1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月十二日(木曜日)
午後一時三十九分開会
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委員の異動
本日委員前田佳都男君及び藤原道子君
辞任につき、その補欠として大谷藤之
助君及び光村甚助君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 手島 栄君
理事
新谷寅三郎君
松平 勇雄君
森中 守義君
長谷部ひろ君
委員
石坂 豊一君
黒川 武雄君
宮田 重文君
三木與吉郎君
最上 英子君
鈴木 強君
中村 正雄君
光村 甚助君
山田 節男君
国務大臣
郵 政 大 臣 寺尾 豊君
政府委員
郵政政務次官 廣瀬 正雄君
郵政省電波監理
局長 濱田 成徳君
事務局側
常任委員会専門
員 勝矢 和三君
法制局側
法 制 局 長 斎藤 朔郎君
説明員
郵政省電波監理
局次長 荘 宏君
参考人
日本放送協会会
長 野村 秀雄君
日本放送協会副
会長 溝上 けい君
日本放送協会理
事 前田 義徳君
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本日の会議に付した案件
○放送法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/0
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001・手島栄
○委員長(手島栄君) ただいまより開会いたします。
委員変更についてお知らせいたします。
本日、前田佳都男君が委員を辞任せられまして、その補欠に大谷藤之介君が委員に選任されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/1
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002・手島栄
○委員長(手島栄君) 放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回までの審議におきまして、大略質疑は済まされたのでございますが、なお若干解明すべき点が残されておりますので、それについて質疑のおありの方はどうぞ御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/2
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003・森中守義
○森中守義君 法制局長がおいでになっておりますので、最初に法制局長に国際放送の問題で見解をただしておきたいと思います。お手元に放送法をお持ちであろうと思いますが、先般来この委員会におきまして、各関係条文の解釈をめぐり政府側と委員側に若干意見の相違点を来たしておりますので、願わくば、法制局長の方から、関係各条文に対する御所見の表明があれば、すこぶる幸いだと思います。それは、放送法の三十三条に、「郵政大臣は、放送区域、放送事項その他必要な事項を指定して、協会に国際放送を行うべきことを命ずることができる。」、このように国際放送に対する実施命令がうたってあります。従いまして、この三十三条を受けて三十五条に費用負担の項目が設定をしてあり、三十三条によって郵政大臣が実施命令を発した場合には、この条文通りの解釈から参りますと、全額国がその経費の負担をする、こういう工合に読み取れるのであります。従って、相違点と申しますのは、私どもは、この国際放送は、実施命令以外にはNHKはやり得ない。即、その経費については全額国が負担すべきである。こういう主張に対しまして、政府側の方では、十九条の「協会の収入は、第九条第一項及び第二項に掲げる業務」の一つとして、協会も国際放送に対する経費の負担は可能である。すなわち、協会自体が、国際放送は郵政大臣の実施命令によらずして行い得るという見解を持っており、そこで、今の十九条に関連をする九条の一項二号に、「国際放送を行うため、放送局を設置し、維持し、及び運用し、又は政府の施設を使用すること。」、この条項を政府側では引用され理由づけておいでになりますが、私どもは、この二号に対する考えとしましては、あくまでもこの二号は、放送局の設置、維持及び運用ということでありますから、施設の確保あるいは運用を固定したものとして認識をすべきではない。従って、番組の編集、その他国際放送に必要な諸経費はこの九条の二号には該当しない。かような見解を持ちます。さらにまた、七条に至りまして、協会の目的を指定しておりますが、この目的の中には「日本放送協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」ということで、協会の目的はあくまでも国内放送を主として指摘をいたしております。わざわざこの中に国際放送の条項を除外しておりますのは、あくまでも三十三条の郵政大臣が行う国際放送実施の命令条項を設定をし、三五条に影響をいたしておりますので、この関係上、七条における日本放送協会の目的の条項から除外をしているのではなかろうか、かように私どもはきわめて純粋な法理論の解釈を持つのでありますが、要すれば、あくまでも、実施命令以外に日本放送協会が独自の立場で国際放送を行い得るものか、あるいは三十三条に指定をしておりますように、郵政大臣の実施命令のみに限って国際放送が行い得るものか、この間の見解を法制局側ではどのように解釈をお持ちであるか、承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/3
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004・斎藤朔郎
○法制局長(斎藤朔郎君) お尋ねの問題についての参議院法制局としての解釈上の意見を申し述べることにいたします。
七条と九条と三十三条、この条文の関係でございますが、まず最初に、七条と九条の関係から御説明を始めたいと思いますが、なるほど、七条の条文では、国内放送を行うことを目的とするということが書いてあるわけであります。九条の条文を見ますと、それをはみ出した業務を必要的に行う、あるいは任意的に行うこともできるような条文があるように考えるので、その二つの関係がまず問題になってくると思うわけでございますが、御承知のように、法人につきましては、目的があって初めて法人格というものが与えられるもので、従いまして、目的というものは、法人格を法律が付与する根本になるもので、その根本になる内容が七条にうたってある。法人格を一たん与えられれば、その法人がいかなる業務をやるかということは、また別の見地から考えられることで、それを九条に規定している。言い換えれば、七条の条文は、法人格付与の基礎になる、それがあって初めて法人格を与えられるのだ。しかし、法人格を与えられるからといって、その事業以外のことは全然やれないのかというと、それはそうじゃございませんで、これは一般の法人についても、目的によって法人格を取得すれば、その法人が今度はいかなる範囲の仕事をやれるかということは、他の条文、または条文がなくても解釈で補っているわけでございます。さような意味で、九条に特に一項と二項とございますが、二項の方は「業務を行うことができる。」とありまして、やる場合とやらぬ場合と考えられますけれども、九条の項の方は「左の業務を行う。」と書いてございますので、法人格を取得した日本放送協会は、九条一項に引いてある事業は必要的にやるんだ、こういう趣旨に読まざるを得ないと思います。その必要的業務の中に、二号の「国際放送を行うため、」云々という条文がございますので、条文の解釈といたしましては、日本放送協会が法人格を取付すれば、九条一項二号の国際放送を当然に行うことができるし、また、行わなければならぬのだと、そういう趣旨に解さざるを得ないのでございます。
しからば、三十三条と九条の一項二号とのの関係はどうなるかということになりますと、三十三条の条文は、「郵政大臣は、放送区域、放送事項その他必要な事項を指定して、協会に国際放送を行うべきことを命ずることができる。」とありまして、「命ずることができる」という以上は、理論上命じない場合もあり得ると解さなければならぬわけでございますから、命じない場合でも日本放送協会は九条の一項の条文によって、必要的に国内放送の事業をやらなけりゃならぬ。九条の一項の方は必要的な業務、三十三条は、これは命ずる場合と命じない場合とある。三十三条がかぶってこなければ、九条一項というものは動かないんだ、こういう解釈をいたしますと、三十三条の方は、任意規定、やる場合とやらぬ場合がある。九条一項の方は、これは必ずやらなけりやならぬという関係になりますから、論理的に考えましても、やることができるという任意規定をかぶってこなけりゃ、必ずやらなけりゃならぬという事業もやれない、そういうことには法文上はならないのではないかと思います。従いまして、条文の解釈といたしましては、法制局といたしましても、この九条一項二号によって、国際放送を放送協会が自主的に、と申しますか、放送協会の企画に基いて一応はできると、また、やらなけりゃならぬのだが、そのやり方について、郵政大臣の見るところによると、さらに不十分なところがある、それを補っていこうというのが三十三条でございまして、国際放送をやる、やらぬということの根本は九条項二号から出ておる、それが第一次的。
それから第二次的に、不備な場合に補充的に働いてくるというのが三十三条の任意規定だと、こういうように解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/4
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005・森中守義
○森中守義君 大体今の御説明で、条文解釈としてはほぼ納得ができました。あと、この問題については、郵政大臣との質問になって参ります。私は法制局側の見解については以上でけっこうです。
この資料の関係は、主として鈴木委員の方から資料の、要求があったわけですけれども、いずれ間もなく出席されますので、暫時、この問題については留保しておきたいと思いますが、今の法制局長の見解で、法文上の解釈はほぼ明瞭になりました。そこで、郵政大臣にそのことについて伺っておきたいと思いますのは、なるほど、ただいまの条文の解釈通りに、三十三条は任意規定である、九条の二号が義務規定である、こういったようになった場合に、協会が本来ならば、これは自発的に義務行為として国際放送をしなければならぬと、こういうことになるんですが、実際問題として、政府の国際放送の方針、あるいは指定国、指定時間、こういうものと、協会側の意見が食い違うというような場合は、往々にしてあるのではないかと思う。特に今日、岸内閣がおとりになっている外交の方針等から推しはかつていけば、そのことは具体的に実際問題として私はあり得ると思う。何となれば、一昨々日、岸総理がここにおいでになって、中共との電波協定を結ぶ意志はないか、ないしは協会が主催して、外務省、郵政省が後援をされているアジア放送会議に対し、政府は積極的に協会と協議をして、中共等をこの放送会議に招待をする、あるいは一加盟国として、加盟という表現が妥当であるかどうかはわかりませんが、とにかく参加願うという、そういうことに対する意見を私が問いただしたのに対して、あまり明瞭な答えがありません。これはずっと岸内閣が一貫してとつて参りました今日のアジア外交の方針からいっても、そのことは肯定できないことはない。だとするならば、現実に国際放送のやり方に対して、選定国に対して、いろいろと協会と政府との間に意見が食い違う、こういう場合にはどうなりますか。もちろん、条文の解釈からいけば、協会が義務条項として国際放送をやるわけですから、たとい、政府として好ましくないという国を協会が指定をしてやつても、これに干渉する余地はありません。ないけれども、外交方針と異なった、こういう場合にはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/5
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006・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) 九条二号で示してあります協会の国際放送を行うということに対しては、私は、森中委員の御指摘の通りであって、政府はごうまつもこれに干渉すべきでない。あくまでもNHKの自主性において、NHKの信ずる国際放送の大目的に合致するような放送を行うべきで。三十三条の方は、政府がある条件を付してこの放送を命令するというのでありますから、おのずから、きわめてはっきりと、一は政府の命令によって、一はあくまでも日本放送協会の独自の、いわゆる自主的な責任において行う。これはもうきわめてはっきりすべきだ、また、しておるのだと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/6
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007・森中守義
○森中守義君 そうしますと、これは実際の法案の審議なり、あるいは国政の調査に当る場合に、どういう態様が将来予見されるかということは、これは各人の見方によって若干違うと思うのです。しかし、いやしくも、こういう問題については、どのような態様の事態の発生をも一つの、予見のワク内に入れて私どもは論議することが法律の制定、法の運用に当つては正しい行き方であろう、こう思う。
そこで、今日、こういう平静のときは、今郵政大臣が言われることでも私は了承できます。しかし、先般もちょっと話題に供しましたように、たとえば防衛出動をやる、AないしBという国が明らかに敵性国である、そういう場合に、国交が断絶したというときに、協会としては、少くとも、国民外交という観点から、その敵性国に対する政府の方針、国交断絶の状態が好ましくないということで、全く政府の方針に反するような呼びかけを電波を通じてやるという場合に、それでもなおかつ、今大臣の言われる御意見というものは守られるというように、了承してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/7
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008・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) 私の考えとしては、政府の外交方針なり、あるいは政府の持つ国際的な考え方というものと、日本放送協会の国際放送を行うということの持つその方針とか、非常に反対の立場に立ち至るということは、私は今、そういうような予側はできません。従って、基本的な問題としては、NHKはNHKの自主的な国際放送を行うということは、これはもう当然のことであります。また、政府の命ずる国際放送というものとは、おのずからやはり性格を異にしておる。しかし、そこには、政府の方針とNHKの国際放送の大きな方針について、私は特に全然これに反対するというようなことについては、そういうことはあり得ない。こういうことには考えますけれども、あくまでもNHKの国際放送というものはNHKが自主的にやるものであり、一方は政府が条件を付して命令するものである。まあこういうふうに、その取扱い方としてはこれは相当はっきりしているものだと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/8
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009・森中守義
○森中守義君 今の大臣の前段の御答弁の中に非常に重要なことがあります。それは、政府の方針と協会の方針があまり大きく融たるようなことはあり得ないという御答弁なんですが、それはやはり、私は大臣の意識過剰ということ、あるいはしばしはこの出されてきている放送法の改正案が、協会の自主性を侵害をする、あるいは言論の抑制、あるいは統制ではないということを言っておられますが、やはり今のニュアンスからいくならば、私は明らかにそういう意図を大臣はお持ちである、こういう工合にとらざるを得ない。ということは、たとえば岸内閣から寺尾内閣にかわった、さらに廣瀬内閣にかわった。こういう場合に常時内閣に協会は迎合していくべきものじゃない。また岸内閣の外交方針、将来あり得るとするならば寺尾、廣瀬内閣の外交方針を、協会は無条件に私は迎合しないと思う。もとより、協会のこの放送法に定める性格からいくならば、政府の代行機関ではありません、むしろ私どもは協会が自主的に行うという、先刻の条文が命令になったということは、ある意味においては私は非常によかったと思う。何ら政府の干渉なしに協会が独自に、しかも国民外交という、こういう観点から国際放送をおやりになるわけですから、非常にいいことなんです。ところが、今大臣のお話によれば、そう食い違いはない、こうおっしゃる。それでは岸内閣、将来あり行るとするならば寺尾内閣や廣瀬内閣の外交方針は、無条件に私は協会がこれを肯定するものとは思われません。むしろ防衛出動が行われ、一たび敵性国というように相なったものに対する政府の見解と協会の見解というものは、おのずからこれは違う場合があり得る。そういう際にもなお違いませんか。むしろ政府のやり方が悪い、こういう国を敵性国として防衛出動をやる、戦闘状態に入るというのはよろしくないということを、協会が国家論として集約をして国際放送をするのに、政府の方が、それを何ら変らないというような表現では、どうもやはり大臣の意図の中には、いや、一たん、何かあるならば、協会は自分のものに掌握をする、こういったようなふうにも――言葉じりのようでありますが、きわめて重要な問題ですから、重ねて私はそのことを問いただしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/9
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010・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) 理論としては私は森中委員がおっしゃった通りだと思います。私もさように信じます。ただ私が、あり得ないとか、違わないとかということでなくて、やはり時の政府の外交方針、あるいは国際的な考え方ということによって、政府が行おうとするこの国際放送というものと、その時のいわゆるNHKの行う国際放送というものが大きく、まるで反対の立場に立つようなことはないと思う。まあ私もいわゆるあまり飛躍しない、そういうことが、私としては一応そういうふうに思われる。まあこういうことであって、非常の事態、あるいはあなたが指摘するような場合がないということを私は断定はできぬと思います。しかし、やはり国の外交方針、また国際放送に、ここに驚いておる、規制をしておる――国際親善を害してはならない、あるいは日本の実情を知らせる、貿易の進展にも寄与する、あるいは在外邦人の慰安を一つの目的とする、まあこういう範疇において国際放送をやる場合においては、これはあまり政治的に、こうとか、あるとか、イデオロギーがどらかということじゃなくして、日本の実情を十分国際的に知らせるんだ、あるいは日本の貿易の進展に寄与するんだ、実際に日本の実情を知らせる、あるいは慰安に資する、こういうのが国際放送の目的でありますから、その時代々々に非常に違つた、政府とまるで、反対のようなことは私はないんではないかと、まあこういう考え方を持っている次第でございます。理論としてはあなたの御所見、私は十分わかります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/10
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011・森中守義
○森中守義君 これは非常に飛躍し過ぎた意見のようにも、御質問のようにも大臣はおとりだと思う。私も現在の時点から判断をするならば、そういった自覚を持っております。しかし戦前における政府が一体どういったような措置をとつてきたか、こういうことは、まだなまなましい事実なんですよ。事が起きた、さて新聞関係も報道関係も、全部政府の代行機関として、国策放送に、あるいは国際宣伝に従事しておった事実が十二、三年前にあったのです。しかし、きょう御出席の野村会長初め協会の首脳部の皆さん方が、あの大東亜戦争、第二次世界大戦にどういう認識をお持ちになっていたのか、これはうかがい知る余地はありませんが、少くとも政府機関でないということ、官僚でないということ、きっすいの報道人であれば、もっと変った見方から、第二次世界大戦なり大東亜戦争に対する見解をお持ちであったと思う。そのままの状態が電波に乗せられて、A、B、Cの各国に伝わっていくならば、もっと変った方向にいったかわかりません。全部政府はそれに統制を加えたこういう事実があるから、私は現在の時点でいつどことどうなるということは、これはもとより言明の限りではないけれども、要すれば、いついかなる場合にどういう事態が発作をしても、言論報道に、いわんやNHKに対して、政府は政府の一機関として、政府の代行機関としての仕事をさせないのか、その保障があるのか、まあこういったようなことが私の質問の一つの終局の意味なんです。だからどういう場合でも協会に対しては自主性を侵害しない、こういったことが、あなたの口から、しかもそれは長い将来にわたってそういうことはあり得ないということがここで断言でき得るならば、私の今の質問は一つの目的を果すわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/11
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012・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) お言葉の通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/12
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013・山田節男
○山田節男君 ちょっと関連。
今の問題ですね、これも私もちょっと質問をしようと思っておったのですが、重大な問題だと思うのですよ。放送法には、この放送の表現の自由と、それから第三条によって、法律に基かなければ番組が干渉を受けない、こういうことになっている。で、そういたしますと、今、森中君が、言ったように、非常事態になりましても、政府はいわゆる国策の線――国際放送はこれはできないことなんですね。もしやるのならば、放送法の中に、たとえば非常時の場合には政府がこれを使用し得る、こういう明文がない限りにおいては、今大臣がおっしゃった通り、たとえば岸内閣が非常時態を宣言しても、これを政府の、内閣が自分の意思によって、自分の思うようなことを放送できるというようなことは、この現行法ではできないものとわれわれは了承している。
これと同じ問題がアメリカの一九三四年の通信法ですね、これが問題になりまして、ちょうどこれは寺尾さんも一緒に、新谷君や、われわれが行ったときの、一九五一年と思いますが、この通信法をわざわざ改正して、大統領がいわゆる非常事態を宣言したときには、向うの民間放送全部を、これは大統領の非常権限によって、放送に対してつまり一種の関与といいますか、し得る、こういうことがちゃんと法文に入っているわけです。ところが、この放送法には、今のように非常時の場合にどうするということは、これはうたってございません。で、私は、先ほど来予算委員会で、今朝来問題になった例の自衛権の問題、野党と岸総理との質疑応答がありましたが、今のように自衛権、自衛力はあるのだ、自衛のための戦力は保持しなくちゃならぬし、来たらやつつけるのだというようなことになれば、これはあるいは時の内閣が非常事態を宣言して、そしてこのラジオ放送で政府の意思を伝播するということになるかもしれない。しかし現行法ではそういう保障はないのですね。ですから今大臣がおっしゃったように、この法律では非常事態が起きた場合においても、政府はこれを占拠することはできない、こういう精神になっておる。ですから今の大臣のおっしゃったこと、これは全くその通りありますが、われわれの言わんとするところは、現行法においてはそういうことは全然ないのだ、法律に基かなければ関与できない。ここらあたりが一体現在の法律で、これは私行政をよく知りませんが、第三条によって、非常事態が起きた場合には、たとえば岸内閣が自分の思う通りを国民に周知せしむるというようなことが放送できるのかどうか。私は、大臣はそういうことはないと、こういうことを確言されるのでありますが、おそらく岸総理もそういうように思っていられるだろうと思うけれども、それは法的に考えて、私は第三条から見れば、これはもうできない、こう思うのですが、そのほかにまだ、今大臣がおっしゃったように、政府は非常事態があっても、これを放送占拠することはできぬという何か法的根拠があるかどうか。これは荘君でもいいし、あるいは浜田局長でもいいし、今のような保障が法的にできるかどうかですね。これを一つ解明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/13
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014・荘宏
○説明員(荘宏君) ただいまお話のございました非常事態において、郵政大臣として電波行政上どういうことができるかという点につきましては……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/14
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015・山田節男
○山田節男君 いや、郵政大臣じゃありません。時の総理大臣の、政府の責任者がという場合ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/15
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016・荘宏
○説明員(荘宏君) 政府としてどういう措置ができるかという点に関しましては、現在まででき上っている法律では、電波法の第七十四条の規定がございます。これによりますと「郵政大臣は、地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合においては、人命の救助、災害の救援、交通逓信の確保又は秩序の維持のために必要な通信を無線局に行わせることができる。」、こういう規定がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/16
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017・山田節男
○山田節男君 今の電波法の第七十四条はいわゆる天災の場合です。天災の場合の非常事態、私の言わんとすることは、今の、ことに岸内閣は、これは吉田内閣も、保守内閣としてはやはり第九条は自衛権を否定しない、で、やってくればやつつける。こういう、けさ鈴木君の質問に対して明らかな表明があったわけですね。そうなってくると、いわゆる一種の戦争行為、侵略の行われた場合、これは一日も早くこの放送というものは一番マス・メディアとして直接的であり、しかも、あまねく行くのですから、最もこれは政府として誘惑的なものですね。ところが、先ほど申し上げたように、アメリカにおきましては民間放送、全部民間放送でやつているわけでありますが、非常事態という場合には、今の天災ばかりじゃなしに、そういう内乱が起きた、あるいは外国から侵略を受けた、こういうような非常事態の場合には、もう大統領は大統領の非常権限によってその放送を全部品分の管理下に置くことができるということを一九三四年の通信法にわざわざ入れたわけですね。ですから、今私が申しあげるのは、天災のことばかり言うのじゃない。私の質問申し上げているのは、岸内閣によれば自衛権であるが、戦争ということが起るということを意味しているのですから、そういう非常事態の場合に、一
体外国に宣伝するため、あるいは国民に曲った、岸内閣なら岸内閣の政策的なものを国民に浸透させるために使うというようなことは、一体この放送法の精神では違反だというのですね。大臣はそれはやりませんと、こうおっしゃるが、この現行法からいえばできない、第三条で。しかし、総理大臣として法律的な根拠があれば番組に関与できるというならば、その法的根拠はどこにあるかということを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/17
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018・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) これは私はあくまでもこの法律というものが絶対不変のものだ、こういうことの解釈で進んでおるのであって、戦争状態になってどうこうというときであっても、この放送のなされることにおいては、やはりこの放送法によって規律していくべきものだ。すなわち、御指摘の三条において、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され」、規律されるものではないということは、もう絶対性としてこれを認めていき、またこれが不動のものだ、こう考えていくべきである。そういうときにはどうするかといっても、それはそのときでもこの法律によるべきだ、こういう解釈を持つ以外にはないのではないか。といって非常事態のときの処置を織り込むということになれば、この法律案のみならず、他の一般法律にもこれは考えていかなければならぬ。いろいろの派生的なそういうことを想定をしてやるということについては、なかなかこの法律案の作成ということにも非常に論議がむずかしくなり、また分れるところにもなるかもしれませんが、あくまでもこの法律というものは、たとえば今具体的に申し上げますならば、NHKの国際放送というものに対しては、あくまでもNHKの自主性、これによって、行うべきだという私は考えだと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/18
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019・山田節男
○山田節男君 今大臣のおっしゃることは、これは一つの理論であつて、たとえば明日にでも日本にかなり強い内乱が起きた、こういう場合に、一体この放送法によってNHKは不偏不党、真実を報道しなくつちやならない、こういう義務を負わされている。一体そういうときに――ある暴動が国内に起きて、NHKならNHKが真実を報道した場合に、たとえば岸内閣の場合にそういうものが起きたら、一体これはどうするか。NHKが真実を報道したときに、それはもし政府側にこれは無理があったので、これは世論としては、岸内閣が悪いからそういうことになつたのだと、そういうことを言わぬばかりの公正な真実を報道した場合、政府はこれを黙つて見ておられるか。実際的の問題ですね、そこなんです。だから理論としちやわかるが、これは国内放送ばかりでなく、国際放送においても、たとえば具体的にいえば、韓国がある不当なことをした場合、われわれとしちやこれはふんまんやるかたないことであつて、もしそこに正出なことがあった場合、NHKがかりに真実を、不偏不党の報道をした場合、これはNHKがほんとうのことを報道したんだからしようがないといって政府は黙つておられるかどうか、これは実際の話ですよ。だから、そこをどうするかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/19
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020・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) 私は、その時の政府が、真実を放送したにかかわらず、このNHKにこのことの非をあるいは追及をするとか、なぜそういう真実を放送したかというようなことを言うことこそ、これは、たとえば岸内閣がそういうことをしたということになれば、これは岸内閣のとんでもないやり方であると、あくまで真実というものに対しては、それが不偏不党であり、真実であるということならば、これは認めるということが、この法にきわめて明白に示してあるから、そういうことは私は政府としてはなすべきでないと、またなし得ない、こう解釈することは私は当然だと、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/20
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021・山田節男
○山田節男君 これは非常に寺尾郵政大臣としちゃ真剣におっしゃっておりますが、それでは一体、この前のこの委員会で問題になったが、かつて吉田内閣のときの三木鶏郎君だったと思うのですが、あの吉田内閣を諷刺したような、あるいは国会議員の国会におけるそういう行動と、こういうものを、これはきわめてやゆ的である、ヤジったような諷刺的のものではあるけれども、しかし相当な真相を伝えていたと思う。それをとにかくやめさしたじゃないですか、時の吉田内閣は。これは私、その当時のNHKの責任者、これは古垣会長であったらしいけれども、たとえば春日編成局長、前田理事、あるいは溝上副会長御存じだろうと思う。あれは自発的にやめた形になっておりますが、明らかに吉田内閣としては、ああいうものをやっては政府に都合が悪い、選挙対策にも都合が悪い、こういうことで、これは干渉してやめさしておるんです。だから、今、郵政大臣がおっしゃったことは、理論としてはその通りですが、実際そういう証拠は確かにあるわけです。これは何もこの第三条を法的な基準として、そういうことを、干渉したのではないのです。ですから、今、大臣がおっしゃることと、現にNHKに対して、あの三木鶏郎の諷刺的な、しかもあれは聴取者のパーセンテージが非常に多かつた、NHKの番組としては一番国民が聞こうとしておった受信率の高いものを、政府は明らかにこれに干渉して圧力を加えたがために、NHKがとうとうあれをやめてしまったた。このいきさつはみんなよく知っていると思うのです。ですから政府はそれにも干渉するんですから、ましてや内乱が起きたり、あるいは隣国からある不当な圧迫を受けたという場合において、国際放送においても、NHKに全部まかして、不偏不党、真実を報道しておればいいとおっしゃいますが、寺尾郵政大臣が総理大臣としてお考えになって、確かに実際問題とし、そういうことで国民の利益を守り仕るかどうかということです。そこなんです、私が実際問題として聞いているのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/21
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022・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) 私は、その問題については詳細知りませんが、そういうことがもしありとするならば、なおさら、これにこういう不干渉の規制をする必要がある、そう思うのでありまして、もし内閣が、特にNHKの放送に対し、圧力を加えたといえば、これは放送法に違反するばかりでなくて国民の強い批判を受けるのではないか、こういうことであって、それなら、そういうことを抑えるためにはどうしたらいいかということが、私は、この法律案にきわめて明白に、第一条の目的、あるいは第三条の番組に対する絶対性、こういうものを規制してあるのでありますから、これにもし圧力を加えたとすれば、その内閣は、それがこの放送法に違反をしていることであり、国民から指弾をされる、また後世大きくその問題に対して批判をされる、こういう一つの社会的制裁というのでしょうか、国民的批判、こういうことが行われるんじゃないか、そういうことを私は考えるので、時の政府は、この放送法というものを十分理解をして、NHKをして不偏不党、真実並びに事実を放送させる、そうして放送による表現の自由を確保するということを示してあるので、暴力その他をもってこれを破壊するということに至れば、もはやこれは法が行われないという、全く破壊の事態を生ずるのでありますから、その場合にはどうするかということは、私はこの法律案にはなかなか規制し得ないのではないか。あくまでも一つの放送に対する絶対性をこの法律案に持たせて、政府もこれを理解し、公正な不偏不党の真実の放送にもっぱら責任を持つ、また、理解をするということにやはり進むべきではないか。
でありますから、私どもといたしましては、この放送法の今回の改正案というものが、今後の放送に対する絶対性のものだということに一つ信頼をし、またその実現を期さなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/22
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023・山田節男
○山田節男君 これは関連質問ですから、長くなるといけませんから、あとでやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/23
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024・森中守義
○森中守義君 国際放送の問題で、関連質問その他で若干発展をしたのですが、国際放送と直接関係がありませんが、今、かなり重大な政治的質疑が行われております。この際そのことにちょっと関連をして承わつておきたいと思いますが、大体、大臣の御答弁からいけば、いかなる場合にも、協会の自主性を阻害をしたり、あるいは言論に抑制を加えたり、政府の代行機関たらしめるということはない、こういう御答弁で納得をしましたが、こういうような場合は、どういうことになりましょうか。お手元にお持ちかどうかわかりませんが、今日、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法、こういう規定があるのであります。この中に、防衛の秘密保護上の提出として、「不当な方法で、防衛秘密を探知し、又は収集した者」は、「十年以下の懲役に処する。」こういう刑事罰を加えた罰則条項があります。これで思われることは、今日の防衛庁所管の問題は、すべてが極秘事項に付されておる。たとえば最近問題になっている核弾頭の問題にしても、一切政府側においては、極力丸秘、極秘ということで扱われておる。いわんや、そういう軍事基地に対する立ち入りも、これは峻烈をきわめており、容易には入れない。しかし、核武装するかしないかという、国のきわめて重大な問題に、日本放送協会あるいは民間の放送事業者の中にある取材記者が、大きな関心を持つのは、これは当然です。そこで、こういったようなものによらないで――もっと極端に言うならば、防衛庁なり、あるいは防衛庁出先の官側で公式に発表するものは、これは国民に知らしてもいい、しかし、もっと大事なものは、おそらく今日の岸内閣の手によっては、公然と公表しないというのが常識であろうと思う。それを知らせる必要があるというので、協会の取材記者あるいは民間放送の取材記者が、正当な方法によらないで取材をして、それを電波に乗せて出した。勢い岸内閣としては、ひた隠しに隠しておいた防衛秘密が漏れたという場合に、この条項をたてにとって閣議で問題になり、放送関係の所管は郵政大臣であるということで、大臣が、岸総理を初め防衛庁長官あたりから、きつく難詰を受けて、それで、放送法上許されないけれども、協会やあるいは民間放送事業者に対し、こういうことをしないようにという行政措置をとれという閣議の申し合せなり、あるいは総理の命令等が行われやすい状態が、今日私は日本にあると思う。そういう際どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/24
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025・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) 私も、そういう国際法とか今の秘密保護法とかの内容も、あまりわかりませんが、ただ国際放送というもの、ここにも規制をいたしておりますように、たとえば、「国際放送は、国際親善を害するものであってはならない。こういうことが一つの国際問題についての取扱いのやはり基本的な方針ではないかと思うわけであります。放送することによって、何か国際間の親善を害するというようなことのものには、これは触れてはいかぬということが、そういう「国際親善を害するものであってはならない。」というふうにきわめて明白に規定をしてあって、国際親善ということを基本にしておる。そのほか、在留日本国民の慰安をするとか、あるいは日本の実情を知らせるという、きわめて平和的と申しましょうか、文化的な形において国際放送が行われて、そうして、それは、わが国の文化的発展とか、あるいは貿易の伸展に寄与していこう、こういうことでありますから、秘密保護法の問題とか何とかということは、それを好意的に、悪意を持たないでやったことが、そういう問題に発展をしていったということは、あるいはあるかもしれませんが、どうも私は、そういうふうに国際放送の放送の仕方というものが、非常に政府の考え方とNHKの考え方が突拍子もなく違っていく、あるいはまた、国際紛争の中にこれが行われていくしというようなことには、どうも想像ができぬのでありますが、なお一つ政務次官、補足答弁をしてみて下さい。私には十分な答弁ができませんが、まあ一つどうぞ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/25
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026・森中守義
○森中守義君 今の大臣のお答えは少し的がはずれておりますね。それは国内問題の防御秘密保護を私は言ったので、ちょっと違っておりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/26
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027・廣瀬正雄
○政府委員(廣瀬正雄君) ただいまの御答弁は、今御指摘の通りだと思いまするが、国際放送におきましても、正当な手段によってNHKが資料をキャッチしまして、それを放送するというようなことであれば、これは何もとがめられる根拠はないと思うのであります。ただ、今法律の内容を私はよく知りませんので、森中委員の御説明によりますると、不当な手段によって云々という文句があったようでございますが、そういうようなことによってやった放送でありますれば、その法律によって処罰されるというようなことはあり得るかもしれませんけれども、NHKが自主性をもって正当の取材によってやった放送であれば、私は規制を受けないと、かように解釈すべきではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/27
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028・森中守義
○森中守義君 政務次官、この解釈はあなたの言われる通りで、また、その通りに行われればこれは何ら問題にならない。ただその法律が法律通りに行われていないところに問題がある。もとより、また、よしんばそういうことがあっても、たとえば協会なりNTVなり、いかなる取材関係も、ああそうですかといって私は黙って引っ込むということはないと思う。取材記者そのものがですね。相当大きな問題になります。なりはするが、一応、政府の態度としては、法律ではそういうことが禁止されている。しかしながら、国の軍事秘密が漏れた、これはこのままほうっておけない、こういうことを許すならば、どうも次から次へ防衛秘密が漏れるということで、法律を承知でおりながら行政権を乱用する。それで協会に圧力を加えてみたり、あるいは民放の方に圧力を加えて、きつくそういうところに立ち入りはまかりならぬ、そういう記事があるならば、一々社のデスクなり何なりに持ち帰って、それで会長の認証をもらう、あるいは社長の認証をもらうようにしなければ承知しないという、法律以外のことが行われるような還境にあるので、そういう際にどうするか、こう聞いておる。だからして、政務次官が言われる通りに、法律がそうなっておりますからそれ以上のことはできません、こういう答弁であれば、これはもう大へんけっこうなんですがその通りに行われていない。少くとも私はそういう実例は岸内閣発足以来二年近い間に幾つとなく、いやというほど体験をしております。法律は法律、行政は行政だということで、よからぬことをどんどんとやっておるので、そういうことをやったからといって、黙って放送関係者が引っ込むとは思われないけれども、念のために、そういう場合にどうするか、こういうことを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/28
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029・廣瀬正雄
○政府委員(廣瀬正雄君) まあ行政上の、政治上の事実問題だということになって参りますわけでございますが、まあそれの場合は、郵政大臣としましては、いかに内閣がどんな方針を押しつけようといたしましても、断じてこいつにまあ抵抗いたしまして、この放送法を守るべきだと思いますし、また、さような理不尽なことを政府があえてやろうということになりますれば、放送業者なりNHKなり、あるいは国民の世論というものが私は黙っちゃいないというように考えます。こういうところで一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/29
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030・森中守義
○森中守義君 大へん政務次官の御答弁、意気盛んでけっこうです。私はそういうことで、実際問題として郵政大臣の力、政務次官の力というものを信じたい。しかるがゆえに、いかなる場合でも、法律に、憲法によって保障されている表現の自由、こういうことは、この放送法が具体的にそのことを保障しておるわけですが、いかなる場合でも不当に、どういう政府が困ると思うようなことを収集しても、断じて手をつけないように固くお約束をいただきたいと思います。それで、今のことは私も若干の危惧の念を持ちながら、政務次官の意気盛んなところを承わりましたから、その程度で了承しておきますが、国際放送について、やはりこれは具体的に放送の態様の問題、同時にまた金の問題でもあろうと思うのです。
そこできのう次長の荘君の話によりますと、どうもやはり積算の根拠が私にはぴんと理解できておりません。もちろん、政府、郵政予算を組む際、さらに協会予算を組む際に、形の上で合義をするとか、あるいは一緒に検討を加えるということは、これは機関が違うわけですから、その形に限っては了承できます。しかし、郵政省がおよそ協会が三十三年度には何カ国に何時間放送して、そうして経費がこれだけ要る、こういう実績は当然積算の根拠に入れて、それで大蔵省に予算要求をなさるのが当然だと思う。もとより、さっきの条文の解釈は、今になってみれば郵政省の見解が一応私は筋が通つている、率直にこう認めます。しかし法文上の疑問がありますし疑問があるが、単に形式における条文の解釈は私は了承した。従って、疑問がある限り、私は国際放送についてはやはり政府が全額を負担すべきである、最大限に負担すべきだ、この所信はあくまでも貫く必要があると思う。そういう際に、作品の答弁により、郵政は郵政で勝手に積算をやつて、それで、二億要求した。しかる結果九千百万円になった。足りないところは放送法によって協会は自主的にやり得るからそっちでやってくれ、これは私は、あまりに役人的なものの考え方であって、さなきだに、協会の予算は決してこれは楽じゃありません。そういう財政困難な中に、しかも、しばしば鈴木委員から指摘されているように、国内における受信料は、これはNHKの放送に対する対価としての受信料です。これを国際放送に回していいということは、これも多分に問題がある。しかも、政府が国策的な国際放送ではなくして、NHKの自主的な国際放送に期待をするというこの見解は、もとより貫いていかなければなりませんが、しかし、協会が国民を代表して、いわば国民外交的な立場からの国際放送であれば、これをあくまで助長育成するという意味において、政府はもっと金を出すというのが筋道だろうと思う。しかるに積算に当つては協会の実績を何ら考慮せず、単に郵政がこの方向に対してはこの時間、イコールこれだけというような、こういう積算の根拠というものは、どうしても納得できない。そこの実際協会の国際放送に使用している実績と、郵政省の積算の根拠というものは、全く何らの相談なくして行われているものかどうか。その辺の事情をつまびらかにしていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/30
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031・荘宏
○説明員(荘宏君) 政府の三十三年度の国際放送交付金は、お手元の資料にございますように八千九百が何がしでございまして、確かにNHKが現実に国際放送に三十三年度にかけております金に比べますと少うございます。政府といた、しましては、結局これは国家の予算から出ていく金でございます。従いまして、国家予算全般のやはり状況というものを政府としては考えざるを得ないということでございまして、従いまして、政府といたしましては、真に政府として命令を要する必要最小限度の放送の実施のための経費というものを計上せざるを得ない立場にございます。そういう関係で九千万円弱という額になったわけでございまして、協会においてさらにその実施をより有効適切ならしめ、いわば政府から九千万円程度の交付金をもらって実施するものに対し色をつける、あるいは肉をつけると申しますか、よりよい聴取効果をあげるために、経費のつけ加えをやつているというのが実際の状況でございます。
そこで、政府といたしまして、確かにNHKは、政府が出した金よりもよけい金をかけていいものをやってくれているということは認識いたしておりますけれども、先ほど申上げましたような事情からいたしまして、NHKが使つているそっくりそのままを土台にして交付金をはじき出すということは、まことに私ども力足らずして申しわけない次第でありますけれども、遺憾ながらできない、こういう状況にござといますので、ご了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/31
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032・森中守義
○森中守義君 これは了承するもしないも、本来ならば郵政省の公算折衝に私は非常に御苦労感謝しておる。むしろここで荘次長や、あるいは大臣、政務次官になぜ金を出さぬかと、こう言うのが実は少し無理かもしれません。しかし今一兆四千億になんなんとする国の予算の中に、もとより国費は乱費されては、これは困ります。困るが、そういう膨大な予算の中に、国民外交を展開しようとする協会に、国が国際放送の費用を二億要求して九千万にされる、あとは協会が持ち出しをやる、これはどう考えてみても、今荘次長の説明ですと、ワクのある国家予算の中からという理由ですか、それを決して私はどうこう言うわけじゃありませんが、どう考えてみても理屈が通りません。もちろん、これは協会予算の審議の際に大蔵大臣を招致するように話しておりますから、その際郵政当局よりも、むしろ大蔵大臣の方にこの話をした方が手っとり早いと思いますが、少くとも積算の根拠が、やはり今荘次長の説明からいっても、協会側の実績というものと完全にマッチしていない、これだけは言い得ると思う。
それではどちらがとるべき方法かといえば、これは何としても私は協会の国際放送の今日の計画、方針、即経費というものを採用すべきだと思う。そうなれば、何回も申し上げるように、国民外交という観点に立てば、政府が大幅に交付金あるいは助成金、全額負担するというのは当然なことじゃないかと思われます。従って、再来年度の予算の編成等に当つては、もう少し協会と事前に南米向けには幾ら、どういう金が要る、あるいは東南アジア向けにはこの程度のものが要るというように、いろいろ双方の具体的に、法律上協議とか、あるいは指示ということは、これはあり得ないにしても、事前に話し合うという場面は大いに作ってもらいたいと思うのです。それと、郵政省は政府機関という立場からやはり金をお組みになったのでは、いつまでもこういうことは続きます。むしろやはりこの国際放送の経費というものは、協会側の立場に立って予算を組んでもらいたい。これを一つこの際は要望して、あとは協会予算の際に大蔵大臣に対する問題として残しておきたいと思います。
さらにもう一つお尋ねしておきたいと思いますが、何でも今度の改正案が通れば番組調査官というものを作るのですか、はっきり記憶しておりませんが、衆議院の逓信委員会でどなたかの質問に大臣はそのようにお答えになったかに聞いておりますが、相違ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/32
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033・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) そのことは全然ございません。そういう計画もございませんし、そういう考えも持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/33
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034・森中守義
○森中守義君 これはこの前の放送法のときだったかわかりませんね。一時話題に出たことはあります。たまたま、この委員会では前回には放送法の審議に入りませんでしたので、質問を行なっておりませんが、確かにこの問題は一つの重要な問題として私どもは指摘をしておりました。将来ともこういうものを作りませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/34
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035・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) さような意思は全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/35
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036・手島栄
○委員長(手島栄君) 新谷委員の資料の要求について何か……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/36
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037・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 郵政大臣にお尋ねしたいのですが、先般の委員会で、ちょうど郵政大臣が席をはずされました留守に質問をいたしまし、電波監理当局から資料が配布されておるのであります。私は、この具体的問題について今ここで論議をしようというのではございません。ただ、私の申し上げておる趣旨は、局長からお聞きになったかと思いますけれども、現在日本で国際的に使える周波数帯というものがきまっておるわけです。また科学技術の進歩に伴いまして、今後各国がおそらく競って奪い合うであろうという周波数帯も大体予見せられておる。そういう状況でありますから、この周波数をどういうふうに有効に使っていくかとか、あるいはこれから国際会議等で問題になります周波数に対して、わが国が国際会議においてどういう主張をし、どういう方法で各国に協力を求めるかというようなことについては、これは実は非常に基本的な重要問題であります。従ってこれに対して、郵政省の技術陣がどの程度人的にも、あるいは経費の上でもそろっているかわかりませんが、最大限のことを政府としてはおやりにならないといけないのとはないかという考え方から、多少具体的に電波監理局長に伺ったのであります。
この資料をざっと見ましても、実に私は、結論から申し上げますと物足りない。電波監理局長はその出時お答えになったのですが、たとえば、そういうふうな新しい周波数帯の中で、新しい周波数を発見したり、あるいは新しい周波数帯についての研究をするために、NHKの研究所でもおそらく年間四千万円くらい使っておるだろう。電波研究所でもその半分くらいは使っておると思うというようなお答えがございました。私その後いろいろ調べてみましたが、そういう経費を使っておるという事実はないように思います。しかし、こういったのはいずれも基礎的な研究にも関係するものでありますから、私は、きょうここで、研究費が幾らだという質問はもういたしません。いたしませんが、私は、こういう重要な問題について、電波当局が今日まで非常に研究に対する力の入れ方が足りなかったということはまことに残念に思うのです。もしも、残念でないという資料をお持ちでしたらお示しを願つてもけっこうです。私はこれだけの大きな問題を処理するのに、一体政府及び政府関係機関が今日どのくらいの人間をさいて、どのくらいの技術者を動員して、どのくらいの経費を使っておるかということを考えますと、実に私は残念でしようがない。電波局長は技術者ですから、大臣よりはこういった問題に詳しいと思います。その技術者の局長がおつてさえこういう状態です。ですから私はここでこういう問題について結論を得ようとも思いません。しかし、なぜもっと真剣にやらないのかということだけを非常に痛感をしておりますので、郵政大臣にですね、これは一つ、今急に経費をふやしたからどれだけの効果が上るというものではございませんでしょうが、もっとこれも経費を与え、必要な技術者も整備して、あらゆる力を入れて、こういうところに新しい道を開いていかないと、日本の電波行政は技術的にはおくれるばかりです。その結果は経済的にもあるいは文化的にも決して他国にはついていけないと考えます。この点につきまして、何か御意見があれば伺いたいと思いますし、御答弁がなくても、一つ政府の最大限の、これからの真剣な努力を期待したいと思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/37
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038・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) ただいまの新谷委員の非常に御熱意のこもった、また、わが国の電波行政に対する非常な御心配を賜わった御質疑に対しましては、衷心感謝を申し上げますとともに、私どもがこの電波に関する周波数の効率的な利用、また国際的にこの周波帯を獲得するということに対する日ごろの研究が不足であった、不十分であったということに対しましても、まことに遺憾にたえないのでございます。これは局といたしましても、何と申しましても、これらの研究調査には相当の予算も必要なことでありますけれども、この予算等はきわめて、不十分であったというようなことも影響いたしまして、かような積極的な調査研究等が十分でなかったということは、まことに主管の責任者といたしましても遺憾に存ずる次第であります。幸いそうした御熱誠な御忠告もござしましたし、本年は相次ぎまする国際会議等も行われる、この周波数の割当といったようなこと、あるいはまた全権会議において一そう貢献しなければならぬというような、非常に重大な会議も行われることでありますから、これを契機といたしまして、郵政省、この所管の局長あるいは次長、その他を十分鞭撻をいたしまして、今後御注意の点、いろいろお示しの点等十分に心いたしまして、特に電波行政に対しては積極的に日本の権益として拡大していくという決意をいたしておるわけであります。この点なお今後ともこういった方面に御指導、また御鞭撻をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/38
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039・森中守義
○森中守義君 大へんどうも質問がとぎれとぎれになって恐縮ですが、例のテレビの免許の条件、あれは将来どうするつもりですか、運用は。存在はするでしょうがね、運用についていろいろ問題が今まで提起されてきておる。従って基準か条件かという、こういう表現までも使われておるので、これから先のあの条件の運用をこの際聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/39
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040・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) この問題については、過日も新谷委員から御質疑がございましてお答えをいたしたのでありますが、予備免許を与えるについての各種の条件、こういうものは、実は放送事業者が自主的にこういったような電波を、いわゆる放送を開始することについての自主的と申しますか、みずからの計画といたしまして省に提示をするという形になっておるわけであります。これは、法的にはこれに違反をしたから、あるいはその約束を履行しないからということによってこれをどうするとかという法的な問題とは、私どもはそこまでは考えておりませんけれども、あくまでも、道義的と申しますか、行政的にこれを一つ守るべく指導いたしまして、そうしてなお、こういったようなことにおいてもこれが守られない、そういった等の条件、いわゆる条件を履行しないということになれば、もちろん行政的にこれを注意をし、指導もいたしますが、それでもなおこれに対して履行をしないということに対しましては、さらにこの免許更新というようなときに、これに対してやむを得ないので十分注意をし、指導をしてもかまわない。いわゆる条件を履行しないという者に対しましては、免許更新といったようなときにこれは考えざるを得ない。こういうふうに考えておりまして、あくまでも自主的に放送事業者自身がみずから約束をし、条件として提出をしたことでありますから、これが行政的にあくまでも履行してもらわなければ困る、こういう考え方をもって処置していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/40
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041・森中守義
○森中守義君 大臣の言われる、最悪の場合には考えなければならぬというのは、本免許を交付しない、こういうことですか。免許を引き上げる、予備免許を引き上げる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/41
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042・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) まあ極刑、という表現は非常に悪いのですが、最悪のものに対してはあるいは御指摘のようなことになるかもしれません。しかし、その他の方法も、いわゆる反省させる方法としてはその他の方法もあろうかと思いますから、できるだけいわゆるその条件を履行するように指導していく、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/42
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043・森中守義
○森中守義君 他の方法とはいかなるものを言っておるのか、想像がつくようでなかなかむずかしいのですがね。それでは条件が守られているかいないかという、そういう調査というか、あるいは大臣がそういうものを把握するにはいかなる方法をするのですか、いかなる方法で条件が守られているかをあなたは把握しようとしますか、把握するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/43
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044・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) これはまあ非常にこの把握ということはむずかしい問題かもしれませんけれども、これらについては、一応のいわゆる条件というものに示されておる通りに放送がされておるかということは、これを調べる、あるいは察知するということは、その放送、テレビならテレビジョンの放送そのものを見ることによってもこれは可能であろうかと思います。また、時にはその放送事業者の代表者とその状況について話し合いをして、そうしてその状況を聞くというようなことも私は決してできないことではないと、まあかように考えておりますから、それらについてはやはり十分注意をいたしておりまして、その条件が履行されておる、またされるように行政的な指導協力をいたしていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/44
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045・森中守義
○森中守義君 どうも大臣これは陽気のせいでどうかなっているのじゃないですか。これはテレビを見て、放送が出ているかどうか、それはわかるでしょうが、おそらく倒産はしませんよ、テレビは出るのです。これはおそらく電波が出せないように、そこまでその会社の経営がどん詰ってくるというようなことは、現在では私はないと思う。まあそういうばかげたことを聞いているのじゃない。たとえば一億円で、これで施設あるいは電波が出せるように、資金の確保を予備免許の条件として、認可の際にすることが条件になっている。ところが本免許までにもうすでに五千万の増資をやる。これは明らかに予備免許を交付するときの条件と違っているのじゃないか、こういう実例もあるのですよ。あるいはその他定款上の、たとえば会長、社長、重役、まあこういういろいろな問題がある。要するに新聞とラジオ、テレビが一元化されてはいけない。あくまでも新聞は新聞、ラジオはラジオ、テレビはテレビ、こういう工合に分離をしないと報道の危険を感じるということで、会長、社長は、これはもう権限を明らかに分離しておる。まあその際に民放、商放の問題等で、今までは私どもはやかましく論議をしてきたのですが、まあそういう人事の問題であるとか、あるいは資本構成の問題であるとか、その社内に存在する条件に合わないようなことが行われておるんじゃないですか。こういうのはあなたはどうしようとするのですか。そうでなくてもキィ・ステーションを中心にして二つないし三つぐらいに現在のテレビが系列化されるおそれもある。これは先般ここに参考人がお見えになって、御手洗さんであったと思いますが、そういうことを指摘された。従ってそういうのを、明らかに予備免許の条件と違うそういうのを、あなた、今の大臣の答弁からいえば、受像機を見ておればわかるなんという、そんなばかな話はありませんよ。どういう方法で条件が整っているかいないか、免許更新の際にそれを守られていなければ、最悪の場合にはそういうことになるかもしれぬという、まあそれはそれとして、常時条件が守られているかは、いかなる方法で把握をするかという、こういうことに対してはもっと具体的に、荘次長はその問題が起きたらどこへ派遣をする、浜田局長をどこへやる、まあそういった常時条件が守られるように郵政省は見ておく必要があるのです。その具体的な方法を示してもらわなければ、受像機を見て、テレビが出ているからやつておるなということでは、これは条件が満たされるかどうかわからない。どうも陽気のかげんに左右される答弁は困ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/45
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046・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) 私が御質問の的をはずしてまことに申しわけございません。ただ資本構成というような問題につきましては、たとえばその建設の途上に五千万円で計画したものが倍額かかる、あるいは三千万円増資を必要とする、こういうときに、最初の五千万円が今の条件に示した通りに配分をした。ところが、あとの五千万円増資を必要とするというときに、株主総会、その他商法における成規の手続によって今度これを募集すると、増資する。こういうときにあるいは自分は放棄をすると、あるいはその最初の五千万円の配分についてはそういうことであったけれども、増資の分については形が変ったと、こういうことがありとしますね。これは私は好ましいことではないけれども、その後の資本構成、増資をしなきゃならぬという態についての、新しい事態ですから、これを郵政省が相ならぬということは私はできないのではないか、こう考えておるわけです。しかし、それが当然最初の資本配分と、出資配分というものが最初の通りでいくことが、これは望ましいことです。しかし、それはやはりそのときに増資をする場合にも、そういう形でやらなきゃならぬということの条件はおそらくついていないはずでありますから、これは常識としてそういう形で出発をした以上は、やはり倍額増資の場合もその形をとってもらうということが常識でもあるし、好ましいことでもあるのでありますから、それがならないからといって郵政省がこれを追及するということは私は行き過ぎではないかと、こう考えるわけですが、しかし、これらの問題についても、今局長の報告を聞いてみますると、まあ自主的と申しまするか、お互いにこういったような会社とも、その放送会社とも、状況についていろいろ連絡をし、事情を聞いておる。こういうことでありますから、そういうお互いの、相互信頼の上に立って事情を聴取して、そうしてこれに対する条件、できるだけ予備免許を付与する場合につけたところの、示したところの条件に合致するように、これは行政的な指導とか、あるいはまた相談をして、そういったような方向に、いわゆる最初の条件に合うような方向に進めてもらうように相談をしていく、こういうことになろうかと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/46
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047・森中守義
○森中守義君 少し的中してきましたが、私は個々の態様について、たとえば今の資本構成をどうするこうする、それはそれなりに意見はありましよう。しいてその意見を言うならば、私はやはり、一億で放送開始する施設をするという、こういう申請を出して、それならばよろしいということで予備免許がおりたのは、これはやはりサービス・エアリアがこの地域にある、他に影響を及ぼさない、こういったように事務的にこまかく検討を加えての決定であろうと思うのですよ。それが一億か一億五千万の、どうもこれはBという会社にスポンサーを食われてしまう。おれの方もうちょっとどうかするか、もちろん五キロから十キロに一挙に変更なんかできないでしょうけれども、やはりある程度その社の問題、サービス・エアリアの問題、そういうものを中心にして、免許がおりていると思う。それを急に、もうすでに本免許がおりたはずですが、条件と異なったような状態にしてそれでそのまま行政指導をするとか、話し合いをつけるというのは、どうもちょっと条件と合わないから、条件は、いつも言うように成立要件が初めて整って条件となり得るのですよ。そういう条件の成立要件が満たされないときに条件とはなり得ません。だからして、そういうあいまいなことであるならば、条件ではなくて基準じゃないか、基準ならそれでもいいです。こういうことが望ましい、そうあるべきであろうという、そういうふうに、基準なら、それならいい。ところが、条件というのはもうちょっと強い。満たされるか満たされないかで、予備免許を交付するかしないかということが決定されるわけです。満たされないときに条件というものは成り立たない。だから、今の資本構成の問題についても、個々の態様について論及していくならば、いろいろそれは問題がある。しかし、今ここで個々の態様について具体的な実例をあげて、こういう場合にはどうか、ああいう場合にはどうかという質問はしませんが、やはりこれは、今言うように、成立要件が整って初めて条件となり得るとするならば、一体、郵政省は、平生何をどういうような方法で条件が満たされていると見ておるか、こういうことを聞いておるのです。今局長がこういう話であったからということでは、納得できない。もとより、新谷委員が先般指摘をされ、私が前の郵政大臣にきつくそういうことを言ったことがあります。まあ、それは法律事項ではないから、ここで法律違反とか何とかということは言わないけれども、非常にこれは重要な問題である。常時郵政省では、条件か成立をしているか、満たされているかということを、どういう方法によって見ているか、もう少し具体的に言ってもらわないと、行政指導する、よく見て回る……。いわんや大臣のように、テレビをよく見ていればわかると、こういうばかげたことでは、その条件の問題は片づきません、もう少し具体的にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/47
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048・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) これは、森中委員が御指摘をせられておることと私がお答えしていることとは、別に私は大きな隔たりはないと思います。少くも、一億円の出資で、その配分というものはこれこれで、それが途中でどうしても施設するためには足りないので五割の増資をした。それは、最初に一億円の資本構成、その株の配分で五割の増資はすべきです。私はそれが常識だと思う。しかし、やはり事情で、増資はできないという事情がある場合もありましょう。おそらく、自分が一ぱい出したのだ、それをまた五〇%増資をするということに対してはこたえられない、いわゆる放棄をする場合もありましょう。そういう場合に、他の新しい株主が生まれる、あるいはまた他の人がこれを持つということが、いわゆる相談の上でなされていったとするならば、これを否定するわけにはいかぬということを、私は一つの例として申し上げたわけであります。しかし、あくまでも最初の資本構成というものが基本になって、増資される場合にも、そういう率でもって増資されるということが常識でもあるので、なるべく――なるべくじゃありません。要するに、そのいわゆる条件に合致するようにわれわれは行政指導をし、そういう相談をしていく。それについては、そういったような会社の経営あるいは構成その他、建設途上に、これらの放送事業者といろいろ当時の条件について問い合せをする、あるいは資料を相互の理解のもとに出してもらう。こういうことをやつていこうというのでございますから、あなたかおっしゃっておることと私のお答え申し上げているところとは、まあ最初は私が的をはずれたかもしれませんけれども、今私がお答え申し上げることは、あなたのおしゃっていることとちっとも違っていない、こう私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/48
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049・森中守義
○森中守義君 それは大臣、全く私のあれとは違わないというのはあなたの見解で、私は大いに違っていると思う。私はあなたのような見解を持っておりません。なぜかといえば、行政指導であるとか、話し合いをつけるというのは、何か大臣の政治力によって話し合いを、格好をつけようとされているような気がする。すべてにそういうような傾向があるようですね。ところがあの条件というのは、これは大臣が政治家として政治力によって片づける筋合いのものではないと思う。あくまでもあれは放送行政の重要な一環であり、しかも事務的にこれに合致するか、しないかという認定を必要とする事項なんです。だとするならば、これは今大臣の言うように、そこの主体情勢がこうである、客観情勢がこうであるとか、またそれは、わが国の民間放送を漸次育成助長していくためにはその配慮は必要であります。必要でありますが、あの条件というものが、ここに出ている以上は、この条件はそういうものとは別に、ある程度事務的に条件に合致するか、しないかという区切りをつけないと、非常に輻湊してくるということを私は主張しているのです。その点に対する電波監理局あるいは大臣としては、平素いかなる方法でそういうものを把握されようとしているのか、把握をして、条件に満ちていないとすればどうするのか、どうするかということになると、さっき大臣が言われたように、最悪の場合には免許を引き上げるのだということをはっきりいたしましたが、平素のやり方がどうもはっきりいたしません。何かここで問題を提起したので、それに対する大臣の答弁としてはいいでしょうが、平素における放送行政の一環として、それがどの程度重視をされ、どういう行政官の配置状況であるかということについては一向に出ておらない、おらないだけに野放しになっているのじゃないか、私はこう思います。その点をもう少し意見を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/49
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050・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) これは私がお答え申しげ上げているというのも、事務当局がそういったような行政指導、連絡をし、またそれらの条件にかなっているかどうかということについて連絡をしておる、こういうことであるから、その事情を申しているので、私がこれを政治的に扱おうということであれば、これは今後こうするのだということを申しげ上げたのですけれども、先ほども局長からの報告を聞いてみると、そういうふうに行政的、事務的にやつているということでありますから、そのことを申し上げた。同時に、商法等に関連する問題として私が一つの例を申し上げた。こういうことですから、あらためて荘次長から御答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/50
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051・荘宏
○説明員(荘宏君) 先ほど来お話のございます条件というものについては、いろいろ解釈の明確でない点もあるものですから、そこに御疑問が起って参るのだと存じます。実は先般もこの委員会で申し上げましたのでございますが、田中大臣のときに非常に大きな条件というものがついているわけでございます。こういうことでございますが、その中で実は法律上の条件と私どもが考えておりますのはそのごく一部分でございます。一番初めのところの、条件その一と書いてある所でございます。条件その二と、多数並んでおります所は、免許に当りまして、郵政大臣としては、少くもこれだけのところに合致していないと、不備免許は差し上げられませんということをお示ししたものでございます。それで第一の法律上の条件になります部分につきましては、これは会社の資本構成及び役員構成、これについて申し出のところが、確実に実施されるということが確認されないと、十月の何日かでありましたか、あのときに出しました予備免許が、三月三十一日までに、そのようなことが確認されないと、失効してしまうということになっておりまして、その部分は、明らかに条件でございました。
その部分につきましては、三月の末日までに、それぞれの会社におきまして株主総会をやるとか、その他いろいろな手続を行いまして、そして郵政省の方に、その記録その他いろいろの材料を出して参りました。そして郵政大臣としましては、資本構成、役員構成については、これでかねての約束を満たしているということを確認いたしまして、確認書というものを交付したわけでございます。それによって予備免許は生きて、ずっとつながるということがはっきりいたしました。一社だけは、その行為ができませんでしたので、十月に出しました処分というものが、効力を三月末日をもってなくなってしまったということになったわけでございます。
そういうわけで、条件の問題につきましては、昨年の三月の末で、一応、私ども終了したと、かように考えている次第でございます。
それから、その他のいわゆる条件その二として、非常にこわい言葉で、条件ということになっておりますが、その点につきましては、大へん各方面に誤解をお招きしたということについて、私ども、まことに申しわけないことと思っている次第でございます。つい役所の通常使います用語が出てしまったようなわけでございまして、そこで、むずかしい条件というような言葉になったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、あらかじめ申請者に対し、これこれの程度のことが満たされないと予備免許は差し上げられませんということをお見せして、それを申請者の方で、その通りやりますということを申請書に書いてこられて、これに対して予備免許を出します際に、もう度、オウム返しに、こちらでこれだけのことはやっていただきますと、そういうお約束で、あなたの方はお出しになっておるのですから、そういうお約束のもとに予備免許を差し上げるのでございますという念を押したような意味で、あれをつけてあるわけでございます。
そういうことでございまして、郵政省といたしましては、要するに、テレビの免許というものがうまく進む、今後のテレビ放送というものが、いい工合で出ていくということを非常に希望し、期待しておるわけでございまして、役所といたしましては、業者との間に、確実な法律上の根拠がなくても、いろいろやはり行政の実際からいたしまして、行政指導というものは行われなければならぬものだろうと思います。
そういう意味で、業者の方におきましても、かねて予備免許の際の基準になりました事項については、誠実に、これを実際守ってくれていると私どもは考えております。また郵政大臣としましても、この、かねてでき上った約束というものは、いずれ再免許の際には、もう一度、過去の実績ということで、その会社が、どういうふうなことをやっていくかということを調べられるわけでございますから、業者においても、十分それを尊重してもらえるもの、かように考えて、実際上の行政上の、先ほど大臣からお話のございました行政指導の問題として扱っており、今後も扱っていこうと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/51
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052・森中守義
○森中守義君 その際に、たとえば役所の方に出てくる場合には、ある程度形が整ったものがくると思うのですが、しかし実際の実情は、かなり違ったものがあった実例を私は知っております。
それで役所の方でも形式と実体が違ったままでありながら、形式が整っているから、これでよろしいというようなことであったのか、あるいは実際、実体まで調査をされて、表も裏も変りないという認定のもとに免許をおろされたのかどうか、その辺はどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/52
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053・荘宏
○説明員(荘宏君) 昨年の三月の末の確認の際は、私どもといたしましては、十分注意をいたしまして、各会社から記録等を取り寄せまして、そうして間違いなしという判断のもとに、確認書の交付を行なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/53
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054・森中守義
○森中守義君 これで終りますが、郵政大臣に最後にお尋ねしておきたいのは、今の民間放送の周波数の状態、即各民間放送会社の配置の状態は、現状のままでよろしいと思っておいでになりますか。おそらく周波数を基礎にして免許をおろされた以上は、ベターではないにしても、ある程度これでよろしかろう、こういうことだと思う。
ところが、最近の趨勢は、いろいろ取りざたされているところによると、二社、三社合同する、あるいは整備統合というような話が出ております。しかも、さっき御手洗氏の言葉を引用したわけですが、そういう話も私ども聞いておりますけれども、何か日本の民間放送をもう少し三つか四つくらいに系列化そうという顕著な動きがあるように聞いておりますが、こういうことに対しては大臣はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/54
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055・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) 私は、やはり御質問の中にもありましたように、特にテレビ局の許可、これについては、いろいろな意見があるようでありますけれども、許可をいたし、すでに建設が始まり、あるいは放送が開始されておる、電波を発射しておるというような会社につきまして、そういう状況でありますから、それらの放送事業会社が将来ともに健全な経営が行われ、そうしてこの放送の大きな公共性を十分発揮して、放送というものが、順調に行われるということを期待しておることは、これはいうを待たない。
ただその間に、政府がこれを指導するとか、政府がそういうことを望んでおるということでは、もちろんございませんけれども、自然の形において、いわゆる系列化していくとか、あるいは自主的な運営の上に、その合理的な一つの会社経営というようなことを考えまするというと、ただ非常にエフィシェンシーの悪い放送会社が、責任を持ってすべてを施設し、あるいは経営を行なっていくということが、必ずしエフィシェンシーの高いものとはいえませんから、そういうことにおいては、番組の面あるいはその他の面においても、自然の形において、言葉はあまり感心しませんが、系列化するというような有無相通じて合理的な会社の経営というようなものを考えた上に、そういったところに自然に収まつていく、その形が一つのネット・ワークになり、あるいは系列化されるという形は、それは阻止することはできぬのじゃないか。かえってある面から考えてみれば、そうした方が、会社の経営ということが合理的に行われ、また経営も収支償うという場合もあり得るのじゃないか。しかし政府は、これをそういった方向に持っていくとか指導するとかということを、全然考えていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/55
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056・森中守義
○森中守義君 今の問題は、直接この法改正に関係ありませんが、相当重要な問題ですから、後日、またゆっくりと御質問申し上げるようにいたしたいと思いますが、ただ一点、お尋ねしておきたいのは、私の持論としては、民間放送の経営は、放送法によるべきでない、やはりこれは商法、民法が、民間放送を行わしめておるわけですから、あくまでも放送という区切られた面、周波数という区切られた面、こういうことだけが、郵政省の所管でいいと、こう思う。
従って、あまり深く、今、どちらかといえば、非常に経営困難な会社等は、経営の保障までも、放送法によろう、こういう空気があるのは、事実のようです。しかしこれは、かなり問題があるのですが、大臣は、民間放送の経営保障までも、放送法によるべきか、そうでなくて商法、民法によるべきか、まあ、このことについては、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/56
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057・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) もちろん、私は御所見のように、商法、民法によるべきであって、あくまでも、会社が自主的に経営ということについては行なっていくべきで場はないか。われわれは、ごうまつもこれに干渉したり、これにいろいろの問題を関連さすべきではない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/57
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058・森中守義
○森中守義君 そうしますとね、結局、まあさっき荘次長のお答えした条件が、一部消滅している分もあるようです。しかし周波数の問題と、それから電波法にいう検査の問題だとか、こういう問題に限って、系列の問題あたりも見ておいでになる、そういうように理解していいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/58
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059・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) 要は、本放送法の精神にのっとりまして、放送が、公共性を持っておる、この放送というものが、第一条の目的、あるいはその他のこの法律案に規定されていることが、われわれ、この放送事業者が、この法律を順守していかなければいかぬその途上において、お互いの会社とか、あるいは他の会社等と、会社の御都合によって、その合理的経営のために、いろいろの、そういったような系列化をやるとか、ネットワークをお組みになるとかいうことに対しては、私どもは、これに対して何ら干渉するものでもないし、またそういうふうになることに自然に落ちつくことによって、いずれもの会社が、経営が順調に進められていくということを、まあ期待しておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/59
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060・森中守義
○森中守義君 どうもその何が、群小の会社が、どれかに集中されることを非常に大臣は歓迎されているようなお考えのようですが、その通りですか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/60
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061・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) そうではないのです。
これはただ、今森中委員の御質疑の中にもあったように、非常にたくさんの会社が許されておる。これがことごとくが、相当な成果を上げて、この運営が、経営が行われるということについては、おのおの会社自体のいろいろの事情がありますから、それらの実情から、会社自体がお考えになって、いろいろの点について合理的にやつていかれるということには、これは期待という言葉を使ったが、これは取り消します、期待でなくて、そのことは、われわれとしては何ら干渉すべきことではない、かように考えております。
決してそういうことを望んでおるという意味ではないことを御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/61
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062・森中守義
○森中守義君 以上で、まあ大事な問題ですから、きょうは、今の問題は、その程度にしまして、一応終っておきたいと思います。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/62
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063・手島栄
○委員長(手島栄君) 委員変更について、お知らせいたします。
本日、藤原道子君が委員を辞任せられまして、その補欠に光村甚助君が委員に選任せられました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/63
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064・山田節男
○山田節男君 今、最後に、ことにこの法案に対して、いろいろ意見を持つものとして、最後に質問したいと思いますが、なお、これは、NHKに関する問題は、いずれ三十四年度の収支予算に付随して質問をすることにしたしまして、本法案、改正法案に関する限りにおいて、二、三点質問したいと思います。
その第一は、先ほど森中君の質問に関連して、この放送法の建前からいえば、いわゆる行政権の首長である内閣総理大臣が、憲法上におきましても、非常大権を持たれる。天皇も、それを持っておられないということになりますと、先ほど申し上げましたように、暴動はもちろんのことでありますが、戦争というような事実上の外敵の侵略を受けた場合に一体どうするか。
なるほど、先ほどの御答弁にありましたように、電波法の第七十四条においては、郵政大臣が、いわゆる天変地異的な天災があったとか、あるいは暴動等があった場合に、人命の救助であるとか、あるいは秩序維持のために必要なる通信を無線局をして行わしめる。これは郵政大臣が、非常事態における無線局――これは放送局ばかりでなくて、あらゆる無線局を意味しておるものだと思いますが、このことは、先ほど申し上げたように、たとえば暴動その他のいわゆる混乱ということがうたってありまするけれども、どうもこの岸内閣の今日の予算委員会における憲法第九条をめぐっての御答弁から見ますと、やはり攻めてきたらば、戦争状態になる、これをやっつけなければいかぬという場合には、どうしても民間放送、公共放送たるを問わず、これはやはり、政府でそのときは非常的ににぎって、そうして国際放送においても国内放送においても政府のやっておることは正しいのだということを、やっぱり放送せざるを得なくなってくるのじゃないかと思うのですね。ただし、今の電波法の第七十四条から申しますと、総理大臣じゃない内閣の一閣僚である所管の大臣である郵政大臣が無線局をして行わしめるということが、これは、権限つけられておるわけです。
私どもが伺いますことは、いまの戦争状態が起きた場合に総理大臣は、このいわゆる放送法、電波法によっても、かつて軍部が、NHKをあごでつかったような、そういうようなことは、もう放送法でも電波法でもできない。それは大臣も、そういうふうにおっしゃっておるですから、そのことを私は重ねて現行の放送法と電波法の解釈というものは、アメリカの通信法を改正して大統領が非常事態の場合においては、放送局、いわゆる無線局を国策のためには、これを自由にし得るという、いわゆる放送法に対する大統領の非常大権の発動ということは、日本の電波法なり、放送法には保障していないということ、これを私は確認したいのです。
ですから、先ほど寺尾郵政大臣の御答弁になったことは、日本においては、やはり憲法第九条からしても、戦力は使わない、持たないというのですから、従って、内閣の首長である総理大臣は、放送法に規定はないのであるから、放送に対し、非常権を発動することはできない、電波法によって、郵政大臣が天災等の非常行政措置をとり得ることになっておるのであるが、これは、常識的に考えも、秩序を維持するというのであります。いわゆる日本の平和憲法のようなものは、持っていない。諸国のように時の政府の内閣が、放送を国策のために、これを使うということは、国外においても、国内においてもやらないということが、これは大臣として、御確認願えるかどうかということをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/64
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065・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) 御指摘の通りでありまして、これは、電波法七十四条に示された郵政大臣としてのいわゆる天災あるいは暴動等に対する規定がございますけれども、たとえば総理大臣が、そういったようなことによって、この放送法あるいは電波法を自由に動かすということは、私は絶対あり得ない。
山田委員の御意見の通りだと、かように確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/65
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066・山田節男
○山田節男君 これは、幸いNHKの野村会長がお見えになっておりまするから、公共放送の、これは、まあ最高の執行責任者でありますね、御所信を確かめておきたいのですが、先ほど申し上げましたように、たしかこれは永田会長のときじゃなかったか、間違っておるかもしれませんけれども、かつてNHKがしかも非常にいい時間、夕方に、今日の政局をやゆし、ひにくって、非常に平易に、今日の政治の悪い点、こというようなものを諷刺的に大衆的に放送したことがある。これは会長も、御存知じかかしれない。これは表面におきましては、NHKが自発的にこのプログラムをやめたということになっておりますけれども、その当時のわれわれの新聞あるいはその他において聞知するところによりますると、明らかに当時の、これは吉田内閣と思いましたけれども、けしからぬ、ああいうものはやめろ、こういうことで、ついにNHKは、そのプログラムを――これは国民の間は評判のよかった――それをやめた。これは明らかに官憲の 圧迫にNHKが、こういう送送法があるにかかわらず、これに屈したということは、これはもう万人の認めるところなんです。
で、ただいま寺尾郵政大臣は、岸内閣を代表して、この電波法第七十四条は、あくまで郵政大臣の非常大権というものは、天変地異の災害があった、あるいは暴動等が起きたような場合にも、秩序を維持するための必要な通信を無線局をして行わしめる、この限度を守る、こういうことをおっしゃるのですが、再びこの三木鶏郎さんですか、のやっておったプログラムを時の政府等から、圧迫があっても、あなたは、この放送法の精神を堅持して、やはり、不偏不党、正しき公平なもの、しかも国民に教育上からいっても、正しいと思うことは、これはどんなことがあってもやり抜く、かつてのような、ついに政府の圧迫に屈して、所定のプログラムを省略するというようなことはないという御確信をお持ちかどうか、この点を一つ伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/66
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067・野村秀雄
○参考人(野村秀雄君) 三木鶏郎事件というものの内容並びにその結末がどうであったかということを私よく存じません。存じませんが、私としては真実を報道し、そして公正に問題を解説していう、そうしてこの放送法に盛られた精神を、どこまでも堅持して、報道の自由というものを確保していきたい、かように私の信条として今まで運営もいたしてきておるわけでありますが、今後も、もちろんその方針を堅持していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/67
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068・山田節男
○山田節男君 これは、今の野村会長のお言葉は、先ほど申し上げましたように、もしそういうようなNHKが、法律において保障されている放送表現の自由を、政治的な理由によって干渉圧迫した場合には、これは職を賭しても守るという、そういう意味の固い御決意かどうか。もう一ぺん一つ、確かめておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/68
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069・野村秀雄
○参考人(野村秀雄君) NHKの良識によりまして、そしてこの信条は、どこまでも守つて、NHKの使命を果していく強い決意を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/69
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070・山田節男
○山田節男君 これは野村会長が、誠心誠意を持っておっしゃったことでありますから、放送の自由は、ことに公共放送の放送の自由は、あくまで死守する、こういう御決意であるということと私は解釈いたしまして、これ以上、質問申し上げません。
それから次に、前にもちょっと触れましたけれども、今回の放送法の改正についての教育番組の問題です。これはもう、申すまでもなく国民の教育について、まことにこれは重大なことでありまして、今回の改正案においても、協会NHKに対しましては、教育番組に対しては、かなり詳細な規制が行われているのです。これも私は非常に妥当だと思うのです。
ただ私不審に思いますることは、この民間放送、ことにラジオだけでなくて、テレビの民間放送に対して、チャンネルが割当になるというときに、日本においては、民間放送が教育放送をやる、政府も、これに対してチャンネルを割当てるという方針を持ち、結果におきましては、すでに東京、大阪に商業放送の教育放送が始っているわけです。これは申すまでもなくアメリカのように民放第一主義の、すべてを一般放送事業でやっておるアメリカにおきましても、教育放送につきましては、これは非商業的な教育テレビジョンのチャンネルとして保留している。しかもいい波を保留している。
しかるにかかわらず日本におきましては、この民間放送にも、教育放送のテレビを許すという建前をとり、現に波を割当てているわけです。もちろんこれは、東京、大阪の民間教育放送というものの今後一年あるいは数年を見なくては、商業放送の教育放送が成功するか否かということはわかりませんけれども、しかし外国の事例を見、またアメリカのような民放主義である国におきましても、教育放送テレビ等につきましては、非常に厳重な規制を加えている。これはもう、結果におきましては、日本はそういうことはしなかったのであります。
しかし私は、せめてこのいよいよ発足している商業放送の教育放送、テレビ放送は、これは私は政府の干渉とか何とかいうのではなくて、商業主義でいく民間放送の本来の性質からみて、教育放送というものが、果して成功するかどうか。また成功させるためには、これは、私は郵政大臣として相当な規制を加えるべきだと思う。
しかるに、この民間教育放送につきましては、わずかに学校向けの教育放送は、学校教育を妨げるものであってはならないというだけの規定なんですね。これは私は、公共放送であるNHKに対して加えている教育放送の番組に対する規制くらいのものは、その重要性にかんがみて、民間放送にも私は加えるべきではないかと思うのですが、どういう事情で、この民間の一般放送事業による教育テレビに対しては、きわめて簡単な学校教育を妨げない番組を放送するというだけのものでありますが、どういういきさつで、こういうことになったのか。この点について伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/70
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071・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) この教育放送に対しまする、ことに第四十四条第五項、これらの教育番組に対しまする規律というものは、民放にもこれを適用するということは、これは第四十四条の五項、あるいはその第四十四条の二、あるいは三、これらはすべて、民間放送にも適用をする、こういうことでありまして、まあ広告――この民放の場合には、スポンサーによって、これらの放送が行われることは、これは御承知の通りでございますから、この広告放送に対しては、学校教育の妨げにならないということを規律をしているわけであります。民放、NHKともに、教育放送に対しましての、こうした規定を設けているという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/71
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072・山田節男
○山田節男君 ちょっと私は、これは、そこつなせいかもしれませんが、第四十四条の四項、五項、ことに第五項は、この一般放送事業に適用するということは、何条にあるのですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/72
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073・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) これは、改正案の第五十一条に示してあります。この五十一条に、「第四十四条第三項から第五項まで及び第四十四条の二の規定は、一般放送事業者の放送番組の編集又は放送について準用する。」こういう、大へんわかりにくいなにでありますけれども、これを民放にも、準用するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/73
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074・山田節男
○山田節男君 この第四十四条の、三項以下が第五十一条によって民間放送にも適用される、これはわかりました。
前回、私ちょっと最後に申し上げたのですが、この商業放送の、いわゆるこの広告の過剰、過当と言うのですかね、過当な広告の問題ですね、これに対して、私は少くとも教育放送、教育テレビジョン放送について、これは、ラジオの場合でもそうです。ただ学校教育を妨げない限りのような広告をしろとありますけれども、これだけでは、今これはテレビの、教育テレビ放送で、商業放送で、一番われわれ心配し、また現実に、そういう憂うべきことができている点は、広告の過剰といいますか、エクセシィブな、広告、これは一体、学校教育を妨げない番組ということで規制できるのかどうか。この立法の趣旨を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/74
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075・荘宏
○説明員(荘宏君) 第五十二条の二に申します「学校教育の妨げになると認められる広告」と言いますのは、内容のみならず、分量をも意味するものと解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/75
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076・山田節男
○山田節男君 そういたしますと、内容ということになれば、たとえば学校向けの教育テレビジョン放送において、酒の広告であるとか、まあその他子供の、学童に対して、あまりいい影響を及ぼさないであろうというような広告の標準ですね、内容は、どこできめるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/76
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077・荘宏
○説明員(荘宏君) 内容といたしましては、要するに学校教育の妨げになると認められる広告はいけないということでありまして、学校の種類であるとか、従いまして、そこにおります学生、生徒のレベルとかというようなことによって、いろいろ変ってくると思いますが、まあ一般的に言えば、お酒飲め飲めというようなことは、これは、普通は妨げになるものと解されるのは当然であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/77
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078・山田節男
○山田節男君 これは、私の個人だけのことかもしれませんけれども、今日、民間テレビの放送を見て一番感じますることは、せっかくの演出が行われている最中に、広告がやたらに出てくる。ことに劇であるところの場合においては、まったく興味が半減するほどの広告が今日行われておるのです。
これは、外国に数多くの立法例もありませんけれども、しかしある国におきましては、そういう商業放送、テレビの放送をする場合においては、その一つのストーリーならそのストーリーの間においては、一回しか広告放送をしてはいけない。あるいは三十分なら三十分の演出の場合には、それの何パーセント、たとえば五%以上の広告放送をしてはいけない。こういう一つの規制を加えておるんですね。そういたしますと、今の番組の広告の性質、内容も、番組審議機関で、これをきめるということになるのでありますけれども、その、ものさしというものが、大体私は、これは、その、ものさしまで、幾ら法制化されても、番組審議機関が、そこまでの自由裁量があるかどうか。もしそういうふうになった場合には、商業放送の経営者からいえば、これは相当、理屈を言うだろうと思う。そこに、やはり私は、一つの法的な根拠を持ちませんと、ただ法制化された番組審議会で批判して、これはいかん。――種の検閲制度ということまでくれば、これはできるかもしれませんけれども、少くとも、この本改正案で示されておる番組審議機関の本質というものは、それほどのものじゃないということを、これは大臣も説明されておると思うのですね。だから、そこらあたりにも、実際、教育放送を民間放送でやらすからには、野放図なことをされちゃ困る。
一例を申し上げますと、これは、東京でいち早く民間の教育テレビ放送を申請したその例をみまするというと、これは、受験者のためにやって、テキストを売るのだ、それで十分そろばんが合う。こういうことを、われわれに、いろいろな陳情をしてきたことがあった。これは私は、こういうようなものに、一体教育放送をやらしたら、どういうことになるかということを憂えた。幸か不幸か、競願者が多いために、映画であるとか、そういう図書出版であるとか、あるいは従来のラジオ放送というものが合体してやったもんでありますから、その憂いは、多少は減じたかもしれませんけれども、いまのように、教育放送が、テキストを売って、それで、もうかるというような、そういう商魂たくましい教育テレビ放送をやられたのでは、それは国民としては、たまらぬわけですね。
だから、そういうものを法的に、何かこれこそ、監督規定を設けるべきだ。基準を設けるべきだと思うのです。それをやろうとしないところが、むしろ悪い意味での現在の放送の自由ということを、過当に尊重されるがために、そういうことになっておると思うのですよ
今まで、これは前任者の田中角榮君、あるいは平井郵政大臣のときでありまするけれども、一体岸政府、寺尾郵政大臣として、そういうことに対して、それでいい、行政的措置で、何とかやっていけるという御確信があれば、どういうふうにしてやるのかということを、一つ御所信を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/78
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079・寺尾豊
○国務大臣(寺尾豊君) これは、私は、もういろいろの御質疑の中での御所見を拝聴いたしましたが、山田委員の御所見は、私もわからないことはないのであります。そういったようなものは、ある点、事、教育に関することでありますから、これを、ある基準というようなものを、これに規制をするということも、これは考えとしては、私はあり得ると思います。
ただ、今回の放送法の改正は、全く放送事業者の自主的な運営にまかせる。こういうことにいたしたものでありますから、この広告の学校向け放送に対する広告の問題にいたしましても、教育に妨げのない範囲内においてという大きな線だけをきめまして、あとは、番組審議会で十分検討して、番組審議会の自主的な方法によって、その基準等を設けてもらう。そういうことによって、自主的にやってもらう。
こういうことを考えておるわけでありまして、決して、その基準をつけなくてもよろしい、野放しでよろしいということではなく、やはり放送事業者の良識によりますところの番組、審議会の良識と責任において、これらについても、ある基準を作ってやってもらいたい。こういう考えでありまして、これに対して、この放送法に特に規制をするということはとらなかったのでありますが、あくまでも番組審議会の自主性、またその番組審議会が、それらに対する良識において基準等を設けて、その学校放送に、教育に妨げにならないような方法をとってもらう。かようにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/79
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080・山田節男
○山田節男君 今の質問に関連してでありますが、NHK公共放送においても、将来教育テレビ放送を、他の局においても、他の地方においてもやりたいということを考えていると私は了解します。
それから民間放送も、これも教育テレビ放送をやりたい。それでチャンネルの割当を要求しておるものがあるかと思うのですが、これは、電波監理局長にお伺いしたいのですが、現在のテレビチャンネルは、駐留軍が返すものもありましようけれども、いわゆるチャンネルの住宅難の時代に入っていると私は思うのです。そうなりますと、一応、公共放送並びに民間放送の、いわゆる非教育的といいますか、一般のテレビ放送にチャンネルは割り当てられておると思うのですが、今後新しく申請されてくる教育的なテレビ放送については、公共放送並びに民間放送チャンネルというものを割り当てるチャンネルが幾らくらいあるのか。
そうして、もちろん私の申したことは、VHFのチャンネル、教育テレビ放送のために、最低限のチャンネルというものをきめておられるのかどうか。
と申しますることは、教育テレビ放送のために保留しておく、そういう周波数ハンドがあるのかどうかこの点を一つ、念のためにお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/80
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081・濱田成徳
○政府委員(濱田成徳君) テレビジョンに免許し得るチャンネルは、大へん少うございまして、将来、なるべく総合でなく、教育放送に重点を置いて行われるように配慮いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/81
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082・山田節男
○山田節男君 最後のところを、ちょっと聞き落したのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/82
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083・濱田成徳
○政府委員(濱田成徳君) 今後の免許は、なるべく教育放送をおもに考えて、免許を行うように配慮していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/83
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084・山田節男
○山田節男君 それは、全国的に見まして何チャンネルくらい割り当てるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/84
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085・濱田成徳
○政府委員(濱田成徳君) 正確な数は、今わかりませんが、全国でVHF帯においては、今のところ、確実に置き得ると目されるところは、数局くらいだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/85
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086・山田節男
○山田節男君 それでは、時間の制限もありますから、初め申しましたように、これに関連する質問はNHKの収支予算の審議のときにすることにして、この件に対する私の質問は、これをもって終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/86
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087・手島栄
○委員長(手島栄君) 他に御質疑はございませんか。――御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて、御異議ございませんか
〔「異議なしと呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/87
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088・手島栄
○委員長(手島栄君) 御異議ないと認めます。
速記を中止して下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/88
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089・手島栄
○委員長(手島栄君) 速記を始めて下さい。
これより放送法の一部を改正する法律案に対する討論に入ります。
御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/89
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090・森中守義
○森中守義君 私は、ただいま議題となりました放送法の一部を改正する法律案に対し、日本社会党を代表し、強く反対の討論を行わんとするものであります。
私は、この改正案の具体的問題点を指摘する前に、ぜひとも言及を必要とする重要な諸点を述べておきたいと思います。それは、岸自民党内閣によって、国会に提案をされる諸法案及び法改正案等のほとんどに対し、国民は、ひとしく直観的に危険を感じ、疑惑を持ち、警戒をし、不安を持ち続けているということであります。しかもそれは、岸自民党内閣命脈の延長とともに、急激に増高しつつあるということであります。この国民の直観は、単に皮相な見解であったり、偶発的なものではありません。率直に言って、岸自民党内閣によって作られつつあるおそるべき時代の再現に対する国民の素朴な憂いであり、直観であると判断せざるを得ないのであります。
それは、憲法の改正はもちろん、さきの警職法、独禁法に見るごとく、あるいは一部保守党政治家や一部少数郵政官僚の郷愁を満たすのみにすぎない郵政省設置法の一部改正、ILOの批准サボタージュ、各年度の予算が無原則、無性格、無方針であて、民生安定のためならず、いたずらに日米共同防衛態勢に狂奔をする軍事勢力の拡充強化に終始しておること、外交は、前時代的認識や感覚によって貫かれておること、諸法の運用に当っては、あるいは拡大に解釈し、あるいはこじつけ、あるいは立法の精神とは全く相反することなど、岸自民党内閣の内政、外交の路線が文字通り反動的であり、官僚独裁的であて、民生政治がゆがめられた結果、一将功成って万卒枯るとの古諺の通り、総理が三千万円の別荘を作る反面、国民は、安寧にして日を送り得ないほど犠牲を強要されておる事実を、はだ身を持って体験をしているからでもあります。ただいま言及いたしましたように、岸政権の性格が、民主政治を否定し、官僚独裁の傾向を深める限り、国民の危惧は拭い去ることはできません。
この内閣によって出されたこの放送法の一部改正案も、また、いかに岸総理、寺尾郵政大臣が、言論の抑圧統制を意図するものではないと、陳弁をし釈明をしましても、国民は、容易にその釈明や弁に承服したいことは当然であると向わなければなりません。岸総理は、過日当委員会において、軍機保護法、防諜法の制定の意図のあることを、はしなくも公言をしました。もちろん、かかる悪法の制定が可能であるとは信じないし、そのときこそ、決然立って、これを国民とともに粉砕するのでありますが、軍機保護法や防諜法のごときものが、具体的に立法される場合、人権の侵害はもちろん、言論報道の自由は、とうていあり得ないのでありまして、その実現が困難であることを知り、その実現に立ち至るまで、実はこの放送法をもって、極力言論報道の抑制を行わんとする悪意に満ちた政治意欲の現れであることは、決して推理推論ではないと思います
寺尾郵政大臣は、この改正案の趣旨説明や質問に答え、近時ラジオ、テレビの急激な発展に対処し、さらにこれを助長するため、必要最小限度の法改正であるとしていますが、一面、それを否定はしない点があるにしても、しはしば私どもが、事実を事実として指摘して参りました通り、本法改正の動機は、昭和二十八年第四次吉田内閣当時、NHKの放送番組中に、反政府的なものがある、大臣、国会議員を侮辱冒涜するものがあったとして、これを取り締るために始まり、その後今日まで、言論報道の自由をあくまで守り拔こうとする国民の世論の前に、本日の改正の線まで後退せしめられたものでありまして、やはり改正の本旨は、現行法が昭和二十五年に制定された精神川と、NHK及び一般放送者業の現体制を崩壊せしめ、政府管掌、政府監督権強化即言論報道の自由を侵犯するものであることは、何をか贅言を必要としないところであります。衣の下によろいありとは、まさにこのことを言うのでありまして、言うなれば、この改正法の至るところに、その片りんの多くを発見できることは、長時間の審議の過程を通じて、余りにも明瞭であります。
以下、若干具体的に、本改正案に対する反対の理由を明らかにいたしたいと存じます。
まず第一にあげなければならない点は、今回の改正案が、放送事業の発達をはかり、放送番組の向上をはかることが目的であるとしておきながら、どこにも、その配慮が払われておらない。いたずらに放送の自主性に制約を加え、言論の自由を抑圧するに終始しているのであります。すなわち第四十四条の放送番組の編集等について見ると、現行法においては「協会は、放送番組の編集について、公衆の要望を満たすとともに文化水準の向上に寄与するように、最大の努力を払わなければならない。」として、大局的に編集の方向を示すにとどまり、その細部にわたっては、協会の自由にまかしておりますが、この改正案に至っては、きわめて微細にわたって義務条項が例挙されております。これこそ、言論統制への一つの布石である、断ずるのであります。
ことに、同条第三項第一号中、新たに「公安」の下に「善良な風俗」を害しないこととしたことは、電波を通じて、旧道徳、旧制への復元を意図したものであり、治安維持法と特高意識の再現を感得せざるを得ません。わが国の言論と報道の歴史を知り、戰前の言論を取締りの諸法を知る者にとつて、かくのごとく公序良俗なるものが、どのようなものであったか、思うだにりつ然とせざるを得ないのでありまして、断じて国民の容認できるものではありません
また、第四十四条の三及び六において、放送事業者が、地方末端に至るまで放送番組審議会を設置することが強制されております。これが一面、民主的であるかのようにも思えますが、実は、中央審議会の委員は、多分に政府の意図を体するんのと思われる経営委員会の同意を待て会長が委嘱するものでありますから、そこには、おのずから政府色の濃い一定のワクが形成される、とは当然予見できるところでありまして、かかる結果が、放送番組の自主性を一段とゆがめる結果を憂えるのであります
特に、われわれがここに明らかにしておかなければなりませんことは、第四十四条の七にわいて、放送内容の事後措置の規定を設けたことであります。すなわち番組審議会の資料に供するとともに、訂正もしくは取り消しの申し出に応ずるためという理由の下に、放送の内容を当該放送後一カ月間保存することを義務づけ、その内容及び方法を政令にゆだねてあるのであります。本米、電波は、放送すれば消滅する性質のものであり、これが保存を義務づけること自体が不合理であるとともに、録音テープ、録像フィルム等の保存は、経済的にも技術的にも困難があると言わなければなりません。訂正もしくは、取り消しのためならば、現行法においても、第四条に、放送後二週間以内に利害関係者から請求があった場合は、その事実を調査し訂正、取り消しの放送ができるように道が開かれております。また番組審議会の資料に供する意味であるならば、現に放送事業者は、脚本や放送原稿、放送日誌等を各社ごとに保存しているのが通例でありますので、現在のままで、十分事足りると思います。今さら事新しく、事後措置の規定を設けるなどは、いたずらに国民の疑惑を深からしめる以外の何ものでもありません。
また、見逃がすことのできないのは、第四十九条の二につけ加えて、政令の定めるところにより、放送事業者から資料の提出を求め、しかも、これに反した者は罰則規定を設けたということであります。資料の提出とは、一体何を言うのか。すでにNHKにおいては、現行法第三十八条において、各事業年度ごとに業務報告書を郵政大臣に提出をし、郵政大臣は、これに意見書を付し国会に報告することになっております。その際、意見を付するための参考資料として、詳しいデータを提出せしめることができるのでありましょうし、今日まで、それを慣行としてやって参っております。また民間放送事業者といたしましても、定期々々の再免許を得るためには、郵政大臣から求めがあれば、業務の実態を明らかにするでありましょう。それにもかかわらず、二重に提出を求めることは、体何を目的として、どういう資料の提出を求めようというのか、まことに了解に苦しむところ、あります。
さらにNHKの経営委員会につきましては、欠格条項を緩和してまで委員の数をふやし、かつ有給制に改めておりますが、第十三条第二項において、経営委員会の権限を「業務の運営を指導統制」することから、「業務の運営に関する重要事項を決定」することに強化をいたしております。そうしてその反面、第二十三条においては、会長を経常委員会の構成メンバーからはずしまして、日常業務の自主性を弱めたことなど、あれやこれやを考え合せて参りますならば、いかに巧みに擬装されたといたしましても、今回の改正の目的が、番組の内容、事務の内容にまで、政府が干渉し、放送やテレビの持つ巨大な、マスコミの力を、政府と自民党の意のままに利用せんとするものであることは、とうていおおい隠せるものではありません。
以上、私は本改正案に対する反対理由の主要な点を明かにいたしましたが、これを要約いたますならば、岸総理と寺尾郵政大臣が、言論の統制、抑圧の意図が全くなくて、むしろラジオ、テレビの新事態に対処し、これを発展、助長せしめるゆえんのものであるとする説明は、どこにも発見できません。むしろその美名のもとに、控え目を装いながら、実は着実に、かつ周到に、日本放送協会、一般放送事業に対する政府の干渉、即言論統制、抑圧の芽ばえを容易に発見できるのであります。まさにゆゆしき法改正であると言わなければなりません。わが国の歴史が再び誤まりを繰り返してはならないと同時に、言論、報道の歴史も、また統制、抑圧、弾圧の歴史を断じて繰り返してはなりません。私は、かく考えまするがゆえに、この改正案に強く反対の意見を申し述べて討論を終りたいと思うのでありますが、最後に日本放送協会に対し、強く要請をしておきたいと思います。
それは、わが国近代国家九十年の歴史の大半は、不幸な言論、報道の統制と弾圧に明け暮れて今日に至っております。明治二年の新聞紙印行条例、出版条例に始まり、大正十二年には放送用私設無線電話規則、大正十三年放送用私設無線電話監督事務処理細則、大正十四年には治安維持法、昭和十二年内閣情報部の設置、軍機保護法の制定、さらに昭和十四年には映画法や、言論等臨時取締法など、まさしくこの事実を顧みてみますならば、時に政治権力や、あるいは官僚は何かの方法をもち、すきあるならば、言論、報道の統制と弾圧に乗り出す意図を明瞭に知らなければなりませんし、こういう歴史を知るがゆえに、私は言論、報道の尊い使命、国論の中枢として、いかなる政治権力にも、報道の弾圧にも屈せず、是を是とし、非を非として、永久に放送の任務を遂行されんことを心から要請をいたしまして、私の反対討論を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/90
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091・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 私はただいま議題となっております放送法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党を代表して賛意を表するものであります。
本案は、その提案理由においても明らかであります通り、現行放送法は、施行後すでに八年を経過し、その間、放送事業及び科学技術の目ざましい発展に伴いまして、ことに商業放送の急速な発展により、現行法の内容についても、これを実情に沿うよう改める必要が生じたので、これらの諸点のうち、特に緊要と認められる放送番組の向上、適正化をはかるため、番組審議機関を設けしめること、日本放送協会の機構中、意思決定機関と業務執行機関の責任と権限を明らかにし、かつ協会の事業の発展に応じ、執行機関の強化をはかり、放送債券の発行限度を高めること、及び民間放送事業についても、実情に即して、必要な規定を設けること等につき改正することを主眼とするものでありまして、大体現状においては、必要、かつ適当と認められる改正であると存じます。
これは先般、本委員会に出席せられた四人の参考人が、いずれも本案そのものには賛成であるとの意思を表明せられたところを見ましても、世論の大勢を察知し得るものと認められます。従って私も本案そのものには、もちろん賛意を表するのでありますがただ、本案審議の過程におきまして、郵政大臣及び当局との間において行いました質疑応答品において明らかにせられました通り、放送政策に関する基本的な方針が、まだ確立されていない。またこれらの基本的な方針を確立するために、十二分の考慮、ないし努力が払われていない恨みがあることはまことに遺憾であります。よって私は、この際特に若干の点を指摘して政府の善処を要望するものであります。
すなわちまず、法律案の体系、及び放送局の免許に関する規定の整備につきましては、郵政大臣も、その必要を認めておられる通りでありまして、今回の改正法律案のみでは、合口すでに処理し得ない問題が多々あるのでありますから、すみやかに、これらの諸点につきまして検討を加え、能う限りすみやかに法体系を終え、政府の意図する放送政策の実現のため、必要とする規定を整備し、もってこれらの免許処分が、法律の根拠に基き、最も民主的かつ立憲的に、さらに明確、明朗に行われるよう措置すべきであると思います。
さらに全国的にラジオ、テレビを通じ、いかなる計画に基き置局せしめるかについては、私の質疑に対して省議等を開いて方針をきめ、御答弁がございましたが、すべての放送局の免許は、まず基本的な方針を樹立し、その上に立って行われるべきであることは言うまでもないところでありまして、政府の答弁に表われたところにより判断をいたしますると、この重大な免許が、いかにもその日暮しの感なきを得ないことは、私の遺憾に思うところであります。
実際問題としては、日進月歩の科学技術の進歩に加え、多数の申請者の強い要望もあり、当局の苦心はお察しいたしますけれども、やはり政府としては、放送政策百年の大計を誤まらないため、あくまで確固たる方針のもとに、周波数の問題、中継手段の問題、公共放送と民間放送との関係、さらに教育放送と一般放送団体等をも含めた置局方針を樹立し、この基礎の上に立って具体的問題を処理すきでありまして、もしそうでなければ、放送政策の将来を誤るおそれなしとしません。この点政府の善処を要望するものであります。
さらに本改正案の主要点の一つであります教育放送につきましては、特にテレビジョンにおいて、国民はその必要を痛感し、政府も、これを必要とする意図を持っているにかかわらず、いかなる内容のものが教育番組であるか、教養番組であるか、また娯楽番組であるかにつきして、客観的な基準を持たず、将来もこれを事業者の自主的決定にのみまかせんとするごときは、不過当であると考えます。政府の意図する教育放送の内容を実現せしめるためには、たとえば電波監理審議会、民間放送関係団体等を活用し、漸次客観的な基準が確立せられ、調和と秩序を持った教育番組が国民に提供けられるように、深甚な考慮を払うべきであると考えます。
さらに周波数の効率的利用、及び新周波数帯の開発に関する研究につきましては、諸外国におきましても、あるいは政府機関が、あるいは民間機関が、多額の研究費を投じ、組織的に着々研究を進めている実情にあるにかかわらず、わが国におきましては、ややもすれば、これが等閑に付せられる傾向にありますことは、まことに寒心にたえないところあります。すみやかに人的、物的諸条件を動員し、極力研究費を国費をもってまかない、これら研究の画期的な漸進をはかるべきであると考えます。
以上、放送政策の根幹とも言うべき重要諸問題に対して、政府の真剣な努力と善処を強く要望いたしまして、本案に賛成するものであります。
〔山田節男君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/91
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092・手島栄
○委員長(手島栄君) まだ討論がありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/92
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093・山田節男
○山田節男君 これはただいまの、今までわれわれの審議いたしました放送法の一部改正は、われわれのもとに送付されました衆議院におけるこの修正決議を加えての審議と了解しますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/93
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094・手島栄
○委員長(手島栄君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/94
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095・山田節男
○山田節男君 そうですか。――そういたしますと、先ほど森中君の放送法の討論の中で、この放送内容についての事後措置のことについて、一カ月と申しましたが、三週間の誤まりでありますから、字句を御訂正願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/95
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096・手島栄
○委員長(手島栄君) けっこうです。訂正いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/96
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097・長谷部ひろ
○長谷部ひろ君 私は無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となっておりますこの法案に賛成をいたします。
その理由は、このたびの改正の重要な点は次の三点にあると思うからでございます。
第一に、放送番組の向上、適性化をはかったことであります。NHK、民放を通じまして、現在の番組の内容を見ますと、以前よりは、かなりよくなりましたが、中には、まだまだ俗悪なものもあり、低劣なものもございまして、青少年に及ぼす影響の大きいことを私どもは非常に心痛いたしておるのでございます。そこで、このたびの改正案では、教育、教養の面に対して、特にこまかな心づかいをされておられるということでありますから、これは、世論にかなったことと思います。しかも行政権による規制を避けて、放送業者の自主的な規制にまかせる方途をとっておることも、正しいと思うのでございます。
第二の改正点は、NHKの機構、業務及び財務を整備したことでありますが、このことは、現在のようにNHKの規模あるいは業務量の増大に伴って、必然行わねばならぬことと思います。なおまた予算に対する国会の承認が、やむを得ない事情で得られなかった場合の臨時措置は、当然必要であると思うからでございます。
第三に、このたびの改正は、必要に迫られた最小限度のものでありますが、私どもも、根本的な改正は理想であります。しかし現段階においては、この程度の部分的な改正でもやむを得ないのではないかと思うのでございます。
以上は、この改正案に対しての賛成の理由でございますが、ただ大きな疑念を持ちますことは、先刻も森中委員の御発言にございましたように、この改正案では、郵政大臣が資料の提出権をお持ちになることになるのでございますが、郵政大臣の資料提出権に名をかりまして、言論の自由を束縛し、業務の上に、不当な干渉をなさるのではないかということでございます。このことにつきまして、いつも、そのようなことはないと郵政大臣は申されておりますが、絶対に、そのようなことのないように強く要望いたしまして、賛成いたすものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/97
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098・手島栄
○委員長(手島栄君) 他に御発言もないようですから、討論は終結したものと認めて、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/98
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099・手島栄
○委員長(手島栄君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより放送法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
本案を衆議院送付原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/99
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100・手島栄
○委員長(手島栄君) 多数でございます。よって本案は、多数をもて原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/100
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101・手島栄
○委員長(手島栄君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
これにて散会いたします。
午後四時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114816X01319590312/101
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