1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月三日(火曜日)
午後一時二十九分開会
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委員の異動
二月二十七日委員杉山昌作君辞任につ
き、その補欠として前田久吉君を議長
において指名した。
二月二十八日委員前田久吉君辞任につ
き、その補欠として杉山昌作君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 大倉 精一君
理事
江藤 智君
成田 一郎君
相澤 重明君
委員
石原幹市郎君
植竹 春彦君
平島 敏夫君
森田 義衞君
小柳 勇君
松浦 清一君
杉山 昌作君
市川 房枝君
岩間 正男君
国務大臣
運 輸 大 臣 永野 護君
政府委員
運輸大臣官房長 細田 吉藏君
運輸省船舶局長 山下 正雄君
運輸省鉄道監督
局長 山内 公猷君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 八木 利眞君
運輸省自動車局
長 國友 弘康君
運輸省観光局長 岡本 悟君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
説明員
日本国有鉄道総
裁 十河 信二君
日本国有鉄道副
総裁 小倉 俊夫君
日本国有鉄道常
務理事 吾孫子 豊君
日本国有鉄道常
務理事 久保 亀夫君
日本国有鉄道資
材局長 平出 彬君
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本日の会議に付した案件
○中小型鋼船造船業合理化臨時措置法
案(内閣提出)
○派遣委員の報告
○運輸事情等に関する調査の件
(日本国有鉄道志免鉱業所に関する
件)
(日本国有鉄道の運営に関する件)
○自動車ターミナル法案(内閣提出)
○日本観光協会法案(内閣提出)
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001・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
中小型鋼船造船業合理化臨時措置法案を議題といたします。
前回に引き続きまして質疑を行います。御質疑のある方は順次御発言を願います。なお、出席の政府委員は、船舶局長山下正雄君鉄道監督局長山内公猷君、自動車局長國友弘康君、観光局長岡本悟君、国鉄部長八木利眞君であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/1
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002・小柳勇
○小柳勇君 前に続いて質問を展開したいと思います。
第一は、この合理化臨時措置法によって、運輸者がいろいろ資金のあっせんをして、中小造船所に投資いたしますと、造船能力は漸次よくなって参りましょう。ところが、提出資料によると、発注が最近減っておる。この造船能力の増加に対して、発注数というものはどのくらい伸びると観察されておるか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/2
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003・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) ただいまお話しのように、造船のブームのときには、十五万トンないし二十万トン程度の工事が行われておりましたが、現在におきましては、それが約六万トンないし七万トン程度に落ちております。しかし、他方、需要の面を考えてみますると、御承知のように、国内におきます戦時に作りましたE型と、そのほか小さい船がそろそろ寿命に到達しております。従いまして、それらの船の代替建造という問題がじきに起るんではなかろうかということが一つございます。それからもう一つの面といたしましては、東南アジア方面におきまして、小型船舶の利用ということが相当今後行われるんじゃないかという予想をいたしております。従いまして、先年来、東南アジア方面、たとえば、インド、ビルマ等につきまして、川船の調査に補助を出しまして輸出組合から人を派遣いたしております。御承知のように、それらの地区におきましては、まだ国内の開発が十分でございませんので、どうしても天然資源を港に運んで、それを原材料として輸出するということで国の経済が立っておるわけでございます。従いまして、奥地から原材料を運び出すためには、どうしても川を航行しなきゃならぬ船が相当あるわけでございまして、それらにつきましては、外海を航行いたします船と多少趣きを異にいたしております。たとえば、非常に喫水が浅い船であるとか、または推進の方法等につきましても趣きを異にしておりまして、それらの船を十分今は研究をいたしております。従いまして、これの研究の暁には、それらの国の開発の段階に応じまして、そういう小型船の輸出が相当あるであろうという予想をいたしております。
それからもう一つは、賠償関係でございますが、やはりインドネシア等におきましてはああいう島の多い国でございまして、島と島の間の交通というものは、相当大きなウエートを占めております。しかも、インドネシアにおきましては、今まで島と島との航行を一手にやっておりましたオランダのKPMの船会社をインドネシアの政府が排除いたしておりますのでインドネシアといたしましては、国内の海運を早急に充実しなきゃならぬという強い要請もございます。こういうような点につきまして、中小造船は、私どもの努力によって、また業界の努力によって、相当海外にも伸びる道があるというふうな予想をいたしております。従いまして、これらにつきましては、十分りっぱな船にいたしまして、海外とも競争できるような基礎的な条件を備えていくことによって、中小企業の今後の行き方を進めていきたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/3
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004・永野護
○国務大臣(永野護君) ただいま山下政府委員からお話しいたしましたことを少し補足して申し上げますが、今、フィリピン、イドネシアにいたしましても、問題となっておるのは、私どもから言わせると、自国の海運界の事情を無視した全く突拍子もない理想案的のことを要請してきておる。現地の事情を多少知っております私といたしましては、ほんとうにまじめに考えておるのかどうかということが疑いたくなるような現地の実情であります。現地でほしいのは五百トンないし千トンの船が非常に必要なんであります。フィリピンは、御承知の通り、七千の島でできておりまして、その間は小船で連絡をとる以外に方法がない国であります。それが戦争中にほとんどなくなりましたので、極端な例を申しますと、ダバオからマニラに行く運賃の方が、ダバオから横浜に来る運賃より高いというような不合理な実情が起きておるのであります。従いまして、ほんとうにフィリピンがまじめに自国の交通の整備を考えるならば、ああいう十八ノットの何万トンという船を作るよりは、自分の国の直接必要とする、足に類する小船をたくさん作らなければならぬのが、一番事情に即した造船計画案だと、こう考えておるのであります。ただ、これは派手でないものですから、地道な話になりますから、ああいう突拍子もない案を作っておるのでありますが、これはインドネシアについても同様であります。非常に島がたくさんあるのですから、その間の足なんであります。それが一通り整いますまでには、相当期間の注文がある、こう考えておるのであります。ただ、遺憾ながら、昨年のインドネシアの問題でも、ソ連の船が成約できましたように、造船単価の問題で、よその国にとられることが非常に多いのであります。従いまして、日本の中小の造船所の設備を改善し、資金的にも設備的にも、どこの国にも負けないような運営をいたしていきますと今御質問の、非常に御懸念になっております注文先ということは、まず心配しなくてもいいのじゃないか。つまり、いい船を安くさえ作れば、ほしい人はたくさんいるのです。ただ、問題は共通でありますが、みな支払うべき金がないのであります。従いまして、どうしてもある期間は延べ払いをするか、あるいは別に資金を貸してやるかしませんと、ほしいのは、これは間違いない事実でありますけれども、支払い資金の準備が、現実の問題といたしますと、そうはっきり見通しを立っている国がないので、その点が非常に重要なことであります。しかし、需要があるのですから、その需要を満たすべき資金の調達を助成してやらぬといかぬ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/4
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005・小柳勇
○小柳勇君 関連して質問いたしますが、大体発注がふえるだろうという予想はわかりました。もう少し根拠を、抽象的でなく、島が多いからとか、あるいは、安ければ、設備さえよければあるのだというようなことでなくて、具体的に、もう少し予想された根拠をお示し願いたい。それから続いて、投資して、製造能力については大体わかるわけですね。年間十億円ずつ五年間やればどのくらい伸びるということがわかりますから、それと対比して、発注能力は大体どのくらい増進すると判定しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/5
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006・永野護
○国務大臣(永野護君) 先ほど申しましたように、向うの能力のあるということと、それをほんとうの資金の裏づけのある注文にするということは別なことでありますから、その点は一つ分けた方がいいと思います。それで私、賠償の全権に参りましたときに、今、小柳委員の御質問になりましたような数字を手元に一ぺん集めたことがあるのであります。というのは、何そうぐらいできる、各島の人口、交通量を策定した資料を持っておったのであります。そのときは五百トンないし千トンの船を相当数量賠償の中に繰り入れるという案でありましたために、そういう資料を持っておったのでありますけれども、それは今、私の手元に、ここにはございませんので、おそらく運輸省にも、日本内地のことではありませんから、その資料はないかと思いますが、フィリピン政府ではその資料を整えて出してくれたのであります。従いまして、フィリピン政府に頼めばその資料は得られると思いますから、私の宅をよく探して、何しろ古い書類が余りだまるものですから、整理するものですから、整理したものの中に入ったかどうかははっきりわかりませんが、それを私がフィリピンで得たソースに頼めばあるいは得られると思いますから、しかし時がかかりますので、その間の御猶予を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/6
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007・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) 建造能力につきましては、先ほどお話がございましたように、能力を過大にするのは、大型の造船所の能力ともにらみまして、非常に今後の日本の造船のあり方につきまして疑問が出てきます。従いまして、これをいかほどにとどめるかということにつきましては、国内の需要と、外地の今後の予想される需要というものを十分検討いたしましてきめなきゃならぬ問題でございますが、大体の私どもの目の子、または勘といたしまして、能力的には十五万ないし二十万程度の間に年間の造船能力をしたらいかがか、こういうふうに考えております。もちろん、これにつきましては、十分管理等をいたしまして、専門家の意見も聞き、また十分実情の調査等もいたしまして、最後的には幾らにするかということを決定いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/7
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008・小柳勇
○小柳勇君 注文の方は大臣の答弁にまかせておられるようでありますが、今大臣の発言にもあったように、船のコストを安くすればという点は、日本の労働人夫工賃は非常に安い、鋼材が高いから、まあ外国からのいろいろ注文も少いという資料もあるわけです。そういう努力とともにやらなければ、あまり注文がふえないと思うが、大臣の手元に資料は持っておられるようでございますが、私ども心配するのは、建造能力だけをふやしまして、発注能力がありませんと、自然とそれだけ施設が遊びますから、そうしますと、だんだん機械化されていきますと、労働者の数が減ってしまう、そういう面も実は心配しているわけであります。従って、じゃもう少し質問を展開いたしまして、五年後は、この法律が五カ年限定法律でありますから、それから先をどのくらい見込んでこういう法律をお作りになっておるか、その点をお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/8
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009・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) 現在の情勢といたしまして、中小企業の内容を改善するのは今が絶好のときだという観点に立っております。と申しますのは、先ほど申しましたように、需要の面も今後の飛躍が相当考えられる、もちろん今海運界が不況でありますから、注文の実数は少のうございますが、しかし将来に能力を託してこの企業の内容を改善するという方針を今がとるべき時期じゃないかという感じがいたしております。従いまして、それものんべんだらりといつまでもやるというのでは効果がございませんので、少くともこの五年のうちに所期の目的を一応達成したい、そして、そのあとにつきましては、この特別な助成法によらなくて、工場のそれぞれの努力等に待っていきたい。一応五年を限って、その間にやることは十分努力を集中していきたいという考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/9
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010・永野護
○国務大臣(永野護君) 山下政府委員の答弁を少し補足いたします。今、小柳さんの五年後はどうするかというお話を、実は私は五年後こそ非常に楽だ、ホープだと思うのであります。と申しますのは、東南アジア開発計画なんと申しますけれども、実は全くすかんぴんなんであります。この東南アジア各地方のナチュラル・リソーセスを開発いたしまして、そしてそれがいわゆる購買力にかわりますまでには、私は五年ぐらいからぼつぼつそれが購買力になる、十年ぐらいたって初めて本物になるのじゃないか。従いまして東南アジアの市場を期待しますことは、むしろ五年ないし十年後だと考えているのであります。そのときには、先ほど私が申しましたように、向うの購買力を何とか考えてやらなければならないという心配がなくなって、ほんとうの購買力の裏づけを持った注文が出てくると、こう私は東南アジアの経済情勢を観測しておりますので、その後に、ちょうど五年ないし十年後に、日本の一番大きい東南アジアの輸出品は、鉄道車両——ローリングストックと船だとこう考えているのであります。従いまして、むしろその五年間、まだ、先ほどおっしゃる大きな期待を持っておりまする東南アジア地方の資源開発が十分でない間は、実はむしろ非常にそこに心配があるのであります。五年ないし十年後には、小柳委員の御心配になったような点がなくて、非常に明るい場面が出てくると、こう観測している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/10
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011・小柳勇
○小柳勇君 今までの最近の平均投資は、中小造船所大体五億ぐらいです。この法律によりましてプラス十億でございますね。そういうことで、今大臣が言われたように、五年後ぐっと注文がふえたときに、私はそういう、今のこの法律を見ますと、今その老朽しているやつを若干直すとかあるいは倒れつつある造船所を若干息を吹き返させるというような法律でしかないような気がしてならぬ。今大臣が言われたようなそういう明るい発注の見通しがあるのに、逆にこの法律で間に合うとお考えになっているかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/11
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012・永野護
○国務大臣(永野護君) この法律は五年と一応考えておりますけれども、五年の間ずっとやっております間に、今申しましたような新しい市場における購買力もだんだんついてくる。それを見合いまして大いにいくようになれば、こういう小規模なものでない案をそのときに立てていきたい。それは多多ますます弁ずる話でありますから、それを拡大強化いたしますことは、きっとその当時の国会の御了解を得られると、こう確信いたしまして、今の多少不安——ほしい気持でいることだけは間違いございません。ただそれをどうして金を払うかという問題だけが今非常に不安なんでありますから、その不安の間はまあこの程度でやっていきたい、こう考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/12
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013・小柳勇
○小柳勇君 そうすると、現在の建造能力と今注文されている現在の情勢と考えながら、この法律を五カ年間適用していきますと、ちょうどこの発注能力と建造能力とつり合って、労働者の首切りなども起らぬ。五年から先はどんどんまた東南アジア等から注文があろうが、それについても大体間に合うと、こういうお考えで法律を出されたわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/13
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014・永野護
○国務大臣(永野護君) さようであります。ただこの機会に、今申し上げておきますが、大型の船には単価にあまり大きな差はないのでありますけれども、小型の、ことにこの木船には、造船所によって非常に単価に開きがある。その結果、十分内地の事情を知らない人は、値段に釣られて安いところへ注文いたしますと、非常にその日本の造船業の不名誉になるような船を渡すことがあり得るのであります。これは現にインドネシアなんかで起っているのであります。従いましてわれわれは、こういう設備の改善をしますとともに、十分に監督をいたしまして、日本の造船業の不名誉にならないような船を輸出いたしませんと、せっかくの市場が日本の市場でないようになる危険があると思います。十分に監督していかなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/14
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015・小柳勇
○小柳勇君 次の問題に入りますが、この法律を見まして一番感ずることは、二百数十の中小造船所に対して、運輸省、いわゆる監督官庁が生殺与奪の権を握るような気がしてならぬ。それはたとえば倒れかかって今すぐ金が要るようなところにも、この審議会の判定がなされないような場合があるかもしれない。あるいは、まだ余裕があるが、うまく立ち回ってそういう特に目をかけてもらう場面があるかもしれない。そういうことで自然、統合あるいは廃業、そういうことが起るような気がしてならぬのでありますが、そういう点について運輸大臣の御答弁を願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/15
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016・永野護
○国務大臣(永野護君) これは、そういう心配と申しますか、弊害と申しますかは、この事業だけに限りませんで、補助金なんかを出します仕事にはどれにも伴う共通の弊害であります。そういうことは絶対にありませんとは、私、従来のいろんな事例から見まして、実は明言しかねるのであります。そういうことは絶対に起りませんということは、何分多数の人の関与することでありますから、申し上げられませんけれども、私は運輸大臣の責任として、そういうことの起らないような部下の訓練をして、公平にこれを運営していくべきだと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/16
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017・小柳勇
○小柳勇君 国鉄などに経営調査会だとかあるいは諮問委員会、何々調査委員会など、諮問機関があります。これにもちょうどそういうものが、海運造船合理化審議会というようなものをお作りになって、その意見を聞いて、そしてそういうふうな基本計画を立てるように書いてある。そういうものが最終的には、今、大臣が言われた方針に従ってもろもろの計画を立てると思いますけれども、この合理化審議会が一方に偏する、あるいは御用機関になりますと、私心配しているようなことが起る可能性があると思うんです。この合理化審議会に対して特に何か配慮されている点があったらお聞かせおきを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/17
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018・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) 特に配慮されておりますことは、海運造船合理化審議会と違いまして、もう少し工場の個々の実態に触れてものを考えていきたいと考えております。これが一番中小企業にとりまして、大づかみの異論でなしに、個々の問題に触れてその改善策をはかってもらうというのが一番望ましいことだと思います。従いまして、この技術的な問題につきましては、造船技術審議会の中に実際の技術に毎日従事しておられる優秀な方を集めまして、その方々に技術的な問題について十分検討していただく、そして、これを中小企業にアプライする場合にはどういうふうにしたらいいかというような、具体的な問題を十分議論してもらうつもりでおります、それから、もちろん、私どもの出先が地方にございますので、地方の船舶部の技術家等を使いまして、工場の実態に触れてほんとうに、たとえば小さい企業でございまして、引き揚げの修繕台が十分に動いていない、それにはたとえば引き揚げのレールが足らないというような問題等ございましたならば、この小さいことでもいいから取り上げまして、それを個々に解決していくという努力を払っていきたいと考えています。ですから、大づかみな議論はもちろんいたしますが、個々の事例につきまして十分な配慮をして、この中小企業の実態問題に触れていきたい、こう
いうふうに考えております。そういうふうな仕組みを中に作るつもりでござ
います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/18
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019・小柳勇
○小柳勇君 市中金融機関から大体五億ぐらい初年度考えておられるようでありますが、そういうのを一応見当がついておるものであるかどうか、お聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/19
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020・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) 資金につきましては、年間約十億、五カ年間に五十億の予定をいたしております。このうち、年間の十億のうち五億は開発銀行資金から融資を受ける予定でいたしております。これにつきましてはもちろん、これを出しましょうという確約は得ておりませんが、開銀の当局としましても極力援助しようと、また、大蔵省におきましても、まあできるだけ一つ努力しようというような話し合いをいたしております。それから、その他の資金につきましては、実はまだ具体的な話をいたしておりません。しかし、この法文にもございますように、政府は融資のあっぜんについて努力をするという文句がございまして、これが運輸大臣はというのでなくて、政府はということでございまするから、当然大蔵省も一はだこれに脱いでもらうという打ち合せになっております。従いまして、もちろん運輸省といたしましても、資金その他につきましてはいろいろ折衝し、努力をいたしますが、大蔵省も一はだ脱いでくれるという約束になっておりますから、できるだけの融資につきましては努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/20
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021・小柳勇
○小柳勇君 金の問題については、まだ細目——最終的でないようでありますから、詳しく突っ込みませんけれども、現在の造船業の情勢をずっと調べてみますと、中小造船所に頼むべきような小型船舶すら大造船所に吸収されつつある。これはせっかく作るけれども、注文を受けるけれども、小型造船所ではすぐその金が入ってこない。大造船所であればしばらくは余裕を見るので、注文する人も金の都合によって大造船所に頼むというような傾向があるように見受けるのでありますが、そういうものの調整については、その金融の関係と関連して調整についてお考えであるのかどうか、聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/21
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022・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) ただいまの御質問でございますが、私ども従来から小さい船は小さい造船所に、大きな船は大きな造船所にというような指導をいたしております。造船工業会等にも絶えずその意見を申しております。しかし、小さいと申しましても、たとえば非常にむずかしい船でございます——たとえば引き舟で、その推進機としましてシュナイダープロペラをつけるというような船でございますと、これは技術の程度が高いものですから、なかなか中小企業の技術水準ではこなしきれないというようなものは当然大きなところがやりますが、従来から小さい船につきましては小さい造船所にやってもらうようにという指導をいつもいたしております。今後もかような方針を堅持していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/22
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023・小柳勇
○小柳勇君 少しこまかくなりますけれども、今、中小造船所では、本工対臨時工並びに社外工の比率が、あなたの方の報告では大体半々、五〇%ぐらいと書いてありますけれども、私どもの調査によりますと、二二、三%しか本工はないように調べておりますが、そういうような本工が少いのは、今申し上げたように、注文をとろうとしてもとれない。従って本工をよけいに置くと人件費がかさむために、そういうような非常に変則的な雇用関係にあるわけです。現在の労働力の不安定な情勢にあるので私は心配するのでありますが、この点について再度、御配慮になっておればお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/23
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024・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) お話の点はまことにごもっともな点でございます。大造船所におきましても仕事の閑繁の影響をのがれますために、社外工または臨時工等を相当採用しております。ところが、従来非常に仕事の閑繁の激しい中小企業におきましては、どうしてもそのリスクを工員の数によって調整をするという傾向がございます。その点はまことに働く方々のためにはまずい点でございますが、しかし会社の仕事がこれに伴わなければ、常時多くの人を常用工として雇用できないことは当然でございますので、その点につきましては、今後とも仕事をできるだけとれますように、国内の問題とか、また国外の問題等につきまして、私どもも努力いたしまして、工員の方が安定した仕事ができますように、私どもの努力を集中していきたいと考えております。現在のところは、まことにそういう点につきましては、私どもとしましても感心した状態ではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/24
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025・小柳勇
○小柳勇君 最後になりますが、モーターボート競走法との関連について少し説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/25
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026・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) 今回の法律でモーターボート競走法の一部を改正いたしまして、従来このモーターボート競走法によって納入金が関連工業に、あるいは海難防止関係に使用されております。その納入金を今後これらの中小型鋼船の問題について利用できるような道を開きたいと考えておるわけでございます。もちろん、この設備の大きな金額につきましては、モーターボート競走法の納入金にたよるということは、もうすでに出しております事業との関連もございまして、大幅の金額をさくことは非常に困難と思います。しかし、中小型鋼船造船業の問題につきましては、国の補助金、または予算あるいは銀行の貸付等の金でなかなかめんどうを見切れぬ問題が相当ございます。たとえば地方で中小型鋼船造船業に従事をする技術者の講習会を開くというようなことになりますと、中小企業自体としましては、その費用を捻出する力というものが比較的少いわけでございます。ですから、納入金の方の関係でその費用を補助するというようなこと、または実際に船を作ります場合に、いろいろ図面を書きますが、最近の船は昔の船と違いまして、でき上った図面を見ますると、その場所は溶接でずっとつけてあるということはわかりますが、そのくっつけている場合に、順序ということが非常に問題になる。順序が悪うございますと板がはね上りまして、どうしても内部に非常なストレスが残るというようなこともございますので、順序等が大事でございます。そういうような具体的な図面を作製する費用と、また配付する費用というような点に、モーターボートの競走会で上りました納入金の一部を利用するとか、そのほかいろいろの、たとえば中小企業の方が協同組合を作って、そこに必要な試験の設備を作りたいというようなもので、その金額があまり大きくなくて、そのほかのいろいろの機関に入ることができないような場合等がございました場合には、この納入金からある程度の費用をさいて必要な施設に補助するというようなことも考えたいと思っております。従いまして、開発銀行の資金または市中銀行の融資に乗りにくい、漏れた、共同の利益というような点についてこの納入金の利用を考えていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/26
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027・小柳勇
○小柳勇君 この前の質問でモーターボート連合会の大体年間の純益一億数千万あるように報告受けておりましたけれども、その利益というものが、大体どういう方向に今まで使われておるのか、お聞かせおき願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/27
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028・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) 納入金の額を最初に申し上げたいと思います。納入金は、昭和二十九年から申し上げますが、端数を省略します。二十九年が八千五百万円、三十年が一億四百万円、三十一年が一億六千六百万円、三十二年が一億八千三百万円、三十三年の見込みが一億六千三百万円の予定をいたしております。
それで、それをどういう方面に使ったかということでございますが、毎年のことを申し上げるのも、非常に数が多うございますので、三十二年度につきまして申し上げます。三十二年度は、納入金として受け入れましたものが一億八千三百万円、それから従来関連工業等に貸しまして、それが返ってきて、返ります貸付金の償還金が五千三百万円、それから受取利息が一千百万円、それから繰越金が六千八百万円、合計、年度としましては三億一千六百万円の収入がございます。そのうちそれを貸金といたしまして二億三千八百万円、関連工業の調査研究費といたしまして九百万円、事業の補助金といたしまして五百八十万円、合計二億五千四百万円を関連工業振興費として支出いたしております。それからそのほかに業務の委託手数料といたしまして二百二十万円、管理費としまして四百九十万円、合計いたしまして二億六千万円が支出されております。そのほか繰越金が五千六百万円ほどございます。このようにおもに関連工業の振興に使われております。それから三十三年度からは、先年の法律改正によりまして、海難の防止のために約三千万円程度支出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/28
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029・小柳勇
○小柳勇君 大体わかりました。私は、このモーターボートあるいは競輪、競馬など、こういうばくちのテラ銭によってこういうような中小造船所の振興に金を出されることについては賛成ではありません。まあこれ私が言うまでもなく、非常にそのことによって不幸な家庭がたくさん出ておるような情勢でありますので、そういうものはなるべく利益を少くするように御指導あって、できれば市中銀行なり開発銀行から融資されて、この中小造船所が安定した造船をやることのできるように指導監督されることを要望して質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/29
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030・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 私からこの際関連して一つお尋ねをしておきます。
この造船産業の育成にとって重要な問題が幾つかありますけれども、その一つが鉄鋼価格の安定ということではなかろうかと思っております。すなわち鉄鋼の価格が非常に大幅に変動するということが、造船産業にとって非常に大きな悩みの種である、こういう工合に考えるのですけれども、この鉄鋼価格の安定策について政府はどういう工合にお考えになっておるか、この際一つ関連してお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/30
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031・永野護
○国務大臣(永野護君) 鉄鋼問題は、実は通産省の所管でありますので、価格の安定のことを私がかれこれ申すのもいかがかと存ずるのでありますが、鉄鋼価格の中で、運輸省の所管で非常に考えなければならぬことは、昨年から問題となっておりまする鉱石専用船の問題であります。御承知の通り、鉄鋼の原価計算の一番大きなものを占めておるのは原料でありますが、その原料の一番大きな要素は運賃であります。現地はほとんどただみたいなものであります。それを持ってくる運賃によって鉱石あるいは粘結炭の価格はきまる。で、これができ上った鉄鋼製品の最も大きな要素になるのであります。そこで、これは運輸省所管のことについて申すのでありますが私は昨年十四次造船のときには、十四次造船を成立せしめますための、言葉は悪いかもしれませんけれども、一種の救策として鉄鋼の問題を持ち出して、やっと険路を切り抜けていったのでありますけれども、そういう意味でなくて、日本の海運界にこの鉱石車用船の問題は非常に大きな問題であり、それが今委員長のお尋ねになります鉄鋼価格の安定ということに非常に大きな影響を及ぼすものであります。御承知の通り、海運界の運賃がフラクチエートしますと、その結果がすぐ鉄鋼の相場にはね返るわけです。そういうような意味におきましてこれが非常に大きな問題であると思うのでありますが、特にだんだん近いところに鉱石がなくなりまして、インドまたはベネゼーラというような非常に遠いところから運んでこなければならないようになっておりますので、この問題が一そう重要性を帯びて参っております。私はその意味において日本の鉄鋼価格の安定に寄与する、運輸省として寄与し得る最も大きい問題だと存じておる次第でございます。私は鉄鋼業に直接に関係はございませんけれども、いろいろな意味で鉄鋼業の安定ということには関心を持っておりまするので、この造船の一番大きな要素である鉄鋼価格の安定ということにできるだけの微力を尽していく決心であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/31
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032・相澤重明
○相澤重明君 先日の委員会で資料要求しまして、この資料が提示されたわけでありますが、この中で二、三お尋ねをして置きたいし、あとで運輸大臣に輸出とわが国の海運業との関係についてちょっとお尋ねしたいと思います。
最初に資料の点ですが、この資料の三ページの三十三年八月五日、ビルマ側の税関、それから日本側は伊藤忠、造船所は墨田川造船所、これの修正増額分というのが出ておるのですがこれはどういうことでこういうふうになったのか、この点御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/32
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033・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) お尋ねの伊藤忠が扱っております墨田川造船のことでございますが、これはたぶん、詳細は存じておりませんが、追加工事等が出て、最初の設計から多少模様がえをして、費用を要求して新しく追加契約になったものじゃなかろうかと思います。で、詳細存じておりませんので、あとで調べまして正確なことを御返事申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/33
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034・相澤重明
○相澤重明君 次にお尋ねして置きたいのは、その次のページのフィリピンヘの賠償船舶の中で、上から四行目の三十二年九月二十日、不明、三菱商事、三保造船所、それから下の欄の二行、三十二年十月二十六日、不明、木下商店、山西造船鉄工所、三十二年十一月二十二日、不明、日下部産業、山木造船、それからその次のページの三十二年十二月二十八日——一番上です。不明、伊藤忠商事、東和造船、その次が物を作りまして、渡しても、今度は向うで取り手がないというものすら現実にあるのであります。そういう事情でありますから、ごらんになると非常に不明朗なんですけれども、それが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/34
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035・相澤重明
○相澤重明君 まあせっかくの運輸大臣の御答弁ですが、どうもそういう点が、国民の側から考えるというと、賠償船について何か陰にあるのじゃないかという点が実は疑問になるわけであります。つまり、事が日本の戦争に負けたということ、また、それの賠償を支払うということ、それが現物でなされる、こういう点については、これは日本としても政府に協定はまかされておると思うのですが、しかし、少くとも日本国民の税金でそれだけの賠償を支払うということであるから、これについてはやっぱり明らかにしなければならぬ。これは第一の問題だと思う。そこで、ビルマにしろインドネシアにしろ、あるいはフィリピンにしても、当然相手の国と何隻、総合何トンということで、もちろん総額についても発表される。けれども、相手側が直接方式であろうと間接方式であろうと、いずれにしても相手側の責任で日本政府との間にやることなんです。しかし相手側でも、無計画でただ日本の政府に賠償だからこれだけとにかく勝手に払えということじゃなくて、やはりそこには計画的に、たとえば、十カ年計画あるいは二十カ年計画ということでこれは出されておる。国内でも、つまりそれぞれの国の国内産業の発達のために日本の賠償というものは来ておる、こういうことになっておると思う。そこで、そういう計画が行われておるとすれば、当然、今運輸大臣もお話しのように、これをもとはただであるから、そこに政治的に、あるいは商社の取引の中で落札が行われるのだということであっては、やっぱり相手国自身も非常に困ると思う。そこで、やはり、どこの会社、あるいは政府が使うとか、民間が使うとか、こういうことに私はなってくると思う。この資料の中にもあるように、たとえば、政府が使っておるものもあれば、民間に使わせているものもある、こういうふうになると思う。そこで、そういう点をやはり明らかにされないというと、何か日本の政府は相手の政府と取りきめはしたけれども、それは、直接業者だけがそこにいわゆる実際的の契約を結ぶんだ、だからむしろその業界の意見というものが政府に反映をしてそして政府はまあ業界の意見によってこれは左右されておるのだということになりはしないか、そういうおそれが出てきやせぬか。こういうことであっては、やはり賠償という基本的な問題の協定をする場合に問題が起るのじゃないか、こう思いますので、今のお尋ねをしたわけでありますが、運輸大臣は、特に、先ほどもお話のように賠償使節団の団長なのですから、とにかく、そういう点を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/35
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036・永野護
○国務大臣(永野護君) そういう疑惑の点を持たれることも、私は、いわゆる直接方式を避けまして、間接方式にしてくれなければならぬということは強く主張したのであります。これは、当時の議事録をごらんになればはっきりするのであります。ところがまとめますために、どうしてもそこまで譲らなければまとまらなかったのであります。実は、現物で日本の産業助長のために賠償を払うというようなことは、最初は外務省の専門家はほとんど相手にしなかった。しろうとがとんでもないことを言う。古今東西の歴史で、負けた国が勝った国に罰金を払うのに負けた国の産業開発のためにこれを使うんだというような制限付の賠償の取りやりなんというものはない。しろうとがとんでもないことを言うといって最初は私は昼あんどんのような扱いを受けたのであります。近ごろこそ賠償と経済開発というものが結びつくことがほとんど常識になりましたけれども、四、五年前の新聞でも雑誌でも、いろいろな記録をごらんになりますと、賠償と日本産業の開発ということを結びつけた議論はなくて日本が日清戦争によってシナから二億テールの罰金を取ったけれども、その二億テールは清国の産業開発のために使うというような条件をつけたら、日本はとうてい受け入れなかったと思うのであります。こういう状態であったことを了解していただきませんと、私が理論的にいわゆる間接方式が正しいと言っても、その主張が通らなかった。ある程度向うの言うことをいれなければならなかったその事情のお察しが願えぬと思いまして、直接この問題には触れないことでありますけれども、申し上げておたいのであります。
そういうふうでありますから、これはフィリピンの国会では非常に問題になることであります。かりに岩間議員がフィリピンの議員だったら絶好の演説題目だと思うんですけれども、(笑声)日本政府ではこいつは演説の材料にならないのであります。全く打ち切りまして、向うの政府の全く自由にまかされて、日本政府は触れちゃいかぬ。その触れちゃいかぬということに、なぜそんなことにお前譲歩したのだと言われますると、今言ったようないきさつからそれを認めざるを得なかったのであります。そういう意味でありますから、不明朗な点とおっしゃる点がありますことは一つ御了承願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/36
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037・相澤重明
○相澤重明君 次の、この中小型鋼船のいわゆる時限法、五カ年で合理化を促進をするということでありますが、そこで私はお尋ねしたいのは、海運界との調整というものをどうするか。造船業界としては自分の持つ能力を最高度に発揮し、しかもまた、できるだけ多くの輸出をしたいということは、これはもう日本の国策にも沿うし、また、経済界の発達にもなると、私どもも賛成であります。しかし、他面においては、海運業者は、やはりできるだけ自国の船を外航路においても利用さしてもらいたい、各国の荷物を取っていきたい。これは国際競争の日本の海運界における大きな問題点だと私は思うんです。そういう点で三千トンということが一つの目標ではあるけれども、しかし、今の東南アジアの地帯は、先ほど運輸大臣もお話しになったように、将来の問題としては、国際マーケットとしてはきわめて重要な地点になるのじゃないかという点を考えると、日本こそ四面海に囲まれておる海運国なんですね。その海運国の重要な海運業界というものを、どういうふうにして一体これから経営維持させるか。これはあとでいずれまた時期を見て、私は旅客船公団の問題でもあなたと十分意見を交換するつもりでおるけれども、この中小型船舶についても、私はこれは小さいから問題にならないということにはならぬと思う。私も、ビルマ、インド、マライ等はよく知っておりますが、そういう点で、あなたは一体、日本のこの海運業界とどういう調整をこれからやろうとするのか、またその人たちに対して、どう業界の発達ということを考えていこうとするのか、こういう点について、基本的な問題ですから、一つお答えいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/37
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038・永野護
○国務大臣(永野護君) お答えいたします。造船界と海運界の調整をどうしてとるかということは、現在日本にある一番私は最大の問題だと思いまするので、これは単に運輸省だけの問題じゃないと思います。御承知の通り、造船業というのは非常に多数の関連産業を持っている産業でありますから、国策としてどうしてもこれはきめていかなきゃならぬ大きな問題だと思います。従いまして、その一般の大きい、つまり高速船、外航船についてのお話についての御答弁は、これは大きい問題ですから別の機会に譲りますが、今の小型のものは、これは日本の海運界とはほとんど交渉がないのであります。というのは、沿岸航路で日本は割り込んでいけない。つまり自国船にのみ許されたる航路につく船でありますから、これを幾ら作りましても、それが日本の海運界に影響を与えるようなことのない船に限られている問題でありますから、根本問題として非常な大きな影響があるとお答えしました外航船についてとは違うもので、その点は心配ない。絶無とは申しませんが、三千トンくらいの船でも航行しますから、絶対とは申しませんけれども、まず大体は二千トン三千トンの船ならば、みんな、まあフィリピンにしてもインドネシアにいたしましても、自分の、日本人の船の航行のできないところを運航する船でありますから、御質問の点はまず心配ない。根本は、大きい船については非常に大きな問題になる。おそらく一番大きい問題だと、私はこう了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/38
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039・相澤重明
○相澤重明君 これは少し私と運輸大臣の見解と相違があるように私は思うのですが、私はこの東南アジアは大型船ばかりじゃないです。実は日本の船も、貨物船にしても七千トン、一万トン級くらいがかなり利用できるところなんです。だから三千トン、一口に三千トンというけれども、三千トンの価値というものは私は相当なものだと思うのです。ですから、外航船舶についての問題は、また先ほど申し上げたように、私は旅客船公団法のときに十分うんちくを傾けて一つお尋ねをしたいし、またお聞きしたいと、こう思うのですが、この点についても私はやはり、日本の海運業界の人たちが非常に頭を痛めておる問題ではないか。ですから、むしろ今後の問題としては、私はそういう点を運輸大臣には十分一つお考えを願っておきたい。これはきょうの答弁で心配ないと言われても、私はどうもそういうふうに受け取れない面が多々ある。こういう点でその点は一つあとに十分御検討いただくということにしておきたいと思う。
それから最後に、この中小型船でありますから、一番私どもに心配されるのは、合理化審議会なりあるいは技術審議会でいろいろ検討を願ったけれども、どうも先ほど小柳委員の御質問のあったように、たとえばABCならABCの中のAという造船所は、これは採算が幾らやってもとれない、融資をするに値しない、こういうのであるから、この際一つ審議会によって御討議の結果、これは仕方がないからやめてもらおう、融資のあっせんもしない、こういうようなことがあっては私はこれは大へんなことになってしまう。こう思うので基本的に運輸大臣としては、現在の造船産業はこれを育成をするこういうこの法律の趣旨に基いて、脱落というものはない、絶対にありません、こういうことがお約束できるのかどうか、この点一つ運輸大臣から御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/39
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040・永野護
○国務大臣(永野護君) 運輸省といたしましては、造船業者に好きこのみをするという気持は毛頭ありません。公平にやるつもりでおります。御指摘のような、委員会の運営がへんぱなことでもするようなことがあっては大へんであります。けれども、これは組織の問題であり、むしろ具体的な人選の問題だろうと思います。人選を間違ったことをしたら、組織で何ぼしばってみても、それからいろいろな脱法行為も行われるかと思いまするので、この人選には非常に注意を払いまして、御期待に沿うように運営していきたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/40
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041・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/41
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042・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記をとって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/42
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043・杉山昌作
○杉山昌作君 これは大臣でなく事務当局にお尋ねいたしますが、この法案については、先だっての委員会でも私は御質問申し上げたが、私は非常にこれに盛られておる政策には大賛成なんです。五カ年計画でやるということは非常にいいことだと思いますが、一体この法律が必要なのかどうかということになるとまた別問題です。ずっとこれを見ますと、第一条は目的、二条は定義、三条、四条、五条は計画を作って発表するのだ、六条では資金のあっせんをするのだと書いてある。一体計画を作って発表するということは、法律を待たずとも、運輸省にはそういう権限、職責があるんじゃないか。資金も交付金をくれるというのなら法律が要るでしょうが、「資金のあっせんに努めるものとする。」というふうな非常にゆるやかな書き方をしておる。これなら何も法律をもってしなくても、運輸大臣は資金のあっせんに努めればいい。ただ法律がなければどうしてもできないものはモーターボートの益金をこちらに回わすという法律の改正だけなんです。しかも、これはさっき小柳君からお話がありましたように、もともといやなことなんだということになると、一体何のためにこの法律が必要かこの法律がなければできないということはどういうところにあるか。これは政策には私は賛成ですけれども、今言うように非常にゆるやかな法律を作っておる。大体法律は法律でなければできないときに作るので、なるべく法律の数は少い方がいい。あってもなくてもいいという法律を作るのは、これはお互いに避けるのがほんとうじゃないかと思いますが、そういう意味で、一体この法律がなければ仕事ができないのかどうか、そこをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/43
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044・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) お尋ねの件まことにごもっともでございますが、法律の専門家の方に法律のお話を申し上げてもどうかと思いますが、法律を制定します場合に、一般に社会の進歩向上を目ざして、一定の政策目標を達成するために法律は制定されるものでございます。従って、法律はその企図する目的達成のために、社会生活に関係のある行為を直接または間接に規制して、かつその規制を強制する性質があるものでございます。でございますから、法律は特定のものに対して権利を制限し、義務を課するとか、甘んじてそれを受け入れることを要求する、違反者に対しては罰則をもって臨むというケースが多いわけでございます。しかし、この法律で規定されております事項については、このような法律的な強制力または制裁を伴わず、任意規定や訓示的な規定が多く見られます。たとえば民事の関係の法律等に相当あると思いますが、このように特に助長が行政の手段として、経済関係の立法において多くその例があるわけであります。この法案の目的として規定しておりますように、中小型鋼船造船業の助成のための法律でございましてすなわち、中小型鋼船造船業の急速な合理化を強力に推進する必要が現在の情勢上特に必要でございますので、因みずからが中小型鋼船造船業の合理化についても計画を策定して、これを公表するとともに、その合理化のための設備資金の確保に努力をすることとしまして、当該事業の合理化に対する決意と責任を明らかにしておくということでございます。このことは、国が中小型鋼船造船業を営む者に対しまして、事業の合理化のための指針を与えますとともに、これらの事業者が国の策定した計画に従って当該事業の合理化に努力をし、促進しますように、または国の意図しております行政目的達成のために合理化計画の実施に協力するということを要請しておるのでございますが、このような見地から法律案を出したわけでございまして、まあ政府のこの事業に対する決意ということの表現ということで御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/44
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045・永野護
○国務大臣(永野護君) ちょっと補足して私から……。御承知の通り大造船所では相当な調査機関を持っておりまして、自分たちの会社の進むべき方向というようなことについて、政府の指導を受けなくても、ある程度の世界の大勢も見、国内のいろいろな諸情勢も勘案する能力を持つのですけれども、これの対象になりますような小さな造船所は、ただ目先きの、眼前一尺ほどの刺激に応じた反応を示すようなことで運営しておりますので、大体ことしの景気はどうだろうか、世界の海運界の情勢はどうだろうか、こういうふうに進まなければならぬというような抽象的の資料を持ち合せしないところが非常に多いのであります。絶無とは申しません。従いまして、中小の造船所に対してどういうふうな対策をしなければいかぬよということを大きな観点からきめまして、それを指導する、一定の目標を立ててやるということは、必ずしも無益ではない、こう考えます。
それからもう一つは、資金のあっせんでございますが、実際問題として、日本の銀行家は、政府側が口をきくと大ていあれはいいだろうと貸してくれる、実際上の効果は相当あるのでございます。国家の資金をすぐ運用するのでなくても、政府が一種の保証的の位置に立って、あそこに資金を運用して貸してやってくれということを口添えしますということは、相当実効があると思います。右申しましたような二つの点でこの法律は存在の意義がある、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/45
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046・杉山昌作
○杉山昌作君 大臣のお話の通りに、中小の小さい造船所に対しては一つの目標を与えてやるということがいいことである、あるいはあっせんをしてやることはいいことである、そのことは、先ほど申し上げたので、全面的に賛成ですが、法律を待たざればできないことじゃないと思うのです。先ほど船舶局長ですか、お話がありまして、政府の決意を示す意味だとおっしゃるから、そういう意味ならその意味で了承いたしますので、法律が通った上はぜひその決意に基いて、積極的に運動、努力をしてやっていただきたいということを希望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/46
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047・永野護
○国務大臣(永野護君) もう一つ申し添えますと、杉山委員がお読みになって、法律がなくてもできるじゃないかというお感じをお持ちになることは、実はもっともと思うのですけれども、これは沿革的な理由があるのでありまして最初は、なるほど、この法律はなくちゃいかぬというような法律を考えておったんであります。ところが、実際問題として、大蔵省なんかとも折衝の結果、杉山委員がお感じになるような程度のものになっておるのでありますけれども、これは運輸省といたしまして、決してこれは理想案ではないのであります。従いまして、やっていきます上に、さらに進みましたら、なるほど、この法律がなくちゃならぬというような法律にこれを育てていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/47
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048・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/48
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049・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/49
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050・相澤重明
○相澤重明君 先ほど運輸大臣からお答えをいただきましたように、私はこの五カ年の限時立法が通過いたしました上において、中小型鋼船の造船業者が、政府の施策によって脱落をしない、こういうことを確認をして、この法案に賛成をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/50
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051・松浦清一
○松浦清一君 簡単に申せば、相澤委員の賛成意見と同様に、私も賛成をいたしたいと思うのであります。
ただ、この法案は、三千トン未満に限定をした中小鋼船の造船業者に対する問題でございまするけれども、日本の造船と海運の大もとの政策につきましては、いずれ運輸大臣と意見を交換させていただく機会があろうと思います。ただ気にかかりますのは、三千トン以下と申しましても、二千トンないし三千トンの船を作り得る造船所と、五十トンぐらいのものしか作れない造船所と、ずいぶんたくさんあるわけであります。結局三千トン級の船を作れるような造船所においては、相当の政治力を持っておることが、中小企業たる造船所の中ではあろうかと思われますので、たとえ五億円の開銀融資にしろ、その他五億円の融資あっせんにしましても、非常に積極的に運動が行えたから、その方に融資のあっせんがなされて、大して運動ができなかったから、それがなされぬ、こういうことのないように、いわゆる三千トン未満の中小造船所全体に目を通されて、その資金のあっせんが平均に行き渡るように御努力を願いたいことを申し上げて、賛成をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/51
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052・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ほかに御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/52
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053・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 御異議ないものと認めます。
それでは、これより採決いたします。
中小型鋼船造船業合理化臨時措置法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/53
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054・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他の自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/54
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055・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/55
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056・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 次に、先般、日本国有鉄道志免鉱業所の現状を調査するため、委員を派遣いたしましたが、その報告を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/56
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057・小柳勇
○小柳勇君 委員長の指名によりまして、ただいまから、志免現地調査団の報告をいたします。
調査委員は、運輸委員長大倉氏、それから運輸委員平島委員、それから私の五名でございます。以上三名で、十九日から四日間、日本国有鉄道志免鉱業所の事情調査のため現地に参りました。以下、現地で各関係者並びに第三者的立場の中から聴取いたしました話の概要と、博多駅にて福岡通産局の関係者より聴取いたしました点を申し上げて、視察の報告といたしたいと存じます。
報告の順序は、時間の流れに従い、まず、博多駅長室において、福岡通産局石炭部長から聴取しました志免鉱業所の概況並びに若干の質疑応答の点について申し上げます。
石炭部長の概況説明によりますと、国鉄志免の出炭量は昭和三十二年度が五十一万六千トン、三十三年度は、現在までのところ、昨年度に比較して相当減っておりますが、しかし、これは企業費さえ投入すれば、昨年度程度近くの出炭はできるのではないかと思うとのことでございました。労務者一人当りの一カ月の出炭量については、三十二年度の志免鉱業所が十五・四トン、九州大手の平均が十四・五トンで、志免の方が多く、三十三年の十二月についていえば、志免が十一・六トン、九州大手の平均が十四・八トンとなっておるということでございました。
次に志免の埋蔵量につきましては、志免全体としては、理論可採埋蔵炭量が一千八百九十九万七千トン、実収炭量が千三百六十四万トンで、赤土層・ダンダラ層、浦田中白層及びザルボ層について見れば、理論可採埋蔵炭量が千五百九十万五千トンで、実収炭量が千百四十六万一千トン、この千百四十六万一千トンの埋蔵量は、年産出炭量を五十万トンとしても、なお今後二十年分の炭量があるとの話でございました。
次に、志免は鉱区が二重、三重に入り組んでいるので、総合開発すれば、この地区の資源全部が開発され、生きてくるので、総合開発はぜひともやらねばならぬことであるとの意見でございました。しかし、だれがやったら適当という点については、通産局としては意見を述べる立場にないとて、意見の開陳はありませんでした。
次に、国鉄が志免を経営していることについてどう思うかとの問に対しましては、大手と比較して特に不合理、非能率とは言えない。また現在、志免には職員が三千二百人おるが、もし志免を民間業者が経営するとしたらどのくらいの人数でやると思うかとの質問に対しましては、統計上からは何とも言えないが、志免は本社業務もやっているので、その分だけは少し多いとも言えるのではないかとのことでした。また、志免は山としていいのか悪いのかとの問に対しましては、大手のものとしたら普通の山で、炭質については、一般炭としては良質の部であるとのことでありました。また、国営なるがゆえに特に不都合な点がありはしないかとの問に対しましては、特に国営なるがためにどうという問題はないとのことでありました。
次に、総合開発は資源の開発の点から必要だといわれたがそれでは総合開発したらどのくらいの増炭になるかとの問に対しましては、宇美累層と勝田累層、合せて三百二十万トンは増加できると推定できるとのことでございました。
以上が通産局石炭部長から聞いた志免に関する概況と答弁であります。
次に、志免鉱業所において当局から聴取しました志免の概況並びに若干の質疑応答について申し上げます。
まず、鉱区と資源開発について、志免は鉱区が上下の各層に所有権が入り込んでおり、下層には断層もあり、全資源を生かすためには志免の縦坑を中心に開発するのが番いい方法であると考えているとのことでした。そして上手に開発ができれば、二千万トンくらいはあるのではないかとのことでした。次に、埋蔵量については千百万ないし千二百万トンはあると思うとのことでありました。次に、出炭量について、年間四十五万ないし四十八万トンは出炭できると思うが、五十万トンは困難だとのことでした。しかし、鉱区買収費と総合開発費を出すなら五十万トンは出せるとのことでした。炭鉱当局よりの説明は、ここで労組の集団陳情が参りましたので打ち切り、直ちに労組の陳情を受けました。陳情の全文が委員長の手元にありますので、あとでごらん願いたいと存じます。
続いて、四カ町関係者、志免町長小串清氏外七名、鉱害被害者組合の対策委員長安河内伝氏外三名、国鉄志免鉱業所赤坂所長外四名、国鉄労組志免支部の阿世賀委員長外三名並びに前志免鉱業所保安副長鶴田国三郎氏をまじえて懇談をいたしましたので、その概要を申し上げます。
まず、四カ町の鉱害被害者を代表して須恵町の助役より、志免鉱業所の民間払い下げについて次の二つの理由から反対の意見が述べられました。その反対理由の第は、鉱害問題を非常におそれること。すなわち、民間業者は口先だけでは上手なことを言うが、とどのつまりは補償をしない事実が幾らもあるので、民間業者は危険で仕方がない。特に中小炭鉱業者にはそんな事実が幾らもあるから民間払い下げには絶対反対である。第二の理由は、炭鉱に不況がくると、必ず人員整理が起る。その場合地元町村としてはその失業者をかかえきれない、この二点を強く主張して反対の意見を述べられました。
なお別に、四カ町の鉱害被害者組合から国鉄志免鉱業所民間払い下げ反対の歎願書が渡されました。委員長の手元にありますので、労組の陳情書とあわせてごらん下さるようお願いいたします。
次に、鉱害被害の状況について説明がありました。その概要を申し上げますと、地面の沈下は三メートルに及んでいる。こんな状態にあるので、志免鉱業所の民間払い下げということを聞いたときは、頭から冷水を浴びせられたような思いがしたとのことでした。鉱害の被害量については、復旧済みの分を除いた現在残量が、水田四百二町歩、家屋千九十五戸、墓地二千三十六基、道路三十七キロ八百五十メートル、灌漑施設十カ所、河川五千五百メートル、公共建物十三戸、ため池二十六カ所、その他水道、ボタ山のくずれ等があって、金額として十二億六千六百四十万円に上るとのことであります。ことに、この志免の山は、海軍の炭鉱として発足し、以来、拡充に拡充を続けてきたので、美田の壊滅、家屋の取りこわし、用水池の取りこわし等たび重なっているが、われわれは、国営なるがゆえに、あらゆる問題も忍べるだけ忍んできている。そして国を信頼するがゆえに、補償復旧にも甘んじてきた。昭和二十五年の特別鉱害復旧臨時措置法がここにも適用されるにもかかわらず、その適用を受けなかったのも、国がめんどうを見てくれると信じたからである。事実問題として、近くの町村に比較してここの復旧はおくれている。たとえば粕屋炭田においては三菱、かめ山等九〇%も復旧しているのに対して、志免は家屋を含めてわずかに一三%復旧している程度である。中原、須恵地区は、須恵川の自然流水による水田耕作であるが、ほとんどこの自然流水が使えない実情である。また三メートルも地盤が沈下しているので井堰を上げて水を田に引くと、今度は部落全体が水びたしになる危険もある。飲料水も河川を利用しているが、河川が度はんらんすると、顔も洗えなくなる状態である。以上のように、何分にも大きな鉱害をこうむっているので、そのまま民間に払い下げられると、祖先伝来の耕地が不安定のまま放置される始末となって、大きな生活問題として現われてくることが予想されるので、部分的復旧でなく、全面的な復旧の実施を強く要求するとのことでございました。また、鉱害問題については、不安定地区、未発生地区の問題が番むずかしいことであるが、営利を主とする民間業者に払い下げられると、この不安定地区、未発生地区が一番大きな鉱害地区となる危険が多いので、全面的、総合的復旧計画により金額を出してほしいとの要望でありました。
これらの問題に対して炭鉱当局の説明は、まず特別鉱害復旧臨時措置法の適用を受けなかった点については、第は、この特鉱法が戦時中の採掘に対する復旧が目的であったこと、第二は、この特鉱法は安定鉱害の賠償が主たる目的でありこの志免は当初上層を採掘し、続いて下層に移行したので、採掘層が上下の二重となったため、被害が安定していなかったのが大きな理由であるとのことでございました。それから鉱害復旧が周辺に比べておくれているのも事実であるとのことでございました。それは勝田、篠栗のように掘り尽していないこと、炭層が上下と相重っていること、このために事実問題として復旧する区域が少いこともその一つの理由であるとのことでございました。また臨時石炭鉱害復旧法によることも考えられるが、被害があとからあとからと発生してくるので、この臨鉱法の適用もできかねているとのことでございました。しかし、安定地区に対しては臨鉱法による二億数千万円にプラス・アルファを出すことになっているが、アルファの分は、これをどの程度見るか、今すぐにはわからないとのことでございました。この金額の点についても、被害者側は、自分たちは十二億円余を要求しているのに対して、当局は目下二億円プラス・アルファと見ている。万、民間に払い下げられた場合、この差額を民間が引き受けてくれるかどうか問題であると言っており、また国鉄が鉱害の調査もせずに民間払い下げを考えていることに対して強い不満の意を表明しておりました。そうして重ねて、われわれは鉱害賠償の問題については三十年間以上民間業者に泣かされてきている。志免については国の経営であったからこそ惜しみなく協力も続けてきたのであるから、民間に払い下げるなら、払い下げる前にその賠償をしてほしいと言っておりました。
次は、埋蔵量の問題についてであります。まず労組代表から、可採炭量は千百万ないし千二百万トンあって、これに五坑の低カロリー炭を加えるならば千三百万トンの可採炭量はあると確信している。志免調査委員会の言う八百万トンはどうしても納得できないとのことでありました。千百万ないし千二百万トンについては、炭鉱当局者も、自分たちもそう計算しているが、調査委員会からは甘い計算だといわれているとのことでございました。そうして調査委員会が八百万トンと見た理由については、一般的、公式的に見てそう計算されたのであろうとのことでございました。しかし今日現地では、調査委員会が採掘困難だといったその地区から、現地当局が予想した炭を現に掘っている実情にございます。この埋蔵量について第三者的立場におる元志免の副長をした鶴田国三郎氏に質問しましたところ、鶴田氏は、炭鉱当局の数字を信ずるとのことでございました。それから三十年の春の合理化により閉鎖した六坑については、これを再開した場合採算的に見てどうかということに対しまして労働組合側は採算上成り立つと見ているとの主張でございました。第三者の意見は、第六坑は薄層であって、これは切羽を集約し、機械化すれば採算がとれると思うとのことでございました。なお六坑を閉鎖した理由の一つには、原炭輸送の問題もあったが、これは現在五坑の採掘が六坑近くまで進んでいるので、五坑から六坑の炭を巻き揚げることも考えられるとのことでございました。
次は、総合開発の問題について申し上げます。炭鉱当局の話では、最下層の数字は見ていないが、総合開発する場合は、志免の縦坑を中心にしなければならないという点では労使とも致した意見である。そしてこの総合開発した場合、現在の埋蔵量にさらに一千万トンはプラスできると思うとのことでございました。ではこの総合開発をするとすればどのくらいの資金が必要かとの問に対しましては、労働組合代表は三億ないし五億は必要だろうと見ておるとのことでございました。それでは、昨年度の黒字が三億円余りあるから、これを投入すれば総合開発が可能ではないかとの質問に対しましては、労組代表から、利益金を投入すれば不可能ではないと考えているとのことでございました。
次に最近出炭量が減少している原因についてただしましたところ、労組代表は、志免を分離すると総裁が言いさえしなかったならば、五十万トンくらいの出炭はあったと思う。四十万トン台を割ったのは、一にかかってその責任は本社にあると言っておりました。さらに付け加えて、本社は最近炭鉱側の要求するだけの予算さえつけてくれないではないかとの強い不満を述べておりました。
三十四年度の出炭計画についての質問に対しましては、労組代表から、通産局に対して出炭量ゼロと報告してある模様であるとの話があり、これに続いて当局から現在の炭鉱の状態から出炭計画を四十万トンとか四十五万トンと責任のある数字が書けないので、ゼロと書いて出してあるとの答弁でございました。その他、最近三井、三菱など、外部からの炭鉱視察者があるかとの問に対しまして、当局から、外部からの視察は全部お断わりしているとの話でございました。
最後に、鉱害被害者代表から再度、この志免の問題は、現状のまま民生の安定、経済の安定のため早期解決して、従業員が安心して働けるようにしてほしい。そのためにはすみやかに経営分離の撤回をすることを強く希望する趣旨の発言がありまして、関係者との懇談を終りました。
懇談会終了後、三人そろって坑内におりまして、最先端の切羽まで二時間半に及び視察し、志免調査会が採掘困難と言った縦坑の奥で現に採掘している現場も見て参りましたことを申し上げて、私どもの視察報告を終る次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/57
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058・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ただいまの報告及びこれに関連して志免鉱業所に関する件について、御質疑のおありの方は御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/58
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059・江藤智
○江藤智君 ちょっと今の伺いますがね、鉱害の方は非常に現地で問題になっておることはよくわかったんですが、その中で、まあ現在鉄道が持っておる場合に、非常にその鉱害復旧について進んでおらぬ。で、会社の方は九〇%ぐらい何か進んでおると言うけれども、国鉄の方じゃ進んでおらないというお話なんですね。ところが、その鶴田さんですか、どなたかは、そういう鉱害復旧の面においても、国ならばまあ信用はできるけれども、会社じゃできないからいやだということを一つの大きな理由にしておる。そこの点がちょっと矛盾しておるように思うんですが、それはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/59
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060・小柳勇
○小柳勇君 昭和二十五年に特別鉱害復旧法ができまして、これが三十三年に失効になったのでありますが、それを普通の民鉱では極力町村から陳情して適用を受けさした。従って早急に復旧した。ところが志免は国営であるから、それの適用をされなくても、国が必ず責任を持ってくれると思ったので、志免の鉱害復旧については積極的に働かなかった。従って、国はいつかやってくれると今まで信頼してきたからおくれたのだ、こういう主張でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/60
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061・江藤智
○江藤智君 そうなると、むしろ現在は会社の方がよく進んでいるのだと、にもかかわらず、鉱害復旧の面において、会社にいくのがいやだというのは、ちょっと理屈が通らないように思うのですけれども、その点どうなんでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/61
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062・小柳勇
○小柳勇君 今、十二億六千万円くらいの鉱害、大体見積りしておりますけれども、現在は二億円ちょっとしか払わない。あと十億くらいの鉱害の見込みがありますが、民間にいったものはなしくずしで、なかなかこれをやってくれない。国鉄が持っておればいつの日か実現してくれるだろうし——いつの日かでなくて、強い陳情書が出ておりますから、ごらん願いたいと思いますけれども、不安定地区とか未発生地区とかいっているけれども、実際現実は毎日々々困っているから、早急に復旧してくれと、これは別途の陳情としてわれわれ受けて参りました。従って国を信頼している、あとやられたらあとは御破算になると、こういう強い心配をしているようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/62
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063・江藤智
○江藤智君 そうしますと、当然やるべきものが、国だからまあ信頼して、延び延びになっていることをいいことにして、しかもほかの会社に比べておくれている。ですからして、当然これをかりに国鉄から離すような場合には、これはやはり少くとも周囲の会社との歩調を合せるくらいのところまでははっきりと処置をするなり、補償して、かりに離さなければいかぬとして、かりに離すとしても、これだけはせなければいかぬと思うのですが、そういうふうにすれば第の点については反対はなくなるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/63
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064・小柳勇
○小柳勇君 その鉱害の、今、国鉄自体がまだその調査もしておらない。そういうふんまんについては、早急に解決してもらえれば安心するのでございましょう。あと心配なのは、民鉱にいった場合には適当に——適当と言っては失礼でございますけれども、鉱害復旧についてもなしくずしにされていくということで、現在まで少くともやってきたんだから、協力してきたんだから、しかしこれでもう切り離されたら見離される、こういうふうな二つの心配をしているようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/64
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065・相澤重明
○相澤重明君 やはり江藤君と関連してお尋ねしたいのですが、鉱害がそれほど大きくなっているにもかかわらず、国鉄は全然手をつけておらぬ、こういうことなんですか、それは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/65
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066・小柳勇
○小柳勇君 この二億円くらいは、もう漸次やっておるようですが、あとの方はまだ不安定地区と申しまして、まあこれは初めに一層取って、あと下の方を取っているものだから不安定地区、あるいはこれから出るかもしれないものについては、鉱業法によりまして賠償の責任、まだ発生しないのでそういうものが確定できない、従って賠償できない。そういうことを国鉄当局は言明いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/66
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067・相澤重明
○相澤重明君 そうするとあれですね、国鉄は、もう志免炭鉱の経営を実際に自分ではやる意思がない。だからまあ荒れほうだいにしておくというような印象を志免の方で持っている、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/67
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068・小柳勇
○小柳勇君 鉱害復旧についてはそれほどの印象は持っておらなかったようですが、ただ設備投資、当然、年間工事経費なり、その他の設備投資をしたければなりませんが、その設備投資をやらない、そして工事経費も押えている、こういうために坑内が荒れて出炭も落ちる。そういうために、出炭が落ちたために、たとえば町民の納税も小くなる、こういう不満をしきりに述べておりました。それから鉱害復旧については、まあ志免は国営だから早急にやってもらいたいという陳情はいたしておりますし、安心しているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/68
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069・相澤重明
○相澤重明君 それから採炭可能のいわゆる埋蔵量の問題ですね、埋蔵量が八百万トンという数字を出しておったのですが、現地の視察を皆さんがされた場合に、だいぶ上回ったものが出ておるのですが、どういう調査をして、こういうふうにあるというのをやられたのか、その調査の方法なり、あるいはまた科学的な調査といいますか、そういう点はどういうふうに現地の人は言っておりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/69
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070・小柳勇
○小柳勇君 私一人よりも、牛島委員からも発言してもらいたいと思いますけれども、山の埋蔵量は、これは技術者が見ればだれも変らぬだろう。ただ現地の技術者が不満に思っているのは、第一に青山調査委員会は現地に来て見ていただいておらない。それでこういうふうな八百万トンだとおっしゃるのが一つ。それから安全率なら、その実収率ですね、そういう率のとり方を、やはり普通の山並みに平均してお考えになっている、公式的にお考えになっているだろう。だから埋蔵量については、青山調査委員会としてもそう変りはあるまいけれども、われわれ国営の炭鉱として、とれるものはとにかくとってきたと、実収率以上に志免としてとれたと考えているので、その差もございましょう。
それから調査委員会として、昨年の暮れまで、あの答申が出るまで、まだあるかないかわからないというような、点だけしか押えておらぬ、あるいは線でしか押えておらぬからわからぬと言われた点について、最近、昨年の暮れに、大みそかの日に、面において炭層があるということがわかった。このことは、現地にわれわれ三人おりまして、その切羽に行きまして調査いたしたことを御報告申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/70
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071・相澤重明
○相澤重明君 これは驚くべきことを聞いたのですが、青山調査委員会は現地に一ぺんも行っておらぬ。これはなるほど大へんなことだと思うのですが、そうすると、これは国鉄の資料というものは、現地の国鉄当局の報告をもって本社が資料を作成をしたと、こういうことなのか。それとも、国鉄の本社は現地の言うことを聞かないで、国鉄の本社で今まで持っておった資料で青山調査委員会に資料を出したのか。そういうような点について、何か疑問の点を現地の人は言っておりませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/71
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072・小柳勇
○小柳勇君 ただいまの報告書にも書いてある通りでございまして、私ども現地の者としては、山を何十年間預かった者として資料を出した。しかし調査委員会としては、一般的に、公式的に実収率などをかけて八百万トンの数字をお出しになったものであろう。こういうような答弁でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/72
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073・相澤重明
○相澤重明君 この報告書についての質疑は大体私はこの辺でいいと思うのですが、当局にちょっと聞きたいと思うのですが、十河総裁にお尋ねをしたいのですが、今の青山調査委員会の八百万トンというのは、もちろん調査委員会自体がおきめになったと思うのですが、その資料はどこから出されたか、総裁は御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/73
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074・十河信二
○説明員(十河信二君) ただいま小柳委員から御報告がありましたが、その中で特に皆さんに御了承を願いたいことは、この調査委員会ができてから後には、調査委員は現地に行って見ておりません。しかしながら、調査委員になる前には、いずれも皆さん現地を何回も御視察になってよく知っておられる。特に田口委員のごときは三十数回にわたって調査しておられる。専門家がそういうふうにたびたび調査した後に、現状については、現地から技術者を呼び出しまして、現地の技術者に図面等によって、ここはこういうふうになっている、こう進んでいるということを説明いたしまして、その上で付近の炭坑の安全率、実収率等を、最近の実績を見て、その上で専門的に判断せられたのでありまして、私はそれらの判断が正しいと、こう認定いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/74
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075・相澤重明
○相澤重明君 まあその正しいか正しくないかということは、あとでまたやることにして、先ほどの小柳委員の報告の中に、昨年の十二月末に、その点とか線とかということを今何か言われておったようであるが、私は専門でないからそれはわからぬが、その点とか面とかいうところがわかって、そして炭のいいのがあるというのがわかったということは、国鉄当局、十河総裁はお聞きになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/75
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076・十河信二
○説明員(十河信二君) わかっておりますから、その点については資材局長から説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/76
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077・平出彬
○説明員(平出彬君) 今のお尋ねの点でございますが、縦坑地区の第二区の問題であろうと思うのでございますが、これは御承知の通り、中原斜坑と申しまして、縦坑の非常にまっ先の尖端の方へ工事経費を投じましてその開発をいたしまして、ほぼそれが終っておるのでございます。それはいわば線として調査したのでございます。ただいま御指摘の点は、その一部におきまして、横に坑道を切りましたので、この付近としましては、面として確認することが最近の状態においてできたことは事実でございます。しかしながら、この中原斜坑区の全体の確認という点から見ますると、やはり一部にすぎないのでございまして、こういう意味で調査委員会が出されました——まだ全面的な検討が行われていないという意味で申されたものと思いますが、その確実なところではまだ十分に全面的に確認されたとは言えない、こういうふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/77
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078・相澤重明
○相澤重明君 今の資材局長の答弁だというと、横に掘ってみて、それが面というのかなんだか知らぬが、そしたらそれが確認をされたということであるから、これから調べれば、まだそういうものが出てくる、調べてないからわからぬというお答えになるように私は思うのだが、その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/78
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079・平出彬
○説明員(平出彬君) お話の点でございますが、調査委員会においてもいまだ確認されていないというのでございますから、これを確認するには、相当まだ先にいかないとわからないのでございます。従って、これは確実なところ、年産約二百トンと見た方がよかろう、こういう御意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/79
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080・相澤重明
○相澤重明君 そこで十河総裁にお尋ねしますが、今、資材局長がお話しになっているように、まだ未確認のものがだいぶある。これは国鉄当局が資材を投ずることができれば、いわゆるその確認もできることになると思うのですが、確認はもうする必要がないと十河総裁はお考えになっているかどうかですね、この点一つお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/80
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081・十河信二
○説明員(十河信二君) 今日まで毎年約一億ずつずっと資金を投資いたしまして、そういう調査するところは調査いたしました。なお、今お話のような点も調査の結果わかったのでありまして、また最下層のごときも、ボーリングを入れたのでありますけれども、ガスがあまり湧出量が多くて、それでまあ危険だというのですから、中止をした、そういうことでありまして、三十三年度になってこの志免炭鉱の問題がこういうふうに急迫して参りましたので、三十三年度には再選炭機を一時ちょっと延ばしておる、これは処置がきまってからやろうということで延ばしておるという程度でありまして、そのほかはずっと工事も続けて参っておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/81
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082・相澤重明
○相澤重明君 そうすると、十河総裁のお話を聞いておると、まあ売るか売らぬか、こういうことがきまれば、売らないとなれば、なお一つこれは資材を投入して開発をすることができる、またなお調査をすれば、そういうところも出てくるかもしれぬ、こういうことに私はなろうかと思うのです。だからその点はまたあとで——これは質問ではなくて、議論になりますから、あとにしまして、先ほどのこの鉱害補償の問題ですね、鉱害補償、だいぶこれは被害が、すでに三メートルも地盤が沈下をしておるとか、水田が四百二十町歩もいけなくなったということで、たくさんの数字を小柳委員があげられておりましたが、今まで二億数千万というのはお支払いになったのですか。それともそういう計画があるということなんですか、この点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/82
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083・平出彬
○説明員(平出彬君) 今のお尋ねの件でございますが、二億数千万円と申しますのは、現在安定地区といたしまして、大体われわれの方で算定している数字でございまして、これはいわば十二億六千六百万円と現地の被害者の方から申し出の数字のうちの一部の安定地区についての分でございます。これはこれからの計画でございます。あとなお今お尋ねの未安定地区につきまして相当被害があるのに、ほったらかしてあるのかということでございますが、そうではございません。毎年、最近では、ここ二、三年五千八百万円ほど被害復旧並びに減収補償のために金を出しておりまして、五千八百万円のうちの約半分は、そういった稲作ができないために減収する、あるいは稲作というものが減収したためにその補償をするという費用に投じているのでございまして、その分につきましては補償はいたしております。ただ安定をしておりませんので、復旧をされてない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/83
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084・相澤重明
○相澤重明君 その五千八百万円の減収補償というのは、志免の経費の中で支払っているものは加算をされておると理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/84
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085・平出彬
○説明員(平出彬君) 五千八百万円の半分は、もう安定した地区の復旧でございまして、約半分が減収補償でございます。このいずれも経費として計上してございます。ただし、まあ将来の、今十数億とか言われました数字につきまして、この算定はまだ十分ではございませんが、とにかく、将来の鉱害につきましての積立というような制度はとっておりません。現在はその年々で支払った復旧費並びに補償費については五千八百万円を計上しておりまして、決算しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/85
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086・相澤重明
○相澤重明君 そこで、今の資材局長の答弁ですと、五千八百万が二つの要素で経費として補償しておるということですが、地元四カ町村の人たちの十二億数千万円というのとはだいぶ開きがあるのでありますが、これについては調査の対象が違うのですか。それとも国鉄が支払っておるのは、地元四カ方町村の人たちのいっておることとまるっきり考え方が違っておるのかどうか、そういう点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/86
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087・平出彬
○説明員(平出彬君) 地元の被害者の方から申し出がありました件は、これは現在これで国鉄が一応経営を引き継いだ場合において残るであろうと思われる復旧費でございます。先ほど五千八百万円と申しましたのは、毎年毎年復旧をしたりあるいは補償したその実績でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/87
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088・相澤重明
○相澤重明君 次に、十河総裁にお尋ねしたいのは、埋蔵量の問題ですが、まあ調査委員会がやったのは権威があるということでお話しになっておりますが、通産省の石炭部長が現地の福岡の駅ですか、どこかで、私どもの参議院の運輸委員の調査班の方々に御報告をされた、お話をされたこととは若干意見、内容が違うようですが、通産省のそういうところのことは、今までお聞きになったことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/88
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089・十河信二
○説明員(十河信二君) 通産省の意見は絶えず聞いております。また通産省にも絶えずこちらから報告をしておることと私は信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/89
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090・相澤重明
○相澤重明君 通産省のお話を聞いておる、現地の人の意見を聞いておるいうことになると、これはどういうことですかな。今の報告に基くことは、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/90
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091・十河信二
○説明員(十河信二君) 今の一千二、三百万トンと八百万トンとの差異は、最近のこの地区の実績によって計算をするか、あるいは古い、あるいは一般的なものをとって計算をするかということの相違ではないかと思います。八百万トンというのは、そういう一般的な調査をもとにして、その上にその付近の最近の実績、それからこの志免炭鉱の実際の坑内の条件等を専門家が見て、この程度が至当であるということを現在の志免炭鉱の技術者をともに研究をした結果出てきた数字であります。それゆえに私はそれを信用したと申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/91
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092・相澤重明
○相澤重明君 通産省の石炭部長、これはいずれ時期を見て私は証人として喚問したいと思うのですが、石炭部長の言うことも、私はしろうとではない、やはり専門家と見ております。それから、いま一つお尋ねをしておきたいのは、国鉄のこの志免の当局が言われた鉱区の上下層といいますか、そういう先ほどの御報告によりますと、二千万トンはあるのじゃないか、しかし現在掘り出せるものは一千百万トンないし一千二百万トンだというように知は小柳委員の報告を聞いたのですが、小柳委員、間違いないと思いますが、いま一度お答え願いたいし、十河総裁、今のあなたの御答弁ですと、現地のいわゆる意見もお聞きになったというと、ちょっと違うと思うのですが、その点どうなんですかな。ちょっと先に小柳委員の方からお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/92
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093・小柳勇
○小柳勇君 現在の要領によって採掘いたしまして、一千百万トンないし一千二百万トン、従って四十五万トンや五十万トン掘っていけば、約二十年間の採掘は可能である。なお、志免の縦坑を中心としてあの粕屋炭田を総合開発すれば、それ以上に約一千万トンくらいの埋蔵量があるし、採掘は可能であると、う推定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/93
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094・十河信二
○説明員(十河信二君) この問題については、こういう点を一つ分けてお考えを願いたいのですが、現在の志免の鉱区の埋蔵量あるいは出炭量というものと、総合開発をやった場合の出炭量というものと、現在の志免炭鉱では八百万トン程度しか出炭量は見られないだろう。総合開発をやると、それがさらに七、八百万トンなり、あるいは一千万トンなりふえるようになるだろう。こういうことでございまして、その後の総合開発をやった場合には、今お話のように、あるいは十五年、二十年後、相当大手の規模で炭鉱を継続していくことができはしないか、そういうのが委員会の答申でありますし、また現地の技術者の意見であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/94
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095・相澤重明
○相澤重明君 十河総裁に私の聞いておるのは、総合開発をすれば、あなたのおっしゃるように二、三十年なり、あるいは五十年間かもわからぬけれども、総合開発をすれば、ともかく二千万トン以上はある。ところが総合開発をしないで、現在の時点に立って調査委員会は八百万トンと推定をされておるけれども、志免の国鉄当局は一千百万トンから一千二百万トンくらいというに私は理解をしたのですが、その点ちょっと違うようですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/95
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096・十河信二
○説明員(十河信二君) 最初志免で計算をしてみたときには、そういうふうに一千万トン以上も計算をしておったのであります。その後付近のこの地区の状況を参酌いたしまして、実際の坑内の者ともいろいろ相談をして、なるほどこれは少し見方が甘かったと、従って、八百万程度が至当であるというふうに、志免の現地の技術者も調査委員会の技術者と相談の結果、その八百万トンということに落ち着いた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/96
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097・相澤重明
○相澤重明君 どうもこれは、総裁の今の答弁を聞いていると、まあ調査委員会が出されたことを非常に御信用になって御答弁になっておることは、まことに総裁としては、けっこうなことだと思うのですが、これは、やはり現地調査を私の方の委員会で行なって、それで、その現地調査の結果、通産省なりあるいは国鉄当局なり、四カ町村の人たちの意見を聞いてみると、かなり私は信憑性——これは法律的に言えば——そういうことも考えられるのですが、これは議論ですから、あとに私は譲りたいと思うのですが、やはりあなたのは、調査委員会のたとえば報告の中でも、これは推定でありまして先ほどもおっしゃったように、ガスの発生が多くなければ調査をしていけば、まだ出るかもしれぬ、こういう資材局長も、さっきちょっとお話になったのですが、そういう点は、もうやるお考えはございませんか。調査をするというお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/97
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098・十河信二
○説明員(十河信二君) 今のところは、もうすでに運輸大臣から譲渡の承認が出ておりますので、そういうことを今、国鉄の手でやる意思は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/98
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099・相澤重明
○相澤重明君 非常に重要な御発言をあなたは今されましたが、譲渡の承認が運輸大臣からいつ出ましたか、きょう初めて聞いたのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/99
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100・十河信二
○説明員(十河信二君) 一月十日ですかに、指名競争入札によって譲渡をするという原則が、運輸大臣によって承認せられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/100
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101・相澤重明
○相澤重明君 今の十河総裁の答弁は、まことに政府部内並びに国鉄当局と運輸大臣との中における、これは連絡の不備か、あるいは意見の食い違いか私は知りません。しかし、少くとも参議院の本委員会において、運輸大臣の答弁をされたことと、今の国鉄十河総裁の答弁とは、非常に違う。
これは運輸大臣は、少くとも譲渡という問題については、あらためて国鉄当局から申請をしなければならない問題である。山を切り離すことである。つまりレールといわゆる志免炭鉱の経営の問題については、分離ということを一月十日においては承認をしたことである。従って山を売る、売山をすることではないということは、柴谷委員の質問に明らかである、にもかかわらず、ただいまの答弁によっては、私は問題が非常に重要であるから、委員長は、直ちに運輸大臣をこの委員会に招致をしていただきたい。そうして運輸大臣の答弁を私は確認をして、今の十河総裁のその答弁を私は追及をしたいと思う。
従って、暫時休憩をしてもらいたい。動議を提出します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/101
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102・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ちょっと速記やめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/102
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103・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記起して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/103
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104・岩間正男
○岩間正男君 国鉄としては、志免炭鉱の総合開発という問題について、今まで検討したことがあるのかどうか、その結果は、どうなってるのか、この点についてお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/104
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105・十河信二
○説明員(十河信二君) 総合開発をいたしますには、さしあたって第一期として、田富地区に約三億円かかります。それから八坑に一億円程度かかります。そのほかに、隣接鉱区を買収する費用がかかります。——これは、幾らかかるかわかりませんが、まあ、その程度かかるものと国鉄では計算いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/105
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106・岩間正男
○岩間正男君 非常に概括的なんですが、真剣にこの問題を国鉄自身の問題として、今までも科学的に調査して、果してこれがルートに乗るかどうかという点を相当熱意をもってやってみたことがあるのか。今の程度だと、非常に漠然たるものなのですが、そのくらいのことでは、この問題について今まで真剣に追及したことがあるのかどうか、しているとしたら、そういう資料がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/106
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107・平出彬
○説明員(平出彬君) 志免鉱業所調査委員会におきましても、総合開発の問題は重大であるということで、特別に分科会を設けて検討していただきました。
先ほどからもお話が出ておりますように、第一次計画といたしましては、八坑の先の所と、それから断層を切りまして田富地区と、この二地区を考えておるのでございまして、これは、委員会の調査によりますと、炭量としましては二百四十万トン、これに要します起業費としましては、先ほど申しました通り約四億近くのものがかかるのでございます。このほかにこの二百四十万トンに相当する鉱区の買収、これは鉱区の買収のことでございますので、簡単にこれは算定ができないのでございます。なおかつ、全面的な総合開発をするとなりますと、先ほど来話が、——今回の視察団の御調査によりましても明らかでございますように、約一千万トン近くのものが周辺にあるのでございまして、これを買収して全部開発するとなりますと、これは非常に大きな問題となるのでございますが、第一次的には、先ほど申しました二百四十万トンぐらいを対象として、われわれは調査委員会でも検討したものでございます。その先のことにつきましては、非常にもう広範囲にわたりますので、まだ検討の段階には至っておらぬ、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/107
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108・岩間正男
○岩間正男君 その資料をまだもらっていませんね。われわれ、資料を出してもらいたいと思うのですが、それはどうなんですか。今までのあなたたちの調査で一次、二次、三次というようなものでいいですから、これは出してもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/108
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109・平出彬
○説明員(平出彬君) 出すようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/109
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110・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/110
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111・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記をつけて。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/111
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112・小柳勇
○小柳勇君 志免問題については、私は本会議でまた質問いたしますので、きょうは質問を保留いたします。
次に、管理所設置の問題について鉄道当局にお尋ねをいたします。第一点は、この四月一日付で各地に管理所が発足するようであるが、その実情について、御報告願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/112
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113・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) 今ちょっと、四月一日に発足を予定しております個所の資料を持っておりませんので、どことどこということは申し上げかねますが、全体の考え方といたしまして、支線区の経営能率を向上させるために、管理所あるいは運輸区というようなものを設置し得る場所については、逐次そういうような方向に支線区の経営形態を改めていきたい、そういう考え方で実施する予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/113
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114・小柳勇
○小柳勇君 昨日、運輸省の方に、管理所のことで質問するからという申し出をいたしておいたのでありますが、局長並びに担当理事は見えておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/114
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115・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/115
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116・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/116
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117・小柳勇
○小柳勇君 それでは、国鉄総裁に質問いたしましょう。
最近、経営合理化の一環として支線区に対して、今までの県や町における駅という観念を除けて、ある線区を一つの管理所にして経営合理化をはかっていこうという制度をお作りになったが、これに対して国鉄総裁は、どのようなお考えで御許可になったか質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/117
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118・十河信二
○説明員(十河信二君) 局の範囲が相当広くなっておりまして、それで地方との連絡が十分に参りません。そこで主要な駅に、あるいは駅以外のところに置いているところもあるかもしれませんが、管理所を置きまして、そうしてその管理所長に、相当広範な権限を移譲いたしまして、地方の要望をよく聞き、できるだけ合理化をして、サービスは向上するが、経費は節減するというふうなことをやらせることが必要である、こう認めまして、やらしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/118
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119・小柳勇
○小柳勇君 各町で、市とか町で、駅長さんがなくなると困る、あるいはサービスが悪くなるので困る、あるいは旅行するときの団体旅行などの相談相手がなくなると困るというような、各地で労働組合じゃなくて、町の方で、管理所の設置に反対している運動が方々で起っているが、総裁のところにも、相当陳情書など来ていると思いますが、このように反対の意思に対して、総裁はどのようにお考えであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/119
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120・十河信二
○説明員(十河信二君) そういう反対のところもありますが、また賛成して、かえって喜んでくれているところもあります。それで反対のところに対しては、なるべく反対の理由を満たしてやるように、その地方の方に満足させるように仕向けまして、それでだんだん賛成してもらうようにいたしているような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/120
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121・小柳勇
○小柳勇君 総裁は、まだ十分に実情を把握されてないようですから、あらためてまた質問いたしますが、一番大事な職員を転勤させなければならない、労働条件の変異を伴うにかかわらず組合との事前協議をしないで、あなた方は、その制度を作ってすでにもう発足されつつあるような場所もある。そういうところは、総裁はまだ実情把握されておらんと思うけれども、そういう実情を少しお知りになって、そういうことが、いいか悪いかぐらいは、すぐわかりますから、そういうことは、あまりトラブルがあるならやめるということで収拾されませんと、次にまた、今まで以上に重要な問題が起りますから、もしお知りであれば、ここで答弁しておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/121
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122・久保亀夫
○説明員(久保亀夫君) 管理所につきましては、先ほど小柳委員もおっしゃったように、今日現在約十個所、すでに発足いたしております。
そして、今の労働問題につきましては、管理所による管理運営、この考え方は、これは先ほど総裁から申された通りでございますが、具体的に職員の配置転換を伴う場合については、もちろんこれは配置転換としては、組合との話し合いを当然各地区によってやっているわけでございますが、管理所そのものをおきます場合について、もちろん組合に対して、それぞれの地区で説明なりはいたしております。ただ具体的に、協定ということはございませんで、具体的にこの配置転換そのものについては、一般の原則にならって、組合と話し合いをしている、かような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/122
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123・小柳勇
○小柳勇君 追って私は、資料の提出を求めて具体的に質問をいたしますので、理事会に諮っておらないようであるから、私は、この管理所設置の問題については、きょうはそれだけにいたしまして、あとの問題は保留いたしますが、今の資料の提出を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/123
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124・久保亀夫
○説明員(久保亀夫君) 小柳委員のおっしゃいました資料は、どういう資料を作って参ったらよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/124
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125・小柳勇
○小柳勇君 今、四月一日から発足されようとする各局の管理所と線区の統廃合によるような機構の変革を一目でわかるようにしてもらいたいということと、あなた方が考えておられるこの経費の節約なり、あるいは能率の向上というか、経営の合理化によって、どういうように得があると判断されているか、その判断の資料、それから今度は逆に、各地区なり地方なり、あるいは組合で、盛んに反対しておりますその資料、そういうものを、われわれとしては判定しなければなりませんから、われわれが判定するに足る資料を次の機会までに出してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/125
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126・大倉精一
○委員長(大倉精一君) なお、志免鉱業所に関する質問は、先ほどの相澤委員の御発言によりまして、大臣の御出席を求めて、あらためて続行することにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/126
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127・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 次に、自動車ターミナル法案を議題といたします。
本法案につきましては、去る二月十八日、提案理由の説明を、また二月二十六日、内容の概要についての補足説明を、それぞれ聴取いたしました。本案について御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/127
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128・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記を始め
て。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/128
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129・岩間正男
○岩間正男君 ちょっと自動車ターミナル法案に入る前に、総裁が帰られる前に、緊急に質問したいことがあるので、特に江藤委員の了解を得て、お許しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/129
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130・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ただいまの岩間委員の御意見に、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/130
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131・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 御異議ないものと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/131
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132・岩間正男
○岩間正男君 国鉄総裁に、この際お聞きしたい。実はお聞きしたいと思っておったのですが、なかなか今まで機会がなかった。
それは過般、いろいろ問題になりましたソビエト大使フェドレンコ氏が九州を旅行した、その旅行先の食堂車で、あの暴行事件が起りました。これについて、これは、日本の国鉄の名譽に関する重大な問題です、これに対して鉄道公安官が、この問題を十分な態度で処理したということも聞いていないわけであります。国鉄当局は、これに対してその後どういう態度をとられたか、実にこれは、外国使臣に対する国際的な問題として、非常にこれは重大な問題だと思うのであります。従って国鉄としてのこれに対する対処、また総裁のこれに対する考え方、こういう点をこの際、明らかにしておいていただきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/132
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133・十河信二
○説明員(十河信二君) あの事件は、国鉄としても、まことに遺憾な事件でありまして公安官は、これに対して直ちにいろいろと、できるだけの手を尽してやったと思っております。
それからソ連の当局に対しても、遺憾の意を表してあいさつをして参ってきた、ソ連の当局からは、非常にやさしい言葉を言われたということを聞いておりますが、はっきりしたことは……。まあ何か間違っているかもしれませんが、私は、そういうふうに記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/133
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134・岩間正男
○岩間正男君 この問題は、まあ単にソビエトとかなんとかという問題だけでなくて、国際的な問題として、やはり日本の権威に関する問題であります。従ってこの問題が起って、総裁は行かれたのですか。これについてソビエトの大使館に行って、一応謝意を表明されるのは当然だと思うのです。今のお話を何か聞きますというと、そういうふうに伺っているとかなんとかいうのですが、どういう処置をとられたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/134
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135・十河信二
○説明員(十河信二君) 私自身は参りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/135
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136・岩間正男
○岩間正男君 そうすると、だれが、どういうようなこれは処置をとったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/136
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137・十河信二
○説明員(十河信二君) 私は参りませんが、だれがどういうふうに行ったか、ちょっと外交に関する問題でありますから、私が、ここで軽々にお答えするよりか、十分取り調べた上でお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/137
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138・岩間正男
○岩間正男君 国鉄のだれかが行ったことは間違いないのですか。国鉄当局としては、この問題をたとえば外交上の問題だからというので、外務省にまかして、国鉄自身としての意向の表明ということは、これはされなかったのですか。その点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/138
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139・十河信二
○説明員(十河信二君) 国鉄として、先刻申し上げましたように、直ちにソ連の方々に対して遺憾の意を表して、あいさつを申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/139
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140・岩間正男
○岩間正男君 そうすると、だれが行ったか、ここでは明らかにできないのですか、それほどの問題じゃないと思うのですが、だれかが総裁を代行して行ったのか、あるいはその職場の責任において行ったのか、それはつまびらかにしませんが、この問題についての国鉄当局の対処の仕方、これが、やはり私は非常に重要だと思うのですが、とにかく総裁は行かれないということは明らかであるが、それなら、どなたが行かれたか、これを明らかにするくらいはできるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/140
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141・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) この件につきましては、当時、公安官が警察の方と連絡をとって、加害者の引き渡しとかというようなことを処置したというふうに承知いたしておりますが、その後の、だれが行ったかということは、ただいまのところ、よく調べませんとわからないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/141
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142・岩間正男
○岩間正男君 そうすると、あなたたちは、現地の問題として把握されているのですか。
少くとも国鉄本部において総裁自身の責任において、この問題を対処するということは、これは国際的な儀礼でもあるし、あのような、とにかく失礼を国鉄当局がやった、私はこれについてそういう対処をするのが当然だというふうに考えるのですが、あなたたちは軽々に考えておられるのじゃないですか。現地のだれかが行ったか、それもよくわかっていない。これは本部で、本社の重大な問題の一つとして問題にし、そうして総裁がかりに病気でもあるとか、行くことのできない所用でもあって、やむを得ず、だれかが代行したというならばわかるが、今のようならば、私は、この問題の対処の仕方が非常に不十分だというふうに考えますが、総裁、どうですか、この点についてあなたは、今のような御答弁の内容で、一体この問題は処理されていい問題であると考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/142
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143・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) この問題で、私が報告を受けましたけれども、しかしまた、事外国使臣に関しますいろいろな危惧の点もございまして、こういうことは、公開の席上で御返答するには慎重を期さなければなりませんので、よく外務省その他ともお打ち合せの上、御報告いたしたいと存じまするが、まあ私が聞きましたところによりますれば、これは、ソ連の使臣についておられる方も、事は酔漢のしわざであって、偶発的なことである、それからこの使臣に対しての直接の暴行も、全然なかった、それで使臣は、すぐ引き上げられたので、まあ自分の方としては、これ以上取り上げないようなお言葉のようであったのでございまするが、これはまた、重大なことでありまするので、私の聞き違いがあっても大へんでございますから、詳細に、後刻御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/143
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144・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/144
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145・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/145
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146・岩間正男
○岩間正男君 まあ緊急で、またなかなか委員会で総裁にお会いできなかったので、ここで、特に日程のあるところをお願いして問題を明らかにしたいと思ったのですが、今、委員長から話がありましたように、この問題について、いろいろ答弁の準備をする必要もあると思うから、それは、また適当な機会でけっこうです。
しかし今の、国鉄自身が、これにどう対処したか、それから、この問題を一体どれだけの問題として考えておられるか、あるいは公安官が手落ちがなかったといっても、果してそういうものであるかどうか、酔漢の偶発的な事故だというのは、外国使臣の立場から、物事を荒立てたくない、こういう立場から、そういうことを言っておられるものと新聞の記事で見ました。ですから、そういう点で同じような気持で、あるいはあいさつに行った人に答えられたかもしれません。しかしこの問題と、これに対処する国鉄の立場というものは、同じであってはいけないと思います。そういう言葉に、いわばやすく便乗して、だから、あの問題は大した責任がないのだということで、この問題を不明にしてしまうということは正しくないというふうに私は考える。やはり今後の国鉄の運営の中で、これは一つは、酔漢、暴漢の暴力に対する公安官の任務というものは、一体何であるか。どうも公安官の任務は、しばしば委員会でも論議されたように、公安官本来の任務をやっていない。別なふうに言えば、労働運動なんかに大へん介入することをしばしば……この前の岡山事件のときでも、当委員会では問題になった。そして反対に、本来の任務が明らかになっていない。そういうことからも起ってきているのじゃないか。
この問題について、私は以上のような諸点を明らかにして、この次、適当な機会に、これを表明していただく、これについて、私まだ納得がいかなければ質問させてもらいたいと考えます。きょうのところは、まあ緊急のことでありますから、これで打ち切らせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/146
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147・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ただいまの岩間君の御質疑の事項については、国鉄の当局において、さらに調査をされて、適切な機会に御報告を求めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/147
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148・大倉精一
○委員長(大倉精一君) それでは、続いて自動車ターミナル法案の質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/148
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149・江藤智
○江藤智君 社会党さんの方で、きょうは御質問がないらしいので、私の方から一つ質問をいたします。
最近のバス輸送が発展して参りましたので、このバスターミナルというものについて、政府が本腰を入れてやろうという趣旨は、私は非常に賛成なのでありますけれども、これの基本的な考え方として、政府としては、これを積極的に整備拡充あるいは助長をしていくつもりか、あるいは現在のように、あるものについて、その内容について重要なものだから許可をしていく、免許していくというような消極的な考えでおるのか、根本的な考え方について、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/149
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150・國友弘康
○政府委員(國友弘康君) ただいま江藤先生からお話のございましたように、最近のバス輸送、トラック輸送が、非常に繁忙をきわめておりますが、自動車ターミナルにつきましては、これらのバスあるいはトラックの路線網の中心点となるものでございまして、たとえば丸の内地区等におきましても、数カ所にいわゆるターミナルの機能を果す場所が分れておりまして、このようなものにつきましては、ぜひとも積極的な助成策を講じていきたいと考えておる次第でありますが、この自動車ターミナル法案を立案いたします前に、助成に関しまして、相当各省と折衝いたしたのでございますが、各省との折衝の経過におきまして、われわれの望む程度までは、助成方策が措置し得ませんで、ただいま提案いたしておりますような法案として形ができ上ったわけでございまして、われわれといたしましては、今後、自動車ターミナルにつきまして、大いに積極的に、まず必要といたします地点から整備を進めていきたいと考えまして、そのことにつきましては、第一条の目的にも、「自動車ターミナルの整備を促進することにより、自動車運送の健全な発達に寄与することを目的とする。」というふうにうたっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/150
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151・江藤智
○江藤智君 私も、現在の自動車交通の発展状態、また将来を考えまして、ぜひ、こういう促進という面に、一つ腹をきめていただきたい。
それについて、トラックターミナルの方は、これはトラックの業者の方々の常業上から考えましても、これは、必要な所には、こういうものを作って能率を上げるという面において、比較助成率を講じなくてもいけると思うのでありますけれども、バスターミナについては、これはその設置場所というのが、ただいま自動車局長のお話になったように、路線網の中心である、特に、たとえば東京駅前であるとあるいは新宿駅前であるというような事柄になって参りますと、非常に地価の高い場所である。それから地下に作るというような案もあったのでありますけれども、地下に作るということになりますと、これは非常にまた設備投資を必要とするわけでございます。
そうするというと、果してこれが収支まかない得るかどうかということが、非常に問題になるのでありますが、そういう点について、検討をされたことがあるかないかをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/151
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152・國友弘康
○政府委員(國友弘康君) 江藤先生のおっしゃいますように、自動車ターミナルは、最も繁華な路線の集中しておる点に最も必要なのでございまして、この点で、地価等におきましても、非常に高価でございます。私ども、この法案を立案いたしますときに、丸の内地区等で、現状において、たとえば地下に建設いたします場合というものを想定いたしまして、このお配りいたしてございます「自動車ターミナル」という資料に簡単な図面が引いてございますが、大体、この図面によるような設計で建設をいたします場合に、建設費だけで十億、大体その程度の予想をいたしておりまして、これらにつきまして非常に経費が要るわけでございます。で、この自動車ターミナルは、バス事業者が利用するわけでございますが、バス事業は、当然運賃を取っておりまして、これらのターミナルを利用することによって、その利用料金は、運賃の中にやはり加算されることになりますので、運賃面におきましても、実は、この利用料金を高額にするというわけには参りませんので、ある程度の公衆の利便確保の意味から申しましても、妥当な料金を設定すべきでございまして、そのために、料金につきましても、認可制をとっておるわけでございます。
そういうような観点からいたしまして、このターミナル事業というものが、十分にどこにおいても採算がとれ、ペイしていくというふうに実は考えられないのでございます。場所によって異なりましてある場所によっては、採算もとれ、また、たとえば副業におきまして、相当商店とか、そのほかを入れますような場合には、これまた別でございまして、こういう場合には、収支が償っていく場合も多いと思うのでございます。
ただいま、一番典型的なターミナルといたしてございます広島のバスターミナルにおきましては、これは、ただいまのとこる、収支相償っておる状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/152
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153・江藤智
○江藤智君 私は、今申し上げましたように、これが非常に設備投資が必要である。結局、これをペイさせるためには、もちろん副業というものを考えられるでありましょうけれども、場合によっては、ある程度、バス運賃に転嫁されるようなことも起るのじゃないか。そういうふうになりますというと、もちろん都市交通の面から言い、あるいは輸送網整備という面からは、こういうものを作ることは、非常に得策でありましょうけれども、場合によっては、自動車運賃を値上げしなければいかぬというような事柄が相当起ってくるのじゃないかということが考えられる。ですけれども、こういう市民の足になるようなものについて、バスターミナルをこしらえたから運賃を上げるのだということは、これはなかなか納得できないと思います。
でありますからして、どうしてもこれは、思い切った助成策が必要じゃないか。税金の問題にしても、あるいは運賃の問題にしても、できるだけそういう助成を講ずるように政府としてもしなければいかぬ。場合によっては、もっと内容を掘り下げると、原則論としては、公共企業体とか、あるいは特殊の機関で、赤字も覚悟で、とにかくやるのだというだけの、一つ腹をきめないと、こういう法案を作っても、実際には、ちょうどペイするようなものは自然にできるけれども、この第一条に載っておるように、政府が積極的に整備促進をはかるというような事柄については、これは、とてもできないのじゃないかと私は思うんでありますけれども、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/153
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154・國友弘康
○政府委員(國友弘康君) この点につきましては、江藤先生の御指摘通りでございまして、私どもといたしましても、思い切った助成策がぜひ必要であると考えております。ただ、この点につきましては、各省との折衝もございまして、まあ、ただいまのところ、この法案に記載された程度までやりましたのですが、試みにその助成策について申し上げますと、実は、私どもといたしましても、先ほど申し上げましたような路線網の中心として適切な地点に適当規模の自動車ターミナルが設置されて、自動車運送の健全な発達に寄与することを目的としておるのでございまして、単に自動車ターミナルができればよいといった程度のものではございませんで、妥当なものが設置され、かつ、その機能が十分に発揮されなければならないと考えるのでございます。
このために、第一には、自動車ターミナル事業を免許制としまして、最も適格なものをして、このターミナル事業を経営させるようにいたしましたのでございますが、この免許というものにつきましては、ある程度の地域的独占性が与えられるのでございまして、そういう地域的独占性をも加味し得るようにいたしたのでございます。それからさらに、第二十一条の使用命令によりまして、当該一般自動車ターミナルの効用の発揮について、特別な配意を行うことといたしました。それから第三に、特にバスターミナルにつきまして、第二十九条の設置の指示という条項によりまして、積極的にパスターミナル設置について、促進措置を講ずることといたしました。さらに、関係バス業者間において協議をいたします場合には、運輸大臣は、あっせんをすることができる旨を規定しているのでございます。
で、以上申し上げましたことは、自動車ターミナルの機能面からみた整備の促進でありますが、物的な面におきまして、これは実は、われわれとしては本意でありません点も少くないのでございますが、第三十一条に、「用地及び資金の確保に関する措置」という条項を規定いたしまして、運輸大臣は、自動車ターミナルの設置及び自動車ターミナルの改善につきまして「用地及び資金の確保に関する措置を講ずるように努めるものとする。」という条項を入れまして、これらについて運輸大臣は一生懸命努力いたしたいと、こう考えているのでございます。
また、さらに付則の第七条におきまして、「土地収容法の一部改正」を行いまして、「第三条の免許を受けて経営する自動車ターミナル事業の用に供する施設」は、土地収容ができる道を開いているのでございます。
以上申し上げましたことが、助成の方向、助成面でございますが、しかし私どもとしましては、実はこれだけでは足りないと思っておりまして、もっと思い切った助成方法が必要であろうかと考える次第でありまして、ことに江藤先生のおっしゃいました、場合によっては、赤字を覚悟ででも、公共企業体等を作ってやるべきであるというお考え方につきましても、経営をいたします以上は、赤字ではなくて、収支償うような経営をいたさなければならないと考えておりますが、政府の出資等によりまして、これは、また予算要求なり、予算措置が必要でございますが、そういう面で、バスターミナルの設置、こういうものが、積極的になされますような方向に、われわれとしては、大いに努力いたしたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/154
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155・江藤智
○江藤智君 実は、この問題はわが国でも、二、三実例もあるのですけれども、本格的に考えるのは、この法案が初めてになるので、その実態というものも把握して、それに対する措置を講じないというと、せっかくの整備をしようという意気込みも、途中でくずれるようなことになるんじゃないか。
そこで一つわれわれもバスターミナルというものに対する内容というものをはっきり把握するために、できれば資料を一つこしらえてもらいたいのです。それは資料としてもらった「自動車ターミナル」のこれですね、これの四ページを見ますというと、それで割合に規模の大きいものを取り上げてみますと、札幌駅前のバスターミナル━━1ですね、これは、建設費を四千五百万円かけているのですが、これは国鉄がやっているのですか、国鉄ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/155
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156・國友弘康
○政府委員(國友弘康君) これは、北海道中央バスです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/156
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157・江藤智
○江藤智君 北海道中央バスですか。これらが、ほんとうに用地を確保して、実際にやった場合には、どういう収支になるかということですね。1と、それから5が、これは大阪市なんで、あまり今、収支にとらわれない計画になっているんじゃないかと思うのですが、これは、割合に大きい規模のようですが、これについての収支、それから、今お話になった、収支がペイしていると言われるのですが、広島のバスセンター、これについて、もう少し詳しい収支を一つこしらえてもらいたいと思う。この九ページに載っておる程度でなくて、用地費は、どれくらいかかっておるとか、それから利子なんかも——これでは、その他という程度で、その中に含まれておりますが、はっきり利子は、どうなっているのか。で、どうせこんなものじゃ、これは株式会社だからして、ほんとうは、配当しなきゃ話にならないのだけれども、これは、とても配当するような収支にはなっておらない。そういうものは、無理すれば、それはやるかもしれないけれども、将来発展するものじゃないのです。
そうすれば、こういうような、どうしても作らなけりゃいけないものに対しては、こういう程度の、とにかくやはり助成措置で——といいますかをやらなけりゃいかんという希望も、当委員会として出さなければいかんと思いますので、一つ、そういうことについての、もっと詳しい資料を出していただきたい。(「異議なしだ」と呼ぶ者あり)よろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/157
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158・國友弘康
○政府委員(國友弘康君) はあ、それは用意いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/158
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159・江藤智
○江藤智君 助成についての質問は、一応これでやめまして、その次に、この工事の施行——第六条以下ですね。相当に、今度は運輸省当局で、自動車ターミナルについて、工事計画その他をお進めになるのですね。これは、なかなか停車場よりもむずかしいことですよ。駅前広場あたりで、地下に入ったり上ったりするのですからね。ところが、この法律を作ったら、もうそれを実行するという気持でおられたら、私は、大へんなことであって、これには、どうしてもその施設関係の専門家というのが、やはり必要じゃないかと思うのですね。そういう点については、どういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/159
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160・國友弘康
○政府委員(國友弘康君) 本法施行につきまして、施設関係の人員、あるいはその他予算等も必要でありますことは、当然予想して私どもおるのでございますが、この昭和三十四年度の予算におきましては、自動車ターミナル法施行に関しまする経費は計上いたしておりませんのでございます。この点につきましては、私どもとしても必要だと存じておりますので、幸いにしてこの法律が施行されますれば、来年度の予算要求には、ぜひ入れまして、これにつきましても積極的に拡充できますように、増員できますように努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/160
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161・江藤智
○江藤智君 これは、なかなか都市計画にも関係するし、設計の上から言いましても、非常にだれでもできるという問題じゃないし、せっかくこういう申請が出てきても、そういう専門家がいないために、かえって仕事を阻害するとか、あるいは不適当な免許をするというような、工事実施面において欠けるところがあると、かえってせっかくスタートをした新しいこういう仕事に対して、支障を起すようなことがありますから、ぜひ一つ、機構をむやみにふやす必要はないけれども、そういう優秀な専門家を、一つぜひ充てるように御要望いたしておきます。
以上で私は、簡単でございますが、私の質問は、この程度で終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/161
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162・相澤重明
○相澤重明君 私も、このターミナル法については質問がたくさんあるのですが、きょうは、実は時間の関係で、大体この程度にしておいて、この次も、また質問させていただきたいと思いますから、大体……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/162
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163・江藤智
○江藤智君 それで、まだ四時半で早いので、私は、ついでに観光協会についても、これは大臣が出れば、大臣にまた質問したいことがあるけれども、先ほどから、初めから観光局長が、ここで待っておるので、僕の質問は簡単ですから、一つしておきたいと思いますが、お許し願えますか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/163
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164・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 次に、日本観光協会法案を議題といたします。
本法案につきましては、去る二月十八日、提案理由の説明を、また二月二十六日、内容の概容についての補促説明を、それぞれ聴取いたしました。本案について御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/164
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165・江藤智
○江藤智君 国際観光協会の法案について、わが国の観光事業に対する政策というようなことにつきましては、これはいずれ、運輸大臣の御出席を願って質疑をいたしたいと思うのでありますが、この法案について、一、二技術的な問題について、観光局長にお尋ねしたいと思います。
わが国の観光事業を大いに振興しよう、ことにインビジブル・トレードについて、貿易の面から考えても、大いにこれを発展させようということは、これはもう、どなたも異論がないことだと思うのです。ところが、実際に具体的な問題になってくると、さっぱりその実が上らない。ことに、いろいろな問題が各省の間にまたがったりいたしまして、総合的な観光事業の推進という面において、とにかく欠けておることも、これはみんな承知しておるところであります。今回、こういう特殊法人として、日本の観光事業を大いに推進しようという趣旨の法案が出てきたということは、私は、これは大賛成なんであります。
ところが、第一これに対しての資金といいますか、そういうものは、どうなっておるのですか。その点についてまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/165
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166・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 資金の面と申しますと、現在、国際観光協会なんか、対外宣伝事業をやっておりますが、そういうものに要する経費のことだと承知しておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/166
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167・江藤智
○江藤智君 私が聞くのは、こういう、大いにわが国の国策を遂行しようという協会なんですから、当然出資金といいますか、資金があってしかるべきである。私の推量では、おそらく国際観光協会に、国鉄とかその他の会員が出資金を出しておりますね、そういうのが、これに引き継がれると思うのですけれども、そういう額は、この資料で見ましても、非常にわずかなもので、この寄付によって財団法人の国際観光協会の基金になっているのは、わずか百万円ですね。今度は、こういう政府機関ができて、おそらく、りっぱな会長さんや副会長さん、理事さんが任命されると思うのですけれども、こういう方々に、大いに働いてもらうためには、当然、政府の出資金なり、あるいは政府の出資金でなくても、他から資金を求めて、その基金なるものがしっかりしなければいかぬと思うのですが、そういう点については、どういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/167
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168・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 当初、この日本観光協会を作ります構想としましては、仰せの通りの構想で出発したわけでございます。
つまり政府から、出資を十億仰ぎまして、これを基金にいたしまして、それに従来、政府から出しております補助金を加えまして、なおその上、民間からも醵出金を集めましてこの三者でもって強力な対外宣伝なり、国内の受け入れ施設の整備、設備の改善の指導、そういうことに当りたい、こういうふうに考えておったわけでございますが、遺憾ながら、われわれの努力が足りませんで、この政府出資金は、現在のところでは、来年度は予算化されておらない次第でございます。
この政府出資十億を仰ぐという考え方は、実は、この前の通常国会で、政府出資金で日本貿易振興会が、貿易の振興に関しまして、主として海外宣伝の仕事をやっておりますが、この構想と同じ構想で、いわば観光ジェトロ的なものを作り上げようという考え方で出発したわけでございます。
現在の国際観光協会の対外宣伝は、御案内のように、政府から本年度は約一億三千万円の補助金、それから民間の醵出金が約五千万円というような予算でやっておりますが、問題は、この国際観光協会本部の人件費というものは、醵出金からまかなわれるということになっておるのでありまして、つまり政府の補助金は、その使途に制限がございまして、対外宣伝事務所の経費、海外に宣伝事務所を置いておりますが、この宣伝事務所の経費と、その宣伝事務所が使う、いろいろな宣伝資料の作成、この二つに限られておりまして、この本部の人件費というものは、民間の醵出金からまかなうべきであって、補助金を使ってはならぬ、こういうことになっておるわけでございまして、その点から本部の、いわば基幹人件費というものは醵出金に依存しておりますために、非常に不安定でございます。で、日本貿易振興会の場合は、政府出資二十億を受けまして、この二十億を政府関係のしかるべきところへ預金いたしまして、その利息が、まあ大体、年六分くらいに回ると思いますが、そうしますと一億二千万円、この一億二千万円を基幹人件費に充てる、そうして事業費というものは、政府の補助金と、それから民間の醵出金を合せたものでやっていく。そうして基幹人件費の財政的な基盤を安定させる。従って業務の中心であります本部の基礎を安定する、こういうことにあったわけであるように承わっております。それと同じ考え方を採用しようとしたわけでございまして、現在基幹人件費というものは、民間の拠出金に依存しておるというところに非常に不安な点があるということで、ぜひとも政府出資十億円を仰ぎたい、こういうふうに考えておったのでございますけれども、遺憾ながらこれができなかった。将来、まあ次の機会といたしますと、昭和三十五年度の予算の問題になりますけれども、われわれといたしましても、ぜひともこの出資を得まして、財政的な基盤も十分強化される。従ってまた業務の面におきましても、比較的に強化を見ることができるというふうなところに持っていきたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/168
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169・江藤智
○江藤智君 大体現在の政府は、輸出貿易の振興ということを非常に大きな旗じるしにしている。で、われわれは、この輸出貿易が、いわゆる通産省が主として所管しているところの、いろいろな品物等の振興もあるでしょうけれども、日本に非常に豊富な観光資源というものも、これに劣らず、とにかく輸出しなければならぬ。ですからして、見えるか見えないかというようなことで差異をつけるべきものでなくて、いわゆるジェトロに対して、それだけの基金を出して、そうしてその利息によって、経常費の基礎をまかなっていくというような方法をとっておりながら、口では、観光々々といいながら、これに対しては何らの基金的なものを政府が出しておらぬということについては、納得できないんです。この面において、どうも政府のやり方が、私は観光というものに対して、非活動的じゃないかというふうに考えるのですけれども、これについて、観光局長をここで責めてもしようがないのですけれども、私は運輸委員としては、この問題について、もっと根本的に基礎を固めて、これが日本の観光事業の伸張に大いに寄与するように、全くイギリスやフランスやイタリアあたりの観光事業に対する国の力の入れ方と、この法案に盛られている日本の政府のやり方というものにおいては、非常に差異があるように思うのであります。その点については、観光局長、責任者と正して、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/169
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170・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 大へん遺憾なことでありまして、われわれとしても、大いに努力していきたいと存じております。
最近、ようやく観光事業の問題が、特に国際観光の面におきましても、あるいはまた国内観光におきましても、その重要性が、ようやく認められて参りまして、大へん私としては、関係者としては喜んでおりますが、まだまだ仰せのように、諸外国とは相当の懸隔が、いろんな施策の面においてございますので、できるだけ努力いたしまして、これらの先進国のやり方に追いついていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/170
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171・江藤智
○江藤智君 そこで、今度は不本意ながら、この政府でまとめられた協会法案を実施するとしまして、この国際観光協会と、それから全観連をこれに引き継ぐ、引き継いでやる場合の大体人員構成といいますか、幹部の方で兼ねている方もありますけれども、相当性格が違うものですね、そういうのをどういうふうに引き継がれるか。それからそれについての大体事業計画、資金の面ですね、どういう規模になるのか、概略でいいですがもしありましたら、説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/171
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172・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) この法案においてごらんになりますように、新しい協会は、国際観光協会と全日本観光連盟を一緒にする、そして、これを引き継ぐということになっておりますが、この両者を一緒にした場合は、主として人員的な構成を中心として運営がどうなるかというお話でございますが、現在の姿は、この参考資料でお配りしておると存じますが、この国際観光協会の役員と、全日本観光連盟の役員とは、最高幹部においては副会長は、両方とも兼ねております。それから常務理事におきましても、全日本観光連盟の常務理事が、国際観光協会の常務理事を兼ねておる、こういうふうなことで大体同じようなものだということも言えるかと思いますが、また一般の理事におきましても、大体同じ人がなっておるのでございまして、そう、われわれといたしましては、性格が違っておるというふうには考えておらないのでございます。
ただ、あえて申しますと、国際観光協会は、御承知のように対外宣伝に重点はずっと置いてある。それから全観連は、対内観光といいますか、国内観光に重点を置かれている。こういったような差はございますけれども、対外宣伝にいたしましても、あわせて国内受け入れ施設の整備ということに相当重点を置いて進めていかないといけないことは当然のことでございまして、いわばこの対外、対内といい、これは、まあ根は一本で並行して考えていかなくちゃならぬ、施策をそういうふうに考えますので、運営上、これが両者を一緒にした場合に、非常に困るというような点は、私はないというふうに確信いたしております。
それから第二番目に、この新しい協会の来年度あたり、どういうふうな予算の規模を考えているかというお話でございますが、現在は本年度は御承知のように国際観光協会は一億三千万円の政府の補助金と、それから五千万円ばかりの民間の醵出金で、合せて一億八千万程度でありますが、この補助金は、御承知のように予算が成立いたしますと、来年度は二億になるわけでございます。
そこで全日本観光連盟の方は、わずかに二千万円前後の予算でやっておりまして、この全観連の支部は、組織的にはつながっておりますけれども、財政的には、本部から別に援助しているというようなことはなくて、支部が集めた金で支部活動をやっているというふうなことでございますが、この両者を合せました場合には、これは、ほんの試算でございますけれども、われわれの方といたしましては、政府の補助金が二億、それから民間の醵出金が、現在は両者合せまして七千万程度でございますが、これをもっとふやしまして一億円ぐらい、両者を合せて三億というふうな規模で、国内観光にも、もっと経費がさけるように努力していきたいと思っているのでございます。
先ほど江藤先生の御指摘のありました、両者の運営について、非常にむずかしい点があるのじゃないかとおっしゃいましたが、これは私、その心配はないと申し上げましたが、ただ全観連の方といたしましては、実は、一本になった場合に、この重点があまりに対外観光宣伝に片寄り過ぎまして、対内観光の問題が、さらにおろそかになっていくのじゃないかという点を心配はいたしているのであります。その点は実はわれわれの考え方は、全然逆でございまして、一本化することによって醵出金も非常にふえるという希望もございます。そこでむしろ国内観光の方にも、もっと積極的にこの整備ができるということを確信をもって言えると存ずるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/172
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173・江藤智
○江藤智君 幾らでも聞きたいことはあるのですけれども、時間もあまりありませんから、一つ最後に、どういう腹づもりか聞いておきたいのですけれども、今の観光事業の振興の面で、わが国で非常に欠けているのは、設備関係ですね、道路関係なんかにつきましては、これは道路の一兆円予算という方にでも、相当に観光道路という方に考えておりますけれども、ホテルの問題、これは、まあオリンピックがくるかどうかわからないけれども、いずれにしても日本に外人向きのホテルが非常に不足しているということは明らかなのでありますけれども、将来、こういう観光協会が対外宣伝というようなものだけじゃなくてホテルを整備するというような面にも、積極的に資金を集めるなり、外資を入れるなりというようなことまで考えているかどうか、その点について腹案があれば聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/173
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174・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) これも確かに御指摘の通りでございまして、受け入れ施設の整備のうち、特に重要でございますのは、ホテルの建設でございます。
現在、御承知のように開発銀行の融資を受けまして、相当積極的に手は打っております。しかし、まだまだ足りないのでございまして、われわれといたしましても、いろいろ考えております。
で、現在、いかにホテルの数が少いかということを一例を申し上げてみますと、御承知のように一九六四年には、国際オリンピックを日本へ招致しようということでございまして、目下、東京都が盛んに運動をしておるわけでございますが、この国際オリンピック委員会に提出しました資料によりますと、東京都のヘッドの数は、わずかに一万三千で、競争相手のウイーンは十四万ベッドのものを出しておりまして、これは、まるでお話にならない数字になっておる。しかし、この一万三千というのも、これは日本式の旅館から、民間の家でもあてにできるようなものを全部計算に入れましてかき集めたものが一万三千でありまして、ホテル式のものはといいますと、せいぜい、二、三千のものであるというような非常に貧弱な施設になっております。
御案内の通り戦前は、今建てられております戦前の有名なホテル、蒲郡であるとか、雲仙であるとか、志賀高原であるとか、そういったようなホテルは、全部政府の当時の、いわゆる預金部資金を貸し渡しまして作ったものでございまして、これは御承知のように三分五厘、非常に低利でございます。しかも、二十五年から三十年の長期間にわたりまして返済する。そういうふうに長期間にわたっております。この面から、ああいうりっぱなホテルがようやくでき上った。現在の融資の状態を見ますと、開発銀行は、年九分でございます。しかも融資比率は大体三割程度、一番高いので三割程度でございますから従って、でき上るホテルというのは、安いホテルができるわけはないのであります。ヨーロッパに比較いたしましても、非常に日本のホテルは高いということが指摘されておりまして、これがわれわれ専門家の間では、この受け入れ施設の整備の中で、ホテルを積極的にどんどん増加をすることも、もちろん必要であるし、また安いホテルを作らなければならぬということが指摘されておるゆえんでございます。
それで戦前並みにすぐ一足飛びに施策ができるかどうか、これもわれわれも努力してみなければならぬ点でございますが、とりあえずは、開発銀行の融資条件というものを利息におきましても、あるいは期間におきましても、もっとよくしてやる必要がある。たとえば年九分を六分五厘にしていただきますと、ずいぶんこれは、ホテルの建設は容易になるし、また安いものができるのでございます。そうでなくてもホテルは、御承知のようになかなか採算に乗りにくい事業でございまして、そうであればこそ、戦前はそういう安い低利資金を放出したわけでございます。従いましてそういう観点から、まず利息を引き下げてやる必要がある。もっと返済期間を延ばしてやる必要がある。こういうふうに考えるわけでございます。と同時に、開銀の融資のワクは、本年度は大体七、八億くらいになるかと思いますが、来年度予定されておりますのは、わずかに十億でございます。ところが、現在、われわれの手元に出て参っております融資のあっせんを希望をしておりますものを集めますと、総計して百億をこすということをいっておるわけでございまして、十億と百億とでは、てんでお話になりませんので、どうしたものかと、われわれも頭を悩ましておりますが、実行上、できるだけこのワクを広げていきたいというふうにも考えております。
それから、もう一つ忘れておりましたが、観光協会が、みずからホテルの建設とか、そういうことをやるという問題についてお答えしなければなりませんが、これは当初、私の方の大臣の御構想では、それが一つの重要な目標になっておったわけでございます。つまり先ほど来、申し上げておりますように、うんと安いホテルを作りまして、これからの国際観光事業の振興は、今までのように金持ちだけを相手にせずに、もっと低所得の層に広げまして、量的にも、うんとふやしていくということを考えないといけないというのが、私どもの大臣の考え方でございまして、たとえばアメリカあたりの学生を、大量に安い航空機運賃をもって、また、安く日本に泊めてやって、大量にこっちへ持ってくる。いわば国内の修学旅行というものを、国際的にも日本へ延長させるというふうなことをお考えになっておるわけでございましてそのためにはやはり日本観光協会というようなものが、みずからそういう安いホテルの建設に乗り出す、そのためには、外資を導入するなり、あるいは政府から特別の低利の資金を受けまして、そういう安いホテルを作っていく、こういうことが適切な施策になるだろうということを考えておったのでございますが、まずこの日本観光協会をとりあえず作りまして、第二の方策として、そういうことが可能になるように、いろいろ関係各省とも、十分打ち合せていきたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/174
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175・相澤重明
○相澤重明君 ちょっと関連質問……。
今の、子供のことであるけれども、ついせんだって新聞に出ておるように、小学生、中学生の修学旅行、これについて東京都といいますか、関東といいますか、このホテル代を値上げしなくちゃいかぬ、こういうことで運輸省に資料を提出して、何か申請をしたとかしないとかいうことが新聞に出ておったけれども、今の江藤君の質問と関連して、今後は、そういう点について、どう考えているのか、それからまた、今起きている問題については、運輸省の見解は、どうなのか、こういう点を答弁をしてもらいたいのだが、こまかい点については、私は資料を要求したいと思う。
今の、この日本の小中学生の修学旅行というものは、本来、国で考えてしかるべき問題では私はないかと思うのだが、ホテル代の軽減の問題と、国鉄の運賃の割引の問題という点について、小学生の場合はあるけれども、中学生の場合は、たしかなかったと思う。そういう点と、それからさらに、六三三制ということから考えていく文教政策の上からいえば、新制高校まで考えられるのではないか、こう思うのだが、そういう点についての考えは、どうなのか、できれば国鉄の輸送、あるいは自動車の輸送、そういうものについての年間の資料、そうして今後どういうふうにやるかということを一つ資料として、私は提出をしてもらいたい。
これは私は問題は、たくさん質問があるのですが、きょうは江藤先生の御質問を中心にいたしておりますから、関連質問だけ、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/175
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176・岡本悟
○政府委員(岡本悟君) 御指摘の旅館の料金の問題は、所管は、実は厚生省になっておりましてそれで、おそらく料金の問題は、私は政府の認可が要るものとは聞いておりません。ただ、文部省が、修学旅行のいろいろ改善について考えております立場から、文部省が業者に対して据え置いてくれと、上げるのは不当じゃないかと、これはいわば義務教育の制度に対して、その一環の内容をなすものだ、それに対して旅館業者としても、協力するのは当然だというふうなことから申し入れをしておるように了承いたしております。
で、従いまして、運輸省といたしましては、直接には関連いたしておらぬわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/176
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177・相澤重明
○相澤重明君 今の資料の要求は、できるでしょう……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/177
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178・細田吉藏
○政府委員(細田吉藏君) 補足して、ちょっとお答え申し上げておきたいのですが、先般も予算委員会の分科会で、中学生の運賃半額という質疑が文部大臣に対しまして行われましたのでございますが、現在小児扱いといたしまして半額といたしておりますのは満六才以上十二才未満の者でございます。これは従前の義務教育小学生の年令と直接、実は関係さしてきめたものではございません。小児ということできめたものでございます。
諸外国の鉄道の例を見ましても、大部分の国が、満十才までとなっておるような状況でございまして、現在、国鉄の学生定期につきましては、相当額の割引があることは御承知の通りでございます。文教政策上、義務教育の者についてどういたすかということにつきましては、別に御議論があると思いますけれども、国有鉄道という輸送機関が、これを受け持つかどうかということにつきましては、私どもは消極的に考えておる次第でございます。
それから年間の資料というお話でございますが、修学旅行の人数につきましては、これは、ある程度掴んでおりますが、人数と大体どの程度の資料でございましょうか、もう少し明確にお願いしたいと思うのでございますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/178
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179・相澤重明
○相澤重明君 まあ、私の第一は、今の義務教育であるとか、中小学生の旅行の人数、それと、これに必要条件と言いますか、それの地域におけるホテルの利用度合い、大体観光地ですね、観光地のホテルの利用度合い、それから、でき得れば六三三制ということから言えば、新制高校まで私は考えるべきではないか、こう思うので、高等学校の修学旅行というものは、どの程度行われておるか、そういう点と、それから最後には、学生のホテル化というものは、どの程度になっておるか、その利用状況ですね料金、こういう点を、資料として御報告願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/179
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180・細田吉藏
○政府委員(細田吉藏君) ただいまのお話の中の、特に二番目の旅館の利用度合いにつきましては、何かサンプリングみたいなもので、ごく一部の、東京の文京区なら文京区という例にしますか、何かやってみますが、手もとには、今持っておりませんので……。
あとの一は、大体出るのじゃないかと思っております。承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/180
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181・江藤智
○江藤智君 時間が来たようですから、今日は、この程度で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/181
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182・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ほかに御発言もなければ、本日は、この程度で散会いたします。
午後五時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00919590303/182
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