1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月二十五日(水曜日)
午後一時四十四分開会
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委員の異動
本日委員天田勝正君辞任につき、その
補欠として内村清次君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 大倉 精一君
理事
江藤 智君
成田 一郎君
相澤 重明君
委員
石原幹市郎君
植竹 春彦君
野田 俊作君
平島 敏夫君
内村 清次君
柴谷 要君
大和 与一君
杉山 昌作君
岩間 正男君
国務大臣
運 輸 大 臣 永野 護君
政府委員
運輸政務次官 中馬 辰猪君
運輸大臣官房長 細田 吉藏君
運輸省鉄道監督
局長 山内 公猷君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 八木 利眞君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
説明員
日本国有鉄道総
裁 十河 信二君
日本国有鉄道副
総裁 小倉 俊夫君
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本日の会議に付した案件
○日本国有鉄道法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
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001・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ただいまから委員会を開会いたします。
日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本法案に対し御質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/1
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002・岩間正男
○岩間正男君 私はこの法案に関連して三点ほどお伺いしたいと思うのですが、まず、第一に、この法案の一つの骨子になっています理事を現行より六人増員するその増員の理由というのは、支社長を今度理事によってまかなうというような案のようでありますけれども、しかしどうなんですか、支社が三社ほど増社される、こういうことを聞いておるのでありますが、そうなりますると、理事と理事でない支社長というものがこれはできる、こういう事態が起ると思うのでありますが、その際に理事の支社長と理事でない支社長の場合の権限の差異ですね、これはどういうことになるのですか、この点明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/2
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003・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) お答えいたします。仰せの通りに今度三支社を増設いたしますと、全部で九支社になりまして、そのうちの六支社につきましては、理事の定員がございますが、あと三支社については理事の定員がないということに相なりますが、実はまだこの法案を提出いたします現段階におきましては支社が六つあるだけでございますので、まず、増設の分は入れませんで、とりあえず、その六支社について定員の増をお願いしたのでございます。しかしながら、ただいまのお話にもございましたが、権限は理事が支社長である支社につきましても、また職員の支社長でありましても、権限はすべて同一にいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/3
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004・岩間正男
○岩間正男君 そうすると、ただいまの御答弁そのものが少し矛盾を含んでいるのじゃないかというような感じがするのですね。権限は同じで、別に理事でなくても支社長は勤まるのだ、特に六支社について理事にしなければならないという理由は非常に不明確だという感じがするので、今の御答弁を拡大して考えれば、理事でなくても差しつかえない、こういう結論が出るように思いますが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/4
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005・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) 現在の支社は相当大きな業務範囲を持っております。新設の支社につきましても、この管轄の範囲につきましては再検討をいたし、近き将来、できるだけ局の姿を是正いたしまして、新設の支社に統合して参るものもできるかと思いますが、現段階におきましては、その監理局、その他がまだ整理されておりませんので、とりあえず、小規模な支社になるのでございます。しかしながら、やはり小規模といいましても、相当支社長としての権限は広く、局ばかりでなく、その傘下には工場でありますとか、資材事務所でありますとか、工事局でありますとか、そういうものも含めて一体の運営をしていきたいと考えまするので、その責任の点につきましてはそう相違はございませんが、さしあたっての管轄範囲は、新設の支社の方が小さいということは言えると思います。民間におきましても、よく大会社あたりでは、地方の支店あたりに役員の支店長を充てるという例がありまするが、そういう場合にも、大きな支店と小さい支店と区別のあるのも通常の例でございまして将来また新設の支社が整備されましたら、またいろいろお願いする点もありましょうが、さしあたって発足のときにおきましては、現在ある支社につきまして支社長理事をお願いした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/5
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006・岩間正男
○岩間正男君 説明でそこのところをぼかしておられるようですが、どうも方法を承わって、この法案改正の一つの骨子になっている、理事を六名ふやすということは、これは支社長を理事で充てる、こういうことにあるので、そうすると、そういう点は十分検討が足りないし、それから特別に理事をふやさなければならないという理由も、どうもそういう説明だけでは私はわからない。それなら逆に、支社長を理事にすることによって、どういう点が今後運営上これは長所が出てくるんですか、こういう点ですね、明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/6
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007・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) 現在の制度は、支社長は業務の執行機関として地方におりますだけでございまして、本社の理事会におきまして、長期計画、あるいは根本施策といったようなものが方針が立ちますと、これを地方に流しておったのでございまして、今回地方の支社で理事ができますと、その支社長である理事も理事会に出席いたしまして、直接地方の情勢を理事会に反映させ、また理事会としての企画事項にも参画して、そうしてそれをもって現地で執行に当る、こういう点が、地方の業務執行と本社の業務計画の樹立との間が非常に密接になると思います。そういう場合には、職員である支社長も招集いたしたいと、あわせてお答え申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/7
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008・岩間正男
○岩間正男君 そうしますというと、相当、理事による支社長の場合は権限が強化されるわけですね。そうして緊密になる。計画も、地方役員であるから、地方のことを分担していくにもこれは都合がいい、こういう説明だと思うんですが、こういう点から、逆に非常に中央集権的になって、そうして統制が強化されるという面がこれは出てくるように思われるんですが、こういう点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/8
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009・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) 今回のこの法案の陰に私どもが考えましたのは、かえって、ただいまの御質問と反対の方向を考えておりまして、地方の支社長の身分を理事にいたしますれば、そこに責任とそれから実力とあわせて負担するだけの力が出て参りまするので、かえって地方分権で、ただいままで、国鉄は非常に機構が大きいために、中央集権でありまして地方の実情に沿いがたいという御指摘が各方面にございましたので、それを是正する意味におきまして、地方に責任と権限を持たせる、こういうことでこの法案をお願いした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/9
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010・岩間正男
○岩間正男君 これは全体の方針ですか、国鉄を貫いて。たとえば、今あなたたちは、管理機構についての拡大強化という面で、むしろその方が地方分権になるんだ、中央集権でないと、こういうふうに言われているが、しかしどうですか、最近の国鉄の人事行政を見ますと、これは労働者に対しては、職員に対してはむしろ縮小し、いろいろな面でこれに削減を加えてきているのが事実ではないか。そうすると、そういうような実際職場の中で働いておる、そういう機構については、これは合理化を進めておる。そうして一方においては、監督機構だけはこれは強化していくということになれば、国鉄の民主的運営というものは機構的には逆行する現象が出てくるのではないか。さか立ち現象が出てくると思う。こういう一方における合理化の問題と、それから一方における監督機構の強化、こういうさか立ち現象について、どういうふうにあなたたちはこの問題を説明されるか、この点、非常に私は全体の傾向としては出てくるのではないか、この点について、国鉄総裁がおられますが、この点どうもわれわれ納得しかねるのです。全般的なそういうような、たとえば、地方分権であって、もっと民主制を確立するんだ、こういうような御説明がありましたけれども、どうもそういうことになっていない。一方では理事をうんとふやし、そうして中央の機構は強化される。それにもかかわらず、職場の実際をあずかっているところの職員の面では相当企業整理が断行されておったというのが今までのやり方である。足がだんだん小さくなって頭の方がでっかくなってくるというさか立ち現象が起きてくるのではないか、こういう現象がこの法案で頭をのぞかしてきている。こういうものが先に出ますというと、これが突破口になって、もっとこういう体制が強化されるんじゃないかという点が私はこの法案に対する非常に重大な問題ではないかと考えるのですが、こういう点について、果してどういうふうにこの点を解釈されますか、お伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/10
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011・十河信二
○説明員(十河信二君) 中央集権か地方分権かということにつきましては、先刻来、副総裁からお答えいたしましたように、なるべく、地方の実情を経営の上に反映させるという皆さんのいろいろ地方的の御希望もありましょうし、経済事情もいろいろ違いますので、それが直ちに経営の上に反映いたしますように、でき得る限り、地方に大幅に権限を委譲いたしたいと、こう考えて一貫してやって参っておるのでございます。ただ、国鉄の仕事は全国的に脈絡、連絡を持っておる仕事でありますから、お互いの連絡をとってやらなければならないということがありますので、全体の意思がお互いに疎通するように、そういう方面においては、たとえば通信施設を拡充いたしまして、お互に意思疎通し、事業がよくわかるようにする。そういう面においては、あるいはお話のように、中央集権と見られるような形にはなっているかもしれませんが、しかし趣旨は、先刻来申し上げまするように、地方にでき得る限り権限を委譲して、頭でっかちにならないように、総身に知恵の敏活に回るようにというのが、われわれの一貫してとってきた趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/11
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012・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/12
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013・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/13
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014・岩間正男
○岩間正男君 私は今の説明ではどうも納得できないのですが、つまり、私のお聞きしているのは、一方では、職員に対してやはり合理化を行なってきている。これは実際、国鉄の仕事量、それから最近のいろいろな機構の拡大、こういうものに伴って人員の増加が果してこれをまかなうことができるような体制になっているかどうかわからないと私は思う。これは数字的に資料があればなお明確になると思うが、そういう方向をとっているのですが、頭の方では、そういう理事とか管理機構の方は五〇%以上六〇%もふやすと、こういうことになる。そうして、権限を強化しておいて、権限を地方に委譲するのだと、だからこれは決して民主的な運営に反対するのではないと、こういう御説明でありますけれども、私のお聞きしているのは、この職員に対して現在とつている態度と、それから管理機構を強化するという方向と、必ずしも一つになっていない。ここに矛盾があるのではないか、この点をお聞きしているのですがね。ここがさか立ちになるのではないかという点をお聞きしているのですが、この点はどうなんですかね。どうも総裁の御説明はその点に触れていないと思うのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/14
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015・十河信二
○説明員(十河信二君) その点は、私はさか立ちにならぬようにやっているつもりでございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/15
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016・岩間正男
○岩間正男君 まあ、それはあなたの希望的な観測で、法案そのものが、それから最近の国鉄の運営そのものが、そういう方向に進んでいる、この点がどうも私は逆行じゃないかという感じがするのです。だから、私はそれと関連してお聞きしたいのですが、どういうことになりますか、今後組合運動なんかとの関係、支社の権限を非常に強化して、中央に直接つながる、中央役員が地方のそういう仕事を分担していく、こういうことになりますと、今後組合に対するやり方ですね、一体これはどういうことになりますか。たとえば、団体交渉を持つ場合に、今まである程度の自主性しかなかったと思うのですね。こういう点について、その支社内における権限が強化されるとすれば、相当な点までこれは自主的に問題を決断することができると、こういうような形になるのかどうか、この点の関係ですね、この点をお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/16
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017・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) 御承知の通りに、組合は、中央に中央執行機関を持っておりまして、下部機構のいろいろな要求がそこでまとめられて、中央執行委員会で団交を国鉄に申し込んでくるのでございます。それで、やはり全国的な問題がいつでも労働問題の団交の主要なる部分でございまして、それはやはり、組合が中央執行機関でまとめてこられたらば、国鉄本社で受けて団体交渉するということについては、現在と変りございません。ただ、現在でも、地方で支社長のところ、あるいは局長のところにおきまして、地方的な団体交渉、あるいはいろいろな懇談会といったようなことは現在でもやっておりまするが、そういう場合に、従来の職員である支社長のところでは権限が小さいのでございますので、そこで自由裁量をする範囲も従って小さい。ところが、今回もし理事になりますれば、理事という身分と権限のもとに地方で団交いたします場合には、そこに現在よりも自由裁量の余地が多くなる。従いまして、まあ結論としましては、労組が地方的に団交を希望の場合には地方的にもなりますし、それから中央に上げて、国鉄の本社と団体交渉しようというときにはやはりその通りになりまするので、大体現在と変りなく、かえって地方におきましては労組の方が御便宜になるのではないかと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/17
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018・岩間正男
○岩間正男君 そういう場合もあると思うのですが、非常に民主的な理事で、そしてそれを運営していくというような場合に、労働者の権利と生活を守ると、そういうところに非常に重心を置いて運営するという場合だったら、そういうこともあり得る。しかし、どうも今度の改革を通じて逆の傾向が起る。つまり権限が強化される、そこで独断的にこれをやっていく、そういうことが、職場の労働条件とか、それから給与改訂とか、そういうような問題をとにかく支社段階で決定する場合に、相当これは君臨してくる立場が出てくるのではないか。これは今までも職員の支社長の場合でも、相当地方によってはそういう独断的な、ほとんどこれは国鉄の本社の意向であるかどうかわからぬような強固な権限を持って問題を起したところもあると思います。これはわれわれも二、三承知している。今度は、理事であるということによって、中央に直結するのだということによって、絶えず中央を背後に背負うことによって、もっと権限が強化され、しかも、労働者に対してこれは強力な権力をもって臨むと、こういう事態が起り得るということについては、あなたたち、これはお考えになりましたか。いい方面だけについて答弁されるのは当りまえかもしれませんが、しかし私たちは、どうも全体のこういう管理機構の強化、それから一方におけるやはり職場体制の合理化、こういうものを二つを総合して考えるときに、むしろ私の述べたような後者の理由の方が大きく浮び出す可能性が相当にあると思うのですが、これについて、そういう点はないというのだったら、それに対する保証は一体どういうふうにあなたたちは条件として考えられるか、こういう点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/18
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019・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) それは結局、人の問題と指導の問題だと、こう考えまするので、そういう点につきましては、極力人物の配置並びにその指導ということに努めて参って、こういう制度がよく運用されるように私どもも気をつけて参りたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/19
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020・岩間正男
○岩間正男君 総裁に伺いますが、今副総裁からそういう答弁がありましたが、今度のこの機構の改革、これによって、決して労働者に対して強権をもって臨むとか、それからそれが労働者に対するいろいろな権利の抑圧とか、あるいは弾圧とか、こういう権限を強化しないと、こういう保証をここではっきり述べてもらえますか。これは、私はやはり総裁からはっきりこの委員会を通じて明確にしておいてもらわないと、労働者諸君はやはり不安の念にかられてくると思うのですね。この点、どうでございますか。とにかく、ただいまの運営によって、人の問題だから、人の配置をよくするとか何とかいう話でありますが、これはなかなか言うにやすくて行うにかたいことです。従って、制度の上でこういうような事態が起らないように、非民主的な逆行するような態度が起らないように私はしなくちゃならぬと思うのですが、どうもこの機構そのものは、今後そういうものを招来する危険性が十分にある。それについて、絶対そういうようなことはしないのだという保証をここで総裁は一体この委員会を通じて与えることができるのかどうか、この点非常に重要ですから、明らかにしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/20
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021・十河信二
○説明員(十河信二君) 私は、絶対に労働組合を弾圧するとか、非民主的なことをするとかいう意思は毛頭持っておりません。そういうふうには指導いたさないつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/21
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022・岩間正男
○岩間正男君 その言葉を確認しておいて、組合の諸君にもこれは徹底させる必要があると思うのですが、しかし、なかなか今後の運営について十分に見なければ——われわれはこれを見守ります。ただし、今の言葉は確認いたしておきます。
そこで、その次に、今度支社ごとの採算制度というやつを相当強化されてくるのですか、この改革によりまして。そうすると、団交の場合なんかに、支社ごとに給与条件とか、いろいろな手当なんかの問題について、ある程度の自由裁量ができるようになるのかどうか。権限の強化ということになっておりますけれども、そういうような面については、一体どの程度までこれは自由裁量の範囲が拡大されるのか、拡大される面があるのかないのか、こういう点について明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/22
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023・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) 支社につきましては、支社ごとに経済計算をさせていきたいと思います。これは決して独立会計ではございませんで、支社ごとにもう運命的に赤字の出る支社もございますし、運命的にもうかる支社もございます。そういうのが一律に独立の採算制ということになりますれば、不公平でございますので、そういう点は是正して、ただその支社ごとにやはり経営の採算というものだけは管理者がはっきり把握していかなければならぬ、そういう意味合いで会計制度を確立してみたいと思っております。その目的は、結局投資を有効に使っていくということを支社で特に考えてもらいたいというような意味合いで、会計制度を作っていきたいと思います。
それから、自由裁量の点でございますが、この総体的の賃金であるとか、それから業績手当であるとか、そういうものは、これは国鉄として、地方地方のローカルで上下させるわけには参りませんので、これは全部一本でございます。しかしながら、ある支社で利益が生み出されましたならば、それで職員の厚生福利施設というようなものに一部還元し得るというようなことは考えてみたい。また特別の発明であるとか人命救助であるとか、そういうような特別の賞与に値する行為がありました場合には、支社でそれができるというようなことは考えていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/23
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024・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 関連してお伺いしたいのですが、今の質問の中で、企業努力の成果によって支社ごとに褒賞金を還元し支給をすると、こういう意味の御答弁があったし、要綱にもそう書いてあるのですけれども、これを強化しますと、結局支社ごとの鉄道従業員の実質的な待遇に差異を生じてくるのじゃないかと、こう思うのですが、褒賞金というのは、労働組合との団体交渉の対象になるのかならぬのか、なるとすれば中央でやるのか、支社でやるのかということについてはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/24
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025・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) それには一定のルールを作りまして、ある程度予定よりも収入が増した場合には、そのうちの一部は本社に、一部は支社で使えるようにということを考えております。で、その使える使途につきましては、先ほど申しましたように、職員の厚生福利に寄与するような方法で使用せしめていく、個人々々に現金で渡すということはいろいろな点におきまして支障がございますので、そういうことは今のところ考えておりません。ただし、先ほど褒賞金と申しましたのは、褒賞という字が当らないのかもしれませんが、行賞の意味でございまして、特別の発明であるとか、特別の人命救助であるとか、そのほか特別の功績のあった場合に、支社長限りで褒賞と申しますか、行賞を行い得ると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/25
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026・岩間正男
○岩間正男君 やはりこれは非常に性格的には私は大きい。今お話しされたくらいの例ではそれほどでないような印象を受けやすいけれども、しかし、どうですか。今御承知のように全国的に労働組合が結集して、そうして団体交渉権を持ってやっておるわけでしょう。そういうときに、たとえば今お話の中に、運命的にもうかる支社と運命的に損をする支社とがあるわけだとはっきりしております。東京あたりは東京支社が黒字をかかえておる。しかし北海道あたりのようなところはこれは赤字です。そうしますというと、その差が今後の運営の中で、そこに差別的なものが幾分か加わってくることによってかさ状に開いていくのじゃないか。なるほど一部は本社にやる、一部は支社に入る、この使い方にも、個人には給付しない、それは厚生施設のようなものにやる、あるいはまた何か発明などをやった場合には褒賞金を出すと、こういうことですが、これは拡大され強化されていくことによって、私は労働者のやっぱり団結権から生まれた、そうして当然一つの権利としての褒賞、こういうことでなくて、何か官側の一つの奨励、そういうことで一つの分断的な組合に対する、何かそこのところが結果においては、意図があるかないか知らないにしても、結局、組合に対しては一つの分裂政策的な形に発展する危険性が十分あるのじゃないか、そういう点を今非常に心配するわけですが、今の問題どうなんですか。これはどうも私は軽々しくこの問題は、現在の国鉄労働組合と、それから国鉄本社との国鉄の運営との関係の中において、この問題は軽々しくわれわれは了承するわけにいかないと思うのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/26
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027・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) 分権ということにつきましては、これは運用の仕方によりましては長所も短所もあるかと思いまするが、最近大きな企業としては、どうしても分権でなければ機敏な活動ができないということが通例の議論のようでございまして、これは日本ばかりでなく、諸外国でも分権制度をとって競争していく例が相当多いと思います。しかしそれは、決してその職員との関係を分断するという意味合いのものでは決してございませんで、先ほども申し上げましたように、やはり中央の団体交渉は中央の団体交渉のままで残るのであります。それから、また、この支社によって、収入の少いところは差別があるのじゃないかというお話でございましたが、先ほども申しましたように、たとえば北海道につきまして申しますれば、過去の収支の率の逆数を用いまして収入を換算して、これがやはり一〇〇になるように計算し直すつもりでございます。それからまた東京におきましては、これはもうかるのでありますから、これも逆数を用いましてやはり一〇〇になるようにいたしまして、同じレベルにいくよう収支計算を引き直して、そうして計算を立てますので、その辺決して不公平はないように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/27
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028・岩間正男
○岩間正男君 そういう経理の一つのさじかげんについて話されたのでありますが、しかしこれは全体をやはりどの程度までそれをやるのか、徹底的にやるということになっていないように思うのです。だからこそ、その支社において特殊性が出てくるのです。そういうものが依然として残されている。私たちは、むしろ非常に発明をやったとか、優秀なノルマを上げたとか、そういう人に対して褒賞をするということは外国にもこれはあるので、外国では、むしろ資本主義の社会では、そういうことを根幹として差別待遇をやっていると思うのです。社会主義という体制では非常に違う。この点について明確にしてもらわなければならない。一方では最低生活は保障されている、最低賃金制はしかれている。その上に立ってのそういうようなノルマだとか、いろいろな能力に応ずる一つの褒賞をやる。こういうことによって能率を増進するということは私は差しつかえないと思う。ところが、これは、日本の国鉄の場合、しょっちゅう春闘、秋闘を通じまして賃上げをやらなければならない。そうして賃金の体系を見ましても、非常に低い、最低生活は保障されていない、これは皆さんも御承知の通りだと思う。こういうような現状の上に立ってやはり褒賞制をとるというようなことになってくると、これは非常にその結果は労働者のやはり基本的な団結権、それから労働者の権利を守るということと逆になってくると思う。これは官側の支配が、やはりくさびが入るというような方向に動く可能性が十分ある。これは資本主義体制と社会主義体制との根本的な差なんです。これを同じにして、混同して議論しているのが今、日本ではやっている。しかし、これは根本的な間違いだ。こういう点について現状の国鉄労働者の生活条件では……。私はそれよりも、とにかくこれは最低生活を保障するそういう形の、食える賃金というものを最初に拡充するところに重点を置かなければそういうことができないうちに、そういうすき間を多分に内に包含しながら、一方では褒賞制に切りかえていくというところにやはり一つの危険性があるように考える。こういう点は、どうしても今後の、やはり単に支社、理事を増設するということだけの問題ではなくて、この性格が、いろいろ私の質問したそういう問題に関連してくると思うのです。この点についてわれわれは、やはり決してこの問題を軽視することはできないと思う。
それからもう一つ、これと関連してお聞きしたいのですが、どうなんですか。支社を非常に強化して、そして権限を拡大をする、そして自由裁量の面を強化する。これは今、国鉄分離の分割問題というのが、非常に民間で騒がれております。こういうような支社制度を強化をしておいて、やはりこういうものにこたえる、そういうような一つの一体含みがあるのかないのか。この点について私は運輸大臣に伺いたいのでありますが、一体国鉄は、今後どういうふうにこれを運営した方がいいのか、分離問題が出ているのでありますが、国鉄当局のこれに対する意見、それから運輸省当局のこれに対する意見、民間に行われているこの分離、分割問題に対して運輸大臣はどういうふうな見解を持っておられるのか。これは国鉄の今後の運営について、私はその態度を決定するために重要な問題だと思うのです。ですから、この点でやはりこの席を通じて明確にしておかれる必要があると思いますので、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/28
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029・永野護
○国務大臣(永野護君) 国鉄のあり方については、根本的に考えなければならぬ点があるとは考えております。しかし、今、岩間委員の御指摘のように、民間に伝えられておりまする国鉄の分離問題というようなこと、あるいはこれを民間に、民間経営に移すというようなことは、ただいまのところ少しも考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/29
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030・岩間正男
○岩間正男君 総裁、これに対してどういう見解を持たれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/30
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031・十河信二
○説明員(十河信二君) 民間に伝えられておりまする国鉄分割論にも、いろいろ傾聴すべき意見もあると思います。しかしながら、また、われわれは絶対に同意することのできない点もあります。その有利な点をでき得る限り取り入れようというのがこの支社強化、支社に権限を大幅に委譲して、できるだけ地方の実情に適切なような施設、経営をさせたいという点においては、民間の分離論をわれわれは傾聴して、その意見を一部取り入れたのであります。しかしながら、民間で言うように分割しては、寸断されて、国全体の交通機関として不適当である。こう考えますから、その点はわれわれは絶対に賛成できないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/31
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032・岩間正男
○岩間正男君 運輸大臣は根本的に検討する必要がある。根本的という意味はわからないのですが、今のところでは現状でいいじゃないか、こういう話なんですが、どうも今のところというやつは非常に危ないのでして、われわれ、いつでもこれにひっかかってしまって、そこで満足して引き下るというと、とんでもないことになるのです。これは憲法改正なんかでしょっちゅう食った平なんです。
そこで、どうなんですか。ここで両者の意見を今拝聴しますというと、必ずしもどうも一致してないような、あるいは一致しているような、実に複雑微妙な答弁をされている。それで、ただいまの国鉄総裁の意見について運輸大臣は同調されますか、あるいはどういう意見を持つか、この点をはっきりして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/32
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033・永野護
○国務大臣(永野護君) 国鉄総裁の意見に全く同調いたします。
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034・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 委員の異動について御報告申し上げます。
天田勝正君が辞任され、その補欠として内村清次君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/34
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035・岩間正男
○岩間正男君 全く同意されたそうでありますから、そのことを一応確認しておいて、私は意見を述べませんよ、これについては。まあ進めたいと思います。それでは、第一の理事強化にまつわる国鉄今後の運営に対するいろいろな性格の問題について、私は三、四の例をあげてお聞きしたわけです。これは第一の質問です。
第二の問題は、やはりこの法案の一つの骨子になっておりまする他事業に投資する、こういう問題ですね。これも私は非常にこれは重要じゃないかと思います。もっとも法案によりますと、国鉄及び、「他の運送事業者がともに使用する輸送施設の運営を行う事業に投資することができる。」と、制限されておるようでありますが、これが運輸大臣の認可によって、今後国鉄が投資を行う、そういうことができる、こういうことにこれはなるわけです。そうしますと、これも公社が、法律の今後の解釈の問題になるのですが、この内容ですね、この内容、これは一二あげられたことを大体聞いておりますと、ターミナルに投資するとかなんとか、しかしこれは拡大していけば、ずいぶん国鉄関係の事業というものは大小無数にあるわけですね。そういうところに一体国鉄の今乏しい資金から投資をする。しかも運輸大臣の認可によってということでもってですね、これは投資をする。で認可ということになったら、これは前後関係が逆になることはあり得る。監督官庁が運輸省であることによって、運輸大臣の権限は強大ですからね。そうすると、そういうことを考えますときに、この投資の性格、内容というものは明確にしておくことは、やはりこの法案の立法に当って私は非常に重要な問題と考えます。それでこの内容についてまず説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/35
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036・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) ただいま仰せられましたように、無制限に投資を認めようというわけではないわけでございまして、この法律の明文にも明らかにいたしておりますように「日本国有鉄道及び他の運送事業者がともに使用する輸送施設の運営を行う事業」ということを限定いたしております。しかもそれをやりますためには「運輸大臣の認可を受けて、予算で定めるところにより」、これを行うとあるわけでありまして、どちらかと申しますと、この第六条を、われわれ立案者といたしましては、非常に制限的に書いておるつもりでございます。ただいま具体的の例というお話でございますが、具体的の例といたしまして、現実の問題として考えておりますのは、バスターミナルというようなものが各地に作られる形勢になって参りまして、その場合に国鉄も一つの事業者としてそれに参画をした方が、乗客のために非常に使益を提供するという考え方でやっておるわけでございまして、そのほかはまだ具体的に考えておる例は少いわけでございますが、予想されますものは、日本国有鉄道の輸送というものがだんだん近代化されなければならないわけでございまして、それに伴って新しい輸送方式というものも考えられますので、これは確言をするわけにはいかないわけでありますが、何らかそういうことで将来問題になり得る余地のあることも起るのではないかというふうに考えておりますが、現在具体的に考えておりますものはバスターミナル事業だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/36
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037・岩間正男
○岩間正男君 私は、やはりどうもただいまの説明だけでは安心できない。といいますのは、国鉄は資金が余って実は投資するのに困っているというんなら、私はそれほどこの法案について心配しない。しかし、私がもうくどくど言わなくても、これは資金面では非常に苦しい歩みをしておる。今年度だって、大体予算委員会でも明らかにされたんだが、まあ最初の予定より二百億くらい赤字、そこへもってきて、今まで私たち運賃値上げ以来ですね、ずいぶんこの問題について、五カ年計画に対する資金の不足、そのために五カ年計画が予定通り遂行されていない。すでに第二年度から第三年度に入ろうとしているんだが、その事業量を見ますというと、これは四〇%はすでに完了していなくちゃならないのに、まだとってもそういうことになっていない、こういう実情だ。そこに持ってきまして新線建設の問題なんか、いろいろ国鉄と関連のある問題が出てきておる。それで一方では、そのために企業を整備しなければならないということで、志免炭鉱のような問題、志免炭鉱をとにかくこれは国鉄から分離しなければならぬ、そうして縮小の方向をとっておる、単純化の方向をとっておる。そういうときに、関連産業だから入っていた方が都合がいいからというので、とにかくこういう法案にこれをうたうということになると、これが今言ったバスターミナルぐらいの限度、それから今まで地下鉄に投資しておりますから、こういうような限度でこれは行えるなら、ある程度やむを得ないと認める点があるかもしらぬが、しかしこれはなんぼでも拡大解釈ができる。そうすると、この乏しい不足しておるところの資金量の中から、こういう点をうたって、これが運輸大臣の認可という名前で、実は運輸大臣の相当な酌量によってこの国鉄の資金をほかに動かすことができる、こういう態勢になるというと、ここに混乱が起きはしないか。私はこの点を非常に国鉄の独自性の立場から心配するんですけれども、全然心配がない、お前そんなことは杞憂にすぎない、こう言われれば幸いですが、しかしそう私が安心していいだけの保証はあるのかどうか。どうですか、この点を私は、はっきりしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/37
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038・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 国鉄の財政が乏しいのに、そういった拡大解釈によって資金が流れていくということはどうかというお話でございますが、私ども立法いたしました者の気持といたしましては、他の事業者と共同で使用する輸送施設といいますと、非常に幅が狭くなって参るわけであります。その辺の拡大解釈はなかなか困難ではなかろうかと考えますのと、もう一つたとえば具体的な問題でバスターミナルの例をとってみますと、バスターミナルを作らなければならぬというような地域、これはもちろん、国鉄バスの入っておる地域でございますが、そういうところの地方民の要望、あるいは輸送サービスという面から、現在行われておりますような路上の設置というのではなくて、すなわちバスのステーションを作る必要が起ってきたという場合に、国鉄が自分だけの力でバスターミナルを作るよりも、ほかの業者とともに作った方が、国鉄財政からいうと、かえって利益になる場合も相当多いのではないかということも考えておるわけでございます。そういう趣旨で、運輸省といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、相当これは厳格に行わなければいけないので、前もって予算で御協賛を得たものにつきまして、運輸大臣の認可を受けてやることでございまして、ただいまのような御心配があるかもしれませんが、われわれの方といたしましては、初めから相当制限的にこの法文も作っておりますので、御心配のようなそう大きな拡大解釈というものは、法律上の解釈上からもなされないというふうにわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/38
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039・岩間正男
○岩間正男君 国鉄が単独でやるよりは、ほかの業者と一緒にやった方がいいというような御説明があったのですが、それはそうなれば、部外投資ということとちょっと性格が違ってくるんですね。今の説明はちょっとおかしいんじゃないかと思うんですが、むしろ国鉄が主体となってやらなくちゃならぬ仕事なんです。たとえば地下鉄の場合でも、これは国鉄が主体になってやるということでなくて、これは部外の協力的な投資というような格好で進められている、そこのところが一つわからない。
もう一つは、このバスターミナルのことだけ今出してこられておりますが、どうもそれほど必要でなければ、法案についてむしろうたっておいた方が明確なくらいなんですね。ところが、あなた自身が予想されるのはバスターミナルしかない、こういうんですけれども、しかし、先へいってなんぼでもいろいろな問題が、条件が変ってまた出てくる。いろいろそのときの条件によって出てくる。少くともこれこれこれくらいのものは、大体の予想ですね、これをうたわないというのは、どうもこの法案についての説明としては非常に弱いのではないかと思います。大体、ここのところは国会の、審議ですから、法案の適用の中で、施行されてからあると言っても間に合わない。そのときに次に必要になるのは、当委員会における審議の中でどういう点が明らかになったかということが次に権威を持つわけですね。これについて疑問を持つわけです。そういう点からいうと、どうもそれだけでこんなに条項まで改正してはっきりうたうという点がどうもわからないんです。何かもっとありますか。列挙して、これくらいのものだ、これについて大体の限度はこういうことだというようなことに一応しておかないと、こういうものは実際危ない。実際いろいろこういう問題について、必要があるからというので私鉄に今度投資するそういうことによって、いろいろこれについての問題も起っておるわけです。利権の問題が起っておる。こういう中で、やはりこの問題は、われわれは簡単に聞き流すことができないところの意味を持っている。
それから運輸大臣の権限問題、これは監督大臣として、最高の運輸行政について責任を持っているでしょう。そうして認可を得るという形をとっているけれども、これが逆に使われる、こういうことですよ。それでどうも賛成しなければ工合が悪い、それじゃこのくらいのものだから五分くらい投資しておいて、そうしてお覚えめでたい方がいいというような運用になってくると、これは認可を得てということが、まるで反対になるわけです。運用の面では慫慂されてそういうことになるわけです。そういうことになるというと、これは国鉄のとにかく資金は、仕事の量については少いにしても、膨大な資金を持つわけです。その中でどこまでが一体限度なのか、私はわからない。
それから「予算で定めるところにより」ということを言っておりますけれども、これは何とでもまた運用できますよ。だから、これだけの制限規定では非常に危険だというような感じを持つんですが、この点について大臣はどうお考えになりますか。大臣の明確なこれについての意見を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/39
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040・永野護
○国務大臣(永野護君) いろいろ御意見もおありのようでありますけれども、私はこの程度の投資は、そう根本的な、心配するほどの運営にはならぬ。この程度の条文で、優に抑制ができる、こう解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/40
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041・相澤重明
○相澤重明君 議事進行について。一つ重点的に大臣に対する質問をやってもらって、そうしてできるだけ一応御了解いただけるなら、三時を目標に採決ができるように、あとに残された委員の質問をやっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/41
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042・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 時間があまりないようですから、他の質問者もあると思いますので、重点的に一つ御質問願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/42
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043・岩間正男
○岩間正男君 運用の面でというようなお話でありますけれども、この条項は、私はこれはにわかに賛成はできない。非常に危険な面を持つのであります。この点については深甚な関心を持たなくちゃならぬ。この法案を決定される中での非常に重要な部分になっていると思います。ことに、どうでしょうか、国民に与える影響として、志免炭鉱の問題もああいう形になっているわけです。まあ、あと三、四億投資すれば、とにかく自主的にやっていけるんだ、こういうことは調査団の報告でも出されている。それにもかかわらず、こっちの方は強引にけられて、そうして別な方向に投資されるというようなことの世論に与える影響、こういう面からもこれは考慮してみなくちゃならないと思うのでありますが、こういう点については大臣はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/43
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044・永野護
○国務大臣(永野護君) 志免炭鉱の問題に入りますと、またいろいろお話が長くなるのでありますが、たびたび申し上げましたように、今日の状態では、志免炭鉱を経営するということは、国鉄本来の使命を遂行する上にあれを持たなくてもよろしい、そういうわれわれは観点に立って志免炭鉱問題を判断しておるのであります。今問題となっておりますターミナルの問題一は、国鉄の事業運営の上に必要な施設でありますから、金額の問題ではなくて、志免炭鉱の問題とこのターミナルの問題とは仕事の性質が違う。金額の問題じゃない、性質が同じでありますれば、志免炭鉱で、三、四億も出せば独立経営ができるのに、それをやめておいて、そうしてこのターミナルの問題に金を出すのは首尾一貫していないではないかという岩間委員の御主張があるいは通るかもしれませんけれども、私どもは投資の性質が違う、こう了解しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/44
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045・岩間正男
○岩間正男君 国鉄本来の仕事云々とありましたが、私は志免炭鉱の持っている意味、国鉄に対して持っている意味と、ターミナルの国鉄に対して持っている意味、これは比較してみても明らかであります。これは食べ物です、石炭は。こういうものが、しかも炭価を決定するに非常に重大な問題です。全体の五百万トンですか、年間の炭価を決定するに、あそこで自分で掘っている、手掘りといいますか、自分のところでとにかく自・家生産やっている。そのことが、全体のこの独占的な支配のワクの中にある炭価、これに対して一つの発言力を大きく持ってきている。ですから国鉄運営の上に非常に重要な意味を持つ、この点。それから、とにかく自分の食べる食物を掘るというのですから、私は非常に企業としては深い関係がある。ターミナルどころじゃない。だから、こういう点について、私はとても今の説明では了解できません。しかし、これは議論になりますからね。ですが、大臣の今の説明で納得させようたって私は世論は納得しないと思う。これは検討願いたいと思います。
もう一つ、最後に、時間もありませんからお聞きしたいのですが、それは六十四条、この改正の条項ですが、「この法律に規定する運輸大臣の職権で運輸省で定めるものは、陸運局長が行う。」、こういうことになっているのですが、これはどういう権限ですか。この権限の中で具体的にどういう権限の委譲をやるのでありますか。この点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/45
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046・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 現在、日本国有鉄道の監督はすべて本省で行うことになっておりまして、陸運局はいかなる問題、事案につきましても、本省の下部機構として働いておらない現状でございます。ただ最近いろいろ問題になっておりますのは、国鉄の自動車が臨時に運行を許可をするという場合も、ことごとく本省へ持って参りまして、審議をいたしておるわけでございます。そういうものは非常に臨時の必要性によるわけでございまして、時間的に切迫しておるというのが通常の状態でございます。本省でこれを取り扱いますことは、事案からいきましても不適当であるというふうに考えまして、そういった仕事を陸運局長にまかせようというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/46
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047・岩間正男
○岩間正男君 これは、私たち陸運局の実態について今まで当委員会でしばしば論議してきたと思うのです。この点で、現状の陸運局で、しかも最近は行政管理庁で陸運局の運営の仕方について指摘されておると思うのです。御承知のように、この行管の指摘の中に、既存業者の言いなりになっている面が非常に多い。そうしてこの点でやはり何といいますか、利権の問題なんかも絶えずうわさになります。神風タクシーの問題一つ突き詰めてみても、陸運局の監督ではなかなか不十分だし、陸運局の監督そのものが神風タクシーの発生をこれは強化しているような面がしばしば指摘されたのです、当委員会で。こういうことを考えるときに、どうですか、とかく、このような風評のある現状における陸運局に、とにかく大臣権限のある程度のものを委譲する。その目的は何かというと、これは事務の敏速、こういうことを目標にされておるようなんですが、この点、私は非常にこれは検討を要する問題があると思うのですが、この点についても一体検討されて、このような法案改正を考えられておるのかどうか、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/47
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048・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 陸運局の行政につきましては、われわれといたしましては、陸運局長が非常に苦労して努力いたしておると思いますが、御批判の点は十分承知いたしております。ただ、今度つけ加えることにしたいという権限につきましては、ごく臨時的なものでございまして、恒久的な免許を行うというものではございません。それは臨時にバスを動かそうとしようとするような場合あるいは臨時に団体貸し切りの許可をしようというような場合、これは恒久的なものではなくて臨時のものでございますので、ただいま仰せられたような必配はないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/48
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049・柴谷要
○柴谷要君 時間が切迫しましたから、そのものずばりを一つお尋ねしておきたいと思うのですが、支社の権限強化に伴って心配される点が二つばかりありますので、この点についてお伺いしておきたいと思う。
それは、やはり予算の問題でありますが、従来は管理施設費等によってまかなわれておりました地方局の実態が、今度は支社に権限を強化されると、たとえば宿舎の修改繕あるいは新設、こういう費用が改良工事費あたりに一括で支社に移される。こうなってくると、その一括で移された中で支社が運営するわけですけれども、そうなってくると、予算の内容から考えますというと、ぶん取りというような形ができてくると思うのですが、そのような形で支社に権限を与え、しかも予算は幅狭く下げるのではなくて、一括で下げる、こういうような話を聞いておるのですが、このようなことについて明快に一つまず最初にお答えをお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/49
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050・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) 支社に落します予算は、各系統の項目がございますから、宿舎に例をとってみますと、大体宿舎に充てる予算を一応見まして、それによってこちらが査定をしまして項として落します。これは支社としては流用ができますけれども、支社としては大体の腹、つもりをこしらえた上の提出予算でございますから、狂うことはございません。ことに宿舎につきましては、最近ぜひ力を入れたいと考えておりまして、共済組合ともタイ・アップして、宿舎の新設、修繕には特に力を入れましたし、また、改良費でいたします宿舎のようなものは、場合によりましては指示をつけて落すことも考えておりますので、決して御心配はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/50
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051・柴谷要
○柴谷要君 宿舎の問題は今の答弁でけっこうだと思いますが、先ほど岩間委員も指摘しておりましたが、副総裁のお言葉をかりますと、運命的赤字、黒字、こういう支社ができる。しかも経営を伸ばさせるためには、やはり赤字の支社に対しては赤字のような予算を配合するし、黒字なら黒字のような予算を配合する、こういうような考え方が本社としては非常に強いというような意向を聞いておるのですが、そういうことになるというと、運命的な赤字のところはいつも割を食う。運命的な黒字のところはいつも割高である。こういう形が出ては、これは国鉄一本の形でないと思うので、そういう経営はしないかと私は思いますが、どうしても経営の合理化等をやらして、赤字をなくさせるというような無理な方向に持っていかれるのではないか、こういうふうに考えますので、この点は十分一つ考えていただくと同時に、今心配しておりますことは、住宅の問題では大へんな力を入れるというお話でございますけれども、けっこうなお話でございますが、その一つの例を申し上げますと、北海道で大体二万戸の住宅があるわけです。宿舎があるわけです。この中で、こまかい数字は皆さん御存じだと思いますから申し上げませんが、大体危険と目される家屋が千五百戸以上もある、こういう実態、あるいは不良家屋が六千戸もある、こういう事案が指摘されておるのですが、こういう面に対しては、やはりその土地々々の実情を勘案して、本社で十分手配をされる意向がおありになるのかどうか、この点を一つ重ねてお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/51
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052・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) 北海道の宿舎については、従来とも格段の考慮を払っております。たとえば便所が離れておるとかいったようなことで非常に困っておられたのを改善した例もございます。で、そのほか全国的に宿舎の点では絶対量も不足いたし、それから非常に年取った宿舎が多いということも私ども承知しておりますし、始終御指摘も受けておるのでございまして、こういう点については特に今後努力を払って改善、修復して参りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/52
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053・柴谷要
○柴谷要君 日鉄法改正の第二項の投資の問題ですが、これは明確に、前回通りました、ターミナルに投資をしたい、こういうことでございますが、投資をすることによって、一応の国鉄が、権利といいますか、発言権を持つといいますか、そういうものを取得することができるというのは、やはり国鉄のハスをそこに発着をさせたいという気持の上からこのような改正を組まれたかどうか、これも一つお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/53
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054・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 問題は、大体国鉄のバスが発着をし、ほかのバス会社のバスが発着をしておるというところに起っておるのが現状でございまして、どちらかと申しますと、大都市ももちろん問題が起っておりますが、中都市というようなところでは、いわゆる郊外といいますか、在と申しますか、そういうところから中都市へ出て参りまして、また中都市から帰っていく場合に、現在のようなバスの輸送形式では、やはりお客さんが待っておる場合に雨が降ったとか、そういうときに非常に不便である。そういうところに、中都市ではバスの発着場の要請が強く起ってきております。そういうところに国有鉄道の路線が入っておると、この条項によりまして、国有鉄道もそれに一枚加わるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/54
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055・柴谷要
○柴谷要君 第三点の改正ですが、運輸大臣から陸運局長に権限を下げるというねらいのものは、従来国鉄バスが民間の需要に応じようとする際には、土地のバスが、いわゆる私営のバスが一台もなくなった場合に国鉄のバスの運行が許された、こういう事実が今日まで続いてきたわけですね。そうするというと、今度はそれが、運輸大臣の許可を得て運行できると、こういう形になっておったのが、陸運局長に権限が下げられたということは、その土地々々の状況を十分把握している陸運局長が随時認可し得るという態勢で、民営のバスなり、その他全然出払って、一台もなくならなければ国鉄のバスが運行できないという、金縛りをかけた措置はないと思うのですが、そういうような解釈でよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/55
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056・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) それは自動車行政の問題でございまして、私がお答えするのは適当でないかもしれないと思いますが、現在この法律で考えておりますのは、この今の態勢を変更しようということで考えておるわけではないのでありまして、現状におきまして臨時の運行を許可いたします場合にやはり本省までくる、そうするととても間に合わない。現在でも、この委員会でお答えをいたしたかとも思いますが、実は事後承認のような格好にならざるを得ないわけでございまして、そういうものを正規にやった方がいいのではないか。また場合によりましては道路の工事のような場合でございますと、これもやはり許可が要るわけでございますが、現実に運行しておりまして、あしたから工事が行われるからというのできましても、本省が一々これを審査しても間に合わないので、現在では大体口頭でいいということにいたしまして、事後でその手続をなさしておるわけであります。そういう現実の面からでの立法でありまして、今言いましたようなことを根本的に変えようということまでこの立法のときには考えていないわけでございまして、それは自動車行政の問題として検討されるように、自動車局長にも連絡をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/56
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057・柴谷要
○柴谷要君 最後に、お忙しい時間をお集まりになって、採決を催促になっておるようですが、採決の催促はよくわかっておりますので……。立法の精神は、やはり私が指摘しておるような考え方に立って立法がなされたと思う、だから陸運局長に権限がおりたら、やはりその土地々々の状況を判断させて、まあ金縛りをかけない処置が望ましいと思うので、運輸省としてはその点十分留意されて、陸運局長を一つ指示、監督していただきたいということを要望して私の質問を終っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/57
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058・大和与一
○大和与一君 副総裁にお尋ねをいたしますが、組合が経済的要求を通すために、今までも分会長と現場長、あるいは支部長と局長なり、地方本部長と局長が陳情あるいは団体交渉をしてきめておったけれども、あまり局長に権限がなかったために、ちっとも実質的に、話し合いの対象にはなったけれども、話は進んでまとまらなかった。それを今度支社長が権限を持ったから、さっきおっしゃった褒賞という言葉をやめたけれども、その中身は、発明発見とか、人命救助とか、こういうことではなくて、もっと、運命でなくして、運営のやり方によっては職員全体が、組合を含めて利益を享受できる、こういう力を支社長が持ったのだ、このように解釈していいかどうかというのが一つ。
もう一つは、労使の慣行という立場に立って、支社長の中にも理事でない者もおるのだから、従来通りと考えていいのだ、支社になったのだから、特に労働運動の中で特別な形が、あるいは理事というお札を持ってきたので、少しえらくなったとか、そういうことでなくて、ぜにはよけいもらった、人間はふえた、それくらいの喜びで、労使の慣行の上においては従来と同じかと、こう考えていいかどうか、その点二つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/58
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059・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) 第一点につきましては、国鉄の全体の給与に関する限りは中央でいたします。たとえば、賃金でありまするとか業績手当で振りまするとか、超過勤務の制度でありまするとか、そういうものは中央でいたします。しかしながら、現在よりも支社長の権限がふえただけ、その範囲内においては責任をもってお答えもし、実施もできるということに相なるわけでございます。
それから、新設の支社につきましては、先ほど申し上げましたように、職員の支社長でありましても権限は同じにいたしますから、ただいま申し上げたことは、理事である支社長あるいは職員である支社長、共通して同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/59
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060・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 最後に私から今の質問に関連して二、三お尋ねをしておきたいと思うのですが、いろいろ御説明がありましたが、私の感ずるところによるというと、今度の改正案は、まず第一番には、支社単位の分割経営的なにおいが非常に強いということ、もう一つは、公共性というものが少し薄くなって、そうして採算制というものがずっと頭を出してきておる。こういうことを私自身非常に強く感ずるわけです。そこで、今、大和委員の質問、それから、さっきちょっと私から申し上げた褒賞金というものですね、私はまだ苦になるわけです。この要綱の内容によりますというと、明らかに「支社の経営成果を端的には握しうる諸表を作成させるとともに、企業努力の成果を還元して褒賞金を支給したり、云々」、こうして「企業意欲を振起する。」、こうなって参りますというと、厚生施設あるいはその他の面というお話がありましたけれども、他の民間大会社でもそういうような表現をもって、結果においてはやはり現金を渡して、そしうてお金でもって、札束でもってどんどん叱咤激励をするというような実情があるわけなんですけれども、この際の褒賞金というのは各個、個人に現金を渡すのではない、こういうふうに確認してもよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/60
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061・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) 公益性の問題を申し上げますと、私どもは実はどっちかといえばほうっておいても公益性ばかり考えているような人種でございます。しかし、これがあまりいかぬということ、大方からもっと企業的に努力しろという御注意を受けております。企業的な努力と申しますのは、たとえば貨物駅の駅長が出荷をお願いしたり、あるいはお祭りのときに臨時列車を出したり、そういうことで収入をふやすということも考えられるので、そういう点を指摘されたのだろうと考えまして、今回支社長限りでいろいろ列車の設定などもできるようにいたした次第でございます。それからそういう支社限りで、先ほどから繰り返して申しますが、業績手当のようなものは、国鉄はやはり一本でなくてはいけません。それから賃金べース、これはもちろんのこと、それから労働時間の問題、これも同様でございます。その他もろもろ、国鉄としましては、いわゆる労働条件はできるだけ均一でないととんでもないことになります。ただそこに褒賞金と書きましたのは、いわゆる行賞金等でございまして、先ほど来申し上げましたように、特定の功績をした者に従来支社長限りでできなかったものをできるようにしたということでございまして、業績手当その他の給与をさしている意味じゃ決してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/61
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062・大倉精一
○委員長(大倉精一君) そうしますと褒賞金の問題はそれでわかりましたが、支社単位の給与の問題をさしているのではないということを確認したわけです。それから公共性の問題については、先ほどの柴谷君の発言に関連をいたしまして、バス路線とか、あるいはその他の面において採算制を強調するの余り民間企業に対する圧迫という面が出てきはしないか、こういう心配が若干あるのでありますけれども、そういう点についてそういう心配はないという工合に考えて差しつかえはないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/62
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063・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) そういう点につきましては、十分公益性も採算性も考えて善処して参りたい、決して不当競争をいたすようなことはいたさないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/63
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064・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 公益性と採算性と考えてやるというところに非常にみそがあると私は思いますけれども、これはあまり問答をしても、なかなか中身が出てこないと思いますけれども、要するに、日本国有鉄道法の第一条の目的によりますというと、能率的な運営によりこれを発展せしめと、こうなっているのであって、採算制を強化して、そうして営利的な効果をねらってということはどこにも書いてないわけです。それがだんだん国鉄のあり方が転化していって、公共性ということにも営利性、採算性というものがどんどんと進出してくる。こうなって参りますというと、これは私企業と何ら変りがないということになってきはしないかということを今国民は心配していると思うのです。こういう点について一つ運輸大臣に御所見をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/64
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065・永野護
○国務大臣(永野護君) 国鉄の問題について考えなければならないことがあるとさっき一番最初に申したのでありますが、一番おもな点はその点であります。国鉄は一面において公共性を重点的に考えなければならないけれども、一面において独立の企業体だということをきめておるのであります。独立の企業体ということは、採算制ということと裏返しになっておる言葉であります。従いまして、ある意味からいうと相矛盾する二つの要素を一つの性格のものが行わなければならないのでありますから、公共性を考えつつ採算を考えるか、あるいは採算を考えつつその範囲内で公共性を考えるか、どちらに重点を置くかというようなことが結局問題の重点になると思うのであります。私は今日までの歴史からいいまして、やはり公共性を考えつつ、その範囲内においてできるだけ採算を考えなければならぬということだろうと思うのでありますけれども、これは抽象論として割り切れますけれども、実際上の運営の面からいうとかなりむずかしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/65
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066・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 委員長として要望だけしておきますけれども、私はずいぶん辺境の地を回って歩きますというと、その地方の産業経済あるいは住民の要望というものが、鉄道建設その他の面においてたくさんおるのでありますけれども、どうも東海道線で「こだま」を作って非常に少数の人が利用するようなりっぱな汽車ができるけれども、やはりいなかへ行きますというと、四等車、五等車が走っているのがたくさんあります。そういう面について、国鉄は採算性を云々するの余り、公共的に奉仕をしなければならぬという面、そういう面が非常に薄くなるということがあると、これは国鉄の本来の使命というものと相違して参りますので、そういうことのないように一つ十分御留意願いたいと思います。
ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/66
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067・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/67
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068・相澤重明
○相澤重明君 私は、日本社会党を代表して本法律案についての意見を申し述べたいと思います。
まず、今回の法律案改正の趣旨については、私どもが一番心配するのは、国鉄のいわゆる公益性、公共性というものが強調されないで、採算性に主眼を置くようなことについては、これは了承することができない。従って、日本国有鉄道法の根本趣旨というものをやはりあくまでも生かすべきである。
第二の問題としては、そのためにいわゆる各級機関を整備拡充することについては、もちろん、私どもは意見がありません。根本的にそういう対策を樹立していただきたい。場第三といたしましては、国鉄の持つ経理状態等から考えて、この敗戦後、国有財産の処理の仕方が私はやはりあまり正しくはなかったのじゃないか。その中でも特に考えられるのは、固定資産税等の問題について、あるいはまた減価償却については、こういう点については十分再検討をして進むべきであろう、こう考えるわけであります。
第四番といたしましては、鉄道監理局あるいは支社制度の拡充強化という点につきましても、地方住民とのつながり、いわゆる国鉄の持つ意義からいきまして、当然それらの区域等については十分再検討を私はやはり行い、住民の利便をはかるべきである。特に今まで私どもが質疑の中で明らかにしたのは、国有鉄道という名において国民の信頼を持たなければならぬのに、一部における志免炭鉱の払い下げの問題や、あるいは管理所設置等の問題で、ますます住民あるいは地域社会の中で不安を起すようなことがあってはならぬ、従ってそういう点については慎重に対処すべきである。
また、第五といたしましては、ここに従事する国鉄の職員の労働条件等について、この中で考えられる点から申しますと、先ほど各委員からも御質問があったように、あまりにも採算性公共性ということが強調されて、労働強化が起きはしないか、そういう点についてはないという御答弁をいただいておりますが、やはり労使の慣行を樹立して、正しいいわゆる業務の発展を私どもは望むわけであります。従ってこういう点については、対応機関の組合とよくやはり相談をされて、そして国鉄の持つ使命というものを達成をしていただきたい。
第六点といたしましては、この中に持ついわゆる投資条項でありますが、これがバスターミナルに今回は規定をせられておるのでありますけれども、私どもは、各委員からも指摘をいたしましたように、いわゆる公団組織というものが次から次へと出て、そしてこれに投資が多くなるために、国鉄の持ついわゆる採算というものが非常に困難を来たすというようなことであってはならない。これは政府自体として、やはり総合的な交通政策の上に立つべきである、こういうことであります。以上のような点を考えますと、国鉄の持つ重要な任務ということはますますその度を加えるわけでありますから、業務量に適応したところの要員体制というものを作り、しかも、職員が希望を持って働き得る、それぞれのいわゆる待遇の均衡ということを私は考えていただかなければならぬ。
以上のような点を附して、私は附帯決議をつけて賛成をいたしたいと思う。
附帯決議の内容を御披露申し上げたいと思うんです。
日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に関する附帯決議(案)
日本国有鉄道経営の実情にかんがみ政府並に国鉄当局は左記事項につき至急善処すること
一、支社制度の整備を図ること
二、支社長と専門業務を主管する者との待遇の権衡を考慮すること
三、鉄道監理局の区域等につき再検討を行うごと
四、業務量に応じた要員の適正なる配置につき再検討すること
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/68
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069・岩間正男
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して本法案に反対します。
反対の要点は、その一部はすでに質疑の中で述べたのでありますが、簡単にその要点だけを申し上げたい。反対の要点は三つあります。
第一は、理事が六名も増員されるのでありますが、そのねらいは、支社長を理事にする、こういうようなねらいでこれが行われておるのであります。しかし、三つの新しい支社を増強するのでありますから、理事でない支社長も実際できる。そういうような、いわば十分に整備されないうちにこのような法案が出され、しかも、このねらいは、監督機構を強化する、権限を強大化する。現在進められておる国鉄の運営を見ますというと、これは職場を守る労働者に対しましては企業整備をもって臨んでおると思うのであります。こういうような態勢では、足の方は弱くして頭を強める、これが果して国鉄の今後の民主的な運営並びに、これに伴うところの公益性を保持することに私は決してならないと思う。逆の結果を来たすんじゃないか、このような権限の強化というものは、あまり望ましくないんじゃないか、これが現実に反するので、第一この点に対して私は賛成することができないのであります。
第二の問題は、これは部外投資の問題であります。これは先ほど相澤委員からも述べられましたように、とにかく国鉄が健全経営をやっておる、そして資金が余っておる、こういう態勢の中で、関連産業の中である程度の投資をするということなら差しつかえないと思う。ところが、御承知のように、国鉄の運営は年々赤字であります。この前一三%の値上げをやって、五カ年計画をやっております。この計画を見ますというと、今年度は第三年度に入ろうとしておる。しかるに、全体量のまだ三五、六%程度しか遂行していない。あとの三カ年にむしろ六五、六%残されておる。こういう格好で資金繰りが非常に問題になっております。国家の投融資もこれに伴っていない現状です。今年度のまた業務が非常に不振である。このために約二百億近いところの赤字を招来しそうである。こういう態勢の中で、一方では志免炭鉱のような閉鎖ということを方針として、今多くのこれに対する関係者、労働者の反対を押し切ってこれを遂行しようとしておる。そういうさなかにおいて、一方では、関連産業ということで、投資を大臣の承認によってやることができるという条項が加えられておる。これは現状から考えましても、なかなか世論がこれを率直に認めることができない形になっておるのじゃないか。こういう点について、非常に、やはり、国鉄の運営そのものが何か利権化されるきらいがあるのじゃないか。この問題なんかとの関連において、この問題はやはりもっともっと検討される必要がある、こういうふうに考えております。東海道線の新設の問題、あるいはまた、地方鉄道の増設、こういうような問題との関連が果してないのかどうか、こういう問題につきましても、われわれは率直簡単にそのままうのみにするわけにはいかないのであります。
第三の問題は、大臣の権限を陸運局長にある程度委任する、これは事務の敏速化をはかるためである、こういうことを言われておるのであります。しかし、陸運局については、行政管理庁を初め、いろいろこれについて、現状における不満足な運営の状態については指摘されてきたところであります。これをこのままにして、そうして大臣のある程度の権限だけを委譲するということで、果してこれが所期の目的を達することができるかどうか、非常にこれは疑いなきを得ない。私は、もし、このような権限委譲をやるのであったならば、陸運局に対するこれは大改革を行わなければならない。人員の強化の問題、それから運営の民主化の問題、さらに業者とのいまわしい関連について、今日、これは非常に耳にタコができるほどわれわれ耳にしておるのであります。この問題を明らかにしない中で権限を委譲するということは、新たに大小無数の利権を発生するところの培養機関になるのじゃないか、こういう危険が非常に多いのであります。こういう点から考えまして、この第三の問題も、やはり今後の運営において重要であります。
以上、三つの問題を主要な反対理由としまして、私は本法案に反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/69
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070・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/70
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071・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより採決いたします。
日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を問題に供します。本法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/71
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072・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 多数と認めます。よって本法律案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、討論中述べられました相澤君提出の附帯決議案を議題といたします。
相澤君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/72
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073・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 多数と認めます。よって相澤君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/73
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074・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 御異議ないものと認めます。よってさよう決定いたしました。
ただいまの附帯決議に対し、政府当局から発言を求められております。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/74
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075・永野護
○国務大臣(永野護君) 相澤委員の御提出になりました附帯決議の趣旨は、政府といたしましても十分尊重いたしまして、御趣旨に沿うように、実現に努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/75
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076・十河信二
○説明員(十河信二君) ただいま御決定になりました附帯決議の趣旨を体しまして、最善の努力をいたしたいと覚悟いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/76
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077・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/77
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078・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記を起して。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/78
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079・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 次に、お諮りいたします。交通事故防止に関する小委員会等において自動車事故防止に関する調査を行うに当り、関係者等から参考人の出席を求める場合が生じます際は、参考人の人選、出席を求めます日時、その他の手続等については、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/79
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080・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 御異議ないものと認めます。よってさよう決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/80
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081・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/81
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082・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記を起して。
本日はこれをもって散会いたします。
午後三時二十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X01619590325/82
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