1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年十二月二十三日(火曜日)
午後零時八分開会
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委員の異動
本日委員有馬英二君、藤原道子君及び
中山福藏君辞任につき、その補欠とし
て西田信一君、坂本昭君及び常岡一郎
君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 久保 等君
理事
勝俣 稔君
柴田 栄君
木下 友敬君
委員
草葉 隆圓君
小林 英三君
紅露 みつ君
斎藤 昇君
榊原 亨君
谷口弥三郎君
西田 信一君
横山 フク君
片岡 文重君
小柳 勇君
坂本 昭君
藤田藤太郎君
山下 義信君
常岡 一郎君
竹中 恒夫君
国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
厚 生 大 臣 橋本 龍伍君
政府委員
法制局長官 林 修三君
法制局第二部長 野本 新一君
厚生政務次官 池田 清志君
厚生省保険局長 太宰 博邦君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
説明員
厚生省保険局次
長 牛丸 義留君
厚生省保険局国
民健康保険課長 伊部 英男君
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本日の会議に付した案件
○国民健康保険法案(内閣提出、衆議
院送付)
○国民健康保険法施行法案(内閣提
出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/0
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001・久保等
○委員長(久保等君) 社会労働委員会を開きます。
委員の異動を報告いたします。
十二月二十三日付をもって、有馬英二君、藤原道子君及び中山福藏君が辞任し、その補欠として西田信一君、坂本昭君及び常岡一郎君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/1
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002・久保等
○委員長(久保等君) 国民健康保険法案、国民健康保険法施行法案、両案を一括して議題といたします。
御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/2
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003・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 昨日の御審議で答弁の不十分な点につきまして、あらためて申し上げたいと存じます。
第一の点は、山下委員からの御意見でございまして法案第四十八条の第四項ただし書きの場合に、相当の注意、監督が尽された、その相当の注意、監督というものの解釈でございますが、これにつきましては、相当の注意については、母法の第七行十五条第一項にございまするところの相当の注意、これはある事業のために他人を使用する者は、その雇われた者がその事業の執行について第三者に加えた損害の賠償の責めを負う。ただし、被用者の選任、あるいはその事業の監督については相当の注意をなすというような規定があるのであります。それと同様に解するわけであります。
それから監督につきましては、医療法の第十五条、管理者の監督の義務というものがございます。「病院又は診療所の管理者は、その病院又は診療所に勤務する医師、歯科医師、薬剤師その他の従業者を監督し、その業務遂行に欠けるところのないよう必要な注意をしなければならない。」と、これと同様に解釈すべきであるというふうに存じます。なお、その中身につきましては、行政の判例などを取り調べまして、その中からこれに該当、適当と思われるものを例示いたしまして地方に示したい、かように考えておる次第でございます。
それから第二は、片岡委員の御質問でございまして、国民健康保険医が誤診などによって患者に損害を与えた場合の賠償責任の点でございますが、保険者は被保険者に対して療養の給付を行う責任を有するものではありますが、具体的な療養は、療養取扱機関において国民健康保険医または健康保険薬剤師が、この法規の第四十条に規定します療養の給付に関する準則に従って担当するのでございます。その場合において、国民健康保険医または薬剤師が保険者の機関、手足として療養を担当するものではございません。療養の給付に関する準則に従って、その責任においてこれを担当するものでありますから、保険者はこれに対して監督などを行うことができない仕組みになっております。従いまして、国民健康保険医などが誤診などによりまして、あるいは療養の給付の準則に違背して被保険者に損害を与えに場合におきましては、その使用者たる療養取扱機関の開設者は、民法第七百十五条の規定によりまして損害賠償の責めを負うべきものでございまして、保険者はその損害の賠償責任を負うということにはならないのでございます。ただし、取扱機関が保険者の直営診療施設というような特別の場合におきましては、その直営診療施設の開設者は同時に保険者でありますから、保険者が責任を負うということは言うまでもないところでございます。
第三点は、木下委員の御質疑でございましたが、療養取扱機関の申し出の受理の取り消しでございます。四十八条の規定によります療養取扱機関にかかる申し出受理の取り消しは、実際その取扱機関が故意または重大な過失等によってその各号に該当する場合のほかは行わないのであります。事務員の軽過失などのような場合においてはこれを取り消すようなことはございません。
それから療養取扱機関にかかる申し出受理が取り消されましたときには、その取扱機関において働いておりまする国民健康保険医または保険薬剤師はその機関においては国民健康保険の療養を担当することができなくなるのでありますが、これは現在の医療制度上やむを得ないものと解釈いたします。その場合におきまして、開設者が交代いたしましたとき、たとえば新しい開設者がもとの開設者の所有しておりましたる施設をそのまま引き継いで、それから同町に、その機関において今まで療養に当っておった国民健康保険医あるいは薬剤師がそのまま新しい開設者のもとに勤務している場合におきましても、これは解釈上新たに病院などの開設があったものとして、そして療養取扱機関の申し出をすると、こういうふうに手続上なるものと考えます。もし大きい病院などにおいて取消しという処分が行われるような事態になりましたときには、そこに働いておりまする職員のみならず、通院しております、あるいは入院しております患者がやはりその迷惑をこうむることも当然あるわけでございますが、これはやむを得ない場合を除きまして、ほかの病院なり診療所に転じてもらう。それから入院中の患者もよその病院にかわり得るものはかわってもらう。しかしながら、病状その他によってやむを得ないというような場合においては、その場合は療養費払いの取扱い措置を講ずると、こういうことに相なろうと存じます。
以上、昨日の答弁の足りませんところを冒頭に申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/3
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004・山下義信
○山下義信君 私がお尋ねしたことで残っている部分もありますが、四十条のこの療養の給付に関する準則というものはどういうものかというお尋ねをしておいたのでありますが、資料を後ほどいただけるか、あるいは口頭で御説明願うか、持ち越しになっているわけなんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/4
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005・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 失礼いたしました。第四十条において、療養の給付に関する準則の厚生省令でございますが、これは法第三十六条の四項におきまして、療養取扱機関の開設者が当該機関において業務に従事する国民健康保険医などに対して、その者が担当する療養実施について必要な措置を講ずるということをこの省令で規定しようというものであります。そのほかに診療録でありますとか、処分せんなどのような、まあ手続的なものについて規定するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/5
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006・山下義信
○山下義信君 前段の開設者が必要な措置を講ずることを規定されることは、わかりましたが、その必要な措置を講ずる内容というものは今御説明いただくわけには参りませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/6
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007・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) まだそこまで至っておりませんので、でき次第、また、お目にかけます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/7
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008・山下義信
○山下義信君 本案を審議していることは、あすもあさっても待っているわけには実はいかないのでありまして、こういう重要なことを承わらないで議了するということは、ほんとうはできないのでありますけれども、しかし、私は追及しません。ただこの際、第四十条に関連いたしまして、ただいま政府の御答弁をいただいたその療養の給付に関する準則に関連いたしまして、厚生大臣の御答弁を求めたいことがあります。それはこの療養の給付に関する準則は厚生省令できめるときは、本法の第五十条によりまして、中央社会保険医療協議会に諮問してきめるとあるのです。本法案は一月一日から施行ということになっておるのでありまして、この第四十条と第五十条の関係は、一月一日施行と同時に実際上その運営が動いていかなければならぬわけであります。しかるに、この中央社会保険医療協議会の組織というものは、委員の任命等が全部終了されていないのではないかと思うのであります。この中央社会保険医療協議会の設置はされてありますが、委員の任命が全部済んでいないということは実体として不完全であるということであるのであります。従いまして、私は何か先般承わるところによりますと、いわゆる病院関係の代表の委員の選任について種々問題が起きている。従って、その委員の任命がおくれておるということは自他周知の通りであります。そのことについて先般厚生大臣に伺いましたらば、この委員の人選については、日本医師会に人選を委嘱するのを至当だと考える、それは現在の中央社会保険医療協議会設置法の精神からいって、医師の代表者という場合には、どうしても医師の代表の団体である日本医師会の推薦を待たざるを得ない、直ちに病院協会の機関の代表者をすぐに選任するということはこの設置法の建前からいっても無理がある、そこで自分は、日本医師会に、その委員の推薦を委嘱する考えである、かように当委員会で御言明に相なったのであります。しかるに、承わるところによりますと、いまだにその委員の推薦を委嘱していない。何か関係の他の団体からの要請によって厚生大臣はちゅうちょしておられるという風聞が高いのです。それでは中央社会保険医療協議会の委員の人選が済まない。すべての全員の任命が済まないということになれば、実質的にこの医療協議会の成立はできていないということになる。従って、この四十条の準則の省令決定の諮問も、一月一日から本法を実施されるということについても、そういう点について実際に動いていくことができない。私は本案審議の上において非常にこれは重大であると思います。言いかえれば、その委員の人選が済むまで本法の施行というものはできないということになるわけでありまして、私はこの際、中央社会保険医療協議会の委員、ことに日本医師会に委嘱すると当委員会で言明されました医師の代表の委員の人選は、いつなさるお考えであるか、どういう御方針であるかということを、この際私は明確に承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/8
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009・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 中央社会保険医療協議会の委員の任命に関しまする諮問の手続に関しましては、先にも私申しましたが、ただいま山下委員からお話のございました通りに考えております。つまり中央社会保険医療協議会法には、医師の利益を代表するもの、その団体に諮問するということに相なっておりますが、これはずっと以前からこの法の解釈によりまして、医師の利益を代表するものの所属する団体というものは医師会という解釈で参っているのでございまして、私は今日までこの法の解釈は、こういうふうに解釈をいたすべきものだと考えております。現実にいろいろなもめごとがございますので、私は実は本法の施行にも関連をいたしまして、これは本法の施行がなくても、急速に六月以来任命しなければならぬことは当然のことでございます。特に本法の施行に関連をいたしまして、私はまあ最後のぎりぎりまで何とか気持のいい形で任命ができないかと思って、実は今日まで参ったのであります。御指摘の通りに、本法施行に関しまする諮問の関係もございまして、はなはだ残念ではございますが、多少その間に御意見の違う方々がございましても、委員選任の手続を早急にとらなければならないと考えております。で、これまで何とかまとめたいと思いまして、昨日もそういう方々の団体と話をいたしたのでありますが、きわめて早急にこの中央社会保険医療協議会の構成をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/9
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010・山下義信
○山下義信君 既定の御方針通り、日本医師会の推薦にかかる委員を任命いただく御方針と了承してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/10
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011・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) よろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/11
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012・山下義信
○山下義信君 なお、その任命は年内に、おそくとも年内には行われると了承してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/12
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013・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) さよう取り計らわなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/13
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014・山下義信
○山下義信君 了承しました。この点に関する私の質問はその程度にいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/14
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015・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 第七十五条の問題でありますけれども、「都道府県及び市町村は、国民健康保険事業に要する費用に対し、補助金を交付し、又は貸付金を貸し付けることができる。」と、こうなっておるんです。しかし、今日までの状態を見ますと、国保法の施行をしているところは、各市町村が相当な費用を負担して、たとえば診療所をこしらえるとか、施設のためには相当な負担をしてやっていると思うのです。この負担をしてやつているときの、この事業投資といいますか、そういうものに対する国の補助とか、まあ起債の問題とか、そういうのはどういう工合に取り扱っているか、ちょっとお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/15
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016・伊部英男
○説明員(伊部英男君) 地方財政計画におきまして、保険施設及び直診に関するものを三十二年度から、地方財政計画に見込んでいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/16
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017・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 それじゃ姓没するときには、国と市町村との負担の関係、起債というのはどういう比率で、たとえば補助をすることになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/17
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018・伊部英男
○説明員(伊部英男君) 直営診療所に対しましての国庫補助は三分の一でございます。三分の二が地方財政の負担になります。三分の二は、地方財政計画に織り込んでございますから、それは一般財源あるいは起債によってまかなわれるということに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/18
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019・久保等
○委員長(久保等君) ちょっと速記をとめて。ても、ほんとうに社会保障制度をやる国々は、低物価政策、少くとも物価を動かさないということが基盤になっておる。パンにしても一ペンス上げるのでも大騒動する。政府の政策を家計から計算してみて、一週間の家計、一カ月の家計にどれだけの響きがあるということで、総選挙を御承知のごとく争うのです。で、一方において、社会保障制度を強力にやると言いながら、片方で物価を上げてくずして参ったのではさいの川原だ。一体総理は、この物価の値上げについて基本的にはどういう考えを持っておいでになりますか。また、社会保障制度との関係においてどういう御所見を持っておいでになりますか。お示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/19
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020・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 御指摘のように、物価が高騰いたしますというと、いろいろなこういう社会保障制度そのものの根底にも非常な影響を持つことは一弔うまでもないことでございます。また、特に長い目で見ましても、いろいろな掛金や何かの点におきまして、物価が一方非常に上っていくということは通貨価値がそれだけ下落するという反面があるわけですから、やはり経済の基礎としては通貨価値の安定をあくまでも堅持すると同時に、物価につきましても安定した状態に置かなければならぬことは言うを持たないと思います。この意味におきまして、特に昨年来いろいろな経済の変動に処しまして、物価についても物価の騰貴しないようにあらゆる方策を立ててこれを推進して参っております。最近の物価の状況は、御承知の通り、一時高いときから見ますると、やや下っておりますし、横ばいの状態に大体あると思います。しかし、物価は常に安定を望みますけれども、絶対に変動しないというものでは、これはないことも御承知の通りであります。しかし、いずれにしても急激なる変動、また、通貨価値の変動というようなものを伴うような価格変動が行われるということは、これは絶対に、経済の安定した拡大を願うという意味におきまして、根本的にとり得るものでないことは言うを待ちません。従いまして、私どもの物価政策としては、あくまでも物価の騰貴を押える、安定した価格政策というものが基礎にならなければならぬと私は考えております。これがまた今御指摘のように、社会保障制度にも非常な影響を持つものでありまして、物価が上って、いろいろな国家が社会保障制度で手を延べておっても、生活費が上り、いろいろな出資が重なるということになりますというと、意味をなさないことになるんでありますから、十分にその点は考えていかなければならぬ問題であると、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/20
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021・山下義信
○山下義信君 物価、料金の値上げは、えてしていろいろな好ましくない風聞が伴うものでありまして、ややもすると汚職の温床になり、ややもすると不潔な政治家が好ましくないたくらみをするもとになることが多いのでありまして、今後とも一つ総理とされましては、十分その辺は御戒飭を願いたいと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/21
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022・岸信介
○国務大臣(岸信介君) お話しの通り、私どもも大体経済原則としては自由経済主義をわが自由民主党はとっておるわけでありますが、それでもいろいろ公益面の仕事であるとか、いろいろなものに対しては価格の認可制度やその他指示できるような制度を設けられております。これの運用に関して従来ややもするというと、汚職等の問題もしくはそういう疑惑を持たれておるということははなはだ私も遺憾でありまして、厳正にそういうことに対しては対処する考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/22
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023・山下義信
○山下義信君 いま一つ伺いたいと思いますことは、これはあなたの十八番でありますから一つすばらしい御答弁を願いたいと思う。それはいわゆる準総理の青年対策、私は反対党でございますが、率直に申し上げて、戦後における歴代の首相におきまして、この青年問題を取り上げたという総理はあなた一人です。私はそれは認めます。敬意を表します。ただ、この青年対策を呼号されながら、その実際の施策は何をされるかということをじっと見ていると、見るべきものがないとは言いません。しかし、どうも小手先の、小さい施策の羅列のような気がいたしまして、ユースホステルを建設するとか、青年の家を作るとかいったような、いろいろなそういう施設を作るとか、何かこまごましいようなことのように見える。もっと大きな、一つ青年対策というものを打ち立ててもらわなきゃならぬ、また、お考えがあるんだろうと思う。何といたしましても、私はこの今の、現時の日本の青年に対する対策の、われわれがまあ御要望申し上げるとするならば、第一は言うまでもなく、完全就学です。もう全部の青年が学び得るという態勢にしていただかなければならぬ。第二は、学び得た者の完全就職、これは完全雇用ということもいいますが、少くとも青年におきましては完全就学、完全就職、私はこれなくして、他のいろいろな、どのようなレクリェーションの施設や、昔で言えばいわゆる青年善導方式のようなことをやりましても、これが大問題だろうと思う。学校が少くて入学の志望者が多ければ、言うまでもなく、落第ということもありましょうが、住宅金融公職をごらんなさい。三べん申し込んで三べんはずれますと、四回目はもうパスする、無審査でパスする。私は青年問題も、三べん学校の入学試験を受けて三べんすべったら、四回目にはもう通していただきたい。それくらい思い切って全部の者を就学させる、学校が少い方が悪いんですから。私は中共に昨年行ってみましたが、中共などは落第というものもありませんし、入学試験というものもやりません。もう全部完全就学、また、青年も全部就職させる。それで各企業会社、そういうものが使わないであふれたものは、国家が責任を持って何かの仕事を授ける。この完全就学と完全就職、つまり言いかえれば、まじめなものが食えるという大筋をずっと通していただいて、その上にいろいろと有益な施策を立てていただくということが私は必要ではないかと思うのです。で、今の青年の気持、青年のありさまから見まして、この問題が私は一番大きな問題であろうと思う。これは一つ総理の十八番の青年対策でございますから、一つ御所見を承わりたいと思います。私は、青年問題が、文部省、厚生省労働省とまたがっている、これは一つ一本にしていただいて、少くとも総理の面接のブレーンといいますか、組織といいますか、青年局というくらいのものがなくては、これは大きな政綱としてお考えになったのにふさわしくないと思うのでありますが、あるいはまた、青年法というがごとき特別立法でも作っていただいて、その施策の法的根拠を持たせていくということくらいまではなさるべきじゃないかと思う。今年はようございます、もう節季になりまして、歳暮でありますから、来年から一つ、どうせこれは捲土重来なさるんでございましょう。今年はずいぶん失礼でございますがエラーもあり、マイナスもあり、そう私は思うのです。失礼でございますが、今の岸さんにあまり岸ブームがわき上らなかったのは、あまり賢こ過ぎて、あまりにそつがなくて、あまりに欠点がなさ過ぎて、強過ぎたからブームが出ない。日本国民は判官びいきですから、先般のようにあちらで打たれ、こちらで打たれ、こぶができてマイナスになりますと、今ごろ岸さんはどうしておられるだろうかと国民が案じられて岸ブームがこれから起きますから、来年は一つ捲土重来なさるでございましょうが、ちょうど年末でもありますから、一つ総決算の意味で、明年の新たなる御決意と青年対策を一つ御披瀝を願って承わりたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/23
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024・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 山下委員から大へんな御激励をいただきまして、私も大いに気を新たにして、今後施政に当りたいと思いますが、特に青年対策の問題はお話のように、私は何といっても青年に希望を持たせ、また、この青年がはつらつたる意気に燃えて、そして国のため社会のためにその全能力を発揮しようという、この気風がみなぎるように持っていきたいというのが私の念願でございまして、そのためにどういう施策をすべきかというお話につきまして、お話のように、いやしくも就学したい、教育を受けたいという者に教育の均等、そういう望みを果させるようにしなければならないという意味におきまして、実は三十三年度来、従来の育英制度に一つの新しい制度を加えてきておりますが、これをさらに拡充して、今山下委員のお話のように、いやしくも向学の精神があり、また、その力を持っている人が経済的理由とか、あるいはいろいろな家庭の事情等によって、就学ができない者がその望みを十分達することのできるような育英制度も一つ考えてこれを拡充していきたいと思います。
それからまた、ただ、今お話がありましたが、実は学校の面から見るというと、日本のこれは経済や社会全体の何でありますが、学校の面から見るとなかなか入学試験にパスしない、あるいははなはだしきに至っては、十数倍、二十倍、三十倍というような受験者もある、その中から一定数がとられる。だんだんいわゆる学生の浪人といったようなものがふえていって、四年目には必ず入学できるというふうにもなかなかならないという状況にあることからみるというと、学校が足らないということが二面から言って言えるであろうと思います。また、せっかく大学なり学校を出たにかかわらず、就職ができないのじゃないかということからいうと、今の経済社会の全体から申しますと、学校が多過ぎるのじゃないかというふうな、非常な矛盾した状況にあると思います。これをどういうふうに就職難の状況、入学難の状況、こういうものをどういうふうに調整して、そうして青年の希望なり、はつらつとした元気がこれによってはばまれることのないようにするにはどうしたらいいかという問題は、私は大きな問題として御指摘のように考えなければならない。たとえば、これはなかなかわれわれのように自由主義をとっている国にはできませんが、ソ連等においては、最近あちらを視察して帰ってきた者の話をいろいろ聞いてみますると、中学校を出て高等学校に入るのには、中学校において一定の成績以上のものをとらなければ高等学校に行けない。そうでなければ中学校でもって社会に出て、それぞれの才能なり特徴に応じた仕事につく。また、高等学校を出て大学の教育を受けるというのについては、高等学校でもって何番以上でなければいかぬ。それ以外のものは高等学校限りで実業に入ってそれぞれの才能を発揮する。それで、大学に行こうという者は、今言うように、高等学校で一定の成績以上を得た者は全部大学に入って最高の学問を受ける。こういうふうな制度が行われているやに視察して帰った人が、私に報告した人がありますが、なかなか私どもの方から言うと、そうはいかない。それでなかなか入学が、私どもの選挙区、皆さんもそういう御経験があろうかと思いますが、選挙区の子弟等で大学に入りたいというので、ぜひどこに入れてもらいたいということでいろいろと頼まれる。ところが、そういうのに限っていなかにおいて相当な資産もあるんだけれども、学問はなかなかそれに伴うだけにできておらぬ。入学がなかなかむずかしいのに、せっかく入学したが、学校に入っている間に相当な学費は使っているが、あまり勉強の方は成績を見るというといい成績でもない。そうすると、今度は就職が非常にむずかしいというような事態もあるのであります。私はここでそういう人の向学心、大学に入ることをやめたらいいだろうというふうに簡単には考えませんけれども、やはりもう少し社会的の考えとして、一つ、学校へ入って就学することが唯一の学問の道であり、その人の志を伸ばす道であるというふうに国民全体が考えずに、やはり父兄の方からいえば、その子弟の才能に応じ、最も適したところの方向にその才能を伸ばすというようなことがむしろ望ましいのだというふうな気風ができてくることが、ほんとうにまじめに、今お話のように就学して、そうして自分の学問を勉強していこうという人々をしてその志を伸ばしめ、また、それだけが世の中の役に立つのじゃないので、それぞれの才能で働いていくことが国の建設に役立つのだというふうな気風をさらに作っていく必要があるだろう。また、東京の学校もずいぶんありますが、東京の学校だけにみんな入ってくる。地方の大学等においてはずいぶん募集人員にも足りないというようなところがあるようであります。こういう点に関しましても、これはやはり国家の施設として、東京にすべての文化施設を集中しているということをも改めていかなければなりませんが、国民の気風としても、やはりそれらの点をもう少し、ただ東京にあこがれるということでなしに、考えるというふうな気風も作っていかないというと、今の矛盾はなかなか解決できないのじゃないか、こう思っております。いずれにしても今お話のように、就学したいものが非常にたくさん浪人しなければならない。また、就職難で、せっかく学校を出た人が就職難にあえぐというような事態、これはどうしたって、経済を繁栄させ、就職の機会を多くするということが必要であり、あるいはその意味において、国において云々という話もありましたが、国家におきましても、公共事業等を拡大していって、その就職の機会を多くしていくという方法を講じていく必要があるだろう。さらに、私は希望を与える意味から申しますというと、青少年に国際的の知識を大いに啓発して、それには、あるいは海外へ旅行したり、あるいは青年を交換するというような制度も拡充していって、国際的の見地から、自分たちの活動の範囲が、ただ日本の従来の本土だけじゃなしに、全世界において、われわれが、あるすぐれた才能を持っておるならば、至るところに行って、自分たちの活動をし、そうして世界の平和や文化に貢献できるのだというような気風を作りていく、眼を国際的に開かしめることも大いに希望を与える意味から考えていくべきじゃないか。いろいろ考えておりますが、特に来年は、先ほどお話がありましたように、青年のあこがれであるところの皇太子殿下の御成婚の年ですから、私は特に青年問題については、一つ何らかの青年が希望を持つような施策をしたいと思って、実はいろいろと思いをめぐらしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/24
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025・久保等
○委員長(久保等君) 時間もあまりないようでありますから、御質疑をなさる方も、御答弁も一つ簡潔にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/25
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026・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私は総理に、社会保障の問題について、先ほど総理は、社会保障制度を進めていく柱は医療制度と年金制度だ、ここへ力を入れていきたい、こういう御答弁があったと思う。特に力を入れるとおっしゃるなら、それじゃ問題は内容の問題に入っていかなければならぬと思う。そうすると、年金問題を一つ取り上げてみても、いずれの職業を問わず、その社会の中で貢献していって、老後の生活を守るには、どれだけ金の面からすれば費用が要るか、そういうところに私は理想をおいて、順次、段階的に努力して、到達するように私はしなければならぬと思う。医療制度にしても私はそうだと思うのです。今、被用者保険と一般の保険、国民健康保険というのと、大体二つの柱で進んでいくわけですから、そうなれば、健康で働いているときに、能力に従って保険料といいますか、保険税といいますか、そういう負担をすれば、病気になったときには、全部個々の負担なしに、その病気がなおしてもらえるというところに私は到達しなければならぬ。今日、欧米の先進国と言われている国においては、二つの制度が社会保障の柱としてある。年よりになっても食っていける、病気になったときには、無料でその病気がなおしてもらえるという具体的施策が実現している。だから、私は今度の国民健康保険で五分を上げられて、そうしてその面においては前進をいたしました。しかし政府の出しておられる厚生白書から見ても、たとえば昨年度の調査で、その日の生活に困っているボーダー・ラインの人が千百十三万人もおるということです。保険料をかけるのに非常に負担になるでしょう。または治療費の半額を持つというのが払えないという人もたくさんあると思うのです。こういう問題を少くとも解決するのだという意欲が出てこないと、私は今、岸総理がおっしゃられたように、社会保障の柱である年金制度、医療制度の確立をしようとされても、具体的に実らないのじゃないかと私は思うのです。そういう問題を取り上げてみますと、私は、またまだ私たち社会党は、少くとも国家の負担を三〇%にして、一段階であるけれども、漸進的に医療給付七〇%をこの保険が持って、第一段階を踏み出すべきだという主張をして参りました。しかし、その医療給付の二割の負担の問題については、一応五分だけ国家の補助をふやすごとに努力をされました。しかし、そういう工合にして医療給付で、やはりその保険でもって無料でなおしていくという意欲が、私は形の上では前進さすのだと言われますけれども、どうも欠けているような気がする。
今後この二つの社会保障制度の柱を進めていくのに、岸総理はどういうお気持を持っているか聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/26
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027・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 医療保障のこの健康保険の制度も御承知のように国民健康保険と二つになっておりますが、まず、われわれ第一段にやらなければならぬことは、国民のうちに健康保険制度の恩恵を受けない、これに加入していない数千万人の人がある。これをまず年次的に立てて、そして三十五年度までに全部の国民を一人残らずこの保険制度に加入せしめる。これが第一の私どもの現在のものとしては目標に考えております。同町に給付内容を改善していき、国家が、今お話のように三割の負担をしろという社会党の御主張でありますけれども、私どもは従来の二割にさらに五分程度のものをまず増加して、そして二割五分程度で今日のあれとしてはやっていく、もちろんこの社会保障制度は、先ほどもお答え申し上げましたように、内容を完備して、充実していくという上におきましては、国の財政負担というものが、それだけかさんでいくわけでありますから、財政とにらみ合せてやらなければなりません。その財政がそういうことを可能ならしめるには、どうしたって経済、産業の発達及びその拡大というものを基礎において、そして財政を豊かにし、それによってこの内容を充実していく、こういう以外には道がないと思います。もちろん私どもは現存の何で十分であるとか、あるいはこれでもって能事終れりというような、そんなイージーな考え方は持っておりません。従って、その給付内容にいたしましても、また、財政の許す限り、国家の全面的な負担を増加していって内容を充実することは当然考えなければならぬ、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/27
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028・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私はこの医療制度の中で、健康保険の問題を一つ申し上げておきます。昨年の健康保険の一部改正のときに、患者に一部負担をさせました。そのかわりに政府管掌の健康保険を充実するため、政府は三十億の負担をもって政府管掌の健康保険を盛り上げていくのだ、こういう約束をされた。ところが制限診療その他で保険経済が少しよくなると、国家の負担だけさっさと引き揚げて、一部負担だけはそのままにしている。ここに非常に国民に対して信義を裏切るような問題が出ているわけです。だから総理は、私はこれを突き詰めて申し上げませんけれども、こういう問題が具体的に保険の中に出てきているわけです。だから社会保障制度を進めようとなさるなら、私は国民の生活、国民の健康をどうしても守っていく、こういうときに、このもろもろの施策を進めるときには、約束されたことは、やはり信義を裏切らないように私はしてもらいたい、これを一つ申し上げておきたいのであります。いずれまた具体的の問題については、担当大臣その他と私は質疑をして明らかにしたいと思いますけれども、こういうことをよく総理大臣も知っておいてもらいたい。
それからもう一つ私がこの際、総理にお聞きしたいのですけれども、今、青年の問題が出ました。この前の三十三年度の予算成立のときの予算委員会に雇用、就労の問題が出て参りました。ここで何といっても、労働大臣の言を聞きますと、労働者を守る、その基礎の上に立って国家の予算、経済政策を立てるのだということを言われる。言われたけれども、その経済政策から出てくる、たとえば雇用政策を見てみますと、今年度の当初において四十五万人、中小企業や農業、非常に困っているところに、数字だけ、自家就労だけというような格好で帳面を合せるというようなことであっては私はいけないと思う。もう少し、来年度の予算を作られるために営々としておられるときですから、ことに労働大臣が私たちに、また国民に訴えているように、働くものの保護、その上に国の経済政策を立てる、だれが見ても、はっきりした雇用政策の中で、いつも唱えておられる完全雇用という道を踏むのだといわれるならば、だれが見ても、これだけは失業者だ、今の労働調査から見ても五十何万というものが実際に失業しておる。なお私たちから見ると二百万をこえると思う。そういうことのないように、きちっと雇用対策を立てて、今度の予算を立ててもらいたいということを私は申し上げておきたい、御所見があったら承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/28
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029・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 私は予算の編成に当りましても、また経済政策の基本においても、特に日本のこの状態から考えますというと、雇用政策というものは非常な重要な、今、藤田委員が御指摘になったように、非常な重要な問題だと思います。従いまして、今後のこの日本の安定した基礎の上に経済の拡大をはかっていく、成長をはかっていくということを言っておりますけれども、その成長率をどういうところを目標として経済を発展せしめるか、また、それを財政的に裏づけるかという点をきめる場合におきましても、この雇用の状況及び雇用政策の上に、どういう効果があるかということが非常な大きな私はファクターだと思います。そういう意味において、来年度の経済の見通しを経済企画庁で作りました。これを基本にして来年度の予算を編成するわけでありますけれども、同町に、政策的にただ単純な見通しだけじゃなしに、雇用政策に頭をおいた一つの経済政策なり、財政の予算の編成ということを考えなければならぬというような考えのもとに、今予算の編成に当っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/29
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030・坂本昭
○坂本昭君 簡単に二点お伺いしたいと思います。
第一点は、御承知の通り、きょう新しい国民健康保険法案の最後の審議になっておりますが、昨年の健康保険法の一部改正と、それから今回の新しい国民健康保険法によりまして、実質的に日本の医療保障というものは、基本的な路線がこれで完全にしかれるということになります。ところが三十年間の日本の医療の歴史を振り返って見るというと、従来の医師、医者の個人的な能力、あるいは技術、あるいは医学の進歩といったものに基いて医療というものが行われてきておったのが、この皆保険の医療制度になりますと、保険経済、保険財政、こういう経済的な基盤の上に立つ要素が非常にふえてきたのであります。従って古い医師法、あるいは医療法こういったものに対しても当然新しい改訂が加えられなければならないし、また、今回のこの国保法案の審議を通して全委員が一致して感じたことは、今度の法案は、そういう古い医師の個人医療という面と、それから保険経済という面、そういう二つの矛盾が非常に満ち満ちているという点が指摘されておるのであります。このことにつきましては、これは総理というよりも、むしろ社会保障の大政策を掲げておられる自民党の総裁として特に検討していただきたい点が二つあります。その一つは、厚生省というものの組織自身が非常に無理な要素を持っておる、そうしてこの役人にまかしておいても、とうていこれは変えることはできないと思うのです。役人はどうしても自分の繩張りなり、伝統を守ろうとします。むしろ自民党として、この厚生省の改組あるいは社会保障を推進するために必要な新しい措置、そういったことがどうしても必要じゃないか、そのために総裁としての大きな決意が私は必要だと思う。その点が一点と、それからもう一つ、これは当社会労働委員会のことになりまして、当然われわれ議員がきめるべきことでありますが、国民年金の問題あるいは健康保険の問題が出てきますというと、いよいよもって厚生関係の仕事がふえてくる。従って社会労働委員会は二つに、労働と厚生に分けなければならない、もちろんこれはわれわれがきめなければならないことですが、自民党の総裁としては、当然これについて、社会保障を大きく掲げられるならば、当然これに対する強い指示をしてしかるべきだと思う。ただ従来、院内において問題になった点は、必ず防衛委員会を一つ新設してもらいたい、防衛委員会とそれから社会労働委員会の分離の問題がいつも抱き合せに出されてくる。これははなはだ私は総理であり、総裁であるところの岸総理としては、社会保障の面から言いますと、意に沿わない点があるのではないか。ほんとうに社会保障をやられようとするならば、何も防衛委員会のことなどは問題を別個に、一大決意をもって二つに社会労働委員会を分けるような政策的な指示をなさることが至当ではないか、まずその点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/30
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031・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 厚生省の機構の問題についてでございますが、実は今、坂本委員の御指摘のように、社会保障、厚生省の仕事の、何といいますか、意義というものをはっきりする意味で、あるいは厚生省というものを社会保障省として、それにふさわしいような構成を持ったらどうだという意見がございます。これは私は相当傾聴すべき意見であると思います。ただ、行政組織全般の問題につきましては、実は自民党といたしましても行政制度の委員会で、当院その他議院外のものの参加をしてもらいまして検討いたしております。政府としても研究をいたしておりますが、党としてもそういう問題に関連して、この問題を根本的に検討いたして参りたい。
それから委員会を二つに分けたらどうだというお話しでございますが、これはたしか元は分れておったのを合わしたような沿革もあるのじゃないかと思うのでありますが、これは事実上いろいろな御審議を願うあれからいうと、労働の問題と社会保障の問題と全然無関係というわけではないが、関係のあるものもありますけれども、相当やはり意味が違っているわけであります。そうして労働関係におきましても、あるいはまた社会保障関係におきましても、和平に御審議を願う題目なり、あるいは法案、案件というものが重なってきておりますので、あるいは事務的の立場から言っても、これを二つ合わしておくことは無理じゃないかという意見もございます。ただ、参衆両院の委員会の制度の問題になりますと、これはわが党だけが一つとして考えるという問題でなしに、議運その他において御研究を願わなければならない問題である。私は決して私自身の頭でもって、防衛委員会とこれの問題を不可分の関係だとは思っておりません。しかしまた別の意味において、内閣委員会というものの実際の扱っている事務のあれからいい、また、防衛庁予算というものが一千数百億に及ぶようなものであり、防衛問題についてもいろいろと根本的に検討しなければならない問題があるから、この委員会も別にすることがいいんじゃないかという議論もあるようでございます。しかし、この両者は本質的に関係のある問題じゃございませんから、やはり議運におきまして、それぞれその必要があるかどうかということを十分一つ、衆議院においては社会党と自民党におきまして、また、参議院におきましては参議院の議運を構成されておる諸団体、政党の間で十分一つ検討してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/31
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032・坂本昭
○坂本昭君 もう一点お伺いしたい点は、先ほど山下委員もちょっと触れましたが、汚職の問題で、御承知の通り東京都の保険課長が保険汚職のために、約七百万円のために検挙せられたということがありました。このことについては、本国会の最初の日に当委員会におきまして厚生大臣から説明があったのであります。しかしながら、厚生当局が、この保険汚職について深刻なる反省と自粛の気持に、どうも欠けているのではないかというふうに感ぜざるを得ないのであります。御承知の通り、現在のこの厚生省で扱っている、特に保険局で扱っているたとえば厚生年金の積立金は二千数百億であります。それから健康保険あるいは国民健康保険だけを合わせましても、これはやはり二千億をこえるのです。言いかえれば、この年金と皆保険を合わせると四千数百億から五千億になる。いわば日本の財政投融資の一カ年分が、この年金と保険で使う金にほぼ匹敵しているわけです。これは非常に私は重大な事態だと思うのです。先ほど来経済立法、日本の医療制度が変ってきたということを非常に指摘して申し上げたのですが、こういうふうな多額の金銭を直接に扱うような状態になっておるにもかかわらず、この保険汚職というものが、続発とは申しませんが、かなり多発している。それに対して、厚生当局が責任を私は回避していると思わざるを得ないような処置しかとっていない。これはこの年金と皆保険を推進するために非常に私は重大な時期でありますから、三悪追放を言っておられる岸総理とせられては、この保険汚職については徹底的な私は処置をしていただきたい。私は厚生省のお役人を個人的にやっつけろということではないのです。それよりもむしろ今あるところの行政管理庁、あるいはその他の機構を全面的に利用して、なぜこういう悪い点が行われているか、それを徹底的に摘発しておかないというと、来年から行われるところの皆年金と皆保険のこの金銭の取扱いの上において重大なる迷惑と混乱を国民に与えるのではないか、そのことを非常に心配しますので、特に総理の御所見をいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/32
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033・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 御指摘のように、このたび厚生省の保険に関する出先の機関ですかに汚職の問題がありました。このために、特に保険行政全般について綱紀が弛緩しているのではないかという疑惑も起っておりますので、私自身としては、これは厳重に一つ厳正な検討をし、そういうはなはだ遺憾でありますけれども汚職の疑いを受け、もしくは汚職の事実のあった人に対しましては厳重に処分すると同時に、平が起ってきた原因なり、将来に向ってそういうことが再び繰り返されないというふうな制度、人事、運営等について、特に厚生大臣にも注意を喚起いたしておりまして、厚生大臣もその意味においてこれに対処しておるのでありますが、もちろん今おあげになりましたように、特に保険行政については多額の金を扱う、職責上扱うことになるのでありますから、他の面におきましても当然綱紀粛正、汚職の問題をなくさなければなりませんが、特に責任を明らかにし、こういう問題に関して間違いを起さないというような仕組みなり、人事について特別に私は配慮する必要がある。十分に一つ、起りました事態につきましては、はなはだ遺憾でありますが、法規の命ずるところによって厳正に処罰すると同時に、将来においてそういうことを繰り返さないように、機構、運営、人事等について十分に一つ留意して参りいたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/33
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034・坂本昭
○坂本昭君 厳重にやって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/34
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035・竹中恒夫
○竹中恒夫君 この機会に総理にお伺いしたいのですが、昨年も私御答弁をいただいたのですけれども、私の質問の趣旨を取り違えられたような点がありましたので、時間的な関係で、そのままになってしまったのですが、ただいまの御答弁の中で、社会保障の二大支柱は所得保険としての年金と医療保障、皆保険という。全くその通りなんですが、私は医療保障について非常に心配をいたしています。その点をお聞きしたところが、ちょっと総理が誤解があった答弁があったように私は思うのです。それはどういうことかと申しますと、医療保険をする上において、現代医学の日進月歩の上昇率と国民所得の成長率と当然ギャップがだんだん出てくる。国民所得が非常に上昇率がおそくなると、これに対する千分の六十五なり、六十の保険料でいくわけですから、保険経済というものが医学の進歩からだんだん離れていくわけです。そういう場合のそのギャップを国が二割なり二割五分と言わずに、このギャップをほんとうに国が持つという決心でなければ、私は皆保険というものは医学の面から見ると逆行していくことになる。そういう点についてのお考えを昨年お聞きしたのですが、それに対して明確なお答えは私はいただけなかった。もう一つ問題は、医療保険でありますので、普通の、昨日も厚生大臣がおっしゃったように、医療というものは医者の良心と科学によってやるべきものであって、経済的な面というものは一応のけて、純正な医療をやるということが建前なんですが、ところが、この保険という組織の中にとけ込むというと、やはり制約がある。その制約があることによって、やはり医療というものが十二分にできない、こういううらみがそこに出てくる。先ほど第一に申しましたような、医薬の進歩によるギャップと、それのカバー、今言います一つの組織体として医療をやるのだということに非常に無理があるが、その無理に対する、やはり何らかの配慮がなければ、国民皆保険はやはり看板だけじゃないかというそしりを受けるわけです。そういう点についての一つの御配慮なり、国家的な援助の手を差しのべなければ私はいかぬと思います。そういう点についての一つお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/35
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036・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 今お話がありましたように、学問、医術の発達、これは当然それによって良心的な医療をしますというと、いろいろな高度の技術も要しましょうし、あるいは高貴な薬も使わなければならない。ところが、保険経済というものの内容から言うと、お医者さんが幾ら医は仁術なりと言ったって、そういうことは無制限にやるわけにいかないということによって医療内容を低下せしめるということは、あるいはお医者さんの良心に反することであるけれども、これは仕方がないし、従って、そういうことのないようにするのには、そのギャップを、いわゆる保険財政というものを十分に確立して、そうしてお医者さんから言えば、十分なる進んだところの医術及び学問的な発達に基いて、良心的な治療のできるように保険財政というものを充実していかなければならないのじゃないか。それには国民所得がそれに及ばなければ、国家がある程度そのギャップを埋める以外には方法がないのじゃないかというお話であろうと思うのです。私はそのお考えは、お考えとしてはごもっともであると思います。ただこの三つの問題、国民所得の問題と、それから医術の発達なり進歩なり、お医者さんがさらにそれに基いてやる良心的な治療というもの、それから国の財政そのものがそれだけのものを補てんする余力があるかどうかという、この三つの問題をどういうふうに調和していくかということを、現実の問題としては私は常に頭に置いて考えなきゃならない。その意味において、今のわれわれが現在とっておる程度の国の負担でもって、そのギャップが十分に償われておるというわけにはいかないというのが現状だろうと思うのです。これは先ほど来しばしばお答え申し上げておるように、やはりこの保険内容の充実、保険制度の確立並びにその内容の充実という問題と、この国家の財政とをにらみ合せていって、漸進的にこれを推し進めていく以外には道がないのじゃないかと思っております。考え方としては、今、竹中委員のお話になっておることのギャップを埋めて、そうしていく。また、われわれは一方から言えば、この経済政策その他によって国民所得を上げていくというやり方も、もちろん政策としてとらなければなりませんけれども、しかし、ただギャップがあるという現実を、そのままに放任しておくわけにいきませんから、それは財政の許す限り埋めていく、なるべくそれをなくしていくという方向に努力すると、こう申し上げるほかなかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/36
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037・久保等
○委員長(久保等君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/37
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038・久保等
○委員長(久保等君) 速記を起して。
二時三十分から再開することにいたしまして、休憩をいたします。
午後一時五十二分休憩
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午後三時三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/38
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039・久保等
○委員長(久保等君) 委員会を再開します。
午前に引き続き、国民健康保険法案、国民健康保険法施行法案の質疑を続行いたします。質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/39
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040・西田信一
○西田信一君 時間の関係もございますし、私は二、三点につきまして、きわめて項目を並べる程度の簡単な質問を申し上げますから、御答弁もどうぞ一つ簡明直載に、また、端的に一つお答えをいただきたいと思います。
厚生大臣にお尋ねいたしますが、まず、六十九条、七十条によりまする国の負担についてでありますが、従来のこの国庫負担の受付に対する実態を見ておりますというと、当該年度内におきます国庫負担の概算交付の率が非常に低いのですね。毎年清算による額が非常に多額に上っておりますので、これには町村の保険財政上支障があると思うのでありますが、努めて当該年度に交付を多くいたしまして、清算額を少くする、こういうように考えておりますが、これに対する一つお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/40
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041・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 毎年十億、二十億というような金額を一年おくれて交付するということは、非常に地方財政上の影響も多いので、これは慣例的にやっておりまして、財務当局がいろいろ文句がありましても、かまえて当該年度内に概算交付をするように改善を行いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/41
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042・西田信一
○西田信一君 ぜひそのように一つ御実施を願いたいと存じます。
それから概算交付についてでありますが、これは御承知のように、国民健康保険は保険料によってこの財源をまかなうわけでありますから、年度当初は非常に運営上困難を来たすわけです。そこで、健保と比較してみますと、健保は四月最初に国庫余裕金を使わしておるわけです。ところが、国保ではそういう道がないわけでありますから、非常に保険財政運営上困難を来たしておる実情にかんがみまして、できるならば、第一四半期に半年分くらいを交付して、そうして医療費の支払い等の円滑を期する、また、保険財政の運営に支障なからしめるというような措置が望ましいのでありますが、そういうお考えはないのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/42
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043・牛丸義留
○説明員(牛丸義留君) お申し込みの御趣旨に沿うように、財務当局と折衝して努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/43
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044・西田信一
○西田信一君 これは国保運営上きわめて重要なことでありますので、一つただいま御答弁の通り、ぜひこれは実現できますように厚生大臣特に一つ御努力をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/44
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045・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) ただいま次長の申しました通り、努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/45
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046・西田信一
○西田信一君 次に、四十五条によりまして保険者が審査並びに支払いに関する義務を連合会または社会保険診療報酬支払基金法による社会保険診療報酬支払基金に委託する、こうなっておりますが、従来の実態を見ておりますと、基金に委託しておるという実例はほとんどないようでありますが、すでに連合会において審査をし、しかも連合会において支払いをするというのが大部分でありまして、しかも支払いに関しましては、連合会ですでに十件あまり基金のようなものを作って支払いに当っておる、こういう既成事実がございます。何と申しましても医療担当者にすみやかに的確に支払うということがきわめて大事なことでありまするし、こういう正常な道が開かれるわけでありまするからして、私は厚生当局にお伺いいたしたいのは、この際審査に当りまする連合会に、同時にこの支払いに関する事務を委託するということを漏れなくやらせるということが、最も望ましいことではないかと考えるわけでありますが、厚生大臣は、この指導に対してどういう御方針でございましょうか、御方針をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/46
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047・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 現在あちこちに連合会でもそういう方向でやっているところがございまして、まことに便宜であると思いますので、御趣旨に沿うような方向で厚生当局も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/47
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048・山下義信
○山下義信君 今の西田君のこの問題は、要するところ、国保においても健保の基金のごとき機関を作れと、こういうことになるわけであります。そういうことでしょう。だって審査と支払いとをできるような機関を作れと、こういうことでしょう、私はそう聞いたのです。もしそうならば、健保の支払基金と国保の支払基金と二つの機関を作るということになるのですが、そういう方針に沿うということになるとなかなか私は重大だと思う。そういう別建の基金を作って、どういう利益がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/48
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049・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) いや、実は西田委員にちょっとお伺いしたいのですが、この基金を作るということでなしに、この支払いをあちこちでやっておるのですが、取りまとめて整理のできる部分を連合会で取りまとめて整理をすると、なるべく支払い事務の合理化という面で保険者が連合会に委託してやっておるというふうな趣旨の意味でありまして、国民健康保険につきましても、健保のような支払基金を作るというところまでの御意見でないと思ったのでありますが、御質問の趣旨をもう一度伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/49
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050・西田信一
○西田信一君 基金としての名称を用いるかどうかは別といたしまして、現在におきましても連合会で十件あまり基金という名称を用いるにふさわしいような実態があるわけです。そこで、この四十五条の第五項の「審査及び支払に関する事務」を都道府県を区域とする国民健康保険団体連合会に委託できるということは、私はそういう趣旨の法文であるというふうに考えて御質問いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/50
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051・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) これはもう国民健康保険につきまして、別建の支払基金のようなものを作るというところまでは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/51
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052・西田信一
○西田信一君 じゃ保険局長にお尋ねいたしますが、この「審査及び支払に関する事務」を委託するというこの条文は、どういうことを意味しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/52
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053・牛丸義留
○説明員(牛丸義留君) この第五項の趣旨は、現実に数府県におきましては、審査事務と支払事務と、それから支払いのいわば融資といいますか、支払いにはどうしてもそこへ時間的なズレがございますので、各保険者からそのまま右から左に各医療機関の方に支払いをしますということになると、現実に金繰りができないような事態が起るわけでございます。で、そういうものに対しましては、府県も補助いたしまして、ところによっては、医療機関からも一部の御援助のあるようなところも例外的にはございますが、要するに、支払いのための基金を府県の行為によりましてそういうものを作って、そうして審査と支払いと、そういうふうな支払いのための補助金の運用というようなものを一括してやっておるというものが府県には現実にございます。そういう実態を見まして、各府県の創意によって保険者の医療機関に対する支払いに便宜な措置がとられておるような、そういう制度をそのまま認めていく必要があるのじゃないかという趣旨の規定でございまして、別段そういう現実を全国的に健康保険並びに一般の社会保険の支払基金のような新しい制度で組織建てするという意図のものではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/53
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054・西田信一
○西田信一君 私もただいまの御答弁のような趣旨において、そういう実際に数府県において実施されておるようなことをなお指導される御方針であるかどうかというをお尋ねしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/54
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055・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 実は私もそうだと思ったのですが、今やっておりまするつまり支払い事務の中で合理化してまとめてやれるような部分をまとめる。それからまた、この中には、ただいま次長から申しましたように、年度内の資金繰りというようなものに関する制度を設けているところもございまして、こういうふうなものはきわめて円滑に参っているところがありますので、各地で、各保険者連合会で了承をされてやってみようというところにおいては、むしろ事務の簡素化という点からいってもけっこうだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/55
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056・西田信一
○西田信一君 この問題はこの程度にいたしまして、次に、国民皆保険をすみやかに実施するために、これは地域的にも特に必要があるわけでありますが、私は北海道で、北海道のことを申してはちょっと聞きにくいと思いますが、北海道のごとき非常に僻陬の地であって、しかも医療機関に乏しいと、こういう地区におきましては、やはり直診施設というものをもう少し強化というようなことを継続してやって、医療機関の充実をはかる必要があるというように考えるわけでございますが、この点について、厚生大臣はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/56
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057・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 直営診療所に関しましては、今後も充実をはかって参りたいと思います。ただ、場所の配置等につきましていろいろまあ問題の起っているところでございますので、十分にこの配置につきましては遺憾なきを期して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/57
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058・西田信一
○西田信一君 次に、保健施設の充実という問題について伺っておきたいのですが、これはまあ医療保険と、こういうことが、これはもう国民健康保険の中で一番大きな仕事でありますけれども、何といいましても、受診率が非常に年々高まってくるという実際にかんがみましても、やはり国民皆保険ということが究極の理想は、国民総健康というようなことにあると思うのです。そういう意味から申しまして、保健施設にもっと重点を置いてもらいたいというふうに考えるわけでありますけれども、保健婦の養成ということについては、特に力を入れていただきたいというふうに考えておりますが、保健婦の養成ということは実際には非常にむずかしい仕事で、うまくいっておらないわけでありますが、それに対する一つ当局のどういう御方針であるか、あわせて伺いたいのは保健婦の三分の一の補助が出ますが、これが基準になる単価というものが非常に低い、十一万円程度でございますが、これも実態にそぐわないように考えるわけです。保健婦の養成の強化ということとあわせて、これらの単価の低いことについてもこの際特に一つお考えを伺っておきたいのでありますが、是正するお考えがあるかどうか、この点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/58
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059・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 保健婦の問題は、地方の住民の健康保持という立場から言いまして、厚生省としても非常に大事な施策の一つでございます。これはただ国民健康保険のみならず、省全体の大きな施策の線に沿っても、強化拡充をはかって参りたいと考えております。従いまして、保健婦の養成施設をさらに整備し、そうしてりっぱな保健婦が数多く出てくることは私は望ましいと思うのでございますので、御趣旨の線に沿って強化いたしたいと思います。なお、保健婦の現在の設置に対します補助単価につきましても、これはできるだけ引き上げていきたいと存じて、今関係当局と折衝している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/59
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060・西田信一
○西田信一君 時間の関係もありますから、これで失礼いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/60
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061・木下友敬
○木下友敬君 私はきのう質問を途中で打ち切って、それについてきょうあらためて局長から御答弁をいただきましたが、まだ少しわからないところがありますから、その点一つ重ねてお尋ねするのですが、きょうのお話ですと、大きな機関において事務員等があやまちを犯した場合に申し出の受理を取り消されるということは、まあまあない、こんなお答えだと思うのですが、それでいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/61
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062・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) その機関が、それとたとえば共謀しているとかいうようなことがありませんならば、それは事務員の過失の方ならば、できるだけ事務員の方で始末していく、こういう方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/62
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063・木下友敬
○木下友敬君 機関と事務員と共謀するということがまたちょっとむずかしいことですが、事務員はその場合、機関の一部だと考えるべきではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/63
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064・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) それは私はそういうふうに思いません。一部という意味も法律的にいろいろあると思いますが、やはりそこに雇われる者でございますから、機関の――この場合機関と申しますのは、開設者という意味で申し上げるのですが、それに使われる者、こういう意味です。従いまして、使われる者に事故があったからといって、使っている方がやはりそれと一緒になってやるとか、あるいは重大なる過失でもって何ら監督もしておらぬというようなとき以外には、機関の開設者なり、機関自体の方に責任を問うことはない、こういう趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/64
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065・木下友敬
○木下友敬君 それじゃ、実際問題において、開設者の責任に帰するような事件でないと取り消さないということですから、開設者が大臣であるとかいうような場合には、とうてい取り消しになるというような事件は起らないというように理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/65
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066・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) ここでありますのは、機関の取り消しということであります。従いまして、実際は、御趣旨と同じことになりますが、理論上から申しますると、たとえば機関の開設者が三つのたとえば機関を持っておる、病院なら三つ持っておる、そうしますと、そのうちの一つに事故がありました場合におきましては、私どもといたしましては、その事故の起った医療機関だけを国保の診療関係において落す、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/66
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067・木下友敬
○木下友敬君 まだはっきりしませんが、ある国立病院でこの条項にひっかかるような事件が起った、それは事務を担当しておるのは事務員であるから、それは雇い人だ、だけれども、開設者は大臣である、その大臣は全国に方々に国立病院を持っておる、ところが、その事件はある一つの国立病院で起った、そこでその場合、その事件の起った国立病院だけを閉鎖する、こういう言い方のように受け取るのですが、それでもいいのです。それでも国立病院を閉鎖するという事態がほんとうに起り得ると思うか、思わないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/67
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068・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) そういうことはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/68
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069・木下友敬
○木下友敬君 そこで問題になりますが、それでは今度は例を少さい病院、あるいは診療所にとります。二十人を収容するくらいの病院で、これは公立であろうと、私立であろうと問いませんが、主として私立の病院である場合に、二十人くらいの一つの病院を仮定する、あるいはただ一人のお医者さんが経営しておるところの診療所で、医療を担当するお医者さんが開設者であるという場合、あるいは投薬などをする薬剤師の方がその薬局の開設者であるというような、こういうきわめて少さい場合には、ある事件が起ったらばこれは直ちに、その内容にもよりますが、非常に簡単に申し出の受理が取り消されるということが行われるだろうと思うのです。大病院の場合には、これはなかなか実際間題としては容易なことではないが、少さい病院の場合には影響するところも少いのであるから、その場合には直ちに申し出の受理が取り消される、こういうようなことになりはしないかと思うが、お考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/69
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070・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) それは、そういうふうには考えません。大きな施設でありましても、小さな施設でありましても、取り消しをするということは、私どもはこれは容易ならぬことでありまして、よくよくの、まあいわば伝家の宝刀とも言うべきよくよくのことでなければ、これはそう乱用すべきではない。その場合に、この施設がたまたま小さな診療所であったから、それによる影響が少い、従って、まあその辺は割に簡単にやっていくという筋合いのものではないと考えております。この点については、いかなる場合でも慎重に考慮してやって参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/70
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071・木下友敬
○木下友敬君 それはあなたはそういうものを当然同じだと、そういうような答弁をなさってよければそれでもいいけれども、私は非常にそれは危ない答弁だと思う。というのは、従来、今までの法規ですよ、今までの法規におきましてでも、一開業医のところでかなりのあやまちがあれば、これは遠慮なく閉鎖を命ぜられております。あるいは登録を取り消されたというような事態がずっとあった。これは毎年あったのです。これは地方の医療協議会で審議しまして、社会保険医療協議会ですか、そこで審議しまして、保険医の取り消しというようなものがずっと行われておるわけです。これは将来といえども私はそういう小さな病院での好ましからないところのあやまちというものは私は根を断たないと思う、やはりあるだろうと思う。あってはならないけれども、やっぱりそういうものは今までの経過から見ると、年に何件かは全国的には出てくると思います。そういう場合でも、よほどのことでないと取り消しをするようなことはないと言われますけれども、そうすれば、今までの方針を少くとも変えなければそういうお言葉はいただけないと思う。反対に、大きな病院では、今までそういう事件が起ったことはあるけれども、これをうやむやにした例を、実例を私は持っておるし、なおまた、ひどいことには、本省から監査に来られましても、その監査のお役人たちは、そういう病院にたとえば監査が非常にゆるやかになされておる、ある場合には、これは監査に来たけれども、半分は遊びに来たのじゃないかと思われるほどゆるやかに監査をしておられるという事例がたくさんあるのです。これは前の委員会でも私発言したことがございます。そうすると、その大きい小さい、あるいは開設者がだれであるかというようなことについて、不公平が起ってくる。これは当然起るものだと思う。機関の閉鎖を命ずるようなことが起るようなことは非常な重大な事件だから、大小にかかわらずこれは平等に行うものであって、めったに起らないと、こう言われますと、これからのこの機関の取り消し、あるいは健康保険にも関係しますが、健康保険医の登録というようなものの取り消しについては、ほとんどそういう事件が取り消されたという事件はなくなってこなければならない、あなたのお言葉ではなくなってこなければならぬと思いますが、どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/71
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072・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 私が申し上げましたのは、機関の取り消しというものは四十八条の各号に該当する場合でございますが、該当する場合におきましても、直ちに、取り消すということじゃなしに、できるだけ、たとえば呼んで戒めて、それで済むものならそれで済ます、しかし、どうしてもいろいろな情勢、事情をかみ合せてみて、国保の診療を取り扱っていただくにはもう適当でないと結論が達した場合に、この機関の申し出受理の取り消しというものをやるのでありまして、まあだんだん皆保険になって参りますれば、地方によっては国保で取り消されたということが、そのお医者さんに対しては非常な大きな影響を及ぼすということもある筋合いの性質の処置でございまするから、慎重にやるということを申し上げたのであります。従来、遠慮なくやっておったというようなお話でございましたが、私はまあそういうふうには思っておりません。それからさらに今後はめったにやらないのだということも、私はそうまでは申し上げるわけにはいかないと思います。慎重にやるということを申し上げて御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/72
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073・木下友敬
○木下友敬君 ただいまの答弁では、まだ私はほんとうは納得しない。どうしても大きな病院の閉鎖ということは、現実問題として大きな社会問題を起すというようなところに自然的なブレーキがかかってくるということが、これは世の中の実情である。これはやむを得ぬことだと思う。あなたが何と言われようと、大学病院がどんな悪いことをしたってこれは閉鎖することはできない。そうしますと、小さいところと大きなところとに大きな不公平が起ってくる、これは世の中の自然であると言えばそれまでですけれども、あなたがどんなことを言われようと、この法律を完全に行っていこうとすれば、そういう不公平が起るということは、これはもう明らかなことであります。それ以上追及しても、あなたの口から不公平にやりますとは言えぬのだから、十分公平を期するように下僚にまで徹底させてもらいたいということを希望しておきます。
なお、一つお尋ねしたいのは、五人未満の事業所の従業員についてのことでございますが、今厚生省で考えておられますのは、五人未満の事業所の従業員はこれを国保の方になるべく取り入れていきたいという方針をとっておられるようであります。間には、国保でなくて健保に入りたいという者は、これはこばみはしないという程度のことは考えておられるようだけれども、大体として国保に吸収するという考えをとっておられるようですが、五人未満の事業所といえども被用者ということについてはこれは同じだ。しかも大きな工場、会社などに働いておる者とは違って、こういう中小企業の場合におきましては、ことに零細企業の場合においては、給与なども非常に少いわけでございますから、国保で取り扱われるということは、これはないよりもいいかもわからないけれども、まだまだ健康保険に比べると非常に遜色があるわけです。できればこういうところこそ、こういう収入の少い、掛金にも困る、そうして半額自分で負担するということも困る、また、千分の六十五の半分は雇い主が払ってくれるというようなそういう恩典もない、こういうところこそ何とかしてこれを健康保険の方に取り入れるという努力はしなければならないことだと思うのでございます。これを現在のいき方からすれば、国保に吸収してもらうという安易な方法をとっておられる。そこでなぜそういうことをするかと言えば、たとえば保険料の微収が非常に困難であって、また少額であるから、それが健康保険の経済に影響するというような考えのもとに、これを国保の方に吸収する方法をとっておられるが、これは困難なことは地方の方の責任にして、責任を地方に転嫁しておるというそしりを免れない。こういうところこそ政府は自分の方に、貧しい者ほど自分の方に吸収して、そうして福利を増進していくというふうに取り計らうべきだと思う。お考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/73
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074・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) この問題は衆議院で再々御質問がごいました。社会保険出張所の方も人員が十分でございませんので、五人未満の事業所の人たちを積極的に勧誘してこれに入れるということは、探して歩くという余裕はございません。従って、受身の立場に相なるのでありますけれども、この五人未満の事業所につきましては、任意包括の規定によりまして、申請のありましたものは、これは一時二、三年前に、あまり歓迎しないで認可をしぶったようなことがあったやに聞いておりますけれども、今日では任意包括の規定をできるだけ活用して受けつけるようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/74
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075・勝俣稔
○勝俣稔君 もう時間も迫って参りましたので、私は簡単に申し上げますから、簡単な御返事を願いたいと思います。医療の根本は医師と患者とが直結をしなければならないというのは、これは原論でありまして、ゆえに患者の医師の自由選択というものをどうしても認めにゃならぬ。従いまして、ここでお伺いいたしたいのは、病院等でたくさんのお医者さんがいる。そのときの自由選択の方法はどういうようなことをやってなさるのか。あるいは月曜日には勝俣、火曜日には草葉というようなことでみんなに、大衆に知らしめるような方法をおとりなさるのか、その点。
いま一つ、同一区域で診療所別に一部負担の率の差のあるということは、被保険者の経済的面から自然に自由選択を妨げるようになる。このことについて山下委員が御質問なさいまして、局長は国立療養所、あるいは保健所等においてのみこれを認めることはあり得るという答弁がありましたけれども、重ねて私は国保の診療所等においてはやはりこういうことは認めないというように私は思うのですが、この点を念のために私はお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/75
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076・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 病院の中にお医者が数人いらっしゃる場合には、やはり患者といたしましても、場合によりましては、特別な個人の先生に見ていただきたいということもあり得ると思います。従いまして、極力そういうことは患者に知らせるようなあれを講ずるのがふさわしいことかと思います、まあところによって、お話のような診療日を掲示しておったり、いろいろなことをやっておる、これはやり方はいろいろあろうかと思いますが、そういう方向には持っていくように関係の主管の局とも相談して参りたい、かように考えております。
それから第二点の一部負担金の関係で直診みたいなものだけを特に一部負担金を少くして、いわゆる給付率を多くする、そういうようなことにつきましては、前回お答え申し上げましたごとく、私どもとしては、そういうことは今後は認めていかない覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/76
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077・勝俣稔
○勝俣稔君 医師の療養に対する自主性を今度の法案では認めて、確認して三十六条の修正になったことは、同時に、療養の全責任というのは医師にあるということを確認してよいかどうか。簡単に返事をいただきたい。長くしないでいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/77
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078・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/78
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079・勝俣稔
○勝俣稔君 欧米で通常、行われているようなオープン・システムの病院は現行の医療法では認めておらないようでありますが、しかし、近くこういうことが現にオープン・システムの形をとらないオープン・システムの病院がありますけれども、これは将来こういう面が相当発達してくるのじゃなかろうか、こういう意味合いにおいて、近く医療法の改正等をお考えになっておるかどうか、簡単に願います、ないとか、あるとか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/79
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080・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 医療制度に関しましては、いろいろ検討しなくちゃならぬ問題があるのでありますが、ただいまお話のございました点につきましても検討いたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/80
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081・勝俣稔
○勝俣稔君 まあわが国における医療制度の今大臣が言われた改善の問題、特に医療担当者の医師の法律上の地位について根本的な私は検討をする必要があるのじゃなかろうか、いかがでございますか。これも簡単にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/81
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082・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) これももう医療制度全般の中で、保険の問題等と、からみ合せながら再検討することが必要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/82
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083・勝俣稔
○勝俣稔君 今の問題でございますが、医療制度それ自体の改善の問題を保険だけでなくてお考えになることが必要じゃなかろうかと思うのでございますが、その点伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/83
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084・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) その点も確かにそうでございます。ただ、動機といたしまして、やはり保険というものがずっと伸びて参りまして、その間にいろいろな問題が起って参って考慮すべき、何といいますか、問題の量というものは保険関係のものは非常に大きいと思いますけれども、一つそれのみならず、医療制度を考えて参らなければならぬと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/84
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085・勝俣稔
○勝俣稔君 今度国保の調整金の配分があるわけなんでございまするが、これには十分な注意を持ってせなければならぬ。これも各委員からもうすでにお話がありましたように、最近の汚職問題を考えるときにおいては、この調整金をどういうように配分するかというようなことを考えますると、まことにこれは憂慮にたえないような感じを持っております。政府は、この点について細心の注意を持って私はせねばならないと思うのでありますが、この点、政府の決意を伺いたいと思います。
なお、監査が不適正なことがあるのじゃないかというような趣旨のお話であったかと思いますが、監査の事務については私どもは今後とも十二分に心して適正な監査をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/85
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086・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) これはもう間違っても陳情によって左右するというようなことのないように、十分な実態的な基礎に基きまして、そうして公平な、また、趣旨にできるだけ沿うような、効果を上げるような配分方法をやりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/86
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087・勝俣稔
○勝俣稔君 保健助産婦の登録制度というものを将来お考えになる考えがあるかどうか。現今現物給付となっている出産に対して保険者がある特定の助産婦のみを指定するがごときことがあると、他の助産婦は生活問題に直接関係が出てくるので、この点も一つどういうようなお考えであるか、簡単にお願いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/87
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088・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) これはもう重大な考慮事項として検討いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/88
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089・勝俣稔
○勝俣稔君 中央社会保険医療協議会については、わが党でも山下委員の御意見と全く同様であるということを特に申し上げまして、私の質疑を終る次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/89
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090・久保等
○委員長(久保等君) ほかに御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/90
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091・久保等
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。修正意見等おありの方は討論中にお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/91
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092・木下友敬
○木下友敬君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっている政府提案の国民健康保険法案及び同施行法案に対し反対の討論をいたします。
一体、政府並びに自民党は、口を開けば社会保障制度の拡充を叫んでおりますが、これは素朴な国民を欺瞞するもので、実際においてはほとんど取るべき業績を上げていないのであります。というよりも、その生活保護法に対する考え方などから見ますと、社会保障についてはきわめて消極的であると認めざるを得ません。昨日、佐藤大蔵大臣は、政府は今もっぱら社会保障の門戸を広げているところで、奥行きの方はあと回しにすると言っておられましたが、これは政府自民党の社会保障に対する掛値のないところの告白でありましょう。門戸を広げるということは、それ生活保護だ、医療保障だ、国民年金だ、それ何だというように、表題だけは数多く並べ立てるが、その内容はきわめて貧弱であるということの表現にすぎません。中でも国民皆保険は、政府の重要政策の一つとしてあげられているものでありまして、昭和三十二年を初年度として、三十五年までの四力年の間に全国民が医療保険の恩恵に浴するようにするというのであります。そのためには、初年度六百九十四万人を国保に収容するといいましたけれども、実際においては、はるかに少く、やっと四百万そこそこでございました。その後の経過も不良でありまして、国民皆保険の前途ははなはだ楽観を許さぬものがあるように存ぜられます。
では、これほど政府が叫び続けるにもかかわらず、何ゆえに国保が普及しないかについては理由がございまして、これは今さら私が指摘するまでもなく、国保を実施することが直ちに市町村の財政を圧迫することにつながるからでございます。数字が多少変っておるかもしれませんが、国保を実施している市町村は、三百七十二の市と二千二百九十一の町村で、これは全体の六七%に当ると思いますが、この中の二千二百三十六市町村、すなわち実施市町村の約八四%は赤字でございます。そうしてその赤字の額は四十一億といわれておるのであります。従って、一般会計からの導入は相当なものであり、昭和二十七年以来のものを合計すれば、約百十億に上るといわれております。この地方財政の圧迫ということが、国保の伸展を阻害する最もおもな原因であり、もし政府の方に国民皆保険をやる気があるならば、十分なる国庫負担を覚悟すべきであります。日本社会党はかかる見地に立って、国民健康保険法の改正案を提出しておりますが、それによれば、国庫負担は三割としております。国庫負担を三割にするのと二割五分にするのとの差額は、大蔵当局の説明によりますれば、三十五億というのでありますから、もし社会党案にすれば、市町村の負担を大幅に軽減または皆無にすることができるのでありまして、これが皆保険への大きな花道となるのであります。政府案がかたくなに二割五分を主張しておるのは、真に国民皆保険への熱意がない証拠でありまして、私はまず第一に、この点において本案に反対をいたすものであります。
次に、政府は、国保赤字のおもな原因の一つとして、保険料や保険税で徴収不可能なものがたくさんあることをあげております。もっとものことであります。しかし、一歩進んで検討いたしますと、もし国保の医療給付が完全に近いものであり、国保の医療に対する信頼感が得られるなれば、保険料や保険税を喜んでかけるものがたくさんあるはずだと思うのでございます。が、遺憾なことに国保における給付率は現在までは五〇%以下であります。一般的にいって国保の階層は、健康保険の被保険者に比較して低所得の傾向にあるということができます。しかるに、たとえこの二つの保険は全然別のものであるとはいえ、ことに健保におきましては、保険料の半額は雇用主が支払うという特典がある上に、被保険者本人においては全額給付であるのに対し、比較的低所得者であるところの国保被保険者は、その保険料は全部自己負担であり、しかも医療給付は健保に比べれば、はるかに大きな制限がある上に、その給付の半額は本人が負担せねばならぬという不利な点があるのであります。これは国民健康保険に対する国民の期待を裏切るものでありまして、これがまた保険料ないし保険税微収の隘路の一つとなっていることは明らかであります。日本社会党は、この点について特に研究を重ねまして、少くとも健保同様、全額給付とすべきであるとの議論が優勢でありましたけれども、過渡的処置として、一応七割給付にとどめることとなり、社会党提出の改正案には七割給付といたしております。これは決して五割――七割という程度の差ではなしに、全国民が幸福な文化生活を享受する平等の権利を有するという憲法の精神を守るわが党の態度と、常に平和憲法を軽んじ、人権を軽視する、平等の精神を否定するところの自民党の政策との根本的な違いでありまして、その意味において、私は重ねて本案に反対をいたすものでございます。
さて、この新しい国民健康保険法案は、第二十八、第三十、第三十一国会と三たび国会に提出されたものでありますが、第三十国会では、衆議院で、わが党議員の科学的かつ理論的な反論によりまして大幅な修正を余儀なくされたのでございます。私どもは、この第三十一国会には、この衆議院で修正されたそのものが提出されるものとのみ考えておりましたところ、予期に反しまして、またまた改ざん変貌された案が現われてわれわれを驚かせたのでございます。
今その一例をあげますれぱ、二十八国会当時、指定医療機関と呼ばれたものが、三十国会では療養担当者となり、さらに三十一国会では療養取扱機関と変っております。私はこの点をあげて、このように三転した意義がいずこにあるかをただしましたところ、厚生大臣は、 三十六条三項の、療養は国民健康保険医及び国民健康保険薬剤師が担当するという条項を指摘して、これによって、医師並びに薬剤師の主体性を確立し、かつその責任を明確にしたと述べ、また、太宰保険局長は、二十八国会提出のもの、三十国会提出のもの、どちらも三十六条三項では、被保険者が医療を受けたいときは云々とうたっているのに対し、本案では、同条同項で、国民健康保険医及び国民健康保険薬剤師が担当するというように、主体を医師並びに薬剤師に持ってきたと、まことに子供だましみたような見解を述べておられます。厚生大臣の考えも保険局長の考えも、当委員会の速記録に残っておりますが、これはいずれもごまかしでありまして、いかなる場合も医療の責任が医療担当者にあることには変りはございません。責任が医療担当者にあるということと、主体性が確立されたということは全然別個のものでございます。どのように法案を作り変えましても、厚生省のこの問題に対する思想が変らない以上、医療担当者の主体性は確立されていないのでございます。なぜ医療担当者の主体性が確立されていないかと申しますと、四十八条の罰則を見ますと、医療取扱機関が、その二号、三号、四号に違反した場合、受理取消の対象となるのであり、その結果、機関が閉鎖された場合には、医療担当者は自動的に職場を剥奪されるのであります。すなわち、自己に原因しない理由によって、自己の職場、地位を失うような立場を与えられた者に何で主体性が確立されたということができましょうか。ごまかし方もあまりに度が過ぎているように思うのです。このようなずさんな法案にはとうてい賛成するわけには参りません。
なお、条文によりますと、大学病院や国立病院等のような大きな病院においても、従業員が四十八条の違反をした場合には取り消しを受けることになっており、また、この点に関する私の質問に対し、当局は、取り消しの対象になるとお答えになりましたが、理論的にはそうでありましても、実際におきましては、どんなひどい違反事項が起りましても、取り消しを受け、大学病院や国立病院が閉鞘されることはあり得ないのであります。しかるに一方、比較的小さい個人の病院、診療所、薬局、特に開設者と医療担当者が同一人であるような小規模な施設におきましては、慎重のうちにも比較的厳正に取消処分が行われることは、従来もその通りでありましたように、この法律でもまたその通りでございますから、施設の大小、開設者の別によって、処罰について非常な不公平が公然と行われる仕組みになっておるのであります。まして、提案説明の中で、厚生大臣が、各般の規定において公私医療機関を差別せず、全く同一の法律的取扱いといたしましたと述べているのは、法案の真意を述べたものでなく、法案自体は、公私医療機閏ないし施設の大小によるはなはだしい差別待遇を内蔵しているものであり、その意味においても、私はこの案に反対であります。
なお、療養の期限についても、わが党提出法案におきましては、疾病が治癒するまでは保険が利用できるようになっておるのに反して、本案では三カ年と限っています。病気が長引くほど患者の経済状態は次第に悪くなるのでありますから、そういう場合にこそ療養の給付が必要であるのに、給付に期限的な制約を加えることはきわめて不合理であると考えるのでございます。この点でもまた政府提出法案には賛成することができません。
要するに、現政府は、言うまでもなく、資本主義を強行する保守党政権下の政治を行うものではありますが、いやしくも社会保障を口にする以上、このような信念のない、誠意に欠ける法案を出すこと自体に大きな誤りがあると存ずるのでございます。私は、政府はよろしくわが日本社会党提出の現行法改正案を全面的に取り入れた、だれが見ても納得のいく新しい法案を作り上げて、四たび国会に提出されることを希望して、社会党を代表した私の反対討論を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/92
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093・久保等
○委員長(久保等君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/93
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094・久保等
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。
まず、国民健康保険法案の採決をいたします。本案を原案の通り可決することに賛成の方は起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/94
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095・久保等
○委員長(久保等君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって、原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、国民健康保険法施行法案の採決をいたします。本案を原案の通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/95
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096・久保等
○委員長(久保等君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって、原案の通り可決すべきものと決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/96
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097・木下友敬
○木下友敬君 私は、この際、ただいま採決いたしました国民健康保険法案に対し、お手元に配付いたしましたような附帯決議を付することの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/97
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098・久保等
○委員長(久保等君) ただいま木下君から、国民健康保険法案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されました。本動議を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/98
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099・久保等
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。
本動議を議題といたします。提案者から趣旨を説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/99
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100・木下友敬
○木下友敬君 今附帯決議の説明をいたしますが、先ほど配付いたしましたので、内容は十分御検討いただいたことと存じますので、お許しを得れば、これの朗読をよそうと思いますが、お許しをいただけますか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)以上をもちまして私の提案の説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/100
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101・久保等
○委員長(久保等君) ただいまの付帯決議案に対し、御質疑はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/101
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102・久保等
○委員長(久保等君) 別に御質疑もないようですから、これより採決をいたします。
国民健康保険法案に対し、付帯決議を付すべしとの木下君外三名提出の決議案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/102
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103・久保等
○委員長(久保等君) 全会一致と認めます。
よって国民健康保険法案に対して、木下君外三名提出の決議案のごとき付帯決議を付することに決定いたしました。
なお、ただいままでの採決いたしました法案の議長に提出する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/103
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104・久保等
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/104
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105・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 第二十八国会以来、国会にお願いをいたしておりました新国民健康保険法案及び同施行法案が本日参議院の社労委員会によって御採決を願いましたことはまことに感激の至りでございます。御審議の過程にお話のございました点は、これは附帯決議になっておりまする点も、それからそのほかの点につきましても十分心得まして、この国民健康保険法の趣旨をよりよく実現するように骨折って参りますと同時に、国保以外の点につきましても、お話のありました点について十分善処をいたして参りたいと思います。本日までの御審議につきまして厚く御礼を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/105
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106・久保等
○委員長(久保等君) 本日はこれにて散会をいたします。
午後四時三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00619581223/106
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