1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月二十五日(水曜日)
午前十時五十三分開議
出席委員
委員長 臼井 莊一君
理事 稻葉 修君 理事 加藤 精三君
理事 永山 忠則君 理事 原田 憲君
理事 小牧 次生君 理事 櫻井 奎夫君
清瀬 一郎君 鈴木 正吾君
高橋 英吉君 谷川 和穗君
中村 寅太君 松永 東君
八木 徹雄君 西村 力弥君
長谷川 保君 堀 昌雄君
山崎 始男君
出席国務大臣
文 部 大 臣 橋本 龍伍君
出席政府委員
文部事務官
(大臣官房総務
参事官) 齋藤 正君
文部事務官
(大臣官房会計
参事官) 天城 勲君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 内藤譽三郎君
文部事務官
(大学学術局
長) 緒方 信一君
文部事務官
(体育局長) 清水 康平君
文部事務官
(管理局長) 小林 行雄君
委員外の出席者
専 門 員 石井つとむ君
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二月十九日
委員河野密君辞任につき、その補欠として岡田
春夫君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十四日
委員岡田春夫君辞任につき、その補欠として今
澄勇君が議長の指名で委員に選任された。
同 日
委員今澄勇君辞任につき、その補欠として河野
密君が議長の指名で委員に選任された。
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二月十九日
学校教育法の一部を改正する法律案(小牧次生
君外二名提出、衆法第三一号)
市町村立学校職員給与負担法等の一部を改正す
る法律案(辻原弘市君外三名提出、衆法第三二
号)
公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する
法律案(櫻井奎夫君外二名提出、衆法第三五
号)
同月二十四日
女子教育職員の産前産後の休暇中における学校
教育の正常な実施の確保に関する法律の一部を
改正する法律案(高田なほ子君外二名提出、参
法第四号)(予)
同月二十三日
養護教諭を各校必置に関する請願(兒玉末男君
紹介)(第一六二八号)
同(楯兼次郎君紹介)(第一七二〇号)
同外八件(山本幸一君紹介)(第一七二一号)
女子教育職員の産前産後の休暇中における学校
教育の正常な実施の確保に関する法律の一部を
改正する法律
制定促進に関する請願(堂森芳夫君紹介)(第
一六二九号)
同(木倉和一郎君紹介)(第一七二三号)
長野県に青年の家設置に関する請願(羽田武嗣
郎君紹介)(第一六三〇号)
産業教育振興に関する請願(亀山孝一君紹介)
(第一七二二号)
スポーツ振興法制定促進に関する請願(竹下登
君紹介)(第一七二四号)
高等学校の授業における生徒の編成及び教職員
配置の基準法制化に関する請願(天野公義君紹
介)(第一七五五号)
同(新井京太君紹介)(第一七五六号)
同(宇都宮徳馬君紹介)(第一七五七号)
同(大野市郎君紹介)(第一七五八号)
同(岡崎英城君紹介)(第一七五九号)
同外二件(賀屋興宣君紹介)(第一七六〇号)
同(金丸信君紹介)(第一七六一号)
同(小牧次生君紹介)(第一七六二号)
同(坂田道太君紹介)(第一七六三号)
同外一件(島村一郎君紹介)(第一七六四号)
同(世耕弘一君紹介)(第一七六五号)
同(田中榮一君紹介)(第一七六六号)
同外十八件(長谷川峻君紹介)(第一七六七
号)
同(橋本登美三郎君外二名紹介)(第一七六八
号)
同(鳩山一郎君紹介)(第一七六九号)
同(濱野清吾君紹介)(第一七七〇号)
同外一件(福田篤泰君紹介)(第一七七一号)
同外一件(保科善四郎君紹介)(第一七七二
号)
同(星島二郎君紹介)(第一七七三号)
同外一件(細田義安君紹介)(第一七七四号)
同(松前重義君紹介)(第一七七五号)
同(森清君紹介)(第一七七六号)
同(八木徹雄君紹介)(第一七七七号)
同外十四件(八木徹雄君紹介)(第一八〇九
号)
は本委員会に付託された。
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二月二十三日
スポーツ振興法制定促進に関する陳情書
(第三五四号)
同(第三
八四号)
同(第四一七号)
同(第四
三八号)
同(第四三九
号)
スポーツ振興法制定等に関する陳情書
(第三七二号)
同
(第三七三号)
社会教育法等の一部を改正する法律案成立促進
に関する陳情書
(第三七四号)
公立学校共済組合に対する国庫負担に関する陳
情書(第
三八五号)
小、中学校の養護教諭及び事務職員必置に関す
る陳情書
(第四一三号)
義務教育諸学校施設整備費国庫負担制度確立に
関する陳情書
(第四一四号)
小、中学校不参加児童生徒に修学旅行費補助増
額に関する陳情書
(第四一五号)
社会教育主事に対する財源措置に関す陳情書
(第四一六
号)
高等学校の授業における生徒の編成及び教職員
配置の基準法制化に関する陳情書
(第四一八号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校への就学
奨励に関する法律の一部を改正する法律案(内
閣提出第五六号)
義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正
する法律案(櫻井奎夫君外二名提出、衆法題二
八号)
公立高等学校危険建物改築促進臨時措置法の一
部を改正する法律案(櫻井奎夫君外二名提出、
衆法第二九号)
義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律案
(櫻井奎夫君外二名提出、
衆法第三〇号)
公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する
法律案(櫻井奎夫君外二名提出、衆法第三五
号)
文教の基本施策に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/0
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001・臼井莊一
○臼井委員長 これより会議を開きます。
まず文教行政の基本施策に関し調査を進めます。質疑を許します。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/1
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002・堀昌雄
○堀委員 文教予算の問題で少し伺いたいと思うのであります。まず最初に、この前いただいた資料によりますと、現在中学校で二部授業をやっております学校が三十二校あるということがここに書かれておるわけでありますが、一体中学校で二部授業をどうやってやっておるのかということを一つ具体的に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/2
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003・内藤譽三郎
○内藤政府委員 小学校の場合には比較的二部授業はたやすいのでありますけれども、中学校の場合にはなかなか二部授業が困難であります。私どもは中学校につきましては二部授業をしないようにという指導をしておるのでございますけれども、若干御指摘になりましたように二部授業のありますことは大へん遺憾に思います。この場合に、私も一々回ったわけではございませんけれども、私どもの聞いておるところによりますと、多少夏休み、冬休み等を縮めて授業時数を生み出す、あるいは毎日の時間におきましては休憩時間をできるだけ縮めて生み出す、こういうような努力を払っておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/3
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004・堀昌雄
○堀委員 ちょっとその前にもう一つ伺いたいのですが、中学校の一週間の授業時間数というものは定められたものがあると思うのです。それは一年、二年、三年と多少異るかもわかりませんが、一体現在どのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/4
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005・内藤譽三郎
○内藤政府委員 週間時数は大体最低が三十時間程度でございます。もちろん選択がございますので、三十二時間あるいは三時間くらいになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/5
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006・堀昌雄
○堀委員 三十時間ということになりますと、週日は大体六日になっておりますが、土曜日は原則として半日というのが大体のルールでありますから、これを半日とすれば四時間くらい、それを引くと二十六時間くらいになります。それをあとの五日間でやるとなれば、最低五時間は一日でやらなければならない。五時間やっておるということになると、そのあとに五時間をやることにどうしてもなる。一日に十時間をどういう格好かでやらなければならぬ。今おっしゃったように休暇を食い込むということをやることになると、授業時間が今一週三十時間ときめられておるものを、たとえば二十四時間くらいにして、あとの残り六時間を休日へ持っていくというやり方をしておられるのか、どう考えてみても具体的にちょっと考えられないのです。実際は六時間くらいを、午前中四時間、午後二時間くらいが、どうも中学校の大体平均したところで、少いところもあるようですが、具体的にそういう状態のように見受けているわけですが、率直に言って、そういうようにやってみると、二部授業が私はできないと思うのです。現在の法律で定められてあるのかどうかわかりませんが、少くとも一週三十時間ないし三十二時間やらなければならぬということになっておる中で、今休憩時間を短縮すると言われましたが、休憩時間については、おそらく多いところでも一時間のうちで十五分以上とっているところはない、大体十分ないし十五分というのが常識です。それを五分間に縮めるとか、あるいはなしで授業するということになると、これは重大な問題です。生徒の負担というものは大へんなものです。ですからそういう点では私はちょっと遺憾だと思いますのは、局長さん自身が具体的によく知らないとおっしゃることは、これは今の義務教育という問題に対しては非常に重大だと思う。なるほどある地域では前には非常に多かったようです。今は皆さんの努力で減ってはおりますが、なお三十二校というものが二部授業をやっている。予算は昨年から大へん出ているわけです。それでまず小学校は二部授業について低学年のものは一日に二時間ないし三時間でありますが、これを午前午後に入れかえるということで行なっているわけでありますが、私はそこで皆さん方はこの問題について案外なんとかなっているんじゃないかということで、責任を持ってどうしていこうというようなお心がまえが不十分ではないかという点が気になるのですが、もう少し具体的におわかりになっている、たとえば一つの学校でもよろしい、そこは具体的にこうしているのだというものがあるかないか、それをちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/6
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007・内藤譽三郎
○内藤政府委員 この二部授業の実態について私どももさらに詳細に調べなければならぬと思いますが、たとえば学校統合をするので季節的にしばらく二部授業をしていく、こういうのが多いようでありまして、年間的にずっと二部授業というのはほとんどやっておりません。この場合に中学校の授業の立て方でございますけれども、私どもは最低三十五週を維持するようにということを言っております。ですから三十五週のとり方をどうとるかということは、これは片方の学年が休んでいるときに片方の学年が授業するのは可能でございます。そういう意味で休暇の扱いは別々にし得ると思うのです。決して休暇自体を縮めるという意味ではございません。それから場合によったら土曜日の午後も日曜日も使うわけです。これは生徒も教師も正規に六日でやっているわけですが、建物の関係で土曜日も使いますし、また日曜日も使う。そのかわり他の日にお休みをするわけです。全体としてはできるだけ無理のないように計画をしていると私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/7
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008・堀昌雄
○堀委員 はずだと思っていただいておる程度では、私は困ると思うのです。これは非常に重大ですから。
それともう一つ。今教師と生徒がそういうふうに日にちをずらしてやっても大丈夫だとおっしゃったわけですが、小学校の教師の場合は学級担任でございますから、自分の生徒たちの来ない日には来なくてもいいということは成り立つのです。しかし中学校の課程はそうでなくて、ばらされておるわけですね。英語は英語の先生が見る、数学は数学の先生が見る、国語は国語の先生が見るという状態になると、あなたの今おっしゃったようにいけないわけです、ばらした状態の中では。生徒が交代して休んでおっても、他の組が出ておればそれに関係する五人か六人の先生はどうしてもその日も出なければならぬというので、私はそううまくいきそうに思わないのですが、その点は確実にいっておりましょうか。その点は、もし皆さんの方の御調査が得心がいかなければ、私はここの三十二校について具体的に調査をしてもいいと思うのですが、その点、責任のある御答弁をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/8
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009・内藤譽三郎
○内藤政府委員 小学校の場合には、御指摘のように二部授業の場合にはクラスが別でございますから、教員定数は別に出しておるわけなんです。ですから午前の先生と午後の先生、あるいは一部の先生と二部の先生、これは同じ先生が受け持っているところはないわけです。中学校の場合に一郎ございますのは、全体が二部授業だと私考えていないのです。そのうちの幾らかの学年が特に児童数の関係で非常に多いということもあるわけです。たとえば一学年が二個学級だという場合に、三個学級、場合によるともっとふえる場合もあり得るわけです。そのふえた学年がたまたま教室がなくて二部授業をしておる、こういうふうに私は考えているわけです。学校全体が二部授業をしているという意味ではないと思うのでございます。そういう場合に、これはもちろん現実の学級数を見ながら教員の配当をいたしておりますので、御指摘のように二部授業が多い学級については特別に定数配置はしておるはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/9
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010・堀昌雄
○堀委員 御答弁がみな、はずであるということで、一つも確信のある御答弁がないのですから、これはやはり私は一回調査をしなければならぬと思う。私がこの問題を今非常にやかましく申しておりますことは、この間すでに私どもの委員がすでに触れられておりますように、中学校の児童数は今後著しく増加をしてくる状態になっております。これは国全体として見ると、三十二年度を一〇〇として中学校の推計を調べてみますと、本年度、三十四年度は九〇・三五、三十五年度は一〇二・八四、三十六年度は一二〇・五四、三十七年度は一二七・四四、三十八年度でもなおかつ一二〇%、本年から三十六年度を見ますならば実に三〇%この間で増加をするという実情があるわけです。この間に中学校で二部授業をせずに行い得るかどうかという点については私は非常な不安を持っておる。
文部大臣にここで一つお伺いをいたしたいわけなのですが、義務教育というものは、憲法でも教育基本法でも触れておりますけれども、少くとも公平平等に教育を受ける権利があるわけです。権利があるということは、国はその権利を見てやる責任があると私は考える。これは今の二部授業の中学校の実態の調査をやらしていただいて、その結果によってまた御検討願わなければならぬと思いますが、中学における二部授業というものは重大な問題だと考えておる。その点で考えてみますならば、文部大臣は将来の急増に対処して、必ずこれらの生徒を三部授業をやらせずに授業を行い得る確信が果しておありかどうか、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/10
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011・橋本龍伍
○橋本国務大臣 今回の五カ年計画は生徒数の急増を計算に見込みながらこうした不正常授業をなくすということで十分に検討いたしましたので、いろいろな努力は要ると思いますけれども、かまえて今後におきまする二部授業、ことに中学校におきまする二部授業を解消して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/11
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012・堀昌雄
○堀委員 お考えとしては大へんけっこうだと思いますので、そのようにお願いをいたしたいと思います。
そこで、ちょっと具体的に伺いたいのですが、この前監理局長の方からのお話だったと思いますが、本年度は中学校の方は生徒も減ってきておるので、一〇%程度とおっしゃいましたかね、それを一応考慮した、こういうふうにお話になっておるのですが、この五カ年計画というものはほんとうに計画になっておるのでしょうか、どうでしょうか。地方自治体にもおそらく皆さんの方は五カ年計画というもので何らかの計画をさせなければ、文部省単独で御計画になってもこれは成り立たない性格のものです。そこで地方自治体は地方自治体として五カ年計画というものを作っておると思います。この場合に文部省省で、かなり確実といいますか、御承知のように児童数の増加ということは、推計で大体出せるものでありまして、来年にならなければわからないというようなものではないわけでありますから、そういう確実な推計の上に立った児童数の増加というものは既定の事実であるし、現在の不足校舎の問題も既定の事実であるし、五カ年計画というものは相当精密にできておると私は理解しておりますが、中学校の五カ年計画についての文部省側としてのパーセンテージとり方は、具体的にはどうなっておるのか、ちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/12
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013・小林行雄
○小林政府委員 前回の委員会でも御説明申し上げましたように、中学校の校舎につきましては、五カ年計画の最終年度の三十八年度におきまして、小学校同様に一学級の生徒数を五十人以下とするということを目途に、用地八十五万坪を整備するという計画を立てておるわけであります。この総整備坪数については大蔵省の方も承認しておることでございます。しかも五カ年間にそういった整備をするということもはっきりと承認されておるところでございまして、ただ各年度の年度の年次割につきましては、御承知のように三十四年度におきましては、中学校の生徒数は三十三年度に比べて減るというような状況でございますので、均等割りというわけにはいかないわけであります。従って、この中学校の不正常授業の解消につきましては必ずしも各年度均等ということをせずに、いろいろな条件を勘案いたしまして、三十四年度はその必要坪数の約十分の一を整備する。これは三十三年度の実績に徴しましても、実は中学校の不正常授業の解消に必要な予算を、地方自治体の方で必ずしも積極的に消化できなかったというような実情があるわけでございまして、三十四年度は、三十三年に比べてもなお生徒数が約三万以上減るという実情がありますので、一応とにかく十分の一というものを計上いたしたわけでございます。お話にございましたように、中学校の生徒数が三十五年度は七十八万くらいふえる、それから三十六年度にいたしますと約百万近くふえるというような工合に進行いたしますので、これにつきましては、当然私どもといたしましてはそういった割合に応じて予算を組んでいただかなければならぬというふうに考えております。ただ、三十五年度の金額が幾ら、三十六年度の金額が幾らということは、現在まだ確定はしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/13
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014・堀昌雄
○堀委員 私ども五カ年計画というようなことを伺いますと、さっきお話になった八十五万坪というものを生徒数の増加に応じて一応配当をして、初年度何%、二年度何%、三年度何%ということで、できる、できないかは別問題でありましょうけれども、一応の計画があるべきじゃないかと思うもし皆さんの方がそういう計画がなくて、行き当りばったりだということになれば、全国の市町村なりあるいは県、文部省の方がどうなさるかもわからないのに、地方自治体として一体どうすればいいのか、いろいろ要求は出ておるわけであっても、皆さんの方がきまらなければなかなかきまらないという問題も私はあろうかと思うのです。具体的にはその計画はないということなんですね。五カ年間でやるのだということの計画があるだけであって、内訳の計画については行き当りばったりということに理解してよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/14
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015・内藤譽三郎
○内藤政府委員 これは二つありまして、教員定数の問題と、ただいま監理局長が御説明いたしました建物の関係でございます。教員定数につきましては、私どもは五カ年で、中学校につきましては本年が五十四にいたしましたので、来年度は五十三にいたしたい。それからその次の三十六年度は五十二にいたしたい。それから次も実は五十二にいたしたい。その翌年に五十にする、こういう計画を持って、それに必要な学級数と教員数をはじいて五カ年計画を用意しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/15
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016・堀昌雄
○堀委員 施設の方は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/16
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017・小林行雄
○小林政府委員 先ほど申しましたように、三十八年度におきましては、中学校の生徒数を五十人以下にするということで、全国漏れなく各市町村ごとに、各中学校ごとに調査をいたしました結果が、この八十五万坪という数字になったわけでございます。この点は大蔵省も、先ほど申しましたように、予算の積算の基礎としてはこれをはっきり承認いたしておりますので、各年次割につきましては必ずしも均等というふうには参りませんけれども、ただいま申しましたような年次ごとに整備していく。各市町村におきましても、大体文部省の方針に基きまして、各学校ごとの増減に応じて教室を整備していくことと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/17
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018・堀昌雄
○堀委員 私の御質問に答えていただいておらぬと思うのですが、今おっしゃったように、五カ年計画は均等だとかなんだとかいうことは、私は少しも申しておりません。要するに、年度別に計画があるのが五カ年計画であって、五カ年後の最終時点において八十五万坪をやるということは、私は計画などという性質のものじゃないと思う。それは一つの目標として五カ年後にこうするのだということであって、五カ年計画というものは、初年度幾ら、二年度幾ら、三年度幾ら、四年度幾ら、そうして五年度幾らという計画の上に実施されるものが五カ年計画であって、そうすると、今おっしゃることは、五カ年計画ではないということかどうかということなんですね。これは自民党の一つの政策か何かで、大へん麗々しく五カ年計画と出ておるわけですが、それは五カ年計画ではないということをお話しになれば、私はそれなりに了承いたすわけです。五カ年計画だと言っておられるならば、計画のあり方を出していただきたい。今おっしゃるようなことであるならば、同じ答弁は要りません。だから問題は、年度別に計画されたところのものが具体的にあるかどうか、答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/18
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019・小林行雄
○小林政府委員 それは三十四年度の予算の編成方針にも、政府全体の予算の編成方針にも明示してございますように、予算編成方針の最も重要な一つの事項といたしまして、公立学校のいわゆるすし詰め教室及び危険校舎等を五カ年間に解消するということを、はっきり明示しておるわけでございます。そうして五カ年間の整備坪数も、先ほど申しましたように、危険校舎そのほかにつきましてはっきりした数字を持っておるわけでございます。ただ五カ年にこれを、たとえば危険校舎のように均等割にすることのできるものもございますし、不正常授業の解消のように、児童あるいは生徒の増減に応じて、また市町村の整備の方針に応じて国の予算を組んでいくという必要のあるものもございますので、必ずしも均等にいっていない。しかし五カ年間に整備すればよいという教室数並びに坪数ははっきり明示されておりますので、私どもといたしましては、これをはっきりした五カ年計画であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/19
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020・堀昌雄
○堀委員 これはちょっと文部大臣にお願いをしたいわけですが、あなたは厚生大臣もやっておられておわかりのように、厚生省の統計調査部は相当りっぱなものをやっております。私はまだ不十分だと思って、いろいろ希望を述べておりますが、厚生省の統計調査部の資料を拝見すると、私どもがいろいろな問題を分析するについて役に立つ資料が大へんあるのです。ところが文部省の統計をこの聞いただいたのですが、残念ながら非常に平面的なものであって、ああいう程度では、今の五カ年計画をきめるような資料がないのだと思うのですけれども、あなた方の方がもう少し調査を厳密にされて実態を確実に把握されておらないから、五カ年計画は最終のめどだけであって、ほんとうの計画になっていない。昭和三十八年度に至る学級数の増加というものは、もうおそるべき事実なんです。具体的に言いますと、これを今のようなめどだけでできるなどとは、率直に言って私は考えておらない。二部授業は、今のような皆さんのお考えでは、全国至るところで処置のないような状態で二部授業をやらなければならない事態が来るのではないかということを、非常におそれておるわけであります。そこで私はこの点について資料を一つお願いしたいわけです。その五カ年計画をなさるについて、一体坪数は——皆さん方の方で非常に坪数坪数と言っております。ところが、その坪数の元になるものは、教室もありますし廊下もありますし、いろいろあって、必ずしも画一的に行っていないんじゃないか。ある府県においては、一体教室がどうなるかということが具体的にはわかっていないんじゃないかと思う。坪数としては皆さん理解しておいでになると思いますが、何々の県ではどうなっておるのか、どこではどうなっておるかということが、文部省ではおわかりになっていないんじゃないかという不安がありますので、その点を一回資料にして、坪数に見合うもう少し具体的な実態をお知らせ願いたいと思うことと、私がさっき申し上げたように、地方自治体としては一応計画しておる。皆さんの方は計画なしなんだということは、今の御答弁でよくわかったわけなんですが、兵庫県で私調べて参りますと、兵庫県では五カ年計画として、中学校だけについて見ますと、三十四年度二五%に、三十五年度二五%、二十六年度二五%、三十七年度一五%、三十八年度一〇%、一応こういう形で、県としての計画は持っておるわけです。おそらく全国的に、五カ年計画ということの中では、こういう計画を地方自治体は持っておると思う。これに基いて、地方自治体も財政計画を一応考えておるだろうと思うのです。皆さんの方は行き当りばったりで、そのときそのときの成り行きまかせで予算化されるということであるならば、これは五カ年計画というものでいたずらに地方自治体を混乱させるだけだと思う。この点皆さんに誠意がないんじゃないか。五カ年計画というものについて、やはりこれだけの膨大なものを、八十五万坪のものを建てるなどということは、私は今の日本の実情としてそう簡単なことではない、こう思っておる。非常に困難なことをやるならば、困難に対応するだけの努力を一応やっておかなければ、きょうきめたらあした学校が建つわけではないのですから、この点については私はもう少し責任のある資料と、具体的な案を一つ提示をしていただきたい。こういうふうに第一に思うわけなんです。
その次に問題になりますのは、この負担の法律が、非常に私まずい形でできておると思う。義務教育諸学校施設費国庫負担法第五条は、「第三条第一項第一号から第四号までに規定する建物の新築又は増築に係る工事費は、校舎、屋内運動場又は寄宿舎のそれぞれについて、児童又は生徒一人当りの基準坪数に当該新築又は増築を行う年度の五月一日における当該学校の児童又は生徒の数」を基礎にしてやる、こういうふうになっておるわけです。そういうことになりますと、要するに昭和三十六年度が一番問題になるわけですが、三十六年度に、こつ然として前年度に比べて約二〇%近くふえている。三十六年度の五月一日に二〇%ふえたから、その基準に基いて金を出していくのだということになれば、できるのは三十七年にならなければ使えないのです。三十七年になるまでにその二〇%の児童が、さっき申し上げた二部授業をやらなければならないような法律の仕組みがある。法律の仕組みがこうあっても、教育というものは実際に動いておるのであって、それができたときには要らなくなったというような教室を建てるわけには私はいかぬのじゃないかと思うのですが、ここらの関連において、文部省としてはほんとうに児童を、憲法に定め、教育基本法に定めるような義務教育をやらせる責任を果すだけの覚悟があるのかどうか、この点を一つ文部大臣にもう一回、あらためてこの法律の関連もありますのでお伺いをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/20
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021・小林行雄
○小林政府委員 五カ年計画の坪数に見合う実態はどうであるかということのお尋ねでございますが、これは建物の坪数だけがあればいい、たとえば廊下でも昇降口でもそれを教室として使えるものは使ってよろしいということで私どもは計画をいたしているのじゃございませんので、少くとも普通教室で授業を行う、しかもそれは五十人以下の学級規模で授業を行うということにいたしまして、全国の調査をいたしておるわけであります。ですから建物の坪数がありましても、それはそれで二部授業を行なったり、あるいは廊下のいわゆる間切り授業を行うというようなことは私どもは全然考えておらない次第でございます。お話のございましたような、兵庫県の五カ年計画、これは私どもも実は共同調査をいたしたものでございまして、よく承知いたしております。兵庫県並びに神戸市の、これは非常に私ども貴重な資料でございまして、そういうものをいろいろ勘案いたしました結果、この今回の五カ年計画を立てている次第でございます。
なお義務教育諸学校施設費国庫負担法の第五条の点でございますが、確かにお話のように、現在の法律は、現在できておる不正常授業を解消いたしていくという建前でこの法律ができておりまして、その年度の五月一日現在の児童または生徒数というものを基礎にしてやっております。従って将来起るであろう不正常授業というものを予防するようなことにはなりません。けれども御承知のように、第八条にはその特例がございまして、特別の理由がある場合には国の工事費の算定方法をある程度変えることができるということになっておりますので、そういうものを使用いたしまして、できるだけその急増のはっきりわかるようなものにつきましては特別の措置をとって参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/21
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022・橋本龍伍
○橋本国務大臣 ただいま局長から答弁のございました通りでございます。ただいままでのところ文部省としても精一ぱいの努力をいたしてきておりますが、統計の整備、それから今後起って参ります事態を正確につかんで参ります。それに従いまして今日考えております不正常授業の解消ということを真に完遂いたして参りますためには、なおただいま堀委員からお話のございましたことを、今までの資料だけで満足することなしに十分掘り下げて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/22
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023・堀昌雄
○堀委員 施設の点についてはもう少し私具体的な年度にわたっての資料をいただきたいと思います。
次は教員の関係の方でございますが、教員がやはりこの児童数の急増に応じて対処される計画は、今内藤局長の方から一応年度別に五十二人、五十二人、五十人ということで承わったわけですが、そうすると、ここで私ちょっと心配がありますのは、増加をする方はなるほど今の雇用状態ですからふやし得るわけです。昭和三十八年以降の児童の数の状態はちょっとここではわかりかねますが、これを小学校の方で見ますと、大体小学校は三十二年度の実数を一〇〇といたしますと、昭和三十八年度には七九・一四というふうに下ってきまずから、これが中学校へどうせ入ってくるわけですから、昭和三十八年度以降においては、この一二〇になっておるのがぐんぐん下っていく、急激に下る状態が考慮されるわけです。その場合に、私どもは、やはり先生をふやした、今度は急に生徒が減ってきた、そうしたらもうお前たちは要らないのだというわけには参らないと思う。この場合、おそらく皆さんの方は年令の高い方を無理にやめさせるとか、いろいろな問題が私はここでは起ってくる危険が十分にあると思うのですが、これは今から五年も六年も先のことを心配するのはおかしいようでありますけれども、しかし何らか皆さんがこういう問題についてはっきりした考え方を持っておられるかどうか。校舎の方は余裕があっても、特別教室に利用されたりいろいろと大へん好都合になろうかと思うので、この点問題はないと思うのでありますが、教員についてはこの点はしかく簡単にいかないのではないかと思うので、それについて文部省のお考えを一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/23
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024・内藤譽三郎
○内藤政府委員 お尋ねの点まことにごもっともなので、私どももそういう点を配慮いたしまして、この年度割の教員数の増加につきましては、十分考慮していきたい。そこで三十四年度は小学校が五十八以上のところをなくしたい。中学校は五十四以上のところをなくしたい。もちろん各県によって五十八以下、あるいは中学校の場合五十四以下のところはたくさんございますけれども、それはけっこうなことでありますから、さらにすし詰め学級を解消していただきたい。三十五年度につきましても小学校は五十六に一応とめたい、中学校の場合には五十三で押えたい、こういう気持を持っておるわけであります。そこで実は三十六年度でございますけれども、三十六年度は中学校の生徒がさっき御指摘になったように相当ふえて参りますので、この年は私さっき五十二と申しましたけれども、一応五十三でしんぼうしていただこう、そうして小学校の方は五十六でしんぼうしていただきたい。と申しますのは、ここで非常にふやしますと、後年度にいってまた先住を減らさなければならぬというような事情が起きるわけです。三十七年度にいって小学校を五十四にし、中学校は五十二にいたしたい。こういうふうに考えて、教員数の増減を大体一万程度で押えたい。あまりたくさんふやしますと、お話のように今度は減らさなければならぬ。そこで三十八年には小、中ともに五十に持っていくわけでございますけれども、一応ここで五カ年計画ができますので、一方において教員定数の方も五カ年間に約一万人の定数充足をいたし、同時に、すし詰め学級の解消もいたしていく、こういう計画を持っているわけです。この五カ年が済みましたときに、お話のようにさらに生徒数が漸減して参りますので、ここで教員数を減らさないように、この間からお話のありましたような養護教員の増加、あるいは事務職員の増加、あるいは児童数を四十五にするとか、そういう第二次の計画を立てて参つりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/24
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025・堀昌雄
○堀委員 校舎の方はそういうことで重要でありますが、あとの問題はいいとして、特に教員の点については、文部省が五十名でありましても、将来やはりさらに減らすという方向に持っていっていただく中で、ある安定した状況において、そういう教員の淘汰を必要以上に行わない。自然におやめになるのはやむを得ないと思うのでありますが、児童数の増減のために学校の教員が不当な取扱いを受けるというようなことのないような計画を、確実に今後の遂行の上で立てていただくようにお願いをいたして、この問題はこれで終ります。
次に、ちょっとこの前質問をさしていただいておいて、そのままになっておるのが、実は準要保護児童の問題で、内藤さんはこの間、大体準要保護の増減は生活保護の五割増しのところを基準に見て、文部省としては大体四%くらいになっておる資料があるというふうなお話でしたのですが、これについてきょうはその資料その他御準備いただいたでしょうか。ちょっとそれをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/25
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026・内藤譽三郎
○内藤政府委員 私どもの調査で、これはそう正確な調査とは申しかねます。と申しますのは、厚生省のように計数ワーカーがおって収入査定をしておるような状況ではございません。ただ、大体厚生省がおやりになっている標準世帯の標準収入を押えられて、それの五割増し程度のところで調査して見た結果、大体四%という数字が出た、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/26
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027・堀昌雄
○堀委員 もうちょっと具体的に、きょう間に合わなければこの次でもけっこうですが、大体東京の四人世帯の生活実態は、昭和三十一年三月で一万九百十四円ということになっておるわけです。これの五割増しということになりますと一万六千円くらいになるわけでして、四人世帯の一万六千円実支出というようなことになりますと、日本の状態では四%どころではないわけなんです。具体的な資料について、厚生省はこの間保護課長だけでしたからよくわかりませんので、統計調査部その他を回って具体的な資料を要求してみたのですが、現状では厚生省では何%と実は出せないと言っているのですが、文部省の方では、ともかく生活保護実支出の五割増しで四%という。それは確実でないにしても、何らか数的な基礎がおありのようでありますので、今あればそれを具体的に承わりたいし、もしなければ次回でもけっこうですが、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/27
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028・内藤譽三郎
○内藤政府委員 厚生省の方は標準収入でなくて生計費の方からとったとこの間お話がございました。私の方は収入からとったのでございまして、学校給食調査報告書の昭和三十二年度版が文部省から出ております。このときにとったのが百五十二ページに詳細出ておりますので、これをごらんいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/28
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029・堀昌雄
○堀委員 その部分については気がつきませんで、ちょっと見ておりませんから、その問題は調べてあらためて質問さしていただきましょう。
次に、文部省の具体的な予算について少しお伺いをいたしたいと思います。本年度の予算の中に前年から著しく増額しております項目が少しあるわけでありますが、その著しく増額されております主要な理由をちょっと承わりたいと思います。
まず、文部本省予算の中に諸謝金というのが六番にございます。昨年は一千四百八十三万七千円であったのが、今年度は二千六百二十五万円と、約一千二百万円ばかり年間に増加をしている。この諸謝金の増加の主要なる使途はどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/29
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030・天城勲
○天城政府委員 三十四年度一般会計予算の三百五十六ページに、前年度に対しまして一千百四十一万三千円の増、この点だと思うのでございますけれども、これはこの前予算の概算を御説明申し上げましたときに、明年度教育課程の改正に伴います現職教員の講習会を実施いたしますのに要します謝金の増分九百四十万ほど入っております。それから体育関係で、同じように学校の体育指導者の講習会を明年度新規事業として実施いたしますが、これの講師謝金が約百三十万ほど、それがこの増額のおもなる内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/30
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031・堀昌雄
○堀委員 それはよくわかりました。
それから三百六十ページでありますが、教科用図書編集調査旅費、教科用図書編集委員旅費、庁費、教科用図書編集費、こういう四つの項目に分けて今年度は新たな予算が計上されております。現在は国定の教科書でないわけでありますが、国としてこれだけの予算をきめて教科用図書の編集をやらなければならない実情にあるのかどうか。この費用は、これまでなかったのに、今年度から突然ここに計上されているのはどういう理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/31
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032・天城勲
○天城政府委員 現在、制度といたしまして、教科書は検定本と国定本と両方ございますが、国定本は、御存じの通り盲ろうの特殊な教科書とか、産業教育について市販では経済対象に合わないもの、こういうものは国でやっておりますが、ここへ新しくふえておりますのは、これと同じような趣旨の通信教育の学習指導書でございます。これも民間ベースでどうしてもでき上らないものでありますから、これでやりたいというので新しく入っております。それから旅費は、調査官が実際に教科書の学校での実施状況を調査する等の旅費でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/32
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033・堀昌雄
○堀委員 もう少し伺いたいのですが、調査官というのは一体どういう身分になっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/33
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034・内藤譽三郎
○内藤政府委員 文部事務官でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/34
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035・堀昌雄
○堀委員 文部事務官なら当然文部省の一般のあれで出るではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/35
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036・天城勲
○天城政府委員 現在の本省の旅費の組み方でございますが、いわゆる人頭旅費という制度がございませんで、みんな事業費について旅費を見ているのでございますから、それぞれの準用という形で旅費は計上いたす形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/36
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037・堀昌雄
○堀委員 次に、日本育英会補助金というのが相当増加をされておるわけであります。この育英事業をやっていただくことは大へんけっこうなのでございますが、そういう補助金が出ておる育英会のいろいろな事業の内容といいますか、ほんとうに適正な人たちに金が出ているのかどうか、そういう育英事業によって資金を受けた人たちは、その後どういう状況であるか、具体的にこれだけの補助金を出しておいでになるのならば、相当具体的ないろいろなことを文部省は御承知になっておるかどうか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/37
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038・緒方信一
○緒方政府委員 育英会に対しまする貸付金と補助金と両方ございますが、貸付金は育英資金に対する貸付金でございます。補助金は育英会の事務運営に対するものであります。貸付金の来年度の増額分は、三十三年度に発足いたしましたいわゆる特別奨学制度、つまり、高等学校の生徒でありまして、経済的に進学が著しく困難である中に、特に成績優秀、資質優秀な者に対しまして、特別な貸付金制度が作られておるわけであります。三十三年度に五千人のワクで発足いたしまして、これを三十四年度にそのまま延ばすわけでありますが、これは学年進行の意味があります。さらに三十四年度におきましては、その三十三年度の五千人を六千人に延ばしまして、一千名ワクを拡大いたしたわけであります。その合計の分がそこに出ております。それが貸付金の増額の理由であります。補助金につきましては、それだけ返還人数もふえますし、事務の運営がふえますので、それに対する補助金の増加が行われたものであります。この奨学制度の運営につきましては、日本育英会は特殊法人でございますので、法律に基いて執行されておるわけでございますが、文部省といたしましては、その運営につきまして常に深く関与いたしております。運営につきまして研究すべき問題はいろいろございますが、適正に行われておるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/38
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039・堀昌雄
○堀委員 大体これで具体的なこまかいことは終りましたが、最後に、この前も私一回触れたと思うのでありますけれども、大学の教授、助教授等の俸給が、私どもの常識から見ますといささか不十分である、こういうふうに考えておるわけであります。科学技術振興ということは、もちろん財政上の問題も必要でありますし、設備の問題も必要でありますが、その根幹をなすものはやはり人でございますので、この人の処遇というものをその人たちに見合う処遇にするのでなければ、科学技術の振興というものはかけ声だけに終るのではないはか。やはりそういう教授の処遇、設備その他の支出及び研究費、少くともこの三つが並び立つのでなければならないと私は思うのですが、どうも最近予算面なんかで拝見をしますと、科学技術の振興といえば、設備と機械が一番先になったり、あるいはその次が研究費で、どうも教授その他の処遇に関しては最後に回るようなふうに私は感じるわけであります。事実はやはり人間が先であって、人間が十分な状態でなければ、幾ら機械や器具や研究費があってもこれは使えないのだ、こういうふうに思うのです。これは文部大臣にお伺いしたわけですが、いつも伺うと、よくしていきたいということは御返事になるわけですけれども、今後何らか具体的にやろうとされるほんとうの心がまえがあるのかどうか、これについて一つ伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/39
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040・緒方信一
○緒方政府委員 ただいまのお尋ねは大学教官の待遇改善の問題でございますが、ただいま御質問の中に御意見がございました。私ども大体同感でございます。ただ大学教官の個人的な待遇の改善、それからいわゆる研究環境と申しましょうか、研究をするための施設、設備をよくしていく、あるいは研究費を潤沢にしていく、これは両々相待つべきものだ、かように考えております。先生方の御意見を聞きますと、そこで非常に熱意をこめて研究をされるような状態に施設、設備等が完備しておれば、そこに優秀な研究者も誘致できるのだ、そこで落ちついて勉強していただけるのだ、こういう御意見が相当強いのであります。従来、お話にございましたように、文部省といたしましては、教官研究費の増額、科学研究費の増額を行い、あるいは施設、設備につきましても年を追いましてよくして参ったのでございますが、三十四年度の予算におきましては、教官待遇の面に触れまして若干予算を計上いたしております。今御審議願っておりますこの中で、大学院教授に対しまする手当を八千八百万円ほど計上いたしておるわけでございますけれども、大学院の教授は、学部の学生の教育の上に大学院の学生の指導についてやっていただいておるわけでございますので、これに対しまする手当として大体七%程度のものをつけたい、こういうことで予算に上っておるわけであります。私どもといたしましては、今の御意見がございましたように、教官全体の待遇改善につきまして、従来も考えておりますし、今後も努力をいたしたいと存じますが、三十四年度予算につきましても、実は大学教官の俸給表の改正をいたしまして、そうしてこれを引き上げていきたいという案も立てまして、予算折衝もいたしたわけでありますけれども、財政全体の関係もございまして、三十四年度にはその分は実現を見なかったわけであります。しかし今申しました大学院担当の教授につきましての分だけが今実現を見まして、予算に計上して御審議を願っている、かような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/40
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041・臼井莊一
○臼井委員長 以上で堀君の質疑を終りました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/41
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042・臼井莊一
○臼井委員長 それでは先ほどの理事会の決議に従いまして、文教の基本施策に関する長谷川君の質疑は後ほど行うことにいたしまして、これから盲学
校、聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし審査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。長谷川保君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/42
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043・長谷川保
○長谷川(保)委員 特殊教育の振興というようなことにつきましては非常におくれておりますので、お互いに十分な努力をする必要があると思うのでありますが、今日盲児、ろう児等におぎまする未就学の児童がどれくらいあるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/43
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044・内藤譽三郎
○内藤政府委員 実は盲学校、ろう学校につきまして義務制がしかれておるのでございますけれども、大体ろう児の就学率が七割程度でございます。それから盲が四割程度でございます。今日まで大へん就学奨励をいたしましたけれども、義務教育とはいいながらも今のような状況でございますことは大へん遺憾に思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/44
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045・長谷川保
○長谷川(保)委員 義務教育は義務教育でありまして、これはあくまでも進めなければならぬ。その責任を文部省は法律上持っているわけであります。これに対してなおこういう未就学の児童があるというその未就学の原因は一体どこにあるか、どこを直せば一体就学ができるのか、こういう点を十分御研究になっていると思いますが、今のように盲児が四〇%しか就学しておらぬということで六〇%が未就学ということになりましょうが、これを解消するには一体どこを直せばいいと文部省はお考えか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/45
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046・内藤譽三郎
○内藤政府委員 一つは盲ろうの子供たちの親御さんたちの理解の問題だと思います。どうも教育に対する理解がまだ徹底していないようにも見受けられるのでございます。それからいま一つは何と申しましても経済的負担でございまして、特に盲学校やろう学校という学校に子供たちを入れますと、相当経済的な負担がかかるわけでございます。これにつきましては私どもとしてはできるだけの援助をいたしまして、教科書は全員に無償でやっておりますし、寄宿舎の給食あるいは交通費等につきましても無償でやっておりますが、なおかつ十分でない点もあろうかと思うので、さらに就学奨励を徹底して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/46
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047・長谷川保
○長谷川(保)委員 そういうようにただいままで文部省も努力をしておるにかかわらず、なお盲の場合六〇%ろうの場合に三〇%というような就学のできない者がおる。これは私実に重大だと思うのでございます。さらにこれを完全に就学をさせるために当然十分な手を打たなければならないと思うのです。その点につきましてどういうように将来やっていこうとするのかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/47
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048・内藤譽三郎
○内藤政府委員 この点は特に現在ありますところの就学奨励をさらに強化して参りたいと思っておりますが、今日までこれでも大へん父兄の理解や就学奨励の援助によって伸びて参ったわけでございます。実は数年前まではろうの場合で五〇%程度、盲の場合で三〇数%程度という低率でありましたが、だんだんと関係者の理解を得まして増加いたしましたので、今後とも関係者の理解を深めるとともに、就学奨励を強化して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/48
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049・長谷川保
○長谷川(保)委員 大臣は義務教育の充実ということを施策の最大の重点としておられるわけであります。今のようなお話でわかりますように非常に就学しておらぬ。だからこの際相当重点的にこれをやる必要がある。経済的な負担のゆえに義務教育ができないというようなことは、これはあるべきことではないわけでありまして、こういう点どうも今日の施策といい、ただいまの局長の御答弁は私は納得できない。大臣はこの点についてどうでしょう。今日まで進めてきたとはいいながら、盲の場合に六〇%も就学しておらぬ。これは実に容易ならぬことだと思うこれは基本的人権にも関する問題、憲法の根本に関する問題だと私は思います。だからこれに対して特別な手を打つ必要がある。先日来の質疑応答を伺っておりますと、たとえば教育長の給料の問題だとか、あるいは学校長、教頭の管理職手当の問題だとか、そういうことも必要だとおっしゃっておられます。私も決してそれが低くていいとは思っておりませんが、しかしこういうように考えて参りますと、非常に大事なことが抜けているのじゃないか。これも後ほど伺うつもりですが、どうも世間一般で今度の文教行政は選挙目当のようなにおいがするということをよく言われるのでありますけれども、どうも今のような事実を見ますと、やはり何とかしなければならぬところに手が入っていないのではないかと思います。この点大臣の今後の御抱負を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/49
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050・橋本龍伍
○橋本国務大臣 実は今回就任いたしまして、多少掘り下げて当りまする前までは、盲学校、ろう学校の就学率はもっといいところまでいっておって、あと、肢体不自由児、精神薄弱児等の義務教育を受けさせるためにもう少し実態を調べて、何年度の間に今日の施設も活用しながらもう少し手を打つ方策を考えておったのでありますが、実は私も盲ろうの就学率がこの程度までいっていないということを知りまして、はなはだ遺憾に存じておる次第でございます。本来的に申しまして、肢体不自由児等に関しましても義務教育が十分受けられるように手配をいたすのが本筋でございますので、前々からやって参りまして、制度もかなり整備いたしておりますし、盲学校、ろう学校についてはなおのことでございます。ただいま御指摘のございました実態、そうしてそれがどうしてできないのか、どういう手を入れれば就学率が上るかということにつきましてもう少し事実をつかみまして、こうした特殊児童の就学率の上りますように今後格段の努力をいたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/50
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051・長谷川保
○長谷川(保)委員 今日義務教育諸学校におきます盲ろうがこういうことであるとすれば、勉強したいが高等学校にいけないという人はなおさら多くあると思う。いずれにいたしましても義務教育諸学校、高等学校にしろ、こういうようなひどい不就学の者があるとすれば、これはもちろん生活保護、教育扶助というような筋のものではなしに、もっと文部省がほんとうに責任を持って、これらの人々が完全に就学できるように経済的にこれを全部保障するというところまでいかなければ問題は解決しないと思うのです。順次寄宿舎等がもう学校にはできているということを承知はいたしておりますが、たとえば寄宿舎を完全に作って、その費用は出せないという家庭に対して全部これを見ていくということにして、保護の制度その他を充実すれば、六〇%も未就学があるというようなことはなくなりやしないか。これは重点のうちでも最重点の仕事だと私は思うのです。先ほどお話の義務教育に重点を置くというのは私は正しいと思うのです。今日の段階において大臣のお考えは全く正しいと思います。しかしこういうような事態があるのでありますから、これについてはやはり特別な立法あるいは行政措置をなさることをこの際強く要望をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/51
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052・臼井莊一
○臼井委員長 小牧次生君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/52
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053・小牧次生
○小牧委員 ただいま長谷川委員からいろいろ御質問がありましたが、特殊学校の就学の奨励ということはきわめて重要な問題であるわけでありますが、現在とられておるいろいろな措置は、今の質問でもおわかりの通り、きわめてまだ不十分であったわけであります。文部省としてはこの法律の一部改正のためにこの法律案を提案された。その中で、高等部の生徒のために通学または帰省に要する交通費これに対しても経費を支給することができるように改めようとしておられる。これはもとより賛成であります。従来この法律並びに政令を見ますと、少しずつ改正を加えてきておられる。たとえば教科書用図書の購入費とかあるいはまた学校給食費の問題等についても漸次改正の跡が見られるわけでありますが、今回今申し上げた交通費に関する問題について、この法律においては高等部生徒のつき添い人のつき添いに要する経費というものが特に除外されておる。これははなはだ私は遺憾に思うのでありますが、元来こういう特殊児童というのは、目も見えないしあるいはまた耳も聞こえないつんぼの生徒であるわけでありまして、交通には非常に不便を感ずるために、つき添い人がついて介添えをするという建前になっておる。しかも私の考えでは、つき添い人は大体は保護者というものが多いのではないかと思うのでありますが、何がゆえに特に今回の法律の改正に当って、今長谷川委員も言われましたように、就学率も非常に低いのに、このつき添い人の経費だけを除外されようとするのか。これは私ははなはだ不思議に思うし、また遺憾に思いますが、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/53
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054・内藤譽三郎
○内藤政府委員 就学奨励の強化につきまして、私どももできるだけ努力して参ったわけで、義務教育につきましては教科書、給食、寄宿舎費それから通学費、こういうものを出して、特に貧困家庭が多いものでございますので、六割程度は無償にしておるわけなのであります。高等部は中学校の上にあるわけでございまして、もちろん義務制ではございませんけれども、しかし盲ろう教育の特殊性にかんがみまして、何とかやはり高等部程度を卒業して、それぞれ職を持ち得るようにしたいというので、高等部に義務教育に準ずるような扱いをして参ったわけでございます。お話がございましたように教科書の無償を実現し、さらに給食の援助もいたし、今回は通学費を見るわけでございますが、ただ高等部になりますと、そろそろ社会に出るような状況でありますので、小、中学校の場合にはつき添い人の旅費までを見る必要があろうかと思いますけれども、高等部でありますから、そういう社会に出るという意味から、自分で帰れるようにするということで、高等部の場合にはつき添い人の旅費は補助の対象にしなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/54
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055・小牧次生
○小牧委員 高等部の生徒については、ただいまの御答弁では社会にも出るからということでございましたが、これに関する法律の施行令を見ますと、交通費ともいうべき費用を出す回数は非常に少い。私はっきりわかりませんが、施行令を読んで参りますと、大体年間三回以内を基準にしてあるのではないかと考えております。もしそうであるとするならば、これはわずかに一人当り一年間に三回しか支出されない。しかも三回以内となっておるから、一回あるいは二回ということもあり得るだろうと思います。本人が帰らない場合もある。従ってただいまの高等部の生徒は大人になって社会にも出ようとする連中であるから云々ということもありますけれども、きわめて少い回数について、同時につき添い人がつき添って、そこに多少の経費が追加されるというだけにすぎない。将来あるいはそこまで拡充されようとするお考えがあるかもしれませんが、せっかく今回このように就学奨励のためにこれを改正しようとするならば、これはおそらく年間の予算としてはわずかな経費にすぎないのではないか、こう考えておりますが、この際このつき添い人の経費を除外するということをやめて、法律に規定されておる通り、すっきりと第三号までこれを含むというふうにされるのが本筋ではないかと考えますが、もう一度御意見をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/55
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056・内藤譽三郎
○内藤政府委員 お尋ねのありましたように、大体一学期に一度くらい寄宿舎におる人は帰ると思います。通学しておる人はこれは毎日見るわけでございますけれども、一年に三回程度のものならば、父兄の旅費まで見たらどうかという御意見でございますが、高等学校の生徒でございますので、もうそろそろ一本立ちして、むしろ自分で帰る工夫をすべきではなかろうか。もちろん非常に重症の場合は別かもしれませんけれども、私どもとしては、社会に出て一人歩きをする段階でございますので、つき添いがない方がむしろ教育的ではなかろうかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/56
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057・小牧次生
○小牧委員 これ以上申し上げませんが、これはわずかな経費であろうと思います。ほかにいろいろ文部省は経費も出しておられる。従ってほんとうに学校を卒業して社会に出るまでは、あたたかい気持でもってめんどうを見るという建前から、先ほど申し上げる通り、つき添い人までの経費をつけるということに努力願いたい。これを御要望申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/57
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058・臼井莊一
○臼井委員長 以上をもちまして本案に対する質疑は終りました。
これより討論に入ります。別に討論の通告がございませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/58
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059・臼井莊一
○臼井委員長 御異議なしと認め、採決いたします。
本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/59
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060・臼井莊一
○臼井委員長 起立総員。よって、本案を原案の通り可決することに決しました。
なお、本議決に伴う委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/60
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061・臼井莊一
○臼井委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。
この際、加藤精三君より発言を求められております。これを許します。加藤精三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/61
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062・加藤精三
○加藤(精)委員 社会党の同志の御了解を得まして、私委員会を代表いたしまして盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、希望意見を述べたいと思うのでございます。
同志の長谷川委員、小牧委員その他皆さんからお話がありましたように、こういうふうな境遇の児童生徒に対しましては国家の特別の思いやりがあることが憲法の趣旨にも合し、学校基本法の趣旨にも合するのでございまして、学校というものはこれを社会的に見ますれば、大きな社会政策を実施する場所でもあるという観念に立ってわれわれは考えるのでございます。ことに盲ろうあの特殊な児童は社会に出てから独立自活するのは容易でないのでございまして、そういう意味において、一般国民の高等学校教育が義務制になっておりませんでも、こういう学童が職業を身につけて社会で自活することを国家が援助するということは、非常に有意義なことであり、とうといことだと考えておるのであります。そういう意味におきまして、現在は盲学校、ろうあ学校、特殊学校の児童生徒に対すこ施策が年々向上してはおりますが、それが徐々に改善されていくということをもう少し速度を早めまして、ことにわれらの文部大臣は厚生行政の方の御見識も高い方でありますから、そうした点を大きく取り入れて下さいましてやっていただきたい。普通の国民でございますと、義務教育を終っただけで社会の荒波と戦っていける、自活できる。しかしながらこういう児童はそれではできないので、職業を身につけて戦っていかなければならぬということでございますから、私個人の意見としては、むしろこの盲ろうあの高等教育は職業教育を濃厚に織り込んだ義務制にしていただくくらいの必要があると思うのでございます。しかしそこまで一足飛びに委員会の決議として申し上げることは、なお十分考究を要するそうでございますので、そういうふうな気魄をもってわれわれは人道主義的な提案をしたいのでございます。ますます人道主義的な社会政策を実施する意図のもとに、これを一挙に明年度よりは相当な拡充をしていただきたいということを申し述べまして、私の意見といたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/62
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063・橋本龍伍
○橋本国務大臣 ただいま加藤委員から代表して仰せのございました点はまことにごもっともな点でありまして、十分心して参るつもりでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/63
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064・臼井莊一
○臼井委員長 次に、義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案、公立高等学校危険建物改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案、義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律案及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案、以上四法律案を一括議題とし、順次提出者より趣旨説明を聴取いたします。櫻井奎夫君。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/64
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065・櫻井奎夫
○櫻井委員 ただいま議題となりました義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
さきの昭和三十二年五月第二十六国会におきまして、本院は一、義務教育が国と地方公共団体との共同責任にかかる重要事項たる点と、地方財政の実情とに鑑み、公立義務教育諸学校の施設、設備についても、政府はすみやかに義務教育費国庫負担法の精神に則り、これに必要な経費の二分の一を国が負担するために、必要な措置を講ずべきである。二、公立義務教育諸学校における教育効果の向上と教育財政の有効化を期して、多くの市町村が学校統合を企画しつつある現在、政府は義務教育の重要性と地方財政の実情とに鑑み、すみやかに有効適正な措置を講ずべきである。この附帯決議をいたしました。
また参議院におきましても、次のごとく決議がなされております。
政府は義務教育の重要性と地方財政とに鑑み、速やかに次の措置を講ずべきである。一、公立義務教育諸学校の施設の整備に必要な経費の二分の一を国の負担とするよう関係法を整理し、もって義務教育国庫負担法の趣旨を完全に実施すること。二、公立義務教育諸学校における校地の購入に要する経費を国庫補助又は起債の対象とすること。
以上のごとく、義務教育諸学校の施設、設備に関して、その要する経費の二分の一を負担すること、その措置を講ずべきことが、両院において決議せられておるのであります。
加えて、第二十八国会におきましては、本委員会全会一致をもって、同趣旨の附帯要望がなされているのであります。
幸いにして、第二十八国会におきまして、すし詰め教室解消のために義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律が成立いたしました。これに伴いまして、文部省においても、五カ年計画によって、義務教育諸学校の施設の整備を行わんとしているところでありますが、建築構造割合の不合理、坪数単価の不適正、さらに加えて、土地購入費等の問題によって、地方財政や父母負担の増大を来たすことは明らかであり、教育行政水準の低下をまぬがれません。かかる事情においては文部省五カ年計画もまた困難にすると推量いたします。
かかる観点に立ってもまた義務教育の本質に立脚しても、義務教育諸学校の施設、設備に要する経費に関しては、すべて国が二分の一の負担をすることが適当と考え、今回提案する運びに至った次第であります。
以下内容にわたって御説明申し上げます。
まず第三条第一項中「政令で定める限度において」を削り、「についてその一部」を「二分の一」に改めました。これは、すでに申し上げた通り、この法律において、国の負担すべき施設に関しては、その負担率の異なるものをすべて二分の一負担とするための改正であります。
以下同趣旨に基くとともに、小学校、中学校とも平等に取り扱われることが適当と考え、不正常授業については、これを統一し、新たに公立の小学校の屋内運動場の新築または増築に要する経費についても国がその二分の一を負担することとして整理したのであります。
以上がこの法案を提出いたしました理由及び内容の概略であります。
次に公立高等学校危険建物改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。
幼稚園教育の重要性は今さら述べる必要もないのでございますが、人格形成期といわれる三才から六才までの教育が一番重要でございます。この時期の幼児は社会性がなく、個々の問題しか考えないのでありまして、ここで社会性をつちかい、幼児の保健向上をはかり情操教育の芽ばえをつちかいますとともに科学的な教育、人間の触れ合いは家庭ではできにくいのでございますので、これらを助長するために小学校入学前の教育として重要な役割を果すとともに大きな効果を上げていることはすでに実証されているところであり、幼稚園教育の重要性が認識ざれるにつれて、幼稚園に入園する希望者も年々増加の道をたどっておりますが、公立幼稚園におきましては、施設が少いため幼稚園入園希望者を全員収容することもできず、また入園してみましても現に設置されている幼稚園は希望する幼児を最大限まで収容しているため、文部省で定めた施設の暫定最低基準、幼児一人当り〇・九坪を確保していない幼稚園は総数の七三・八%に上り著しい例は、幼児一人当り〇・三六坪のところもあるのでございます。
またさらに危険校舎は全保有坪数の九・九%もあり、三十四年度の国家予算における幼稚園の施設設備費を見てもわずか一千万円で、この内訳はすべて木造で一坪の単価二万七千二百円で補助率は三分の一であります。
このような些少の予算では地方公共団体の赤字等を見た場合、あまりに地方負担が多いため幼稚園施設を増加させるにもできない実態でございます。
去る二十二国会において危険校舎改築促進臨時措置法に幼稚園を適用させる決議が上っておりますので、この際この法律案を上程した次第でございます。
補助率につきましては地方公共団体の負担を少くするため二分の一国庫補助といたしました。
なお高等学校につきましても国庫補助率を二分の一に引き上げた次第でございます。
以上簡単でございますが提案理由を申し上げた次第でございます。
次に義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
現在、父母が負担しております教育費は、教材費を中心におよそ百億円に上っているといわれています。
さきに文部省が行いました昭和三十二年度会計年度の地方教育費調査の結果からしても、PTA会費などいわゆる父母の寄付金が前年度に比し約十五億円もふえ、全体で実に百四十億円に達しており、いかにその実情が過大なものであるかを物語っております。
これらの経費は、そのほとんどが公費でまかなわれるべき性格のものであるだけに、さきの第二十八国会において、これまで教材費については、国がその一部を負担することしか規定されていなかったものを「二分の一国庫負担」とする旨を打ち出し、本院において必要な立法措置を講じたのでありますが、最近における傾向は、父母負担が年々増大を示しており、一方、教材教具の充実の状況が、文部省の学力調査報告書によっても児童生徒の学力に大きな影響を与えていることが見られるのであります。このことは教育水準の確保に憂うべき問題と言わなければなりません。
こうした実態は、もちろん、市町村財政の貧困さから来る学校財政への圧縮によるものでありますが、一方国の予算における、教材費国庫負担金の積算内容にもその大きな要因があるといわねばなりません。
すなわち、一つは、教材費国庫負担金の算出基準となるべき児童生徒一人当り負担額の低いことであり、一つは、教材品目の設定基準の低さであります。
これらの問題を解決するためには、市町村財政の確立に必要な行財政措置を講ずると同時に、児童生徒一人当り負担額の引き上げと、教材品目設定基準の充実を行う必要があります。
昭和三十四年度予算編成に当り、政府並びに自由民主党においても父母負担の軽減について、これを公約中にうたっているところでありますが、以上のごとき現行制度の欠陥から教育水準の低下と父母負担の増大は免れぬところであり、かかる実状においてはその公約とするところもまた、因雑なものがあると推量いたされるのであります。
かかる観点に立って、まず児童生徒一人当り負担額の引上げを行うことが適当と考え、今回提案する運びになった次第であります。
以下内容にわたって御説明申し上げます。
義務教育費国庫負担法第三条を次のごとく一部改正をいたします。すなわち、第三条ただし書きを「政令で定めるところにより義務教育諸学校の種類に応じ」を「小学校にあっては四百二十円、中学校にあっては六百二十円、盲学校にあっては四千二百円、ろう学校にあっては三千五百円に政令で定めるところにより」と改め、また、「基礎として」を「乗じて」と改めるわけでありまして、このことは、児童生徒一人当りの単価を明確にし、政令で定めるところによって学校ごとの教材費の負担額の限度を明確に規定したわけであります。このようにすることによって、国と市町村が負担すべき教材費の義務づけを明確にし、国の予算編成並びに市町村財政の変動に影響されることを避けるためであります。この改正によりまして、所要財源は昭和三十四年度教材費国庫負担金に比して、昭和三十五年度より約二十五億円の増を必要とするのであります。
以上がこの法案を提出いたしました理由並びに内容の概略であります。
最後にただいま議題となりました公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げるのでありますが、さきに御説明申し上げました義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律案の提案理由と同様の趣旨に基き、養護学校においても小学校、中学校、盲ろう学校と同様に教材費児童生徒一人当り負担の基礎となる単価を児童生徒の区分に応じ、明確に本法第六条ただし書きに規定をいたしたわけであります。
なお、本法施行に当って必要とする経費は、昭和三十五年度より約百二十万円であります。
以上四法案につきまして何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/65
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066・臼井莊一
○臼井委員長 以上四法案に対する質疑は追って行うことといたします。
午前中の会議はこの程度といたし、午後一時半より再開いたします。
休憩いたします。
午後零時二十九分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103105077X00819590225/66
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