1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年四月三日(金曜日)
午前十一時五分開議
出席委員
委員長 内海 安吉君
理事 岡崎 英城君 理事 高瀬 傳君
天野 光晴君 今松 治郎君
植木庚子郎君 加藤 精三君
坂田 英一君 瀬戸山三男君
田中 龍夫君 高橋 等君
富田 健治君 永山 忠則君
野原 正勝君 橋本 正之君
原 健三郎君 船田 中君
保科善四郎君
出席政府委員
内閣官房内閣審
議室長兼内閣総
理大臣官房審議
室長 吉田 信邦君
人事院総裁 淺井 清君
人事院事務官
(給与局長) 瀧本 忠男君
総理府総務長官 松野 頼三君
総理務総務副長
官 佐藤 朝生君
総理府事務官
(内閣総理大臣
官房公務員制度
調査室長) 増子 正宏君
総理府事務官
(恩給局長) 八巻淳之輔君
行政管理政務次
官 濱野 清吾君
総理府事務官
(行政管理庁行
政監理局長) 山口 酉君
防衛庁参事官
(人事局長) 山本 幸雄君
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 岸本 晋君
農林政務次官 石坂 繁君
農林事務官
(大臣官房長) 齋藤 誠君
委員外の出席者
大蔵事務官
(管財局国有財
産第二課長) 市瀬 泰蔵君
専 門 員 安倍 三郎君
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四月三日
委員今松治郎君、小金義照君、纐纈彌三君、始
関伊平君、田中龍夫君、田村元君及び谷川和穗
君辞任につき、その補欠として、野原正勝君、
加藤精三君、天野光晴君、瀬戸山三男君、原健
三郎君、永山忠則君及び坂田英一君が議長の指
名で委員に選任された。
同 日
委員天野光晴君、加藤精三君、坂田英一君、瀬
戸山三男君、永山忠則君、野原正勝君及び原健
三郎君辞任につき、その補欠として纐纈彌三君、
小金義照君、谷川和穗君、始関伊平君、田村元
君、今松治郎君及び田中龍夫君が議長の指名で
委員に選任された。
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四月一日
文官恩給調整に関する請願(井出一太郎君紹
介)(第三〇七六号)
同(小金義照君紹介)(第三〇七七号)
同(成田知巳君紹介)(第三〇七八号)
同外一件(井原岸高君紹介)(第三一四七号)
同(木村俊夫君紹介)(第三一四八号)
同外一件(木村守江君紹介)(第三二〇二号)
召集旧軍人関係恩給の加算制復元に関する請願
外一件(井出一太郎君紹介)(第三〇七九号)
同外一件(逢澤寛君紹介)(第三一四九号)
同(江崎真澄君紹介)(第三一五〇号)
同(江崎真澄君紹介)(第三一六〇号)
同(芦田均君紹介)(第三一九六号)
同(江崎真澄君紹介)(第三一九七号)
同外二件(倉石忠雄君紹介)(第三一九八号)
同(江崎真澄君紹介)(第三二五八号)
寒冷地手当増額に関する請願外三十一件(井出
一太郎君紹介)(第三〇八〇号)
同外二件(鈴木一君紹介)(第三〇八一号)
同外一件(鈴木一君紹介)(第三二〇八号)
建設省職員の定数改正に関する請願外四件(足
鹿覺君紹介)(第三〇八二号)
同(石川次夫君紹介)(第三〇八三号)
同(石田宥全君紹介)(第三〇八四号)
同(石野久男君紹介)(第三〇八五号)
同(石山權作君紹介)(第三〇八六号)
同(内海清君紹介)(第三〇八七号)
同外一件(久保三郎君紹介)(第三〇八八号)
同(小林進君紹介)(第三〇八九号)
同(鈴木一君紹介)(第三〇九〇号)
同(田中角榮君紹介)(第三〇九一号)
同(古井喜實君紹介)(第三一五一号)
同(加藤高藏君紹介)(第三一六一号)
同(石山權作君紹介)(第三一九九号)
同(大貫大八君紹介)(第三二〇〇号)
同(堤ツルヨ君紹介)(第三二〇一号)
同(石山權作君紹介)(第三二三五号)
北海道開発局定員外職員の定員化に関する請願
(石山權作君紹介)(第三〇九二号)
同(瀬戸山三男君紹介)(第三〇九三号)
同外一件(塚本三郎君紹介)(第三〇九四号)
同(三鍋義三君紹介)(第三〇九五号)
同(木村守江君紹介)(第三一五二号)
旧軍人関係恩給の加算制復元に関する請願(田
中角榮君紹介)(第三〇六〇号)
同(福家俊一君紹介)(第三〇九七号)
公務員の扶養手当改訂に関する請願外一件(石
山權作君紹介)(第三〇九八号)
同外三件(栗林三郎君紹介)(第三〇九九号)
同(鈴木一君紹介)(第三一〇〇号)
同外一件(栗林三郎君紹介)(第三二〇三号)
同外一件(栗林三郎君紹介)(第三二三六号)
期末手当増額等に関する請願外三件(栗林三郎
君紹介)(第三一〇一号)
高学歴教員の俸給是正に関する請願外三件(栗
林三郎君紹介)(第三一〇二号)
同(栗林三郎君紹介)(第三二〇四号)
農林省定員外職員の定員化に関する請願(井伊
誠一君紹介)(第二一〇三号)
同(大貫大八君紹介)(第三一〇四号)
同(片島港君紹介)(第三一〇五号)
同(角屋堅次郎君紹介)(第三一〇六号)
同(神近市子君紹介)(第三一〇七号)
同(北山愛郎君紹介)(第三一〇八号)
同(小林正美君紹介)(第二一〇九号)
同(佐々木更三君紹介)(第三一一〇号)
同(田中幾三郎君紹介)(第三一一一号)
同(中井徳次郎君紹介)(第三一一二号)
同(西村力弥君紹介)(第三一一三号)
同(古井喜實君紹介)(第三一五三号)
同外一件(山下春江君紹介)(第三一六三号)
同(櫻井奎夫君紹介)(第三二〇五号)
同(笹山茂太郎君紹介)(第三二〇六号)
同(八百板正君紹介)(第三二〇七号)
同(阿部五郎君紹介)(第三二三四号)
労働省定員外職員の定員化に関する請願(飛鳥
田一雄君紹介)(第三一一四号)
住宅手当制度化に関する請願外一件(井出一太
郎君紹介)(第三一一五号)
同一市内公務員の暫定手当不均衡是正に関する
請願(柳田秀一君紹介)(第三一一六号)
建設省地理調査所定員外職員の定員化に関する
請願)(丹羽喬四郎君紹介)(第三二一二号)
農地被買収者問題調査会設置法反対
に関する請願外六十四件(高田富之君紹介)(
第三二三一号)
同外七件(高田富之君紹介)(第三二五一号)
暫定手当の本俸繰入れ促進等に関する請願(坊
秀男君紹介)(第三二三七号)
建国記念日制定に関する請願(松岡嘉兵衛君紹
介)(第三二三八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
農地被買収者問題調査会設置法案(内閣提出第
一六一号)
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(
内閣提出第九一号)
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改
正する法律案(内閣提出第四八号)
特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改
正する法律案(内閣提出第五四号)
防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案(
内閣提出第一五〇号)
恩給法の一部を改正する法律案(内閣提出第四
九号)
国の防衛に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/0
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001・内海安吉
○内海委員長 これより会議を開きます。
農地被買収者問題調査会設置法案を議題とし、質疑を許します。原健三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/1
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002・原健三郎
○原(健)委員 私は、この調査会を総理府の付属機関として設置して、一体何を調査しようとしておるのであるか、その点をお聞きいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/2
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003・松野頼三
○松野政府委員 提案理由にも御説明申し上げましたごとく、農地改革によりまして相当大きな変動があり、その後農村における社会問題としてこの問題がいまだに相当大きな場面を占めておりますので、その実態を調査することはより以上必要なことだと考えます。なお総理府に設置いたしましたことは、農林省そのものの考え以外に、その他に波及する場面が非常に広範囲にあるかと存じまして、総理府に設置することが妥当だと考えて総理府に設置をいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/3
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004・原健三郎
○原(健)委員 農地解放の結果、その実態調査とおっしゃられるが、実態というのはどういうことか知りませんが、第二条によると「農地を買収された者に関する社会的な問題」、こういうふうなことを書いている。実態調査と社会的な問題というのはどういう関係があるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/4
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005・松野頼三
○松野政府委員 実態の調査といいますことは、御承知のごとく今日その大きな変革によりまして多数のいわゆる被買収者の方がおられますので、その方たちの農村における地位と今日の生活の状況というものの実態調査でございます。第二番目には、その実態調査をした上で、この問題はあえて被買収者のみならず、今日農村における一つの社会問題として、ある場合にはいろいろ宣伝をされ、お互い同士非常な不安な状況をかもしておる地域もございますので、そういうものに対して一応の終止符を打って安定をさせたいというのがねらいでありまして、あえてこの問題は被買収者の方ばかりにあらずして、農村の大きな問題として今日現存していることは事実でございますから、その両面を勘案してこの調査会は運営をしていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/5
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006・原健三郎
○原(健)委員 その実態を調査して、農村の生活に不安を来たしておるもの、言いかえれば安定を欠いておるものを調査して善処したい、こういうお答えですが、それでは今までしばしば言うておるように、被買収者と一般の農村と両建でやるとおっしゃられるのですが、われわれから見れば一般の方面についてはこれは農林省で多年やっておるし、ことにわれわれの強調したいのは、自作農創設特別措置法というような法律によって、ほとんどただ同然に土地を取り上げて、それに基因して生活の困窮、社会不安を来たしておるからこれを主としてやらなければならぬ、すみやかに解決すべし、こういうことを言っておるのですが、それを主とするのか、一般の農村も入れてとなると問題が広くなってしまって、どれがどれかわからなくなるおそれがあると思うのですが、どうでしょう発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/6
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007・松野頼三
○松野政府委員 一般の農村を入れるという意味は、被買収者問題がややもいたしますと未解決なために、その波及的意味においてある場合には旧地主が自作農を取り上げるのだというがごときデマ宣伝もなきにしもあらず、これは必ずしも農村の安定的な今後の経営ではない、そういう意味で申し上げたわけで、もちろんこの法案そのものは被買収者を対象といたしますが、この問題を取り上げなければならない理由というのは、すべての農村に大なり小なり大きな社会的問題が現存するという意味で申し上げたわけで、この調査会そのものは被買収者に対して実態調査をして、いかなる対策あるいはいかなる方向というものがあるか、おのずから結論は出て参りましょう。しかし社会的問題という意味で、これは被買収者の問題ではございますが、その他に影響するところも大きくございますので、自作農に不安を起さないように、今後農地に対する農民すべての不安をこの際一掃したいという意味においては、これは農業政策として大なり小なり大きな影響があることは事実でございます。しかしさしあたり今回一番大きな核心である被買収者問題に早く終止符を打ちたいという意味で取り上げたということは、広く言うならば、これは大きな農村の社会問題であろう、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/7
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008・原健三郎
○原(健)委員 生活の不安、動揺というようなものを防ぐという、そういう意味において社会的問題とおっしゃられるのですが、それではただそれだけにとどまるのであって、土地をただ同然に取り上げられて困窮しておるという人もあるだろうし、いろいろ困っている人もあるのであるから、単に社会保障というような立場ないしは社会政策でこれを助けてやるというような、貧民救済的なことだけで事が済むといったようにお考えになるか。われわれとするならば、そんな貧民救済というようなことだけではなくして、少なくとも政府の農地改革——改革それ自身はよろしいのだが、あまり安い値で、ただで取り上げられたと同様であるから、それに対しても若干の考慮を払うのが当然である。ただ貧乏人を救うということだけで事足りるというのでははなはだ解せないのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/8
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009・松野頼三
○松野政府委員 いわゆる難民救済ということだけならば、あえてこの調査会を作るという意味はございません。現行でも社会保障の問題でございますので、あるいは難民救済と踏み切るならば、それは厚生省で所管することが妥当かもしれませんが、そのような意味にあらずして、そういうふうに取り上げたというのは、そういう難民救済という意味で取り上げたわけではございません。いろいろの問題がございましょうが、そういう問題を含めて、総理府にこの調査会を特に置くべきだという議論は、難民救済というそういう簡単な意味でこの問題を取り上げたわけではございません。どうぞ一つ、その内容の審議は今後でございましょうが、精神としては、そういう難民救済という意味でこれを取り上げたわけではございませんので、御了解願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/9
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010・原健三郎
○原(健)委員 それでは難民救済だけにとどまらずして、農地被買収者問題を特に取り上げてやるというのであるから、われわれ極端に言うと、農地に対する国家補償をせよという議論もある。これは御承知の通りである。そこまで私どもも強く言わないにしても、難民救済と被買収農地の国家補償、その中間くらいのところをねらう、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。両方勘案したような……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/10
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011・松野頼三
○松野政府委員 難民救済でないことはただいま申し上げました通りでございます。同時にまた、農地改革のような農地の大きな変動を再び起すということは、今日の農村政策としてなかなかできないことでありますから、それを勘案して、問題が相当広範囲でございますから、その範囲内において各種の学識経験者の意見と世論の動向を見てこの調査会の運営をはかりたいというわけで、私がここで結論を申し上げるにははなはだ膨大なものでございますので、そういう考えのもとに調査会を置いて、その調査会の審議の結果を待つ以外になかろう、一がいにこうだああだと断定するには非常に問題が大きいのではなかろうか、こう考えます。ただいま原委員のおっしゃる通り、私がそうだとは申しませんけれども、もちろん御趣旨のようなものがこの調査会で第一に議論されることは当然だと存じますが、まだ調査会を設置いたしません前に、私がああだこうだというわけに参りません。今、原委員のおっしゃるようなことは、もちろん調査会の中で重要ななにを占めるものだとは存じますが、私がここで断定するわけには参りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/11
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012・原健三郎
○原(健)委員 これで大体政府の意図がわかりました。調査会において大体その意図に沿うて調査に乗り出す、こういうわけであります。それでこれはわかりました。
次に第二にお尋ねいたしたいのは、農地の被買収者の実態の調査をやる、さらに農村の一般的な不安もあわせて調査して除去する、範囲は広範なものであるとおっしゃる。けっこうであります。大いにそういう趣旨でやっていただきたい。それでお尋ねしますが、一千万円の予算でそういう大事業がやられるとお考えであるか、それを一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/12
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013・松野頼三
○松野政府委員 調査会の予算は、農林省と総理府と合わせて大体一千万円になります。一千万円の金額が多いか少ないかという議論はいろいろございますが、総理府でやっております調査会の中には、八十万円くらいから二百万円、三百万円というのがある。実は調査会の予算としては、大体その程度で現実に各種の調査会をやっております。観光事業調査会という相当日本の大きなことをやっておるのがありますが、調査会そのものの運営の予算というのはわずかに百五、六十万円程度のものでございますから、私の方の調査会から申しますと、これはどちらかというと、スタッフとしましても、人員としましても、最大の調査会でありまして、調査会そのものの予算の金額よりもこれは成果は上がると私は存じますが、調査会そのもの予算はおそらく一番大きな部類に属すると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/13
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014・原健三郎
○原(健)委員 それは私どもは解せないので、調査会というのは、調査の目的、やる範囲、やることによって予算をきめるべきであって、あの調査会は三十万円、この調査会は八十万円、百五十万円、だからこれも一番多くて一千万円でよろしい、こういう議論は成り立たない。問題によってきまる。ただ調査会を置いて、特別の調査会のメンバーが二十人なら二十人でやるだけなら、これはお茶菓子でも出して、総理府の事務所を借りてやるならただでできます。これは旅費を出さなくても来てくれますし、こんなのはもう五十万円でよろしい。しかしこれはそれとは違う農村の実態の調査をやるという。さらにここに専門調査員を十名置く、これを補佐するために幹事を十名置く、委員を二十名、合わせて四十名でこの広い日本の農村をどのようにして調査するめどがあるか。私はめどなんかはないと思う。引揚者のときにやったのですが、カードを配って全国の農家に調査事項を書いてもらうとかなんとかの方法でやろうと思えば、カードの印刷賃、カードの配付だけでも一千万円くらい要ってしまう。この一千万円というのはほんの事務費であって、調査の費用とかなんとかいうのは、別に予備費からでも出してもらわなければやれないと思うが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/14
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015・松野頼三
○松野政府委員 御趣旨のように、調査のやり方によって経費というものはおのずから変わって参りますが、ただいま調査会そのものの運営費としては一千万円あれば私は十分やれると思います。もちろん実態調査をする、出張調査をする、あるいは農村に出かけていろいろ調査をするということになりますれば、おのずから経費はその調査によって変わって参りましょう。そのときは当然この予算というものは、ある程度他から流用しても使わなければならないかもしれません。同時に、これは事務局は総理府でありますが、実際の事務は農林省を使いますので、農林省の手足、総理府の統計、すべてを動員いたしますれば、一応出発にはこの程度で十分やれるのではないか。もちろんその調査の内容によって、これをやれあれをやれと他に波及いたしますれば、おのずからこの予算というものもそのときによって考えなければなりませんが、さしあたり出発においてはこれで十分やれる、こういう意味で私は申し上げたのであります。もちろんこの調査が進みますれば、委員の中から、ああいう調査をしろこういう調査をしろということは出て参りましょう。そのときにおのずからこの予算というものは動きましょうが、さしあたり第一の構想として出発するのには、一千万円あれば十分と申し上げるとおかしいのでありますが、出発に支障は来たさない、こういう意味で申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/15
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016・原健三郎
○原(健)委員 その点はわかりました。出発に際しては、いわゆる調査会の運営費としては一千万円でけっこうでありますが、あなたのさっきからおっしゃった農村のこういう実態の調査ということになると、委員二十名、専門調査員十名、幹事十名の四十名でやいやい言って東京で話し合いをしておったら、これは一千万円も要らない。五十万円くらいでいいでしょう。調査会でお茶菓子を出せばけっこうでございます。そんなふうではなかなか調査もできない。これをさらに農林省の手下を使うことにしても、出先機関を使うにしても——この法律には資料の提出や説明で協力を求めることができるとある、けっこうなことであります。それを各行政機関の長に対して、たとえば知事とか市町村長とかいうものに資料を要求しても、実際に動いて農村の実態調査をやるのは、総理府の調査会の委員や専門調査員や幹事が四十名くらいでは、幾ら名論卓説が出たって、それだけでは何とも調査にならぬ。それから先のことが調査なのに、そんなものを始めて議論をしてみたところで、大体議論は尽されている。さてどうするか。あなたが初めに趣旨説明のところでおっしゃったように実態調査、それだけなのです。そうするとそれが一千万円では足りない場合には予備費からでも、調査会で意見が一致したら善処してすみやかにやる、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/16
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017・松野頼三
○松野政府委員 さようでございます。この内訳は、人件費が百七十一万、審議会運営費が四百二十八万、調査委託費が四百万、合わせまして一応一千万円を予定いたしております。もちろんこの問題は最初のことでございますので、どういう問題があってどういうふうに進むかということはこの後の問題でございますが、さしあたり調査会の運営としては一応一千万円で出発できる、そういう意味でありまして、もちろんいろいろな問題が出て参りますれば、おのずからその内訳は予算というものも変わってくることも仕方がありません。それは一つ御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/17
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018・原健三郎
○原(健)委員 一千万円で出発する、それはよくわかりました。それから農村の実態調査をするときに、実態調査をやるということをこの委員会で決定したそのときには、別に費用は政府において考慮していただく、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/18
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019・松野頼三
○松野政府委員 もちろん予算の内容あるいは調査の実態によって運営が困難な場合には、財政法の示す通り、予備金あるいは来年度の予算というものもおのずから出てくることは当然であります。今日の場合は、私はこれで出発いたしてそう支障はない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/19
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020・原健三郎
○原(健)委員 次に、ちょっとこまかくなりますけれども、「委員は、学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。」委員は、非常勤というのはけっこうでございますが、学識経験者というのは何か基準があるのですか。今まで国会議員も数に入れたりしていたが、これは入れるつもりか入れないつもりか、政府原案ではどういうふうになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/20
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021・松野頼三
○松野政府委員 学識経験者という言葉がたびたび出ますが、この調査会及びこの問題についての学識豊富な方、また同時に経験の豊富な方、この二つの意味を含めて学識経験と申し上げております。なお特に国会議員の方を任命いたしませんでも、学識豊富な方は当然お入りいただくし、経験豊富な方もお入りいただくので、あえて国会議員というワクをきめるより、より以上広い範囲で人選ができるのではなかろうか、ことにこれは新しい問題で広範な問題でありますので、私の方は広い意味で学識経験者という意味で、この委員の選任に当りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/21
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022・原健三郎
○原(健)委員 この提案理由の説明によりますと、農地改革を是正するという意味の補償は考えられない、被買収者に関する社会的な問題についてその実情を明らかにするとともに、何らかの措置を講ずる要がある、こういう説明でありますが、この場合にこの調査会において結論が出て政府に答申されます。その場合に政府はその調査会の答申を十分に尊重してこれを実行するの用意がありますかどうか、それをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/22
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023・松野頼三
○松野政府委員 調査会の答申が出ましたら、もちろん政府は十分に尊重をいたすつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/23
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024・原健三郎
○原(健)委員 これは総務長官もよく御承知の通り、過去数年間もみにもんできた問題であります。全国的にも非常にセンセーションを起した問題であります。それで一般の世論からいうと、すみやかに結論を出して政府の善処を要望したいという声があるが、この法律によると二年ということになっておる。われわれの要望としては私は一年間に実態調査までやっていて、昭和三十四年度予算にその答申に基づいて予算的措置、あるいは法的措置等を十分に考慮してもらいたい。それほど急いでおるのであるが、政府は早ければ早いほどよいこういう意思であるか、二年間にやるというものであるか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/24
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025・松野頼三
○松野政府委員 今回各種の調査会法案を出しましたが、ほとんど一応二年というのが常識的に一番妥当だと考えて二年を出しましたので、二年間待てという意味ではもちろんございません。従ってわれわれも一応二年間を目途としてこの調査会を発足するというのがほかにもたくさんございます。もちろん一年でも半年でも早く答申が出るならばそれに越したことはありませんが、一応この調査会を一年間に切って、さらに延長するということもなきにしもあらずと考えて、また三年も長過ぎるというので、二年というまん中をとったわけで、これはあえて答申を二年後に出せという意味では毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/25
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026・原健三郎
○原(健)委員 わかりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/26
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027・内海安吉
○内海委員長 それでは国の防衛に関する件について調査を進めます。
質疑を許します。保科善四郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/27
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028・保科善四郎
○保科委員 大蔵省の管財局に伺います。昨年の十二月十八日に旧陸海軍の施設の処理がどういう工合になっておるかということを御質問いたしました。それについていろいろ答弁があったのでありますが、そのうちでどういうようにその後処理をされたかということを二、三伺いたいと思います。
第一は、市瀬説明員は、多賀城の旧海軍工廠用地については東北財務局において徹底した調査を開始した旨答えられております。これが一体どういうような工合になっておるか、その調本日の状況を一つお知らせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/28
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029・市瀬泰蔵
○市瀬説明員 昨年の当委員会において私が御答弁申し上げました多賀城地区の調査の点でございますが、そのときにも当委員会で、後日その結果を報告することを御指示いただいたのでございまして、ただいまのところではまだ中間的な報告しかできないことを最初に申し上げます。その中間報告におきまして申し上げられますのは、東北財務局において徹底した調査を進め、それが計画通り順調に進んでいるというところでございます。ではどういう調査をしておるかと申し上げますと、当時の海軍が農地その他の土地を買収いたしまして、たまたま登記の移転がなされておらない、こういう案件につきまして、当時の買収関係の登記及び土地台帳等について逐一調査を進めておるのでございます。それで第一作業といたしまして、土地台帳及び登記簿を各字ごとに一筆ずつ調査を進めておりまして、現在四十六の字のうちで四十五調査を終りまして、字限り図というのを作成して、一筆の土地ごとにどういう買収が行われたかということを書き込んでおるのでございますが、その字限り図写しの作成が四十六字のうちで二十八字完了いたしております。そうして、そのただいま中途まででき上りました字限り図の写しを持って現地へ参りまして、実地に照合調査をするのでございますが、これは元海軍の買収関係で二十一口座になっておるのでございますが、そのうちの十一口座について買収の時期とその買収にかかる土地との関係を調査を進めております。大略そういうような調査で、全部完結いたしましたならば、どの程度の土地について国が正当に買収したものであるか、あるいは疑問のものが出るかどうかということが判明することになるかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/29
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030・保科善四郎
○保科委員 この前も私質問をいたしたのでありますが、その中でなお登記が済まずに税金を納めておるという者があって、それについては国有財産に対する固定資産税ではなくて、ほかの方の税金だろうというようなお話がありましたが、何かそれについて調べられたことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/30
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031・市瀬泰蔵
○市瀬説明員 その問題についてはまだ調べておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/31
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032・保科善四郎
○保科委員 これが一番問題になっているわけなんです。これは単に多賀城だけではなくて、松島航空隊の飛行場の中にもやはりそういうケースがあって係争になっております。こういうような戦時に協力した者に対して、どうも政府の財産を預かっている方が非常に思いやりが足らないのではないかというような感じがしておるわけです。こういう特に犠牲を払ったような方に対しては、そういうような係争にするというようなことに持っていくことそのことがどうもおかしいのであって、親切に世話をしてやればこれはわかることなんですから、そういう点について私はもっと——これはもうすでに十二月の十八日に私はそういうことを指摘をして、特に委員長からもその点について口添えをされているはずなんですが、今もって何らの処置もされないということはどうも私は少し不満に感ずるわけですが、この点に対しては国有財産にからまっている問題ですから、そういう問題について、係争問題なんかにしないように、一つ特に私は管財当局に御注意を申し上げたいと思います。同時に私はそのときに、全国にわたってこういう問題がある。私の知っているところではやはり小松の海軍航空基地もこういう問題があるということでございます。全国にわたってこういう処理がどういうようになっているかということの一連の処理に関する調査をされて、その報告を委員会にしてもらいたいということを要請しておったのですが、ほかの方に対する調べをどういうようにされているか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/32
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033・市瀬泰蔵
○市瀬説明員 ただいまの地方税関係のことについて話がございましたが、実はこの問題は先般もお答えいたしたように、地方税の徴税当局が誤まって課税したものである。でありますからその事実をたとえば私どもの方へお話しいただければ、国も当該市町村に話をしまして、市町村税の還付方をあっせんいたしましょうということを申し上げたと思っておりますが、現在でもそういういわば受け身の態度でございますので、保科先生からおっしゃいましたような積極的な調査はしておらないのでございます。固定資産税を誤まって課した、あるいはその他これに関連して地方税が課せられたという問題は、旧海軍が買収したけれども国に登記を移していなかった財産の問題からややはずれるのではないか、こう考えておるのでございます。なお私どもとしましても、できるだけ現地の皆さんとの話し合いでこの紛争と申しますか、問題になっている点を解決していきたいと考えておるのでございまして、その意味におきましても当時海軍が適法に買収したのであり、その買収した土地は土地台帳の付属図ではここであって、現地ではここであるということをはっきりして御納得をいただく、こういうためにたとえば東北財務局におきまして多賀城地区の徹底的な調査をいたしておる次第でございまして、何分にもこういう関係の仕事は時間がかかりますので、まだ完結しておらないという次第でございます。なお全国的にどうかという御質問でございますが、このような例は全国にまだかなりございます。私どもとしては、先般当委員会でお話がございましたので、一月に部内の部長会議を開きまして、そのときに今年の一つの処理方針として、国有財産で未登記のものは登記を早急に移転するか、とにかくこの問題を早急に解決するようにということを指示いたしまして、現在各財務局、全国に十ありますが、その財務局及びその末端であります財務部出張所においてその作業を進めておりますか、その中には一部訴訟に係属となっているものもございます。ごく最近の事例といたしましては、九州の熊本及びこの多賀城地区におきまして三つの判決が出たのでございますが、大体において国の持っております売り渡し書及びもとの地主の移転登記承諾書がありますケースにつきましては、国の所有権が認められておる次第でございまして、これが一つの初例となっておりますので、今後全国的に未登記財産の処理に当っては、これだけの資料が整備できるかどうかという点が、一つの重要な解決のポイントになっておるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/33
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034・保科善四郎
○保科委員 私こういう質問をしているのはどういうところに考えがあるかというと、旧陸海軍の施設はいろいろな国の防衛の面から当時決定され、しかも日本が将来独立国として防衛をやっていく上においてかけがえのない場所が相当多いわけです。こういうような場所をきわめて適正に処理をしておくということは、その土地の住民の協力を得る上において非常に必要なのです。それにもかかわらず、ただいま私が御質問いたしたような状態になっており、しかもそれが解決されずに訴訟ざたにまで持っていかれる、そういう処理をするということはすこぶる国の将来のためによくないことだと思って、私はこういう質問をいたしておるわけですから、何も上手な答弁を私は求めようというのではないのです。まじめに国民に対して親切な思いやりのある解決をするという方針でもって、こういうものを処理してもらいたい。いろいろな事情があるのですけれども、誠意をもって解決すれば、訴訟ざたにまでしなくたってこんな問題は片ずくと私は思う。先ほども農地補償の問題が問題になっておるのでありますが、こういうような場所においても、荒廃しておってそれを公共の用に使わないのだったら、やはり返してもらって農地に使いたいというような要望もあるし、ずいぶんひどい目にあって、しかも今もって税金を払わされておるから、そういう問題に対しては若干の再補償を考えてもらいたいというような強い要望もあるわけです。そういう気持もやはりくんで、こういう問題を早く親切に処理してもらいたい。それが住民の協力を得る重要なる要素にもなる。将来こういう場所を防衛庁あたりが使うというような場合にも、そういう係争問題になんかなるということでは、私は住民の十分なる協力は得られないと思う。これは全国にわたってあることですし、しかも十二月十八日にその調査をして、大体の要点をここに提出をしてもらいたいということを要請してあるのでありますから、そういう意味でこの問題を一つ促進をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/34
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035・市瀬泰蔵
○市瀬説明員 未登記財産の処理問題の促進方につきましては、ただいま御質問いただきましたことに全く同感でございまして、鋭意促進に努力いたしたいと考えております。なお大蔵当局といたしましても、地元の方と積極的に事をかまえ、あるいは紛争に持っていく、訴訟に持っていくということは決してとってはおらないのでございまして、できる限り話し合いで解決をするという方針をとっておりますが、たた旧陸海軍が買収し、使用しておった財産は、大蔵省に引き継がれた場合に、これは適法なる行為によって国が取得したものであり、その国有財産の適正なる管理処分を大蔵省が担当しておるのであるという考え方から出ておりますので、未登記であるという事実だけで国有財産から落してしまうというわけにも参りません。この関係で国の主張といたしましては、一応これは国のものであるという主張をしておりまして、そうして元地主の方から、あるいは登記の名義人の方から、これは自分のものであるという主張がなされましたときに、十分話し合いをしまして、国の持っている証拠等も見せまして、そうして国に登記を移していただくというような線で進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/35
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036・保科善四郎
○保科委員 先ほど来のお答えによりますと、まだ多賀城地区の調査も十分進んでいないということでありますが、住民はやはり相当困っておるように私は聞いております。従ってこの問題を促進する意味において、多賀城、松島地区に対して本委員会から若干の調査団を派遣されまして、一つ現場を調査するようなお取り計らいを委員長においてしていただきたいと思うのであります。以上の要請をいたしまして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/36
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037・内海安吉
○内海委員長 ただいまの保科委員の質疑応答を聞いておりますと、これはまことに重大な問題でありまして、政府御当局の御答弁もまだはっきりしておりません。従って国政調査の方法をもって当委員会より委員を派遣して調査するという点については同感であります。いずれ適当な措置を講じまして御期待に沿うようにする考えでございます。
それでは午後一時より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。
午前十一時四十七分休憩
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午後一時十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/37
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038・内海安吉
○内海委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、これにて本案に関する質疑は終りました。
本案に対し、岡崎英城君外十八名より、自由民主党提案にかかる修正案が提出されております。この際、本修正案を議題とし、提出者よりその趣旨の説明を求めます。岡崎英城君。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/38
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039・岡崎英城
○岡崎委員 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に対しまして、修正案を提出いたしたいと思います。
本修正案は、自由民主党の提案でございます。案文の内容は、お手元にお配りいたしてありますので、これを朗読いたします。
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
附則第一条を次のように改める。
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行し、昭和三十四年四月一日から適用する。
附則第三条を附則第四条とし、附則第二条中「改正後の行政機関職員定員法(以下「新法」という)」を「新法」に改め、同条を附則第三条とし、附則第一条の次に次の一条を加える。
(定員の特例)
第二条 改正後の行政機関職員定員法(以下「新法」という。)第二条第一項の規定にかかわらず、職員の定員に関し別に法律で定めるまでの間は、各行政機関の職員の定員は、政令で定める各行政機関別の員数を新法第二条第一項に規定する定員に加えたものとする。
2 前項の規定により加えることとなる員数及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)附則第八条に規定する都道府県の職員(雇傭人を含む。)につき本項の規定に基き増加すべきこととなる員数は、これらを通じて五千四百人とする。
3 政府は、第一項の規定に、より定めるべき職員の定員に関する法律案を、この法律の施行の後最初に召集される国会に提出しなければならない。
提案の理由は、御承知のように現在行政機関職員定員法のワク外にある常勤労務者中、その職務の性質及び勤務の実態において、定員法上の職員とほとんど異ならないものが多数に上っておりますが、これらの定員外職員の定員化問題は、去る第二十二国会以来の懸案事項でありますので、昨年に引き続き本年も可能な範囲で定員化をはかろうとするものであります。
その要旨は、第一に、今回定員化することになる五千四百名の増員は、行政機関職員定員法に基くものでありますが、その総数の中には農林省統計調査部職員百名の優先配分及び地方自治法附則第八条に基く職員をこれに含むこととしております。ただし各行政機関別の配分についてはこれを政令にゆだねることにいたしております。
第二に、四月一日の施行日を公布の日に改め、適用を本年四月一日とするものであります。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/39
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040・内海安吉
○内海委員長 本修正案について質疑はありませんか。——御質疑がなければ、これにて本修正案についての質疑は終了いたしました。
これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
まず修正案について採決いたします。本修正案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/40
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041・内海安吉
○内海委員長 起立総員。よって本修正案は可決いたしました。
次にただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/41
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042・内海安吉
○内海委員長 起立総員。よって修正部分を除く原案は可決いたしました。
これにて行政機関職員定員法の一部を改正する法律案は修正可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/42
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043・内海安吉
○内海委員長 次に、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、これにてただいまの三案に関する質疑は終了いたしました。
三案に対し岡崎英城君外十八名より自由民主党提案にかかる修正案がそれぞれ提出されております。この際各修正案を一括議題とし、提出者よりその趣旨の説明を求めます。岡崎英城君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/43
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044・岡崎英城
○岡崎委員 給与関係三法案に対しまして修正案を提出いたします。案文はお手元にお配りいたしてございますが、その内容の朗読はこの際省略させていただきます。
各修正案の要旨はいずれも施行期日にかかわるものでありまして、給与関係三法案の審議が他の法案の審議との関係上おくれまして、政府原案の施行期日である昭和三十四年四月一日をすでに経過いたしておりますので、これを公布の日に改め、四月一日から適用することといたすほか、所要の経過規定を置いたのであります。御賛成をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/44
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045・内海安吉
○内海委員長 本修正案について御質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/45
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046・内海安吉
○内海委員長 御質疑がなければ、これにて各修正案についての質疑は終了いたしました。
これより三法案及び各修正案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
まず一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案及び防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案に対する修正案を一括して採決いたします。各修正案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/46
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047・内海安吉
○内海委員長 起立総員。よって本修正案はいずれも可決いたしました。
次に、ただいまの各修正部分を除く各原案を一括して採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/47
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048・内海安吉
○内海委員長 起立総員。よって各修正部分を除く各原案はいずれも可決いたしました。
これにて一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案は、いずれも修正可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/48
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049・内海安吉
○内海委員長 恩給法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を許します。保科善四郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/49
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050・保科善四郎
○保科委員 私は松野総務長官に対してお伺いをいたしたいと思います。
昨年の四月四日の本委員会におきまして、委員長から、なお解決を要する問題として、遺家族公務扶助料の倍率及び支給条件等の是正、傷病恩給の間差、等差及び他の恩給との不均衡是正、仮定俸給、抑制措置の是正、文官恩給に内在する不均衡是正、旧軍人等恩給失権者に対する加算制度の実施の問題、旧海軍特務士官の仮定俸給基準の是正、元滿洲国等外国政府職員の通算の実施、旧日本医療団職員の通算の実施、金鵄勲章年金受給旧軍人に対する処遇改善等がありまして、これらの点について政府の明確なる答弁を求める旨発問があったのに対しまして、今松総務長官から御指摘の点についてはいずれも検討すべき問題が包蔵されておるのでありまして、政府としては十分検討の上善処いたす所存であると答弁をされておるのでありますが、この際重ねて松野総務長官から問題解決の熱意を披瀝いたしまして、政府の本問題に対する態度を明確にされたいと思います。特に最後の金鶏勲章年金受給旧軍人に対する処遇改善に関しましては、その該当者が日清、日露、日独戦役等におきまして、国家の任に応じて殊勲を立てられた方々であって、いずれも老齢でその数も非常に少いのでありますから、格別にあたたかみのある措置が至急必要であると考えられるのでありますが特にこの点につきましては具体的に御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/50
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051・松野頼三
○松野政府委員 お示しの点につきましては、政府としても引き続き検討を進めております。戦没者の遺族のための公務扶助料の支給条件の改善、戦傷病軍人のための傷病恩給の支給条件の改善、文官、軍人恩給を通ずる仮定俸給抑制措置の是正、あるいは旧軍人の加算年に関する要望等を内容としたこれらの問題は、いずれもかなりの財政負担を伴う性質のものであります。またその他のものにつきましても、その処理方法のいかんによっては、他に波及関連し、新たな不均衡を生ぜしめる性質のものがありますので、昨年の増額の実施第二年度として、恩給費予算が前年に比して百億余増加している今日、今直ちにこれらの問題の解決を求めることははなはだ困難な事情にありますが、給付の公平という見地から、当然政府として処遇すべき事柄につき、御趣旨に沿うよう、その実現を目途として検討を進めております。
なお最後の金鶏勲章年金に関しましては、法律そのものが失権をいたしておりますので、直ちにその金鵄勲章そのものを復旧するということは、立法の技術においてやや困難な問題を包含しております。しかしながらすべてこういう問題は、過去の日本の歴史から考えて参りますと、今日相当高齢でもあり、数におきましても万そこそこを数えるというくらいのことでございますから、政府としましても当然、過去を直ちに復活するという意味にあらざるも、何らかの方法をもってこの処遇に関しては検討を進むべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/51
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052・保科善四郎
○保科委員 ただいまの御答弁で大体政府のお考えがわかりましたが、どうぞ一つできるだけこれを促進するようにお願いをいたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/52
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053・内海安吉
○内海委員長 高橋等君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/53
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054・高橋等
○高橋(等)委員 ただいま保科議員から恩給法の問題点につきまして御質問があり、政府から御答弁を承わったのでありますが、私はどうも御答弁が少しなまぬるいのではないかというようなきらいがあることを残念に思います。保科君はお願いをされましたが、私はお願いでなしに、ぜひともやれということを、当内閣委員会の委員として政府に要望をはっきりいたします。それでいろいろ問題がございますが、従来あまりはっきりされておらない、ここであまり議論されておらない問題の一つが、例の加算制度の問題でございます。時間もあまりないようでございますから、ごく簡単に要点だけの御質問を、総務長官並びに恩給局長に対して明確にしておきたいと思うのです。それといいますのが、加算制度というものはいわゆる旧軍人に関する加算でありますが、戦争へ行きまして早く内地へ帰った人には恩給の既得権がつき、年令が来れば恩給がつく。ところが長く戦地におりまして——これは体が丈夫だからとか役に立つからとかいう人もだいぶあったようですが、とにかく帰されないで戦地において、終戦後おそく戻ってきた場合、恩給法がすぐに廃止になりまして加算というものが認められないために失権しておる。しかもその大多数は赤紙の応召者ですから、非常に不公平なことが行われておると思うのでありますが、その点は率直にお認めになりますかどうですか、まず伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/54
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055・松野頼三
○松野政府委員 終戦前に帰った方は加算がついておる、終戦後に帰った方には加算がついておらない、赤紙応召者ばかりが多いというようなお話ですが、私も実は終戦後帰って参りまして、加算はついておりますが、ただいまは加算制度がないために復活しておりません。従ってその当時の状況はいろいろ差はございます。しかしながら確かにある一時点を考えて参りますと、公平だとか均衡があるものだとは払も考えておりません。ちょうどそのある時点をとりまして、それを境として戦争前と戦争後という区切りをつけたために、そのすれすれの線にあります人は、これは比べて参りますれば不均衡だという点は、私も率直に認めておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/55
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056・高橋等
○高橋(等)委員 総務長官は少し口数が多いものだから、誤解を受ける場合がありますが、そういうすれすれの場合とかということでなしに、戦争が済んで帰った人は、恩給権がなくなっておるものだから、恩給がつかない。それが大多数で、全国で七十三万人の人が恩給がついていない。こういうことは、さっき申されました不公平があるということで、私はそういうふうにお開き取りいたしておいて差しつかえありませんか。すれすれとかなんとかでなしに、はっきりその点は——恩給等調査会におきましても非常に不公平なことだということを申しておるのであります。その点もう一度確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/56
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057・松野頼三
○松野政府委員 率直に申して、必ずしも均衡がとれておるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/57
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058・高橋等
○高橋(等)委員 まあそのぐらいにしておいて、恩給等調査会において、この加算についての意見が答申されておるのであります。加算については、集約的に申せば、財政的の見地と一般国民感情を考慮の上決定をすべきものだということを申しておるのでございます。それでこの財政上の問題ですが、これは恩給局長に伺った方がいいと思います。今加算をやれば、そのやり方にもいろいろありますが、いわゆる戦地加算の復活というような考え方でやっていきまして、一体今やればどれくらいかかるのか、ピークはいつがピークであって、幾らくらいの予算があれはやれるのか、この点を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/58
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059・八巻淳之輔
○八巻政府委員 恩給加算に関する制度を大体昔通りに実施したといたしました場合に、どのくらいの金がかかるかというお尋ねだと思います。この対象者は、当時調査いたしましたものによりますと約七十五万人、これに対しまして初年度は二十四億、ピークはそれから十七年後の、たとえば昭和三十四年度、今年度を初年度といたしますと、昭和五十一年度がピークと相なりまして、そのときにおける所要額は百十七億、こうなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/59
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060・高橋等
○高橋(等)委員 この恩給は、年々減って参ることは申すまでもない。恩給が非常にふくれておりますが、遺族恩給あるいは文官恩給につきましても、恩給というワクにおいては次第に減る。ことに遺族、傷痍軍人等の終戦処理としてやられた恩給は、非常に減って参る。そこで昭和五十一年の百十七億という数字は、将来、財政上の禍根はまずないのだというように——まあ財政上の負担はあるが、そのために恩給費が非常にふえるものでないということが言えると考えるのですが、これもあわせてお考えを承わっておきたい。
それから国民感情を云々ということを言っている、これが私にはわからないのでございます。戦地へ行って生きて帰った連中、これがもし敗戦の責任を負うと判断するとすれば、これは非常な間違いでございます。とにかく国家のために生死紙一重のところで戦ってきた。しかも運の悪い人は敵の矢だまに当って英霊となり、あるいは傷痍軍人となっているのであります。たまたま運がよくて帰ってきた、心身を戦争のために使い切って、そうして犠牲を払って帰って来た人が、むしろ不平等な待遇を一方で受けておる。財政上の見地から見れば、そんなに苦痛と考えるほどの問題でもない。従来恩給の問題は、遺族恩給にしても何にしても、恩給を幾らふやすかが問題であったわけです。ところがこの問題は全然恩給が出てない。権利がないのでございます。私はこの加算問題についてだけの考えを申し上げておるのですが、非常に不公平な、早く帰った人はもらい、おそく帰った人はどうにもならぬ、こういうことを考えると、私は国民感情というその意味がよくわからないのですが、むしろそういう人を平等に扱うという方向へ持っていかなければうそだ、こう私は考えておるのですが、これらの二点について、恩給局長、また総務長官のお考えを承われれば承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/60
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061・八巻淳之輔
○八巻政府委員 ただいま恩給費の財政事情もだんだん先細りになっていくだろうというお話でございましたが、恩給費の見通しにつきましては、そう先の十何年後の見通しまで実はやっておらないのでありますが、この数年間の見通しといたしましては、今年度軍人恩給費は九百六十八億、来年度三十五年度の予想は千四十七億、三十六年度は千七十七億、それが大体軍人恩給のピークでありまして、それから三十七年度におきましては約五十億落ちる、また三十八年度に五十億落ちる、こういう経過をたどっていくと思うのです。もちろん三十七年度、三十八年度はいわゆるバック・ペイと申しますか、過年度支出の関係の差等もございますので、五十億という大きな断層がございますけれども、その後はそれほど大きな断層はないといたしましても、相当落ちていく、こう考えなくてはならぬと思います。従いまして御指摘の昭和五十二年という年度におきましては、その半分以下に落ちるのではないか、こういうふうに考えております。
それからもう一つの点の恩給調査会の答申の中にございまする国民感情及び財政事情にかんがみて慎重に考慮し、今後検討すべき問題であるという点の御指摘になりました点は、非常に技術的なことで割り切りますと、この加算の対象になる七十五万という人々の中で、約三分の二、すなわち約五十万という人が七十才未満の短期在職の方、その当時の年令構成から申しますと、八割の方が四十五才未満の方々であるというようなことから、若くて非常に短期の在職の方々に恩給を終身つけることはどうだろうかということが、一つの考え方として国民の中でどう考えられるであろうかということを考慮したのではなかろうかと思うのであります。もちろん御指摘の敗戦責任を軍人のみに負わせることはいけないということから、昭和二十八年軍人恩給が復活いたしたのでございまして、その点についての国民感情はもはやだんだん解消してきておる、こう考えておるわけでございますが、短期在職者についても、あるいは若年者についても、年金をその上に持っていくということがいいかどうかということを頭に置いておるのではなかろうか、こう思います。しかしこの問題は、これは私見であるかもしれませんが、国民年金制度というふうな一般の社会保障の水準が上ってくるということで、だんだんそうした国民感情というものにも推移があるだろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/61
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062・高橋等
○高橋(等)委員 もう一点だけ伺います。恩給局長が今御説明になった国民感情云々ということの判断については、これはいろいろな角度から言えると思う。今のような表現であるとすれば、これはやはり老齢になることは相違ない。今若いからそれでいいというわけにはいかない。しかも一方では若い人の恩給権ができているのだから、それとの極端な不平等という点も考えていかなければならぬと思うのですが、この点はよくおわかり下さっていると思いますが、昭和二十八年にいわゆる軍人恩給というものが制定されましたときに、この加算制度だけは認められなかった。通算問題はその後解決しているが、しかしこの加算がなぜ実現しないか、非常に不公平ではないかということを当時の政府委員にただしましたところ、これは遺族恩給及び傷病恩給が今国家財政上から考えて十分に出せない、もう少しこれを手厚くせねばならぬが、そのためには年が若く、戻っておる人についての加算はしばらくかんべんしてくれ、まず遺族、傷痍軍人が先だということで御説明があった。われわれはこれはごもっともなことでありますからということで、この問題を見送ってきた。歴代内閣に対して質問をいたしてみますと、やはり同じようなお考えを述べてこられた。しかしこのたび昨年の予算あるいはその後の予算におきまして、いわゆる遺族恩給につきましても五万三千二百円という年額が約束される状況になってきている。傷病恩給につきましても、相当の増額が行われております。もちろん遺族恩給にしても、傷病恩給にしても、まだまだ財政が許す範囲においてできるだけのことをいたさなければならない問題が残っていることは私もはっきり承知いたし、了承しておるのであります。しかし一応この段階まで参りましたときには、遺族恩給、傷病恩給を手厚くしたいから、しばらく待てと言って十何年の間待たせた。この加算問題というものについては、先ほども申しますように、既得権がつくかつかないかの問題、オール・オア・ナッシングの問題になるわけでありますから、当時の歴史等も十分お考え下さり、また過去における不当な取扱いということの認識の上に立って、これは早急に解決いたさなければならない問題だと私は確信しておるのであります。そこで今保科委員からも、やはりこの問題に対する総括的な御質問がありまして、総務長官からも御答弁をいただいておりますが、とにかく急いでやるという御決意を一つ承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/62
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063・松野頼三
○松野政府委員 昨年も、政府としてその方針を明らかにいたしておりますし、その後その方針に沿いまして鋭意検討しております。御趣旨のような経過と歴史を持っておることも承知しておりますので、十分その精神に沿うように検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/63
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064・内海安吉
○内海委員長 永山忠則君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/64
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065・永山忠則
○永山委員 きわめて簡単に申し上げますが、ただいま保科委員、高橋委員から申されましたように、恩給及び扶助料の取扱いに対しまして、きわめて不公平、不均衡になっているという点に対しては、今松政府委員は、昨昭和三十三年四月四日の内閣委員会で明らかに指摘されているのでございます。すなわち恩給や扶助料の取扱いの一番配慮しなければならないことは、関係者にすべて公平に施策が講ぜられて均衡を保持するということである。この御指摘の点につきましては、いずれも検討すべき問題が包蔵されておるのであります。政府といたしましては十分検討の土善処する所存であるというように言われておる通りでございます。従って松野長官の十分誠意を持ってこれが具体的な検討を、努力をいたしておるというお言葉には、われわれも了承をいたしておるのでございますが、そのお言葉の中に、予算の関係があるのでという点を言っておられますので、私はこの点に関して予算関係は非常に自然減耗があるという点について、さらに十分の御検討をいただかねばならぬというように考えるのであります。すなわちこの点に関しては恩給法の一部を改正する法律案に対する自由民主党代表の山本正一君が賛成意見を当時述べられた中に、現に昭和三十六年におきましては、五十億円の増額に対しまして百二億円の自然減耗がありますから、差し引きますと、五十二億円の減少になるというのが事実でございますというように、はっきりこの自然減耗を明示いたしておるのでございます。なお三百億円の四年間の予算のワクを作りましたときにおいて、未復員者並びに抑留者帰還の総体人員に対しましては、復員局もどこも、十分その数字をつかむことができ得ないというので、大体の数字をつかんで出しておるのでございます。われわれ当時その数字に対して十分政府に検討を願いましたが、十分の資料がないというので、われわれの承知いたしておる範囲では、当時六万人くらいの数字を想定されておったのでありますが、その後におきまして、その数字は過大に過ぎはせぬかというように考えられるのであります。少くともこの未帰還者の数値が過大に見積られておる。そうすると現在帰って参りましても、これが未帰還者手当をいただいていないといたしますと、一人の平均が大体二十二万平均になると思うのであります。一万人そういう人が違うことになりますと、二十二億の差が出るというようにも考えられるのであります。これは単なる概算でございますが、そういうように未帰還者あるいは未復員者等の関係の精細なる数字等をよく検討されて進むならば、この三百億円の予算のワクも相当予算的余裕を生ずるのではないかというようにも考えられておるのでございますので、予算関係に対しては十分一つ検討を続けられまして、そうして早急にこの具体的な処置を進められることを切に私は要望し、長官の御答弁をお願いして私の質問を終りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/65
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066・松野頼三
○松野政府委員 相当、概数と実際の数というものは必ずしも一致しておらないことは事実でございます。なおいろいろ実は裁定がおくれておったのが、いろいろな問題が相加味いたしまして、十分一つ正確な数字を毎年把握いたしまして、そうして今後御報告をいたしたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/66
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067・内海安吉
○内海委員長 保科善四郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/67
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068・保科善四郎
○保科委員 実はこの問題は、恩給局長にごく簡単にお尋ねいたします。山下先生が大へん熱心にこの問題を検討されて、そしてその所見を伺ってもらいたいということであります。特定郵便局長で追放されたために退職手当または恩給において通算措置の行われていない者については、これが是正の措置をとられるのが至当と思うがどうかという質問であります。お答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/68
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069・八巻淳之輔
○八巻政府委員 特定局長の恩給につきましてお尋ねでございますが、特定局長というのは、御承知の通り戦事前は国から俸給が出ませんで、手当でやっておった。従って恩給法では準文官といって、在職年によって恩給を差し上げるというようにはなっておらないわけであります。たとえば公務傷病で死んだとか負傷したという場合に、傷病恩給とか公務扶助料を上げる。しかし在職年に見合った普通恩給は差し上げない。ところが昭和二十三年の一月一日に特定局長というものは一般の郵政事務官のような本官の身分を持たして、国から俸給を支給するということで、このように身分制度が変った。そこで二十三年一月一日に在職しておりました特定局長につきましては、身分制度が変って、大ぜいの者が一ぺんにやめるということになると、退職一時金を出さなければならぬ。それは大変だというので、その前の在職年の二分の一を通算することにした。そこで問題は、それ以前にやめてしまった特定局長さんは何ももらえない。そのときたまたま居合せて引き続いておった人は、前の在職年がその二分の一ということで、うまいことをしたわけであります。それでその引き続いておらない方々の中にはいろいろあります。たとえば樺太から引き揚げてこられた方、朝鮮、台湾から引き揚げてこられた特定局長、あるいはパージになった方と、いろいろケースがあるわけであります。山下先生のお尋ねの件はおそらく、いつか拝見したものによりますると、パージになった方のことらしいのでございます。この問題も臨時恩給等調査会で問題になりました。しかし二十三年一月一日の身分の切りかえに伴ってとられた特別の措置というものも、そういうようないろいろ特別の事情のある者について拡大することはなかなかむずかしい問題であるので、検討を要するということで答申が出ております。退職手当の問題にいたしましても、パージになった方々は、解除になれば、これは一ぺんも退職一時金をもらわなかったのでありますから、そこでその年限を通算して退職手当をもらえるようにしてある。ところでパージになる前に、パージになりそうだからというのでおやめになった方々がある。それは一度は退職手当をもらっておる。この方々があとで再就職になっておやめになるときに、パージになった方と同じように在職年を全部通算してくれ、こういう御要望があるようでございます。これは一ぺん退職手当をおもらいになったのでありますから、それを重ねて通算して退職手当を出すことはなかなかむずかしいのではなかろうかと私は思うのでございます。個々の事情につきましては非常に御同情申し上げる点が多々ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/69
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070・保科善四郎
○保科委員 なお御検討をお願いしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/70
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071・内海安吉
○内海委員長 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、これにて本案に関する質疑は終了いたしました。
本案に対し岡崎英城君外十八名より、自由民主党提案にかかる修正案が提出されております。この際本修正案を議題とし、提出者よりその趣旨の説明を求めます。岡崎英城君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/71
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072・岡崎英城
○岡崎委員 恩給法の一部を改正する法律案に対しまして、修正案を提出いたします。
本修正案は、自由民主党の提案にかかるもので、案文の内容はお手元にお配りしておりますので、朗読は省略させていただくこととし、その趣旨を御説明申し上げますと、修正の第一は、改正案が恩給法第五十条に規定する有期の増加恩給についてその期間「五年」を「三年以上五年以内」に改めようとするのでありますが、これを従来の通り「五年」とするため、その改正部分を削除しようとするものであります。傷病関係恩給におきまして、いわゆる内部疾患に対する従来の裁定基準が症状の実態に即して適切でなかった点を改めようとするならば、その裁定基準を明らかにすれば足りるのであって、有期の増加恩給の期間「五年」を「三年以上五年以内」に改めることは意味をなさないと信ずる次第であります。ことに現在、五年の期間中に傷病の程度が重くなれば、さらに裁定を受け直すことができるのでありますから、第五十条の改正部分は全く必要がないと考えまして、これを削除いたした次第であります。
修正の第二は、増加恩給受給者の扶養家族加給に関する点であります。第二十八回国会における恩給法の一部改正によりまして、増加恩給受給者については退職後出生した未成年の子でありましても、四人まではその受給者によって生計を維持するか、またはこれと生計をともにしていれば、扶養家族として加給が認められるようになっておるのでありますが、増加恩給受給者の中には公務による傷痍、疾病によって生殖機能を廃し、やむを得ず養子縁組を結ぶ例が少くありませんので、これらについては他に未成年の子がない場合、退職後養子縁組した未成年の子も、これを一人に限り、扶養家族として、本年四月分よりその加給を受けられるよう、恩給法第六十五条を改正しようとするものであります。
修正の第三は、施行期日につきまして、改正案は昭和三十四年四月一日となっておりますのを、すでに四月一日を過ぎておりますので、これを公布の日とし、四月一日から適用するとするものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/72
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073・内海安吉
○内海委員長 本修正案は予算を伴う修正案でありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣に対し意見を述べる機会を与えることといたします。松野総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/73
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074・松野頼三
○松野政府委員 恩給法の一部を改正する法律案に対する修正案に対し、内閣の意見を申し上げます。有期の増加恩給の期間を修正案のように修正することについては、改正案の趣旨を没却するものであり、また新たに退職後に出生した未成年の子に対する扶養家族加給をさらに拡張して、生殖機能を廃した増加恩給受給者の退職後に養子となった者についても、その一人を限り加給の対象とすることについては、年金恩給制度が退職当時の条件を基礎として給されるものであることよりして、傷病恩給において退職後の条件を加味するとの例外的措置は最小限度にとどむべきものであると存じます。その範囲を拡大することは他に影響するところ多くないとは言えないので、なお慎重に検討を要するものがあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/74
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075・内海安吉
○内海委員長 本修正案に対する御質疑はありませんか。——御質疑がなければこれにて本修正案についての質疑は終了いたしました。
これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
まず修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/75
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076・内海安吉
○内海委員長 起立総員。よって本修正案は可決いたしました。
次にただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/76
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077・内海安吉
○内海委員長 起立総員。よって本修正部分を除く原案は可決いたしました。
これにて恩給法の一部を改正する法律案は修正議決いたしました。
恩給法の一部を改正する法律案に対し、岡崎英城君外十八名より自由民主党提案にかかる附帯決議が提出されております。この際本附帯決議について提出者よりその趣旨の説明を求めます、岡崎英城君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/77
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078・岡崎英城
○岡崎委員 自由民主党から附帯決議案を提出いたしたいと思いますが、これは先ほどからの御質疑もありましたように、恩給法の施行の適正を期するために附帯決議をつけたいと思います。附帯決議案を朗読いたします。
附帯決議(案)
一、第二十八国会昭和三十三年四月四日の内閣委員会において、「恩給法等の一部を改正する法律案」の可決されるにあたり、特に内閣委員長より質疑したる各項目については、総理府総務長官より「政府としては十分検討の上善処する」との言明を得ているので、この際本問題解決のため、すみやかに具体的方策をたつべきである。
二、傷病恩給の症状等差の是正については、昨年政府に「傷病恩給症状等差の調査に関する専門調査会」が設置され、学識経験者等により専門的な調査研究がなされたが、短日月のため肺結核、精神障害など僅か三ッの分野に止まつたと報告している如く、その範囲が誠に狭隘であるから、その他の傷病についても引続き調査研究を行い恩給法の別表第一号表の二及び三を改正しもって諸般の不均衡を是正すべきである。
三、戦傷病者の医療制度は誠に不備であり、今回の国立箱根療養所の入所料の増額問題を見ても明かである。
依って、次期国会において戦傷病者戦没者遺族等援護法の必要なる改正を行い、再発者を含め戦傷
病者の根本的な医療制度を確立す
べきである。
右決議する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/78
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079・内海安吉
○内海委員長 本附帯決議について採決いたします。本附帯決議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/79
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080・内海安吉
○内海委員長 起立総員。よって本附帯決議は可決いたしました。
なお各案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/80
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081・内海安吉
○内海委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決定いたしました。
次会は公報をもってお知らせいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時七分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104889X02719590403/81
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