1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月十三日(金曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 鈴木 善幸君
理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君
理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君
理事 吉田 重延君 理事 阪上安太郎君
相川 勝六君 飯塚 定輔君
田中 榮一君 津島 文治君
富田 健治君 山崎 巖君
太田 一夫君 中井徳次郎君
出席政府委員
自治政務次官 黒金 泰美君
総理府事務官
(自治庁財政局 奧野 誠亮君
長)
総理府事務官
(自治庁税務局
長) 金丸 三郎君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁税務局
府県税課長) 大村 襄治君
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三月十三日
委員加藤精三君及び北條秀一君辞任につき、そ
の補欠として渡邊良夫君及び辻原弘市君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員辻原弘市君辞任につき、その補欠として北
條秀一君が議長の指名で委員に選任された。
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三月十三日
地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫
負担等の臨時特例に関する法律の一部を改正す
る法律案(阪上安太郎君外十名提出、衆法五十
号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第一五三号)
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一六六号)
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一七七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/0
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001・鈴木善幸
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので順次これを許します。太田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/1
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002・太田一夫
○太田委員 本来ならば大臣か次官にお尋ねをしたいことがあるのですが、議事進行の都合でどなたでもよろしいですからお答えをいただきたいと思います。
まず第一に、委員会の出席もりあまりよろしくない、あまり興味がないということは、いろいろの事情があると思いますけれども、一体地方行政委員会において三法についての審議を行なっているその中で、われわれが意見を言って変えられるものは何だということを一つ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/2
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003・黒金泰美
○黒金政府委員 ただいまいろいろお話がございましたが、御承知の通り税法にいたしましても、これは財政計画の歳入面全体に関係がございます。同時に交付税法におきましても、国と地方の財政関係の橋渡しになっていますし、また地方に入りました財源の配分方法の問題もございますし、こういった点で来年の国及び地方の財政計画全般に関係がございます。内容のこまかい点につきましては、いろいろな御批判もございましょうし、御不満の点もありましょうけれども、われわれとしては、地方財源を確保するために精一ぱい努力いたしたのでありますから、まげてお認めを願いたいと思います。地方税法自体の改正の方は徴収関係の手続でございます。そういう問題でありますから、非常に不行き届きのところがあるといわれれば、これは御修正願うこともやむを得ないかと思いますけれども、これも一つお考え願いたいことは、国税徴収法の改正と並行して進んでおりますので、国と地方の徴収関係あるいは租税債権の担保関係につきまして、そごができますと非常に国民に迷惑になると思いますので、そういう点もどうか十分にお考え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/3
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004・太田一夫
○太田委員 その辺のところを将来のためにもうちょっと具体的に明らかにしてもらいたいと思うのです。私は、予算委員会を傍聴したり、その議事録を読んだりしているうちに、地方行政委員会というものの任務がわからなくなったわけです。たとえば俗な言葉で言いますと、親工場に対するところの下請工場、そういう格づけがあるのじゃないかと思うのですが、その点の認識はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/4
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005・黒金泰美
○黒金政府委員 私は率直に申し上げまして、国会の委員会に、どれが親でありどれが子であるとか、どれが兄貴でありどれが弟であるというような、重要性の差はないのじゃないか、かように考えております。ただ、今申し上げましたことは、財政法なり何なりそういう予算全体に関係することは、一カ所で直しますと全体に及ぶものであって、そういう点も十分お考えになっていただきたい、こう申し上げておる次第であります。どちらが兄貴でありどちらが弟であるというような関係は、私はないものと自負いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/5
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006・太田一夫
○太田委員 どちらが兄でありどちらが弟であるということに差がないということの自負を持っていらっしゃるのは、それでいいと思う。そうあるべきだと思います。ところが、実際上交付税の問題を本日ここで論議したところで、すでにこれは予算委員会におきまして、はっきりと大臣は御答弁になっていらっしゃる。そしてまたそれが予算委員会において了承されておるわけです。してみれば、もう一度やることは、きまったことを論議すると同じことじゃないですか。たとえばこういうことをおっしゃったことがある。これは阿部五郎さんの質問に対する佐藤大蔵大臣の答弁ですが、交付税を一%ふやしたことについて、「今回とりました交付税率を一%上げるということ、これは国、地方を通じまして、財政の面から均衡のとれた処置だと考えておりますので、これを今日直ちにふやすというような考え方は、もちろん持っておりません。」こういう答弁がはっきりなされたわけです。それに対していささかも他に追及も異論もなく通っておる。これはわれわれが予算委員会に出ておるわけじゃないですから、ただそのことを承知したというだけですが、そういう意見を大臣が予算委員会で出していらっしゃる。いわゆる予算委員会において、地方財政と国の財政と非常に関連があるということが論じられておる。従ってわれわれは、この地方行政委員会で今日財政計画を論ずることは、これは二番せんじであり、あるいはがんじがらめであり、ほとんど修正の余地がないじゃないか。こんな気がするのですが、修正の余地が全部あるならばある、ないならばない、一部修正の余地があるならば、どれとどれが修正の余地があるか、この点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/6
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007・黒金泰美
○黒金政府委員 もうこのことは申し上げるまでもなく太田委員おわかりのことと思いますが、しいて理論的に申し上げますならば、今度提案いたしておりますたとえば交付税法について申せば、国と地方との関係が一つ、次は地方間の配分の問題が一つ、この二点ございます。御説の通りに、国と地方財政との管掌事項でありまする交付税率の問題につきましては、予算が予算委員会で可決され、衆議院も通っておりますので、本院としての意見は一応決定を見た。こう見ざるを得ないかもしれませんが、一%増加になって入って参りましたものを地方の中でどう配分するかという問題につきましては、ここでおきめを願う件でございます。しかし、それは理論的におきめ願って御修正の余地があることを申し上げておるのでありますが、私どもといたしましては、内容的に見ていろいろな御批判もございましょうけれども、これによって来年の府県なり市町村の財政をできるだけうまくやっていきたいという最善の案と考えておりますもので、理論的には御修正の余地がございましょうけれども、できますことならば、まげてこのままでお通しを願いたい、こう申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/7
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008・太田一夫
○太田委員 そうすると、地方交付税法の一部を改正するというこういう御提案ですけれども、地方における配分に関すること以外には、一%でじゃ足らないというようなことはここで論議することはできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/8
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009・黒金泰美
○黒金政府委員 私ども御質問を受けてお答えする段でないかもしれませんが、これはもう御自由じゃないのでございましょうか。これは私どもの御回答いたす筋かどうか疑問でございますが、御議論はあってしかるべきかと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/9
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010・太田一夫
○太田委員 そこでわれわれは不思議に思うことなんですが、今まで慣例と慣習でなされておることですから異議を言うわけじゃないですよ。しかし、これからの国家財政、地方財政の関連の仕方というものは、もうちょっと緊密に一つ考えてもらわぬと、一兆三千億という非常に大きな予算を考え、しかもなおそれが国家の委託された仕事の量と、地方独自の量と、地方におけるところの政治の実態というのは非常に財政計画と密接な関係があるにかかわらず、ここでは地方財政計画を非常に技術的な問題あるいはローカルの問題として取り扱われておる、こういう感じが非常に強い。国家全体の仕組みの中において、そういうことに対して自治庁の中において何か疑問を持たれたことはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/10
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011・黒金泰美
○黒金政府委員 私どもこの案を提示いたしますまでには、予算の編成に当って、十分に国の財政と地方の財政と全体を見合いまして、今度御提案申し上げておりますこの減税によって幾ら減るか、交付税の増によって幾らふえるか、また同時にその配分によって各県が一体どんなふうになっていくのかというようなことの、御承知の地方財政計画というものを全般的に検討いたしながら御提案いたしておるのでありまして、私ども政府の方といたしましては、そのうちの一部が国の予算となって予算委員会の御審議を受け、また一部が地方税法等の改正なり地方交付税法の改正になりまして地方行政委員会の御審議を受けるのでありますけれども、私どとしては、全般的にこれを見合った基礎の上に立って御提案申し上げておるのでありまして、いささかもその間には食い違いがあったり、一方だけ立てて一方を考えていないというようなことはなしに、全般的に考えた上で御提案いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/11
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012・太田一夫
○太田委員 そうであろうと思います。全般的に考えて御提案なさって、われわれも全体に対する考え方という立場で審議しなければ、やはりこれは非常に小さい技術的、末梢的なものに相なるような気がいたします。やはり、国家の政治は地方財政とひっくるめてみた大きなワクの中で行われるわけですから、地方の住民の負担の軽減と、地方の住民の福祉の向上という二つのかね合いの中でわれわれが地方財政計画を定めていこう、審議していこうとする以上、国家財政の立場というのも論外にするわけにいかないでしょう。向うの方でその国家財政が非常に議論されてきたが、地方財政のことはちょこっと触れられただけで、これは等閑に付せられて軽く見られておる。こういう中で私たちが実際地方の住民の福祉向上、あるいは負担の軽減ということを真剣にやっていくということに対しては、これでよろしいということなら、少しばかり場合によっては独善的な気がしますし、見方によってはまことにナンセンスという気もするのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/12
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013・黒金泰美
○黒金政府委員 これはあまりに率直に申し上げておしかりを受けるかと思いますが、私ども政府の中では、今申し上げたような立場で検討して提案いたしております。同時に、たとえば与党の方のやり方を見ておりましても、次して地方財政だけをお考えになってやっていらっしゃるのじゃなくて、国の予算の関係と全体をにらみ合せて、そこで意思の統一をした上で、一方は予算委員会にお出ましになり、一方は地方行政にお出ましになり御論議になっておるように見受けておるのであります。従いまして、ここまで申し上げると非常に失敬に当るかもしれません。社会党の方々もおそらくは国の財政と関連しながら、この全体をごらんになりまして、御担当のそれぞれによりまして、予算委員会にいらっしゃって、やはり地方の財政のこともお考えになりながら予算の御批判をなさっていらっしゃると思いますし、また国の財政との十分な連絡を考えながら、その全体を背景に持ってここにお見えになって、地方行政の議案についての分野で御議論なさっていらっしゃる。相互一貫した総合的なお立場でお話しになっていらっしゃるものと私どもは了解をいたしておったのであります。従いまして、委員会がいろいろ分れております。これは議案も多いものでありますからやむを得ないところでありましょうけれども、そういう御見地に立って御議論願っておるものと実は考えておった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/13
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014・太田一夫
○太田委員 そういう立場から言いますと、今後のあり方というものは、国家財政の計画と地方財政計画とは同時審議、同時通過でなければならないと思うわけですね。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/14
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015・黒金泰美
○黒金政府委員 私どもの方で御提案申し上げております際には、予算も地方の財政も同時に並行的に頭に描いて——計数の整理その他がありますもので、お目にかける時間は多少のズレがございますが、同時に考えておりますので、そこにはそごがないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/15
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016・太田一夫
○太田委員 そごがないということにならなければいけないと思います。それはそれで認めますけれども、今までの慣習の中でものを見るということを、もうちょっと別な角度で見てみますと、予算委員会の審議に歩調を合せて、地方財政計画の審議も実際にもうちょっと相関関係において論議されているということであるならばこれは別ですよ。今の提案の仕方は全然切り離されておるが、あなたのおっしゃった相互一貫した立場というのは、理論的にテンポが一つでなければならぬということになるでしょう。その点をどうかとお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/16
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017・黒金泰美
○黒金政府委員 私も、今はっきりした日取りを記憶いたしておりませんけれども、地方財政計画につきましても、予算委員会が始まりましてあまりおくれずに実は御説明をいたしておったと思うのでございます。ただ形式的に見まして、予算は国の予算でありますために国会の議決を要しまするし、地方財政計画は、地方の各都道府県なり公共団体の予算の概要といいますか、骨組みでありますために、御説明申し上げて御批判を受けるだけであって、議決を経るようなことの手続にもなっておりませんために、そこに多少問題もあるかと思いまするけれども、私どもとしては、今年は皆さんの御要望も非常に強かったために、でき得る限り早く財政計画を、概数でありましても、とにかく早く持って参りたいということで御説明いたしたような次第でありまして、多少の時間のズレがあったかもしれませんが、予算がはっきりきまって参りませんと、補助金の額もなかなか確定いたさないということもございますために、多少の時間のズレがあることはやむを得ないのじゃないかと思っておりますが、ただいまお説がありましたように、でき得る限り早く、できれば同時刻に出して御批判を仰ぎたい。なかなか同時刻というのはむずかしいと思いますが、でき得る限り早く地方財政計画も皆さんの御批判を受けるように来年からも努めて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/17
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018・太田一夫
○太田委員 予算がきまらないと補助金がきまらないという考え方、私は、この考え方の中に地方財政の隷属性があると思うのです。地方財政は国家財政に隷属すべきものではないですね、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/18
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019・黒金泰美
○黒金政府委員 隷属すべきものではございません。ただしかし、お互いの間に金の出し入れがございます。この出し入れの関係をきめるのが国の予算であり、また地方財政計画でございますので、双方が同時に相互的に関連しながらきまっていく。従いまして、補助金がきまらなければやはり地方の方もきまってこないというような間柄でございまして、決して隷属的とは申しませんが、相互に非常な関連性がある、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/19
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020・太田一夫
○太田委員 そういうことでしょう。しかしながら、補助金の金額のいかんによって地方の負担というのはそれぞれ変動することは御承知の通りだと思うのです。してみますならば、われわれの方は、地方行政の立場からいいますならばかくあるべきだということ、これが委員会の意見として国家財政に反映を求めなければならぬと思うのです。向うがきまったから、ことしはその中で配分をきめようということは、基本をきめられて、こちらは細目をきめる。こういう立場にどうしてもならざるを得ない。これは隷属性だろうと思うのですもうちょっと主体性を確立した地方財政計画というものをお考えになる意思はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/20
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021・黒金泰美
○黒金政府委員 やはり、両方の間に事務の相互の分担がございまして、おのおのに自主財源もある。しかしながら、御承知のごとくに地方の団体にいろいろ財源の関係もございまして、交付税なりあるいは事業に伴う補助なりいろいろ出ておりますために、相互の予算が非常に入り組んでおりますので、やはり予算の決定と同時に一緒に骨組みがきまっていく、かようにならざるを得ないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/21
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022・太田一夫
○太田委員 おっしゃる通りに予算の決定と同時に骨組みがきまっていく。この間には非常な相関関係があり、一貫した立場というものがあるわけで、その考え方は非常によろしい。しかしながら、地方財政計画というのは非常におもしろくないものだ。国会の中で注目したことはありませんね。これは大へんなことだと私は思うのです。なぜこの地方財政計画一兆三千億がこんなに注目を引かないのか。おそらく大したことじゃないという気持があるのではないか。もうちょっと国家財政と同じようにその内容については非常な注目と関心とがあってしかるべきだ。これは在来の慣習がありますから、私はその慣習の中で果して——予算委員会の権限がどうの、あるいは地方行政委員会の立場がどうのということを申し上げるわけではないが、少くとも今日後将来地方行政の本来の趣旨を徹底させるためには、地方財政計画というような重大問題については、今までのようなやり方でなくて、もうちょっと本予算に深く食い入ったところの地方財政計画、地方財政計画というのが主体性を確立して、この中心となって国家財政にもう一つの大きな反映が期せられる、自治庁の反映じゃない、委員会としてその反映をするということもあってしかるべきである。国家予算の審議と地方財政計画の審議の中で非常にはっきりした相関関係が打ち出されるべきではないかと思いますが、そういうことは間違いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/22
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023・黒金泰美
○黒金政府委員 ただいま御発言の中で別にあげ足をとる意味でも何でもございません、太田委員がまだ議席をお持ちにならないころに地方財政計画に赤字を出しました際に、国会で非常な大問題になりまして、次に臨時国会まで開いてその予算の補正をいたしたことがございます。従いまして、非常に重要視されておるということはいなめないことじゃないか、決して軽視はされていない、この点は御了承願いたいと思うのでございます。ただ、今お話しございましたように、国の予算と同じように精密度を持った財政計画を作ったらいいとおっしゃいますが、それはまさに作りたいのでございますけれども、御承知の通りに四十幾つかの府県もございまするし、約四千をこえますような、市町村全体の計画を立てるものでございまして、やはりこれは標準的な骨組みでございますから、実際問題といたしまして、その上にそれを基礎にしまして個々の公共団体で予算を編成するというようなことにもなりますので、そう国の予算と同じような、そういった厳格な意味でのものを作ることは、これは国としてむしろ無理ではないか。やはり地方団体の予算のお世話役をしているのが国でございますから、国でもってそこまできちんとしたものを作るということはなかなか困難ではないかと思っておりますけれども、御趣旨に従いまして、でき得る限り精密なものにして参りたいということは、毎年努力をしておるような次第であります。多少は改善の実績をお認め願えるかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/23
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024・太田一夫
○太田委員 私はしろうとですから、決してこういう設計図が一番正しいという結論を持っておるわけではない。ただこの地方行政委員会の中におって地方財政計画をながめてみますと、二義的な扱いを受けておるという点について非常に不満がある。これはたとえば地方の臨時職員の七%を定員に繰り入れるという案が提案されておりますが、それをたとえば半分ぐらいのものは定員化すべきではないかというように、地方の財政計画と地方行政の立場から物事を考えていくという、こういう独自の立場ですね。国家公務員がこうだということではなくして、地方公務員はこうだからということでやっていく。地方行政は地方行政の伸張のために極力最大の努力をするという面があってもいいのではないか。従って何かしら二義的な、国家財政に隷属しておるという立場が少しばかり不満なんです。
もしそうだとすれば、次にガソリン税と軽油引取税の関係についてお伺いしますが、一般的にはガソリン税と軽油引取税とが同じような立場で扱われております。これは同じではないでしょう。軽油引取税は少くとも本委員会において審議すべきものである以上、ガソリン税とは完全に違うでしょう。それをガソリン税を五千五百円上げるから軽油引取税も四千円上げなければならない、そんなめちゃな相関関係はあり得ないと思うのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/24
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025・黒金泰美
○黒金政府委員 ただいまお話がございましたように、まさに軽油引取税は地方税でございますし、揮発油税は国税でありまして、別の租税体系ではございますが、御承知の通り、いずれも道路の改良建設に充てます目的税的なものでございます。従いまして、今回九千億の道路五カ年計画を一兆円に直す場合におきましては、国の方の負担もふえますけれども、地方の負担もふえます。従いまして、その目的税であります両税をともに増徴して、まことに御迷惑な話だと思いますけれども、これによって利用者に負担をしていただきたい、これは理の当然だと思うのでございます。ただその場合に、軽油引取税と揮発油税とに増率の相違があるという点につきましては、かねて御説明申しました通りに、軽油引取税の方が沿革が短かいものでございますから、割合にその税負担が軽い、一気に上げ得なかったものでございますから揮発油に比して軽い。従いまして、これを多少大幅に増徴いたしまして、まあまあ揮発油の二分の一程度の負担のところまで落ちつけよう、多少テンポが早くなっておりますが、それでもまだ負担が低い、両者の権衡をとりながら上げて参りたいということで五割、三割という結論を出したような次第でございます。御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/25
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026・太田一夫
○太田委員 それでは一つ、道路を直すためにはやむを得ないという立場をお考えになるとするならば、軽油を使っておるのは、あなたの方は、主としていかなる交通機関とかあるいは何々機関というものに軽油を使っているように御認識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/26
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027・黒金泰美
○黒金政府委員 大部分がディーゼルのバスなりトラックでございまして、道路を割合にいためる側のものが多いのじゃないかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/27
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028・太田一夫
○太田委員 そうですね。道路をいためるものに使うものは四千円の増徴をしよう。しからば道路をいためないものに使うものは、これは免税にしてもよろしいというお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/28
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029・黒金泰美
○黒金政府委員 そうすぐ裏をおとりになっては困るのであります。さっき申し上げた通りに、軽油引取税と揮発油税との間に税負担にまだ相当相違がございますので、やはりその間があまり不均衡になっては困りますから、同じように燃料に使うものについては、大体同率までに持っていくのがいいかもしれませんけれども、沿革が軽油引取税の方が浅いものでございますから、まだまだ負担が低い。そこで今申し上げたような地方の道路の改良財源も必要でありますために、三割より五割は多少多いのでありますが、まだまだそれでも税負担が低い。それでもって財源関係とにらみ合せて五割にいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/29
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030・太田一夫
○太田委員 予算委員会において、たしか政府委員から、ガソリン税の引き上げは、バス運賃の構成の上では二%ないし二%程度であって、それ以上の影響はないと見ておる、こういうお答えがありましたね。ガソリンで動いているバスというのは、全国でどれくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/30
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031・大村襄治
○大村説明員 最近の登録自動車台数の推移を調べてみますと、昭和三十三年の十月末の台数によりますと、トラック九十八万五千台、バス四万六千台、乗用車二十四万八千台、その他九十八万二千台、合計いたしまして二百二十六万二千台と相なっております。そのうち軽油自動車の関係でございますが、同じく三十二年十月末現在によりますと、全体で九千万台、内訳を申し上げますと、バスで三万六千台、トラックで約五万七千台、その他で約六千台、大体以上のような状態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/31
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032・太田一夫
○太田委員 最近は全国的にバスがディーゼル化の傾向をたどっておることは御承知でしょう。この数字は少し古い数字だと思いますが、実際上、最近の大型バスは全部軽油ですね。従いまして、軽油引取税は地方税でありまして、四千円の増加は少いように見えます。また軽油のバスというのは、非常に収容力も多いし、力も強いから重宝がられておる。トラックにおいてもしかりでありまして、トラックにおきまして五万七千台というのは、まるで一割にも達しないようでありますが、実際の大型トラックというのは最近ではほとんどディーゼルです。そこで今度の軽油引取税を中心として四千円上りましたことによって、これは業者あるいは経営者に負担能力があるかどうかということが一つ問題になるわけですね。いわゆる担税能力があるかどうかということが問題になると思うのですが、私どもから見ますると、四千円の負担というのは、実は非常に今のみみっちい経済では、特に中小企業ではひどいように思います。そこでこの四千円を出そうとお考えになりました皆さん方のお気持について、もうちょっと具体的な数字をお尋ねしたいのです。この辺のバスはほとんどディーゼルでございますね。ディーゼル・バスが四千円上げた場合、どれくらいコストに影響を及ぼすとお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/32
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033・大村襄治
○大村説明員 お答え申し上げます。軽油引取税の税率を、現行の一キロリットル八千円から四千円引き上げまして、一キロリットルにっき一万二千円としました場合の税負担の状況につきましては、先ほど政務次官が御説明申し上げました通り、揮発油に対しては大体半分程度、五〇・三%に相なるのでございます。なおこれを小売価格との比較において検討して参りますと、現在一リットル当り二十七円の小売価格に対しまして税負担が八円でございまして、負担の割合が二九・六%でございますが、改正後におきましては、小売価格三十一円に対しまして税負担十二円でありまして、その負担割合は三八・七%に相なる見込みでございます。なお運賃に及ぼす影響の関係を調べてみますと、これはバス、トラックで若干差はございますが、その関係をまとめて申し上げますと、バスの定期の分につきまして、引き上げ額の運賃収入に及ぼす影響は一・六四%、貸し切り分で一・〇七%、トラックにおきましては一・三八%、大体そういうふうな状況に相なる見込みと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/33
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034・太田一夫
○太田委員 それは数学でしょう。数学でなく経営学的にお尋ねしたいのです。これは地方行政ですから軽油引取税に限りましょう。引き上げたことによって利用者大衆——貨物ならば荷主、やバスならば乗客に絶対影響を及ぼさない、運賃の値上げはしないということを御確約いただけるならば、質問はあまりしないつもりですが、この点は一つ政務次官にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/34
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035・黒金泰美
○黒金政府委員 ただいまお話がございましたが、御承知の通りに軽油引取税、これは消費税でございますから、本来ならばその値段の分だけが運賃なり何なりの増高になって、消費者に転嫁されることが期待される税でございますけれども、これも御承知の通りに、バスその他につきましては料金の制限その他ございまして、なかなかそう上げるわけに参らぬと思います。従って一・何%かでありましても、その増高分だけは経理内容が苦しくなってくることは事実だと思いますけれども、今手元に、ちょっと探しておったのですがございませんが各社の経営内容の分析をいたしてみますと、金利でありますとか、あるいは人件費でありますとか、雑件費でありますとか、いろいろと相当に多くのものを含んでおります部分がかなり多いのです。燃料が一〇何%でございますか、割合に低位にございますので、企業の合理化その他によって、これは人様の方に押しつけてはなはだ恐縮でありますけれども、まだ改善の余地があって、まあこの程度ならば吸収ができるんじゃないか、こういうような判断のもとに今回の提案をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/35
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036・太田一夫
○太田委員 それではどなたか政府委員の方でよろしいが、そういう言葉の上で、経営の内容の分析をしてみるとまだいろいろなことを含んでいるから、燃料くらいの程度のものは大したことには相ならぬだろう、従って運賃の値上げはなかなろう、こういうようなことをおっしゃるわけですが、一番具体的にいいますと、自動車、特に大衆用のバスの場合は一キロ走るのにコストが幾らだというところからてくるのです。軽油引取税をお上げになる以上、その分析ができておると思うのですが、バスは一キロどのくらい経費がかかっておるでしょうか、こういうことをまずお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/36
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037・大村襄治
○大村説明員 ただいまのバスの経費の点についてお答え申し上げます。バスの定期の方で調べてみますと、キロ当りの運賃収入が六十一円七十八銭になっております。それに対します軽油の消費量がキロ当り〇・二五リットル、現行の税負担が二円でございます。これに対して今回五割引き上げる予定にいたしておりますので、一円ふえるということになるわけでございます。その割合を比較してみますと、現行税負担の運賃に占める割合は三・二三%でございまして、今回引き上げ予定の一円の占める割合を見ますと一・六四%、その点は先ほど申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/37
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038・太田一夫
○太田委員 そういうことでなしに、もっとわかりやすく教えていただきたいのですが、キロ当りで収入が六十一円七十八銭、それからタイヤも使いますし、人件費も使いますね、税金も払わなければならない。そうすると一体キロ当りのコストが幾らだというのです。六十一円七十八銭は水揚げですね。それが六十円だったらもうけなしということになる。幾らでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/38
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039・大村襄治
○大村説明員 コストの詳しい資料を今手元に持っておりませんので、記憶で申し上げて恐縮でございますが、もちろん六十一円七十八銭に対してコストが上回るとかあるいはそれと同額ということではないように記憶いたしております。若干の利ざやと申しますか、差があったように記憶いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/39
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040・太田一夫
○太田委員 お答えできる方が御出席ないということではいいですが、いいですけれども、バスの運賃の値上げをしない、貨物の運賃も上げませんよと国民の前にはっきりあなたたちが自信を持って説明される資料がない限りにおいては、軽油引取税の四千円というのは、ガソリン五千五百円に見合うだけのものであって、何ら地方住民の負担とか福祉というものを考えたものではない。こういうことに相なってはそれは非常な暴論なんです。この四千円の引き上げというのは、もしも収益と支出の差が一円やそこらのバス会社であったならば利益はない。あるいはとんとんのところだったら赤字の会社になる。その一円というその辺のところの見きわめなくして、むやみに五千五百円上げるからこちらは四千円上げましょうというようなことで地方財政計画をお立てになったり、地方税を変更なさるというのですか。これは奥野財政局長、あなたは一番詳しいから答えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/40
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041・奧野誠亮
○奧野政府委員 軽油引取税がバスの料金なり経費の中にどういう割合を占めているかということをこまかく分析したものを税務局で用意しておるわけでございますけれども、今持ってきてないのでございます。従いまして、後刻御報告さしていただくようにさせていただいたらいかがなものかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/41
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042・太田一夫
○太田委員 それではだれが一番信念として——私は数字をお尋ねするのは、御答弁を聞いて腹がまえを作りたいと思ったのですが、信念として、絶対に物価あるいは利用大衆の負担の増加はない、こういうお考えなんですか、どうなんですか。今のような答弁では非常にあやふやで、その辺がガソリンや軽油引取税の引き上げ反対を非常に強く業界が言うておりますことも、今のお話を聞いておりますとなるほどとうなずかれる。これはどうなんです。その信念のほどをもうちょっと簡明にお答えいただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/42
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043・黒金泰美
○黒金政府委員 ただいまお話しございましたように、これはとにかく経費の増であります。税金の上りますだけは経費の増であります。同時に今お話のありましたように、料金の方の値上げがなければそれはまさに負担であることは事実でございます。私は負担がないとは決して申し上げているのじゃない。ただしかし、私どもの方で調べました経営の分析等もございましたが、今日実は持ってきていないのでありまして、かりに業界の方から出ておりますものを見ましても、車両の修繕費が相当の割合を占めておりますし、償却費も相当の割合を占めております。これをたしますれば燃料費よりもはるかに多いというような状態にもございますし、その他と申しますのは、金利その他の点でございましょうが、こういったものも相当多くの部分を占めておりますために、われわれとしては、まことに恐縮ではありますけれども、道路を改善して、それによって修繕費なり償却費の方の節減もできることでありますから、まげてこの程度の増額は道路五カ年計画達成のためにがまんをしていただきたい、こうお願いをしておるわけでありまして、これによって何ら御迷惑をかけてない、こんな大いばりで申し上げておるのでは決してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/43
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044・太田一夫
○太田委員 これで質問をやめましょう。これは逆に皆さん方の御参考に私の意見も交えて申し上げますが、実際のキロ当りの収益というのは、いいところで四円か五円なんですよ。それで人件費をうんと押えておるのです。ましてや地方の山間地においてはとんとんのところが多い。それに一円プラスされて、運賃の値上げはしないとも言わない。運賃関係の方はおいでにならないのでしょうがないが、明言されない。貨物運賃、旅客運賃の両方あるが、はね返らないということをはっきりおっしゃらない。一キロ当りの収益といったところで四円か五円くらい、そういうわずかなものでバス会社というものはやっておる。場合によれば不健全な経営でやっておる。トラック会社についても同じです。従って、これは全部大衆に転嫁されてくる。労働者の労働賃金の圧縮になるのは火を見るよりも明らかです。ガソリン税、軽油引取税について、そういう御認識が皆さんになかったことは残念に思う。大衆的なものになりますと、長年の懸案の飲食税につきましても、三百円を五百円にすることは当りまえだが、ことしは盛られていない。三百円の免程点を五百円にするくらいなことは、これは大衆ということを考えたらしごく当りまえで、長年の問題になっているのに、今年も見送りになった。しかし片面においては、道路という名前に隠れて軽油引取税の引き上げ、ガソリン税の引き上げを行われる。まことにわれわれとしてはこういう点ふに落ちない。だから、今の軽油引取とガソリン税は、国家予算と地方予算のいろいろな相関関係もありますし、大蔵委員会との関連もあるから、地方行政だけで小さく問題を取り上げていくということは非常に不適当なところがあるのじゃないかということを当初申し上げたのです。そういうこともありますから、ガソリン税の問題、軽油引取税の問題その他遊興飲食税の問題、こういった大衆課税に対しては思いやりを持っていただきたいと思うのです。これに対しては別に御答弁を要求しようとは思いません。
これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/44
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045・北條秀一
○北條委員 関連して……。委員会の日程の都合もありますので問答五分でやめます。
先ほど来太田委員のお話を聞いておりまして、黒金政務次官がいろいろと答えておられますが、その中にきわめて物騒な思想があると私は思っております。そこでお聞きしたいのでありますが、どういうことかといいますと、今回、軽油引取税を上げて、それでもって道路を直すのだ、こういうことなんですが、道路は、国の経済のうちでも基本的な設備なんです。産業設備にいたしましても、その他公共設備にいたしましても、設備投資は長期資金でやることが原則であり、建前なんです。そういう考え方を今日の政府与党はとっておられるのでありますから、従って、国民経済の基本的な設備でありますから、当然設備資金は長期資金でやるべきだ、こういう建前が出てこなくちゃならないはずであります。そこで当然考えられるのは、公債政策をとるべきじゃないかということであります。各方面からいろいろ意見が出ておりますが、軽油引取税を引き上げるならば、それに見合うだけの国費あるいは公債を出して、長期にわたって道路を整備していくべきじゃないか、こう思うのでありますが、この点いかがですか。
それから道路をこわすこわすといいますけれども、これは官庁がこわすのであります。これは御存じの通りです。従って今回の道路十カ年計画でも、総合的にきちんとした計画があるのかないのか。それが示されておるならいいのでありますけれども、現在のところでは、ガソリン税を引き上げるだけであって、道路の改修の具体的な計画がちっともわれわれに示されてない。ただ税金を取って、あとは善処をいたしますというが、その善処というのは、年がら年じゅう道をひっくり返すということなんです。いなかに行きましても道をひっくり返している。だから、トラックが道路をこわすといいますけれども、その道路をこわす一番の元凶は、政府なり官庁なんです。そこで、今回のあれによりまして道路を整備するという具体的な計画を自治庁は持っておるかということであります。
もう一つは、たまたま昨日自治庁設置法の一部改正案が本会議を通りました。私はきわめて驚いたのであります。そこで、異議ないかと言ったから、異議あると言ったのでありますけれども、しかしあの場になってはいかんともなしがたい。なるほどこれは法律上内閣委員会に付託されてやれるのは当然かもしれないけれども、そういうふうなことならば、われわれが地方行政委員会で、委員でござるというような顔で自治庁と幾らやったって、肝心かなめの自治庁本体の体質の改善はほかでやられて、われわれは別のことをやっていることになるので、こういうことは意味がないことなんです。結局また道路に戻ってきますが、税金を取って、その使い道はどうなるかわからぬ、こういうことであります。
以上二つ、公債政策についてのお考え及び道路の具体的な計画を持っておられるならば至急出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/45
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046・黒金泰美
○黒金政府委員 今お話しの第一点の方につきましては、私の方もしごく同感の感じでございます。税金を引き上げて受益者に負担をさせる以上は、一般的な財源からも相当に出すべきだ。私見としては私どもかねがねそれを主張しておったのでありますが、それが予算のときにうまく参りませんでおったわけでございます。地方だけ考えてみますと、三十四年度のり道路事業のうち、地方負担分が六百六十二億ございます。そのうち三百十八億が道路譲与税、軽油引取税、都市計画税、こうした目的税に財源を求めておりますので、一般財源が二に対して目的税が一というような割合で、地方としてはまあこの程度ならばがまんをしていただけるのではないかという率直な印象を私どもは持っております。
それから第二の点につきましても、これはもうまことに仰せの通りでありまして、われわれ役所に帰りますたびごとに、ことに年度末になりますと、工事のない道を全然通らずに参れないような次第でありまして、まことに御同感でございます。従いまして、こういう点はやはり主務官庁であります建設省にもよく話をいたしまして、せっかくこういうような血税によってまかなわれます以上は、むだのないように総合的にやるように、この上とも一つ十分な打ち合せをして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/46
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047・鈴木善幸
○鈴木委員長 委員長から北條委員に申し上げておきますが、ただいま御質問がありました自治庁設置法の一部を改正する法律案の扱いでありますが、私も全く同感であります。つきましては、今後自治庁なり自治省というような地方行政の組織に関する問題等につきましても、たとい内閣委員会に付託になりましても、当委員会におきましても内容の説明等を政府から聴取するようにいたしたい、かように考えております。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02319590313/47
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