1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十四年三月十八日(水曜日)委員長の指名
で次の通り小委員及び小委員長を選任した。
請願審査小委員
天野 光晴君 纐纈 彌三君
渡海元三郎君 吉田 重延君
佐野 憲治君 北條 秀一君
安井 吉典君
請願審査小委員長
纐纈 彌三君
—————————————
昭和三十四年三月十八日(水曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 鈴木 善幸君
理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君
理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君
理事 吉田 重延君 理事 阪上安太郎君
理事 門司 亮君
相川 勝六君 天野 光晴君
飯塚 定輔君 加藤 精三君
田中 榮一君 津島 文治君
富田 健治君 森 清君
山崎 巖君 佐野 憲治君
中井徳次郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 青木 正君
出席政府委員
国家消防本部長 鈴木 琢二君
自治政務次官 黒金 泰美君
総理府事務官
(自治庁財政局
長) 奧野 誠亮君
総理府事務官
(自治庁税務局
長) 金丸 三郎君
委員外の出席者
議 員 阪上安太郎君
—————————————
三月十七日
委員森清君辞任につき、その補欠として町村金
五君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員町村金五君辞任につき、その補欠として森
清君が議長の指名で委員に選任された。
同月十八日
委員渡邊良夫君辞任につき、その補欠として加
藤精三君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
三月十八日
地方交付税法の一部を改正する法律案(安井吉
典君外十名提出、衆法第五三号)
同月十七日
駐留軍及び自衛隊所在市町村に対する助成交付
金等に関する請願(田村元君紹介)(第二三〇
二号)
同(足鹿覺君外一名紹介)(第二三二九号)
同(竹山祐太郎君外一名紹介)(第二三六九
号)
同外三件(野田卯一君紹介)(第二三七〇号)
同外三件(平野三郎君紹介)(第二三七一号)
同(橋本正之君紹介)(第二四四九号)
同(福井順一君紹介)(第二四五〇号)
同外三件(三田村武夫君紹介)(第二四五一
号)
同(粟山博君紹介)(第二四五二号)
同(赤澤正道君外一名紹介)(第二四七三号)
同(小枝一雄君紹介)(第二五〇三号)
同(渡邊良夫君紹介)(第二五〇四号)
同(廣瀬正雄君紹介)(第二五二五号)
同(福井盛太君紹介)(第二五二六号)
同(綱島正興君紹介)(第二五四六号)
同(長谷川四郎君紹介)(第二五四七号)
同(保科善四郎君紹介)(第二五四八号)
新市町村職員の給与改善等に関する請願(北條
秀一君紹介)(第二三六五号)
同(門司亮君紹介)(第二三六六号)
同(安井吉典君紹介)(第二三六七号)
同(矢尾喜三郎君紹介)(第二三六八号)
特別区の組織及び運営に関する請願(安井吉典
君紹介)(第二三七二号)
同(山口シヅエ君紹介)(第二三七三号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任に
関する件
地方交付税法の一部を改正する法律案(安井吉
典君外十名提出、衆法第五三号)
地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第一五三号)
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一六六号)
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一七七号)
消防法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
四七号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/0
-
001・鈴木善幸
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
今十八日付託になりました安井吉典君外十名提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、提出者より提案理由の説明を求めます。阪上安太郎君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/1
-
002・阪上安太郎
○阪上安太郎君 ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、日本社会党を代表いたしまして、提案の趣旨弁明をいたします。
地方交付税法の一部を次のように改正したいと考えております。すなわち、第六条中「百分の二十七・五」、これを「百分の三十」に改めるものであります。
理由といたしましては、現在提案中の地方交付税率の一%引き上げ、これは国税並びに入場税減税に伴う減収補てんに対するきわめて機械的なものでございます。しかるに、地方財政の見地よりいたしますならば、地方交付税の増額のもととなっております国税制度に改正が加えられ、あわせて国の方針によって地方税の減税が行われておるのでございまして、これは地方の意思に反する大幅な減収で、地方財政上自主財源の貧困化というきわめて重要な問題でございますので、交付税の趣旨より、さらに交付税率を引き上げるべきであるとわれわれ考えるわけであります。また、地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律の適用期限、これがこの三十三年の三月三十一日で終了することになっております。これがきわめて重大な問題でございまして、地方財政の面より考えますと、非常に大きな圧力を地方団体に加えることになります。すなわち、公共事業の増加に伴いまして単独事業が相当圧縮された形となっております。これは地方の自主性の著しい後退でございますとともに、公共事業等におきましては、おそらく事業返上の危機に陥るのじゃないかということも考えられますので、この際、こういった点から考えましても交付税率をやはり引き上げるべきであるとわれわれ考えるわけでございます。さらにまた、明年度の財政計画においては、これは措置されていないのでありますが、例の地方財政に対する住民の税外負担、この額はきわめて巨額に達しております。これが解決は緊急を要するものとわれわれ考えておるのでありますが、現行の国、地方を通ずる税財政制度のもとでは、地方交付税の増額による自主財源の強化により解決せられることが最も適当であろうとわれわれ考えるわけでございます。
以上のような理由によりまして、交付税の改正に当りましては、明年度における地方財政の情勢を今回の場合には全く無視されておりますので、ぜひとも、こういった歳入欠陥を伴うであろうところの地方団体に対する措置といたしまして、交付税率を百分の三十に引き上げる必要があるとわれわれ考えるわけであります。どうかこういった趣旨を御勘案いただきまして、その経費はわずかに百六十四億円でございますので、ぜひとも一つ御賛成を賜わりたいと存じます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/2
-
003・鈴木善幸
○鈴木委員長 これにて提案理由の説明は終りました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/3
-
004・鈴木善幸
○鈴木委員長 次に、内閣提出にかかる地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。
他に御質疑はありませんか。——別に御質議もないようでありますから、三案に対する質疑はこれにて終局することといたします。
この際、纐纈彌三君外十八名より地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されておりますので、提出者より趣旨弁明を聴取することといたします。纐纈彌三君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/4
-
005・纐纈彌三
○纐纈委員 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その提案理由を簡単に御説明申し上げます。
一応地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案を朗読いたします。
地方税法等の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第一条のうち第七百条の七の改正に関する部分中「一万二千円」を「一万四百円」に改める。
附則第四条及び第五条中「四千円」を「二千四百円」に改める。
政府原案は、道路整備計画の推進に伴う地方道路財源の充実をはかるため、軽油引取税について現行税率一キロリットルにつき八千円を一万二千円、すなわち現行税率の五割増しに引き上げようとしているのでありますが、本税は、揮発油税及び地方道路税が国及び地方団体の有力な道路財源となっていることにかんがみ、これとの権衡をはかるため昭和三十一年創設されたものでありまして、当時の税率は一キロリットルにつき六千円でありましたものが、翌三十二年には八千円に引き上げられ、今また一挙に五割の引き上げを行いますならば、僅々三カ年間に二倍の増税になるのであります。現在すでに相当多額の負担を課している実情から見まして、さらにあまりに急激な負担の増高を生ぜしめることは、創設後日なお浅い本税の健全な運営にかえって支障を来たすのみならず、バス、トラック事業等につき、運賃の値上げ、あるいは従業員給与の切り下げ等好ましからざる影響の生ずることも考えられますので、この際、現行税率の三割すなわち一キロリットルにつき二千四百円程度の増額にとどめることが適当であると認め、政府原案に対して右の趣旨の修正を加えようとするものであります。
なお、この修正によって地方財政計画上約十六億五千万円の歳入欠陥を生ずることとなりますが、政府におきましては、今後本税及び地方道路税の徴収確保に努め、道路整備五カ年計画の達成に遺憾のないよう指導することを期待いたしておるのであります。
以上が修正内容及び修正理由の要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛成いただきますようお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/5
-
006・鈴木善幸
○鈴木委員長 次に、自由民主党及び日本社会党の両党共同提案として、纐纈彌三君より、三案に対しそれぞれ附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨弁明を聴取することといたします。纐纈彌三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/6
-
007・纐纈彌三
○纐纈委員 私は、ただいま議題となっております地方税法等の一部を改正する法律案外二法案の各法律案に対し、自由民主党及び日本社会党の共同提案にかかる附帯決議を行いたいと思いますので、ここにその趣旨弁明をいたしたいと存じます。
まず第一に、地方税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議の案文を朗読し、その趣旨を申し上げます。
政府は、地方財政の現状と本案施行に伴う影響に深く留意し、特に左記事項についてそれぞれ適切な措置を講ずるとともに、可及的速かに税制の全般にわたる根本的改革を行い、もって地方財政の健全化と安定化を図り、行政水準の維持向上に努むべきである。
一、国と地方との財源配分に再検討を加え、地方の自主財源を強化すること。
一、多額に上る住民の税外負担を解消し、公費をもって支弁すべき経費に対しては財政措置をなすこと。
一、所得税の減税に伴う住民税の減収に対しては、たばこ消費税の税率引き上げ等によって財源補てんを行うこと。
一、地方税制における各種の特例措置に再検討を加え、非課税制度については根本的整理を行うこと。
右決議する。
案文は以上の通りであります。
このような附帯決議をいたしたいという趣旨は、これを要するに、今回の地方税法等の一部を改正する法律案の内容と地方財政の現状とを彼此勘案いたしますと、すでに本案審議の過程において明らかになりましたように、いろいろ問題がありますので、その主要な問題点について、将来にわたり政府の善処を求めようとするにほかならないのであります。よって、附帯決議におきましては、先ほど申し述べましたように四点をあげて政府の注意を喚起し、これに対して政府が深く考慮を払い、最善の努力をいたすよう要請せんとするものであります。
すなわち、その第一点は、国と地方団体との間における財源配分についてでありますが、この点に関する現状におきましては、国はその必要経費をほとんど租税でまかなっているにもかかわらず、地方団体においては、地方税の地方歳入に占める割合は四〇%にすぎず、とうてい自治的な財政運営は期待することができないのであります。このように地方税の割合が少い結果、国税として一度徴収したもののうち、地方交付税、国庫補助金等として約半額のものが地方団体に交付されることになっております。かようなことは、国と地方団体との間の税源の配分が適正に行われていない結果でありますから、その適正化をはかり、地方団体の自由財源の増強に努めねばならないと思うのであります。
第二点は、税外負担の問題であります。今回の地方税における減税は、零細負担の排除とその軽減合理化が主眼となっているのでありますが、地方の住民は、地方税のみならず、いわゆる税外負担と称せられるものを寄付というような形式で多額に負担しているのが実情であります。強制にわたるような割当寄付等は法律がこれを禁止しているにもかかわらず、これら税外負担の中には、本来公費をもって負担すべきものが、地方財政の貧困のゆえに寄付の形で住民に課せられているものが多いのであります。しかも、その割当方法は、法律や条例で定められているものではないので公平を欠くことも多いと聞くのであります。地方税の負担の軽減もさることながら、このような税外負担を解消すこるとこそ住民負担の軽減合理化に役立つものでありますから、これが解消に努め、その根本が地方財政の貧困によって生じていることにかんがみ、地方の独立税の充実強化または地方交付税の増額等によってその財源措置を行うことを要望いたしたいのであります。
第三点は、所得税の減収補てんについてでありますが、今回の所得税の減税は主として控除の引き上げによって行われるものでありますので、課税技術上も住民税が自動的に減税にならざるを得ない面もあり、来年度以降百億円以上の住民税の減収を生ずることとなるのであります。このような減収は、地方財政の状況から見て、とうてい地方団体の負担にたえないものであり、また国税の改正に伴う自動的な減収である点を考えれば、これは完全に国の責任においてその補てんを行うべきであります。従って、たばこ消費税の増率等の方法によってその減収額を補てんすることを政府に求めようと思うのであります。
第四点は、地方税制上の特例措置の再検討についてであります。現行の地方税法中に規定されている各税の非課税ないし特例措置は、その創設の当時あるいはそれぞれの観点からは理由があることとはいいながら、地方税制としては不適当であり、社会経済事情の変遷によってその合理性を失ったものもあり、税制自体としても問題となるものが多いのであります。従って、これら特例措置については再検討の上、非課税制度については根本的な整理を行う必要があると信ずるのでありまして、それには部分的調整や断片的改正にとどまることなく、総合的かつ全面的に合理化をはかり、もって税負担の均衡化を進め、かねて地方財源の増強に資すべきであると考える次第であります。
次に、地方交付税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について申し上げます。案文は次の通りであります。
地方交付税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
地方財政は漸次改善されつつあるが、なお多くの不健全な要素をかかえているので、とくに次の二点については、政府において格段の努力をいたすべきである。
一、明年度においては、「地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律」の適用期限が終了することもあって、公共事業の地方負担額が激増するので、その円滑な実施を確保することができるよう適時財政上必要な措置を講じて行くこと。
二、直轄事業に対する地方団体の負担金に係る交付公債制度は、必要な財源措置に代えて暫定的な措置としてとられたものであることにかんがみ、将来の地方財政を健全化するため、すみやかに有効適切な措置を講ずること。
右決議する。
この附帯決議案の趣旨といたしますところは、地方財政の現状のもとにおきまして、困難が予想される多量の公共事業の円滑な実施をはかろうとすること及び交付公債にかかる公債費の地方財政に対する重圧を緩和せんとすることの二つにあるのであります。
地方財政の現状につきましては、前にも申し述べました通り、漸次改善されてきたのでありますが、なおその実態には不健全な要素を持っております。特に地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律の適用期限が本年度限りとされているため、明年度においては公共事業の地方負担額の増加は、国庫補助事業、直轄事業を通じて九十億円をこえるばかりでなく、公共事業にかかる国庫予算額の増加に伴い、明年度における公共事業関係の地方負担額は本年度のそれに比し、補助事業において二百十八億円、直轄事業において七十八億円、計二百九十六億円の増加となる見込みであります。このように三百億円にもなんなんとする地方負担額の激増は、ここ数年来見られなかったものでありまして、その増加額は地方交付税率の約四%相当額にも及ぶ多額のものであります。今回の地方交付税法の改正におきましては、各般の財源需要に応ずるため、交付税率一%の引き上げや交付税配分の方法の合理化を行なっておりますが、何分にも右のような多額の地方負担の増加を伴う明年度の公共事業については、その円滑な執行が期しがたいようなおそれがあると思われるのであります。また、現行の国の直轄事業に対する地方負担金にかかる交付公債制度は、昭和二十八年度において、従来の現金納付の方法によることを著しく困難ならしめるような当時の窮乏した地方財政の状態にかんがみ、所要の財源措置にかえて暫定的措置として、十三年間にわたる分割払いの方法として採用されたものでありますが、交付公債なるがゆえに、国は毎年度これに利子を付しているのであります。この制度によりますと、地方団体はその将来に及ぼす公債費の負担について十分な配慮を加えることなくして直轄事業の施行に甘んずる傾向があるのみならず、国もまた、地方団体がさしあたっての資金を要しないことから、比較的安易に直轄事業の分量を拡大するきらいがあるのでありまして、現に明年度においては、本制度による交付公債は、本年度の百三十三億円に比して七十八億円の増発となり、合計二百十一億円に上る見込みとなっております。かりに、明年度以降毎年度二百十億円の交付公債の発行を続けるとすれば、その償還費は年々増加し、やがては三百三十三億円という多額の金額を必要とすることになる見込みでありまして、その地方財政に与える影響は少からざるものがあると考えるのであります。従いまして明年度における公共事業の円滑な実施を確保するため、政府は、適切な財政的措置をとるとともに、交付公債制度については、すみやかに適切な措置をとって、将来にわたる公債費の重正を除くよう努むべきであると考えるのであります。
最後に、地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について申し上げます。その案文は次の通りであります。
地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
本案施行による抵当権等の保護と併行して、賃金債権及び之に関連する中小企業の下請代金債権について、政府は、将来、私法秩序との調整を図りつつ、これが保護につき特段の考慮を為すべきである。
右決議する。
今回の租税徴収制度の合理化を目的とした地方税法の一部を改正する法律案は、別途内閣提出にかかる国税徴収法案に準じ、これと歩調をそろえて、地方税法における徴収制度の画期的改正を行なったもので、私法秩序の尊重と地方税徴収確保との調整をはかることを基本といたしておりますが、その最も注目すべき要点とするところは、地方税の優先主義を原則としつつも、私法秩序尊重の建前から、一定の条件を備えた私法上の債権が、地方税の徴収権に対してその立場を強化されたことにあるのであります。
すなわち、質権や抵当権によって担保された私債権については、従前よりもその保護が厚くなったのでありますが、一般の労務者が使用者に対して有する報酬支払い請求の債権、すなわち賃金債権及び賃金債権に関連の多い中小企業の下請代金の債権については、この法案においては別段の保護は与えられておりません。もっとも、この問題は単に租税に対する優先権によって解決すべき問題ではなく、直接の第一段階としては、他の一般の私債権とこれらの債権との相互間におきまする優先関係についてむしろ多くの問題があり、このように現行私法体系に重要な関連のある問題でありますので、政府においては、将来私法秩序の調整をはかりつつ、これが保護をはかるよう特段の考慮をなすように要請することが本案の趣旨であります。
以上申し述べましたところが三法案のそれぞれに対しまする附帯決議案及びこれを付すべしとする趣旨の弁明であります。何とぞ満場一致御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/7
-
008・鈴木善幸
○鈴木委員長 これより討論に入ります。
討論の通告がありますので順次これを許します。阪上安太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/8
-
009・阪上安太郎
○阪上委員 私は、ただいま議題となりました地方税法等の一部改正法案、これの原案並びに委員会修正案等に対しまして反対の意見を展開いたしたいと思います。
まず最初に、ものの順序といたしまして、自民党の選挙公約と減税問題の推移の跡をしばらくたどってみたいと思います。昨年春の総選挙目当てに、自民党がいわゆる七百億円の減税公約をうたったのであります。しかしながら、実際作業に当ってみると、地方財政の現状というものは、政府与党が考えておったようななまやさしいものではなかった。すなわち地方は年々積み重ねられましたところの赤字がようやく解消するという糸口を見出した程度でありまして、単年度において辛うじて形式的に収支を合わすことができた団体というものが大部分でございます。学校、道路、橋梁、河川等の維持補修、こういったものはきわめて不完全なものでありまして、いわゆる行政水準の低下と超過課税、法定外普通税の課税による住民負担、そういった犠牲の上に最低限度の財政を維持していたにすぎないということがいえるのでございます。従って、このような減税公約は最初から無理があった。ここで政府与党は、当初のこの減税公約より大幅に後退いたしまして、結局初年度百一億円、平年度二百三十五億円という小規模の減税案に堕し去ったわけでございます。同時にまた、そこには政府与党の地方自治の本旨及び地方財政の現状に対する理解と認識が欠如をしていたことがはっきりと暴露されたわけであります。元来地方税の減税問題の処理に当りましては、それが一方においては国民負担の軽減の要請、そして他の方面におきましては地方行政水準の引き上げ、こういった二つの相矛盾する要請の上に立って考えられなければならないのであります。従ってこれはきわめて困難な課題でございます。そこで国と地方との税財源の配分の合理化をはかるという根本的な検討がまず大前提として行われなければならなかったのであります。にもかかわりませず、政府与党は、これらの根本的な問題については、常々目下検討中、こういう逃げ口上に終始いたしまして、毎年思いつきの行き当りばったりの減税を行なってきた。そのあげくの果てが今申し上げましたような今次の改正案になったわけでございます。まずもって今次改正案の基本的な性格というものは、選挙目当ての大ぶろしきが地方財政の見通しの誤まりからぼろぼろに破れた、こういった感じがいたします。この場合、あなた方の減税案というものは選挙減税からさらに思いつき減税へとかんばしからざる段階に入ってきたわけでございます。
次に私は、地方財政の現況及びその将来の見通し、こういったものと、国民負担の見地から、さらにこの改正案の内容に若干の批判を加えてみたいと思います。まず地方財政の現況と地方税制の基本的なあり方でございますけれども、昭和三十年度をピークといたしまして地方財政の赤字というものはようやく鈍化の傾向をたどっております。なお三十二年度の決算において、赤字団体は全体の二七%でございます。その赤字額は、再建債を含めまして実質赤字額四百四十三億円となっております。なお一方黒字団体は全体の七三%でございまして、その黒字額は三百六十六億円となっております。そこでこの場合、財布のひもを締めるくせがある大蔵省あたりでは、形式的に決算に表われた数字を眺めまして、地方は全くよくなったと早合点をしているかもしれない。ところが、実際はそうじゃございません。多くの問題が依然として解消されないままで残っております。そういった問題点をさらに拾ってみますると、依然として地方は赤字たな上げのための再建債の発行、償還期限の到来した地方債の借りかえ債の発行、交付公債の発行等、全く形式的な措置によりましてようやく赤字をおおい隠している。従ってその負相は当然後年度に繰り越されているのでございます。普通会計の地方債は漸減する方策をとっておられますが、なお毎年旧債償還に必要な金額をこえて新規地方債を発行せざるを得ないという状態であります。その現債額はすでに六千億円以上になんなんといたしております。また公共事業中道路事業につきましては、道路事業五カ年計画を実施するために特に国の負担率を引き上げておりますけれども、その他の地方財政の再建等のための臨時特例というものは、この三月三十一日限り廃止されることになっておりますので、少くとも七十三億円ないし百億円程度のものが歳入欠陥となるのであります。このような大問題を放置しておるというのは、全く不謹慎といわざるを得ません。また多くの団体で収入増をはかるために超過課税と法定外普通税を行なっているほかに、税外負担として二百五十三億円以上が住民負担となっております。これに対しまして過般の審査の過程におきましても、大蔵省あたりでは、何らの調査もせず、同じ政府部内の自治庁の数字を誹謗するばかりで、これを採用しようとはいたしておりません。そのため何ら救済されていないのでありまして、これまた非常に不謹慎きわまる態度だとわれわれは考えます。
行政水準についても全く最低の水準にとどまっております。府県道の未改良部分は、総延長の七八・四%にも達しておる。橋梁のうち四四%が木橋であります。交通不能、また荷重制限を行っているが二四%にも及んでおります。人や物を通さないための橋がかけられていると考えても差しつかえありません。義務教育施設の不足坪数及び危険坪数の合計は、必要坪数の二五・七%に達しております。不正常授業は小学校が一四%、中学校が二%、高等学校ではこれらの合計は、必要坪数の二九・九%にも達しております。その他下水道施設とか屎尿処理施設、こういったものを考えて参りましても、行政水準というものはきわめて低いものでありまして、非衛生的な処理方式をとっておるものか、これは大ざっぱでありますけれども、全団体の五八ないし八〇%にも及んでおります。これを見ても、政府与党がいかに行政水準は上昇をきわめておるといっても、これは百年河清を待つにひとしいものだとわれわれは考えるのでございます。
国民大衆は、勤労者も農民も中小企業者も、みな減税を強く要望しております。しかるに政府与党は、大企業及び独占資本に対しましては、経済再建だとか、あるいは生産拡充だとか、輸出振興だとか、こういった美名のもとに各種の租税特別措置をとりまして、年間八百億円に上るところの非課税措置の大部分はこれらに振り向けられて手厚い保護が加えられておるのでございます。一方、大衆に対する負担軽減については、先刻から申し上げておりますように、非常な出し惜しみをしておるのであります。特に地方税の場合、有力な税源はほとんど国が優先的に取り上げてしまっておる。勢い大衆課税的な税種目から地方税制は構成されざるを得ないのでありますその結果地方自治体は、さらにその財政欠陥を地方住民に転嫁するというあの悪循環を繰り返しておる、そして税外負担とか超過課税とかいうような形で大衆を収奪する状態になっております。最近非常に熾烈化して参りました中小企業の事業税の撤廃あるいはトラック、バス業者等の揮発税、軽油引取税の増税反対の運動、農村における固定資産税の負担過重の問題、飲食、宿泊等に対する遊興飲食税の軽減の問題等々、いずれもこのような収奪課税に対する大衆の抵抗、反発である、われわれはかように見ておる。こういった国民大衆のやむにやまれぬ現実の要求と、地方財政の貧困からくるこれまたやむにやまれぬ現実の要求との板ばさみになった政府与党は、御案内のように、ついに公約減税から思いつき減税、そしてよろめき減税へと転向したのであります。そこにはもはや国民大衆の期待に沿う何らの措置も見出し得ないという今回の減税案でございます。私は、このような今次改正案の基本的な錯誤に対しまして断じて納得することができないのであります。これがこの法案に反対する第一点でございます。
次に、その個別的な内容について多くの問題があるので、われわれ日本社会党の要求と照らし合せて批判を加えてみたいと思います。
まず事業税でありますが、法人事業税のうち五十万円以下の分については、もう思い切って二%引き下げるべきである。もしそれが個人事業税とのバランスがとれぬということでありますならば、さらに個人事業税の税率を引き下げることによって、勤労所得の性格を持つ零細業者の負担を軽減すべきある。大企業に厚く零細企業に薄いやり方は許されません。また固定資産税については、制限税率の引き下げのほかにさらに税率を引き下げるべきである。農地や下級住宅、こういったものに対する負担をさらに軽減すべきである。軽油引取税の増税は現段階においては実施すべきでない。こうわれわれは考えております。地方の通路財源の増強はもとより必要でありますけれども、その負担をすべて自動車関係者に求めることは当を得ない。ことにわが国の道路は、米国その他の戦勝国と異なり、戦争によって徹底的に破壊されたものでありますがゆえに、むしろ国の蓄積財源等によって負担すべきものである。いわんや、運賃値上げを誘因するがごとき大衆転嫁をすべきものでは断じてないとわれわれは考えます。遊興飲食税は、その免税点をさらに引き上げるべきであるとわれわれは考えるのであります。お銚子一本が地獄と極楽の境になるというようなことでは……。(笑声)次に入場税でありますが、これは現行では譲与税であるけれども、当初からもはや譲与税の価値を失っているものであります。すなわち、今日では取り上げたそのままで地方に還元しているのでありますから、すみやかにこれは地方税に移管すべきである。またその課税の状態は、低い料金のものほど高率となっていることは不思議であり、納得ができません。電気ガス税でございますけれども、非課税措置については特定の大企業のみその恩典に浴せしめて、そのしわ寄せを一般消費者に転嫁している現況は好ましくありません。この際これを廃止して、そのよって来たるところの税源によって一般消費者の税率を引き下げるべくその負担を軽減すべきであるとわれわれは考えます。
地方税減税による減収補てんはきわめて重大な問題であり、かつこれは先刻申し上げましたような地方団体側と地方住民との減税に対する矛盾を解決するキー・ポイントであります。減税による補てんは独立税源を与えることと交付税の増率によりまかなうことを主張するのでありまして、その意味において消防の税外負担を解消するために消防施設税をすみやかに創設すること、住民税の三十五年以降の減収に対し、たばこ消費税等の引き上げによってこれの措置を講じておくこと、租税特別措置法をすみやかに整理すること、非課税規定をすみやかに整理すること、その他交付税の税率の繰入率をさらに二%引き上げ、百分の三十まで持っていくこと、税外負担を交付税の算定に計上すること、臨特法の有効期限を三カ年さらに延長すること、こういった税財政全般の措置によって減収補てんを推し進めるということが今回の減税のキー・ポイントだと繰り返してわれわれは申し上げたいのであります。
以上申し上げましたように、個別的にながめてみましてもいろいろな問題点がございます。今回の地方税法の改正案というものは、これは全く地方に対する押しつけ減税案でありまして、住民に対する公約違反の選挙目当て減税案、こういうことが言えると思います。何ら一貫性のないよろめき減税であります。われわれはこういった点において断じて承服することができません。国は、あり余った財源で左うちわでのうのうと政治をやっておりますけれども、地方自治体は、不足した財源でもってきゅうきゅうとして泣きの涙で政治をやっておる。こういう状態は断じて許すことがでさません。
以上申し上げましたような諸点について、われわれは納得することができませんので、はなはだ遺憾ながら今回の地方税法等の一部を改正する法律案並びに修正案に対して反対をするものでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/9
-
010・鈴木善幸
○鈴木委員長 渡海元三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/10
-
011・渡海元三郎
○渡海委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案については賛成、地方税法等の一部を改正する法律案につきましては、わが党提出の修正案、修正部分を除く原案に賛成の討論を行いたいと思います。
地方団体の財政事情は、政府の相次ぐ措置によりまして漸次好転のきざしを見せておるのでございますが、その内容をしさいに検討いたしましたならば、ただいま阪上委員が仰せになりました通り、税外負担が二百五十億以上に上り、また地方債は累増いたしまして六千億以上にも達しておる状態であります。真の健全化に至るにはまだまだ道が遠いということは私たちもこれをよく承知しなければならない実情であると思うのであります。しかしながら一方地方税におきまして、なお住民に相当過重な負担を負わしておることも事実でございまして、これらの軽減措置を望む声は強く叫ばれておるのでございます。このような状態を勘案いたしまして、私たちはさっきの総選挙に当り、いわゆる七百億減税を叫んだのでございます。今討論の中で、自民党は大企業に奉仕すると言われましたが、私たちが公約いたしました減税の公約は、低額所得者の税負担の軽減を訴え、国税、地方税を通じ税制の軽減合理化を行うとともに、国及び地方の税源配分の調整をはかる、かく公約いたしたのであります。しかして今回のこの二法案の改正というものは、この公約を最も忠実に実行に移したものであると私たちは賛意を表するにやぶさかではないのでございます。(拍手)すなわち地方税におきましては、初年度事業税を中心といたしまして百一億円、平年度実に二百三十五億に及ぶ低額所得者の減税をはかる一方、交付税法におきまして交付税率の一%の引き上げを行なって、この減税によるところの影響を最小限に食いとめんと意図しておるのであります。
まず事業税について申し上げますと、私たちは個人事業税で事業所得二十万円までは免税にするということを公約いたしたのでございますが、この公約を最も納税者に、有利な方法すなわち二十万円まで基礎控除を引き上げるという方法において実施いたしておるのでございます。また法人事業税におきましても、制限税率の適用範囲を百万円から二百万円まで引き上げるとともに、段階を設けてそれぞれ税率の引き下げを行なったのでございまして、個人事業税につきましては初年度六十五億、平年度は七十一億、法人事業税は初年度二十億、平年度三十億、このような膨大なる額が減税となり、また個人事業税におきましては全納税者の四三%が免税の恩典に浴する、こういうふうな措置になっておるのでございます。この制度によりまして、私は、従来悪税という呼び声の高かった事業税も、零細なる事業者あるいは中小企業者にとっても、あるいは免税あるいは極度の減税という恩典に浴することができ、多大の福音として迎えられるものと確信をいたしておるものでございます。この点に関しまして、一面法人事業税について一率二%減税というがごとき案も主張されておったのでございますが、事業税が府県税に占める地位等をも勘案いたしまして、この点は廃止して、いわゆる減税公約に掲げた通り中小企業者の減税にとどめられた本案に対しては、私は強く賛意を表するものでございます。
次に固定資産税についてでございますが、今回零細なる資産の所有者の負担を軽減するために、土地家屋並びに償却資産についてそれぞれ免税点の引き上げを行なっておられますが、この処置を通じまして二百万に余る多数の人々が免税の恩典に浴するのでございまして、適切なる措置と考えるものでございます。また制限税率を二・五%から二・一%に引き下げを行なっておられるのでございます。現在最高の制限税率を用いております地方は、主として北海道並びに東北地方でございますが、このような大きな制限税率一ぱいの税金というものが、その地方の住民にとって非常に過重であるということは申すまでもございません。また、その地方の事業経営にも、あるいは農業経営にも非常な負担となっておることは言うまでもないところであります。今回、この制限を引き下げられたのでございますが、これによって住民の負担が軽減されることは言うまでもなく、また北海道、東北等最も産業開発を必要とする地方にとって、産業開発という点からも非常に貢献するものと私は強く期待をしておるのでございます。ところが、この地方は貧弱な町村が多く、このためにほかに税収の道もなく、やむなくこのような制度を行なっておられるのでございますが、この実情にかんがみて、政府は、三十四年度はさしあたり起債をもってその減収を補てんするということをいたしておられますが、まことに適切な処置であると思うのでございます。願わくは、この減収の補てん制度等を確立して、三十五年度以降におきましてもその措置が行われますよう、もってこれら市町村の財政運営に不安なからしめられんことを強く要望いたすものでございます。
次に軽油引取税でございますが、道路の画期的な充実をはかるために政府は五カ年計画を立てられました。国の予算も大へんふえておるのでありまして、地方負担もまた当然ふえることは地方財政計画の数字を見ても明らかでございます。この増加する財源の一部をまかなうために軽油引取税を増徴されておるのでございますが、私は、やむを得ない措置であると了承するにはやぶさかではないのでございます。しかしながら、政府案は一挙に五割の引き上げを計画しておられるのでございますが、このような急激なる引き上げというものには、とうてい私どもは了承しかねるのでございます。ただいま纐纈委員より提案理由の説明を申し上げました通り、日なお浅い創設の事情等にもかんがみまして、わが党提出の修正案、すなわち三割引き上げを最も妥当なものと考えるのでございます。
なお、これらの減収の補てんとして、政府は、先ほど申しましたように、交付税法におきまして一%の引き上げを行なっておられます。多々ますます弁ずる交付税率でございますが、国家財政の事情等を勘案いたしまして、私はやむを得ないものであると考えるのでございまして、社会党の唱えておられます二・五%引き上げて一挙に三〇%に持っていくということに対しましては、国家財政の事情からもとうてい至難と考えられるものでございまして、直ちに同意しがたいのでございます。また、交付税法改正に当りまして、いわゆる地方団体間の財源を均衡化するためにとられた措置でございますが、これに対しましては種々議論がございましたが、言われたような特別態容補正の額を非常に増大せよ、こういうふうな不合理な論議は排されまして、また基準財政収入額算定において税収の算定の税率を引き上げて九割ないし八割にしろといったような地方自治の精神に反するような議論も断固これをとられることなく、最も合理的な基準財政需要額の算定方式において、いわゆる富裕団体と貧弱団体との間の補正係数の差を最も緩和することによって、その算定方式を変えておられるのでございますが、最も合理的なかつ適切妥当なる方法と考え、賛意を表するものでございます。
以上、私は地方税法等の一部改正案につきましては修正案並びに修正部分を除く原案、地方交付税法並びに地方税法の一部を改正する法律案については賛成を表明いたしまして、私の討論を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/11
-
012・鈴木善幸
○鈴木委員長 これにて討論は終局いたしました。
次に採決に入るのでありますが、—の際、念のため採決の順序について申し上げます。まず地方税法等の一部を改正する法律案につき、本案に対する修正案について採決をし、次に修正部分を除く政府原案について採決し、次に地方交付税法の一部を改正する法律案について採決し、次に地方税法の一部を改正する法律案について採決し、次に三法律案に対しそれぞれ附帯決議を付すべしとの動議について採決いたします。
それでは、これより採決に入ります。
地方税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。まず、纐纈彌三君外十八名提出にかかる本案に対する修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/12
-
013・鈴木善幸
○鈴木委員長 起立多数。よって本修正案は可決いたしました。
次に、ただいまの修正部分を除いた政府原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/13
-
014・鈴木善幸
○鈴木委員長 起立多数。よって修正部分を除いては原案の通り決しました。
右の結果、地方税法等の一部を改正する法律案は修正議決されました。
次に地が交付税法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/14
-
015・鈴木善幸
○鈴木委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決いたしました。
次に、地方税法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/15
-
016・鈴木善幸
○鈴木委員長 起立総員。よって本案は全会一致をもって原案の通り可決いたしました。 次に三法律案に対しそれぞれ附帯決議を付すべしとの動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/16
-
017・鈴木善幸
○鈴木委員長 起立総員。よって全会一致をもって三法律案に対しそれぞれ附帯決議を付することに決しました。
この際、本日議決いたしました三法律案に関する委員会報告書の作成についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/17
-
018・鈴木善幸
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/18
-
019・鈴木善幸
○鈴木委員長 次に、消防法の一部を改正する法律案を議題とし、政府委員より補足説明を聴取することといたします。鈴木国家消防本部長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/19
-
020・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 先般提案理由の説明がありました消防法の一部を改正する法律案の内容につきまして、補足的に御説明申し上げます。
この改正法律案は、提案理由の説明にもありました通り、危険物の規制に関する部分について改正しようとするものであり、第三章の各条文についての一部改正及びこれに関係ある部分についての罰則の改正と、経過措置を定めた附則からなっております。改正に当っての考え方といたしましては、危険物の規制に関する行政は、その危険性及び慎重な取扱いを必要とする点について比較的類似しておりますところの火薬及び高圧ガスの取締りと同様の考え方をとり、本来国の行うべき行政として都道府県知事及び市町村長に委任することとして、改正前の法律がその実施規定を市町村条例にゆだねておりました点を改め、内容を合理化してこれを法律またはこれに基く命令に規定することといたし、規制の要領もおおむね火薬類取締法に準じて行うことといたしたのであります。
以下条文の順序に従って御説明を申し上げます。
第十条の一部改正は、危険物の製造所、貯蔵所及び取扱所の位置、構造及び設備について、市町村条例で制限を定めておりました点を改め、これを危険物による火災等の災害の防止を主眼にした技術上の基準として政令で定めることとするとともに、製造所等においてする危険物の貯蔵または取扱いの方法も政令で定める技術上の基準に従って行わせることといたしました。
第十一条の改正は、危険物の取扱いの時間制限を定めている現行規定は、現下の経済情勢にそぐわない点がありますので、これを削除することとし、現行第十二条で規定しておりました製造所等の設置及び変更の許可に関する規制を第十一条で規定することといたしました。その内容は、製造所等の設置及び変更の許可については消防本部及び消防署を置いていないため危険物の規制に関する行政を行う有効な消防吏員がいない市町村の区域にあっては都道府県知事がこれを行うこととして、危険物に関する規制を一そう徹底せしめることとしたこと及び第十条第四項の技術上の基準を許可及び使用開始前の完成検査の基準として用いることとしたほか、製造所等の譲渡または引き渡しが行われた場合における許可を受けた者の地位の承継について規定いたしました。
第十二条は、製造所等の位置、構造及び設備を前述の技術上の基準に適合するように維持管理すべきこと及び適合していないときの措置命令について規定し、第十二条の二は、製造所等における安全を確保するための措置としてこの法律の規定に違反した場合における製造所等の使用停止命令を、第十二条の三は製造所等の用途を廃止した場合における届出について規定いたしました。
第十三条ないし第十三条の三は、危険物取扱主任者及びその免状、試験について改正をはかった規定であります。まず第十三条は、危険物取扱主任者についてはその資格を市町村条例で定めておりました点を改め、危険物取扱主任者免状の交付を受けている者と規定し、あわせて製造所等における危険物取扱主任者の職務及び選任、解任等の手続を明確にいたしました。第十三条の二においては、危険物区取扱主任者免状についてその種類を甲種及び乙種の二として、都道府県知事の行う危険物取扱主任者試験に合格した者に対して都道府県知事が交付することとし、免状交付の欠格条件及び返納命令を規定したほか、免状の書きかえその他免状の取扱いに関する事項を政令で定めることとし、第十三条の三は、都道府県知事の行う危険物取扱主任者試験について、その内容、種類及び受験資格等を明確にいたしました。
第十四条は、映写技術者の免状の交付及び試験等について危険物取扱主任者に準じて行うように改正し、第十五条は映写室の構造及び設備について市町村条例で定めておりました点を改めて、政令でその技術上の基準を定めることといたしました。
第十六条乃至第十六条の六は、現行の第十六条が本章の雑則的規定として、危険物の取扱いについて大幅に市町村条例にゆだねていること及び適用除外を規定しておりました点を改めて、まず第十六条は危険物の運搬に関する事項についての技術上の基準を政令で定めることとし、第十六条の二は、危険物取扱主任者等の試験の適正な実施と円滑な運営をはかるため都道府県に試験委員を置くこととし、第十六条の三は、製造所等の設置または変更の許可及び完成検査、危険物取扱主任者等の試験及び免状の交付等を受けようとする者の手数料の納付について規定し、第十六条の四は、危険物の貯蔵または取扱いに伴う火災の防止のための立ち入り検査について規定し、第十六条の五は、消防本部及び消防署の設置または廃止に基く危険物規制に関する行政庁の変更に伴う経過措置について規定し、第十六条の六は本章の適用除外について整備いたしました。第四十一条ないし第四十五条の改正は、以上の改正に伴い、新たに法律に規定されることとなった事項の違反に関する罰則について、市町村条例の規定違反に科せられている罰則との関連において整備するものであります。
別表につきましては、危険物に属するもののうち、動植物油類について、不燃性容器に収納密栓され、かつ貯蔵保管中のものは、その性状よりして危険性が少いのでこれを除外し、塗料類等数種の危険物の混合したものについてはその性状に即した規制を行うべく、それぞれ運用について合理化をはかることといたしました。
附則につきましては、改正前の規定による市町村条例に基いてなされた許可その他の処分及び手続はこの改正法律による処分及び手続とみなすこと、改正前の規定による市町村条例で定める資格を有していた危険物取扱主任者等の資格の継続化をはかるための経過措置、並びに市町村条例が制定されていない市町村が相当数ありますので、これらの市町村の区域にある製造町等についての設置許可等に関する経過措置、及びこれらの区域において法律上の資格がなくて事実上危険物取扱主任者等の職務を行っている者についての資格等に関する経過措置、その他この法律の改正により現行第十一条の削除に伴う自衛隊法の一部改正等をはかることといたしました。なお、この法律の施行時期を公布の日から起算して六月をこえない範囲で政令で定める日といたしましたのは、危険物に関する規制、危険物取扱主任者等の試験及び免状について従来の制度から相当大幅に改正することとなっておりますので、これらの事務を担当する都道府県及び市町村、この法律による規制を受ける製造所等の関係者等に対して、この法律の改正の趣旨その他事務の取扱いについて周知徹底をはかって準備をせしめる必要があり、また、この法律の改正に伴う政令その他の命令等を慎重に検討準備する期間も必要であり、あわせて相当長期間を要するものと考えたからであります。
以上、この法律案の主要な点についてその概略を御説明申し上げた次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/20
-
021・鈴木善幸
○鈴木委員長 この際お諮りいたします。理事会の申し合せによりまして、本委員会に付託の請願審査のため、小委員七名よりなる請願審査小委員会を設置することとし、その小委員及び小委員長の選任につきましては、先例によりまして委員長の指名に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/21
-
022・鈴木善幸
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。
それでは小委員に
天野 光晴君 纐纈 彌三君 渡海元三郎君 吉田 重延君 佐野 憲治君 北條 秀一君 安井 吉典君を指名いたします。
また小委員長には纐纈彌三君を指名いたします。
なお、ただいま指名いたしました小委員長及び小委員につきまして、委員の異動等に伴いその補欠選任を行う必要が生じました場合、そのつど委員会に諮ることなく、委員長において指名するよう御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/22
-
023・鈴木善幸
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十二分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104720X02519590318/23
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。