1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年四月二日(木曜日)
午前十一時五十七分開会
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委員の異動
三月三十一日委員松野孝一君辞任につ
き、その補欠として木暮武太夫君を議
長において指名した。
本日委員木暮武太夫君、酒井利雄君、
武藤常介君、石井桂君、安井謙君及び
上林忠次君辞任につき、その補欠とし
て松野孝一君、川村松助君、後藤義隆
君、苫米地英俊君、前田佳都男君及び
紅露みつ君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 早川 愼一君
理事
稲浦 鹿藏君
岩沢 忠恭君
委員
川村 松助君
小山邦太郎君
後藤 義隆君
紅露 みつ君
苫米地英俊君
西岡 ハル君
前田佳都男君
松野 孝一君
村上 義一君
安部 清美君
政府委員
建設政務次官 徳安 實藏君
建設省計画局長 美馬 郁夫君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
参考人
立教大学教授 大森 一二君
東京都建設局長 藤本勝滿露君
東京都港区長 小田 清一君
第二号線高速道
路反対期成同盟
連合会会長 鈴木 篤眞君
大森漁業共同組
合組合理事 滑川 菊三君
日本道路公団副
総裁 井尻 芳郎君
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本日の会議に付した案件
○首都高速道路公団法案(内閣提出、
衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/0
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001・早川愼一
○委員長(早川愼一君) これより建設委員会を開会いたします。
この際、ちょっと御報告を申し上げます。
委員の変更について、本日、上林忠次君、石井桂君、酒井利雄君、武藤常介君、安井謙君が委員を辞任されて、その補欠として紅露みつ君、苫米地英俊君、川村松助君、後藤義隆君、前田佳都男君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/1
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002・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 首都高速道路公団法案を議題といたします。
本日は、参考人の方々より本法案に対しての御意見を伺うことになっております。
まず、参考人の方々にごあいさつ申し上げます。本日は御多忙のところ本委員会のために御出席をいただきまして、ありがとうございました。御承知のように、本法案は一般的関心を有する重要な案件でございますので、この際、各方面よりの御意見を伺い、法案の審議に遺憾なきを期したいと考えて、本日、御出席をお願いした次第でありますので、それぞれの立場から、忌揮なき御意見をお述べを願いたいと存じます。
それでは、これよりさつそく参考人の方々の御意見を伺いたいと存じますが、議事の整理の都合もございますので、御意見をお述べ願う時間はだいたいお一人当り十分ないし十五分程度にお願いいたしたい、その後、委員の質問に対し、お答えをいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、参考人が御発言をなさいますときには、委員長の許可を得ることになっております。それから参考人は、委員等に質疑ができないことになっておりますから、その点をあらかじめ御承知置き願います。
それでは、立教大学の大森さん、何か御所用がございますのでお急ぎのようであります。まことに、たいへんおくれまして申しわけありませんが、さっそくお述べ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/2
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003・大森一二
○参考人(大森一二君) ここでは、私、時間が少うございますから、簡単に述べさしてもらいたいと思いますが、それはまず二、三の点についてお話ししたいと思う。首都高速道路の必要性という問題と、それからその実施機関として新しく首都高速道路公団を設立すべきかどうかという問題と、それから公団の特に管理委員会のようなものが問題になっておるようですからそういう問題と、それからその計画が妥当であるかどうかという問題について、お話ししたいと思うのです。
まず第一の問題は、皆さん御承知のごとく、東京都への自動車の集中が非常に急激である。さらにその自動車の走行キロについて見ますというと、主要幹線街路への集中が特に激しいということが明らかであります。
それで、要するにこの都心においての交差点の問題というものが起っておるのでありますが、これを救う道は、いろんな方法がありますけれども、高速道路の建設が、最も効果的であるということは言うまでもないことであります。しかし必ずしもこれをもって、徹底的な方法だとは考えられません。たとえば高速道路ができれば、そこにまた交通が集中されるという問題がありますからして、結局は、イタチごっこになるとも言えるわけであります。しかしながらこれは私有財産制をとっている以上、自家用車の極端な制限ということは困難でありまして、また、今日の日本の自動車交通の発達状態から見ましても、押えるべきものでもないと考える。従って、やはりこれは二つの方法をとらなければならぬ。それは、要するに今の道路の建設という問題と、それから地域制を確立して、その土地利用の方法を制限すべき問題になると思います。
で、目下、東海道幹線道路か、それから中央幹線道路かというようなことが、非常に問題になっておるようでありますが、これは、私は大都市の付近に、それが集中しておることを見ますというと、投資効率の点から考えましても、結局、これは大都市の高速道路を優先すべきであるということが十分認められると思うのであります。
元来、この都市交通が、今日、東京でちぐはぐになっているということは、道路政策の貧困あるいは運輸政策の貧困というようなことがあって——これはもちろんいなめないわけでありますが、しかし運搬具としての車両と、通路としての道路とのギャップというものは、これは交通機関の発達の関係から、どうしてもいなめないものでありまして、不可避的なものであって、諸外国においてさえも、これはどうすることもできないということになっておるわけであります。
ところで、大都市——今日のわが国の大都市の交通上の特徴としましては、運輸——トランスポーテーションという問題と、道路のトラフィックの問題というものが、同時に重なっているように思うのです。外国におきましては、トランスポーテーションの問題、たとえば地下鉄の建設というようなものは、すでに解消済みでありますけれども、わが国においてはそれが解決されていない。第二番のトラフィックの問題について、外国ではもちろん困っておる。しかしわが国としては、この両面が一時に出てきておって、需要と供給のバランスが非常にとれていない、こういうことになるのではないかと思うのです。従って、いずれもこれが建設を促進しなければならぬのであります。
さて、この実施機関といたしまして、日本道路公団でやったらよいじゃないかというような問題も出てくると思います。で、私は日本道路公団に東京調査事務所というものが設けてあって、それがある一部を建設しておるということを聞いておりますが、しかしながら、これを促進するためには、今言いましたような関係から、これを促進するためには、何か東京都として、地域団体としての東京都が利益を受けるという面から、資金面で援助するということが考えられます。あるいは都市計画の関連が多いということから、東京都が、これに入ってくるということも考えられますので、やはりこれは、一応必要だと考えるのであります。あたかも、これは、ちょうど国鉄が全国の交通を受け持っておるのでありますが、われわれは従来から、この東京都においては、交通の公共企業体としての一つのものを立てて、地下鉄はもちろん、バスだとか国鉄の環状線くらいは、これに含めて、公共企業体というものを主張しておるのであります。そうしますというと、やはりこれと、ちょうど同じような関係になりまして、——国鉄が、全国的なものをやっておる、また、今言いました公共企業体として都市の交通を受け持つ、こういうことと、ちょうど同じような関係になるのでありまして、やはりこれは一つ作ってやった方がよいのではないか、こういうふうに思うのであります。
しかしながら、この公団の設立につきましては、聞くところによりますというと、役員、部長あたりの俸給などを含めますというと、千八百万円から二千五百万円くらいの費用を要するといわれております。従って、この設立によって、都民ないし国民が、いかなる利益を受けるかということのかね合いでありまして、どちらが有利であるか、どちらが利益を受けるかという問題に落ちつくのだろうと思います。元来、官庁関係のお方は、どうも外郭団体的なものを作って——役人の失業救済、あるいは高いところのポジションのようなものを与えるためのものが相当作られておると考えられます。こういうようなことは、もちろんあってはならないので、役員、職員の採用に当っては、当然民間の有識者を採用すべきであると考えるのであります。
それから、有料か無料にすべきかどうかという問題を、ちょっとここで述べますと、私は、まだこれは有料でよいと思っておる。もちろん都心に入りますと、料金を取ることに非常に困難を感ずるかとは思うのでありますが、外国ではプライベート・カーと、いうものは、もう一般に行き渡っておるのであります。それですから、よろしいのですが、日本では、自家用車というものが、まだ行き渡っておらない。従って、そういう一部分の者の利益になってはならないということが考えられるのであります。
それから公団の役員とかいったようなことが問題になっておるようですが、たとえばこの管理委員会の欠格条項として、役員または職員を掲げておるにもかかわらず、公団の代表者である理事長を入れんということはどうか、こういうようなことが問題になっておるようでありますが、これはやはり両方の意見を聞いてみますと、どうも水かけ論に終っておるように思うのであります。要するに、この公団の理事長というようなものが、自民党の系統の方であろうと、あるいは社会党の系統の方であろうと、公正な人を得ることが大切なのでありまして、建設大臣のその腕に——建設大臣が任命するというのでありますから、その行政的手腕に信頼するよりほかにないだろうと思うのであります。もちろんここでつけ加えて申しますというと、東京高速道路株式会社のような世間の疑惑を招くようなものが、今後、全然起らないように、特に付帯事業などをやられますので——たとえばガソリン・スタンドとかやられるようでありますが、あるいは事務所を貸すとか、そういうようなことがあって、利権が、これに伴いますから、特にこの点は、注意してもらいたいと考える次第であります。
それからその次に、高速道路の計画は妥当であるか、こういう問題をお話ししたいと思うのですが、元来、この計画は平面の幹線道路の交通能力の不足を補うものである。こういうことは言っておられますけれども、これは、あまりに消極的過ぎるのでありまして、東京高速道路調査特別委員会の付帯意見として、こういうことをあげておる。「放射高速道路は、将来区部周辺まで延長するとともに、これらの路線を結ぶ環状高速道路の計画につき検討する」こういうふうに述べておられますが、やはりこれくらいの考えを持っていなければならないのでありまして、たとい、それが早急に実現することが困難でありましょうとも、たとえば八号線ぐらいまで延ばすとともに、環状六号線ないし七号線を高速道路にして、求心的交通流を分散させ、都心通過交通を迂回させながらバイパス的作用を持たしむべきだと考えるのであります。そうして初めて、この高速道路としての効果が発揮できるのでありまして、高速道路は国鉄環状線内のローカルな輸送よりも、郊外と都心部とを直結する道路として存在意義があるからであります。
乗用車の最も多い、あるいはトラックの交通量も多い路線につきましては、特にインターアーバン的なものにする必要があろうかと思うのでありますが、さらに、この八王子とか市川とか、その他の衛星都市と母市を結ぶものについては、少くともスルー・フェアー——主要交差点の立体化と申しますか、それくらいのことをやるべきだと考えるのであります。しかし、この通勤圏という問題から見ますというと、あまり長いエキスプレスは必要ではないと思うのです。特にここで主張したいのは、今申しましたようなバス——自家用車だけの利用になってはならないので、特にバス輸送を考慮する必要があるのでありますが、この公用族とか社用族その他自家用族のためにばかりなって、バス運行がうまくいかないというのでは、これはどうにもならぬのであります。従って、この構造規格を見ますと、バスの運行が非常に困難である、あるいはストップが困難であるように考えられるのでありますが、特にその点を注意していただきたいと思うのであります。しかしながら、今その範囲を申しましたけれども、首都圏整備委員会の半径百キロというようなものは、あまりに大きいのでありまして、これはメトロポリタン・エァリアというものでもないのであります。あるいはまた、リージョナル・プランニングというものとしても大き過ぎるのじゃないか。これは政治の問題で、こんなことが入ってきたのだろうと私は推察するのでありますが、そこまで延びる必要はないのでありまして、そこまでいくことになれば、これはまた日本道路公団の担当になってくるのじゃないかと、こういうふうに私は考えます。
それから、路線の通過地点を見ますというと、池袋とか、新宿とか、渋谷などの副都心を通過しているのは、これはうなずかれるのでありまして、そこはボットル・ネックになっておりますから、これはよいと考えるのでありますが、しかし、一般の経過地点を見ますというと、資金の調達が困難であるためか、割合に安いところをよっておるというふうなことが考えられますが、しかも、抵抗の最も少い安易な方法をとっておるように思います。
ことに私は、皇居の問題をここで考えてみたいと思うのですが、これは一例にすぎませんが、皇居を貫くということを故意に、これは避けておるように思われるのでります。かつまた、地下道によっても——地下道でやるということではなく、これは、大いに地上路線とすべきであって、これはやり方によっては、何ら美観を損せず、最も合理的だと私は思うのです。私は、もちろん天皇制廃止論者でもなければ、皇居移転を主張するものでもありませんが、少くともロンドンのバッキンガム宮殿といったような多少、小規模なものにして、ここで都民の交通上非常に有利なように考えてほしいと思うのであります。特に高速道路ができれば、皇居内の道路建設は必要でないということは非常識きわまりないと、こう考えるわけであります。
そこで、要するにこの構想というものは、少し規模が小さすぎる。また車線にしましても、四車線では、むしろ不足でありまして、私は六車線ぐらいはせいぜいやってほしい、こういうふうに思うのでありますが、さらにまた路線延長も、今いったような工合で少し少な過ぎる。それはむしろ都市計画という観点から一歩進めて、衛星都市を含めたような地方計画的なものにふさわしいようなものにしてもらいたいと、こういう考えを持っておるものであります。
最後に強調しておきたいことは、首都交通政策の樹立の確立できるような一元的な体制を確立することが必要でありまして、高速道路だけを考えるというよりも、むしろこれは地下鉄、路面交通機関、その他を総合した、さらに都市計画ないし地方計画全体との関連において、特に一元的な計画を立ててもらいたいと、こういうふうに希望しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/3
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004・早川愼一
○委員長(早川愼一君) ありがとうございました。
大森教授はお急ぎのようですから、大森教授に対する御質問がありましたら、この際、御発言を願います。——それでは、次に東京都建設局長藤本勝浦露君にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/4
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005・藤本勝滿露
○参考人(藤本勝滿露君) 私も、先ほど大森教授が申し上げたと似たようなことについて申し上げてみたいと思いますが、やはりこの高速道路が必要であるかどうか、それから特殊な公団の必要性、それからさらには計画の内容、それから実施面の問題、このような問題に触れてみたいと、かように存じます。
御承知のように、まあ東京は、現在八百九十万にもなる人口を持っておる、膨大な人口を擁しておる都市である、かつ首部である、この性格の中で、東京都のいろいろな行政面を通してしなければならぬ仕事がたくさんあるわけでございますが、その中でも、特に交通輸送、この問題については、きわめて問題が困難である、また複雑な問題を呈しておりますけれども、緊急に処理しなければならぬ事態に、現在当面しておるということは御承知の通りでございます。根本の問題につきましては、やはり東京都のあり方を、いろいろな面を通してよくしていくということについては、どうしても人口問題の基礎づけ、それのあり方、今後の展開、どのように進んでいったらいいかと、こういうようなことが基本になる問題だと思うのでありますが、現在におきましては、これの解決というのは、一東京都と、首部と、あるいはさらに広げて首都圏と、この程度の問題だけを取り上げても、とうてい解決し得ない大きな問題であります。しかし、東京都は関係の隣接県と協調いたしまして、いわゆる首都圏整備法というものを中心といたしまして、首都の人口のあり方等を一応、昭和五十年をめどとしてきめておるわけであります。従って、われわれといたしましては、都内の交通の問題を解決するにつけても、一応首都圏の昭和五十年を目標とした人口政策を中心としての解決をはかっておるわけでございますが、特にこの交通の面においては、実は昭和五十年を待っていられない現実の事態にぶつかっておる。端的に言いますと東京の中心部、いわゆる環状六号線以内といいますか、旧十五区の地域に属しておるところの交通の実態は、今の状態を推移していくならば昭和四十年には、おそらく麻痺状態になる、こういうことがわれわれ数年来実地にいろいろな統計を通し調査をいたしました結果、現われてきておるのであります。
そこで、昭和四十年のそのときになってから、交通問題をどうするかといったって、これはとうてい間に合わない。もう現在その解決に着手しても、おそきに失すると、こういうような事態にぶつかっておるのでありまして、この問題の解決に、各方面のお力をいただいて、まあ御協力を賜わっているわけであります。
そこで、この交通問題の解決につきましては、いろいろな面が考えられます。当面の応急的処理という問題も取り上げなければならんし、また恒久的な問題については、やはり道路交通の面を主として考えるならば、まず道路そのもののあり方、平面街路が一体、この状態でいいかどうかという問題も考えられるのであります。あわせて、さらに一歩を進めまして、やはりこの交通の立体化ということも取り上げられなければ、根本的な解決へ近づくことができないのだという結論に到達したわけであります。応急的施策につきましては、時間の関係上省略いたしますが、これはいわゆる東京都で言いますならば、交通の局の問題あるいは警視庁の交通取締り、あるいは交通規制の問題、あるいはまた東京都の建設局が中心になっておりまするいわゆる道路交通の、道路の新設、改良、補修あるいは拡幅と、そういうような問題を部分的には取り上げておりますが、根本の問題といたしまして、やはり大きく平面道路の整備という問題と、それから道路の立体化と、こういう問題を取り上げて、これの二項目を並行的に推進していくことによって、いわゆる昭和四十年の危機を突破し、そしてその四十年の突破のめどがつき次第、引き続いてやはり、さらに奥深く、さらに広い分野の交通解決の政策を展開していきたい、こういう構想を持っておるわけであります。そこで高速道路の問題でございますが、御承知の通り東京都のいわゆる環状線の内部の中心部の交通状況と、それから環状六号線の外部の交通状態、こういうものについては、相当にその交通の動き方、さらには混雑の仕方、そういうものが、現況において相当違っておるのであります。それから、もう一つは環状線内部の、六号線内部の、いわゆる道路利用率といいますか、の状況と、それからそれ以外の周辺の道路利用率は、またここに違いがあるのであります。端的に言いまして環状六号線内部は、いわゆる市街地構成を成しておる。道路率はおおむね二〇%近くになっておる。この点については世界各国の大都市の実情、たとえばロンドンとかパリとか、あるいはベルリンとか、あるいはローマとかいうようなところの道路率が二七、八%から三〇%のところにいっているものに、相当近い状態になっておる。それから環状六号線から外れた先の方の周辺部におきましては、道路率は、わずかに六、七%の状態になっておりますので、交通の解決の面からいたしましても、われわれは、まずこの中心部の面につきましては、平面街路の整備と、あわせて道路の立体化をするということを考える。そうして環状六号線から外の部面については、もちろん両方したいのでありますが、当面平面道路、街路、こういうような面の整備をやっていくという考え方でもって、仕事の展開をやっていく。そしてその次の段階において、やはり環状六号線の外においても、この立体化計画というものを展開していきたい。かように考えておるわけであります。
また、中心部交通の一つの隘路は、われわれは交差点交通——交通の実態が交差点によって、じゃまをされておるということがあるのであります。平面道路を、どんなに広げてみましても、交差点の数が多くなりますれば、やはり道路交通は円滑にいかない。普通交差点がないときには、一車線千二百ないし千五百台の自動車が、一時間当り通り得るにかかわらず、交差点がありますと、それが半減してしまう。六百台程度に落ちてしまう。従って道路を広げても、やはり交差点がありますれば、いわゆる車両交通といいますか、そういう面は、非常に阻害される。そういうふうな観点をも、あわせ見ますると、やはりどうしても交差点なき道路を作ることが大事だ。こういうことになっております。それがまた、いわゆる立体化への構想でもあります。
それからもう一つは、東京の実情から申しますと、交通機関の用務といいますか、使う目的の場所というものは、おおむねほとんど大多数というのが、何らかの形で都心の中央部に用件がある自動車が非常に多い。こういうことになり、従って中心部が非常に混雑といいますか、自動車の通行が非常に多い。こういうことにもなります。そういう意味で、われわれは今度のこの高速道路というものの基本の観念は、つまり高速という時間の短縮ということが第一眼目ではないのであります。第一眼目は、やはり中心部交通の混雑をいかにして緩和するかというところを第一目標にし、第二次的に時間の短縮ということを求めておるわけであります。従って区の外郭の方から、直結して都心部に何分で来られるかということよりも、その経過地等において、どういうように交通の混雑処理が緩和されるかというところに問題の着眼をしておるのであります。この点については、よその国のいわゆる大都市の高速道路というものと比較して、やはりそういう点に、東京都の特異性といいますか、この高速道路を必要とし、またこの高速道路を考えた観点において違いがあるのであります。
ともあれ、現在中心部においては、平均三十二キロ程度の速度を許容されておりますにかかわらず、実情は、二十キロないし二十五キロ程度に現実問題は落ちておる。それが四十年になりますれば、もうラッシュ・アワーのときなどは、お急ぎの方は、むしろ車を降りてお歩き下さいというような状態が見受けられる。いわゆる現在、三十四、五万程度の自動車が、昭和四十年度には八十万程度になるというようなところを想定し考えまして、これを早く、そして比較的低廉に、そしてこの目的を達成するのに重大な役割をなすところの交差点なき交通、この首都高速道路というものを実現したい。こういう観点に必要性として立っておるわけであります。
なお、これを実施するにつきましては、現在あります日本道路公団がよろしいか、あるいは特殊な、こういう公団がいいかという点については、もうかねがね十分検討をし、各方面の意見も徴してきたのであります。
そういう点につきまして、いろいろいたしましたが、先ほどやはり、大森教授もお話になりましたように、資金の面、都市計画の面、ことに実施に当りましての地元とのいろいろな協調、お話し合いそういうような面、あるいは地元等の御意見なども、十分反映する、こういうような線をもあわせ考えまして、そして能率的にするためには、その必要を最も痛感しておるところの東京都と国とが一体となった団体によって実施することが、一番困難な問題——困っておるという痛切な問題の解決のために、この特殊法人を設立することが妥当である、必要である。かように考えております。
なおかつ、これは中心部交通処理ということを、まず第一義的に考えておりますがゆえに、いわゆる地域的な面においても、いわゆる地方交通の範囲をいでない。そういう意味からいっても、この公団の特殊法人を設立することは意義のあるまた妥当なことだと考えておるわけであります。
なおこの計画の内容につきましては、これまた、大森教授もお話になりましたように、一応、この現在できておる八路線、約七十キロのものが適切妥当だということについては、これは、われわれは理論と、かつ実際の調和の上に立ちまして、この八路線の案を作ったのであります。理想的な線を言いますなら、もちろんこれを放射的にも、あるいは環状線的にも、もっと範囲を広げていくことは当然であります。また特別、この審議なり、この立案をする重要な参画者であるところの都市計画委員会における特別委員会においても、いろいろな付帯意見を出されております。そういう点においても、引き続いて考えるのでありますが、財政面あるいは実施上の可能な面、それから今度現実に困っておる国の当面解決すべき範囲、いろいろな問題、交通の流れの問題、いろいろな点を考えまして、現段階においてはこの程度で進めるのが、理論と実際とを調和し、そしてこれを具体的に持ち出す段階としては、きわめてそういう意味において、時宜、適切、かつ妥当だと、かように信じておるわけであります。
なお、これが実施に当りましては、あくまで民主的な線でいかなければならないし、また関係有識者などの御意見なども、十分野重し、また現実に、これによって被害といいますか、損害といいますか、影響を受ける方々とも十分話し合い、また、それの補償と、あるいは移転に対する諸多の対策とか、そういうような点については、新しくできる公団はもちろんのこと、国の力、ことに東京都並びに関係地元の区御当局などのお力も得て、そしてひと事でなく、東京都あるいは首都の交通解決のためには、最善を尽すという意味において、いわゆる民主的、納得する線を作り出して、事業の推進に当りたい、かように考えます。
また、実施に当りましては、実はこの案を作るときに、建設省並びに首都圏委員会から、勧告なり、あるいはまた基本方針が示されております。その方針の中におきましても、できるだけ民地——民間に御迷惑のかからないような場所、公有地、あるいは河川、やむを得ない場合は道路等を使って、民間への御迷惑を最小限に済ますような計画でいくことこそ、この際の、いわゆる理論と実際を合わせた問題であるという点も言われておりますので、そういう点については、特に注意を払って計画を立て、そうしてまた実施をしていきたい、かように存ずるわけであります。
いずれにいたしましても、東京都の現在のいろいろな問題の中で、一番に緊急性のある、早く解決しなければならぬ問題として、本案が、平面街路の事業の整備と遂行とあわせて、この高速道路公団法案が、一日も早く成立して、そしてこれが早く、都民各位の御利用になるような段階に進まれんことをわれわれとしては切望してやまないわけであります。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/5
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006・早川愼一
○委員長(早川愼一君) ありがとうございました。参考人に対する御質疑は、一括して、のちほどいたしたいと思います。
次は東京都港区長小田清川君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/6
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007・小田清一
○参考人(小田清一君) 港区長の小田清一でございます。
本案につきまして、ただいま東京都の建設局長から、お話がありましたので、重複する点は省略さしていただきまして、補足的にお話を申し上げまして、本案に賛成する一員であるということを一つ御了解願いたいと思うのであります。
私ども従来、道路整備の計画を見ておりますと、計画を立てましても、その実施の面におきましては、数年かかる。特に、すでに決定をしているが、事業にいつ着手するのかわからぬというような面があるわけであります。そういうところの住民の気持と申しましょうか、その人は、建築をしたいと思っても、鉄筋コンクリートの建築ができない。そうしてやむを得ず木造の建物を建てる。しかし木造の建物を建てても、これが実施する暁には、これは、すなおに引き渡すのだというような念書を取って、そうして建物を建てさしておるというような現状であるわけであります。
また、最近におきましては、当区のことでありますが、港区の芝公園に東京タワーができ上った。そうして昨年の十二月の二十四から開館した。その結果、最初の予定では、おそらく一万人くらいの参観人が来るだろうというようなことであったのでありますが、現実には、約一日三万人ぐらい出入りをする。そして、その人の、いわゆる輸送は何かというと、乗合自動車で参るとか、観光自動車で参るとかいうようなことで、芝公園の、いわゆる道路なんかという交通という面は、もう従来より、より以上の混雑を来たしておる、こういう現状である。また、反面、新橋を中心とする所、あるいは田村町を中心にするという所は、ほんとうに交通が混雑しているというような姿を見て参りまするというと、この交通の緩和をするために、一日も早く、それに付随するところの道路の整備をすることが必要だというように私ども考えておるわけであります。
それには、やはり特殊の法人をこしらえて、そして専門的に、これを実施に移していくということは、すなわち交通緩和の一つの原因になるんじゃないか、こういうような観点から考えまして、この首都高速道路法案が一日も早くでき、そして一日も早く実施に移して、この交通緩和に御精進を願いたい、かように考えているわけであります。
そこで、この公団ができました場合に、やはり実施の面、あるいは計画の面におきましては、先ほど建設局長からお話がありましたように、住民の気持を十分一つくんだ上の計画であり、また実施でありたい。そういうことでないと、いかに計画ができても、地元の協力がないというと、自然に仕事の面において、おくれてくるというような点等から考えまして、十分この点については、計画あるいは実施の面には、納得した線で実施をしていただきたいということが、私どもの念願しているところであります。
以上、まことに簡単でございますが、局長さんがお話ししておりますので、その他の分をお話を申し上げてそして、私も、本案に賛成している一人であるということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/7
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008・早川愼一
○委員長(早川愼一君) それでは、次に、第二号線高速道路反対期成同盟連合会会長鈴木さんにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/8
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009・鈴太篤眞
○参考人(鈴木篤眞君) 私は、主として第二号高速道路の件についてお話し申し上げます。
現在、建設省、東京都において計画されておりまする第二号計画路線については、われわれは絶対反対するものであります。もちろん、われわれも都民の一人として、交通緩和のための高速道路の建設には、その本旨には反対旧するものではありません。ただ、現在計画されておりまする古川の上を利用して走る第二号高速道路建設については、反対なのであります。
なぜかと申しますと、古川の上を利用して住民の被害をなるべく少くするという御趣旨で作られたこの第二号路線でありますが、これは、実際とまことにかけ離れまして、古川は、非常に紆余曲折しているのであります。このために、川の上を走るといいながら、かなり所々において上陸するのであります。そのために、両側の住民は、非常に被害が甚大なのであります。大体、おおよその見当でありますが、第二号路線のために、一時立ちのき、あるいは永久になくなる家屋は、手数百戸にも上るのであります。そして、われわれは全然この計画に対して知らされていなかったのであります。われわれがそれを知ったのは、ようやくことしの正月なのでありまして、あまりにも抜き打ち的に進められておるというので、これまた地元民が非常に反対なのであります。
なお、高速道路の性質上、なるべく最短距離を走る方が適当だろうと思われますのに、古川を通るために、非常に湾曲がはなはだしいのであります。それで、第二京浜国道へつなぐために非常に遠回りをして走っておるのであります。すでに現在計画されておりまする十六メートル道路の幅にいたしますと、この上を高速で走られますと、あるいは少しのかじのとりそこないから、その下へ墜落するというおそれも非常に多いのであります。沿岸の住民は、それもまた非常に心配しておるのであります。
それに、古川の近所は、都市計画路線に当りまして、終戦直後に、電車の停留所で言いますと、約三つぐらいの間を、ちょうどヘビがカエルをのんだように、まん中だけ非常に大きな道路を作られて、その後十三年間も、そのまま放置されておるのであります。そのために、第二京浜国道へつなぐこの先が非常に混雑するのであります。そうして今、区長さん、局長さんが申されたように、計画だけ進められて、両側の住民は、建築することすら、鉄筋コンクリは許されないのであります。きょうやられるか、あしたやられるかと待っておるのに、それは都合上、そのままやめた、そうして今度は、川の上を走るんだ、そのために、川の上を走るためにとられる家は、少しも建築に制限がなかったものですから、つい、ことしの正月に、鉄筋コンクリの四階建を建てて落成したばかりの家が、今度は取りつぶされるというような羽目になっておる家、あるいは、現在建築中の家も相当ありますがそれを建築を許さないと言って十三年間も放置しておく、——何の建築制限もしなかった所は取りこわすというのでは、非常に矛盾もはなはだしいと、住民は、そのためにも非常に憤慨しておるのであります。
なお、古川流域の住民は、昭和五年に、護岸工事で一ぺん立ちのかされたのであります。それから昭和十九年には、御承知の戦争で、強制疎開で全部二度目の立ちのきを命ぜられて立ちのいたのであります。それから戦争が終って帰ってきましたところが、緑地地帯に指定されましたために、これまた、建築がなかなかできなかったのであります。やっと、いろいろ運動しまして、緑地地帯撤廃ということになりまして、ようやく家を作って、やや安住して営業を始めたところ、まだ十年もたたないうちに、今度は高速道路のために、また撤廃をして強制立ちのきだ、四度も同じ所をやられて、しかも、ヘビがカエルをのんだように、一部分だけやって放置するという、第一番目に、いつでもやられるのであります。今度も、第二号路線は、高速道路の第一にやられて、今年中にやるといううわさなんでありますが、何でも一番最初にやられるということを非常に不満に思っておるのであります。
次に、これは東京都全体の話でありますが、われわれは、現在計画されておる高架式の高速道路には反対なのであります。と申しますことは、私が申し上げるのは、万里の長城式のような、みっともないものを東京都のまん中に作って、非常に都市の美観をそこねますのみならず、高いへいで東京を数個に分断しまして、東京の都市の発展を阻害することが第二であります。
第三には、高い所から、ごみやほこりをまき散らしまして、衛生的、医学的見地から見ましても、現在、非常に東京はほこりとごみで、少し風のある日は、大へんに、われわれが目をあいては歩けないくらいの所もあります。それに、高いところの高架式の高速道路を作って、その上から、ほこりやごみをまき散らすということになりますと、おそらく風のあるときなんか都心を歩くには、目をあいて歩けないというような状態になりはしないか。こういうことは、都市の衛生上まことにゆゆしい問題で、どうしても万やむを得ないならば、われわれは地下を通してほしい。高架式の高速道路は反対なのであります。
それで、第二号路線で申しますと、現在、押上から馬込まで、地下鉄が着々現在やられつつあります。そういうのを利用して、地下鉄と共同して、地下鉄の両側を走るなりあるいはその上を走るなりして、第二京浜国道へつなぐ分には、住民の迷惑もないし、工事費は、少しは高くなるでしょうけれども、それを現在の計画のように非常に湾曲して走るよりかも、まっすぐいくということになりますと、一キロ当りでは、工事費は高いでしょうが、始点から終点までの直線にいきますと、あるいはかえって安くつくのではないか。現在、外国の例を引きますと、おそらく地下を走っている方が大部分で、しかも北京あたりでは、四月一日から路面電車も取り払うというのに、わざわざ高速の高い高架式のものを作って、美観をそこね、衛生的には悪いし、そうして都市の発展を阻害するような高架式高速道路は、われわれは絶対やめてほしいのであります。
以上が、われわれの反対する理由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/9
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010・早川愼一
○委員長(早川愼一君) どうもありがとうございました。
それでは、次に大森漁業協同組合の組合長、滑川菊三さんにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/10
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011・滑川菊三
○参考人(滑川菊三君) 私は、大森の漁業協同組合の滑川であります。都下傘下の漁民を代表いたしまして、この法案に対しまして漁民の意見を申し述べたいと思います。
本日ここに、参議院建設委員会の参考人として、私が東京都の内湾漁民の意思を表示できる機会を与えられたことに対しまして、心から厚く御礼を申し上げます。本件、いわゆる首都高速道路公団法案につきましては、私は政治的な、また技術的な問題については、全然素人でございます。従って、純粋な内湾漁民の立場から、簡単に御意見を発表させていただきます。
この法案に対しまして、私たち漁業者に直接関係のあるのは、いわゆる一号線であります。すなわち入谷町から羽田に至る二〇・二七キロの路線の海岸線であります。これは、海面を埋め立てて高速道路を作ることになっておるようでありまするが、この埋立海面一帯には、現在共同漁業権、区画漁業権あるいはカキ養殖、漬柴養殖漁業権がありまして、貝捲漁業者、漬柴漁業者にとっては、最も重要な生活的な生命線であります。
さらに、この工事が実行されますと、その付近一帯にあるノリ養殖業は、致命的な打撃を受けるのであります。従ってわれわれは、過去何回かにわたり、公共事業の名に借りて、悼め立てによる犠牲をしいられてきたのであります。理事者側の言い分では、常に被害は、最小限に食いとめられ、われわれの漁獲高は、それによって、ほとんど減少しないはずにもかかわらず、事実は、そのつど甚大な被害を受けておるのでございます。そのための救済手段というものは全く顧みられず私たちは塗炭の苦しみを続けてきて参っておるのでございます。
日本の首都東京のひざ元に、数十億の資源が為政者の、いわゆる政府の何の配慮も受けず枯渇しようとしているといえば、驚かれる方もあるかと思いますが、私は、この海面から生れる資源を政府や都が、あまりにも冷遇し過ぎているのではないかと思います。道路公団法が首都圏整備にとって、最も重要な基幹的事業であることは、私もよく理解しております。
ただ、われわれは、このような公共的な施設について、しばしばそのための犠牲者としてしいられ、今また、より決定的な犠牲をしいられようとしておる状態でございます。このような、多数者の利益のために、われわれ零細漁民が常に犠牲になる非民主的な政治に強い疑惑を抱かざるを得ないのでございます。
政府が、私たち漁民の生活にも、もっと関心を示していただいて、計画前に、少くとも話し合いができるような方法をとっていただくと同時に、私たちは東京都内湾五千世帯の死活のために、本計画に強く反対をいたします。埋もれた水産資源に、積極的な政治力を示していただくよう要請いたします。
なお、われわれが都市計画による過去の経験を率直に申し上げますならば、神奈川県の埋め立て、品川埠頭の埋め立て、大井埠頭の埋め立て、こういった埋め立てによる腐泥のため、年ごとに、漁場は荒廃されていく段階に立ち、至っております。
私は、この一号線の建設にいかにして反対するかという理由は、今申し上げた埋め立てによる腐泥の被害が、われわれ漁民にとっては、非常に甚大、なおかつ、われわれの営業面にとっての死活の問題であるので、この埋め立ての腐泥の影響を申し上げますと、大体、地質のいいところを、ふき上げる場合は歩どまりが、——ふき上げる土質が一〇〇といたしますと、結局土質のいいところで歩どまりが七五%、腐泥が二五%、ごく悪いところをふき上げる場合は五〇%の五〇%、こういったその数字が出るのでございます。この腐泥による区画漁業権あるいは貝養殖場、漬柴漁業に対する影響は、非常に甚大な実害を受けること。このために、われわれはこの計画に対して反対する者でございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/11
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012・早川愼一
○委員長(早川愼一君) ありがとうございました。
次に、日本道路公団の井尻副総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/12
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013・井尻芳郎
○参考人(井尻芳郎君) 日本道路公団副総裁井尻でございます。
私は、本案に対しまして心から賛意を表します。その理由といたしましては、先ほど来、本案に賛成をなされた方々から、るるお話がありましたが、それと重複いたしまするので、簡単に説明をさせていただきたいと思います。
最近の東京都内におきまする自動車交通の壁は、非常にふえておりまして、まことに著しいものがあります。従って交通の混雑に起因いたしまするところの、人的、物的損失は、まことにはかり知れないものがあります。
これをこのまま放置しておきますならば、首都の交通は間もなく麻痺状態に陥りまして、憂慮すべき状態を惹起することが予測されるのであります。このような現状を打開いたしまするためには、首都におきまする道路、街路及び駐車場の整備を促進する必要があることはもちろんでありまするが、自動車専用道路を建設することが、最も有効、かつ適切な措置であると信ずるものであります。
なお道路公団におきましては、公団創立早々、このことを考えまして、昭和三十一年十一月、東京調査事務所を設置いたしまして、鋭意調査を進め、昭和三十三年度から、これを事業化することといたしまして、目下一億三千万円の予算をもって、銀座、大崎、千住の一部、汐留地区の工事を施行中でございます。
ですけれども、新道路整備五カ年計画の決定によりまして、当公団は、昭和三十七年度末までに名神高速道路を完成し、引き続いて東京、名古屋間の高速道路の建設に着手するような状態にもありまするし、また同時に、三百億円以上の一般道路を建設しなければならないということにもなっておるのであります。
しかも、首都高速道路の建設は、密集する市街地を切り開いて建設しなければならないために、道路、水路等の管理者である東京都の協力が絶対に必要でございます。また、この建設には莫大な資金を要しまするので、その資金源を、政府ばかりでなく、東京都からも求むる必要があるわけであります。
こういった観点からいたしまして、当公団の事業を切り離して、首都高速道路に専念する事業体を新しく設けて、輻湊する交通に対処いたしまして、首部の道路——自動車専用道路の整備を促進するということが一つの方法でもあり、また、最も有意義なものであるとも考えまして、本法案に賛意を表しまして、なお、あと、新道路公団が一日も早く設立せられまして、早くいい道路を作っていただくことを心から願うものでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/13
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014・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 以上によりまして、参考人の方々の公述は終了いたしましたが、委員の方々は、参考人に対する御質問がございましたら、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/14
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015・岩沢忠恭
○岩沢忠恭君 滑川さんに、ちょっとお伺いしますが、滑川さん、この高速道路に対して、埋め立てによって漁場が荒されるというような趣旨から御反対になったと、こういう論旨でございますね。そこで、私聞きたいことは、現在、この地形ですと、埋め立てして陸地になりておるその海岸線に沿うていくようなことが起った場合、そういうものについては、あなたの方は、全然関知しないと、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/15
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016・滑川菊三
○参考人(滑川菊三君) そうです。漁民としては、やはりいわゆる過去の埋め立ての腐泥の被害が、われわれが考えている以上に実害があった、こういった点から、まあいずれ、この一号線を建設するには、京浜二区、三区の埋め立てによって道路を建設するのじゃないですか。あそこは、平和局から旧呑川地区の海岸線を、京浜第二区、第三区の埋め立てに関連性がありますもので、そのために、私たち漁民としては、反対するので、この理由といたしましては、まあ先ほど申し上げた通り、埋め立てによる腐泥の被害というものは、第三者から見ますと、おそらく被害はないじゃないか、かように考えますが、われわれ過去のことを考えますときに、腐泥の中には、有機物が相当含まれているので、その有機物によって、貝あるいはノリに実害を与える、これは都の水産試験場、まあ専門家からの調査の結果なんですが、腐泥の中には、亜硫酸ガスという、ノリ、あるいは貝類に、非常に影響を及ぼすガス体が含まれている、まあこういった点から、われわれノリ業者といたしましては、これには、非常に何といいますか、腐泥が漁場に注いだ場合、一日でノリの成育をとどめる、まあこういった傾向があるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/16
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017・岩沢忠恭
○岩沢忠恭君 今の御説は、これは僕だけの感じが、過去における品川から鶴見までの埋め立てというものは、膨大なものをやっていることは御存じの通りですね。
そのために、昔からあった豊富な内湾漁業が、相当被害を受けたということは私承知しているのですが、そういう体験から、この路線の持っていきょうによって、多分皆さん方は——漁民、漁業協同組合の方は、海の中に突堤でも作ったように、さなきだに少くなったこの内湾漁業地域を、また埋め立てる、こういう御心配があるんじゃないかと思うのですが、それで、どういうような公団ができて、一号線のルートをきめるか私知りませんけれども、できるだけこういうような漁区を避けて、そして交通緩和に役立つ道路を作るということについては、割合、皆さん方も御理解があるのじゃないかと思うのですが、その辺は、どうなんですか。やはり程度問題だろうと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/17
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018・滑川菊三
○参考人(滑川菊三君) 過去の埋め立てによっての腐泥の被害ですね、まあ、こういった漁民は、懸念があるわけです。そのために、今回の首都建設法による——道路に対しての建設法ですね。まあこれは、われわれ漁民の考えから申し上げますと、あれを高架線ですか、まあ現在の勝島から森ケ崎へ抜ける線ですね、あれを高架線にしていただくならば、漁民としては反対はしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114149X02219590402/18
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019・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 他に御質疑はございませんか。
それでは、本日は、長時間にわたりまして、御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。特に、本委員会の開会がすこぶるおくれまして、大へん皆さんに御迷惑をかけたことをつつしんでおわびいたします。委員会を代表しまして、公述に対するお礼を申し上げるとともに、おわびを申し上げる次第であります。
それでは、大へん御苦労様でございました。
これにて、本委員会は散会をいたします。
午後一時十四分散会
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