1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月十日(火曜日)
午前十一時二分開会
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委員の異動
三月五日委員大沢雄一君辞任につき、
その補欠として青木一男君を議長にお
いて指名した。
三月六日委員吉江勝保君、鶴見祐輔君
及び田中啓一君辞任につき、その補欠
として苫米地義三君、本多市郎君及び
井上知治君を議長において指名した。
三月七日委員苫米地義三君、井上知治
君及び青木一男君辞任につき、その補
欠として吉江勝保君、田中啓一君及び
大沢雄一君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 館 哲二君
理事
大沢 雄一君
占部 秀男君
鈴木 壽君
委員
郡 祐一君
小柳 牧衞君
田中 啓一君
成田 一郎君
本多 市郎君
吉江 勝保君
加瀬 完君
成瀬 幡治君
松澤 兼人君
森 八三一君
国務大臣
国 務 大 臣 青木 正君
政府委員
国家消防本部長 鈴木 琢二君
国家消防本部総
務課長 横山 和夫君
自治政務次官 黒金 泰美君
自治庁行政局長 藤井 貞夫君
自治庁選挙局長 松村 清之君
自治庁財政局長 奧野 誠亮君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
説明員
自治庁財政局理
財課長 山野 幸吉君
自治庁税務局府
県税課長 大村 襄治君
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本日の会議に付した案件
○奄美群島復興特別措置法の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○公営企業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○消防組織法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○国会議員の選挙等の執行経費の基準
に関する法律の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○地方行政の改革に関する調査の件
(自治省の設置に関する法律案の提
出に関する件)
(選挙の事前運動の規制に関する
件)
(公有林野の整備に対する融資に関
する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/0
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001・館哲二
○委員長(館哲二君) これより委員会を開会いたします。
委員の異動がありましたので、御報告申し上げます。去る五日大沢雄一君が辞任されまして、青木一男君が補欠選任されました。
また六日には、吉江勝保君、鶴見祐輔君、田中啓一君が辞任されまして、苫米地義三君、本多市郎君、井上知治君がそれぞれ補欠選任されました。
さらに翌七日には、苫米地義三君、井上知治君、青木一男君が辞任されまして、吉江勝保君、田中啓一君、大沢雄一君が再び委員になられました。
以上、異動を御報告申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/1
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002・館哲二
○委員長(館哲二君) 次に、この際理事の補欠互選につきましてお諮りいたしたいと存じます。ただいま委員の異動について報告申し上げましたように、理事の大沢君が委員を辞任されましたために、理事一名欠員を生じましたところ、大沢君が再び委員に選任されました。ですから、大沢君を理事に指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/2
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003・館哲二
○委員長(館哲二君) 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/3
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004・館哲二
○委員長(館哲二君) これより法律案の審査に入りますが、本日は、まず奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対します質疑は、前回の委員会で終結いたしておりますので、これより直ちに討論に入りたいと存じます。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/4
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005・小柳牧衞
○小柳牧衞君 私は、自由民主党を代表して、本案に賛成の意見を述べたいと思います。
本案は、復帰後の奄美大島の復興について関係の深い金融面の組織を強化して、そして復興事業の促進に資したいというのであります。また、重要な工事については、政府直属にするというようなことも、時宜に適したものでございますので、本案に賛成するものでございます。しかし、この制度を運用する上においては、いろいろとまた考慮しなければならぬ点もありますし、また、群島の主要産業である糖業については一段と力を入れて、各種の便宜をはからなければならぬと思うのでありまして、次のような附帯決議案をつけて、本案に賛成いたしたいと思います。附帯決議案案文を朗読いたしたいと思います。
附帯決議案
政府は、本法施行に当り、奄美群島復興事業計画を速かに達成し、群島経済力の増強を図るため、特に左の諸点に留意し、遺憾なきを期すべきである。
一、復興信用基金制度については、政府出資を増額する等更に拡充強化し、金融の円滑化に努めること。
二、群島の主要産業である糖業については、長期且つ低利な設備資金の融通、税負担の軽減、価格の安定等所要の措置を講ずること。
右決議する。以上のような附帯決議をもって本案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/5
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006・館哲二
○委員長(館哲二君) 他に御発言はありませんでしょうか。——御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めまして採決に入りたいと存じます。
奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を問題にいたします。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/6
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007・館哲二
○委員長(館哲二君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
では次に、討論中に述べられました小柳君提出の附帯決議案を議題といたします。
小柳君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/7
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008・館哲二
○委員長(館哲二君) 全会一致と認めます。よって、小柳君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例によって、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/8
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009・館哲二
○委員長(館哲二君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/9
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010・館哲二
○委員長(館哲二君) 次に、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきまして、政府の提案理由は、去る三日に聴取いたしておりまするが、詳細説明につきましては、内容が簡単でもありますので、便宜これを省略いたしまして、直ちに質疑に入りたいと存じます。御異議はありませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/10
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011・館哲二
○委員長(館哲二君) 御異議ないと認めます。
これより質疑に入りたいと思います。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/11
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012・鈴木壽
○鈴木壽君 今度さらに、三十四年度から出資が五億ふえるようになっておるわけでございますが、これによって、合せて十五億の出資ですが、どのくらいですね、公庫債のワクが多くなるものが。一つその点について、三十三年度と比較して、この五億円の出資増によってどうなるのか。これを一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/12
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013・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 御承知のように、公庫を運営していくための準備等を必要といたします。でき得る限り低利に貸しつけをいたしたいというような関係から、出資を求めて参っておるわけでございますが、三十四年度の計画といたしましては、出資金五億円は、全額貸付に回したいというように考えておるわけでございますが、百億円の公庫債の発行もございますので、合せまして約百四億円を融資できるというように計画いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/13
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014・鈴木壽
○鈴木壽君 公庫債のワクは、現在まで非常に小さいのだということで、もっと増額せよという要望もあったと思う。また、そういうふうにならなければならぬと思う。そういうふうな意味で、出資を三十四年度さらに五億ふやす。そうすると、あなた方が考えておられる一応の出資金の最終的な額というものは、どのくらいの程度で考えておられますか。たとえば、もっと申しますと、年々五億円くらいずつふえてきておるのですが、二十億、二十五億、三十億、こういうふうにいくものか、そこら辺、資本金をどの程度にしたいというふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/14
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015・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 出資をしてもらいますことは、一つは事務費等をまかなうことでありますけれども、これは、従来の出資金で十分間に合っているわけであります。今度は貸付利率を引き下げていきたい、こういう考えを持っているわけであります。従いまして、債券発行によりますと、どうしても相当な利回りになってしまいます。これは、公営企業を発展させますためには、でき得る限りコストの低い資金を必要といたしますので、そういう意味では、この債券応募者に支払います利率、これも薄めるといいますか、そういう意味において出資金を得たい、こういう考え方があるわけであります。特に低利で貸し付けたいものとしては、公有林の整備のための資金の融通をはかりたい。そういたしますと、こういうものにつきましては特に低い利率、私たちは三分五厘ないし四分ということも考えておったわけでありますけれども、そういたしますと、相当の政府出資を毎年仰いでいきませんと、債券発行による資金というだけでは、そのような運営ができないわけであります。従いまして、そういうことに回したい資金の分量と見合って出資の額がきまってくる。逆に申しますと、出資の額がきまって、その方面に回し得る資金の分量が結果的に定まってくる。こういうことになってくるのではないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/15
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016・鈴木壽
○鈴木壽君 だから私は、そういうような関係で、十五億でいいというのか。いろいろ今後の仕事の面からして、将来の出資はこれであといいのかどうかということだけなんです。あとの出資を増額することについていろいろというのはわかりますけれども、もっと申しますと、当初の金融公庫が発足する際の自治庁の考え方としては、資本金二十億円くらいのものにしたいというようなことが強く主張されておったのではないかと思うのです。こういうことから、当初は五億しかない、三十三年度は十億、三十四年は十五億になっておりますと、目標に合せるように、年々五億ずつふやしていっているのかと、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/16
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017・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 出資金を多くして参りますほど利率を下げられるわけでございます。現在七分六厘で貸付をしておるわけでありますけれども、御承知のように、資金運用部資金でありますと、六分三厘ないし六分五厘になっておるわけであります。もとより指定地方債になりますと、八分三厘くらいに回っておるわけであります。同じように地方団体が発行するものでありましても、いわゆる指定地方債、東京都その他の大都市府県が発行しております地方債では、八分三厘くらいになるわけであります。公営企業金融公庫から貸し付けますものは七分六厘、資金運用部が公営企業に貸し付けますものが六分五厘、それから一般の公共事業に貸し付けますものが六分三厘、こういうことになっております。もともと公営企業金融公庫の設立の趣旨が、低利の資金を公営企業のために貸し付けたいということでありますので、少しでも、私たちは、この七分六厘という利率を下げていきたいという考え方を持っているということでございます。三十四年度の予算要求に当りましては、率直に申し上げますと、十億円の出資の増額をはかっていきたい、こういうことをいっておりまして、その場合の六億五千万円が公有林整備のための資金でございまして、当時の計画が、公有林整備の資金については四分の利率で貸付を行いたい、こういう案を持っていたわけであります。そういたしますと、そういうような出資を必要とする、こういうことになって参るわけであります。従いまして、七分六厘をどれだけ下げるか、また、特に低利な資金をどの程度毎年貸し付けていくのか、こういうこととにらみ合って、そういう金額が定まってくるということになるのだと、こう思うのでございますが、くどいようでございますが、私たち当初考えておりました公有林の整備のための出資金については、六億五千万円程度のものをずっと紡げてもらいたい、こういう考え方を持っておったわけでございます。そのほかに、一般の利率を下げるための出資金、こういうものもあったわけでございますけれども、今回は、公有林関係のものについての出資の増額は得られなかった、こういう事情になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/17
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018・鈴木壽
○鈴木壽君 公有林のその造林のための資金の貸付等のことについては、今お話がございましたが、私、今当面お聞きしているのでなくて、これはあとからお聞きしたいと思いますが、当初、さっきも申し上げましたように、公営企業金融公庫の発足する際に、三十二年度でやる場合に、出資金を二十年億円程度持ってやっていきたいということで、だいぶおやりになったのではないかと思う。しかし五億しか出なかった、こういうのじゃなかったかと私は思っているのです。そこで、三十三年度では、さらに五億の出資が増になって、十億になったわけです。来年度はさらに十五億になる、こういうふうに、目標についてだんだん上って、近づいてきているわけです。そこで、一応当初発足する際には、公有林の問題なんかあまり問題ではなかった、正直に言って。これは去年あたりからいろいろ話が出ておりますけれども、当時は、こういう問題も含めてということではなかったわけです。そこで、そういうものを含めない当時ですら、すでに二十億の出資はぜひほしいのだと言って、御努力なさったはずです。当初話は、何だか裏話みたいになるけれども、たしかそうだったと思う。そこで、今言ったように、五億、十億、今度は十五億、こういうふうになるのだが、当初に考えておったように、二十億ということにして、一応の目標をそこに置いて、さらに、三十五年度あたりでは、また五億の増を見込んでおる、こういうふうな考え方であるのか。私は、それによって利率がどうのこうのということよりも、そういう資金の目標について一つお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/18
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019・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 当初債券発行額の二十分の一の出資金を得たいというような考え方を持っておったことがございます。言いかえれば、債券発行の限度額が出資金の二十倍までというような立法例が相当いろいろなところにあるのでございますから、そういうところから、最終目標の債券発行額を千億と押えまして、その二十分の一の五十億円ぐらいの出資金を得たい、こういう案を持っておったことがございます。二十億とおっしゃるのは、この金額ではなかろうかと思うのですけれども、要するに、出資金というものがその機関の一つの信用力を表わすのだ、こういうようなことから相当の出資を得たい。そうして思い切って、債券発行額も相当な分量に持っていきたい、こういう考え方をいたしておったわけであります。しかし、信用力という問題になりますと、債券に政府保証がついておることでもございますので、一般の企業のような考え方をとる必要もなかろう、こういう考え方があったわけでございます。現在は、やはり今、たびたび申し上げますような一つの事業計画から、それに応じた出資額を定めていけばよろしいのではないか、こう思っているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/19
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020・鈴木壽
○鈴木壽君 実は、きょうは私は、当初発足するまでのいろいろ持っておられた案についての資料をきょうは持ってこなかったので、額については、五十億じゃないです。たしか二十億です。これは山野さん御存知だと思うんですが、問題はそこじゃないんですからいいでしょう。問題は、別に五十億で千億のそれをやるとか、何もそういうことじゃないんですが、当時、私の記憶によれば、二十億で発足したいということがあることを記憶しているものだから、だんだん出資が多くなってきているから、再来年度あたりは、五億くらいふえて二十億程度になるのかなあと、こういうふうに一つ予想されましたものですから、それについての計画的な増額だろうか。こういうふうに私は思ったものですからお聞きしたわけなんです。それでは、その問題は、これは発足当時の構想と、その後いろいろ資金の必要な面についての事情等も違ってきているでしょうし、まあそのときによって出資というものを考えていかなければならないということもあり得ると思いますから、その点は私はその程度にしておきます。ただ、利率の問題ですが、先ほど局長がお触れになり、現在は七分六厘でございますが、当初出発する際に、私どもにはっきりこの委員会の席で言明されましたことは七分三厘、せいぜい四厘くらいにしたい、こういうことであったのです。五億の出資も、それでやっていきたいということを一回ならず当時の担当の方々がおっしゃっておったのですが、その後実際発足してみますと、これはいろいろ事務費等の関係あるいは資金等の関係もありましょう。七分六厘ということになっておるわけですが、これは、今のお話からしても、さらに引き下げなければならないということについては、お考えになっておるようですが、では、今回の出資なり、あるいはさらに今後の予想としまして、どの程度まで下げていこうとするのか。当初説明がありましたように、少くとも七分三厘かあるいは四厘程度に当面押えられるものかどうか、そこらへん一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/20
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021・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 御指摘のように、私どもといたしましては、応募者利回りにまで利率を下げていきたいという希望を持っておるわけでございます。しかし、それに対しましては、大蔵省の関係では、それぞれ金利については、事業ごとに一応の系列があるのだから、これは乱すことは好ましくないという気持を持っておりまして、話がついておりません。従いまして、三十四年度におきましては、従来通り七分六厘で貸し付けていくという計画にいたしておる次第であります。さらに今の利率を引き下げていこうといたしますならば、将来出資の増額を求めていかなければならないということになるわけでございまして、今後もそういう方向に努力は続けていきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/21
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022・鈴木壽
○鈴木壽君 ですから私は、実は出資の問題も、これからどうなるかということをお聞きしたいのですけれども、先ほどお聞きしましたように、当初出発する際には、この委員会でははっきり、七分三厘ないし四厘くらいに押えられるんだ、それでやっていけるんだ、こういう説明であった。これははっきり会議録に残っております。奥野さんの時代ではなかったのですけれども、これは残っておる。ところが、発足してみますると七分六厘になった。こういうことなんで、私ども残念に思っておったわけなんです。そこで、何とかこれは当初のあなた方考えておられましたような率まで、少くともその程度までこれは下げるべきじゃないかと思うのですが、そのためには、出資の問題もあるから、さっきも聞いておるわけなんですけれども、そこで、今後利率を引き下げるために努力する、従って出資の分を考えるということになれば、さっき私がお聞きしたような関連で、どの程度までやって、どの程度下げるかということも当然お聞きしなければいけないと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/22
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023・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 金利がかなり動いておるものですから、時期的にはそういう面もあったかと思っております。三十二年の六月から、金利を引き上げる方向に転換されたものですから、発行します債券につきましての利回りも若干よくしたわけでございます。最近また金融情勢が変って参ってきておりますけれども、当初と現在の発行との間に、若干債券発行のコストが高くなってきておりますので、そのときの事情とは同一にはできないということになっております。今後なおまた金融情勢が変って参りますと、同じような事態になってくるだろうと思いますけれども、そういう事情ではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/23
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024・鈴木壽
○鈴木壽君 私、くどいようですが、ですから、当初私どもが審議する際には、せいぜい七分三厘か四厘でやっていけるんだという話があったんですが、実際はしかし七分六厘になっておる。これは、今お話のように、当時の国のいろいろな情勢もあったと思います。これは私やむを得ないと思っております、特に高くしたいためにやったわけでもないでしょうから。今後下げなければならぬ、こうおっしゃいますが、私どもも、下げなければ、どうかして安い金利で、低い金で始末をすべきであると思うから、現在の金融情勢からどの程度に下げて、そのために必要な資金をどうするかということまでお考えですか、それでは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/24
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025・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 公庫法を提案いたしましたころの発行者利回りが七分三厘であったようであります、現在の発行者利回りが七分五厘二毛、こういうふうに若干上っておるわけでございます。先ほどもちょっと申し上げましたように、資金運用部の資金でありますと、一般の公共事業につきましては六分三厘で貸し付けます。それから、公営企業でありますと、企業その他について六分五厘で貸付をしておるわけでございます。それから、いわゆる指定債でありますと、八分三厘という利回りになっておるわけでございます。そうしますと、公営企業について資金貸付が六分五厘で貸されておる。そうすると、政府関係機関であるならば、それを一つの目標にして考えていってもいいんじゃないか、こう思うわけでございまして、ただ、他の政府関係金融機関もございますので、やはり一つの系列というものを考えに入れなければならないと思いますけれども、一応公営企業について六分五厘の資金があるわけでございます。それが私たちの引き下げる場合の目標になるんじゃなかろうか、こういう考え方をいたしておるわけでございます。しかし、さしあたりは応募者利回りまで下げる、こういうことで年来主張して参ってきておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/25
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026・鈴木壽
○鈴木壽君 とりあえず現在二十四年度も七分六厘で行く、こういうことなんですね。将来引き下げのためには努力していく。こういうことなんですね。じゃ、その程度にしておきます。
それから今、先ほどお話がございました公有林の造林といいますか、整備のための資金の貸付ですが、あなた方が当初考えたような形にはならなくて、農林漁業金融公庫ですか、向うの方でやるような形になっておるようでございますが、市町村が行うそういういわゆる公有林の整備、あるいは造林ということにまあ限定してもいいと思うんですが、そういう仕事に市町村が当る場合に、やはりこういう機関から金を出してやることが筋なように考えられますが、どういういきさつで農林漁業金融公庫の方へこう移ったような形になっておるんですか。その点、一つお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/26
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027・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 率直に申し上げますと、農林省の林野庁と私たちとが、公有林整備の方法を相談し合って参ったわけでございまして、その結果、公営企業金融公庫に政府出資の増額を求めて、これを基礎に低利長期の資金を公営企業金融公庫から公有林整備のために市町村に貸付ができるようにしようということになったわけでございます。ところが、予算がきまりますときに、これはいろいろな意見あるいは事情があったようでございますが、農林漁業金融公庫の方が経験も豊富だし、そういう貸付を始めるのには類似のものもあって適当ではなかろうか、こういう意見を言う人があったようであります。それと同時に、林野の特別会計から十億円の金を一般会計で出してもらう。それを基礎に造林資金のための出資も行うというようなことになったりいたしました関係から、農林省の予算に計上して農林漁業金融公庫へ出資する、こういう話になってしまったのでございます。御指摘のように、私たちといたしましては、公営企業金融公庫が公営企業の整備のために設けられた機関でございますので、この公庫を通じましてそういう資金の貸付を行うことが筋道だろう、こういうように現在も存じておるわけでございます。将来ともそういうつもりで努力をしていきたいと、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/27
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028・鈴木壽
○鈴木壽君 私は、ここで問題になるのは、確かにその農林漁業金融公庫の方に相当造林のための額が計上されております。三十四年度では、四十一億八千万円の額が計上されて、昨年度より大体七億ぐらいふえておるわけですね。このふえておる約七億というのは、今度あなた方が要望し、この公庫で取り扱いたい、こういうふうに考えられた金そのままでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/28
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029・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 自治庁から大蔵省へ予算要求をしておりましたときの造林のための出資金の増額が、たしか六億五千万円だったと思っております。現在国の予算説明を読んで見ますと、造林資金の貸付を補助にかえて行うと、そしてさしあたり融資対象には七千町歩予定する、それに伴う出資金の増額七億円と、こう示されておるわけでございます。私たちが言っておりました六億五千万円と直接関係があるのかどうか知りませんが、数字の関係はそうなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/29
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030・鈴木壽
○鈴木壽君 お話のように、予算書の中には、農林漁業金融公庫のところに、一般会計からの造林事業出資七億円と、こういうふうにあって、貸付計画の中には、先ほど申し上げましたように、三十四年度の予定額として四十一億八千万円、こういうふうになって、大体七億円がふえておるわけですが、金では、大体見合う程度の金がふえているわけですが、実際問題として、果してあなた方が要望したそのものをまるまるそっちの方へ突っ込んだのかどうか、これははっきりしませんけれども、そういう形になってくるのですが、そこで、いずれ額のことはともかくとして、農林漁業金融公庫から、あなた方が考えており、あるいはまた各団体から要望されておりましたような市町村のいわゆる公有林の整備あるいは造林等のために、この公庫から金がストレートに行くものかどうか、私はちょっとこの点については疑問があると思うのですが、いろいろ今のこの法規その他からしまして、財政法の問題等からしまして、私はまっすぐにここには行くものじゃないだろうと、こう思うのですが、その点はどうでしょう。たとえば、農林漁業金融公庫から、市町村でなしに、森林組合とか何とか、そういう団体に行くかもしれませんが、今のいろいろな規定からしますと、まっすぐに市町村には行かないのじゃないか。そうすれば、これはいわゆる公有林野の整備のための金というようなこととはちょっと違ったことになりはしないか。こう私は思うのですが、この点、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/30
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031・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 予算説明には、造林資金と、こううたっているようであります。私たちは、造林資金でも、民有林を考えていくのでなく、言うまでもなく、公有林を考えておるわけでございます。御指摘になりましたように、農林漁業金融公庫法、この法律の建前からいたしますと、この農林漁業金融公庫から直接市町村に融資できないと、こう私たちは解釈しております。といいますのは、農林漁業金融公庫法の第一条に公庫の目的を書いてありまして、農林漁業者に対し、農林中央金庫その他一般の金融機関が融資をすることを困難とするものに対して融資をするのだ、こう規定をいたしておるわけでございます。そういたしますと、農林漁業者の中に市町村が入るのだろうかどうか。もとより市町村は、相当の林野を持って造林もいたしております。しかし、私人が収益のために林業を営んでおるというのとは若干趣きが違うのじゃないか。いわゆる治山治水の管理でありますとか、あるいは県有林の造成のためでありますとか、いろいろな角度から造林を行なっておりますけれども、いわゆる農林漁業者という中には入らないのではなかろうか、こう思っておるのでありまして、これもしかし一つの認定の問題ということになるのかもしれません。その次に、農林中央金庫その他一般の金融機関の融資を困難とするものに対して融資をするのだと書いてありますが、市町村は、一般の金融機関の融資を困難とするものではないと思います。起債の許可がありません限りは融資はできません。起債の許可を受けられたら融資ができるのじゃないかと、こう思うのであります。いわんや公営企業金融公庫の設立された今日におきましては、市町村に起債が許可されない公営企業であるにもかかわらず、公営企業金融公庫が融資を困難とすることはあり得ないことだと思うのでありまして、そういう意味において、私たちは、農林漁業金融公庫から直接市町村に融資することはできないという法律解釈を持っております。そういたしますと、今、鈴木さんが御指摘になったように、農林漁業金融公庫の融資をしようとするならば、森林組合に融資をせざるを得ないので、市町村が自分の林野に造林をしたいとする場合に、森林組合に造林の仕事を委託するよりほかに方法がない、こういうことにならざるを得ないと、こう思いますが、非常にすっきりしないことでありますので、私たちとしては、今日でもなお、公営企業金融公庫から融資をしたいものと、こう思っておりますけれども、予算のいきさつもございまして、なかなか簡単には解決できないのじゃないか。そういたしますと、もう一年待たなければ私たちの念願が達成されない、こういうことにならざるを得ないのじゃないか、こういうような気持を持っているわけであります。できる限りすみやかに、今日でも、公営企業金融公庫から直接市町村に造林資金を融資できるというような方向に政府部内の話し合いを持っていきたいものと、また、そういう努力を今日においてもなお続けていきたい、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/31
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032・鈴木壽
○鈴木壽君 今お話のように、また先ほど私がお尋ねしたように、農林漁業金融公庫からはストレートに市町村には行かないのじゃないか。こういう二点から、一つは農林漁業金融公庫の今のお話の第一条の問題から、いま一つは、地方財政法の関係からいっても、私は、これはどうも、今のままではとうていそれはさばき切れない問題かと思っておりますが、そこで、そういう金がいっても、当初あなた方が考えたいろいろな団体から、市町村等から要望された、それにはまあ合わないことになってくると思うのですがね。何かあれですか。農林漁業金融公庫の方では、何かの便法でもとって市町村の方へ回す、たとえば、森林組合等に貸し付けをする。しかし、森林組合の仕事そのものは、市町村の公有林野の整備の委託とか何とか、そういうような格好をとってやる、こういうようなことまで考えておるのかどうか。そうでないとすると、これがいいのかどうか、問題があると思いますが、何かそうでないと、七億という金がいわゆる公有林の整備等のために回らないで、民有林等のそっちの方だけに使われることになりはしないかと思うのです。ですから、当初あなた方が考えて、公庫で取り扱いたいといった金が何か、形の上ではこっちへ入っていったけれども、実際はそういう目的のために使われないという結果が出てくるのじゃないか。私はそういうふうに考えるのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/32
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033・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 率直に申しまして、私たちは、今日でもなお、公営企業金融公庫から融資をしたいものと思っております。せっかく五億円の出資も受けていることだから、ぜひそういう方向に努力をしていきたいという気持は持っております。不幸にしてそれができません場合に、やはり御指摘のように、便法としては森林組合に融資をする、どうしても造林したい所は、そこに仕事を委託するということしかないのじゃないだろうか、こういう考え方がされるわけであります。しかし、その辺につきましては、今後なお政府部内の話し合いによりまして、どちらかに落ちつきを見せるということになるものだと、こう思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/33
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034・鈴木壽
○鈴木壽君 ですから、どちらかに落ちつきたいと、こういうふうにお考えになっておられる。すなわち、当初あなた方が考えられましたように、市町町が市町村の手でいわゆる自分たちの公有林の整備、特にこの場合は造林が目的だと思うのですが、そういうことのためにやりたいというお気持はわかりますが、それでは、今農林漁業金融公庫の中に入っておる七億の金の融通ができるものかどうか。あるいは、そのほかに、別に現在の公営企業金融公庫の資金のワクの中でおやりになろうとするのか。この点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/34
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035・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 公営企業金融公庫でやろうとします場合には、現在のワクの中でやる、こういうことになろうかと思います。もしどうしても農林漁業金融公庫からやるということになりますならば、御指摘のような方法しかない、かように思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/35
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036・鈴木壽
○鈴木壽君 それでは、現在のワクの中で公営企業金融公庫の手でやるとすれば、三十四年度計画の中には、そういうことが見込まれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/36
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037・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 一応、千百億円という地方債計画の中で、公募債というものを二百五十億予定いたしておるわけでありますが、百五十億が指定地方債で、百億が公営企業金融公庫の金でございます。幸い、公営企業金融公庫が百億債券を発行するほかに、五億円の出資も受けておるわけでございますので、やればやれるという気持はあるわけでございます。ただ、それを短期融通に回しますとか、あるいは借りかえ債を若干引受けるという問題もございましょうけれども、そのような余地もあるわけでございますので、やってやれないことはない、かような考え方をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/37
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038・鈴木壽
○鈴木壽君 いや、これはやってやれないことはないという理屈の上での話でなしに、実際おやりになるつもりなのかどうかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/38
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039・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 造林資金としましては、やはり低利の資金でなければ意味がないわけであります。そうしますと、公営企業金融公庫の事業書も改訂しなければなりません。そうしますと、大蔵省とも話をつけなければなりません。しかし、予算のときに、農林漁業金融公庫からやらせるのだ、こういうふうな方向に一応行ってしまっておるものでありますから、なかなか実際問題として話がつきにくいだろう、こう思っておるわけであります。どうしても話がつかない場合には、もう一年待たなければならない、こうお答えをいたしたわけでございます。しかし、努力はしていきたい。どうしてもいかぬ場合には、御指摘のような方法にならざるを得ない。こうお答えをいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/39
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040・鈴木壽
○鈴木壽君 私は、今のお答え、率直なお答えでございますが、一たん農林漁業金融公庫の中に入ったものを、さらに今度は、公営企業金融公庫の方でもまた造林のための資金を取り扱うというのは、なかなかこれは、両方からやるというのはむずかしい段階に来てしまったんじゃないかと思うのです、実際問題としまして。おそらく、当初農林漁業金融公庫の中に入れる場合にはそういう要望にもこたえるために入れたのでございましょうから、手続の上ではいろいろ問題があると思いますが、当時はそういうつもりだったと思います。そこで、一たんそこへ入ってしまいますと、今申しましたように、今度は、そっちにもあるこっちにもあるという形では、私、会計支出というものはむずかしいと思うのでございますが、これは、努力をなさることだけはけっこうでございますが、見通しとしては、私は、もうこういう格好になったんでは、ちょっとむずかしいのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/40
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041・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 農林漁業金融公庫に出資金が七億ついているわけでございますけれども、民有林の融資部分もございますし、また、公有林の融資分もあろうと思っております。全額が公有林だという話は聞いていなかったのであります。正確な話じゃございませんが、四億円ぐらいのものを公有林の関係というような話が出ておったことがございます。どちらにしましても、農林漁業金融公庫法の法律を改正いたしません以上、私たちは、市町村への融資はできないものだと、こう解釈いたしておるわけでございます。そうなりますならば、やはり、もともと公営企業整備のために公営企業金融公庫というものが設立されておるわけでございますので、時期は若干おくれるけれども、結局法の建前のところへ持っていけるものだ。ことし、三十四年度から発足されるということはあるいはむずかしいかもしれません。しかし、かりに三十四年度でできなくても、三十五年度からでも、ぜひそういう方向に持っていけるようにいたしたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/41
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042・鈴木壽
○鈴木壽君 この問題、こういう格好で、私どもからすれば、どうもすっきりしないと思う。何も公営企業だけをひいきして言うという意味じゃなしに、やはり公共団体が自分の仕事としてやることですから、やっぱり筋の通ったような出し方、特に、あなたもお話がありましたように、私も申し上げましたように、今の農林漁業金融公庫法の第一条からいっても、あるいはまた、現在の地方財政法の五条なり、あるいは施行令等の関係からしても、どうもこれは簡単でない問題だと私は思うんです。ですから、そういうことをやっぱりすっきりするような形で一つ解決のために御努力願いたいと思うんです。そうでないと、何のためにこういうふうな金をやったのか、わけがわからぬということになると思う。お話のように、大体七億のうち四億を公有林の方に振り向けたいといっても、じゃ一体具体的に、公有林のいわゆる経営主体者、まあ名前はちょっと変だと思うんですが、市町村にどういう格好でやっていくのかということまではっきりしないような形であるとすれば、私、変なものじゃないかと思うんです。森林組合に委託をするといっても、事情に沿うたそういうことができるかどうかということも私は問題があろうと思いますから、この点、今も申し上げましたような点から、一つすっきりした格好で、できれば、話し合いがつくならば、かりに四億でも五億でも、少なくとも来年度からは、こっちの方に一部引き揚げても、こっちの方で取り扱うんだというような形にした方がいいのじゃないかと思うんですから、その点一つこの問題につきまして、要望みたいなことになりましたけれども、あなた方もそういうふうにお考えになっていらっしゃるようでございますから、特にこの点申し上げておきたいと思います。これは、地方財政法違反にもなりますし……。
それから、ほかの問題ですが、現在、地方の団体のいわゆる公募地方債というものですね。これの状況はどうなっておるのか。それから、前からいろいろこの公庫での借りかえの問題が強く要望されておりましたし、また、するようにしたいと、こういうふうにおっしゃっておりましたから、こういう点の状況もあわせて一つお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/42
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043・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 御承知のように、三十四年度の地方債計画といたしましては千百億、そのうち政府資金以外のもの二百五十億、二百五十億のうちわけは、公営企業金融公庫の分と指定地方債の分とだけでございます。しかし、状況によりましては、縁故募集の公募債というようなものも認めていってよろしいのじゃないだろうか、こういう考え方でおるわけでございます。しかし、この計画の中にはそれは入れていないのでございます。なお、借りかえの問題につきましては、公営企業金融公庫でもできれば若干でもやっていきたいと、こういう気持を持っておるわけでございますし、また、それだけの資金もあるわけでございますので、特に必要なものにつきましては、若干でもそういう方向に振り向けていきたいという希望を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/43
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044・鈴木壽
○鈴木壽君 この問題について、公庫が発足する当時からいろいろ論議された問題でもありますし、また実情も、ぜひそういうふうな取扱いをしなければならぬというふうな段階になっているのじゃないかと思うのです。これは、今お聞きしましたように、現在のところ公募地方債の状況がどうなっておるか、私全然つかんでおりませんから、これはあとで、府県、市町村分二つぐらいに分けて、あるいはそれを一般会計と公営企業会計と二つぐらいに分けて、あとでお知らせ願いたいと思いますが、ともかく私は、的確な数字はつかんでおりませんが、地方の相当大きな問題になっておりますし、また、利息も大へんな負担になっていると思うのです。だから、こういう問題を解決する一つの方法として、幸いこういう公庫ができるだから、何とかここで借りかえの措置を講ずべきであるということが、三十二年のこの法案ができるときにも、それから三十三年の一部改正のときにも、これは衆参両方を通じての附帯決議にもなっておるのです。ですから、私ども、まあ当初の計画のワクの中には入っておらなかったかもしれませんけれども、そういう強い両方の院の附帯決議もあることでございますから、何らかの形で、これは多少でもやっておるのじゃないかと思っていたのですが、今お聞きすると、全然やっておらない、これからの問題だと、こういうふうにお答えになっておられるのですが、過去のことはともかくとして、三十四年度では具体的にどういうふうに考えておられるのか。実際、今お話しのように、これからやっていきたいといっても、今の計画からすれば、私はそういう余地があまりないのじゃないかというふうにも思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/44
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045・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 借りかえに応ずるようにいたしまするには、それだけの資金量を確保いたさなければならないわけでございまして、資金量の確保につきまして、なかなか地方財政の状況に応じて十分な額を得るということが困難なものでございますので、思い切って借りかえ債について積極的に応じていくのだという態度に出られないことは遺憾だと思います。先ほど申し上げましたように、公庫から融資できます資金量が百四億円弱でございます。一応計画には百億円をあげているわけでございます。従いまして、その間の余裕をもちまして、借りかえにも応ずることが可能であると、こう思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/45
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046・鈴木壽
○鈴木壽君 今年の公庫のこの金のワクを見ますと、今お話しのように、昨年よりふえて、八十億から百億、まあ実際は一〇三・七五億ですか、その程度であるようでございますが、そうすると、百億と計画するのだが、百四億ちょっと足らない数字でございますけれども、多少余裕があるから、これでもって一時公募地方債の借りかえの一部に充てたいと、こういうお話なんでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/46
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047・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/47
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048・鈴木壽
○鈴木壽君 どうも三億か四億で、これはまことに少い額だと思うのですが、もっと何とかならなかったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/48
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049・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 政府保証の債券発行を多額にできます場合には、それが可能なんでございますけれども、三十二年発足当時の七十億円、三十三年が八十億、三十四年が百億と、それでも若干ふえて参っておるわけでございます。地方財政の資金需要が非常に多いわけでございますから、やはりできますならば、積極的に事業資金の方に向けて参りたい、さらに余力をもって借りかえ債に応じていきたい、こういう立場に立たなければならぬので、御指摘のようなことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/49
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050・鈴木壽
○鈴木壽君 今の地方団体の資金の需要の面からしますと、私は、やはり百億かそこらでは、これはなかなか大へんだと思うのです。ですから、この債券の額をふやすということが私どもは先決問題じゃないかと思うのです。わずかに、三十四年度の三億七千五百万円という、いわばちょっとした余裕みたいに見える金を当てにするということも、今の状態では私やむを得ないのだろうと思うのですが、ただ、私申し上げますのは、先ほども申し上げましたように、当初から、この問題については、実は衆参両院とも強く要望しておられることだし、やはりその資金の増額等においてもそういう点も考慮して、これは今後強くやってもらわないと、せっかく意見なりあるいは決議をつけた、しかし依然として、これはいつもほかにもあることですが、これでは私どもはおもしろくないと思うし、単に私どもがここで決議をつけたとか何とかということだけでなくて、地方はやはりこの問題について困っている。これは、今さら私から申し上げるまでもなく、十分御承知だと思いますが、資金の需要もさることながら、従来もこういう問題のために相当財政圧迫をこうむっているというのが地方団体の実情だと思います。そういう面からいって、何とか三十四年度中にこの問題についてもう少し前進できるような方途が講じられないものかどうか。ここら辺の見通し、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/50
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051・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 公営企業金融公庫の債券発行額を増額できますならば、そういうことも可能になって参るわけでございますが、何分公庫が発足してまだ三年でございますので、債券になじみができておりませんために、消化につきましても、急激に大幅に広げられないという問題があったりいたしまして、むずかしい問題だと思っております。しかし、その方向に期待に報いるように努力いたしたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/51
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052・鈴木壽
○鈴木壽君 公募地方債の問題はその程度にしますが、これも昨年法改正のときにだいぶ問題になった。たとえば、この委員会と大蔵委員会との間にいろいろ意見の違いもありましたし、また、自治庁と大蔵当局との間にも意見の違いがありました一時借り入れの問題、これはその後どういう状況ですか。大蔵省なり、国会では大蔵委員会なりの強い反対の意向があったものを修正をして、一時借り入れができるということにしたわけなんですが、そうなったあとの状況はどういうふうになっているか。もしできたら一つ数字的に、資料でも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/52
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053・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 短期融資をします場合には、これは、従来の公営企業金融公庫の業務方法書を改正しなければならないわけであります。この業務方法書の改正について、率直に申し上げますと、自治庁と大蔵省当局との話がつきませんでした。しかし、幸いにして先般ようやく話がつきまして、短期融資ができるという公営企業金融公庫の業務方法書を両者ともに承認することになったのであります。そうしてその施行を三十四年度から、こういうことにいたしておりますので、三十四年の四月一日以後におきましては、公営企業金融公庫において短期融資もしていくことができるというふうになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/53
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054・鈴木壽
○鈴木壽君 どうもお話が、私どもが蔭で聞いていることと同じことなんですが、その法律で、かりに大蔵省がどの程度不服であったかわかりませんが、ともかく今法律ができて、その後その法律のために必要な方法書を、何と言いますか、改めることさえどうのこうのと言っては、これはまことに不異議なことだと思いますが、それじゃ、それはいつごろ話し合いがつきましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/54
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055・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 話を持ち出しましたのは、私は去年の夏だと、こう聞いております。話し合いのつきましたのは、十日ほど前のようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/55
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056・鈴木壽
○鈴木壽君 どうですか。こういうような問題、おかしいではありませんか。一つ今、事務当局ではなしに、黒金さん、どうもこれはおかしい問題だと思いますね。昨年の三月でしたか、四月でしたか、この法律の改正ができたのは。三月二十七日に通っているのです。その後話し合いを始めたのが少しおそいんですね。それにしても、一年もたって話し合いがついたというのはまことにおかしい話だと思いますが、何か黒金さんもある程度御折衝なされたのじゃないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/56
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057・黒金泰美
○政府委員(黒金泰美君) 私は折衝いたしておりませんので、つまびらかでございませんが、考え方といたしましては、まことに鈴木さんのお考えと同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/57
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058・鈴木壽
○鈴木壽君 そうすると、三十四年度からは短期融資の道もはっきりできると、こういうことですね。大体あれでしょうか。これは予想しかできないと思いますが、そのときの資金の状況にもよると思うのですが、どの程度考えていられるか。あまりぼんやりしたような聞きょうでございまして、恐縮ですが、今までにも多少あったのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/58
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059・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 今までは、法律上できなかったのでございます。国会修正で、一時借入金にも応ずることができるということになったのでございます。なお、短期融通いたしますのは、一応三ヵ月間に切りまして、そしてなお必要のある場合には、二月以内の期間を限って借り入れをやることができるというような業務方法書にいたしたわけでございます。今後どの程度公営企業の側から短期融通の要望が出て参りますか、その程度がわかりませんので、幾らという金額をここで具体的に申し上げるのは困難ではないかと、こう思っております。しかし、できる限りそういう要望に応じ得るような資金繰りを考えればよろしいのではないかと、こう思っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/59
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060・鈴木壽
○鈴木壽君 いわば表面切っての短期融資というような格好でなくとも、ちょっと起債の前借りみたいな格好でも、そういうような形でも処理しておられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/60
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061・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 公庫法に起債の前貸しの規定は入っていると思います。ですからこれは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/61
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062・鈴木壽
○鈴木壽君 いや、もちろんそれとこれとあるのだが、そういうよような形において何か取り扱ったという、正式のいわゆる短期融資ということでは全然やっておらないと、こういうことなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/62
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063・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/63
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064・鈴木壽
○鈴木壽君 一つ課長さん、昨年だったと思いますが、各団体の一時借り入れに関する調べをいただいておりますが、これは三十一年度、それから三十二年度上期のやつをいただいておりますが、そういうような資料ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/64
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065・山野幸吉
○説明員(山野幸吉君) 最近のやつはまだ作っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/65
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066・鈴木壽
○鈴木壽君 そうですが。これはまあくどいようですが、やはり地方では、この問題に相当頭を悩めておりまして、利息も高いし、中には九分ぐらいの金、あるいは九分以上の金を借りているところもずいぶんあるのです。特に市町村では、一体に利息は高いようでございますから、そういうような問題もこれは一つ、全部とはもちろんいいかねると思いますけれども、できるだけ公庫でめんどうを見てやるというような方法に、一つぜひともやっていっていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/66
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067・占部秀男
○占部秀男君 関連。貸付の方面で、関連してお伺いしたいのですが、三十四年二月現在の貸付の調べを見ますと、主として水道、電気や港湾関係に貸付が行われておるのですが、市場あるいは屠畜場ですね。こういう関係の貸付が非常に少いように感ぜられるのですが、これは、何かやはり向うの方から要求が少いのでありますか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/67
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068・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 公営企業で一番大きなのは、何といいましても電気と水道でございます。なおまた、屠場などは、数もごくわずかなものでございますけれども、できる限りこういうものについては政府資金を融通していきたい、低利の資金を貸し付けたい、こういう考え方で運用をいたしてきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/68
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069・占部秀男
○占部秀男君 それから、今、相当公営企業という形で困っているのは病院関係なんですね。相当困っているのですが、病院関係などを見ても、これは十一億ばかりになっておるのですけれども、これは、やはり病院関係の要求というものが現在少いからこういう形になっておるのですか。どうも、県立やあっちこっち行ってみましても、相当もうこの問題は困っておるように、これは今、資料がないから言えないのですけれども、概括的に見て、どこへ行っても、借り入れの方面で困っておるということを聞いておるのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/69
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070・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 病院関係の起債で困っておるという問題は、おそらく三十三年度において、一般地方債の病院に向けるものを減額したことから起っておる問題じゃないかと思っております。減額いたしましたのは、厚生年金還元融資の方で約四十億円程度を病院にもっていくということになっておりますので、従って、一般地方債のワクをそれだけ押えたわけでございます。ただ、還元融資を受けられるところと、受けられないところとございますし、一般の地方債を予定しておりますところが、厚年の資金に振り向けることも困難だという問題も若干あったのではないか、こういうふうなことも心配いたしておるわけでございます。たまたま三十三年が切りかえの年でございましたので、そういう混乱も一部に起ったのではないかと心配をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/70
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071・鈴木壽
○鈴木壽君 公庫の公募債のワクですが、来年度は百億ということになるわけですが、年々七十億から八十億、今度は百億というふうにふえてきておることはけっこうですが、ただしかし、今の地方財政計画の中の公募債の二百五十億というようなものからしますと、ワクは、これはもっとふやさなければならぬと思うのですが、めどとしてどの程度まで、年々公募債のワクは、これは動くことでございましょうが、これは動くかもしれませんが、全部の公募債地方財政計画における少くとも公営企業会計分については、この公庫で取り扱うようにできないものかどうか。そういうふうにすべきじゃないだろうかと思うのですが、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/71
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072・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 公営企業金融公庫法の建前の問題もございますけれども、私たちは、やはり公営企業につきましても、金融機関が必要でございますので、全面的にこの機関がその方面の融資を担当するように持っていきたいという考えを抱いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/72
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073・鈴木壽
○鈴木壽君 従って、来年度の公募債地方財政計画にありますところの公募債二百五十億のうち、純公営企業分として四十八億、それから公営企業会計分として二百二億というふうに分けておるようですが、この二百二億の分の大部分については、できれば公庫でまかなえるようなふうに持っていくべきじゃないだろうかと、こう思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/73
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074・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 御指摘のように、できる限り公営企業金融公庫の債券発行を多くしたい。指定地方債の分を若干少くしましても、公営企業金融公庫債の方に持っていきたかったのであります。しかしながら、政府保証の問題もございますし、従来からの経緯の問題もございまして、一挙に多額の増額をはかるということができなかったような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/74
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075・鈴木壽
○鈴木壽君 来年度は、百三十億か百五十億くらいにふやすというようなことを考えておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/75
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076・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) できる限りたくさん公営企業金融公庫の債券発行によって資金を集めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/76
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077・鈴木壽
○鈴木壽君 それからいま一つ、改正法の中の今度の改正は、出資の分と、それから理事長を総裁に改めるという二つの点だろうと思うのですが、やっぱり理事長は総裁にしなきゃならぬものですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/77
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078・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 金融公庫と名のついたものは、全部総裁という名称を用いているようです。それと同時に、発足したときは、若干規模も小さいというようなことで、理事長しておっても、一、二年たって基礎が固まって参りますと、総裁というふうに、名前を改正する例になっておるようでございまして、そういうことに従いまして、今回改正案を提案をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/78
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079・鈴木壽
○鈴木壽君 別に法的にどうのというのではないでしょうね、もちろん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/79
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080・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 他の公庫の立法例にできる限りならいたい、こういう希望を持ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/80
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081・鈴木壽
○鈴木壽君 何か、理事長が総裁になれば、取扱いその他に違いが出てきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/81
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082・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 取扱いと言われると、ちょっとわかりにくいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/82
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083・鈴木壽
○鈴木壽君 処遇上の問題についても、たとえば給与の問題あるいはその他の何かの格付けか何かあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/83
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084・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) どちらかといいますと、政府関係機関でも、特別な部門を担当した、規模の小さいものが理事長という名称を用いるように見受けられます。従いまして、公営企業金融公庫がだんだん整備されて参りますと、総裁という名称にすることによってその辺のけじめがつくのじゃないか、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/84
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085・鈴木壽
○鈴木壽君 これは、名前だけの問題だといえばそれまでですが、何か大してこの名前になって偉くなるのでもないだろうし、あまり規模の大きい公庫だと思いません。ですから、私ども受けている感じからしますと、総裁というものは、やっぱり何かどこか大きな公団なりあるいは公庫なりの、そこでどんとかまえておるような人というふうにすぐ連想するわけなんですが、いわば地方の資金についてお世話する、それもたかだか百億程度のこういう公庫で、総裁でなくちゃならぬ、どうも他の金融公庫とのつり合いがとれぬというふうにお考えのようですけれども、何もそんなにつり合いをとって、肩書きだけ、実のあるものであるならばともかくですよ。理事長が総裁になったからといって、大したことじゃないと思うので、むしろ理事長として小じんまりやっておった方が……人の問題になるので恐縮でございますけれども、そういう意味ではございませんけれども、変な考え方じゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/85
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086・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 公庫という名称を用いております政府関係機関は、全部総裁という名称を用いているわけでございます。ただ、発足いたしましたときは理事長にする。そうして数年して総裁に切りかえるというような一種の慣例があるようでございまして、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業中央金庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、いずれも総裁でございます。昨年できました中小企業信用保険公庫が理事長、これと公営企業金融公庫だけになっておりまして、公営企業金融公庫も、従来から、政府部内の話し合いでは、適当のときに総裁に切りかえようという話し合いができておりまして、そういう従来からの関係なりほかの機関との名称の統一等の関係から、今回改正を提案さしていただいたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/86
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087・鈴木壽
○鈴木壽君 つり合いというような点でしょうし、慣例からしてということでしょう。深い意味はないと思いますが、私もさしたる重大な問題だとは思わないけれども、何か受け取る感じは、どうも総裁でなくちゃならぬという積極的の理由もない。理事長は理事長で済むと思うので、むしろ問題は、仕事をどの程度よくやってくれるかということにかかわっておることなんですね。昨年だったかと思うのですが、参議院の大蔵委員会でなかったかと思うのですが、何か政府のこういう機関にすぐ総裁という名前をつけるのはおかしいじゃないか。今後あまりそんなものをふやさないようにしたいということを答弁したという記憶が私あるのですが、何かはかとのつり合い、何か総裁は総裁として並べるような、そういうような機会、理事長と総裁をやっぱり差をつけて取り扱うような、そういうような機会があるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/87
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088・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 先ほど総裁にしておる金融機関の名前を申し上げたわけでございますけれども、逆に言いますと、金融公庫だけなぜ理事長にしておかなければならぬか。こういう問題になりまして、例外的にこれは残っておるものですから、総裁という名前に改めた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/88
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089・鈴木壽
○鈴木壽君 理事の方の集まりで、理事の長であるから理事長だと、これは積極的な理由があるのです。何ゆえに総裁という、何だかわけのわからぬような、時代めくような名前をそこに持っていかなければならぬか、これはおかしいのです。今私がこの問題を目くじらを立ててここで論議するほどの問題ではないのですが、しかし、何かこういう機関に対する、あるいは人事に対する考え方に、いかにもそんなような変な考え方があるのじゃないだろうか。理事があり監事があり、ここの中で理事が三人ですか、四人ですか、その中の理事長である。これはれっまとした社会通念上の役職です。何もはずかしくないそれだと思う。それを、何かわけのわからぬ総裁にしなければいかぬということは、それによって何かの待遇上の問題なり、あるいは名前からよって来るところの何かの外部的なそういうものがあるとするならば、これはやむを得ないと思うし、また、そうしなければならぬ場合もあると思うのですが、俸給はどうでしょうか。これは上るのですか、上らないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/89
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090・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 待遇は、別段変更はございません。金融公庫関係の集まりもいろいろあるだろうと思います。その場合に、皆さん総裁であるのに、一人だけが理事長というのはおかしいし、また、その方が公庫の信用の上においてもいいのじゃないか、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/90
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091・鈴木壽
○鈴木壽君 これは、有能な理事長がおられますから、信用問題では私はないと思う、名前によって信用するしない、そんなに、いわば一つの政府機関であって、そこのいわば上の責任者としてある人なんですから、何も外部的な信用の問題でもないし、お聞きすると、俸給も何も上らないという。私はまた、総裁になるために二万円も三万円も格上げしてくれるというのなら、これは反対しません。これは、地位のために金が入ってくるというのであれば……これはそう何も実質的なあれがないのに、ほかのほうがあれだから、ここだけはおかしいと、こういうふうなことは変じゃないかと思うのですが、一つあと関連があるようですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/91
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092・占部秀男
○占部秀男君 この問題はどうしても出さなくちゃならぬのですか、率直に言って……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/92
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093・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) これは、昨年来の実は懸案でございまして、昨年は予算書が改まっていないからということで、ことしに延びて参ったわけであります。予算書も総裁というふうになっておるわけでございますので、ぜひこの改正を御了解願いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/93
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094・占部秀男
○占部秀男君 どうも、公庫のこれは機構の上から、職員の人数の上から言うのではないのですけれども、二十二、三人か二十四、五人の人数のところで、何か総裁というようないかめしい形は、どうも率直に言っておもしろくないと思うのですがね。特に相手方は公共団体に対する金融関係という形になるので、私は、むしろ理事長でいいのじゃないか。特に、さっき鈴木さんも言われましたけれども、大蔵委員会では、政府の答弁として、今後総裁というのは、むやみに総裁々々といって、何もかも、ちんどん屋じゃないけれども、総裁ということになったのではまずいから、総裁はふやさないようにしようということで、責任ある政府の大臣が答弁しておられるわけです。これは、この場合総裁というのは、理事長の現状のままでいかれるというような考え方にはならぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/94
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095・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) さっき私、政府関係機関を読み上げたわけでございますけれども、そのほかに日本開発銀行、日本輸出入銀行、日本専売公社、日本国有鉄道、日本電信電話公社、これら政府関係機関は、みな総裁という言葉を使っておるのであります。これらの総裁という言葉が他の言葉に改められますならば、それを一つの契機として……全部こういう総裁という言葉になっておりますのに、同じ政府機関であります公営企業金融公庫だけが理事長という名前では、何か別のものだという感じになりますので、ぜひ統一さしていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/95
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096・成瀬幡治
○成瀬幡治君 事業計画でお尋ねしたいのですが、上水道関係は、これができたら相当進展するだろうと思う。進展はしていると思うが、希望に対して、ワクがあって、百パーセント応じられてはおらないようでありますが、どのくらい近い数字になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/96
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097・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) お話のは、公営企業金融公庫の問題であるといたしますれば、希望通り行っているわけでございます。ただ、水道事業をやりたいという団体の希望を全部満たしておるかということになりますと、なお私たちは増額をはかっていきたい。しかし、数年前と比べますと、画期的に水道債を増額しておりますので、非常な進捗度を見て参ってきておる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/97
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098・成瀬幡治
○成瀬幡治君 あなたの方は、一定のワクをもって、上水道はどのくらいだと、こういうふうにワクをきめておられるから、百パーセントになるのだろうと思いますが、自治体としては、実際上水道については力を入れてやろうとしておるわけですから、これは、そちらの方の比率が知りたい。百パーセントと仰せられればそれまでですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/98
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099・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 昭和三十三年度の水道の申請額が三百九十一億円でございます。これに対しまして、起債を許可しましたものが二百三十五億でございまして、充当率が六五%ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/99
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100・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これが今度百四億ほどにふえるわけですね。当時は八十億見当、今度になりますと、このパーセントはどのくらいに上りましょうか、三十四年度は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/100
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101・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 従来のものがだんだん片づいて参ってきておりますが、そういう傾向からいいますと、むしろ充当率が若干よくなってくるのではないかと、こう思います。二百三十五億が二百四十五億に、十億しかふえておりませんけれども、今申しております関係からいうと、若干充当率が上るのではないか、しかし、三十四年度の計画はできておりませんので、正確な見通しをつけることは困難でございますけれども、とにかくよくなる方向へ改善していっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/101
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102・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、百四億と八十四億だから、約二十億ふえた中で、この上水道に十億を割り当てられるわけですが、あとのものは、三十三年度の貸付状況を大体基準にされて増減があるのだというわけだが、これがおそらく基準にされて若干ふやされる傾向かと思いますが、あるいはそうでなくて、あるものについては非常に満たされてしまった、たとえば病院の方は、国民年金の方から四十億の振りかわりがあるからいいかと思いますが、ふえた二十億をどんなふうに大体割り振られておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/102
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103・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 地方債計画全体としては百億の増でございます。御承知のように、電気事業のようなものは、百五十億の計画であったものを百四十億に、十億減らしております。逆に、水道については、二百三十五億であったものを三十四年度は二百四十五億に、十億ふやしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/103
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104・成瀬幡治
○成瀬幡治君 何かこの前観光事業のことで聞いたのですが、「ロープウエイその他」というところで、旅館その他お城の改築も若干やるというようなお話も聞いたことがあるのですが、そういうことになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/104
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105・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 三十三年度におきまして、国際観光の五億円のワクの中で、名古屋城でありますとか、和歌山城でありますとか、岡崎城、熊本城、小田原城、それだけ若干地方債を許可いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/105
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106・成瀬幡治
○成瀬幡治君 それは継続事業になっておりますから、また今年も出しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/106
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107・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 率直に申し上げまして、あまり城に起債はあげたくないわけでございますけれども、幾らかは考えざるを得ないことになるのではないかと、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/107
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108・館哲二
○委員長(館哲二君) 他に御質疑はございませんでしょうか。——御発言もないようでありますから、質疑は終局したものと認めてよろしゅうございますか御異議ありませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/108
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109・館哲二
○委員長(館哲二君) 御異議がないようでありますから、質疑は結局したものと認めまして、直ちに討論に入ります。
御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べをお願いたいと存じます。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、直ちに採決に入ります。
公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/109
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110・館哲二
○委員長(館哲二君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出いたします報告書の作成につきましては、慣例によってこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議がありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/110
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111・館哲二
○委員長(館哲二君) 御異議がないと認め、さように決定いたします。
午前中は、この程度で休憩いたします。
午後零時二十八分休憩
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午後一時五十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/111
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112・館哲二
○委員長(館哲二君) では、ただいまから委員会を開会いたします。
占部委員から、自治庁長官に質疑があるそうでありますから、御発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/112
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113・占部秀男
○占部秀男君 ちょうど大臣久しぶりでおいでになったので、提出法律案の問題についてちょっとお聞きしたいのですが、この前の休会明け国会に、提出を予定されている法律案の調べという自治庁から出したものの中に、最後の末尾のところに、なお自治省設置法については検討中であるということが書かれているわけなんですが、二、三日前の新聞等で拝見したところによると、閣議の中で何かこの問題を出されて、閣議で了解されたとか何とかということがちょっと出ておりましたが、その経過をできたらお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/113
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114・青木正
○国務大臣(青木正君) 御承知のように、行政機構についての審議会、その答申もいただきましたので、政府として諮問をして、答申をいただいた以上、これに対して政府の態度をきめなければならぬと、こういう問題が当然あるわけであります。そこで、先日の閣議におきまして、これは正式決定というようなことではないのでありますが、雑談の間に、審議会の答申が出た以上、これに対して政府として何か態度をきめなければならぬのじゃないか。そこで、問題となっておりますのが、公安行政の一元化の問題、それから自治省の設置の問題、この二つの問題がまああるわけでありますが、それについての行政管理庁方面のこれまでのいきさつ等を聞いたのであります。公安行政については、なおまだ若干関係各省間で調整を要する点があるのであります。自治省設置問題については、大体話し合いはついてはおりますが、なおこれは、政府とは直接関係ないと言えばないかもしれないが、現実問題として、党のそれぞれの政調の機関があるわけでありますので、その方で検討中であるので、その検討が済めば、まあ考慮すべきではないかというような話が閣議であったわけであります。そこで、与党の自由民主党の内部の情勢を申し上げますと、きのうでありますか、地方行政部会の方の皆さん方のお集まりがあったのであります。地方行政部会にお集まりの皆さん方の御意向は、ぜひとも自治省設置法案をこの国会に提案いたしたいということで意見が一致をいたしたようでありまして、しかし、問題は行政機構の改革でありますので、これは単に地方行政部会の問題だけではなくして、やはり内閣部会、また自由民主党には、行政機構に関する特別委員会も設けられておりますので、これらの審議を待って、党としての態度をきめたい。また、政府といたしましても、そういう党の方の情勢とにらみ合せて最終的な方針を決定いたしたいと、かように存じております。
私自身といたしましては、私は、審議会の答申もあったことでもあり、また世上では、ややともすれば中央集権化のおそれがあるのじゃないかということを申しておりますが、現行の憲法において、はっきりと地方自治の本旨がうたわれており、この憲法を受けて、地方自治法が、その骨子とするところのこの法律の中には、地方自治という、地方自治の本旨ということを貫いているわけであります。そこで、憲法を改正せず、地方自治法を改正しない以上、私は現行の自治制度というものをごうまつも侵すものではなくして、むしろ私どもは、中央集権と逆な立場に立って、地方の府県なり、市町村なり、今日重大なる仕事をやっておりますので、その地方の意向を中央に正しく反映させるためには、やはり責任の所在ははっきりする必要がある。こういう意味合いからいたしまして、私自身としては、ぜひともこの国会に自治省の設置法案を提案いたしたいと、こういう考えは持っております。しかし、前段申し上げましたように、党の関係、また政府内部の関係におきまして、まだ現在検討中であるということが今までの経過であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/114
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115・占部秀男
○占部秀男君 大臣のお話で、検討中であるということはわかったわけでありますが、内容の問題については、われわれの方としても意見はあるわけですが、これは別にいたしまして、そうすると、今度のこの国会には、この問題は見通しからいって出ないと考えてよろしゅうございますか。その点、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/115
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116・青木正
○国務大臣(青木正君) 先ほども申し上げましたように、これは自治庁自体の問題というよりは、自治庁としての私どもというよりは、むしろ行政改革としての行政管理庁の問題になるわけであります。あるいは、提案は私の方でやる形になるかもしれませんが、しかし、行政管理庁が当然この問題に最も大きな発言権を持つわけであります。昨日の参議院の予算委員会におきまして、矢嶋委員の質問に対しまして、山口行政管理庁長官は、この国会に提案いたしたい方針だ、こういうことを山口国務大臣が言明いたしております。従いまして、行政管理庁側の考えとしては、この国会に提案したいという考えのもとに検討しておると、こう私は了承いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/116
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117・占部秀男
○占部秀男君 そうしますと、はっきり言って、大臣もこの法案は出したいという考え方を持たれておる。山口さんもそういうふうな方向で現在作業を進めておる。そうすると、今度の国会、今日のような状態で、もう会期も、率直に言って三月の半ばになってきておる。これは相当私は重大な法律案じゃないかと思うのですが、こういう法律案を、会期も三月の半ばになってきて、しかも、実質問題として、期間の見通しも私が言うまでもないような状態になってきているときに、早急に拙速に出すという方向が、どうもわれわれとしては、何かこの問題、もし出されたあとで大きな問題が起きて、中途半端のような形になるというようなことになったら、うちの方の党がむやみに反対したからこうだというようなことになってしまうと、選挙を控えて、われわれも非常に迷惑をするので、そういう点は、やはり長官の方としても、相当余裕のある形でこういう問題を出されるのが私は賢明な出し方ではないかというふうに考えるのですが、まだ出すと言い切られたわけじゃないのですけれども、そういう点について、今国会で拙速に出すというようなことはしなくて、やはりじっくりと、この次の通常国会なり、臨時国会もあるのですから、そういうところで出されるというような、かりにそういうような意向は長官としてはないですか。あるいは、どうしてもできれば三月、今国会に出す、こういうことになりますか。その点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/117
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118・青木正
○国務大臣(青木正君) もちろん、法案を提案いたすからには、政府としてはある程度の見通しがなければならぬことは、言うまでもないことと思うのでありますし、この問題は、国会対策の関係になってくるのでありまして、いよいよ最終的に提案するということになりますれば、当然国会対策の面からも検討しなければならぬ問題と思われております。ただ、政府といたしましては、行政制度の審議会の答申も出ておりますので、答申を得て、やはりそれに対して政府として態度をきめなければならぬ、これまた言うまでもないと思うのであります。そこで、国会対策の関係とにらみ合せまして、最終的には決定いたしたい。ただ、私個人の希望から申し上げますと、ぜひともこの国会に提案してお願いいたしたい、こういう気持を私自身としては持っておりますが、しかし、私個人だけできめる問題でありませんので、もちろん最終的にはそういう点等も十分考慮してきめなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/118
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119・松澤兼人
○松澤兼人君 これは、自治省設置だけでなくて、いろいろこういう、自治法はもちろんですが、総理大臣とあるべきところをみな直してありますね。これは、こういう法律的な手続をこの際おやりになるのですか。読みかえか何かを自治省設置法の中でうたっておいて、それで、総理大臣とあるところを自治大臣というふうに読みかえるという一条でも置いておやりになるのですか。その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/119
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120・青木正
○国務大臣(青木正君) まだ法案の内容等、私詳しく見ておりませんので、はっきり申し上げかねるのでありますが、おそらく読みかえるような形で、一方の法律で整理すると、こういうことだと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/120
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121・松澤兼人
○松澤兼人君 そういうことになりますと、これは自治庁を自治省に昇格させるというか、機構上の問題としては簡単かもしれませんけれども、しかし、今まで自治法とか、あるいは自治法関係のあらゆる地方自治に関する法律というものを、自治省設置法で読みかえの条文を一つ置いてやるということは、これは非常に、何というのですか、法律の体裁から申しましても、いずれはまあ自治法それ自体を変えなければならないことになるので、そんな読みかえでやるというようなことは、これはもう愚の愚だと思うのですがね。そういうことをおやりになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/121
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122・青木正
○国務大臣(青木正君) 立法技術上の問題でありますので、私、その方の専門家ではありませんので、はっきりしたことを申し上げかねるのでありますが、自治省設置法に伴う関係法令の整理というような格好でありますか、何かそんなような形で現在いくのじゃないかというふうにも考えております。なお、そういう点等につきましては、まだここで法案ができておるわけではありませんので、検討中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/122
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123・松澤兼人
○松澤兼人君 そこで、さっき占部君が言ったように、それは、どうせ作るならば、この四月一日から作るということは、青木国務大臣としても当然お考えだろうと思うのですけれども、そのために、せっかく地方自治法その他の地方行政に関する法律というものが体裁を整えてきているのを、自治省設置に伴う法令の改正というような、そういう変な形でやるということは、自治庁長官としてよほど考えていただかなければなりませんよ。一年くらいたちまして、そうして自治法なり地方行政に関する法律全体に手を加えるということであるなら別です。しかし、自治法は自治法として、依然として総理大臣総理大臣と、こう書いてあって、ほかの法律で読みかえれば、それはもちろんいいでしょうけれども、しかし、せっかく自治法というものをわれわれはずっと検討してここまで直してきたのを、それをほかの法律でもって読みかえるというようなことは、それはもう大臣としてはなすべきじゃないと思うのですが、そこのところは、十分考えてもらわなければならないところです。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/123
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124・館哲二
○委員長(館哲二君) それでは、これから次の問題に移りたいと思いますが、ただいままでに本委員会に政府提案で付託されております法律案のうち、消防組織法の一部を改正する法律案と地方税法の一部を改正する法律案につきまして、まだ説明を聞いておりませんので、この機会に説明を聞くことにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/124
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125・館哲二
○委員長(館哲二君) 御異議がないようでありますから、順次説明を聞くことにいたしたいと思います。
まず、消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/125
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126・青木正
○国務大臣(青木正君) 今回提案いたしました消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由並びにその内容の概略を御説明いたします。
消防組織法の一部を改正することにつきましては、先に消防審議会の答申もあり、また、従来より消防制度に関しまして問題となっておりました事項につきまして種々検討いたしました結果、政府といたしましては、これが改善強化をはかるべく今回成案を得ましたので、ここに提案いたした次第であります。
以下、この法律案のおもなる内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、この法律案では、国及び都道府県の消防に関する組織、権能の合理化をはかり、国、地方を通じて緊密な協力と一貫した行政が行われることが必要でありますので、まず、国につきましては、国家消防本部に消防大学校及び諮問機関として消防審議会を付置いたしますとともに、消防研究所の所掌事務を明確にいたしました。次に、都道府県につきましては、市町村の有効適切な消火活動を期するため、その所掌事務として、市町村が作成する火災防ぎょ計画の指導を新たに加えることにいたしました。
第二に、市町村消防の自主性を尊重し、その運営の円滑化について配慮すること及び市町村消防の合理化に資するための勧告、指導または助言を行う上に必要な資料の提出を求めること等について規定を整備して、国、都道府県、市町村相互間の関係を明らかにいたしました。
第三に、消防行政及び消防活動の重要性にかんがみまして、消防長の任用資格を政令で定める期間消防事務その他の行政事務に従事した者または消防大学校で行う消防長として必要な教育訓練を受けた者といたしました。
第四に、消防団長の職務を明確にいたしまして、市町村の消防の充実と合理化をはかることにいたしました。
第五に、その他字句の修正、規定の整備をはかることにいたしました。
以上がこの法律案を提出いたしました理由とその内容の概略であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/126
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127・館哲二
○委員長(館哲二君) 次に、地方税法の一部を改正する法律案について、提案の理由を聴取することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/127
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128・青木正
○国務大臣(青木正君) 地方税法の一部を改正する法律案について、その提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
現行の地方税法の徴収に関する制度は、ほとんど明治時代に定められたままで、若干の部分的な改正が加えられたにとどまっているのでありますが、わが国の経済、社会の発展状況から見、また、戦後の税制改正による租税体系のはなはだしく変化した実状等にかんがみまして、国税及び地方税を通じて全面的に再検討すべきことが、従前から強く要望されていたのであります。このような事情から、政府は、昭和三十年に租税徴収制度調査会を設け、租税徴収制度の改正について意見を求めたのでありますが、同調査会から昨年十二月、三ヵ年にわたる慎重な審議の結果答申がなされたのであります。政府は、この答申に基き、国税については、国税徴収法を全面的に改正することとし、すでに本国会にその改正案が提案されておりますが、地方税についても、これに準ずる改正を行うこととし、この法律案を提出した次第であります。
以下、改正案の内容について御説明申し上げます。
御承知のように、地方税の徴収につきましては、一般的な事項は、総則中に規定し、滞納処分に関する手続については、原則として、国税徴収法に規定する滞納処分の例によるが、各税日ごとに所要の事項を規定しているのでありまして、改正案においても、この方法をそのまま踏襲することとしております。従いまして、改正案の内容は、総則の部分と各税目にわたる滞納処分関係の二つに分れております。
総則の改正部分のおもな内容といたしましては、第一 租税徴収の確保、第二 私法秩序の尊重、第三 徴収制度の合理化の三つをあげることができます。
第一は、租税徴収の確保に関する事項であります。
地方税は、地方団体の財政需要をまかなう基盤をなすものでありますから、その徴収を確保する必要があることは言うまでもなく、また、地方税として住民に賦課されたものを確実に徴収することは、租税負担の公平な見地からも最も重要なことであります。このような観点から、この改正案におきましても、従来通り地方税の私債権に対する優先権を認めるとともに、徴税機関による自力執行権を維持することといたしております。
第二は、私法秩序の尊重に関する事項であります。
すなわち、一方において、租税の徴収を確保する必要があると同時に、他方において、私法秩序を尊重し、個人の権利を不必要に不安に陥れないように十分配慮すべきであることは言うまでもなく、このような観点から、私法秩序の尊重と租税の徴収の確保との要請の調整をでき得る限りはかることとしたのであります。
その一は、質権または抵当権と租税との関係に関する事項であります。現行制度においては、質権及び抵当権によって担保される債権は、その設定時期が地方税の納期限より一年以上前であるものに限り、地方税に優先することになっているのでありますが、これを改めて、地方税の法定納期限以前に設定されたものは、地方税に優先することとしたのであります。この改正により、抵当権者等がその抵当権等の設定のときにおいて予測できない租税の発生により不測の損害をこうむることを防ぎ、取引の安全をはかったのであります。さらに、これに関連いたしまして、質権、抵当権の証明方法につきましても、現行の公正証書による証明を必要とする制度を改め、登記登録のある抵当権等は証明を必要とせず、その他のものについても内容証明郵便による証明等によることとし、株式その他有価証券に対する質権については、その事実の証明で足りるように措置することにしたのであります。
その二は、先取特権及び留置権と租税との関係に関する事項であります。先取特権及び留置権につきましては、従来は、地方税の徴収に際して何らの保護も加えられていなかったのでありますが、私法秩序を尊重する見地から、質権及び抵当権との権衡を考慮して、それぞれの地位に応じた適当な保護を加えることといたしたのであります。
第二は、徴収制度の合理化に関する事項であります。
その一は、徴収の緩和措置に関する事項であります。
災害や疾病等の理由で税金を納めることが困難な場合に認められる徴収猶予は、従来は一年間に限って行われていたのでありますが、事情によっては二年まで延長できることとし、また、滞納処分の執行猶予の制度につきましては、換価処分の猶予と名称を改め、大幅にその要件を緩和し、従来事実上の猶予ないし納付誓約として行政的に処理されておりましたものについても、原則として、換価処分の猶予を適用することとして、納税者の権利の保護をはかることとしたのであります。
その二は、譲渡担保及び仮登記によって担保される債権と地方税との調整に関する事項であります。
前に述べました通り、抵当権等によって担保される債権に対し、租税の優先徴収権を制限することとした反面、経済的実質において抵当権等と同一の性質を有する譲渡担保によって担保される債権につきましては、抵当権等によって担保される債権と同様に扱うこととし、譲渡担保の設定が法定納期限後に行われた場合に限り、譲渡担保設定者の租税をその譲渡担保の目的となった財産から徴収することができる措置を講ずることとしたのであります。担保の目的でされている仮登記についても同様であります。
その三は、担保権付財産の譲渡と地方税との調整に関する事項であります。すなわち、抵当権等が設定された財産が譲渡されたときは、その譲受人の地方税は、常に抵当権等に劣後することとする反面、財産の譲渡による地方税の回避を防止するため、地方税に劣後していた抵当権等が財産の譲渡という偶発的なことにより利益を受ける部分については、抵当権者等から譲渡人の地方税を徴収することができる措置を講ずることとしたのであります。
その四は、法人の形態を利用する等第三者の地位を利用する地方税の徴収の回避を防ぐために、従前から同族会社、財産譲受人等に対して行われていた第二次納税義務制度を整備合理化するとともに、実質課税が行われた場合等にも、この第二次納税義務制度を拡充することとしたのであります。
その五は、地方税についても、国税徴収法改正法案と同様に、民事訴訟法の仮差押に準じた保全差押の制度を設け、地方税の徴収を確保できるよう措置したのであります。
その他、地方税法中、徴収関係規定の整備合理化をはかることといたしました。
各税目にわたる改正のおもな内容は、滞納処分に関する事項であります。地方税の滞納処分手続につきましては、従来通り国税徴収法の規定の例によることといたしておりますが、地方税法自体に定められている事項については、滞納処分手続の合理化と第三者の権利保護をはかるため、督促制度、異議申立の期間、第三者の占有する差押動産等の搬出及び換価の制限等について所要の改正を行うことといたしました。なお、その例によることとしております国税徴収法改正法案の滞納処分手続においては、第三者の権利の保護をはかり、差押禁止財産の合理化、特に給料等の差押禁止範囲の合理化を行い、その他滞納処分手続の整備をはかろうとしているものであります。
以上が、地方税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/128
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129・館哲二
○委員長(館哲二君) 本案に関する詳細説明を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/129
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130・大村襄治
○説明員(大村襄治君) 御指名によりまして、地方税法の一部を改正する法律案の要綱の御説明を申し上げたいと思います。お手元に差し上げております法律案の要綱の順序に従って、要点を御説明申し上げたいと思います。
第一の「方針」でございますが、その一、「地方税徴収制度の合理化を図るため、私法秩序の尊重と地方税徴収確保の調整を図ることを基本とし、国税徴収法の改正と対応して地方税法の関係部分の改正を行うものとする」。これは、先ほど大臣が申し上げました提案理由の説明にもございますように、国税徴収法の改正案が今回国会に提案されることに対応いたしまして、地方税法の徴収関係の部分を改正いたそうとするものでございまして、その趣旨は、私法秩序の尊重と、地方税徴収確保の調整をはかるということを主眼としているものでございます。
第二番目は、「地方税徴収に関する現行地方税法の体系を維持するものとし、滞納処分手続については、従前どおり国税徴収法の例によるものとする」。これも提案理由の説明にありました通り、現在地方税法の内容が、初めに総則の規定がございまして、それから二十三の税目にわたる各税目についての規定があるわけでございますが、今回、徴収制度の部分を改正いたそうとするに当りまして、まず、総則の中の必要な部分は改正することにいたしておりますが、各税の方におきましては、滞納処分手続自体につきましては、国税徴収法の例によるという従来の建前を維持することにいたしておりますので、その実質的部分につきましては、国税徴収法の改正が行われれば、その部分がそのまま地方税の滞納処分手続についても適用されるというようにいたしまして、国税徴収法の滞納処分の章に上っております規定は、わざわざこちらでは書かないで済ます。しかし、滞納処分に関係のある規定におきましても、従来から地方税法の各税目の中にある規定につきまして、今回の改正により改正する必要がある部分に限りまして改正を加える、そういうような改正のいたし方をしておるわけでございます。
次に、内容のおもな点でございますが、要綱の「要領」というところに、大きく分けまして十項目ほど上っております。内容が法律技術的な問題もございますので、全部申し上げますと、非常に時間がかかろうかと思いますので、要綱に上っております大きな柱につきまして、要旨を御説明申し上げたいと思います。
その一は、「地方税は、原則として、他の公課及び私債権に対して優先して徴収する。」ものとする。これは、申すまでもなく、地方税は地方財政の裏付としまして非常に重要なものでございます。従来から、原則として他の公課及び私債権に対して優先するという建前をとっておるわけでございますが、今回の改正におきましても、この建前は維持することにいたしております。これを条文で申し上げますると、改正法案の十四条にその事柄をはっきり書いてございます。
その次に、これは私債権との調整の関係で重要な点でございますが、「地方税の法定納期限以前に設定された抵当権又は質権に対しては、地方税を優先して徴収しない。」これは、提案理由にもございましたように、従来質権及び抵当権と地方税との関係につきましては、地方税の納期限より一年前に設定された場合には、私債権であります抵当権または質権により担保されている債権が、平たく申し上げますれば、税に優先いたしますが、その後に設定されたような場合には、税の方が優先するという建前になっておったのでございますが、租税徴収制度調査会の方の慎重なる検討の結果、一年前というものをはずしまして、法定納期限以前にこれらの私債権が設定された場合には税に優先する、平たく申し上げますると、租税があるということがわからないような状態でこれら担保付債権が設定された場合には、その方を払う。法定納期限後であって、租税があるということがわかり得る状態のもとに設定された場合には、これは、租税の方が優先するのが最も正しいあり方であると、こういうふうな結論が出ましたので、それを法文化して、改正案で申し上げますると、十四条の九、十四条の十というところにこれらの規定を設けておるわけでございます。
第三番目に、「抵当権又は質権が設定された財産が譲渡されたときは、譲受人の地方税は、その抵当権等に対し、優先して徴収しないこととするとともに、その抵当権等が譲渡人の地方税に劣後するものであったときは、財産の譲渡による租税の回避を防ぐため、当該抵当権等から譲渡人の地方税を徴収する措置を講ずる。」これは、やや技術的になっておりますが、従来、この抵当権または質権が設定された財産が譲渡された場合の法律的な扱いが必ずしも明確でなかったのでございます。古い判例におきましては、財産が譲り渡された場合におきましても、納期との関係で優先関係をきめるというふうになっておったのでございますが、最近の最高裁の判例等におきましては、現在の法律の規定が適用されるのは、譲渡人の財産について設定された租税との関係だけであって、譲り渡し後に対してまで及ぶのはおかしいと、こういうふうな判例も出て参りまして、その関係を明確にする必要が生じたのでございますが、租税徴収制度調査会の答申におきましては、譲受人の租税が譲渡人の財産に設定された抵当権に勝つというのはおかしい。その場合には、やはり抵当権の方がむしろ税に優先するのだ、こういうふうな答申が出たのでございますので、こういう場合におきましては抵当権等が譲受人の地方税に対して優先するということを明らかにいたしました。ただ、その抵当権が譲渡人の地方税の法定納期限よりあとに設定されている、地方税に劣後するというような状態におきましては、財産の譲渡によってその抵当権が不当に利益するというふうな場合が発生するおそれがございますので、こういった場合における租税の回避を防ぐために、譲渡人の抵当権等から譲渡人の地方税を一定の範囲で徴収できるような措置を講ずる、こういうふうな措置を講ずることにいたしたわけでございます。この関係の規定が改正案の十四条の十一、それから十四条の十六というふうに規定されているわけでございます。
第四番目は、「新たに留置権及び先取特権のうち特定のものに対しても、質権又は抵当権に準じ、地方税を優先して徴収しないものとする。」これは、質権と抵当権は、従来は納期限の一年前であれば租税に優先するというふうになっておったのでありますが、質権、抵当権と同様の担保的機能を営んでおります留置権、先取特権におきましては、何ら法律上特定の規定がないわけでございまして、すべて租税に優先しないというふうな取扱いになっておりましたのですが、今回の改正案におきましては、留置権と先取特権のうち特定のものに対しましては、質権や抵当権と同じように扱いまして、一定の場合には、これらに対して地方税が優先して徴収しないようにする、こういうふうな改正を織り込んでいるのでございます。改正案の十四条の十三、十四条の十四、十四条の十五にこの関係の規定をあげているわけでございます。
第五番目は、「徴収猶予及び換価処分の猶予」、換価処分の猶予というのは、現在の法律では、滞納処分の執行猶予というむずかしい名前になっておりますが、換価処分の猶予というふうに名称を改めると同時に、その要件を緩和いたしまして、納税者の実情に即した地方税の徴収を行うことといたしております。これは、やや詳しく申し上げますると、先ほどの提案理由にありました通り、徴収猶予の規定が、従来は一年限りでございましたのが、事情によりましては、さらに一年以内の期間を延長することができるように改めるわけでございます。それから、従来の名称によります滞納処分の執行猶予でございますが、換価処分の猶予というふうに、名前をやさしくいたしますと同時に、その場合の要件を非常に緩和いたしまして、納税者の方で誠実に納税する意思があり、また、滞納処分を続行することにより、滞納者の事業の継続を著しく阻害するおそれがあったり、また、執行猶予する方が直ちに執行するよりも徴収上有利である、こういうふうな事情のあります場合におきましては、処分を猶予いたしまして、実情に適するようにいたす、こういうふうな点につきまして、所要の改正を加えることにいたしているわけでございます。この辺の改正規定が、徴収猶予につきましては十五条、十五条の二、十六条、処分の猶予につきましては十五条の七、その辺に改正条文を規定いたしているわけでございます。
第六番目が「譲渡担保及び担保の目的でされた仮登記が地方税の法定納期限等の後にされているときは、質権又は抵当権の場合に準じ、地方税を優先して徴収することとする。」これは、従来仮登記が担保の目的で設定された場合におきまして、租税の方で差し押えをする、その後に本登記をいたしますると、差し押えを取り消さなければならない。せっかく差し押えましても、仮登記がありますと、すべてひっくり返ってしまう、こういうふうな建前になっておりますが、この仮登記のうち担保的機能を営むものにつきましては、その経済的機能からいたしまして、質権、抵当権の場合と全く同様に見受けられるものでありますので、実質的にこれと同様に扱うことが適当であるというような答申が出まして、それに基きまして、仮登記が地方税の法定納期限等の後にされておりますときは、質権または抵当権と同じように扱いまして、地方税を優先して徴収することとするというふうに改正をいたしております。この仮登記の関係は、十四条の十七で規定されております。ただいま仮登記について申し上げたのでございますが、同じように担保的機能を営むものとしまして、譲渡担保という制度が、これは民法上公認はされておりませんが、実際の取引界においては非常に行われておりまして、形式上財産は譲渡いたしますが、引き続き譲渡者の方に使用を認めまして金融を仰ぐ、その場合に、やはり担保的機能を営むものとして譲渡担保という制度が行われておるわけでございますが、従来の扱いにおきましては、形式上譲渡がされておりますので、譲渡担保の設定されました財産につきましては、租税の徴収は及び得ないというふうな扱いになっておったわけでございますが、これも、ただいま申し上げました仮登記と同じような趣旨によりまして、担保的機能が営まれるというふうに認められる場合におきましては、譲渡担保の設定者の方に対しましても、第二次の納税義務として徴収できるようにいたすというふうに改正いたしております。これが十四条の十八、十四条の十九に規定されておるわけでございます。
第七番目に、「現行の同族会社及び財産の譲受者に対する第二次納税義務制度を合理化するとともに、実質課税が行われた場合等にもこの制度を適用する。」第二次納税義務と申しますのは、形式的には財産が帰属いたしておりましても、いわば納税者の財産の実質的延長として認められるような場合におきまして、納税者が滞納しました場合に、補完的にこの形式的に財産が帰属している者に対しまして租税を徴収して参ると、こういうふうな制度でございますが、従来も、この制度は地方税法の総則中にあるわけでございますが、その関係の規定が幾分不明確な点もございまして、関係者の権利の点につきましても十分でない点がございましたので、第二次納税義務につきましての基本的な規定を設けると同時に、ここにあげられておりますように、同族会社、財産の譲受者、あるいは共同的な事業者等の場合につきまして、第二次納税義務の関係の規定を整理、合理化するというような改正規定を用意いたしておるわけであります。この関係が改正案の十一条の五、十一条の六、十一条の七あたりに上っておるわけでございます。
第八番目の「滞納処分手続については、国税徴収法の規定の例による」ものとしました点につきましては、先ほどの「方針」の第二で申し上げた通りでございますが、今回の国税徴収法の滞納処分の手続について相当重要な改正が加えられております。それが、地方税の滞納処分につきましても、改正後そのまま適用されるわけでございますので、そのおもな要点だけを簡単に申し上げますると、
第一に、「差押禁止財産の範囲を拡充し、特に給料の差押禁止額については、低額の所得者には緩に、高額の所得者には厳になるように改める」という点であるわけでございます。従来は一律に給料の七五%を差押禁止の額とするというふうになっておったわけでございますが、今回の改正によりましては、給料の額に応じて差押禁止の額を定めることとし、少くとも最低生活を維持するに必要な金額は差押禁止をする。さらに、高額の所得者に厳に、少額の所得者には緩に、差押禁止額を定める。それで、改正後は、地方税についてもこの点が適用されるわけでございます。第二番目に、「滞納者の生活を窮迫におとしいれるおそれがある場合には、滞納処分の執行停止を行う。」これも、地方税についても同様でございます。
第三番目「抵当権その他第三者の権利の目的となっている滞納者の財産の差押は、原則として最後に行う措置を講ずる。」従来はいつでもやれたのでございますが、改正後におきましては、最後に行う措置とするというように改めておるわけでございます。
第四番目に、「第三者が占有する動産の差押は、引渡命令を発した後これに応じないときに限り行うこととし、前払賃料については租税に優先して配当する措置を講ずる。」これも、従来はすぐやれたわけでございますが、改正後におきましては、引渡命令を発した後、これに応じないときに限り行うというふうに建前を改めておるわけでございます。
第五番目に、「滞納者の財産の捜索については、原則としてその財産を占有する第三者の同意を得て行うこととする。」第三者が滞納者の財産を占有している場合におきまして、断わりなくやるという建前を改めまして、親族等の場合を除きまして、原則として第三者の同意を得てからでないと捜索ができないというふうに改めるわけでございます。
第六番目に、「新たに留置権及び先取特権に対しても、質権、又は抵当権に準じて配当する規定を設ける。」先ほど、優先関係の点で、従来の質権、抵当権のほかに、留置権、先取特権についても優先した地位を認めるという項目について御説明申し上げましたが、それと関連いたしまして、留置権、先取特権に対しましても配当ができるような規定を設けることといたしたわけでございます。
第七番目に、「公売手続を安定させる措置を講じ、買受人の保護を図るものとする。」この点につきましても、従来規定が不十分でございまして、すっかり公売が済んでしまいましてから、異議申立その他手続の瑕疵を理由といたしまして一たん決定しましたものの地位がくつがえるというふうな場合が見受けられたのでございますが、今回の改正におきましては、公売手続を安定するような措置を講じまして、買受人の保護をはかるようにいたしておるわけでございます。
第八番目に、「その他徴税の合理化を図るとともに、滞納処分手続を細目にわたるまで法律に明定する。」この点につきましては、従来国税徴収法の規定が非常に簡単になっておりまして、通達その他で細目が律せられておるというふうなことでありましたが、調査会におきましても、できる限りこれを法律で明定するようにというふうな答申もございましたので、この点、できる限り法律で明らかにするようにいたしておるわけでございます。
要綱の第九の項目といたしましては、「その他徴税の合理化を図るとともに、関係規定の整備を行う。」というようにいたしておりますが、この関係のおもな点を申し上げますると、相続かあった場合または法人が合併した場合の租税の承継に関する規定でございますが、これが改正案の九条から九条の三に上っております。また、共有物、共同使用物等の共同行為に対します地方税の徴収に関する規定でございますが、これにつきましても、改正案の十条で規定いたしております。この辺は、従来の規定を整備したものでございます。それから木材引取税が課せられる木材または軽油引取税が課せられる軽油が、強制執行等により換価された場合に、売却代金のうちからこれらの租税を徴収できるようにする。これも、租税徴収制度調査会の答申におきまして、物品の代金の中に含まれます租税につきましては、強制執行等があった場合には、その代金の中からすく取れるようにするのが合理的であるというふうな点がございまして、これらの関係の規定を新たに設けることにいたしております。十三条の三、十四条の四でございます。それから、地方税と国税あるいは他の私債権との間で、優先順位につつきまして混乱が生ずるような場合がございまして、従来取扱いに裁判所あたりも困っておる事例がございます。それらの関係を、紛議が起らないようにするように、順位をきめる規定を設けております。十四条の二十の規定でございます。また、国税犯則取締法による強制調査を行なった場合において、従来地方税で確定する前に財産が散逸して、徴収不足を生ずるようなことがありましたので、これを防ぐために、民事訴訟法の仮差押に準じた保全差押という制度を認めることといたしまして、規定を整備することにいたしておるわけであります。これも調査会の答申に基く新たな規定でございますが、十六条の四にこの規定が設けられております。その次に、第二次納税義務につきましては先ほど基本原則を明確にするというふうに申し上げておったのでございますが、この関係の規定の整備といたしましては、告知とか、そういった手続の関係の規定を整備いたしてございますが、その他の処分につきましても、繰上徴収の告知でありますとか、徴収料の取消でありますとか、あるいは換価の猶予の取消でありますとか、こういった関係につきましては、異議の申立の規定を設けることといたしまして、関係者の権利の保護をはかることにいたしております。これは改正案の十九条でございます。その他、書類の送達につきまして、二十条に規定を設けております。また 期間計算につきまして、二十条の五に規定を設けまして、従来必ずしも扱いの明確でなかった、納期限が日曜その他の休日に当った場合に、その翌日を法定納期限とするという点を法律上明確にいたしております。二十条の五の規定でございますその他、第三者納付に関しまして、二十条の六に規定を設けております。
以上が大体総則関係の規定でございますが、各税関係におきましては、督促状の指定期限までに地方税を完納しない場合には、国税徴収法の規定により滞納処分の例によって処分しなければならない。これは従来の規定であります。これを、督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに地方税を完納しない場合には、国税徴収法に規定する滞納処分の例によって滞納処分ができるというふうに、はっきりと書くことにいたしております。この関係が、たとえば事業税で申し上げますと、七十二条の六十八あたりに上っているわけでございます。それから、交付要求あるいは参加差押、こういった規定は、やはり七十二条の六十八等に上げているのでございます。
その他の各税目におきましては、滞納処分に関する異議の申立等の期限の特例、あるいは差押動産等の搬出及び換価の制限、あるいは不動産等の売却決定等の取消の制限、それぞれ各税目に規定の整備をはかっているわけでございます。
以上が改正法律案の要点でございますが、附則におきましては、公布の日につきまして、公布の日から起算いたしまして九ヵ月をこえない範囲内で政令で定める日から施行することにいたしております。附則の第一条にこの点を述べておりますが、その理由は、府県、市町村を通じて、改正法の実施に十分なる準備期間を置く必要があるという観点からいたしまして、公布の日から起算して九ヵ月をこえない範囲で、大体九ヵ月後に施行するというふうに予定いたしているわけでございます。
なお、徴収の猶予、換価の猶予等、納税者の利益となる部分につきましては、他の規定と引き離しまして、公布の日から施行できるように経過的措置を講ずることといたしております。
以上が改正案要綱の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/130
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131・館哲二
○委員長(館哲二君) 以上二法案につきましての質疑は、他日に譲ることにいたしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/131
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132・館哲二
○委員長(館哲二君) 次に、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題に供します。
政府の提案理由の説明は、去る三日に聴取いたしておりますので、本日は、まず政府委員から詳細な説明を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/132
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133・松村清之
○政府委員(松村清之君) この改正の法律案に基きまして御説明申し上げたいと存じますが、これは、先般提案理由で説明があったと思いますが、まあ三つの点について改正を加えておるわけでございます。
一つは、各種の基準経費の中に含まれております費用弁償額、人夫賃、嘱託手当の額を引き上げること。それからもう一つは、衆議院議員の選挙における選挙運動期間を五日間短縮いたしました。それに伴う基準額の改訂。それから第三は、国会議員の再選挙、補欠選挙等の執行に要する額を実状に合うように改正する。こういう三つを骨子といたしまして、それに伴いまして、この法律の各所にまたがっております基準額を改正したものでございます。
以下改正案につきまして順次御説明をいたしたいと思いますが、まず第四条第一項の表を改正いたしておりますが、この第四条第一項は、投票所の経費の基準額をきめたものでございます。今回の改正は、今申しましたように、投票管理者の費用の弁償額を三百四十円から三百七十円に引き上げる。それから投票立会人の費用弁償額を二百八十円から三百円に引き上げる。それから嘱託手当、人夫賃につきまして、区におきましては二百八十円から三百円に、市におきましては二百五十円から二百七十円に、町村におきましては二百二十円から二百四十円に引き上げる。こういう内容の改正に伴いましてこの表に改正を加えたものでございます。これが第四条第一項の関係でございます。
次は、第五条第一項の改正でございますが、これは、開票所の経費の基準額を規定したものでございまして、これも、投票所の経費の基準額と同様に、開票管理者と開票立会人の費用弁償額を引き上げた。それから嘱託手当、人夫賃を投票所の場合と同様に引き上げた。これに伴いましてこの表を改正したものでございます。
次に、第六条の改正の関係でございますが、まず六条の第一項の中で、九万二千一円を九万三百二十七円に改めるとございますが、これは、衆議院議員の選挙会の経費の基本額をきめたものでございますが、これが、先ほど申し上げましたように、選挙運動期間の短縮に伴いまして、超過勤務手当を五日分減額した。それに伴いまして、その基本額を減額したものでございます。それから同条の第二項は、これは参議院議員の選挙会と選挙分会の経費の基本額を定めたものでございますが、これは、選挙会立会人、選挙分会立会人の費用弁償額を引き上げた。それから嘱託手当を引き上げた。これに伴う基本額の改正でございます。
次は、第九条第一項の改正でございますが、これは、学校等の施設を使用して演説会を開催する場合におきまする施設の公営に要する経費の基本額を定めたものでございまして、これは、人夫賃を引き上げたことに伴う表の改正でございます。
次は、第十条第一項の改正の関係でございますが、これは、衆議院議員、参議院の地方選出議員の選挙の立会演説会を開催する場合におきまする施設の公営に関する基本額をきめたものでございますが、これも、人夫賃の引き上げに伴って表を改正したものでございます。
それから次に、第十三条第一項の改正に参りまして、ここに一の都道府県から順次七の町村に至るまで、項目ごとに表が掲げてございますが、これは、都道府県、市町村の選挙管理委員会の選挙事務費の基準額に関する規定でございます。この内容は、衆議院議員の選挙運動期間の短縮に伴いまして、超過勤務手当を五日分減額しましたことと、人夫賃を引き上げましたことに伴って、表を全面的に改正したものでございます。これが十三条一項の関係でございます。
次は、十三条二項の関係でございまして、これも一号から七号まで、都道府県から町村の関係まで掲げてございますが、これは、今申しました十三条第一項の基本額の中に含まれておりまする超過勤務手当の額は、実は暫定手当を加算しない本俸について計算されておりまするので、都道府県庁、市役所、町村役場等が暫定手当を支給する地域にあります場合は、この第一項の基本額中に含まれておりまする超過勤務手当の額に政令で定める割合を乗じて得た額を加算することとなっておりまする規定でございます。この改正の内容は、衆議院の選挙運動期間の短縮に伴いまする超過勤務手当五日分を減額する、それに伴いまして表を改正したものでございます。
それから次は、十四条第一項の表の改正でございますが、これは投票管理者、開票管理者の費用弁償額を三百四十円から三百七十円にする。それから投票立会人、開票立会人、選挙立会人の費用弁償額を二百八十円から三百円に改める、こういうものであります。
それから十七条第一項の改正は、これは国会議員の再選挙、補欠選挙、国民審査の再審査の執行に要する経費の額につきましては、従来三分の二を見ておったのでございますが、これは実情に即しませんので、事務費のみ三分の二、あとは全額を見る、こういう建前で改正いたしたものでございます。
それから最後に、十七条の第二項の改正は、これは、参議院の地方選出議員あるいは全国選出議員の再選挙、補欠選挙を行う場合の選挙会経費または選挙分会経費の基本額をきめたものでございまして、これも、立会人の費用弁償額、嘱託手当の引き上げに伴いまして改正をしたものでございます。
以上がこの法律案の内容の説明でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/133
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134・館哲二
○委員長(館哲二君) これより質疑に入りたいと存じます。
質疑のおありの方は御発言願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/134
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135・青木正
○国務大臣(青木正君) 先日の当委員会におきまして、中山委員から、大阪府における市町村長会の会合の問題につきましてお尋ねがあったのであります。お尋ねがありましたので、さっそく大阪府の地方課を通じまして調査いたしましたところ、当日、つまり二月十八日当日は、赤間知事は、予算査定のため終日大阪府庁におったということが明らかになっております。それからまた、御指摘の場所におきまして、大阪府の市町村長会議というものは開催されていなかった。かようなことでありますので、一応私の方で調査いたしました結果を御報告申し上げておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/135
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136・館哲二
○委員長(館哲二君) 本案に関します質疑は、次回に続行したいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/136
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137・館哲二
○委員長(館哲二君) なお、調査事項その他についての質疑のある方は、御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/137
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138・鈴木壽
○鈴木壽君 大臣、さっき午前中に上った分についてで、ちょっと時期も悪いのですが、実は公営企業金融公庫の問題につきまして、ちょっとふに落ちない問題がありましたが、大臣がお見えになりませんものですから、局長等といろいろと質疑をいたしましたのですが、非常に大事な問題が一つあると思うのです。直接の問題じゃございません。市町村の各団体等から、公有林の特に造林等に関する融資の問題、起債の問題、これについていろいろ要望があったことは、御承知の通りでございますし、私どもも、それぞれそういう趣旨の陳情を受けておったのでございますが、今度の予算書等を見ますと、当然市町村等で行うそういう仕事のためには、市町村に融資をする、起債をするということが建前であろうと、こういうふうに考えておったのですがね。農林漁業金融公庫の方に一般会計から七億ばかり金をやっているですね。そこで、民有林の造林等についても融資すると、従来とも多少それぞれ補助とか何かあったのですが、今回そういうことでやっていくと、こういうことで何かすりかえられたような格好ででき上ってしまったんですが、さっき局長なんかの話を聞きますと、公営企業金融公庫法の方へ何とか引き戻したい、こういう話でありますが、今後これは一つ大臣としても、そういう方向にぜひ持っていってもらいたいと思うんですが、とりあえず三十四年度に、市町村の公有林についての造林等のための起債は、七億のうち大体四億程度回す予定だと、そういう話があるんだと、こういうことなんですが、これは、今の法なり、あるいは農林漁業金融公庫法のあの法の建前等からしますと、町村に回るのは不可能だと思うんです。農林漁業金融公庫法の中の第一条には、農林漁業者に対する融資として、あるいは金融の機関としてあれができている。さらに、あの中に、他の金融機関からの融資困難なものに対して行うということがはっきりあるわけですね。町村はいずれにも該当しないのじゃないか。農林漁業者でもなければ、あるいはまた、融資が困難な団体と頭から町村をきめてしまうことは、実情に即しないと思うので、こういう問題で、私は、町村の造林等のための必要な資金を確保するための措置としては、これは実際問題として実現できないのじゃないだろうか、こう思うので、せっかくそういうことのためにも使うといって、ワクをそっちへ一般会計の中から入れておきながら、実情は今言ったようなことになるとすれば、もう形式的にも実質的にも何もできないのじゃないかというふうに私心配をするんですが、この点について一つ大臣、これは三十四年度中においても、これは便宜的な方法しかないと思いますが、あなた方の話し合いによって、町村にも行けるような方法を講ずるか何かしないと、これは、せっかくのものが農林漁業金融公庫の中にただ無意味に金がほうり込まれてしまって、公有林の整備のためには使われない、そういうことのために使うと言っておきながら、実際問題となると使われない、こういう問題が出てくるのじゃないかと思うので、ここら辺について、大臣からお考えのほどをお聞きしたいと思います。さらに、今後どうなさるのか、あわせてお聞かせ願えればと思うんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/138
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139・青木正
○国務大臣(青木正君) ただいまの問題につきましては、財政局長から、いろいろ今までのいきさつを御説明申し上げたことと考えておりますが、基本的な考え方は、全く同じ考え方であります。元来、この問題を取り上げまして、明年度に何とかしなければならぬということで動き出しましたのは、自治庁といたしまして、公有林の造林の問題、そういうことから、私どもの方からこの問題を最初提起いたしたのであります。ところが、予算編成の過程におきまして、われわれは、農林省側とも十分そういう考え方で折衝をして、農林省も大体そういう気持であったのでありまするが、ところが、でき上ったのは、これはもう農林漁業関係だから、農林漁業金融公庫でいいだろうということで、向うへついてしまったので、お話のように、農林漁業金融公庫が市町村に融資するというわけに私はいかぬと思う。また、市町村が本来やるべき仕事を、他の団体——森林組合に委託して市町村の仕事をやるというようなことをやるのも、これはおかしな話になるので、私どもといたしましては、あくまでも当初の考えに従いまして、市町村の公有林の問題でありますので、これに対する融資としては、やはり当然市町村が融資を受けるためには、現在の公営企業の公庫が扱うことは、これはもう建前からいたしましても、また実際の扱い上からいたしましても、当然そうあるべき筋と私ども考えるのでございます。そういうことで、私どもの方とそれから農林省、大蔵省と再三折衝をいたしておるのでありまするが、まだ妥結いたしておらないのであります。しかし、私どもは、当初の考えを捨てていないのであります。何とかして公有林の整備のためにこの金が使えるような姿にしてもらえなければ困りますし、また、そのためには、やはり筋を通して、本来あるべき形にしてもらわなければ困るということで、当初から一貫した方針で折衝いたしており、また、妥結に至らぬことを遺憾に思うのでありまするが、私どもの考えは現在も変っていないのであります。しかし、そんなことを言ったところで、法律改正といった問題等があることを考えますと、間に合わぬじゃないかという御指摘も、ごもっともと思うのであります。その場合における便法をどうするか。まあ私どもは、法律改正をせんで、あるいは政令関係で行く道もあるのじゃないかということで、若干検討もいたしてみたのでありまするが、そういうことができないとすれば、一体どうするか。まあ万やむを得ない場合には、仕事を森林組合に委託するというような形で、三十四年度だけは一時便法を講ずるほかはないのじゃないかというようなことも若干考えないわけではありませんが、しかし、現在のところは、私どもは、そういう便法で行こうという線は打ち出しておりません。あくまでも本来の筋でできるようにするべきであるということで折衝は重ねております。何とか御期待に沿うように、また、私どもも、当初からそういう念願でこの問題を取り上げておりまするが、これを途中からほかの方に何か変な形で持っていかれては申しわけないので、何とか御期待に沿うように、今後引き続いて努力して参りたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/139
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140・鈴木壽
○鈴木壽君 大臣はそういう御決意のほどですから、これ以上私はくどく申し上げませんが、やはりおっしゃるように、筋を通したやり方がやはり必要だと思います。このままでいきますと、せっかく三十四年度予算の中に農林漁業金融公庫に七億円、ここに新たに一般会計から繰り出しをしてやっているにもかかわらず、しかも、そのねらいの大半は、あなたがお考えになったような、公有林の造林等の整備のためにやりたいというものが変な格好にそこにぶち込まれたために、結局事実上仕事ができなくなってしまうのじゃないか。だから、三十四年度だけの便法ということもさることながら、これはやはり、単なる所管の争いということだけでなしに、筋を通したところに引き戻す必要が私はあると思うのであります。そういった意味で、私は午前中もお聞きしましたし、今大臣お忙しい時間のところ恐縮ですが、お聞きするわけで、これは何とか早く……これは、事務的な段階ではちょっと解決がむずかしいのじゃないかと思います。さっき局長にお聞きしても、今までもいろいろやったがだめだ、これからもやるのだということですが、これは、事務的な段階ではちょっとうまくいかないと思いますので、一つ大臣、十分大臣の立場においてこの問題を処理していただきますように、特に私は要望したいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/140
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141・青木正
○国務大臣(青木正君) 私どもの考え方は、お話の通りであります。私も筋を通す——単に、何と言いますか、官庁のなわ張りとかどうとかということでなしに、現実にこれをやりますのは市町村でありますから、やはり市町村がやり得るような形にせんければ、これは単なるなわ張りとかどうとかという問題じゃなくて、実際に困るのじゃないか。また、そうせんければ、実際に市町村として、その市町村が自分の仕事を森林組合に委託してやるという形もおかしなことだと思いますので、やはり市町村が責任を持ってやるためには、市町村にそういう資金を正当に流してやるということが必要だと私どもは考えるのです。なお、その後折衝を続けておりますが、まだ妥結に至っておりませんし、なお、どういう方法が最もいいか、筋を通して、しかも、私どもの所期するような目的を達成するように、十分事務的に検討し、また、政治的にというお話でございましたが、私、大蔵大臣それから農林大臣とも十分相談をして、所期の目的を達成するようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/141
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142・館哲二
○委員長(館哲二君) 本日は、これにて散会いたします。
午後三時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114720X01519590310/142
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