1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月十八日(水曜日)
午後一時四十一分開会
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委員の異動
二月五日委員小柳勇君辞任につき、そ
の補欠として大和与一君を議長におい
て指名した。
二月六日委員小酒井義男君辞任につ
き、その補欠として柴谷要君を議長に
おいて指名した。
二月十一日委員平島敏夫君辞任につ
き、その補欠として木島虎藏君を議長
において指名した。
二月十二日委員木島虎藏君辞任につ
き、その補欠として平島敏夫君を議長
において指名した。
二月十三日委員江藤智君辞任につき、
その補欠として前田佳都男君を議長に
おいて指名した。
二月十四日委員前田佳都男君辞任につ
き、その補欠として江藤智君を議長に
おいて指名した。
二月十六日委員大和与一君辞任につ
き、その補欠として小柳勇君を議長に
おいて指名した。
二月十七日委員高野一夫君辞任につ
き、その補欠として草葉隆圓君を議長
において指名した。
本日委員伊能繁次郎君辞任につき、そ
の補欠として田中茂穂君を議長におい
て指名した。
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出席者は左の通り。
理事
江藤 智君
相澤 重明君
委員
植竹 春彦君
田中 茂穂君
野田 俊作君
平島 敏夫君
天田 勝正君
小柳 勇君
柴谷 要君
松浦 清一君
政府委員
運輸政務次官 中馬 辰猪君
運輸大臣官房長 細田 吉藏君
運輸省海運局長 朝田 靜夫君
運輸省船舶局長 山下 正雄君
運輸省港湾局長 中道 峰夫君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 八木 利眞君
運輸省自動車局
長 國友 弘康君
運輸省観光局長 岡本 悟君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選
○小委員の補欠選定の件
○小委員長の指名の件
○中小型鋼船造船業合理化臨時措置法
案(内閣提出)
○日本観光協会法案(内閣提出)
○自動車ターミナル法案(内閣提出)
○日本国有鉄道法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○特定港湾施設整備特別措置法案(内
閣送付、予備審査)
○国内旅客船公団法案(内閣送付、予
備審査)
○港湾運送事業法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/0
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001・相澤重明
○理事(相澤重明君) ただいまより運輸委員会を開会いたします。
お諮りいたします。委員の辞任に伴い理事、交通事故防止に関する小委員及び同小委員長が欠員でおりますので、ついては、その補欠の選任及び選定は、先例により便宜私から指名いたしまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/1
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002・相澤重明
○理事(相澤重明君) 御異議ないと認めまして、それでは理事に江藤智君、小委員に江藤智君、平島敏夫君、柴谷要君、小委委員長に江藤智君を、それぞれ指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/2
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003・相澤重明
○理事(相澤重明君) 先日の委員会において決定されました志免鉱業所調査のための委員派遣は、委員長に一任せられました。委員長及び理事打合会において協議の結果、次の通り決定いたしました。
派遣の委員は、大倉精一君、平島敏夫君及び小柳勇君の三人とし、派遣の日数は、二月十九日から二十二日までの四日間でございます。
以上、御報告申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/3
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004・相澤重明
○理事(相澤重明君) 次に、二月七日付託されました中小型鋼船造船業合理化臨時措置法案、二月十六日付託されました日本観光協会法案及び自動車ターミナル法案、二月七日予備審査のため送付されました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案及び二月十一日予備審査のため送付されました特定港湾施設整備特別措置法案を一括して議題といたします。
以上、五案につきまして提案理由の説明を求めます。ただいま出席の政府委員は、運輸政務次官中馬辰猪君並びに運輸大臣官房長細田吉藏君、運輸省海運局長朝田靜夫君、同じく船舶局長山下正雄君、同じく港湾局長中道峰夫君、同じく観光局長岡本悟君、国有鉄道部長八木利眞君、以上の諸君であります。
中小型鋼船造船業合理化臨時措置法直接に輸出振興対策を強力に推進することが必要でありますが、また、基本的には、中小型鋼船造船業そのものの合理化を推進し、その技術水準の向上と経営基礎の確立とをはかることがきわめて肝要でありまして、これにより良質低廉な中小型鋼船の輸出が期待されるのであります。
一方、国内海運について見ますと、最近、木船から鋼船化への傾向が顕著に見られますが、これらの船舶、特に中小型旅客船等の安全性能を高めること及び船価の低減をはかるためにも中小型鋼船造船業の合理化が要請されるわけであります。
このような見地から、わが国の中小型鋼船造船業を見まするに、解決を要すべき幾多の困難な問題に直面しております。
すなわち、わが国の中小型鋼船造船業は、戦争中軍需産業として急激に膨張したのでありますが、その後、設備の改善は閑却され、ためにその老朽化、陳腐化の程度ははなはだしく、技術水準もなお改善すべき点が多々見受けられます。
このような中小型鋼船造船業の現状とその合理化の重要性とにかんがみまして、政府は、昨年来種々検討を重ねて参ったのでありますが、このたびようやく成案を得て提案いたした次第であります。
本法案は、長期経済計画の趣旨に沿って、中小型鋼船造船業の設備の近代化、能率の増進、生産技術の向上等を促進し、これにより総合的に中小型鋼船造船業の合理化をはかり、もって、船舶輸出の振興及び海運業の健全な発達に寄与しようとするものでありまして、その骨子は次の通りであります。
本案の対象となる中小型鋼船造船業は、主として総トン数三千トン未満の鋼船の製造または修繕を行う事業でありまして、これら造船業の相当部分は、中小規模の企業者によって経営されておりますので、本案は、また、中小企業の建設的かつ積極的な育成策として、重要意義を有するものと考えます。合理化基本計画は、中小型鋼船の製造及び修繕に関する技術の向上及び生産費の低減を促進するために策定するものでありまして、まず第一に、昭和三十八年度末における中小型鋼船造船業の技術水準、生産費、生産力等の合理化目標を定め、次にこれらの実現をはかるため、設備の近代化、生産技術の向上、能率の増進等の諸措置を定めることとなっております。
この計画は、海運造船合理化審議会に諮り、計画が適正妥当に策定されることを期待するとともに、これを公表して、中小型鋼船造船業合理化達成のための政府の決意と責任とを表明することを規定しております。
右の計画達成のためにとるべき主要な措置として、本案には、また、設備の近代化のための所要資金のあっせん、技術の向上のための基準等の公表の二措置が定められております。
設備資金のあっせんに関しましては、合理化実施計画に定められた所要の資金について、政府が財政資金その他の資金をあっせんするということになっております。
最後に、技術の向上のための基準等の公表につきましては、単に合理化基本計画に定める設備の近代化の計画のみにとどまらず、一企業の具備すべき適正な製造設備、検査設備、製造方法、従業員の技術的能力の基準及び設計の基本等について公表し、各企業の工場の具体的技術の向上目標を示して、当該造船業の一段の努力を期待しようとするものであります。本措置につきましては、造船技術に関する学識経験者をもって構成する造船技術審議会に諮り、その適正を期することといたします。
本法は、五カ年の臨時立法とし、この間、所期の目的達成のため、政府は最大の努力を傾注いたす所存であります。なお、資金のあっせん等本法の施行を円滑にするための一措置として、本法において関係法規の一部改正を行うことといたしております。
以上がこの法律案の提案理由並びにその概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同下さらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/4
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005・相澤重明
○理事(相澤重明君) 次に、日本観光協会法案について御説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/5
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006・中馬辰猪
○政府委員(中馬辰猪君) ただいま議題となりました日本観光協会法案の提案理由について御説明申し上げます。
外国人観光旅客のわが国への来訪が繁くなりこれら観光客が国内において消費する額の増加することは、わが国にとって国際収支の改善に資し、ひいては経済基盤の強化に資するところはなはだ大なるものがあると存ずるのであります。
そのため、政府は、従来、財団法人国際観光協会に補助金を交付し、外国人観光旅客のわが国への誘致宣伝、外国人観光旅客の接遇の向上等に関する業務を実施させ、もって国際観光の振興に努力して参ったのであります。他方、社団法人全日本観光連盟は、観光関係者が会員となり、日本国有鉄道、地方公共団体等の援助を受けて、観光関係機関従業員の研修、観光資源の開発及び国民旅行の健全化等に関する事業を実施してきたのであります。
本来、観光の振興に関して、国際観光と国内観光とを区別して論ずることは妥当でなく、観光を総合的に論じ、発展させていくことが必要であり、かくすることによって外客の来訪も活発となり、また国民の健全旅行にも寄与することとなると存ずるのであります。こういった観点から現在においても国際観光協会と全日本観光連盟は相互に連絡協調を密にして行動しているのでありますが、この際、さらに一歩を進めて、両者を統合して一本化をはかり、この一本化された法人において観光の振興に関する事業を総合的に実施すれば、さらに多大の効果が期待されるのであります。また、従来、日本国有鉄道、財団法人日本交通公社、東京都を初めとする地方公共団体並びに運輸業者、観光関係業者及びこれらの関連団体等から国際観光協会及び全日本観光連盟に対し、事業に要する資金を拠出しているのでありますが、これらの拠出金については、国際観光協会と全日本観光連盟とにそれぞれ拠出している例が多く、両者が一本化されれば、この一本化された法人の充実合理化に伴いその額の増加も期待されるのであります。
以上は、観光の振興に関する事業を同一法人のもとにおいて総合的に実施されなければならない理由として申し上げたのでありますが、さらに、これら観光の振興に関する事業が、企業者別及び地域別の利害得失にとらわれず、国家的見地からなされなければならないこと、事業実施の経費として政府から多額の補助金を交付すること、鶴光事業の多種多様性にかんがみ、民間の援助及び意見を必要とすること等の理由から、特別法により、日本国有鉄道、地方公共団体、運輸業者、観光関係者及びこれらの団体等を会員とする日本観光協会を設立し、運輸大臣の監督のもとに、観光の振興に関する事業を積極的、かつ総合的に実施させる必要があるのであります。
次に、この法案の要旨について御説明申し上げます。
まず第一に、日本観光協会、日本国有鉄道、地方公共団体、旅客運送業者、ホテル業者、旅館業者、旅行あっ旋業者及びこれらの団体等を会員とする法人といたしました。
第二に、協会の役員としましては、会長、副会長及び理事及び監事を置くこととし、会長、副会長及び監事は、運輸大臣が任命し、理事は、会長が運輸大臣の認可を受けて任命することといたしました。
第三に、協会に、会員が会員のうちから選挙する運営委員三十人以内をもって組織する運営委員会を置き定款の変更、会費の額及び徴収の方法及びその他定款で定める事項を議決するとともに、会長の諮問に応じ、業務の運営に関する重要事項を調査審議することといたしました。
第四に、協会の業務は、外国人観光旅客の誘致宣伝、外国人観光旅客に対する接遇の向上、その他鶴光事業に関する業務の改善に関する指導、観光に関する調査及び研究、観光に関する出版物の刊行等を行い、政府は、その事業の円滑な運営のため、予算の範囲内において補助金を交付することとし、協会の事業遂行の万全を期しました。
第五に、協会の財務及び会計については、協会は毎年、予算及び事業計画を作成して、運輸大臣の認可を受けなければならないこととしたのを初めとして、協会の財務諸表及び借入金についても承認または認可を受けなければならないこととし、また、余裕金の運用については一定の制限を付し、協会の会計の適正化をはかった次第であります。
第六に、協会は、運輸大臣の監督に服するのでありまして、運輸大臣は、協会に対して監督上必要な命令を発し、または報告を徴し、所属職員に立ち入り検査をさせることができることといたしました。
最後に、協会の設立に関する事務は、運輸大臣が任命する設立委員に処理させることといたしておりますが、設立に当りまして、国際観光協会及び全日本観光連盟の一切の権利及び義務を包括承継し、従来行なってきた観光の振興に関する事業の継続に支障を来たさないようにいたす所存であります。
なお、右のほか、協会に対する税を減免するため、各種税法の一部改正を行いまして、協会の業務の運営に遺憾なきを期した次第であります。
以上がこの法律案を提案する理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/6
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007・相澤重明
○理事(相澤重明君) 次に自動車ターミナル法案の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/7
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008・中馬辰猪
○政府委員(中馬辰猪君) ただいま議題となりました自動車ターミナル法案につきまして、その提案理由を御説明いたします。
最近における自動車輸送の発展は、きわめて急速、かつ、顕著なものがありますが、なかんずく、路線バス事業及び路線トラック事業は、年々向上の一途をたどり、昭年三十二年度の実績より見ましても、その輸送量は、路線バスにおいて四十六億三千万人、路線トラックにおいて千四百三十万トンを示しているのでありまして、鉄道輸送のそれと比較した場合、路線バスにおいて約一・一倍、路線トラックにおいて鉄道小品貨物の約四・四倍に及んでいるのであります。
御承知の通り、輸送機関と申しますものは、いずれも幾つかの幹線と、これより分岐する数多くの支線とが、あたかも網の目のように相互に交錯して発達してゆくものでありますが、自動車輸送におきましても、たとえば路線バスについて見ますと、東京、大阪等の大都市においてはもちろんのこと、地方都市におきましても、それぞれ、その都市の繁華街、官庁街または鉄道駅等を中心として四方八方へ多数の路線が広がり、いわゆる路線網を形成しておるのであります。
従いまして、輸送需要に最も適合した自動車の路線網を積極的に形成して参りますことは、利用者公衆の便益を促進することはもとより、自動車輸送の発達をはかっていきますためにも重要な課題となるわけでありますが、そのために大きな役割を果すものと考えられますのが、本法案の対象とする自動車ターミナルであります。
すなわち、航空輸送における空港あるいは鉄道輸送における停車場のごとく、多数の自動車路線が集中する地点に、旅客の乗り換え、あるいは貨物の積み換えのための施設を設置して利用者の利便を増進していくことが、かねてから広く要望されておったのでありますが、従来このような機能は、道路その他の一般交通の用に供される場所において、あるいは単独の事業者の施設として行われてきました関係上、利用者の利便を阻害し、ひいては自動車運送事業者自体の健全な発達にも少からざる支障を及ぼして参っておったのであります。
さらに、近い将来、高速自動車道が建設され、都市間交通がますます活発になりますれば、幹線交通と都市交通との総合的な発展を期しますためにも、この種自動車ターミナル施設の整備促進が格段に要望されるものと予想されるのであります。
政府といたしましては、数年来、自動車ターミナルの整備促進に関する法的措置について種々検討を加えて参ったのでありますが、ようやく成案を得るに至りましたので、ここに提案いたしました次第でございます。
本法案は、第一に、自動車ターミナルについて明確な概念を定めますとともに、自動車ターミナル事業は、これを免許事業といたしまして、その事業の安定性を確保することといたしました。他方、これに対応して、その使用料金につきましては認可性としてその適正化をはかり、さらに、供用義務、構造設備の維持義務等を課して使用者の利便を確保することといたしております。
第二に、自動車ターミナルとしての機能の完全な発揚を期するため、ある地区において自動車ターミナルが設置されているにもかかわらず、それを使用しないことによって公衆の利便を阻害していると認められる自動車運送事業者に対しては、当該自動車ターミナルを使用するよう命じ得るものとしております。
第三に、自動車運送事業者が、その事業の用に供する自動車ターミナルにつきましては、主として道路運送法の定めによって運営するものとしたほか、その構造、設備、その他の面について自動車ターミナル事業と同様に取り扱うことといたしたのであります。
第四に、大都市等において多数のバス路線が集中している場所にバスターミナルが存在しない場合、その地区に路線を有するバス事業者に対し、共同してバスターミナルの設置に関し必要な措置をとるべきことを指示することができるものとし、これによって路線網の中心地点としての機能を確保することといたしております。
第五に、運輸大臣は、必要により自動車ターミナルの設置または改善のための用地及び資金の確保に関する措置を講ずるよう努めるものとし、さらに、土地の収用につきましても、関係法規の一部改正を行なって、自動車ターミナルの整備を促進いたすよう配慮しております。
右の五項目を骨子といたしまして、自動車ターミナルの適正な運営及び管理の確保並びに公衆の利便の増進をはかるものといたした次第であります。
以上が自動車ターミナル法案の提案の理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/8
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009・相澤重明
○理事(相澤重明君) 次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の提案説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/9
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010・中馬辰猪
○政府委員(中馬辰猪君) ただいまから、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の提案理由並びにその概要について御説明申し上げます。
日本国有鉄道が公共企業体として発足いたしまして以来九年余を経過し、本年六月一日に十周年の記念日を迎えることになりました。この間、管理組織の変更その他制度的に幾たびか改正が行われて参ったのでありますが、何分にも膨大な組織でもありますので、過去いろいろと各方面の御批判を受け、最近では公共企業体審議会の答申もあり、また当委員会におきましても絶えず御指判と御指導を受けて参ったわけであります。政府といたしましても、これらを十分尊重いたしまして、日本国有鉄道がその設立の趣旨を生かして能率的な運営を確保し、もって公共の福祉を増進し得るよう種々検討して参ったわけでありますが、支社制度の強化等につきまして改善の方途に結論を得ましたので、これを実施に移すため、日本国有鉄道法に所要の改正を加えるこの法律案を提出いたすことになった次第であります。
次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
第一は、日本国有鉄道の支社制度を強化するため、理事の定数を増加することといたしたことであります。現在の日本国有鉄道は、理事会が最高意思決定機関として、業務運営の中心をなしております。この理事会に支社の実情を反映させ、また理事会の意向を支社に十分徹底させるために、理事を増員して支社長を理事の中から任命し得るようにいたしたわけであります。
第二は、日本国有鉄道が、限定した範囲内で、他の事業に投資をすることができる旨を明らかにいたしたことであります。現在、日本国有鉄道は、帝都高速度交通営団法に基きまして、帝都高速度交通営団に対してのみ投資しておりますが、このほか、日本国有鉄道の投資について、運輸大臣の認可を受けて、予算で定めるところにより、日本国有鉄道及び他の運送事業者がともに使用する輸送施設の運営を行う事業に投資することができる旨を明らかにいたしたわけであります。
第三は、運輸大臣の職権の一部を陸運局長に委任することといたしたことであります。現在までは、日本国有鉄道の監督はすべて本省のみで行なって参りましたが、地方の事情を具体的に把握している陸運局長に行わせることが適切、かつ能率的なものにつきましては、運輸大臣の職権の一部を委任して陸運局長に行わせることにいたしたわけであります。
以上がこの法律案の提案の理由とその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/10
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011・相澤重明
○理事(相澤重明君) 次に、特定港湾施設整備特別措置法案の提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/11
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012・中馬辰猪
○政府委員(中馬辰猪君) ただいま議題となりました特定港湾施設整備特別措置法案につきましてその提案の理由について御説明申し上げます。
この法律案は、現下のわが国における躍進的な輸出貿易の伸長と工業生産の拡大の傾向にかんがみまして、すでにその隘路となっている主要港湾の重要な港湾施設を、これら経済発展の速度に対応して緊急に整備いたすことにより、わが国経済基盤の強化に資することをその目的といたしております。このため、今回、次のような特別の措置を講じた次第であります。すなわち、今回の特別措置は、大別して三つの事項に分たれますが、まず第一点は、輸出貿易と工業生産との関連におきまして、国家的に重要な港湾の特定の施設を、国が特別会計を設けて直轄で緊急に整備することであります。第二点は、右の特別会計において、工事費用の一部につき借入金をもってその財源とすることができるようにいたしたことであります。この借入金は、資金運用部より借り入れるものとし、港湾管理者の負担分に充てることといたしております。第三点は、工事費用の一部の財源として、民間資金の活用をはかることといたしたことであります。その活用の方法といたしましては、一は、企業合理化促進法の規定により、産業関連工事の申請事業者から国が受益者負担金を徴収すること、その二は、完成した特定施設の利用者から港湾管理者が特別利用料を徴収することであります。
以上、述べました特別措置の対象となる港湾は、経済的要請の別に従いまして、輸出港湾、石油港湾、鉄鋼港湾及び石炭港湾の各種別に分つことができます。輸出港湾は、横浜、神戸等六港、石油港湾は、松山、四日市等四港、鉄鋼港湾は、室蘭、千葉等七港、石炭港湾は、苅田、唐津等九港であります。これらの諸港のうち、企業合理化促進法の規定により受益者負担金を徴収して工事を行うものは石油港湾及び鉄鋼港湾であり、完成後の施設利用者からこの法律の規定により特別利用料を徴収するものは、石炭港湾と輸出港湾中、門司のセメント埠頭、下関の肥料埠頭及び大阪の鋼材埠頭であります。
右の諸港湾の諸施設、おおむね四箇年を目途として整備することといたし、昭和三十四年度においては約七十七億の事業費を予定いたしております。
この法律案は、以上の特別措置を実施いたします場合に必要な事項について所要の特例規定を設けたものでありまして、そのうち最も重要な事項は、国と港湾管理者との費用負担の割合の特例を定めたことであります。すなわち、さきに申し上げました受益者負担金または特別利用料を徴収する場合には、これらの収入金を工事費用の総額より差し引き、その残額について港湾法等の規定による負担割合を適用することといたしております。また、港湾管理者負担分は、借入金によってとりあえず支弁いたします関係上、その借入金利子相当分もあわせて港湾管理者の負担額に算入することといたしております。
右のほか、特別利用料の徴収手続の緩和、その他について必要最小限度の措置を定めたのがこの法律案の内容であります。
以上がこの法律案を提案いたします理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/12
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013・相澤重明
○理事(相澤重明君) 以上、提案理由の説明を終りましたが、慣例によりまして、次回に移すものは移して、きょう、あとで補足説明を受けるものを御相談をしたいと思います。
速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/13
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014・相澤重明
○理事(相澤重明君) 速記を起して。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/14
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015・相澤重明
○理事(相澤重明君) 次に、中小型鋼船造船業合理化臨時措置法案について補足説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/15
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016・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) 先ほど政務次官から本法案につきまして提案理由の説明がございましたが、補足説明をさしていただきたいと思います。
わが国におきまして、鋼船を製造または修繕を行う造船所は二百七十四工場でございますが、これらの造船所において、昭和三十一年度に四百九十五隻、百九十四万総トン、昭和三十二年度には六百七十七隻、二百四十八万五千総トンの進水実績をあげ、年間の生産高は三千四百三十億円に達しております。そのうち、大手二十五工場の三十二年度の進水実績は、トン数において全体の九一%、隻数にしまして三〇%を占めておりますが、これら大手造船所以外の、いわゆる中小型鋼船を主として製造または修繕を行なっておる造船所は、全国で二百四十五工場、そのうち百三十八工場は修理専門工場でありますが、これら中小型鋼船を製造する造船所の昭和三十二年度の進水実績は、トン数で二十一万四千総トン、隻数では四百六十四隻でございまして、その後、海運市況の不振のため注文が漸減いたしておりますが、現在約二百隻、六万総トンの中小型鋼船の建造が行われており、本年度内に約十五万総トンの進水が期待されております。
次に、昭和二十五年度以降、昭和三十二年度までに中小型鋼船製造業が既設船台の整備、クレーンの更新等に投じました資金は約三十五億円でありまして、大手工場の七%にすぎません。その結果、対象船舶の大きさに相違がございますが、中小型鋼船製造業のうちでも比較的合理化が進んでおると認められます造船所における工数及び鋼材使用量について、昭和二十四年を一〇〇として昭和三十二年と比較して見ますと、工数において二五%、鋼材の使用量において一〇%節減されておるにすぎず、大手造船所が同一期間内においてそれぞれ五〇%、二〇%と大きな節減が行われておるのに比べまして、これら中小型鋼船製造業の合理化が著しくおくれていることが明らかであります。また、船舶の性能あるいは質的の向上に必要な製造設備または基本設計技術及び工作技術の面においても同様でありまして、早急に改善をはからねばならぬと思います。
しかし、これら中小型鋼船製造業の合理化、製造設備改善の必要妥当性があるからと申しまして、無定見に設備の拡張増設を行うものであってはなりません。御承知の通り、わが国の造船業は世界最大の規模に達しております。ロイド統計によりますと、一九五八年一月から十二月までの総トン数百トン以上の新造船舶で、日本は百六十五万総トンを起工し、世界の起工量の九百万トンの一八・四%、進水量は日本は二百五万総トンで、世界の九百二十五万総トンの二二・二%、竣工量は日本は二百二十三万総トンで、世界の九百六万総トンの二四・七%を占めております。日本の造船能力はすでに世界の造船能力の二〇%以上に達しておるのでありますから、これ以上の設備の拡張は、造船界の不況に際して寒心すべき事態をも考えられますから、新規に船台の増設等を行うことなく、現有設備の改善合理化、技術の向上に重点を置き、建造船舶の性能の向上、船価の低減あるいは事業の能率化をはかるということに行政の重点を置いて進めていきたいと思います。
次に、法案の内容について若干説明を加えたいと存じます。
法案の第三条に合理化基本計画を規定いたしておりますが、合理化基本計画策定の目的は、本法制定の趣旨にのっとり、中小型鋼船の製造及び修繕に関する技術の向上及び生産費の低減をはかるため、老朽化した設備の更新、過剰設備のくず化、転用及び技術向上等の一連の施策を実施するものでございますが、これらの措置は、計画的、総合的に行う必要がございます。それには総合的な計画を策定し、これを公表して、政府は中小型鋼船造船業の合理化に対する決意と責任を明らかにし、あわせて、中小型鋼船造船業を営む者に対し政府の計画に即応すべき指針を与え、合理化意欲を振起しようとするものであります。従って、この計画は、単なる将来の見通しではなく、政策遂行の基本方針であり、本法に基く諸措置の根幹となるものであります。
次に、合理化基本計画の内容を申し上げます。第一に、昭和三十八年度末における中小型鋼船造船業の合理化の目標でございますが、合理化基本計画には、まず第一に合理化の実施によって達成されるところの合理化目標が定められます。
すなわち昭和三十八年度末における中小型鋼船造船業の合理化の実施によって到達すべき技術水準、生産費、及び合理化すべき生産能力等の目標が、国内及び輸出需要の見通し、合理化のための資金事情その他を考慮して定められます。
第二に、新たに設置すべき設備の種類及び数量並びにその設置に必要な資金に関する事項でございますが、ここに掲げる事項は、あとに記載されている技術の向上とともに、合理化方策の中心となるものでございまして、品質の改善及び生産費の低減をもたらすものでございます。すなわち設備の近代化計画でございまして、これが更新すべき設備の種類、台数及び資金の調達方法が定められるわけでございます。
第三に、くず化、転用、その他の方法により処理すべき設備に関する事項でございますが、本事項は前記の設備の近代化と関連するものでございまして、設備の更新後も陳腐化、老朽化した設備をそのまま放置することは、生産費の低減に役立たず、むしろ合理化のテンポをおくらすことになります。これを避けるためくず化、転用等によって、一定の計画のもとに処分する必要がございますので、これらの設備の処理について定めようとしております。
第四に、その他技術の向上、能率の増進その他合理化に関する重要事項でございますが、ここで定めようとします事項には、新技術の導入、標準的な設計及び仕様並びに工作方法、原材料購入方法の改善等の基本的な事項を定めるつもりでございます。
次に、以上の合理化基本計画は、本法施行上の基本となるものでございまするから、慎重に決定する必要がありますので、海運及び造船に関する事業の合理化に関する重要事項を調査審議するのを目的として設置されました海運造船合理化審議会の意見を聴取し、決定し、これを告示するようにいたします。
次に、第四条の関係でございますが、合理化実施計画でございます。この合理化基本計画と合理化実施計画との関係でございまするが、合理化基本計画は、本法施行期間を通ずる長期計画でございまするが、合理化実施計画は合理化基本計画の実施をはかるために必要な年度計画であり、実施細目でございます。これは造船技術の進歩、財政、金融、他産業の動向等諸般の情勢を勘案して、年々、策定する必要があるからでございます。
次に、合理化実施計画の内容でございますが、これは合理化基本計画の実施細目でございまするので、その内容は、合理化基本計画と一貫性を保持するものでございますが、特に設備の近代化とそれに要する資金計画が重要なものとして定められるわけでございます。
次に、合理化実施計画の決定及び公表でございます。合理化実施計画の決定及び公表につきましては、合理化基本計画の決定及び公表の手続と同一にいたしたいと思っております。
次に御説明申し上げたいのは、第六条の資金のあっせんでございます。ここに書いてございまするように、設備の設置に必要な資金のあっせんに努めようとするとございまするが、本条は、合理化実施計画に定める設備の近代化の実施に要する資金のあっせんについて、政府の決意と責務とを宣言したものでありますが、中小型鋼船造船業の合理化資金の調達について積極的に政府関係金融機関等にあっせんの労をとって、その調達を可能ならしめようとするものでございます。本規定は、宣言的規定にとどまり法的効果はございませんが、政策的な意義は大きいものがあると思われます。
次に、第七条の造船技術の向上のための基準等の公表でございます。
第一は、基準を公表する理由といたしましては、合理化基本計画において、合理化目標を掲げ、あるいは設備の近代化のための諸措置及び技術の向上のための諸方策が掲げられておりますが、これらは、中小型鋼船造船全般を対象としての達成目標であり、個々の企業について定めておるものではございません。
本条は、中小型鋼船を製造または修繕する工場あるいは事業場が保持すべき技術水準を設定し、これに即応する設備、工作方法及び従業員の技術的能力についての基準並びに設計の基本等を定めて技術の向上の努力目標たらしめようとするものでございます。
次に、公表すべき事項といたしまして、中小型鋼船造船業における設備及び工事の方法の基準に関する事項でございますが、中小型鋼船造船業に最も適した製造設備及び検査設備の種類、台数の基準並びに原材料の購入または保管、工程管理、溶接、組立等の工事の方法の基準を定めておりますが、この基準は主として工場あるいは事業場において製造または修繕する船舶の種類、大きさに応じて、それぞれ定められるわけでございます。
次に中小型鋼船の製造及び修繕に従事する者の技術的能力の基準に関する事項でございますが、中小型鋼船製造業の雇用する者のうち、その技術面において中枢部門をなす基本設計に従事する者、溶接工、主機関を修理する作業に従事する者等船舶の製造及び修繕上高度の技術的能力を要求される作業員並びに検査に従事する者の技術的能力の基準について定めようといたしております。
次に、中小型鋼船の設計の基本に関する事項でございます。中小型鋼船造船業を営む者が鋼船の製造を行う場合、船質の向上をはかるための設計の基本として性能、一般配置、強度及び構造並びに諸設備について定めようといたしております。
次に、技術向上のための基準等の公表につきましては、特に造船技術の向上に関する重要事項を調査審議することを目的としまして設置されました造船技術審議会の意見を聴取して公表することにしております。これは公表すべき事項が造船に関する具体的な技術の基準に関する事項であるからでございます。
なお、本法附則におきまして、モーターボート競走法の一部改正をいたしたいと思います。すなわち現在モーターボート競走法第十九条に規定する交付金は、モーターボート、船舶用機関及び船舶用品の製造に関する事業に資金を融通し、またはこれらの事業及び海難防止に関する事業に補助することになっております。今回、本法の一部を改正して造船業に対して融通または補助することができる道を開きたいと存じております。
本法は御承知のように、題名の示す通り臨時立法で、恒久法ではございません。本法が有効期間を五カ年と定めたのは、現在わが国の造船、海運の一般的事情により少くとも五年の期間を必要とするからでございます。
なお、本法は、昭和三十九年三月三十一日限り、廃止の手続をとることなくその効力を失うことにいたしております。
以上で補足説明を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/16
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017・相澤重明
○理事(相澤重明君) これは慣例によりまして、次に移ってよろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/17
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018・相澤重明
○理事(相澤重明君) 次に、国内旅客船公団法案の補足説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/18
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019・朝田靜夫
○政府委員(朝田靜夫君) 国内旅客船公団法案につきまして、その概要を御説明いたします。
まず第一に、目的でありますが、国内旅客船公団は、旅客船の整備に必要な資金を自力で調達することが困難な海上旅客運送事業者と共同いたしまして、国内旅客船の建造または改造を行い、これによって民生の安定に必要な航路の維持及び改善をはかってゆくことを目的といたしております。ここで「海上旅客運送事業者」と申しますのは、海上運送法によりまして、一般旅客定期航路事業の免許を受けた者または旅客不定期航路事業の許可を受けた者だけを指しております。また、公団が建造、改造を行います「国内旅客船」は、ただいま申し上げました海上旅客運送事業者がその事業のために使用する旅客船でありますが、遊覧や観光のみに用いられる船舶は対象から除かれております。
第二に、公団の組織でありますが、国内旅客船公団は、資本金二億円、全額政府出資の特殊法人といたしまして、その役員は、理事長一名、理事二名以内、監事名を置くことになっております。理事長は、公団を代表し、公団の業務を総理するものであり、監事は、公団の業務を監査するものでありますが、この両者は、運輸大臣が任命することになっています。理事は、理事長を補佐して公団の業務を掌理し、理事長の事故、欠員の際には、これに代るものでありますが、その任命は、理事長が運輸大臣の認可を受けて行うことにしております。このほか、役員の任期、役員の欠格条項、役員の解任、役員の兼職禁止、職員の任命等につきましては、他の公団の例にならって規定しております。
第三に公団の業務でありますが、公団は、先に述べました目的を達成するために、次に設けたような業務を行うこととしております。
その一は、海上旅客運送事業者等と費用を分担して国内旅客船の建造または改造を行うことであります。この場合、公団は、建設費の七割、改造費の五割を負担するものとし、残りを事業者に負担させたいと考えております。
なお、北海道の国内旅客船の整備につきまして、北海道離島航路整備会社が昨年十二月に発足いたしましたので、この会社とも費用を分担いましまして、建造または改造を行うようにいたしております。
その二は、こうしてできました国内旅客船を公団と事業者とで共有し、これを海上旅客運送事業者に使用させることであります。この場合、公団は、船舶の減価償却と金利の支払い等に充てるため事業者から毎月定額の使用料を取ることにいたしたいと考えております。
その三は、共有船舶をある年限がきました場合に事業者に譲渡することであります。譲渡価格は、おおむね公団持分の残存価格に近いものとなります。
公団は、このほかに、以上の業務に付帯する業務を行うことができることといたしておりますが、公団の業務につきましては、業務開始の際、運輸大臣の指示する方針に従って業務方法書を作成し、運輸大臣の認可を受けなければならないことを定めまして、業務が最も効率的に行われますよう、また、目的を逸脱することのないよういたしております。
第四に、公団の財務及び会計についてでありますが、公団は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、事業年度開始前に運輸大臣の認可を受けなければならないこととし、また、毎事業年度、財産目録、貸借対照表、損益計算書を作成し、決算報告書等を添付して運輸大臣の承認を受けなければならないことにしております。利益及び損失の処理については、積立金または繰越欠損金として整理することとしておりますが、公団の出資金は産業投資特別会計から出ております関係上、一定の積立金をしてなお残余がある場合にはその残余の額を国庫に納付することにしております。
次に、公団は、運輸大臣の認可を受けて長期若しくは短期の借入金をし、または旅客船債券を発行できることにしておりますが、事業資金は、主として資金運用部資金に仰ぐこととし、昭和三十四年度は三億円の融資を予定いたしております。このほか、償還計画余裕金の運用、給与及び退職手当の基準等について規定いたしておりますが、おおむね池の公団の例によっております。
第五に、公団の監督でありますが、公団は、運輸大臣が監督することとし、業務に関して監督上必要な命令をし、業務及び財務に関して報告を徴し、あるいは事務所の立入検査をすることができることにしております。
以上のほか、公団の解散、罰則、公団の設立手続等について規定いたしておりますが、他の法令の改正として税法の改正があり、登録税、印紙税、所得税、法人税及び地方税中の事業税は、公団については非課税とすることにいたしております。また最後に、離島航路整備法の一部を改正いたしまして、同法に基く利子補給は、昭和三十四年四月一日以降の融資については行わないことにいたし、助成策の重複を避けることといたしております。
以上でこの法律案の概要についての御説明を終ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/19
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020・相澤重明
○理事(相澤重明君) では次に、港湾運送事業法の一部を改正する法律案について補足説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/20
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021・中道峰夫
○政府委員(中道峰夫君) 港湾運送事業法の一部を改正する法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、いかだ運送事業を新たに設けることとした第二条及び第三条の改正についてであります。
現在、港湾運送事業の種類としては、一般港湾運送事業、船内荷役事業、はしけ運送事業及び沿岸荷役事業の四種類があり、水面貯木場における木材の荷さばき、保管、搬出入等の作業については、沿岸荷役事業の一態様として規制されているのでありますが、これらの作業は、他の貨物を扱う沿岸荷役事業と本質的に異なるものでありますので、これを沿岸荷役事業から分離することとし、さらに、現行法上必ずしも明確でなかった港湾内における木材のいかだに組んでする運送行為についても法律上明確にし、これらをあわせて新しい業種としてのいかだ運送事業を設けることといたしました。
第二に、業務の範囲を限定して登録を受けることができることとした第四条の改正についてであります。
港湾運送事業の登録は、港湾及び事業の種類について行われるのでありますが、ある事業の登録を受けていても、特定の荷主あるいは特定の貨物のみを扱うという事業者が相当数ある現状にかんがみまして、これらの事業者と不特定の荷主または特定の貨物を扱う事業者とを区別して法規制することが適切でありますので、利用者、取扱い貨物その他業務の範囲を限定して事業を行う場合には、その旨を登録の内容とすることといたしました。
第三に、登録の拒否に関する規定を整備するための第七条の改正についてであります。
現行法は、港湾運送事業の登録の拒否要件として事業遂行に必要な労働者及び施設を有していないこと等を規定しているのでありますが、港湾運送事業のわが国産業及び貿易に及ぼす影響並びにその作業の特殊性にかんがみまして、港湾運送機能を充実し、適格な港湾運送を行わしめるため、荷役事故に関する損害賠償能力を担保するための資力に関する規定及び事業を適確に運営するために必要な経験能力に関する規定を加えることといたしました。
第四に、事業の開始及び休止の届出を義務づけることとした第十二条の二の新設及び第二十条の改正についてであります。
後に御説明申し上げます事業停止及び登録取り消しに関する規定の改正と関連いたしまして、港湾運送事業の実態を正確に把握し、監督行政を一そう有効なものといたしますため、港湾運送事業者が事業を開始したとき及び事業を休止したときには届け出させることといたしました。
第五に、私的独占禁止法の適用除外の範囲を広げることとした第十九条の改正についてであります。
港湾運送は、海上運送と直結しておりますため、その需要が波動性を有し、事業の計画的運営が困難であること及び港湾運送事業の多くが中小企業であり、しかも過当な競争に悩まされていること等のため、企業の安定性を欠き、これが近代化、合理化を妨げている現状にかんがみまして、事業者相互の協調体制を確立し得る道を開くため、現在私的独占禁止法の適用除外となっている施設の共用に関する協定をも含め、広く港湾運送に関する協定であって運輸大臣の認可を受けたものにつきましては、同法の適用を除外することといたしました。
第六に、事業停止及び登録取り消しに関する規定を整備するための第二十二条の改正についてであります。
登録を受けた事業者が登録拒否要件に該当することとなった場合には、事業の停止または登録の取り消しの処分をすることができることとなっておりますが、前に御説明申し上げましたように、登録拒否要件に損害賠償を担保するための資力及び事業遂行に必要な経験能力に関する事項を追加することといたしましたので、この改正と関連いたしまして、本条を整備し、さらに正当な理由がなくて一年以上事業を休止している場合も、行政処分の対象とすることといたしました。
以上で、この法律案の概要についての御説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/21
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022・相澤重明
○理事(相澤重明君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/22
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023・相澤重明
○理事(相澤重明君) 速記を起して。
以上によって補足説明を終りまして、次回は、公報をもってお知らせいたしたいと思います。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00619590218/23
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