1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月十七日(火曜日)
午前十一時三十九分開会
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委員の異動
二月十六日委員坂本昭君及び小柳勇君
辞任につき、その補欠として阿具根登
君及び吉田法晴君を議長において指名
した。
本日委員草葉隆圓君辞任につき、その
補欠として高野一夫君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 久保 等君
理事
勝俣 稔君
柴田 栄君
常岡 一郎君
委員
小林 英三君
紅露 みつ君
斎藤 昇君
高野 一夫君
谷口弥三郎君
西田 信一君
横山 フク君
阿具根 登君
片岡 文重君
藤田藤太郎君
吉田 法晴君
竹中 恒夫君
衆議院議員
海外同胞引揚及
び遺家族援護に
関する調査特別
委員長 田口長治郎君
山下 春江君
北條 秀一君
国務大臣
厚 生 大 臣 坂田 道太君
政府委員
厚生大臣官房長 森本 潔君
厚生大臣官房会
計課長 山本 正淑君
厚生省公衆衛生
局長 尾村 偉久君
厚生省医務局長 小澤 龍君
厚生省薬務局長 高田 正巳君
厚生省社会局長 安田 巖君
厚生省保険局長 太宰 博邦君
厚生省引揚援護
局長 河野 鎭雄君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
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本日の会議に付した案件
○未帰還者に関する特別措置法案(衆
議院提出)
○社会福祉事業法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○社会保障制度に関する調査の件
(昭和三十四年度厚生省関係予算に
関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/0
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001・久保等
○委員長(久保等君) これより社会労働委員会を開きます。
委員の異動を報告いたします。二月十六日付をもって、坂本昭君及び小柳勇君が辞任し、その補欠として阿具根登君及び吉田法晴君が選任されました。
二月十七日付をもって、草葉隆圓君が辞任し、その補欠として、高野一夫君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/1
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002・久保等
○委員長(久保等君) 未帰還者に関する特別措置法案を議題といたします。御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/2
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003・吉田法晴
○吉田法晴君 未帰還者の中で消息を明らかにし得ない者について、特に留守家族の希望を参酌して宣告をする者の待遇等について法案が出ておるわけでありますが、資料を拝見いたしますと、去年じゅう国その他との間の未帰還者調査に関する対外交渉経過一覧表をいただいておりますが、この資料なり経過に関連をしてお尋ねしたい点が一点ございます。これは提案者に対する質問というよりも、むしろ厚生省にいたしたいところでありますが、従来、政府から、特に中国に対して行方不明者等の調査を依頼せられました場合に、戦争中の蒋介石時代の点については責任を持ってお答えをすることはできない、責任を持つことはできない。しかし、できるだけ照会に対しては、具体的な人をあげての照会に対してはできるだけ調査をしよう、こういう態度でこられておりますが、これに関連をして、こちらから、日本の国民として中国で行方不明になった者についてはできるだけ調べていただきたい、あるいは調べようということがいわば民間団体と申しますか、三団体なり、あるいは赤十字等からいろいろされておりますが、そうしてそれに対してできるだけの調査、照会がなされておりますけれども、これに関連をして、日本側から、戦争中参りました強制的に連行をされて、鉱山その他の強制労働につかされたいわゆる華人労務者の事情調査については、中国の国民が非常に関心を持ち、あるいは政府としてもその事情を知ることを切望しておられますが、外務省に名簿等があるにかかわらず、従来、日本側からは、この華人労働者の事情調査について何ら誠意が示されなかった。で、こちらから日本の国民として調査を依頼したい、あるいは調査をしてもらいたいというのならば、こちらからもできるだけ日本にありました中国人その他の事情についてこれは調べてあげるのが当然だと考えられますけれども、従来の政府の態度というものは、あるものも出さぬ、こういう事態がございましたが、この際、政府のこの問題についての考え方を承わりたいと思います。ざいますが、まだそれの取りまとめができておりませんので、結果を申し上げるところまでいっておりません。
それから第三回目の手段といたしまして、ことしに入りましてからまた大きな━━大きなといいますのは、比較的多数の労務者がおっただろうと思われる事業所のある府県を呼びまして、さらに具体的な調査方法を指示いたしまして、目下、極力名簿の整備につきまして関係府県を督励をいたしておるような次第でございます。
私ども事務の目標といたしましては、一応、本年度末までにできるだけの調査を終えたいというふうなことで極力やっておりますので、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/3
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004・吉田法晴
○吉田法晴君 遺骨の調査と、それから華人労働者全部について調査をなされておるのだと思うのですが、私ども、遺骨の調査について各府県当り照会が出たことは知っております。今は遺骨とそれから全部の事業所について、府県を通じて照会をしておるということなんですが、本年度幾らの予算が見てあり、それから本年度末まで云々ということですが、今のような調査の仕方では、本年度末まで全部について調査が終るかどうかわからぬ。そうすると、来年度についてどういうように予算措置もし、準備しようとしておられるのか承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/4
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005・河野鎭雄
○政府委員(河野鎭雄君) 本年度スタートいたしますときは、書面照会でございますので、最初は予算措置をとらないでやったわけでございますが、その後、やはり足にものをいわせて、事業所を回って調べるということでなければならぬということで、予備金を約二百万円ほど計上いたしまして、主として旅費でございますが、本年度中に調査を終るという目標でやっておるわけでございます。何といいましても、名簿と申しますか、どういった人がなくなったかという人の名前を明らかにすることがまず先決であろうということで、本年度はそこに目標を置いて仕事をいたしておるわけでございます。来年度予算につきましては、一応調査が終って、今度いよいよ収骨をするというような作業に移るという建前で予算を組んでおります。今度の予算で二百万円余りの予算を計上いたしまして、これは主として収骨作業、収骨を行うという建前で参りたい。かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/5
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006・吉田法晴
○吉田法晴君 私、先ほど外務省に資料があるということを申し上げたのですが、私自身も外務省について現物を確認してあると申し上げたわけではないのです。しかし、外務省にあるというものを写真にとったものがございます。これは御承知であろうと思います。で、問題は遺骨の調査あるいは送還にいたしましても、あるいは行方不明、戦争中に強制労働に従事いたしました華人労務者の事情調査についても、民間団体で今までやって参りましたそういう方面のこれは資料がございます。今まで遺骨調査なりあるいは送還、あるいはその他の華人労働者の事情調査等について民間がこれだけやって参り、それから送還についてもあるいは中国における行方不明者の調査、あるいは帰国その他についても、今まで政府が、これは中国に対する態度もありますけれども、この問題についても本腰でなかったために、民間段階で、結局、依頼をし、あるいは調査をする。こういうことでやって参りましたから、従来の関係団体の協力なしに、政府だけでおやりになろうといったって、あるいは府県だけを通じて通牒を出すということで実際にいくはずがありません。そこで民間団体の協力を得て、日本側としてやるべき調査を進める。こういう方針でなければならないだろうと私は考えるのですが、その点についての政府の方針を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/6
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007・河野鎭雄
○政府委員(河野鎭雄君) お説の通り、従来民間団体でやって参ったことでございます。政府がやるにつきましてどういうふうなやり方をするかということになりますと、要は目的を達成するというところにあると思うのです。対府県、対事業所に対する関係、いろいろ微妙な問題もございますので、ただいまのところは、政府と公共団体と協力してやるという態勢で実施をいたしておるわけです。その方がむしろスムースにいくのじゃなかろうかというふうな考え方を持っておるわけです。今まで民間団体でおやりになっておりました調査の成果というのも大体私の方でわかっておりますから、ただいま申し上げましたような線でいきたいと、かように考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/7
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008・吉田法晴
○吉田法晴君 ちょっとはっきりいたしませんが、大臣もおられますから申し上げておきたいと思うのですが、これは政府間では従来うまくいかなかった。しかし、日本の民間団体も遺骨の調査、収集、送還、それから行方不明者の調査、これをこちらでもやる。向うでも、向うは民間団体だけでなくって、紅十字会、政府等も協力してくれているのですけれども、要するに、これは国民と国民といいますか、あるいは民族と民族とのいわば友好関係が、これは人道問題に関連します友好関係が事実打ち立てられてきた。大へんおくれて、昨年の後半になってようやく政府も動き出した。しかしながら、文書で照会をするというような、いわばおざなり的なやり方でやられた。それでいかぬものだから、二百万円計上したということですが、従来のやはり実績なりあるいは最善の努力をして参りました民間団体の協力なしには実際に残っている遺骨を発見し、あるいは従来わかりにくかったところの事情を調査するのですから、これは民間の、そういう過去において成果を上げて参りました民間団体の協力なしには進まぬと考えますが、その点は、局長からあった答弁は少しはっきりしませんでしたけれども、民間団体の協力を得て進めていくという方針を一つはっきりして、国民あるいは民族としての責務を果していただきたい、こういうふうに考えるのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/8
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009・坂田道太
○国務大臣(坂田道太君) お答えをいたしますが、やはりこの問題は、最後の確認をいたしますには、やはり政府として確認をいたさなければならないので、必要に応じまして、私はやはり今までやられました民間団体の成果というものも、われわれとしては一つ考えまして、そして、最後の確認というものはやはり政府がやっていくということでなければならないのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/9
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010・吉田法晴
○吉田法晴君 あまりこの問題を長くやるつもりはないのですが、今までやってきた民間団体の努力を、その効果だけをちょいと取り上げる。こういうことでは、これはこれからの困難な遺骨収集調査なりあるいは行方不明の調査というものができるわけがありません。心から今までの功績について、将来はとにかく、民間で自分で金を使ってあるいは山の奥にとにかく足を踏み入れて、そうして調査をしあるいはこの収集、送還をしているのですから、心からこの民間団体の努力というものについて敬意を払い、そうして心からなる協力によって、初めて今後の困難な調査が進むのですから、その点は要望いたしておきますが、成果をすくい上げるというようなやり方でなくて、ほんとうの協力態勢を、頭を下げての協力態勢を一つとっていただきたいということを要望いたしておきます。
それから、これは局長にですが、多く使っておった民間会社なり民間団体なりに照会するということですが、その当時の労工協会の責任者であったという人もなお現存をしておられ、あるいはそういう人がむしろ遺骨をどっかに隠したのではなかろうと思うのですが、持って回っておった、こういうような事態もありますので、こういう方面こそ、これは政府としては協力を求められる手もあろうと思う。そういう意味で、民間団体の心からの協力をお願いしたいということを申し上げるのですが、もう一つ指摘をいたしておきますが、昨年北海道の山の中から出てきた劉連仁の問題がございます。これは外務省というより、むしろ政府、官房長官に折衝してその事情を明らかにし、これを戦争中に強制連行された華人労務者の中の一人としてその生きた証人といえばあれですが、遺骨でなくて、生きた人なんだから、これに関連をいたします華人労務者の事情の調査、それから責任を明かにするところは責任を明らかにし、あるいは悪かったところは悪かったとして、そして劉連仁氏についても、政府の謝罪の意思を表明して、そして手厚く取り扱って送り帰してもらいたい、こういう要望をしたのですが、政府では、山の中におられたということについては、その苦労に慰労の言葉をかける、あるいは何かわからぬけれども何がしかの金を、十万円ほどだったと思いますが、金を出す、こういうことをやられましたが、劉連仁氏を含む全部の華人労働者について、戦争中のことでありますけれども、日本の政府として、あるいは国民として、責任を感じ、そしてその事情を明らかにし、謝意を含めて丁重に送り帰す、こういう態度ではなかった。これは御存じだと思います。こういうことでは、中国に対して向うの行方不明者を調査して下さいと言ったって、これは責任上もできませんけれども、これでは向うに対してできるだけ調査をお願いしたいと言える態度ではなかろうと思うんです。劉連仁氏の問題と、それからその他の遺骨あるいは華人労働者の行方不明調査について、同じであるとは言いませんけれども、似たようなものが従来ありまして、これは、私は日本政府あるいは日本国民自体の態度ではなかろうと思います。この点については、根本的に私は、政府の態度が変って、悪かったところは悪かった、それからそのあやまちの調査についても全責任を負う、こういう態度でなければなるまいと思うのでありますが、劉連仁氏の問題を含み、遺骨あるいは華人労働者の調査について、もっと根本的に態度を改めて、民間団体の協力をも得て調査を進めるという態度でありますのかどうか、重ねて承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/10
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011・河野鎭雄
○政府委員(河野鎭雄君) 従来の事業所におった人について、遺骨その他死亡者の調査をやるというようなことは、お説の通り必要であろうと思います。ただ、古いことでございますので、そういった人がなかなか思うように見つからなかったりなんかするようなことがございまして、意にまかせない点もございますが、その点は、御指摘のように、当時労務者の扱いをした人たちの話もできるだけ経路をたどって引き出すようにいたしたい、こういうつもりでおるわけであります。
それから、劉連仁の問題についてもお尋ねがございましたが、私ども厚生省といたしましては、丁重にお帰しするということは担当したわけでございますが、その当時の責任関係がどうのこうのというような問題になりますと、実は厚生省としては処理いたしかねる事柄でございますので、そういうふうな角度からこの問題に実はタッチしておりませんので、この点は御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/11
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012・吉田法晴
○吉田法晴君 厚生大臣に、お話は聞いておられると思うのですが、大臣の意向を承わりたいのですが、行方不明者の調査についても、日本側としてやるべきものをやらないで、あるいは中国を敵視し、事情の調査を中国側の責任であるかのごとくするために調査を依頼されるという点もあったろうと思うんです。が、昨年の劉連仁問題、これは、私どもの方の所管だと言われませんけれども、しかし、問題は、帰還だとかあるいは行方不明者の調査だとか、そういう問題は、私どもは、人道問題としてこれは双方の国民がその最善を尽さなければならぬと考えております。ところが、昨年の劉連仁氏についての政府の態度というものは、これはまあ外務省あるいは政府と、今逃げられましたけれども、しかし、実際に人道問題全部のあれから言いますと、これは厚生省も知らぬというわけにいかぬと思う。この問題について、中国側では非常に怒っている、劉連仁氏を含んで。そうしてなお、今日まで劉連仁氏の問題についての責任あるいは賠償、これは他の華人労働者を含んで要求をされ、あるいは大会が持たれたりしておりますけれども、日中間の一つの問題、人道上の問題に関連する一つの重要な問題、厚生省はおれの方は知らぬというわけにはいかぬという問題です。劉連仁氏の問題についての厚生大臣の所見も承りたいし、それから他の日本側でやるべき遺骨の調査あるいは労働者の調査その他行方不明者の調査の問題について、厚生大臣の意思、決意を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/12
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013・坂田道太
○国務大臣(坂田道太君) ただいまの御質問でございまするが、実は劉連仁の問題については、私つまびらかにはいたしておりません。しかしながら、ただいまお話を承わっておりますれば、大体様子はわかってくるのでございますが、やはりそれらの問題につきましては、仰せの通り、人道上の問題でございまするので、いろいろの問題はありましても、われわれ政府としましては、やはり丁重に送り帰すという趣旨には私どもも賛成でございます。ただ、そのときの事情等を私つまびらかにいたしませんで、はっきりした御答弁ができないと思いますが、こちらから中共の方々にお願いをして日本人のまだ行方不明になっておられる方々を探してそうしてお帰ししてくださいと言うからには、やはりこちらとして日本においてなくなられた方々等の調査についても政府としてやるということは私は当然なことであるというふうに思いますし、その基礎の上でなければ、やはりこういった問題は解決できないというふうに私も考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/13
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014・吉田法晴
○吉田法晴君 重ねて最後におそれ入りますが、劉連仁氏の問題について責任を明らかにし、それから賠償という言葉が使われておりますけれども、劉連仁氏に関連する日本の責任というものが明らかにせられておらぬ。うやむやのうちに帰された、こういうことで問題が残っておりますので、劉連仁氏の問題についても責任を明らかにし、それからこれは国民の代表は政府ですから、政府として賠償等の責任を果すことをやらなきゃならぬと思うし、それから劉連仁氏は華人労働者の中の一人として来られた。これは明治鉱業の資料の中にも明らかになっておる。従って、遺骨調査なりあるいは華人労働者の事情調査について、政府の中にも一部あるくらいですから、全国的に最善の調査をし、それからそれについての責任を明らかにすることで日本国民の過去における罪忌の責任を果すという態度を願いたいと思う。それから、同じことであるいはベトナム等についても、向うから調査をして送り帰すということが行われておるわけでありますが、他のベトナムその他の国々においても同じ事情にあると思う。こちらの責任を果し、悪かったところは悪かった、それから謝罪するところは謝罪する、あるいは賠償と申しますか、責任を表明をする方法も考える、誠意を尽す、こういうことでなければならないと思うのであります。それらの点については、従来とも多少事情調査等はやっておられたけれども、十分じゃございません━━十分じゃございませんから、新しい大臣はこの際、はっきり日本の責任を果すというように督励をし、厚生省として行方不明その他についてはわれわれは責任はないのだという、こういうことじゃなくて日本の国民の代表として行方不明者の調査なりあるいは帰還その他については、これは厚生省の責任になっているのですから、厚生省で一つ責任を持って事情を明らかにし、質任を果す、こういうふうに願いたいという要望を申し上げたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/14
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015・久保等
○委員長(久保等君) 他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/15
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016・久保等
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見等のおありの方は、討論中にお述べを願います。
他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/16
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017・久保等
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。
それではこれより未帰還者に関する特別措置法案について採決いたします。本案を原案の通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/17
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018・久保等
○委員長(久保等君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/18
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019・久保等
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/19
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020・久保等
○委員長(久保等君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/20
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021・坂田道太
○国務大臣(坂田道太君) ただいま御可決いただきました未帰還者に関する特別措置法につきましては、今後とも政府といたしましても、十分その趣旨に沿いまして参りたいと考えておるような次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/21
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022・久保等
○委員長(久保等君) 次に、社会福祉事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/22
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023・片岡文重
○片岡文重君 政府から出されました社会福祉事業法の一部を改正する法律案でありますが、これを拝見すると、精神薄弱者が従来児童福祉法によって収容されあるいは援護されておった子供たちが十八才以上になった場合の措置として、これを収容をして社会に不安なからしめると同時に、精薄者自体にも安住の地を与え、かつ、回復のすみやかなるような措置を願って出されたものと拝見するのでありますが、申し上げるまでもなく、精薄児の取扱いは事人権に関する問題であり、たまたま不幸にして通常能力を持たずして生活をする子供たちでありますから、これらの者に対しては国家の施設としてあとう限りの保護を、保護といいますか、援護を与うべきでありますが、残念ながらいまだ十分な措置は取られていないようであります。ことに十八才以上となりますと、これは全く援護の手が打ち切られておって、そのまま社会に放置せられる。従って、本人の不幸は言うまでもなく、これによって社会にも幾多の悲しむべき不幸を招来いたしております。そういう点から言えば、この法律の改正は、長い間希望しておった私どもとしては非常に賛意を表するものであり、これに努力を払われた当局の御気持、努力に敬意を表するにやぶさかではありません。ただ問題は、この予算に計上せられましたものを見ると、どうも提案者自体これで満足ともちろんおっしゃっておられないだろうと思いますが、一体、本法改正によって救われる対象となる方々は、施設でどの程度、それから精薄者でどの程度の方に恩恵が与えられるのか、それを一つ数字的にまずお示しをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/23
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024・安田巖
○政府委員(安田巖君) お話しのように、今度の予算はわずかに国費といたしまして二千五百万円ばかりでございますので、私どもの当初考えておりましたものと比べましても数は少いわけでございます。収容定員百人の施設を二カ所と考えておりますが、しかし、場合によりましては七十名程度にいたしまして、全国三カ所ぐらいにいたしたい、こういうふうな計画でございます。そこで一体この精神薄弱者というものが日本にどのくらいいるかということがその前に問題になるわけでございますが、ただいまのところでは、昭和二十九年の厚生省の公衆衛生局において調べました調査しか案は確たるものはございません。それによりますというと、知能指数が五十以下のいわゆる痴愚━━白痴と称するものでございますけれども、これが大体五十八万人、こういったような数字が出ておるわけでございます。それが大体半分半分で、十八才未満と十八才以上の者とに分れるわけでございます。そのうち収容を要しますものとされております者が、大体十八才以上でございますと六万六千人くらい。これを主として調査員が、本人の症状とか、家庭環境等について調べたもので、統一的な数字はございませんけれども、そういったような方法で調べまするというと六万人くらいいる、こういったところでございます。私どもの計画といたしましては、ここで御審議願いますような施設を、とりあえず一つ全国の各府県に一カ所ずつ置きたい、こういうのが私どもの希望計画であるわけでございます。幸いに御審議をいただきましてこの法律が通りますならば、今後また一そうこの問題に力を入れてやりまして、私ども考えておりますような、小さい計画ではございますけれども、とりあえず全国に五つくらいは持っていきたい、こういうのがただいまの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/24
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025・片岡文重
○片岡文重君 大臣に一つこの際御所見を伺いますが、今局長からお話がありましたように、施設に収容を必要とする精薄者で、しかもこれはIQ五十以下だ、それだけでも六万六千ある。この政府から配られました資料によれば六万六千五百と記載されております。ところが、今局長の御説明によりますると、かつまたこの提出されました予算書によりましても、今回の予算は二千五百七十万円である。そして百人程度のもの二ヵ所ないしは七十名程度の収容施設を三カ所くらい作りたい、こういうお話であった。六万六千五百人に対して大体二百人ないし三百人という施設の作り方、これはもう議論の余地は私はないと思うのですが、これに対して将来どういうふうにお考えになられるのか、もっとこれを年々急速に増設されるお考えなのか。あるいは三十年でありましたか三十一年でありましたか、重精薄児童の収容施設━━百人です、これを所沢に一カ所作られました。これは児童局長その他が中心となって非常な御努力をしていただいたようです。この数もまた、これはもっと大きな数であったと思いますが、はっきりした数字を記憶しておりませんから、あいまいのことは申し上げませんが、確かにこの六万六千よりも大きな数です。それに対して百人の収容施設を全国で一カ所設けられた。そのときの御説明では、時の厚生大臣は、これを起点として毎年作っていくがごとき御説明があったと私記憶いたしております。ところが、その次の年になりますると、これはモデルケースとして作ったものであってその成り行きを見て、経過を見て作ることにして当分は作りませんと、こういうことで、現在これは停頓しておる。こういうやり方では、ほんとうに国民に対して重精薄児の収容施設も作りました、精薄者の収容施設も二カ所も三カ所も作りました、こういうことは言い得るでしょう。作らないとは言えません、作ったのですから。しかしながら、その作られた内容たるや、まさにこれは二階から目薬にも及ばない。確かに結核あるいはガン、高血圧等の方々の治療あるいはその症状回復等に対して非常な手を伸ばさなければなりませんが、こういう精薄者あるいは精薄児等に対する施設援護等は、これは自己の意思によって独立し、あるいは自活していけない、しかもそれによって直接的には自分たちの親兄弟、家庭にまず不幸をもたらし、ときには社会に与える不幸もなしとしないのですから、これらに対してはもっと思い切った私は施策が伸べられてしかるべきだと思うのです。しかるに従来のやり方はとかく名目だけは作っていくけれども、内容がこれに伴わない。むしろ考えようによっては、はなはだ不都合の私はやり方ではないか。やりましたということだけ言っておいて、実質は非常にこれに、やりましたという言葉には伴わないやり方をしておる。こういうことは私は政府のやり方としてははなはだ好ましくないと思うのですが、今回の精薄者の施設の設置に当って、一体厚生大臣はどのようにお考えになっておられますか。この予算編成にはあるいはタッチされなかったかもしれませんけれども、少くとも今後厚生省の所管大臣として、これらの厚生行政を見ていかれる立場にあられるのですから、はっきりしたお考えを持っていかなければなりませんので、隔意のない御所見をこの際伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/25
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026・坂田道太
○国務大臣(坂田道太君) お答えを申し上げます。片岡委員からのお話は私も全く実は同感に考えておるわけでございまして御承知のように、私も予算編成の後に厚生大臣になりましたわけでございますが、私もかねがね実は文教委員といたしまして、精薄児の教育という問題につきましては、非常に私これではいけないということで、実は一昨年になりますか、精薄学級というものを、わずかではございましたけれども、初めて予算に計上することに努力をいたしました経験も持っております。もちろん本年度の予算におきまして相当にこれは増額をされて参ったのでございますが、私の気持といたしましては、これでは解決できない多くの問題を持っておる。ただ、また精薄の学級だけではだめだ、やはり精薄収容施設というものの学校というものをブロック別あるいは将来に当っては県別というところまでいかなければならないんだというような気持を持っておったわけでございまして、はからずも、今回厚生大臣になりましたので、片岡委員と全く同感の気持を持っておりますもので、これくらいの予算では、今お話の通り六万何千人かの方々をただいますぐ収容するという段階には至っておりませんけれども、今後大いにこの面に私は努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。また同様に、重症精薄の国立施設に対しましても、私は決してこれで十分だというふうには考えておりませんので、これらをあわせて一つこれらの精薄の児童並びに精薄者の方々、どうしても自分の力では立ち上ることができない人たち、そういった方々に対して、社会なりあるいは国なりが、施設なりあるいはそれらに対する幾分なりともの職業指導というようなものもやっていくということが私は必要であるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/26
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027・片岡文重
○片岡文重君 全く今後の御努力は、厚生大臣となられたならばせざるを得ないというお気持に私はなられると思う。それが当然だと思います。しかし、いつも御答弁としては、おおむねそういう御趣旨の御答弁を伺うのですが、残念ながら担当大臣がかわられるたびにこの方針がぐらついて参ります。特に精薄者問題については数年前からしつこく私も希望申し上げておるのですが、たしか神田厚生大臣であっ度の鑑別ということが一番大事になると思います。と申しますのは、現在でも約二千名全国の精神病院に入っているわけですが、この精神病院と、第一にこういう収容施設というものの区別ということも一つの今の御質問の趣旨に合うかと思いますが、これは精神病院の場合に非常に同じ精薄でも重度の者の場合には、措置入院の対象になります。これが二人以上の鑑定医の判定を要するわけであります。それから保護者の同意入院、それから自発入院の場合は、これは精神病院長の専門的な鑑別によって入ります。従いましてそれより軽いものということが、まず精神科の医師の判定で差別がされ、その中で教育的なまだ価値があるとか、あるいは家庭の環境状況というようなことで、今の調査員等の調査もあわせてやるのが一番適当ではないか、かように私の方では考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/27
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028・片岡文重
○片岡文重君 では将来この施設ができた場合に、これから収容をするというときになっての人選は、従来通りの公衆衛生局でおやりになったそういう方々を調査員としてお使いになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/28
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029・安田巖
○政府委員(安田巖君) 今申し上げましたのは、公衆衛生局で二十九年に調査いたしましたときに、いわゆる調査をいたしました過去の事実を申し上げておるわけでありますけれども、新しくやります場合には、やはり福祉事務所を中心にいたしまして、その鑑定と同時に、福祉事務所でできません技術的な鑑定につきましては、たとえば児童相談所のそういった専門の方を使うとか、あるいは精神病院の特定のものを指定してお願いするとかというような方法でやりたいと思っております。しかし、手続その他につきましては、福祉事務所が中心になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/29
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030・片岡文重
○片岡文重君 福祉事務所が中心であったというようになるということであれば、民間の方々にもやはり相当私は援助を仰がなければならぬようにどうしてもなってくると思うのですが、それに関連して思われるのは、相談員あるいはその他の社会福祉関係の民間の委嘱された委員の方々に対する手当というものが、非常にこれは厚生省関係ばかりじゃありませんが、特に厚生省関係のこれら民間の各委員の方々は精神的な奉仕であるということで、委員になられた方々は割り切っておられるかわかりませんが、実費もまかなえないような状態で奉仕されておる、これは文字通り奉仕をされておると思います。これに対して厚生省はもっと活発に、少くとも自己の物質的な負担なしに動けるような措置を大幅に考えてやるべきではなかろうかと思う。年々そういうことは私どもとして強く考えられるのですけれども、予算の上にはあまりそういう点が見えておらないようですが、これを機会に、一つそういう面についてやはり思い切った措置をとっていただいて、少くとも自分の家庭を犠牲にし、自分のからだを犠牲にしてかけずり回っておられますから、それの上に、なお経済的な負担まで負わせる、あるいは報いるところあまりにも少いというようなことでは、やはり福祉活動にも影響すると思いまするので、この点について実費弁償なり、諸手当なり、その待遇の面に、厚生省としてもう少し考えるべきではないかと思いますが、御所見を一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/30
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031・安田巖
○政府委員(安田巖君) 今のお話の、民間の奉仕者の代表的な者を申しますと、いわゆる民生委員、指導委員でございますので、そういうところからお話しして参りたいと思いますが、お話のように、非常に実費弁償その他がずっと少いわけでございますが、ただ、現在国としてやっておりますのは、例の世帯更生資金あるいは医療費の貸付資金等末端においていろいろお手伝い願っております関係上、そういった意味の協力の費用といたしまして昨年三千二百万円ほどのものを出したわけでございます。明年度におきましても、そのうち約年間三百円ぐらいのものを実費弁償として差し上げたいというわけでございます。そこで、そういったボランティア━━民間の篤志家の社会奉仕ということをどういうふうに考えるかということは、非常に大きな問題でございまして外国にもそういうものはあるわけでございますが、今の建前から申しますというと、この民生委員に要する費用は、実は府県が大体まかなうようになっておりますので、国からはその程度しか参っておりませんけれども、府県の方におきまして五百円なり千円というような、これも御指摘のようにごくわずかの金ではありますが、出しておるところもあるわけでございます。民生委員なんかも非常に昔からの伝統がございまして、今お話のように、自分でそういったような社会奉仕をするということに非常に喜びを感じ、また同時に、熱心にやっておる方がたがたくさんおられる、そういうことでございますので、選び方等におきましても自然そういったようなことが、経済的にも、社会的にもできるような人が実はなっておるような状態でございます。しかし、いずれにいたしましても、これをほんとうの民間のボランティアにまかしておくべきか、あるいは国が一部の事務を嘱託したというような格好で、きちんきちんとそれに対するところの報酬なり、手当、実費弁償を差し出した方がいいかどうかということは、根本的に問題があるわけでございますが、今までのところはそういったような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/31
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032・片岡文重
○片岡文重君 当然やはり国として相当の責任を持つべきだと思いますが、これについて大臣の御所見を一つ最後に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/32
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033・坂田道太
○国務大臣(坂田道太君) これからまた十分検討いたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/33
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034・片岡文重
○片岡文重君 なお、質問いたしたいところもありますが、時間が詰まっておるようですから、本日は、私の質問はこの程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/34
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035・谷口弥三郎
○谷口弥三郎君 私から一言お願いしておきたいと思います。
今度精神薄弱者の十八才以上の者をわずかであるけれども、収容されるようになった。しかも大臣は、今後こういう方面には大いに力を注ぐ、あるいは精薄児童の学級増設までおやりになるというような関係から、この方面に特に力を入れていこうというお言葉に対しては、まことに私どもも大いにそれに敬意を表しておる次第であります。
ただ、一言申し上げてみたいと思いますのは、先刻来お話のございますように、二十九年度に精神障害者の調査がございましたが、その後調査が進められておりません結果、私どもの考えでは、精神薄弱者はだんだんふえておると思っております。二十九年ごろでは、一・五ぐらいと言っておりますが、私どもは今はもうすでに二・二パーセントぐらいに多くなっておる。従って、この精神薄弱者の治療法が完全にできておらない今日におきましては、これを予防することが最も必要であると思っております。御承知のように、精神薄弱者の半数は遺伝性の者であり、半数は後天性の者である。しかも後天性のもののうちには、分娩時において難産をした、あるいは未熟児で分娩障害になった。また、最近では放射線障害等、いろいろ起って参りますが、とにかく予防の面に今後は一つ力を尽していただくと、よほどこういう悲しい因ったものの発生が減ってくると思いますから、収容も非常にけっこうでございますけれども、予防の面に一つ今後大いに同時に力を入れていただくようにお願いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/35
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036・坂田道太
○国務大臣(坂田道太君) 谷口先生のお話しまことに私も同感でございまして、やはりこれらに対しましては、予防ということが一番大切だと思うわけでございまして、先天性のものを治療していくということは現在医学が進歩していきます過程において、あるいは解決される面もあるかと思いますけれども、しかしながら、今仰せの通りに、その半数というものがやはり後天性のものであるといたしまするならば、これらの精薄児、精薄者というものをわれわれの力によって防いでいくということが私どもに課せられた重大な責任であるというふうに感じておるわけでございます。それにつきましても、一体どれくらいの精薄児なり精薄者があるかというその実態の把握が残念ながら今日の段階でははっきりしておらないのじゃないかということを私も痛感をいたしておりまするので、この点につきましても、来年度、再来年度の予算等におきまして、私調査費等を取るように努力をいたしたいと思います。まあ、わずかではございますけれども、精薄児につきましては、三十四年度に実態調査費が百二十万円計上されておりますることも御報告を申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/36
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037・吉田法晴
○吉田法晴君 詳細な質問は他日に譲ることにして、簡単なものをちょっと伺っておきたいのですが、三千万円で各県に一つずつぐらいの目標で作っていきたいということですが、社会福祉事業法の中にこの精薄者の援護施設を第一種に入れるということになりますと、民間施設についても提案理由の助成の対象になってくると思うのですが、各県に一つ二つずつ作っていると間に合わぬと思うのですが、民間でこういう社会事業をやろうとするものについてどういう助成の態度をとられようとするのか、あるいは共同募金か、あるいは年賀はがきの収入云々とありますが、これは民間の協力を相当得なければなりませんので、これについてどういう方針でありますか、それが一つ。
それから先ほど大臣から学校についても精薄児の特殊学級を作ることに努力したということですが、高等学校はまだ十分できておりません。それから特に十八才以上云々もそうですが、何と言いますか、授産、職業訓練なり、あるいは仕事を覚えさせるということは小学校のときから意を用いられると思うのですが、特に十八才以上の者について、この施設について職業訓練をどういう工合に入れていこうとせられるか、これは金を要する問題でございますから、その点について、二点だけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/37
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038・安田巖
○政府委員(安田巖君) 大へん大事な御質問でございまして、第一点の民間の方の施設はどうするのだということでございます。今年は取りあえず府県の分を予算を要求いたしまして、そうして各府県に公立のものを一つずつはぜひ作りたいという最小限度の要求は出したのでございますが、明年度以降におきましてはそういった民間の施設は、特にこういう施設というものは、民間のそういうことについての経験を持った熱心な人がやるということは非常に大事なことでありますので、そういったようなことは、明年度は私どもも予算要求として出してみたいと考えておるのであります。
それから第二点でございますが、これはやはりいろいろどういう職業を教えたらいいか、どの程度の能力があるかという調べがあるわけでありますが、それはそれといたしまして、困難な仕事でございまして、私どもは大体二年ないし三年くらいで適応性をつけてやりまして社会に出していきたいと思いますけれども、しかし、それがなかなかできない場合があるわけであります。そういう場合にはやはり収容授産施設のような格好で長くそこにとどめておき、その施設の中で仕事をしながら暮させていけるというようなことも考えなければいけないのではないか。そこでこれは将来の計画といたしまして、先ほど片岡先生からお話がありましたときに申し上げたのでありますが、そういったような能力に応じまして、あるいは知能指数の違いに応じまして施設を異にするということが理想であろう、こういうふうな考え方をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/38
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039・久保等
○委員長(久保等君) 本件に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり」〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/39
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040・久保等
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/40
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041・久保等
○委員長(久保等君) 次に、社会保障制度に関する調査の一環として、昭和三十四年度厚生省関係予算に関する件を議題といたします。御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/41
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042・阿具根登
○阿具根登君 国立病院の統合廃止に関する問題で、筑紫病院と福岡病院の統合、和歌山病院の廃止、埴生療養所の廃止、こういうことが現在非常に問題になっておるようですが、まず基本的な考え方ですね、統合廃止に関する問題でございますが、統合して縮小する腹なのか、あるいは統合してそれを整備拡充する考え方なのか、それが第一点。
それから特にこの福岡の統合の問題でありますが、福岡の統合をされる場合に、時間がないので結論から申し上げますが、何でわざわざ狭いところをお選びになったのか、そういう点について、一つ基本的な考え方を一応お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/42
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043・小澤龍
○政府委員(小澤龍君) 国立病院と療養所を整理統合いたしますことは、結果といたしまして国立病院並びに療養所のそれぞれ質的改善をはかりたいというねらいでございます。従いまして、整理統合した結果、これをその力を減殺させるという方向にはいささかも考えておらないのであります。ただ、結核療養所につきましては、遠い将来の見通しといたしましては、逐次結核が減ってくるのではないか、さような場合におきましては、あるいは精神療養所への転換等が考えられなければならぬ問題ではないか、そのように考えておる次第であります。
それから第三点の福岡の新しい基幹病院としての国立病院の敷地でございますが、なぜああいう狭い敷地を選んだかというお尋ねでありますけれども、現在あります福岡病院はちょうどお城の中、本丸のところにございまして、そこに配置するのは最も不適当なところでございます。それから現在あります筑紫病院は町の中心からかなり遠距離でございますので、一般利用者の利用に不便ではないか、特に基幹病院といたしましては、医療従事者の再教育、訓練等の任務を持っている関係から、できるだけ交通利便のところに敷地を持ちたいということを考えまして、現在の敷地を選んだ次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/43
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044・阿具根登
○阿具根登君 その最初の考え方で、結核の病人は減るのだという見通し、その見通しについて私は反対するものではございませんが、実際結核患者等を見て参りますと、入院して治療しなければならない人が入院できないようにされて、病床を減らされておるという傾向が非常に私はあると思うのです。そういうのをただ病床があいておるというような考え方でやっておられる、こういう考え方が一つ、そういたしますと、考えられておるように、結核の病床が減るのだというようなことは、ここ当分考えられないと私は思う。それからもう一つは、この筑紫病院の問題に入りますと、筑紫病院は六万四千坪からあると思います。私は日本の国立病院で、六万坪からある敷地を持っている病院というのはほとんどないと思う。しかもそれは戦時中軍部の圧力によってできた。そういう力でない限りには、都心近くに六万坪からの土地を持っている病院というのは今後考えられない。しかもそれが都心から離れているということを言われたけれども、私は現地に行ってきた。私は現地に行ってみた場合に、たとえば大濠公園が出ているけれども、大濠公園の付近の人は別として、福岡全体から見る場合には、大濠公園に行くバスの金と、それから筑紫病院に行く金はほとんど同じである。しかも六万五千坪もある病院はほとんど立ち腐れになりつつある。そういう広大な土地を持っているところを捨てておいて、大濠公園にわずか五千坪のところに基幹病院を作る。基幹病院は五百床ですか、五百床きり全然拡張の余地のないようなところに持ってきて将来の伸びる見通しもないところに、何のためにそういう病院を作らねばならなかったのか。わざわざそういう土地を買収して、そうして多額な金を使って一体どういう考え方を持っておられるのか。私は実際両方の土地を見た場合に、筑紫病院のあれだけのりっぱな土地が、これこそどんなに伸びてもいい土地を持っている。しかも町はりっぱな町がついている。バスが通っている。それはおっしゃられるようなことはないと思うので、その点について、もっと詳しく御説明を願いたいと思う。聞くところによりますと、大濠のあの土地はわずか五千坪等ではなくて、何万坪かの最初計画であった。だからそちらを考えられた。いつの間にかそれが五千坪になってしまって、そうして厚生省は行きがかり上やむを得ずそこを基幹病院の施設にする、こういうことにされた、こういうことが言われている、その点が一つと、それでは筑紫病院に七百五十からのベッドがある。しかも立ち腐れになろうとしておる。これは一体どうされるのか、だから一体五百床の病院で、基幹病院として作られていいのかどうか、こういう問題、福岡病院の方が五百床でしたね、それを一緒にして大濠公園に五百床のベッドを作って、それでいいのかどうか、その点少し御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/44
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045・小澤龍
○政府委員(小澤龍君) 御指摘のごとく、今度建てようとする福岡の基幹病院としての国立病院の敷地は、私どもの希望といたしましては、希望する土地より狭いのでございます。私どもとしては、大体一般病院で五百ベッドないし千ベッドのものは一万坪程度の敷地がほしいということを考えたのでございます。実は特殊の結核病院等でございまするというと、作業療法その他の関係からいたしまして、敷地は広くなければ困る。療養生活の必要上敷地は広くなければ因る。一般総合病院といたしましては、さして広い敷地を必要といたしません。しかしながら、できたら広い方がよろしい。従いまして、私どもといたしましては、一万坪得られなければ、六、七千坪の土地がほしいと思っていたのであります。初めから私どもは、現在の敷地を選定する場合に何万坪という広い土地が得られるということは実際夢想もしておりません。昭和三十年のころでございましたか、たまたま駐留軍が接収しておりました簡易保険の庁舎が、これは陸軍病院として接収しておったのでございますけれども、それを解除するという話を聞きまして、実は新築するよりかもその庁舎を得たいと思いまして、簡易保険局と相当折衝をしたことがございます。今回の敷地はたまたまその隣りの敷地でございます。簡易保険局の敷地に比べて若干狭いのでございますけれども、一般総合病院であればまあこの程度でもがまんできないほどでもない、ことに、先ほど申しましたように、利用者の利便を考えた場合におきましては、その敷地の若干の狭さはこれは耐えなければならぬのじゃないか、かように考えて実は現在の敷地を決定いたしたような次第でございます。
なお、総合病院の規模といたしましては、どれほどの大きい病院が適当であるかという問題もございますけれども、日本のいろんな規模の病院を経験した経験から申しますと、とても大き過ぎる病院は、一人の院長が全体を管理することが非常に困難であります。それから小さな病院は、これは経営上、相当のむだが多い。結核療養所について申しますというと、私どもの調査研究の結果でありますと、四、五百ベッドぐらいが適当であるという数字が出ておるのでありますが、一般病院になりますと、ことに基幹病院といたしますると、相当の施設がなければならぬ、相当、教育的な施設もなければならぬので、これは大体五百ベッド、これは、この土地を選ぶについての厚生省の大体の方針として、大体腹づもりにしておったのであります。そこで、さような事情で現在の土地を選んだのでございます。
それから、御指摘の筑紫病院の問題でございますけれども、これは陸軍病院の跡でありまして、非常に荒廃しております。このまま捨ておくならば早晩立ちぐされになってしまう。そこで、私どもといたしましては、ただいまこの一部のものを残し、かつ、相当な改修を加えましてしかるべき医療施設として残そう、予定といたしまして、今日検討中でございます。実はこの件に関しまして、私ども事務当局が調査並びに研究にきわめて不十分の点があったことをまことに遺憾に存じまして率直に遺憾の意を表するわけでございますが、当初、簡易保険局の庁舎をもらい受けるときの医務局内の事務的な考え方は、筑紫病院と福岡病院と合せまして九百余りのベッド、簡易保険の庁舎も大体五百ベッドでございますけれども、五百ベッド分だけこちらに取り入れまして、残り四百ベッド分━━福岡と筑紫と合せた九百ベッドから五百ベッドを差し引いた残り四百ベッドは、現在の筑紫病院の敷地に残存して、これを結核療養所として転活用していくという考え方で、地元なり、県庁なりと相談した事実があったのでございます。ところが、私、その後に就任したものでございますために、その間の詳しい事情を実は知らなかったのであります。で、軽率にも、残った四百ベッド分は廃止するというふうに、簡単に実はきめておったのでございまして、昨年の十月七日の当委員会におきまして、木下委員の御質問に対しても、そういう答弁をしたのでございます。この点は慎しんでこの席上から取り消さしていただきたいと思います。その後、当時の模様を十分調査いたしまして、のみならず、目下福岡地方におけるいろいろな医療事情を調べております。そういう観点からいたしまして、これはやはり適当規模として残すべきだという結論に達した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/45
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046・阿具根登
○阿具根登君 去年の十月七日の本委員会においての局長の答弁をお取り消しになったのは了解いたしますが、それならば、残った筑紫病院は一体どう計画をしておるのか、あまりにも見通しがない。六万四千坪からの大きな所に立ちぐされになる病院が立っておる、一体それをどういうように考えておられるか。一番最初に皆さんが考えなければならないのは、当初から言っているように、これだけの見渡す限りの広漠たる土地、しかもりっぱな土地、そういうりっぱな土地を持っている病院がない。どこでもそれだけの土地があったら、それはよだれが出るほどほしいところなんです。そこへ病院を立ち枯らしにしておいてそして、少し便利がいいから、町のどまん中に持ってこられる。私の考え方は、町のどまん中の病院というのは、私はこれはまずいと思う。実際、飯田町の厚生年金病院に私は入院したことがある。町のどまん中であるけれども、やかましくて寝れるものじゃないです。治療なんかできるものじゃないです。それを、ただこれが町に便利がいいからか、あるいは場所がいいからということで、病院を作るべきものでは私はないと思うんです。しかも六万四千坪もあるりっぱな土地がある、しかも病院がこれは手入れすればりっぱになるそういうのがあるにもかかわらず、狭いところが便利がいいといって、そこに基幹病院を持っていかれて、しかも六万四千坪もある土地に対する考え方は何も考えておられない。今のお話では、去年の十月七日の答弁を取り消すということをおっしゃったけれども、それではこれを一体結核病院にして何百床を置くのであるか、あるいは精神病院にしてどうするのか、あるいは基幹病院の一部にこれを残すのか、こういう点がはっきりしておらなくて、ただばく然とこれを残すといっておられれば、一体あの土地をどうされるのか、今のままで置いておくのはもったいないのに、一部になってしまえば必ず問題が起る、だからこれに対する考え方はどういうようにお持ちになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/46
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047・小澤龍
○政府委員(小澤龍君) 御指摘の第一点の病院敷地の選定の問題でございます。これはまことに御指摘のごとくでございまして、町の中心地は非常に便利のいい点においては、これはすこぶる便利がいいわけでございますが、治療環境として果していいかという点におきますと問題がございます。従いまして、私どもひとり国立病院のみならず、一般病院におきます新たなる敷地の選定に当っては、その点十分考慮するように指導しておるつもりでございます。幸いにいたしまして、福岡の今度選択した地は比較的町の中心ではございますけれども、いわゆる雑踏する地域からはちょっと離れております。その点、いうところの繁華街とは違いますので、治療環境としては必ずしも悪くないのじゃないか、かような考え方で現在の敷地を選んだような次第でございます。
それから筑紫病院のあとの問題でございますけれども、御指摘まことにごもっともと存じます。ただ問題は、簡易保険局の庁舎をわれわれが有償で譲り受けた場合は、年度内に右から左に病院を移しまして、残ったものを年度内にどうしなければならぬかということを即座にきめなければならぬ、さような段階にあったわけでございます。今日は新たに病院を新築するわけでございます。この新築の完成は大体四年後を予定してございます。従いまして、四年後に残った筑紫病院がある姿で完成されれば事が足りるわけでございます。四年後に移転ということが行われますから、四年後に残った筑紫病院がいかなる姿であるべきかということを考慮すべきであると考えております。そこで、今から四年先のことを推測するということは非常に困難でございますけれども、従来の福岡市、福岡県等におけるところの医療の普及程度、病院の新設程度等考えまして、また、県における将来の対策をあわせまして、そうして私どもは慎重にこれを決定いたしたいと思うのであります。ただこれがきまっても、四年後にとたんに整備をするわけではございませんで、この決定はできるだけ早い方がいい。早くて年次割りでもって整備をしていく必要があると考えております。ただいままだ正式の決定ではこれはございませんが、私どもの頭にあるのは、実は一つは結核療養所として転換することでございます。それは現在の筑紫病院と福岡病院の入院患者中に占める結核患者の割合が非常に多いのでございます。昭和三十年ごろはもっと多かったのであります。従ってまた、その当時は、結核がこれほど……最近の結核調査の結果がこういうふうに出るとは実は予想しておらなかったので、無条件に結核療養所というものを当時は考えたらしい。先般の結核調査の結果によりますと、五カ年間に相当の下げ足になっております。そういう事情も考え合せるのと、それから福岡地区における結核療養所の普及状況等を考えまして、なおかつ、必要があれば結核専門病院としても考えなければならぬと思います。あるいはまた、その地方における精神病対策上必要があって精神病た、公式な場所でそういうことをおっしゃるならば、必ずこれは問題が起る。六万四千坪のあの土地の周囲の人たちは全部ここに病院ができるのだと思って病院に協力されている。それを今あなた方がこれを狭くする、土地は払い下げるのだというようなことを言われたらどうなるか。あなた方はその土地の人たちの感情というものを一つも考えておられない。そういう発言をここでされたら大問題になりますよ。そういうことよりも、まず、たとえば、筑紫病院と福岡病院に九百ベッドあり、それに全部患者が入っている。それを基幹病院にするならば、そこはどう足りないからどういう設備をするのだということを考えなくてどうなりますか。また、あなたはそこに四百ベッドぐらい残したいということをおっしゃっている。病人はどのくらいおるのだ、職員はどのくらい要るのだ、将来人口はどうなるからどういうふうな病院に進んでいくのだというような計画がなくて基幹病院だなどと言われるのはおかしいじゃないか。そんなことなら基幹病院はやめてしまいなさい。ちっとも企画もないし、あなた方の見通しもないじゃございませんか、そういうことではおそらく病院のお医者さんも了解しないでしょうし、患者も了解できない。なぜもっとはっきりした、すっきりしたやつを出さないのか。だめならだめでいいじゃないですか、金は一銭ももらわなくても、自分の土地があるじゃないですか、そこにりっぱな総合病院、基幹病院を作ったらいいでしょう。何かもう少し見通しのあるやり方を立てなければ、だれだってそわそわしてできませんよ。だからもっとはっきりしたやつを、今五百ベッドは基幹病院にできるから、あと四百ベッドは要らないなら要らないと、要るならどうするのだと、ところが、実際はこういう病院は五千坪やいや一万坪でも足りない、これにはどういう施設を作りたいのだ、どういうことも作りたいのだ。土地が余って困るような病院は一カ所もないわけです。だからもっとこういうりっぱな敷地があるのだから、もっと大きな構想をもって計画を立てなければだめだ、今から切り売りしてはこの次どうなります。土地は返ってきません。もう少しはっきりした信念のある、もう少し計画性のある、見通しのある計画を立ってもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/47
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048・小澤龍
○政府委員(小澤龍君) ただいまの御指摘は、基幹病院の計画はさることながら、残ったものの処理について何ら見通しなり、計画を持っておらないじゃないか、つまり基幹病院を建てるということと、残ったものの処理というものと相関連してあらかじめぴちっとした計画のもとにやらなければいけないじゃないか、あとの残ったものについて非常に無責任であり、無計画であることは遺憾であるというふうに承知いたしました。まことにその点はっきり申し上げなかったのは遺憾に存じます。ただ、基幹病院というものの性格は非常にはっきりしているのでありまして、これは先ほど申し上げましたように、非常にむずかしい患者の診療に従事するほか、医療関係者の再教育等に力をいたしたいと思って、九州一円の医療に対してできるだけの協力をいたしたいという願いで、実は基幹病院を作るわけでございます。ところが、基幹病院は先ほど申し上げたような実情で、いたずらに大きい病院は運営の上からもできない、大体五百ベッドは適当と考えまして、それは切り離して実は計画したわけでございます。問題は、残った病院はどうするかという問題について御指摘のありましたことは、私どもはその通りいたします、これは初めからの計画でございますということを申し上げるだけのものを持っておらなかったのでございます。それにつきましてただいま御指摘を受けましてはなはだ恐縮に存ずる次第でございます。ただ、手続といたしましては、先ほど申し上げましたように、関係方面と十分に打ち合せいたしまして、そうして適当なその地域の医療需給というものにもっとマッチいたしますところの病院というものを早急に立案計画いたしまして計画の線に乗せていきたい、かように考えておる段階でございますので、御了承を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/48
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049・阿具根登
○阿具根登君 たとえば基幹病院を作るということになった場合には一万坪の土地がほしい、しかも一万坪以上の土地があるのだ、こういうことで言われたから、全部そう了解しているわけなんです。ところが、それが半分以下になってしまった、半分以下になってもいいというなら、最初からあなた方はうそを言っておられたのか、山をかけて言っておられたのか、あるいは半分で、五千坪でよかったやつなら、なぜ最初からそういうことを言われなかったか。ところが、実際は一万坪以上要るはずなんです。そうするならば、基幹病院というのが、最初計画されたような基幹病院ができないようになった、こういうことがまず第一点にあるわけなんです。ところが、基幹病院は五百病床でいいんだ、五百ベッドでいいんだということになってきた、土地が狭かろうと広かろうと五百病床あればいいんだ、こういう考え方になってこられたように私は考えるので、それが第一おかしい。最初から一万坪以上あるのだ、それは相当な坪で、りっぱなものだということで皆了解してしまっておる、それが五千坪になってしまった、半分以下になってしまった、そうして今度は残ったやつは何も計画されておらないということになりますと、残った連中も了解できないし、今度は周囲の人たちが、自分たちが戦時中とられた、日本の軍部から押えられたあの広大な土地だから、これは問題も起ってくる、だから私ははっきりしてもらいたいというので、ここで大臣もおられるから、一応事情をおわかり下すったと思うのです。基幹病院という名のもとに狭い所に移って、そうして最初厚生省が言っておった半分の土地に区切られてしまって、そうしてあとは立ちぐされになろうとしている、しかも六万四千坪の土地が浮いている、これはほっておけば周囲の人が絶対承知しません。それをここでどうするかわからないけれども、あとは精神病院にするか、あるいは結核病院にするか、あるいは何にするかわからないけれども、一部でよろしいと、こういうことになってくれば大へんな問題が起ってくる、こういうふうに考えるわけです。それで、大臣として、基幹病院としての五百床はできるだろうけれども、これでは足りないし、あるいは実際は筑紫病院と福岡病院を二つ統合したやつだから、これで足りないやつはこの一部として残すなら残すんだ、基幹病院の一部だということにでもはっきりしてもらえば、残っている人たちも安心するでしょうし、お医者さん方も安心して仕事ができるでしょうし、そういうことにでもしてもらわぬことには、今の局長の話では、三年後か四年後になるかわからぬけれども、地方と相談して四百くらい残さなければいかぬだろうというのは、実際二つ合せれば、基幹病院を作ったやつのほかに四百くらい残るわけなんです。それを残さなければいかぬだろうという既成事実だけを認められておるだけでは、そういう消極的なことでいいだろうかと私は思うのです。あるいはもっと土地もあるのだし、場所もいいところです。場所もそれはバスで二、三十分行けばりっぱなところなんです。だから、ここにもっと大きな病院でも作るつもりであるのか、基幹病院の一つにするのか、あるいはこれを結核病院専門にするのか、精神病院専門にするのか、あるいは予算上どんなような措置を考えられるかという一つはっきりした態度をとってもらわなければ、片一方ではそういう狭いところで入札だ何だといってけんかしておる。しかも私は現場に行って病院長にも会って、こういう感情の問題もあるから中央で十分話し合いをしてみるから、そのあとで一つやってもらわなければトラブルが起りますぞと、せっかく基幹病院だといって名をつけて、そうして今年じゅうに頭が出そうだということでやられるのは、かえって逆になりますぞということで、了解してきておるのに、入札をやってから、あなた方はトラブルを起されておる。あなた方は一体どうされるのか、大臣としてはっきり御答弁を願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/49
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050・坂田道太
○国務大臣(坂田道太君) ただいま承わっておるわけでございますが、やはり基幹病院としては、ただいま局長から答弁いたした通りでございます。しかし、今後筑紫病院の問題につきましては、やはり仰せの通りに、入っておられる患者の方々の気持なり、あるいはそこに勤めておられる人たちのことも考え合せ、同時にそこの地方の住民の方々の意向等もございましょうし、あるいは厚生省として基幹病院というものの考え方というはっきりしたこともあるわけでございますので、しかしながら、これもそうひまどってしまうということもできかねるわけでございまするので、早急に一つその方針というものを打ち合せをいたしてゆきたいと、かように考えております。ただ、ここでどうだ、こうだということをはっきり申し上げることは、かえっていけないのではないかというふうに考えておるわけでございますが、ただいま申し上げました通りに、やはりそこに勤めておられる方々の気持なり、あるいは患者さんの方々の不安を起さないような状況のもとにおいてやらなければならないということを考えておることを御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/50
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051・阿具根登
○阿具根登君 その答弁ならば、これはここで聞く必要ないんです、局長の答弁も大臣の答弁もここで必要ないんですよ。ところが、基幹病院を作るといって、すでにこれに対してもうトラブルが起きておる、なぜ起きておるかといえば、先ほど御訂正になりましたけれども、もうこの筑紫の病院は、これは将来やめるんだということが局長の口から去年も出ておる、しかもその前には、これはちゃんと残しますという約束があったから、しかもこっちには二万坪のりっぱなところに病院を作ると言われるから、みんな了解したんだと、ところが舌の根もかわかぬうちに、これはなくなるんだということが局長の口から言われた、まあここで訂正はされたけれども、ところが先ほどから言っておりますように、この病院は今のままでは立ちくされて、行ってごらんになれば、国立病院といっても、これは厚生大臣はほんとうに恥かしい思いをされると思うんです、これが国立病院かと。それくらいもうくされかかっておる病院なんですよ。だから片一方に新しい病院を作るならば、ここはどうするんだということをはっきりしてもらわないと、あの人たちが了解できずに、この基幹病院が作れないということになるわけです。片一方作るならば、片一方どうするんだと、そのために予算をどう組むんだということですね、今度の予算に組めないなら、この次の予算にどう組むんだと、それができないならば、こちらの基幹病院の一環として四百床を基幹病院の一つとして残しますということになれば安心できるわけです。そうしないと片一方は作った、片一方は予算を組まなければくずれることがわかっている、お医者さんなんかおられぬと思う、三畳の間に六人も七人もお医者さんがいるんだから、おれるわけがない、患者の人たちもその通り。それは実に国立病院だろうかと思うくらいの病院ですよ。だからそこにはっきりした線をここで一つ出してもらわなければ、せっかく基幹病院に手を入れてなさるのが私はできないようになると言うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/51
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052・小澤龍
○政府委員(小澤龍君) 先ほど一万坪の予定が五千坪になったという問題でございまするが、実際私ども当初必ずしも一万坪を予定しておったわけじゃないんでございます。私どもの考え方は、五百ベッドについては一万坪がほしい、しかし、五千坪であれば、これは高層建築━━建物を高くして、これをカバーしたいという考え方で目下計画しておるわけでございます。ですから残った建物が実際朽ち果ててしまうということは、これは患者さんにも気の毒でございますから、ただいま大臣も申し上げましたように、早急に計画を立てまして、年次計画として、あまりにみすぼらしくない程度のものを残す、改築して、改造して残すということで考えてゆきたいというふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/52
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053・吉田法晴
○吉田法晴君 関連してお尋ねをいたしますが、問題は昨年の十月七日、参議院の社会労働委員会で木下委員の質問に答えて医務局長が筑紫病院を廃止したい、四百ベッド、百五十名の定員減をやりたい、こういう方針を述べられてから、それは先ほど、従来の事情あるいは約束等を知らなかったから軽率に答弁をいたしました、こういうことで取り消された。大臣が立っておられるが、これは局長としては答弁されたが、局長の答弁を聞いていると、ときどき動揺をしたり、あるいは先ほど筑紫病院のあとは四百ベッドくらいの独立病院を作りたい、要らぬものは廃止したい、こういう軽率な答弁をされますから、これは局長の答弁だけではほんとうの保証は得られぬ。しかも基幹病院の方の着工は進められようとしておる。ここに入札なり、あるいはボーリングなり、そういう着工を阻止しようという動きが病院の関係者なり、あるいは地元民から出てくるわけなんです。ですから、はっきり大臣から筑紫病院は残すんだ、四百ベッド、百五十名の定員減はやらぬのだということをまず言ってもらうのが第一点。それから今後の問題について、局長だけから筑紫病院は残すんだ、独立病院で残すんだと、こう言われても、これは医療関係者なり、あるいは地元民その他は納得しませんよ。だから、もっと具体的にどうするんだという病院の性格、それを阿具根君は基幹病院との関連、それからベッド数、それから予算、土地等について問うたわけですが、それらの点をもっと具体的に大臣からここで答弁を願う以外には問題解決の方向は出て参りません。今まで聞いておると、動揺をしながら、局長から一応答弁はあったけれども、はっきりした結局保証は得られぬ。大臣からはっきり一つ筑紫病院を残すのかどうか、あるいは四百ベッド、百五十名の定員減はやらぬのだと、こういうことを答弁を願って、それからあと具体的な点を一つ御質問申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/53
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054・小澤龍
○政府委員(小澤龍君) 大臣にお答え願う前に、私からちょっと申し上げておきたいことがございますので申し上げます。いろいろなものの病院の運営の関係でございますけれども、本院あるいは分院の形の上ではプラスの面もあるが、実際にはマイナスの面があります。これは組織の問題でございますけれども、必ずしも分院という形が有利であるだけではないのであります。しかしながら、二カ所に近い病院がばらばらの運営をしておっては困る。組織的に本院、分院の形にしなくても運営面には一体的な運営をしなければいかぬのじゃないか。ことに筑紫病院から分れた兄弟の関係にある病院ですから、将来の運営については両者の間に運営の協議会等につきまして何か組織的なものを考えていきたい、かように考えております。ただいま分院として残したらどうだというふうな、具体的に言えば、そういうふうな感じを受け取りましたけれども、これは本院、分院の関係に置くことは必ずしも有利でない点から、なおわれわれ検討さしていただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/54
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055・坂田道太
○国務大臣(坂田道太君) ただいま局長から御答弁申し上げた通りでございまして、昨年十月に、当委員会におきまして局長が申し上げたときは、この筑紫病院を廃止するというようなことを申し述べておったのでございますが、その後検討いたしました結果、これは廃止をしないということを、本日はっきり答弁をいたしたわけでございまして、私もさよう了承をいたしておるような次第でございます。ただ、これをどういう性格のものにするか、あるいはまた、何をやるかというような問題につきましては、早急にわれわれの方で方針をきめたい。ただいまはまだ申し上げられない事情にあるということを御了承いただきたい、かように思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/55
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056・吉田法晴
○吉田法晴君 今の答弁に関連して。筑紫病院を残すという点は私了承いたしました。十月七日の答弁に関連して筑紫病院の中身である四百ベッド、あるいは百五十名の定員減という問題が、これは結果的に心配をされておるわけです。ベッドの廃止、減少、あるいは定員の削減はやらぬ、これはそう了承してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/56
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057・小澤龍
○政府委員(小澤龍君) 四百ベッド程度残すことは、ただいま申し上げました通りでございます。従って、それに随伴する定員は減少いたしません。減らしません。ただ御承知のごとくに、定員というものが病院の性格なり、あるいは患者の種類なりによりまして、若干患者あたりの定員が動揺いたしますので、さようなきわめて僅微な問題があることはあらかじめ御了承願いたいと思います。
なおかつ、病院も実は御承知のごとくに、必ずしも絶えず満員ではないわけでございます。病院におきましては九〇%あるいは八〇%、七〇%といった病床の利用率でございますので、やはり忙しいところにはよけい定員をつけていくということは当然のことでありますが、現実に変動することは若干ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/57
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058・阿具根登
○阿具根登君 そういうことをおっしゃるから、もう質問をやめようと思うんだが言いたくなるんです。あんた国立病院を見てきましたか。あんなことをしてほっておくなら減るのは当りまえです。あれを近代設備にしてごらんなさい、超満員になるから。これは私が約束してよろしい。よその病院を見てごらんなさい。まるで豚小屋みたいにしておくから入らぬのは当りまえだ、しかも私が心配しているのは、あれだけの問題のない広い土地があって、しかもそこにりっぱな病院を作るなら、それはお医者さんの官舎も何もきれいにどこにも相談せずにできるんです。これだけの土地を持っているところがどこにあるかということです。それを捨てて、上に高くしますからよろしゅうございます━━そんな病院の考え方、それでいいだろうかと私は思うんだ。私はしろうとだからわかりませんよ。しかし、おそらく私は軍がここに病院を作ったときにも、私はそんな都市のまん中よりもこれだけ引っ込んだ所で、しかも風光明媚の所で、病人に非常に環境がいいという所でわざわざあそこを選んであれほどの広大な土地を買収されたものと思うのですよ、そのときの軍の考え方がよかったか悪かったかは別として、そのときどきの為政者が、せっかく広い場所があるやつを、それを便利が悪いからといって持ってこられる。便利がいいか悪いか行ってみればわかる、これは患者さんに聞いてみても。ところが、現代はバスが発達して特別よくなってきている。そのときどきの考え方によって高くするんだからいいんだとか、そういう言い方はあり得ぬと思うんだ。それで人数が少いからと言うが、少いはずですよ、あんなにあばら家みたいにしてしまったら。それでもうんと入っております。近代設備にしてみなさい、超満員になりますから。だからそういう自分たちが、実際やっておるところは見ずに、定員が多いとか少いとか言われるのは間違いだと思うんだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/58
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059・吉田法晴
○吉田法晴君 大臣からもせっかく筑紫病院は廃止しないとこう言われたり、ベッドやあるいは百五十人の定員を減少すると、こういうことが問題と不安とを起して、そうしてここで答弁をされたが、少しは変更があるかもしれない、僅微のことはあるかもしれない、そういうことは要らぬことですよ。ベッドと定員の削減はございませんと、こういう答弁を補足されるなら、大臣の答弁に補足されるなら当りまえですよ。取り消しなさい。それから土地の問題にしたってそうだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/59
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060・小澤龍
○政府委員(小澤龍君) 原則的にはもちろん定員は減らしません。ただ御承知のように、患者の数━━これは今の問題と別でございますが、常時患者の数というものは流動いたしますので、三年に一ぺん若干変動する場合がございます。その点を申し上げただけでございます。原則的には減らすかどうかということは全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/60
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061・坂田道太
○国務大臣(坂田道太君) ただいま医務局長からお答えいたした通りでございまして、四百床に対しましてそれに応じた定員というものは確保いたしたい、かように考えておりますので、さよう御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/61
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062・吉田法晴
○吉田法晴君 減すという話があって不安を起したのだから、そこでとにかくベッドにしても、定員にしても、あるいは土地にしても減すような不安を拡大するような答弁はやめなさいと、こういうことを申し上げておる。その点は、まあ大臣の答弁で減すようなことはいたしませんと、こういう御答弁でございましたが、あとの筑紫病院をどうするかという問題について、これは四百ベッド程度で残したいと、こういうお話ですが、今でも残すという話に関連をしてあるいは三年後には病院がどうなるかわからぬから、あるいは不要の土地は払い下げるかも知れぬということが言われるくらいだから、これは三年先、四年先どうするかということについては、非常に不安を持っておる。そこで、基幹病院の将来の姿というものを、計画というものをはっきりしないで、基幹病院だけを作っていくことはこれは困る、こういうことで医療関係者にしても、地元民にしても、患者にしても反対をする、基幹病院のボーリングなり、入札を阻止しようとしておる実態、この実態に対して回答するには、今後相談いたしますということじゃなく、少くとも方針だけはここで大臣から、来年度の予算をとってこういう工合にいたしたい、こういう点をはっきり明瞭に願わないと、せっかく質問したこれは効果がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/62
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063・坂田道太
○国務大臣(坂田道太君) 来年度の予算におきましては、当然これを要求いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/63
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064・吉田法晴
○吉田法晴君 局長は先ほど、各地の国立病院からも要望をとりまとめて研究しておる、こういうお話ですが、来年度予算はすでに国会に出ておる。それから筑紫病院に関連をして、施設の要求として筑紫病院から三千万円の要求が出ておる、あるいは外来の診療室なりあるいは事務所その他管理機構の増改築のため要求が出ておる、それについてそれを含んで今の大臣の答弁は来年度予算の中には必ず計上をして筑紫病院の将来計画を来年度から進めるのだと、こういうことは局長の答弁としてできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/64
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065・小澤龍
○政府委員(小澤龍君) 来年度予算につきましては、実は各地施設ごとに計画書を出しまして積み上げ計算で財政当局に要求したのですが、これは各施設別じゃなくして、いわゆる一括して大体前年度と同様今年度認められたわけであります。その中から切り盛りいたしまして、来年度の実施計画といたしましては、筑紫病院のごときは施設整備を来年度から実施したいと、こう考えておるわけでありまして、再来年度以降はもちろん筑紫病院の一切の工事計画につきまして予算を盛り込みまして、財政当局と十分折衝して話を進めるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/65
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066・阿具根登
○阿具根登君 ここでの答弁はそうなりますよ、ここでの答弁は。しかし、計画も持たずに大蔵省が許可しますか、あなた方取り切れますか、そんなこと言って。要求したが取れませんでしたが落ちですよ、そんなことを言ってもその場限りの答弁ですよ。そんな計画も持たないで、来年は予算を要求しますと言っても、大蔵省があなた方の方に取ってくれますか、私でさえそんなことではとても応じられませんよ。一体どうするのか、これは結核病棟であるのか、あるいはどうなのか、精神病舎であるのか、そんなこともきめんでおいて来年は予算を取りますといって、あなたたちやって取れますか。大蔵省はそんなぼやっとしておりませんよ。その場限りの答弁ですよ、それをはっきりしなさいというのです。そうしなければ、よろしゅうございますといった場合に、その予算は取れませんでしたといったら、あの病院はつぶれる病院だと言っておるわけです。二年も三年も保てる病院じゃないのです、もう荒廃極に達しておる病院です。だから、これも何にするのだということを明らかにしていただければ、これは大蔵省もおそらく出してくれるだろうけれども、今のままで何かわからないようなことで、ここで答弁できぬようなことをしておいて、四百ベッドは残したいと思う、百五十人の職員は残したいと思うということで予算折衝されても、私は大蔵省は応じないと、この心配が私はあるわけです。だから、ここではっきり、これは何病院にするのだと、それができぬとするならば、これは基幹病院の一部である、そういうことになれば、基幹病院としての予算はついてくるはずだから、私は了解できるけれども、それがはっきりせぬことには、とても大蔵省が応じないだろうと私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/66
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067・坂田道太
○国務大臣(坂田道太君) お答えをいたしますが、ただいま、実は三十四年度の予算の審理をいたしております。三十五年度の予算としましては、今後予算要求を省内で固めまして、そうして大蔵省に談判をするわけでございます。でありますから、その基礎になる来年度の要求をするときに、われわれの方で検討をいたしまして、そうして要求をするということもございますが、私はこれは折衝してみなければわからないことでございますから、そういう御不安もお持ちになることは当然かと思いますが、私どもといたしましては、ここで答弁申し上げましたように、誠心誠意をもってこれに当りたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/67
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068・阿具根登
○阿具根登君 押し問答になってしまいますが、時間がないから次の問題とも関連して申し上げますが、たとえば和歌山病院は廃止になっている。これは私は見ておりませんからそんな詳しいことはわかりませんが、すでに、陳情で見てみると、立地条件が現在悪いからといって市内にわざわざ持ってきなさる。ちょうど福岡の基幹病院のようにわざわざ持ってきたところが、赤字でだめだということで、千五百万円で売却しなさった。そうしてその金額を田辺病院というものの整備に充てて立地条件が悪いといって元のところに帰った。そうして今度はこれを廃止する、あたかもエレベーターのように行ったり来たり、同じところをやっているわけです。
それから埴生の療養所もそれと同じです。山陽荘を五十床に併合するということで、わざわざ立地条件の悪い所に統合しております。まるで行き当りばったりでございます。埴生はわざわざいい所から悪い所に、今度は統合して悪い所に一緒にしなさる。福岡は悪いとはいえ六万四千坪もあるりっぱな所で、しかもそこにはたくさんの患者もおられる。それをわざわざここは立地条件が悪いからといって町のまん中に持ってきている。今度、和歌山は町のまん中に持ってきたら、工合が悪いからすぐまた持ってきたら、今度はつぶす。一体どういうところに考えがあるのか、一貫性がない。その場その場、場当りでやっている。私の考えは、なるべく都心に近くて、空気のいい所で、土地が広い所である、これが私は一番いい所だ、私はしろうとです、しろうとですから教えていただきたいと思うのです。私はそう思う。局長は、都市のまん中にあって土地が足りなければ上にどんどん高さは伸ばせばいいというお考えかもしれませんが、私は、病院というものは高いものではなくても、なるべく広い所、散歩もできる所、あるいはながめもいい、空気のいい所、そういう所が病院に向くのだと思っている。福岡の場合は逆である。今度和歌山の場合もまた違うようである、埴生の場合もまた違うようである、一つ一つ考え方が違うようでございますが、これではどうしていいのか、その場その場、場当りのような気がしてならないのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/68
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069・小澤龍
○政府委員(小澤龍君) 和歌山病院はもと、和歌山市内であったのでございますが、戦災によって焼けまして、現在和歌山から電車並びに徒歩で一時間あまり、海岸の旧陸軍施設にその後移転したのでございます。交通も悪うございます。入ってくる病人も、国立病院といっても結核患者であるという現象からして、何とか一般病院として再起さしたいという考え方で実は外来診療所を和歌山市内に持って参ったのでございます。ところが、いかに努力しましても、和歌山市内には大学病院とか、日赤病院とか、人口二十数万人のところに相当大病院がたくさんございまして、和歌山病院はわれわれが努力をしたにもかかわらず、従業員が努力してくれたにもかかわらず、医療機関としての効率的な運営ができなかったのでございます。そこで市内診療所を廃止したのでございますけれども、現在美浜というところにあるのは土地が非常にへんぴでございまして、一般外来者としては利用しにくい、外来は一日数人を数える程度であるというのでございますので、やむを得ずこれを廃止いたしまして、中にある患者さんは、和歌山市内外の、大部分は結核でございますので、結核施設等に収容いたしたわけであります。それから、ただ職員の方はできるだけ田辺にあります国立病院その他に分散配置するようにしたのであります。
御指摘のごとく、一見厚生省の方針とはクロスするではないか━━まことにその通りでございますが、実は、私どもは何とかしてこのへんぴなところに、病院として和歌山病院を再起させたいという考えから、市内に療養所を作り、そこでやっていきたいということにいたしたわけでございます。
それから埴生の病院につきまして申し上げまするというと、これも実は陸軍病院の跡でございまして、貧弱な、建物の設備も悪い療養所でございます。これはそれでも福岡大学から御協力をいただきまして、福岡大学から院長以下の医員の補充を得て運営して参ったのでございますけれども、建物も小さい、施設も狭く、十分に勉強できないということから、ついに福岡大学としては自分の弟子たちを医者として派遣するというわけには参らないということで引き揚げたのでございます。そこで、私どもは山口の大学の方にお願いをしたのでありますけれども、医員の派遣もできない、そこで関東の千葉療養所というところから医師を派遣いたしまして、足らざるところは中央の療養所から協力をいただきまして、かつかつ運営いたしておるわけでございます、埴生療養所の通常につきましては、国立療養所としてはまことに恥かしくて、申しわけない通常の現状でございます。かように医者も得られないような施設はいつまでも残すわけにはいかないじゃないか、ただいまバスもここから約一時間ぐらいのところに、山陽荘という療養所がございますので、これは五百床余りの非常に整備された療養所でございます。非常に設備もいいものでありまして、入院希望者も相当多いのでございます。現在埴生の療養所に入っている患者さんもできたら山陽荘の方に移りたい、設備もいいので、患者も希望しておるということも考えまして埴生の患者さんもそこへ移しまして職員もできるだけ山陽荘に吸収するかあるいは下関にありますところの国立病院に吸収いたしまして、そうして医療の万全を期していきたい、かような考え方で埴生療養所の山陽荘への統合ということを考えていたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/69
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070・阿具根登
○阿具根登君 局長から聞けば、まことにけっこうなようなんです。今まで局長が答弁される場合に、ここは非常に便利が悪い、評判も悪いけれども、ここに患者を入れますという答弁を聞いたことはないのです。いつでもここはいいんだ、ここは先生もいいんだ、立地条件もいいんだということで、みんないいとこづくめで━━結局はもちろんよくないのです。これを、私のところに陳情者が来ておるのでは、患者さんは山陽荘に行くことは望んでいない、職員の方も通勤はできないんだ、当然首切りだ、だからいやだということをおっしゃっておるわけです。局長の見解と全然違うわけなんです。局長はりっぱなところで、患者も全部望んでいるんだ、いいところだとおっしゃるけれども、実際陳情に来ているのはそうではない。私は行きたくない、お医者さんも行きたくない、こういうことなんですな。これは私も現地を見てないから、強いことは言えませんが、もうあまり同じことばかり言ってもしようがないから、大臣、どうですか、先ほどの結論を出していただきたいのですが、筑紫病院は基幹病院の一部だ、こういうことに考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/70
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071・坂田道太
○国務大臣(坂田道太君) 先ほど御答弁申し上げた通りでございまして、その性格をどうするかということについてはこの際御遠慮を申し上げたいと思う次第でございます。しかしながら、私どもといたしましては、早急にこの性格等について協議をいたしまして方針を決定いたしたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/71
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072・吉田法晴
○吉田法晴君 関連して。来年度の予算との関連ですが、先ほど今後のために三十四年度から着工したい、こういうお話だった。そうすると来年度予算に関連しては幾ら筑紫病院の再建拡充のためにかけなければならぬということはこれはきめなければならぬ。今すぐ、どういう病院にするかあるいはどういう規模にするのか、それから敷地はどれだけ要るか、それから幾ら来年度予算から取るのか、総額幾ら筑紫病院にさくかということは、これは予算の審議が済むまでにきめてもらわなければならぬ。三十四年度については出さなければいかぬ、質問があったら出さなければいかぬ。きょう、今出せなくてもなるべく近い機会にわれわれを納得させる答弁ができるように一つ要望をいたします。それともう一つ基幹病院を作りたい、ところが、あとがどうなるかはっきり保証もなくて工事を始められることは困るということで、医療関係者あるいは市民や患者さんが反対しておる、あるいはボーリングも阻止するという態勢にある。そうすると、この関係者に対して、一番中心は全医労と筑紫病院その他福岡の医療関係者、ここにはっきりした保証を与えて納得してもらわなければ工事を進められない。そこで、その点については今日私どもが答弁を求めた点、筑紫病院はやめないあるいは定員も減らさないという点だけでなしに、筑紫病院をどうするかという点については、最小限度来年度予算からこれだけ取ってこうしていくという方針を示していただかなければならぬ。そのことを病院との間に話し合って、地元の人も交えて話し合って了解を得られるように努力せられる任務は、これは当然私が言わなくても医務局長あたりにはおありになるだろうと思いますが、きょうの答弁も含めて関係者当局を納得させるだけの御努力を願えるかどうか、その二点についてお二人から伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/72
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073・坂田道太
○国務大臣(坂田道太君) 二つの点でございますが、最後の点から申し上げていきたいと思います。これはわれわれとしては納得をしてもらうように努力をしていきたい。
それから第一のお尋ねでございますが、これは三十四年度の分についてはいろいろ局の実施計画もございましょう。しかしながら、三十四年度の問題をここでいろいろ申し上げる段階ではないというふうに私は思っております。しかしながら、早急に方針は決定したいということだけは申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/73
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074・吉田法晴
○吉田法晴君 先ほど筑紫病院を含めて各病院から要求が出ておる、それを総括してつかんだものを予算として三十四年度要求した、こういうことでした。先ほどの答弁は、三十四年度の予算の中からも筑紫病院のためにさいて筑紫病院を残すという点が、これは口約束だけではございません、実際にこうしております、こういうことで全医労にも説明しよう、こうおっしゃっておる。そうすると、説明する際にも、われわれにも納得のいく三十四年度予算は幾ら使うという答弁をいただきませんと、私どもも納得しませんし、それから医療関係者も納得いたしません。それを覚書かメモか知りませんが、保証して、納得させる答弁をしてもらえますか、そういうことをお尋ねした。大臣の答弁は少し的はずれでしたので、医務局長から一つはっきり御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/74
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075・小澤龍
○政府委員(小澤龍君) 御承知のごとくに、われわれは予算できまりましたもの、全体についてきまりましたものにつきましては、それを細分して実施する場合には、財政法の規定するところによりまして、一々大蔵大臣の承認を得なければならない手続になっておるのでございます。その場合に、一つだけを取り出して、これは来年やるのだといいましても、事務的にはなかなか話がまとまりません。来年度のわれわれの予算の全体の実施計画というものをもって、大蔵省の財政当局とも折衝をしなければならぬのでございます。そこで、厚生省の限りにおきましては、いろいろな腹案ができておるのでございまするけれども、公式にそれが実際行われるというところまで約束づけるには、どうしても大蔵当局の承認がなければならぬという点でございます。で、例年、大蔵省当局との折衝も、五月か六月ごろに折衝が始まるわけでございますが、われわれの腹案はできるだけ早くきめて大蔵省と折衝したいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/75
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076・吉田法晴
○吉田法晴君 そうすると、その大蔵省との折衝の中に筑紫病院のこの問題を含めて大臣も列席になっているのですから、ほんとうは大蔵省を呼んで聞いていてもらいたいと思ったけれども、そこまでは遠慮した。ですから、厚生省としては、その実施計画の中に筑紫病院の分も含めて実現に三十四年度から努力をすると、こういう答弁はできるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/76
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077・小澤龍
○政府委員(小澤龍君) 御指摘の通りに取り運ぶ所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/77
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078・久保等
○委員長(久保等君) ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/78
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079・久保等
○委員長(久保等君) 速記を起して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/79
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080・吉田法晴
○吉田法晴君 前から問題になっておるのですが、あんま、はり、きゅう等、現在のお医者さんでない、療術関係に従事する者の保険の取扱いのことですが、整骨その他については保険取扱いが実施されているのですが、ずっと前には、数年前私どもが保険組合の仕事をしていたときもそうですが、あるいは炭鉱だとか製鉄その他重労働をやります労働者については、あんま、マッサージその他の実際の必要がありまして、そこで保険施設費の中から補助する等の方法で実はやってきた。ところが、それも厚生省から厳重に言われて取りやめるというような事態になって参り、そこで保険取扱い問題というのがその全般的な問題になっておるのでありますが、整骨等のような取扱いをするか、あるいは医療機関と相談をするかという具体的な方法は残っておると思いますが、少くとも、従前になされておった何らかの保険取扱いなりあるいは保険からの補助というものができるようには、これはすぐに願わなきゃならぬことだろうと思うのです。その点が一点。
もう一つ。占領時代にアメリカ人から見れば、それはあるいは、あんま、はり、きゅうその他について科学的でないということを考えているかもしれないですけれども、これは長い伝統があって、治療なりその他、程度は軽いかもしれませんけれども、治療、医療に従事したことは間違いない。隣の中国では、洋式の医学だけではなくて、漢法医学も育てて、その結果は、ガンの治療方法すらも発見されようかと━━これはまだ週刊誌に報ぜられる程度で、ほんとうに医学的にガンの治療方法が発見されたということはございませんけれども、しかし、ガンの治療方法も発見せられるようになりつつあることは、これは日本のお医者さんも認めておられる。そうすると、あんま、はり、きゅうその他の療術関係を科学的に育てて、そうして日本の医療の発展に資さなければならないということは、これは厚生省でも考えていることと思います。その発展の過程において最小限度の保険取扱いというものは実現しなければならないと思いますが、途中で私の質問に相づちを打っておられましたから、保険局長から一つ御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/80
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081・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 私から便宜お答え申し上げます。従来、相当幅広く行われておったが、最近何か縮まったかというような御意見のようでございますが、これは私どもとしては特にそういう感じを持っておりません。ただ、従来からもそう広くはなかったと見ております。しかし、保険施設としてこれをやるということにつきましては、やはり考えて見ますると少し問題があるようでございます。私どもとしては、はり、きゅうという面ですね、これはやはり広い意味の医療の一部である、そこで現在健康保険法におきましては、第四十四条におきまして、いわゆる療養の給付をなすことが困難であると認めるとき、あるいは緊急その他やむを得ざるとき、こういう場合におきまして、大体普通ならお医者さんの治療を受けるということが困難な場合に、お医者さん以外のそういう方々の治療を受ける、そういうふうな場合にこれが認められるというふうに私ども解しているわけでございます。しかしながら、お話しのように、長い伝統を持って今日まできているものでありますので、これはやはりそれとして適当な度合いにおいてこれを育てていくというお考えも確かにうなずけると思うのであります。その点に現在の法律の範囲内においてこの問題を考慮する余地があろうかと思いますが、これは具体的に十分検討して参りたい、私はかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/81
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082・吉田法晴
○吉田法晴君 保険施設費で補助するということは、これは実際重労働をやります者について、何と申しますか、疲労なり、リューマチの症状になるかどうかは別として、なっていない者もあるかと思いますが、実際に必要だから、保険取扱いがないから施設費の中から出すということを実際にやってきた、それもとめられた。そこで保険取扱いを実際にやってくれという声が大きく起ってきた、それは確かに施設費の中から出すのは間違いでしょう。しかし、それを間違いだと言わないで、実際保険取扱いができる方法を考えて下さいということを言われて、今検討しようということでありますが、その検討しようというのは、実現するように検討しようということだろうと思いますが、要望をいたしておきますとともに、もう少しあんま、はり、きゅうその他の療術関係についてこれを育てて、あるいは近代医学と結んで日本の今後の医療あるいは治療等に当られるように補助、助成をしていただきたいというのと、保険取扱いについて、早急に研究、実現するように努力してもらいたい。こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/82
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083・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) 保険施設で、今ちょっと聞きますと、従来やはり一部見ておったものがあるのですから、先ほどの私の答弁はちょっと行き過ぎがありますから、それは訂正いたしておきます。検討するということをもって申し上げた程度で、本日のところは必ずこれをよくするのだというようなことまでにおとりいただいてはちょっと困るので、私は良心的に先ほど申し上げましたように、従来から長く伝統されてきたということは、これは事実でございますし、また、それが近代医学の中におきまして適当な位置づけを持つということも、これも検討する余地があると思うので、さような点につきましては、私はどういうふうにしたらばこれがおのおののところを得しむるということにおいて認められるかということについて、現在の法律の範囲内においても検討の余地があると思いますので、検討いたして参りたいと、かように申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/83
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084・吉田法晴
○吉田法晴君 大体了承しました。御努力願うことですが、先ほどの保険施設費から補助をした、これは私の経験するところでは半額、もう少し三分の二のところもあったかもしれませんけれども、そういうものもとめられたのですね。これは厚生省からとめられた、たとえば製鉄の保険組合からも補助をしている、炭鉱の保険組合からも補助をしている、そういうものすらとめられた。で研究の結果が早く出ればいいのですが出られないとすると、そういうとにかくやっておったのもをとめさしたことまで、私は行き過ぎだと思うのですが、これは必要があるからあるいは効果があるから実際にやっておった、その点については再検討をする御用意がおありになりますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/84
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085・太宰博邦
○政府委員(太宰博邦君) ちょっと今のその厚生省からとめられた点は、私もまだ不なれでございまして今存じておりません。これはやはり調べなければお答えできないと思います。ちょっときょうのところは御猶予いただきたいと思います。取り調べておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/85
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086・吉田法晴
○吉田法晴君 要望をしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/86
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087・久保等
○委員長(久保等君) 本問題に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/87
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088・久保等
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。本日はこれにて散会いたします。
午後二時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X01119590217/88
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