1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月十一日(水曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 松浦周太郎君
理事 大野 市郎君 理事 吉川 久衛君
理事 丹羽 兵助君 理事 本名 武君
理事 赤路 友藏君 理事 石田 宥全君
安倍晋太郎君 秋山 利恭君
五十嵐吉藏君 倉成 正君
笹山茂太郎君 田口長治郎君
高石幸三郎君 綱島 正興君
永田 亮一君 八木 徹雄君
保岡 武久君 足鹿 覺君
角屋堅次郎君 久保田 豊君
栗林 三郎君 實川 清之君
中村 時雄君 松浦 定義君
出席国務大臣
農 林 大 臣 三浦 一雄君
出席政府委員
農林政務次官 石坂 繁君
農林事務官
(農林経済局
長) 須賀 賢二君
通商産業事務官
(軽工業局長) 森 誓夫君
委員外の出席者
農林事務官
(農林経済局肥
料課長) 山路 修君
通商産業事務官
(軽工業局化学
肥料部長) 村田 豊三君
専 門 員 岩隈 博君
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三月十日
水産業改良助長法案(横路節雄君外十八名提出、
衆法第四五号)
漁業協同組合整備特別措置法案(横路節雄君外
十八名提出、衆法第四六号)
てん菜生産振興臨時措置法の一部を改正する法
律案(芳賀貢君外二十一名提出、衆法第四七
号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一一四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/0
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001・松浦周太郎
○松浦委員長 これより会議を開きます。
臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告があります。これを許します。久保田豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/1
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002・久保田豊
○久保田(豊)委員 肥料の問題は御承知の通り日本の農業にとっても非常に重要な問題であります。また、この合理化五カ年計画の中で、肥料をめぐる内外の情勢が相当変って参った。従って、肥料二法の存続、特に需給安定法の存続については、非常に議論があった末に、一応今後なお五カ年間据え置いておこうということで、ほとんど内容的には改正なしに行われたわけです。しかし、肥料、特に硫安を中心とする生産の事情や内外の情勢が相当変って参りましたので、この肥料の需給安定法の運用というものは、私は今後相当今までとは違った諸要素が出てくると思うのであります。そこで、今後の情勢の中で、きょうは、特に需給安定法に重点を置いて、問題になるような点について御質問を申し上げたいと思うのです。
そこで、第一点にお伺いしたいのは、安定法の二条の対象肥料はどういうふうに考えておるかということです。従来は御承知の通り硫酸アンモニア及びその他の政令によって指定をする重要肥料をいうことになっております。政令の方を見ると、尿素、硝酸アンモニア、塩化アンモニア、硫燐酸アンモニア系化成肥料及び燐硝酸アンモニア系化成肥料、こういうものが制令指定になっておるわけです。一方、合理化法の方を見ますと、硫酸アンモニアと、政令によるその他のアンモニア系窒素肥料ということになっておって、これについては特別の政令指定がなされておらないわけです。こういう事情にあります。ところが、生産の事情は今後五カ年間において相当変ってくる。具体的に言えば、硫安そのものはほとんど生産の量はふえない、尿素ないしは塩安というものがふえてくる、こういうことになってきます。従って、これの国内需要の問題も相当変ってくるし、使い方の問題も変ってくるが、これが輸出の関係と結びついて相当複雑な関係になってくると思うのであります。
そこで、私がお伺いいたしたいのは、安定法の第二条と合理化法の第二条との表現が違っておるが、この内容は今後どういうふうに調整をしていこうというのか、これが一点。それから、政令指定をいずれすることと思いますが、この政令指定の重要肥料の内容というものはどういうふうにしようとしておるのか、この二点。政令の指定をする場合におきましても、単に生産なりあるいは需給計画の対象としてどの程度のものをとるのか、あるいは、あとでお聞きしようと思うマル公の制度、この関係においてどの程度の重要肥料を取り入れるのか、ここらの点が今のうちから十分に検討されておりませんと、私は今後の肥料行政は出発点から混乱をしてくると思うが、これについてどういうふうに考えておるか、この点を二点。全体とすると三点ですが、すでに検討も終っておることと思いますから、一つ農林省側の見解、できればそれと協議ができておるなら通産省側もこの点に対する見解があればまず第一に聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/2
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003・須賀賢二
○須賀政府委員 現在の肥料需給安定法では、ただいまも御指摘がありましたように、アンモニア系の窒素肥料を政令で指定をいたしておるわけであります。従いまして、現在安定法によりまする需給計画は、アンモニア系の総合需給計画を発表いたしまして、それを基礎にしてやっております。延長いたしました場合、当面の考え方といたしましては、政令で指定をいたしまする肥料の対象も、大体現在指定いたしておりますものと同じにやって参るつもりでございます。
なお、価格につきましては、現在は硫安だけを国内販売価格公定の対象に
いたしておりまして、その他の肥料は、硫安の価格安定と関連をいたしまして、実質的にそれとバランスのとれた価格が現実に示されるということに実際もなっておりますので、ただいま御指摘の延長後の扱い方として考えておりますのは、マル公の対象も硫安だけに絞って参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/3
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004・村田豊三
○村田説明員 硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法の立場から、同法の第二条の関係をお答え申し上げます。
合理化法の第二条におきましては、「「硫安」とは、硫酸アンモニア及び政令で定めるその他のアンモニア系窒素肥料をいう。」ということになっておりまして、御指摘の通り、ただいままでのところ政令でその他のアンモニア系肥料の指定はいたしておらないのであります。この点につきましては、今日アンモニア系肥料を作っておりまする工場は何と申しましても硫安がその主軸をなしておりまして、硫安工場があわせて尿素を作り、あるいはその他の若干のアンモニア系肥料を作る。同時に、先ほど御説明にもありましたように、硫安がアンモニア系肥料の中核をなしておる。従って、硫安の工業の合理化を主軸にいたしまして合理化の推進をいたしますことで十二分に合理化の目的は達し得るのじゃないかという考え方でありますので、ただいまのところでは直ちに硫安以外のものをこの際指定してやって参らなければならぬという、ふうには考えておらないのであります。しかしながら、これらの点につきましては、今後の合理化の推移等を見ながら、一方需給安定法の方の需給の調整とからみながら検討して参るべき筋合いかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/4
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005・久保田豊
○久保田(豊)委員 今度の第二次の五カ年計画によると、硫安が五カ年後においては大体二百七、八十万トン、尿素が大体百九十万トン、それからさらに高度化成等が相当ふえてくる、あるいはコスト・ダウンという点から言うと大体においてソーダ工業に結びついた塩安等が相当ふえてくるわけです。従ってまた輸出肥料の国内の需要も相当変ってくるのではないか。この点で、価格の問題についてはあとでまた触れますけれども、これは最後の問題になろうかと思いますが、こういう点でもっと突っ込んだ検討がないと相当乱れてくるのではないかというふうに思うのですが、今の通産省のお話では、なるほど今の肥料工業は硫安を主軸にやっていることは事実です。しかし、この合理化の内容を見ると、ほとんど今まででも尿素系に切りかわっているのが多いです。さらに今までは高度化成の方に切りかわる面が多い。今後の計画をちょっと拝見しましても、そういう点が非常に多い。従って、これらがいろいろな形において、あとで質問するような要素と結びついて、需給計画の問題についても、価格の問題についても、輸出の問題についても、相当に私は大きく影響してくると思う。この問題はあとで需給計画や価格問題等に触れてもう一度総括的に私は質問したいと思いますが、何らかここでもってはっきりさせる必要があるのではないか。需給安定法の範囲あるいは合理化法の適用の範囲でもって明確にしておかないと、そこに業者側から出た抜け道というものが相当出てくる可能性があると私は思う。この点はさらに検討を一つ願いたいと思うのであります。これを需給計画の範囲にとどめるかあるいは価格統制までいくかという点はなお検討を要する面があろうと思いますが、これらの点についてはあとで触れるとしまして、この点は再検討して十分に調整をとるように私は要望して、時間がないから次の質問に移りたいと思います。
その次の問題が一番重点になるのですが、やはり需給計画の今後の策定、運用という問題が非常に重要な問題になってくると思います。というのは、今度の五カ年計画によりますと、五カ年後においては生産能力は大体ア系肥料全体で五、六百万トン、そうしてその中で実際に生産されるのが五百二十万トンないし五百四十万トン、その内容は、二百七、八十万トンが硫安、百九十万トン程度が尿素ないしは高度化成あるいは塩安等が相当出てくる、こういうことになるわけですが、その需給計画の範囲をどの程度にやるか。今お話があったが、私はそれで範囲はいいと思う。しかし、実際の運用をどういうふうにやるのかということです。というのは、生産規模はどんどん大きくなってくる。そうしてしかもこれは操短をやる場合は非常にコストが大きく反映してくる。従って、操短はできるだけやらないということがおそらく原則になりはせぬかと思う。そういうことになってくると、しかも国内の場合は大体において伸びは年々きまっております。きまっておるからいいが、輸出に依存度がよけいになって、しかも輸出は市場的に見てもあらゆる面から見て小安定な要素が非常に多い。これはむこうの委員会でやりましたからここで繰り返して申しませんけれども、単に経済的にコストが安くなれば出られるというふうな少くとも市場構成ではない。世界の政治的要素と非常にからんで、特殊な事情があるわけです。これを対象として出なければならないということになると、輸出は、希望としては、政府の方としては比較的楽観をして、四百五十万トンアジアに需要があって、そのうち二百二十万トンを日本側で占めたいということだが、それは、主要な市場である中央を考えても、これは政治的な要因によってどういうことになるか、今現にある台湾にいたしましても、アジアの情勢次第によっては、どう変るかわからない。南朝鮮についても同じことが言える。アメリカの政策なりアジア全体の政治情勢によってはここらの市場はどうにでも変ってくる市場です。しかも、他のインドを初めとするアジア諸国にいたしましても、政治情勢の変化によっては日本の硫安を買うか買わないかということにはうんと影響すると私は思います。単に経済的に安いとか運賃が安いとかいうだけでは問題が解決しない状態になっておる。しかも、残念ながら、今のところ日本のここらの地域に対します政治外交路線というものは、必ずしもこういう市場が安定するような方向に進んでおらない。そういう状態の中でやることですから、輸出市場というものは非常に不安定になってくる。こういう点で、今度需給計画を立てる上には、この輸出用というものをどうやっていくかということが非常に大きな問題になってくると思うが、これに対してどのような策定の仕方あるいは運用の仕方をするのか、この点を一つはっきりお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/5
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006・須賀賢二
○須賀政府委員 お説のように、今後需給計画を策定いたします場合に、輸出をどういうふうに見込むかということは非常にむずかしい問題でございます。ただ、この点につきましては、いろいろ不安定要素等ももちろんあるわけでございまするが、一面において、やはり輸出市場におきまする需要の動向、あるいはその他の競争国の企業努力の模様等も政府及び業界を通じていろいろ検討をいたすわけでございます。それらの材料を基礎といたして、今後の方向としてはやはりアンモニア系窒素肥料につきまして輸出に相当のウエートをかけて参るということが基本の方向でございますので、いろいろ輸出促進の措置等もあわせ講ずることにいたしまして、そこにやはりある程度の意欲を盛りまして輸出見込み数量というものを策定するというような考え方で参りたいと考えております。ただ、これはあくまでも見込みでありますので、いろいろ不安定な要素がつきまといますことはやむを得ないのでございますが、本年の場合などにおきましても、中共の輸出が御承知のような事情で途絶をいたしたのでございますけれども、一面において、韓国でありますとか北の諸国に対する輸出努力というものは逆に相当高度に払われまして、かなりの輸出が伴うという結果になっておるわけであります。従いまして、いろいろな要素を積み重ねまして、この点は十分に慎重に検討をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/6
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007・久保田豊
○久保田(豊)委員 今の段階では、十分慎重に検討してやりますと言うほかには手はなかろうと思います。かりに、たとえば中共にしても、これは、状況によっては、伸びる方ばかりではない、伸び過ぎて困るという場合も出るわけです。あるいは中共の市場が、これは仮定ですけれども問題が解決すると、ずっと四十万か五十万出るでしょう。とたんに国内の需給、バランスに大きな支障を来たすということは明らかです。そこで、これも一つの仮定の問題になりますが、大体今後においては少くともいろいろの肥料をまぜて二百万トン程度のア系肥料というものは輸出計画に一応載せて参らなければならぬということになろうと思いますが、これがはずれて、見込みが立たなくなった、輸出の可能性がなくなったという場合は、その始末をどうしますか。業界等の一部では、そういう輸出肥料についての買取会社を作って、そこで一応持たせるとか、あるいは今の輸出会社に買い取り保管をさせるとか、こういうふうな意見も出ておるようです。こういう点についてはどう考えておられるのか。もう一つは、そういう点が出た場合に、それと国内の需給なり何なりというものをどういうふうに調整をしていくつもりか。その点具体的に検討がついておったらお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/7
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008・須賀賢二
○須賀政府委員 今後の方向といたしましては、輸出市場につきましても、あるいは日本の主要市場になっております国におきましてある程度自給力の増大というような傾向も出て参りますでありましょうし、われわれとしては輸出に対しましてはよほど努力しなければならないと考えております。ただ、先ほど来申し上げましたように輸出市場というものは非常に不安定なものでございますので、その状況の変化によりまして全体の需給計画がある程度当初の予定より食い違ってくるというような場合におきましては、その問題が短期的な問題でありますれば、これは一時的な滞貨の増となると思います。その場合は、業界といたしましては、滞貨をかかえますに必要な金融等を受けまして、その場面をしのいで参るわけでありますが、長期的な問題になるような場合におきましては、当然やはり需給計画そのものを再検討いたさなければならぬ、肥料審議会その他の場を通じまして需給計画の再検討をするというような方向で処理して参らなければならぬと考えております。ただいまの段階では、滞貨の保管会社、そういうようなものは具体的には考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/8
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009・久保田豊
○久保田(豊)委員 大体今の考えの通りだと思うのですが、そうすると、輸出保管会社は考えておらないということですね。それなら、輸出分について長期にわたって相当に滞貨が出た場合は、今の輸出会社に保管させるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/9
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010・須賀賢二
○須賀政府委員 その問題は現実の事態に即して考えて参らなければならないと思いますが、今まで、一時的に滞貨がふえました場合は、輸出会社もあっせんの労をとりまして、各メーカーに金融をつけて処理をしておったわけであります。従いまして、将来の問題としては、その事態に即してまた実際のやり方を検討いたすわけでございますが、輸出会社が直接自分の責任で保管をするという事態までを目下のところは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/10
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011・久保田豊
○久保田(豊)委員 通産省はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/11
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012・村田豊三
○村田説明員 ただいま経済局長からお答えした通りに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/12
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013・久保田豊
○久保田(豊)委員 相当長期に輸出が停滞をしたというふうな場合には、当然これは生産制限の問題が出てくると思うのです。その場合には法第四条によっていわゆる計画変更をやらなければならぬと思いますが、そういう場合はどうやるのか。その計画変更をした場合には肥料審議会の意見を聞いて政府が一応の生産命令を出すわけです。現実には出さぬかもしれぬけれども、それを変更したために会社が損をしたとかあるいは何とかいう場合に、政府の責任というものはどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/13
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014・須賀賢二
○須賀政府委員 需給計画が相当大幅に狂って参りました場合、法律の第四条によりましても需給計画の変更をいたす場合が予想されておるわけでありまして、本質的に計画を組み直さなければならぬというような事態が起きました場合は、第四条の規定に基きまして、それに即する処理をして参るわけでございます。これは内外のいろいろな経済的なあるいは経済外の要因等もいろいろ積み重なりましてそういうような事態が出るわけでございますから、実際にどういう原因でそういうことになったかというそのときの状況によって判断をいたさなければならぬわけでございますが、一般的に考えられます方向といたしましては、その場合政府がメーカーに対して経済的に何らかの補償その他の措置をとるというような事態は、目下のところ予想いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/14
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015・久保田豊
○久保田(豊)委員 そういう場合には、結局いやおうなしにダンピングをやらざるを得ないと思うのです。そうなれば輸出会社の赤字というものはますますよけいになってくる。少くとも国内に転嫁しなければ、輸出会社の赤字が大きくならざるを得ないと思う。現在でさえすでに七十億とかなんとか言われておる。これはいろいろ検討をすればもっとずっと少くなると思いますが、いずれにしましても、こういうふうに運用の次第によっては輸出会社の赤字が今後ますます大きくなるか、そうでなければ国内に転嫁するか、どっちかの点になってくると思います。ですから、ここらの点についても、そのときにどういう事態が出てくるか、その事態の推移によって詳しくその事態を検討してやるということでは、少しあやふやだと思うのです。ですからそういう点については、政府としては、基本的な方向なり方策というものは今のうちからある程度考えて、これを決定というまではいかないにしても、これは研究をして、そういう事態が起きた場合でも対処し得るような態勢を今整えておくことが必要ではないか。すべて最近の農政なり何なりのやり方というものは、出たとこ勝負で、問題に火がついてどうにもならなくなってから、あわを食って一生懸命いろいろ手を打つけれども、そのときは間に合わない。その一番いい例は、農林省関係で言えば、牛乳の例だのお蚕の例だと思うあれだけの銭を使って、あれだけの効果しかしらなかった。あんなばかなことはないと思うですから、こういう点については、能力はどんどんふえていく、そうして輸出市場は非常に不安定な要素が多い、しかも操短をすればコストが相当上ってくる、こういう事態ですから、そういう場合にはどういうふうな方向で切り抜けていくかということについてあらかじめ用意をしておくということはは、私は当然な話だと思う。今のお話では大体において出たとこ勝負だということですから、私はそういうことでは困ると思いますが、この点についてなお突っ込んだ検討があるのかないのか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/15
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016・須賀賢二
○須賀政府委員 私の申し上げました趣旨があるいは不十分であったかと思うのでありますが、ただいま御審議を願っております肥料二法は、輸出による赤字と申しますか、欠損と申しますか、輸出によって割安に売りましたものを国内に転嫁をしないということが基本の建前になっております法律でございます。従いまして、ただいま御指摘のような場合も、将来生産に相当過剰分が出ましてダンピングというような事態がかりにあったというような場合にいたしましても、それは国内には転嫁をいたさないということがこの法律ではっきりいたしておるわけであります。私ども考えております方向といたしましては、その場合これが国内にはね返るという事態は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/16
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017・久保田豊
○久保田(豊)委員 しかしそれは私はずいぶん無理な話だと思う。私は決して肥料商の味方ではありませんが、こうして生産から価格から何から一切を統制しておって、しかも需給計画も立ててそれに基いて生産をさせておいて、それが狂ってどうにもならなかったら、輸出会社に赤字をみな積んでおけ、政府は責任を負わない、そうして国内にも価格にも反映をさせない、遮断はしておる、それでもって事態が済むものかどうか。もちろん私どもは農民の立場ですから、国内の価格なり何なりに転嫁させないということは基本の原則です。しかし、それをほんとうに生かすには、事態がだんだん今までとは変ってきたのですから、同じこの二法の運用でも、ここらについて明確な政府の態度というものがなければ、私はどうにもならぬと思う。向うの委員会でも聞きましたところが、それは五カ年後に合理化ができて、あと輸出がうまくどんどん伸びて相当もうかるから、もうかったらそのもうけたうちで、幾ら赤字が積ってもそれはなしくずし的にやっていくというのですが、一年間に五十億なり八十億のいわゆる売掛代金ができて、その全部が損失でないまでも、それが五カ年も七カ年も積んで、おそらく何年先になったら黒字になるかわからぬものを、それを会社に持っていけと言うのは無理ですよ。そんな無責任な政治というものはない。ですから、こういう点については、局長は今の法律の建前からいけばそうなると言うよりほかはないと思うので、次官にお尋ねいたしますが、そういう事態が起きてこなければけっこうです。しかし、どう考えたって、合理化の点から言っても能力はふやさなければいかぬ。そして輸出依存度はよけいになるが、輸出に依存をすべき輸出市場というものは非常に不安定だ。単なる経済的な努力だけでは打開ができないというふうな要素を多分に含んでいる。しかも、それが狂った場合においては、どこかでこれを処理しなければならないということになるわけですから、今のように滞貨が非常によけいになって赤字が出た、あるいは法律第四条に基いて生産制限なり需給調整を変更するという場合、そうしたものによって生じたものをどういうふうにするかという基本の政策を農林省、通産省は今のうちから考えておくべきだと思う。それを考えない肥料行政なんというものは無責任きわまる、こう思うのですが、この点についてもし次官のお考えがありましたら聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/17
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018・石坂繁
○石坂政府委員 将来の国際情勢ないしは肥料需給情勢の変化によって輸出会社が赤字を生じた場合の処置をあらかじめ講じておかなければ出たとこ勝負じゃないか、こう言われるとまことに恐縮でありますが、この点に関するただいまの政府の考え方は今局長がお答えした通りでございます。しかし、さような事態が生じました場合に、十分に赤字の数額及び内容等も検討いたさなければなりませんが、それを消費者に転嫁するわけにも参りませんし、さればと申して直ちに国が負担するというわけにも参らないことであります。もしさような場合に必要があれば長期の金融等で赤字を消すような方法を講ずる、こういうことになろうかと考えます。いずれ肥料審議会等にもその点は諮りまして、十分この後検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/18
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019・久保田豊
○久保田(豊)委員 この点は大臣が来ましたらもう一度お伺いしたいと思う。
その次にお伺いをしておきたいのは、これは商工委員会の方でもお聞きしたのですが、特に重要な問題ですからお聞きしておきますが、この需給計画と連関をいたしまして、私は今後の肥料二法の運用の中では必ず操短という問題が出てくると思います。これは長期にわたる操短であるかあるいは短期にわたる操短であるかはいろいろ事情によって違いましょうが、その操短のやり方をどうするのかということです。これは、商工委員会の方で聞いたときは、どういうお答えかというと、もうはっきりしてない。要するに、肥料審議会の方に御相談をしてそのときの状況によって適宜実情に合ったようにやりますということで、こんなばかなあれというものはあるわけはありません。そこで、私がこの点についてお伺いしたいのは、そういう事態が出たときにも業者の自主調整によるところの操短にまかせるという方針か、あるいは安定法の第五条による生産指示による調整、生産の指示権をもって——これは発動したことのないものですね。これに基くいわゆる調整操短をするのか、この点が一点です。あるいはその中間方策をとってやるのか、この点が一点。さらに、その場合の操短は、今の硫安業界から言えばおそらく一律操短ということになりがちです。それでは私は合理化の趣旨は貫かぬと思うどうしても、合理化が進んでコストが安いものは操短をしないでもってフル操業をさせる、コストが高く合理化の進んでいないものから操短をするという政府の基本的な態度がなければ、そう言っては失礼ですが、今の通産省と農林省のように、肥料屋の言う通りになるようでは私は非常に困ると思う。ですから、この点については、私の表現がいいかどうかわかりませんけれども、私はやはりバルク・ライン方式に沿うた傾斜操短という線をはっきり政府としてはきめておいて、これを法律に基いてやるか、あるいは自主調整でやるか、その中間方式でやるかという、これらの点はもうすでに検討をして方針を立てておくべき問題だと思うのです。これは商工委員会で聞きましたが、さっき言ったようなわけで、何を言っているやらてんで見当がつかない。そこで、もう一度この点について明確なお答えをしていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/19
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020・須賀賢二
○須賀政府委員 操短というような事態が万一出ました場合どういうふうに処理をして参るかということでありますが、従来の肥料審議会等でいろいろ論議をされました経緯などから申しましても、また、需給安定法の精神と申しますか、流れておりまする考え方からいきましても、いわゆる純然たる自主操短ということは肥料については一応予想をしておらぬと申しますか、そういうやり方で処理をする場合を考えていないというように私どもは考えておるわけでございます。その場合は当然需給計画の変更になって参りまするし、その場合は手続といたしまして肥料審議会にも十分御相談を申し上げるわけでございますので、それらの手順を踏んで実際に操短ということが必要であればその実行の方策を考えるということに相なるものと考えております。その場合第五条の生産の指示というような手続がとられるかどうかは、メーカーの方の考え方と、肥料審議会の方でいろいろ論議いたしました結果とが、ほぼ考え方が一致をいたしまして、特にそういう行政手段を事あらためてとる必要はないというような事態でありますれば、事実問題としてそういう手続も踏まないで参ると思いまするが、国において何か積極的に行政措置をとらなければならぬというような事態でありますれば、五条の規定の発動ということも場合によっては考えられるかと思います。操短の具体的な方法につきましては、これは商工委員会でも御質疑があったのでございますが、この点は、現在の段階で非常に具体的に申し上げますことは、率直に申し上げましてそこまで考え方の整理が関係者の間でついておりません。同じようなことを繰り返すわけでございますが、その事態に即しまして、消費者に対する影響、生産者に対する影響、あるいは輸出価格等に対する影響等も十分総合勘案いたしまして、最も妥当な操短方法をとるということにいたしたいものと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/20
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021・久保田豊
○久保田(豊)委員 この点については通産省側の考えをもう一度聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/21
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022・村田豊三
○村田説明員 ただいま農林省経済局長からお答えしたことと全く一致するのでございまするが、ただ一言だけ補足を申し上げます。実は昨年の秋に長時間にわたりまして今後の肥料のあり方につきまして肥料懇談会というものを政府は持たしていただきました。そこで関係の各権威の御意見も十二分に承わったつもりでございます。その際に、やはりただいま久保田委員御指摘の点が問題になったわけでございますが、懇談会の大体一致した結論といたしましては、今後そういう操短をいたさなければならないような事態が発生したときといえども、ただ業界の自主的な調整にゆだねてはならない、これは政府が積極的に介入をして、政府の行政指導のもとに支障のない操短を行うようにしたいという発言があったのであります。私ども、この点につきましては、この意見を十二分に尊重して参る所存でございまして、その意味で、ただいま経済局長からもお答えした通りであります。なお、法律的にはこの点は需給安定法の需給計画の変更にも当然関連する問題でございますので、当然肥料審議会という審議の場を経過いたさなければならないことでございますし、また、政府が需給計画の変更をするということは、需給計画の主務官庁は農林省と通産省両省でありまして、通産省独自の立場から独断的な指示はできないと考えますので、十二分に両省が相談をいたしました上でしかるべき行政措置をとっていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/22
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023・久保田豊
○久保田(豊)委員 今の説明では、大がいの問題がしかるべき措置になってしまうわけですね。それでは困ると思うのです。この点については、私ももちろん肥料審議会の審議の資料もいただいておりますし、一応目を通しております。ですが、合理化計画でも、これが非常に実行性がある、現実性があるということでもって出されてきたのは何かと言うと、各会社が自分でこうやりたいという計画を立てた、それを集計して、これが第二次五カ年計画でございます、通産省の出し方はこういう出し方です。こういうことで第一次計画も出発したわけです。こういう点についてはもちろん肥料審議会等において各界の意見を十分聞かなければいかぬが、私は、どうしても今後の肥料行政の中ではよほど政府がしっかり腹をきめてあらゆる点において主導権を発揮していかなければうまくいかないと思う。特に操短等については、そのときの出たとこ勝負でもって肥料審議会のいろいろな意見のある連中のごたごた言うのを聞いておったって、なかなかうまく参らない。ですから、こういう点については、政府はこれから五カ年間の大体の計画が頭のうちにあるわけですから、これらの状態において今のうちから相談をやるとすれば、こういうふうにしていこうという具体案を出して、これを審議会において審議してくれというなら話がわかりますが、手ぶらで、皆さんの御意見を聞いてからきめます、こういう無責任なことでは、民主主義のように見えて民主主義ではないと思う。ですから、こういう点は、私ははりきりこの合理化の問題と操短の問題を結びつけていくのが当然だと思う。それがないから私はしつこく聞いておるわけです。すべて業者まかせです。土台は業者が勝手に合理化計画を立てている。それを集計して出してくる。操短はどうやってやるのかと言うと、肥料審議会とよく相談していたします、これではどうにもならぬと思う。ですから、この点は、もう一歩突っ込んで積極的な立場から、官庁側自体が、もちろん理想論ではいけません、抽象論ではいけませんけれども、現実に足をふんまえて、しかもいろいろな今後の変化に応じ得るような積極施策を今のうちから用意されて肥料審議会に臨まれることが、肥料審議会のみならず硫安工業全体の指導においてぜひ必要のように思われるので、この点については繰り返し要望を申し上げておきます。この点についてはなおいろいろありますけれども、あまり時間がないからはしょります。
次に、まず一番問題になりますのは、今までの需給を国内について見ると、需給計画が実績よりは少し下目に作ってあるのではないかと思います。つまり、実績から言いますと、需給計画の方が少し少いという点が見られるように思うわけです。こういう点はどういうふうに調整をしていくつもりか。また、もう一つ一番問題になります例の調整保留分、これは御承知の通り、この前の法律改正によって、政府がこれに対する援助なり何なりはされなくてもいいようになっておる。しかし、これは今までとは違った形において必要になりはしないかと思うが、この点の扱いはどういうふうにやっていくつもりか。もっと具体的に言いますと、輸出を伸ばす過程において、輸出がなかなか困難になってストックができるという状態のもとにおいてはこの調整分はそんなに必要はない。しかし、さっきから言いますように、非常に政治的な要因と結びついて、日本の硫安市場というものは非常に不安定である。例をとってみれば、かりに中国問題が片づくと、とたんに四十万、五十万というものがわっとまとまる公算が非常に多い。減るような公算もほかの地域においてありますけれども、非常にそういう不安定要因が多い。そういう場合に急にやらなければならぬということになってくると、これが国内の需給関係や価格等に相当大きく影響してくるということはいなめない。国内価格の場合においても、これはもちろんマル公を上回わることはないでしょうけれども、そういう点がいろいろの問題にひっかかってくると思いますが、今の調整保留分の今後の扱いは今までとは違った意味を私は持ってこようと思います。しかし、それにしても必要だと思うが、これについてはどういうふうに考えておるのか、お聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/23
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024・須賀賢二
○須賀政府委員 今後の需給計画を策定いたします場合の国内消費量の見込みにつきましては、これは特に多い目とかあるいは少目とか、そういう特別の考え方は織り込みませんで、生産担当の部局ともよく相談をいたしまして、実際の消費見込み量を計算をして計上いたしたいと思っております。調整保管数量は、これは、現在のような需要関係のもとにおきましては、いわゆる需給計画上の調整保管数量でございまして、現実に保管団体が保管をするという数量ではございません。しかし、今後も需給関係は必ずしもわれわれが通常予想をしておるような事態には参らぬ事態ももちろんあるわけでありまして、今後の需給計画にはやはり調整部分の数量は一つの要素として計上をいたして参るつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/24
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025・久保田豊
○久保田(豊)委員 そうすると調整保留分については、数字上は一応置いておく、保管団体には持たせない、そういう格好で、そういうものはどこかに一応数字として現われるようにやっていく、こういうわけですか。具体的にはどうやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/25
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026・須賀賢二
○須賀政府委員 これは、調整保管数量が入っているか入っていないかによりまして——現実に輸出が非常に大幅に出ていくというような事態が万一ありました場合、これは輸出数量は許可制になっておるわけでございます。その場合に、調整保管数量が需給計画に計上されておりますと、その分を差し引いて、その分がいわゆる国内で優先的に保留する数量になりまして、その残りが輸出価格数量ということになってくる。従って現実に保管をいたしておりませんでも、万一輸出が大幅に出ていくというようなときに、国内の所要量を確保しなければならないというときには、数量に計上してあるだけで十分有効に働くわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/26
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027・久保田豊
○久保田(豊)委員 そううまくいきますか。数量を数字自体やっておいて、実際には保管をせずに、輸出が大幅にどっと出てくるというような情勢の中で生産が間に合わぬという場合はどうしても保留分を数字だけ食うということになると思いますが、その点はどうして具体的に規制しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/27
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028・須賀賢二
○須賀政府委員 そのときの需給関係によりまして、単にワクだけでなく現物を調整保管数量として確保しておかないと国内の全体の需給が混乱をするというような事態が万一ありますれば、これは今度の延長法の調整保管を命ずる規定を発動いたしまして現実に保管をさせるというような事態は十分あり得るわけであります。これは、前回の法律改正で、義務規定でなくていわゆるできる規定にいたしまして、そういう事態に備えておるわけであります。これは発動して参るということに相なろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/28
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029・久保田豊
○久保田(豊)委員 もう一点、需給計画についてお伺いしておきたいのは、硫安と尿素あるいは高度化成、主としてこの三つに重点が置かれております
が、この需給計画上の配分、これは生産の方は今の計画でいくと大体において主として今後の重点は尿素と高度化成、こういうものに重点が置かれていくということになろうと思います。輸出の点とこの生産の面、それから国内の点、これらの調整をどういうふうにやられるつもりかということであります。それは、生産の方から言うと、今の会社とすると、尿素やそのほかのものの方がどうも硫安よりはもうかりそうだ、従ってどうもこれに重点が置かれがちになろうと思います。ところが、肥料を使う方の側から言うと、尿素や無硫酸根肥料、こういう形では、なるほど成分的にやはり有効かもしれませんけれども、現実に日本の農業の技術において使う、こういう点から言うと、必ずしも尿素なりあるいは高度化成に重点を置いていっていいかどうかということが問題になります。まして、この前に申し上げましたように、海外のもっと日本よりもおくれた農業技術の段階でそれがうまくいくかどうか。もっと具体的に言うと、生産計画の方は尿素なり高度化成なりあるいは塩安に重点を置いていくと、これをいやおうなしに需給計画の中に押しつけていくという事態が起きないとも限らない。こういうことの需給調整はどういうふうに今御計画になっておるのか、この点もお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/29
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030・須賀賢二
○須賀政府委員 肥料形態の傾向と申しますか、今後変って参りまする見込み等につきましては、農林省といたしましても、もちろん、各種形態の肥料の施肥指導は、その土地の条件あるいは作物の条件等によりまして、地方の試験場等を通じまして十分綿密にやっておるわけであります。施肥指導と別に、たとえば尿素なら尿素というものを積極的に使えといったような指導の態勢は農林省としてもとっておらないわけであります。ただ、肥料形態の中で石灰窒素につきましては、数年前に他のアンモニア系肥料に転換指導をしたことはあります。その他の肥料につきましては、積極的にどの肥料からどの肥料に転換というような行き方はいたしておりません。むしろ現在の肥料形態の変更は、メーカーの方でいろいろ実勢を見ましてそれに応じて計画を立てて参っておるのが実際の実情であります。従いまして、今後肥料形態がどういうふうに変って参るかということは、末端消費の実際の動向に応じて支配されるということになるのではないか、その動向によってメーカーにおいては場合によっては今後各肥料別の生産計画を調整して参るということになっております。
なお、輸出関係も、いろいろ尿素でありますとかあるいはその他いわゆる新形態の肥料が最近の傾向としては順次増加をいたしておる傾向にあるわけでございまして、これをもって輸出市場の実際の需要に応じた生産計画を立てて参る、さような方向に向って参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/30
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031・久保田豊
○久保田(豊)委員 ところが、あなたはそう言われるが、この第二次五カ年計画を見ますと、これはどうしても生産者としては硫安なり塩安なり高度化成に重点が置かれていますよ。この生産者の立場が、今あなたの方は末端の消費の動向によって生産の調整をすると言っているが、そうじゃない。今出されている計画は逆な計画じゃないですか。そうなるとそこに相当無理が起きやせぬかということを心配するのでこういう質問をしているのです。この点については通産省と農林省はつまりどういう打合せをやるつもりか。打ち合せをすでにしておるのかどうか。今出ておる計画はほとんど尿素、高度化成が重点です。こまかく言いませんけれども、この内容を見ればそういうふうに思われるが、この点はどういうふうに調整をするつもりか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/31
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032・須賀賢二
○須賀政府委員 私の申し上げました趣旨は、もちろん五カ年計画で各肥料形態別の各年次の生産見込み数量が策定いたしてございますが、ただ、これは、その種類別の数量を見積ります考え方といたしましては、やはり末端消費の動向というものを十分見て考えなければなりませんので、その動向をにらみながらそういう数字を策定いたしておる、こういう趣旨で申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/32
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033・村田豊三
○村田説明員 ただいま経済局長からもお答え申し上げました通りでございまして、傾向としては、御指摘の通り、硫安が大体横ばい傾向、その他のア系肥料、なかんずく尿素、塩安等には増産の傾向が現われておるわけであります。こういうふうな数字を確定いたしましたのも、今後のアンモニア系肥料の全体の消費の動向と、そのアンモニア系肥料の中でも硫安がどういう消費の傾向をたどるであろうか、尿素はどういう消費あるいは輸出の傾向をたどるであろうかという、大体の過去の経験的な数字もございまするし、今後の見通しも、それぞれの輸入国等の動向等も、もちろん正確ではございませんけれども、ある程度の見通しができますので、それらの国内の需要の見通し並びに海外輸入国の消費の動向を勘案いたしまして、大体この程度の生産規模でいいのではなかろうかというふうに策定したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/33
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034・久保田豊
○久保田(豊)委員 その次には、今度価格の問題で、これはやはり一番何といっても国内とすれば重点になることですから、二、三重点をお伺いしたい。
この肥料二法がそのまま、特にこの安定法がそのままということでございますれば、主として十三条の規定がそのままいく、従って、政令とその政令の附録、これがそのまま生きることと思いますが、この点はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/34
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035・須賀賢二
○須賀政府委員 法律は申し上げるまでもなく単純延長でございますので、第十三条の規定はそのままでございます。十三条の規定に基きまして政令に価格算定方式が規定いたしておるわけでございますが、これにつきましても、目下変更いたす考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/35
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036・久保田豊
○久保田(豊)委員 当然そうなくちゃならぬと思いますが、要するに、この点について、御承知の通り、肥料メーカーが一番文句を言っておるわけです。バルク・ライン内の加重平均方式じゃやっていけない、要するに合理化のメリットはみんな食われてしまってもうけがないということで盛んに文句を言っておることは御承知の通り。ですから、この点は、通産省側ではよろめかんで、一つ政令をその附録はがっちりこれを厳格にやっていくということをやはり中心にしてもらわないと困ると思います。
この点はそれに連関いたしまして二、三お伺いいたしたいと思いますが、十三条の二項にはア系肥料の「生産費又は輸入価格」とあるのですね。あるいは「農産物価格、肥料の国際価格その他の経済事情を参しゃくし」云々、こう書いてある。つまり参酌要因というのが相当あるが、輸入価格というのは大体何をさしておるのかとい
う点がどうも私にはよくわからない。これを教えてもらいたいと思う。それから、農産物価格、それから国際価格、特に国際価格と輸入価格というのはどういううふうになっているのか。また、その他の経済事情等というのは、こういう参酌事項が今までどの程度とられているかというと、ほとんど考えられておらないという点だと思うが、この参酌事項を今までどういう形において国内のマル公をきめる場合の一つの要素として取り入れてきたのか、あるい取り入れておらなかったのか、今後どういうふうにこれを織り込んでいくつもりか、これらについてのお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/36
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037・須賀賢二
○須賀政府委員 「輸入価格を基準とし、」という規定がありますのは、十三条の一項で「生産業者又は輸入業者の販売価格につき、その最高額を定めることができる。」となっております。従いまして、肥料を外国から入れますと——こういう問題は現在ありませんが、たとえば硫安を輸入をいたしまして、それを国内向けに販売をするというような場合が万一あったといたしますと、その国内マル公をきめます際に、これは輸入価格が基準になる。これは現実の問題としては今のところそういう事態は考えられません。それから、参酌要素といたしましては、「農産物価格、肥料の国際価格その他の経済事情を参しゃくして定める。」となっておりますが、これは従来の肥料審議会で諮問をしてマル公をきめました実際の模様を見ますると、農産物価格、肥料の国際価格を参酌をしたということは実際の例としてはないようであります。と申しますのは、生産費からはじき出した数字そのものをいろいろ検討して最終的にきめておりまして、現実に農産物価格がどうなっておる、あるいは肥料の国際価格がどうなっておるということを計数的に出しまして、それをどういう算式でどういうふうに参酌したかというようなことは、今までやっておらぬようでございます。ただ、その他の経済事情の参酌につきましては、三十二肥料年度でございましたか、生産費を出しましたものがその前年度の価格を上回る結果になったという時代がございます。その場合は、物価の長期動向等をも参酌いたしまして前年度並みに据え置いた、そういう参酌の仕方をしております。今後の問題といたしましては、来肥料年度の価格形式の場合に備えましていろいろ関係省の間でも検討いたしておるのであります。やはり、農産物価格、国際価格というようなものはある程度計数的に出せるものなら出して、それらも参酌でありますから単に足したり割ったり
というわけにいかないかもしれませんが、計数的ににらんでみるということは必要ではなかろうかというわけで、いろいろ検討いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/37
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038・久保田豊
○久保田(豊)委員 大臣がお見えになりましたから、重要な点だけ三、四御質問したいと思います。
今度御承知の通り肥料二法案がそのまま一応五年間延長されるということになったわけです。しかし、肥料、特に硫安を中心とするア系肥料の工業の事情というものは全く変ってきた。つまり、輸出に非常にウエートがかかってこざるを得ないような構成になってきた。しかも、その輸出市場が、経済的な要因だけでありませんで、政治的に不安定要因を非常に含んだこの市場に依存をしなければやれないということになったわけです。こういう新しい事態の中で、特に大臣にこの機会に念を押す意味においてお聞きしたいと思うのです。
特に、硫安工業協会ですか、硫安協会ですか、そこらの意見等を雑誌や新聞なんかで見ますと、相当この肥料二法がじゃまでしょうがないということになりましてもこれの運用ということについては相当考えてくれなければ肥料はやっていけないのだ、こういう意見が圧倒的に強い。そこで私は第一に大臣にお伺いしておきたいのは、これはもちろん農林大臣としてはそうなくちゃならぬと思いますが、やはり、肥料二法の運用というものを、従って硫安工業に対しまする政府の基本態度としては、何としても内需優先、この線をやはり最後までいかなる場合においてもあらゆる部面において貫く、この基礎の上に輸出産業としての硫安工業というものを育成していく、こういう基本の態度がなければならぬと思うのであります。これがぐらつきますと、肥料二法がありましても、いろいろの点がぐらついて参る公算が非常に多いと思います。それで、この点をどういうふうにお考えになっているかという点が一つ。
もう一つは、肥料二法を運用する場合の基本的な政府の心がまえとして、もう一つの点は何かというと、かりに海外から硫安を輸入した場合に、これでもって日本の国内の農業なりあるいは硫安工業の合理化がどう進んでいくか。この基本はいつも抜けるわけであります。そうして、硫安工業を考える場合には、国内だけ考えて、そうしていろいろやる。こういうことでは私は合理化も何も農民の立場から言えば大してありがたくないということになろうかと思うのです。もちろん、現実にすぐに硫安なりその他の肥料を外国から輸入さして、国内の硫安なり何なりと自由競争させるというのではありませんけれども、運用する基本の精神というものは、合理化を徹底さして肥料工業の基礎を輸出工業として確立するについても、農業の立場から言っても、この基本の精神に立っていかなければ私はだめだと思う
この二点については、これが一番基本だと思いますが、これについて大臣は農林大臣としてどう考えているか、一つお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/38
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039・三浦一雄
○三浦国務大臣 肥料二法案を差しはさんでいろいろの議論のありますことは御指摘の通りであります。しかし、私は、一貫しまして、この肥料問題につきましては、農村に対する肥料を供給する、内地の肥料を確保するということを堅持いたしまして、その立場から各般の折衝並びに施策をいたしておるわけでございまして、これは決して御心配ないようにお願いしたいと思います。
第二段の価格等の問題でございますが、かりにもこの合理化等が行われないで、外国の方が非常に有利な安いものが出るようになった場合には、輸入まで考えなければならないじゃないか、こういう御指摘でございますが、これは数年の合理化の経過を見まするならば御了承下さることと思いますが、相当に合理化をして値下げをしてきているわけであります。そうして、その急先鋒になってその導因を作り、これを推進しておりますものは、実は農林省を初めこの方面の努力であろうと思うのでございまして、われわれは、今後とも、この合理化の推進につきましては、従前の見地から論議もするし、諸般の資料等につきましての検討も怠らず、そうして御発言のような趣旨を貫徹いたしたい、こういうかたい決心でございますから、この点を申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/39
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040・久保田豊
○久保田(豊)委員 その次は、これは通産大臣に私はくどく申し上げたのですが、農林大臣に特に申し上げておきますが、今度の第二次五カ年計画のコスト・ダウンの目標は高過ぎますよ。国内四十七ドル、海外四十五ドル、これはどう見ても、私はしろうとでよくわかりませんけれども、たとえば通産省からもらったいろいろの資料を私どもの手に入った資料と比べてみますと、高い四十五ドルでは五年後の国際競争にはたえない。これはもう明らかだと思う。通産省ではこれでも大丈夫だということを言っておりますけれども、今の世界各国の硫安工業の合理化の進展の工合やその内容等をしろうとながらいろいろ専門家に聞いてみますと、とてもこれではだめだということです。国内でも少くとも四十ドルないし四十二ドルの線までは行き得る公算は相当あります。私は、この点をやはり目標にしてやっていただくということがこの際一番大事じゃないか。要するに、なぜ四十五ドルが高いかというと、これもさっき大臣おいでにならぬ前に言っている通り、各業者が現在の施設を中心にしてこれに合理化をしていこう、つまり流体原料化していこう、そうして業者の出した採算表が土台になって四十五ドル、四十七ドルという線が出ておるようです。私は、こういうことではとても第二次合理化計画もうまくいかないと思う。さっき大臣は、第一次合理化計画は大成功だ、こういうようなお考えを持っていますけれども、これは成功どころじゃありません。はっきり言って失敗ですよ。十五ドルのコスト・ダウンをするということであったのに、十ドル見当にとまっちゃって、実際の能力だけは大きくなった。そして流体化はずっと世界から立ちおくれてしまった。そして、むだな方に銭を使って、能力だけ大きくなる。その始末をしなければならぬのはこの次の今日の段階です。ですから、私は、この点については、日本としては流体原料化についてもいろいろの制約があって外国と同じようにいかないこともよくわかります。しかし、流体化に活用し得る資源というようなものはまだ相当あるように思われます。そしてまた、これを安く生産する道も相当残されておるようです。しかも、今度の第二次合理化計画は既存工場を全部生かしていこうという構想です。そうである限り、これはどうしてもコストは高くなる。ですから、この辺には思い切った徹底をした新しい観点からの合理化を第二次計画においては政府が積極的にやらなければ、業者追随の第二次合理化計画では硫安工業は五年後にまた今度と同じような不況がやってくる。それで、そうなった場合には、日本の今の全体のあれから見まして、必ず国内の肥料価格にしわ寄せされてくるという結果に当然なろうと思います。ですから、この点については、通産大臣も、もう一度そういう点を検討し直す、こう言っておりますから、農林大臣は、こういう点についても、通産省にいたずらに追随してやることなく、もっと突っ込んだ検討をぜひお願いしたいと思いますが、そういう点についてはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/40
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041・三浦一雄
○三浦国務大臣 われわれは、この次の四十五ドル目標の合理化で必ずしも満足しているわけじゃございません。各般の検討を加えまして、一そう合理化が推進し得るようにしたい。さらにまた、現在の設備をそのまま見のがしているのじゃないかと言われますけれども、これはある意味ではスクラップ化しましても新しいものにかえていかなければならぬというのは日本の肥料界の運命だろうと思います。これに伴いまして政府も相当の決意をしなければならぬわけでございますが、その詳細はこの際は避けますけれども、常時通産大臣にお話しておるというようなことで、財政上の関係もありますので、なかなか進まない点もありますけれども、今御提案のように、私たちも極力その問題につきましては合理化の推進は依然努力をしていきたい、こういう方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/41
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042・久保田豊
○久保田(豊)委員 もう一点は、非常に生産規模が大きくなって、そして輸出依存度が大きくなる、その輸出があらゆる意味において非常に不安定である、しかも、これは、装置工業の特性からしまして、操短をすれば非常にコストに大きく響いてくる、こういう性格の工業であります。しかしながら、そういう事情ですから、必ず今後においては操短という事態に追い込まれる場合が相当出てこようと思います。そこで、その点についてお聞きしているのですが、そのときは実情によって審議会等と相談をしてやる、こういう程度のお話ですが、これでは困る。私は、この点については、さっきから事務当局にお聞きしておるのですが、操短は、少くとも合理化が一番進んだコストの安いものからずっと生かしていって、操短するのは一番コストの高い合理化の進まないやつを切って落す、このくらいの方式をはっきり持っておらなければだめだと思う。硫安協会なり何なり業者にまかせれば、おそらく一律操短になります。ですから、そういう点については、いわゆるバルク・ライン方式に準拠した傾斜操短の方式をはっきり具体的に政府が今のうちから御検討をしておかれることが、今後の肥料工業の合理化を進める上においても、操短というような点についても、私は一番適切ではないかと思う。これについても高碕さんにもお聞きしましたけれども、そこまでは考えておらないということでした。事務当局の方は、そのときに各界の御意見を聞いてというのですが、ああいう構成の肥料審議会に、政府が手ぶらで出て、どうしたらよろしゅうございましょうかと言えば、いいかげんな結論しか出てこないのはわかり切った話だ。ですから、この点については、特に農林省の立場は、はっきり傾斜操短の方式を堅持をして、通産省ともその具体化について十分検討され、折衝されるということが必要だと思いますが、この点はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/42
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043・三浦一雄
○三浦国務大臣 今の点、実は農林省を支持するグループといいますか、これが常に肥料審議会等を通じまして強く発言され、これが相当の政治力、影響力をだんだん持ってきているんですが、われわれは必ずしも硫安協会だけの意見を聞いているわけじゃございません。今御発言のありましたように、いやしくも操短によってコストが非常に悪影響を受けたりあるいは生産数量等について肥料事情に悪影響のないように、最善を尽して参りたい、どこまでも肥料を守っていく、こういうことで進みたいと思いますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/43
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044・久保田豊
○久保田(豊)委員 もう一点。そういう格好で今までと違って運用上いろいろ困難な点が出てき、また非常に条件が複雑になって参ります。そこで、そのしわ寄せがさしあたりは輸出会社の赤字という格好になって累積されると思います。これは、今までお聞きしたところでは、五年後に合理化の実績が上ってきて、輸出でもうけて、それで落していく、それまでは積んでいくのだという話ですが、一年に五十億なり七十億の輸出の赤字が累積していく。これを分析すれば、運賃部分だとか利潤部分でそういうものは落ちますので、ずっと小さくなると思います。それを売掛代金という形で五年も七年もためておいて、そうしてそれは業者が自力で直接合理化の効果によってあとで取りくずしていく、こういう行き方は私は無理だと思う。私は決して肥料会社の味方じゃありませんが、そういうふうないいかげんなことをしていれば、いやだって何らかの形において国内価格に転嫁せざるを得ない。そこで、これはドイツのように補助金とかなんとかいうことをしないまでも、こういう売掛代金の正当な金額については、やはり業者のそういう点を救ってやるといいますか、道を開いてやることがぜひ必要だと思います。この点については高碕さんにも特に申し上げておきましたが、農林大臣もこれについては十分お考えを置いていただきたいということを申し上げたいのでありますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/44
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045・三浦一雄
○三浦国務大臣 実は、今回の合理化の問題につきましても、御承知の通り、通産大臣と一緒になりまして強く要望したのは、従来肥料工業等については低利の金さえ供給しておらぬ、あまりめんどうを見ておらぬが、片方の電気だとか製鋼だとか造船だとかいう方面については相当見て保護してきた。しかし、肥料工業というものは、農村にとっても非常に重大であるし、かつまた化学工業としても大切な問題であるから、その道を開くということで、今後若干の低利な金を供給するということになります。それから、先ほど御意見のありました流体原料について、必要な油の輸入の問題についてもいろいろ免税の措置をとっていく、こういうことになります。特に輸出の問題についてくさぐさのあれもあったんですが、これは不幸にして他の関連において実行はできなかったのです。しかし、これらは、高碕さんの努力によって開いたわけであります。これらは一面においては今後の合理化に資すると思いますが、しかし、これだけで今御指摘になったようなたな上げされておるところの赤字を直ちに解消し得ないと思うのであります。この問題につきましては、これらの方策を将来拡充する、あるいは新しいものを求めて一つの安定したものにしませんと、究極において産業自体が弱る、弱ってしまえば日本の内地の肥料等にも影響を及ぼすわけでありますから、われわれもその事情をよくわきまえて、その対策等は通産大臣ともよく打ち合せて今後とも万全を期したい、かように考えておりますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/45
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046・久保田豊
○久保田(豊)委員 もう二点だけ簡単にやります。
一点は、今度輸出入取引法の一部改正案が出るわけです。あれによって、輸出物資については、輸出のみにならず内需についても、生産者、販売者、すべてにわたってのカルテル行為ができることになるわけです。この具体的な関係はあとでお聞きをしていきたいと思いますが、私がお聞きしたいのは、この問題については、改正取引法による輸出振興カルテルを認める物資の指定は、これは通産省の政令でやることになっておるのですが、この政令の指定については通産大臣は農林大臣と事前に十分協議するという両者間の覚書ができた、あるいはア系肥料は輸出入取引法の振興カルテルの品目から除く、はっきりこういう協定ができたというふうなうわさも聞いたのであります。ところが、せんだって確かめてみますと、そういうことはありませんと事務当局は答えておるわけです。そういう点での協定があるのかないのか、はっきり政令から除くということの協定ができたのか、あるいは単に相談をいたしますという協定だけなのか、この点を一つ大臣に確かめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/46
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047・須賀賢二
○須賀政府委員 初めに私から、輸出入取引法を前国会に提案をいたします際の両省間の打ち合せの内容につきまして申し上げますが、輸出入取引法改正案を提案いたします際に農林次官、通商産業次官との間で取りかわされました了解事項の主要なる点を申し上げますと、第一点は、輸出入取引法に基く認可処分または命令が肥料の流通または消費についての認可処分または命令である場合には、主管大臣は通商産業大臣及び農林大臣である。操り返して申し上げますと、この法律に基く認可処分または命令が肥料の流通消費に関係しております場合にはこれは両省の共管であるということで、これは法制局も入りまして所管関係をはっきりさせたわけであります。それから、ただいまの政令の関係でございますが、政令につきましては、その生産の所管が農林大臣に属する貨物または肥料もしくは農林水産専用物品に関しましては、政令の制定に当っては両大臣があらかじめ十分協議をする。これはいわゆる事前の事務的協議であります。最終的には閣議に持っていくべき問題だと思いますが、両省の意見の調整がはかられないで政令が出るということは実際問題としてないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/47
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048・久保田豊
○久保田(豊)委員 そこで、私は大臣にお聞きしたいのですが、はっきりア系肥料については輸出入取引法のいわゆる輸出振興カルテルの対象物資から政令で除くという取りきめをした方が事態がはっきりすると思うのです。今の話でも何だかぼけたところがある。この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/48
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049・三浦一雄
○三浦国務大臣 それは、ぼけておらぬです。基本的にちゃんときまっておるのです。ですから、通産大臣が自分だけでもって政令を出せぬのです。それは私の権限を侵して出せないのです。のみならず、これは閣議で政令を出しましてやるのですから、その保障はちゃんとついております。現行法によってすでについておる、こういうことですから、これは御注意までもなく、私は政令等のときには確然たるなにを持っておりますから、従って、通産大臣等が事前にさような勝手なことはできませんし、また、事態は今申し上げたような経緯でもありまして、心配のないようにしますから、その点は御安心を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/49
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050・久保田豊
○久保田(豊)委員 それでは、その点は、要するに、大臣の今の御発言は、政令できめるときには、少くともア系肥料は指定物資から除く、農林大臣としてはこの考えだ、こういうふうに了承をいたしまして、それ以上の質問はやめます。
それでは、もう一点、大臣もお忙しいでしょうから、一番重要な点だけお伺いします。今度は状況が変って参りましたのでこの肥料二法の運用が非常にむずかしくなる。この肥料二法の運用は肥料審議会に依存することが御承知の通り非常に多いわけです。価格の問題はもちろん、需給計画もそうです。場合によれば需給計画のいろいろな変更も——今までほとんど需給計画の変更がなくて済んだわけですけれども、これからは状況によっては一年に一回なり二回なり需給計画の変更をしなければならぬ。合理化の内容についても、進め方についても、相当量減らさなければ危ない。さらに操短の問題等についてもいろいろな問題が出てくる。こういうことになってきますと、今の肥料審議会の構成では不十分ではないか。これをもっと合理的にふやすということ。それから、今の肥料審議会の諸君が要するに農林省なり通産省なりからいいかげんな——いいかげんなと言うのは語弊がありますけれども、あまりに内容を突っ込まないような形式的な資料を与えられて、うだうだやっておるということだけでは、ざっくばらんに言ってほんとうに筋金の通った意見というものはなかなか出てこないのじゃないか、こう私は思うのです。そこで、やはり、そういうものを実効あらしめるためには、関係の団体なり官庁なりあるいは業者なりというものを含めた、いわゆる肥料審議会の審議を実効あらしめて深めるような意味においての専門委員会というようなものをこれに付設してやることが必要ではないかというふうに思うわけです。この点については大臣はどうお考えになっておりますか。まああとで私はこの価格問題その他について事務当局に詳しくお聞きしようと思っておりますが、私はやはり、その結論から見ても、この肥料審議会をもっと強化し、そうしてここにおいていろいろ関係を持つ人たちの意見を十分、しかも生きた意見をやって審議をするということがぜひこの肥料行政には必要と思うのです。それには今のような構成では不十分ではないか、あるいは飾りものになってしまうという心配があるわけです。この点は大臣はどうお考えになっておりますか、一つお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/50
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051・三浦一雄
○三浦国務大臣 私は、実はさきには肥料審議会の委員として参列させてもらいまして、現在は責任者として出ておるのですが、私が審議会の運用を見てみますと、これは業界の方はお手上げなくらいにやられておる。そうして、同時に、うだうだやっておるとおっしゃいますけれども、お宅の方の委員の方なんかは、周到な資料を要求され、同時に非常に精緻きわまる議論をしておられる。これは年来これをお手がけになっておりますとそうなるのも無理からぬことであると思うわけですが、うだうだどころじゃない、非常な効果を上げておられると思うのです。同時にまた、生産者側ばかりでなく、特に農村の消費者側につきましても、相当ないい資料をもちましてやっておるのですが、しかし、今御提唱になった、専門委員のごときものを設ける、こういうことでございますが、これは研究しなきゃいけませんから、私は結論はきょうは申し上げられません。ただ、専門委員がうまいものを持ってくると、それこそ、専門委員にしてやられることはないと思いますけれども、えてしてさようなことがわれわれの行政ではないわけじゃないのですから、やはり大所高所から見る政治論でもって相当やるという現在の審議会のあり方というものも捨てたものじゃないわけです。しかし、御指摘の点がありますし、これはわれわれもいろいろ感想も持ちますから、通商産業大臣なりあるいは経済企画庁長官なりによく相談して考究するということにさしていただきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/51
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052・松浦周太郎
○松浦委員長 午前の会議はこの程度とし、午後三時より再開して残余の質疑を終了し、本案の討論採決に入りたいと思います。
これにて休憩いたします。
午後零時九分休憩
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午後三時三十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/52
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053・松浦周太郎
○松浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。久保田豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/53
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054・久保田豊
○久保田(豊)委員 政府の方に価格の問題について二、三、お尋ねをしておきたいと思うわけです。午前中の御答弁の中で、十三条、それに基く政令第七条とその附録、これをそのまま実行されるということでしたので、当然のことでありますけれども、この点を一つ確認して、その前提に立ってその運用について二、三、お尋ねをいたしたいと思うのであります。
現在では肥料の価格の立て方は限月制度をとっております。今の限月の価格をどういうふうに割り出していくのか、今後この限月制度の状況が相当違ってくるだろうと思います。これについて今後どういうふうに運用していくつもりか、これをまず第一にお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/54
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055・須賀賢二
○須賀政府委員 限月価格につきましては、三十二年度までは各限月の価格を全部計算して出しました。それをマル公として告示いたしました。三十三年度は、限月価格を一応計算いたしましたが、その中で最高になります額だけを告示いたしたわけであります。従いまして、法律に基く告示といたしましては、限月価格の最高額が告示をされております。各限月の価格は計算して出してありますので、それに従いまして実行いたしておるわけであります。ことしの場合は、まだこの点につきましては具体的にきめておりませんが、今年の実施の経験等を見ますると、この方針は踏襲していってよろしいのではないか、一応さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/55
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056・久保田豊
○久保田(豊)委員 これからは大体において実勢価格がマル公より相当下回る場合が多く出てこようかと思うのです。そこで、午前中にお伺いしましたが、例の参酌事項という中に、経済事情を参酌するということがあるわけですね。従って、私は、各限月の計算上の最高価格をとってやるという点は相当疑問ではないかと思う。従って、実勢価格にある程度経済事情をいわゆる参酌事項として入れるのがむしろ当然ではないかというふうに思うが、この点はどういうふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/56
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057・須賀賢二
○須賀政府委員 最近実勢価格としてマル公割れをいたしておりまする月が出ておりますことはただいま御指摘の通りでございます。しかしながらこれは特に本年度の場合は中共輸出の杜絶で一時的に滞貨が増大した結果そういうことになっておるわけでございまして、今後の傾向としてどういうふうになって参るかということは、必ずしもこの一年の実績だけでその傾向を判断してかかるというわけにも参りかねるのではないかと思います。マル公以下で企業努力によりまして販売をいたしますということは、制度といたしまして決して悪いことではございません。やはり、マル公の考え方といたしましては、実勢価格を織り込むという考え方は建前といたしまして適当でないのりではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/57
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058・久保田豊
○久保田(豊)委員 これは限月制度だけの問題ではありませんで、私はこれから例の参酌事項が相当ものを言うと思う。これはどういう計算で入れるか、どういう式で入れるかということは別問題ですが、今お話しのように、ここ一、二年は実際は実勢価格の方がマル公価格を下回っている、これは政府としては非常に奨励をすることだ、こういうことでしょう。しかし、他の方から言えば、マル公価格がある程度実勢価格に近づいてくるということは、これはほんとうだと思うのです。また、それを農民としては望むわけです。ですから、こういうものをどの程度どういう形式によって織り込むかということは別ですが、全体としてはこれからはむしろ非常に生産過剰の気味が多くなってくるということになれば、私は、実勢価格は多くの場合においてマル公価格を下回るという一般的な傾向が出てくると思う。その場合に、実勢価格についてはマル公を決定する場合に一つもこれを考えないというやり方はどうか、こう思うのですが、その点は、これからなるべくストックがよけいにならぬように、実勢価格が下らぬようにやりますということでなく、当然今後はそういう事態が相当続いて出てくる、こう思われるのですが、この点についてはどういうふうにお考えになっておるのかという点を、もう一度お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/58
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059・須賀賢二
○須賀政府委員 実勢価格がマル公を割るような事態になるべくしないようにするという趣旨で申し上げておるわけではございません。そのときの需給情勢等によりまして実勢価格がマル公割れをするというような事態が起るということも、これは実際の取引の面ではあることであり、また現にそういう状態が出ているわけであります。ただ、それをマル公形成の中に織り込んで参るということになりますと、これはまた別の問題になって参りますので、経済事情としてこれを織り込むという考え方は、少くとも現在の段階ではそこまでいたしておらないわけでございます。その点御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/59
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060・久保田豊
○久保田(豊)委員 今の段階で、ではこういたしますということをすぐ言うことは困難だろうと思います。しかし、これも一つの研究の課題でございますから、今後マル公を決定する場合に十分研究課題として研究していただき、考慮していただきたいと思います。
その次に、もう一つの問題は、私の話の前提は、今後相当生産規模が大きくなってき、合理化がある程度進んでいく、従ってコスト・ダウンが年々行われていく、しかも生産過剰という格好が相当程度として続いていく状態が出てくるのではないか、こういう前提に立っての話であります。その前提がそうじゃないという前提で話をすれば、すべて意味のないことになります。大勢としてはだれもそう考えているのが普通だと思いますので、一つそういう点を考慮して返答してもいらたいと思うが、その場合に、需給計画の中における前年度繰越分ないしは後年度への繰延分ですね。こういうものが相当の数量になろうと思うのです。需給計画の中でもこれはマル公形成に今までどういうように反映しておったか、そうしてこれは今後どういうふうに扱っていくのかということをお伺いしたい。というのは、政府の今度の計画がこの計画通りにいけば、大体において年々二ドルのコスト・ダウンになっていくわけです。今五十五ドルのを四十五ドルに一応しょうというのですから、二ドルずつコスト・ダウンになるのです。これは一俵について約二十円になる。しかもそれが、全体の量が多くなりますから、前年度からの繰越量も、後年度への繰越量もよけいになってくるということになって、その間に必ずしも数量的にも状況は算術計算ではいかない場合が出てこようと思う。従って、こういうものを今までどう扱ってきたか、今後違った状況の中でどう扱おうとしておるか、この点も明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/60
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061・須賀賢二
○須賀政府委員 従来の計算の方法は、前年度からの繰越分というものは価格計算の基礎には入らないわけであります。と申しますのは、当該年度に生産いたしましたものを基礎にいたしまして、それから出して参るわけであります。お話の点は、前年度からの繰越量等が相当大量に上るような場合、当該年度の操業率は落ちて参る、従って価格に影響をするというような事態を予想されておられるのじゃないかと思います。繰越量が非常に大量になるというような場合、相当の影響ももちろん考えられるわけですが、しかしながら、これは、全体の需給計画をどのように策定をして参るか、それが価格全体にどういうふうな影響をするかというようなことを十分勘案をいたしまして策定をいたすわけであります。それらの点は、現実の価格形成の際に十分そういう要素も判断いたしまして適正に価格をきめるように作業をして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/61
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062・久保田豊
○久保田(豊)委員 どうも今の答弁ははっきりしたようではっきりしない。とにかく、計画通りいけば、大ざっぱな計算で二十円ずつ私は違ってくると思うのです。これが相当量になった場合に、その年度を通ずる限月等もひっかかりますが、年度を通じてどういうマル公形成の中に織り込んでいくかということは、かなりはっきりしておかなければならぬ問題だと思うのです。それをはっきりさせないということは、ちょっとおかしいじゃないですか。この点、もう少しはっきりした——今まではあまりその点ははっきりしなかったが、今後はそういう要素をある程度検討してやられると言われるのか言われないのか、その点をはっきりお聞きしておけばいいのです。具体的にきまっておればその内容を知らしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/62
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063・須賀賢二
○須賀政府委員 私の申し上げます趣旨は、年度初めに前年度からの繰り越しが相当大量にある、それを一応前提に置きまして当該年度の生産計画をきめる、そのために価格が、操業率の低下等が伴いまして若干引き上るというような関係がかりに出てくるような事態が出ました場合に、そのような単純な算術の計算だけでこの場合の価格形成をやることはあまりにも適当ではないだろう、それらの現実の事態を十分見まして検討いたしたい、そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/63
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064・久保田豊
○久保田(豊)委員 通産省側のこれに対する考えを一つ聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/64
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065・村田豊三
○村田説明員 現行のマル公の決定方式につきましては、御承知の通り、それぞれの硫安の生産工場ごとに、最近一年間の生産費というものを基準にして、そして、価格決定年度の各工場の操業率とか、あるいは物価、労賃の動向などを参酌いたしまして、その年度の生産費というものを推定するわけであります。そうして、その生産費の低いものから順次高いものに、国内消費見込み数量と先ほど御指摘のありました調整保留数量との合計額になるまで積み上げていく、いわゆるバルク・ライン内加重平均方式で、しかもコスト主義できめていく、こういう従来のきめ方でございまするので、ただいま経済局長からも申しましたように、前年度からの繰り越しあるいは次年度への繰り越し数量そのものが直ちに当該年度のマル公に幾らというふうに反映する仕組みにはなってないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/65
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066・久保田豊
○久保田(豊)委員 なってないから、これからどうするかと聞いているのですよ。なっておるならば、私はこれについては何も申し上げなくてもいいわけですが、そういう場合が今後相当大きなウエートを持ってくる公算が相当あるので、今のお話のバルク・ライン内平均加重方式と、そういう要素を今後どう織り込んでいくかということが、この前の参酌事項のうちにも入ってくるじゃないか、こういう意味で確かめておるわけです。この点についてはあとでまたもうちょっと触れたいと思います。
その次の問題は、操短等によってコストが上った場合は、従来はどうしておるか。今後はこの問題が相当大きなウェートになろうかと思う。商工委員会でお尋ねをしたところ、大体において、一〇%の操短が行われれば価格の面では二ドル何がしというふうにコストが上ってくる、二〇%の場合は四・四ドル上ってくる、大体三〇%以上、つまり輸出に振り向ける分の大部分がもし操短をしなければならぬというときには十一ドル何がし変ってくる、こういう大体の当局の推定の御答弁があったわけです。従って、今後は操短をやる公算が相当ある、操短というような事態にぶつかる公算が相当多いと思う。その場合には、操短の方式の問題とひっかかって、この価格形式にバルク・ライン内の平均加重方式をとる場合でも、私は相当大きくこの要素が響いてくると思うのです。そこで、こういう新しい事態に立って、要するにバルク・ライン内平均加重方式というものの基本のワクの中といいますか、その方針の中で、この問題は繰短の方式の問題ともひっかかってきますが、繰短によるコスト・アップをどのような形において織り込んでいくつもりか、どういうふうにこれを扱っていくつもりかという点をお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/66
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067・須賀賢二
○須賀政府委員 操短と価格との関係につきましては、すでに御質問によりましてある程度御説明申し上げたわけでございますが、これは、久保田委員からも再度にわたりまして御指摘がありましたように、操短の方法と非常に関係が強いわけであります。どのような操短方法をとるかによりまして、価格に対するはね返りはおのずから変って参る。従いまして、けさほどからも質疑の中に出ておりまするように、操短方法自体を現実の場面においてどういうふうに考えて参るかということがこの問題の前提でございます。従いまして、おそらく、そのような事態が生じました場合、消費者に対する影響、生産者に対する影響、それらを総合的に十分検討いたしまして、操短方法そのものを十分慎重に検討いたさなければならない事態になると考えます。従まいして、そちらの方の検討とあわせまして、価格に対する影響を極力防止いたしますように工夫をいたさなければならぬ、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/67
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068・久保田豊
○久保田(豊)委員 この点は、価格に直接はね返りの大きい問題ですから、操短の方式とともになお研究を進めて、一つ間違いのないようにやっていただきたいと思うのです。
それと同じような要素で、もう一つ、今度の政府のこの方針の中でも、コスト・ダウンの一つのあれとしまして、大体において経営の多角化ということを言っておるわけですね。この経営の多角化は、大きな肥料の立場から見れば二つあると思います。つまり、肥料の新しいいろいろな種類ができて肥料を複雑にするという意味での多角化もありましょうし、他のいろいろの生産部門と結びつけるという場合が相当多いように私どもは見る。私もしろうとでよくわかりませんけれども、ちょっとした資料を見てみますと、現状の段階で、硫安専門工場でなしにやる場合においては、その企業全体の三二、三%から三七、八%がこのア系肥料の部分に相当するというふうな、ちょっとした資料も見たことがあります。これは通産省の方で出した最近の企業分析とかいうのがありますね、あの中には八社にわたってそういう数字が出ております。おそらく合理化が進むに従って私はこういう関係がますます複雑になってくると思います。一般化してくると思う。その場合に、これは特に施設部門なり総経費部門の管理費なりその他いろいろの面でこのコストの取り方というものは非常に私はむずかしくなってくると思います。しかも、相手が百姓だという関係で、大きく見た場合には、たとえば生計費とこれが結びついたとかなんとかという場合においては、下手にするとこの硫安部門なりア系肥料部門にあまり歩掛りをよけいにかけられて高くなるという危険性は相当あると思う。これについては従来どのように扱ってきたか、また、今後どのように扱っていくつもりか。これが農業では御承知の通り至るところにあるのです。たとえば愛知用水の問題は、この前もアロケーションの問題で私はずいぶん突っ込んで御質問いたしましたけれども、あの中でもずいぶんひどい矛盾があって、百姓がどうしても負担過重になる。私は、今の近代独占企業の性格から言って、この問題も相当大きな問題になろうと思う。これに対して従来どうやっていたかということと、もう一つ、今後これが一般化してくる場合、なお内容が高度になってくる場合に、この点をどのように始末されるつもりか、この点もあわせて一つお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/68
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069・村田豊三
○村田説明員 従来は、御指摘のような多部門にわたって経営を兼業いたしておりまする硫安工場等につきましては、それぞれの項目ごとに販売数量に応じて売上費に応じた按分をいたしまして、それによって硫安部門のたとえば一般管理費は幾らになるかというふうな計算の仕方をしておるわけでございます。この方式を今後どうするかという御質問でございますが、ただいまのところ、すぐ、従来やっておりまする売上費に基いた按分方法が非常に欠陥があるからどうしなければならないというふうには考えておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/69
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070・久保田豊
○久保田(豊)委員 もう一度突っ込んで聞きますが、施設費あるいは施設の償還あるいは一般管理費あるいは人件費、こういう点を項目別に調査した上で共通経費について売り上げの按分をやっているのですか。どういうふうにやっているのですか。この点が相当問題になろうと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/70
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071・村田豊三
○村田説明員 共通経費についてのみ売上高に応じた按分方式をとっておるわけでありまして、たとえば硫安プロパーの施設は硫安プロパーで評価が可能でございます。それはもちろんプロパーで評価をして参る。今後もそれは当然そうして参るべきものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/71
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072・久保田豊
○久保田(豊)委員 その点については、そういう資料は肥料審議会等には提供をして検討してやっておられるのですかどうですか。また、ここでもってお願いしておくが、そういう具体的な例があれば、その資料は非常に複雑なものになろうと思いますから、要約でもけっこうです、そういう資料をここで出していただいたらどうか、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/72
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073・村田豊三
○村田説明員 従来も、肥料審議会等におきまして同様な御質問等がございまして、ある程度の資料を配付申し上げておるはずでございます。また、必要に応じましては、肥料審議会等に配付しております程度のものは、当然当委員会にもお配り申し上げる義務があろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/73
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074・久保田豊
○久保田(豊)委員 それでは、今の点は一つ資料として出していただきたいと思います。
それから、もう一点、価格の問題でお伺いしておきたいのは、さっきの御答弁の中では、マル公をきめるのは硫安だけだ、尿素とかあるいは高度化成とか塩安等は、硫安を基準にして適当な価格を、いわゆる一般市中価格に落ちつくようにやっていくのだ、これはマル公の対象外にしておる、こういうことですね。そこで、これからは、午前中にも御質問したように尿素とか塩安とかあるいは高度化成というようなものの生産のウエートが非常によけいになるわけです。そして同時にこれが需給計画でも非常に大きなウエートを占めてくる。こういうことですが、硫安については従来のバルク・ライン内の加重平均方式をとるにいたしましても、あとの尿素以下の新肥料については、従来どういうふうに価格形成をやってこられたのか、あるいは新しいそういう事態の中で何らかのこれに対して法的な規制を加える必要があるのではないかというふうに思うが、その場合はどういう基準でどうやるのか、加える必要がないとすれば大体どうするのか、どういうふうに行政指導をするのか、この点を一つ、考えがありましたらお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/74
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075・須賀賢二
○須賀政府委員 硫安以外、特に主たるものは尿素でございますが、尿素につきましては、マル公の対象にすることが適当であるかどうかということは、われわれの部内でもたびたび検討いたしたわけでございます。最近の情勢から見ますと、尿素につきましては、硫安に比較いたしまして、成分換算をいたしますと実勢価格はやや割安になっておるようでございます。そういうような点もありまして、大体今まで運用して参りました考え方は、けさほども申し上げましたように、硫安につきましてマル公を作っておきますれば、大体それを基調といたしまして、他の肥料も実勢価格がそこに出てくる、また、それが現実に現われておる姿も、必ずしも不適当なものではないというような実態になっておりますので、現在の段階におきましては、尿素その他の肥料も新しくマル公の対象にするという考え方はとっておりません。ただ、今後、需給事情その他の変化に伴いまして、特に尿素につきましてマル公の制度を適用して何らかの規制を加えるということが必要であるというような事態が万が一ありますれば、今度延長いたします法律でも、その運用によって可能でございますから、そういう事態がもし出ました場合は、その事態に即しまして必要な措置はとって参りたい、かように考えております。
〔委員長退席、丹羽(兵)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/75
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076・久保田豊
○久保田(豊)委員 今の言われるように、尿素が成分換算をして硫安よりも割安になっておる、実勢価格がそうなっておることは私どもいろいろのことで承知をしておるわけです。それにもかかわらず生産業者が尿素々々といって尿素に重点を置くというのは、結局私は硫安よりはもうかるからだろうと思う。ですから、やはり尿素なり高度化成に重点を置いていくということになると思う。もちろん、全然もうけなくていいということは私どもは考えておりません。営業である以上、ある程度のもうけはいいと思いますが、尿素のウエートが、生産の面でも、需給関係でも、使う方から言いましても、非常によけいになるので、これは成分換算からだけ見て、実勢価格が割安だからほうっておいていいというものかどうか、これらの点ももう一度検討する段階に来ているのじゃないか。もちろん、私自身も、これをすぐマル公の中に入れる方がいいというふうな考えにはまだ疑問を持っておりますが、この尿素の生産量なりウエートがだんだんよけいになるに従いまして、これについてもさらに、つまり、バルク・ライン方式なり何なりで調査をいたして、もう一度再検討をすべき時期が近い機会に来るのではないかと思うが、そういう点の調査なり再検討をされるお考えがあるのか、あるいは、現在のように、大体において硫安だけについてやれば、あとは成分換算から見て割安である、実勢価格が安いからそれでいいのじゃないか、こういう考え方でいかれるのか、この点を明確にお答えを願いたいと思う発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/76
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077・須賀賢二
○須賀政府委員 尿素につきましては、先ほども申し上げましたように、われわれといたしましても常時検討はいたしておるわけでありまして、現行肥料二法下では尿素は全然問題にしないという考え方ではございません。これにマル公を設定いたしました場合の利害得失等を常時検討いたしておるわけであります。従いまして、ただいま久保田委員から御指摘のような点も今後さらに織り込みまして十分検討して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/77
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078・久保田豊
○久保田(豊)委員 その次にお伺いをいたしたいのは、これは決して業者の方を疑うわけではありませんが、バルク・ライン内の加重平均方式をとるにいたしましても、その基礎の調査なり何なりは、罰則もありますから、業者は正直に出しておるといえばそれまでですが、これらについての調査は通産省は相当大きな権限を持っており、農林省も権限を持っておるわけですが、現実にどういうふうにやってきているか。あなた方の方の調査事項によって出してきたものを、あるいは再検討をされてきめられたのかどうかというふうな点ですね。これらの点についてはどのように扱ってきたか。なお、調査と連関をして、実際に立ち入り調査なり何なりをしたことがあるのかないのか、各省はどういうふうな調査をしてデータ、資料を出されたのか、この点を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/78
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079・須賀賢二
○須賀政府委員 肥料の生産費の調査は、需給安定法に基きまして、私どもよく有権的にという言葉を使っておりますが、有権的に調査をいたしておるわけでございます。従いまして、こちらでまず様式を示しまして、先方に申告をさせるわけでございますが、その資料に基きまして、農林、通産両省から全工場に係官を派遣いたしまして、現地でしさいに検討をいたした上で数字をとりまとめておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/79
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080・久保田豊
○久保田(豊)委員 通産省ではその方の調査の担当官は何人おるのか、農林省では何人おるのか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/80
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081・須賀賢二
○須賀政府委員 農林省関係では七名であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/81
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082・村田豊三
○村田説明員 予算定員二十七名でこの調査をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/82
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083・久保田豊
○久保田(豊)委員 これは、正直の話、ほんとうの詳しいことは、企業機密になりますから、なかなかわからないと思う。ですから、今の七名なり二十何名で調査をされてもほんとうのところはなかなかわからないというのが実態じゃないかと思うのです。ただ、私は、このいただいた資料をずっと見て、大体において何か割高なような感じがするのです。この前に通産省の方からもらった資料によりますと、たとえば、これから一番主力をなす天然ガスの分解法の一例をかりにとってみても、これは水素分の単価が少し高過ぎるんじゃないかというふうな気がするのです。というのは、あなたの方のこれを見ると、大体アンモニアの製造原価の基礎になる水素の必要量というのは千五百八十立方メートルになっていますね。大体これはCOGのやつですね。ところが、私がほかでもらった専門家の資料によりますと、これは千四百五十立方メートルあればできるということになっています。千五百八十と千四百五十では相当私は開きがあるのじゃないかと思うこういう一番主要原料の水素のあれについても、さらに、水素からアンモニアを作り硫安にする場合のあとの諸掛りの経費についても同様ですが、労働の生産性も相当上っておるはずです。それと比べますと、労賃費のコスト・ダウンが比較的少いのじゃないかというふうないろいろの点があるわけです。これはこまかくやり出すと非常にこまかくなります。ですから、私はこれにあまり立ち入って申しませんが、実はいろいろ資料も集めてみました。いろいろそういう点もやってみますと、このいただいたバルク・ライン方式のこれでは、どうもちょっと私どもには納得がいかない点が相当出て参ります。ですから、こういう点は万々いろいろの調査をされておることと思いますが、こういう点については、なお一つあらゆる観点から検討をせられて、調査を徹底してやられていくことがぜひ望ましいと思うのです。それに連関いたしまして、当然、業者の方から言うように、合理化メリットを全部コスト・ダウンの方に組み込むということは、私はある程度やはり考えなければならぬことじゃないかと思う。従って、このマル公をきめる場合のいわゆる利潤というものはどのくらいに見込んでおるのか。もう一つは、これは平均の貨車乗りで渡した価格になりますから、その平均の運賃部分というものはトン当り、あるいは一袋当りについてどのくらいに見ておるのか。こういう点についてあまりひどく締め上げるということは私も不適当だと思うが、しかし、その基礎の調査というものはよほど厳格にやっていただくことがぜひ必要だと思うのです。特に合理化が相当複雑な形において相当スピードをもって行われておる段階では、この点が相当問題だと思いますが、この点についてはどうなっておるのか、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/83
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084・須賀賢二
○須賀政府委員 利潤は、製造工業の平均利潤におきまして、三十三年度の場合は約一割でございます。それから、運賃につきましては、大体平均輸送距離等を消費地・搬出地等から計算をいたしまして、実績運賃でなく、別途計算いたしております。実績運賃よりも下回ったものを採用しております。その金額は一俵三十二円六十二銭でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/84
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085・久保田豊
○久保田(豊)委員 今のコストの計算の基礎というものを、一つ通産省の方からもう一度COGについて聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/85
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086・村田豊三
○村田説明員 COG、すなわちコークス炉ガスを分解いたしましてアンモニアを作っておりまする製法につきまして、ただいまその原単位が少し甘いのじゃないかという御指摘があったのでございますが、お手元に出ました資料、これは、現在日本で代表的なCOGガスを使っての製法をとっておりまする会社で、しかもこれは従来の価格形成ではバルク・ラインの中に入っておりまするコストの非常に安い優良工場の事例をそのままここに載せておるのでございまして、特別の意味はないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/86
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087・久保田豊
○久保田(豊)委員 その点は、私がもらった資料も大体あなたの言っている資料と似たり寄ったりのところから出ておるわけなんです。ですから、そこで私はちょっと疑問を持ったわけです。これは私どもはしろうとですからわかりませんが、私は、やはりある意味においての正常な利潤というものは保障してやらねばいかぬ、しかしそのコストについてはやはり相当に厳格に見ていただくということが今後必要ではないか、こういう意味で申し上げたわけですから、その点は一つ注意をしてやっていただきたいと、こう思うのであります。
最後に、あと一、二お伺いしたいと思いますが、今の需給安定法の運用について一番基本になる点は、需給計画なりあるいはそれと結びつく価格のマル公の問題ですね。こういう点については、やはり年次別の計画をはっきり今後五カ年間に立ててやるということが必要じゃないかと思うのです。そうしますれば、ある程度のめどがついてき、行政運用の点についても非常にはっきりした目標がつき、業者に対しましても合理化のめどをつけるということがかなりはっきりしてくるのではないかと思うのです。従って、これはいろいろの点にわたりますけれども、合理化の施設、生産数量、あるいは生産者マル公その他、こういう合理化要素を多分に中心にした年次別の目標というふうなものを設定してやられるというお考えはないのかどうか。第一次の五カ年計画ではこれがなかったのですね。ですから、最初に考えたのよりも金も倍以上かかる、ところがコスト・ダウンはなかなか最初予想したようにはいかない、そうして、施設の合理化をしたのが、事志と違って、今第二の段階においてまたさらにこれの再修正、つまりしりぬぐいを新しい形でやらなければならぬというような事態に今来ておると思うのです。こういうはっきりした年次別目標というものを大体掲げて、それによって、それを基準にして肥料三法の運用を進めていくという考えはあるのかないのか、もしないとすれば、それがなぜできないのか、こういう点についての御説明をいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/87
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088・須賀賢二
○須賀政府委員 第二次五カ年計画の各年次別の計画は、現在の段階では最終年次が一応概定されておるわけであります。各年次にわたりましてのこまかい計算は必ずしも完了いたしていないわけであります。と申しますのは、工事の着工時期、完成時期等も、まだ現在の段階ではある程度動く要素もございまするし、それらが確定をして参りませんと、各年次別の計画を出すということはちょっと無理なわけでございます。しかしながら、ただいま御指摘のように、できる限り年次別にもこまかいデータをそろえまして、具体的な目標を持って第二次の合理化計画を進めていくということはぜひ必要なことであると考えておりますので、今後、資料の整備並びに個々のメーカーの計画の具体化を待ちまして、御趣旨のような線で年次別の計画を整備することにつきましてもさらに努力を続けて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/88
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089・久保田豊
○久保田(豊)委員 通産省はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/89
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090・村田豊三
○村田説明員 御指摘の点、ごもっともでございまして、私どももできるだけそういう方向に努力をすべきだと思っております。合理化計画、いやしくも計画でございますから、計画にそういう年次的な計画性が付与されるのは当然なことだと思いますが、ただいま農林経済局長からも申し上げましたように、やはり各社別の工場の積み上げが出てこないと、ある年の平均コストが幾らになるかということの把握が困難なのでございます。しかも、その各社別の計画は、先般来いろいろ御指摘もございまして、多少再検討しなければならぬ面もございますし、ただいまいろいろと検討いたしておりますが、これらの組み合せによっても多少違って参る。従って、ある程度時間をかけて参りますれば、これらの具体的なお答えが可能であろうかと考えております。それまでしばらく時間がかかる性質のものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/90
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091・久保田豊
○久保田(豊)委員 この点は、実際なかなか、社会主義の計画経済をやるわけじゃないのですから、むずかしいことはわれわれもよく承知をしています。ただ、第一次の計画がそういう点についてほとんど失敗をしておるという現実、そうして、今度の合理化計画その他も、今このお話の各社別の積み上げ方式だけなんです。ですから、私は、これをさらに政府としては積極的な立場から——はっきりしたいわゆる年次別計画というものはなかなかできないでしょう、できないが、一応の目標を示すことによって、積極的に指導する、あるいは援助をする、こういう態勢で、政府も責任をとり同時に指導をするということが、第二次の計画を間違いなく有効にやっていくもとだと思うし、肥料二法を比較的順調にやっていく一番基本だと思う。これは非常に難しい問題です。実際に今の体制の中で通産、農林両省でやろうとしても相当いろいろむずかしい問題であることはよく承知をしております。承知をしておりますが、この点については、決して私どもはここで社会主義計画化をやれと言うわけじゃありませんけれども、一つこの点はより突っ込んでそういう方向へ努力を願いたいということを申し添えておくわけです。これで大体私のお聞きをしたいと思いましたことは終りました。なお、輸出入取引法の改正という問題も、大臣からはっきり、これは閣議の政令をきめるときにはこれを扱いにしないという気持でおるということですから、いろいろこの点についても問題がありましたが、これは一応私は突っ込んだ質問はしませんが、ただ、一点、こういう点をお伺いしておきます。これははっきり除外品目になればよろしゅうございますが、そうでない場合、肥料二法によりますいろいろの、たとえば需給計画等が立った場合に、実際の業界の状況が、需給関係が業者の立場から見ていろいろ食い違いが出た場合、この場合の生産制限の共同行為とかあるいはその他いろいろの共同行為が行われないとも限りません。こういう点については、これは私はしろうとでお聞きするわけですが、この政令によって肥料をこの取引法の対象物資から除いた場合には、この肥料二法によりまして統制するのですか。これに違反をした場合にはどういうことになるのか。この点の説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/91
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092・須賀賢二
○須賀政府委員 けさほど大臣からもお答えがございましたように、輸出入取引法の改正を立案いたしました過程におきましても、肥料につきましては現に肥料二法があるわけでございまして、これで十分処置がして参れるという建前のもとに、輸出入取引法の適用対象にするということは実際問題として考えていないという考え方に立っておるわけでございます。従いまして、肥料につきまして将来生産調節あるいは販売協定というような問題がかりに現実問題として起きるような場合におきましては、肥料二法の方で処置をして参ることに相なることと考えておるわけでありまして、両方がダブッて発動されるというような事態は実際問題としてはないのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/92
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093・久保田豊
○久保田(豊)委員 その点は、法の適用としてはそうでしょうが、現実は、たとえば乳価についても御承知の通り五社協定というものを実際やっておるわけです。これははっきり独禁法違反ですよ。ところが、そういうことをやる。これから先になるとそういう牽制は相当出てくると私は思う。そういう事態が起きてきた場合に、肥料二法によってどういう処置をするのか。改正された輸出入取引法の対象にはならぬ、従ってそれに基く公認の共同行為というものはできないということになりましょうが、自主的にそういういわゆる共同行為をやらない限りではありません。そういう場合にはどういうふうな措置をとってこれを防止していくかということです。この点をお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/93
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094・須賀賢二
○須賀政府委員 ただいまお話の点は、直接輸出入取引法の問題でもなく、また肥料二法の問題でもないわけであります。独禁法の一般的な問題になって参るわけでございまして、これは現実にどのような共同行為がございますか、むしろ共同行為として適当でないというような動きが現実にあります場合は、これは独禁法の問題といたしまして取り締る、あるいは生産者側の官庁で十分監督して参るという方法によって監督して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/94
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095・久保田豊
○久保田(豊)委員 独禁法で取り締るというわけですが、その独禁法は、このごろ公正取引委員会がたががゆるんで一つも締まらない状態です。そこで、私が聞いておるのは、独禁法の違反と判定を受けない前の、肥料二法で決定をした生産計画とある程度違った生産制限をするとかあるいは生産拡充をするとかいう場合に、この肥料二法の見地からどんなふうにこれを措置していくのかということを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/95
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096・須賀賢二
○須賀政府委員 これは多少形式的な申し上げ方をすることになるかもしれませんが、肥料二法のもとにおきましては、肥料審議会が検討いたしました肥料生産計画がもとになりまして業者も生産を営んでいくという建前になっておるわけであります。従いまして、需給事情の変化等によりまして計画を変えなければならぬというような事態が起きました場合には、けさほども申し上げましたように、当然需給計画の変更という手順をふむわけでございまして、それによりまして、場合によりますれば、第五条でございますか、いわゆる生産指示というような規定の発動もあるわけであります。一応、形式的な申し上げ方でございますが、そういう規定も発動されるということは十分考えられるわけであります。
〔丹羽(兵)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/96
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097・久保田豊
○久保田(豊)委員 これで私の質問は一応打ち切ります。ただ、最後に当局に要望しておきます。状況が非常に変ってきております。御承知の通り、今までの肥料二法の運用をする対象状況とこれから運用する対象状況とは相当に大きく変化をしてきております。従って、その変化に応ずるようなこの二法の運用をするということがぜひ必要だと思います。そういう点に焦点を置きましていろいろと御質問をしたのでありますが、大多数のお答えは、今後そういう事態ができたときに適当に研究をして善処するというふうな趣旨の御答弁であったように私は受け取ったわけです。当面の段階としてはそういうお答えよりほかには特に事務当局としてはしようがなかろうと思いますが、そういうふうに非常に対象状況が変ってきて、しかも変化の多い状態の中にいくのでございますから、そういういろいろ出てくる変化に応じて、今のうちから当局としては積極的な対策の研究なり何なり準備というものをされておくことが、この肥料二法の運用上必要だと思いますので、この点を今後研究を深められ準備をされることを重ねて要望いたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/97
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098・松浦周太郎
○松浦委員長 他に質疑はありませんか。——なければ、これにて本案に対する質疑は終了いたしたいと存じます。
次に、本案を討論に付します。
討論の通告がないようでございますので、直ちに採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/98
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099・松浦周太郎
○松浦委員長 起立総員。よって、本案は原案通り可決すべきものと決しました。
次にお諮りいたします。ただいま可決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/99
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100・松浦周太郎
○松浦委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
次会は明十二日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十四分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02119590311/100
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