1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月二十六日(木曜日)
午前十一時一分開議
出席委員
委員長代理 理事 吉川 久衛君
理事 大野 市郎君 理事 本名 武君
理事 赤路 友藏君 理事 芳賀 貢君
秋山 利恭君 今井 耕君
倉成 正君 笹山茂太郎君
田口長治郎君 高石幸三郎君
永田 亮一君 濱地 文平君
三和 精一君 八木 徹雄君
保岡 武久君 足鹿 覺君
角屋堅次郎君 久保田 豊君
栗林 三郎君 實川 清之君
中村 時雄君 永井勝次郎君
西村 関一君
出席政府委員
農林政務次官 石坂 繁君
農林事務官
(農林経済局
長) 須賀 賢二君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 高木 文雄君
農林事務官
(農林経済局農
業保険課長) 森本 修君
専 門 員 岩隈 博君
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二月二十六日
委員日野吉夫君辞任につき、その補欠として永
井勝次郎君が議長の指名で委員に選任された。
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二月二十五日
日本てん菜振興会法案(内閣提出第一六四号)
臨時てん菜糖製造業者納付金法案(内閣提出第
一六五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九七号)
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001・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 これより会議を開きます。
農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
昨日に引き続き質疑を行います。質疑の通告がありますので、これを許します。久保田豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/1
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002・久保田豊
○久保田(豊)委員 まず農林当局に対しまして二、三の事実についてお尋ねをいたすわけですが、第一は、現在乳牛の共済に加入している頭数がどのくらいあるのかという点、それから、その中で事故率はどうなっておるか、全体の死廃と病傷の事故率が、二十八年と現在、あるいは三十一年でもよろしゅうございますが、これが危険率でなくて事故率がどうなっておるか、その中で泌尿器関係と生殖器関係の障害が非常に多いわけですが、それらに関しての事故率が大体どのくらいになっておるのかというようなこと、それから府県別の概要がどういうふうになっておるかということです。非常に高いところと低いところとあろうと思いますが、死廃と病傷についてそれぞれ違った様相を呈しておるのではないかというふうに思われますが、これらについてのごく概要がわかりましたら、まず第一に当局から数字で御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/2
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003・須賀賢二
○須賀政府委員 昭和三十二年現在におきまする乳牛の家畜共済に加入いたしておりまする頭数は二十九万二千百七頭でございます。事故率は、二十七、八、九年、いわゆる基礎年次の状態が五・三一二%でございますが、最近の状態は、三十、三十一、三十二、この三カ年で平均をいたしまして五・八一八%になっておるわけでございます。繁殖障害、いわゆる生殖器障害によりまする危険率は、基礎年次、いわゆる二十七、二十八、二十九では、頭数危険率におきまして二三%であったのでございますが、三十、三十一、三十二の三カ年におきましては、頭数危険率で四一%に上って参っておるのでございます。この府県別の概要につきましては保険課長から説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/3
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004・久保田豊
○久保田(豊)委員 今の数字の中で、特に泌尿器と生殖器障害の全体の頭数の中の事故率ですね、それを死廃と傷病に分けて一つ御報告願いたい、こういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/4
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005・須賀賢二
○須賀政府委員 保険課長から説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/5
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006・森本修
○森本説明員 御説明申し上げます。先ほど局長から申し上げました危険率の数字、五・三一二と五・八一八と申し上げましたのは、死廃の危険率の数字でございます。病傷の危険率の数字は、乳牛では基礎年次が三・二六〇、最近年次が五・二六〇、こういうことになっております。
府県別の状況でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/6
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007・久保田豊
○久保田(豊)委員 高いところと低いところを言ってくれればいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/7
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008・森本修
○森本説明員 高いところは、たとえば佐賀県におきましては、基礎年次が、死廃では九・六七〇、最近の年次では一一・〇といったような状況になっております。低いところは、北海道を例にとりますと、基礎年次が三・一四四、最近年次では三・八九というふうな数字になっております。これは死廃の率でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/8
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009・久保田豊
○久保田(豊)委員 病傷はどうなっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/9
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010・森本修
○森本説明員 病傷は、同じく北海道は、基礎年次におきましては二・九三三、最近年次は四・一二四といったような状況でございます。
〔吉川(久)委員長代理退席、芳賀委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/10
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011・久保田豊
○久保田(豊)委員 高いところはどうなんです。佐賀県は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/11
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012・森本修
○森本説明員 佐賀県の方は、病傷は基礎年次が三・九八〇、最近年次が一一・二四というふうな数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/12
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013・久保田豊
○久保田(豊)委員 もう一点その事実をお聞きしておきますが、全国で共済組合もしくは共済組合連合会の経営しております家畜診療所がどのくらいできておるのか、また営業獣医師によります共済診療が行われておるのはどのくらいになっておるか、これは基礎年次と今日までどういうふうに変ってきておるのか、数字的にちょっと御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/13
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014・森本修
○森本説明員 ちょっと昔の年次を今調べておりますが、とりあえず最近の診療所の数を申し上げますと、全国で連合会それから組合合計いたしまして約千五百八十カ所でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/14
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015・須賀賢二
○須賀政府委員 営業獣医師の数はちょっと取り調べますから、御猶予願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/15
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016・久保田豊
○久保田(豊)委員 営業獣医師でやっておる組合の数はどのくらいあるか、それだけでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/16
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017・森本修
○森本説明員 ちょっと今的確な数字はございませんが、大体のことを申し上げますと、診療所でやっておりますのと、営業獣医師でやっておりますのと、約半分々々程度になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/17
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018・久保田豊
○久保田(豊)委員 もう一点事実をお聞きしますが、今度改正の重点になっております、農林大臣の定める最低共済掛金の二分の一というのが現行法の国の負担になっておりますね。これは実際に幾らになっているのか。高いところ、低いところ、全国平均が出ておればそれをおっしゃって下さい。それから、今度改正をされますと、農林大臣の定める限度額の範囲内で、実際共済掛金の二分の一を標準として今度はやる、こういうことになりますね。その限度額というのはどういうふうにしてきめて、事実幾らになるのか、この点をちょっと説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/18
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019・須賀賢二
○須賀政府委員 最低共済金額は、現在全国平均で、乳牛につきましては三万二千七百円でございます。農林大臣が定めます国庫負担の限度の基礎になります価格は、乳牛につきましては最近三カ年の乳牛の実際の価格の半分を基準といたしておりまして、その額は四万八千円と予定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/19
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020・久保田豊
○久保田(豊)委員 それで、まず第一に農林当局に聞きますが、きわめて単純な質問でありますが、農林省としては、この家畜共済が農民の支持を受けておって非常にうまくいっておるとお考えになっておるのか、お考えになっておらぬのか。われわれが各地を回って聞きますことは、普通の農産物共済よりはやや評判がよろしい。よろしいが、いろいろな面において実はこれに対する不満が非常に多いし、不信が多いのであります。ところによっては、この不満、不信を穴埋めするというような意味で、御承知の通り、講その他によって、村限り、ないしはそういうところでもって互助的なこういう共済制度をしておるところがある。こういう事実は御存じのことと思いますが、これらについてどういうふうに農林省としてはごらんになっておるのか。この点をまず第一点としてお聞きをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/20
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021・須賀賢二
○須賀政府委員 家畜共済制度につきましてはいろいろの御批判なりあるいは御意見等のありますことも十分に承知はいたしておりますが、概していわゆる家畜そのものの死廃及び病傷に対する補償をいたして参ります制度でございますので、いろいろの御批判はありながら、一応現在の制度の中では農家の場合におきましてもかなり実用的に評価はいたしておるものと私どもは考えております。ただいま御指摘もありましたように、講その他の互助的組織によって家畜の実質的な共済措置が一部の地域についてとられておりますことも私ども承知いたしております。これは昨日も出た問題でございますが、相当古くから地域によってはあった制度であるようでございまして、われわれといたしましては、現在地域的に行われておりますそのような制度をどうするというようなことは直接考えておりません。むしろ、国がやっております家畜共済制度の趣旨の徹底なり、運営方法につきまして改善すべきところは十分改善を加えて参りまして、この制度がより高度に利用されるように努力をして参りたい、さように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/21
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022・久保田豊
○久保田(豊)委員 今の問題と連関をして、農林省では、今の時点におきます家畜共済、特に乳牛の共済、これがどういう役割、どういう内容を持つべきかということにつきまして、深く突っ込んでお考えになったことがあるのかどうかという点をお聞きしたいわけです。と申しますのは、今政府の方におきましても酪農振興ということはほとんど政策の最重点と言っていいくらい一生懸命やっておられる。また、農家の方から言いましても、米を除いてはほかの作物がいろいろ行き詰まっておりますので、この酪農によって何とか打開の道を探したい、こういうことから、これには非常な関心と積極性を持ってやっておるのが実情であります。ところが、問題はなかなか深刻だと私は思うのです。というのは、今の日本の酪農というのは、政府もいろいろな施策を講じておりますが、ある意味においては奪略農法、奪略酪農です。御承知の通り、とにかく農家としては現金がほしい。手早く現金が入るには牛だということで、無理をして借金をして牛を入れる。そこのところに濃厚飼料を中心にして入れてぐんぐんしぼり抜く。ですから、結局牛の体力を消耗してくるという結果になるのは、これは当然であります。しかも、そういう過程を通らなければ、今の政府のやっておるようないわゆる酪農政策では日本の酪農が日本の農業と密着したようなほんとうのはっきりした基礎というものはなかなかとれない段階であると思うのです。従って、酪農を中心にして日本の農業を改善しなければならぬ。しかもその基礎は技術の面でもあらゆる面でまだ確立していない。しかも農家はこれによって早急に経済的な目先の効果をねらわなければならぬ。しかも技術その他酪農の指導体制というものは一向に整っておらぬ。こういう中で農家が自分の借金によって牛を飼っている。そしてその結果は牛の体力をぐんぐん消耗している。その結果が、片方においては不妊牛が相当多くなり、非常に病気が多くなる、片方においては耐用年限が諸外国に比べて非常に低くなる、そういう悪循環と、そういう非常に不安定な基礎の上に立っておるわけです。しかも、不妊牛が出たりあるいは病気になったりその他すれば、すぐ酪農経営自体が農家の立場から言えば行き詰まってくる。特に死廃その他の場合においては、これがとたんに次の経営ができないような悪条件に追い込まれる。こういうのが今の日本の酪農の実態ではないかと私は思う。従って、こういう段階において、これを少くとも最終的な保障としていこうという家畜共済、特に乳牛共済について、政府としてどういう基本的な考えを持っておられるか。この点がはっきりしませんと、この問題のすべての解決というものは私はできないように思う。もちろん、政府が自給飼料の問題であるとかあるいは酪農の体質改善とでもいいますか、そういうことにもいろいろ骨を折っていることも私どもはよく承知をしております。しかし、これが効果を現実に発揮してくるのはかなり先の話になるのではないかと思う。しかも一面ではどんどん乳業資本が買いたたきをして勝手に乳価を動かす、こういう非常に不安定な中で、今のような形における、つまり奪略酪農といいますか、悪い言葉で言えばそういうことになりましょうが、そういうのを何とかして最終的なささえをしていこうというのが私はこの乳牛に関しまする共済制度の根本の目的であると思うのですが、こういう点について政府としてはどういうふうに理解をして、そして酪農の問題を考えておられるかという点を私はお聞きをしておきたいと思う。これは農林次官から、また特に事務当局は実務的な見地からどうお考えになっているのか、両方からお答えをいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/22
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023・石坂繁
○石坂政府委員 ただいまの久保田委員の御質問は、現在及び将来の日本の酪農経営、ひいては日本の農業経営の基本に関する問題だと存じます。御指摘の通りに、酪農を振興することによりまして日本の農家の所得を増大し、経営の安定をはかり、ひいては国民の食糧政策の解決に当てようということで、政府は近年酪農振興を唱えて参ったのであります。しかるに、久保田委員御承知の通りに、最近の酪農の問題はいろいろ反省もし検討しなければならない問題も出て参っておりますので、昨年来酪農業全体につきましていろいろ検討を加えて参りました。積極的に方策を講ずるとともに、消極的の面についてのこれが対策を講ぜなければならないことも論を待たないのであります。従いまして、政府といたしましては、昨年来の乳価の問題その他酪農の問題を改善刷新いたしますために、別途酪農振興法の改正を用意いたしまして、他日皆さんの御審議をいただくことに手配をいたしております。同時にまた、この災害補償法の改正によりまして、いろいろ問題点のある共済制度につきましての改善をはかろうと思っておるのでありますが、何を申しましても、日本の酪農は欧米先進国に比較いたしますとまだ非常に日が浅いのでありまして、従いまして、久保田委員が指摘されました乳牛の病傷死廃等のケースの多いのは、やはり一面におきましては乳牛飼育になれない農家の飼育上の問題からも出て参りましょうし、御指摘の通りに現金収入を急ぎますためから出てきておる問題もあろうと思います。今私の手元に佐賀の共済連合会からの陳情書がありますけれども、その点につきましても、これでうたってある問題そのままを申し上げることはどうかと思いますけれども、やはり農家にその点についての十分の知識経験がないということ、あるいはまた獣医師の診療等の問題にも触れて参っておるのでありますが、このような点も漸次改善するように当局といたしましても努力していかなければならぬと思います。ともあれ、昨日以来この共済制度につきましてはいろいろの角度からの批判、御意見も承わっております。私どもは、この際この共済制度をよりよきものにいたして参りますように、この後努力をいたして参りたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/23
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024・須賀賢二
○須賀政府委員 今回私どもが家畜共済制度の改善につきましていろいろ検討いたしましたのは、ただいま久保田委員からも御指摘のありましたように、特に乳牛につきましては酪農対策としての観点を強く織り込んだつもりでおるのでございます。最近の乳牛の事故率の推移は、ただいま御指摘にございましたが、乳価が必ずしも安定しておらなかったことがいろいろ飼養管理の面に影響をして参っておるというような事実も否定できないわけであります。そのような実際の事故率の推移等が現われておるわけであります。従いまして、それをそのまま今後の保険料率の修正の基礎に使いますと、農家の負担も相当増高いたすような関係もありますので、特に乳牛につきましては加入奨励金等の方法によりましてその負担の軽減をはかったり、乳牛につきまして他の家畜と異なった特別の措置を考えたということも、その理由は実に酪農対策の見地から出ておるわけであります。さような意味合いにおきまして、酪農対策の一つの裏づけといたしまして、われわれは今回の措置を考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/24
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025・久保田豊
○久保田(豊)委員 今型通りの御説明があったわけでありますが、今まではむしろ、政府からいただいたこの資料をちょっと分析をしてみても、大体乳牛が牛や馬の共済の会計残を食ってたような格好になっているのですね。というのは、この資料を見ても、三十二年度を主にして考えてみても、乳牛については掛金の総額が大体十億三千万、支払い金の総額が十一億五千万、一億二千万が赤字になっているわけです。一般牛については、掛金の入ってきたものが七億四千万円、支払い保険金が五億四千万円、二億の黒字になっているわけです。馬の方は、掛金が九億円、支払い共済金が七億七千万円、一億三千万円の黒字になっている。こういうふうなことで、私は、共済会計が全体として赤字にならなかったという点については、結局一般の牛と馬を乳牛が食ってどうやらバランスをとってきたというのが実情ではないかと思うのです。それを最近は、さっき申しましたような日本の奪略酪農とでもいいますか、牛をいじめて何とかして経済を立てなければいかぬという点から、死廃にしても病傷にしても非常によけいになってきたので、これでもってカバーし切れなくなったところに問題が出てきておると思うのです。こういう点について農林省当局としてはどういうふうに認識を持っておるのか、この点も一つお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/25
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026・須賀賢二
○須賀政府委員 過去の畜種別の共済掛金の総額及び支払い実績等から見ますと、ただいま久保田委員から御指摘がありましたような結果になっておるわけでございますが、今回本年の四月に料率を改訂いたすことに伴いまして、最近の畜種別事故率の推移の傾向を織り込んでその修正をいたすわけでございます。次の料率期間におきましては最近の趨勢が十分反映されるように改められるわけでございます。ただ、その場合、特に乳牛につきまして危険率が実際に増大しておることを反映いたしまして農家負担が増高する関係がありますので、この点は、さきにも申し上げましたように、乳牛については特段の措置をとりまして、この負担軽減をはかるという考えをいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/26
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027・久保田豊
○久保田(豊)委員 今まではそれでどうやらバランスがとれてきたが、これではバランスがとれなくなったので、どうしても今度のような改正をしてやっていかなければならぬような事情になってきたと思うのです。しかし、それにしましても、農家が今一番言っておりますのは、この共済の問題についてはいろいろ問題がありますけれども、何といっても掛金が高いということがやはり一番根本だと思うのです。従来のあれを見ましても、政府の資料をいただいて見ると、一頭の共済金額は約九万何千円ということで、ほぼ十万近くです。これは今の乳牛の価格から見て共済金額としてはこのくらいになろうと思う。しからば実際の支払い共済額はどうかというと、死廃の場合は約四万幾らになるわけです。これに対しても、ちろん傷害の方も一万五千円ないし千五百円ですか、そういう程度のものが払われるわけです。しかし、それにしましても、現行法でいっても一頭当りについて農家負担が平均で三千百六十三円というふうになるようです。これは危険率の非常に高いところではもっとぐんと高くなっておると思います。東京とか神奈川とかあるいは大阪近辺のように、いわゆる市販中心の、牛を非常にいじめるところは、おそらく危険率はうんと高くなっておるのじゃないか。従って、それらは平均で見ても相当掛金が高くなっておりゃせぬか。今度料率改訂をして、今度の政府の改正案でやりましても、今度は大体四千二十七円というようになるようです。それに補助金がくっついて三千八百円というようなことで、今までのやつよりも平均して六百六十四円の増ということになるのです。これにさらに実際の農家の場合は診療所維持のための負担がいろいろかかって参ります。これがところによって相当よけいになる。この問題はあとで突っ込んで質問しようと思いますが、ところによっては一頭当り二千円くらいになる。こういうことになってくると、一頭当りについて五千円以上になる。それで十万円の共済保険をかけておってこれということになると、今のように乳価が非常に安く、実際は赤字経営です。農林省の調査でも、三十二年度でしたか、たしか乳価の生産費は五十六円くらいになりゃせぬかと思う。それが実際には四十四、五円ということですから、これは非常な赤字です。そこへこういうふうな高い負担をやらなければならぬ。かりに今の乳価で勘定して、年乳量二十石としても、乳牛一頭の粗収入というものは大体において十万円くらいだと思います。それに対して五千円の負担ということになりますと、粗収入に対しても五分ないし六分近い負担になるわけです。ところが、一般の農産物共済はどうなるかというと、大体において粗収入に対する掛金の負担率は〇・五%前後でしょう。ほかにもいろいろ問題はありますけれども、ここにやはり一番大きな問題があろうと私は思うのであります。この点について政府としてはどう考えているのか。一般の農産物については〇・五%くらいでしょう。ところが、乳牛については、経済動物だということもありましょうが、大体において五%、十倍ないし十二、三倍の負担率になるわけです。しかも、どっちが採算がとれぬかということになれば、非常に進んだ場合は別ですが、米やその他を除いては乳牛の方が採算がとれない場合の方が多い。政府としてこの点を理解されているのか、これをお聞きしたいと思います。
〔芳賀委員長代理退席、吉川(久)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/27
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028・須賀賢二
○須賀政府委員 家畜共済の場合と他の農産物共済の場合の国庫負担並びに農家負担の割合においては粗収入その他と比較して均衡がとれておらないじゃないかという御指摘でございます。この点につきましては、われわれも今回の農災法一部改正に関連いたしまして十分検討はいたしたのでございますが、基本的には特に乳牛につきまして事故率が非常に高いということが事情としてあるわけでございます。この点は、われわれといたしましても、今後事故防止対策等につきましてでき得る限りの施設なり対策を樹立して参りまして、どうしても基礎になっております事故率そのものの低下をはかって参らなければならぬ。これは先ほど政務次官からもお答えをされました酪農対策全般の施策の充実と関連をいたす問題でありますので、そちらの方からも十分対策を講じまして、総合的に事故率が低下するようにして参らなければならぬと考えているわけでございます。それまでの間におきましては、現在程度の事故率を示しております限りは、今回国で相当額の予算的な裏づけをもちまして対策を講じましても、なおかなりの農家負担になるわけでございまして、将来事故率が低下して参りまするまでの間この程度の負担を農家にもがまんをしていただくことは、現在の段階においてはやむを得ないのではないかと考えておるわけでございます。農作物の場合は、御承知のように、一町以上の被害等につきましては、これは天災によりまする特殊事情によるものでありまするので、国で全額これを見るというような措置がとられておりまする関係上、負担率を平均的に計算してみますと、乳牛、家畜の場合と農作物の場合とである程度数字の開きが出て参りまするが、これは事故の性質なり負担関係の立て方等で現在の制度ではこの程度の開きになっておることはやむを得ないと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/28
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029・久保田豊
○久保田(豊)委員 まあ理屈から言えば今お話しのようなことになろうかと思いますが、現実に、この事故率を少くするということですね、これはなかなか共済面からだけではできないことです。酪農政策全体の充実と発展を待たなければできない。これも実は今のところは十分にはいっていない。従って、死んだ、あるいは廃牛になった、あるいは病気になったという際は、個々の農家にとればほとんど酪農をやめるかやめないかというせとぎわになるわけです。特に死廃の場合においてはそうです。私は、そういう場合の保障としては、大体酪農経営の中で五%ないし六%という負担を現在の状況でさしていくということは少し無理ではないか。従って、これに対しては、私がさっきちょっとお聞きましたように、農林省の具体的な実務的な考え方とすれば、何といいますか、今度の新法によって限度額というか、農林大臣の定める限度額は四万八千円ということになっておりますが、四万八千円というこのこと自体に無理があるのではないか、こういうふうに思うのです。これをもっと引き上げる必要があるのではないかというふうに思うのです。今までの三万二千七百円というのは、これはもちろん無理です。現在酪農振興資金で貸せるのは五万二千五百円でしょう。しかし、それで牛が買えることはほとんどありません。あれにさらに追い借金をしなければ実際に牛が買えないのです。そして実際の共済の金額も大体十万円近い。支払い共済金はなるほど五万円近くでありますけれども、ここにやはり無理があるのではないか。この点をもう少し実情に合わせるように引き上げる必要があるのではないか。そして国の負担もそれに応じて引き上げていく、共済掛金に対する国の補助負担も引き上げていく必要があろうかと思いますが、この点については農林省としてはどう考えておられるか。さらに、大蔵省の主計官がおいでのようですから、これに対するお考えを聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/29
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030・須賀賢二
○須賀政府委員 限度額が低きに過ぎるという御指摘でございますが、この点は、いろいろ検討いたしました結果、現在の農業災害補償制度を通じましての一つの問題と関連をしておるものでございます。と申しますのは、一般農作物につきましても、御承知の通り共済価格の大体半分程度が、国で保険料を負担して参りまする一つの目安になっておるわけであります。また、漁船保険につきましても、やはり共済価格の交付額の半分というのが一つの目安になっておるわけでございます。この制度全般を通じて半分程度しか見ないという考え方が低過ぎるという御批判があることは重々承知をいたしておりまするが、現行制度の中では一応そういうことになっております。それらとの均衡も考えまして、今回の家畜の場合には共済価格の——いわゆる現在の乳牛について申し上げますと一般に価格が九万円前後でございますが、それの半分というところを一つの目安に置いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/30
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031・高木文雄
○高木説明員 動物が一頭九万円ないし十万円の場合に、保険を幾らまでかけられるかということにつきましては、これは超過保険にならない限り高い金額を選択されて一向差しつかえないわけでございますが、財政の方で見ます、つまり国庫負担の対象とします限度額をどこに見るべきかということにつきましては、これは一にかかって政策の問題でございますから、どうしても半分のところまででなければならないというようなことはございませんのですが、やはり、制度といたしましては、国が財産保険と申しますか経済保険をいたします場合に、その対象となるものは、やはり保険にかかる人の負担能力との関係で負担能力がないから、国が応援をして掛金の国庫負担をするのだという考え方で掛金国庫負担制度ができておりますので、現在のところでは、ただいま経済局長から話されました通り、大体のすべての保険につきまして、経済、財産保険につきましてはおおむね物の価値の半分くらいの金額というものを対象にして、それの部分の掛金について一定の割合で国庫負担をするというのが、一般を通ずる一つのいわば自然的にでき上った原則のようなことになっております。そこで、家畜保険につきましても、従来は実はそこまで行っておりませんでしたので、せめてそこまで上げたらどうだろうかというのが今度の改正の内容でございまして、私どもといたしましては、ほかの制度との均衡の関係もございますので、現在の段階ではこの程度が精一ぱいではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/31
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032・久保田豊
○久保田(豊)委員 政務次官にお伺いしますが、今の農業に対しまする共済なり何なりのいわゆる一般の基準というものは、今両当局から話のあった通りで、その点では今度のことは実質のみならず理論的にも一つの改正であるということは明らかです。しかし、さっき私が申しましたように、国がこの時点において酪農というものを一つ大いに発展をさせ、それによって日本の農業の体質改善をやろう、しかも、その基礎条件がほとんど整っておらぬで、いわゆる奪略酪農という一つの過程を通じてやらなければならぬ、その結果事故率が非常に高い、これは酪農政策に伴う必然的な結果だろうと思います。それを、過去数十年にわたって、あるいは過去長い間にわたって積み上げてきました一般農産物に対する基準と同じ考えをしていくというところに私は無理があるのではないかと思う。この点は、どうしても、酪農を本気にやろうというならば、私は、政府が政策的にもう一歩出て——今日農民としては酪農をやっていこう、しかも基礎ができていない、ここに大きく出てくるのがいわゆる危険率の問題、しかもその危険率に対する共済上の補償をすると掛金が農家の立場から言えばべらぼうに高い。この点について政策的な基本的な解決をはかっていくということがなければ、私は、この家畜共済、特に乳牛共済を最後の一つの保障として農家が安心して酪農をもっと振興しようということはほとんど困難ではないか、こう思うのです。この点について政府としてはもっと突っ込んだ、あるいはもう一歩高い立場における政策的な変更を考えてみる必要がないかというふうに思うのですが、この点についてはどんなふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/32
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033・石坂繁
○石坂政府委員 家畜の事故が減った面もあるけれども、ふえておる面もあり、ことに乳牛の死廃病傷の率がふえておることは久保田委員からも御指摘の通りであります。そうして、その原因の一つが、先ほど私からも答弁申し上げましたように、日本の農家が乳牛の飼育になれておらないと申しましょうか、十分の知識がないと申しましょうか、そういう点と、獣医師の診療の関係等が実被害率にプラスして乳牛の病傷の率を高めておる、この点も一部の人からは指摘されております。従いまして、先ほど申しましたように、こういうことをできるだけ除去しますようにわれわれといたしましては十分の指導をして参りたいつもりでありますが、しかし、酪農全体につきまして、わけても共済制度につきまして、昨日来いろいろ御意見なり御批判も承わっております。そこで、今回の改正につきましては、ただいま御承知の通りの程度の改正案を御審議を願っておるのでありますけれども、久保田君の言われる、もっと突っ込んだと申しますか、あるいは高い見地からこの制度自体に対する検討を加えていく必要は、私どもも感じておるのであります。従いまして、今後その対策樹立のために、われわれといたしましては、もっと十分なる調査研究ができますように、そういう方法を講じて参りたい、こういうふうに今寄り寄り話をしておるような段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/33
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034・久保田豊
○久保田(豊)委員 次官の答弁は非常に政治的な答弁でありますが、話だけでなく、酪農政策に本気で取っ組むというならば、今の日本の酪農の持っておる基本的な性格なり欠陥というもの——農家の牛の管理技術が低いことも当然です。獣医師のほとんど大部分に少くとも酪農管理、酪農指導の実力のないこともわかり切った話です。しかし、一番根本は、牛の体力を早急にしぼり上げてやっていかなければならぬような形における酪農を出発点として、しかも高度のものに持っていこう、こういう段階にあるということなんです。ですから、長く地についた農作物共済とは基本的に考えを変えて、最後的な保障をこれによってやらなければ、この制度がなかなかうまく発展するというわけには参らないだろう、この制度がそういう点を基本的に解決しない限り、それが一つの大きな要素となって酪農振興は完全にはいかないだろうという点を私は申し上げておるのですから、この点は、単にお言葉や答弁としてではなく、一つ深く突っ込んで検討されて、基本的な改正の方向を出していただくようにお願いしておきます。
時間の関係もありますから、次の質問に移らしていただきます。今度の改正は、死廃分については大体においてある程度農家負担の軽減ということになります。これで見ますと、一頭当り農家負担が三百八十五円ばかり減ることになりましょうし、それに補助金がつきます。二百円くらいつくようですが、そうすると五百八十五円程度の農家負担の軽減になるというふうに見たいと思うのですが、その程度に見て差しつかえないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/34
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035・須賀賢二
○須賀政府委員 今回特に乳牛につきましてわれわれ考えました方向は、料率を改訂をいたしまして、ただ改訂のしっぱなしでありますと、乳牛につきましては農家負担が約千二百五十円ふえる計算になります。この約半分を国庫負担及び補助金の形におきまして救済をいたしまして、残りの半分が今回の料率改訂の結果による農家負担の増という形になりますように工夫をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/35
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036・久保田豊
○久保田(豊)委員 そうすると、大体六百円くらいまで農家の負担を少くする、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/36
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037・須賀賢二
○須賀政府委員 国が六百円、農家が六百円、そういう負担関係になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/37
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038・久保田豊
○久保田(豊)委員 多少数字の違いはあるようですけれども、大体そんなことではないかと思います。これだけでもこれは確かに改正に違いないが、農家とすれば、すでに今まで約百五十円程度の負担をしておって、さらに六百円負担する、こういうことです。だから三千八百円程度の負担になる、こういうことです。これはこれで、改正でよろしゅうございますが、このうちで、これはきのうも同僚の足鹿委員からいろいろ突っ込んで質問があったようでありますから、私はあえて深く突っ込んで触れませんけれども、病傷部分、特に直接費部分について国の負担が一つも増しておらない、こういうこと。これは死廃よりもむしろ病傷の方がどしどしふえておる。しかも直接部分が——甲といいますか何といいますか、その部分がどんどんふえておる。こういう際に、この部分について政府が負担をしない、負担増をやらないということは、どうしても筋が通らないように思うわけです。これについては、農林省としてはいろいろの考え方をお持ちになって、共済掛金の甲に相当する部分の縦割り二分の一国庫負担方式というものを強く今まで主張されてきたようです。これは私は不十分ながら今日では当然やらなければならぬことだと思うのであります。農林省として特にこれをやらなかった理由はどこにあるのか。さらに、大蔵省がこれを認めなかった理由はどこにあるのかという点です。財政負担にいたしましても、一頭約二百円の国の補助金を出す、大体三十六万頭見ておるようですから七千二百万円、こうなりますと、かりにこの部分に縦割り二分の一負担をやっても、三億かちょっと出る程度だと思います。特に病傷の多い部分について切って捨てて、少い部分だけ少しばかり増した。農林省なり大蔵省から言えば思い切って増したつもりかもしれませんが、農民は思い切って増したとは思いません。特にふえつつある、非常に農家が悩んでおるこの問題について、これを特に認めなかった理由を明確にしていただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/38
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039・高木文雄
○高木説明員 ただいま御指摘の点、すなわち家畜保険の乳牛の疾病部分につきまして掛金国庫負担をやらなかったのはなぜかということでございますが、この点につきましては、農林省からの最初の原案では、政府部内におきます折衝ないし検討の段階におきます原案といたしましては、国庫負担をしたらどうかという話があったのは事実でございます。また、それをどうするかということにつきましては、実は三十四年度の農林予算の中で最も問題になった点の一つでございまして、かなりの時間をかけていろいろ検討をいたしました。これをどうしても工合が悪いということで今回見送りといたしました事情は、実は金額の問題ではないのでございまして、金額の問題というよりはむしろ考え方の問題でございます。
現在の予算におきましていろいろな形の予算がございますが、そのうち、個々の経営と申しますか、家計と申しますか、個人の家計なり経済に対する助成の制度を見てみますと、たとえば生活保護とかあるいは健康保険の場合でございますとかいうものは、明らかに個別経済に対する助成でございますが、社会保障の観点から国が助成をしている制度は多々ございます。それから、第二に、従来の家畜保険の死廃部分に対する国庫負担とか、農業共済についての国庫負担、あるいは漁船保険についての国庫負担というようなもの、あるいは家畜について申しますれば伝染病予防法によりますところの補償その他の措置というものを考えてみますと、これらはいずれも、何らかの意味において、天然災害と申しますか、自然災害と申しますか、個別経済ではどうにもならない、いわば不可抗力による事故というものについて国が若干の助成をするというような形でございます。第三のものといたしましては、これは全くそのときそのときの政策によりまして奨励補助が出されることがございます。かって新しい農薬ができました場合に農薬費の補助があったこともございます。それから、苗しろ等についての補助があったこともございます。現在でも、その種の補助は、相当数、また金額にいたしましても相当金額に及んでおります。土地改良その他の補助も類別いたしますればこういう形のものになるかと思います。
そこで、家畜保険の疾病部分についての国庫負担は一体いかなる性格のものになるだろうかということをいろいろ検討いたしたのでございますが、社会保障の観念にも入りませんし、さりとて、この現在の家畜の疾病につきましては、個別経済か全く責任のない、いわば全くの不可抗力のものだというわけにも参りませんので、そこで、国が何らかの形式で助成をするということについては御同意申し上げたわけでございますが、その形式として国庫負担という形でやるのはいかがか、奨励的なものとしてやるのであればやはり奨励補助金の形式をとった方がいいのではないかということで、大体一頭当り二百円という、この金額についてはいろいろ御異論もあろうかと思いますが、形としてはそういった補助金の形式をとったわけでございます。
そこで、問題は、今後の問題をどう考えるかということでございますが、ただいま申し上げましたような考え方は、これは農林省の予算という意味ではございませんで、現在の予算全体を通じます一つの予算計上の目安と申しますか、各省通じて予算案を作りますときの私どもの方の大体の目安になっておるものでございますので、先ほど来のお話のように、家畜保険制度をもっとうんと思い切って拡充して、畜産振興、ひいては農業政策の充実をなぜ考えなかったかということでございますけれども、その点もきわめて重要でございますが、同時にまた、私どもといたしましては、他の諸種の国の予算の計上の仕方ということも考えませんと他との均衡を著しく失することになりますので、そういう角度から言えば一種の妥協的な考え方と申しますか、農家負担はできるだけ軽減しながら、なお現在の予算の計上方式の中でやりたいということで、ただいま御提案しておりますような形式にしたいということで、農林省の同意を得てこのような案にすることになった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/39
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040・須賀賢二
○須賀政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、昨日も御質問によりましてるる御説明を申し上げたのでございますが、今回家畜共済の国庫負担方式その他を改めますにつきましては、種々その方法、内容を検討いたしたのでございますが、大蔵省の方の側のただいま御説明がありましたような総括的な予算の立場からの御意見もさることながら、われわれ現実に家畜共済を運営している者の立場から考えましても、死廃病傷一元化をやりましてまだそれほど時間がたっていないのでございますが、事故率の推移は、先ほど申し上げましたように、一般牛あるいは馬については、死廃は若干下り、病傷が上ったというような、いわゆる死廃病傷一元化といたしました当初の見込みと申しますか、予想にほぼ合ったような推移をたどっておるわけであります。ところが、乳牛につきまして、死廃も上り病傷も上るという事故率の推移を示しておりますので、現段階において国庫負担方式を新しい制度として確立いたしますにはなお資料の把握その他が十分ではないのではなかろうか、この際の措置としては、死廃部分について国庫負担を増額し、特に乳牛はそれだけの措置では農家負担がなお大幅に引き上りますので、それを緩和する裏づけといたしまして、今料率期間中の制度といたしまして、加入奨励金一頭当り平均二百円程度出すという制度に結論をつけたわけでございます。従いまして、今後事故率の推移あるいは事故防止対策等の現実の効果その他総合的に実情を把握いたしまして、将来の問題は引き続き検討して参りたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/40
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041・久保田豊
○久保田(豊)委員 今のお答えで、大蔵省の方としては予算全体の建前上、疾病については、これは不可抗力とは認めがたい、だから、奨励的な意味ではつけられるけれども、つまり死廃の面とは全然別個な扱いをせざるを得ない、こういうお話ですが、そうしますと、たとえば将来もずっとそういう原則を貫こうというお考えですか。それが一点。
それから、農林省の方にお聞きしますが、今の御答弁では、要するに、事故率が固定しない、将来まだはっきり見通しが立たぬから、ことしは一応死廃についてだけこれをやったのだ、病傷の方については、とにかく事故率の確定するまで、見通しのつくまでの間はこれでがまんするけれども、将来は何とかしたい、こういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/41
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042・須賀賢二
○須賀政府委員 私がただいま申し上げました趣旨は、死廃病傷一元化をいたしましたねらいは、病傷に対する手当をできる限り適宜にやりまして、死廃事故を軽減して参りたいということをねらいとしてこれはやったわけでございます。従いまして、この制度が的確に運営されて参りますと、死廃の事故が下り、病傷の事故が若干上るというような結果になることが予想されて参るわけでございますが、さような状態になりました場合にはやはり国庫負担方式につきましても基本的には十分検討をしなければならない状態が出て参ると思いますが、そういう事態に対しましては、またその事態に即して十分検討いたしたい、そういうつもりで申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/42
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043・高木文雄
○高木説明員 今後、今と同じように、家畜の病傷分について国庫負担をするということが絶対考えられないだろうかどうかということにつきましては、現在の段階では、ただいま申し上げましたように、その種の例がほかにございませんので、ほかとの均衡ということで今度とりましたような措置を考えているわけではございますが、将来にわたってどうなるだろうかということにつきましては、現在の段階では私といたしましてはちょっとお答えしにくいのでございまして、どんなふうに変ってきてもそれは出せないのだという趣旨のものではないだろう、ただ、現在の段階では、ほかにも例がございませんから、それとの均衡上、別の形式、つまり奨励補助金の形式で農家負担を考えていったらどうだろうかということになるということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/43
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044・久保田豊
○久保田(豊)委員 それで大体わかりましたが、これは、本来、死廃と病傷と一本化した以上、大体一番目に国が重点を置かなければならないのは病傷だと思うのです。病気に対する保険は、要するに病気をなおすということです。家畜を、乳牛をなおすということです。これをなおすということについて負担がよけいになる。この点を徹底してやっていくことによってだんだん死廃の率も下ってくるということは明らかだと思うのです。これは、一般の酪農ないしは酪農政策のそういう点についての進歩といいますか充実と相待って、どうしてもこれは一本化した以上はこの点についてもやはり国が負担をしていくというのは当然のことだと思う。これはいろいろ不可抗力か不可抗力でないかという点については問題があります。問題がありますけれども、さっきから言いますように、酪農政策そのものが、まだ日本の農業にはこれを安全に受け入れるだけの技術的な基礎も経済的な基礎もないところに入れていかなければ日本の農業の体質改善ができない、同時にそれによってある程度まで日本の全体の経済のアンバランスを解消しようという大きな理想を持った、野望を持った一つの政策でしょう。それを裏づけるのに、ほかのものに同じような例がないから建前上困るのだというだけでは、私は、大蔵省としても少しこの点についてはあまり予算の編成なり補助金の編成、そういったものの編成の一般的な建前論だけにとらわれておると思うわけです。農林省としましても、今お話しのように、この段階では死廃だけでも一応やったら成功なんだ、だんだん病傷についての事故率なり何なりが固定し、めどがついたら、あとで制度として考えようということですが、なるほどそういう要素もあろうと思う。しかし、酪農全体を今大きく数的にも質的にも変えていこうという段階です。そういうはっきり動かない資料が集まって、それからやるというのではおそいのです。しかも、全体として酪農が量的にも質的にも発展していこうという、それに非常に無理がある。そういう無理があるからこそこういう点は一元化をしたことであり、そしてこれに予算の裏づけをしていくというのは当然だと思う。ですから、私は、できればこの機会に、この点については与党の諸君にも賛成を願って、当然この点は法案の修正をしなければいかぬと思う。少くとも、政府あるいは与党の諸君が修正に応じられないというのならば、この点についてはこの年次の期間にはっきり解決するのが政府としても当然です。大蔵省としても当然これはやってもらわなければならぬ点だ、こう思うわけですが、この点について、これは一つ政務次官のはっきりした御答弁をいただきたいと思います。修正に応ずるかどうか、あるいは修正に応じなければどうするかという点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/44
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045・石坂繁
○石坂政府委員 修正に応ずるかどうかという非常に短兵急な御追及でございますが、私は、ただいま久保田君からその修正のお気持のあるようなことを承わりましただけでございまして、まだ修正の案文等も承知いたしておらないわけでありますので、応ずるか応じないかということはちょっとお答えすることは無理だと思います。ただし、この問題のみならず共済制度につきましては、たびたび繰り返して申しております通りに、昨日来いろいろ問題点も御指摘になっておりまして、私どもといたしましては、今即刻と言われることも、これは無理であろうと思いますけれども、この制度全体の改善につきまして十分に掘り下げた検討をせしめて参りたい、こういうふうな気持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/45
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046・久保田豊
○久保田(豊)委員 もう一点だけ御質問をいたします。それは家畜診療所の問題です。私は、やはり、保険制度を充実していく、あるいは酪農全体の充実をはかるという点では、どうしても共済組合の経営ないしは連合会の経営する家畜保健所を充実していくということが一番基礎条件だと思う。掛金について国の負担をするとか、あるいは今言ったように死廃だけやるが病傷の方はやらぬとか、二百円で頭をちょんと一時押えておけ、こういうこそくな手段よりは、何といっても大事なことは、これは家畜診療所を整備充実するということが一番基本の条件だと思う。もちろんこれには営業獣医の大きな抵抗のあることはよく知っております。おりますが、この点については私は政府はきわめて消極的だと思うのです。さっきお聞きいたしたのですが、大体において現在すでにこの制度が発足してからかれこれ四、五年になる。にもかかわらず、診療所は全体の五〇%くらいしかできておらない。あとの五〇%の組合は依然営業の獣医師でやっている。こういうことでは私はだめだと思うのであります。しかも、これが、さっき言いましたように、単に掛金だけでなく、一カ所大体、獣医を一人置きますと、初度整備費を除きまして実際には百万円はかかろう。これがいろいろ賦課金その他の形において農民にかかってくる。しかも、その内容は、薬品その他の経費というものはだんだん少くなって、大体これが三〇%ないし四〇%ではないか、人件費その他がよけいになって、これが六、七〇%でしょう。こういうことであります。しかも、これが今どういうふうにやっているかというと、町村やその他が理解のあるところでは——私も町村長をやっておりましたか、町村その他がこれに対して、初度整備費はもちろんのこと、経営運営費についても町村その他が補助を出して、そうしてどうやらやっていくというのが実情であります。そういうものがないときは、これは実際の負担になってかかってくるわけです。これを私は政府がもっと積極的に改正する必要があろうと思います。ところが、これに対する政府の補助金といいますか、これがそれに該当するのか私はよくわかりませんが、共済の中に家畜共済事業事務費負担金というのが一億一千九百二十七万二千円ある。これは大体三分の一の補助になっておる。これが該当するのではないかと思う。私は実際に受けたことがないものですからわかりませんが、この点はどうなっておるのか。家畜診療所の整備について、私は政府としては共済の立場からのもっと積極的な手を打つべきではないかというふうに考えますが、今の負担金というものの説明と同時に、これらについてのお考えを一つお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/46
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047・須賀賢二
○須賀政府委員 家畜診療所の整備につきましては、逐次組合で直接経営をいたしまする診療所を充実をして参りまして、その方に重点を指向したいという考え方は私どもも現在とっております。それで、来年度予算におきましても、新たに二十カ所程度のものを増設をいたしまする補助金の計上をいたしたわけでございます。逐次その増設をはかって参りたいと考えております。
なお、予算的裏づけは、家畜診療所につきましては、国の事務費負担の方式として、これは家畜診療所の維持費そのものを直接補助する形式をとっておりませんが、家畜診療所の事務費として、農家負担の三分の一程度に当りますものを事務費見合いとして計上いたしているわけでございます。それが先ほどお話のありました一億数千万円に該当いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/47
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048・久保田豊
○久保田(豊)委員 今のお話では二十カ所ということですが、二十カ所というのは初度整備費ですか。一カ所当りどのくらい補助しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/48
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049・須賀賢二
○須賀政府委員 これは初度整備費でございます。一カ所当り三十万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/49
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050・久保田豊
○久保田(豊)委員 それで、今三分の一の事務費負担をしているということですが、これは人件費を除いてですか。事務費負担三分の一というのは、一カ所当り加入頭数にして幾らになるのですか。その所属の加入頭数一頭についてどのくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/50
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051・須賀賢二
○須賀政府委員 保険課長から説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/51
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052・森本修
○森本説明員 家畜の事務費の負担金のことでございますが、これは、大体の交付の目安としましては、農家が負担いたしますところの賦課金の三分の一程度を国で補助する建前になっておるのでありまして、それをどう使うかということにつきましては、人件費あるいは事務費、損害防止、そういう点について使うという建前でございます。ただいま数字等を調べております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/52
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053・久保田豊
○久保田(豊)委員 数字をちょっと説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/53
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054・森本修
○森本説明員 一頭当り約七十円程度ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/54
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055・久保田豊
○久保田(豊)委員 年間ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/55
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056・森本修
○森本説明員 年間でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/56
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057・久保田豊
○久保田(豊)委員 今御説明がありましたが、一カ所の整備費に三十万円、これでは正直に言ってなかなか整備はできませんよ。そして、しかも加入するもの一頭当り七十円、これでは満足な活動はできませんよ。ですから、こういう負担が実際にはよけいになってくる。私も事実やったことがあるのですが、結局やれないものですから、しょうがないので町村で出さざるを得ない、こういう実情ですよ。農林省のやることはみんなこれですよ。少しずつ出して、あとは県へ行ってたかれ、そして町村へ行ってたかれ、こういうやり方になってしまう。この点は、私は、少くとも家畜の保険ですから、共済保険についてはこういうものは県や何かにたからぬでも済むように、もう少し実態を把握されて、十分じゃなくてもいいですが……。
そうすると、これでいけば、農家が一頭当りでもって百四十円負担すればいいということですか。どこへ行ってもそんなばかなことはありませんよ。調べてごらんなさい。多いところは、私の知っている限りでも、掛金と一緒に二千円近い年負担になりますよ。少くとも千円近いものがかかるわけです。そういう場合が相当多い。百四十円や何かで片づくことは私は絶対にないと思う。この点を根本的に改善される必要がある。これについては結局大蔵省がしぶっているのじゃないですか。大蔵省が出し惜しみをするものだからこういう点が十分にいかないのじゃないか。これは何といっても診療所が充実をすれば予防衛生的な措置も活動もできますし、従って疾病も少くなるし、死廃も少くなる。もちろん診療所ができても多くの場合においては保険関係だけやるわけじゃない。できればこれに対しては全体の中からの——今のところはなかなか獣医が指導力がありません。ありませんが、それじゃ農村に行って実際に例の改良普及員なり指導員が実際に畜産の指導ができるかというと、今のところはほとんどできない。できないですから、最低限やはりこういうところを充実して、これによって少くとも家畜の健康維持ということ、予防的な意味も含めてこういう活動をやらせるということが必要です。もちろんこの予防的な仕事をやる活動費まで全部保険関係から政府に出せと言うのは無理かもしれません。しかし、この点は農林省としても大蔵省としても一つ根本的に問題を考え直して、この点の充実ということを、これは来年からもできるわけですから、これをしっかりやることが私は保険関係全体を健全にする基礎条件ではないかと思う。これに出し惜しみしておったのではとてもだめです。これは御承知の通り獣医を使ったのではうまくいきません。この点について、農林省のお考えと、特に大蔵省側の考え方を一つお聞きしておきたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/57
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058・須賀賢二
○須賀政府委員 現在予算で立てております事務費の建前と、実際に農家が負担されますものとの間に現実に幅があるということでございますが、この点は、御指摘のように、現在の負担関係、国の負担いたしております建前と実情とが必ずしも合ってないという状況があることは私どもも十分承知をいたしております。ただ、これを解決いたしますのには予算的な措置を相当額伴います問題でもありますので、単に適当な方法でというようなわけにはなかなか参らないものであります。今後の問題といたしましては、やはり事務費の適正なる所要額と申しますか、基準となります事務費の所要額というものを適当な方法によって推算をいたしまして、それをもとにして国と利用者の側においてどのような負担関係を立てていくのかというような基本的な点からこれを詰めてみなければならぬ。それにいたしましても、その解決方法には当然予算措置を伴います問題であります。問題の焦点はわれわれも十分前から承知をいたしております問題でありますが、予算上のこと等もありまして、なかなか解決をいたしがたい状態になっているわけでございます。しかしながら、御指摘のような点は私どもも非常に留意をいたしております。今後十分努力をして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/58
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059・高木文雄
○高木説明員 出し惜しみをしているんじゃないかというお話でございますが、出し惜しみをいたしませんとも申し上げられませんのですけれども、十分納得できます資料等がございましたならば、先ほど来お話しのように、畜産振興のためにはもっと金を出したらいいじゃないかうといことについては、基本的には私どもも同意見でございますので、検討の上御趣旨に沿えるように努力してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/59
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060・久保田豊
○久保田(豊)委員 最後にもう一点だけ、今の点ですが、これは今御答弁のありましたように、まだ千五百も残って、年に二十くらいずつやっておったんでは何になるのですか。これは大へんな年数がかかるわけです。こういう点については、畜産振興の全体の進み工合、あるいはその地域的な重点とか、そういう点を考えて、もう少し計画的に整備する。この整備については、私は全額を国が負担する必要はないと思います。やはり相当程度地元に負担さしてもけっこうだと思います。これは私どもやって参りましたが、初度整備費は三十万やそこらで足りるものじゃありませんから、これはある程度見ても差しつかえないと思いますが、しかし、事務費や活動費を地元に負担させるのはちょっと筋違いだと思う。こういう点について計画を立てて、大蔵省もとにかく今の段階では予防的な活動を本格的にやらなければだめだ。しかも、その予防活動をやるには、今の農村では多くの場合家畜診療以外にはよりどころはありませんよ。ですから、この点を十分検討されてやっていただくように特に要望申し上げまして、私の質問を終りにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/60
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061・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 栗林君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/61
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062・栗林三郎
○栗林委員 久保田委員の質問に関連して御質問いたします。
きょう配付になりました資料によりますと、解散決議を行なった組合数は三十二と報告されております。この三十二の解散決議を行なった組合のその後の処理はどうなっているか、これを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/62
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063・須賀賢二
○須賀政府委員 解散決議を行いました組合数は、お手元にもお出しいたしてありますように三十二ございますが、その後、特に昨年の秋以来、災害の発生その他もありましたような関係もありまして、再度活動を開始いたしましたのが大部分でございます。現在におきましては、解散議決を行い、なおかつ事業を休止いたしておる組合は五組合だけ残っておる状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/63
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064・栗林三郎
○栗林委員 解散決議を行なった三十二組合は当然当該地方長官にその認可申請をしただろうと思うわけです。その結果はどうなっているか、これを承わっているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/64
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065・須賀賢二
○須賀政府委員 解散の認可申請をいたしたわけでございますが、これにつきましては、特に、府県当局におきまして、そのような事態に立ち至りました状態等を個別に十分検討いたしまして、府県当局を中心として個別にこまかい指導を加えて参ったわけでございます。従いまして、その認可申請に対しましては、府県当局といたしましてはこれは認可をいたさない方針で処理をいたしておりまして、現在までも認可をいたしたものは一件もございません。個々の組合の実情に応じましてこまかく指導をいたしておる状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/65
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066・栗林三郎
○栗林委員 法第四十六条に、「農業共済団体は、左の事由に因って解散する。一総会の議決、二農業共済組合の合併、三破産、四第百四十二条の六第三項の規定による解散の命令」、こう規定されておるのでございます。ただし、「解散の議決は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。」、こういうように規定されてございます。ただいまの局長の答弁によりますと、解散決議を行なった組合に対しては、府県当局は、各個別によく事情を検討し、かつ適切な指導を加えた結果、納得をさせて認可をしなかった、こういうような御答弁でありますが、ほんとうに指導して納得をさせ、円満にこのように解決しておるということを確認しての御答弁でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/66
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067・須賀賢二
○須賀政府委員 私、先ほど申し上げました趣旨は、必ずしも全部の組合につきまして十分に納得の上でさような事態に立ち至っておるというふうには申し上げたつもりではございません。個々に十分指導を加えて参っております。ただ、現在の農業共済法の建前といたしまして、いろいろ事情がありましても、現にあります組合が解散をいたしますということは、制度の基本に重大なる影響のある問題でございますので、われわれ並びに府県当局の指導の方針といたしましては、十分納得のいけるところまでお互いに話し合いをいたしまして、できる限り円満な結末に持っていきたいというふうに努力いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/67
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068・栗林三郎
○栗林委員 この解散決議に認可を与えることは農業共済全体の基本に重大な影響を与えるから、いろいろと指導し、話し合いをして、許可をしなかった、こういう御答弁ですが、農業共済の基本に重大な影響を与えるものであるならば、本来この制度は強制でございますから、四十六条に解散の規定を設ける必要はなかったと思いますが、四十六条の解散の規定はどういう精神で規定されておるのか、その立法精神を一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/68
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069・須賀賢二
○須賀政府委員 現行制度のもとにおきましても、絶対に解散という事態が生じないというわけではないわけでございまして、過去の事例等を見ましても、完全にその対象耕地が水没をいたしましたような場合は、利用対象がなくなったような事態も起りますので、そういう場合には解散をいたしておるわけでございます。従いまして、制度の建前で絶対に解散という事態を予想しておらないというわけではない、一応理屈の上ではそういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/69
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070・栗林三郎
○栗林委員 今の局長の答弁ですと、水稲の場合はたんぼがなくなれば当然その共済を作ろうたって作るわけに参りませんよ。そういう答弁は私は詭弁だと思う。少くとも四十六条に解散の議決ということがうたわれておる以上は、それだけの理由があるからこのようにうたっておると思うわけです。しかし、総会の議決だけでは解散はさせられない。従って、行政庁の認可を要する、こういう規定がうたわれておると思うわけです。それですから、たんぼがなくなればもう総会の議決も何も必要はないわけです。それ自体すでに解散ですから。そういうような無責任な答弁でなく、この四十六条にも総会の議決ということがうたわれておるが、その立法精神についてもう少し親切な御答弁が願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/70
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071・須賀賢二
○須賀政府委員 一つの例を申し上げたわけでございますが、四十六条の趣旨から考えましても、これは、総会の議決その他によって解散をいたす規定が置いてございますのが、これはこの三項にもありますように解散の議決は行政庁の認可にかかっておるわけであります。全面的に農業共済制度を全国画一の組織によって実施をして参りまする建前からいたしまして、各市町村に必置の機関でございますので、一応理屈の上では解散の規定を置きまして、実際にこれを運用いたしますにつきましては、行政庁として制度運営の建前から十分その制度の維持をはかって参ります趣旨において運用して参らなければならぬ規定だと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/71
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072・栗林三郎
○栗林委員 これは法理論になってまことに恐縮ですけれども、ただいまの局長の答弁ですと、法律には「総会の議決」という規定があるが、これは行政上こういうことにはあまりとらわれないでやるんだ、こういうような答弁なんです。それ自体法律を非常に軽視しておる答弁と私は受け取るわけです。法律にこう明確に規定されておる。これはお互いの解釈ではない。明確に規定しておるものですから、やはり総会の議決は総会の議決として、解散の議決というものは法律としてははっきり認めておるのだから、その立法精神というものをはっきり把握しておく必要があると思うのです。しかし、先ほど申し上げましたように、その場合行政庁の認可を受けなければならないと規定しておるのですから、行政庁はこの解散決議を認可する場合にどういうような基準によって調査なり検討をされるのか、何らかの基準がなければならないと思います。これを許可する場合の許可基準といいますか認可基準といいますか、そういうものは省令等にも記載されておらないのでございます。しかし、何らかの基準がなければ、この法文というものは全く死んでしまうわけです。先ほど申した通り、法律に明確に規定されておるものなんです。それを行政的にそういうように曲げて解釈しないで、もっと私は法律に忠実な態度でこれに臨むべきであろうと思うわけです。それですから、解散の議決が行われた場合に、行政庁がこれを認可するかしないか、こういう場合には何らかの基準がなければならないはずなんです。省令に規定がなければ、監督官庁たる農林省から何らかのそれらに対する基準というものを示して、そうして万全の措置を講ぜしめなければならないものと私は考える。何らかそういう基準を地方庁に示しておられるかどうか、この点を一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/72
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073・須賀賢二
○須賀政府委員 ただいま御指摘の問題につきましては、特に昭和三十三年に秋田、愛媛の両県においてこの問題が多く発生いたしました事情にかんがみまして、昭和三十三年三月に農林省から秋田、愛媛の両県に対して一つの指示をいたしておるのであります。その内容は、第一に、農業共済組合は国の施策としての農業災害補償の末端組織であり、その解散については行政庁の認可事項とされているが、行政庁としては農業災害補償事業の公益性という観点からその当否を判断するのが法の趣旨であること、従って、通常の農業生産の脆弱性にかんがみて農業災害補償の必要性があるものといわなければならず、この趣旨から解散は認めない方針である、また、制度運営上の諸問題については、国会等においても論議が尽され、また法の改正が行われて、目下ようやくその実施の段階に入ったような状態のときでありますから、制度に対する不満等を直接の理由として今直ちに解散を認めるということは妥当でないと思われる、というので指示をいたしております。それから、第二点といたしまして、いろいろ数年来の豊作その他によりまして農業災害制度全体に対しまする批判あるいは改善意見等が多く出ておりますことは、これは昨日来の当委員会におきます審議におきましてもいろいろ議論が出た問題でありますが、これらにつきましては、国としてもその対策を早期に検討を進めるとともに、特に前回の改正制度の趣旨の徹底等につきましてさらに努力をいたしまして、解散ないし解散動向を示している組合の納得をいたすように努力をいたしたい、さような趣旨を両県に対して指示いたしておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/73
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074・栗林三郎
○栗林委員 解散の許可に対する基準については農林省の方からそれぞれの基準をお示しになったという御答弁でございます。法は第十六条において強制加入を規定しておる。私は、この強制加入については、純粋の法律論から言いますと、何か憲法違反の疑いがあるように思われるのです。これは確固たる意見を申し上げるのじゃありませんが、そういう疑いがあるわけです。そこで、これを立法いたしました精神としては、そういう難点を緩和して、強制ではあるが、しかし、その組合の大多数の者が解散を希望する場合には、民主的な方法、民主的な救済事項として解散を認める、これがこの立法の精神ではなかったかと私は推測するのでございますが、さもなければ、強制加入である以上は、四十六条に解散の議決をこの通り規定する必要はないのでございます。たとえば総会の議決による解散以外の解散、農業共済組合の合併であるとか破産であるとか、そういうような場合の解散はもちろんです。しかし、自主的な総会の議決による解散という事項を規定する必要はなかったと思うわけです。これは、第十六条によって強制加入である、しかし組合員の大多数が解散を希望する場合はこの解散は認めてもよろしい、そういうような民主的な一つの救済事項としてこのように規定されたものではなかったか、こういうように私はこの立法精神を解釈するのですが、この立法精神について一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/74
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075・石坂繁
○石坂政府委員 根本は強制加入をすることが憲法違反にあらずやとの疑念をお持ちになっておるようなお話でありますが、この点につきましては、私どもは、もちろんこの法律は憲法違反の法律ではないと考えております。強制加入の規定を設けましたゆえんのものは、この共済組合というものの公益性の強いということに着目いたしました立法であると私は理解いたしております。
第二の、四十六条第一項第一号の解散の議決に対しまして、第三項に行政庁の認可を受けなければその効力を生ぜずという規定がうたってある点についての先ほどからの御質疑であります。先ほど経済局長が答弁いたしましたことに対して、その答弁ははなはだ詭弁である、法律は尊重しなければならないという御指摘がございましたが、法律を尊重しなければなりませんことはもとより言を待ちません。従いまして、四十六条第一項第一号の尊重されなければならないと同様に、同条第三項もまた尊重せられなければならないのであります。しかるに、四十六条の規定するところは、ごらんの通りに、総会の議決も行政庁の認可がなければ効力を生ぜずと書いてありますが、これも、先ほど経済局長から答弁いたしました通りに、この公益性にかんがみ、またこの法律の実施後日浅いのでありますから、具体的の数十件の解散決議に対する認可申請に対しましては、今まではそれを認可いたしておりません。相なるべくはできるだけこの共済組合は存続いたしまして、そうしてこれを漸次育成強化いたしまして、運用の十分の目的を達せられるようにしたいというのが行政庁としての考え方であります。絶対にいかなる場合においても総会の決議を許さない、こういう立法の趣旨ではなかろうと思います。ただ、今まで申請がありました幾つかの問題につきましては、これを許可せざることが適当であるという判断のもとに、今までは許可をいたしておりません。将来あるいはそういう場合に許可をすることが適当であるというふうに判断される事態、ケースも出てくるであろうということは、一応はそういう点も考えられるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/75
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076・栗林三郎
○栗林委員 三十二の解散決議を行なった組合のおもなる解散理由はどういう理由であったでしょうか。おそらくこの理由の中には共済制度そのものを否定するという理由は含まっておらないものと私は聞いておりますが、そのおもなる理由について二、三指摘していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/76
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077・須賀賢二
○須賀政府委員 解散決議をいたしました理由としてかくかくのゆえに解散決議をするという理由を具体的に出しておるものは少いのでありますが、解散決議に至りまするまでの間におきましてのいろいろ要望でありますとか希望事項等として掲げられておりますものを見ますと、その一つは、基準収量をもっと引き上げるべきである、それから、共済掛金の国庫負担を増額すること、損害評価の適正を確立しろ、共済金のもっと早い支払いを実行しろ、無事戻し制度の確立をはかるべきである、農業共済団体の行う損害防除事業を強化して、その費用を国庫で補助しろ、そのような、現行制度の運営上いろいろ末端なり現地団体等から従来批判ないし意見として出ております事項が、この解散決議と関連いたしまして強く強調されておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/77
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078・栗林三郎
○栗林委員 一番大事な点の御答弁がないので遺憾でございますが、重ねてお尋ねいたします。この解散決議を行なった組合の理由の中に、共済制度そのものを否定するというものがあったかどうか、私はそういうものはなかったと聞いておりますが、一体農林省はどう受け取っておるか、この点が一番大事な点でありますから、この点について一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/78
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079・須賀賢二
○須賀政府委員 一応、私どもの手元にあります資料によりますと、ただいま申し上げましたような事項を強く強調しておるのが大部分でありまして、制度の存廃そのものに触れておるような事項は、特に目につくような点はないように見受けられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/79
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080・栗林三郎
○栗林委員 ただいまの答弁で明らかになったように、私どももそのように確認しておるものです。解散決議を行なった三十二組合、その他解散決議を上げようというような動向を示しておるそういう七十幾つかに上る組合等のその根本の理由は、現行制度及び運営の状態にあき足らないで、このような状態では農民の現実の利益にはならない、こういう不平不満が爆発しての解散決議行為である、私どもはそのように理解しておるわけであります。また農林省もそのように御確認されておられるのでございます。従って、私は、このまま、善処するあるいは検討するというような昨日来の御答弁では、こうした解散運動なりあるいは業務停止の状態に置くようなこういう運動がますます熾烈になって参るものと考えるものでございます。従って、昨日来の御質疑にありましたように、現行制度の改正あるいは運営については抜本的な、しかもスピードのある対策を立ててもらいたい、私はかように思うわけです。
特に、私、この機会にお尋ねしたいのは、何といっても農民が問題にしておるのは強制ということに一番問題点があるようでございます。しかし、強制もこの共済制度の成立のためにはやむなしと農民も考えておるようであります。それですから、その次の問題は、やはり負担金の問題であろうと思う。この負担金の場合、掛金と、事務・人件費に充てる賦課金がございますが、この賦課金が非常に高いわけです。反当秋田の場合は百五円徴収されております。おそらく各県それほど差がないと思いますが、百円の反当賦課金が賦課されておるわけであります。これは事務・人件費に全部振り当てられておる賦課金でございます。これに対して十四条によって事務費の国庫負担を規定しておるわけでございますが、予算の範囲内で政令の定むるところ、こういう定めをしておるわけでございますが、この事務・人件費に振り当てる国庫負担は、明年度予算は二十何億でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/80
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081・須賀賢二
○須賀政府委員 二十三億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/81
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082・栗林三郎
○栗林委員 三十四年度は二十三億の事務・人件費の国庫負担をする、こういう予算になっておるわけでございます。そうしますと、農民の負担するこの事務・人件費は総額でどのくらいの数字になるか。これは推定でよろしゅうございますが、お答え願いたいと思います。四十億くらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/82
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083・須賀賢二
○須賀政府委員 大体、最近の状況によりますと、農民の負担する額は四十三億程度になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/83
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084・栗林三郎
○栗林委員 そうしますと、この負担金は、これは十四条にも明確に規定されておって、予算の範囲内、こういう規定がございますから、この際思い切って全額国庫負担にする。そうしますと、あと四十三億の国庫負担を増額すれば、この問題は解決すると思う。今農民は負担が重い重いと言うが、掛金も問題がございます、掛金も問題がありますけれども、場所によっては掛金よりもこの反当百円の事務・人件費に充てる賦課金の方がずっと重いのです。掛金はいろいろなことによってあるいは軽減する方法もございます。若干の選択制も行われておりますから、従って掛金を引き下げることもできないわけではございませんが、この事務・人件費を下げるということはできないわけです。現在ではむしろ賦課金の方が掛金よりも上回っておる地区が多いというふうに私は推定しております。それでありますから、負担金が重い重いというのが農民の一番の不平不満の種でございます。従って、農民は、掛金は掛け流し、事務費はもちろん掛け流しです。そういうような状態に置かれておるので、負担金が重いというような不平が出て参るのでございますから、この際思い切って負担金のうち事務・人件費については全額国庫負担という措置をとる御意思がないかどうか、この点を一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/84
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085・石坂繁
○石坂政府委員 熱心な栗林委員の御説でありますけれども、遺憾ながら全額国庫負担いたしますということには相なりかねるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/85
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086・栗林三郎
○栗林委員 全額国負担をすることは相なりかねるという木で鼻をくくったようなまことにぶあいそうな御答弁でございますが、これは財政上の立場からと思うわけですが、財政上の立場から言うならば、私にも一つの文句があるわけです。というのは、飛行機の方には非常にお金がむぞうさに使われておるわけです。F86Fなどは約四億かかると言われておる飛行機です。これを八十五機もこの間返しておる。返すくらいならば、それを返さないで、その発注をそれだけ減らせばいいのです。半分減らしても百八十億くらいの財源が生まれてくる。それですから、F86Fを例にとれば、これを十機だけしんぼうしてくれれば、この財源は出てくるわけです。ですから、四十三億の国庫負担の問題ですから、全然できませんというような、木で鼻をくくったようなぶあいそうなごあいさつでなく、何らか一つこれに対して善処して、そうして、強制加入だからそのかわりに事務・人件費は全額国庫負担をするのだ、こういうことになりますと、農民の気持もぴったりいくだろうと思います。事実この面で農民の負担というものは半減されるわけでございます。農業共済制度というものが、そのほかにも問題点はたくさんございますけれども、一番の問題になっているのが負担が重いということですから、その負担を軽減せしめるという御配慮をしていいじゃないか、こう思うわけです。もう一ぺん一つ次官の親切な御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/86
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087・石坂繁
○石坂政府委員 栗林君の非常な御熱心な御意見に対しまして、御趣旨に沿わない答弁をいたすことが非常に心苦しく存じましたので、言葉が大へんに簡単になりましたが、決して木で鼻をくくったつりでも何もないわけでございます。言葉づかいのことについては重々御了承をお願い申し上げまして、さて、農業災害補償制度は、御承知の通りに本来農家の相互救済の制度でございます。従いまして、農家の相互組織を主体といたしまして運営することが建前でございます。国はその運営に必要な基準的事務費に対しまして財政的援助を行うということになっておりまして、事務費を全額国庫負担とすることにつきましては、財政負担との関係もございますので、これについては今後ともできるだけ国庫負担の充実をはかっていきたいと考えております。これでも御満足でないと思いますが、どうぞその程度で御了承をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/87
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088・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 他に質疑はございませんか。——なければ、これにて本案に対する質疑は終了いたします。
暫時休憩し、理事会を開会いたします。
午後一時七分休憩
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午後一時二十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/88
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089・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
これより本案を討論に付しますが、討論の通告もございませんので、直ちに採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/89
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090・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
本案に対し芳賀貢君より自由民主党並びに日本社会党共同提案にかかる附帯決議を付したいとの申し出があります。この際発言を許します。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/90
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091・芳賀貢
○芳賀委員 ただいま可決されました農業災害補償法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を附するの動議を提出いたします。
まず案文を朗読いたします。
政府は、農業災害補償法実施の現況にかんがみ、今後左記の措置を講ずべきである。
記
一、本制度が農業の実態に即応し得るよう抜本的改訂を行うため、すみやかに調査会を設置すること。
二、家畜共済事業の掛金については、農家の負担を軽減し、酪農振興に寄与し得るため、次の機会に全体の縦割二分の一国庫負担方式を確立すること。
右決議する。
昭和三十四年二月二十六日
衆議院農林水産委員会
附帯決議について簡単に趣旨の説明を行います。
本農業災害補償法の一部改正につきましては、昨日以来当委員会において各委員から慎重な質疑が行われたわけでありますが、特に今回の改正は家畜共済の部面に集約されておりますが、当委員会として重点的に指摘した点は、先年政府が家畜共済に対する死廃病傷一元化を目途といたしましてこれが実験のために特例法を設けたのでありますが、この特例措置におきましても、病傷部分に対する国の掛金負担が含まれておりまして、死廃病傷一元化の期待が実証され、これらの経緯を経て現在の家畜共済の事業が進められておるわけであります。従って、この法律の改正をする場合におきましては、当然死廃病傷全体に対する掛金の二分の一国庫負担の改正をやるということが最も妥当であり、また全国の農家から望まれておる点でありますが、この点につきまして政府の改正案はまことにわれわれの意に沿わないものがあるわけであります。しかも、病傷部分に対しましてはこれが掛金を国が負担するという方式をとらないで、ただ単に乳牛に対しまして加入奨励金という形で一頭について二百円の補助を行うというような改正案になっておりますので、この点はわれわれとしてあくまでも本質的にこれは改正しなければいけないということを指摘したのであります。むしろ、われわれといたしましては、この機会に第十三条二項の中に病傷部分を加えた国の縦割り二分の一負担方式を明確にいたしたいのでありますが、今回の審議の経緯にかんがみましても、今直ちにこのことが実現できないというような事情もありますので、政府においては、必ずこの次の料率改訂の機会までに本法の根本的な改正を行いまして、家畜共済につきましては死廃病傷全体に対する縦割り二分の一国庫負担の方式を確立すべきであります。
さらにまた農業災害補償法全体の制度の問題につきましても、今回の質疑の中で明らかになっておるのでありますが、いまだに政府におきましてはこれが根本的な改正を行うに至っておらないということはまことに遺憾にたえないのであります。従って、これらの全体の問題を検討するためにも、すみやかに調査会の設置を行いまして、共済制度全般に対する検討を根本的に行なって、今後わが国の農業災害補償制度の中においてこれが十全の目的を達することができるようにしなければいけない、このような趣旨で附帯決議を提案した次第であります。
以上、提案の理由を申し上げまして、私の説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/91
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092・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 ただいま芳賀君より提案せられました附帯決議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/92
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093・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 起立総員。よって、附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいまの附帯決議に対し政府の所信を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/93
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094・石坂繁
○石坂政府委員 ただいま全会一致をもって御可決になりました附帯決議に対しましては、十分にその趣旨を尊重いたし、御趣旨に沿うよう努力いたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/94
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095・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 次にお諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/95
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096・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時より再開することとし、これにて休憩いたします。
午後一時三十五分休憩
————◇—————
〔林憩後は会議を開くに至らなかった〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X01319590226/96
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