1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年一月三十日(金曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 淺香 忠雄君
理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君
理事 橋本登美三郎君 理事 片島 港君
理事 小松信太郎君 理事 森本 靖君
木村 武雄君 進藤 一馬君
塚田十一郎君 渡邊 本治君
大野 幸一君 栗原 俊夫君
佐々木更三君 原 茂君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 寺尾 豊君
出席政府委員
郵政政務次官 廣瀬 正雄君
郵政事務官
(貯金局長) 加藤 桂一君
委員外の出席者
日本電信電話公
社総裁 大橋 八郎君
日本電信電話公
社副総裁 横田 信夫君
専 門 員 吉田 弘苗君
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一月二十三日
委員田邉國男君辞任につき、その補欠として星
島二郎君が議長の指名で委員に選任された。
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昭和三十四年一月二十六日
郵便貯金の旧預金者等に対し旧預金部資金所属
の運用資産の増加額の一部を交付するための大
蔵省預金部等損失特別処理法第四条の臨時特例
等に関する法律案(内閣提出第六三号)
昭和三十三年十二月二十五日
藤ノ川に無集配特定郵便局設置の請願(森本靖
君紹介)(第三〇一号)
小籠に無集配特定郵便局設置の請願(森本靖君
紹介)(第三〇二号)
長岡郡南部地区電話施設の整備統合に関する請
願(森本靖君紹介)(第三〇三号)
錦及び丘新田に農村電話架設の請願(森本靖君
紹介)(第三〇四号)
角田電報電話局設置に関する請願(竹谷源太郎
君紹介)(第三九三号)
簡易郵便局法の一部改正に関する請願(藤本捨
助君紹介)(第四九三号)
昭和三十四年一月二十二日
伊福形地区に無集配特定郵便局設置の請願(片
島港君紹介)(第五七七号)
祝子郵便局の電報配達事務取扱いに関する請願
(片島港君紹介)(第五七八号)
名瀬市にテレビ放送所設置に関する請願(保岡
武久君紹介)(第六五〇号)
簡易郵便局法の一部改正に関する請願(阿部五
郎君紹介)(第六八九号)
結核療養者のラジオ聴取料免除に関する請願(
石野久男君紹介)(第六九〇号)
は本委員会に付託された。
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昭和三十三年十二月二十五日
新町村区域における電話施設の統合整備に関す
る陳情書外一件
(第四八号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
郵便貯金の旧預金者等に対し旧預金部資金所属
の運用資産の増加額の一部を交付するための大
蔵省預金部等損失特別処理法第四条の臨時特例
等に関する法律案(内閣提出第六三号)
郵政行政及び日本電信電話公社の事業概況に関
する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00419590130/0
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001・淺香忠雄
○淺香委員長 これより会議を開きます。
去る二十六日付託されました郵便貯金の旧預金者等に対し旧預金部資金所属の運用資産の増加額の一部を交付するための大蔵省預金部等損失特別処理法第四条の臨時特例等に関する法律案を議題として審査を進めます。
まず政府当局より提案理由の説明を聴取いたします。寺尾郵政大臣。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00419590130/1
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002・寺尾豊
○寺尾国務大臣 ただいま議題となりました郵便貯金の旧預金者等に対し旧預金部資金所属の運用資産の増加額の一部を交付するための大蔵省預金部等損失特別処理法第四条の臨時特例等に関する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
この法律案は、大蔵省預金部等損失特別処理法第四条の臨時特例等を設けまして、第二封鎖預金となってその債権の一部が消滅した郵便貯金の旧預金者等に対し、旧預金部資金所属の運用資金の増加額の一部をもって、消滅した額に相当の利子を付して交付しようとするものでありまして、その交付金の額、交付の申し出をすることができる期間、交付金の非課税その他交付すべき金額の繰り入れ等について必要な会計上の処理規定を定めようとするものであります。
法律案のおもな内容について申し上げますと、第一は、大蔵省預金部等損失特別処理法第四条の規定によりまして、旧大蔵省預金部の損失の処理が行われて昭和二十四年二月二十一日以後において、同部の運用資産の評価額に変動がありました場合には、その変動による増加額が減少額をこえましたときは、その差額に相当する金額をもって、まず一般会計から繰り入れを受けた補償金の返済に充て、なお残額がありますときは、これを政令の定めるところにより処分することができることとなっているのでありますが、今回、同法について臨時に特例を設け、増加額の処理の順位を変更いたしまして、一般会計への補償金の返済の完了に先だって、郵便貯金の旧預金者等に対し、その増加額のうちから、債権が消滅した郵便貯金または郵便振替貯金の金額に相当する金額に、かりにその金額が消滅した日から本年三月三十一日までの間郵便貯金または郵便振替貯金として継続して預け入れられていたものとした場合につけられる利子相当額を加算して、これを交付しようとするものであります。なお、郵便貯金の旧預金者等がその交付の申し出をすることができる期間を、この法律の施行の日から二年にしようとするものであります。
第二は、郵便貯金の旧預金者等に交付される交付金については、所得税及び印紙税を非課税にしようとすることであります。
第三は、郵便貯金の旧預金者等に交付すべき金額の繰り入れ等に関し必要な会計上の処理規定を定めまして、交付すべき金額のうち、元本に相当する金額は、資金運用部資金から資金運用部特別会計に繰り入れ、これに利子相当額を加算して同会計の歳出として郵便貯金特別会計に繰り入れることとするものであります。また、交付すべき金額のうち、交付をする必要がなくなった金額があるときは、さきの繰り入れとは逆に、その金額を郵便貯金特別会計から資金運用部特別会計に繰り入れ、さらにその金額のうち、元本に相当する金額は、同会計の歳出として資金運用部資金に繰り入れることにしようとするものであります。
以上まことに簡単でありますが、この法律案の提案理由及びその内容の概略を説明申し上げた次第でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00419590130/2
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003・淺香忠雄
○淺香委員長 これにて提案理由の説明聴取を終りました。本案に対する質疑は次会より行うことといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00419590130/3
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004・淺香忠雄
○淺香委員長 次に、郵政行政及び日本電信電話公社の事業の概況について説明を聴取いたします。寺尾郵政大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00419590130/4
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005・寺尾豊
○寺尾国務大臣 それでは、私から所管事項につきまして概略御説明申し上げます。
まず今国会で御審議をいただくことにただいま決定いたしております法律案について申し上げます。提出の法律案は、すでに提出いたしました放送法の一部を改正する法律案、郵政省設置法の一部を改正する法律案及び郵便貯金の旧預金者等に対し旧預金部資金所属の運用資産の増加額の一部を交付するための大蔵省預金部等損失特別処理法第四条の臨時特例等に関する法律案のほか簡易生命保険法の一部を改正する法律案の四件であります。
郵政省設置法の一部を改正する法律案のおもな内容は、省名を逓信省に改め、大臣官房に官房長を置くこととしようとするものであります。
郵便貯金の旧預金者等に対し旧預金部資金所属の運用資産の増加額の一部を交付するための大蔵省預金部等損失特別処理法第四条の臨時特例等に関する法律案の内容は、郵便貯金及び郵便振替貯金の第二封鎖預金等については、昭和二十四年にその三割相当額が切り捨てられましたが、これらの旧預金者等の損失を補てんするため、旧預金部資金所属の運用資産の増加額の一部を旧預金者等に交付することを内容とするものであります。
簡易生命保険法の一部を改正する法律案の内容は、従来の終身及び養老保険のほかに、簡易保険の一種として、夫、妻及び子を一団とする家族保険を新設するものであります。
次に労働問題について申し上げます。
昨年七月以来長期にわたっての闘争期間中著しい逸脱行為のあった一部の者についてはそのつど処分を行なって責任を問うてきましたが、闘争を強力に実施した指導者等に対しましても一月二十四日付をもって処分を行うことといたしたのであります。
なお、今回の処分の量定に当っては、年末首の取扱い業務がきわめて円滑に運行され、よく国民の信頼にこたえ得たこと等の事情は考慮に入れて処分いたした次第であります。
また、全逓は被解雇者を依然として三役以下の役員としてとどめ、実力をもって団体交渉が行えない状態を打開せんとする立場を変えておりませんので、新賃金の要求を主とする春季闘争を目前に控えて正常な労使関係に返るまでにはなお相当な困難が予想されるのでありますが、私といたしましては、全逓が行きがかりにこだわることなく、一日も早く組合の正常化をはかり、明朗な労使関係に返ることを強く念願してやまない次第であります。
次に郵便事業について申し上げますと、その運営はおおむね順調に進んでおります。特に本年度の年賀郵便物の全国引受数は約九億五千万通に達する見込みでありますが、これは前年度に比して約九%の増加割合となるものでありまして、年賀郵便制度始まって以来の最高のものでありますが、早期差し出しの励行によりまして郵便物の出回りがきわめて理想的な姿を見せ、おかげさまで順調な運行に終始いたしました。
次に郵便貯金の状況について申し上げます。
本年度の郵便貯金は年度初頭以来引き続き長い間伸び悩んでおりましたが、昨年十二月に入り、勤労者及び農家の収入増加等に伴いましてようやく前年度をしのぐ増加を示し、十二月二十三日には貯金現在高も八千億円を突破いたしまして、一月二十五日現在九百二十五億円の増加高となり、目標額一千百五十億円に対しまして八〇%、また前年同期の実績に比して八九%の成績にまで回復して参りました。
なお、同日の貯金現在高は八千三百六十八億円となっております。
次に簡易保険及び郵便年金について申し上げますと、両事業ともおおむね順調な歩みをたどっております。
簡易保険及び郵便年金積立金の十二月末現在における本年度の運用状況は、計画額千三億円のうち五割四分に当る五百四十一億円を融通いたしました。また運用総額は余裕金五百九十一億円を合せて四千八百四十三億円となっております。
次に電波並びに電気通信関係について御説明申し上げます。
長年の懸案でありました日本、豪州間の電気通信関係が画期的に改善されまして、昨年三月には両国間に直通無線電話業務、十一月には直通テレックス業務が実現し、これにより従来中継にたよらざるを得なかった同国との通信サービスは飛躍的な改善を見るとともに、通信料金の面においても利用者の負担は著しい軽減を見るに至りました。このほか、ソ連等との間における直通無線電信電話業務の開設、またフィリピン、カナダ等との間におけるテレックス業務の開始によって国際通信業務の拡充を見ております。
また、本年五月には東京においてエカフェ電気通信専門家作業部会並びに国際電気通信連合のプラン委員会が開催されることになっておりますが、この両会議はわが国にとってきわめて重要なものであり、関係各省等とも協議し、協力準備の万全を期しております。
また四月には国際無線通信諮問委員会第九回総会がロスアンゼルスにおいて催され、八月からは無線通信主管庁会議が、また十月から全権委員会議がジュネーヴにおいて開催されるのであります。これらの会議におきましては、無線通信に関する技術上の諸問題の討議、条約、規則の改正、管理理事会及び周波数登録委員会の構成国ないしは委員選出国の選挙が行われるのでありまして、政府といたしましては世界の電気通信界の向上発展に寄与するとともに、わが国の電波権益の確保拡大をはかるため、ただいま鋭意準備を進めている次第であります。
放送関係につきましては、標準放送局は予備免許中のものを含めて三百十局で、このうち日本放送協会のものは二百九局、一般放送事業者のものは四十二社百一局であり、受信契約者数は千五百万弱で、普及率は約八二・五%となっております。
テレビジョン放送局は、予備免許中のものを含めて日本放送協会のものは三十八局、一般放送事業者のものは四十一社四十六局となっており、受信契約者数は百五十万をこえており、最近においては月平均約八万五千をこえる増加で、テレビジョン放送局の開設が進むに伴い、その普及もまたいよいよ増大している次第であります。
さらにカラー・テレビジョンにつきましては、御承知の通り日本放送協会がVHF帯及びUHF帯で、商業放送では一社がVHF帯で実験を実施し、一社が実験局の予備免許を受けて準備中であります。
次に当省所管昭和三十四年度予算案について説明申し上げます。
まず郵政事業特別会計予算について申し上げますと、この会計の歳入歳出予算総額は約一千七百四十億円でありまして、前年度の千六百八億円に比して百三十二億円、八・二%の増加となっております。
これが歳出予算の内訳を申し上げますと、当省において取り扱う郵便、郵便貯金、簡易生命保険及び電気通信等の諸業務に要する業務費が千二百九十六億円、収入印紙、失業保険印紙等の収入をそれぞれの会計に繰り入れる業務外の支出額が三百七十七億円、郵便局舎等の建設費として四十六億円、公債及び借入金の償還金が二億円、予測しがたい経費の支出に充てるための予備費として十八億円を計上しております。
次に定員関係について申し上げますと、郵政事業特別会計における昭和三十四年度の予算定員は二十六万四千五百二人でありまして、前年度に比べ三千八百人の増員となりますが、この増員は主として郵政窓口機関の増置、郵便業務量の増加、特定局における電話施設の増加等によるものであります。
次に歳入予算について申し上げます。総額につきましては、さきに申し上げました通り千七百四十億円でありまして、その内容といたしましては、郵政固有業務収入が六百三十億円、郵便貯金、保険年金、電気通信等の各業務の運営経費に充てるため、他の会計から繰り入れられる他会計からの受け入れ収入が七百億円、郵便局舎等の建設財源に充てるため郵便貯金特別会計、簡易生命保険及び郵便年金特別会計の両会計から受け入れる設備負担金が五億円、郵便局舎等の建設財源に充てるための借入金が二十七億円、以上のほか収入印紙等の売りさばき等に伴う業務外収入が三百七十七億円となっております。
次に郵便貯金特別会計予算は歳入歳出とも五百九十五億円を計上しておりまして、これを前年度の予算額五百三十四億円に比べますと六十一億円、一
一・四%の増加となっております。
簡易生命保険及び郵便年金特別会計におきましては、歳入が千五百七十億円でありまして、前年度予算額千三百九十八億円に比べますと百七十二億円、一〇・九%の増加となっております。歳出は五百三十四億円計上いたしております。これを前年度予算の四百八十七億円に比べますと四十七億円、八・八%の増加となっております。以上の歳入歳出の差額すなわち歳入超過額千三十六億円は、法律の定めるところによりまして積み立てられることになっております。
なお、昭和三十四年度簡易保険積立金の運用計画の総ワクは千百六億円で、そのうち契約者貸付及び翌年度への繰り越しを除いた一千億円が財政投融資計画の原資となっております。
最後に当省所管一般会計予算案について御説明申し上げます。歳出予算総額は十八億八千八百万円でありまりして、これを前年度予算額十八億三千四百万円に比較しますと五千四百万円、三%の増加となっております。
次に昭和三十四年度の日本電信電話公社予算案の概要を申し上げます。
昭和三十四年度は電信電話拡充第二次五カ年計画の第二年度に当りますが、加入者開通二十八万加入、公衆電話増設一万個、市外回線増設八十万キロメートル、電話局建設百五十三局等の施設増によりまして電信電話の拡充とサービスの向上を強力に推進いたしますとともに、テレビ中継網の整備、町村合併対策、無電話部落対策にも重点を置きまして次のように編成されております。すなわち、損益勘定におきましては、収入は一千八百六十五億円、支出は一千五百四十七億円で、差引三百十八億円の収支差額を生じますが、これは建設財源及び債務償還に充てられることになっております。建設勘定におきましては、その総額は八百五十億円でありまして、前年当初予算の七百五十億円に対し百億円の増加となっております。建設資金の調達は自己資金を六百三十九億円、外部資金を二百十一億円と予定しております。またこれに対する支出といたしましては、一般拡張工程に七百七十五億円、町村合併に伴う電話サービス改善に四十億円、農山漁村電話普及特別対策に三十五億円となっております。
次に日本放送協会の昭和三十四年度予算につきましては、できる限り早い機会に提出いたしたいと存じますので、その節はよろしく御審議下さいますようお願いいたします。
以上まことに簡単でございますが、一応私の説明を終りたいと思います。
なお詳細の点につきましては、御質問等をいただきましてお答え申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00419590130/5
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006・淺香忠雄
○淺香委員長 次に、大橋電信電話公社総裁より説明を聴取いたします。大橋電信電話公社総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00419590130/6
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007・大橋八郎
○大橋説明員 日本電信電話公社の最近の事業概況につきまして御説明申し上げます。
まず予算の実施状況でありますが、本年度の成立予算額は、損益勘定一千六百九十四億円、建設勘定七百五十億円でございますが、事業収入につきましては、最近の民間経済の立ち直りに伴いましてやや好転して参り、十一月末現在の収入実績は一千百三十九億五千七百万円で、予算における予定額一千百十九億一千七百万円をわずかながら上回っております。
建設勘定につきましては、成立予算額は七百五十億円でありますが、三十二年度からの繰り越し六十三億円、余裕資金を原資とする弾力発動三十億円を合計いたしまして、総額八百四十三億円となっておりますが、十一月末までに四百八十七億五千百万円を支出いたし、進捗率は五八%となっております。
現在までに実施いたしました工程のおもなものについて申し上げますと、加入電話は農山漁村電話普及特別対策を含めまして十七万九千、公衆電話は一万六百七十、市外回線は専用線を含めまして四十六万キロメートルをそれぞれ増設いたしております。その結果、十一月末における加入電話の数は約二百八十一万六千、公衆電話の数は七万五千となり、市外電話回線は専用線を含めて四百二十一万五千キロメートルとなりました。
次に昭和三十四年度の公社予算案について申し上げます。
まず事業収入について申しますと、電信収入九十九億円、電話収入一千七百十億円を中心といたしまして、合計一千八百六十五億円の見込みでありまして、三十三年度予算に比べて百七十一億円の増加となります。
支出について申しますと、人件費は六百一億円でありまして、前年度に比べて三十八億円の増加となっておりますが、これは昇給、期末手当、奨励手当の増額及び増員等を見込んだためであります。物件費は二百六十億円で、前年度に比べて十六億円の増加となり、業務委託費は二百四十一億円、減価償却費は三百十三億円で、前年度に比べてそれぞれ二十八億円及び二十七億円の増加となります。収支の差額は三百十八億円となり、前年度に比べて四十七億円の増加を見込んでおります。
次に建設勘定につきましては、三十四年度は総額八百五十億円でありまして、前年度の成立予算七百五十億円に弾力発動三十億円を加えた総額七百八十億円に対し、七十億円の増加となっております。
建設資金の調達は、自己資金を六百三十九億円、外部資金を二百十一億円と予定しておりますが、そのうち、公募債券は二十五億円、運用部資金は十億円、簡保の資金は十五億円となっております。
主要建設工程について申し上げますと、まずサービス工程でありますが、加入電話二十八万個、公衆電話一万個を増設して、サービスの改善をはかることといたしております。市外電話サービスの改善につきましては、市外回線八十万キロの増設を予定しておりますが、そのうちには、名古屋—京都、名古屋—金沢等の大都市相互間、及び大都市と密接な関連のある県庁所在地局相互間等、二十八区間の市外通話の即時サービスの実施等を含んでおります。
次に基礎工程でありますが、三十三年度末におきまして、設備が行き詰まって電話の増設ができない局は、約三百八十局に達しますので、この窮状を打開するため、三十四年度におきまして、前年度より継続の九十九局のほか、五十局の工事に着手いたし、合計百四十九局の新電話局の建設工事を実施いたしますが、このうち、年度内に完成してサービスを開始いたします局は六十八局の予定であります。なおそのほか、市外電話局の建設につきましては、長距離即時の拡大等に伴い、行き詰まりの特にはなはだしい四局を予定しております。
市外伝送路につきましては、市外通話の即時化並びにテレビジョン放送局の開局に寄与するため、同軸ケーブル及び無装荷ケーブルを前年度と同様十二区間建設するとともに、マイクロウエーブにつきましては、前年度からの継続六区間のほか、既設幹線のルート増設を含めまして十三区間の新設に着手する計画であります。
電報の中継機械化につきましては京都及び鹿児島の二局を実施いたします。
次に町村合併に伴う電話サービスの改善計画は、前年度に比べて二億円増加の四十億円をもって実施することとし、二百二十八局の電話局の統合と、二万一千七百キロメートルの市外回線増設を行なって、約五百区間の局間通話の即時化を実施する予定であります。
農山漁村電話普及特別対策につきましては、一般加入電話の増設と並行して無電話部落の早期解消をはかることとし、特に農村公衆電話の増設に重点を置くことにいたしました。すなわち、前年度に比べて二億円増の三十五億円をもって、四万八千個の公衆電話及び約一万加入の共同電話を設置いたしますと同時に、団体加入電話を、前年度と同様百カ所に実施するように計画をいたしております。
次に最近の労働情勢について申し上げます。全電通労働組合は、昨年十月十八日公社に対し、従来からの継続交渉事項であります賃金体系中の等級撤廃等を含めた賃金問題のほかに、年末手当の支給、技能検定制度の廃止等、十五項目の要求書を提出いたしまして秋季年末闘争に入りましたが、去る十二月十日未明、年末手当の支給等につき了解点に達しまして、その他の要求項目につきましては継続交渉とすることによって秋季年末闘争は一応妥結いたしました。妥結に際し継続交渉となりました問題につきましては、引き続き誠意を持って組合と交渉し、解決をはかるよう努力いたしたいと存じております。
なおこの間、組合は数次にわたって勤務時間内職場大会等、違法な実力闘争を行いましたので、指導責任者及び参加組合員に対し、それぞれ相応の処分を行いました。
われわれといたしましては、引き続き正常なる労使関係を確立いたすべく努力する所存であります。
以上をもちまして説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00419590130/7
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008・淺香忠雄
○淺香委員長 これにて説明聴取を終ります。
この際、大野委員から発言を求められておりますので、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00419590130/8
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009・大野幸一
○大野(幸)委員 今、大臣の説明中、冒頭に申されました言葉のニュアンスと、それからこのプリントに配付されていますところの文字と異なっておるので、それに何か意味があるのかないのか、あってはわれわれとしては不満であるがと、こういうことなんであります。それは速記録があるでしょうが、「まず、今国会で御審議をいただくことに決定いたしました法律案について申し上げます。」というのがプリントにある。ところが大臣の言葉の中には、「御審議をいただくことにただいま決定いたしております法律案について申し上げます。」——「ただいま」とこう言われた。そこで、この「ただいま決定いたしております」というと、後にさらに決定するかもわからない、こういうように思われるのです。この点が、理事会でも、あるいは法案審議についていろいろ審議されたでありましょうが、われわれはこれだけの四つの法律案だと思って協力しようとする。このあとにまた突如として提出されるということがあると困る。たとえば警職法についても、多くの良識家はやはり提出の時期が悪かった、方法が悪かったということは、少くとも衆論の一致するところでありますし、所管大臣はともかくとして、とにかく岸内閣に対するところの反動政策に対してはヒステリックのごとくわれわれは警戒していなければならぬというところがある。そういうわけで、「ただいま決定いたしております」ということと、「ただいま」を抜いた「決定いたしました」ということとの間において、大臣はこの法案以外には今国会には提出する法案はないという御確認が願いたい。ただそれだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00419590130/9
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010・寺尾豊
○寺尾国務大臣 御説明の中の御指摘の点は、相当期間の通常会でもございますからその表現が適切ではないかということで、実は「ただいまのところ」ということを申し上げたわけであります。目下、そんなら何か出すかというお言葉でありますが、検討をいたしておるものはございますけれども、これを提出いたしますにつきましては、十分理事各位等とも御相談をして、万全を期してやるということになろうかとは思いますけれども、それも提出するとは別に、これをということに考えておるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00419590130/10
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011・大野幸一
○大野(幸)委員 それは、政治は生きておるものでありますから、いろいろ情勢の変化する場合もございましょうが、特別の政情の変化がない限りは、政治状態の変化がない限りは、目下のところでは別に法案を提出する意思はない、しかも、そういう場合には与野党の理事の間で円満に進行されることを前提とするという意味に解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00419590130/11
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012・寺尾豊
○寺尾国務大臣 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00419590130/12
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013・淺香忠雄
○淺香委員長 この際、大橋電電公社総裁より、ただいまの説明について発言を求められております。これを許します。大橋総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00419590130/13
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014・大橋八郎
○大橋説明員 先ほど御説明申し上げました三十四年度予算の説明の中で、ちょっと私、不注意で間違って申し上げた点がありますから、御訂正申し上げたいと思います。「三十五億円をもって、四万八千個の公衆電話及び約一万加入の共同電話を設置いたしますと同時に、団体加入電話を、前年度と同様百カ所に実施するように計画をいたしております。」と、こう申し上げましたが、「四万八千個」と申しましたのは「四千八百個」の誤まりでありましたから御訂正願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00419590130/14
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015・淺香忠雄
○淺香委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00419590130/15
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