1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月四日(水曜日)
午前十時五十分開議
出席委員
委員長 松浦周太郎君
理事 大野 市郎君 理事 吉川 久衛君
理事 丹羽 兵助君 理事 赤路 友藏君
理事 石田 宥全君
安倍晋太郎君 秋山 利恭君
五十嵐吉藏君 倉成 正君
笹山茂太郎君 永田 亮一君
松岡嘉兵衛君 三和 精一君
保岡 武久君 足鹿 覺君
角屋堅次郎君 神田 大作君
久保田 豊君 栗林 三郎君
實川 清之君 中澤 茂一君
西村 関一君 芳賀 貢君
松浦 定義君
出席政府委員
農林政務次官 石坂 繁君
農林事務官
(農林経済局
長) 須賀 賢二君
農林事務官
(農地局長) 伊東 正義君
農林事務官
(振興局長) 増田 盛君
農林事務官
(蚕糸局長) 大澤 融君
林野庁長官 山崎 齊君
委員外の出席者
農林事務官
(大臣官房寒冷
地農業振興対策
室長) 中野 和仁君
農林事務官
(農林経済局肥
料課長) 山路 修君
専 門 員 岩隈 博君
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会申入れに関する件
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第五八号)
開拓融資保証法の一部を改正する法律案(内閣
提出第五九号)
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法
案(内閣提出第八三号)
農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九七号)
繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改
正する法律案(内閣提出第九八号)
森林開発公団法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九九号)
日本蚕繭事業団法案(内閣提出第一〇〇号)
臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一一四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/0
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001・松浦周太郎
○松浦委員長 これより会議を開きます。
先ほどの理事会の申し合せに従いまして、連合審査会の開会申し入れの件についてお諮りいたします。目下内閣委員会において審議中の農林漁業基本問題調査会設置法案は、農林漁業の基本問題について内閣総理大臣の諮問に応じ調査する農林漁業基本問題調査会を総理府に設置しようとするものでありまして、本委員会にいたしましても重大な関係を有するものであります。つきましては、本案について内閣委員会に連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/1
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002・松浦周太郎
○松浦委員長 御異議なしと認めます。
なお、開会の時期等につきましては、内閣委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/2
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003・松浦周太郎
○松浦委員長 それでは、本委員会に付託になりました、内閣提出、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、開拓融資保証法の一部を改正する法律案、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法案、農業災害補償法の一部を改正する法律案、繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、森林開発公団法の一部を改正する法律案、日本蚕繭事業団法案及び臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案を順次議題といたし、審査に入ります。
まず各案について政府当局より提案理由の説明を聴取いたします。石坂農林政務次官
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/3
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004・石坂繁
○石坂政府委員 ただいま上程になりました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
農林漁業金融公庫は、その設立以来六年、その前身である農林漁業資金融通特別会計時代をも通算いたしますとすでに八年間にわたり農林漁業の生産力を維持増進するために必要な長期かつ低利の資金を融通して参りましたことは、各位のよく御承知のところであります。この間公庫の貸し付けて参りました資金の総額は昭和三十三年度末において約二千二百億円、その融資残高は約千五百億円に達する見込みでありますが、昭和三十四年度におきましては、前年度に引き続き重要農林漁業施策に即応して農林漁業の生産基盤の強化と経営の安定に必要な資金の融通を行うこととし、資本金の増額、融資条件の一部の変更等の措置を講ずるため、本法律案を提案した次第であります。
以下農林漁業金融公庫法の改正の内容について御説明申し上げます。
第一点は、資本金の増額であります。昭和三十四年度における公庫の貸付予定計画は四百三十二億円でありまして、前年度に比較して五十七億円の増加となっておりますが、この四百三十二億円の貸付を行うための原資は、年度内の資金交付所要額等を勘案いたしまして、一般会計からの出資金七億円、産業投資特別会計からの出資金七十億円、借入金といたしまして資金運用部から八十五億円と簡易生命保険及び郵便年金特別会計から百三十億円、並びに回収金等百二十億円、合計四百十二億円となっております。以上の通り、政府が一般会計及び産業投資特別会計から七十七億円を出資することとなっておりますので、現行の資本金に関する規定を改正することといたしましたのであります。
第二点は、造林に必要な資金の貸付にかかる貸付条件の変更であります。御承知の通り、造林事業は、他の事業と異なり、その収益を得るに至りますまでにはかなりの長期間を要するものであり、そのため公庫は従来も他の事業に比較してかなり長期間の融資を行なって参りましたが、さらに長期の据置期間を設けることによりまして、融資による造林のより一そうの拡大を期待することとし、造林に必要な資金の貸付条件中、償還期限及び据置期間を改めるものであります。
以上がこの法律案を提案いたす理由であります。
次に、開拓融資保証法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明いたします。
戦後の開拓事業も既に十余年を経過し、その間、約十五万戸の開拓者は、不利の立地条件や、たび重なる天災等にも屈せず、日夜営々と農業経営に精進し、一部には、既存農家の水準を越え、新しい畑作営農方式の先駆者となっているものも少くありませんが、他面、大部分の開拓者は、重なる悪条件のため、その努力にもかかわらず、いまだに営農の基礎も確立せず、経営不振に悩んでいる実情であります。
この現状に対処いたしまして、政府は、一昨年制定を見ました開拓営農振興臨時措置法を中心といたしまして、開墾建設工事の促進、営農資金の融資額の大幅な増額、経営の重圧となっている負債の条件緩和等、これら開拓者の経営の安定に必要な各般の総合施策を逐次実施いたし、その成果を上げつつある次第であります。
昭和三十四年度は、前年に引き続き、一段とこれらの施策の拡充強化をはかることとし、その一環として、中央開拓融資保証協会に対する政府出資の増額を行うこととしたのであります。
すなわち、開拓者の必要とする営農資金のうち、大家畜、農用施設、農機具等の基本的生産手段を調達するための長期資金につきましては、昭和二十二年設置いたしました開拓者資金融通特別会計から政府資金を低利で融資する措置をとって参りましたが、肥料、飼料、種苗あるいは中小家畜等を購入するための短期営農資金につきましては、開拓者の実情からその調達がはなはだ困難でありましたので、昭和二十五年、農林中央金庫の協力を得て、開拓信用基金制度を創設し、その後、昭和二十八年に至り、開拓融資保証法を制定いたしまして、開拓融資の円滑化をはかる制度を確立したのであります。
この制度は、中央及び各都道府県に開拓融資保証協会を設立し、開拓者が金融機関から短期営農資金を借り入れる場合にその債務をこの協会が保証することによって、資金の調達を容易ならしめるものでありまして、自来、政府は、毎年中央開拓融資保証協会に対し出資を行い、本年度までにすでに同協会の基金四億一千五百六十二万円のうち三億一千万円を出資して、開拓者の営農の進展に資して参ったのであります。
しかしながら、肥料の必要量を適期に投入することは営農振興の根幹でありますが、開拓者の現状はなおその資金の調達に事欠く状態であり、また牛乳等家畜の増加に伴う飼料購入量の増大、中小家畜の導入促進の必要等から資金需要が増加いたしていることにも対処いたしまして、政府は、昭和三十四年度において、一般会計からさらに八千万円を追加出資いたしまして、融資ワクの拡大をはかり、営農資金の融通を一段と拡充し、もって開拓者の農業生産力の発展と農業経営の安定に資しようとするものであります。
以上が開拓融資保証法の一部を改正する法律案の提案の理由であります。
次に、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法案の提案理由を御説明いたします。
北海道の農業、特に畑作経営の現状は、一般に劣悪な自然条件下にあるため、営農上各種の制約を受けるとともに、地方は一般に低下の傾向が見られ、いまだその自然的条件を克服し得るに至らず、冷害のつど農家経済は動揺し、農業経営は安定の域に達しておりません。
政府におきましては、このような実情と現地の寒冷地農業経営確立についての要請をも考慮して、北海道寒冷地農業についてその営農のあり方を再検討することとし、昭和三十二年度において基本的な調査を行なったのであります。
この調査の結果によりましても、北海道の畑作農業の現状を改善して参りますためには、土地改良等の生産の基礎条件の整備を進めることはもちろんでありますが、それと同時に地方の維持増進を基調としてそれぞれの地域の自然的経済的条件に適合する農業経営の確立をはかることが緊要であると考えられます。
以上の見地から、北海道の寒冷地畑作農業振興の一環として、昭和三十三年度から北海道畑作営農改善対策要綱を策定して、北海道の寒冷地畑作地域の農業者で営農改善計画を立てその営農の改善をはかろうとする者に対して、農林漁業金融公庫よりこれに必要な長期低利資金を総合的に融通するとともに、これらの農業者に対する営農技術指導を強化して、これらの地域の自然的経済的条件に適合する農業経営の確立をはかる措置を講じてきたのでありますが、今回、この措置を法律制度として確立し、一そうその推進をはかることといたした次第であります。
以上がこの法律案を提出するに至りました経緯と趣旨の大要でありますが、次に本法律案の骨子についてその概略を御説明いたしたいと存じます。
まず第一に、寒冷地畑作振興地域の指定につきましては、農林大臣が、北海道知事からの申請に基き、北海道の区域内の寒冷がはなはだしい畑作地域を、気象条件その他の自然的経済的条件の類似する地域ごとに、推定することにしております。
第二に、営農改善資金の貸付につきましては、農林漁業金融公庫は寒冷地畑作振興地域の区域内の農業者で北海道知事の認定を受けた者に対し、営農改善計画に記載された改善措置を実施するために必要な営農改善資金を総合的に貸し付けるものとし、この貸付金の貸付条件節を規定しております。
第三に、営農改善計画の作成及び貸付適格者の認定につきましては、営農改善資金の貸付を受けようとする者は営農改善計画を作成して北海道知事の認定を受けることとし、その営農改善計画の内容及び北海道知事の適格者の認定の要件を規定しております。
なお、営農改善資金の貸付適格の認定の申請の期間は、農業者の経営の安定をすみやかに達成させるため、昭和二十九年三月三十一日までの五カ年間としてあります。
第四に、営農改善資金の貸付については、指導がこれに伴う必要がありますので、北海道知事の指導につき必要な規定を設けております。
以上がこの法律の主要点でありますが、農地または牧野の改良その他農業生産の基盤の整備、新農山漁村建設事業、集約酪農地域酪農振興事業その他現行の他の諸施策と密接な関連のもとに、この法律による事業を実施することにより、これらが地域における農業者の営農をすみやかに改善し、その経営の安定をはかって参りたいと存ずるのであります。
次に、農業災害補償法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
農業災害補償制度の重要な一環である家畜共済制度につきましては、昭和三十年死亡廃用共済と疾病傷害共済の一元化が行われ、自来この制度によりましてその運営をいたして参ったのでありますが、法律上本年四月に料率の改訂を実施しなければならないこととなっておりますので、この機会に国庫負担の方式を改善し、料率改訂に伴う農家の負担を軽減することを目的として、この法律案を提案した次第であります。
その第一は、家畜共済事業の国庫負担方式を改正しようとするものであります。現行の掛金国庫負担の方法は、牛及び馬につきまして、最低の共済金額に対応する掛金のうち死廃部分に相当する額の半分を国が負担することとなっているのでありますが、これを原則として農家が選ぶ共済金額に対応する掛金のうち死廃部分に相当する額の半分を国が負担することに改め、農家負担の軽減をはかることとした次第であります。なお、他の制度における国庫負担との均衡も考慮いたしまして、国庫負担の対象となる共済掛金の限度を農林大臣が定めることといたしております。
第二は、家畜共済の対象である乳牛につきまして特別の助成措置を講じようとするものであります。乳牛につきましては、最近における被害率の異常な上昇によりまして、農家の支払う共済掛金の額が増加し、先に述べました国庫負担方式の改善によりましてもなお農家負担の増加が見込まれる状況にありますので、料率改訂によって病傷の率が上昇する地域の農家に対し、その新旧料率の差に応じて掛金増加分の一定割合を補助することといたしまして、この補助金の交付に関する事項を定めた次第でございます。
このほか、国庫負担方式の改正に伴う経過措置及び関係法令の整備に関する事項を規定いたしております。
以上がこの法律案の趣旨でございます。
次に、繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
政府は、昭和三十三生糸年度における繭糸価格の安定をはかるため、第二十九特別国会において成立いたしました繭糸価格の安定に関する臨時措置法により、大量の生糸及び繭の買い支えを行なったのでありますが、結果においては内外市場の先行き不安と実需要の滅退を防止することができず、根底にある需給の趨勢的な不均衡を解決する必要に迫られたのであります。政府は、ここにおきまして、蚕糸業が産業として安定した基盤を持ち得るため基本的な対策を講ずる必要があると認め、最低糸価及び最低繭価を需給の均衡をはかり得る水準に改定し、また桑園の整理を行う養蚕農家に対する助成措置を行うことによって新しい事態に対応し価格の安定をはかるとともに、長期にわたる蚕糸業の安定をはかるための総合的基本対策の策定につき、過日の蚕糸業振興審議会に諮って逐次その検討に取りかかっておる次第であります。
そこで、昭和三十四生糸年度の繭糸価格の安定対策についてでありますが、繭糸価格安定法は、さきの総合的な基本対策の一環として、現制度運営の経験及び他の農産物価格安定制度との関連等も考慮して十分検討を加え、恒久的制度として整備する必要がありますので、三十四生糸年度の繭糸価格の安定措置は、現行臨時措置の一年延長によって対処する方針をとることといたしたのであります。
以下法律案の内容についてその概要を申し上げますと、
第一は、繭糸価格の安定に関する臨時措置法による臨時措置を昭和三十四年産の繭及びこれを原料とする生糸に適用することであります。
第二は、これに伴いまして、日本輸出生糸保管株式会社が昭和三十四生糸年度において買い入れ等を行なって取得した生糸または乾繭を政府が買い入れる場合における買い入れ金額の限度を五十億円とすることであります。
以上が繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の提案の理由であります。
次に、森林開発公団法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明いたします。
国民経済の発展に伴い年々飛躍的に増大する木材需要に対処してその供給を確保するためには、豊富な資源を抱きながら未利用のまま放置されている奥地未開発林の開発を促進する必要があることは申すまでもないことであります。このため、民有林につきましては国庫補助等の措置により、そのうち特に熊野川流域及び剣山周辺地域につきましては森林開発公団によりまた、国有林につきましては国有林野事業によりまして、幹線林道の開設事業を実施し、鋭意奥地未開発林の開発を推し進めて参ったのであります。
しかしながら、これら奥地未開発林の開発を進めて参ります場合におきまして、国有林と民有林とが相接して存在する地域にありましては、国有林及び民有林相互の伐採時期のずれとか、民有林の受益者としての負担能力の問題等からいたしまして、その開設が必ずしも円滑に実施されないような場合が多く、それらの早急な開発が待たれている実情であります。
このような現状に対処いたしまして、かかる国有林と民有林とに関連する幹線林道の開設改良事業を国有林野事業として実施するようにいたしたいのであります。
しかしながら、国有林におきましては明年度から生産力増強計画が全国的に実施される段階にあり、これらの大規模な奥地幹線林道の開設事業を急速かつ計画的に実行することは困難でありますので、森林開発公団の組織、能力及びその豊富な経験を活用することとし、同公団に、かかる奥地幹線林道の開設事業を委託して実施させることが適当と考えるのであります。
このような理由によりまして、森林開発公団法の一部を改正いたしたいのであります。
以下法律案の内容につきましてその概要を御説明申し上げます。
まず、同公団の業務に、森林開発公団が、豊富な森林資源を有する国有林と民有林とが相接して所在しており、かつ、これらの森林の開発が十分に行われていない地域のうち政令で定める区域内の当該森林を開発するために必要な奥地幹線林道の開設または改良の事業及びその開設または改良にかかる林道で政令で定めるものの災害復旧の事業であって国有林野事業として行われるものを国の委託により施行することを加えることとしたのであります。
次に、これに伴い、同公団の目的に、同公団が以上に述べました事業を行なって林業生産の増大に資することをあわせてその目的とする旨を加え、これに関連して必要な規定の整理をしたのであります。
以上がこの法律案の提案の理由及びその内容のおもな点であります。
次に、日本蚕繭事業団法案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
現行繭糸価格安定制度のもとにおきましては繭の価格の安定措置といたしまして、農業協同組合連合会が最低繭価を維持するために乾繭を共同して保管する制度がありますが、繭の価格が最低繭価以上にある場合に繭価を適正水準に維持するための措置はとられておりません。この繭糸価格安定制度の空白を補完して、農業協同組合連合会が繭の価格を繭及び生糸の需給事情から見て適正な水準に実現する努力を行う場合のよりどころとなる機関として、日本蚕繭事業団を設立することといたしたのであります。
次にこの法案の内容について概略を申し上げます。
第一に、この事業団の資本金は十億円とし、政府がその全額を出資することといたしました。
第二に、この事業団の業務としては、農業協同組合連合会からの委託を受けて、乾繭を売り渡し、加工し、もしくは生糸と交換し、またはその生糸を売り渡す等の操作を行うことといたしたことであります。なお、この事業団の事業活動は関連業界に及ぼす影響が大きいので、事業の規模を適正にするため、事業団が販売の委託を受けることができる限度についてそのつど農林大臣の承認を受けなければならないことといたしております。
第三に、この事業団の組織といたしましては、役員の定数、任免等についての規定を設けるとともに、業務の円滑適正な運営を期するため、事業団の業務に関し学識経験を有する者十人以内で組織する運営審議会を設けることといたしました。
第四に、事業団の財務及び会計については、事業計画等につきあらかじめ農林大臣の認可を受けせしめることとし、その他借入金をすること及び余裕金の運用等につきまして所要の監督規定を設けることといたしました。
第五に、事業団を設立するための必要な手続規定を設けております。
以上が日本蚕繭事業団法案の提案理由の説明であります。
最後に、臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
臨時肥料需給安定法は、去る昭和二十九年以来、硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法とともに、いわゆる肥料二法として、重要肥料の需給の調整、硫安工業の合理化の促進、硫安価格の安定等について、おおむね所期の効果を上げて参ったのであります。特に需給安定法に基く硫安価格の安定については、硫安工業の合理化の進行と、供給量の増加に伴う需給関係の改善と相待って、年々相当額の国内価格の引き下げを見たのでありまして、その効果は見るべきものがあったと思われるのであります。
需給安定法は、合理化法とともに、本年七月末で当初定められました五カ年の有効期間が切れることとなるのでありますが、最近の肥料の需給事情から考えますと、内需の所要量を確保すると同時に、その輸出を積極的に推進することが必要であります。一方最近の国際競争の激化から、国内価格と輸出価格に相当の較差が存する現状であります。
以上の状況にかんがみまして、本年八月以降においても、合理化法に基く硫安工業の合理化並びに輸出の振興のための措置を強力に推進するとともに、需給安定法による重要肥料の需給の調整と国内価格の適正な水準による安定をはかるための価格の統制を今後とも継続する必要がありますので、需給安定法の有効期間を五年間延長することといたした次第であります。なお、別に提案いたしております硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法の一部を改正する法律案によりまして、同法も同じく五年間その有効期間を延長することといたしております。
次にこの法律案の内容を御説明いたします。
第一は、この法律の有効期間を五カ年間延長し、昭和三十九年七月三十一日まで効力を有するものとするため、所要の改正を行うものであります。
第二は、従来、需給計画を定め、または変更いたしました場合、需給計画の内容を公表することとなっておりましたが、これを公表することが輸出取引上適当でないと考えられるような場合には、関係者に通知することによって公表にかえることができるように改めることといたしたのであります。
以上が臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
以上本日上程されました八件の提案の理由並びに内容の概略を御説明申し上げましたが、答案とも何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決ありますようにお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/4
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005・松浦周太郎
○松浦委員長 これにて提出理由の説明聴取は終了いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/5
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006・久保田豊
○久保田(豊)委員 全般の審議の状況から、特に資料として政府の方に早急に提出を願いたいものが三件あります。
一つは、本年度の予算で補助金の分が相当多いので、その補助金の種類、並びに金額、並びにその補助金を受ける団体、あるいは団体の負担分、こういうものについて資料を出していただきたい。農林関係のものです。
特に、そのうちで、別個にもう一つの資料は、土地改良関係のいろいろの事業がたくさんあるわけですが、それに対しまする地元負担分がどのくらいになるのかということと、それから、戦後ずっと行いました土地改良事業によって地元が負担をした分、これらの現在残っておる分の総計、この資料を一括して出していただきたい。これは項目別に一つ詳しいものを出していただきたいと思います。
それから、もう一つは、肥料関係について、肥料二法が実施された二十九年以降、大体どの程度の金が合理化のために出ておるのか、それから、そのために生産力は大体どのくらいふえ、コストはどの程度減ってきたのか、そういう点のはっきりわかるような資料を、各会社、工場ごとに出していただきたい。
この三つの資料をお願いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/6
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007・石坂繁
○石坂政府委員 ただいま久保田委員から御要求の資料でありますが、各般にわたり、かつ計数的のことも多いようであります。できるだけすみやかに御要求に応ずるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/7
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008・中澤茂一
○中澤委員 もう一つ要求したいのですが、三十日に春繭の入札が行われた。これは入札することに公表することになっているが、それが公表されていない。だから、入札価格と落札等、公表する事項を委員会に資料として出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/8
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009・久保田豊
○久保田(豊)委員 今の最後の肥料の問題でちょっとつけ加えておきますが、肥料に対しまするその時期のこちらの輸出価格、それからおもな輸出量、それに対する各外国の競争品、たとえば西独であるとかその他アメリカであるとか、そういう向うの価格というものをつけ加えて出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/9
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010・芳賀貢
○芳賀委員 今久保田君から肥料関係の資料の要求がありましたが、それにつけ加えて、輸出会社法に基く日本硫安輸出会社の経営の内容、それから、昨年の暮れに肥料懇談会が政府に対して報告書を出しておるその報告書の内容、なお、重複すると思いますが、特に硫安合理化の第一次五カ年計画の達成の内容、その成果等についても具体的な資料を出していただきたい。
もう一つあります。それは北海道の寒冷地農業の関係ですが、政府が今まで実施された北海道畑作営農改善対策要綱、これを資料として出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/10
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011・神田大作
○神田委員 私も一つ。森林関係の保安林について、全国のどこにどれだけの保安林があって、いつ取得したかということの保安林関係の明細な表を一つ資料としてほしいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/11
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012・石坂繁
○石坂政府委員 久保田君の追加の御要求及び御三君の御要求のうち、あるいは一部公表のできない部分もあるかもしれないと思いますが、公表のできますものはできるだけすみやかに取りそろえます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/12
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013・中澤茂一
○中澤委員 公表のできない部分というのは、三十日の入札価格の問題だと思う。これは入札当時から公表するということに原則がなっているんです。だから、それがもし漏れていけないなら、秘密資料として委員にだけ配付したらいい。それはごまかしてはいけない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/13
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014・石坂繁
○石坂政府委員 中澤委員の重ねての御発言ですが、価格は公表することになっていないそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/14
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015・中澤茂一
○中澤委員 それははっきりしております。入札当時、これは落札したら公表するという項目が、入札者に渡した書類の中に書いてある。それは公表できないというわけはない。われわれだってめちゃくちゃに政府をいじめればいいという考えじゃない。実際どれだけの価格であれしたということがわからぬ限りは、この法案の審議というものには入れませんよ。これは念のために申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/15
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016・松浦周太郎
○松浦委員長 政府の善処を望みます。
それでは、次会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X00619590204/16
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