1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十四年三月十日(火曜日)
午前十時五十五分開議
出席委員
委員長 内海 安吉君
理事 岡崎 英城君 理事 前田 正男君
理事 受田 新吉君 理事 木原津與志君
今松 治郎君 植木庚子郎君
倉成 正君 小金 義照君
纐纈 彌三君 田中 龍夫君
田村 元君 綱島 正興君
橋本 正之君 茜ケ久保重光君
石山 權作君
出席国務大臣
国 務 大 臣 青木 正君
出席政府委員
国家消防本部長 鈴木 琢二君
総理府事務官
(自治庁行政局
長) 藤井 貞夫君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁長官官
房総務参事官) 隆矢 敬義君
総理府事務官
(自治庁行政局
行政課長) 岸 昌君
専 門 員 安倍 三郎君
—————————————
三月九日
委員田中龍夫君辞任につき、その補欠として大
橋武夫君が議長の指名で委員に選任された。
同 日
委員大橋武夫君辞任につき、その補欠として田
中龍夫君が議長の指名で委員に選任された。
同月十日
委員富田健治君、船田中君、保科善四郎君、西
尾末廣君、八木昇君及び柳田秀一君辞任につき、
その補欠として綱島正興君、本名武君、倉成正
君、高田富之君、角屋堅次郎君及び石田宥全君
が議長の指名で委員に選任された。
同 日
委員倉成正君、綱島正興君、本名武君、石田宥
全君、角屋堅次郎君及び高田富之君辞任につき、
その補欠として保科善四郎君、富田健治君、船
田中君、柳田秀一君、八木昇君及び西尾末廣君
が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
三月六日
国務大臣の私企業等への関与の制限に関する法
律案(千葉信君外七名提出、参法第六号)(
予)
同 日
寒冷地手当増額に関する請願外一件(石山權作
君紹介)(第三〇五五号)
同外一件(島口重次郎君紹介)(第二〇五六
号)
同外一件(鈴木一君紹介)(第二〇五七号)
同(小坂善太郎君紹介)(第二一八一号)
公務員の扶養手当改訂に関する請願外一件(石
山權作君紹介)(第二〇五八号)
同外一件(鈴木一君紹介)(第二〇五九号)
期末手当増額等に関する請願外一件石山權作君
紹介)(第二〇六〇号)
同外一件(鈴木一君紹介)(第二〇六一号)
文官恩給調整に関する請願外二件(受田新吉君
紹介)(第二〇六二号)
同(加賀田進君紹介)(第二〇六三号)
同(佐野憲治君紹介)(第二〇六四号)
同(粟山博君紹介)(第二〇六五号)
同(山崎巖君紹介)(第二〇六六号)
恩給法の一部を改正する法律案の一部修正に関
する請願(植木庚子郎君介)(第二〇六七号)
同(岡良一君紹介)(第二〇六八号)
同(齋藤邦吉君紹介)(第二〇六九号)
同(田中龍夫君紹介)(第二〇七〇号)
同(田口長治郎君紹介)(第二一五〇号)
同(藤本捨助君紹介)(第二一五一号)
同(小坂善太郎君紹介)(第二一八二号)
同(世耕弘一君紹介)(第二一八三号)
山形県下の寒冷地給級地是正等に関する請願
(西村力弥君紹介)(第二〇七一号)
西置賜郡下の寒冷地手当引上げ等に関する請
願(西村力弥君紹介)(第二〇七三号)
高学歴教員の俸給是正に関する請願外一件
(石山權作君紹介)(第二〇八六号)
同外一件(鈴木一君紹介)(第二〇八七号)
栄典法案に関する請願(田中伊三次君紹介)
(第二一五二号)
金鵄勲章年金及び一時金復活に関する請願
(八田貞義君紹介)(第二一五三号)
上伊那郡、伊那市及び駒ヶ根市の寒冷地手当引
上げ等に関する請願(小坂善太郎君紹介)(第
二一八〇号)
建国記念日制定に関する請願(進藤一馬君紹
介)
(第二一八四号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
自治庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一二六号)
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七〇号)
厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一二九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/0
-
001・内海安吉
○内海委員長 これより会議を開きます。
自治庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を許します。受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/1
-
002・受田新吉
○受田委員 自治庁設置法の改正案は、付属機関として一つの調査会を設ける程度のものでありますけれども、もっと大事な問題は自治庁そのもののあり方についてどういうお考えを持っておるかを問いたださなければならない。幸いきょうは長官がおいでになっておりますので、虚心にお答えを願いたい点が数々ありますのでお尋ねをいたします。
自治庁という役所が設置された理由は、自治庁設置法に要点が書いてあるのでございますが、私は長官御自身の御意見として、憲法に規定されている地方自治の本旨というふうに考えておられるのか。ことに最近行政組織上の問題として中央集権化が企図されている傾向が多分にあるわけです。この自治庁設置法の第四条に掲げられてある権限関係などにいたしましても、だんだんと中央集権の傾向を強化する傾きがあるわけで、自治庁長官の権限を強めるという行き方は、憲法にいう地方自治の本旨にそむくものではないか、かように考えるのでございますが、いかがお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/2
-
003・青木正
○青木国務大臣 申し上げるまでもなく、新しい憲法によりまして憲法九十二条以下、日本の自治制度というものが従来のあり方でなしに、あくまでも自治の本旨にのっとって、住民のために地方自治制度というものができたわけであります。これを受けまして地方自治法が制定され、この地方自治法を貫く精神もまたあくまでも自治の本旨にのっとって、住民の自治、団体の自治を実現するために規定されたものであることは言うまでもないと思います。私ども受田先生から率直にというお話でありますので、私も率直に申し上げようと思うのでありますが、私ども自治庁を省に昇格をぜひお願いいたしたいという気持は、中央集権の考え方とむしろ逆な考え方に立っておるのであります。と申しますのは、現在御承知のように昭和三十四年度について見ましても、国の財政が一兆四千九百何
億でありますか、地方財政が一兆三千三百何億という、ほぼ国の財政に匹敵する膨大な財政を地方財政は運営しておるわけであります。また別な面から見ますと、たとえば税金について見ますると、国税で入るのが七割、地方税で入るのが三割、ところがその税金を使う道になりますと、昭和三十四年度ですと地方が六三%使い、国が残りを使う、こういうことになっておるのでありまして、地方の仕事が非常に多いのであります。そこでたとえば文化国家、福祉国家ということを国の理想といたしましても、いろいろな文化施設、福利施設をやりますについては、実際には地方公共団体がこれを担当しておるわけであります。そうしますと地方の仕事というものは、非常に重大な仕事を担当しておるのでありますので、地方の意向というものを、これはやはり国会なりあるいは政府なりに正しく反映させること、そうなければ真の意味の自治を伸ばすためにも不適当ではないか。ところが現在の自治庁は、言うまでもなく総理府の外局になっておりますので、たとえば自治庁長官という立場を考えてみますと、総理府の長たる総理大臣の補佐機関にしかすぎないのでありまして、自治庁長官として閣議に対する政治権もなければ、それからいろいろな問題についての決定権も持っていないのであります。こういうことであって、地方自治の伸張の点から見まして、やはりこれはあくまでも地方自治体の立場を守り、そうして地方自治の健全なる発展をはかるために、責任の地位に立って、閣議においても政治権も持ち、そうしてまたいろいろな案件についての決定権を持つ立場になければならぬのではないか。つまり自治体というものは非常に重大であるにかかわらず、その責任の所在が、これはまあ法制上は総理大臣が持っておるわけでありますが、実際には自治庁長官がこれを補佐機関として担当しておる。内部的に申し上げますと、いろいろな総理大臣の決裁すべきものを自治庁長官に委任してやっておるような格好になっておるのであります。そういうような姿でなしに、やはり地方自治というものは非常に重大な仕事を担当しておりますので、その責任の所在というものをはっきりする必要があるのではないか。私どもは決して中央集権的な考え方に立って、中央を強化して、中央から地方に命令するとかどうとか、そういうような考え方ではないのでありまして、逆な考え方に立って地方の機構、地方を健全に発展させなければ自治体の健全なる運営もあり得ませんので、やはりその責任の大臣というものを置くべきではないか、こう考えておるのであります。言うまでもなく、自治庁の設置をかりにいたしましても、われわれは現行の地方自治法を改正しようなどという考えは毛頭持っていないのであります。従いまして現行の憲法がそのままであり、これを受けた地方自治法がそのままである限りにおきまして、自治庁が自治省になったからといって、ここに新しく中央集権という線はどこからも出てこない。あくまでも現行自治法の建前、憲法を受けた地方自治法を存置する。この地方自治法の精神にのっとり、またこの規定によって自治庁は運営されるのでありますので、私どもは端的にいえば責任を明確化するために、自治庁というものを自治省というあり方にしていただきたい、そうすることが私は行政の新しいあり方ではないか、かように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/3
-
004・受田新吉
○受田委員 私は自治省を作ることを今長官にお尋ねしておったわけではなくて、地方自治の本旨をどう考えられるかということをお尋ねしておったわけなんです。ことに中央の権力政治が地方自治を侵害する傾向がある。地方長官に当然その自主的な運営を一任すべきものを、一々自治庁及び政府がこれに関与し過ぎる、こういう傾向を今お戒め申し上げたつもりであったわけでございます。そこで自治庁設置法の第三条に、「自治庁は、民主政治の基盤をなす地方自治及び公職選挙等に関する」云々とありまして、民主政治の基盤をなす地方自治ということが、憲法の規定に基いて特に法律の中にうたってあるのです。法律に民主政治の基盤をなすなどということをはっきりうたってある法文というものは、あまり発見をしないと思う。非常にこれは特例の文句であると思うのですけれでも、この地方自治法第三条の民主政治の基盤をなす地方自治とわざわざあげているこの理由を、もう一度御確認にならなくてはならぬ。これは民主的な運営をされる地方自治であることを確認するという意味でいうならば、政府は府県その他の地方公共団体に対して、十分な自主的運営を一任すべき点がたくさんあるはずなんです。そこを私お尋ね申し上げておるのです。自治庁長官の権限が第四条にも書いてあるし、それから第四条の三十号度に内閣総理大臣の権限が自治庁長官に補佐権として与えられておる、こう書いてあるのですが、個々の権限関係をもっと民主政治の確立の方向へ持っていくようになすべきではないか、かようにお尋ねをしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/4
-
005・青木正
○青木国務大臣 申し上げるまでもなく憲法の九十二条にはっきりと、地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いてやらなければいけない、こういうことがありまして、これを受けての地方自治法であり、そしてまたこの本旨にのっとって地方自治が完全に運営されるための中央機関としての自治庁ということでありますので、考え方はあくまで憲法の規定するところの本旨にのっとってやらなければならない。しこうして自治の本旨とは何ぞやという問題にかかってくるわけであります。学者によりましていろいろ自治の本旨ということについてむずかしい議論をいたしております。たとえば住民の自治であるとか、団体の自治であるとか、いろいろ申しておりますが、要するにあくまでも住民の意思というものに基礎を置きまして、そして住民の自治意識によって地方の行政が運営される、またそうなければならないのでありまして、そのことが私はとりもなおさず民主政治の基本になると思う。またそこから出発しなければ民主政治はあり得ないわけであります。そういう意味におきまして地方自治というものはあくまでも民主政治の基盤である、そしてまたその民主政治の基盤である地方自治が健全に発達することによって、全体としての国の民主政治の確立もあり得る、またそうなければならぬ。そこに基礎を置かずして民主政治といってみたところで、これは単なる架空なものにすぎませんので、やはり私は地方自治体というものが民主政治の基盤として発達する、そして国全体としての民主政治の確立があり得る、かように考えるのであります。
そこで中央集権的な傾向があるのではないかという御指摘でありますが、私どもといたしましては現行の地方自治法にもはっきり出ております通り、国というものが自治の本旨を侵してはならぬことは言うまでもないことでありますので、法律におきましても中央が地方公共団体に対して監督権を持つとか、あるいは命令権を持つとか、そういうあり方を一つもとっていないのであります。あくまでも地方自治体自体の運営を基礎として、自治庁はこれに対する必要があれば助言なりあるいは適当な勧告をするということは許されておりますが、国が直接自治体に対して指揮したり命令したり、そういうふうなことはやるべきものではありませんし、現行の法制下におきましてこれは許されていないのであります。われわれはあくまでもこの地方自治法の精神にのっとりまして、いやしくも地方自治に対して国は命令したり指揮するというようなことはやるべきでない、こういう考えに立って運営をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/5
-
006・受田新吉
○受田委員 事務当局でけっこうですが、昭和二十七年に自治庁設置法ができまして以来、自治庁長官の権限が強化された事項、すなわち指示権等が特に取り上げられて、自治庁長官の権限強化について改正された点をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/6
-
007・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 二十七年に自治庁が設置せられまして以降、内閣総理大臣あるいは自治庁長官の権限として加えられました点は一つございます。その点は、結局地方公共団体におきます義務の執行につきまして法令違反のおそれがある、あるいはその財政支出について権限を越えた違法な支出等がある、それらの場合におきましてその是正のための措置を要求することができるという規定が一つ加わっております。ただしこの点につきましては、内閣総理大臣が権限発動いたします建前になっておりますが、実際上は総理大臣がやりますのは府県に対する関係だけでございまして、市町村に対する関係におきましては府県知事がこれを行使するという建前に相なっておる次第でございます。なお、自治庁長官ないし内閣総理大臣がこの権限に基いて、実際上権限を行使いたしました事例は今までございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/7
-
008・受田新吉
○受田委員 この財政上の違法支出是正措置要求というような権限、これは違法であるというところにみそがあると思うのですけれども、こういう一つのとりでができ上っているようなところにも、漸次自治庁長官の権限強化の橋渡しをすることになると私は思っております。
もう一つは、内閣総理大臣の権限に属するという規定の中で、総理大臣が直接それをやったことがないということでありますけれども、町村合併促進のための各種の措置について、地方住民の意思を無視したような形のものはないか。合併したくないないと住民があげて願っているのを、自治庁の指導でそこを強制合併をさせる、こういうような動きをした実績はないか、こういうことについてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/8
-
009・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 数多くの町村合併に関する案件の中には、きわめて問題がむずかしいために、住民相互の間におきまして相当熾烈な紛争がありました事例はかなりございます。それらの場合におきまして、指導の任に当ります第一線の責任者は知事ということに相なっておるのでありますが、その際にも私たちの方では実際上の取扱いにつきましては、いろいろ御相談に応じてやっております。ただ町村合併という一つの大きな目的を遂行いたしますためには、やはり一つの適正規模ということを考え、また合併計画を立てます際におきましては、市政、交通その他の客観的条件と、それから住民の大多数の意思がどこにあるか、そういうような点を総合的に判断をして、適正な措置を誤まらないようにやってきておるつもりでございますけれども、中には住民の間には紛争のある向きが相当ございまして、それらの反対の住民の意向というものからそんたくをいたしますと、指導自体についてかなり強引さがあったのではないか。そういうような点について、われわれとしても反省を加えなければならぬという事例は若干ございました。その点は率直に申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/9
-
010・受田新吉
○受田委員 そうした住民の意思に反した指導を加える、強制、強圧を加える、こういう事例は幾つもあるのです。これは全国的にまれな例ではない。そういうことに地方自治を侵害する一つの難点があるわけでありまして、私は市町村の住民の大多数が考えている方向に民意を尊重していくというところに、地方自治の本旨があると思うのです。従って、今率直にその反省をされておりますので、私はそのほかの問題には触れませんが、さらに関連して、これから長官に伺わなければならぬ問題があるのです。
地方公共団体の首長を公選にしている理由はどこにあるか、これを一つ長官からお教え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/10
-
011・青木正
○青木国務大臣 申し上げるまでもなく、前段来申し上げましたようにあくまでも自治の本旨、住民の意思というものを尊重すべきものでありますので、自治体としては住民自体がその行政の執行の責任者を選ぶということは、私は自治の本旨から見て当然そうあるべきもの、また憲法においてそのことが規定されておりますので、私どもは市町村の市町村長というものは住民自治という観点からそうあるべきもの、かように考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/11
-
012・受田新吉
○受田委員 住民の意思で選出せられる公職選挙法の精神による地方の首長は、これはその公選に当って何ら外部のいろいろな誘惑、圧力によって曲げらるべきものでないと思うのでありますが、いかがでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/12
-
013・青木正
○青木国務大臣 あくまでも住民の自由意思でありますので、お話の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/13
-
014・受田新吉
○受田委員 従来政府与党の各位が、地方選挙に対する対策として考えられておる問題は、政府与党に属する首長が最も成績が上るのだ、たとえば国から出すいろいろな財政上の援助についても、社会党の系統の首長が出るよりは、政府与党の系統の首長が出る方が実績を上げておるのだ、そういうふうに政府につながるところの首長を選ぶのが、住民の幸福であるという指導を政府与党はやっておられる。これはあなたの党の幹事長であられた川島さんの地方選挙に対する態度においてもこれをうかがうことができるし、あなたの党の大臣たちが地方選挙に出られて演説される場合には、ほとんど例外なしに、政府与党に関係のある現知事を選べば、皆さんの方に非常に有利な財政上の援助その他、たとえば鉄道が敷かれるとか、いろいろな便宜が供されるのだという演説をせられておるわけです。これは長官、いかがしたことでございましょう発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/14
-
015・青木正
○青木国務大臣 申し上げるまでもなく行政の運営に当りましては、情実とかあるいは因縁、そういうことによって左右せらるべきではないのであります。中央と地方は言うまでもなくつながりがあります。補助金の関係、交付金の関係などがあることは御承知の通りであります。しかしながらその補助金なりあるいはそういう問題が、人のつながりによって左右さるべきものでないことは言うまでもないのであります。行政の運営はどこまでも公正にやるべきもので、社会党の首長だからそこへやらぬとかいうことは、許さるべきものでないことは言うまでもないのであります。また私どもはそういうようなあり方で地方自治がゆがめられることは、地方自治の健全な発展から見てもよくないと考えております。選挙に当ってのお話でありますが、多少そういうような点で誤解を受けた点もあるいはあるかもしれませんけれども、しかし基本的に、私どもはそういうことがあってはならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/15
-
016・受田新吉
○受田委員 多少あるかもしれないというお言葉は、非常に耳ざわりな言葉になったわけですが、この前この委員会へ黒金政務次官がおいでになられて、こういうことを発言されておる。現在政府与党は絶対多数党である、従って地方選挙においても政府与党側に属する者が当選するのが当然なことだという発言があった。これはいかがお考えです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/16
-
017・青木正
○青木国務大臣 私、申し上げましたのは、多少あるかもしれないということは、多少そこに誤解を受けた点があるかもしれぬということを申し上げたのでありまして、いやしくもそういうふうなあり方であってはならぬと私は考えております。そしてまた、たまたま現在の政局を担当しておるのが自由民主党であるから、地方の選挙が自由民主党に有利である、こういうことは、私はそうあってはならぬ。あくまでも地方自治体の選挙というものは、自治体の住民の自由意思によって行われるべきものでありまして、これに対して中央がとやかく言うべき筋合いではない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/17
-
018・受田新吉
○受田委員 あなたの党の総理大臣以下は、地方選挙においては非常に猛烈な利益誘導をやっておられる。これはあなたのような善良な方ばかりが閣僚ではないのです。私は一例を最近の三重県知事選挙に引きますけれども、あなたの党の総裁兼総理大臣であられる岸さんは、標旗のないところで選挙演説をやっておられる。こういうのはもうりっぱな選挙違反です。あなたの党の愛知法務大臣は御自身で、選挙違反ぎりぎりまでやれ、近いうちに恩赦もあることであるからという発言をされて、激励されておる。これも調査の結果、われわれの方に明らかにされた事例です。こういうようなやり方をもってし、またあなたの党の永野運輸大臣は、あの三陸海岸を結ぶ鉄道を敷設するのには、三浦氏が出ることが何より大事なことであるという発言をされておられる。こういうような、明らかに利益誘導であり、その時の政府につながりを持つ人でないと仕事ができぬのであるから、従って皆さんは知事にはこういう人を選びなさいという、このやり方を公然とやっておる。これはもう全国的な傾向です。これであっては、公平な地方自治の確立などはとうてい期待し得べくもないと思うのです。あなたの党の地方自治に対する指導方針というものは、政府与党につながりのあるような首長を選んで、地方と中央とタイアップでやろうじゃないかということになるおそれがある。そういうことをやるならば、むしろ公選をやらないで官選知事にして、政府与党の息のかかった者を適当なポストに据えて、政府与党の権限を十分行使させればいいことになる。この地方自治におけるあまりにも中央優先的な政府与党の利益誘導的な選挙指導に対して、選挙の総元締めであられるあなたの御意見というのは重大な御意見だと思うのです。一つ確固たる信念のもとに、必要があれば、標旗なくして街頭演説をやった岸総理は即日逮捕するような意気込みがあるかどうか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/18
-
019・青木正
○青木国務大臣 ただいまのお話でありますが、私もそういうようなことをちょっと聞きました。閣僚のうちで何かそういう選挙違反のような疑いを受けるような行動があったということを、ちょっと耳にいたしましたので、先般の閣議におきまして特に発言を求めまして、閣僚の地方における応援等に当りましては、そういう点について厳に慎しんでいただきたいということを、私は各閣僚に申したのであります。ただ今日二大政党の時代になりまして、地方におきましてもやはり政党的な選挙が行われておりますので、政党の立場において、党活動として自派の候補者に対して応援するということは、これまで規制するわけには参らぬと思うのであります。そういうときに当りましても——政党は政党として自派の候補者を応援することは当然でありますが、しかしながらそれと行政の公正なる運営、これを混同すべきものでないことは言うまでもないのでありまして、私どもはそういう点について十分みずからも戒心し、また閣僚各位に対しましてもその点を十分注意をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/19
-
020・受田新吉
○受田委員 あなたの謙虚なお気持を了とするものですけれども、あなたは同家公安委員会の委員長でいらっしゃるわけです。同時に自治庁長官を兼ねていらっしゃる。それであなたは警察権力発動の責任者でもあられる。閣僚の中に不届きの発言をする者があるならば、泣いて馬謖を切る決意を持って、総理大臣といえども、法務大臣といえどもふん縛る、そういう馬力がおありにならなければならぬと思うそうして警案官を動員して、疑惑を抱かれている者を放置することなく、その確証を示した摘発者に対して忠実にこたえるという努力をされますかどうか。これはまだ時効にかかってないなまなましい現実でございますが、最近各所に行われた地方選挙のこうした政府与党の利害誘導罪——公職選挙法にいわゆる利害誘導罪、こういうようなものの処分を決意されておるかどうか。閣僚に話しただけですか。実際につかまえて処分するという決意を持っておられるかどうかを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/20
-
021・青木正
○青木国務大臣 申し上げるまでもなく現行の警察制度では、私は国家公安委員会の委員長をいたしておりますが、警察の中立性を確保するために、われわれは各地方の警察に対して何ら指揮命令権を持っていないのであります。そうして各地方の現実の問題につきましては、東京におきましては警視総監、府県におきましては警察本部長が全責任を持ってこれを担当し、しかもこれに対しては国家公安委員会あるいは地方の公安委員会も、個々の案件につきまして差し出がましいことをすべきものではないし、またこれは制度的にも厳に禁じられておるのであります。従いまして、各府県においてそういう事犯がありました場合には、警察本部長がその責任において厳正公平に、いやしくも違法のことがあったならこれを処断する、こういう立場でやっておるものと確信いたしておるのでありまして、個々の要件に対して一一私どもが指揮をいたすべきものではありません。しかし私は、警察はその本来の立場に立って厳正公平に、違法の事態があったらこれを処断するという態度でやっておることと確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/21
-
022・受田新吉
○受田委員 地方の警視正以上の職にある警察官は、国家公務員であるわけです。従って地方の警察本部長以下警察の少数幹部は、あなたの直接の監督を受ける立場にあるわけです。国家公務員として……。そういう立場にある警察の責任者がおるわけです。そういう立場にある人々が、上司の意図しておる、国家公安委員会のきめた指導方針というものを無視して、政府与党の違反者に対しては手心を加え、野党の違反者に対しては強権を発動する、こういうことになったら、これはもう地方自治を混乱に陥れる一方でありますが、厳正中立とおっしゃられたあなたの言葉の上から、そういった地方の国家公務員である上級警察官に対して、あなたは平素どう指導しておられるか、そこを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/22
-
023・青木正
○青木国務大臣 御指摘のように警視正以上の人事につきましては、地方の警察におきましても、その任免権者は国家公安委員会であります。しかし警察法にはっきり示されております通り、警察法第二条の職務を行いますのは、これは本部長が全責任を持ってやるのでありまして、その捜査とかいうような問題については、私どもは全然指揮権とか命令権とか、そういうものは持っていないのであります。また現行の警察の制度があくまでも警察の中立性を確保するためにできておりますので、私どもはその法の精神を尊重いたしまして、いやしくもわれわれが影響を与えることのないように十分注意もいたし、また現にそういう行動はとっていないのであります。ただわれわれは国家公安委員会として、警察全体の管理をいたしておりますので、そういう立場に立って大局的に一つの方針といいますか、たとえば選挙違反等の問題につきましては、これを厳正に処断するように、こういうふうに大局的な方針は国家公安委員会として打ち出すことはあり得るわけでありますが、しかし個々の問題につきまして、私ども指揮命令ということはいたしていないのであります。なおつけ加えて申し上げておきたいと思いますが、今回の場合のように選挙期日が予定されております場合は、ややもすれば事前運動その他の選挙違反の事態が非常に多くなりがちである、こういうことを考えまして、昨年から関係各省庁の連絡会議を開きまして、公明選挙促進のための協議会を開いておるのでありますが、そういうこと等は別といたしまして、警察庁自体としても事前運動に対する対策、それからまた選挙違反防止についてすでに関係局長会議あるいは本部長会議その他においていろいろ打ち合せをして、私どもは来たるべき選挙に当りまして、警察が警察としての職責を完全に果すことができるように、十分注意は促しておるのであります。従いましてお話のように警察が一党一派に偏したりするようなことがないように、あくまでも厳正に警察の本来の職責を果すようにということを、十分注意は喚起いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/23
-
024・受田新吉
○受田委員 地方警察本部長という地位にある人々は、あなたが地方の公安委員会の承認を得て任命されるわけです。そういうことになると、このあなたの任命された警察本部長が適切な措置をしていないときには、それに対して注意をする必要がありはしませんか。それは任命権者である公安委員会の責任者として、当然あなたに与えらたる責任じゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/24
-
025・青木正
○青木国務大臣 警視正以上の警察官の任免権者は、確かに公安委員会であります。しかし御承知のように私は公安委員会の委員長でありますが、公安委員会は原則として複数制の行政機関でありますので、私は公安委員会の決定を代表する立場にあります。しかし正常の普通の場合におきましては、公安委員会の意思決定は、公安委員の多数決をもって決定することになっておるのでありまして、例外的に同数のときだけ私が表決に加わることはとありますが、ふだんは持っていないのであります。従いまして警察法改正のときに問題になりましたように、国務大臣である私は公安委員長、その公安委員長が公安委員会の決定に当りまして政治的な影響があってはならぬという配慮がありますので、私自身というよりはむしろ公安委員会がこれは任免権者でありますし、しかも公安委員会は御承知のようにあくまでも正当な中立性を確保するように、構成的にもそうなっておりますし、またそれぞれ各方面を代表する良識ある人たちでありますので、公安委員会が本部長の任命等に当りましても間違いを犯すということは私はない。あくまでも公正に公安委員会は人事権を行使しておる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/25
-
026・受田新吉
○受田委員 非常に甘い考え方だと私は思うのです。地方の警察が政治的に支配されている傾向は各所に起っているわけです。これは私は個々の具体的の例を示すといいのですけれども、それは避けます。とにかく警察権力の発動者である方々が、政府与党に味方するような形のものがあったとしたならば、とんでもない権力国家になるのであります。往年のわれわれの悲しかりしあの時代を繰り返したくないという強い意欲を持って、あなたがやってくれなければならぬ。従って地方選挙において閣僚懇談会みたいなところで発言をされるだけではなくして、事実的に総理に対しても法務大臣に対しても十分注意をして、もしあなたが誤まっておるとなれば奉直にわびて、天下に自分の誤まりを示し、反省の色を示した方がいいのではないかくらいのところまて、あなたか突込んで閣議でやっておられるならいいけれども、近ごろうわさを聞いておるが、一つみんな聞いてくれというくらいなら、馬の耳に念仏みたいな人がそろうておるのですから、それはへいちゃらですよ。だからもっともっと強いところであなたがやってくれなければ困るのです。私が地方自治について憂えておる結論を申し上げます。政府与党に味方するような国務大臣たちの指導よって住民が迷わされて、政府の方につながりのあるような知事が出なければいかぬ、市町村長が出なければならぬというので投票する、橋をかけるのにはこの大臣につながりのあるこの知事や市町村長が当選しなければならぬということになったら、地方自治は破壊ですよ。一党一派によって支配されることになる。そこであなたが地方自治の本旨に基いて、自治庁長官として命がけで働いてもらわなければならぬと思うのです。政党間の勝負はいい。政府与党と野党が勝負するのはいいが、政府与党に味方してくれる方がいいのだという、この景物だけは取り除いて勝負しようじゃないか。そんなくだらぬ景物をもって選挙をやるから、いつまでたっても地方自治が確立されない。双方が政策を掲げて戦うのならいいですよ。うまく利益誘導をひっさげてやる。これは今からでもおそくないから一つ内閣総ざんげして、最近の閣議において、地方自治に反するわが党の従来のあり方については十分反省をして、今後自治の確立を期すべきである。こういうような閣僚申し合せくらいができましょうかどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/26
-
027・青木正
○青木国務大臣 私は御指摘のように自治庁の長官として、あくまでも地方自治の健全なる発展に挺身せんければなりませんし、また一面におきましては警察の担当閣僚として、警察の厳正公平なる運営をはからなければならぬのであります。そういう立場にある私といたしまして、私は全方をあげて、いやしくも自治の進展を阻害し、あるいは警察の運営があやまちがあることのないように全力を尽す覚悟であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/27
-
028・受田新吉
○受田委員 私はあなたのお人柄に触れると、これ以上おとがめ申し上げることができなくなるので、一応そのあなたの熱意に敬意を表して、どういう処置をされるかを見守りました後にそれをただしたい。ただ自治庁長官は従来短期間に交代される。たとえば警職法の問題があると、あなたは自治庁長官をやめて愛知氏に譲って、あなたは警職法を通すために専念されるということになり、それからまたかっては、大臣という看板がないのがさびしいというので、大臣室という看板に塗りかえられて威勢を張ることをなさった方があなたの前任長官におられる。こういう工合に自治庁というところは、何だかまま子扱いにされてさびしい役所だ、自治庁の役人もそう考えておられる。それはやはり士気にも影響することだと思うのですが、あなたの方としては自治庁というものを、自治庁長官を軽く見るという政府の傾向に対しても、自治省にしなければならぬという御意図があるのじゃないか。これを一つ伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/28
-
029・青木正
○青木国務大臣 私は政府が自治庁を軽く見ておると考えておりません。また私自身としても、自治庁というものが軽い役所とは決して考えておりません。自治庁を省にするという問題は、先ほども申し上げましたように、あくまでも行政の責任を明確にするということでありますので、自治庁であるからといって、決して現在の自治庁を軽視するようなあり方であってはなりません。私自身は毛頭そう考えておりません。これは庁であろうが省であろうが、日本全国の府県市町村の立場を守り、そうしてまた民主政治の基礎を確立するためのわれわれに与えられたる使命というものは重大でありますので、その点私はむしろ一つの誇りを持って自治庁長官に当っていくつもりであります。政府におきましても、おそらくそういう考えはないと思うのであります。なおいやしくもそういう考えがあるとすれば、私はあくまでも自治庁のむしろ誇りを強く皆さんに訴えたい。そうして責任も重いし、またわれわれとしてやるべきことも多いということを私自身自覚しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/29
-
030・受田新吉
○受田委員 あなたのお役所の方々は、この間ここで答弁された官房長以下、非常にさびしい気持を持っておられるのです。自治庁がなめられておる、そこで省にしなければならぬということになったら、これは大へんなことだと思うのです。そういう意味でいくということになれば、むしろ総理大臣の権限を代表される補佐役としての立場から、寄らば大樹の陰という言葉があるのですから、総理の権限を代表してやる方が自治庁長官として仕事ができるのじゃないですか。一省の長というよりは、強権を持っている総理の大樹の陰で仕事をする方が、仕事ができやすいという長所もあるのじゃないのですか。これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/30
-
031・青木正
○青木国務大臣 私は責任政治から考えますとそうは考えないのでありまして、寄らば大樹の陰という人にたよるような気持でなしに、やはりあくまでも責任の衝に立ってみずからこれに当るというあり方の方が、行政の正しいあり方と考えるのであります。総理のそでにすがってなどという気持でなしに、みずから責任を負って地方自治のために責任を果していくというあり方の方が、私は責任政治のあり方としてその方がはるかにいいのじゃないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/31
-
032・受田新吉
○受田委員 小なりといえども一国一城のあるじとなりたいというお気持と私は解します。これはやはりいろいろ問題があると思う。機構改革全体の問題に関係するのです。そうあなたがお考えになられると同時に、防衛庁も国防省にしたい、行政管理庁も省にしたい、経企も省にしたい、こういうようなことになってくると、至るところに全山春景色を待望する人々が相次い出てくると思うのですが、これはいかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/32
-
033・青木正
○青木国務大臣 国全体として考えるべき問題であることは言うまでもありません。しかしまた私は国務大臣として他省のことを言ってもかまわぬといえばそれまでかもしれませんが、しかし他省の問題について私からとやかく意見を差しはさむべき問題ではありませんので、このことは差し控えます。私は自治庁というもののやっておる仕事、またその立場、それから行政の内容等から見て自治庁自体は、他の省庁の問題は別として、私は自治庁というものはやはり省にすべきもの、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/33
-
034・受田新吉
○受田委員 消防関係その他も構想に入れておられるようですが、これは石山委員から御質問していただくことにして、私はもう一つあなたに伺っておきたいことは、あなたが中心になって自治省を作ることを発表されると、また他の方では国防省をやられる、こういうことになって、内閣全体の行政機構の問題はそっちのけで、各省がきびすを接して省昇格をやるという、このような形になってきたのでは、閣内のまとまりがつかぬと思うのです。こういうことについては、一体国全体の行政機構問題の改革ということと、どういうふうにかね合いで考えておられるのか、それぞれアドバルーンを上げては空気の行く末を見る。たとえば行政審議会が答申の中に書いてくれているから、それでいくのだということなのだろうが、そういうことも考えておる。そうすれば行政審議会が考えている線ならば広く建設省その他からも要望があったのですから、その要望に沿うたような形ならいいけれども、単に消防庁を外局にする程度の構想のようですが、こういうところはどうでしょうか、ちっぽけな役所として省になるという形、こういうようないろいろな観点からごく簡明にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/34
-
035・青木正
○青木国務大臣 行政機構をいかにするかということは、言うまでもなく内閣全体として考えるべき問題であります。その考えを立てるに当りまして、御指摘のように審議会に諮問いたしたのでありまして、その審議会が公正な立場に立って自治省の設置という線を出しましたので、私どもはこれを受けて審議会の意向を尊重して自治庁を省に昇格すべきである、こういう考え方をとっておるのであります。しこうして審議会の答申と現在私どもがいろいろ検討中の案と違うではないかというお話でありますが、理論的と申しますか、一応の考え方としては、審議会の答申を私確かに首肯すべき点があると思うのであります。しかしながら私自身の考えといたしましては、たとえば建設省関係の省と、これはあくまでも地方自治の立場に立っての自治庁の仕事とは別個でありまして、むしろこれは現業官庁に近い役所と私ども考えております。それからまたそれ以外の、一部にそういう議論もありますが、たとえば警察を一緒にしたらいいだろうという議論もありますが、私どもはこういう考えに対しては、根本的に考えが違うのであります。警察というものは言うまでもなくあくまでも中立性を確保して、独自の立場でやるべきものであります。これが地方行政を担当する自治庁と一緒になるなどということは、考え方が根本的に違うじゃないか、そう考えますと私はあくまでも地方自治ということに重点を置いた地方公共団体の運営に対しまして、中央とのつながりをはっきりとして、また地方公共団体の意向を代表する責任閣僚というものを置くべきである、こういう考え方からいたしまして、自治省というものは、従来の自治庁を昇格するあり方、その一本にすべきである、ただそこで消防庁をなぜ入れるかという問題でありますが、御承知のように現在消防は昭和二十三年以来いわゆる市町村消防として、あくまでもこれは自治消防であります。しかして財的のいろいろな援助等は言うまでもなく市町村が中心となり、さらにまた府県なりがめんどうを見るのであります。しこうして現在消防は国では国家公安委員会に属しておりますが、地方におきましては地方の公安委員会に属せずして、府県に属しておるのであります。そういうことを考えますと、やはり消防は自治庁とこの機会に一緒にするということが最も適当ではないか、かように考えるのでありますが、それ以外の方は、建設省関係の仕事の方は、むしろ別個に扱うことが適当である、私はさように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/35
-
036・受田新吉
○受田委員 あなたの御発言で私ちょっと触れておかなければならない点があるのですが、国家消防本部は機構上国家公安委員会にあります。それから地方にある地方消防は府県に属しておる、そういうことからいって国の機構に属するものと地方の機構に属するものと、一本にする理由はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/36
-
037・青木正
○青木国務大臣 現行の機構ですと、国は国家公安委員会の下に入っておるのであります。これはおそらく沿革的に従来警察と消防というものが密接な関係がありましたので、おそらくそういうことになったと思うのであります。しかし消防組織法が制定されまして、消防というものはあくまでも自治消防として市町村がその責任を負っておるのであります。しかして府県の公安委員会というものの所属になっておりません。それでありますのでやはり実態が市町村消防であり、市町村が責任を持ってやっておりますので、やはり市町村のめんどうを見る自治庁に消防を所属させることが最も適当ではないか、私はかように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/37
-
038・受田新吉
○受田委員 たまたまあなたが国家公安委員会の委員長であられるというので、警察のものだけをつないでいくのにあまり問題が起らぬ、つまり首をあなたが両方に握っておられるわけです。そういうようなことで所管の問題だから一緒にして省にする。ここに弊害が何か起るのじゃないか。たとえば消防庁という役所をあなたが今度外局にされようとしても——消防庁の役人というものはどれだけおられるのですか。課が幾つあってどれだけ役人がおられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/38
-
039・青木正
○青木国務大臣 消防制度の改正に関する審議会の意向もそういう線で出ておりますので、私は自治庁と一体にすべきものと考えるのでございます。それから国家消防本部の職員は百二十名と聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/39
-
040・受田新吉
○受田委員 百二十人ほどの役所で、一省の外局としての構成がりっぱにできたと言えましょうか。百二十人で庁という名のつくりっぱな外局——それは部が幾つで課が幾つあるのですか。事務当局に一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/40
-
041・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 現在の国家消防本部の組織を申し上げますと、これは本部の方よりも、むしろ付置されております研究所とか消防講習所の方が人間が多うございまして、本庁の方は二十四、五名で課が三つございます。それから研究所、これは三鷹にございますが、研究所の方は八十名近くの職員がおりまして、課が四つばかりございます。それから講習所もやはり三鷹の同じ場所にございまして、これは今度組織法の改正によりまして大学校と名称を変える予定で御審議を願っておるのでございますが、一応学校としての体裁を整えた形をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/41
-
042・受田新吉
○受田委員 研究所、消防大学、名称はいろいろありましょうが、庁という名称を付する役所となれば、やはり一応の形態を整備強化しなければならない。そうするとあなたの方で考えておられるところの消防庁というのは、現在の百二十人くらいのお役人でなく、相当大規模にする計画があるのですか。本部の役人が百二十人おればりっぱに庁としての面目を保てる、こういうことですか、どちらでござましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/42
-
043・青木正
○青木国務大臣 現在国会に消防組織法を提案いたしまして御審議を願っておるのでありますが、消防組織法の考え方は、市町村消防という従来のあり方、これはあくまで尊重しなければなりません。尊重しなければなりませんが、同時に国としても、消防についてもう少し協力体制を整える必要がある。御承知のように昭和二十八年からでありますか、施設補助の法律ができまして、国が若干施設補助をいたしております。そういうことばかりでなしに、たとえば近代の化学工業の発展等に伴いまして、消防の機械と申しますか、消防の方法と申しますか、そういうものにつきましてもさらにもっと科学的な研究をいたしまして、そうしてこれは市町村消防といっても、市町村でそういう基本的なことを研究することは無理でありますので、国としてそういうことを調査研究し、それを地方に普及するというようなやり方をとらなければいかぬ、こういう考え方に立って、国がもう少し市町村消防に協力するようなあり方ということで、漸次その線を進めるために若干の人員の増加を考えております。しかしながらあくまでも現在の消防本部というものは、そういう消防の基本的な問題を扱うのでありますので、企画とかあるいはそういう試験研究の問題でありますので、現業的に膨大な人を要するということは私はあり得ないと思います。しこうして外局にするには人が少いじゃないかというお話であります。確かに人は少いかもしれません。しかし私は外局というものの考え方も、単に人の数だけの問題ではなくして、やはり質の問題、行政のあり方の問題、そういう点から考えるべきものではないか、もちろんあまり人が少くても形としてはおかしいかもしれませんが、ただ人の数ということだけで適否を決定すべきものではない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/43
-
044・受田新吉
○受田委員 少数のものであれば、局でやって済むのであります。庁ということになるならば、庁相当の任務と、それに対する人的構成というものがそこへ加わって、貫祿を持つものでなければならぬ。人数が少くても、格式を高めるという必要があるということであれば、それはもっとほかに意義を認めなければならぬと私は思います。
もう一つ、中央選挙管理委員会の構想があなたの方にあるのですが、管理委員会の問題は、その組織については申し上げませんが、自治庁が今まで常に主張してこられた小選挙区法案、これはあなたは現在のところ、たとえば調査会を作るとか、その他の構想を持っておられるのかどうか、持っておるとすれば、それはいつごろやられようとするのか、こういうこともあなたの方に関連した大事な問題ですから、一つお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/44
-
045・青木正
○青木国務大臣 私は私個人としては小選挙区論者であります。また岸総理もやはり小選挙区を常に主張いたしております。しかし内閣として小選挙区を採用し、そうしてまたその法律をいつ出すかという問題につきましては、政府としてまだ決定はいたしておりません。ただしかし心がまえといたしましては、私は自分自身としては小選挙区論者として、適当の機会があればその実現は自分の政治的使命として、それに協力したいという気持は持っておりますが、総理も国会でいろいろな機会に答弁しておりましたように、政府としては目下いろいろ検討中という段階でありまして、いつ出すとか、あるいは小選挙区のどういう案を出すかということはきめておりません。なおそのために調査会を設けるかというお話でありますが、御承知のように公職選挙法によって選挙制度調査会が設けられております。現在は参議院問題について検討中であったのでありますが、選挙を前にして現在その審議をすることは適当でありませんので、現在中断いたしております。いずれ参議院選挙の終了した後に選挙制度調査会を再開いたしまして、いろいろ選挙上の問題について諮問することがあると思うのであります。その場合におきまして、小選挙区に関連する問題等についてあるいは諮問することがあり得るかもしれませんが、現在のところどういう案件を諮問するというようなことを、まだ決定いたしておりません。現在はまだそれ以上何とも申し上げかねる段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/45
-
046・受田新吉
○受田委員 人口の異動に伴うて、定数の変更をしなければならない段階にきておるわけです。その方はこれ以上に急ぐ問題です。小選挙区などということは非常に重大な問題があるので、最近の地方選挙など見て非常な買収供応の弊害というものが地域的に行われておる小選挙区制を実施すれば自然にそこに問題が起ってくるわけですが、これよりもまずあなたの方で急がねばならぬのは、定数の変更です。このことが急ぐ問題であるはずです。そのことはあなたの方で忘れておるのじゃないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/46
-
047・青木正
○青木国務大臣 お話のように、人口の異動によりまして一人当りの有権者数が非常なアンバランスになっております。しかも公職選挙法の別表にああいう規定がありますので、これを改正しなければならぬことは言うまでもないわけであります。しかしただ人口だけを基準にして現在の区割りを計算いたしますと、ありのままですと、所によって七人区以上のところもできて参りますし、それから二人区がたしかに十二、三出てくるのであります。それはそれとして、そのほか一番問題になりますのは、現行の区のまま人口だけで按分しますと、定員の減少する県ができてくるわけであります。これは理屈からいいますればやむを得ないというかもしれませんが、しかし現実問題として各県の定員が減るというようなことは、なかなか実行困難な問題であります。そこで人口のバランスするような区割りを作るというようなことになりますと、当然に定員の増加の問題も考えなければならないかもしれませんし、あるいはまた、それは別としても、区割りの問題が当然関連してくると私ども考えるのであります。そういたしますと、小選挙区制の問題も一方において検討しなければならぬ問題と私ども考えておりますし、それから人口のアンバランスについての是正の問題、こういう問題等が合わさって参りますので、必然的に区割りの問題を考えざるを得ない。そこで参議院選挙の済んだあとにおきましてそういう問題等を含めまして、選挙制度調査会等の意見もやはり尊重して、いろいろ具体的に検討しなければならぬ段階に入ってくる、こう私どもは考えております。しかし現在のところ、しからばどうするかというお話、あるいはまたしからばいつ、どういう改正をするかということになりますと、今検討中と申し上げるほかに、影響するところ大きいのでありますので、私どもは軽々にこの問題をああすべきか、こうすべきかというようなことを言うべき筋合いでもありませんし、またこれは率直に申し上げまして単に政府とかどうとかいうことでなしに、やはり二大政党の今日、与党である自由民主党はもちろんでありますが、社会党側の意向等もいろいろ適当な機会があるならばやはり十分尊重もし、解決していかなければならぬ、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/47
-
048・内海安吉
○内海委員長 石山權作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/48
-
049・石山權作
○石山委員 受田委員が自治庁長官に質問されたとき、自治庁長官は自治省を早く作りたいせいか、見当違いな、自治省の内容を一生懸命説明したことが冒頭にございましたが、それほどあなたは熱心に、自治省を作ればいわゆる地方自治が非常によくいくのだという一つの目標があるわけでしょう。それからもう一つは、国家消防本部を昇格して消防庁にする、この二つが大きなもくろみだと思います。自治省の中で、国家公安委員あいるは警察、こういうものは切り離しておきたい、こういうあなたの御意見は、私はある意味では正しいと思うのです。そういうふうにしてもらいたいものだと思う。ただこの場合気になるのは、消防庁を外局として含めれば、すぐにも何か御利益があるかということです。今のあなた方の説明を聞いておりますと、私どもとしてはあまり——なるほどいろいろな消防機関、大学ができるとか、研究機関ができるとかいうことはわかるのですが、ではじかに地元ではどのくらいの利益があるかということにはぴんとこない問題だと私思っておりました。そこで本部長も来ておられますから、どういう利益があるということを端的にあげてもらって、なるほどそれもおもしろい考え方じゃないかというふうな御意見があれば、一つ聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/49
-
050・青木正
○青木国務大臣 私は国家公安委員長として、消防のことも自分の所管でありますので、いろいろ事情等を自分としても考えてみたのでありますが、今日消防にとって一番大きな問題は、大ざっぱに申し上げますと、市町村消防という建前になっておりますので、市町村が負担しておる消防についての費用は約二百二十億程度になっております。ところがこれに対して府県はどのくらい負担しておるかと申しますと、わずかに三億程度であります。それから国が負担しておるのは、ことし予算が通りまして増額ができましても、六億五千万、こういうことであります。あくまでも自分の郷土は自分たちで守るということはとうといことでありますので、市町村消防という考え方は私は最も理想的なあり方と考えるのであります。しかし市町村には財政力のいろいろな相違があります。従いまして財政力の相違があるからといって、消防施設が非常に不均衡な姿になっておるということは、国の立場から見ると、財政力の貧弱な住民に対してはまことにお気の毒なことでありまして、こういうことに対しては国がやはり相当力を入れて、国全体として消防の施設等の水準を上げていかなければならぬのじゃないか。これが現在消防にとって一番必要なことでありまして、そういうことから考えて市町村の財政のめんどうを見るといいますか、できるだけ交付税その他において市町村の立場に立ってめんどうを見ているのは自治庁でありますので、これは自治庁の中に入れれば、そういう面において従来よりももっと消防力強化に役立つのではないか、現在は予算の獲得にいたしましても、国家公安委員会の所属になっておりますので、私は今年度の予算について大蔵省と折衝いたしたのでありますが、どうも国家公安委員会所属で、先ほど来お話しいたしましたように本部の職員がわずかに二十四名、こういうような消防本部の姿では、ざっくばらんな話でありますが、なかなか予算獲得等の場合においても、実際問題として消防力強化にまことにまずいのではないか。やはり自治省ができるならば、市町村の財政を守る自治省という立場に立って、消防のめんどうを見るということの方が、私は消防の発展のためにもその方がいい、こう考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/50
-
051・石山權作
○石山委員 昭和三十二年、三十三年の火災によるところの損害は出ているでしょう、それをお教え下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/51
-
052・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 最近の火災損害の程度を御報告申し上げます。昭和三十三年中の火災総件数が三万五千八百六十七件でございます。この件数は、前年の三十二年に比べるとふえておりまして、前年の三十二年は三万四千六百五十件、その前の三十一年が三万三千三百十二件、その前の三十年が二万九千九百四十七件、こうだんだん件数はふえております。それに対する損害を申しますと、三十三年中の総損害が二百十五億四千四百万円余り、その前の三十二年が二百六十二億五千百万円余り、その前の三十一年が三百七十一億二千八百万円余り、その前の三十年が三百十八億五千九百万円余り、損害額の方はだんだん毎年減ってきております。件数はだんだんふえてきております。結局小規模の火事はふえてきておるが、損害額は減ってきておる。消防の効果と申しますか、初期消火と申しますか、連絡が早くて初期消火で消しとめる火事が多くなってきておる。しかし件数としてはふえておる、こういう結果になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/52
-
053・石山權作
○石山委員 この四つの事例から見ますれば、消防庁の消防技術が非常に上達しておるということが歴然としております。しかし、その反面、国民の火に対する考え方が非常にルーズだという証明にもなりかねない一つの指数だと私は考えております。ここでたとえば消防庁ができると、——私は許可していただきたいのですが、消防庁ができると、こういうことは可能ですか。たとえば、新潟県の新潟市、あるいは秋田県の大館あるいは能代市、これは非常に燃えやすいのだ、だから何とか手当をしなければならぬということを、前々から警告されておったわけです。それが燃えたわけですね。燃えたあと不燃都市になって、危険でなくなった。大館なんかもその通りですよ。二度燃えて、初めて危険都市から名が消えたわけです。燃えるということはわかっておったのですよ。何とかしなければならぬと言っておった。能代市は危険都市として指定されておったのですが、これはまだ一ぺんしか焼けませんから、まだその名前は消えておらぬという現状です。あなたの方は、危険都市になっているでしょう。燃えやすい都市として上っているでしょうですから、私の言いたいのは、能代市のようなのはり消防庁ができれば救い得られるかどうかということです。焼けるのがわっていたのに、手をつかねて見ておって焼いてしまった。焼いたあとで、コンクリートの建物を建てて、ここが防火区域とかになって、初めて名前が消えていくわけでしょう。これは私はほんとうを言えば、まこに政治の貧困だと思うのですよ。自治庁はよく聞いていただきたい。地方へ行けばこんなことをいう。私は言いたくないけれども、防衛庁へかけるお金を自動車を買う方へ少し回してもらえないものか。こんなに難儀して、東北地方は春先になると風が強い。消防本部が何とか言っておるように、乾燥した風がシベリアから吹いてくる。ですから、行って見てごらんなさい。これは防衛費を否定するとか、そういう考え方ではないですよ。消防の連中が言うのは、自分の与えられた任務を遂行するために、そして国家予算全般から見て、これ以上取れないという一つの観念でございましょう。そうしますと、あまりに自分の方に回る予算が少い。そうして燃えるということがわかっておるのだ。だから彼らのいう防衛庁あたりの分を少し、飛行機の二機分くらい回してもらえないか、ジェット機三機分くらい回してもらえないかということが、切実な、消防の一番下の望楼に上っている人たちの声なんです。ですから私はそれを考えると、消防庁ができれば、燃えるのがわかっていて黙って見ていて燃えてしまう。そうしてから危険都市でなくなる。そんなぶざまな政治のあり方でなくなるのかということです。そういう可能性が生まれてくるかということです。たとえば消防庁ができれば、危険都市に指定されている能代市などは、現状のままで救い得られるかどうか、火事を起さないで済むか、防ぎとめられるかということがこの中身にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/53
-
054・青木正
○青木国務大臣 お話は、私も能代市、それからあの辺は実は前に参りまして、いろいろ事情を聞いたこともあるのであります。確かに、いわゆるフェーン現象といいますか、春先になりますと、非常な危険な事態になります。そこで、できることならば、そういうものをすべて耐火建築に建て直すようにやるべきじゃないかということは、その通りと思うのでありますが、しかしこれは何と申しますか、各個人の家屋、それを国が全部出して取りかえるというようなことは、財政的になかなか急速にここでやるというようなことは、私はそうやすいとは申し上げかねるわけであります。しかしお話のように、明らかに火災の危険があるというような都市につきましては、本建築に直すまではできないにしましても、最小限度、消防についての最善の配慮をしなければならぬことは言うまでもないのであります。
そこで、これは別に自治省になってからやるという問題ではありませんので、現在国会に提出いたしておりまする消防組織法の改正によりまして、審議会を一つ作りまして、そうしてたとえば適正な消防施設と申しますか、現在は市町村消防に一切まかしてありますが、そうでなしに、国としてもこれくらいの人口のところ、こういうところはこの程度の消防施設が必要であるというような基準をいろいろ専門的に検討いたしまして、その基準を示して、できるだけその基準に沿うように各市町村で消防施設をやっていただくように協力していただく。もちろんそれの実現につきましては、国としても、できるだけの財政的な援助をいたすようにやっていきたい。率直に申し上げますと、今日まで市町村消防ということで、悪くいえばまかせっぱなしでおったわけであります。私はそういうことでなしに、もう少し国が消防について真剣に、そしてまた科学的に検討して、消防の施設の充実ということをやっていかなければいかぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/54
-
055・石山權作
○石山委員 広大な地域の民家の立ちのき等は、これは実際問題として行い得ないと思います。しかし危険な地域というものは実際からいえばきまっているわけですね。その都市の十分の一にもつかぬと思います。ただそこは十分の一の面積ですけれども、人口的には非常に密集していて、戸数はうんと多いということなんです。ですから政府がほんとうにお金の使い方を上手にやりさえすれば、年々二百億以上燃える火事の何分の一かを投ずれば、そういう一部の撤去ということは可能です。それをやらない。そういうところは燃えるだろうということはわかっておるのですよ。消防本部では去年の末ころABCくらいのクラスに分けて新聞に発表しておりますよ。そのAくらいのところですよ。そのAくらいのところは焼けたあとで不燃都市にするというような、そんなばかげた、国民を愚弄した政治のやり方というものは私はないと思う。もし新しい自治省を作れば、地方自治はよくなるのだ、また消防も強化されるのだ、そういうふうな構想があるとすれば、私は自治省という名前になってもいい。とにかくあなたの消防を強化されるという意見には私は賛成です。賛成ですが、一つの考え方としては私のような考え方が地方にたくさんあるということです。もっと予算をくれろ、わかっておるなら手をつけろということだと思う。それをやらない。二百億、三百億をまるで煙にしてしまう。何か残ればいいが、火事だけは何も残らない。地震、雷、火事、おやじというけれども、全く何にも残らない。大館とか能代のように、二へんも三べんも火事があって、不燃都市にしても、みな利子をつけてお金をかけて不燃都市にした。最近はその利子の支払いに困っている。大館のような場合は、前に火事があってそのときの利子を払っている。その次の火事があって借りて、今度納めるときにはその利子が二つ重なって取られる。不燃都市の家の中に住んでいても、全く冷やかな生活しかできないという現実もある。私はあなたの御意見には大いに協力をしたいと思いますが、ただし自治省というものの考え方は私はまだまだ研究する余地があると思います。消火強化に対しては十分注意を払う必要があるのではないか。それからもう一つ聞きたいことは、町村合併以後の現実の姿でございます。町村合併をした場合に、確かに利益がたくさんあったと思っております。いろいろな意味で所期の目的を達した条件が幾つかあると思う。たとえば学校が少なくても済む、それから行政の人件費が少ないとか、いろいろあると思いますが、目に見えるのは学校等です。ただ一つ反面にこういうことがあると思うのです。町村合併をしたために、まず役場を建てなければならないという条件が一つ生まれました。その役場を見ますと、みなりっぱな役場ですよ。地方へ行ってみますと、一番りっぱなものは何かというと中学です。農村へ行ってみますと、緑の平野の中に赤い屋根のあるのは学校です。その次は農業関係の団体の倉庫、建物、それからもっと新しいのは町村合併によった役場です。これは役場は考えてみますと、中身が私はかわいそうです。なぜかわいそうかといいますと、町村合併によって第一に人件費を節約するという指導方針が一つ皆さんの方からなされているわけです。そのために公務員と地方公務員の賃金差など、今さらあなたに申し上げなくともどこかでたくさん言われただろうと思いますが、大へんなことができてしまった。片方、あなたの方でむぞうさに起債などをなさったものですから、役場は建てられた。りっぱな役場は建てられたが、その中にいる人々は、小使さんなどは簡単に首を切られます。それからこういうわけでよけいに予算を使うから、たとえば今申し上げたような建物の関係だとか、人件費の値上げは極力押える、全くひどい立場に年々なっていく。給与だけでなく、年末、期末の手当なども国家公務員とは格段の差が今できておる。こういう点はあなたの方でどういうふうに見て今まで指導されてきたか、これはほおっておくとこの考え方はなおひどくなるのではないか。ということは、町村合併をされた場合、たとえば一つの古い市がありますね。それに農村が合併してくるわけです。そうすると農村の方々はいわゆる市にある水道がほしいと言いますよ。市にあるバスがほしいと言います。これは私当然だと思うのですが、それをやると、。も申したようにりっぱな庁舎は建つが、中にいる人たちにいたずらなるしわ寄せがされるわけなんです。ですから経済能力に合った、担税能力に合ったような形で起債がやられますならば、そんな負担、そういう悲哀がなかったのではないか。それから皆さんの方では、これは地方はそうでございますが、いわゆる事業をやる村長さんあるいは町長さんあるいは市会議員、こういうふうなものは地方では割合に表面にぽっと出るわけですね。ですからどうしても事業々々というふうな格好で物事が進んでいきます。しかしその指導をあなた方の方できちんとやらないために、いわゆる身分不相応な門がまえをした家を作ったり、こういう結果になっているようですが、そういう点はどういうふうに指導なさっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/55
-
056・青木正
○青木国務大臣 お話のように地方の公務員の待遇が非常に劣っておるという問題、御承知のように地方公務員法に基づきまして、地方公務員は国家公務員に準ずる待遇を受けなければならぬということになっておるのであります。ところが現実の問題は、御指摘のようにだいぶそこに格差があるという問題は私どもも承知いたしております。そこで財政計画上は法律の建前に従って、地方公務員も国家公務員に準ずる待遇ということになっておるのでありますが、実際がなかなかそうはいかぬ、こういうことはまことに遺憾な点でありまして、われわれといたしましても、地方公務員はやはり法律の定まるところによって、国家公務員並みの待遇にしなければならぬと考えるのであります。ただ実際問題といたしますと、町村合併のあの促進法の建前が、関係町村が一緒になりましたときに、一度に吏員を整理してはいかぬということになっておりますので、あるいは膨大な人員をかかえておるところもあると思うのであります。こういうものはできるだけ機会を見て、自治庁の方でいろいろ指導しておりますように、適正な吏員数にしていただく。しかし同時に吏員の待遇については国家公務員並みに上げていくように、こういうことをいろいろな機会に私どもは指導いたしておるのであります。それから退職金問題等につきましても、御承知のように今回恩給職員が共済年金制に変わる、地方公務員も、おくれますが来年からは、三十五年度からはやはり国家公務員並みのそういう共済年金制度を実現したいということで、機会あるごとに地方公務員の待遇改善、法律できめられているような姿にしなければならぬということで指導もし、また財政計画等におきましても、そういう考え方に立って地方財政計画を立てておるのでありまして、まだ十分私どもの期待するところまでいっていないことを私は率直に認めます。しかしこれはいろいろ市町村の財政の状態もありますので、なかなか急速にはできぬことと思いますが、しかしその線にいくようにわれわれも協力し、また市町村の理事者あるいは機関も協力していただきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/56
-
057・石山權作
○石山委員 仕事をしたいという気持はいいことであります。そういうもくろみはいいと思います。今年度予算は公共事業費が近来にないほど膨大な金額ですが、内部配分はまだしておらぬわけです。これから内部配分が行われるわけです。特にわが党の受田同僚が言われたような変な考え方で配分が行われる場合もあるだろうし、それから身分不相応な配分が行われることも大へん危険だと思う。いわゆる政党政略によるところの配分が行われることは、厳に慎しまなければならない。それと同時に十分の経済能力も考えないところの配分は、これはありがた迷惑だが、これはさっき申しましたように理事者あるいは吏員が自分の手柄にしたいものだから、これを受け取るということになると思う。しかしこれは自治庁で計数を調べて見れば、この内部配分が消化できるかできないかということは一目でわかるわけです。それを度外視した配分を今まで行なったきらいがあるわけです。ことに今度のように総予算の一五%くらいの膨大な選挙何とかというような名前で批判されているだけ、公共事業費が多いわけです。これは一つ地方財政を破綻に導かないように、そうして地方財政を立て直すためにはいたずらに——それでなくも失業者が多くて困っておるときに、いたずらに人件費にのみしわ寄せをしてつじつまを合わせる、そうして仕事は中途半端にやっておきながら、これはおれがやったというような地方自治が表面に現われるとするならば、これは決していい傾向ではないと思います。ですからこういう点も一つ、これからいろいろと陳情団など来て自治庁、大蔵省などにぎわうところですけれども、十分に一つ御考慮を願いたい。まだまだその町村合併による跡始末ができていないのでございますから、跡整理のできないところにめちゃめちゃな起債など許し、あるいは配分などをなすとするならば、私は大へん地方住民が困るだろうと思うのです。簡易水道を引いてもらってありがたいかもしれませんけれども、結局そこに納める金がなかったら、水道の水は出たけれども自分は飲めないというふうな人が出てくる。これは現実に出てきている。納められないから水を飲めない、これでは所期の皆さんのお考えになったこととは違っていくケースを見せておるわけなんで、一つそういう点と十分からみ合わせて、公共事業費の配分をなさっていただきたいと思います。以上で終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/57
-
058・青木正
○青木国務大臣 これはまことにごもっともでありまして、私どもも先般来予算委員会等におきましても、そのことを申しておるのでありますが、市町村あるいは府県の財政力に見合わないような公共事業の配分は、市町村あるいは府県では財政的にも非常に困りますので、私は公共事業の配分に当りまして十分そういう点を勘案いたしまして配慮していきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/58
-
059・内海安吉
○内海委員長 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、これにて本案についての質疑は終了いたしました。
これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
自治庁設置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/59
-
060・内海安吉
○内海委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決いたしました。
なお、本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/60
-
061・内海安吉
○内海委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決定いたしました。
次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。
午後零時二十九分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X01619590310/61
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。