかという考え方もないわけではないので、お伺いをいたしたのであります。そういたしますと、具体的には一体どういうことをするというのか。わずか一億円ばかりの金を信用基金に出してやるということと、もう一つは、今お尋ねをいたしております港を拡充したいということだと思いますが、具体的には一体どの程度の金を出して港をどうしようというんですか。茶花の港なんというのは、実際の問題としては、かなり経費をかけなければ港らしい港にはならぬと私は思う。名瀬の港がだんだん改良されておるということは聞いておりますが。そこで具体的にどのくらいの金をかけて、どういうふうになさるのか、もし自治庁でおわかりだったら、一つ内容をもう少し詳しくお聞かせ願つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/24
-
025・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 茶花の港をどの程度にやるかという御質問でありますが、これは現在復興審議会で一応の計画を立てておりますの、全体計画といたしまして一億八千九百八十万ということに相なっておりまして、三十二年度までには約一千万の事業を計画をしてやつてきておるのであります。この目標は、結局一千トン級の船舶が入り得るということを目途にやつておるのでございまして、なるべく早く集中的に、一番南端の港でもございますし、これを完成に導きたいということで、今回の改正をお願いをいたしたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/25
-
026・門司亮
○門司委員 私の聞いてるのは、そういうこともあるでしようけれども、大体どれだけの費用とどれだけの日にちがかかって一体この港が仕上るのか、具体的に内容を明かにしておきたいと思います。ただこういう法律だけでは、なかなかつきません。政府はよく法律をこしらえるけれども、実行しないのです。だから法律ができたからといって名瀬もよくなるわけではない。ほんとうに名瀬の、あるいは茶花の、奄美群島の諸君が安心できるように、この際はっきり話を聞かしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/26
-
027・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 今申しましたように、全体計画が約一億九千万でありまして、これを三十七年度に完成せしめる。これによりまして一千トン級の船が横づけになり得るようにするというのが、具体的な計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/27
-
028・門司亮
○門司委員 そうして、この工事の主体はどこになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/28
-
029・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 運輸省が主体でやることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/29
-
030・門司亮
○門司委員 私、そういうことがあろうかと考えて、先ほどの特定港湾施設整備等に対する法律案との関連性があると考えたのです。さっき言いました港湾法の関係からいいますと、結局港湾の管理者である地方の公共団体というような形で行うというのが大体港湾法の建前になっておる。すると、これも国でおやりになるとすれば、運輸省が出しておる法律案と関連があるのじゃないですか。施行主体はやはり国だということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/30
-
031・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 工事の施行主体を国にするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/31
-
032・門司亮
○門司委員 そうすると、やはりこの特別会計にひつかかるのじゃないですか。これは除外されておりますか。私の聞いてる範囲では、今度出た法律案は、六つか七つの特定港湾の設備をするために、たとえば横浜のバースを三つふやす、あるいは神戸のバースを一つふやすということを伺つてるんですが、そういうことと関係なく国がやるというように解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/32
-
033・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 私の理解いたしております範囲内におきましては、今の諸措置というものは、既定の重要港湾の中で非常に大きなところについての措置でございまして、本件で問題になっております茶花等については関係がないものと承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/33
-
034・門司亮
○門司委員 大体これの施行と関係がなければ早く急いでやつてもらいたいということです。
その次に聞いておきたいことは、今保岡さんも聞かれておりましたが、黒砂糖の税金の問題ですが、この前こうした議案が出ましたときにも、私、かなり詳しくこの奄美の砂糖製造業に対するいろいろな問題点等については申し上げたわけでありますが、究極にこれを申し上げて参りますると、今保岡さんからもお話がありましたように、結局黒砂糖ではどうにもならない。従って分蜜糖にしなければならないということが大体結論になるかと思います。しかし、問題になりますのは、それへ移行する施設の改善等にかなりの努力を払わなければ、サトウキビだけは幾らたくさん作つてみたところで、これでは私はどうにもならぬと思うのだが、そういう施設その他について、この一億円で間に合うというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/34
-
035・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 この一億を予定をいたしておりますのは、これはもちろん砂糖だけでございませんで、非常に零細な農民その他の漁民等を主体といたしまして、他の一般の市中金融機関からは融資が受けられないというようなものに対しまして融資を適切にいたしたいというねらいで発足いたすのであります。いろいろ今後分蜜糖への切りかえその他の措置が起つて参る際におきましては、大きな施設等でございますれば、これは当然国の特別金融機関でございまする開発銀行なりあるいは農林漁業金融公庫なりというものの融資対象にもなるものがかなり具体的に出て参ります。その他の小規模のものにつきましても、それらの点についてはかなり地元の金融機関その他の金融機関のべースに乗るものも出てくるのではないかというふうに考えるのでございまして、この一億でそういうものをいろいろ全部まかなっていくという趣旨ではございません。さらにこの一億自体につきましても、先刻大臣からも御答弁がございましたように、われわれこれでもって十分だとはもちろん考えてないのでありまして、われわれの考え方は、初年度は一億円であるが、今後われわれの抱いておる目標といたしましては、五億円程度のことはやはりほしいという考え方を持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/35
-
036・門司亮
○門司委員 どうもはっきりしないようですが、私たちの直接考えなければならないことは、そういうあいまいな五億くらいが要るだろうということでは、これはなかなか済まされない。御承知のように、こういう僻地に住んでおる人たちの気持というものは、われわれが考えてやらなければならないのは、現状に満足するとは言いかねまするが、概して非常にあきらめの強いという性格があるということであります。こういう場合に当局に考えてもらいたいと思いますことで、多少余談ではありますが、かつて私が奄美に参りましたときにも、戦争中並びに戦争後における島民の生活というものは非常に窮屈であった。ことに茶花の港を持っております方は大体米がとれるのでありますが、奄美の本島では米が非常に少い。そこで諸君は非常に食糧に困つたろう、こういう話をしますと、まだソテツのある間は生きていられましようという返事をしておる。ソテツの実を食べておれば生きておられるかもしれない。しかし、それは生きておるというだけであつて、そこには何ら発展が見られない。こういう言葉を聞きますときに、やはり離島におつて中央の文化に非常に遠ざかつておいでになる人たちの気持というものは、現状に対してあきらめの考え方がかなり強いのではないか。こういうことは、特にこういう法案をこしらえます場合に、島民の心情というものが十分くまれて、今までこれだけのものだったからこれくらいにしてやつたらよかろうということでなくして、やはり真剣に住民のものの考え方というものを引き立ててやるような処置を講じてやらなければ、いつまでたつても島民の生活というものは楽にならない。そういうことを痛感いたしますと、この法律の内容だけではなかなか思うようにいかないと考える。
そこで問題になりますのは、第一段階として、黒砂糖の税金をはずしてもらいたいということはこの前も申し上げましたし、それからさらに今申し上げておりますのは、これからくる分蜜糖としての精製をしなければならない。いわゆる製造工程の施設の改善に伴います援助というものが、非常に大きな問題になってくる。ところがもう一つその前にありますのは、サトウキビを作つております農民に対する価格の保障というようなものが、やはりある程度行われなければいけないのではないか。いわゆる内地における主要農産物でありますたとえば麦にいたしましても、一定の水準を政府が規定をいたしております。さらに米に対しましては、はっきりした統制をとつておる。あるいは繭に対しましても、実際は守られてはおりませんが、しかし、一応買い上げ価格の基準を政府は持っておる。そして価格の面からくるこれらの生産者の保護をいたしておるのでありますが、やはりこの場合も、いろいろなそうした施設は必要だと考えます。日本全体から考えればきわめてわずかなものでありますが、それらに対しても何とか価格の維持その他についての保障が与えられないかということ。これは非常に皮肉にも、日本の南と北の端、いわゆる北海道と奄美に今砂糖のとれる土地があるのでありますが、北海道の方は、ある程度やはり優遇を受けております。税金もかかっておりませんし、いろいろな面で優遇を受けておる。しかし、ここは少くとも四百万、五百万の人口のある北の端の方ではあるが、政治力としてはかなり強いのであります。従って、いろいろな恩恵を受けておると思うが、南のずっと端で、きわめて少い人口と政治力の少いこれらの諸君に対します——生産者に対する政府の処置というものは、かなり片手落ちがあるのじゃないかと思うのだが、これを自治庁の皆さんに聞いてもあるいは無理かもしれない。農林省の方に来ていただいて、そして農林大臣にお聞きする方がよいかと思いますが、一体その辺はどうなんです。もう少しめんどうを見る必要があるんじゃないかと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/36
-
037・青木正
○青木国務大臣 奄美の黒糖、将来分蜜糖になっていくでありましょうが、砂糖の問題、これは奄美の経済力を高めるためには最も肝要なことだと考えております。そこでいろいろだんだんのお話でありますが、実は私も奄美の方に、この間砂糖の将来といいますか、農民の方々の気持、今後どう発展さすべきか、そういうことを個人的であったのでありますが、いろいろお話を承わつたのであります。承わつてみますと、奄美が長い間端的に申し上げますと放置されておつた。終戦前におきましても、砂糖生産というものか台湾の方に重点が置かれておりましたので、奄美に対しては大して関心を持たれていなかったというようなことで、サトウキビ自体の改善と申しますか、これが非常におくれておる。そこで奄美の生産力を高めるために、砂糖工業に重点を置いていかなければなりませんし、そのためにはその前提として、まずカンショ栽培について、農民に相当強く援助もし、指導もして、質のよいそしてたくさんとれるように栽培指導をまずやつていかなければならぬのではないかというようなことも、実は私承わつたのであります。ただいま門司委員のお話のように、何分遠隔の土地でもあり、従来ややもすれば等閑に付せられている。しかしながら、この土地の住民のことを考えますれば、砂糖以外に生きる道がないということでありますので、これは真剣にそういう点について考えていかなければならぬのではないか。詳しいカンショの糖分の状態であるとか、あるいは収穫高、そういうことを私、今日詳しくはいたしておりませんが、大ざつぱに承わりまして、台湾のサトウキビ等に比較いたしまして、その成分あるいは収穫高が劣つておるということでありますので、まず、こういう点から国としてめんどうを見ていく必要があるのではないか。しかも、内地でありますと、農業協同組合があつて、こういう問題について相当指導をするわけでありますが、奄美におきましては、農業協同組合もそこまでの力は持っておりませんので、国としてもめんどうを見ていかなければならぬのじゃないか。これは資金的にも、また技術的にも、そういう点について特段の配慮をしなければならぬと私も考えるのであります。そこで分蜜糖に変えるために工場を作る計画等もいろいろ進んでおるようでありますが、国として、そういうことについてのできるだけのめんどうを見ることも必要でありますが、同時に、何と申しましても直接カンショを生産する農民の立場に重点を置いていかなければならぬのじゃないか。そこでお話のように、それならばカンショの価格を政府が保証すべきではないかということが問題になってくるわけであります。しかし現段階におきましては、今回も税法の改正によりまして黒糖の価格も若干有利になっておりますので、そういう面から農家の生活を守つていく。直接カンショの買上価格をきめるということも一つの方法でありましょうが、砂糖価格を維持することによって間接的にカンショの価格を維持していく。さらにこれと並行して技術指導をいたしまして、できるだけカンショの増産をはかつていく。こういうふうに両々相待って振興をはかつていくほかはないのじゃないか、かように私どもは考えているわけであります。しかし、お話の点は私どももよく地元の人から承わりまして、いかにカンショが地元の農民にとつて大事であるかということを私ども痛切に考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/37
-
038・門司亮
○門司委員 今の大臣の御答弁でございますけれども、問題は、税金を安くするからといって、それが直ちに農民にどれだけ響くかということはなかなか考えられないのです。これは安くなつたことによって内地の需要がふえるということはあるいはいえるかもしれない。それから製糖業者が支払う税金が安くなるということになるかもしれない。しかし、それが農民にどれだけ響くかということになると、私は案外響かないと思う。税金の関係は大臣の方がよく御存じと思いますが、非常に厄介なものでありまして、御承知のように、この話とは違いますが、また今度の国会で行われようといたしております例の譲与税である入場税のごときは、どうも観覧料が高いからといって税金を下げたら、税金を下げただけ一般の観覧料金が下るかと思ったら、ちつとも下らない。基本料金を上げてきて、税金の下つただけは館主さんがもうけたか、あるいは映画会社がもうけて、ちつとも大衆のためにはならぬのです。税金の問題は、販路を広げて割合に売りよくしていくという、こういう操作には役立ちますが、それが直ちに作つておる農民に役立つかどうかということになると、かなり大きな疑問があると思う。そこまでいけるかどうかということなんです。売れなくなれば仕方がないから、農民もそれで閉息するから、売れるようにした方が一つの救済法になるという回りくどい理屈はあるいは成り立つかもしれない。しかし、政治としてのあり方は、少くとも生産者が十分に採算のとれるようにして、そうして生産の拡大をすることこそがやはり税金を下げる一つの大きな目的になると思う。税金だけ幾ら下げてみたところで、生産者は引き合わなければ作りはしません。ところが、奄美の場合はそうはいっておられない。それ以外に何かそれにかわる作物があるかといえば、大した作物はない、風の当らない谷間を利用してバナナを作るとか、あるいはミカンを植えるとかいうようなことが地域的には多少行われております。しかし、これとてもやはりある程度——というよりも、もっと根本的な品種の改良を行わなければ、これはとうていほかの台湾あるいはその他で作つておりますバナナと太刀打ちすることは困難だと思う。これらの問題は、いずれも相当な手をかけなければならない問題であることは間違いありませんが、しかし、ほんとうに二十万の島民が安心して生活のできるようにしていくのには、直接農民への救済、というと語弊があるかもしれませんが、援助がこの際必要ではないかということを考えるのであつて、この法案だけでは——この前の国会で、私かなり強く、またかなり多くの問題を御質問申し上げましたが、そのことを考えてこの法案を見てみますと、かなりなまぬるい法案であつて、一体そんなことでどうするかということを言わざるを得ないのであります。価値論からいえば、あるいはこの程度でよろしいかもしれない。しかし、生きておる人間が住んでおるのでありますから、単に経済上の価値論だけでものを始末するわけにいかないと思う。茶花の港なども、さっきのお話では一億九千万円かけるということでありますが、それなら一体あの島からどれだけの産物がとれて、この一億九千万円を償うだけのものがあるかというと、なかなか現実にはそうはいかぬと思う。しかし、やはり島民の福祉を考えれば、そういう投資もしなければならない。そういうことが現実の姿として私は政治のあり方だと思いますので、この法案については、別に法案自身に異議があるわけではありませんが、政府としては、もう少し実態を考えて、島民のほんとうの利益になるような処置をぜひ一つ講じてもらいたい。この法案によって、また御承知のように法案自身に書いてありますように、信用保証協会か何かにこういう金が入っていって、これが基金となって貸し出されるということになっておりますが、この点についても、今日までのこうした基金が、一体奄美群島の住民にどれだけの直接の利益をもたらしたかということについて、かなり疑問があると思う。もしおわかりでしたら、今まで奄美群島に政府が援助して参りましたこういう金の使途あるいはこれの及ぼした影響等を、この法案をあげるまでに統計か何かで示していただければ、私どもは非常に幸いだと思います。それから、もう一つこの際聞いておきたいと思いますことは、これは自治庁の直接所管ではありませんから、あるいは御答弁しにくいと思いますが、奄美群島における林業の開発、林産物の問題でありますが、これについては特別何か手を打たれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/38
-
039・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 林業資源というものは奄美にはかなりあるわけでありますが、これの隘路となっておりますものは、結局はその積み出しの通路になりまする林道の問題が非常におくれておるわけであります。林道整備のための計画は、復興事業で推進をしております。そのほかに造林の関係につきましても勧奨措置を講じておりますが、根本的には、あそこでは森林資源の活用ということも同時に考えて参りませんと、運搬費その他運賃につきまして非常に割高になって参りますので、非常に残念なことながら、今度の瀬戸内の大火等につきましても、その仮設住宅を作るにいたしましても、これをこなす施設が現地にない。そのために鹿児島の本島でもっていろいろ木組みその他をやりまして、全部準備をして、組み立てだけでできるようにしてから船で持っていくというような状況に今なっておるわけでありまして、これらの点につきましても、やはり森林資源を積み出すということも大事でございますけれども、これらを活用して、現地においてこれが十分に利用できるというような態勢も並行して考えていくことが必要じゃないかというふうに感じておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/39
-
040・門司亮
○門司委員 今の御答弁でございますが、私がそういうことを聞きました一つの大きな理由は、奄美の森林資源の開発についてはいろいろな問題を実は含んでおります。これは大森林の大部分は、ことに道路沿いは特定の一人の個人の所有に帰しておるということであります。従って、これを開発しようとすれば、個人の財産を援助するような形が生まれてきはしないかという危険が多分にあるということ、これは事実だと思います。それからもう一つは、あそこにあります用材の種類でありますが、土地柄御承知のように杉の木は生えないという形をとつております。松の木を使えば、結局白アリがたかつて、これまたむずかしいという、こういういろいろなあそこには、森林は持っておるが、それはほとんどと言っていいほどかたい、炭か何かにはなるが、材木にはなかなかなりがたい、用材にはなかなかなりがたいというような状態であります。これは今まで自然林だからそういうことになつたのかもしれませんが、従ってそういう点等も綿密な調査が行われて、そして森林の資源の開発についても、さっき申し上げましたような事情で、十分な用意とそれから策が必要だと思いますが、同時に、やはり今までのような自然林をそのまま放置しておくというようなことでは、私は林業の発達というものはあそこにはあり得ない。せつかくかなり大きな山を持っておるのでありますから——山を持っておるというよりも全体が山ですから、何かあそこに手を入れることによって、あるいは植林の方法、技術等によって検討され、研究された結果、奄美に適した植林あるいは奄美に適した林産物というものができれば非常に幸いだと思いますが、それらの点についての経費というようなものは、もちろん私はこの法律の中に書かれておるものの中には含まれていないと思うのだが、鹿児島県等に対して何らかの援助をいたしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/40
-
041・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 それらの点につきましては、先刻も申し上げましたように、いろいろの措置を一心は計画をいたしておるのでありまして、先般御審議をいただきまして御決定をいただきました事業計画の延長によりまして、今後どのような点に重点を置いて事業を実施していくかということにつきましても、審議会でいろいろ御審議をいただいたのでありますが、その中の事業の種別というものについて若干申し上げますと、先刻も触れましたが、造林の奨励あるいは育苗圃の設置、それから林道開設、木炭倉庫、公有林の整備、移動製材所の設置、その他簡易索道の設置等につきましても、いろいろ計画をいたしておるのであります。しかし、今御指摘に相なりましたように、もっと根本的に、向うの樹種自体について問題があるのではないか。また造林奨励をやるといっても、それが村全体の、あるいは住民全体の福祉に貢献するような格好に持っていくにはどういうふうにやつたらいいのかというような基本的な問題については、私といたしましても、やはりもっと徹底した本格的な調査というものが必要であるように考えておるのであります。そういうような意味合いで、専門家に委嘱いたしまして調査のことも従来も若干やつて参りましたが、まだまだ満足な結果が得られておるとは思いません。しかし、奄美復興計画事業費全体の中で、調査費というものも事柄の性質上かなり見込んでおるわけでありまして、そういうような根本的な本格的な調査というようなことも、今後とも重点的に進めていってはどうかという考え方は持っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/41
-
042・鈴木善幸
○鈴木委員長 本日は、これにて散会いたします。
午後零時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X01019590217/42
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。