1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月十二日(木曜日)委員
長の指名で次の通り小委員及び小委員
長を選任した。
甘味資源に関する調査小委員
安倍晋太郎君 吉川 久衛君
高石幸三郎君 永田 亮一君
丹羽 兵助君 本名 武君
保岡 武久君 實川 清之君
中村 時雄君 西村 関一君
松浦 定義君
甘味資源に関する調査小委員長
吉川 久衛君
昭和三十四年三月十二日(木曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 松浦周太郎君
理事 大野 市郎君 理事 吉川 久衛君
理事 丹羽 兵助君 理事 本名 武君
理事 赤路 友藏君 理事 石田 宥全君
安倍晋太郎君 秋山 利恭君
五十嵐吉藏君 倉成 正君
佐藤洋之助君 笹山茂太郎君
田口長治郎君 高石幸三郎君
濱地 文平君 松岡嘉兵衛君
保岡 武久君 足鹿 覺君
角屋堅次郎君 高田 富之君
中村 時雄君 西村 関一君
松浦 定義君
出席政府委員
農林政務次官 石坂 茂君
農林事務官
(農林経済局
長) 須賀 賢二君
農林事務官
(蚕糸局長) 大澤 融君
食糧庁長官 渡部 伍良君
委員外の出席者
議 員 赤路 友藏君
議 員 松浦 定義君
農林事務官
(農林経済局農
業保険課長) 森本 修君
専 門 員 岩隈 博君
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三月十二日
委員日野吉夫君辞任につき、その補欠として高
田富之君が議長の指名で委員に選任された。
本日の会議に付した案件
参考人の出頭要求に関する件
小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任に
関する件
日本蚕繭事業団法案(内閣提出第一〇〇号)
小かん加糖れん乳等の製造の用に供するため売
り渡す国有てん菜糖の売渡価格の特例に関する
法律案(内閣提出第一三〇号)
日本てん菜振興会法案(内閣提出第一六四号)
臨時てん菜糖製造業者納付金法案(内閣提出第
一六五号)
農業共済基金法第三十九条第一項の特別積立金
の処分等に関する臨時措置法案(内閣提出第一
七九号)
水産業改良助長法案(横路節雄君外十八名提
出、衆法第四五号)
漁業協同組合整備特別措置法案へ横路節雄君外
十八名提出、衆法第四六号)
てん菜生産振興臨時措置法の一部を改正する法
律案(芳賀貢君外二十一名提出、衆法第四七
号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/0
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001・松浦周太郎
○松浦委員長 これより会議を開きます。
去る十日本委員会に付託になりました、横路節雄君外十八名提出、水産業改良助長法案、漁業協同組合整備特別措置法案、及び、芳賀貢君外二十一名提出、てん菜生産振興臨時措置法の一部を改正する法律案の三案を順次議題とし、審査に入ります。
まず三案の趣旨について逐次提出者の説明を求めます。松浦定義君。てん菜生産振興臨時措置法の一部を改正する法律案てん菜生産振興臨時措置法の一部を改正する法律てん菜生産振興臨時措置法(昭和二十八年法律第二号)の一部を次のように改正する。
第三条の見出しを「(てん菜生産出荷計画)」に改め、同条第一項中「省令の定めるところにより、」の下に「てん菜生産振興審議会の意見をきいて、」を加え、「てん菜生産振興計画を定めて」を「てん菜生産出荷計画を定め、」に改め、同条第二項各号列記以外の部分中「てん菜生産計画」を「てん菜生産出荷計画」に改め、同項に次の二号を加える。
四 てん菜糖の製造場別のてん菜出荷区域の調整に関する計画
五 てん菜の取引条件の適正化に関する計画
第三条第三項中「てん菜生産振興計画」を「てん菜生産出荷計画」に改め、同項を第三条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。3 道府県知事は、第一項の規定により、てん菜生産出荷計画を定める場合において必要があると認めるときは、てん菜糖の製造を業とする者(以下「製造業者」という。)から必要な資料の提出を求めることができる。
第四条第一項中「特に必要があると認めるときは」を削り、「てん菜糖の製造を業とする者(以下「製造業者」という。)」を「製造業者」に、「買入をすることができる。」を「買入を行うものとする。」に改め、同条第二項を削る。
第五条第一項中「前条第一項」を「前条」に、「当該生産年」を「当該てん菜糖の原料となるてん菜の生産される年(以下「生産年」という。)」に改める。
第六条第一項中「第四条第一項」を「第四条」に改める。
第八条中「農林大臣」の下に「及び道府県知事」を加え、同条に次の一項を加える。2 道府県知事は、前項の指示をする場合には、あらかじめ、農林大臣の承認を受けなければならない。第八条の次に次の三条を加える。(てん菜糖の製造施設の設置)第九条 省令で定める数量以上のてん菜を生産する道府県の区域内においててん菜糖の製造施設で政令で定めるものを新たに設置し、又で定める手続に従い、道府県知事の承認を受けなければならない。2 道府県知事は、前項の承認の申請があった場合において、てん菜糖の製造施設の設置場所、設置時期及び規模が第三条のてん菜生産出荷計画に適合していると認めるときは、同項の事認をしなければならない。(てん菜生産振興審議会)第十条 道府県知事の諮問に応じ、てん菜生産振興に関する重要事項を調査審議するため、省令で定める数量以上のてん菜を生産する道府県に、てん菜生産振興審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、委員七人以内で組織する。
3 委員は、道府県知事が任命する。4 委員は、非常勤とする。う前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、道府県知事が定める。(罰則)第十一条
第九条第一項の規定による承認を受けないでてん菜糖の製
造施設を新たに設置し、又は増設した者は、十万円以下の過料に処する。
2 第七条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三万円以下の過料に処する。
附則第二項中「昭和三十七年三月三十一日」を「昭和四十七年三月三十一日」に改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 第九条第一項の規定は、この法律施行の際現にその工事を施行している製造施設については、適用しない。
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理 由
てん菜の生産増強を図ることによって寒地農業経営の合理化を図るためてん菜糖の政府買上措置を更に強化して全量買上を行うこととするとともに、てん菜の取引の適正を確保するための諸措置を講ずる等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/1
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002・松浦定義
○松浦定義君 ただいま議題になりました芳賀貢君外二十一名提案によりまするてん菜生産振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
てん菜生産振興臨時措置法は、昭和二十八年に制定されて以来、今日まで、テンサイの増産に必要な国費の支出、原料価格の政府決定、製品の政府買い上げ等の諸措置を講ずることにより、寒冷地における最も安定した畑作物であるテンサイの生産振興と国内における砂糖の供給量の増大に寄与して参り、本法制定の効果には見るべきものがあったと存ぜられるのであります。
今日までのテンサイ及びテンサイ糖の生産実績の推移を見ますに、昭和二十五年に、作付面積はわずか一万五千五百四十二町歩、反当り収量一千九百四十二斤、産糖高一万九千百三トンでありましたが、三十三年には、作付面積三万五千五百二十八町歩、反当り収量四千二百斤、産糖高十一万トンと著しく上昇し、また、製糖工場もこれに即応して増加し、現在北海道に七工場が操業中または建設中であり、また今後数工場の建設が予定されておるのみならず、内地府県においてビート熱の著しい高揚が見られておりますことも各位の御承知の通りであります。このように当初の予想をむしろ上回るほどの目ざましい成績を示しておりますことは、関係農民のたゆまざる努力によることは論を待たないのでありますが、同時に、てん菜生産振興臨時措置法に基いて国と地方とがテンサイの振興と保護のための強力な施策を次々に講じて参ったことによるものでありますことはあらためて申すまでもないところであります。
翻って考えまするに、わが国の砂糖事情は、戦前においては台湾糖によりほぼ自給態勢が確立され、安定した状態にありましたが、戦後は、国内消費量の九割を輸入に仰がざるを得ないことと相成り、しかも国民所得の向上と食生活の改善に伴って消費量は次第に増加の趨勢をたどっているのでありまして、甘味料は国民生活の必需品でありますだけに、このように供給の大部分を海外輸入に待つという状態はでき得る限りこれを是正し、国際収支の改善と民生活の安定をはからねばならぬことはもとより当然のことであります。
これにかんがみ、政府は、最近、甘味資源の自給力強化総合対策を策定し
て、十年後における、すなわち昭和四十三年度における砂糖類の総需要量を
百五十二万トンと推定し、これに対しては、国内資源による自給力強化の目標を七十五万トンと見込み、そのうち四十万トンはテンサイ糖によって自給する方針を立てておるのであります。
しかるところ、このような自給力強化方策の実施に伴い、テンサイ糖の政府買い入れ数量が増加するにつれ、テンサイ糖の生産費がカンシャ糖に比較して自然条件その他により割高であるために、買い入れ価格もおのずから割高となり、食管特別会計の赤字は漸増の傾向を示し始めましたので、政府は、財政負担の軽減とテンサイ糖の育成とをあわせはかるための措置として、砂糖消費税を軽減し、砂糖に対する関税を増徴して、両税の負担を振りかえ、国内糖に対して国際競争力を付与することとし、両税の振りかえ後においては、テンサイ糖の生産は企業の自主的採算にまかせ、原則として国のテンサイ買い入れば停止すると同時に、従来、国の保護のもとに企業の内容が著しく伸展した特定のテンサイ糖製造業者からは利益の一部を納付金として国に徴収し、この納付金を主たる財源としてテンサイに関する試験研究をもっぱら担当する特殊機関を設定するという一連の方針を打ち出したわけであります。
以上申し述べましたように、テンサイ糖に対する国の買い入れ措置は、今後、新設工場の生産にかかるもの等、あるいは糖価について異常事態が発生した場合にかかるものを除いては、すべてこれを停止するという方針を確定したのでありますが、われわれの見るところによれば、ようやく揺籃期を脱したテンサイ糖業に対しましては、なお当分の間、政府買い入れによる保護政策を継続し、この方法を通じて農民が企業に対し、農林大臣の指示した価格で安んじてテンサイを売り渡すことができますよう行政上の裏づけ措置を講じますると同時に、国民に対しても安定した価格でテンサイ糖を供給し得る道を残しておきますことが、むしろ肝要であると存ずるものであります。従いまして、われわれは、このような基本方針に立脚し、この際、てん菜生産振興臨時措置法を一段と拡充して、テンサイ糖の政府買い入れ指置を続行し、原則として全量買い上げを行うこ、場とを法律上明らかにするとともに、テンサイの取引について適正を期し、あわせてテンサイ糖製造工場の施設の認可権を一定の基準のもとに道府県知事に付与する等の諸措置を講ずるため、ここに本案を提出した次第であります。
以下、本案のおもな内容について申し上げます。
その第一は、テンサイの生産計画に関する規定の改正であります。すなわち、現行法では、省令で定める数量以上のテンサイを生産する道府県知事は、テンサイ生産振興計画を定めて農林大臣の承認を受けなければならないこととなっているのでありますが、テンサイの出荷区域の調整をはかり、取引条件の適正化を期するため、道府県知事は、新たに設けられますてん菜生産振興審議会の意見を聞いて、テンサイ生産出荷計画を定めることとし、テンサイ生産出荷計画には、従前のテンサイ生産計画に含まれる事項のほか、テンサイ糖製造工場別のテンイ出荷区域の調整に関する計画、テンサイの取引条件の適正化に関する計画をも含めることといたし、なお、道府県知事は、テンサイ生産出荷計画を定める場合において必要があると認めるときは、テンサイ糖製造業者から必要な資料の提出を求めることができることといたしております。
第二は、テンサイ糖の買い入れについての規定であります。すなわち、現在は、政府が特に必要と認めた場合にテンサイ糖製造業者からテンサイ糖を買い入れることができることとなっておりますが、この措置を今回一段と強化拡充して、政府は、農林大臣が定める最低生産者価格を下らない価格で生産者から買い入れたテンサイを原料として製造されたテンサイ糖については、これを全量買い上げすることといたしたのであります。
第三は、現行法では、農林大臣は、製造業者に対して、テンサイの買い入れその他生産者との取引についての条件及びその買い入れの方法並びにテンサイ糖の製造及び貯蔵に関し必要な指示をすることができることとなっておりますが、新たに、道府県知事もまた、あらかじめ農林大臣の承認を受けて、同様の指示が行えることといたしております。
第四は、製造工場を新増設する場合の承認に関する手続規定を新たに設けたことであります。すなわち、これまで、テンサイ糖製造工場の新増設の規正については何らの根拠規定がなく、ただ農林大臣は農地法に基き農地の工場敷地への転用許可にからませて調整をはかってきたのでありますが、工場の新増設は集荷区域の調整を初めテンサイの生産出荷計画の樹立とその円滑な実施に密接な関連がありまするがゆえに、無計画な工場乱設は、かえって、テンサイの生産振興とテンサイ糖業の健全な育成を阻害するおそれがありますので、新たに製造施設を新増設する場合には道府県知事の承認を受けなければならないことといたしております。
第五は、新たに道府県知事の諮問機関としててん菜生産振興審議会を設けたことであります。しかして、審議会は、委員七名以内で組織され、道府県知事の諮問に応じ、テンサイの生産振興に関する重要事項を調査審議することといたしております。
その他、諸規定の改正強化に伴いまして必要な罰則規定を設けるとともに、法律の有効期限につきましても、まだ今後三カ年を残しておりますが、テンサイの生産振興に対して長期的な見通しを持たせますため、この際これを十カ年延長して昭和四十七年三月三十一日までとするように改めることといたした次第であります。
以上、本案の概要のみについて申し上げましたが、何とぞ御審議の上すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/2
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003・松浦周太郎
○松浦委員長 赤路友藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/3
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004・赤路友藏
○赤路友藏君 ただいま議題となりました水産業改良助長法案について、その提案理由を御説明申し上げます。
わが国の水産業は、近年めざましい発展を遂げ、年間約五百万トン、二千五百億円に上る漁獲をあげ、国民経済の成長と安定の上に重要な役割を果しているのでありますが、一たび漁業生産の内部構造に目を転じまするならば、そこには企業形態の差による生産面の断層はきわだって著しく、資本漁業の漁獲は零細なる漁家漁業のそれを文字通り圧倒しており、多数の漁民を擁する沿岸漁業の悲運は日々に深刻の度を加えていることは、もはやおおうべからざる事実であります。
ここにおいて、このような現実の事態に対する反省の上に立って、ようやく水産政策の重点を沿岸漁業の振興対策に指向し、各般の施策をここに集中すべきであるとの機運が次第に醸成されて参っていることは各位の御承知の通りであります。しかしながら、これらの諸施策が真に実効をおさめまするには、漁業者の自主的な再建意欲を盛り上げ、その活動を助長するための裏づけとして、技術と経営に関し国と地方公共団体とが協力一致指導と援助を行うことができる基本制度の確立がはかられなければならぬことは、言うを待たないところであります。
近年、沿岸漁村においては、青壮年による研究グループが続々と結成され、今日では三千八百の多きを数うるに至り、沿岸漁業振興の推進力として実践活動を行い、その成果には見るべきものが少くないのであります。国及び都道府県における試験研究機関の相互の連絡を一そう緊密にし、能率的に試験研究を推進助長するとともに、漁民の要求に応じ、あるいはみずから進んで彼等に接触し、漁撈、養殖及び加一工の各般にわたり技術の改良と経営の刷新に役立たしめるよう広くこれを提供し、あわせて生活改善の原理と技術を授け、もって、水産業の合理的な発展と漁民生活の安定に資することができる基本法制を整備いたしますることは、現下の最も重要かつ適切な施策と考えられる次第であります。
このことは、最近におけるわが国農業生産力の顕著な発展と安定が農業改良助長法に裏づけされた農業に関する試験研究及び普及事業の強力なる推進によることに徴しても明らかなところであります。水産業にあっても、農業に劣らず、かねてよりその必要が痛感されつつも、立法化がおくれ、辛うじて若干の行政措置により当面を糊塗して参ったというのが現状であります。三十四年度予算によって見ましても、関係予算二千二百四十四万円であって、新たに設けられることになった改良普及員はわずかに四十八名を数うるにすぎず、この人員をもってしては、一県一人、沿海市町村のみを対象としても二十五カ市町村に対し一人という割合であって、真に漁民の話し相手となって、複雑な実態と取り組み、困難な問題を解決するには、これでは全く九牛の一毛、大海の一滴と言うほかはないのであります。
以上申し述べました趣旨に即し、この際、農業改良助長法の例により、所要の法的措置を講じ、水産業改良普及事業の積極的発展の基礎を固めたいと存じ、ここにこの法案を提出いたした次第であります。
次に、この法律案の大要について御説明申し上げます。
第一に、試験研究に対する助長措置でありますが、水産業改良普及事業に関する試験研究を推進するため、都道府県その他の試験研究機関に対し、次の各号に定める経費を補助することといたしました。
(一)水産改良研究員の設置について都道府県の要する経費の三分の二
(ニ)改良普及事業に必要な試験究研を行うための試験研究施設の設置及び運用について都道府県の要する経費の二分の一
(三)国及び地方の実情から見て緊急と認められる都道府県及びその他の試験研究機関の行う特定の試験研究に要する経費の全部または一部
(四)都道府県の行う水面の総合利用をはかるため必要な調査並びに試験に要する経費の二分の一
第二に、農林省の試験研究機関の協力についてでありますが、都道府県水産試験場は、この法律の目的を達成するために行う試験研究に関上、農林省の試験研究機関に対して必要な助言と協力を求めることができることといたしました。
第三に、水産業改良普及事業に対する助成でありますが、国は都道府県に対し水産業改良普及企業に要する経費のうち、次の各号に定める経費を補助することといたしました。
(一)水産専門技術員及び水産改良普及員の設置のために都道府県の要する経費の三分の二
(ニ)水産専門技術員または水産改良普及員の巡回指導、出版物の配布、講習会の開催、器材の利用その他の手段による漁民に対する水産業または漁民生活の改善に関する教示及び実地展示のために都道府県の要する経費の三分の二
(三)水産改良普及員の養成及び研修のために都道府県の要する経費の二分の一
(四)水産専門技術員または水産改良普及員に協力して水産業または漁民生活の改善を推進する漁民の育成のために都道府県の要する経費の二分の一
(五)漁村における研究団体の自主的な活動を助長するために都道府県の要する経費の二分の一
第四に、水産業改良普及事業実施等についてでありますが、これらの普及事業は農林大臣と都道府県とが協議して定めた方針に従って実施せねばならないことといたし、農林大臣は、水産業改良普及事業の助成についての国の計画を定めることとし、これが策定に当っては水産業改良普及事業、審議会の意見を聞かねばならないことといたしました。
第五に改良研究員、専門技術員及び改良普及員の任務その他についてでありますが、改良研究員は最も高い資格を有する研究者を充てることといたしており、改良普及事業に必要な試験研究を行うことをその任務といたしております。専門技術員は、試験研究機関及び水産改良研究員と密切な連絡を保ち、専門の事項について調査研究をするとともに、水産改良普及員を指導することが任務となっております。改良普及員は、直接漁民に接して水産業または漁民生活の改善に関する科学的技術及び経営上の知識の普及指導に当ることを任務といたしました。日常漁民に接し、技術、経営及び生活改善についての普及指導に当るのは主として改良普及員であり、その能力のいかんは水産業の発展と漁民生活に大きく影響いたします関係から、水産改良普及員の養成と研修を積極的に行うことにいたしております。
第六に、水産改良普及所についてでありますが、各都道府県の特性を勘案し、水産改良普及事務所を設置し、水産改良普及員の行う水産業改良普及事業に関する事務の連絡調整、その他水産業及び漁民生活の改善に関する科学的技術及び経営上の知識の総合的な普及指導に関する事務をとらせることといたしました。
以上が本案を提出いたしました理由及び法案のおもなる内容であります。
続いて、議題になりました漁業協同組合整備特別措置法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
わが国漁業の生産力を維持増進するためには、漁業協同組合及び同連合会の育成助長をはかる必要があることは申すまでもないところであります。これがため、昭和二十六年農林漁業組合再建整備法を制定し、自力により再建整備の困難な組合に対して、増資奨励金、固定化資金利子補給等の財政支出を中心とする国の援助措置を講ずることとし、同法を運用して五百十九の漁業協同組合について再建整備をはかり、また、連合会については、昭和二十八年にさらに農林漁業組合連合会整備促進法を制定し、自後、各連合会は十カ年間に固定した債務の全部と欠損金の全部を補てんする目標を樹立し、国は整備計画によって援助を行う金融機関に対し補助金を交付する等の措置を講じまして、その整備促進について援助を行うことといたし、目下十四の漁業協同組合連合会について鋭意整備をはかっている段階であるのであります。
このように、漁業協同組合、同連合会の経営内容を刷新強化するための施策は今日まで一応実施されてきたのでありますが、このような努力にもかかわらず、今なお、相当数の漁業協同組合は、自己資本が寡少であって、借入金の占める割合が大きく、また、資金面では固定資産の割合が大きいばかりでなく、回収不能と見込まれる不良債権を相当かかえている状態であり、その上さらに多額の欠損金を有し、これらの重圧のため経営不振に陥り、組合本来の任務を十分に果し得ない、実情にあると申しても過言ではないのであります。同様の状態にあった農業協同組合については、昭和三十一年農業協同組合整備特別措置法を制定し、さきに述べた連合会の整備促進法と相待って、国の援助の方途を講じたのでありますが、当時における各般の事情によって、漁業協同組合に対する同様の措置はしばらくこれを見送らざるを得ないことと相なったのであります。号、の後三カ年を経過した今日、いまだに積極的な施策がとられることもなく依然放任の状態にありますため、これらの不振組合は漁況不振等による欠損金等の累積のためその経営はますます困窮の度を加え、漁村経済及び漁民生活が危機に瀕している地域も少くないのであります。
よって、農業協同組合整備特別措置法の例により所要の措置を講じ、もって漁業協同組合の立ち直りの一日も早からんことを願って、この法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案のおもな内容について御説明申し上げます。
第一に、この法律により整備を行おうとする漁業協同組合は、都道府県に設置する漁業協同組合関係者等の組織する協議会等の指導を受けて整備計画を立て、昭和三十七年三月三十一日までに都道府県知事の認定を受けることといたしております。この整備計画においては、おおむね五カ年間に、固定した債務の全部と欠損金の全部の補てんを目標とすることにしております。
第二に、役職員の強化等を必要とする漁業協同組合に対しましては、都道府県が設置する駐在指導員及び巡回指導員による指導を行うこととし、これが指導員の設置及び指導に要する経費について国が補助することにいたしました。
第三に、累積された多額の欠損金を有する漁業協同組合に対しては、信用漁業協同組合連合会または農林中央金庫がその組合に対し繰越欠損金に見合う債、権の利息を減免する等積極的な援助を行うことを期待し、その援助を行なった信漁連または農中に対して都道府県がその減免した利息にかかる元本債権の残高の五分に相当する額以上を補助する場合、国は五分の利子補給をするごとにいたしたことであります。
第四に、経営規模の過小な漁業協同組合に対しましては、都道府県知事がその合併を勧告し、その勧告に従って合併した場合には奨励金を交付する措置を講ずることといたし、国は、都道府県がこれらの助成を行うに必要な経費について補助することにいたしたのであります。
第五に、法人税法の特例を設けるごととし、その整備計画が適当である旨認定を受けている漁業協同組合については、所得の計算上整備期間中欠損金の繰り越しを認めてその税
負担を軽減することにいたしたことであります。
第六に、政府は、中小漁業融資保証法に基いて整備組合に対して有している求償権のうち、違約金に相当する額を減免することができることといたしました。
第七に、信漁連及び農林中央金庫は、都道府県知事の指定の日から整備計画認定の日までの間に限って、その組合の組合員に対して直接貸しの道を開いております。
右申し述べました一連の措置を講ずることにより、整備の目標達成を容易にいたし、漁業協同組合の健全な発展をはからんといたした次第であります。
以上が本法律案の提案の趣旨並びにそのおもなる内容であります。
以上二法律案につきまして、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げて、提案の理由の説明を終る次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/4
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005・松浦周太郎
○松浦委員長 これにて三案の趣旨説明は終了いたしました。質疑は後日に譲ることといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/5
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006・松浦周太郎
○松浦委員長 次に、農業共済基金法第三十九条第一項の特別積立金の処分等に関する臨時措置法案を議題とし、審査に入ります。
質疑の通告がありますので、これを許します。足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/6
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007・足鹿覺
○足鹿委員 基金法の問題について若干お尋ねをしてみたいと思いますが、
この間の農災法一部改正の際にも、全般的な問題として、農災制度そのもの
の機構の簡素化を私は強く当局に要求し、その具体案をお示し願いたいと迫ったのでありますが、これについて
は何ら具体的な案も現在ないようでありまして、もちろん重大なことでありますからそう簡単にはできかねると存じますが、その際にも述べましたように、この農業共済基金が昭和二十七年にできましてから、その後のこの制度に対する情勢は著しく変化を見ておるのであります。昨年一月一日に改正実施になりましたのも一つの現われであろうと思うのです。従って、この基金の問題については根本的な問題があると思うのです。その点について、機構簡素化の立場から、当局としてはどのように今後これを簡素化の線に沿って処理せられるお考えでありますか。まずその点から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/7
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008・須賀賢二
○須賀政府委員 先般家畜共済に関連をいたしまして農業災害補償法の一部改正の御審議を煩わしました際に、現在の農災制度全般を通じましてしさいな点にわたりましての御批判、御質疑を受けたわけでありますが、その際、機構の問題につきましても、現段階における政府の考え方を申し上げた次第であります。基金は、ただいま御指摘のありましたように、昭和二十七年以来、連合会の不足金を一時融資いたします組織といたしまして今日まで運営をいたして参ったのであります。当初設立をいたしました意図にほぼ即しまして運営をいたして参っておると考えておるわけでございます。ただ、今後の機構簡素化ないし整備の問題につきましては、先般も農災法審議の際に、早急に制度全般を通じて本格的な検討に取りかかるようにという御要請もあった次第でありますし、農林大臣も、その際、そのような態勢で今後取り進めて参る趣旨のお答えをいたしておりますので、その検討の中に当然入ってくるべき性質のものと考えます。今後そのような態勢で検討を進めて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/8
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009・足鹿覺
○足鹿委員 これはもちろん農災制度そのものと切り離して考えることはできないのでありますが、どうも、われわれが考えてみますと、設立当時の情勢と今日の情勢とは、あとでも触れますが、著しく変化が起きておるのであります。たとえば、連合会の事業不足金に貸付をするというのがこの基金制度の眼目であるのでありますが、二十八、二十九年の東北、北海道の大冷害あるいは西日本の風水害等のために一時は四十億をこえる資金運用がなされておるが、自来三十年、あるいは三十一年、三十二年と年を経るに従って激減をいたしておるのであります。三十二年のごときは三十二億円ということになっておりまして、この利用状況というものも著しく変っておりますが、利用する連合会と利用しない連合会というものもその中にあって、いただいた資料によっても明らかでありますが、非常に大きく分れておりまして、三分の一は利用しておらぬ。こういう実情から見ましても、大きな看板をかけて、独自の役員機構を持って、三千万近い運営経費をかけて、きわめて簡単な業務をやらせる——これは、私は持論としていつも申し上げておりますように、農林中金にしてみても、当初は政府出資があったわけで、半官半民でありまして、別にそこへ業務委託をしてもいいし、また農林漁業金融公庫に委託をしてもいいのでありまして、存立の意義というものが私はきわめて薄くなりつつあると思うのです。こういう独自の基金制度を設けなければならなかった当時の情勢と今日の情勢は著しく異なっておる。これに対して今日まで政府がほとんど関心をも払わなかったということがむしろ不思議なくらいでありまして、どうも、私どもとしては、三千万円近い経費を使ってこの基金制度を存続せしめなければならぬ理由が、ただあるから、あるものを今さらどうこうとか、根本改正との関連もあるということだけでは何か納得のいかないものを感ずるのです。最近いろいろな基金制度ができてきておりますが、たとえば本年取りやめになりましたたな上げ資金の問題にしましても、やはり情勢の変化によっては昨年作ったものを政府はことし取りやめておる。これだけ農災制度に対して批判が集中しておるときに、依然としてこれに対する方針が持たれなかったということは非常に遺憾に存ずるのであります。従って、そういう立場から、ただいま審議が始まりましたこの法案につきましては、よほど突っ込んだ今後の対策、とるべき措置というものが講ぜられなければならぬのは申すまでもないと思うのです。たとえば、第一点の問題としましては、基金の利用者と未利用者の利益の調整と申しますか、そういう問題だろうと思うのです。基金を利用する者は日歩一銭五厘、中金の二銭三厘に比べますとこれは非常に安い。利用しない会員は何ら恩典がない。しかも平等割は年間百六十万円ですか、水稲におきまして三十九円九十四銭、陸稲が十一円七十一銭というような基金出資をしておる。連合会も利用しないところは全く利用しない。ということは、結局七〇%までは農民出資なのです。賦課金も含めてこの出資金が農民から徴収されておる。従来は掛金の問題がとかく論議されましたが、掛金はやかましいから漸次合理化をなされてきておる。ところが、最近の状態では賦課金が非常に目立ってきた。両方合せると農民負担が多いにもかかわらず、保険金等はきわて僅少なものしかもらえないというところに大きな矛盾を含んでおるのでありまして、私どもが地方を歩いてみても、農民出資の分はもう連合会へ払い戻して、そしてそのものを基礎として、たとえば防除共済の面とかあるいは無事戻しの面とかいうような点にもっと活用したらどうか、こうういう声もあるのです。農林省としてもそういう声のあることはお聞き及びでしょうが、少くとも利用者と利用しない者との利益の調整をどうするかということは、今までにもお考えにならなければならなかった問題だと思うのです。当初この基金ができたときは六十億くらいは必要だという考え方であって、そのうち三十億を政府出資あるいは全額政府出資せいという声も強かった。ところが、三十億となって、十五億は政府出資で、十五億を七カ年間に割って連合会の負担ということになっておるが、結局、連合会はこれを単位組合に、単位組合は農民に割り当ててとっておる。いわばこれだけ評判の悪い制度に対して、特に賦課金の国庫負担がやかましい今日、少くともそういった点についても考えてしかるべきものではないかと私どもは考えておった。今度この基金制度ができてから初めてこういう一部改正が出てきた。その意図されておるところはわかります。あとの一年度分を農民から取り立てないで、この特別積立金を取りくずして出資にかえようというわけでありますから、農民負担が若干でも減ずるという結果になろうかと思いますけれども、政府出資の十五億円があれば、大体最近の情勢から見まして大きく業務に支障があるということは考えられない。これはやはり、農民負担の軽減の面から、また機構の簡素化の面から、もっと思い切った措置を講ずべきではないか、私どもはそういうふうに見ておるのであります。次の機会に考えられておる構想の中にはこれをどういうふうなに取り扱おうとしておられるのか、まずこの利用者と利用しない者との利益の調整はどういうふうな形でなされようとしておるのか、その点を伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/9
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010・須賀賢二
○須賀政府委員 最近の利用状況につきましては、ただいま御指摘のありましたように、特に三十三年度あたりではだいぶ貸付額が減って参っております。また、利用をいたします組合の数も一時に比較をいたしまして減少いたしておるわけでございます。ただ、これは、ここ数年の豊作というようなことも相当大きく影響いたしておるわけでございまして、われわれといたしましては、基金の利用状況が長期的にどういうふうになるかということにつきましては、さらに若干の時間をかけて推移を見なければならないと考えておるわけでございます。
利用いたします者と利用しない者との調整でございますが、これは、この基金設立の当時、なお設立以後、実際の運営方法等を検討いたしました段階におきます経過を、いろいろ当時の関係者あるいは記録等によって見ますと、こういう性質の金でございますから、できるだけ低い利率で貸し付けるということは、これは当然必要でございます。従いまして、現在の貸付利率は、先ほども御指摘がありましたように一銭五厘、年率にいたしまして五分四厘何がしになっておるわけであります。それと同時に、未利用者につきましては、この法律では剰余金の処分はその段階においてきめるということになっておるわけでございますから、その際の考え方といたしましては、未利用者に対しましては大体六分見当の剰余金の配分を出資額に応じてきめていくというような考え方が持たれておったようでございました。そういう、貸付につきましては五分程度のなるべく低い利率、未利用者に対しては六分見当の配当を一応考え方としては予定をしておるというようなことで、両者間の利害の調整をとるような考え方に相なっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/10
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011・足鹿覺
○足鹿委員 六分の配当をしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/11
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012・須賀賢二
○須賀政府委員 法律的には、剰余金の処分は実際剰余金の処分をする際にきめるということになっておるわけでございます。従いまして、現在までは剰余金は全部積み立てをいたしてきたわけでございます。これが二十六億ばかりになっております。従いまして、現在までは剰余金の処分といたしましての配当はいたしておりません。いたしておりませんがただ、設立当時の考え方といたしまして、将来剰余金の処分等をする場合には、未利用者に対する利益還元の意味も含めて六分程度の配当をするというような考え方が持たれておったようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/12
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013・足鹿覺
○足鹿委員 いや、考え方が持たれておったようであるということは当時の記録によっても明らかでありますけれども、やはり、当時の経済局長の小倉さんは、適当な時期を見て法律の改正をお願いしたらどうかということを内々考えておったということが記録に載っております。この配当またはそれに類するような措置をとりたい、そのためには法律の改正を将来やりたいということを言われておったことは知っておるのです。今回の措置によっては、利用者と利用しない者との利益の調整というものがやられておらぬのです。だから、その配当なら配当、あるいは、特に利用しないが出資をしておるというところについては何らかめ対策がとられなければならぬはずだと思うのです。それは当時の記録によっても明らかなわけですから、そういう対策をおとりになる必要があるのじゃないですか。当然、こういう改正の機会に、出資に振りかえるということもそれは一つの案ですが、利用者と利用しない者との調整措置というものがとらるべきではなかったかということを私は聞いておるのです。また、当時の立法の精神の上からも、政府の考え方の上から見ましても、すべきが当然じゃないですか。それを私は言っておるのです。何か六分の配当をしたらいいという程度のことでは納得がいかないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/13
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014・須賀賢二
○須賀政府委員 今回の剰余金を出資に振りかえまする措置をとりましたのも、剰余金処分の一つの方法としてこういう措置をとったのでございます。これは剰余金が出資額運用の果実として出て参ったものでございますから、これは従来の出資額に応じまして連合会に実質的には配分をしていく結果になるわけでございます。
なお、今後剰余金が積み立てられました場合にそれをどのように処分をして参るかということは、さらに法律でもってきめなければならぬことになっておるわけでございまして、今後の剰余金処分の方法は、引き続き基金及び政府部内におきまして十分検討いたしまして、できるだけ早い機会にこの処理方針の成案を得まして必要な法律的な手続をとりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/14
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015・足鹿覺
○足鹿委員 私が言いたいのは、利用しておるところと利用しておらぬところが、三分の一対三分の二くらいになっております。利用してないところは、この資料によって見ましても、全く利用していない地帯がたくさんあるのす。ですから、そういうところに対しても、無事戻しの問題があれだけやかましいのですから、そういうところに運用益を充てていくべきではないですか。このもらった会員別基金利用状況というのを見ましても、全く差が著しいのです。こういうところはすなわち低被害都道府県であります。そういうところに対しては、あれだけやかましく無事戻しをよこせということを言っておるのですから、当然無事戻しにしてみても、専門家の意見を聞いてみると、五億円程度あればこれはりっぱにやれるということを言っておるのです。今後も特別積立金が増加するという見通しは十分ありますが、もっと恒久的な取りくずしの規定を設けて、特別積立金が生じたときには、やはり、この制度が発展していくために、無事戻しであるとか、あるいはだれにも行き渡る病虫害の防除事業だとか、そういう面を通じて農民に還元していくという考え方の方が、制度に対するこのごろの世論なり農民の不満から見ましても当然考えられてしかるべきことだろうと思うのです。出資金が足りなければ、むしろこれを機会に政府がもっと出資をして、三十億どうしても必要だというならば、あと十五億円は政府が出資して、農民の負担による十五億円を基礎としてこれを農民に還元する、しかし、やってもなかなか目立ちませんから、無事戻しの対策費にするとか、あるいは災害防除のための経費に充てるとか、そういうふうに運用すべきではないかと思う。利用者はだんだん減ってきておる、そういう現状なんです。何かそこに一工夫あってしかるべきではないかと思う。この制度が農民から非常に歓迎をされてうまく運用されておるならば別でありますが、とにかく農民の要望とはかなり隔たっておる。農民は、自分たちの賦課金の中から水稲について三十数円の負担をさせられておるというようなことは実際知っておらぬでしょう。だからこそ、そういう農民への利益還元と申しますか、そういう措置はやはりとるべきではなかったかと思うのです。これは、現在ここで法改正をやればできぬことはありません。これは、一時政府提案に非常に問題があったように聞いておりまして、議員立法でもという話も出ておった。そうであるならば、われわれは当然この問題も取り上げていきたかった。ところが、にわかに政府提案というふうに切りかえられてこの法案が提出されたという点につきましても、実情にそぐわぬ点が多多あって、非常に遺憾に思う。政務次官、どうですか。当然私はそういうふうな措置がとらるべきものではないかと思うのです。これだけ評判の悪いものに対して、利益をあげてそれを今度出資に振りかえるという程度で当面を糊塗するということでは、あまりにも不徹底のそしりを免れないではないかと思うのです。農民還元についてどのように考えられますか。そういう点は提案に先だっていろいろ検討されたかどうか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/15
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016・石坂繁
○石坂政府委員 本案を提出いたしますまでの経緯につきましては、最初議員立法でやるという話もありまして、その後多少のいきさつを経まして、結局政府提案となったその経緯は、大体足鹿さんの御指摘の通りだと思います。しかるに、漸次利用しない会員がふえて参っておることも御指摘の通りでありまして、その利用者と非利用者との間の利益の調節をいかにするかという御意見は、まことにごもっともの問題点だと思います。従いまして、先ほど経済局長からお答えいたしました通り、今回この臨時措置法によりまして積立金を取りくずしますことも、その利益調節の一つの点でありますが、将来は、基本的の対策につきましては、本制度の運用の状況なり、被害発生の推移その他の点を検討いたしまして、会員の利害調節を考慮した基金制度を、当時のいきさつをもしんしゃくいたしまして十分検討を進めて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/16
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017・足鹿覺
○足鹿委員 第一、今後とも特別積立金がふえるという見通しは十分あるわけですが、ふえるなら、これはまた、利用する人々の立場から見れば、もっと金利を下げたらどうですか。そんなにもうける必要はない。だから、当然一銭五厘は一銭にもし五厘にもし、時と場合によってはただにしてもいいのです。何もこの基金はもうけなければならぬ、利益をあげなければならぬ性格のものではないわけですから、特別積立金をするくらいの余裕があるならば、貸付利率をもっと下げるということも、これは利用者の立場に立って考えていく場合は当然考慮あってしかるべきだと思う。そういうことにも何ら手がついておらぬ。あまり制度の評判がよくないからとても徴収ができまい、そこで肩がわりをして出資金に振りかえる、こういうお考え方で、これは三十二年の農業共済大会の議決だそうですが、それをここにようやく制度化されてある。これはあなた方の基金の資料によりますが、あなた方には運用の実態がよくわかっておらぬと思うのです。「農業共済基金の第七回出資金を農家負担としないよう措置すべきこと。」という決議がなされ、その決畿の理由としては、まず利用しない会員から出資、配当等の措置を要望しており、さらに低被害地等共済掛金・賦課金の徴収に円満を欠く地帯においては拠出金の徴収も次第に困難となっておるから、こういう理由でこのことが決議されておる。これに対する答えは、後段の答えだけを取り上げて、前段の利用しない会員に対しては出資配当もしない、また、恒久的な取りくずし制度、無事戻しの問題であるとか、あるいは防除共済の問題であるとかいうことに対しても何ら措置しておらぬ。この基金がひとりぽつんと、この共済制度と一体であるべきものが、この制度だけは安全地帯におって、そうしてきわめて平穏な運営をやっておるということは許されていいですか。これだけこの農災制度に対する風当りが強いときに、この制度だけはまことに特等席におっていいでしょうか。しかも、損がいっておるならともかくも、特別積立金が逐次ふえていく今後の見通しもある。これに対して当然適当な措置を打つべきだと私は思うのです。それが三十二年の農業共済の全国大会の決議採択の理由と趣旨になっておるわけです。私は、それにこたえらるべき性質のものだと思うのです。
そういう点については、ここで押し問答をしても始まりませんから、これは、委員長、少くとも明日でも基金の安田君なりだれかに来てもらって、これだけ特等席におって、この制度とは何か無関係な涼しい顔をしておることについて、もう少し私は基金運用の責任者からいろいろ具体的な意見を聞きたい、またただしたいと思うのです。明日の委員会に基金の安田専務を呼んでいただきたいと思いますので、あとで理事会等で御決定願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/17
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018・松浦周太郎
○松浦委員長 協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/18
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019・足鹿覺
○足鹿委員 次に伺いたいのでありますが、今回の措置による財産の帰属の問題はどういうふうになりますか。連合会の基金に対する出資金が十五億円、これは、先ほども言いましたように、七〇%は農民から拠出さしておる。残りの三〇%が都道府県及び市町村が補助金として拠出したもののようであります。例外もあるようでありますが、とにかく大分部は賦課金の中に含めて農民から取り立てておるのです。こんなに農民から賦課金として取り立てておいて、どうもこの機構のかみ合せが、制度は実に巧妙にできておるが、この基金との連関性といいますか、運用上における一体性というものが、欠けておるように私は思うのです。何かこの制度だけは非常な安全地帯におって、しかも半分は農民の負担によって生まれておるということは、よほど考えなければならぬと思うのです。今度出資の振りかえられるといたしまして、財産の帰属は連合会ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/19
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020・須賀賢二
○須賀政府委員 今回の出資振りかえによりまして二億三千九百万円が連合会より基金に出資したことになるわけでございます。従いまして、この最後に残っております三十三年の三月三十一日の出資残額割合に応じまして各連合会が出資をした持ち分を持つことになります。従いまして、その帰属は連合会に帰属するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/20
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021・足鹿覺
○足鹿委員 そうしますと、今回のその財産のある時期にかりに分配とか農民還元という問題が起きてきても、現段階においては連合会自体の財産になるわけですから、農民とは実質的な関連がいよいよもって薄い。そういう点にも疑義があるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/21
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022・須賀賢二
○須賀政府委員 この法律で出資に振りかえました結果といたしましては、御指摘の通り、連合会の資産となっておるわけでございまして、直接負担農家とはつながっておらぬわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/22
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023・足鹿覺
○足鹿委員 ですから、先ほど来私が申し上げておるように、農民の出資で十五億円をまかなうわけですし、すでに十二億何がしというものは農民の賦課金の中に含めて取っておいでになるのです。そのことは、農民で知っておる者もあるが、知らぬのがほとんどでしょう。そういうことで、実際この制度が複雑なために、あまりこの問題に対しては関心が払われなかったと思うのですが、今回の法改正に際していろいろ検討してみますと、私ども、このやり方は是正されなければならぬと思います。基金の当事者が明日お見えになるならば、当事者としてもいろいろ意見があるだろうし、内部検討もしておられるだろうと思いますので、その機会に譲りたいと思いますが、この基金の業務運営あるいはその経費を見ましても、基金には役員が六人おって、三名は常勤しており、非常勤が三名ある。職員は二十三名もおる。運営経費は三十二年に二千六百六十六万一千円ということになっておりますが、これは膨大なものです。農業協同組合の中央会機構にも匹敵するような経費を使っておって、ただ不足金の処理をやっておる。融資の申し入れがあればそれを検討して貸し、これを回収していくだけなんです。ほかに農災制度そのものに対して何らの積極的な活動というものは見られない。また、制度上の連関性が薄い。従って、私は、このものの今後の性格について考えてみたいと思うのですが、前国会で成立をしました酪農振興基金法にしましても、政府出資が五億円で、民間出資が五億円でありますが、この合計十億円の出資でもって出発したこの酪農基金につきましても、この性格についてはいろいろと新しい情勢に即応するような内容を持っておる。たとえば、酪農振興基金の出資関係は、今述べたような、額には若干相違がありますが、半分は政府出資、半分は業界出資ということになっている。そして、業務の範囲は、債務保証のほかに、牛乳などの需要増進に関する業務を行うというふうに性格が規定されている。ところが、この共済基金には、何ら農業災害補償法の欠陥を補ってこれとの連関において一体的な運営がされるような措置がとられていないということは、酪基法あたりとの関連においても、相当考えられなければならないものではないかと思うのです。その点についての御所見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/23
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024・須賀賢二
○須賀政府委員 基金の機構につきましては、われわれといたしましても、この種の組織といたしましては、当然できる限り簡素な機構で少い経費で管理をして参るというふうに指導をいたしておりますことはもちろんでございます。ただ、現在相当減少いたしましたものの、なお三十四億円程度の債権を管理いたしておるわけでございますし、これらの維持管理につきましては、業務量としてもある程度のものは必要なわけでございます。従いまして、現在、御指摘の員数と、昭和三十二年度におきましては二千六百万円程度の一般経費がかかっておりますが、この程度の支出は、農林省といたしましても事前に予算内容を十分審査をしてやっておるわけでございます。なお、今後、業務量の推移等によりまして、さらに業務経費、一般経費の合理化は当然やって参らなければならぬわけでございまして、今後、業務量の推移と見合いまして、さらにその面につきまして役所といたしましても十分監督指導を進めて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/24
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025・足鹿覺
○足鹿委員 私はそういう抽象的な御答弁では満足できません。たとえば、三十三年度の事務費の補助の実情を調べてみましても、第一・四半期の事務費に対して九月になってようやく出るということは、まことにスロー・モーションである。そうすると、赤字をかかえている連合会は勢いよそから金を借りなければならぬという実情も出てくるのではないか。そういう場合に、この基金の性格に一部変更を加えますならば、それに対しても当然それが来るまでつないでいくこともできるでしょうし、また、農林省自体が第一・四半期の補助金を九月、十月までもほったらかしておくというような運営というものは、私は理解できないのです。そういう事態を一方においてそのまま反省せずにだらりだらり毎年同じことを繰り返しておって、一体どうしますか。この基金の今後の性格については、事務費を含めた不足金をやはり融資を受けるとか、あるいは今の補助金にしても、そういうものに対してあなた方の方でどうしても九月でなければやれぬと言われる正当な理由があるならば私も納得はしますが、これはあなた方のスローモーから来ることなんです。地方の連合会は困るのです。従って、末端におきましても困るのです。組合の運営がつかぬ状態のところにもってきて、いつまでたっても補助金は来ない。そういうものに対してもっと融資をしていくような、業務上共済組合の業務運営とのつながりをもっと考えていくべきではないか。いわば共済金庫とでも言いますか。どうしてもあなた方は他の農林金融機関に委託も思い切ってやらない。私はやるべきだと思いますが、そこまでもよう踏み切れない。といって現状に対しても改善の具体的な手を打っておらぬということでは、私は許されないと思うのです。現在の制度自体が非常な苦境に立っておるときに、もっと真剣に考えてもらいたい。大きな利益金をあげて損失補てん金を積む、特別積立金まで持っておるわけです。この間も、次官も御存じでしょうが、日本蚕繭事業団の問題にしましても、やはり蚕糸業の産業の発展のために、安定振興のために助成を行うことができるという項目が与野党の間に話が一致していくことになっておる。当然、この問題については、最近のいろいろな基金なりあるいは政府関係機関の状況等とも考えてみて、こういう矛盾を解決していくべきではないかと思うのです。私どもは、何か農災制度というのは、努力しておられるでしょうけれども、どうもぴたりと現状に即応するような手が打たれておらぬという印象を強く持つわけです。この業務の点について、債務保証に限定せずに、今言った、もう少し一歩を進めた基金利用の道を講じていく必要があると私は思うのです。そういう点については内部で検討されましたか。一体今後どうされようとしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/25
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026・石坂繁
○石坂政府委員 基金の運営上の問題について私は十分に実情をつまびらかにいたしておりませんので、明快な答弁をいたしかねますことはまことに恐縮でございます。しかしながら、いろいろ運営上の問題につきましては検討もし、また反省もすべき点もあろうかと存じます。従いまして、改むべき点があればすみやかにこれを改めていかなければならぬという考えを持っております。
なお、債務保証のほかに基金の他の利用面のことを考えてはどうかという御質問もありましたが、その点につきましては経済局長から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/26
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027・須賀賢二
○須賀政府委員 現在の基金運営の方向といたしましては、御指摘がありましたように、事務費の不足分につきましては貸付をいたしておりません。これは本来事業不足金の一時融資という必要のために発足をいたしたものでありますし、事務費につきましては、過般の農災法一部改正御、審議の際にもいろいろ御指摘があったのでありますが、基金の業務運営を若干改めます程度ではとうてい基本的な改善をはかることができない程度の大きな問題になっておるようでありますので、この問題は、先ほども申し上げました制度全般の検討の中でさらに検討して参りたい。今の共済基金運営の方向といたしまして、事務費の貸付をするということは目下の事態では予定をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/27
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028・足鹿覺
○足鹿委員 この基金には運営委員会というようなものがあるようですが、運営委員会の運営状況について、農林省は、私が今指摘したような点について従来そこで検討されたような実情を知っておりますか。いわば膨大な内部金融機関としてこれだけのものを置く必要があるかないかということについては、私は前々から言っておりますが、運営委員会というものは今まで何回開かれて、どういう点を議論しておりますか。
それから、先ほど言いましたように、第一・四半期の補助金が九、十月になって出るというような実情はどこからくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/28
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029・須賀賢二
○須賀政府委員 運営委員会の運営の状況につきましては、私は詳細に聞いておりません。こまかく調べまして、後刻お答えいたしたいと思います。
農林省の連合会に対する補助金の交付指令が毎年かなり手間どっておりますことについて御批判がありますが、これは単に連合会の事務費だけではないのです。どの補助金もあまり早く出ておらぬようでございまして、これは農林省全体として早急に改めて参らなければならぬ問題でございますが、特に連合会の補助金につきましては、毎年配分基準等につきまして、相当団体側及び政府側の意見の調整等に手間どっておるわけでございます。それらに若干の時間がかかっておりますので、今後はできるだけ促進をするように反省をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/29
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030・足鹿覺
○足鹿委員 どうも簡単な法律でありますが、お聞きのように内容的には重要な内容を含んでおると思うのでありますが、当局が内容的にはあまり知らぬようです。運営委員会がどういうふうに運営されておるのか、どうもはっきりしない。それも経済局長は知らぬということでは、とても話になりませんので、あした安田専務を参考人として招致していただいても、もっと質疑をさしていただきたいと思います。そういう意味できょうは終ります。
〔委員長退席、吉川(久)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/30
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031・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 足鹿君の要望もありますので、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
ただいま本委員会で審査中の農業共済基金法第三十九条第一項の特別積立金の処分等に関する臨時措置法案について参考人の意見を徴するため、農業共済専務理事安田誠三君に明十三日参考人として出頭を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/31
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032・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 御異議なしと認めさよう決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/32
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033・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 次に、小委員会設置についてお諮りいたします。
本委員会に、甘味資源問題調査のため、小委員十一名からなる甘味資源に関する調査小委員会を設置いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/33
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034・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 御異議なしと認めます。
次に、小委員及び小委員長の選任につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「更議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/34
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035・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 御異議なしと認め、小委員に安倍晋太郎君、吉川久衛君、高石幸三郎君、永田亮一君、丹羽兵助君、本名武君、保岡武久君、實川清之君、中村時雄君、西村関一君、松浦定義君を、小委員長に吉川久衛君を、それぞれ指名いたします。
次にお諮りしておきます。ただいま設置するに決しました小委員会の小委員の辞任並びに補欠選任につきましては委員長において適宜これを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/35
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036・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/36
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037・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 ちょっと速記をとめて……。
〔速記中止〕
〔吉川(久)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/37
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038・松浦周太郎
○松浦委員長 速記を始めて下さい。
日本蚕繭事業団法案を議題とし、審査を進めます。
質疑があればこれを許します。質疑はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/38
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039・松浦周太郎
○松浦委員長 本案に対する質疑はなきものと認めます。
本案に対し、吉川久衛君より、自由民主党並びに日本社会党共同提案にかかる修正案が提出されております。修正案の内容は各位のお手元に配付いたしておる通りでございます。
まず修正案の趣旨についての提案者説明を求めます。吉川久衛君。
日本蚕繭事業団法案に対す修正案
日本蚕繭事茱団法条の一部を次のように修正する。
第二十三条に次の一項を加える。
2 事業団は、前項に掲げる業務のほか、あらかじめ農林大臣の認可を受けて、前事業年度における損益計算上の利益金から積み立てられた積立金に相当する金額に政令で定める率を乗じて得た金額の範囲内で、養蚕業の経営の安定に資するための事業に対する助成を行うことができる。
第二十四条中「前条第一号」を「前条第一項第一号」に改める。
第三十八条第一号中「第五条第二項、」の下に「第二十三条第二項、」
を加える。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/39
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040・吉川久衛
○吉川(久)委員 日本蚕繭事業団法案に対しまする自由民主党並びに日本社会党共同提案の修正案について説明を申し上げます。
日本蚕繭事業団法案の修正点については、各位のお手元に配付してある通りでございますから、朗読を省略いたします。
昨年の春以来、わが国の蚕糸業は異常な不況を呈しておりまして、昭和二十八年に成立を見ました繭糸価格安定法もその機能を十分発揮できないような状況になっておりますので、それに対する臨時措置法を制定いたしましたが、これまた不十分で、非常な混乱を呈したのでございます。そこで、今回は、繭糸価格安定法等に基いて政府の行なって参りました繭糸価格の安定に関する措置の補完といたしまして、蚕繭事業団法を制定して、これによって繭及び生糸の需給事情からする適正な繭価水準を実現しよう、こういうことで日本蚕繭事業団を設立しようということでございますが、これの内容を検討いたしますと、その組織や業務、財務、会計等について所要の規定が設けられてはございますが、この業務規定だけを見ますと、私どもの期待をしておりますような事業を完全に果すことは十分でないように考えられましたので、ここに修正案を提案するに至った次第でございます。
その内容を簡単に申し上げますと、そもそもこの事業団法の政府出資となっております十億の資金は、繭糸価格安定法第十一条第一項に掲げてあります、養蚕農家に対してその乾繭あるいは保管あるいは金利、それらの経費を国が助成することになっておりますが、これを個々の農家に散布いたしましては農家にいろいろ迷惑のかかるような弊害等も予見できますので、かようなことのないようにし、しかもその金を一つ蚕糸業の安定のために有効に使う方途なきやという経緯を経まして、ここに蚕繭事業団が誕生し、その資金が十億ということになっているのでございます。そこで、この資金から生まれますところの利益金を積立金とするということになっておりますが、損益計算上出て参ります利益金は積立金とはいたしますけれども、政令で、それに相当するところの金額のたとえば百分の七十とか百分の八十とかいうようなそういう額を、今後養蚕業の経営の安定、すなわち養蚕技術の向上とかあるいは経営の合理化とかあるいは需要増進とかいうような繭糸業の経営全般の安定向上のためにこの資金を使えるようにしよう、こういうことでございます。
満場の御賛成をお願いする次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/40
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041・松浦周太郎
○松浦委員長 修正案について質疑はございませんか。
なければ、修正案及び原案を一括して討論に付しますが、討論の通告がございませんので、直ちに採決いたします。
まず修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/41
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042・松浦周太郎
○松浦委員長 起立総員。よって、修正案は可決いたしました。
次に、修正部分を除く原案について採決いたします。修正部分を除く原案に賛成の諸君の御起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/42
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043・松浦周太郎
○松浦委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
ただいま修正議決いたしました日本蚕繭事業団法案に対し、高田富之君より、自由民主党並びに日本社会党共同提案にかかる附帯決議を付したいとの申し出があります。この際発言を求めます。高田富之君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/43
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044・高田富之
○高田委員 日本社会党並びに自由民主党を代表いたしまして、ただいま修正議決されました日本蚕繭事業団法案に対しまして附帯決議を付したいと考えます。
ここにその案を朗読いたします。
日本蚕繭事業団法案に対する附帯決議(案)
政府は、日本蚕繭事業団が適正な繭価水準を実現するため乾繭の委託販売等を行う場合、各蚕期毎の産繭量のおおむね二割までの繭の市場操作を行うことができるよう所要資金の確保の措置を講ずべきである。
右決議する。
昭和三十四年三月十二日
衆議院農林水産委員会
これは申すまでもないことでありますが、せっかくこのような特殊機関が設立されましても、その運営におきまして期待できるある程度の効果が最小限度あげられるような資金措置というものが確保されなければ、結局絵にかいたもちになるわけでありまして、昨年あたりの繭の操作に対する政府でやって参りました実績に徴しましてもわかることでありますが、どうしても、ある程度繭価の維持をはかろうという場合に、最小限度二割というのはぎりぎりの線であろうと思うのであります。かりに三千万貫としますれば、二割にいたしまして六百万貫、千二百円見当としましても八十億近いものはどうしても必要でありますので、これらの点について所要資金の確保措置を講ずるということは当然裏づけとして考えておかなければならぬことであります。この点を明確にいたしまして、そうして、せっかくできまするこの事業団がこの目的を達成するに遺憾のないようにいたしたい、こういうのが趣旨でございます。
皆さんの全会一致の御賛同をお願いする次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/44
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045・松浦周太郎
○松浦委員長 附帯決議を付するに賛成の諸君の御起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/45
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046・松浦周太郎
○松浦委員長 起立総員。よって、附帯決議を付することに決しました。
ただいまの附帯決議に対し、政府の所見を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/46
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047・石坂繁
○石坂政府委員 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨のあるところはよくわかりますので、政府にお きましても今後十分に検討いたしまして措置いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/47
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048・松浦周太郎
○松浦委員長 次に、小かん加糖れん乳等の製造の用に供するため売り渡す国有てん菜糖の売渡価格の特例に関する法律案、日本てん菜振興会法案及び臨時てん菜糖製造業者納付金法案の三案を一括議題といたし、審査に入ります。
この際質疑があればこれを許します。ございませんか。なければ、これにて三案に対する質疑は終了いたしました。
次に、三案を一括して討論に付しますが、討論の通告がないようでありますので、直ちに採決いたします。
まず、小かん加糖れん乳等の製造の用に供するため売り渡す国有てん菜糖の売渡価格の特例に関する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/48
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049・松浦周太郎
○松浦委員長 起立総員。よって、本案は原案通り可決すべきものと決しました。
次に、日本てん菜振興会法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/49
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050・松浦周太郎
○松浦委員長 起立総員。よって、本案は原案通り可決すべきものと決しました。
次に、臨時てん菜糖製造業者納付金法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/50
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051・松浦周太郎
○松浦委員長 起立総員。よって、本案は原案通り可決すべきものと決しま
した。
日本てん菜振興会法案、臨時てん菜糖製造業者納付金法案の両案に対し、中村時雄君より、自由民主党並びに日一本社会党共同提案にかかる附帯決議を付したいとの申し出があります。この際発言を求めます。中村時雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/51
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052・中村時雄
○中村(時)委員 自由民主党並びに社会党を代表いたしまして、附帯決議案を出す前に、まず、私たちがなぜこういう附帯決議を出さなくちゃならないかという点の集約を一点だけ申し添えておきたいと思います。ということは、先般来各委員の熱心なる質疑応答の中におきまして、現在建値標準価格として七十三円という原案を政府当局が出してきたわけなんでありますが、しかし、現実の実際の値段は幾らかというと、七十三円といたしましたときの対外的な値段は三セント四十五を基準にしておったもので、現実にこの三カ月間は三セント十に値下りをしておるのであります。そこで、この三セント十に値下りしておる現状を私たちが見た場合に、もしかりに三セント十にした場合にどういう結果が出るかというと、FAS価格は六十八ドル三十四、運賃六十シリングにすると、C・IF価格は八十ドル十となって、加工賃を九円五十銭としたら、現行税率でコストは三十七円、新税率では五十四円三十七銭になって、農林省の基準に一比べて斤当り四円五十銭だけ安くなるのであります。この四円五十銭安くなるという音心味はどういうことかと言えば、それだけ事実はもうかるということなんです。もうかるという理由はどこにあるかというと、標準価格七十三円をきめましたそのことは、五年後において十六億六千万円の納付金を日甜から納めさせ、そのためには斤当り三円六十銭キロ当り六円の差益を徴収することになっておるわけです。六円の差益を徴収してもなおかつ今言ったような現在の価格の中におきましては四円五十銭というまた値上りがある。一方、値下りをした場合には農家にどう補償するか、値上りをした場合の剰余金をどのように処理するか、その問題が法的には十分でないために、ここに決議案を私たちは出したい、このように考える次第でございます。
そこで、決議案を朗読さしていただきます。
日本てん菜振興会法案及び臨時てん菜糖製造業者納付金法案に対する附帯決議(案)政府は、今回、甘味資源の日給力綜合対策に基き、一連のてん菜振興対策を講ずるごととなったが、その実施にあたっては次の各項を考慮すべきである。
記
一、将来、糖価水準の著しい低落その他の困難な事態が発生し、国内てん菜糖工業の採算の悪化、原料てん菜の現行指示価格の引下げ等のおそれがある場合には、てん菜糖の全面買入措置の再開或は特別の保護措置の実施により原料及び製品の価格の維持とてん菜栽培農家の所得確保につきいかんなきを期すること。
二、原料てん菜の共販態勢を確立し、てん菜栽培農家の利益を増進するよう措置すること。
三、てん菜生産の飛躍的促進を図るため、これが生産計画の策定及び実施に当っては、土地改良、土壌改良、品種改良、家畜導入、輪作等てん菜栽培のための積極的な助成措置を講ずること。
四、てん菜生産の裏付のないてん菜糖製造工場の濫設は、てん菜糖工業の健全なる発展を阻害することとなるので、今後における製造工場の新設に当っては慎重に対処すること。
五、今後のてん菜対策が、わが国の国際収支の改善、甘味資源の自給、寒冷地及び西南暖地の農業振興等の上に果すべき重大な役割にかんがみ、原料てん菜の価格形式、原料の出荷地域の調整、工場の新増設方針の確定、生産基盤の整備増強、試験研究の促進等てん菜及びてん菜糖の生産流通に関する各般の重要事項を調査審議するため、農林省に「てん菜振興調査会(仮称)」を設置することとし、その調査を進め、すみやかに、てん菜生産振興臨時措置法を改正し、てん菜生産振興のための恒久的な基本制度を確立するものとすること。
右決議する。
昭和三十四年三月十二日
衆議院農林水産委員会
以上、私たち決議案を出したわけでありますが、しかし、この中でもう一点お考えを願いたいのは、二の項目においては共販態勢という言葉を出しておりますが、これは農業協同組合等を拡大いたしまして、そして利益が上った場合の分配方式のことを考えておることもっけ加えておく次第でございます。
いろいろな問題がありましたけれども、各位の御努力があったので私たちも一応承認することにいたしましたが、あとの問題は一応小委員会に付託することにしてこの決議案に御賛成を願いたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/52
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053・松浦周太郎
○松浦委員長 ただいまの附帯決議を付することに賛成の諸君の御起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/53
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054・松浦周太郎
○松浦委員長 起立総員。よって、附常決議を付することに決しました。
ただいまの附帯決議に対し政府の所見を求めます。石坂政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/54
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055・石坂繁
○石坂政府委員 ただいま御可決になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に考慮いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うように努力いたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/55
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056・松浦周太郎
○松浦委員長 お諮りいたします。ただいま可決いたしました四法律案の委員会の報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/56
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057・松浦周太郎
○松浦委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
次会は明十三日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十八分散会
〔参照〕
日本蚕繭事業団法案(内閣提出第一〇〇号)に関する報告書
小かん加糖れん乳等の製造の用に供するため売り渡す国有てん菜糖の売渡価格の特例に関する法律案(内閣提出第一二〇号)に関する報告書日本てん菜振興会法案(内閣提出第一六四号)に関する報告書臨時てん菜糖製造業者納付金法案(内閣提出第一六五号)に関する報書告
〔別冊附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02219590312/57
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