1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十三年十二月十六日(火曜日)
午前十時四十七分開会
—————————————
委員の異動
十二月十二日委員荒木正三郎君、栗山
良夫君及び江田三郎君辞任につき、そ
の補欠として小林孝平君、小酒井義男
君及び椿繁夫君を議長において指名し
た。
—————————————
出席者は左の通り。
理事
西川甚五郎君
山本 米治君
平林 剛君
天坊 裕彦君
委員
木内 四郎君
郡 祐一君
木暮武太夫君
迫水 久常君
土田國太郎君
廣瀬 久忠君
小酒井義男君
小林 孝平君
椿 繁夫君
杉山 昌作君
政府委員
大蔵政務次官 佐野 廣君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
説明員
大蔵省主計局法
規課長 小熊 孝次君
大蔵省理財局国
庫課長 堀口 定義君
—————————————
本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選
○接収貴金属等の処理に関する法律案
(内閣提出)
○賠償等特殊債務処理特別会計法の一
部を改正する法律案(内閣送付、予
備審査)
○産業投資特別会計の貸付の財源に充
てるための外貨債の発行に関する法
律案(内閣送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00219581216/0
-
001・西川甚五郎
○理事(西川甚五郎君) ただいまより委員会を開きます。
前田委員長が、所用のため、本日欠席いたしましたので、私がかわって委員長の職務を行わせていただきます。
まず、委員の変更について御報告いたします。
十二月十二日付をもって荒木正三郎君、栗山良夫君及び江田三郎君が辞任され、その補欠として小林孝平君、小酒井義男君及び椿繁夫君が、それぞれ委員に選ばれました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00219581216/1
-
002・西川甚五郎
○理事(西川甚五郎君) ただいま報告いたしました通り、栗山良夫君が委員を辞任せられました結果、理事が一名欠けることになりましたので、この際、理事の補欠選挙を行いたいと存じます。
互選の方法は、成規の手続を省略し、便宜、その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00219581216/2
-
003・西川甚五郎
○理事(西川甚五郎君) 御異議ないと認めます。よって、私より大矢正君を理事に指名させていただきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00219581216/3
-
004・西川甚五郎
○理事(西川甚五郎君) これより、公報をもって御通知申し上げました通り、接収貴金属等の処理に関する法律案外二件を一括して議題とし、順次、提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00219581216/4
-
005・佐野廣
○政府委員(佐野廣君) ただいま議題となりました接収貴金属等の処理に関する法律案外二法律案につきまして、提案の理由及び内容の概略を申し上げます。
まず、接収貴金属等の処理に関する法律案について申し上げます。
終戦後、連合国占領軍は、本邦において政府及び民間から金、銀、白金、ダイヤモンド等の貴金属等を接収したのでありますが、講和条約の発効とともに、これらの貴金属等を政府に引き渡したのであります。そこで、政府といたしましては、さきに、接収貴金属等の数量等の報告に関する法律によって、貴金属等を接収された者から必要な報告を徴し、その内容の調査を進める一方、連合国占領軍から引き渡された貴金属等の調査を実施し、その状況もおおむね明らかになりましたので、これらの接収貴金属等について返還その他の処理をいたしますため、この法律案を提出した次第でございます。
なお、接収貴金属等の処理に関する法律案は、御承知の通り、さきに第二十六国会において衆議院を通過し、第二十六国会から第三十国会にわたって参議院において御審議願いましたが、今回提出いたしました法律案の内容は、前回御審議願いました法律案の内容と同じでございます。
以下この法律案の概略を御説明申し上げます。
まず第一に、貴金属等を接収された者は、この法律の施行の日から五ヵ月以内に、大蔵大臣に対してその接収された貴金属等の返還を請求することとし、接収された者がその請求をしない場合には、接収された貴金属等の所有者が、法律の施行の日から七ヵ月以内に、返還の請求を行うことを認める等、返還請求の手続を定めることといたしております。
第二に、返還の請求に対しまして、大蔵大臣は、その接収貴金属等の種類、形状、品位、個数及び重量等を、証拠に基いて認定することとし、認定された貴金属等につきましては、それが大蔵大臣の保管している貴金属等のうちで特定する場合には、そのものを返還し、特定しない場合には、大蔵大臣の保管している貴金属等から特定するものを除いた残りの貴金属等を、認定にかかる貴金属等の種類、形状、品位及び重量のそれぞれの明確度に応じて、その個数または評価額の割合により按分して返還することといたしております。
第三に、この法律により返還される貴金属等につきましては、国、公共企業体、地方公共団体及び日本銀行の所有にかかるものを除き、連合国占領軍から政府が引き渡しを受けて以来返還されるまでの間の管理費用に相当する額として、返還を受けた貴金属等の価額の一割に相当する金額を国に納付させることとしております。
第四に、接収された貴金属等のうちには、一、交易営団、社団法人中央物資活用協会または社団法人金銀運営会が、戦時中、政府の金、銀、白金またはダイヤモンドの回収方針に基き、政府の委託によって民間から回収したもの、二、金属配給統制株式会社が、政府の指示に基いて、交易営団または中央物資活用協会の回収した貴金属を買い入れたもの、三、金銀運営会が、戦時中、政府の指示に基き、旧日本占領地域における通貨価値の維持等の目的をもって金製品を輸出するため、旧金資金特別会計から払い下げを受けたもの、及び四、軍需品の製造に従事していた者が、軍需品を製造または修理するため、その材料として戦時中、旧軍または軍需省から買い入れたものがありますが、これらのものは、すべて国に帰属させるとともに、これらの者に対しては、貴金属等の取得の代金及びその手数料または加工費に相当する金額を、それぞれ、交付することといたしております。
第五に、接収貴金属等の処理を慎重かつ適正に行うため、認定、返還、不服の申し立ての処理その他の重要事項につきましては、接収貴金属等処理審議会に付議し、その議決に基いて処理することとするとともに、大蔵省管財局に臨時貴金属処理部を設けてその事務を専担させ、処理の万全を期することといたしております。
第六に、国に帰属または返還された貴金属等で一般会計に所属するものは、無償で貴金属特別会計の所属に移して管理することといたしております。
なお、百円銀貨製造の用に供する等のためこの法律の施行前に返還した貴金属につきましては、この法律の施行後すみやかにその明細を公告することといたしております。
次に、賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。
ラオスは、昭和三十二年三月十一日、わが国に対し、ラオスが戦争によりこうむつた損害に対する賠償請求権を放棄する旨を通告してきましたので、政府は、今回、ラオスの好意ある措置を考慮して日本国とラオスとの間の経済及び技術協力協定を締結し、無償の経済及び技術援助を供与することといたしました。この協定につきましては、すでに前国会において承認を経ているところでありますが、政府におきましては、この無償の経済及び技術援助のための債務の処理に関する経理を賠償等特殊債務処理特別会計において行うことが適当であると認め、この法律案を提出した次第であります。
最後に、産業投資特別会計の貸付の財源に充てるための外貨債の発行に関する法律案について申し上げます。
政府は、かねてより、電源開発事業等の推進をはかるため、国際復興開発銀行からの借款につき努力を重ねて参りましたが、今般、この借款計画とあわせて、産業投資特別会計の貸付の財源の一部に充てるため、昭和三十三年度において、三千万ドル、邦貨換算百八億円を限り、外貨債を発行しまたはこれにかえて外貨借入金をすることができることとした次第であります。
なお、右金額のうち昭和三十三年度において発行または借入金をしなかった金額があるときは、当該金額を限度として、昭和三十四年度においても外貨債の発行または外貨借入金をできることとしているのであります。
しかして、本公債の消化を円滑にするために、その利子等に対する租税その他の公課については、国際慣行にならった非課税措置を講ずることとしているのであります。
以上のほか、本公債の発行による収入金を産業投資特別会計の歳入に受け入れる等、同特別会計法に所要の改正を講ずることといたしておりますとともに、その他本公債の発行について必要な事項は大蔵省令を以て定めることとしているのであります。
以上、法律案の大要を申し上げた次第でありますが、本法案は第三十臨時国会に提出いたしましたものと全く同一であり、本法案に関する予算はすでに国会の御審議を経ております。
以上が接収貴金属等の処理に関する法律案外二法律案の提案の理由及びその内容の概略でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00219581216/5
-
006・西川甚五郎
○理事(西川甚五郎君) 接収貴金属等の処理に関する法律案はさておきまして、賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案並びに産業投資特別会計の貸付の財源に充てるための外貨債の発行に関する法律案、この二法律案について、補足説明を順次していただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00219581216/6
-
007・小熊孝次
○説明員(小熊孝次君) 賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、補足説明を申し上げます。
先ほどの提案理由にもございました通り、ラオスは昭和三十二年の三月十一日に、わが国に対しまして、ラオスが戦争によってこうむりました損害に対する賠償請求権を放棄する旨を通告して参りましたが、その際、わが国から無償の経済援助を受けたい旨の要望をして参ったのであります。その後、具体的にはヴィエンチャン市におけるところの水道工事の計画をあげて参りまして、その援助を要請して参ったのでありますが、三十二年の暮におきまして、わが国では技術調査団を派遣いたしまして、その調査の結果も検討の上、同上水道工事の建設が援助の対象といたしましても適当である、こういうふうな結論に達しまして、去る三十三年の十月の十五日に、総額十億、期間ニヵ年間の経済技術援助をラオスに供与するという協定に署名いたした次第でございます。
この協定につきましては、さきの国会におきまして御承認を得たのでございます。
この協定に基きますところの無償の経済及び技術援助のための債務の処理につきまして、いかなる方法で実施するかということを検討いたしましたが、今回の措置は、ラオスが本邦に対して有しておりましたところの賠償請求権を放棄したことを考慮して行われる措置でございますので、放棄されないとするならば、賠償等特殊債務処理特別会計におきまして処理せられたと考えられる性質のものでございます。で、この賠償等特殊債務処理特別会計におきましては、賠償等連合国財産補償その他の特殊債務処理という、戦争に関連いたしますところのわが国の債務を一体として処理する会計でございますので、今回の措置に伴うところの債務の処理につきましても、この会計において処理するということが適当と認められましたので、この会計法を改正いたしまして、同特別会計で今回の措置に伴う債務の処理を明らかにする、こういうことにいたしたい、こういう意味でこの法案を提出した次第でございます。
以上で補足説明を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00219581216/7
-
008・堀口定義
○説明員(堀口定義君) 産業投資特別会計の貸付の財源に充てるための外貨債の発行に関する法律案につきまして、補足説明をいたします。
外債の問題につきましては、従来から調査研究はしておったわけでございますが、昨年の九月ごろ、一萬田大蔵大臣がIMFの総会にアメリカに行かれました際にも、世銀のブラック総裁あたりから、日本としても外債発行について調査研究を進めたらどうかというふうなお話があったわけでございます。もともと、世界銀行というものは特殊な金融機関でございまして、市中から公募で金を借りる方法とは違った金の借り方をいたすことになりますので、この協定の中にも、世界銀行としては、借りる国が市中で相当な条件で借りられる場合には、世界銀行のお金は貸さないのだというふうな規定がございます。そこで、わが国といたしましては、従来も二億四千九百万ドルばかりの世銀からの借款を受けておりますし、今話題に上っております額も、一九六〇年の三月末ころまでに一億五千万ドルばかりの額が話に上っておるわけでございます。そこで、他の世界の国々といたしましても、日本に対する貸付が相当額に上っておりますので、世銀の首脳部も、日本としてはできるだけ自由市場で資金を獲得する努力をすべきであるということを、前々から示唆しておったような状況でございます。
そこで、昨年の九月ごろから、市場の調査等をファースト・ボストンというインベストメント・バンカーに頼んでおったわけでございますが、それがたまたま、本年のIMFの総会の際に大蔵大臣がインドに行かれましたとき、そのファースト・ボストンの首脳部及び世銀の首脳部と会われまして、いろいろ相談されました結果、外債の発行について一つの確信を持たれるに至った次第でございます。
外債の市場といたしましては、戦前のように、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランスというように、国際的な非常な広がりを持ったものにはまだなっておりませんので、アメリカにおいて戦後発行されました外債はわずかに五億数千万ドルでございます。そういう額ではございますが、従来のIMFであるとか世銀というような特殊な金融機関からのみ金を借りるというようないわば変則的なやり方から、市中の公募でもって個人ないし金融機関から直接金を借りるという本来の姿に帰る一つの道が開けたというのであるならば、わが国としてもそういう道を開いておくべきである、かつ、世界のニュージーランドであるとか、オーストラリアであるとか、ベルギーであるとか、相当額の外債を発行いたしておりますので、そういう道を開くべきではないかということになった次第であります。
それから、この借款は世銀との抱き合せの借款でございまして、世銀といたしましては、電源開発の御母衣ダムに対しまして、この外債によります三千万ドルのほかに、抱き合せといたしまして一千万ドルの貸付をすることに予定されております。そこで、全体といたしまして、外債が発行されますとそれだけ世銀の借款は減るかという問題でございますが、これはそういうことにはなりませんので、三千万ドルだけ従来予定されておりました額に加わる予定でございます。
この発行の負担会計は産業投資特別会計でございまして、産業投資特別会計から国債整理資金特別会計の方に元利払い資金を入れまして、国債整理資金特別会計におきまして将来、元利の支払い、経費の支払いを行うことになっているわけでございます。
以上、簡単でございますが、補足説明を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00219581216/8
-
009・西川甚五郎
○理事(西川甚五郎君) 本日はこの程度にとどめまして、次回は十二月の十八日(木曜日)午前十時から委員会を開くことにいたします。当日は大蔵大臣が出席される予定でございますから、この二法案について御質疑があれば質問をお願いいたしたいと存じます。これにて散会いたします。
午前十一時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00219581216/9
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。