1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十四年二月五日(木曜日)
午前十時四十二分開会
—————————————
委員の異動
一月三十日委員武藤常介君辞任につ
き、その補欠として泉山三六君を議長
において指名した。一月三十一日委員
塩見俊二君、伊能繁次郎君、松野孝一
君、田中茂穂君及び前田佳都男君辞任
につき、その補欠として石原幹市郎
君、柴田栄君、高野一夫君、植竹春彦
君及び西田隆男君を議長において指名
した。
二月二日委員柴田栄君及び小柳勇君辞
任につき、その補欠として伊能繁次郎
君及び大和与一君を議長において指名
した。
二月三日委員高野一夫君辞任につき、
その補欠として谷口弥三郎君を議長に
おいて指名した。
二月四日委員三浦義男君公職選挙法第
九十条により退職者となった。
同日委員谷口弥三郎君及び大和与一君
辞任につき、その補欠として高野一夫
君及び小柳勇君を議長において指名し
た。
本日委員柴谷要君辞任につき、その補
欠として小酒井義男君を議長において
指名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 大倉 精一君
理事
江藤 智君
相澤 重明君
委員
植竹 春彦君
平島 敏夫君
天田 勝正君
小酒井義男君
小柳 勇君
松浦 清一君
杉山 昌作君
市川 房枝君
岩間 正男君
政府委員
行政管理庁行政
監察局長 犬丸 實君
運輸政務次官 中馬 辰猪君
運輸大臣官房長 細田 吉藏君
運輸省港湾局長 中道 峰夫君
運輸省鉄道監督
局長 山内 公猷君
運輸省自動車局
長 國友 弘康君
—————————————
本日の会議に付した案件
○港域法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
○港湾運送事業法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○運輸事情等に関する調査の件
(運輸省関係及び日本国有鉄道の昭
和三十四年度予算に関する件)
(許認可等行政監察の結果に関する
件)
○委員派遣承認要求の件
○連合審査会開会の件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/0
-
001・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
一月三十日、武藤常介君が辞任され、その補欠として泉山三六君が、同三十一日塩見俊二君、松野孝一君、田中茂穂君前田佳都男君が辞任され、その補欠として石原幹市郎君、高野一夫君、植竹春彦君、西田隆男君がそれぞれ選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/1
-
002・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 次に、去る一月三十日、本院に提出されました港域法の一部を改正する法律案、及び二月二日、本院に予備審査のため送付されました港湾運送事業法の一部を改正する法律案を一括議題といたします。
まず、両案の趣旨説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/2
-
003・中馬辰猪
○政府委員(中馬辰猪君) ただいま議題となりました港域法の一部を改正する法律案の提案理由について御説明申し上げます。
この法律案は、港湾事情の変化に伴い港の区域が実情に沿わなくなったものを改める等の必要が生じておりますので、港域法の別表を改正しようとするものであります。改正を必要とするおもな事情を述べますと、第一に、背後地の産業活動の発展による港内の船舶交通量の増加等に伴い、伊達港外八港について港則法を施行する等のため新たに港域を定める必要が生じたことであります。
第二に、港湾工事の進展や水路の浚渫等に伴い、船舶の港湾利用事情が変化したため、釧路港外三十八湾について、その実情に合致するよう港域を変更する必要が生じたことであります。
第三に、市町村の廃置分合に伴い、金石港外四港について、港の名称を変更する必要が生じたことであります。
以上、簡単でありますが、この法律案を提案する理由の説明を終ります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
次に、港湾運送事業法の一部を改正する法律案の提案理由についで御説明申し上げます。
最近の港湾における情勢は、港湾諸施設の整備、出入港船舶の大型化、荷役方法の近代化、荷扱量の増大等著しい変化が見られるのでありますが、これに対応いたしまして、港湾における諸作業を担当する港湾運送事業につきましても、その運送機能の充実が強く要請されるのであります。
しかるに、港湾運送事業の現状は、少数の例外を除き、大部分が中小企業であること、港湾運送に対する需要が波動性を有していること等に起因いたしまして、企業の安定性を確保し、その近代化、合理化をはかることがきわめて困難な状態であります。このような客観情勢に対処いたしますためには、現行港湾運送事業法を改正し、港湾運送の秩序を確立し、港湾連送事業の質的向上をはかる必要があるのであります。
今回の改正の要点は、第一に、港湾連送における秩序を確立するため、事業の種類の分類を改め、限定登録の制度を設けるとともに、事業の実態を正確に把握するための届出制度を整備することであります。すなわち、従来の四業種のほかに、いかだ運送事業を新設し、荷主、取扱い貨物等、業務の範囲を限定して登録することができるここ、事業の開始及び休止の届出を義務づけたことが、これであります。
第二に、不適格業者を排除し、健全な事業者の発展をはかるために登録の拒否及び取消に関する規定を整備することであります。すなわち、登録の拒否要件として損害賠償能力及び事業遂行に必要な経験に関する規定を加え、これに対応して登録取り消し及び事業停止の規定を整備したことであります。
第三に、事業の安定及び合理化をはかるために、私的独占禁止法の適用除外の範囲を拡張することであります。現行法においては、施設の共用に関する協定のみが同法の適用除外とされているのでありますが、その範囲を運送条件、集貨、その他広く港湾運送に関する協定であって、運輸大臣の認可を受けたもの全般に拡張することといたしたのであります。
以上がこの法律案の提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/3
-
004・大倉精一
○委員長(大倉精一君) なお本日出席の政府委員を御報告申し上げます。運輸政務次官中馬辰猪君、鉄道監督局長山内公猷君、自動車局長國友弘康君、運輸大臣官房長細田吉藏君、行政管理庁行政監察局長犬丸實君、行政管理庁監察審議官米川健夫君であります。
ただいまの説明に対し御質疑がございましたら順次、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/4
-
005・相澤重明
○相澤重明君 この二法案の提案理由の説明は聞きましたが、この質疑は次回に譲って行われるように提案いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/5
-
006・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ただいまの動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/6
-
007・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 御異議ないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/7
-
008・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 次に、運輸省関係及び日本国有鉄道の昭和三十四年度予算に関する件を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/8
-
009・中馬辰猪
○政府委員(中馬辰猪君) 昭和三十四年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。
初めに今回の予算の規模につきまして申し上げたいと存じます。
まず、一般会計予算について申し上げますと、歳入予算総額は十五億三千四百七十七万二千円、歳出予算総額は三百六十三億二千七百五十三万六千円であります。今、三十四年度歳出予算総額を前年度のそれと比較いたしますと、七十億七千五百四十七万一千円の増額であり、二四%を越えるという画期的な増加を示しております。この内訳を申しますと、行政部費系統におきまして、人員三百十五人の増加分を含め十九億八千百三十五万五千円の増額であり、公共事業費系統におきまして五十億九千四百十一万六千円の増額となっております。なお、今申し上げました歳出予算のうちには、他省所管歳出予算として計上されているもので当省に関係あるものとしまして、北海道港湾事業費、北海道空港整備事業費、離島振興事業費、特別失業対策事業費等四十三億三千六百十七万八千円が含まれてあります。
次に、特別会計の予算について申し上げますと、木船再保険特別会計の歳入歳出予定額は二億五千四十六万七千円であり、自動車損害賠償責任再保険特別会計の歳入歳出予定額は三十億五百六十三万一千円であり、また、三十四年度より新たに設置する特定港湾施設工事特別会計の歳入歳出予定額は七十七億七千万円であります。
なお、このほか三十四年度財政融資計画中には、運輸省関係分として約二百四十八億円が予定されております。
以上をもちまして、予算の規模についての御説明を終り、次に、三十四年度の運輸省関係の重点事項についての御説明に移りたいと存じます。
御承知の通り、三十四年度の政府の重点施策といたしましては、経済活動を安定成長の軌道に乗せるとともに長期的な経済発展の基盤を充実いたすためには、経済の質的改善を促進することを経済運営の基調とし、このために輸出振興と産業基盤の充実強化とをはかることにいたしております。
当省におきましても、この趣旨に従い、所管事業である海運、航空及び観光による貿易外輸出の振興をはかることによって国際収支の改善に資し、また、この際、港湾等の交通基礎施設に対する建設投資を増大することによって、根本的に能力不足の状態にあるわが国の輸送力の基盤を強化いたすとともに、当面の景気振興にも資すべきものと認めまして、三十四年度予算においては、貿易外輸出の振興、交通基礎施設の整備、交通安全の確保と災害防止等の諸施策に重点を置き、これらを積極的に推進いたす所存であります。
以下、詳細については政府委員より御説明いたします。
次に、国鉄につきましては、予算の詳細は後に御説明いたしますが、来年度予算は、一般経済情勢が本年度に対し好転することを予想して、収入支出予算を含む工事費については、一千百十五億円を計上して、国鉄五カ年計画の第三年度として、この計画実施に支障のないよう配慮いたしました。これによって従来から実施しています輸送力増強のための工事が継続実施されますが、特に来年度は東海道幹線の増強に着手することとし、わが国第一の幹線の将来の輸送力にも万全の措置をはかることといたしました。また、青函トンネル、本州—四国連絡鉄道の調査、その他産業基盤の確立に必要な鉄道網整備に努めることといたしております。
なお、国鉄の経営については、支社制度を強化し、事業の能率的運営が確保せられるよういたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/9
-
010・細田吉藏
○政府委員(細田吉藏君) それでは、私から昭和三十四年度の運輸省関係予算並びに日本国有鉄道予算のやや詳細につきまして重点事項別に御説明をいたしたいと存じます。
お手元にお配りしてございます三十四年度予算の大綱の六ページの中ほど以後からになっておりますが、まず、貿易外輸出の振興に必要な経費についてでありますが、その歳出予算総額は二十五億二千三万三千円であり、このほかに財政融資として百九十億円を予定しております。
このうちおもな事項といたしましては、第一に、三十四年度の計画造船に必要な融資額として財政融資計画中に百八十億円を見込んでおります。わが国の外航船舶の保有主は、本年三月末において四百五十万総トンに達する見込みでありますが、今後の日本経済の成長規模から見ますと、三十七年度まで年平均五十万総トン程度の建造がなお必要と認められますので、当面は基盤の弱体な海運企業の負担の増大をもたらすことにはなりますが、この際、長期的観点に立ち、現在のような低船価の時期において新造を行うことによって運送コストの軽減をはかり、将来に備えたいと存じております。この建造目標その他の具体的実施計画は、関係の向きとも十分に協議し、その円滑な実施を期したいと存じます。
第二に、三国間輸送の助成に必要な経費として、新規に三国間輸送助成金に四億六千万円、船員海外厚生施設整備費補助金に四千万円、計五億円を計上いたしております。わが国海運の三国間輸送は、世界主要海運国に比し著しく立ちおくれており、輸出入における邦船の活動状況と相待って海運全体として巨額の支払い超過を示す実情にありますが、この現状から脱却するためには、この際、三国間輸送への進出を一段と促進する必要がありますとともに、同時にこれが日本海運の活動分野を拡充する最も適切な道であると考えられます。しかしながら、一方において、三国間輸送は、運航経費等の増高をもたらし、採算上の不利を避け得ない条件に置かれておりますので、これらの運航事業者に対し適切な輸送助成金を交付しようとするものであります。さらに、母国を離れて遠く三国間輸送に従事する船員に対しましては、その士気を高揚して、いよいよ海上労働の効果を上げるためには、現在皆無の海外における厚生施設をすみやかに整備する必要が痛感されておりますので、この際、これらの施設整備を促進するため、補助金を交付しようとするものであります。
第三に、移住船運航の助成に必要な経費として新規に外務省所管として六千二百五十六万円を計上しております。移住船は運航コストが割高であるのにかかわらず、運賃を政策的に低廉に維持する必要がありますが、移住政策を円滑に実施するためには、このような採算上の不利を是正することが先決と考えられますので、これに対する運航助成金を計上したものであります。
第四に、国際航空事業に対する出資に必要な経費として、大蔵省所管産業投資特別会計中に五億円を計上しております。国際航空事業の振興については、各国とも積極的助成策をとっている現状にかんがみまして、日本航空株式会社に対し、従来の政府出資五十五億円に引き続き、三十四年度における新機種購入の分割支払い代金、整備施設の拡充、乗員訓練等に対する必要資金五十二億円の一部に充当させるため、前年度と同額の政府出資を行うものであります。なお、これとともに同様の趣旨により、同社の発行する社債については、二十三億円を限度として、その元利に対し政府保証を行うことにいたしております。
第五に、国際空港の整備に必要な経費として十億六千一万円を計上しておりますが、これを前年度と比較いたしますと七億一千三百五十万円の増加を示しております。このうち、東京国際空港につきましては八億六千一百万円を計上しており、三十四年度においては埋立護岸工事の大半を完成するとともに、私有地の一部買収等を行い、三十六年度中には航空交通量の増大と国際航空機の大型ジェット化への移行の趨勢に対処できる態勢を整備する予定であります。なお、東京国際空港の整備につきましては、二億二千八百万円を限度として国庫の負担となる契約を結ぶことができることにいたしております。また、大阪空港につきましては二億円を計上しており、三十四年度においては、国際空港に整備拡充する本格的工事の前提となる用地の一部買収を行う予定であります。
第六に、観光事業の振興に必要な経費として二億円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、六千九百万円の増加を示しております。これによりまして、財団法人国際観光協会の海外観光宣伝活動を整備充実し、三十四年度においては、東南アジアにおいてバンコック、ヨーロッパにおいてはパリに海外宣伝事務所を増設するとともに、海外宣伝資料の充実をはかり、海外観光客の積極的誘致を推進する所存であります。なお、国内の外客受け入れ体制整備の一環としてユース・ホステルの整備を促進するためユース・ホステル整備費補助として五千万円を計上しておりますが、これを前年度に比較すると一千万円の増額となっております。
次に交通基礎施設の整備に必要な経費についてでありますが、その歳出予算総額は百五十五億八千八百二十六万円であり、このほかに財政融資として約二十三億円を予定しております。
このうち主な事項といたしましては、第七に、国内旅客船公団の設立に必要な経費として、新規に大蔵省所管産業投資特別会計中に二億円を計上するとともに、財政融資として三億円を予定しております。
国内旅客船公団は、国内旅客船の整備について、資金の調達が困難である海上旅客運送事業者等に協力することにより、民生の安定に必要な航路の維持及び改善に資することを目的として設置されるものでありまして、事業者との共有方式により、老齢旅客船の代替建造または改造を計画的に実施しようとするものであります。事業計画といたしましては、三十四年度を初年度とする五カ年計画により、おおむね二百二十隻、二万総トンを建改造することを予定しておりますが、このうち三十四年度においては四十五隻、四千総トン程度を建改造することにいたしております。
なお、本公団の設立に伴い、同様の趣旨に立つ離島航路船舶建造及び改造資金貸付利子補給制度は、既契約の分を除き廃止されることになります。
第八に、ローカル空港の整備に必要な経費として総額四億九千八百三十一万円を計上しておりますが、これを前年度に比較すると一億二千四百九十九万円の増加を示しております。その内訳としては、運輸省所管として二億一千一百四十七万円を計上し、高松、大村、熊本、松山、高知及び広島の六空港の整備を続行しますとともに、新潟及び小倉の二空港の整備に新規に着手し、また、総理府所管の北海道空港整備事業費に一億七千一百三十四万円を計上し、稚内、釧路、函館及び女満別の四空港の整備を続行し、また、総理府所管の離島振興事業費に一億一千五百五十万円を計上し、八丈島、種子カ島及び屋久島の三空港の整備を続行しますとともに、佐渡カ島、大島及び福江島の三空港の整備に新規に着手する予定であります。
第九に、特定港湾施設工事特別会計の設置に必要な経費として、新規に一般会計よりの繰り入れを総額三十億九千八百二十万円計上しておりますが、その内訳としては、当省所管の内地分が二十七億二千四百万円であり、総理府所管の北海道分が三億七千四百二十万円であります。
新長期経済計画による輸出伸長の目的を達成するとともに、石油、鉄鋼、石炭等の基幹産業の生産目標を達成しますには、その輸送の裏づけとなる港湾施設を、ここ三、四年の短期間に二倍程度の能力に増強する必要がありますが、このためには、工事施行をすべて国の責任において行いますとともに、所要資金の調達については、政府予算を増額することはもとより、一部適当なものについては受益者より分担金を徴収し、また、政府資金を活用することが適切と認められます。本特別会計は、このような要請にこたえるため新設するものでありまして、その事業としましては、輸出振興のための港湾施設として横浜港ほか六港、鉄鋼港湾の整備として室蘭港ほか六港、石油港湾の整備として川崎港ほか三港並びに石炭港湾の整備として苫小牧港ほか八港について港湾施設の緊急整備を行うことを予定し、三十四年度においては歳入歳出予定額として七十七億七千万円を計上しておりますが、このうち歳入のおもなものといたしましては、一般会計よりの繰入金のほか、財政融資十九億八千七百十万三千円、受益者からの工事負担金収入十億三千八百万円等を予定しております。
第十に、一般会計による港湾の整備に必要な経費として総額百十七億三千七百六十六万円を計上しておりますが、これを前年度と比較しますと十一億七千二百六十七万円の増加を示しております。その内訳といたしましては、当省所管港湾事業費が九十一億八千六百十二万一千円、総理府所管北海道港湾事業費が十七億四千七百七十三万九千円、総理府所管離島振興事業費が三億五千六百八十万円並びに労働省所管特別失業対策事業費が四億四千七百万円となっておりますが、これにより三十四年度は、外国貿易、工業原材料輸送及び沿岸輸送のための港湾、北海道、東北、九州等の地方開発計画に対応する港湾、離島振興のための必要港湾並びに避難港の整備を促進いたしますとともに、港湾及び海岸を保全するための防災工事を促進し、あわせて港湾災害復旧工事を計画的に実施したいと考えております。いずれにいたしましても、三十四年度は、一般会計と新設の特定港湾施設工事特別会計とを通じ、政府予算として四十二億七千八十七万円の純増を見込んでおりますので、わが国産業の発展の隘路となっている港湾公共投資の立ちおくれを打開し、新長期経済計画の目的達成のための推進力となるものと存じております。
最後に、交通安全の確保と災害の防止に必要な経費についてでありますが、その歳出予算総額は十八億六千四百三十四万一千円であります。
このうちおもな事項といたしましては、第十一に、航路標識の整備に必要な経費として五億一千万円を計上しておりますが、これを前年度と比較しますと、六千三百四十四万八千円の増加を示しております。これによりまして、世界の海運国に比し質量両面にわたり弱体であるわが国の航路標識について、前年度に引き続き新営と改良改修とに努める所存であります。
第十二に、海上警備救難体制の整備強化に必要な経費として三億四百六十一万三千円を計上しておりますが、これは前年度に比較しますと三千八百万八千円の増加を示しております。これによりまして、三十四年度においては、老朽巡視船艇を四隻代替建造するとともに、老朽通信施設の改良改修に着手し、また、救命艇等を整備することにより航空機救難体制の強化をはかる予定であります。
第十三に、自動車検査登録機能の強化に必要な経費として一億九千一百八十三万七千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと七千五百八十一万七千円の増加を示しております。これによりまして三十四年度においては、自動車事故防止対策の一環として、自動車両数の激増に対処するため、大阪に第二検査場を新設して、車両密集地域における隘路を打開し、品川外三カ所の既設検査場の施設を拡張して検査能力を増強しますとともに、福岡外一カ所の検査場の移設拡充をも行い、また、検査用機器の更新、高性能化等を促進し、検査登録業務の合理化と処理能力の向上とを期しております。
第十四に、航空事業の基盤強化に必要な経費として、新規に五千万円を計上しております。航空安全対策につきましては、御承知の通り昨年十一月における航空安全対策懇談会の結論に基き、三十四年度においては、空港整備事業費その他の関連事項をも含め、総額二十五億六千八百七十三万四千円を予定しておりますが、本経費もその一環をなすものであります。航空機の安全性を確保いたしますためには、使用航空機の装備の統一をはかることがぜひとも必要とされますが、国内航空事業の現状においてはこの負担に耐えることが困難と認められますので、今回、全日本空輸株式会社に対し、補助金を交付して装備の統一をはかるものであります。
第十五に、航空路組織及び施設の整備強化に必要な経費として、一億四千四百七十五万四千円を計上しておりますが、これを前年度と比較しますと、一億一千六百九十九万七千円の増加を示しております。これも航空安全対策の一環をなすものでありまして、航空機の航行の安全を確保いたしますため、箱根の位置通報局及び大阪の無線標識の新設、航空交通管制局移管体制の確立等を計画いたしております。
第十六に、基礎的気象業務の整備に必要な経費として、一億二千九百七十万四千円を計上しておりますが、これを前年度と比較しますと、八千三百六十二万三千円の増加を示しております。これによりまして三十四年度は地震及び火山の観測施設を整備しますとともに、海洋気象観測を整備いたしますため、気象観測船を一隻代替新造する予定であります。
第十七に、防災気象業務の整備に必要な経費として、三億一千四百六十八万九千円を計上しております。これは前年度とほぼ同額でありますが、その内訳といたしましては、新規に、農業気象業務に必要な経費として二千万円を計上しております。これによりまして、三十四年度においては、北海道上川地区及び東北地方の一部に観測施設及び通報業務を整備することを予定しておりますが、気象に起因する農業災害対策と気象、気候に即応した農業技術とに貢献し、農業生産の増大と農業経営の安定とに資することができるものと考えております。
以上をもちまして、昭和三十四年度の運輸省関係予算についての御説明を終ります。
引き続きまして、昭和三十四年度日本国有鉄道の予算の概要につきまして御説明申し上げます。
まず、予算の作成に当りまして、三十四年度は一般経済情勢が三十三年度に比し多少好転が予想されるものと考えて収入支出予算を組みましたが、一方、前年度に引き続き輸送力増強のための国鉄五カ年計画の第三年度として、この計画の実現に支障を来たさないように十分配慮したほか、東海道幹線増設工事の着工を考えて策定いたしました。
以下、収入支出予算について損益、資本、工事の各勘定別に御説明申し上げます。
まず、損益勘定の収入について申し上げますと、鉄道旅客輸送人員は、対前年度三・九%増で四十七億四千万人、輸送人キロは、一千百五億二千九百万人キロとして旅客収入一千八百五十六億円を見込み、また、鉄道貨物輸送トン数は、対前年度六・四%減で一億七千六百万トン、輸送トンキロは、四百九十六億五百万トンキロとして、貨物収入一千四百六十三億円を見込んでおります。
これらの旅客、貨物輸送に要します列車キロは四億四千五百万キロで、対前年度一・一%増となっております。以上の旅客、貨物収入のほか雑収入等を含めまして、収入合計は三千五百八十五億円となっております。
次に、経常費について見ますと、人件費につきましては、三十三年度の仲裁裁定実施による増額のほか、三十四年度の昇給と期末・奨励手当合計二・六五カ月分を見込みまして、給与の総額は一千二百九十七億円といたしております。
物件費につきましては、節約に特段の努力を払うことにいたしておりますが、おもなものといたしましては、動力費四百五億円、修繕費五百二十億円等を見込んでおります。これらを合せまして経常費の総額は二千七百十億円となっております。
以上の経常費のほかに、受託工事請負費四十億円、資本勘定への繰り入れ五百九十九億円、利子百八十六億円、予備費五十億円を合せまして損益勘定の支出合計は三千五百八十五億円となっております。
次に、資本勘定について申し上げます。
収入といたしましては、先ほど申し上げました損益勘定から受け入れます五百九十九億円のほか、資金運用部等より借入金二百六十五億円、鉄道債券三百四十五億円、不用施設等の売却による八億円、合計一千二百十七億円を計上いたしておりますが、一方支出といたしましては、このうち一千百十五億円を工事勘定に繰り入れ、借入金等の償還九十七億円、帝都高速度交通営団の増資に伴う出資金五億円を予定しております。
次に、工事勘定について申し上げます。
三十四年度は国鉄五カ年計画実施の第三年度でありますとともに、東海道幹線増設工事が着工されますので、老朽施設の取りかえはもとより、輸送力増強に重点を置いて作成いたしております。
まず、新線建設費につきましては、前年度より五億円増額いたしました。また、今年度より新たに東海道幹線の増設費といたしまして三十億円を計上いたしまして、東海道線の輸送力の行き詰まりを解消いたしたい考えであります。
幹線電化につきましては、現在施行中の常磐線、東北本線、山陽本線、鹿児島本線等の電化のための工事費七十億円を計上しておりますが、このほか、これに伴う電気機関車四十三両、二十七億円を合せまして、合計九十七億円となっております。
通勤輸送対策といたしましては、前年度に引き続き東京付近五十五億円、大阪付近十八億円、電車増備五十両、十億円、合計八十三億円となっております。
幹線輸送強化対策といたしましては、北海道、東北・常磐線・裏縦貫線、北陸線、東海道・山陽線、九州、その他で百五十七億円を計上いたしております。
以上のほか、車両増備、諸施設の取りかえ工事、総係費等を含めまして、支出合計は一千百十五億円となっておりまして、これらに要します財源といたしましては、資本勘定から受け入れます一千百十五億円を充てることにいたしております。
以上、御説明申し上げました日本国有鉄道の予算は、今後の経済の動向にもよりますが、これに予定せられました収入をあげ、予定の工事計画を完遂するためには格段の努力が必要であろうと考えられますので、公共企業体としていま一そうの経営合理化をはかり、もって日本経済の発展に資するよう指導監督いたして参りたい考えであります。
以上、昭和三十四年度の日本国有鉄道の予算の大綱につきまして御説明を申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/10
-
011・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ただいまの御説明に対して御質疑のおありの方は、順次、御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/11
-
012・相澤重明
○相澤重明君 今、運輸省並びに日本国有鉄道の三十四年度予算の御説明がありましたが、質問は次回に譲っていきたいと思います。
ちょっと、委員長、速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/12
-
013・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ただいまの相澤君の動議に御異議ありませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/13
-
014・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 御異議ないと認めて、ただいまの説明に対する質問は、次回に譲りたいと思います。
速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/14
-
015・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/15
-
016・相澤重明
○相澤重明君 前回の委員会で志免炭鉱の問題について運輸大臣並びに十河国鉄総裁から説明を聴取したのでありますが、志免炭鉱の問題については、現地で非常に緊迫した情勢もありますので、本委員会として委員派遣を決定されるよう動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/16
-
017・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ただいまの相澤君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/17
-
018・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 御異議ないと認めて、さよう決定をいたします。
なお、その日取り並びに細部の実施計画等については、委員長及び理事打合会に御一任願えますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/18
-
019・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 御異議ないと認めまして、さよう取り計らいます。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/19
-
020・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記をつけて。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/20
-
021・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 次に、運輸省所管許認可等行政監察の結果に関する件を議題といたします。
本件に関して行政管理庁当局から説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/21
-
022・犬丸實
○政府委員(犬丸實君) それでは、行政管理庁で監察いたしました運輸省所管の許認可等行政監察の結果につきまして御説明を申し上げます。
この監察は、運輸省の重要な許認可行政を担当しております海運、船舶、港湾、鉄道監督、自動車、航空の六局におけるおもな許認可事務の処理状況及び運輸審議会の運営状況につきまして、昭和三十三年の七月から九月の間に監察いたしましたもので、この結果の勧告は、去る一月の二十二日に出してございます。勧告の内容は、非常に長文かつ詳細でございますので、この委員会に提出いたしました資料の四十三ページ以下の改善所見というところにございますが、非常に長くなりますので、これを要約いたしまして、私どもが問題と考えている点につきまして、その概要を御説明申し上げます。
運輸省における免許認可の業務は、約五百事項ございまして、非常に広範囲に及んでいるのでございますが、その一部においては処理が著しく遅延している傾向が見られるのであります。たとえば、昭和三十二年度の処理率を見ますと、地方鉄道の経営免許では一〇%、工業標準化法によるJISの表示許可が二三%、旅客不定期航路事業の許可が二三%、路線トラック事業の経営免許が三六%、貸切バスの経営免許が三八%、乗合バスの経営免許が四一%というふうに、非常に処理率が悪いのであります。また、この処理期間におきましても、いずれも通常三カ月ないし一年をかかっておりまして、ことに、最も長期を要しているものには地方鉄道の経営免許がございますが、これらには約九年六カ月を要しているものもあり、また、三十三年の六月末現在では約十二年も未処理のまま経過しているものもあるのでありまして、この処理率が低いということと処理期間が非常に長いということが一つの問題であると思うのであります。これらの原因につきましては、いろいろございますが、一つには、競合競願事項でございまして、これらは主として申請者側の話し合いに待っておるというような状況にございますので、この話し合いがつかない限り処理ができないというようなことで非常におくれておる。あるいは業種が非常に珍奇なものであるとか、あるいは異例のものであるというような出願の際には、これに対する運輸省としての処理方針が確定していないために非常に処理がおくれる。あるいは事務処理の態勢が不整備の点がございまして、そういう点で処理がおくれておるというような理由によるものと見られるのでありますが、こういう点につきましては改善して、できるだけ早く許認可の処理をするということが必要だと思うのであります。
また、行政の実態が必ずしも制度の本旨に即してない点も見受けられるのでございまして、その一つといたしましては、運輸審議会の問題でございますが、運輸審議会は、御承知のように、戦後、行政の民主化のために設けられたものでございますが、これは個々の許認可業務も一々これにかけまして、その決定を待って運輸大臣が許認可するということになっておるわけでございます。しかし、個々の免許可事項を審議するというこの内容を見ましても、運輸審議会の審議の中心が、どうも原局との意見の調整に重点が置かれておるようでありまして、原局との意見の調整に重点を置くということはけっこうなことでありますけれども、これに終始しておるのでは、せっかく運輸審議会というものが、公共の利益の確保のために設けられる。公正かつ合理的な決定をさせるという趣旨から申しますと、いかがかと思われる点もございますし、また、この審議会の運営につきましてもいろいろ問題もございます。こういった審議会の制度並びに運営について再検討の余地があるのじゃないかと思うのであります。
それから、貨物運送事業の免許可でございますが、これらは、従来は路線と一般区域とあったのでございますが、それが小型貨物の免許というものが入って参りまして、これらの従来の馬力とかリヤカー程度のようなものが近代化した、こういった小型事業についての免許可というものは比較的簡易に運ぶという趣旨でありますのが、実際には非常に厳重な規制をしておる。それからまた、これらの免許のほかに、品目を限定して免許するとか、あるいは荷物を特定して免許するとかいうもの、あるいは積み合せ許可の問題、こういったふうに免許可の業種が非常にたくさんございまして、しかも、これらが混淆すると申しますか、入りまじっておりまして、こういうふうに分けて実際免許可をするどうも実益がないように思われる。また、これらのために非常に申請事務が複雑化いたしまして、そのために処理が非常に長期間を要するというようなこと、ことに、積み合せの許可におきましては、大体この許可期間は通常六カ月ないし一年という短期であるにかかわりませず、処理に一年もかかるというような状況でございますので、これらの業種の統合と申しますか、整理というようなことについては再検討の余地があるのじゃないかと思うのでございます。
それからまた、これらの免許の審査に当りましては、一番根本になりますところの需給の均衡というような、そういう基礎資料が十分でないというようなために、この免許可の免許の基準というものが現在一号から五号というふうに分れておりまして、公共関係及び主として個人関係と見られるのでありますが、そういった免許基準の適用の状況を見ますと、需給均衡の面よりも、申請者の個人の事業計画であるとか、あるいは経営能力であるとか、あるいは既存業者に及ぼす影響という点に重点が置かれておる傾向があるように見られるのであります。陸運局長権限の自動車関係の三十二年度の却下事案について見ますと、事業計画が不適当であるということを理由とするものが八七%に上っております。その理由の中には、この資力が不安定であるというような、銀行の預金残高証明では、これは見せ金の疑いあるというようなことからして、資力が不十分であるというようなもの、あるいは発着点の記載から見ると、申請区域外の輸送をするおそれがある、あるいは計画では燃料費の計上が不足している。操業費の計上がないというようなきわめてささいなもの、あるいは申請者のミスだと思われるようなものも取り上げて、これを却下の理由の一つとしている例もあるのでございます。また、一面ハイタクなどにつきましては、既存業者の増車の申請は百パーセント近く認可しておりますが、新規の申請に対しては審査が非常に厳重であって、約三〇%の免許率である、こういう点もあります。また、主要都市におけるハイヤー、タクシーの台数ワクの規制につきましても、東京、大阪、京都のような大都市につきましては、四年以上も増車がストップしております。もっとも大阪と京都は昨年諮問しておりますが、東京はまだそのままでございまして、これらにつきましては、自動車運送協議会に諮問もしないであるということでありますので、非常にこの自動車の不足という点からか、いわゆる高価なナンバーの権利金あるいはやみタクシー、あるいは乗車拒否というような事実が発生していると思われるのであります。また、諮問を受けました自動車運送協議会の答申につきましても、どうも合理的な根拠に乏しいように思われるのでありまして、これらの運営についても問題があるのではないかと思われます。また、この協議会に諮問いたしまして増車——このハイタクの台数のワクを設定しております都市につきましても問題がございまして、盛岡とか四国の高知とか、松山とか徳島というような県庁の所在地のような、比較的小さな都市について台数ワクがきめられておりますが、一方、横浜とか川崎とか静岡というような主要な都市については台数ワクの設定がないというような点からいたしまして、運輸当局の全国的なこのハイタクのワクという、規制と申しますか、そういった全国的な統一ある見解といいますか、規制というものについて妥当を欠く点があるのではないかと思われるのであります。それで、これらの免許は、国民の福祉に重大な影響があるものでございますので、根本的には事務の能率化及び適正化を期するために、この免許可事項を整理をする必要があるものもあると思われるのでありますが、さしあたっては、この事務処理に対して当局の幹部の方々、以下職員が意欲を十分に高揚されまして、処理体制を一段と整備し、常に運輸需給測定に関する資料など、行政の基礎資料を充実することにまず努力をしていただきましてまた、その他、帳簿書類等が非常に不完備な点もございますので、これを整備いたしまして、常に許認可の事務の進行状況というものを、上司の方がよく把握されて、この進行管理に努められる。また、申請事案の公示でありますとか聴聞の実施あるいは調査書の作成、あるいは大臣権限のものを地方の支分部局に出されましたときに、そういった書類の進達というものが、これがまた非常におくれているのでありますが、そういう進達、そういった各種の事務処理上のこの進行管理を十分にされると同時に、一方、これらの処理につきましては、一定の期間を定めておかれまして、この規制をはかる等の方途を講じて、業務の能率化をはかる必要があると思うのであります。
また、そのほか地下鉄の事業免許、これらは現在適用法規につきまして、運輸、建設両省の間に意見の相違がありますために、そういったことからして、これらの免許事務が非常におくれているというような点もございます。また、公有水面埋立法による港湾埋立免許の承認などにつきましては、これは実態から見ますと、必ずしも必要でないというような点もございまするので、こういった免許制度の本来の趣旨に応じ、社会の実情にかなうように、制度及び運営について再検討を加える必要があろうと思うのであります。
また、事務のこまかい点でございますけれども、大臣権限の事項の一部につきましては、これを局長等に委任しておるのでございます。これは事務管掌上けっこうな点だと思いますけれども、その処理が、単に決裁文書だけでもってその委任をしておるというようなことで、これは責任を明らかにするという意味において、成規な手続によってこの権限の委任というものははっきりさせることが必要であります。また、臨港倉庫に関する業務につきましては、何が臨港倉庫かということについての基準がはっきりいたしまませんために、海運局と陸運局との所管が不分明である。このために許認可がおくれるというようなこともございます。また、船舶の建造、改造などについての委任の範囲につきましては、現在の実情から申しまして、もう少しこの委任の限度を引き上げることにすれば処理が早くいくのではないかという点もございます。これらのこの委任関係、あるいは委任の限度につきましては、事務の簡素化をはかるとともに、この権限と責任の明確化をはかるための措置をとることが望ましい、こう存ずるのであります。
簡単でございますが、以上のような諸点につきまして、運輸当局に、その改善について御検討を願いたいという趣旨の勧告を先般いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/22
-
023・大倉精一
○委員長(大倉精一君) なお、本件に関して、運輸省当局から説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/23
-
024・細田吉藏
○政府委員(細田吉藏君) ただいま行政管理庁から、先般出ました勧告につきまして御説明がございまた。これらの点につきまして、全面的に私どもこの勧告の趣旨に従いまして善処いたしたいというつもりでおりまして、各局でそれぞれ検討をいたしておる段階でございまして、これが御承知のように、行政管理庁の勧告に対しましては、運輸大臣から、どういうふうに処理をいたしますというようなことを御回答申し上げることになっておるのでございます。目下その回答の内容につきまして準備をいたしておるような次第でございます。
運輸省所管の許認可事務でございますが、これは申し上げるまでもございませんが、事業免許の行政が中心になっておるのでございます。言葉が穏当でないかもしれませんが、画一的な許認可ということでなくて、国民の福祉に及ぼす影響が非常に大きいのでございまして、そういった点から、非常に慎重に処理をいたしますようなことで、時間が非常にかかっておりますのでございますが、しかし、それにいたしましても、ただいま、いろいろ御指摘がありましたような諸点につきましては改めて参らなければならぬというふうに考えておる次第でございます。それで、各局に共通いたしますことと申しますと、非常に何と申しますか、各局の特性が皆違いますので、やや詳細に御説明申し上げたいと思います。
行政管理庁の資料の四十二ページの「改善所見」というところから五十八ページまで、これが勧告の本文でございます。これにつきまして、概略、各局別に申し上げたいと思います。
まず、最初に海運局の関係でございます。海運局の関係で、競合、競願等の事案で、業者間に紛争がある場合に、話し合いを待っているから、事務処理を促進してくれということが指摘されております。ただいまもお話がございました。これにつきましては、御指摘の通りでございますが、話し合いも、これは私どもとしまして必要ではあろうと考えております。しかし、じんぜんと待っているということは困るのでございまして、一応処理の目標に期限を設けるようなことを考えて参りたいと、かように考えておる次第でございます。それから、これもただいま行政管理庁からお話がございました輸送需給の実態の把握、これが足りないということでございます。これにつきましても御指摘の点が非常にございます。これは海運局だけでなく、ほかの点でも非常にございますので、今後この実態把握につきまして万全を期したいというふうに考えておる次第でございます。
それから二番目に書いてございますのは、事務処理の進行管理が不十分である、これは海運局に限りませんが、そういうことがございますが、それから支局の事務が未熟だ、支局の窓口が弱いという御指摘がございました。これらにつきましては、事務処理法を作りまして、的確な進行管理をいたしたいということ、あるいは海運局の支局の指導の徹底というような面を十分やって参りたいと考えております。それから制度的なものとして、地方海運局長委任を、現行二千総トン、これでは小さ過ぎるから、もっと上げたらどうかという御意見がございます。この点につきましては、お説のような考え方が非常にできますので、各地方海運局の意見を徴しまして、至急に結論を出したいというふうに考えておる次第でございます。
次に、船舶局の関係でございますが、二千総トン未満を地方海運局長に内部委任をいたしておるのでございますが、反複改造の場合は、二千総トン以上も正式に委任したらどうだ。それから、これは全般にわたる問題でございますが、内部委任を法令委任にする必要がある、こういうことがほかのところでも出ておるのであります。これにつきましては、二千総トン以上の場合も、この趣旨の通りに措置をいたすようにしたいと考えておりまして、ただ、法令の委任の問題は、法令改正の際でなければできないかと思っております。それから工業標準化法によるJISの表示許可、これが非常におくれているというお話でございました。ただいまも御説明がございました。これは定員を配置がえを強行いたしたいというふうに私ども考えておりまして、全く御指摘の通り、弱いのでございますが、そういう点を直して参りたいというふうに考えております。
次に、港湾局の関係でございます。まず倉庫につきましては、地方局の事務処理が未熟で、処理がおくれているということでございますが、これにつきましては、事務手続の解説書の配付とか、いろいろ職員の研修を行なって参りたいというふうに考えております。それから百坪以下の倉庫施設、これを地方局長に委任しておるのですが、これも先ほどの問題と同じに、もう少し範囲を拡張する必要があるのじゃないかという御意見でございましたが、この点につきましても、先ほどの海運の問題と同じように、地方局の意見を徴しまして、早急に結論を得たいというふうに考えております。それから地方海運局と陸運局の倉庫の所管の分界が明確でないということでございますが、これにつきましては、私どもの方としましては、一応明確にはいたしておるつもりでございますが、いろいろ不確かな点もございますので改善いたしたいというふうに考えておる次第でございます。その次に、公有水面埋め立ての認可の問題でございますが、これも申しわけないのでございますが、非常におくれておるのでございますが、これにつきましては、いろいろ迅速化についての措置を考えておる次第でございます。それから、国または地方公共団体の埋め立てには認可は要らぬのじゃないかということもここに指摘されておるのでございます。これにつきましても、前に申しましたことと同様に、早急にこれは検討して結論を得たいというふうに考えておる次第でございます。
以上、各局の共通事項というのがございますが、以上各局の共通事項につきましては、それぞれのところで個別に申し上げましたけれども、要するに進行管理ということでございまして、審査段階に重点を置く、いわゆる補助的な段階の簡素化をはかって、実体的な審査段階に一番重点があるのでございますが、こういうふうに審査段階に重点を置くようにしなさいということでございまして、全くお説の通りでございまして、こういうふうにいろいろな角度から取り計らって参りたいと考えております。
第五番目に、鉄道監督局の関係でございます。先ほど九年、十年という声がございましたが、第一番目は、すみやかに却下処分をする必要がある。残っておりますものには、それぞれの事情があるのでありまして、なかなかむずかしくなるのでありますが、これはしかし、べらぼうに長いものがございますので、早急に所要の手続を経まして処理をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。それからその次に、海運のところにもございましたが、三番目に競合、競願事案によって業者の話し合い調整ということがここでももちろん出ております。これにつきましては、先ほど海運のところで申し上げましたように、話し合いはある程度私どもの方としましては必要なものであろうかと思うのでございますが、漫然とお話し合いができるまでは待つといったようなことは避けて参りたい。期間をある程度限りまして、所定の手続を自主的に進めるという、この行政管理庁の御趣旨に沿うようにやって参りたいと、かように考えておる次第でございます。それから地下鉄の監督行政は、これは非常に不明確である、おっしゃる通りでございまして、私どもの方としましては、数年来この点は問題にいたしておるところでございます。地下鉄道に対する監督法規が不十分である、これはもうはっきりいたしておるのでございます。私どもの方としましては、政府部内で早急に話し合いをつけまして、明確にいたす必要があろうかと考えておる次第でございます。それから五番目に、監督局長が代決で処理しているもの、これを法令の定める手続によって権限の委任をやれと、本年一月十六日、つい最近でございますが、運輸省訓令で、部内の局長等の代決事項等に関する訓令を出しました。大幅に局長の代決事項を、これは大臣の内部訓令でございますが、いたしたのでございます。法律、政令によりましてやると、これを代決といいましょうか、専決させるということにつきましては、先般の行政審議会の答申にもこういうことがうたわれております。事務を迅速簡素にやるという意味から、大臣の権限は内部の局長に委任することを法令によってやることがいいということが答申されておるのでございます。ただ、まあ若干学説的にも問題がその点にはあるやにも承わっておりますが、私どもとしましては、とりあえずは大臣の訓令で大幅に、ごく最近でございますが、委任を、代決を認めることにいたしました。法令によって外局にはそういう例がございますが、内局は、承わりますと、たしか恩給局長と何か労働基準局長しか、あまり例がないそうでございますが、これは他の省の関係もございますし、行政管理庁の全般に対するお考え方と各省に対するお考え方とあわせまして善処いたしたいと、かように考えておる次第でございます。それから六番目に、鉄道関係で長期未着工路線長期休止路線は整理する必要があるということでございます。これも御指摘の通りでございまして、非常に権利の上に眠っておると申しましょうか、権利は取っておるが、一向着工しない、延期を次々といたしておるというようなものがございます。これにつきましては、それぞれの実情を十分に把握いたしまして善処いたしたい、かように考えておる次第でございます。
次に、自動車局の関係でございます。これは道路運送法並びに通運事業法でございます。非常にたくさんございますが、第一番目の需給測定のための基礎資料が不備だということでございまして、これにつきましては、先ほども他の局のところで申し上げたのでございますが、昭和三十四年度は自動車輸送実績調査ということが予算化をいたしましたので、今までよりも資料が整備できるというふうに考えております。従来の省令による報告制度につきましては、実情を調査しました上で、内容の簡素化、廃止ということにつきまして再検討いたしたいと考えております。それから二番目に、免許申請の処分につきましては、需要の均衡に重点を置く必要がある。免許基準の適用の統一的、具体的指針を陸運局に示すなど、各陸運局間の処分が区々になっておるのを統一しなさいという御勧告でございます。これにつきましては、御指摘の御趣旨に沿うように、ただいま具体的に準備をいたしておる次第でございます。それから三番目に自動車運送協議会の問題が出ておるのでございますけれども、これにつきましては、先ほどもお話がございましたので、協議会の答申の科学的合理性を確保するために、答申に理論的な根拠の説明をつけるように、われわれの方として協議会の方に要請をいたしたいというふうに考えております。それから、区域の不均衡、台数ワクの適用期間の限定というような問題が出ておりますが、これも勧告の御趣旨に沿いたいというふうに考えております。それから、協議会の委員の人選の問題についてもちょっと触れておるのでございますが、委員の人選につきましては、今までも、もちろん公正にやっておりますが、一そうあらゆる角度から見まして公正を期して参りたい、かように考えておる次第でございます。
小型のトラック免許、これが厳格過ぎるじゃないかということでございます。これにつきましても、こういった御意見が各方面から多いのでございまして、至急に再検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。それから、その次のトラックの限定、特定免許、これが、先ほどもお話がございましたが、一般事業とあまり異ならないようなものが多いじゃないか。この区分については、トラックの限定、特定免許というものは、どうも有名無実みたいなことになっているのじゃないか、こういうことだと思うのでございます。これにつきましても早急に解決をいかにいたすかというようなことにつきまして検討いたしたい。ただこれを直ちにこのままでいいかどうか、この点はもう少し専門的に実態を把握いたしまして検討をさせていただきたいというふうに考えております。それから積み合せ運送の許可率が低い。それから許可まで長いこと時間がかかるというようなことから、無許可で積み合せ運送をしておるもの等があるということでございますが、これにつきましても、勧告の御趣旨に沿うようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
それから、その次に、算用数字の2といたしまして「業務の能率化について」というのがございます。これは、先ほど来いろいろ話が出ておるような点もございますが、競合競願事案の処理に当りまして、一括審査方式をとるために、事案の処理が遅延する、こういう御指摘でございます。それから、バス事業につきまして、業者の話し合い、先ほども出ておりました、話し合いを行っておるために、地元民に迷惑をかけておるというようなことでございます。話し合いの問題につきましては、先ほどほかのところで申し上げました通りでございます。それから、一括審査の方式、これにつきましては、分離し得るものにつきましては、できるだけ分離して審査をいたすというようなことに運用の方法を改善して参りたい、かように考えておる次第であります。
それから、事務処理体制の確立について、いろいろ出ておるのでございます。第一番目の事業の公示、これはできるだけもっと早くやるべきだということでございます。御趣旨に沿うようにいたしたいと考えます。それから「取あえず進達、これについては、所定の処理期日を励行させるということでございます。これは御趣旨に沿うようにすみやかに進達させるように指導するのでございますが、なお、訓令に規定しておる進達期間につきましても、実情に即しまして再検討いたしたい、かように考えております。それから三番目に、陸運局長権限の事案については全部聴問をするという傾向がある、そのために非常におくれるということになっておる。そういうことが書いてあるわけでございますが、これは陸運局長権限事案についての聴問は、本省の方にございます運輸審議会の公聴会に相当する役割を持っておるのでございまして、現在の予算と人員の関係からは、実地調査にかわる手段になっておるわけでございます。このことがいいか悪いか、非常に問題があるのでございますけれども、実際はそういう形になっておるわけでございます。ただ、職権による聴問につきましては、必ずしも全事案について行う要があるとは考えられませんので、そういう点につきましては、早急に検討をいたしたいというふうに考えております。それから、以下、少しこまかくなりますが、自動車の問題につきまして、特にこまかくいろいろ出ておるのでございますが、大体この勧告の御趣旨に従いまして具体的にどうしたら直るかというようなことを今、自動車局に検討していただいておるということでございまして、書いてある、この勧告書にございます御趣旨に沿うように努力をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。それから、権限の調整の問題でございますが、五十六ページでございますが、権限と責任の明確化につきまして、これはいろいろ書いてございます。これにつきましても、早急に実情によりまして善処して参りたいというふうに考えております。
第七番目に、航空局の関係について申し上げます。航空局は、一般的には迅速に処理されているということでおほめいただいておるわけでございます。航空局長の代決、航空保安事務所長の代行事務処理は、法令に定める手続によって、その権限の委任について検討する要があるということでございましてこれは運輸省設置法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたした次第でございます。航空保安事務所を運輸省の支分部局にするということが中心の設置法改正でございます。そうしまして、それに対しまして航空法上の権限を、航空法の一部を改正いたしまして適切な権限委譲を行えということに考えております。この点につきましては、おおむね御趣旨に沿うように考えておるわけでございます。
最後に、運輸審議会でございますが、運輸審議会は、特に非常に問題にされておりますことは、本省原局との意見の調整に重点が置かれておってそのために決定がおくれる、本来の趣旨が十分生かされておらぬのじゃないか、こういう御趣旨かと思うのでございますが、本省の各原局との意見の調整ということは、どうしてもこれはある程度はもう必要だと思うのでございます。ただ、自主的な判断がそのためにゆがめられ、公正な判断ができないというようなことは、これは当然、運輸審議会の性格上厳に慎しまれるべきことであると思います。それから、時間がおくれるということは、今までもいろいろ出ておりましたが、こういう点につきましては、おくれないように、全体を通じてということでございますが、おくれないように運輸審議会の方にお願いをいたし、また、われわれの方の事務当局の側も、運輸審議会の事務はわれわれの方の事務当局でやっているわけでございますが、事務につきましても、十分注意をいたして参りたいというふうに考えております。なお、審議会の標準処理期間を設ける。事案の重要、軽微の認定方法並びに公聴会の開催、こういったような点につきまして再検討する必要があるのじゃないか、こういうことでございますが、これらにつきましては、いろいろな関係がございますが、私どもとしましては、早急にこれらの諸点については検討して善処して参りたい。要するに問題は、今日非常にこのために長くなっておるというような点につきましては、これを避けるように善処して参りたい、かように考えております。それから個別的な免許事案の審議を中心にしておる審議会の方式というものについていかがかと、こういう点が指摘されておるのでございますが、この点につきましては、いろいろ御意見もあるようでございますが、私どもといたしましては、いわゆる免許可の民主化と申しましょうか、そういった線から現行の制度が出ておると思うのでございまして、ただいまのところでは、私どもは現在の制度を改善し、生かしていくことが妥当ではないかというふうに考えておるのでございまして、ただ、やり方につきましては、十分国民の皆さんに迷惑のかからないような見地から改善を加えて参りたい。個々の事案をやはり運輸審議会が審査するという方式は、このままで続けていった方が、今のところいいんじゃないかというような結論を持っておるわけでございます。
大へん長くなりましたが、以上で御説明を終りますが、なお御質問等ございますれば、原局の方も参っておりますので、御説明を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/24
-
025・大倉精一
○委員長(大倉精一君) なお、運輸大臣の所見並びに大臣に対する質問は、次回に回すとしまして、ただいまの御説明に対して質問のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/25
-
026・相澤重明
○相澤重明君 行政管理庁にお尋ねしたいと思うんですが、この行政管理庁の報告を見ると、大へんまあ適切な報告になっておるようにも思うんですが、一、二点だけお尋ねしておきたいと思います。たとえばこの報告の中にある鉄監局関係の処理の方針について、先ほども細田官房長からも、局長権限の大幅な委譲というようなことの訓令を出されたということもちょっとお聞きしたんですが、前回も私鉄運賃の値上げの際に問題になったのは、いわゆる運賃料金の値上げ等の問題については、認可事項であるか、あるいは大臣として、いわゆる国の政策の中における決定をすべきであるかどうかということで、相模鉄道の運賃値上げの際に実は起きた問題がある。で、前々回の運輸大臣のときには、いわゆる中村運輸大臣当時においては、運賃の値上げを大臣が知らない、そうして局長が勝手に運賃の値上げを認可することができるんだというようなことは、これはやはり誤まりであるというような形で、自後、運賃値上げという問題については、少くとも閣議の中において、あるいは政府の方針として、これは一定の考え方というものを出していく、そういうふうな法令というものもまた改善しなきゃいかぬじゃないかというようなことも、これはいわれたわけです。ところが、今あなたの御説明を聞いておるというと、むしろ、そういうことよりは、積極的に権限を地方局長なり、いわゆる局長に委譲する、こういう考え方で、政府の政策をいわゆる事務処理ということで問題が解決をされるおそれがある、こう考えられるのだが、行政管理庁としては、そういう問題についてどういうふうにこの監察の結果というものをお考えになっておるわけですか、その点を一つ御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/26
-
027・犬丸實
○政府委員(犬丸實君) 大臣の権限を局長その他内部機関に委譲するかどうかという問題でございますが、これを私どもが見ましたのは、実情から見まして、現在形式的には大臣の権限になっておりますものが、事務の内容によりまして、日常の定期的といいますか、定例的な事務が非常に複雑しているのがあるのでございます。それで現状からいいますと、そういうものが、実際に大臣が一々その書類を見られる余裕がないことはもう明瞭なようなものでございまして、たとえて申しますと、通産大臣の輸出の許可のようなものは、大体一年に六十万件ぐらい出るのでございます。これを一々大臣権限だといって形式的に置いておきましても、実際は局長、あるいは場合によっては課長というようなところが、責任を持って現実に処理しておるのでありまして、そういう日々の定例的な業務であり、かつ分量的にいっても、とうてい大臣が目を通す余地のないというようなものは、責任をはっきりさせる意味において、権限的に、そういった現実に処理をしておる者にまかした方がいい。もちろんその許可をいたします場合に、その標準を定めるとか方針を定めるということは、これはどこまでも大臣の責任でございますけれども、その標準に従い基準に従って個々の事案を処理していくというルーティン・ワーク的なものは、現実に処理する者が、自分が判をついたら、その者の責任になるということをはっきりさせるようにしたらいいのではないか、こう思っておるのでございます。
で、運輸省の問題で、私どもが権限の委任をはっきりさしたらいいんじゃないかと申しておりますのは、大体すでに慣行的に、あるいは定例的に、内部的に局長権限になっておるものが、ただ法令的にはっきりしていないので、外部に対して責任の所在がはっきりしないから、それを現実に、定例的に局長がやっておるものはこれをはっきりさせなさいということが主眼でございます。その他一、二申しましたのは、今の倉庫の問題について、百坪ということになっておるが、実情からいって二百坪くらいにさしたらどうかということ。それから、普通の船舶の改造について、二千トン未満のものでも、定期的に毎年、冷凍船をサケ・マスの母船にかえるというような、こういう改造は、それが済めば、また冷凍船にかえるということで、毎年々々同じきまったような改造をするわけでありますが、そういった定例的なものは、これは局長にしてもいいじゃないか、そういうような趣旨でございまして、今、お話のございましたような、運輸大臣として当然考えなければならぬ政策的な問題、そういったものに関係するようなものまで、何でもかでも局長に移したらいいと、こういう趣旨ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/27
-
028・相澤重明
○相澤重明君 今の犬丸君の説明を聞いておると、いわゆる定例的に、日常事務処理としてできるものを明確にして、そうして処理の促進をはかる、こういうのがその意向のように受け取れます。ところが、私どもが一番心配するのは、法律で明確になっておるものは、これはいいけれども、中にはそれに基くところの、いわゆる、先ほども説明のあった訓令あるいは法規、何といいますか、施行令、そういうようなものの中で、権限を局長に与えたがために、実は、これはもう当然法令上からいってはミスはないのだ、これは事務上の処理ができるのだ、こういう形でやられたのが、実はこの前の私鉄運賃の相模鉄道の値上げの一番根本なんです。そこで中村運輸大臣が当時、おれは何も知らぬ、知らぬのにこれは事務上の処理として、あれだけの大きな反対にもかかわらず、値上げを認めてしまったのだ、こういう話があった。だから私どもは、一番おそれるのは、法令の整備に名をかりてそういう事務処理を行なってしまって、実際に国民生活に大きな影響を与えていく、こういうことがあってはならないから、行政管理庁としても、そういう点についてどう考えたか、こういう問題を実は聞きたかったわけです。あなたは、政策的なことについては当然これは閣僚なり、あるいはその省の所管大臣なりの意向というものが十分考えられていいのだという御答弁であるから、私も了承しますが、私の一番心配するのは、そういうところを行政管理庁としては、よく詳細に監察をすべきではなかったか、こう実は思っておるのです。
それから第二にお尋ねをいたしたいのは、自動車局関係であります。この自動車局関係については、一番、行政管理庁が痛烈に非難をしておるところであります。これはまことにけっこうであって、その通りだと思う。これは運輸省の官僚の諸君が、いかに痛い批判を受けたかということは、これではっきりするわけでありますが、こういう点について、特に、たとえばこの中でいろいろ示唆されているところ、あるいは先ほどの官房長が、御趣旨に沿うようにする、こういうことを言われて答弁されておりましたが、免許の問題、たとえば一つの免許の例をとると、駐留軍の離職者の問題が、たとえば閣議決定事項なら事項としてある。こういうような問題については、その関係法律というものと、それから単に運輸省の所管の中における一自動車局、こういう関係について行政管理庁は、どういうふうに理解をし、あるいはこれについて運輸省に勧告をする討議の内容というものを持っておるか、その点を一つ、特別立法と、それから平常な運輸省令との関係についてどうお考えになっておったかということを一つ御答弁をいただきたい。行政管理庁に先に聞いて、自動車局はあとにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/28
-
029・犬丸實
○政府委員(犬丸實君) 今の駐留軍の離職者の問題でございますが、この点は私どもが、このハイタクの問題を監察いたしましたときには、そちらの方には触れませんでしたので、管理庁としては特別の意見はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/29
-
030・相澤重明
○相澤重明君 行政管理庁がこれだけのいわゆる監察をしておりながら、特別立法についての監察ができないということは、どういうことなのですか。これは行政管理庁もいま少しその関係法令というものを見て、そうして監察を行うべきであると私は思うのだが、そういう点について、中に出ておらぬ、そういう点は全然触れておらない——委員長、答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/30
-
031・犬丸實
○政府委員(犬丸實君) 今の駐留軍の離職者の問題は、これは閣議決定で何かきまった事項だそうでございまして、閣議了解での事項だそうでございます。それで、私どもの監察いたしましたときには、関係法令の中に実は考えておりませんので、その点は十分見ておりませんが、こういう人員を増加しろというような意味におきましては、一応まあ今の増車その他の問題のうちに含まれて考えているということも申せましょうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/31
-
032・相澤重明
○相澤重明君 これはいずれ質疑は後日に譲って、十分その内容について私どもはただしていくつもりでございますから、きょうは大まかなところだけ私お尋ねしておきますが、今のような答弁では、これは私なかなか納得するわけにはいかぬ。よくいま少し検討されて後刻の、あとの委員会で質疑をするとき答弁できるように一つ用意していただきたい。
その次に、前回の委員会で、私やはり運輸省当局に説明を求め、あるいは検討があるかどうかという点を申し述べておきましたが、鉄監局の中における地方鉄道軌道の整備法について、これは非常な大きな問題になっておるわけでありますが、この中で、私が見てくるというと、地下鉄の問題については若干そういう点が触れられて明確にしようということにはなっておるけれども、地方鉄道軌道についての問題についてはあまり触れられておらぬと私は思うのでありますが、行政管理庁が監察をした結果はどういうふうにお考えになっておるか、この点もお考え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/32
-
033・犬丸實
○政府委員(犬丸實君) 先ほども冒頭に申し上げましたように、私どもの監察は、主として自動車局の許認可事務が重点であったのであります。そのほかにも、もちろん先ほど申し上げましたような六局の許認可事務があるのでありますが、その許認可事務を見ましたのも、主として事務処理がどういうふうになっているか、なぜこういった申請がおくれておるかというその理由並びにその事実、そういったものを中心に見ておるわけでございます。そういう関係で、この私鉄関係その他につきましては、自動車局ほど詳細には見る余裕がございませんので、この程度で打ち切られた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/33
-
034・相澤重明
○相澤重明君 行政管理庁の監察経過について、たとえば第八の運輸審議会の運営についてということをあなたの方では報告されているわけです。これは、単に運輸審議会の運営だけの問題でなくして、運輸審議会を通したものが現実にどうなっているか、だから、その中には改善をすべき所見というものも何項目かここにずっとあげられております。そういう中で考えてくると、せっかく認可をした、許可をしたものについても、やはり公共のためにそれが役立つようになっているかどうかということも、これは監察の大きな私はやはり問題点だろう。その場合には、これが放置されておれば、先ほどあなたの方の報告の中にあるように、これは事務上早急に処理をしなければならぬ、こういうことも出ているわけですが、たとえば、それが建設をされた後に、いつまでたっても赤字になっているのはいかぬ、これはもっと国全体として総合交通政策の中で、たとえば助成をするとか、あるいはどういうふうなことをするのだというようなことが、やはり監察の結果として出すべきではなかったか、こう思うのですが、あなたの今の御答弁を聞いておりますというと、自動車に重点を置かれたということでありますから、その点わかるわけでありますけれども、少くとも運輸省所管というと、これは陸海空三軍ではないけれども、とにかく、全体の日本の総合交通政策の中における問題をやはり監察をしてもらう、こういうのが私は一番今必要なことではないか、こう思うわけであります。航空関係については大へんほめているし、私どもも適切な措置がとられているとは思うのですが、一番大きいバスあるいはハイタクと一緒に輸送の重要な任務を持っている私鉄についてそういう点がなかったのは、私まことに遺憾だと思うのですが、しかし、これはいずれそういう点であれば、また後刻御質問の中でお尋ねをしていきたい、こういうふうに思います。
私は、きょうは他の委員も御質問もありますから、時間の関係で省略しますが、その今、私が行政管理庁に御質問した点について今度は運輸省の当局から、鉄監局長、自動車局長、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/34
-
035・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 初めに運賃の点について大臣権限であるかどうかということでございますが、これは先ほど御指摘いただきました中村大臣以降、運賃の決裁につきましては、大臣の御決裁を得るようにいたしておりまして、今回の訓令の中にもそれは含まれております。今回の訓令で各局長にまかされましたのは、ただいま行政管理庁でおっしゃられましたようなルーティン・ワークのようなもの、軽微なものというようなものが各局長にまかされているわけでございまして、重要異例に属する事項につきましては、大臣の決裁を得るようになっております。
次に、私鉄の状況でございますが、行政管理庁の今回の監察は、役所が新しい申請に対して許可、認可をするということを重点をおいて調べられたと思いますので、その許可、認可のあったあとの業態の実際についての監察は、今度の目的の重要な要点でなかったということであろうと思います。それで、ただいま先生が御指摘になられましたように、私鉄というものも、現在どちらかと申しますと斜陽の産業になりつつあるわけでございますが、しかし、まだ日本の交通の現状におきましては、おもな地方の交通網の根幹をなしているものでございまして、われわれといたしましても、この育成助長というものに非常に力をいたしているわけでございます。これは御質問になかったわけでございますが、いろいろ延びているということ、申しわけないと思っておりまして、御勧告の趣旨に沿ってわれわれもそういった事務を早くするという方途をいろいろ考えておりまして、たびたび、各局にも連絡をいたしましたし、先般この問題に関連をいたしまして、各陸運局の課長を呼びまして、私自身からもっと早くやるようにという、いろいろの示唆を与えたわけでございます。
ただ、弁解になるかとも思うわけでございますが、ただいま、昔から作られた電鉄あるいは軌道ですら、現在のバスの発達した段階ではなかなか経営が思わしくない。そうしますと、新しい地方の免許事案が出て参りますが、こういったものが非常に古くなっておりますのは、現在でございますと、ほとんどそういういなかの方の私鉄の免許というものはあまり出て参らないのでございますが、数年前には、まだそのときの情勢といたしましては、必要性があるということでございます。ところが、われわれ非常に口幅ったいのでございますが、昭和の七年から十年ぐらいまでの、いわゆる私鉄がだんだんバスに食われた状況を知っておりますと、戦後の状況において、ここ一、二年は私鉄を作ってもできるけれども、数年たつと非常に困るというような場合に、バスに置きかえられる電鉄であれば、やはりそういったように、よくおわかりにならない方々にわからせて、おやめになられるような方がいいと思いますと、なかなか説得に時間がかかりまして、当時の状況としてはまだ可能性があるといたしましても、将来性が非常にむずかしいということを御了解をいただくのに時間がかかったというような点もございますし、また、地下鉄のような場合でございますと、東京都内の交通網、将来の人口増加の交通要請というものを考えまして、全体的な交通の構図というものを書きまして、免許を出します。逐次その要請に従って作らせていく。これには長期の資金の計画その他がございまして、現在都市交通審議会でやっておりますが、そういう場合には、免許いたしましてから着工、建設にまで相当時間がかかるというのは、交通網の設定というものをある程度計画的にやる上にはやむを得ないという点もあるわけでございまして、ただ、これが全部であるわけではないので、私どものほうは安閑としておるわけではございません。やはり御指摘のように悪い点が多いので、改善をいたしたいと思いますが、中には、弁解を言わしていただければ、そういうものも建設線の免許の中には含まれているということでございます。
あるいは御質問の趣旨に全部答えていないかもしれないと思いますが、そういう行政管理庁の御趣旨でございまして、ただ、先生の御指摘の点は、われわれも十分考えておるところでございまして、また、何らかそういった指導行政、助長行政の面につきまして、十分な検討の上、何らかの政策を打ち出したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/35
-
036・國友弘康
○政府委員(國友弘康君) 今回の行政管理庁の監察につきましては、先ほど行管の政府委員の方からお答えがありましたように、自動車局の方の関係が主として監察されまして、非常にたくさんの勧告事項、改善事項が出ましたのであります。これらにつきましては、われわれとしても、大いに反省しておりまして、十分検討をいたしまして、善処したいと考えております。
先ほど御質問のございました駐留軍労務者の関係につきましては、最初に閣議了解がございまして、昭和三十一年の三月二十六日にこれを各陸運局長に流して、この就業あっせんの趣旨に沿って指導するようにということを通達いたしました。それからその後に、昭和三十二年の九月二十四日に閣議決定がございまして、これを九月二十八日に各陸運局長あてに通達いたしまして、この閣議決定の趣旨に沿って配慮するようにということにいたしまして、それから十二月の十三日に、関係申請事案の処理促進方について各陸運局長あてに打電して処理をしたわけでございます。で、これらに関しましては、われわれとしましては、道路運送法がございまして、道路運送法第六条の免許基準に照らして免許申請を審査するわけでございますが、この免許申請の審査の際に、道路運送法のワク内において優先的に取扱うという趣旨は生かしておりまして、現在におきまして、ハイヤー、タクシー事業免許十三件、トラック事業免許五件を処理をいたしております。今後におきましても、この閣議決定の線に沿って処理をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/36
-
037・市川房枝
○市川房枝君 行政管理庁の方にちょっと伺いたいのですが、許可、認可の問題は、申請をいたします個人といいますか、会社といいますか、あるいは団体と申しますか、許可される、認可されることによって非常な利益を得る、こういうふうに了解されるのですが、従って、国民一般の間にあるこれは常識と申しますかは、許可、認可されるときには、やはり一種の関係者に対しての供応といいますか、あるいは金品の授受といいますか、金品の方なんかはっきりすれば一種の汚職になるのかもしれませんが、それはつきものなんだというようなふうに思われていると思います。それで、監察の結果のさっきの御報告を伺いますと、非常に認許可がおくれている、あるいは業者に偏重している、あるいは基礎的な調査がなしに認可が行われているというふうな御報告を伺ったのですが、その今の国民の間に持っております供応といいますか、そういう類似のことですね。それは行政管理庁は、ちょっとそこまでは調査ができにくいかもしれませんけれども、そういう問題についてどういうふうにお考えになっておりますか、そういうことがあり得るというふうにお考えになりますか、それがどの程度影響していると思われますか、これは国民側として私は伺いたいことだと思います。まず、それをちょっと伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/37
-
038・犬丸實
○政府委員(犬丸實君) 今の市川先生のお話のようなことは、一般的にいわれているところだと思うのでございます。それで、われわれの方といたしましては、もちろん、業者がこれを適正に行われるという意味において、そういうことがないように、そういう事実があればこれを指摘しなければならぬと思うのでございますが、私どもの行政監察の主眼といたしましては、行政全般がうまくいくように、今のいろいろな早く処理ができる、公正に処理ができるという、機構的にも制度的にもそういう措置を作れば、そういったおそくなるためにそういう問題が出てくるのでもありますし、また、不公正にやられるためにそういった汚職なんか出てくるのでありますから、まず、その根本的な方を早く直す必要がある。その方が影響も大きいのであって、一件汚職を摘発するよりも、その根源を直せば幾千件の汚職というものがなくなる、そういう趣旨で、根本的に運営そのものを直していこうという趣旨でございますので、もっぱらその方に力を入れているわけであります。ただ、もちろん調べております間に、そういう事実がつかめますれば、これはそれぞれ個々の問題として取り上げて処理していきたいと思うのでございますが、なかなか実際問題といたしまして、そういううわさはあっても、われわれのように警察権があるわけでもございませんし、帳簿その他で、あるいは人に聞いて調べていくという状況でございますと、具体的な犯罪事実的なものをつかまえるということは容易でないのでございまして、勢いそちらの方にはなかなかいいデータが出ないということになっておりますが、もちろん、心がまえといたしましては、そういうものが出れば、あくまでこれは是正していこう、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/38
-
039・市川房枝
○市川房枝君 運輸省の方にもちょっとその問題で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/39
-
040・國友弘康
○政府委員(國友弘康君) 今のお話でございますが、われわれとしては、本省におきましても、陸運局におきましても、非常に審査事案が多いのでございます。それで、そういうことになりまして、また申請者と同時に反対者がおりますので、非常に慎重にわれわれの言動は慎しんでおります。でありますから、そういうことはおそらくないと思います。まあ、この点につきましては、実際われわれ会議のありますたびに、汚職ということについては注意せよということを申しておりますので、今後も注意いたしますが、私は今のところそういう事実は知っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/40
-
041・市川房枝
○市川房枝君 今のお言葉は伺っておきますが、どうぞそれが事実であるように願いたいと思います。こういう勧告が出されまして、まあ、さっき官房長からは、ほとんどそれをお認めになっているみたいです。十分注意するとか、あるいはその御趣旨に沿うとか、善処するとか、いろいろのお言葉でおっしゃっておりますが、そういう回答を正式に行政管理庁に出すと、さっきおっしゃっておりましたね、そのお出しになった写しを私いただきたいと思うのです。
それからもう一つ、行政管理庁はこういう勧告をなさいまして、そうして運輸省としては、先ほどお話のありましたように善処する、注意するとおっしゃるのですが、さて、それじゃこういう事態が、それはいつまであるということは言えないかもしれませんが、改善されたという事実、行政管理庁はあと事実、運輸省がどんなふうにされたか、こういう点が改善されたというような調査はあとはなさいませんでしょうか。それは行政管理庁の方から伺いたい。それから運輸省の方からもその問題を伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/41
-
042・犬丸實
○政府委員(犬丸實君) 私の方でいろいろ勧告いたしますが、その結果どうなっておるかと申しますのは、毎年十二月末日現在で、各省にその状況をまた調査いたしております。本年度の分は今まとめ中でございますが、昨年度の分を見ますと、大体九〇%近くは実現され、あるいはその趣旨の通り検討するというものもございますけれども、大体九〇%以上が勧告は尊重されております。そういう意味で、その後の推進につきましては十分気をつけているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/42
-
043・細田吉藏
○政府委員(細田吉藏君) ただいまの勧告に対します回答につきましては、資料として提出させていただきます。行政管理庁からこういうふうに言って参っております。前を略しますが、「これに関し適切な改善の措置を講じられ、その結果について御回答願います。」、こういうふうになっております。それを出したいと思います。
それからあとあとの問題でございますが、私どもの方は、省内に考査室というものを持っております。これは省内の監察機関でございます。勧告はこれまでもいろいろあるわけでございますが、勧告の事項につきましては、ただ一片の回答しただけでおしまいということではございません。改善に時間もかかるものもございます。そういう点につきましては、行政管理庁に逐次御報告申し上げたいと思っているわけでございまして、ただいま、行管の方からもお話がありましたが、行管としてはチェックしていただく、われわれの方は、部内に監察機関を持っておりますので、またこれをやはりここでチェックしておるというやり方をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/43
-
044・市川房枝
○市川房枝君 行政管理庁は、それじゃ年末に出てきたその結果を、この勧告に対してどれだけ実行されたかということの調査をなさるわけですね。それで、その調査されたものを私ども拝見したいと思うのですが、こういう非常な努力をされて調査され、勧告されますものの結果が、やはり九〇%も実現されれば大へんけっこうなんですが、どうもすぐそうも思えないのですが、それを見せていただきたいとお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/44
-
045・犬丸實
○政府委員(犬丸實君) 全体的には非常に膨大なものでございますけれども、項目別に、たとえば法令の改正を必要と認めるというようなところで、法令の改正をしたならしたとか、そういうふうな点に分類いたしました統計的のものを作りますから、それができましたら差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/45
-
046・天田勝正
○天田勝正君 犬丸局長に二点だけ伺っておきます。
それは、第一は、自動車局の関係で、一般乗用、旅客運送事業の認許可の問題の説明の際に、既存業者にはほとんど百パーセント近い認許可があるが、新免については三〇%程度であると、こういう説明を受けたわけであります。その百パーセント、三〇%という例示をされたのは、いささか非難の中身を含めて説明されたのか、それが妥当だという考え方に立って説明されたのか、それを伺っておきましょう。
それから二点は、この自動車局の関係で、最後の方でありますが、ここを見ると、陸運局長の専決事項が陸運事務所長で代行されておる。これを、陸運事務所長というのは、上部が二つに分れているような妙な機構であって、今現在でもこれは何らか処置をしなければならないということがしばしば話に出るのですが、その権限を今度は知事に権限を委任したらどうかという趣旨の文章が書いてある。そうすると、これは行政機構という大きな問題にも関連してくるので、本来からしますと、予算も何も全部運輸省が握っておるにもかかわらず、これは出発点が妙ないきさつから、上が二つに分れておるという、いわば変則な行政が行われているのですね。これはここにこう書いてあるところを見れば、政府としては、はっきり陸運事務所の形、権限というものは今日のままがよろしいという結論に立たなければ、こういうことが書けないはずなんだが、その点はいかがです。そういうふうに政府はきめましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/46
-
047・犬丸實
○政府委員(犬丸實君) 第一の増車の方は百パーセントだが、新免の方は三〇%だと申しましたのは、同じ需要供給力の需給均衡という点から見ますと、増車もそれから新規も同様なわけであります。しかし、経常的な問題からいたしまして、新規とそれから増車では、そういう点では区別があると思いますので、一がいに同様であるべきだということは言い切れないとは思いますけれども、それにしましても、片一方が百パーセント近くで、片一方が三〇%近くでは、少しバランスがとれないのではないかということは考えております。
それから第二の、陸運事務所長と申しますか、知事という問題は、今の増車とそれから新免の問題だと思うのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/47
-
048・天田勝正
○天田勝正君 いや、そうじゃない。行政機構全般に及ぶ機構の問題を政府として……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/48
-
049・犬丸實
○政府委員(犬丸實君) それで、その許可の権限が、片方は陸運局長にあり、片方は知事にあるということでは、同じような事案に対してその許可権者が二つになっているのはまずいじゃないか。だから、それを一つにしたらいいじゃないかということを申しておる次第でありまして、どちらにしろということを言っておるわけではないのであります。同じような性質を持つその許可というものが、全然別個の許可権者がそれぞれやるのじゃ、そこの統一がとれないから、これは一本にした方がいい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/49
-
050・天田勝正
○天田勝正君 その第二点のあれは、これは衆参両院の運輸委員会においてもしばしば議論として出る事柄であって、陸運事務所というものが妙な機構であって、下は一つであるけれども上は二つに分れておる。ここなんです。上は二つに分れておるから、これが不合理ではないか。まずここの、別に結論を出したわけじゃないけれども、多くの意見というものは、これは運輸省に統合すべきものじゃないかという意見が私はかなりウエートとしては多かった、こういうふうに考えておる。衆議院の方でも同様であるというふうに聞いておるわけです。ところが、それはどっちか一方づけてというふうに書かれておれば、私は、それはそれなりに伺うのであるが、ここの場合は、知事に早く委任してはいかがか、これを検討する必要がある、こういうふうになっておるがゆえに、そうだとすれば、政府においては、今現在のまま、むしろこの勧告の趣旨を実行するならば、知事権限の方を強化すべきであると、こういうふうにしか見れないのです。だから、その点は政府において、むしろ運輸省側にウエートを置くのでなしに、知事権限の方へウエートを置くという工合に決定がなされておるのか、ここなんです、質問の要点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/50
-
051・犬丸實
○政府委員(犬丸實君) 私どもの方は、この監察におきましては、許認可事務を監察いたしましたので、そしてその許認可をやる上において、この二つに分れているのはまずい、これは一本にした方がいい、それならばどの機構に持っていくかという、その機構的な問題は、これは単にこれだけでなくて、いろんな問題があると思うのでありますが、その機構面についての監察は、この監察ではしておりませんので、この許認可の事務の構成及び迅速さの点からいうと、二本に分れているのはまずい、これは一本にした方がいいと、こういうことでございまして、どっちにしろ、機構論はここでは言っていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/51
-
052・天田勝正
○天田勝正君 それなら特定な知事とか何とか指定しない方がよっぽどいいのであって、そうだとするならば、今度は質問を運輸省側に向けますが、官房長は、先ほど全面的にこの勧告については了承いたして云々と、あとその対策をするというのだが、この行政機構の問題にまでどう考えても触れたというしか読めない。このことについてはどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/52
-
053・細田吉藏
○政府委員(細田吉藏君) 先ほど権限の調整につきましては、権限委任の実情調査の上再検討したいというふうに申し上げたつもりでありますが、これは先生の御指摘になるように、これを、私どもも実は、ただいま行政管理庁から御答弁になったようなふうに解釈しておりましたが、こう見ますと、あとに検討という字句がございますが、先生のおっしゃるように、そういう読み方ができるような書き方にもなっておるのでございます。私どもは知事に一任する方が、一本にした方がいいというふうに考えているわけではございません。この点につきましては、委員会でもしばしば議論が出ておるところでありまして、私どもは一本化をぜひお願いしたいというふうに考えまして、その点ただいま行政管理庁からも御説明がございましたように、この点に関しては知事にするのだという御趣旨ではないという御説明がございましたが、私どももそういうふうに了解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/53
-
054・天田勝正
○天田勝正君 それでは一点だけ伺います。
それではさっきの第一点のこの増車と新免という関係で自動車局長に伺いますが、行管の方にただしたところが、お聞きの通り、いささか非難めいた妥当を欠くという答弁があったわけであります。私も実はこの点はそう従来から考えておるのであって、鉄道事業とか、非常に資金を膨大に要する企業ならば別のこと、自動車事業なんというのは認許可そのものが、大きな資本とあとは頭金でも用が足りると、極端に言えばそういうことが言える。ところが一方戦争後のどさくさに申請したものは、何ら制限を受けないといっていいくらいの野放しの状態で認許可がどんどんされてきた。それが結局実績になっちまった。大して基礎が非常に確固たるものであるがゆえに今までの既存業者が存在しているのではない。ほかの業種とこれは違う。倉庫業者あるいは私鉄業者とこういうものとは全くその出発点も違えば、中身も違う。こういう状況なんですね。そうすると、立ちおくれたけれど、あとから新免許可を出したものも、さらに内容、質的においては新免申請をした方がはるかに確固たる基盤を持っておるということさえもあり得るものなんです。ところが、大体自動車運送協議会そのものが、既存業者の擁護のように人員も選ばれておるし、そういうことから結局片っ端に許可がされるという結果が見られたので、私は行管の方でも指摘しているのだろうと思うのですが、どうもこれは常識的に考えても妥当を欠くと思うけれども、ここらのところで、何か運輸当局は是正するという道があれば、この際お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/54
-
055・國友弘康
○政府委員(國友弘康君) 天田先生の御質問の、一般乗用自動車の運送事業に関しまする免許につきましては、陸運局長が処理いたしておりますが、ある程度各陸運局によりまして処理の方針も差があると思います。ただし、新規免許申請につきましても、増車につきましても、これを一緒に一体として考えて審査をいたしておりまして、新規免許申請を大きな地区で審査いたします場合には、必ず両者の状況を勘案してやっておるわけでありまして、陸運局長といたしましては、新規免許について審査いたしました結果、免許基準に合っておればそれを免許し、さらに既存業者に対しましても、増車なら増車の措置をとるということで、また私どもとしましては、ある程度これはどうしても既存業者の育成ということも考えなければなりませんので、その両者を勘案しながらきめておるわけでございます。
で、自動車運送協議会の委員の人選等につきましても、行政管理庁から御指摘がありましたのですが、これにつきましては、御指摘のあったような線について、今後具体的な人選を考慮していきたいと考えておりまして、これが既存業者、——既存業者と申しますか、既存業者の利益代表を多く入れておるというわけではございませんで、これにつきましては、関係官庁及び学識経験者三名、それから運送事業者の代表三名、及び利用者の代表三名、九名をもって構成するようにいたしておりまして、この中で、利用者の代表等につきましては、できるだけ利用者の考え方が発言されるような方を選定しておりまして多くの陸運局の自動車運送協議会では、労働組合の代表者等も入れて人選をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/55
-
056・天田勝正
○天田勝正君 時間がありませんから、もう一点だけ申し上げておきますが、私がなぜこういうことを言うかといえば、当然既存業者は、一ぺん認許可したのでありますから、その立場が行政庁から守られるのはこれは当然です。しかし、それが不当な経営をやっておる場合には、これにまたおきゅうをすえるのも当然。ところが、行管の方から指摘したのは、それがひっくるめて、いいも悪いも既存業者なら一〇〇%だ、それじゃあまりおかしくはないか、こういうことなんです。この実例は、昨年本委員会におきまして、ハイタク業者の事柄が、特に労働賃金の問題が問題になりました場合に、上、中、下とおよそ見込みをつけて、よき経営、中間、悪い経営、こういうのを内々で探って、そうして抜き打ちに視察をしたことがある。その下の方を視察した場合を自動車局長もよく知っておると思う。東京の陸運局においても、自動車部長ですか、それから他の部長も一緒に行ったが、これらの諸君もあきれてしまった。それで、一体こういうことでどうして許可したのかということについては、あのときの、君何か図面があったろうかなんというようなことで、われわれの前で大あわてなんですね。何を標準にしてやったのかさっぱりわからぬ。設備がなっておらない。労働基準の問題どころか、人権にも影響するような状態。しかも、われわれが視察に行くというので、秘匿しておったにもかかわらず、どこから、まあ私らが勘ぐれば、陸運局から漏れたというしかないような気がするのだが、それが漏れまして、そして経営者は私らが行くというので、大急ぎでふとんを借りてきて、仮眠設備なんていうのがないところに、ふとんだけは積んでおいた、それでその積み方によってわれわれもすぐ、運転手が整理したのやら、ここで借りてきてうまくとうふを切ったように積んでおったのやら、そのくらいのことがわからないようなものはここにはきておりませんから、すぐわかる、これは借りてきたんだろうといったら、先生方がくるというので借りてきましたということを平気で言っておる、これには陸運局の諸君も参ったということがある。よって既存業者なるがゆえに、単に採算上のこの経営がうまくいっているというだけでなしに、やはり人を使っておるのですから、労働基準の関係あるいは衛生の関係、そういうようなもので全く言うに忍びないようなものまでも、結局さっきの行管の指摘からすれば、一〇〇%に近い方に入っておる、これなどはむしろ認可を取り消さなければならない部類だ。上中下とすれば、あの当時においては少くとも三分の一あった、東京においても三分の一近い数字が、増車どころの沙汰か、なにしなければ許可を取り消さなければならない、こういう事実がある。いいですか、これはもう役人は答弁が上手だから、必ずいや東京ではまだ諮問もいたしておりませんから、増車などには触れておりません。こういうふうに答弁することは私はわかっておる。わかっておるけれども、東京のことは大阪だってそうです。京都だってそうです。いいも悪いも中間もあるのです。ですから、そういう事実がここにあるのに、既存業者は一〇〇%近い増車を認められ、新免のものは三〇%ということは、これはどう考えても何かそこにつながりがあるのではないかと疑われてもやむを得ない。それならばそういう不良業者を営業取り消しをやったかといえば、やったということを私は寡聞にして聞かないということであります。ですから、きょうはもう時間がありませんから、そう多くの言葉を用いるつもりはありませんけれども、こういうことはよほどしっかりやってもらいませんと、不均衡ということにもなれば、またそれが及ぼすところは、従業員の待遇ということにも大きく響くのでありまして、一つ注意をこの際喚起いたしておきます。以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/56
-
057・大倉精一
○委員長(大倉精一君) それでは私からちょっと二、三お伺いして、いずれ細部にわたっては大臣がおいでになってからお伺いしようと思っているのですが行管の方にこの際補足説明のつもりで説明をしてもらいたいと思います。
まず第一番には、免許事業に対する考え方、方針というものを行管はどういう工合にお考えになっているか、たとえば今天田君がいろいろ指摘しましたように、免許を取り消さなければならぬ業者がたくさんおるというような発言がありましたけれども、逆にいいますというと、そういう業者に免許を与えたものの責任はどうなるかということなんです。少くとも自由営業ではありませんので、国家が権威をもって免許した業者でありますので、免許した以上は業者に対する政府はどういう方針をとっていかなければならぬか、こういうような点について一つまず説明してもらいたい。これはいわゆる既存業者という表現をされますけれども、私は免許業者という表現の方が適切ではないかとこう考えております。ずっと一括してやりますから、一括して説明を願います。
次に、現在道路運送事業におきましては、運賃料金のダンピング、それから自家用車の営業類似行為、こういうことによって、業者自体が非常に苦しんでおる。さらに、ひいてはこれに従事する従業員の労働条件も非常に劣悪になり、ひいては無理な自動車の運行をやって、交通安全に大へんな支障をきたしておる。神風タクシーばかりでなく、トラックの運行については実にタクシー以上の危険なものがあるように私は見ております。こういうようなものはやはり免許行政に起因をしておると思うのですが、私はこの的確なる証拠をもって申し上げるのではありませんが、根本的には免許の行為が行政免許でなくて、政治免許が行われておる。つまり政府の高官が、小さな免許事案についても一々くちばしを入れておるというような事実があるように聞いておるが、そうなってくると、行政管理庁の方でいろいろ免許の事務の取り扱いについての勧告をなすっても、そういうような抜本的なものにメスを入れないというと、免許行政というものは、これは公正にならないのではないか、そういうことが行われておりますからして、自然に運賃ダンピングも行われ、あるいは自家用車の営業類似行為が行われる。不当競争が行われて、さらに天田君が指摘したような、必要な設備もできないということになってくると思うのですが、これはいわば免許行政の実態に起因しておる、こう考えるのですが、そういう点について行管としてどういう見識を持っておるか、今、國友局長が、陸運局によって免許の方針なりあるいはやり方も若干違うとおっしゃっておりますけれどもたしかにあるでしょう。あるでしょうが、ある陸運局に対する政治力の物理的な力の強弱、これによって相当免許行政は左右されるという事実について行管はどういうように監察し、お考えを持っておられるか、こういう点について一つ御説明願いたい。
さらにもう一つは、免許事業につきまして、特に道路運送事業につきましては、今も天田君が言ったように、労働条件というものが非常に公益事業としての大きな中枢をなしておると思うのですが、従来ややもすれば、この道路運送事業等における労働条件は、所管事項が違うということでもって軽視をされ、あるいはまた場合によっては逃避をされる、そういうような傾向があるのでありますけれども、やはり免許行政に関連をして、陸運行政の非常に大きなウエイトとして、この労働問題というものを勘案する必要があるのではないか。特に最近中小企業のハイヤー、タクシー、あるいはトラック事業、あるいは、通運事業、こういうものにおけるところの労働争議というものが非常に長期深刻化しておる、こういう傾向が出てきております。たとえば福井におきましても、あるいはまた横浜タクシーにおきましても、現在やっておる。これが無理な経営から起るところの一つの宿命的なものである、こう考えているのですけれども、公益事業という立場から、さらにまた交通の安全というような立場から、こういう労働問題について、運輸省としても大きな関心をもって指導すべきではないかということ。
それから最後に、行管の方では港湾行政についての一元化、合理化についての勧告を出されておる。ところが御承知のように一兆円予算でもって道路行政の画期的な計画をされ、さらに着工して進行しておる。こういう事態のもとにおいて、あと三年、五年たった場合の道路運送の実態というものは画期的なものになると私は思う。画期的なものになるにかかわらず、陸運行政というものの機構運営というものは旧態依然として何らかえりみられていない。今、天田君の言ったように、末端の行政におきましても、県知事さんと陸運事務所その他との関係が非常に複雑になっている。あるいはまた未だに地下鉄の所管がきまっておらないというようなことも指摘されておりました。こういうような状態でありますので、この際、港湾行政と同じように陸運行政に対しても、行管としてはこの近代化に即応するところの機構運営について深くメスを入れて、これに対して一つ考え方、あるいは青写真というものを完備すべきではないか、こう考えるのですけれども、それらについて一括質問しましたけれども、補足説明のような意味で一つやっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/57
-
058・犬丸實
○政府委員(犬丸實君) 今、委員長から御質問のございました第一点の、既免許業者に対するその後の状況はどうなっているかという問題でございますが、私どもの方の監察では許認可それ自体の役所の行為をみましたので、その後の状況は、実は対象にしておらないのでございます。しかし、そういった点は確かに問題でございまして、今後、そういった既免許業者に対する運輸当局の指導の状況がどうなっておるかというようなことは、問題の一つとして取り上げていかなければならぬと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/58
-
059・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 発言中ですけれども、第一項の質問の内容を取り違えているようでありますので、ちょっと、もう一回言いますけれども、免許事業というものは、自由営業と違って、天田君が言ったような、そういう免許を取り消さなければならぬような事業自体があるならば、逆に言えば、そういう事業の実態に対して免許をしたもの、これは免許したものの責任というものもまた問われなければならぬじゃないか、こういうことを言っておるわけです。従って、免許するに当っては慎重に審議をして、公益事業に適格なものに免許をする、と同時に、免許した以上は、自由営業と違いますから、その免許業者に対する対策、方針というものは、政府としてどう考えるべきであるか。いわゆる育成という言葉を使われましたけれども、そういう面について……。野放しにやっておいて、そして自由競争をやらしておいて、悪かったらつぶれていけばいい、これなら、免許というものはない方がいい。自由営業でやった方がいい。こういうことでは公益事業のために工合が悪い。こういうことで免許行政というものがあるんですから、従って、免許した事業に対する政府の方針といいますか、あるいは責任といいますか、そういうものに対する行管の考え方、これを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/59
-
060・犬丸實
○政府委員(犬丸實君) 今の点はごもっともでございまして、一応、免許をいたします際に、まず、十分合理的な基礎資料に基いて免許する必要があるんではないか、現在のところではその点に欠けておるので、その点をもう少し資料その他を整備して、公共の利益のための需給調整、均衡という見地から許可してもらいたい、こういうことを言っているわけでございます。従って、現在の免許可では、一応出ました資料——不完全な資料ではありますけれども、一応出た資料に基いて免許可しているんだと思うのでありまして、従って、それが、申請者が言っているような事実が違っておるとか、あるいはそういったことを実行しないというようなことで、その免許後の行為が非常に悪いというようなととがあれば、これは運輸当局としては、監督上、そういうものの是正措置を当然講ぜられるべきものだと思うのでございます。
それから第二点の、現在の免許可というものが、行政的なものでなくて、政治的な点で動かされているんじゃないか、従って、運賃、料金のダンピングが行われるとか、あるいは営業類似行為等があって労働者が非常に困窮しているというようなことがあるではないか、ということでございますが、これも、帰するところは、ただいま申し上げましたように、この免許可をする場合の需給均衡がどうなっているかという、その基礎資料がはっきりしていなということが最大の原因だと思うのであります。需給が、バランスがとれた理由によっての免許可であるんならば、こういった事実は起らないと思うのでありまして、また、免許可が非常にシビアであるというようなことからして、こういう問題が起るというようなことがあれば、そういう点は、先ほど運輸省当局からお話がありましたように、われわれの勧告のところにもそういう趣旨のことを申しておりますので、こういう点を一つ御検討願いたと思うのであります。
それから道路運送事業などの労働条件の問題でございますが、この点については今回の監察においても若干触れておりますので、これらは取りまとめて近く必要なものが出て参りますれば勧告をいたしたいと思っております。
それから港湾行政の一元化などに伴いまして、陸運行政が非常に進歩するためにこの機構についてどう考えるかという御質問でありますが、この機構につきましては、元来私どもの方の監理局が所管しておる事項でございますか、もちろん監察といたしましても、この機構に原因するところの運営上の航路その他不都合な点がございますれば、それは取り上げるべきでございますので、今回はこの陸運行政の機構は触れませんでしたけれども、これは十分監理局とも打ち合せまして、これについての実態調査その他の監察を実行いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/60
-
061・大倉精一
○委員長(大倉精一君) まあ時間もありませんので、この次に質問しますけれども、どうも今の御答弁、非常に抽象的でありますが、特に政治免許が行われておるということについては、ニュアンスとして、認めておられるようであります。ですから次回までにこれに対する対策についても一つお考えを願いたいと思います。
それから運輸省当局にも要望しておきますけれども、労働条件についても今のような御答弁で、やはり関心を持っておられるというので、現在、現実に労働問題でもって長期に問題を起こしておる面については、やはり監督官庁として何らかの関心を持って、公益業として長く事業を停止するような状態を早く解消するように努力してやってもらいたいと思うのですが、これは要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/61
-
062・相澤重明
○相澤重明君 議事進行について。行政管理庁の勧告経過並びに運輸省当局の質疑に対しては、なお、大臣を初め関係者に次回以降も行いたいと思いますので、本日はこの程度で一応質疑を終了していただきたいと思うのです。
それから一つ動議があります。それは揮発油税の増税について政府はお考えになっておるようでありますが、当委員会としては値上げ反対を実はきめておるわけです。従って関係の委員会と連合審査会を開くことの要求をいたしたいと思うのです。その取扱い、時期等については委員長に私は一任いたしたいと思います。従って連合審査申し入れをしていただきたい、この動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/62
-
063・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ただいま相澤君の動議、本日の質疑はこの程度にとどめるということと、揮発油税値上げ関する連合審査の申し入れをする、時期、手続、方法については委員長に任する、この動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/63
-
064・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 御異議ないと認めます。本日は、本件に関する質疑はこの程度でとどめたいと思います。委員会を散会いたします。
午後一時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00519590205/64
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。