1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年十二月二十二日(月曜日)
午前十一時四十二分開会
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委員の異動
本日委員西田信一君、石原幹市郎君、
高野一夫君及び坂本昭君辞任につき、
その補欠として横山フク君、榊原亨
君、有馬英二君及び藤原道子君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 久保 等君
理事
勝俣 稔君
柴田 栄君
木下 友敬君
委員
有馬 英二君
草葉 隆圓君
小林 英三君
紅露 みつ君
斎藤 昇君
榊原 亨君
谷口弥三郎君
横山 フク君
片岡 文重君
小柳 勇君
藤田藤太郎君
山下 義信君
田村 文吉君
竹中 恒夫君
国務大臣
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
厚 生 大 臣 橋本 龍伍君
政府委員
大蔵省主計局次
長 村上 一君
厚生政務次官 池田 清志君
厚生省保険局長 太宰 博邦君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
説明員
厚生省保険局国
民健康保険課長 伊部 英男君
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本日の会議に付した案件
○国民健康保険法案(内閣提出、衆議
院送付)
○国民健康保険法施行法案(内閣提
出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/0
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001・久保等
○委員長(久保等君) これより社会労働委員会を開きます。
委員の異動を報告いたします。
十二月二十二日付をもって、西田信一君、坂本昭君、高野一夫君及び石原幹市郎君が辞任し、その補欠として、横山フク君、藤原道子君、有馬英二君及び榊原亨君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/1
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002・久保等
○委員長(久保等君) 国民健康保険法案、国民健康保険法施行法案、両案を一括して議題といたします。
御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/2
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003・山下義信
○山下義信君 私は、前回の質疑の中で、機関に対する処罰と、医師に対する処罰と言っては妥当でありませんが、処分についての問題点を保留しておきました。その前に、政令案、省令案を見せていただくということでお願いをしておきました。今ここに一部御配付になったものがそれであろうと思うのですが、省令案についても一つお示しを願いたいと思います。それから、前回お願いしておいた資料としましては、機関並びに医師に対する処分の資料といたしまして、健康保険における処分と国民健康保険における処分との比較対照を一つ資料としてお出しを願いたいということを申し上げておいたのですが、どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/3
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004・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 申しわけございませんが、あとの分はちょっとおくれております。午後に提出いたしますから、さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/4
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005・山下義信
○山下義信君 省令案はお見せ願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/5
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006・久保等
○委員長(久保等君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/6
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007・久保等
○委員長(久保等君) 速記を起して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/7
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008・片岡文重
○片岡文重君 費用の問題で、この際一つ二つ厚生大臣に伺いたいんですが、私ども社会党としては、この新しい国民健康保険法の発足に当っては、少くとも国庫負担を三割にすべきであると、こういう主張をいたしております。ところが、政府でお出しになった今度の法案を見ますと、二割。それでさらに調整交付金が五分あるから、結局二割五分。その差は、わずかに五分であります。これがなお譲れない、こういうことなんですが、二割五分——二割並びに調整交付金五分、この財源、財源といいますか、費用の見込が一体どのくらいになるのか。それから、従って、三割との差額が、どのくらいになるのか、厚生省としては計算したことがおありになるかどうか、この点一つお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/8
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009・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 平年度にいたしまして約五十億でございます。二割と三割でございますか。従いまして、私の方では財政調整交付金としてさらに五分見ておりますから、もしその二割五分と三割の差となりますると、その半分の二十五億くらいになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/9
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010・片岡文重
○片岡文重君 私は今の御答弁を伺って、伺うまでの時間が——これはもう御質問申し上げるとオウム返しに御返事いただけると思っておったのですが、少くとも今の御答弁の時間をはかれば、社会党の案というものは一顧も検討しておられないということが私は言えると思う。私はこの政府から今回出された案と、私どもの主張している案とはそう大きな開きはないという見地に立っておりました。ですから、今の御質問を申し上げたのですが、少くともこの国庫負担の差額がわずかに二十五億にすぎない。
そこでもう一つお尋ねしたいのですが、私どもとしては、七割給付の実現を今主張いたしております。ところが、原案では五割です。この差額は一体どのくらいになるのですか。
大蔵大臣は大へん時間をお急ぎのようですから、この御答弁を待っている間に御質問をいたします。で、本来は今私がお尋ねしいる金額が明瞭になった方が、だいぶ大蔵大臣としても御答弁をいただくのに都合がよいと考えましたので、あえて今御質問を申し上げたのですが、残念ながら私どもとの意見の調整といいますか、私どもの意見というものは、全く厚生当局としては御検討になっておられないわけです。けれども、この差額は私はそう大したことではないと考えております。で、最近新聞の伝うるところによれば、三十四年度の国家予算は一兆四千億の前後である、こういうことでありますけれども、この一兆四千億前後の予算の中で、この国民健康保険に関して今政府から出されておりまする内容と、私どもの希望している内容とでは金額の差はきわめてわずかだと思うのです。しかるに、これがなお大蔵大臣として、その予算を受け入れることはできない、こういうお考えでありましょうか。それとも厚生省として、今の御答弁に要した時間から言って、ほとんど検討しておられないから、そういう金額についての御要求がないので考えておられない。で、もしこの程度の要求ならば、大蔵省としてはこれを支出するにやぶさかではないと、こういうふうに考えられるのか、大蔵大臣の御答弁をお願いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/10
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011・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) いずれ金額——数字の問題につきましては、ただいま村上次長を呼び出しておりますから、村上君から御説明いたすと思います。
で、本来の考え方から申しますと、まあ適正な国家負担率というものはあるわけだと思うわけであります。こういう際というか、いわゆる年金制度も全面的に発足しようという、まあそういう段階になっているし、まあ大蔵省自身としては、こういう際に過去の各種の社会保険に対する政府の負担額あるいは負担率、それらがいろいろまちまちになっているものがあるように見受けられる。これは一つその保険の経理状態等もよく勘案して、できるだけまあ均一というか、同一の考え方で進むことが望ましいのじゃないか、こういう考え方に立ってただいま検討さしているものかございます。ただいまお話のように、一国保だけの問題でありますから、金額の二分の一を国庫が負担している。これは相当多額の負担である、ただ単に国保だけでその負担額を引き上げろとか、あるいは引き下げろとか、こういうことは、各種社会保険の間の相互均衡を得るという面から見て、あまり望ましいことではないと思うのであります。ただ、どこまでもせっかく作った保険制度でありますから、ただいま申し上げるような理屈だけではいかないので、これはよく経理状態等、会計状況を見て、最終的にはきめるべきことだと思います。思いますか、同時に、そういうことをきめる場合には、国の負担というものも、総予算のうちからまかなっておりますから、これもよく一つ考えていかなきゃならぬと思うのであります。
で、先ほど来お話を伺っておりまして、社会党の改正案について十分検討したかというようなお話が、厚生省に対してお尋ねがあったと思いますが、大蔵当局そのものも、直接皆様の御意見を聞く機会はございませんか、厚生省を通じて各種の案については十分検討をして参った、かように私は確信をいたしております。従いまして、いろいろお尋ねの点で数字等の出し方があるいは厚生省と大蔵省で違うかもわかりませんか、今村上君が参りましたから、村上君から数字についてのお話をさせたいと思います。
重ねて申し上げますが、各種社会保険については、国庫負担率はなるべく同じようなものの考え方で取り扱っていきたい。一つのものだけを引き上げて、取り上げていく、それに対する特別措置を講ずるということは、私どもとしては望ましくないと、実はかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/11
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012・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 先ほど恐縮でございましたか、数字をはっきり申し上げておりませんか、御質問のございました二割五分と三割との差は約二十八億であります。これが三十三年度の予算についてでございまして、三十四年度の要求予算につきましては、二割五分と三割の差は約三十八億ということに相なります。
で、給付率を引き上げるということは、これは余裕をどれだけ持たすかということに関連かございますので、もう少し国庫補助をやらなきゃならぬという考え方もあるかもしれませんか、ぎりぎりで参りますならば、この二割五分を三割にいたしまして、それでこの給付率を七割に引き上げるということもなかなか窮屈ではございますか、徴収歩合等をよくすれば可能に相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/12
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013・村上一
○政府委員(村上一君) おくれましてまことに申しわけございません。お答えいたします前に、質問を取り違えるといけないと思いますので、最初の御質問は、今厚生大臣からもお答えがございました現在の国保の国庫負担率は、二割に加えまして、五分の特別の調整交付金と合せまして二割五分になっておりますか、これを三割に引き上げるべきであると思うがどうだ、引き上げるとすれば、いかほどの国家負担を必要とするか、かような御質問であったというふうに了承いたします。
まず、ただいま厚生大臣からもお話がございましたことでございますが、二割五分によりますところの三十三年度の国庫負担額は、御承知と思いますか、百十九億三千六百万円でございます。これは予算に計上をしております数字でございます。ところが、そのうちの三十三年度から新規に五%の国庫負担をいわば増額いたしたわけでございますが、その分が十三億八千二百万円でございます。これは百十九億のうちでございます。ところで、これが三十三年度は六カ月分の計上でございますから、そのままのいわば人数、単価という格好でこの六カ月分を十二カ月分の平年度に延ばしますと、百三十三億一千八百万円ということになります。これが三十三年度のいわばベースでございますが、三十四年度はどうなるかということになりますと、これは今せっかく私どもが予算を検討しておるところでございますが、従いまして、加入者がどのくらいふえるという見込みと、一人当りの医療の平均単価かどうなるかというような見込みが入って参りますが、年度平均三百万人、十二カ月を平均しまして三百万人、従いまして、年度初めと年度末の加入者の増は国民皆保険ということも実行中でございますので、六百万人の加入者がふえるというふうに考えて試算をいたしますと、今申し上げました百三十三億が百七十三億見当になるかと思います。これは今お答えしておきますか、今申し上げましたようないろいろ推計が入っておりまして、固まりますまでには、もちろん厚生省御当局と十分御相談をして、きまる数字でございますか、私どもの一応の試算を申し上げておるわけでございます。そこで、二割五分を三割ということでございまして、これはいろいろこまかく申しますと、やり方はいろいろあると思いますが、簡単にこの百七十三億が二割五分である。それを三割にすればどうなるかというふうに計算してみますと、三十五億ばかりの国庫負担の増、こういうことでございます。
それから別の御質問で、現在国保は医療費の給付の二分の一を保険の対象としている。これを、健保並みに十割を対象とするということに引き上げては、どうなるかという御質問があったかと存じますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/13
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014・片岡文重
○片岡文重君 七割です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/14
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015・村上一
○政府委員(村上一君) 七割でございますか——七割の場合はちょっと、これもいろいろやり方がございますか、大ざっぱな試算でただいま申し上げました三十四年度の見込みを折り込んだ数字で申し上げますと、約七十億円の国庫負担の増加、その場合十割ということで考えますと、百七十三億というものの国庫負担の増ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/15
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016・片岡文重
○片岡文重君 まことに釈迦に説法のようなお話で恐縮ですか、あらゆる社会保険をなるべく同じ率でやっていく、給付の料率も、また、補助も大体同じような方針でいきたい、一応私はごもっともだと思うのですが、しかし、御案内の通りに、この国保の対象となる人々の収入というものは、おそらく今日の社会の最低層をなしておる人が大部分を占めるのでありましょうし、これ以外に組織的にたよるところのない人々が百パーセントだと思うのです。そういう人々を対象とし、かつ、自民党さんでは私どもと今同じように、言葉の上では皆保険ということを大きく選挙公約として発表をしておられまするし、現にお立場になっての努力はそれなりになされておるものと思いますが、その重要な支柱となるこの国保に対しては、やはりそういう観点に立って国庫補助なり、給付の引き上げということのお考えがあるべきものではないか。そういうことになれば、現在ある社会保険の給付が、あるいは国庫補助が十分なものであるというふうにお考えになっておられるならば別でありますけれども、そうでなくして、さらに給付をよくしたいというお考えがあり、国保の対象となるものか対象となるものであるということであるならば、いつまでもその低いレベルに歩調を合せないで、機会あるごとにやはり引き上げていくべきではないか。今度のような大きな改正をなさる機会にこそ、その引き上げもチャンスではないかと私は思う。しかも日本の社会保障制度に支出される国家財政の割合、国家財政の社会保障関係に対する支出が大きいのかということになれば、決してそうではないと思うのです。一九五七年の資料によってみても、デンマークでは二六・九%の割合を示しております。スエーデンも二八・六%、西独でさえ三三・九%という最高を示しており、日本の四倍ないし五倍近い数字を示しておるわけであります。こういう点から考えれば、私はこの引き上げについてもっと御努力をいただきたいと思うし、今伺った金額をもってすればこのくらいの金額はどこからでも、どこからでもということになったら何でしょうけれども、少くとも非常に手腕すぐれた有能な大蔵大臣の手をもってすれば容易に出せるのではないかと私は考えるのですが、それで、今厚生大臣の御答弁の中には、もし保険料の徴収等か円滑にいくならば、将来七割の給付も必ずしも不可能ではないというような御答弁があったようですが、そういう見通しがあるならば、給付が引き上げられることによって保険料率の納め方もやはりよくなってくると思う。納めてもこれだけしかもらえないのだということではなくて、少くともこれだけ納めておけば病気等の場合にはこれくらいにはなるのだという、こういうやはり信頼感が出れば保険料率の納入も一そうよくなってくると思いまするので、その地理由は幾つもあげられると思いますが、せっかくここに御決意をされたのですから、この程度の支出については、大蔵省として一つ奮発をしていただけないものか、こう考えるのですが、大蔵大臣の御所見はいかがですか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/16
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017・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 片岡さんの理詰めのお話で、私どももしごく同感というか、共鳴する点もございます。同時に、私は、この機会に訴えたいのは、先ほど基本的なお話を一つ申し上げました。しかし、もう一つ訴えたいことは、この基本的な考え方もさることですが、何と申しましても、わが国の社会保障制度というものは、最近ようやくその緒についたというところでありまして、言いかえますならば、こういう機会に窓口をとにかく広げていくということがまず第一だと思います。これが基本的な考え方でざいます。従いまして、できるだけおくれを取り返して、そしてりっぱな社会福祉国家を建設する、こういう意味で制度の窓口を広げていく。その方にまず重点が入る。先ほど来のお話を聞きますと、せっかく窓口を広げるのなら、どうだ、この際思い切って奥行きももっとどっしりするように、また太柱を立てろ、このようなお話のようにもうかがえるのでありますが、それも、国の財政そのものから申しますと、まだなかなかお話のようにはいきかねる、追随しかねるものがある。この点を特に実は訴えたいのであります。私ども問題は、国民皆保険ということを主張し、また、その方向でどんどん進めていく気持でおりますし、今回この法案の御審議をいただいておるのも、大きく踏み出すという考え方のもとにおいて御審議をいただいておるのであります。どこまでも窓口を広げることがまず第一ではないか、そしてその次が奥行きの問題ではないか、こういうように実は考えておるわけでございます。私片岡委員に対して議論を吹っかけるつもりはございませんし、また、先ほど来のお話は、私どもの首肯する点も多々あるのでございます。国の財政そのものから見まして、また、各種社会保障制度を推進していく場合に、私どもが今まず第一にどういう方向に重点を置いているかということを御披露いたしまして、今回の処置についての御了承をいただきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/17
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018・片岡文重
○片岡文重君 国庫の対象になる方々にとっては、今までから見れば、やはり何と言っても特段の進歩をいたしておるわけですから、そういう点から言えば御努力の跡も認められますし、今の御答弁の中にうかがったものの考え方と申しますか、大蔵大臣の御所見ももちろん私はむげに反対するものではありません。そういう見方もあろうかと存じます。けれども、先ほど来申し上げておりますように、この対象となる人々の生活環境、生活、経済の実態、そうして今改正の機会に恵まれておるということ、将来こういう大改正をしばしば近い機会に行えるのかということになると、そう簡単にこのような改正をしばしばおそらくおやりにならないと思う。そういうことになれば、この機会をのがすということははなはだ私は遺憾だと思いますので、でき得れば——でき得ればというよりも、むしろできるだけ引き上げの努力をしていただきたいと考えるわけです。
そこで、さらにお伺いいたしますが、しからば、これは条文を引いてお尋ねするのですが、組合に対する補助は、七十三条では「療養の給付及び療養費の支給に要する費用の十分の二を補助することができる。」となっております。これは「補助する」のではなく、「補助することができる。」しかもこれは十分の二に限っておるわけです。十分の二以内でもなければ、以上でもない。この条文の書き方を見ると、まず第一に不安なのは、しからば、たとえば自衛隊の経費であるとか、あるいは二十一、二号台風のごとき非常の天災等があって、国家財政の見地からどうにもならない、非常に窮屈な財政状態に迫い詰められたような場合には、この補助というものは打ち切ることもできるのである、「補助することができる。」のですから、しなくともいいということが言えると思う。こういう場合、大蔵省としてはどういうふうにお考えになるのか、将来の保証となりますので明確に御答弁をいただきたいのでありますが、この「補助することができる。」という、この「できる」というのは補助をするのだという確約にとってよろしいのか、これが一点。
それから「十分の二」と限定したことは十分の二以内を意味するものであるのか、あるいは十分の二を明確にしていく御意思なのか、この点はもちろん厚生省との折衝の中で作られた法文だと思いますけれども、どういうふうになっておるのか。これは次の七十四条にも関係いたしますので、これは七十三条、七十四条同じようなものですから、あわせて七十四条についても一緒に御答弁をいただいてもけっこうですが、七十四条によれば、さらにこのほかに「予算の範囲内において」ということが明確にうたわれておるわけです。そうすると、「予算の範囲内」というのは、国保予算のことを意味しているのか、あるいは国家財政全般のことを意味しているのか。おそらくこれは国保財政だけのことを考えて「予算の範囲内において、」ということをおっしゃっていると思うのでありますが、この点について、どういうようにお考えになっておられるか。それからさらに「保健婦に要する費用についてはその三分の一を、」ということを明確にして、やはりここも「その一部を補助することができる。」と、こういうことになっております。七十四条、七十三条は同じような書き方をしておられる。この「三分の一」というのは、三分の一を上回ったり、あるいは下回るようなことはせずに、常に三分の一というはっきりした率を補助するのか、財政が許さなかった場合、三分の一もしくはこの七十三条にいう「十分の二」というものが出せなかった場合にはどういうことになるのか、この点を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/18
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019・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。お説のように、文理解釈から申しますならば、一般財政の状況を勘案して出さないことがあるかもわからない、こういう一般の補助金に対する悪き方と全然同一でございます。そうすると、いかにも不安な状態のものかどうか。また、財政状態から見てそういうことがやれない——不安で、せっかくの制度が生きないじゃないかという御議論があろうと思います。これまた理屈の上ではそういう御疑問も出るかと思います。しかし、この十分の二だとかいうような率をはっきりきめておりますし、それ以内ということでも可能だというようにとれる文理解釈ではございますが、大蔵、厚生両省の間において予算折衝でこの点は十分詰めて参るつもりでございます。今日この法律を制定いたしまして、そうして実行にかかります以上、さようなものが文理上いかようにあろうとも、そういうものが簡単に変るとは皆さま方もお考えでございますまいし、私どももそういうものが容易に変るとは実は考えません。ただいま御指摘になりますような程度のことで、おそらくこの程度の国の負担を変更する、まあたとえば非常な災害があった、あるいは防衛庁費が非常に拡大してとか、こういうようなことはこれはもう心配する必要のないことだ、これは実際問題としてそういう点の不安は一掃されてしかるべきだ、かように思います。しかし、法律の書き方、建前、これはもう全く技術上の問題になりますが、法律といたしましては万全を期する意味において、この種の書き方はひとり国保だけではなくどの法律の条文にも出てくるところでございますから、この点はさように御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/19
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020・片岡文重
○片岡文重君 大蔵大臣のせっかくの御答弁ですから、私はそのままに了承をいたしたいのでありますけれども、残念ながら過去において、この種の補助等が打ち切られた例も私どもとしてはまだ記憶に新しいものがあります。健保に対する補助金が二十八億でしたか、約束をして保険料率を引き上げた、とたんにその翌年には、もし黒字になれば料率の方を先に下げて国庫補助はそのままにしておいてというお約束であったわけです。ところが、料率の方はそのままにして置いて、補助の方だけが削られているという例もある。従って、いつまでも佐藤大蔵大臣がこの法律の存する限り御在任下さって責任をお持ち下さるならば、私どもももはやこれ以上の御答弁をお願いする必要はないけれども、遺憾ながら過去においてそういう苦い経験をわれわれはなめさせられている、従って、たとえば三十六条には明らかに給付するとうたつてある。この法律の中にもやはり負担をする、給付をすると、もう明確な断定と、することができるという逃げのところとがあるわけです。特にこれは市町村にとつて、この補助があいまいにされると非常な危険をもつわけです。経営の危険にぶつかるわけです。従って、この十分の二あるいは三分の一というのは、この法律の存する限り大蔵省としてはお約束が願えるのかどうか、この点を明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/20
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021・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん私かいつまでも大蔵大臣をやつているわけではございませんが、本日、参議院の当委員会においてはっきり申し上げます以上、これはもう記録にちゃんと残っているのでございます。で、ただいま申し上げることについて誤解のないように願いたいと思うのでございますか、はっきり申し上げます以上、それは人がだれに変りましょうとも、保守党内閣である限りその責任は継承されるものであるということをはっきり申し上げられると思います。ただ、非常に誤解を受ける危険がありはしないかと思いますことは、ただいま過去においてこういう例があったということを御指摘がございましたが、私どもが一番心配いたしておりますのは、制度そのものの本質が変るような変更は、これは絶対に加えては相ならぬということでございます。いろいろ各種保険制度におきましても、状態いかんによりましていろいろの問題か起ると思います。ただいま仰せのように、非常に成績がよくなれば国の負担率はそのままにしても、加入者の負担率を先に変えるべきじゃない、その方を引き上げて、国の負担率を上げることはけしからぬじゃないかというような御批判があろうかと思いますが、問題はどこまでもこの制度そのものの中で、双方で相談のつくところできまっていくというように御了承いただいて、私どもが一方的にめちやくちゃな考え方で文理解釈からこれは可能じゃないかというような乱暴な危険は絶対にない、これだけは御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/21
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022・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私ども別に御質問したいのですが、今のに関連して、今の問題から入りたいと思いますけれども、政府管掌の健康保険の補助金ですね、私は非常に信義上の問題があると思います。なぜかというと、健康保険法の改正のときに、患者には入院料、初診料をとるという一部負担をさしておいて、そうして黒字になったからといって政府の約束、一部負担をして下さい、そのかわりに政府管掌の健康保険には三十億ずつ出すのだ、こういうことを今大臣は議事録に載っているからと言われたけれども、明確にそれは発言され、明確に議事録に載っている。それをすぱっととってしまって、これほど国民に信義を裏切った問題は私はないと思います。これは直接財源を持っておられるのは大蔵省だ。だから、大蔵大臣にお聞きしておきたい。私は今のような問題は、これは非常に重大な問題だ。これは国民健康保険に直接関係がありませんけれども、話に聞くと、何か調整をするために云々という言葉が出てくる、もってのほかだと思います。これはどうなんですか。まず、先きに伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/22
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023・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今の藤田委員のお話で、私どもが今いろいろ検討しておるものが一つございます。これはいずれ案がまとまりますれば、皆様の方に御審議いただかなければならないところでございますが、今の社会保険制度で四つばかりの国保、健保いろいろ見ますと、非常に成績のいいのがただいま失業保険だということが言えると思います。これなどは非常な、六百億をこすような状況じゃないか、これを加入者、あるいは雇用者、あるいは国の負担というようなものを現状のままにしておくことはいいことじゃないのでございます。やはり保険率というか、これを低下していくということが望ましいのじゃないかと思います。そういう意味でいろいろ検討しておるのが一つ。
もう一つは、これは日雇健康保険の問題でございます。この方は不幸にしてただいままでのところ赤字でございます。これはやはりその保険制度そのものが赤字を出しているとなりますと、これに対しては十分対策を立てていかないといかぬ、せっかくの制度が赤字を出しているようでは伸びが悪いということ、こういう意味で先ほど国保についての調整というような意味の話も実はいたしたのでございます。しかし、各種社会保険制度、それはやはり社会保障制度の全般としてそれぞれの経理状態を十分勘案して、経理が許しますならば、加入者やそれぞれの負担金というか、保険率は大体下げるべきじゃないか、そういう意味でこの検討をすべきじゃないかというのが実は骨子でございます。そういう場合に私どもは、やはり国の負担率というものを考えまして、大体負担率を適正化していくというような方向でやりたいと思っております、というのが先ほど申した意向でございますし、これはまだ政府部内におきましても意見が統一された状況ではない、ただいま研究している、しかし、この考え方には御賛成がいただけるのじゃないかというような気持でただいま検討しておる、かような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/23
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024・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私は社会保障を政府が、自民党が非常に大きく取り上げて宣伝をされたというか、これはけっこうだと思う。しかし、健保の今度の三十億多く引き上げる問題にしても、三十億引き上げるなら、保険経済が黒字になったというなら、一部負担をなぜ解消しないか。被保険者の一部負担をそのままにしておいて研究するなんて、これくらい片手落ちのことはない。いかに大臣が調整して云々と言われても、私はそんなことにはならないと思う。
もう一つの問題は、私はさっき片岡委員が外国の例をおっしゃっておられました。しかし、この財政の面から見て、社会保障をほんとうにやろうというかまえであったならば、もっと大胆に社会保障制度を伸ばしていくということに……各保険、今度年金の問題が出てきております。しかし、いつの場合でも、大蔵省は社会保障という筋金の入った考え方で社会保障制度のいろいろの問題について当ってもらいたい。どうも私らか考えると、見ていると、そろばん勘定で、ウエートが社会保障にあるのじゃない、ほかの方にウエートがいっている、かかっている。結局この前の厚生白書を見ましても、千百十三万人、ボーダーラインがおって、養老年金と医療制度の確立をしない限りこの貧富の差はだんだん拡大をしていって——今度の厚生白書にもそういうことがありますが、そういうことが片一方で実際の上で出てきているけれども、そういうことに力が入っていない。三十三年度の予算だと四百三十六億たな上げ資金が出てくるわけですが、私はどうも理解ができない。大蔵省はほんとうに社会保障制度をやる気であるのかないのか。それは五億ふえておりますから、一つの段階は段階でございましょうけれども、ここのところを少し……。全般的に社会保障制度に対してほんとうに実施していこうという気持があるのかどうかということを私は疑う。だから、調整をするということはけっこうでしょう、大筋として調整をするならば調整をして上げて、その貧困生活の責任を持っていくというところに基礎を置いてやらない限り、私は調整が何のための調整なのか。ほかのところに金をどんどん注ぎ込むが、ここのところに入ってこない、財政上のめんどうを見ないという格好で調整してしまってはとんでもないことだと私は思う。そこのところをもう少し明確にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/24
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025・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも大蔵省は信用がなくて、どうも大蔵省のやることでは安心ができぬという、端的にそういう表現ではございませんが、お話から受け取ることはそういうふうに実は受け取りました。私も実は大蔵大臣になります前は、どうも大蔵省のやり方はふに落ちないことが多い、一体やっていることに魂が入っているかどうかというような、だいぶ疑問を持ったこともございました。しかし、大蔵省に入りまして、今回初めてではございますが、予算編成などをしておりますと、私はよくも保守党のもとにおいて各種の厚生施設なり、社会保障制度というものが、間口が広く取り上げられたものだと、実は私自身予算を編成してみて、非常に手広くやられておることに驚いておるのでございます。先ほど片岡委員からも社会保障制度についての行き方で、もっと奥行きを深くしろというお話があり、藤田さんの御意見もそういうことのようにとれる御意見じゃないかと思いますが、少くともよく各種問題を取り上げたものだと、問題はこれからさらに内容が充実されるようにする時期にきているのじゃないか。橋本厚生大臣は私どもにしばしば社会保障制度に対して、一つ思い切った体系を整える時期がきたのじゃないかということを言っておられます。年金制度を創設するとなりますならば、これは明らかに今まで手広く広げたものに対して体系を整えていく、そうしてほんとうに力の入った厚生福祉国家を作る、こういう方向へ強く引っぱっていきたいと、こういう気持だと、今回の予算編成に当りましても、この点は金額的に御不満はあるかと思いますけれども、私どもが取り組んでおる気持はただいま申し上げるような意味で、もう日本の社会保障制度というものは相当間口は広くなったのだから、これに対して体系を整え、内容を充実する時期にきたのじゃないかという感を実は非常に深くいたすのでございます。私は別に保守党の天下でどうとか、社会党の天下ではどうとかいうようなことは申し上げる要はないと思う。この点は国民の生活向上というものを一つの目標にいたしまして、そうして幸福な社会を作るという観点に立ってこの種の制度が生まれ、この制度と取り組んでいくと、その場合には保守党もなければ、いわゆる社会主義政党もないと思う。そういう意味で、真に一つ御協力なり御支援なり御鞭撻も私は賜わりたいと、こういうふうに私は思うのでございます。
過去における大蔵省につきましての御批判は、これは私自身も大蔵省に籍を置くまではしばしば感じたこともあったのでございますから、その点についてはとやかく申し上げません。しかし、大蔵省というところは、ただ単に金の勘定ばかりしているところではないと、これは一つ御理解いただいて、もしも大蔵省にあり余る財源を与えて下さいますならば、これはほんとうに思い切ってよしよくやったと言われるような仕事を、ときにはほめていただきたいような仕事をしたいのです。私ども最近十二時より早く帰ったことはございませんが、こうして各方面からの話をいろいろ聞いております。こうして努力するのも実はほめていただきたいばっかりなんです。けれども、財源そのものと取り組んでみますと、なかなか思うようには参らない点があるということで、御満足を得ておらないその結果がただいまのようなお話になったかと思います。
だんだん時間をとりまして恐縮でございますが、そういう意味で私どももこの問題と真剣に取り組んでいくつもりでございます。また、与党であろうと野党であろうと、そういうことで役所に取扱いを一任するつもりはございません。どうか一つ進んで御意見は私どもの方にもお伝えを願いまして、そうして真にりっぱな福祉国家を作るように今後とも私どもが努力する、その熱意、これだけは一つ御理解をいただきたい。重ねてお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/25
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026・久保等
○委員長(久保等君) 大蔵大臣に対する質疑の時間も迫っておりますので、一つ御了承願って、簡潔に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/26
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027・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私は、だから大臣に申し上げておきたいのです。努力する努力すると、私が大臣になってから努力すると言われるけれども、三十三年度の予算を見てみても、社会保障費の関係は九・何パーセントです。外国の例を見たらすぐわかる。だから、ことしはどれだけ引き上げられるか、ことしは予算をこれから作られるのですから、これから努力するのだということが実際に現われるような予算を一つ作ってもらいたい。
それからもう一つは、具体的に国保の二割五分とこの法案には出ていますけれども、一番問題になっているのは国保の出先なんです。出先が五〇%も医療費を負担しなければならぬ。それから今までの補償が二割五分ふえたから少しはよくなるでしょうけれども、保険料の徴収が困難だ。診療をしてその医療費の半額を払うのが困難ということで、地方市町村に財源がかぶさってきている。私は、われわれが主張するように、少くとも三割くらいにして、そして見てみて、それから順次保険料を出しておれば全部無料で病気はなおしてもらえるというところまでいかないと、医療制度の確立というものはないと私は考えております。だから、その点はとくとこの医療制度の問題についても、他の問題についても、今度の三十四年度の予算をどういう工合にお作りになるか、私は期待いたしますから、外国の例もあるし、近代国家と覆われる日本、六大工業国と言われている日本が、福祉国家を目ざした三十四年度の予算をあなたの大臣がお作りになるわけですから、一つぜひ今ここで御約束されたような予算を作ってもらいたいということだけ私は申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/27
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028・久保等
○委員長(久保等君) 申し上げますが、大蔵大臣の時間が実はなくなっていますので、簡単に一つお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/28
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029・竹中恒夫
○竹中恒夫君 大蔵大臣にこの機会にお伺いするのですが、今の藤田委員の質問に関連するわけですけれども、国民保険というものは、各種社会保険に対しては国が同じような負担なり補助でやっていきたいのだという意味はわからぬではないのですが、国民保険には事業主負担というのがございません。それから先ほどおっしゃたように、低額所得者を対象とするのですから、格段の御配慮は国民保険にはなさらないと円満に皆保険はできないと思う。一つその点に特に御配慮を賜わりたいと思うのですが、そこで簡単に、時間がないから結論だけお聞きいたしますが、実はただいまの三十億円の健保の問題なんですが、これは厚生保険特別会計の問題なんですが、この健康保険の補助をするために、前の大蔵大臣がおっしゃったのは、各種の社会保険をでこぼこがないようにするために、政府所管の健康保険が相当に進んでいるから、あの三十億円をちょん切って国民健康保険の方へ持ってきてならしたというような答弁を実は昨年の予算委員会で受けたわけです、これは速記録もございますが。そうした場合に、ならすということはわかるのですが、レベルダウンしてならしたのでは、これは社会保障を推進なさるという今の内閣の公約からいっても非常な矛盾があるわけです。やはり政府所管の健保の三十億円をちょん切ってならすということではなくして、低額所得者なり事業主負担のない国保に対してはやはり財源を他に求めていただいてやっていただかぬと、政府所管の健保が非常に困るのです。それで先ほどの質問で、三十億円は、はっきり今年度は出すとか出さぬとかいう明確な答弁がなかったわけです、抽象的な御答弁であったわけですが、あの当時三十億お出しになったのは、三十二年の健康保険法一部改正案のときに、法律的の改正としては、一部負担を被保険者に増額して持たす、行政措置としては保険料率の変更をする、なお、診療の制限も医療担当者にある程度してもらうのだということで、そういうことが背景になってあの健康保険法一部改正案というものが通ったのです。これは事実なんです。ところが、まっ先に国庫負担だけやめた、残る問題の料率の問題と、医者の制限診療の問題が相当強く制限を加えられまして、医療担当者は良心の苛責を感じながら不自由な気持で医療をやつているというのが現実の今の姿なんですが、そういうような状態におって、政府所管の健保が黒字になったとおっしゃっても、不自然な圧縮したことの黒字であって、決して私はこれは自然の姿の黒字でないと思う。そういうやさきに黒字だから三十億円をやらぬというのでは、レベル・ダウンした条件下に政府所管の健康保険が推進していって、しかもそれに見ならって国保が右へならえするということであるならば、非常に低い、後退した社会保障というものが出てくるのです。その点、非常に私懸念いたしますので、三十億につきましては、いずれ厚生大臣と予算折衝なさるでしょうが、そういう過去における意味合いがあったということを十二分に御留意の上御折衝に当っていただきたいということをお願い申し上げておきます。
もう一つ重大な問題は、実はその当時七十億円というものが、厚生保険特別会計に二十九年の赤字が四十億円、三十年の赤字が三十億円、七十億円ほど赤字が出るという予測のもとに手当がされたわけなんです。その手当されました七十億円というものは、十億円は三十二年度の一般歳出からお出しになって健康保険に肩がわりしていただいたわけなんです。あとの六十億円は資金運用部資金から金を借りまして、それで今日まで来ておるわけです。そのときには翌年から毎年十億円ずつを一般会計から返していくのだということであったわけなんですが、毎年ただ決議だけなさって、厚生保険特別会計の一部改正という形でもって決議なさって、六十億円が今日まで一文も減っておらないわけなんですね。そうすると、健康保険なり社会保険というものをずっと広げることをおっしゃりながら借金を過去に残しておいてそれを毎年繰り返して、ただ決議だけして今年は払わないのだ。また、来年も今年は払わないのだということでは、一つも健康保険の財政的な基盤は確立しないと思う。それほど政府所管が黒字だとおっしゃるならそれでいいんですが、黒字であるならばせめてそういう国の負担でやるのだという、借金については本年度は十億円ずつでも約束通りお出し願いたいと思うのですが、その点についての御所見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/29
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030・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 竹中委員はその道の専門家ですから、私が申し上げて、申し上げるというか、答えのできないようなお尋ねも実はいただいたのでございます。私が先ほど来申し上げますような気持でおる、この点は一つ御了承いただき、ただいまお尋ねになりました具体的の金額等についての処理の方法その他については、村上君からお答えをさしていただきたいと思います。今回のこの改正が非常な意義を持つものでございますから、そういう意味で一つ十分お聞き取りいただき、御協力のほどをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/30
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031・村上一
○政府委員(村上一君) 先ほどから健康保険の繰り入れ三十億円を十億に減額したという点と、それからただいま預金部からの借り入れ六十億円の始末の問題でございます。おっしゃる気持は私どもも十分よくわかるのでありまして、たびたび国会で御議論のあったところでございますが、三十三年度にまず繰り入れの方を二十億減額いたしましたのは、これは十分御承知のことでございますが、ほかの社会保険医療制度の何と申しますか、経理状況を重視するために、特に一点単価を引き上げるという問題がございましたので、その財源が半年分で三、四十億に上るというような問題がありましたわけでございます。
それから先ほど来御議論になっております国民健康保険の経理状況が必ずしも十分でない。特に国民皆保険を推進して参りますと、だんだんと本人負担、あるいは地方負担といった面に相当無理の生ずる面も出てきたというようなことも考慮いたしまして、その方へ三十三年度としては半年分でございますが、先ほど申し上げました十四億はかりの財源を増したわけでございます。そこでそういったような問題がございますので、それはお説によりますと、当然ほかの方から財源をめっけて社会保障の充実に資すべきだ、制度の中で一方を削って一方へ回すことは何も充実にならぬじゃないかと、まあこういうような御議論になるかと思います。思いますが、先ほど外国との比較、いろいろ御議論があったように存じますが、もちろん私ども社会保障制度の充実は何をおいても実行のうちの重点というふうに考えておりますが、ただ諸外国との比較で申しますと、何と申しましても、社会保障制度の発達の歴史その他が非常に違っております。また、私ども予算のやりくりをしてみます立場になりますと、社会保障制度と別個の問題ではございますが、たとえば道路、港湾、治山治水といったような、いわゆる経済基盤の充実といわれておるような問題が、それらの諸外国に比較してどうだというような点も考えて参りますと、なかなか財源の配分で突き当って参りますわけでございます。そこでまあそういった大きな財源が急に必要になるといった場合に、先ほど大臣も抽象的に御説明がありましたが、比較的経理状況が恵まれておる制度から若干は比較的経理の悪い、何とか措置を要する制度の方へ回していただくというふうな配慮をやはり適当に織り込んで参りませんと、全体がなかなかおさまらないという、非常に苦しいところから、そういった措置をまあいわばやむを得ずとりましたわけでございます。従いまして、保険料率を下げる点はどうしたという御指摘はございましたけれども、これは最近の健康保険の経理状況も検討いたしまして、厚生御当局とも十分その点について御相談をいたしたいと私ども考えております。
預金部の借り入れでございますが、これも二十九、三十で赤字が出まして、その年として処理をいたしましたのでございますが、これも御承知のように、その後、毎年五十億から七十億というような黒字が出ております。積立金がたしか三十二年度末で、すでに百三十億をこしておると存じますので、これは一般会計から埋めて処理する必要は、まずさしあたりはなかろうということで、毎年延ばしてきておりますわけでございます。いずれこの点も厚生御当局と相談して、今後の処理の方法を検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/31
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032・竹中恒夫
○竹中恒夫君 今の、村上さんにお尋ねいたしますが、その六十億円の保険勘定の借金ですね、これを今の保険会わからぬ。療養取扱機関において行われる準則、これは第四十条にきめてある。そうして処分の方では医師にも守らせる準則のように見えるのです。どういうふうに解釈しておきましょうかね。都合のいいようにきめておいたらいいんです、立法府ですから。また、立法意思を明らかにして、用語が不備ならば、説明、答弁で補足しておいて誤解のないようにしておいたらいいんです。ですから、無理な質問はいたしません。困らせる意味じゃないのです。けれども、四十条の一項を読んで、「療養取扱機関において行われる療養の給付に関する準則については、厚生省令で定める」——医師の守るべき準則ということがこの中に出ていない。見出しの方では丁寧に「療養取扱機関等」と「等」が入っているのですけれども、今のように、健康保険法の第四十三条ノ四以下にかかっているから、見出しは私は間違っていないと思うけれども、一方の療養取扱機関において行われる準則というだけでは、これを四十九条の違反事項に持ってくるのには少し無理じゃないかと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/32
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033・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) だんだん御指摘を受けて参りますれば、もう少し書き方もあろうかと思いますが、ただ気持は先ほど申し上げましたごとく、あくまでも療養取扱機関の負うべき責任の分担と、それから保険医、薬剤師のになうべき責任の分担ということは、私どもははっきりとこれは区別するつもりでございます。また、区別して考えるつもりであります。従いまして、それの守るべき準則につきましても、先ほど申し上げましたように、厚生省令は一本で作りますが、その中におきましてもそれを書き分けて、その間も明らかになるようにいたすつもりであります。従いまして、それの処分の取り消しというような場合におきましても、決してその分の外に出るような気持は毛頭持っておらないわけでございます。ここの解釈もその通りに御解釈いただいて間違いないと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/33
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034・山下義信
○山下義信君 御趣旨はわかるのです。ですから、そのようにしましょう、そのように解釈していくのには「療養取扱機関において行われる療養の給付に関する準則」これを厚生省令できめる、それを守らなかったときには医療機関においては申し出の受理を取り消す、これでいい。ところが、それを守らなくなったならば政府は登録も取り消す。ですから療養取扱機関において行われる準則に反したときには医師も共同責任を持つのか、あるいはその準則というのは、医療機関と医師の守るべき準則と二つ作るのか、二つ作るということになると、四十条のこの法文の字句の読み方が療養取扱機関及び療養担当の医師において守らるべき準則というようなふうになっていないですから、これは機関の用いられる準則ということになっておりますから、それで私が疑問を提出した。そうすると、今の保険局長の答弁では確かめておかなければなりませんが、機関において行われる準則というものについても医師が共同責任を持つという建前ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/34
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035・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) さようではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/35
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036・山下義信
○山下義信君 それでは、この療養の給付に関する準則というのは、機関の守るべき準則と医師の守るべき準則と二つ作るというようなお話でしたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/36
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037・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 第四十条の方の前段の厚生省付一本で出すつもりでありますが、その一本の厚生省令の中におきまして機関の守るべき準則、それから医師の守るべき準則、これは明瞭に書き分けるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/37
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038・山下義信
○山下義信君 そうすると「療養取扱機関において行われる」というここまでの字句はどう解釈しますか。解釈をついでにしておきましょう、大事なことですから。この解釈の仕方によっていろいろ論争が起るといけませんから。立法府ではどういう解釈のもとにこの法律をきめたかということをきめておかなければならない。私が思うのには、これだけでは機関が守るべき準則のように聞えるが、機関も医師も守る準則であるという解釈はどう解釈したらいいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/38
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039・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 私どもがこれを書きました趣旨は、広く解釈いたしまして、それは単に療養取扱機関だけをいって、保険医、薬剤師は落すという狭い意味の解釈でなしに、そういうものを含めました療養取扱機関において、取扱機関及び保険医それぞれの分担において協力して行われる療養の給付に関してはこういうふうな気持で書いたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/39
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040・山下義信
○山下義信君 わかりました。政府の見解はわかりました。「療養取扱機関において行われる」と、こう書いてある字句の中には、医師も薬剤師も歯科医師も機関の開設者もみな含めておるのである、こういう解釈ですね。つまり言いかえると、療養取扱機関において守るべき準則並びに同機関内において療養を担当する医師、歯科医師、薬剤師の守るべき準則についてはと、こう書くべきところを、めんどくさいからひっくるめて、療養取扱機関において行われる準則と、こう書いたのだという御解釈ですね。私は法律の書き方のよしあしは言いませんけれども、こういうふうにみなひっくるめてばく然と書いてあるようなところは、もしそうならばごこしかない。大事なところでそれを一緒にして突っ込んだような書き方をするということは誤解を生じやすいのですね。責任の分担を明確にするところですね。第四十条は、問題の開設者並びに医師、言いかえますと、機関と医師とがどう責任を分担しようかというその責務を明確にするところですね。そういう御解釈ならば一応これはいいと思います。しかし、そういうような解釈というような読み方にいたしましょう。四十条の「療養取扱機関において行われる療養の給付に関する準則」ということは、機関も医師も薬剤師もみなひっくるめる、こういう意味に解釈するのですね。そうすると、みなそれぞれ療養の給付に関する責任者ですね、この三者は。療養の給付に関する責任者は何者ぞやという新たなる問題を提起しておかなければなりませんね。療養の給付に関する責任者は療養の給付の準則を守るべき者か責任者ですね。私は本法において、前回御質疑申し上げたように、医師の立場というものを非常に考え方を変えられて重要視せられたということは御同感申し上げる。厚生大臣と数度の質疑を重ねて政府の趣旨とするところは私ども了としたのです。しかしながら、どのような法律の書きかえをされましても、療養給付の責任者は機関であるということは侵すべからざる、動かすべからざる本法の本質になっておったと思う。ところが、第四十条の責務の条文になってくると、療養の給付に関する責務というものは機関でもあるし、医師でもあるし、薬剤師でもある。この三者がみな療養の給付に関する責務を持つものであると、こういう解釈を下すことになってきます。それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/40
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041・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) この給付に関するという意味を私どもは広く解釈をしておるわけでございます。その中には、療養一取扱機関としての責任、それからそれの事実上の医療行為を担当する責任を持つ保険医ないしは薬剤師の責任、こういうものをこの場合においては込めておるものと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/41
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042・片岡文重
○片岡文重君 私途中から聞きましたので、あるいは私の聞き違いかもしれませんが、今の山下委員の質問に対する政府の答弁は、この療養担当機関の中には、保険医、歯科医師、薬剤師、そういう者を一切含めての解釈が四十条になされておる、こう解釈してよろしゅうございますか。もしそうならば、四十一条では、保険医、薬剤師及び療養取扱機関はということで、全然別個な人格として扱っておるように考えられますか、今最初にお尋ねした四十条の解釈と四十一条の解釈と、そうしたらどういうふうに結びつけられて、どういうふうに区別して考えていいか、それを今、山下委員の質問に対する答弁とあわせて御答弁いただければけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/42
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043・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 私が申し上げましたのは療養の給付に関するこういう解釈を広く——と申しますか、そこの中に療養取扱機関としての準則と、それから、その療養取扱機関の中に経済的には雇われておりますが、医療面においては独立の責任を分担するようにお願いしてあるところの保険医、薬剤師の守るべき準則と、この両者を含めて「療養の給付に関する準則」とここには書いたのである、ということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/43
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044・山下義信
○山下義信君 ともかくも、その準則の内容がわからぬと困るんですかね。非常に両者の責務を明らかにして、それで、それを守らぬときには取消処分するぞよという重大な処分が行われる、その相手方の準則の内容というものがわからぬと、どういうことに触れたらば取り消されるのかということがわからぬ。これは、あとでその準則の内容というものをお示しを願いたい。あとでよろしい。
それから、私はこの質問は教えていただきたいんです。この健康保険の処分と——資料をいただいたんですが、国民健康保険の処分、両者の処分に軽重がありますか。もしなければない、同じようだとおっしゃっていただけばいい。健康保険において受ける処分、国民健康保険において受くる処分、同じ医療機関でありながら、同じようないわゆる登録の医師でありながら、同一の場合にもし健康保険の方では軽いが、国民健康保険の方では重いというようなことがあってはなりませんから、これは同じなら同じとおっしゃっていただけばいい。その資料をいただいたんですが、これはあとでゆっくり読ましていただきます。読む煩を省いて当局の方から御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/44
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045・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 同じと解釈していただいてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/45
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046・山下義信
○山下義信君 それならば安心しました。実際は、私が純理論から言えば、医師並びに薬剤師等の登録、療養担当者、立場が非常に違ってくる、従って、責務も重くなってくるのでありまして、そうすれば、冒頭申し上げましたように、処分の軽重というものは責任の軽重と正比例をしなければならぬ。責任の重いものが軽い処分、責任の軽いものが重い処分を受くるというようなことは非常に不合理でありますから、平仄をそろえなきゃならぬ。それがどうなっておるかと思って伺いましたが、同じようであるということでありますれば、非常に医師並びに歯科医師、薬剤師にとりましてはこの上もない便利なことで、責任が非常に重くなってくる、そして処分が比較的、まあ比較すればですね、追及がそんなにされていないということになりますから、便利はいいわけです。私は、重くすることが純理論であると思いますか、そうでないことは、非常にこれは当局が温情をもって処理されたのだろうと思う。
ただ、一つ伺っておきたいことは、医療機関が健康保険と国民健康保険と二本立になりましたね。両者は何も関係がなくなったんですね。ただ、健康保険の医療機関というものが指定を受けたとたんに、国民健康保険の医療機関になる資格が自動的に付与せられることになって、それ以後は何も関係がない。両方の因縁が断ち切られたのが本法の特筆大書すべき特徴なんですね。ただ、健康保険の場合におきましては、指定ということに期限がありましたね。私の記憶では三カ年の期限。健康保険の医療機関が横すべりになって国保の機関になるときには、それはずるずると皆一緒にくっついてきたのでありますからいろいろ複雑になってくるのですが、今度は両方がぴしゃっと切られたのですから、国保の方の医療機関というものは、申し出を受理されたならば期限がない、健保のように三年という指定期間、ああいうものがない。永久にもう国民健康保険の医療機関であるということになる。この指定が取り消されたならば、一応は指定と言ってはおかしいが、申し出の受理が取り消されたならば、従って、その取り消しも三年という更改される期間がないんですから、いわば表面を走りますれば、永久の取り消しということもできますね。申し出受理の救済の手続はどういうふうに規定されてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/46
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047・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 健康保険法の方では指定を受けますと一応その期間が三年で更新するという規定がございますが、国民健康保険法の方ではそれはございません。従って、三年ごとの更新ということはございません。それから従ってまあ取り消しになると永久的になるが、これはそれとは別個な考えでございまして、やはりその取り消しの情状、その後の改心の情状等いろいろ考えまして、それは改心の情があったと申しますか、そういった場合はきん然として再び参加していただく、そういうことでありますから、その辺から取り消しが永久的といったことはございません。
なお、取り消しをいたします場合においては、やはり五十条の二項によりまして、社会保険医療協議会に諮問する、こういうことに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/47
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048・山下義信
○山下義信君 この申し出の受理をこれは取り消す場合ですね、第五十条の二項。その取り消しを取り消そうとする場合はどの規定によりますか。つまり新たに——言いかえますと、あなたの今おっしゃった、いわゆるもうこれを再び国保の医療機関になってもらってもいいというので、それはあらためて知事の方から積極的にやりますか、再び申し出を待ちますか。それらの場合の規定はどっかに規定されてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/48
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049・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 一たん取り消しになりました保険医なり機関が再び保険診療に当りたいという場合の規定でございますね。これは当初に返りまして、普通の登録及び申し出、あの規定で運用いたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/49
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050・山下義信
○山下義信君 開設者と保険医とが共同責任を負わなければならぬようなことはありませんか、本法の規定の中で。たとえば開設者は療養を担当する医師のその仕事に対して、できるだけ協力の措置をしなければならぬ規定は置いてあるのですが、これはいわゆる何と言いますか、徳義的な義務規定のようになっているわけなのですけれども、それに違反して何も処分するようなことも、開設者の処分も与えてありませんが、しかし、そういう規定がしてある。そういう規定がしてある以上には、やはり一つの共同責任の考え方がそこにも一つ現れておるのです。処分の場合に両者が共同するような、共同して責任を負うていかなければならぬような場合がありますか。これは将来社会保険医療協議会で、これらの処分が問題になったときに、一体立法府はこの法案を審議するときに、開設者と医師の共同責任論というものをそういう考え方で基本的には持っておったか、両者は共同責任性というものはないという考え方を持っておったかという基本原則は大事なことですからね。私どもから見るというと、今回の徳義的に両者が実際相寄り相助けて共同責任でやっていこうという考え方がここに貫徹しておるのです。私は問題が起きたときには、これが極刑の処分ということにかりに該当せぬにしても、その他の諸問題が起きたときに、共同責任として両者にまたがって、あるいは法律的に、あるいは徳義に追及さるべき点があるのではないかと思うのでありますが、その点に関する当局の御所見はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/50
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051・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) たとえば三十六条の第四項によりまして「療養取扱機関の開設者は、当該機関において業務に従事する国民健康保険医又は国民健康保険薬剤師に対し、その者が前項の規定により担当する療養を実施するにつき、必要な措置を講じなければならない。」こういう規定がございます。従いまして、それの保険医及び保険薬剤師が何か不当な行為をいたしたという場合におきまして、それはだんだんと調べてみました結果、やはり療養の取扱機関についても、その不当な行為というものに対して責任があるというようなことが出て参りました場合には、あるいは山下委員の仰せのように共同ということになりますか、やはりそういうものか出てくる場合があり得ると存じます。さようなものは実は厚生省令などで考えるようになるのではないかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/51
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052・山下義信
○山下義信君 実際問題としては、診療並びに調剤という行為をする医師並びに薬剤師の責任ということにおいては、療養を担当するという非常に意義深い法律別話でもって表現されておる。また、開設者はあくまでも療養の給付に関する経済的な面の責任者であるという立場で政府原案も、衆議院の修正案も、第一次案もすべて一貫しておる。これは隠せども隠せどもおおいがたき事実です。そういう場合に、ほんとうを言うたら開設名と医師というものをこの医療機関の中において、保険者に対しても、あるいは被保険者に対しても、ほとんど並列というか、同等の立場でもって、同等の責任的立場でもって対処させるということになると、私は最も好ましい形態になるのではないかと思う、実際問題としてはですね。ただ、開設者と医師が雇用関係のみで、そして医師の意思かじゅうりんされて、医療の独立性も医師の自主性もこれが非常に軽視されておることを是正していくのでありますから、これは同等の立場でもって、ほんとうを言えば、保険者に対しても、被保険者に対しても、前を向いても、うしろを向いても同様の立場で考えねばなりませんか、保険者に対しましては、機関の顔が出ているだけで、被保険者に対しましては、大いに今度は顔を並べた形になっているわけであります。共同の責任を負わせるということが、実際は理想的形態なんですが、それによってこそ初めて両者が相侵害しないということがあるわけなんです。必要な措置を講じなければならぬという反面には、両者の立場を侵害してはならないということが、言うまでもなく裏にあるわけなんですか、実際を言うと、開設者が経済的行為をする、それらについても療養担当の登録医師がそれを確認するということが行われると、非常に望ましいのですね。わかりやすく一例を言えば、開設者が水増しの不正な請求をしようとしても、それを診療の行為をした当の医師がそれを確認するということが行われたら、実にりっぱな私は責任行為が行われると思うのですね。法律の上には出ておりません。法律の上には出ておりませんけれども、ある場合において医師が保険で……しばしば厚生大臣の言われるように、保険という一つのワクの中で診療を行う、それすらも開設者が経済的な理由でもって、それを干渉するというようなことが行われないようにしなければならぬのでありますから、この両者の関係を共同責任を持たせるためには、いろいろ運営の面においてこまかい規定をお作りになるような場合に、私は十分明確にして、また、周到にしておかれるということは必要であろうと思うのですね。まま不正な開設者があることは、これは事実です。また、機関の内部におきまして開設者と医師との関係につきましてトラブルが起らないように周密な私は注意をしておかれることが必要であろうと思いますが、それらにつきまして、厚生大臣は将来善処していただけましょうか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/52
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053・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) ずいぶん議論をしたつもりでありましたが、なお、やはり詰めて参りますと、よほど考えて参らなければならぬと思います。法条を整備いたしまして、善処して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/53
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054・山下義信
○山下義信君 四十八条は開設者に対しまする処分の規定であります。この最後の後段に、療養取扱機関において相当の注意及び監督が尽されたときは、その責任は追求しないというような規定が置かれてあります。この「相当の注意及び監督」ということは、どの程度のことをいうという基準が厚生省に私はあると思うのですが、こういうことはここに出てきただけの文句じゃないので、突如として新たに出たのではなくて、従来の関係法規の上にしばしばこれがあって、このいわゆる開設者がなすべき注意並びに監督というようなものは、一定の基準が設けられてあると思うのですがね、どういうことになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/54
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055・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) この四十八条の四項の末尾におきまして、療養取扱機関の従業者がこれこれの行為をした場合に、それを防止するための相当の注意、監督が尽されたときは除く、機関の責任を除いておるということでございますか、この「相当の注意及び監督」というものにつきましては、これはいろいろケース、ケースによりましてニュアンスの違いというものが相当私は出てくるのではなかろうかと解釈いたす次第であります。従いまして、そこに一つの文章的な基準というものを設けましても、かえってその基準を設けることが、具体的なそのケースに当りまして、かえって妥当を欠くというような場合も案外起り得るのじゃないか、さようなことからいたしまして、ここで一つのはっきりしたものを何らかの形で押し出すということにつきましては、私どもとしては、相当慎重にこれをやつて参りたいと、かようにただいまのところは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/55
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056・山下義信
○山下義信君 そうすると、私は本日の質問はこの程度にさしていただいておきます。ただ、第四十条の法文の書き方は、誤解を招くおそれがあるので、しかし、字句は、払いつも申しますように、何も文字ばかりをせせらなくてもいいのでありまして、政策がきまって政策で解釈すれば、どうにも解釈ができる。今は解釈がありましたから、不十分であるという程度にとどめておきますか、これは準則の内容はわからぬから、これはお示し願いたいということを一点残しておきます。それから処分の点において、開設者が適当な監督、注意をした場合に、いわゆる免責されておるわけなんですが、これは何も基準はない、個々の場合、ケース、ケース、そのときどきのニュアンスもありましてということでありますが、それでは私は法律にはならぬと思う。法律の解釈にもならぬと、また、そういう場合の基準があるかないか、厚生省はそういう場合の基準があるかないかということも調べておいてもらいたい。私はあるんじゃないかという気がする。保険局の中の戸だなを総ざらいしてみて下さい。そして昭和三十一年の委員会において、審議の際に、健康保険の場合にもこの問題が出た。そうすると、当局はこれに答弁しておられる。それで、私のうちの戸だなを総ざらいするよりは、保険局の戸だなを総ざらいする方が、早く見つかりますから、そういう場合の基準があるかないかということを調べてみて、あるのならば取り出してみて、それが準則ができるならば準用できるとおっしゃって下さい。ないのならば、そのつど、そのつどというのでは困るのでありますから、一つの処分の原則を定める法律の解釈ですから、至急に一つこれだけの注意は要るのだ、これだけの監督は必要なんだ、こういうことの最小限度の基準は何としても要るでしょう。それは一つ、この次でよろしゅうございますからお示しを願いたい。御返事ておいて下さい、速記に残りますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/56
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057・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) さように取り計らいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/57
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058・片岡文重
○片岡文重君 二、三お尋ねしたいのですが、この法案によりますと、たとえば第四条ですか、「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない。」となっています。で、この第四条の一項、二項を見てみますると、なるほど見ようによっては、運営の健全をはかるために、都道府県は具体的な指導に努める、そしてその遂行に当っての原動力なりといいましょうか、エネルギー源となるものは、国でなければならないと私は思うのですけれども、この法律の面でみると、どうも国のそういう固い決意といいましょうか、重い責任が、都道府県よりも国の方にあるんだ、政府にその責任があるんだという決意の表明が、何か足らないように考えられる。こういう点について、厚生大臣はどういうふうにお考えになっておられるのか。国はただ大ざっぱな立場から、全体の財政的な面についての考慮を払うというようなことで、実際にこれを推進していく最も大きな責任というものは、都道府県にあって国にないのだと、こういうように考えておられるのか。ないしは国がその最高の責任者として、都道府県を指導していくのだ、この全責任は国にあるのだ、政府にあるのだと、こういう固い決意をお持ちになっておられるのか、どうもこの点が私は明確でないような気がするので、その点、御決意のほどを、この際まず最初に伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/58
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059・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 本法によりまして、期限を定めて、市町村に対して、国民健康保険の義務設置という規定をいたしているわけであります。義務的に国民健康保険を開設をいたすということにつきましては、これはもうまさしく国がほんとうに責任を負っていたす。とにかくそれについてはいろいろな議論がございます。このくらいの負担金ではとうていできないじゃないか、準備が十分でないのじゃないかというような御意見もございますけれども、これはなおなお努力は十分にしていかなければなりませんけれども、とにかくやはり国は市町村に対して、この新法を提案いたしまして、義務設置ということを認めるというからには、国の方針として、国保をやるのだということをはっきりきめて、そうしてその事業の運営が健全に行われるように、国が責任をもって立法的にも、また、相当財政的にも、措置をしなければならぬということは、きわめて強い決意でございまするし、それを表現したつもりでございます。で、この第四条第一項はそれを表明したものでございまして、第二項は、ただそれを受けまして、国の決意をいたしましたこの事業につきまして、都道府県がこの市町村に対しまして、必要な指導をして参る、こういったふうな考え方をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/59
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060・片岡文重
○片岡文重君 当然御答弁の通りであらねばならぬと思うのですが、任意制から必置制になってくれば、どうしてもこの健康保険を実施しなければならない、そうなってくると、都道府県、市町村というものは、この法律によって設置しなければならないという責任だけは負わされる。従って、これを何とかかんとかやっていかなければならぬ。国は作りなさい、作らなければならぬという命令をしただけで、十分な財政的な援助もできない、していない。従って、この法文の上だけで国が「つとめなければならない。」ということで、のかれてしまって、実質的には市町村だけがその全責任を負わされて、四苦八苦しなければならないという事態に陥るであろうことが、私たちには杞憂かは知らぬですか、もしこれか杞憂に終るならばそれはけっこうですけれども、現在設置されておらない地方団体は今日なお設置することができない状態に置かれているところが多いわけです。従って、国としては、よほどしつかりした腹がまえと、それに対する指導力というよりも、むしろ何といいますか、強制力といいましょうか、強い指導力がなければやっていけない。ところが、このあとに続く各条をしさいに検討してみて、また、この国の補助金あるいは負担金等の問題を見てみましても、どうも作りさえすればいいのだと、そういう軽い気持ではないでしょうけれども、何かしらそこにはっきりした責任をもってやっているという決意のほどが見えないような気がするのですけれども、まあ時間の都合もありましょうから、同じことを二度繰り返すこともどうかと思いまするので、この問題に関する御答弁としては、ただいまの御答弁をもって決意を表明されたものと了承いたします。ただしかし、それについてはあくまでも必要を法をもって命じたのですから、命じただけではなしに、これが運営のため、都道府県よりも、むしろ国が常に積極的な指導を行うように、私は大臣として決意をしておっていただきたいということを要望するわけです。
続いてお伺いしていくのですが、この運営協議会を持たれた場合に、この運営協議会にかけられる審議の内容は、運営に関する重要事項ということをいっております。この重要事項というのは大体どういうことを考えて今おられるのか、別に運営に関しては政令で定められるようですけれども、この政令の中には協議事項のどういうものであるかということが明示されるのかどうか、この政令は単に協議会の議事の運営、運び方、構成等だけがこの政令に盛られてあって、協議の内容、審議の内容となるべき事柄、いわゆる重要なる事項というものは載っておるのかどうか、載っておるなしにかかわらず、今厚生省としてお考えになっておられまする事項は大体どういうことをお考えになっておるのか、御明示願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/60
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061・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) けさほどごらんに入れました施行令案の中におきまして、運営協議会の組織とか何とかございますが、その職務のところで、重要事項、これは別に重要事項が何であるかということを、あと明示するつもりはございません。当然国民健康保険事業の運営に関する重要事項というからには、保険料なら保険料というものをどの程度でとるかというふうな、それと見合いにおきまして保険の給付をどの程度の範囲まで広げてやるか、これはまあ三十六年度以降になりますると、原則として健康保険並みになります。それまでの関連であります。それから給付の率につきましても、それはまあ政府といたしましてもできるだけ五割の給付率よりは率を六割、七割と上げていただきたいという気持で指導して参るつもりでありますが、やはりそういうものについて、そこの当該市町村としてどういう気持でいくべきか、あるいは給付の期間などにつきましても、これはやはり三年、原則として三年でありまするが、できるだけそれは条例でもって延ばすとか、そういうようなことは、国民健康保険事業の運営に関する最も基本的な大きな事項であろうと思います。従って、そういうものは、当然この運営協議会において議論せられてきまると、かように私どもは考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/61
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062・片岡文重
○片岡文重君 この協議会に諮られる重要事項の中には、この国民健康保険事業に直接関係のあることばかりではなしに、間接的にも関係のあるような事柄も審議の対象になるのではないか、これが明示されておるなり、あるいは、審議事項が制限をされておるなりすれば、そういう懸念はないのですけれども、これはこの審議に当る、あるいは運営に当る者の主観的な考え方によっておそらくきまっていくでしょう。ただいま局長のおっしゃったような問題が、一般的には最重要な問題となるでしょうけれども、そしてまた、直接的な問題ですけれども、間接的には、たとえば直営診療所の設置等について、こういうような問題がこの協議会の審議事項になるのかどうか、そういう問題がどうも深く考えていけばいくほど案外出てくるのではないかと思う。それらについて、この条文としてはそう重要なことではないようにも書き流してあるのですけれども、さて実際にこれを保険事業を運営していく市町村という立場、それから従来そう大して問題がなくやつてきたけれども、それらについての杞憂というものはあまり起りませんけれども、今なお今日の社会情勢で、国保もできておらないような市町村にこれから作っていこうというところには、やはりそれだけの配慮は当然してやらなければならないと思うので、少し取り越し苦労になるかもしれませんが、お尋ねするわけです。そこで、今言った直営診療所等を設置する、あるいは廃止する、範囲を拡大する、こういうような問題は、この運営に関する重要事項の中に入るかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/62
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063・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 直接国民健康保険事業に関する事項、あるいは間接というふうなことは、言葉では言い分けますが、実際となりました場合は、なかなかむずかしい問題がそこに出てこようかと思います。しかし、それを一々ここで御説明もできませんが、たとえ間接の問題でありましても、非常に密接なものでありまするならば、これはやはりかけるというのかすなおな解釈かと私は思っております。従いまして、直営診療所を設置するかどうかということは、これはここで論議せられてしかるべき問題だと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/63
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064・片岡文重
○片岡文重君 あともう二、三点聞きたいのですが、この二十五条に、これは組合の方ですね、組合の理事は、組合会が成立しなかったときには、もしくは議決すべき事項を議決しなかったときは、その理事がこの「議決すべき事項を処分することができる。」と書いてあります。また、第二項にも「議決すべき事項を処分することができる。」と、ここにも書いてある。それで「処分」という言葉ですが、権利の剥離とか、免許の取り消しとかいうのか普通処分を意味する法律用語だと私は思うのですけれども、そういうことになると、これは非常に重要な内容を理事は独断で行うことができるようになって、この保険組合の運営上非常に大きな権限を理事にまかされることになる、しかもこれには一回招集して開かれなくとも、そういう処分がまかされる。二度も三度もやってそういう事態——議決もできないし、組合会も成立しないというふうになって、初めてこの処分が理事にまかされるということではなくて、この条文で見ると、招集をして組合会が成立しない、そうすると、もうすくにこの処分が理事にまかされる、こういうことになって、あまり物事を悪く解釈することはどうかと思いますけれども、いずれ組合会が成立しないような場合、あるいは議決すべき事項を議決しないというような場合には、それ相当の混乱があるのではなかろうか、あってそういうことになるのではないか、こう考えると、軽々に理事にそういう重要な事項を独断で専決させることが果して妥当かどうかということが考えられます。そこで、この場合に理事の専決処分というものは、どういう手続をもってその処分をまかされるのか、それからその「処分」というここで一括しておる言葉の内容は、どういうことをお考えになっておるのか、この点を一つ明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/64
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065・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 第二十五条はむしろ、どちらかと申しますれば、原則よりも異例な場合の処置について書いたわけでございます。組合会というものがございますれば、当然その組合会において、第二十七条などに書いてありますように、まあこれはその組合としての大きな問題でございます。そういうものは組合会における議決というものをまず先に要求しまして、それから実行に移るというのか建前でございますが、しかし、まあ事と次第によりましては、なかなかそれができないという場合があります。その場合には何もしちゃいかぬということになると困る場合が出てこようと。従って異例な場合として理事の専決処分というものは、これは他の法令におきましても間々あることであります。しかし、それが理事の独断を許すという意味では毛頭ございません。なおかつ、理事がひとりでやるということにつきましても、万が一間違いがあってはいかぬという意味で、都道府県知事の指揮を受けるというふうにいたしまして、都道府県知事がやはり、その理事が専決処分いたしますそれについて、そのやり方なり、内容なり、そういうものについて妥当な線を逸脱しないように、こういう意味で都道府県知事の指揮というものを受けさせるように規定したわけであります。これによりまして、まあまあそういうような異例の場合ということもございますまいが、ありました場合においても、そうむちゃなことにならないように指導していくことができようと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/65
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066・片岡文重
○片岡文重君 おっしゃるように、これには知事の指揮を受けるということか書いてあります。ありますが、知事のところへ持ち込む前には、そうすると、組合会を最初に招集をして、しかもそれで成立しなかったというと、すぐにこれはもう二度も三度もやらなくてもよろしいのだ、一回だけでもすくに知事のところに持ち込む、そうして処分をすることができるのだ、こういうことなんです。あまりそのことが、私が今いったように成立しなかったり、議決すべきものが議決できなかったようなそういう事態というものは、決してノーマルな状態じゃない。必ずそこに何かしらの複雑な事態があって、それが原因となってこういう結果が出てくると思う。そこで、この理事だけがすぐに知事と相談をしてやる。結局、知事の指揮を仰ぐといいますけれども、この健保ばかりでなしに、あらゆる、農協の問題にしても、漁協の問題にしても、結局こういう混乱が起つて知事の指揮を仰ぐというような場合には、その関係の理事者なり組合長なりが、大体知事や副知事と相談をして、一方的な、何というのですか、知事、副知事の立場にすれば片耳でなされるような場合もないとはしない、すべてだとはいいませんけれども。この保険組合なんかの場合にも、そういうことがあったのでは相ならぬと思う。従って、この知事の指揮を受けるまでには、もう少し何らかの措置があってもいいのではないか。その処分が専決処分であって、すべてがそれによってピリオドを打たれるということになるのですから、この二十五条でいけば。そこに何らか処分に対する救済なり、あるいはその処分をするまでに、知事の指揮を受けるまでに、もう少し何か措置が、ゆとりが与えられておってもいいのではないかと思うのですが、ここに限って別に政令も設けておかないようですし、手続等についてもあまりないようですので、実はお伺いをするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/66
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067・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 純文理解釈で申しますれば、別に、たとえば組合会が成立しない場合を例にとって申しますれば、その次に、何回やってなおかつできないときは初めて云々ということはございません。しかし、お話のごとく、通常の場合においては、組合会というものか成立しないということはまずないと見ていただいてもよろしいのでありまして、これが起りますという機会は相当異例の場合である。まあその場合も、一つとしては、片岡委員の御指摘のように、なかなかめんどうな混乱みたいな状態が起きるということはあると思います。しかし、さような場合でありまするだけに、この都道府県知事の指揮というものは、それだけその場合に処して、何人から見られても妥当であると思われるような入念さをもってこれを指導して参る。これは運営指導上、私どもとしては十二分に気をつけて参るつもりでございます。
なおかつ、その第二十五条の第三項におきまして、もしさような処分をなしました場合においては「その後最初に招集される組合会に報告しなければならない。」、こういうことになっておるわけでありまして、この面から見て、その処分が妥当であるかどうかということについても、そこの報告の際に議論せられるという、こういうことによりまして、運営の面におきましては、妥当なものを逸脱しないように運営して参るつもりであるし、また、可能であると私どもは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/67
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068・片岡文重
○片岡文重君 もう一点だけ伺っておきますが、これは午前中に大蔵大臣にも質問をした内容と大体同じですが、厚生省という立場から一つお答えを伺いたいのですが、この国保に要する費用についてでありますけれども、元来この国保の給付については、私どもとしては、やはり健保と同じように、少くとも世帯主は十割、その他は大体五割という、健保と同じ程度の給付を希望しておりますけれども、現在の段階ではそこまで一足飛びにいかなくても、少くとも七割程度のものは実現してほしいと、こういうことで強く要望しておるのですけれども、残念ながらそこまでいかれないというお話のようです。そこで、この点はどうしても今日の財政ではということですけれども、今日の財政からいって、なおかつ私どもとしては七割給付はできる。特に午前中の厚生大臣の御答弁の中では、保険料の円滑なる納入等が行われるならば、七割も必ずしも不可能ではないという明るい見通しを持っておられるのですから、それならば、私は、この際思い切ってそういう程度のことはおやりになったらどうか、こう思ってお尋ねしたのですけれども、どうも大蔵大臣は全然そういう御意思はないようです。
そこで、厚生大臣としては、この五割の本法の給付から七割の給付実現には、一体どの程度の時日を要するとお考えになられるか、また将来の運営がそれほど七割給付には非常な困難があるというふうにお考えになるのか、そのお見通しを、無理かとは思いますけれども、せっかくの本法の大改正を行われる機会ですから、厚生大臣の所信のほどをこの際一つ伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/68
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069・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 午前にも御質問がございましたけれども、基本的な方針といたしましては、社会保障制度審議会の答申もあることでありまするし、これはもう当然の方向といたしまして、七割給付の実現を目ざして努力いたして参るつもりでございます。ただ、当面のところでは、これはいろいろな計算の仕方がございますが、ことし三十三年度約百五十七億の国民健康保険関係の予算が、皆保険を実施いたしました翌年の三十六年におきましては、今日予想いたしておりまするところでは、どうしても国保関係の予算がやはり三百億をこえると考えておるのでございます。そういったようなところからいたしまして、当面の問題といたしましては、これは十分ではございませんけれども、従来の立て方に比べますると、医療費の二割というものはいかなる保険者に対してもはっきりいたして、さらに五分の調整交付金を立てる、なお事務費等についても改善をはかるという方向で、国民健康保険を三十五年度末までにとにかく——これも容易ではございません。よほど骨を折って、未実施町村に対して、障害があれば、障害を除くために一緒に努力をするということで、厚生省の当局はそれにほんとうに参加する態勢でやっとなし遂げ得ると思いますが、そういう努力をいたして参りたい。そこで、当面の問題といたしましては、やはり三十五年度末までに、大蔵大臣の言った間口だけは全国に行き渡らせるという方向に向って努力をいたしまして、そうして、それからあとまた次の充実に移って参るということに相なると思うのでございます。
しからば、国庫負担率の改善をはかるという、それならば、窓口を全国一本にした三十五年度に引き続いて、三十六年度からできるというふうな問題につきましては、これはやはりいろいろ医療費の伸び方の問題でありまするとか、国の財政事情等から申しまして、非常にはっきりした確約は申し上げかねますけれども、とにかく三十五年度末までに国民皆保険を一応形の上で実施をいたしまして、次の段階において充実をはかって参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/69
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070・片岡文重
○片岡文重君 三十五年度末までの目途で皆保険を実施する、そのためにはレベルを引き上げることはまずむずかしいので、原案の程度で、こういうことのようですが、三十五年度末の皆保険実施を見て、その上で国保の力も引き上げるというお考えを持っておられるようですが、そういうふうに解釈してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/70
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071・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 三十五年度末までは、残り二千何百万かの社会保険の恩典に浴しておらない人に対して皆保険を実施をするというところに、現在提案をいたしております法律に基きまして努力をいたしまして、それから三十六年度以降におきまして、国の財政状況でありますとか、その他いろいろ勘案しながら、国民健康保険の内容充実に努めて参りたいと思います。これは同時に、前々から社会保障制度審議会から御勧告になっております各種の社会保険の内容の調整をはかりますこと、ことに健康保険と国民健康保険との内容の調整をはかっていく上におきましては、どうしても国民健康保険の方の内容を順次充実することによって初めて、何といいますか、国民全般に普遍的な公平な社会保険制度をしくことができると思うのであります。それにつきましては、どうしてもやはります三十五年度までは形の上で皆保険をとにもかくにも実現するというところにいきまして、あと三十六年度以降において、財政状況とにらみ合せながら、給付内容等の改善をはかって参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/71
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072・片岡文重
○片岡文重君 私は皆保険もちろん賛成でありまするし、私どもも努力をしているわけですが、この皆保険を実施するに当っては、やはり低いレベルに午前中もこれは申し上げたわけですが、低いレベルに合せるのではなくて、機会あるごとに水準を上げていくということがあわせての努力目標でなければならぬ、実施しなければならぬことだと思うのです。従って、今回のような機会に、多少の無理があっても、むしろそれに踏み切るべきであると考えるのです。ところが、そういうことではなしに、今のようなお話ですと、どうも私どもとしては少しなまぬるい感じがいたしますし、特に農協職員の健保その他特別組合の許可も全然抑えておらないらしい。こういう問題は、厚生年金や国保の問題にもやはり深い影響を持ってくるわけです。でき得るならば、やはりすべての社会保険は窓口を少くして、一本にして、そうして全国民が大体同じような実質給付が受けられる。金額の平等ではなくて、悪平等ではなくて、生活に即応した実質的な給付が平等に受けられるような方向に私は進むべきだと思うのですが、この案でいけば必ずしもそうはならない、こう思うわけです。そこで、今思い切って一つこの際は踏み切ったらどうかということを、重ねて要望したわけですが、午前中の大蔵大臣の答弁も、今の厚生大臣の御答弁でも、そこまでの御決意はまだないようですから、これ以上この点については重ねてお尋ねいたしませんが、少くとも、できるだけ早い機会に、せめて答申案くらいの線には持っていくような御努力がしてほしい。強く要望申し上げるわけです。
そこで、これは午前中大蔵大臣に尋ねたと全く同じようなことを、今度は厚生大臣の立場で一つお考えいただきたいということでお尋ねするのですが、たとえば第五章費用の問題で、国の費用、それから調整交付金等については、これは国が「負担する」、調整交付金も「交付する」、こういうことで疑いの余地を全然残しておらないわけです。明確になっているわけです。ところが、組合に対する補助、この点になりますと、「補助することができる。」ということになっております。大蔵省としては、先ほど大蔵大臣は、そういう懸念はない、約束しただけのことはやりますと、こう言っておられました。しかし、先ほども私からも、それから他の委員諸君からも、申し上げましたように、この社会労働委員会に席を置かれた諸君はひとしく熱湯をのまされたわけです。しかも、それは古い事実ではない。あなたの前の堀木さんが厚生大臣のときに、健保ではその苦汁をのまされているわけです。しかも、そのときには堀木さんもまさしく、腕をこまぬいて国庫補助を打ち切られることに便々としておったわけではないようです。きわめて強い決意をもって、強硬に談じ込み、岸総理のもとまで行ったようですけれども、ついにこれは三十億から一挙に二十億削り取られてしまって、そして料率を引き上げられたままに今日になっているわけです。こういう前例が大蔵省と厚生省との間にあるわけです。少くとも一点も疑問の余地なからしめるような明確な法文にしておかなければ、大蔵省の考え方によって、大へん失礼な話ですけれども、厚生省の力ではどうにも押し切れない事態がないとは言えぬじゃないですか、今までの事態から考えて。そのためにも、私はもっとこういう条文は明確にしておくべきだと考えます。なるほど他の法律にもこういう「補助することができる」という書き方をとっておるものもないわけではありません。たくさんあります。ありますが、この「することができる」という書き方の解釈は、文字通りに「することができる」という場合と、そうじゃなくて、「補助する」と断定してしまう意味とかあるわけであります。この七十三条、七十四条の場合には、今あとから申し上げました「補助する」という断定と解釈をしてよろしいのか、この点については大蔵省との間に完全な意見の一致が見られておるのかどうか、この点について、一つまず最初に。
実は、この点は、午前中に大蔵大臣のおられるところで、厚生省のお考えを聞きたかったのですけれども、大蔵大臣の時間がなくて、他の委員諸君の質問の時間等もさかなければならなかった関係上、対決といっては悪いですけれども、両者がおられるところでそれぞれのお立場から意見を伺いたかったのですが、できませんでした。従って、今、はなはだ私としては残念ですが、厚生大臣として、後々に影響することですから、そのおつもりで、一つ明確な御答弁をこの際いただいて、はっきりとさしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/72
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073・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) これはもう、運用の事実から申しまするならば、「できる」というふうに書いてあります方も、二割の補助を行うというのと同じつもりでございます。大蔵省もそのつもりでおると思います。
ただ、それなら、なぜその通り書かぬかという問題につきましては、これは確かに言葉が違っているだけに、理論的な問題がございまして、これはいろいろな考え方があると思いますが、とにかく市町村の万は、ほんとうにボーダーライン層でも何でもかかえたこの現実の市町村というものにおいて、それに対して義務設置をするのである。これはもうどうしても相当な困難がある。それから国民健康保険組合の方は、同一業種に携わっておるような人たちにおいて組合を作る方がよろしい、そしてその組合がうまくいくということで、願い出て認可をするのだから、その間においてむしろ、何というか、組合に対するのと同じようなつもりで市町村に対しているのじゃないので、市町村の義務設置とは大へんなものだというつもりでやっている。そして、むしろ表現の仕方は、事実のやりようとしてはもう変りないけれども、表現の仕方が変っておる方が筋じゃないかという意見が出て参りまして、それが結論として言葉が違っておるわけであります。ただ、実質の問題といたしましては、けさ大蔵大臣も申しました通りに、事実こう書いてあるからといって、二割を一割五分にするとか何とかいうふうな考え方は、今日もちろん厚生省でもございませんし、大蔵省もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/73
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074・片岡文重
○片岡文重君 お答えの通りでなければならぬはずですが、七十四条には「予算の範囲内において、保健婦に要する費用についてはその三分の一を、」云々となっております。「予算の範囲内において」ということが、これははなはだくせ者じゃないですか。この三分の一ということを明確にし、そして補助をするのだということは疑う余地がないのだ、これは必らずお約束は守りますということならば、なぜこの「予算の範囲内において」という言葉を入れてあるのですか。やはり私はここにも大きな問題があると思う。だから、はなはだくどいようですけれども、しからば、この「予算の範囲内において」というのはどういうことを意味しているのか。そして三分の一というのは、三分の一を上回る二分の一でもないし、この五分の二でもないのだ、必ず三分の一というものは補助する、こういうことなのか。この「予算の範囲内において」ということを明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/74
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075・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 私、ただいま申し上げました通り、非常に困窮した人たち等を抱えております自治体市町村に対しまして、本法によって義務設置ということをするに対しましては、できるだけのことをどうしてもはっきりやらなければならぬ。それを非常に強く表現する必要があるということを、われわれも主張し、財政当局その他も、それは当然そうだ、そうなくちゃならぬというのが、今日改正法案によって従来の補助金を負担金ということで明らかにしたゆえんでございますが、それに対しまして、今申し上げましたように、この組合につきましては任意であり、そして財政状況等もやつていけるということで、認可をして出てきているものについて、ただいま申したような意味における市町村に対する国のあり方というものと同じじゃ、むしろ国の決意を表明する上においても不公平じゃないかといったような理論的な問題で、この言葉が書き変えられている。そのこと自身についてはいろいろ議論はありましょうが、結論はそういうことで、市町村に対しますのと組合に対しますのと変っているわけであります。
ただし、実際の問題といたしましては、これはもう国民皆保険というものを、一つには市町村という単位において、一つには国民健康保険組合という単位において、やっていこうというわけでありまするので、理論的な問題から来る、何といいますか、国の義務というようなことは別といたしまして、行き方としては、私、先ほどから申し上げておりまするように、医療費に対する補助のあり方なり、保険に対する補助のあり方といったようなものは、同じようにいたして参るつもりで、われわれもおりますし、財政当局もそのつもりだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/75
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076・片岡文重
○片岡文重君 るる御説明いただきましたが、どうも「予算の範囲内において」という言葉の解明が、私どもには十分領得できないのですが、では、その次の七十五条には「都道府県及び市町村は、国民健康保険事業に要する費用に対し、補助金を交付し、又は貸付金を貸し付けることができる。」と明記してあります。ところが、自治庁は従来とも、市町村営の事業について、市町村の一般財政からこれらの事業に繰り入れることについては強く反対をしているわけです。今までの例では、直診設置の場合だけは認めているようですけれども、その他についてはあまり認めておらない。むしろ反対をしておられるにもかかわらず、ここに堂々と明記されるからには、自治庁との間に十分な意思の疎通ができているのか、十分に自治庁としてもこれは了解をして、この一般財政からの繰り入れに対して協力が得られるのかどうか、この点を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/76
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077・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) この条文を政府が国会に御提出いたします際には、関係の役所とは十二分に協議を整えた後に提出したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/77
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078・片岡文重
○片岡文重君 自治庁も十分これは承知をしておって、将来の保険事業への補助金あるいは貸付等については、市町村が行なっても自治庁としては苦情は言わない、反対はしないということを、しからば自治庁としては十分納得をしている、こういうふうに解釈をしてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/78
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079・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) まあ、こまかなことになりますれば、それぞれ役所が違いますから、若干のそれはニュアンスの差というものはあろうかと思いますが、この条文を出しますについては、基本的な見解は十二分に一致しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/79
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080・片岡文重
○片岡文重君 これは、局長、大へんじゃないですか。国民皆保険ということを政府は呼号もしているし、どなたが考えてもこれに反対をする者はないわけですから、基本的観念において、こういう法律を出しますと言われて、これに反対をする役所はおそらくないでしょう。これは大蔵省だって反対はしておらぬはずです。問題は、大筋としては反対はしない、むしろ政府全体の責任として、大蔵省も、自治庁もやります、やって下さいということで、これは声を大きくして叫んでいるでしょう。しかし、そういう抽象的なかけ声、抽象的な熱意だけを示されても、問題にはならないと思う。問題は、肝心のところでどういうふうに具体化されているのか。そういう具体化されている政府の熱意というものは、厚生省と大蔵省あるいは自治庁と、みなばらばらであったのでは意味をなさない。この七十五条の場合は、これは市町村にとっては重大な問題です。従って、今程度のことでは、これは大体市町村だって納得できないでしょう。むしろ私が望むところは、自治庁としても、この国民健康保険に関する事業の運営に関する経費については、一般財政からの補助金の交付あるいは貸付等については積極的に協力をし、それを了承している、このくらいの私は御答弁をいただきたいと思う。それはまだ了解ができておらぬというならば、もう一度自治庁を呼んで話をしてもらわなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/80
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081・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 保険局長の答弁、十分でないということがあるかと思いますが、この都道府県、市町村の国民健康保険事業に対しまする費用については、いろいろな関係の補助金があるわけでございます。実は、現実問題としては、この事務費の単価の高いところなどにつきましては、運営費に赤字が出るという意味において、補給をしている所もございます。しかし、そういうふうな問題につきましては、政府といたしましては、各保険者に従って事務費は一つ一つ違いまするし、ある程度ぜいたくに使っているところ等もありますので、全額国庫負担と申しましても、これはある標準的なものでやって、できるだけ合理的にやってもらわなければならないものもございますけれども、しかし、いずれにいたしましても、そういうぜいたくをしないで能率的に運営をしてもらう建前において、事務費を国庫負担でやっているわけであります。
そのほかに、あるいは市町村によりましては、徴収を確保いたしまするための組合を作って補助金を出しましたり、あるいはまた、年度間におきます金繰りのために県から貸付をいたしまして、それを運営をいたしましたり、いろいろなことをやっているわけでございます。自治庁の方は、一般論から申しますならば、国として当然見るべきもの、特に医療費の方は、ちゃんときちんとした計算でいくわけでありますが、事務費の部分について十分な金額を持ってもらいたい。それによって市町村の一般会計の赤字が出るようなことは、ぜひ防いでもらわなければならない。しかし、そのほかの部分につきましては、これは従来都道府県、市町村の条例によりまして、国保事業を運営する上でやっております補助金とか貸付金とかいうようなものは、これはできるならばやってもらってけっこうだという、大体の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/81
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082・片岡文重
○片岡文重君 今の大臣のお話では、一般財政からの補助金の交付を受けるなり貸付を受けるなりしなければならない事態の起るであろうことを御説明になったのであって、私のお伺いをしているのは、そういう事態が起った場合に、一般財政から、市町村がこの国民健康保険事業に要する費用だとして請求された場合に、要請をされた場合に、補助金を交付することに、あるいは貸し付けることに、今までは自治庁は決していい顔をしていなかったのであります。むしろ、はっきり言えば、反対をしておったのではないか。しかるに、ここでは明らかに「貸し付けることができる。」と、こう書いてある。しかも、この「できる」という言葉は、今までの大臣の御説明によれば、「貸し付ける」という断定と意味は同じだ、この法律においては。ということになれば、これはその費用はどうしても国保だけの独立採算ではできないというときに、国保の方から貸付を要求するなり、あるいは補助金の交付を一般財政に向って要求するでしょう。そういうことをやられては困るといって、自治庁が反対するのではないか。それでは、こういう条文を書いても何にもならない。そこで、こういった条文を書くからには、自治庁もそういう場合には必ず賛成をします、できれば、さっき言ったように、積極的な熱意を示してほしいけれども、少くとも積極的熱意とまではいかなくても、そういう場合には反対をしない。自治庁としてもこの要請には応じます、市町村に対して決して妨害したり反対したりすることはしません、こういう了解が完全についているのかどうか、厚生省と自治庁との間に了解がついておるのかどうかということを、さっきお尋ねしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/82
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083・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 繰り返して申しますが、自治庁の方は、医療費の支払いが早く行われて、それがおくれて金繰りの困るようなことのないようには、国の方で十分やってもらいたい。それから事務費は、これはもう全国一律というわけにはいかぬだろうから、好き勝手にやって、全部とは言わぬけれども、要するに節約はさせるけれども、十分とつてもらいたい。従って、そういう点から来る市町村の赤字というものは極力出ぬようにしてもらいたいが、しかし、万やむを得ず起つてくる場合においては、一般会計から出すことを認めるし、それからそのほかにもただいま申しましたように、それ以上にいろいろ運営をうまくするために、現在でもあちこちの府県でやっている仕事があるわけでございますがそういうふうな仕事は余裕に従って大いにやってくれてけっこうだ、こういう了解がついているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/83
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084・片岡文重
○片岡文重君 経理の内容にルーズな点があったり、運営に対して不満足な点があるという場合には、これは自治庁からとやかく言われなくても、当然厚生大臣として、都道府県の知事を通して、これは十分に忠告もし、是正もさせなければならぬ。従って、そういうことによって赤字を生じたり、補助金をもらわなければやっていけないような事態になったときは、これはもちろん厚生大臣がその処理について十分に御努力をし、いろいろと工夫をされて、そして自治庁の援助を求めなければならぬような場合には、これは厚生大臣として自治庁の援助も求められるでしょう。これは当然のことです。しかしながら、そうではなくても、住民の生活水準なり環境等によって、あるいはその他の理由、いろいろな考えられる原因や理由によって、はなはだ経営が困難になるというような場合が起ってこないとは限らぬ。特に私が心配するのは、これから設置されていくところの、つまり今までに設置できなかったような貧弱な町村なり、問題が起りやすいような所が、ふなれやその他の、善意はあっても十分に黒字を出してやっていけない、あるいは採算がとれないような場合には、当然これは一般会計の補助を仰がなければならぬ。そういう場合に、そんなことを再々やられるのでは困るのだということを、自治庁から苦情が出てくれば、今、市町村の理事者がやはりこわがるのは——こわがると言ったら語弊があるかもしれませんが、監督を強く受けておるのは、厚生省やその他じゃなくて、やはり何といっても自治庁でしょう。その根本になる自治庁がいい顔をしてくれなければ、実際問題としてこれはできにくくなるでしょう。そういうことであったのでは、せっかく条文に明記してあっても、意味をなさぬではないか。そういう点について、自治庁との間に十分な意思の連絡ができておるのか、自治庁の了解ができておるのか、こういうことをお尋ねする。経営のルーズや何か、当然厚生省の責任において起り得る事態を言っておるのではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/84
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085・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) そういったようなかたい意味におきましても、もう必要な場合には出してよろしいということについて、自治庁と十分了解ができております。最近におきましても、市あたりでやっておりますところの、なかなかやはり一般会計から、国保の計画を立てまするときに、赤字補てんをやらないとできない部分があるのでありますが、もうはっきり計画を立てて、一般会計から幾ら補てんするというようなところで発足しておりまする例が、最近、昨年からことしにかけてもずっとございまして、自治庁は非常に理解を持ってそれを見てくれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/85
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086・片岡文重
○片岡文重君 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/86
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087・木下友敬
○木下友敬君 一、二簡単に質問をいたしたいのですが、この出ている国民健康保険法案、これは二十八国会、それから三十国会、三十一国会と出てき気持だけであって、実際はこう名前を変えたところで中身は変っていないと思いますが、中身が変ったというところを一つ御指摘が願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/87
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088・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) これは中身というより、要するにお医者というものの立場、お医者というものの責任という問題と、経済行為を扱いまする開設者の立場というものを考え、両方協力して初めてこの結果を生むということに違いないのでありますが、本来の療養の責任を負うのはお医者だという建前を明らかにしておくということが私は大事な点でありまして、そのために、二十八国会以来いろいろ苦心をして参ったわけであります。むしろ、これは考え方としては、その建前なんかどうでもいいのだという考えの人たちもあるかもしれませんけれども、私は、やはり医者の立場というものを認め、その建前は明らかにするということが大事だと考えます。この條文も、ただ言葉だけだというのでなしに、観念を明らかにするために苦心もいたしましたし、それだけの魂も込めておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/88
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089・木下友敬
○木下友敬君 それはその通りですが、どこでどう明らかにしてあるかということなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/89
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090・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 条文では、三十六条、三十七条にかけて、特に三十六条で明らかにしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/90
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091・木下友敬
○木下友敬君 つもりでありましょうけれども、お医者さんたちに重点があるということが——三十六条、七条のどこがそれに該当するかということです。これなら、前と同じじゃないかということを私は言うわけです。なぜそこがそう意味が変ってきておるのかということを聞きたいのです。従来だって、医者が治療し、責任を持つということは、きまり切っておることです。それを法文の上ではっきりしたかどうか、三十六、七条で、あなたの言われるほど変ってきていないように思うのです。お気持はわかるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/91
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092・伊部英男
○説明員(伊部英男君) 衆議院の修正案におきましては、三十六条四項におきまして、「被保険者は、第三十八条に規定する国民健康保険医又は国民健康保険薬剤師から国民健康保険の診療又は調剤を受けるものとする。」という、被保険者の側からの規定になっておったわけでございます。これに対しまして、今回提出いたしました案におきましては、三十六条の三項といたしまして、「第一項第一号から第四号までに定める療養は、第三十八条に規定する登録を受けた医師若しくは歯科医師(以下「国民健康保険医)という。)又は同条に規定する登録を受けた薬剤師(以下「国民健康保険薬剤師」という。)が担当するものとする。」、ここで、衆議院修正案の段階におきましては、「被保険者は」という主語がございますので、国民健康保険医または国民健康保険薬剤師が受身的な規定がされておったわけでございます。これに対しまして、今回の案は、医師あるいは歯科医師の側から、医師、歯科医師あるいは薬剤師が担当するものとすると、主体的に規定をいたしておるわけでございます。さらに、こういう三項の規定を設けました関係上、衆議院送付案におきまして病院、診療所、薬局を療養担当者と明記しておりますことは、三十六条三項というものの規定の趣旨とそぐわないことに相なりますので、療養取扱機関と呼ぶことになったわけでございまして、両案の条文の相違点は以上の二点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/92
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093・木下友敬
○木下友敬君 それはいつまでいっても同じですが、被保険者の方から条文を書いた、一方では、今回は医療を施す方の側から書いた。そこで、いわゆるお医者さんあるいは薬剤師の方に責任を持ってもらい、また敬意を表したのだということにはならぬわけです。しかし、これは考え方が、幾ら言ってもはっきりした解明がありませんから、これはもう申しますまい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/93
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094・山下義信
○山下義信君 関連して。ちょっと困るのですがね、そういうことをおっしゃったんでは。先ほど療養の給付とは何ぞや、療養の担当とは何ぞやというような意味の定義を出されたでしょう。療養の取扱機関とは何ぞや、りっぱな定義をおっしゃったじゃありませんか。その通り、その定義を何のために先ほどおっしゃったのか。その定義をお使いになったらいいじゃないですか。療養を担当するという言葉の意味はどういうことなんですか、診療を行うというのと違うのですか。衆議院の方では、今伊部課長から説明したように、医師は診療を行い、薬剤師は調剤を行うという意味のことを書いてきたけれども、今回の政府の原案では、今大臣のおっしゃったように、三十六条で療養を担当すると、こうあるでしょう。先ほどからおっしゃった定義、りっぱな定義をおっしゃったのを応用していったら、わしはいいだろうと思う。
療養を担当するということと、診療を行うということと、違うでしょう。お医者の方から言うたとか、患者の方から言うたとかいうのじゃないでしょう。言葉そのものが違うじゃありませんか。療養を担当するということは、ただ診療を行うということとは違うのであります。私どもの法制局、参議院の法制局の見解では、私がかすかに聞くところによると、もうきわめて簡単で、先ほどのような法律学的な定義をお下しにならなくても、療養の給付とは何ぞや。だれの財布で、だれの計算でこの仕事をするのかというのか給付なんです。給付とは何だということの先ほど定義をおっしゃったけれども、結局、だれの財布で、だれの計算でこの仕事をするかということでしょう、療養の給付は。療養の担当ということは、だれの責任でするかということでしょう。担当ということは責任ということじゃありませんか。担の字は片肌抜いだという字じゃありませんか。(笑声)物をひっかついだという用字ではありませんか、失礼ですけれども。責任ということが、これが意味深くあるのが担当でしょう。診療を行うということは、だれがその行為をするかということでしょう、医師が調剤したり、薬剤師が診療をしちゃいけないとかいう。診療は医師がする、だれがその行為をするかということがそれなのでしょう。私どもはそういうことも、きわめて雑駁な言い方では頭に入らぬので、そう言うのです。ですから、三十六条のこれこれのことは医師がその療養を担当するということになれば、診療より幅広に、行うというよりはうんと責任性があると、私はそう解釈しておる。おとといの数次の厚生大臣との質疑応答では、この点をお互いに確認し合ったと私は思うのですが、どうでしょうか。患者の側とか、お医者の側から言うという意味はわからぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/94
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095・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 私はおととい山下委員とお話しして、その点ははっきりしたつもりでございます。要するに、この三十六条の三項で、この患者療養を扱う責任者というものは医者だということを明らかにしたわけでございます。で、それをはっきりいたしまして、療養の給付というのは、先ほど保険局長の申しましたように、要するに保険の内容としての療養の給付というものを療養取扱機関で扱うということでございます。で、私は、その点は二十八国会に出しました法案では、保険診療機関というものが単に療養の給付を経済的に取り扱って、どういう勘定でどういうことをしてあげるということだけでなしに、この療養自体の責任というもの、療養行為の責任というもの全部、とにかく保険診療機関というものが表に出まして、そして医者というものが陰に隠れておりました形というものは、これはどうも保険診療機関というものをとらえてまあ官僚統制をやるような考え方でありまして、その点をはっきりいたしまして、療養の責任者というものはとにかく医者なんだということを第一にうたって出して、その点が二十八国会に出しましたものと非常に考え方として違うつもりでございますし、実際に違えばこそ、まあ厚生省の外に対しましても、また厚生省の内部で思想を切りかえて参りまするのにも、十分苦心をしたということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/95
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096・片岡文重
○片岡文重君 関連。先ほどからの御質疑を伺っていると、ずいぶんむずかしい論議をされているのですが、結局、この三十六条、三十七条を通して私たちが考えるものは、ざっくばらんにいえば、被保険者と保険者との関係を考えれば、結局、療養の給付ということはあくまでも保険者が行うことであって、従って、この給付から生ずるところの、たとえば民事的な紛争かかりに起ったとすれば、この保険法上の、この国民健康保険の上から来るところの被保険者の損害がかりにあった場合には、これの賠償責任というものは、私はあくまでも保険者になければならないと思う。たとえば医者が診断を誤まる、あるいは療養を誤まったという場合、この間の厚生大臣の答弁ではその責任は医師にあるようなことをおっしゃっておられたけれども、この三十六条、三十七条を通して考えれば、そういう場合にも、医師は診断を誤まり、療養を誤まった場合には、医師法なり、医療法の罰則は受けるでしょう。けれども、この健康保険法の上からいけば、それに対する責任はやっぱり保険者が負うべきである。市町村が負うべきである。そして市町村は保険者としての立場から、その療養を担当したところの、取り扱ったところのその機関なり、あるいはその医師の失敗であるならば、その医師に対しての損害賠償の責任追及はできても、これは別な問題であって、保険者、被保険者の問題を考えていけば、あくまでも被保険者のそういう民事的な損害は保険者たる市町村が負うべきである。そして医師は市町村に対して、つまり保険者に対してその責めを負うべきである、こういうふうに私はこの三十六条から解釈をするのですが、そういう解釈は誤まりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/96
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097・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) これは具体的に誤診行為が起りましたときにどういうことに相なりますか、非常にまあ法律的な民事責任、刑事責任の問題になるかと思いますので、ちょっと……。少し考えてみたいと思います。(山下義信君「考えるったって、冗談じゃない、この法案に書いてあるじゃありませんか」と述ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/97
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098・片岡文重
○片岡文重君 それは厚生大臣、重大な発言ですよ。この三十六条からいえば、それぞれの責任が明確になっているのですから。それで三十六条の冒頭の第一項で「市町村及び組合」、つまり保険者ですね、保険者はこれこれの「療養の給付を行う。」と書いてあるじゃありませんか。従って、給付に対する一切の責任はあくまでもこれは保険者が負うべきものですよ。そこで、その給付を行うに当ってどういう手続を要するのか。事実行為によって発生するところの諸問題を解決するのは医師であり、薬剤師であり、開設者なんです。そうでしょう。ですから被保険者と保険者との関係は、あくまでもそういう医師とか、開設者とか、薬剤師とかいうことじゃなくて、保険者と被保険者の関係ですよ、これは。そうでしょう。だから、かりに医師の誤診なり、診療の誤まりが起って、被保険者が不当な損害を受けた場合に、損害賠償を請求するのはどこに請求するのかといったら、これはお医者さんでもなければ、開設者でもなくて、そういう不十分な契約に基く、あるいは契約を履行しなかったところのことによって起ったことであっても、あくまでも被保険者に対する責任は保険者が負うべきであって、それに対して生じた損害、保険者が損害を生じた場合には、その保険者はその損害を起したところの開設者なり、医師なり、薬剤師なりに向ってすべきものであって、これは別個のものだ。おのずからこの関係は明確になっていると思うのです。どうもそういうと語弊があるかもしれませんが、医師とか開設者とかいうものの立場にのみとらわれているという、そういうことばかりに重点を置いて考えておられるから混乱してくるのであって、それはもう条文からそういう点明確になっていると思う。それに対して、そう解釈するのは誤まりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/98
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099・山下義信
○山下義信君 どうしてそういうことが即座に答弁できないのです。法律に書いてあるじゃありませんか。被保険者が一体被保険者証をどこへ出して、その療養の給付を受けるということ、ちゃんと法律に書いてある。そういうようなものを誤診じゃなんじゃと言って、そのときにだれが賠償の責任に当るべき者か、ちゃんと法律にも書いてあるじゃありませんか。なぜそういうことが答弁できないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/99
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100・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 片岡委員の仰せられました通りに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/100
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101・山下義信
○山下義信君 大違いです。冗談じゃありません。被保険者は療養の給付を受けようとするときには、この受理せられた医療機関並びに登録されたその国民健康保険、いわゆる「そのものについて」給付を受けるのだと書いてあるじゃありませんか。診療契約はその医療機関、それと患者である被保険者との間にするぞ、こういうことが書いてあるじゃありませんか。法律で診療契約を直接にしないところの保険者は何の損害賠償の責任がありますか。冗談じゃありませんよ。あなた方政府はなぜ法律を読まないのですか。書いてあるじゃありませんか。被保険者の患者がだれと診療契約するのだということかわからないでどうする。法律に特筆大書してある。「そのものについて」ということは、一語千金であると私はおとといも言ったじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/101
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102・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) ちょっと混乱をいたしました。まさしくこれはどういう方式で療養の給付をやるかということについての問題でありまするから、これは責任は開設者においてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/102
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103・久保等
○委員長(久保等君) 関連質問ですから、簡単に一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/103
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104・片岡文重
○片岡文重君 私は、山下さんの解釈とは違ってきたようですけれども、この条文を読んで見れば、なるほど、この給付を受けるのは、実際は開設者の医者から受けるけれども、給付を受けるのは保険者からと書いてあるでしょう。保険者から受けると書いてある。従って、被保険者は給付を受ける手続をどういうふうにするのかといえば、一々市町村役場へ持っていって受けるのではなくて、開設者のところへその診療券を持っていって、あるいは保険証を持っていって受ける、こういうまあ一つの事実行為なんです。一つの行為にすぎないのだけれども、給付を受けるのは、あくまでもその市町村、保険者から受ける。たとえばわれわれ歳費をもらうにしても、実際には会計課からもらうということでしょうけれども、別に会計課はわれわれに対する歳費の支払者じゃないのですよ。責任者ではないと思うのです。国でしょう。企業があって、その企業からその月々の手当を受ける、報酬を受ける、その場合に支払いをする会計に判を持っていって、その給料をもらってくる。だから、この給料に関する責任の相手は会計担当者だ、こういう考え方は成り立たない。やはり企業でしょう。この条文解釈からいっても、診療券を持っていって、その給付の手続はそういうことをするけれども、契約はあくまでも保険者と被保険者の間の契約なんでしょう。そう解釈します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/104
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105・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 保険者は、当該市町村の中全体に対しまして、国民健康保険の医療というものをやつているわけでありますが、しかし、それはそういう仕組みを作って、そしてこの一つの約束に従って療養の給付を担当するということを申し出た療養取扱機関が療養を現実に担当をいたしておるわけで、ただいまお話のございました現実の療養給付というものを行いますものは、私のところでやりますということを申し出た機関でありまして、それでそれが自分のところの療養の施設を使い、人を使ってやるわけですから、これはやはり当該療養の給付の責任者としては、療養取扱機関が負うということが筋であって、どこの療養取扱機関でも、希望さえあれば、こういう方式でやるし、それから保険料さえ払って、住民の資格があれば、受けに行けるという仕組みを作った保険者が、当該療養給付の内容について、全部責任を負うということは、ちょっと筋が違うのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/105
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106・片岡文重
○片岡文重君 そうしますと、かりにある医師が誤診をした、そのために重大な損害が被保険者に及んだということになると、その保険者たる市町村がそれに対して訴訟を起されても免責し得る、こういうことですか。免責というよりむしろ訴訟の相手方にはなれない。あくまでもその場合には、その診察を取り扱ったところの医師なり歯科医師であって、保険者たる市町村は、全然われ関せず、こういうことになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/106
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107・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) そうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/107
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108・片岡文重
○片岡文重君 それでは、五十六条にいうところの、この保険者が療養の給付を行うということは、一体どういう責任を持っておるということですか。この保険者の責任を明確にして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/108
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109・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) これは、療養取扱機関において療養を取り扱うということは、この保険の仕組みに従いまして準則等もいろいろ出ますけれども、それに従った、要するに国民健康保険診療というものを取り扱う、それがその療養取扱機関の責任であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/109
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110・片岡文重
○片岡文重君 結局、開設者あるいはお医者さんは、市町村との間に民事的な契約ができておるわけでしょう。この市町村で作っておるところの国民健康保険組合の被保険者の療養をあなたのところで担当しなさい、私のところで担当しましょう。こういうことになって、これは被保険者との間の契約じゃないわけです。あくまでも保険者と、その保険者の被保険者に給付する、客体となるべき治療、療養をどこにまかせるかということになれば、これはその開設者なり、あるいはそのお医者さんにやらせるわけです。従って、被保険者と保険者との契約は、あくまでも保険者との間であって、決してお医者さんでもなければ、開設者でもない。ただ、それを受ける手続として、一々市町村役場に持っていって、あるいは健康保険事務所に診療券を持っていって、そこからまたお医者さんに行くというような迂遠なことはやらないで、直接そこへ持っていってその給付を受けなさいということであって、あくまでも責任の所在というものは保険者が負うべきものじゃありませんか、この法律からいえば。確かに診療券を持っていって、診察券なり、保険証を持っていって、その療養機関で給付を受けると書いてある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/110
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111・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 保険者の側は、一般の医療法、医師法の規定のほかにも、いろいろ国民健康保険法に基きます準則等に従って療養取扱機関に適正な療養取扱いをやってもらうというのが、この建前でございます。そして一種の公法上の契約が、申し込み、それから受諾によってできると考えていいと思います。それはあくまでも、要するに適正な医療を、療養を取り扱ってもらうという約束ができるのでございまして、その際に、定められた適正なる医療をやったか、やらなかったかという責任は療養取扱機関に属するものでありまして、保険者の方の責任ではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/111
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112・片岡文重
○片岡文重君 それは、要するにこの法律には善良な管理者という言葉が使ってありますけれども、普通使い古されたこの善良な管理者ということが、やはりこの場合、保険者の場合に使われると思うのですが、たとえば、私はこの本なら本を書籍の出版会社と契約をします。ところが、実際にこの出版会社は、本を作るのは印刷所で作るわけでしょう。この契約ができたら、一々出版会社へ行かないで、印刷所へ行っていろいろ相談するわけです。この場合、私がかりに損害を受けた場合に、どこの責任になるかといえば、印刷会社ではなくて、契約した出版会社が責任を持つわけでしょう。この保険の場合にも、被保険者と保険者との間の契約は、あくまでも市町村たる保険者である、契約するのは、つまり被保険者の責任の相手は。ただ、その医師なり開設者というものは、保険者に対して契約通りの療養を行なったか行わないかということは問題になるでしょうけれども、これはあくまでも保険者とその療養担当者の間のことであって、保険者と被保険者との間は、かりにその開設者なり医療担当者が事故を起したとしても、その起したお医者さんなり薬剤師が医師法や医療法で告発を受けるようなことがあったとしても、損害の請求の相手たるものは、このお医者さんではなくて、保険者であるべきだ。よって生じた損害は、保険者はその契約を十分に履行しなかったところの開設者なり療養担当者に向ってすることができるでしょう。私はそう解釈する、この法律からいえば。もしそうでないとすれば、この給付を行う者は、あくまでも保険者ではなくて、これは行政訴訟の場合だって当然そういうことが言い得るのじゃないですか。保険者ではなくて、市町村ではなくて、療養担当機関が給付を行うことじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/112
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113・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 療養の給付を療養担当機関、取扱機関が取り扱うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/113
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114・片岡文重
○片岡文重君 取り扱うだけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/114
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115・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) その取扱いについての責任が生じました場合には、これは療養取扱機関が責任を負うべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/115
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116・片岡文重
○片岡文重君 さっきの会計の場合だって同じですよ。給料の支払いを取り扱う者は会計担当者ですけれども、給料の支払いをもって労働者と賃金の契約をする者は、あくまでもその会計担当者ではなくて、その会社の経営者じゃないですか。会計の支払いを会計の担当者がするからといって、その責任があくまでも会計担当者にあるとは言えないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/116
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117・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 要するに市町村は、本法に従いまして、その市町村内で国民健康保険という保険を担当することを、施行することをきめるわけであります。この準則に従いまして、療養取扱機関も動いているわけでありますが、市町村はこの全体の仕組みの中で、一定の欠格条項などに当てはまらない、要するに療養取扱機関が療養の給付を取り扱おうといって申し出があれば、それを承諾しなければならないのでありまして、そうしてそこの療養の給付の取扱いにつきまして、市町村は一々内容に従って日常監督するというような権能はないわけであります。機関は、定められた準則の範囲内において、療養給付の取扱いを準則の範囲内で、適正に、かつ、自主的に行なっているのでありまして、そういうような建前から申しまして、療養の給付の取扱いに対する事故の責任というものは、療養取扱機関にあるのであります。どうも準則を出してこの仕組みを運営しているというだけで、日常療養の給付の内容に立ち入って監督するという権能も持っておらない市町村に、その責任を問うことはできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/117
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118・片岡文重
○片岡文重君 そうすると、この被保険者は一体だれと保険契約を結ぶのですか。(山下義信君「保険契約は保険者とだろうが、保険契約をしたら保険料を払うじゃないか。」と述ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/118
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119・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 被保険者と保険者との間に、まあ保険契約が行われるわけであります。この法律の仕組みに従って行われるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/119
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120・片岡文重
○片岡文重君 そうすると、この法律は何ですか、契約によって生じた損害を保険契約を行なった相手力が負うのではなくて、その契約をした保険者がまた第三者、つまり開設者あるいは医者と、この療養を担当して下さいということを約束するわけでしょう、契約をするわけでしょう、一つの。そうしてですね……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/120
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121・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) これは保険契約と申しましても、要するにこの国民健康保険法という法律の仕組みに従いまして、この所定手続で市町村が、自分のところの国民健康保険を実施するということが議会の議決できまりますと、そうするとこれ全体が働いて、この保険者と被保険者との間に国保の保険の仕組みができるわけであります。それからあとの療養の給付の取扱いに関しまする実際の責任問題は、私、先ほどるる申し上げました通りに相なると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/121
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122・片岡文重
○片岡文重君 これはいつまでたっても私には納得できませんが、少くとも医師なり薬剤師が、繰り返して言うように、その担当する療養の不手ぎわによって、あるいは故意か、あるいは過失かは別として、損害が起った場合には、その者はやはり道義的には被保険者に対する責任もあるでしょう。けれども、これの法的な責任は医師法なり医療法によって受けるでしょう。しかしながら、保険契約の上からいったところの損害賠償の責任者は、あくまでも保険者でなければならぬじゃないですか。医療という行為はしますよ、開設者なり医師は。療養という行為はする。だから、その行為に対する責任は医師自体は持つべきでしょう。けれども、その行為を受けたところの被保険者はだれに向って損害を請求するかということになれば、その行為の責任の所在に向ってしなければならぬ。ではその行為の責任はどこにあるかといえば、その行為を命じたところの保険者にあるはずじゃないですか。そうなってくれば、当然被保険者は保険者に向ってその損害を請求する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/122
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123・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 保険者が行為を命じておるわけではないのでありまして、保険者の方は所定手続に従って所定の資格のある病院、診療所が療養の給付を取り扱おうと申し出てくれば、その人に資格を与えるわけであります、この国民健康保険診療というものを扱ってもらう資格を。そこで、現実のやはり問題は、あくまでも療養の給付を現実に取り扱うというところに責任の帰属がなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/123
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124・片岡文重
○片岡文重君 それはちょうど会計担当者が支払いの責任者とみなされることと同じ理屈でしょう。支払うということは、その社長との雇用契約に基いてその支払いを業務としてやっておるわけですから。今の場合、医師なり薬剤師なりは、命じてはいないでしょう。けれども、これはやはり一つの民事上の契約として、市町村、つまり保険者が被保険者に給付する、その給付内容をあなたのところでやつて下さいということで、私のところでやりましょうということで、ここに合意が成立して、その行為を行うわけでしょう。ですから、その契約は三角関係になるわけです。そして被保険者に対する責任というものは、あくまでも保険者が負うべきですよ。ただ、不当に医師、薬剤師というものの存在を引き上げていこうとする、この行為に大きく左右されておることは事実でしょう。しかし、これはあくまでも存在が、位置が高くなればなるほど、付帯する責任は負うべきです。だから、そういう点からいえば、道義的には責任は負うべきですけれども、民法上の責任といえば、あくまでも保険者が負うべきだと、こういうことになるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/124
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125・久保等
○委員長(久保等君) ちょっと速記をやめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/125
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126・久保等
○委員長(久保等君) 速記を起して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/126
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127・木下友敬
○木下友敬君 それでは質問を続けますが、療養取扱機関の受理が取り消される場合について、具体的に説明を求めるのですが、大ぜいのお医者さんが働き、大ぜいの事務員が働いておるところで、四十八条の二号、三号、四号等の誤まりが犯された。二号は「療養の給付に関する費用の請求又は第五十六条第三項の規定による支払に関し不正があったとき。」、第三号は「第四十六条第一項の規定により報告又は診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は虚偽の報告をしたとき。」に受理を取り消すことができる、こういうふうになっておりますが、何人かの事務員が働いておって、その事務員がこういう誤まりを犯したとき、直ちにこれは受理が取り消されるかもわからないというようなことになり得るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/127
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128・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) この四十八条の例に示されました二号、三号、大ぜいの職員を使っておるという場合におきましても、その職員はそこの開設者の手足としてやっておる、それで開設者から独立して先ほどの責任を持って当りますのは医師だけでございます。その他の事務の従業員などは開設者の手足としてやるわけでございますから、それはこの条文のこれに、もしそれについて——もちろん取り消しなどというものはそう簡単にやりません。当然それのあれがわかりまするならば、これはそのものを排除すればそれでいいわけでございますし、開設者としても当然そういうものを排除するということにおいて、開設者としての適格性がそれで保たれるというなら、それはそれで済ませるべきだと思います。しかし、それが何らかの形でどうしても改まらない、こうなれば開設者としての責任がそこにおいて起ってくるわけであります。従って、最悪の場合において、これは最悪の場合というのはよほどの場合でありますが、これはそういうことによりまして、どうしても医療機関全体として、開設者としてこの関係から排除しなければならぬということになりますれば、これは該当することになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/128
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129・木下友敬
○木下友敬君 今言葉がわかりませんが、排除するというのは、だれを排除するのですか。悪いことをした事務員を排除する、首にするという意味ですか。初めて聞く言葉ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/129
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130・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) この取り消しという処分は都道府県知事がするわけであります。従いまして、そこの事務員だけを排除することは都道府県知事はできません。やはりこれはそこの開設者、つまりその機関全体としてそこの開設者の手足であれば、開設者にその責任がある。その意味において、開設者の責任の度合いというものを判定するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/130
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131・木下友敬
○木下友敬君 そうすると、かなり大きな病院の場合でも、事務員がここにあげてあるような経済上の違反をしたり、あるいは診療録とか帳簿を示さないというようなことが起った場合には、大きな病院の場合でも、受理を取り消されることかあり得るわけなんですね。なるたけしないとは言われるけれども、取り消される場合があり得るわけですね。なければこれはから文句になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/131
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132・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) この条文に書いてある通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/132
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133・木下友敬
○木下友敬君 取り消される場合があるわけですね。そうしたら、たとえば大学病院とか国立病院、日赤の病院とか、ああいうふうな多数の患者を収容し、多数の従業員がおるような場合で、その中の一、二の人が四十八条の二号ないし三号に該当するようなことをあえてした場合において、その大きな病院が閉鎖せなければならないという事態が想像できるわけですね。それはその通りですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/133
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134・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 理論上は、最悪の場合、さようなことがあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/134
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135・木下友敬
○木下友敬君 理論上とかなんとかじゃなくて、法律ですからね、もっとはっきり、あり得るならあり得る、あり得ないならあり得ない、やらないならやらない、これは大事なことだからお聞きするんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/135
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136・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 最悪の場合には、それもやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/136
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137・木下友敬
○木下友敬君 それでは最悪の場合のことをお聞きしますが、これは事例があるから言うのです。かって、ある公的病院で事務員が不当な請求をした事例がある。そのときの処置が非常にあいまいだった。ところが、今度こういう法文が出てきたから、その公的病院は当然閉鎖されねばならぬことになる例に相当するわけです。たとえば大学病院でありますとか国立病院で、事務員か悪いことをしました。その悪いことというのは、この二号、三号に当る悪いことをして、理論的にも、大学病院なり国立病院が閉鎖されるという運命になった場合に、そういうことはあり得るが、一体、そこで働いておる人間の始末、お医者さんだけじゃないですよ、その始末並びに患者の跡始末については、だれがどういう責任を持ってやるということかわからぬのですが、その始末については、何も言及しておかぬでもいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/137
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138・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) かりにここに一つの大きな病院なりかございまして、それが、取り消された場合におきましては、そこに働いている人、経済的に雇用されている人は、結局、そこにおいてはもはや働くことは不可能にこれはなる、これはいたし力ないと思います。しかし、この保険法のもとにそういうことは規定する必要はないのであります。これは経済法則のもとでそれが左右されるわけでございまして、保険法のもとにおきましては、たとえばそこに働いている医師がそうしたらもう診療ができなくなる。診療できなくなるという意味はどういう意味であるか、これは医師としては何らそこに責任かないとしまするならば、そして国民健康保険を担当する医師であって、登録しております限りにおいては、お願いするわけでありますが、しかし、それは前の際にいろいろ御質問がありましたように、そのお医者さんか、自分はやりたいと思っても、同時に、それだけでは国保の診療の取扱いはできないわけでございまして、同時に、そこで経済的に雇っておりまするところの開設者、つまり取扱機関というものか、また、それでもって一緒に相待って初めて両方の意思が、国保をやろうという意思が合致して、初めてそこで診療を引受けてやる、こういう関係になるわけでございまするから、その一方の要素が消されまするならば、それはそこでその場所においては診療行為を続けることはできなくなると思います。それを続けようと思いまするならば、そこの開設者というものかかわります。つまり別個の開設者、別個の取扱機関というものかそこにできて、そしてその場合に両者が国民健康保険をやろう、こういう申し出なり登録というものが一致しまして、そこで初めてできるわけであります。しかし、この場合においては、お医者さんはそこではできませんけれども、これは他の所で、あるいは独立して自分が開業するとか、あるいは他の取扱機関の方へ移ってやる、こういうことは毛頭差しつかえないわけでございます。そういう趣旨を実は申し上げておるわけなんでありまして、その場所で診療なり、あるいは職業に従事する従業員が、そのままそこに残ってなおかつ、やれるようなこと、こういうようなことについては、これは今日は私どもは考えることはできない、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/138
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139・木下友敬
○木下友敬君 そういうふうに病院が取り消された、その場合には、今のお言葉からいえば、そのままではそこでは診療できぬが、今度開設者が別にかわって、そうして受理されれば診療ができると、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/139
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140・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) その通りでございます。ただし、その開設者がかわるという意味は、これは要するに、その病院なんというものは、いろいろな権利とか、あるいは財産とかいうものかあるわけです。開設者がかわるという意味は、やはりそういうものの帰属すべきものかかわるごとでございまするから、ただ自分かだめになった、それじゃ奥さんに名前をかえるとかいうような、簡単なそういうものじゃないことは申し上げるまでもない。開設者がかわるということは、同時に取扱機関が別個のものにかわるという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/140
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141・木下友敬
○木下友敬君 そうすると、財産の帰属とかなんとかということまでくると、今度はわからない問題が起つてきますが、国立病院の開設者というのは厚生大臣ですか、そうでしょうね。それからまたほかでは、鉄道病院などは、あれはだれが、総裁が開設者ですか。そうすると、その機関が閉鎖された場合に、今度は厚生大臣もかわってもらわなければいかぬし、それから厚生省の財産とかいうような財産の帰属というものもかわってこなければならぬということに、あなたのお言葉からいけば、なるわけですが、それは一体どうですか。それはかえようがないでしょう。国立病院が悪いことをしたとき、その財産の帰属をかえる、あるいは厚生大臣をかえて——かえるならかえてもいいけれども、一事務員が悪いことをしたので大臣の首が一々かわるということであれば、現在の状況ではもうそれは、大臣の首はそう長持ちしないでしょう。どの大臣でも、そんな末端の事件がすぐ大臣の首にかかわるような……。それだから、開設者をかえ、なお財産の帰属等がかえられなければ、すぐさまは受理されないということは、これは訂正しておかぬと、何時間かかってそういうことが、一体厚生省の財産を処理したり、あるいは大学病院の財産を処理したり、あるいは大臣の首を入れかえたり——大学病院の場合には、これは文部大臣ですよ。それができる間、病人をほうっておくわけにはいかないし、また医者も、看護婦も、その他従業員もほうっておくわけにはいかない。それは訂正しておきましょうよ。私は、これは非常に重大なことと思いますが、これも即答ができなければ、きょうはやめましょう。そうして、あしたみんなで省議でも開いてもらってまとめてもらわぬと……。これは実際そうですよ、事務員が悪いことをしたので、あれがとられて、受理が取り消されて、そうしてそれがまた財産の整理から、開設者の首からかえていかなければやれぬというようなことであれば、これは重大な問題だと思う。法文からいけばその通り、おっしゃられる通りだけれども、それが実際に行われぬような法律を作れば、選挙費用のあれと同じように、うそばかりやるということになりますからね。これは一度相談しようじゃありませんか。そうしなければ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/141
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142・久保等
○委員長(久保等君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/142
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143・久保等
○委員長(久保等君) 速記を起して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/143
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144・木下友敬
○木下友敬君 今、保険局長からの御答弁もございましたけれども、これは非常に私は重大な問題であって、今のような御答弁であっては、将来の国民健康保険でこれは重大な問題になると思う。大病院であるから、そういう事態が起るから、悪いことをしてもこれは大目に見なければならぬとか、そこで悪いことをした人だけを首にして、そうしてそれであとまたそのまま続けていかれるというようなことがあったら大へんです。なぜそういうことを言うか、先ほどあなたは、お言葉の中で、事務員が悪いことをしても、改悛の情が明らかになれば許すことができるというようなことを言っておられるのです。ところが、そういうひどい悪いことをした者はそこにはおれぬはずですよ。だから、改悛の情もなにもありはせぬ。そういうことですから、これは重大な問題と思うから、一つ、なおきちんと御相談になって、厚生省の中できちんとした方針を立てて、そうしてあっちへよろめき、こっちへよろめきしないように、はっきりした線を出してもらいたい。そうでないと、今ここで言ったって同じだろうと思う。で、私はこの質問を一つ保留しておいて、正確なお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/144
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145・久保等
○委員長(久保等君) ちょっと速記やめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/145
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146・久保等
○委員長(久保等君) それでは速記を起して。
それでは本日の質疑は、この程度にいたしまして、明朝午前十時から開会することにいたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後五時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00519581222/146
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