1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月五日(木曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 淺香 忠雄君
理事 秋田 大助君 理事 進藤 一馬君
理事 橋本登美三郎君 理事 片島 港君
理事 金丸 徳重君 理事 小松信太郎君
理事 原 茂君
木村 武雄君 椎熊 三郎君
平野 三郎君 早稻田柳右エ門君
小沢 貞孝君 木下 哲君
栗原 俊夫君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 寺尾 豊君
出席政府委員
郵政政務次官 廣瀬 正雄君
郵政事務官
(郵務局長) 板野 學君
郵政事務官
(貯金局長) 加藤 桂一君
郵政事務官
(簡易保険局
長) 大塚 茂君
郵政事務官
(電波監理局
長) 濱田 成徳君
委員外の出席者
専 門 員 吉田 弘苗君
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二月四日
委員大倉三郎君辞任につき、その補欠として椎
熊三郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月五日
委員小沢貞孝君辞任につき、その補欠として川
村継義君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員川村継義君辞任につき、その補欠として小
沢貞孝君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事武知勇記君、片島港君及び森本靖君同日理
事辞任につき、その補欠として進藤一馬君、原
茂君及び金丸徳重君が理事に当選した。
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二月四日
有線放送業務の運用の規正に関する法律等の一
部改正に関する陳情書
(第二六一号)
電信電話公社の電話質権の取扱いに関する陳情
書
(第二六二号)
電話加入権質に関する臨時特例法の運用に関す
る陳情書
(第二六三号)
電話加入権質に関する臨時特例法実施記念切手
発行に関する陳情書
(第二六四
号)
郵便貯金の利子引上げ等に関する陳情書
(第二六五号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
郵便貯金の旧預金者等に対し旧預金部資金所属
の運用資産の増加額の一部を交付するための大
蔵省預金部等損失特別処理法第四条の臨時特例
等に関する法律案(内閣提出第六三号)
簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一〇二号)
郵政行政に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/0
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001・淺香忠雄
○淺香委員長 これより会議を開きます。
この際簡易生命保険法の一部を改正する法律案について大塚簡易保険局長より、提案理由に対する補足説明を求められております。これを許します。大塚局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/1
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002・大塚茂
○大塚政府委員 それでは、大臣から提案理由の御説明がございましたが、その細部を補足する意味におきまして、家族保険制度の概要につきまして御説明を申し上げます。
この制度を作りました目的は、大臣の御説明にあった通り、簡易な手続と安い保険料で家族を一団とした簡易保険を提供いたしまして、経済生活の安定に資するということが目的でございますが、もうちょっと具体的にこの制度のねらいを申し上げますと、現在われわれの経済生活というものは、家庭を単位に行われておりまして、その家庭の所属員のだれに事故が起っても、その家庭の経済生活の安定というものが阻害されるという実情にかんがみまして、結局家庭の所属員全員が、できるならば保険に入っておくということが経済生活の安定という点から見て必要であるというふうに考えまして、その家族全員を一つ保険に入れる、しかも、なるべく簡易な手続と安い保険料でそれができないかということを研究いたしました結果、かような制度を作ることにいたしたわけでございます。
なお日本の世帯の数は、全部で千八百万余りございますが、そのうちで簡易生命保険にも民間生命保険にも一人も入っていないという世帯が約三七%くらいあるようにわれわれの調査では承知をいたしております。そういう全然保険に加入していない未加入世帯をこれから国営としての簡易保険にお入れするということになります場合に、従来の養老保険等によります場合には、一人々々別個の契約になりまして、手続が非常に複雑になる。同時に一人々々が従来の保険でございますと、その全世帯の保険料を合せますと相当な多額の保険料になるということになりますので、必ずしも全世帯が入り得るということになりません。そういう点を考えまして、なるべく一個の契約で、しかもできるだけ安い保険料で、全世帯員に保険を付したいということをも考えまして、この制度を考案いたしたわけでございます。それで、これは結局簡易生命保険法第一条の趣旨に合致するものでございますので、簡易生命保険法の一部改正によりまして、その一つの保険種類ということで実施をすることにいたしたわけでございます。
その保険の内容は、家族と申しましてもいろいろございますが、最も典型的な世帯であります夫婦及びその子供というものを対象にして、これを一団の保険対象にするということにしたわけでございます。それでその内容を見ますと、保険契約者になりますものは、その世帯の夫または妻どちらでもいい建前になっております。結局その家庭経済のにない手である方の夫または妻どちらかが保険契約者になる。そうなりますと保険契約者には六十才満期養老保険と同じ内容の保険がつきまして、その配偶者には六十才までの定期保険、子供につきましては二十才までの定期保険というものが当然についてくるという内容になっております。
保険の金額は、現在の最高制限額をかぶりますので二十五万円をこえることはできないわけでございますが、保険契約者についてはその保険金額まるまる、配偶者についてはその保険契約者に対する保険金額の百分の四十、子供につきましてはそれぞれ子供一人につきまして保険契約者に対する保険金額の百分の二十というふうに法定をいたしております。
それから保険料は、保険契約者である被保険者の加入年令によってきまるということになっております。それから保険契約者につきまして保険金の支払いをした場合には、その後の保険料の払い込みはこれを免除する。しかし配偶者及び子供についての定期保険はそれぞれ所定の年令までその後といえども継続して存在するということになっております。また子供の数によって保険料は変えない。子供が何人おりましても、結局保険料は同じだということになっております。
それから保険料の計算の基礎は、死亡率、予定利率、附加率ともに従来の法律の規定によりますものをそのまま使っております。ただ家族保険の特別の根拠としましては、子供の出生率及び既婚率というものが新たに計算の基礎として加わった。これは昭和二十五年の国勢調査に基きます有配偶女子の年令別出生率及び既婚率というものを計算の基礎として用いております。
加入できます年令は、保険契約者の年令二十才以上五十才以下、結局夫婦ということになりますので、二十才以下の夫婦というものはないことはございませんが、きわめてまれでございますし、また子供も当然おる家庭でなければ入らないということも予想されますので、二十才以上。それから五十才以下といたしましたのは、六十才までの保険ということになっておりますので、あまり保険期間が短かいということになりますと、保険としての意義が非常に薄くなるということも考え、また契約者が五十才以上になりますと、子供が大体年令二十才をこす場合が多くなりまして、子供の数も少くなり、この家族保険の魅力も少くなるという点も考えまして、二十才以上五十才以下というふうにいたしたわけでございます。配偶者と保険契約者との年令の差は、現在の統計と保険料計算基礎とを考慮いたしまして、夫が契約者であります場合には、妻が年長であります場合は七才以内の年長、または妻が年少者であります場合は十二才以内の年少者というふうに限定をいたしております。
それから被保険者となりますものは最初申し上げましたように配偶者とその子供でございますが、その配偶者があとで離婚をしたというような場合には、当然その家族生活といいますか、家庭経済から抜けていきますので、これは被保険者の資格を失うということになっております。ただそのあとにまた再婚をして後妻を迎えたというような場合には、その後妻の人を被保険者になし得るということにいたしております。ただ配偶者が途中で死亡しました場合には、その後添えにもらった後妻の方は、一たん保険金を受け取っておりますので、被保険者にはなれないというふうにいたしております。子供につきましては、その契約者を中心といたしまして、契約者の子でありますれば、嫡出子はもちろんのこと、養子でもよろしい、また私生児で認知を受けた者でもよろしいということにいたしております。ただ認知を受けない私生児はその立証がはなはだ困難でありますので、これは除かれております。そして子供は生まれて一カ月間は非常に死亡率が高いものでございますから、これを被保険者といたしますと保険料を相当高くしなければならぬということがございますので、生まれて一カ月間は被保険者になれない、しかし一カ月たてば当然被保険者になるという建前にいたしております。
それから面接及び告知義務につきましては、保険契約者及びその配偶者だけについて面接及び告知義務を課しまして、子供については面接監査も告知義務も要らないということにいたしております。ただいろいろ道徳的危険とか、あるいは逆選択というようなことも考えられますので、保険金の削減という点につきましては、従来の簡易保険より多少厳重にいたしております。ことに子供の場合におきましては、保険金の支払い制限の規定を約款で定めるわけでございますが、多少従来よりきびしくいたしまして、三才未満で死亡した場合には契約保険金額の四割、六才未満で死亡した場合にはその八割だけを支払うというようなことにいたしまして、幼児に対する道徳的危険の防止等の考慮を払ったわけでございます。
その他こまかい点もありますが、家族保険の構成の概略を申し上げますと以上の通りでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/2
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003・淺香忠雄
○淺香委員長 次に、郵便貯金の旧預金者等に対し旧預金部資金所属の運用資産の増加額の一部を交付するための大蔵省預金部等損失特別処理法第四条の臨時特例等に関する法律案について貯金局長より、提案理由に対する補足説明を求められております。これを許します。加藤貯金局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/3
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004・加藤桂一
○加藤(桂)政府委員 先般大臣より提案理由の御説明をいたしたのでございますが、少しく補足いたしまして御説明申し上げたいと思います。
この法律案の内容は、最も簡単に申し上げますと、第二封鎖で三割相当額が切り捨てられた、その郵便貯金または郵便振替貯金の元本に対しまして、その切り捨てられた昭和二十四年二月二十一日から本年の三月三十一日まで、郵便貯金または郵便振替貯金として預入が続けられておったならば、かかるべき利子を計算いたしまして、その利子を加えました金額を、旧預金者または旧加入者にお返しをするという内容でございます。
しかしながら、こういったむずかしい名前の、長い名称の法律案を出さなければならない理由、それから第一封鎖、第二封鎖というようなものができました当時のいきさつにつきまして、少しく簡単に御説明申し上げたいと思います。第一封鎖、第二封鎖ができましたのは、御承知のように昭和二十一年の二月十七日に金融緊急措置令というのが、これは緊急勅令でございますが、施行されまして、民間でもそうでありますが、こういった郵便貯金等につきましても、一定金額以内の生活費等に充てる金額を除いて全部封鎖されたのでございます。その封鎖のやり方は、一口三千円未満の貯金は全部第一封鎖、それから一口三千円以上は、一世帯ごとに、かつ一金融機関ごとに名寄せいたしまして、一世帯について家族一人四千円の割合で八人まで、最高三万二千円までをとるか、あるいは家族の少い世帯におきましては一万五千円まで、その多い方をとるということで、それ以上のものは第二封鎖になる。それから法人名義のいわゆる団体貯金につきましては、三千円以上のものは一万五千円までは第一封鎖、それ以上は第二封鎖ということで、第二封鎖預金ができたわけでございます。
しこういたしまして第二封鎖ができたのでございますが、大蔵省預金部の対外投資その他いろいろいたしておりました関係上、終戦後相当の赤字が生じたわけでございまして、その赤字を補てんいたしまするために、ここに題名に出ております大蔵省預金部等損失特別処理法という法律をもちまして、その第一条から第五条までの規定に基きまして当時の預金部の運用資産を評価いたしまして、その評価損は六十三億一千五百万円という損失が立ったのでございます。その内訳は、満鉄の起債を持っておったとか、あるいは対外投資等をいたしておりましたのが返ってこないということで、一応ゼロということに評価損を計算いたしまして、その合計が六十三億一千五百万円となったのでございます。その後、当時全然回収ができないと思っておりました額のうちから、経済情勢の変化によりまして回収額が出て参りまして、たとえば一例を申し上げますと、興業銀行などの特殊銀行の債権が当時二十三億三千二百万円の評価損を見込んでおりましたのに対しまして、現在では十七億一千二百万円というような回収額が出て参ったようなわけでございまして、合計いたしまして現在二十六億余の回収額が出て参ったわけでございます。当時この六十三億一千五百万円の赤字を補てんするために、一般会計から三十六億一千八百万円を補償金といたしまして借りまして、なお足りないところを郵便貯金、郵便振替貯金の第二封鎖預金のうち三割に相当する金額、すなわち一億六千九百万円をこれに充てまして、そうして赤字補てんの処理をいたしたのでございます。従いまして、昭和二十四年二月二十一日に、この第二封鎖の三割に相当する金額に当る郵便貯金または郵便振替貯金の権利は、一応消滅したまま現在に至っておるのでございます。この際民間におきましては、郵便貯金の約倍の率の六割七分に相当する金額が打ち切りになった次第でございます。ところがその後民間におきましては、調整勘定に利益が出て参りまして、従いまして最近におきまして、ほとんどの銀行がこの第二封鎖で六割七分を打ち切りました金額に対しまして補償を完了いたしたのでございます。また生命保険会社等におきましても、すでに利益金の分配を完了いたしたというような事情もございまして、この第二封鎖預金の切り捨てられた額をどうしても早くお返ししようということになりまして、まだ一般会計から借りた金の三十六億一千八百万円を返すのには約十億くらいの金が足りないのでございます、そうしてこの大蔵省預金部等損失特別処理法第四条は、その評価益が出て参ったら、必ずこの一般会計から借りた補償金をまず第一番に返却いたしまして、それでなお余りが出た場合には政令をもって自由に処分をしていいということになっておりますので、もうあと十億たまるのを待ちまして処理をすることになれば、こういう法律を出さなくても旧預金者並びに旧加入者に返せるわけでございますけれども、それを待っておっては民間とのつり合いもとれませんし、また国の郵便貯金に対する信用等にも関係いたしますので、早くお返しをしようというわけで、この切り捨てられた元本一億六千九百万円に、七千余万円の利子をつけました約二億四千百万円という予算をどこから出すかということになったわけでございますが、これを旧預金部のいわゆる閉鎖勘定の中から上って参りました評価益二十六億何がしの中から一応先借りをいたしまして、そうしてこれをもとにして郵便貯金の旧預金者にお返ししようということになったわけであります。従いまして、この大蔵省預金部等損失特別処理法第四条の臨時特例の措置をいたそうということで、こういった特別の法律を必要とするように相なったわけでございます。従いまして、この一人当りの元利合計は大体幾らくらいになるか申し上げますと、郵便貯金におきましては平均元利合計二千八百円でございます。郵便振替貯金におきましては一人当り七千百四十円ばかりになるわけでございます。従いまして、この対象の人員は約八万人でございまして、四月一日からこの法律は施行するということになっておりまするので、四月一日から申し込みを受けましてお返しをすることになるわけでございますが、この申し込みの受付期間は、法律施行の日から起算して二年間ということにいたしておるわけでございます。そういたしまして、その申し出られた権利に対します消滅時効は、会計法三十条に基きまして五年間ということにいたしておりますので、一番最終に申し出られた方について申し上げますと、七年間金を払う期間というものを要するわけでございます。そういたしまして、七年間たちまして全然要らなくなった金はどうなるかと申しますと、これは資金運用部特別会計に返すということになっておるわけでございます。
大体以上のような次第でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/4
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005・淺香忠雄
○淺香委員長 次に、郵政行政に関する件について調査を進めます。
質疑の通告があります。順次これを許します。
金丸徳重君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/5
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006・金丸徳重
○金丸(徳)委員 一昨日の予算委員会の席上で、わが党の中崎委員の質問に対しまして、岸総理並びに外務大臣が中共との関係の調整については静観の態度をとっておるけれども、しかし何とか打開の熱意も持つのだというような答弁につけ加えまして、中でも郵便協定などについても非常にめどがつきかけておるかのような口吻を漏らされておったのでありますが、果してそういう事実があるのか、それらについて郵政大臣から詳細に承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/6
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007・寺尾豊
○寺尾国務大臣 中共との郵便協定と申しまするか、郵便物の直接交換については、去る国会におきましても金丸委員から御熱意のある御質疑等もございまして、政府といたしましては、今の形にありまする香港郵政庁の折衝、交渉による交換ということにおきましては、非常に不便があることは御承知の通りでございます。たとえば上海向けにいたしましても、これを直接交換ということになって船便を利用いたしますならば五日くらいで到達するものが、現在二十日間を要しておる。しかも通常郵便物に限られておって、小包であるとかあるいは小型の包装物というものについては、全然これが行われていないということで、国民の郵便に対する利用ということに対しては、政府としては全面的にその便利をはかり、そういったような直接交換の方法をとらなければならぬということは、御質疑のように当然でありまするが、昭和三十年から折衝を重ねて参りましたけれども、この前の委員会でも御答弁申し上げましたように、日本側におきましては第三国を主張するというようなこと、向うは北京あるいは東京というようなことを要望するというようなことで、そこに不一致と申しますか、妥結点が見出せないという事情で、今日まで延び延びになったわけであります。閣議におきましても、去る閣議において私は特に外務大臣にも要望いたしまして、もはや開催地にこだわるという場合ではないではないか、だから場合によればジュネーヴでなくちゃ困るといったようなことから一歩を進めて、両国で十分検討して、この開催地を早急に理解し合って決定をするということによって、積極的に自分としては直接交換ということの協定をやりたいのだ、どうだろうということで強く外務大臣に要望いたしましたところが、外務大臣も、当時の中共との関係も好転していくような明るい形も考えられるのだからそういたしましょう、こういうことでありまして、どうしても直接の交換をいたしませんと、経済上、貿易上に裨益するところも少いし、こういったような面は純政治的というようなことでなくて、むしろ純郵便技術の問題として早急にやってほしいということで、基本的な考え方といたしましては、総理もそのときにそういう方向で、やはりできるだけすみやかに純郵便技術の問題として、政治問題といった形をむしろとらないで、早急に直接交換のできるような交渉をするということに、実は閣議でも決定事項ではありませんけれども、一応外務大臣の了承もありまして、開催地にこだわらぬ、従ってこれについてもう一回こちらの方から向うの方にさらにそういった直接交換に対する話しかけを早急にやりたい、こういうことになっておりますから、多分予算委員会においてもそういう面で、貿易の面、あるいは特に郵便協定というものはできるだけすみやかにやるという政府の方針が一歩進んだということを申し上げることができると思うのであります。従って所管の責任者である私といたしましては、これは先般の委員会において御注意もありましたように、私自身も積極的にそういったような直接交換ができるだけすみやかに行われますような折衝をいたして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/7
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008・金丸徳重
○金丸(徳)委員 今のお話で予算委員会において外務大臣が繰り返し答弁されておったところの郵便協定及び航空協定などについては、できるだけ早く積み重ね方式中の特に土台となるべきものとして進めていく方針であるというお答え、決して中崎委員の追及に対する言いのがれでないということもわかったのでありますが、さて、そこでそうなりますと、一そう私は郵政大臣に積極的な行動をお願いしなければならない段階になったと思うのであります。開催地が云々であるとか、交渉委員の人選がどうであるとか、交渉の責任がどうであるとかいうこともさることながら、私はたびたび今までもお願いしておったのでありますが、業務当局者として、そういう四角四面の交渉の前提として積極的に、いわば商売人としての立場からでも進めておかなければいけないのじゃないかという私どもの考え方を、この際そういう外務当局の了解もあるというか、外務当局の熱意もあることでありますから、さらにそれを一そう積極的に進めておかれませんと、積み重ね方式の土台がまだきまらぬ先に、何もできない先に、上の方の交渉になってしまうということにならないとも限らないと思います。それで大臣もこれから一そう積極的に進めるからと、こう言われますが、それらについての何か具体的なめどなり方法などについてお考えを漏らしていただくわけにはいかないものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/8
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009・寺尾豊
○寺尾国務大臣 ごもっともだと思います。従いまして、総理並びに外務大臣等とは、基本的な方針としてそういう方針でいこうということの了承は得ておりますから、お示しのようにこれを具体的にどう進めるかということにつきましては、早急に省といたしましても検討し、また方針を決定いたしまして、その方針がきまり次第一つ本委員会にもその方針をできるだけすみやかに御報告申し上げたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/9
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010・金丸徳重
○金丸(徳)委員 早急にというお答えでありますから、それ以上のお答えをいただくのもいかがかと思うのでありますが、これは前々特別国会以来大臣から、早急に早急にというお答えをいただいているわけでございます。そこで今度こそほんとうの早急だという意味におきまして、大臣にほんとうに早急な行動をとっていただくように……。と言いますのは、何かそういうところからきっかけを求めて、日中間の貿易の調整なりその他人事交流というか、そうしたことの雪解けのきっかけが得られれば非常に仕合せだと思うのです。それについては郵便などは最も都合のいい、やりいいことであります。過去のいろいろな経験から言いましても、やはりそういうところから解けて参っているということを思うものですから、特に早急ということを今度はほんとうの早急の意味においてお願いいたしたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/10
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011・寺尾豊
○寺尾国務大臣 近日中に御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/11
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012・金丸徳重
○金丸(徳)委員 次に私は、簡易保険について、簡易保険の新しい分野を開く意味においては画期的とも思われるような制度をお考えになって提案されているのでありますが、これに関連いたしまして、保険事業全般の現段階及び将来に横たわる問題などについて、二、三大臣にお考えを承わっておきたいと思うのであります。
簡易保険事業及び郵便年金事業が、わが国の社会保障制度というか、国民の下級大衆の生活向上あるいは生活安定を目的として事業を創始されたことについては、今さら私がここに申し上げるまでもないところであります。一般の民営保険事業などとは目的を異に、いわゆる崇高なねらいを持って始められている。この簡易保険事業が創始せられました大正五年、時の箕浦逓信大臣が簡易生命保険法を提案いたします際における議会の提案理由の中にこんなことが書いてあるわけです。その一部分を読み上げます。「事新しく申すまでもないことでありまするが多数の下級社會をして克く恒の産を治め、秩序ある生活状態を保たしむると云ふことは貧富の懸隔に伴ふて起る所の各種の缺陷を救済し、社會組織の健全なる發達を圖る所以であります、其方法としては種々あるでありませうが、今此法案の目的とする所は比較的低廉なる料金を以て、又簡單なる手續に依り安全なる基礎の上に、保險の惠澤に多数の下級社會をして浴せしむると云ふことが、一の緊要なる方法であると信ずるのであります、」これはその提案理由の一部でありますが、特に簡明にしかもまた直截に現われているところのものは、簡易郵便保険事業というものが当時の言葉で社会政策——社会政策とあとの提案理由には出てくるわけですが、社会政策に沿うものとして創始せられた。自来四十何年間その崇高な目的を達成せんとして政府及びこれに連なる従業員もその崇高な使命に生きて参ったわけであります。今日といえどもその使命及びその目的というものはいささかも変っておるわけではないと思うのであります。
さてそういうような簡易保険事業の目的は、今度国民年金制度が施行せらるるに当りまして、少しその分野がその方面に移って参るのではないか、郵便年金などについては特にその感を深くするわけでありますが、簡易保険の方におきましてもそういう感を持つのであります。もともと非常に零細な金をためて将来の生活の安定をはかろうというところに、この保険事業、特に簡易保険事業のねらいがあったわけでありますが、今回の国民年金制度の完全実施までに至りますというと、そうしたきわめて零細な金によって将来の生活の安定を求めんとするところの社会層は、その方面で救われて参る。もちろん簡易保険のねらうところと国民年金制度のねらうところとでは、全く一致するものではありません。ありませんけれども、大きなねらいからいたしますというと、やはり国民下級層の生活の安定向上をはかろうという両者の目的というものは、ある程度ダブって参っておると思われます。従って国民年金制度の完全実施に伴いまして、保険事業の活躍の部面というものは、ある程度——年金制度においてはことにそうでありますが、ある程度狭められて参るというような気がいたすのでありますが、これらにつきましてはどういう御見解を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/12
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013・寺尾豊
○寺尾国務大臣 この点は、もう金丸委員はその筋の権威者でもあられますから、そういう御意見のあることは私も十分考えられる点であります。ただ将来国民年金制度というものが相当に余裕を持ち、また国民の最低生活というものを保障できるといったところにまで発展をしていくということには、かなりの年数をまだ要するのではないか。しかもこの制度は、御承知のように強制的に行うもであるといってもいいものでありますし、たとえば簡保、年金等につきましては、みずからが将来というものを考えて、加入者の自主的な、将来に備えるという非常な高い気持でもって入るのである。そうしてまたその年金の中の子女の教育等に備えるというようなものにつきましては、一応いわゆる特別の目的をもって加入するものだということでありますから、年金の場合におきましても、養老年金というものが占めまするパーセンテージは、件数におきまして全契約者数のわずかに六%というのが現状でございます。しかもその養老年金の六%の中において、一時払いというものと分割払いというものとでは、一時払いが圧倒的に多数でありまして、全年金の契約件数に対しまして、分割払いというものは大体二%程度になっておるのが実情でございます。従いまして、今この国民年金の創設によりまして簡保に特別に大きな影響があるということは直ちに考える必要がないのではないか。それから簡易保険にいたしましても、国民年金がきわめてまだ出発当初でありまするし、醵出による年金にいたしましても、自分たちが少しでも向上した生活を希望するということであれば、各国の例を見ましても、簡易保険というものがむしろ国民年金の創設によって刺激をされてかえって伸びている、こういう実情もありまして、こういったようなことに対しては老後における一つの備えに対する真剣な考え方というようなものもむしろ増大されてくるということにおいて、郵便年金あるいは簡易保険が、国民年金を創設したから非常にこれが狭められてくるとか、将来性がないとかいうことにはならないのではないか。しかし大きな長い目で見てみましたときには、金丸さんのおっしゃるように、これについては国民年金の完全なものが実施をされるという時代を想定いたしますと、やはり影響を受けないわけにもいかないのではないか、こういったようなことに対しては、将来の問題として相当検討していく必要があるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/13
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014・金丸徳重
○金丸(徳)委員 今大臣から、年金制度についてはすでに何といいますか、年金制度創設時代の理想は捨ててしまって、ごくわずかのものだけが残っておる、多くのものは学資などをめどとした定期年金というのですか、ああいうものに移行しておるという実情を承わった。私もそういうような傾向になることは、実は心配をして見ておったのでありますが、それだけに影響というのも、今までの経済状態がそうであった、ことに年金などにつきましては、インフレーションの最も痛手を受けたものの一つなんでありまして、過去において財産を傾倒して老後の安定をはかろうとしてつぎ込んだところの郵便年金が、わずかに百何十円とか、多くて千円程度のものきりもらえないというようなことのために、非常にこの制度に対する衝撃といいますか、失望感を持たされておったというのが、戦後今日までの状況であった。ところが最近における通貨の安定といいますか、そういうところからして、再びこの年金本来の目的を発揮し得る時代になったのではないかと思うのです。そこで戦後何年間か、まことに残念ながら短期のものに移行してしまって、ほんとうの年金制度の理想のものを国民に勧奨する意欲も元気もなくなっておったところの簡易保険当局としては、この際通貨価値の安定、経済状態の向上ということを機会として、本来のそれに持っていかなければならぬのではないか、そういうときにきた、こう思っておったのであります。もうそろそろ本来の目的、本来のねらいに立ち返るべきとき、そのときに今度は国民年金制度がまた出てきたというものですから、それに対してある程度の心がまえといいますか、それをかみ合わせての何らかの方法が講ぜられていく必要がありはしないか、こう思うのであります。
それからもう一つ保険につきましては、将来に向っては相当心配のものが残るかもしれぬが、現段階においてはそれほどのことはあるまい、完全実施までに参らぬから、こういうようなお考えのようでありますが、私はこれは逆であります。長い将来に向ってはそれほどの心配はないかもしれぬけれども、現段階においては、これはことに保険などを勧奨する現場の人たちといたしましては国民年金制度というものがあるからというので、非常に勧奨——断わるということはいけませんけれども、食いついてこないような現象を一時的には持つのではないかという心配を持っておるのであります。そういう意味において、遠い将来においてはむしろ年金制度などが強化されて参りますと、案外、現在の生活を詰めて将来に向って安定をはかるという、これは人間の一番大事な、一番たっとい考え方、そういう思想が向上し普及して、あるいは保険、あるいは年金というような制度を国民が理解し、これに入ってもらうということには都合のいい分野といいますか、場面が展開するかもしれない、長い場面においては。しかし現段階においては、何年間か相当苦労するのではないか、こういう心配を持つのでありますが、そういう点についてはいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/14
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015・寺尾豊
○寺尾国務大臣 角度を変えてこれを見まするときは、全く私は金丸委員のおっしゃる通りだと思います。ただ現状そのままを、養老保険の加入件数、養老年金の加入件数がわずかに六%というような現実の問題をとらえて影響度が少いというようなお答えを申したわけでありますが、この六%しか加入件数がないということ自体はゆゆしい問題である、私どもも全く金丸委員のおっしゃる通り、同感でございます。このことが非常に苦労をして年金あるいは簡保に入りながら、しかも満期になった、あるいは戦後における貨幣価値の非常な激減によりまして、もらったときにはその当時の何百分の一の価値しかないものを保険金なりとして受け取った、こういうことではもうこりごりだから、この年金とかあるいは簡保なんかにはとても入り切れないのだ。特に年金などにはそういう考え方があっで、今お話しのように、加入件数が非常に激減したということを考えますと、このパーセンテージをさらに多く持っていく、上昇せしむるという努力は私どもとしては、これは大きな責任であり、またさようにしなければならぬ、かように考えます。
それから国民年金が完全実施をされたという暁の、遠い将来のことについて、そのときは問題だと申し上げましたけれども、このことも御意見を承わりますと、むしろこれはある意味において国民生活あるいは大衆の生活程度が向上をし、しかも文化の度合いも上昇をしていくということになれば、そうした場合における社会状況における老後の安定ということであれば、国民年金もさることながら、やはり簡易保険等にも加入をいたしまして、いわゆるその老後に備えることにもなっていくということも十分想像をされるわけであります。こういったような問題については御注意等も十分心いたしまして、今後これらの不振の挽回対策、こういうことについて、十分当局の者等とも検討いたしまして、これを鞭撻をして進めていきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/15
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016・金丸徳重
○金丸(徳)委員 大臣も大体私の考えに同感していただいたようなことであります。そこで私はここしばらくの間が大事だ、こういうことをあらためて一つ大臣に御認識をいただいて、これが対策をお願いしなければならぬと思っておるのでありますが、私の口からあらためて申し上げるまでもございません、最近の保険、年金事業、ことに保険事業などにおきましては、一方では民間保険の進出——事業創始当時は独占でいこうというその面をすっかり民間保険からも荒される形になってきたということ、もう一つはまた共済保険、農業共済保険の非常な進展からいたしまして、上からは民保の下級層、低額層への進出、下からは共済保険の発展というようなことで、活動面が非常に狭められて参っておる。それに加えまして積立金の運用などについては、これは国営なるがゆえといえばやむを得ないことでありますけれども、不当な拘束を受けており、最高制限額の撤廃というわけにいきませんけれども、五十万円くらいという念願もなかなか容易に達成されないというようなことからいたしまして、簡易保険の募集勧奨上非常な苦労が伴っておるのであります。それに加えまして人事管理の面からいって、給与、手当というようなものも、国家公務員というワクの中でやらなければならないということからいたしまして、手かせ足かせ、そして頭打ちで、下からは突き上げられるというような非常な苦労の段階に入っておるのであります。これをわずかにささえておるのは、現場の人たちが歴史ある簡易保険を守れという熱意、誠意に燃えて、ひたすら苦労に苦労を重ねるということだけのようであるのであります。それに今度はさらに年金事業の創始というようなことからいたしまして、さしむきはやはり相当の狭められた活動面で働かなければならないという事態が、ここ何年間かは続くのではないか、こう思われる。そうしてこの何年間という期間は、御承知の終戦直後における——これは簡易保険ばかりではありません、一般の保険事業が危機に直面して、その危機を何とか脱却しようとして非常に無理な経営あるいは募集の方策をとって参ったことは、大臣も御承知の通りでございます。短期契約を募集するというような、やむを得ない措置をとった歴史もあるようであります。そういうような短期契約などの処置が、ここ何年間かの間にやられなければならない、そういう問題をもからんでこの経営の方針を立てて参らなければならないときになりまして、片一方では活動面が非常に狭められておる、活動意欲を阻害するようないろいろな手かせ足かせのものが重なって参っておる。そこへ持ってきて、今度は国民年金制度の創始というようなことからいたしまして、加入量の減少も当分の間は覚悟して参らなければならないような事態になっておる。こういうことについて、何かそれらを打開して参るところの具体的な方策をお考えになっておられるかどうか、進んで承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/16
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017・寺尾豊
○寺尾国務大臣 郵便貯金といい、また簡保年金等といい、全くお説のようにこれら民間企業が相当積極的な活動をして参りますし、またいま一方では、国民年金の創設、こういうようなことも出て参りましたから、これを守り抜く、さらにこれを伸ばしていくということについては、これに対して適切な対策を講じていかなければならぬということは全くお説の通りだと思います。ことに積立金の運用利回り、こういうようなことにつきましては、不幸にして民間のそれに比較をいたしますと非常に低いわけであります。従ってこれらについては大蔵省等とも折衝いたしまして、この簡保によりまして得られました資金、この運用というものを、高度の運用をしていくというようなことに大きくこれは考え直して、対策を講じなければならぬじゃないか、こういうことも、これは今までの郵政大臣等が特に心配もし、また努力して参ったところでありますけれども、これがなかなか容易に解決をなし得なかった問題だということは御承知の通りであります。それからまた、これらに従事いたしまする従業員の給与の問題、待遇の問題にいたしましても、一般民間と比較いたしまして、固定給のようなものは比較的こちらが有利でありますけれども、しかしこの募集に対する手当の面におきましては、はなはだこっちが下位であるということ、従って収入トータルにおいてはとうてい及ばないのだ、こういうような点もありまして、これらを今後の問題点としてどう解決するかというようなことだと思うのであります。これらにつきましては、幸い金丸委員からの非常な御熱意のある御注意もいただきましたからして、この資金の運用の面等につきましても、大蔵当局その他関係者と相談をいたしまして、これが相当の利回りに運用ができるような方法についても努力いたしたい、また目下かなり努力もいたしておりますけれども、特に強くそういったようなことを推進して参りたい、かように考えますし、それからこれらに携わる職員の給与その他につきましても十分一つ再検討をしてみたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/17
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018・金丸徳重
○金丸(徳)委員 これらのことにつきましては、なお詳しくいろいろお伺いいたしたい点もございますが、後日、提案されました家族保険についてのお尋ねを申し上げるときに、また伺わせていただくことといたしまして、一、二資料を一つ私どもの勉強のために出していただきたい。それ、簡保と民保及び共済保険の、終戦後における業務の進展の比較表、これは資料としてたびたびちょうだいいたしておるのでありますが、ごくしろうとに一目でわかるような表をお願いできればと思っておるのであります。同じように、積立金の運用状況、これも民保、簡保、共保などを比較されて、どんな利回りでどんな方面にどう貸してあるかというようなことを、ごくしろうとわかりのするような比較表でちょうだいでさればありがたいのであります。それから、これは非常にめんどうで、はなはだ恐縮でありますが、できますならば、募集及び維持に当っておる外務の人たちの勤務態様といいますか、給与の状況及び訓練状況ですね、こういうようなものを、これも比較——非常にむずかしいかもしれませんが、ざっとの比較でもいいのでありますが出していただきますと、それを一つ参考にして、またいろいろと私どもの疑問の点をみずから解決することもできるのではないか、こう思ってお願いをいたしておきます。
私の質問はこれで一応終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/18
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019・淺香忠雄
○淺香委員長 原茂君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/19
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020・原茂
○原(茂)委員 これは委員長に先に一つお願いしておきたいのですが、同時に大臣も自民党の党員だからお願いをしておきたいのですが、少くとも今回の国会は相当の重要法案があるにもかかわらず、両党とも公式の選挙を各種控えておるのでありますから、相当スピードで法案の審議、予算案の審議等を行おうということが前提で、この国会を全議員がその覚悟でやってきているわけでありますが、いつものようにということはないのですが、非常にだらだらと委員会の出席率が——ことに与党の委員の出席はほとんど過半数に達していないままに、いつも委員会が開かれておる。こんなことでやっていくことがほんとうはおかしいので、うちの理事も委員もその点始終陰では苦にしているわけです。もう少し出席して真剣にやるように、空気だけでも国民の手前もありますし、一つ委員長からも全委員に檄を飛ばしてもらって、それから大臣からも党内に一つそのくらいのことを言ってもらわないと、ほかのところもその傾向があるのですが、この委員会は非常にまじめに出ておるのに、今国会は非常に少な過ぎる。この点を一つお願いをしておきたいと思います。
こまかい質問はあとに譲らしていただきますが、大臣のこの委員会における所信あるいは所感の説明がありました。その全体の問題で一点お伺いしておきたいのですが、この説明をお聞きいたしておりますと、全体にいわゆる今はやりの低姿勢、特にそう大きな難問題もないように思うのですが、労働問題に関する限りは実に高姿勢で、ずばりと割り切って説明されておる。「今回の処分の量定に当っては、年末首の取扱い業務がきわめて円滑に運行され、よく国民の信頼にこたえ得たこと等の事情は考慮に入れて処分いたした次第であります。」こういう御説明なんですが、年末年始の実際に運営されました中には、それでもずいぶん迷惑をこうむった国民がたくさんあるわけです。にもかかわらず大臣あるいは当局の立場では、その点の情状を酌量した上でこの種の処分をしたのだ、本来これは、非常に国民の信頼にこたえ得た事情を考慮しないとどんな処分をやろうということだったのか。今回行いました処分は一体どんな点が考慮されて、本来こうしたかった点がこの程度になったのだという説明がなされていないのですが、言葉の上ではそうなっておりますが、私どもの観点から見ると、情状酌量どころか、どんな一生懸命やったあるいは信頼にこたえ得た実績があったにいたしましても、これは郵政当局の考えではなくて、自由民主党の方針として、労働問題に対してはこういう方針でいくのだという方針が先にできていて、その方針に歩調を合わせて今回の処分を行なったというふうにしかとれないのですが、そうでないというお答えがあるならば、そうでない、かくかくの状況をお考えになればわかるだろう、本来こうすべきやつをこうしたんだ、こういう点が情状酌量のいい材料で減刑したんだという御説明を願いたいのです、私は、自由民主党というものが、今日特に日教組を中心にする労働対策、あるいは政府全体の姿勢としても、あらゆる面で、国会に臨むには最も低姿勢でやってきているのですが、遺憾ながら、うしろを向いて、労働階級に関する限りは、実に高姿勢だ。かって見ない。私どもの言葉で言う反動性を露骨に出している、これが今日の政府のやり方なんだと考えているわけです。その一面が、やはり郵政のこの問題にも現われてきている。私どものひがみかもしれませんが、自由民主党としての労働問題に対処する基本方針が実にかって見ないきびしいものにきめられていて、その方針に合せようとするために今回の処分がされているんだ、決して信頼にこたえ得たこと等の事情は考慮に入れてない、こういうふうに私どもは考えるのですが、この点を一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/20
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021・寺尾豊
○寺尾国務大臣 処分をいたしましたにつきましては、私はまず原委員にお断わりを申し上げておきたいことは、自由民主党の労働者に対するいわゆる強圧的な非常に強い方針のもとに私が過日の処分を行なったではないか、こういうような御質疑であり、また御意見であったようでありますが、私は全然さようでない。しかも、私が労働大臣あるいは岸総理等から労働問題の処理に対し、強くやれ、あるいはまた党の方針がこうだからという指示その他の暗示を一切私は受けたことはございません。従いまして、むしろ技術的と申しますか、処分に値する量定を人事部長の方で、各監督者、各局なりの正しい資料と判断、そういうものに基いて出して参りました処分、やむを得ずこういう理由によって処分しなければならぬということに対しまする一応の基準と申しましょうか、あるいは国家公務員法の違反と申しましょうか、法の違反と申しましょうか、そういう職場における違法行為、あるいは怠業行為、あるいはこれを扇動した本部——何というんでしょうか、今の組合幹部、こういうものに対する量の裁定に対して、私はこれを過日申し上げましたように、大幅に情状を酌量いたしました。このことは、年末首に対する予想された混乱を組合の努力によって回避し、しかも滞留、遅配等は全然なく、完全に年末首の非常な繁忙期をみごとに乗り切った、責任を果したということにおいて、私は感謝こそすれ、それらのことに対して、そういう努力に対しても報いもしないで、さらに処分をするというようなことはみじんも考えていないし、またやった覚えはございません。従いまして、これらの処分をいたしました、もうやむを得ない、処分をせざるを得ない、そうした違法行為につきましては、原委員にも十分個々についてその資科を御提供申し上げることができると思っております。従いまして、今回の処分というものは、組合が年末首に公共事業としての使命を果したというようなことを私どもとしては大きく取り上げまして、最小限度ということでありません、非常にその範囲を縮小いたしまして、普通ならば当然処分をしなければならぬ範囲にある者もこれを除きまして、これを追及することなく、ごく少部分に限った、こういうことでありまして、私がそういう点を、党本部等によっての示唆によってとか、あるいは岸内閣の労働問題に対する非常な強い方針によってとかいうことは全然ございませんから、この点だけはどうぞ一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/21
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022・原茂
○原(茂)委員 公式にはそう言わなければいけないでしょうし、当然そうしなければいけない立場におられると思うのですが、本来情状酌量をしない、各級機関から出てきた案というものはこういう案だ、それをこの程度に、こういう情状で引き下げたんだ、それがこうなんだという説明はまたいずれ聞かしていただきます。こまかい処分の妥当であるかどうかの内容等に関してはまた他の機会もあると思いますし、これにもきょうは触れませんが、一つ設問をしてお聞きしたいのです。
昨年の暮れには私ども知っている範囲でもやはり国民は相当に迷惑を受けています。遅配等は間違いなくありました。あの前後を通じて、とにかく協定の結ばれないことからする遅配というものがずいぶんあった。ずいぶん迷惑を受けています。その迷惑を受けた国民がその責任をとらせようとするのに、国民の側から言うなら、郵政当局に対して責任を追及したいわけです。当局はまた大臣を中心に実際にやっているのは組合員なんだから、労働組合が責任を負うべきだ、簡単に言うと、そういう処分、処置の仕方をしているわけです。私は、労働組合がどんなふうに力があろうとなかろうと、組合を相手にして、そうして郵政業務の円満な運営をはかろうという責任はやはり大臣以下にあると思うわけです。これを会社の経営にたとえてみます。一つの注文を受けた品物が今月の十日に納まろうとしておる。組合に対する経営の側の平素の啓蒙が足りないし、あるいは組合と一体になって経営の打開に努力するその努力が欠乏していた、組合に対する理解の欠除というものもあるでしょうから、経営の側だけが百パーセントよくて、組合の側だけが全部悪いということはあり得ない。お互いに人間ですから、何がしか経営の側にも欠点があるのです。その欠点の何%か知りませんが、それがあったおかげで遂にうまく品物が納まらずして、二月の十日に納めなければいけない品物が争議その他があって遂にできなかった。怠業が行われて納期が延びた、そのためにこれが納まらない責任というものは、得意先から会社に必ずくるだろう、きたときに、経営体は、お前、組合が悪いのだというので、減給にする、停職にする、首にするというだけで一体それが終るかどうか。私は終らないと思うんです。これは民間の会社だからそうなんで、国家の行政機関だからそうではないのだとは言えないと思うんです。それほどに、やはりどういう理由があろうとも、郵便物の遅配という一つの例をとったときでも、その遅配に至る前後の長い間に、郵便物の遅配をしないような円満な運営というものをする責任がまず当局にあり、これと不即の形にある労働者、従業員にあることは間違いないわけですが、遅配があった、おくれたという一つのことを考えたときに、その責任が百パーセント組合にある、労働者にある、当局には一つもなかった、こう言い切れるものかどうかを一つまずお伺いしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/22
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023・寺尾豊
○寺尾国務大臣 原委員のおっしゃる通りだと思います。遅配がある場合におけるこれが責任というものは、まず私が負うべきものだと思う。ただ遅配のよってきたるそのいろいろのファクターの中にも、もしも国家公務員法に違反をした行為があった、あるいはその他職員として、従業員として当然処分されるような行為をもし個人的にでも行なったという者がある場合には、これはもちろんそれを追及せざるを得ないのですけれども、郵便業務といたしましての責任というものは当然私が負うべきものだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/23
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024・原茂
○原(茂)委員 その私が負おうとなさる責任ですね。何か全然ないとは言わない、多少はあるのだ、そういうニュアンスだけは今大臣の回答からわかったわけです。そこで大臣は責任をとられるというのですが、たとえば組合の側に、その小さな遅配というものに限定して、ある種の法律違反だ、国家公務員法違反だ、何かあるんだというので処分をします。残った大臣が責任をとる、その責任というのは法律で別に処分はされないのですが、どういう形で責任をおとりになるのか。責任はあると言いっぱなしで、言葉で責任があるんだと言って頭を下げたらそれで終る範囲のものなのか。とにかく理論的に言うなら、責任があると言って責任をとるなら、どのような形で責任をとるのかということはやはり明々白々にされた方が労使の慣行上私はいいと思う。そのくらいの決意、そのくらいの責任を持った態度で、同じ処分をするんでも、お前らが悪いところはお前たちを処分をするぞ、おれの悪いところはこう、いうふうにみずからが責任をとってこういうことをするのだといったことがないと——民間の会社もそうなんです。最近私の関係するところでも常に私は言っている。社長だから、重役だからといって相手の責任だけを問うておいて、自分の責任を省みないということはいけない。その場合もしこういう事態が起きたときには、その責任は、社長、重役はこういうふうにするのだということをはっきり言明しろといって盛んにやらしているのです。またその通りやっていますが、そういうときのいわゆる大臣の責任がございます。その責任をとる形はどういうふうに現われるのか、それを一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/24
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025・寺尾豊
○寺尾国務大臣 これは私は、その私の責任であるところの量定と申しますか、私が辞職しなければならぬといったような大きな責任であれば、私は当然辞職することによってその責めを果すべきなんだ。あるいはそういうことを繰り返さないように努力することが私の責任であれば、その努力を私がやるべきだ。その情状によって——情状というと当りませんが、その量定によって私みずからがその責任をとるべきである、この点において私は、原委員と私の気持は何らの開きあるいはズレがない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/25
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026・原茂
○原(茂)委員 遺憾ながら今まで私の知っておる範囲でも四、五回処分が行われてきたと思います。現大臣は今そうおっしゃったので私も御信頼を申し上げるよりほかはないのですが、歴代の郵政大臣は大中小を問わずその責任をとった形を現わしたかどうかというと従来疑問があったのです。大臣の言明でこれ以上疑ぐるわけにいきませんけれども、辞職をするほどの責任があった場合にはその決意だと言われる。辞職をするほどとそうでないほどの責任の限界というものは私はむずかしいと思うのです。一足飛びに今後再びこういうことを繰り返さないと言うだけでも責任をとるのだという一番軽いところを言われた。私はその中間があると思うのです。これは大臣の非常に潔白な御答弁をいただいたものですから、あえて申し上げるのですが、やはりその辞職と自己反省の中間に、これは全く政治的な取引に考えられては困るのですが、大臣自身の辞職に至らないで、これは割合に中ぐらいの責任を負うべきなんだというときがあったら、それと相殺に組合の側にも強い今後の反省を要求しながら、今回なすべき処分というものは、自分の中ぐらいなところで辞職には至らない責任なんだが、それを自分だけが知らぬ顔をして辞職するに至らないのだからというので、とにかく責任を負うべきだ、こういう言葉で頭を下げただけで済ませることはそれは非常に不公平だと思うのです。その場合には、やはり今度は組合の側にも、問題が中ぐらいか小さいのか大きいのか知りませんが、責任があった場合に情状酌量というときには、単に業務上の情状酌量でなくて、自分の反省の上に立って、自分のとるべき責任というものは本来こうあるのだが、辞職をしてここで責任を回避することはいけないと思うので、辞職をすることは避けたいが、これに準ずる次の段階の責任はやはり負うべきだというようなことがあったら、やはりそれは組合の側に処分をすべきものをずっと減らして、自分自身で責任をとった形をとることもあり得るわけです。中間の措置としてあり得ると思うのです。
本論に返るのですが、この情状酌量をされているこれの中にはそういうものが入っているのかどうか。私はそんなことは入っていないのじゃないかと思う。その点どうでしょうか。大臣の気持で、この事情しんしゃくをしたという事情しんしゃくの中には、自分の良心に問うてみて、やはりおれにも責任があったのだ、その責任の部分をやはりはっきり組合の側にも言って、おれもとるべき責任が一部あったのだけれども、しかし辞職をして、この責任を回避するわけにはいかないという部分がある、自分の良心に省みてその部分を、一つお前たちにも二度とやってもらいたくないという前提で、本来こうしたいと思うのだが、こうしたのだというようになっておるのかどうか。この処分と情状酌量の関係の中に今の自分の責任に対する反省なり何なりが入ってやったのかどうか、それだけお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/26
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027・寺尾豊
○寺尾国務大臣 誘導質問じゃないのでしょうけれども、だんだんむずかしくなってきました。私は率直に申し上げて、郵政大臣という責任の立場にあって、従業員に信頼をされないということは、これは実に不幸なことだ、またある意味において自分の不徳のいたすところだ、こういう考えは、私は就任当初から私の心の中と申しますか、私が自分でそういったような感じを持っておるわけです。従って特に年末首に釈然として私の注意を、よろしいやりましょう、十日、十一日の実力行使も一つ取りやめます、こういって幹部が言われたときには、さすがに私は感激をしたわけなんです。従ってそういうことによって超過勤務もその協約を締結をしてもらうし、事実においてももう年頭の年賀郵便というものは、全国の各家庭にすみやかに届けられた。私は渋谷で第一便の発車をいたしますときに、渋谷の郵便局の従業員に対してその感謝の念を皆に伝えたわけであります。そういうところに私が列席をした感じというものは、もう全逓信労働組合というものは何でもかんでも自分に抵抗をしてくる、これは何としても不幸なことだが、しかし一たび若人が、自転車に一ぱいの年賀郵便を積みまして、よろめきながらも雨の中をずっと出発したということは、私にはかって感じたことのない感激を覚えたわけであります。従ってそういう協力によって予想された混乱というものをりっぱに克服してこられた、これには何をもって報いるか、こういう感じまでしたわけであります。そこへ一月になって人事部長から、これこれこういうようないわゆる違法行為者に対する処分の問題が提出をされたのでありますから、そのときには私は、あれほど組合としてはりっぱに責任を果したのだから、こういうふうな多数の人においては、できるだけこれを削れ、むしろ悪質といったようなやむを得ない範囲だけにとどめなければ、ただ何時間食い込んだからどうだこうだというような形式的な処分をすべきでない、こういう気持で、今お言葉にもありましたような、非常な私としては情状酌量というようなことで、もうほんとうにやむを得ないところまでにしぼったということでありまして、そのときに私が、おれの責任も非常に重いのだから、それも勘案してやるのだというほど、私として——これはまことに御無礼な話ですけれども、私がそれほどおれが責任があるのだということには、その処分に対しては考えないわけであります。ただ私は、日ごろこうした不幸なことを何とかして解決したい、そうして年末首の組合の努力に対しては心から感謝をした、こういう気持が動いたわけであります。こういうことが実際でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/27
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028・原茂
○原(茂)委員 今おっしゃった中の、従業員から信頼されないことはさびしいことだとおっしゃったのですが、十分従業員も信頼していると思いますが、大臣が、自分の従業員から信頼されようとしても、従業員の方が自分たちの仲間を信頼するほどに信頼を求めることは立場が違いますから不可能です。対立する立場にありますから、その対立する立場の中で最もいい協力の方法は何かというので、相互にたんかいに協力の手段なり方法を求め合っている姿が今の姿ですから、これは立場も相違しておる。労使の関係は全逓が正しいのですから……。従って初めから労使がまるで仲間みたいに信頼し合ったらかえってストップしてしまう。切礎琢磨されない。私どもの立場からいうなら、これは違った立場に立ちながらも、そこに共通の、どういう方法で一体協力できるかを求めていくというところに今の労使の正しい姿があるし、それが発展的なものだ、こういう考えを持っていますから、大臣が幾ら信頼されようとしても、立場の違う労働階級から百パーセント信頼を得ようとしても、これは無理ですから、やはり立場の違った中で、人間としての信頼性というものをどの程度求めるかということになるかと思います。これは百パーセントこないからといって嘆いてもむだなことだと思いますので、前もって言っておくわけです。
そこで今の御答弁に関連しまして、私があえて申し上げたかったのは、たとえば今度の情状酌量の中に、処分は、今言った実際の遅配その他もなかったということから、情状酌量をしたというのですが、そこでもう一つ突っ込んで、大臣が辞職をするほどの責任を感じて、そいつを加味して——正直でけっこうです。またそうだろうと思いますが、そういった気持が多少でも前段に返って、遅配というものなりこういうトラブルというものが起きるという責任は百パーセント労働組合だけにあるのではないのだ、人間のやっておることだから経営者側にも当局側にもあるのだという反省は絶対に必要だと思うのです。そういうものが多少あったときにおいて、責任というか、自分自身がとり得る道があると思う。あるとするならば、この時期に処分をあわてて発表しないということが一つ。もう少し他に方法はないかというようなせんさくをやっていただいて、できることならILO条約の批准というものを閣内におきましても——大臣が最もILO条約に対する関心を持っている一人だと思うので——これは持たざるを得ないのですが、こういう国際的にも進んだ、多くの国々がこれに批准を行なっているこの種の問題が、わが国において現在批准されるかどうか。閣内あるいは自民党内、社会党内、ないし労働階級におきましても一体どういうふうにこれが論議され動いておるか。総括的に見るならば、ことしのうちか来年ごろの間にはどんなことをしても批准される運命にあるのではないかという、すこぶる私は必然性を感じておるのです。私はそうなのです。そういうふうな状態の中では、もう一歩自民党も考え直し、おるいは最もこれを必要とする大臣の立場において、閣内においても思い切った一つ発言をし、これに対する正しい理解と協力を得るならば、ILO条約に対する批准というものも早期に希望が持てるのじゃないかと私は思う。この種の処分をするという問題が、やがてはある時期を延ばしておる間に、批准ができた、ないしは批准ができそうだ、もう問題なくできるようになった、それはいつなんだ、こういうきまったときがくるなら、私はこの処分というものはやはり内容が変ってきはしないか、さかのぼって情状酌量の余地が起って出てくるのじゃないかと思う。批准ができたときと、もうあと期限の問題だけだ、あと少したてば批准をすることに全部世論が一致したという二つの場合、そのときにこれを処分するときには、さかのぼって考えたときにこの処分の内容というものはだいぶ変ってくるだろうと私は思う。そのだろうです。大臣の先ほどから言われている自分の従業員、子供たちに対する愛情を込めて、多少自分にも責任がある、何とかしたいのだという気持をもう一歩進める、そこまで思いをいたしてもらって、この処分の発表も、もうちょっと努力してみよう、ILOその他を頭に置きながら努力してみよう、今やらなければいけないというのなら、そのための時期をもうちょっと延ばしてみるというような跡が、この処分の発表されるまでに出てこなければならない。それがにじんでいない。もう少しそういうところをにじみ出して、自分も違った意味で努力をするために、処分は本来一月二十四日付でやろうと思ったことを、五月なり六月なりに延ばしたのだが、自分の努力の片方の大きな期待というものがとうとう暗中模索してつかみ切れないために、やむなくこの処分の発表になったのだというようなことに大臣の説明の文書がなっていた方が私は気持がいいし、大臣らしいなあと思う。今までの大臣の御答弁を聞いてもそのくらいの親切さがあると、その説明資料全体が親切なあたたかい低姿勢に一貫されてくるのだ。事労働問題に関する限りは高姿勢で、あとはすこぶる低姿勢で言葉もいんぎん丁寧な言葉を使ってやっている、こういうふうに考える。ただ「労働問題についてだけ申し上げます。」と、ぽかんと一つピークをなしておることは遺憾千万だと感じておるということを一点だけ申し上げておきます。
次に少し方向を変えて、濱田さんもおられるので、NHK問題を少しお伺いしたい。この間ちょうど総理の施政方針演説のあった日かの夕方六時に、「子供の時間」の放送を聞きました。それから興味を持って「子供の時間」というのをほとんど欠かさず聞くように努力しておりますが、このときの放送に、「子供の時間」で国会の様子が実にわかりやすく親切丁寧に放送されていたのです。私は「子供の時間」というのを全体的にいいますと、これは国民が聞くと怒ると思いますが、やはり本来普通のニュースでも何でも「子供の時間」に子供に解説をするようなあの程度、あの内容で放送してもらいたいことがたくさんある。おとなですらちょっと難解な言葉がずいぶんあり、そういうものをそのままニュースその他ではべらべらとしゃべる。これをわかることにして、全国の聴取者はこれを聞いているのですが、私の正直に受けた感じでは、あの「子供の時間」に放送される程度のやさしい解説つきでニュースその他を放送してもらうことの方が、特に国民全体からいうなら私は非常に喜ばれるしわかりいいし、いいんじゃないかと思う。それほど克明に、わかりやすい、いい言葉で解説しましたら、全国民みんなよく頭に入る。六時の「子供の時間」だから、子供だけが聞いていておとなは聞かないか、これはそうではなくて、やはりおとなが一緒に聞いていることは間違いない。それほどいい放送です。私が聞いても内容は親切でわかりやすい。しかもおとなが聞いています、私も聞いたのですから。それも事実興味を持って聞いていますから。それほど非常に影響力のある「子供の時間」の当日国会の様子を放送したのに何をしたかといいますと、——私は施政方針演説というものの行われるときに大事なことは、それに対する野党である第一党の総裁がこれに質問をするということも行事として当然、これはカップルで、認識としては常識的に持たれているものだ。総理の施政演説と同時にこれに対する野党のいわゆる代表者の代表質問があるということは常識なんです。ところがおとなも子供も聞いている「子供の時間」に、私が聞いていましたら、総理の施政方針演説の説明があった。約四分間克明にありました。それだけなのです。私は聞いていてあと非常に物足りなかった。社会党の私だから物足りないのじゃなくて、やはり国民もおそらく全体的に物足りない印象を受けると思う。特に大事なことは、「子供の時間」と銘打って、おもに子供が聞くだろうという前提であるならば、民主主義の一番大事なことは何といっても一つの見解が発表されたとき、常識的に恒例的にその反対の立場の見解が発表されるということがわかっているときなら、なおさらに私はその反対の立場に立つ見解というものを同時に出してやる、こういうことが子供にもし聞かせようという時間であればなおさら私は必要だと思う。「子供の時間」のときに総理の施政方針演説だけが克明に丁寧にわかりやすく放送されていて、その反対党の第一陣の代表質問のこういう質問があった、こういう意見が開陳されたということに全然触れないということは、編集あるいは編集権の内容に関する問題ですからあえて私がどうこうしようというのでなくて、国民の一人として率直に物足りないし、子供の教育上からいっても、私はやはり大事な国会における代表質問あるいは施政方針演説、これはもうカップルが常識なのですから、その場合にはなおさら正しい国会の運営のあり方も一部知らせると同時に、民主的な言論のあり方というものが正しく認識されて、たとえばクラスでいろいろ行事をやるようなときにも必要なことにもなるわけですから、せっかくのいい機会にいい教育をしようとなさるのに、一方的に総理大臣の施政方針演説だけを、十二分過ぎる放送を、克明丁寧にやっただけで終るということは、あの当日にはふさわしからぬ、こう私は思うのですが、大臣と濱田さんの見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/28
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029・寺尾豊
○寺尾国務大臣 ちょうど私はその放送を聞いておりませんので、私が今そのときの放送についてあるいはまずかったとかあるいはこうだとか、こういうことは申し上げられませんが、原委員の今の御所見また御質問の点については十分私もわかります。ただそれに対する批判というものは、私聞いていないものですから、原委員の御質問、御所見をつつしんで拝聴いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/29
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030・濱田成徳
○濱田政府委員 原委員の御指摘の番組は私も聞きませんでしたので、事実におきましては何とも申し上げられませんけれども、番組は政治的に公平でなければならないというその方針に基きまして、二つの対立した意見があった場合には、両方とも乗せる方が望ましいという考えを持っております。ただいまのお話は総理大臣の施政演説であって、政府の考えはおそらくNHKは乗せると思われますので、私はそれについては強く非難するにも当らないと思うのであります。けれども望むらくは、総理大臣は同時に自民党の総裁でありますから、これに対して反対の意見はこういう意見もあるということをつけ加えますならば、満点であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/30
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031・原茂
○原(茂)委員 私もNHKを非難する立場をとっておるのじゃないのですから、決してしかったりなんかしないでいいと思います。ただ国民の一人として見まして、今大臣と濱田さんのおっしゃったような立場で望ましい運営をなされることを期待したいという意味で申し上げたわけで、決して非難めいたことを申し上げておるのではありません。気づいたままを申し上げたわけです。あとはいずれ……。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/31
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032・淺香忠雄
○淺香委員長 この際理事の補欠選任についてお諮りいたします。理事武知勇記君、片島港君、森本靖君からそれぞれ理事を辞任いたしたいとの申し出がありましたので、これを承認し、その補欠選任については先例により委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/32
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033・淺香忠雄
○淺香委員長 御異議なしと認め、理事に進藤一馬君、原茂君及び金丸徳重君を指名いたします。
次会は十一日水曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00619590205/33
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