1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月二十六日(木曜日)
午後一時四十分開議
出席委員
委員長 淺香 忠雄君
理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君
理事 進藤 一馬君 理事 橋本登美三郎君
理事 粟山 博君 理事 片島 港君
理事 小松信太郎君 理事 森本 靖君
藏内 修治君 椎熊 三郎君
武知 勇記君 小沢 貞孝君
金丸 徳重君 栗原 俊夫君
出席政府委員
郵政政務次官 廣瀬 正雄君
郵政事務官
(簡易保険局
長) 大塚 茂君
委員外の出席者
専 門 員 吉田 弘苗君
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二月二十六日
委員松前重義君辞任につき、その補欠として阿
部五郎君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一〇二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/0
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001・淺香忠雄
○淺香委員長 これより会議を開きます。
簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑の通告があります。これを許します。森本靖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/1
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002・森本靖
○森本委員 簡易生命保険法の一部を改正する法律案について質問をいたしまするが、残念ながら大臣が参議院の関係で見えておりませんけれども、一応大臣と同じということで政務次官の方から答弁を願いたいと思います。
まず最初に質問申し上げたいことは、この前の委員会以来、いつも私の方から言っておりまする最高制限額の引き上げについては、まだ二十五万円で据え置かれているわけであります。そこで、最高制限額の引き上げの問題については、最高制限額をこれ以上引き上げると、さらにまた民間との競合ができるということで、まるでこれはしょっちゅう競合しておるような関係にあるわけでありますが、そういうことでなしに、簡易生命保険というものは、この保険法の第一条にありまする趣旨にのっとりまして、小額の、たとえば三十五万円なら三十五万円以下の保険というものは簡易生命保険に限るというような措置を講じないことには、この簡易生命保険というものの生まれた存在と意味を失うわけであります。そういう点から、この点については、絶えずこの委員会でも論議が出ておるわけでありますが、一応今回の家族保険を制定するに際して、そういう基本的な問題をまず御答弁を願いたいと思います。どこにそういうことを復活することに対する欠陥があるのか、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/2
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003・廣瀬正雄
○廣瀬政府委員 簡易保険の現在のあり方につきましては、森本委員の御指摘のように、民間の保険会社におきましても低額の保険におきましては無診査で加入ができる、あるいは毎月会社が保険料を集金するということで、性格が非常に競合して参っておるのであります。従いまして、簡易保険の独得のあり方というようなことにつきましては、この際根本的に検討しなければならないというように私どもは考えております。当委員会でもいろいろ御意見も存することでございますので、この問題につきましては鋭意検討中でございますが、なお郵政大臣の諮問機関であります郵政審議会に対しましても、この問題につきまして諮問をいたしておるのであります。遠からず答申もあろうかと存じますが、御指摘の通りだと思いますので、この問題につきましては将来の簡易保険の成長と申しますか、発展と申しますか、普及と申しますか、そういう点から一つ考えてみたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/3
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004・森本靖
○森本委員 将来にわたって検討するということは、もうこれは四年も五年も前からこの委員会において時の大臣が言っておることであります。そこで小額保険については簡易生命保険に限るという昔の独占的な性格をここに移すというようなことについては、一体どこにそういうことのできない原因があるかということを一つ究明しておきたい、こう考えておるわけなのです。それを一つ明らかにしてもらいたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/4
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005・廣瀬正雄
○廣瀬政府委員 これは民間保険が新しくさような攻勢に出てきたということにその原因があると申さざるを得ないと思うのであります。その民間保険との関係に非常にむずかしさがあるのではないかと思うのでありまして、この点、関係の大蔵省とも積極的に研究を進めて、何とか簡易保険が在来の独占的な地歩を占めておったということで持っていけるということに努力を続けて参りたいと思います。あれ以来の大臣が、検討中だとか努力を続けておるということを申しておったというお話でございますけれども、ただいまの大臣、私どもこそほんとうに郵政審議会にも諮問いたしておりまして、真剣に考えておりますような次第でございます。森本先生の御意見も拝聴いたしつつ、さような方向に進んで参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/5
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006・森本靖
○森本委員 政務次官も当委員会の理事をやっておられたので、もっと詳しく知っておると思いましたが、そうじゃないようであります。この簡易生命保険というものについては、今まで郵政省が一生懸命努力してきておって、終戦までは小額保険は一応簡易生命が独占的な性格でやってきておったわけであります。たまたまGHQの指令によって独占禁止法が施行せられるという形になって、そしてこの簡易生命保険の小額保険の独占が失われた、こういう結果になっておるわけであります。しかしその他の公営事業等については、一応独占的な性格を持っておるものがかなりあるわけであります。たとえば専売にしても、あるいは電気通信事業にいたしましても、あるいは国鉄にいたしましても、そういうものはやはり残っておるのであります。ところがこの簡易生命保険というものは、いわゆる保険事業が民間保険と簡易生命保険の両建になっておるところから、そのときのいきさつの問題については知りませんけれども、そういうことで除かれておるわけでありますが、除かれた動機というものがあまり明確でないわけであります。これは、その当時は課長さんであったかも知りませんが、現在の保険局長としては、これを除かれたときのいきさつについては詳しく知っておるはずでありますから、この簡易生命保険が独占的な性格から今日のようなものに改正せられたいきさつを一つ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/6
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007・大塚茂
○大塚政府委員 御説明申し上げます。先ほど森本先生からお話がありましたように、終戦後GHQの独占禁止法の精神に基いた勧告等もございまして、当時独占であった規定を廃止したということでございますが、当時簡易保険局といたしましても、大体簡易保険の独占的な立場が相当高まっている。従って独占を廃止いたしましても、民間がそれに食い込んでくる余地はそれほど大きくなかろうというような考え方も一部ありまして、GHQの勧告に従ったというようないきさつで、独占規定が廃止をせられた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/7
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008・森本靖
○森本委員 これは、大臣によくこの辺の質疑応答を聞かしておかぬと意味がないわけですけれども、あとで大臣もよく速記録を読んで勉強してもらいたいと思うわけであります。
そういうことでこの独占性が廃止せられた。ところが今日、これが意外に民間保険と非常に競合してきた。そこで簡易生命保険の最高額の引き上げについては、数回にわたって国会においてなされた、なされたが、絶えずこの最高額の引き上げについては、まだまだ足らない。こういうことで、おそらく当委員会でもこれは与野党一致で、もう少し上げよというような意見が出てくると思いますが、毎回の委員会においてそういうことが言われておる。ところが最高額を引き上げたところで、今の競合問題については根本的な解決がつかない。GHQから指令が出まして、そういう形の独占性が除かれたということは、あの当時はすべてとにかくGHQの方針に従ってやった。しかもその時分の、向うさんでいえば民間保険会社の課長なり係長クラスのような人々が時のGHQの責任者になってそういう指令を発した、それに従わざるを得ない当時の日本の運命であったわけです。そういうことを考えてみると、もはやあれから十何年もたっておる今日においては、この独占性というものについては復活をしてもいいじゃないか、こういう意見が当然出てこなければならぬわけです。しかしこれが、今日は民間保険がそういう小額保険の中に入ってきた以上は、民間保険との競合があってなかなかむずかしい、こういうことに現在はなっておると思いますが、しかし郵政当局としてはやはりその独占性が失われた当時にさかのぼって考えてみて、それから今日までの十何年というものの簡易生命保険と民間保険との競合を考えてみると、これ以上民間保険と簡易生命保険というものが競合するということは、非常に私は将来の簡易生命保険のあり方からいたしまして問題になってくるのじゃないか。やはりこの簡易生命保険というもののあり方については、この簡易生命保険法によりますところの第一条と、それからこれは営利を目的とするものではないということが簡易生命保険法にも明確にうたってあるわけでありますから、それを根本的に生かしていこうとするならば、先ほど言いました独占的なものを生かさなければこの簡易生命保険法の基本条項にマッチするような保険事業というものはでき得ない、こういうことをまず私は言いたいわけであります。ここで出て参りましたところの家族保険、親子保険というものも、簡易生命保険というものを将来維持していこうということの考え方に立っておるということは、火を見るよりも明らかでありますが、やはり国民全体に対する生命保険というものの恩典を平等に生かそうという性格、性質よりも、簡易生命保険の募集のしやすいように、維持がしやすいように、資産というものを減らさないように、こういう考え方に基いて郵政当局が出しておるということは明らかなんだ。だから、すでにこの簡易生命保険というものが、この簡易生命保険法によります基本的な考え方からだんだんはずれていかなければならないという格好になっておるわけであります。そういう末端の問題を論議するよりも、根本的な問題をやはり解決をつけていかなければ、簡易生命保険事業のあり方からいたしましても将来なかなかこの運営というものはむずかしい、このことをまず一つ基本的に頭の中に置いてもらいたいと思う。そこで、政務次官が今言われましたように、これは検討するとか研究するとかいう問題じゃないわけです。今、保険局長が言われましたように、小額保険というものの独占性が失われたところの経過から見て、今日までのこの簡易生命保険事業というものを見た場合には、当然復活をしていい問題だ。ただ今日それが復活ができないということは、独占禁止法の問題もありますけれども、これは法律ですから改正すればよろしい。そうではなくして、やはり民間保険団体の圧力というか、そういうものの御意向もあってなかなかできがたいというのが実情なんだ。しかし郵政事業というものに関係を持つところのわれわれといたしましては、そういうものも排除してやっていかなければこれはどうにもならぬじゃないか。そうやること自体が民間保険と簡易生命保険というもののあり方をおのずから別個にして、そこに両建の保険事業というものが成り立っていく。こういうことを考えた場合には、民間保険事業者においても、その簡易生命保険がある一定の小額の独占というものをもってそれ以上に競合することはないということになれば、そのあり方が最も私は正しいのじゃないか、こういう考え方を持っておるわけであります。これを政務次官が単なる検討とか研究とかという問題でなく、これはもうその意見には全く賛成でありますという答弁でないとおかしいわけであって、ただ賛成ではありますけれども、現在の政治情勢その他の諸情勢を勘案をいたしますと、直ちに参りませんので、今日郵政審議会へ諮問をして、郵政審議会からそういう考え方の答申が出ればわれわれの方としてはやりたいと思う、こういう答弁にならぬと非常におかしいと思うのですよ。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/8
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009・廣瀬正雄
○廣瀬政府委員 考え方としましては全く同感なのでありまして、そういうような考え方のもとにどういうような結果を出そうかということで今検討中でございます。考え方は全く私は同感なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/9
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010・森本靖
○森本委員 まずそういうことで、考え方は同感でありますけれども、現在の政治力をもってしてはなかなかそういうことはむずかしい、こういうことになるだろうと思うわけでありますが、政務次官にせっかくこの問題については一つ将来も努力を願わなければならぬ。この簡易生命保険法の基本の条項というものを、よくもう一ぺんあらためて見ていただきたいと思う。これは営利を目的とするものではない、国民全体が一つの共済的な機関としてこの簡易生命保険というものを運用していく、これが基本でありますから、基本的なものを生かすということについては今の問題を解決しないと、枝葉末節のこの制度をいろいろいじくってみても、それは国民のためにはなるといたしましても若干の問題であって、簡易生命保険事業の根本的な問題ではないということをよく念頭に置いて、今後の運営を政務次官として、大臣としてやっていただきたい。
そこでもう一つ、この簡易生命保険事業の基本的な問題があるわけでありますが、それは簡易生命保険の資産の運用であります。これは非常に国会でも長いことかかりましたけれども、最終的には与野党が一致をいたしまして、郵政省にこの運用権が移管をせられまして、今日運用しておるわけであります。この運用の利率の問題でありますが、これは現在どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/10
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011・大塚茂
○大塚政府委員 三十二年度末におきまして五分七厘六毛の利回りになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/11
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012・森本靖
○森本委員 五分七厘六毛でありますが、それで実際のこれを経営していく場合の率はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/12
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013・大塚茂
○大塚政府委員 御承知のように、簡易保険の予定利率は四分でございますので、それに対しまして確定配当といたしまして配当を一分やっております。それからほかにおきまして多少の損失が出ておりますので、それをカバーするというようなことを含めますと、最低必要利回りといいますか、これは絶対回さなければならぬという利回りは五分一厘四毛くらいになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/13
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014・森本靖
○森本委員 そういたしますと、今は昔の還付金制度というものはないと思いますが、今ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/14
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015・大塚茂
○大塚政府委員 還付金制度はございますが、先ほど私が配当と申し上げましたのが、長期還付金と称しまして、確定配当になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/15
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016・森本靖
○森本委員 その長期還付金というのはどういう内容になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/16
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017・大塚茂
○大塚政府委員 保険に入りましてから三年以上経過しました契約に対しまして、その経過年数に応じまして満期の場合に剰余金の中から配当をする、こういうものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/17
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018・森本靖
○森本委員 その率は、だからこの法律によって変ってくるわけでありますか。利益があればこれはその加入者に配分するというのが建前でありますから、その利益の差によっては変ってくると、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/18
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019・大塚茂
○大塚政府委員 私どもの方では確定配当としまして、もうすでに加入するときからこの保険は満期の場合どれだけの確定配当がつくということを約束されておるわけでございます。従って、これは三十年満期でいいますならば、三十年の後において配当すべき金が今からきまっておるという確定的なものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/19
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020・森本靖
○森本委員 そういう長期還付金と別に、この五、六年なり四、五年前までは、別途のいわゆる配当というような意味における還付金がなかったですか。あったはずでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/20
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021・大塚茂
○大塚政府委員 従来ずっと、配当といいますのはこういう長期還付金という形をとっております。ただ剰余金がふえるに従いまして、それを少し何回か増額をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/21
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022・森本靖
○森本委員 そういたしますと、だから先ほど言ったように、これは法律において営利事業でない、利益金があればこれは加入者に配当するという建前に法律ではなっておるわけでありますから、それだけの利益金なり剰余金が出てくれば、この還付金が加入者に対してはふえてくる、こう解釈していいわけでありましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/22
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023・大塚茂
○大塚政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/23
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024・森本靖
○森本委員 もともとこれは営利事業でございませんので、そういう点がありますけれども、今言いましたように、この資産の運用が五分七厘六毛ということになると、これは普通のものから見るとかなり低い利回りになっておるわけであります。これが実際に民間生命保険との競争をやるということになると、これはかなり立ちおくれにならざるを得ないということは、はっきり言えます。そういう点から考えた場合、しかしそうかといって、この運用がちゃんときまっておりますから、そうどこにでもここにでも利益の高いところへ運用するというわけには参らぬ性格のものでありますけれども、この資産の運用については、昭和三十年に一度、長期信用銀行でございましたか興業銀行でございましたか、そういう法案が出されまして、いろいろ検討したあげく、当時はまだ地方公共団体あるいはその他の公共団体に対するところの貸付が非常に少くて、そういうところに出す金があるならば、まず優先的にこの金は地方公共団体に回すべきである、こういう考え方に基いてその問題は削除いたしまして、その他のいわゆる融資ということを条件にしてその法律が通ったと記憶しておるのであります。今の政務次官はそのとき理事でありまして、一緒に満場一致で通った経験を持っておるわけであります。そのことを考えてみますと、やはり今日の段階になってきますと、一応地方公共団体に対する簡易生命保険の貸付というものについては、一応満配とまではいきませんけれども、そういう方向になっておるのではないか。そうなってくると、簡易生命保険の資産の運用については、利回りのいい方向についてここで一たび考えてみたらいいのじゃないか、こういう意見が当然出てこなければならぬはずであります。
〔委員長退席、秋田委員長代理着席〕
そういう点についてはどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/24
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025・廣瀬正雄
○廣瀬政府委員 簡易保険の資産の運用につきまして、なるべく利回りをよくしたいというような点で、先年長期信用銀行もその対象にしたいということで提案したこともごさいましたけれども、御指摘のような理由で、とうとうさようなことはできなかったわけでございますが、お話のような事情に最近なっておりますので、将来は対象をなるべく拡大いたしまして、資産の利回りを有利にいたしたい、かようなことを現在考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/25
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026・森本靖
○森本委員 そこで、長期信用銀行とか、あるいはその他の興業銀行とかいうものが当然出てくるわけでありますが、一つ私が聞いておきたいのは、昭和何年でありましたか、これも一応国会を与野党満場一致で通っておりまする労働金庫法が制定されまして、今日全国的にこの労働金庫というものが労働者に対しましての非常な事業として発展をしつつある。こういう段階において、これはやはり地方公共団体と同じような考え方に基いて、こういう方面にも融資をしても何ら差しつかえないじゃないか。しかも、現在の金利の利回りよりもいい利回りで融資ができる。こういうことになって参りますと、こういう問題についても考えていっていいのじゃないかと思うのですが、政務次官、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/26
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027・廣瀬正雄
○廣瀬政府委員 ただいま御指摘の労働金庫を含めて一つ検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/27
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028・森本靖
○森本委員 含めて検討せられるならけっこうでありますが、そこで簡易保険についてまず政務次官として念頭に置いてもらいたいのは、最高制限額の引き上げについても非常に大事であります。それと同時に、今申しました独占的なものの復活については、これは非常に大事であります。それと今日簡易生命保険事業における大きな問題と申しまするのは、今申しました資産の運用についての利回りの点、この三つを十分に相互関連をもって考えていかなければ、簡易生命保険事業というものは、枝葉末節を改正しても、それは改正しないよりは改正した方がましでありますけれども、そう大勢には影響がない。やはりこの三つの問題を根本的に解決をつけなければならぬ運命にあるということを、この法律改正案がかりに通ることになりましても、よく念頭に置いていただきたいということを私はまず申し上げておきたいと思います。
そこで、今度はこの法律案についての小さな質問に入っていきます。まず私が最初にお聞きしたいのは、私が今ちょっと申し上げましたように、一般の国民に対する利益を念頭に置いたやり方よりも、今回はやはり簡易保険の募集、ひいては運用金の拡大、それから維持、そういう方向の事業的な見地に大きな期待を今回の改正については抱いておるという具体的な証拠として、今回は、たとえば保険金の倍額支払いについても、廃疾による保険金の支払いについても、これは保険契約者についてのみ倍額支払いを廃疾の場合は支払う、こういうことになっておるわけであります。むろんこれは、数字的におそらく統計が出た上においてこういうことが出ておると思いますけれども、実際に簡易生命保険事業のあり方からいきますと、こういうことが民間保険事業と違ってよろしいのであって、実際問題としては、今回の親子保険についても、保険契約者のみに倍額支払いあるいは廃疾による保険金の支払いを行うということは、私はどうしもて納得がいかぬ。この保険金の倍額支払い、廃疾による保険金の支払いというものは、簡易生命保険という性格からいくならば、今回できましたところの親子保険の妻あるいは子供に対しても倍額支払いなりあるいは廃疾による支払いというものを当然行なっていいのじゃないか。これがなされておらぬということは、おそらく答弁では、数字的にこれは損になるからできないということだろうと思うけれども、これはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/28
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029・大塚茂
○大塚政府委員 保険金の倍額支払いあるいは廃疾者に対する保険金の支払いといいますものは、本来でございますと、特別の保険料を取りまして、特約としてやるというのが普通の契約状況でございまして、民間保険においてはそういうやり方をとっておるわけでございます。しかし簡易生命保険におきましては、先ほどのお説にありますように、国営でもありますので、特別の保険料を取らずに、いわば恩恵的な意味におきましてそういう不幸な方々に倍額の保険金を差し上げる、あるいは廃疾になった場合に、死亡した者と同様な保険金をお支払いするというような措置をとってきておるわけでございます。従って、特別の保険料を取っておりませんので、いわば剰余金でやるというような建前になっておるわけでございますが、今度の家族保険におきましては、配偶者及び——この保険は御承知のように定期保険でございまして、これはきわめて保険料が少額でございます。従ってそういう剰余金というものもほとんど考えられない。かたがた、その家族の中で交通事故とかあるいは廃疾になった場合に最も痛手をこうむりますのは、その夫といいますか、世帯主といいますか、保険契約者になるような人でございますので、今回は契約者だけに限ってそういう特典を認めた、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/29
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030・森本靖
○森本委員 これは一つ統計をとってみたことがありますか。かりにそういうことになった場合、どれくらいの数になるかということ。おそらく今言いました法律の改正は、たしか昨年ですか、一昨年ですか、やはりこの委員会にかかって、ここでこの問題を質疑応答をやって、この倍額支払いの問題が通ったことを経験しておるわけです。今あなたが説明になった点についてはその通りであります。その通りでありますけれども、実際問題としてはその金額が少い、大したことはないということにおいて、できるならはこの倍額支払いと廃疾支払いについてはやれということで、あれはできておると思う。それをさらに去年でしたかおととしでしたか、拡大した経験を覚えておるわけであります。一般の保険の加入者にそういう恩恵を与えておいて、今回の親子保険についてはその恩恵が契約者のみだということについては、私はどうしても納得がいかぬわけであります。それで、もしそれだけの大きな損失があるということになれば、こういう統計が出て参りますという数字があれば、一つ御発表願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/30
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031・大塚茂
○大塚政府委員 ただいまの簡易保険におきまして倍額支払いの金額がどのくらいかと申し上げますと、三十二年度におきまして二億六千七百万円余りございます。これは倍額として払った純然たる額、従って実際にはその倍を払っておるということになるわけでございます。この額は、交通事故等の増加に伴いまして毎年相当急激に増加をいたしておりますので、実は特別保険料を取っていない関係で、相当の負担になりつつあるわけでございます。従って、あまり広げたくないというような気持もございまして、今回は従来と同じ内容の、養老保険のごとく契約者だけに限定をいたしたわけでございますが、御要望の点もございますので、なお研究をしたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/31
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032・森本靖
○森本委員 三十二年、二億六千七百万円と言いましたが、廃疾は幾らですか。それから三十二年度の保険金の支払いの総額は幾らになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/32
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033・大塚茂
○大塚政府委員 廃疾の金額はちょっと覚えておりませんが、たしか三十二年度で、廃疾は件数にいたしまして二百三十件程度、金額は今ちょっと正確には覚えておりませんが、平均保険金九万円として、三百三十件ですと二千九百万円ぐらいでございます。
それから支払い保険金の総額は、満期も全部入れまして、三十二年度で九十億余りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/33
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034・森本靖
○森本委員 これは一つ、法案をスピードをかけて審議をしておるわけでありますから、あなたの方の資料について万全の準備をしておいてもらわぬと、時間がかかって仕方がない。私の方は、これでもまだ大事な点だけを聞いているわけでありますから、資料は十分、各課長等も動員をして調べておいていただきたいと思います。
そこで、九十億、二億六千七百万円ということになりますと、これはパーセンテージにいたしますと、おそらくそれほどの金額にはならぬわけであります。今後、たとえばこの親子保険ができた場合、これは二十年でありまするから将来のことになってきますけれども、かりにこの親子保険をやった場合に、現在の統計上の廃疾と、それからいわゆる保険金の倍額支払いがどの程度になされる。もし、かりに倍額支払いと廃疾支払いをやった場合にはどの程度の支払いが年間行われるか、こういう統計が出ていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/34
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035・大塚茂
○大塚政府委員 まだそこまで実は計算をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/35
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036・森本靖
○森本委員 あなたの方はこれはつけないということだったから、おそらくそういう統計を出していないと思いますけれども、これは国民の立場からするならば、この保険については倍額支払いと、それから廃疾支払いができないということならば——これは簡易生命保険の一つの恩典だ、いわゆる簡易生命保険の加入者に対するこういう点は非常な特質でありますので、これを保険契約者のみについて行うということでありますならば、そうでない人に対してできない、できない理由はしかじか、かくかくである、こういうことを明確にできる資料がないと、この法律案件を審議する場合は、国民の立場からするならば、これは不明確であると言わざるを得ないと思うのです。きょうはそういう資料がなければ、あしたでもけっこうでありまするから、一応、こういう数字的な理由によってわれわれの統計上はできない、こういう理由を明確にしていただきますならば、われわれとしては、それはそれだけの数字であっても、こうやったらできるんじゃないか、こういう意見も出てくるわけでありまするから、もしそういう数字の説明ができなければ、あしたでもけっこうでありまするが、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/36
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037・大塚茂
○大塚政府委員 まだ正確に計算はいたしておりませんが、家族保険におきましては、子供の数を限定しないということにいたしておりますので、子供について交通事故その他の倍額支払い、あるいは小児麻痺等の廃疾というようなことを考えますと、相当な金額になるだろうと思います。それに対しまして、この家族保険の保険料に含まれておる保険料というのは、この子供の分につきましては非常に少い数字でございまして、たとえば十万円の家族保険に入った場合に、その中に含まれておる子供の保険料は、たとえば父親が三十歳で入った場合は月たった十五円というような数字に、内訳を申し上げるとなります。こういう十五円しか保険料を取っていない場合、子供の数が非常に多いものでございますから、何人かが倍額支払いということには、とうてい計算上成り立たない。そうだとするならば、結局特別保険料の意味を含めた保険料にする、従って保険料全体を相当高くしなければならぬじゃないかというような結果になると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/37
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038・森本靖
○森本委員 十万円の場合に十五円ということでありまするけれども、もしそういうことでございましたら、これが若干値上げになっても、この倍額支払い、廃疾支払いを行うことが、簡易生命保険のあり方からして妥当である。だから私が言っておるのは、たとえばこれを施行した場合は、年間保険金の支払いが幾らある、出生率と、交通事故その他の事故というものは統計上出ておりますから、そういうもの等を見て、場合によっては、それではこれを倍額支払いをこうこうやると、総額においてなんぼの保険金の支払いであって、実際の倍額支払い、廃疾の支払いが幾ら、こういう統計の数字が出てきます。そうなってくると、これが保険料がこれこれであって、支払い金がこうなりまするから、採算上はこれだけが合わぬ、こういうことになってきた場合は、それでは場合によってはその保険料額を若干でも値上げをして、それに合せるということになって、保険料の値上げというものが、たとえば十五円というのが二十円になっても、せっかくこういうものをこしらえるという場合には、これは大きな一つの宣伝になる、こういうことを言っているわけなんです。こういうところの答弁は、これは数字の問題でありますから、そういう点については明日にいたしますので、一つ数字を明確に課長さん連中にでも調べさせて、こういう事情でできないということを——私はこれは大きな問題だと思う。今度の簡易生命保険法の一部改正の、親子保険を作るに当っては、こういうふうなことこそやっていい問題じゃないかと考えるわけであります。それではこの問題は明日にでもお聞きすることにしまして、また私は相当質問する事項がありますが、時間もありません。二時半から本会議が始まるそうでありますから、それまで一応質問をいたしまして、なお明日またゆっくりやりたいと思います。
そこで、もう一つ聞いておきたいと思いまするが、今回のこの簡易生命保険法の一部改正によって親子保険というものができるわけでありまするが、現在の保険の募集手当というものはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/38
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039・大塚茂
○大塚政府委員 御質問の趣旨がはっきりいたしませんが、募集手当は総額で大体十七億程度、毎年支払っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/39
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040・森本靖
○森本委員 十七億の総額でございまするが、これをはっきり分けまして、普通局と特定局がどうなっておるか、個人に対する募集手当の割合はどうなっておるか。それからその次に、この募集手当に伴うところの契約雑費がどうなっておるかというふうな問題を聞きたいと思います。
それから、ついでに全部言っておきますから、よく研究されて、あしたでも御答弁願いたいと思いますが、現在の保険の募集の目標については、保険料と保険金の両建でやっておると思いまするが、この親子保険の保険金というものはかなりの高額になる。子供の分も入っておりますから……。そういう場合の保険料と保険金の問題がどうなっておるか。それから毎年の目標額の設定等についてもそういうことでありますが、そういう点についてはどうなっておるか。それから簡易生命保険法ができて、内務事務が今までよりもかなり複雑になると思いまするが、そういう点についてはどう考えておられるか。それから診療所とか診療船とかいうふうに、現在保険事業として国民に対するサービスが行われておりまするが、これは現在どうなっておるか。この資料をあしたまでに出していただきたい。それから将来どういう方向においてこれを増置し、あるいはやるようにするつもりであるか。それから父子、母子保険の制定を今回やっておらないけれども、これはどういうわけで除いたのか。将来どういう方向においてこれを行わんとするのか。それから百分の四十と百分の二十という、いわゆる子供と親との関係は、いずれに基準を置いてこういうものをこしらえたのか、その数字的な根拠。それから、これは漫談みたいなことになりますけれども、妻と夫との間の年数の開きが七年と十二年というのができておりますが、これはどういうわけで七年と十二年にしたのか。十二年ということになると、差しつかえが起る人があると困りますので、この問題はどういうわけでこういうふうな基準を置いたのか。それからさらに、こういう簡易生命保険の一般国民に対するアッピールの方法というものが非常に足りないじゃないか、だから今後のアッピールの方法等についても、一つ十分に答弁を願いたい。
こういういろいろな問題を、あしたまたゆっくり聞きたいと思いますし、また同僚委員からもかなり突っ込んだ質問が、いずれ長時間あろうと思いますので、あなたの方では、あしたはこの係の者を総動員してでも、全部答弁ができるように一つぜひやってもらいたい。そうすることが議事の進行にもなりますから、これは特に私の方から老婆心ながらお願いをしておきまして、本会議が始まりそうでありますから、一応きょうの質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/40
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041・廣瀬正雄
○廣瀬政府委員 十分準備してお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/41
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042・秋田大助
○秋田委員長代理 次会は明二十七日金曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開くこととします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時二十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104816X00919590226/42
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