1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月三日(火曜日)委員長の指名で、
次の通り小委員及び小委員長を選任した。
各省設置法改正案等審査小委員
今松 治郎君 岡崎 英城君
高橋 等君 富田 健治君
平井 義一君 前田 正男君
飛鳥田一雄君 石橋 政嗣君
受田 新吉君 木原津與志君
各省設置法改正案等審査小委員長
岡崎 英城君
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昭和三十四年二月三日(火曜日)
午前十時二十一分開議
出席委員
委員長 内海 安吉君
理事 高瀬 傳君 理事 高橋 禎一君
理事 平井 義一君 理事 前田 正男君
理事 受田 新吉君 理事 木原津與志君
今松 治郎君 植木庚子郎君
纐纈 彌三君 田村 元君
橋本 正之君 石橋 政嗣君
柏 正男君 中原 健次君
出席国務大臣
文 部 大 臣 橋本 龍伍君
国 務 大 臣 高碕達之助君
国 務 大 臣 伊能繁次郎君
国 務 大 臣 山口喜久一郎君
出席政府委員
総理府総務長官 松野 頼三君
経済企画政務次 河本 敏夫君
法務政務次官 木島 虎藏君
大蔵政務次官 山中 貞則君
農林政務次官 石坂 繁君
運輸政務次官 中馬 辰猪君
郵政政務次官 廣瀬 正雄君
委員外の出席者
専 門 員 安倍 三郎君
―――――――――――――
昭和三十四年一月二十三日
郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四三号)
同月二十六日
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改
正する法律案(内閣提出第四八号)
恩給法の一部を改正する法律案(内閣提出第四
九号)
科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第五一号)
法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第五二号)
特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改
正する法律案(内閣提出第五四号)
文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第五五号)
同月二十八日
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七〇号)
経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第七一号)
大蔵省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七二号)
同月二十九日
通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第八四号)
運輸省設置法等の一部を改正する法律案(内閣
提出第八六号)
農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第八九号)
水産庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第九〇号)
同月三十日
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(
内閣提出第九一号)
同月三十一日
農林漁業基本問題調査会設置法案(内閣提出第
九三号)
防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第九四号)
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第
九五号)
昭和三十三年十二月十九日
文官恩給調整に関する請願(今澄勇君紹介)(
第一号)
同(久保三郎君紹介)(第二号)
同(實川清之君紹介)(第三号)
同(西村力弥君紹介)(第四号)
同(赤澤正道君紹介)(第一六七号)
同(木倉和一郎君紹介)(第一六八号)
同(高橋禎一君紹介)(第一六九号)
同(高橋等君紹介)(第一七〇号)
同(福井順一君紹介)(第一七一号)
召集旧軍人関係恩給の加算制復元に関する請願
(小川平二君紹介)(第五号)
同(田中龍夫君紹介)(第一一号)
同(簡牛凡夫君外三名紹介)(第一七二号)
同(北澤直吉君紹介)(第一七三号)
同外三件(櫻内義雄君紹介)(第一七四号)
同(中島茂喜君紹介)(第一七五号)
同(吉川久衛君紹介)(第一七六号)
元満州国等日系官吏の恩給法適用に関する請願
(佐々木更三君紹介)(第六号)
同(薄田美朝君紹介)(第七号)
寒冷地手当増額に関する請願外二件(中澤茂一
君紹介)(第八号)
同(野口忠夫君紹介)(第九号)
同(原茂君紹介)(第一〇号)
同(八田貞義君紹介)(第一七七号)
同月二十五日
召集旧軍人関係恩給の加算制復元に関する請願
外五件(大橋武夫君紹介)(第二四八号)
同(高橋等君紹介)(第二四九号)
同(簡牛凡夫君紹介)(第二六六号)
同(簡牛凡夫君紹介)(第三一〇号)
同(増田甲子七君紹介)(第三一一号)
同(吉川久衛君紹介)(第三一二号)
同外二件(逢澤寛君紹介)(第三三一号)
同外二件(亀山孝一君紹介)(第三三二号)
同外二件(小枝一雄君紹介)(第三三三号)
同(小坂善太郎君紹介)(第三三四号)
同(橋本正之君紹介)(第四〇七号)
同(吉川久衛君紹介)(第四〇八号)
同(櫻内義雄君紹介)(第四四〇号)
同外三件(橋本龍伍君紹介)(第四四一号)
同(金丸信君紹介)(第四六三号)
文官恩給調整に関する請願(岡部得三君紹介)
(第二五〇号)
同(佐藤觀次郎君紹介)(第二七九号)
同(天野光晴君紹介)(第三〇八号)
同(砂原格君紹介)(第三〇九号)
同(小坂善太郎君紹介)(第三四二号)
同(田中織之進君紹介)(第三四三号)
同(小林かなえ君紹介)(第四〇〇号)
同(西村英一君紹介)(第四〇一号)
同(船田中君紹介)(第四〇二号)
同(保科善四郎君紹介)(第四〇三号)
同(内海清君外一名紹介)(第四三九号)
同(寺島隆太郎君紹介)(第四六四号)
寒冷地手当増額に関する請願(小沢貞孝君紹
介)(第二七五号)
同(原茂君紹介)(第二七六号)
同(天野光晴君紹介)(第三〇五号)
同(野原正勝君紹介)(第三〇六号)
同外三件(猪俣浩三君紹介)(第三三五号)
同(小沢貞孝君紹介)(第三三六号)
同(木村守江君紹介)(第三三七号)
同外二件(中澤茂一君紹介)(第三三八号)
同(八百板正君紹介)(第三三九号)
同外三件(齋藤邦吉君紹介)(第四〇五号)
同(増田甲子七君紹介)(第四四二号)
同外四件(吉川久衛君紹介)(第四六五号)
元満州国等日系官吏の恩給法適用に関する請願
外六件(金丸徳重君紹介)(第二七七号)
同(菊地養之輔君紹介)(第二七八号)
同(山手滿男君紹介)(第三一五号)
同(大平正芳君紹介)(第四〇四号)
山形県下の寒冷地給級地是正等に関する請願(
加藤精三君紹介)(第三〇七号)
同(上林與市郎君紹介)(第三四〇号)
同外一件(西村力弥君紹介)(第三四一号)
建国記念日制定に関する請願(志賀健次郎君紹
介)(第三一三号)
同(川野芳滿君紹介)(第三一四号)
同外一件(齋藤邦吉君紹介)(第四〇六号)
国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び
薪炭手当の支給に関する法律の一部改正に関す
る請願外六件(西村関一君紹介)(第三四四
号)
同外七件(矢尾喜三郎君紹介)(第三四五号)
昭和三十四年一月二十二日
建設省職員の定数改正に関する請願(井岡大治
君紹介)(第四九七号)
同(館俊三君紹介)(第四九八号)
同(松浦定義君紹介)(第六九九号)
北海道開発局定員外職員の定員化に関する請願
(井岡大治君紹介)(第四九九号)
同(館俊三君紹介)(第五〇〇号)
同(松浦定義君紹介)(第五〇一号)
同外二件(館俊三君紹介)(第五九六号)
同(館俊三君紹介)(第六六一号)
文官恩給調整に関する請願(大原亨君紹介)(
第五〇二号)
同(赤澤正道君紹介)(第五八六号)
同(荒木萬壽夫君紹介)(第六九六号)
同(中垣國男君紹介)(第六九七号)
元満州国等日系官吏の恩給法適用に関する請願
(柏正男君紹介)(第五〇三号)
同(木村俊夫君紹介)(第五〇四号)
寒冷地手当増額に関する請願(野田卯一君紹
介)(第五〇五号)
同外七件(三宅正一君紹介)(第五〇六号)
同外九件(小沢貞孝君紹介)(第五八九号)
同(小松信太郎君紹介)(第五九〇号)
同(松平忠久君紹介)(第五九一号)
同外一件(中澤茂一君紹介)(第五九二号)
同(八田貞義君紹介)(第五九三号)
同外四件(小沢貞孝君紹介)(第六五六号)
同外三件(中澤茂一君紹介)(第六五七号)
同(八百板正君紹介)(第六五八号)
同外一件(原茂君紹介)(第六五九号)
召集旧軍人関係恩給の加算制復元に関する請願
(内海清君紹介)(第五八七号)
同(木村守江君紹介)(第五八八号)
同(福永健司君紹介)(第六九八号)
北海道の寒冷地手当及び石炭手当増額等に関す
る請願(小平忠君紹介)(第五九五号)
中野市の寒冷地手当引上げ等に関する請願(中
澤茂一君紹介)(第五九七号)
同(小沢貞孝君紹介)(第六五五号)
山形県下の寒冷地給級地是正等に関する請願(
西村力弥君紹介)(第六六〇号)
同月三十日
文官恩給調整に関する請願(亀山孝一君紹介)
(第七一三号)
同(中垣國男君紹介)(第七一二号)
同(野田卯一君紹介)(第七一四号)
同(山崎巖君紹介)(第七一五号)
同(逢澤寛君紹介)(第七八〇号)
同(三田村武夫君紹介)(第七八一号)
同(橋本龍伍君紹介)(第八二二号)
同(茜ケ久保重光君紹介)(第八四六号)
同外一件(田中彰治君紹介)(第八八六号)
同(楢橋渡君紹介)(第八八七号)
召集旧軍人関係恩給の加算制復元に関する請願
外三件(植木庚子郎君紹介)(第七一六号)
同(亀山孝一君紹介)(第七八二号)
同外一件(小泉純也君紹介)(第八一八号)
同(羽田武嗣郎君紹介)(第八一九号)
同(古井喜實君紹介)(第八二〇号)
同(辻政信君紹介)(第八八三号)
同(楢橋渡君紹介)(第八八四号)
同(櫻内義雄君紹介)(第八八五号)
寒冷地手当増額に関する請願外十九件(櫻井奎
夫君紹介)(第七一七号)
同外一件(中澤茂一君紹介)(第七一八号)
同(野口忠夫君紹介)(第七一九号)
同(原茂君紹介)(第七二〇号)
同外十一件(羽田武嗣郎君紹介)(第七八四
号)
同外六十三件(小沢貞孝君紹介)(第八一四
号)
同(中澤茂一君紹介)(第八一五号)
同(松平忠久君紹介)(第八一六号)
同外十六件(小沢貞孝君紹介)(第八四七号)
同(原茂君紹介)(第八四八号)
北海道の寒冷地手当及び石炭手当増額等に関す
る請願(松浦定義君紹介)(第七二一号)
同(山中日露史君紹介)(第七二二号)
同(館俊三君紹介)(第八四九号)
北海道開発局定員外職員の定員化に関する請願
外三件(横路節雄君紹介)(第七二三号)
同外二件(館俊三君紹介)(第八五〇号)
皇居再建等に関する請願(内藤隆君紹介)(第
七二四号)
建国記念日制定に関する請願外七件
(金子岩二君紹介)(第七八三号)
同外十三件(古井喜實君紹介)(第八二一号)
同(赤澤正道君紹介)(第八八八号)
真田地区菅平の寒冷地手当増額に関する請願(
羽田武嗣郎君紹介)(第八一七号)
は本委員会に付託された。
昭和三十三年十二月二十五日
皇居再建並びに平和記念館建設に関する陳情書
(第四号)
寒冷地手当増額に関する陳情書
(第五四号)
召集旧軍人関係恩給の加算制復元に関する陳情
書
(第五五号)
小牧飛行場に自衛隊航空団誘致に関する陳情書
(第五六号)
青少年の育成に関する陳情書
(第七〇号)
東富士演習場土地施設の返還等に関する陳情書
(第一号)
昭和三十四年一月二十七日
秋田県下の寒冷地手当増額等に関する陳情書
(第一〇九号)
売春対策審議会存続に関する陳情書
(第一一七号)
寒冷地手当増額に関する陳情書
(第一五五号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任に
関する件文部省設置法の一部を改正する法律案
(内閣提出第五五号)
科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第五一号)通商産業省設置法の一部を改
正する法律案(内閣提出第八四号)
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(
内閣提出第九一号)
防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第九四号)
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第
九五号)
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改
正する法律案(内閣提出第四八号)
恩給法の一部を改正する法律案(内閣提出第四
九号)
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七〇号)
農林漁業基本問題調査会設置法案(内閣提出第
九三号)
臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案(
内閣提出第二九号)(参議院送付)
郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四三号)
法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第五二号)
特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改
正する法律案(内閣提出第五四号)
経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第七一号)
大蔵省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七二号)
運輸省設置法等の一部を改正する法律案(内閣
提出第八六号)
農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第八九号)
水産庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第九〇号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/0
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001・内海安吉
○内海委員長 これより会議を開きます。
郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。廣瀬郵政政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/1
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002・廣瀬正雄
○廣瀬政府委員 ただいま議題になりました郵政省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
この法律案は、郵政省の省名を逓信省に改めること及び大臣官房に官房長を置くことの二点をそのおもな内容とし、その他一部委託業務に関する規定等の整備を行なっております。さきに第三十回国会において審議未了となりました法案に再検討を加え、電務局の設置を見合せ、官房長を新設することに内容を改めて提案のことといたしたものであります。
改正の第一点は、省名を逓信省と改めることであります。郵政省という省名は、昭和二十四年にもとの逓信省が二分され、電気通信省が独立したので、残りの郵便、郵便貯金、簡易生命保険等の事業を行う省の名称として用いられたものでありますが、その後昭和二十七年に日本電信電話公社等が設立され、電気通信に関する行政事務が郵政省の所管となり、また同時に、電波監理委員会の廃止に伴って電波行政事務も郵政省所管として復帰して参り、以来目ざましい需要の増大と技術の発展により、これら電波ないし電気通信部門の省内における比重がいよいよ高まって参りましたので、通信行政主管庁であり、かつ郵政事業をも経営するという省の実体に相応するよう、省名を逓信省と改めようとするものであります。
改正の第二点は、特別の職として大臣官房に官房長を置くことであります。郵政省の大臣官房は、二十六万余の職員を有する現業庁の官房として、省の発足以来人事部等三部を含む大きな機構であったのでありますが、電波ないし電気通信行政をも行うようになり、その事務が質的及び量的に発展して参りましたのに伴い、省外との接触、総合調整その他内外にわたる官房の事務を一そう適切確実に行う必要度が増大して参りましたので、官房長を置こうとするものであります。
この法律案のおもな内容は以上二点でありますが、このほか、国家公務員共済組合及び国家公務員共済組合連合会からの委託業務に関する規定を設ける等一部規定の整備をも行なっております。
以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/2
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003・内海安吉
○内海委員長 次に臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案、農林省設置法の一部を改正する法律案及び水産庁設置法の一部を改正する法律案を一括議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。石坂農林政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/3
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004・石坂繁
○石坂政府委員 ただいま上程になりました臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案の提案理由を御説明申し上げます。
青果物、魚介類、肉類等いわゆる生鮮食料品の流通の改善をはかることは、農畜水産業の経営を改善する上からも、一般消費者の利益を増進する上からもきわめて重要であります。これら生鮮食料品の流通におきましては、品質が変化しやすく、迅速な取引を要するという生鮮食料品の特質から、産地あるいは消費地の卸売市場において大量の需要と供給が集中し、その市場取引によって価格が決定されているのでありまして、卸売市場はいわば生鮮食料品の流通機構の中核をなしているのであります。政府は、大正十二年に中央卸売市場法が制定されまして以来、同法に基きまして中央卸売市場の育成及び指導監督を行なって参ったのでありますが、現在までのところ、中央卸売市場を開設した都市は六大都市を含めてわずかに十六都市でありまして、消費都市に卸売市場を建設して流通経費の節減と価格の安定をはかるという同法の目的は十分には実現されていない状況であります、また中央卸売市場の開設、取引機構、取引方法などに関する現行制度につきましても、生鮮食料品の流通事情の変化にかんがみまして根本的に検討すべき点が多いと存ずるのであります。さらに生鮮食料品の卸売市場としましては、中央卸売市場法の対象とならない一般の消費地卸売市場及び水産物の水揚地に開設されておりますいわゆる産地市場がきわめて多数ありまして、現に流通上重要な地位を占めているのであります。これらの市場につきましては一部の都道府県においては条例を制定して指導監督を行なっているのでありますが、生鮮食料品の適正かつ円滑な流通をはかる上におきまして、これらの市場の業務の公正な運営を確保し、市場を中心とする流通秩序の整備をはかることが必要と認められるのでありまして、これらについても適切な対策につきましてすみやかに検討を行う必要があるのであります。
以上のような生鮮食料品の流通事情にかんがみまして、生鮮食料品の卸売市場につきましてすみやかに全般的な検討を行い、対策の確立をはかりますために、さきに第二十八国会における中央卸売市場法の一部を改正する法律の審議に際して、両院の農林水産委員会の附帯決議によって御要望のありました御趣旨も考慮しまして、臨時に調査会を設置することとし、これに必要な法律案を提出した次第であります。
以下この法律案の内容について概略御説明申し上げます。
まず農林省に付属機関として臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会を設置することとしておりまして、調査会の所掌事務としましては、農林大臣の諮問に応じ生鮮食料品の卸売市場についての対策に関する重要事項を調査審議することとしております。次に本調査会の組織でありますが、調査会は委員三十人以内で組織するものとし、このほか必要に応じて専門委員を置くことができることとしております。これら委員及び専門委員は、生鮮食料品の卸売市場対策に関し学識経験のある者のうちから農林大臣が任命することとしております。調査会の答申につきましては、卸売市場対策を緊急に確立する必要があることにかんがみまして、調査審議の結果をこの法律の施行の日から一年以内に農林大臣に答申するものとしております。このほか、この法律の制定に伴いまして必要とされる農林省設置法の一部改正を行うこととしております。
以上がこの法律案を提出する理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
次に農林省設置法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
今回の改正の内容は三点ございますが、その第一点は、農地行政関係事務の増加に即応いたしまして、その処理の円滑化をはかりますため、名古屋市に、岐阜、愛知及び三重の三県を管轄いたします名古屋農地事務局を設置いたそうとするものであります。御承知の通り現在農地事務局は、仙台、東京、金沢、京都、岡山及び熊本の六事務局が設置されているわけでありますが、従来京都農地事務局管内の農地行政関係事務は、その事務量がかなり多く、今回名古屋農地事務局の所轄区域に予定しております岐阜、愛知及び三重の二県下におきましての国営建設事業は、国全体の事業量の約一七%を占めるという実情にありますので、特に名古屋建設事務所を置いてその事務処理に当らせて参ったのでありますが、近時この地方の農地の管理関係及び計画関係の事業量も増大して参っておりますため、この増大いたします事業量を円滑に処理し、かつ関係地方との連絡上の便宜をはかって参りますために、名古屋建設事務所を格上げいたしまして、管理及び計画の部門をも強化し、名古屋農地事務局といたしたいと存ずる次第であります。
第二点は、林野庁の付属機関といたしまして林木育種場を設置しようとするものであります。近年わが国の木材需要の増加の趨勢は特に顕著なものがございまして、毎年の伐採量は森林の生長量をはるかに超過している現状であります。従いまして造林事業の拡充には特に努力いたしているところでありますが、極力短期間に森林資源の造成をはかるためには、林木の素質を改良してその生長量を高めることが根本であります。林野庁におきましては、昭和三十二年度より林業試験場におきましてこの林木の品種改良事業を積極的に推進して参ったのでありますが、この事業は将来長期にわたって計画的に行なって参る必要がございますので、国有林野事業特別会計の民有林に対する協力体制の一環といたしまして、林木の育種事業を行い、これにより生産された種苗を配付する林木育種場を独立の付属機関として設置したいと存ずる次第であります。なお林木育種場の設置場所といたしましては、北海道、岩手県、茨城県、岡山県及び熊本県の五カ所を予定しております。
第三点は、林業講習所の支所を設置することができることとしようとするものであります。御承知の通り林野庁におきましては、林業の経営及び技術に関しまして職員の教習を行なってその資質の向上をはかりますため、昭和二十七年林業講習所を東京に設置し、今日に及んでおりますが、北海道につきましては、風倒木処理後の拡大造林に伴う経営の拡充合理化等の特殊な問題もございますので、その重要性にかんがみまして、北海道に林業講習所の支所を設置いたしたいと存ずるのでありますが、現在この支所設置の規定を欠いておりますので、農林大臣が所要の地に支所を設置することができる旨の規定を置きたいと存ずる次第であります。
以上農林省設置法の一部を改正する法律案の提案理由を申し上げましたが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いする次第であります。
最後に水産庁設置法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
この法律案の内容は、漁港関係行政事務を円滑に処理いたしますため、水産庁に漁港部を新たに設けようとするものであります。わが国の水産業の発展を期するためには、政府といたしましても種々の水産施策を推進して参らなければなりませんが、特に漁業の生産基盤であります漁港について、すみやかにその整備をすることが重要な施策の一つであると考えております。
漁港行政につきまして、漁港に関する基本法といたしまして、昭和二十五年に漁港法が制定されたのでありますが、それ以来この法律に基きまして指定されました漁港は二千六百八十港の多きに達し、そのうち現在六百四港が漁港整備計画に従い、漁港修築事業を推進し、また漁港管理者の指定等により漁港の維持管理の適正化をはかっております。他方、昭和三十一年に制定されました海岸法に基きまして、漁港に関連の深い海岸保全施設の保全等にも努力をいたしておりますが、これらの漁港行政事務が近年著しく増大して参りますとともに、その行政の範囲及び内容等が複雑化の一途をたどっており、従いまして漁港に関する調査計画及び漁港施設の設計の指導等につきましては、必ずしも十分に所期の目的を達成していない実情であります。従いまして政府といたしましては、今後の漁港行政の一そう円滑な運営を期しますために、水産庁に漁港行政事務を所掌する漁港部を設置することとし、このため水産庁設置法の一部を改正する法律案を提案いたした次第でございます。
次に、この法律案の内容についてその概略を申し上げますと、水産庁に内部部局といたしまして、現在ございます漁政部、生産部及び調査研究部のほかに漁港部を設け、その所掌事務といたしましては、現在、生産部の所掌事務に含まれております漁港関係の行政事務を、そのままこれに移管することとしております。
以上が水産庁設置法の一部を改正する法律案の提案の理由であります。何とぞこれまた慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いする次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/4
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005・内海安吉
○内海委員長 次に特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び大蔵省設置法の一部を改正する法律案を一括議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。山中大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/5
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006・山中貞則
○山中政府委員 ただいま議題となりました特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由とその概要を御説明申し上げます。
政府は、今回一般職の職員につきまして、昭和三十四年十月一日以降暫定手当の一部を俸給に繰り入れる措置を講ずることとし、別途所要の法律案を提出して御審議を願うことといたしているのでありますが、この法律案は、これに伴い、従来より一般職の職員との権衡をも考慮してその俸給が定められております秘書官につきまして、同様に暫定手当の一部を俸給に繰り入れるとともに、その他の特別職の職員につきましても、恩給もしくは退職手当または国家公務員共済組合に関する法令の規定の適用に当って、その受ける暫定手当の一部を俸給とみなすこととするほか、特別職の職員の給与に関する法律の適用範囲を定める規定につき若干の改正を行おうとするものであります。
次に大蔵省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と内容の概略を御説明いたします。
政府といたしましては、常に行政運営の改善に留意いたしているところでありますが、このたび行政審議会の答申の趣旨にかんがみ、従来行政措置により設置しておりました金融機関資金審議会を大蔵省の付属機関として法定いたしますとともに、新たに保険審議会および専売制度調査会を設置して、保険制度その他保険行政に関する重要事項または専売事業の経営方式等に関する大蔵大臣の諮問機関としようとするものであります。専売制度調査会につきましては、昭和三十二年末の公共企業体審議会の答申によって、専売事業の経営方式を検討する調査機関を設けるよう勧告を受けたものでありまして、その結論を得るまでの臨時的機関として、その存続期間も特に一年といたしました。
次に醸造試験所は、明治三十七年勅令により東京滝野川に設けられて以来、醸造に関する試験研究機関として活動を続けてきたのでありますが、昭和二十四年国税庁の設置後は同庁に移管され、国税庁長官訓令により規制されており、設置法上その規定が明確を欠いておりますので、これを酒類の分析、鑑定及び醸造の試験、講習、指導を行う国税庁の付属機関として法定いたすこととした次第であります。
なおこのほか、税関の管轄区域に関しまして、若干の規定の改正を行うことといたしておりますが、いずれも実質的に変更をもたらすものではなく、市制施行に伴う行政区画の改正に即しまして、この際規定の整備をはかろうとするものであります。
以上、二法律案の提案の理由と内容の概略を申し上げましたので、御賛成下さいますようお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/6
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007・内海安吉
○内海委員長 次に文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。橋本文部大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/7
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008・橋本龍伍
○橋本国務大臣 このたび政府から提出いたしました文部省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、本省大臣官房に官房長を設置するとともに、国立中央青年の家の設置について必要な規定を設けることとしたものであります。
まず官房長の設置及びこれに関連する事項について御説明申し上げます。文部省におきましては、従来から省内各部局の所掌事務について総合調整を要する事務が少くなかったのでありますが、最近は特に科学技術教育の振興に関する問題等総合的角度から検討を要する事柄が多く、部内部外にわたって調整を要すべき事務がとみに増加いたして参りました。これらの事務を処理し推進する機能を強化するとともに、大臣官房の所掌事務を一そう効率的に運営するため、今回文部省においても大臣官房に官房長を置くことといたしたいのであります。なお、現在調査局において所掌いたしております広報に関する事務は、その性質から見まして官房長に掌理いたさせることが適当であると考えましたので、これを大臣官房の所掌に移すことといたしました。
次に国立中央青年の家の設置に関する事項について御説明申し上げます。従来都道府県あるいは市においては、青年の健全な育成をはかるための社会教育施設として青年の家が建設されて参っており、国もこれに対して助成措置を講じて参ったのでありますが、このたび、全国の青年のため団体宿泊訓練を行う機関として国立中央青年の家を設置し、健全な青年の育成に資することといたしました。これは米軍から返還された静岡県東富士演習場の施設の一部を利用し、これを整備して、新年度より必要な事業を開始する予定になっております。
以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上御賛成下さるようお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/8
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009・内海安吉
○内海委員長 次に行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。山口国務大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/9
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010・山口喜久一郎
○山口国務大臣 ただいま議題となりました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の提案理由について御説明いたします。
今回提案いたしました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案は、昭和三十四年度における各行政機関の事業予定計画に即応して、必要やむを得ない事務の増加に伴う所要の増員を行いますとともに、業務の縮小等に伴う余剰定員の縮減を行いまして、行政機関全般の定員の適正化をはかろうとするものであります。
次に法律案の内容について申し上げますれば、今回の改正によりまして、第二条第一項の表における各行政機関の職員の定員の合計六十七万四千百四十四人に対しまして、結局五千五百十七人を増加いたしまして、合計六十七万九千六百六十一人といたしました。
増員及び減員の内容につきましては、別に詳しく御説明いたしますが、増員のおもなるものといたしましては、科学技術庁付属の研究所の整備拡充等に伴うもの二百三十七人、国立大学の学年進行、学部の増設等に伴うもの六百二十六人、郵便取扱い業務量の増加に伴うもの二千五十五人、電気通信施設の拡張に伴うもの千九百十七人、道路事業の増加に伴う増三百八十人等がありますが、いずれも業務の増加、拡張に伴う必要やむを得ないものであります。なお、事業計画に伴い減員となるおもなるものといたしましては、逓信省の電信電話業務を日本電信電話公社の直轄に移管することに伴うもの五百八十七人、調達庁の行なっております駐留軍施設等の提供業務の減少によるもの三百二十人等があります。
次に、この改正法律は四月一日から施行することといたしております。
以上がこの改正法律案のおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/10
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011・内海安吉
○内海委員長 次に法務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。木島法務政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/11
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012・木島虎藏
○木島政府委員 法務省設置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案の要旨は、法務省設置法の一部を改正して、法務省の付属機関である法務研修所を、職員に対する研修のほか、刑事政策に関する総合的な調査研究をも行う機関とするとともに、その名称を法務総合研究所に改めること、東京婦人補導院の位置を八王子市に改めること、千葉市外四カ所に入国管理事務所の出張所を置くこと及び市町村の廃置分合等に伴い、法務局及び地方法務局の管轄区域等を定める法務省設置法の別表三、五、十一及び十二について所要の整理を行うことの四点であります。
一、まず法務総合研究所についてでありますが、終戦以来すでに十有余年を経過し、国民生活もようやく安定を見るに至りましたにもかかわらず、国内における犯罪発生の数は必ずしも減少の傾向を示さないのみならず、近時、犯罪の手段、方法等はますます複雑巧妙化するとともに、しばしば殺傷等の結果を伴い、しかもこれらの犯罪者中には多くの青少年のほか、少からぬ職業的または常習的犯罪者のあることは御承知の通りでありまして、まことに憂慮にたえない次第であります。法務省におきましては、最近におけるこれらの犯罪現象の特異性にかんがみ、これに対処すべき方策を考究して参りましたが、このたび、法務大臣所部の職員に法務に関する専門的研究を行わせ、または職務上必要な訓練を行り研修機関として、法務大臣の管理のもとに置かれておりました法務研修所を改組し、新たに刑事政策に関する総合的な調査研究をも行う機関とするとともに、その名称を法務総合研究所と改め、刑事政策に関する諸科学の基本的研究、犯罪の予防、刑罰の効果並びに矯正保護の技術及び効果に対する実証的研究を行わせ、さらにこれらの研究の成果に基く総合的対策に関する調査研究を遂げしめて、これにより抜本的にして適切妥当な犯罪対策を樹立し、法務省所管の各関係機関を通じて、これを逐次実施に移して参りたいと考え、ここに所要の改正措置をいたしたのであります。
二、東京婦人補導院の位置を八王子市に改めることについてでありますが、御承知のように昭和三十二年法律第百五十四号法務省設置法の一部を改正する法律により、東京外二カ所に婦人補導院が置かれることとなり、東京婦人補導院の位置は東京都府中市と定められ、法務省におきましては同婦人補導院の敷地として同市貫井前所在の府中刑務所耕耘地を予定し、建設計画を推進いたしましたところ、その後における詳細な検討の結果、右予定地の地理的条件、環境等が必ずしも適当でないと認められるに至りました。そこで鋭意他に適当な用地を求めるべく努力し、幸いに関係各方面の協力を得て、このたび八王子市中野町甲原所在の適当な土地を確保し得るに至りましたので、ここに法務省設置法別表六中の東京婦人補導院の位置を八王子市に改めようとするものであります。
三、千葉市外四カ所に入国管理事務所の出張所を置くことについてでありますが、近時わが国と諸外国との国交は二、三の例外を除いてほとんど戦前の状態に復し、これに伴って貿易、学術研究、観光等のため来往する外国人の数も年々増加いたしておりますが、現在外国人の出入すべき港として指定されているもの九十港のうち、入国管理事務所の出張所の設置があり、職員が常時出入国管理業務を行なっておりますものは四十八港にとどまり、他の四十二港につきましては、外国船舶等の出入のつど、もよりの入国管理事務所から職員が出張して業務を行なっている実情であります。もとよりすべての出入国港に出張所を設け、職員を配置するのを適当とするかどうかは、経費の問題もあり、慎重に検討を要するものと考えますが、このたび、年間を通じての外国人の出入数及び港の地理的条件等を勘案し、千葉、舞鶴、小倉、三角の四海港及び伊丹の空港について、それぞれ入国管理事務所の出張所を設置することとし、法務省設置法別表十二に、新設する出張所の名称及び位置を加える改正を行おうとするものであります。
四、法務省設置法別表の整理についてでありますが、最近における市町村の廃置分合、名称変更等に伴い、法務局、地方法務局及び入国管理事務所の名称、位置及び管轄区域並びに少年院及び少年鑑別所の名称及び位置等を定めている法務省設置法別表三、五、十一及び十二について整理の必要を生じましたので、所要の整理を行おうとするものであります。
以上が法務省設置法の一部を改正する法律案の趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/12
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013・内海安吉
○内海委員長 次に経済企画庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。河本経済企画庁政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/13
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014・河本敏夫
○河本政府委員 ただいま議題となりました経済企画庁設置法の一部を改正する法律案について、提案の理由と内容の概要を御説明申し上げます。
最近鉱工業地帯の一部におきまして、地盤沈下の現象が著しく、産業の発展並びに民生の安定上憂慮すべき問題を生じております。すなわち、地盤沈下に起因して公共施設の機能低下あるいは災害発生のおそれ等の事態を生じ、この現象をこのまま放置するとまは、産業の発展を阻害するだけでなく、国土の保全、民生の安定上重大な支障となると考えられますので、政府といたしましては、経済企画庁の付属機関として地盤沈下対策審議会を設置し、諸般の対策に関する重要事項を調査審議することとした次第であります。
次に九州地方には、北九州工業地帯等先進工業地帯もありますが、他面経済的条件に恵まれない広大な未開発後進地域を擁し、この地域における民生の向上と経済の発展はきわめて停滞的であります。このような停滞性を打破し、資源の開発並びに産業の振興を促進することは、九州地方の民生の安定と向上に資するのみならず、わが国経済の発展のためにもきわめて重要なことでありますので、このため九州地方の開発に関する重要事項を調査審議するため、九州地方開発審議会を経済企画庁の付属機関として設置することとした次第であります。
以上、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案の提案理由並びにその内容の概要を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/14
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015・内海安吉
○内海委員長 この際、伊能国務大臣より発言を求められておりまするが、同時にその発言が終りましたならば、防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題として、政府より提案理由の説明を求めます。伊能国務大臣。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/15
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016・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 法案説明を申し上げる前に、一言ごあいさつを申し上げます。
私このたびはからずも防衛庁長官を拝命いたしました。申し上げるまでもなく、自衛隊はわが国防衛の重大な任務を持っておりますので、私その職につきますについて、自分の責任のいよいよ重大なることを痛感する次第でございます。
最近の世界情勢については、すでに皆様御承知のように、緊張緩和の方向に世界各国の努力がなされておりますにもかかわらず、国際間の対立は依然として庶幾の方向に解消するような段階に至っておらないことは非常に残念に思います。わが国の防衛につきましても、このような国際情勢をしかと認識をいたしまして、さきに政府として決定いたしました国防の基本方針に基いて、日本の国力、国情に沿った漸進的な防衛力の増強をはかって参りたいというのが政府の方針であり、私自身もさように考えておる次第であります。
なお政府といたしましては、最近の科学技術の急速な進歩発達の状況にかんがみまして、技術の研究開発という点には最重点を置きまして、装備の近代化とともに教育練成の強化につきましてもできるだけ努力をいたしまして、自衛隊本来の任務の達成に遺憾なきを期したい、かように存じている次第でございます。
また自衛隊につきましては、広く国民各位の御理解と支持なくしては、これが本来の目的を達成し、その任務に遺憾なきを期することは困難だと存じまするので、この点は最近の皆さんの非常な御協力によりまして、自衛隊に対する正しい認識が逐次深まって参りましたことは、非常にありがたいことと存じております。私も微力ではありますが、国民から信頼を受け、支持を受けるにふさわしい自衛隊の育成という点に最善の努力を払いたいと存ずる次第でございます。当委員会におきましても、今後いろいろと御支持、御鞭撻を賜わることが多かろうと思いますが、今後よろしくお願いを申したいと思います。
一言、法案説明に先立ちましてごあいさつを申し上げる次第でございます。(拍手)
それでは防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容の概要について御説明申し上げます。
最初に防衛庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
政府は、現下の情勢に対処し、国力に応じて防衛力を整備する必要があることを認めまして、防衛庁の職員の定員を一万二千八十二人増加し、現在の定員二十四万二千七百十七人を二十五万四千七百九十九人に改めることといたしました。この一万二千八十二人の増加分のうち、八千八百三十三人が自衛官でありまして、残りの三千二百四十九人が自衛官以外の職員であります。自衛官の増加分は、海上自衛官については二千二百二十六人でありまして、艦艇の増加に伴い当然必要とされる要員並びに航空部門の増強及び後方関係の充実等のために充てる職員であります。また航空自衛官の増員は六千六百人でありまして、航空団の増設並びに航空管制、教育、補給、整備等の各部門の拡充のために充てるものであります。
次に自衛隊法の一部を改正する法律案について申し上げます。
第一に陸上自衛隊における指揮隷属の関係を整理いたしまして、隊務遂行の効率化をはかるために、新たに東北、東部、中部の三方面隊を増置いたしまして、全国に五方面隊を配置することとし、管区隊及び混成団はすべてこれらの方面隊の隷属部隊とするとともに、従来これらの部隊の長に認められておりました補給処等の機関に対する指揮監督権を方面総監に認めることといたしたのであります。また航空自衛隊における操縦教育の一体的運営をはかり、その能率を増進するために、新たに飛行教育集団を置くこととし、航空団と飛行教育団とをもってこれを編成することとするほか、航空防衛力の整備をはかりまするため、中部航空方面隊の隷下部隊といたしまして新たに航空団一を増置することといたしました。なお第十混成団本部、第三航空団司令部及び管制教育団司令部の所在地等を今回変更することといたしたのであります。
第二に自衛隊における診療に従事しまする隊員の当該専門技術に関する訓練または看護に従事する隊員の養成は、自衛隊の病院において行うこととするのが適当であると考えまして、これらの訓練または養成を自衛隊の病院において行うことといたしました。
以上、両法案の提案の理由及びその内容の概要を申し上げた次第でありまするが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成賜わりまするようお願いいたす次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/16
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017・内海安吉
○内海委員長 この際、高碕国務大臣より発言を求められておりまするからこれを許します。同時にこの発言が終りましたならば、本日の日程であります科学技術庁設置法の一部を改正する法律案及び通商産業省設置法の一部を改正する法律案を一括して議題といたしまするから、政府より提案理由の説明を求めます。高碕国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/17
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018・高碕達之助
○高碕国務大臣 私、今般科学技術庁の長官を兼任することに相なりましたので、どうかよろしく御後援をお願いいたします。
ただいま議題となりました科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につき御説明申し上げます。科学技術庁は、昭和三十一年五月に設置されて以来現在まで約二年有半を経過いたし、その間科学技術の振興をはかり、国民経済の発展に寄与するため、諸般の施策を推進して参ったのでありますが、従来の機構が、科学技術に関する基本的かつ総合的なる政策の企画立案という面では必ずしも十分とは考えられないので、これを十全の体制に編成することにより、科学技術振興に関する政府の施策の遂行をさらに周密なるものたらしめるとともに、あわせて科学技術会議の発足後、同会議の円滑にしてかつ効果的なる運営に資するため、またこれに加えて現在ますます複雑膨大をきわめつつある原子力行政に対処するため、現機構の一部を改組する必要がありますので、ここに科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を提案する次第であります。
以下本法案につき、その概略を御説明申し上げます。改正の第一点は、従来の企画調整局及び調査普及局を廃止し、これにかえて計画局及び振興局を設けることであります。現在企画調整局は、科学技術に関する基本的なる政策の企画、立案及び推進に関すること、関係行政機関の科学技術に関する事務の総合調整に関すること、関係行政機関の科学技術に関する経費等の見積りの方針の調整に関すること等をその所掌事務といたしておるのでありますが、従来ともすれば実務的な調整事務に労力がさかれて、基本的政策の企画立案が第二義的に考えられる傾向がありました。今後は科学技術に関する内外の動向の周密なる調査と分析、あるいは統計を基礎として科学技術に関する基本的政策は強力に推進せらるべきものと考えますので、今回の改正案におきましては、従来企画調整局、調査普及局で取り扱っていた事務のうち、調査事務と基本的な政策等の計画事務に関する部分はこれを一体化し、これを新設される計画局の所掌事務とし、右に述べました要請にこたえ得る機構といたしました。これに伴い、関係行政機関の事務の総合調整、科学技術の振興、普及等いわゆる行政的実務に属するものは、これを新設される振興局の所掌事務といたし、所掌事務の性格から見て事務を有機的に再配分することにより、効率的なる施策の遂行を眼目といたしたいと存じております。
改正の第二点は、科学審議官の職務に関するものであります。現在科学審議官は、命を受け、科学技術庁の所掌事務に関する重要なる方針の決定について長官を補佐することとなっておりますが、右に申し上げた今回の機構改正の趣旨にかんがみ、科学技術に関する基本的な政策を審議することが、科学審議官の職務のうちでも最も重要なるものと考えますので、科学技術に関する基本的な政策の審議を従来の職務から特に抽出掲記した次第であります。
改正の第三点は、原子力局に従来置かれている次長一人を二人に増員することであります。最近英米両国との間に原子力の平和的利用に関する協力協定も締結され、わが国における原子力の平和的利用は今後さらに促進されることと存じますが、これに伴い増大する原子力局の所掌事務を円滑かつ機動的に運用するため、今回の改正案においては次長一人を増員したいと考えている次第であります。
以上はなはだ簡単でございますが、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げました。科学技術振興の重要性に対する皆様の深い御理解によりまして、本法案が可決されることを心から希望いたします。本法案の慎重なる御審議の上、すみやかに可決されるようお願い申し上げます。
引き続いて、通商産業省設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。
現行鉱業法は、鉱物資源の合理的開発をはかるため、鉱業に関する基本的制度を定めることを目的として昭和二十五年十二月に制定されたものでありますが、その骨子となっておりますところの鉱業権制度及び鉱業の実施に関する諸規定は、明治三十八年に制定された旧鉱業法の規定をほとんどそのまま踏襲したものであります。従いまして、この鉱業法につきましては、高度に発展し、複雑化した現在の経済関係に照らし、問題となる部分が多々見受けられるのであります。さきに臨時国会において、折から頻発した石炭鉱山の災害に対処するため、応急的に鉱業法の一部規定について所要の改正を行なった次第でありますが、その際におきましても衆議院、参議院の両院におかれまして、できるだけすみやかに鉱業法の全面的再検討を行うべしとの附帯決議がなされております。これらの事情にかんがみまして、政府といたしましては同法の全面的再検討に着手することといたした次第であります。
しかしながら鉱業法は、上述のごとく鉱業に関する基本的制度を定めた法律でありまして、かつ今回改正を予想される事項のうちには、鉱業権の設定、地上権との調整等、鉱業権の本質に関する事項も多く含まれておりますので、その立案に当って、審議会を設置することにより、広く意見を求めることが必要であります。このため、通商産業省の付属機関として鉱業法改正審議会を設けて、鉱業法の改正に関する重要事項を調査審議させることといたしました。
以上が通商産業省設置法の一部を改正する法律案を提出する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/18
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019・内海安吉
○内海委員長 次に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、恩給法の一部を改正する法律案、総理府設置法の一部を改正する法律案及び農林漁業基本問題調査会設置法案を一括議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。松野総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/19
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020・松野頼三
○松野政府委員 ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由並びに内容の概略を御説明申し上げます。
この改正案は、昨年七月十六日付の人事院勧告に基き、一般職国家公務員の期末手当を増額し、俸給表の改正を行い、あわせて一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律(昭和三十二年法律第百五十四号)附則第二十三項の規定の趣旨にかんがみ、現行暫定手当の一部を俸給に繰り入れるとともに、これに伴う暫定手当の整理を行おうとするものであります。すなわち第一に、六月十五日に支給する期末手当の額を〇・一五月分増額して〇・六五月分とすることにいたしました。第二に、現行の各俸給表について、初任給相当額の若干の引き上げ及びこれに伴う俸給月額の改訂を行い、若干の号俸について昇給期間をそれぞれ三月短縮し、一部の俸給表の一等級について二号俸の新設を行うほか、あわせて、現行の暫定手当のうち一級地に在勤する職員に支給される額に相当する額を俸給月額に繰り入れる措置を行うことといたしました。第三に、暫定手当について、その一定額の俸給月額への繰り入れに伴い、その支給対象を原則として二級地以上の地域に在勤する職員とし、支給額の算定基準をそれぞれ五%彩引き下げる等の改正を行うことといたしました。
この法律案は、以上の趣旨に基きまして、一般職の職員の給与に関する法律及び関係法律の改正を行おうとするものでありますが、暫定手当の一定額繰入れによる俸給月額の改訂部分は、実質的に本年十月一日から実施するよう措置するとともに、これに伴う暫定手当の改正部分も同日から施行することとし、その他の部分については、本年四月一日から施行しようとするものであります。
何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました恩給法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
戦没軍人遺族並びに戦傷病者の処遇の改善と老齢退職公務員の処遇の向上につきましては、一昨年六月設置されました臨時恩給等調査会の答申に基き、昨年法律第百二十四号をもって公布されました恩給法等の一部を改正する法律により、所要の措置を講じた次第であります。ところで戦傷病者の恩給上の処遇につきましては、現在の傷病恩給は外形の症状に重点が置かれ、内部疾患については軽視の傾きがあるとの同調査会からの御指摘がありましたのにかんがみ、昨年三月以来、傷病恩給症状等差の調査のため、専門家の会同をわずらわし、検討をお願いしておりましたが、その結果が同年九月三十日政府に報告されましたので、政府は今回この報告をもととして、傷病恩給に関し必要な法的措置をとろうとするものであります。
その第一点は、内部疾患の査定基準を定めようとするものであります。肺結核、精神障害等のいわゆる内部疾患につきましては、従来恩給法別表第一号表ノ二または同別表第一号表ノ三に掲げる精神的または身体的作業能力の制限という抽象的な規定を類推解釈して、妥当と認められる増加恩給または傷病年金を給与して参ったのでありますが、これら従来の内規あるいは裁定例を再検討し、ここに近代医学の観点から合理的な基準を明白にすることによって、症状の実態に即する適切なる給与を行うことができるようにしようとするものであります。
その第二点は、有期の増加恩給または傷病年金の期間五年を三年以上五年以内の期間に改めようとするものであります。現行法におきましては、増加恩給または傷病年金の裁定をするに当り、内部疾患のように、長期的に見て症状に動きのあるものにつきましては、五年の期間を定めた恩給を給与し、五年目ごとに再調査をするという措置がとられておりますが、今日のように医学の進歩に伴い、内部疾患の療法が変化し、疾病の経過が長いもの、短いもの等、多種多様の形をとっているときに、すべての疾患について五年を単位として恩給を給することは、実情にそぐわないものがあります。そこで恩給の査定が常に疾病の消長に対応するようにするため、不具廃疾の程度に変動のあるべきことの認められるようなものについては、三年以上五年以内の期間を定めて合理的な恩給を給することができるように改めようとするものであります。
以上が、この法律案の提案の理由及び概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
次にただいま議題になりました総理府設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由を説明いたします。
この法律案は、総理府にその付属機関として新たに皇居造営審議会以下の五機関を付置しようとするものであります。
まず第一に、皇居造営審議会の設置であります。明治二十一年皇居内に造営されました宮殿は、戦時中空襲で焼失しましたため、戦後は宮内庁庁舎の一部を表宮殿とし、御文庫を両陛下の御住居に当てて参りましたが、国際外交の復活等に伴い、皇居において行われる国家的行事も増大し、現在のような狭くかつ粗末な仮宮殿では、とうていその必要を満たし得なくなっており、また御文庫も防空施設を改装したものであるため、両陛下の御住居としては適当でないと考えられます。従って皇居を造営する必要があると思われますので、この際一年の期間をもって本審議会を設置し、宮殿の位置、規模、様式、経費、実施計画その他皇居造営に関する重要事項に関し、広く各界有識者の意見を聞き、国民の理解と協力を得て、現代にふさわしい皇居を造営しようとするものであります。
第二は、訴願制度調査会の設置であります。行政の公正な運営と国民の権利救済をはかるための訴願制度としては、明治二十三年制定されました訴願法とその後これを補足するため制定された数多くの個別法令がありますが、訴願法は制定後何らの改正も行われず、また個別の諸法令においてもその内容が区々であり、現行訴願制度には全般的に見て幾多の不備不統一があることを否定し得ないのであります。特に現行行政事件訴訟特例法によれば、行政訴訟は、それが訴願を経た後でなければ提起することができないという訴願前置主義がとられており、同法については現在政府において全面的に再検討を加えておりますが、これと歩調を一にして訴願制度そのものについても、これを公正かつ能率的なものとする必要がありますので、この際一年の期間をもって本調査会を設け、民意を盛った合理的な成案を得たいと存ずるものでございます。
第三は、固定資産評価制度調査会の設置であります。固定資産税、相続税、贈与税及び登録税の課税における固定資産の評価の現状を見ますと、それぞれの課税標準となる価格が区々であるとともに、各市町村間の評価の均衡も十分に確保されているとは言いがたく、これがため税務行政にも多大の支障が生じております。よって、この際二年の期間をもって本調査会を設置し、固定資産税その他租税の基礎となるべき固定資産の評価の適正を期し、あわせて評価の一元化をはかるため、固定資産の評価の方法、評価の機構等に関する必要な措置について調査審議を行わんとするものであります。
第四は、税制調査会の設置であります。昭和二十四年シャウプ勧告において、国税、地方税を通ずる租税制度に関して全般的な検討が行われまして以来、各種税法については毎年若干の改正が加えられて参りましたが、このような手直しを続けることももはやほとんど限界にきていると考えられますので、この際三年の期間をもって本調査会を設け、租税体系のあり方、企業課税の方式等、国税、地方税を含めた全般的な租税制度のあり方について調査検討を加えようとするものであります。
第五は、産業災害防止対策審議会の設置であります。最近における産業災害の発生状況は、年々増加の傾向にあり、なかんずく中小企業における災害の激増並びに爆発、落盤等による重大災害頻発の傾向は、人命の尊重、経済的損失の防止等の見地からも見のがし得ない実情にあります。これを昭和三十二年における労働災害について見れば、死傷者数は七十一万人に上り、その経済的損失千五百億と見込まれ、今後ますます増大する趨勢にあります。従ってこれら産業災害を防止するため、この際五年の期間をもって本審議会を設け、労使を含めた民間関係者の盛り上る熱意に基く活発な意見を求めてこれが対策を講じ、かつこれを強力に推進して参りたいと存じます。
以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。
ただいま議題となりました農林漁業基本問題調査会設置法案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
わが国農林漁業の生産力は、戦後著しく増大し、国民経済の復興と成長に寄与するところ大なるものがあるにもかかわらず、その反面、農林漁業と他産業との間の所得の較差はなお相当の開きを示しているのであります。このような情勢に対処いたしまして、農林漁業政策の基本目標は、農林漁業と他産業との均衡ある発展を確保し、農林漁業の所得の増大を通じて農山漁家の生活の安定向上をはかることにあると考えます。またこのことは、ひとり農林漁業対策上の基本的事項であるばかりでなく、国民経済の体質改善とその安定的成長に資するゆえんでもあると考えるのであります。従いまして、農林漁業における生産性の向上と所得の増大をはかるため、今後さらに生産基盤の整備拡充と生産流通機構の合理化を推進すべきはもとよりでありますが、新たな角度から農林漁業内部における経営の改善、就業構造の近代化等の基本問題や、これらと関連する雇用、価格、流通、貿易その他の国民経済上の諸問題についても、調査審議を行い、農林漁業の基本的施策の確立をはかることが現下の緊急の課題と考えるのであります。以上申し上げましたような見地から、この際総理府に、その付属機関として農林漁業基本問題調査会を設置し、広く各界の学識経験者の意見を聞き、農林漁業の基本的施策の確立に資することといたしたのであります。
次に本法律案の概要を御説明申し上げます。農林漁業基本問題調査会の任務は、内閣総理大臣の諮問に応じ、農林漁業に関する基本問題を調査審議し、並びにこれに関し必要と認める事項について内閣総理大臣に意見を述べることができることといたしております。調査会は、委員三十人以内で組織することとし、ほかに特別の事項を調査審議するため必要に応じ、臨時委員二十人以内を置くことといたし、さらに専門調査員三十人以内及び幹事十五人以内の設置を考えております。また調査会は、農林省の所管事項と密接な関連がございますので、その庶務は農林省大臣官房で行うことといたしております。さらに調査会の調査審議は、おおむね二年を目途にその結論を得たい考えのもとに、この法律の有効期限を昭和三十六年三月三十一日限りといたしております。
以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/20
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021・内海安吉
○内海委員長 次に運輸省設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。中馬運輸政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/21
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022・中馬辰猪
○中馬政府委員 ただいま議題となりました運輸省設置法等の一部を改正する法律案の提案理由について御説明申し上げます。
この法律案は、航空保安行政組織の整備に関する運輸省設置法の一部改正と、これに伴う航空法の一部改正とが骨子となっております。
今回の改正の要点、まず第一には、本省の付属機関である航空保安事務所及び航空標識所を本省の地方支分部局に改め、航空局の所掌事務の一部をこれに分掌させることとしたことであります。従来航空保安事務所は、もつぱら飛行場及び航空保安施設の設置及び管理に関する事務を所掌してきたのでありますが、最近とみに発展する民間航空の実情にかんがみ、航空機の運航の監督その他の行政事務を、迅速かつ合理的に処理するため、これらの事務を航空保安事務所に所掌させる必要が生じて参ったのであります。右の航空機の運航の監督等の事務は、航空局の所掌に属しております関係上、これらの事務を航空保安事務所に分掌させるためには、国家行政組織法の規定に照らし、その性格を地方支分部局とする必要があるのであります。また航空標識所につきましては、従来航空無線標識施設及び航空無線通信施設の管理に関する業務を行なっておりますが、航空保安事務所を地方支分部局とするこの機会に、その出先機関とすることが業務の運営上最も適当であると考えるのであります。
次に改正の第二点は、航空路における航空交通管制を行う地方支分部局として、航空交通管制本部を設置することであります。従来わが国の航空交通管制業務は、日米行政協定に基く航空交通管制に関する取極により在日米空軍がこれを担当してきたのであります。政府は、かねてより航空交通管制の日本側への移管の態勢の整備を進めて参ったのでありますが、飛行場ごとに行われております航空交通管制の日本側への移管は、今日までに、在日米空軍の使用している飛行場を除き、ほぼこれを完了いたしたのであります。これに続きまして、現在、在日米空軍が埼玉県入間川において行なっている航空路の管制業務をすべて日本側へ移管する段階となって参りまして、このたび在日米空軍とほぼ意見の一致を見ましたので、本年七月を目途として航空交通管制本部を設置することといたしております。
改正の第三点は、航空法に基く運輸大臣の権限の一部を航空保安事務所長または航空交通管制本部長に行わせることとしたことであります。すなわち航空法上運輸大臣の権限に属しております事務のうち、航空機に対する航空交通の指示、落下傘降下の許可、飛行場以外の場所における離着陸の許可等に関する事務を、航空保安事務所長または航空交通管制本部長に委任することができるようにいたしたのであります。右のほか、輸出検査法その他運輸関係法律の制定等に伴い、所掌事務に関する規定を整備することといたしております。なお、航空保安事務所等を地方支分部局とする改正規定は本年四月一日から、また航空交通管制本部の設置は本年七月一日を目途として、それぞれ実施することを予定いたしております。
以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/22
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023・内海安吉
○内海委員長 ただいま提案理由の説明を聴取いたしました各法律案についての質疑は、次会に譲りたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/23
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024・内海安吉
○内海委員長 次に小委員会設置の件についてお諮りいたします。今会期中当委員会には各省設置法改正案が多数付託される予定でございまして、先日理事会を開いて協議した結果、これら設置法関係法案は小委員会を設けて詳細に審議を尽すべきであるとの意向でありましたので、この際小委員十人よりなる各省設置法改正案等に関する審査小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/24
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025・内海安吉
○内海委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決定いたしました。
引き続き小委員及び小委員長の選任を行いたいと存じますが、その方法は委員長より指名することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/25
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026・内海安吉
○内海委員長 御異議なしと認めます。
それでは委員長におきましては小委員に
岡崎 英城君 平井 義一君
前田 正男君 今松 治郎君
高橋 等君 富田 健治君
飛鳥田一雄君 受田 新吉君
木原津與志君 石橋 政嗣君
以上の十名を指名いたします。
また小委員長には岡崎英城君を指名いたします。
なおこの際あわせてお諮りいたします。委員の異動等に伴いまして、小委員及び小委員長に欠員を生じたる際の補欠選任につきましては、委員長より適宜指名いたすことに御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし上と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/26
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027・内海安吉
○内海委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決定いたしました。
次会は公報をもってお知らせいたします。
本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X00419590203/27
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