1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月十三日(金曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 松浦周太郎君
理事 大野 市郎君 理事 赤路 友藏君
理事 石田 宥全君
安倍晋太郎君 秋山 利恭君
五十嵐吉藏君 今井 耕君
倉成 正君 田口長治郎君
高石幸三郎君 綱島 正興君
永田 亮一君 永山 忠則君
濱地 文平君 八木 徹雄君
保岡 武久君 足鹿 覺君
小沢 貞孝君 角屋堅次郎君
神田 大作君 久保田 豊君
實川 清之君 西村 関一君
松浦 定義君
出席国務大臣
農 林 大 臣 三浦 一雄君
出席政府委員
法制局参事官
(第一部長) 亀岡 康夫君
農林政務次官 石坂 繁君
農林事務官
(農林経済局
長) 須賀 賢二君
農林事務官
(農地局長) 伊東 正義君
委員外の出席者
大蔵事務官
(国税庁直税部
長) 金子 一平君
参 考 人
(農業共済基金
専務理事) 安田 誠三君
専 門 員 岩隈 博君
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三月十三日
委員三和精一君及び神田大作君辞任につき、そ
の補欠として永山忠則君及び小沢貞孝君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員永山忠則君及び小沢貞孝君辞任につき、そ
の補欠として三和精一君及び神田大作君が議長
の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
参考人の出頭要求に関する件
農業共済基金法第三十九条第一項の特別積立金
の処分等に関する臨時措置法案(内閣提出第一
七九号)
農林水産業の振興に関する件(農業法人問題)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/0
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001・松浦周太郎
○松浦委員長 これより会議を開きます。
参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。
本日午後調査予定の農地買収問題について意見を聴取するため、日本住宅公団総裁加納久朗君に参考人として出頭を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/1
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002・松浦周太郎
○松浦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/2
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003・松浦周太郎
○松浦委員長 農業共済基金法第三十九条第一項の特別積立金の処分等に関する臨時措置法案を議題とし、審査を進めます。
なお、本案につきましては、農業共済基金専務理事安田誠三君に参考人として出席を願っておりますので、参考人よりの意見聴取は質疑において行いたいと存じます。
質疑の通告がありますので、これを許します。足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/3
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004・須賀賢二
○須賀政府委員 ちょっと……。
昨日御質疑のありました事項につきまして、調査をいたしまして答弁することになっておりました分につきましてお答えを申し上げます。
運営委員会についての御質問でございますが、運営委員会は、法律二十九条の規定に基きまして、業務運営に関する重要なる事項について理事長の諮問に応ずる組織になっておるわけでございます。構成員は、会員代表といたしまして八人、学識経験者が五人加わりまして、合せて十三名をもって構成いたしております。開催の回数は、三十二年の六月に第一回を開催いたしまして、その後第五回まで五回開催をいたしております。主としてこの運営委員会において審議をいたしました問題は、会員の出資の延期、――これは、総会できめておりまする出資期限に災害その他の事情で完納ができません組合につきましてこの出資延期を認めるような場合、この運営委員会に諮っておるのでございます。それから、業務方法書の変更、予算の収支計画、事業計画、定款の変更、融資回収方法寺、四半期ごとの資金計画、大体こういったものを運営委員会において審議いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/4
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005・足鹿覺
○足鹿委員 政府への質問は、参考人の意見を聴取した後、あるいはそれとの関連において行うことといたしまして、基金の専務の安田さんがおいでになっておりますので、この際御意見をお伺いしたいと思うのです。
今回の立法措置によりまして、共済基金の資本金の払い込みが終るわけです。ところが、昨日も政府に質問をいたしましたように、最近の農業情勢と申しますか、一般的に見まして著しく情勢が変化をしてきております。本基金の親立法ともいうべき農災法自体に対しましても、その制度の不備あるいは運用上の欠陥というようなものがだんだん顕著になってきまして、掛金の徴収もうまくいかない、従って、制度そのものの運営が困難になり、解散の議決、あるいは事業休止の決議等の組合が各所に続出しておるような実情にあることは御存じの通りであります。昨年一月法改正が行われまして、市町村移譲の道が開けることを中心として各種の改正が行われましたが、これもまた中途半端で、その効果も十分上っておらない。これらのものの累積の結果、農業災害補償制度は再建か崩壊かというきわめて重大な段階に直面しておると考えられるのであります。従って、この際、この災害補償法との関連においてその運営を円滑にし業務の健全な発達に資するためにこの共済基金制度が実施されておるのでありまするから、当然新しい情勢に即応し、また制度そのものの現状から考えてみて、共済基金の機能を十二分に発揮せしめるためにはいかにあるべきか、ということが昨日来論議をされておるのであります。
そこで、農業共済基金が昭和二十七年に発足以来足かけ七カ年間その運用に当られた当面の責任者である基金の安田専務の、運営に対する反省と申しますか、自己批判と申しますか、そういう立場において、どういうところに基金運用の問題があるか、それに対してはどういうふうに具体的に処理すべきか、特にこの性格の問題、業務内容の問題、農災法との関連の問題等について、この際御意見をお聞きしたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/5
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006・安田誠三
○安田参考人 ただいまお尋ねのございました点について、私の考えておりますところを申し上げてみたいと思います。
昭和二十七年にこの基金法ができまして以来、われわれ理事者として、今日まで運営して参りました問題の中で、特に気を使ったといいますか、心を配ってやって参りました問題は、この基金法ができます当時の経緯についてはすでに御承知の通りかなり農民からの出資がむずかしいという問題もごさいましたし、出資に対してどういう益金の運用をやるかということについてもいろいろ問題になりましたが、その中で、特にその会員の基金を利用する仕方、そういうものと関連して、この制度としての共済基金がなるべく全四十六の会員に対して公平な運用をしていかなければならぬじゃないかという点に主力を注いで参ったわけです。
その中の一つの問題といたしまして、これはこの法案の審議のときに問題になりましたように、共済基金に対する出資に対して配当をつけてくれというような御意見が相当論議されたのでありますが、非常に困難な中で農民の方から出資をいただくということについてはこれは当然な御意見だということで、基金のいろいろな資金コストといいますか、こういうものを算定し、基金の会員に対する貸付利率をどうするかという問題にも関連しまして、われわれとしては、当分の間は基金としては会員の出資に対してできるだけ要望に沿って配当に相当するようなものを何らか考えていかなければならぬじゃないかというので、毎年のわれわれの共済基金の年度末決算におきましては、会員の出資に対して当時普通に考えられました六分の配当に相当する分を積み立てて参ったのでございます。これは基金の資金を集めていただく立場におられる方々としては非常に関心をお持ちになっておられる点でございまして、われわれとしては、もっぱら会員出資に対する配当に相当するといいますか、利用するあるいは利用しない会員に対してある程度調整するという考え方をもちまして、毎年年度末剰余金から六%の積立金をして参ったのであります。それが実はわれわれとしましては過去六年間におきまして基金の運営上一番問題として参った点でございます。従って、そういった点から見まして、この積立金ができて参りますと、会員の中から、出資拠出金といいますか農民の積み立てる拠出金に対して何らか配当をくれというような御意見も出て参りました。しかし、それについては、現在御承知のように農民の出資についてだけ配当することはむずかしいという別途の法律がございまして、今日までその配当をせずに積み立てて参ったのでございます。
そういう問題と関連しまして一番会員の方から御希望がありましたのは、基金に対して、いろいろな事業資金を出してくれとか、あるいは掛金の徴収のための活動資金を出してくれとか、いろいろな事業活動の面についての御要望がございましたけれども、それはまずともあれ、われわれとしては、積立金をなるべく多くする、少くとも六分に相当する程度のものは何とか確保をしていきたいという考え方で運営して参りました関係上、そういう方面につきましてはかなり会員の御希望には沿わなかったという点があるのであります。しかしながら、もう一つ問題は、われわれこの基金をお預かりしておる理事者の立場としましては、この法令の範囲内でこの基金の運営を正確に公平にやっていくという立場が一つございますので、実はそういう会員の資金の余剰金の利用について会員の全般的な御希望に沿うということは基金法の性格をある程度変えるという問題にも関連していきますので、会員の方々の御希望は非常によく、わかるのでありますが、現在の法律ではわれわれ理事者としてはその問題に触れていくわけには参らぬという考え方で今日まで参りました。
ただし、町村合併が進みまして、組合のいわゆる規模も大きくなり、組合の運営の方法が変って参り、なお、これに応じて従来組合の資金の運用とかあるいは連合会の資金操作という面においてかなりこの三、四年以来変化をして参りまして、正確に掛金をとってそれを財源として、連合会が保険料を徴収するという点についてはこの二、三年来かなり苦しい思いをしながらも、ともかくも基金に対する出資金としては七回のうち今日まで六回まで払い込んでこられたという状態にあるわけでございます。しかし、それだけに連合会の資金繰りというものはかなり最近は窮屈になってきておるように思います。これは、ただいま足鹿先生の御指摘のありましたように、農業災害補償制度が施行されております背景というものにかなり大きな変化があったということと、補償制度自体にとりましても町村合併によって従来の協同組合との関連が非常に変って参ったということから、共済団体が独立にこの事業を運営していくという建前に立って、資金上非常に困難な問題が出てきておるという点がありまして、それがこの両三年来出て参りましたが、いわゆる会員の意見というものは――この基金には運営委員会というものが法律で付置されておりまして、これが理事長に対する諮問機関ということになっております。これには会員の代表が各地方別に八人と、学識経験者が五人加わりまして、十三人の運営委員の方々に隔月お集まり願って、基金の運営については今までかなり慎重にやって参ったつもりでございます。その運営委員会に出ます問題は、ただいま申しましたよう、連合会のかなり資金運営上苦しい問題、これが保険金支払いにいろいろな困難な問題をかもし出してくる、それを緩和してくれないかという問題が実は運営委員会にも両三年来かなり出てきて参っておるわけであります。そういう問題につきましては、われわれかなり慎重に運営委員会で検討いたして参っておりますが、これは、何と申しましても、先ほど申しますように、基金法の改正の問題にも連なり、性格の問題にも関連をして参ります。共済組合連合会の全般の資金運営に基金が関連を持つということになりますと、かなり今の基金法できめられている範囲より幅の広い活動をするということになって参りますので、これはわれわれとしてもその気持はわかりますが、運営者の立場から申しますと、現在の法律の建前、定款の建前にのっとって今日まで少しきちきちと運営してきたという感じを、今日われわれとしては抱いておるわけでございます。
なお、ここで、今までの基金の運用に当っておりまして感じます問題は、いわば各県の連合会の立場というものがかなりいろいろ違って参っておりまして、余裕金を持っておられる連合会もございますし、かなりの不足金で、資金操作で非常に悩んでおられる連合会もあるというので、それぞれの御発言、御意見というものが、四十六の会員の間に相違しておる問題がございます。その基金を利用しない連合会も、三十二年度では八連合会ございますし、今年に入りまして二連合会がふえまして、十連合会が基金を直接に利用しないという状態になって参っておりますので、そういう問題についてどういうふうに対処していくかということを、実は今後のわれわれの大きな問題として検討をしておりますし、なお今後も検討をしていかなければならぬという立場に置かれておるのでございます。ただ、そういった意味において、いろいろ本質的には、ただいま御指摘になりますように、共済事業の背景がいろいろ変ってきたという問題がありまして、これは共済事業の根本にいろいろな問題を投げかけておりますけれども、基金に関連して参ります問題は、われわれが接触する会員というものは四十六の会員で、そういう間接的な関連を持つということで、いろいろ問題を持ちながらも、われわれは、組合の方までは農民の基本の組織の問題にまで触れてはいけないというような点がございますけれども、先ほど申しましたように、この両三年の間にこの資金繰りの上において相当な変化があり、しかもそれに対応してどうしていくかという問題が、今日われわれの基金運営上の問題として出て参っておるわけでございます。しかし、そこには各連合会の間にかなりいろいろな考え方がありまして、われわれの考え方も、これについては相当な検討を経た上で今後の問題に対処していきたいというふうに思っておるわけでございます。
なお、会員の基金を利用される立場から申しますと、いろいろな金利のきめ方についても、一般市中金利が下って参りますと、共済基金の連合会に貸し出す金利も下げたらいいじゃないかというような御意見もありまして、そういう問題については、われわれもでき得る限り実際に即応するように動いてきたつもりでございまして、現在の一銭五厘という貸付利率は、昨年の四月からこの金利を一銭七厘から一銭五厘に下げて実施いたしておるようなわけでございます。
従って、全般的に申しますと、われわれは、今までは何とかして会員の配当に相当するといいますか、利用する会員と利用しない会員とはどうわれわれが対処していくかという問題の一つとして、剰余金の積み立てについて、その民間の出資についてはある程度当初の要望にこたえるようにもっぱら運営してきたというのが、われわれの率直な感じでございます。ただ、それだけでは、今申しますように、連合会の全般的な苦しみというものには十分にこたえるところまではいっておりませんので、これが実はわれわれの現在困っております問題点であり、同時に、今後それについて相当検討を深めていかなければならぬ問題だと考えております。
非常に抽象的なお話でありますが、なお御質問によりましてお答えさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/6
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007・足鹿覺
○足鹿委員 いろいろと御意見を拝聴したわけですが、私どもの不満は安田さんも認めておられるように、この基金法の運用はただ単に基金を運用するというだけではなくして、農災法の運用を健全にしていくための性格をこれは持っておるわけです。昭和二十七年の発足当時は業務開始当初でありますからやむを得ぬといたしましても、その後この共済制度に対する農民の不満は熾烈なものがある。それに対して、今もお話を聞くと、ほとんど基金が連合会とのつながりということに重点を置いておられるようですが、私どもは、どうしたならば農民との積極的な連関をとり得るかということにもっと考え方を切りかえられなかったものかという不満を持つのです。制度そのものは、末端でも、御存じのように非常な困難にぶつかっておる。風当りも一番強い。にもかかわらず、今も話を聞いておりますと、法律の範囲内においてやられなければならぬことはよくわかりますが、少くともこういう状態になったときに、自発的にでも、その性格の問題あるいは業務運営の問題について改訂を必要とするならば、もっと積極的にそれを呼びかけられ、そうしてこれを立法化していくという、その積極的な意図というものが全然見られなかった。基金法設置以来今回初めてその改正をようやく提案される。こういう状態に対する私どもの率直な不満があるわけです。それを、あなたの説明を聞いておると、審議会においても、私が指摘したようなことが問題になっておったが、慎重を期したと言われる。何かあなた方の意図を抑制するような別な動きがあるんですか。何か政府の方にでもそういう動きがあるのか。どうも、制度そのものが危機に直面しておるときに、あなた方だけが特等席にぬくぬくとしておるような印象を受けるのです。これは率直に私申しますが、何かそういう印象を受けるのです。ただ不足金の処理をして今日まで七カ年間を暮らされた。その間にあってはいろいろ苦心の点もあったと思う。それは率直に認めますが。それだけでは私は済まされない重大な段階が来ておったと思う。それに対して、法改正や業務運営の点については、金利の引き下げということに踏み切られた程度のことであって、あとは積立金をとにかくたくさん作っていくんだ、こういうきわめて事なかれといいますか現状維持的な考え方に終始されたということに対して、私はものが言いたい。あなた方が気がついておってなおそれができなかった理由は一体どこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/7
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008・安田誠三
○安田参考人 ただいまの御質問についてお答えいたしますが、私たちとしては、先ほど申し上げましたように、基金という一つの限られた業務の中で、できるだけ御希望に沿っていくという問題の一つとして、実は積立金を何とかしてある程度時期がくれば農家の方に還元ができるといいますか、そういうようなことを当面われわれとして手をつけなければならぬ一番大きな問題として実はやって参ったのです。それがたまたま今回出ております法律でわかりますように、最終の農民の出資に振りかえられる程度にその積立金を今日まで持ってきた。これが私たちとしては運営上から言いますと非常に気を使って参りました問題で、そのために最終のこの七回の出資については農民から拠出金をとらなくても済むというところまで持ってきたわけです。そうして、そのほかにこういう問題が起って参りまして、それをなぜ今日まで解決しなかったかという御質問でございますが、これは、先ほど申し上げましたように、いろいろ会員の中に御希望があります。地方により、会員の状況によって、いろいろと御意見が違います。たとえば、融資を受ける会員の方からは、なるべく金利を下げてくれという御意見があります。それから、利用されることの少い方からはなるべく配当をよくしろ、こういうふうな御意見があります。そうしますと、この考え方は若干相互に矛盾するような内容でもあります。そういったことについて一つのはっきりした結論を得るには、相当これは現在の段階だけではなしに将来のこの基金の運営という問題と関連して参りますし、同時に、この農業基金は、御指摘のように、農業災害補償制度の全体の中の一部分の役割を果しているという点から、そういう問題に触れて参りますと、全般的ないわゆる補償制度の運営という問題に関連してきます。これはわれわれの方だけでは解決しにくい問題であり、どうしてもここに基金の基本的な性格の変更というような問題に関連をして参りますので、実は、われわれとしては、こういった問題の解決をするには、やはりそこにまだ研究すべき余地がある、たとえば農業災害がこの両三年来割合に少くなって参っておりますが、これが大きくなるという見込みがあれば、これは現在の資金量でもなかなか足りないという一つの先行きに対するわれわれの見通しという問題もございまして、かなりこれは長期にわたって見通しながら、われわれとしてはその会員の要望にこたえていかなければならぬということで、昨年あたりからいろいろ検討をしておりました。その問題の一環として、実は今日の基金法の改正という問題が出て参っております。一挙にすべての問題をわれわれとしては解決することがなかなかむずかしいという点で、漸を追うて、まずこの問題については少くともある程度要望にこたえる。さらに進んでは、ただいま御指摘のような問題、これは全体の補償制度の改正という問題に相当深く下の方で関連を持って参つりますので、そういう点等をにらみ合していかなければならぬというような考え方もございまして、今日まで問題を延ばしてきております。なお、将来の問題としましては、今御指摘のような問題、われわれとしては来年この基金の中にこの問題に対する研究会を作って、ぜひともそういう問題にこたえていきたい。これはかなり大所高所からのいろいろなやはり観点がございますし、われわれだけの内部のタッチしております者だけではまだ考えも足らない問題もございますし、そういう点を全般的に来年の事業として、事業といいますか、われわれとしては基金のある程度の何か結論を出すように持っていきたいというので、この御指摘のあるような問題には、来年研究会を持って、なるべく早く結論を出していきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/8
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009・足鹿覺
○足鹿委員 そうすると、基金の性格を変えることについて、その必要を認めておる、痛感しておられるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/9
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010・安田誠三
○安田参考人 私自身の考えといたしましては、かなりそういう問題に、これは全体の資金量の問題がございますけれども、何かそういう問題に少し足を踏ん込んで、会員の要望にこたえていく必要があるのじゃないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/10
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011・足鹿覺
○足鹿委員 その性格を変えるためには法改正を必要とするということは先ほどの御指摘にあった通りで、その通りだろうと思うのですが、問題はこの農災制度というものが農民から歓迎されておらぬ。これに対して今後とるべき措置は、あなた方としては連合会を通じてなるべく公平に運用をしたいということにはなるでしょうが、その連合会、連合会と言われるけれども、出資金の七分までは農民の出資になる。農民が負担しておるのです。だから、やはり、この制度に対する不信を挽回し、新しく農民に希望と喜びを与えるような方向に持っていくためには、もっと農民とのつながりということに重点を置かなければならぬと思うのです。そのためには、やはり町村組合あたりで困るのは、とにかく政府の補助金支出にしてみても第一・四半期分が九月、十月になる、きのうも指摘しましたが、そういう状態なんです。その原因がどこにあるか知りません。これは農林省にうんと私はお尋ねしたいと思うのですけれども、そういうような場合が百歩譲ってやむを得ざる事態であるとするならば、業務経費の融資というようなものももっと利息をうんと軽減してこれをカバーするとか、あるいは各共済組合が自発的に災害防除事業というものを開始しておる、これらに対するところの助成をやって、直接農民にじかに触れていくような運営をやるとか、とにかくこの業務範囲というものについて再検討をしなければならぬと私は思うのです。二億三千万というものを平均四十六都道府県の会員で割りますと五百万円くらいの金になる。これは県の大小によって違うでしょうが、とにかく五百万円の平均の金をもってすれば、災害防除事業等についても相当目に見える仕事ができるはずだと思うのです。この問題については、そういうような点について政府も全く手ぬるい。あなた方も気がついておっても積極的にその困難を切り開いていくような意図が見えぬ。何でも現状維持でいこうとしておるやにわれわれは受け取られるのです。そういう点をもっとよくお考えになる必要が私はあると思うのです。
業務内容の問題について、今言いましたような点もありますが、一番この農民の熾烈な要求は、低位災害地帯からの無事戻しの問題がある。無事戻しを政府の助成等の措置を講ぜずしてやろうと思えば、掛金負担の増高で勢い農民の負担がふえるというような点に難点があって、なかなか積極的な無事戻し制というものが、名だけで実施されない。私どもの県で一ぺんそれに類するようなものはもらいましたが、一反当り五円ないし六円、こういうような金を無事戻ししてみたところで何の意味も持たぬ。ですから、無事戻しができないならば、それにかわるような何らかの措置を講ずるために検討されるとか、もう少しこういうことがしたいが、しかし現行法律のもとではできないから、これを何とかすべきじゃないかというふうに、積極的に出られる段階が来ておると私は思うのです。もう数年前からこの制度に対する風当りが強いものですから、その内部機関としても無関心でおられるはずはないし、相当審議会あたりでも論議があったというお話が先ほどもありましたが、当然だろうと思うのです。それを、政府に対しても言うべきことを言う、そしてその強い信念に基いて行動されぬことには気がついておってもだんだん時期を逸して、しまいにはうやむやになってしまう。こういうことではおさまらない段階が来ておるのです。業務方法書というものの改訂によっては今言ったような問題に対処することは不可能なんですか。業務方法書の改訂ということは法律とは不可分ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/11
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012・安田誠三
○安田参考人 今の業務方法書は大体基金法に源を発しておる問題でございますから、ただいまお話のように、かなり農民との接触で問題を解決していく、そういう点になりますと、これは程度によりますけれども、今御指摘のような問題を積極的にやるということになると、どうしてもこれは法律改正の問題に触れてくると思います。なお、それと関連して、基金の性格といいますか、法律できめております問題が若干そこに変質を起してくる。そういう点だけは、今までもなまぬるいという御指摘がございましたけれども、そこまでいかないとこの問題は私は解決しないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/12
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013・足鹿覺
○足鹿委員 時間がありませんので、もう一点だけ伺いますが、先ほどの無事戻しに関連をして、保険掛金の割り戻しとか――二億三千万円という金はそう少くない。今後この運営について、業務方法書を現行のままやるにしても、剰余積立金を出資金に振りかえるいう今度は措置なんですが、保険掛金の割り戻しというようなことだったら現行の業務方法書でやれますか。それとも、やはり、今回とったような法改正のように、保険料の割り戻しに充てるのだという別個の法改正をまたやらなければやれないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/13
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014・安田誠三
○安田参考人 今の御指摘の点は、これはやはり法律改正問題にどうしても関連して参ると思います。業務方法書で解決するということはむずかしいと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/14
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015・足鹿覺
○足鹿委員 大体時間があれば幾らでもまだお尋ねもし御意見も承わりたいと思うのですが、ほかの重要な問題もありますから、この程度で参考人に対する質疑を打ち切りまして、政府に伺います。
今お聞きのような質疑応答を通じて、政府としては、今基金の専務さんが述べられた点、また私が聞こうとした点をお聞きになって、どう対処されようとされますか。大臣がおいでになれば一番いいでしょうが、一応政務次官から御所信をこの際承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/15
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016・石坂繁
○石坂政府委員 昨日来の御意見、質疑応答の趣旨は、私は十分に傾聴いたして参りましたが、この後これらの問題につきましても十分に検討いたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/16
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017・松浦周太郎
○松浦委員長 他に質疑はありませんか。――なければ、これにて本案に対する質疑は終了いたします。
次に、本案を討論に付しますが、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと存じます。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/17
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018・松浦周太郎
○松浦委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
本案について、足鹿覺君より、自由民主党並びに日本社会党共同提案にかかる附帯決議を付したいとの申し出があります。この際この発言を求めます。足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/18
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019・足鹿覺
○足鹿委員 農業共済基金法第三十九条第一項の特別積立金の処分等に関する臨時措置法案に対する附帯決議を付したいと存じます。
その趣旨の説明に入ります前に、案文を朗読いたします。
「農業共済基金法第三十九条第一項の特別積立金の処分等に関する臨時措置法案」に対する附帯決議(案)
今回の立法措置により農業共済基金の資本金は払込を完了するが、近年の豊作事情等を反映して農業共済基金を利用しない会員が増加し、他面、農業共済制度に対する農家の不満が顕在化して共済掛金の徴収が円滑を欠き、この制度の運営が困難を加えつつある現況に対処するため、政府は、農業共済基金制度の機能を十分に発揮せしめるよう速やかに左記の措置を講ずべきである。
記
一、農業共済基金の現行業務その融資対象が会員の事業資金の一部にとどまっているが、業務経費の融資、災害防除事業のための助成等業務範囲の拡大を図り、もって農業共済制度全般の健全な発展に寄与しうるよう所要の措置を講ずること。
二、会員への不足金融資にあたり、保険金支払に必要な資金を貸付け、保険金の完全支払を実現するとともに、融資手続を簡素化して、会員の保険金支払を確実迅速ならしめるよう業務方法書を改訂すること。
右決議する。
昭和三十四年三月十三日
衆議院農林水産委員会
提案の趣旨は、昨日来の質疑応答で尽きておりますので、今さら蛇足を加える必要はないと思いますから、省略をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/19
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020・松浦周太郎
○松浦委員長 お諮りいたします。足鹿覺君より提案の附帯決議に対して賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/20
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021・松浦周太郎
○松浦委員長 起立総員。よって、附帯決議を付することに決しました。
ただいまの附帯決議に対して政府の所見を求めます。石坂政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/21
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022・石坂繁
○石坂政府委員 ただいま全会一致をもって附帯決議を御可決になりましたが、この附帯決議の内容は種々の問題点に触れておるのであります。政府といたしましては、この御決議の趣旨にかんがみまして、今後十分検討を進めて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/22
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023・松浦周太郎
○松浦委員長 次にお諮りいたします。ただいま可決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/23
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024・松浦周太郎
○松浦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/24
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025・松浦周太郎
○松浦委員長 次に、農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
農業法人問題について質疑の通告がありますので、順次これを許します。五十嵐吉藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/25
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026・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 それでは当面の農業法人課税問題についてお尋ねをしたいのですが、まず第一番に、これは実は新聞で承知をしたことなんですが、農林、大蔵の意見が一致をしていわゆる統一見解なるものが発表されたようですが、これは確かにそういうことが発表になりましたか。そして、そうだとすれば、その内容は一体どんなことであったか、これをまず承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/26
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027・金子一平
○金子説明員 お答え申し上げます。先般の当委員会で農林、大蔵の思想統一をするようにという御発言がございまして、その後農林省とも数回打ち合せました結果、大体次のようなことに決定いたしました。その内容を読み上げます。「一、いわゆる農業法人は既に設立登記がなされ、法人自体は有効に設立されているものと考えられるから、その設立を否定することは勿論できない。二、また、法人が有効に設立され、法人形態で事業を営むこととした場合には、税法上も、その事業を法人の事業とし、その所得に対して法人税を課することとするのが通常である。三、しかし、いわゆる農業法人に関しては、農地法第三条により農地を使用収益する権利を設定する場合等には知事又は農業委員会の許可を受けなければならず、許可を受けないでした行為は効力を生じないこととなっており、その許可がない場合には、法律上は、依然として農地の所有者たる個人がこれを使用収益する権利を有しているものと解されている。もっとも法律上効力を生じない行為であっても、その行為に因り実質的に所得を享受する者がある場合には、税法上その者の所得に対して課税すべきであるが、いわゆる農業法人が農地の所有者たる個人の同族的な法人であり、法人設立の形態をとった後にも個人時代と農業経営の実態が変らないような場合には、所得税法上農業経営から生ずる所得は個人に帰属するものと認めてこれに対して所得税を課することが相当と考えられる。」、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/27
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028・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 そうすると、こういう統一見解のもとにこれを国税庁に流したわけですね。新聞によると、この統一見解を国税庁に通達をしたとある。この通達の内容というのはこの通りですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/28
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029・金子一平
○金子説明員 ただいま御指摘の点は昨日、このままのものを、農林省、法制局と思想統一をしてこういうことに決定したからとりあえず通知するという通達をいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/29
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030・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 ところが、国税庁の長官が参議院の予算委員会でこういうことを答弁している。第一点は、農業法人の設立そのものは否認をしない。第二点は、所得税は実質に所得が帰属する者にかける。それから、問題は第三点なのですが、そこで、農業所得は実質的には個人の所得であるから、三十三年度も個人課税とする。こう断定した答弁をしておるようです。そういうことになりますと、今の通達とこの考え方の内容というものはまるっきりこれは違ったものが出てくるわけなのですが、この点はどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/30
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031・金子一平
○金子説明員 第一点、第二点は問題ないといたしまして、第三点でございますが、おそらく、現在問題になっております鳥取と徳島のものにつきまして、先ほど読み上げました第三項に出ております個人の同族的な法人で、法人ができましても個人時代と農業経営の実態が変らないというような場合には、個人に所得が帰属するものと考えて所得税を課することが相当と考えられるという点を長官は述べておられるのだろうと思います。従いまして、長官の言われた趣旨は、内容は私は聞いておりませんけれども、おそらくただいま読み上げましたこの取扱いに関する申し合せと趣旨において全然変っていない、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/31
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032・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 もう一点、こういう点があるわけです。これは昨日の新聞ですが、この出された通達の内容は、普通作物、果樹、茶園を営む問題の百五十一法人、すなわち、徳島が百五、北海道九、鳥取六、和歌山四、この百五十一法人に対しては昭和三十二年にさかのぼって十六日までに申告を行うように勧告をする、こういうことがあるわけです。もしあなたの方でこういうように個人申告を行うような勧告をするというようなお考えであるとすれば、そこに当然大きな食い違いというか大きな問題があるわけです。この点は非常に重大なのですが、この点を一つ明確に、どういうお考えのもとにおやりになったのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/32
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033・金子一平
○金子説明員 とりあえずの問題といたしましては、鳥取、徳島の現在わかっております、つまり経営の実態がわかっております分につきまして、十六日に個人としての所得税の申告を出して下さいということを慫慂せざるを得ないかと思います。それから、今申し上げました鳥取、徳島の法人の過去の分をどうするかということ、これは行政の問題としてやはりなかなか問題があるところでございます。先般も当委員会の御指摘があったのでございますが、すでに法人で申告をしたものを三年前五年前にさかのぼって所得税を課税するのかというような御指摘があったのでございますが、この点につきましては、私どもは、行政の問題としてはやはりそんなに古くまでさかのぼるのは妥当でないと思うのです。先般の当委員会で、私は、徳島の個人課税を三十二年分からやっています、つまり昨年の申告時期の分からやっているわけですが、それとのバランス上、場合によれば三十二年分、つまり昨年の申告の分から個人申告をしていただかなければならぬかと思っている、つまり課税の権衡上の問題でございますということを申し上げたのでありますが、そこら辺の問題は一つ十分検討さしていただきたいというふうに考えております。それから、それ以外の、今御指摘ございました和歌山でございますとか北海道でありますとか、そういったものは、まだ調査も十分済んでおりません。おそらく実態が署でもわかっていないと思いますので、これはまあ今後だんだんと実態がわかって、はっきり個人時代と変っていないのだ、法人と見るのは無理なのだというようなことがわかりましたら、その際にまた個人の申告をしていただきたいというようなことになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/33
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034・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 どうもその点がちょっとはっきりしないようですが、そうすると、十六日の最終申告日に当って、今申し上げましたような各県の法人が当然これは法人申告をしてくるわけです。それに対して個人申告に切りかえなさいよということ、あなたの方はそういう勧告をおやりになるつもりがあるのですか。これは個人申告に切りかえたらどうか、こういうことがあるとすれば、その点なのです。それはやはり法人申告として受付をすることが当然だと思う。そこで、その後においてその内容によって実質課税主義でいく、そのときに、その内容が、これは実質的に法人課税とすべきでないということの判断が出た場合には話は別になりますけれども、頭から個人申告をしなさいよ、こういう勧告をするとすれば、これは大へん問題があると思うのです。その点はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/34
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035・金子一平
○金子説明員 現在税務署の方の調査で実態が個人と同じだということがはっきりわかっておりますものにつきましては、個人の申告を出して下さいということをむしろ申し上げた方が親切であろうかと思うのです。まだ税務署におきましては十分調査してないものもあるわけです。そういったものにつきましては、今先生からお話のございましたように、法人の申告が出てきて、調査に参りまして、どうも内容はやはりあなたのところは個人で申告していただかなければなりませんということになりまして、個人の申告を出していただくという格好になろうかと思うのでございます。現在百五十幾つかございますが、全部について、税務署が実態もよく調べてないものに対していきなり全部個人申告を出して下さいということを申し上げるということは、私どもとしては毛頭ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/35
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036・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 実は、私どもは、農業法人というものを単に税金対策として考えておるわけではないのです。いわゆる農業の近代化あるいは農業の共同化、こういうところにむしろ大きな意義があると思うのです。そういうことのために、これから大いに農業法人というものを育成して参ろう、こう考えておるわけなんです。そこへもってきて課税の問題で当面いろんな問題が起ったわけなんですが、そこで、あなたの方の考え方が、かなり、中小企業それから特に町のいわゆる同族会社、こういうものに対しては、これは育成するという方針を従来とってきたと思うのです。税務当局は、それに対して、われわれ今日まで農業法人に対する検討を進めて参り、あるいは現地に行っていろいろ調査をしてきた、そういう結果から判断をしますと、どうも農業法人というものをそのまま押えよう押えよう、こういうあなた方の方の考え方、動き方が感ぜられるわけです。それでは一体なぜ農業法人に関してのみそういう態度をおとりになるかという疑問が起ってくるわけなんです。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/36
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037・金子一平
○金子説明員 農業法人につきまして、農業以外の事業であれ、農業であれ、私どもは区別して取り扱う必要は毛頭ないと考えております。また、事実やってはいかぬと思っております。ただ、課税の実際におきまして、法人の所得が法人に帰属するか個人に帰属するかという問題の認定に当りまして、やはり個人としての実体を備えておるのだというものにつきましては、個人課税をするのが私どもは筋合いと考えます。現在問題になっております法人につきまして、やはりそういった見地から個人課税をせざるを得ないという結論を出したわけでございます。一般の町の法人につきましても、これはたくさん例があるわけではございませんが、従来からも企業組合等につきまして所得がやはり法人でなくて個人に帰属しておるのだということでもって個人課題をやった例もございます。その他の法人につきましてもやはり同様の例もございますので、私どもは、やはり、ケース・バイ・ケースによりまして、特に内容的に問題を判断して解決していく以外に手はないのではないかというふうに考えております。今御心配のございましたような、特に農業法人に強く当るのだというような気持は毛頭持っていないということをこの際つけ加えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/37
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038・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 これは、あなたのお話ならそれは実にわかった話です。そうなければならないと思いますし、またぜひともそうあってほしい。ところが、なぜこういうことを私が申し上げるかというと、昨年の暮れに私は鳥取へ行きまして、現地へ行って農業法人関係責任者と会ってきた。そのときに、広島の国税庁の役人が十数人乗り込んで、しかも、実に、何と申しましょうか、どう考えても全く行き過ぎと思われるような調査を現にやっておるのです。これは頭から農業法人というものを否定してかかっておる。そういう態度をとってきたわけです。それでは、一体、どう考えてみたところで、農業法人というものを――今のあなたのおっしゃるお話の通りならば、どこまでも実質課税でやっていくのだ、これは何人にも話はわかる。だれにも話はわかる。ところが、現にやっていることはああいう態度をとってやっておる。広島の国税庁であの鳥取の農業法人というものを徹底的に調査をした。調査の徹底を期するのはこれは悪いとは言わない。しかし、ああいうやり方は、万々あなたは御承知になっておると思う。報告を聞いておると思う。あれでも、農業法人というものを押える気持はない、こういうことが言えますか。この点を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/38
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039・金子一平
○金子説明員 私は先般の当委員会でも申し上げたのでございますが、農家の方は従来大体標準率課税をやっております関係で、こまかい帳簿を一々拝見するというような調査をやっておりません。そういう関係から、今度の調査によりまして無用の刺激を与えた点ははなはだ遺憾に存じておりますが、今度の調査は目的が経営の実態の調査ということでございまして、登記がどうなっておるか、あるいは出資がどうなっておるか、預金の出入りがとうなって、おるかというような、従来農家としてはほとんど受けておられないような調査をいたしましたような関係で御指摘のようなことがあったのでございまして、その点は私どもはなはだ遺憾に存じておりまするが、今後は極力そういう無用の摩擦を生じないように注意して参りたいと存じますので、御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/39
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040・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 そういたしますと、今のあなたの答弁によって出て参りました結論は、いわゆる町の法人と農業法人というものを課税上は全然区別しては考えないということが第一点、それから、第二点は、どこまでも実質課税でいく、従って、一戸一法人といえども、その内容が、法人としての経理が完備しておって、そして所得が法人に帰属するということになった場合においては、当然法人課税を認めていくという点、それから、第三点は、あなたの方で流した通達は、さっき私が申し上げましたような個人申告に切りかえさせるような勧告はしない、この三点はさように確認をいたしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/40
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041・金子一平
○金子説明員 実は、今御指摘の一点と二点の関係は非常に関連がございますので、なお繰り返して申し上げておきたいと思いますが、町の一般の法人と農業法人を区別すべき理由は私は課税上ないと思います。これはいいのでありますが、経営の実際から見て、今御指摘のございましたように一家一法人で法人の登記をしただけのものということになりますと、実態がどうかという点は問題があるわけでございます。かりに数軒のうちが集まって一法人を設立しておるというような非同族的な法人ができ上りまして、法人としての経営の実をあげておるというような場合でございましたら、これは当然法人課税をすべき筋合いになろうかと思いますが、実は、一番問題のところが、農業経営の実際が個人時代と変っているかどうか、法人活動としてどういうような形態になっておるかという点でありまして、これの判断につきましては、私は現実の問題として相当問題があろうかと思うのでございます。そこら辺につきましては、私どもといたしましても十分慎重に見て参らなければならぬものと思うのでありますが、先般来問題になっておりますような法人につきましては、国税局なり税務署の報告によりますと、私は個人課税をせざるを得ないというふうに考えております。
それから、第三点の、個人申告を全部については慫慂しない、調査未了のものについてもすぐ個人申告を慫慂しないということはいいのでありますが、先般出しまして先ほど読み上げました通達に追っかけて、今後の申告のやり方と慫慂のやり方等について具体的な通達を出そうかと思っております。今申し上げましたように、調査が全然済んでいない、法人の実態がわかっていないようなものについては、申告が出てきた際にゆっくり調べて、実態が法人であれば法人としての申告を慫慂しなさいというようなことで、追っかけて第二の通達を出さざるを得ないと思っております。その点はお含みおきいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/41
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042・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 今のお話ですが、数戸が集まっていわゆる共同の形をとった非同族法人であれば認めることができると思うけれども、一戸一法人の場合は非常に困難だというように承わったのですが、ここに問題が一つあるわけです。一戸一法人であろうが、数戸共同の法人であろうが、同族法人であろうが、あるいは非同族法人であろうが、要はその内容実体が、法人としての所得が法人に帰属をするということが認められる場合はこれは当然法人課税ということになるのだと思う。この点は疑義がないと思うのですが、今のあなたのお話ではこの点ちょっとはっきりいたしておりませんけれども、どうですか。
〔委員長退席、大野(市)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/42
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043・金子一平
○金子説明員 お話の通りでありまして、私は法人の形態をとっておると同時に、その実態もやはり法人としての実体が備わっておらなければならぬと考えるのでございますが、先ほど申し上げるように、町の法人につきましても、法人の名のもとに活動はしておるが、実態は個人時代とちっとも変らないというようなものにつきましては、否認――法人を否認ではございませんが、所得の帰属を別に帰属しておると認めておるような事例もございますし、従いまして、農業の場合におきましても、実体が備わっていないというようなものにつきましては、やはり個人課税をせざるを得ない場合が多いのじゃないか。どういった法人の実を備えるかというようなことは現実の問題として判定がむずかしい問題であろうかと思いますが、そこら辺は十分慎重に内容を見てきめざるを得ないのじゃないかと考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、今問題になっておるものにつきましては、おそらく個人課税をしなければならぬものが大部分である、あるいは全部であるというように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/43
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044・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 先ほども申し上げましたように、私の考えといたしましては、単に農業法人というものは課税の対策ではない、それよりもっと意義のあることは、今申し上げましたように、農業の近代化であり、共同化である、そういう見地から、私どもは、大いにこれを推進をしていこう、こう考えておるわけであります。
そこで、最後に一点お伺いをいたしたいのですが、あなたの方も、法人成りしたいわゆる農業法人というものを、ほんとうにいやがって、何とかして押えていこう、こういう意図は、もう今までのお話によると全くない、ただ、農業法人というでき上った法人そのものに対して課税上いかにすべきかという判定の問題がまだ残っておるのでしょうが、しかしながら、本質的に農業法人というものを押えようというような気持は全然ない、こういうお話でしたが、それはその通りなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/44
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045・金子一平
○金子説明員 お話の点でございますが、私どもは、法人の実体を備えれば、それに対して法人課税をするのが課税のあり方としては当然そうあるべきなんです。課税の際にまず問題になりますのは、従来からるる申し上げて参りましたように、合法性と申しますか、法秩序の問題であります。農林省で農地法の運営上法人も合法的なものを認められるということになって法人ができまして、しかもそれが実体を備えれば、私どもはこれに対して法人課税をするのにやぶさかじゃないのでございます。ただ、現在問題になっておりますのは、第一段で農地法の許可を得ないものができておる、しかもそれが必ずしも実体を備えておるものではないという点にやはり問題があるわけです。私どもといたしましては、今後合法的な法人ができ上って参り、しかもそれが実体を備えているということになれば、当然法人課税ということに踏み切って差しつかえないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/45
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046・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 それはどうも……。それでは農地法との関係において二カ月も三カ月も前からずっとこの問題を討議してきた、その結果農林、大蔵の話し合いがついて、そして統一見解というものになったのだが、今のあなたのお話では、農地法の問題が解決しなければ合法的な法人でないというお話なんです。それじゃまるきり話が逆戻りしてしまっている。同時に、そうなれば、この統一見解というものがまるまる意味がなくなるわけです。これは重大なことです。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/46
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047・金子一平
○金子説明員 先ほど読み上げました統一見解の第二の、「法人が有効に設立され」云々、これは一般論として出ておりますが、それを繰り返して申し上げたわけでございまして、現在問題として取り上げられております点につきましては、私どもは第三の実態論でただいま議論をしておるわけでございます。私が申し上げましたのは一段と二段に関連して申し上げた次第でございますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/47
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048・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 法人が有効に設立をされたということは、さっきのあなたの答弁によりますと、農地法の上において認められることができた法人というものが合法的な法人である、こうあなたは御解釈をしているように受け取れるのですが、この統一見解の第一にも、「いわゆる農業法人は、既に設立登記がなされ、法人自体は有効に設立されているものと考えられるから」とあり、法人はもうすでに有効に設立をされているのですよ。ですから、この際農地法にからんで合法であるとか非合法であるとかいうことになると、また議論がずっと逆戻りするわけです。この点は一つ明確にしておいていただかないと、これからもうすぐつかえてくる問題です。これはさっきあなたがお読みになった統一見解に文書としてはっきり出ておると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/48
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049・金子一平
○金子説明員 ちょっと私の説明がまずくて誤解を招いたようでございますので、繰り返して申し上げておきますが、これは課税の建前論を従来やっておった際に申し上げた点でございまして、やはり、課税の際にまず私ども考えますのは、法律の形式論を一応やります。その際の問題として先ほどの点を申し上げたのでございます。農業法人につきましては、今申し上げましたように実態課税ということで問題を考えていくという点は、はっきり申し上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/49
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050・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 それじゃ、さっきの話の通りでいいわけですね。まだどうもすっきりしない点がありますが、いずれ後の機会に譲ることといたしまして、きょうの私の質問はこれで打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/50
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051・大野市郎
○大野(市)委員長代理 足鹿委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/51
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052・足鹿覺
○足鹿委員 最初に、ただいま五十嵐委員からも述べられた統一見解について伺います。先日来大蔵委員会なり当委員会においてこの問題が熱心に論議をされ、先日の私の質疑によって、十六日の確定申告期日までに農林、大蔵両省の意見を協議調整をして発表する、こういう大臣からの言明もあり、大蔵省側からもその御言明があって、われわれはそれに期待をしておったわけであります。ところが、正式に当委員会で聞いたのは、ただいまの金子直税部長が御朗読になったもので私どもはきょう初めて聞いた。それまでに新聞紙あるいはその他の報道機関は一斉に、当委員会で公式発表になるまでにいろいろ報道しておる。そういう手続のことについて別にとやかく言うわけではありませんが、あれだけの問題があったのでありますから、当然その経過なり結論については、政府として関係委員会すなわち大蔵、当委員会に対して積極的に御報告になることが私は妥当だと思いますが、その点について遺憾に思います。委員会を軽視するかのごとき態度は是正さるべきだと思うのです。私ども個人的にはその資料は拝見しましたが、それはあくまでも個人に対する御説明であって、当委員会に対して公式な見解の表明をされ、それに至る経過というものも当然発表さるべきでなかったかと思いますが、そういう点についてはどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/52
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053・石坂繁
○石坂政府委員 ただいま足鹿委員から御指摘の点は、まことにごもっともなことでございまして、今まで公式な政府の方からの経過並びに結論の発表が遅延しておったことにつきましては、重々恐縮に存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/53
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054・足鹿覺
○足鹿委員 今後十分御注意あってしかるべきだと思います。
そこで、新聞その他の報道機関によりますと、統一見解に対する通達あるいは解釈等が別に何かあるかのごとき印象を受けておったのでありますが、ただいままでの五十嵐委員との質疑応答によって、そういうものはない、今後そういうものを作るかもしれぬ、こういうことでありますので、その点については私は時間の都合上触れませんが、これまた解釈あるいはそれに基く通達というようなものについては当委員会にもそのつど報告されることが私は妥当だと思います。その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/54
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055・金子一平
○金子説明員 試案がまとまりましたら、通達の写しを提出いたしまして一向かまいません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/55
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056・足鹿覺
○足鹿委員 先ほどの五十嵐委員との質疑によって問題になっております「農業法人に対する課税上の取扱について」という統一見解の第一項の、「いわゆる農業法人は、既に設立登記がなされ、法人自体は有効に設立されているものと考えられるから、その設立を否定することは勿論できない。」、この「有効」ということはどういうことでありますか。法制局からお見えになっておるようでありますから、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/56
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057・亀岡康夫
○亀岡政府委員 お答え申し上げます。ここに「有効に設立されているものと考えられる」という用語を使っておりますのは、裁判所以外の方面と申しますか、そういうところでもってこの法人自体を否定できない、すなわち、訴えによりまして法人の設立無効ということが確定いたしませんと、法人自体を無効と当事者側で否認することができない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/57
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058・足鹿覺
○足鹿委員 そうしますと、農地法とは無関係に、法人の登記を完了した場合には一切有効的な手続と認めるわけですね。それをくつがえすに足る判決等によってくつがえされない限りは有効なものだ、そういうふうに解してよろしいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/58
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059・亀岡康夫
○亀岡政府委員 ただいまお話のありました通り、法人が一度成立しまして、登記されたということになりますと、その法人自体を否認する、無効として取り扱うということはできないのでありまして、判決がありまして、それによって初めて商法なり有限会社法の手続によって手続が行われる、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/59
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060・足鹿覺
○足鹿委員 次に、二項の、「また、法人が有効に設立され、法人形態で事業を営むこととした場合には、税法上も、その事業を法人の事業とし、その所得に対して法人税を課することとするのが通常である。」と、この「通常」ということはどういうふうに理解するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/60
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061・亀岡康夫
○亀岡政府委員 ここに「通常である」という用語が使ってありますのは、例外があるということをもちろん予想しておる言葉であると思いますが、その例外と申しますのは、所得税法等におきまして、その法人自体に課税しないで個人に課税する場合もあり得るということでありますので、原則としては法人に課税するが、例外もないことはない、こういう意味だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/61
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062・足鹿覺
○足鹿委員 農林省に伺いますが、そういうことを両省間で折衝され、協議をされた際に、そういうふうな見解に対して同意をしておられるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/62
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063・伊東正義
○伊東政府委員 この課税上の取扱いについての両方の話し合いでございますが、これはただ一般論として話し合いをいたしましたので、その点は今法制局から説明のあった通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/63
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064・足鹿覺
○足鹿委員 結局、一、二は前書きのようなものでありまして、問題は三にあるわけであります。そこで、先ほどから質疑応答が行われた際に、三項の末尾の方の場合が問題になっておるように思うのです。前文は省略しますが、「いわゆる農業法人が農地の所有者たる個人の同族的な法人であり、法人設立の形態をとった後にも個人時代と農業経営の実態が変らないような場合には」、こういう字句がある。「農業経営の実態」というものはどういうものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/64
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065・亀岡康夫
○亀岡政府委員 これも十分検討いたした結果というわけでございませんので、その点を御了承いただきまして、私が考えましたところを申し上げたいと思います。「農業経営の実態が変らない」ということを申しますと、ここにありますように、個人時代と同様な農業経営が行われている、言葉をかえて言いますと、その個人がその農地について使用収益をして所得をあげておる、こういう形じゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/65
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066・足鹿覺
○足鹿委員 農林省は今の法制局の見解でよろしいのですか。「農業経営の実態」というものに対してそういう解釈を下されるということに賛成ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/66
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067・伊東正義
○伊東政府委員 その「個人時代と農業経営の実態が変らない」という表現でございますが、われわれ考えますのは、法人の形をとりました場合に、その法人が許可を受けておりませんでも、実質的にたとえばその耕地について賃借権あるいは使用収益の権利に基きましてこれを使用収益するというような実態があり、また会社法人といたしまして法人の経理もしておる、個人の経理から離れまして、家計を離れて法人としての経理もしておる、また法人として農業をやっております場合に、たとえば社員に対しましては給料を払っておる、あるいは賃借しました場合には借りました人に対しまして賃借料を払っておる、というような形態に法人がやっております場合には、これは個人時代とははっきり変っておるというような解釈をとっております。今法制局から御説明がございましたが、補足いたしますと、われわれはそういうような解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/67
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068・足鹿覺
○足鹿委員 今の農林省の解釈については、法制局は言葉が足らなかったと私は解釈するのです。農業経営上の専門的な問題ですが、別に異存はないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/68
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069・亀岡康夫
○亀岡政府委員 ただいま農林省の方からお答えになりましたことは、私が先ほど申しましたことを裏からお話しになったと推察いたします。真正面から申しますと、私が先ほど申しましたように、個人時代と農業の経営の実態が変らない、すなわち、その個人が農地を使用収益して経営しておこと、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/69
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070・足鹿覺
○足鹿委員 それは農地法上の問題であって、一項と二項においては、その農地法上の問題にはこだわらぬ、こういうことになっておる。農地法上の問題は、その法三条に抵触するかしないかということは別個な面で、処罰すべきものは処罰する、また適法な処置をとるものはとる、こういうことになるのであつて、これは別個なことなんです。経営の実態というものが、外形的に見た場合に、たとえば、法人になったからといって、直ちに作付が変るとか、あるいはすぐに機械を導入するとか、あるいは新しく耕地を求めるとかというふうに、外形的に見た農業経営の姿が直ちに変るものではない。問題は、ここでいう農業経営の実態とは、そういうことをいっておるのではないでしょう。問題は、経営の実態がどういうふうに変るかということはその内容である。法人ならば法人にふさわしい新しい経営者が選ばれるとか選ばれないとか、かわるとか、あるいは金銭出納が明確に諸帳簿に正確に記入されておるとかおらないとか。たとえば、現在の個人経営の場合は、金銭出納簿もない、結局経営者が自分の意のごとくやっておる、家族の者はそれに対して何ら実態を知ることができない。ところが、法人になった場合には家計費と経営費というものがおのずから区別されていかなければならぬ。そうだろうと思います。家計費に幾ら幾ら使った、そして、経営経費は、生産資材なりあるいは雇用労力なり、その他いろいろあります。経営に必要な経費が正確に支出費目に従って記載される、また、収入については、これまたいろいろな農作物あるいはその他副収入というものが記載をされる、当然こういうふうに変ってくるのです。この場合、「法人設立の形態をとった後にも個人時代と農業経営の実態が変らないような場合には」と、こううたってあるのは、そういう意味のことをさしておるのでしょう。それでなければ意味ないと思うのです。どうですか、伊東さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/70
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071・伊東正義
○伊東政府委員 個人か法人かという問題につきまして、どういうことになったら法人経営かという先生の御質問でございますが、私、先ほど申し述べましたように、経営の実態として、農業経営をやっていくのが、これははっきり法人だというようなことで、使用収益に対する対価を払いましたり、あるいは賃借料を払いましたり、あるいは有限会社の代表をきめましてこれが業務執行をしていくというような形になりました場には、これは個人時代とは変ってきているというふうに私は解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/71
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072・足鹿覺
○足鹿委員 金子さん、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/72
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073・金子一平
○金子説明員 今御指摘の点は非常に判定のむずかしいところでございまして、やかましく言いますと、個人でも、青色申告の場合には、今お話のございましたような家計と企業会計とが判然と分離されるような建前になっておりますので、一がいに家計と企業が分離されておるということがただ一つの基準というわけには参らぬかと思うのでございますが、まあそれにいたしましても、そういうことになっておって法人としての活動がはっきりと確認できるというようなことになれば、私は法人活動としての有力な証拠の一つじゃないかと思います。結局これは個々の実態的な経営の状況全般から見て判断しなければならない問題でございまして、一律にはこれこれの条件がそろえばいいんだということは簡単に言えないのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/73
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074・足鹿覺
○足鹿委員 そういうふうに逃げられるとまた論議が発展するのですよ。今ここに法制局が立会をされ、両省間の意見が一致したものに対してはこれは尊重されなければならぬと思うのです。また、当委員会なり国会を構成しておる与野党の見解も一致してこの問題の打開のために苦労しておるわけですから、あなた方が個々の場合についてまた考えるんだというふうに言われると、これは統一見解をどこからか切りくずそうという思想があるのじゃないか。あるいはそういう思想がないにしてみても、あなた方が税務署を指揮、指導される場合に、従来行き過ぎがあったことは先般もお認めになっておるわけですから、そういうことのないことを期していかなければならぬと思うのです。先ほどの五十嵐君の御質問に対してもだんだん答弁が怪しくなってくる。われわれがはたから聞いておっても、やはり、経営の実態論でもってその実態を認定する場合に、出先の税務署の判断に基かなければならぬ。その判断の基準になるものは、当然この統一見解に基いて示されなければならぬと私は思う。そうしなければ、出先にみんなまかせるのだ、こういうことではないと思うのです。先ほども今後何らかの解釈なり統一見解の取扱いなりは検討中だ、こういうことでありますから、私はその内容について考え方を明らかにしておきたいというわけです。私の質問の趣旨はそこで、農業経営の実態というものを測定していく場合に何が基準なのか、個人の経営であるかないかを判定する、実態が変ったか変らないかということの測定をする基準は何になるのかということを明らかにしておかなければ、この論議は結局ピリオドが打てないので、その点について、法制局のお考えは、経営の実態とは何をもって個人と法人との分れ目にするのか、何をもってその基準にされるのか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/74
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075・亀岡康夫
○亀岡政府委員 その農業経営の実態か、個人時代と同様であるか、それとも法人の実体があるか、こういうことでございますが、これは先ほど国税庁の方からお話がありました通り、具体町な個々のデータと申しますか、資料をもちまして判断すべき事柄であるとは存じますが、法律的に割り切って申しますと、先ほど申しましたように、個人が使用収益している、法人が使用収益している、どちらかであることによって、これが証拠になるのじゃないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/75
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076・足鹿覺
○足鹿委員 使用収益の問題を非常に重視されることはわからぬではありませんが、それだけではないと思います。今私が述べたように、経営の実態を判断するという場合は、使用収益の問題はその所得が何人に帰属するかということの判定の基礎になるものであって、それのみでは個人か法人かの判定のすべてではないと思うのです。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/76
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077・亀岡康夫
○亀岡政府委員 もちろん、先ほどおあげになりましたような、帳簿の記載がどうであるかとか、また、経費がどういうふうに計上されておるかとか、その法人の意思決定がどういうふうにして行われておるか、業務執行がどういうふうにして行われておるかという諸点、これはまさに農業経営の実態を判断する材料かと思います。しかしながら、これは単に判断の材料でありまして、たといそういう形態があっても、と申しますのは、そういうことがあればすなわちそれは法人経営の実を備えているということを直ちに即断していいものかどうかということについては、さらに検討しなければならないのじゃないか、こういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/77
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078・足鹿覺
○足鹿委員 農林省に伺いますが、一項と二項において、従来あなた方がおとりになっておった考え方を一応是正された。また、国税庁なり大蔵省も農地法違反なるがゆえをもって法人を否定し去るということは是正されておるわけです。すなわち、「いわゆる農業法人はすでに設立登記がなされ、法人自体は有効に設立されておるものと考えられるから、その設定を否定することは勿論できない。」、――先ほども、裁判所の判決等によらざる場合はこれは否定できないとなっておるのです。この大眼目を使用収益の問題で事実上消していくようなふうになれば、この協定というものはそう大きく評価できない。何か一応当面を糊塗する、しかし実際上はやはり従来の考え方を踏襲して変りがないような印象を強く受ける。そうでしょう。法人であるか個人であるか、その経営の実態を判定することについて、使用収益の問題あるいは農地の帰属の問題、賃貸借の問題が合法的に解決がされておらなければ経営の実体は依然として個人にある、こういう断定を下すようになればナンセンスじゃないですか。そうじゃないですか。第一段において言っていることを、みずから三項において否定しておる。そういうことではどうも私はおかしいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/78
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079・伊東正義
○伊東政府委員 申し合せの一、二、三項について、一、二で言ったことを三項で否定しているじゃないかという御質問でございますが、私どもがこれを解釈しておりますのは、一般論についてお話をしたのでありまして、三項に書いてありますことは、要するに、結論的に申し上げますと、調査の上で実質課税でやっていくんだということが、私は三に書いてあります結論だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/79
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080・足鹿覺
○足鹿委員 おかしいじゃないですか。これは農業法人に対する課税上の取扱いなんであって、一項、二項において基本がちゃんと確立されておるわけですから、その線に従って解釈もし、かつまた実際の適用もやる、こういうことにならねば、三項というものに対してわれわれは疑問を持たざるを得ない。そこまで疑いたくないですよ。疑いたくないが、あなた方も慎重にやられる、国税庁も慎重にやられるとは思いますけれども、使用収益の場合、あるいは他の場合でも、所得は個人か法人かという一点に問題をしぼってきて判定されるということになりますと、一も二もあってもなくてもどうでもいい、三項で問題は実態で片づけるんだ、こういうことになる。この問題が片づかない限り、私は何ぼでもやりますよ。そんなばかな話はないと私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/80
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081・金子一平
○金子説明員 ちょっと誤解があると思いますので私から申し上げますが、一項、二項、これは一般論を書いておりますけれども、従来ともすれば国税庁の立場が法人を否認しておるように受け取られる心配がありますので、その点は、商法上有効にできました法人につきましては法人自体は否認しておりませんということはるる申しております。そういう意味から、法人自体は有効にできております。それで、普通の場合でございましたならば、やはり、法秩序に従って、あるいは正当な所得権者に所得が帰属するというように考えるのが普通だということを言っているわけです。第三段におきまして、しかしよく内容を調べてみて、その所得が、形式的な所得者じゃなくて、別個の人格に所得が帰属しておるというような場合におきましては、その別個の所得者に所得が帰属しているんだということで課税してもやむを得ない、こういう三段論法でこれを書いてございます。今申しました実際に所得者がだれに帰属しておるかによって課税の問題を考えろということはこれは所得税法にも法人税法にも規定がございますので、その規定によってここに書いております三項が書き上げられた次第でございます。御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/81
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082・足鹿覺
○足鹿委員 了承できないですね。これは毎日新聞の地方版なんですが、「農業法人税の適用、実質的経営に限る、国税庁通達、同族的なものはダメ」という見出しで、全国各地方国税局に通達した文章の内容と考えられる条項が引用してある。すなわち、「法人が有効に設立され実質上も法人形態で事業が営まれていれば法人税を課することを認めるが、現在の農業法人の大部分は一戸一法人の同族的なもので、農地を使用収益する権利が個人にあり、実態は依然として個人経営なので所得税を課することが適当だ」とうたってあるのです。そういう解釈をお出しになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/82
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083・金子一平
○金子説明員 通達は、先ほど申し上げましたように、この申し合せ事項を、一昨日でございましたか、とりあえず出してございます。それで、どういう要件が備われば法人か、どういう要件が備わらなければ個人かというような判定の問題は、これはやはり事実問題でございまして、一律的には、先ほど来からるる申し上げておりますように、なかなかきめつけかねるのでございます。やはりこれは第一線の税務署長にまかす以外に私はいたし方がなかろうと思います。また、従来もさようなことでやって参っております。所得税法の三条の二にその規定があるわけでございますが、この運用につきましては、こまかい判断の基準はこうだこうだというようなことは通達では全然書いておりません。この問題につきましても、全体として法人はでき上っておるが、やはり経営は個人であるとちっとも変ってないじゃないかというような場合におきましては、その第一線の税務署長の判断によりまして個人課税をしていかざるを得ないんじゃないかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/83
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084・足鹿覺
○足鹿委員 要するに、判断の基礎が、農地の使用収益の権利が個人にあるのか法人にあるのかということが中心になっておるようでありますが、結局、法人というものが適法に設立登記がなされて実質上有効に設立をされておる場合はその設立を否定することができないと第一段の大前提できめておるわけでしょう。そうすると、許可がなければいかぬのかどうか。実体がすでにでき上っておるわけですが、実体が優先するのか公課が優先するのかということになりますよ。第一項において、法人自体が設立登記を完了して有効に設立されておるから、使用収益は当然法人に行っておるのじゃないですか。それも許可があるかないかの問題ですよ。そんなばかなことはないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/84
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085・亀岡康夫
○亀岡政府委員 私の先ほど使用収益によってきまると申しましたのは、足鹿委員のお話しになっている効力の問題と実態の問題、こう分れるわけでありまして、私の使用収益と申し上げたのは、効力のことを言っておるわけではないので、法人が実態上それを使用収益するかどうか、または個人が使用収益しておるかということを申し上げておるので、法人がこういう効力がないから個人が使用収益しておるというふうに結びつけて申し上げたわけではないのであります。その点は一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/85
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086・足鹿覺
○足鹿委員 第一部長の御答弁は純粋で、私はいいと思います。法律解釈はあまり実務にかかわりなしに率直に淡々として解釈すべきものだと思う。あなた方税金をとるから、とられまいとしていると、こういうふうにすぐに問題を発展させて考えられる傾向があるので、どうもこんがらかるのです。だから、私が指摘しますように、設立登記がなされればそれは効力をもうすでに発生しておるのです。そうすると、その使用収益をする権利が個人にあるかないかということは、農地法上の一つの疑義があるので一つの問題があるのであって、実体はすでにできておるのですよ。そうじゃないですか。法人が有効に設立登記を完了して有効に発足をしている場合は、ちゃんとできて、実体はもうすでに動いておる。国税庁はその実体をなお否定しようというのですか。そんなばかなことはない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/86
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087・金子一平
○金子説明員 かりに町の法人でございましても、看板だけの法人もございます。看板だけかけておっても実際は個人でやっておるというものもございましょうし、それから、実体はもう十分備わっておるというものもございましょう。そういった区別を課税上どういうふうに扱っていくかという問題でございまして、今亀岡部長から話が出ておりますように、そこら辺の点は、やはり実質的に判断して結論を出さなければならぬじゃないかと思います。私どもの課税の立場は、またおしかりを受けるかもしれませんけれども、法律的な所有者に一応帰属すると考えるのが原則でございますが、ここにも出ておりますように、そうではなくて、別の第三者が所得を享受しておるというような場合におきましては、その実際の所得の享受者に課税をするというのが実質課税の建前でございます。その辺の判断の問題が、やはり問題があろうかと思いますけれども、これは個個のケースについて具体的に判断を下していく以外に手がない。法人が有効にできたからといって、所得はすべてその法人のものだ、こういうふうに一律にきめるわけには課税上は参らないというのが、所得税法なら所得税法の三条の二の規定でございます。御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/87
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088・足鹿覺
○足鹿委員 これ以上論議をしましても、事務当局としてはお答えになる余地がなかろうかと思うのです。これは一つ大蔵大臣なり農林大臣にもお越しを願って――これはもう法律解釈や事務上の問題というよりも、一つの政策上の問題にも関連があると思うのです。法はそのまま適用していく場合もありますし、その周囲の背景なりいろいろな諸条件によってはそれが緩和適用される場合も出てくるでありましょうし、あなた方もすべてを法律一点張りでおやりになっておらぬ。鳥取県に広島国税局がおいでになったときに、個人申告するならば加算税もこらえてやる、それから、大体三十年くらいまでのものは遡及課税はこらえてやる、だから今個人申告に切りかえろと言って、執拗におやりになっておる。そのことのよしあしは別として、やはりその言たるや、法律そのもの一点張りではなくして、いい意味においても悪い意味においても、現地で弾力的な運用をしておられるのであって、これは一つの農地政策なり税の執行上における政策遂行上の大きな政治問題にもなると思うのです。また現になっておるのです。でありますから、委員長において、大蔵大臣なり農林大臣なりの御出席を願うようにお手配をお願いいたしたいと思います。
他にもまだいろいろと御質問があるようでありますので、私もおしまいにしたいと思うのですが、課税処理は農地法違反の問題とはっきり区別をして実質課税をやれということが、この間の大蔵委員会なり当委員会における私ども社会、自民両党の共通の意思なのであります。必要があればその共通の意思をちゃんと文章にまとめて明らかにしてもよろしいのですが、ここまで来れば、ただ事務担当者が事務上の解釈を最初からしまいまで同じ答弁をされておっては、私は片がつかぬと思います。ですから、これは両大臣においでを願いたいと思いますが、第一項でちゃんと明らかにしておるのですから、農地法違反の問題、すなわち、経営実態論でいきますならば、農地を使用収益する権利が個人か法人かということは農地法上の問題なんです。ですから、私が先ほど言うように、法人が設立登記を完了して有効に発足をしておる場合は、許可が先か実体が先かということになって、これは事務上で片がつくのです。それまで答弁を渋られたり、またいろいろな解釈をされなくても、これは明らかじゃないですか。それまでも否定される根拠は何ですか。一体何にもありゃしないじゃないか。
この協定といいますか、取扱いについての両省の統一見解というものは、結局、この一、二は、われわれ委員会や一般に対しての一つのカムフラージュで、内容はこれで行くんだ、つまり、三十一年分までは今まで法人成りで課税処理のついたものはこれを認める、三十二年以降については個人申告をせいという方針を指示したと、さっき金子さんは言われましたね。私もそのことは伺っておりますが、そのことは、あなた方の意図は、青色申告をやった場合はそう大して変らぬのじゃないか、こういう一つの含みを持って、大体課税上はそう大した変りないようになるんだ、その資料はかくかくだ、こういうふうに基礎づけて、そうしてこの本質問題を逃避されようとしているように私にはとれるのです。
先ほど五十嵐君も言われたように、白委員会なりまた大蔵委員会等が重視し、世論もまたこれを非常に注目しておるというのは、農業の近代化なり共同化の一つの方向を現わしておるというところにおいて、この問題を非常に重視しておるのであります。これはもり、何回もお目にかかったり、公式にも私的にもよくお話し申し上げておる通りであります。これを繰り返そうとは思いませんが、そういう点から見まして、今の農業法人というのは青色申告程度のものだ、だから青色申告に切りかえてやる、そうすれば税金上の問題はそう文句を言う筋合いではなかろうというので、その資料もお示しになっておりまして、白色の場合と青色の場合と、それから法人の場合、――白色の場合とはこれはとても大へんな差が出てきますけれども、なるほど、青色の場合は、三十二年の場合は、法人なるがゆえに軽く個人の青色なるがゆえに重いという結果はあまり――一つだけ例外があるようですが、鳥取の場合で一つ例外があって、これは専従控除を受ける者が少いということが原因のようですが、大体五、六人程度の専従控除がある場合は大した変りはない。だからそれでいいじゃないかというので、資料から見た場合はそうなっておりますが、資料は資料として、実際に適用になるというと、これははなはだ残念なことですが、去年私が大蔵委員会を預かっておる場合も、税の執行上の問題で小委員会を設けられて、そうしてやかましく申し上げたように、経営の実態論でもって都市の中小企業の同族会社、あるいは一商店一法人、一工場一法人というようなものに対してはびしびし追及をしておられるという陳情がたくさんあった。私の郷里の方でも、農村を歩いてみると、農家が帳簿の記載を怠っておると、税務署がやってきて、もう青色申告なんかやめて個人申告に切りかえろ、出したってそんなものは認めぬ、こういうふうに威嚇されると、つい個人に切りかえてしまう。今度の場合も、徳島の百六社のうち三社を残してあとは全部切りかえられておるということです。農民は言いたくても、結局やってみてもお上がそういうことをするならむだだと、骨のある連中以外はぞろぞろと一応個人申告をしてしまう。こういう過去の事例から見まして、あなた方は、青色申告というものは普及の段階は過ぎたのだ、これは整理をしていくのだという方針を従来とっておられるようですが、農業法人を契機として、さらに青色申告を親切丁寧懇切に納税義務者に対して新しく指導奨励して、少々の欠陥があってもこれに対しては親切に指導して、そうして納得納税、公平な納税、生活費に食い込まない税額の決定ということに対して新しい決意と手段があるのですか。どうもわれわれが今まで受け取っておるところではそうではない。これはもう普及段階を過ぎて整理するのだというので、青色申告自体に対してはあなた方の出先は非常に強硬な態度をとっておりますが、長官もおいでになっておりませんし、大臣もおいでになっておりませんが、これは重大な問題です。何ぼ資料を提供されましても、現地における場合は、とにかくそれがなかなか、ここで論議をし、ここであなた方が答弁されておるふうにならないですよ。そういう一つの実情がある。いわんや、農地法上の疑義問題については、一、二においてちゃんとけじめをつけた統一見解を発表しておきながら、その問題は青色申告でこういうふうになるのだから、一つ穏便に……。私は事を荒立てようとは思いません。別に荒立てようとは思いませんが、やはり、少くともこの三項の統一見解を実施していく場合について、その原則だけは、国会の統一された意思、当委員会の統一された線に従ってあなた方は善処されることが妥当だと思うのです。
これ以上あなた方御答弁できない言われるならば、直ちに大蔵大臣なり農林大臣においで願って、他の同僚委員とともにこの問題はもっとしっかりとたださなければ、これは解決がつきません。せっかく今日までお互いが熱心に論議をし、日本の農政の大きな転換機に一つの曙光を与えておるこの問題に対する関心があればこそ、この税金問題を一応われわれは当面の十六日があるからやっておるのであります。そういう点について、あなた方の統一解釈に対して、実施上の事務屋としてはもうこれ以上言えぬということであるならば、石坂さんもおいでになっておりますし、両大臣の御出席をあらためて要求いたしますので、御出席を願いたいと思いますが、いかがでしような。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/88
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089・金子一平
○金子説明員 ただいま御指摘のございました青色申告の普及の問題でございますが、現在、農業におきましても、五万近くの青色の農家ができております。私どもは、一般の中小企業と同様に、農業方面におきましても、帳簿をつける意思もある、あるいは能力もある、今後大いにやろうという方があれば、決してこれが普及することを抑制しようというような気持を毛頭持っておりません。現実にすでに五、六万のものが青色としてできております。ただ、御承知のように、先生は今、相当青色申告の取り消しをやっておるじゃないかということですが、これは一般の中小企業の場合が多いのでありますが、青色申告につきましては税法上大きな特典がございます。やはりそういった特典がございますだけに、何でもかんでも認めるというわけには参りませんで、税法上の恩典だけにあずかるために、格好をつけるため帳簿をつけているというのがありましたらやめてもらわなければならぬ、そういう意味におきまして、ここ数年ある程度チェックをしておりますけれども、全体としてそういった制度が普及することにつきましては、私どももできるだけの努力はいたして参っておるつもりでございますし、また、農林省におきましても、農業簿記の普及その他につきましては格段の努力をしておられるようでございます。今後、青色申告の普及という点につきましては、また新しい見地から私ども見直して参りたいというふうに考えております。
ただ、もう一つつけ加えて申し上げておきたいと存じますのは、御承知のように、企業課税の問題が新しく取り上げられることになりまして、やはり、結局、こういった法人ができました直接の動機は、法人、個人の課税のアンバランスという問題から発足した面が多いのだろうと思うのでございますが、法人、個人の課税のアンバランスをなくするために、あらためて企業の課税全般につきまして練り直そうというようなことで、主税局の方でも本腰を入れて今度取り上げることになりましたので、そういった点からも、だんだん税制面における制度としての法人、個人の課税のバランスがとれていくようになるのではないか。私どももできるだけ早くいい効果が実るように努力して参りたいと思います。その点を私つけ加えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/89
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090・足鹿覺
○足鹿委員 先ほどからお聞きのように、ぐるぐる同じところをやっておるのです。それで、まだ大臣がおいでになるまでに時間がかかるようでしたら、他の同僚委員もおられるようですし、一区切りつけて、大臣をお呼び願って議事を進められるかどうかということを、一つ委員長において御善処願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/90
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091・大野市郎
○大野(市)委員長代理 足鹿委員に申し上げますが、ちょうど永山委員が午前中発言を求めておられますから、それを先にさせていただいて、それから午前中の休憩に入りたいと存じます。そのあとで理事会でお諮りいたします。
永山委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/91
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092・永山忠則
○永山委員 この統一見解の御発表は、われわれ農林委員会の方ではいつおやりになりましたのですか。私ちょっと他の委員会におりましたので、きょうが初めてなんでございますが、正式な統一見解の発表はきようでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/92
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093・金子一平
○金子説明員 この課税上の取扱いについての統一見解の発表は、一昨日大蔵委員会で初めて発表いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/93
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094・永山忠則
○永山委員 その統一見解は農林委員会の方で求めておるのでございますが、これを農林委員会に発表せずして、そしてわれわれは新聞で知ったわけですが、新聞へ先に発表して、あとから農林委員会へ発表されるということ、われわれやはりこの委員会をはなはだ無視されておるというように考えられるのでございますが、この点に関してはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/94
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095・石坂繁
○石坂政府委員 同様のことを先ほど足鹿委員からも指摘されて、申しわけない趣旨をお断わり申し上げました。この後は十分に注意いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/95
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096・永山忠則
○永山委員 新聞の十一日の発表では農業法人は認められた、こういうように全国へ報道しました。その次の発表は、農業法人扱いでは、国税庁の通達で、問題の百五十一法人、すなわち、徳島百五、北海道九、鳥取六、和歌山四件に対し、三十二年にさかのぼり十六日までに個人所得の申告を行うよう勧告するということが全国の各国税局に通達されたというように出ましたので、前日は農業法人は認められて実質課税になった、次は、百五十一法人、旧来すでに法人を認められておったものまでみなひっくるめて三十二年から個人の所得申請をせにゃならぬ、こういうように出たものですから、もうわれわれ農林委員は全く権威を失い、議会の権威も失いました。二カ月以上にわたって、しかも与野党一致してこの問題をやっておきながら、農林委員会では何らの意思発表もせずに、どうして、しかもこの混乱する二つの全く相反する記事が出るに至ったかということで、われわれとしては、非常に議会の権威を失墜し、われわれの職責が足らざるように国民から責めを負わねばならぬことで、遺憾にたえないのでございます。この点に関しては、あらためて当委員会でそれに対する対策を御研究を願うことを委員長にこの場合要望をいたしておきたいと思うのでありますが、しかし、この解釈が一日にして変るような新聞記事になった原因はどこにあったかということでございますが、これはどういうわけでそういうことになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/96
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097・石坂繁
○石坂政府委員 永山委員は自民党の農業法人化の小委員長として非常に熱心に努力せられておることはよく承知いたしております。しかるに、新聞発表の結果国会の威信を非常に失墜したという御意見でありますが、この点は、永山君の主観的な御判断につきましては私から別に申し上げる筋合いでもないと思います。ただ、新聞発表でありますが、これは、私の聞くところによりますと、この統一見解ができまして、大蔵、農林両事務当局から新聞に、ただいまお手元にある「農業法人に対する税法上の取扱について」というのを、これだけ発表いたしましたそうであります。その後のことにつきましては、いかがでありましょうか、私どもが答弁する筋合いでもないようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/97
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098・永山忠則
○永山委員 実際問題として、農林委員会で非常に大きな問題として取り上げておるのだから、農林委員会の方へ一応こういう統一見解であることを発表されて、そうして各委員の意見を十分取り入れて、そうしてさらに検討すべき余地があるものは取り入れていくということがほんとうの民主的な行き方であろう。そういうことをやらずに、ただ政府が統一見解をそのまま、いろいろ論議をされて意見を言っている最中に、この委員会の意見を無視しておやりになるということが、要するに権道政治であるとか権力政治であるという非難を受けることになるのですから、この点についてはわれわれはあらためて態度をきめるとしなければならぬのでありますが、私がお尋ねしていることは、どういうわけで新聞記事になったか。しかも、きょうの日経の論説では、中小企業者、零細業者の分は一戸一法人を認める、しかし農民だけは認めないという、こういうところはまことに割り切れないが、そういう結論になったというように、全くこの統一見解で発表された筋とは逆な結論のもとに「課税面から否認された農業法人」ということで論説が出ております。こういうように、この統一見解よりは全然打ち消された、ただいま論議を聞きました点でわれわれが承知をいたしておるようないわゆる実質課税主義とは離れ、そうして一戸一法人はすべて一律に農業法人とは見ないという原則でやられたように、新聞その他も各所でそういうように決定づけられてきているのです。その原因は、おそらく、国税庁からだれかが発表された言葉が、表面統一見解は実質課税をとっておるけれども事実は全部個人所得の申請をさせるのだというようなことが国税庁のだれかから出たのか、しからざれば、私は、国税庁の方でこの統一見解の文案以外に何らか他の補足したる解釈を、取扱いを指示されておるのではないかということを思うのでありますが、国税庁の方はこの統一解釈以外に一切の指示は何もしていないというここでございますか。さらに、新聞発表についても誤解を受けるような発表はしていないということでございますか。もしこれ以外の解釈等の通達をお出しになっておれば、どういう通達をお出しになっておるのか。また、記者会見でだれがどういうようなことを言われたためにこういう誤解を受ける記事になったか。また、この記事は誤解でなく、実際上、今日日経その他が言っておるように、一律的に一切一戸一法人の農業法人は認めない、こういうことになっておるのかどうか。そういう指示をされておるのかどうか。この点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/98
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099・金子一平
○金子説明員 お答え申し上げます。
国税局に対する通達は、とりあえず。大蔵委員会で発表いたしました直後に、この「課税上の取扱について」というこのままで、今回農林省、法制局とこういうふうなことで課税上の見解を統一したからという通達をいたしております。何もそれ以外につけ加えておりません。ただ、実際のやり方としまして、今後それではどういうふうな申告をさせるかという問題がございますので、たとえば現在の問題として取り上げられております鳥取の分あるいは徳島の分については三十三年度にとりあえず個人申告の慫慂をこういうふうにしたらどうかというような、こまかい通達は追って出すことにしております。まだ出しておりません。
それから、新聞発表のことでございますが、今お読み上げになりました日経の記事は、私、実はまだ見ておりませんので、どういう内容に触れておりますか存じませんが、記者会見の席に出ましてこれを読み上げたのは私でございます。ここに書いてあります以外は、これに反するようなことはあまり発言しておりませんので、御了承いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/99
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100・永山忠則
○永山委員 そうすれば、先刻金子直税部長から、この取扱いは、実態は十分わからないから、個々のケースで現地の署長が十分調査してやるので、国税庁が一律に指示するということではない、こういうように承わって、私は、この三項の関係が、第三を入れる必要はなかったとしましても、入れましても、いずれも第一、第二に矛盾していないというように解釈したわけでございますが、今のお言葉では、鳥取はどうするか、あるいは徳島はどうするかというようなことで、後ほど指示する、こういうように言われておるわけですが、これは一律指示をお出しになるわけですか。個々の法人に対してどうするかということを指示をされるのですか。現地のケース・バイ・ケースで実情によって処置させるという言葉と矛盾をする点が考えられるのですが、その点はどういうお考えでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/100
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101・金子一平
○金子説明員 この通達の第三項に出ておりますように、個人自体と経営の実態が変らないようなものについては個人課税を慫慂しなさい、こういう一般的な指示でございまして、個々のケースについて、この法人についてはどうしろ、この法人についてはどうしろというようなことはできません。事実私どもも材料を持っておりません。ただ、先ほども他の委員の方に申し上げたのでございますが、従来私どもが受けております報告によって判断いたしますと、現在も、法人になっておるものの大部分は、あるいは全部と言っていいかもしれませんが、大部分は個人課税というようなことにならざるを得ないのじゃないかと従来判断して参りました。この通達によって、申し合せによって、さらに税務署に判定をさせまして、個人課税をするか法人課税をするかという結論を出させることになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/101
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102・永山忠則
○永山委員 それでは、一律的に旧来の百五十一法人はこれを三十二年度にさかのぼりまして十六日までに個人所得の申請を行わせるように勧告するという新聞記事は、どういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/102
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103・金子一平
○金子説明員 今御指摘の点でございますが、その記事は少し行き過ぎでございまして、やはり、実態をよく見てもらって、個人課税をすべきものは個人課税をする、法人課税をすべきものがあれば法人課税をするということになろうかと思います。私どもは全部この際個人所得の申告をしなさいと一律に言うつもりはありません。従来税務署で調査いたしまして実態がわかっておるというものにつきまして、個人の申告の必要のあるものはそれをやってもらうことになります。また、調査未了のものが相当ございましょうから、それは今後の調査に待ちたい。あるいは、場合によれば、法人の申告が出て参りまして、調査に来てみたところがどうも実態がおかしいということになれば、これは個人の申告を出されたらいかがでございましょうか、こういうことで申告指導をするということになるのが通例でございます。また、私どももそういったやり方の方がいいのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/103
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104・永山忠則
○永山委員 そういうように、一律でなくして個々のケースで実質課税をやるという方針でいかれるということであるならば、これはわれわれがここで実質課税主義をとってもらいたいという点と差異はないように考えるのであります。
この場合、さらに念のためにお伺いしてみたいことは三十三年度はなるほど法人であっても個人経営のようにしておった、しかし、三十四年度からは絶対に法人経理でやろうという考え方で、鳥取の方でもあるいは島根の方でも、会社の実質経理ができて、そうして個人の経理と分離して会社の経理形態を十分備えるというので、九月からその経理を始めておるわけであります。そういうように実質的に会社として利益を享受して経理をしておるという分に対しては、これに対して、そういう経理をしてもだめだ、これは将来個人で認めるのだから、この経理はわれわれは認めないというような考え方で指導されるのでございますか。その点をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/104
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105・金子一平
○金子説明員 先ほどもその問題の御質問があったわけでございますが、非常にむずかしい問題だと思います。実質上法人としての活動が認められる、あるいは法人経営としての実体を備えたということになれば、法人課税ということにならざるを得ないわけでございますが、ただ、どういった形式なり実体を備えればいいかというような点につきまして、単に帳簿上あるいは経理上、企業の会計と個人の家計とが截然と分離されるということも一つの証拠にはなりましょうが、帳簿上は法人の体をなしておるけれども、実質においては依然として個人の所得だという場合も従来あることでございます。そこら辺はなかなか判断のむずかしいところでございまして、こういう条件を備えれば法人でございます、こういう条件を備えれば個人でございますということを一律的に割り切って申し上げられないのがはなはだ残念でございますが、要は個々の実態判断でいかざるを得ない。税務署におきましても、そういったケースにつきましては慎重に判断をしてやって参ることになろうかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/105
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106・永山忠則
○永山委員 個々の実態判断で、事実上法人が利益を受け入れておったという点についてやるという一律主義ではいかないというように言われましたので、われわれはその点は了承するのでありますが、さらに念のために法制局第一部長にお聞きしたいのですが、実質課税の原則に農地法の違反の要素を取り入れて実質課税というものが考えられるかどうかということです。すなわち、農地法違反というものの要素が実質課税の原則の中に入るのか入らぬのか。いわゆる具体的に個々のケースで実態が法人に属しているかいないかということでいくということなので、われわれは農地法の違反というものが実質課税を左右する基礎になるという考え方でいくべきではないと考えておるのであります。すなわち、実質課税の原則は農地法の違反というものが重要なる基本的要素になっておるかという点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/106
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107・亀岡康夫
○亀岡政府委員 実質課税をするかどうかというのは、これは所得税法の三条の二という規定がございまして、現実に実質的に所得を享受する者、これに対して課税をするという建前になっておりますので、その要件を満たすかどうかということについてはこの規定によって判断すべきものであると考えます。ところで、農地法三条一項の行為があるからどうかということは、これは農地法にありますように、その行為があってもそれは効力を生じない、また、そういう行為が事実上行われた場合には処罰する、こういうことでありますので、農地法の三条一項と所得税法の三条の二の規定というものは直接には関係してこないというふうに考えます。ただ、実質課税の判断をするときにその面を全然無視していいかどうかということになりますと、これはやはり農地法違反があるかどうかということが判断される要素になってきますので、やはりそれは考慮の対象になってくるだろうという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/107
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108・永山忠則
○永山委員 直接には実質課税の原則とその会社の行為の違法性といいますか農地法違反というものとは関係はない、ただ、それが、個々のケースで見る場合でも、この調査をする場合は、そういうことは農地法違反になっているのではないかということが観念的に考えられるということなのでありますが、その点をもう一度お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/108
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109・亀岡康夫
○亀岡政府委員 結局、所得税法の規定と農地法の規定というのは、これは行政庁が行為をします場合に根拠になる規定でありまして、もちろん、農地法の所管行政庁の判断、それから所得税法三条の二の規定を適用いたします収税官庁の判断、こういうものは一応別個に考えてもいいようには考えます。しかし、国の意思としましてそれが全然分離してしまうということは、国の行政行為の統一という観点から見まして許されないのじゃないか。従って、所得税法三条の二の規定によって実質課税をいたすかどうかということになりますと、やはりこれが農地法の適用をする場合の判断にからんできますので、だからそれが全然関係がないというわけのものでもない、こういう意味で先ほど申し上げたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/109
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110・永山忠則
○永山委員 その判断の観念的要素に入れるということは考えられるのですが、実質課税の原則に農地法の違反を取り入れるということはないとわれわれは考えておるのですが、もう一ぺんその点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/110
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111・亀岡康夫
○亀岡政府委員 もう少し具体的にはっきり申し上げますと、こういうことになるのじゃないかと思います。すなわち、所得税法三条の二の規定の適用がないとすると、その法人に課税するということが、農地法の規定に違反しておる行為があった場合にその行為を認めることになるわけであります。従ってこれは農地法の違反があったというように認めざるを得ないのじゃないか、こういうことが言えるようになってくると思います。従って、この場合、所得税法の三条の二の判断をするときには、農地法の三条の規定を全然無視しては考えられない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/111
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112・永山忠則
○永山委員 そこで、そうするとこれは農地法に違反しておるということが要素になるわけですね。違反しておるから実質課税は認められないということになるならば、一律に農業法人は認めないということにならざるを得ないのですが、これに対してはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/112
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113・亀岡康夫
○亀岡政府委員 今の御説は、農地法の三条の規定違反があるから、それはすなわち実質課税の原則を適用できないので、法人に課税すべきじゃないか、こういうお尋ねですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/113
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114・永山忠則
○永山委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/114
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115・亀岡康夫
○亀岡政府委員 これは非常に重大問題でありまして、農地法違反ということを収税官庁の側においては認めることになりますので、これは、果してその法人が農地違反かどうかということの観点を見なければ結論を出すことは非常に危険じゃないか、こういうふうに考えております。従って、その場合に、農地法二条一項の違反ということを収税官庁で認定するということは軽々にはできない。同時に、農地法三条の規定違反かどうかということは、これはもちろん農地法の規定の解釈の問題でありますが、その判断については、その実質が違反かどうかという実態をやはり見なければわからないことで、これは効力の問題ももちろんあるでしょうが、罰則がかかっておりますので、その内容なり行為が果して違反になっておるかどうかという検討の問題になってくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/115
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116・永山忠則
○永山委員 きわめて明瞭を欠くのでありますが、結局、これは、農地法の違反であるから実質課税は認められないということで一律に農業法人を否定するということにはならない、こういうことに解釈していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/116
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117・亀岡康夫
○亀岡政府委員 それはちょうど逆のようなことじゃないかと思いますが、農地法違反だから実質課税をするというようなことは決して申し上げてないのでありまして、その法人に課税になるかどうかという点について、農地法違反かどうかということが非常にデリケートな問題だから、そこは十分検討しなければならぬのじゃないか、こういうことを申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/117
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118・大野市郎
○大野(市)委員長代理 永山委員に申し上げますが、もしまだ長ければ、午後にまた再開の予定でもありますので、午後に持ち越されたらいかがですか。いろいろ重要な問題もあるようですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/118
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119・永山忠則
○永山委員 それでは、ちょっとだけ申し上げて……。
今の点はきわめて明瞭を欠いておりますが、はっきりいたしておる点は、実質課税の原則は、農地法違反であるからこれは適用できぬということで農業法人を一律に認めないということにはならない、ただ課税の際においていろいろ観念的なことが考えられるというように、はっきりと一、二、三で言われておるのでありますから、念のためにお聞き申し上げたわけでありまして、一応本員の質問におきまして政府の統一見解ははっきりしておるのであります。要するに、農地法違反であるかないかということには関係なくして、農業法人の経理区分がはっきり分れて法人に利益が享受されておる場合は法人だ、そうして法人税の扱いをする、逆に、法人の形であっても経理の実態が個人経営であるときにはやむを得ぬ、こういうようにわれわれが申し上げました点が、われわれとしては今の答弁ではっきりしておると思います。本日の新聞記事の、一律に百五十一法人に対して三十二年度にさかのぼって十六日までに個人所得の申告を行うように勧告するというような記事は、国税庁としては出したものではない、出先の署長で十分個々のケースによって検討して課税をせしめるのだというように一応の意見の一致を見た点を私は指摘いたしまして、残余の質問は後刻に譲って、終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/119
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120・大野市郎
○大野(市)委員長代理 それでは、午前中の会議はこの程度にとどめ、午後二時半より再開し、本問題に対する質疑を続行いたすこととし、これにて休憩いたします。
午後一時二十四分休憩
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午後二時五十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/120
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121・松浦周太郎
○松浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
農業法人問題に対する質疑を続行いたします。足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/121
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122・足鹿覺
○足鹿委員 午前中から「農業法人に対する課税上の取扱について」という先日出された農林、大蔵両省の統一見解について御質問を申し上げておったのでありますが、午前中の段階におきましては、事務当局に質問をしておりましたのでは問題が一向前進をいたしませんので、農林大臣、大蔵大臣に御出席を願って、事務上の問題というよりも、むしろ政治的な政策的な面からこの問題に対する御処置をしていただきたいということになりまして、御出席を願ったわけでありますが、午前中の質疑を要約してみますというと、ただいま述べました「農業法人に対する課税上の取扱について」の中で、農地法違反なるがゆえにということで農業法人を否定はできないということが、一応この一項、二項で明らかにされたわけでありますが、問題は、三項におきまして、三項の末尾にあります「個人の同族的な法人であり、法人設立の形態をとった後にも個人時代と農業経営の実態が変らないような場合には、所得税法上農業経営から生ずる所得は個人に帰属するものと認めて」、こういう字句がありまして、この問題をめぐって、法制局なり国税当局、農林省の主管局長のこれに対する解釈を求めたわけです。ところが、明らかになった点は、三十一年度分まではその一項の法人自体が有効に設立されておると認められるものにつきましては法人課税を認める、三十二年以降のものについては、一応税務当局としては個人申告するように出先機関に向って通達というか指示を与えておることが明らかになったわけです。といたしますと、せっかく長きにわたって与野党ともにこの問題を熱心に取り扱い、現段階においては完全なる意見の一教を見ておるわけでありまして、その要請もあり、過日、農林大臣は、当委員会において、私の質問について、十分努力をする、しかしその結果は鬼が出るか蛇が出るかはわからぬ、こういう御答弁をいただいたわけでございます。そこで、鬼だか蛇だかわかりませんが、何だか一向に三項というものの解釈をめぐってはっきりせず、午前中の審議では、せっかく統一見解をやっていただいても、三十一年分までは認めるが三十二年以降は個人申告だということになりますと、一応統一見解はできたけれども、どうも割り切った姿にならないわけです。当委員会としてもまだ意思表示の決議等はしていませんが、大体与野党両方とも見解は一致しております。
そこで、そういうことを前提にして、端的に申しますと、課税上の取扱いについては、二十一年までは認めて三十二年以降は認めないというようなことのないように、もうきょうは十三日でありますから、十六日の確定申告まであと三日しかありませんので、大蔵当局はおいでになっておりませんが、日本農業の今後の近代化、共同化、営農の合理化に一つの大きい方向を示しておるという意味におきまして、われわれはこれを重視しておるのでありまして、その点については大臣も同感の旨を先般も言っておられますし、といたしますならば、この際、今私が述べたように、三十三年分までも同じ取扱いにするような政治的な――国務大臣という立場において大蔵大臣とさらに折衝をされまして、そしてこの統一見解が実施面におきましてもちゃんと処理できるように御善処願いたいと思うのであります。その経過等の詳しいことは事務当局からもお聞きになったでしょうが、要約しますとそういうことになりますので、さらに御善処願いたい。これに対する御所見を伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/122
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123・三浦一雄
○三浦国務大臣 実は、課税上の取扱いの調整につきましては、この前も御希望もありましたから、特に国税庁方面と折衝いたしました。そして、今ここに課税上の取扱いについてきまっております程度まで前進させたわけであります。従来折衝の過程におきまして、すでに皆様も御承知の通り、国税庁では、農地法に違反あるものは無効である、一切法人として認められない、こういうことがあったわけです。ところが、農地法の問題は、実は、有権的な許可認可があればもちろん別ですけれども、しからざる場合であっても、これは事実経営面についてあるわけです。たとえば混合契約によって、つまり、一つの法律で予定したカテゴリーによらない混合契約の形式もあるわけですから、それで実際やっているものについては、法人の有効無効ををただ単に農地法違反というだけに限るべきではないということで、この点は前進さしたはずであります。実は、後段の部になりますと、これは国税当局としましてもお話し合いのあったことだろうと私は推測するのですが、この場でもお呼びになって相当質疑を重ねられたと思うのでございますが、三十一年度までは認める、三十二年度からは認めないということだというわけでございますが、かりに三十一年度まで合法的に認められるとすれば、三十一年度と同様な事態であれば、三十二年度から認めないということは理由がないわけでございますね。そういうことでございますから、どうも大蔵当局のやっておりますことを部外の私がかれこれ申し上げてその判断の是非をただすわけには参りませんけれども、この事情をお伝えして、善処を促すということはいたすべきだと思いますから、します。ただし、終局的にこれはどうなるか、逃げるわけではございませんけれども、大蔵当局の処断を待つほかはございませんのですから、その点は御了承いただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/123
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124・足鹿覺
○足鹿委員 大蔵当局との話し合いをさらに進めるということでありますので、ぜひ早急に話を進めていただきたいと思います。
この統一見解に対する解釈の問題で、われわれの言い分と大蔵国税当局の言い分は対立しているかのごとく、またそうでないようにも思える。問題は、法制局も午前中見えておりましたが、「個人時代と農業経営の実態が変らないような場合には」という、しまいから三行目のところが問題になったわけです。そこで、営農の実態、農業経営の実態を判断する基準は何かということになりまして、今大臣が言われましたような、経営の経理の内容が、家計と経費を明確に区分いたしまして、そうして金銭の出納も明らかにする、また、個人時代とは異なった、そうして責任者もでき、またその経営責任者が社員総会等によって経営の方針等が打ち出されていくという形をとっていくことは明らかでありまして、そうあるわけですが、そういうことに実態が経理上から見ましても明らかになるということが一つ異なってくる、いま一つは、任用収益権の問題が重要な判断材料ないしは判断の基礎の一つに立つということなんです。そうしますと、一項で、法人自体が有効に設立されておる場合は、これは設立を否定することはもちろんできないとはっきり断定をしておるわけでありますから、当然、一応敷衍して課税上の取扱いになりまするならば、農地法上の違反その他は別個な問題だ、こういうことになって、そうして年によって取扱いに区別をつけるというようなことはできないはずだというわれわれは主張に立つわけなんです。私どもは決して無理な主張に立っておるとは思えません。そこで、実態が法人化された一つの人格ができて、そこで農地法上の疑義はあるにしてみても使用収益権を持って、それによって所得の帰属を受けているものは法人であることは明らかなのでありますから、当然、この「農業経営の実態が変らないような場合には」というようなこの字句の解釈によっていきますと、地方の出先税務機関としてはその判断に待たなければならぬということになってしまうわけです。そこで、許可があるないというよりも、まず実態が法人として整っておりまするならば、これは農業経営の実態が変った、こうこの統一見解を解釈すべきものだと私どもは思うわけです。当然そうだと思うのです。そうすると、三十一年までを一応認めて三十二年からは認めないという取扱いは、今大臣が御言明になりましたからこれ以上くどく申し上げることはどうかと思いますけれども、その点をめぐって同じ意見を長時間交換しておった。どうしてもこれは、国税上の重要な問題として、国務大臣の立場において両大臣の協議によって政策的な政治上の判断に基いて事務当局に対して一つの方向を示してもらわなければならぬ、私どもはこういう気持になったわけです。その辺は十分にくみ取っていただきまして、十六日も近いわけでありますから、ぜひ強力にこの問題を処理解決していただきたいと思います。
課税上の取扱いについては、そういうことで、一応さらに大臣の大蔵大臣との話し合いにわれわれは期待することといたしまして、そこで、問題は、農地法上の問題について、農林省の解釈も基本的な腹がきまっておりませんから、どうもあまり突っ込んだ質問をしても明確に出ない。といって、課税上の問題だけでわれわれはこれを取り上げておるのではない。一つの農業近代化なり共同化を促進していく法的な措置を講じてもらわねばならぬと思うわけですが、その法律上の措置は農業法人、現行の税法上に基くものでいくのがよいのか、あるいはまた別個な特殊法人を設けてその育成に当るのか、それとも農地法自体を改正していくのか、いろいろな場合があろうと思うのですが、現在われわれの考えとしては、農地法及びこれに基く農業関係の諸法律は、その原則は変えないが、しかし、農業生産の共同化や農業経営の近代的な合理化を促進し得るような法的措置を別に講じていきたい、こういう考え方に立っておるわけです。現在まで非公式にいろいろ農林当局からも構想を聞き、いろいろと研究をしておられる状況も若干聞いてはおりますけれども、大臣として当面この問題に御善処願うということになりますと、農林省としても、この農地法上の問題に疑義はあるが、これは適法な他の措置によって、あるいは法そのものの改正等によって抵触しないような措置を早急にとるんだ、こういう腹をきめられるときめられぬとによっては、この税法上の取扱いの措置を進めるについて非常に重要な問題が出てくると思う。何でもほおかぶりということで、まあ税金だけはということでは、なかなか話が進みかねると思います。あまり短兵急に、農地法を変えたらいいとか、別のものでいったらいいとか、現在の税法でいってそれに必要な他の法律改正をやればいいんだというように、われわれも一がいにこうだという考えには立っておらぬ。その点について、農林大臣としては、この問題を通じ、あるいは従来の農政の推移、農業状況の変化、あるいは他産業との不均衡、これをどうするかという一つの農政上の大きな転機が来ておるわけであって、独占禁止法の緩和すらも考えられ、輸出入取引法の改正によって事実上カルテル独占行為が認められるような法の提案も一面において起きておる。他産業においては、すでに資本主義が一つの高度の独占の段階、生産の制限等を初めとする独占の段階に来ておるときに、農地改革によってますます零細化していく、これをこのままの姿で日本の農政を進めようといたしましても、それは非常に困難であるということは、これは政党のいかんを問わずそう大きな対策上の見解の相違はないと思う。何とかここに近代化の風を当て、合理化を推進していかなければならぬ。そういう点について、農地法そのものを見ましても、農業に精進し得る者という規定でありまして、別にそれは個人に限定されておらぬと解せば解せられないこともない。会社であっても悪いことはない、こういうふうに解釈すればできぬこともないわけでありますが、根本が自作農主義であります。その自作農主義もすでにいろいろな矛盾にぶち当っておるわけですから、当然ここに何らかの新しい近代化の風を当てていく一つの措置というものの必要性は、どういう形でとるかということはまた別個の問題として、当然大臣もお考えになっておられることと思うのです。この問題に対する課税上の処理をされていくと同時に、一方において、省内にあって事務当局に対して現在どのような指示を与えられ、また今後方針を打ち出されようとするが、その辺を一つ大まかでもよろしいので伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/124
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125・三浦一雄
○三浦国務大臣 第一に、農地の零細化の問題ですが、これは二つの面があると思うのです。一つは、経済上の事由から零細になる。もう一つは、日本の相続制度、法制上の帰結点として零細化される。というのは、御承知の通り、分割相続をとっておりますから、このままに推移しますと所有権の上に零細化になっていくことは当然でございますから、経済的な面と法律の制度の面の三つの面から零細化になってくる、そういうことになろうと思うのです。
そこで、私は、将来の農地のあり方につきまして、この均分相続の分割制度によっていく結果、農地がだんだん分化していくわけですが、この事態はいかようになろうか、これは日本の農政に非常に大きな影響があろうと思うのです。現に、他の面につきましても、たとえば村持ちの共有的な山林原野、こういうようなものも随所にたくさんあることは御承知の通りでありますが、これが相続によりまして持ち分が法律的に分けられる。ところが、その整理がつかないために、非常に管理経営上の維持に困っておる面も実はすでに出ておるのであります。あわせてこれらの問題を考える場合に、現行の分割相続の制度の上において何らかの考え方を持ってこなければならぬ、こう考えるわけです。
しからば、いかようの方向に持っていくかということでございますが、憲法で保障されておる相続制のことでございますから、そう簡単には将来のことは予見し得ないのでございますけれども、もしもこれが立法上の措置が憲法の条章に違反せずに想定せられるならば、一つの家団的な制度を考えられるのじゃないかと思うのです。遺族の者がそれを総有する、しこうして、持ち分は分割できるけれども、それ自体は保持されるということも考えられるわけでございます。
それから、さらに、経済面によって分けられることは御承知の通り。これは、半面におきましては、今足鹿君が御指摘になりました通り、近代的な経営の面においてこれを改組していくということ、こういうことになろうと思うのです。今の法人成りのことは、もう御承知の通り、いわば経営の合理化もありましょうが、主たる動機は、やはり課税の面において有利なことにする、それによって経済的に非常に有利なことにするということが最大の動機ではないかと思われます。その他、生産性を高めるとか、そういうような点もありましょうけれども、現実の問題としては、法人成りの課税と個人の課税が非常に違いますから、そこでその勢いが助長されているのじゃないかと思うのですが、この面におきましての共同経営なりあるいは共同化というものは、これはどうしても、御指摘になりました通り、この情勢に応じまして合理的なものに考えていかなければならない、こう思うものであります。われわれは、むしろこれを、課税の面よりも、もっと能率的なものに経営をし得ること、それから、同時に、それによって生産性を高め、それがひいて利用する農家の収入を高めるという方向にこれは考えていくべきであろうと思います。
しからば、現在とっておるところの法人の形態でございますが、いろいろな特殊法人もございますけれども、基本的な法人の類型としては、社団法人、財団法人の民法でいう公益法人の形態、それから、会社法によって象徴される法人でございます。そして、なかんずく農業法人は有限責任会社の形態をとっておる。これは端的に申し上げますと商法上の法人でございます。そうした場合に、農業を営むこともそれは商法の法人になり得るかもしれませんけれども、本質的にはそぐわないと思う。会社法等につきましては、資本の力の結集によって経済力を強めていくというのが本質でございますから、農業のごとき、果してこれがいいかどうか、相当の疑問があろうと思うのです。のみならず、その法人の経営の場合には、商法上の規定としましては、貸借対照表を作り、財産目録を作り、さらに商業帳簿を日々記載しなければならない、こういうようなことがございまして、これらは農業の経営の場合に果して適するかどうか。これらのことを考えます場合に、どうしてもこれではそぐわない。そうします場合には、共同経営を進めるなりあるいは事業の共同化の促進をする意味では、これらの法人の形態は必ずしも適正じゃない、こう考えるわけであります。
そうしますと、次に残された問題は、現在許されてある農業協同組合の形態による一つの共同化の問題もありましょう。それから、その方面の方々は、これによって近代的な農業の推進をいたしたいという意見さえあります。これとても、しかし、生産手段等で共同してやる場合に、果して現行の協同組合制度自体がよろしいかどうかということもにわかに結論がつかぬと思います。
そういう意味をもちまして、この問題は多辺的なまだ考究すべき問題があると思いますが、私としましては、第一に、現行の分割相続制による零細化を防ぐ何らかの法制が考えられるならば、先ほど、家団のごとき、こう申しましたが、家団制度のごときものが想定されるというならばこの道を選ぶ、さらにまた、これと並んで、農業の近代化、さらにまた共同化等を進める意味におきまして特殊な法人を作るならば、今申し上げたような諸般の問題がありますから、十分に検討して次の段階に備えるべきだ。これは、しかし、ただ単に観念的に考えておっただけじゃいけませんから、農林省としましては、検討を加えて参りたい、こう考えます。
それから、同時に、農地制度と、自作農主義をとっております農地法との関連でございますが、これは、現在、御承知の通り、許可によっては移転を認めております。しかし、それは、みずから耕作する者に所有を与えるという自作農主義を中心にしてこれはやっておる。これを、時の事情によってどんどん許可をする、これを反復するということになりますと、相当にこれは制度自体がくずれるわけでございます。しかも、それを反復する、あまねくこれを行うということになりますと、従来の自作農制度を堅持すると申しましても、これは形態が変ってくるわけでございますので、これにつきましてはさらに厳格な検討を加えなければいくまいと私は思う。簡単に申すならば、イージー・ゴーイングでもってこれを法人成りに所有を許すということは、わが国の農政上からむしろとってはならぬ制度じゃないかとさえ思うのであります。しかし、前段に申し上げましたような合理的な諸制度を生み、同時にまた組織なり機構なりが考えられる場合には、これに調和した新しい改正ということは第二段の問題として考えるべきじゃないか、こう思うのでございますが、今大観して申し上げるならば、そういうような方向でこの問題を理解し、推進し、検討して参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/125
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126・足鹿覺
○足鹿委員 大体構想の一端を伺ったわけでありますが、もう少し内容的に入っていきまして、農地法ができるまでにあった法人というものはすでに認めておる。そして、しかも、その法人には保有面積の限度内であるならば権利取得拡大も認めておるわけですね。ここには問題がない、そうして農地法上の疑義ということが一面に出てくるということは、実際問題として農林省も困っておられると思うのです。また、最近聞くところによると、徳島県あたりでは、その内容がはっきりしないですが、農地法の面積の制限内での法人の賃借権を許可したのか、あるいはその制限外になるものに対しても許可したのか、その内容はよくわかりませんが、新聞によると許可したと言っておる。農林省にはそういう情報が入っておるかどうか知りません。われわれは新聞で知ったわけなんですが、これらの点についても各地に具体的な動きが農地法とのからみにおいて起きておるわけです。これは一日もゆるがせにすることはできないと思うのです。そういうような当面しておる問題もあわせ考えて、一応、その農地法の解決について、学者とかあるいは経験者、そういった人々の意見を徴し、時間が許せば当委員会でやってもよいと思うのですが、農林省ももっとスピードを出して研究をされないと、たとえば、その面積の制限内で法人の賃借権を許可した委員会が出てきた、あるいはその制限以上の面積の賃借権に対しても許可をしたということになると、困った困ったでは過ごされない。それに対しては的確な措置をやらなければならぬ。この暫定措置を一応考えておるのも、時間には切りがあります。六十日の期日が過ぎれば法律上もそれが認められる結果になるわけでありますし、一方また、知事は、再議に付するのだとか、あるいはそれに従わなければ取り消し命令を出すのだとかいうようなことで、農林省も困っておられるでしょうが、地方の連中はより以上困るわけです。私は必ずしもその問題について直ちに右か左かここで答弁しなさいとは言いませんが、少くとも現実にそういう問題が起きており、また各地にそういうことが起きる可能性が強いと判断せざるを得ない。従って、今までのこの問題に対する農林大臣の構想は今一応お聞きしたわけでありますが、農林省としてはどういうふうな検討を加えていくか。今言われたようないろいろな行き方があるわけですが、それについてはいつかは農地法の改正で思い切ってやらなければならぬときが来るでしょうが、そうではなくして、農地法の原則を変えないで、もっと共同化推進の法的措置とでもいいますか、たとえば、一戸一法人ではなくして、二戸以上のそういうものが出てくる。これは、共同経営の効果についてはいろいろ見方がある。法人になったって大した実益がないという意見を従来農林省が発表されたことも聞いておりますが、しかし、実益がないことはない。必ずしも法人にしなくても、部分的な共同作業とか、営農を共同化していく面は現にもうやっておるわけですから、別に法を作るということになりますと、今の農業近代化なり経営規模を拡大していくということが一番根本になると私は思う。経営規模を拡大せずして問題を解決しようとしても、これは成り立たない。問題は、経営規模を拡大して、そうして土地条件を整備していくとか、あるいは機械力を導入するとか、いろいろな営農技術に対しても新しい手段を取り入れてくるとかいうふうにして、労働の生産性というものが高まらなければいかぬ。その基礎はやはり営農規模の拡大ということになる。そうすると、零細農家すなわち数戸以上の者が共同して経営規模を拡大し、共同化を通じて近代化に向っていく、そういうものに対して、やりたければやっておれということではいけないと思う。従来の農林省の指導方針も、共同化については、共同化という奨励方針ではないかもしれないが、なるべく大規模な土地改良事業も土地改良法によってやはり推進強化されておりますし、そのものを否定しておるのではない。ですから、当然、ここに大きな農政の転機にあって、経営規模をまず拡大していくためにはどういう措置等を考えているか。たとえば、一戸一法人という場合は、私どもはその面においてはあまり大きな効果をもたらさぬと思う。やはり、二以上のものが寄って、そこに法人成りを考えていく、そういうことの方が本筋であろうと思うわけです。そういった点につきまして、大臣が御無理であれば、当面の責任者である農地局長としては、今の大臣の答弁をよくお聞きになっておったわけですから、それをもあわせ考えて、どういうふうにこれを進めていかれようとするか、一つ御見解を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/126
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127・伊東正義
○伊東政府委員 お答えいたします。今足鹿先生がおっしゃいましたように、現行の農地法が法人を全部否定しているというわけではございません。反対解釈をすれば、三町歩未満のものは取得できるのではないか。法律上は法人を全部否定したという形にはなっておりません。ただし、これは、大体自家労働力を中心にしました個人的な自作農主義といいますか、それが法律の大きな基本精神になっていることは御承知の通りだと思います。それで、先ほど、徳島等の例をあげられまして、どうなっているかというお話でございますが、これは実は私の方も仄聞いたしましたので、実は今県にどういうようなことがあったのか照会いたしておりますが、まだ返事は参っておらぬようなわけでございます。
それから、今先生がおっしゃいましたような、いろいろ考えられる場合に、共同化して経営規模を拡大していくということが本筋ではないかというお話でございますが、この点は、私も、最近の農業技術の進歩というようなものは、これは従来と違いまして経営の規模を拡大していくということにつながった技術の進歩ということが多くなってきております。そういう面から参りますと、やはり、法人化といいますか、あるいは共同化といいますか、これは組合形態の法人であろうと思いますが、いずれもねらいはやはりそういう経営の合理化をはかっていくということがその場合のねらいだろうと思います。それで、私どもの方といたしましても、実は今各県に照会いたしております。農林省も、もちろん、従来、先ほどもおっしゃいましたように、作業の共同化でありますとか、あるいは施設の共同利用ということも奨励いたしたのでございますが、今御指摘の点は、それだけではなくして、経営の共同化というようなことも問題化されております。こういう事例につきましては、各地にどういうものが芽ばえておるだろうか、これは将来の問題としてそっちに伸ばしていく施設があるのか、あるいは別な形になっていくのかということにつきまして、われわれは、十分調査した上で結論を出したいということで、実は目下県についてそうした事例等につきましては調査をいたしております。これにつきましては、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、そういう経営の形態としては、農地法では実は触れておりませんで、あのときには、農地を解放しまして、結局健全な自作農を作っていくということをやったのでございますが、経営の形態には農地法では触れなかったわけであります。それが盲点といいますか、今法人化の問題はそこをついて問題が出てきているわけであります。先ほど申しました経営の形態を考えてみまして、これが今の農地法とどういうふうに調整をとっていくのか、今の農地法の範囲で調整がとれるものか、あるいは、先ほど大臣が言われましたように、第二段として農地法の改正というところまで真正面に取り組むのか、あるいは農業協同組合法との関係はどうするのかということにつきましては、これはわれわれも調査の結果を待ちまして慎重に検討しまして結論を出していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/127
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128・足鹿覺
○足鹿委員 私はこの問題に触れたくなかったのでありますが、もうすでに各地でそういう町村の農業委員会がいろいろな決議をしたり、自分の権限において許可をしたりという事実がもう出てきておりますから、一応考え方をただしたいと思うのですが、この間も触れましたように、農地法運用に対する疑義について、中・四国の農業会議会長会議が農林省に照会状を発しておる。一月の何日でありますか、照会状を発しておりまして、しかも期限を付しておるわけです。その内容を見ますと、これはなかなか重要な問題がありますから、そう急に農林省が明確な答弁のしにくい問題をたくさん含んでおるので、これの処理についてそう取り上げていくのはまだ機が熟しておらぬではないかというふうに私は見ておったわけです。しかし、徳島の事例等が起きて、東京にその代表者がいろいろ処置に困って相談に来ておるということになりますと、これはいつまでも、時期がまだ早いではないか、基本方針の定まらないうちにどうこうと言うべき筋合いでないというふうに、一がいにそう言えない段階が来ておるのじゃないかと思うのです。それで、この中で一番問題になっておるのは、徳島のある農業委員会が賃借権設定を許可した、しかも法人にこれを許可した。その許可理由なり、またその許可の出し方なり、それが、先ほど述べたように、面積の制限内であるのか、制限外であるのか、つまびらかにならないわ、けでありますし、まだ仄聞という程度だそうでありますが、仄聞という程度では少しどうも私どもはあまりにもスローモー過ぎるではないかという印象も大きいのです。それで、これらをめぐって共同化の事例調査に手をつけたということを言われたわけですが、公的な場合でなくても、そういう共同化の形態にもいろいろ形態があるでしょう。農業の地域性に従ってあるでしょうが、今現われておるのが果樹に多いのです。私の県にも鳥取県の東伯郡東伯町の松ケ丘というところで、十年この方十三戸くらいの農家が、これは法人ではありませんが、果樹の共同経営をやって非常な成果を上げておるという事例があり、近くは埼玉県の鶴ケ島にもあり、これは酪農の共同経営の事例がございますし、また千葉県にもある。新潟県の佐渡には水田の水利用の共同化の問題が進んでおるというふうに、われわれの調べたものによりましてもたくさんある。静岡県にも果樹の共同経営のものがありますし、それは別に法人とは関係はない。ところが、一番困っているのは、たとえばその経営規模を拡大しあるいは農業生産手段を充実整備する場合になって、資金に困る。そうすると、それが法的な保護の対象になっておりませんから、資金調達の上に非常な困難にぶつかってくる。そこで、これには何らかの保護を加えて融資の対象にしていくような具体的な措置というものを、そういう必要なところから必要な措置をとり、道を開いてやる、そういうことを考えるべきではないかと思う。理論上の問題は別として、たとえば農林漁業金融公庫から借りたい、あるいは協同組合系統の転貸資金でもけっこうでありますが、それが、実際問題になりますと、現在の農林漁業金融公庫の融資対象の条件になっておらぬという場合も出てくる。埼玉県の場合は、農業労働組合を作って、そうして今度は労働金庫から金融を受けるというようなことを、困ったあげくそういうことも考えて、私どもも相談を受けました。そういう事態が起きておるということは、農民が必要を感じてもがき苦しんでおるという事態にほかならぬと思う。そういうものに対する事例を今ごろは調査ができ上って、それに対する当面必要なものから一つ一つでも国が育成強化し、そのために保護すべきものは保護していくという線が出てこなければ、この農業法人化の問題というものは解決がつかぬのではないか。一面税法上課税上の問題が解決ついても、これが含んでおる重大な近代化や営農の合理化、進んでは共同化というものに対して貢献するところがきわめて少いではないかと思う。そういう事例はお聞きになっておりますか。また、そういう必要なものに対してはどういう措置を講じようとしておられますか。これは事例を御調査になれば明らかです。大臣はお聞き及びかどうか知りませんが、そういう動きがある。法人化とは別に、一つの近代化を目ざし、共同化を目ざしてやっているのです。そういうことに対して、大臣としても、あまり深く突っ込んだことではなくても、率直に感じられたままの御所見があれば承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/128
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129・三浦一雄
○三浦国務大臣 今足鹿委員のおあげになりました事例は、こまかに見ればいろいろ問題があろうと思いますが、農民の共同化、共同経営の努力によって農業生産を前進させる、さらにまた経営の合理化をするということでありますので、まあ農地局長は非常に控え目にお答えして、まだ完全なデータを持っておらぬからということでございますけれども、農林省の考えとしましては少くとも来年度の予算の査定期までには所要の資料を整備する、実態を把握する、同時に、この共同化もしくは法人の結成等によりまして進み得るものとするならば、これに対する融資の道も開くし、同時にまた農業改善合理化のためには所要の予算も組むという心がまえでこの問題に対処して進んでいきたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/129
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130・足鹿覺
○足鹿委員 伊東さん、今大臣は来年度の予算編成には積極的な措置をとるという方針を明示されたわけですが、今私があげたような、共同化をして労働の生産性を高めて、自分たちも少しでも営農を楽にしたい、そういう必要に迫られた事例に対しましては、何か農林漁業金融公庫の対象にならない場合の必要な措置ということについてはお考えないでしょうか。そういう事例を一つ一つとらえて解決をしていくようなことは、そう大きい政策の転換でもありませんし、これは今に限ったことではない。戦前からそういうことについては行われておる。ただ、今までの共同化の問題が、戦争中の場合は、炊事を共同化する、農繁期に託児所をやるとか、最近では秋田県方面では早場米問題から脱穀機にのみ力こぶを入れて非常な無理をする、早場米についてもなかなか批判が出ておるということも聞いておりますが、そういう面はともかくとして、生産規模を拡大していくということにまず当面の重点が置かれなければならぬ。その必要はもう起きておるわけです。これはいつまでも目を閉じているわけにもいきませんし、これには来年度の予算を待たずして具体的な育成上の何らかの必要な措置をお考えになる必要が私はあると思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/130
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131・伊東正義
○伊東政府委員 今の御質問でございますが、先生おっしゃいますように、経営規模を拡大していくために必要な作業の共同化でありますとかあるいは施設の共同利用という形が一つ考えられます。もう一つは、現行の経営規模の範囲内でも、たとえば動力噴霧機でありますとか、あるいは耕耘機というようなものを、一戸々々が買ったのでは経営の負担が過重になるということで、現在の規模の範囲内においても、それを合理化していくためにそういう施設を共同で購入するという形。二つ考えられると思います。二つとも、今先生のおっしゃいましたような作業の共同化といいますか施設の共同利用というようなことは、これは農林省としましても当然考えていい考え方でございまして、共同施設なり何なりとして、これは経済局の担当ではございますが、私の私見を述べれば、そういうものにつきましても共同施設として何とか育成をしていく、そういうことは当然やっていいものだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/131
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132・足鹿覺
○足鹿委員 経済局長がおいでになっておりませんから、伊東さんからはそれ以上の御答弁は無理だろうと思うのですが、これはもう必要に迫られておるのです。今までの部分的な営農の共同化ではなくて、いわゆるある程度の農地をお互いが出し合って、そうして、たとえば埼玉県の鶴ケ島における酪農の共同化の問題は、牛の飼育管理に堪能な者はこれを担当する、耕作技術に堪能な者はこれを担当する、それから、ほかの乳業資本やその他との折衝にたけておる者はこれを担当するというような、今までの共同化の問題よりもぐんと進んでおるのです。むろん、現在問題になっておる農業法人化問題よりも一歩進んだ型が出ておる。ところが、これには法人化問題は事実上は起きておらないのです。そこでは法人化して課税上の問題ということには全然タッチしておらぬのです。その人たち、農民の要求は、現在自分たちがやっていこうという計画実施に必要な営農資金の面とか、それに伴ういろいろな資金融通が中心です。畜舎の改善をしようとしてもその資金に困る、といって協同組合は貸してくれぬ、制度金融の方へ頼んでもその資格がないというような、中ぶらりんな立場にあって苦慮しておるわけです。そういう状態が各地に起きておるということをよくお考えになって、大蔵大臣と折衝される場合においても、ただその税金をのがれようといったふうなもののみが考えられたり――現在問題になっておるのはそういうふうに考えられがちでありますが、決してそういうものでない。農業法人化よりももっと進んだ、段階を越えた新しい共同化の線が現実に生まれておるわけでありますが、ただそこには法人化問題がないというだけのことでありますので、これは大蔵省関係がおられるならば十分これらのことは聞いていただいて、そうして、折衝の一つの背景といいますか、それが、そういうものの上に立った、決して税金を免れようというようなことだけで共同化の問題は起きておらぬので、法人化だけが今問題になっておるのではないということをはっきり資料的にも示して、そうしてこの当面の問題を処理されることが私は必要ではないかと思うのです。これについては御答弁は要りません。
そこで、もう一つ、この共同化の問題で、新しく農業における特殊法人法とでも言いましょうか、仮称の農業生産協同組合法というような立法を措置した場合を想定した場合に、現在の協同組合との関係が一つある。現在の協同組合は、市町村合併が大体において一応行われ、市町村の区域が拡大された中にあって、少いところでも五つないし六つの組合、多いところになりますと十数個の農業協同組合がその中にまだ依然として残っておる。これは、そう簡単に、町村合併の場合、経済行為をしておりますから、経営内容によって、これを一律に合併していくということは困難でしょう。が、しかし、その合併を可能ならしめていくような条件を整えていくまず基礎対策が必要であろうと私は思うのです。そのためには、町村農協の再建整備法の存続拡大、また、もっと新しいこの赤字農協に対するところの政府の何らかの措置を講じて、そうして条件をなるべく一致せしめる。その政策がまずとられなければならぬと思うのです。そして、もしかりに数年の後に協同組合が大きな形として、市町村区域を区域とするかあるいはそれを適当な区分をするかは別としまして、協同組合の合併が行われた場合に、今の特殊法人法に基いていくか何でいくかは知りませんが一つの農民の共同化問題が法の保護を受けるような措置ができたとしますと、この協同組合との関連ということが私は必ず問題になってくると思うのです。これは経済局長にもおいでいただいてまた別な機会に詳しく御質問したいと思いますし、意見も述べたいと思いますが、農林大臣、その問題は、共済組合はどんどん合併をやらせてしまって、そうして農協はそのまま放置してある、それと、今度二以上の法人組織を認める場合、協同組合との関連ということが起きて参ります。また、現在、先ほど私が事例を述べました任意組合で営農の共同化をやっておる組合についても、現在の協同組合の資金融通の上においていろいろ難色がある。そういうような点を考えますと、今後の問題でありますが、共同化を促進していく法的措置というものを講ずる場合には、現行の農業協同組合法との関係ということが一つ大きな問題として出てくると思うのです。これによって、農業協同組合は、従来生産活動に対してあまり手をつけておらなかったものが、これとのうまい組み合せになりますれば従来の欠陥を補うことができると思うのです。これは所管局長がおいでになりませんが、大臣の構想としては何かこれらの点についても検討を命じておられるでありましょうが、どうですか。その辺を一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/132
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133・三浦一雄
○三浦国務大臣 町村合併に伴います農協の整理統合の問題でございますが、実は、自然発生的に出ました町村ですら統合の場合にいろいろな問題がありますことは御承知の通りです。従いまして、足鹿君の御指摘のように、農協はことに農村における経済面に非常に密接な関係を持っておりますので、ただこれを一律に強制的に統合するということは容易にすべからざることは申すまでもございません。しかしながら、同時に、新市町村の合併に伴いまして、農村方面の経済活動の中心になっておる農協の整理統合ということは、これに即応して考えなければならぬことは当然であります。従いまして、現在この方面につきましてもいろいろな要望もありますので、すでに経済局にその対処方を調査させておるのでございますが、何らかの方途を求めて、合理的にしかも円滑に、この農協方面が発達しながらこれに即応するような体制に導いていきたいという所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/133
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134・足鹿覺
○足鹿委員 他の同僚委員からも質問があるそうですから、私は最後に委員長にお願いしたいのですが、きょう決議でもするとかいうふうにして、大臣折衝に少しでも役立たしめるのがいいか、――あるいは大蔵大臣に次の機会に御出席を願うということにしますと、もう十六日過ぎちゃう。それで、きょうは農林大臣だけ御出席を願ったわけですが、委員会の運営について、どうせあしたはできませんし、あさっては日曜日でしょう。そうすると、もう十六日の確定申告までには、きょうがおそらく最後になるのじゃないかと思うのです。それで、最終の定例日中に、その結果いかんを問わず、農業法人デーを作っていただいて、できればこの問題に対して学識経験者等の意見を求めるような機会を一つ作ったらどうかということです。それから、今後もまだ課税をめぐっていろいろな問題が起きてくると思いますし、農林省の研究と並行して国会の面においても研究をしていくために、適当であるかどうかは存じませんが、当委員会に農業法人小委員会とでもいいますか、その内容は、課税上の問題もあるし、今の共同化の問題もありますが、そういう小委員会を設けることの可否等について、早急に理事会等において善処していただきたい。決議の問題と、小委員会の設置の問題、それから、参考人等を呼んでこの問題の一応のけじめをつける問題、以上三つの問題を一応委員長に建言をしておきます。御善処あらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/134
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135・松浦周太郎
○松浦委員長 御希望の点については、散会後理事会を開いて、それぞれ善処したいと思っております。また、税の問題については、予約減税の問題もございますから、理事会でよくきめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/135
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136・五十嵐吉藏
○五十嵐委員 関連質問。
実は、午前中直税部長にいろいろ質疑をいたしましたが、どうしてもすっきりしないし、はっきりしない。そこで、農林大臣に一言お尋ねをしたい。お尋ねというよりは、むしろもう一押し御配慮願いたいと思います。
実は、あなたの非常な御配慮で、とにもかくにも大きく前進をいたしまして、「農業法人に対する課税上の取扱について」、こういう農林、大蔵両省の統一見解にまで持ってきてもらったわけであります。その通りなら何も問題はないと思うのですよ。ところが、午前中の質疑で、どうもこれが行ったり来たり行ったり来たり、内容が何としてもはっきりしない。そこで、この統一見解をこう理解しているのです。この両省の見解で明らかになった点は、第一点は、課税上の取扱いにおいて農地法との関連を断ち切ったということだと思うのであります。そうして、この第三項に、「法律上効力を生じない行為であっても、その行為に因り実質的に所得を享受する者がある場合には、税法上その者の所得に対して課税すべきである」と書いてある。そうすると、これはとにかく農地法というものとははっきり一線を画しているわけだと思うのです。そうすると、第二点は、当然これは実質課税の原則で課税をするのだということになると思うのです。そういうことになりますと、つまり、こういうことだと思うのです。昭和三十一年までの農業法人への課税を法人課税として認めておった当時とちっとも変りがない。現に、大臣御承知と思いますが、鳥取県等においても、長いものは五年間もちゃんと農業法人課税としてそういう取扱いをやっておったものが、三十二年からストップになった。そのストップになったということは、法人申告を認めないということ。それは結局言うまでもなしに農地法の違反であるからということで認めないのですね。それが、今度この統一見解で農地法との関連を一応断ち切ったということであれば、これは何も疑義があるはずはないと思うのです。しかるにもかかわらず、何といっても認めない。これも御承知と思うのですが、現在はこれらの法人に対して個人申告をするようにということで、財務当局はかなり強く大きな圧力をかけておる。これでは法人ももちろん納得をしないし、全国の農民は何といったって了承納得ができないと思うのです。ですから、こういうことであなたは御心配になってこの統一見解というものまでおまとめ下さったんだから、これをもう一押し押して下されば、何もめんどうなこんがらかることはどう考えたってあるべきはずがないと思う。実際そうなんです。午前中幾ら押し問答したって、それきり出ない。これは、大臣、ここまで来たのですから、もう一押ししていただいて、あなたのお力によってぜひこれも押し切ってもらいたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/136
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137・三浦一雄
○三浦国務大臣 私の方としましては、ここまで持ってきたことは、先ほど足鹿君のお尋ねに対して答えた通り、二押しも三押しもいたしたのであります。ただ、何しろ、本人たちの方が午前中に呼ばれてあなた方の御質疑に対して一向どうもらちのあかない答弁をしたということは、実は私は理解できないのでございますが、私は、大蔵大臣等にはつぶさにその事情を申し上げて、皆さんの御趣旨の通りによく伝達もするし、また努力もいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/137
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138・松浦周太郎
○松浦委員長 永山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/138
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139・永山忠則
○永山委員 大臣に特に御考慮を願わなければならぬことは、この農業法人問題は、大体現行税制に対する農家の自衛措置として起った面もございますけれども、基本的には、農地法の隘路でありますところの零細農の転落を防止して、そして経営の近代化、合理化と農業生産の向上をはからんとする農家みずからの創意と努力の現われでございます。語をかえて言いますと、農地法の隘路は、均分相続その他によって零細農に転落しているわけです。この隘路を農民みずからの力で打開してきておるのです。そして、この農業法人を認めれば、不耕作地主を作るようになる、あるいは統制小作料の問題にひっかかるとか、土地の兼併が行われるとかいうような、農業法人を認めることによって一見非常に大きな問題があるように伝えられておるのでございままけれども、それらのものは、これを生産の共同関係を中心にする特殊法人として、農業委員会並びに府県知事及び農林大臣が許可の際に十分しぼっていき、さらに監督をして、年一回農業委員会へ報告して、その間の情勢を明らかにする、さらに、その際において、不耕作地主になるような場合においては、いわゆる組合員並びに会社員の異動がある場合においては、不耕作地主にならぬように許可をとる、そして土地の兼併にならぬように監督をする、すなわち、土地の兼併にならぬようにするということについては、トラクター一台でやれる範囲、十町歩以上はこれを許さない、個人は三町歩であるが、これは十町歩以上は許さないというふうにすれば、土地の兼併も押えることができるし、不耕作地主にならぬようにすることもできる、さらに、統制小作料にかからないようにすることも、これはもう許可、監督、さらにそれによって聞かないものには解散命令をするというような工合に、生産共同を中心にする特殊法人のようなものに持っていけば、その心配は除去される、しかも農地法の隘路を是正する、そして農地法の自作農主義の方針をどこまでも堅持していく方途が考えられる、そして総合農協との競合を排除していくという道が開かれておるように今考えられておるのであります。ことに、農村の青年及び婦人が旧来の封建的家族労働から解放されまして、最も近代的な農業生産を希望を持って推進することができるというように考えられるし、また生産性の向上も考えられるというように、今日農村においては非常な勢いでこの農業法人に関して期待と希望と明るさを持って立ち上っておるのです。この点を十分御考慮を願うという点と、そういう事態であるから、この農業法人の芽ばえを税の問題でつみ取る、しかも国税庁の出先関係が不当にやったことを農林委員会でカバーさすというようなことに陥らないように、国税庁のやった点の非は非で認めて、――非をおおうために、あらゆる議論を歪曲して、所得税法の第三条の二であるところの実質課税の本質まで歪曲して農地法にひっかけていくというようなことになろうとすることは、われわれ非常に遺憾でございます。この点に対しては、幸い、農林当局も大蔵当局もあるいは内閣法制局においても意見統一をいたしまして、農業法人の法人課税は認めるということがはっきりしているのです。そして実質課税でいくのだということはこの文書ではっきりしております。しかるに、なお国税庁の出先関係が、旧来の行きがかりにとらわれて、自分らの体面のために、どこまでも実質的にこの法人を押えていこう――これが非常な希望によってどんどん伸びていくという状態を見て、税の収入に一大影響を及ぼすという考え方で、これを無理に実質的に押えていこう、原則は認めたけれども、自分らの行政的処置でもって、将来法人ができないように、芽ばえをつんでいこうという意図が今なお現われておる。午前中の不明朗は、この原則を認めながら、実際は行政的処置によって個人課税にして、三十二年から全部取り上げて、将来農業法人を認めさせぬようにしようという考え方が非常に強く現われておるのでございますから、どこまでも三者の統一解釈されましたこの方針を歪曲することなくして、正しい課税をやって、中小商工業者のいわゆる同族法人課税と同じように公平な処置をするように、大臣の方で大蔵大臣へ申し入れて、その処置を誤まらぬようにしていただかねばならぬという考えでございますが、大臣の所見を承わりたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/139
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140・三浦一雄
○三浦国務大臣 過般当委員会の御要請もあったので、この課税上の取扱いについて大蔵省にも申し入れて、そしてある程度の調整をするということになってきたのでございます。それで、今度の三月十日の申し合せによりまして――従来大蔵省の見解は、かりに法人成りができておっても農地法の違反がある場合にはそれは認めない、こういうことをとっておった。ところが、これは理論的には間違っておるということだろうと思う。従って、農林省は、その点を強く主張しまして、法人の経営は、たとい盗んできたものであろうが、あるいは違法があったにせよ、実際経営してやってきてその実績収入があるものならば、法人としてあるものならば当然それは法人税の課税の対象になるべきであって、農地法違反等の問題があるということで法人の活動を否定するわけに参らぬだろう、こういう主張をしたのでございます。同時にまた、農地法の問題につきましても、実は法規に予想されておらぬ混合契約的な面もありましょうし、分析してみまする場合にはこれはそう一律にはきめかねる問題が多々ある、こういうようなことでございますから、その点を強く主張しまして、国税庁もその点は認めたわけでございます。そして、第三段には法人として経営がちゃんとしている場合、すなわち、商業帳簿を作るとか、あるいは貸借対照表を作るとか、それから損益計算書をやる、同時にまた日々の経理等も明らかにしている、こういうことであれば、それは法人の課税をする、ただ、どんぶり勘定でもって従来の個人経営と変りないようにするならば、これはどうも法人という形式をとっておっても実質は個人の経理であるからして個人の課税をするということはやむを得ないだろうということが第三項で書かれておるわけでございます。しかるところ、午前中のいろいろの御論議の結果、その点はなおはっきりしなかったということで、私もそれを聞いておりませんのでございますから事情はわかりませんけれども、ただ、先ほど足鹿委員のお尋ねにもありました通り、三十一年度までのところは法人課税としよう、同様なことがあっても三十二年度からはそれはとりやめなんだということは不当だ、こういう御指摘でございます。私も、どうも今まで聞いたところでは、三十一年度分まではよくて三十二年度からは同じケースであっていけないということは、首肯できません。同時にまた、皆様の御意向がさようなことでございますので、先ほど足鹿委員にもお答えし、五十嵐委員に対しましてもお答えしました通り、この事情は両省取りきめのようにこれを正しく課税するようにということは、きょうもまた会う機会がございますので、大蔵大臣にはとくと進言いたしまして、そして皆様の趣旨が通るようにできるだけの努力をいたしたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/140
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141・松浦周太郎
○松浦委員長 小澤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/141
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142・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 大体今永山さんに対する大臣の答弁で農林省の考え方はわかりましたが、一点だけ確認しておきたいと思います。
法人が有効に登記によって成立しておる、そうすると、法人に対して法人課税を課すべきか個人課税を課すべきかは、当該法人が有効に成立している場合には、農地法の許可の有無にかかわらず、いわゆる実質課税の原則で課税をする、こういうように農林大臣はこれを確認している、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/142
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143・三浦一雄
○三浦国務大臣 農林省当局の考え方はその通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/143
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144・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 しからば、その実質課税の原則とは、ただいま大臣の答弁せられたように、商工業者と同様に、たとえば、帳簿とか、貸借対照表とか、損益計算書とか、月給をちゃんと払っておるとか、こういう実態が法人となっておれば、これは農地法と関係なく完全に断ち切って当然法人課税とする、こういうような工合に解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/144
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145・三浦一雄
○三浦国務大臣 われわれもそう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/145
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146・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 それでは農林省の考え方はけっこうですから、直税部長にお尋ねいたしたいと思います。ただいま大臣の答弁で、直税部長も聞いておられたと思いますが、直税部長としてもそういう解釈でよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/146
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147・金子一平
○金子説明員 私途中から参りましてなにでございますが、御指摘になりましたのは、法人として有効に成立しておるという場合においては、あとは、実質的にだれの所得に帰属しておるかという判定をいたします場合におきまして、帳簿が有効に家計と企業の会計と判然と区別されているというような状態になれば法人課税をするか、こういう御質問だと思うのでございますが、これは、けさほど来申しますように、普通の場合はそういうことになろうかと思うのでありますが、そういった場合におきましても、やはり実質によってなおこまかく見まして、帳簿上、経理上の整理はそうできておるけれども、やはり個人に所得が実際帰属しているような場合がございます。こういった場合は中小の企業におきましても、たくさんある例ではございませんが、やはり個人課税をしておるような事実もございますので、個々の具体的ケースにつきまして判定して課税をするというようなことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/147
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148・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 続いて直税部長にお尋ねいたします。その個人に所得が帰するかどうかということについて、農地法の許可云々ということは審査の対象というか判定の対象になりませんか、そこを明確にして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/148
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149・金子一平
○金子説明員 この問題も、先般来申しておりますように、この第三項で言っております許可の場合におきましては、その使用、収益の権利は依然として農地の所有者に帰属するものと考えられるということが第一段でございます。しかし、なおかつ実質的に別の人格のものが所得を享受しておるような事実がございましたならば、そのものに課税をするというのが後段で述べておるわけでございまして、その具体的な例といたしまして、同族的な法人であって法人設立の形態をとっておりましても個人形態と変らないような場合にはということが書いてあるわけでございます。この経営の実態が個人時代と変っているか変らないかという判定は実は非常にむずかしい問題でございまして、これはこういう条件があればいいだろうと一律的に形式的には私どもちょっときめかねる問題でございますので、午前中にも申し上げましたように、個々のケースにつきまして第一線の署長に判定をゆだねざるを得ないのではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/149
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150・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 そのものずばりに答えていただきたいのです。有効に法人ができた、その法人に対しては個人課税をするか法人課税をするかということは、農地法の許可のいかんにかかわらず実質課税の原則でやる、ここまではいいですね。そこはいいと思う。大臣もそう言っております。そこで、その商工業者と同じように実態が法人となっていれば当然これは法人課税ができる、こう言ったのだけれども、どうも個人に所得が帰しておるのか法人に所得が帰しておるのかというその判定、ここが一番大事なところだ。その判定につきまして農地法の介入する余地は法的にも何もないと思う。それをどうしても部長は農地法のことを云々するが、そこに持ってくると、また全然農林大臣の見解と違ってくる。これは農地法の入ってくる余地はない。所得税法のどこに、法人税法のどこにそういうものがあって税金を取り立てるのに審査するか、そこを聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/150
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151・金子一平
○金子説明員 今の最後のお尋ねでございますが、私は、その場合には、農地法による許可があったかないかということじゃなくて、その要素を介入させないで、実際にだれに帰属しておるかという事実によって判定するということでいいんじゃないかと思います。もちろん、その前段において、この間からるる申し上げておりましていささかおしかりを受けたのでございますが、第一段として、だれの所得に帰属するかということを課税の問題として考えます場合に、一体本来の法律上の所有者がだれかというようなことから第一段としてわれわれは見ますけれども、今の実質課税で、最後にここに書いてあります場合には、実際に事実上だれに帰属しておるかということを見て判断する、こういうことでございますので、それは所得税法第三条二に書いてある通りでございます。御了承いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/151
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152・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 農業法人に限って直税部長はそういうのにこだわっておると思うのです。国税庁は、私がこの間大蔵委員会で質問したように、やみ米を売りました、これは食管法違反ですが、そういうことは全然考慮しない。これは国税庁へたんと税金が入るからです。やみ小作をやっておる、これも国税庁の方では、たんと税金が入るから全然無視している。それが実質課税、実態課税で当然だと思う。この場合には、法人になると税金が入らないから、税金をたんと取るようにするために、どうしても農地法をからませたい、こういうことなのです。もう一つは、前々から国税庁は農地法をたてにとっている手前、統一見解にもそれをからませたい。どうもこの二つらしい。そこで、私は、もう一回念を押しておくが、これでずばりと答えていただけばいいのです。所得の帰属を考えるのに農地法は全然問題にはならない、農地法上の許可その他は全然考慮の対象にしない、問題ではない、これはいいですね。――それで、どうもニュアンスはだんだん私の方に近づいてくるようなのですが、一つ一気に近づけていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/152
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153・金子一平
○金子説明員 何べんも繰り返しますが、非常に端的にそのものずばりで申し上げられないので、はなはだ恐縮なのですが、税の理屈としては非常に説明のしにくいところでございます。もう一度繰り返して申し上げます。一応、所得がだれに帰属するかということを判定する場合におきましては、法律上だれの所有になっておるか、あるいは法律上の所得の帰属がどうなるかというようなことを見ますのが、やはり課税の問題として大きな要素となって参ります。これはだれ人といえども否認できないと思うのでございます。そこで、その法形式、法律上に乗っからない人が、第三者が所得を受けているという場合に、どういうふうに判定するかというと、それは、その第二段の問題といたしまして、現実に問題になっておる農地法の許可を得ておるかどうかという問題と離れて、実際上それが従来からの田畑、土地の所有者の個人の所得なのか、あるいはでき上っておる法人の所得なのか、そこの判定にまず入るわけです。議論といたしましては、私ども判定する際に二段がまえで議論いたしまするけれども、今先生からお話の点は、その最後の点について言えば、まさしく、違法合法というようなことは考えないで、実際にだれの所得になっておるかという事実関係について税務署長が判定いたします、こういうわけでございますので、御了承いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/153
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154・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 どうして前段がなくちゃいけないのですか。法律上の問題、農地法上の問題が一つの判定の要素になる、どうして前段の農地法の問題を云々しなければいけないのですか。後段においてはそういうことはないと言うけれども、前段でどうして言わなければならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/154
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155・金子一平
○金子説明員 これは、御承知でございますように、やはり、私ども、一応の所得がだれに帰属しているかというようなことを考えます場合、あるいは滞納処分によって差し押えをいたします場合等におきましては、一応現在でき上っておる法秩序の上に乗っかって、課税という問題を考え、徴収という問題を考えて参るわけでございます。従いまして、第一段としては、どうしてもやはり、法律秩序と申しますか、法律形式と申しますか、その上乗っかってものを考えるのが課税の正しいやり方じゃないかというふうに考えておるわけでございます。しかし、そういったことで正しい結論が出ない場合におきまして、初めて、法形式を離れて、実質的にどうなるかというふうにものを考えて参っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/155
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156・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 どうもそこがおかしいと思う。参考にそういうことを調査するとかなんとかいうことならいいのです。参考なら、これはそうかなということで参考にやるならいい。ところが、よく聞いてみると、どうもそうでないらしい。法的に帰属をはっきりするために農地法上の許可云々ということになってくると、法的に整っていないものの所得は農地の元の個人の所得になるという、こういう解釈を下して、もう農地法の許可の有無にかかわらずということは全然吹っ飛んじゃっている。そういうことでありませんか。参考に見る程度だ、こういうことでいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/156
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157・松浦周太郎
○松浦委員長 一番しまいの言葉を見ればはっきりしているんじゃないですか。途中の言葉はおかしくなっているのです。やっぱりこれは個人のものだという主張です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/157
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158・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 だから、途中は要らないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/158
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159・松浦周太郎
○松浦委員長 途中でごまかすようなことになっている。一番しまいの言葉は、個人のものだからいかぬということですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/159
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160・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 農地法の出てくる余地はない。何もよけいなことを言わないでいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/160
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161・松浦周太郎
○松浦委員長 答えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/161
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162・金子一平
○金子説明員 課税上の取扱いについての第三項に、前段と後段に分けて書いてありますが、それが私の今申し上げましたようなことをやや詳しく述べているわけでありまして、先生のおっしゃっているように端的に結論が出ておりません。第一段と第二段と分けておりますのは、今申しましたような考え方を述べているわけでございますので、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/162
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163・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 私、こういうことをどうしてくどく質問するかというと、実はこの間徳島県へ行ったらこういうことになっているわけです。十月六日、中田新一――この人は有限会社新紅園という法人を作ったわけです。その中田新一に対し更正決定に対する再調査請求書棄却決定さる、こういうことで、「徳所第二六三号昭和三十三年十月六日、徳島税務署長鈴木忠美」、職印があって、それから、「勝浦郡勝浦町大字」云々「中田新一殿、昭和三十二年分所得税の再調査請求に対する棄却通知書、あなたが昭和三十三年七月十日に提出された昭和三十二年度分所得税の再調査請求については下記の理由により棄却したから通知します。」、それから、「有限会社新紅園との請負契約は農地法第三条第一項の許可を要するものと解されますが同項の許可を受けていませんので同契約は同条第四項の規定により効力を生じないものであります。」云々、そのほかずっと理由を書いてある。だから、明らかに、農地法上の許可を取っていないからだめだということで有限会社新紅園に対して棄却通知を出しているのです。これはそれじゃ誤まりですか。前は国税庁はそういう見解であったと思うのですけれども、今度の統一見解になってからはこれは誤まりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/163
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164・金子一平
○金子説明員 私はその文書を実は見てないのでございますが、私の聞きましたところでは、第一段の今お読み上げになりました理由と同時に、実質上実態から見ましても個人に所得が帰属すると認められるからということをつけ加えておるように聞いております。それで、その点は実態判断とあわせてやっておるというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/164
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165・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 「あります。」と切ってあります。一つ切ってあって、第二段に持ってきて実態のことを持ってきている。だから、途中の説明の中へ農地法の問題を入れる必要がないというのにこだわるのはそこなんです。こういうように、棄却通知にも、農地法違反であります、第二の理由としては実態が整っていない云々ということであります。だから、実態を一生懸命整えればそれでいいか、端的に言えばそういうことです。損益計算書ですか、月給を払った明細書ですか、貸借対照表ですか、帳簿ですか、ちゃんと法人と同じように整えさえすればそれでいいかどうかということを私は尋ねておる。こういう棄却通知にも農地法違反ということを通知して、もう一つの理由として実態的なことをあとにつけてある。途中にこういう説明をしているから、先ほどからの直税部長の説明でも、農地法というものを途中に入れていただきたくない。はっきり切っちゃってもらいたい。そういうことが言明できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/165
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166・金子一平
○金子説明員 ただいまのは、おそらく、先ほど私が申しましたような、前段の、形式的な所有権がだれに帰属するかという問題を表に第一段の理由として出したわけだろうと思いますが、これはここの第三項にもはっきり言っておりますように、実態判断の場合の一つの要素として、課税という問題を考えるときに全然無視する必要はないんじゃないかというふうには考えておりますが、その実態判断の点につきましては、先ほど来るる申し上げておりますように、今後におきましてもその点の判断につきまして慎重を期するように税務署にも十分注意いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/166
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167・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 だから、さっきのこだわったわずかのところなんですが、そこの農地法上の法的なことは、参考程度ならどうか知りませんけれども、要素ではないということははっきりいいですね。所得がだれに帰するかは農地法上の問題は判定の要素ではない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/167
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168・金子一平
○金子説明員 くどいようでございますけれども、それは、私ども、何と申しますか、形式的に、あなたの申し出に対して理由がありませんと言うときは、いろいろな理由をたくさん並べます。その場合の理由の一つというふうにお考えいただいたらいいんじゃないかというふうに考えております。結局は、私は今、最後の事実判断の問題が中心になろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/168
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169・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 どうもその答弁ははっきりわからないです。私の見解ではだめならだめ、そういうことをイエスかノーかで答弁してもらいたい。イエスかノーか、それならはっきりすると思う。ほかに第三の道があるかどうか知りませんけれども、イエスかノーかで答弁してくれればいいのです。農地法上の許可認可というものが個人所得に帰するかどうかの判定の一つの要素になるのかならないのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/169
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170・金子一平
○金子説明員 お答え申し上げますが、今問題になっております再調査の請求に対するあるいは審査の請求に対する却下の理由でございますけれども、これは今後の問題とひっかかる問題でございますので、おそらく、税務署といたしましては、大事をとりましていろいろな理由を並べておる、その理由の一つとして取り上げたというふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/170
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171・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 ちょうど大臣も帰らずにいらっしゃいますが、大臣のさっきの解釈とは見解が違うのですが、大臣の解釈はどうですか。どうも直税部長の答弁の中には農地法がからまっておって、大臣がああいうような工合に言明されても、税金を取り立てる方は農地法がからんできて重要な要素になって、大臣のさっき言われたことと違う、こういうことになるが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/171
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172・三浦一雄
○三浦国務大臣 私は、この文章をすなおに見て、先ほど、われわれの了解はさようである……。国税の方の関係につきましても、二十一年度までは認める三十二年からはだめだということはなにでございますから、これは大蔵大臣にもよく反省を強く要望をするということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/172
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173・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 大臣もそう言っておるのですが、大臣の言っておる通りに、直税部長、よろしいと、こう言えば、これで質問は終りです。どうもさっきのところでこだわるから、くどいようなんですが、そうなんです。それで見解統一ができておるのですか。大臣がそう言っておるのに、直税部長は何ですか。私の質問に対してずばりその通りですと答えていただいたらそれでよかったものを、どうもあすこにこだわるものだから、農地法がからまってきてしまっていけない。大臣に今聞けば、そうじゃないとおっしゃる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/173
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174・松浦周太郎
○松浦委員長 答弁ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/174
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175・金子一平
○金子説明員 今までの答弁と同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/175
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176・永山忠則
○永山委員 議事進行。
この点に関して、せっかく農林大臣も大蔵大臣との話し合いを申し出られると言っておられますので、大蔵大臣と十分話し合われまして、本委員会へ大蔵大臣との統一見解を発表してもらいたい。同時にまた、大蔵大臣直接の言葉を聞きたいと思いますので、大蔵大臣も出席してそのことを発表してもらうようにお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/176
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177・金子一平
○金子説明員 先ほどの御質問でございますが、これはたしか昨年の問題でございますので、当時といたしましては、やはり私の申し上げましたような議論をやっておりましたので、そういった考え方でできております点を一つ御了承いただきたいと思います。それから、審査の請求というような問題は、今後訴訟にいかれても当然一応理由として明確にできるようなものを技術上やはり考えてやっておりますので、私は、やはり、税務署の書いておりますような理屈を並べることは、これは仕事の性質上やむを得ないじゃないかというふうに考えております。繰り返して申し上げますが、まだ統一見解の発表前の審査の決定の事案でございまして、今申しましたようなことで書いたわけでございますので、御了承いただきたいと思います。今後におきましては、表現のことにつきましては十分気をつけて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/177
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178・松浦周太郎
○松浦委員長 暫時休憩いたします。
午後四時五十分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105007X02319590313/178
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