1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年四月一日(水曜日)
午前十一時五十九分開会
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委員の異動
本日委員岸良一君、小沢久太郎君及び
藤田進君辞任につき、その補欠として
奥むめお君、高野一夫君及び松澤兼人
君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 田畑 金光君
理事
上原 正吉君
小幡 治和君
島 清君
委員
鈴木 万平君
高野 一夫君
高橋進太郎君
高橋 衛君
堀本 宜実君
阿具根 登君
阿部 竹松君
海野 三朗君
栗山 良夫君
松澤 兼人君
奥 むめお君
豊田 雅孝君
衆議院議員
小平 久雄君
国務大臣
通商産業大臣 高碕達之助君
政府委員
通商産業政務次
官 中川 俊思君
通商産業省重工
業局長 小出 榮一君
通商産業省繊維
局長 今井 義衞君
通商産業省石炭
局長 樋詰 誠明君
中小企業庁長官 岩武 照彦君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
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本日の会議に付した案件
○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を
改正する法律案(阿具根登君外八名
発議)
○軽機械の輸出の振興に関する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○繊維工業設備臨時措置法の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○小売商業特別措置法案(内閣提出、
衆議院送付)
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001・田畑金光
○委員長(田畑金光君) これより商工委員会を開会いたします。
委員変更について、御報告いたします。
本日、岸良一君、小沢久太郎君が辞任され、奥むめお君、高野一夫君が選任されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/1
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002・田畑金光
○委員長(田畑金光君) 次に、ただいまお手元に配付いたしております通り、農林水産委員長より委員長あてに、小売商業特別措置法案について申し入れがなされておりますので、御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/2
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003・田畑金光
○委員長(田畑金光君) 次に、本日は午前中、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案について、提案理由の説明を聞き、午後一時より軽機械の輸出の振興に関する法律案、繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案、小売商業特別措置法案について審査を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/3
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004・田畑金光
○委員長(田畑金光君) 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案(阿具根登君外八名発議)を議題といたします。
これより提案理由の説明を聴取いたします。阿具根登君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/4
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005・阿具根登
○阿具根登君 ただいまから石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案の提案の理由及び要旨を御説明いたします。
現在、石炭業界は千百万トンに上る未曾有の過剰貯炭を擁して、これが解消に種々手を尽しておりますことは周知のところであります。ところで、石炭鉱業は、他の基幹産業と比較して、景気の変動に対しきわめて弾力性が乏しいというきわめて不利な特性を持っております。石炭鉱業が地下を掘さくするという原始産業としての性格、それはまた、同時に機械に頼る部分に比較して労働者に依存する分野の相当大であること等が、これを裏づけていると思われます。すなわち、現在、石炭鉱業のかかえている過剰貯炭のよって来たるところは、石炭鉱業それ自身の中に根ざしているところが大きいのでありまして、この事実は、欧米の各国も同様の状態に苦慮している点に徴しても、まさにそうであろうと思われます。
他方、石炭は、我が国産のエネルギー源として、将来におけるエネルギー対策上、きわめて重要な一翼をになうべく期待をかけられておるのみならず、石炭鉱業が、労働に依存する部分が比較的大きいのでありまして、このようにエネルギー政策、労働政策という観点からも、石炭鉱業の安定をはかることが緊要事であると考えます。
右に述べてきた事情にかんがみ、ここに、この法案を提出する次第でありまして、その眼目は、当面の異常貯炭による苦境を幾分とも解消し、需給の調整、価格の安定をはかるため、石炭鉱業整備事業団をして貯炭の買い取り等を行わしめ、かつ、これが資金面の措置として、資金運用部資金から融資することにあります。以下その要点を述べます。
第一に石炭鉱業整備事業団——以下「事業団」と略称します——に、新たに、通産大臣の指示に従って。貯炭の買い取り、保管及び売り渡しの業務を行わしめることといたしました。通産大臣の指示は、石炭鉱業審議会の意見を聞いて行い、その内容は、買い取り又は売り渡しの時期、石炭の数量、価格等を定めることとしました。
第二に石炭の買い取りに要する資金は、本来鉱業権者または租鉱権者の負担においてまかなうべきでありますか、一時に多額を準備することは不可能でありますから、資金運用部資金から九十億円を限度として低利の融資を受けることとし、その償還は本改正法施行の日から、昭和四十二年三月末までの間納付金を徴収することとにより行らことといたしました。
第三に事業団のなす買い取りは、前述のように通産大臣の指示に基いて行うのでありますが、当該指示は、現行法で定められております生産数量の制限に関する指示が先行、少くとも並行すべきことを要件としました。もし買い取りの指示がなされても、一方において生産が無制限に行われるときは、買い取りによって達しようとする意図が、ほとんど無意味になると認めたからであります。
その他、事業団は、石炭のガス化の研究促進に関する業務を行い得ること、事業団の石炭買い取り等の業務については、区分経理すべきこと等を規定しました。
何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/5
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006・田畑金光
○委員長(田畑金光君) 本案に対する質疑は、後日に譲ります。
暫時、休憩いたします。
午後零時五分休憩
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午後一時四十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/6
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007・田畑金光
○委員長(田畑金光君) これより、委員会を再開いたします。
委員変更について、御報告いたします。本日、藤田進君が辞任され、松澤兼人君が選任されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/7
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008・田畑金光
○委員長(田畑金光君) 軽機械の輸出の振興に関する法律案を議題といたします。
前回に引き続き、質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/8
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009・島清
○島清君 昨日、輸出振興事業協会のことについてお尋ねをしましたが、引き続いてその点について、お尋ねをしたいのですが、業者の諸君は、事業協会ができますというと、品質改善を要求される場合、品質改善の前提をなしますものは、施設の改善と、こういうふうになるわけですが、そこで施設の改善をなす場合に、資金の余裕があるかどうかというような、この疑問に対しましては、輸出振興事業協会を通じて、何か融資のあっせんが容易にできるように、こういうような考え方を持ち、その期待を持っておるようですが、何かこの振興事業協会が設立されることによって、そういう設備の改善資金とか、こういうものが、構想の中にあるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/9
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010・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 今回の法律におきまして設備の改善という点につきましては、輸出振興事業協会の運営と申しますよりは、むしろ登録制度の運用という点におきまして、登録基準というものを設けるわけでございます。その登録基準が一つには品質の向上ということを一方においては、重要な目的にいたしております。しかし、業界の実情にかんがみまして、一挙に、非常に高い基準を設けるということは困難でございますので、漸進的に基準の向上をはかる。その場合に、その品質の向上のためには、ある程度設備の合理化あるいは改善という必要も起ってくる場合が出て参ります。
その場合において、この輸出振興事業協会を通じて、これに対して何らかの助成措置をするかどうかという意味の御質疑でございますが、設備の改善につきましては、もちろん、これに対しましては、業界が全般的に中小企業、あるいは零細企業でございますので、そういった中小零細企業に対します政府の金融機関を通じまして、できるだけ融資のあっせんを直接政府において行なっていくということが考えられます。
それから御承知のように、現在、双眼鏡等におきましては、この業界内部において、開放研究所を設置しております。従いまして、この開放研究所の運営利用ということにつきましても、この振興事業協会等と十分連係をとりまして、そういった開放研究所の活用というような面につきまして助成をいたしていきたい、その面につきましては、振興事業協会の徴しまする負担金というようなものの運営によって、これらの開放研究所の活用ということも、当然この協会において行いまするし、また、具体的には、それぞれの設備の融資のあっせんにつきましても、協会が自身がめんどうを見るという考えに立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/10
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011・島清
○島清君 そうしますと、この事業協会の設立によって、直接的には資金のあっせんだとかいうことは目的とするのではなくして、また、できるというお答えでもなくして、資金の面では、一般中小企業ないしは零細企業のワク内において考えていく以外にないが、しかしながら協会としてのなにがしかの役に立つであろう——役に立ちたいという程度の御答弁のようですが、直接的に、資金のあっせんとか何とかということができるというなら、具体的に、できる根拠を一つ、お示しをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/11
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012・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) お話の通り輸出振興事業協会自体の事業の目的は、輸出振興を主として、海外に対する調査宣伝活動、マーケッティングの開拓というところに主眼がございまするので、直接的に、この協会自身が、こういった融資のあっせんというふうな事業を直接の目的にいたしていないことは、お話の通りでございます。
ただ、従いまして、既存のメーカーの団体でありますれば、工業組合あるいは輸出組合というふうなそれぞれの既存の団体を通じまして、これに対する経済面の援助というような助成措置は行えると思いまするが、しかし振興事業協会は、やはり業界全体の共同の負担によってできておりまする組織でございますので、この協会自体のやはり付帯的な業務といたしましても、そういうことを行うことができる、また、そういうふうにもっていきたい、こういう趣旨でございまして、確かに、御指摘の通り協会の主たる事業の直接の目的の中には入っていない、しかし、この輸出振興という業務は、当然その反面において、品質の向上ということが一つの大きな要素でございます。その品質の向上をはかっていくための業務の一環といたしましては、そういった設備の改善という面につきましても、協会の事業として行うことができるのでありまするし、また、行うというふうな予定に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/12
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013・島清
○島清君 協会の方で、あれですか、設備の改善に要する所要資金のあっせんをされる、そういう手当をされるということになりますと、どういったような根拠に基いて、そういう事業がやれるのですかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/13
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014・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 具体的に申しますと、この協会の業務に関しまして、第四十六条に、業務の範囲という規定がございます。その中の第三号に「軽機械の品質の改善に関する調査、試験研究及び指導を行うこと。」、こういう事業が、協会の事業として書いてございます。
従いまして、先ほど申し上げましたように、開放研究所というようなものの運営は、この品質改善のための調査なり、試験研究なり、指導という面に該当するわけでございます。従って、協会の業務の一環といたしまして、——この品質改善に関する業務の一環として、そういうようなことを行う根拠がある、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/14
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015・島清
○島清君 ちょっと、私の根本的な考え方を整理する意味においてお尋ねをするのですが、この事業協会というのは、運営の資金を業者に負担金を課することができる、そして、その業者の負担金によって、この事業協会というものが運営をされる、そして、その行いまする協会の事業の範囲というものは、直接的に品質の向上であるとか、あるいは調査をするとか、試験をするとか、そういうものに使われるというふうに私は理解をしているのですが、しかし、設備改善の資金に、一般から負担をかけて、さらに設備資金の方に使われるのだ、手当をするのだというようなことは、私、根本的にこれを理解してないのですが、しかし、今せっかくの御答弁がありましても、そういう根拠にならないと思うのですね。
資金の手当をするというならば、国の何か資金のうちから、どういう名目かで出すとかでなきゃいかぬと思うのです。これからは、私は出てこないと思うのですね。それは、品質を改善するための調査であるとか、あるいは品質を改善するための、あるいはここに見本的な、サンプル的な設備の基準というものは作られるにしても、そのサンプルに基いて直接的に、それでは業者の方に、その改善をさせるために資金の手当をするということは、これからは出てこないような気がするのですが、これは、私の認識の不足でしょうかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/15
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016・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) ただいま、お答え申し上げましたのは、この協会の業務の範囲といたしましての品質向上に関する調査研究、あるいは指導というのが、協会の業務の一つの重要なポイントになっております。そこに、まあ根拠があるということを申し上げたわけでございまするが、そこで、具体的に、設備を改善いたしまする、個々の企業者が、改善をいたしまする場合におきまする資金のあっせんの問題につきましては、これはむしろ金融機関を、特に中小企業の専門的な金融機関を通じての融資のあっせん、こういう形になろうかと思います。
従いまして、この法律の付則におきましても、付則の十七条等におきまして、中小企業金融公庫法の改正をいたしまして、この協会が行いまするそういった品質向上のための、いろいろの所要資金というものの確保をはかりまするために、そういった中小企業金融公庫あるいは商工中金というふうな既存の金融機関から長期資金なり、あるいは短期資金の確保をはかる道を開くと、こういうふうな措置をとっておるわけでございます。負担金は、お話の通り主としてこの振興事業協会の海外に対する調査活動というような問題のために徴収されるものでございます。
今の、具体的な設備の改善等に関しまする資金的な面は、むしろそういった金融措置の融資のあっせんということによってまかなっていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/16
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017・島清
○島清君 今あなたは、関係法律を改正したようなことを言っておられるのですが、そうすると、私は寡聞にして、それを見ておりませんが、あっせんですと、これは責任がないようであるようで、そうして、あるようで、実際ないのですから——あっせんというものは。ですから、これは倫理的な行為の範囲であって、法律的な行為の範囲じゃないのですね。
ですから、あっせんは、この協会であろうと何の協会であろうと、人間であろうと法人であろうと、やれるわけですから、これは、大いにやっていいと思うのですが、法律的な行為として、これがその設備改善を要求されるその前提をなしまする資金の手当というものができるかできないかという私の質問なんです。そうして今は、何かどこかの金融機関の法律の改正がなされておる、これに融資あっせんの道を開くために、何か法律の改正がなされておるということでしたね、それは何の法律の何条をどういうふうに改正したのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/17
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018・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) この法律案の付則の第十七条におきまして、中小企業金融公庫法の一部の改正をいたしております。これは結局、中小企業金融公庫から、この中小企業を母体といたしておりますこの協会の、そういった事業に対しまする所要資金を中小企業金融公庫からも資金の借り入れができるという道を開くという意味の改正措置をいたしてあるわけでございます。
従いまして、この法律案が成立いたしますれば、この法律の付則の条文に基きまして、中小企業金融公庫の融資の対象の中に、この協会が新たにつけ加えられることになりますので、それらを通じまして、そういった設備の改善のための資金があっせんできる、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/18
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019・島清
○島清君 わかりました。過去の完了じゃなくて、未来の形ですね。
それならよくわかるのですが、それから、あれですか、そういう場合の……、これは組合であってないようで、その主体性が非常にぼけておるのですが、この協会は、そういう場合の最終的な責任は、だれが負うわけですか。組合の場合は、最終的な責任者は——当面の責任者は、その会の役員でありますけれども、最終的な責任は個々の会員が負うわけですね。これは、非常に主体性がぼけておるのですね。最終的責任を個々の会員が負うという形にはならないと思うのですが、最終的な責任は、だれが負いますか、その場合に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/19
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020・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) この輸出振興事業協会は、法人組織でございまするが、御指摘の通り、組合というようないわゆる団体ではございませんで、そのメンバーは、もちろん業界をあげてこのメンバーになるわけでございますけれども、しかし法人といたしましては、やはり独立の一つの別個の法人でございます。
従いまして、この法人の今お話の最終の責任者と申しまするか、これは、やはりその法人の代表者が最終責任を負う、こういう解釈になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/20
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021・島清
○島清君 そうしますと、私は、その国家の金融機関の面からも、かなりやはり疑義が生ずると思うのですが、使います当面の資金の需要者というものは、個々のメーカーである。しかしそれが一つの団体があってあっせんをする。しかしながら、あっせんしたものが、最終的には——一つの人格体があって、その人格体が責任を負うということです。かりに、しかも、その団体というものは、個々のまた組合員の負担額によって、それが運営される。そうすると、ここに何と言いますか、民間的に言いますとトンネル会社だな資金をあっせんして、ブローカー的に流して、手数料をとるかどうか知りませんが、手数料じゃないにしても、それが、すなわち負担金というものが、手数料の形になるわけですね。
しかも、品質改善と言うて、非常にまあ設備がよくなって、事業経営も拡充していけばいいのですが、必ずしもそれは、一から十までの経理面を見ているわけではないから、その企業が非常に名実ともに健全なものであるとは言えないと思うのですね。それは、金を借りる以上は、あるいはまた貸し倒れもあると思うのですね。
そういう場合のことはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/21
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022・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) この振興事業協会自身が、中小企業金融公庫その他等から融資を受けるという場合と、それから個々の具体的な各企業が設備の改善等のために、特定の金融機関から融資を受けるのと、まあ二つの面が考えられると思いますが、その間におきまして、先ほど、この協会が企業の品質向上のための事業の一環といたしまして、そういった融資面についてもあっせんをし、あるいは指導をするということを申し上げたわけでございまするが、まず、この協会自身が、いろいろな協会自身の行いまする事業につきまして、既存の各種の金融機関から融資を受けるという場合におきましては、これはあくまでも借り手は、協会ということになるわけでございまするので、最終的に協会が責任を持つと、こういうことになろうと思います。
それから、個々の事業者に対しまして、個々の企業が、設備の改善等のために、それぞれの企業に必要な設備資金の融資を受けるという場合におきましては、これはもう当然にその借受人でございまする各企業が金融機関に対して責任を持つと、こういうことになるわけでございます。
ただ、その間におきまして、協会がいろいろ金融機関との間に、あっせん事業を行うということはあり得るわけでございます。しかし、これは別段、協会自身が金を借りて、手数料をとって、さらにそれを下の各企業に流すと、こういう形ではなくて、直接には、やはり個々の企業が設備改善のために金を借りる、それに対して協会が、いろいろあっせんをする、こういう形になると思います。従って、これが一つのブローカー的と申しまするか、あるいはトンネル的な形で融資を受けて、さらにこれを転貸すると申しますか、そういうふうな形になるような性質のものではないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/22
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023・島清
○島清君 どうも、せっかくの御説明ですが、非常にのみ込めないんですがね。
と申し上げますのは、かりにまあ、この四十六条の三号をやっていくために、さらに付則を改正をして、中小企業金融公庫法の一部を改正して、その協会自体が、融資を受けるというようなことについては、それは理解できるのです。
それから、切り離していただきたいのは、その協会が、こういうふうに双眼鏡は設備改善をしなければならぬと、こういう基準に基いて輸出品を作らなければならぬという一つの、まあかりに結論を出したとするのですね。ところが、協会が事業を営むわけじゃございませんから、そういったような基準はこらでなければならぬと。そこで、その基準に照らして、協会の方としては、その各個々のメーカーに対して基準の要求をすると思うのですね。そういうことだと思うのです。
要求をしますと、その基準に即応するような、品質改善を促進するような形の資金の余裕がないと、資金の手当がなければならぬという場合に、業者の諸君は、そういう場合も、協会の方から資金のあっせんが願えるものだと、まあこういうふうに考えておられるような向きが、われわれにはうかがえるのです。うかがえますので、私はそこで、その意味でなら、それはおそらくむずかしいのではないかと、こう考えているのですが、そういう意味で、今御質問申し上げているわけですが、むずかしければむずかしいで、それでいいわけなんです。今の業者の諸君が、それはそら頼みであるということが、それでわかるわけなんですから、どうなんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/23
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024・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) お話の前段の方は、この協会自身が、融資の対象として、中小企業金融公庫の融資対象の中に、この協会を加えるという意味において、付則の第十七条において、中小企業金融公庫法の改正をいたしておるわけであります。
しかし、これは、お話の通り、協会自身が、自分の事業を行いまするについての金を借り受けるわけでありまして、その自分の事業の中に、先ほど申し上げましたように、品質向上のためのいろいろな試験研究所を持って、それを大いに拡充し、それに対して、各企業の方が、その研究所を活用できるようなふうに、そういった試験研究機関を拡充するということが、これが結局、業界全体のためになるという意味におきまして、協会自身の事業として行うわけでございます。その場合に、協会が融資を受けるという点でございます。
そこで、今問題の第二段の、業界の方で、あるいは振興事業協会が、何か自分である程度転貸資金のようなものを持って、そこからさらに融資を受けるというようなふうな解釈がされておるといたしますれば、それはもちろん、そういうことではございません。結局、各企業の設備の資金というものにつきましては、これは各企業が、それぞれの金融機関から、融資を直接に受ける。ただ、それに対しまして、いろいろ金融機関との間の事実上のあっせん、これはまあ、協会もいたしまするし、また政府自身もいたすわけでございますが、そういう意味でございまして、従って、協会自身を通じて何かそういった金が流れてくると、こういうふうな意味ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/24
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025・島清
○島清君 そうしますと、やはり、協会が設立されたからというて、別に個々の業者それ自身の金融の面で容易になると、こういう要素はないわけですね。
たとえば、中小企業庁でやってもよろしいわけであるし、それぞれの係の官庁でも、あっせんくらいはできるわけですから、ですから、それがキャッチ・フレーズにはならぬわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/25
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026・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 直接的には、お話の通り、キャッチ・フレーズにはなりません。
ただ、先ほど来申しておりまするように、輸出振興事業協会は、輸出振興事業というのが直接の目的でございますので、その一環として品質向上ということが一つの大きな要素であり、その品質向上のためには、個々の企業が設備を改善するということも必要でありますが、同時に、いろいろな試験、研究、調査というために、そういった共同の試験研究機関として活用していくという開放研究所等の組織があるわけでありまして、それらは協会の手によって拡充していくということでございまして、その辺は、間接にそういうことが行われていく。
それから、個々の企業に対する融資あっせんにつきましては、お話の通り、従来からの工業組合なり、あるいは輸出組合なり、それぞれの既存の制度は、もちろん従来通り活用していくわけでありますから、それはそれで、十分、あっせんに今後も努力していくと、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/26
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027・島清
○島清君 そうしますと、この前、何か反対者の人が、これに対して具体的な数項目にわたりまして、反対の理由をあげられたわけです。それに対しまして、第六という数字を付した「設備その他の強要は多数の小企業者に財的負掛を加重する。」というような反対意見を述べて、さらに賛成者の意見として、これを反駁した文章があるのです。
それによりますというと、「登録基準は、当初から著しく高いものを定めるととはないと政府は度々言明しており、業界としても、それを要望することにしているので、それ程の負担にはならない。必要な場合、政府金融機関から、長期の融資も受けることができるので全く不安はない。」こういうことを言っておるわけです。そうするとこの政府金融機関から長期の融資も受けることができるので全く不安はないということは、受けようと思えば、いつでもできるわけであって、それが必ずしも直接的に事業協会ができたから、政府金融機関から長期融資を受けられるということにはならないわけなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/27
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028・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) この問題は、事業協会と直接関連した意見の書き方には、私はなっていないように了解いたします。
従って、登録制度というものの運営によって出てくるそういった設備的な面で、かりに基準に達しない、従って基準に合わせて、どうしても事業をやるためには設備を改善しなければならないという結果が出て参りました場合には、従来通りの各種の金融措置によって、政府金融機関からの長期の融資を受けるのであるから、それによって設備の改善を、全く不安はないということは、少々言い過ぎかと思いますけれども、相当に、これは改善が財的負担をかげないでもできると、こういう意味でありまして、従ってお話の通り事業協会があるから、これによって全くそういう財的負担は加重されないというふうには、この意見も、そういうふうには書いてないんじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/28
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029・島清
○島清君 品質向上を前提として、その基準を漸次高めていきたいというのは、通産当局の考え方ですね。そしてその通産当局の考え方を体して、実際の業務的な各般の指導とめんどうを見ていきたいというのが事業協会ですね。
ですから基準の向上というのを求められた場合ですね、業者の直ちに考えることは、基準を高めなければ登録が取り消される。そうして基準を高めるのには、それぞれの資金の手当をしなければならない。そうしてその資金手当をどうするんだ、今の中小企業では、零細企業では、それぞれの金融機関はあるけれども、それぞれの金融機関にいったのでは、せっかく求めておられるところの基準に即応するように改善をしようとしても、にわかに金も貸してくれないんじゃないか、こういう不安があるわけですね。
で、こういう不安に対して、まぼろしのごとくに——事業協会があれば、何か金が出てくるように、まぼろしのごとくに彼らに幻想を与えているわけですね。ですから私は、これは幻想にしか過ぎないということです。
そこで私は聞きたいのは、こういったような基準を求める場合に、当然この資金の問題が起ってくる。これに対しては事業協会は、私はできないと思うが、そとで、その次の質問は、これに対して、政府はどうやって、資金手当をして、そうして基準を高めていき、業者に対して資金的な不安がないように、そうして輸出振興をはかっていくかということが、これから先の私の質問の命題になるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/29
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030・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 振興事業協会ができることによりまして、将来起るでありましょうその登録基準を高めるということによって、いろいろ設備資金なり、あるいは場合によっては、転廃業の問題も出てくるかと思いまするが、そういうような場合の資金手当は、単に事業協会があれば、それで大体あっせんできるんだという、いわば過大な期待を与えておるのではないか、こういう趣旨のお尋ねであろうかと思うのでありますが事業協会と、融資のあっせんの問題につきましては、先ほど来、お答えしているようなことでありまして、政府といたしましては、既存の各種の組合制度あるいは政府自身の直接のあっせんというようなことによりまして、できるだけそういった資金のあっせんを行うし、また事業協会自身も、もちろんこれに対しましては、十分業界の指導なり、あっせんに努力するということにおきましては、これは全然、この事業協会の存在というものは、その面において働きをしないということではないと思います。
しかし今お話のように具体的に、それでは登録制度というものを、どういうふうに運営していくか、その結果として出てくる設備の改善なり、あるいは企業の整備というふうなものを、どういうふうに手当するかということでございますが、この点につきましては、まず第一段階といたしまして、登録基準を、どういうふうな程度において、いかなる形において設定をするかという問題が、まず基本的に一番大きな問題でございます。その点につきましては、これは従来から、いろいろ衆議院におきましても、御説明申し上げましたわけでございまするが、この登録制度は、最初この法律が成立いたしました際におきまして、登録基準というものを確定し、これを公表して運営をしなきゃならぬわけでございまするが、しかしそれには、相当のまず準備期間をおくということをまず考えております。と同時に、最初登録制度を実施いたしまする当初におきましては、できるだけ業界の、現在の業界の企業の実情というものを十分に調査をいたしまして、その実態に対しまして、急激な変革を加えることのないような、できるだけ現状に即した線から出発をしていく、こういうふうな面で運営をしていきたい、かように考えております。
もちろんその登録の基準を作るにつきましては、われわれ役人だけで、これをきめるわけではございません。それぞれ関係の業界の専門家等の十分意見を尊重いたしまして、具体的に検討を加えた上で慎重に決定をする、かように考えております。
従って、その登録制度の実施によって、直ちにいろいろな影響が出てくるというようなことにはならない、かように私どもは期待をしておるわけであります。
しかし、この登録制度の目的の主たるねらいの一つが、品質の向上ということでございまするので、いつまでも最低の基準だけを甘んじておるということでは、将来における国際競争の面におきまして、品質の向上をはかっていくということにはならないわけでございます。従ってやはり、だんだんと経験を積み、協会の態勢も整うに従いまして、登録基準を高めていくという方向に向っていかなければならぬと思います。
そこで、かりにそういった基準を高めるような際におきまして、基準に適合しないというような企業が出て参りました場合、あるいは設備が出て参りました場合には、それらに対する設備資金のあっせん、あるいは場合によりましては、企業の系列化というような問題も起ろうかと思います。それらについては、具体的にその場合の実情に即しまして、既存の金融機関を、各種の金融機関の制度を活用いたしまして、政府が業界と一体となりまして、具体的にあっせんをしていく、こういうことでございます。
従って非常に抽象的なお答えになろうかと思いまするけれども、将来におきまする登録基準の定め方によりまして、いろいろな面が、いろいろな場合が出てこようと思いますので、それらは実情に即しまして、ケース・バイ・ケースに具体的に、できるだけ末端まで行き届くようにあっせんをしていく、こういうことを私どもとしては、十分運用上、考えていくつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/30
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031・島清
○島清君 私は、今、登録基準の問題については、品質向上の問題についても、あとでお尋ねをしたいと思っていたんですが、ここで私は、非常に通産当局の方で重要な、われわれとしては、おろそかにできない考えを持っておられるということがはっきりしたわけですが、その一つは、転廃業のことも起り得るかもしれないということと、それから系列化の促進という形になるのかもしれないということですね。これはおそらく、そういう結果になるのではないか、こう思うのですが、このことについては、私たちが中小企業の問題を本委員会で取り上げて論議をいたします場合には、中小企業、なかんずく零細企業の諸君については、税制の面についても、金融の面についても、国家の暖かい保護的施策の下に、これが競争力をつけて、競争にたえていくように設備の指導をしていかなければならぬ、こういうような方針の下に、私たちは零細企業については臨んでおると思うのです。
そこで、しかしながらこの法律のよってもたらすことによって、あるいは必然的に転廃業が起るのかもしれない。また大企業の下に系列化というものが促進されるのかもしれないということになりますというと、本委員会で零細企業に競争力をつけて、これを厚く保護していかなければならぬという、われわれの考え方と根本的に相違すると思うのです。それは御承知かと思いますけれども、団体法が制定をされました場合でも、こういったような法の効果として、結論的には弱いものが負けていくのではないか、こういうような考え方等がありまして、零細企業については、特別に減税処置を講じなければならないという法律まで制定されたのです。零細企業に対しては減税処置を講じなければならないということで、団体法の中に入れられて、団体法が成立しているわけですが、この団体法の制定を顧みますというと、これは、業者が非常に渇望いたしまして、われわれが、少くとも疑問的な発言でもしようものなら、あいつは反対しているのだと言うて、業者の諸君が怒るぐらいに、あの法律の制定に皆さんが情熱を示してきたのですが、それの一貫して流れておりますものは、やはり中小企業には、もっと暖かい施策の保護を差し伸べなければならないという精神で貫かれているわけなのですね。
この法律が制定されることによって系列化が促進をされ、転廃業が起るだろうということは、これは、まあ小出さんは重工業局ですから、零細企業なんということについては所管上扱っておられないので、そういうような発言をされたと思うのですが、私は非常にこれは、本委員会としては重大な発言だと思うのですよ。もしこれがそういう結果を政府が、今から予測しておるとするならば、私たちは、この法案に対しては、今までよりは形の変った立場で検討しなければならないと思うのです。
そういう意味において大臣はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/31
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032・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) ただいま、お説がありましたが、私は、これはまだ局長の答弁は、そういう場合もあるだろう、系列化、合同化という場合もあるだろう、こういうことを想像して言ったわけでございますがいやしくも輸出振興事業協会としてのイデオロギーと申しましょうか、根本の方針といたしましては、零細企業は、零細企業として立っていくかどうかということが、やはり根本の問題でありますから、そういうような方針で、やはり政府は指導していくべきものだ、こう存じておるわけでございます。
しかし同じ零細企業でも、たとえば一つの機械を作るというと、非常に安く上っていいものができる、ところが零細企業だけでは、これは一軒だけではできないという場合には、二人の人が寄って、あるいは三人の人が寄ってその一台の機械を設備するというようなこともあり得るだろうと思うのです。
そういう場合は、当然零細企業自身が立っていく道として、その方針をとるべきだと存じますが、しかし政府の方針といたしましては、零細企業は零細企業として立っていくような方針をとっていくということが、やはり根本の考え方でなければならぬかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/32
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033・島清
○島清君 そこで私は、あの法案の質問の冒頭から疑問に思っておりますことは、なぜ団体法に委譲しないのだ、なぜ団体法で欠けたるところを補って、それでやっていくようにしないのか。
団体法によりますというと、事業の共同化ができるのです、今大臣がおっしゃったように。たとえば基準がきつく要求されたときに、個々の業者が設備ができない場合、共同して、共同行為ができるわけですね。法律に基いてできるわけなんですよ。ところが、この法律からは、そういう答弁は出てこないのです。この法律からは、なるほどそれは、小出さんがおっしゃるように、この法律によっては、あるいはその基準の向上にたえ切れないものは、転廃業する以外にはないのではないか、そういうことがこの法律から出てくるのは当然だと思う。本音だと思う。
そこで団体法によると、大臣が今おっしゃっているように、共同行為ができるのですね。事業の共同化も、すべてのことができるのです。私は団体法をもっと活用すべきじゃないか、こういうことを申し上げたのですが、その点、この法律からは、なるほどそれは小出さんが説明される通り、転廃業も余儀なくされると思うのですが、もし生きていこうとするならば、やはり大企業のもとに系列化していく以外にはない、こう思うのです。しかしながらこの法律だけについて考えると、そういうことなのですが、それでよろしいのか。
また今大臣のおっしゃったようであれば、これは団体法の精神なのです。大臣のおっしゃることが団体法の精神であるとするならば、もっと団体法によってこれを押し進めるべきである。この法律案は要らないということになります。
今大臣は、大臣らしい非常に政治的な答弁なのですが、それをそのまま、われわれが肯定するということになりますと、団体法の方が、よりよく大臣のお考えが生きてくるのではないか、こういうことなのです。非常に大臣は、上手に政治的に御答弁になったわけですが、その上手さを受けとめるだけの団体法というものがあるということなのです。この法律では共同行為は禁止しておりませんが、直接的にはできない。ところが団体法では大臣が御答弁になったようなことが、ちゃんとできるようになっている。
大臣の答弁のようであれば、団体法に委譲すべきである、それを活用すべきです。どちらかなのですね。その点、小出さんからでも、大臣からでもよろしいですが、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/33
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034・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) ただいまの御質問にお答えいたします前に、先ほど私のお答え申し上げました点が、非常に言葉が足りませんで不十分でございましたが、私が今申し上げました意味は、登録制度というものの目的は、品質の向上ということが一つのねらい。それからもう一つは、これは当然のことでございますが、やはり業界の安定ということが、やはり一つのねらいでございます。
従いまして場合によって、非常に過当競争が激しくなった場合、登録を停止するというようなことは、それはむしろ業界の安定ということのために、中小企業者の擁護という形において考えられているわけです。そこで品質の向上をはかりますために、その面から登録基準を運営して参ります場合におきましては、あるいはその基準に合致しないものが、皆無であるとは考えられません。その場合におきましては、基準に合致しない企業をどうするかということを考えまするというと、あるいは自発的に転廃業する、これを強制する考えを持っておるのではございません。
それから企業の系列化という言葉も、非常にあいまいでございまするが、たとえば企業合同をしたい、先ほど、大臣がおっしゃいましたように、二つ、三つの企業が、一緒になってやりたい。そうすると基準に合致するという場合もあろうかと思います。しかし、これも業界の要望に基きまして、そういうふうにしたいということがありました際に、そういったふうな指導をしていきたいという気持でございまして、当初から、そういう企業合同を促進したり、あるいは転廃業を促進するという目的をもって運営するという気持は毛頭ないわけであります。
そこで、具体的に今団体法との関連についてお話がございましたが、私自身は、今お話の通り重工業局という名前になっておりまするけれども、軽機械は、これは大体、中小企業でございまして、私のやっておりまする行政の中の非常に大きな部分は、中小企業行政であるというふうに、私自身も考えておるつもりでございまして、従ってこの輸出振興事業協会の運営等につきましては、これはやはり一面においては、輸出振興の行政であり、他の面においては、むしろこれは中小企業行政である、こういうふうな私自身は、認識を持って運営をして参るつもりでございます。
そこで、その場合におきまして、団体法との関係でございまするが、団体法によりまする既存の工業組合なり、あるいは輸出組合というものは、やはり従来通り残るわけでございまして、それらの組合の調整活動なり、あるいは今お話の通り共同事業、共同経済事業、こういうものもできることになっておるのでありますが、しかし、なぜその共同経済事業を活用しないか、そうして、ここに新たに輸出振興事業協会という別個の法人を作るのは、なぜかといろ点につきましては、衆議院におきましても、いろいろ御意見を承わった点でございまするが、私どもといたしましては、この輸出振興事業というものが、事業協会を作ります目的の背後にありまする現在の輸出の実態を見ますというと、焦眉の急に迫られた問題といたしまして、早く海外に対するマーケッティング、あるいは調査活動、宣伝活動というものを、今この際において手を打って参りませんというと、非常に将来において立ちおくれになるおそれがあるというような事態もございまするし、それから業界の内部におきまして、工業組合というのは、これはメーカーだけの団体であり、輸出組合は、商社だけの団体である。その間において、いろいろ利害の対立もございまするし、それらの調整の問題もございます。ことに輸出振興というような事業は、非常に専門的な知識と、そのための調査宣伝活動というものは、非常に特殊な専門分野の仕事に属しますので、それらの既存の団体でありまする工業組合、特に中小企業の集まりでありまする工業組合だけの手で行うということは、非常に実際問題として困難ではないかということを考えまして、むしろ個々に別個の組織として、そういった専門的な活動をする法人を考えたわけでございます。
しかし、ひるがえって考えますれば、今お話の通り、基本的には、これは中小企業対策でもございますので、その意味におきましては、既存の中小企業団体法の活用ということによってやっていくことが、もちろんそれが、本筋であるということも考えられます。従いまして、衆議院におきましては、そういう意味におきまして、既存の制度の活用ということをはかっていくことが、これが最も望ましい形であるけれども、今の輸出振興事業というものの必要性というか、そういった実態から考えますれば、時間的な関係もございまして、まず、この法律によって制度を運用してみて、ここに五年間という、一応の修正が行われまして、期限を切ったわけでございます。その間において、業界の態勢も十分に整えるように指導し、そうして業界が安定し、態勢が整えられました場合におきましては、その際において、この法律を廃止する、こういう実は修正が行われ、また私どもも、それが適切であるというふうに考える次第でございますので、そういう意味において御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/34
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035・島清
○島清君 私も局長が、重工業局が転廃業をはかり、それから系列化の促進を考えて、こういうような法案を、その意図によって策定されたとは考えてはいないのです。
ただ結果的に、結果論として、そういうふうになるのではないかということを申し上げたのであって、私は結果的には、これはそうなると思うのです。あとで品質向上の面で、なぜ私がそういうふうな疑念を持つかということについて、お尋ねをしますけれども、だから、そういうふうに結果的には、そういう憂いがあるので、設備改善の資金については、そっちの方で手当をしようというので、一つのまぼろしを与えて、そして、なに、国の金融の機関であっせんを願えるのだから、大したことがない、耐え得るのだ、政府がいかに基準の向上をはかっても、それに耐えられるのだというような、一種のまぼろしを持っていると思うのです。それを私はこういったような質疑を通じて、業者が、そういったような過大な期待を持つべきじゃないというようなことを、やはり、はっきりさしておかなければ、われわれ立法者としては、親切ではないと思うのです。
その意味においても、私はこの事業協会の問題と関連をして質問の形で取り上げたわけなんですが、そこで、私もそう思いますが、業者の諸君も、しばしばお話を聞いてみますというと、非常に業者の、業界の意思を離れて運営をされるということ心配をするのです。また本法に、数カ条にわたって規定されておりますこの協会の性格から判断をいたしましても、そういうことがうかがえるのですね。私は、あなたたちが、そういうようなことをお作りになったというその苦しい立場は、別に了解しないわけではないのですね。おそらくこれで、もう寸分のすきもない万全な策であるというようなことはおそらく言い切れないと思うのですね。仕方がない、これ、やってみよう、悪かったら、また変えたっていいじゃないか、悪くいったって、もともとじゃないか、こういうような、おそらくそういう考えであるというような御答弁は願えないだろうし、説明はなさらぬでしょうけれども、おそらく腹の中では、そういうようなことを考えながら、やむを得ない、これは、もう今考えられる、今やり得る処置が、これであるということだと思うのです。
しかしながら、何としても、やはりこの協会というものは、業界の安定とそれから業界が作ります商品の輸出の振興、ひいては、これが外貨の獲得、こういうことになるわけですから、やはり何としても、業界の意思が強く反映して運営されるようにならなければ、私は羊頭を掲げて狗肉を売るというそしりを免れないと思うのです。もち少し民主的な、業界の意思が反映するような形が望ましかったと思うのですが、ことさらに、そういうものをとらなかったという理由は、どこにあるのですか。
それをお聞きしますのは、なるほど会社を作ってみた、会社の方が、らまくいかなかったということは、それは、いろいろな利害が対立する連中が一つの会社に入ったから、うまくいかなかったのだ、これはわかるのです。しかしながら、この協会は、何もその利害対立するような形で一つのオブラートに包まれるという性格のものではないのですから、これを国家意思によって、業界を指導していこうという形がとられておるわけですから、それには、もう少し協会の意思が反映して運営ざれる形をとることが望ましかったのではないかと思うのです。それについては、ことさらになぜ業界の意思を尊重しないような形で、悪い言葉で表現をすると、官僚統制になるというようなそしりを免かれないような形で、こういったような協会の運営を考えられたか、その点について御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/35
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036・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 輸出振興事業協会の組織あるいは運営につきましては、今御指摘のようないわゆる官僚統制になるのではないかという懸念は、それは業界といわず、まことにごもっともな御懸念であると私自身もそう感じております。
ただ、こういったような組織がなぜ必要であるか、この法を私どもが立案をいたしましたその経過につきましては、今いろいろお言葉がございましたけれども、私どもは過去において、これは島先生も御承知だと思いますけれども非常にこのむずかしい業界を、いろいろあっせんをし指導をして参りまして、非常に苦しい経験を経た上で、やはりこれが一番適切な形ではないかということに落ち着いたわけでございます。単なる思いつきとか、あるいはちょっとこれをやってみて、悪かったら改めるというような、そういう非常に安易な形において考えたのではございません。やはり最も適切な制度であるという確信のもとに、これをぜひ適正に運営していきたい、かように考えておるわけでございます。そこでその場合におきまして、その適正な運営をいたしますものにつきまして、今お話の通り、なぜ業界の意見をもっと反映するような組織にしなかったかということでございまするが、反面から申しまして、従来の既存の制度で考えられまするのは、一つは株式会社であり、一つは組合ということになるわけであります。
そこで、株式会社の点につきましては、これは、先日も申し上げましたように、双眼鏡におきましては、一手買取販売の輸出振興会社というものが三年足らず前からできまして運営して参りましたが、これはその株主の関係等におきましては、やはり特定のそこに出資した人だけの会社ということになるわけでございまするので、当然その運営が適正を欠くといううらみもございますし、またメーカーと商社との利害の対立というような面から、必ずしも円滑に行っていなかったということは、昨日もお答え申したわけでございます。
一方、組合の面につきましては、どうであるかと申しますると、これは先ほどもお答え申し上げましたように、工業組合あるいは輸出組合という形において、既存の制度があるわけでございまするが、これは、やはり工業組合であれば、これはメーカーだけの団体、輸出組合であれば商社だけの団体である。従って結局、そこの組合員だけで運営をするということになりまするというと、どうしても、この輸出振興事業というような海外に対する調査宣伝活動というものに、技術的専門的な特殊な事業であり、特殊な知識、経験、能力を必要とするというような面もございますし、またその運営が、メーカーあるいは部品関係、輸出業者全般の関連各業種に総合的に適正に運営されるような形においた組織でないと、うまくいかないというふうに考えるわけであります。
そういう意味におきまして、特にどの業界だけの代表というふうな形でない、別個の特殊法人も考えたわけでございます。しかしその特殊法人、これはいろいろの特殊法人が、御承知の通り立法されておりますが、私どもが考えておりまするこの特殊法人というのは、決してお話のように、これは運用の面が非常に重要でございまするけれども、少くとも、法律上の組織の点におきましては、非民主的と申しまするか、非常に官僚独善的な組織ではないというふうに、かように私は考えるわけでございます。
と申しまするのは、この協会におきましては、役員としましては会長、理事、監事というようなものがあるのでありますが、そういった会長とか監事というようなものは、総代会という、結局業界各位の総意を代表する総代会が推薦した人の中から通産大臣が任命をする、そういう形になっておりまするし、理事も、協会が推薦をしました人たちから選ばれた会長が、またその協会の総代会の同意を得て、そうして任命をする、こういう形になっておりますので、まず、そういった協会の役員の選任の面におきましても、そういった業界の総意を代表し得るような、総意を反映する仕組みになっておりまするし、また実際に事業を運営いたしまする場合におきましても、随時こういった総代会なり、あるいは諮問機関としての評議員会というものを設けられることによりまして、その評議員会から、いろいろ重要事項については運営上意見の具申を受け、また調査御審議を願いまして運営していくということで、もちろんこれは、運用の問題でございまするので、十分一つ、われわれの方も気をつけて、民主的な形において運営できるようにやっていくつもりでございますので、その点は一つ、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/36
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037・島清
○島清君 政府は、この協会に何か助成金か補助金かをお出しになるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/37
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038・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 協会に対しましては、実は私ども予算面におきましては、相当の助成をいたしたいということで予算要求をいたしましたが、結論といたしましては、とりあえず三十四年度におきましては二千万円の補助金を、これを具体的な事業は、ジェトロに委託するわけでございますが、そのジェトロの中の特別ワクといたしまして、軽機械のための補助金として使う、こういう形において、まことに不十分でございましたけれども、その程度の補助金は用意いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/38
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039・松澤兼人
○松澤兼人君 今二千万円だけジェトロに対して、ジェトロからひもつきで、軽機械類の輸出振興に充てると、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/39
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040・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) この協会の海外におきます事業活動は、この法律にございますように、ジェトロの日本の輸出振興事業協会に委託してやることになっておりますので、その委託されました振興事業協会が軽機械のために使います資金の補助といたしまして、ひもつきと申しますと適切でないかもしれませんが、そういう特別ワクという形において、ミシンと双眼鏡について、ジェトロがこれを委託を受けて使う、こういう形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/40
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041・松澤兼人
○松澤兼人君 別にそういう特別ワクとして出さなくても、ジェトロ自身の活動として海外における貿易振興という仕事はできないのですか。ジェトロ固有の仕事として、当然軽機械類の輸出振興という仕事はあるわけではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/41
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042・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) お話の通り、ジェトロというのは日本の貿易を振興するための総合的な組織ということでございまして、もちろん貿易の振興のためには、あらゆる輸出品について、その振興措置をとるということは当然でございます。しかしながら御承知のように、ジェトロの現在あるいは将来における組織運営の実態を見ますというと、こういった個々の商品につきまして、非常に掘り下げました具体的な宣伝活動等につきまして、すべての商品にわたって、これをやるということは、実際問題として事務的な面におきましても、また経費の面におきましても、資金的な面におきましても、ほとんど不可能でございます。従いまして、特にこういった特定の商品に重点を置いてやってもらうということのためには、やはりそこに特別なワクを別個に設けるということが必要ではないか、そうしないとこれがかりに、そういった資金なりなんなりを全部ジェトロの一般ワクの中にぶち込みまして、全部総合してやるということになりますと、非常にジェトロとしても手が回らないし、また重点もぼやけてくるという結果になることは明らかなのでありまして、従いまして、そういう意味におきまして、ジェトロに委託はいたしますけれども、ジェトロの一般の本来の事業と、一応別個の形におきまして、特にこの点に重点を置いて、特別ワクとして処理していく、こういうふうに考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/42
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043・松澤兼人
○松澤兼人君 そうしますと、二千万円を限度とするわけですが、この二千万円で、特に軽機械の輸出振興ということのために、どういう仕事をお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/43
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044・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) その二千万円というのは、先ほど来申し上げますように、家庭用ミシンと双眼鏡と二つの業種、平均しますと一業種一千万円、かりに等分をいたしますと、そういうことになるわけでございます。
そこで、これは補助金でございますので、これが事業の全額になるわけではございません。もちろん、それはジェトロ自身の本来の資金というものも、あわせ動員してやるわけでございます。そこで具体的に、その補助金の使途と申しまするか、事業計画につきましては、むしろこれは、今度できます輸出振興事業協会におきまして、具体的なそういった調査宣伝活動の計画を作りまして、これをジェトロと連絡をしながら実施をしていく、こういうことになろうかと思います。
従いまして、一般的に考えられますものといたしましては、マーケッティングの業務といたしましては、たとえばアメリカにおけるこういうミシンなり双眼鏡の最終の需要者、最終のユーザーの実態の調査、従来こういったマーケッティングに関しましては、日本側の商社の段階、相手方の商社の段階の程度までの調査というものはございまするけれども、具体的に、最終的に双眼鏡なりミシンを消費するアメリカの市民の消費生活の実態というふうな面におきます市場の委託調査というようなことを依頼し、あるいは場合によっては、日本の業界から調査団を向うに派遣するというふうな計画も立てまするし、それから宣伝、PR、アフター・サービスというような事業に関しましては、場合によりましてはアメリカにおけるテレビ放送というようなこと、あるいは雑誌、新聞等における広告宣伝、出版物の活動、あるいは映画というふうなあらゆる宣伝方法を考えまして、それらの企画をまず輸出振興事業協会において立てて、具体的にジェトロと連絡をし、その事業計画なり資金計画を作って活動していく、こういう予定にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/44
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045・栗山良夫
○栗山良夫君 直接関係ありませんが、大臣お見えになっておりますから、ちょっとお尋ねいたしたいと思います。
最近、伺いますと、通商産業省においては、チェック・プライスの制度はやめられるのか、あるいはもう少しせばめられるのかしりませんが、そういう計画をお持ちだということを承知しているのですけれども、事実でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/45
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046・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) ただいま通産省でやっております統制は、対米にいたしましても、たとえばある程度の数量を規制するとか、それから品質を規制するとか、同時に、チェック・プライスをすると、こういうふうなことをやっておりますが、ミシン等につきまして、今のところまだ廃止するというまでは至っておりませんですが、検討中でございまして、ある程度、やはりチェック・プライスというところにまで持っていかなくちゃならぬと、こら存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/46
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047・栗山良夫
○栗山良夫君 ちょっと、よくわかりませんが……チェック・プライスを、どうされるのですか。ちょっと今、わかりかねたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/47
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048・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 今、大臣からお答えいただきましたのは、チェック・プライス一般の問題になりますと、これは、まあ通商局長の方からお答えするのが適切かと思いますが、たとえば私どもの方で、今問題になっておりまするミシン等につきましては、このチェック・プライスの改定と申しまするか、今お話の、その廃止するかしないかという問題でなくて、改定の問題につきましては、一応検討の要求もございまして、検討に入っておる、こういう段階でございます。
まだ、これをどういうふうに処置するかということについては、結論は出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/48
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049・栗山良夫
○栗山良夫君 その改定というのは、要するにチェック・プライスの制度を廃止するか、あるいは廃止に近いような制度にするのか、そういうような意味も含んでいるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/49
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050・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) チェックプライスそのものを、そういう制度それ自体を廃止するかどうかという意味の検討ではございませんで、チェック・プライスのきめ方と申しまするか、その限度の改定の問題、そういうふうに御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/50
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051・栗山良夫
○栗山良夫君 それは、そうすると、今までは輸出貿易の場合には、チェック・プライスとか、あるいは数量とか、質とか、いろいろ政府として行政指導をされた面があるのですが、チェック・プライスというよりは、数量とか質の方にウエートをおいてやっていこうと、そういう方針で検討されていると見てよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/51
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052・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/52
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053・栗山良夫
○栗山良夫君 私は、そういうことがあるものだから、どらも通産行政というものに信頼がおけないのですが、一つ伺いますと、きょうは、何かあまり質問をするなということだからやりませんが、大体、輸出入取引法という法律があって、これでもって、自主的な調整ができて、輸出は円滑にいきますという説明が、この法案が出たときあったのです。ところがこれが十分運用されないうちに、今度団体法が出てきて、団体法がなければ、自主調整はうまくいきませんというので、団体法を作ってみて、また、これでもうまくいかないというので、今度こういう法律が出てくる。
この法律が出てきて、いよいよこれで輸出がうまくいくのかと思っていると、また外側の方から、一番主要なチェック・プライスの方は、もう少し軽視していこら、量と質でいけるのじゃないかという工合に、どうしてそう一貫性がないものかということについて、私は非常に理解に苦しむのですが、それで、こういう工合に、一つの法律をこしらえて、十分法の運用をマスターしないうちに、どんどん変っていくんですがね。
もし、この今提案になっている法案で、うまくいかなかったときは、どうなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/53
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054・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) ただいま、御提案申しておりまするこの法律が、具体的に、まあ適用になるのは双眼鏡とミシンでございますが、これらの業界の実態につきましては、実は既存の制度の活用ということは、もちろんわれわれとしては、十分考えてみたんでありますが、業界の実態とそれから輸出振興事業の緊急性という両面の実情から考えまして、やはり既存の制度でなくて、こういう別個の組織の方が、うまくいく、またこういうことは必要であるというふうに考えたわけでございます。
従いまして今、栗山先生のお話のように、当初から、これがうまくいかないであろうというふうには、私どもは考えておりませんで、当然、これをうまくいくものであるし、またうまくいくように運営しなくちゃならぬと、こういうふうに考えております。従いまして、もしかりにこの制度ができ、この制度の運用が非常にうまくいかなかったという事態が起りました場合におきましては、私どもとしては、業界自身の安定はもちろん、輸出振興の面から申しましても、非常に嘆かわしい結果になる、そういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/54
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055・栗山良夫
○栗山良夫君 そういう御説明は、輸出入取引法を作るときも、確かにおっしゃった、団体法を作るときも、おっしゃった。それで、どうもよく理解できないと私は申し上げるのだが、大体、法律というのは、あまりたくさん作らない方がいいのですね。なるべく最初の法律で運用よろしきを得るということが一番大事なんです。
ですから、輸出入取引法に、かりに足りないところがあれば、そこを拡充強化して、一本の法律で輸出の振興をはかっていく。もし、それからまくいかないということであれば、一歩進めて、中小企業対象の団体法というのを作ったわけですから、その法律を拡充強化して、そうしてやっていく。しかも底に流れている精神というものは、立法の精神というものは、やはり民間の自主調整にゆだねるということが中心であったわけですからね。だんだん法律を作っていくんだけれども、今度の法律で、全然性格が変ったのは、自主調整でないということです。これは、今、局長が、そう独善的ではないといって弁解されたが、何といったって、これは性格は変っております、今までのものとは。自主調整ではないわけだから。政府に登録をするわけですからね。そういう工合に、性格まで変ってしまうということでは、どこに基本の方針があるのかというので、非常に僕ら迷うわけですね。そうすると、今後行政指導で、先ほど申し上げましたようなチェック・プライスのことが出てくる。
これは高碕大臣は、こういうような法案の振り回し方というか、扱い方ですね、こういうものは、どういう工合にお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/55
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056・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 政府といたしましては、今日、軽機械の輸出というものが、輸出品目の中で非常に重要性を持っておるということを特に痛感いたしましたことと、それからこの製品の作られているもとが、きわめて零細企業の人たちが多い。その人たちは、海外の市場を調査するについても、また品質を改良するについても、外国の調査というものは、なかなかするだけの力が各自がない。これをどうしてまとめていくかということが今日考えられた一番大きな問題でございまして、もちろんここに輸出振興事業協会というものを作りますが、その運営は、官僚独善に陥らないように、できるだけ業者自身の運営にまかしておくということにもっていく、業者の団体をどうして固めるかということでありますが、それならば団体法でいいじゃないかという、こういう御意見もあると思いますが、これはこれとして、団体法は団体法として、十分これを適用していただいて、結束を固くするということはやっていただく必要がありますが、さらにその上につけ加えまして輸出を振興していき、品質を改善し、過当な競争を防ぐというふうな点から考えまして、業種別のこの輸出振興事業協会というものを作り、それに政府は特別な助成を加えて、そしてさらに輸出を振興していきたい。
こら存ずるわけでございまして、これはやはり、輸出というものはあの手この手を用いてやっていく必要があると存ずるわけでありまして、まず、これでミシンと双眼鏡とをやってみて、よければ、さらに製品をもっとつけ加えていきたい。こういうことで進んでいきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/56
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057・栗山良夫
○栗山良夫君 その双眼鏡とミシンの輸出を促進するために、また海外市場を獲得するために非常に御苦心をなさつて、こういうことをお考えになったことを私はいけないと言っているわけではないのです。それは大いにおやりにならなければいけないのだが、しかし国が法律を作って乗り出す場合には、あの手この手も、法律の建前としては、立て方としては、限度がありはしないかと思うのです。
おそらく今までの法律を見ましても、商品名を二個あげて、そして法律の主たる対象の規制をするというような法律の立て方をした法律はないと私は思います。やはり商品名などというものは、これは個別なものですから、全部政令にゆだねて、そしてやはり一般的な表現をもって規制をするというのが法の建前で、そういう意味からいっても、これはきわめて例外的な形をもった法律だと思います。
従って、今の大臣のいわれたあの手この手ということになれば、軽機械の貿易商品というのは、何もミシンと双眼鏡に限ったわけではありませんよ。種々雑多あるわけです。これについて、その時々に応じて輸出がつまづいたときには、それを打開するために、こういうような類似の法律を何本でもお作りになりますか、あの手、この手で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/57
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058・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) ただいま申し上げたことは、あの手この手で縛るのじゃなくて、あの手この手で伸ばしていくという、こういう意味なのでありまして、それは一つ誤解のないようにお願いいたします。
従いまして、こういう法律を今度出しました以上は、さしあたりミシンと双眼鏡ということにいたしておりますが、業者の希望がありまして、業者がこれをやろうではないかということになれば、もちろんこの中につけ加えていきたい、こう存ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/58
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059・栗山良夫
○栗山良夫君 業者が希望するということで、というのは、その業界が、まとまって一つの意思を決定し得るということだろうと思いますが、そういうことであれば、こういう直接行政が乗り出すような、そういう法律行為じゃなくても、十分にいけると私は思うのです。そういうことでなくて、業者が望んだり望まなかったりするから、それで、なかなか調整がつかなくて、そうして官が指導的な立場をとって、行政が……。そうしてやっておるのではないでしょうか。
そういうところの問題の考え方の混乱がありはしないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/59
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060・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) これは業者全体が、全部が一本になる、全部の意見が一致するということは、あるいは困難があるでしょう。けれども、大多数の方々があって、そうしてこの人たちが、こうやっていった方がよいということでなければ、この品目を加えることはできないわけでありまして、いわゆる過当競争がある、これを防止するということからいけば、過当競争をやる人になってみれば、そんなものはない方がいいという考えが起るのは当然であります。しかしそれでは多数の者が困るということになれば、十人の中で八人までが、まとめるということになれば、これはまとめていくべきものだと私は存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/60
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061・栗山良夫
○栗山良夫君 そうしますと、よくわかったような、よくわからないようなことになりましたが、もう一つお尋ねしておきます。
それは、今のミシンにしても、双眼鏡にしても、この業態の一つの性格というものは、まとまった工場を持たなくても、数個の部品を作るメーカーに、規格さえきまっておれば、発注してアッセンブルをする。資力と能力を持っておる人ならばだれでもできるというところに特色があると思うのですね。ところがそういう仕事、そういう商売というものは、ミシン、双眼鏡だけでなくて、ほかにもたくさんあります、これは、たくさんある。輸出を対象にして、たくさんあります。
従って、そういうような他の、今問題になっている以外の商品で、輸出上いろいろ問題をかもしているものは、たくさんあると思いますが、そういうアッセンブルの何といいますか、商業というのか、貿易というのか、そういうものに対する行政的な、輸出という面から見た行政的な考え方というものは、どういうふうにお持ちになっているでしょうか。そういうことはいけないとお考えなのか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/61
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062・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 私は、大工場が一つでやっておる場合は、こういうものでめんどうをみる必要はないと思います。
今お話のごとく、零細企業で発足できる、たとえば部品は、各メーカーが作っておる、それをまとめてアッセンブルをやるということは、だれでもできるわけでありますから、そういうものをつまり発達せしむるということは、日本の軽機械類といたしましては、最も必要なことだと思います。これに非常に私は重点を置いておるわけであります。
今後の日本の商品の輸出、特に対米輸出につきましては、私は、これは非常に大きな将来性があるものだと存じておりまして、それで、さしあたりミシンと双眼鏡とをやっておりますが、今、栗山さんのお話のごとく、これに類する商品は、まだまだたくさんあり、また将来性はあると、こう存じておるわけでありますから、ここにこの品目を特に選んだ一番重要なポイントがあるということに御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/62
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063・栗山良夫
○栗山良夫君 そうすると、こういうほんとうの軽機械で、アッセンブル的な商品の扱いで輸出に貢献し得るものを育てていくのが、この法律の主たる目的であると、こういう工合に大臣がおっしゃったのですが、これは局長は、事務当局としても、間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/63
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064・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) その通りでございまして、従って、先ほど栗山先生おっしゃいましたように、特に二つのものだけを法律にわざわざ別表に書いたのは、非常に異例ではないかというお話でございますが、私どもの気持といたしましては、お話のように政令に全部、特にゆだねまして、随時、政府が行政面におきまして、品目を入れたり削ったりするという方法も、一つの方法かと思いますけれども、しかし、この制度は、先ほどから議論になっておりますように、かなり新しい組織でございまして、業界と重大な関係がございますので、やはり慎重に扱う意味におきまして、行政面だけで十分に政令で勝手にきめられるようなものでなくて、やはり立法の形において、法律においてはっきり書くと、そのかわり必要がございますれば、この法律に追加をし、あるいは必要がなくなれば、直ちに削除をすると、こういうように改正した方がよくはないかと思いましたので、慎重に扱うという意味で、こういうふうにいたした次第でございます。
従いまして、今大臣からお話もございましたように、同じようなアッセンブル形態であり、しかも中小企業が大部分であり、しかも主として輸出産業であるという軽機械は、これはたくさんございまして、あるいはカメラでありますとか、あるいは時計でありますとか、あるいはトランジスター・ラジオでありますとか、いろいろございますが、それらの業界の実態が、やはりこういったものを必要とするという情勢に立ち至りました場合におきまして、しかも大臣のお話がございましたように、業界のやはり多数の方が、こういうものを要望される段階になりました場合には、これを随時取り上げていきたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/64
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065・栗山良夫
○栗山良夫君 そうすると、次回でよろしいから、通商局の方とも、一つ十分お打ち合せを願うとか、あるいは直接おいで願って、先ほどのこの法律は、やはりチェック・プライス等も中心になって監督されると思いますが、それとそれからチェック・プライスも、若干ウェイトを落していこうという一つの考え方との調整は、どういう工合にされるのか、この点が、私まだよくわかりませんから、それについて、説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/65
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066・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) その点につきましては、この機会にあわせてお答えをいたしておきますが、チェック・プライスの問題につきましては、これは、非常に重要な問題でございまするので、慎重に検討いたしまするが、この法律自体の問題とは、このチェック・プライスの問題とは、別個な問題として考えていきたいと思います。
従いまして、チェック・プライスの適正化をどういうふうにしていくかといろ問題につきましては、これは一般的な輸出振興の問題ともからみ合わせまして、別の立場で、十分検討していきたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/66
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067・豊田雅孝
○豊田雅孝君 通産大臣にちょっと伺っておきたいと思うのでありますが、これは登録制にはなっておりまするけれども、この登録制という建前とはいいながら、第八条を見ますると、その第一号で、通産省令で定める基準に適合して、初めて登録をせられる、登録しなかったならば、事業は行えないで、要するに、一種のこれは企業整備になるわけでありますが、大臣は、それほどの決意をもって、これはお立ち上りになったんでしょうか。その点だけ、お尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/67
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068・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 御承知のごとく、このミシンなり双眼鏡は、現在、すでに現在の状態で、相当出ておるわけでありますから、登録をいたしますにつきましても、現状の品質と、現状を基準といたしまして、それで登録制をしていきたいと、こういう考えでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/68
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069・豊田雅孝
○豊田雅孝君 私は、この件については質問をしないつもりでおったんでありますけれども、だんだん質問をせざるを得ないような気持になってきましたので、お尋ねをするのでありますが、大臣は、まあ登録制ということで軽くお考えのようでありますが、この実体を見ますというと、これは完全なる企業整備になると思うのであります。これは、この業界に対して重大なる影響を私は持っていると思う。これについて、もうごく限られた例外的なことで、どうしてもこれはやらなければならぬので、これ以外はやらぬということであるならば、あるいはまあ別個のことかもしれませんが、一つの基準に合致しない場合においては、登録はぜられず、登録せられなかったならば、その営業はできぬといういき方になりますると、これは重大な問題と思うのであります。私は法制局でよくこれが通ったなあと思うのでありますが、その関係はどういうことでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/69
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070・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) 私から、便宜お答え申し上げますが、たしかにお話しの通り、登録基準に合致しない場合においては、登録がまあ受けられないという結果において、ある程度そこに営業の制限という問題になってくるわけでありまして、しかしながら先ほど来、大臣からもお答えがございましたように、登録基準の設定につきましては、できるだけ現状に即しまして、実情に合うような基準を合理的に作っていきたい。かりにその基準に合致しないようなおそれが出てくるような企業があるような場合におきましては、もちろん相当の猶予期間がございまするし、指導期間もございまするので、その間に、調整を十分にはかりながらやっていくつもりでございます。
で、考え方といたしまして、これと、まあ営業の制限との関係につきましては、その点については、もちろん法制的にも、十分法制局とも打ち合せをいたしたのでございまするが、こういった趣旨において、結果において、事実上、営業の制限となるような立法例というのは、ほかにも相当あるわけでございまして、この法律の趣旨から申しまして、むしろ業界の安定のためにやるということが主たるねらいの一つでございます。その意味においては、特に憲法上も問題ないだろう、こういう解釈をいたしております。
それから、場合によりましては、登録の停止という措置がございますが、これは既存の団体法においては、御承知のように設備の制限の上で、設備を制限すれば、事実上、もう仕事ができないというふうなところまでいき得る規定も団体法にはあるわけでありますが、この法律の対象になっておりまする軽機械におきましては、アッセンブル工業でありますので、設備の制限という方法が、事実上ほとんど意味がないという趣旨もございまして、登録制度の運用によって、ある程度過当競争の防止を考えていきたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/70
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071・豊田雅孝
○豊田雅孝君 これは、だいぶ政治的な問題ですから、大臣に御答弁願わなければいかぬと思うのでありますが、戦時中に企業整備をやり、そうしてそのあとは、新規のものは開業を許さぬというので、企業許可制をやったわけでありますが、これは総動員法に基いて初めてやった、しかしこれを見ていると、どらも企業整備を一面においてやり、あとからは新規の開業は許さぬということに触れていっているわけでありまして、総動員法時代と変らぬ行き方が、ことに出てきているというふうに私は考えるのであります。
今、申す通り、私は、この問題については質問しないつもりでおりましたけれども、事が、あまりに重大であるということから、特に大臣に、そこまで御検討になってお立ち上りになったものかどうか、事務的には、いろいろ考えもあるだろうと思いますが、通産行政としては、非常なここで大きなエポツクが画されるわけなんでありまして、その点について、大臣の真剣なる御答弁を願っておきたいと思うのであります。
それと同時に、登録の基準は、今までの質問で明らかになっていたのかどうかわかりませんが、もしも登録の基準が、今までの質問で明らかになっておらぬのでありましたら、登録の基準を、この際明らかにしておくことが必要じゃないか、こういうふうに考えますが、その二点につきまして、お尋ね申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/71
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072・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 登録の基準は、先刻お答え申し上げました通りに、あくまで、やはり現状にあるものを基準にして登録をしていきたい、この考えでおります。
なお、今後の事業の伸展に向いましては、これは過当競争に陥らぬ範囲におきましては、これは登録の基準に適合するものは、順次許可していかなければならぬ——登録していくという考えで進むわけでございまして、その点につきましては、もっと事業を大きくする、しかし過当競争を防止する、この精神のもとに運営していきたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/72
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073・豊田雅孝
○豊田雅孝君 第八条によりますと、通産省令で定める基準に適合ということが条件になっておりますが、通産省令で定めていくその基準は実際どうあるべきかということは、大体きまっておるのじゃないかと思いますが、それが今まで発表になっているのかどうか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/73
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074・小出榮一
○政府委員(小出榮一君) ただいまの考え方につきましては、ただいま大臣からお答えいたしましたような考え方に即しまして、具体的な基準を策定するわけでございますが、直ちに、今ここで、こういう基準を定める予定であるという具体的な基準の案は、まだどこでも御説明したことはございません。
ただ、そういう程度にまでは、まだ案ができておりませんが、業界の方におきましては、すでに、大体こういうふうな基準でしてもらいたいという案は、すでにできているようでございます。これらの案を十分参酌いたしまして、業界と一緒に検討してきめるわけでございまするが、具体的にどういう線を引くかという点は別といたしまして、どういう内容の基準になるかという点を申し上げますると、たとえば受け入れの検査方法が確定しているというふうな条件、それから工程図を作成いたしまして、検査の実施個所、あるいは品質管理の実施個所が非常にはっきりしておりますということ、それから各工程におきまする作業についての作業方法、あるいは作業条件ということがはっきりしておるということ、それから中間の検査規格あるいは最終の検査規格についての一つの基準が必要である、その他設備なり原材料等の品質管理の方法とか、そういうふうな、いろんな要件を一応考えておりまして、それらの要件につきまして、具体的にどういう程度の基準を作るかということにつきましては、業界においては、すでに案ができておりますので、それを十分御相談をして、業界として不当な混乱が起らないような措置をとっていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/74
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075・豊田雅孝
○豊田雅孝君 基準の定め方いかんによりますというと、非常に高度の企業整備になってくるわけなんでありまして、こういう重大な法案審議の際には、当然省令で定めるべき基準というのは、同時にお出しになることが必要だ。そうでないというと、法案審議いたしましても、その実が伴わんということになると思いますので、この点、今後の審議について、十分通産省でお考えになるように、この際、特に強く要望しておきたいと存じます。
それと同時に、これの運用いかんによりまするというと、事は、きわめて重大になるということは、時間の節約上、あまりくどくは申し上げませんけれども、大臣は、すでに御感得になっただろうと思いますので、この点については、十分に今後、大臣みずから御指導になりまして、業界に大きな混乱を生じたり、あるいはまた、これが端緒になりまして、他の業界に大きな波及を来たすというようなことのないように、厳に御督励になることを、この際要望しておきまして、時間の関係上、私の質問は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/75
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076・田畑金光
○委員長(田畑金光君) 本件に関する質疑は、本日は、この程度にとどめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/76
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077・田畑金光
○委員長(田畑金光君) 次に、繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず法案の内容について、簡単に御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/77
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078・今井義衞
○政府委員(今井義衞君) ただいま提案されております繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その内容を簡単に御説明いたしたいと思います。
現行の繊維工業設備臨時措置法は、御承知のように昭和三十一年六月に公布されまして、同年十月より施行されて今日に至っております。
今回の改正案に関係がございますので、現行法の趣旨を簡単に御説明いたしますと、現行法は第一条で、目的をらたっておりましてこの法律は、繊維製品の正常な輸出の発展を期するために繊維工業設備を規制いたしまして、それによりまして繊維工業全体の発展を合理的にしていくのだということになっておるわけでございまして、その内容といたしまして、要するに将来の一定基準年度の繊維製品全般についての需給状態というものを勘案いたしまして、その場合に、どの業種については、繊維設備として、これだけの能力が要ると、ところで、その業種については、足りない場合におきましては、将来それに従って伸ばしていくし、現在の能力におきましても、それが余っております場合には、過剰設備につきまして、格納その他の処理処分をしていくんだということになっておりまして、その対象といたしまして、指定されておりますこの繊維設備といたしましては、紡績機械と、それから染色設備、この二つが対象になっておるわけでございまして、今回追加いたしました化学繊維につきましては、対象となっていないのであります。
当時の事情は、これは神武景気の上り坂に当っておりまして、非常に業界において無計画に近いような状態におきまして、いろいろの繊維産業におきまして、設備を拡張して参ったわけでございまして、その結果が、非常に過当競争ということになりまして、たとえば一ドル・ブラウスだとか、あるいはいろいろの綿布等につきまして、輸出の安売りということが行われたわけでございまして、従いまして、なんとかこの輸出の安定をはかりますためにて、この繊維設備自体を合理的に規制していくことが必要だということで、できたわけでございます。
ところで、この法律ができまして後におきまして、御承知のように神武景気が終りまして、この昭和三十二年の春からの金融引き締めによりまして、繊維産業は深刻な不況に陥ったのでございまして、この過剰設備を稼動することによりまして、過剰生産ということによりまして、非常に市価は停迷し業界は非常に困った状態に陥ったわけでございます。
これに対しまして、この生産調節をやりまして切り抜けようとしたのでございますけれども、非常に不況が深刻になりまして、御承知のように昨年の春におきましては、中小企業の非常に多い織布業におきまして、問題が起ったわけでございまして、政府といたしましては、昨年の八月に、その打開のために、織機を七万台買い上げるというような決定をいたしまして、それの実現に努めて参ったのでございます。
ところで、この今回のこの不況は、非常に底が深い不況でございますので、従って、これを総合的、長期的に、この打開をはからなければならない。そのためには、何か根本的に検討する、検討したらどうかというこの参議院商工委員会の御意見もございまして、私どもといたしまして、昨年の十月に、業界の代表者、学識経験者、それから労働者の代表等も入れまして、繊維総合対策懇談会を設けまして、そこでもって、非常に熱心に検討したのでございます。
その結論といたしまして出ましたものを参酌いたしまして、今回の法律改正をいたすのでございますが、その懇談会におきまする結論といたしましては、今回の不況の原因は、この人絹設備、あるいはスフ設備、あるいはその他の設備についての無計画な乱設が、やはり原因である。この設備過剰に対しまして、需要が伴っていけば、問題ないわけでございますが、輸出はともかくといたしまして内需の拡大ということについては、相当楽観を許さない。しかもその輸出競争が日ましに激化して参りますので、従いまして、この際、やはり繊維工業の体質改善をはかることが一番大事であるという結論になりまして、その対策としましては、どうしても、この設備対策にもっと本腰にならなければいかぬ。
その設備対象といたしまして、ただいま法律の対象になっておりませんところの化学繊維製造設備、これを法律の対象にするということと、それから紡績機械につきましては、この法律によりまして、今後ふえることは押えておりますけれども、現在の設備自体におきましても、非常に過剰である。従いまして、ここ当分動き得ない設備につきましては、この際、何らかの方法によって、たな上げしたらどらかということになりまして、そのたな上げの方法といたしまして、この法律に規定のあります業界の共同行為ということで、設備の相当割合というものを格納するということにいたしたのでございます。
それから織機につきましては、この閣議決定に基きます方針にのっとりまして買い上げをして参る。かような結論になりまして、大体その趣旨を今回の改正案に盛っておるわけでございます。
従いましてこの改正案の内容といたしましては四つございますが、その重点は二つになりまして、一つは化学繊維製造設備をこの法律の対象にするということと、もう一つは、紡機の格納につきまして、特別の措置をするということでございます。
この第一点の化学繊維の製造設備につきましては、この法律制定当時、つまり三十一年の初めにおきましては、設備がむしろ一時的に足りないくらいでございまして、そのために人絹糸が非常に高騰したと、むしろそれを受けまして、業界といたしまして非常なスピードでもって設備を拡張して参ったのでございまして、この三年間に人絹設備は、当時に比べまして約一・五倍ぐらいになっておりますし、それからスフ製造設備につきましても、同様の事情がございまして、この三年間に、やはり一・七倍程度になっておるのでございます。ところが、その拡充が終りますと、とたんに金融引き締めによりまして、非常な深刻な打撃を受けまして、設備はあるけれども、物を作っても売れないというふうな関係になりまして、糸の段階におきましては、非常な値下りをすると、織物の段階におきましては、さらに大きな値下りをしまして、糸高の製品安という状態を現出し、さらにまた、糸のメーカーにつきましても、非常に大きな設備を持ちながら、生産を絞っていくわけでございますので、非常なコスト高ということになりまして輸出の面におきましても、あるいは経営の面におきましても非常な困った状態になったということになったのでございます。従いまして人絹とスフの設備につきましては、暫くの間、設備をふやさないという意味合いにおきまして、設備規制をしたい。
つまりこの法律の二条の繊維工業設備の登録制という制度がございますが、先ほど申しましたように、紡績機械と、それから織物幅出機が指定されておりますけれども、新たに化学繊維製造設備を法律の二条に追加いたしまして、そして登録しまして、登録したもの以外に、化学繊維の製造ができないというふうにしたいと思うのでございます。
それから、化学繊維の中で合成繊維につきましては、これは、他の人絹なりスフと事情が違うのでございますが、合成繊維の中の一部の商品につきましては、これは現在非常なやはり競争が行われまして、ややもいたしますと需要よりも、はるかによけいに設備ができるような情勢があるわけでございまして、従いまして、この合成繊維の製造設備につきましては、もちろん片や免税措置とか、いろいろの助成措置を講じまして、積極的に伸ばしていくわけでございますが、ただ無計画になってはならない、需要に応じまして、計画的に育成していきたいという意味合いで、やはりこの法律の対象に追加することになっております。
そういたしまして、この人絹、スフ、あるいは合成繊維の製造設備は、この法律の対象になるわけでございますが、その際におきまして、現有設備はそのまま登録する。それから合成繊維のように、将来伸ばしていくものにつきましては、将来の需要と見比べまして、新規に、この増設を認めていくというふうに、計画的にやっていきたいということになっておるわけでございます。
それから第二の改正点でございますところの格納に関する問題でございますが、現在設備が、将来足りなくなって、新たに増設を認める。たとえば合成繊維の紡績につきましては、将来、そういう必要性があるわけでございますが、その際だれに対して、そういう設備の新設を認めるかということにつきまして、現行法は、これは機会を公平に与えるという趣旨からいたしまして、申請に対して、くじ引きでもって、だれにやらせるかをきめるということになっております。ところが、ほかの部門におきまして過剰設備があって、そうして、それら格納という措置によってたな上げをしておく。そういう一方、非常に余っている状態があり、また片方、非常に足りない状態があるという場合におきましては、これは彼此融通をするということは、ある意味からいきまして当然でございまして、しかも、その際、紡績機械といたしましては、ほとんど違いはない。像かの種の紡績でもって、他の種のものがつむげるというような状態になりますから、従いまして格納設備につきましては、他に優先的に転換を認めようとするこの法律の——今までの現行法のくじ引きという原則を改めまして、格納設備がありますときには、それに対して、まず優先権を与えて、格納したものに、まずその足りない紡機の転換なり、あるいは新設を認めていく。そうしてその格納したものだけで、さらにその残りがありますれば、あと新規のものに、くじ引きでもって権利を与えていく、こういうことにいたしまして、紡績業全体として将来過剰設備が生じないようにという配慮をしているわけでございます。
それから第三、第四の改正点は、これは技術的な点でございまして、一つは、仮登録事項の変更でございます。仮登録と申しますのは、設備を新設します前に、俗な言葉で申しますと、あらかじめ席をとっておくということでございまして、設備ができてから、登録ということになりますと、場合によっては、登録されないような不都合なことも起りかねませんので、従いまして設備を作ります前に、あらかじめ申請いたしまして、その将来の権利を保留させる。これは、まあ一年間だけでございます。そういう制度を、この法律では仮登録制度と申しておりますが、仮登録制度につきまして、一たん登録いたしましたものを、全然変更が認められないのが現行法でございますが、実際にやってみますと、たとえば工場の設置場所を変更するとか、いろいろ、その後において変更を要することがあるわけでございまして、これらの仮登録事項につきましても、設備の設置場所とかあるいは名称とか、そういうものの変更を認めるということでございます。
それから第四の改正点は、これは目標年度の変更でございまして、先ほど申しましたように、新たに設備を設置する場合とか、あるいは設備が過剰であるかどうかを判定する基準といたしまして、目標年度を現行法では作っております。
それは昭和三十五年度ということになっておりますが、今回化学繊維をこの法律の対象設備として追加するに当りまして、これは、まあ化学繊維と申しますと、やはり相当、長期的に考えていかなければならぬ、三十五年では、あまりにも間近過ぎるという関係もございますので、これを二年間、二年先の昭和三十七年度の需給関係を見ながら、考えながら、設備の過不足というものを算定するというふうに改めたのでございます。
以上簡単でございますが、この法律の内容を御説明申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/78
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079・田畑金光
○委員長(田畑金光君) 本件に関する質疑は、明日に譲ります。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/79
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080・田畑金光
○委員長(田畑金光君) 速記を起して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/80
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081・田畑金光
○委員長(田畑金光君) 次に、小売商業特別措置法案を議題といたします。
これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/81
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082・松澤兼人
○松澤兼人君 なるべく簡単に質問いたします。
第一に、団体組織法ができまして、団体組織法によっていわゆる不況対策等の組合ができたり、あるいはまた、実際上価格の調整をやったりしたような事例、団体組織法の実施以後の状況というものを、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/82
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083・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 事務的のことでございますから、私の方から御答弁申し上げます。
中小企業団体の組織に関する法律によりまする商工組合の設立状況は、本年二月末現在で四十七ございます。新設が四十七ございます。そのほかに、あの法律の規定によりまして、もとの中小企業安定法の調整組合が移行しましたものが、約三百七、八十ございます。
それから内容の調整事業等につきましては、詳細な統計は持っておりませんけれども、御指摘のような価格の協定は、今までやっておったのはないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/83
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084・松澤兼人
○松澤兼人君 いろいろ、あの法律案が審議されましたときに、果してこの法律で、実際、中小企業の不振あるいは不況というものが打開されるかどうかということが議論されたわけでありますけれども、先ほども、栗山君からお話がありましたように、それがうまくいかないと、また次の法律、それからまくいかないと、また次の法律というようなことで、だんだんと新しい法律で、ざるから漏れるやつを救っていこう、こういう考えで、今度またこういう小売商業特別措置法という、こういう法律ができるようなんですけれども、大体、中小企業対策、あるいは小売対策ということについて、通産省としましては、基本的にはどういう方向で、これは持っていかれるお考えなんですか。特に団体組織法及びこの小売商業特別措置法、この二つの法律というものの形から、今後どういうふうにしたならば、ほんとうに過当競争を防止して、価格の安定とか、あるいは消費者に対する利便ということをお考えになっていらっしゃいますか。
基本的な問題について、大臣からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/84
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085・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 団体法によりまして、零細な小売業者が団結をして当る、こういうことを根本に進んでおるわけでございますが、今日、小売業者が国民の経済上非常に重要なる地位にありながら、圧迫を加えられたる方面が多々あるわけでございまして、まず第一に、これは各事業者が持っております購買会というものが、自然に小売業者の位置を荒しておるというふうな点もあり、また同時に、今日ありますところの消費生活協同組合が、小売業者に相当の圧迫を加えておるという点もあり、また最近名古屋大阪等におきまして発達しております小売市場というものが、これが小売業者との間に、ある程度の摩擦がある、これをどういうふうに調整するか。あるいはまた、生産業者自身が直接小売をやるとか、また卸売業者が、直接小売するというふうなことのために、小売業者が受ける圧迫は相当大きなものがある。
そういうふうなことを勘考いたしまして、その間の調整をいかにするかということのために今日のこの小売商業特別措置法案を提案いたしましたわけなんでございますが、要するに小売商業というものが実際の必要以上に、たくさんの数が出ておる、こういうことも、一応見のがすことはできないのでありますが、といって小売商業をある程度、ある以上は、富まして、そして生活できる、それによって安定していくように、小売商業を持っていくということは、政府としては当然考えるべき点だと存じまして、それらの点を勘考いたしました結果、今日、この小売商業特別措置法案というものを提案いたしましたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/85
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086・松澤兼人
○松澤兼人君 大へん悪いのですけれども、ただいまの大臣の答弁でしたら、この法律を作りましても、結局旧態依然たりという感じを抱かざるを得ないのです。
現実の小売業と申しますか、流通界と申しますか、そういうところは、この法律が二年、三年前に立案されまして、社会党の方からも、法案が出ておる、それから非常に変っているのですね、業界の、いろいろの形や内容というものが。そういうものを追っかけ追っかけていって、追いつかないという状態じゃないですか。たとえばスーパー・マーケットの問題や、あるいは薬の乱売の問題など、これができたって、私はそういう問題は、ちょっと規制ができないと思うのです。そういう点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/86
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087・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 最近の経済機構が、刻々に変化いたしておりますから、必ずしもこれをもって、永久にこれに依存するということはできないと思いますが、といって、これはなくては、やはり今日小売商業者が疲弊こんぱいするのは、目に見えておるわけでございますから、政府といたしましては、現状に即して、この程度のものを一日も早く実行に移したいと、こう存ずるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/87
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088・松澤兼人
○松澤兼人君 それでは、逆にお尋ねいたしますけれども、このごろ、よくありますスーパー・マーケットなんかにつきましては、どういうお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/88
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089・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) スーパー・マーケットというのは、いろいろな形があるようでございます。アメリカのものでございまするのでわれわれも、どういうのがスーパー・マーケットかという問題がございますが一応は、いろいろな百貨店式に各種の商品を販売している小売商である。つまり、いろいろな商品を販売しているということ、なかんずく、それには食料品というものが入っていることが、一つの要素であろうと思います。それからもう一つは、セルフサービス方式を店内の全部または一部について採用しておる、その他いろいろ、ある程度の規模を持ち、かつ相当の売上高を持っているというようなことを概念規定に入れている人もあるのであります。つまりアメリカあたりでは、やはり月に何十万ドルとかいうふうな売り上げがあるものをスーパ一・マーケットと言っているようでございまするから、日本式に言いますれば、金額はわかりませんが、やはり、ある程度の規模ということになろうと思います。
それで現在、日本であります。そういう種類の店を見てみますると、いろいろな形態がございます。たとえば、よくいわれておりまする東京市内におきまする何といいますか、連鎖式といいますか、あるいは分散した形の百貨店的なものもございまするし、あるいは小売商が相集まって合併して、それぞれの施設を提供して、一つの大きなスーパー・マーケットになっている、こういう形も見られるわけであります。それから中には、消費者が出資し合って、店を経営しておる、そういう形の販売方法となっているというようなものもあるのでございまして、いろいろな形がございまするから、これは一概にスーパー・マーケットに対して、どういう対策をとるかというのは、各地各様の状態がございまするから、きまった対策はございません。
われわれ考えておりますのは、一つは、大資本のバックのもとに、そういう形の経営をして、それが付近の小売商との間に、紛争を生じておるというようなものは、この小売商業特別措置法によりまするあっせん調停というような形で処理したいと、こういうふうに考えております。その第十五条の第三号で、これは処理できると思っております。
それから、小売商が、二、三相合して、そういう形の店をやっておるというのがございますが、これらあたりは、見方によりましては、一種の小売商の合理化、営業の改善ともみられまするので、これは、それに対する特別な措置を考えるというのは、むしろ小売商の発展のために逆になるんじゃないかというふうに考えております。
消費者の問題につきましても、消費者側が出資いたしました店で、——そういう形のものが現在地方にはございますが、これが大きくなりまして、付近の小売商とトラブルを起すというような段階のものは、まだないようでございます。
いろいろございますが、やはりその場合に、事情をしんしゃくいたしまして、処置しなければいかぬと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/89
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090・松澤兼人
○松澤兼人君 今、いろいろな形があるとおっしゃった。それは確かに、いろいろな形があると思うのです。
しかし、おっしゃった言葉の中に、大資本で店を出していて、それで付近の小売業者と紛争を起すという場合に、十五条の三号、こういうことになっておりますけれども、そこには、少しも大資本ということをうたっていない。またスーパー・マーケットといっても、小売商というふうに考えることができるのです、紛争といろ事実は、あるかもしれないけれども、しかし、大資本であるとか、あるいはスーパー・マーケットという、そういう性格からくる問題は、この十五条の三号には、何も書いてない。これで取り締ると言っても、取り締れない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/90
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091・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) ことさらに大資本とは、書いてありませんが、「中小小売商以外の者の行う一般消費者に対する物品の販売事業」、これは、今申し上げましたような、中小小売商以外の人が行なっておる小売行為でございますので、御指摘のような大資本の場合等は、それに入ってくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/91
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092・松澤兼人
○松澤兼人君 どうして、それは入るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/92
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093・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) ただいま申し上げましたように、中小小売商以外の者が行うわけでございますから、入るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/93
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094・松澤兼人
○松澤兼人君 大資本といえば、大資本ですけれども、しかし、これは比較の問題ですから、付近の小売業者から比べれば大資本かもしれないけれども、しかし大きな、いわゆる、われわれの考えるような大資本ということからいえば、中資本でしょう。店そのものは、小売商の店とちっとも変りはないじゃないですか。
小売商以外の者が行うということは、どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/94
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095・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) この法律の中小小売商と申しますのは、これは、中小企業者である小売商という意味でございます。
中小企業者である小売商と申しますのは、一般の物品販売業の場合の中小企業の区分、つまり従業員おおむね三十名以下という辺を一応基準にして考えておりまするが、これをこえまするもの、これは、大資本の場合もございましょうし、あるいは大規模な場合もあるかもしれませんが、そういうものと、中小小売商との間に、紛争が起りますれば、この規定の発動となってあっせん調停の対象になる、こういうふうになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/95
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096・松澤兼人
○松澤兼人君 その店が会社の組織でやっていても、あるいは個人でやっていても、物品販売をしているという実態は、中小の小売業を営んでおることになるのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/96
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097・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 先ほど来申しまするように、一応中小企業である小売商業者としからざる小売行為を行うものとの間の紛争のある場合は、これはこれになると思います。それに当らない場合は、このあっせん調停ということにはならぬわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/97
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098・松澤兼人
○松澤兼人君 どうもしかし、私はそういうことでは、十五条の三号の適用を受けるという、いわゆる法律的な根拠がないと思うのです。何かはかでこれを規制するという方法があるならともかくも、岩武さんもそういう店をごらんになったと思うのですけれども、やっているやり方はともかくとしまして、店それ自体は小売業じゃないか、多少資本が隣の人よりも大きいかもしれないけれども、やっておること自体は小売業である。だから、これで規制するといったってそれは無理です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/98
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099・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) これはこういうふうな意味でございますが、一般消費者に対する物品の販売事業、これは小売事業でございます。それから中小小売商以外のものの行う小売事業と、こうなるのでございまするから、従いまして中小企業者である小売商業者以外のものの小売行為ないし小売事業になるのじゃないかと思います。それで今の私従業員の規模の問題を申し上げましたが、従業員の規模の方は、これは一つの企業としての一応判断の基準でございまするから、先ほど申しましたような大資本が経営しておりますいろいろな連鎖式の店でありましても、分散的になっておりまして、一店のあるいは従業員は二十名とか十名でありましても、各店を合すれば百名になるというような場合は、これは中小小売商業者とは申せないわけでございます。そういうふうに資本が大きい、少いということは、これは一つのあれでございますが、やはりそういうふうな規模といいますか、量的な規模から一応判断して参りたい、かように思います。やはり御指摘のような場合は、この規定であっせん調停のことがあり得ると、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/99
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100・松澤兼人
○松澤兼人君 どうもはっきりしないですね。さっきは資本のことをおっしゃって、資本のことはどらもあまり大した一つの基準にならぬということで、今度は連鎖式のことをおっしゃった。連鎖式の場合は、あるいはこれに該当するかもしれない。しかしすべてのいわゆるスーパー・マーケットという形のものが連鎖式であるとは考えられません。要するにこの条文は生活協同組合とか農協とか、あるいは百貨店とかというようなものをここにねらっておることじゃないのですか。今申しましたように、形は変っておるけれども、スーパー・マーケットをこの中に入れるということは、この条文の趣旨ではないと、私はこら考えるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/100
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101・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 御質問ございましたので、申し上げますけれども、農業協同組合が生産物の販売事業を行うという場合には、この規定に入るわけでございます。そういうわけでございまするが、この規定は割合広くなっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/101
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102・松澤兼人
○松澤兼人君 そんなに広くなっているといったって、大資本のものはこの中に入る、連鎖式のものはこの中に入る、いろいろなことを言って、この中に入れてしまうということは、これはもう法律自体に一つの欠陥があるということを示しているのです。この書き方は今申しましたように、百貨店だとか、あるいはメーカーだとか、あるいはまたは農協だとか、あるいは生協だとかいうものがやることがこの中に入って、今申しましたように、実質は小売商と少しも変らない、いわゆる商行為をやっている、そういうスーパー・マーケットがこの中に入ることは、法律の解釈上からどうしたって出てこない。そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/102
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103・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 先ほど来申し上げましたように、この中小小売商業者以外のものの小売業との紛争はこれに入るということになるわけでございます。いわゆるスーパー・マーケットにおきましても、規模の、もちろん大資本は区別しなければいかぬと思いますが、この中小小売商業者でないもののスーパー・マーケット、これはこれに当然入るわけでございます。で、なぜこういうふうにばく然とした書き方をしたかと申しまするのは、まあいろいろな形の小売行為が行われておりまするし、それを一々法律で列挙いたしまするのも、これはなかなか何といいますか、書きにくい問題がございましょうし、あるいは漏れもございましょうから、一、二と続けまして、三としまして残っているものを一応一括して書いた、こういう形でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/103
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104・松澤兼人
○松澤兼人君 私がこう申しますことは、二年前か三年前にこの法律案が提案されまして、多少まあ是正されていると思いますけれども、その後起ったいろいろの事態に、この法律は時代おくれになっているのじゃないかということを考えて、質問申し上げているわけなんです。最初この法律案を作ったときには、スーパー・マーケットというようなことは、おそらくだれも考えていなかったと思う。ところが現在そういうものができて、各地の商店街で問題を起しているのですね。そのスーパー・マーケットといわゆるいわれるものが、たとえば主婦の店であるとか、いろいろな名前でやっているものは、別にこれは大資本ともいえない。そうして連鎖式でもない。それから店員の数からいったって、まあ二十人かあるいは十五人くらい。さらにセルフ・サービスということをおっしゃったけれども、セルフ・サービスでもない。そういう店がむしろ問題は価格の安売りをしているということで、周囲の小売業者と紛糾を起している。ですから、この条文で問題がもしあるとするならば、根拠があるとすれば、とにかくほかのことは何もおいて、とにかく安売りをしているとか投げ売りをしているとか、普通のいわゆる定価から見るならば、はるかに安い値段で売っているということ自体で、その周辺の小売業者と問題を起している。そういう新しい一つの商売というものができてきて、これをどうするかということが今問題だと思うのです。この法律では、衆議院で修正を受けてきましたけれども、この法律ではそういうものまで的確に把握して、それに対して規制を行うという方法が不十分だと、こういう趣旨のことを私は申し上げているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/104
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105・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 御質問の意味よくわかりました。今のお話にありましたような小売面におきまする各種の不当廉売行為は、これはこの法律全体としてどこにも対象にしておりません。これにはいろいろな形があるようでございまするし、それからまたこの価格の問題を直接正面から取り上げて高いの安いのという議論をする実はいろいろな根拠の問題もむずかしいことがございまするので、考えておりまするのは、そういう営業方法の問題よりも、営業主体の問題を考えておるのであります。それでは不当廉売行為は役所はどういうふうにするかという御質問があるようでありますが、これにつきましては、われわれも各地でいろいろな話も聞いております。できますれば、何とかこういうあまりにひどい乱売といったものは、何かの形で調整して、規律ある商業秩序を維持できないものかと、いろいろ考えておるのでありますが、どらも現在の制度、法制、あるいは行政能力といった問題からしますると、必ずしもぴたりと解決できる方法はないように思っておりまして、わずかに団体法の組合等がありますものにつきまして、不当廉売行為を同業者の組合の問題として何か解決する方法はないかというふうな点も検討しておりまするけれども、御承知のように、価格協定は中小企業団体法では第二段的なことになっております。初っぱなから価格協定ということではありませんので、そういうふうな廉売行為自体も、なかなか団体法の協定の問題からしましても、阻止しにくいという状況でありまして、実ははなはだ残念なことでありますけれども、困っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/105
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106・松澤兼人
○松澤兼人君 だいぶ時間がたったそうでありますから、その点もう一点だけ。薬に関係していらっしゃる方もあるのです。乱売だとかあるいは安い値段で売ったとかいうお話なのですけれども、たとえばグロンサン、何錠入りか知りませんけれども、今まで五百円で売っていたのを二百八十円で売るというのですね、これは乱売であるのか正当の価格であるのかということは、あなた方ではちょっと判断つかないでしょう。消費者としては安い方がいい。しかしそれだったら薬局が成り立っていかない、不当に乱売しているかどうかということをあなた方は判断できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/106
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107・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 実は、先ほど来御答弁しました中にも、そういう問題もございますので、なかなか処置がないのだということを実は申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/107
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108・松澤兼人
○松澤兼人君 それでは、衆議院の修正を受けてきておりますので、その点ちょっと二、三お尋ねしておきたい。第一は、修正されて第三条になっております。そこでは、指定市におきましては、都道府県知事の許可がなければ市場を作ってその中に店舗を出すことはできないというようなことになっております。そこで第四項にいきまして、「当該建物の所在する市の市長に協議しなければならない。」という規定になっておりますが、協議しなければならないということは、この法文修正の趣旨からいえば、市長と協議して同意を求めることが行政の上からいって適当であると、こういう趣旨からこういう修正ができたものだと考えるのです。協議ということは、同意を得るということを実体として協議をするというふうに解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/108
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109・小平久雄
○衆議院議員(小平久雄君) 市長に協議をするようにというふうに書きましたのは、気持の上から申しますと、先生の御指摘のように、当該市長と知事とが意見が完全に一致して、実質的に申しますと、市長の同意があるということがきわめて望ましいと思って書いたわけなんでありますが、一面知事が許可権を持っているというのに、表向きから市長の許可を得るということになりますというと、知事の裁定の権限を非常に窮屈にしばるという印象もありますので、この際は協議する、こういうことに書いたのであります。従って、われわれの気持としましては、表向きは協議と書いてありまするが、市長の意見というものを十分尊重して、相なるべくは両者の意見が一致したところで知事の許可をするように一つ運営をしていただきたい、かようなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/109
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110・松澤兼人
○松澤兼人君 それでもし協議が整わなかったという場合には、知事が一方的に処分できるという法律的な結果になると思うのですが、しかし、他にも、環境衛生なんかの関係でも、意見が整わない場合には、主務大臣に相談して、主務大臣がこうしなさい、こういうことを規定しているものがあるのでありますが、そういうふうにした方がいいのじゃないかと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/110
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111・小平久雄
○衆議院議員(小平久雄君) そこまで表向きから書くこともあるいは一方法かと思いますが、かりに県知事と市長とが協議をいたしまして、どらも意見が一致しなかったというような場合におきましては、本法の主管はもちろん言うまでもなく通産大臣が主管でありまするからして、都道府県の知事が大臣の意向を聞いた上でやるというようなことは、実際問題として非常に適切な処置であろうとわれわれも考えております。しかし、そらしなければならぬ、表向きはそういうふうに言い切れませんので、そういうことが望ましいとわれわれも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/111
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112・松澤兼人
○松澤兼人君 そこにただし書きがあるのですけれども、「ただし、同項の許可を受けようとする者が当該市長である場合は、この限りでない。」、この場合には協議しなくてもいいというふうに解釈できるわけなんですけれども、しかし、市長という人格といいますか、身分といいますか、市場の開設者としての市長というのと、それから知事と協議をする対象であるところの市長というのは、人格が別じゃないかと思うのですけれども、そういう場合には、公設市場を開設する場合に、事前に協議しておけば必ずしも市長に二重に協議する必要はございません。しかしそうでなければ、自分の意思で市が市場を開設するという場合には、申請者であるだけであって、それに対しては逆に知事から協議を受けられないという結果になる、こういうことはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/112
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113・小平久雄
○衆議院議員(小平久雄君) 市場開設者としての市長と、一般の市における行政の首長としての市長というものとどう違うか、私もよくわかりませんが、いずれにいたしましても、市長みずからが申請者である場合においては、その申請者が出た場合に知事がさらに市長と協議せよ、こういうふうに書くことはどらも形式上いかがかと、こういうっもりでこのような修正になったわけでありますが、それともう一つは、言うまでもなく市長が出すのでありますから、市長はもうこれは、そこに市場を開設したいという、もちろんそういう趣旨によってやっておるわけでありますから、その点から見れば、あえて市長に協議も要しなかろう、こういうふうな気持であったのでありますが、かりにその場合において、県知事がどらも申請が不適当であるというような見解に立ちました場合におきましては、もちろん重ねて市長の説明を求めるとか、あるいは先ほどの御質問にもありましたように、通産大臣の方の内面的な指導を仰ぐとか、そういった方法によって、いずれにいたしましても、知事と市長というものがお互いに了解の上に円満に協議することが、あるいは許可することが行われるということをまあわれわれは希望いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/113
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114・松澤兼人
○松澤兼人君 もう一つお尋ねしますけれども、修正された第四条になっておりまする条文には、「その建物の所在する市の市長を経由して、」と、こうあります。しかし、そのあとの第五条はいいのですが、第六条の(経過措置)、それから第七条の(変更の許可等)、それから第九条の(承継)、こういう場合は必ずしも市長を経由しないでもいいようになっておりまするけれども、しかし許可の申請が市長経由してやられるということであれば、そのほかの経過措置、あるいは変更の許可、承継ということもやはり市長を経由した方が、実際を市長自身が知り得るということから適切ではないかと思うのですけれども、これらにもやはり行政上の措置として一番初めの許可の申請と同じように、そういう経由の手続をとるように何か政令か何かででも準用規定を設けてやるというわけにいきませんか、それについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/114
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115・小平久雄
○衆議院議員(小平久雄君) 実はこの第四条の「市長を経由して、」ということは、各先生も御承知の通り、建築関係等の権限はまあ市長が持っておるという点から、市長もこの建物の実態を知らなければ困るであろうと、こういう趣旨でこの「市長を経由して、」ということをここに入れたわけでございます。従いまして、今御指摘のような場合におきましても、冒頭申し上げましたような趣旨に関連する事項につきましては、当然市長を経由して書類を出すということが一番望ましいことでありまして、実は企業庁の方とも打ち合せましたところ、それらの点、すなわち今先生の御指摘のような場合におきましては、施行令において市長を経由して書類を提出するようにいたすと、こういうことでございますから、さように御承知願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/115
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116・松澤兼人
○松澤兼人君 これで質問終りますが、なお、生協、購買会などに対する質問がございますので、また後日お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/116
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117・奥むめお
○奥むめお君 大臣にちょっと伺いたいのですが、この法律はまあ小売商業を保護するという立場から、生協や購買会そのほかの販売をする店を規制するというか、そういうものをじゃまのもののようにみなして、ここに法律が立てられているのだけれども、私ども消費者の立場から世の中を見ますときには、物を買うということの相手は商店であれ、あるいは生協であれ、購買会であれ、みんな同じなんです。それを政府の立場から差別的に行う。これは同じ消費者としてはどこから買おうと、これは自由なんだし、なるべくいい品物を安く売ってくれることが第一の目標でありますけれども、そういう店を育てていきたい。そうしますと、国としてもそういう方向でいくことが一番国民経済の安定だと思うわけであります。どうしてここの法律でこういうふうに小売商業だけを現状のままで肯定して、それだけを保護することが、なぜ国民生活の、国民経済の健全な発展になるのか、これをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/117
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118・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 国全体から考えまして、消費者といたしましては、できるだけいい品物を安く買いたい、これに合致するように政府の方針は進んでいかなきゃならぬということはお説の通りでございますが、しかるに、一方、政府といたしましては、すでに既存の小売業者というものが相当あり、それはやはり一つの生計を営んでいかなきゃならぬ、こういう建前にあることはもちろんのことでありまするが、それがためには、小売商店というものを政府といたしましては、それが立っていけるような方針を講じるということも一方考えなきゃならぬ。そういたしますというと、今日消費生活協同組合というものが——それは消費者の人たちのためにできた組合でありますから、その組合の人たちがその恩恵を受けるということは必要でございますが、従いまして、一方また、購買会というものは、その団体に属する人たちの購買会でありますから、その人たちが恩恵を受けるのは当然でありまするが、しからば、ほかの一般の人たちは、すでに既存の小売商というものがある以上は、その小売商というものをある程度助けていくということに持っていかなければ国の正しい道は進んでいけない、こう思うのでありまして、これは消費者だけの立場も考えますと同時に、やはり小売業者自身というものの立場もやっぱり考えていかなきゃならぬと、こういうようなことから本法律案が考えられたわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/118
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119・奥むめお
○奥むめお君 まあ消費者の立場を立てるということは、結局売る人たちの立場を立てるということなんですけれども、また作る人たちの立場を立てることなんですね。物を売っているということは、買う人たち相手に売っているのですから、作ることは使う人相手に作っているのですから、だから結局、社会生活の一番の基盤をなしているものは消費生活なんです。だから消費生活を正しくするということは、今のままの小売商のあり方でそのままに助けていって、果して消費者がそれで満足するかといいましたら満足できません。で、不当に安く売る場合もあって困るでしょうけれども、不当に高く売って困る場合も多いのでございますね。たとえで一例あげましたら、牛乳の場合でございますね。九円で入るとしますね。小売商がそれを十四円ないし十五円で売る。これを不当に高いとだれしも見ますけれども、これはなかなか安くならない。こういう場合に、消費者からいいますと、一方に私ども現に行なっておりますけれども、これはもう、ただ飯みたい人がいい牛乳を飲みたいと思ってやっておるのですから、営利的でないことは当然ですけれども、わずかに一合について十銭の手数料で、一万六千本を今東京で十円で売っておる。こういうことも一つのケースとしてはあり得るわけなんですね。これはあんまり牛乳の小売が不当に高い口銭をとっておるということに対する抗議でございますね。それから今度は、いい物を売るべきであるのが小売商人でありますけれども、これがいい物を安く売れば、もうこんな法律をお作りにならぬでも、みんな小売商人に行きますです。それを今、さまざまなケースの法律が雑居しておる中で、それをそのままで、お認めになって、それでこれを助けていくことが経済の安定だと、こういうふうにお考えになることは、物を買う方面の経済生活を営んでいる家庭の立場からいえば、実にこれは考え違いであると、こら言わざるを得ないと思う。もっといいものを安く売らせる方法というものは、こういう法律ではできませんです。これは形の上だけなんです。たとえば今大臣の管轄していなさる通産省で、電気器具が、これだけ電化時代になって、非常によけい売れていますが、認証マーク制度をおとりになって、監督をきびしくしているとおっしゃるけれども、市販にはインチキな電気器具が二割五分から三割近くはんらんしています。これは、電力をよけい食うし漏電、停電があるし、感電があるし、すぐこわれたりいろいろなことが、みすみす家庭経済をそこねているものが売られているのです。こういうようなものを通産省も困っている、売らせないように指導するということを……。生活協同組合なんかは、それは電気認証マークのないものは扱わないということで指導しておりますです。一般の商人に対して、だれがそういう指導をしておりますか、通産省がそういう責任じゃありませんか。また有害色素の問題でも、一番よけい有害色素を扱っているのは、市販の小売商店なんです。こういう国民の衛生の方からいうても、経済の方からいうても、みすみすこれをそこなうようなものを売ったり扱ったりしております今の小売商人を、どうしたら消費生活を助ける、国民生活をよくするためによい売り手になれるか、よい助言者になれるかということを、こういう法案をお作りになる前に、私は考えなければならないのだと思う。こういう現状をこのままに認めておいて、そして協同組合があるからいけないのだ、農協が物を売るからいけないのだ、
〔委員長退席、理事島清君着席〕
そんなあさはかな考えで、小売商人が立ってゆけるとお考えですか、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/119
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120・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) これはなかなか大きな問題でありますが、衛生という方の問題から申しますというと、小売商を取り締ることは当然やるべきことでありまして、これは法律をもって当然やっていかなければならぬと存じますが、価格の問題につきましては、小売商というものは、何らの保護を受けておりません。これは各自がやはり直接自由競争をもってやるわけでありますから、その店が悪いものを高く売れば、自然売れなくなる、これはもう経済の自然の道理でございます。従いまして、そこに消費生活の協同組合というものは、これは禁止しているわけではありません。それを作るなら作られたらいいわけです。それはその方々の自由でありますから、その間の自由競争というものを認めていくということには変りないわけであります。それで、消費生活協同組合の人たちは、その組合の者だけでまかなっていくならなんですが、それ以外の者をみな吸収されるということになれば、付近の小売業者は、立っていくことはできないわけであります。これはやはり小売業者を保護していかなければならぬ。今、奥先生のおっしゃったように、衛生上悪いものを売るということは、政府は当然取り締りますが、価格の面につきましては、やはり自由競争を認めてやっていくということは必要だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/120
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121・奥むめお
○奥むめお君 普通、全国的にそうですけれども、価格の問題で、私などは一小売商人というものは、物を買う人の親元だと思っておる、そういうふうに思うべきだと皆に言うております。売るということは、買う人のために売っているのですから、親元ですから、悪い物を売るなんというはずはないとみたいのです。これは栄えてくれなければ、こっちが因る、家庭が困る、この立場は厳然と持っております。だけれども、一般に、全国的に、大臣も一度ごらんになって下さっていいと思いますが、生協がありますところでは、まわりの小売商人は、生協の値段を目安にして、一日一度は見にきます。生協でニンジンを幾らで売っておるか、卵を幾らで売るか、見にきます。それがあることによって、基準がきまる、あるときは、暴利をむさぼりたかったけれども、それをやめる。やめてもきっと商売になるのだろうと思いますけれども、生協は、それだけの消極的なよい功績をあげております。そういうことも一つお考えに入れておいてもらわなければ困ると思う。で、ここでは、農協、生協のことは、またあとで、私、次の質問に移りますが、もう一つ、ここで大臣のお考えを聞いておきたいことは、これを大づかみに言いますと、生協とか農協とかいうふうなものは、小売商業に対立するもののようにみなざれる、これらのものは、営利事業でないということなんです。小売商業は営利事業なんですね、そうすると、消費生活のためには、営利事業でないものと営利事業とあるわけなんです。で、私どもからいえば、世の中の人間の活動というものに対して、必要な手数料を取ることは、これは公然にガラス張りの中で取るべきだ、しかし、不当に手数料を取って暴利をむさぼることが間違いのもとだと考えておりますけれども、生協など、ことに法律で営利を目的としてならないと書いてあります。農協だって、これは生産者が一緒になって共同にこれを販売するという事業であるにすぎないのです。こういうものを小売商業と対立させてお考えになるということは、われわれの家庭の消費生活というものをすべて営利事業にまかせるという建前でいらっしゃるように私は思うのですけれども、いかがですか、この点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/121
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122・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 私は、消費生活協同組合とか農協だとかあるいは購買会というものを阻止するわけじゃありません。これはこれとしてあるということは、小売商業と並立していく上に、また、小売商業が暴利をむざぼるというふうなことのためには、消費者からみてみれば、一つの基準を示してくれるものであります。従いまして、これはあっていいことでありますから。しかし営利でないものが、その力を、さらにその範囲を広くしてしまって、従前立っておる小売業者に対して大きな支障を来たすということは、小売業者の生存を脅かすことになりますから、これはやはり考えていかなければならぬというのが、この法律の建前でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/122
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123・奥むめお
○奥むめお君 あとでまた、衆議院の方の説明をお聞きしてから、私、次の機会に質問することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/123
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124・島清
○理事(島清君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/124
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125・島清
○理事(島清君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/125
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126・奥むめお
○奥むめお君 第十五条の(あっせん又は調停)、この紛争の問題でございますが、第三号に、「前二号に掲げるもののほか、中小小売商以外の者の行う一般消費者に対する物品の販売事業に関し、」、ここにこれを修正したいということが、農協の立場からも出ているやに聞いております。農林委員会からも出ているやに聞いておりますが、この中へ農協の共同出荷の問題が含まれることは、私も反対でございます。同時に、生活協同組合も、これはワクをはずしておくべきだと考えますが、これについていかがですか。たとえば「中小小売商以外の者の行う一般消費者に対する物品の販売事業に関し、」、この中に、生協、農協がございますね、あるいは、婦人会なども、ほかのやむなき目的のために共同購入をしております。そういうような場合もあると思いますから、こういうものに対して、近所の小売商人から、何かあっせんの依頼を申してきたときに、それに対して紛争が起るというふうなことは、この法律では認めていらしゃいますけれども、そこを直すことは、これはいかがですか。それは、衆議院でそういう問題は出ませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/126
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127・小平久雄
○衆議院議員(小平久雄君) 今、奥先生御指摘のような問題は、衆議院の段階におきましても、実は熱心に論議をされたのであります。そこでわれわれが聞きましたところでは、かりに農協関係だけについて申しまするならば、一つはこの第三号にいわゆる「中小小売商以外の者」という中から農協をはずせ、全然はずせという御要望、それからもう一つは第十五条の第一項の問題の取り上げ方をうたった点であります。それは御承知の通り原案には、「中小小売商の事業活動の機会を確保するため必要があると認めるときは、すみやかにあっせん又は調停を行う」べきだ、つまり「小売商の事業活動の機会を確保するため必要がある」と、こういう場合だけの問題を取り上げるんだ。従ってこれは初めから中小小売商の立場に立って問題を取り上げることになるだろう、それではどうも困る。まあ主としてこの二点についての御意見をわれわれは拝聴いたしたのでございます。そこで私どもといたしましては、とにかく小売商と小売商以外の者との何らかの紛争が、いろいろ形態はもちろんありましょうが、そういったとにもかくにも紛争があった場合におきましては、これを相手方がどういう場合でありましても、とにかく紛争であるという事実は事実なんでありますからして、これを都道府県知事がこのあっせんあるいは調停をいたすということは、これはそのまま認めてよろしいのではなかろうか。ただしこの第十五条の第一項にうたってありますように初めから問題の取り上げ方を小売商の事業活動の機会を確保する、そのために必要なときだけ、これは取り上げるんだというような建前でありましては、どうもこれはやや偏した立場で問題を取り上げる、こういうことになりますので、広くこの「物品の流通秩序の適正を期する」、こういった広くまた公正な立場から問題を取り上げて紛争の当事者に臨み、その間のあっせん、調停をする。要するに問題の取り上げる態度と申しますか、根本がそういうことになりますならば、ましてやあらゆる紛争についてこのあっせんないしは調停ということをやっても、一向差しつかえないというばかりでなく、むしろ場合によっては、進んですらそういうことを取り上げ、早く解決してもらいたいと思う。それがむしろ一般消費者なりあるいは国民なりのためではなかろうか、まあそういう考えのもとに、第三号の方は修正をいたさずに、第十五条の第一項の問題の取り上げ方のところだけを修正をいたした、こういういきさつでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/127
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128・奥むめお
○奥むめお君 これはすでに農協にも、生協にも、農林省、厚生省に法律がございまして、別の方針をもってこれはやっている仕事でございますね。私ども、今これは消費者のためだとおっしゃいますけれども、それを断言して下さっては非常に迷惑だと、そういうことね、消費者としては自分たちの買物生活にいい方を選ぶのですからね。これは、消費者はそれを選べばよろしい、ですから紛争ができたときに、一方的にそっちの小売商の立場だけで、それをあっせんに乗り出されるということは、私どもからいえば、それは御親切余って迷惑だということを申し上げておきます。
〔理事島清君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/128
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129・小平久雄
○衆議院議員(小平久雄君) いや、別段私は断定的に申し上げたのではなくて、早く紛争を解決することが一般的に考えてよろしいのじゃなかろうか、こういう考えでやったということを申し上げたわけです
それから今のお言葉の中にございました、小売商の立場からばかり取り上げられては困る、こういうお話でございましたが、われわれもその点まさにその通りと思いましたので、ここに修正案に書いてあります通り、「物品の流通秩序の適正を期する」、こういう見地からあっせんなり調定なりをするようにと、こういうふうに直したわけなんです。原案とそこは同じ御趣旨で原案を修正したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/129
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130・奥むめお
○奥むめお君 一応これで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/130
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131・高野一夫
○高野一夫君 私は奥さんとはちょっと変った考えを持っていますので、この生協、購売会、マーケットなどが不当な逸脱した行為を行なって、そのために不当な圧迫を小売業者は受けるという場合は、あくまでもこれは避けさせなけりゃならぬという考え方については、最初の政府原案の精神に全く賛成です。そこで衆議院側と大臣に、政府側に伺いたいのは、かつてないような修正が衆議院において行われたのでございます。生協のあり方について規制をする第三条、第四条ほとんど全部削除であります。そうしてこれがおしいまいの方の、多分消費生活協同組合法の改正ということでまあ補ったことになっておるのだろうと思うのであります。これはどういう意味でありますか。私はまず衆議院側に詳しく説明を伺いたいのでありますが、この消費生活協同組合の規制についての三条、四条を全部削除して、消費生活協同組合法の改正にもっていった。付則の方につけて改正にもっていった。これについてのいきさつ並びにこれがどういう意味であるか、私はその意味がわからない。これを一つ、まず修正をされた衆議院のあり方について説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/131
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132・小平久雄
○衆議院議員(小平久雄君) 実はきよう衆議院の方から社会党の松平君が見えておりませんので、私からだけ申し上げることはどうかと思いますが、まあ、私は衆議院の商工委員会に設けられましたこの法案審査のための小委員会の小委員長を勤めさせられましたので、その立場からいきさつを申し上げたいと思います。
今、御指摘の、高野先生の御指摘の点でございますが、実はわれわれもこの生協の員外活動に対する規制という問題は、これは政府原案のように本法の中でやはりやるのが適当である、これは、われわれはまあ自民党の党員という立場からいたしますれば、そういうことをみんな考えておったんであります。というのは、本法はいうまでもなく、この小売商業の立場からなる法案でありますからして、この法案の中に、生協の員外活動というものが、小売商といわば問題を起しておるような場合には、この法案の中にうたってよかろう、こういうもちろん見解であったのでありますが、これに対しまして社会党の議員の諸君のお考えは、一方に消費生活協同組合法という法律があるのである。いわば生協に関するこれが母法であるという御主張でございました。われわれは今申し上げたような立場からいたしまして、生協法というものは、生協の育成というか、監督というか、そういう育成、監督のためにできているこれは法律だし、今回の法案に盛ってある内容というものは、小売商の立場からむしろより必要なことをうたってあるのだから、この事項に関する限りは生協法が母法でないという見解を当初とっておったのであります。しかしながら御承知の通り社会党からは商業調整法案というものが出ておりました。この商業調整法案も二十六国会から数国会に及んで、ついに成立をしないで今日に及んでおった、こういういきさつからみましても、われわれはなるべく日本社会党との間に話合いを続けまして、本来の目的をお互いがなるべく失わない限度においては、できるだけの妥協もこれは必要であろう、こういう見地から生協法に関する規定だけははずす、こういうことに同意をいたしたのであります。ただし修正案をごらん願ってもおわかりの通り、生協の員外活動の規制の関係の規定を生協法に移しますというと、法律自体の所管大臣というものが厚生大臣になる。そういう見地から、どうしても小売商の立場から通産大臣が必要なる最小限度の権限というものは、どうしてもこれは確保しておかなければいけない、こういう立場からいたしまして、この今度の修正案によりますと、生協法の第十二条に加えられまする四項がございますが、その中の第六項におきまして「厚生大臣及び通商産業大臣は、必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、前項の措置をとるべきことを指示することができる。」という規定及び第七項にあります「通商産業大臣は、必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、組合が組合員以外の者に物品の供給事業を利用させている状況に関して必要な報告を求めることができる。」、こういう規定を生協法の中に入れることによって、小売商の立場からする通商産業大臣の権限と申しますか、そういうものをやはり明確にいたしておく、かような修正をいたしました。社会党の側におきましても、これでけっこうである、こういうことで、両者の話合いがついた、こういうことでございます。どうぞ御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/132
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133・高野一夫
○高野一夫君 重ねて伺いますが、生協法の改正でありましたならば、何も商工委員会に持ってこなくても、社会労働委員会でたくさんだ。ところで社会党の商業調整法案は、私は個人としては、あの中にとるべき点も幾多あろうと思うので、あの調整法の本文を取り入れて、自民党が政府案と調整した修正案を作るというならまだわかる。ところが社会党の調整案も別に本文の中に盛られていない。しかも政府の原案にあるところの重要部分はほとんど削除されておる。前の購買会の事業も削除されておる。ことに消費生活協同組合の方がまた生協の法律の改正で出ておりますが、第二条の第二項の第三号、購買会事業に対する問題等につきましてはこれを補う、そういう別の問題はほかのところに出ていないように私は思う。よくわからぬけれども、どうもそういうように思う。しばらく私も留守にしたので、どうもよく様子がわからなくなったので困っておるわけであります。これが今あなたのお話にありました通りに、われわれの考え方というものは、この法律ができ上りますれば、この法律をもとにして行政の運用の妙を発揮するのは通産省である。これに一つの期待をかけておるわけでありますが、そこで育成をする、取締ることをようやらない厚生省と、一方の、全体の通商産業のあり方を眺めながらその安定策をはかっていこうということを使命にしておる通産省とのあり方というものは、おのずからやはりかわって参ることは、今のお話の通りなんです。従って生協、購買会等についての、特に今生協の法律はございますが、この生協に対する規制というものが、通産大臣の主管において、通産省の行政官がこれを守って、中心にしておる、そうしてまた厚生省にいろいろ連絡をとってやる、あらゆる判定が通産省が責任をもって判定を下す、こういうところに私は非常に大きい意味があると思う。それを全部、三条、四条削除、二条の二項の三号削除、そうしてもって、しまいに消費生活協同組合法の一部の改正、これは今の御説明の通りであるけれども、それに現行の生協法の十二条の第三項に組合員外に売らせる場合は当該行政庁の許可を得なければならないということは、ちゃんと書いてあるわけです。その点、ただそれが多少これが詳しくなって通産大臣がここへ入ってきたというに過ぎないのでありまして、生協の運営はあくまでも厚生省が中心になることでありますから、私はこの修正案のままでいきますれば、これは生協に対する規制、生協の逸脱した行為を防いで、そうして適正なる小売業の安定をはかるということの、この行政措置といいますか、そういうやり方は、なかなか私は通産省でうまくできないはずだと考えます。これは利は大臣に伺いたいのでありまするが、大臣は衆議院でこういう修正案を政府が突きつけられて、どういうふうにお感じになったのであるか、最初の政府案というものは、これもまだ完璧じゃないけれども、まだまだ私はいいと思う。それが全くのこういう未曾有の大修正をやって、換骨奪胎もはなはだしい修正があった。その修正案を政府は押しつけられて、通産省は、通産大臣は責任者としてこの小売商業の措置法案でもって、適正なる、最初原案をお出しになったような行政措置をおとりになれるとお考えになるかどうか、まずこの見解をお伺いします。私はこの法案については修正後の問題につきましていろいろ質問したいことがありますが、きょうは時間がありませんから一、二の点にとどめて、明日また詳しく質問したいつもりでありますが、取りあえず今の点について大臣の御見解を承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/133
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134・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 現在小売商が受けております圧迫はいろいろございますが、生協の員外活動によるこの圧迫というものは大なるものがありますが、しかしこのものにつきましては、先ほど奥委員から御指摘のごとく生協のごときは営利でやっておるのではないということが前提でありますから、そういうふうな点から考えまして、購買会とか他のものと比較いたしますれば、多少趣きを異にしておる、こういうような関係がありましたものでありますから、私はこの際、この衆議院で修正されました案につきましては、必ずしも完璧でありませんが、これはほかのものが実行できるという上からいきまして、これでまずもって進むべきものである、こう考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/134
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135・高野一夫
○高野一夫君 それは大臣おかしいと思う。大臣は、政府のあなた閣僚として、通産省の大臣として責任をもって最初の原案を政府が国会にお出しになった、われわれも党においてこれを承認をした、それをこういうような全く内容が違うような法案に修正されて、そうしてこれが完璧でないけれども、これでもって受取って仕事ができると、こういうことが大臣お考えになれますか。それは大臣おかしいと思いますよ。それなら最初からこんな大修正をされるような法案を作らないで、そうして最初から生協の改正案を社労の委員会に厚生省から出される、こっちは骨抜きになった案をお出しになれば、そういうやっさもっさ衆議院で騒がなくても、参議院で騒がなくても、もっと早く通っております。足かけ三年ひっかかっておりません。足かけ三年もひっかかって、しかも最初のは衆議院でほとんど一回も審議をされておらない、臨時国会でも審議されない。そして今回三回目を出して初めて審議をされる。それほどやっさもっさがあった法案であってそれほど両党の間において、反対党と与党の間で引っかかった法案です。それを三回もお出しになるなら、大臣としては、政府側として相当の決意をもって、これはやはり政府原案を通してもらわなければ仕事ができるわけがないという決意がおありにならなければおかしいと思う。それがこんな大修正をされて何とか仕事ができるというのなら、最初から政府案を出す必要はありません。われわれ与党にありながら、何もこんな心配をする必要はなかった。私は今の高碕大臣の御説明を聞きましてまことに意外千万です。私はどっちかというと、こんな法案なんというものは、この際むしろ御破算にしてしまって、大臣は最初にこの政府原案をお出しになる決意がおありになったはずなんですから、それならば、こんなようなことで通産省が責任をもって仕事ができるとは思えないから、これは御破算にしてぐれ、そしてあと次の国会に政府はもう一ぺん出し直すぐらいの決意をお示しになるなら、これは社会党とも御相談をして何とか考えようがあったのだけれども、今みたいな説明を聞くに至っては、私は与党の委員といたしまして、まことに遺憾憾千万だと思います。これはもう時間がありませんからまた私もちょっと用もありますから、明日さらに引き続いて、細目の点について私は伺いたいと思いますが、もう一点、それではあらためて伺いますが、大臣と企業庁長官は全国の有数なと申しますか、どこでもいいけれども、生協、購買会やマーケット街の実地について御視察になったことがありますか、もしおありになるとするならば、どこどこをごらんになったか、実地に御調査にならなければ、どういうふうに仕事ができるかおわかりになるはずがないと思うのです。参考のために伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/135
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136・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 生協、購買会は特にたくさん見ておりませんが、一、二は見ております。それよりもむしろわれわれとしましては、各地の知事あるいは商工会議所等から生協、購買会に関しまするいろいろな紛争の報告を受けております。そういうことに基きまして原案を作成したわけでございまして、当初第二十六国会に出しました原案よりも前国会の原案はこの点につきましての、若干何といいますか、小売商の保護という点について配意をしておるつもりでございまして、従いましてわれわれ事務当局としましては、当国会に出しました政府原案が現段階では一応完璧とは申しませんけれども、十分やっていける法律だというふうに考えて提出した次第でございます。ただ……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/136
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137・高野一夫
○高野一夫君 私はそういうことを聞いているのじゃないのです。私は大臣と企業庁長官に全国の生協や購買会、マーケット街を実地に御視察になったことがあるかどうか、あるならばどういうところをごらんになったか、こういうことを伺っているのです。それは改正案の条文に関係があるのです。おそらく今の御答弁で、まあ大臣は仕方がないとしても、企業庁長官もろくすっぽ御存じないと思う。生協の発祥地である米子に行きましても、あるいは生協、購買会の盛んな北九州の方に行きましても、この修正案にあるようなことはすでに行われている。員外利用者の出入りを禁ずる、員外利用者の御利用を禁じますと札がちゃんと書いてある、書いてあるけれども、一般の人は堂々と入っている。全くデパートです。そして平気で売っている。利用券がなければ売りませんということも書いてある。書いてあるところも、これは自発的でありましょうが、書いてある。それでも堂々と入っていく。私どもが行って本買えるのです。しかも盆、暮れがくるというと、一般の小売業者のように盆、暮れの特売の宣伝カーを飛ばすのが大きい購買会、大きい生協の実態なんです。でありますから、すでにこの生協の法案の改正案の中に盛り込まれているようなことは、現在やっておって、ちっとも行われない。それをいかにして行わせるかということを、今後通商産業省の、あなた方の行政措置に私どもは非常に期待をかけておったのです。それが今までやっておらなくて、そして今度新たにこれをやる。それなら規制ができるというのなら、私ども本場合によっては了承するかもしれない。しかし現在これが行われている。札だけがかかっている。それでも実際においては、どんどんと一般の市中の人に売る。八幡の人口二十八万の一般市民の消費生活は一体どこから品物を買っているか、一般の従業員でない者、あるいは購買会だの生協の組合員でない者がどこから品物を買っているか、小売営業者が一般にどれくらいのいわゆる影響を受けているかということの統計ぐらいは、通産省で私はお取りになっているはずだと思う、通商産業局も福岡にあるのだから。だから私は実地にごらんになればわかると思う。いかにこの修正案が無意味であるかということを私は申し上げたい。こんなことをやっても行われないのです。どうしてこれを行わせないか。これと同じような文句が本条にある、それは本条にあっても同じじゃないかといっても、その本条の方の取締りと申しますか、規制に当るものが、小売業者の立場をよく理解できる通産省のあなた方がおやりなるので、この法律の運用の妙に私どもは党員として期待をかけても、それがこういうような大修正が行われて、本文が削除されて全然別個の法律のように大修正になった。その修正の内容は、現在行われている、やっておって、しかも実際はやられていないこれが実態です。でありますから、今通商産業大臣の高碕大臣が修正案でもって何とかやっていくとおっしゃる気持が全然私にわかりません。もしも、そういうようなことで、この原案でやってもなかなか容易でないが、この修正案で通産大臣がやるとおっしゃるとなれば、私は党内においても、それは全く通商産業大臣の認識不足ということを同じ党員として申し上げたい。この点は私は遠慮会釈なく申し上げる。また修正するならば、せめて先ほど松澤さんたちの方から出た調整案、あの調整案のメーカー、問屋の調整と、ああいうところの条文でも持ってきて、政府原案と突き合せて政府原案を作るならまだ完璧なものができるでしょうか、そういうものが一つも入っていない。そうして今私が申し上げたような無意味な法案が参議院に回ってきたという実態です。私は長く旅行しておって党の会議にも参加できませんでしたので、今こういうことを申し上げては、私自身まことに申しわけないということで、これはおわびは申し上げますけれども、こういう意味において、この法律案の私は今後の審議は相当慎重に審議しなければならぬのじゃないかとこら考えます。詳しくは明日……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/137
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138・豊田雅孝
○豊田雅孝君 大臣に伺いたいと思っておりますが、この購買会、生協あるいは共済組合の問題、これの基本の問題というのは一つは廉売の問題、一つは員外利用の問題にあると思うのであります。この廉売は大体購買会や共済組合あるいは生協、これと普通の独立小売商と比べて見た場合に、税金も違うし、それから支払う給料も違う。場合によるというと給料なしで働いておるところも購買会なでにはあるわけでありますが、また運転資金自身も、大企業、大会社の方から場合によるといろと、きわめて安い利子で資金を融通する、それからまた建物はほとんどただ同様で提供する、こういうような建物の違い、それから資金が第一違い、給料も違う、税金も違うということになれば、安く売れるのが当然でありまして、その安く売れることに対して、家族を養わなければならぬ者、本業の立場にある者、この小売商の立場を守るということは、私は日本の失業問題、人口問題 あるいは国全体から考えて当然なことだと思うのであります。それからまた一面において員外一利用の問題でありますが、コーペラーティブは御承知のように英国から始まったわけでありますが、英国の人口の少い所で、十分に配給なども手が届かぬ所では、コーペラティブも必要であり、場合によれば員外利用も必要です。あるいはまた日本でも山間僻地などにコーペラティブがある場合は、それが組合員あるいは従業員以外に売るというようなことも、それは必要な場合もありましょう。しかしこれはあくまで例外的でなければならぬと思うのであります。そういう点から見ますというと、員外利用ということは大きな現状から見るというと行き過ぎになっている。この点に対してこの是正をするべく、調整をするべく立案せられたのが今度の法案でありまして、私どもから見れば、まだまだ非常に不十分だと思うのであります。
その具体的な例といたしまして質問をするのでありますが、生協の方は員外利用の許可を制限するようにはなっておりますけれども、許可をしたのちにおいて、はなはだしい廉売が行われて、そうして著しく一般小売商の生活を乱すというようなことにまでなった場合でも、これは禁止をしないということになっておるようでありますが、この点について私はどういうものだろうかと思うのであります。許可をするときには十分考えるらしいですけれども、許可をしたのちにおいて、著しき弊害が出てきた場合に、何とも手がついておらぬというようなことは、これはどういうものか。この点についてまず伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/138
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139・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 先ほど申しましたように、私の方でもいろいろなクレームが来ております。そこでこれはまあいろいろな指導方針はあると思いまするが、やはり消費生協は市価主義で、付近の小売商の市価とあまり違わないところで営業されたらどらか、そうしますれば、当然原価の安いものもございましょうからして、かなり利益になるわけでありますので、それを利用分量に応じて還元配当ざれる、これは私、消費生活協同組合の基本的な運営の態度ではないかと、こういうふうに考えております。しかしながら現状においては、実はそういうことが行われているところは割合少いわけであります。しかも御指摘のように、かなり員外利用の許可を受けないで員外利用が行われておるという報告も参っております。で、あまり激しいので、米十にあります鳥取県の西部勤労者消費生活協同組合でありますか、これにつきましてはそういう弊がありますので、たしか一ぺん員外利用の許可をしましたのち取り消したという事例もありまするが、まあ依然として員外利用は跡を断っていないというような報告になっております。購買会の方は、これも都市によりましては非常に小売業着に影響があるわけでございます。これはどらも利益還元といろわけには参りませんので、むしろ特別会計式に、その部分だけ独立採算で営業するようにしたらどうか。とれがまた本来の姿であるべきだろうと思っております。建物も、また従業員の給料も、あるいは運賃、その他の金利も、すべてこの商品の売り値にかける。会社側からはそれに対して特定の補助ないし支出はしないという建前で運用されるのが本来の姿じゃないかと思っておりますが、なかなかいろいろな事情があるようで、そういう運用をされているところは少いようでございます。しかも割合に安いものでございますから、町中等に営業所がありますれば、かなり員外利用も行われているといろ報告があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/139
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140・豊田雅孝
○豊田雅孝君 今私が尋ねたのは、この生協の方では許可をするときには、いろいろ事情を勘案していくということになっているわけでありますが、その許可後において、はなはだしい不当な事実が現われた場合に、これを押える道があるのかないのかというわけであります。今、高野委員の指摘せられた米子の生協など私は十分に見てきております。もうそれは実に目に余るような、そこらの小型のデパートと同じようなものでありまして、実に目に余る状態でありますが、こういうものを押えることができるのかできないのか、その点であります。それから一方においては、購売会の方は第二条で員外利用のあまりにはなはだしい行き過ぎの場合には禁止ができるということになっておる。生協の方はそれができないということだとアンバランスじゃないかと、ここはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/140
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141・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 生協法の建前によりますれば、そういうような法令違反の事実等がございますれば、審査の上、営業改善命令を出します。主務大臣から営業の改善命令を出しまして、なお、改善の効果がないときには解散命令まで出せることになっております。おりまするが、実際問題としまして、それにつきまして打たれた措置は、あまり詳しいことも存じませんが、先ほど申しましたように員外利用の許可の取り消しという程度にとどまっておるようでございます。許可取り消ししましても、またなかなかその効果が及ばないというのがあの組合の実情だったようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/141
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142・豊田雅孝
○豊田雅孝君 それではこの員外利用の取締りの実際問題でありますが、これも実に困難な問題であって、今回は組合員なり従業員であることが明瞭でない者に限って証明書を提示させるというようなふうになってきておるのでありますが、果してああいうことができるのかどうか、非常に私は疑問に思っておるのでありまして、この点は時間がありませんから、実際上の取締り方についてどういうふうにするのか、そういうことを次回に一つ明らかにしてもらいたいと思うわけであります。
それと、これは今後の一つの大きな問題になると思いますので、できれば大臣にお答え願いたいと思うのでありますが、価格の維持をはかっていく、要するに適正価格の維持をはかっていく問題、これにつきましては、まあ先ほど岩武長官は、今度の法案は全然触れておらぬのだという答弁でありました。まことに遺憾であります。しかし
それについて、今後どうしていくかという問題でありますが、これにつきましては、私は再販売価格の維持契約に関する法律があるわけであります。この再販売価格の維持契約に関する法律では、薬とか化粧品程度は、これによって価格の縦の系列の協定ができることになっておるのでありますが、ところがこれにまた大きな穴が空いておりまして、生活協同組合あるいは購買会、こういうようなものは除かれておる。従ってこの縦の系列で価格の協定が普通の場合はできるけれども、穴が空いておるために、ほんとうの効果を現わしておらぬというのが事実であります。これは安割に売れることは、これは事実なんでありますから、またしいてこれをどうこうというわけでありませんが、そのかわり岩武長官の答弁にもありましたるごとく、これは歩戻しとか、あるいは組合員に対する還元方法を考えるということによって、市一価自身を崩さぬということに、これはあくまでやるべきじゃないか。それでないというと、これはアルバイト的にいくものによって、本業自身が大きくゆるがされてくる。これが日本の失業問題あるいは思想問題にも、大きく影響してくるということになるのでありますから、この点については確たる方策を立てなければいかぬのじゃないか、そういう点について、再販売価格維持契約に関する法律の穴をふさいでいく。そうして歩戻しなどの方法でやつていけばいいのでありますが、それについてやる御意思があるかどうか。
それからもう一点は、品目を漸次拡大していく必要があるのじゃないか。薬や化粧品だけに限定しないで、これによって初めて私はこの価格の維持ができるのじゃないか。それでないというと、中小企業団体組織法を作ってみたが、小売関係については価格協定はまかりならぬ。今度小売商業特別措置法ができても、価格については何にも触れておらぬ。ところが価格が崩れることによって全国小売商百五十万の生命線がまさに崩壊しようとしておるのでありますから、そういう点において、せめて再販売価格維持契約に関する法律の整備拡充強化、こういうことをおやりにならぬというと、今回法律を制定せられる趣旨が没却せられるのじゃないかというふうに考えるのでありますが、これにつきまして大臣並びに長官の御意見を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/142
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143・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) この独禁法にございまする再販売価格維持契約の施行上の問題でございます。品目の問題につきましても、現在は化粧品等は割合に少いのでございますが、最近いろいろな問題になっております電気器具等につきまして、この政令によらしめることがあるいは適当じゃないかというふうに、われわれとしても考えておるわけであります。ただ電気器具につきましては、若干化粧品等とは違う問題もあるようでございます。何といいますか、すぐできるかどうかちょっと問題がございますが、でき得ればこういう方向で指導して参ったらどらかと思っております。
それからもう一つは、こういうふうな再販売価格維持契約によって届けられております品物につきましても、実はその届出価格を下回った不当廉売が行われておるものがかなり大阪方面にもあるようでございます。これにつきましては、そういう再販売価格維持契約による届出価格を守ろうという商業組合、つまり団体法によります組合の協定は、一切あの団体法に載っております価格協定に該当するかどうかという問題があるわけであります。でき得れば、そういう価格協定には該当しないで、これはむしろ販売方法の制限というふうな協定というふうに見て、せめてあの届出価格を守らすようにしたらどうかということが一つの解決点でありますが、これにつきましては、実はまだ、公正取引委員会の事務当局とも検討を進めておりますが、結論に到達しておりませんが、先ほど質問がありましたように、不当廉売の状況を現在のまま放置していいというわけにはならぬのであります。せめてよりどころのあるところもつかみまして、事態の解決に資したいと思っております。実はまだあとの問題につきましては、目下検討中でございます。結論を得ておりませんが、でき得ればということで実は御答弁いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/143
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144・豊田雅孝
○豊田雅孝君 もう一点、それに関連してお尋ねしておきますが、それは再販売価格維持契約の法律によって価格の協定をやっておる品目のものについては、中小企業団体組織法による商工組合を作った場合に、価格協定を認めて私はいいのじゃないかと思うのであります。この点について御意見を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/144
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145・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 再販売価格維持契約の届出価格を守ろうという協定が、団体法の商工組合ができました場合に、あの価格協定が当るかどうかという点が実は検討を要する点でございます。普通価格協定と申しますと、新しい価格形式に関することではないかと、一応考えられるようなこともございます。すでに届出された価格を守ろうという協定は、あの団体にいいます価格協定とは違いはしないかという議論も実はあるわけであります。その点の話を目下公正取引委員会の事務当局と進めております。まだ結論を得ておりませんが、そういうふうな点も一つ寄りかかりにしまして、あまり目にあまる不当廉売の点を検討したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/145
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146・豊田雅孝
○豊田雅孝君 せめて今申した点ぐらいはぜひ実現をせられたいと、その点高碕通産大臣に大いに期待をかげるわけでありますが、ぜひその方向でお進み願、いたいと思いますが、この点について大臣の御所見を伺って、そうしてまた質問したいことが幾つもありますけれども、時間の関係上、きょうはこの程度にいたしまして、あとまた質問をいたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/146
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147・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) いろいろ紛争が起りました主要点は、結局価格の問題と思いますが、かりに府県知事が、協定をいたします主要の問題につきましては、問題は結局するところ再販売価格維持契約というものを法律的に認めることが非常に重要な問題と存じまして、この点は十分公正取引委員会と協議いたしまして実行に移し得るように進めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/147
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148・上原正吉
○上原正吉君 時間がありませんから簡単に伺いたいのです。これは公正取引委員会に伺うことだと思うのですが大臣が出ておいでですから伺っておきたいのです。消費生活協同組合法によりまして、許可すれば員外者に販売できる、こういうことが定められておりますが、あれは消費生活協同組合を作らして育成していこうという立法当時の必要からされたと思っているわけです。ところが今日審査でお聞き及びのように、消費組合が一般の小売業者に脅威を与えているという事実が発生しておるのです。この辺、消費生活協同組合は大臣のおっしゃる通り組合員に利用させるために結成されておるわけでございます。これが員外者に販売して業界に混乱を巻き起すということは、法律の目的に反していることなんですから、この辺で、もう消費生活協同組合法をこれは何か一つ改善して、員外者に利用はさせられないというふうに改めなければならぬと考えております。この点から通産当局としてそうお考えになってよろしい時期ではないかと思うのですが、大臣並びに岩武長官はどんなふうにお考えになっておりますか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/148
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149・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) まあ生活協同組合法の所管でもございませんし、あまり立ち入ったことを申し上げることはできませんが、ただ員外利用にも、極端に言いますと、一人でも組合員外に売ってはいかぬということになりますと、あるいは山間僻地の職域の組合等につきまして不便が起る場合があるかもしれません。あるいは要生活保護者でありますとかというような特殊の者に対して、ある制限のもとに販売をする場合があるかもしれません。私としては、現在厚生省が員外利用の許可を与えるにつきまして、一応基準としまして、今申しましたような山間僻地で小売商のない場合であるとか、あるいは要生活保護者で一定の官庁の先給した証明書を持参した場合とか、あるいはこれは今まではそう必要がないと思いますが、酒、たばこ、米等のいわば一種の統制商品の登録制というようなものに限って員外利用は許可してもよろしいという通牒を実は出しておるわけであります。ほんとうにその辺のことが厳格に守れるようであれは、それは員外利用の趣旨もわからぬわけではございませんが、大体協同組曾法の趣旨を考えますれば、やはり員外利用者に力を入れますならば、員内着に対しますサービスも落ちますし、いわんや先ほど申し上げましたように時価販売の利益還元という根本の運営方針から考えますれば、やはり員外販売というものはごく必要やむを得ざる特殊の場合だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/149
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150・上原正吉
○上原正吉君 それは、岩武長官の御奇弁に満足しているわけではないのですが、いずれこの点はあらためてお伺いするとして、先ほど大臣の御答弁の中に、購買会は当然その事業所の従業員のためにあるのだから、これが安いのも当然であるということで、購買会の事業活動はきわめて当然のことのように私承わったのですが、私は実はそうは思わないのです。購買会というものは正規の営業ではないのですね。組合でもなければ商店でもないのです。株式会社でもないのです。ですからこれが経済活動をやるということ自身がすでに間違いだと思っております。これは厳重に規制しなければならぬ事態たと思っております。ことに先ほどだれかが指摘したように、購買会に対して、事業所つまり会社が場所を提供したり、あるいは人を提供したり、資金を提供するというふうなことが公然と行われておる。これらはまことに奇っ怪しごくな経営状態なんです。のみならず、数の中には、従業員に対して、市価よりも安く物資を集めて、これを提供するということを労働協約の中に書いてあるものがあるんです。これはあらゆる点、どこから考えても違法の行為ではないかと思うんですね。給与体系からいきましても、あるいは営業ということから考えましても、こういうことはとうてい放任すべきではないと思うのです。ことに通産行政をお預かりになる通産当局では、これらを十分検討して、急速にしかるべき対策を立てなければならぬと思いますが、一つ大臣の御所見を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/150
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151・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) よほどこれは私の話が誤解されております。これは購買会というものは、今もおっしゃった通り非常に大きな資本がバックについて、いろんな方策を講じますから、これに対しては厳重な規制をしなければならぬ、こういう意味で私は言ったのでありまして、生協とはおのずから違うと、その点を申したのでありまして、もしただいまのそういう御解釈でありましたら、どうぞ誤解でございますからお直しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/151
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152・田畑金光
○委員長(田畑金光君) 本日の委員会はこれにて散会いたします。
午後五時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114461X02519590401/152
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