1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月三日(火曜日)
午後一時十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長 館 哲二君
理事
大沢 雄一君
占部 秀男君
鈴木 壽君
委員
郡 祐一君
小柳 牧衞君
西郷吉之助君
成田 一郎君
吉江 勝保君
成瀬 幡治君
森 八三一君
衆議院議員
纐纈 彌三君
国務大臣
国 務 大 臣 青木 正君
政府委員
警察庁長官 柏村 信雄君
警察庁長官官房
長 原田 章君
自治庁行政局長 藤井 貞夫君
自治庁選挙局長 兼子 秀夫君
自治庁財政局長 奧野 誠亮君
厚生省児童局長 高田 浩運君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
説明員
警察庁保安局防
犯課長 町田 充君
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本日の会議に付した案件
○奄美群島復興特別措置法の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○公営企業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国有提供施設等所在市町村助成交付
金に関する法律の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○国会議員の選挙等の執行経費の基準
に関する法律の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○警察官に協力援助した者の災害給付
に関する法律の一部を改正する法律
案(衆議院提出)
○地方交付税法の一部を改正する法律
案(内閣提出、予備審査)
○警察法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/0
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001・館哲二
○委員長(館哲二君) これより委員会を開きます。
前回の委員会が終りましたあと、本日までに奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案外四件が、衆議院においていずれも原案通りに可決の上本院に送付されて参っております。つきましては、本日は、まずこれらの五件の法律案につきまして、順次政府の提案理由の説明を聴明いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/1
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002・館哲二
○委員長(館哲二君) 御異議ないと認めます。
それでは、まず奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/2
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003・青木正
○国務大臣(青木正君) 奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由並びにその内容の概要を御説明申し上げます。
奄美群島の復興は、奄美群島復興計画に基く事業の推進により逐次進められているのでありますが、群島の経済が甚だ脆弱であるため産業資金の融通は極めて円滑を欠き、これが復興の大きな隘路となっておりまして、かねてこれに対する対策の樹立が痛感されておったのであります。これがため、さきに奄美群島復興信用保証協会を設置し、信用保証を行うことにより資金融通の促進をはかってきたのでありますが、これだけでは既存の金融機関による小口の産業資金の調達が思うにまかせず、これについて、資金融通の特別措置を講ずることが必要とされていたのであります。よって、同信用保証協会を改組して、事業資金の融通もできるようにし、奄美群島内における金融の円滑化に資することとしたいと存ずるのであります。なお、奄美群島の特殊事情にかんがみ、技術的に困難な港湾工事については、国が直轄で工事を行い得る道を開くことにいたしたいと存ずるのであります。
以下、法案の内容につきましてその概要を申し上げます。
第一は、奄美群島信用保証協会を改組して奄美群島復興信用基金とし、従来の保証業務のほかに、復興事業関係の事業を行う中小規模の事業者に対し小口の事業資金の貸付業務を行うものとし、このため理事一名を増員して三名以内としようとするものであります。
第二は、奄美群島復興信用基金に対し、融資業務に要する資金として新たに国は一億円を出資することとし、従来奄美群島復興信用保証協会に対し国から出資されていた出資金は保証業務に要する資金として出資されたものとして、それぞれの業務に対する出資区分を明らかにすることとし、なお、地方公共団体もこれに出資することができるものとしようとするものであります。
第三は、奄美群島復興信用基金は、その運営にあたり、保証業務と融資業務のそれぞれの業務ごとに経理を区分して資金の運用を行うものとし、いずれかの業務に要する資金に余裕を生じたときは、他の業務に要する資金に充てることができることとして両業務間に資金の融通をはかることができるものとしようとするものであります。
第四は、奄美群島復興信用保証協会を奄美群島復興信用基金に改組したのに伴い、必要な経過措置を規定し、なお、他の法律について必要な整理を行なおうとするものであります。
第五は、奄美群島の特殊事情にかんがみ、港湾工事を行うことが技術的にきわめて困難であり、かつ、国がみずから工事を行うことが適当であると認められる港湾については、国が直轄で港湾工事を行うことができることとしようとするものであります。
以上、この法律案の提案理由並びにその内容の概要について御説明いたしたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/3
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004・館哲二
○委員長(館哲二君) 次に、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/4
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005・青木正
○国務大臣(青木正君) ただいま議題となりました公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
公営企業金融公庫は、地方公共団体の経営いたします水道事業、交通事業、病院事業等の公営企業の健全な運営に資するため、公営企業にかかる地方債につき低利、かつ、安定した資金を融通する目的をもって昭和三十二年六月に設立されたのでありますが、その後同公庫はきわめて順調な経営を行い、設立所期の目的を果しつつあるのであります。
しかして今後地方公共団体の公営企業を円滑に推進して参りますためには、公営企業金融公庫の運営を一層充実していく必要があるのでありまして、この意味において、同公庫の経営の健全化をはかるため、今回産業投資特別会計から五億円増資し、現在の資本金十億円を十五億円に改めることといたしたいのであります。また同公庫の業務が設立当初に比較して拡充されて参りましたことに伴い、同公庫の理事長を他の金融公庫におけると同様総裁に改めることといたしたいのであります。
これが、この法律案の提案の理由であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/5
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006・館哲二
○委員長(館哲二君) 次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/6
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007・青木正
○国務大臣(青木正君) ただいま議題となりました国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
この法律案は、国有提供施設等所在市町村助成交付金、すなわち、いわゆ
る基地交付金を交付するものとされる固定資産として新たに自衛隊が使用する政令で定める弾薬庫及び燃料庫の用に供する固定資産を加えようとするものであります。
現在、国が所有する固定資産で、アメリカ合衆国の軍隊が使用するもの並びに自衛隊が使用する飛行場及び演習場の用に供する土地については、基地交付金が交付されることとされておりますが、自衛隊が使用する弾薬庫及び燃料庫の用に供する固定資産についても、これらとの均衡上基地交付金の対象資産とすべきものと考える次第であります。
すなわち、自衛隊が使用する弾薬庫及び燃料庫の用に供する固定資産は、その施設の性格上広大な面積を占めており、地元市町村においては消防施設の拡充、道路、橋梁の整備等財政支出の増高を余儀なくされている実情にあります。
昨年十一月の地方制度調査会においても、このような経緯にかんがみ、これらの施設をも対象資産に加えることとするよう答申がなされておりますので、その趣旨をも尊重して今回の改正案を提案した次第であります。
次に、今般の政正によって基地交付金の対象に加えようとする弾薬庫及び燃料庫の範囲は政令で定めることといたしておりますが、その具体的範囲としては、補給処の弾薬支処、燃料支処及び海上自衛隊地方総監部が管理する独立した区画を有する施設の用に供する土地を予定いたしております。
以上が国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/7
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008・館哲二
○委員長(館哲二君) 次に、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/8
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009・青木正
○国務大臣(青木正君) ただいま議題となりました国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由とその要旨を御説明申し上げます。
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律は、都道府県及び市町村の選挙管理委員会が管理する衆議院議員及び参議院議員の選挙、最高裁判所裁判官の国民審査等の執行について国が負担すべき経費の基準を定め、その適正かつ円滑な執行を確保する目的をもって制定されたのでありますが、昨年の公職選挙法の一部改正により、衆議院議員選挙の選挙運動期間が短縮されたのと、最近におけるこの法律施行の状況にかんがみ、実情に即しない点がありますので、所要の改訂を加えることといたした次第であります。
次に、この法律案による改正の内容について御説明申し上げます。
第一点は、投票管理者、開票管理者及び投票立会人、開票立会人、選挙立会人、選挙分会立会人の費用弁償額並びに人夫賃、嘱託手当の額が実情に即しないので、その金額を引き上げようとするのであります。
第二点は、昨年四月の公職選挙法の改正によりまして、衆議院議員の選挙における選挙運動期間が二十五日から二十日間に短縮されたことに伴い、選挙会経費及び事務費に不用額が生ずることとなりますので、これらの経費の基準額を改訂しようとするものであります。
第三点は、国会議員の再選挙、補欠選挙等の執行に要する額は、従来基準額の三分の二に相当する額とされておりましたが、これは実情に即しないので、事務費についてのみ三分の二に相当する額とし、その他の経費は全額を交付するよう改正しようとするものであります。
以上が国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案の要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/9
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010・館哲二
○委員長(館哲二君) 最後に、衆議院の地方行政委員長提出の、警察官に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部を改正する法律案につきまして提出者から説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/10
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011・纐纈彌三
○衆議院議員(纐纈彌三君) ただいま 議題となりました警察官に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部を改正する法律案の提案の理由並びにその内容の概要につきまして御説明申し上げます。
この法律案を提案いたしました理由は、現行犯人がいて警察官等がその揚にいない場合に、職務によらないでみずから現行犯人の逮捕等に当った者が災害を受けましたとき、地方公共団体がその給付を行う制度を確立するためなのであります。
御承知のごとく、警察官に協力援助した者の災害給付に関する法律は、昭和二十七年の第十三回国会において議員立法として制定され、自来この法律によりまして、警察官に協力援助して災害を受けた者に対する給付がなされて参りましたが、本法は、職務執行中の警察官が援助を求めた場合その他これに協力援助することが相当と認められる場合における協力援助について規定し、警察官がその場にいる場合を対象としておりますので、警察官が現場にいない場合に、職務によらないで現行犯人の逮捕、犯行の阻止、被害の回復その他被害者の救助に当った者が災害を受けても、これを本法による災害給付の対象として救済することは困難であり、また、それについて、別にこれを救済する明確な法的制度が確立していないため、せっかくみずから進んでこのような勇敢な行動に出て災害を受けた者について、これに報いることが十分でない実情にあります。そこで、かような行為をして災害を受けた者については、本人及びその遺族に対して必要と認められる給付を行い、これら義侠的行動に対する公的な救済手段を確立する必要があると考えますので、この必要を満たすため、本法の一部を改正するこの法律案を提案いたした次第であります。
以下、本案の内容について申し上げますが、
第一は、法律の題名を改めて、「警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律」とすることであります。警察官の要請に基いてこれに協力援助した者と、警察官がその場にいたい場合に現行犯人の逮捕等に当った者とは、ともに「警察官の職務に協力援助した者」でありますので、題名をこのように改めたのであります。第一条の改正を行いましたのも、右と同様の趣旨であり、これに関連して第五条の規定の整備を行わんとするものであります。
次に、第二条を改正して、新たに給付を受ける者について定めております。すなわち、殺人、傷害、強盗、窃盗等人の生命、身体もしくは財産に危害が及ぶ犯罪の現行犯人がおり、警察官その他法令に基き当該犯罪の捜査に当るべき者がその場にいない場合に、職務によらないでみずから、当該現行犯人の逮捕または当該犯罪による被害者の救助に当った者がそのため災害を受けたときには、地方公共団体が給付の責に任ずることといたしました。ただし、たとえば、米国軍隊の使用する施設内、外国公館等警察官が通常職務を行なっていない場所については、この法律を適用することは適当でなく、また、たとえば、被害者自身とか、被害者の家族等とか、当然みずから救済的な行動に出ると認められる者または加害行為を誘発した者等道義的に見て災害給付を行うに値しない者等については、この法律による給付を行うことは適当でないので、この法律の対象から除くこととし、そのような場所及び人についての細則は、政令で定めることといたしましたが、これはもっぱら、本改正による給付の対象を現実かつ明白なものに限り、また、他の観点から不合理と認められるものを除外しようとする趣旨に基くものであります。
次に、第三条を改正して新たに一項を加え、給付を行う者について規定し、給付の原因である災害が、みずから現行犯人の逮捕または被害者の救助に当ったことに起因するものについては、当該逮捕または救助に当った場所を管轄する都道府県警察が置かれている地方公共団体が、その給付を行うことといたしました。
次に、給付の種類、範囲、金額、支給方法、損害賠償の免責、給付の免責、求償権、時効、給付を受ける権利の保護、非課税、無料証明等については、すべて現行法の規定によることといたしております。
最後に、附則において、この法律の施行の日を公布の日からとし、題名の改正に伴い、関係法律の規定の整備をいたしたのであります。
なお、本法施行に要する経費は、国の経費として年間約三十万円の見込みでありましてこれは都道府県警察に対する補助金として交付されるものであります。この点は、政府も了承いたしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
なお、この法律案は、衆議院におきまして、自由民主党及び日本社会党両党間の合意のもとに成案を得まして、国会法第五十条の二の規定により、地方行政委員会の提出にかかる法律案として提案し、全会一致をもって衆議院を通過いたしたものでございます。
何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/11
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012・館哲二
○委員長(館哲二君) ただいままでに説明を聴取いたしました五件につきましては、次回以後逐次審査をすることにいたしたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/12
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013・館哲二
○委員長(館哲二君) 次に、去る二月二十六日に、地方交付税法の一部を改正する法律案が予備審査のために当委員会に付託されております。
この際、政府の提案理由ならびに詳細説明を聴取いたしておきたいと存じますが、御異議ありませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/13
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014・館哲二
○委員長(館哲二君) 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/14
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015・青木正
○国務大臣(青木正君) ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
昭和三十年度以来講ぜられて参りました各般の地方財政健全化のための施策と地方団体自体における努力とにより、地方財政の状況は漸次改善されて参ったのでありまして、地方財政健全
化のためには、できる限り地方税財政制度を安定させることが適当ではないかと考えられるのであります。しかるところ、昭和三十四年度におきましては、国民の強い要望にもかんがみ、地方税について零細負担の排除と負担の均衡化をはかるため必要な改正を行います結果、百一億円に上る減収が生ずるほか、所得税及び入場税の減収を初めとする国の税制の改正に伴い自動的に生ずる地方財源の減少は百億円に上る反面、初任給の改訂、期末手当の増額等による給与費の増、公共事業費にかかる地方負担額の大幅な増加等が見込まれるのであります。政府は、昭和三十四年度におけるこのような地方財源の減少による地方財政への影響を可及的に回避するため、地方交付税率を一パーセント引き上げるほか、道路整備事業にかかる高率の国庫負担率を維持し、道路目的財源の充実をはかるとともに、あわせて地方団体間の財源の均衡化を前進させ、地方財政の健全性維持と行政水準の維持向上のためでき得る限りの措置を講ずることとしたのであります。これらの措置に伴い、地方交付税率を改訂するとともに、基準財政需要額の増額とその算定方法の合理化をはかり、同時に配分方法を明確化させるために地方交付税法の一部を改正する必要があるのであります。
以上が本法律案の提案の理由であります。
次に、本法律案の内容の要旨につきまして御説明いたします。
第一は、地方交付税の総額に関する事項でありまして、地方交付税の率を一%引き上げ、所得税、法人税及び酒税の二八・五%といたしたことであります。その結果、昭和三十四年度において交付すべき地方交付税の総額は、昭和三十二年度分の精算額百四十四億円を加え、二千四百八十六億円、昭和三十三年度に比し二百四十六億円の増加となります。
第二は、基準財政需要額の算定方法に関する事項であります。その一つは、測定単位の新設等に関するものでありまして、既存の施設等を基準とする経費の算定方法に加えて、あるべき投資経費に要する需要額を把握するため、道府県分、市町村分ともに「その他の諸費」に新たに「面積」を測定単位として加え、その単位費用を高率に定めて、投資的経費の一部を包括的に算入することといたしましたこと及び特殊土壌対策事業にかかる地方債の元利償還金を災害復旧費の測定単位の中に含ましめることといたしたことであります。
その二は、単位費用の改訂に関するものであります。単位費用につきましては、農業行政費を充実し、農業県の財源を充実するため「耕地の面積」にかかる単位費用を、また、給与改訂等あるべき消費的経費に要する財源を賦与するため、その他の行政費のうち「人口」を測定単位とする行政項目の単位費用をそれぞれ大幅に引き上げることとしたほか、期末手当の増額その他の制度改正に伴う所要経費の増加額を算入するため、関係行政項目の単位費用を引き上げることとしたのであります。
その三は、補正に関するものであります。基準財政需要額の算定方法は、でき得る限りこれを法定し、安定させることが適当であると考えられます。そのため、各行政項目ごとの測定単位に適用される補正の種類は、従来総理府令にゆだねられていたのでありますが、これを法定することといたしました。
なお、基準財政需要額の算定方法を一そう合理化し、地方団体間の財源の均衡化を前進させるため、前に述べましたような改正を行うこととするほか、今後補正係数を定めるに当っても、その趣旨に沿う措置を講ずるように予定いたしております。すなわち(イ)道府県分態容補正について、都市的形態の度合いに応じて定めている職員給与費、物価差等の隔差をちぢめるため、十三種地以下の種地については同一係数を用いて算定すること、(ロ)道府県分段階補正について、規模の小さい県の経費が割高となる事情を反映させるため、段階補正係数を引き上げること。(ハ)納税義務者一人当りの税額が少い県の徴税費が割高となる事情をさらに的確に反映させるため、その密度補正係数を引き上げること。(ニ)公債費対策を一そう強化するため、公共事業費等の財源に充てるため発行を許可された地方債の元利償還金の算入に当り財政力の弱い団体に対する補正率をさらに引き上げること等の措置を行う所存であります。
以上が地方交付税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/15
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016・館哲二
○委員長(館哲二君) それでは、引き続いて奥野財政局長から詳細説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/16
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017・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) お手元にお配りしております「地方交付税算定方法改正案」という一枚紙に従ってお話を申し上げたいと思います。
なお、地方交付税算定方法改正試算という印刷物に数字を入れておりますので、あわせ御説明をいたしたいと思います。(「資料はまだもらってないですよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/17
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018・館哲二
○委員長(館哲二君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/18
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019・館哲二
○委員長(館哲二君) 速記を始めて。
地方交付税法の一部を改正する法律案の詳細説明はしばらくあと回しにしまして、この際、警察法の一部を改正する法律案を議題にいたしまして、質疑を続けたいと思います。
質疑のおありの方は、御発言を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/19
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020・成瀬幡治
○成瀬幡治君 児童局の方にお尋ねしたいと思いますが、実は、警察から出ました資料によりますと、十四才未満の検挙数が非常に多いわけです。そこで私は、児童局にお尋ねしたいのは、児童福祉法にのっとりまして十八才と書いてあります。私は、中学ぐらいまでだと思いますが、一体中学卒と十八才との間の人に対して、児童福祉法にのっとってどういうようなことをやっておいでになるのか、一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/20
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021・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 今お話のありましたように、児童福祉法でいう児童は十八才未満でございます。御質問に関連した問題でなければ、これはもちろん、たとえば養護児童、養護を要する児童でありますとか、あるいは精神薄弱児童でありますとか、こういった者の保護はもちろん十八才未満でありますけれども、御質問の点は、もちろん、おそらく不良化し、不良化しかかった十八才未満の児童について現在どういう取扱いをしておるかという御趣旨であろうと思います。御承知のように、不良化した児童についての原則的な考え方としまして、これを教護するために教護院という施設を設けております。不良化した児童を教護するための施設でございます。これが全国で五十三カ所ございまして、約五千五百人の収容をいたしております。そこで、十四才未満の児童につきましては、これは、不良化した者につきましては全部ここに収容をする。その経路といたしましては、御承知の児童相談所を通じまして、そこで鑑別をして、あるいは訓戒を加えて、家庭に帰し、そして児童福祉司の個別指導にゆだねる者もございますし、それから、程度の重いものと考えられますのは、今申し上げました教護院に送って、ここで教護を加えるということにいたしてあります。それから、十四才以上の者につきましては、いわゆる犯罪を犯した者につきましては、これは原則として少年院に行くわけでございます。それから、いわゆる虞犯少年につきましては、これは教護院に行くことに原則はなるわけでございますが、その振り分けは、原則的には、いわゆる家庭裁判所がやる。従って、教護院に送る者につきましては、家庭裁判所に行きまして、そこでいわば少年院に送る者と、それから、私の方の系統の教護院に送る者につきましては、児童相談所に差し戻しと申しますか、そういう格好になるわけでございます。そういった家裁なり、あるいは児童相談所に行きます過程において警察がタッチする場合もあるし、タッチしない場合もある、そういうことでございます。大体の経路はそういうことでございますが、なお御質問によりましてお答えをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/21
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022・成瀬幡治
○成瀬幡治君 まあ少年院であるとか、教護院のことはわかりますが、私は、環境の浄化とか何とかについて児童委員ですか、というようなものが設けられてありますね。そういう人たちの活動あるいはそれの予算の裏付けはどんなふうになっておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/22
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023・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 御承知のように、児童福祉法で児童委員という制度が設けられております。これは、実質的には御承知の民生委員、この民生委員に任ぜられた者が同時に児童委員に任ぜられるものとするということで、結局、同一人格者になるわけでございます。その数が全国で十二万五千になっております。これに対しましては、いわゆる平衡交付金を通じまして、地方の方から何がしかの、きわめてわずかではございますけれども、交通費その他の仕事を行うについての費用を多少差し上げておる程度で、これは、いわゆる俗にいう給与とか手当とかいうことに類する程度のものではございません。非常に献身的に奉仕的にやっていただいているというのが実情でございます。そこで、児童委員の仕事は、もちろん、不良化した児童の問題でありますとか、あるいは養護にかける、すなわち親のない児童の世話でありますとか、あるいは精神薄弱児の問題でありますとか、非常に各般にわたっておりますし、従って、一生懸命やるとすれば、相当な分量の仕事でございますが、現実の問題として、率直に申し上げれば、十分活動が所期のごとくには至っていないということが言えるかと思うのでございます。この点は、私ども、児童委員の方々に随時研修あるいは講習等をお願いをし、活動をお願いをしておるわけでございますけれども、本質的には、いろいろやはり民生委員とも一緒になっておるというような制度上の問題も、将来の問題として考えなくちゃならぬ点もあろうかと思います。それらの問題を別にいたしまして、結局具体的には、たとえば不良化した、あるいは不良化しかかった児童については、努めて児童委員が、これは地域を担当いたしておりますから、その区域内においてそういう該当児童がいるかいないか、いるとすればどういう状態であるか、実情を把握して、そうして児童相談所あるいは福祉事務所と連絡をして適切な措置をとるという、いわゆる発見と申しますか、調査と申しますか、これが一段目の仕事だと思います。それから、それについて個別的に指導する機関としては児童福祉司という、これは、指導に関するケース・ワーカーでございますが、これが相談所に配置してございまして、これがケース・ワークをやる。もちろん、その委嘱を受けて、この児童委員がお世話をするという場合が非常に多いことは言うまでもございません。そういうふうに、ケース・ワークによって指導する。それ以上の段階になりますと、今申し上げました児童相談所を経て教護院その他の施設に送る、そういうような段階になろうと思います。直接的にはそういうことでございますが、もちろんこれは、間接的な手段としましては、いわゆる児童福祉行政全般がそういう特殊な子供が発生しないように努力をすることが、これが児童福祉の根本精神だろうと思いますから、いわゆる健全育成という名において、あるいは児童遊園の問題でありますとか、あるいは児童館の問題でありますとか、あるいは子供クラブの問題でありますとか、そういったものが関連してくると思います。これは直接的な方法じゃございませんので、詳細を省略いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/23
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024・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私の考え方は、まあ少年犯罪というものは、結局国家の罪ではないだろうかと思う。従って、国家というものが、いい環境というものを積極的に作ってやる責任があると思います。これがおとなの責任ではないかという観点に立っておる。そういう立場に立ってみたときに、実際のことを申しますと、十八才未満の中卒の、その境、あるいは十八才以上からまあ二十才、もう少し越したまでくらいの者には、今何も実はやっていないじゃないか。今お示しになりました、児童委員がおってめんどうを見ていると、こういうことを言われるけれども、実際まあ環境等の浄化とか、あるいは世論によってそういうものを一つやっていこうという原動力になるような話も実は聞いていないわけです。非常にさびしいことだと実は思っております。しかし、それかといって、児童福祉法があるから、厚生省が全部の責任においてこれをやらなくちゃいかぬと、私はそうあなたを責めるわけじゃございませんですが、何とかもう少しそこがならぬものであろうか。あなたの方で考えられておる、たとえば児童委員というものがあって、それは民生委員と制度上同一人格になっており、予算上から見れば、非常にわずかのお金しか出ていない、一年のうちに二、三千円というような金しか出ていないじゃないかというようなことがあるとするならば、そういうものにいま少し予算というものをつけてでき得ないものであろうか。しばしば折衝も省でやっておられると思いますけれども、私は、厚生省で捨てておかれたわけじゃないと思います。努力されておるけれども、なおかつできないという壁と申しますか、ネックというものは、どういうところにあるというふうに高田局長はお考えになっておりますか。あるいは、こうしなければならぬといって努力をされておるのか。どの点を努力されておるのか。その辺はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/24
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025・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) 今お話のありました点は、全く同感でございまして私どもも、常々そういう点は充実しなければならないと、心に念じている点でございまして、まあかねがねから成瀬先生、児童の健全育成の問題については心を砕いて、いろいろ御援助をいただいておりますが、私どもも、その御趣旨に沿って努力をして参っております。今後ともそうしたいと思いますが、ただいまお話のありました点に関連しまして、これは言いわけを言うわけじゃございませんけれども、何しろ児童福祉の仕事が戦後新しく出発をしたような状況でございますし、しかも、これが町にあふれた浮浪児の収容から始めて、いろいろそういった当面の緊急問題を処理するということに非常に追われてきまして、その結果、御承知のように、たとえば施設について見ますと、その当時に比べると五倍にもふえており、それから、収容されている子供についても同じような状況になっておる。それだけに、そっちの方に非常に急でありましたために、今のお話のありました、いわゆる根本的な、組織立った、体系の整った児童福祉行政が確立をされるには、なおいまだしというのが、これは偽わらざる現実の姿だと思います。そういう点から見ますというと、これはまあそのままあけすけに申し上げますと、たとえば、児童相談所にいたしましても、全国に百二十三カ所の児童相談所ではどうにもなりません。それから、社会福祉事務所というのが千近くございますけれども、これは、生活保護にいわば追われている。それから、児童委員についても、今申し上げました通りで、その辺のところをやはり組織を確立し、いわゆる筋骨を通すということは、どうしても今後の児童行政を確立する上から言って、あるいは今お話のありましたもろもろの問題を解決する上から言っても、これは第一にやはりなさなければならない問題だと思うのです。そういう意味で、この児童相談所の整備拡充、これが第一の問題でございますが、これもまあ役所の常として、一度もうそういう格好ででき上りますと、これを飛躍的にふやすこと、あるいは増大をするということは、なかなか急にはいかない問題でございまして、私ども毎年その努力を重ねているような状況でございます。役所はまあそれといたしまして、いわゆる末端の、ボランティアの組織と申しますか、あるいは民間の協力組織と申しますか、これがやはり現状では不十分である。いわばもう少し突っ込んで子供の世話もできるし、あるいは子供のグループの指導も、あるいは設立もできると、そういうようないわゆる適格者というものを、これは数は何万とか十何万とかいう必要はないと思いますけれども、そういったものをやはり作る必要があるのじゃないかということで、三十四年度の予算の場合においても、いわば健全育成推進員といったような格好のものを計画いたしまして、予算の要求をいたしたのでありますが、これは残念ながら成熟いたしませんでした。やはりそういった官民通じての、末端と申しますか、地方の組織を確立するということが、ここまで児童行政が参りますと、振り出しに戻って参るような格好でございますけれども、それをやって参らなければならぬ。それから、これは環境の問題の一つだと思いますが、いわゆる文化財の問題と申しますか、児童に有害な映画、出版物その他これに類するもの、あるいは悪質のおもちゃのようなもの、これも実は格好は児童福祉法によりまして、児童福祉審議会、これはまあ中央、地方にございますが、それが優良なる、児童に非常によいそういう文化財を推薦し、あるいはこういうことはやめてもらいたいということについては勧告をする、こういう法律上の規定があるわけでございまして、これはまあ現実、臨時委員をお願いをして、それをやっておるわけでございますけれども、これも何しろ十分手が回りかねておるというような状況でございますし、町の映画その他については、御承知の通りの状況になっているので、非常に残念に思っております。それから、今後の問題として、これはやはり児童の問題だけでなしに、社会福祉全般について、あるいは衛生をも含めて、地域組織を整備して、これによって、役所からするこういった仕事だけでなしに、民間の盛り上る力によって解決をしていくということをしなければならないということで、これは厚生省全体として考えておった点でございますが、これがまあわずかではございますけれども、地域組織の育成指導費として二千五百万円程度の予算が計上されておるような状況であります。もちろん、これが不十分なことは言うまでもありませんが、これを活用いたしまして、いわゆる地域組織を育成し、あるいはその指導者を育成をしていくと、それによりまして、この不良化防止の問題も、そういう組織を通じて一つの対策を立てていくということが今日の一つのねらいとして考えていかなければならぬ点ではないかと、かように考えております。
まあいろいろ申し上げましたけれども、しかし、端的に申し上げれば、大したこともやっておらぬじゃないかとおっしゃられれば、まさにその通りでございますが、それはまあ、今までの歴史が浅いという点もありますし、また、私らの微力の点もあろうかと思いますが、今後とも一つ、非常に大事な問題でございますので、十分努力して参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/25
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026・成瀬幡治
○成瀬幡治君 この問題は、国会で議論をすれば、結局金の問題に尽きるというふうなことになります。総理大臣も、青少年に期待するということを施政演説ではずされたことは私はないと思います。ですから、それをたてにとるわけではないけれども、何とかしていただきたい。そうでないと、すぐ発展をさせて、また青年学校のようなものがいいじゃないかというようなところに持っていかれるのは、いい面もあるが、非常に悪い面も多いのじゃないかと思う。従って、せっかく児童福祉法というものがあるのですから、それが何か動けるようなふうに一つ御努力願いたい。特に地域組織の問題等、片一方では、あまり指導員の人に給料まで出してやるということになると、またおかしいことになる。いい意味のボスの人が見つからなければならないと。思うのですが、そういう意味で、一つせっかくの御努力をお願いしたいと思います。
それから、この福祉法に基くところの施設関係で、今度予算がどのくらいついたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/26
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027・高田浩運
○政府委員(高田浩運君) お話の児童福祉の関係の施設といたしましては、ただいまお話のありました、いわゆる児童に関する厚生施設の問題と、それから養護施設とか教護院とかいう、いわゆる児童福祉施設と言っておりますが、その両方の問題がございますが、児童福祉施設につきましては、これは、毎年度新設拡充の予算といたしましては、大体四億の国庫補助金が計上されておりまして、今年は、節約の関係で少し減りまして、約三億九千万円ということになっております。このうちに保育所、それから肢体不自由児施設、精神薄弱児施設、教護院それから養護施設、盲ろう児施設、乳児院等すべての、十二種類の施設が含まれておるわけでございます。
それから、そういった施設運営費の補助がございますが、それは、児童保護措置費という名前になっております。これが結局、職員の給与ないし児童の食費でありますとか、あるいは保育その他のいわゆる材料に要する費用でありますとか、そういった費用に充てられる、その補助金でございまして、これは十分の八の補助になっております。これは、総額といたしまして、三十三年度が約六十六億でございましたが、三十四年度は七十一億五千万円程度に増額になっております。このうちに、収容施設の方の分と、それから保育所の分と、両方入っているわけであります。
それから、いわゆる厚生施設というものにつきましては、児童遊園については、これは大体前年通りでございます。約三千万円でございます。それから、いわゆる児童館につきましては、残念ながら実現を見ませんでした。それから、既設保育所の点につきましては省略いたしまして、なお、国立の施設といたしまして女子教護院を新設することになりまして、これは約五千万円いわゆる建設をする費用が計上されております。
大体以上の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/27
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028・成瀬幡治
○成瀬幡治君 何にしても、少年犯罪が、警察の資料によると、どんどんふえてくるわけです。私は、まだ表に出た方が非常に少いだろうと実は見ているわけです。また、十八才未満ではとてもいかんというので、少年法を改正するとか、そういう動きにならぬように、一つ努めて御努力して下さい。そうでないと私は恨みますよ。あなたの方がサボタージュをやっていて、どうも昔に引っ繰り返してくるのではないかというふうに、ひがんでとるかもしれませんよ、そういうことのないように、一つ御努力を願いたい。
それから、長官に一つ資料を……。この間静岡に起きた幸浦事件あるいは前の二俣事件ですか、あれに関連して、拷問があったのじゃないだろうかということが言われているわけですが、当時関係をした警察官はその後どうなっているのか。聞くところによると、非常に栄進をされているという話ですが、そういうことになっているのか。そういうようなことが知りたいために、実は幸浦事件、これはこの間判決が出たばかりで、検察庁がどうされるか。まだ決定されていないですから、自後のことになりますが、少くとも二俣事件は結論が出ている。ですから、その後そういうことに関連をした人がどういうふうになっているのか、そういうことに関する資料を一つお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/28
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029・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) それははっきりしていることですから、御答弁いたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/29
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030・成瀬幡治
○成瀬幡治君 けっこうです。それから、十四才未満で殺人、強盗、放火なんていうのがべらぼうに多いわけですね。これは、ここに特例で出ている犯罪の例だと思うのですが、普通の大体知能程度の者がやっているのか、それともたとえば精薄関係であるとか、何かそういうような、人間的にどこか欠陥のあるのが多く犯しているのか、その辺はどうなんでしょうか。強盗が三十一年は三十五件、三十二年は四十九件、放火に至っては、百七十件もあるというようなことになっているのですが、どんなふうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/30
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031・町田充
○説明員(町田充君) こういう犯罪を犯しました者の中で、十四才未満の者の状況がどうであるかというお尋ねでございますが、ただいま手元に、この中で精薄児がどういう割合で占めているか、普通の人間がどういう割合で占めているかという数字を持ち合せてございませんので、もし御要求がございますれば、各県に大体照会をいたしまして、まとめてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/31
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032・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は、各県に照会されてまとめるほど必要だと思いませんが、あなたの方で、一体大ざっぱに言って、大体肉体的なりあるいは精神的に欠陥が多いのか、普通人の大体十四才未満の子供が多いのかという、そういう概数がつかめているかどうか、それがわかっておったら、それでいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/32
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033・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) ただいまのお尋ねに、数字的にはっきり申し上げることはただいまできませんが、私どもの今まで観察しているところでは、やはり精神的に何がしかの弱点を持っている者、また、それが先天的であるばかりでなしに、家庭なりあるいは周囲の環境というようなものによって、性癖が不良化といいますか、正常でないというような者にそういうものが多く出ているということは、これは申し上げることができると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/33
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034・成瀬幡治
○成瀬幡治君 次に、この改正法の方で、科学捜査の点で努力されるわけで上すが、とかく、先ほどちょっと資料要求としましたが、勘の捜査というものが多いのじゃないかということをよく言われるわけですが、今、科学捜査をやられるということ、それからもう一つは、スピーディでなければいかぬじゃないかと、そういうような関係で、予算というものはどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/34
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035・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 一口に科学捜査と申しましても、予算関係でどれだけ使っておるかということは申し上げかねると思いますが、私ども念願いたしておりますのは、ただいまお話のように、いわゆる主観的な勘による捜査ということじゃなしに、捜査というものをできるだけ科学的、合理的に推進していく、これは捜査一般についてそういう方向でやっているわけでございます。そのために科学捜査研究所を置き、また、各府県においても鑑識の要員を置き、鑑識の施設を充足する。また捜査に従事する人間につきましても、ただいま申し上げましたように、見込み捜査というようなことじゃなしに、地取り、足取り、物的証拠というようなものに基いて捜査をじみちに進めていく。これは、非常に能力と時間とを要する問題ではございますけれども、そういう具体的な証拠に基いて捜査を着々と進めていくというやり方を現在とっているわけでございます。従いまして、現在捜査の経費というものはいろいろ分れてはおりますけれども、すべて科学的な捜査というものに集中していっておるということが申せると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/35
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036・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私の聞き方が悪かったのです。私は、そういう意味じゃなくて、たとえば科学捜査のための機械化あるいはスピード・アップするということから、パトカーとか何かが入ってくるとか、そういうものの警察関係における予算の比率は、これは大体諸外国は、たたけばほこり式のああいう捜査じゃなくて、アメリカ等は高度な科学的捜査をやっているので、予算のパーセンテージから見たときに、私の感じでは、科学捜査活動費というものがたくさん占めている。しかし日本では、この予算というものが少しであって、警察の一番ウエイトを置かれるのは、何か員数をふやしさえすれば事が足りるという感じで、やれ一万名増員だとか、二万名増員ということを言われるが、そういうことじゃなくて、もう少し機械化されるといいますか、科学化されるといいますか、そういうところにウエイトを置かれるということが本筋じゃないか、こういうことを言いたいために御質問をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/36
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037・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 確かにお話の通りでございまして、われわれも、ここで警察制度が改正になり、われわれ努力いたしております問題は、一つには通信施設の拡充刷新と申しますか、それと、それから機動力の強化、いわゆるパトカーを増置するとか、あるいは鑑識車をふやすとかいうようなことで、できるだけ科学的にやる。従いまして、もちろん警察は、人件費が相当部分を占めておることは事実でございますけれども、その人件費のほかには、非常に通信装備という方面の費用が多額を占めておりますし、これは、逐年増強される状況になっているわけです。なお来年度は、特に警察におきましては、通信施設を持っておりますために、事務の機械化ということを急速にやっていきたい。と申しますのは、いわゆるIBMシステムで、たまたま私の方は、専用の通信網を持っておりますので、あらためて専用線を創設するという必要なしに、それに乗っけていくということができますので、とりあえず明年は、大阪と本庁間にIBMシステムで事務の機械化をはかっていきたい。これを試験的にやりまして、再来年度以降においては、全国的にこの施設を成績によって広げていきたいと思っておるわけであります。そういうことにいたしますると、たとえ、犯罪統計等にいたしましても、従来数カ月を要するものが半月でできるというふうに、非常に機械的になる。そういう方面では、一番各官庁よりもやりいいことでありますし、そういう仕組みになっておりますし、また、警察の事務というものが非常にそういうものに適した、計数的なものが多いために、特に大蔵省も、わずか一千万円程度でありますが、試験的にその機械化の方向を認めてくれまして、来年度やる。それから、再来年度以降においては、成績がよければ、全国的にも広めていこうという考えでいるわけであります。
先ほど、一万名増員とかいうことは、安易に考えているのじゃないかというような御意向のようであったと思いますが、私どもは、人員の増加ということについては、できるだけ慎重に考えなければいかぬということは、常に考えていることであります。人さえふえれば仕事は片づくというものではないと思います。しかし、日本の警察官の数というものは、欧米各国等に比べまして、非常にその一人当りの負担率というものは重くなっておるわけであります。これは、計数的にも数字的に出るわけでございますが、それで私ども、来年度以降三ヵ年で一万の増員を計画いたしましたのも、かりに一万増員いたしたとしても、欧米の文明国並みにはまだいかないというような状況でありますので、必要最小限度という計画としてわれわれは考えたわけでございます。しかしこれは、ただ人によってものごとを処置していこうというのじゃなくて、同時に、それ以上に、通信なり装備なりの機械化、近代化と申しますか、そういう方面を推進して、警察の機能を充足していくようにいたしたい、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/37
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038・鈴木壽
○鈴木壽君 今度研究所で、新たに少年非行の防止のための科学的な研究、それから交通事故の防止のための科学的な研究をしようというような意味で、趣旨は私たちけっこうだと思いますが、もう少し今の少年非行防止のための科学的な研究について具体的に、たとえば、機構の上でどういうふうになるのか、あるいは人間をどの程度配置するのか、所要経費はどの程度であるのかというようなことを一つ御説明願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/38
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039・原田章
○政府委員(原田章君) まず、組織の問題でございますが、少年犯罪関係の防止につきましては、防犯少年部という一部を創設したいと思っております。それまでの組織としましては、一応補導課、環境課というものを二つ作ったらどうだということでございましたが、こういう研究機関というものは、官庁のような課組織ではなく、研究室組織の方がいいのじゃないかというような意見もございますので、まだ、組織としましては、課制にするか研究室制にするかという問題につきまして研究中でございます。まあ研究室制にしましても、大体先ほど申しました補導研究室、環境研究室ということになろうかと思いますが、補導研究室は、非行少年の性格を形作っておるいろいろな要因を研究するとか、あるいは最近の英米で行われておりまする非行危険性の判定方法の研究及び実験をやる。また、非行少年に対する面接その他の補導の技術に関する研究、また、警察関係の補導室とか保護室の位置や構造、設備等の少年に与える影響の研究、実験というようなことを補導課ないしは補導研究室におきまして行いたいと思っております。環境課もしくは環境研究室でございますが、ここでは、非行少年を誘発する社会環境、映画とか興行とか風俗営業等の、そういう社会環境の研究をやります。また、少年非行防止のための地域的活動、非行がたくさん発生する地域等の、そういう地域におきまする地域的活動についての社会学的、心理学的な研究をやる。それから、性犯罪、麻薬、アルコール中毒犯罪とか精神薄弱者、変質者等の犯罪の予防に関する研究をやるというようなことを考えておるわけであります。これに従事しまする要員でございまするが、研究官を主体にいたしまして、防犯部関係におきましては、十名ないし十五名程度の要員をもって研究に当るということになろうかと思います。これに要しまする費用でございますが、研究費としましては、約四百万円の研究費を一応本年度は計上されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/39
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040・鈴木壽
○鈴木壽君 そうすると、先に経費の問題からお聞きしますが、来年度あなたの方の関係の経費のうち、警察研究所の経費として三十三年度よりは約八百万円ふえておるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/40
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041・原田章
○政府委員(原田章君) さようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/41
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042・鈴木壽
○鈴木壽君 ふえておるうち、四百万はこれに新たに投入する経費と、こういうふうに考えてよいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/42
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043・原田章
○政府委員(原田章君) 防犯少年部が新たに発足いたしまして、研究を始めますので、その八百万円は、少年防犯研究部と交通部で使いますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/43
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044・鈴木壽
○鈴木壽君 そのうちの四百万円は新たに防犯少年部で使う経費と、こういうふうに考えてよいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/44
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045・原田章
○政府委員(原田章君) さようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/45
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046・鈴木壽
○鈴木壽君 それから人員ですが、これはまだはっきりしませんか。十名ないし十五名というお話でしたが、新たに増員になる人と、こういうふうに考えてよいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/46
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047・原田章
○政府委員(原田章君) 新たに増員になりますのは防犯研究部と交通部で十名でございます。そこで、不足分を既存の科学捜査研究部門から融通ないし兼務させまして、研究させるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/47
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048・鈴木壽
○鈴木壽君 新たに増員になるのが合せて十名でございますと、この防犯少年部では何名になります。十名のうち何名になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/48
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049・原田章
○政府委員(原田章君) 各部に五名ずつということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/49
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050・鈴木壽
○鈴木壽君 そうしますと、まだ防犯少年部の中に置かれる人数については、はっきりしないということですね。新たな人が五人と、あと五名になるか十名になるかということは、まだ最終的にはきまっておらないと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/50
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051・原田章
○政府委員(原田章君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/51
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052・鈴木壽
○鈴木壽君 それから、今の研究のこう考えておられるところをお聞きしますと、警察としてのまあ新たな特色あるものとすれば、私は、補導関係のものではいわゆる補導の技術とか、あるいは補導室の少年に与える心理的な影響について研究するというようなことがそういうようなことになるだろうと。思うんです。そこで私、他のこういう性質の研究機関があるだろうと思うんですが、政府部内、政府機関のうち、このような性格を持った、こういう研究機関と申しますか、あるいは研究室と申しますか、名前はどっちでもいいと思うのですが、そういうものがあるかどうか、それを一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/52
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053・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) もっぱらこういう研究をするという所、研究所的なものとしてはございませんと思いますが、内閣に青少年問題協議会というのがございまして、これは、民間の有識者と関係各省の次官をもって構成されているわけでございますが、こういうところで総合的なまあ対策というものは考えられる。なお、今度法務省で、総合法務研究所ですか、何かそういうところでも、やはり少年問題等についての研究がなされるやに聞いているわけですが、こういうところとも緊密な連絡をとっていかなければならないと思いますし、また、厚生省等においては、その立場からやはり行政事務とあわせて研究もいたされるものと思います。そういう関係のところとは密接な連絡をとって参りたいというふうに考えているわけです。
先ほど人の問題で、十名増員ということで、まあ大体五名ずつ程度新しくとれた技官は配置するということでございますが、そのほかに、本庁なりあるいは特に青少年問題等に密接に関係のあります警視庁の係員というようなものを、兼務制等をとって、できるだけ構想に応じて充実をして参りたいというふうに考えているわけでございます。将来は、もちろん専従の職員というものを国の経費において充足して参らなければならぬと思いますが、とりあえず発足に当って十名しかとれなかったので、来年度におきましては、何らかこれを補う方途を講じて参りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/53
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054・鈴木壽
○鈴木壽君 私は、他の政府機関、まあ類似したようなそういうものの中で、非常に少年非行の防止についての科学的な研究をしているところがあるかということを聞いたのは、まあ私もずっと見回したところ、これは、大学等では別ですが、ないようだし、今あなたのお話にありました、たとえば青少年問題の協議会の何も、これは、いわば研究機関というよりは、まあいろいろな問題を持ち込まれて、そこで一体これをどうするかというようなことで、こまかいところまでは、何というか、手が回らないといいますか、各府県にそういう機関があっても、実際問題としては総会でいろいろな研究発表をする程度のことであって、あまり今の段階では役に立っておらないのではないかと、こういうふうに私は見ておるわけなんですが、とにかくそういう状態ですから、やっぱり本格的に少年非行の問題について、これをいかに防止するかということの科学的な研究を、ぜひこれはやらなければいけないと思うのです。そういう意味で、先ほど申しましたように、取り上げたことにつきましては、私賛成でございますが、ただ、わずか十名かそこらの人で、いわゆる少年非行の問題についての科学的な研究というものが、どの程度やれるのかどうかという問題が一つあろうと思うのです。なるほど先ほどあげられました、たとえば性格についての問題、あるいは少年非行の判定の方法等の問題、あるいは環境についてのいろいろな調査なり分析なり、あるいは地域の活動についてのいろいろなテーマは、これは拾えばあげられると思いますが、そういうものを何人かのわずかな人でやって、果してどの程度の仕事ができていくのか、さらに研究の一応の結果として出たその結論というようなものについて、どう、それじゃ一体今のいろいろなこういう社会事象の中において、具体的に効果ある対策として生かされていくかということになりますと、何だか不安のところがありますね。研究しておるのだということは、これは一生懸命なさるからいいでしょうが、そういう問題になりますと、どうもここでやっておられるいわゆる少年非行防止のための科学的の研究ということが、ごく狭い範囲での、そこで取り扱われる問題についてだけのことに終りはしないかということが、一つ私は心配なんです。従って、私は他の省庁との関係はもちろんでありますし、他のいろいろなこれらの研究機関との密接な連係と同時に、出てきたその結果についてのいろいろな実際上の取扱いの問題について、よほど考えてもらわないと、単に研究所の中にそういう部門ができた、研究をしておるのだということだけでは、私は、少年非行の防止の問題というものは解決できないと思う。これは、今まででもいろいろな意味での学者なりこの問題についての関心を持っておられる方々のこういう意見なり対策というものは、一応私は出ていると思う。にもかかわらず、具体的に防止対策というものが生きてこない。少年非行は依然として、むしろ増加しておるような現状でございますから、こういう点からしますと、まあ何べんも申し上げて恐縮ですが、ここで研究しておるのだということだけで安心できないというふうな気がするのです。今後こういうふうな他の機関との連絡、あるいは一つのこういうものを推し進めていく行政の上で、よほどしっかりしためどを持ってやらないと、あまり効果のないものに終ってしまうのじゃないかと、こういうふうに思うのですが、そういう事柄について、少し私いろいろなことをくどくど申し上げましたけれども、こういう問題について一つお考えのほどを聞かしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/54
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055・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 前回もちょっと申し上げたのでございますが、ただいまお話のように、こうした非常に小規模な研究機関で研究をしたということで、それが直ちに偉大な効果を発揮するというふうには、私も考えません。特に青少年問題というのは、先ほど成瀬委員もお話のように、非常によって来たるところは深刻な要因があると思いますので、今の万般の施策というものが、強くそちらに指向されるというものと相待って、警察活動というものがこれにまあ随従していくと申しますか、むしろ大きい流れに沿って警察活動も行われていく。理想を申せば、警察が出ないで済むようになるというところまで施策が伸びるべきものであろうと思いますが、とてもそういうことを一朝一夕に期待はできない。警察の出ていかなければならぬ分野というものは、現在まあ非常に広いわけでありますが、警察はできるだけその警察の分野を守り、他の施策が総合的に運営されていくということを念願いたしておるわけでございます。また、警察だけで申しましても、従来刑事部というものの中に防犯課というのを置きまして、いろいろ統計なり、あるいはそういう統計等に基いて経験的にいろいろの指導はいたしてきたのでありますが、いわば、これもまあ俗に申せば、勘でやっていくというような形にならざるを得ない。従いまして、警察独自としてもこういう問題については、やはり科学的に研究して結論を出していく、それに基いて研究所は、そういう研究機関でありますから、研究をする。その結果は、昨年四月から発足しました保安局、これもそういう趣旨において機構を拡充いたしたわけでありますが、保安局を通して警察行政面に生かしていく。従いまして先ほど官房長から申しましたように、研究項目を、一応私今考えられまする問題を羅列いたしたわけでありますが、陣容に応じて、必ずしもその全体に直ちに取っ組むということでなしに、できるものから窓口を狭めて取っ組んで参りたいというふうに考えております。従いまして、研究所で独自に、あるいは研究所に配置されまする研究員が独自の趣味によって研究をして、それで研究が進んでいるというようなふうな形でなしに、よく警察部内はもちろん、その他の機関との連絡によりまして、最も現在の段階において研究を進めていかなければならぬというようなものにできるだけ集約をいたして、効果を上げて参りたい。また行く行くはその陣容も増加され、あるいは研究費もふやしていただくというようなことになれば、それに応じてより必要なものから研究を広げていくというような考え方に立って運営をして参りたいというふうに考えております。何度も申し上げるようでありますが、この研究所は、そうした警察の少年問題についての活動に科学性を与えていくという一つの力にはなり得ても、これによってすべての青少年問題の解決点を見出していくというような大それた考えは、私ども持っておりませんし、そう期待することは無理だろうと思います。しかし、できるだけそうした与えられた人員と予算の範囲におきまして、また部内のやりくりによりまして、最も必要なものから窓口を狭く、できるだけ奥行きの深いような行き方で研究を進めて参りたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/55
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056・鈴木壽
○鈴木壽君 他のたとえば大学の心理学教室とか、あるいは教授の先生方が、これはまあ一つの例でございますが、いろいろ研究しておられる、こういうものと、まあその他大学以外の民間にもそういうふうなことを一生懸命やっておられる方々があるのでありますが、こういうのとの何か連係と申しますか、連絡、こういうことについて何かお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/56
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057・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) 先ほども申し上げました陣容が非常に不十分である。また、待遇その他において、ほんとうに豊かな学識のある人が十分にわれわれ獲得しにくいというような問題もありますことと思います。従いまして、ただいまお話のような、特に大学においてそういう研究をしておる、あるいは民間においてそういうことに非常な深い関心を持って研究しておるというような方々に対しては、あるいは顧問という形をとるのがよいか、あるいは研究費を、いわゆる委託して研究をお願いする、あるいは研究の交換をするというようなことで、十分にそうした方々の力も拝借して参りたいというふうに考えておるわけであります。現在、幸いに相当の心理専攻の希望者なども出てはおりますけれども、広くそうした知識をわれわれ吸収するという意味において、ただいまお話のような点の連絡協調という問題は、抜かりなくやって参りたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/57
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058・鈴木壽
○鈴木壽君 そういう場合の、今のお話のような、まあ研究の連絡協調をする場合の、たとえば委託して研究していただく、あるいは何かの形で研究所の仕事に実際参加していただくというような場合についての経費等については、一応見ておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/58
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059・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) わずかではございますが、ただいま四百万の中に委託費というものもとってございますので、依頼して研究していただくということも多少なりともやっていけると考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/59
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060・鈴木壽
○鈴木壽君 これは、私、研究それ自体を否定するつもりは毛頭ありませんが、ただ、少年非行の問題について、基礎的なあるいは科学的な研究をなさることは、何べんも申し上げますように、けっこうですし、ぜひともまたやっていただきたいと思うのですが、今の警察官の方々は、これは第一線に出ておられる、特に私は第一線に出ておられる方々に言うのですが、少年に、単なる犯罪ということでなしに、少年に対する、少年心理の研究というとおかしいのですが、理解と申しますかね、従って少年に対する取扱いの仕方、こういう問題というものは、私は非常に、いわゆる少年非行防止の上では大きな問題になると思うのです。やはり、依然として警察官はこわいものだというようなことで、子供たちとの間のお互いの気持の触れ合うところというものは、私は、現在の警官の中では、きわめて狭い部分を除いては、大部分においてはまことに少いんじゃないかと思うのです。やはり地域においての一つの少年のこういう非行を、できるだけ防止していく、非行から守るというようなことで、私は必ずしも警官だけという意味じゃもちろんございませんが、警官のやはり持つそういう役割というものは、相当大きいものだと思うのですが、そういうことに対して、これは一般的な教養という問題ともつながってくるわけでございますが、何か特に考えておられるようなことがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/60
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061・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) ただいまお話のような点は、私どもも非常に検討をいたしておる点でございます。警察におきましても、できるだけ少年に接する者は、やはり特別の少年に対する理解、これの補導の仕方というようなものについての力のある者を当てなければならぬということで、特に少年係というものを各警察署にも設けまして、専門の勉強をさせておるわけでございます。また、今度二千五百名ほど増員されました者も、多くは大都市に配置をいたすことにいたしておりますが、こういう中からは、最近非常に減少しておりますが、婦人警察官、そういう少年補導に適したような婦人警官の増員というようなことも考えていってよかろうと思います。また、いろいろ予算やその他で非常に実現困難でありまして、とかく少年を保護する場合でも、警察署に連れてくるということをやらざるを得ない状況でございますが、たとえば大阪などにおきましては、あれはたしか府市商工会議所その他民間の協力者のお力によって、少年補導センターと申しますか、相当、四階建くらいのりっぱな建物を作って、そこには専任の主事と申しますか、事務長を置いて、警察で補導しなければいかぬ者も、要保護児童とか、あるいは補導を要する者等は、できるだけ警察署に連れて行かないで、補導センターに連絡をとる、そこで専門の職員がこれに対していろいろと相談に応ずる、あるいは大学の先生方も何名か委嘱をいたしまして、特別な研究、相談等に応じていただいておる状況でありまして、成績は非常に上っているように聞いておるわけであります。行く行くはその他の都市におきましても、少年補導、少年の保護というようなことについては、その心理に及ぼす影響等は非常にデリケートなものがありますので、できるだけそういうような特殊な施設というものに置いて、これを導いていくというようなことがいいのではないか、早急には困難かと思いますが、そういうことについても十分これから検討していかなければならぬと思っております。そしてまた、これは警察だけの関心が深いということだけでできるものではないと思います。先ほどから申し上げますように、総合的なそうした施策が推進されるものと並行して、そうした施設の充実ということもでき上っていくのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/61
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062・鈴木壽
○鈴木壽君 今お話の、たとえば少年係とか、あるいは婦人警官の増員の問題、あるいは補導関係の施設等の問題、それは私それでいいと思います。そういうもの以外に、私やはり少年係でなくとも、婦人警官でなくとも、現在では第一線におられる警官の方々の持つ——あるいは過重な責務を負わせるような気もしないではありませんが、従って私は全部警官の責任だというそういう意味でなしに——この問題に対する役割というものは、非常に大きなものになってきておると思うし、また、できるだけそういう方面に努力願いたいという気持で、係とかあるいは婦人警官とか特定のそういうものでなしに、やはりあるいは都会地においてもいろいろのそういう施設とか、特に補導関係のことを一生懸命やるということでなしに、一般的にいって第一線の警官というものは、こういう問題についてもっと子供の心理なり、あるいは性情なりについての理解があり、さらに子供を見る目といいますか、そういうものがあることによって、効果的な事前の手が打たれるのではないだろうか、そういう意味におきますところの警官の教養なり教育なりというものについて、何か具体的に考えておられる点がありはしないか、こういうような気持からお尋ねしたわけなんです。ですから、特定の少年係を置いてあるからということだけでは、あるいは婦人警官を多少増員したということだけでは、この問題の前進のためには、そう大した意味が私はあると思われないので、たとえばもっと私申しますと、都会地でなくても、現在いなかに至るまで、いろいろの意味での少年犯罪というものは起ってきているので、かりに駐在におられる警官の方が、その地域におる子供たちに対して、もっと何といいますか、今言ったようなことにいろいろ関心を強く持っていることによって、未然に防がれるものも私はあるのではないか、率直に言って、子供と仲よしになるとか、遊ぶとかということも、私は全部ではありませんが、必要な場合もあると思いますし、そういうような意味で警官の子供に対する態度、理解の仕方、あるいは見方というものが、非常な大きな問題になるのではないかと思うのです。そういう意味で、何か特にそういう問題に対してのお考えがないかと、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/62
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063・柏村信雄
○政府委員(柏村信雄君) ちょっと御質問の要旨を取り違えたかと思いますが、ただいま御指摘の点は、確かに非常に重要な点だと思います。われわれとしても少年問題が非常に深刻なことになっておりますことにも関連いたしまして、警察官一般の教養ということについても、特にそういうことの重要性は認識させるように努力をいたしておるわけであります。また、あまり深入りをして、専門でない警察官が積極的に入っていくということはどうかという点はございますが、ただいまお話のように、子供に親しみやすい態度で接するとか、あるいは子供の心理についての研究を専門外にも持つというようなことは、今後も努めて参りたいと思います。警察署等によりましては、野球を一緒にやるとか、あるいは柔剣道をその地域の青少年に指導するというようなことで、間接的にいい面を醸成していっておる所もあるわけでございまして、今後とも、ただいまお話のような御趣旨は、成果を上げるように努力して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/63
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064・鈴木壽
○鈴木壽君 私これでやめますが、これは四月から発足なさるのですか。そうしますと、私はまだ発足前でございますから、いろいろ、何といいますか、準備のこともあるでしょうし、特に研究テーマの問題にしろ、あるいは人員等の問題についても、はっきりしておらないようでありますから、いずれせっかく新しくこういう研究部門を設けておやりになるというのですし、また問題が問題だけに、現在非常に大事な問題について積極的な意欲を持っておやりになることでございますから、非常に私も大きな期待を持っておるのですから、そういう意味で、一つりっぱな研究業績を上げられ、なおかつ単なる研究発表機関でなしに、実際にこれをどうするかということを、先ほどもくどく申し上げましたが、これは私は一番問題だと思うので、こういう点についても、一つ十分御検討の上、御努力を願いたいと思います。要望みたいな形になりましたが、以上で終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/64
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065・原田章
○政府委員(原田章君) 先ほど防犯少年部の研究費は四百万円と申し上げましたが、四百二十万二千円でございますから、訂正申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/65
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066・館哲二
○委員長(館哲二君) 警察法の一部改正法律案につきましての質疑は、次回に続行することにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/66
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067・館哲二
○委員長(館哲二君) 続いて、先ほど中止いたしました、地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、説明資料がお手元に配付されましたから、奥野財政局長の詳細説明を続行していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/67
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068・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 私の方の手違いで、資料がお手元に届いておりませんでしたので、御迷惑をおかけいたしましたことを深くお詑び申し上げておきます。
地方交付税算定方法改正案に基いて御説明申し上げます。
一、方針。その一が「地方団体の財政需要の増加に対応する財源を賦与するため、基準財政需要額の増額を図ること。」であります。
今回の改正によりまして、平均して道府県の基準財政需要額は五・二%程度、市町村の基準財政需要額は三・二%程度の増額になる見込みでございます。
その二が「基準財政需要額の算定方法の合理化を図り、地方団体間の財源の均衡化を前進させること。」であります。
平均しては今申し上げましたような増加になるわけでありますが、貧困な団体の基準財政需要額を傾斜的に増額したい、そうすることによって、地方団体間の財源の均衡化を前進させていきたい、かように考えておるわけでございます。従いまして、先進の地方団体と後進の地方団体との間の基準財政需要額の伸び率には、特に府県において相当な開きが生じて参っておるわけであります。
その事情は、「改正事項の各項によっておわかりいただけると思うのでございますけれども、改正事項のその一が、「都市的形態の度合いに応じて定めている職員給与費、物価差等の格差を縮めるため、道府県分態容補正について、十三種地以下の種地については同一係数を用いて算定することとすること。」であります。地方交付税制度あるいはその前身でありますところの地方財政平衡交付金制度は、地方団体間の財源の均衡化をはかることがねらいでありますけれども、そのような制度の切りかえに当りまして、従前以上に多額に地方の財源がふえたわけでもございませんので、大体、従来それぞれの地方団体が使っておりましたもの、これを基礎にしてそれぞれの団体の財政需要額を測定するというようなやり方をせざるを得なかったわけであります。しかし、地方財源が増加して参るにつれまして、地方団体ごとのあるべき財政需要額に応じた算定の仕方をしながら格差を縮めていくというやり方をすべきだと思うのでありまして、そういう意味の改正を今回大きく取り上げようといたしておるのでございます。御承知のように現在全国の市町村を一種地から二十種地に区分をしておるわけでありまして、純山村を一種地とし、だんだん都市的形態の進むにつれまして種地を高めておりまして、現在二十種地になっておりますのが東京と大阪だけであります。その他の四大都市が十九種地になっておるわけであります。尼崎、福岡、それらが十八種地になっておるわけであります。そういう区分をしておりまして、種地が上るにつれて採用します職員の学歴も高いし、本俸も若干多く支給しておる、従来の実績がそうであったわけでありますが、それに合せました補正を態容補正という形で行なって参っておるわけでございます。しかし、今回均衡化を前進させるという意味合いから、十三種地以下の格差をやめてしまう、十三種地以下の種地につきましては全部同じ係数を用いる、こういうように改正したいと考えておるわけであります。十三種地といいますのは県庁所在地で申しますと浦和、新潟、金沢、岐阜、和歌山、鹿児島でございます。十四種地以上の県庁所在地の都市が十五ございます。十三種地と十四種地以上の県庁所在地の種地を合せますと、大体半分近い県庁所在地の都市になるわけでございまして、そういう意味で十三種地まで下のところを全部引き上げよう、こう考えたわけでございます。その結果、交付税の交付を受ける団体の追加されます財源が四十億円に上ってきたわけであります。現在単位費用は十種地を一として計算しておるわけであります。伴いまして、十種地以下の所は全部格上げをしていく、その結果、四十億の財源が与えられる。その範囲で十三種地を一にする関係から、交付団体では若干基準財政需要額が減る所も生じて参るわけであります。
なお、御参考までに申し上げておきますと、種地を区分いたします基礎は、一つは物価差でありまして、物価差を見ますために、暫定手当の支給地域の区分によって点数をつけております。二つは宅地の平均価格でありまして、平均価格の高いほど点数を多くして差をつけて参っております。三つは経済構造の差でございまして産業人口の中で第二種、第三種の産業人口が大きなウエートを占めるほど高い点数をつけておるわけであります。四つは、人口段階、人口規模、これによって点数をつけておるわけであります。この四つによってつけられました点数の高いものから種地を高く定めておるわけでございます。
改正事項の二は、「道府県分段階補正について、規模の小さい県の経費が割高となる事情を反映させるため、段階補正係数を引き上げること。」でございます。人口測定単位にいたします経費につきましては、府県でありますと、百七十万人の人口段階の県を想定して単位費用を定めております。人口が少くなりますと、単位費用に乗ぜられます数値が小さくなるわけでありますから、経費がだんだん少く算定されるわけであります。しかし、現実には若干割高になって参りますので、割増しにいわゆる段階補正係数を用いているわけであります。しかし、それがなお十分ではございませんので、それぞれの規模の小さい団体について、あるべき施設を想定して財政需要額を算定する。その場合に、あるべき施設についての内容を若干充実させる。そこから得られる高い段階補正係数を用いる、こう考えているのであります。鳥取県でありますとか、徳島県でありますとか、あるいは香川県でありますとか、そういうような規模の小さい団体に財源を追加するわけでありまして、その額が七億円と一応見込んでおるわけであります。
改正事項の三は、「納税義務者一人当りの税額が少い県の徴税費が割高となる事情を更に適確に反映させるため、その密度補正係数を引き上げること。」であります。徴税費は、税額を測定単位にいたしておるわけでございますけれども、一納税義務者当りの税額が少い場合には、徴税費が税額の割合には比較的高くついて参るわけでございます。そういう意味で密度補正を行なって参っておるわけでございますけれども、必ずしも十分ではございませんので、現在の密度補正を二倍程度に引き上げるということを目途に、この係数を引き上げたい。そうしますと、税額の少い県でありますところのたとえば鹿児島県でありますとか、あるいは青森県でありますとか、そういう団体の徴税費が、今までよりは大きく算定されることになって参るわけでありまして、そういう意味で追加いたします財源が約三億円と見込まれておるわけでございます。
改正事項の四は、「公共事業費等特定の事業費の財源に充てるため発行を許可された地方債の元利償還金の一部を道府県の基準財政需要額に算入するにあたり財政力の弱い団体について定められている補正率を更に引き上げること。」であります。昭和三十年度までに発行されました公共事業費の関係の地方債、これは、本来地方の基準財政需要額が増加してきたのだから、一般財源を追加すべきなんだ。しかしながら、追加すべき一般財源がないから、さしあたり地方債を発行させてもらいたいというような議論がございまして、その結果、地方交付税率の引き上げ等によって地方財源が追加されまして、それと見合いに昨年度元利償還金の二五%を基準財政需要額に算入するという措置がとられたわけであります。これは財政力の弱い団体におきますこの元利償還金の圧迫がかなりきついものがありますので、財政力の弱い団体につきましては、その元利償還冷を補正して五〇%まで基準財政需要額に算入するという措置をとって参ってきております。その度合いをさらに高めまして七五%まで引き上げたい、こういうことによって財政力の弱い団体に対しまして試算表の十番目であります七億円の財源を追加したい、こう考えているわけであります。
改正事項の五は、「あるべき投資的経費及び消費的経費に要する財源を賦与するため、現実の施設を測定単位としないで、その他の諸費の測定単位としてあらたに面積を加え、これと、従来の測定単位である人口について需要額の増額を図ること。」たとえて申し上げますと、投資的経費で道路の費用を計算します場合には、現実の道路や橋梁の面積を測定単位にしております。先進の地域におきましては、道路や橋梁は十分できておりますが、その面積を測定単位にいたします限り、道路費というものが多額に算定されています。しかしながら、後進の地域におきましては、必要な道路や橋梁が十分にできておりませんので、これを基礎にして算定される限りにおきましては、いつまでたっても必要な財源が確保されないということになってしまいます。やはり現実の財政需要ではなしに、あるべき財政需要額を測定単位にとらなければ、財源の均衡化というものは前進させることができませんので、今回、面積を測定単位といたしまして、投資的経費全体を測定するというようなやり方をしたいと考えたわけであります。また、消費的な経費につきまして同じような考え方で、人口を測定単位にして、あるべき財政需要額を算定して参りたい、こう考えておるわけであります。たとえて言いますと、高等学校の経費は、現実の高等学校の生徒数を測定単位にしているわけであります。先進の地域におきましては、高等学校が公立で相当整備されている。後進の地域においてはまだ十分な整備を見ていない。従って、現実の生徒数を測定単位にいたします限りにおいては、将来の教育施設の整備の費用が得られないという問題が出て参るわけであります。こういうように、投資的経費については面積を測定単位といたしまして、府県分では三十億、市町村で四億円、合計して三十四億円、さらにあとで申し上げます六番目の農業行政費の増もこれに類したものでありますが、これについて六億円、合計しますと四十億円ぐらいのものをこういう格好で基準財政需要額に増額したいと考えております。こうすることによって地方財政財源の援助をいたしたい。公共事業費についての国の負担率が臨時に引き上げられておったのが、三十四年度からはもとの低い負担率になってしまいます。その結果、地方の財政負担がかなりふえるのでありますけれども、その相当の部分がこういう形において基準財政需要額に算入されていくというように考えておるわけであります。また、人口を測定単位にして消費的なあるべき経費というものを算定して参ります部分が(3)に上っているものでありまして、府県で五十五億、市町村で三十五億、合計して九十億でございます。昇給あるいは初任給の改定によって相当な増加財政需要があるわけでございますが、これを今申し上げましたような形において基準財政需要額に算入して参りたい、かように考えているわけでございます。
改正事項の六は、「農業行政費を増額するため耕地の面積に係る単位費田を引き上げること。」実は率直に申し上げますと、農業に対して事業税が課されていない、米作りをもっぱらその県の産業にしています場合には、事業税は入ってこなくて、しかも作った米はどんどん県外へ移出している。そういう事情から、県外移出米について奨励金を交付すべきだ、こういう意見があったわけであります。しかし、それについてもいろいろ問題がございまして、だんだん検討して参りますと、農業県の農業行政費が必ずしも十分に基準財政需要額に算入されていない、そういうような議論になって参るわけでありまして、その結果、耕地の面積を測定単位にしております農業行政費を引き上げることによって、土地改良の経費などを今よりも多額に見るようにしたいというようなことになったわけでありまして、この関係で、六億円程度のものを基準財政需要額に算入して参りたい、かように考えておるわけでございます。
改正事項の七は、「災害復旧事業費に類する特殊土じょう地帯災害防除及び振興臨時措置法に基く特殊土じょう対策事業費に係る地方債の元利償還金を、災害復旧費の測定単位の数値の中に算入するものとすることであります。昨年から地盤沈下でありますとか、あるいは地すべりでありますとかという事業に充てられました地方債の元利償還金は、公共災害復旧事業費の元利償還金の二分の一程度のものを災害復旧費の中へ算入していくという措置がとられたわけでございます。今ここに掲げましたような性格の事業費に充てられました地方債も、地すべりなり、あるいは地盤沈下なりの対策の事業費に類するものでありますので、同じような扱いをいたしたい、かように考えておるわけでございます。
改正事項の八は、「制度の改正等に伴い必要となる経費を算入するため、関係行政費の単位費用について次のような改正を行うこと。」でありまして、その一つは、「駐在所勤務警察職員の配偶者等に対する報償費を算入するため、警察費に係る単位費用を引き上げること。」であります
その二は、「消防行政、社会教育行政、学校給食等に係る職員の増加に伴う所要経費を算入するため、府県分の「その他の諸費」、市町村分の「その他の教育費」及び「小学校費」の単位費用を引き上げること。」であります。府県分の「その他の諸費」の中に市町村の消防職員の訓練期間に要する経費でありますとかというものが若干入っておるわけでありますけれども、消防法の改正等に伴いまして、関係職員を五名程度増員する。しかし二名程度の者は、他の仕事の者から振りかえが可能だというふうな考え方で、三人程度の者を経費として追加をいたしているわけであります。市町村分の「その他の教育費」の中で、社会教育行政費を見ているわけでありますけれども、人口三万人以上の市町村につきましては、社会教育主事は一名増員できるように単位費用を引き上げているわけでございます。「小学校費」の中で児童九百人について一人の給食婦の費用を算入しているわけでございますけれども、十分ではございませんので、二名に引き上げたい、かように考えているわけでございます。
その三は、「期末手当の増加所要額を算入するため、職員費を含む関係行政項目の単位費用を引き上げること。」でありまして、職員を含んでおります。単位費用につきましては全面的に期末手当の増額分を算入いたしております。
改正事項の九は、「その他所要の調整を行うこと。」でありますが、若干字句の疑義のありますもの、明確な規定を欠いた点がございまして、実質的には何ら変りはございません。ただ字句の整理をはかった部分でありますので、その点をつけ加えておいたわけであります。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/68
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069・館哲二
○委員長(館哲二君) それでは、本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01319590303/69
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