1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年四月三十日(木曜日)
午前十一時五十八分開会
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委員の移動
四月二十五日委員後藤義隆君辞任につ
き、その補欠として横山フク君を議長
において指名した。
四月二十七日委員紅露みつ君、片岡文
重君及び田村文吉君辞任につき、その
補欠として森田豊壽君、天田勝正君及
び高瀬荘太郎君を議長において指名し
た。
四月二十八日委員西田信一君辞任につ
き、その補欠として井上知治君を議長
において指名した。
本日委員森田豊壽君、仲原善一君及び
天田勝正君辞任につき、その補欠とし
て紅露みつ君、西田信一君及び片岡文
重君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 久保 等君
理事
勝俣 稔君
柴田 栄君
木下 友敬君
常岡 一郎君
委員
有馬 英二君
草葉 隆圓君
紅露 みつ君
斎藤 昇君
谷口弥三郎君
西田 信一君
片岡 文重君
光村 甚助君
藤田藤太郎君
国務大臣
労 働 大 臣 倉石 忠雄君
政府委員
労働大臣官房長 澁谷 直藏君
労働省労政局長 亀井 光君
労働省労働基準
局長 堀 秀夫君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
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本日の会議に付した案件
○中小企業退職金共済法案(内閣提
出、衆議院送付)
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001・久保等
○委員長(久保等君) これより社会労働委員会を開きます。
委員の異動を報告いたします。四月二十五日付をもって後藤義隆君が辞任し、その補欠として横山フク君が選任されました。四月二十七日付をもって田村文吉君が辞任し、その補欠として高瀬荘太郎君が選任されました。四月二十七日付をもって片岡文重君が辞任し、その補欠として天田勝正君が選任されました。四月二十八日付をもって西田信一君が辞任し、その補欠として井上知治君が選任されました。四月三十日付をもって仲原善一君及び天田勝正君が辞任し、その補欠として西田信一君及び片岡文仁君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/1
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002・久保等
○委員長(久保等君) 中小企業退職金共済法案(閣法第一一六号)(衆議院送付)を議題といたします。御質疑を願います。
なお本日は、大坪衆議院議員もお見えになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/2
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003・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私はこの中小企業退職金共済法案は、衆議院の段階でいろいろと休会になる前に審議があったわけですけれども、私はこの際政府のお考えになっていることを聞いておきたいと思います。
第一は、退職金制度というのは、今日まで行われてきた概念は、一つの点は賃金のあと払い、もう一つの点は報償的な意味が含んでいるという工合に、通念的に解釈されておったと思います。しかし、問題は、今国の年金制度そのものが完備してないから何らかの形でそこで退職金というものが、個個の民間企業その他で退職金という規定を設けて、実質的には老後の生活保障をしていくというものを中心にして退職金というものが生まれてきたと思います。だからぴったりその老後の保障何年、生存の何年ということでぴったり合っているか合ってないかは別といたしまして、しかし、少くとも何年かの老後の保障をせよという形でもって退職金というものは論じられてきてきめられてきた。だからここでお尋ねしたい第一点は、先日も国民年金法案というものが国会を通り、そして一つには厚生年金というのがありますけれども、とても老後の保障という問題にまで入ってない。だからこのような公的な、外国がやっているような年金制度で老後の生活を保障するというような関係と、今度の中小企業退職金共済法案との将来の展望というものをどういう工合にお考えになっているかということが一つです。
それからもう一つの問題は、ここに出て参りました法案の実質的内容の問題です。これでいまの見通しで、年数によって幾らか金額その他が違いますけれども、この金額でどのようなところをポイントに置かれているか、老後の保障というところにポイントを置かれているか。その他の、退職時にもらう給与ですか、というものはどこにポイントが置かれているか。そのまず二つの点にお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/3
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004・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) お話のように、わが国の厚生年金制度につきましても、まだいろいろわれわれが研究を進めなければならない点がたくさんあると存じます。そこで、ただいま御審議を願っております法案の趣旨は、御承知のように、これは作業所にしては百名、またはサービス業にしては三十名以下という比較的中小企業の中でも零細に属するところに働いておられる人々に、まず第一に、使用者の側からでも、今はおよそ人を使う場合には一定の年限勤めていただいた者には退職金というものの考え方は常識的になっておりますけれども、それを政府としては放任をしておかないで、やはりその積み立てされたる資金というものは、これを有効に運営することによって、退職をされる人々に対する支給される金額が比較的安定して、そしてそれも六歩の利回りをもって計算して支給ができると、従って、今まではそういう零細な企業に勤められる者と大企業に勤められる者との待遇の点においてもやはり相当の差がありますからして、日本の作業構造の上に重要な役割を占めておる中小企業、なかんずく零細企業の従業員というものをやはり安定した気持で働いていただくということが非常に大切なことだ。しかも自主的にやっておられるものにつきましては、青色申告等の場合にはある程度の減税も認められてはおりますけれども、このたびの法律によりますというと、そういうための積立金は御承知のように、免税をされる。従って、積み立てをいたす方でも、また、退職金の支給を受ける方でも非常に安定をした気持で従業していくことができると、そういうことがわれわれの大きなねらいなんでありまして、そこでしかし、これが行われたからといって他の社会保険全般について、私どもは現在のままで満足すべきものであるとは考えておりません。他の法案の場合にも政府側でも申し上げた機会もございますが、日本の社会保険制度というものにつきましては、いろいろ戦後の事情に基いて止まれて参りました社会保険制度については、政府としてはやはり根本的に調整し、総合的な社会保障の見地に立って改善をして参る。こういう考えを持っておりますが、退職金は今申し上げましたような趣旨でやろうといたしておるわけであります。
それからどういうところを基準に考えておるか、これは法案にも申しておるように、一口の金額を二百円として、そうしてこれが当初政府原案によりましては、七年以上十年までの者は五%、十年以上は一〇%という補助の対象をきめておるわけでありますが、それを衆議院における修正案で五年以上ということになりました。そこで私どもといたしましては、そういうふうな中小企業の従業員というものの勤務の平均年数等を計算いたしまして当初の政府原案を作ったわけでありますが、この修正案に当りましても、私どもはどういうところが大体の中心になるかということのめどをつけたわけでありますが、その点につきまして、政府委員側から一つ御説明を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/4
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005・澁谷直藏
○政府委員(澁谷直藏君) ただいま大臣から御説明申し上げましたように、この制度は御承知のように、中小企業の業者の積立金を、共済という形でプールにいたしまして、それを年の運用利子を六分という前提にいたしまして、一つの退職金のカーブをえがいておるわけでございます。そこで、最大のカーブの山は十五年に置いてございます。大体掛金に対しましての比率が一・二五倍になるのが十五年目でございまして、これをピークといたしまして退職金のカーブを描いておるわけでございます。
補助金につきましては、ただいま申し上げましたように、掛金の元金、それから元利合計に達する時期が、それぞれ掛金の四年及び五年六カ月となっておりましたのを、衆議院における修正によりましてそれぞれ三年六カ月及び四年六カ月というふうに短縮いたしたわけでございます。これの趣旨は言う芸でもなく、中小企業に働く従業員の平均勤続年数が約四年程度となっておりますので、その実態に合うように修正をされたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/5
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006・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 いや、私は今御説明になったことについては、法案を見せてもらったり提案理由説明のときにお聞きしているわけです。だからそういうことを尋ねているわけではない。私は退職金というのは、一つは何といっても老後の生活保障というところにポイントがあるんだから、主として。だから今後公的な年金、厚生年金、これは労働省と厚生省と関係が違うけれども、その関連をどうしていかれるかということが第一点。
それから第二点は、この額では老後の保障という額には、相当長く勤められても、額というものが非常に少いのでありますから、だからそういう老後の保障ということにポイントを置かれているのが、その額の少いところは何か相互扶助を目的に書いてありますけれども、そこのあたりの点を、どういうところにポイントを置かれてこういう額を刷り出されたのか。中小企業との相互扶助という内容については、今御説明されたようなことでわかりますけれども、その二点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/6
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007・澁谷直藏
○政府委員(澁谷直藏君) その点につきましては、大企業におきましては、御承知のように、老後の保障を目的とする、厚生年金制度と、そのほかに重複と申しますか、並行いたしまして相当充実した退職金制度が確立されておるのが実情でございます。そこで、中小企業の実情を見ますると、大企業に比較いたしまして退職金制度を持たない企業等が多うございます。しかも単独の事業所ではなかなか退職金制度を確立することがむずかしい。そこで、全国自発的に中小企業者が集まりまして、共同して退職金の制度を作ろうという機運が相当活路に動いて参ってきておるのが実情でございます。そこで、この法案のねらいとするところは、大企業が厚生年金制度と並行して充実した退職金制度を持っているのに対比して、そういう制度を持たない、恵まれない状態にある中小企業に対しまして、国が助成して、そうして法律に基いた確固とした退職金制度を作っていこうというのがこの法案のねらいとなっておるわけでございます。従って、掛金の額が、法案にもございますように、最低二百円が一口でございますので、その掛金の額が少いのに対応いたしまして支給額もあまり多い額ではございません。従って、これだけで老後の保障をこれで見ていくというようなわけには参らないと思いますが、そこは先ほど大臣が申し上げましたように、今後漸次充実されていく各種の社会保険制度と相待って、総合的に従業員の生活を安定させていく、そういう一つの柱になるというのが私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/7
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008・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 大体そこのところあたりはわかりましたけれども、問題は、今日百人以下、三十人以下という格好になるわけですけれども、そういうところの中にも相当いい退職金を持っておるところがございます。それから企業が大きくなるというばかりでなしに、企業自身の内容との関係があると思いますけれども、非常にいい退職金を持っていると考えるわけですが、こういう法案ができると、これは低いのですから、こういうところに退職金制度というものが引き下げられるという危険はないかどうか。これは一つお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/8
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009・澁谷直藏
○政府委員(澁谷直藏君) この法律は、御承知のように、退職金というものを作るきめ方につきましては、言うまでもなく、労働協約によるものが基本的なものでございまして、そのほかに退職金は就業規則によって定められる場合もございます。そのような退職金のきめ方につきましてはいろいろやり方があるわけでございますが、この法案は、団体協約なり就業規則できまってくる退職金というものをどのような方法で積み立て、あるいはこれを支給していくかという、その一つの方法をこの法律によって定めたものでございます。従いまして、労働協約によってある一つの退職金の額が定まってきた場合に、そのうちの全部をこの法律による方法でやろうとする場合もございましょうし、あるいはその年まりました退職金のうちのある一定部分をこの法律の制度によってやっていくというような場合、これはそれぞれの企業の実情に応じまして、いろいろな形が出てくるかと思うのでございます。
それからこの退職金の積立金にいたしましても、二百円を最低といたしまして、最高千円までかけられるような仕組みになっておるわけでございます。私どもといたしましてはただいま申し上げましたように、大企業に比して恵まれまい状態にある中小企業の従業員に対して、これに準ずるような退職金の制度を確立したいという気持でこの法案を提出いたしておるわけでございますから、これの運用に当りましては、この制度ができたために従来相当上回った退職金の規定を持っておったにもかかわらず、この制度の実施によってそれが引き下げられるというようなことはこれはもとより私どもの考えておる方向ではございませんので、この法律の実施に当っては、そういうことがないように十分に指導をいたして参るつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/9
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010・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そこで労働省としては、任意適用ということが今度は衆議院では任意包括ということになったわけです、だから、その面では企業ごとの任意包括ですから問題はだいぶ解消したと思いますけれども、問題はこれをかけさすといいますか、百人以下、三十人以下の中小企業ですから、問題はこれをかけるかかけないかというところに問題のポイントがあると思うのです。そういうところはどういう工合にしてPRされるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/10
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011・澁谷直藏
○政府委員(澁谷直藏君) 御指摘のように、この制度の基本的な建前が任意適用制の原則の上に立っておりますので、問題はこの制度を十分に当該の企業者及びその従業員の方に理解してもらうということが一番まず第一に大事なことであろうと考えておるのでございまして、私どもはこの法律が成立いたしましたならば、本省はもちろんでございますが、この法律によって設立されますところの中小企業退職金共済事業団、この活動、それから地方的には府県の中にあります労政系統の行政機構を通じましてこれらの力を、それから通産省の関係というようなものを、関係機関を総合いたしましてこれのPRに全力をあげたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/11
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012・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 問題は、そこが非常にこの法案自身を実施するという段階について一番重要な問題点だと思うのです。少くとも国が補助金を出す段階でありますけれども、補助金を出すという対象のものに規模を一応集約して百人、三十人にしたのですが、なぜそれなら全企業にやるという強制適用ということをお考えにならなかったか。そこらの理由を一つ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/12
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013・澁谷直藏
○政府委員(澁谷直藏君) 強制適用にするか任意適用にするかということは、この法案立案の際に当りまして最も問題となった基本的な問題の一つでございます。そこで、御承知のように、この法案の立案に際しましては、労・使・公益を含めた十五人の専門の方にお集まりをいただきまして、ただいま御指摘の点を含めて、各方面から十分の検討をお願いいたしたわけでございます。そこでその結論といたしまして、強制適用が望ましいけれども、日本のただいまの中小企業の現状から見て直ちに強制適用に踏み切ることは非常に困難である、無理が伴うという考え方から、任意適用という考え方に踏み切ったわけでございます。藤田先生も御承知のように、退職金制度よりもより制度としては基本的な健康保険あるいは失業保険といったような各種の社会保険におきましても、五人未満の中小企業に対しましては強制適用をとっておらない、そういったような実情も考慮いたしまして、任意適用ということで踏み切ったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/13
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014・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 これは意見で、ちょっと申し上げますけれども、今、零細企業の労働者をどう救うかということで、たとえば失業保険は五人以下でも任意適用になりました。健康保険は五人以下では適用になっていない。一番今社会政策で困っているところはそこらあたりであるから、そこの人をどうして救うかというのが今問題の厚生福祉——社会政策の私のポイントとだと思うのです。だから、ただ健康保険でなってないから強制適用にしなかったと、そういう理由であったら、今までの法案や施策を変えるというところにポイントを置かなければならぬところを、そういう今のようなお話であったら、私たちが今議論しているのは、失業保険でも五人以下任意適用困る、できるだけ全体が適用されるようにしようというような論議がされてきて、任意適用へ一段と踏み切った格好なんです。だから、こういうほんとうにしぼって、下だけやるというのに、今のようなお話じゃ私はちょっと困る。だからいろいろの企業その他の実情で、一つの段階として、ある一定の経過措置的な面でこういう工合にやって、将来考えるのだと、こういうお話でありましたら私はわからぬことはないけれども、ただ健康保険がどうだとか、そういうことに問題を移して、強制適用じゃなしに、任意適用にしたのだということじゃ私はちょっと理解できないのだが、もう少し話を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/14
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015・澁谷直藏
○政府委員(澁谷直藏君) 私の言葉が十分でなかったかと思いますが、私どもは、健康保険あるいは失業保険が五人未満に対して強制適用になっておらないから、従ってこの方も強制適用をとらなかったということではないのございまして、強制適用が望ましいということは言うまでもございません。その点につきましては、健康保険、失業保険等についてはそれの必要性がさらに一そう痛感されるわけでございます。ただこの点につきましては、厚生省におきましても労働省におきましても、かねていろいろな角度から検討をいたしておる問題でございますが、何分、御承知のように、わが国の中小企業の実態というものが非常に適用事業所の数が多い、しかもその規模はきわめて零細なものが多い。そこで実際に強制適用に踏み切った場合に、これの実際の行政運営と申しますか、事務の運用上に非常な困難が伴ってくるというような点から、健康保険等におきましても強制適用に踏み切れないでおるわけでございます。
そこで失業保険につきましては、先般の国会で御可決をいただままして、とりあえず任意適用をできるだけ推進、促進できるような方法を考え、実施してみてその成果を一応見た上でさらにその上の措置を考えようということで、失業保険につきましては先般の改正が行われておるわけでございます。その後の実施状況を見ますると、相当の効果を上げておりまして、従前に比較しまして五人未満の中小企業者の失業保険の加入率が相当活発になってきておるわけでございます。そのような動きとも呼応いたしまして、私どももこの制度の発足した後におきまして、その実際の運用の状況を見ながらできる限りそういった方向に進めるように努力していきたい、こう考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/15
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016・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そこでもう一言それに関連して聞いておきたいのだが、そういうお気持があるなら、個々の退職金ですから、衆議院で包括という問題が処理されたのですが、単なる任意という選択権——まず入るか入らぬかの選択権、それから従業員全体に対する選択権を自由にできるような単なる任意的なやり方というものを労働省がお出しになった、その気持はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/16
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017・澁谷直藏
○政府委員(澁谷直藏君) これは先ほども申し上げましたように、この中小企業退職金共済法案立案に際しての委員会におきまして、いろいろな方向からお集まりをいただきました委員の間で、非常に真剣な討議がかわされまして、その結論として任意包括制を含めて、強制適用についてはやや現状においては無理がある、そこで任意適用という建前でやるべきであるという結論が出ましたので、その答申の線に沿って法案を立案いたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/17
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018・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 それでは問題は任意包括にするという格好になりましたから、私はそこで問題がだいぶ解消したと思いますけれども、六条の衆議院における訂正された「被共済者となるべき者の意に反して行ってはならず」、それから二十五条の「従業員の意見を開かなければならない。」これらの関連を御説明を願いたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/18
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019・澁谷直藏
○政府委員(澁谷直藏君) この衆議院で修正されましたこの条項につきましては、まずこの退職金というものが労働条件であるということは間違いないわけでございまして、労働条件である限り、これについての契約を締結するというような場合に、従業員の意見を反映する機会が確保されていることが必要であるという御意見が出て参りまして、これにつきましては、私どもは退職金が労働条件であることは自明のことでございますので、これは当然労働基準法の規定を全面的にかぶって参るわけでございますから、それぞれの労働基準法の各条項を通じて、たとえば就業規則にはこれを明示するという義務がございまするし、それからさらに、就業規則を制定するに当っては、従業員の意見を開かなければならないという基準法の規定があるわけでございます。従って、そういった基準法の条項によってその点は保障されているという考え方で立案をいたしたのでございますが、衆議院における委員会におきまして、そこはやはり明文ではっきり書くべきであるという御修正をいただいたわけでございまして、私はその点はむしろ何と申しますか、解釈がはっきりしたというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/19
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020・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 だからこの二つの条項を関連して労働者の意見というものが、場合によっては協定ですね、一番いい形は協定だ、ただその他の場合については私は全体的な意見をまあ聞いてやるというような、段階は二つも三つもあると思います。労働省としては、私は一番いい場合の措置をこの法律には書けないにしても、何らかの措置をおやりになるつもりなんですかどうか、そこも聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/20
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021・澁谷直藏
○政府委員(澁谷直藏君) 私どもは、この法案提出の一番基本となっている気持は、先ほどから申し上げておりますように、恵まれない中小企業の従業員に対して退職金制度を確立したいということが基本の考え方でございますので、従って、この法律の運用に当りましては。特に衆議院における委員会の修正の規定もございまするし、十分にこの制度の趣旨というものを理解してもらうと同時に、中小企業の企業者がこの共済契約を締結するに当っては、その従業員の意見を十分聞いて、その意に反しないように、十分に行政指導をして参りたい、また、先生が御懸念の点につきましても、労働省で施行省令を定める際に、さらに一そう具体的な規定を置いて、この点については遺憾のないように措置して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/21
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022・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 まあこれでやめますけれども、ほかにまたありますから……。問題はその資金の運営ですね、この点なんですが、衆議院では「従業員の福祉を増進するための資金」というように修正をされております。だからその気持というのは衆議院で十分に論議されたと思うのだが、この積み立てられた資金の運用について、政府の当局はどういう工合にこの資金を運用されていこうとするか、単に、これはやはり零細企業の積み立てられた金ですから、やはり零細企業の保護育成なら育成というような問題を重点に金が運用されていくという、または労働者の福祉という問題に運用されていくというのが、この資金はこれだけシビアに切ったのですから、私は当然それが中心になると思うのですけれども、労働省としてはこの積み立てられた資金の運用についてどういう工合にお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/22
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023・澁谷直藏
○政府委員(澁谷直藏君) 余裕金の運用は、この制度運用の一つの大きな重要項でございまして、この点につきましては、特に一条を起しまして、第五十三条に余裕金の運用について規定を設けたわけでございます。その第五項におきまして「業務上の余裕金の運用については、安全かつ効率的な運用を害しない範囲内で、できるだけ中小企業者の事業資金に融通されるように配慮されなければならない。」というふうに政府原案においては規定されておったのでございます。もちろんこれも規定の精神といたしましては、中小企業者というものは言うまでもなく、事業資金に恵まれない、融資の面で非常に困窮しておるというのが実情でございます、従って、中小企業者が積み立てた金の運用でございまするから、そういった中小企業の事業資金の面に十分これが活用されるように運用するということが大事な点であることは言うまでもないことであろうと思うのでございます。そこで、今回の衆議院の修正におきましては、さらにこの中小企業者の事業資金に加えまして、従業委員の福祉を増進させるための資金にもこの余裕金を運用するように配慮されなければならないということに改正されたわけでございます。そこで、私どもは、この第五十三条の第一項におきまして、事業団の業務で余裕金を運用するに当っての仕事が規定されておるわけでございますが、そこで中小企業者の事業資金の、ほかに、労働者のたとえば将来一つの場合を考えますると、福利施設としての共同宿舎とか、あるいは一緒になっての、何と申しますか、リクリエーションとか、そういったようなものにもこういった余裕金が運用されるように考えて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/23
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024・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 その五十三条の一項の一、二、三ということと、今の二、三、四項に詳しく書いて、最後は今御説明なさったような精神を盛り込んでいくということですけれども、一項の横一、二、三ですね、有価証券の、取得とか、不動産の取得とか、そういうこととの関連はどういう工合に理解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/24
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025・澁谷直藏
○政府委員(澁谷直藏君) 第五十三条の第一項は、この余裕金の運用の方向につきまして厳重なる規制を加えた条項でございます。若干私の説明が混同いたしまして、これは第四十四条に、「事業団は、第二十八条の目的を達成するため、次の業務を行う。」という規定がございます。その第二号におきまして「保健、保養又は教養のための施設の経営を行うこと。」さらに第三号におきまして、「前二号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。」こういうことが定められております。従って事業団は、第一号に掲げられておる中小企業退職金共済事業のほかに、将来年月がたちまして、相当の余裕金が蓄積されました場合には、これの運用を通じて第二号、第三号の業務をあわせて行うことができることになっておりますので、そういった方向にも十分配慮を加えて参りたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/25
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026・久保等
○委員長(久保等君) 他に御発言ございませんようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/26
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027・久保等
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。ご意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述を願います。なお、修正意見等おありの方は討論中にお述べを願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/27
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028・久保等
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。
それではこれより中小企業退職金共済法案について採決いたします。本案を原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/28
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029・久保等
○委員長(久保等君) ありがとうございました。全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出する報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/29
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030・久保等
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。
暫時休憩いたします。
午後零時三十八分休憩
〔休憩後開会にいたらなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114410X02719590430/30
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