1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月十二日(木曜日)
午前十時五十分開議
出席委員
委員長 鈴木 善幸君
理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君
理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君
理事 吉田 重延君 理事 阪上安太郎君
理事 門司 亮君
相川 勝六君 天野 光晴君
飯塚 定輔君 金子 岩三君
津島 文治君 野原 正勝君
山崎 巖君 太田 一夫君
佐野 憲治君 下平 正一君
中井徳次郎君 北條 秀一君
矢尾喜三郎君
出席政府委員
国家消防本部長 鈴木 琢二君
総理府事務官
(国家消防本部
総務課長) 横山 和夫君
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三月十二日
委員加藤精三君辞任につき、その補欠として賀
屋興宣君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員賀屋興宣君辞任につき、その補欠として加
藤精三君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
消防組織法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一一八号)
消防法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
四七号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/0
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001・鈴木善幸
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
消防法の一部を改正する法律案及び消防組織法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし審査を進めます。
両案に対し質疑の通告がありますので順次これを許します。纐纈彌三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/1
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002・纐纈彌三
○纐纈委員 私は、法案自身でなく消防全体につきまして少し当局の御意見を伺ってみたいと思うのであります。
先般いただきました資料によりますと、火災の起りまする件数は漸次累増して参っておりますが、これと反対に損害額というものが減っておるということは、一応私は消防施設が漸次整ってきた結果であり、また国民にもある程度火災に対する考え方が変ってきたということも考えられますが、どうも火災の原因等を見ましても、私は従来と同じように不注意から起る原因が非常に多いと思うのであります。先般本部長の御説明の中にも、火を使う機会が非常に多くなったのだし、いろいろ新しい産業がふえて火災の原因を起すような問題があるというようなことも言っておられましたのですが、特に最近そういう意味合いにおいて科学の進歩、そういう点について新しいものを使うために特に火災が多くなったというようなことについての具体的の何か御説明を伺えれば一つお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/2
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003・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 最近火災の件数が非常にふえておりますのは、ただいま御指摘ありましたように、一つの大きな原因は文化生活と申しますか、電気とかガスその他の新しい文化生活資材がふえて参りましたために、それらに基くこれらの取扱いの疎漏、それから無知等に基く火災がだんだんとふえてきておるのでございますが、その模様は、原因調べを見ましても——お手元にも差し上げてあると存じますが、三十三年のいわゆる消防白書と申しますか、この中にも書いてあるのでございますが、出火原因の調べではこんろが一番上位になっております。このこんろと申しますのは、石油こんろ、ガスこんろ、それからプロパン・ガスの類も含めておりますが、そういったいろいろな種類のこんろが一番上位を占めておる。これは結局、簡単に炊事ができる器材がだんだんとふえて参りましたために、たとえばアパート等とか、あるいは間借り生活というような人たちが、簡単にこういう便利なこんろを使って炊事をするということに基く、それの取扱いの疎漏に基く火災がふえておるということでございまして、これらの出火原因の統計から見ましても、その模様がはっきりといたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/3
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004・纐纈彌三
○纐纈委員 そうした危険物を取り扱います無知あるいは不注意というような問題が、そうした火災の件数をふやす大きな原因になっておるということのように承わりましたが、実は先般もいただきました資料を見ましても、各市町村の消防におきまして、火災予防条例というものが作られることになっておるわけでございます。従って、火災予防につきましても非常にPRもされ、皆さんも大いに努力されておることはよくわかるのですが、消防は火災を消すことももちろん大事ですが、むしろ予防に重点を置かなければならないと考えております。というのは、今も申しましたように不注意の点から起ってくるというのが非常に多い。また危険物を使う無知から起るということがございますので、そういう点が、火災予防の点にもう少し重点を置くということにいたしていけば相当減るのではないかということを考えておるのでありますが、依然として火災件数というものは減って参りません。それで今の火災予防条例というものを各市町村に作るということになっておりますが、これもまだできてない市町村が非常に多い。それは先般も、今度の消防組織法の改正の問題になっております十九条におきましても、どうも自治体が勝手にやるので、われわれの言うことを聞いてくれないからそういうことになっておるという一つの原因にもなっておるように御説明を受けておるわけですが、この条例制定に対する点について、今まで本部といたしましてどの程度に努力されておりますか。それらにつきまして御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/4
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005・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 火災予防条例は、昭和二十六年に火災予防条例準則を示しまして、全市町村に火災予防条例を制定するように勧告いたしたわけであります。その火災予防条例は、相当にこまかくいろいろな場合に応じた火災予防の仕方を一切掲げて相当緻密な規定を準則として示したわけでございますが、その後だんだんと各市町村に制定を催促をいたしまして、だんだんと制定はいたしておるのでありますが、現在未制定の市町村が千二百九十ばかりございまして、三五%の市町村がまだ制定いたしておらないような状況でございます。これはもちろん小さな町村なんかでは、事務の不足のために、あるいはこういうややこうしい予防条例を自分の村の条例として作るのには手不足というような点があるかもしれませんけれども、しかしお説のように非常に重大な問題でございまして、ぜひともこれは全市町村に制定してもらいたいと思いまして、機会あるごとに県を通じてこの制定を勧奨しておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/5
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006・纐纈彌三
○纐纈委員 条例の準則につきまして非常にこまかく規定されておる、非常に御親切に示されておりますことはけっこうなことと思いますが、いなかの町村等におきまして、あまり規則でこまかくいっておりますと、ほとんど読まないでやっているというようなことがありはしないか。また、そういう実際の内容を十分に研究しておらないために、条例なんか作らぬでもいいじゃないか、今まで通りのしきたりでやっていったらそれで事足りるじゃないかというような考えを抱くものがある。そういうようなことで、この条例
も作るに至らないというようなことの一つの原因になっているのではないかということも考えるのでありますが、結局、やはり準則に示されました条例の内容というものを、特に大事なところは府県を通じてやっておられるということでありますが、もう少しその点について積極的に、やはりできておらぬところには働きかけて、条例を作ると同時に、その条例の内容については十分の理解を与えて、そうして火災の発生を防ぐということに努力をしていただかなければならぬのではないかということを一応考えております。これは私の考えでございますから御答弁は要りません。私もちょっと参議院の方へ呼び出されておりますので、時間の関係がございますから端折って次の問題に参りたいと思います。
私は、いつも新聞等を見ましても、どうも公共建物、ことに学校の火災というものが相当ある。しかもその原因が非常にわかっていない。あの表を見ましても、その他というところはおそらく原因不明という問題であるように私は見てとっておるわけでありますが、それが学校はもちろん、官庁その他におきましても、どうも五〇%以上越しておるようなふうに私は記憶いたしておるのでありますが、こういうことは、やはりああいった公共建物に対しまする火災の予防と申しますか、そういうことの原因をわからなくしておるということについて、何か自分の建物でない、人の建物だから、そういう点に注意を払うことが非常に少くなるのではないか。こういうことも一つの原因になっているのではないかということも私は考えさせられるのでございますが、どうして学校とか公共建物について、さような原因不明のものが多いか。その点については、消防本部の方ではどんなふうにお考えになっておるのですか、そのお考えを一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/6
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007・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 御指摘のように、学校その他官公衙の建物の出火原因につきましては、原因不明というのが非常に多くてまことに残念なのでございますが、お話にもありましたように、こういう公共建物を含めての意味でございますが、共同管理的な建物の火災が非常にふえてきておるわけでございます。火災件数が毎年ふえておりますが、一般の個人の住宅はあまり増加いたしておりません。こういう公共の建物だとか、使用人を使って結局使用人に管理をまかせておるような建物、そういったところに火事が起るのが非常に多くて、それが件数の増加を示しておるような状況でございます。学校とかその他の官公衙につきましても、そういう管理の不十分ということが火災の大きな原因であろうと思います。それで管理が不十分でありますと、一ぺん火が出ますと、大体大きな建物で非常に火の回りが早くて、初期消火が間に合わない。連絡があったりあるいは望楼から見たりしてかけつけたときには火が一面に回っておる。こういうような状況で火災が広がるのが、こういう公共関係の建物では非常に多いわけであります。そうなりますと、今度原因調査の際に、どこから火が出たのか、どういう理由で火が出たのかを調査するのに非常にむずかしい現状になっておる。こういうことで、結局原因不明というものが多くなるのではないかと大体想像されるわけでございます。
そういう意味で、結局管理の問題でございますが、実は一昨年の秋に、官庁、学校を含めての官公衙の建物の火災予防のために、どこに重点を置いたらよいかということを研究をいたしまして、都道府県を通じて、並びに各官庁を通じて通牒と申しますか、お願いを申したことがございますが、この要点と申しますのは、結局、その管理に関する問題でございまして、人を置くということも、そういう大きな建物ではなかなか困難でございますので、第一にわれわれが希望いたしますのは、火災感知器をぜひつけてもらいたい。火災感知器は人手がなくても役に立つわけでございますから、当直室にベルが置いてあれば、その施設によってベルが鳴るということで、当直あるいは小使がおれば、一応火災の発生が感知できるということになりますので、火災感知器を一つつけてもらいたいということが一つ。それから第二には、火を取り扱う場所、学校でしたら炊事場とか、あるいは化学の教室とか、あるいは裁縫室等で電気とか火ばちを使うのでしたら、そういったような場所、そういうところの防火改修を十分やってもらいたい。学校等には非常に古い建物が一般的に多いわけでございますので、十分な改修措置が施されていないために簡単に火になっておる。火事になるという原因が多い実情にかんがみまして、そういうところは防火改修を特に厳重にやってもらいたいということ。それから第三には、清掃と申しますか、整頓と申しますか、よく建物の中を清掃しきれいに整頓して、しかも防火、消火施設等の取扱いも疎漏のないように、またいたんでいるものならすぐに修繕するというような措置をとるように、清掃、整頓ということに気をつけてもらいたい。第四点は、電気火災が多いことにかんがみまして、電気の引込線、それから屋内の配線状況、安全器の状況、ソケットが古いかどうかというような問題そういうものを重点に十分ふだん調べてもらいたい。この四点をあげまして実は注意をいたしことがございます。その後も毎年行います春秋の火災予防週間にはこれらのことを強調して、公共建物の火災を起さないように注意をいたしておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/7
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008・纐纈彌三
○纐纈委員 今、学校の火災の原因調べによりましても、放火あるいは放火の疑いというのが非常に多い。それからあと、たばこ、煙突、マッチ、かまど、電気こんろ、電気アイロンとこて、しちりんやこんろというようなものがあげられておるわけでございますが、放火の方は、学校の管理をしておる者ももちろん注意をしなければならない問題であることは当然でありますけれども、特に以下のものにつきましては、外から来た人のあやまちによってそういうことがあるかもしれませんが、やはり学校の当直、あるいはそこに関係した者たちの不始末によって原因が出てくるようなふうに考えるわけであります。かって私は警察の仕事をやっておりました時分に、ある県下の最も優秀な校長で、しかも多年教職についておった方のところにたまたま火事があったわけでございます。ところが、私はその当時から、学校なんかの火災原因がいつもうやむやになっていることは非常に遺憾であるから、徹底的に調べろということを申してやってみたのでありますが、なかなかどうもいろいろの関係で、学校としては学校の責任において火事が起ったというようなことであると、非常に学校の信用にも関するというようなことから、ことさらこの原因を追及することに協力しないというような傾向があるやに思われるわけでございます。なお、その調査の点につきましても、消防団の方と警察の犯罪捜査の方との間について、いろいろそこにしっくりいかないために、お互いに何か権限争いとかなんとかということのために、かえってその問題が徹底的に調査できないようなことが起っておるのじゃないかということも耳にしておることがあるのでありますが、そういう点については、いずれ私は警察の方面にこの問題について質問したいと思っておるのですが、一応消防本部として火災原因、ことに公共建物に対する原因がはっきりしないという点について、もう一ぺんはっきり御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/8
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009・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 火災原因の調査は消防当局の責任になっておりますことは、法律に明記されておるわけでございまして、火災原因がわからない、原因不明ということは、いわば消防の恥なのでございまして、この原因調査には相当技術も要する場合がありますので、原因を必ず明確にするというためには、相当職員なり、団員の教養も大切なことと思いますので、今後とも十分に火災原因調査の責任が消防として果せるように、教養その他について努力していきたいと存じております。なお警察は、もちろん消防とは別に放火、失火等の犯罪捜査の権限があるわけでございまして、一つの火災について、消防が原因調査をし、警察が犯罪捜査の面から調査するわけでございまして、その間にほんとにしっくりと連絡、協調がつかなければ、十分な火災原因の調査ができないわけでございます。御指摘もありましたように、ところによりましては、警察と消防がしっくりいかないために、火災原因の調査に思うような成績が上らぬというようなことも間々ございますので、実は昨年警察とも打ち合せをいたしまして、文書で警察、消防それぞれ通牒を出しまして、十分協調していくようにということを通牒いたしたこともございますが、今後とも火災原因の調査について、警察と消防がしっくりと手をつないで、必ず火災原因を十分に突きとめるということに共同して努力するように努めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/9
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010・纐纈彌三
○纐纈委員 先ほどの御説明の中に、そういう公共建物の火災を防ぐという意味におきまして、つまり防火施設、消火施設等をやる、あるいは清掃、整頓の問題についても十分注意をしていくということでございますが、これは徹底的に必要なことと私は思うのであります。だんだん学校も老朽になり、あるいは統合され、屋体ができるというようなことで、新しい建物が相当できて、今度も来年度の政府の案として、すし詰め教室の解消あるいは老朽校舎の解消というようなことで五カ年計画でやっておりまして、今後さらに私は新しい学校がたくさんできると思っておりますが、その建築をいたします際に、そういうものを必ず作れというような点についての御注意をされておりますか。またそれができないのか、どうですか。それからまた火災予防週間においてそういう注意をされて以来、そのためにそういう施設がどの程度作られておりますか。そういう点がもしおわかりになったら、伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/10
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011・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 先ほど申し上げました火災感知器の問題でございますが、学校等には、私どもはぜひともこの火災感知器を施設してもらいたいと実は考えておるわけでございます。これの費用も——火災感知器もいろいろ種類はございますが、大体坪当り五百円から八百円程度でできるわけでございまして、新しく建築する学校でございますれば、大体建築費の一%あれば火災感知器の設備が完全にできるわけであります。それでこれは新しく建てる学校、特に木造についてはそうでございますが、ぜひともつけてもらいたいということで、毎回火災予防週間のたびに呼びかけておるのでございますが、これがなかなか実効が上りません。それは学校建築その他学校の管理について、市町村の予算がぎりぎり一ぱい、建築の際にも建築費がぎりぎり一ばいというために、そういう方面までは手が伸びないのじゃないかと思われますが、額として建築費の一%程度でございますから、大したものではございませんので、今後ともあらゆる機会に、こういう便利な、しかも最も有効な施設をいたしますように勧奨いたしますとともに、また文部省とも十分連絡をとりまして、そういう施設の整備を推進していくようにいたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/11
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012・纐纈彌三
○纐纈委員 あとは一応留保しておきまして、時間があればまたあらためてお伺いすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/12
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013・鈴木善幸
○鈴木委員長 北條秀一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/13
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014・北條秀一
○北條委員 私は、消防組織法を中心としてきわめて簡潔に御質問をいたします。ただいま本部長の御答弁の中に、出火原因不明は消防の恥だということを言われておりましたが、その恥という精神は、私はまことに同感でございます。昔、江戸では火消しは江戸の花といわれておりまして、その事柄のよしあしは別にいたしまして、江戸の火消しは非常に張り切っておったのであります。なぜ張り切ったかというと、火災がどんどんあって、常に張り切った状態になくちゃならぬというようなこともあったかと思うのであります。ところが、今日では火事がだんだんと少くなって、消防は、精神の張り切る状態が、これは仕事がなければ弛緩することは人情の常かと思うのでありますが、しかし、何といっても消防にはそういった精神の張り切りがなければならぬということは当然のことであります。消防のごときほんとうに縁の下の力持ちをしておる人、こういう人は、精神の張りがあってこそ初めてたっとい縁の下の力持ちができると私は思うのであります。ところが、そういう要求をされなくちゃならぬ消防本部では、先般私はこの委員会において若干触れて質問いたしたのでありますが、三月三日に行われましたし消防功労者の表彰式、ああいうものをああいうふうな形式で、ああいうふうな場所でおやりになることは、私はまことに遺憾千万だと思うのであります。ああいうところに皆さんの精神の弛緩状態、俗な言葉で言うと、消防のたるみが出ておるのだと私は信じますので、私としては、自今こういうふうなたるんだやり方は絶対にやらないようにしていただきたい。こういうことをまず第一に申し上げて、この点についての消防本部長の御見解を承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/14
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015・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 消防の活動の実績を上げるためには、ほんとうに消防精神に徹した信念を持って活動しなければ、十分効果の上らないことは御説の通りでございます。ただ、その問題と、先般消防功労者の表彰式が日本消防協会の新しくできました会館で行われたこととは、直接は関係ないと私は存ずるのでございます。実は従来この表彰式は、私どもの役所のある人事院ビルに講堂がありました当時は、人事院ビルでやっておりました。ところが、あすこが今全部事務室に改造されましたので、あすこではできません。その後、春先はああいう広い場所を使う会合が多うございますので、借りるのにはよほど早くから交渉しないことには借りられないという状況でございます。先年はやっと防衛庁の講堂を借りてあの表彰式を挙行いたしたこともございますが、たまたま全国消防人の長い間の希望が達せられて消防会館ができ上りましたので、これは全国の消防が相当協力もいたしてできた会館でございますし、ちょうどこれが適当と存じまして、あの会館を使った次第でございます。特別変った意味があるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/15
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016・北條秀一
○北條委員 ただいまの消防本部長の御答弁はきわめて事務的なものでありまして、そういうことだからいかぬと私は言っておるのであります。早くから申し込まなければ会館がとれないというなら、一年前に計画を立てておけばいいので、その辺がたるんでいる証拠だと思います。
そこで消防組織法に入りますが、消防組織法の第一条に、国民の生命財産を守るということになっておるのであります。これは今回の改正法に関係するわけではございませんが、私はここで消防本部の皆さんの考えておる基本的な問題についてお聞きしたいから言うのでありますが、元来消防組織法の一部を改正する法律案を出すならば、私は基本的な考え方としては、消防組織法全体をこの際考え直してみたらどうかという考えを持っておるわけであります。しかもこの消防組織法ができたのは昭和二十二年でありまして、当時私は参議院におったものですから、私どもも立法の責任があるわけでありますから、自分でやっておいて今さらぐずぐず言うのもどうかと思うのでありますけれども、第一条に国民の生命、財産を守るとなっておるのであります。警察法を見ますと、個人の生命、財産を守るということになっている。また生活保護法を見れば、これまた国民の生活を保護するのだ、こういうことになっておるのであります。こういうことを見て参りますと、警察は民族のいかんを問わず個人の生命、財産を守るのだということになっており、消防は国民の生命、財産を守るのだから、従って国内におるところの外国人の生命、財産は守らぬというふうにとれるのだが、ここに掲げられておる国民とは一体どういうものか、警察法との関連においてどういうふうに考ておられるか、この点一つ御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/16
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017・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 最近の法律は国民という言葉を使わずに、個人という言葉を使うのが多いようでございまして、これは特に深い意味があるのではなく、個人という言葉を使わずに国民という言葉を使ったがために、国内に居住している外国人を排除するという意味ではないのでございます。ここにいう国民とは、国内に住んでいる人は大部分が国民ですから国民と、こういった程度の意味に私どもは解釈いたしておりまして、第三国人でも国内に住んでおる者は一切含めてわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/17
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018・北條秀一
○北條委員 それは今とってつけた御答弁でありまして、もう少し深く考えて、消防組織法を今回のように一部改正されるならば、そういうところに気がつかれたら、この際こういうことも直さなくてはいけないし、またそういうところに目を配っていなくてはならぬはずだと私は思うのであります。そういうことなしに、単に組織法で大学校を作るとか、あるいは研究所を作るとか、そういうような貫禄をつけるとか、形式を整えるとかいうようなことばかりに目を向けておられるところに、私は消防のたるみがあるという言葉を再び繰り返さざるを得ない。国民という表現は確かにまずいのです。まずいならまずいということを意識されて、そしてすみやかにこれを直していくということも私は必要なことだと考えておるわけでありまして、そういとことを聞いているのです。ただいまの鈴木本部長の御答弁は、私は極端に批評はいたしませんが、やわらかな言葉をもって言えば、不十分な御理解であると思います。それをもっと深刻に考えて、そういうところに消防の精神があるのだということを考えて、今後善処していただきたいということを申し添えておきます。
そこで第三番目に申し上げたいことは、二、三日前に青木自治庁長官は、行政審議会の答申に基いて自治庁を自治省にする、そして消防本部を消防庁にして、そこに長官を置く。こういうふうにしたらどうだということを新聞発表いたしたことは御承知の通りでありますが、まずあの内容について消防本部長は御承知でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/18
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019・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 自治省設置に伴う自治庁における計画案は、消防本部を自治省の外局として消防庁とするということになっていることは承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/19
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020・北條秀一
○北條委員 それでは国家消防本部の機構についての先の見通しは、はっきりと政府から示されているわけですか。いつになるか知らないが、しかし大臣が責任を持ってああいうふうな新聞発表をする以上は、決してそれが三年、五年先になるとは考えられない。おそらくこれは本年度中か、あるいは来年度にはその問題が具体化するであろうということが考えられる。そうなりますと、今回の消防組織法改正によって、目の前に見えておる消防本部の組織がえということを見ながら、今回のような「国家消防本部に本部長を置く。」というのを、「国家消防本部長を置く。」というふうに、わざわざ「国家消防」という字をつけた長たらしい名前をつけられた。ああいうことですと、火事は緊急の場合に急ぐのですから、鈴木さんを呼ぶのに、今までは本部長だったが、今度は国家消防本部長と大上段に電話をかけなければならぬというようなことで、間に合わないのです。むしろそういうことよりも、特にあなたのところの機構を改組するのだというようなことがはっきりとしておるならば、あえて今回のような一部の改正をやるということは意味をなさなくなるのではないか、時のよろしきを得ない、こういうふうに考えるのですが、まずこの点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/20
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021・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 実は自治省の問題は、前からそういう話があるということは聞いておるのでございますが、この消防組織法の改正をわれわれが計画いたして進めております当時は、今度の国会に同じ時期に自治省の設置法案が出るかどうかということは、まだ明確になっておりませんでした。それで消防組織法は、現状のままでその一部を改正するということの取扱いをいたした次第でございます。それから組織法の「本部長」を「国家消防本部長」に改めるという第三条の改正規定があるのですが、これは現在の消防組織法が非常にまちまちな言葉を使っておりますので、他の法律に引用するような場合でも、国家消防本部長というのがほんとうの名前か、本部長というのかわからぬというような従来非常に不体裁な状況になっておりましたので、ほかの法律で引用するような場合におきましても支障がありますので、この機会に全部国家消防本部長と統一いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/21
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022・北條秀一
○北條委員 消防組織法は親の法律であります。ほんとうは子の法律の方が悪いのであって、子の法律の方を直すべきである。ところが、今あなたの御答弁は、親の法律と子の法律が混乱しておるからやむを得ず親の方を直すんだ、そういうことでしょう。そういう考え方はきわめて不徹底だと私は申し上げたいのです。私がさっきからあなたと質疑応答を繰り返しておる一貫した精神は、そういうことを言っておるのです。だから、それは理解してもらわなければ困る。それが理解できないような消防本部の皆さんだと、また悪口になりますが、たるんでいる精神だと言わざるを得ない。だから今の考えは、そういうように子供の法律の方を親の法律に合せていくことが適切であって、今のように親の法律を直すという考え方はどうも当てはまらないと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/22
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023・横山和夫
○横山政府委員 他の法律との関係もございますので、私から御説明申し上げます。
親の法律、子供の法律という話が出たわけでございますが、実は消防組織法自体の中に国家消防本部長という名称と本部長という名称と二様あるわけでございます。たとえて申しますと、三条では本部長ということを書いてあるわけでございます。同じ法律の中の五条の第三項で、職員の任免権に関する事項では国家消防本部長という名称を用いております。なおまた、先般来いろいろ御審議をいただいております現行法の十九条の中にも、国家消防本部長という名称があり、二十条にも同じくこの名称があるのでありまして、一般的には国家消防本部長となっておるのでありますが、たまたま三条の国家公安委員会との関係を規律するところに本部長ということが出ておるわけであります。子とおっしゃいました法律、たとえば現在水防法、建築基準法、耐火建築促進法等がありまして、それぞれ建設大臣が国家消防本部長の意見を聞いていろいろ行政措置をする、こういう規定がございますが、この場合にも国家消防本部長という名称を用いておるわけであります。そこで先ほど御答弁申し上げましたように、国家消防本部長というのが本来の名称でございまして、もともとこの三条の本部長というところは、国家消防庁で長官となっておった時代があったのでございますが、それを改正いたしますときに国家消防本部長とすることが適当だったと思うのでございますが、そのまま本部長となったというところで、こういう名称になったのではないかと私は想像いたすのですが、そういうことから今回は任免権を行使し得る主体であるという観点から、この名称だけは変更させていただきたいということで、実は国、家消防本部長ということに統一いたそうということになったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/23
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024・北條秀一
○北條委員 わかりましたが、先ほどの話にまたもどりますが、消防本部を消防庁にしていこうというのがきわめて近い将来に実現するであろうということが考えられる今日であります。でありますから、今こういうことを直して、また半年か一年後に再び消防庁長官というふうに直すということは、鈴木本部長にしても名刺の刷り直しだって大へんだと思う。だからこの際は、本国会でばたばたしないで待った方がいい、消防組織法の一部改正案は待った方がいいということを全体としては考える。もし待ったと仮定いたしまして、どうしてもこの法律を改正しなければ四月からの消防本部の仕事に役に立たない、間に合わないという点がありましたら、その点をここで明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/24
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025・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 この消防組織法の改正は予算にも関連いたしますので、ぜひとも三月中に成立させていただきませんと、予算の執行との関係もございますので、ぜひともそうお願いしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/25
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026・北條秀一
○北條委員 予算との関係というのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/26
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027・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 消防大学校の問題、それから消防審議会の問題、これらはいずれも予算に関係がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/27
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028・北條秀一
○北條委員 今項目だけ並べられたのですが、大学校を作るために一体どれだけ予算が要るのか、あるいは審議会を作るのにどれだけ予算が要るのか、おそらくその金は微々たる金であろうと思うのです。そうここで大見栄を切って、こういうことをやるのだから、これだけの金を使うのだから、どうしても一部改正をやるのだというような緊迫した内容ではないと私は考えるのですが、その点を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/28
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029・横山和夫
○横山政府委員 予算の関係でございますが、消防審議会の設置に要する経費としましては、その組織運営に要するものとして四十四万余円を先般御可決をいただきました予算の中に新たな項目によって組んであります。なお大学校の関係は、現在講習所という形であるのでございますが、予算編成の過程におきまして、今度の制度改正で消防大学校にするのだという話し合いのもとに約五百七十万円程度の予算措置をいたしております。その他今度の改正におきましては、消防組織法及び消防法の改正、特に消防法の改正を中心とした運用に要する経費といたしまして三十七万余円、なお調査指導に要する経費として四十万円程度の予算措置をいたしおります。なおまた付属機関であります研究所の中におきまして、いろいろ消防法の危険物に関しては、新たなる角度から今後政令を制定する場合に研究を要する問題等もございますので、六十二万円余を計上いたしてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/29
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030・北條秀一
○北條委員 政府の中には、法律によらないところの調査会であるとか審議会というものがあるわけですね、幾らあるか知りませんが。従って、予算が四十四万円ついたから消防審議会をどうしてもこの法律を直してまでも作らなくちゃならぬ、こういうような問題ではないと私は思うのであります。だから要するところ、ほんとうに消防組織法の一部を改正するのは時代の趨勢においてどうしてもやらなければいけないのだ——何も法律改正しなくても今の問題はやれるんです。消防大学校にしたって、そもそも消防大学校の元締めであるところの国家消防本部長が、本部長といってみたり、あるいは国家消防本部長といってみたりしておるわけであります。今の講習所を、私は法律規則は知りませんが、便宜的に消防大学校と称したところで、そう大した問題ではないと思う。だから半年か一年先に消防庁になり、長官になるんだから、その間、こんな問題で野党から食い下られて、消防本部はたるんでおるのじゃないかという悪口を言われてまでも邁進しなければならない理由はないのじゃないか。むしろこの際、国会の円滑な運営をやるために、こういうものはしばらく涙をのんでも、まけて言えば、継続審議にするとか引っ込めるとかいうふうにした方がいいんじゃないか、国政全体の上からいってその方がいいんじゃないか。そういうことよりも、今日消防に一番必要なのは金と物、金と機械なんです。その二つが十分にいけば、全体の消防も張り切るでありましょう。ところが、一番必要な金と物、金と機械が与えられない今日の消防なんです。そこでわれわれ社会党としては、市町村の消防を拡充するために消防施設税を作ろうじゃないかというような意見も持って、そうして今日まで与野党の間に論争を続けてきておるわけであります。そういうことが今日必要なんです。ところが、そういうことをやらないというところに、私は鈴木消防本部長として深く反省していただきたいと思うのであります。従って私としては、今回の国会は実に多くの——委員会でもまことにこういうふうな状態でございます。こういうふうな中で、国民の生命、財産を守るんだという消防の問題をやるということは、私はきわめて適切じゃないと思うから、むしろこの際あっさりと組織法の一部改正は撤回するというふうにしたらどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/30
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031・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 わが国の消防制度は、申すまでもなく二十三年に自治体消防となりまして、改正されてから十数年たっておるわけでございますが、その間の経験によりまして、いろいろと不合理な面もございます。また国と地方との一貫した行政体系になっていないというような点がございまして、かねてから消防制度を再検討すべきであるという意見は消防部内にも相当高まっておったわけでございます。御承知のように、一昨年それらの意見が盛り上ったと申しますか、政府に消防審議会が設けられまして、この審議会において相当長い間、現在の消防組織法並びに消防法の内容を検討いたしまして、一昨年の十月に答申がなされたわけでございす。その答申に基いて、この前の通常国会におきまして、消防組織法並びに消防法の改正をいたさなければならないと思ったのでございますが、財政措置を伴うものがありまして、時期的にちょっとずれましたために、ついに前回の通常国会には法律の改正を提出する段取りに至らなかったわけでございます。その後一年間、消防組織法につきましても、消防法につきましても、内容を種々検討いたしまして、また第一線の状況等も十分意見を徴したり、実情を調べたりいたしまして、案を練っておったのでございます。そうしてわれわれの当初の考え方といたしまては、予算措置が十分できれば消防組織法も消防法も全面的に改正いたしたい。十数年の経験で改正すべきものと思われている点については全面的に改正したい。そういう意味で全部を改正いたしたいという考え方で進んでおったのでございますが、十分な財政措置ができませんでしたので、予算措置ができた範囲内において一部改正を計画いたしたわけでございます。そういういきさつがございますので、たとい一部改正ではございましても、なるべく早くこれを改正する、予算的な裏づけがなされた部分並びに予算措置が直ちに伴わなくともできる部分は最小限度改正をやりたいということで、提案をいたしておるような次第でございまして、ゆっくりかかっていいというふうには私どもは考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/31
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032・北條秀一
○北條委員 最後に一つだけ申し上げます。今回の消防組織法の改正は、消防本部の中にある審議会の答申であるということですが、そのお話の中にありましたように、法律に基かざる審議会というものはちゃんとあるんです。だから、今そういう問題がこの改正法案の中に出ておりますが、わざわざ出すほどのことはないと思う。第一消防本部というものは、政府の、ことに内閣の中におきましてはつんぼさじきに置かれている。これが一番の大きな原因である。つんぼさじきにあるから財政措置も不十分である。一番必要なのは機械と金です。政府はそれをなかなか認めてくれないということだと思う。
もう一つは、消防そのもの自体に欠陥がある。先ほど来申し上げておりますが、結局、各地の市町村の消防の精神がたるんでおるというようなことは何べんも言っている通りだが、再び表彰式に戻りますと、こういうことなんです。江戸時代においては、旗本と火消しというものがあって、そうして旗本がだれたときに火消しがしっかりして、旗本がやられてしまった。今日は国家消防本部というものがありますけれども、それが火消しの下風に立っているというような状態、しかも日本消防協会の会長は飛ぶ鳥も落す勢いの大政治家であります。従って、日本消防協会の会長さんのもとに行けば、国家消防本部長もまるで影が薄いというようなことになっているのじゃないか。そこで私は最後に申し上げますが、こういう改正をおやりになるのなら、基本的な全面的な改正をやりなさい。
きょうはこれでやめますが、この次に、つんぼさじきにいるあなたは青木国務大臣とよく相談されて、この一部改正法案は北條委員の言うようにもう少し待つたらどうかということ、もう一つは、第一条の国民と個人、これについての基本的なものの考え方を十分に固めていただきまして、次の委員会に私に答弁していただくようにお願いをいたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/32
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033・鈴木善幸
○鈴木委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/33
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034・門司亮
○門司委員 一、二の点について聞いておきたいと思います。一つは、危険物の取締りの関係でこういう法案が出されておりますが、現在都市の急速な発展に伴って、こういう危険物視されるものを取り扱っております工場等が、必ずしも適当な場所でないと考えられるものが私は相当ありはしないかと思う。同時に、それらの爆発その他の被害が一般民家に及ぼす影響等がかなりあると思う。従って、許可をされたときの状況と今日の状況とは、地理的にかなり問題を持っておると私は思う。そういう問題に対する取締りといいますのは一体どういう形で行われるつもりであるのか、その辺の何かお考えがあるならお聞かせを願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/34
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035・横山和夫
○横山政府委員 現在の危険物の取締りの関係は、門司先生は前々から消防法のことにお詳しい関係でよく御存じの通りに、消防法に基きますところの危険物取締条例を作りましてやっておるところと、法律で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/35
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036・門司亮
○門司委員 そんなことを聞いておるのじゃない。答弁だけを一つはっきり言って下さい。私は条文で、条例でどこへまかしているとか、ここへまかしておるとかというのじゃない。そういうことがあるからこういう改正法律が出ておる。改正法律の基本となるべきものについては、これは条例をこしらえておるところとこしらえておらないところとあるかもしれない。しかし国家消防本部の考えている考え方の中に、今申し上げましたように許可するときは差しつかえがなかった。たとえば市の条例で許可するときには差しつかえがなかったというようなものがあるかもしれない。しかしそれは都市の発展で、現在では必ずしも適当な土地ではないという見通しに立つものがあるかもしれない。従って、それらのものに対する取扱いを一体どうするつもりかということを聞いていて、市の条例があるかないか、その条例が影響するかどうかということを聞いているのではない。今あるものは条例に当てはまっているものであることは間違いないと思う。条例違反というものはないと私は考える。現在あるものは条例違反でなくても、客観的な情勢から見れば相当不適当と考えられるものがありはしないかということである。現在は適法で設置されているが、客観情勢は変って、その適法は適法でないと場所的に考えられるものがありはしないか。そういうものをこの際ほかに移すというようなことがやはり考えらるべきではないかということなんです。これは都市構造から見てごらんなさい。それはたくさんあると思いますよ。十年前に許可したときには、回りに家がなかったからよろしいというので適法で許可されているのです。今日それが適正であるかというと、四囲の情勢から見ると必ずしも適正でない。だが、そういう既得権というものが業者にあると思う。そういうものに対する取扱いが厳重というか、適正でないと、どんなに条例をこしらえても幾らでも被害が出てくる。ですから基本的なものに対するものの考え方はどうかと私はいう。法律をいじくったってそんなものは直りはしませんよ。この改正の法律の範囲内ではそんなものは直るとは毛頭考えておらない。ほんとうにあなた方が危険物に対する取締りについて基本的なものの考え方があるとすれば、既設のものについても、危険なものについては移転を命ずるとか、あるいは製造の禁止を命ずるとか、技術的にでなくて地理的にそういうものが出てこやしないか。そういうものが出てくる場合には、その移転補償をするなり、何かするものが必ずその次に出てこなければ、これはほんとうに、さっきのお話のように、国民の生命だか個人の生命だかわからないが、いずれにいたしましても人間の生命であることに間違いはない。これらに及ぼす影響というものはかなりあると思う。そういうものに対する基本的なものの考え方がどうか。私たちは、どうもこういう法律の改正をする場合には、もし必要があるとすればやはりそういうことをこの法律の中に織り込んでいきたい。すでに地理的に不適格と思われるようなものはこれを移転させる。それに対する経費が要るなら経費をどうするかというようなことが考えられなければならない。そういう点についてはどういうお考えか、それを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/36
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037・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 都市の状況がだんだん変って参りますために、かつては適法に許可されたものが非常に不適当なものになるということは、御説の通りそういう例はたくさんあると存じます。それで、この改正法におきましては、今度は危険物取扱いの場所とか方法、貯蔵所というようなものが全部一律に政令が規定され、標準を規定いたすことになりますので、従来市町村の条例によって適法に許可されましたものは、一応経過としてそのまま有効であると認められるわけでございますけれども、今後そういうただいまお話のありましたような町の状況の変化によってだんだん不適当になって参りましたもの、それから新しい政令に照らしてみて不適当なものについては、だんだんと改造修理というようなことを命ずることによりまして、だんだんと新しい標準に従うように馴致していきたい。かように考えておりまして、そのことは経過規定に織り込んであるわけでございます。それからお話にもありましたように、どうしても移転しなければいけないというようなものは、これは都市計画上からもいろいろ措置はされることと思いますが、そういうものにつきましても、これは強制的に直ちに新しい標準によって移転を命ずるということは困難とは思いますけれども、だんだんと指導によってそういう目的が達せられるようにいたしていきたい、さように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/37
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038・門司亮
○門司委員 今の御答弁ですが、実はこの法律を読んでみますと、適法であった場合、今お話しのように、この法律の附則の三項に書いてあるところだと思いますが、ここに経過規定が書いてあります。これを見てみますと、条例のないところ等が大体対象になっておるように考えられております。私は今の御答弁はそのまま受け取るわけにはいかぬと思いますが、いずれにいたしましても、経過規定はあるけれども、私はもう少し、「市町村条例が制定されていない市町村の区域において」という文字を使ってありますが、こういう文字はあってもなくてもよろしいのであって、適格であるかないかということ等についてのものの考え方。それからもう一つは、今最後に申されました移転をすることになると、これは費用がかかるのですね。実際はそういうものを国家補償をするのか、あるいは市町村が補償するのかという点等についても、もし徹底した危険物に対する取締りをしようとするなら、そこまでやはり掘り下げてお考えを願いませんと、結局これは現実の問題としてなかなか動けないですね、商売をやめさせられることになるから。だめだからお前あそこへ行けといって禁ずるといったって、私は困難だと思う。そうして、そういう不適格なところでえてしてあることですが、幸か不幸かそういうものが偶発的に起るのですが、早く移転させておけばああいう被害はなかったのだ、まごまごしているからこういうことになったのだということが往々にして偶発的にできるのです。そのときになって、どうも法が不備であったとかいっても追いつかない。移転させるについては国家補償なり、市町村が補償するのだというところまでほんとうはお考えになっておいた方が、もしこの法律が通った場合の施行には私は都合がいいではないかと思うのですが、その辺の考え方はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/38
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039・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 お話しのように、移転の費用までも心配してやって移転させるという措置をとるのが、これが万全の措置とは存じますが、その財政措置がそういう面について十分できませんので、そういう措置までは手をつけていないわけでございます。現在の財政その他の事情から、できる範囲の改正を計画いたしたわけでございますので、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/39
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040・門司亮
○門司委員 どうも私はさっきの附則の三項の経過措置についても、まだ少し突っ込んで聞いておきたい。この法律のこのままの文章では少し受け取りにくいところがある。それからそう時間もありませんから、きょうはこまかくは聞きませんが、最後にほんとうに聞いておきたいと思いますことは、先ほどから言われております消防審議会の性格、あるいはこれで審議されたことでありますが、そうしてこの法律が出された、こう言われておりますが、まあ法の不備を改善することも私は必要だと思う。必ずしも古い法律がいつまでもよろしいということには考えられないかもしれない。しかし、消防というものは法律だけでやる仕事ではございません。これは明らかな実体法であって、権限を付与することによって火事が消えるというようなものではない。警察とはその趣きが非常に違うのであります。警察の場合は、ある程度の権限を付与すれば、その権限に基く権限行使によってある程度の防犯ができるということは、これはいいか悪いかは別にして一応考えられる。しかし消防の場合は、こういう危険物に対する処置についての法律的な措置というものは一応考えられるが、現実の火事に対する処置は、法律をどんなものをこしらえたって火は勝手に燃えるのですよ。火と法律は関係ないのだから、火に言って聞かせたって法律はわからぬのです。勝手に燃えるのです。そこでどうしても対象物が、生命や財産を守っていくのと違うのですね。片方は人間を取り締まるのだから、ある程度法律が厳重になれば、そのよしあしは別にして、厳重になったとき取り締まることができる。しかし、火事はどんなに法律をこしらえても縛れないのです。火事は無制限に幾らでも燃えるのですよ。そこで問題になるのは、設備とそれに要する費用をどうするかということが、ほんとうに消防審議会でどこまで検討されたかということです。これは私は消防審議会の使命でなければならなかったと思う。法律などいじくることは二の次なんです。法律などなくたって国民はみずからやりますよ。火が燃えていれば法律などなくたって国民が、その道を通る者が、最近はヤジウマもいますが、バケツでもあれば水をかけるくらいのことはみんなお互いにやってやるのです。法律などあろうとなかろうと、火事の問題は別なんですよ。そうすると、消防審議会の最も大きな使命というのは、いかにして火事を少くするかということが一つ、そのことのために法律改正が必要ならばこれは法律の改正をしなければならない。その次には、起った火事を一体どうして早く消して生命、財産を保護するかという実際的のものについての考え方というものがなされなければならぬ。従って、私は今回こういう消防法を改正されようとするならば、その基本的な考え方がなければならなかったと思う。権限だけを中央に上げてやってみたところで、あなたがどんなに権限をお持ちになったって、火事は消えませんよ。火はなかなかあなたの言われるように縄を持っていって縛ろうというわけに参りません。手錠をかけて留置場に火事を入れておくわけにいかぬのですよ。私は、そこのものの考え方が今日の国家消防本部の中に一つ忘れられていやしないかと思う。そういう一体機械とか器具とか、あるいは施設等に対する問題について、法律を改正されるなら一つ改正してもらいたい。そうしてその費用はこういう形で支弁する、こういうようなことにしていただきたい。たとえば消火栓というようなものもありましょうし、それから貯水槽もございましょうし、あるいは機械消防ポンプその他の問題もございましょうけれども、そういう問題について一つやはり一定の規格というものを、市町村の単位あるいは連檐しております市街地等に対する一つの単位を与えて、この単位はこのくらいの施設が必要だ、このくらいのポンプが必要だ。それを充実するというためには国はこういう補助金を出そう、こういう処置をとっていこうというようなことがあってこそ、初めて私は生きた消防というものが見られると思うのです。法律だけ作られたって生きた消防にならぬと思う。私は、地元の消防の出初式その他にいつも参りますが、気の毒なんです。この器具とこの材料を与えて、一体火事を消せといったって消えるものじゃないということをしみじみ感ずるのです。ところが、それの器材を整えようとすれば、きの、もこの委員会で問題になった金がないから税外負担でそこにたくさんのお金を国民から集めてやっておる。そうすると、住民はやはり火事のことでありますから、いやとは言えないからお互いに金を出す。そういうものが国民の税外負担として今日議論されておる。私は、やはり消防の本質というものをそこに一つ置いてもらいたかったが、これは何ら法律改正に表われておらなかった。こういう点をどうされるつもりなんですか。これは表彰状の問題がどうのこうのという問題ではありません。表彰されることはけっこうだと思いますが、今日の民間のああした勇敢な人あるいは長い人を表彰されることはけっこうだと思いますし、あるいは消防大学をこしらえて科学的のいろいろな火事の原因の捜査であるとか、あるいは現場におけるいろいろな器具の使い方であるとか、避難の訓練の仕方であるとかいうような基礎的な訓練をされることは私はけっこうだと思うのです。しかし、それだけでは火事はなくならぬということです。また防止はできないということです。この点を一つお考えを願いたい。その点はどうなんです。たとえば奄美大島であれだけ古仁屋が焼けましたが、腕用ポンプしかなかった。あすこは二千戸、三千戸の連檐戸数でございます。一つの市街地だと思う。私は、昔よく行きましたから知っておりますが、あすこは昔の海軍の基地なんです。大東亜戦争の連合艦隊の基地はあすこだったと思う。私はよく知っておりますが、あすこには腕用ポンプだけしかなかった。こういうことがあるのは市条例が悪い、百姓が悪かったといえばそれまでかもしれない。しかし、規格を与えて、規格に達しないものについては国が援助してやるというような親切というか、ほんとうの消防の基本的な考え方というものがどうして織り込まれなかったか。私は責めるわけではありませんが、これらのいきさつがもしお話しができるならばしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/40
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041・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 火事を少くするためには消防施設を充実し、そのためには財源措置をすることが一番大事だということにつきましては、お話しのありました通り私どもも考えておる次第でございます。現在大ざっぱに申し上げますと、日本全国の消防施設、各種の施設でございますが、どの程度にあるかと申しますと、われわれの考えております標準から見ますると、大体ざっと申し上げて四割程度の整備しかされておりませんまことに貧弱な実情でございます。これをわれわれの考えております標準に達するまでに整備させようといたしますと、整備するだけで、大体これも大ざっぱに申し上げますと四百五十億から五百億程度の金が要るわけでございます。これを十年計画にいたしましても、年々四十五億あるいは五十億の金が増強だけにいるわけでございまして、そういう計画を一応立てておるのでございますが、なかなかわれわれの力が足りない点まことに恥かしいことでございますが、それが十分に予算化されない、遺憾ながら予算化されない次第でございます。一昨年の消防審議会の答申にも、財政の問題は強く掲げられておるのでございますが、この答申の中には、御承知と思いますが、市町村の消防費の全額について国庫が半分負担すべきであるということと、それから建物その他償却資産等固定資産税みたいなものでございますが、そういったものに対する特別な税金をとるというような案が示されておるわけでございます。これらの問題も相当地方の財政税制から申しますと重要な問題でございますので、おいそれとは実現が不可能でございます。将来地方の税制なり財政なりが全面的に検討されるときには、ぜひこういう面からも考えてもらいたいと実は考えておる次第でございます。で、先ほど申しましたように増強だけで四百五十億から約五百億程度の金が要るわけでございます。増強を十カ年計画にいたしましても、四十五億なり五十億の資金が要るわけでございますので、何か特別の財政措置をしないことにはとうてい一般の予算からこれを出すということは不可能でございます。それでわれわれもかねてから話があります消防施設税の問題はぜひとも実現していただきたいと考えておるのでございますが、まだ実現の運びに至りませんことをまことに消防といたしましては残念に存じておる次第でございます。その他あるいは火災保険の関係の資金を流用して、先ほど来もお話しのありました防火改修の基金を出すというようなことも、いろいろとわれわれ国家消防本部としては考えておるのでございますが、なかなか実現の運びにはまだ至っておらない状況でございます。
私の個人的な意見を申し上げて大へん恐縮でございますが、率直に言わせていただきますならば、消防というのは、火事がなければ何となく消防に金をかけるのはむだなような感じがいたすのであります。従って、どうしても市町村財政が苦しければそのしわ寄せが消防にくる。火事がなければ、なくたってよいじゃないかという感じをつい起しがちになるわけであります。つまり市町村の財政のいかんにかかわらず、財政がよかろうが悪かろうが、ある程度の消防設備というものは必ず持たなければならないものでございます。そういうふうに金がなくても作らなければならない施設でございますので、こういった種類の仕事に財政的な負担を、貧乏な町にでもあるいは裕福な市でも、一律に全然めんどうを見てやらぬということは、まことに不合理であろうと私は考えております。こういった金がなくてもぜひとも施設しなければならない、また災害が起きれば国家からまたいろいろな費用を出さなければならないような性質の仕事でございますので、本来ならば全消防費の二分の一くらいを国庫で負担するのが、こういう仕事の性質上当然ではないか、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。たまたま一昨年の消防審議会の答申も、二分の一国庫負担という答申を出されておりますので、何とかして将来地方税制なり財政の全面的な検討が行われる際には、それを編み込んで一つやってもらいたいということを念願いたしておるわけでございます。そういうことによって日常の消防費はまかない、増強の分につきましては、先ほど申し上げましたような消防施設税とか、あるいは何らか別途の基金を作って急速な増強をはかる。こういうような両建の方法がとられれば、消防は完備していくのではないかとわれわれはひそかに考えておるわけでございます。ただそれがほんとうに理想論になってしまって、あまり十分に予算化されませんで、今度の予算案には、消防施設の整備に対する促進法に基く補助が去年の五億五千万に対して一億増加の六億五千万になったという程度で、まことに微々たるものでお恥かしいわけでございますが、将来は、先ほどから申し上げましたような信念、考えを持ちまして消防力の強化、増強、完備に努力していきたい、さように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/41
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042・門司亮
○門司委員 大体それ以上突っ込んで聞くことも実際どうかと思いますが、話はわかりましたが、問題は、その地方の行財政といいますか、財政の処置は、全面改正なんということは、この案ではいつやるかわからぬ。今のように一年に五億か六億くらいで五百億ということになると、八十年かかります。八十年ということになりますと、そこまで待ってはいられぬですよ。そのうちにだんだんあとからあとから悪くなるのができますからね。大体六億くらいのことでは、補給するのにほとんど足らないくらいだと思います。私が考えておるのは、感情的に言うわけではありませんけれども、ただ権力だけでごまかそうという一つのものの考え方、同時に中央にどんなに大きな消防会館ができましても、これでは火は消えないということです。むしろ私は、皮肉なことを言うならば、あの消防会館を建てる費用でポンプが何台買えるかということを聞きたいのです。国民も、やはり何といってもこれは国民の零細な金であることには間違いありませんから、これは国民の税外負担だと思っているでしょう。そして何億かけたか知らぬが、とにかくりっぱなものができて、一部の幹部の方にとっては、いや、おれのうちもだいぶ大きなものができたということでよろしいかもしれぬ。しかし、ほんとうの設備はちっともできていない。火事は、あれができたからといったってちっとも消えない。皮肉なことを言うならば、さっき申しましたように、あれを建てる金があればどれだけの機械設備ができたかということ等を考えて参りますと、どういう気持になるか。ばかなことをしたとは申し上げませんが、あるいは不必要とも言いませんが、しかし急がない仕事であったということは私は言えると思う。その前にやるべき仕事があったということは言えると思う。そういう点を考えますと、十カ年計画にしても五十億であり、五カ年計画にしても百億なんですね。今日火事のために失っております国民の財産というのは、一年にこういう数字では済まぬでしょう。いつか亀山委員から統計を出してもらいたいという話があったけれども、まだ統計が出ていない。新聞その他で私も了承はいたしておりますが、どのくらいの火事が出ておりますか。この一年間の損害の高と、消防施設に要する費用と比べてごらんなさい。私は問題じゃないと思う。このくらいなことは、ほんとうにやる気なら一年でも二年でもできると思います。そうして国民も納得できると思いますし、国会でも認めてくれるだろう思います。ところが、そういうことにはちっとも手をかけられておらない。そういうところに私どもは今日の消防をつかさどっておいでになります役所に対する不信があるんですよ。どうしてもう少し本来の仕事に気を入れないのか、権力だけを強くしてやったところで火災の火は消えないんですよ。そこではっきり伺っておきますが、もし今のようなお考えであるならば、これはいずれ主管の大臣なりその他に聞いて、そうして財政措置を一日も早くしてもらいたい。そうして一般の財源からこれを出すことが不可能であるならば、ある程度みんなも寄付させられておるのですから、特別の税制等についても、たとえば損害保険協会からいただいておる税金の形でこれをいただいてくるというような方法も必要でありましょうし、あるいは財源措置を十分にして、自治体あるいは住民と密接な関係を結ぶために、地方の市町村民に火災共済というようなものをやらせて、そうしてそれの中から設備を充実していくという方法もないわけではございません。そういうことについては幾らでも方法があると思います。それらについて、今のような迂遠な、大改革のあったときにそれを出したいというような無責任なことでなくして、この次の国会には出すとか、あるいは臨時国会でもあれば成案を得て出しますというような相談がこの委員会でできませんかね。これはわれわれ国会の方からあなたに今言っておるんですよ。これは与野党ともそういう意見だと思います。これは何とかしなければいけないという意見が国会の方から出ております場合に、主管のあなたの方から、大改革があったときにでも入れてもらえればよろしゅうございますというような態度では、われわれはほんとうに審議ができない。ですから、さっき北條委員も言われたように、この法律はどうでもいいんですよ。実際はそういう気になるのです。ですから、ほんとうに真剣な消防に対するものの考え方で、あなたの方から、財政措置をしてもらいたい、こうすべきであるという具体的な一つのデータなり案を示してもらいたいと思います。そうすればわれわれもできるだけ協力をいたします。さっきも言っておりますように、消防施設税なんというものは、議員提出法案として出そうというようなことをお互いに与野党で相談しておるのですが、これは全く行政をつかさどっておいでになるあなた方の仕事だと思います。私どもも考えておりますが、これらとのタイミングを合せて一つあなたの方で立案してもらいたいと思いますが、そういうことができますか。消防審議会が二分の一の補助をせよと言っているが、それにはどれだけの金が要るのか、そうして何年の後にどうなるのかということを出していただければ、すぐ検討できますし、それからそれを税金に求めるならば、どういう税目を起して集めるかというようなこと等についても、そうむずかしい相談ではないと思います。これは切実な仕事であって、みんな反対ができないのですから、こんなものはどうでもいい、もう少し火事があってもいいなんという人はなかろうと思います。大体きわめて通りやすい法律だと私は思う。だから、そういうお考えがあるならば、この際一つはっきりしておいていただきたいと思いますが、なければそれでよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/42
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043・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 先ほど申し上げました消防審議会の答申にもありますように、市町村の消防費全部について国庫二分の一負担ということと、それから不動産、家屋、償却資産あるいは立木等を対象とする固定資産税みたいな税金の問題、これらの問題は地方の税財政に相当根本的な影響がある問題ですので、たまたま自治庁等で地方税財政の全面的な検討を行うという話を聞いておりますので、その際にはぜひこれを検討してもらいたい、これを乗っけてもらいたいということを希望いたしておるということを申し上げたのでございまして、現在市町村の消防費は、三十二年度の予算で大体二百十六億程度でございます。これを私どもの今考えております標準の人数を置き、標準の施設をいたしますと、大体倍以上の五百億程度の予算が要る勘定になるわけでございます。大体五百億になりますと、市町村全予算の十分の一近くになるわけでございまして、ちょうどそれくらいありますと、欧米諸国の消防費が大体全予算の一〇%になっておりますので、偶然にも大体それと同じくらいになるわけでございます。それの半額ということになりますと、二百五十億国庫負担ということになりますので、それは一兆以上の予算から二百五十億ですから、大したことはないといえば大したことはないわけでございますけれども、なかなか現在の状況ではそれができないありさまでございます。
それから消防施設税の問題、これはかねがね自治庁で案を作っておりまして、私どもも協力いたしまして、いろいろ私どもの方の資料をもとにして自治庁で消防施設税の案を作ったわけでございまして、私どもとしても、やはりこれは早く実現してもらいたいという希望を持っておるのでございますが、現在そこまでに至らないのは、先ほども申し上げましたように、まことに私ども残念に存じておるわけでございます。その他損害保険会社の資金を利用して、これを消防施設の増強なりあるいは防火改修方面に回すようなことの計画もいろいろ考えておりまして、一部は計画に盛っておりますので、もし御希望がございましたら、われわれの考え方もお話し申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/43
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044・鈴木善幸
○鈴木委員長 中井徳次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/44
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045・中井徳次郎
○中井(徳)委員 時間がおそいのにまことに恐縮でございますが、一、二点お尋ねをしたいと思うのであります。
それは、この内容の説明の二枚目にございますが、十一条の改正ということに関連をしまして、専門の消防署がないところ、消防吏員のいない市町村につきましては県がこれをやる。こういうことになっていますが、これは市町村の方から県に頼んだ場合に県が出かけてくるのでありますか、県が勝手に判断をして、お前のところはろくな者がいないからおれがやってやるということになっているのか、どちらでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/45
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046・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 消防法の一部改正によります危険物の取締りの関係でございますが、これは消防本部並びに消防署のない市町村、すなわち消防団オンリーの町村につきましては、知事が責任をもって危険物の取締り関係の仕事をするということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/46
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047・中井徳次郎
○中井(徳)委員 そういたしますと、当然知事がやることになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/47
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048・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/48
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049・中井徳次郎
○中井(徳)委員 そうなりますと、現在東京ではどういうことになっておりますか。東京都というところは、市町村の消防はどういうことになっておりますか。東京は東京の消防がやっているのですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/49
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050・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 東京都の消防庁は二十三区の消防でございまして、二十三区が一つの市とみなされているわけでございますから、武蔵野市とか、その他の東京都下の市町村は普通の県における市町村と同じでございますし、また東京二十三区の消防庁も一般の市と同じ取扱いをしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/50
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051・中井徳次郎
○中井(徳)委員 そういたしますと、たとえばある非常に熱心な町村がありまして、消防吏員という正式なものはないけれども、こういうものを研究して、たとえば劇場を建設するとか、あるいはガソリン・スタンドができるとかいうときには、研究をしてこれまで大過なくやっておるところなどは、これによって仕事が県にとられてしまう、こういうことになるわけですね。あなた方は、どうして県の吏員が専門ではっきりしておって、市町村の消防団のごときはそれは知らぬのじゃというような勝手な解釈をなさったのか、その根拠を私は伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/51
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052・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 かねてから危険物の取扱い取締り指導につきましては、消防部内におきましてもいろいろ論議されておったのでございますが、消防署のない、つまり本職の消防職員のいないところはなかなか手が回りませんことと、それから危険物関係はある程度技術を要しますので、相当技術の経験なり知識を持ち、またその訓練を受けておりませんと、十分な取締り指導ができませんので、むしろ消防団オンリーの地域においては、県にそういう技術者なりその他の職員を置いて一括してやった方が、人の経済からいいましても、力からいいましても適当だ、こういう意見がまず一般的でございます。それでそういう方向に改正いたしたわけでありますが、もちろん、ただいま例示されましたような市町村消防団の中に非常にそういうものに熱心な方がおるとか、あるいはその町村にそういう熱心な方がおるとかいうような場合には、県がこの改正法律に基く危険物取締り指導の処置をとるに当りましては、十分これに協力してもらうということに当然なろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/52
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053・中井徳次郎
○中井(徳)委員 法の考え方があなたは全く逆なんだな。そういうもののないところを育てるような考え方でないと私はいけないと思う。現に皆さんは実情を知らずして勝手な判断をしているが、地方の消防団というものは、そう毎日火事はありませんよ。せいぜい一年に一回か二回。日常業務といえばこういうことなんです。こういうことには熱心にやっていますよ。皆さんはそれを軽べつする。そういう思想に私は非常に公憤を感ずるのです。研究をして、そういうことがあれば隣近所の、県庁へも行って意見を聞いていますよ、どうでっしゃろというようなことで。県でそういう人が足りぬのなら増員して、そして地方の市町村の消防団から要求があれば出て指導するというのはけっこうですよ。それを初めから取ってしまって、お前らには権限はないというのでは、どういうことになりますか。消防団は、出ぞめ式をやるだけの消防団がたくさん出てきます。私の言い方が極端かもしれませんけれども、消防団の団員は、おれたちでもって村を守っているんだという気持を持っているのですから、そういう人たちのいい気持を育ててやらなければなりません。たとえば自動車ポンプを買ったら、みんなで喜んで運転のけいこをやっているのです。おかげさまで道も広くなるし、いなかにも文化がだんだん浸透して、トラックの運転もできるようになって、ナスビやキュウリでも一つ東京まで持っていこうというふうになっている。それを、仕事をとってしまうというのは、こういう点が実に皆さんは不親切だと思うのですが、いかがですか。
それからもう一つ、これを逆にしますと、それなら消防吏員や本部の人はきわめて厳格にまじめにやっているかというと、やっていないじゃないですか。これまでのところでたらめです。でたらめという言葉が悪ければ取り消しますが、東京都内を調べてごらんなさい。耐火建築地帯には、ほんとうに耐火建築以外のものは建っておらぬか。緑地帯には何分の一かあき地を置けというのに、家がびっしり建っている。消防は何をしているんだ。東京都の知事に強い文句を言ったことがありますか。全然行われておらぬ。これはひどいものです。全国でどういう地帯が危険地帯かとか、都市の中でどういうところが危険地帯かとか、皆さんは消防本部にいらしてわかっていらっしゃる。そういうものからどんどん突っ込んでいって、法律で幾ら直したってだめですよ。現実にそれをやっていかなければならない。火事を防ぐような具体的な問題ですからね。私のは思いつきのような意見ですけれども。東京都は財政難かもしれませんが、他の府県なんかに比べると非常にいいのです。いまだに、杉並区とか世田谷区とか、ちょっと環状線の外へ行きますと、木造の公立学校がたくさん建っている。こういうものを何とか消防本部から強く規制をして——権限があるとかないとかいうことになるけれども、鉄筋でないといけないとかなんとか、具体的な手を打つべきじゃないかと私は思うのですがね。法律を何ぼ作ったってだめです。私はいろんな事実を聞いておるから言うのであります。十一条なんか、専門家がおらぬから市町村から県へとる。しかし市町村の人はあるいは知っておったかもしれません。町を守る、市を守る熱意はだれにも負けないのでありますから。そうして技術的なことでわからない、専門的なことでわからないことがあれば、県に尋ねて指導を受けるというふうな法律にさるべきだと私は思う。この辺のところはどういうふうにお考えですか。あなた方身近の者は、われわれは悪いことをいたしておりません、われわれの言うことは、正しいのですという話ばかり聞いておるからいけない。やはり、消防団側の御意見も聞き、また町の市民の話も聞き、いろいろ聞きませんことには、これはいけないように思うのです。十一条なんかでも、そういう意味から私は両点から申し上げたい。消防吏員なり消防本部があればきちっと行われておるという考えでおること、そのことにまだ私どもは非常に疑問を持っておるということと、逆に、市町村の消防団がこういうことをしろとか、ほうっておけというふうな考え方、この両方ともいけない。さように考えるものでありますが、あなた方の立案のほんとうの気持を聞かせてもらいたいと思う。今の十一条のごときは、これは私はできればそのように修正をしてもらいたいと思っております。そういう希望を持っておりますが、政府とされましても、今僕が申し上げたようなこういうことなら喜んで修正に応じらるべきものだ、かように考えますが、その辺のところはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/53
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054・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 今回の消防法の一部改正は、危険物関係だけの改正でございまして、消防団オンリーのところは、消防団は通常行政事務はやっておりません。消防本部、消防署があれば、ある程度の人数の者がおって、これが常時消防関係の行政事務をとっておるわけです。消防団オンリーのところは、消防団は通常は行政事務をとっておりません。しかも危険物の取締り指導というような非常に技術を要するものについては、やはり専門の者が当らないと十分徹底した指導も取締りもできないという観点から、消防本部並びに消防署のない消防団だけの町村については、知事が危険物関係の消防の事務を取り扱うということにいたしたわけでございます。これは危険物だけでございまして、このほかの火災予防関係はこれは別に知事が取り扱うわけではありません。そういう技術を要する危険物関係だけであります。これは消防部内でも、その他におきましても、危険物のような技術を要するものはむしろ県で一本でやった方が、財政的にもあるいは人の点からいっても適当だという意見が強いわけでありまして、危険物だけでございまして、一般の火災予防関係は、小さな町村におきましても、町村長が消防団の協力を得て火災予防を徹底させなければならないわけでございまして、この火災予防の仕事は、市町村におきましては火災予防条例によるわけでありますが、火災予防条例に基く火災予防の仕事をするだけで、おそらく消防団はこれさえも十分に行われないくらいに非常に重要なまためんどうな仕事でございます。決して消防本部、消防署もないところは全部知事に吸い上げてしまうということではございませんで、危険物のそういった技術を要する点だけを持っていこうということでございます。そのほかに火災予防関係の仕事は非常に広範な事務を持っております。それらは市町村長が消防団の協力を求めて仕事をしなければならないことがたくさんあるわけでございます。それは従来通りということになっておるわけであります。
それから都市計画と消防の関係でありますが、都市計画の立案の際には、一応都市計画委員会に消防が参加いたしまして意見を述べるような組織にはなっております。ただ、いろいろその町の事情等がありまして、必ずしも消防の意見が全面的に受け入れられてないという点は、まことに遺憾に存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/54
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055・中井徳次郎
○中井(徳)委員 今の御答弁の第一点の、それら危険物の取締りは現在はだれがやっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/55
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056・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 現在は、消防本部及び消防署未設置のところについては市町村長がやっておるわけでございまして、消防団の中に熱心な方がおれば、もちろんある程度はできるかもしれませんが、市町村長の責任になっておりますので、消防関係の職員を使って危険物の取締りをやっておるような状況でございますが、実際に危険物取締条例を制定していない町村が数にして千百八十二町村ございます。全国で三十二%は危険物取締条例を制定いたしておりませんで、全く野放しの状況になっておりますので、こういう従来全然野放しになっておったところは、今度は知事の責任において国が定めた基準に従って取り締るようにしよう、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/56
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057・中井徳次郎
○中井(徳)委員 それ見なさい。野放しになっているというところは、非常に怠慢でほってあるというのじゃないんですよ。これまで危険物なんというものはなかったので、広い野原みたいな北海道の町村のようなところで、要求があれば一つこれから研究していこう、こういうところだと思うのです。将来予想されますことは、ガソリン・スタンドとか、そういうことなんですよ。道路ができて、県道や国道が鋪装されて、ガソリン・スタンドができる。その付近に劇場ができる。そういう市町村の側から見ると、文化的なものを県でぽかぽかとやられるとこれは困る。だから私は言うておるのです。消防団がやらなくたって、市町村長がやっておるということになれば、市町村長は必ずや消防団長その他と相談をして、問題があれば片をつけておるのであって、そういうものを、専門だ何だと言いますが、そういうときには市町村長に、県に意見を聞くとかなんとかいう余裕を持たして、やはり本来の権限としては、地方自治の基本的な考え方から地元の市町村長にこれを持たしておくというのが私は筋だと思うのですが、あなた方は全く逆に逆に考える。ないから作る人じゃと言うけれども、市町村長だって、そういう必要があれば作るんですよ。三千数百あるうちに、千くらいはそう急に危険物取締りの条例を作る必要に迫られてないからなんであって、怠慢だからというふうな判断をするから、皆さんのようなことになってくると思うのです。それが第一点。
それから都市計画の関係ですが、それはたとえば都市計画委員会等におきまして、消防の見地から、今度作られるべきこの公立の小学校は、木造では絶対だめだというふうなことを強力に主張したら、私は通ると思うんです。それであなた方と認識が違うが、これはそういうようなことを強力に言えば通りますよ。あなた、出ておりますと言うが、委員会のときにあまり発言をしないとか欠席であるとかいう人が多いんじゃないのですか、実際問題として。消防本部のお仕事というのは、そういうことを指導されることであると私は思うのです。
そこで最近自由民主党の皆さんから、消防本部は国家公安委員会の指揮下から自治庁の方に移したいというような御意見があるやに伺っておる。私どもも賛成です。皆さんが何か宙ぶらりんのような——警察は手足がうんと多いでしょう。ですから警察の本部といえば電話かければすぐいきますが、皆さんはその辺のところがありませんので、その辺のところの工夫をなさらぬことには、国会で審議をしてちょこちょこと法律を直したって、事実は全然動かない。私はこれを非常におそれるわけです。東京の復興などを見ましても、それはりっぱにできたと言う人もあるかもしれませんが、火災の観点からいうと、これはもう実に、特に郊外地帯、江東地区は非常に危険でありますし、北陸から東北にかけましては毎年火事がある。こういうことの事実等についても、もっと熱心な具体的な御指導が願いたいように思います。
十一条の関連は、危険物の取締り等につきまして、なかなかどうしてまだほんとうの筋の通りに私はいっていないというように思いますので、これは私も危険物と特に限って、いつ幾日どこでどういうことがあったということまでは、今手元に資料はございませんけれども、ここ二、三年の間ずいぶんいろいろなことを聞きます。そういうことにつきましても、十分な厳格な指導が願いたいと思うのです。ただ周辺の人の意見を聞いて、そうしてなければ一つ県でやろうかというふうなことでは、どうも納得できないのです。危険物の取締りの許可その他の事務が、東京都において果して皆さんが言われるごとくりっぱに行われておるのですか、もう一度その辺のところを御回答願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/57
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058・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 危険物取締りの行政を県を吸い上げるということになりましても、その技術上の基準は政令できめて、その政令に従って知事が行うわけでございますので、知事が勝手によけいなおせっかいをするというようなことは、技術上の基準の定め方によるわけでございますけれども、この基準によってそういうことはおそらくあり得ない、考えております。現在の危険物取締条例、これは準則をわれわれの方から示しておりますが、大体これをもとにいたしまして再検討を加え、この技術上の基準を定めるということにいたしたいと存じておりますので、県がよけいな口出しをするという結果にはならないと存じます。
それから東京とか大阪とかいう大都市で、相当設備もまた人もそろっておる都市におきましては、相当緻密に危険物の取締りなり指導はやっておりますが、なかなか十分にいきませんで、危険物の関係の火災とか、あるいは爆発等の事故が相当件数ございます。今度は政令で全国一律の標準をきめるわけでございますので、さらに徹底した取締りをいたすように指導していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/58
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059・中井徳次郎
○中井(徳)委員 政令で一定の基準をきめてやるのだから、知事も出しゃばって勝手なことはできぬだろう。それなら市町村長にまかせたらいいじゃないですか。どうなんですか。政令でずっとあるのなら、市町村長にまかせて、専門的なことだけ知事がやる。人が盲腸になった場合、この手術は京都大学のだれがいいから、ちょっと電話をかけて来てもらえ。こういう調子で、そのときだけ専門屋を呼んできて現場へ来てもらって、どうでしょうというようなことでいいじゃないですか。私はどうもよくわかりません。どうして市町村長ではいけないのですか。その辺のところをもう一つ……。もっと率直に言いますと、そういう問題はやはり自主的にきめるのが一番いいということなんです。知事がきめたって自主的か何か存じませんが、現実を考えてごらんなさい。北海道なら北海道、釧路のいなかの方でやるとすると、札幌まで出ていかなければならぬ、えらいことですよ。これは二日かかって、なかなか判を押してくれはしません。なかなか出張してくれぬ。一ぺん現地を見なければならぬ、これは国民の側から見ますと、えらいことですよ。そうして必ずしも県の裁定は百点で、市町村長の裁定は五十点というふうなことは、だれも保証ができない。現地の事情は市町村長の方がよく知っておる、こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/59
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060・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 消防本部、消防署のないところは、こういう技術的な危険物の取締りとか指導、非常に技術を要するものは、一々その人を町村に置くわけにもいきませんし、また、常時消防行政をやっておる者もいないために、県にそういう人を置いて、県で取り締った方が、いろいろな面で経済的でもあり、効果も上るということで、そういうふうに改正いたそうとしておるわけでございまして、これは消防界においても、大体危険物のような技術を要するものについては、県で統一してやってもらった方がいいという意見が大部分でございます。それからこの問題は、多分社会党におきましても、以前そういうふうなことをおきめになったように私聞いておるのですが、大体危険物については県で統一してやった方がいいという意見が、消防部内においても大勢を制しておる意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/60
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061・中井徳次郎
○中井(徳)委員 消防部内でそういう意見があるかもしれぬし、あるいは社会党がそういうことをきめたと私は記憶いたしておりませんが、これは消防の方から見たものと、あるいは市町村長の側から見たものと、それからその取締りを受ける側、何よりもかによりもそれを受ける国民の側から見たものと、これはやはり総合的に判断をしてもらわないと困る。こういう考え方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/61
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062・鈴木善幸
○鈴木委員長 本日は、これにて散会いたします。
午後零時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02219590312/62
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