1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年十二月十九日(金曜日)
午前十一時七分開会
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委員の異動
本日委員林田正治君、梶原茂嘉君及び
青木一男君辞任につき、その補欠とし
て鈴木万平君、杉原荒太君及び館哲二
君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 前田 久吉君
理事
西川甚五郎君
山本 米治君
平林 剛君
委員
岡崎 真一君
木内 四郎君
郁 祐一君
木暮武太夫君
迫水 久常君
塩見 俊二君
杉原 荒太君
鈴木 万平君
館 哲二君
土田國太郎君
廣瀬 久忠君
小酒井義男君
椿 繁夫君
国務大臣
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
政府委員
大蔵政務次官 佐野 廣君
大蔵省理財局長 正示啓次郎君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
説明員
日本専売公社副
総裁 石田 吉男君
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本日の会議に付した案件
○租税及び金融等に関する調査の件
(専売事業に関する件)
○賠償等特殊債務処理特別会計法の一
部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
○産業投資特別会計の貸付の財源に充
てるための外貨債の発行に関する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○委員派遣承認要求の件
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001・前田久吉
○委員長(前田久吉君) ただいまから委員会を開きます。
専売事業に関する件を議題にいたします。
御質疑のある方は、順次、御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/1
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002・椿繁夫
○椿繁夫君 専売公社にちょっとお尋ねをしたいのですが、どういうわけですか、最近生産が月を追うて下っているように思うのであります。先年、この大衆たばこが町に品切れになりました際に、在庫は大体十四日分くらい持っていないと需給の調整に支障を来たす場合があるというような御方針を聞いておったのでありますが、最近の在庫量を若干調べてみますと、非常に在庫の本数が少くなっております。これは一体どういうところに原因があるのでしょうか、そのことからまずお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/2
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003・石田吉男
○説明員(石田吉男君) 多分御承知かと思いますが、ことしの夏ごろからいろいろな労働紛争が起っておりまして、その関係で労働組合が超過勤務を拒否いたしております。大体、私どもの方の製造計画では、ある程度超過勤務を見込んだ製造計画を立てておりますために、製造工場の方で超過勤務をやりませんと、それだけ生産量が落ちる。さような関係で、今のところまだ在庫が不足だという状態にはなっておらないのでございますけれども、製造数量は普通の状態のときに比べてかなり低目になっておるというのが、最近の情勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/3
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004・椿繁夫
○椿繁夫君 きのうもちょっと小石川の出張所に伺ってみますと、在庫がなくて、できるものを、トラックが来ておって、そのできるのを待って地方への搬出をやっておるというようなことをちょっと聞いたのですが、これは東京の一部に起っておる特例なんでしょうか。全国的にはそのような事例はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/4
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005・石田吉男
○説明員(石田吉男君) 大体、私どもの方の通常操作をいたしますときの在庫量というのは、先ほど十四日分というお話でございましたが、一ヵ月半くらいを正常在庫と考えております。全国的にはまだ一ヵ月以上の在庫がございますので、現在の状態ではまだ在庫が非常に逼迫しておるというのではございません。
ただいまお話のありました小石川の出張所、これは東京はほかの地域とちょっと違った配給の仕方をしてございまして、ほかの地域でございますと、大体、私どもの出張所にある程度の倉がございまして、そこに相当の製品を持っております。東京だけは品川と業平に大きな工場がございます。従って、出張所の方に在庫を持つということよりも、輸送費を軽減するために工場から直送をしておるという関係がございまして、出張所だけの在庫では東京で製造しておらないものがごく少量あるだけでございまして、東京都内の出張所の在庫というものは、一般とは違った特例になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/5
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006・椿繁夫
○椿繁夫君 この在庫量がずっと十一月から、特に十一月、十二月——本年の四月からずっと十月まで同じような生産の状況が続いていて、十一月、十二月になって十億本くらいずつの生産減となっておりますが、この生産のおくれを取り戻すのに、何かお考えになっておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/6
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007・石田吉男
○説明員(石田吉男君) 超勤拒否が始まりましてから、製造工場でいろいろ、まあその製造自体の仕事につきましては、なれない者を入れましても仕事になりませんけれども、たとえば雑人夫のようなものとか、そういう手薄なところには人も入れております。また欠勤等の関係で、工場で稼働していない機械がございます。そういうものをほかの工場で稼働し得る状態にあるようなところへ動かしたりして、ある程度のことはやっておりますが、とにかく超過勤務をやってもらいませんと、なかなかまとまった数量はできて参りませんので、できるだけ早く労働問題を片づけまして、一般的に工場で超過勤務が行われるというふうにして、そちらの方に努力をいたしております。
在庫の状況は、ただいま御指摘がございましたが、大体平常の月でございますと、百十億前後の本数でございますが、百十億本前後の在庫を持っておるわけでありますが、十一月の末に九十八億本の在庫でございます。これはまあ当初の見込みよりも案外にたばこの売れ行きが伸びて参りまして、この辺のところは見込み以上にたばこが伸びて参っておるということも一つの原因かと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/7
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008・椿繁夫
○椿繁夫君 普通の月と違いまして、十二月は、これは二十八日ごろに御用納めになるのじゃないかと思いますし、それから一月には、四日か五日ごろこれは仕事始め。普通の月と違って、年末年始は休日も多うございます。それに加えて、消費の方は、正月にはまたこれ普通の月と違って、多いことが予想せられますし、明らかに推定されるのであります。そういう時期に、幾らもまあ在庫量は減っていないいうことでありますが、私の調べたところによりますと、日々この生産の減を示しておりますし、結局、各品種のアンバランスが起って参りまして、それが小売の方に、需要のあるなしにかかわらず、余っているものを押しつける。それが国民の需要の方にしわ寄せされて、国民が結局迷惑をするということになってくることを私は心配しておるのですが、そういう品種のアンバランスというふうなことが起ってくる心配はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/8
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009・石田吉男
○説明員(石田吉男君) 全般的に申しますと、そういう心配はないと思っております。ただ、現在でも、たとえばホープでございますとか、あるいはパイプたばこの桃山でございますとか、こういうものは製造能力の関係で、これは別に労働紛争と関係はないのでございますが、たとえばホープでございますと、製造いたします機械がわずか五台しかございませんので、その五台をフルに動かしておりますが、全般の需要にはまだ足らない。あるいはパイプたばこの桃山も、これも製造能力の関係で十分にできない。しかし、まあ全般の売れ行きに対しては大して影響を及ぼすものではございませんが、ごく少数の銘柄については供給不足という状態にあるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/9
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010・椿繁夫
○椿繁夫君 今、副総裁は、何か超過勤務をやってもらわないと、局が考えておられる平常の在庫数量というものを確保していくことができない、どうしてもこれは超過勤務をやってもらわなければならぬのであるが、労働問題が起っていて、その解決がいまだにできないので、一日も早く解決をして、平常の営業状態に復さなければならぬというお話なんですが、その労働問題は一体どういうことに現状においてなっておるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/10
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011・石田吉男
○説明員(石田吉男君) 従来からしばしば団体交渉をやっておりますが、今月に入りましてからは、九日、十日と二日間徹夜をいたしまして、ある程度話をいたしました。また、昨晩からけさ方にかけまして団体交渉を続けております。ただいまも団体交渉の最中でもございまして、そのために出席がおくれまして、まことに申しわけなかったと思いますが、ある程度話が詰まっております。私どもの予定といたしましては、本日引き続きまして、きょうの夕刻からまた明朝にかけて団体交渉をやりまして、そこで妥結に近づきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/11
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012・椿繁夫
○椿繁夫君 今の労働問題ですが、今、昨晩も相当時間やられたそうですが、お疲れのところ御出席をいただいて、まことに恐縮に存じますが、この八月以降専売公社の労働対策というものが、私の感じておるところでは、だいぶこれまでと変ってきておるように見受けられます。今この労使間の紛争の調停とかあっせん、調停申請を中央に対して五件も申請が出されておる。東京局で三件、岡山で一件、こういうふうに調停委員会に対して調停の申請が、九件も今一度に行われております。これまで専売公社は、まあ労使賢明であったと私は思っておるのですが、そのために、あまりこういう未解決の紛争事件というものが、九件も十件も一度に重なっていたようなことがないように思う。それが現在こういうふうに九件も未解決のままになっておる。何かこの夏以来、特に労働組合の方がこれまでの運動の方法を変えたとか、あるいは幹部がかわって、組合が当局と話し合いを円満にしていくのに都合が悪くなったというような事情が、これはあるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/12
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013・石田吉男
○説明員(石田吉男君) 私どもの認識が正しいかどうかは御判断いただかなければならないと思いますが、私の考えでは、従来、専売の労働組合と管理者側の紛争のほとんど大部分は、経済的な問題が多かったというふうに考えております。ところが、最近になりましてからは、工場の管理運営ということに直接関係のあるようなそういう問題が非常にふえて参りまして、従いまして、ある意味においては質的に紛争の内容が変ってきたのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/13
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014・椿繁夫
○椿繁夫君 その専売事業の管理運営ということの解釈でありますが、私はここに労使間に結ばれておる協定書の全文を持っておりませんから、よくわからぬのでありますが、これまでは地方局で組合との間に自主的に相談をして妥結をしていたものが、八月以降全部本社の承認を得なければ解決をしちやいかぬといようなことに、当局の取扱いの、管理運営というものに対する御解釈が非常に拡がってきておる。ために、労働問題が頻発しておるというふうに私は思う、こうちょいちょい見られる具体的な事実を聞きまして……。そういうことはいかがなものでしょう。管理運営と定められたものを、特に八月以降その解釈を拡大する必要があるという理由を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/14
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015・石田吉男
○説明員(石田吉男君) その点につきましては、従来からも、私どもは管理運営事項は団体交渉の対象とすべきでない、かような考えを持っておりまして、これはすでに本社本部会においていろいろな話をしておるときにも、これは管理運営事項であるから団体交渉の対象にはならないのだ、そういう趣旨の話はずっといたしております。ただ、最近までは、地方においてそういう問題について組合と紛争を起したという例があまりないのでありまして、そういう問題自体もあまり起っておらなかった。従って、そういう問題が最近になって起って参りますと、地方局が紛争に対処いたします場合に、十分本社と連絡をとってやるようにということは申しました。過去においても、もちろん間々そういう問題のありますときは、地方と本社と連絡をとりながらやっておったのであります。先ほど申し上げましたように、従来と変りまして、そういう質的に違った問題が地方においてもたくさん出て参るようになったというだけ、まあその範囲が広がったと申しましょうか、そういう意味で、かなり管理運営事項をわれわれが団交の対象とすべきでないということが強く響いているのではないかというふうには考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/15
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016・椿繁夫
○椿繁夫君 どこでしたか、タイム・カードを入口に置くか、ちょっと奥に置くかというふうなことで、紛争を起している。その局の当該責任者は、組合側と話をして、表なら表でこれくらいのところでよかろうといって話のついているものを、本社で取り上げて、いや、これはもうちょっと奥に持っていかなければならないのだというような指示を本社が与えた。そのために、そこで紛争の問題が起っておるというふうなことは、詳しい内部の事情を知らない公正な第三者がその事情を聞きますと、なぜそういう程度のことで、本社が、これは運営管理に属することであるから、従業員の意向は聞くわけにいかぬといって、特に紛争を継続しなければならぬというような理由はないと思うのですが、そういうことがある。
それから、これはまあ皆さまにもお聞き取りいただきたいと思うのですが、当局と組合側との間にお話し合いができて、組合の仕事に従事するために局の外に出る。その場合に、賃金はカットして、そうして組合側がその組合の仕事に従事する人の賃金については支給をする、こういうふうにきまっている。これはいいんです。ところが、五時間組合のことで外に出たいと思いますと、こう言って、許可を得て場外に出る。話しの都合で、これが三時間で用を達することができた。帰ってくる。職場につく。ところが、出るときに五時間ということで出ているから、三時間で職場に復帰しても、二時間の賃金を支払うわけにはいかぬ。こういう労働対策というものは、私は他のところじゃあんまり聞かぬのですが、専売公社の専売特許のように思うのです。こういうことはやはり、これからも継続されなければなりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/16
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017・石田吉男
○説明員(石田吉男君) 最初お話のございました問題は、別に本社から指示をしたとかいうような事実もございません。やはり現場の方で話し合って片づけるべき問題だとも考えております。ただ、普通の事態の場合ですと、お互いに話し合って、じゃあ、こっちへ持っていこうというようなことで、話しもつくわけでありますが、紛争が非常にこじれておりまして、闘争状態というふうな状態にありますときは、ふだん何ともないことまでも問題になる。ふだん話し合いでできることでも、こちらの方がこっちへ持っていきたいと言っても、拒否されるというようなこともありますので、やはり平常の場合とそれから紛争状態の場合とでは、多少様相が変ってくることもございますが、いずれにしましても、そういう問題は本社で一々こまかい指示をするということはございません。
それから、組合活動の問題でございますが、たとえば、ただいまお話のありましたようなことは、当然これは執務していない間の時間の賃金のカットをするということであるべきでございまして、ただその認定が非常にむずかしいというふうな場合に、その認定の仕方をどうするか。出ていくときはわかったけれども、帰ってくるときはわかっていない。その場合には、具体的に申しますれば、帰ってくるときはどういう手続で、どこへ顔を出せば帰ってきたとみなすかということを、話し合いすれば、解決のつく問題だというふうに考えます。ただ、最近ずっといろいろな問題が各地で起っておりまして、組合と公社側の話し合いも円滑に進まなかった場合がいろいろございますので、今後いろいろな問題を一括して平常な状態に戻れば、そういうような問題も逐次話し合いで解決はしていく、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/17
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018・椿繁夫
○椿繁夫君 ただいまの問題ですが、出るときにはわかる、帰ってきたときには認定しにくい。はっきり認定することができれば、当然場外に出た時間だけの賃金カットで終るべきものである、こういう副総裁のお話ですが、それが普通の労務管理だと思います。今後、今言明の通りに一つしていただきたいことを希望しておきます。
なお、私はきょうは実は松隈総裁にお聞きしたいと思っていたんですが、松隈さんお見えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/18
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019・石田吉男
○説明員(石田吉男君) 参っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/19
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020・椿繁夫
○椿繁夫君 それじゃ、引き続いて伺いますが、八月以来、特に専売公社の労働政策というものが、急角度の変質を示しておると私は思うんですが、きょう原職員部長がおいでになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/20
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021・石田吉男
○説明員(石田吉男君) やはり団体交渉に出ておりますので、こちらへ来ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/21
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022・椿繁夫
○椿繁夫君 肝心な人がきょうみたお見えになっておらぬのは、まことに残念でございます。ただ、私は副総裁に申し上げて御考慮をわずらわしたいのですが、ひとり公社の仕事だけではなくて、物の生産をやり、それを販売する事業におきましては、生産資材の購入、あるいは労務対策というものが、一貫してこれは大切な要素であると思います。それが特に外部からでさえ、この夏以来目立った変化が、専売公社の場合、特に労働政策の上に向けられている。しかも、先ほど私が心配いたしますように、平常の在庫数量がはるかに下回って、新潟方面の例でありますが、一部ではすでに製品の配給に支障を来たしつつあるというようなことも聞くのでありますが、こういうことは、労働問題が山積し、しかも未解決である現状のために起っておるということは、私は、当大蔵委員会としても、大へん憂慮にたえない事柄なんです。で、これまでの労使慣行といいますか、当局と従業員の組合との間に締結されておる労働協約に基いて、八月以前の労使慣行というものを尊重していかれることが必要じゃないかと思うんですが、副総裁の御意見を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/22
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023・石田吉男
○説明員(石田吉男君) ただいまお話のございましたことは、昨晩も私どもの組合から話がございました。一つは、労使の慣行というものは守るべきではないかという点でございます。それからもう一つは、これからの紛争を解決するのは、八月以前の状態に戻るという原則で解決をしろ、こういう話がございましたが、その席でも私いろいろ申し上げましたけれども、慣行というものをどういうふうに考えるかという点につきましては、この国会におきましても、公社側からしばしばお話しておるのでございまして、まず私ども、慣行という場合に、何が慣行であるかということがなかなかつかめないものでございます。それから、慣行だから公労法の範囲を逸脱してまでそれを認めなければならぬというふうなことになりましても困りますので、専売公社の労使関係というものを律しますもとは公労法でございますから、その公労法の範囲においてそれらのことを考えるということは、これはもう当然のことだと思いますが、ただ慣行だけではわれわれの労使関係というものは律し切れるものではない、かような見解を昨晩も表明したわけであります。
それから、八月以前の状態ということも、これも八月以前と八月以後いろいろ問題の質も違いますし、それから問題の解決の方策、あるいは考え方というものも、時が変り、情勢が変るに従いまして、いろいろ違いますので、単にそういう中身のない考え方だけでは全部が解決できるというものでもないであろうから、そういう考え方というよりも、もっと個々の問題について具体的に話し合って、それぞれできるだけ早く解決する誠実な心がまえで話し合いをすべきじゃないかということで、昨晩具体的な話し合いに入った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/23
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024・椿繁夫
○椿繁夫君 公労法のワクをはずして労使慣行を守らるべきだ、ということを申し上げてはおりません。公労法のワク内において、その精神を尊重して、今日まで専売公社の労働協約というものが締結されていたと思う。それを私は信ずるがゆえに、人がかわることによってその解釈が変ったり、対策の趣旨がひん曲げられたりするようなことでは、事、生産をあずかるところの管理者として、これは適当でないというふうに私は思う。これは何かサービス機関でありますとか、単なる事務的な仕事だけの企業でありますなら、従事する労務者の気持とか感情とかというふうなものを無視しても、権力で押えることはできるでしょう。しかし、ほんとうに管理者を、上司を信頼して生産にいそしむ労働大衆というものの労働意欲を振起していく対策を立てることが、これが労務対策です。それを私は最近誤まっておられるように思いますので、国税庁で首切りに成功したから、今度も公社でそれがやはりやれるんだというふうなお考えを、また一段高い立場にあるあなたが支持しておられるようなことでは困る。そこで、私は、労使慣行というものは、公労法に基いて作られた協約があって、その協約の運営についてはこうこうだというふうに、長年今日までおさまってきたものが、公労法が八月以後変ったわけでない、それなのに組合対策が著しく変化しておるというところに、労使慣行の尊重ということを私は申し上げようとしておるのでありますから、もう一ぺん、副総裁、公労法のワクを飛び越えて労使慣行を尊重してもらいたいというような非常識は申し上げるつもりはないんです。所見をさらに承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/24
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025・石田吉男
○説明員(石田吉男君) お話のような御趣旨でございますれば、これは公労法にも明示してあることでございまして、私ども、もとより同感いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/25
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026・椿繁夫
○椿繁夫君 それで、ずっと団体交渉を続けておられるということですから、あまり時間をとっても何ですが、あまりこれは心配をかけぬようにしてもらわぬと、特にあなたのところは、八月以来ほんとうに目立っておりますよ。これはまたあらためまして……。こういう生産事業というものは、副総裁、そんな規則一点張りではこれはいくものではございません。納得して、そうしてあの人の言われることならということで感奮興起する、これが労働対策なんです。そこがどうもこの夏以来、あなたの方には欠けておるように思いますので、在庫量の漸減の傾向等をあわせ比べまして、実はお疲れのところ来ていただいたんですが、十分私どもの意のあるところをおくみ取りの上、労使慣行を尊重されるように、強く要望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/26
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027・平林剛
○平林剛君 専売の労働政策について、私もたくさん質問がある。今、椿委員が指摘をされたように、専売公社の八月以来のやり方については、専売行政全般を検討いたしまして、まことに憂慮にたえません。そこで、あなたに対してこれから何時間でも質問を続けなければならぬわけでありますけれども、お話によると、公社の方でも今までの総決算をするという意味で、労使双方話し合いを進める段階に来ていると言われます。これからすぐ団体交渉が始まるのですか。もしそういう気がまえで、この委員会、あるいは衆議院の大蔵、社労等でも要望されておりますように、すみやかに解決をするために交渉したいというならば、私はこれ以上質問は続けない。特に、専売公社はいまだに年末手当の最終結論さえついていない。他の公共企業体やあるいは公務員におきましては、すでに年末手当も支払いが済んでおるにかかわらず、あなたの方は懸案の問題が未解決のために、その結論も出ていないということであれば、一時間も早く問題の処理をはかるべき段階ではないか、私はこう思います。副総裁がこれからすぐ団交を始める段階にあり、またその心がまえでいるというならば、私の質問も留保しておきますが、いかがでしょう、その事態の進展は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/27
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028・石田吉男
○説明員(石田吉男君) 年末手当の問題につきましては、私の方だけが非常におくれておりますが、実は今月の九日、十日の際に、ほかの問題はなかなか複雑だから、年末手当の問題だけでも先に片づけたいと、かような申し入れをしましたところ、組合の方としては、いや、ほかの問題と一緒でなければ困る、かようなことで、二日間団体交渉をやりましたが、そのとき話が合いませんでした。次の団体交渉は、実は昨晩からすでに始めて、けさほどまで続けてやっております。現在もまだ続けているかもしれません。なお、おそらくきょう一ぱいには片づかないと思いますので、本日も夕刻から明朝にかけて詰めて、できるだけ明日中には何とかしてまとめたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/28
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029・平林剛
○平林剛君 私の希望したことは、先ほど椿委員が話されたように、やはり従来の慣行というものをできるだけ尊重していく、そして期限が来た覚書や協定等についても、十分労使の間で話し合いをして、その結論を円満裏につけていく。しかるに、公社の方は円満裏に話をつける努力を放棄して、いきなり自分の考えを通牒で下部に指示したり、従来の慣行を一方的に破るところに、紛争が拡大していく最大の理由があるように見ているわけであります。従って、一つの問題を解決するポイントというのはそこにあるわけです。
それから、調停案等についても、近く、労使双方が調停、あっせんを依頼をしておるのでありますから、問題を早期に解決するという心がまえが、もし公社当局にもあれば、この調停案を尊重する、こういう態度で臨まれれば、国民全般が心配しておる配給たばこの不足とか、あるいは今後憂うべき専売財政の赤字ということがすみやかに解決されるわけでありますから、これも一つの第二のポイントになると思うのであります。
どうか、そういう気がまえで、あなたの方は、今明日中に解決するという積極的な態度で、労使間の円満な調整をはかってもらいたい。そのお答えをお聞きしまして、あなたの方はこれから交渉に入るというならば、きょうは質問を留保いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/29
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030・石田吉男
○説明員(石田吉男君) 御趣旨の通り努力いたしたいと思います。
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031・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 委員の変更がございましたので、報告いたします。
本日付をもって林田正治君、梶原茂嘉君及び青木一男君が辞任され、その補欠として鈴木万平君、杉原荒太君及び館哲二君が委員に選任されました。
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032・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計の貸付の財源に充てるための外貨債の発行に関する法律案を、一括して議題とし、昨日に引き続き質疑を行います。
御質疑のある方は、順次、発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/32
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033・椿繁夫
○椿繁夫君 産投会計についてでありますが、きのう大蔵大臣のお話を聞いておりますと、三千万ドルの外債発行について、予算は臨時国会で通った、ここでこの法律案を通してほしいということなんですが、これから立ち向うのに、条件について何にもお話がなかったのですが、きのうはここで一つ通してもらえば一月の下旬には調印ができるだろうという見通しまでお話しになりましたのに、条件もきまらずにいて、何らの条件もここでお話しにならないで、それでその調印の見通しだけ大蔵大臣は御発表になったのでありますが、これはどうも私ふに落ちぬのです。その間のところ一つ、大体の見通しの条件ですね、これはお話しになるべきじゃないかと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/33
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034・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。昨日の平林委員の御質問に対しまする大蔵大臣の答えでございますが、これは椿委員もお聞きの通りに、すでに予算案は先般の臨時国会において成立を見ておる。今回外債発行に関する政府の権限をお認めをいただく法律を添えていただければ、これから正式の折衝に入りたい。条件その他は相手のあることでもございますが、諸外国の先例その他を参考にいたしまして、最も有利な条件をかち得たい、かようなことを申し上げまして、しかも、その条件につきましては、これは衆議院においてもいろいろ御論議があったのでございますが、あまりにも不利な場合にはしいてこれを強行するというふうなことは考えていない、こういうところまで大臣はおっしゃった。
そこで、椿委員は、ただいまそういう段階にある以上は、若干その内容等について説明があってしかるべきではないか、こういう御趣旨のように拝聴したのでありますが、この点は、諸外国の先例等につきましては、実は資料をもって御説明を申すことができるわけであります。昨日大蔵大臣の御説明の中にも、最近のオーストラリア、豪州の例等に言及されておりまして、内容につきましては申し上げなかったのでありますが、たとえば豪州、コンモンウェルズ・オブ・オーストラリアが本年十月にニューヨークにおいて発行いたしておりますところを見ますと、期間二十年でございまして、発行価額は九十七ドル二分の一、九十七ドル半でございます。表面利率は五分、引受手数料が二分半、応募者利回りは五分二厘という例もございます。その他いろいろの例がございまして、また、このいわば外債の前に、私どもとしまして外資として活用いたしておりますところの世界銀行の借款につきましては、御承知の通り、五分七厘五毛という条件になっております。これらの点を考慮いたしつつ、最も日本にとって有利な条件を獲得すべく努力をいたしたいと思います。しかしながら、これは相手のあることでもございまするので、この際どういう条件になるかということは軽々に申し上げることはできないと、こういう趣旨のお答えを申し上げたわけであります。なお、これらの点につきましては、御趣旨を体しまして十分今後努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/34
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035・椿繁夫
○椿繁夫君 世銀借款の条件を今例にお引きになりましたのとは、世銀借款よりは条件がいいように私伺ったのですが、間違いであれば、間違いだと言っていただいてけっこう。ただ、著しく不利な条件であれば、予算案を通して、法案を通して、権限を政府がまかされたとしても、外債の発行には踏み切れないということでありますが、著しく条件の不利な場合というのは、一体その基準をどこに定めてお考えになっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/35
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036・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) だんだん問題が非常に切実になるのでございますが、先ほど私特にオーストラリアの場合を申し上げまして、応募者利回りということを申し上げましたので、五分二厘という表面の応募者利回りにつきましては、これはこれに、御承知のように、債券の場合には手数料を加えて、発行者の負担が違って参ります。そこで、五分七厘五毛の世銀の借款と比較いたします場合に、オーストラリアがこの債券を発行いたしますのにどれだけ実際の手数料的なものを使っておるかということを調査いたさなければ、最終的には比較はできない。これはオーストラリアにおきましてもちょっと発表いたしておりませんので、われわれの知悉できないところでありますが、大体におきまして、世銀の借款と比べまして、今申し上げたように、期間の点その他をあわせまして、適当なところにきめたいというふうなことが、最終的には申し上げ得ることかと思うのであります。そこで、逆に著しく不利な場合ということはどういう場合であるかということでございますが、この点を今ここで申し上げることは、非常に私としては、今後交渉に当る政府といたしまして申し上げづらいわけであります。そこで、これは相手のあることでもあり、ごかんべんを願いたいと思いますが、要するに、大蔵大臣といたしましては、初めての外債の発行のことでもあり、また国会における与野党の中からもいろいろ御心配の御意見もございましたので、日本としては今後どんどん外債を発行するというような態勢はないけれども、最初の外債のことでもございまするから、日本の今後の信用というような点を考慮して、決して無理な、不利な条件というようなことで発行しないつもりであるという御趣旨に申し上げたのでございまして、その辺のところは、大体におきまして、今申し上げましたような諸般の事例を考慮いたしつつ、適正にきめて参るというところでごかんべんを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/36
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037・椿繁夫
○椿繁夫君 相手のあることですから、これ以上申し上げることを私も差し控えますが、いよいよ、話が、来月の、一月の下旬ごろに調印の運びになるだろう。その際の取扱い銀行はどういうことをお考えになっておりますか。アメリカの方でも、自分の方でこれを世話するのだから、わしの方にやらしてもらいたいというお話もございましょう。国内でも為替取扱い銀行が十か十一ございますから、こちらで扱わせるというお考えなのか、取扱い銀行のことについてのお考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/37
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038・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) これらの点につきましても、法律の制定を待ちまして、最終的にきめることになることは、申し上げるまでもないのでございますが、一応今日のニューヨーク市場というふうなものを対象にいたしまして、考え得られるところの事実の条件を申し上げますならば、御承知のように、外債の発行につきましても、その事務につきましては、大蔵省及び大使館という、政府が直接やりますのみならず、日本銀行というものが、国庫の代理というふうな形におきまして、国庫機関という形におきまして、これは扱う。なお、これに対して、同時に代理機関というようなものも必要になって参ります。このような場合におきましては、たとえば東京銀行というものは昔からの正金銀行の一つの経験と知識を持っておりまして、これが今日も国際金融の市場におきまして相当な活躍をいたしておることは御承知の通りであります。大体こういうふうなものが、いわゆる代理業務というような形におきまして、事務を執行していくことに相なろうかと存ずるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/38
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039・椿繁夫
○椿繁夫君 東京銀行はやっておられることは、私もよく承知しておりますが、そういう代理業務を、今正示局長の言われたように、ちゃんと一行だけ名前をあげて、複数制というようなことをお考えにならないのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/39
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040・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) ただいま申し上げましたのは、決して限定という意味ではございませんので、大体私どもの知っております限りにおいて、最もこういうことに関する知識経験というふうなものから申しまして、大体そういうようなところが想像せられるということでございまして、もとよりそうでなければならぬという意味ではございません。御承知のように、アメリカにおきましては、日本の銀行がそれぞれ店を出しておりますが、これらは現地の法人の一応の形をとっていることは御承知の通りであります。そこで、たとえば東銀につきましても、現地に法人を作りまして、そうして銀行業務を行なっているわけであります。これでなければならないという意味ではございませんが、私どもの今までの持っておりますところの認識からいたしますと、やはりこういう事務についての最も通暁した知識経験という意味から申しますと、大体そういうようなところが常識的に考えられる、こういうふうな意味で申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/40
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041・椿繁夫
○椿繁夫君 常識的に言ったということでありますが、そうだろうと思いますけれども、私は、為替取扱い銀行というのは、私専門家じゃありませんから、専門家のたくさんおられるのにはなはだ恐縮なんですが、今のようなお話だと、代理業務を扱うのは東京銀行というふうに印象づけられるように思いますので、そういうことではなくて、やはり複数でお考えになる御意思はないのかということを伺っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/41
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042・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) それは、為替取扱い銀行はほかにもございますことは申し上げるまでもないのでありますが、問題は、フィスカル・エージェントとしての適正がそのうちのどの銀行に最もあるかという点につきましては、一応客観的な事実を申し上げたので、私のお答えが、たびたび申し上げますように、特に一つの銀行に限定しなければならぬという意味ではございませんが、いろいろな事実を基礎にいたしまして判断いたしまして、一つの想定とすればそんなところだ。これが非常に巨額であるとかどうであるとかということになりますと、いろいろその点についての考え方も違ってくると存じますが、きのうからお話しのように、大体妥当なところで——あまりに事務を分散いたしまして、経費倒れにならないようにあわせて考えなければならぬということもあり、その辺椿委員の御趣旨を尊重いたしまして、十分善処して参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/42
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043・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 他に御発言もないようでございますから、両案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/43
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044・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 御異議ないと認めます。
まず、賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案の討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/44
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045・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 御異議ないと認めます。
これより採決に入ります。賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/45
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046・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/46
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047・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 次に、産業投資特別会計の貸付の財源に充てるための外貨債の発行に関する法律案の討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/47
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048・平林剛
○平林剛君 私は、ただいま議題となりました産業投資特別会計の貸付の財源に充てるための外貨債の発行に関する法律案につきまして、反対の意見を述べたいと思います。
反対理由の第一は、現下の経済情勢のもとで、提案のごとき外貨債を発行しなければならない理由が疑問であるというところであります。昨日来の質疑を通じまして、今回の法案提出の理由を検討いたしますと、それには外貨準備の補強という意味や、財政投融資の財源確保、あるいは経済基盤の強化とその安定のねらいがあるやにうかがわれたのでありますが、第一の外貨準備の補強という意味につきましては、いろいろ見解はございましても、私どもとしては、現在の外貨事情が、国際収支も黒字の情勢で、年間五億ドルの出超が見込まれる現在におきまして、三千万ドルの外貨債を急いで持たなければならないという理由を認めることができないのであります。また、財政投融資の財源確保あるいは経済基盤の強化と安定のねらいにつきましても、政府与党である自由民主党は、九月二十五日、福田政調会長の名において明年度の予算編成の構想を明らかにした際、いかなる形においても公債は発行しないということを国民の前に明らかにしておるのであります。これが突然、今回の提案のように、外貨債発行の政策に踏み切ったのは、いかなる理由によるものであるか。昨日も佐藤大蔵大臣とこの間の事情に関して質疑応答を続けましたが、結局、今回の措置は、政府が経済全般を考慮して外貨債の発行に乗り出した、こういうよりは、従来懸案であった責任借款の取りつけを行うため、やむを得ずこの政策に踏み出したと判断せられる向きもございまして、このような事情のもとにこの法律案を成立せしめることは、私ども疑問であると同時に、賛成することのできない理由であります。
第二の理由は、かくのごとくはっきりしない理由のもとに、外貨債発行政策に政府が乗り出すということは、一つにはきわめて便宜主義でありまして、将来二つの危険を感ずるのであります。一つは、外貨債の政策は、従来の歴史と体験を通じて考えてみますと明瞭になる通り、これを一たん採用いたしますと、雪だるまのように増大する傾向を持たざるを得ないものであります。今日でも国民は、対外債務におきましては、総計六千四百四十六億円という膨大な負担を背負い込んでおるのでありまして、安易な考えで発足したこの態度から考えますところ、今回はわずか三千万ドル、約百八億でありますが、将来これがさらに国民の考え得られない負担に発展をするおそれは、決してないことはないと私は思うのであります。政府は、決して引き続き乱発をするようなことはないと、繰り返し言明をなさっておるのでありますけれども、すでに責任借款を希望する民間団体は数多くありまして、伝えられた従来の政府の構想でも、東南アジア開発等を考えると数億ドルという構想もございまして、やはり今後外資導入の方法として繰り返されないという保証はどこにも見つけることができないのであります。私はそういう一つの危険を感じます。もう一つは、政府がただいま、明年度の予算編成を行いつつありますけれども、国民に約束した公約を実行する上から、あるいは今後のいろいろな仕事をする上におきましても、きわめて財源難に陥り、いまだに予算の編成全般ができ上らないという実情を考えてみましても、今後この政策が案外安易な道として使われるのではないか。そうなりますと、日本経済の性格そのものを変えてくることになりまして、そうでなくとも、アメリカの経済に依存をする度合いがかえって深まるという危険があると思うのであります。第二の理由として、私どもはこれをあげなければならないと思います。
第三には、すなおに今回の提案である電源開発事業等の推進をはかるために外貨債を発行したいということをながめてみましても、私どもの見解は、わずか百八億円を得て、いかに重要な基幹産業である電源開発事業の推進をはかるにいたしましても、これを外貨債の発行にたよる必要はない。しかも、外貨債の発行におけるその引受手であるアメリカの経済の実情を見ましても、現在財政インフレの声が高く、そのためにアメリカの政府も公定歩合の引き上、げや引締政策を行なっておる段階でありまして、金融は逼迫し金利は上るという方向にあります。政府が急いで来年一月にやらなきゃならないというのも、結局それを裏書きするものでありまして、不利な条件のもとで、しかも先ほど述べたような危険を冒してまで、電源開発事業推進のために外貨債を発行する理由は、その必要を認められない。この際は財政投融資その他の活用によりまして、むしろ電源開発の推進をはかることが至当と認められます。
以上の理由をもちまして、私どもはこの法律案に賛成しがたい、反対であると、意見を表明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/48
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049・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/49
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050・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 異議ないと認めます。
これより採決に入ります。産業投資特別会計の貸付の財源に充てるための外貨債の発行に関する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/50
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051・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、両案に対する諸般の手続等につきましては、前例により、委員長に御一任を願いたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/51
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052・前田久吉
○委員長(前田久吉君) この際、お諮りいたします。
委員派遣に関しては、委員長及び理事に御一任を願いたいと存じますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/52
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053・前田久吉
○委員長(前田久吉君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114629X00419581219/53
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