1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月三日(火曜日)
午前十時四十五分開会
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委員の異動
十二月二十四日委員常岡一郎君及び坂
本昭君辞任につき、その補欠として中
山福藏君及び藤原道子君を議長におい
て指名した。
一月二十六日委員田村文吉君辞任につ
き、その補欠として常岡一郎君を議長
において指名した。
一月二十七日委員小柳勇君辞任につ
き、その補欠として大和与一君を議長
において指名した。
一月二十八日委員大和与一君辞任につ
き、その補欠として小柳勇君を議長に
おいて指名した。
一月三十日委員小柳勇君辞任につき、
その補欠として大和与一君を議長にお
いて指名した。
一月三十一日委員柴田栄君辞任につ
き、その補欠として吉江勝保君を議長
において指名した。
二月二日委員吉江勝保君及び大和与一
君辞任につき、その補欠として柴田栄
君及び小柳勇君を議長において指名し
た。
本日委員榊原亨君、谷口弥三郎君及び
藤原道子君辞任につき、その補欠とし
て有馬英二君、高野一夫君及び坂本昭
君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 久保 等君
理事
勝俣 稔君
柴田 栄君
木下 友敬君
常岡 一郎君
委員
有馬 英二君
紅露 みつ君
西田 信一君
横山 フク君
片岡 文重君
小柳 勇君
坂本 昭君
藤田藤太郎君
山下 義信石
竹中 恒夫君
国務大臣
厚 生 大 臣 坂田 道太君
政府委員
厚生政務次官 池田 清志君
厚生大臣官房長 森本 潔君
厚生大臣官房審
議官 小山進次郎君
厚生大臣官房会
計課長 山本 正淑君
厚生省公衆衛生
局長 尾村 偉久君
厚生省医務局長 小澤 龍君
厚生省児童局長 高田 浩運君
厚生省社会局長 安田 巖君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選
○社会保障制度に関する調査の件
(昭和三十四年度厚生省関係予算に
関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00719590203/0
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001・久保等
○委員長(久保等君) これより社会労働委員会を開きます。
委員の異動を報告いたします。十二月二十四日付をもって常岡一郎君及び坂本昭君が辞任され、その補欠として中山福藏君及び藤原道子君が選任されました。一月二十六日付をもって田村文吉君が辞任され、その補欠として常岡一郎君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00719590203/1
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002・久保等
○委員長(久保等君) 理事補欠互選についてお諮りいたします。
委員辞任に伴い欠員となりました前理事中山藏君及び柴田栄君の補欠互選を行います。その方法は、成規の手続を省略して、委員長の指名とすることにいたしたいと存じますが、ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00719590203/2
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003・久保等
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めまして、それでは理事に常岡一郎君及び柴田栄君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00719590203/3
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004・久保等
○委員長(久保等君) 社会保障制度に関する調査の一環として、昭和三十四年度厚生省関係予算の件を議題といたします。
この際、坂田新厚生大臣から、厚生行政施策の方針及び昭和三十四年度厚生省関係予算の大綱について説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00719590203/4
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005・坂田道太
○国務大臣(坂田道太君) 私は、今回 内閣の改造に当りまして、厚生大臣の重任を負うことになりました。まことに至らぬ者でございますが、厚生行政につきまして御造詣の深い各位の御協力、御援助を得まして、その重責を果して参りたいと考えております。本日この機会に、厚生省所管の諸行政に関し、所信の一端を申し述べたいと存じます。
あらためて申し上げるまでもなく、社会保障制度を確立し、福祉国家の実現を期しますことは、現内閣の最も重点を置く施策でありまして、厚生行政は、これら諸施策を推進するに当りまして、その中心をなすものとしてきわめて重要な役割を有するものであります。私といたしましては、就任以来、当面の問題として国民の所得保障と医療保障の実現にその努力を重ねているところでありまして、今後ともこれらの施策を中心に、社会保障制度の充実とその基礎的諸条件の整備をはかって参りたいと考えております。
以下、当面の諸問題につきましてその概要を説明いたしたいと存じます。
第一は、国民年金制度の創設であります。国民年金制度につきましては、かねての公約通り、昭和三十四年度から実施すべく準備を進めて参りましたが、近く、国民年金法案として今国会で御審議を願うことになっております。本法案は、醵出制の年金を基本として無醵出制の年金は経過的補完的なものとし、老齢、障害及び母子の三年金を創設するとともに、これらの年金を実施するために必要な規定を包含するものでありますが、明年度におきましては、とりあえず経過的な措置として無醵出の三年金を本年十一月から明年二月までの分について支給することとし、醵出制年金の実施は、昭和三十六年四月から保険料を徴収する予定であります。本法案のすみやかな成立によりまして所得保障の本格的形式としての国民年金制度の確立をはかるとともに、今後とも本制度の向上に、一段と努力いたして参りたい所存でございます。
第二は、国民皆保険の達成であります。医療に関する国民皆保険の推進につきましては、関係各位の非常な御努力によりまして着々その成果をおさめ、皆保険四カ年計画の二年目に当ります本年度におきましても、その計画はほぼ達成をみておる状況でありまして、今後ともその普及を強力に推進し、昭和三十五年度におきまして完全な実現を期したい所存でございます。なかんずく、その中心となる国民健康保険につきましては、昨年十二月各位の御協力によりまして新国民健康保険法の成立を見、一段とその制度の充実をはかられ、皆保険体制が確立されたものと考えるものでありまして、本法の施行により、今後さらに国民皆保険の実があげ得るものと信ずる次第であります。また、国民皆保険達成の前提要件となる医療機関の整備につきましては、総合的な医療機関整備計画に基き、医療機関の偏在を是正し、病床不足地域の解消をはかる等その体系的な整備に十分な措置を講ずる所在であります。
なお、これに関連いたしまして、国民皆保険の進展並びに医療事情の推移に応じ、明年度におきましては、医療制度調査会を設置し、医療に関する制度等についての根本的な調査審議を行い、新しい情勢に適合した適切な医療制度の樹立に資したい所存であります。
第三は、結核対策の強化であります。結核対策の推進は、医療保障の実現に関連してきわめて重要な問題でありまして、かねてこれが対策を強力に推進して参ったのであります。その結果、近年死亡率等に著しい改善を見たのでありますが、なお多数の患者が存し、依然国民生活の脅威となっているのであります。従いまして、これが対策として、今後健康診断、予防接種等の予防措置の強化、患者管理の適正化、医療の確保等の施策の強化をはかることとし、明年度におきましては、二百カ所の結核対策推進地区を設け、これらの施策の浸透をはかり、逐次これを全国に及ぼすこととし、結核問題の抜本的な解決に当りたい所存であります。また、結核対策推進の中心となる保健所についてもその機能の強化をはかる所存であります。
第四は、生活環境の改善等であります。国民の生活環境の改善に密接な関係をもちます屎尿処理施設、上下水道等環境衛生施設につきましては、さらにその整備をはかるとともに、国民一般の保健と休養に資するため、国立、国定公園を整備し、同和地区の生活環境を改善するための施策の強化をはかるほか、国民の保健及び福祉の増進をはかるための民間地区組織の育成とその活動の促進をはかって参りたい所存であります。
以上のほか、低所得階層に対する援護対策として、老齢者、身体障害者、精神薄弱者等に対する措置の充実に努めるほか、生活保護基準の引き上げを行うこととし、また、児童福祉の面につきましては、保育料徴収基準の引き下げ等制度の改善をはかるほか、児童の健全育成の強化、母子衛生施策の充実等に意をいたすとともに、さらに帰還者に対する特別措置等に十分な措置を講じ、民生の安定に一そう努力いたしたい所存であります。
以上申し上げました諸問題につきましては、今後とも、各位の御支援によりまして、できる限り、努力をして参る決意でありますので、ここに重ねて各位の御強力をお願い申し上げる次第であります。
昭和三十四年度の厚生省所管一般会計及び特別会計予算案の概要について、御説明申し上げます。
御承知のごとく、厚生行政の対象は広く国民生活各般の分野にわたっておりまして、わが国の社会保障の充実のためにはもとよりのこと、これと関連する諸施策の進展のためにも、厚生省予算はこれだけあれば十分であるという性質のものではないと思うのでございます。幸い皆様の御協力により、毎年度相当大幅な予算の増額がなされておりますが、特に昭和三十四年度予算案は、新しい施策の実施を含めて、近年に例を見ない増額となっておりまして、いささか社会保障施策の前進をはかり得るものと確信いたす次第であります。
さて、昭和三十四年度厚生省所管一般会計予算における総額は一千三百五億四千三百五万五千円でありまして、これを昭和三十三年度予算一千七十二億五千七百五十四万五千円に比較いたしますと、二百三十二億八千五百五十一万円の増加と相なり、前年度予算に対し、二一・七%の上昇を示しております。また、国家予算総額に対する厚生省予算の比率を見てみましても、前年度八・一七%であったのが、九・二%と相なっております。
昭和三十四年度の予算編成に当りましては社会保障の確立強化に特に意を用い、医療保障については、新国民健康保険法の実施を通じて、既定の計画通り昭和三十五年度末に完了することを目途として、国民皆保険の推進に一段の努力をいたしますとともに、今回、国民の要望にこたえ、新たに国民年金制度を実施することとし、昭和三十四年度中にこれが第一歩を踏み出すことといたしたのであります。これによって、わが国の社会保障制度の体系的整備は画期的な進展を見ることとなるわけでありますが、これと並行して、結核対策の強化、生活環境の改善、低所得者層の福祉の向上、児童福祉の充実等、厚生行政の中核となる諸施策を強力に推進することといたしております。
次に、特に重要な事項について、その概要を御説明申し上げます。
まず、第一は、国民年金制度の創設に必要な経費であります。
所得保障の本格的形式としての国民年金制度を創設する方針のもとに、昭和三十四年度においては、まず、措置として、無醵出年金を取り上げ、老齢、障害、母子と三つの援護年金の給付を、十一月分から実施することとし、その四カ月分の所要経費百億七千八百万円余を計上いたしております。
援護年金の具体的内容を申し述べますと、
老齢年金につきましては、七十才以上の老人に一人月額一千円を支給することとし、その受給対象人員を百九十八万六千人と予定して、これが必要経費七十一億五千五百万円余を計上いたしております。
障害年金につきましては、一人月額一千五百円とし、その受給対象人員を十八万二千人と予定して、これが必要経費十億九千二百万円余を計上いたしております。
母子年金につきましては、一世帯月額一千円を基本とし、その受給対象を四十万七千世帯と予定し、これが必要経費十八億二千九百万円余を計上いたしております。
また、援護年金の適正な運営を期するため、事務機構としては、年金局を新たに設け、中央、地方を通じ千八百人の職員を置くこととし、これに必要な経費九億七千四百万円余を計上いたしております。
第二は、国民皆保険の推進と、その基礎的条件の整備に必要な経費であります。医療皆保険四カ年計画の第三年目として、新たに被保険者六百十万人の増加をはかることとし、三十四年度末の被保険者数を、四千二百五十二万人と見込み、年間平均三千九百万人として所要経費を算定いたしております。すなわち、対象人員の増加と医療費の伸びを勘案して、療養給付費補助金及び財政調整交付金として百七十三億六千二百万円を計上いたしておりまして、これを前年度に比較いたしますと、五十四億二千六百万円の増額となっております。また、事務費補助については、一人当り単価を前年度の九十円から九十五円に引き上げることとして三十七億五百万円を計上いたしております。
次に、国民皆保険の基礎的条件の整備でありますが、まず、公的医療機関の整備につきましては、前年度に引き続き、僻遠の地で経済的に民間診療所の開設を期待できない地区に対して、公的病院の出張診療所を開設せしめるとともに、公的病院の整備を行うこととし、これらに対する補助九千四百万円余を計上いたしております。また、国立病院の整備改善のため、十一億七千六百万円余を国立病院特別会計に繰り入れるとともに、国立療養所の整備改善についても所要の配慮をいたしております。
第三は、結核対策に必要な経費であります。結核対策につきましては、健康診断、予防接種の徹底と化学療法の普及により、おおむね所期の成果を上げておりますが、従来、結核患者の管理と、いわゆる濃厚感染源患者隔離対策については、なお十分でないうらみがありました。今回、結核対策としては、特にこの面に重点を置き、新たに保健所単位に二百カ所の特別地区を設け、一定率以上に入院措置を行なった場合には、そのこえた部分に対する患者の入院治療費の公費負担につき、国庫補助率を二分の一から三分の二に引き上げ、地方費負担の軽減をはかることによって、濃厚感染源患者の入院措置を重点的に実施するとともに、特別地区における結核患者管理の徹底をはかることといたしております。この濃厚感染源対策に要する経費は三億五千九百万円余でありまして、前年度の九千七百万円余に比し二億六千百万円余と大幅に増額いたしております。
なお、この特別地区の保健所活動を強化するため、二百保健所については医師の給与単価を引き上げることといたしております。
右のほか、国立結核療養所の経費を加えまして、結核対策費は百六十四億八千四百万円余と相なり、前年度に比し六億六千万円余の増額となっております。
第四は、生活環境の改善向上に必要な経費であります。明るい生活環境を実現するため、特に環境衛生施設の整備をさらに強力に推進することとし、簡易水道については十一億円を計上し、また、都市における屎尿処理の抜本的解決策として、下水道終末処理施設を整備するため五億四千五百万円、屎尿の衛生的処理を行うための屎尿消化槽等の整備に四億五千万円をそれぞれ計上し、いずれも前年度に比し相当大幅に増額いたしております。
第五は、生活保護費及び社会福祉の増進に必要な経費であります。
まず、生活保護費でありますが、生活扶助対象人員については、景気変動等の影響及び人口増加に伴う自然増を勘案いたしまして、最近の実績人員に対し四%程度の増加を見込み、月平均百四十八万人余と予定し、また最近著しい増加を示しております医療扶助の入院人員につきましては、三十二年度実績人員の一〇%増を見込んで所要経費を算定するとともに、消費物価の変動を勘案いたしまして、生活扶助の基準を引き上げることとして五億一千七百万円余を計上いたしております。
また、社会福祉施設の整備並びに運営等につきましては、特に養老施設に重点を置いて一そうの推進をはかるとともに、施設職員の期末、勤勉手当等を増額し、この結果、生活保護費として四百十六億三千八百万円余を計上いたしておりまして、前年度に比し、三十四億一千五百万円余の増額となっております。なお、精神薄弱者の保護と、更生援護をはかるため、新たに収容施設の設置に助成の道を講じ、二千五百万円余を計上いたしております。
さらに、低所得者層対策として、前年度通り世帯更生資金の貸付補助金として三億円、医療費貸付補助金として二億円をそれぞれ計上いたしております。
第六は、児童保護に必要な経費であります。
まず、児童福祉施設に収容している児童の生活を保障する児童措置費につきましては、特に保育所における保育料の負担軽減をはかるため、一部徴収基準を緩和し、保育料四百五十円の階層を、所得に応じ四百五十円と三百五十円の二階層に分けることといたしまして、この徴収緩和に伴う所要経費一億九千九百万円余を増額計上いたしました。
なお、保育所の保母その他児童福祉施設の職員の待遇改善をはかるため、期末、勤勉手当を倍額に増額するとともに、石炭手当を新たに計上いたしました。
このほか、児童福祉対策としては、前年度に引き続き、母子健康センター、児童遊園、保育所等の整備をはかることとし、また、結核療養所に入所して医療を受けながら学校教育をおさめているカリエス児童につき、新たに公費負担の制度を実施することとし、所要経費一千四百万円余を計上いたしました。この結果、児童保護費として八十二億二百万円余を計上し、前年度に比し、五億六千六百万円余の増額となっております。なお、新たに国立女子教護院を設置して、非行性の高い児童を収容することとし、初年度の所要経費として、四千八百万円余を計上いたしております。
第七は、医療制度の調査に必要な経費であります。
国民皆保険の進展に伴う医療事情の推移にかんがみ、医療に関する制度及びこれに関連する基本的事項を調査審議するため、新たに医療制度調査会を設けることとし、所要経費二百六十万円余を計上いたしております。
このほか、国立公園、国定公園の施設整備のため一億五千九百万円余を計上し、また、地方改善事業費としては前年度の約倍額の四千九百万円余を計上して、同和対策の推進をはかることといたしております。
以上、昭和三十四年度厚生省所管の一般会計予算についてその概要を御説明申し上げたのであります。
次に、昭和三十四年度厚生省所管の特別会計予算の大要について御説明申し上げます。
まず、第一は、厚生保険特別会計についてであります。厚生保険特別会計につきましては、一般会計より健康保険給付費財源の繰り入れ十億円、日雇健康保険給付費財源の繰り入れ十七億五千二百万円余を見込みまして健康勘定におきましては歳入、歳出とも八百二十億六千五百三十二万七千円、日雇健康勘定におきましては歳入、歳出とも六十一億五千五万三千円、年金勘定におきましては歳入八百十五億三千七十七万五千円、歳出百五十九億六千百十八万七千円、業務勘定におきましては、歳入、歳出とも五十億三百五十二万一千円をそれぞれ計上いたしております。これは、日雇健康勘定については、その医療費の上昇傾向に伴う財政の現状に照らし、給付費に対する国庫負担を十分の三として計上し、年金勘定については、標準報酬の最高額と保険料率を引き上げることとし、健康勘定については保険料率の引き下げを見込むこと等を内容とするものであります。
第二は、船員保険特別会計についてであります。船員保険特別会計につきましては、疾病部門その他について、三億四千四百二十万円余の一般会計よりの繰り入れを行い、これに要する経費といたしまして、歳入七十三億六千二百九十一万四千円、歳出五十五億一千一百七十七万三千円を計上いたしております。これは、年金部門の保険料率を引き上げ、疾病部門及び失業部門の保険料率を引き下げること等を内容とするものであります。
第三は、国立病院特別会計についてであります。さきに述べましたように、国立病院の施設改善のため、所要財源を一般会計より繰り入れするのほか、六億六千八百八十一万五千円の国庫債務負担行為を計上し、国立病院特別会計といたしましては、歳入、歳出とも九十五億六千五百三十九万六千円を計上いたしております。
最後に、アヘン特別会計についてでありますが、本年度のアヘン買い入れ予定量は、輸入六十一トン、国内産三トンでありまして、一方、製薬原料としての売り渡しは五十五トンを予定いたしておりまして、アヘン特別会計といたしましては、歳入、歳出とも三億八千四百五十五万七千円を計上いたしております。
以上、昭和三十四年度の厚生省所管一般会計及び及び各特別会計の予算案につきまして、その概要を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格別の御協力をお願いいたす次第であります。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00719590203/5
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006・久保等
○委員長(久保等君) 委員の異動を御報告いたします。
二月三日付をもって榊原亨君、谷口弥三郎君及び藤原道子君が辞任され、その補欠として有馬英二君、高野一夫君及び坂本昭君が選任されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00719590203/6
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007・久保等
○委員長(久保等君) 次に、政府委員から予算の細部について説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00719590203/7
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008・山本正淑
○政府委員(山本正淑君) お手元に差し上げてございます予算要求額事項別調につきまして簡単に御説明申し上げます。
まず目次がございますが、この項目は主要項目を取り上げた次第でございまして、各項目につきまして、前年度予算と比べまして減額になっている事項が相当ございますが、これは御承知のように、事務費、庁費、施設費につきまして、一般的な節減方針に基きまして節減をされたその影響と、既存の経費につきまして、実行上不用が相当出ております予算につきまして、実態に合せた予算を組んだ、かような影響によりまして、前年度予算より減額しておる事項が相当あるわけでございます。目次の最後の四ページにございますが、三十四年度要求額は一千三百五億四千三百五万五千円になっておりまして、前年度に比し二百三十二億八千五百五十一万円の増と相なっております。一ページから御説明申し上げます。まず第一の地区組織の育成強化というので、新規事項といたしまして二千八百七十三万七千円の予算がございますが、これは地区組織の育成強化ということを、取り上げまして、各種の地区組織の関係いたしております団体について、これが一つの団体として協議会を作りまして、それにこの経費を流して、第一線における指導者の講習、あるいは地区組織の育成強化についての広報活動というものを助成していきたい、かような趣旨のものでございます。
それから二番目の医療制度調査費二百六十一万八千円でございますが、これも新規の事項でございまして、医療制度の基本問題について審議をしてもらうため、委員、専門委員五十五人をもって構成する、かような趣旨でございまして、なお、この中には、厚生省が医療金融公庫の設置を要請いたしておりまして、これはなお研究を要するということに相なりまして、医療金融の実態を調査するという経費八十六万円もこの中に含んでおる次第でございます。
それから三番の保健所費でございますが、前年度に比し八千二百十五万六千円の増となっておりまして、これは運営費の中で、結核対策の強化に伴うモデル地区としての二百保健所については、医師の待遇改善を行うという趣旨でございまして、一人当り単価を一般が十九万一千三百六十四円、これは前年度十八万八千八十八円でございました。これに初任給の是正分も含めまして、一般が十九万一千三百六十四円となっておりますのを、二百地区の保健所の医師については二十五万三千九百五十六円というふうな待遇改善の費用を含んでおる次第でございます。
それから次のページに参りまして、保健所の整備費、これは前年度と同様新設の五カ所、改築の十カ所のほか、新たに保健所の格上げを五カ所予定いたしておる次第でございます。
医師充足対策費はいわゆる貸費生の制度の費用でございまして、これは若干減額になっております。
それから四番の結核対策費でございますが、この中で二番の結核管理費といたしまして、新規事項として患者の登録票の整備、管理検診費というのがございます。これは二百保健所につきまして従来登録されている結核患者をもう一度洗い直す、そして健康診断を実施いたしまして、患者管理の徹底を期する、かような趣旨のものでございます。
次の結核医療費につきましては、医療療養費とございますのは、従来の化学療法に対します公費負担の経費でございまして、これは若干減額となっておりますのは、昨年の医療費の立て方を変えました際に薬治料が減っておりますので、そういう関係で減になっております。
次の従業禁止、命令入所というのがいわゆる濃厚感染源対策費でございまして、明年、新年度は約七千件を対象といたしまして、そのうち二百カ所の保健所分については四千件のものについて特に補助率を三分の二に引き上げる、かような趣旨でございます。なお、前年度予算は対象人員が大体二千百件ほど予定いたしておったのでございまして、その意味におきましても相当大幅に取り上げるという趣旨を含んでおる次第でございます。
それから四番の国立療養所、これは結核対策費の中に含んでおります結核療養所の分でございますが、中身につきましては、医師の研究費について前年度予算の二〇%の増を見込んでいる以外には、一般的な経費の増でございます。
それから結核後保護費につきましては大きな変動はございません。
次のページに参りまして五番のらい対策費でございます。前年度に比し二千三百八万二千円と若干の増を示しておりますが、そのうち国立らい療養所につきましては、その患者の福祉と申しますか、それを向上さすという意味におきまして新たにテレビ、それから補聴器といったような経費を見た次第でございます。なお、不自由患者慰安金につきましては、年額二千四百円であったのを三千円に引き上げております。その他変った事項はございません。
六番の伝染病予防対策費につきましては、三番目の地方病予防施設整備費でございますが、これはみぞの設備につきまして、従来単価が低いというので問題でございましたが、今回単価を従来の千九百六十四円から二千三百十四円まで引き上げてございます。
七番の精神衛生対策費につきましては、精神衛生病床の整備費が従来より若干減になっております。これは公立対象ベット数が若干減っております。前年二千百五十床であったのが千九百三十床、法人立床は五百床で前年通りでございます。
それから次のページに参りまして措置入院費の補助、これが六千三百八十七万三千円の増に相なっておりますが、補助対象人員につきましては前年より若干減っております。
なお、四番の精神衛生相談所費、従来四分の一補助に相なっておりましたのを三分の一に引き上げております。
それから八番の性病予防費、これは前年度予算に比して二千二百八十一万円の減に相なっておりますが、従来予算が相当額不用が毎年立っております。その実態に合わすという意味におきまして減っております。ただ健康診断につきまして、強制健康診断は全額無料にする、かような趣旨が新たに入っておる次第でございます。
それから九番の原爆対策費が四千三百五十七万円減になっておりますが、これも前年度——三十二年度におきまして八千万円ほど不用に立っておりまして、かような意味におきまして実情に合わすというような形に相なっております。
それから十番の家族計画普及費、これも千八百三十六万三千円の減になっておりますが、毎年度二千万円余の不用が立っておりますので、さような意味で今わしたのでございます。ただ、一番の受胎調節実地指導員費におきまして、従来指導員手当が月額千円でございましたのを新たに交通手当の名目で千円ふやして二千円といたした次第でございます。
それから十一番の簡易水道等施設費、これは十一億円、前年度に比し七千三百七十万三千円の増額になっております。この中で、カッコの中に掲げてございます経費は、経済企画庁並びに北海道開発庁に計上してございます離島関係の分、これは一般より補助率が高いのでございますが、その分でございまして、執行上は厚生省に移しがえになって、厚生省が執行するということに相なる経費でございます。
それから八ページに参りまして現地衛生対策費といたしまして九億九千六百六十万五千円、前年度に比しまして二億六千九百十四万八千円の増額になっておりますが、これは清掃施設、下水道終末処理施設における増額でございます。補助率は前年と変りません。その他の中で二千五百六十万二千円の減に相なっておりますが、その中で二千五百万円は従来蚊とハエの駆除費といたしまして、奨励的に蚊とハエの駆除に成績をあげました地方に対して、みぞ、焼却炉の補助を出しておりましたが、この経費はほぼ目的を達成されましたものとして、今度なくなりまして、地区組織の育成という一般的な経費に相なった次第でございます。
十三番目の医療機関整備費、これが十二億七千四十七万七千円と相なっております。カッコ内の数字は国立病院の国庫債務負担行為の金額でございます。
一番の国立病院整備費が、前年度に比し、若干の減額となっておりますのは、新年度の医療費の引き上げによりまして、国立病院特別会計の収入が相当大幅にふえるわけでございまして、それとの関連もございます。
公的医療機関の整備につきましては、前年度に比し二千三十八万一千円増額に相なっておりまして、これは一般の公立病院に対するベッド数の補助、僻地診療所が本年度よりは十カ所増を見込んでおる、かような趣旨でございます。
十四番の診療エキス線技師養成所施設整備費補助金、これは新規でございまして、二カ所の整備を予定いたしております。
それから十ページに参りまして、十五番の水質汚濁調査費でございますが、これは新規で百二十万円、これは公共用水域の水質の保全に関する法律が新たに出ましたので、それによりまして石狩、豊平、江戸、多摩川、木曽川、淀川、遠賀川、こういう七河川につきましては水源地保全の意味で、水質汚濁に関する衛生工学的研究調査をしたい、かような次第であります。
次に麻薬取締対策費、これは前年度より若干増額になっておりますが、最近の麻薬事犯の現況にかんがみまして、この麻薬患者の取締りを——麻薬取締りを強化していきたい、こういう趣旨でございます。
それから十七番の工場排水法施行費百七十八万七千円、新規でございますが、これも工場排水等の規制に関する法律、新たに出ましたこの法律に基きまして、公共用水城の水質を保全するという意味で各省に計上されておりますが、厚生省といたしましては、製薬会社についての調査研究についての経費でございます。
十八番の国立病院特別会計へ繰入、これは十二億九千三百十万二千円、前年度に比し一億五千四百八十七万九千円の減に相なっておりますのは、先ほど申しました医療費の引き上げによります国立病院の収入増というのが見込まれるので、かような結果に相なっておる次第であります。
十九番の生活保護費でございますが、前年度に比し三十四億一千五百十七万八千円の増と相なっております。これは生活扶助人員につきましては、三十三年の八月までの実積を基礎といたしまして、その後人口の伸び、景気変動の影響というものを見込みまして百四十七万八千七百七十四人と予定いたしております。医療扶助人員は昨年特に入院患者が非常にふえて参っておりますので、これも実態に合わせまして、前年度の約一〇%増というようなことに相なっております。保護基準の引き上げといたしまして五億一千七百二万六千円計上いたしてございますが、これは生活扶助費と教育諸費を合わせますと、全体に対して二・六%ということに相なるわけでございますが、生活扶助だけとしますと、三・一%の基準の引き上げと相なるわけでございます。それから保養施設の事務費の中では職員の期末手当を従来予算では〇・五カ月分組んでおるわけでございますが、それを〇・五カ月分増をいたしましてそれの経費、これが三十三億六千六百九十七万四千円に相なります。それから北海道の地域には石炭手当を新設いたしまして、かような経費が計上されてございます。
次の社会福祉施設整備費補助金、これが前年度に比し四千二百十五万六千円ふえておりますが、特に重点を養老施設に置いておりまして、前年三十九カ所、この金額が一億七千七百七十二万三千円になりまして、前年よりは三千二百万円ほどの増と相なっております。
低所得階層対策としての世帯更生資金貸付金、医療費貸付金につきましては、現在の消化状況から見まして前年通りということに相なった次第でございます。
十二ページに参りまして、社会福祉振興会の出資金は、前年度より一千万円の減に相なっております。
それから二十二番の身体障害者保護費、これにつきましても実情に合わせまして若干の伸びを見て一千六十六万三千円の増と相なっております。
それから二十三番、十三ページでございますが精神薄弱者援護費、これは新規でございます。おとなの精薄施設が非常に現在不足いたしておりまして、新たにこのおとなの精薄施設を作る際に補助をしようという趣旨で、新年度はさしあたり二カ所、百人収容の二カ所を見込みまして、それに関する経費を計上した次第であります。
二十四番の婦人保護費、これは売春の対策関係費でございまして、前年度に比し一千万余の減額となっておりますが、これは次のページの六番にございますが、保護施設の設置が大体現在で一応収容施設としてはよかろうということで、新たに保護施設の整備費の二千百万円前年より減額になっておりますが、さような関係で全体が減っております。ただ、二番目の婦人相談員の手当は一人月九千円でありましたものを一万円に引き上げております。それで婦人相談所一時収容保養費並びに婦人保護施設運営費につきましては、収容の現状を見まして所要の増額をいたしておる次第であります。
二十六番の児童保護費でございますが、これは前年度に比し五億六千六百九十一万二千円の増と相なっております。このうち、保育所の分が三億二千百六十二万八千円の増と相なっておりまして、この中身は、施設の職員の期末手当、これは生活保護施設と同様に、予算上は〇・五カ月分の計上を一カ月にいたしたという次第でございます。
それから二番目には、保育料の徴収緩和——四百五十円の層につきまして、三百五十円と四百五十円の二段階に分けたということで、約二億近くの増加になっております。
それから北海道の施設費につきましての石炭手当の新設でございます。
その他の収容施設につきましては、職員の期末手当と石炭手当のほかに、新たに結核性の虚弱児施設の中で、結核性疾患の者が入っている際には、費用が若干よけいにかかるわけでございまして、その経費を見ようというのでこの加算を考えております。
その次のページ、十六ページに参りまして、十番は、ただいま大臣からお話がありましたカリエスの結核児の療養費の補助で、新規の事項でございまして、さしあたり、カリエスの患者を特に入れてそうして学校教育をいたしております療養所が五カ所あります。そこに入っておりますカリエス患者の人員が二百九十人ございますが、これについて、療養を続けながら学習ができるという現在の態勢を伸ばしていこうというので、新規にこの費用を計上いたした次第でございます。
児童福祉施設整備費補助につきましては、一般の節減方針によりましていわゆる三%の減に相なっておりますが、保育所の分につきましては前年通りの個所が計上されてございます。
二十七番の母子福祉対策費の中で、母子福祉貸付金が前年度に比し一億四千万円の減に相なっておりますが、これは現在の償還の現状に照らしまして、若干減額してもよかろうということで、かように相なったわけでございます。毎年相当の費用がかかっておりまして、現に償還金——来年度におきましては八億二千八百万ほど見込まれるわけでございまして、この四億と県費の負担の二億を合せまして六億、これに八億二千八百万の償還金を見込みまして、合計十四億三千六百万円というものが運転資金として活用されるわけでございまして、さような趣旨におきまして若干減になっている、かような次第でございます。
それから二十八番の社会保険国庫負担金とございます政府管掌健康保険の給付、この財源に対しましては前年通り十億でございます。
日雇健康保険の財源繰り入れば相当大幅にふえておりまして、これは医療費の上昇傾向が非常に激しいのでございまして、従来通り医療給付金に対する十分の二・五の補助率ではまかない切れないという現状にございますので、これは傷病、出産手当金、現金給付に対する国庫負担と合せまして、全体を十分の三の負担率にしたということによりまして相当ふえている次第でございます。
厚生年金保険の給付財源の繰り入れは前年度と同じ構想でございます。
それから十八ページに参りまして、船員保険給付費財源の繰り入れでございますが、傷病部門につきましての財源繰り入れは前年通り一億でございます。
失業保険給付費財源繰り入れ、これは国庫負担率を、従来三分の一でありましたものを、労働省関係の失業保険等の系統と合せまして、合同四分の一負担に引き下げるという趣旨が入っておりまして、千八百五十二万三千円の減に相なっている次第でございます。
それから二十九番の健康保険組合補助、これは前年度に比し八千三百三十一万二千円の減に相なっておりますが、これは二番目の給付費臨時補助金、昨年の医療費負担の引き上げに伴いまして財政が非常に困難になる組合がある。それに対する特別手当として補助金を計上いたしましたが、前年度の二億に対して一億に減になっておりますので、その結果でございます。
三十番の国民健康保険助成費でございますが、まず三十四年度の被保険者の総数を三千九百万、年回平均でございます、かように見ております。これは三十二年度末におきまして実績が三千三百五十六万四千人でございます。それで三十三年度中に約三百五十六万人の増を見込んでおります。そういたしますと、三十三年度末におきまして三千七百十二万四千人という被保険者に相なるわけであります。それで三十四年度中に六百十万人ふえる。六百十万人ふえますが、健康保険の家族でダブっておるものもございます。二重加入、これが約七十万の減を見込みまして、実質的には三十四年度中に五百四十万人の増、これを見込んでおります。こういたしますと、四千二百五十万でございますか、三十四年度増すことになる。年間平均、月別に違っておりますので、平均いたしまして三千九百万人と押えて予算を計上いたした次第でございます。
事務費の補助は、一人当り前年度九十円を九十五円、これは初任給是正、期末手当、そういったようなものを勘案してきめておるような次第でございます。
直営診療所施設整備費補助金が若干減になっておりますが、これは実状に照らしてかようなふうになりました。
それから三十一番の国民年金費、これは百十億五千二百五十万三千円でございますが、大臣から説明がございましたように、三十四年といたしましては四カ月分を計上いたしてございます。
それから二番の事務費ございますが、これは全体で千八百人、そのうち厚生省年金局の職員として六十人を予定いたしておる次第でございます。
三十二番目の留守家族等援護費、これはだんだん対象人員が減って参っておりますので、金額としては減額に相なっております。ただ、前年十月から留守家族手当の引き上げがありましたので、その平年度化による要素も入っております。それからなお、本年におきましても留守家族手当の法律の延長を見込みまして、八月以降の延長分として一億九千八百三十八万二千円を計上いたしてございます。
それから三十三番の戦傷病者戦没者遺族等援護費におきましては、昨年十月から年金額の引き上げがございましたが、これが平年度化いたしましたので、七億六千百七十二万円の増と相なっております。
次の三十四番の国立公園等整備費におきまして若干減と相なっておりますが、これは一般の節約方針と、二番の国民公園の整備費はこれは新宿御苑の温室の経費がそのまま落ちましたので、かような結果、全体として若干減に相なっております。
三十五番の国立女子教護院設置費、これは新規でございまして、予定収容定員百人の施設を国立で作るという、初年度は設備費のみでございます。
その他の厚生省関係の諸経費が二十七億九千六百四十六万六千円、かような結果に相なっております。
次に参りまして、特別会計でございます。
まず、二十三ページの厚生保険特別会計の予算要求額でございますが、これは摘要にございますように、被保険者数が、健康勘定におきまして全体として三十二万人ほどふえるという要素、それから標準報酬の平均額もふえていくという結果、一人当りの保険料の年額というものが前年度よりふえている次第でございます。なお、保険料率は現在の健康勘定の財政状況とにらみ合せまして、三十四年六月から千分の二引き下げて千分の六十三にするということで予算を組んだのでございます。
それから次のページに参りまして、これは変ったことはございません。
それから歳出におきましては、保険給付費といたしまして、前年度より六十六億三千二百三十二万五千円の増と相なっておりますが、これは被保険者一人当りの医療費が、前年度は医療費の引き上げは五カ月分計上いたしておりまするが、これも平年度化並びに一般の上昇傾向というものを見まして一人当りの医療給付費を八千四百四十四円として計算いたした次第であります。
それから次の二十六ページへ参りまして、日雇健康勘定でございます。これも被保険者の対象人員が若干ふえるという要素を見込みまして、保険料収入におきまして三億九千六百二十一万円の増と相なっております。保険料は前年通りでございます。
それから一般会計よりの受け入れが五億九千四百八十七万五千円ふえておりますのは、先ほど申し上げました保険給付に対する繰り入れがふえたということでございまして、先ほど申しました医療給付費については二五%が三〇%に上ったということ、それから現金給付につきましては、従来三分の一であったのが三〇%、こういうことになっておりますが、全体として現金給付の占めるウェートが非常に低いわけでございます。ひっくるめて十分の三にしたということは、全体としては繰り入れがふえる結果と相なっております。
それから二十八ページに参りまして、保険給付費、これは日雇保険の現況に照らしまして、一人当りの医療費が相当大幅にふえて参っております。その結果、前年度に比し十一億一千七百九万八千円というような相当大きな増加を見込んでおる次第でございます。
次は年金勘定でございますが、年金勘定におきましては、被保険者数が伸びを見ると同時に、平均標準報酬の月額が大幅に上った計算をいたしておりますが、現在の標準報酬は、三千円から一万八千円ということに相なっておりますのを、三十四年の六月から三千円から三万六千円に引き上げる、標準報酬のワクを引き上げるという要素が入っておりますので、平均標準報酬の月額が相当大幅にふえておる次第でございます。なお、保険料率につきましても三十四年六月から従来の保険料率を引き上げるという要素を含んでおります。普通の場合につきまして従来千分の三十でありましたのを千分の三十五に引き上げる、こういう要素が入っております。女子は前年通りでございますが、坑内夫につきましてもそれに準じました引き上げを予定いたしておる次第でございます。それで年金勘定におきましては二十九ページの一番頭のところでございますが、保険料収入が前年度に比し百七十三億四千三百万円大幅に増額と相なっておる次第でございます。この給付費との差額が結局積立金として残っているわけでございます。御参考までに申し上げますと、最近の実績、三十三年の十二月末におきまして、厚生保険の積立金の総額が二千六百八十九億円と相なっております。
それからあとは、三十二ページ以下は、厚生年金保険の業務勘定、一般の人件費並びに事務費等でございますので、省略さしていただきます。
それから三十五ページに参りまして、船員保険特別会計の予算でございます。これも被保険者の伸びと同時に、標準報酬月額は、標準報酬につきましては船員保険は従来通りのワクでございます。ただ、保険料率を三十四年の六月から操作するという見込みが入っておりまして、これは摘要にございますが、普通保険分につきましては、まず疾病分の保険料率、従来千分の九十四であったのを一下げて九十三にする、年金分につきましては従来千分の四十九を七上げまして千分の五十六にする、こういう要素が入っております。福祉施設分、事務費分が前年通りでございまして、なお、失業保険分につきまして従来の千分の十四を千分の十一と、千分の三だけ下げる、かような要素が織り込まれておる次第でございます。
それから三十六ページに参りまして、疾病部門に対する繰り入れは一億円、その次の失業給付については、先ほど申し上げましたように、国庫負担が三分の一から四分の一に減らして計算してあるということでございます。そのほかの要素は変りません。船員保険の歳出につきましても、従来の例によりまして、実績から伸びを見ておるわけでございます。
それから三十八ページに参りまして、国立病院特別会計でございますが、これは先ほど申し上げましたように、医療費の引き上げによりまして収入が相当ふえて参っておりまして、前年度予算に比べて六億四千三百四十六万一千円の増として見込んである次第でございます。
それから三十九ページに参りまして、これは所要経費のそれぞれの内訳でございますが、これはあまり変ったことはございません。
それから最後にアヘン特別会計でございますが、これも変った要素はございませんが、ただアヘンの購入価格が、毎年輸入分につきまして相当上っておりまして、それを見込みまして、購入価格並びに売り払い代金の増というものが変っている、それ以外に変った要素はございません。
非常に簡単でございますが、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00719590203/8
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009・久保等
○委員長(久保等君) 本問題に対する質疑は、次回以降にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00719590203/9
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010・久保等
○委員長(久保等君) それではさようにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X00719590203/10
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