1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月二十日(金曜日)
午後二時十分開議
出席委員
委員長 内海 安吉君
理事 岡崎 英城君 理事 高橋 禎一君
理事 平井 義一君 理事 前田 正男君
理事 受田 新吉君 理事 木原津與志君
植木庚子郎君 纐纈 彌三君
富田 健治君 橋本 正之君
船田 中君 保科善四郎君
茜ケ久保重光君 石橋 政嗣君
石山 權作君 柏 正男君
出席国務大臣
国 務 大 臣 伊能繁次郎君
出席政府委員
法制局次長 高辻 正巳君
防衛庁参事官
(防衛局長) 加藤 陽三君
防衛庁参事官
(経理局長) 山下 武利君
防衛庁参事官
(装備局長) 小山 雄二君
外務事務官
(条約局長) 高橋 通敏君
委員外の出席者
専 門 員 安倍 三郎君
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本日の会議に付した案件
防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第九四号)
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第
九五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/0
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001・内海安吉
○内海委員長 これより会議を開きます。
防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑を許します。受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/1
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002・受田新吉
○受田委員 きょうは防衛に関する具体的な問題点について、特に重点を置いてお尋ねをしてみたいと思うのです。そのことについて、まず具体的な問題に入る前に、自衛隊法のあり方についてお尋ねするのですが、自衛隊法の第七十六条に防衛出動の規定が書いてあります。「内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃に際して、わが国を防衛するため必要があると認める場合には、国会の承認を得て、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」こう書いてある。外部からの武力攻撃というこの解釈はどういうものであるか。外国のすべての国を対象にするものであるか、あるいは国家でなくても特定のたとえば凶徒のごとき集団的暴徒の武力攻撃のようなものも含むのか。この問題は自衛隊のあり方に対する最も根本的な問題に入ると思いますので、防衛庁はどういう考えを持って外部からの武力攻撃を解釈しているのか、お尋ねをいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/2
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003・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 お尋ねの点につきましては、私どもが従来予想いたしておりますものは、いわゆる外国という言葉だけでなく、御指摘のありましたような日本以外の国という形態をとりませんでも、外部からの一切の武力的な攻撃、これを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/3
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004・受田新吉
○受田委員 そうしますとその外部からの武力攻撃は外国のみでなく、そういう集団的凶徒のごときも含むということになるならば、外国の中には安保条約を結んでいるアメリカも入りますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/4
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005・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 御承知のごとく日米安全保障条約を結んでおりますが、これが条約の期限が切れるとか、あるいは切れませんでも何らかの形において、われわれは予想はいたしておりませんが、日米間にはなはだ不幸な事態が起ったという際に万一、これは仮定の問題のお尋ねのことでございますが、アメリカが日本と突然そういった事態になって参った場合には、私は外部からの武力攻撃と、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/5
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006・受田新吉
○受田委員 そうした外部からの武力攻撃の中にアメリカも含むということになるならば、現状において在日米軍と日本の自衛隊とが交戦をすることになるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/6
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007・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 交戦という言葉の問題でございますが、この点につきましては、そういう事態が起れば争いが起るというようなことは、結果として当然現われてくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/7
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008・受田新吉
○受田委員 アメリカの攻撃に対しても、これに対して自衛権の発動をしなければならぬと今長官が言われたわけです。条約を結んでおっても、その信義を誤まるようなことがアメリカであり得る場合もあるということになりました場合に、在日米軍と日本の自衛隊とがそうした武器を使用した戦いをやる、つまり交戦権の発動にはなっていなくても、そうした戦いをやるという場合の法律的解釈がもう一つ必要だと思うのですが、向うの在日米軍は日本に対して条約の締結を無視して戦闘をしかけてくるという場合がある。その場合に向うは交戦権を発動して、日本が言うことを聞かぬので、ついにこれと仲よくつき合うことはとうてい困難だという意味で、日本を壊滅する目的をもって、日本の国内に駐留する米軍を増員して、日本の自衛隊に痛撃を与えるという場合に、自衛隊と米国の軍隊との間における戦いのあり方、アメリカは交戦権の発動としての日本に対する武力攻撃、日本は自衛隊の自衛権の発動によるところの防御、防衛、こういう形で解釈すればよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/8
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009・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 仮定の議論でございますので、実際問題としては日米安全保障条約のみならず、国際連合という大きな集団安全保障態勢、世界人類の幸福と福祉をもたらし、世界平和に貢献しようという機構の中にありますので、アメリカ自身も自衛の目的以外には軍を動かすことはない、かようには考えておりますが、御指摘のような、あくまで仮定の議論といたしましては、実態は別といたしまして、そういった場合に争いが起ったという際には、アメリカとしては交戦権を主張するということはあり得ますし、われわれはそれに対して防衛の措置をとるという関係に相なるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/9
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010・受田新吉
○受田委員 国際連合憲章の中に規定してあるところの安保理事会が事後承認をするまでの間に、国際平和と安全の維持に必要な措置として個別的に発動した自衛権のあり方というものに対しては、これは押えるものでないということが、国際連合憲章を尊重するという意味から、この日米交換公文の上にもはっきり示されておる。そういうことから言いましたならば、アメリカがそういう美名のもとに個別的な自衛権の発動として、戦闘を開始するということも考えられますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/10
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011・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 その点につきましては御承知のように、国際連合に基く集団的安全保障として日米安全保障条約ができておりますので、日米安全保障条約がどういう事情で、——これは全く仮定の議論でございますから、どういう事情で一方的にアメリカから破棄されるかという関係については、私ども想像のできないことでございますが、万が一という全く仮定のお話でございますので、万々がさような事態が起ったということになると、御指摘のような形に相なりはせぬかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/11
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012・受田新吉
○受田委員 われわれはいろいろの場合を想定して法律の解釈もしなければならないし、条約も結ばなければならないと思うのです。従って自衛隊法の七十六条にはっきりと書いてある外部からの武力攻撃という場合のいろいろ
な問題を考えてみるならば、アメリカがそうなし得る場合もある。すなわち日本がアメリカの言う通りにならない、日本の自衛隊は思うように動かない。そこでアメリカは極東の平和を害するのはむしろ日本であるという意味で、そういう彼独自の考えをもって、個別的な自衛権の発動ということも考えられると私は思うのです。そういうことは万々が一というお言葉が今ありましたが、あり得るということになると私は思うのです。
そこで今度は日本の自衛隊の配備というものに関係して今からお尋ねするわけでございますが、今の日本の自衛隊の配備は、アメリカが武力攻撃を加える場合の想定も十分考慮して配備したものであるかどうか、ここを一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/12
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013・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 国際連合並びに日米安全保障条約の締結における友邦アメリカとの関係におきましては、私どもは国際信義、国際慣例から、交戦権を放棄した日本には当然の適用はないにいたしましても、国際法上の平和的な問題についてはすべて国際法規は適用せられると思いまするが、戦時国際法等についてそのまま適用せられない面がありましても、私どもとしてはそういう事態は全く考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/13
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014・受田新吉
○受田委員 アメリカが日本に攻撃を加える場合を想定のもとに日本の自衛隊の配備は考えていない、かように了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/14
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015・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 御指摘の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/15
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016・受田新吉
○受田委員 そうすると日本の自衛隊の配備は、アメリカ以外の国々が攻撃を加える場合の配備であると了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/16
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017・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 御指摘の通りと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/17
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018・受田新吉
○受田委員 そうするとここでもう一つ問題が起るわけですが、アメリカとフィリッピン、アメリカと韓国、アメリカと台湾は、それぞれいわゆる軍事同盟条約を結んでおる。こうしたときに日本はアメリカと結んでいるこれらの国々と共通の立場に立つ点が発生するわけです。すなわちアメリカという一国はそれぞれの国とそれぞれ同盟条約を結んでおる、こういう場合にこれらの国々、すなわち韓国、台湾、フィリッピンは、これまたアメリカが攻撃を加えることがないという想定のもとに、防衛力が増強されつつあると考えてよろしいかどうか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/18
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019・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 外国のことにつきましては不幸にして私ども何ら承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/19
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020・受田新吉
○受田委員 そうしますと韓国が日本に攻撃を加えるということは考えられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/20
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021・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 私どもとしては少くとも国際連合のもとにおきまして、互いに同じ考え方のもとに世界の平和と人類の幸福に寄与しようという立場にある国々の間については、現在のところさようなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/21
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022・受田新吉
○受田委員 その国々というのは具体的に申しますとどういう国々でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/22
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023・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 国際連合加盟の諸国並びに国際連合加盟以外の国々においても、私具体的にここに名前をあげることはできませんが、同じような立場において同じような考え方のもとに世界の平和と人類の福祉に貢献しようという国々に対しましては、同様に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/23
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024・受田新吉
○受田委員 長官は先ほどアメリカ以外の国々が武力攻撃を加える場合を想定して、日本の自衛隊の配備がなされておると御答弁になったわけです。そうして次の御答弁ではこれらの国々はそういうことはあり得ないのだということになりますと、これはどうもはなはだあいまいな点があるわけでございますが、武力攻撃を加え得る可能性のある国として想定して日本が自衛隊の配備をやっておる、こう仰せられた以上は、アメリカ以外の国々は、韓国も台湾も日本に攻撃を加え得る危険のある国である、これを想定して日本が自衛隊の配備をした、かような解釈が成り立つと私は思うのです。そのことについてあなたは日本の自衛隊の配備は、アメリカ以外の国の日本に対する武力攻撃に対しての配備であると今言われたわけです。その中に韓国や台湾というものが入るかどうかを私は今お尋ねしたわけです。もう一度御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/24
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025・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 観念的には日本の自衛隊というものは、御指摘のごとく外部よりの武力攻撃に対処しての特殊な構成の自衛隊でございます。しかしながらさいぜんアメリカが万が一にもいかなる事態——現在の事態においてはとうてい想像し得ないが、アメリカ自身がどういう事情かで突然武力攻撃を加えるようなことがあるだろうかないだろうか、私どもはさようなことは想像いたしておりませんが、あくまで観念としてはそういうこともあるいはあり得る、かようにお答えをいたしたわけでありまして、それと同じ立場において、私ども同じ考え方のもとに立っておる国々に対して、さようなことは具体的な問題として考えない。観念的には外部からの武力攻撃ということについては、一般論としては日本以外の外部という考え方、これはすべて外部という考え方に入る。しかし私ども現実の問題としてさようなことを考えておらない、かように存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/25
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026・受田新吉
○受田委員 そうすると国連に加盟していない国ということになると、どの国がそういう侵略をする危険がある国の中に入るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/26
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027・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 特にどの国が具体的に侵略の危険があるということではなくして、私どもと同じような立場、同じような考え方に立っておる国については心配はなかろう、かように申しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/27
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028・受田新吉
○受田委員 そうしますと同じ立場に立っておる国連加盟の八十数カ国以外の残された国が武力攻撃を加える危険がある、かように了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/28
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029・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 さいぜんお答え申し上げましたが、国連加盟以外の国であっても、私具体的に名前を指示することができませんが、同様な考え方のもとに世界の平和と人類の福祉に貢献しようとしておる国もあるだろう。従ってそういう国につきましてもわれわれと同じような考え方で、世界の平和と人類の福祉に貢献しようと考えておるから心配はなかろう、かように私は申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/29
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030・受田新吉
○受田委員 もう一つこれに関連する問題ですが、日本の自衛隊の配備は、あなたはアメリカの武力攻撃を想定しての配備ではない、その他の国々を対象にしておると仰せられた。これは間違いないですか、もう一度伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/30
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031・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/31
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032・受田新吉
○受田委員 そうすると私はここに問題があると思うのです。日本の自衛隊の配備はアメリカの武力攻撃は一切想定しないで、その他の国の武力攻撃を想定した自衛隊の配備である。はっきり割り切っておるならば、ここに問題が一つあるのです。すなわち韓国、台湾というようなアメリカと軍事同盟条約を結んでおる、アメリカにとっては同じ兄弟国の立場に立っておる国々が、米軍のおる日本に攻撃を加えるということが、これまた想定できない問題ではないですか。韓国や台湾の攻撃を予想して日本の自衛隊の配備がされておるということにはなるわけですから——この問題は私非常にはっきりしておいていただかなければならぬと思う。いかがですか。扇のかなめのような立場に立っておる米国とその周辺の国々との間における問題が、日本の自衛隊の配備にどういう結びつきをしたらよろしいか、御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/32
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033・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 さいぜんのお尋ねの際に、私どもが万々予想していなくても観念的にはアメリカというものも御指摘のごとく——お言葉をもって御答弁いたしますれば、日本が世界の平和に害があるか、あるいはアメリカの言うことを聞かないというお言葉を使われましたが、極東の平和と安全に寄与しないということで攻撃をし得ることが観念的にあり得るかというお尋ねでございましたので、観念的にはさようなことはあり得ると考えることもできるであろう、かように御答弁を申しました趣旨と同じにおきまして、外部からの武力攻撃というものについては日本以外の——ことにアメリカとは現に安全保障条約を結び、米軍が日本に駐留しておる、こういう事実について日本はアメリカに対する配備、装備は何らしておらない。その他の国々の攻撃に対しては想像はしておらなくても、一応自衛隊は外部全般についての使命を持っておる、かように申し上げましたが、そういう意味合いのことでありますれば、外部という言葉は外国全般、その他、国でなくても御指摘のような暴力的集団ということを想定いたしておりますが、現実の問題としては私どもと同じ考え方のもとに立って国際連合のもとに世界の平和と人類の福祉のために貢献しようという人々、国国に対しては、具体的にはさような考え方を持って自衛隊を配備、装備しておるというわけではなく、自衛隊はあくまで憲法に定められた最小限度の許された自衛権をもってこれを守るという国内の考え方から自衛隊を作って、万一の場合における外部からの武力攻撃に当りたい、かような考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/33
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034・受田新吉
○受田委員 この自衛隊法という法律は、外部からの武力攻撃ということをはっきりうたって、その場合に防衛出動をするということを規定しているわけです。その判断がもし誤まられておるというと、これは大へんな問題だと思っておるのですが、あなたは今日本の自衛隊の配備は、アメリカを除いてそのほかの国の攻撃の場合を想定しておるとはっきり言われておるので、そこでこの日本における自衛隊の配備は、その他の国々が武力攻撃を加える想定のもとに、北海道、西九州というところへ重点的に部隊を配置しておる、こういうふうなことになってくると私は思うのです。日本の自衛隊の配備というものはアメリカは全然考えておらぬ、アメリカ以外の国を考えておるということになると、北海道へ重点を置いた自衛隊の増強計画というものには——昔は北海道には旭川の師団が一つしがなかった。そういうときに今陸上自衛隊の四分の一以上もあの小さな島へ防衛力を集結しているというところには、防衛計画の上に重点的ななぞがひそめられておると思うのです。この点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/34
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035・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 先般も御指摘の問題については本委員会等でお尋ねがございましたが、私どもは地域的に見まして自衛隊の配備を適当にいたしておるつもりでございまして、特に北海道に重点を置く、特に九州に重点を置くという形でありませんで、今回の法律案において御審議を願っております内容につきましても、内地についても逐次全体として配備の適正を期するということでありまして、北海道のごとき地域の広大なところにある程度の配備がありますることは、これは特定の国を想定したというような考え方をもって配備しているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/35
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036・受田新吉
○受田委員 実際問題としてはそこに重点が置かれていることは衆目の見るところ一致しているわけです。軍備拡張時代の日本の軍が計画した軍の増強計画を見ましても、北海道には大した期待がされていなかったのです。これは非常になぞをひめた問題として、一般国民は一つの疑点を解決していないのでございますが、戦前戦後を通じて北海道に部隊の重点度が、前は軽く、現在は重く置かれている理由には防衛計画の上に何かを企図されておるのではないかと思うのですけれども、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/36
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037・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 お尋ねでございますが、自衛隊の本質から考えまして国土を守るということがその本旨でございますので、その配備については御指摘のような点を考慮に入れて配備をしておらないということはただいま申し上げた通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/37
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038・受田新吉
○受田委員 もう一つ、外部からの武力攻撃ということがはっきりうたわれておるのでございますが、この法律の解釈をもっと深めてお尋ねするならば、その武力攻撃の方法をどういうものを想定して日本の自衛隊の配備を考えておられるか。いろいろな場合を想定しておられると思うのです。外部からの武力攻撃がどういう形でなされるか、そのいろいろな場合を想定して日本の自衛隊が配備されていなければ、また装備もされていなければ、はなはだ架空の自衛隊になってしまうわけなんです。用をなさぬ自衛隊なんでございますが、外部からの武力攻撃の手段というものは、どういう形でなされるということを想定しておられるか。ばく然とした想定か、あるいはこういう場合、こういう場合があり得るという、いろいろな外部からの武力攻撃の手段について分析、検討しておられるかどうか、お答え願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/38
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039・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 私からお答えを申し上げたいと思います。外部からの武力攻撃の態様につきましては、これは受田先生もよくおわかりのことと思いますが、いろいろな態様があると思います。全面的な大規模な侵略ということもございましょうし、局部的なものもございましょう。その局部的なものにつきましても爆撃とか砲撃とかいうものもございましょうし、あるいは非常に小さな火器をもってやってくるという場合もありましょう。いかなる場合におきましても自衛隊といたしましては、国土を防衛するという任務ができるように準備をしておるのでございますが、どういう武力攻撃かを想定して防衛計画が立っておるかということを申し上げることはなかなか困難なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/39
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040・受田新吉
○受田委員 ゲリラ的な小さな舟艇の群れが来たような場合もあり、いろいろなことがあるという局長の御答弁でございますが、しかし現在の日本に装備され配備されている自衛隊というものは、そういうゲリラ的な場合というよりは、この限度までの攻撃に耐え得る自衛隊だというように、武力攻撃の方法においてこの程度まではという限界があると思うのです。この限界を越えた外部からの武力攻撃ではお手あげだ、ここまでは日本の自衛隊で耐え得る実力を持っておる、こういう限界があるはずだと思うのです。外部からの武力攻撃をはっきり法律にうたってあるのですから、このうたってある法律の解釈をどうおとりになっておるかが一番大事なことだと思いますので、もう一度その限界をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/40
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041・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 外部からの武力攻撃自体の解釈につきましては、今申し上げましたところで私は尽きておると思うのでございます。ただしかしどの程度の能力があるかということになりますと、これはやはりそのときの状況に応じまして、艦船に主力を集中してくる場合もございましょうし、航空勢力に主力を集中してくる場合もございましょう。その程度々々、武力攻撃の様相に応じまして、こちらの方の抗堪能力も違ってくるわけでございます。またたとえば一地点だけにやってくるとか、数地点にやってくるとか、いろいろな状況があるのでございまして、これを今ここで詳しく申し上げることが困難なことは御了解いただけると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/41
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042・受田新吉
○受田委員 そうした作戦計画の機密に属することについては公開できない点もあると思いますけれども、しかしながら法律には武力攻撃とはっきり書いてあるのでございますから、その武力攻撃の限界はどこにあるか、それから日本の今の装備、人員配置というようなものを考えたときに、攻撃的な自衛隊でないということになっているのでございますから、大よそ武力攻撃の中身についても、この程度まで耐え得るということが私は言えると思うのです。核武装をした兵器がどんどん飛んでくるような外部からの武力攻撃に日本は耐え得るかどうか、これを一つお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/42
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043・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 核攻撃と申しましても、私はいろいろな段階があると思います。たとえばICBMとかIRBMを使うような場合もございましょうし、飛行機で核爆弾を持ってくる場合もございましょう。核の威力そのものも、数日前の新聞では、一トン程度の小さなものができたといっておりますし、またわれわれの方で調べておりますところによりますと、四十メガトンから五十メガトンくらいの威力のある爆弾もできておるのでありますから、これもまた一がいにどういうふうな核攻撃に耐え得るということを申し上げることは困難であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/43
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044・受田新吉
○受田委員 攻撃用のミサイル、こういうようなものも日本の実力で耐え得るかどうか、あるいはICBMというようなものの攻撃に耐え得る自衛隊であるかどうか、これもお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/44
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045・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 伝えられるところによりますと、今のICBMは発達の段階でございますが、相当な威力のあるもの、半径数十キロメートルにわたる威力半径を持つものもできておるということも聞いておりまするから、そういうふうなものをいきなり数発ないし数十発もぶちつけられることになりますと、これはちょっと私どもの想像しがたいような事態が起きるのではないか、これは自衛隊を越えた問題であろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/45
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046・受田新吉
○受田委員 日本だけで単独に自衛権の発動をなし得る場合、米軍の協力を得なくてもなし得る場合ということに限界点がある。日本の自衛隊の実力だけで、自衛権の発動によって外部からの武力攻撃を押える限界というのは、どこに置いておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/46
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047・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 これもなかなかむずかしい問題でございまして、その攻撃の態様で違うと思うのでございます。一地点だけに集中してくるという場合もありましょうし、分散的にやってくるという場合もありましょう。ただお尋ねの趣旨に幾らかでもお答えになるかと思いますのは、普通の火力、各国の陸上兵力一個師団等の持っておる火力等はそれぞれ違いますが、同じような火力の場合、しかも状況が全然同じ、これは全く仮定の仮定でございましてあまり私は意味がないかと思うのでございますが、同じような火力の場合におきましては、防衛作戦の場合は、陸上の場合は三倍から四倍という威力を発揮し得る。こちらの一個師団が三個師団くらいまでは対抗できるのじゃないかというふうなことは言えると思います。艦船につきましても同じでございまして、五インチ砲を持っているものが集中的に何隻来た。これに対してこちらの五インチ砲を持っているものを何隻集中すれば対等の戦いができるか。飛行機についても同じであります。たとえば一機の爆撃機に対しまして二機持ち得るということになれば、それでおのずからある程度の能力というものがわかるわけでございますが、これは全く仮定の説明でございまして、私はそれで実際の防衛が動くというふうにお考えいただくことは危険であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/47
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048・受田新吉
○受田委員 陸海空の三幕僚部で作戦計画は立てられる、内局においてこれに対する防衛計画を立てられるという段階になると思うのですけれども、こうした作戦計画についての内局の実権はどういうものでありますか。幕僚部にまかせ切って、内局にその作戦の内容を報告されない面があるのかないのか、これを一つお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/48
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049・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 日本の自衛隊の自衛上の作戦計画並びに幕僚間における会議の内容等につきましては、内局のものが常にこれに関与をいたしまして適正を期しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/49
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050・受田新吉
○受田委員 そうすると防衛局長は防衛計画あるいは防衛上の作戦計画、こういうものについては各幕僚部のすべての機密も計画の内容も御存じであるということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/50
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051・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 防衛計画につきましては、各幕僚監部の方で原案を作りまして、それを統合幕僚会議の方で軍事的に調整をいたしましたものを防衛局の方に渡します。防衛局の方で専門の軍事という分野でなしに、もう少し広い分野から、国の財政の問題とか防衛生産の問題とか、いろいろなことを考え合せまして意見を出しまして、長官の御決断を仰ぐということにしておるのであります。立ちました防衛計画の具体的な運用の問題は、主として各幕僚監部の問題でございます。私ども専門家でございませんので、こまかい点についてまでは存じておりません。しかし大綱は承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/51
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052・受田新吉
○受田委員 かって日本の軍には軍令と軍政が分れて施行されておった。軍政にあずかる者は軍令のものに触れることができなかったという、軍令、軍政の分離がされていた。こういう問題はあなた方はどうお考えになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/52
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053・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 これは昔の日本は軍令、軍政とはっきり分けておりました。しかし最近の世界の各国の国防機構を見ますと、これはいろいろでございます。一々例をあげることもいかがかと思いまするけれども、主として共産圏の諸国におきましては国防大臣そのものが軍人でございます。でありますが、同時にその人たちは軍人のままで党の有力な幹部でやっておられるのであります。自由圏の諸国におきましては国防大臣は政治家でございます。その政治家のもとにおきまして主として政策的な面につきましては、これは各国とも文官が大臣を助けておるような格好になっておると思います。軍令的な面になると、軍令ということの分け方が昔の日本の軍政、軍令という分け方と、国々によりまして必ずしも一致していない点があるように思うのでございます。イギリスについて申してみますと、イギリスは国防省というものが陸海空の三軍省と並んで別にございます。そして陸軍大臣も海軍大臣も国防大臣もみな政治家でございます。国防省の中には文官の部局とそれから日本で申しますれば統合幕僚会議のようなものに分れておりまして、これが陸海空の三軍の省と連絡を保ちながら国防の政策を決定し、その施策を実行していくというふうな格好になっております。そして国防大臣の直属のところにおきましては国防次官と、それから軍令と申しますか、統合幕僚会議の議長というものが対等のようになっておるようであります。しかし各軍の省に参りますと、陸海空軍に参りますと、この点が若干違うようにも見受けられるのであります。アメリカにおきましては大統領が米軍の総指揮権を持っておりまして、総司令官でありますが、大統領の下に国防大臣が置かれておりますが、国防大臣は国防次官によって助けられております。そのほかに統合参謀本部の議長がおります。漸次軍令系統のものが軍人の系統の部類に整理していかれるようには見えまするけれども、まだ正確にそうなっておると言い切る段階でなしに、ことに第二次大戦の終了後におきましては、ドイツの参謀本部の機構というものが非常に悪かったというふうな批判が英米にございまして、反動的に軍令、軍政を一本にしてやっていかなければならないというふうな気分が戦後にあったのでございます。逐次また分離されてきつつあるような傾向にあるのではないかと思いますが、各国それぞれその国の国情によりましていろいろでございまして、一がいに申しにくいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/53
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054・受田新吉
○受田委員 現状における防衛庁は、そうした問題については全然考えておらない、検討もしておらないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/54
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055・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 私、就任まだ必ずしも長いとは申し上げられませんが、憲法の規定いたします総理大臣並びに各国務大臣は文民でなければならない、かような趣旨から内閣総理大臣が自衛隊の最高責任者であり、私が総理大臣の指揮のもとに自衛隊を統括いたしておる立場にありますが、私自身としてはその趣旨を受けまして、いわゆる軍政と軍令というものにつきましては画然と分けるという立場でなくて、あくまでも連帯として国務大臣のもとに次官その他内局等の補佐機関を置きまして、いわゆる軍令の指揮統率の全きを期したいということで、画然と分けた二元的な旧来の戦前のような形はとりたくない、私はかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/55
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056・受田新吉
○受田委員 今われわれが自衛隊に対しては非常な批判的な立場に立ちながらも憂えておることは、自衛隊の制服によって圧倒されて政治優先の原則、文民文官優位の原則がこわされるのではないかということです。ここに一つの問題があると思うのです。そういう意味からもこの政治優先、文官優先という形を確保するということについては、確固たる信念をお持ちであろうと私は思うのです。従って私これ以上この問題には触れませんが、もう一つもとへもどりまして、しからば今外部の武力攻撃に対して、日本の自衛隊の装備、配備がどの程度かということに触れるわけでございますが、いかがでしょう、日本の自衛隊の実力は、これから先の外部からの武力攻撃の態様を見たときに、昔のような陸海空が分離して小じかけに来るということはなくして、非常に大規模の攻撃ということが想定されると思うのです。通常の外部からの武力攻撃は、大規模の態様を持つ武力攻撃である、かようにあなた方としては一応この法律の解釈をしておられるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/56
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057・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 非常に抽象的に申し上げますと、大規模というふうな表現の方が当るかと思いますけれども、どの程度が大規模であり、どの程度が小規模であると言うことは、なかなかむずかしいと思うのでございます。航空機による攻撃と船による海上の攻撃との二つがおもなものでありまして、いずれにいたしましても、どの程度の規模のものになってやってくるだろう——一つ一つはいろいろございましょう。飛行機にいたしましても船にいたしましても、ある程度、そう多くのものを一ぺんに集めることはできないと思いますが、断続的に来る場合のことを考えますと、抽象的に言いますならば、今おっしゃる通り散発的なものではなかろうということは言えますけれども、どのような態様でどんな規模でやってくるかということになりますと、これはなかなかむずかしい問題と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/57
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058・受田新吉
○受田委員 武力攻撃の態様は、通常の観念からいえば、大規模の猛烈な攻撃であるということになる。波状攻撃の分散したものというのは、戦術として考える程度のもので、普通の攻撃の方式は大武力攻撃、かように一応考えられると思う。あなた方の立場をもってすれば——私の解釈は常にそう見ていただきます。そこで内閣総理大臣は、この七十六条によると、そういう場合に国会の承認を得なければならぬ、国会の承認を得て自衛隊の出撃命令を出すわけだが、瞬間的に大規模の攻撃が来た場合に、国会の承認を得る方法はいかなる方法があるか、一つお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/58
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059・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 おっしゃるところの問題点は私はよくわかるのです。ただあくまでも日本の防衛でございまして、国権の最高機関である国会の御承認を得てやるというのが、私は本筋であると思うのであります。私どもといたしましては、そういうふうな緊迫した状態というものは、急に起るものというふうにはなかなか考えられません。やはり国際関係というものが微妙に動きまして、全然晴天へきれきのようにそういう事態が起るとは思わないのでありまして、国会の御承認を得る手続等につきましては、内閣等におきまして万全を期せられるように御希望する以外にないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/59
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060・受田新吉
○受田委員 そうした急迫した事態が想定できないような国際情勢では、突然攻撃を加えられるというようなことは考えられない、かように了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/60
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061・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 国際情勢が平静なときに、晴天のへきれきのようにそういう攻撃が起るということはまだないだろうと思うのであります。まずどこの国でも、攻撃をしようということになりますと、兵力の集中、補給等をやりますので、やはりその辺は、徴妙な空気がおのずからどこかの情勢に現われてくるだろうということを申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/61
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062・受田新吉
○受田委員 武力攻撃というのは短時間に、また大規模になされるというのが常識だということに、あなた方の立場でなった場合に——そういうものは今私たちは想定していないのでございますが、この法律の解釈の問題から、一応あなた方の防衛庁の立場でそういうことを今お尋ねしておるわけですが、あなたはそうした場合に国会の承認を得るいとまがゆっくりある形になると言う。これは私たちとしては非常にけっこうなことでございますが、その次に書いてある承認を得るいとまのないときにおける、総理大臣の命令一下出るという場合です。こういう場合がむしろ通常の形で行われることはないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/62
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063・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 お尋ねでございますが、さいぜんから防衛局長から御説明申し上げましたように、最近においては海外における各種の状況というものは、いろいろな諜報を通じまして比較的判明し得る。もちろん軍事上の機密等については、御指摘の通りに判明することの困難な場合もあろうかと思いますが、全然知らずにさような事態が起るということは、ほんとうの希有の場合かと存じますので、私としてはこのただし書きはあくまでも例外的なものとして、国の安危に関する重大問題でありますから、国会の承認を得るという立場であくまで行動をいたしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/63
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064・受田新吉
○受田委員 米国の憲法には、米国連邦議会が戦争の宣言をするようになっておる。国会の承認をもって初めて戦争の宣言がされるわけです。従って、この際例外の規定を削除したらいかがでしょう。国会の承認を原則として、米国の連邦議会と同じような形で、国会に出動命令が出せるように限定するというのはいかがですか。きわめて例外ということになれば、最も当然なことだと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/64
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065・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 アメリカにおきましては、アメリカの国憲の定めるところによりまして宣戦布告というような事実がございますが、日本におきましては、あくまでも外部からの武力攻撃に自衛の立場から対処するということでありまして、その点が大きな特色として違うところと存じます。しかしながらこれはあくまでも法律論でありまして、実質的には、御指摘のように国の安危に関する問題でありますから、あくまでも国会の緊急集会による承認を得るという建前を私どもは堅持して参りたい。ただ将来の問題といたしまして、ただし書きの適用が全然ないというようなことは、さいぜん受田先生から、アメリカとすら観念上の問題においては、何らかの間違いで争いが起るということすら想像できる、かような御指摘もございましたが、われわれとしてはあくまでも原則論を堅持して参って、ほんとうの希有の事態というような場合以外にはただし書きは適用されるべきものではない、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/65
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066・受田新吉
○受田委員 条約局長でも法制局次長でもいいのですが、米国連邦議会は大統領に戦争宣言権を付与する規定があるかないか、お答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/66
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067・高辻正巳
○高辻政府委員 お答え申し上げます。戦争宣言と申しますか宣戦布告と申しますか、この点については先ほど受田先生が仰せになりましたように、国会にその権限があったと思います。ただそれは戦争宣言のことでありまして、一定の武力攻撃を受けた場合にそれに応急の対処をするということとは別のことは、言うまでもないと思います。宣戦布告に関する限り、国会にその権限があったと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/67
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068・受田新吉
○受田委員 そうしたゆとりを持って戦争宣言がされておる。大統領は陸海空の総指揮官としての地位にありますけれども、戦争宣言は議会の権限に専属されておるということになるならば、日本の内閣総理大臣に、いわゆる国家の安危に関する防衛出動——これはアメリカでいえばちょうど戦争宣言と同じことになると思いますが、日本の場合はさように考えなければならぬ。そういう意味からいっても、内閣総理大臣の自由意思によって、判断によって防衛出動が決行される危険を、あなたとして押えなければならぬ。非常に危険な問題が起る場合かあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/68
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069・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 総理大臣の自由意思ということではございませんで、法律第七十六条は明確に内容を規定いたしております。従いまして私どもはただいまお答え申し上げましたように、あくまでも第七十六条の趣旨によって国会の承認を受くべきものである。希有の場合等についてどうしても受けることができないというようなことがないかといえば、これはないということを想定することもできません。ですからさような規定に相なっておると思いますが、国の安危に関する事柄ですから、あくまであらゆる努力をして国会の承認を得るという立場をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/69
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070・受田新吉
○受田委員 七十六条の三項には、総理大臣は前項の場合において国会の事後承認において不承認の議決をされたときは、直ちに自衛隊を撤収しなければならない、こういう規定があるわけです。内閣総現大臣の判断で出撃をやった。そうしてもう抜き差しならぬ段階にきた。もう猛烈な戦闘が行われている段階において、国会がこれは出撃すべきでなかったと議決することは、その場合には非常に困難になると思う。もう抜き差しならぬ段階で、戦闘を開始しておるときに、国会が不承認の議決をするという場合は、このことこそ非常に困難になってくる。従って事実戦闘を開始しているときに、国会が不承認して、向うは痛烈に攻撃を加えるとき、こちらがこれを引き上げることができるかどうか、その辺を一つお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/70
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071・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 国会が不承認の場合には、法律の命ずるところ自衛隊は当然撤収をすべきものと考えております。ただこの規定は御指摘のような立場を考慮して、本条の前段を特に御指摘のように国会の承認を受べきもの、私は第三項は、本条本来のものを強める意味においても第三項が置かれておる、かように解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/71
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072・受田新吉
○受田委員 実際問題として、国会の不承認ということがあり得ない形に戦闘が開始された後においては、その間の戦闘状態は非常に深く追い込まれるはずです。そういうときに、国会が不承認をした場合に、こちらの自衛隊が退くことが可能でありますかどうですか。これはあなたとして非常にむずかしい答弁になるかもしれませんが、あなたはそういう最高指揮官の一人ですから、総理大臣が今でも何かやろうというときにはやれるのですから、あなたの御判断はこれは国民の聞かんとする大事な御判断ですから一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/72
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073・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 私は法律の命ずるところによって行動を決したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/73
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074・受田新吉
○受田委員 法律の命ずるところによって行動すべきことは当然のことですけれども、そういう事態を考えるときに、国会の承認なくして総理大臣の判断によって防衛出動をなし得るという、この規定を置いていることが問題じゃないかと思う。万々一という場合には、今申し上げたような国会の不承認があった場合には、もう実に不測の事態に追い込まれるのです。あなたは現実の問題と、それからあなたの職権の二つの立場からお考えにならなければならない。これは不適切であるから、この際削除される御意思を発表されてもいいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/74
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075・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 自衛隊法第七十六条の精神については御指摘の通りでありますので、私どもはその精神を体してあくまで慎重な行動をとりたい。また内閣総理大臣自身も、おそらく国会の承認を得ることについては最善の努力をいたす、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/75
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076・受田新吉
○受田委員 米国連邦議会ですらも、アメリカ憲法は戦争宣言は大統領にまかしておらぬ。そういうことを考えたときに、国民代表機関の意思尊重ということは、これは防衛出動というあなたのおっしゃった国の安危に関する大事な問題に再会したときには、総理の責任で決すべきものではないと思うのです。大東亜戦争を起したときにも、あれが国会の承認を得るというアメリカ議会のような形であったならば、あれはもっと冷静な判断ができたのです。総理大臣が好戦主義のような人であった場合に、ちょっとした武力行使などをいかにも大げさに取り上げて、自衛隊の防衛出動を命ずるというようなことが起るかもしれないと私は思うのです。非常に危険な武器が現在持たされておる。こういう危険な武器を発し得ないように、ちゃんと法律の根元をとどめておく必要があると思うのです。アメリカの議会と同様に国会の承認で防衛出動をする。この場合に限る。それでもう非常に重大な事態ですから、その前から空気はわかる。今加藤さんもおっしゃっておるのですから、そういう空気を想定して臨時国会を召集して、国民の代表である国会の意見を聞いて、内閣総理大臣が防衛出動の態度を決定するというのが、私は順序でないかと思うのです。この点は総理に持たされた権限のあまりの大きさ、つまり国の安危に関するとあなたがしばしばおっしゃったように、安危に関する宣戦の布告に相当するような大事な権限を総理に与えられておるのですから、それが例外規定ではありましたけれども、実際は国会の召集などはなかなかやり得ないという理由をもって、この例外規定が用いられる危険が多分にある。危険なものは削除しておいた方がいいわけです。これは政策問題でありますので、防衛庁長官としてはこの例外規定はできるならばない方がいいというお気持はないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/76
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077・内海安吉
○内海委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/77
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078・内海安吉
○内海委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/78
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079・受田新吉
○受田委員 今の御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/79
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080・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 考え方としては御指摘の通りでございまするが、さいぜん受田先生お話のような、アメリカですら、さような事態が観念的には起り得るというようなお話もございましたし、また今後の外部からの武力攻撃は一瞬にして、また非常に短期間に突如として起るというような場合も想定され得るというような御指摘の点もありまするので、私どもは精神としてはさいぜん来お答え申し上げておりますように、あくまで国会の承認を得べきもの、しかし万やむを得ざる際にはこういう措置のとられることも万ないということは申し上げかねる、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/80
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081・受田新吉
○受田委員 アメリカの憲法でいえば、アメリカは国会の承認で日本との戦争をやるということになるわけです。従って、アメリカが憲法に基いて戦争の宣言をするならば、日本も国会の承認を得て、堂々とこれに対して自衛隊の防衛出動をやればいいじゃないですか。両方とも先制攻撃というような形でなくして、堂々と対等の立場で、戦争宣言と防衛出動とが同じ国会承認という形で出されるのが、日米両方の公平な措置ではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/81
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082・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 アメリカにつきましては、御承知のように戦争宣言は御指摘の通りでありまするが、アメリカの外部へ兵を派遣をするというような事態についても、これはときにあり得ることだと存じますので、さような事態等をも考慮して、戦争に至らざる状態——日本におきましてもこの場合におきましてはあらゆる事態を想定いたしまして、かような例外的規定もただし書きとして置かれておると考えておりますので、考え方としては御指摘のようにあくまで国会の承認を得て処理をするという考え方で私ども参りたい。ただ例外の場合として全然ないかということになりますると、この点についてはそこまでは言い切れない、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/82
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083・受田新吉
○受田委員 日本は防衛の立場に立って自衛隊が行動することになっているのです。日本の今持っている自衛隊の兵器、装備、こういうものは攻撃用の兵器に転用しようとすればなり得るものはないか。たとえば輸送機のごときも、それに爆弾を積んで向うへ乗り出していく、こういうようなちょっとした装備をすることによって、爆撃機にもなり得る性能を持つのではないか、改装をして攻撃機に転用できるものはないか、これを一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/83
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084・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 輸送機と爆撃機とは、飛行機そのものがだいぶ私違うと存じております。もちろん大規模な改装をして全然できぬということはございません。また御心配のような問題といたしましては、やはり海上の船であろうと存じます。これはそう足の短かい船というわけにもいかないのでありまして、隣国まで——領海しか歩かないかというと、そういうことはございません。やはり海上自衛隊の任務の一つとしましては、海上の輸送を護衛するというようなことを考えておるのでありまして、そうしますと相当の足の船が要るということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/84
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085・受田新吉
○受田委員 防御用の兵器を改造することによって、攻撃用の兵器になり得るという具体的な例としては、非常に重要な改装をすれば輸送機も爆撃機になり得る。また海上の艦艇については、足の速い分はそうした別の意味の攻撃補助役を果すものになり得るという局長の答弁と御了解してよろしゅうございますか。——そうしますと、ここに戦争の態様というものがいろいろ考えられるわけです。外部からの武力攻撃の態様によっては現状で——岸内閣が声明しておられるような形で攻撃の性格を持たないとしても、日本の自衛隊というものの中には、装備の改善により攻撃用兵器に転用し得るものがある。輸送機あるいは艦船のごときものはこれらである。こういうことになりますと、また、いついかなる事態に立ち至って、この輸送機が敵基地の爆撃に出かけ得る場合がなきにしもあらずということになるわけなんです。今の問題はこの間から論争したことでありまするからもう触れませんが、自衛隊の実力の中には、攻撃用の兵器に転用し得る道も開けておるという点において重大な意義を見出すものとして、一応その問題はこれで終っておきます。
次に、条約局長もおいででありますので、一つお確かめしておかなければならぬのですが、一体一ぺん条約ができてしまうと、なかなか条約というものは変更できないものです。従って国の運命を決するような重大な条約を、憲法を無視しては二国間の条約は締結されないと仰せられましたけれども、現に安保条約というものはそういう形でできているわけですが、こういう条約を今後改めようというときには、国会という国民代表機関の審議を十分通して、その後にこれを締結するという形に持っていかなければならない。従って政府の独断で条約を通したあとから、時宜によっては事後に憲法の規定に基いて国会の承認を得た、こういう場合に、一ぺん条約をきめてしまうと、国会で不承認しようとしたって与党の立場ではなかなか苦しくてやれるものではないのです。従って今後の重大な安保条約の改定とかあるいは廃棄とか、行政協定の締結とかいう問題については、できるだけ国会の討議を通じて、条約締結に当っては事前に国会の承認を得て、そうして締結をするというような運びに持っていくのが、実際の条約を締結する技術的の立場からは当然ではないでしょうか。これは技術的の立場ですから条約局長にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/85
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086・高橋通敏
○高橋(通)政府委員 ただいまの点御指摘の通りでございまして、やはり十分なる国民の意見と申しますか、それから国会の御審議を通しまして、そうしてその後に条約としてこれが確定的な効果が発生するようにするというのが、当然の行き方であろうとっております。ただいま御指摘の点で締結というお話がございましたが、従来のわれわれの慣行は、一応外交交渉を行いまして、それから署名をいたしまして、そのあとで国会の十分なる御審議を得ました後に御承認いただきまして、それから批准または受諾し、最終的な効果を発生するというふうな行程をたどっております。従いましておそらくそういうふうな行程をたどるのであろうと思いますが、その前後において十分なる国会の御審議や国民の意見を——これは私から申し上げることではないかと思いますが、大臣がお聞きになっておやりになるということは、そうだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/86
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087・受田新吉
○受田委員 国会で一応承認を得るならば、これはもう国民代表の機関の責任においてきめられたことであって、この点については政府も責任が非常に軽くなる。従って今あなたは、今度の条約改定に当っては、あるいは廃棄になるかどうかわからぬけれども、とにかく国会の承認を得た後に批准をするというふうに必ずやる、こういうことでありますので、私は一応了承しますが、ただその場合に、一応の成案を得て署名をしてしまって、ある程度抜き差しならぬような形に追い込まれて、後に国会の承認を得るというよりは、一応の成案を得たならば国会で十分討議して、そうして署名するという順序を踏むことが、国民全体の納得のいく、これが条約の締結には必須条件ではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/87
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088・高橋通敏
○高橋(通)政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、従来までの慣行としてはそのようなやり方をやっておるわけでございません。これは御承知の通りでございます。従いましてその署名の前に国会その他に御報告申し上げまして御審議その他を受けるかどうか、これは私から申し上げるより、大臣からの御意見またはお考えだと思っております。ただ一つ、われわれ技術上の見地から申し上げますと、一応外交交渉をやりまして、ある程度、たとえば御報告申し上げるような成案になりましたならば、それをある程度確定したと申しますか、一応ここまでであるぞという確定した段階に到達したということを、双方で何とかはっきりしなければならぬと思うのです。それがなくてただ出すということは、これは今までの交渉の関係上お互いに不安定なことになりますから、そこでそういう場合は結局一応署名ということになるのではないか、従来の慣行はそういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/88
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089・内海安吉
○内海委員長 ちょっと受田さん、再度の何ですけれども、参議院では防衛庁長官に二十分だけ御出席をしていただきたいということでございますので、その間政府委員にやっていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/89
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090・受田新吉
○受田委員 それでは二十分の間お二人に質問しております。局長でもけっこうです。
条約局長、法制局次長に私はもう一つ伺っておかなければならぬのですが、署名をされて後に国会の不承認で批准ができなかった事例がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/90
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091・高橋通敏
○高橋(通)政府委員 私ちょっと記憶はありませんが、そういう条約もあったかと思います。なかんずくそれは多数国間条約ではないかと思います。数カ国が国際会議で条約を作り上げまして、それに署名して帰ってきて、やはり国会の承認とかそういう問題があると思いますが、多くのいろいろな条約で、署名したまま批准も何もせずにほうっておかれている条約がたくさんございますから、そういうものの中にはおそらくそういう事例があるだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/91
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092・受田新吉
○受田委員 ここで政府にしっかりふんどしを締めてもらわなければならないことは、あなた方が安保改定を計画され、あるいは廃棄——廃棄ということには現状ではなかなかならぬようですが、それを御計画される場合に、国民が十分納得のいけるような改定内容を国会に示して、そして国会で十分討議を尽して、国民の納得の上で外交交渉をやってもらって署名する。署名した後批准までの間、これはもう一本のコースになってしまう慣例が伏在しているのですから、署名をやってしまったら、もう国会でいかに反対しようとしても、政府、与党の立場からは、全権になった人の立場もあって、ついになびくということなんです。そういうことで、政府の意思によって自由に条約がきめられてくる。国会よりも政府の独断の方が結論を得るのだということになったならば、これは民主主義に反する問題だと思うのです。これは条約局長及び法制局次長として、署名の前に国会でその外交交渉の内容を話すにしても、それが外交上の機密にわたる問題ではないと見るかどうか。また条約局長は、そういう努力を政府がするならば、事務的に非常にむずかしい問題があっても、これは協力するというふうにお考えになるかどうか、御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/92
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093・高辻正巳
○高辻政府委員 お答えを申し上げます。受田先生におかれましても憲法の規定は十分に御承知のことでございますので、あらためて申し上げるまでもないと思うのでございますけれども、条約を締結することと申しますのは、わが憲法の規定によりますと、その第七十三条第三号という規定がございまして、内閣の権限に属しておる事項でございます。むろん内閣の権限には属しておるけれども、事はやはり国際関係を規律することでございますから、国民の代表機関である国会の御承認を得るような道を設けておるわけでございます。従いまして先ほど高橋条約局長が申しましたように、条約の最終的な確定という場合に事前の承認が望ましいことは言うをまたないと思いますが、事前の承認を得ることにいたしますれば実は憲法上の手続はそれで十分備わることに相なるわけでございます。むろん何らかの方法によって、今受田先生が仰せになりましたようなことができるなら、事実問題としてはそれでも片がつくことと思いますが、私法制局の立場で申し上げますと、憲法上はそのような必要性があるとは申せない。少くも条約が最終的な確定をする前に国会の承認を得る、時宜によっては事後にということもございますけれども、事前が原則であることは申し上げるまでもないと思います。そういうことによりまして、ただいまも、署名をした後には抜き差しならぬことになるではないかというお話もございましたけれども、国会は国民の代表機関として、承認するかしないかの全権は持っておられるわけでございますから、そのようなことがありましても、別にそのために抜き差しならぬことにはならないのじゃないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/93
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094・受田新吉
○受田委員 国会は政府与党の責任という問題もあって、そうした場合には全権の立場など考えて、良心を麻痺するおそれがあるわけです。従って署名前に国会の承認をとるということも、批准以前に国会の承認をとるということも、憲法の事前という中に含めて考えていいのではないか。国会の承認は署名前の承認、署名後の承認ということも事前の承認ということに含むかどうか、御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/94
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095・高辻正巳
○高辻政府委員 これも御承知のように条約の成立いたしますのには、その手続の中に署名だけによって成立するものもございます。しこうしてまた重要な条約でありますと署名、その後に最終的に確定する批准というものが必要であるというふうにされていることがございます。それで署名によって効力が発生するとされているものはむろんのこと、署名前になすのが事前の承認でありまして、それを署名前になさないことになりますと、これは事後の承認ということになりまして、その責任は国会から追及されてしかるべきだろうと思います。しかしながら署名のほかに批准ということによって条約が確定する場合におきましては、批准前にやれば足りるものだというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/95
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096・受田新吉
○受田委員 重大な国民の運命に関するような条約の場合に、署名前に承認をとり、その承認を得たものによって署名する、そして批准する、こういう順序を踏むことは憲法七十三条の規定と矛盾するものではないとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/96
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097・高辻正巳
○高辻政府委員 条約の承認を国会に求めます趣旨は、その条約の締結によって国際関係に権利義務の関係が発生するがゆえに国会の承認を得ることでありますので、そういう権利義務の関係が確定する前であれば、これは批准の前に御承認をいただくということで、憲法の予想しておるところはまさにそこにあるのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/97
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098・受田新吉
○受田委員 そうすると署名前に国会の承認を得たものは、さらに署名の後に承認を得直さなければならぬ、こういうことになりますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/98
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099・高辻正巳
○高辻政府委員 署名でもって条約の効力が確定する場合には、むろん今御設問のような場合は出て参りません。これまた先ほど申し上げた通り署名前にまさに承認を得るか得ないかをなすべきだろうと思いますが、署名の後に批准がされる場合におきまして、署名前に国会の御承認をいただいて、またその後に御承認をいただくというのは、実は二度にわたって御承認を得る必要を憲法は予想はしておらぬのだろうというふうに考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/99
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100・受田新吉
○受田委員 署名と批准を要する条約の場合、署名前に承認を得たことで国会の承認を得たということにならぬかどうか、御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/100
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101・高辻正巳
○高辻政府委員 署名によって確定しない条約で、批准によって最終的に確定する条約につきましては、まさに最終的な確定前にやれば足りるわけで、国会もまた法律的には国際関係の権利義務の関係が確定する、その事前に御承認になるかならないかの態度を御決定になる。承認がなければむろん批准はできませんし、承認を得て初めてできるわけでございますから、憲法の予想しておりますところばそういう段階における国会の御意思の尊重——尊重といいますか、御意思によって左右されるという事態に置くことを予想し、またそれで足りるのだろうということで、ずっと私申しておるのでありまして、先生がおっしゃるような事態を予想しないものですからお話が合わないので、まことに恐縮でございますが、要するに法律論としては今申し上げた通りであろうというふうに考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/101
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102・受田新吉
○受田委員 条約の効力という問題と法律の効力という問題に関連することですが、条約できめられてしまったものは、法律を直さなければならないことになってくるわけですね。これは国会の承認を経て条約が締結されるというときには、当然この条約の効力は法律の改正を促すということに発展する、かように了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/102
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103・高辻正巳
○高辻政府委員 その点につきましては、これまた大ざっぱには申せませんので、やや中身に立ち入ってお話をしなければならぬと思いますが、御存じのように条約が国会の御承認を経ますと、憲法の規定に従って国内法的効力を有する。従ってそれを公布すればそのまま国内法になる余地があるという説もございます。しかし同時にまた、それだけでは不十分であるというわけで、その条約に相対応する法律の手続をしなければならぬのだという考え方もございます。実際の慣行といたしましては、条約が結ばれますと、国内法がそれに矛盾抵触するものがあります場合には、それを改正する措置をとって、その間を明瞭にするというふうにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/103
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104・受田新吉
○受田委員 実際の場合の例を具体的にお聞きしてもいいのですけれども、私は今あなたの御答弁で、こういうことをお尋ねしなければならぬと思うのです。条約が一ぺん締結された場合、これはさっき申し上げたように国内法に波及して法律を改正しなければならない場合が、実際問題としてしばしば起ってくるということになりますと、われわれは非常に大きな条約の効力の波及を想定するわけです。従って国会の承認を事前に、つまり署名前に国会の承認を得ようとしたならば、もっともっと問題点が明らかにされただろうに、その過程は全然公開されないで、署名してしまった後に国会の承認を得て、そうして批准手続をする、こういうことになったのでは、締結された条約の内容は、国会の討議のらち外に置かれるということになるわけです。実際問題ですよ、私の申し上げたのは。そういう意味で、署名前に十分国会の討議を通じて条約改定の内容に触れて、国をあげて納得ずくで署名に持ち込むということが順序ではないか、私はこう思うわけです。そこで高辻さん、そういう順序を踏んだ場合でも、憲法の七十三条の内閣の権限を適用したものと了承してよいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/104
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105・高橋通敏
○高橋(通)政府委員 ただいま御指摘の点、私よくわかりまして理解するのでございますが、ただ私、条約関係の技術的な立場としては、こういう問題があるということだけちょっと申し上げさしていただきたいのでございます。これは向うと交渉いたしますわけであります。従いまして交渉いたしまして、ある時期を画して御指摘の通り国会に出すわけであります。交渉してある時期を画して国会に出す場合に、向うと意見の合ったところを相互に確認してから出さざるを得ない。そういう段階を経ずそのまま国会に出すということになると、相手方としては非常にむずかしいことが起るではないか。そこで御指摘の点は全くよくわかりますが、技術的にはその辺のところをよく考えて進めなければならぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/105
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106・受田新吉
○受田委員 あなたは技術的にむずかしいとおっしゃるけれども、団体交渉においても大体そうなんです。双方の意思、それぞれの団体に属する人々の意見を聞いて最後の交渉に持ち込むわけです。民主的な取りきめがされないと当然問題が起る。ことに国の運命に関するような重大な条約を締結する場合には、署名という一応の終止符を打つ。法律上の手続を終っているわけですから……。ただ形式的に批准するだけですからね。従って実質的にはもう条約が締結されたと同じような形に署名ということはなってくると思うのです。その前に国会で十分討議して国民の意思を反映させるという努力を——あなたは大臣でないのでちょっとむずかしいと思いますが、いずれ大臣にお尋ねしますが、条約局長としてそういうところに十分努力を尽していただいて、今度の問題は国をあげて納得ずくでいくという形に運んでいただきたい、かように希望するわけです。
そこで高辻さん、今私が申し上げた署名前に国会の承認を求めるということは憲法の規定に反するかどうか。反しはしない、しかし従来はそうでなかったというふうな問題かどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/106
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107・高辻正巳
○高辻政府委員 全く法律論のぎりぎり一ぱいのところで申し上げますと、憲法七十三条三号をごらんになりますと、「条約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。」ということで、とにかく締結の事前であること、事後の場合は別といたしまして、事前であることが憲法上の要請であります。従いましてぎりぎり結着の議論といたしましては、事前であればいいということであります。従っていつでなければいかぬということは出て参らぬと思います。ただ実際問題はもうとっくの昔に御承知のことと存じますが、ただいま高橋条約局長から申されましたような技術的な問題もありますし、とにかく意思の合致したものについて承認を経なければならぬことになります関係上、普通批准が備わりますものにつきましては、署名の後に国会の承認を経る。しかもその承認たるや形式的にとはおっしゃいますけれども、実は国会はその承認について全権を持っておられるわけでありますから、その過程において承認をするかしないかを決定するについては、詳細に審議のできるのは当然ではないかと私ども考えるわけであります。多少よけいなことを申しましたけれども、筋はそういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/107
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108・受田新吉
○受田委員 おしまいのつけ足りの方は抜きにして、事前の承認であるということであればよいのだ、かように了解してよろしゅうございますね。しからばこれは条約局長、署名前の承認も憲法の規定に反しはしないという法制局の御見解によって、こうした重大な条約の締結に当って、十分国会で討議して、署名前に一応の結論を得られたものを国民の前にさらけ出して、国民の声を盛り込む、こういうふうに御努力願いたい。何か私の了解事項に間違いがありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/108
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109・高橋通敏
○高橋(通)政府委員 御指摘の点、よくわかります。ただ署名前と申しますけれども、国会に提出します一つの条約案としてでなければいかぬわけです。条約案とする場合は、やはりこれが向うと意思の合致したところであるとして御承認を受けなければ、これは一応こうであるが、将来また交渉のしようによってどうなるかわからぬというような場合になりますと、私の理解するところは、もし骨子ということでありましたら、そのあとでもう一度正式の署名、署名後の正式の御審議及び御承認ということが必要ではないか、こういうふうに考えております。間違いましたら訂正さしていただきますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/109
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110・高辻正巳
○高辻政府委員 決して前の言を翻すわけではございません。七十三条の三号について申し上げたことは、締結の事前だということでございますので、これは事前である。事後の場合は別といたしまして、先ほども申し上げましたが、事前であれば足りるということでございます。しかしながら国民の意思を盛り込んでということを仰せになりました。その盛り込むということは、国会は承認するかしないかを実は決定するところでございますので、今仰せになりましたような、国会が盛り込もうというようなところに持っていくことは憲法では無理だ。それは承認するかしないかを国会がきめることが、憲法上の国会のお持ちになる権限である。従ってその承認するかしないかという案を、いずれにせよ確定してかからなければなりませんので、そこに実際上の問題として署名をする、そこによって確定をする。つまり最終的確定ではございませんが、そういう措置をとって、それを国会の前にお出しをして、そこで署名があるからといって、批准をしなければならぬものではございませんのですから、国会はよく署名されたものにつきまして御審議を願いまして、それを承認するかしないかを御決定になればいいわけでございますから、ぎりぎり結着のとわざわざ申し上げました憲法の規定としては事前にということでございますけれども、その憲法上の要請を運用に移す場合には、署名プラス批准の場合には、署名をしてから後に国会の御批准を得るというのが、当然の筋道であろうということは間違いないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/110
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111・受田新吉
○受田委員 そういうのが当然の筋道、しかし事前の承認ということであれば、署名前に承認を得たことでもいいのだということになるわけですね。筋道はそうだけれども、そういうことも別に考えられる。そうでしょう。それは間違いないですね。私が今お尋ねしておるのは非常に大事なことだから、署名されたものを持ち込んで、安保条約と同じことです。国内の世論を沸騰させるよりは、事前に一応、こういう成案を得た、国会はこれについて御異議はないだろうかという形であるならば、そこは十分討議されて、ある程度の妥協案か、修正されることもできるわけですね。署名された後に、もう批准という形式を踏むだけのところへ持っていったのでは、これはなかなか外交上の慣例からいっても容易じゃないと思う。外国でもどうですか。署名されて批准されないというような、先ほど御答弁のような多数国の間にはそういう例があっても、普通少数国との間の取りきめではないのだということが慣例になってしまっている。従って動かすことができぬことになる。私が憂えるのは、今度の政府の構想しておられる条約というものは、すなわち日本のいわば運命を決定する重要条約です。この条約を、あなた方としては外交上の取引で、国民の知らない間に勝手にきまってしまって、そうして署名して、これではいかがですか、こう申し込まれる懸念が多分にある。一応の成案を得たものを国会へ持ち込んで、たとえば、一歩譲って承認という道をとらなくても、国会で一度一応これを討議して、そして国会の意見もある程度付して全権に署名させる。こういう手続を踏むことは、これはきわめて大事なことだと思うのです。これは私は非常に心配するのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/111
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112・高辻正巳
○高辻政府委員 だんだん伺っていますと、具体的には安保条約をもとにしての御心配からきている問題であろうと思います。安保条約というものがきわめて重大なる条約であることは申すまでもないと思いますが、その条約について外国と交渉をして、一応の成案を得る前に、国民の意見をよく聞いてということのように承わって参りまして、大体受田先生が仰せになっていることはわかってきたような気がいたします。と申しますのは、要するに正規の憲法上の承認を求める条約の締結について、承認を求めるというそれよりも事前の段階において、国民の声を広く聞いてやるべきであるというふうなお話のように承わるわけでございますが、それは私にも誤解があったかも存じませんが、私はまた憲法に言う条約上の承認ということにこりかたまってお話をしておりましたので、私伺ってわかって参りましたことは、むしろそういう締結交渉をする際によく国民の意思を聞いてやるように、そのために国会にいろいろな意見を聞くようにというようなことでございますと、これは憲法上の七十三条の三号の、条約の締結について国会に承認を求めるというそのことよりも実は事前の問題であるように拝察するわけでございます。それは憲法上の問題と申しますよりも、実際上の取扱いの問題でございますので、条約局長の方からお話をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/112
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113・受田新吉
○受田委員 私がさきにお尋ねした署名前の国会承認ということも憲法の規定に反しない、こういうことについては御反対ではないわけですね。そこだけちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/113
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114・高辻正巳
○高辻政府委員 しばしばのお話し合いの中で申したつもりでございますが、事前にということでございますから、事前であればよろしいということは明確でございます。ただしそれは、とにかく条約の締結について承認をいただくその条約というものが固まっておりませんと、御承認していただくか御承認していただかないか、とにかく内閣の意思が決定いたしませんので、それには署名をいたしまして、批准のある場合には、その署名によって確定した条約につきまして——一応の確定でございますが、確定したものについて国会の御承認を得る、それによって、御承認があれば最終的に確定するという措置をとるのが、先ほどから申し上げておりますように、それが筋道であるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/114
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115・受田新吉
○受田委員 それは大事なことなんです。署名前に一応の成案を得て、双方の妥結点を見出して、さあこれから署名しましょうという前に国会の承認をとって署名する。これは外交専門家でないので、そこの技術の問題はよくわかりませんけれども、一応の成案を得て、そしてあなたの国の御意見も聞きたいといって、聞いた後に署名するという、そういう署名前の行為が法律的に憲法の規定に違反しないかどうかということをお尋ねしているわけです。それだけ答えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/115
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116・高辻正巳
○高辻政府委員 条約案として、とにもかくにも内閣が御承認をいただくかいただかないか、それについて国会の御意思を伺うというのには、自分の意思を確定して、そうして御承認を得るか得ないかの手続を進めるべきだと思います。従ってそれが確定する一番典型的なものは署名ということでございますので、その署名をした後に、つまり批准前に国会の御承認を得るのが、これは当りまえのことだというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/116
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117・高橋通敏
○高橋(通)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、私よく了解したと思いますので、その点は大臣にも十分お伝えいたそうと思います。ただ私、技術的にちょっと申し上げたい点が二、三あるのでございますが、それは、その場合に国会に御報告なり御承認なり、用語の点でございますが、提出する案件がいかなるものであるかということによって、これは実際上の問題としてやる場合は困難になることもあるし、それからそうでなくていくような場合も骨子の内容いかんによってあると思います。その点だけは申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/117
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118・高橋禎一
○高橋(禎)委員 関連して。今の問題ですが、憲法に定めてある承認を得るということ、この得る内容の中に、条約はどこどこにおいてだれとだれとがどの国を代表して署名をする、こういうふうに書いて署名しておりますね。だから、ここでいう条約という中には署名というものも含むものであると私ども思うのですけれども、その点はどうですか。もしも署名をした事実もしくは署名するということがこの条約の内容に入るということになれば、先ほど受田委員から質問されたいわゆる条約を結んで署名する前にやることは、これは憲法の違反じゃないでしょうけれども、それだけでは憲法にいわゆる条約締結に当って事前に承認を得たということにならないのじゃないかと思うのですが、そこのところはいかがですか。それによって大体この問題は明確になるのだと思うのですが、それをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/118
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119・高辻正巳
○高辻政府委員 先ほど触れたつもりでございますけれども、条約の成立の場合に、署名という手続によって条約の最終的確定をする方式と、それから署名のほかに批准ということをやりまして最終的に確定するという方式と、理論的には二つあるわけでございます。大体近ごろの条約と申しますと、署名がなされまして後に批准、でなければ受諾あるいは承認というような手続にかけておりますので、大体の場合には署名がされた後に承認なり受諾なり批准の手続がございますために、それに乗ってやるのが普通の建前であるし、当りまえの措置であるというふうに申しておるわけでありますが、理論的には署名ということで成り立つ条約もございますので、その場合にはその内容が確定したものについて最終的な確定をとるその署名という事前にかけるということもございます。しかしこれは理論的な問題でございまして、実際上は署名のほかに批准、承認、受諾というような方式をとっておりますので、署名された後にその最終的な確定の事前に国会の御承認を得るということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/119
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120・高橋禎一
○高橋(禎)委員 そこで憲法が事前と事後とこういうふうに国会承認を得る場合を二つ規定しておるわけです。今お話しになったいわゆる署名によって確定し、効力が発生するというような条約については、事前に承認を与えることがあり得るのかどうか、そこのところをお尋ねしている。憲法がこういうふうに事後において承認を与えるということも許したというのは、今申し上げた署名ということによって確定してしまうというような場合には、むしろ事後承認以外にはあり得ないというふうに見るのではないか、そこをお尋ねするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/120
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121・高橋通敏
○高橋(通)政府委員 ただいまの御指摘の点、ちょっと私今例は思いつかないのでございますが、署名条約の場合に、署名の前に国会に提出するという場合に、やはり条約案として確定したものでなければならないと思うのでございます。確定したものでなければならぬということは、先方と交渉してこれでまとまったものであるという意味において、国会に提出するということでなければならない。そこでそういう意味合いを何か先方と交渉してその上に表示しまして、署名条約として署名前に提出するということになると思います。従いましていかなる場合におきましても、先方との交渉の結果、これで妥結をしたということ、それを署名というような表現を用いて国会に提出しなければならない、われわれはそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/121
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122・高橋禎一
○高橋(禎)委員 これは実際は法制局の方へお尋ねする問題なんです。いわゆる憲法の解釈が問題なんで、外務省の方のお答えは実際的な取扱いの問題に関係するのですが、それでは外務省の方で今まで署名によって確定し、効力の発生する条約について、署名前に国会の承認を求めたというような事例があったかどうか、おそらくないだろうと思うのですが、これは事実問題として一つお尋ねをしておきます。
それから法制局の方へは、これは同じことを二回繰り返すわけですが、念を押すのですけれども、憲法にいわゆる条約という中には、私どもはどこでだれが約束したかということが問題になるのですから、最終的な署名というものも含むと思うのです。そういうことになるとこれは条約を締結するに当って、署名によって効力が発生するという条約については事前承認ということはあり得ない、こういうふうに解釈されるのじゃないかと思うのです。今の安保条約等についてはそういうことは実際問題としてはあり得ないと思いますが、憲法問題としては一応研究に値する問題じゃないか。今受田委員から詳細にその問題に関連して御質問がありましたから、私もこの際明確にできればしておかれた方がいいと思いますので、重ねてお尋ねをするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/122
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123・高辻正巳
○高辻政府委員 御質問の御趣旨はよくわかるのでございますが、要するに批准、承認、受諾という最終確定の手続というものがなくて、署名だけで成立する条約につきまして、事前の承認というのはあり得ないのではなかろうかという御疑問を入れての御質問でございます。憲法七十三条三号をごらんになりますと、「条約を締結すること。」というふうになっております。締結というのは署名条約、これは理論的な問題としてと申し上げましたが、実際には、先ほどの繰り返しになりますが、そういうものはほとんど今ではないようでございますけれども、理論的な問題といたしましては、条約を締結する。その締結するというのは署名によって成立するものは、署名という行為によって実は条約が締結されるわけでございますので、その署名の前にこれについてはむろんその案として確定しなければなりませんので、その辺は高橋条約局長がお話しになりましたが、確定されます場合には、署名という締結の事前に国会の御承認を得るという道はないわけではないのであります。それは署名によって締結する場合でございますから、署名がなされた後にはこれは事後の承認になるのは当然だと思いますが、理論的な問題としては署名という締結行為の事前に、国会の御承認を得ることも考えられないわけではないということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/123
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124・受田新吉
○受田委員 これは理屈を並べてもしようがないのです。今度は実際の問題に入ります。これに三十分から議論してきたわけですが、実際問題で今度の政府が企図されている安保条約改定については、国をあげて総意を盛り込んであなた方に御努力していただかなければならぬ問題なのですね。そういう重大な条約を結ぼうという場合には、念には念を入れる手続を国会を通じてやれということを私は今要求しているわけです。一度署名されて批准を受けるという形式的行為を残すのみの条約案のお諮りという問題では、これは政府の意図する通りに引きずられるのです。日本の歴史がそういうことになっておる。日独伊三国軍事同盟条約だってそうです。結局日本の運命を内閣の責任でここへ引きずり込んだ。幸い新憲法は国会の承認という規定を一つ入れておるので助かっておるのでありますが、その国会の承認が形式的承認になるという形で、日本の運命を決する安保条約改定をきめてはいかぬと、私は今非常に悲壮な決意であなた方に要求しているわけです。だから法律学者とかあるいは御用学者とかいう立場でなくして、純粋な国民の代表者としての公務員として、国民全体の奉仕者としての立場から、実際問題と法律問題とをそれぞれ分けてあなた方は検討していかなければいかぬと思う。外務大臣にあなたがお伝えして下さるそうでありますから、私は御両所の今後の良識ある行為を期待してこの問題をおきます。
もう一つ、長官が来られるまで。条約局長、あなた安保条約の第四条の国連憲章その他云々のいわゆる平和的な立場における日本の安保条約廃棄への努力というものについて、今政府はどうやっておられるか。その後において安保条約第四条に基き努力された実績を一つお示し願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/124
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125・高橋通敏
○高橋(通)政府委員 安保条約第四条の問題でございますが、第一点は国連による安全保障の措置、すなわち国連による第一の強化ではないかと思います。従いましてこれが外務省が最も主眼点を置いて努力してきたところであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/125
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126・受田新吉
○受田委員 たとえば具体的にどういう努力をされたか、例をあげていただきたい。岸さんとアイゼンハワーとの会談もろくなことになっていないのです。この問題は結局実を結んでいないわけです。具体的にはどういうことをやってこられたか。条約廃棄の方向にいかぬじゃないですか。改定の方向へしかいかぬ。そういう意味からあなた方の廃棄の努力が足りなくて今日に至っておるということしか言えないのです。具体的にはどういうような熱情を込めた働きをしていただいたか。たとえばわが日本へ与えるところの、極東の平和への脅威というようなことに対しても、アメリカのそういう解釈を押しのけそ、どこに平和に脅威があるかというような、そういう認識を改めさせるような努力をされておらぬです。具体的には皆無である。精神的には努力をしたけれども、現われた実績はないのだ。こういうふうに了解してよいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/126
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127・高橋通敏
○高橋(通)政府委員 この点につきましては、廃棄の努力ということではないかと思います。廃棄ということではないかと思います。廃棄というよりむしろこれをもっと上回ると申しますか、これにかわる十分なる安全の保障措置ができるかどうか、こういうことが第四条の趣旨とするところであろうと考えております。従いまして今国連の努力と申しましたが、国連の安保理事会の理事国でもありますし、そういう方面を通じて——具体的に私ここでどうということを申し上げる立場にもございませんが、国連を通じまして、また安保理事会の理事国として種々努力してきたところであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/127
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128・受田新吉
○受田委員 あなた方の方としては、もっと積極的な、第四条の精神を織り込んだ努力をされなければならないのです。たとえば軍縮小委員会などに対して軍縮の提唱をするとか、そういう思い切った努力なども、ただ形式的な問題としてだけでなくてもっと掘り下げた努力をされる、そういう方面の外交上の努力が今まで欠けておるのじゃないですか。具体的にもう少しあなた方がアメリカを納得させて、極東の平和への脅威などを抹殺する方の努力をやる道が幾つもあるのじゃないでしょうか。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/128
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129・高橋通敏
○高橋(通)政府委員 具体的というお話でございますが、どうもたびたび同じことを繰り返して恐縮でございますが、やはり日本としても一番身近な努力の場としては、国際連合の総会または安保理事会ではないかと考えております。大臣もたびたび向うに参り、出席し、各代表とも意見を交換しております。そういうふうなことを通じて、きわめて広範囲に種々の問題について努力を続けているのだと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/129
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130・受田新吉
○受田委員 極東の平和への脅威ということが抹殺されないで、日本から米軍は撤退しないのだということになると、いつまでたっても解決するめどがつかない。岸・アイゼンハワーの共同声明以来、そうした問題の解決への努力というものは、今あなたは国連へいろいろ働きかけておるとおっしゃっておられるけれども、アメリカ自身の認識を改めさす方向への努力はしておられないようです。アメリカ自身の認識を変更させるような努力はどういうふうにされたか。たとえば沖縄の施政権の返還の問題、これは沖縄住民の非常に強い要望ですが、この要望などについても藤山さんはほとんどあきらめたような発言を一月ごろしておられる。安保条約の改定とは別にこの沖縄の施政権の返還をまず取り急いでやってくれという現地民の要望などに対しては、その後どういう努力をされておるのですか。これは条約局長として御存じだろうと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/130
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131・高橋通敏
○高橋(通)政府委員 私の漏れ承わっておりますところでは、先ほど申し上げました国連その他アメリカの方の代表ともいろいろ話し合っておると思っておりますが、私の所管の問題でもございませんし、私からはここに具体的に申し上げる立場にちょっとないかと思っております。これはいずれ大臣からのお話で御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/131
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132・受田新吉
○受田委員 伊能長官が見えましたので、長官にお聞きしますが、もうだんだん夕方も迫って参りますので、精励恪勤をして長官の任務を解く方への努力をしますが、これからの問題はちょっとややこしいのが残っておりますが、私重点的に二つの問題点を取り上げてまとめてお尋ねします。
一つは国防会議の構成の問題です。この国防会議という機関は、せっかく防衛庁設置法の中に出ておるのでありますが、ここで一体何をしておるのか、そうした国民の失望というものも相当あるし、また疑惑も起ってくるわけです。例の機種決定については内定だけをして今日までほうっておいてある。総理は機種は私がきめるのだとしきりに言っておられるけれども、まさに一年に近づかんとしておりますが、まだ何らそういう実を結んだことを聞いておらぬ。そこでこの国防会議の任務ですが、国防の基本方針、防衛計画の大綱その他が出ておりますが、「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」というものを具体的に事例をあげて説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/132
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133・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 御指摘の第四十二条における国防会議のうちの二項の五号の「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」と申しますと、ただいま具体的に申し上げることはなかなか困難かと存じますが、このうちから現在私どもが念頭に浮かびますものについては、先般お尋ねのありました第四号の防衛出動の可否等に関連してその撤退その他各般の問題等、きわめて重要な問題等についても国防会議の議を経るべきものであると私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/133
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134・受田新吉
○受田委員 この間総理は条約締結の際における日本の防衛の問題は、これは国防会議の議題に供される問題になっていないということを言われたわけですが、これは私ちょっと掘り下げて聞きますが、安保条約、行政協定、こういう重大な同盟規定というものは、その中に日本の自衛隊のことがうたってなければいいですよ。漸増的な日本の自衛隊を期待するという形で取りきめされるような安保条約である限りは、あるいは行政協定である限りは、あるいは日本の自衛隊の行動に関する制約を受ける、そういう約束である限りは、はっきりとこの国防会議の議題に供せられる問題でありませんか。どういう点でこれを防衛の大綱でもない、また重要な議題でもないと仰せられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/134
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135・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 御指摘の点は、私ども決して重要でないと申し上げている形ではございませんで、その点は私はまさに御指摘の通りである、かように考えます。きわめて重要な問題である。ただ総理のお答え申し上げました趣旨は、今回の安保条約並びに行政協定は、現行の安全保障条約並びに行政改定の趣旨と変らない、現行のものを基準にして、特に重大なと申しますか、基本方針に変更を持っておらないという観点から、おそらく総理はさように答えたのではなかろうか、かように存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/135
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136・受田新吉
○受田委員 そうしますと、自衛隊の任務等についても拡大した仕事はないというような意味になりはしないかと思うのですが、そうすると沖縄を共同防衛地域に加えるというようなことはとうてい考えておらぬ、今までのと同じで、現在の自衛隊の任務以上にははみ出ないのだという前提で岸総理は考えておられる、かように了解してよいか。あなたはこの間、沖縄を共同防衛地域に含める場合には自衛隊は現在では不足する、別に自衛力を増強する方針が必要なのだと、ここで言明されましたね。そうすると沖縄を共同防衛地域から除くということをすでに総理は考えておられるのかどうか、これも一つお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/136
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137・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 私が本委員会において答弁いたしましたのは、現在の自衛力をもってしては、新たに沖縄等の防衛に任ずることは力の上で困難であるというお答えを申し上げましたが、これは基本方針において変りがないから、おそらく総理は特に国防会議に付議するという態度をとらないと私ども考えておる次第で、沖縄が入るかいなかという点については、すでに外務大臣あるいは総理から、それらの点については若干触れた御答弁があったように私どもは理解をいたしております。私どもとしてはあくまでも、現状において沖縄をも含めた自衛力という観点からは力が足らないということ、これをさらに沖縄にまで延長して自衛の態勢をとるということは困難である、かように申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/137
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138・受田新吉
○受田委員 防衛計画の大綱が第二号にあるわけですが、沖縄を含めた場合には防衛計画の大綱に関係するかどうか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/138
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139・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 防衛整備計画としては関係をいたす、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/139
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140・受田新吉
○受田委員 私は簡単に国防会議から次の条約や協定をはずして考えておられるということに、一つの問題があると思う。もうこれは、次の条約はどのようなものがあっても考えておらぬのだ、こういうことであったわけです。今こういう構想を持っておるということをここで話されたのじゃないですよ。話されないでおいて、国防会議にはかけない、こう言われたわけです。この発言は、あなたはそうした防衛地域が拡大されたような場合は、当然変更されるということに了承してよろしいかどうか、あなたからあらためて御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/140
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141・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 整備計画には関係してくるということは、ただいま申し上げた通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/141
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142・受田新吉
○受田委員 そうしますと沖縄を共同防衛地域に含める場合は、これはもし現在で不足という場合に諮ろうとするならば、第五号の規定で考える問題になるわけですか。総理大臣の諮問するという問題、必要と認めるという問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/142
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143・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 御指摘のように今後の交渉におきまして国防上重要な事態が生ずれば、これは国防会議にかけられることと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/143
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144・受田新吉
○受田委員 総理は、次の安保改定その他行政協定の改定等に伴うて、この国防会議に諮り得る場合はないのかと言いましたら、今度の安保改定、協定の問題については、これは国防会議に諮る必要はないとここで言明されました。あなたの言明とちょっと食い違った点があるわけです。これは総理は、もう次の安保条約や行政協定にある構想を持って、自分の考えた案では必要ないというようなことを言われたのではないかと思うのですが、これはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/144
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145・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 私が総理の意思をこの席においてそんたくすることは、これは御承知のように困難かと存じますが、おそらく私が総理の意思をそんたくしてかりにお答えを申し上げまするならば、総理としては、防衛の基本方針に変更はない、かように考えられたことと、同時に条約そのものについては、御承知のように国防会議に付議する必要はなかろう、こういうふうに理論的な回答をせられたのか、その辺は不明でありますので、私と総理の回答が直ちに矛盾、食い違いを生じておるというようには私は考えてないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/145
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146・受田新吉
○受田委員 条約の締結において、国防に関する重要な事項の取りきめがされないのですか。国防に関する重要な取りきめがされるわけでしょう。そういう場合があり得るわけでしょう。まだその条約の最終的な問題がきまっておらぬときに、国防会議には諮る必要はない、こう言明されたわけですが、総理の気持をそんたくすると仰せられましたが、あなたは総理大臣のもとにおいて、防衛庁長官として全軍を指揮される立場にあられるのですよ。あなたはこの大事な問題を総理との間でまだ話も十分ついておらぬということでありますけれども、実は総理は、ここで話がつくもつかぬもない、次の安保改定や行政協定の問題はどうなるかわからぬが、今度の条約改定においては、国防会議には諮らないとはっきり言明されたわけです。これはうしろの方におられた法制局の方の入れ知恵が間違っておったのではないかと思いますが、直されるなら今直さるれ必要はないか、その点一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/146
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147・高辻正巳
○高辻政府委員 ただいま防衛庁長官が仰せになったことで足りると思うのでございますけれども、私が入れ知恵をしたとおっしゃいますので、私の考えをちょっと言わしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/147
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148・受田新吉
○受田委員 簡単に言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/148
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149・高辻正巳
○高辻政府委員 要するに内閣総理大臣が仰せになりましたことは、今もお話がありますように、今度の新安保条約といいますか、条約そのものについて仰せになったのであろうと思います。国防会議に諮るものといたしましては、一号ないし五号に掲げられておりますような、そういう事項が、もし今度の条約改定に当りまして問題になるとすれば、その事項をかけることはあるかもしれませんが、そのことは条約そのものを国防会議にかけることは話が違うことであろうと思います。従って内閣総理大臣が仰せになりました趣旨は、条約そのものについて、あるいは内容が今までの方針と変りがないものであるかどうか、私にはそれはわかりませんけれども、変りがないものであるならば、かける必要もないということになりましょうし、また私は存じませんけれど、変りがあるものとした場合におきましても、それは条約そのものをかけるということはないであろうというふうに思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/149
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150・受田新吉
○受田委員 国防に関する重要事項であることは間違いないですね。そういうことを規定する条約であるならば、当然国防に関する重要事項を規定しておるのです。従って国防に関する重要事項については、それが条約の中にあるならば、その部分を国防会議へ持ち込んで討議しなければならぬはずです。国防会議が知らない間に国防に関する重要事項を勝手に条約にきめ込まれているのですか。どうです長官。国防に関する重要事項が織り込まれたときにどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/150
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151・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 さいぜん来申し上げましたように、国防に関する基本方針について変更はないという御見解で答弁されたかどうかこの点は推測いたしかねますが、御指摘のように日米安全保障条約の内容が国防に関する重要事項であるということは御同感であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/151
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152・受田新吉
○受田委員 そうしますと長官の解釈をもってすれば、当然条約のその規定した部分については国防会議で討議しなければならない議題である、かように了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/152
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153・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 従いまして、今後の交渉におきまして国防上重要な事項が生ずれば、おそらく国防会議に諮られる問題であろう、かように申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/153
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154・受田新吉
○受田委員 総理はそういうものは必要がないのだということをこの間言われたわけなんですが、私はそこを特に念を入れて確認しなければいかぬ。条約や何かが変更される場合に、条約そのものということはもちろんこれは条約そのものをかける必要はありませんよ。けれども条約の中にそういう重要な国防に関する問題が入っている以上は、その部分は、あなた方の方で国防会議にかける問題だと解釈してもらわなければならぬと思うわけです。これは総理は当時どういう気持で言われたか、ここにおられぬので、必要によってはまたここに来てもらわなければならぬのですが、ちょっと御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/154
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155・高辻正巳
○高辻政府委員 どうも内閣総理大臣が仰せになりましたことは推測以外に手はないわけでございますけれども、ただいま防衛庁長官が仰せになりましたように、また御質疑の中にありましたように、この国防会議の一号ないし四号の事項に当るものであれば、これはむろん法律の規定に従って実質について国防会議の議にかけなければならぬと思いますし、もし新たに、たとえば基本方針でいえば基本方針を新たに設定したり、あるいはあらためてそれを変改したりする必要のないものなら、かける必要はないということになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/155
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156・受田新吉
○受田委員 総理のこの間の御答弁は、もうかける必要はない、こう言われたところを見ると、条約の中にそうした防衛の大綱あるいは国防に関する重要事項を織り込まないという前提のもとで御答弁されたのではないかと思うのです。そうすると条約の内容がほぼはっきりするわけです。そういう答弁であればそういう総理の構想だったと考えて、法制局よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/156
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157・高辻正巳
○高辻政府委員 総理大臣の御発言につきましては、ただいま仰せになりましたようなこともあるかもしれません。これは法制局の一次長、属僚としては、その内容がどうであろうかということまではわからないのでございます。もう一つ、先ほど触れましたように安保条約そのものにつきましては、国防会議にかける必要はない、これはもうれっきとした、明々白々なことだと思いますが、そういうことで仰せになった点もあろうかと思います。いずれにいたしましても、安保条約そのものをかけることはないのでございますから、総理の仰せになりましたのも、究極のところはそういうことであろうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/157
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158・受田新吉
○受田委員 もちろん安保条約そのもの、なまのものでなくて、国防会議に関する部分の入った、安保条約に関係のある中身を私は尋ねているわけなんだ。安保条約をかけたってしょうがない。もちろん総理の構想は、必要がないと言われたところをみると、そうした改定の内容に盛り込んでいない部分が防衛の部分である、一応かように了解しましょう。これはまたよく相談していただいて御答弁いただきたいので、火曜日までに御調査願っておきます。
いま一つ国防会議のやっておる機種問題、これは機種を決定するつど国防会議にかけるわけですか。艦種を決定するときも国防会議にかけるわけですか。すべてかけるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/158
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159・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 先般のFXの問題につきましては、防衛整備計画の内容の一環としてありましたものですから国防会議に付議した、かように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/159
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160・受田新吉
○受田委員 今後防衛計画の一環として考えられる兵器についてはどういうものがあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/160
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161・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 現在次期防衛計画整備目標についてはせっかく検討中で、まだ公けにする段階に至っておりません。防衛庁といたしましては、個々の具体的な問題につきましてはなるべく防衛庁の責任においてこれを決定し、関係の了承を得るように努めたいと今後の問題としては私ども考えておりますが、国防基本方針に重大な関係があるもの、また防衛計画の大綱内容等については当然付議しなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/161
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162・受田新吉
○受田委員 今後の問題としてまだ次期防衛計画は立てられていないので答弁できないということでございましたが、この間御指摘したように、来年で一応原則的には終る。三十七年度に延びるものも多少あるがということで、非常に目前に迫っておる問題です。こういう差し迫った段階で、なお次期防衛計画が立てられないということは、これは防衛計画樹立の責任者として、あなたが非常に怠慢な形になりはしませんでしょうか。事実そういう短期間で、もう来年で終るような第一次計画の跡始末をあなた方はされながら、次の問題にかかっていかなければならぬ問題じゃないでしょうか。もうすでに第二次長期防衛計画にかかった。今度きめられんとする戦闘機のごときは、次期防衛計画にはさまる機種じゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/162
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163・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 御指摘のごとく昭和三十六年三月をもって第一期の整備目標が終るわけでございます。一部は御承知のように三十七年度末にかかるものもございますが、それらの問題について目下せっかく検討中でございます。不幸にしてFX等の問題も御指摘のように次期防衛整備目標に関係のあるものでございますので、私どもせっかく努力中でございまして、できるだけ早い機会にこれを整備をして明らかにしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/163
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164・受田新吉
○受田委員 グラマン戦闘機の議論でついに一年たったわけです。そのFXをどうきめるかということの問題が解決しないままで一年たったわけですが、次期防衛計画の中にはさまらないような大事な問題になっておるのですね。そういうときにまだ具体化されていない、せっかく検討中だということはこれは一つ問題があると思うのです。それはそれで一応おきますが、私は国防会議でせっかく内定したこの機種を一年もほうっておいて、次の機種をきめるかきめぬかもまだきめられてないということは、国防会議の権威が著しく失墜されて、その意味においてはもう存在意義を失っておる、こういうふうな結果にもなっておると思うのです。この責任は一体どういうことになるのですか。国防会議というものは、内定したままでほうっておいて、始末もつけないような段階で許されない問題じゃないかと思うのですが、長官どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/164
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165・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 御指摘のように昨年四月に内定をいたした以後今日に至っておることについては、主管の防衛庁としてはなはだ遺憾に存ずる次第でございますので、私も内定以後の各般の状況について、目下いろいろ調査研究中でありまして、この点はできるだけ早く機種決定の問題について適当な処理をし、これを決定したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/165
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166・受田新吉
○受田委員 何かこういう機種決定などについては、秘密を保持しなければとても助からないというお気持から、次の機種決定その他の国防会議の討議の対象になるものに対して、一応の機密をはっきりさせるような約束を取りつけておかなければならぬというような事情があるのではありませんか。たとえば秘密保護の法規でも、当然近く取りきめしなければ、機密が漏洩するのだ、防衛産業を進める上においても機密が漏洩するのだ、こういう意味で、機密保護の約束を一本とっておかぬと、こういう問題の解決は困難だというような事情も伏在しておるのではないかと思うのですが、機密保護のようなものは絶対必要としない、今後とも現に存在する秘密保護規定でゆっくり間に合うという立場をおとりになるのかどうか、これもあわせて御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/166
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167・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 御指摘の点につきましては、私どもさようには考えておりませんので、アメリカの兵器に関する秘密保護の点も、一般論といたしましては、御指摘のような点がないとは申しません。これらの点について、日本の機密保持の現状から必ずしも適当と考えないので、アメリカから供与を得られないというものもございますが、このFXの問題に関する限りは、私どもはさようには考えない、主として内部の問題として今日に至っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/167
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168・受田新吉
○受田委員 アメリカからいろいろな援助を受ける上においても、秘密保護のような約束を一本とっておかないと、なかなか思うようにいかない問題がある。この秘密保護法を作っておけば、非常にその間の円満な交渉ができるというような事情があって、防衛庁としては一つ整備した秘密保護法というものを設けたいという気持があるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/168
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169・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 その点については、目下全般の問題として私ども研究中でございます。広く日本の全体にわたる方法その他全般に関する問題でありまして、ひとり防衛庁ののみの問題として処理いたしかねる面もあるものでありますから、せっかく研究中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/169
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170・受田新吉
○受田委員 秘密保護法を今研究中であるという、それは防衛庁を中心にして、国内の他のいろいろな面に波及した大じかけな秘密保護法と解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/170
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171・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 私どもはさような意味で申し上げたのではございますんので、大じかけとはどういう意味であるか十分了解いたしかねますが、純粋の単事的の機密保持というような問題に限局したものが可態であるかどうかというような点について、もっぱら研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/171
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172・受田新吉
○受田委員 そうするとあなたの構想と、他の方へも幅広くいく、大じかけなと私は申し上げましたが、そういうものとは別でしょうか。二つの秘密保護の構想があるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/172
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173・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 政府においてかって防牒法云々の問題が出たことがあるやに私も伺っておりますが、少くともわれわれは純粋の自衛的な観点からかようなものについて研究するのが適当と考えまして、全体のいわゆる防牒法とかいうような問題については、防衛庁として考えたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/173
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174・受田新吉
○受田委員 防衛庁の立場からは、機密保護法の制定を希望しておられる、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/174
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175・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 私の目下念頭に置いて研究しておる問題はさようでありますが、政府全般の防衛法というような問題については、これは主管の問題ではありませんから、今これについて私どもはとやかく申しげることを避けたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/175
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176・受田新吉
○受田委員 次長さん、国際的な約束から秘密保護を要請されているときに、たとえば日本とアメリカとの間の協定に基く秘密保持という規定があるわけですが、そういうようなときに、この秘密を保持するという協定だけで、その協定の実施に当って現状のような形の法律を作ってあるので間に合わないのかどうか。軍の機密は、さらに今防衛庁長官が軍機保護に当るような形の機密保持というものを検討しておると言われるのですが、そういう必要があるわけですか、どうですか。国際間の約束として、そこまで国際的に約束を取りつけられなければならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/176
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177・高辻正巳
○高辻政府委員 お尋ねでございますが、今回の条約の改定に当ってそういう問題がありますかどうか、これは率直に申し上げてつまびらかにいたしません。それからまた一般的な秘密保持についての何らかの方策を立てる必要があるという前提に立ちますならば、現在の秘密保護の立法は必ずしも整備されておらないというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/177
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178・受田新吉
○受田委員 ぼつぼつ日も暮れなんとしますので、もう早く打ち切ります。
そこで長官、機種決定のような大事な問題をこのまま放置しておいてどこまでいくのですか。これはいつきめようとするのですか。これがきまらないために、今の兵器産業ということの方へも波及してくるわけで、いろいろなところに支障が起ってきておるのです。一応のめどをどこに置いておられるか。それから問題のグラマン戦闘機は、内定の分はこのまま実現する可能性があるのか、考え直されることになりそうか。その辺の見通しもあなたとして御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/178
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179・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 FXの問題がこのままいくかいなかの問題につきましては、現在のところ私としては明確な御答弁を申し上げる段階に至っておりません。率直に申し上げて、このままいくとか変るとかいうことの見通しはどうかというお話でありますが、遺憾ながらまだどちらとも御返事は申しかねる次第でございます。しかしながら私としてはすでに総理大臣、または財政的な観点から大蔵大臣等には、この問題について数度私の所見も申し上げて、また部内においてもその後しばしばいろいろな検討をいたしましては、御指摘のごとく次期戦目標にも大きな関係もございますので、できるだけ早く決定をいたしたいという熱意をもって、実は目下検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/179
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180・受田新吉
○受田委員 次期防衛計画に関連を持ってくる機種決定でございますから、できるだけ早くというようなことで来年に延び、再来年に延びたならば、これは収拾がいかなくなるわけですね。めどを持ってこの決定を急がなければならぬと思うのです。その目標はどこに置いておられますか。次年度の予算の問題が討議されるころまでに片づけばいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/180
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181・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 これは防衛庁長官としての現在の考え方でございますので、さよう御承知置きを願いたいと思いますが、私は再来年度の予算には何とかこの問題を盛り込んで解決をいたしたい、かような気持で努力をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/181
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182・受田新吉
○受田委員 もう一つ、国防会議というこの会議がインナー・キャビネット、閣内閣僚の会議のような形になって、そこに総理と議長というものが同一人であるというところに、またあまりにも問題が簡単に取り運ばれるおそれがあると思う。総理の独裁的な会議になるおそれがある。そこで問題は、国防会議できめられたようなことを閣議に報告して、総理大臣が閣議に諮ってきめられるわけですが、これは閣議に列せられた方がおられるかどうですか、この問題が機種問題などのときに国防会議で討議されたことが、閣議で大いに意見が交換されたかどうか。国防会議だけの議論で終って、閣議はこれを報告する程度にとどまっているのではないか。これでは国防会議という機関は全く閣内閣僚会議のような形になってしまって、その存在意義を失うと思うのです。国防会議のほんとうの意義は、やはり閣議で、国防会議できめたものを十分討議してもらわなければならぬと思うのです。いかがでしょうか、あなたが長官になられて国防会議の経過報告などをやられたことがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/182
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183・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 私が就任いたしまして以来、いまだ国防会議が開会されたことはございませんので、この問題については会議が開会されませんので閣議においては論議された記憶はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/183
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184・受田新吉
○受田委員 次の条約に日本の防衛計画に変更を来たしたりあるいは重要な国防に関する問題が乗るか乗らないかという問題もあるのですから、十分そういう問題も含めて国防会議がひんぱんに開かれておらなければならぬ。そして閣議でこれが討議されなければならぬということになるわけです。国防会議の存立意義は相当失われておる。まだあなたが就任されて一回も会議が開かれておらぬ。そして安保条約が間もなく改定されようとしておる。それからもう一つは、以前民間人を国防会議に入れてもう少し国防会議の大衆性をはっきりしたら、そういう法案が一度出たこともあったのですが、民間人を入れるということは、国防会議の存在意義を高める意味においては非常に広い意味になっていいのではないですか、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/184
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185・伊能繁次郎
○伊能国務大臣 不幸にいたしまして私まだ国防会議が開催されておりませんので、国防会議の実情等については法規その他を承知したのみでありまして、実際の運用等について承知をいたしませんので、この点は国防会議開催の暁には十分検討した上で自分の意見をきめたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/185
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186・受田新吉
○受田委員 天川氏という人が決算委員会でいろいろ問題になり、吉村という証人が問題になって、国防会議で非常な疑惑を持たれているのです。あなたはこの際国防会議の再建をはからなければならないし、もっと清新な国防会議を作って、内定して一年後にまだ機種がきまらぬというだらしない国防会議でないようにするために、事務局などに対する疑いも全然ないように、また防衛担当の参事官と飲み歩くような人物を弁護するようなことも一切取りやめて、もっとぴしっとした官紀綱紀の粛正した国防会議として、これを再建させなければならぬと思うのです。従って一般民間人のような人も入れて、もっと国防会議が幅の広い討議ができるようにあなたは一つ努力していただきたいものですが、これは私民間人を入れよということはこれに別に賛成しているという意味でなく、もっと大衆性をはっきりしたらどうかということを申し上げておるのです。それに対する御見解は、就任日なお浅いから国防会議をやっておらないという。だからあなた自身国防会議というものは御存じないわけですが、あなたも議員の一人であるし、就任されて三カ月もたっているのであるから、その間一回くらい国防会議を開いておらなければならない。けれども開いてないのであるからのれんの押し合いのようなもので、国防会議に対する当局者としては適格者ではないと認めざるを得ないので、国防会議に対する質問は保留いたします。
今日は朝来ずいぶん御苦労をいただいて、最後までしんぼうせられてやっておられたその誠意に対して敬意を表するわけです。日本の防衛の将来について数々の問題点を指摘しましたけれども、これは国民の一人として、国民の代表者として、国民の声を理解させるための発言であったことを御了解願いたい。防衛庁誤まるなということを強く願っておる数々の発言であったので、二時半も三時間も質問したわけです。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/186
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187・内海安吉
○内海委員長 次会は公報をもってお知らせすることといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02219590320/187
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