1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月十九日(木曜日)
午前十時四十三分開会
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委員の異動
二月十六日委員吉田法晴君辞任につ
き、その補欠として大和与一君を議長
において指名した。
二月十七日委員下條康麿君及び横川正
市君辞任につき、その補欠として苫米
地義三君及び江田三郎君を議長におい
て指名した。
本日委員苫米地義三君及び高瀬荘太郎
君辞任につき、その補欠として大沢雄
一君及び中山福藏君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 永岡 光治君
理事
松岡 平市君
山本 利壽君
千葉 信君
田村 文吉君
委員
大沢 雄一君
木村篤太郎君
松村 秀逸君
伊藤 顕道君
矢嶋 三義君
中山 福藏君
八木 幸吉君
国務大臣
国 務 大 臣 伊能繁次郎君
政府委員
内閣官房長官 赤城 宗徳君
内閣官房副長官 鈴木 俊一君
国防会議事務局
長 廣岡 謙二君
防衛政務次官 辻 寛一君
防衛庁長官官房
長 門叶 宗雄君
防衛庁防衛局長 加藤 陽三君
防衛庁教育局長
心得 小幡 久男君
防衛庁人事局長 山本 幸雄君
防衛庁衛生局長 石橋 卯吉君
防衛庁経理局長 山下 武利君
防衛庁装備局長 小山 雄二君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
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本日の会議に付した案件
○国の防衛に関する件
(防衛庁の昭和三十四年度予算及び
業務計画に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/0
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001・永岡光治
○委員長(永岡光治君) これより内閣委員会を開会いたします。
委員の異動がございました。
去る二月十六日吉田法晴君が辞任され、後任として大和与一君が選任されました。二月十七日下條康麿君が辞任され、苫米地義三君が委員に選任されました。また本日、高瀬荘太郎君が辞任され、後任に中山福藏君が選任されました。
以上御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/1
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002・永岡光治
○委員長(永岡光治君) 議事に入るに先だち、伊能防衛庁長官からごあいさつがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/2
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003・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 議事に際しまして、一言ごあいさつ申し上げます。
私、去る一月の十二日に防衛庁長官を拝命いたしまして、従来本委員会におきましては、日本の防衛につきましては、いろいろと御審議を賜わり、御協力をいただいておりまするので、今後とも従前通り御指導、御鞭撻を賜わりたいと思います。
御承知のように、最近の世界情勢は緊張緩和の方向へ進みつつあるとは申せ、なお依然として、国際間の対立も解消いたさないというような状況でございまするので、わが国の防衛につきましても、これらの国際情勢とにらみ合せて、今後万全を期して参りたいと存ずる次第でございます。
つきましては、本委員会を通じまして、今後、予算その他各般の防衛の増強について皆様の一そうの御援助、御指導を賜わりたいと存じますので、一言委員会の開会に当ってごあいさつを申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/3
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004・八木幸吉
○八木幸吉君 議事進行について。長官に一言希望を申し述べておきたいのでありますが、従来、この委員会が開かれましたときに、委員がそろってから政府の方がお出ましになるというのは、どうも私は感心しないので、委員長がお着席になりまして、委員会開会を放送されますと同時に、各委員と一緒に政府委員の方もおいでになるということが、私、委員会の議事を進行させる上において非常に能率的ではないかと思いますので、みんながそろってからお出ましになるという習慣を改めていただきたいということを、新しく長官がおかわりになりましたこの機会にお願いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/4
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005・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) ただいま八木先生のお話し、実は私も当院へすでに登院しておりましたが、たまたま来客等の関係で、大へん御迷惑をかけましたが、自今はお話しのように、必ず、でき得る限り事前に着席をいたすようにいたしたいと思います。御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/5
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006・永岡光治
○委員長(永岡光治君) なお、八木君の御発言はごもっともだと思いますので、ひとり防衛庁長官に限らず、今後政府側の出席に当りましては、さよう委員長の方から厳重に取り運ぶように申し入れたいと思います。御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/6
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007・永岡光治
○委員長(永岡光治君) それでは、国の防衛に関する調査を議題といたします。
本日は、防衛庁の昭和三十四年度予算及び業務計画の内容についてを進めます。まず、説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/7
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008・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) ただいま委員長から御指示のございました来年度の予算の大綱につきまして申し上げたいと存じます。
昭和三十四年度の防衛庁の歳出予算の総額は一千三百六十億四千万円でございまして、これを昭和三十三年度の歳出予算額一千二百億六千万円に比較いたしますると、百五十九億八千万円の増加となっておる次第でございます。
このほか、国庫債務負担行為といたしまして、総額百九十八億八千七百万円、また継続費の昭和三十五年度以降の年度割額といたしまして新たに五十三億五千百万円を計上いたしておる次第でございます。
昭和三十四年度防衛庁予算は、将来の増強の基盤を造成するために、内部体制の充実、装備の改善等によりまして、いわゆる自衛隊の質的増強をはかることを基本の方針といたします昭和三十四年度業務計画を、その骨格としてこれを編成いたした次第でございます。すなわち、これが編成に当りましては、装備の充実改善、生活環境の改善、技術開発、特にガイデッドミサイル研究の推進、レーダーサイトの業務運営の改善等に重点を岡いた次第でございます。
なお、予算の積算に当りましては、前年度に引き続き、極力繰越額及び不用額を減少することを目標といたしまして、実行の可能、かつ確実な経費のみを計上いたした次第でございます。
なお、予算並びに業務計画の詳細につきましては、政府委員より御説明をいたさしたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/8
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009・門叶宗雄
○政府委員(門叶宗雄君) 昭和三十四年防衛庁予算の、ただいま長官から御説明がありました点の細部につきまして、私から申し上げたいと存じます。
昭和三十四年度防衛庁予算につきましてその概要を御説明いたします。
昭和三十四年度の防衛庁の歳出予算の総額は、千三百六十億四千万円でありまして、これを昭和三十三年度の歳出予算額千二百億六千万円に比べますと、百五十九億八千万円の増加となっております。
このほか、国庫債務負担行為として、航空機の購入について三十一億八千二百万円、器材の整備について百三十二億四千六百万円、施設の整備について十四億九百万円、艦船の建造について二十億四千八百万円、計百九十八億八千七百万円、さらに継続費として昭和三十四年度乙型警備艦建造費総額、三十五億三千四百万円、うち昭和三十五年度以降の年割額、二十六億九千六百万円並びに昭和三十四年度潜水艦建造費総額三十三億五千七百万円、うち昭和三十五年度以降の年割額二十六億五千四百万円を計上いたしております。なお、既往年度に計上された継続費のうち、潜水艦建造費につきましては、建造計画の変更に伴って建造費の一部を後年度に繰り延べるため、年限及び年割額を改訂することとし、昭和三十三年度甲型警備艦建造費につきましては、物価の変動に伴う建造費の減少に対応して、総額及び年割額を改訂することといたしております。
まず予算編成の前提といたしました職員の定数及び各自衛隊の勢力の概略について申し上げます。防衛庁の昭和三十四年度の予算上の職員定数は、自衛官二十三万九百主十五人、自衛官以外の職員二万三千八百六十五人、計二十五万四千八百人でありまして、これを昭和三十三年度の予算上の職員定数に比べますと、自衛官において八千八百三十三人、自衛官以外の職員において三千二百四十九人、計一万二千八十二人の増加となっております。以下これを組織別に申し上げます。
長官官房及び各局、統合幕僚会議、防衛研修所、防衛大学校、技術研究本部、建設本部並びに調達実施本部の職員定数は、自衛官四十一人、自衛官以外の職員三千二百十四人、計三千二百五十七人でありまして、昭和三十三年度に比べますと、自衛官において七人、自衛官以外の職員で百九十三人、計二百人の増加となっております。陸上自衛隊につきましては、自衛官以外の職員千四百九十九人を増員して従来、補給処、学校等に勤務していた自衛官を、自衛官以外の職員に組みかえる等の措置により、新たに三方面隊、地区施設隊、教育団等の新編および改編を行うこととしておりますが、このため、五方面隊、六管区隊、四混成団並びにその他の部隊及び機関を編成する陸上自衛隊の職員定数は、自衛官十七万人、自衛官以外の職員一万三千四百八十人となります。
海上自衛隊につきましては、昭和三十四年度に増勢を計画している艦船といたしまして、新たに建造に着手する乙型警備艦一隻二千九百トン、中型掃海艇二隻、駆潜艇三隻、潜水艦二隻及び潜水艦救難艦一隻、合計七千六百八十トンのほか、米国より域外調達の大型警備艦二隻を含めて大型警備艦四隻、潜水艦一隻、輸送艦一隻、合計八隻一万五千品七十五トンの供与を受けるとともに、返還期限の到来した警備艇二十二隻、六千七百十トンを返還する等により、合計一万六千五百七トンの増加を予定いたしております。この計画が実現いたしました暁におきましては、保有艦艇は四百十七隻、十二万八千三百八十八トンとなる予定であります。また、昭和三十四年度中に増加する航空機として、米国から救難飛行艇六機及び対潜哨戒機十二機の供与を期待するとともに、昭和三十三年度より国内生産を開始いたしましたP2V対潜哨戒機三機の購入のほかに、ヘリコプター六機を購入することにしておりますので、これらにより昭和三十四年度末の海上自衛隊の保有航空機は百九十八機となります。以上の艦艇及び航空機の増加並びにこれに関連する陸上施設の拡充等に伴いまして、自衛官二千二百二十六人、自衛官以外の職員五百五十七人、計二千七百八十三人を増員することといたしておりますので、従来の定数と合せ、海上自衛隊の職員定数は自衛官二万七千六百六十七人、自衛官以外の職員二千七百六十九人、計三万四百三十六人となります。
航空自衛隊につきましては、昭和三十四年度において、米国より実用機六十機及び輸送機十三機の供与を受けるほか、実用機については七十五機を購入し、練習機については二十機の量産に着手いたしますので、従来の保有機数と合せ、昭和三十四年度末の航空機総数は実用機五百二十二機、練習機五百三十四機、実験機八機、計千六十四機を保有することとなります。さらに昭和三十四年度は、防空および訓練体制の強化をはかるため、第五航空団、飛行教育集団司令官部等を新設することとして、自衛官六千六百人、自衛官以外の職員千人を増員することといたしておりますので、従来の定数と合せ、航空自衛隊の職員定数は、自衛官三万三千二百一十五人、自衛官以外の職員四千四百二人計三万七千六百二十七人となります。
次に予算見積りの概要について申し上げます。
長官官房及び各局並びに統合幕僚会議の運営に必要な経費は、(項)防衛本庁六億二千万円、(項)施設整備費二億五千三百万円、(項)施設整備等付帯事務費四百万円、計八億七千七百万円でありまして昭和三十三年度に比べますと、(項)防衛本庁において三百万円の減少、(項)施設整備費において二千百万円の増加、(項)施設整備等付帯事務費において百万円の増加、計千九百万円の増加となっております。附属機関すなわち、防衛研修所、防衛大学校、技術研究本部、建設本部及び調達実施本部の運営に必要な経費は、(項)防衛本庁三十九億六千九百万円、(項)施設整備費四億九千九百万円、(項)施設整備等付帯事務費七百万円、計三十四億七千六百万円でありまして、昭和三十三年度に比べますと、(項)防衛本庁において二億七千七百万円の増加、(項)施設整備費において二千三百万円の増加、(項)施設整備等付帯事務費において百万円の減少、計三億円の増加となっております。以上の経費のほか、技術研究本部に国庫債務負担行為として(事項)器材整備一億三千二百万円、(事項)施設整備三億四千八百万円、計四億八千百万円を計上いたしております。
陸上自衛隊の運営に必要な経費は、(項)防衛本庁五百九十億八千三百万円、(項)施設整備費十三億七千五百万円、(項)施設整備等付帯事務費二千一百万円、計六百四億八千万円でありまして、これを昭和三十三年度に比較しますと、二十八億六千万円の増加となっております。このうち(項)防衛本庁において三十三億四千八百万円の増加、(項)施設整備費において四億八千九百万円の減少、(項)施設整備等付帯事務費において二百万円の増加となっております。このほか陸上自衛隊に属する分として国庫債務負担行為に、(事項)器材整備十五億二千五百万円を計上いたしております。
この内訳のおもなものを申し上げますと、現態勢すなわち昭和三十三年度における、火器通信機、車両等の装備、自衛官十七万人、自衛官以外の職員一万千九百八十一人の維持に要する経費が(項)防衛本庁におきましては五百八十五億五千八五万円、(項)施設整備費におきましては十三億二千万円、(項)施設整備等付帯事務費におきましては二千万円、計五百九十八億九千九百万円であります。次に、増勢分の一経費は五億八千万円でありまして自衛官官以外の職員千四百九十九人の増員及び所要の部隊編成に伴う経費であります。
海上自衛隊の運営に必要な経費は、(項)防衛本庁二百三十一億五千七百万円、(項)施設整備費八億三千五百万円、(項)艦船建造費三十五億二千百万円、(項)潜水艦建造費一億六千万円、(項)昭和三十二年度甲型警備艦建造費十八億三千百万円、(項)昭和三十三年度甲型警備艦建造費九億九千九百万円、(項)昭和三十四年度乙型警備艦建造費八億三千七百万円、(項)昭和三十四年度潜水艦建造費七億三百万円、(項)施設整備等付帯事務費一億五千五百万円、計三百二十二億三百万円でありまして、これを昭和三十三年度に比較しますと、六十五億三千三百万円の増加となっております。
このうち(項)防衛本庁において五十一億千八百万円の増加、(項)施設整備費において六千九百万円の減少、(項)艦船建造費において一億二千二百万円の増加、(項)施設整備等付帯事務費において三千八百万円の増加となっております。このほか、海上自衛隊に属する分として国庫債務負担行為に(事項)航空機購入四億七千五百万円、(事項)器材整備二十六億九千二百万円、(事項)艦船建造二十億四千八百万円、計五十二億千五百万円、また継続費の昭和三十五年度以降の年割額として(項)昭和三十四年度乙型警備艦建造費二十六億九千六百万円、(項)昭和三十四年度潜水艦建造費二十六億五千四百万円、計五十三億五千百万円を新たに計上し、合せてすでに議決を経ました継続費のうち、潜水艦建造費については年限及び年割額の改訂を行い、昭和三十二年度甲型警備艇建造費については、物価の変動等に伴い昭和三十四年度の歳出予算の計上について減額をはかるとともに、昭和三十三年度甲型警備艦建造費については物価の変動に伴う建造費の減少に対応して、この際、総額及び年割額の改訂をはかっております。
この内訳のおもなものを申し上げますと、現態勢すなわち昭和三十三年度末における、建造または引き取り予定のものも含めた艦船四百二十五隻(難船を含む)十一万千八百八十一トン、航空機百七十六機、自衛官二万五千四百四十一人、自衛官以外の職員二千二百十二人の維持に要する経費が、(項)防衛本庁におきましては、二百十二億五千二百万円、(項)施設整備費におきましては六億四千四百万円、(項)艦船建造費におきましては二十二億九千八百万円、(項)潜水艦建造費におきましては一億六千万円、(項)昭和三十二年度甲型警備艦建造費におきましては十八億三千百万円、(項)昭和三十三年度甲型警備艦建造費におきましては九億九千九百万円、(項)施設整備等付帯事務費におきましては七千四百万円、計二百七十二億六千万円であります。
次に、増勢分の経費といたしましては、昭和三十四年度に増加を予定いたしております艦船十八隻二万二千八百五十五トン、航空機二十七機、自衛官二千二百二十六人、自衛官以外の職員五百五十七人に要する初度経費を、(項)防衛本庁におきましては十二億八千四百万円、(項)施設整備費におきましては一億九千百万円、(項)施設整備等付帯事務費におきましては八千万円、(項)艦船建造費におきましては十二億二千三百万円を計上いたしております。なお、建造工程が昭和三十五年度に及ぶ駆潜艇、中型掃海艇及び潜水艦救難艦につきましては、このほか国庫債務賃担行為に二十億四千八百万円を計上いたしております。(項)昭和三十四年度乙型警備艇建造費及び(項)昭和三十四年度潜水艦建造費におきましては、これらの艦艇は、その完成までに三カ年を要する予定でありますので、昭和三十四年度歳出予算に、それぞれ、八億三千七百万円、七億三百万円を計上するとともに、昭和三十五年度においては、それぞれ二十億四千四百万円、二十億三千九百万円、昭和三十六年度においては、それぞれ六億五千二百万円、六億千四百万円を年割額とする継続費を計上いたしております。また、これらの増勢分の初年度維持費といたしまして(項)防衛本庁におきまして六億二千百万円を計上いたしておりますので、増勢分の歳出予算の合計は四十九億四千二百万円であります。
航空自衛隊の運営に必要な経費は、(項)防衛本庁三百四十一億円、(項)施設整備費四十八億二千二百万円、(項)施設整備等付帯事務費八千万円、計三百九十億二百万円でありまして、これを昭和三十三年度に比較しますと、六十二億六千七百万円の増加となっております。このうち、(項)防衛本庁におきまして四十八億九千六百万円の増加、(項)施設整備費におきまして十三億四千百万円の増加、(項)施設整備等付帯事務費におきまして三千万円の増加となっております。このほか、航空自衛隊に属する分として国庫債務負担行為に、(事項)航空機購入二十七億七百万円、(事項)器材整備九十億三千五百万円、(事項)施設整備十億六千百万円、計百二十八億三百万円を計上いたしております。
この内訳のおもなものを申し上げますと、現態勢すなわち昭和三十三年度末における航空機九百七十二機、自衛官二万六千六百二十五人、自衛官以外の職員三千四百二人の維持に、要する経費として、(項)防衛本庁におきましては三百二億四千五百万円、(項)施設整備費におきましては十六億九千五百万円、(項)施設整備等付帯事務費におきましては二千八百万円、計三百十九億六千八百万円であります。
次に、増勢分の経費といたしましては、昭和三十四年度に増加を予定いたしております航空機百四十八機、自衛官六千六百人、自衛官以外の職員千人に要する初度経費を、(項)防衛本庁におきましては二十八億五千九百万円、(項)施設整備費におきましては三十一億二千七百万円、(項)施設整備等付帯事務費におきましては五千二百万円を計上いたしております。また、これらの増勢分の初年度維持費といたしましては(項)防衛本庁におきまして、九億九千四百万円を計上いたしておりますので、増勢分の歳出予算の合計は七十億三千二百万円であります。
最後に以上申し上げましたことを要約いたしますと、歳出予算に計上いたしました千三百六十億四千万円の歳出予算は、これを現態勢維持分と増勢分とに区分すれば、現態勢維持分は千二百三十四億八千四百万円、増勢分百二十五億五千五百万円となりますが、このほか、国庫債務負担行為に、航空機購入三十一億八千一百万円、器材整備百三十二億四千六百万円、施設整備十四億九百万円、艦船建造二十億四千八百万円、計百九十八億八千七百万円、また、継続費の昭和三十五年度以降年割額として、新たに五十三億五千百万円を計上している次第であります。
以上をもちまして防衛庁予算の概略の説明を終ります。何とぞ慎重審議の上、御賛成下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/9
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010・永岡光治
○委員長(永岡光治君) ただいま委員の異動がございました。苫米地義三君が辞任され、後任として大沢雄一君が委員に選任されました。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/10
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011・永岡光治
○委員長(永岡光治君) それでは、御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/11
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012・伊藤顕道
○伊藤顕道君 防衛予算に関連して、二、三長官にお伺いしたいと思います。昨年十一月二十八日の閣議で、従来アメリカから供与を受けておったF—86F百七十九機のうちで、とりあえず四十五機の返還を決定したわけです。ところが不思議なことに、その当時私どもはそういう事実を知るよしもなかった。というのは、防衛庁はこれをひた隠しに隠して、部内に籍口令をしいておった。どういう根拠でこれを秘密にされたか、何か法的根拠があったわけですか。この点を明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/12
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013・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 最後のお言葉のところがわからなかったのでございますが、どういうわけでこれを——というふうにおっしゃいましたか、ちょっと最後のところをもう一度お話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/13
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014・伊藤顕道
○伊藤顕道君 ただいまの点ですね、百七十九機アメリカからF—86Fの供与を受けておった。そのうち四十五機をアメリカに返還する。そういう、閣議で昨年の十一月二十八日に決定されたことを、当時防衛庁はひた隠しに隠しておった、発表しなかったわけですね。なぜこれを公表しなかったか。何か秘密事項として部内に箝口令をしいたその法的根拠があれば承わりたい。そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/14
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015・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 別段に法令上の根拠に基いてということではございませんが、事務上特に公表をする必要はないと私ども認めまして、さような処置をとった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/15
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016・伊藤顕道
○伊藤顕道君 今までこういうことについては、ひた隠しに隠したということはないわけです。いつもその必要に応じて私ども知ることができたわけですけれども、今回に限ってそういう秘密にしたということについては、非常に私どもは不満もあるし、納得できないわけですが、さらにこの返還の問題が起きたのは、察するに、一昨年だと思いますが、某新聞がF—86Fが大量に余っておる、そういうことを報道をしてこれがアメリカの国会で特に軍事委員会でだいぶ問題になった。国防省などが非常に追及された結果、いわゆるアメリカの国会の問題となってこれが返還というふうになったように私どもは承知しておるわけです。その点を明確にしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/16
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017・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 第一点の最初のお尋ねにつきましては、先般の本会議におきまして矢嶋委員からのお尋ねもございましたので、私から、今後さようなことのないように取り計らいたいということを申し上げた次第でございまするが、ただいまの第二段のお尋ねにつきましては、御承知のように条約においても、双方においてさしあたりの当面の用に必要でなくなった場合においては、返還の問題については、それぞれ双方から申し出をして、協議によってこれを返還することができるという規定もございまするし、また、私どもとして御指摘のように本機は昭和三十二年の当初から六月までに受け取った四十五機でございまして、先般も私御報告、御説明申し上げましたように、要員の整備の関係が若干遅延いたしました。その原因につきましては、射場整備の問題、飛行場の整備の問題等から、要員に若干の整備の手おくれができましたために、当面必要のないものについては、アメリカ側から昨年の春、これについての返還方の話し合いがございまして当方においても、これが果して将来不要になるかどうかということをいろいろ検討いたしました結果、御指摘のように、昨年の十一月末にそのことを決定いたしまして、返還をした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/17
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018・伊藤顕道
○伊藤顕道君 百七十九機のうち、とりあえず四十五機を返還と、そういうことになったわけでありますから、とりあえず四十五機と、とすると、第二次、第三次の返還ということも考えられておるのかどうか。その点を明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/18
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019・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) とりあえずというお話は、どこから出ましたか私承知しておりませんが、政府といたしましては四十五機を返還するということで、その後返還の計画も話し合いも全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/19
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020・伊藤顕道
○伊藤顕道君 三十一年の三月からF—86Fの国産が計画されておるわけですが、最近これを繰り延べする、約一年間ほど先へ繰り延べする、そういう事態が決定したわけです。今、長官の話を承わっておりますと、要らないものは返すのだと簡単におっしゃっておりますけれども、一方においては三百機の生産を目標に一機約一億という巨額をかけて、国民の血税で生産を進めておる。一方では無償供与を受けたものを返すと、これは簡単に解決できない。そう簡単に割り切れない問題だと思うわけです。一方では国民の血税を使って生産をしている、一方ではこれを返す、そう簡単におっしゃられても、国民は納得できないと思う。この点を明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/20
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021・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) お話しの点、私どももよく理解いたしておりまして、当初F—86Fの生産につきまして、また日本における使用につきましては、日米共同生産協定に基きます共同生産が本体でございまして、その話し合いには、三十年当初からあるいは二十九年当時から話し合いをいたしておりまして、御承知のように正式にまとまりましたものが三十年六月、それから第二次が三十一年四月、第三次が三十二年四月ということで、それらの生産協定をいたして生産が軌道に乗りまする間、さしあたり当方においてはF—86Fの飛行機がございませんので、その間アメリカから供与を受けるということで、生産軌道の前提として無償供与を受けておった次第でございまして、あくまでも共同生産の体制が本則として発足いたしておりまして、それの生産が軌道に乗る間、無償でもらいましたものが百七十九機で、その間最後に参りました四十五機につきまして、御承知のような事態が生じましたので、四十五機を返した次第でございまするので、一方御指摘のようにF—86Fの生産につきましては、FXの生産の問題、FXの生産の機種決定の問題等と関連いたしまして、またさいぜん申し上げましたように、要員の整備に若干の遅延というような点から、九カ月ほど生産がずれておるということも事実でございますが、簡単に返したということではございませんで、共同生産と無償供与の建前の上から、返すについては、無償供与を受けたものを返す、またアメリカからも無償供与をしたものを返せ、こういうような条約上の建前に基いて返したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/21
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022・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次期主力戦闘機の国産決定の問題が、従来から非常に問題になって、いまだにこれが続いているわけですが、そういう事態の中で日本の航空産業におそらく空白ができるであろう、そういう考慮かもしれませんが、従来F—86Fは月産十機くらいであったと思うのですが、それを八機とか、六機にまで減らしてまでも、この三百機を一年繰り述べても作り続ける、こういうことを考えてみたときに、私は防衛体制の要請から、この生産計画を立てるのでなくして、逆にいわゆる航空産業の要請に従属して防衛生産計画は立てられている、そういうふうにしか解釈できない。まさに主客転倒と言わなければならない。この点をはっきりさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/22
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023・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 結果としては、伊藤委員の御指摘のような結果に相なりましたが、私どもとしては、あくまでも昭和三十二年に決定されました防衛の整備目標に向って全力を注いで今日に至った次第でございますが、御承知のように飛行場の問題あるいは射場の問題、人員の養成等の問題が、何分にも航空自衛隊発足以来なお決して日が、長期に継続して大体の体制が整ったという事態にも立ち至っておりませんので、結果としてそういう事態に相なりましたことは、まことに遺憾と存じまするが、また一方、四十五機返還に際しましても、しばしば当方としてはこれにかわるべきさらに新しい機種の供与等についても、いろいろ希望を申し入れ、相手方においてもそれらの点については十分考慮をしようというような話し合いもいたした上で、さような措置をとったのでございまして、御指摘のように全体としてFXの次期主力戦闘機の決定がおくれました結果、また一方、乗員養成等飛行場の整備等の関係上、一部のF—86Fの生産を停滞、せざるを得ないという、スロー・ダウンせざるを得なかったという事情については、御指摘の通りでございまするが、これは結果として起きましたことで、単に防衛生産の育成とか、あるいは助成だけを考慮してそういうような事態にしたんではないかというような点につきましては、私ども今後とも十分注意をして、そういう疑惑のないようにやって参りたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/23
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024・伊藤顕道
○伊藤顕道君 F—86Fのパイロットは、私の知るところによると、一月の末現在で百四十八名と記憶しておるのですが、ところが機数の方は約倍数の三百三十二機と、こういう事態なんで、先ほど申しあげたような理由もあって、せっかくアメリカから供与を受けた、しかも、この四十五機というのは、ほとんど手をつけてない、一回も飛んだこともない、新品でさびどめをつけてそのまま格納庫にしまわれておった、そういう今まで供与を受けたうちでは最優秀であったと思うのですが、そういうものを返すような事態になったわけです。これは結局パイロットの養成計画と機数の整備計画との食い違い、いかにその計画がずさんであったかということの一証左であろうと思う。こういう点が繰り返されることでは、なかなか防衛庁は国民の信頼を得られぬと思う。この点は慎重にやるべきであろう。いつもこの予算に関係する国民の血税に関連を持つ重大な計画に、そのようなそごを来たしたということは、まことに遺憾だと思うのです。その点をはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/24
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025・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) ただいま来、その問の事情については、いろいろと御説明を申し上げた次第でございまするが、御承知のように乗員養成、ことにジェット機の乗員養成等の問題につきましては、所定の計画で参りましても、飛行場あるいは射場等、またジェット機の乗員養成自体の、適性の問題等からいたしまして、御指摘のように整備目標に十分調和した体制にすることができなかったという点については、遺憾のこともございまするが、何分にもジェット機の養成を始めましてきわめて短期のことでございまするので、今後につきましては飛行機の生産、飛行機の供与、飛行場の整備等と、乗員養成等につきましては、十分慎重な計画を立てて、御期待に沿うようにしたいと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/25
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026・伊藤顕道
○伊藤顕道君 防衛庁のずさんな点については、この問題に限らぬと思うのですが、予算の使用についても、しばしば指摘されておるわけです。また、先日の参議院の決算委員会で、誘導弾をイタリアの民間会社に発注したけれども、その民間会社は不幸にしてつぶれてしまった。そのことから来る損害なども追及されたと思うのですが、こういう点に関して、長官としてはどのように考えておられるか。その決意のほどをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/26
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027・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 御指摘の予算使用の件につきましては、毎々国会からいろいろと御指摘を受けました御注意を戴きましてここ数カ年間逐次改善の跡は相当顕著に見られて参ったと存ずる次第でございまするが、今後もそれらの点については十分の戒心をいたしまして、部下職員を督励して、期待に沿いたいと考えております。ことに、御指摘のイタリアのスタッキーニ会社に対するアイローネのロケット弾注文につきましては、先般各方面から決算委員会等で御指摘をいただきましたが、たまたま御承知のようにスタッキーニ会社は、イタリアにおける二大火薬会社の一つでございまして、昭和三十一年に当方から専門家を派遭いたしまして調査をいたさせました当時では、きわめて堅実な会社であったわけでございまするが、その間の契約等におきまして御承知のように遠隔な地でありましたことと、たまたま前渡金の支払いに関しまして、当方の日本にある銀行とスタッキーニ会社が取引をいたしておりました銀行、すなわちイタリア銀行とベネチア銀行との取引をしていないということで、イタリア銀行に支払ったものが払われないという問題、あるいはそれに対する予約金支払いに関する保険の問題につきまして、契約履行期間と保険期間との間にほんのわずかでございましたが、若干の、半月余りの食い違いがあった。しかも、その間に、その食い違いを当方においては十分保険を、期間の充足について万遺漏なきを期してもらいたいという電報措置をいたし、一方スタッキーニ会社もそれを了承したという電報を当方へよこしておりましたが、たまたまその間にストライキその他の事情で、スタッキーニ会社が操業停止になるというようなことから、生産が停止されまして、ついに履行ができなくなったというようなことで、目下法律上問題となり、裁判の提訴をいたしておるような次第で、遠隔の地にありました関係上、イタリアにおける二大火薬会社がたまたま諸般の事情からそういうことで破産の運命に至ったというようなことについて、国会においてまた会計上御迷惑をかけておることは、非常に遺憾でございますが、この問題は目下イタリア大使館並びにそれを通じての、日本の代表者として訴訟等の措置をとっておりまするし、われわれの方といたしましては、弁護士側その他から一切の報告が参っておりまするが、十分これに対して法律上の損害をなくする措置はできるということで、目下訴訟手続をやっておりますが、いずれにいたしましてもかような事態を発生したということにつきましては、非常に遺憾でございますので、今後はかようなことの万ないように十分戒心いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/27
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028・伊藤顕道
○伊藤顕道君 元来飛行機が余っておるとか、あるいは不足しておるということは、言うまでもなく。パイロット一人に対して航空機何台、こういう定数によってきまると思うのです。それで、従ってこの定数のいかんによっては、過不足が移動してくるわけです。そういうふうに非常に定木ともなるこの定数については、非常に大事な統計だと思うのです。この点についてどういうふうにお考えか、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/28
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029・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 数字の詳細につきましては、政府委員より御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/29
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030・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) 私から御説明申し上げます。F—86Fのパイロットと飛行機の所要数の関係でございますが、当初計画を立てました際におきましては、初めての経験でございましたのでございますから、昭和三十一年春からジェット機の訓練を始めましたが、当時はアメリカ軍の所見を参考といたしまして一応の所要機数をはじいておったわけでございます。ところが、やってみますると、なかなか思う通りにいかない。一つは、当初は、採用いたしました。パイロットは、いわゆるリフレッシャーと申しまして昔の軍の飛行機の経験を持っておったものを使った。この淘汰率が非常に予想以上に多いということ。それから、アメリカで考えておりまするような飛行時間が、日本の天候の関係でそれだけ飛べないというふうなこと、それから、御承知の通りたびたび事故がございまして、事故のあります際には、すべて同型の飛行機の飛行を停止いたしまして、前後の詳細な点検を行うというふうなことからいたしまして予定通り運ばなかったのでございます。これは。パイロットだけでなしに、整備員についても同様でございまして整備員の計画も数といたしましては大体計画に近いところまで参れるのでございますが、その限度におきまして、今、整備員は三つの段階に分けまして養成をいたしております。一番初級の段階が三のレベルと申しておりますが、その次が五のレベル、その次が七のレベルというふうに三つの段階に分けまして、それぞれの所要数を出しておるわけでございます。ところが、日本人の科学的な水準と申しますか、そこらの点が、やはりアメリカの通りにはなかなかいかないということからいたしまして、七のレベルの整備員がなかなか養成できないのでございます。こういうような点からいたしまして、これではいかないということで、昨年の春に一応の基準を、二カ年近くの経験に捲き一まして一応の基準を作ったわけでございます。その計画によって、昨年の春始めたわけでございます。昨年は、さらにまた都合の悪いことが起りました。と申しますのは、一つには、先ほど長官もお話しになりましたけれども、飛行場の問題、射場の問題でございます。浜松の第一航空団の、これはF—86Fの訓練の航空団でございますが、この基地の移動、南の基地から北の基地に移動させたわけでございますが、その基地の移動に関連いたしまして、エプロンと滑走路の工事が若干おくれたということ。それから射場でございますが、射場を遠州灘に設けた元との話し合いがなかなか円滑に参りませんで、とうとう昨年暮れまでかかってしまいました。そういうこともございました。いま一つは、F—86Dの訓練を始めたのでございますが、それが米軍の都合によりまして当初はF—86Dの訓練につきましては、整備員約三百名、教官十数名、全部米軍に依存することにしておったのでございますが、向うの都合によりまして、整備員のうち二百数十名というものを日本側から出してくれということになりました。それからパイロットの教官につきましても、補助者を出してくれということになりまして、86Fの訓練の飛行団として考えておりました第四航空団、第四航空団の方の整備員を二百数十名を86Dの方に回した、パイロットも十二名ほど回した。それで、第四航空団の方のF—86Fの訓練がおくれたわけでございます。約十カ月ほどおくれた。そういう関係で、飛行機の余剰ができて参ったわけでございまして、非常にその点は遺憾に存じておる次第でございます。現在は、パイロットや飛行機の所要数の定数につきましては、一応、実戦部隊におきましては、パイロット一人に対しまして一・一九、訓練部隊におきましては、二・〇八というふうに考えております。しかし、これもきっちりと固定したというものでないことは、これは御了解いただけると思うのでございますが、大体そういうふうな基準で計画を立てておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/30
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031・伊藤顕道
○伊藤顕道君 時間の関係でこの質問で終りたいと思いますが、この定数いかんによっては、たとえば、事態が、F—86Fが余り過ぎておる、そういうふうな風評があるのを消すためには、定数を少しふやせばいいわけですね。そういうふうにして三十二年に航空機装備計画が立てられたと思うんですが、それから年々こう変ってきて、ほとんど学生の教育用の定数については、三十二年の装備計画から見ると約倍になっておる。そういう事態は、これは非常に問題だと思うんですが、まあ、初めのうちはいろいろやってみたけれども、とおっしゃるけれども、大体世界の軍事情勢というものから見て、日本だけが特に離れた定数を持っているということは納得できないところです。大体の定数というものは基準があろうと思う。そこで、最後に長官にお伺いしたい点は、さように大事なこの定数を、従来はしばしば変えてきた。で、飛行機が余り過ぎておるというような事態を解消するためには、定数をふやせばいい、逆もまあ成り立つわけです。こういう点について、防衛庁自体で机の上でいろいろプランを立てても、実際の現地では、なかなかそう簡単にはいかぬと思う。従ってこの定数については、航空機装備の観点から非常に重要な問題であるので、この点については適切妥当な定数、それは事態によって多少の変更はあり得るとしても、三十二年に計画を立てて、ほとんど倍になっておるということは、なかなか納得できないと思う。こういうことを十分考えていただかなければならぬとともに、この定数に対する、長官としてのお考えを承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/31
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032・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 御指摘の点につきましては、われわれとしても今後十分検討をいたしまして、万遺憾なく、機種の生産と人員の養成とが今後調和をした形で、その間に不経済のないようにして参らなければならぬと考えておりまするが、ただいま防衛局長が御説明申し上げましたように、何分にも日本におきまして、こういったジェットの飛行機の乗員の養成ということにつきましては、非常にまだ訓練期間が浅いことでございますので、いろいろな角度からこの点について検討をいたしておりまするし、御承知のように、当時はアメリカの基準をそのまま一応試験的にアプライして、それでやった。それが実情には、御承知の通り、体格の面におきましても、その他の面におきましても、必ずしもアメリカのものをそのままアプライしてやることについて適当でなかったというような関係から、その後、いろいろと実情に合った形で修正をいたしておりまするが、すでに数年間の経験も積みましたので、御指摘のように、今後につきましては、そういうことのないような、適切な基準を至急確立をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/32
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033・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この委員会で防衛庁長官に質問するのは初めてでありますが、まず、確認いたしたいと思いますが、防衛庁長官は次々にかわられても、保守政権、岸内閣は続いておるわけでございます。従って、あなたは今度、防衛庁長官になられたわけですが、今までの岸内閣のもとにおける防衛庁長官の手によって運ばれて参りました防衛庁所管の線、防衛政策については、あなたは責任を引き継いでいくおつもりであるのか。それとも、自分は今度防衛庁長官になった、これからの点について自分は責任を持つのであって、今までの点等については、それほど責任を感じない、こういう心がけでおられるのか。今後私どもいろいろと審議調査していくに当って重要でありますので、その点をまずお答え願うとともに、それから、私はこれから若干時間をいただいて質疑いたしますが、門叶官房長官は、防衛庁の事務当局を代表して、私の質疑が始まる以前に、本委員会あるいは矢嶋に対して何かごあいさつをする御意思がないか、これをまず承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/33
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034・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 申し上げるまでもなく、お尋ねの点につきましては、政府一体の原則に基きまして、当内閣、政府が実施いたして参りましたことにつきましては、私としては責任を持って処理をいたさなければならぬ考えでおります。ただ、大きな政策の問題として、そのときそのときの状況によっては、政府として変更しなければならぬもの等については、今後はそのつど申し上げて参りたいと存じまするが、従来、政府一体の原則として処理して参ったもの等については、私はもちろん責任を持って処理いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/34
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035・門叶宗雄
○政府委員(門叶宗雄君) ただいま長官からお述べになりました趣旨に従いましてわれわれも長官を補佐して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/35
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036・矢嶋三義
○矢嶋三義君 門叶官房長、私が意図し尋ねんとするところが通じないようでありますが、時間の経過とともに通じると思いますから、質問を続けて参ります。時間がないから率直に承わって参りますが、今度返しましたF—86Fの四十五機は、三十一年度以前に無償供与されたF—86Fの性能と比べた場合に、落ちるのか、それとも上っているのか。同じF—86Fといっても、性能でいろいろと差異があるわけですが、三十二年度に供与されたものを返したわけですが、性能はどう考えておられるのか。なお、このたび返還した飛行機の一機の時価は、幾らとおつかみになっていらっしゃるか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/36
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037・小山雄二
○政府委員(小山雄二君) 今回返還いたしました四十五機は、供与は最後の供与でございます。その前に約三十機ばかり受け取っておりますが、これと性能的には変っておりません。ただ、前に受けましたうちで、二十七機あまり少し型の変ったのがございます。古い型のがございます。しかし、その飛行性能という点では全部同じと考えております。それから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/37
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038・矢嶋三義
○矢嶋三義君 時価。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/38
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039・小山雄二
○政府委員(小山雄二君) 供与の時価は、国有財産に登録しますときの時価は、九千三百万円。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/39
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040・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一つ前提として承わります。昨昭和三十三年中に、わが自衛隊の飛行機、特にF—86Fが台湾地域に試験飛行か何か、ともかく飛んで行った事実はあるかないか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/40
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041・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/41
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042・矢嶋三義
○矢嶋三義君 F—86Fの四十五機の返還はいつ完了したか、その返還機は現在どこにあるか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/42
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043・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 三月の初めから返還を開始いたしましてもう大体完了いたしましてその機はおそらく木更津の米軍側にまだ所在すると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/43
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044・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その返還された飛行機は、木更津の米軍に現在所在するであろうが、永久に所在するものでない。一体これはどこに持っていかれるものとあなた方は承知しているのか、承知していなければ推察しているのか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/44
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045・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 返還後の状況につきましては、私ども何ら承知もいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/45
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046・矢嶋三義
○矢嶋三義君 返還交渉が半年以上もかかっているのに、その間にそれらについては何らの話し合いがなくて返還をされたのですか。その当時は防衛庁長官就任していないわけですから、門叶官房長から承わりましょう。四十五機返してほしいと昨年の三月から交渉がある、約半カ年間閣議決定まで年月を要しております。その間に、わが方としては返還しないで置いておいてほしいというような意見を申し述べたと思う。それに対して相手が何か述べたと思うのですが、何らそういう点については意見の交換がなくて、ただ返してほしいというから四十五機返した、そうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/46
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047・門叶宗雄
○政府委員(門叶宗雄君) 今御指摘の通り、この話が出ましたのは、昨年の春ごろからでございますが、それから最終的にこちらの意思がきまったのは、昨年の十一月の末でございます。その間にいろいろ折衝を重ねておったわけでありますが、これら、あるいは機数の問題、時期その他の関係でありまして返還せられた航空機がどの方面に使われるというような点につきましては、当方としても全然先方の話を尋ねる筋合いでもありませんし、そういうような点については、質疑応答はございませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/47
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048・矢嶋三義
○矢嶋三義君 めでたいきわみですよ、私はこういうことを申したくないのですがね、あえて申しますよ。返還するに当って返還しなくても済むように交渉したに違いないのですが、あなたがたは今度ドレーパーが来て向う五カ年間ぐらいは無償援助を続けてほしいということを要望しているのでしょう、できるならば返したくなかったのですね、それであったならば、その間の過程に何らかの話があったに違いない、なぜそういうことを隠すのです、それが私は気に食わないのですね。そこで私は門叶官房長に前もって聞いたわけなんですね。先ほど伊能長官は伊藤委員の質疑に対して、発表する必要を認めなかったから発表しなかったというのですが、われわれ委員に対して不謹慎ではないですか、昨年飛行機の数量、乗員の養成計画の資料を出していただいてずいぶん審議したはずです。特に十二月十九日には、岸内閣総理大臣の出席を仰いでFXを中心とするところの戦闘機の問題についてずいぶんここで審議、調査したはずです。その当時二言も言わなかったじゃないですか。なぜ言わなかったのですか、さっき加藤防衛局長が申したようなことを。何ら支障がないと言ったじゃないですか、十分間に合うようにやっていると言ったじゃないですか、F11F—1Fグラマン機を採用した場合、F—86Fに乗れる飛行士でもすぐグラマンには乗れないであろう。一体どの程度補習教育をすれば乗れるかということについて論じられ、そういう資料が提出され、それを私はここに持っております。その審議のときに乗員養成がおくれているとか、今アメリカとこういう返還交渉があっておる、これはわが国のこれからの航空自衛隊の整備計画と関連があるということをなぜ一言いわないのですか、不信じゃないですか、われわれ国会に対して。その点を私は言っているのですよ。これを読売がまず第一番にスクープして、そして大きく報道した。それがなければ何ですか、この内閣委員会にはずっと発表されないつもりであったのですか、それとも返還が終った後に発表するつもりであったのですか、その点をお答え願うとともに、少くとも門叶官房長は事務当局を代表して立法府との連絡は不十分で、審議の過程において若干遺憾の点があったという、遺憾の意を私は表明してしかるべきだと思う。だから私は冒頭に聞いたのですが、それをあなたが言わないから、私がこうして大きな声をあげなければならない、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/48
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049・門叶宗雄
○政府委員(門叶宗雄君) この点につきましては、矢嶋委員の本会議における御質問に大臣から御答弁があったと拝承いたしております。当方として返還の方針をきめましたのは、昨年の十一月二十八日の閣議と承知いたしておりますが、具体的に米側との折衝が終りましたのは、ことしのたしか一月半ばと承知いたしております。本件につきましては、適当な機会を得て当然本委員会に御報告、御説明申し上げる所存だったわけであります。たまたまその機を得ない前に、新聞に書かれたというのが真相でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/49
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050・矢嶋三義
○矢嶋三義君 少しそれでは声を小さくして聞きますがね。その点は非常に私は遺憾だった。おそらく読売がああいうスクープして大きな記事が出なかったら、ほうかぶりをしておったのではないか。少くとも新主力戦闘機の問題、FXの問題が解決するまでは、われわれ委員会にはほうかぶりであなた方はいくつもりではなかったかと、失礼かもしらぬが私は邪推をいたします。そういう点で私は非常に遺憾に思うわけです。
続いて防衛庁長官に承わりますが、御承知のごとく昭和三十五年に完了する三カ年計画の中で、飛行機は千三百という計画を持っているわけですね。四十五機を返されることになったわけですが、あなたの本会議における私の答弁には、千三百機の中のわずか四十五機だから影響はないと、こういうことを答弁している。これは長官不謹慎じゃないですか。F—86F四十五機といえば、われわれはきょうは九千数百万円と承わったが、今まで出された資料は一億九百万円という資料をずっといただいてきおります。約一億と見ましても四十五機だったら約四十五億円ですよ。防衛分担金の特別減額が三十億円は本年も実行されたといって、政府は非常に誇らしげに国民に発表しております。特別減額三十億といったってあなた方、飛行機四十五機としたら四十五億円になれば十五億円のマイナスじゃありませんか。そうしてさらにF—86F四十五機返しても、F—86Dを六十機無償供与受けるようになっているから心配ないと、こういう答弁をされております。責任を持てますか。国民を少し私は愚弄していやしないかと思う。で、お答え願いたい。ポイントは、F—86Dの六十機の無償供与は、先般のドレーパーとの話し合いで了承を得たのかどうか、これは昭和三十四年度における供与期待額四百六十五億円の中の一部になっているわけです。あの供与期待額の四百六十五億円、それとこのF—86Dの六十機の供与というものは、あなたとドレーパーとの話では了解がついているのかどうか。それとも本会議であなたが答弁しました千機の中の四十五機であるから、防衛庁の整備目標という点からいっても支障がない、この答弁を若干訂正される用意がないか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/50
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051・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) ただいまお尋ねの問題につきましては、私は御指摘のような千機のうちの四十五機であるから、当面の防衛計画には一応支障はない、かようにお答えをしたと記憶をいたしております。従いまして将来の問題については、今後十分研究をせなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
次にドレーパ・ミッションが参りましたときに、F—86Dの問題、ことに六十機の問題について確約を取りつけたかどうかという問題につきましては、ドレーパー・ミッションは新聞で皆様御承知かと存じまするが、軍事援助に関する特別調査委員会といたしましてアメリカと締盟各国、相互防衛条約その他締盟各国との間における軍事援助ならびに経済援助の実情がいかなる状態になっておるか、将来いかなる方向に持っていくべきか、また、締盟各国の希望はどうかという点などを調査する大統領の諮問機関でございまするので、私どもの希望は希望として聞きおくということで、ドレーパー・ミッションとしてはわれわれの希望に対しましては、何らの確約は与えておりません。従いまして私どもは米国の援助によって今日まで到達した日本の防衛体制の現況並びに将来の目標に対するアメリカ側の援助の希望、われわれとしての希望について詳細説明をし、また希望としていろいろ申し上げた次第でございまして、ドレーパー・ミッションとしては、われわれの希望に対しては、確約ということはございませんで、趣旨はよくわかったから、報告書を作成する上においては、十分その趣旨を織り込んで大統領に報告しよう、かようなことでございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/51
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052・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そのドレーパー調査団の使命というのは知っております。しかし、この調査団が世界に五班に分れて出ておるわけなんですが、これが大統領への答申というものは非常な今後に対する軍事援助に対して影響を持つわけです。だから私承わりたい点は、これは当然あなたと約束するわけじゃないのですが、印象としてF—86Dの六十機というものは供与ができるであろうという印象を受けたか、それともやつぱり望めないなという印象を受けたか、その点を私は問題にしてお尋ねしておるわけです。こういうことはあなたは本会議場においても、新たに性能のいいF—86Dを供与されることになっておるから、だから支障はないのだ、こういう答弁をされているわけです。だから私は伺っておるのです。その点と、それから四十五機が千機の中であるから云々という点について、四十五機無償供与されたものを四十五億円返すということは、国民の立場に立った場合には、あなた方の防衛計画を推進していくときに、国民の負担に影響がないでしょうか。国民の側に立った場合に、納税者の側に立った場合に、無償供与された四十五機を返す場合と返さぬ場合において、国民の立場に立った場合に影響がないでしょうかどうでしょうか。私はその点についてお伺いしておるのです。あなた方の計画が綿密であり、適当であったならばこういう事態は起らなかった。飛行機が今進歩している、乗員の養成はどれくらいの時間がかかる云々ということは、いやしくも防衛庁に職を奉じている専門家ならわかるはずです。ところが、その計画がずさんで、わざわざ無償供与されたものを返して、そうして国民の税金で日米負担折半に生産しておるわけでしょう。しかも、そういう事態を委員会で一言も言わないでほおかぶりしておったという点は、私は追及するのは当然だろうと思うのですよ。だから国民の側から立った場合の受け取り方、負担に影響はないか、それと国民が期待していることは、四十五機は返しても、防衛庁長官がより性能のいいF—86Dを六十機供与してもらえる話が大体了解がついているというような印象を受けるような答弁をあなたがしているから、だから、私はその点をこの席を通じてはっきりお答え願いたい、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/52
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053・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 四十五機の返還につきましては、国民としての影響についても、私どもは十分に考慮をいたしておるわけでありまするが、矢嶋委員御承知のように、F—86Fの問題は、当初から日米共同生産ということが本体であるということについては、御了承がいただけておると思うのでありますが、たまたま、その間においてわれわれの方のジェット機養成乗員について、いろいろな角度からアメリカのいわゆる飛行機に対する乗員の養成方針、また、飛行機と乗員との比率等についても、日本自体の実情でなお再検討を要する面等も非常にあった関係上、四十五機が余ったということで返したわけでございます。これが発表については、私自身も本会議において遺憾の意を表した次第ございまするが、今後はかようなことのないように、また委員会等においても、十分御論議を尽し得る資料を提出いたさなければならぬ、かように考えておる次第でございまするが、私お答え申し上げましたことは、四十五機を返すにつきまして、当方としてはいろいろな希望を返すに際して申し述べておる。また、その一端としてF—86D問題について、六十機という具体的な数字を申し上げた記憶はない、かように存じております。私自身としてはそれらの問題についての希望も、当時の政府から十分にアメリカ側へ要請をいたしており、また、アメリカ側としても、この点については十分な理解を持っておるということで、現にF—86Dの六十機の問題については、事務的には目下順調に進んでおりまして、まだいまだ決定の段階には至っておらない、かような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/53
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054・矢嶋三義
○矢嶋三義君 では伺いますが、あなた方今の防衛計画を推進しているわけですね。ところが、アメリカでは軍事援助から経済援助に切りかえつつある、重点をね、これはお認めになると思うのですよ。そうなると、今度の調査団が帰って諮問に答える、その結果軍事援助が総額が少くなる。それを日本に幾ら援助するかという、この額はきまってくるわけですね。ところが、あなた方は今供与額四百六十五億を期待しているわけなんです。その中に、出された資料によるというと、F—86Dが六十機という数字も出ているわけですね。だからこのドレーパー調査団の大統領への答申、その結果によって援助額は幾らにきまるか、そのことと、あなた方の今計画している防衛整備計画というものは私は関連があると思うのです。関連があると思う。だから、ドレーパーと会ったときに、極力それを説明し、要望したと思うのですが、まずその軍事援助が削減されるという点は、ドレーパーから意思表示があったと思うのです。あったかなかったか。それからその結果と、あなた方の防衛計画との今後の関連は、変更を私は要してくるのではないか、その点と、それから、ドレーパーと会ったときの印象では、あなた方の要望はいれられるような印象を受けたか、やはり相当これは減額されるなというような印象を受けられたか。そのためにお会いになったのでしょうからね。その点をお伺いしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/54
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055・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 私どもとしては御指摘のように、われわれの要求と整備計画との間に関連がないということは、あり得ないわけでございまするが、私どもの希望するところについて、それが防衛計画全部にという問題については、私どもとしてここで申し上げる限りでもないと存じまするが、少くともドレーパー・ミッションにつきましては、削減云々の問題については、私どもに対しては何らの発言はございませんでした。そうして日本の状況等について、十分率直な意見と希望を伺いたいということでございましたので、私どもは資料を整えまして約二時間にわたって、その後あるいは公式、あるいは非公式に政府部内の防衛庁の事務の責任者と向うの関係の責任者との間においても、種々資料の交換、もしくは意見の交換等について話し合いをいたした次第でございまするが、少くとも私が受けた御指摘のいわゆる印象という点でございまするが、この点につきましては、各地をドレーパー・ミッションが視察をされた結果として、日本に供与もしくは貸与した装備の点については、実に遺憾なくよく使用されておって、自分らはきわめて満足な印象を明確に受けたと、こういうことでありまして、また、私が一時間にわたって委員長ドレーパー氏、ハル将軍、マッカーサー大使、また、在日米軍司令官バーンズ中将等と折衝をいたし懇請をいたしましたことにつきましては、防衛庁の話はよくわかった、十分理解をもって処理するように自分たちとしては報告書を作成する、こういうことでござい属したので、私どもの実情を吐露した懇請については、理解ある処理がしていただけるものと私は期待をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/55
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056・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は国民は防衛の問題の真相というものを十分知らせる必要があると思うのです。それで次の質問を発しますが、あなた方はF—86Fの返還されたのがどこに行くか知らないというけれども、そういう白々しいことはおやめになった方がいいと思う。これは台湾、韓国に行くわけなのです。F—86Fという飛行機は、御承知のごとく台湾海峡が緊迫したときに、サイド・ワインダーをつけて、非常にこは威力を発揮したのです。そうしてあの台湾政権に補強しなければならぬれそのときに、ちょうど軍事援助を削減しようというような空気がアメリカにに起って、そこでMSA援助の使用状況というものを調査するために、日本に調査団が来たわけです。そうして日本の飛行機が乗員が不足で相当遊んでおる、特に供与した四十五機が荷作りもそのまま遊んでいるというのを発見して、よしこれを台湾、韓国の方に回わすという方針がきまったわけです。これを否定できるかどうかということなのです。あのF—86Fなんか、アメリカに今持って帰ったって役に立たないのですよ。またアメリカの方針としては、日本には秘密保護法がない、だからアメリカでできる一番優秀なものをアメリカで使って、そうして日本は秘密保護法はないが、まあやれる程度のものを日本にやって、そうして日本では役に立つか、日本の役に立ちそうにないのは、台湾とか、神岡、東南アジアに持って行く。こういう方針なのですよ、これと結びついたのが植村構想なのです。だから私はこの点をどういうふうに反駁するかという点と、それからドレーパー団長から必ず植村構想という話があったはずです。これに対して防衛庁長官はどういう見解を持っているかということを本会議で質問したが答弁がなかった、だから私はここで答弁を求めます。だから植村構想については、経団連の方がドレーパーの方と再三在日中会っているわけです。この植村構想をあなたに答弁いただくために簡単に言いますと、アメリカは非常に科学が進歩して優秀な飛行機ができるわけです。で、アメリカで作るわけですね。アメリカは東南アジア援助の勘定を持っているわけです。それでアメリカの軍需産業家にそれを支払うわけです。そうして作った飛行機を日本へ現品を持って来る、そうすると日本は防衛庁に予算を組んで、国民の税金で、これを円で払うわけです。この円というのは米国勘定になるわけです。それを日本の防衛産業家植村さんあたりに渡して、そこで飛行機並びに武器を作るわけです。その作ったものは、アメリカと日本でできたものは、レベルにおいて差があるわけです。これを東南アジアに現品を持っていく。だから植村構想ができれば、防衛庁の予算はふくらんで、国民の税金で軍需産業が盛んになるわけです。だからそういう軍需産業家は助かるわけですね、そうしてその兵器が東南アジアに行ってしまうわけです。アメリカは東南アジアの軍事援助を、ドルを東南アジアにやる必要はないのです。アメリカ国内の軍需産業家に武器を作らせて、それを日本にやればいいわけです。だからアメリカだって推進するのは当然です。また日本の軍需産業家が植村構想というものを推進するのは当然です。しかし、日本の側からとれば、非常に税金がふくらんでくるわけです。さらに一段高い視野から見れば、アメリカは自分で一番いい、どこの国よりも優秀な兵器を持って、そうしてそれに次ぐものを日本程度に与えて、そうしてそれに次ぐ程度のものを台湾、韓国あるいは東南アジアに与えよう、こういう政策というものははっきりしているのです。だから今度F—86Fの返還にいたしましても、あなた方のずさんなるがためにこれが遊んでおった。日米折半方式がだんだんと日本の負担が増加していく傾向なんでありますけれども、ともかく三菱さんで三百機の生産をやっている。あれはアメリカへ持って帰ったって役に立たないが、サイド・ワインダーでもつけるというと、台湾、韓国あたりでは威力を発掘する。だからこちらに回そうと、こういうことなんです。だからこれにあなたはいかように反駁するかという点と、植村構想については、防衛庁長官としてはどういう見解を持つか、これは私は通産大臣とか大蔵大臣の立場に立てば、それぞれ見解が違うと思うが、少くとも防衛庁長官としては、いわゆる植村構想というものにどういう見解を持つかということをお答えおき願いたいと思います。これは今後ますます時日の経過とともに大きくクローズアップしてくる問題、これはアメリカのMSA対日援助とも関連があるわけですし、一応あなたの見解を持っていると思いますので伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/56
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057・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) F—86Fの返還につきましては、いろいろと御意見がありまするが、私どもとしては、御承知のように一年半も使わずにおいたということについては、御指摘のように遺憾な点のあったことは、今後防衛整備上遺憾なきを期したい、かように私みずから深く戒心をいたそうと思っております。ただ、その行く先等につきましては、御承知のようにわれわれ全く返還に際しても、これは関知せざるところで、官房長お答えの通りでございます。ただ、ドレーパー・ミッションと私との間において、いわゆる植村構想について何らかの話し合いがあったかという点については、私は率直に申し上げまするが植村構想というような言葉をドレーパー・ミッションとの会合に用いたことはございません。ただ、私自身の所信といたしましては、日本の防衛は、少くとも常に皆様から御指摘のあるように、独立国である以上は、みずからの力で日本を防衛するということが建前であり、また私どもとして努力しなければならぬところだと、かように考えておりまするが、御承知のように、現在のわが国の国力、現在の国情においては、みずからの力でみずからを守るということが困難である。この現状について昭和二十七年から日米安全保障条約を締結をいたして今日に至っていると、かように考えております。従いまして、私は防衛産業については、植村さんとは私防衛庁長官を拝命して以来一度もお目にかかりませんが、私はきわめて懇意でありますが、現在まで一カ月余の間一度もお目にかかっておりません。従いまして、いわゆる植村構想なるものの具体的な内容は伺っておりませんが、私自身としては、日本の科学技術の進歩発展、その角度から日本の産業の健全な育成ということは、これは政府として十分に今後努力をいたして参らなければならぬ、それと、いわゆる防衛産業というものは、日本の科学技術の発展と関連なくしてはとうてい成り立たない問題だろうと考えております。従いまして日本の防衛産業につきましても、日本の国力、国情に応じた発展というものを私どもが願うことは、これは当然だと私は考えております。しかしながら、現在の段階においては、われわれの防衛体制において、独力で日本を自衛するだけの力をなお養い得ない現状においては、でき得る限り日本の国の負担を軽減し、同時に日米防衛体制の強化の面から、私どもとしては既定方針に基いて防衛を整備していきたい。その角度からでき得る限りアメリカの軍事援助を継続してもらい、強化してもらいたいというのが、私ども防衛庁の基本の方針でございます。従って私はそれらの内容について極力お話をいたしまして、また、過去の援助を受けた実情、それが利用されておる現状等についても、十分なお話をいたしまして、今後、日本が逐次みずからの力で防衛をやっていくという努力はでき得る限りわれわれとしてはするつもりであるが、現状においてはきわめて困難であるから、もし、伝え聞くところによるアメリカの軍事援助の削減というような点についてわれわれとしては、どうぞここ五年ぐらいは、なお今日までのアメリカから日本への軍事援助を継続していただきたい、その後においてわれわれも、逐次国内の科学技術の進展と防衛産業の育成強化によって、みずからの力でみずからを守を体制を逐次強化して参りたい。しかしながら、少くとも五年程度は現状通り継続してもらわないと、今の日本の国力では困難であるということで、私自身、日本の科学技術の発展に対応した防衛産業の育成というものは、独立国としてやはりこれはやっていかなければならぬ。しかし、現状においては、植村構想のような形でもってやられることについては、御指摘のように非常な負担が国にかかるという観点から、私は軍事援助を強調したというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/57
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058・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ここで、兵器、ことに主力戦闘機の国産という立場から、いわゆる新主力戦闘機械の問題が関連として浮び上ってくるわけで、重要でありますので、この点に若干触れて伺います。それで、質問を進めるに当ってまず伺いますが、天川という人物がいますね。これは皆さん御承知のはすです。それで、これはあなた方にきょう資料を持ってくるように要求してありますから、お答えいただけるはずですからお答えいただきたいのですが、天川氏に防衛庁並びに国防会議から支払った金額、それから日時、その支払いのメモ、それを用意してくるように通知してありますので、用意してきているはずですから、まず防衛庁から、続いて国防会議からお答えいただいて、次の質問を発します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/58
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059・加藤陽三
○政府委員(加藤陽三君) 申し上げます。天川勇氏に対しましては、昭和三十年二月に、昭和三十三年度の資源面における日本海外依存度と輸送の脆弱面について、ということで研究を依頼いたしまして、謝礼を三万六百円を海上幕僚監部で払っております。三十一年三月十六日、米国陸軍の現状と新規計画の研究について、ということで研究を依頼いたしまして三万円、陸上幕僚監部でございます。あとは、三十年六月二十七日、三十一年三月十六日、三十一年十二月二十四日、これは、世界の軍備の状況等につきまして、海上幕僚監部、陸上幕僚監部及び内局におきまして講演を依頼いたしまして、その講演の謝礼といたしまして海上幕僚監部で二千四百円、陸上幕僚監部で三千円、内局におきまして二万五千円、支払っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/59
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060・廣岡謙二
○政府委員(廣岡謙二君) 天川氏に国防会議事務局といたしまして講演を依頼し、また委託調査をさせましたことにつきまして申し上げます。講演の方は、三十一年度におきまして七回、これは金額にいたしまして三万七千五百円でございます。三十二年度におきまして十回、金額にいたしまして五万五千五百円、三十一年度におきまして三回、一万五千円、合計二十回でありますが、その金額が合せますと、十万八千円になっております。この二十回にわたります講演の概意でございますが、もっぱら国際情勢、軍事情勢、それから軍事科学上のいろいろな問題につきまして講演を聞きました。それから委託調査でございますが、これは昭和三十三年の二月十五日の口付をもちまして新たに採用される候補機種の性能の分析の方法論等について委託をいたしまして、この金額は十万円でございます。これは同年の三月の、たしか二十日か二十五日ぐらいの間にこのレポートが提出されております。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/60
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061・矢嶋三義
○矢嶋三義君 質問をする前提にもう一つ承わります。防衛庁長官に承わりますが、先日防衛庁長官は、千葉の御郷里で、グラマン、グラマンといって騒ぐけれども、あのグラマンの問題は、大蔵省の役人がちょっと酒を飲み過ぎただけだという演説を選挙民……群衆に対してなさっておられますが、これは大蔵省のだれが、ちょっと飲み過ぎたというのは、どのくらい飲み過ぎたということなんですか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/61
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062・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 私が雑談の間にさようなお話をしたことも事実でございますが、ということは、吉村それがしの問題が決算委員会にいろいろと話に出ておりまして、当時供応等の問題をだいぶ聞いておりますので、その例を引いただけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/62
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063・矢嶋三義
○矢嶋三義君 吉村君だけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/63
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064・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 私の記憶にありますのは、それ以外に何にも知りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/64
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065・矢嶋三義
○矢嶋三義君 では分けて伺いますが、大蔵省のほかの人、あるいは国防会議のほかの人ですね、特にあなたの部下ですね、これはグラマンの問題でちょっと飲み過ぎたというような点はお認めになりますか、なりませんか。吉村君だけをあなたは誹謗しておるわけですね。吉村君が主力戦闘機械の問題について、あなたの言葉をもってするならば、飲み過ぎただけであって、防衛庁の職員の中には、吉村君ごとき性質の酒を飲んだものはおらない、こういうように言明できるか、できないか、お答えおき願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/65
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066・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 私がグラマンの問題について話をしましたのは、グラマンに関連してという趣旨で話をした、のではございません。グラマンの問題がいろいろ先般来国会において問題になっておる。しかし少くとも防衛庁については私はさような事実は聞いておらない、たまたま決算委員会において、大蔵省の吉村それがしが天川氏と酒を飲んだというような事実を聞いておるだけだ、かように申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/66
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067・矢嶋三義
○矢嶋三義君 防衛庁長官は、吉村氏の行動は、あなたが今、決算委員会等を通じて関知しておる範囲においては好ましくないという見解に立たれておるのか。それともまあ酒だから、飲んだっていいじゃないかという、そういうお気持でおられるのか、御所存を承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/67
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068・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 事態の詳細については承知をいたしておりませんが、個人的に供応にあずかったり、あるいは供応したかどうか存じませんが、少くとも、もし業務に関連したことであれば好ましくない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/68
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069・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それではこの次までにお願いしますが、あなたの部下で、吉村氏と同じような類似の行為をとった人がいるか、いないかを調査されて本委員会に資料として御提出を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/69
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070・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 取り調べた上御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/70
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071・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それから国防会議の事務局長に、今答弁できればすぐ答弁していただくし、今できなかったならば、至急に資料として出していただきたい。昭和三十三年度の予算の中に、国防調査委託費というのが九十五万円計上されております。この使途はいかようになっているのか、大略わかっていれば今答弁していただくし、この中から吉村氏には三十三年の二月、十万円が出ているのだと思うのです。あるいはこれ以外から出ているのか、その点を明確にお答え願うとともに、いずれにいたしましても、これらの使途の明細書を資料として本委員会に出していただきたい。お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/71
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072・廣岡謙二
○政府委員(廣岡謙二君) 今手元にございます資料について申し上げます。今お尋ねの中にございました十万円を吉村氏に渡したというようなことでございましたが、これは吉村氏には……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/72
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073・矢嶋三義
○矢嶋三義君 間違いました天川です。天川と訂正いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/73
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074・廣岡謙二
○政府委員(廣岡謙二君) 三十二年度において、調査委託をいたしましたものは、装備品の調達に関する諸問題という研究題目のもとに、日本兵器工業会に委嘱をいたしました、この金額は四十万でございます。それと大陸問題研究所及び東南ア綜合通信社、両者に対しまして世界の軍事情勢に関する分析調査ということで、大陸問題研究所に対しましては十万円、東南ア綜合通信社に対しましては四十万円、それと天川研究所に対します十万円、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/74
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075・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この次にそれはプリントして出していただきたい。それから局長に伺いますが、国防会議は速記録をとってなくメモだけということなんですが、天川氏は何回国防会議に傍聴、参考に出席されたか、御記憶になっておる範囲内で何回くらいとお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/75
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076・廣岡謙二
○政府委員(廣岡謙二君) 天川勇氏が国防会議、あるいは国防会議懇談会に出席いたしておるというようなことが巷間伝えられておるようでありまするが、天川氏が国防会議あるいは同懇談会に出席したという事実はもちろんございません。また、そういうところに出席すべきものでもございませんので、この点は私からはっきりと申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/76
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077・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなたの責任ある発言で、天川氏とあなた方が国防会議室で一緒にお会いになったということはないということになったのですが、あなたは国防会議の事務局長ですから、いろいろ勉強する関係もあったと思うのですが、天川氏とあなたと役所以外で何回くらいお会いになられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/77
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078・廣岡謙二
○政府委員(廣岡謙二君) 天川氏と私が会いましたのは、一昨々年十月、われわれ事務局の者が勉強するということで、もちろん天川氏だけでございませんで、関係官庁の人たちの話を聞き、意見を聞く。それから広く一般の有識経験の人たちから、その専門の話を聞くというようなことで、事務局自体の勉強として各方面の人たちの話を聞いて参ったのでございますが、天川氏はその中の一人といたしまして、今申しました三十一年の十月から事務局に来ていろいろ話を聞いたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/78
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079・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この天川という方は、私の調査では、表現が適当でないかもしらんけれども、あなた方に対しては偉大なる影響力と力を持っているようです。きょうは制限せられた時間内における委員会ですから、それを掘り下げるのは次回に譲りますが、防衛庁並びに国防会議がお話を承わった公式の回数、それから謝礼、それから委託調査費の十万円、これらが雄弁に物語っていると思う。これは非常に発展性のある問題だと思いますが、私は防衛庁長官に承わりますが、これはいわゆるF11F—1Fのグラマン・ジェット戦闘機を、四月十二日の国防会議において内定する前の過程における問題なんです。そこであなたに承わりますが、最近与党内にも、アメリカの軍事援助が少くなって、今まではT—33A、F—86F等の国産計画は日米およそ折半負担でやっておったが、それがだんだん低下してきておる。それからP2V、あれも三十二年度から国産計画を立てておりましたけれども、負担関係が明確でないので、今度計画に出てきておりません、これは。それで新主力戦闘機種の国産計画を既定方針通り続けるかどうか。既製品を買ったらいいじゃないかという意見が与党内に非常に強く出てきているということが報ぜられ、それから本会議でもちょっと触れましたが、内定して一年以上経過しておるから、この際グラマン内定のあれを一応白紙にして、今の時点に立って再検討しよう、それで機種をいずれにするか、さらに国産にするか、アメリカの既製品を購入するかという点について、あらためて検討しようという意向が、政府与党内に出てきているということを伝えられているのですが、防衛庁長官はどういう御見解を持っておられるのか。内閣としてどういう方針なのか。まず官房長官の御答弁をいただいて、それから長官の答弁をいただきたいと思います。主力戦闘機の問題については内閣のスポークスマンとしての官房長官、前から関係のあられる方でありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/79
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080・赤城宗徳
○政府委員(赤城宗徳君) 新戦闘機をどういうふうにするかということにつきましては、お説のように昨年の四月、一応グラマン機に内定してなお検討を続ける、こういうことになっておるのでありますが、再々御答弁申し上げておるように、なお防衛庁、国防会議でさらに検討を続けなくちゃならないと考えております。というのは、一つは今もお話がございましたように、アメリカの援助の比率が非常に減るような情勢にもありますので、そういう点につきまして外務当局を通じてなお折衝しなければならないという問題が一つ、それから財政負担上の問題、それから機種につきましても、いろいろ性能等も非常に発達してきておりますので、そういう点も一応考えなくちゃならないという点で、いろいろ研究などいたしておりますが、しかし、今結論が出ておるわけではございませんので、いずれ防衛庁の意見を中心といたしまして、国防会議等においてさらに検討を続けるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/80
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081・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 私からお答え申し上げます。F—86F並びにT—33の問題につきましては、御承知のように、日米共同生産協定で今日まで進んで参りましたが、今日までのところは、御承知のように折半方式であってずっと進んでおります。何ら変っておりません。ただ、当初アメリカ側が非常に負担が多くなされて、その後逐次国産化が順調に推移するにつれまして、当方の負担がふえた、平均いたしますと、これは既定の方針通りということに相なっているわけでございます。それからFXの問題につきましては、御承知のように昨年の四月に国防会議において一応の内定を見ておる次第でございまして、政府といたしましては、ことに防衛庁といたしましては、内定を見ておる限り、白紙ということにつきましては、それが修正されざる限りにおいて、政府部内においてはさようなことはないので、ただ、私どもといたしましては、あくまでも事務的な各種の問題等をあわせて検討して万全の措置をとりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/81
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082・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これで最後にしますが、官房長官においで願ったのは、私は総理のかわりとしておいで願ったつもりでいるわけです。この点については、官房長官と総理は常に意見をかわされていると思いますが、総理は国防会議の議長です。私は四月の十二日の内定というものは、一応あらゆる角度から考えた場合にこれを白紙に返して、そして再出発をすべきだ、こういう私は見解を持つ者です。これに対して内閣の代表として官房長官どういうお考えか承わりたい。
それとあわせて承わりたいことは、新主力戦闘機種の決定がおくれたから、川崎さんもそうだが、特に新三菱さんが非常に空白になる。それで直接工、間接工を合せて約八千人程度仕事がなくなるのだ、この数字はどの程度信用していいかわからんが、そういうことを聞きます。それでメーカーとしては、性能はどうでもいい、とにかく仕事をさしてくれればいいのだという意見を吐く向きもあるわけです。全くおそろしい言葉だと思うのですが、そこで、航空機産業が空白になってはならぬというので、次の点事実かどうか聞きたいのですが、F—86F、T—33の部分品を五年間分ほど発注するということが伝えられているのですが、もし五年間分もF—86FとT—33の部分品を注文しても、おそらく五年たった後には、それはもう捨てなければならないようなことになるのではないかと思うのですが、航空機産業に空白ができるからといって、そういう埋め合せ方というものは妥当でない、これは私は政府の方針にもなると思うのですが、最近通産省関係で、民間航空の生産計画等を立てられているのは、けっこうなことだと思うのですが、もし直接工、臨時工等に相当のあぶれる人が出て、それから施設が遊ぶというようなことになるならば、政府の一つの航空機産業に対する政策として、軍用機生産に力こぶを入れた以上の力を入れて、民間航空の生産の方に政策を転換したらよろしいと思うのですが、そういう点については、政府はどういう見解を持たれているのか。さっきの四月十二日の白紙還元の問題と今の点と、そういう点を官房長官に伺いたい。それから防衛庁長官に、T—33は来年まで川崎さんがするが、とりあえず新三菱さんがF—86Fの国産を若干ずらしても九ヵ月延びる程度で空白ができるので、部分品を数カ年分発注を受けるということを聞くわけですが、それが事実かどうか、それだけ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/82
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083・赤城宗徳
○政府委員(赤城宗徳君) 昨年四月のグラマン内定は、いわゆる内定は内定としてこれは厳然たる事実でありますから、内定として考えておりますが、しかし、その後のいろいろの事情を、先ほど申し上げましたようなこともありますので、これを今白紙に返すというわけには参りませんが、内定は内定としておきながら、各方面から検討して慎重に研究をしていきたい、その他の点についても慎重な検討を続けていきたい、こういう段階であります。
それから航空機産業の空白を埋めるためにというお話しでありますが、これにつきましては、技術の保存と継続といいますか、非常に技術者などが生産の場がら離れてしまうということになると困りますので、民間航空機等の生産を奨励いたしまして、そういう面に技術をつないでおくという考、えを持っておりまするが、なおこまかいことは、通産省の方からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/83
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084・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) お尋ねの点につきましては、御承知のように九ヵ月ほどおくれましたあと、生産が完了いたしますと、その点に関する治工具等の問題は、全部新しい体制に切りかえて処理をしなければならん、こういうことになりますので、来年度、再来年度にかけまして、二十六億ほど国庫債務によって部品を購入するという計画を立てておりますが、五年間分とか何とかいうとほうもない計画は、決して立てているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/84
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085・八木幸吉
○八木幸吉君 官房長官お急ぎのようでありますから、簡単に二、三点私からお伺いしたいと思います。
第一点は、昨日でしたか、総理、外相、幹事長、官房長官お寄りになりまして、安保条約のお話があったように新聞で報ぜられております。条約の批准は、従来事後に国会の承認を求めておられますけれども、御承知の通り憲法に事前という言葉もあるわけでありまして、国民は非常にこれに関心を持っておりますから、お差しつかえない限り、一応そのアウトラインを一つお示し願いたいと思うのです。そこで伺いたいのは、御承知の通り沖縄、小笠原島を条約区域に入れるか入れんかという問題が、非常にやかましく与党内でも意見が分れている。外相は入れない方に大体考え方が固まっているように承わっているのですが、条約の文案は技術的に問題がありますからしばらくおくといたしまして、沖縄、小笠原島を条約区域に入れる入れんということについては、四者会談で意見の一致がみられたかどうか、その内容いかんということをまず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/85
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086・赤城宗徳
○政府委員(赤城宗徳君) 安保条約の改定問題につきましては、しばしば総理大臣が御答弁申し上げておりますように、国民の世論を聞いて、あるいは国会等のもちろん意見等を聞いてきめていきたい、こう申し上げておる通りであります。そこで、きのうの会談におきましても、どういう問題を問題点としてしぼっていくべきかということについての協議があったわけであります。そのうちに今お話がありましたような沖縄、小笠原を防衛区域に入れるか入れないかという話も出ました。しかし、それはそういう具体的な話でなくて基本的に日本の主権、事実上の行政権の及ぶ範囲ということにするか、あるいはまたいわゆる潜在主権というようなことも一言われておりますので、そういう点についてなお各方面の意向を聞いて結論は出したい、ただ、外務大臣としては行政権の、まあ主権の及ぶ範囲の中で、事実上行政権の及んでいるところというようなことで意見を聞いてみたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/86
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087・八木幸吉
○八木幸吉君 そういたしますと、外務大臣は行政権の及ぶ範囲、つまり沖縄、小笠原島を除きたい、もしくは日本国の主権の存するところ、小笠原、沖縄の施政権が日本に返還された場合には、別に条約の改廃がなくても当然防衛地域に入る、条約地域に入るという意味合いで、かような言葉を使いたいという主張があったけれども、これに対しては、必ずしも皆さん一致して賛成されたというわけではないと、こういうふうに受け取れるのですが、さようでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/87
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088・赤城宗徳
○政府委員(赤城宗徳君) 先ほど申し上げましたように、私どもは結論を出すために、あるいは四者で結論を出すために集まったということでありませんので、問題点を上げて世論等に聞くということで、しかし、漫然とそういう問題を提示しても検討の対象にならぬと、こう考えましたので、行政権の及ぶ範囲というような形で出してみたらいいじゃないかというようなことについては、一致しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/88
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089・八木幸吉
○八木幸吉君 外務大臣の新聞談話では、皆さんが自分の考えを了解したというふうに受け取れますし、今の官房長官のお話では、必ずしも外務大臣が考えておられるように一致したわけでもないというふうにも受け取れるのですが、両者の間には完全な一致があったと拝承してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/89
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090・赤城宗徳
○政府委員(赤城宗徳君) 先ほどから申し上げていますように、四者で結論を出すというわけでなくて、世論を聞くための問題点を検討しているわけでありますから、きのうの会議は、一致させるとか一致させないとか、こういうことでありませんので、問題点として提示する場合に、外務大臣の方の考え方について、いろいろその問題ばかりじゃありません、ほかの問題もたくさんあったのであります、そういう問題を整理いたしまして、それを問題点として世論に聞くといいますか、各方面の意見を聞く、こういうことなんであります。でありまするから、先ほど申し上げていますように、結論を出すために集まったのじゃありませんので、提示する問題点を出しておるわけであります。問題点を出した中において、そういう問題は問題点として出さないでもいいだろうという問題もありましたし、また、いろいろ考え方をもっと広い範囲に広げて問題点として出した方がよかろうという点などもありました。今の防衛区域といいますか、沖縄、小笠原の問題については、直接小笠原とか沖縄とかということは出ておりませんが、行政権の及ぶ範囲、あるいは主権の及ぶ範囲というような話し合いになりまして行政権の現実に及んでいる範囲というようなことにして、検討すべき問題として出した方がいいじゃないかということでは一致しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/90
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091・八木幸吉
○八木幸吉君 この前の、昨年の委員会で、いわゆる赤城委員会の設置の問題がありましたが、あれはもうおやめになったかどうかという点が一つ。それからもう一つは、私はその意見には賛成なんですが、グラマン、ロッキードあるいはノースアメリカン、航空機を数機ずつ試験的に買って、日本で乗って試験してみたらどうだというふうな考え方についての今の官房長官のお話し、この二点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/91
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092・赤城宗徳
○政府委員(赤城宗徳君) 俗称赤城委員会でありますが、そういうものを設けて検討する必要があろうかと、昨年中いろいろ考えておりました。しかし、国会においてもこの問題は各方面から論議をされ、検討もされ、また意見も私ども聞かされておりますので、こういう委員会を設ける必要は今ないと、こういうふうに考えています。それから全部三百機を国産にするかどうか、一部分試験的に買ってみてもいいじゃないか、こういう考え方もいっか私、申し述べましたが、これも一つの方法ではないか。現にドイツなどでは、最近そういうふうな方法をとっておるようであります。でありますが、これはあくまで国防会議としてあるいは懇談会の意見として出ているわけでありませんので、公的にそういうことにするということでも何でもありません。そういう意見もある、その意見も一つの検討の材料として、今度国防会議の懇談会、あるいは防衛庁のいろいろな考え方等を聞いてから、一つの検討題目としては考えらるべき問題だと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/92
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093・八木幸吉
○八木幸吉君 もう一点だけ伺って私の質問を終りますが、それはこの前のこの委員会で、長官、自衛力と憲法との関係で私の意見をちょっと申し上げましたけれども、重ねて今の憲法では自衛戦力は持てるというふうな御言明がございました。今でもその考え方にはお変りはございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/93
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094・赤城宗徳
○政府委員(赤城宗徳君) 八木さんからこの間もお尋ねがありまして、総理は自衛のための必要最小限度の実力は持てるのだ、自衛力は持てるのだ、これは憲法第九条第二項に違反しない、こういうことを言われて、私の憲法第九条二項の戦力というのと少し違うのじゃないかというふうなお考えを漏らされたように私ども考えております。私は必要最小限度の実力、自衛力というのを戦力というふうに考えまして、憲法第九条一項によって今の自衛力を持っておる、自衛隊があるということは何ら憲法違反ではない、こういうふうな考えを申し述べたのでありますが、変っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/94
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095・八木幸吉
○八木幸吉君 ちょっと今の御答弁、初めのあれと少し違うようですが、自衛戦力は第二項から持てると、こういうふうに最後におっしゃったように思いますが、さようでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/95
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096・赤城宗徳
○政府委員(赤城宗徳君) 憲法第九条二項によって、自衛のための戦力は持てると、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/96
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097・八木幸吉
○八木幸吉君 憲法九条第二項は、自衛のための戦力であるならば戦力でも持てる、これが長官のお考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/97
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098・赤城宗徳
○政府委員(赤城宗徳君) 戦力が自衛のためならば持てると、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/98
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099・八木幸吉
○八木幸吉君 ここであまり私長官と議論する気持はございませんが、総理のお考えとはっきり違っておることを御認識の上で、さようにおっしゃっておるのかどうかという点をお聞きしておきたい。というのは、総理は自衛権の裏づけとしては自衛の実力行使はできる、そうして自衛のための最小限度の、しかし実力行使にもおのずから限度がある、そこで、自衛のための最小必要限度の実力行使は、憲法九条第二項によって禁止されておる戦力ではない、逆に申し上げますと、九条第二項の戦力というのは、本質的には自衛であろうと侵略であるとを問わず、すべて戦力というものを禁止しておる規定である。しかし、自分のこの必要最小限度の実力行使というのは、憲法の九条の第二項のいわゆる戦力ではないのだ、これが総理のお考えであります。これは今の官応長官のお考え方は、憲法九条第二項で禁止している戦力は本質的なものではなく、程度のものである。自衛のための戦力ならば、たとえそれが戦力であっても持てるのだ。こうおっしゃると、九条第二項の解釈と自衛隊の関係について非常に大きな差が生じてくるのですが、それは承知の上で御答弁になっておるのかどうかということを私伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/99
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100・赤城宗徳
○政府委員(赤城宗徳君) 私は自衛のための必要最小限度の実力というものは、自衛のための戦力だとこういうふうに考えておりますので、総理の考え方と違わないと自分では思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/100
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101・八木幸吉
○八木幸吉君 違っておりますけれども、これ以上私は突っ込んで申し上げません。私の解釈では確かに違っておると思いますから、一つ御研究を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/101
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102・中山福藏
○中山福藏君 時間がありませんから、三点に端折って御質問申し上げます。まず第一に、防衛庁長官にお尋ねしますが、質問に入るに先立って一つ確かめておきたいと思いますが、あなたは近ごろ英国で、ポツリン菌という細菌が発明されて、わずか数滴で約百万人を殺すことができる強烈なものであるということを耳にしておられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/102
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103・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) 寡聞にいたしましてまだ聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/103
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104・中山福藏
○中山福藏君 そこで、本日の防衛庁の予算を見ますと、陸海空の人員というものが、二十五万四千八百人にふえたというて御説明になっておりますが、防衛庁法並びに自衛隊に関する法律の規定の目標というものが、平和と独立を保持するためにということを両法律ともうたっておる。それで独立を保持するために自衛隊というものが設けられておる、こういうことになりますと、まず敵から食われないということが肝要である。こちらから向うに出かけて食うのじゃなくて、向うから攻めてきたときには、食われないということが結局独立の保持ということになると思います。そこで、日本の財政経済の観点から、とても今日、米ソを向うに回して戦うというようなことは、これは不可能だと信じます。とにもかくにも日本として食われない方法は、防備措置を講じなければならない。今英国の国防の一環として五年間研究して、ボツリン菌という細菌を発明したそうですが、これは数滴で百万人を殺すことができるとワットソンワットという英国のレーダーの権威者が発表しております。これは化学の研究だと私は見る。英国には御承知のように、微生物化学研究所、国防化学研究所というのがあって国防上いかにこれを利用できるかということを研究しておる。しこうしてポツリン菌一ポンドあれば六時間内に全世界の生物をみな殺しにすることができるとこう言っておる。私は防衛庁長官として、当然こういうことは関心を持っておられなければならないことと存じます。これは私はうそかほんとうか、直接知ったわけではありませんが、しかし、これはすでに発表されておるのであります。私が最も遺憾に考えておりますことは、ただいま御説明の予算を見ましても、いわゆるそういうような科学的な研究に対する費用というものをほとんど組まれていない。ほんの申しわけ的に、きわめて微々たる十九億円が組まれておるだけでありまして、「附属機関すなわち、防衛研修所、防衛大学校、技術研究本部、建設本部及び調達実施本部の運営に必要な経費は、云々ということを書いて、まことにわずかな経費がこれに充てられておる。私は今日航空自衛隊とか、あるいは陸海軍自衛隊員の増加とか、こういう問題にいろいろな巨費を投ずるよりも、こういう科学的な方面に当然相当の費用を計上して、侵略者からわが国が食われることを予防するということが必要じゃないかと考えておるのですが、これは防衛庁長官並びに赤城さんもここに来ておられますから、御意見を伺いますが、かつて星一という男が、衆議院の予算委員会で、太平洋戦争をするには、敵を抹殺する化学的発明者へ一億円の奨励金をやれと言ったことを記憶しておる。私はこういう観点からいろいろな多方面に莫大な予算を組むよりも、国家財政、国民経済の観点から、国防上超効率的な化学あるいは物理的な研究に巨費を投ずるということが、食われない第一の要諦だと思量するのですが、どうでしょうか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/104
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105・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) お答え申し上げます。寡聞にしてポツリン菌というものの実情について、私はまだ承知いたしておりませんが、御指摘のように、今後の防衛というものは、科学技術の飛躍的進歩なしにはこれをなし遂げることができない、かように先生の御意見については、私は全く同感でございます。しかしながら、現在の日本の国力、国情、実情からは、御承知のように、最小限度の防衛に関する諸般の整備をしなければいかぬということで、陸海空それぞれ均衡のとれた、また将来の情勢に応じた重点的な施策を講じ、来年度の予算としては、海空等について重点的な予算を計上いたしておるわけでありますが、御指摘の点等につきましても、技術開発の問題につきましては、全体の予算から考えますならば、必ずしも十分とは言えないかと存じまするが、私どもとしては、極力積極的にこれらの科学技術を中心にした兵器の装備等につきましては、予算案として御報告申し上げましたように、来年度としては十八億九千七百万円、約十九億、昨年度に比較しても二億近い増額ということで、でき得る限りそういった時勢におくれないような措置をとるつもりでございますが、しかし、独自で平和と独立を守るということは、現在の国力から困難でありますので、日米安全保障条約というものを根幹として、日本の防衛体制を確立しよう、従って、それに対しましてわれわれとしてはあくまで、御指摘のような科学技術の進歩による防衛ということについても、決しておろそかにいたしておるわけではございませんが、全体から申しまして、御期待に沿い得る程度の予算かどうか別といたしましてわれわれとしてはでき得る限りのことを積極的にやりたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/105
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106・永岡光治
○委員長(永岡光治君) 中山君に申し上げますが、あまり時間がありませんので、簡単に一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/106
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107・中山福藏
○中山福藏君 私は月並みの、世界でやっておるのを模倣するというような不見識なことでは、ちょっと日本の防衛というものは完全じゃないと、かように考えております。だから模倣せざる日本独特の国情に基いた能力を発揮していただいて、わずかな十九億くらいの予算ではなくて、少くとも一千億くらいな予算を組んで、こういう方面に他の方面からもお回しになるということが、最も賢明な措置であるかと考えますから、ただいま委員長のお言葉がありますから、この点はこれで打ち切りますが、これは一つお考え願いたい。模倣よりも独創に生きていただきたいと私の方から御要求申し上げておきます。
第二点は、赤城官房長官に対して防衛に関連してお尋ねするのですが、沖縄、小笠原に潜在主権があるということを言われております。ところが一方に米・比防衛、あるいは米・韓防衛とか、米・華、あるいはオーストラリア、ニュージーランドとアメリカとの防衛協定があり、他方日米の安保条約があって、これには小笠原、沖縄は入っていないということになっております。この錯綜した各種のアメリカの対外的防衛条約との関連から、わが国が潜在主権を持っております小笠原、沖縄に、もし第三国から進撃があった場合に、日本はそれに巻き込まれるおそれがあると思うのですがね、そういうときにはどうですか。日本からの自衛隊というものを首相のつまり出動命令によってお出しになるお気持がありますかどうですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/107
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108・赤城宗徳
○政府委員(赤城宗徳君) 非常にむずかしい問題で、私から答弁することは困難な問題だと思いますが、まあ出動するということは条約その他で、あるいは今の共同防衛の体制からいってないと私考えておりますけれども、これ、非常にむずかしい問題でございますから、なお検討の上お答えすることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/108
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109・中山福藏
○中山福藏君 私は数年来待ちに待った問題が一つあるのです。それは政府というものが竹島問題をどう取り扱うだろうかということを、常に関心を持って今日まで見て来ました。しかしながら、何らの措置が講じられない。なぜ李ラインの範囲内にあるこの竹島が、日本の防衛の対象とならないか。換言すれば、独立を保持する意味で、わが国の領土を保護する建前からいっても、これをそのままに放置することはできないはずだ。これはまあ自衛隊法に、平和という文字を片っ方に使っておるから、それでもいいんだというような、できるだけさわらずにおこうというような気持があるのじゃないかと思うのです。しかしながら、国家の権威というものは、こんなことじゃ私はだめじゃないかと思うのです。もう三、四年これは待っておったんです、政府が何らかの措置を講じられるだろうと思って……。が、今日までほうりっぱなしで何にもしてらっしゃらないように感じるのです。私の聞くところでは、あそこはサバの取れるところで、非常に漁獲の大きいところだと聞いておる。しかも、ここに向うの燈台が建ち、あるいは燈台守がそこに在住しているということになりますと、一体この自衛隊法とか、あるいは防衛庁の法律の、いわゆる国家の独立が保持できるのでしょうか。こういうことでは、外国からなめられるんじゃないんですか。この際最後のあなた方の決意と今までにおとりになった措置、この三、四年来の措置をぜひ聞かして下さい。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/109
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110・伊能繁次郎
○国務大臣(伊能繁次郎君) お答え申し上げます。竹島の問題につきましては、由来日韓交渉等におきまして、外交交渉によって平和にこれを確保したいという努力を政府としては終始続けておりまして、私ども目下の段階におきましては、御指摘のように日本の権威という問題等もございまするが、平和と独立を保持するという自衛隊の建前上、現在のところは、外交交渉にゆだねることが適当かと存じて今日に至っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/110
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111・中山福藏
○中山福藏君 最後に一言、言わして下さい。ただいま適当な外交上の措置をとると言われましたが、もうこれはだいぶ長い問題ですよ。もう五年も前の、吉田内閣のときからですからね。これは実際、あまりに政府が弱腰でなめられ過ぎているのじゃないかという気がします。国民として耐えられませんよ。しんぼうにも限度がありますからね。私どもは常にできるだけ外交上の障害にならないように黙ってはおりますけれども、国民のこの解決に対する期待というものは、相当大きいのです。だから国民の意のあるところを十分おくみ取りになって外交交渉ならそれでいいですから、もう少し早くに解決をつけていだたきたい。これで私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/111
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112・永岡光治
○委員長(永岡光治君) 他に御質疑のおありの方もあることと存じますが、本日はこの程度にとどめまして本日はこれにて散会いたします。
午後一時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X00819590219/112
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